○椎名素夫君
ガイドラインの
見直しの問題ですが、これは秋に向けてまだ
作業中であるということで、どういうものになるかということは将来の
日本の
安全保障にとって大変大事なことであると思っております。したがって、できるだけいいものができるようにもう一段の御
努力をぜひお願いしたいということをまず申し上げて、きょうは専らこちらが一方的にまた
意見を申し上げるということにとどまるかと思いますけれども、御勘弁を願います。
日米安保
関係というのは四十年続いたわけですが、非常にうまくいったということになっているわけですね。事実そうだろうと思うんです。しかし、うまくいったというのは、要するに
軍事だけじゃなしに、いろいろな要素が
日米安保条約の中にはありますけれども、一番やっぱり根幹というのは
安全保障の問題である。その
安全保障の面で一度も実地にテストされたことがないという幸運に恵まれたということは非常に大きな要素だろうと思うんです。
私は前にもどこかで言ったことがありますが、
日米安保というのがあって、
日本の
有事のとき、それから
周辺で事が起こったとき、
日本は安心だということで、天井についているスプリンクラーみたいなもので、天井を見上げるとちゃんとスプリンクラーの水の出口があるから、火事が起きても水がジャーと出てきて消してくれるようになっておるということでずっと安心してきて、事実火事も起こらないできたわけです。
よく
考えてみると、本当に水道管につながっているかどうかというのはわからないようなところがあったわけでありまして、それからテストしてみたことがない、天井裏へ入ったこともない。そこで、いざというときがもしあるとすればどうするかということはずっと話にはなっていたんですが、火が出なかったものですから、それはやっていなかった。
冷戦が終わって、去年、橋本さんとクリントンさんがこれやっぱり大事なんでもう一度きちっとやりましょうと。簡単に言えばそういったわけですが、この機会にもう一度そこのところをよく調べようじゃないかということだろうと思うんですね、この
ガイドラインの
見直しというやつは。
別の例を言いますと、本当は安心のためには福岡まで行ってなきゃいけない、だけれども当面切符を買うお金も余りなかったので、この前の
ガイドラインでは名古屋あたりまでは切符が買えたということで、その後一体どうするんだと、歩いて行くのかというような懸隔があったところを、もう少し先まで行けないかというようなことでいろいろな
作業をなさっているということなんだろうと思うんです。
今まで成功する
同盟関係であったというのは非常に運のいいことだったんですが、今のこの
作業でとりあえず今御報告のあったようなことをさまざまな条件をつけながらやっておられて、そして秋ごろには、防衛小
委員会ですか、今実際
作業をやっているのは、そこでこれでいいだろうというので両方が同意をして最終報告が出るという運びになる。よかったよかったといって手元にあればシャンパンぐらい飲んでお喜びになるんだろうと思うんです。そこらあたりは割に簡単なことなんでしょうね。というのは、大体専門家の集まりでありますし、
アメリカ側の人たちは
日本との交渉ということについてもエキスパートな人が出てきているので、前のときに比べれば大分よくなったというようなことを言う連中もいたりして、言ってみれば今度は岡山ぐらいまで来たかなという感じじゃないかと思うんです。
しかし、一番大事なことは、例えばさっき行き先は福岡だと言いましたが、福岡でも長崎でもいいんですが、事が起こるのはあっちの方なのに、岡山あたりまでの切符しか買わなかったというような話になると、今までのようにうまくいって、運がよくて何事も起こらないときはまた十年シャンパンが飲めるというような感じになるんですが、起こったときにどうするかという話をしているわけですね、これ。
きれいな紙を書き上げるということは、この交渉においてのチームの同意ができるというそこにとどまるわけですが、さっきも言いましたように、その同意を得るということは難しいといっても割に簡単なことである。しかし、現実に事が福岡で起こったということになったときに、
日本はどこにいるんだといったら、いやまだ岡山ですということになると、この
作業をやったチームの人たちがそのときどう
考えているかというふうなことは余り問題じゃない、もう消し飛んでしまう。
アメリカという国の癖からいいまして、重要なのは、やっぱり議会が何を言うか、そして
アメリカの世論一般がどういうように
考えてどういう反応をするかということであって、そのときに、なんだまだ岡山にしかいないのかというような話になったら大変だと私は思います。これがこういう
作業の一番重要な核心
部分であるということをよくお心得になって、この
作業は最終に向けて進めていただきたいと私は思います。
しつこいようですが、さっきのもう一つの例を取り上げると、天井に潜って水道管が本当にこのスプリンクラーの蛇口まで来ているかというのを見てみたら、大分はるかかなたまでしか来ていなかった。これじゃいけないというのでもう少しパイプを継ぎ足してきて隣の部屋までは今度は引けたといってシャンパンを飲むというと、この部屋で火が出たときに水が出てこないということになると困るんですね。これがこういう
作業をやる本当の
目的である。それを忘れて、とにかく隣の部屋まで来たんだから、前よりは随分近くまで水が来ているんだしといってみたところで役に立たない。あるいは、福岡で事が起きたときに岡山にしかいないというんだったら、これもまた役に立たない。そういうことにならないようにひとつぜひお願いをいたしたいと思うんです。
私の個人的な余り権威のないことでありますけれども感じを言いますと、まだ少し隔たりがあると思っております。なぜならば、先ほどのいざというときの
作戦計画というものの中から、今
アメリカは
日本を完全に除外して
考えることにしている。あしたの天気、雨が降ったらどうするか、雨が降ることを勘定に入れて、あるいは雨が降らないことを勘定に入れて運動会をやろうと言っていて、雨が降ったらめちゃくちゃになってしまうというような当てにならない要素に
日本がとどまっている限りは、恐らくそのときの役に立たないし、また同時にプランというものがないと訓練もできないんですね。
そういうもろもろのことを
考えて、目標というのは福岡で起こる
事態、この部屋に火が出たという
事態についてどうしておくかということにあるということを、一生懸命いろいろああでもないこうでもないという
議論をやっているとそういうことを忘れてしまって、福岡なんて言っていたけれども、ここもいい場所だし、しばらく岡山で暮らすかといって住所登録なんかやってしまうようなことがないようにぜひお願いをしたい。
これだけ申し上げて、私の
質問は特にありませんので、終わりにいたしたいと思います。