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武田邦太郎君 私は三つの問題について大臣のお
考えを伺いたいんですが、大臣のお返事が長時間にわたりますと三つとも発言することができなくなるおそれがありますので、まず三つの問題を続けてお聞き願います。
第一は、先ほどの高野
委員の御発言と相当通ずるところがあるんですが、
テロ集団が何ゆえに
日本の
大使館を対象にしたかということについて、
日本の経済援助が貧民層のことを
考えない、富める者を利することに急であることという不満を覚えたということを言っておりましたが、これはフジモリ政治を批判すると同時に、
日本の経済援助のキャラクターを問題にしておるわけであります。特に、大統領が日系の方であるということにおいて、
日本の
ペルーに対する援助の姿勢が
日本批判につながりやすい格別の条件があると思うんです。
それから、もし
日本の経済援助が
ペルー国民の一般的な感謝と
信頼に値するものであれば今回のようなことはまず起こらなかったのではないか。つまり、
警備だとか
情報とかということももちろん重大でありますけれ
ども、最も基本的な問題は、
日本が
ペルーの
国民に十分の感謝と
信頼に値する接触をしていなかったかどうかということをより深く問題にしたいと思います。これも高野
委員の言われたことでありますけれ
ども、これはただ単に対
ペルーの問題でなくて、世界のすべての国に対する
日本の政策に照らし合わせて、もっと広い見地から反省する必要があるじゃないかということが
考えられます。
特に、これは直接
日本の援助とか
外交とは
関係ありませんけれ
ども、逮捕した人を何年も裁判しないで投獄
状況に置いているとか刑務所の状態が甚だしく非人道的な残虐性を放置しているというようなことはもちろん
日本と直接
関係ありませんし、大臣等はもちろん
責任があるわけではありません。しかし、最も親近感を持つ
ペルーの国のあり方として、パブリックではなくても、親しく個人的に懇談する機会でもあれば、こういうようなことは
ペルーの国の名誉にかかわることでもあるし、フジモリ政治の重大な評価のかかるところだと、
日本としては何とかフジモリ政治の意義の高まることを熱願せざるを得ないというような
感じのことを適当な機会に、もちろんプライベートでいいからお話しする、こういうような間柄を構築していくことが私などは非常に喜ばしいことだと思っております。
それから第二の問題は、先ほど来の日米防衛
協力のガイドライン見直しについてでありますが、これは非常に
現実的、具体的な
状況がよくわからぬというような御発言もこの
委員会でございました。確かに、それもそうでありますけれ
ども、常識として
日本の周辺の平和とか安全に関する対象は
北朝鮮と中国に決まっている。特に中国が大きいということは恐らく異論の
余地のないところでございましょう。
ところが、
北朝鮮や中国だけに原因があるかといえば、これに対するアメリカの態度、これはアメリカの世界政策の一般的な性格でありますけれ
ども、ややもすると武力に訴えがちである、あるいは平和的な折衝においても武力を背景に意識させるような接触が少なくない。これは最も親愛すべき、また
関係の深い
日本として心からアメリカに忠告しなければならない。アメリカほどの高い知性と経済力、技術力を持っておって、超大国といえば現在ではアメリカ一国であります。そのアメリカがややもするとモラルと英知に訴えること以上に武力に物を言わせる、こういうあり方はアメリカのためによくないし、また世界にとって不幸この上もないことだと思うんです。
でありますから、我々は
北朝鮮に対しても中国に対してもまず無用の警戒感を余り持たないで、機会あらば積極的に平和的な接触をすることができないのか。同時に、アメリカに対しても、
北朝鮮や中国に対して、駆け引きではなくて、本当に人類の一員として心から平和的に共存共栄を願おうじゃないかという姿勢をアメリカはとれないのか、そういうようなことを私はまず
日本の世界政策の基調として、すべての国が
日本という国はそういう国だということを理解し、
信頼するような
日本のあり方が特に望まれると思います。
そういう
意味において、今のままでいけばやがては軍事的な衝突、今のところではアメリカが断トツ、
核兵器でも何でも強力でありますので当分は起きないでしょう。だけれ
ども、仮に大臣が金正日さんあるいは北鮮の
外務大臣と懇談する機会があったら、
現実には当分はなさそうでありますけれ
ども、あったら、あなたの国は強力な軍隊で二日あれば釜山までやっつけるということになっておるが、そんな悠長な戦争ではないと。そのずっと前にアメリカの
核兵器が物を言うだろうし、若干のシェルターがあったってそんなものは役に立たぬのだと、そういうようなことを懇談できるような間柄を、今急にではありませんよ、それは無理な話だ。だけれ
ども、そういう姿勢を持つようなことができないか。
中国が
核兵器の
改善に必死になっていることは想像にかたくありませんが、それでは中国とアメリカとが核戦争で戦う
可能性はそう遠からざる将来に絶無であるかと、仮にそういうことが万々一でもあれば
日本が一番危ないわけですね。核戦争の最前線に立つわけです。したがって、さっきから申し上げておりますような
日本がすべでの国に親愛と平和の精神で触れるということは単なるモラルの問題ではない、
日本の安全と平和の最も大事な問題だと、こういうふうに思います。
時間がもうなくなりましたが、これは私の一番専門だから申し上げるのでありますけれ
ども、食べ物、東北アジアは皆食べ物がなくて困っているわけです。
日本などは三割も自給していない。肉類の輸入を計算に入れれば二割ぐらいしか自給しておらない。中国はまた世界の八%の耕地で二〇%の人口を養うんだと、その人口がまた二倍ぐらい激増するんだと、もう大変な取り組みようであります。しかし、
国民一人当たりの耕地面積からいえば、中国の耕地は
日本の二倍以上あります。韓国は
日本よりちょっと多いです。それでも
日本は
国民一人当たり今三畝ぐらいありますから、一家族三人半として十分食っていけるんですよ。
もう
一つ大きな問題は、経済成長の中で農業の構造を適切に発展させることに大失敗したと、これは
日本と韓国が模範を示しております。中国はそれを見て失敗せぬようにと、こういう二つの角度から共同研究することは非常に大事だと思うのでありますけれ
ども、まずそういう機会を農水省ではなくて
外務省の方でも東北アジア
各国に呼びかけることをお願いできないか。大臣のお返事の時間がなくなりました。申しわけありません。ちょっといただけますか。