○国務大臣(池田行彦君) まず第一点の中国の軍備の整備
状況についてでございますが、この点につきましては、従来も二国間の場あるいはARFのようなマルチの場におきましても
透明性を高めるように、またその
内容はどうかということでいろいろ我が方からも先方に問いかけてきておったわけでございます。そういったことに対しまして中国も、まだ十分ではございませんが、例えば白書的なものも発行する、さらにそれを整備していく、こういうこともやってきたわけでございます。
つい最近、一週間ほど前でございますか十日ほど前になりましょうか、日中間の
局長レベルの安全保障の対話をやりました。この中ではいろんな問題、例えば
日米安保の問題等も議論になりましたけれ
ども、そういった中で、中国側のこういった軍備の整備
状況はどうなっているのか、
透明性はどうなのかという問題についてもいろいろ議論が交わされたところでございます。
そして、一昨日の外相会談におきましても、私の方からこういった両国間の安保対話をさらに深めていくことが大切だということを申しまして、銭其シン外相も同じ
認識を持っておられて、そしてさらに進めていこう、こういうことでございました。
それから、二つ目の人権規約の
関係でございますが、この点につきましては、中国は最近になりまして国際人権規約、A規約、B規約とございますけれ
ども、この二つに入るという意向を明らかにしておったという事実はございますけれ
ども、その点を私の方からただしましたところ、銭其シン外相の方からかなり詳細に御説明がございました。
まず、中国として決して人権の問題について欧米あるいは国際社会と対抗しようとするものじゃない、いろいろ対話も進めることもやぶさかではないと。ただ、一方的に、中国の
立場からいえば一方的にぽんと決議でなされることには、どうもそれは受け入れるわけにはいかぬのだ、こういう話でございました。そして、そういったことを踏まえて、中国としても人権規約に入っていこうということで、入る場合に国内のいろいろな法令との
関係はどうなるか、そういったところも今詳細に
研究、
検討も進めているんだという話もあったわけでございます。そういったことを踏まえまして、私
どもの方からも日中の間でもそういった人権問題についての対話を進めていこうじゃないか、銭其シンさんもそれで何の問題もない、やりましょうという話があったと。
それから、今人権規約に加盟するということのためにいろいろ
研究、
検討をしておられる。そういった
作業の過程においていろいろ
日本として
協力できることもあるかと思う、
日本の経験等も踏まえましていろいろアドバイスなりなんなりすることもできると思うがどうだろうか、そういった
専門家レベルの
協力を
日本は
考えるけれ
どもと申しましたのに対しまして、銭其シンさんもそれもぜひやろうじゃないか、こういうことでございました。
だから、単に規約に入ることを
検討しますというだけじゃなくて、具体的なそういうこともございました。そんなことも踏まえまして、私といたしましてはあのようなことを言ったわけでございます。
さらにもう一点申しますと、人権
委員会における決議については昨年までにたしか五回ございましたけれ
ども、五回あってもそれが具体的に何らかの実質的な進展には必ずしもつながらないということで、これまで共同提案している国の中においても、いつまでもこういう同じような手法を繰り返すだけで果たしていいのかどうなのかと、
意見はいろいろございました。そういったあらわれの
一つとして、ごく最近、
フランスはことしはこういうやり方をとることはやめたいということも明らかにしております。そういった
動きもございます。
そういったことをいろいろ勘案いたしながら、
日本といたしましてもことしは共同提案国になるということはやめておこうということを、そういう方向で
検討したい、こういうことを申し上げたわけでございます。しかしながら、人権は大切であることは当然でございまして、そのためには実質的な努力はしなくちゃいけないし、実質的な進展が大切なんだということは明確に申しておりますし、中国側もそういうことは否定せずに、具体的な先ほど申しましたようなこともやろうとしているわけでございます。