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1997-02-26 第140回国会 参議院 環境特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十六日(水曜日)    午前九時二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 狩野  安君                 成瀬 守重君                 山下 栄一君                 大渕 絹子君     委 員                 河本 英典君                 小山 孝雄君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 平田 耕一君                 山本 一太君                 足立 良平君                 常田 享詳君                 寺澤 芳男君                 長谷川 清君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 有働 正治君                 末広真樹子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君    政府委員        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        科学技術庁原子        力安全局核燃料        規制課長     片山正一郎君        環境庁企画調整        局環境保健部長  廣瀬  省君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部地球規模        問題課長     津曲 俊英君        外務省北米局日        米安全保障条約        課長       梅本 和義君        外務省経済協力        局調査計画課長  吉田 雅治君        厚生省生活衛生        局企画課生活化        学安全対策室長  内田 康策君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    三本木 徹君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課産業廃        棄物対策室長   仁井 正夫君        運輸省運輸政策        局地域計画課長  梅田 春実君        運輸省海上技術        安全局安全基準        課長       矢部  哲君        建設省都市局下        水道部公共下水        道課長      石川 忠男君        建設省河川局河        川環境課長    白波瀬正道君        建設省河川局防        災・海岸課海岸        室長       西口 泰夫君    参考人        環境事業団理事        長        渡辺  修君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害対策及び環境保全基本施策に関する件  )     —————————————
  2. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会参考人として環境事業団理事長渡辺修君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策及び環境保全基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 おはようございます。  香川豊島産業廃棄物不法投棄事件について、二、三お伺いいたしたいと思います。  去年の七月二十四日、同僚議員広中和歌子議員和田洋子議員とともに豊島視察してまいりました。  宇野からフェリーに乗って一時間ほど、小豆島の西にあります。囲約二十キロ、人口千六百人の豊島の波止場に着きますと、村の方々、町の方々の大勢の出迎えを受けて、十分ばかりドライブをいたしまして島の西にあるその現場に着きました。一見いたしますと、雑草がところどころに茂っている、野球場でいいますと二面か三面とれるぐらいの広場であって、いわゆる廃棄物が山のように積み上がっているというところではありませんでした。しかし、足元二十メートル、三十メートルはもう瀬戸内海で、瀬戸内海国立公園の小島の点在した非常に美しい風景が広がっておりました。  説明を聞きますと、我々が立っていたその空き地すべてがまさに十三年間に東京ドームの半分を埋め尽くす四十六万立方メートル、国内最大の五十一万トンという、シュレッダーダストを初めとする産業廃棄物が海に投げ込まれ、そこのところだけが埋め立てられてしまったということを聞いて、まさしく愕然としたわけであります。  なるほど、ごみを覆っている足元の土をよく見ますと、十円玉ほどに小さく粉砕されてはいますけれども、明らかに自動車の部品であったものがまじっておりました。タイヤのゴム、プラスチック、金属、繊維など、いろんなものがありました。  歩き回ると、時々ぐにゃっと靴がめり込みました。  のどかに見えた波打ち際にも、このごみの大地からしみ出す赤黒い油のようなものが浮いておりました。  島の住民がこの場所調査のために深さ二十メートルほどの井戸を掘ったのですが、その井戸のふたを取りますと、気絶してしまいそうな悪臭、気が遠くなるほどの悪臭、これはもう大変なものでありました。島の人々も、健康への悪影響を当然のことながら大変心配されておりました。ぜんそくの子供が非常にふえたということであります。  環境庁豊島やその周辺海域ダイオキシン安全性調査をしておられると聞いていますが、その点を御説明願います。
  6. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 昨年二月に公表いたしました環境庁による豊島周辺ダイオキシン環境調査でございますけれども、対象項目といたしましては、水質底質それから魚・貝類、この一部のサンプルにおきましてダイオキシン類検出をされております。  ただ、この検出レベルにつきましては、いずれもこれまでの我が国検出レベルの範囲内におさまっておりますけれども、地下水の浸出が認められる地点でダイオキシン類検出をされたということを考慮いたしますと、豊島に堆積をしている廃棄物に起因するダイオキシン類周辺環境へ漏出している可能性というものにつきましても否定はできないというふうに考えております。
  7. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 視察の日の午後、公民館で、数年ぶりに視察に来た国会議員団として住民方々ぢ積年思いを訴えられたわけです。多くの人が行政政治への不信感を口にしていました。特に、香川行政当局が十三年間に百十八回現地を視察しておきながら、豊島への廃棄物投棄有価物の備蓄として認め続けてきたと。これに対する島の方々の激しい怒り、不満があったわけであります。  我々の視察の後、当時の菅厚生大臣が個人として豊島視察いたしました。  皆さん承知のように、住民訴訟は去年十二月二十六日、住民側全面勝訴となりました。九四年三月から始まった総理府公害等調整委員会も十四回を終え、ようやく合意が成立し、いよいよ住民側の悲願である廃棄物の島の外への撤去について具体的な検討が始まりました。政治が機能しないまま十年近くの歳月が流れ、住民の執念によってようやく解決の道筋が見え始めてきたというところではないかと思っております。  橋本首相も、さすがに重過ぎた腰を上げて、十月の総選挙の際、高松での応援演説の中で、この豊島問題解決への経済的支援を約束したと報道されております。  昨日も報道によりますと、香川県県議会で、この産業廃棄物をとりあえず島の中で固めるための中間処理場をつくるわけですが、その中間処理場調査費の一部として香川県が一億三千万円、平成九年度予算から出すということをきのう決議したと報道が伝えております。  現在、参議院に予備審査のために送付されているこのたびの平成九年度予算案の中で、豊島関係予算は入っているのかどうか、どの項目幾ら、その入っている額は幾らなのか、御説明を願いたいと思います。
  8. 仁井正夫

    説明員仁井正夫君) 豊島の問題につきましては、現在、公害等調整委員会において調停が進められているところでございますが、お話ございましたように、香川県が主体となって廃棄物溶融等中間処理を行うという方針が出されて、このため平成九年度に処理方法等についての技術的な検討調査を行う予定となっております。  厚生省といたしましても、豊島問題の早期解決のためにこの調査等に対して必要な支援廃棄物処理施設整備費予算執行の中で行ってまいりたいと考えております。  なお、額につきましては、予算執行の中で行われるものでございますので、現段階では決まっておりません。
  9. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 香川県の調査費の一部、一億三千万円の計上ということが国からの補助金香川県への補助金、四千万円とか四千五百万円とかと言われていますが、それを考えた上での計上というふうに理解をしております。国の予算の内容について、従前のしきたりどおり最後最後まで中身を見せないという行政のあり方についていかがなものかという批判を私は持っております。  次に、石井大臣大変お忙しいとは思いますが、今後の廃棄物の問題を考えていく上でも、ようやく解決のめどが見え始めたこの豊島を一度ごらんになってはいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。
  10. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 委員大変御熱心にこの豊島視察もされたようでございますが、この豊島ももともとは乳児院施設があったり、また特別養護老人ホームとか特異なそのような施設を持ったまさに福祉の島というふうな島であったようでございますけれども、最近の、またごみの島というふうな形になってしまったということを大変残念に思っております。  現在も公害等調整委員会による調停が進行中でございまして、関係者の御努力によりましてよい方向に向かっていると聞いているわけでございますので、現時点では調停の様子も見守りたいと思っております。  今後、香川県が主体となって不法投棄された廃棄物処理に向けまして取り組みが進められることとなれば、環境庁としても、職員の派遣も含め、そして技術的な面で積極的に努力をしてまいりたいと思っております。
  11. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 ありがとうございます。  今、アジアを中心に経済は猛烈な勢いで成長をしております。そして、大量生産大量消費大量廃棄という従来型の経済システムをとる限り、やがてはどの国でもこの苦しいごみ問題、廃棄物の問題にぶつかってくるわけであります。我々がいわゆる持続可能な生産消費型の経済システムに移行しない限り、この問題は我々の子供たち孫たちの時代になるともう大変な問題になってくる。そのためには、とりわけ教育と環境を守るためのコストを負担する問題というのが非常に重要になってまいります。  現在、政府部内では生活環境審議会答申を得て、廃棄物処理及び清掃に関する法律改正案づくり作業の真っ最中であると聞いております。審議会への諮問書に添えられた「法律改正について」という書面を読みますと、「投棄者不明等の場合にも原状回復が迅速かつ円滑に行えるよう、これに必要な資金について、産業界行政もそれぞれの役割を踏まえ、協調して手当てする制度を創設するものとする。」とあります。  原状回復についての基金といいますと、三十五億ドルの基金を持つアメリカのスーパーファンド、これが有名ですが、国会図書館の調査によりますと、このような法律を持っているのは世界米国とオランダぐらいだそうであります。もちろん、原状回復、これはその廃棄物を排出した事業者が行うことが大原則であると思います。しかし、事業者が不明な場合や豊島のように事業者が倒産している場合にも、この改正により原状回復が望めるようになるわけであります。非常に期待をいたしております。  しかし、この基金を創設するためにはさまざまな困難が予想されます。産業界が任意に資金を出すのかどうか。出さなかったらどうするのか。額はどうするのか。この基金厚生省所管特殊法人あるいは財団法人にするのか。役人の天下りを許すのかどうか。民間出身者学者、弁護士などの役員を入れるのかどうか。基金の運営の情報開示はなされるのか等、いろんな問題が出てまいります。  さらに、豊島を見て思ったのですが、一体どこまで回復されれば原状回復と言えるのかどうか。  これは米国スーパーファンドにおいても難問中の難問で、法的に適用可能なあるいは適切かつ適当な条件と、非常にあいまいな記述があるだけであります。不法投棄現状は、大抵人里から離れたもともとは自然が豊かな場所がほとんどです。  この原状ということの考え方によって要求される原状回復の程度も変わっていくと思います。  例えば、この新法の効果が遡及するわけではありませんが、一つの例として豊島をとれば、普通地域とはいえ国立公園であるわけですから、国立公園としてふさわしい環境が回復されることが必要だと思います。今回の廃棄物処理法で盛り込まれるであろう基金による原状回復原状という意味を美しい環境を保存する観点からぜひとも厳密に考えてほしいと思います。この点について環境庁法案づくり作業の場や基金の今後の活動の中で厚生省に強く申し入れをすべきだと思いますが、いかがですか。
  12. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 去る二月十八日の生活環境審議会答申におきまして、今御指摘ございましたように、廃棄物の不適正処理に対する原状回復措置が迅速かつ円滑に行われるための制度を設けるということが盛り込まれております。これを受けまして現在法制化のための作業が進んでいるところでございますけれども、環境庁といたしましては、こうした措置制度具体化をされるということでございますと、やはり廃棄物適正処理推進にとって一歩前進ではないかというふうに評価をいたしております。関係者の挙げての協力期待いたしたいと思っております。  なお、御指摘原状回復レベルの問題でございますけれども、これから法制をどう仕組むか、それから個々のケースについてどう判断するかという難しい問題があるわけでございますけれども、一般論といいますか、そういう点で申し上げますならば、廃棄物不法投棄をされる以前の環境、もしくは当該廃棄物不法投棄をされた地域近傍類似といいますか周辺地域環境の状態、そういうところが一つ目指すところではないかなというふうに現状では考えております。
  13. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 次に、産業廃棄物処理法改正についてちょっと触れてみたいと思います。  先日、鹿児島県で産業廃棄物運搬船が足どめされるという事件がありました。横浜港から産業廃棄物約四千立方メートルを積んできた運搬船鹿児島志布志港の沖合に一月十八日に到着したものの、住民の反発を背景に鹿児島県が接岸を拒否いたしました。港を管理する県が係留許可を取り消したわけであります。一月二十日に業者側係留許可取り消しの無効を求める仮処分を鹿児島地裁に申請、鹿児島県は二士一百、産業廃棄物処理業者協議し、今回分に限って受け入れると表明をいたしました。ところが、搬入先最終処分場がある串良町の住民反対姿勢を崩しません。二月に入って県が船の中の産業廃棄物についての検査を実施し、環境保全上問題なしと判断し、それを受けて、二月十五日、串良町長受け入れ表明、これで県は業者接岸を許可し、二月十八日から陸揚げ作業が始まりました。  ところが、住民監視下で行われたその作業中に予想外の木くずが出てきたことにより住民の態度が硬化し、二月十九日に県庁に町から受け入れできないというファクスが届き、県は二十日に再度の許可取り消しを行いました。結局、テレビ報道などで皆さん承知のように、二十二日朝の六時に運搬船は荷物をおろせぬまま志布志港を立ちました。業者は県に対して損害賠償を要求するそうであります。  私はそもそも廃棄物処理法規定不備がこのような事件を起こしたのだと思います。現在の廃棄物処理法には受け入れ側住民意思をどう反映させるかの規定はありません。今回も鹿児島県は独自の指導要綱をつくって地域の、この場合は町ですが、自治体の意思受け入れ、それを条件にしていたのであります。合意点が見出せない場合は県は手も足も出ません。この点に関しては、北海道の事件札幌地裁も二月二十三日、法の不備指摘しております。  厚生省にお尋ねしますが、今回の鹿児島の一件をどのように見ているか、また法案には住民参加はどのように盛り込まれるか、御質問いたします。
  14. 仁井正夫

    説明員仁井正夫君) お話ございました鹿児島での事件をどのように受けとめているかというお話でございますが、産業廃棄物処理、これは商品の生産等との裏側という形で出てくるものでございます。それぞれの都道府県の中で完結するといったことは、これはまた実態上なかなか難しいところがございます。適正処理のためには基本的に広域的な対応というのが必要になってくるかと思っております。しかしながら、できる限りその排出地域に近いところで適正処理が可能となるような施設整備を進めていくべきと思っております。このため、特に処分場が逼迫しております首都圏等におきましては、減量化、リサイクルを徹底して推進していただきますとともに、フェニックス計画等広域的な受け皿といったものの整備に努めるべきものと考えております。  また、今回の廃棄物処理法改正検討において、住民参加、どのようなところを考えていくのかといったところでございますが、産業廃棄物処理に関する信頼性安全性の向上の観点から、処分場等産業廃棄物処理施設設置に当たって、施設整備計画生活環境への影響の調査結果といったものをあらかじめ公告・縦覧し、関係住民からの意見をいただく、あるいは関係市町村長意見をいただくといったような手続を整備していきたい。また、施設設置後の維持管理状況につきましても関係住民から求めがあれば開示していくといったような措置をとっていくという方向法案の取りまとめに努めているところでございます。
  15. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 次に、日本海汚染について御質問をいたします。  ロシア船籍のタンカー、ナホトカ号重油流出事件によって、改めて日本海世界じゅうの船が航行する国際海域だという思いを強くいたしました。国際海域環境が悪化すれば周辺のすべての国々の国民に被害が及びます。  一九七〇年代以降、世界じゅうの多くの閉鎖性の高い国際海域でその環境を守るために関係国国際環境安全機構をつくっております。例えば一九七四年のヘルシンキ条約によるバルト海保全機構、七六年の地中海保全機構、これはバルセロナ条約ですが、それから七八年のペルシャ・アラビア湾保全機構クウェート条約などがあります。  そのほかにも、ギニア湾にもカリブ海にもあります。日本海についても、一九九四年より日日中韓の四カ国は国連環境計画、UNEPの北西太平洋地域海洋環境保全のための行動計画NOWPAPに沿って日本海や公海の海洋環境保全のための専門家会合政府間会合を重ねてまいりました。しかしながら、今回の事故において、この会議は有効に機能しなかったのではないでしょうか。  前回、二月十九日の当委員会石井長官は所信の中で、日本海に関するこの四カ国の行動計画推進するため、各種の取り組みに積極的に参加していくと述べられました。  そこで一つの提案ですが、今回の事件一つの契機として、日本がイニシアチブをとって日本海や東シナ海の国際的な環境保全機構をつくることを考えてみてはどうかと思います。その機構で、水質越境大気汚染酸性雨生態系調査保護といった長期的な問題、さらには汚染事故が突発的に起こった今回のような場合の協力体制について、周辺国が日ごろから議論を重ねていく必要があります。  先日の北朝鮮高官亡命事件のように、東アジアには依然として東西冷戦構造が色濃く残っていることも事実であり、それゆえに周辺国環境についての機関を設置することは非常に難しいというふうに考える向きもありましょう。しかしながら、欧州で七〇年代から始まった環境対話がむしろ東西冷戦を終えんさせる一つの原動力になったことは否定できないと思います。安全保障の面からも、このような機構の充実、対話の開始が必要なのではないかと思います。  環境基本法に基づく環境基本計画の第五章にも、「アジア太平洋地域における様々な議論の場において我が国が率先した役割を果たし、」とあります。この日本海の四カ国行動計画NOWPAP担当者はどのように考えているか。この組織化は時期尚早なのかどうか、御意見を承りたいと思います。
  16. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 外務省といたしましても、今回のような事故対応につきまして、寺澤先生指摘のように、北西太平洋地域海行動計画NOWPAPの枠組みにおきまして、関係国間で協議を行い、対応検討することは大変有益であると考えております。  このような考え方に基づきまして、日本海等海洋汚染防止に関する国際会議我が国で本年の夏ごろに開催いたしまして、同会合において事故発生時の対応について関係国検討いたしますとともに、再発防止策につきましても意見交換を行うという方向関係省庁関係国協議を行っているところでございます。
  17. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 最後に、ことし一九九七年は地球環境をテーマとする大きな会議が幾つも開かれる大変重要な年であります。  まず、三月二十二日にGEA地球環境行動会議地球環境パートナーシップ世界会議東京開催されます。GEA世界じゅう政治家経済人学者で構成されるNGOです。会長は東京電力の平岩外四さん、事務局環境庁長官を務められた青木さんや岩垂さんがやっておられます。  一九九二年のGEAの第一回会合では、環境開発を両立させるための資金調達の問題についての合意東京宣言としてまとめまして、リオでの地球サミット成功に貢献いたしました。今回も、第三回となるGEA会議において何らかの宣言を取りまとめ、六月の国連環境特別総会、十二月の京都地球温暖化防止京都会議に貢献できればいいのではないかと思っております。  石井長官GEA東京での開催に際し、どのような所感をお持ちでしょうか。
  18. 石井道子

    国務大臣石井道子君) GEAにつきましては、地球環境問題につきまして先駆的な役割を果たしていただいておりまして、感謝をしている次第でございます。  このGEA開催をいたします地球環境パートナーシップ世界会議につきましては、今後持続可能な開発の達成に向けまして、国連環境特別総会政治的な推進力を与えることを目的とするものでありまして、特別総会成功のために重要な貢献をすることが期待をされると思います。  このパートナーシップ会議につきましては、地球環境保全のための日本のイニシアチブとして貴重なものでございまして、環境庁といたしましても、ことしの一連の国際的な行事の中でも重要なものと考えているところでございます。この会議成功に向けまして、情報、知見の提供を初めといたしまして、さまざまな面で積極的に協力をしてまいりたいと考えております。
  19. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 以上です。
  20. 常田享詳

    ○常田享詳君 平成会の常田享詳でございます。ちょっと時間が追っていますので、きょうは地球温暖化の問題と重油流出事故の問題をお尋ねしたいわけでありますけれども、先に重油流出事故に関係してお尋ねをしたいと思います。  まず、その前に、我が国にとって、また環境庁にとりましても、地球生態系保全は今や最重要の政治課題の一つとなっております。先般の石井環境庁長官の所信表明にもその決意がにじみ出ていたというふうに思っております。  ただ、我が国環境問題への取り組みにはやや欠落した部分があるのではないかとかねてから私は思っておりました。この点は、石井環境庁長官もその御専門でありますので御理解をいただけると思うのでありますが、それは、環境保全、生物多様性の保全に対する取り組みの中に微生物の重要性に関する視点が欠落しているのではないかというふうに思うわけであります。御存じのように、生態系における植物連鎖の出発点はプランクトンや他の微小生物であります。  また、このかけがえのない地球の物質循環系を支えているのは細菌類、カビ類、キノコ類などの微生物であることを私たちは忘れてはならないと思います。これらのかけがえのない微生物たちが今悲鳴を上げております。そして、さまざまな環境問題の原点となっていることは環境庁長官も御存じのとおりであります。  微生物と人間の共生、微生物の生息環境と遺伝資源の保全という視点を環境保全計画の中に重要課題として取り入れて、長期的な調査研究の実施と支援を行うべきと考えますが、環境庁長官、いかがでございましょうか。
  21. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 薬学を専攻されました委員でございまして、大変新しい着眼点の中で微生物問題も取り上げていただいたわけでございますが、この地球が生まれて以来、存在する中で、大変多様な生物の進化を遂げてきたと思いますが、その原点は微生物、バクテリアというふうなものであろうと思います。  そのようなそれぞれの生物が、動物、植物が生きてまいりました中で、非常に相互の循環といいますか、相互依存の中で、あるいはまた生存競争の激しい中で、お互いに生かされ合いながら、生かしながらというふうなことで、今までの生物の存在があったというふうに思っております。そういう中で、今後もこれらの微生物におきましても、その時々の環境に応じてさまざまな変化をしていくというふうにも考えられますが、この生物が生産とか消費とかあるいは分解などの役割を担いながら、そして互いに密接な関係を持ちながら今後も生態系を形づくっていくというふうに考えられます。  微生物は、このような生態系の構成要素として、有機物の分解などには重要な役割を果たしているわけでございまして、生物の多様性の保全を図っていく上で、微生物の役割についても今後十分配慮して取り組んでいくべき問題であるというふうに考えております。
  22. 常田享詳

    ○常田享詳君 ありがとうございました。  それでは、まず最初に、重油流出事故についてお尋ねいたします。  私も地元が鳥取県でございまして、とかく何かこの事故はもうちょっとすれば解決し問題が解消するように思われがちでありますが、我が県の沖合にはいまだに一万キロリットル以上を積んだタンカーが沈んでおります。そういうことからいきますと、この問題は終わることのない、まだ終わるめどのつかない大変重大な事故であります。  そういう点からお尋ねをしたいと思いますが、今回のナホトカ号の重油流出事故により日本海沿岸の生態系は深刻な被害を受け、その修復には十年単位の年月が必要だというふうに専門家の方々がおっしゃっておられます。  そこでまず、生物多様性という観点から心配されるのは、絶滅のおそれのあるカンムリウミスズメについてであります。この海鳥は、日本近海にのみ分布し、生息数は約五千羽と推定されております。  また、新聞報道等によりますと、一月十五日の一日だけで回収された海鳥は九十六羽、その半数が死体で発見され、しかもその六割をやはり希少種でありますウミスズメやマダラウミスズメが占めたと報道されております。昨日のテレビでは、それどころではない、何千羽という海鳥が犠牲になっているということが報道されておりましたが、そういう状況にあります。専門家によりますと、実際の被害は今申し上げましたように、発見された数の十倍から二十倍に上るというふうに、これはきのうのテレビでも放映しておりましたけれども、そういうことだろうと思います。  現時点でのこれら希少種の被害状況と、カンムリウミスズメに関する今後の見通し、対策をお尋ねしたいと思います。  あわせて、海洋微生物の問題についても御質問しておきたいと思います。  海洋生物のうち、重油の被害に最も弱いのはプランクトンであります。魚介類の卵がそれに続くと言われております。プランクトンといえば、海水の富栄養化が原因と思われる有毒プランクトンの大発生による二枚貝やカキ、アサリ等の貝類毒化による被害が、我が国のみならず世界的に問題となっております。最初に申し上げましたように、プランクトンは食物連鎖の出発点にあり、生態系という観点から見ますと、今回の事故の影響がどのような広がりを見せるか見当がつかないわけであります。少なくとも十年単位の長期的な生態系の追跡調査が必要と思われますが、この点に関する環境庁の今後の取り組みについてもあわせてお尋ねをしておきたいと思います。
  23. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 特に生態系、海鳥の救護等のお尋ねでございますが、海鳥の救護等につきましては、地元の自治体初め、ボランティアあるいは獣医師の方々の御協力を得て鋭意進めてきているわけでございますが、二月二十一日までに確認いたしました個体は、千二百八十一個体の海鳥ということになっております。その中で、特にお尋ねのカンムリウミスズメにつきましては、現在時点では被害が確認されておりませんが、その繁殖期は三月から五月であるということで、今後繁殖への影響も懸念されるわけでございます。  このため、環境庁におきましては、一月十六日に、カンムリウミスズメ、オオミズナギドリの集団繁殖地として国設鳥獣保護区を設定しております石川県の七ツ島につきまして、周辺海域の油の状況を含めまして現地を調査いたしました。その時点におきましては直接的な被害は確認されていないところでございます。しかしながら、この地域は、ただいま申し上げましたように、重要な繁殖地域であることから、今後も調査を実施することとしております。そして、こうした調査の結果を踏まえまして、必要な対策を講じてまいりたい、このように考えております。
  24. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 海洋生物の生態系の御質問についてお答えをいたします。  私も全く御指摘のとおりだと思います。昭和四十九年の水島の事故のときにも、最初の二カ月間ほどはプランクトンが大変大きく減っておりまして、生態系に影響が出るのではないかということを懸念いたしております。とりわけ今回の事故は大規模でもございますし、影響が長引く可能性もあるというふうに考えておりまして、とりあえず第一段階の調査には着手いたしましたけれども、今後、段階的、継続的に環境調査が必要であろうと考えております。  また、調査の実施に当たりましては、関係省庁を横断的に総合的にやるという必要がございますので、広い分野の専門家にお集まりいただきまして、検討会を設置したところでございます。  海洋生物の分布状況あるいは重油成分の含有状況など、海洋生物の生態系に関する調査研究につきましても、環境庁だけではなくて水産庁等関係省庁と連携して調査を実施していきたいと思っておりますし、調査期間をどういうふうに設定するかということにつきましても、この総合検討会の御意見を聞きながら十分な調査をやっていきたいというふうに考えております。
  25. 常田享詳

    ○常田享詳君 次に、バイオ技術による残留物の除去に関する研究開発支援についてお伺いをしたいと思います。  自然界では、流出した油はそのほとんどが細菌類を中心とする微生物によって分解されておりますが、このような微生物を用いた環境浄化技術は、欧米ではその研究がかなり進んでおります。油で破壊された生態系の修復を早める方法として、自然の力を利用するという方向性は非常に理にかなっていると思います。  一九八九年に起きたアラスカ沖の原油流出事故の際にはバイオ技術が実際に用いられ、効果を発揮し、しかも心配された海水の富栄養化も生態系への悪影響もほぼなかったとの調査結果が出ております。この方法は、今回のように低温の時期に起こり、しかもC重油の場合、余り効果が期待できないというふうにも指摘されているようでありますが、砂浜や岩の底に長期間残留する油の処理には有望な方法と考えられるのでありますけれども、御所見を承りたいと思います。  また、欧米では遺伝子工学を駆使した油分解能力の高い細菌の開発も進んでおります。遺伝子操作によって作成した細菌を環境に投入することの是非は今後論議される必要がありますが、いずれにいたしましても、今後起こり得る重油流出事故に備える意味でも、我が国のバイオ技術のおくれを解消すべく、環境庁も関連する研究開発の実施に力を入れるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。  以上二点、まずお尋ねいたします。
  26. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 油処理におきますバイオ技術の活用でございますが、これにつきましては国立の試験研究機関におきまして関連する研究を行ってきているところでございますけれども、先生今おっしゃいましたように、まだまだ足りないということもあろうかと思います。今後とも、その技術的有効性あるいは環境への影響を含めまして、調査研究を進めてまいりたいと思っております。  なお、現段階におきます油処理へのバイオ技術の活用に関しましては、先ほど先生がアラスカの一九八九年の例をお引きになりましたけれども、その使用する現場の状況によりまして有効性が異なっておりますし、また使用法によりましては、先ほどもお話がございましたように、海水の富栄養化が生じる可能性があるということや、それから微生物の散布によりまして海洋生態系に与える影響の可能性があるということから、私どもとしては現時点では、現段階では慎重を期する必要があるというふうに認識をしておりますが、いずれにいたしましても、さらに研究を進めてまいりたいと思います。  それから、遺伝子操作によるお話もございました。これにつきましても今後の研究課題としていきたいと思っております。
  27. 常田享詳

    ○常田享詳君 重油汚染について最後の質問をさせていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、私の地元も鳥取県で、深刻な状況を抱えております。私も衆参の合同の視察団として、石川県、福井県に参加をさせていただきまして、その厳しい現実を目の当たりにしてまいりました。  その際に、両県知事から出ましたお話、また関係の方々から出ましたお話、たくさんあったわけでありますが、初動態勢のおくれということを指摘されました。その最も大きな原因が、いわゆる各省庁間の縦割り行政で、どこに言えば何がぴしっとできるかということがはっきりしないために、言えばたらい回しのような状況の中で、地方自治体がすぱっとやれることもおくれてしまった。もっと早くそういうことがやれていたらここまで被害が拡大することはなかったんではないかということで、いわば国のそういう危機管理のシステムを今後きちんとしていただきたいというお話があったわけであります。  先ほど来地元の話ばかりして恐縮でありますが、私の地元の鳥取県でも二つの国立公園を抱えております。一つが鳥取砂丘、山陰海岸国立公園一つが大山隠岐国立公園です。隠岐は島根でありますけれども、鳥取と含めて。このたびのような事故が起こりますと、鳥取砂丘また山陰海岸国立公園、隠岐あたりは、隠岐のすぐそばにいまだに沈んでいるわけですから、船尾は。今後もこういったものが国立公園等にいつ流れ着いてくるかわからない状況であります。  そういったときに、今後、冒頭に申し上げましたような、石川、福井両県で聞かれたような危機管理体制、いわゆる特に縦割りの、そういう指摘されている危機管理システムの欠如、これらを環境庁としてはどのようにきちっとした形に取り組んでいかれるのか。特に、漠然とした話になっちゃいますので、国立公園とか国定公園、そういったところに対する危機管理体制というものに対して、地方自治体との間でどういうふうに考えていかれるのか、お尋ねいたします。
  28. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいま国立公園、国定公園のことを例にとって、どういう体制になっているかということでございます。  国立公園も国定公園も自然公園法の中に位置づけられておりますが、この自然公園法におきましては、特に国立公園の特別地域内であっても、非常災害のため必要な応急措置として行われる行為につきましては、行為着手に際しての事前の許可は必要とせず、事後の届け出で済ますことができる、そういうような規定が設けられているところでございます。  環境庁といたしましては、今回のナホトカ号油流出事故の災害対策に伴う各種行為につきましては、この非常災害のために必要な応急措置に関する条項を適用いたしまして弾力的に対応するよう、事故の初期の段階から関係府県に指示をしてきたところでございます。そして、今回、現に福井県の三国町で行われております油回収のための船首部への仮設道路新設につきましては、自然公園法上は非常災害のため必要な応急措置として取り扱われている、そういう扱いになっております。  今後とも、こういうケースに当たりましては、関係の都道府県とよく連携を密にとりながらやる体制で臨みたいと思います。
  29. 常田享詳

    ○常田享詳君 私も、地方議会にいたときの経験からいきますと、なかなか今のような、法律上はそうでありますけれども、実際に国立公園等に地方自治体が何か手を出すということについては非常に厳しいいろいろあれがあるわけですね。  ですから、国立公園で、例えば鳥取砂丘で、私もかかわったんですが、草一本抜くといっても抜いちゃだめだと。それで、草一本抜くために三年間かかったんですよ。その当時、石井先生が次官でお世話になったんですけれども。それで、今やっと草も抜けるようになった。  そういうような先入観がありますと、例えばこういう事故が起こっても、手を出したら後で、ひどい目に遭うというわけじゃないですけれども、おしかりを受けるというようなこと。また、財政的な裏づけもないんじゃないか、全部地方自治体がかぶらなきゃならない。しかられた上に負担も来るというようなことがあるんです、実際問題。  私、地方議会におりましたから。  そういうことがありますので、やはりこの機会に、先ほど答弁をいただいたように、文章上じゃなくて、きちんと後の財政的なそれにかかった経費の問題まで含めて地方自治体が、先ほどおっしゃったように、そういう事態が起こったらさっと取り組めるように、安心して早く取り組めるようにしていただきたい。これは要望でございますので、そのようにさせていただきます。  残った時間で、地球環境問題の中で地球温暖化の問題についてお尋ねをしたいと思います。  残念ながら、我が国の二酸化炭素排出量は一九九〇年から一九九五年の間に七・八%も増加しております。環境庁長官も御指摘のように、このままでは地球温暖化防止行動計画の目標達成が絶望視される状況にあります。これでは、本年十二月の地球温暖化防止京都会議における各国の信頼を得られないのではないかということを私は危惧するわけであります。  長官は、二〇〇〇年目標の達成のめどを早急につけると所信表明で述べておられますが、その具体策をお聞かせいただきたい。
  30. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 日本は二酸化炭素排出国としては世界で第四位でございまして、この状況を何とか改善しなければならないということに迫られているわけでございます。  最近の二酸化炭素排出量の実績値につきましては、炭素換算で三億四千三百万トンです。そして、九〇年度の実績値に比べまして約七%増加しているわけでございます。二〇〇〇年の我が国の二酸化炭素排出量の見通しにつきましては、九〇年度実績に比べて約三%増の三億三千万トンと予測をしております。現在の対策のままでは、二〇〇〇年目標の達成は困難な状況であることが現実でございます。  このような状況を受けまして、昨年六月の地球環境保全に関する関係閣僚会議におきましては、総理より、政府一体となって地球温暖化対策の一層の充実強化を図るようにという指示を受けたところでございまして、このために政府全体としても取り組みを始めているところでございます。  そして、例えば、省エネルギーにも貢献できるような容器包装リサイクルのための仕組みの整備に努めるということとか、また、新エネルギーの促進に対する法律案も今国会に提出をしたところでもございます。  また、環境庁におきましては、地方公共団体の地球温暖化対策事業への協力が必要でございますので、その補助金として平成九年度に新しく予算計上したところでございまして、現在も環境庁の中に地球温暖化防止対策の対策本部をつくりまして、私が本部長として陣頭指揮をしながら、国民への啓発、また、国民が参加できる取り組みの強化のキャンペーンを開始したところでございます。経団連におきましても、二酸化炭素の一層の排出抑制に取り組むための自主計画も策定をしたところでございます。  環境庁では、二〇〇〇年までに普及可能な対策技術による排出削減効果の見積もりも行いまして、その結果、期待される技術は数多くございます。そして、技術的には二〇〇〇年目標の達成は決して不可能ではないと考えられるようにもなりました。そして、今後は日常生活の中で、国民の取り組みを含め、国民各界各層の意識の向上を図りますとともに、すぐれた技術が積極的に採用されていくような政府の施策を一層推進し強化してまいりたいと思っております。  二〇〇〇年までには残された期間は大変短いわけでございまして、それまでに最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  31. 常田享詳

    ○常田享詳君 ぜひともお願いを申し上げたいと思います。  最後に、地球温暖化の問題で避けて通れないのは開発途上国の環境問題への取り組みに対する支援ではないかというふうに思っております。  この点で、当面我が国に最も影響のある国は中国であろうというふうに考えます。御存じのように、中国の経済発展に伴う環境汚染は年々深刻の度を増しております。例えば、中国きっての工業都市重慶では、最近のSO2の年間排出量が八十万トンに上り、日本全体の排出量にほぼ匹敵するというふうに報道されているわけであります。  たびたびで恐縮でありますが、私の地元の鳥取県では、毎年春には中国大陸から黄砂が飛来いたしますが、その際酸性粉じんも大量に飛来してまいります。その因果関係は一〇〇%はっきりしているわけではありませんけれども、鳥取県に降る雨の酸性度は環境への影響が危惧される程度に今悪化してきております。日本海側の県では今後ますます深刻になる可能性が大きいと思われます。  そこで、最後外務省にお尋ねをいたします。  このような外国からの環境汚染物質の流入に関しましては、例えばアメリカとカナダの関係、また東ドイツと西ドイツとの関係等、他の地域でもあるわけでありますけれども、今申し上げました中国からの環境汚染物質の流入に対処するためには、私は今後中国へのODAを初めとする援助を、今もやっておられます、先般も聞かせていただきました、やっておられますけれども、それをもつともっと積極的にやるべきではないか。ODAのあり方そのものを見直す中で、そういう環境に対する途上国の取り組みに対する支援をもっともつと強化していく、それが日本の国民を守る、国土を守ることにもつながるということでありますから、そういったことをやるべきだというふうに思っておりますが、この点に関する現状と今後の考え方取り組みをお尋ねして、質問を終わります。
  32. 吉田雅治

    説明員(吉田雅治君) ただいま先生が御指摘ございましたように、中国は急速な成長を遂げる一で大気汚染水質汚濁という環境問題が極めて深刻になっておりまして、また御指摘がありましたように酸性雨等によります我が国への影響も可能性指摘されているところでございます。  政府といたしましては、我が国自身がこれまで公害克服に努力いたしました経験を踏まえまして、環境協力を対中ODAの重点分野と位置づけておりまして、特に具体的に次のような協力を行ってきております。  一つは、中国政府の政策の中で環境対策の優先度を高めますために、各種政策対話の中で我が国環境重視の姿勢を中国側に伝えまして、これを具体的な環境協力につなげていくということでございます。例えば、昨年十二月合意いたしました九六年度円借款で、二十二件中八件がいわゆる環境関連案件というふうになっております。  二つ目でございますけれども、中国の環境問題の解決のためには、汚染のモニターでありますとかあるいは公害対策技術といった中国自身の対応能力の強化ということがかぎになると思われますので、昨年五月、日本の無償資金協力で開所いたしました日中友好環境保全センターを拠点といたしまして、こうした分野の協力を進めているところでございます。  対中環境協力につきましては、今申し上げました日中双方の政府の関係省庁のみならず、地方自治体あるいは民間の方々もさまざまな形で参加していただいておりまして、これらの参加もいただきまして日中間の包括的ないわゆる環境に関する政策対話といたしまして、日中環境協力総合フォーラムを昨年の五月開催いたしました。本年は日本で開催する予定でございます。  今後は、こうした機会を有効に活用いたしまして、ODAを中心とした各種環境協力の連携を図りながら、この問題に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  33. 常田享詳

    ○常田享詳君 終わります。
  34. 山下栄一

    ○山下栄一君 私の方からは、環境事業団の融資事業の問題を中心にしまして質問させていただきたいと思います。  環境事業団の渡辺理事長におかれましては、急な連絡にもかかわりませず、参考人という立場で御出席いただきまして本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  平成七年度の会計検査院の検査報告の指摘の中に、環境事業団の融資事業にかかわる過大融資の問題が扱われております。二件あるわけでございますけれども、これは環境事業団という名前になった平成四年からも初めての指摘であるということであるわけでございます。それで、過大融資になってしまった、実際よりも過大に余分に融資していた、チェックできなかったということが検査院により指摘されてしまったわけでございますけれども、この原因を簡単にちょっと御説明願いたいと思います。
  35. 渡辺修

    参考人渡辺修君) 大変残念なことでございましたが、私ども環境事業団の貸付先であります産業廃棄物処理業者から事実と違った内容の工事完成報告がされていた、この点についての確認が不十分であったために起きたものでございます。
  36. 山下栄一

    ○山下栄一君 今もお話がございましたが、この二件というのは一つは北海道、一つは広島で、ともに産業廃棄物、民間の特に焼却炉にかかわる融資であったという、広島の場合は土地の融資も入っておりますけれども、いずれにしても焼却施設であるというわけでございます。  これ、代理貸し付けというか代理店、全国二百四十六行ですか七行ですか、銀行、その配下は全国六千店が代理店になっていると。現場のチェック体制が非常に心配でもあるわけですけれども。  チェックは代理店でもチェックをするけれども、事業団でも当然審査のチェックを行う、書類もちゃんと届いておるというふうになっていると思うんですけれども、これ再発防止のためにどういう手を打たれたか、お聞きしたいと思います。
  37. 渡辺修

    参考人渡辺修君) 私ども、融資に当たりましては、従来からその適正を期するように努めてきたところでございますけれども、先ほど申しましたように大変残念なことになりました。  このような事態を受けまして、直ちに次のような措置をとりました。第一点は、指摘されました過大な貸付金の全額繰り上げ償還を行わせたところでございます。第二に、それぞれの二つのケースの代理店に対しまして、文書によって厳重に注意をいたしました。第三に、この二つの代理店のみならず、すべての代理店に対しまして、貸付先への資金の払い出しの適正化につきまして文書で指導を行いました。  今後、私どもとしては、年度が変わりますと代理店を集めての会議をいたしますが、そういう席におきましても、貸し付けの審査、管理についての指導を一層強化して貸し付けの適正化を図ってまいりたい、こう考えております。
  38. 山下栄一

    ○山下栄一君 事業団として再発防止のための手は一応打たれたということですが、どれだけ実効性があるのかというようなことが大変心配であるわけでございます。  この全国六千店、その前に二百四十六行の銀行、この中には信用金庫もあれば地方銀行もある。特に、今回のケースは一つが北海道の場合は信用金庫で、もう一つが広島の場合は第二地銀であったということです。  その現場に行きますと、代理店ではみずからの貸付業務もあるけれども、この政府系金融機関の、環境事業団だけではなくてほかにもさまざまな、例えば中小企業金融公庫、年金福祉事業団、環境衛生金融公庫、社会福祉・医療事業団、中小企業退職金共済事業団、中小企業事業団、国民金融公庫、雇用促進事業団、住宅金融公庫、公害防止事業団、労働福祉事業団、ある銀行のこれは代理店業務、さまざまな政府系金融機関を十一兼任しながらやっておるわけですよね。そんな中で、現場の代理店におきましては融資担当者もころころかわる。一々そんな細かい融資の条件、貸し付けにかかわる書類のチェックとかをどこまでできるのか、会議を開いて徹底してできるのかと。文書で通達してというようなことになってくると、またこんなことが起こりかねぬというふうに思うわけです。  検査院も調べるのはこれはもう全国たくさんあるから大変なわけで、順番にちょっとずつやっているんだと思うんですけれども、たまたまこれはこういうことで気づかれたということをどれだけ重く受けとめるかということがポイントであろうと思うんですね。  それで、直接貸付業務もあるみたいですけれども、事業団におかれましては。代理貸付業務のあり方も僕は見直す必要があるのではないかとも思いますし、これはきょうの話題じゃございませんので指摘にとどめておきたいと思います。  あと、事業団のチェックですけれども、申し込みの段階でこれは代理店と形式的な、わかりませんけれども、協議をすることになっておるわけですね。それでチェック、これは審査という言葉が使われております。今度は完成後は、今度の場合は完成してからの書類を見ると最初の計画と違っていたわけですよね。その確認業務を、本来これは現場でもやるし事業団でもやらなきゃいかぬわけです、書類が上がってきているわけですから。そんなむちゃくちゃたくさんあるわけじゃないわけです、民間であれば、ちょっと件数はわかりませんけれども。そういうことも含めて、代理店の徹底だけじゃなくて事業団の審査体制も見直さなきゃいかぬと思うんですけれども、これについてはどういう手を打たれているんでしょうか。
  39. 渡辺修

    参考人渡辺修君) やはり個々の案件につきましては、貸付先に近いところにあります代理店にしっかりチェックをしてもらうということが第一義だと思っております。できるだけ民間の代理店を活用するということで、さっき申しましたような指導を徹底しているところでございます。  なお、貸し付けの際につきましては、代理店に十分審査をしてもらった上で、また私ども事業団自身も審査をしております。両者ともにさらに気を配って審査をしていかなければならないと心を引き締めているところでございます。
  40. 山下栄一

    ○山下栄一君 理事長、私そんなことを言っていない。申し込み段階の審査をやっておられるわけですね、事業団でも。ところが今回の場合は、実は工事完了にかかわる財務諸表とかその他の書類も代理店には出されているわけですよ。それは事業団には上がってこないんですか。工事完了に伴う諸書類です。
  41. 渡辺修

    参考人渡辺修君) 工事完了届というのは上がってまいりますが、今回問題であったのは、単に報告書だけで払い出しをしたといいますか、というところに問題があったんだろうと思います。代理店におきましては、報告書を受けましたらその報告書の裏にある帳票類、証拠書類をしっかりチェックしてもらう、そしてそれを、帳票類をチェックしたという責任者の確認の印を押して出してもらう、こういう手続をしっかりするように指導をいたしたところでございます。
  42. 山下栄一

    ○山下栄一君 わかりました。  ということは、事業団ではそういう終了後の融資にかかわる出し入れの最終チェックは、その書類は上がってきていないということですね。とにかく代理店に一生懸命やってもらうしかないというようなことという感じでございまして、これはまた起こりかねないと、大変心配でございます。  お金は公的資金だから、国民のお金なわけだから、それはやっぱりこの審査体制、今回の再発防止の程度ではまた起こりかねないというふうに私は思います。  それで、この環境事業団の融資事業ですけれども、この中で産業廃棄物処理施設が相当を占めておると。というよりも年々、これは平成元年以来増加の一途をたどっておると、金額におきましても。平成七年度実績では三百億を超える融資、産業廃棄物関係です、民間ですけれども。  厚生省にお尋ねいたします。これは環境庁でもともにですけれども、ダイオキシン、有害化学物質の調査を行い、排出削減のためのガイドラインも厚生省の場合はごく最近つくられたというわけでございますが、環境庁におきましては産業廃棄物関係の大気汚染水質に対する汚染の影響の現場調査を続行中、産業廃棄物関係は今まだ終わっていないというふうにお聞きしておりますが、厚生省の実態調査の結果を簡潔に報告をお願いします。
  43. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 先生御指摘ごみ焼却施設に関しますダイオキシンの実態調査でございますけれども、昨年の七月に私どもの方から各都道府県あてに、市町村が設置するごみ焼却施設の維持管理の状況の一環として、ダイオキシンの測定を依頼したといいましょうか、実施すべきだということで通知を申し上げたところでございます。  調査結果につきましては、この一月に全国の、とりあえず一月現在で集まったものについて調査の結果を公表したところでございます。残念ながら、全国のごみ焼却施設千八百カ所余りございますけれども、そのうちのおよそ三〇%程度の施設でございますけれども、その他の市町村も現在その調査をまだ続行中であると、こういうことでございます。
  44. 山下栄一

    ○山下栄一君 調査して問題点が出てきて、その基準をオーバーしたところがあるんです。そういうことをもうちょっとだけ。余り時間はないけれども。
  45. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 大変失礼申し上げました。  確かに私どもが指示いたしましたダイオキシンの緊急的対策の判断基準として、対策を講ずべきだという判断基準を超えているものにつきましては、正確にちょっと今手元に資料を持ってございませんけれども、およそ数%程度の焼却施設がこの八十ナノグラムを超えているというような報告が出てございます。
  46. 山下栄一

    ○山下栄一君 この実態調査は、産業廃棄物関係じゃなくて市町村が設置した一般ごみの焼却施設、全国千八百五十四施設を対象に調査したと。  ところがこれは、ちょっときょうもう時間なくて申しわけないけれども、県に指示して市町村がやっているわけです。市町村は自分たちにそんな調査能力ないから民間に委託して、一回につき三百万円ぐらい金をかけて調査しないとこれ、こんな基準、明確な実態調査できないわけです。全都市町村にやらせているわけですね。  それで七百五施設から上がってきたと。千八百とてもじゃないけどそう簡単に上がってこないと。上がってくるかどうかは、最後まで完璧な調査ができるかどうか極めて疑問であると。国が金出してやれといっているわけじゃないわけだから、市町村で金かけてやるわけですから、調査能力も余りないということです。そのうち、厚生省が勝手に決めたダイオキシンの排出基準八十ナノグラムというこの基準そのものが大変疑問視されているわけですが、その八十ナノグラムをオー・バーする施設が五十二施設あったと。  これは公表されているやつだから、全国細かい、どこの県でどこのというようなことは公表されていないけれども、私は公表すべきだと思いますが、そういう厚生省の非常に甘い基準でさえ五十二施設でオーバーしていると。場合によっては、八十といったのに五百二十とか、千葉県のある市の場合はそういう五百二十ナノグラムのダイオキシンの排出が明らかになっているわけでございますが、これはあくまでも市町村が設置した一般ごみの焼却施設でこういう実態なわけです。というよりも、実態は余りわかっていない、わかっていないけれども何か問題がありそうだということぐらいがわかったという、そういうことでございます。  ところで、環境事業団は民間の産業廃棄物施設に融資している。焼却施設も当然その中に入っておる。最終処分場の、これは地方自治体に対する融資が多いようですけれども、こういうところでも、今も全国さまざまなところで有害化学物質、ダイオキシンだけじゃございません、いろんな心配な状況があるということは環境庁調査によって明らかになりつつあると。そういうことから、産廃法の改正問題も今大きく問題になってきていると。そんなことがあったので厚生省も急速調査したというようなこともあるわけで、調査も極めて不十分であるという実態のままで法改正しようとしているという背景があるわけです。  だから、これ民間の産業廃棄物処理施設に融資しているわけで、それはそういう基準自身がまだできていないところで、ことしも去年もおととしもずっとつくられ続けている。平成七年度であれば四十件、三百五億の産業廃棄物施設融資事業が行われておると。そこから有害化学物質、ダイオキシンを初めとして漏出している可能性が極めて高い。ということになると、環境事業団は環境汚染に加担しているということになってくるわけです。何のためにこれ融資しているんだと。もともとこれは公害防止事業団から始まったんだということなわけでしょう。建設譲渡事業、融資事業というのはもう当初からの大事な事業であるわけですけれども、これは融資事業を見直さなきゃいかぬのではないかと私は思うわけでございます。  また、その前に事業団として、みずから融資したところでどれだけ汚染しているのかという、産業廃棄物処理施設から、この調査。これはもう全然厚生省はやっていないわけです。環境庁は一部産廃の施設ダイオキシン調査を今はまだ続行中だそうですけれども、事業団としてこれをやらないと、融資の業務そのものも非常に不安、先ほど指摘しましたように、これは環境観点からなんてチェックしていないわけですからね。ちゃんと返してくれるかどうかとか、そういう観点からのチェックしかしていないわけだから、まず少なくともみずから融資した廃棄物処理施設の、汚染しているのかどうかという調査ぐらいはやるべきではないかと。いかがですか。
  47. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 先生の御指摘でございますけれども、環境事業団は、廃棄物処理法に基づきまして、都道府県知事の正式な認可を受けました施設を、これを融資の対象としておりまして、そのように融資事業のみを行っている環境事業団におきまして独自にダイオキシンに関する調査を行うということについては、これは先ほどからも議論が出ておりますが、融資を効率的に行うため代理店を通じて貸し付けを行っているという実態、それから事業団と地方公共団体との役割の分担等もございまして、なかなか難しいというふうに私どもは考えております。
  48. 山下栄一

    ○山下栄一君 これは環境事業団の存立そのものにかかわる話なわけです。先ほどの話は、厚生省の話は、そんな当然知事なんてわかっている、市町村が設置した一般ごみの焼却施設から、甘い基準ではかっても五十二施設厚生省の基準をオーバーしているわけですから。その八十ナノグラム、理想は〇・一だと言っているんですよ、厚生省そのものの検討会の報告で。  知事が認可している施設だからと、そんなことは全然関係ない話で、今はまだ環境庁調査によって、ダイオキシンを初めとする有害化学物質が、許可されている最終処分場にしろ民間の処理施設にしろ、そういう問題が起きているので、これは環境庁が調べられているわけですから、先ほど申しましたように汚染に加担しているという、それは事業団の存立そのものにかかわる話ですから、理事長、これ調査されたらどうですか。全部とは言いませんよ。
  49. 渡辺修

    参考人渡辺修君) 私どもは、そういう行政そのものである調査をすることを予定して組織、人員が整備されているということではございません。今、企画調整局長が答えられましたように、自治体との関係がありますとか、融資の末端は民間の代理店にお願いをしているというような状況でございます。やはり知事が正式に認可をされた施設に対して融資をするという、これが目下の私どもの役割だと、こう思っております。
  50. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成九年度も融資事業をやるわけでしょう。それでまた産業廃棄物関係は民間の業者に融資するわけですから、またこれ汚染に加担するわけですよ。  それで、融資事業のあり方ですけれども、これ例えば先ほどの厚生省調査で、五十二施設厚生省が決めた基準をオーバーしていた。その基準以下に下げるための改良工事をしなさいと言っているわけですね。これは物すごくお金がかかるんです。  例えば、時間がございませんので具体例を出しますけれども、千葉県の君津市というところがあります。これは公明の実態調査でわかったことでございますけれども、平成四年に焼却炉をつくって、君津市のこれは一般ごみの話ですけれども、二十五億円かかっているわけです。それで、今回厚生省指摘によって改良工事を加えようと思ったら、九億円要るわけですよ。例えば焼却設備、ガス冷却設備、排ガス処理設備、あるいは電気集じん機からバッグフィルターというろ過式集じん機に変えた方がいいというようなこと。言うのは簡単だけれども、自治体はダイオキシンを今排出されてしまっているわけです。改良工事をしたい、だけれども大変なお金がかかって、これはもうできない、九億円もかかると。  今、行政改革が叫ばれ、歳出削減しろという自治体の情勢から、とてもじゃないけれどもできないという状況がある。こんなところに環境事業団は融資事業をやるべきだと。新しく設置したってまき散らすわけだから、改良工事にお金がかかるんだったら、そういう観点から融資の応援をしてあげようというのが本来の環境事業団の使命であると。  だから、事業団そのものの新しい基準もはっきりしていない段階で、どんどん産業廃棄物処理施設をつくることを奨励するような融資をするんじゃなくて、融資事業を見直すべきである、こういうことを御提案したいんですけれども、これはもう大臣にお願いします。
  51. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 廃棄物の問題につきましては、今、重大な社会問題となっているわけでございます。これは、今までの日本の経済発展の中で大量生産大量消費大量廃棄を背景といたしました問題でございまして、これからそのような生活のサイクルを変えていかなければならないときに来ているというふうに思います。  廃棄物処理につきましては、一般廃棄物は市町村でやるといたしても、産業廃棄物につきましては民間に依存するところが大変大きいわけでございまして、そういう面では環境事業団からの融資というものが有効に機能してきているというふうに思います。  今、理事長からも環境事業団の役割、立場というものもお話がありましたけれども、しかしダイオキシンの問題とかさまざまな問題を解決するには、やはり環境庁とも連携をとり、また市町村とも、地方自治体とも連携をとりながら取り組んでいかなければならないということを痛感しております。  今回の問題につきましても、廃棄物の焼却炉の能力によってダイオキシンの発生が起こるということがありまして、それを改善するための問題といたしましては、環境事業団も、新規のものもありますけれども、改良のための融資も行う対象にはしているわけでございますが、ただし金額的に四千万以上というふうな枠がありまして、余り小規模のものでは該当しないという今のルールがございます。  今のところそのようなことでございますから、君津市の問題につきましては、大分高額な改良の予算ということでございますから、手続によりましては対象になるのではないかというふうに考えております。
  52. 山下栄一

    ○山下栄一君 環境事業団の融資の四百五十億のうち七割がこの産業廃棄物処理施設関係なんですよ、もちろん全部が全部処理施設じゃないとは思いますけれども。最終処分場にも融資をやっているわけですから、事業団は。だから、融資事業が、根幹が問われているわけでございますので、事業団の融資のあり方、もともとの基本原則そのものを見直しをして取り組む時期であるというふうに思うわけです。先ほどの説明から私そう思うわけでございます。  それで、最後に、環境事業団のパンフレットの中にこんなことが書いてあるわけです。環境事業団は平成七年で三十周年を迎えたと。これからもよりよい環境を確保するため、複雑化、多様化する環境問題に迅速かつ的確に対処できる環境保全のプロフェッショナル集団として一層の努力を続けたいと。また、今までも数次の法律改正をやってきたと。環境問題の変遷に応じて事業の目的や内容も見直して社会のニーズにこたえてきたと、こう書いてあるわけですよ。  まさに、今私が申し上げているのは、事業団の目的、内容を見直すような問題が今は起こってきていると。ということですから、環境事業団法の改正環境庁所管の話だから、だから平成四年に事業団法を改正したときも、地球環境基金ですか、それをつくったときも、それは背景があってつくったと思いますし、今度は事業団の融資そのものの根幹が問われておるわけだから、法改正をも含めて、どうか大臣、これ取り組まないと、これはもう国民を裏切るどころか、まさに汚染に加担するようなそういうことをやりつつある。これまた来年もやろうとしているという、こういう実態を厳しくとらえていただいて、融資事業の抜本的見直しをこれはぜひとも御指示お願いしたいと。お願いします。
  53. 石井道子

    国務大臣石井道子君) このたび厚生省で行われます廃掃法の改正の絡みもありますけれども、今後環境庁として、環境事業団が時代の要請にこたえられるような、そのような事業を的確に行えるように今後も考えていきたいと思っております。
  54. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私は、きょうは日本海の重油流出事故についてお尋ねをしていきたいというふうに思っております。  政府は、昨日、関係閣僚会議を開き、被害額のうち、関係自治体が直接油防除に要した費用の半額、約二十億円を国庫から拠出するということを決定されました。国が地方自治体の経費そのものを肩がわりするということは今回初めてとられた措置だということでございますけれども、三月に決算期を控えている関係自治体から強い要望が出されていたことでもあり、早急な対応に対して感謝を申し上げたいというふうに思っております。  私たち社会民主党も、土井たか子党首を先頭にいたしまして、福井県三国町を初め石川県の輪島、珠洲市全体を視察に入りました。そしてそのときに出されていたのが財政支援の強い要望でございました。そのことに対して今回も早急な措置がとられましたことに対し本当にお礼を申し上げなきゃならないというふうに思っています。また、中小企業の皆さん、商工業者皆さんや漁業者や漁業組合に対しても有利な融資制度等々も今回決定をされたということでございますので、一安心ということでございます。  さて、船主の過失、いわゆるナホトカの船主の過失のありなしについて、船主保険からの補償金額が大きく左右されるというふうに聞いているわけですけれども、過失のありなしを査定するためには原因究明ということが徹底的になされなければならないと思うわけでございますけれども、日ロの共同調査ということが今どういうふうになっておられるか、運輸省ですか、まずお聞きをしたいと思います。
  55. 矢部哲

    説明員(矢部哲君) 今般の事故は、公海上におきましてロシアの船舶が事故を起こしたということで、事故原因の調査の責務は第一義的には旗国でありますロシアにあるわけでございますが、今回の事故の被害の甚大さにかんがみまして、被害を受けた我が国としても再発防止対策を確立する必要があると、こういう認識に立ちまして、運輸省におきましても現在、事故原因調査委員会設置して調査を進めております。ただし、この調査の実施に当たりましてはロシア側の協力が必要であるということから、ロシアにその旨申し入れ、現在共同して調査を行っております。  具体的には、二月五日から七日までモスクワにおきまして第一回の日ロ海洋汚染防止当局間会合という会合を開きまして、事故原因の究明について双方がその時点で持っておりました情報を交換いたしました。また、いろいろと意見交換も行っております。そしてさらに事故原因の究明に当たり協力を進めていくということで基本的に合意をいたしました。  また昨日、東京におきまして第二回目のこの会合開催いたしまして、海底に沈んでおります船尾部の破断面の状況等、日本側から情報を提供し、また先方と意見交換を行ったということでございまして、現在、日ロ両国が協力して原因究明に取り組んでいるという状況でございます。
  56. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 昨日、私たちも政府側の説明を聴取したわけですけれども、そのときには補償問題は既に基金の方からも拠出をされるような形態の中で補償請求がなされているように聞いたわけですけれども、仮に船主側に過失がありということが決定的になった場合に、補償の扱いはどうなるのでしょうか。船主加入の任意保険で担保される金額は幾らぐらいになるのかということをつかんでおられたら教えてください。
  57. 梅田春実

    説明員(梅田春実君) お答え申し上げます。  基本的には民間の契約に基づく保険でございますので、私ども知り得る立場にないのでございますが、外交ルートを通じましてロシア政府に確認を去る一月求めましたところ、五億ドルの保険に加入しているというふうに聞いております。しかし、その内容については詳しくは承知しておりません。
  58. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 過失のありなしによって五億ドルなのか日本円で二百二十五億円ですか。五億ドルというと五百億円ですね。五百億円か二百二十五億円かということになるわけですから、徹底した原因究明をやっていただきたいということを要望しておきます。  次に海岸の復旧対策について、これも地元から強く要望が出されておることなんでございますけれども、新たな国庫補助制度を創設してほしいという要望があります。これを検討してもらえないかということでございます。  例えば、平成八年度の予備費を利用して地方公共団体に対して、海岸延長に一定単価を乗じるなどして国庫交付金を支出するというような案を検討してほしいということが出されていますけれども、これは建設省でしょうか、お答え願います。
  59. 西口泰夫

    説明員(西口泰夫君) お答えいたします。  重油が応急対策として除去されました後に各海岸でどのような対策が講じられるべきかということにつきましては、現状さらには将来の環境に対する影響の程度等を総合的に勘案して対処する必要があると考えております。  建設省といたしましては、関係機関との連携の中で、漂着油の残留状況、国土保全に与える影響等について既に調査に着手しているところでございます。その調査結果によりまして、海岸保全施設への影響がある場合には海岸環境保全整備事業など既存制度の活用等を検討していきたいと考えておるところでございます。
  60. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 どうぞよろしくお願いを申し上げます。  三国町の海岸に仮設道路がつくられて、その油の撤去を行ったわけでございますけれども、あそこは国定公園に指定をされているということで、当然もとの海岸に復旧をさせる義務があるわけですが、私も一月九日、最も被害がひどくあらわれている時期と、二月十日、これは一定程度油が処理をされて大変海水によって石もきれいな状況、表面上はとてもきれいになったなと、一月九日から比べたらきれいになったなという状況の浜を二度見させていただいているわけです、多くのボランティアの人々が活動していただいた成果であろうというふうに思うわけですけれども。  石や砂の下に何層にも堆積をしている油の層を、表向ききれいに見える石の下に油の層が十センチ間隔ぐらいで広がっていくというような状況があるわけですけれども、これを取り除くのはなかなか大変な作業であろうというふうに思うわけです。先ほど同僚委員からいろいろな化学処理とかあるいはバクテリアの処理とかというようなことの御提案もあったわけでございますけれども、三国町の町長さんあるいは福井県の県知事さんがあそこの浜は石それから砂など全部入れかえないととても再生ができる状況にないのではないかというふうにおっしゃっておったわけです。  私も二月十日の日の現状を見て、本当に幾ら取ってもその石の下からもまた油が出てくるような状況を自分も体験してきましたけれども、こういう状況でなかなか厳しいな、これは何とか入れかえも含めて考えなければならないのじゃないかなというふうに思ってきたわけです。たまたま仮設道路の建設に使われた土や石、砂や石がそばの山から搬出されたものであるならば、あの浜で入れかえるというような作業ができないだろうかというふうに思っているわけです。  二十四億円投入をしてつくられたあの仮設道路の骨材を、浜の入れかえ用の砂や石にかえることはできないのだろうかということを考えたわけでございますけれども、国定公園という縛りがあるわけですから、なかなかそういう作業ができるかどうかもわかりませんけれども、環境庁としてはこういう提案についてどういうふうにお考えになるでしょうか。
  61. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいまお尋ねの三国の仮設道路でございますが、これは自然公園法の第十七条第五項の規定に基づきまして福井県知事に提出されました届け出書におきましても、設置者により適切に撤去される予定であると、そういうような扱いになっていると聞いております。  この仮設道路に使用されました石等でございますが、これを海岸の環境復元に利用することが適当かどうかということにつきましては、この届け出受理者であります福井県知事におきまして、国定公園の自然環境に対する影響でありますとか、この公園の持っている資質と申しますか、そういったようないろいろなことを総合的に判断して慎重に検討される、そういう問題ではないかと、そのように考えております。
  62. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 県知事の決定にまたれるということで理解してよろしゅうございますね。——ありがとうございます。  油処理剤の使用について環境庁はどんな見解で臨んでおられるのかということをお聞きしたいと思います。  今、海底に沈んでおります船尾の部分から油が流出しているという状況ですが、当初大量に発生をしたときに油処理剤が使われたという御報告をいただいておりますが、今現在は違う方法でやられておるというふうに理解をしておるわけですけれども、環境に与える影響その他についてどのように考えておられますか。
  63. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 油処理剤あるいは中和剤といいますけれども、総称いたしますと乳化分散剤というのが適切ではないかと思いますけれども、これは油を乳化分散させて微生物によって油の分解を促進するという効果を持つわけでございますが、基本的に重油そのものを消滅させるものではございませんし、例えば潮間帯あるいは沿岸部で卵であるとか稚魚であるとか、そういったものに対しまして生物あるいは生態系に対する副次的な影響も指摘されているところでございます。  したがいまして、流出油あるいは漂着油につきましては、副次的な影響がないという物理的な回収をメーンにいたしまして、油処理剤の使用は従、やむを得ざる場合にのみ使うというふうにした方がよろしいのではないかというふうに考えております。とりわけ沿岸域におきましては極力使用しない、仮に使用するのであれば場所も限定をするというやり方が望ましいのではないかなというふうに思っております。  いずれにいたしましても、こうした効果を持つものでございますので、使用に当たっては周辺環境への配慮が重要であるというふうに考えております。
  64. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境庁長官におかれましても、所信表明の中で、この油流出事故に対しては今後も厳重に見守りながら環境影響評価等もやっていくというふうに決意を述べておられます。どうぞ頑張っていただきたいと思います。  次に、劣化ウランについて質問をしていきたいと思います。  沖縄県の鳥島の射爆撃場で劣化ウラン弾が誤射されたということが明らかになりました。大変衝撃を私も覚えました。そして、直ちにアメリカ大使館に抗議に参りました。そしてアメリカ大使館に、今回の事件の詳細を直ちに全面的に公表すること、投下された劣化ウラン弾の早期回収を徹底的に行って鳥島の環境影響評価を速やかに行うこと、本事件の責任を明確にし日本国民への謝罪と責任者の処分を明らかにすること、二度とこのような事件の再発を防ぐために管理体制の強化と日本政府への通報体制を抜本的に強化することなどを申し入れたところでございます。そして、アメリカの駐日臨時大使との会談の中で、この劣化ウラン弾の使用されていった経過について発表と現実が違っていたということも突きとめることができたわけでございます。  そういう中で、劣化ウラン弾が保管されている基地や在庫数量について報告を受けているのは当たり前と思いますけれども、外務省、報告を受けていますか。そして、どこの基地にどのぐらいというのを、明らかにできれば、ここで明らかにしていただきたいと思います。
  65. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 在日米軍は、これは日米安保条約及び日米地位協定に基づきまして、我が国の安全及び極東における国際の平和と安定に寄与するため、我が国に駐留しているわけでございますが、まさにそのような目的を達成するために平時より即応態勢を維持しようということで訓練等を行ったり、あるいは緊急事態が発生した場合にこれに効果的に対処し、安保条約のもとでの義務の履行、目的の達成ということができますように、種々の装備あるいは物資というものを保有しているわけでございます。  本件徹甲焼夷弾、劣化ウランを含有する徹甲焼夷弾については、これは米側の規則によりまして我が国の訓練場において使用しないということであったわけでございますが、今回はまことに遺憾なことに使われてしまったということでございます。  ただ、やはり緊急事態においてはアメリカとしてこれを使用することがあり得るということでございまして、そういう意味では、即応態勢を維持するという一環で我が国における一部施設・区域に保管されていることはあるというふうに承知をしております。  他方、この徹甲焼夷弾を含めまして、これはほかの弾薬についてもそうでございますが、いかなる種類の弾薬が具体的にどこの場所に、またどのぐらいの数量で保管されているのかということにつきましては、これはまさに軍の運用に係るということでございますし、また保安上の問題もありますので、米国政府としては、これは一々詳細は公表できないという立場をとっておる次第でございます。
  66. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 本当にどこの国の外務省だかと言いたくなりますよね。ここは日本の国の外務省であり、その外務省がそこのところの情報をちゃんと受けてわかっていなければならないということは、これは指摘をせざるを得ませんよね。そんなような答弁では納得できません。後でまた予算委員会等々でもやらせていただきたいと思います。  劣化ウラン弾の毒性について、化学的な毒性と放射性についてお答えをいただきたいと思います。時間がありませんので、なるべく的確に。
  67. 片山正一郎

    説明員片山正一郎君) 御説明を申し上げます。  劣化ウランの毒性についてのお尋ねでございます。劣化ウランは、御指摘のとおり、放射性物質としての性質とそれから重金属の性質、そういうものを持っているわけでございます。  放射性物質の性質としては、一般的に劣化ウランの放射能はそれほど強いものではございません。したがいまして、体の外にある場合は、多量に長い時間にわたって被曝しない限り、その影響が問題になるようなものではないと考えてございます。ただし、吸入または摂取によって体内に取り込まれるようなことになって、かつ水に溶けにくくて体内にとどまるというような形態である場合には、その量にもよりますが、その量によって放射線による内部被曝を受けると考えなければならないというふうに理解をしてございます。  また、重金属としての性質につきましては、体内に取り込まれたウランの量あるいは経路、すなわち胃腸器官なのかあるいは肺なのかという経路、あるいはウランの化学系にもよりますが、したがいまして一概には申し上げられないわけではございますが、比較的可溶性で体内に吸収されやすいような化学系の場合は、放射線の影響よりも重金属の毒性、したがって腎臓等への化学的な影響が重要となるというふうになっておるというふうに理解をしてございます。
  68. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そのように私も認識をしております。大変毒性の強い劣化ウラン弾であるというふうに思います。それが炸裂をしてエアゾール状になって人間の呼吸器から体内に入っていくというようなこと、そしてそこで蓄積をされて人体への影響が大変大きくなるということでございます。  また、湾岸戦争のときに大量に使われた劣化ウラン弾によって湾岸では今、先天性の異常を持った子供たちが誕生したり、兵士の中にも原因不明の病気がはやっているというようなことも報道されているわけでございます。非常に危険なこうした劣化ウラン弾が我が国に大量に貯蔵されているということに対して、非常に私は遺憾であるというふうに思うわけでございます。  また、この誤射事件が判明したときに、米国が直ちに行った調査報告があるということですけれども、科学技術庁の方に聞きましたら、全部が私だちには見せてもらっていないんだということがあったわけでございます。  外務省にお尋ねをいたします。この調査報告書について、早急に日本側に提出をするように厳しく要求すべきだと思いますが、いかがですか。
  69. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) ただいまの米国側の調査によります資料の件でございますが、私ども、本件につきましてアメリカ側から通報を得た際にも、直ちにアメリカ側で行った調査についての資料を提供してほしいということで強く申し入れをしております。  ただいま科技庁さんのお話がありましたけれども、これまでにも幾つか資料は提出をされておりまして、それにつきましては予算委員会の方にも御提出をさせていただいたところでございます。  まだこれがすべてではないということでございまして、私ども引き続きアメリカ側に情報の提供を求めておるというところでございますし、また、アメリカ側も日本に対して必要な情報を開示できるような手続というものをただいまとっているというふうに承知しております。
  70. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 日本では、劣化ウランの扱いは核燃料物質規制法の中で規制されており、原子炉や濃縮工場などの施設内でしか使用が認められていないわけですけれども、米軍が基地に持ち込んで、そして大量に保管をしていても日本の国では違法にならないわけですよね。  こういう状況にある日米安保というものが大変不平等なものであるというふうに私は今回の事件が改めて明らかにしたと思うのですけれども、劣化ウラン弾について早急に日本から撤去していただくように、また、沖縄県民の声に耳を傾けて、鳥島での実弾演習は即刻取りやめるべきだと主張していただきたいと思いますけれども、外務省、いかがでしょうか。
  71. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 先ほど申し上げましたように、在日米軍は安保条約及び地位協定に基づきまして我が国に駐留をしておるわけでございますが、その安保条約の目的を達成するためにいろいろな訓練等の行動をとる、あるいは必要な物資をとるということは、これは安保条約の目的達成のために必要であるわけでございます。  他方、本件徹甲焼夷弾を含めまして米軍の保有するそのほかの弾薬につきましても、これは米軍の規則に基づきまして、所定の基準を満たした特定の弾薬庫において、当該施設・区域及びその周辺地域の安全に万全の配慮を払いつつ厳重な管理を遵守しておるというふうに聞いております。また、弾薬の出入庫等についても、その都度記録をし、いかなる弾薬がいつ使われたということも正確に把握をしておるというふうに聞いております。  私どもとしては、米側の即応態勢というものを維持しなければならない、安保体制の目的を達成しなければならないということは、またそれは必要なことでありますが、同時に、やはり周辺の皆様、特に沖縄県民の方々の不安を払拭できるように、その管理についてはより厳重にやってもらいたいということを強く求めていきたいというふうに思います。  また、先ほども申し上げましたけれども、今回誤って劣化ウラン含有弾が使われてしまったということで、米側においてもその原因を究明し、再発防止のための必要な措置をとったというふうに聞いておりますが、私どもとしても引き続き、鳥島においてこういうような劣化ウラン弾が使われるようなことのないよう、きちんとした措置をアメリカ側に求めていきたいというふうに思っております。
  72. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今回間違って撃ったということが主張されているわけですけれども、本当はこの劣化ウラン弾というのは大変品質管理が難しいんですね。少量の空気によっても、あるいは鉄などによっても亀裂を生ずるような非常に保管が難しい弾薬だと聞いています。だから、時間がたてば、何年も保管をしておけばそれは危険なものに変わっていくんですね。だから、それを保管できないから、廃棄する場所もないから鳥島に捨てたと、そういうふうに考えるのが妥当だろうと思いますよ、日本側としては。そういう考え方をしないと今回の事件は全く理解ができないですよ。そういう観点外務省は臨んでいただきたいと思います。  また、石井環境庁長官におかれましても、今、本当に議論のまださわりしかしておりませんけれども、こうした危険な劣化ウラン弾が、我が国では全く使うことが禁止されている物質が堂々と持ち込まれて大量に保管をされているというような実態をとらえて、ここはやっぱり環境庁長官としても閣議の中でもきちんとこの撤去について要求をしていただきたい。  特に、私たち女性は、生む性として次の世代を、本当に健全な子孫を育成していくという、そういう任務も担っていると思います。こんな危険なものによって人体が侵されるということを断じて許しておくわけにはいかないと思います。強く要求しておきたいと思います。  環境庁長官からも一言お言葉をいただきたいと思います。
  73. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 劣化ウラン弾問題につきましては、大変、突然に起こったことでございまして、心外な思いがしております。  これは、その性質上、高度の専門性を持っております放射性物質に係る問題でございます。また、米軍の活動によって起こったという特殊性がございますので、今のところ科学技術庁、外務省におきまして対処していただいているところでございます。  日本とアメリカとの安保条約に基づいたさまざまな取り決めの中で日米合同委員会というものが置かれておりまして、そこでいろいろな分科会がございまして、環境分科会も開かれているわけでございます。  環境庁といたしましては、この間の環境基本法のもとで決められました、放射性物質による汚染につきましては「原子力基本法その他の関係法律で定める」こととされているものでございますので、今のところは科学技術庁が関係法律を所管しているという実情でもございます。  しかし、環境庁といたしましては、環境行政の総合調整を担当しているということで大いに関心を持っているところでございます。この間の調査につきましては、今のところ異常がないということでございまして、今後海水とかあるいは魚類での調査なども必要になってくるというふうに思いますし、そのような調査によりましてこれからの放射能の測定調査が実施されている段階でもあります。その調査の結果、環境庁がかかわり合える部分があればということになりますけれども、できるだけ大きな関心を持って適切に対処していきたいと思っております。
  74. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  75. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 本日私は、十二月に京都国際会議が開かれる、そして日本が議長国を務める予定をしております地球温暖化会議、COP3につきまして、先ほども同僚の常田議員から御質問がございましたけれども、少し質問させていただきます。  日本国内では九〇年六月に制定した地球温暖化防止行動計画、取り組む規範としてはこれしかないわけですけれども、七年経ております。先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、この七年どう排出し、実績は進んだのでしょうか。
  76. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 地球温暖化防止行動計画の七年間にわたる実績についてのお尋ねでございます。  我が国の二酸化炭素排出量につきましては、一九九四年度実績がございますが、これで見てまいりますと炭素換算で三億四千三百万トンということになっておりまして、行動計画の基準年でございます一九九〇年度に比べまして七・二%の増加になっているという状況でございます。
  77. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 七・二%増加しているわけですね。  防止も抑制もできていないということで、効果が上がっているとは思えないわけです。  見直しの施策がありますか、どうですか。
  78. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) ただいま御指摘がございますように、私どももこのままでは行動計画の目標の達成は大変困難な状況にありまして、一層の努力が必要な状況にあるという認識をしているところでございます。  この行動計画が効果を上げているかどうかという問題点でございますけれども、私ども、行動計画そのもの、そこに掲げられました対策の範囲というものは大変広範多岐にわたるものでございまして、そのこと自体は現時点で見ても妥当なものであると考えておりますが、ただいま申し上げましたような排出量の実績値から考えてまいりますと、計画が十分に実効を上げているとは言いがたい状況でございます。これは、主として個々の施策の実施量がなお不足をしているということ、そして各施策が全体として効果的に実施されていないということに主な原因があるものというふうに受けとめておるところでございます。  したがいまして、当面は地球温暖化防止行動計画に盛られた個々の施策の充実強化を図りますとともに、計画の運用を改善していくことが重要でございますが、またこの十二月には京都におきまして国際的な約束が結ばれることになるわけでございまして、そこで新たな厳しい目標の設定が予想されるわけでございますから、我が国におきましても二〇〇〇年以降一層厳しい対策を推進していく必要が生ずるものと考えております。  これに備えまして、対策を全体として一層効果的に進められるような制度的な枠組みが用意できるように、行動計画の改定に向けた検討を進めることが重要であるというふうに考えておりまして、既に平成八年度から私ども環境庁におきましては、我が国の温室効果ガスの排出量の長期的な予測の作業も始めておりますし、さらに九年度予算案でも行動計画の見直しのための準備作業の経費を新たに計上させていただいているというところでございます。
  79. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 四月十五日には国別の報告書を出すことになっていますね。第二回通報だと思いますが、先進国の達成度がここで明らかになります。  私の聞くところによりますと、二〇〇〇年、安定化が守られそうなのは七、八カ国にすぎないというふうに聞いておりますけれども、この中間報告といいますか国別の報告書、これを国民にも示すべきだと思いますが、どのようなデータをお示しになるのでしょうか。  例えば、オランダなどでは相当な国家予算を投入する。あそこは水没と闘った国ですから、海面の上昇と闘った国ですからあれなんですけれども、かなりの国家予算を投入するというふうに聞いておりますが、環境庁ではどう考えておられるでしょうか。
  80. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 先生御指摘のとおり、気候変動枠組み条約の締約国のうちで日本も含みます先進国は、温室効果ガスの排出状況でございますとか、講じている政策や措置、今後の排出量の見通しなどを盛り込んだ国別の報告書を締約国会議に提出することになってございます。  我が国は既に一九九四年九月に第一回の通報を行ったところでございまして、その通報結果につきましては、条約事務局が組織をいたしました専門家によるチームによって一昨年七月、九五年七月に詳細なレビューを受けたところでございます。現在、第二回通報に向けました報告書の作成をして、作業を進めているところでございます。  ことし四月には条約事務局に提出をしたいと考えております。  この通報の案を国民に公表するのかどうかというお尋ねでございます。また、どのような内容の情報を示すのかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、この通報の案を事前に公表して国民や関係者意見をお聞きするということにつきましては、第一回の通報の際に、条約事務局に提出をいたします前にそのようなことを行っておりまして、今回も事前に内容の公表、それから御意見を伺うということ、そういう手続を踏みたいというふうに考えているところでございます。  その際には、例えば二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量の状況、これは一九九〇年、基準年とともにその最近の動向につきましても含めましてお示しをする。それから、地球温暖化防止のための政策あるいは措置の概要などについてもそれらに含めたいというふうに考えております。オランダの例をお引きになられましたけれども、我が国もさまざまな措置を講じようとしております。  そういったことも含めまして、報告書全体を公表し、そしてそのことによりまして国民の皆様に我が国の対策の全体像を御理解いただくようにしたいというふうに考えているところでございます。
  81. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 それは、データをお示しになるとおっしゃいましたけれども、いつごろになりそうですか、四月……。
  82. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) ただいま私どもにおきまして、関係省庁の御協力も種々いただきながら、原案の作成を急いでいるところでございます。なるべく早く政府部内において関係省庁間の調整を終えまして国民の皆様方にもお示しをしたいと考えているところでございますが、現在の段階でいつまでにということを明確に申し上げられる段階ではございませんけれども、御意見を伺うために必要な時間もある程度の期間をとって御意見を伺うようにする必要があろうかと考えておりますので、なるべく急いで各省庁間の調整を急ぎたいというふうに考えております。
  83. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 九五年四月にベルリン会議があったんですね。ここでドイツは議長国としてベルリン・マンデートを出したわけですけれども、これはどんなものだったでしょうか。簡単に教えてください。
  84. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) ベルリン・マンデートについてのお尋ねでございますが、これは御指摘のとおり気候変動枠組み条約第一回締約国会議で決定されたものでございまして、条約に定められております先進国の約束が十分ではないという結論を出しまして、議定書またはその他の法的文書の採択を通じて、先進国の約束の強化を含めて二〇〇〇年以降において締約国会議が適切な行動をとることができるように、そういったプロセスを開始するということに合意したものでございます。  具体的に申し上げますと、条約で具体的に定められておりません二〇〇〇年以降の先進国の約束について、例えば二〇〇五年、二〇一〇年、あるいは二〇二〇年といった具体的な時間的枠組みにおきまして温室効果ガスの数量化された抑制及び削減の目的を定め、また、地球温暖化防止のために各国が進める政策及び措置を詳細に定める内容の議定書などの法的文書を採択するべく国際的な交渉を開始するというものでございます。そして、その結論を本年十二月京都開催される予定の第三回締約国会議で採択をすることとされているものでございます。
  85. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 お答えのように、そのベルリン会議のマンデートに基づいて京都会議の議定書はつくられるということですけれども、今お答えにもちょっとなかったのですが、私もどんな議定書が準備されているか見ているわけではありませんのでわからないんですが、先ほども途上国からのプレッシャーが話されておりましたけれども、途上国も少しは責任を負えというふうになっていないですか、日本の準備している議定書は。どうですか。
  86. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 途上国の地球温暖化対策の推進についてのお尋ねでございますが、ベルリン・マンデートにおきましては、今回採択を予定しております議定書などにおきまして途上国に何らの新たな義務を導入しないというふうにされているところでございますが、一方で、既に条約に定められております途上国を含めた全締約国の義務、すなわち地球温暖化防止のための措置を含む国家計画の策定でございますとか、温室効果ガスがどのような発生源からどのような量が排出されているかといった目録の作成、そして、これらの条約の実施のために講じあるいは講じようとしている措置を記述した報告書を条約事務局に提出するといった義務がございました。これらの義務の履行の推進のための方策について検討するというふうにされているところでございます。  そして、その検討に当たりましては、先進国が途上国に対して新規かつ追加的な資金を提供すべきこと、それから環境保全観点から健全な技術とノウハウの移転をすべきこと、そして、こうした先進国の資金協力や技術移転に関する義務の履行の程度が途上国が行うべきとされております義務の履行に大きな影響を及ぼすということを考慮してそうした検討をすべきことというふうにされているところでございます。
  87. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 途上国の心配というか不安、そして私どもも途上国との信頼関係は非常に大事だと思うわけですけれども、今のお答えにありますように、途上国を含めた全世界的にその義務をきちんと負うべきだというふうなことが多分とらえられているんだと思いますが、日本が、この五年間に七・二%の実績値の上昇を見ているし、それからオランダのように国家予算をたくさん投入して地球温暖化を防止しようというふうなそういった態度も見られないという中で、途上国との信頼関係は非常に難しいと思うんですが、京都会議は大臣にとっても非常に大きなお仕事になると思いますが、そういった私の得ている情報ではかなり厳しいものになりそうだというふうに思うのですね。  大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  88. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 京都会議におきまして、COP3ということで、地球温暖化防止会議第三回が開かれるわけでございまして、この会議を何とか日本のリーダーシップによって成功させなければならないと考えて、今いろいろと努力をしている最中でもございます。  これを成功に導くためにはということで、各国の交渉担当者間での検討の段階にあります。幅広い論点を余さず取り上げて、これは先進国、途上国、さまざまな国の事情がありますので、それをすべて取り上げて、具体的な選択肢を示して議論を徹底して行うことが必要であるというふうに考えておりまして、日本といたしましても議定書のたたき台を先日示したところでありまして、それに対して今後国際的な議論をさらに活発にしていきたいというふうに思っております。  京都会議の国際合意に至る過程におきましては特に日本の重要な役割があるわけでございますし、今までのG7サミットとかあるいは国連環境特別総会などの機会をとらえて、環境保全上実効ある国際合意に向けて各国が政治的な決断をする必要性を訴えていきたいというふうに思っております。  日本がこれからの国際合意に対して消極的になるようなことは避けなければなりませんし、そのためには、日本国内における成果をやはり現実のものとして実績をつくっていかなければならないと思っておりまして、これは二酸化炭素排出量が世界四位ということもありますし、これを削減するために国民総ぐるみで対策に取り組んでいく必要があると思っております。  現在の議論の段階につきましてはさまざまなところがありますけれども、前回の気候変動枠組み条約の仕組み上の欠点としては、数量的なものが示されていないこととか、あるいは各国の自主性にゆだねてしまうこととか、また、努力の成果は中身ではなくて形式で審査をするとか、あるいは排出削減のための技術移転の措置が訓示的であるというふうな今までの欠点があります。それをどのような形でよい方向に持っていくかという重要な会議の調整が行われるわけでございまして、これからの将来の外交交渉が円滑にできて、そして対策が充実強化されやすくなるような土台をつくっていく必要があるというふうに思っております。  国内、また国外の論点は非常に多岐にわたっておりまして、調整は必ずしも容易ではないというふうに認識をしておりますけれども、やはり各国、各方面の主張を十分に聞かせていただいて、それを理解し、そして先ほど申し上げましたような段取りに沿って努力をすれば、環境保全上の実効性のあるもの、そして義務の公平化を図るもの、そして対策の実効性、可能性の高いものというふうな、互いに矛盾しない要請を高いレベルで全体として満たし得るような国際約束が結べるに違いないと確信を持っておりまして、事務方とも精いっぱいの努力を続けているところでございます。
  89. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私が聞くところによりますと、温暖化による海面の上昇で国土が水没する可能性がある島嶼国の人々は日本政府の態度をややヒステリックに受けとめているというふうに聞いているんです。  外務省一つ聞きますけれども、途上国への信号として温暖化対策で、先ほどもお答えが少しあったようですけれども、ODAそのほかで日本はどのような施策を持っているか、簡単に教えてください。
  90. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 気候変動枠組み条約の今回第三回締約国会議は、西暦二〇〇〇年以降の地球温暖化に向けた取り組みに関する国際的枠組みを採択する機会ということで、大変重要な会議だと認識しております。  この会議成功させるためには島嶼国、途上国からの理解を得ることが不可欠でございまして、さらに地球温暖化防止については我が国を含む先進国による取り組みのみでは不十分であるということで、将来的にはこれらの国々の取り組みを強化していかなければならないと考えております。  以上のような認識から、地球温暖化防止に当たりましては、途上国との協力を重視しておりまして、技術協力などの政府開発援助も活用して途上国との協力を積極的に行ってまいりたいと考えております。
  91. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そういうお答えでは本当は全然あれなんです。どういうことを具体的にこうしようこうしようと思っていますというふうなお答えが欲しかったんですが、ちょっと時間がありませんので、次の機会に譲りますが。  大臣、もう一度お伺いいたしますが、何年までに何%減というふうな目標値をきちんと設定すべきではないかと。そうじゃないと、失礼ながら、誠意を示さずに議長国が務まるのかという厳しい指摘も海外からは受けているというふうに聞いております。そういったことで、もう少し大臣に閣僚会議などでも御発題をいただいて、本当に非常にまたとない、COP3が日本で開かれるという、京都で開かれるという、こういう会議にもう少し大胆な発想で決断をしていただきたいと強く望みますが、大臣のお答えを期待しましょう。
  92. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 具体的な削減目標を定めるべきというお考えは十分理解できるわけでございまして、私といたしましても、京都会議において、二酸化炭素の排出削減目標が環境保全上極力実効のある形で議定書に定められるように最大限の努力をしていきたいと思っております。そして、その成果も踏まえて、我が国なりの判断も加え、我が国の排出削減目標も含めた行動計画の見直しを行いたいと思っております。  この具体的な作業につきましては、産業界また関係各省庁の関係もございます。また、国民の一人一人がどのような形でこのような活動に対して協力ができるかどうかという点もかかわっているわけでございまして、今後の具体的な活動に対しましての取り組みをさらに強化していきたいと思っております。
  93. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 余り御決意のほどがうかがわれなかったんですけれども、きょうはこの辺でおきたいと思います。  次に、ダイオキシンの毒性評価について、先ほども御質問がありましたけれども、このダイオキシンにつきましては、WHOの国際がん研究機関が、2・3・7・8のTCDDが人に対して発がん性があるという発表を二月十四日にいたしました。  環境庁が昨年十二月に発表されたリスク評価検討会中間報告書では人間に対する発がん性を認めておられないのですけれども、このダイオキシンによる発がん性リスクに関するこのIARCのあれを見ますと、言うまでもないことですけれども、実験上の動物におけるダイオキシンの発がん影響の証拠を査定し、ダイオキシン類による発がんについてあり得る生物学的メカニズムを評価したと。化学反応によって非意図的に生成されるこのダイオキシンというものが群を抜いて分解しがたい化合物であり、このため環境や暴露した個体の組織中に長期にわたって残留するということで、七六年にイタリアのセヴェソのケースでは周辺地域住民が高レベルの暴露を受けたというふうなことがありまして、実験上の動物においてTCDDが多様な器官においてがんを引き起こすことが人体でも同じように働くと思われるメカニズムというふうな報告が出ているんですね。  にもかかわらず環境庁では、この中間報告からその発がん性を認めていないと。しかも、そのダイオキシンの摂取レベル、一日体重一キログラム当たり五mgですか、非常に緩いものであると私も思いますけれども、このことについて環境庁ではどのように評価しておられるのか、あるいは、今後どのように検討される予定か、お聞かせください。
  94. 廣瀬省

    説明員(廣瀬省君) 先生の御指摘のとおり、ことしの二月に国際がん研究機関が、化学物質を含めた各種の発がん因子についての検討をする機関でございますが、ここでダイオキシンのレビューをしております。先生の申されたとおり、プレスリリースでそのように報じられてございます。  それで、詳しい内容については現在印刷中ということでございますので、向こうから情報を詳しくとりまして、その内容をダイオキシンのリスク評価検討会に提出いたしたいというふうに思っております。その上で十分検討していただきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  95. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 向こうからの十分な資料の手に入るのを待って検討を始めたいということでありますが、ダイオキシンについてその発がん性とか有害性について論じられたのは、きのうきように始まったことではないのでありまして、環境庁の報告書では、疫学的症例が少ないことにより評価が定まっていないなどと挙げておられるんですけれども、人に関する疫学的症例の充実を待って厳しい対策を先に延ばすというのは、これはまるで逆のことでありまして、予防原則を欠くばかりか、犠牲者の山と出るのを待っておられるような感じでして、これは言語道断であると私は断ぜざるを得ない。  もう一度答えてください。
  96. 廣瀬省

    説明員(廣瀬省君) ダイオキシンのリスク評価検討会は昨年の十二月に中間報告しました。それまでについて、過去に出された文献について評価、検討をしているわけでございます。この時点の研究論文のとらえ方についての御意見かと思いますが、この今回の国際がん研究機関での評価の問題で、一応十一カ国から二十五名の科学者が参加して、二月の四日から十一日まで検討したということですが、その論文の取り上げ方についての議論が詳細に議論されているというふうに考えているわけで、今回の私たちが議論した部分とこの結果についての評価の問題点をきちっともう一度評価し直すということになると思っております。  ですから、それは検討会の先生方の現在持っている知見の物のとらえ方ということとを含めてもう一度検討し直すということになるということを申し上げたわけでございます。
  97. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大変のんびりしているという印象を受けるんです。  時間がありませんので、もう一つダイオキシンの質問をさせていただきますけれども、二月七日、ナイロビで国連環境計画、UNEPが開かれました。そのときに、私以前にもこの委員会で残留性有機汚染物質、POPsについて、いわゆる化学物質の安全性に関する政府間フォーラム、IFCSというところからこの国連環境計画、UNEPに対して、ダイオキシンの発生原因である塩素を使用しない製品づくりなどが望まれるというふうに書かれている。しかし、環境庁のさきのダイオキシン発生抑制に関する中間報告にも、また厚生省ごみ処理にかかわるダイオキシンの削減対策にも塩素使用の抑制などの対策は一言も盛り込まれていない。  このことについて環境庁厚生省両方にお聞きしたいと思います。
  98. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) ダイオキシンの排出抑制に関する塩素の使用抑制についてでございますけれども、これまで紙・パルプ工場での漂白工程における塩素の使用量の削減につきましては関係団体へ要請してきたところでございます。  一方、ごみ焼却施設における塩化ビニール等プラスチック類の塩素類の削減によるダイオキシンの抑制効果につきましては、ダイオキシン類の規制が低減されたという報告がある一方、低減されないとする実験結果もございまして、今後さらに科学的な検討を要する課題と考えております。  環境庁におきましては、多様な発生源に対するダイオキシン排出抑制対策のあり方につきまして、昨年の五月にダイオキシン排出抑制対策検討会を設置いたしまして、この問題も含めまして御検討をいただいているところでございまして、具体的な対策につきましては本年度末を目途に取りまとめることといたしております。  環境庁といたしましては、この検討会の成果を受けました後、関係省庁とも調整をしながら、規制的な措置の導入も含めましてダイオキシン等の排出抑制対策を早急に講じてまいりたいと考えております。
  99. 内田康策

    説明員(内田康策君) 私どもは毒性評価を担当しておりますので、その観点からお答えいたします。  POPs、残留性の有機汚染物質につきましては、現在国際レベルにおいて、竹村先生がおっしゃったように規制方策について検討が行われております。私ども厚生省としましても、こういった検討には関与をしているところでございます。  国内におきましては、厚生省としましては、塩素を含有しているかどうかということにかかわらず、個々の化学物質の毒性データ等を評価いたしまして、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律におきまして対処できる物質につきましては、通産省とも協議しつつ適切な規制を講じてきており、今後とも行ってまいる所存でございます。
  100. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私の質問は、どうして塩素が抑制、適用されないのかということだったんですけれども、きのうちょっと環境庁お話をしておりましたら、塩素単独では、塩素とつながる有害な物質についてはあるけれどもというふうなお話があったんですが、私その後ちょっとこの勧告をもう一度調べてみましたら、三十項に、塩素、臭素がダイオキシン、フランの発生原因である可能性指摘し、とありまして、そしてその次の四十項のところに、これを受けて、ダイオキシン、フランの排出を低減及びあるいはなくすための適切な技術及びあるいは原料についての政策の確保することを求めるというふうになっているんですね。  ですから、単独ではそうではないという環境庁お話ではちょっとこの勧告にはそぐわないというか、塩素、臭素がダイオキシン、フランの発生原因である可能性指摘しときちんと書かれているということもありまして、やはりさっきも申しましたけれども、ダイオキシンが多様な器官においてがんを引き起こす可能性があると。そして、群を抜いて分解しがたい化合物であり、そしてダイオキシン類のうちの生物学的に最強の2・3・7・8TCDDの取り扱いについて国際的には非常に緊急のこういった勧告とかいろいろな形で抑制のための行動を求めていると。しかし、さっきから私が聞いておりますように、環境庁厚生省も非常にのんびりとしているという感じがしてならないんですね。  ごみ焼却炉からダイオキシンが出てくるということも、もう何年も前から言われておりますし、私はひとつびしつとダイオキシンについて、環境、厚生、あるいはきょうはお呼びしておりませんが通産、運輸ですか、関係省庁でひとつきちっとした対策をとっていただきたい。  それは環境庁長官の指導力が必要であるというふうに考えますので、最後に大臣のお言葉を、今お聞きになっていてそういうお言葉をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  101. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ダイオキシン対策につきましては、大変緊急を要する問題であると認識をしております。  環境庁といたしましては、昨年五月に有識者で構成します検討会を設けました。そして、ダイオキシンのリスク評価と排出抑制対策のあり方について総合的な検討が進められておりまして、十二月には中間的な取りまとめが行われたところでございます。今後、これを踏まえまして、ダイオキシン類の排出抑制のための具体的な対策について、本年度末を目途として取りまとめを行う予定でございます。  環境庁といたしましても、この検討会の成果を受けた後に、規制的な措置の導入も含めましてダイオキシンの排出抑制対策を早急に講じてまいりたいと思っております。
  102. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 終わります。
  103. 有働正治

    ○有働正治君 本日は、大臣所信で明らかにされました生物多様性国家戦略などとの絡みで、干潟の保全をめぐって質問いたします。  私は一月三十日の予算委員会で、農水省が行っています諌早湾の干拓事業問題を取り上げました。そこで総理は、干拓事業では自然環境に与える影響などの面からの議論があることは事実だと。干拓事業実施に当たって自然環境保全という点を十分に配慮しながら進めていかなければならない旨答弁されたわけであります。  そこで長官、まずお尋ねするわけでありますが、環境大臣として基本的な考えはどういうものであるか、より明確な態度をお示しいただきたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  104. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 先日、予算委員会におきまして総理から答弁がなされたところでございまして、干拓事業を実施する場合には自然環境保全に対する十分な配慮が必要であると御答弁されたわけでございまして、私といたしましても全く同じ考え方でございます。大規模な干拓事業の実施に当たりましては、事前の環境影響評価の実施も含めまして、自然環境保全に対する十分な配慮が当然なされるべきものと考えております。
  105. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、諌早湾干拓事業はどういう局面にあるか、ちょっと私地図を、これは農水省からいただいたものを拡大したものでございます。(図表掲示)  諌早湾というのがここにありますけれども、そこの中に一つ道路みたいな道が走っています。これが潮受け堤防として、湾外の潮が大潮その他で台風その他の被害を受けないように潮受け堤防、七千五十メートルの巨大なものであります。こういうもの。これがほぼできつつありまして、今この中で千二百メートルがまだあいていまして、潮の流れがあって湾内の方も海水として今は生きているわけであります。それを近々締め切って中を淡水化する。淡水化した中で堤防を築いて干拓をやるということで、ここは調整池として淡水化するということになって本格的に干拓事業に移っていくと。これからの課題であります。  これは予算規模といたしましても恐らく数千億をこれからも要するであろうということで、これだけ減反の時代、お米の輸入化を進めている中で、今の時期において干拓そのものがどうなのかと根本的に問われている問題でありますが、きょうはそのことはさておきまして、環境サイドから長官にお尋ねするわけであります。  そこでお尋ねしますけれども、締め切った場合に、ここは大半が干潟であるわけでありますけれども、どれぐらいの干潟が淡水化した場合に面積が消滅すると考えておられるのか、また日本の干潟というのは高度成長政策の中で本当に消滅していったわけでありますが、それはどれぐらいの規模であるのか、事実関係をまずお示しいただきたい。
  106. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 私からまず事実関係といたしまして、日本の干潟がどういう状況になっているかということを申し上げます。  平成元年度から四年度に環境庁が実施いたしました第四回の自然環境保全基礎調査によりまして、我が国の現存干潟の総面積は五万一千四百四十三ヘクタール、また昭和五十三年以降消滅した干潟の面積は三千八百五十七ヘクタールとの調査結果を得ているところでございます。  それから、今回の事業によって諌早湾の干潟がどのぐらい消滅するかということで……
  107. 有働正治

    ○有働正治君 おおよそでいいです。
  108. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) これにつきましては、事業の実施によりまして消滅する干潟面積、これは長崎県の事業計画上の干潟としてとらえているものでございまして、私どもの干潟の定義とちょっと違うところがあるんですが、それによりますと二千二百六十ヘクタールであるというふうにお伺いしております。
  109. 有働正治

    ○有働正治君 皆さん方としては消滅するのはおおよそどれぐらいと見ていますか。
  110. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ちょっとその事業との関係で承知しておりません。
  111. 有働正治

    ○有働正治君 確かに長崎県の場合には低いと私は思います。環境庁もそういう点で局長はおっしゃったんだと思うんです。今まで三千八百五十七ヘクタールが消滅した、それの八割に匹敵するようなおよそ三千ヘクタール以上が消滅するというふうに言われて、これまで何十年かかって消滅したのが一挙に消滅するぐらいの非常に大きな干潟消滅という問題がここに内在しているということであります。  そこでお尋ねするわけでありますが、そういう点からいって環境上の側面からも大きな問題があるわけであります。この事業の実施に当たりまして、本明川という一級河川がここにあります。そこで、河口を埋め立てることとの絡みで公有水面埋立法により環境庁意見が求められ、一九八八年、昭和六十三年三月八日に環境庁長官名による意見が出されているやに承知しています。また、この一部計画変更に伴いまして一九九二年、平成四年九月三十日に環境庁企画調整局長名で意見表明されていると承知しているわけであります。  その具体的な内容について事実確認を求めます。  私の方から指摘させていただきますけれども、環境庁長官から建設大臣あての回答書の中で、この淡水化された調整池、これは水害対策その他ということで農水省は述べているわけでありますが、「調整池に関し、流域内の汚濁負荷の削減、調整池内の水質監視等総合的な水質汚濁防止計画を策定すること。」と。また、「造成される調整池については、類似の閉鎖系水域における富栄養化の進行等水質汚濁の事例に鑑み、水質保全に万全を期する必要がある。」、こういう内容が盛られた意見書を提示されていると。これが事実かどうか。  また、企画調整局長名による建設省河川局長あての回答書の中で、「調整池の排水門について、水質汚濁の未然防止の観点から、調整池全体の流動を促進するための排水門の適切な操作が行えるよう配慮すること。」を挙げ、また下水道処理排水を調整池内に放流する場合についても、「調整池流域内における総合的な汚濁負荷削減対策を確実に行うことが前提となる。」と。環境汚染が心配される中でその対策をきっちりとりなさい、前提であると、計画の策定をきっちりしなさいと、当然の意見として表明されているわけであります。ほかにもいろいろ御指摘されていることは承知しているわけでありますが、私が挙げた点、間違いないかどうかだけお答えください。
  112. 田中健次

    政府委員(田中健次君) ただいま先生から御指摘がございました六十三年三月八日付の意見、それから平成四年の企画調整局長意見、先生今御指摘になったような点が含まれております。
  113. 有働正治

    ○有働正治君 そこで話を進めますけれども、長官名の意見書では、水質汚濁防止計画を策定すること、これを具体的に挙げているわけであります。  それから、企画調整局長名の意見書では、調整池内における汚濁負荷削減対策を確実に行うことが前提だということを述べられておるわけであります。  これらについて指摘された意見書が現状の段階で満たされて条件整備が整っているとお考えであるかどうか、その認識を簡潔にお示しください。
  114. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 私どもは先ほど申しましたように六十三年の意見、それから平成四年の意見を申し上げておりまして、現在、工事が進捗中でございまして、これらの私どもの意見を踏まえて事業者対応していただいておるというふうに思っております。
  115. 有働正治

    ○有働正治君 そうしますと、現状皆さんが述べられた意見がどういう局面に達しているのかつかんでおられないということですね、相手に任せてこれでやっておられると。環境庁の職責として当然そういうのは把握すべきだと私は考えるわけでありますが、現状で満たされているという状況にあるのか、そういうことについては調査していないというのか、意見を相手からもらっているのかいないのか、はっきりさせてください。
  116. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 工事が進捗中でございまして、状況に応じて現状の報告をいただいたり、また私どもの担当官が現地に参ったりしておるところでございますけれども、必ずしも状況は満たされておらない、こういう状況だと思います。
  117. 有働正治

    ○有働正治君 環境庁長官名の意見書で、工事中はもちろん、ちゃんときちっと措置しなさいということをここに明記されているんです、長官名の意見書が。だから、今この潮受け堤防が締め切られて淡水化に移るという重要な局面にあるわけですね。そして干潟がなくなる、しかも干潟のなくなる面積は巨大なものであると。事実関係が明らかになって、そういう大事な問題については、工事中はもちろんのこと、ちゃんとしなさいと言っておられるわけでありますから、ちゃんとつかむべきだと思うわけでありますが、長官どうですか、この点。やっぱり今の局面でつかむべきですよ。
  118. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今度の事業につきましては環境庁長官名で昭和六十三年に意見を申し上げました。そしてこれは、この土地が渡り鳥の渡来地であるというような認識でありますし……
  119. 有働正治

    ○有働正治君 ちょっと申しわけありません。私も限られた時間なので、やっぱり今の局面で、長官名の意見書をお出しになっておられるわけだから、現状がどうなっているか、新しい局面だからおつかみいただきたいと。それだけお答えをいただければ。
  120. 石井道子

    国務大臣石井道子君) わかりました。  これは環境庁長官また企画調整局長が述べた意見に基づいて環境庁としてもしっかりと現状を把握し対処しなければならないと思っております。
  121. 有働正治

    ○有働正治君 しっかりつかんだ結果を国民にも公表していただきたい。  そこで、長官名で指摘されている水質保全計画についてお尋ねしますけれども、水質保全をやる上において、当然のことながら下水道整備、し尿処理施設整備、下水処理以降の高度処理施設整備等々、水質保全に関する事業というのは重要な柱になることは自明のことであると考えるわけでありますけれども、この点いかがでございましょうか。
  122. 田中健次

    政府委員(田中健次君) おっしゃるような点につきましては、事業者あるいは関係自治体の方でそれぞれ御努力をいただいておるというふうに承知をしております。
  123. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、建設省お見えでしょうか。  建設省にお尋ねします。  ここの周辺の下水道整備状況、これは非常に重要と考えるわけであります。実態がどうなのか、整備率は諌早市その他周辺の町でどれぐらいなのか、パーセント、本明川流域の下水道の整備状況はどうなのか、事実関係をお示しください。
  124. 石川忠男

    説明員(石川忠男君) 本地域で関係いたしますのは諌早市ほか四町でございます。この中で下水道を実施しておりますのは諌早市でございまして、現在、市の下水道普及率が二四%ということになってございます。その中で本明川の水系ということで切りますと、もう一方が大村湾の方に出るものがございますので、本明川水系で切りますと一六%という状況でございます。
  125. 有働正治

    ○有働正治君 そうするとそのほかの四つの町はゼロだと、間違いございませんか。
  126. 石川忠男

    説明員(石川忠男君) 現時点では四つの町は下水道を着手しておりません。
  127. 有働正治

    ○有働正治君 それから、ここの淡水化された調整池内に高度処理した水を流すと、本当は当初計画は湾のこの潮受け堤防の外に流すようになっていたのが途中変更になって中に流すようになりました。その点で、当然のことながら高度処理施設が必要なわけでありますけれども、高度処理施設はできているのか、見通しはどうなのか、建設省、いかがでございますか。
  128. 石川忠男

    説明員(石川忠男君) 諌早市の下水道につきましては、現在二次処理という処理で行われております。  しかしながら、この状況から考えますと高度処理が必要であるということで、市といたしまして現在高度処理検討を進めているという状況でございます。
  129. 有働正治

    ○有働正治君 まだ検討中という段階ですね、高度処理は。私も、諌早市長さん、関係の自治体の皆さんともこの間二回現地をお邪魔いたしましていろいろ、自治体はもう御承知のように借金財政で、本当に深刻な自治体の財政危機がございます。そういう中で、高度処理施設は土地の見通しもないし施設の計画の見通しもない。財源対策が、自治体負担がどうなるのか、本当に苦慮しているというお話すらもう当然だと思うのであります。  そうしますと、高度処理施設もできていない、下水整備も全体の流域で一六%というこういう中で、完全に淡水化した場合に、どんどんそういう状況の中で生活排水その他を含めまして水が流れていった場合にどういうことになるのかというのは、ここは環境委員会ですから、御専門の方々ですから大体およそ想像がつくし長官もおよそ想像がつかれると思うわけであります。私は霞ヶ浦や児島湖の二の舞になりかねないと思うわけであるし、関係市町村、関係の住民方々環境NGOの方々、本当に全国的な規模を含めましてその点を非常に心配されておるわけであります。  そこで、建設省にお尋ねするわけでありますが、建設省は本明川という一級河川の管理者でございます。その点で、ここの水質汚濁あるいはそういう悪化について農水省と当然協議されておられるんではないかと思うわけでありますが、それはどういう状況にあるのか、その見通し、万全だという見通しが農水省から示されて、見通しが立っているかどうか、結論だけちょっとお示しいただければと思います。
  130. 白波瀬正道

    説明員白波瀬正道君) 御指摘の諌早湾干拓事業のいわゆる潮受け堤防、これを締め切った場合、その後の調整池の水質の件でございますが、この水質につきましては、平成四年に事業者におきまして環境影響評価が実施されておりますが、そのときに水質予測がなされております。しかしまた、現在、事業者におきましてさらに調整池内の水質保全、大変重要ということで水質上の観点からの検討が深められておるという状況でございます。  潮受け堤防の締め切りに伴う水門の操作が開始されるに先立ちましてその検討結果を伺うことといたしておるわけでございます。現在、正式な検討結果、伺っておらないという状況でございます。  今後検討結果を伺ってまいる考えでございます。
  131. 有働正治

    ○有働正治君 まだ見通しが立っていないということだと思います。  そこで建設省、河川管理者として建設省は当然責任ある納得いく汚染負荷削減対策、その実施についてのめどが立つこと抜きにして締め切って淡水化したら大変なことになると私は考えるわけでありますが、建設省が法的にもきっちり裏打ちされた建設省の立場としてそこら辺をきっちりオーケーしないと進行できないというシステムになっていると私は思うわけでありますが、その点はどうなっていますか。
  132. 白波瀬正道

    説明員白波瀬正道君) 河川管理者としての法的な関係でございますが、この諌早湾干拓事業、現在工事途上ということでございますが、この潮受け堤を締め切って排水門操作が行われるという場合、許可工作物の一部使用の承認、そういう規定が河川法上ございまして、この規定に基づきまして河川管理者、事業者協議をさせていただくということになるわけでございます。この協議が整った後、排水門操作等が行われるものというふうに考えておりますが、この正式な協議があれば、具体的な内容について検討いたしまして適切に対応していきたいというふうに考えております。この場合、基本的には治水につきまして、排水門の操作に伴って治水上の悪影響を生じさせないように的確な操作や維持管理が行われるようにすることが必要であろうというふうに考えております。
  133. 有働正治

    ○有働正治君 建設省は所管の職責においてきっちりここに環境汚染がないように対応願いたいと強く要望しておきます。軽々に対応すべきでないということを強く要望しておきます。  そこで、話を進めまして、環境庁長官の方にお尋ねしたいわけでありますが、以上の事実確認でございます。高田長崎県知事からも同じ時期に、若干の数カ月の時差がございますが、農水省側に回答が示されています。意見書が表明されています。特に平成四年、一九九二年の一月十四日、高田知事名による九州農政局長あての中では、高田知事も確実に実行される負荷量削減対策を求めています。しかし実態は、先ほど、高度処理も見通しは立っていない、下水整備状況もそうなっていないと。私は海上からも調査いたしましたけれども、それほど深刻な状況になっていないのは、今海水が流れて干潟があって、干潟の浄化能力でやっぱりちゃんと保たれているということを調査して実感したところであります。  しかも、長崎県の計画によりますと、水質保全の計画を策定することで今鋭意検討中であることは承知していますけれども、長崎県の平成九年度当初予算案が近く県議会で議論されるわけでありますが、その中で、諌早湾干拓調整池水質保全対策事業費として百七十九万二千円が計上されています。これは調整池の水質保全計画の策定及び類型指定、いわゆる環境基準等に向けた水質調査の実施ということで、長崎県は今から計画を策定するために九年度予算予算計上してこれからやると、こういう状況であります。  だから、とてもじゃないけれども今は、環境庁が長官名あるいは局長名で指摘されておられました条件というのは、後で調査されるというわけですから、チェックするというわけですから、きっちりチェックしていただきたいわけでありますが、これは回答書の見解の前提が満たされていないという状況にあることは明白だと思うんです。  長崎県もこういう状況です。  したがって長官、今の現状において、調整池の水質をめぐって前提条件が満たされていない中での淡水化というのは、環境上は重大な問題があると私は思うわけでありますが、この点について長官、大体お話でお聞きのとおりだと思うので。——長官の政治的な発言を私は聞いているので、事務当局は要らぬよ。
  134. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 有働委員、いろいろと御熱心に調査もされていらっしゃいまして、改めてその深刻な状況も再認識したところでございます。  今後、このような環境保全対策につきましては、現在でもさらに調査を厳密にしていかなければなりませんし、また県においてもこれからするということでございますが、このような点を十分に配慮しながら適切な対応をしていかなければならないと思っております。
  135. 有働正治

    ○有働正治君 深刻な状況にあるというのは議論を通じて認識された。だから、私が求めますのは、そういう深刻な状況のままにこの潮の流れがとめられて淡水化されたら重大な問題があるのはもう火を見るよりも明らかだと思うわけです。その点で、淡水化事業は環境庁としては厳重にチェックするべきだ、そういうことになるんじゃないか。  この点はいかがでございましょうか、長官。
  136. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 確かに、環境保全という立場から考えれば、十分その問題につきましては配慮しなければならないと思っております。  それで、諌早湾を中心といたしました有明海全体の干潟生態系についても環境庁みずから調査を実施すべきものと考えておりまして、平成九年度から新たに予算計上いたしております。今までよりも倍以上ふやしまして調査をするわけでございますが、特に今回は、海域自然環境保全基礎調査というものを実施いたしまして、そして、その中で全国の代表的なサンゴ礁とかあるいは干潟、藻場などについて生物層及び生態系の状況を調査して、海の自然環境保全の基礎的資料を今後も整備したいと考えております。特に干潟の約四割を占める諌早湾を含む有明海の干潟につきましては、調査の対象の重要な一つとして考えておりまして、順次調査をしていきたいと思っております。
  137. 有働正治

    ○有働正治君 そこでもう一点、大臣、今、今度チェックするとおっしゃいました。厳重にチェックしていただいて、意見表明された長官、局長の立場から、そしてそういう点を厳正に見れば深刻な事態で見通しが立っていないことはもう明々白々なわけですから、そのことを干拓の事業主体である農水大臣にやっぱり長官としてきっちり物申して、環境保全を抜きにした工事についてはきっちり長官の職責を果たしていただきたい。この点いかがでございましょうか。
  138. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 水質の悪化を防止してその汚濁の削減対策を図るためには、やはり関係各省庁との連携が必要でございます。その意味で、今後も環境モニタリングの結果とともにいろいろな対策を実施してまいりまして、十分把握をしていきたいと思っております。そして、関係の省庁に対しまして十分に物を申していきたいと思っております。
  139. 有働正治

    ○有働正治君 だから、大臣ですから、農水大臣に責任持って環境対策上問題ありと、ちゃんと言うべきことを言われると明言してくださいよ。
  140. 石井道子

    国務大臣石井道子君) いろいろ調査の結果もまちまして意見を申し上げたいと思っております。
  141. 有働正治

    ○有働正治君 調査は速やかに、先ほども申しましたような局面に達しつつある、非常に大事な局面でございますから、速やかにやって、きっちり環境庁長官としての職責を果たしていただくことを重ね重ね申し上げておきます。  それから、ここでは今、環境庁として有明海を含めて調査をやると。やっとこさやるようになったというのが実態なんです。それは結構なことです。きっちりやる、しかも早くやっていただきたい。  ここでは、淡水化されたら絶滅の種類のものが七種類あり、ほとんど絶滅するであろうというものを含めると二十六種類あるというふうに環境NGOその他の調査、ここに私、干潟のレッドデータブック的なものを最近発表されまして、拝読させていただきました。御専門の方々が携わっておられます。  干潟が消滅して淡水化されれば大体そういう状況になるということは、環境庁は御存じで掌握されていますか。結論だけ。
  142. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) この諌早湾にいろいろな底生生物等がいるということは承知しておりますが、この底生生物等、干潟に生息する甲殻類あるいは貝類等の全国的な分布状況あるいは生態などにつきましては、陸上の動植物などと違いまして現段階ではまだまだ知見が少ない状況にあります。  しかしながら、一般的にこのような干潟に生息する生物は特定の地域のみに分布するものではなく、御指摘の底生生物等につきましても、諌早湾のみではなく有明海や日本の他地域で記録されているものがほとんどであるという状況でもあろうかと思います。  しかしながら、このような底生生物の生息する干潟の再生というものは重要な課題であると考えております。
  143. 有働正治

    ○有働正治君 最後に一点だけ。  実は、私、現地調査をやりまして、ここに小さな小江干拓地というのがございます。ここの中で、九州農政局それから事業主体の鹿島建設その他がひそかにヘドロ流出の環境汚染事故を起こしていたんです。ところが、これは隠ぺいするということを言って明らかにしないで、私の調査で初めてそれを認めました。そのほかにも本来環境上重大だからということで使わないいろんな物質等も使っているということも、これは認められました。  そこで長官、ここの干潟の調査をやられると同時に、そういうことについても農水省は秘匿して明らかにしなかった。私の調査で初めて事実を突きつけて認められたわけですから、こういう点についても報告を受けられて、そして環境庁として、それは環境へのどういう影響があるのかどうか、これもチェック願いたいということ。そして、干潟保全のために万全を期していただきたい。  最後に、長官のその具体的なことの答弁を求めて、質問を終わります。
  144. 石井道子

    国務大臣石井道子君) その問題につきましては、環境庁といたしましても調査を行いまして、そして厳密に対処していきたいと思っております。
  145. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  146. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  初めに、日本海重油流出事故環境汚染対策についてお伺いします。  私は、ロシアのタンカー、ナホトカ号の重油流出事故の被害状況を現地に行って実情をつぶさに見てまいりました。少し具体的な話になります。  独自調査しましたが、海洋学者であるドクター・オッペンハイマーさんは、今回、自治体と漁協の要請で来日されております。日本海でのバイオレメディエーションの実験を試みました。このバイオレメデイエーションは、先ほど来少し出ておりますが、微生物を使った環境浄化法で、微生物が重油を食べて無害な物質に分解する機能を活用するもので、自然の治癒力を強化する技術でもあるのです。そして、バイオ剤散布実験の結果をドクターはこのようにお話ししてくださいました。  五日後にあらわれた影響は、バイオ剤は油の表面のみに効果的であった。岩肌のオイルが消えた。  私も実際に写真で拝見いたしましたが、確かに消えております。その後は油の固まりは手ではぎ取れるようになったと、こういう実験結果です。ドクターのさらなる調査によりますと、日本海沿岸は直線距離にして千二百キロメートルが今回の重油流出事故の影響を受けている。入り組んだ海岸線をずっと実測していけば、その十倍の範囲になるだろうと。  県からは、ドクターや実験を手伝ってくれたボランティアには何の支援もありません。作業着は自前で、その都度焼却しているという御報告です。  災害規模への認識が薄いとしか思えない。夏が来る前に、できるだけ早い時期に沿岸漂着油の除去を完了しておかないと、夏場の高温化したときに漁業や観光に対して徹底的なダメージが出てくるだろうと、このように話してくださいました。  この夏が来る前にバイオで処理した方がいいという御意見は、エクソン・バルディーズ号め重油汚染処理しましたアメリカのスタッフも、私は同時に聞いておりますが、同じ考えである、そういうふうに伺っております。  ところが、二月二十四日付の読売新聞によりますと、環境庁はバイオレメディエーションの導入についてガイドラインを策定中であるとし、そのため各自治体が使うのをためらっていると記されております。一方で、環境ボランティアが悪戦苦闘している現実がある以上、効果的な浄化法の導入を急ぐべきではないでしょうか。  このバイオレメディエーション技術について環境庁は一体どのように評価していらっしゃるのか。また、悪戦苦闘しているボランティアの作業方法に手をこまねいているだけなのか。このままでよいわけはないと思います。環境庁、いかがでございますか。
  147. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) バイオリメディエーションの技術につきましては、油除去のための一つの有効な手法であろうとは考えております。ただ、基本的にはバクテリアの栄養剤ということで、窒素とか燐を含む、言ってみれば肥料をまくわけでございますので、それによっていろいろと副次的な影響を与える可能性も多うございます。  オッペンハイマーさんはテキサス大学の名誉教授ですが、同時に薬のメーカーの経営もされておりまして、多少評価が大き目に出ているのかなというふうに思いまして、私どももアメリカの海洋大気庁、NOAAの方々にも聞いてみました。有効な手段ではあるけれども、初期の手段としてはいい、重油には効果が薄い、あるいは十度C以下では効果が余り出ないのではないかというふうなことがございまして、できれば、今先生がおっしゃいましたように、これから気温が上がってまいりますから、この気温が上がってきて油が解け出すというふうなタイミングをとらえて限定的、局所的に使うのがいいのではないかなというふうに考えております。  こういう状況でございましたので、現地が戸惑うといけませんから、二月六日付で水産庁と一緒になりまして各府県に、このバイオリメディエーションの利用について一定の注意、それからやる場合には現場の、特に漁協の方々とよく相談をしろというふうなお知らせをしたところでございます。
  148. 末広まきこ

    末広真樹子君 それはケース・バイ・ケースで、使っていい場所悪い場所、当然判定なさるべきだと思いますが、今業者の方だから割り引いた方がいいという意見がありましたけれども、私は別に向こうの沿岸警備隊の方からも同じような意見を聞いていますので、沿岸警備隊が業者的発想をするとは思えないと思いますね。  災害時におけるボランティアの活躍は我が国でも必然的なものとなってきたように思いますので、この際、二つの問題を提起しておきたいと思います。一つはボランティアの安全管理の問題です。もう一つはコーディネーターの必要性。この二点は受け入れ体制として日常的に整備しておく必要があると思います。これを全国の地方自治体が整えることも一つの方法です。いま一つ、そのようなプロをそろえた組織、いわば日本版危機管理庁というものを組織するのも方法かと思います。  自然災害、環境災害すべてを含めて災害におけるボランティアの位置づけを定め、それが適切かつ有効に活躍できるような体制を整備すべき時期に来たんじゃないのかなと思いますが、いかがでしょうか。特に今回は環境災害ですので、環境庁長官の御所見をお伺いします。
  149. 石井道子

    国務大臣石井道子君) このたびの重油の除去につきましては、大変ボランティアの方々に献身的な御活躍をいただいておりまして、心から感謝をしております。  そして、このような現地におきますボランティアの方々の健康問題につきましては十分配慮しなければならないというふうに考えておりまして、環境庁といたしましても、重油の健康に対する影響に対しての情報を関係省庁とかまた専門家からも収集をいたしまして、厚生省と労働省と連携いたしまして、回収作業に伴う健康上の注意事項について、一月二十一日に都道府県に対して通知をしたところでございます。  今後も、自治体及び関係省庁協力して、このたびの健康被害に対します防止に万全を期していかなければなりませんし、またこの問題に限らず、災害におきますボランティアの方々の健康管理についてはさらに留意をしていかなければならないと思っております。
  150. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 災害時のボランティア、NGOの活動でございますけれども、これは行政対応とともに非常に重要な役割を果たすものと認識をしておりまして、私どもも今回のようなことを想定いたしまして、平素から民間団体のリストアップやあるいはネットワークの構築等の協力体制をしいております。  それで、今回のナホトカ号事件に関しましては、私ども環境庁に民間活動支援室というのがありますが、そこで毎日の現地の情報とか天候とか何が必要かとか、そういうことについて電話やファクス等によって情報提供をするというふうなことを実施してきております。そういうことで、緊急時のこういう対応について平素から関係団体と連携を密にして、そういう体制を整備する必要がございますし、それに努めてきております。また、事故発生後の野生生物の救護に関する獣医師さんとかあるいは関係団体等との協力等、これも平成七年に閣議決定された緊急時計画というのがございます。そういうことも踏まえまして、今後ともこれらについて万全を期していきたいというふうに思っております。
  151. 末広まきこ

    末広真樹子君 そのためにはNGOや各種ボランティアへの具体的な支援制度化をお願いしておいて、次の質問に移らせていただきます。  愛知万博に対する環境庁取り組みについてお伺いしてまいります。  平成七年の第百三十四国会において、愛知万博の環境保全について質問させていただきました。  この時点では、愛知万博の基本構想は、森を造成して産業型万博を行うといういわば一九七〇年の大阪万博と同じ種類のものでございましたが、当委員会でビデオを取り入れた私の質問に当時の大島環境庁長官が非常に行動的に対応をしてくださいまして、九日後には愛知万博は環境保全の面で異議ありと記者発表なさいました。  万博は閣議了解が必要でございますので、すぐさま構想は一から練り直し作業に入り、会場候補地こそ変更はできなかったんですが、その内容が自然との共生へと百八十度の転換を見せました。  規模も約百ヘクタール縮小され、移植予定でした絶滅危急種シデコブシはそのまま保存されることになりました。大幅な構想変更を受けとめて、十二月に閣議了解されたということでございます。  私ごとき一年生議員の意見に耳をおかしくださいましたことに深く感謝いたします。そして、関係各位の皆様の御理解と御協力に改めて敬意を表したいと思います。  ところで、その後、通産政務次官や通産大臣は現地視察に行っておいでになるんですが、環境庁長官はお出かけになっていないんです。これはなぜですか。今後、行かれる御予定はないんでしょうか。春、桜より少し遅いんですが、シデコブシの花が可憐な花を吹かせます。ぜひ見てやってください。私も現地参加でお供をいたしますが、大臣いかがでしょうか。
  152. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私も昨年十一月七日に環境庁長官に就任いたしまして、まだ日が浅いのでございまして、臨時国会とか通常国会とか大変日程に追われておりまして、国会に何か束縛をされております。なかなか自由の身になれないものですから、また役所としての視察ということになりますといろいろと段取りも必要かなというふうにも思いますが、今のところは予算委員会でかなり毎日議論がありまして、答弁もありまして、時間がないところでございますけれども、できるだけ会場候補地の現況につきましては、環境庁の担当官を現地に派遣して現状を把握していただくようにしておりますし、私も現地の視察につきましては日程上の問題も考えながら対処したいと思っております。
  153. 末広まきこ

    末広真樹子君 さて、愛知万博の会場となります瀬戸市は陶器の町としてつとに有名でございまして、その陶土の採掘は古代より絶えることなく行われております。  あたりは見事にえぐられ、掘り尽くされた日本版グランドキャニオンと呼ばれ、大地がばっくりとその傷口を広げております。この採掘現場を私は実際に見てまいりましたが、痛々しさに胸をつかれました。わっと息をのみますね。初めて目にした地球の断面という状態です。生々しいです。  環境庁長官、陶土採掘現場というのをごらんになったことはございますか。
  154. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ございません。
  155. 末広まきこ

    末広真樹子君 きょう再びビデオでお見せしょうかなと思ったんですけれども、ビデオで見ちゃうと現場に行かれなくなるかもしれないのでやめました。ぜひ現場へ行ってください。  大地の断面は痛々しさを通り越して、もはや神々しいんですよ。じわじわと深い大地の恵みに対してありがとうありがとうと手を合わせたくなりました。それで、はっと思ったんです。大地はこれだけ我々に恵みを与え続けてくれたのに私たちはどんなお礼をしたのか、奪うだけ奪って傷口を広げたままで何もしていないと。一カ所、ざっと土を埋め戻して工業団地になっている場所もありますが、全然心が感じられません。こういう状況にある採掘地のすぐそばで、これがまたすぐそばなんです、自然と共生を高らかにうたいとげた万博が企画されているんですね。  先日、パリのBIEからの調査団が瀬戸に来られまして、私、三十分ほどゴンザレス事務局長とお話ししましたが、末広議員が手紙で教えてくれた鉱山採掘跡地もヘリコプターからよく見えたよ、報告書にはきちんと書いておきますとおっしゃっていました。  自然との共生という万博のテーマとこの採掘地とのギャップをどう世界に向けて説明できるんでしょうか。お答えください。
  156. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) まず、愛知万博につきましては、先ほど先生いろいろお話しになりましたとおりでございまして、閣議了解段階での会場構想におきましては、貴重な動植物がまとまって分布する地域保全するというようなことで、自然環境保全に配慮されたものとなっているわけでございます。  問題は、今後、この人間と自然との共生という考えを踏まえまして、構想が具体化されるに当たりましてさらに詳細な検討が必要である。そういう中で、環境保全上支障がないよう環境庁としても注意深く対応してまいりたいと思います。  また、今御指摘の陶土採掘の跡地の現状につきましては、環境庁としてその詳細は承知しておりませんが、一般論で申しまして、裸地化した状態で放置されるということになりますとやはりいろいろと問題がある、何らかの方法で緑化が図られていくということが望ましいものである、そういうふうに考えております。
  157. 末広まきこ

    末広真樹子君 私も同感ですね。  そこで、平成八年十一月、質問主意書を提出しました。万博会場地の代替案三つ提案しています。  その一つが、この陶土採掘跡地を緑化、緑の大地に復元するのが自然との共生というテーマに最もふさわしく、またわかりやすいものではないのかなという趣旨です。大臣、どうお思いになりますか。
  158. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 開催地の問題につきましては、ちょうど一昨年十二月に閣議了解をしているところでございまして、現在のところに決まっているということでございます。  今後も、愛知万博の全体構想につきましては、政府としてもさらに検討を重ねていく必要があると思いますし……
  159. 末広まきこ

    末広真樹子君 緑の大地に戻すということです。
  160. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 開催決定がされて具体的な企画構想に入るまでさまざまな意見があると思いますし、それを取り入れていくことになるのではないかとも思っておりますので、陶土採掘場につきましては、それに関連いたします。辺を整備するという中で利用する可能性も考えていけばよいのではないかというふうに思います。
  161. 末広まきこ

    末広真樹子君 この陶土、珪砂採掘状況についてもう少し詳しくお話ししたいんですが、少しスピードを上げます。  現在までに掘り終えた面積が、昭和三十年以降四十二年間で十三カ所、六十一ヘクタール、非常にちょこまか長期にわたって掘っています。現在掘っている面積は百七十六ヘクタール、鉱区の所有者は国が六%、県が五五%、民間三八%となっております。珪砂の供給源は海外輸入に頼っているのが三分の一、瀬戸が三分の一、そのほか国内が三分の一。海外からの輸入の方が、向こうはどばっと掘ってどばっと運んできますのでコストが安いんです。増加傾向にあります。また、需要のほとんどがガラス材料としてその五〇%が当地の地場産業として使われております。この採掘によってもたらされる収入が平成七年度で二億二千三百万円、採掘業者との契約年数は五年ごとの契約になっております。最終的な採掘期間やその後の全体的対策並びに見通しは県側は何も立てておりません。  そこで先般、県知事にお願いしました。平成九年度より二年間の予定で調査を行いましょう、こういうお返事をいただいたんです。具体的に調査費として予算もつけますよと。何ぼつくんかなと思いましたら、まあ三百万円、スズメの涙でございまして、予算化の理由は、万博構想と地域整備構想との整合性を持たせるというのが理由です。  この予算規模といい内容といい、具体策に欠けるなと。何よりも大事な住民意見の聞き取りやシンポジウムが欠落しているんですね。  何よりかにより、天然の森の中での万博という画期的な国家プロジェクトを前に、環境庁としては徹底したアセスメント調査を行うべきだと思いますが、大臣の御見解をお願いします。
  162. 石井道子

    国務大臣石井道子君) アセスメントにつきましては、博覧会の開催がBIE総会で正式に決定された後に、構想が具体化された段階で実施することになっております。  具体的な環境影響評価の実施時期とか実施主体、また手続等の詳細につきましては、今後も環境庁と通産省といろいろ協議をしながら進めていきたいと思っております。
  163. 末広まきこ

    末広真樹子君 アセスメントの方法については、計画が発表されてからアセスしたんじゃ遅いんだと、計画の前に企画アセスをしなきゃいけないんだという、これは今もう自然環境に携わる人の常識なんでございまして、そこのところはひとつよろしくお願いしたいなと思います。  現地を取材した折に、こういう地元住民の声がございました。ドイツやオーストリアのザルツブルクにはグリーンツーリズムを実現させた町づくりがございますよね。そこを自費で視察した青年団の一人、瀬戸の町で陶器の絵つけを営んでいる青年なんですが、こう言っています。僕らは生まれたときからはげ山しか見ておらぬ。僕の子供には、山は緑なんだという本物を見せたい。こんな殺伐とした風景とどんどん落ち込んでいる陶器産業を見捨てて瀬戸から出ていってしまうのは当たり前だ。豊かな暮らしとはほど遠い生活環境だ、こういうふうに言っています。  陶器というのは日常の生活と深くかかわっているんですね。それをつくり出す人々の背景には、豊かなライフスタイルを提言できるような前向きな自然環境づくりが必要なのではないでしょうか。現在、産廃問題が全国的に社会問題化しております。かつて足尾銅山のはげ山の修復などの問題もありました。みんな同じような問題を抱えています。この陶土採掘跡地に見られるように、木の伐採、開発、陶土の採掘のもたらす問題というのは、地方だけに処理を任せるのは無理がございます。環境庁として、このような事態に至った環境調査を独自にお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  164. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 愛知万博につきましては、従来型の万博の手法を改めまして、人と自然との共生を図るという観点から開催をするということを承知しておりますし、今のいろいろと立地条件につきまして問題があるということも認識をしておりますが、できるだけこの愛知万博というものが地域の振興のために、長期的な町づくりのために貢献できるように、そして地元の活性化が図られるような、そういう新たな視点と計画を進めていく必要があるというふうに思います。
  165. 末広まきこ

    末広真樹子君 本当にそうなんです。私、万博反対しないんです。自然との共生をテーマにした万博、何てスケールの大きい、ロマンのあるテーマだろうと本当に驚嘆しています。ぜひやり抜いていただきたいと思っています。ただ、やっぱりアセスメントということに対しては環境庁はまだ弱い。もう少し環境庁は権限を持つべきだという意見があちこちから聞かれますね。ぜひその点は御留意いただきたいなと思います。  かつて環境といえば公害対策と言われた時代もございました。今や環境という言葉の意味が変わってきましたね。地球全体の環境汚染とかそれから生態系汚染とか、そういうものからどうやつて守っていこうかという非常にグローバルな広がりを見せているんですね。だから環境庁も縮こまっていないで、伸び伸びと、しかも先手先手でいかないと環境というのは守れないんですよ。後ろから追っかけていると、これはやれないことです。  新しい時代の到来を感じさせる昨今でございます。先進国日本の果たす役割は大きく、環境庁が今国会提出予定の環境アセスメント法案に大きな期待を寄せております。  ちょっと時間余りましたので、大臣ぜひお願いします。
  166. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境アセスメントの問題につきましては大変長い経緯がございまして、十七、八年の経緯がございまして、日本は先進国の中で法制化されていないという大変残念な思いを続けてまいりましたが、今回、今国会におきましてアセスメント法案を提出するようなことになっているわけでございます。今その準備を進めているところでございます。  今までの環境に対する環境庁の立場というのは、プロジェクトに対して意見を求められれば意見を言うという大変弱い立場でございまして、その点がやはりいろいろと矛盾している現状が続いてまいりました。しかし今度は、環境アセスメント法案が成立をすれば、もっと環境庁がリーダーシップをとって、そして発言権を持って環境政策に対してリードできる、そういう立場になるということを私は期待しております。  どうぞよろしくお願い申し上げます。
  167. 末広まきこ

    末広真樹子君 この環境特別委員会最後に、大臣の毅然たる御決意をお伺いできて非常にうれしいんでございますが、何せ、法案というのは初めはいいんですね、出始めは。初編がいいんですよ、初編、第一稿が。だんだんだんだん骨抜きになっていきまして、最後これ何じゃと、セミの抜け殻かというようなものになっていくのが通例でございます。今回はそんなことはないと思いますよ。ぜひその点に御留意されて、いい法案を、世界に胸を張っていけるような、おくれましたがこれこのとおりというようなアセスメント法案期待して、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  168. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本件に対する質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会