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国務大臣(
池田行彦君) 八日、米国ハワイにおいて日米の外務、防衛担当の
局長級による
日米防衛協力小
委員会を開催し、これまで行ってきた「
日米防衛協力のための
指針」の見直し作業についての進捗
状況及び検討内容を整理し、「
日米防衛協力のための
指針の見直しに関する
中間とりまとめ」を採択し、公表しました。
日米同盟
関係は、
日本の安全の確保にとって必要不可欠であり、またアジア太平洋
地域における平和と安定を維持するために引き続き重要な
役割を果たしてきております。
冷戦の終結にもかかわらず、この
地域には不安定性と不
確実性が依然として存在しており、
日本周辺
地域における平和と安定の維持は
日本の安全のために一層重要になっております。日米両国
政府は、このような冷戦後の情勢の変化にかんがみ、現行の
指針のもとでの成果を基礎として、
日米防衛協力を強化するための方途を検討することを決定し、平素から行う協力、
日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等、及び
日本周辺
地域における事態で
日本の平和と安全に重要な影響を与える場合、いわゆる周辺事態における協力について
日米防衛協力小
委員会において検討を行ってきたところであります。
新たな
指針を策定する最も重要な目的の
一つは、
日本に対する武力攻撃または周辺事態に際して、日米が協力して効果的にこれに対応し得る態勢を構築することであります。
新たな
指針は、平素からの、また緊急事態における日米おのおのの
役割並びに相互間の協力と調整のあり方について一般的な大枠と方向性を示すものであり、新たな
指針策定後の共同の取り組みにガイダンスを与えるものであります。
指針見直し及び新たな
指針のもとでの取り組みは次の基本的前提及び
考え方に従い行われることが日米間で確認されております。
すなわち、
一、日米安保条約及びその
関連取り決めに基づく権利義務及び日米同盟
関係の基本的な枠組みは変更されないこと
二、
日本のすべての
行為は、
日本の憲法上の制約の
範囲内において、専守防衛、非核三原則等の
日本の基本的な方針に従って行われること
三、日米両国のすべての
行為は、
国際法の基本原則及び
国際連合憲章を初めとする
関連する
国際約束に合致するものであること及び
四、
指針見直し及び新たな
指針のもとでの作業は、立法上、予算上または
行政上の措置をとることを義務づけるものではないこと、しかしおのおのの
判断に従い、努力の結果をおのおのの具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待されることであります。
中間取りまとめは、このような
指針の見直しの背景、新たな
指針の目的、基本的な前提、
考え方を述べた上で、新たな
指針のもとにおける日米協力、すなわち平素から行う協力、
日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等と周辺事態における協力、さらに新たな
指針策定後の取り組み並びに新たな
指針の適時かつ適切な見直しの諸点について、
日米防衛協力小
委員会の
協議の概要を記述しております。
なお、中間取りまとめに言及されている
考え方や具体的な協力項目は、これまでの
日米防衛協力小
委員会の作業に基づくものであり、今後のさらなる作業の結果、修正、追加があり得るものであります。
指針の見直しは
我が国の安全保障のあり方の基本にかかわる極めて重要な問題であり、見直し作業については内外に対し透明性を持って取り進めることが重要であると累次申し上げてきております。この中間取りまとめは、まさにこのような
考え方に基づき、国内における
議論の基礎を提供することを目的として、見直し作業の途中の段階で、これまでの一連の日米間の
協議において提示された今後の
日米防衛協力に係る
考え方及び具体的な協力検討項目を整理し、公表するものであります。
今後、この中間取りまとめを契機として、本
委員会を初め国内における活発な
議論が行われることを期待しております。
また、同様に透明性を確保する観点から、韓国及び
中国を初めとしたアジア太平洋諸国に対して積極的に
説明を行ってまいる所存であります。
政府としては、中間取りまとめに示された
考え方及び具体的検討項目の取り扱いについては、
我が国の安全確保のため、憲法の枠内で最も効果的な協力体制の整備を図る必要があるとの
立場から、法的、
制度的
側面を含め、今後、さまざまな御意見、御
議論を十分に踏まえながら今秋の新たな
指針の策定に向け取り組んでまいる所存であります。
委員長を初め
委員各位におかれましても、御理解、御協力いただきますようお願いいたします。