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1997-06-17 第140回国会 参議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十七日(火曜日)    午後二時二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺澤 芳男君     理 事                 須藤良太郎君                 野間  赳君                 高野 博師君                 武田邦太郎君     委 員                 岩崎 純三君                 笠原 潤一君                 武見 敬三君                 成瀬 守重君                 宮澤  弘君                 猪熊 重二君                 田村 秀昭君                 田  英夫君                 萱野  茂君                 立木  洋君                 佐藤 道夫君                 椎名 素夫君                 矢田部 理君                 小山 峰男君    国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務大臣官房審        議官       西田 芳弘君        外務大臣官房領        事移住部長    齋藤 正樹君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     朝海 和夫君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        通商産業大臣官        房審議官     安達 俊雄君    事務局側        常任委員会専門        員        大島 弘輔君    説明員        外務省中南米局        長        田中 克之君     —————————————   本日の会議に付した案件国際情勢等に関する調査  (在ペルー日本大使公邸占拠事件調査委員会報  告書に関する件)  (日米防衛協力ガイドラインに関する件)  (地球温暖化防止に関する件) ○ILOパートタイム労働条約の批准に関する請  願(第二七六号外二三件) ○米海兵隊米国撤収に関する請願(第二七七号  ) ○北朝鮮日本人妻安否確認里帰り早期実現に  関する請願(第八五九号) ○日韓日中新漁業協定早期締結に関する請願  (第八六〇号) ○核兵器完全禁止核廃絶国際条約締結に関す  る請願(第九二一号外二九件) ○北朝鮮にら致・抑留されている疑いのある日本  人、日本人妻帰国者に関する請願(第一二一  八号外一件) ○核兵器廃絶に関する請願(第二一六〇号外二  件) ○北朝鮮に抑留されている疑いのある日本人に関  する請願(第二三八五号) ○北朝鮮帰国者日本訪問実現に関する請願(第  二四七五号) ○二百海里体制早期実現のための外交展開に関す  る請願(第二七五五号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国際情勢等に関する調査を議題とし、在ペルー日本大使公邸占拠事件調査委員会報告書について池田外務大臣から報告を聴取いたします。池田外務大臣
  3. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 昨年十二月に発生した在ペルー日本大使公邸占拠事件は、御承知のとおりの形で終結を見ました。しかし、この事件は、人質やその家族の方々を初め多くの人々に多大の苦痛をもたらし、日本ペルー両国を初め世界各国政府国民に非常な御心配をおかけする結果となりました。  私としては、この事件を深刻に受けとめ、人質解放の後、直ちに在ペルー日本大使公邸占拠事件調査委員会を設置し、事実関係の究明、政府の対応の総括反省点及び今後の改善点について調査を行い、今般、調査の結果を取りまとめた報告書が完成しました。  本件報告書は既に委員各位にもお配りしてございますが、報告書のよって立つ基本的な考えを御説明したいと思います。  在外公館の安全の確保は第一義的には接受国責務でありますが、我が国としても自国在外公館を危害から守ることを専ら接受国にゆだねているわけではなく、在外公館安全確保のために独.自の警備体制を持っております。  本報告書は、このような我が国自身警備体制調査対象中心に据え、情報収集及び警備上の問題点、反省すべき点、改善すべき点について調査いたしました。  調査結果から見て、私としては本件事件において欄別職員に具体的な職務遂行上の落ち度があったとは考えておりません。しかし、任国治安情報収集分析体制につき改善余地があったこと、公邸警備盲点があったことは否めず、事件発生により我が国外交に対する国民信頼を損なったことはまことに遺憾であり、この点についての外務省責任は重大と考えております。  私自身責任及び関連職員処分については去る六月十二日に公表したとおりでございますが、私としては、本件報告書に示された問題点反省点を踏まえて、在外公館警備体制情報収集体制を初めとする具体的措置を着実に実行するとともに、外交活動に対する国民信頼を一刻も早く回復するよう全力で職務遂行する覚悟でございますので、引き続き委員各位の御指導と御鞭撻を賜りたいと存じます。
  4. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 武見敬三

    武見敬三君 この報告書を読ませていただきました中から、私なりに気がついた問題点を幾つか取り上げながら御質問をさせていただきます。  まず第一に、今回の事件に対する責任とり方に関連しての質問であります。  第一義的な責任接受国側にあるとの指摘は形式的あるいは国際法的には私は正しいと思いますが、残念ながら現実にはすべての安全確保接受国側にゆだねることができないということがございまして、ゆえに各国とも大使館等警備を行っているわけであります。ペルー側落ち度があるからといって、そのことが日本側警備の不備を免責するものではないというふうに考えるわけでありますけれども、その点、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  6. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま委員の御指摘は私どももそのように考えております。  先ほど冒頭で私が発言いたしましたところでも申し上げましたけれども、一義的にはペルー接受国側責任であるとしても、我が国自身も独自の警備体制を従来から持っておったわけでございまして、そういった意味我が国自身警備体制が適切であったか否かという検討を踏まえて、外務省あるいは私を含めて個々の外務省職員責任有無についても検討を行ったところでございます。
  7. 武見敬三

    武見敬三君 そこで、外務省としての責任とり方についての御質問でありますけれども青木大使自身は実際に大使の職を辞するという極めて重い責任とり方をしたわけでありますけれども、今回の一連の幹部の責任とり方の中で改めて青木大使には厳重訓戒という責任とり方がなされました。となるとすると、青木大使大使を辞職したというあの責任は、こうした一連外務省としての責任とり方の中でどのように位置づけられておられるのか、お伺いしたいと思います。
  8. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、青木大使ペルー駐箚の任を離れられたことにつきましては、その際、五月十三日だったと記憶しておりますけれども、当委員会においても御説明いたしました。そのときに申し上げたところでございますが、青木大使は今回の事件責任を痛感して、帰国直後に総理に報告を行った際に進退は日本政府に預ける旨を申し出られ、また五月九日だと思いましたが、私に対しても重ねて職を辞したいとの申し出がございました。当時、調査委員会はまだ作業中でございまして、結論は出ておりませんでしたが、そのようなお気持ちが強いということも酌み、またいろいろな観点から熟慮した結果、私が青木大使ペルー駐箚としての職を解いたものでございます。したがいまして、これは調査の結果に基づき責任有無判断した上で処分したという性格のものではございません。  いろいろな観点から熟慮した結果と申しましたけれども、その中でも一番重視した点は何かと申しますと、このような事件があった後においてペルー駐箚大使としてお仕事を続けていただくことが適切か否かという点でございます。これについてもいろいろな要素がございますが、いや、こういう事件はあったが、依然青木さんに続けてもらうべきであろうという要素もございます。あるいは、むしろこういうことがあったからこそなおのことという見方もあると思います。逆に、一方におきまして、やはりこのような事件があった、そういったことを踏まえて引き続きこの職務を与えることはいろんな点で難しい面が出てくるんじゃないかという点も多々あるわけでございまして、そういったことを種々勘案いたしましてペルー駐箚を解いたということでございます。  そういたしまして、今回の調査委員会報告書結論を踏まえまして振り返ってみますと、青木大使は館員を指揮監督し、任国治安情勢について情報収集分析に遺漏なきを期すると同時に、それに基づいて公館警備に万全を期すべき在外公館長という立場にあったわけでございますが、その公館長としての立場でみずからの責務を十分に全うできなかったということは認めざるを得なかったために、その責任によって厳重訓戒処分を行ったということでございます。  したがいまして、ペルー駐箚を解いたということは処分ではございません。そして、現に現在青木大使は待命中でございますが、いずれ時期を見て再び外交活動の面で役割を果たしてもらおうと、このように考えておるところでございます。
  9. 武見敬三

    武見敬三君 青木大使が引き続き外務省の職にとどまり、改めて我が国外交のために貢献されるという判断は極めて適切であろうと私も考えます。ただし、大使辞職についての判断を下されるタイミングとしては、あのようにまだ事件直後、さまざまに国民感情が揺れ動き、青木バッシングというようなこともあったさなかにああいう形で大使の職を辞するということは、今から振り返ってみると適切であったか否か、改めてゆっくりと考えていただかなければならないことだろうというふうに私は考えます。  さて次に、治安情勢判断についての質問に移ります。  この報告書の中では、我が国は、公邸占拠事件以前、ペルーにおいてはテロ件数が減少し、治安情勢改善する趨勢にあるとの認識を有していたとありますけれども、具体的に「我が国」とは一体だれでしょうか。これは外務省本省なのかペルー大使館であるのか。ペルー大使館であるとすれば、具体的にだれがこのような認識を下したことになるのか。実際にペルー大使館とするならば、だれが情報分析、評価したのか。この人質事件以前にペルーに関する情勢分析というのは一体だれがどのように具体的に情報収集分析に当たり、改善する趨勢との判断を下したのかをお聞きしておきたいと思います。
  10. 田中克之

    説明員田中克之君) 治安情勢につきましては双方でございます。ペルーにございます我が方の大使館並びに外務本省双方改善しているとの認識を有しておりました。  また、ペルーにございます我が方の大使館におきましては、青木大使及び総括公使のもとで警備班治安関連情報を主として入手するのを担当し、また政務班内政関連情報収集の一環として治安情報の入手に努めておりました。
  11. 武見敬三

    武見敬三君 そうすると、外務省本省の中では具体的にだれがこのような認識を下したことになりますか。
  12. 田中克之

    説明員田中克之君) 外務省の中では地域局及び官房双方でございます。
  13. 武見敬三

    武見敬三君 さらに、「大使館内では、警備班政務班中心とした情報交換、及び収集した情報基礎とする情勢分析が必ずしも十分に行われておらず、意思疎通の面で改善余地がある。また本省においても、部局間の治安情報共有及び治安情勢分析改善が必要である。」と、このように報告書の中では書かれております。  大使館警備あるいは政務担当担当官、そして本省情勢分析担当官テロであるとかゲリラ問題に精通した専門家であるか否かという問題が出てきます。もしそうでないということでありますと、外務省はどのように情勢分析訓練を行い、そして教育、訓練を行っているのかということをお尋ねしたいと思います。  また、「意思疎通の面で改善余地がある。」という報告書の内容でありますけれども、具体的にだれとだれ、あるいはどことどことの間の意思疎通が問題で、そのことが具体的にどのような問題を引き起こしたと考えているのか。また、意思疎通を円滑にするために具体的にどのような改善策考えているのか、お聞きしたいと思います。  意思疎通が十分でないというのは、大使館内部における省庁間の縄張り争いの問題なのか、それとも上司、部下といった一般的な大使館内部における上下関係の問題なのか、さまざまに私どもは推測をするわけでありまして、この点についての御質問をさせていただきたいと思います。
  14. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 在外公館警備に関しましては、従来から警察庁あるいは防衛庁等関係省庁からの出向者を含めまして警備官在外公館に配置しておりまして、これら警備官を含む職員に対する赴任前の警備に関する研修等の実施によりまして体制整備に努めてきたところでございます。今後とも関係省庁との協力を得つつ、体制整備には努めてまいりたいというふうに考えております。  意思疎通の問題につきまして報告書指摘しておりますのは、在ペルー大使館内において警備班政務班との間での情報交換及び収集した情報基礎とする情勢分析が必ずしも十分に行われておらず、そのため、大使館において治安関係情勢を総合的に分析する体制が必ずしも確立されていなかったという点でございます。  このような意思疎通上の問題は、治安というものは政治、経済あるいは社会事情等現地状況を反映したものでございまして、大使館安全対策もこうした治安情勢に対する認識を踏まえて講じられるべきであるとの認識が必ずしも十分に浸透していなかったことに起因するものだと考えております。御指摘のような省庁間の縄張りだとか大使館内での上下関係が原因で起こったというふうには考えておりません。  いずれにいたしましても、今後は大使館内の各班が得た情報を総合的に分析し、その結果を在外公館警備に一層反映させるようしかるべく在外公館を指導してまいりたい、このように考えております。
  15. 武見敬三

    武見敬三君 そういたしますと、出先在外公館本省との間の意思疎通の面についての問題点はなかったん.ですか。
  16. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 現地の、ある特定の国の治安情勢判断在外公館から送られてくる情報本省が受け取って、それをベースに関係各課が議論して一つのイメージをつくり上げていくということになりますが、もちろん本省においてもそれ以外に友好国の治安関係の機関から情報も得ることができると思いますので、そういうこともあわせて追加的に在外公館でできない何らかのより正確な判断をするように心がけていかなければならないと考えております。
  17. 武見敬三

    武見敬三君 ペルーのこれらの教訓というものを、あらゆる意味での情報共有体制をいかに今後の出先及び本省の間でつくり出すかというのは恐らく最も重要な問題点であり、今の答弁の中にあるように、実際に外務省の中でそうした整備を早急に行われることを期待しております。  さて次に、通常の警備体制についての質問に入ります。  この報告書では「警備官は、公邸隣家の存在は、潜在的な危険性をはらんでいるとは考えず、むしろ、公邸警備を補強するものであるとの考えに立って、警備計画を立案していた」と述べております。そういたしますと、この「むしろ、公邸警備を補強するものである」という警備官考えというのは一体具体的にどういうことを意味しているんでしょうか。警備最高責任者として大使は、そうした警備官考え方を結果的にではあれ承認したというふうに思われるんですけれども、なぜ大使は「むしろ、公邸警備を補強するものである」という警備官考え方を承認したのでありましょうか。この点は報告書を読んで改めて疑問が生じましたので、お尋ねします。
  18. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 報告書の第一部の三十二ページで若干触れておるのでございますけれども、我がペルー大使館もこれまでも何度かテロ攻撃対象となっておりますが、それはいずれも自動車爆弾とか爆発物の投げ込み、あるいは外部からの銃撃というようなものでございました結果といたしまして、今後も我が大使館に対するテロ攻撃があるとすればきっとそういうものであろうというふうに思い込みがあったということだろうと思います。  その結果といたしまして、大使公邸も特に表通りに面した部分につきましては大変強固な警備体制をしいたわけでございますが、まさか隣家と隣接している後ろの方からこういうテロ攻撃があるということは大使も含めて思わなかったと。それは報告書でも一種盲点になっていたということを率直に認めさせていただいておりますが、御説明としてはそういうことになろうかと思います。
  19. 武見敬三

    武見敬三君 そこで、もう一つ重要な指摘報告書の中でありまして、主要国自国の武装した警備要員派遣しているのに比べて、我が国はそのような要員派遣していないというところがございますが、これは将来的には自衛隊員等派遣が望ましいと考えているのか。  これについて報告書は、提言のところで欧米主要国と同様に軍人等派遣する可能性については我が国自身法体系との関係等検討を要する点が多いと、こういう指摘でとどまっておりますけれども、これは将来的に派遣方向で具体的な法整備を進めるという考え方が基本にあるのか、どのような基本的な考え方のもとでこの指摘がなされているのかをお尋ねしたいと思います。
  20. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 確かに、ペルーにある主要国在外公館警備体制と我が方の警備体制を比べたときに、先生から今言及がありました点が非常な違いでございまして、私どももこの点に着目いたしまして部内で議論をしたわけでございます。  率直に申しまして、例えば自衛隊員をこうした任務のために在外公館派遣することが法的にあるいは実際的に可能であるかどうか、望ましいことかどうか。それから、接受国事情というものもございますので、自国から派遣された武装警官が常に在外公館警備のために特段有効なものかどうか。あるいは、どんな状況のときに武器の使用というものが認められるのか。そういった非常に多くの解決すべき問題があるということについては我々仲間の意見の一致があったわけでございますが、正直に申しまして、この問題というのは、ただ単に在外公館警備強化という枠内でだけ議論するよりも、もっと大きなコンテクストの中で考えていかなきゃならない問題であるというような感じがいたしまして、我々としてこの報告書を出すまでにまとまった結論は出せなかったわけでございます。  しかし、この点は事実の問題として指摘しておくことは将来のためにはいいと思ったものでございますので、率直にこの点を一種問題提起という形で出させていただいたということでございまして、今現在、正直に申し上げれば、我々としてはどっちの方向を向いているかという御質問に対しては、こちらの方向あるいはあちらの方向ということは言い切れない状況でございます。
  21. 武見敬三

    武見敬三君 この報告書及び提言というのは、ペルーで起きた案件一つ教訓として、再発防止のために最も望ましい結論を引き出すことを目的としてつくられているわけでありますから、そのようにまだどっちにいくかわからぬということでは本来は困るわけでありまして、やはり外務省としての統一した見解というものをこの中で早急に確立をしていただく必要が私はあると思います。  さて、この警備官制度強化、補充についての質問に入らせていただきますけれども報告書の中で、「警備官業務については本来業務遂行、」それから「現在行っている領事等兼務業務のうち、例えば警備に関連ある邦人保護業務に限定し、一般領事事務は漸減していく必要がある。」と、こういうふうに書かれているわけであります。  現在、警備官業務は、本来業務である警備だけでなくて一般領事事務も行っているということのようでありますが、本来警備官警備が主たる任務ではないかというふうに私は思います。警備官領事事務も担当しているのはどういう理由からなんでしょうか。また、警備官警備業務領事事務とどちらの業務を主に現実には担当しているのでありましょうか。また、例えば防衛庁出身警備官は、警備業務だけではなくて防衛庁のための軍事情報活動も担当しているのではないかと思われます。そのために本来の警備業務に支障を来しているということはないのでありましょうか。今後は領事事務を減らしていくという提言でありますけれども、直ちに領事事務兼務を改めて警備業務に専念させるというわけにはいかないのでありましょうか、お尋ねします。
  22. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 現実の問題といたしまして、警備官はもちろん警備官でございますので警備を主としてやるために送っているわけでございますが、領事事務ということもあわせてお願いしているケースがいろいろとございます。  その一つは、領事事務の中で邦人保護関係仕事というのがございますので、それはいわゆる警備官仕事としてもなじむものであるという考え方がありまして、そういう面でお願いしているということがございますが、それを越えて領事事務をお願いしているケースがございます。その理由は、残念でございますが、定員が非常に少ない状況のもとで在外公館としてはいろいろな面での仕事をしなきゃならない。したがって、たとえ警備官という名前であっても警備以外の仕事もお願いするということがございまして、ほかの省庁から来ている方がアタッシェとして在外公館に行って、その省庁仕事だけではなくてほかの仕事をお願いすることもあるということと同じことなんだろうと思います。  他方、こういう事態に遭遇してみますと、やはり警備官については警備の方に専念していただくことが極めて重要だという感じを改めて持ったわけでございますので、これはできる範囲内で早急にそういう方向に持っていきたいと思いますが、やはり定員等の問題がございますので、正直いうとなかなか難しい面もあるということでございます。  防衛庁から来ている方が向こうの軍関係との接触を通じて軍関係情報を得ているのではないかという御質問でございますが、私は具体的なケースについて必ずしもつまびらかにしておりませんが、今度のペルー事件におきましても、相手方の軍関係者がやはり治安情報等もいろいろ持っておりますので、あながち防衛庁出向警備官軍関係の人と接触することが悪いわけではないと思っております。  ただ、主体はあくまで警備官でございますので、その主たる任務が達成されることが一番重要でございまして、それに余裕が生じた場合には館員の一人としていろいろなこともお願いしていければというふうに考えているところでございます。
  23. 武見敬三

    武見敬三君 警備官が実際どのような地位を与えられているのか。このことは、また同時に接受国政府側の情報関係機関と接触をして適切な情報の収集をするときに極めて重要だと言われております。警備官の地位について、今後どのような改善検討されているのかということをお尋ねしたいと思います。
  24. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 警備官も普通の外交官でございまして、例えば政務班外交官と同じように在ペルー日本大使館の館員という資格でございまして、それ以上の特別の資格というものはないわけでございます。  ただ、この報告書にも指摘してございますが、今回実際にペルーにおいて治安情報で一番機微なところを持っていたのがSINという機関でございますが、この機関との人的なつながりというのは実は必ずしもうまくいっていなかったというのは事実でございます。そういう情報機関というものは本来的に情報機関同士の接触ということには割合に応じてくるけれども、ただ単に大使館警備官というだけでそういう人的な関係が簡単にできるというものではないという側面があるんではないかと思っておりますので、簡単にいくかどうかはわかっておりませんが、内部で考えているところによれば、例えば警備官についても、任国において一番機微な治安情報を持っているところが軍関係であれば自衛隊出身の方に行っていただくとか、それから警察関係であれば警察出向者警備官として派遣するとか、それから場合によっては制服を着用することを可能なようにするとか、そういうきめ細かい対応というのを今後考えていかなければならないんじゃないか、こんなふうに考えております。
  25. 武見敬三

    武見敬三君 最後の質問になりますけれども、メディア対策に関連してであります。  青木大使も文芸春秋七月号などにも手記の中で書いておられるわけですけれども、当初の時点で起きた共同通信の取材についてはむしろ歓迎をされ、その後のテレビ朝日の取材については無謀な取材であって極めて危険度が高いものであったという指摘をされておられます。しかも、その後、このテレビ朝日系の記者が無線機を公邸内に残していたというようなことも露見したようでありますけれども、こうした経緯を外務省はすべてきちんと把握をし、またさらに報道機関等に対してはその時点において適切な指導が行われていたのかどうかという点についての御質問をさせていただきます。
  26. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 今、先生御指摘のとおり、昨年の現地時間で十二月三十一日に共同通信のカメラマンが事前のペルー政府との合意に反して公邸内に侵入いたしまして、これに引きずられる形でそのグループに属する記者が複数公邸内部に入ったわけでございます。そこでセルパを初めとするMRTAメンバー及び人質にインタビューをして、その内容が全世界に報道されたというのが第一の事実関係でございます。  この共同通信のいわゆる突撃取材につきましてはいろいろな評価があり得ると思います。先ほど先生御指摘のように、人質の側からすれば、自分たちはちゃんとやっているよというのを家族に伝えるというような効果もあったんだろうと思います。また、見方を変えますと、MRTA側は労せずしてメディアを通じて自分たちの主張というものを全世界に訴える機会を得たわけでございまして、これはテロリスト側の一方的な宣伝に手をかす行為であったとも評価できないわけではない。私どもはそういう観点から早速共同通信に対して遺憾の意を表明したところでございます。  他方、ことしの一月七日になりましてテレビ朝日系の記者がまた突撃取材をしたわけですが、これは共同通信の場合と同様な観点から遺憾なものであったわけですけれども、この場合にはもっと問題がありまして、テロリスト側とは何の連絡もとらずに公邸に侵入したわけでございます。幸い何事もなかったからよかったわけでございますが、不測の事態が起こっても不思議ではなかったというふうに我々思っておりました。そういうことが起これば、それを契機としてドンパチが始まると。そうなれば人質の安全にも大変な危惧が生じたわけでございますので、遺憾であるということを申し上げたし、それから公邸内に無線機を残してきたということで、これはペルー政府事件解決の努力を阻害するというおそれがあったものですから、この場合にもテレビ朝日に遺憾の意を表明したわけでございます。  ただ、あえてテレビ朝日について言えば、一月十四日の時点で取材・放送に関する三原則、すなわち人質の安全を第一に考える、それから事件解決の交渉に支障を来さない、それから三番目にテロリスト側の宣伝には利用されないという三原則を自主的に策定された由でございまして、こうしたメディア側の自主的ガイドラインの設定というものについては私どもは注目に値するのではないかというふうに評価したところでございます。
  27. 武見敬三

    武見敬三君 以上です。
  28. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、ペルー事件報告書に関して質問をいたします。  ただいま外務大臣から御報告がありましたとおり、この報告書事件について警備体制とそれに関連する情報収集云々という観点からのみ見ていると、これは事件の本質を見失うおそれがあると私は思います。より総合的なマクロ的な観点からこれをとらえて調査すべきであったと、そうでないと再発防止という観点から教訓として学べないということになると思います。  すなわち、今回の事件はそもそも警備上の不備とか盲点があったからねらわれたのか、つまりテロリストが各国大使館公邸警備状況を下見してたまたま手薄な日本大使公邸をねらったのではなくて、最初に日本ありきということがあったのではないかと思われる節があるわけです。そこのところの分析がなくてはこの報告書は不十分だと私は思います。  それで、この報告書は、二十一ページに「日本大使公邸が狙われた理由」として、わずか一ページだけ割いているにすぎません。テロリストの言い分とか日本の経協が貧困に役立っているとかということに触れているだけでありまして、本格的な分析は何もなされていないということで、私はこの点については納得しておりません。この点についていかがでしょうか。
  29. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) もちろん、先生に御納得いただけないのは残念でございますが、私どもとしてはそれなりに与えられた時間とデータの枠内で何ゆえ日本大使公邸がねらわれたのかという理由についても真剣に究明の努力をしたつもりでございます。  私どもがその結果として見つけ出した理由というのはここに記したとおりのものでございまして、先方はフジモリ政権に何らかの形で打撃を与えたいと、それから主要国、特に日本の場合にはこういうレセプションをやると政府の要人がたくさん集まるということを知って、そこで日本の天皇誕生日のレセプションを襲撃したということをいろんな人質に対していろんな機会にセルパ自身説明しているわけでございますので、それはそういうものとして受けとめていいのではないかと思ってここに御報告させていただいたということでございます。
  30. 高野博師

    ○高野博師君 なぜ日本がねらわれたかという点について、例えばペルーにおける対日イメージあるいは日本人のイメージとか、フジモリ政権と日本政府との関係、経済協力のあり方、あるいは日系人の社会的な立場、進出企業の受け入れ、こういう問題について総合的な両国関係観点から、視点から事件をとらえるべきではないか。その分析が全くなされていないと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  31. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私ども委員が今御指摘になったようないろいろな要因を、この事件が起こった原因といいましょうか、その要素一つとして可能性はあると認識して、そういったことは検討の過程ではいろいろ話し合いのあったところでございます。したがいまして、この分析の中にも、例えば今おっしゃいました要因の中でフジモリ政権と日本との関係という点の御指摘がございましたが、その点についてはMRTAのメンバーも触れておったということを書いております。それからまた、経済協力の点についても、我が国の経済協力は貧困層に利益を与えていないという見方があるが、それについてはどうだろうかという点も一応記述しておるところでございます。  そういったふうにいろいろな観点から考えをいたしましたけれども、MRTAメンバーそのものが言っておりますように、基本的には政界要人等を大量に拘束し得る可能性があるという要素、もとより先ほど言いました政権との緊密な関係ということにも触れておりますが、そこが引き金といいましょうか一番大きな要素になったんじゃないかと考える次第でございます。
  32. 高野博師

    ○高野博師君 対日イメージという点については事件の本質にかかわる部分もあるんではないかと私は思っているんですが、これは簡単に調査できる話でもないという意味では世論調査等を行うべきではないかなというふうに私は思います。日本というのは経済大国だ、金持ちだ、ダッカ事件等の前例もある、テロに屈しないと言いながら自前の特殊部隊も何も持っていないというようなことで、日本は恐れるに足らず、くみしやすしというイメージを持っていたんではないか。だから日本をねらったということも考えられるわけで、この点は、もしできるのであればぜひもう一度調査をしていただきたいと私は思います。  今回の事件については、各国大使館各国にも当てはまるような本質的、普遍的問題を掘り下げないといけない、ペルーに起きた特殊例外的な事件だというふうに見るべきではない、そうではないと教訓として何も残らない、だから事件を矮小化しかねない、私はそういう危惧を持っております。  ところで、青木大使は新聞のインタビューの中で、僕は日本大使ということもさることながら大統領の私設顧問みたいなことをしていた、特に経済協力についてはと。そのほか、外務省でも何人かしかいない経済協力専門家だというふうな発言もしております。  専門家であるかどうかは別としまして、この大統領の私設顧問のようなことをしていたという発言については、一国の特命全権大使として任国の大統領の私設顧問みたいなことをしていたということは重大な問題点を含んでいると私は思います。これがテロリストにねらわれる間接的な原因あるいは遠因にもなったことも考えられると私は見ております。この点の調査分析も全く欠けている。  大統領と親しくするというのは、大使が円滑に仕事を行う、あるいはいろんな情報を得るという意味では非常に重要でありますけれども、一国の代表として超えてはならない一線というのがあるんだろうと思います。ましてや任国の大統領の言いなりになっていたというような事実があるのかどうか、これは私はわかりません。しかし、国益という観点から大きな問題を含んでいると私は思っております。  したがって、大使と大統領との関係あるいは大使館員と任国政府高官との関係、こういう点についても今後の課題として私は研究すべきではないかと思いますが、大臣の所見を求めます。
  33. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私は、青木大使我が国の特命全権大使であるという立場はしっかりと持って大使としての職務に当たっておられたと考えております。  確かに、委員が今紹介されました一部のメディアに対する発言の中に見られた大統領の私的顧問という表現は、これは必ずしも適切であるとは言い切れない面があるということは私も否定いたしません。しかしながら、青木さんの真意というのは、委員自身も今指摘されましたように、任国にあって政権の中枢部、とりわけ大統領と親しい関係にあるということは、情報の面もございますし、その他の面におきましても、やはり大使としての我が国の国益を代表する外交活動に資する面もあるということの考慮が一つあったと思います。  それからいま一つは、任国でございますペルーの民生の向上にペルー政府が努力している、それに我が国の経済協力も役立っておるわけでございますけれども、やはりこれまでの経験も踏まえながら、そういった経済協力をいかにより効果的に生かしていくかというような点について、みずからの大使としての役割、立場というものを十分認識しながらいろいろアドバイスをしたという面も含めて顧問というような表現をされたんじゃないか、このように考えております。
  34. 高野博師

    ○高野博師君 この調査報告書では青木大使から直接いろんな事情を聞いたというところが余りないように私は感じましたが、私設顧問みたいなことというのは具体的にどういうことを指しているのか、これはぜひ本人に聞いていただきたいと私は思います。  問題は、同様なケースがいろんなところであるんではないかという私は懸念をしております。在中国の日本大使館あるいは大使の問題についても「諸君!」という雑誌で取り上げられましたけれども、余りにも中国側の立場に立って仕事をしているというような批判もありました。こういうことが国によってはあり得るなということも考えられるんですが、国益という観点からこの点はぜひ一度調査をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  35. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 当然のこととして、それぞれの大使任国にございましたら任国との関係をなるべく緊密に保とうということは自分自身外交活動を展開する上においても認められることだと思います。そしてまた、人の情といたしましても、やはり任国に対して親しい目を持つし、そしてよかれという気持ちが出てくるというのは自然なことだと思います。  しかし、あくまで基本には、我が国の特命全権大使であるという立場我が国の国益を代表する立場というものを忘れてはならないというのは委員指摘のとおりであると思いますので、その点従来も外務省職員はわきまえて行動はしておるとは思いますけれども、さらに将来に向かってそのあたりに誤りなきよう対処してまいりたいと考えます。
  36. 高野博師

    ○高野博師君 それでは次に、外務大臣自身責任問題についてお伺いいたします。これはきのうも衆議院の方でも議論されたことでありますが、改めて何点かお聞きいたします。  大臣が、我が国外交に関する信頼を失った責任はまことに大きい、その罪を負う意味で総理に職を辞させていただきたいと申し上げたと、これは記者会見で述べられたんですが、しかるに総理に慰留されて直ちに辞意を撤回されたということで、辞意表明は形だけだ、あるいはパフォーマンスではないかというマスコミなんかの批判もありますが、大臣の本心を聞かせていただきたいと思います。
  37. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) この報告書にもございますけれども、今回の事件、具体的に外務省の個別の職員職務執行上の何らかの行動に原因があるというものではない、職務執行の面で落ち度があったとは我々は判断しておりません。しかしながら、一方において、今になって振り返って考えてみますと、情報収集の面でもさらに注意し、さらに徹底を期するという余地があったんじゃないか、改善すべき余地があったんじゃないかという点もございます。また、公邸警備体制につきましても、隣接の家屋との関係を念頭に置いておらなかった、そこは盲点になったということも否定できないことでございます。  そういった観点から申しますと、個々の職員責任を追及するわけにはいかないけれども、やはり振り返ってみて万全とは言えなかったなという点もございます。それは外務省としてのやはり今後改めなくちゃいけない点であり、あるいは責任一つ要素になるんだと思います。  それよりも何よりも、このような大きな事件が起こりまして、我が国外交に対する信頼、とりわけ日本国民信頼を揺るがせた、それを損なったということは否定できないわけでございまして、その点の責任外務省としてもあると言わざるを得ません。そして、外交の最高の責任を担っておりますのは外務大臣でございます私でございます。そういった意味で、私は、基本的に日本外交に対する信頼を損ねたという点の責任を重く痛感いたしまして、自分としての責任とり方というものは実は事件発生以来常に考えてまいりました。  そういったことでございますけれども、今申しましたような外交信頼を損なったという点を考え、職を辞するということでその責めをとらせていただきたいということを総理に申し上げたわけでございますが、総理からは、それが今おまえの言うような責任をとる道であるとは思わない、さらに重いものがあるんじゃないか、そしてその責任をとる道としては別の方途があるんじゃないかというお話もあったわけでございます。そういうことで、辞職の希望は入れるわけにはいかない、こういうお話でございました。  私といたしましても、今も責任を痛感していることには全く変化はございませんが、責任を全うするあるいは責任をとる道として身を捨てたつもりで今後一層外交の諸課題に、警備強化策も含めまして身を挺してまいりたい、そのことを通じて責任の幾ばくなりとも果たしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  38. 高野博師

    ○高野博師君 もう少し明快に、端的に答えてください。  今でも責任感じておられるということでありますので、責任感じておられるのであればやっぱり責任をとるということを貫くべきではないかということを私は感じます。今回簡単に辞表を撤回したという外相辞任劇というのはいわば茶番劇でありまして、無責任だと私は言わざるを得ないと思います。今回の外務大臣の行動あるいは責任とり方はまさに我が国外交に対する信頼性を失ったということが言えると思います。大臣の給料のわずか十分の三程度の返済で済む次元ではない、恥ずかしい話だ、私はそう思っております。総理に慰留されるということをもし織り込み済みであるとすれば、辞意表明は大変問題があると私は思っております。  今、大臣がおっしゃられましたように、身を捨てるつもりで外交課題に取り組んでまいりたいとおっしゃっておられます。大臣が身を捨てるのは勝手でありますが、国が捨てられることがあっては国民はかないません。そういう意味で、日本外交信頼回復というのは大臣の辞任以外にはあり得ないと私は思いますが、いかがでしょうか。
  39. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私も私なりにどのような道が責任を全うするあるいは責任をとる道であるかいろいろ考えてまいったわけでございます。それはいろんな考え方があると思います。しかし、私といたしましては、責任の重大さは現在も重く考え、痛感しております。しかし、責任をとる道といたしまして、この任にとどまり、警備体制強化ももとよりでございますが、外交活動全般のためにさらに努力をしてまいりたい、こういうことを通じて責任の一部でも果たさせていただきたい、こう考えているということでございます。
  40. 高野博師

    ○高野博師君 警備強化は大臣がやられなくても私はできると思います。外交についても必ずしも池田外務大臣でなくてはできないということではないと今の時点では私はそう思います。  私は危機管理体制強化の原則というのは責任の所在を明確にするということを一貫して主張してまいりました。青木大使厳重訓戒という処分は甘いと私は見ておりますが、少なくともペルー大使の任を解かれた。大使の任命権者は大臣でありますから、大臣も同様に責任を負うということは一つの組織あるいは体制として当然だろうと思います。青木大使自身もインタビューの中で外務大臣の、上司の責任に言及しておられます。この点は御存じでしょうか。
  41. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) いつ、どこのインタビューでということまでは覚えておりませんけれども責任の問題についていろいろ質問を受けて答えられる際に、御自分の責任あるいは外務省責任、同時に外務省の最高の責任者である外務大臣責任という点にも言及されたことがあったということは承知しております。
  42. 高野博師

    ○高野博師君 梶山官房長官は武力突入が始まった段階で辞任を考えたと、日本人人質が犠牲となった場合は議員バッジを外すつもりであった、そういう覚悟をしていたということが報道されております。真偽のほどについては私は知りませんが、外務大臣は武力突入の際にそのような覚悟はされたんでしょうか。
  43. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど申しましたように、事件の発生以来常に責任の重大さは片時も忘れたことはございません。そうして、常に何とか事件の解決を、とりわけ人質になられている方々の全員無事の解放を、また同時にテロリズムに屈することなくということで努力してまいったわけでございますが、いずれにいたしましてもこの事件のいろいろな展開、それいかんによって私としてどういうふうに責任をとるかということはずっと念頭にあったということだけは申し上げます。
  44. 高野博師

    ○高野博師君 今回の事件で犠牲者がペルー側で三人出ているわけですが、日本人犠牲者が出た場合と違いはあるとお考えでしょうか。
  45. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私は今回事件の決着に当たりまして大変とうとい犠牲者が出られたということをまことに残念でもあり申しわけないとも思っております。しかし、一方におきまして我が国人質になられた方も含めまして、人質の大多数が無事解放されたという結末が、決着があったということは、全体として見ればこういう決着ができたということは、いわば犠牲のとうとさを一方で考えながら、なお全体としては評価できるものじゃないかと考えている次第でございます。  それで、日本人の犠牲者があった場合となかった場合との違いがあるかというお話でございますけれども、私どもはともかくこの事件の極力全員の無事解放という形での決着を願ってきたわけでございまして、今振り返ってそれが違う形であったらどうか、犠牲の人数あるいはそれに日本人が含まれることの有無によってどうかということを事後的に論評するのは、少なくとも私の口から申し上げることは差し控えるべきものだと思っております。
  46. 高野博師

    ○高野博師君 犠牲者の国籍あるいは人数にかかわらず犠牲者が出たという事実は非常に重いと思います。そういう意味での責任は非常に重いと私は思います。形式上も実態上も外務大臣責任は私は極めて重いと、日本外交史上最大の汚点となった、あるいは国家の尊厳をおとしめられた、世界各国に迷惑をかけた、そういう意味では橋本総理の責任も当然重いと私は思っております。外務大臣も総理も責任を余りにも軽く考えているという印象を持っております。改めて辞任を要求したいと思っております。  それでは、別なテーマに移りますが、「事件を振り返って」という提言ですが、一体これはだれがだれに提言しているんでしょうか。
  47. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) これは委員会外務大臣提言させていただいているという形をとっております。
  48. 高野博師

    ○高野博師君 さっとこの提言を見て、他人事みたいな表現が多過ぎるという印象を持ちました。  そこで、ひとつお伺いしたいんですが、事件が発生する前に本省として定期的に査察を行っていると思うんですが、いつ、だれが事前に査察に行かれたでしょうか。
  49. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 在外公館の査察は必ずしもテロ対策としてやっているわけじゃございませんで、館の運用そのものを改善する目的で現状を査察使に見てもらおうということでやっているわけでございますが、ペルー大使館に関して言えば、今回の事件が発生する以前で一番最近に行われたものは平成八年の三月十二日から十七日まで、当時の査察担当大使であった竹中氏がペルーを訪問いたしまして査察を行った経緯がございます。
  50. 高野博師

    ○高野博師君 当然査察使は青木大使から仕事のやり方あるいは任国政府情勢等についていろんな報告を受けたと思うんですが、この査察使はどういう評価をされていたんでしょうか。特に治安情勢テロ関連情報等についてお伺いいたします。
  51. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 査察使の査察目的でございますが、在外公館の活動状況、運営状況、経理状況、事務所及び公邸の維持管理、勤務環境、現地職員の管理状況等について査察を行って、その結果が報告をされております。その中でペルー治安情勢についても報告がなされておりますが、その要旨は治安情勢改善する趨勢にあるということでございまして、その報告の趣旨は今回調査委員会報告で述べたところと軌を一にしているものでございました。
  52. 高野博師

    ○高野博師君 治安情勢改善される趨勢にあるという今回の調査委員会報告とほぼ同様というんですが、簡単に言うとどういう認識でしょうか。警備上の不備等の指摘はあったんでしょうか。
  53. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 先ほども申しましたが、この査察使の主たる目的は警備の査察ではございませんので、警備上こういう点が問題であった、なかったという指摘はございませんでした。  ただ、近年の治安情勢の好転に伴って我々は警備を縮小してきたということもこの報告書に書いておりますけれども、それでもなお警備体制については我が方の在外公館の中でも非常に高いレベルにあるということを述べております。
  54. 高野博師

    ○高野博師君 大使館の活動とか運営状況等についていろんな調査をする中で、査察使が治安というものに重点を置かないとすれば査察としてはへんぱになるのではないかと私は思うんです。もし、きちんと査察を行っていれば、公邸等も当然見るんでしょうから、事件をあるいは未然に防げたかもしれないと思われるところもあると思うんですが、この点、いかがでしょうか。
  55. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) もちろん、振り返ってみて、それだけのバックグラウンドとエクスパティーズを持った人がそういう欠陥、先ほど報告書の中でも警備盲点があったということを我々も認めているわけでございまして、そういう点を彼が見つけて我々に言っていただければ、それはそれで確かにこういうことにあるいはならなかったかもしれない。少なくとも違った対応があったかもしれないということは思えるわけでございます。  しかし、正直に申しまして、先ほども申しましたけれども、査察使の主たる目的というのは必ずしもそこにあったわけではないのでございまして、これはどの在外公館でも査察使をできるだけ送っているわけですが、基本は館の運営そのものにあるわけです。もちろん先生御指摘のとおり、その査察の目的の中にさらにテロ対策についても相当なエクスパティーズを持って適切な指摘ができればこれにこしたことはないのでございますけれども、それはそう簡単にできるものではないんで、場合によっては特に脅威度の高い在外公館については別途違った形でテロ対策についての査察を行うとか、そういうふうに分けて考えた方が現実的ではないか。先ほど申しました平成八年三月の査察に対して、テロの対策について十分な査察が行われていなかったという批判をするのは余りにもちょっと高望みし過ぎているという感じを私は率直に持つ次第でございます。
  56. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、そういう目的を持った査察使等も考えたらいかがでしょうか。  それじゃ次に移りますが、日本大使公邸警備というのは他の先進諸国と劣らない、これは青木大使が発言しているんですが、これについて報告書も「各公館とも物事の性格上公表できない事項が多く、具体的かつ詳細な説明を受けることは困難であったが、概して物的体制については、我が国大使館は、米国は別格として他の主要国公館と比較しても遜色のない水準にあった。」というような報告がなされておりますが、具体的かつ詳細な説明を受けることが困難な中でどうしてそういう結論づけることができるのか。要するに、ハード面ではなくてソフト面でどうだったのかというところの分析調査が欠けていると私は思うんですが、どうでしょうか。
  57. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 確かに御指摘の面はあろうかと思います。  そこで、私どもが触れておるのは、まさに先生が御指摘になったように、物的な体制において他の主要国と比べて我が方の物的な面での警備体制に遜色はなかったということを述べているわけでございまして、この物的な面での体制というものは、今度の報告書を書くに当たりまして調査ミッションをペルーに送っております。そのミッションが各主要国公館も訪れましていろいろ見させてもらってきておりますので、そういう実際の視察をベースにしてそういう結論を出したわけでございます。  それから、人的な体制につきましても、大体どのぐらいの人間がいるかというぐらいのことまではわかったわけでございますが、じゃどういうマニュアルでどういうふうにやっているかというところまではわからなかった。そういう意味では先生の御指摘は当たっていると思います。ただ、人的な面についても、数から言うとそう大きな違いはなかったと我々は思っております。ただ、さっき武見先生のときにも御指摘がございましたけれども、大きな違いがあるとすれば、本国から送られている武装した警備要員というものが他の主要国にはあったのに対して我が方にはなかった、そこを率直に認めさせていただいて報告書にも書いたということでございます。
  58. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないので簡単に触れたいと思うんです。  公邸のボーイの問題ですが、このボーイにMRTA側のテロリストが潜入していたという事実について調査が不十分ではないかと私は感じるんです。二人の館員は別のレセプションで見覚えのある人間がいたと。担当の館員はないと言っているんですが、これは重大な問題だと思うんです。この点について、恐らく担当の館員は自分が雇ったという責任問題もあるのでなかったと言ったのかどうかわかりませんが、この点についての調査はいかがでしょうか。
  59. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 私どももこの点は重要な問題だと思ってあえて事実をありのままお書きしたわけでございます。何も包み隠す気は毛頭ございませんで、私どもが現時点でできるだけの調査をして、その結果をここに書いたということでございます。  率直に申し上げまして、本来であれば時間と人員さえ十分あれば、公邸でこのレセプションに先立っていろんな大きな行事というものも多々あったと思うのでございますけれども、そういうときに外部からボーイだとかそういう者を臨時に雇って使うことがあるので、そういう人たちの身元の確認ということも必要に応じて、例えばペルー治安当局の協力を得つつ事前にやっておくべきだったとは思っておりますが、残念ながらそれはやれなかった。原則として現地職員の親族だとか知人とか、そういう者を雇うという方針で対処はしておりましたけれども、それ以上のことをしていなかったという点では反省がございまして、それは報告書の中に率直に認めさせていただいております。
  60. 高野博師

    ○高野博師君 それでは最後に、海外の在留邦人の治安対策について、先日もフィリピンで事件が起きておりますが、テロとか誘拐の危険というのは増大していると思うんです。治安関係の官民合同会議は今うまく機能しているんでしょうか。現地大使館と、それから進出企業との連絡とか情報交換というのは非常に重要だと思うんですが、この官民合同会議についてお伺いいたします。
  61. 齋藤正樹

    政府委員(齋藤正樹君) 官民の協力治安対策の方法でございますが、本省側と在外で二つそれぞれ協力体制がございます。この背景には、海外に渡航する人数とか冷戦後の治安状況の悪化、それから紛争の多発というようなことを含めまして、あるいは湾岸戦争での教訓で官民の協力体制が必要だと、そういうもろもろの背景があるわけでございます。  まず、本省側では平成四年六月に、官と民の間の意見交換あるいは情報交換を行う場としまして、関係団体とか企業等の参加も得まして海外邦人安全対策官民協力会議、こういう第一回の会合を催しまして、現在まで十二回会合を開催するに至っております。この海安協と称する中に分科会を四つほど設けておりまして、情報分科会、緊急事態分科会、海外分科会、それから教育・研修・広報・啓発分科会というように分科会を設けまして、官と民の間で意見交換情報交換を行ってきておるところでございます。  それから、海外におきましては、平成四年より我が在外公館と在留邦人の組織、日本人会とか商工会議所、そういう官と民の間で現地での安全対策等につきまして意見交換あるいは情報交換を行うとともに、緊急事態の発生のときにどうやって対策をとるか、避難するか、そういう体制整備を図る場としまして安全対策連絡協議会、名称は各地によって違いますが、こういう官と民の協力の会議を随時開催するに至っております。ことしの六月現在でこのような官と民の連絡協議会が行われているところは百二十二カ国あるいは地域ということに及んでおりまして、必要に応じ随時官と民の間の協力体制をとっております。
  62. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  63. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 私は三つの問題について大臣のお考えを伺いたいんですが、大臣のお返事が長時間にわたりますと三つとも発言することができなくなるおそれがありますので、まず三つの問題を続けてお聞き願います。  第一は、先ほどの高野委員の御発言と相当通ずるところがあるんですが、テロ集団が何ゆえに日本大使館を対象にしたかということについて、日本の経済援助が貧民層のことを考えない、富める者を利することに急であることという不満を覚えたということを言っておりましたが、これはフジモリ政治を批判すると同時に、日本の経済援助のキャラクターを問題にしておるわけであります。特に、大統領が日系の方であるということにおいて、日本ペルーに対する援助の姿勢が日本批判につながりやすい格別の条件があると思うんです。  それから、もし日本の経済援助がペルー国民の一般的な感謝と信頼に値するものであれば今回のようなことはまず起こらなかったのではないか。つまり、警備だとか情報とかということももちろん重大でありますけれども、最も基本的な問題は、日本ペルー国民に十分の感謝と信頼に値する接触をしていなかったかどうかということをより深く問題にしたいと思います。これも高野委員の言われたことでありますけれども、これはただ単に対ペルーの問題でなくて、世界のすべての国に対する日本の政策に照らし合わせて、もっと広い見地から反省する必要があるじゃないかということが考えられます。  特に、これは直接日本の援助とか外交とは関係ありませんけれども、逮捕した人を何年も裁判しないで投獄状況に置いているとか刑務所の状態が甚だしく非人道的な残虐性を放置しているというようなことはもちろん日本と直接関係ありませんし、大臣等はもちろん責任があるわけではありません。しかし、最も親近感を持つペルーの国のあり方として、パブリックではなくても、親しく個人的に懇談する機会でもあれば、こういうようなことはペルーの国の名誉にかかわることでもあるし、フジモリ政治の重大な評価のかかるところだと、日本としては何とかフジモリ政治の意義の高まることを熱願せざるを得ないというような感じのことを適当な機会に、もちろんプライベートでいいからお話しする、こういうような間柄を構築していくことが私などは非常に喜ばしいことだと思っております。  それから第二の問題は、先ほど来の日米防衛協力のガイドライン見直しについてでありますが、これは非常に現実的、具体的な状況がよくわからぬというような御発言もこの委員会でございました。確かに、それもそうでありますけれども、常識として日本の周辺の平和とか安全に関する対象は北朝鮮と中国に決まっている。特に中国が大きいということは恐らく異論の余地のないところでございましょう。  ところが、北朝鮮や中国だけに原因があるかといえば、これに対するアメリカの態度、これはアメリカの世界政策の一般的な性格でありますけれども、ややもすると武力に訴えがちである、あるいは平和的な折衝においても武力を背景に意識させるような接触が少なくない。これは最も親愛すべき、また関係の深い日本として心からアメリカに忠告しなければならない。アメリカほどの高い知性と経済力、技術力を持っておって、超大国といえば現在ではアメリカ一国であります。そのアメリカがややもするとモラルと英知に訴えること以上に武力に物を言わせる、こういうあり方はアメリカのためによくないし、また世界にとって不幸この上もないことだと思うんです。  でありますから、我々は北朝鮮に対しても中国に対してもまず無用の警戒感を余り持たないで、機会あらば積極的に平和的な接触をすることができないのか。同時に、アメリカに対しても、北朝鮮や中国に対して、駆け引きではなくて、本当に人類の一員として心から平和的に共存共栄を願おうじゃないかという姿勢をアメリカはとれないのか、そういうようなことを私はまず日本の世界政策の基調として、すべての国が日本という国はそういう国だということを理解し、信頼するような日本のあり方が特に望まれると思います。  そういう意味において、今のままでいけばやがては軍事的な衝突、今のところではアメリカが断トツ、核兵器でも何でも強力でありますので当分は起きないでしょう。だけれども、仮に大臣が金正日さんあるいは北鮮の外務大臣と懇談する機会があったら、現実には当分はなさそうでありますけれども、あったら、あなたの国は強力な軍隊で二日あれば釜山までやっつけるということになっておるが、そんな悠長な戦争ではないと。そのずっと前にアメリカの核兵器が物を言うだろうし、若干のシェルターがあったってそんなものは役に立たぬのだと、そういうようなことを懇談できるような間柄を、今急にではありませんよ、それは無理な話だ。だけれども、そういう姿勢を持つようなことができないか。  中国が核兵器改善に必死になっていることは想像にかたくありませんが、それでは中国とアメリカとが核戦争で戦う可能性はそう遠からざる将来に絶無であるかと、仮にそういうことが万々一でもあれば日本が一番危ないわけですね。核戦争の最前線に立つわけです。したがって、さっきから申し上げておりますような日本がすべでの国に親愛と平和の精神で触れるということは単なるモラルの問題ではない、日本の安全と平和の最も大事な問題だと、こういうふうに思います。  時間がもうなくなりましたが、これは私の一番専門だから申し上げるのでありますけれども、食べ物、東北アジアは皆食べ物がなくて困っているわけです。日本などは三割も自給していない。肉類の輸入を計算に入れれば二割ぐらいしか自給しておらない。中国はまた世界の八%の耕地で二〇%の人口を養うんだと、その人口がまた二倍ぐらい激増するんだと、もう大変な取り組みようであります。しかし、国民一人当たりの耕地面積からいえば、中国の耕地は日本の二倍以上あります。韓国は日本よりちょっと多いです。それでも日本国民一人当たり今三畝ぐらいありますから、一家族三人半として十分食っていけるんですよ。  もう一つ大きな問題は、経済成長の中で農業の構造を適切に発展させることに大失敗したと、これは日本と韓国が模範を示しております。中国はそれを見て失敗せぬようにと、こういう二つの角度から共同研究することは非常に大事だと思うのでありますけれども、まずそういう機会を農水省ではなくて外務省の方でも東北アジア各国に呼びかけることをお願いできないか。大臣のお返事の時間がなくなりました。申しわけありません。ちょっといただけますか。
  64. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) それじゃ簡潔に答弁させていただきます。  まず最初の御質問でございますが、ペルーに対する我が国の経済協力のあり方が今回のテロの要因の一つになったんじゃないか、経協のあり方を見直すべきじゃないかという点でございますが、私どもはこれまでの経済協力、これはペルーにおける貧困の撲滅、民生の安定に役立つことを意図しまして、目的としまして協力してまいりました。また、ペルー政府も、フジモリ大統領も貧困の撲滅ということを最重点課題にしておりまして、現実にまた貧困層の削減目標であるとか教育水準の向上等の目標もやっておられるわけでございます。したがいまして、私は、日本の経済協力が貧困層に均てんせず、富める者を利するものであるという見方は当たっていないと思います。そしてまた、ペルー国民の大多数もそこのところは正しく評価してくれていると思っております。  しかしながら、それが必ずしも十分でないといううらみがあるとするならば、今後、経済協力の進め方はもとよりでございますが、我が国の経済協力がどういうふうに役立っているかという点についてペルー国民によりょく理解してもらうような努力はしていかなくちゃいけないと思っております。  それから、刑務所あるいは刑事制度についての言及もございました。これは基本的にはペルーの国内の問題でございますけれども、しかしながらそういったものについても改善されるということが望ましいことは当然でございますから、パブリックでない場で話せるような間柄ということはよく承っておきたいと思います。  それから、第二点でございます。ガイドラインの関係で中国あるいは朝鮮半島のことについて言及がございましたが、私どもは、ガイドラインというものはちょっと横に置きましても、我が国の安全保障を考える上において、あるいはこの地域の安定と平和を考える上において、朝鮮半島あるいは中国はこれからどういうふうな道を歩んでいくかということは非常に大きな要素であるという御指摘はそのとおりだと思います。  そしてまた、中国も今改革・開放路線を通ずる国民生活の向上というものをトッププライオリティーを置いた政策として進めておるわけでございます。そのためにはやはり地域の安定、そして近隣諸国との良好な関係が大切だということは当然のことでございますし、日本もそして米国も基本的にはそういった中国の建設的なパートナーとしての役割を期待しておるわけでございますので、現実にそういった方向へ進むようにあらゆる機会に米国あるいは中国といろいろな意見の交換なり意思疎通なりを図ってまいりたい、こう考える次第でございます。  それから、最後にお話のございました食糧に関する点でございますが、確かに二十一世紀の世界を展望いたしました場合に、このアジア、とりわけ北東アジア地域における食糧問題がどういうことになるかということは非常に大きな要素だと思います。この道の、この面の大変な権威者でございます委員のお知恵も今後拝借しながら、外務省としても近隣の諸国の食糧生産なり農業政策の改善あるいは進展のために技術協力等々を通じてどういうことができるか真剣に考えてまいりたいと思います。
  65. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 時間がなくて林業について言及できませんでした。生活環境における林業の飛躍的発展の重大意義についてまた機会がありましたらお聞き願います。  終わります。
  66. 立木洋

    ○立木洋君 後回しになるとまた質問ができなくなるとあれですから、最初にひとつ長官の方から答えていただくようにお願いしたいと思います。  ガイドラインの見直しの中間報告の周辺事態における問題の中で共同作戦計画についての検討の項があります。そこに「周辺事態が日本に対する武力攻撃に波及する可能性のある場合」というのが明記されてありますが、アメリカの行う周辺事態でのいわゆる戦闘行動が日本に波及するということを予想しているわけですね。「波及する可能性」とはどういう要因あるいはどういう場合を想定しているんでしょうか。
  67. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) たしか波及するとは書いていないと思いますけれども、「周辺事態の推移によって日本に対する武力攻撃が差し迫ったものとなるような場合」というような表現がしてあると思います。日本に対する武力攻撃がありそうだということで、防衛出動をするまでにはまだ至らないとしても、そういうような事態に至ることが予想されるような状況が出てくる場合には、やはりそれに対して共同で準備行為に入っていかなければならないというふうなことが考えられますので、そういうことについて述べたものだと思います。
  68. 立木洋

    ○立木洋君 いや、長官、「波及する」と明確に記入してあるんですよ。
  69. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 失礼しました。私は「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」のところの差し迫っている場合を指して言われたと思いまして、そうじゃなくて「共同作業」のところでございますね。
  70. 立木洋

    ○立木洋君 そうです。ですから、アメリカが行っているいわゆる作戦行動、戦闘行動、これが日本に対してどういう要因で武力攻撃が波及してくるのか、またどういう場合が想定されるんだろうか、私の質問の点は繰り返さなくて結構ですから。
  71. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) この中間取りまとめで議論をしている分野に日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等と周辺事態の問題があるわけでございますが、いずれの場合においても、その取りまとめの中にございますように、最初の段階で、例えば日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合の準備段階で日米で整合のとれた行動をとろうと。  それから、もちろん周辺事態における協力も同じようなことが書いてありますが、こういう最初の段階での準備段階、そういう時点での日米の整合のとれた行動をとろうという発想からいたしますと、周辺事態が日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等に関連することがあり得るということでそういうことを書いているわけで、どういう理由日本に対する武力攻撃になるのかというところまでまだ議論しておりません。
  72. 立木洋

    ○立木洋君 前段の部分を局長よくおっしゃるくせがあるんで、それで私は長官の方が明快な答弁をもらえるだろうと思ってぜひお願いしたんですから、長官、済みませんがお答えいただきたいんです。  この問題に関しては、かつて日本の区域・施設が米軍の基地として利用されるというような場合に、もう三十数年前ですけれども、当時の椎名外務大臣が、結局、ベトナム戦争で日本の基地が使われていることについて、それゆえに日本一種の敵性を持ったと認められて、そして攻撃を受ける、あるいはその他の脅威を受けるというようなことはあり得ると思う、こういうふうに述べておるわけです。  ですから、今回の場合は、その当時の区域・施設の提供のみにとどまらないで、米軍が周辺地域でいわゆる戦闘行動を起こした場合に日本が可能な限り協力するということになって、この間から問題になっている機雷の掃海の問題だとか臨検の問題とか、いろいろありますけれども、そういうことをやってくると、結局まさに日本が敵性を持っているというふうに思われる要因から日本に対する武力攻撃が波及される可能性が一層強まるということを想定して、ここにそういうことを書かれたんではないんですか。
  73. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) いや、そういうことじゃございませんで、そもそも日本が米軍に対して協力する場合、今回のガイドラインの場合は、日本周辺で事態が生じて、それがなおかつ日本の平和と安全に重要な影響があるということで行動をするわけですから、全然何もないのに米軍が行動した、それに対して日本協力した、そのために敵性行動だということで日本攻撃されるというふうなことじゃないわけで、そもそも行動する時点から日本の平和と安全に重要な影響があるという場合に限定しているわけでございますから、それはむしろその重要な影響があるのがより具体化してきて、日本に対して直接武力攻撃がある場合もあり得るというような場合に対してどういう準備をしておくかということだと思うんです。だから、敵性行動をとられて、そのために波及してくるんだというようなことでこれは書いたんじゃないというふうに理解していただいた方がいいと思います。
  74. 立木洋

    ○立木洋君 答弁は非常に簡明でよくわかります。意見は違いますけれども。  ただ、長官もごらんになったかもしれませんけれども、十四日の中国の人民日報では、機雷の掃海それから臨検は集団的自衛権に該当する、だから憲法に反するという批判を初めて出しました。だから、結局、日本側がそうではないと言っても、事実上そういうふうな公海上における今言ったような行動は、相手側から見ると、この間からお話ししているように、アメリカの行動を利するかもしれないということさえ長官はおっしゃったわけですから、そういう場合になると、これは相手側が我々に対する利敵行為だというふうに考えて武力攻撃が波及してくると。波及という言葉を使っている点に私は非常に注目したんです。そういうことじゃないんですか。
  75. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 中国以外にも、各国に対してこれから先我が国からもいろいろと説明して、今度のガイドラインがそういうどこかの国を敵対としてこういうことを組み立てているんじゃないんだということと、あるいはまた機雷の掃海その他やることがあったとしても、それは現在の憲法の中でやるんであって、集団的自衛権にならないような配慮をしながら、その中でなおかつ我が国の平和と安全に影響するような場合にやりますよというようなことを説明していきますので、できるだけとにかく理解を得るように努力しなければならないというふうに思っております。
  76. 立木洋

    ○立木洋君 少し角度を変えてお尋ねしますが、これは外務省にも関係があるんで外務大臣にお答えしていただいても結構です。  事前協議ですね、この六条に該当する。この事前協議の問題については当時の日本政府の解釈としては、米軍に事前協議を義務づけたのは日本がその意に反して戦争に巻き込まれないようにするためのいわゆる歯どめであるというふうに説明されてきていたわけです。先日の当委員会での答弁でも、この事前協議について、ガイドラインの見直しが行われた後も依然として安保条約としての事前協議の項目は有効ですというふうに北米局長が答えているんです。私はそうではないと思うんです。これはまるっきり違う。  ここに私はアメリカの沖縄返還当時に行われた会議録、佐藤首相とラスク長官が行った会議録、この会議録はいつの会議録かといいますと一九六七年十一月十五日、そこでは沖縄返還の二大問題というのが問題になっています。核問題をどうするのか、もう一つは事前協議の問題をどうするのか。  その次に行われた愛知外相とジョンソン米駐日大使との会談の本国アメリカに対する報告書がここにあります。これは六九年一月十一日、そこでは在韓国連軍を支持する、沖縄を自由使用する方式を愛知外相が示唆したというふうに記入されております。  そして、六九年四月二十九日、国家安全保障研究メモランダム五号という文書もここにあります。そこでは、アメリカ側の軍事的権利として、核を引き続き貯蔵し、核作戦の自由を求めたいということと、日本との事前協議なしに戦闘作戦の発動を要求するのがアメリカ側の軍事的な要求である、この二項目については日本側としては日本国民に提示する一般的公式文書と組み合わせるやり方の方が望ましいということが詳細に書かれてあります。  これは最近解禁になったアメリカの外交の公式文書であります。私はこれを全部日本文に訳してもらって持ってきました。そして、その最後の問題の中では、核兵器の貯蔵やトランジットの自由の問題、日本との事前協議についても、通常兵器における戦闘作戦の発動が、結局事前協議なしに行う戦闘行動の発動が秘密事項として取り決められています。  そして、沖縄の返還を約束した六九年の十一月二十一日、日米共同声明が佐藤・ニクソンでしたか、共同声明が出されました。その中では、日本国民に提示する一般的公式文書と組み合わせるという日本側の要求が入れられて、御承知のように、そこには韓国条項が入りました。韓国の安全は日本の安全にとって緊要とうたわれたわけです。また佐藤首相は、その後のナショナル・プレス・クラブの演説で、朝鮮有事の際の事前協議には前向きかつ速やかに態度を決すると強調しました。  ですから、結局事前協議というのは全くのまやかしで、事前協議なしに日本の基地から作戦行動が発動される、これは今まで移動という形でいろいろ言っていたけれども、果たして移動という形だけで述べておいていいのだろうかというのが自民党の首脳の発言としても新聞に報道されていました。  この問題については、ここにこれだけの文書がありますけれども、これ全部読み上げると時間が足りませんので読み上げることはできませんけれども、これは当然日本外務省は入手して目を通していると思いますが、入手しているんじゃないでしょうか。
  77. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今、委員が御指摘になりました最近公開された米国の内部文書なるものにつきましては、それは米国の内部文書でございますので、私の立場でコメントすることは差し控えるべきだと思います。  いずれにいたしましても、仮に途中経過でいろいろなことがございましたといたしましても、あの際にきちんと日米間で最終的に合意されたところはいわゆる核抜きの返還でございます。そうしてまた、事前協議の問題につきましても沖縄県以外のところと全く同じような扱いになることは明確になっておるわけでございます。そして、事前協議につきましては、御承知の三つの事柄につきましては、協議がございましたら我が国我が国自体の国益確保等の観点から具体的事案に即して自主的に判断を行うということになっておるわけでございまして、戦闘作戦行動なんかについて、核の問題については御承知だと思いますけれども、これは認めないということでございますが、そういうことになっておるわけでございます。
  78. 立木洋

    ○立木洋君 外務大臣、あなたが幾らそういうものについてはコメントできないと言ったって、明確に文書が出ているんですよ、アメリカの。日本側との会談の記録なんですよ、これ。佐藤首相とラスク長官との記録なんですよ。愛知外相とジョンソン駐日米大使との会談の記録の報告なんですよ。その中にそういうことが明確に書いてあるんです。それすらもあなたは認めずに、いわゆる事前協議があるなどというような言い分をするというのは私は全く受け入れることはできません。そういうふうな形で国会の審議を進めていくということ自身が、私は日本政府の姿勢を疑わざるを得ない、そういう要因になっているということだけは明確に述べておきたいと思うんです。  私はこの点についてこういうことを要求します。この文書を我々が入手できたんですから、日本政府が入手できない理由がない。今言ったような文書をすべて入手して、そして英文と翻訳した文書を当外務委員会に提示していただきたい、委員長、そのことを要求したいと思います。いかがでしょうか。
  79. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 理事会で諮ります。
  80. 立木洋

    ○立木洋君 そのことを要求すれば、これは皆さんごらんになっていないからどう思われているかわかりませんけれども、明確に事前協議は空洞化されているんです。これはただの一回も発動されたことはありません。日本側現実にそれを調査したこともありません。ましてや、その問題について、アメリカ側から事前協議は申し入れることができても、日本側から事前協議を申し入れることができないシステムになっているじゃないですか。全く事前協議というのは空洞化されているんです。それは安倍外務大臣のときに、私が質問したのにちゃんと安倍大臣は答えてくれましたから、その事実は全く正確であります。  そういうような状況があるという事態を考えるならば、事前協議が行われることなしに事実上戦闘行動に入っていく、そういう危険が今度のガイドラインの見直しでは一層強まっているというふうに指摘せざるを得ない。だからこそ日本に対して武力攻撃が波及する、そこにこそ問題があるんではないでしょうか。  読売の去年の四月十九日の新聞に宮澤元首相がこう述べています。「有事の際、戦闘機が横田基地から出撃することを認めれば、逆に基地が攻撃を受ける可能性もあります。今後はそれらも踏まえて議論しなくては。」というふうに述べているんです。基地を提供するということになれば、それによって日本に対する攻撃が行われる可能性があるんだと、宮澤元首相でさえちゃんと新聞で堂々と述べているんです。だからこそ、ガイドラインの見直しの中のいわゆる武力攻撃日本に対する波及という問題に言及せざるを得なかった。そこに最大の私は問題があると思うんです。  その点に関して、周辺事態でのアメリカの戦争が日本に対する武力攻撃に波及するというのは、相手国より米軍を利するもの、久間長官自身が利するものと述べていますから、そうすると、それゆえに日本に対する武力攻撃が波及するということにこそ要因、原因があるのではないでしょうか。  憲法の前文では「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と述べています。相手国から武力攻撃を招くような行動をとるということ自身が憲法には反したものです。いわゆる未必の故意に当たるのではありませんか。憲法の前文にも明らかに反している、憲法の枠外へ逸脱することを容認する行為ではないかというふうに考えますが、大臣の答弁をいただきたい。
  81. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、いわゆる事前協議につきましては米側からしか申し入れられない、日本側からの申し入ればない、それはそのとおりでございます。それはもう岸・ハーター交換公文でできている枠組みがそうなっているわけでございます。米軍が戦闘作戦行動の発進基地として日本の施設・区域を使用することになるという場合には米側に事前協議をしなくちゃいけないぞという義務づけをしているわけでございますから米側から提起される、それは当然でございます。そして、そのときに我が方といたしましては、先ほど申しましたように、国益確保の見地から自主的にその諾否を判断する権利は留保されておるわけでございます。先ほどいろいろおっしゃいましたけれども、これは最終的にできたものできちっとそうなっている。そして、これは沖縄に所在する施設・区域についても全く変わりはございません。そういうことを申し上げておきます。  それから、波及の点につきましては先ほど防衛庁長官からも御答弁があったところでございますが、周辺事態があるということは我が国自身の安全に重要な影響を与えるような事態でございますから、それが事の成り行きによって周辺事態を起こしている当事者が、これは米国じゃございません、日本でもございません、そういう周辺事態の原因になっている当事者が我が国自身に武力攻撃を行うという事態をつくり出す可能性もあるわけでございます。そういうことをもって波及ということを言っているわけでございまして、米軍の活動あるいは日米協力の行動というものがそのような波及なんという事態を招くということを我々は考えているわけじゃないわけでございます。
  82. 立木洋

    ○立木洋君 最後になりますけれども、久間長官にお答えいただいて結構なんですが、実は今事前協議の問題が問題になりましたけれども日本の議論がいろいろ問題になったときに、米側に要求して調査をしなさいと、事前にきちっとどうなっているのか問題を明らかにしなさいということを要求した場合に日本側が答えた答弁は何かと。今言ったように、事前協議はアメリカ側からしか提起することができないんですから、日本側からできないんですからというのが我々に対する答弁なんですよ。おかしな言い分を、今おっしゃった外務大臣の言い分は大変おかしいということだけ指摘しておきたいと思うんです。  情報の提供の問題に関しても、あるいは臨検の問題に関しても、機雷の掃海の問題に関しても、それについてはアメリカに利することに結果としてなるかもしれない、そういうことがあり得るであろうということを言ったんです。あり得るだろうということは、戦闘が実際に行われている場合に一方の側の米側に協力するということで、米側の作戦行動を利するということは相手国にとったならばそれはまさに敵性的な行為になるわけです。それが武力攻撃に波及するということになるということをここで明確に認めたんじゃないですか。その点について、最後に長官の答弁を求めます。
  83. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) それは、日米が日ごろからいろんなことで協力して日米安保体制というものはでき上がっているわけでございます。だから、そういう状況にあるときに我が国我が国のためにいろんなことをやった、その結果がアメリカの方にプラスになったとして、それをけしからぬというようなことで言えるのか。私は、日米が敵対国であるならともかくとして、日ごろから安保体制を組んでいるわけでございますから、そういうことについてまでけしからぬとは言えないんであって、結果として資することがあってもいいんじゃないかというふうに思っておるわけでございまして、それは素直な国民の感情じゃないでしょうか。それは決して憲法に、今の九条に反するものでないと思っております。
  84. 立木洋

    ○立木洋君 委員長、済みません、もう一言だけ。
  85. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 立木君、時間です。
  86. 立木洋

    ○立木洋君 外務大臣、最後になりますが、一問だけお願いしたいと思うんです。  この見直しの中間報告の中には日本側がノーと言うことができる条項というのはたったの一つもないですね。全部アメリカの決められたとおり協力していかなければならないとなっているんです。ノーということが言える条項があったら示してください。ノーという条項はないじゃないですか。
  87. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど申しましたのは、岸・ハーター交換公文に基づく事前協議について申し上げたわけでございます。そして、ガイドラインについて、ガイドラインで我々が検討しておりますいろいろな協力項目というものは、これにつきましては……
  88. 立木洋

    ○立木洋君 拒否条項を聞いているんです。
  89. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) これは当然のこととして、協力を具体的に進めていく場合にはいろいろな調整メカニズムをつくるということを御説明いたしました。あるいは、相互協力の計画であるとか共同作戦計画とか、そういうものをつくるわけでございますが、そういうところでいろいろ話をするときには、当然我が国我が国立場を踏まえて、イエスもあれば、いや、それはこちらがいいだろうという話もある、当然のことでございます。
  90. 立木洋

    ○立木洋君 それは返答になっておりません。私は一切受け入れることができません。次の機会にさらに議論をしたいと思います。  終わります。
  91. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私はペルー事件報告書についてお伺いしたいと思います。  最初に、前回の委員会外務大臣は、六月九日付のニューズウイークの青木大使の発言について注意すると、どういうわけか決して厳重という言葉は使わなかったんですけれども、注意するとおっしゃられました。お約束どおり注意していただいたものと思います。どのような注意をされたのか、それに対して青木大使はどのような態度だったのか、また返事だったのか、それをお伺いしたいと思います。
  92. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先般の委員会委員から御指摘のございました点、確かに私から直接青木大使に注意いたしました。何日でございましたか、その日の夕刻に青木大使外務省に来ていただきましてお話しする中で、ニューズウイークのインタビューでの話は外務委員会における五月十三日の発言と違うではないかという御指摘があって、自分はこういうふうな答弁を申し上げたということを言い、あなたの真意はどうだというふうにいたしましたところ、本人も、五月にこの委員会で答弁したとおりであるという私の六月十二日における答弁、そのとおりであるということでございました。そしてなお、将来に向かってこういったいろいろなインタビューに応ずるときには、そのときのやりとりの報道のされ方いかんによっていろいろな誤解を招くおそれもあるので、その点は十分注意して対応するようにと申しまして、青木大使もそのように今後戒めてまいりたい、このような返事があったことを申し上げます。
  93. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 子供でも大体の子供は一度言われたらわかるわけですけれども、なぜ一度ならず二度までも繰り返されるのか大変不思議でしょうがないわけであります。我々の専門語で確信犯という言葉があります。やっぱり自分の行為については落ち度はなかったというふうに彼が考えておるので折に触れてああいう発言が飛び出してくるのではないかというふうにも考えられるわけでありまして、二度あることは三度あると申しまして、これからもまた絶対にないともなかなか言いかねることではないか。しかも、国会が閉会になります。それから、外務省報告を出してこれでおしまいと。全く自由な立場でまたああいう発言を繰り返されると我々としても対応のしようがないわけでありまして、いたずらな誤解を世間に与えるだけという気もいたすわけであります。もう二度とああいう発言は少なくとも彼が官にとどまっている限りはないと、こういうように考えてよろしゅうございますね。
  94. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 誤解を招くようなことは避けなくてはならないということを申しまして、その点は十分注意して今後対応していくということでございました。
  95. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 きょう配られました「報告書についての報告」の二ページ目の三というところですが、「本件事件において、個別の職員に具体的な職務遂行上の落ち度があったとは考えておりません。」と。この「個別の職員」という範囲は、上は外務大臣から下は現地大使館警備係の大使館員まで含むと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  96. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、現地における大使並びに警備等の任にあった職員についてでございます。また、それとの関連におきまして、本省におきまして情報関係あるいは警備関係等につきまして事務を行うべき立場にある者、そしてまたそれを監督すべき立場にある職員、そして私自身外交関係全体の責任を持つ者として、そういうことでございます。
  97. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 落ち度がないというのは、これまた我々の言葉で言えば、だれが考えましてもそうでしょうけれども責任がないということであります。責任がないのになぜ青木大使初め官房長、事務次官、その他関係局長を含むんでしょうか。最後は外務大臣まで処罰されたんでしょうか。罪刑法定主義を持ち出すまでもないんですけれども、犯罪なければ刑罰なし、責任なければ処罰なしということなんでして、なぜ責任がないのに処罰を甘んじて受けられたのか、またそういう人たちになぜ処罰を科したのか。理屈が通らないように思いますけれども、いかがでしょうか。
  98. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、職務執行上の落ち度がないということの一番コアになる考え方でございますけれども、こういった問題がございました、事件が起きました。それに具体的に職務執行上の懈怠である、怠慢であるとか、故意はもとよりでございますが、あるいは不正な行為だとかありますならば、それは当然国家公務員法上の責任を問われるということになるわけでございましょうが、私ども調査の結果、そのような国家公務員法上の責任を問わなくてはならないような行為、あるいは不作為、怠慢といったようなことも含めてでございますが、そういうことがあってこの事件が起こったということではないということでございます。  そして、それならばなぜ否定しながら処分をするのかというお尋ねの点についてでございますが、今申しましたようなことで国家公務員法上の処分は行いませんでした。しかしながら、本当に全く改善余地もないか、あるいは現時点から振り返ってみてほかのやり方がなかったと言い切れるかといいますと、その点につきましては治安情報収集分析体制について改善余地があった。具体的には、ペルー政府の中でいろいろな情報を持っておった部署に直接接触するということができていなかったという点などは、今になって考えますと、そういうことができておればということがあるわけでございます。  それからまた、公邸警備盲点があったという点、隣接する家屋の点につきましては、そこからテロリストがということは想定していなかったということでございますが、その点も今になって振り返ってみますと、それが盲点になっていたなということはある。  しかし、そういうことを認識していなかったことがそれじゃ何らかの職員の直接この事件の起こる責任にかかわるかということになりますと、そうではないということでございますが、いずれにいたしましても事後的に振り返って改善すべき余地があったということと、それからさらには私の場合特にそうでございますが、このような事件が起きたということは全体として外交に対する信頼を揺るがせた、それを損なったということは否定できないわけでございまして、そういった意味での処分ないし責任とり方、こういうことでございます。
  99. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 職務上やるべきことをやらないでおいて、あれだけの大事件を引き起こして国家公務員法上の問題は一切ないなんという考えはどこから来るのか私ちょっと理解できないんです。  それでは、お尋ねいたしますけれども、「任国治安情報収集分析体制につき改善余地があった」と。改善すべきことを改善しないでほっておいては普通は過失だと言われるわけですね。外務省ペルーは一番危険な国だということを認定しておりますし、それから青木大使自身も、私この場で聞きましたけれども、年賀状で自分の今赴任しているペルーというのは失業も治安も最悪の状態にあるんだ、フジモリ大統領も限界が来ている、人々の忍耐も切れかかっているんだ、要するにいつ爆発してもおかしくないということをはっきり認めておるわけであります。その上で、去年、おととしが大丈夫だったからことしも大丈夫だろうなんというのは、そんな危機管理の話は聞いたことございません。どうしたって最悪の場合を考えて対応を講ずるのが危機管理上当然のことなんですから、やるべきことをやらない何よりの証拠ではないか。  それから、公邸警備盲点があった、盲点があったからこれは過失だ、責任がある、こういうことになるわけでございましょう。だれが考えても、ゲリラは正面からやってくるものと考えておって裏の方は全然考えていなかった。それだけでもうこれは一体何だという議論になるわけであります。そのこと自体を国家公務員法上まともに取り上げて、これは過失だ、責任だ、過誤だ、こう言ってもいいわけでありますから、なぜそれが落ち度にはならないんだと。  結果として考えてみれば、そういう大臣の考え方が折に触れての青木大使の発言、巻き込まれた、結果責任だ、そういう言葉につながっていくのじゃないかな、こういう気がしてしようがないんですよ。外務省自身が、あれは巻き込まれたものだ、第一義責任ペルー国にあるんだ、我々はいわば被害者なんだ、結果責任、その程度は認めてもしようがないのかなというふうな気持ちでおるからこそ折りに触れて青木大使のああいう発言になるんじゃないでしょうか。私はそう思えてしょうがないんですけれども、こういう私の考えが非常識なのか、外務大臣考えが非常識なのか、どちらでございましょうか。
  100. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今の時点から振り返りまして改善余地があった、そのことをもって直ちに過失ではないかと委員今御指摘でございます。しかし、公務員として職務遂行していく上でどれだけのことをしなくちゃいけないか、どれだけの責任があるか、義務があるか、それに照らし合わせて故意あるいは過失があったかと言われますと、そういうことではないんだと思います。  今申しました事後的に見て改善余地があったという点を一般的に国家公務員として果たさなくちゃいけない義務だと言えるかどうかという点でございます、あの置かれたような状況の中で。それは、事後的に現在、このような事件が起こりましてこういう盲点があったんだなということがわかった段階で今後はそういったことも当然注意しなくちゃいかぬ点だよということは言えるかもしれませんけれども、あの事件発生までの時点においての、もう繰り返しませんけれども、いろいろなあの地域での治安情勢、そしてまたそれなりに治安情報の収集をしておったわけでございますが、それをさらにここまでしていなかったからということで過失と言えるかどうかということは、私も委員と法律論争をするつもりはございませんけれども、それはやはり刑法の場合でも相当因果関係とかなんとかというのがあるんじゃございませんでしょうか。
  101. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 大変異なことを承る。事故が起きてみなきやわからなかった、じゃ何のため高給をはんでああいう大使などという立派な仕事をしておるんですかね。いろんなことを考えて、ゲリラが襲ってきたらどうしようか、自分の判断でなかなかわからなければ本省からでも専門家派遣を要請すればいいわけです。本省本省で、大丈夫か、こちらから専門家派遣して点検させようかというぐらいのことはあってもいいわけですから、これは当たり前のことで、だれでもそういうことは気がつくわけでしょう。そのことを私言っているんです。  時間がなくなりましたが、先ほども高野委員が大臣の責任を厳しく追及しておりました。私はまた別の角度からちょっと取り上げてみたいと思います。  綸言汗のごとしという言葉がありまして、偉い人の言った言葉はもうもとに戻らない、それだけに偉い人は自分の発言に本当に細心の注意を払って言葉を使う、発言する、これは当たり前のことで、それだからこそ高い地位について高給をはんでおるわけであります。末端の者でしたら、何かちょっと腹が立つと、ええい、やめちゃうわ、こう言うんですけれども、翌日になると、ちょっと失礼しました、また勤めさせてもらいますと。それはそれであの社会では済んでおるんですけれども、位大臣をきわめた方がやめさせてもらいますと言ったら、やっぱり綸言汗のごとしてはないか、私はこう思うわけであります。  そういう意味で、高野議員のお考えにも私は同調をいたすわけでありまして、永田町ではよくそれじゃやめるわと言って、とめられると、あれはやめ、すぐ撤回するということがはやっておるようで、こういうことがむしろ日本国じゅうに蔓延することを私は恐れているわけです。やっぱりやめると言ったらやめりゃいいんじゃないでしょうか。それが大臣たる者の責任だと思います。  ちょっと責め立てているようで申しわけないんですけれども、本当のところを聞かせてください。なぜああいう発言をされたのか、そしてまた十分以内に撤回したということですから、世間の人も、何だろうなこれは、しょせんはパフォーマンスかなと、こう思ったのも無理からぬと思うんですよ。本当に熟慮の上やめるということを決意して、しかし慰留を受けて、そして涙ながらに撤回した、そういう本当の映画でも見るような情景が展開されたのかどうか、その辺のところをちょっとお聞かせください。
  102. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私としても、この事件により外交信頼が失われたということを非常に重大に考えております。そして、私自身としてどういうふうに責任をとるかということをいろいろ考えました。  その上で、大臣の任命権者である立場の総理に対して、私としては職を辞することをお許しいただきたいと申し上げたわけでございますけれども、総理からは、それを許すわけにいかないというお話があり、そして責任とり方について、職を辞することではなくて職にとどまって外交活動に従来以上に身を挺して当たることを通じて全うせよというお話でございました。  そして、私としても、現在責任の重大さを痛感することには何ら変わりはございませんけれども、いわば身を捨てたつもりで職務に邁進することにより責任を少しでも全うしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  103. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 終わります。
  104. 矢田部理

    ○矢田部理君 久間防衛庁長官においでいただいておりますので、最初に伺いたいと思います。  安保条約では極東条項というのがありまして、極東の範囲の中には台湾が入るとされておりますが、周辺事態という言葉が出てきました。その周辺事態という中には台湾有事というのは入るのでしょうか。
  105. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今度のガイドラインは、御承知のとおり、特定の国とか特定の地域、事態を指してやっているわけじゃございませんで、我が国の周辺で我が国の平和と安全に重要な影響がある場合、そういうことを一般的に規定しながら一つの大枠、方向性を決めるわけでございます。それを受けて、ガイドラインができました後に共同作戦計画とか相互協力計画とか、具体的にいろんな検討に入るわけでございまして、その場合でも特定の国とか特定の地域あるいは特定の事態というわけではございませんけれども、いろんな複数の態様等を想定しながら検討はされていこうと思います。少なくともこのガイドラインの場合には、そういうような特定の国とか特定の地域を指してつくったものじゃなくて、もっと一般的な大枠、方向性を示したものだ、そういうふうに理解していただいた方がわかりやすいのじゃないかと思うんです。
  106. 矢田部理

    ○矢田部理君 従来の安保条約に対する見解の中で、極東というのは台湾も含むのだという政府見解はそのまま維持されることになりますか。
  107. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今度のガイドラインのときに、今までの安保条約並びに取り決めについては一切従来どおりだという前提に立ってやっておるわけでございますから、そういう意味では安全保障条約に基づいていろんな行動がされる場合には、それは従来から言っていますいわゆる極東といいますかフィリピン以北の我が国周辺のいろんな地域が入るという、それは従来と変わっていないわけでございますので、その辺は同じでございます。
  108. 矢田部理

    ○矢田部理君 周辺有事という認識で、実際に想定しているのは朝鮮有事であり、あるいは中台紛争などなどが構想されていることは、言ってみればみんなそう思っているんですよ。それを何となく特定の国をとか特定の地域を指したものではないというのは少しく答弁としてまやかしがあると思うのであります。  それはそれとして、中国などが大変心配しておりますのは、日本有事で日米がいかが対処するかはどうぞ御随意にと、しかし事が中国に及んだり、台湾海峡、中台紛争に関与したりするということになれば中国としても黙視するわけにはいかない、ガイドラインの行方を見きわめたい、こう言っているわけですね。そういう点で、中台紛争とか中台問題をここから除外するという立場には立てませんか。
  109. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 何を除外するとか何を入れるとかじゃなくて、我が国自体が武力攻撃された場合ははっきりしていますからいいですけれども我が国以外のところで我が国の平和と安全に重要な影響が起きるような場合に米軍が活動する、あるいはまたそれに対して我が日本協力するという一般的な話をしているわけでございますから、相手がどうとるこうとるというような特定の国を挙げておっしゃられても大変困るわけでございます。我が国の平和と安全に重要な影響が出てきた場合に何もしないでいいかというと、そういうわけにはならないわけで、そのときに米軍が行動したら我が国もまた我が国の平和と安全に重要な影響がある場合ですから、それに対しては協力する、ごく自然な話だと思うんです。  ただ、そのときに、お互いの協力の仕方について方向性も大枠も何もできていないといけないので、ガイダンスといいますか、そういうのをつくって、そのための準備をしておきましょうと。そして、そういうのが具体的になってきた場合にどういう行動をするかというのは、準備段階に応じながらやりますし、また日ごろからそのための準備をしておこう、検討をしておこうというようなことでガイドラインを今度見直そうとしているわけでございます。
  110. 矢田部理

    ○矢田部理君 日本有事以外に我が国の安全等に重大な影響があるという物の立て方をするんですが、それが余りにも抽象的なあるいは漠とした言葉のためにわからないからいろんな疑心を生み、懸念の表明がアジア各国からも出されるわけですよ。  そこで、山崎拓さんがついせんだってマスコミに、台湾有事というような事態でアメリカが出動するに当たって日本から直接出撃をする、これは当然のことながら事前協議が求められることになるわけでありますが、そのときにイエスと言うわけにはいかないというような発言をされているのであります。山崎さんといえば防衛族のドンでもあるし、自民党の中心的な役割を担っているわけですが、この山崎見解と政府も同じ認識に立ちますか。
  111. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 台湾海峡で中台が戦争状態になるとか、そういうことを前提にして議論すること自体がこういう委員会等にそもそもなじむのかどうか、その問題もあろうと思うんです。  かねてから外務大臣も言っておられますように、二十五年前に日本が中国との国交を回復しましたときに、あのような協定を結びましたときに、中台関係については海峡の両当事者が平和的に解決されることを望むというような基本姿勢をそのときからずっと今日まで持っておるわけでございますから、政府関係以外の人がいろんな立場で雑誌とかテレビとかで言われる分には構わないかもしれませんけれども、そのとき以来政府としては一貫したそういう姿勢を持ち続けておる、それに期待をしておるということを外務大臣もたびたび当委員会でもおっしゃっているわけでございまして、私としても同じような考え方でございます。
  112. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、少し各論に入りたいと思いますが、このガイドラインの中間見直しで「米航空機による自衛隊の飛行場の使用」という項目があります。この前段に「補給等を目的とする自衛隊施設」、これをアメリカに使用を認めるというようなことになっているのでありますが、この「補給等を目的とする自衛隊施設」の提供などのほかに特別に「米航空機による自衛隊の飛行場の使用」という項目を置いたのはどういう意味でしょうか。
  113. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) これは検討項目例として掲げてあるわけでございますけれども検討する場合に、この「補給等を目的とする自衛隊施設及び民間港湾・空港の使用」、それから幾つか飛んで「米航空機による自衛隊の飛行場の使用」、これは態様が相当違うだろうということで分けてあるわけでございます。  補給等を目的とする自衛隊施設等の使用の場合、これは「補給等」ですからほかにもありますけれども、主として補給のようなことを考えていただければいいわけですけれども、その場合の「使用」というのは恒久的にずっと使うということではないであろうと、一時使用というのもあるだろうと。それから、「米航空機による自衛隊の飛行場の使用」という場合には補給ではない、例えば作戦行動をする場合の使用というのも含み得るわけでございまして、当然これは別の項目で議論した方がいいだろうということで分けたということでございます。
  114. 矢田部理

    ○矢田部理君 今いみじくもおっしゃいましたが、使用目的を限定しなかったのは戦闘作戦行動の基地として使用することも可と、あり得るということが一つは念頭にあったということでありますが、そうだとすると、自衛隊の基地を使って直接出撃する、事前協議という問題はありますが、事前協議でイエスと言えば直接出撃することもあり得るというふうに考えてよろしゅうございますか。
  115. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) それは、そういうことがあり得るという前提で検討項目に入れたわけでございます。
  116. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、直接出撃をする米の軍用機に対して、日本の国内から出撃するわけですから、そうすると例えば武器弾薬を輸送してそれに積み込むというようなことも可能だということになりますね。
  117. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 見ていただいているところは別表の「施設の使用」というところであろうかと思いますが、武器弾薬の補給につきましては「後方地域支援」の「補給」という欄のところでございまして、米艦船あるいは航空機への物資の提供の中で「(武器・弾薬を除く。)」となっておりますから、武器弾薬を補給するということは検討の対象外になっております。
  118. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、補給という言葉を特に避けたのは、米軍の他の基地から日本の自衛隊が提供した基地にいる米軍機のために、積み込むということまでやるかどうかは別として、米軍の武器弾薬の輸送に当たると。その輸送された武器弾薬を持って出撃するというようなことも文脈上は可能になってくるのではないかと思いますが、いかがでようかと。
  119. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 現在米側といろいろ議論しておりますけれども、例えば我が国の施設を利用して直接戦闘攻撃につく戦闘機等に対する補給も含めたいろいろなサービスにつきまして、役務の提供も含めまして、これは実態上、米側としてもみずからの整備士、みずからの技術者あるいはそういう戦闘につく場合のチームがございますので、米側として日本側からそういった役務の提供を受けるという意図は全くないということなので議論の対象から外しております。
  120. 矢田部理

    ○矢田部理君 どんなことが議論されているかということではなくて、理論的にというか考え方としてどんなことが可能なのかと。そういう事態になってもなおかつ私どもは、武力行使と一体化論にかかわるのではないかとか武器弾薬はその際どうかとか、武器弾薬以外の食糧だとか油はいかがかというようなことを少し伺っておきたいのですが、その辺の見解は整理していないんでしょうか。
  121. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) もちろん議論をしておりますが、今申し上げましたように、我が国の施設を使って直接攻撃行動に入る場合につきまして、実態論からいたしまして、米軍が米軍以外に物資、役務の提供を依頼する意図がないということですので、それは検討から外しております。
  122. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうも議論がかみ合わないのですが、法制上とか憲法上とか従来の政府見解から見てそういう事態はだめだと考えるか是と考えるかということを聞いているんです。どういう検討をしているかということを聞いているんじゃない。
  123. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) それはまさに米軍のニーズも踏まえまして日米で共同作業をしているわけでございますので、ニーズのないものについて、現在その問題については検討しておりません。
  124. 矢田部理

    ○矢田部理君 いずれにしても、事前協議の問題はありますが、日本の自衛隊基地から周辺諸国の紛争にアメリカが直接出撃するということになれば、当然相手国はその基地をたたけという議論が出てくる余地がありますね。日本攻撃をされたときに相手国の攻撃基地をたたくことも自衛権の範囲内だという政府見解がありますが、それは当然のことじゃありませんか。そういうことも視野に入れて日本の出撃については議論しているんでしょうか。
  125. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) まず申し上げたいんですけれども、現在まで安保条約に基づいて、今言われたように、事前協議の問題は別として、出撃するための基地の提供、区域の提供はやっているわけです。そこから出撃していくわけです。そういうことについて、たたかれるおそれがあるじゃないかと言われれば、今までだってあるわけですから、それはそのとおりなんです。それでもって施設・区域の提供はだめかと言われると、そうじゃなくて、現在の安保条約に基づいて、これは憲法上許されるということで現在あるわけでございますから、それを念頭に置きながら、それを延長線でどこまでやれるかという議論をされるのは結構ですけれども、現在のやつまでが敵対行為でたたかれるじゃないか、けしからぬじゃないかと言われると、現在の安保体制そのものを否定することになりますので、我々はそれは是認した上で現在やっておるわけでございます。
  126. 矢田部理

    ○矢田部理君 私どもは施設や基地の提供だって是という立場ではないんですよ。それはやっぱり武力行使と一体になって、その基地から武器弾薬を載せて出撃をし攻撃してまた帰ってくる。それからまた攻撃に出かけていくということになれば、これは法制上どうなっているかじゃなくて、当然に軍事常識として相手は兵たんをたたくとか相手の基地を攻撃するというのは当たり前の話なんであって、そういう議論をしているのでありまして、施設の提供がいいんだから、施設の提供にさかのぼって議論するのはおかしいというあなたの議論ではないんです。一体化論というのは基地の提供も含めた一体化論をやっぱり論すべきだというふうに私は思っているが、その議論はきょうはここで終わりにします。  そこでもう一つ、機雷の除去の問題で一、二点触れておきたいのは、公海上の機雷の敷設、これは日本向けの武力行使の一環としてなされた場合には日本は除去できるという立場に立つわけですね。しかし、日本向けではなくて、他の国向けの武力の行使の一環として敷設されたものについては、それを除去することは武力の行使に当たるからできないということになるというのが政府見解ですね。日本向けか外国向けかわからぬときはどうするんですか。
  127. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 逆に言いますと、第三国向けであるということがはっきりしていて、しかもそれが第三国向けの武力の行使として敷設されているやつがはっきりしているものについてはなかなかやりにくいだろうと思うんです。そうでない場合は、機雷というのはなかなかはっきりしない場合が多いわけなんですね。そうすると、そこを我が国の漁船や商船が通航するのに非常に危ない、そのときに黙ってほっといていいかという問題があるわけです。だから、機雷の除去については努めてやるべきじゃないか、我が国周辺においては。我が国に対してなされた場合はもちろんいいですよ。そうじゃなくて第三国に向けてはっきり武力の行使としてなされているものについては憲法上の問題があると思います。  しかしながら、機雷の性格上、これは特定の第三国向けですよということをはっきり言っているわけでもない。そこら辺に機雷が浮いているときに黙って見ておっていいかとなると、そうはいかないんじゃないか。そうなってくると、我が国としてそれを黙って見逃すんじゃなくて、やっぱり九十九条に基づいて処理する場合が多いんじゃないか、そういうふうに素直にとればこの問題については非常にいいんじゃないかと思います。
  128. 矢田部理

    ○矢田部理君 余り素直に聞けないんですね。外国向けとはっきりしているやつはだめだと、しかし日本向けではっきりしたやつはとれるが、はっきりしないやつも、それが外国向けであることがはっきりしない以上はやれるというのが日本判断ですか。
  129. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) やれる場合もある。
  130. 矢田部理

    ○矢田部理君 やれる場合もある。機雷に表札がついているわけではないんですね、どこ向けなんという。  それから、もう一つ問題だと思うのは、戦争中、戦闘中に遺棄された機雷があれば、それを回収することができるというか除去することが可能だと、こうも言っているんですが、湾岸戦争の場合は停戦後の遺棄機雷という判断でやったわけだ。これはわかる。戦闘中、これは捨てられたものか敷設されたものか、まだ有効性を持つものかなこという判断が可能ですか。
  131. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 機雷につきましては敷設されている状況あるいは浮遊している状況によってかなり判断が違ってくると思うんです。だから一概に言えませんという答弁を従来から言っておりますのは、これが敷設された第三国向けの敵対した機雷であるかどうかという状況については、やはり機雷のその場の状況によってかなり変わってきますし、戦闘が盛んに行われている真下で掃海そのものがやれるかどうか、そういう問題もあろうと思います。  だから、そういうのを総合的に判断せざるを得ないわけでございまして、我々も憲法九条の敵対行為になるような、武力行使になるようなことはやりたくないわけです。しかしながら、そうでない限りにおいて、我が国の商船のため、あるいは漁船のため、我が国のためにやれることは憲法九条に触れない範囲でできるだけやらせてもらう、そういうふうな考えでございます。
  132. 矢田部理

    ○矢田部理君 事は平時の問題じゃなくて戦闘中の課題、周辺有事のときの問題だということが前提にあるわけです。そうなってきますと、例えば日本海に米艦船、艦艇が入ることは困るということで津軽海峡だとか対馬海峡に、技術的にできるかどうかはあれですけれども飛行機とか潜水艦で、公海として通航、国際海峡として通航できることになっているから、そこに敷設された、アメリカの艦船を日本海に入れることは困ると、そのためのあれだと言われれば、そこの除去、撤去はできないというのがあなた方の見解になりますか。
  133. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 要するに、武力攻撃の一環として敷設されている機雷かどうかという判断をするときに、非常に機雷というのは特殊な性格を持っていると、攻撃が無差別であるとか、あるいは待ち伏せ型だとかコントロールが困難だとか、いろんな特性を持っている独特の兵器でございますので、機雷を単に敷設したことのみをもって武力攻撃の一環として敷設された機雷とは言えないと思うんです。  したがいまして、その敷設国が武力侵攻を容易にするため相手国の港湾を封鎖するなどの武力攻撃の目的を持っており、その武力攻撃の目的のために機雷を敷設し、かつかかる敷設目的が維持されている機雷が武力攻撃の一環として敷設されている機雷であると考えられるわけです。したがいまして、それ以外の機雷、すなわちもともと武力攻撃の一環として敷設されたものでない機雷とか、あるいは一たん武力攻撃の一環として敷設されたがその後はその目的が失われている機雷、それから、例えば……
  134. 矢田部理

    ○矢田部理君 一般論を聞いているんじゃない、わかった上で聞いているんだから。敷設について答えてください。
  135. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 敷設国等が外国に対する港湾封鎖等の武力攻撃の目的のためでなく、単に周辺国等に不安や混乱を生ぜしめるために隠密裏に公海上に敷設したような機雷、これらはいずれも我が国が憲法の範囲内で機雷掃海できるという考え方でございます。
  136. 矢田部理

    ○矢田部理君 これで終わりますが、既に答弁をしたこととか記事に出ていることを今ここで繰り返してもらうために私は質問しているんじゃないんです。問題はやっぱり機雷の敷設とか、それを除去する行為というのは武力の行使に最もかかわる分野であるし、それから直接出撃ということになればより戦闘行動とか武力の行使と密接にかかわる問題だから、そういう危険な道をとるべきでない。とりわけ、憲法上、集団自衛権の行使にかかわるような問題を、一番先頭の武力の行使を小さく解釈して、あるいは凝縮して解釈して、それに連なる一連の行動を切り離すというようなやり方は極めて技術的であり、机上の議論にすぎない。法制局から少し意見を聞き論争をしたがったのでありますが、せっかくおいでいただいたのに残念であります。時間が来ましたので終わりますが、そのことについて特に御注意を申し上げておきたい。  終わります。
  137. 小山峰男

    ○小山峰男君 最初に、気候変動枠組み条約の関係でCO2の関係をお聞きしたいと思います。  五月二十九日にも若干お聞きをしたわけでございますが、いずれにしましても二〇〇〇年目標として九〇年の排出量の基準に抑えるということを我が国は国際公約としてやっているわけでございまして、その後の状況を見るとかなりこの実現は困難だという状況が出てきているというふうに思っておるわけでございます。環境庁あるいは通産省からそれぞれお話をいただいたわけでございますが、その後、環境庁から環境白書が提出されまして、この実現についてはかなり努力が要ると、いろいろの対応が必要だというようなことになっておるわけでございます。  そこで、改めて環境庁それから通産省に、この二〇〇〇年目標達成のための努力についてどのような状況か、できるだけ簡潔にお願いをしたいと思います。
  138. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、我が国の二酸化炭素排出量は近年増加基調でございまして、一九九五年度の値は九〇年度に比べまして一人当たり排出量で六・七%の増加、総排出量で八・三%の増加でございます。このままでは地球温暖化防止行動計画の二〇〇〇年目標の達成は厳しい状況でございます。  このため、本日朝開催をされました地球環境保全に関する関係閣僚会議におきましても、橋本総理から、行動計画の二〇〇〇年目標の達成に向けまして、さらにはその後の一層厳しい対策の実施に備え関係省庁一体となって産業部門、民生、運輸部門においても地球温暖化対策を幅広くこれまで以上に強力かつ効果的に進めるよう御指示があったところでございます。  私ども環境庁といたしましては、地球温暖化防止のための施策を関係省庁協力して充実強化していくこととしておりまして、政府が決めております環境保全に向けた率先実行行動計画を推進いたしまして、例えば二酸化炭素の排出削減に資する低公害車の導入でございますとかエネルギー使用量の削減などに政府みずから努めておりますほか、本年度から地方公共団体の地球温暖化対策事業への補助を開始したところでございます。また、対策の強化には国民の理解と支持が重要でございますので、国民への普及啓発を強化いたしますとともに、国民総ぐるみの取り組みを推進いたしまして、二〇〇〇年目標の達成に向けて最大限の努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  139. 小山峰男

    ○小山峰男君 通産省、お願いします。
  140. 安達俊雄

    政府委員(安達俊雄君) 現在の状況は先ほど環境庁の方から説明があったとおりでございます。一九九〇年から九五年にかけた数字でございますけれども、少しブレークダウンして御説明いたしますと、産業部門では横ばいでございますけれども、運輸部門で一六%増、民生部門で同じく一六%増という相当の伸びになってきておるわけでございます。  こういった中で、本年四月一日の総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして、二〇〇〇年に向けた総合的な省エネルギー対策を取りまとめたところでございます。  努力の一端を御説明申し上げますと、産業部門におきましては、全工場におきまして定量的な努力目標を設定するということで、毎年、年平均一%以上の消費原単位の低減を目標として設定していただきまして自主的な取り組みを図っていただくといったこと、その他住宅用の太陽光発電に対する補助制度の拡充であるとか、もろもろの対策を進めておるところでございます。  またあわせて、この気候変動問題につきましては技術の問題、非常に重要な点がございます。したがって、革新的なエネルギー、環境技術の開発普及、あるいは発展途上国への技術移転、こういったことの総合的な取り組みも極めて重要であるというふうに考えておりまして、国際協力のもとでこうした点につきましても全力を挙げて推進していきたいと考えているところでございます。
  141. 小山峰男

    ○小山峰男君 報道等によりますと、環境庁と通産省が対立しているとか、いろいろ各省間の利害関係があってなかなか実現が困難だというような報道等もあるわけでございます。  そこで、先ほどもちょっとお話ございましたが、デンバー・サミット、あるいはそれに続く国連会議の中で、こういう地球的規模の問題について日本は主導性を持って対応するというようなことで考えられているようでございますが、実際問題として、国内で国際公約が達成できないようなことではまさに国際会議でも十分な対応ができないだろうというふうに思っているわけでございます。ことしの十二月には京都で締約国会議が開かれるというような情勢で、その議長国としての日本責任というのもかなり大きなものがあろうというふうに思うわけでございます。  まず最初に外務省にお聞きしますが、この条約に基づく削減策と排出見通しに関する事務局への報告期限というのが四月十五日に来ているというふうに言われているわけです。まだ提出されていないというふうに聞いておりますが、これはどうしてか、その辺の状況説明をお願いしたいと思うんです。
  142. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 委員指摘報告書は、この条約に基づきまして各国の温暖化対策の実施状況などを情報提供するというものでございまして、私ども政府部内で作業を進めているところでございます。  ただ、我が国の大変多岐にわたっております対策の内容あるいは温室効果ガスの排出量などについての将来見通しなどに関してなお詰めの作業が残っているという状況でございまして、私どもとしましてはなるべく早く的確な内容の情報を送付する必要があると考えておりまして、可能な限り速やかにこの情報を送付すべく引き続き努力することとしておる次第でございます。
  143. 小山峰男

    ○小山峰男君 十二月の京都会議というのが目前にだんだん迫ってくるわけです。しかも、いろいろの国際会議等でそういう地球環境問題のやっぱりリーダーになりたいということだとすれば、この二〇〇〇年以降の目標についても日本として積極的な対応をすべきだというふうに思っております。  昼のニュースを見ますと、けさ橋本総理が関係大臣を集めてデンバー・サミット対応あるいは国連環境会議対応というようなことで急遽会議をやったということのようですが、まさに泥縄式の状況ではないかというふうに思うわけでございまして、こういう問題についてはやっぱりもう少し各省が責任を持ってそれぞれ対応するというようなことにならないと地球そのものの環境が守っていけないだろうと思います。外務大臣、このことにつきまして見解をお願いしたいと思います。
  144. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま委員から御指摘ございましたように、けさ閣議の前に地球温暖化の防止の問題につきまして私ども関係閣僚の会合を開いたわけでございます。それは決して泥縄というわけではございませんで、これまでも関係省庁協力しながらそれぞれの担当の分野において努力をしてきたわけでございますけれども、なかなか状況は厳しいということは先ほど来政府委員から答弁があったとおりでございます。  そういう状況の中で、国内においてもこの問題に有効に対処するための努力をしなくちゃいけないということも再確認したわけでございます。  また、今も御指摘のございましたこの問題に関する国連の特別総会が二十三日から開かれます。さらに、その前にはデンバーでサミットがあるわけでございます。デンバー・サミットにおいても、当然のこととしてこの問題も重要課題の一つとして取り上げられるというか、日本としても提起しようと考えておるところでございますので、そういったことも踏まえまして関係省庁のさらなる努力を誓い合い、さらに具体的に進めていこうということできよう話をした次第でございます。  いずれにいたしましても、十二月に京都で開かれる会議は我が国はホスト国として各国の意見の取りまとめに役割を果たさなくちゃいけないわけでございますので、今後国内においても、また国際的な場においてもさらに努力を加速いたしまして、何とか京都会議において公平でかつ実行可能な、もとより温暖化防止上効果のある法的文書の採択ができるように努めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  145. 小山峰男

    ○小山峰男君 いろいろの省に関係するわけですが、いずれにしても今の状況でいくとやっぱり何らかの法的規制というような形もとっていかなければならないのではないかなというふうに思っております。環境白書の中でも若干炭素税の導入を検討するとかいうようなこともあるわけでございますが、いずれにしてもできるだけ早い機会に国民に訴え、また必要によっては法的規制について立法していくというような努力をぜひお願いしたいというふうに思っております。  それから、ガイドラインの関係につきまして一点だけ質問をさせていただきます。この前もちょっとお聞きしたのですが、もう少し具体的にお聞きしたいと思います。  非戦闘員等を退避させるための活動、いわゆる邦人救出というような問題が今回のガイドラインの中間報告では一応盛り込まれているわけでございます。従来、自衛隊法の百条の八の中では安全が確保されていることが条件となっているというふうに規定されているわけでございます。しかしながら、さきのアルバニア騒乱の際に救出された場合については、ヘリで飛び立つ際には武力集団が発砲する中での救出劇であったというようなことも聞いているわけでございます。  今回のガイドラインでは、周辺事態における邦人の救出についてはこのような状況下での救出も想定しているのかどうか、武力集団が発砲するというような中における救出というものまで想定しているのかどうか、いかなる範囲までカバーすることを想定しているのかということが一点。  それから、大量に輸送しなければならないような場合には当然自衛隊の艦船利用も検討しなければならないというふうに思っておりますが、武器装備した艦船派遣というようなものは海外での武力行使につながるというような見解もあるわけでございますが、こういうものに対する政府の見解をお聞きしたいと思います。
  146. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) ただいま御指摘がございました自衛隊法百条の八は、今お述べになりましたように、安全が確保されている場合ということでございます。しかし、当該地において紛争とか、そういった治安あるいは秩序の乱れがある場合であっても輸送経路の安全が確保されていれば現在の法律のもとで邦人救出等は可能なわけでございます。いずれにしても、輸送経路が安全でない場合には、在外邦人の安全確保という観点からもそもそも目的達成ができないわけでございます。  アルバニアの例を出されました。我々といたしましても、現行の法律はそういうことになっておりますが、状況を把握しなくちゃいけないという問題のほかに、こういった事例も参考の一つといたしまして、国会での御論議を踏まえ、中間レポートから最終レポートにかけてさらに不断の検討を行ってまいりたいと考えております。  それから、艦船の問題につきましては、憲法との関係で申しますと、平和的手段で自衛隊が生命等の保護を要する在外邦人等を現地の抗争地域から日本へ輸送するということは、現在の自衛隊法の規定はともかくとしましても、憲法との関係ではその輸送の手段が航空機かあるいは艦船かということで異なることはございません。  現在のガイドラインの中間レポートにも出ておりますけれども、邦人救出あるいは非戦闘員の救出といったような問題につきまして、いろいろとニーズその他、状況を踏まえながらさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  147. 小山峰男

    ○小山峰男君 今輸送経路の安全が確保されている場合にはという言い方をされたわけでございますが、具体的な問題として、飛行場なりなんなりがかなり騒乱に巻き込まれているような場合というのは想定をしていないということですか。
  148. 秋山昌廣

    政府委員秋山昌廣君) 現在の法律では、そういう場合に輸送ルートの安全が確保されているかどうか、かなり議論があると思います。また、派遣先国の領空通過ないし領域内の飛行の許可が前提になっておりますので、そういった許可がおりるのかといったような問題があろうかと思います。  ただ、現在の法律はそういうことでございますけれども、中間取りまとめにもございますように、法的側面あるいは政策的側面、あらゆる角度からそういった問題についても検討をしていきたいと考えております。
  149. 小山峰男

    ○小山峰男君 終わります。
  150. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  151. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) これより請願の審査を行います。  ILOパートタイム労働条約の批准に関する請願外六十四件を議題といたします。  まず、専門員から説明を聴取いたします。大島専門員。
  152. 大島弘輔

    ○専門員(大島弘輔君) 今国会中、当委員会に付託されました請願は、お手元の資料のとおり総計六十五件でございます。  まず、資料一枚目の第二七六号は、一九九四年にILO総会で採択されたパートタイム労働に関する条約を一日も早く批准されたいというものであります。  次の第二七七号は、在沖縄米海兵隊の米国本土への撤収を求めるための対米交渉を直ちに開始されたいというものであります。  次に、資料二枚目の北朝鮮関係請願のうち、第八五九号は、北朝鮮日本人妻安否確認と里帰りの実現について、第一二一八号は、北朝鮮に拉致・抑留されている疑いのある十数名の日本人の原状回復と真相究明、日本人妻の里帰りと北朝鮮帰国者日本への自由往来等に関し参議院で検討することについて、第二三八五号は、北朝鮮に抑留されている疑いのある二人の失踪日本人の真相究明と返還要求について、第二四七五号は、北朝鮮日本人妻帰国者日本訪問実現に関し参議院で審議、検討することについて、それぞれ求めるものであります。  次に、資料三枚目の第八六〇号は、日韓日中新漁業協定締結、二百海里の全面適用、水産諸施策の積極的展開を要請し、また第二七五五号は、二百海里体制の早期確立のための強力な外交を展開されたいというものであります。  最後に、資料四枚目の両件は、いずれも核兵器完全(全面)禁止・核廃絶国際条約締結に向けた努力を求めるものでありますが、第九二一号は、米国等の大国がいまだ核抑止論にしがみつき、我が国も米国の核の傘に依存し、原爆被害をもたらした国の戦争責任を認めようとはしていないこと、被爆者援護法が適用上の差別を生んでいることなどを指摘した上で核廃絶条約の締結を求めるのに対し、第二一六〇号は、CTBT採択など核廃絶に向けた取り組みが段階的に進められているが、核兵器の脅威を取り除くには、その廃絶以外にないことを指摘し、廃絶条約の一日も早い締結を求めるものであります。  以上でございます。
  153. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第八五九号北朝鮮日本人妻安否確認里帰り早期実現に関する請願外二件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第二四七五号北朝鮮帰国者日本訪問実現に関する請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要しないものとし、第二七六号ILOパートタイム労働条約の批准に関する請願外六十件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  156. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  159. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会      —————・—————