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1997-05-15 第140回国会 参議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十五日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動   五月十四日     辞任         補欠選任      依田 智治君     笠原 潤一君      佐藤 道夫君     西川  潔君   五月十五日     辞任         補欠選任      立木  洋君     吉川 春子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         寺澤 芳男君     理 事                 須藤良太郎君                 野間  赳君                 高野 博師君                 武田邦太郎君     委 員                 岩崎 純三君                 笠原 潤一君                 武見 敬三君                 成瀬 守重君                 宮澤  弘君                 猪熊 重二君                 田村 秀昭君                 田  英夫君                 萱野  茂君                 立木  洋君                 吉川 春子君                 西川  潔君                 椎名 素夫君                 小山 峰男君    国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君    政府委員        経済企画庁調整        局長       土志田征一君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務大臣官房審        議官       西田 芳弘君        外務大臣官房領        事移住部長    齋藤 正樹君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省総合外交        政策局軍備管理  河村 武和君        ・科学審議官        外務省総合外交        政策局国際社会  朝海 和夫君        協力部長        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省欧亜局長  浦部 和好君        外務省中近東ア        フリカ局長    登 誠一郎君        外務省経済協力        局長       畠中  篤君        外務省条約局長  林   暘君        通商産業省貿易        局長       伊佐山建志君    事務局側        常任委員会専門        員        大島 弘輔君    説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    石附  弘君        防衛庁長官官房        防衛審議官    柳澤 協二君        外務省中南米局        長        田中 克之君    参考人       海外経済協力基       金理事       清川 佑二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすこ  とがあると認められる通常兵器使用禁止又  は制限に関する条約に附属する千九百九十六年  五月三日に改正された地雷ブービートラップ  及び他の類似装置使用禁止又は制限に関  する議定書(千九百九十六年五月三日に改正さ  れた議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすこ  とがあると認められる通常兵器使用禁止又  は制限に関する条約追加議定書締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○航空業務に関する日本国政府香港政府との間  の協定締結について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) ○航空業務に関する日本国とパプア・ニューギニ  アとの間の協定締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国政府南アフリカ共  和国政府との間の条約締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十四日、佐藤道夫君及び依田智治君が委員辞任され、その補欠として西川潔君及び笠原潤一君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件外一件の審査のため、本日の委員会参考人として海外経済協力基金理事情佑二君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件及び過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約追加議定書締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 対人地雷から生じる惨状を解決することはだれしも強く望んでいる問題でありますけれども、それにもかかわらず、後で数字もお聞きいたしたいと思いますが、この使用あるいはそれによる被害は非常に目を覆うものがあるわけでございます。  我が国は昨年のリヨンサミット全面禁止国連総会決議共同提案国にもなっておりますし、ことしは政府主催対人地雷に関する東京会議、また民間のNGO東京地雷会議97も開かれたわけでございます。こういう中で、もう一段と思い切ったあるいは積極的な日本の対応、活動を望む声も多いわけでありますけれども、まず我が国対人地雷問題解決に向けての基本的姿勢外務大臣からお伺いいたしたいと思います。
  7. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま須藤議員からも御指摘ございましたとおり、昨年六月に開かれましたリヨンサミットにおきましても、この対人地雷の問題につきまして橋本総理から我が国の基本的な姿勢を表明いたしました。それは、まず全面禁止に向けた国際的な努力を支持していくということが第一点であり、第二点はそういった全面禁止が達成されるまでの間においても我が国として自主的な措置を実施していく、こういう点でございます。  それからまた、昨年十二月、国連総会におきまして全面禁止に関する決議案が出されたわけでございますが、我が国共同提案国としてそれに積極的に参加したところでございますし、さらにカナダが、十月でございましたが、対人地雷全面禁止に関する国際会議を主催いたしました。これにも我が国として積極的に参加したところでございます。それからまた、先ほど指摘のございました地雷除去であるとか対人地雷傷害を受けられた方々のリハビリテーションなんかの関係につきまして我が国としていわゆる東京会議を主催したところでございます。そのような取り組みをしておるわけでございます。  これから先に向かってどういうふうな方針でいくかという点でございますが、我が国としましては、なるべく普遍的、実効的な条約を実現したい、こう考えておりまして、基本的にはジュネーブ軍縮会議における議論というものを中心に据えてやってまいりたい、それと同時にいわゆるオタワ・プロセスと言われますカナダあたり中心になって進めております国際協力もこのジュネーブ議論を補完するものとして重要性を持っていると考えますので、双方の議論に参加しながら進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  8. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 私は、この問題につきましては二つ立場から考えることがいいのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。一つ日本自主性で取り組む問題、もう一つはいわゆる国際貢献協力の問題こういうふうに考えたらいいと思うのであります。  まず、日本自体の問題でありますけれども、既に現に生産、保有が行われ、九年度におきましては予算措置もとられている、こういうことでございますので、これは専守防衛国土の最小限の防衛ということであると思いますけれども、この予算等の実情、そして戦後五十年以上、地雷は使わない、輸出もしない、そういう中でこの地雷必要性についてどう考えておられるのか、これは防衛庁にお伺いいたしたいと思います。
  9. 柳澤協二

    説明員柳澤協二君) お答え申し上げます。  我々が陸上防衛というものを考えます場合に、御承知のように、日本という国は非常に縦深性と申しますか、非常に細長い地形をしておりまして、またいろいろ複雑な地形もあるわけでございますが、そういうあらゆる地形的な要素その他を考慮して相手侵攻をできるだけ阻止するということを考えるわけでございます。その場合に、地雷というのは、対戦車地雷対人地雷、私ども両方持っておりますけれども、いずれも相手方の侵攻を食いとめるための障害をつくるという意味で、私ども陸上防衛の考え方の中では一つ有効性のあるといいましょうか、私どもは基本的に必要なものであると考えておりまして、予算的には、九年度におきましては対人地雷については約七億円の予算を組んでおるところでございます。
  10. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 先ほど大臣から話がありましたけれどもリヨンサミット日本自主的措置を講ずるということを表明しておるわけでありますけれども、あくまでこれは対人地雷全面禁止に向けての一つのステップというふうに考えていいのか、その真意の問題と、何項目かありますけれども、まだ一年程度ですからなかなか進んでいるかどうかわかりませんが、この履行状況について簡単に御説明いただきたいと思います。
  11. 柳澤協二

    説明員柳澤協二君) 昨年のリヨンサミットの折に私ども外務省と御相談をさせていただいて、日本の独自の措置といたしましては、自衛隊におきましてはいわゆる自己破壊装置を有しない地雷調達は行わないということ、それから自己破壊装置のついていない古いタイプ地雷については逐次自己破壊装置つきのものへの改修を進めるということを言っております。  さらに、この議定書の中では、一定の制限の中で自己破壊装置のついていない地雷使用の道もあるわけでございますが、そういうタイプ地雷日本としては使用しないということを言っております。  さらには、これは当然のことでございますが、地雷輸出は引き続き行わないということも申し上げているところでございまして、具体的な措置としては、当然調達に係る予算の執行は自己破壊装置つきのものに限られておりますし、古いものの改修につきましては、八年度、これは予算にはなかったわけでございますが、実行措置自己破壊装置つきのものに改修するための信管の改修研究開発に着手したところでございます。
  12. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 前文かなんかにいわゆる全面禁止合意に向けてですか、そういう文言があるわけですけれども、この自主規制の問題はそういう方向に向けての規制というふうに考えてよろしいわけですか。
  13. 柳澤協二

    説明員柳澤協二君) 私どもとしても地雷に限らず全般的な軍縮努力にできるだけ協力をしていくことは当然と思っておりますし、先ほど申し上げましたこういう自主的な努力についても、やはり全体的には世界的にあらゆる国を包含した全面的な禁止動きに資するものという位置づけで我々も考えているところでございます。
  14. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 若干答えが難しいと思いますけれども一つはこの地雷の効用についていろいろ疑問がある。それから、今の項目の中に、いわゆる代替手段ですか、そういうものの可能性を探ると、こういうことがあるわけですけれども、この辺は実際に可能性としてどう考えているのか、難しいでしょうけれども、お答えいただければと思います。
  15. 柳澤協二

    説明員柳澤協二君) 対人地雷効果については確かにいろいろ言われております。ただ、私ども防衛を担当する立場で申しますと、特に我が国専守防衛が基本的な方針でございます。いつどこに攻め込んでくるかというのは基本的に相手の選択に任されておるものでありまして、その際に私どもとしては地形、地物を利用することは当然でございますが、基本的には、非常に優勢なものが上がってきた場合などにはあらゆるものを駆使して防衛しなければならないと思っております。そういう観点で見ますと、障害物になって相手侵攻をおくらせるという意味で、我々はその効果がないということは全く考えていないところでございます。  代替手段については、また答弁いたします。
  16. 石附弘

    説明員石附弘君) 代替手段についてお答えを申し上げます。  リヨンサミットの際に、先ほど先生指摘のとおり、我が国としては、第一項目で「対人地雷全面禁止に向けた国際的な努力を支持する。」ということでございまして、これは防衛庁としても全くそのとおりと考えております。  二つ目に、「国際的な全面禁止に関する合意が達成されるまでの期間、我が国自主的措置として、以下の措置を講ずる。」ということで四項目ございますけれども、その第四項目めに「一般市民被害を与えるおそれのない、対人地雷代替手段検討早期に進める。」ということを明記したところでございます。  実は、先ほど先生指摘のとおり、まさに一般市民への被害、特に婦女子への被害というのが世界的に大変大きな人道的な問題になっているところでございます。他方、対人地雷代替手段の方でございますけれども、これにつきましては現時点で実用可能な有効な代替手段というものが世界的に見てもまだ一般的には実用化されておらないということは承知をしておるところでございます。  さはさりながら、日進月歩の時代科学技術革新時代でございます。そういう意味で、防衛庁としても幅広く世界のこの種の技術あるいは研究進捗状況というものも視野に入れて、この分野での検討に関し一層努力していきたい、こう考えているところでございます。
  17. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 日本国土防衛という非常に最大の重要な問題でありますので、新しい発想もなかなか出ないと思いますけれども日本全面禁止に向けてイニシアチブなり相当なリーダーシップをとる、こういう面からはできるだけの努力がやはり必要だろう、こういうことでよろしくお願いをしておきたいと思います。答弁は結構でございます。  次に、二番目の国際協力国際貢献の面でありますけれども質問の前に、いろいろこの地雷に関するデータが出ております。国際社会における対人地雷埋設状況被害者状況及び生産状況、こういうものに関する現状を政府としてはどう把握、認識しているのか、その辺をまずお伺いいたしたいと思います。
  18. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 国連人道問題局というのがございますが、国連人道問題局推計でございますけれども対人地雷が埋設されているのは世界六十八カ国、数としては一億一千万個以上ではなかろうかという推計がございます。そのほか例えば死傷者推計、毎月二千名以上ではないか、あるいは負傷者世界全体で二十五万人ではないかといったような推計もあるわけでございます。  ただ、生産状況につきましては、この対人地雷というものは比較的容易にといいましょうか、簡便に安価に生産できるというような特別な事情もございまして、生産状況世界的にどうであるかについては明確なデータは持ち合わせておりません。国連としてもそういうデータは把握していないと承知しております。
  19. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 いずれにしろ大変な状況と思うわけでありまして、これからできるだけ早く、しかも地道にこの問題に対応していく必要がある、こういうふうに思っておるわけであります。その一つとして、今回のこの改正された地雷等に関する議定書、これができるだけ早く発効する、効力を持つということが重要だと思いますけれども、なかなかこの発効についてもいろいろ難しい面があるようでありますが、この発効見込み等についてお答えいただきたいと思います。
  20. 河村武和

    政府委員河村武和君) 今御審議をいただいておりますいわゆる改正議定書につきましては、ことしの五月二日現在国連の方から得ております情報によりますと、四カ国、デンマーク、ドイツ、アイルランド、カンボジアがこの議定書締結しているという情報を得ております。同時に、この問題に関します国際的な関心の高まりの中、その他の国々でも締結に向けた作業に鋭意取り組んでいると聞いておりまして、豪州は既に議会手続は終わったという情報がございます。また、アメリカ、ノルウェー、スウェーデン等議定書議会提出済みというぐあいに承知しております。それから、国連事務総長赤十字国際委員会が各国に早期締結するようにという呼びかけを行っているほか、昨年十二月に先ほど大臣からも申しました両議定書早期締結をうたいました国連決議が圧倒的多数で採択されているところでございます。  今申しましたとおり、かなりの国が締結手続を進めているところではございますけれども、いずれにいたしましても議定書発効するのは二十の国が議定書に拘束されることに同意する旨を通告した日の六カ月後ということでございます。我が国といたしましては、いずれにしてもこの議定書早期発効することを強く期待している、こういうことでございます。
  21. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 それはそういうことなんでしょうけれども、問題は常任理事国、そしてドイツカナダ、七つになりますか、こういう主要国がいわゆる対人地雷全面禁止に向けてどういう考え、いろいろ思惑等々伝えられておりますけれども、この辺、七カ国についてどれくらいの情報をつかんでおるのか、それについてお聞かせいただきたいと思います。
  22. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど政府委員からの答弁の中にもございましたように、常任理事国のうち米国につきましては既に議会へ提案しておるわけでございます。  そのほかに最近の動きでございますが、英国が政権の交代がございましたが、その後、英仏独の三国の外務大臣が会談いたしました際に、この対人地雷全面禁止の問題についても協力しながら前向きに取り組んでいこうといった合意がなされたと承知しております。その中で、常任理事国ではございませんけれどもドイツは既に締結手続を終えているというのは先ほど政府委員答弁したとおりでございます。  しかしながら、常任理事国の中でもロシアそして中国というところは必ずしもこの動きに積極的とは申せないところがございますので、我が国を初め全面禁止に向けて国際的努力を進めていこうというふうに考えておる立場の国といたしましては、そのような国に対しても真剣な取り組みを慫慂していく、こういうことが肝要かと考えている次第でございます。
  23. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 日本が一番先を行っているということでもないようですけれども外交努力でひとつできるだけ、特に中国ロシアとあるようですけれども、その辺の外交に頑張っていただきたい、こういうふうに思います。  いよいよ本当に地雷問題について日本技術なり人なり物なりあるいは金、こういうことで地雷問題解決協力貢献が必要と思うわけでありますし、これは国際的にも強く要望されておることではないか、こういうふうに思うわけでありますが、いろいろどうもネックがあるように見られるわけです。  まず一つは、地雷探知除去技術、これは日本自衛隊等相当優秀な技術もありますし機材もある。これは貢献するということでも武器輸出原則の問題でなかなか難しいのかどうか。これについては今どう対応しているのか。
  24. 川島裕

    政府委員川島裕君) お答え申し上げます。  まさに御質問のとおりなかなか難しい、整理を要する点がある問題でございます。御承知のとおり、政府といたしましては武器及び武器技術輸出については武器輸出原則及び武器輸出に関する政府声明等で対処してきているわけでございますが、地雷の問題につきましては探知とか除去のための特定の技術武器輸出原則等における武器技術に当たるかどうかということが問題になるわけでございます。これは、その技術を個別具体的に検討する必要があるものでございますから、一概に断定的なことは申せないわけでございます。  要は、当該技術軍隊使用するものであって直接戦闘の用に供されるものの設計製造または使用にかかわるものであるか、あるいは地雷探知除去以外の汎用用途を有するものであるか等を勘案して判断するということになろうかと思います。  それで、ある技術軍事的用途以外の汎用性を有する装置設計製造または使用にかかわるものであれば三原則に反しない場合もあろうかと思いますけれども、その技術地雷探知除去のための専用、専らそのための技術であって、軍隊使用するものであって直接戦闘の用に供されるものの設計製造または使用にかかわるものであれば、それはやはり武器輸出原則に言うところの武器技術となって、その輸出武器輸出原則に反するということになるわけでございます。
  25. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 ちょっと内容はよくわかりかねますけれども平和目的で使うものをやるわけですから、その辺ひとつしっかり協議して、できるように御努力をいただきたいと思います。  それから、もう一つ大きい問題は、優秀な自衛隊地雷探知等指導等で出ていく、こういうことが極めて有効だと思うわけでありますけれども、例のPKO法国際平和協力法凍結事項にひっかかる、こういうことなのであります。この辺は本当に、この内容からして、ひとつ法を変えてもそういう協力ができるようなことにする考えがあるのかどうか。
  26. 石附弘

    説明員石附弘君) まさに防衛庁として、例えば地雷探知あるいは除去ということについて人的な派遣をする場合の問題で、ついてはその一つとして先生今御指摘PKO法の関連の問題ということがあることは間違いございません。  自衛隊がいかなる形で国際貢献をすべきかということにつきましては、広い意味で国会での御議論また国内世論、あるいは国際的な動向ということを注視していかなければいけないと思いますが、今の法律論としては、私どもとしてはこう考えているわけでございます。  先生承知のとおり、自衛隊部隊等が行う国際平和協力業務の一部、いわゆる平和維持隊本体業務というものがございますけれども、これにつきましては「別に法律で定める日までの間は、これを実施しない。」とされているということで、これは附則第二条にそういうふうに書いてございます。一般に、国連平和維持活動における地雷除去という業務、これは平和維持活動等に対する協力に関する法律の第三条に用語の定義というのがございますけれども、その第三号の二「放棄された武器の収集、保管又は処分」、これに該当するものと考えられるわけでございます。したがって、自衛隊の部隊が行う地雷撤去ということを目的とするような業務はただいま凍結の対象になっているというふうに私どもとしては考えておるところでございます。  もう一つ国際貢献ということでございますけれども、実はこれいろいろな対応がございます。例えば、先ほど外務省からもお話ございましたとおり、地雷全面禁止に向けての、国連であるとか軍縮会議であるとか、あるいはもろもろのそういう国際的な努力、あるいは関係機関、団体あるいは国の組織、軍の組織といいますかの関連の会議がございます。そういう国際会議へ参加をして自衛隊としての知見あるいは今後の地雷に関する問題に対する意見というようなことを積極的に述べる。さらに、自衛隊としてのこの分野での研究開発、さらには先ほど御紹介いたしましたけれども我が国としての自主的な使用制限ということを通じての国際協調、そういう意味での国際貢献のあり方という部分もございます。  いずれにいたしましても、自衛隊としては現在の可能な範囲内で協力をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  27. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 多少応用動作でできるような話もありますけれども、基本的にはやはり思い切ってできる法改正なり輸出協議、こういうものをしっかりやる必要があると私は思っております。  結局は最後の金の面の支援、協力になっておると思うわけでありまして、地雷除去の費用あるいは犠牲者への支援、こういうものに日本の支援が行われておると思いますけれども、どこへどの程度行っているか、あるいはまた世界の主要な国の中で日本のその額はどんなふうになっているのか、これを教えていただきたいと思います。
  28. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 資金面の御質問でございますけれども、例えば国連等でございますが、累計で約二千六百万ドルの資金協力を行ってきております。アフガニスタンに難民帰還支援基金というものがございますが、そこに千六百万ドル、カンボジアには地雷対策センターというのがございますけれども、そこに三百七十五万ドル、旧ユーゴに三百万ドル、国連地雷除去信託基金三百十万ドル、米州機構の中米地域地雷除去作業特別基金、そこに二十三万ドル、そういったような資金協力を行っているところでございます。
  29. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 それは主要な国に比べてどんな位置にあり、また日本への評価はどういうようなことになっているのか。
  30. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 手元に数字を持ち合わせておりませんけれども、例えば国連地雷除去信託基金への日本貢献は、私の記憶でございますけれども、一位がEU、十五カ国合計が一位だったと思いますけれども日本は二位ないし三位、あるいはその他の、ただいま申し上げました幾つかの基金への日本貢献も相当上位の方であると記憶しております。
  31. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 これで終わりたいと思いますけれども、この地雷の問題は極めて人道的また平和的な仕事であるというふうに思っておりまして、金だけではやはりだめ、技術も物も人もしっかり出せる、そういう方向で強力な外交努力もお願いいたしたいと思います。  以上で終わりたいと思います。
  32. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 平成会の田村秀昭でございます。  本日の地雷議定書につきましては賛成でございますので、ほかの問題ですが、外務省にお聞きしたいと思います。  まず、北朝鮮による日本人拉致疑惑問題について質問させていただきます。  横田めぐみさん初め七件十人の日本人が北朝鮮工作員に拉致されたと政府も認定されておられます。横田めぐみさんのお父さんも言っておられますが、政府はこれからこの問題について最善の努力をするというふうにコメントされていると聞いております。最善の努力をするというのは具体的にどういう行動をおとりになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  33. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 御指摘の横田めぐみさんの件も含めまして、いわゆる拉致の疑惑の問題につきましては、当然捜査当局におきましては行方不明になっておられる方についてのいろいろな情報の収集その他の捜査は引き続き行われると考えておりますし、我々外交当局としましても、事柄、事件の性格上大変難しい点はあるわけではございますけれども、これまでもいろいろな形で情報の収集に努めてきたところでございます。今後とも、この問題を解決するためにどのような方法が有効であるかを考えながら、探りながら、何しろ我が国の国民の安全にかかわる重要な問題でございますので、制約のある状況ではございますけれども、でき得る限りの努力をしたい、真剣に対処してまいりたい、こう考えているところでございます。  情報収集につきましては、事柄の性格上非常に微妙なところがございます。一つは、御本人の安全にかかわることでもございます。それから一方では、情報を収集する情報源と申しましょうか、そちらとの関係におきましても、どういうところからどういう形でどういう情報を入手しているのかということはなかなか申し上げにくい点もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、でき得る限りの手を尽くしまして真剣に対処してまいりたい、こう考える次第でございます。
  34. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 外務大臣のお気持ちはよくわかるんですが、私は、ここのところいろいろ起きている問題、ペルーの事件にしても尖閣列島の問題にしても、みんな共通に、戦後我が国は独立国家としての機能を国家としては持っていないんじゃないかというふうに思うんです。例えば、アメリカでしたらこういう問題はCIAとかNSAとか、そういうところがやるんですね。ですから、例えばテロに対して屈しないといっても、屈しないためにはそれだけの準備をしておかなければいけないわけです。こういうことというのは、起きたらいつも同じような対応になるんじゃないか。  しかも、この北朝鮮の拉致事件というのは南への工作のために北朝鮮の国家としてやっている国家犯罪だと私は思うんですが、それはもう二十年ぐらいたっているわけです。それで、情報収集とおっしゃっても、国交のない国に対してそういう情報収集できるのか。具体的にどういうことを外務大臣がおっしゃっておられるのか私よくわからないんです。国家としての機能を二十一世紀に向かって持つというお考えはないんですか。今のままじゃ何にもしないというのと一緒です。何にもできない。幾らしたくてもできないというのが今の日本状況ではないだろうか。  だから、こういう問題に対して、これからも起きるだろう事件に対して対処できるのか。いつも反省のもとに、教訓のもとにどうのこうのと言っておられますけれども、何にも教訓が生かされていない。湾岸戦争のときから全然生かされていない。いわゆる冷戦が終わってからの、冷戦まではアメリカとソ連が世界の政治をやっていたわけですから、日本日本の政治を、予算を分配すればいいわけですから、国内的に。そういうことをやっていただけだ。世界の平和とか自由貿易の体制とか、あるいは危機に対してどうするかとか、そういう国家としての機能が満たされていないわけです。特に、軍事を拒否してきた国ですから、まさにそういう暴力というものに対してはきちっと対処できるような体制にないわけです。  私はもう一度お尋ねしますけれども、そういう体制にないのに最善の努力をするということは具体的にどういうことなのか。それでは非常にわかりにくいんじゃないかというふうに思うんです。どういう情報を収集されるんですか。どこで情報を収集するんですか。
  35. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 我が国が国家としての機能を果たしていないではないかという御指摘につきましては、にわかに同意しがたいところでございます。それは、我が国の憲法を初めとして、国としてのどういうふうな体制で国際社会の中で名誉ある存立を維持しその役割を果たしていくかということは、国会を初めとして国民の合意のもとに定められておるわけでございまして、そういった枠組みのもとで私どもとしては国家としてのきちんとした機能は果たしていかなくちゃいけない、またそのように努力していると考えております。  御指摘の北朝鮮による拉致の疑惑の問題につきましても、それはいろいろな面で制約はございますけれども先ほども申しましたように、捜査当局も国家機関のきちんとした一部でございまして、捜査当局は捜査当局としての責務、役割というものを考えながら手を尽くして捜査活動は行っておられる、このように承知をしております。  我々外交当局といたしましても、先ほど申しましたように、情報源その他、あるいは情報収集の具体的な方法については御本人の安全その他の観点から申し上げましてなかなか公にできないというところについては御理解をちょうだいしたいわけでございますけれども、我々なりに手は尽くしているということは申し上げさせていただきたいと思います。  ただ、それが本問題についてこれまでのところ具体的な成果となってあらわれていないという点については御指摘のとおりでございますけれども、引き続き努力すると申し上げていることを御理解賜りたいと思います。  なお、湾岸戦争の教訓も生かされていないというお話もございましたが、委員も御承知のとおり、その際にもいろいろな事情がございました。そして、我々としましては国民の皆様方に新たなる税の御負担をお願いしながら、この解決のために国際社会活動する上において必要な資金を拠出したわけでございますし、また戦争終結後ではございましたが、自衛隊の掃海部隊を派遣し、国際社会で評価されたということは委員も御記憶だと思います。また、そのような湾岸戦争の際のいろいろな教訓あるいは反省というものを踏まえまして、国会でもいろいろ御審議を賜りまして、いわゆるPKO活動などにつきましても、まだいろいろな制約があるのは事実でございますが、それを実行していくための法律的な枠組みもでき、自来、いろいろなケースにおいて自衛隊を含めましてPKO活動を通じて国際的な役割を果たしているのは御承知のとおりでございます。  我々も将来に向かって、日本国として、国家としてそのような国民の安全を守るという面においても、あるいは国際社会において安定のために役割を果たすという面でもしっかりと努力をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  36. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 外務大臣、私は、皆さんが一生懸命やっておられること、あるいは国家としての、私の申し上げているのは国家としてそういう機能する部署がないということを申し上げているんです。機能していないというふうには申し上げていない。だから、そういう普通の状態と違う状態に対して、そういう状態が起きたときにきちっと国家として対応できる機能を持った組織もなければ、そういうところが欠落をしているということを申し上げているんです。  ですから、その欠落を直さない限り、何回こういうことが起きても同じような、国際社会から名誉ある地位を占めることはできないということを申し上げているんです。それは、申し上げるだけで、いやそんなことないと言われればそれまでなんですから、次に進ませていただきます。  次に、この前尖閣列島に新進党の西村眞悟代議士が行かれました。私はこの行動に対して非常に高く評価をするものであります。だから、政府のコメントとは全然違います。  それで、この中で政府は実効支配をしているんだからということを言っておられますが、もう六〇年代からここで石油が出るんではないかというようなことで中国の調査船が領海を侵犯している。ことしの四月二十日、四月二十四日も長時間にわたって侵犯をしている。それで、丸腰の巡視船が警告を発しているだけだというのが政府の対応だと私は思っているんですが、いやそうじゃない、ちゃんとした対応をしていると言われるんでしたらちょっとそれをお答え願いたいと思います。
  37. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) 御指摘中国の海洋調査船の活動、これは四月十七日の十時ごろから同じく二十三日の十五時ごろまでの間でございまして、確かに外形上海洋の科学的調査活動と見られる活動を行ったことは我が方としても確認した上で、巡視船から調査船に対して中止を要求した、これは委員が今御指摘になられたとおりです。それから、外務省として在京の中国大使館に対しまして十七日と二十一日に事実関係を照会して、仮に我が方の同意を得ることなく我が国の排他的経済水域において海洋の科学的調査活動を行っているのであれば、直ちにこれを中止するよう申し入れを行ったという経緯がございます。
  38. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 それで、実効支配をしているんだからそういう場所に行くのはよくないみたいなことを政府は言われていますが、実効支配というのはどういうようなことをしているんですか。
  39. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) 実効支配というときには、単に象徴的な編入行為をある島なら島について行うということでは足らないわけでありまして、現に支配権を及ぼすということは必要でございますが、尖閣諸島については日本政府は平穏理に領域の表示、それから地籍表示標柱を建柱したということに加えて、学術調査、測量などを実施して、また尖閣諸島周辺の領海における警備、取り締まりを行っておるわけでございます。  要するに、尖閣諸島というのは現在のところ人が居住していない無人島であります。無人島の場合に重要なことは、他国が何らかの支配的な行為をすることがないように確保しておくということであって、まさにその点は日本の警備活動によって私たちは確保されていると考えておりまして、今御指摘になられました調査船なんかがちょっと前に触れました支配的な行為をしているということにはなっていないと考えております。
  40. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 それと、三点遺憾の意を表明されていますが、国家の安全保障の問題、主権の問題と私有財産の問題を取り違えているんじゃないですか。所有者がどうのこうので、行くのはどうのこうのというようなことを言われているんですが、それはどういうことですか。どうしてそういう論理を矮小化するというか、問題を取り違えているんじゃないですか。埼玉県の所有者が断りもなくどうのこうのというようなことを言われていますね。
  41. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) その点については一昨日の当委員会の御質疑の中でも明らかにしたところでございますけれども委員もおっしゃいましたように、私は三点申し上げたつもりでございます。  一つは、尖閣諸島は我が国の固有の領土でございます。そうしてまた、今も議論ございましたように、現に我が国が有効にこれを支配しているところでございます。そういう状況がございますので、西村議員等が先般行われたように、改めてここへ上陸して我が国の主権があるんだぞということを主張するという必要性は殊さらあるわけではないと。しかも、そういったことをされることがかえって意図した効果とは逆行するような結果をもたらすおそれすらある、他国人によるいろいろな行為を誘発するおそれがあるというようなこともございますので、そういった観点からいいまして、私は、この尖閣諸島は我が国の固有の領土である、そして我が国の主権という観点から見ましても先般の西村議員等による行動というものは決して好ましいものではないということをまず申し上げたところでございます。  そしてまた、それに加えまして、委員今御指摘になりましたけれども、先般西村議員等が上陸した土地というのは私有地でございますが、現にその土地の所有者から政府に対して、これまでもそのような類似の行為があったけれども、それは自分たちの権利を侵害するものであって大変迷惑している、政府としても関係法令に照らして厳重に対処してほしいという要望が寄せられているところでございます。そういうこともあるんだということも申し上げて、それはそれで根拠はあるものだと思います。  さらに、第三点として申し上げましたことは、いずれにいたしましても、尖閣諸島に関する我が国立場は一貫したものであり、不変なものではあるけれども、しかしこの件をめぐる一連の事態によって日中関係全体が損なわれるというようなことはやはりあってはならないわけでございますので、それぞれの立場はあるにしても、関係者が冷静に対処することが望ましいということを申し上げた、こういうことでございます。  その三つの点を総合して御勘案いただければ、政府の申し上げていることが妥当性を欠いているという御指摘は当たらないんじゃないかと思う次第でございます。
  42. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私が西村代議士の行動は高く評価すると申し上げたのは、彼は、政府のそういう弱腰な外交姿勢に対して、相手を刺激したらまずいとか、そういうようなことに重点を置かれているような感じをみんな受けているわけです。そこの中で国家主権というものをきちっとすべきだという立場の主張をされている、一言で言えば。そういうことが本質であって、政府のコメントは私は賛成できません。  時間が来ましたので、最後にペルー事件です。  こういう問題を再び起こさないためには、私は予算委員会のときに、どうしてペルーのリマの日本大使公邸が襲われたんですかと外務大臣にお聞きしたときに、それはMRTAの決めたことだからというふうなお答えだったと思います。大蔵大臣も、株価が上がればそれは市場のせいだというような、何か国家自身が、日本人自身が、昔の日本というのは名誉というものを非常に重んじた国家だったと私は思いますが、その名誉というものが何よりも大切な価値観なんだというようなことが最近大変薄れてきたんではないか。  今後また日本人がねらわれる、そういうことがないようにどうしたらいいかということが今我々に与えられた一番の責任だと思うんです。そういう意味で、なぜ日本はねらわれるんだろうかということについて、今後ねらわれないということも言えないと思うんです。そういう点について、どういう決意で外務大臣は今後外交をおやりになるのかお尋ねして、質問を終わります。
  43. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ペルーの大使公邸が襲撃された理由といいましょうか、それがターゲットにされた理由につきましては、委員予算委員会で御質疑されておりました段階におきましては、我々もいろいろな推測はできないことはございませんけれども、あの段階においては現に公邸を占拠しておったMRTAのメンバー等がどういうふうなことを言っているのか必ずしも情報が十分に入っていなかったこともございましたのであのような答弁をしたわけでございます。その後、事件が決着いたしました後、人質となっておられた大使館員を含む方々から、あの過程におけるいろいろなテロリストとの間のやりとりなども我々に伝えられてきたところでございます。  そういったところを総合いたしますならば、MRTAはペルー政府の要人が多数集まる機会をねらっていた模様であると。そのような観点から見まして、我が国の公邸で行われる天皇誕生日レセプションというのはそういった機会になるんではないかということで、その対象として選ばれたというふうに現段階では推定というんでしょうか、かなりの確度を持って推測されるところでございます。  いずれにいたしましても、我が国、国もそうでございますし国民あるいは企業等も含めましても国際的な活動が非常に多くなってきております。現に年間で千六百万を超える人々が海外に出ておりますし、在住する邦人だけでも七十万を超えておるわけでございます。そのように、世界各地における日本の国あるいは日本国民の存在というものは目立つことになってまいりました。そしてまた、役割も大きくなってまいりますとやはりいろいろな面で目立つ存在になり、こういった事柄の対象として取り上げられる可能性というのは将来ともあるんだと思います。  そういったことを考えますならば、我々はそういった活動そのものを控え目にしろと言うわけにもまいりませんから、そういった活動はきちんと展開していくけれども、その活動を行う場合においても十分な対応、配慮をしていくということが必要であろう。それは、いろいろな情報を収集するということ、そういったことも踏まえながら、いろいろな行事その他の諸活動をする場合の対応等についても意を用いていくとか、それと同時に公館等の警備体制、これは人的な面においても物的な面においてもやらなくちゃいけない。これは従来からも考えておったところでございますが、今回の事件の経験も踏まえて、さらに一層そういった各面での配慮、そして対応を強めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  44. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 一言申し上げます。  各委員が決められた持ち時間の中で審議をしておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
  45. 高野博師

    ○高野博師君 まず最初に、核搭載艦船の領海通過に関して日本が黙認しているということに関するきのうの報道なんですが、アメリカの国家安全保障会議研究メモ第五号に領海通過に関して日本は黙認しているということが明記されていると報道されましたけれども、この事実関係は御存じでしょうか。
  46. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 御指摘の報道でございますが、沖縄返還交渉前の六九年三月のいわゆる研究メモと称する米側の文書でございますが、私どもとしてこれを入手しているわけではございません。また、いずれにいたしましてもアメリカ政府部内の文書でございますので、確定的にその解釈等を申し述べる立場にはございませんが、従来から私ども申し上げてきていることでございますけれども政府としましては核搭載艦の我が国領海通航は無害通航とは認めないとの立場をとっているところでございます。  それから、報道の中に六九年の沖縄返還に際して密約が交わされたとされている云々との記述がございますけれども……
  47. 高野博師

    ○高野博師君 まだそこまで聞いていないんです。聞いておりません、そこは。これから聞くんです。  これはアメリカ側の文書だからということですが、この文書は非常に重要な中身を含んでいるわけです。  この中に、「日本は現在」、というのは返還前ですが、「核兵器を装備した海軍艦船の通過を黙認している。」と。「この権利は」、アメリカ側はこれを権利と認めた言い方をしているんですが、「権利は自動的に返還後の沖縄にも適用される」と。それから、「これは機密にかかわる問題で、少数の関係者だけに限られた情報である」と。恐らく局長のレベルでは知らないだろうと私は思うのでありますが、黙認してきたとすれば国民の生活と安全にかかわる重大な問題だと私は思います。この件に関して、局長が今触れられたこの文書に、「緊急時には沖縄に核を持ち込む」と、その選択肢も提示している。  それで、六九年五月にこの文書に基づいて対日基本戦略文書が採用されている。六九年の佐藤・ニクソン会談ではこの部分が密約として交わされているとされているわけでありますが、その後、八一年にライシャワー元駐日大使が、常時寄港、通過させているというような発言もしておりました。安保改定時のアメリカ側の解禁文書でも日本が寄港を認める密約があった可能性指摘されている、こういうことが言われているわけです。  この点についてはいかがでしょうか。
  48. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま委員指摘のいわゆる密約なるものにつきましては、その当事者のお一人であると指摘されました佐藤内閣総理大臣を含めまして、歴代の総理大臣あるいは外務大臣が明確にその密約の存在を否定してきておるわけでございます。そして、我が国といたしまして、いかなる場合にも核持ち込みに関する事前協議につきましてはこれを受け入れない、拒否するという旨を繰り返し内外に明らかにしてきたところでございます。
  49. 高野博師

    ○高野博師君 日本側が一方的に否定しても、この文書自体はアメリカ側に厳然と存在しているわけです。それに関しまして、トランジットが事実だとすると非核三原則にも反する。  それで、これから日米防衛協力のためのガイドラインの作成において、核搭載艦船の通過、寄港について恐らく表立っての議論はないと思いますが、極秘になされるんだと思いますが、この点、ガイドラインとの関係でどのようにとらえておられますか。
  50. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) まず、米国の核搭載艦船の問題でございますが、我が国の領海を通航するときはいかなる通航であっても事前協議の対象となるということは従来から申し上げてきているとおりでございます。  それから、ガイドラインとの関係でございますが、非核三原則等我が国の政策にかかわる部分については、今のガイドラインの見直しの検討作業の中で検討の対象ということにはなっていないということで今作業をしておるわけでございます。
  51. 高野博師

    ○高野博師君 それでは別のテーマに移ります。  北朝鮮の食糧問題とミサイルの問題ですが、アメリカの下院で、既にこれは外交委員会を通った外交政策改善法案の中に、北朝鮮の軍が備蓄食糧を一般国民に配給しない限りアメリカ政府は北朝鮮に追加食糧支援実施をしてはならないという法案を今通そうとしているということが報道されております。この中で、追加支援に当たっては軍の食糧放出と、そのほかに韓国が反対しない、それから支援食糧が軍部に回っていないという確認、それからWFPの調査、検証に対する北朝鮮側の全面協力、五つ目に北朝鮮の農業基盤の根本的な構造改革を要請する、こういう法案が通りそうだということが言われておりますが、この辺についての情報は持っておられますか。
  52. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 米国の下院の国際関係委員会において外交政策の改革に関する法案が可決されまして、その中に北朝鮮に対する食糧支援に関する条項が含まれているということは承知しております。今後、下院の本会議でこの法案の審議が行われる、そういう段取りになると思うのでございますが、その日程が具体的にどうなるかについてはまだ未定であるというふうに承知しているところでございます。
  53. 高野博師

    ○高野博師君 この法案の五つの項目については、我が国が北朝鮮に援助をするときの参考になる条件として、我が国としても当然こういうことを考慮しなくてはいけないんではないかと私は思っておりますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
  54. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 北朝鮮に対する支援そのものにつきまして、どういうふうに我が国として対応していくか、そのこと自体について今いろいろな要素を勘案しながら、検討の過程でございますので、そういった状況であるということを前提にして御答弁申し上げますが、いずれにいたしましても、過去におきまして、昨年まで行いました人道支援におきましても御指摘の米国の下院における法案に含まれておりましたような諸点、透明性の確保であるとか、支援された食糧が真に必要とされている、また人道支援の目的から届けたいと思われているところへきちんと届くようにというような点については、我が国としてもそのようなことを実行いたします国連機関、あるいはバイでやりました場合には北朝鮮の赤十字関係機関あるいは政党等に対しても求めてきたところでございます。
  55. 高野博師

    ○高野博師君 それから、アメリカの軍の情報として、北朝鮮が開発しているミサイルのノドン一号の最大射程距離がこれまで言われている一千キロではなくて一千三百キロだと。そうすると、日本全土が射程距離の中に入る。それから、米国の偵察衛星が、既にノドン一号が北朝鮮の北東部の日本海沿岸に三基配備されている、さらに七基が近く完成予定だ、計十基配備される見込みだと、こういうことが言われておりますが、この情報は持っておられますか。
  56. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) 確かに、北朝鮮のミサイル長射程化の研究開発というのは、我が国周辺のみならず国際社会全体にまで不安定をもたらす要因として我々も強く懸念しておりますから、いろいろな方面との情報交換、あるいはその方面からの情報入手というものに努めてきているわけでございます。  その内容を個々に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今後とも例えばアメリカとは協力しながら北朝鮮のこういった動向についてできるだけの情報を集めたいと思っております。ただ現在、ノドン一号の開発状況とその配備などについて、これがこうだと明確に申し上げられるような段階にはないというふうに我々は認識いたしております。
  57. 高野博師

    ○高野博師君 できるだけ早急にこの事実の確認を急ぐ必要があると思いますし、対応措置も十分とっておく必要があろうと思います。  日本は、アメリカとの戦域ミサイル防衛構想、TMDの技術可能性を探っているというようなことも報道されております。一方で、北朝鮮が十二、十三日にアメリカで開かれる予定だったミサイル協議を突然延期してきたと。これは軍部が発言力を増してきたからではないかというようなことも言われておりますが、一方で食糧危機が進行しているということで、ミサイルの計画というのは非常に危険度を増しているんではないかということが言われていますが、その辺の認識はどうでしょうか。
  58. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) 委員指摘のような幾つかの状況が最近目立つようなところはあると思っております。そういうことでございますから、私どもといたしましてもいろいろなレベルで、特に米国との関係及び韓国との関係を緊密に保ってまいりたいというふうに考えて、またそのように実施に努めてまいるつもりでございます。
  59. 高野博師

    ○高野博師君 このノドン一号にもし化学弾頭とか、何かそういうものを搭載して日本のどこかに着弾すれば日本じゅうがパニックになるだろうと、そういうことを言っている。これが一つの心理的な威嚇効果を強調している、こう言う専門家もいるという報道もあります。政府は、慎重、真剣に対応すべきではないか、最大の危機管理の能力が要求されていると私は思います。亡命した黄書記の情報でも、核・化学兵器で日本を焦土化するという計画が存在するというようなことも言われております。この点については十分な対応をお願いしたい、そう思っております。  それでは別なテーマに移りますが、時間がないので、幾つかのテーマを用意していますが、簡潔にお願いしたいと思います。  麻薬問題についてですが、去る六日、メキシコを訪問したクリントン大統領が麻薬問題について消費国の責任について初めて言及したと。これまでアメリカは麻薬問題については生産国側に麻薬問題の原因があるというようなことを主張してきたんですが、今回の発言は非常に画期的なものだと私は思うんです。この点についての政府の認識を伺います。
  60. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) 麻薬の問題、委員も御指摘のとおり、近年大変大きな国際的な問題になっております。  アメリカは世界有数のといいますか大変大きな麻薬消費国でございます。他方、メキシコは麻薬の経由国と申しますかアメリカに入っていく麻薬の大きなルートであると認識しております。  そこで、メキシコは、かねてからこの麻薬の問題を国連の場でもあるいはメキシコとアメリカ二国間の場でも有効な取り組みを提唱しておったと理解しておりますけれども、今回のアメリカとメキシコとの会談の結果、その詳細は承知しておりませんけれども、麻薬の問題について両国の取り組みが本格化することが合意されたことは結構なことではないかと考えております。
  61. 高野博師

    ○高野博師君 アメリカは年間五百億ドルほどの消費をしていると言われています。また、年少者の使用者が増加しているというようなこともありまして、生産国側、中南米でいえばメキシコ、コロンビア、ペルー、ボリビアというような国が挙げられると思うんですが、両方の責任というか両方が協調してこの問題に対処していくということになろうと思います。  日本としては、麻薬問題について、麻薬問題はテロと同様にその温床として貧困問題がある、こう言われていますが、貧困問題についてはどのような具体的な政策なり方針を持っておられるんでしょうか。簡単で結構でございます。
  62. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) おっしゃるとおり、麻薬問題の解決につきましても、やはり貧困をどうやって解決するかというのが非常に大切だと思います。そういった意味で、経済協力等を通じましてそういった地域の貧困の撲滅あるいは民生の向上に協力してまいっておりますし、これからもそういった協力を続けたいと思っております。
  63. 高野博師

    ○高野博師君 経済協力との関係ですが、麻薬組織とかテロ組織、これらに対する犯罪捜査の技術的な援助、これは軍に対しては軍事協力になりますので、例えば警察に対しては世界で最も日本が進んでいると言われている指紋の判定機器の供与とか、あるいは今回ペルーの事件でも問題になった刑務所の改善とか、こういうための援助を人道的な観点からできるんではないかと思うんです。経済援助についてはもっと柔軟性というか幅を持たせることも重要ではないかと私は思っております。  経済社会開発が基本でありますけれども、こういう治安問題はまさにそれの根底にある問題でもあるので、ぜひ検討をしていただきたい。テロに屈しないという日本姿勢を具体的に示すという意味でもこれは重要ではないかと思いますが、一言。
  64. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) そういった点につきましては、これまでいろいろな国際的なフォーラムとか、そういったところでも技術的な面も含めまして協力が行われてきたと承知しております。二国間の協力の中におきましても、技術協力、また場合によっては施設その他の改善のための資金の供与ということも考慮してまいりたいと思います。
  65. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、アメリカが南米に対してハイテクの兵器の解禁に動いているという情報がありますが、アメリカが中南米諸国への戦闘機ミサイルを、これは通常兵器として今までも輸出してきたんですが、ハイテクの兵器については一九七〇年代末から自粛してきた。しかし、最近輸出解禁に向けて動いているということが言われておりまして、クリントン政権はチリにF16戦闘機の技術情報提出を認めた、入札の準備を進めたと。これに対してはアルゼンチンが反発をしているということも言われております。全体として中南米は、独裁体制あるいは軍事体制だった南米の民主化が進んだから自粛は必要ないという考え方で自粛見直しの動きがある。その背景には不況に苦しむアメリカの軍需産業の市場確保というのが言われている。  これは、やっと安定した中南米の軍拡競争をあおるんではないかということが言われておりまして、この辺について、例えば日米安保についてはアジア太平洋地域の安定と平和という、地域の軍拡競争を抑えるという意味があるんだというようなことも一つの理由として言われているわけですが、一方で中南米に対しては軍拡競争をあおるようなことをアメリカとしてやるのであれば、これは矛盾するのではないかと私は思うのであります。この辺の動きについて、例えば日米ラ米協議等で日本側から懸念を表明するというようなことが必要ではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  66. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 御指摘のような報道があったことは承知しておりますけれども、米国としてそのような政策を決めたというふうには承知しておりません。いずれにしても、第三国の具体的な政策についてコメントするのは差し控えたいとは思いますけれども一般論として申しますならば、やはりどこかの地域の安定性を損なう、あるいは軍拡競争を助長するというような政策をどこの国も意図してとるということは避けるべきじゃないか、またそういうことは慎重に対応してもらえるんじゃないか、こう思います。
  67. 高野博師

    ○高野博師君 それではもう一つ、ペルーの事件ですが、おとといに私ちょっと言及するのを忘れたものですから。毎日新聞が五月十一日の報道で、流れ弾に当たった女医さんの件を取り上げております。子供さんが四人もいる、だんなさんも病気だと、そういう中で今生活に困っているという、これは事件の流れ弾に当たったということであります。  こういうことに対して、大きな援助も必要だとは思いますが、小さい配慮をした援助も必要ではないかと思うんですが、これについて何か政府として援助をするようなことを考えておられるんでしょうか。
  68. 田中克之

    説明員(田中克之君) 今、先生がおっしゃいました事件については私どもも報道を通じて存じております。また、現地の報道でもそういうのは流されておりました。  それで、実は、率直に申し上げますと、このような事実が本当であるとすれば本当にお気の毒なお話だという感じでおります。他方、私ども、そういう事実があったとして、これが一体だれが撃った弾が当たったのかというような点については今の時点ではまだ全くこれはわからない。他方、一般論としてでございますけれども外交関係に関するウィーン条約というようなものを考えますと、日本政府としてこれに対する法的責任を負う立場にはないというぐあいにはなるわけでございます。  他方において、こういう問題を余り法律問題だけで考えるというのもいかがなものかと思われますものですから、私どもとしましては、本件の事実関係が明らかになるにつれて、そういう段階でペルー政府とも適宜協議して、どういう方法が一番適切かということを協議してまいりたい、こういうぐあいに思っております。
  69. 高野博師

    ○高野博師君 だれが撃った弾かわからないとかウィーン条約云々と、そういうことを言っているようでは僕はおかしいと思う。事件の被害者であることには間違いないわけです。ですから、そういう観点からできるだけ援助をしていただきたいと思います。時間がないのでこれ以上は言いません。  次に、中国の養鰻事業について、これは三月三十一日に当委員会でOECFの出資・融資問題を取り上げたんですが、それとの関連で質問させてもらいます。  中国の養鰻事業、ウナギの養殖については、十三億一千二百五十万、その後また一億二千八百万、そして三回目に八億八千万、一番最後に十億五千万円の融資を基金がやっておりまして、この事業はことごとく失敗しております。最後にやった十億五千万については全く回収の見込みがないということになっております。  それで、私はこれに関係した日盛産業の概要を基金の方から取り寄せたんですが、全くいいかげんな情報しか出さない。この日盛産業について実態を明らかにしてもらいたい。これまでの実績はどうなのか、技術的にはどうなのか、販売のルートを含めて具体的な情報を出してもらいたい。  それから、OECFの融資の決定の過程を明らかにしてもらいたい。五回も失敗している事業に次々と何十億という金を出している。これはODAの金です。その意味では、役員会のあり方あるいは決裁についての総裁のかかわり方。また、中間管理といって中間的にこの事業を調査している。これは一体どういう調査をやったのか、その報告書はどうなっているのか、現場での写真等撮ってきたのかどうか。これも全部提出していただきたいと私は思います。  実は、私のところに内部のいわば告発的な文書が届いておりまして、いろいろ問題はたくさんあります。したがって、一番最後の十億五千万については債務保証がないままに現地の合弁会社をでっち上げてつくったというようなことも言われておりますし、この案件については西垣総裁が独断的にどうも決めているというような情報もあります。国民の貴重な税金を使ってこれだけの事業に合計三十三億七千万以上出しているわけです。これについて私はこの内容を十分明らかにしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  70. 清川佑二

    参考人(清川佑二君) 今、中国の養鰻事業につきまして御指摘がございました。  この案件につきましては、広東省の汕頭の養鰻事業が第一次、第二次、そして広東省の恵州東昇養鰻事業というものがございます。この合計三件につきましては既に債権の回収を終わっているわけでございます。そして、第四番目になりますが、広東省の柏塘の養鰻事業におきましては、まことに残念でございますが、議員の御指摘のように、債権の回収に問題を生じているところでございます。  以上のような状態でございます。
  71. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないんで、説明を私は要らないんです。もう全部知っているんです、それは。今言ったように、日盛産業の会社の実態を明らかにしてもらいたい、こう言っているわけです。  それから、OECFの融資の決定の過程を明らかにしてもらいたい。できれば事業を決定したときの役員会の議事録を出してもらいたい。中間報告そのものもぜひ見せていただきたい。それから、十億五千万が回収できないということに対しての責任は一体だれがとるのか。前回も言いましたけれども、これも明らかにしてもらいたいと思います。  それから、西垣総裁の参考人を私は求めたんですが、海外出張だということでありまして、海外のどこへ行かれているんでしょうか。公務で行っておられるのか、私費で行っておられるのか、いかがでしょうか。
  72. 清川佑二

    参考人(清川佑二君) まず、会社の概要についてでございますが、審査当時の資料によりますと、日盛産業株式会社という会社がございます。これはなお少し補足をいたしますと、本件の事業であります柏塘養鰻事業は中国の会社でございまして、柏塘養鰻有限公司でございますが、この柏塘養鰻有限公司は設備を持っておりますけれども、日盛産業が運転資金を提供するという形で行っている企業でございます。  この日盛産業は昭和四十八年にウナギの販売を目的として創業されておりまして、中国からシラスウナギを買いつけて日本のウナギ業者に卸すことを主業務としてきているわけでございます。なお、これは個人操業をしておりましたが、昭和五十八年から法人組織になっておりまして、中国に対してシラスウナギを成鰻に養殖することの経済的効果を説きまして、日本で開発した高度な養鰻技術中国に導入することによりまして江蘇省での養鰻事業、養鰻飼料の製造事業、広東省での養鰻事業の成果をおさめておりました。中国生産能力のアップとともに、柏塘事業の承諾時点の直近の九三年三月期の売上高は六十四億円、経常利益は二千五百万円でございました。従業員につきましては柏塘事業承諾の九四年の三月時点では三十人程度いたと聞いております。  このような会社でございまして、事業の承諾の時点におきましてはそれぞれの事業は順調に動いていたわけでございますが、その後、この日盛産業が九五年、一昨年になりますが、和議申請を出すに至りまして、運転資金の回転がうまくいかなくなって、中国の養鰻事業が十分に動き得ない状態になっているというのが現状でございます。  なお、役員会での決定のあり方でございますけれども、簡略に申し上げますと、出融資について要請のあった開発案件におきましては、関係部内で審査を行い、そして関係部との合同協議を行い、また政府の関係省庁にも御説明を行って対処方針を定め、その後役員会への説明をしておりますが、このようなプロセスを経た後に貸し付けの承諾稟議の決裁という形で担当課が稟議を起案し、関係課の合議を経て、理事、副総裁の決裁を得た後に、最終的に総裁の決裁を得る形で事業を処理しているところでございます。  それから、中間管理についての御指摘でございましたけれども、基金は金融機関としての立場から、供与資金が効率的に利用されているということを期すこと、また債権の保全を図るという目的で数次にわたりまして中間管理を行っておりまして、本件につきましても帰国後にその調査結果について内部で報告が行われております。  具体的に申し上げますと、この柏塘事業につきましては、九四年三月の承諾の後に九四年九月に現地に中間管理ミッションを派遣し、現地で養鰻場の建設工事が開始されていることを確認し、また九五年五月には養鰻場の建設工事が進捗していることを確認いたしております。九五年十一月には、派遣した中間管理ミッションは養鰻池のほぼ九〇%が完成しているということを見てきているわけでございます。  このような形で審査、それから中間管理などが行われているわけでございますけれども、これにつきまして、それぞれの情報の中には借入人から入手した各種の情報が盛り込まれておりまして、これらの情報は金融機関である基金に対して借入人が出資、融資を前提に提供したもので、民間企業として一般への公表を前提として……
  73. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 参考人、もう少し簡潔に答えてください。
  74. 清川佑二

    参考人(清川佑二君) はい、済みません。御質問も非常に多岐にわたりまして、大変恐縮でございます。すぐに終わります。  一般への公表を前提としていないような資料も含まれておりますので、基金としては守秘義務を負っておりますので、提出は差し控えさせていただきたいと思います。  それから、総裁の出張でございますが、本日から海外出張しておりまして、これは公費で、公用で中国に行っております。
  75. 高野博師

    ○高野博師君 今のお話では全然明らかになっておりません。  最後の第四次の融資については銀行保証がないままに貸し付けたと。そもそも現地につくった会社にもうつぶれそうな日盛産業が債権保全しているということもおかしい話でありまして、債権回収のめどが立っていないままに現在に至っていると。問題なのは、基金が現地の合弁会社に指示してこの事業のバランスシートを改ざんさせているというような情報もあります。この案件については横領の疑いもあるという情報も私に入っております。  したがって、そうでないという明確な証拠を出した上で、この事業は最終的に役員会が決定したのであれば役員会の責任だと私は思いますが、いずれにしても総裁自身にぜひここに来ていただいて明らかにしてもらいたいと私は思います。  時間がありませんので、質問を終わります。
  76. 田英夫

    ○田英夫君 本日の議題になっております地雷に関する議定書、これはとりあえずといいましょうか、地雷について、自分で爆発するといいますか処理できる、そういうものでなければいけないという制限をつけようということのようであります。  地雷については、カナダ中心にいわゆるオタワ・プロセスで全面禁止に積極的な国だけでとりあえず条約をつくろうという動きと、日本政府もアメリカと一緒にジュネーブ国際会議方式と言われている一歩一歩合意をして積み上げていこうという二つの道があるようですが、日本政府がオタワ・プロセスではなくて、いわゆるジュネーブ国際会議方式と言われる方の姿勢をとっておられるのはなぜでしょうか。
  77. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私ども立場は今委員指摘のいわゆるオタワ・プロセスというものの意義を軽んじているわけではございません。これはやはり対人地雷全面禁止に向けた政治的なモメンタムを高めるという上で非常に貴重なものだと認識しておりまして、現に我が国もそういった認識のもとに立ちまして、昨年十月にカナダで開かれました会議にも出席しているところでございます。またしかし、同時に、この対人地雷の問題の解決を図るためにはなるべく多くの国の参加が必要であろうと。特に、地雷使用や移転を行っている国を含む形での条約をつくることが大切だと思っております。  そういう観点から申しますと、軍縮に関する国際条約の作成につきまして、長年にわたりまして経験もあり、また実績も上げておるいわゆるジュネーブのプロセス、ジュネーブ軍縮会議における条約交渉の早期開始ということが大切じゃないかと思って、そちらの方向での努力もしているということでございまして、いわば両方のプロセスは相互補完的なものと考えておりますので、両方を大切にしてまいりたいと思います。
  78. 田英夫

    ○田英夫君 地雷の問題は、もう言うまでもありませんけれども、私は四つの問題があると思っております。  一つは、既に敷設されている地雷除去、これは非常に私は重要だと思います。同時に、そのためには地雷探知してこれを処理する、そういう技術をもっともっと進めないと、今までの技術では一億一千万個と言われるものを処理することは到底不可能だと。それから三番目に、既に地雷被害を受けた住民の皆さんに対する援助、これはいろんなことがあると思います。車いすを提供する問題から義足の問題から、いろいろ日本のNGOの人も随分援助をしているようです。四番目に、今の全面禁止に向けての国際条約を進めていくという問題があると思います。  きょうは、ひとつ既存の地雷除去するという問題について若干私の意見を申し上げてみたいと思います。  この問題については、私は実はカンボジアにかかわってまいりましたので、カンボジアはまさに地雷によって国土の復興がそのために阻害されていると言っていい、そういう状況にありますので、このことにいろいろ取り組んでまいりました。  実は、日本カンボジア友好協会という三十年ほど前にできた組織がありますが、その理事長をやっておりますので、しばしばカンボジアに行っているうちにこの問題に遭遇をしたんですが、御存じのとおり、カンボジアでは一九七〇年代末から八〇年代、ほぼ二十年間ベトナムの侵攻と内戦という戦争状態が続いていて、その間に双方によって敷設された地雷が全土にある、こういう状況の中で、世界でも最も被害の大きいところであるわけですけれども、この問題に実は私の友人の一人が取り組んでおります。  この人は、UNHCR、緒方貞子さんの難民高等弁務官事務所の所属で、もともとアフリカで活動していたんですが、ベトナムの侵攻でカンボジアの人が大勢難民となってタイに流出したという時期にカンボジアへ移りまして難民の救援をやっていた。難民がやがてタイからカンボジアへ戻れるようになったときに、土地を提供して農民として生きていくということを国際的に支援をしていたわけですが、いざやってみると、地雷に阻害をされて、せっかく土地を与えられてもそこを耕作することができない。結局、一言で言えば、根源は地雷にあるということにその私の友人も気がつきまして、もともと機械に強い男なものですから、一般に道路工事など建設で使われている。パワーシャベルの大型のものを改良して、これを使って現在テストをしておりますけれども地雷除去しながら農地を耕作する、こういう実験を今進めております。  カンボジアというところは大体十二月から五月の間が乾期で、ほとんど雨が降らない。それから六月から十一月は雨期と言っておりますが、全く連日、しかも日本の梅雨のようなのとは違いまして、集中豪雨のような豪雨が毎日のように降るという大変厳しい気候であります。  雨期に行きますと、乾期に行ったときと空から着陸をする前に見ていても景色が全然違う。全土水浸しという感じになっております。トンレサップ湖という一番大きな湖の面積がほとんど倍になる。メコン川が流れているわけですが、この水量も急激に増大をする。そして、一般の道路も川のようになってしまう。こんな状況ですから、自衛隊が行かれて修理された道路も実は雨期になると川のようになってしまっているわけですが、こういう状況の中で多数敷設されている地雷は水に流されて移動してしまう。極めて探知が困難だと。大体、地雷は本体はほとんどプラスチック製で、信管と電池と火薬だけが違うというものですから、全体として軽いもので、流れてしまう。こういう状況をひとつ御理解をいただいておくと今のこの状況がおわかりいただけるかと思います。  そこで、二十年間ほとんど、ほとんどというより全く耕作することもできずに、戦争のさなかで放置されていた田んぼや畑、特に過去のシアヌーク時代にはカンボジアはお米の輸出国であったわけですけれども、それが全く農民が食べるものすら足りないぐらいの状況に今なっているわけです。  何とか地雷除去するということはカンボジアの復興の第一の問題だということで、実は今パワーシャベルを使ってテストをしているというのは、一つはプノンペンから車で一時間くらいの近郊ですが、その付近も過去にいわゆるポル・ポト派が進出してきて地雷を敷設したために地雷原になっている。それを除去しながら一千ヘクタールの土地をカンボジア政府が我々の実験のために提供してくれまして、その私の友人がそこで今活動しております。  三月に私も行って見てきましたが、現在のところは成功裏に地雷を処理して、そしてそこに、一千ヘクタールの周辺に土手を築きまして、高さ五メートルぐらいの非常に高い土手です。それを築くために掘ったところがクリークになってその内側にあると。長良川の周辺などではいわゆる輪中というのがありますけれども、大きな輪中と思っていただければいいわけです。その土手の高さが非常に問題で、どんなに雨期になってもその土手は水浸しにならないというものをつくっておかないと田んぼ自体も崩壊してしまうわけですから、そういう土手をつくるためにパワーシャベルはまさに有効である。  それを築いてならして、内側にはまだ完全に、潅木を含めて、草ならまだしも、もう二十年間放置したために農地が潅木の荒れ地になってしまっている。それを今度は、写真がありますけれども、お見せしてもわかりませんから口で申し上げますが、パワーシャベルの先のところを取りかえまして、こうやっているものを、鋭い歯が十本ぐらい出ている、一本の歯の直径が十センチぐらいある大きなものです。しかも、最近ゴルフで有名になりましたチタンという非常にかたい金属をつけて、無限軌道で動くわけですから、それを潅木の下に丸ごと突っ込んでいって押していきますと潅木ごと根こそぎ掘り起こすことができて、そこに地雷があっても地雷は爆発して本体は安全であるという実験をまずやりました。今までのところ全く被害はありませんし、地雷は処理できています。  そうした掘り起こした材木のようになったごみは全部除去しまして、一応土の表面になったところを、今度はまた頭を取りかえまして、ロータリー式に回る耕作機械を取りつけますとこれで耕すことができるという、三つの種類の頭を取りかえることによって活動をしております。  最近、実は防衛庁の御出身で、元一等陸佐ですけれども防衛庁時代の御経歴を見ると地雷の専門家であります。陸上自衛隊の施設学校の研究部長をやられたり、あるいはもともとが技術系の方でありますから、地雷処理のための、つまり戦車の前に取りつけて地雷を処理するような機械を開発することなどにも取り組んでおられた方がおられますので、まさに地雷の専門家ですからカンボジアに行っていただきました。昨年の二月にバッタンバンという第二の町ですが、その近郊で地雷処理の実験をされました。使った道具は先ほど申し上げた道具二台であります。それにブルドーザーとか耕運機とか、いろいろの道具も取りそろえてやられまして、結果的には全く成功をしたというリポートがここにあります。  地雷そのものは旧ソ連製のものをカンボジア政府軍が敷設をしてくれて、これはだからわざわざ実験のために敷設をしてくれたわけです。しかも、地雷の種類は、これは一般的にそうですけれども一つは電池式のもの、これは中に電池が入っていて、踏むと電流が通じて爆発する、こういう電池式のものと、もう一つは機械式と言っておりますが、踏むことによって信管を刺激して、信管が爆発して爆発するという、地雷は大ざっぱに言うとこの二つの種類になるわけですが、このときもソ連製のこの二種類を二個ずつ敷設して実験をしたというリポートがあります。  そして、結果的には先ほど申し上げたようなやり方で土地をまず耕して、このときは実験ですから全く小さなところで百メートルと五十メートルの幅のところをやって、そしてそこに地雷を敷設しておいてそこを耕す。最終的には水田にして田植えまでやるところまでやりました。その結果、全く地雷は瞬時にして処理できたし、その作業でも爆発音を含めて大きな音は余りない。したがって、学校その他住宅の近くでやったとしても支障はないだろうということが報告されております。  実を言うと、この報告によりますと、高速で回っているロータリーの場合は、そこに地雷があっても地雷そのものは爆発しない。高速で回っているために爆発装置そのものが瞬時にして処理されてしまうので、実際には爆発は起こらずに、したがって音もなかったと。別の過去に敷設されたものをプノンペン近郊で実際に自然にやったときは爆発しました。そして、高さ五、六十センチの煙が出ただけで大した音もなく処理されたという報告も入っております。  いずれにしましても、この二カ所の実験によって、この機械を使えば、カンボジアの場合は特にその後を農地にしたいわけですから、この機械一つで三種類の頭を取りかえることによって地雷の処理から農地の耕作にまで全部やることができる、こういうことが実証されております。  これについて、プノンペン政府地雷を提供してくれるような、実験に立ち会ってくれるようなところまで協力しておりますし、現在プノンペン近郊で一千ヘクタールの土地を提供してくれていて、そこで耕作そのものの実験をやっておりますけれども、そのくらいプノンペン政府側も期待を込めて協力をしてくれているという実態であります。  このプノンペン近郊のは千ヘクタールのうちまだ実は半分ぐらいしか手をつけておりません。残る半分の潅木の生えた荒地になっているところも見てきましたが、これも間もなく来年の乾期の間には処理できると言っておりました。そうしますと、そこで最初にゴマをつくって、土地の土壌の状況ども検査をして、田んぼとして可能ならばそこで稲をとる、こういうところまで実験をすることでカンボジア政府側と合意をしているということであります。  何分ここまで来るのに大変費用もかかり、犠牲も払っているようでありますけれども、ここまで来ましたので、これからはひとつもっと大規模な、日本政府も含めた協力でカンボジアの復興のために努めなければならないのではないかという気がしております。質問ではなくて、一方的に御報告をいたしました。  時間はありますけれども、これで終わります。ありがとうございました。
  79. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ―――――・―――――    午後二時開会
  80. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件外一件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 立木洋

    立木洋君 議題になりました二つ議定書につきまして、改正された議定書Ⅱの方もあるいは追加となった議定書Ⅳにつきましても、これは特別兵器の使用禁止あるいは制限という内容に沿ったものですから、当然のことであるというふうに考えます。  しかし、若干の問題についてどうしてもお尋ねさせていただきたいのは、一九八〇年に問題になりまして、改正議定書Ⅱの問題については本来の条約に沿って出されている。あのときの内容を改めて振り返ってみますと、結局地雷を軍事目標にのみ用いるというふうな内容でしたし、あるいは遠隔散布地雷の位置を正確に記録できるようにするだとか効果的な無力化のための装置が取りつけられている場合を除き使用してはならない、あるいは地雷原の除去等々、そういう一定の内容が一九八〇年の場合にも整備されていた内容だったと思うんです。  あのときの審議についてはほとんど満場一致で賛成したわけですが、今日の状態を見ますと、この通常兵器条約対人地雷使用のほとんどについては全く功を奏さなかったというふうな指摘国連の方ではなされておりますし、あるいは赤十字国際委員会の方でも過去五十年における世界各地での紛争で対人地雷が国際法の規定に従って使われた例はほとんどないと。だから、条約はあったんだけれども、実際にそれに沿って問題が解決される方向に前進したということじゃなかった。  午前中の同僚議員の質疑にもありましたように、相当の地雷が敷設されておりますし、一日に七百人からの犠牲者が出る等々の深刻な状況になってきて、どうしても改定しなければならなくなったという状況だと思うんです。  それで、一九八〇年のときの通常兵器条約に基づく議定書Ⅱの効果がどうして十分に発揮できなかったのか。これはやっぱり教訓として考えておくべき点だろうと思うので、まず最初にその点からお尋ねしたいと思うんです。
  82. 河村武和

    政府委員河村武和君) 今御指摘がございましたとおり、この地雷に関する議定書は、親条約であります特定通常兵器使用禁止制限条約とともに八〇年に作成されまして、八三年に発効したわけでございます。  この制限条約自体に実はレビュー条項というのがございまして、発効してから十年たてばこの条約及び関係の議定書をレビューするという規定がございました。このレビュー条項に従いまして一九九三年に国連総会が決議を採択いたしまして、関連の条約及び議定書についてのレビューを勧告したわけでございます。  以後、九四年から昨年五月までの間に四回の政府専門家会合……
  83. 立木洋

    立木洋君 河村さん、その後は結構です。その原因のところだけ。
  84. 河村武和

    政府委員河村武和君) わかりました。  結局、そのレビューの過程において、現行の議定書のカバーしていない点がレビューの過程を通じて明らかになったことが三つぐらいございます。三つぐらいと申しますのは、まさに新しい議定書の特徴的な内容ということでございます。  一つは、近年問題になっております文民の被害が主に開発途上国を中心にして、かつ国内紛争において無差別使用された地雷によるものであるけれども改正前の議定書はこれらの事態を適用範囲としていなかった、これが一点でございます。  第二点は、金属探知機等で探知不可能なプラスチック地雷が極めて多用されるなど、改正前の議定書で規定されていなかったような技術的な側面での状況変化があるということ。  第三点目には、改正前の議定書には移譲というものに関する規定がございませんでしたので、無差別地雷使用というようなものが結果的に抑制できなかったというようなことがございます。  さらに、以上の諸点のほかに、現実に地雷による被害が発生しておりました国々、例えばカンボジアにしろアフガニスタンにしろアフリカの諸国にしろ、これらの国々が特定通常兵器使用禁止制限条約及びこの議定書の締約国となっていなかったということでございましたので、これら諸国においてはそもそも議定書が適用されなかった、こういう問題もあろうかと思います。
  85. 立木洋

    立木洋君 確かに、河村さんが今おっしゃった内容についてはそのとおりではないかというふうに思います。  ただ、今度の改正された議定書Ⅱの方を見てみますと、確かに十三条の4の項目には報告をするということはあるんです。報告するということはありますけれども議定書の実効を担保するための検証措置というのは依然としてないんですね。検証措置がないということはいかがなものか。やっぱり検証という問題は軍縮の過程においてはあらゆる点で非常に重要な問題なんです。この検証措置がないということについては、いろいろな方の意見を聞くと、抜け道ではないか、抜け穴になるんじゃないかというふうな指摘もあるんですが、この点はどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  86. 河村武和

    政府委員河村武和君) 本件議定書の交渉過程におきましては、今御指摘がありましたとおり、検証措置についての議論もいろいろと行われたわけでございましたけれども、参加国の間でさらに十分な検討が行われるべきであるという意見が多数を占めた結果、具体的な合意に至らなかったという経緯がございます。  我が国といたしましては、言われましたとおり、特に軍縮に係る条約につきましては、条約上の義務の履行を確実なものにするためには適切な検証措置が規定されることが望ましいというのが基本的態度でございます。  いずれにしましても、我が国としては、まず議定書発効し、締約国が拡大するということに努力を傾注することが急務であると考えておりますけれども全面禁止条約締結交渉の過程における検証措置の導入ということについては十分検討していかなければならないと考えております。
  87. 立木洋

    立木洋君 また、この改正された議定書Ⅱの中では、自己破壊装置を持たない対人地雷使用制限ということが五条の2項の(a)、(b)の中に記されてあります。こういう条件のもとで使用禁止されるということになっているわけですが、製造については禁止していないんですね。  ところが、問題点は、技術的事項に関する附属書の中では、自己破壊装置が装備されていない対人地雷使用を実行可能な限り最小限度のものとする、これは技術的事項の中の3項の(c)の(i)の中に指摘されているわけです。  一方では自己破壊装置を持たない対人地雷使用制限ということがありながら、一方では最小限度のものとして実行可能な限り使用はあり得るということが技術的な附属書の中では認められている。もちろん条件つきですけれども。こういうようなことになると、使用禁止する方向をより一層強めるということよりも、こういう条件の範囲内であれば使用しても結構ですよと言わぬばかりのような印象をちょっと受けるので、この点の解釈はどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
  88. 河村武和

    政府委員河村武和君) 今言われましたとおり、附属書の3の(c)におきまして、「この議定書の効力発生前に生産された地雷に関し、締約国が(a)又は(b)の規定を直ちに遵守することができないと決定する場合には、当該締約国は、この議定書に拘束されることに同意する旨を通告するときに、この議定書の効力発生の後九年を超えない期間、(a)又は(b)の規定を遵守することを延期する旨の宣言をすることができる。」と、このようになっております。  この規定が入りました理由は、まさにこの議定書を交渉している過程におきまして、世界の国々における状況はさまざまでございますし、世界の国の置かれている安全保障上の考慮というものもいろいろある、自己破壊装置等のついていない対人地雷を保有する国も多数存在しているという現状を踏まえつつ、九年よりもさらに長い延長期間を主張していた国も多数あったわけでございますけれども、いろいろと交渉した結果、ぎりぎりのラインとして九年間の猶予期間を置くということになったわけでございます。  同時に、今申しましたとおり、必ず九年の猶予期間をみんな置く必要はないわけでございまして、発効後すぐにこの議定書を実施すると考えることができる国は猶予期間の宣言をせずにすぐに新しい議定書の条項に拘束される、こういうことでございます。
  89. 立木洋

    立木洋君 この第二議定書に関する条約の問題が審議された第一回検討会議の後、もうかわられましたけれども当時のガリ事務総長は、この状態ではまだやっぱり被害が拡大する可能性があるんではないかというふうな指摘もありましたし、この第一回検討会議が不十分だというふうなことがありまして、いろいろと問題がその後相次いで、この地雷に関する問題というのは国際的にも問題になったわけです。今の河村さんのなさっている答弁については、そういう問題点は今後やはり改めていく必要があるというふうに受けとめたわけです。  午前中も問題になりましたカナダなどでは、地雷廃絶の一致できる国だけで地雷全面禁止条約をつくるといういわゆるオタワ・プロセスと呼ばれるような動き、あるいはジュネーブ国連軍縮会議方式等で促進するというふうな動き等々が出てきている状況は、まさにこの改正された議定書Ⅱでもまだ改めていかなければならない点があるというふうな動きだろうと思うんです。  こういうような動きについて、オタワ・プロセスあるいは国連軍縮会議方式等々について、両面ともより積極的に日本政府としては前向きに取り組んでいかれる必要があるんではないかと思いますけれども、午前中の同僚議員の質問とダブりますが、もう一度ちょっと確認させていただきたいと思います。
  90. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいまの御質疑の中でもございましたように、今御審議していただいております議定書内容も決して十分なものだとは思っておりません。対人地雷の完全な使用禁止という観点からはもとよりでございますが、現在の情勢を踏まえても、我が国政府立場としてかくあるべしというところからも、ややまだ不満が残ると申しましょうか、十分ではないというのは御指摘のとおりでございます。しかし、私どもといたしましては、対人地雷の全面使用禁止に向けまして一歩一歩前進していきたい、そういうことで今の段階ではこの議定書をまず締結したい、そしてさらに努力はしてまいりたいと思います。  そして、将来の努力への方向といたしまして、今御指摘のとおり、いわゆるオタワ・プロセスというものとジュネーブにおける軍縮会議における努力というもの、二つの道が大きなものとしてあるわけでございますが、それはそれぞれに意義のあるものだと思っております。  オタワ・プロセスの方は多くの国を包含していくという観点からいいますとなかなか難しい面はありますけれども、やはり全面禁止に向けてきちんと努力をするんだといった政治的なモメンタムを維持し、高めていくという意味では大変重要なものだと思っております。  それから、一方におきましてジュネーブ軍縮会議における議論というのは、この会議がこれまで軍縮関連の多数国間の条約について非常に大きな実績を上げているということも踏まえますと、本当に現実に実効性のある条約をつくるという意味ではやはり大切な場だと思います。  そういった意味で、二つのプロセスは相互に補完し合う関係にあろうかと思いますので、我が国といたしましては双方の国際的な努力に積極的に参加してまいりたい、こう考える次第でございます。
  91. 立木洋

    立木洋君 ところで、防衛庁の方にもちょっとお尋ねしたいんですが、地雷の廃絶の方向に向けて努力していくというふうな今の大臣のお話もございました。しかし、この地雷を全面的に廃絶していくという方向について日本としては余り積極的ではないんではないかという新聞報道も見るわけです。  いろいろなことは抜きにして具体的にお聞きしますが、今度の改正された議定書Ⅱの中では、自己破壊装置などをつけていない通常型の対人地雷使用については条件つきですけれども禁止するというふうになっておりますが、通常型の対人地雷の貯蔵というのは禁止していないわけですから、日本にも存在しているわけですね。これは今まで何回か同僚議員が何個あるのかと聞いたけれども、個数については申すわけにはいかないということですが、新聞報道では百万個というふうに報道されています。実際にそれだけあるかどうか、それはわかりません。ところが、通常型の地雷改正議定書を批准した後についてはどういうふうに処理なさるおつもりなのか、どういうふうに対処されるおつもりなのか、まずそのことをお伺いします。
  92. 柳澤協二

    説明員柳澤協二君) 数については、大変申しわけございませんが、防衛上の性格上なかなか申し上げにくいのでありますが、ただ世上言われております百万個というオーダーの、それほどの対人地雷は我々は今持っておるわけではございませ  ん。  おっしゃいますように、新規に現在取得しておりますのは自己破壊装置つきでございます。古いものにつきましては順次自己破壊装置つきのものに信管を取りかえるなどして改造するための研究開発を今しておるところでございます。
  93. 立木洋

    立木洋君 改造して、しかし依然として貯蔵はすると。
  94. 柳澤協二

    説明員柳澤協二君) 午前中にもお答え申し上げましたように、基本的に我が国の安全保障環境その他を考えまして、防衛上やはり有効な手段の一つであるというふうに認識しております。しかしながら、国際的な全面禁止の流れというものは我々も支援をしていきたい立場にもございます。しかしながら、それ自体が、私どもがこういうことを申し上げていいかどうかわかりませんけれども、やはりある一定の期間をさらに要する問題でもあろうと思いますので、そういう国際的な流れをにらみながら、当面防衛上の必要については確保しておくべきだと我々は考えております。
  95. 立木洋

    立木洋君 私は外務省軍縮課からの資料に若干目を通してみたんですが、そうしたらG7の中で日本を除くその他の国というのは問題になっている通常地雷の削減を行っているわけです。アメリカの場合には四百万個の通常地雷については九九年までに破壊すると。ただし、朝鮮半島の軍事境界線に敷設されている百万個の地雷はそのままだと。イギリスについては現有する対人地雷の半分を破壊すると。新聞報道等によると、貯蔵していた二万個の対人地雷を既に一万二千個減らしたと。フランスも保有する対人地雷の解体、削減を継続中であるし、ドイツにおいても保有する対人地雷を破壊し、イタリアでも保有する対人地雷の破壊に着手したし、カナダも保有する対人地雷の三分の二をただちに破壊し、全面禁止条約交渉の過程ですべてなくすというふうなことが外務省軍縮課の文書を見てみると大体そういうふうになっている。  こういう状況を見ると、日本地雷を全面的に廃絶していくという方向で努力しなければならないということについては、平成八年六月二十九日、リヨンサミットの内外記者会見でも日本政府は発表されているわけです。今、大臣御自身もおっしゃっているわけです。そういう点から見ると、やっぱり日本はそういうG7の国で見ると一番おくれているんではないかというふうな感じがするんです。  それから、さらに追加して申し上げますけれども、現在も使用するといっている自己破壊装置のついた八七式ヘリコプター散布対人地雷については四億円購入するということになっていますね。それから、使用をみずから禁止されたはずの自己破壊装置の装備されないクレイモアと呼ばれている指向性散弾地雷条約が五条の6の(a)、(b)で条件つきで使用を認めているというものについても本年度は三億円購入するということになっているわけですね。地雷を消滅する方向に進まなければならないのに、そういう地雷をさらに購入する。自己破壊装置の装備されていないものまで三億円も購入するというふうな予算を組むというのは私は全くいかがなものかというふうに言わざるを得ないんです。  先ほどのG7の国々の動向とあわせて、これらの問題について考え方をお聞かせいただきたい。
  96. 石附弘

    説明員石附弘君) お答え申し上げます。  ただいま委員指摘の関係国といいますか、対人地雷規制に関するG7諸国の最近の動向というものにつきましては、私どもも大変注目しつつ、その動向に関心を払っております。  ところで、日本政府の基本的な考え方というのは午前中の委員会でもお話ございましたけれども、六月二十九日のリヨンサミット時のものでございます。これについては、防衛庁としても全面的に国際努力に対して協力できるものは協力していくということでございまして、そういう意味で、「我が国は、対人地雷全面禁止に向けた国際的な努力を支持する。」、これは防衛庁も当然そういう姿勢でございます。  さらに、全面禁止に関する合意が達成されるまでの間、我が国として独自の、つまり自主的な措置として幾つかの措置を講ずる、これもやはり国際的に一定の評価を受けているところでございます。ただ、この際の政府方針の中には、「上記の期間」、つまり全面禁止になるまでの期間において「我が国が侵略の脅威に晒され、かつ、我が国防衛のために他の代替し得る有効な手段が存在しない場合にのみ、再検討に付される。但し、その場合においても、特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書は遵守する。」、つまり本議定書の範囲内でやるという……
  97. 立木洋

    立木洋君 結構です。
  98. 石附弘

    説明員石附弘君) ただ一点。先ほど先生お話しのG7関係国でございますが、それぞれ安全保障環境というものが違います。午前中にも申しましたとおり、日本の地勢的な、地理的な条件、あるいは周辺をめぐる北東アジアにおける安全保障環境のもとにおける日本専守防衛という考え方に基づく兵器整備体系の中において、現在ある地雷というものは一定の有効性を持っているということについてはやはり御理解をいただきたいと思うわけであります。
  99. 立木洋

    立木洋君 それが理解できないから私は質問しているんですよ。  今おっしゃった内容については、平成八年六月二十九日のリヨンサミットの記者会見で、こういう場合にのみ使用することは、この条約に基づいた範囲内で行うということについては最後に条件をつけていますから、そのことはよく知っているんです。  問題は、国連の方で問題になっているのは、地雷問題の技術的な解決の効果性の問題についてはやっぱり疑問を差し挟んでいるんですよ。このようなことまで言っているんです。地雷技術を進歩させて精巧化するアプローチ、つまり、地雷探知可能か否か、あるいは自己破壊や自動無害化するか否か、こういう問題に関してはどれほど技術が進歩しても地雷を踏んだ人間にとってはどうでもいいことだと、自分自身は吹っ飛んでしまうわけですから。後から探知することが可能だった地雷ですなんといったって、自分が吹っ飛んでしまえば終わりです。だから、そういう問題よりも、こういうものを根本的にやっぱり解決することが今求められているということが指摘されているわけです。  それから、現に湾岸戦争のときの問題についても、多国籍軍はイラク軍の地雷原をわずか数時間で突破したというふうにも書かれていますし、それから世界の軍事専門家の間では、対人地雷防衛にどの程度有効か、疑問は次第に強まっているというふうな指摘もあります。ですから、湾岸戦争で有名になったシュワルツコフ前中東軍司令官もニューヨーク・タイムズの誌上で、クリントン米大統領に公開書簡の中で、今日では対人地雷は不可欠な兵器ではありませんと明言しているわけです。  だから、私は、そういう防衛だとかなんとかという見地ではなくて、先ほど大臣の方からも御指摘があったように、本当にこの問題に関しては人道的な観点、それから本当に軍縮をより前進させていくという方向での取り組みということが極めて重要だと。ひとつ全面的に禁止していく方向にこれを機会により努力をしていただきたいということを、防衛庁の方ともよく打ち合わせをして、そういう努力を促進していただくように強く要望して質問を終わりたいんですが、最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  100. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 我が国といたしましては対人地雷の全面的な使用禁止に向かっての国際努力を支持し、我が国としても努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。  ただ、現時点におきましては、先ほど防衛庁からお話ございましたように、我が国をめぐる安全保障環境の中でなお自己破壊装置つき対人地雷の有効性というものをある程度頼りにせざるを得ない、そういう事情もございますので、現時点ではそういうことでございますが、今後国際的ないろいろなダイアローグの中で努力をしてまいりたい、こう思います。
  101. 立木洋

    立木洋君 終わります。
  102. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 きょうは高野委員から差し迫った具体的重要問題の幾多の提起がありまして、これに対する厳格な対処の要望がございましたし、また田委員からは平和的、建設的な実践に基づく提言がありまして、近来にない感銘を受けました。私は例によって抽象的な幻想論の意見を開陳して大臣とよく御相談したい、そういうことなんです。  それで、このたびの追加議定書あるいは改正議定書の趣旨には私は心から賛成するのでありますが、もしこういうことについて逆なことをやった国があったと、これに対する制裁はどうするかということになりますと、これは非常に進んだ兵器を使う国に対する制裁でありますから、制裁するという以上はまた兵器を使う、あるいはより進んだ兵器を使う、そういうことを考えますと、非常に兵器自身の、戦争手段の非常な進歩そのものが問題を非常に解決困難にしていると思うのであります。  それで、見方を変えれば、戦争手段が進歩して戦争そのものを否定しつつある。戦争をやったって領地もふえるわけではないし資源も獲得できるわけではない。要するに、兵器を使うということについて人類は何かもてあましぎみになるのではないかという迷いに直面する感じがあるんですが、どうお考えですか。
  103. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 御指摘のとおり、兵器あるいは武器技術というものが進歩いたしました場合に、一体それを人類はどういうふうに扱うんだろうか、もてあますんじゃないかという視点、私どもも理解できないわけじゃございません。また、それだけではなくて、委員も今若干示唆されましたけれども、戦争という行為を通じて一体何が手に入るのか、何を実現できるのか、こういう観点から申しましても、決して戦争というものは何らかの目的を達成し得る手段ではない。それを通じて得られるものは当事者のだれにとってもないということがますます明らかになってきているというのが大きな流れかもしれません。  しかしながら、現実の世界を見ました場合には、主権国家というものがあり、それぞれがみずからの存立を維持していく、そのために適正な防衛の体制を組む、それは同盟関係その他のものを含めてですが、そういうような情勢にあるというのも現実でございます。  委員は今幻想論と謙遜しておっしゃいましたけれども、私はあえて申すならば理想論ではないかと存じますが、その理想論と現実との中でどういうふうに我々は身を処していくかという観点から、実現可能なものは一つ一つ着実に進めていくということも大切なんじゃないのか。そういった意味で、今御審議いただいております議定書どもそういった着実な努力の一環をなすものと考える次第でございます。
  104. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 考え方が非常に接近しているので質問はしにくいんですが、例えばさらに一歩進んで核兵器をどう扱うか、どう考えるかということになりましても、レーザー兵器の場合に非常に共通した困難な問題がそこにあるわけで、より進んだ核兵器をもって牽制するということになりますと、これは全く自己矛盾になるわけですね。どうしてもこれは人類の歴史が、日本国憲法にありますように、国家間の紛争の解決に戦争手段を使わない、英知によって、合意形成によって対処すると、これは非常に理想論に聞こえますけれども、現実問題になるとそれしか手がないじゃないかというようなところに来ているのかもしれません。  例えば、北朝鮮が日本を収拾のつかない混乱状況に陥れる可能性があるし、その意思もあるかもしれないというような状況に対処して、これ現実問題として論争するわけではありませんけれども、日米安保というものが、アメリカの軍事力でアジア太平洋、特に東北アジアの平和を守ることの一つのポイントとすれば、北朝鮮のこういう姿勢に対して本当の安心を与え得るものでもない。日米安保そのものを否定するわけではありませんけれども、日米安保があるから、北朝鮮のそういう非常に現実を無視した、ただ攻撃そのものを目的とするような姿勢に対して必ずしも安心を与え得ない、そういう何らか欠けたるものを感ずるわけです。  そこで、北朝鮮に対してはどういう接触の仕方があるのか、これはどうですか。
  105. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私も現時点におきまして北朝鮮がどういうふうな軍事的な観点からの方針を持っているかについて明確に把握しているわけじゃございませんし、委員が今おっしゃったような方向を目指している、あるいはもくろんでおるという前提でお答えするのは必ずしも適切ではないと思いますので、一般論とさせていただきたいと存じます。  確かに、いろいろな情勢を考えていくならば、戦争という手段に訴えて物事を解決する、あるいは目的を達成するということはますます難しくなっている、そういう大きな世界の流れだと思います。しかしながら、そういった流れの中にあってもなお現実的な分析を踏まえた政策とはかけ離れた行動がとられるということはあり得るわけでございますし、現に近い過去におきましてもあったわけでございます。そういったことを考えますならば、私どもはやはり我が国の安全保障に影響を与え得るいろいろな動きなり体制についてはそれをよく注視しながら、万一そういった行為が行われた場合に、それに対処し得るような、対応し得るような備えはしなくてはならないのかなと、こういうふうに考える次第でございます。
  106. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 軍事専門家の間でも、北朝鮮がそういう戦争手段に訴えるとすれば自暴自棄になったとき以外は考えられない、これは普通の考え方なんですね。だから、こういう国に対して我々はどういう対処の方法があるかということは、やはり向こうさんの行き方に対してオーダーを変えた、ちょっと僭越な言い分かもしれませんが、一段オーダーの高い接触の仕方、暴に報うるに徳をもってせよと言ったのは第二次大戦の終わりの蒋介石総統の言葉として伝えられているわけですが、暴に報うるに暴をもってしたら問題は解決しない、歴史の段階が戦争手段の進歩の中からあらわれたと。戦争手段の進歩は逆に戦争そのものを否定しているわけだけれども、その中から人類が生き延びようと思えば今までの国際関係のモラルよりも一段高いモラルがそこに要求されるのではないか。これはいよいよ抽象的になりますけれども、そういう感じがするんです。  いわば北朝鮮の自暴自棄とも言えるような国の立て方を平和的方向に方向転換させる何らかの接触の方法を、日本一国じゃ到底困難でしょうが、アメリカとか中国とかの力なり知恵なりも結集して対処するというようなことが必要なのかもしれません。大変抽象的な質問ですが、その辺はどうですか。
  107. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) これも北朝鮮と特定せずに御答弁申し上げた方が適切な部分が多いかと存じます。  先ほどから委員指摘され、私もお答え申し上げましたけれども、戦争というような手段に訴えることは現実的ではないというのがまず第一でございます。しかし、それでもそういった非現実的な手段に訴える例があると。それで、今自暴自棄の状態になってというお話がございましたけれども、そういうこともあり得るんだと思います、可能性としましては。  そういったことを防ぐためにどうするかといった場合に、先ほども申し上げましたが、仮にそういうことが起こった場合に我が国としてそれに対応できるような備えをするというのが一つでございましょう。それからまた、いろいろな軍事的な体制も含めまして、そういうふうな非現実的な行動に出ることが軍事的な観点からいってもいよいよ難しいといった状態をつくるというのも一つのあり方だと思います。それと同時に、やはりそのような行為に出る、行動に出る可能性のある国が、いろいろな観点からみずからの置かれた位置あるいは国際社会のありようというものを考えて、そういった非現実的な行動に出る可能性を減殺していくための努力を軍事以外の面で進めていくということも非常に大切だというのは委員指摘のとおりだと思います。  そういった意味で、我が国も米国、韓国その他の国と協力しながら、北朝鮮が国際社会との関係を見直していく、そして国際社会に開かれた体制に持っていくという努力、働きかけはしなくてはならない、こう考えております。  そういった場合に、現実的ないろいろな要素を勘案すると同時に、高い倫理性とおっしゃいましたけれども、平和を目指すといった理念も大切にしながらいろいろな外交努力その他も堅持していかなくちゃならないと考える次第でございます。
  108. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 よくわかりませんが、おっしゃるように、外交努力の中に今北朝鮮に直接触れるようなチャンスは容易にはないと思いますが、向こうから見て、日本という国はどうも不思議な国だと、おれが暴力を振るってでもやっつけてやろうと思うのに、日本の言動の中には底知れない善意とかなんとかそういうものがあるなというようなことを感じせしめ得るようなことがあるいは今日の歴史の中では求められるのかもしれないですけれども、こういう全く新しい人類史の課題にいろいろ勉強してみたいと思いますが、大臣もひとつさらに御検討をお願いします。  終わります。     ―――――――――――――
  109. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、立木洋君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。     ―――――――――――――
  110. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 地雷の問題でいろいろお聞きしょうと思っておりましたが、午前中以来の審議でもうほとんど済んでしまったような感じがいたします。  国際的な努力がどういうふうに行われているかというようなことについてもさまざまな会議があったり、あるいはオタワ・プロセス的なアプローチあるいはジュネーブ方式とか、そのどちらに重きを置くかというふうなお話がいろいろございました。  そこで、一つだけ伺いたいんですが、世界にいろいろたくさん国がございますけれども、このアジアの、日本の周辺の国がどんなふうな態度をとっているかということについてちょっと伺いたいんです。
  111. 河村武和

    政府委員河村武和君) 現在有効なそもそもの議定書でございますけれども、この議定書に加入しておりますアジアの国々は以上のような国がございます。  ちょっと広げましてでございますけれども中国、インド、ラオス、モンゴル、パキスタン、それからつい最近カンボジアがこのもともとの議定書に加盟をいたしました。今申しました国々はもちろん新しい改正議定書検討するための会合にも出席しておりましたし、さらにオブザーバーとしましては、インドネシア、フィリピン、韓国、シンガポール、タイ、ベトナムというような国々も会合にオブザーバーとして参加したということでございます。先ほども御説明しましたとおり、既にカンボジアは新しい改正議定書についても加盟の手続を了していると、こういう状況でございます。
  112. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 それで、日本としては橋本総理が国際的な努力を積極的に支援する、支持すると、それからその過程でも自主的に努力するというお話ですね。  全面的禁止までなかなか時間がかかるんだろうと思うんです。とにかく主要国がまず全部なくしてしまえというのも一つの考え方でしょうが、やはり一番考えなければいけないのは日本防衛ということだろうと思うんです。  そこで、今具体的に問題になっているのは、依然として日本は大切だというので地雷を購入するということが続いているわけです。それについて同僚委員からもいろいろな御質問がありましたけれども防衛白書か何かにさらっと書いてあるような御説明で、本当になぜ日本地雷をしばらくは持っていなきゃいかぬのかというあたりについて十分にどうもお答えになっていないような気がするんですね。大事なことを、もうそんなことはやめてしまえという机上の議論だけで片づけられてしまうということは非常に不本意だと思うんです。  そこらあたりもう少し敷衍して、なぜ地雷というものは日本防衛の中で重要であるかということを御説明願うのと、それからそういうことが国民にもわかるようにきちっともう少し説明していただけないものでしょうか。そのことをちょっと防衛庁に伺いたいと思うんです。
  113. 柳澤協二

    説明員柳澤協二君) 防衛構想の中におきます地雷一般的な必要性は午前中も申し上げておりますし、今までたびたび申し上げております。  それで、最近の議論の中に、地雷というものが役に立たないのではないかとか、ヨーロッパあるいはカナダは既に使わないあるいは要らないということの方向に踏み出しているということも聞いております。  ただこれは、先ほどちょっとお答えする時間をいただけなかったんですけれども、湾岸戦争の例など私どもまだ子細には検討しておりませんが、例えば地雷というものをまきっ放しにしてほうっておけば、多分数時間でそれは優秀な部隊であれば突破できるんであろうと思います。しかし、最近の特に機動力が非常に重視されます戦闘場面で数時間の行動の遅滞というのは一種非常に大きな要素ともなるものでございます。日本の場合には、地雷もそうでございますが、いろいろな装備を組み合わせて防衛を図っていくわけでありますけれども、その際に相手のスピードをとめるための障害としてもちろん地形などを主として使うわけでありますが、その障害としての地雷原を構成するというようなこと、これは依然として極めて有効な手だてであろうと思っております。  あと、具体的にどういう状況というところまでなかなか申し上げていることになっていないとは思いますが、我々はそんなことで、もちろん一般的な機能において欠落のない、すき間のない防衛の体制をつくろうとしておりますけれども、そこにおける一般的な有用性に加えて、さらに不要論というものもどちらかといいますと地理的な背景の違いですとか安全保障環境の違いですとか、あるいは実際の例について言えば、その時々の実際に行われた地雷の散布あるいはその処理の仕方の具体的なところを必ずしも見ていただいていないんではないか、こんな感じがしております。
  114. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 十分にわかったような気も余りまだしないんですが、例えば地形的な違いとか防衛環境の違いというようなことをおっしゃったところをもう少し敷衍して、きちっと御説明なされるようにしておいていただいた方がいいんじゃないかと思います。今はもうこれ結構です。  もう一つは、今まで一億一千万ありますね。これは先ほど先生からもお話がありましたけれども、カンボジアに私の関係している小さなNGOが学校を建てて、そのときに行ってきたりしたんですが、本当にどこを歩いていいかわからないというようなところが随分残っているようでした。田先生のおっしゃるとおりで、あれを除いてあげるということはいかに有効か。先ほどNGOの御努力がありました。いろんな武器技術のどうのこうのというようなのがありますけれども、相当積極的にああいうものを除去することにお手伝いができたら随分いいなと思うんです。けさ須藤先生からも御指摘がありましたけれども、その点についてぜひ御研究を願いたいということを申し上げて、終わります。
  115. 小山峰男

    ○小山峰男君 地雷の問題についてはもうそれぞれの先生方からいろいろお話があったわけでございます。今も最後にお話がございましたが、一億一千万個ですか、六十八カ国、しかも年間二十五万人ぐらい被害に遭っているというお話があったわけでございます。埋設されている地雷除去するということは大変必要じゃないかというふうに思っておるわけでございます。日本のこういうことに対する貢献というか寄与というのは、やり方によってはかなりできるだろうというふうに思うわけでございます。  現時点で具体的にどこかの国で政府としてどういうふうにやっているというようなことはあるのかないのか、その辺教えていただければと思います。
  116. 河村武和

    政府委員河村武和君) 今言われましたのは各国がどのような地雷除去活動を行っているかということだと存じますけれども……
  117. 小山峰男

    ○小山峰男君 それに対して日本が支援をしているのか、そういう事例があるのかないのかということです。
  118. 河村武和

    政府委員河村武和君) 今までの地雷除去につきましては、午前中にも説明をいたしましたとおり、既に二千六百万ドルにわたる資金協力というものを行っているわけでございますけれども政府自身がいわゆる地雷除去活動を他国と協力して現地で行っているということはございません。他方、NGOの方々が例えばカンボジアにおいて実際に現場で地雷除去活動に従事しておられるということは私たちとしても承知しております。
  119. 小山峰男

    ○小山峰男君 今の資金援助というのは具体的にはどういう形で行われているのか、説明をお願いします。
  120. 河村武和

    政府委員河村武和君) 現在までに我が国は累計約二千六百万ドルの資金協力を行ってきている次第でございます。まず、アフガニスタンの難民帰還支援基金というものが設置されてございますけれども、ここに千六百万ドル、カンボジアの地雷対策センターに三百七十五万ドル、旧ユーゴのPKOの地雷除去活動に三百万ドル、国連地雷除去信託基金に約三百十万ドル、それから米州機構が設立しております中米地域の地雷除去作業特別基金に二十三万ドルという額の支援を行っているということでございます。
  121. 小山峰男

    ○小山峰男君 この除去には、地雷探知機だとか地雷除去装置だとか、いろいろ技術的な面も多々あろうというふうに思うわけでございまして、いろんな意味で、資金援助もさることながら、そういう技術的な援助というのもこれから大いに積極的に進めていく必要があろうと。  いろいろお話がございますが、武器輸出原則ですか、そういうものとの関連もあるようでございます。しかし、地域を限ってとか期間を限ってとか、やり方によってこれは当然クリアできるというふうに思っておりまして、ぜひ積極的な対応をお願いしたいというふうに思っております。
  122. 河村武和

    政府委員河村武和君) 今御指摘がございました地雷探知除去技術の発展のためにどういうことができるかということでございますけれども、まさにことしの三月に開催いたしました対人地雷に関する東京会議におきましてより安価で安全で効率的な技術必要性が強調されたところでございます。その会議におきまして、短期的には既存の技術の組み合わせ、中長期的には現地の事情も十分踏まえた上での新技術の実験と開発の必要性というものについて意見の一致を見たところでございます。さらに、国連に対して技術の試験の結果や開発状況等を含めた関連の情報を登録するということについても同会議において慫慂されました。  我が国といたしましては、このような議論を踏まえまして、国連とも協力しつつ、情報の登録や我が国の民生技術というものを人道的にどこまで活用できるかという検討を積極的に進めていきたい、このように考えております。
  123. 小山峰男

    ○小山峰男君 今回の条約につきましては賛成でございますが、基本的には全面禁止ということがなければならないというふうに私は思っているわけでございます。今回のこの条約はあくまで当面の次善の措置だというふうに思っておるわけでして、我が国としても全面禁止に向けてあらゆる場を通じながらそういう努力をしていく必要があろうというふうに思っておるわけです。ここで外務大臣、その辺一言お願いしたいと思うんです。
  124. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま委員が御指摘になったとおりでございまして、政府といたしましても今回御審議いただいております改正議定書がこれで十分だとは思っておりません。あくまで最終的な目標に至るまでの一つの現実的なステップであるということで御審議をお願いしているわけでございます。  将来に向かいましては、対人地雷の全面的な使用禁止に向かっての国際的な努力に積極的に参加してまいりたい。その場といたしましては、ジュネーブ軍縮会議の場、そしていま一ついわゆるオタワ・プロセスというものがありますが、それぞれに有意義なものでございますし、相互補完的なものと考えておりますので、両方のプロセスにきちんと参加してまいりたいと思います。  それからまた、現時点におきましては我が国防衛という観点から対人地雷必要性はあるわけでございますけれども、それにつきましても自己破壊装置のものに切りかえていくとか、そういう自主的な措置もしているわけでございますが、そういうものも踏まえながら、今後とも委員指摘のような最終的な目的に向かっての努力をしっかりとやってまいりたいと思います。
  125. 小山峰男

    ○小山峰男君 それでは次に、ちょっと議題を変えさせていただいて、十三日にもいろいろお話をお伺いしたわけでございますが、例の行政改革会議の省庁ヒアリングにつきましてお尋ねをしたいと思います。  きのうそれぞれヒアリングが行われたようでございまして、きょうの新聞等にも若干は出ておりますが、私もあの後、外務省がつくった資料を読ませていただいたわけでございます。全体的な印象としては大変現状肯定型でつくられている、そうなってしまうのもやむを得ないのかなというふうに思うわけでございますが、私は、国際問題は大変重要な課題であるし、もっと日本としては力を入れていかなければならないものだろうというふうに思っておりまして、もう少し外務省の積極的な姿勢がほしかったなというふうに思っております。行革ですから、いろいろ削減したり縮小したりすることだけが能ではない、必要なものはふやしていくという姿勢で、外務省も余り各省に遠慮しないで積極的なあれを出してほしかったなというふうに思っております。  中身に少し入りますが、一点目の対外経済政策等について一元的な組織とか役割をどう考えるかということですが、これはいろいろ書いてあるので、外務省の一点目に対する結論を簡単にちょっとおっしゃっていただけませんか。
  126. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) たしかそこの項目外務省と離れた形での一元化は困ると、そういう書き方になっておったんじゃないかと思いますが、そういうことでございます。  国際経済関係につきましてもいろいろな省庁が関係はおありでございますから、そういった省庁の参画は当然必要でございます。しかし、それが国際関係である限りにおいて、外交の観点からいろいろ考え対応していかなくちゃいけないことがございますので、外務省は当然のこととしてそれを主として担当しましたり、あるいは場合によっては他省庁が主体になり我が方がそれを補完する形で対応するということが必要だと思うのでございます。  いずれにいたしましても、国際経済関係を外務省とは異なるどこかの行政組織で一元的に行っていくということになりますと、これは外交の一元化という観点からも問題があると思いますので、そういうことは好ましくないということを言っているつもりでございます。
  127. 小山峰男

    ○小山峰男君 外務省と離れて一元的な組織をつくるという考え方もあろうと思いますし、逆に外務省の中で一元的な組織にした方がいいんじゃないかという考え方もあるんではないかなという気もするわけでして、この辺も十分また御検討いただきたいというふうに思っております。  それから二番目の問題で、例の内閣官房外政審議室あるいは安全保障室、情報調査室とのというふうな課題でございますが、これを読ませていただくと、最終的にはそれぞれが分担して連絡調整を図って、少し積極的に出ているのは、いわゆる総理大臣のリーダーシップの面で外政審議室の強化をする方がいいような話が書かれているわけですが、これについては現時点もこういう考え方でしょうか。
  128. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) その項目は、情報等の機能につきましては外務省ももとよりこれまでも真剣に取り組んでまいりましたが、政府部内の各省庁においてもそれぞれの立場から重視してこられたんだと思います。これまでもお互いにそういったものを共有していくあるいは調整していくという努力はしてきたつもりでございます。また、そういったものとして内閣の中にも外政審議室を初めとしていろいろなところがあるわけでございます。しかし、全体としてもう少し調整を緊密にしていく、そして内閣としてその面での機能を高めていくことが大切であるということが昨今特に痛感されておりまして、そういったときの機能強化の中心的な役割を内閣で考えるべきときではないかという点については私どもも異論はない、こういうふうに考えておるところでございます。
  129. 小山峰男

    ○小山峰男君 次の経済協力関係の一元化、ここにも書いてございますが、円借款については四省庁協議、それから技術協力は十九省庁間の連絡会議の開催等というようなことで努力をしていると。この文章の中では「連携になお改善の余地があることは認めざるを得ず、今後関係省庁間の連携に向け一層努力を強化していく必要がある。」というようなことが書いてあります。  現在、外務省として改善の余地というか、どの辺がどういう形でというふうにお考えいただいているか、その辺はいかがでしょうか。
  130. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 経済協力につきましても実施体制は外交政策の重要な一環としての決定ができるような体制というものが重要でございます。現在もそういうことに向けて関係省庁間の連絡はしておりますけれども、以下に申し上げますようなところで具体的にはまだ改善の余地があると思っております。  それは一つには、円借款につきましては四省庁体制でやっておりますけれども、さらに効率的な実施を図る、特に意思決定を早くしなければいけない、あるいは実施しました案件についてのアフターケアについてもさらに強化していく必要があること、ほかにも、円借款のみならず、円借款と技術協力あるいは一部無償資金協力といったようなものをどのようにうまく組み合わせていくかといったようなことについてさらに強化していく必要があると思っております。  二つ目技術協力でございますけれども、関係省庁が所管しております範囲内で行っております技術協力とJICAを中心にしております技術協力、そういったものをうまい形で結びつけていけるような関係省庁の実施しました調査についても、どうやってフォローアップしていくかというところが必ずしもうまくいっておりません。そういったことで関係省庁間の連絡協議体制を強化していく必要があると思っております。  それからもう一つの点は、国際機関を通じた協力と二国間の協力との関係でございます。国際機関につきましてはいろいろな省庁が拠出、出資といったことについて責任を持ってやっておりますけれども、こういった関係省庁間の連携を強化いたしまして、日本一体としての政策が反映されるような実施が確保できるようなことを考えていきたい、そう思っております。
  131. 小山峰男

    ○小山峰男君 今言われたような面も含めてぜひ改善策を実施してほしいというふうに思っております。  それから、外務公務員の問題ですが、外務公務員制度の必要性、これもいろいろ法律の適用も違うし職務の内容も違うので外務公務員が結局必要なんだと。ただ、適材適所の観点から外部の人についても積極的に活用したいというふうに書かれているわけでございます。  私は、外交はもちろん専門性もあるわけですが、しかしいろいろの幅広い知識を持った人たちの登用というか、そういうことがやっぱり必要ではないかというふうに考えておりまして、余り狭く外務公務員だけにまとまってしまうというのはどうかなというふうに思っておりますが、その辺いかがでしょうか。
  132. 原口幸市

    政府委員(原口幸市君) 私どもも、外交の幅というのは非常に広いものですから、各分野の専門知識を持つことは非常に重要だと思っておりますが、幸いなことに人事交流というのが非常に活発になっておりまして、特に在外公館におきましては各省からアタッシェの形でいろいろと来ていただいておりますので、そういう方たちの知見とか経験というものを活用させていただいて足らないところは補っているわけでございます。  ただ、職業外交官としてトレーニングを積むということも非常に重要でございまして、そういう各分野の専門知識とは別に、外交交渉そのものの経験とか知見というものを持っている人間を育てていくということは実際の外交の場においては極めて重要だと思っておりまして、そういう点はやっぱり外務省がフォローしてやっていかなきゃいかぬという気がいたします。  他方、在外公館にいろいろと各省から人をアタッシェの形でいただくわけでございますが、そこに定員の壁というのがございます。例えば、各省からキャリアの専門の方をいろいろいただきますと、当然それに伴って相当程度官房的な仕事というのがふえてくるわけでございますが、そうした増加した官房的な仕事を見るのをどうするかという問題が一つ大きな課題として残っております。そういう意味では、定員の壁をどう突破していくかということは大変大きな課題かというふうに考えている次第でございます。
  133. 小山峰男

    ○小山峰男君 最後は文化交流のお話でございまして、これも現状肯定型みたいな形で連絡調整を図りながら進めていく、いろいろな文化交流があるというお話でございますが、やっぱりどこかでトータルとして司令塔というような形のものが私は必要だろうというふうに思っております。そういう意味では、外務省がそういう役割をもっと積極的に果たすべきだというふうに思っておるわけでございますが、その辺はいかがでしょうか。
  134. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 文化交流の話、それから先ほどの経済協力の話、先ほど冒頭で委員がそれを遠慮しているというお話がございましたが、率直に申しまして私もそういう感じがいたします。外務省もさらに積極的に取り組んでいかなくちゃいけないと思っております。
  135. 小山峰男

    ○小山峰男君 私は地方分権を一生懸命主張しているわけでございますが、地方のことはもう国は地方に任せていただいて、こういう外務ということを基本的に国の職務としてやってほしい。だから、外務省は人間をふやすのならふやすような形で頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  136. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約に附属する千九百九十六年五月三日に改正された地雷ブービートラップ及び他の類似装置使用禁止又は制限に関する議定書(千九百九十六年五月三日に改正された議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  137. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、過度に傷害を与え又は無差別効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器使用禁止又は制限に関する条約追加議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  140. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、航空業務に関する日本国政府香港政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とパプア・ニューギニアとの間の協定締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。池田外務大臣
  141. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま議題となりました航空業務に関する日本国政府香港政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、香港との間で航空協定締結するため、香港側と平成二年以来順次交渉を重ねました結果、平成九年二月二十八日に香港において、我が方上田在香港総領事と先方イップ経済長官との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、日本国と香港との間の定期航空業務を運営することを目的としており、そのための権利を相互に許与し、業務の運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、日本国及び香港の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容において基本的に同様のものであります。なお、この協定締結により、香港に対する日英航空協定の適用が基本的に排除され、またこの協定は香港の中国への返還後中国に承継されるとともに、香港に対する日中航空協定の適用が基本的に排除されることとなります。  この協定締結によって現在日本国と香港との間で運営されている定期航空業務を香港の中国返還後も引き続き運営することが可能となることを通じて、日本国と香港との間の人的交流及び経済的交流が一層増進され、香港が返還後も現在の繁栄と安定を引き続き維持し続けることに資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、航空業務に関する日本国と。ハプア・ニューギニアとの間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、パプアニューギニアとの間で航空協定締結するため、パプアニューギニア政府と交渉を行いました結果、平成九年三月十日にポートモレスビーにおいて、我が方林駐パプアニューギニア特命全権大使と先方チャン首相との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、我が国とパプアニューギニアとの間の定期航空業務を開設することを目的としており、そのための権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国とパプアニューギニアとの間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  142. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で二件の趣旨説明の聴取は終わりました。  両件の質疑は後日に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  143. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府南アフリカ共和国政府との間の条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。池田外務大臣
  144. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府南アフリカ共和国政府との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、南アフリカとの間で租税条約締結するため、南アフリカ政府と交渉を行いました結果、平成九年三月七日にケープタウンにおいて、我が方小西特命全権大使と先方マーカス大蔵副大臣との間でこの条約に署名を行った次第であります。  この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、経済的交流、人的交流等に伴って発生する国際約二重課税の回避を目的として、南アフリカとの間で課税権を調整するものであり、条約全般にわたり、OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。  この条約の主な内容としまして、まず事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。また、国際運輸業所得に関しましては、船舶及び航空機のいずれの運用による所得に対する租税につきましても国際運輸業を営む企業の居住地国においてのみ課税し得ることを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子及び使用料についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。  この条約締結によって我が国と南アフリカとの間での各種所得に対する課税権の調整が図られることになり、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  145. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で本件の趣旨説明の聴取は終わりました。  本件の質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十二分散会      ―――――・―――――