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1997-03-27 第140回国会 参議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午後零時三十五分開会     —————————————    委員の異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      猪熊 重二君     戸田 邦司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺澤 芳男君     理 事                 須藤良太郎君                 野間  赳君                 高野 博師君                 武田邦太郎君     委 員                 岩崎 純三君                 笠原 潤一君                 武見 敬三君                 成瀬 守重君                 宮澤  弘君                 猪熊 重二君                 戸田 邦司君                 長谷川道郎君                 田  英夫君                 立木  洋君                 佐藤 道夫君                 椎名 素夫君                 矢田部 理君                 小山 峰男君    国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君    政府委員        防衛施設庁総務        部長       伊藤 康成君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務大臣官房審        議官       西田 芳弘君        外務大臣官房領        事移住部長    齋藤 正樹君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官  河村 武和君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     朝海 和夫君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省経済局長  野上 義二君        外務省経済協力        局長       畠中  篤君        外務省条約局長  林   暘君    事務局側        常任委員会専門        員        大島 弘輔君    説明員        総務庁行政監察        局監察官     伊藤 孝雄君        防衛施設庁総務        部総務課長    野津 研二君        水産庁海洋漁業        部国際課長    海野  洋君        会計検査院事務        総局第一局外務        検査課長     鵜飼  誠君        会計検査院事務        総局第四局農林        水産検査第三課        長        川滝  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について   (外務省所管) ○千九百七十四年の海上における人命の安全のた  めの国際条約に関する千九百八十八年の議定書  の締結について承認を求めるの件(内閣提出) ○千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約  の千九百八十八年の議定書締結について承認  を求めるの件(内閣提出) ○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○中東・北アフリカ経済協力開発銀行を設立する  協定の締結について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  昨三月二十六日、予算委員会から、三月二十七日午後の半日間、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、池田外務大臣から説明を求めます。池田外務大臣
  3. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 平成九年度外務省所管一般会計予算案概要について御説明申し上げます。  外務省予算総額は七千七百四十七億九千九百万円であり、これを平成八年度予算と比較しますと、百八十九億九千七百万円の増加であり、二・五%の伸びとなっております。  今日の国際社会においては、冷戦終結後の平和と繁栄を確保することを目指し、たゆみない努力が続けられておりますが、政治経済両面での課題は山積しており、依然として不透明で不確実な状況が続いております。核兵器の拡散の危険は依然大きいものがあり、また主要国経済は困難を抱えたままであります。さらに、開発途上国の貧困の問題は一層深刻化しております。また、地球環境麻薬、難民、人口、エイズといった地球的規模の問題にも取り組まなければなりません。このような状況のもとで、我が国としても一層積極的で創造性豊かな役割を果たす必要があります。  このような観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重大であり、平成九年度においては、その足腰ともいうべき外交実施体制強化外交施策充実強化の二点を重点事項として予算強化拡充を図っております。  まず、外交実施体制強化に関する予算について申し上げます。  定員の増強につきましては、今回のペルー事件をも踏まえ、在外公館警備担当官増員数を昨年度増員数の二倍の十六名増としており、平成九年度においては全体で百四十四名の増員を得て、外務省政令定員合計五千九十四名といたしております。また、機構面では在クロアチア大使館を新設すること等を予定しております。  さらに、在外公館機能強化のために在外公館施設等強化及び海外邦人対策危機管理体制強化のための経費五百五十億円を計上しております。  加えて、外交政策策定の基盤となる情勢判断を的確に行うために不可欠な通信、情報収集等機能強化に要する経費として八十億円を計上しております。  次に、外交施策充実強化に関する予算について申し上げます。  外交施策充実強化の四つの柱は、二国間援助等拡充、平和・軍縮のための協力、地球規模問題への対応、そして国際文化人的交流強化であります。  まず、平成九年度政府開発援助、ODAにつきましては、一般会計予算において政府全体で対前年度比二・一%の増額を図っております。このうち、外務省予算については、無償資金協力予算を対前年度比一・三%増の二千六百三十五億円計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が二千二百二億円、食糧増産等援助費が四百三十三億円であります。さらに、人的協力拡充のため、技術協力予算拡充に努め、国際協力事業団事業費は対前年度比二・二%増の千七百九十五億円を計上しているほか、国際協力事業団定員につき十名の純増を図る等、援助実施体制強化に努めております。  次に、平和・軍縮のための協力でありますが、国際の平和と安全の維持及び開発分野における取り組み強化、特に地域紛争平和的解決重要性にかんがみ、紛争の予防、政治的和解停戦等に参画し、この分野での国連地域機関等の活動に対する協力を行い、また北方領土問題の解決に向けた取り組み等のため総額九十三億円を計上しております。  次に、地球規模問題への対応は、国連を中心とする多国間協力及び地域機関での協力が不可欠であり、例えば気候変動枠組み条約第三回締約国会議を本年本邦にて開催するなど、多国間の枠組みを通じた対応強化していく所存であります。このように、環境麻薬テロ対策等課題にも引き続き取り組んでいくため、五十三億円を計上しております。  次に、国際文化人的交流強化でありますが、異なる文化間の相互交流を通じ、我が国世界各国との間の相互理解を一層深めるための諸施策を推進するとともに、アジア近隣諸国等との歴史を直視し、相互理解を一層増進するために展開されている平和友好交流計画を引き続き推進するため、百七十九億円を計上しております。  以上が外務省関係予算概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で外務大臣説明は終わりました。  この際、お諮りいたします。  外務省所管平成九年度予算大要説明は、これを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 猪熊重二

    猪熊重二君 最初に、私の手違いで先生方を五分ぐらいお待たせしたようなことで申しわけありません。ちょっと時間的にいろいろあったものですから、申しわけありませんでした。  来年度の外務省歳出予算項目のうち、報償費についてお伺いしたいと思います。  報償費については、外務本省が十九億円余、在外公館分として三十六億五千万円弱、合計五十五億五千万円ほどが予算項目上計上されております。この報償費というのは何だろうということで予算書を見ても報償費金額が書いてあるだけだし、それから平成七年度の決算書においても単に報償費と記載されているだけで中身が全然わかりません。  そこで、報償費というのはどのような目的のための支出金なのか、お伺いしたいと思います。なお、大蔵省予算事務提要には報償費についてどのような記載がされているかもあわせてお伺いしたいと思います。
  7. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 報償費と申しますのは、一般に国が事業を効果的に遂行するため当面の任務状況に応じ機動的に使用する経費でございます。外務省に即して申しますと、報償費情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するために使用されております。  ちなみに、今、先生質問のありました大蔵省予算事務提要によりますと、報償費は次のように記載されていると承知しております。すなわち、「国が、国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務状況に応じその都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費である(例えば国の事務又は事業に関し功労があった者等に対し、特にその労苦に報い更にそのような寄与を奨励することを適当と認める場合において使用する経費又は部外協力者に対して謝礼的又は代償的な意味において使用する経費である。)。」、以上でございます。
  8. 猪熊重二

    猪熊重二君 今、官房長からお話ありましたように、また大蔵省予算事務提要においても、報償費というのは要するに外務省職員以外の、例えば外務省の場合であったら外務省所掌事務に関し寄与があった第三者とか部外協力者ということを当然に前提にしている支出費目であると思います。逆に言えば、単に外務省職員のみの会合あるいは職員のみの会食等に使用するなどということは本来的に報償費性質上あり得ないことだというふうに思いますが、その点、官房長確認しておきたいと思います。
  9. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
  10. 猪熊重二

    猪熊重二君 ところで、本年二月二十四日発売週刊ポストという雑誌の三月七日号及びこれに続いて発行された合計四回にわたる同週刊誌記事によると、タイトルは「外務省高官の「二億円」着服疑惑」というふうなことで、外務省幹部職員先ほど述べました報償費平成五年八月から同七年一月までの間二億円も主として個人的目的のもとに費消したという旨の記事が掲載されております。  まず、外務大臣はこの報道内容御存じでしょうか。御存じだとすれば、いつ、どのように確認されたのか、この報道内容に対しどのように対処することとしたか、お伺いしたいと思います。
  11. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 本件につきましては、当該職員週刊誌側から取材を受けたというようなことがございまして、官房長の方にそういったことを報告してきたと、こんなこともございました。それを踏まえまして、私も官房の方からそのような話があるということを聞いたところでございます。  そしてまた、当該職員も含めましてきちんと調査して、事実関係の有無を調査した上で適正に対処するようにまず指示したところでございます。
  12. 猪熊重二

    猪熊重二君 もちろん当然の前提ですが、私は別にこの週刊誌記事が正しいとか正しくないとかということを承知しているわけではありません。ただ、四回にもわたってこのような報道をされるということになると、この週刊誌国民の何万人あるいは何十万人という人が読んでいて外務省報償費支出状況について疑念を持つというふうなことになると、今いろんな意味における役人の不祥事というものが取りざたされている中でまた国民役人不信の考えを広めていくようなことにもなるかもしれぬということを心配して今質問しているわけです。  だから、もしこの報道内容が虚偽であるとするならば外務省としても直ちに適切な処置をとらなきゃならないし、仮にも報道内容が真実であるというふうなことになれば、これは単に当該職員の問題だけでなくして外務省全体、行政庁の長としての外務大臣の責任でもある、このように考えたことの結果として質問をさせてもらっているわけです。今、大臣のお話で調査した上で処置しようとおっしゃいましたが、その調査の結果等は現時点においてわかっているんでしょうか。
  13. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 御指摘報道につきましては私どもといたしましても早速事実関係調査したところでございまして、その結果、当該職員がこの記事指摘されているように向島等会食を行ったケースはあるわけでございますけれども同人が公費を用いて私的な飲食をしたという事実はございませんでした。同人事務次官秘書官在任中に職務上行った会食経費予算の範囲内で所要の省内手続を経て適切に支出されていたものと認識いたしております。  ちなみに、一職員会食で億単位の支出を行うことは全くあり得ないことでございまして、事実そのようなことはなかった次第でございます。
  14. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、事実調査したけれどもそういう報道されているような事実はなかったとおっしゃるんですが、どのような方法で事実確認をなされたのか、いつなされたのか、その辺をもう少し詳細に説明してください。
  15. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 調査の日時あるいは項目及び方法についての御質問でございますけれども当該職員週刊誌側からの取材に応じたのが二月二十日でございまして、それ以降、取材された内容についての事実関係等報告がありましたので、その事実関係や当時の会計上の処理について当該職員からの事情聴取あるいは関係書類調査などを行ったわけでございます。さらに、四回にわたって報道がなされましたので、報道がなされるたびに報道された内容についての事実関係や当時の会計上の処理について関係職員からの事情聴取あるいは関係書類調査を行ったということでございます。
  16. 猪熊重二

    猪熊重二君 ところで、外務省橋本宏報道官名で二月二十二日の夜、二月二十二日の夜というのは先ほど申し上げた週刊誌が発行される前日です。その前日に発行元に対して、明日発売週刊ポスト誌記事が掲載されることを知ったけれども二億円着服ということは事実無根である、外務省として厳重に抗議する、このような抗議書面週刊ポストに送ったというふうに報道されていますが、間違いありませんか。
  17. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 私の記憶では二十三日に外務省外務報道官発でそういう書面抗議を行ったと理解しております。
  18. 猪熊重二

    猪熊重二君 私は非常に不思議に思うんです。なぜかというと、この報道官抗議文は、きょう、あした発売週刊ポスト外務省のことが掲載される、しかし事実は無根なんだ、だから抗議するとおっしゃっているわけです。大体、あした報道されるというのをきょう知って、きょう抗議して、ここは何の事実確認をした上で事実無根ということがわかったんでしょうか。
  19. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 発売前に抗議を行った理由につきましては、二十三日の段階で地下鉄の中に二十四日発売予定のこの雑誌広告が既に掲載されておりまして、その広告の中に「外務省高官の「二億円」着服疑惑」という大きな見出しが付されているということが確認されたわけでございます。これは、先ほど申しましたように、既に事前取材が行われておりまして、二億円二億円と盛んに言っていたわけでございますから、それは事実に反するということは当該職員も言っておりましたし、我々もそういう報告を受けて、先ほど申しましたように、部内でその段階で既に調査も行ってきていたわけでございます。  そこで、二億円ということはないという我々の結論でございましたので、こういうことになれば当該職員のみならず外務省の名誉を著しく傷つけるということで、同誌に対してそういう見出し記事が出るということが判明した段階で直ちに正式に抗議を行ったということでございまして、それ以上の他意はございません。
  20. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、この抗議は二億円を着服したことはないということの抗議なんですか。二億円は着服せぬけれども一千万ぐらいはあったかもしれぬという趣旨なのか。  私が聞いているのは、一年半にわたって、回数は何回だか知らぬけれども、十回だか五十回だか知らぬけれども、その間そういうふうに個人的に金を使った、こういうふうに報道されているものに対して、半日やそのぐらいでそんなもの全部調べられたのか。もし外務省抗議文というのが二億円なんて大金はやっていないよという趣旨であるなら別だけれども、そうでないとしたら、こんな半日やそこらで一年半にわたるそれだけのものを調べる時間的ゆとりも何もないじゃないですか。  そういう具体的に事実を検証した上でなしに、単に事実無根だということを言っておけばいいやというふうな対応だとすれば、かえって国民疑惑を増幅させる。国民疑念を払拭することには全く役に立たぬと私は思うんです。その辺はどう考えているんですか。
  21. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 先ほども申しましたように、取材は二十三日に行われたわけではなくて二十二日から行われていたわけでございまして、あるいはもうちょっと早かったかもしれませんが、同人取材の要請があったのはたしか二十日だったと思います。私どもとしても同誌が追っているポイントについては十分知る立場にありまして、それなりに私どもとしては一生懸命事実関係事前にチェックしていたということでございます。  それから、この抗議の文面は二億円着服というのは事実無根であるというふうになっておりますが、先ほど先生にお答えしましたように、それ以外に同人が行った会食が私的な目的でやったものでないということはその時点で既に確認しているところでございます。
  22. 猪熊重二

    猪熊重二君 会計検査院にお伺いします。  会計検査院も今聞いておられたからあれでしょうけれども週刊ポスト記事によれば、不正支出が行われたと記載されているのが平成五年八月から同七年一月までということですから、会計年度とすれば平成五年度決算平成六年度決算ということになる。会計検査院としては、この平成五年、六年度の外務省決算、特に報償費決算について検査したのかどうか、検査したとすればその結果はどうでしたか。
  23. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) 会計検査院検査の結果、平成五年度、平成六年度とも決算検査報告に掲記した事項はございません。
  24. 猪熊重二

    猪熊重二君 この報償費、今直接的には報償費決算検査の問題で、具体的にはどのような方法によって決算検査をしたんですか。
  25. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) 会計検査院検査は、会計検査院庁内で在庁して行います書面検査と、それから現地に赴きまして実施します実地検査の二本立てで行っております。  報償費に関しても同様でございまして、具体的に申し上げますと、在庁時には、計算証明書類として会計検査院に毎月提出されてまいります支出計算書、あとその証拠書類につきまして計数確認のための書面検査を行っております。また、外務本省実地検査時におきましては、外務省に保管されております契約書請求書領収書、その他支出内容を裏づける帳簿、関係書類等の提示を受けまして、支出目的等につきましても適正に使用されたという確信が得られるまで担当者説明聴取を受けている状況でございます。  また、これは他の省庁、他の費目につきましても同様に検査を行っている状況でございます。
  26. 猪熊重二

    猪熊重二君 私が検査具体的方法はどういうふうだったかというのを伺っているのは、単に支出されたということが問題じゃないんです。本件の問題は、先ほど報償費性質のところで伺ったように、外務省に対して第三者がいるわけだ。その第三者に対する直接的な報償金なり第三者との会食の費用なりというものでなければ報償費としての性格は持ち得ない。そうでないとしたら単なる内輪のお手盛りにすぎぬ。そんなような金にこの予算を一円でも使うわけにはいかぬという観点からすれば、会計検査中核は、もちろんそれだけの言われている金額が現実に支出されたということも検査しなければならないことだけれども、それ以上に中核は、どのような第三者のためにこれが支出されたのかということが検査中核でなければならない。  そういう意味において、第三者のための支出であるかどうかについてはどのような方法確認したんですか。
  27. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) すべて公金の使用につきましては、どの省庁、どの部局におきましても内部手続を定めまして適正に予算の執行がなされるような体制をとっております。  まず、会計検査院検査といたしましても、基本的にはそのような内部手続が遵守されているかどうか、その関係で定められているような書類等が整備されているか等を確認した後に個別に調査しておる状況でございます。
  28. 猪熊重二

    猪熊重二君 じゃ、もっと具体的に伺う。この五年度、六年度の報償費支出に関する決算検査において、すべての支出金額について、だれ人のために、要するに外務省職員以外の第三者のどういう人のためにこの金は出されたんだという第三者確認は全部できているんですか。もしできているんだとすれば、どういう方法によってそれを確認したんですか。
  29. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) 検査過程におきまして、先ほど申し上げましたように、定められた書類等が整備されているか、添付されているか等を確認しておりますので、その書類を見ることによりまして使途の確認を行っておる状況でございます。
  30. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、あなたが検査したその書類の中には、ちゃんとこれはどこどこのだれさんに対して支出したとか、あるいはどこどこのどういう人のためにこういう会合を持ったんだと、その第三者が全部書類上確定できるんですか。
  31. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) 検査過程におきましてはそのように確認しております。
  32. 猪熊重二

    猪熊重二君 これは非常に重要なことです。あなたが検査したのかほかの人が検査したのかは知らぬけれども、五年度、六年度の決算の現場における検査において、確認したすべての証拠書類において支出された相手方の氏名がきちんと特定できたということなんですね。もしそうでないとしたらえらいことだ、これ。
  33. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) すべて確認しております。
  34. 猪熊重二

    猪熊重二君 それはあなたが確認したのか、それともだれが確認したのか。具体的に、そうすると全部見た書類の中に先ほどから言っている報償費支出先である第三者がきちんとわかるように全部書いてあったと、こういうことですか。だれがやったんです。
  35. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) 会計検査院外務検査課として検査をしております。そして、すべて確認させていただいております。
  36. 猪熊重二

    猪熊重二君 もう一度、しつこいようですが、もしあなたが言うことが本当に正しいとすれば、この週刊ポストに厳重に抗議せにやならぬし、非常に重要なことなんです。当事者等確認することなく、書類上きちんとその支出目的であった第三者が記載されていたんですね。
  37. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) 先ほど申し上げておりますとおり、適正に予算執行されるような体制をとられておって、その中で定められておる書類等確認しておるということでございます。
  38. 猪熊重二

    猪熊重二君 私が何でこんなにしつこく言うかというと、私が質問通告をするあるいはその事実関係をあなたに伺ったときには、あなたは今言ったような趣旨のこととは違うことを言っていた。第三者確認ということはできているんだかできていないんだかわからぬ趣旨のことを言っておられた。今委員会で前任者がやったことできちんと書類確認できているというふうに答弁されているんです。これはまた後日会計検査院にもう少し聞いてみるけれども、私が非常に不思議に思うのは、おととい、きのう、あなたに聞いた話と今の話が違うということだけは記録にとどめておく。  今度は一般論として聞きます。要するに、報償費支出先については会計検査院としては当然に確認し得る権限もあるし確認もしているということでよろしいんですか。
  39. 鵜飼誠

    説明員鵜飼誠君) 実際に確認しております。
  40. 猪熊重二

    猪熊重二君 また外務省に伺いますが、二月二十八日の衆議院の予算委員会において、中村鋭一議員の質問に対し、外務大臣はこの件に関し官房長が本人に口頭で厳重注意したというふうに答弁しておられます。官房長が厳重に注意した、その注意したのはどういう行為に関して厳重に注意したんですか。
  41. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 一般論として申しますと、事務次官秘書官は外交活動を事務的に統括する立場にあります事務次官を直接に補佐して全省的な観点から外交活動の円滑な遂行を確保する責任を負うという職掌柄、会食を含めいろいろな会合に参加する必要がなかなか多いポジションにあるわけでございます。他方、職務上の必要性に基づく会食であるとはいえ、場所等を含めまして社会通念上疑問が持たれるということのないようにすべきことは公費をもって行政を執行する立場にある外務省員としては当然でございます。  このような観点からしますと、外務省としては、その当該職員事務次官秘書官当時の職務上の会食の場所の選定について社会通念上疑問を持たれかねない点があったという点については否めない部分がありますので、そういう意味では非常に遺憾であったということで、今後このようなことのないように十分留意すべきであるという観点から、私が当該職員を私の部屋に呼んで二月二十四日に口頭で注意をした、そういうことでございます。
  42. 猪熊重二

    猪熊重二君 私は向島の料亭でやったって何だって別にちっとも社会通念上不届きだとかおかしいとか思いません。なぜ思わぬかといえば、第三者を接待する、あるいは第三者を慰労する、それに最もふさわしい場所が向島の料亭ならそれでも結構じゃないか。そうじゃなくて、自分たちだけの金を使うんだとしたら、向島の料亭へ行って使うなんということはとんでもないことだ。しかし、自分たちでなくて第三者を応接するための場所として最もふさわしいと思えば向島の料亭でもどこでもいいじゃないか。  いずれにせよ、この向島の料亭云々というときには接待されるべきあるいは報償費を使う対象となるべき第三者はいたのかいないのか、それについてはどう確認しているんですか、官房長
  43. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 先ほど来お答えいたしておりますように、私的な会食で本人が金を使ったということはないわけでございまして、向島での会食も含めまして第三者が当然に客としていたわけでございます。それは本人にも確認しておりますし、書類に基づいてチェックしております。
  44. 猪熊重二

    猪熊重二君 私的な会合に公金を使ったことはないということが証明さるべき対象じゃないんです。この支出はこうこういう第三者に対する接遇なんだという、それが必要なんです。私的な会合で使ったんじゃないかあるかなんということは調べようがないんです。調べるあるいは正当性を持ち得るのはだれがいたのかということ。要するに、報償費の対象となるべき第三者がいたかいないかという問題が中核の問題だと思うんです。  いずれにせよ、もし会計検査院あるいは外務省が今言うように、やましいところが一つもないということだったらもう少し国民に明らかに、このような週刊誌報道は間違いであるということをもっと明らかにするべきだ。また当該本人も名誉毀損でも何でも告訴したらいいと思う、私は。そのぐらいの対応を当然するべきだと思うが、もう時間がありませんので、外務省としてこれについて、もうこれで終わりなんですか、それとも何らかの対応を今後とる意思はあるんですかないんですか、一言だけ。
  45. 原口幸市

    政府委員原口幸市君) 本問題につきましては、外務省として事実関係調査当該職員に対する注意等を既に行ったところでございまして、今後さらに本件について調査を行うということは考えておりません。  ただ、先ほども申しましたように、世間の疑惑を招くような行動は厳に慎まなければならないと思っておりますので、当人に限らず外務省職員に対しては十分留意するように今後とも指導してまいりたいと思っております。
  46. 猪熊重二

    猪熊重二君 終わります。
  47. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、きのうの予算委員会で同僚の議員から財団法人海外漁業協力財団と補助金の関係質問がありまして、この関係で私自身として納得いかない点が多かったので、これについて質問させてもらいます。  新聞報道によれば、この財団が補助金すなわちODAの五百億円をため込んで、その運用益を人件費とか技術協力事業に回していたということが総務庁の行政監察局の調査でわかったと、こういうことが言われておりまして、これはもう重大な問題だと思うんです。  この財団の設立は四十八年六月二日、設立目的は海外漁業協力事業の円滑な促進を図るとともに、我が国海外漁場の確保を図り、我が国漁業の安定的な発展に資するということが目的に書かれております。事業としては補助事業、補助事業の中には貸付事業と技術協力事業、それと単独事業があるということですが、これは間違いございませんか、農水省。
  48. 海野洋

    説明員(海野洋君) 海外漁業協力財団は、今御指摘にありましたように、昭和四十八年に設立されておりますが、国の補助金によります貸付資金の造成を受けまして本邦法人に対してお金を貸し付ける事業、それをもって海外の漁場を確保するということと、同じく海外の漁場を確保するために必要な技術協力事業を国の補助金、それと財団の独自の事業ということで行っております。
  49. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、設立当初の基本財産は幾らだったんでしょうか。そして、現在は幾らあるんでしょうか。
  50. 海野洋

    説明員(海野洋君) お答えいたします。  昭和四十八年に民間が一億円、それから政府が一億円の出資をしておりまして、合計二億円でスタートしております。平成七年度末現在で約九十六億円の基本財産でございます。
  51. 高野博師

    ○高野博師君 それから、貸付事業資金というのは当初は幾らあったんでしょうか。そして、現在幾らあるんでしょうか。
  52. 海野洋

    説明員(海野洋君) 最初は十億円でございまして、平成七年度末の累積の造成額が八百五十四億円でございます。
  53. 高野博師

    ○高野博師君 これはどうしてこんなにふえたんでしょうか。
  54. 海野洋

    説明員(海野洋君) 先ほど申し上げましたように、貸付事業の原資につきましては国からの補助により毎年造成しております。昭和四十八年以来国からの補助金をこの目的に充てるためにいただいておりますので、先ほど申し上げましたように、平成七年度末の累積造成額が八百五十四億円でございます。
  55. 高野博師

    ○高野博師君 もともとの原資が二億ですか、現在が九十六億、基本財産がこんなにふえるというのはどういうことでしょうか。
  56. 海野洋

    説明員(海野洋君) 今の御質問は基本財産の件でございますが、四十八年の二億円から九十六億円に基本財産がふえましたのは、この団体の各事業におきます剰余金が出ますが、その剰余金を基本財産に積み立てたということでございます。
  57. 高野博師

    ○高野博師君 その剰余金はどこから出たんですか。
  58. 海野洋

    説明員(海野洋君) 剰余金は貸付事業の貸付利息それから運用益その他、この事業全体の収入がございますが、その収入と支出との差が剰余金でございますので、そこから生じたものでございます。
  59. 高野博師

    ○高野博師君 二億から九十六億円に基本財産がふえている、それから貸付事業資金が十億から八百五十四億、これはもうけた違いにふえているんですが、貸付事業で上がる収益でこれだけふえるわけはない。補助金は当然全部ここに、特に基本財産については補助金の剰余金というか運用資金をつくってそれを入れていないとこれだけふえるはずがないんですが、どうでしょうか。
  60. 海野洋

    説明員(海野洋君) これまで、平成七年度末までで貸付実績が二千二十三億円に達しておりまして、貸付事業の結果、海外漁場に大きく貢献してきていると思っております。今申し上げましたこの事業に伴う利息収入と運用益ということが財団の一つの大きな収入になっているということでございます。
  61. 高野博師

    ○高野博師君 運用益というのは補助金を運用した金ですか。これも入っていますか。
  62. 海野洋

    説明員(海野洋君) 補助金は海外の貸付事業の資金造成に充てられることになっておりまして、その造成されました資金の運用でございます。
  63. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、ちょっと具体的にお伺いいたしますが、総務庁の指摘によれば、財団の毎年度の事業計画に盛り込まれた貸付予定案件の大半は翌年度以降への繰り越し、あるいは最終的に貸し付けに至らないものとなっている状況が見られるとしておりまして、特に平成三年から七年度の年間事業計画の件数は三十数件、約二百億円、年間。しかし貸付決定は三件から六件、したがって約五億から七十億円。これに対して補助金は三十五億前後もらっている。したがって、貸付事業金額よりも補助金の方が多い時期もあったわけですね。これは認めますか。
  64. 海野洋

    説明員(海野洋君) 先ほど申し上げましたように、この事業は海外の漁場を確保するための資金を造成するということで国から補助金をいただいております。したがいまして、当該年度に事業が出るということはもちろん重要でございますが、それを含めて中期的な資金需要に耐えられるように資金を造成するという目的で補助事業ができておるところでございます。
  65. 高野博師

    ○高野博師君 資金を造成するのはいいんですが、資金の需要がないのにどんどんふやすというのはどういうことでしょうか。
  66. 海野洋

    説明員(海野洋君) 今申し上げましたように、この事業は海外の漁場を確保するということが主な目的でできておりますが、この海外の漁場の確保は、例えばトロール漁業などで合弁以後、現地の水揚げ義務が急に大きくふやされるというようなことがあったために急速投資を取りやめて見合わせるというような案件が出てきたように、外国の漁業政策、相手国の漁業政策というものに非常に大きく左右されるという特色がございます。  このような特徴に加えまして、最近の円高あるいは市中金利の低下といったことによりまして近年貸し付けが低迷したということでございます。
  67. 高野博師

    ○高野博師君 それにしても、三十数件の計画を立てて、実際に貸し付けやるのが三件とか五件とか、これはもう見通しが悪過ぎるというか、計画が悪過ぎるのと違いますか。
  68. 海野洋

    説明員(海野洋君) ただいま申し上げましたように、非常に外国の漁業政策というものに大きく左右されるという側面があるということと、ここ数年の経済事情というのが非常に大きく作用したと思っております。  ただ、今回の行政監察局の監察でも十分需要を把握する必要があるという点を指摘されているということは私ども十分承知しているところでございます。
  69. 高野博師

    ○高野博師君 海外の事情に影響されるにしても、そのぐらいの幅というか、見通しは立たないんでしょうか。けたが違うと思うんですが、それはもう結構です。  それで、総務庁がもう一つ指摘しているのは、財団の貸付事業資金の運用による収益、運用益ですが、これについては必要経費充当後の残りが貸付事業資金の造成に充てられていないという指摘があるんですが、これは事実でしょうか。
  70. 海野洋

    説明員(海野洋君) 現在はこの事業の実施要領、それと財団の寄附行為においてこれを翌年度の普通財産に使うか、あるいは剰余金として処理して基本財産に入れるということになっておりまして、貸付事業資金の方に戻すことになっておりません。
  71. 高野博師

    ○高野博師君 それは補助金の補助の目的に合わないのと違いますか。基本財産に入れることができるんですか、法的に。農水省がつくっている実施要領というのは法律、すなわち補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に反するのと違いますか。
  72. 海野洋

    説明員(海野洋君) 今問題になっております海外漁業協力財団の貸付資金の造成に関する補助金は貸付資金を造成することを目的としたものでございまして、補助金によって資金の造成が行われますと、補助金の適化法第二条第二項に規定する補助事業が完了するということになっております。  しかしながら、造成された貸付資金が造成後においても補助金の交付した目的に沿って運用されるということが、確保されることが必要でございますので、適化法の施行令の第四条に基づきまして事業の完了、この場合、貸付資金の造成後条件を付すことによってその目的が達成されるよう事業の実施要領において貸付資金の管理、運用益の使途について定めておるところでございます。  貸付資金の運用益の使途につきましては、国際漁業振興協力事業実施要領でございますが、この中において、貸付資金の運用により生じた収入は同財団の人件費及び管理費に要する経費に充てることができるということにされております。
  73. 高野博師

    ○高野博師君 財団の人件費ですか、それは。職員及び役員の。
  74. 海野洋

    説明員(海野洋君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  75. 高野博師

    ○高野博師君 これは補助金の補助の目的に合っていない。それから、先ほど私言いましたように、総務庁の指摘の剰余金ですか、要するに貸付事業の資金の造成に充てられていないということは認めますか、運用益が。
  76. 海野洋

    説明員(海野洋君) 今申し上げましたように、運用益の使途につきましては財団の人件費及び管理費に要する経費に充てるということを農林省の実施要領で認めております。  他方、補助……
  77. 高野博師

    ○高野博師君 結構です。そんな勝手な実施要領をつくることができるんですか、各省庁で。
  78. 海野洋

    説明員(海野洋君) この補助金は先ほど申し上げました、繰り返しで恐縮でございますが、貸付資金を造成するということが目的でございまして、その意味で……
  79. 高野博師

    ○高野博師君 だから、造成に使われてなければ、それは目的に合わないんじゃないですか。
  80. 海野洋

    説明員(海野洋君) 毎年毎年の補助金につきましては財団にあります貸付事業資金の造成の中に繰り入れられていますので、その意味で補助金の目的に合致しております。
  81. 高野博師

    ○高野博師君 今、繰り入れられてないと言ったんじゃないですか。
  82. 海野洋

    説明員(海野洋君) 繰り入れて……
  83. 高野博師

    ○高野博師君 ちょっと待ってください。  それじゃ、今財団には基本財産それから貸付事業資金、そのほかに何か資金を持っておられますか。あるいは預金の口座か何か持っていますか。
  84. 海野洋

    説明員(海野洋君) 基本的に今の二つのものだと思っていただいて結構でございます。
  85. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、ちょっと具体的に聞きますが、平成七年度の収入予算額は幾らだったんでしょうか。
  86. 海野洋

    説明員(海野洋君) 財団の収入予算規模でございますけれども、九十五億でございます。
  87. 高野博師

    ○高野博師君 九十五億。そのうち国庫補助金は幾らだったですか。
  88. 海野洋

    説明員(海野洋君) 五十一億でございます。
  89. 高野博師

    ○高野博師君 そのうちの貸付資金造成費の補助金は幾らだったですか。それから振興協力事業費補助金は。
  90. 海野洋

    説明員(海野洋君) 資金の造成費の補助金が三十四億で、技術協力事業に関するものが十八億でございます。  失礼しました。先ほど補助金五十一億と申しましたが、それは決算ベースでございまして、受け入れの補助金は予算上は五十二億でございます。
  91. 高野博師

    ○高野博師君 八年度のは数字をもらっていますが、この補助金の消化状況はどんなぐあいですか。
  92. 海野洋

    説明員(海野洋君) 受け入れました補助金のうち、貸付事業造成費の補助金につきましては全額執行されております。
  93. 高野博師

    ○高野博師君 執行されたのは何件ですか。事業は何件ありましたですか、今年度、八年度。
  94. 海野洋

    説明員(海野洋君) 九件でございます。
  95. 高野博師

    ○高野博師君 九件で幾らですか。
  96. 海野洋

    説明員(海野洋君) 四十億円弱でございます。
  97. 高野博師

    ○高野博師君 そうすると、貸付資金の造成費の補助金が約三十五億、実際に貸し付けしたのが見込みとして四十億。そうするとわずか五億ですね。  それで、振興協力事業は全体として幾らぐらいかかっているんですか。時間がないんで早くしてください。
  98. 海野洋

    説明員(海野洋君) 当初予算の額で二十一億でございます。
  99. 高野博師

    ○高野博師君 そうすると、これは補助金全額でやったということになりますね。補助金が二十一億出ているわけですね。
  100. 海野洋

    説明員(海野洋君) 節約がかかっております。
  101. 高野博師

    ○高野博師君 何ですって。
  102. 海野洋

    説明員(海野洋君) 大蔵省の方から節約が毎年……
  103. 高野博師

    ○高野博師君 節約がかかっているのはいいんですが、補助金全額でやっているんじゃないですか、ほとんど。おたくの手持ちの事業資金でやっているのと違うんじゃないですか。
  104. 海野洋

    説明員(海野洋君) 失礼しました。平成七年度で補助残が五億円ございます。国からもらった技術協力事業の補助残として財団がみずから負担した額が……
  105. 高野博師

    ○高野博師君 その前の年ですか。その前の年の余っている金があるということですか。
  106. 海野洋

    説明員(海野洋君) 平成七年度の数字で恐縮でございますが、国からいただきました技術協力事業の補助残として海外漁業協力財団がみずから負担した額が五億円あるということでございます。
  107. 高野博師

    ○高野博師君 通常は補助金というのは大体四分の一が目安と違いますか、こういう補助に関しては。
  108. 海野洋

    説明員(海野洋君) 海外の漁場確保というこの事業の性格にかんがみまして四分の三の事業が中心となっております。
  109. 高野博師

    ○高野博師君 それはこの財団に限ってですか。特別の理由があるんですか、それは。一般に公益法人に対する補助金というのは全体の事業の大体四分の一が目安と違いますか、これは私の理解が間違っているかもしれませんが。おたくのというかこの財団の事業はもう大半が補助金でやっている。しかも基本財産も十倍以上に、それから貸付事業資金も十億から八百五十四億と、こういう金が一体必要なんでしょうか、そもそも。
  110. 海野洋

    説明員(海野洋君) ただいま申し上げました国からの補助金によります技術協力事業のほかに、財団がみずからやっております、単独事業といっておりますが、その事業平成七年度決算ベースで八億円強ございます。
  111. 高野博師

    ○高野博師君 この単独事業は八億かかったということですが、後でこれは明細を見せてください。例えば相手国の政府の要人を六カ国から呼んでいるとか、あるいは専門家派遣を二カ国にやったと、これが八億もかかるとはちょっと思えません。これは後で結構です。  それで、この財団の人件費あるいは事務所の経費、交際費等はどうなっていますか。どこからこれ出ているんでしょうか。どの資金で賄っているんでしょうか。
  112. 海野洋

    説明員(海野洋君) 人件費につきましては職員と役員と入れまして全体で五億五千万円くらいでございます。それから、事務所が二億円弱でございます。
  113. 高野博師

    ○高野博師君 その経費はどこから出ているんですか。
  114. 海野洋

    説明員(海野洋君) この財団の収支は、補助金のほかに基本財産の運用益、それから貸付事業の収入、国運用益その他から成っております。  一方、支出としましては、貸付資金の造成を含む国庫補助事業、それから先ほど問題になりました技術協力事業の補助残事業、それから単独で行っております技術協力事業、それから人件費を含みます一般管理費その他から成っておりまして、国庫補助事業以外は直接どれがどれに当たるという対応にはなっておりません。
  115. 高野博師

    ○高野博師君 随分いいかげんな金の出し方で、これはもう当然補助金をもらった剰余金、これで役員の報酬等にも入っているわけですね、当然。
  116. 海野洋

    説明員(海野洋君) 要領土は財団の役職員の報酬にもこの運用益を充てることができる旨規定されてございます。
  117. 高野博師

    ○高野博師君 それは実施要領ですね。  総務庁にお伺いしますが、こういう実施要領、補助金の目的に合わないというか、本来の支出目的に合わないような使い方をしてもいいような実施要領は勝手につくれるんでしょうか、各省庁は。簡単に答えてください。
  118. 伊藤孝雄

    説明員伊藤孝雄君) 私ども補助金の適化法の所管省庁でございませんので、大変恐縮ですが、具体的仕組みについてはお答えできる立場にありません。
  119. 高野博師

    ○高野博師君 それでどうして行政監察ができるんでしょうかね。実施要領を見ているのはだれですか。これは後で結構ですが、私に見せてください、その実施要領。これが補助金にかかわる法律に違反している可能性は私は十分あると思います。  それから、団体の役員の中で理事長が農水省の構造改善局長をやった方だというんですが、水産とは全く関係ない人が理事長をやっておられる。もう一人の常務理事も農水省の出身で、もう一人の専務理事が大蔵。給料は月給約百二十万、三年間勤めると二千数百万の退職金が出る。これも補助金の一部が入っていることは間違いないと思います。これについて会計検査院は何か検査したことがあるんでしょうか。
  120. 川滝豊

    説明員(川滝豊君) 海外漁業協力財団に対する会計検査につきましては、最近では平成五年に実施しておりますけれども、その後検査は行っておりません。今の点につきましては、主に従来は貸し付けの案件の調査ということですので十分な調査はしていなかったかと思います。
  121. 高野博師

    ○高野博師君 ODAの金で年間五十数億円も出ているこの財団に対して、そういう会計検査もまともにやっていない。総務庁の方も、この財団ができてから二十五、六年、過去何回やったんでしょうか。
  122. 伊藤孝雄

    説明員伊藤孝雄君) ODA、経済協力に関する行政監察をどのぐらい過去やったか、こういうお尋ねだと思いますが、私どもの方では昭和六十三年以降、ODAは非常に規模が大きゅうございますので、有償資金協力と無償資金協力、技術協力、大きく二つに分けて、三月十四日に勧告したものを含めてトータルそれぞれ二回ずつ計四回の監察を行っております。
  123. 高野博師

    ○高野博師君 会計検査も総務庁の行政監察も私は問題があると思います。  それで、今回明らかになった部分だけでも、いずれにしても、ODAというのは政府開発援助ということになっておりまして、相手国の経済社会開発、発展に資するというのが本来の目的でありますから、この財団に対するODA、膨大な金額、これは相当問題がある。財団役員の報酬等にODAの一部が回っているということであれば、これはもう重大な問題だと私は思います。その他の海外技術協力事業等もこの財団がやる必要はないというか、これはもうJICAベースで、国際協力事業団が当然やるべき仕事だと私は思います。  そしてこの補助金も、これだけの補助金を出してやるだけのことが本当にあるのかよくわからない。JICAの場合には非常によくわかる、金の動きも含めて。しかし、この漁業財団の場合にはよくわからない。役員に膨大な報酬が行っているというのは、補助金、ODA、ある意味で食い物にしているということが言えるのではないかと私は思うんです。  大臣にちょっと所感をお伺いしたいと思うんですが、こういうODAのあり方でいいのかなという私は個人的な意見を持っておりますが、大臣はどうお考えになられますか。
  124. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ODA事業は海外の諸国との間で行う事業でございますから、国内における事業に比べましていろいろ難しい面があるというのは否定できないと思います、国際関係も随分変化いたしますから。  しかし、それにいたしましても、委員が今御指摘になりましたODAは本来の目的に沿ったものでなくちゃなりませんし、もとより大切な国民の税を財源として行う事業でございますから、その観点からも適正な使用でなくちゃいけない、こういうふうに考える次第でございます。  政府全体といたしましても、今後ともそういった意味でODAの適正な執行が確保されるように努力を払ってまいりたいと存じます。
  125. 高野博師

    ○高野博師君 時間が来ましたので、最後に、農水省所管の公益法人でODA関連の補助金を受けている団体のリスト、そしてその概要、補助金の金額等を資料要求いたします。それから、これらの法人に対して行政監察あるいは会計検査をやった結果についても資料を要求いたします。  以上で終わります。
  126. 田英夫

    ○田英夫君 ことしは沖縄が返還されて五月十五日でちょうど二十五年になるわけでありますが、今アメリカ軍基地の問題が注目を集めている中で、この問題について若干御質問をしたいと思います。  私ごとですけれども、ちょうど国会議員になった最初の仕事がこの沖縄返還問題でありました。前年の一九七一年の十一月、十二月が沖縄返還協定の審議が行われたいわゆる沖縄国会でありました。それだけに、個人的にも大変大きな関心を持っております。  最初に外務大臣にお伺いしたいのは、先日ゴア・アメリカ副大統領が来日をされて、外務大臣そして橋本総理大臣と会われたという中で、外務省からもこの会談の内容についてのリポートをいただきました。その中で、特に私の知っている沖縄の人たちが最もある意味の驚きを持って新聞などを読みましたのは、外務大臣も総理大臣も日本側から在日アメリカ軍の縮小を提案するつもりはないという態度の表明をされたということであります。  沖縄の人たちにとっては、大田知事初め、在日、特に在沖縄米軍の縮小ということを願っていたわけでありますから、この点についてどういうお考えでゴア副大統領に対して縮小は求めないということを言われたのか、この辺をまず伺いたいと思います。
  127. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ゴア副大統領との間で私から申しましたのは、まず最初に、もとより日米安保条約、安保体制は極めて重要であるけれども、それの実効性を確保していくという観点からも、我が国国民の理解、支持、とりわけ基地の集中している沖縄の県民の御理解を得るということが非常に大切であるということをるる申しました。  その観点に立って、SACOの最終報告に盛られた基地の整理、統合、縮小に関する努力をきちんと実行していかなくちゃいけない。そのために米側もこれからも協力、努力するようにということを強く申したわけでございます。  その上に立って、現在日本にいます米軍の構成なりあるいはレベルにつきましては、現在の我が国周辺の国際情勢あるいは安全保障環境から見まして、とりわけ東アジアの情勢を考えると、現時点でこれについて縮小を考えるあるいはそれを議論するべき時点ではない、これは日本の政府もそのように考えておる、こう申しました。  しかしながら、将来の問題としましては、日米共同宣言にもきちんとうたわれているとおり、国際情勢の変化に応じてそのような問題、軍事態勢の問題についても両国間で協議しなくちゃいけない、こういうことははっきり合意されている、そしてこれは単に書いてあるというだけではいけない、現実にやらなくちゃいけないんだということを私は強調いたしました。  さらに申しますがということで、それをどういうふうなレベルに、どのような構成にするかということはこの条約において、あるいはアメリカがこの地域にコミットメントをしているそのコミットメントをどういうふうに果たしていくかという観点から、一義的にはアメリカにおいて考えるべき話であろうと。しかしながら、日本はそれをそうですがとうのみにするものじゃないぞと、私は、日本語でうのみという言葉を二度使いました。うのみにするものではない、我が国としてもいろんな情勢の認識を踏まえていろいろ真剣に討議していかなくちゃいけない、こういうことを申し上げた次第でございます。  新聞の報道はそういったところが、私は一番肝心なつもりで言ったのでございますけれども、新聞の、メディアの観点からいうと、直接現時点での削減を求めなかったというところに関心が集まったのでございましょうか、そこの部分だけが報道された、こういうことでございます。
  128. 田英夫

    ○田英夫君 今の御説明はそれなりによく理解できます。  実は、二十五年前の返還のときに、御存じのとおり、核抜き本土並みということが一つの合い言葉のように言われたわけであります。当時の日本を取り巻く国際情勢、これはベトナム戦争がまだ完全に終えんはしていない、七五年に終わるわけでありますから、そういう状況が一つある。沖縄のといいますか日本のアメリカ軍基地はベトナム戦争に対する重要な基地であったということ。同時に、中国は今とは全く違った、アメリカから見れば敵であるという状況であったと思います。さらに、朝鮮半島の状況は、今も不安定であることは変わりはないかもしれませんけれども、現在よりももっと危険な状態であったということが言える。そういう中で、アメリカの政府、国防総省はもちろん、国務省あるいは議会の空気は核抜きということに対しては大変厳しかった。これはある意味でアメリカの立場からすれば当然だったと思います。  にもかかわらず、非常に粘り強く外務省を中心に交渉を重ねられた結果、返還の二年前ですか、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明で日本の核政策に背馳しない形でという表現で核抜きということが基本的に合意されたと言っていいんじゃないかと思います。  私の申し上げたいのは、実は今よりもはるかに日本を取り巻く国際情勢は軍事的にも厳しかった。そういう中であえて核抜き本土並みを粘り強く主張してこれを実現されたということ、これは一つ今の状況の中でお互いに非常に範とすべきだといいますか参考にすべきことではないかということを申し上げたいわけであります。  したがって、私が結論として申し上げたいのは、沖縄のアメリカ軍、特に海兵隊の縮小ということを大田知事もしばしば表明をされておりますけれども、この問題に触れたいと思います。  実は、沖縄のアメリカ軍基地は膨大な基地ですけれども、そのまた七割が海兵隊の基地であるということ、アメリカの海兵隊を縮小するということはとりもなおさず沖縄の米軍基地を縮小するという非常に効果的な方法であるということも言えるんじゃないかと思います。  そこで、これは北米局長からお答えいただけるんでしょうか、海兵隊というもののそもそもの任務です。これは私、防衛庁がお答えくださるのかと思って聞きましたら、いや、これは外務省ですというお答えでしたから折田さんから、そもそも軍隊四軍ある中で、海兵隊というのは何をする軍隊かという極めて初歩的なことをお答えいただきたいと思います。
  129. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 沖縄におります米国海兵隊は師団規模で経常的に海外に展開している唯一の海兵隊部隊でございまして、第七艦隊とともにアジア太平洋地域における米国の前方プレゼンスの一翼を担っているわけでございます。  そして、九七会計年度の米国国防報告によりますと、この「海上部隊の基本任務は、」「米国とその同盟国及び友好国に対する侵略の抑止である。」ということをまず言っております。そして、「前方地域への日常的な展開を通じて安定の促進と紛争の抑止を助長する」と。そして、「万一危機が発生した場合、前方展開中の」こうした「部隊は即応能力を発揮する。これにより、危機の緊張が増大し、より危険な紛争が勃発することを防止できる。」ということでございます。  そして、我が国の安保条約との関係に照らして申し上げますと、まず抑止力を含め我が国の安全に資するものであり、また極東の平和と安全に資しているものというふうに認識しております。
  130. 田英夫

    ○田英夫君 私が聞きたいのは海兵隊という軍隊は一体何をする軍隊かということなんです。私の方から申し上げると、海兵隊というのは、紛争ないし戦争が勃発すればもちろんですが、一番先に敵地に到達をする、そしてそこに橋頭塗を築く、いわゆる敵前上陸をする部隊と言ってしまってもいい、こういう部隊だと思います。だからこそ、沖縄という地理的な条件のところに一万八千ですか、四万七千の中のかなり大きな部分を沖縄に置いていると。もちろん、普天間飛行場も海兵隊のヘリコプター部隊を中心とするところですし、岩国にも海兵隊がおりますけれども、本来の海兵隊の任務は、朝鮮で有事があっては困りますけれども、例えば朝鮮有事というような場合には一番先に朝鮮半島に行って、そこで敵前上陸をしてでも橋頭塗を築く、こういう任務であると理解をしているんですけれども、どうですか、そういうことでいいですか。
  131. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 基本的にはそういうことだろうと思います。  ただ、正確のために申し上げますと、紛争が起きたときの対応の仕方はいろいろあろうかと思いますが、海兵隊で特に特徴的なのは即応力、それから機動力ということでございます。
  132. 田英夫

    ○田英夫君 昨年の秋、私は沖縄へ行って、まさに当時問題だった普天間飛行場の司令塔に上って海兵隊の部隊の司令官と話をいたしました、説明を聞きました。そのときに、目の前に武装ヘリが約十機ぐらいとまっておりましたが、この武装ヘリはもちろん海兵隊員の移動にも使うことはできるだろうけれども、沖縄の海兵隊は有事の場合に現地へ到達するのに移動の手段を持っていないんじゃないですかということを言ったんです。
  133. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 沖縄の海兵隊自身がいわゆる揚陸艦というものを持っていないというのはそのとおりでございますが、米海軍が佐世保におきまして四隻の揚陸艦を持っているということでございます。  実際の危機になったときにどういう対応をするかというのはその時々の戦略的な判断であろうかと思いますが、兵員を運ぶ方法は、それこそ委員が今御指摘になりましたヘリコプターということもあり得ましょうし、戦略空輸ということもあり得ましょうし、さまざまなやり方があろうかと思います。
  134. 田英夫

    ○田英夫君 私も外交、防衛を担当してまいりましたから若干勉強してきたつもりですけれども、今佐世保に四隻と言われましたが、現在一隻しかいないと私は思っています。そして、四隻であったとしても、この一万八千の部隊を朝鮮有事のときに運ぶということに間に合うのかどうか大変疑問があります。軍事専門家もそういう疑問を呈しております。  そうなってくると、この沖縄の海兵隊というのは一体何のために駐留をしているのかという基本的な疑問を持たざるを得なくなってくる。その海兵隊をどうして縮小することができないのかという疑問に到達するということになるわけでありまして、これはもっともっと政府もお調べをいただきたいし、私ども調査を進めなければいけない問題だと思っているわけです。有事のときに一番先に行くべき軍隊が移動の手段を持っていないということは、それこそ変な例えですが、消防車を持っていない消防隊みたいなものであって、火事場に到達することができない、こういうことを言われても仕方がないんじゃないだろうかという疑問さえ持ちます。  沖縄に私自身も行きましたけれども、沖縄の実態について私どもの仲間が調べておりますところによりますと、沖縄の海兵隊の兵士の大部分は非常に若い、十八から二十歳ぐらいの若い兵士であって、訓練途上にあると。したがって、それだけにまだいわゆる軍の綱紀が必ずしも正されていなくて犯罪も起きると、こういうことを沖縄の方は言っております。  実は、沖縄の海兵隊はいわば新兵の訓練場ではないかという疑問さえ沖縄の方々は持っているんです。実際は、ある一定期間訓練をして、沖縄は必ずしも海兵隊の訓練の場所としては十分でないために、現在主としてオーストラリアに空から行って、オーストラリアで上陸訓練をするというような実態のようであります。私が普天間で司令官に聞いたときには、オーストラリア、その他マレーシアなども含めというふうに向こうから言っておりました。つまり、沖縄にいながら訓練を外地でもやっているというのが実態ではないかと思いますので、政府はもう少し沖縄海兵隊の実態をお調べになった上で縮小できるのかできないのかを検討された方がいいのではないか。  ただ、一方的にアメリカが縮小しないと、これはアメリカの立場であります。二十五年前の核抜き本土並みのことを先ほど申し上げましたけれども、当時に比べればはるかに日本を取り巻く情勢は、冷戦の崩壊という中でソ連という最も大きな脅威が存在しなくなっているということ、そして朝鮮半島ももちろん不安定ではありますけれども、あの当時に比べれば中国を含めむしろ危険度は低下しているんじゃないだろうか。こういう状況の中で、どうしていきなり総理大臣外務大臣がゴア副大統領に、言われる意味はよくわかりますけれども、のっけからこの海兵隊を含めたアメリカ軍の縮小を日本側から提起はしないということを言われたのかということに大変私どもは疑問を感じていると言わざるを得ないのでありまして、最後に外務大臣から私の意見に対して。
  135. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず第一点、沖縄の海兵隊は訓練目的ではないかという御趣旨の御質問かと思いますけれども、私はそうではないと承知しております。委員特に御承知だと存じますけれども、海兵隊という兵士はそもそも全体として非常に年齢が若うございます。そして、米国の場合は基本的に申しますと大きな海兵隊の分団といいましょうかグループが三つありまして、その中の一つが沖縄にございます。沖縄はほかの二つに比べれば少し小さくなっておりますが、この三つの中をくるくるとローテートしていくというのが基本の運用になっているようでございます。そして、もとよりその過程でどこでありましても訓練はするわけでございます。そして、その訓練の過程で、沖縄にあります海兵隊の場合には、先ほどおっしゃいましたように、我が国以外に出かけまして訓練を行うこともあるようでございますけれども、それは海兵隊としての平生の運用、その中の訓練の一過程でございまして、決して訓練目的のものであるということはないと存じます。  それから第二点、これは私に対する御質問にはございませんでしたけれども政府委員の答弁いたしましたものとの関連でちょっと御指摘ございましたが、いわば足のないというか船のない海兵隊では本来の趣旨目的に沿わないのではないかという点でございます。ここのところは、基本的には揚陸艦でございますけれども、そのほかのいろんな運搬手段もございまして、そういったものを総合的にあわせて海兵隊の本来の目的である機動力あるいは即応性というところは確保している、こういうふうに承知しております。  それからまた、冷戦時に比べれば我が国周辺の情勢、安全保障環境も格段と緩和されたじゃないかという御指摘は、確かに私もそのように承知しております。そして、それに見合って、沖縄に駐留しますものも含めまして駐留米軍あるいはアジア太平洋地域に展開しています米軍のレベルは随分下がっておるんだと思います。そうした下がった現在のレベルがどうかということを考える場合に、現時点での東アジアを中心とする国際情勢を考えた場合には、現時点でこれを削減しろということを日本から申し上げる状況ではないというふうに私どもは考えた次第でございまして、将来についてはまたいろいろ考えてまいりたい、こう思っております。
  136. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  137. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 私も沖縄米軍基地について若干お伺いします。  五月十四日の期限切れということは、これが設定された時期においては平成九年五月ごろになれば国際情勢がかなり変化するだろう、そういう予測があったんですか。期限切れを設定したときです、その時点においては。基地は要らなくなるという判断があったんですか。それとも期限は更改するというつもりで設定したんでしょうか。——意味がわかりませんか。
  138. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ちょっと恐縮でございますが、何を設定したときにという……
  139. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 期限切れです。平成九年五月十四日ですか、それを設定した時期においては、この時期には国際情勢が変化して基地についてやめるのか削減するのか、何らかの展望があったわけでしょう。
  140. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私の理解ではこういうことだと思います。基地に提供する土地を使用するために必要な権原を取得していく、そのために賃貸借権その他を設定してくるわけでございますけれども、そのときの前提として一定の期限を特措法上決めておりまして、そういうことでやっているんだというふうに承知しております。  ただ、今回の手続の場合には、御承知のとおり、SACOの最終報告などで基地によりましてはいろいろ返還の期限などを絞ったものがございますから、そういったものについては従来とは違った、少し短縮した期限で裁決の方の手続をお願いしている、こういうことだと思います。  さて、それじゃ特措法上期限があるのは、具体的に、例えば情勢が大きく変わって基地が要らなくなるとか、そういう前提に立っておるのかという御質問かと思いますけれども、そこのところは直接は関係がないんだと思います。しかしながら、やはりこういったものの性格上、未来永劫にということは論理的にもおかしいわけでございますから、情勢の変化で変わり得るというのは理論的にも当然前提にしなくちゃいけないということもあってだと思いますけれども、特措法上一定の期限を切ってある、このように理解しております。  恐縮でございますが、突然の御質問でございましたので法律的な根拠なんかについて正確な御答弁できなかったんですが。
  141. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 このたびゴアさんがお見えになっての話でも、国際情勢の変化に応じて安保を見直すことあるべしと、こういうことを繰り返し確認されるわけですね。その場合に、国際情勢の変化とは具体的に何ぞやといえば、ずっと前から最近までの情勢を考えて、一応北朝鮮の問題が一番大きいということにすれば、私は前にも申し上げたと思いますけれども、そういう不安定状況に対して軍備を整えて対応するという態度、それも必要かもしれませんけれども、もっと大事なことは、そういう情勢を緩和し、さらに安全なものにしようとする積極的な努力こそ本当に防衛の本質でなきゃならないと思うんです。ところが、そういう努力がどれだけ最近においてなされたか。  例えば、北朝鮮が飢えている、それに対して日本が応援しようとすると韓国が反対するという情報があります。しかし、たとえ国交関係がなくても、かつて植民地政治によって抑圧したことに対するざんげの心もあって当然ですし、韓国と北朝鮮を本当に仲よくさせたいという誠心誠意の努力をもって韓国を説きつける努力はなされたのか。  財源は、私は農業関係しかわかりませんけれども予算に非常なむだが多いわけですね。例えば、第四次土地改良長期計画は十年間に四十一兆円使うということになっておりますけれども、これは依然として国際競争を考えない田んぼつくりなんです。国際競争可能な田んぼつくりになりますと、細かい道路や細かい水路をつくる必要がなくなるので一割や一割五分の節約は簡単にできるわけです。  これは大臣に閣議のときにでもおっしゃってくださいとお願いしましたが、専門的な知識が必要とあれば資料をお届けしますので、ぜひ閣議で問題にして、例えばこういう問題がある、財政危機が非常な問題になっているときにこれを問題にしないのはおかしい、ただし外務省の方でお金が要るから応急に北朝鮮の米代をその中から一部署いてもらいたいと。二千万の国民ですからとりあえず一年に一人当たり九十キロから百キロ、その三分の一ぐらいを当面日本が応援しましょうということになれば四百億は要らないはずなんですね。それぐらいのことは、四十一兆の一割なら四兆一千億、それの十分の一ならば四千百億だから、北朝鮮応援の予算ぐらいは何でもないことなんですね。  だから、そういうようなことを農水省、外務省間で十分に協定を遂げれば、そこに一つの、国際情勢の変化に応じてというのを国際情勢を変化せしめて日米安保についての若干の見直しの契機がつくり出し得ないかと。日米安保というものは絶対必要だという前提的な話は極めて多いのでありますけれども、そうじゃなくて、その前提である国際情勢の変化を醸成してということの方にむしろ日本の防衛政策のウエートが置かれるべきだと。これは繰り返しになりますが、念のためお考えを伺っておきます。
  142. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもも世界、とりわけアジア太平洋地域の安定化のためにあらゆる外交努力を傾注していかなくちゃいけない、このように考えております。そういった意味で、例えば多国間の仕組みであるASEAN地域フォーラムの場等におきましても信頼醸成を高めるように努力をしておりますし、またそれ以外の二国間、いろんな場におきましてもこれからもそういった努力を傾注してまいりたいと思っております。  さて、そういった中で、例えば委員が今御指摘になりました朝鮮半島の安定というのは大変我々にとっても重視しなくちゃいけない事柄だと思っておりまして、その安定化のためには韓国あるいは米国等とも緊密に連携をとりながらこれまでも進めてまいりましたし、これからも基本的にはそういったことで進めてまいりたい、こう思っている次第でございます。  ただ、具体的に、一つ一つの時点においてそれぞれの国がどういうふうに対応していくかということについては、それぞれの国の立場がございますから、大きな基本的立場は同一であるとしても、細部によって違いますから少しずつ違いがあることはやむを得ない。これはお互いにそこのところを理解しながらやっている、こういうことでございます。  そういった中で、食糧の問題は非常に大切だということは承知しております。このことで安定化に資するということもよく考えております。それがあればこそ、一昨年あるいは昨年も我が国としても国際機関を通じて、あるいは直接のバイの仕組みでも支援をしたところでございます。  しかし、今の時点で一体どうするかということにつきましては、そのほかにもいろいろ考慮しなくてはいけない要素もあるのは委員御承知のとおりでございますので、そういったところもよくにらみながら、仮に行うならば最も本来の安定化に資するためにといった目的にかなうようなことで考えるのかなと、こう思っております。
  143. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 いろいろ事情はおありと思いますけれども、そういう事情を乗り越えて速やかに行動を決するのが今日の時代に非常に要求されておることでありまして、事情があるからといってだんだん先延ばしにするということのないようにお願いしたいと思います。  それで、また北朝鮮の田んぼの問題ですけれども、洪水で耕地が荒れている、惨たんたるものだということにつけても、農業の再建についても日本は相当やる能力を持っているわけですね。私の友人の農業者たちも、もし国がそういう方針ならば我々も行って北朝鮮の現地で田んぼの復旧、稲作の発展に奉仕したいという者がおりますし、国会の事情が許せば私自身も行きたいくらいでありますので、これもあわせてぜひ閣議に出していただくようにお願いします。
  144. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 北朝鮮の食糧事情を改善するためには、基本的にあの国の農業生産のあり方そのものが改善されなくちゃいけないんだと思います。しかし、そのためには、国際的ないろいろな協力もさることながら、まずみずからがその努力を払うべきではないかというのが常識でございましょう。例えば、百十万を超える精強な軍がいるわけでございますけれども、そういった人的資源の配分としてもどういうふうにお考えになるかということもあるんじゃないかと思います。
  145. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 そういう事情はわかりますけれども、そういうことを言ったら、ああそうですが、それじゃ私の方は軍縮やりましょうなんということは言うはずがないことなんですね。そういうことを乗り越えて、そういう頑固な心、頑固な姿勢を溶解させるようなこちらの積極的な努力こそ今日望まれていることなので、これは議論しても果てしがないのでこれぐらいにしましょう。  私は北朝鮮とは仲よくなれると確信しているんです。しかし、それと同時にもっと大事なのは、これも繰り返しになりますが、中国だと思うんです。アメリカも日本も言いたがりませんけれども、日米安保の一番の相手はソ連崩壊の後は中国だと。向こうはそう思っていますよ。今ゴアさんなどが行っていろいろ仲よくするようになっておりますけれども、これも当面の政策であって、腹の底の軍事的対立を解消しようという意識はまず十中八、九ありませんですからね。  だから、本会議でもこの委員会でも繰り返し申しましたが、少なくとも二十年、できれば三十年はお互いに侵略あるいは戦争しない、こういう条約を結ぶのか結ばないのか、これを日本が積極的に両国に提案するのか、こういうことについて積極的な姿勢がないものですから、今度北朝鮮の問題でアメリカ、中国、韓国、四カ国がやっても日本は後ろの方で参加しない。こういう日本の外交的なありようというものは日本が積極的な世界政策の展開においてややもすると控え目にする姿勢があずかって力ある理由だろうと思うんですね。  だから、この問題などは特にいい問題だから積極的に発言していただきたいと思うんです。日本の国民は自分は平和的だと思っているけれども、周辺の国から見れば日本はまた再軍備して攻めてくるんじゃないかという深刻な恐れを抱いておるために、ちっとも日米安保なんか有意義だと思っていないのに日本を抑えるいわゆる瓶のふたとして日米安保はいいものだと賛成している。それは日米安保に賛成しているんじゃなくて、日本の再侵略に対する防衛として賛成しているという程度のことであって、そういうことは日本側としては十分正確に情勢を判断して、今申しましたように、二十年、三十年戦争しない、それを日本が言い出したということにおいて日本の平和的な姿勢は本物だという印象を近隣諸国に強くアピールすることができるのではないか。  しかも、御承知のように、米国は二十一世紀の初めを目標にして必死の財政緊縮をやろうとしている。もし三十年は戦争しないということになったらアメリカの財政だってどれだけ楽になるか。あるいは中国の新建設だってどれだけスムーズな展開が期待できるか。もちろん日本にとっても財政的にも非常に楽になる。どこの国にとっても、あるいは日本の近隣諸国のすべての国においてもこの問題にはマイナスがなくてプラスばかりだということが言えるんじゃないかと思いますので、まず夢のような話だと思わないで、やはりこれを専門的、具体的な立場で掘り下げていただくことを希望します。
  146. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、日米安保体制の評価でございますけれども、今このアジア太平洋のほとんどの国は、これが新しい世界といいましょうか、現在のこの地域の国際情勢の中にあって安定化要因であるというふうに評価してくれていると思っております。もとより、その中の一部に委員今おっしゃったようないわゆる瓶のふた論みたいなことをおっしゃる方もおいでになりますけれども、基本的にはこの日米の安全保障に関する枠組みというのが地域全体の安定に大きく貢献するという認識を持っていただいていると思っております。  ただ、そういった中で中国が、もしこの条約が従来とは違ったような意味合いを持つものであるならば懸念を表さざるを得ないといった趣旨のことをときどき言うのはそのとおりでございます。しかし、その点につきましては、昨年の日米共同宣言にも明確にうたわれておりますように、日米両国はこの体制というものがどこか特定の国を相手にするものじゃないということは明確にしております。それだけではなくて、中国との関係は友好関係をきちっと維持していくことが大切だということもわざわざうたっておるわけでございまして、うたっているだけではなくてそのことを繰り返し日米両国から中国にも申し上げておる。どうかそれを理解してほしいなと思っております。そういった意味で、日米そして中国との間で友好な関係を維持するんだということはこれから大切にしていかなくちゃいけないと思います。  それから、それだけではなくて、委員の持論であります北東地域の安定のために、この地域での不戦の誓いといいましょうか不戦条約といいましょうか、そういったことを考えるべきではないかという点につきましては、私は条約という形態はともかくとして、やはりこの地域でそういったサブリージョナルな安全保障のためのフォーラムをつくっていくということは必要だと思っております。  現段階におきましては、民間レベルではそういうものが幾つかございます。そして、その中には我が国も含めた各国の外交あるいは防衛当局の担当者が個人ベースではございますが参加している、こういうこともあるわけでございますので、そういった場も大切にしながら、今後ともこの地域の安定度が増していくような努力は外交当局としても払ってまいりたいと考える次第でございます。
  147. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 声明にどう言ったとかあるいは外交官同士でどう言ったということはもちろんある程度は承知しておりますけれども、それが決定的な意義を持っておって心からの安心し得る条件の形成かというとそうはいかないんですよ。すべての軍隊をなくするとか絶対戦争をしないという確約をすれば安心できるでしょうけれども、お互いに膨大な軍隊を持っておって、それで仲よくいたしましょう、特定の国を対象としないといったって、それは恐らく玄人の間同士ではそうかそうか程度で聞き流している。依然として警戒はする、軍備の拡張はする。国会では余りそういう楽観的なことはおっしゃらないで、悪くすればこうなる心配があるからこうしますという局面をもやはりこの委員会で討議することを私は望みたいと思います。  それから、私の言うことは繰り返しが多いんですけれども外務省予算の八千億もないというのは悲しいですね。外務省のお仕事というのは、外国とのおつき合いじゃなくて、今日の世界をいかに望ましい世界に構築していくかというお役目は外務省以外にないわけでしょう。だから、私は少なくとも二兆円は要求していただきたいと思います。  例えば、さっきの政策決定の基盤となる情勢判断あるいは情報収集などの八十億円というものは、これは決して非難、抗議じゃありませんが、これで何ができるかというと、一企業の情報収集予算だってこれの何倍か使うわけですよ。だから、これはどうしても大臣大臣でおられる間に二兆円の声は上げていただきたいと思うんです。  先ほどの北朝鮮の米の援助などは外務省予算ではっと出すぐらいの外務省になってくださらないと、本当に日本の国策遂行の基幹となるべき外務省、名前ももうちょっと別に変えた方がいいと思いますけれども、そういう新たなる、平和なる世界を構築する主体の省が外務省だということで、少なくとも理想的な予算は仮定でもいいからつくっていただいて、我々はこういうことを要求する、国民はどう思うかということをこの委員会ぐらいで言っていただければ、我々は幾らでもちょうちんを持ちますよ。ぜひひとつそういうことをこの機会にお願いしておきます。ちょっとお返事ください。
  148. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 外交機能の重要性につきまして大変深い御理解のある御発言をちょうだいしまして、私どもも高く評価させていただく次第でございます。  一番肝心なのは、非常に優秀な、そしてまた意欲にあふれた人材がその持てる力をフルに発揮して我が国の安全のためにもあるいは世界の平和と繁栄のためにも働く、こういうことだと思います。    〔委員長退席、理事高野博師君着席〕  もとより、そのためにもやはりいろいろなそういった活動をするために必要な予算はきちんとつけなくてはならないと思います。大変厳しい財政事情の中でございますから我が方だけでは申せませんけれども、しかし外交の持つ重要性というものはきちんと主張してまいりたいと思う次第でございます。
  149. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 ぜひやってください。終わります。
  150. 立木洋

    ○立木洋君 最初に、大臣の方にちょっと基本的な問題でお尋ねしたいんですが、その国で決める予算というのはすぐれて国の主権に属するものであるという点については池田大臣も同意されるだろうと思うんですが、いかがでしょう。
  151. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) それぞれの国がいろいろな国家としての必要な行動を行っていく、そのために必要な予算を決定するのはそれぞれの国の主権に属するところであると思います。  しかしながら、それじゃそれをやる場合にいろいろな各国間の国際約束というものがございます。そういった国際約束に基づいてそれぞれの国がやらなくちゃいけない活動、それを支えなくちゃいかぬ予算というものもある、こういうふうに考える次第でございます。
  152. 立木洋

    ○立木洋君 国の予算の決定は国の主権に属するという点では異論がないようであります。
  153. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 後もですよ。
  154. 立木洋

    ○立木洋君 後の問題は今からちょっとお尋ねします。  ずっとこれまでの予算を私は外務委員会で何回もやってきましたけれども、アメリカとの間で決められた地位協定に反してさえ日本側は金をアメリカのために支出している。外国と取り決めた約束に反して金を出してやるというふうなことは、まさに主権をじゅうりんすることになるのではないだろうか。  さらに、この間も六百三十兆円といういわゆる公共投資が問題になりましたけれども、こういう問題を決める過程の中で、当初は四百二十兆でしたか、あれを決めるときに橋本さんは大蔵大臣をしていて、こんなことを一括して決めるなんというようなことは日本に対する干渉ではないかという記録まで残っているんですよ。  こういうアメリカの言うような主張に沿った形で予算の編成をしたり、ましてや今おっしゃった二国間の取り決めの内容にさえ反して金を支出してやるというふうなことは私は少なくとも主権国家ならあってはならないことだというふうに思うんですが、その点、いかがですか。    〔理事高野博師君退席、委員長着席〕
  155. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) これだけ世界が相互の依存関係を強めた時代でございますので、それぞれの主権国家の行動であるといえどもいろんな面で協調しなくては対応できないという課題も随分ふえてきていると思います。そういった意味で、予算の面でもそういった協調行動を支えるために必要な予算づけというものはそれぞれお互いの国が協力しなくちゃいけない、こういったケースがふえてきているのは事実だと思います。そういった中で、条約等において明確に約束したものについてはきちんとその責務を果たしていかなくちゃいけないだろうと思います。  それで、それに反してというお話がございましたけれども、反しているか、沿っているか沿っていないか、そういったところにつきまして条約締結当事者の間で意見が必ずしも一致しないこともある。そういったときにはよく協議をして対応していくべきだと考えるわけでございます。  それからまた、公共事業の点についておっしゃいましたけれども、条約に至らないいろんな国際の場における話し合い、そういったものにつきましてはいろいろあると思います。義務ではないとしても、要望であったりいろんな意見の表明であったり、そういったものについてどういうふうに対応していくかというのは、それぞれの国がいろいろな国際場裏での協議やお話し合いを通じてどのように判断していくかということにかかっているんだと思います。
  156. 立木洋

    ○立木洋君 なかなか苦しい答弁のようにお聞きしました。  それでは、アメリカとの間で取り決めたいわゆる協定やその他条約上の内容について、日本側が要求したことに対してアメリカ側が財政的に負担をして、協定に反した形でアメリカ側が日本の財政に負担をしてくれたことが何かありますか。あったら言ってください。
  157. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今、委員がどういうことを想定されているのか、私も余りできがよくございませんのですべての国とのすべての条約関係あるいはそれの運用状況についてつまびらかにしているわけじゃございません。委員の方から何か今問題視しておられるものがございましたら御提起いただければと存じます。
  158. 立木洋

    ○立木洋君 アメリカと日本との協定に基づいて、それに反した形で日本側が当然支出しなければならない分をアメリカ側が負担したということはないんです。ないから答弁できないのは当然なんです。  それで、私が今ここで申し上げたいのは、例えば地位協定に反して一九七八年から日本側が、金丸さんが思いやりという言葉を使われて思いやり予算が出されました。今日までそれが四十四倍に膨れ上がってきています。これは地位協定に書いていない、事実上地位協定で約束されたこととは違った形で思いやり予算というのは組まれたんです。  例えば、前々回の特別措置協定が結ばれたときに、米軍が使用している公の光熱費、水道費、これは負担をしましょうと日本側が約束をしました。それで、その後私は外務委員会でその問題についても質問したんです。公でなくて、米軍の家族なんかが使っている私的な光熱費や水道料はどうなっているんだと。嘉手納の場合は、嘉手納の基地内にある米軍の家族の住宅、そういう水量や光熱なんかをどれだけ使ったかをはかるメーターは一つしかないんです。だから、私が使った分も公的な分等も含めて全部一緒に請求されて、日本側ではどれが公的でどれが私的なものか区別できないからアメリカの要求どおり全額支払っていますというのが外務省の答弁でした。  挙げれば切りがないほど、私はこの昭和三十五年につくられた地位協定の内容について言えば、予算上の面からですけれども、いろいろな問題で、十分に守られていないところかやはり大変な問題が出てきているということを、少なくとも外務大臣予算を決定するというのは国の主権にすぐれて属するものであると言うのであるならば、その観点はやっぱり堅持するという必要が私はあると思う。  きょうは、そのことと関連して、先日行われた横田基地の五回目の騒音訴訟の問題について若干お尋ねしたいと思うんです。  横田の騒音訴訟で原告十人に支払われた過去の損害賠償金、一次二次を合わせますと一億六千二百万円です。第三次の原告に出された分は七億二千四百万円。それから、厚木基地の第一次騒音訴訟では一億六千九百万円です。日本政府は既にこの総額十億五千五百万円をそれぞれの原告に米側の分も立てかえて支払っております。  それで、米軍が日本の国内で起こした公務中の不法行為の補償については、地位協定の十八条で米側だけに責任がある場合は補償額の七五%を米側が負担するというふうに定めております。それで、米側は十億五千五百万円の七五%である七億九千二百万円を日本側に支払っているのでしょうか、支払っていないのでしょうか、現時点で。どうなっているんでしょうか。
  159. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 支払っているかいないかということであれば、端的に申し上げまして支払っていないということでございます。
  160. 立木洋

    ○立木洋君 結構です。  私は、平成七年の四月十一日に、時の北米局長は時野谷さんでした。そして大臣が河野さんです。この問題については当然日本側が請求して米側に支払ってもらうべきだと。その時点ではまだ第五次の訴訟までは行っていませんでした。もっと額は少なかったわけですけれども、その点について当然日本側が要求する権利があるんじゃないかと言ったときに、そういう事態が起こったのは今回が初めてなので慎重に対応しなければならないというふうに考えておりますと。しかし、おっしゃるようにアメリカ側とはこの問題については問題を出して協議を進めておる最中でございます、そういうふうに努力をいたしたい、こういうふうな答弁が河野大臣と時野谷局長からあったわけです。ところが、もうことしは平成九年です。  それで、先般の横田基地の五回目の騒音訴訟で見てみますと、アメリカ政府は応訴の拒否を訴える口上書の中で「損害賠償の支払い責任は日本政府にだけある」というふうに言ってきて、米側は「日本の裁判所が最終的に原告の金銭請求を認容した場合、日本政府のみが責任を負うものである」と主張して、裁判に訴えられた米軍機の飛行は日米地位協定の賠償金分担規定に該当しないという態度を表明したということですが、折田局長、間違いございませんでしょうか。
  161. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 先ほど委員も御引用になりましたけれども、米軍飛行場に係る騒音訴訟というのは過去に例を見ないものであったことでございますので、この損害賠償金の分担をどうするかということについて日米間で今協議をしているところでございます。残念ながらまだ決着を見ていないということでございます。  米側の主張が応訴しないという文書の中に入っているということでございますが、米側は我々と違う立場をとっておることは事実でございます。
  162. 立木洋

    ○立木洋君 確定している東京高裁の第三次の判決でも、米軍機の飛行そのものを差しとめるというふうな判決が出たんではないわけですね。これはもう御承知のように、夜九時から早朝七時までの米軍機の騒音により「一審原告は、睡眠妨害、心理的・情緒的被害、難聴や耳鳴りなどの身体的被害の可能性や危険性を有する身体的状態および日常生活の妨害という被害を受けていることが認められる。」と。そしてまた、この被害を直接生じさせているのは一審被告、いわゆる日本政府ではなく米軍であると明確に認定しています。そして、このような被害は「受忍限度を超える違法な侵害行為」であると判決を下して、米軍の不法行為を明確に認定しているわけです。  もちろん、地位協定に基づいて日本の基地に使用権があるからといって何をしてもいいということにはならない。これが地位協定で決められている内容だと私は思うんです。  先ほど申し上げた地位協定第十八条五項(c)によれば、この支払わないか支払うかの「旨の日本国の権限のある裁判所による確定した裁判は、両当事国に対し拘束力を有する最終的のもの」であるというふうに十八条の五項の(c)に明確に述べられているわけです。ですから、そういうことになれば、アメリカ軍が支払わないというふうなことを言っている、日本政府が支払うべきであって我々は支払う義務はないんだというふうなことを言っているのは、まさにこの地位協定十八条の規定に対する違反ではありませんか。折田さん、いかがです。
  163. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 十八条三(c)にそのような規定があることは承知しております。  私どももこの条約全体を見ながら我々の法律的な立場を主張しているわけでございますが、私どもの立場と米側の立場というのは残念ながら同じではないということで、まだ決着を見ていないわけでございます。
  164. 立木洋

    ○立木洋君 済みません、折田さん。その最後のところ、耳がちょっと遠いものですからはっきりしなかったんですが。
  165. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) まだ決着を見ていないわけでございます。
  166. 立木洋

    ○立木洋君 私はこの地位協定の内容から見て米側には拒否する根拠は全くないというふうに考えるわけですが、この点については明確に日本側は米側に対して主張しているんでしょうか、交渉の内容に関して。
  167. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) ちょっと訂正させていただきます。十八条の五(c)でございます。  私どもは私どもの立場で主張しているわけでございますが、米側の立場は私どもの立場と同じでないということで、今協議中なものですから、それ以上の中身を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  168. 立木洋

    ○立木洋君 じゃ、この騒音の問題に関して米側と何回、最近はいつ交渉して、どういう点で米側の主張と食い違いが明確になっているんでしょうか。
  169. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 累次在京米大等と話をしているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、我が方の立場と米側の立場が異なっていて、まだ決着を見るに至っていないということでございます。
  170. 立木洋

    ○立木洋君 この問題については、先ほど言いました平成七年四月に質問したときからもう二年近くたっているわけですね、一年半以上。  御承知のように、十八条の五項の(d)によりますと、「日本国が支払をした各請求は、その明細並びに(e)(i)及び(ii)の規定による分担案とともに、合衆国の当局に通知しなければならない。」と。だから、まず通知したかどうかということ。それからもう一つは、「二箇月以内に回答がなかったときは、その分担案は、受諾されたものとみなす。」というのが十八条五項の(d)に確定されてあるわけです。  もう既に平成七年から、いっその回答書を、要求文書を米側に渡したかということと、それから二カ月以内に回答がなかったら相手側は認めたものだとみなすというふうに地位協定で規定されているんですが、この点はいかがですか。
  171. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 通知はいたしておるわけでございます。そして、その通知どおりの考えではないというアメリカ側の答えがあるわけでございます。
  172. 立木洋

    ○立木洋君 平成七年に聞いたときには協議中であるということで、相手側がそれに対して拒否しただとか意見の食い違いが生じただとかという答弁は全くありませんでした。それからもう二カ月どころか一年半もたっているわけですね。正確なそういう回答がなければ相手側は受け入れたものとみなすというふうに規定されているんですけれども、この規定にも反するんじゃないですか、今ごろになって意見が違うなんというようなことを言い出すことは。
  173. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) まだ決着を見ていないわけでございます。
  174. 立木洋

    ○立木洋君 決着を見ていないということはもう何回もおっしゃっているからわかるんですけれども、地位協定に照らしてみると反しているんではないかと。ここに書かれてある(c)項に見ても(d)項に見ても。
  175. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 私どもは私どもの地位協定の解釈に基づく考え方を米側に説明しているわけでございますが、米側が私どもと同じ考えをとっていないということで決着を見ていないということでございます。
  176. 立木洋

    ○立木洋君 それはわかるんです。もう何回もおっしゃっているから。ただ、私は、米側は地位協定で決められている十八条五項の(c)や(d)項に違反しているんじゃないか、そういうふうに日本政府は認識されているかどうかということを明確にお尋ねしたいんです。
  177. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 今米側と協議をしている最中でございますので、それ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  178. 立木洋

    ○立木洋君 折田さん、いつものようにもっとはっきりと答弁してくださいよ。協議中だといったって意見が違うと、相手ははっきり日本側が払うべき金だ、我々が払う金じゃないんだということを、彼らは応訴拒否を言ってきているわけでしょう。だから、そのことを私は先ほど確認したわけです。  だから、そう言ってきている限り、日本測で見れば、十八条五項の(c)や(d)に照らしてみれば、それはやっぱりアメリカの言い分はおかしい、違反している。ただ日本政府の言い方と違うというふうなことを言っていると、知らぬ間に今度はアメリカの政府の言い分がよかったなんといって後で支払ったのを請求しなくなったりすると、これは先ほど言ったような例にずっとなっていくわけです。  そうならないためにも、私はけじめをはっきりさせておきたいので、この場であなたは、それが反しておる、アメリカ軍の言い分は違っている、協定から見ても違っているというふうに日本政府としての認識、折田さんがだめでしたら、池田さんでももっとはっきりお答えいただけるんならば大臣の方からお答えいただいても結構ですけれども
  179. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) もとより歯切れのいいお答えができればしたいとは思いますけれども、今米側と協議中なものですから、これ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  180. 立木洋

    ○立木洋君 この問題に関して言いますと、これは日本政府が私が述べたようなこれらの規定に基づいて、米軍機が行っているこういうふうな飛行のあり方で公共の安全に妥当な配慮を払わなくてはならないだとか、あるいは日本の法律では違法な侵害行為と裁判所でも認定されているわけですから、一般国際法として確立している駐留国の国内法令尊重義務の原則にも反しているとまでやっぱり言わざるを得ないと思うんです。そういう点まで明確にして米側に要求しているんでしょうか。
  181. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 先ほど来申し上げていますが、我が方としては我が方の立場というもの、考え方というものを米側に説明しているわけでございます。
  182. 立木洋

    ○立木洋君 例えば、ドイツのNATO軍地位協定の補足的な協定が一九九三年に改定されております。それはもう御承知のとおりだと思うんです。この内容を見てみますと、五十三条の第一項第一文では、派遣国の軍隊及び軍属は基地内において防衛活動の十分な遂行上に必要とされる措置をとることができると述べてあります。同条の同項の第二文の中では、基地を使用する際、基地においてとられるべき公共の安全及び秩序の維持に関して駐留軍の内部問題に関するものを除きドイツの法律が適用されるというふうに改正されています。さらに、同条の第二項では、ドイツの法律の適用はその土地の上空に関してとられる措置にも準用されるということが決められております。さらに、同協定の改定では、第五十四のA条と五十四のB条において駐留軍のあらゆる活動に関連して環境保護を重視し、環境アセスメントを行うことを義務づけている。  先日PCBの問題で私は質問をいたしましたけれども、明確な回答がございませんでした。こういうふうにドイツではきちんとした対応が、仮に基地を提供していても基地内においてきちっとしたドイツの法律が守られるようにしなければならないというふうに日本側とは全く違う厳しい内容がなされている。  日本の地位協定は、たくさんの問題点があるにもかかわらず、それがアメリカの言い分に従って十分に守られるという状態になっていないということは全く私は遺憾の限りなんです。これは考え方が違うからだとかというふうなイデオロギーの問題等ではなくて、少なくとも外務省というのは決められた協定は十分にやはり守るべきだと。そういうものを守らないで、そして相手の意向に従って行うような外交措置をとっていくというふうなことが事この予算にまで影響してくるということになるならば、日本の主権侵害も甚だしいと言わなければならなくなるというふうに私は思うわけです。  最後に、大臣に一言だけお尋ねしますけれども、この騒音訴訟の問題についてはやはり地位協定の内容を十分に踏まえていただいて、日本側の道理ある主張を述べていただいてきちっとした解決をとる、そういう措置を努力してやっていただきたい。  先ほど申し上げました思いやり予算の問題だとか、それから公のための水道費や光熱費を見るといいながら私的なものまでどんぶり勘定で検査もできないでアメリカに全部渡してやるというふうなやり方ではなくて、けじめをつけるべきところはけじめをつけるという外交姿勢をきちっとやっぱり予算の面でも明確にしていただきたいということを最後に強く御要望を申し上げておきたいと思いますが、大臣の積極的な前向きの回答を求めて私の質問を終わりとします。
  183. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもは、ほかの問題でもそうでございますが、国際約束をいたしましたものにつきましてはそれに従って適正に対応してまいりたいと思っておりますし、この日米安保条約にかかわる問題につきましては地位協定あるいは場合によっては特別協定などの規定に従って適正に対応してまいりたい、こう考える次第でございます。  ただ、協定なり約束の解釈をめぐって意見が分かれるということはあり得るわけでございまして、そういったときにはよく協議をいたしまして、基本的に基本線に、つまりその協定に従って適正に対応していくということを確保してまいりたい、こう思います。
  184. 立木洋

    ○立木洋君 終わります。
  185. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私からは当面政治上の大きな問題となっております駐留軍用地特別措置法の改正問題を取り上げたいと思います。  この問題についてはいろいろと議論がされておるわけでありますけれども、私がこれから取り上げるのは技術的な法律論、しかしまたあるいは基本的な考え方、基本的な法律論、こう言ってもいいかと思います。こういう角度からの議論が余りなされていないものですからあえて取り上げさせていただきたい、こう考えた次第です。  この法律の改正、政府はどうも決断をしたようでありまして、近々国会に提出する、来月中にも法律の成立を図りたい、何か橋本総理大臣がクリントン大統領に会う際に大きなお土産にしたい、こういうふうなことが報道されております。果たしてこの技術的な法律改正がお土産になるのかどうか。日本にとってみればダイヤモンドのような大きな輝きを持つのかもしれませんけれども、クリントン大統領から見たら、何だ、ダイヤモンドと思ったらこれはこの程度の話ではないか、これは至極当たり前のことではないか、そんな話でどうも終わってしまうような気もしておるわけであります。  この問題につきましていろんな議論がされておりますけれども、物事の根源までさかのぼりまして、日米安保のあり方から沖縄の基地の整理、縮小の問題、それから普天間基地をどうするとか、ただいま議論も出ておりましたが海兵隊の大幅な縮減を図ってはどうかとか、いろいろな意見が行われておるようで、果ては沖縄の経済の振興を図る必要もあるのではないかと。率直な見方をしますと、何か一種の条件闘争のような形としてこの法律の改正が取り上げられている。そういう大がかりな問題なんだろうかなと私は思うわけであります。  理由はおいおいこれから述べることといたしますけれども、いずれにしろ五月十四日という日付が大変大きな意味を持っておりまして、それを漫然徒過いたしますと不法占拠状態が惹起されてしまう、大変な問題になる。昨年は楚辺通信所ですか、あそこの知花氏所有の土地のあの件だけであれだけの騒ぎになった。今度は一坪地主も含めまして三千人余りの反戦地主さんたちの土地問題ですから、これはもう少なくとも三千倍の騒ぎが起こるんだろう、こういうふうに思われております。  五月十四日が一つのタイムリミット、期限だといたしますると、現在この問題は沖縄の県収用委員会で審理中でございます。五月十四日に間に合わせるべく収用委員会はまさしく不眠不休の大変な努力をしておる、食べるものも食べない、夜も眠らない、私的生活は一切犠牲にしてこの問題に取り組んでおる、こういうふうに国民は思っておりますし、私もそう思っておったんですけれども、どうも事情を聞いてみますると必ずしもそうではない。  きょう委員会が開かれておるようですけれども、これは三回目だと。一回目は二月に開かれまして、二回目が三月初めに開かれまして、ただいまは三回目が開かれておる。どうも月に一回ぐらいのペースで何かのんびりと進んできておるようであります。どうも真剣に大車輪になって何が何でも期限までに間に合わせようと、私は結論のことを言っておるわけじゃないのであります。政府の要求が認められようが認められまいがそれは私は余り関心がないのであります。  ただ、こういう行政委員会、これはもちろん独立委員会と申しまして自分の判断で自由な結論を出してよろしいわけで、その結論について、その判断についてあれこれというようなことは一切ほかの者は関与する余地はないわけです。しかし、行政委員会、いわゆる行政の一環でありまするから、日を定められたことについては何が何でもそれまでに間に合わせて頑張ろうというのはごく当たり前の話でありますが、どうもそういうふうな気構えが受け取れない。のんびりと月一回ぐらい、こういうペースでやってきておる。一体これは何だろうか、こう思います。  政府もいろいろと収用委員会の方々と話し合ったりして、あるいは審理状況を精査したりしていろんなことを申し上げておるんだろうと思いますけれども政府の立場、いわゆる第三者の立場から見て、沖縄の県収用委員会が真剣に熱心に何が何でも期日までに間に合わせよう、結論は我々が出すんだ、それだけの気構えを持ってこの問題に取り組んでおるのかどうか。防衛庁からでもちょっとその審理状況のまじめさかげんについて説明していただければと思うんです。
  186. 野津研二

    説明員(野津研二君) 今、先生指摘の駐留軍用地特措法に基づくところの手続の関係でございますけれども、本年の五月十四日に使用期限の切れるものについてただいま沖縄県の収用委員会に審理をお願いしているところでございます。まさに今お話がございましたように、本日が第三回目の公開審理ということでございます。もちろん、収用委員会は公開審理として三回目ということでございまして、その他収用委員会としての会議というものも別途あるわけでございます。  私どもといたしましては、とにかく五月十四日に使用期限が切れますので、何とかそれに間に合うように手続を終えなければならない、そういうことで、常々収用委員会に対しましても現地の那覇防衛施設局からそういう状況にあるのでできるだけ迅速に効率的な審理をお願いしたいということをお願いしているところでございます。独立の委員会でございますので、私どもとしてそれ以上の差し出がましいことを申し上げる立場にもないので、とにかく今申し上げたようなお願いをしつつ、何とか間に合うようにというふうな気持ちでおるところでございます。
  187. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 これは機関委任事務でありまするから、委任した国側とすれば、もちろん結論について左右するような差し出がましいことを発言する資格はありませんけれども、その審理状況等につきましていろいろと御批判もあるようであるから、もう少し能率的にかつ真剣に取り組んでもらえないか、少なくとも週一回ぐらい委員会を開く、これそんなに無理な要求でもないと思うがどうだろうか、そういう非公式な話し合いをすることは機関委任をした立場の上でむしろやるべきことではないか。それもやらないで、漫然と手をこまねいて、五月十四日、ついに違法状態が作出された、どうしようどうしようと言っているとすればやはり委任した国側の怠慢でもあるのではないか、こういう気すらしてきますけれども、その点、どうでしょうか。
  188. 野津研二

    説明員(野津研二君) もちろん、委員会当局と施設局側の非公式な接触の場面というものもあるわけでございまして、私ども機会をとらえて私どもの希望、気持ちというものはお伝えしているところでございます。ただ、具体的にどうこうという日にちを限るなり回数をどうのと、そういうところまでなかなかやはり私どもとしてお願いするわけにはいかないというふうな事情も御理解をいただきたいと思います。
  189. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 収用委員会側の返事、返答というのは、我々は精いっぱいやっております、これが限界です、これ以上やったら我々はもう過労死してしまいますということなのか、それとも多少はゆとりがあるのでもう少し真剣に取り組むような余裕もありまするということのどちらでしょうか。
  190. 野津研二

    説明員(野津研二君) そういうところに立ち至りますと何か私どもの感想というふうなところになってしまうものですから、公式にそういうことを申し上げるというのはやはり控えるべきかなということで御容赦いただきたいと思います。
  191. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 率直に申し上げまして、週一回ぐらいならまだわからぬでもないんですけれども、月一回で大変だ大変だという資格はない。率直に申し上げますと、これは怠慢だと言われても仕方ないんじゃないか、こういう気がしておるわけですけれども、この点、大臣、いかがでございましょうか。
  192. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもも、五月十四日という期限があることでございますので、時間も切迫しておりますし、何とかこの手続が早く進み、権原のある状態にと強く願っているところでございます。収用委員会は、委員も御指摘のように、独立の委員会でございますから私どもからあれこれ差し出がましいことを申すわけにはいきませんけれども、率直に申しまして、真摯に真剣にこの問題に取り組んでいただいていることを信じながら、いわばやきもきして見ておる、こういうところでございます。
  193. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 事柄は全く違いますけれども、オウムの麻原の国選弁護団が、とても忙しい、やっていけない、やめさせてほしい、こういうことを言い出しました。しかし、あの事件を引き受けた以上は、あのぐらいの忙しさはもう最初から覚悟の上だったんです。それを承知の上で引き受けて、今になって忙しいからやりたくない、やめさせてもらいたいということはまさしくひきょうそのものだと私は思って、折に触れて同僚弁護士たちともそういう話をしておるわけですけれども、なかなか賛同は得られないようです。  収用委員会の方々も弁護士その他いろんな御職業を持って大変お忙しい立場にあるんであろうけれども、しかし引き受けた以上はやっぱり頑張って、結論はともかくとして、期日までには間に合わせていくというのが当たり前のことだろうと思うんです。委員さんも公務員でありまするから、公務員としての忠実義務があるんだろうと私は思うんです。  何度も言いますけれども、結論は私は別だと、結論のことをあれこれ言っているわけじゃないのであります。一番大事なことが何か忘れられているような気がしてしようがないんです。あれこれ言ってみても仕方がないんですけれども、非常に遺憾なことだな、こういう気がしております。  それから、昨年この問題が起きまして期限が切れたときに、政府を代表する立場の梶山官房長官がこの問題につきまして直ちに違法とは言えない、こういう発言をなさいました。私はこの委員会でそのことをお尋ねしたことがあるわけであります。法律的に言いますと適法か違法かどちらかなんです。中間の灰色のゾーンがあるなんということは聞いたこともないわけです。適法でなければ違法、違法でなければ適法、こうなるわけであります。直ちに違法とは言えないとおっしゃるものですから、それじゃ一カ月たったら違法になるんですかということも聞きましたけれども、どうもはかばかしいお返事はいただけなかった。  今回、仮に五月十四日に三千人分の土地につきまして期限が徒過して違法状態が作出されたとすると、政府の見解はやっぱり直ちに違法とは言えないという前の見解を維持するのか、あるいは別な見解があるのか、その辺突っ込んで考えておられるかどうか、お尋ねしたい。
  194. 野津研二

    説明員(野津研二君) 今御指摘の楚辺通信所の一部の土地につきましては昨年の三月三十一日に使用期限が切れて四月一日以降無権原の状態が今なお続いているという状況でございます。  さらに、約三千人の土地につきまして五月十四日に使用期限が切れると五月十五日以降無権原になればどうかというふうなお尋ねかと思いますけれども、私どもといたしましては、この約三千人にも及ぶ地主の方々の土地についても無権原になることは何としても避けたいというふうなことで、先ほども申し上げましたように、何とか手続をそれまでに終えてきちっとした権原を取得したいということで今最大限努力しているところでございますので、その点につきぜひ御理解をいただきたいと思います。
  195. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私は希望を聞いているんじゃなくて法律の解釈を伺っているのです。五月十四日を仮に徒過したとすると一体どういう状態だというふうに政府は認識するのか。前回のときと同じように直ちに違法とは言えないというから適法だという認識だろうと思うんですけれども、そういう認識に立つのか、三千人ともなると話は違ってくるから今回はもう法律解釈を変えて違法だと言い出すのか、どちらなんであろうか。もし必要があれば内閣法制局あたりでは当然この問題も詰めておろうと思いますから、そこのところをきちっと答えていただければと思います。
  196. 野津研二

    説明員(野津研二君) 私どもといたしましては何としても無権原は避けなければならない、そういう認識でございまして、仮定の御質問にこの場でお答えすることはなかなか難しいという事情もぜひ御理解をいただきたいと思います。
  197. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 次に、また話を変えまして、この場に御列席の方々の半数以上は大学の法学部の御出身と思いますので、仮差し押さえ、仮処分という言葉はもう当然御承知と思います。我々が学んだころは民事訴訟法に規定があったんですけれども、今は民事保全法という法律に移っております。  簡単な例を挙げますと、AとBがある土地の所有権について争っておる、どちらもおれのものだと言っておる、その名義はAのものになっておる、BがAを相手に所有権移転の訴えを起こす。こういう場合に、裁判の途中で所有名義人のAがこの土地を売り飛ばしたりあるいはまた土地を担保に金を借りたりしますると、Bがせっかく裁判に勝ってみても何ら意味のないことですから処分禁止の仮処分なんということをやるわけであります。  これはごく当たり前のことであって、裁判も若干時間がかかるでしょうから、裁判が終わるまでは今の法律的な地位はそのまま凍結状態にしておいて、裁判で主張、立証を繰り返して判決を得て、そして解決しましょうと。これは当たり前のことで、どこの国の法制度を見ましてもこういうことがとられておるわけであります。  なぜこんなことを言うかといいますと、本来ならば五月十四日までに万難を排して、あらゆる困難に耐えてどうしても結論を出してもらいたい、その結論はどちらでもいいということは再三申し上げております。それができないときにはやむを得ずして期日を延ばしてもう少し頑張ってみよう、一月か二月か、あるいは長くても半年ぐらい、そういうふうな立て方、本来ならば特措法にこういう規定があってもよかったのかもしれません。  いずれにしろ、収用委員会が、期日の定まっているようなことについて、いつまでも期日を徒過してまでも審理をしないで、ほうり投げておくという言葉はちょっと問題ですけれども、審理を未了のままに過ごしてしまうということは法律は恐らく想定していなかったんだろうと思うんです。それで、そういう規定が置かれていなかった。  ところが、現実問題としてこういうことが想定されてくると、政府の考えでいるようにとりあえず審理が終わるまで今の状態はそのままにして凍結しましょうという考え方はそんなにおかしくないと思うんです。これは米軍の基地をどうするとか海兵隊のあれを縮減するとか、そんな問題とは全然関係ないわけであります。もう少し政府は大手を振ってこの問題を主張しまして、これだけのことです、全く技術的な改正ですから御理解くださいと。それと、基地の問題をどうするか、日米安保をどうするか、こういう問題は全く別な話だと思うんです。  基地をどうするか、日米安保をどうするかはこれまでも国会で再三議論されておりましたけれども、さらに必要があればこれからも我々は時間を費やして白熱した議論を展開していけばよろしいわけです。それとこの問題を絡ませて、何か条件のようにして、先ほども言いましたけれども、しまいには沖縄の経済振興策まで考える必要があると。一体何の関係があるんだということを私は言いたくなるわけであります。こういう仮処分的な考えを持ち込んでくることについて、大臣も法学部の御出身だと思いますので、いかがでしょうか。
  198. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 確かに私も昔法学部に籍を置いたことがございますが、そんなにできのいい方じゃございませんので法律的な議論を委員とする力はとてもないと存ずる次第でございます。  私どもといたしましては、いずれにいたしましても、五月十四日という日がございます、そして無権原という状態は何としても避けたいと思っておりまして、そのために今あらゆる努力を傾注しているわけでございます。  先ほど来いろいろお話がございますけれども、収用委員会の方々もやはり真剣に考えて取り組んでいただいているのだと思いますので、私どもはそこから私どもの願っているような裁決が出ることを期待しておるわけでございます。また同時に、無権原状態が発生する、そうしてその上においていろいろ支障が出てくるということを回避するために一体どういうことを考えなくちゃいけないか、しなくちゃいけないか、これもまた真剣に研究はしておるわけでございます。
  199. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 先日の朝日新聞の社説だったと思いますけれども、相撲をとっている最中に土俵を広げるのは著しく不公平である、フェアプレーの精神に反する、こういう社説が出ておりました。このことを言っておるわけで、今回政府が考えているような勝負がつくまではいましばらく現状のままでいこう、こういう考えが実はその土俵を広げる、フェアプレーの精神に反するんだという論説であったかと思います。  しかし、先ほども言いましたけれども、本来これは時間無制限ではなくて時間のある勝負だったんですね。ですから、その間に勝負は必ずつくんだと思っておりましたら、行司さんかどうか知りませんけれども、どうも適切な軍配じゃなくて時間が延長に入りそうだと。想定外のことが起きてきたわけですから法律を改正して延長戦もしかるべしというのは一向におかしくないことだろうと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  200. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員のおっしゃる例えば非常によくわかるのでございますけれども、例えというのはえてして非常にわかりやすいと同時にまた誤解を招くおそれもありますので何とも御返答のしようがないわけでございます。  私どもといたしましても、確かに現在の法律枠組みで行われていることは本来意図されておった運びというものとは少し違った姿にこのケースについてはなっておるのかなと。そういったときにどういうふうに対応していくかはいろいろな角度から考えなくちゃならないと。そういう状態に私どもは今追い込まれているんだと思っております。
  201. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私は全く政府・与党の太鼓をたたくつもりはないのでありますが、法律の解釈とすれば私の言っていることではないか、こういう気がしております。政府の考えでおる改正というのはそんなにおかしいことなのかと。全然おかしくないんじゃないか、ごくごく当たり前のことじゃないかと。既にして民事関係でも仮差し押さえ、仮処分、仮の地位をそのままに現在の地位を凍結しよう、こういう法律概念が取り込まれておるわけです。  いずれにしろ、しかしあれこれ言うよりも収用委員会にもう一働きしていただきまして、頑張っていただいて、五月十四日までに結論を出すということで取り組んでもらいたい。そういうことを言うぐらいは、大声で言う分には一向差し支えないと思いますので、事務を委任している国の立場から強く収用委員会に対して要望する、要求するということを貫いていただきたいと思います。  以上で終わります。
  202. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 きょうは外交実施体制の話と経済協力のお話を伺うと言っておきましたが、在外公館の話が三十一日にありますので、実施体制質問というのはそのときにできるかと思いますので、きょうは経済協力のお話を伺いたいと思います。  予算の委嘱審査をやっておるわけですが、現実問題からして、衆議院でもう通ってしまったんでこちらで細かいことをいろいろ言っても実際のところはしようがない話ではある。したがって、もう少し将来を考えて、どういう基本的な考え方で経済協力をお考えなのかということを極めて一般的な形で伺いたいと思います。  ことしは全部では二・一%で、外務省管轄のところでは二・六%伸びて、ODAが全部で一兆一千六百八十七億というような話です。細かい数はどうでもいいんですが、かつてはODAがどんどん伸びて、毎年七%、八%という時代もありましたし、そのおかげで日本が世界一の援助大国になった、こういうようなことを大変大声を上げてあちこちで言ったものです。しかし、いつまでもそんな調子で伸ばせるものでもないということは、日本の財政ということからも来るし、また同時に経済協力のやり方、ODAのやり方についても考え方をもう一度見直さなきゃいかぬというようなことからも、そうどんどん伸びるということはないだろうと思うんです。  正直言って、あのころ非常にとんとんと伸びたのは、防衛費の伸びとのつり合いがあって、防衛費の伸びよりも経済協力の伸びの方が大きくないと何か軍事大国化をねらっていると思われるんじゃないかというような顧慮があって、下からどんどん押されて伸びてしまったというようなところがあったと実は思うんですが、そういうようなてこもなくなった。そこで、これからいろいろとODAというものについて考えていかなきゃいけないだろうと思うんです。  気になるのは、去年でしたか、何周年か何かの記念とかいうので経済協力に関するシンポジウムという大きなのをなさいました。東京都庁でやったんだけれども、そこへ来てパネラーをやってくれというので参りました。そうしましたら、経済協力について皆さんお話しになるんですが、非常に話の調子が防御的なんです。決してむだ遣いしているわけではございませんとか、何か悪いことをやっている言いわけをしているような口調が非常に目立った。  しかし、本来そうじゃないはずなんで、とにかく一兆円を超えるお金を使うということになりますと、これはもう日本のためにもなることであるということでなければならないことだと思うんです。広報費などもあちこちお使いになったりしていろいろパンフレットなどをつくっておりますけれども、なぜ日本は経済援助あるいは経済協力をやらなければいけないかということについて何か言いわけがましいことを言っている。そういう調子でおっしゃると何かよくわからないんですね。  それで、まことに基本的も基本的で申しわけないんですが、一体なぜ経済協力というのはやらなきゃいかぬのかというところから、大臣、教えていただきたい。
  203. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 非常に大きな御質問でございますのでお答えしにくうございますけれども、私なりにこういうふうにお答えさせていただきたいと思います。  一つは、我が国自身の利害、いわば国益と言ってもよろしゅうございましょうが、そういった観点からどういうふうに考えるかということ。いま一つは、国際社会の中で我が国が担うべき役割といった観点から考えてみたいと思います。  まず、最初の方から申しますと、これだけ経済の面でのグローバリゼーションが進み、そのほか安全保障の関係においてはもとより国際間の関係の中で我が国の安全も保たれるわけでございます。そういった意味で、我が国の利益に立脚する場合にも当然各国とのかかわり合いというものを考えてまいらなくちゃいけません。  それで、経済面で考えました場合には、我が国はこのように資源の乏しいところに大勢の国民が住んでいるわけでございますから、その存立のためにも、国際経済関係の中で貿易、投資その他いろんなことの中で存立を図っていかなくちゃならぬわけでございます。そこの中の一つといたしまして経済協力というものも有効だと思うのでございます。  かつて経済協力の初期段階では賠償、準賠償から始まりましたけれども、ああいった段階では日本から資金面での協力をしていく、そのことが我が国の例えば輸出にも直接結びつくなんということが言われたこともございます。現在はもうそういった観点は余り重視しなくてもいい、アンタイイングはほぼ完全に進んだところでございますから、すぐそれを意識するわけではございませんけれども、やはりそういった効果も今ゼロになったわけじゃない、そういった面もあるんだと思います。  それから、それだけではなくて、やはり我が国の経済協力というものは開発途上国の経済的な面での発展に生かされていること、そのことがそういった国々の購買力を高めまして、そういった意味での新たなマーケットの創出につながってくる、こんなこともあろうかと思います。  それから、もとよりそういった経済的な発展の効果として開発途上国政治的にも安定していくということは安全保障面においてもより望ましい環境をつくっていくという点もあると思います。そういった面で、経済協力というものも有効だと思います。  もとより、それだけじゃございません。ほかにも民間ベースでいろんな経済活動というようなものであるとか、いろんなものも効果があるわけでございますが、経済協力もそういった役割を果たしている。  とりわけ我が国のこれまでの経済協力の成果という観点から申しますと、今世界の成長センターと言われているアジアの諸国がこれだけ伸びてきたという中において、我が国の経済協力は確かに役立った面があると思います。これから将来に向かっても我が国の経済協力取り組み方というのは開発途上国全体、つまりは世界経済の安定と発展のためにも役に立つんだ、こういうふうに考えている次第でございます。そのことが我が国の国益にもなると申しました。  それで、世界全体のために貢献するあるいは役割を果たすといった観点からどうかといった場合に、いろんなことがございます。例えば、安全保障の面でも、米国のような巨大な力を持った国が、かつての世界の警察官とまでは言わないにしても、アジア太平洋あるいはヨーロッパ、いろんなところでの安定を確保していくために役割を果たしていく。これもある意味では国際公共財を提供しているんだと思いますけれども、そういった役割を果たしておる。我が国も、経済面だけではない、ほかの面でも、例えばPKOに見られるような役割も果たしております。しかし、そういったいろいろなものがあります中で、我が国の場合はどうしても経済的な面での役割あるいは貢献というものが大きなものであったし、これからもやはり相対的に言えば大きなものであり続けるだろうと思います。  もとより、それは先ほども申しましたように、民間での経済のいろんな交流もありましょうし、今いろいろな面で規制緩和を進めておりますが、それが我が国のマーケットへのアクセスを容易にするという意味開発途上国を含めて世界の国々にいろんなチャンスを与えるという意味での貢献もあると思います。そのほかに、東京の金融センターとしての役割あるいは資本市場としての役割はどうか、いろんなこともございますけれども、そういった中でやはり経済協力というものが依然として我が国が世界に役割を果たしていく上で大きなウエートを占めるんだと考えている次第でございます。  経済効果の面ばかり申しましたから、おまえは経済協力の持つ人道的な面だとか民生安定の面などは余り意識していないじゃないかと言われるかもしれませんけれども、それも十分意識しながら、代表的な点と私が考える点について申し上げた次第でございます。
  204. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 どうも御丁寧なお答えでありがとうございました。大体そういうことだろうと思うんです。  それで、これからなんですが、今まで日本は全体のずうたいだけは大きいけれども、グラントエレメントは小さいとか、いろんな話がありますね。しかし、考えてみると、経済協力にはいろんな形があります。まず無償で上げるというのがある。それから貸すのがありますね、借款です。それから、あとは技術協力のような形で実際に人づくりを手伝ったり技術を教えてあげる。諸外国からそういうことを言われるからグラント部分をふやさなきゃいかぬというようなことを言う人も非常に多いんですけれども、今おっしゃった人道的というのは上げるよりしようがないだろうと思うんです。しかし、これはある意味では緊急の話であって、本当にその国の経済力を高めていこうということになると、その問題は一応棚上げしておいていいんだろうと思うんですが、上げる方が偉くて、貸すのは何となしに余り偉くないというのは本当なんでしょうか。  私は思うんですが、私は自分で会社をつくって仕立て上げた経験があるんですが、借金というのはすごくいいインセンティブなんですね、返さなきゃいけないというのは。もらった金というのは、まあ普通の会社の経営者は余りくれる人はいませんけれども、ついずるずるとなる。よその国で上げてしまう経済協力というのを見ていると、昔からの植民地時代の宗主国がそこへの影響力を残すというようなことからずっとつながったようなことがあって、どうも余り本当じゃないんじゃないかと思うんですね。これからそういういろんな要素をどういうふうに考えていらっしゃるのか、そこのところはどうでしょうか。
  205. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) おっしゃるように、経済協力を大きく区分けして、技術協力、それからいわゆる無償資金協力、有償資金協力がございますけれども、それぞれに持ち味があるんだと思います。  そういった中で、私どもODAを進める上で一番大切なのは、そして日本がこれまで重点を置いてきたのは、非常に困っておられる国々あるいは人々に当面食べてもらう、生活してもらう、そのための援助ももちろん必要でございますけれども、いつまでもそれが続いちゃいけない。自分の力で食べられるように、生きていけるように、よりよい生活ができるように、それをお手伝いしていくというのが中心でなくちゃいけないと思っております。  そういった観点から申しますと、事柄の対象によって無償でなくちゃ対応できない部分もございますけれども、有償でいいものもあるし、かえって有償の方が今委員が御指摘になりましたようなインセンティブを与えるという観点からも望ましいというケースが少なくないと思うのでございます。  考えてみますと、私ども自体も戦後の復興そして成長の過程において海外から金を借りて高速道路もつくりました、新幹線もつくりました。あるいは開発銀行債や何かということでいろんな産業基盤の整備であるとか産業そのものの発展にも役立ってきたと思うのでございます。そういったものは具体的にそういった事業をしていく人間が借りた金だと、これを生かしながら、しかも返さなくちゃいけないというのがある意味では成長の一つのばねにもなったんだと思います。そういった意味で、私どもは決して有償だから無償に比べて質が劣るんだということを考える必要はない。有償には有償のいい面もあるということを考えなくちゃいけないと思います。  ただ、一方において、確かに円相場が長期的に見ますとずっと円高になってきたということもありまして、円借款を受けた国の返済が非常に負担になるという面もあるようでございますけれども、本来でございますと、そういったものも乗り越えてきちんと対応していけるぐらいの力強い経済の発展をしてもらう。そのためにも我々の経済協力は役立っているということを期待したいと思っております。  もとより、技術協力について触れませんでしたけれども、みずから生きていくために技術移転をしていく、これも非常に大切だと思います。いずれにしても、こういった三つのものを組み合わせていきながら、それぞれの地域なり国に最もふさわしい経済協力を進めていくべきものと考えております。
  206. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 全くそのとおりだと思うんです。  何かはっきりした名前は覚えておりませんが、インドでだれかが考えついて、お金でいうと五ドルとか十ドルとかを全く一文なしの人たちに貸し付けて、今まで何もできなかったものをちょっとした仕事をやらせる。それで、返すんだよということでやったら大変に返済率が高いんですね。  個人のことを国にいきなり当てはめるのも危険かもしれませんけれども、どうも国になりますと、そこの政府の人たちが自分たちの都合でいろいろ考えるというのが随分あって、本当にその国の底力を上げようということからそれたようなことというのが少なくとも初期には幾分目立ったようなところがあるんだろうと思うんです。  そのことからいって、もう一つ考えなきゃいけないのは、要請主義でいっているというのも、もう少しこっちの考えというものも、我々も日本の中で失敗したり成功したり、経験はこっちの方が豊富なわけですから、口を出してもいいんじゃないかという気がするんですが、どうでしょうか。
  207. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どももその点も非常に必要性を痛感しております。確かに要請主義という伝統があるわけでございますけれども、ただ向こうの要請を待つというのではなくて、その国において一体どういうふうな経済協力が必要か、どういうふうな経済発展のプランをつくるべきなのか、その中で例えば経済協力はどういうふうに組み立てられるべきか、そういった観点からも技術協力のスキームを使いながらその国の経済運営についても御相談に乗っていくなんということも考えております。それは押しつけではいけない。やっぱり向こうの要請ではございますけれども、一体何を要請なさるべきかということについていろいろこちらからもお手伝いをしていくということも積極的に進めなくちゃいけないと考えている次第でございます。
  208. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 次の問題は、経済協力を日本がやる場合に資格がありますね。あるところから上に行っちゃうと卒業生だというのでODAができなくなってしまうわけです。あれはどのあたりが境目でしたか。
  209. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) あれは毎年少しずつ変わっておりますけれども、我々が基準にしておりますのはとりあえずは世銀のスケールを基準にしておりまして、世銀が貸し付けの資格を決めておる所得水準を毎年いじっております。  世銀には、御存じのように、金利の物すごく低い、ほとんどゼロで貸すIDAというのと少し高いIBRDというのがございますけれども、その非常に低い所得のところ、ほとんど金利ゼロで世銀が貸すところの所得を参考にいたしまして、そこまでを私どもの無償の資金協力の水準にしております。  それから、それから先に上がっていきますとIDAは借りられませんけれども、少し金利の高いIBRDを借りますけれども、IBRDでも例えば償還期間につきまして十七年とか十五年といったような基準で所得水準を切っております。そういうものを参考にしながら、日本の場合にはIBRDの償還期間十五年適格国までを有償資金協力の適格国にしております。  そういうことで、考え方といたしましては、やはり借款はどうしても返済しなきゃいけませんので、返済能力に従って有利なあれを貸してあげると。返済能力が出てくるに従って、所得水準が上がるに従って無償から有償に行ってもらうし、それから有償が返せるようになってそれを卒業していく段になりますと輸銀を含めたコマーシャルの方で資金調達をしてもらうという発想で、毎年世銀のそういう所得水準で決めておりますがイドラインを参考にしながら日本の方も組み合わせてきております。  ただ、技術協力につきましては所得水準に限らず、限らずと申しますか、低いところは低いなりの技術移転が必要でございますけれども、高いところは高いところの技術移転が必要でございますので、現在のところは有償を卒業しても技術協力についてはある一定のレベルまでそれなりの技術移転をすることにしております。
  210. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 一つの考え方なんですけれども、まず貧乏からだんだんましになってきて、おまえ卒業だと、こう言われるわけです。ところが、世界全体の戦略からいって、ソビエトが崩壊したときに感じましたけれども、あのときは東欧、ソ連、今のロシアもちょっと似たようなものだけれども、難民国家みたいなのがどんと世界経済に流れ込んできましたね。これを一体どういうふうにしようかということで、マーケットエコノミーなんというけれども、初めからうまくいくものでもない。  経済のパイという言葉があるけれども、要するにパイを焼いて人にも少し上げられるような国なり地域なりをいかにたくさんつくるかということが全体の得になるわけです。それで、人が焼くパイだけ食っていたのが、だんだん自分の食いぶちが六割は賄えるようになった、七割はなった、八割、卒業というような話になると、せっかく勢いが出てきたのに人に供給できるようなパイベーカーをつくり損ねるということが起こるんだろうと思うんです。  そういう観点を、この経済協力というものにはいろんな形がありましょうけれども、その境目を乗り越えて一人前のパイ焼き職人になるような手伝いというものをやれる場所というのは何かあちこちにあるような気がするんです。それはさっきおっしゃたような安全保障の問題にも非常にかかわってくるようなあたりに、どことは申しませんけれども、そういうこともひとつこれからぜひ視野に入れて柔軟な政策を立てていただければと思います。  まだお聞きしたいことがあったんですが、ちょうど時間が来ましたのでこれでおしまいにしますが、今のことに対して御感想をいただきたい。
  211. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今、委員指摘の点、私ども我が国の経済協力、世界全体としてのLDCあるいは今おっしゃいました移行国なんかに対応する場合によく考えて、これまでになかった仕組みをどこかでつくらなくちゃいけないなと私も常日ごろ思っているところでございます。確かに、いろいろなラインはございますけれども、それを余り硬直的に考えずに、そこの移行のところを漸進的に、グラデュアルに乗り越えていくということが世界経済全体にとっても有益だと思いますので、よく考えてまいりたいと思います。  それと同時に、まだ基準内であるからというのでいつまでも、安易にと言ってはなんでございますけれども、在来型のODAに依存しようということが、要請する方の国からは当然そういうことはありましょうけれども、私どものような、日本のようなODAを供与していく側からむしろ卒業が容易にできるようにだんだん卒業準備をしていく、ODA依存からだんだん脱却していくということを進めていくということも肝要かなと、こういうふうに考える次第でございます。
  212. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 終わります。     —————————————
  213. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、猪熊重二君が委員を辞任され、その補欠として戸田邦司君が選任されました。     —————————————
  214. 矢田部理

    ○矢田部理君 沖縄問題を中心に伺いますが、まず最近話題になっております特措法、これは近々、月末とか四月早々にお出しになるという予定でございますか、外務大臣
  215. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもは何とか米軍に対して施設・区域の提供がきちんとした形でできるように努力をしているところでございまして、御承知のとおり、現在沖縄県の収用委員会の方でああいった手続が進んでおりますので、何とか御理解を得ながら、期限に間に合うように裁決がちょうだいできるようにと強く願っておるところでございます。
  216. 矢田部理

    ○矢田部理君 新聞はもう既に近々出すような報道がなされており、橋本総理も先般の日米会談で、ゴア副大統領との会談でそういう雰囲気の話をしている。また、具体的に見ても無権原は避けると、五月十四日以降の無権原状態は避けるということが大前提だとすれば、その時期までに収用委員会が結論を出すという見込みは全くないというのが常識的な判断ですから、出すことになると違うんですか。条約審議を連日のようにやるのは外務大臣の日程をあけたいからと自民党は言っておられるんですよ。どうしてそんなに隠したり、土地収用委員会の成り行きを見守りますなどというそらぞらしいことを言わなきゃならぬのですか。
  217. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 別に私はそらぞらしい答弁を申し上げたわけではございませんし、そら頼みをしておるわけでもございません。  私どもは、こういった大切な問題でございますので、収用委員会の方々にも真剣にお取り組みいただいております。どうか無権原状態が避けられるようなことになるようにお取り計らいいただきたいと強い願いを持っておるわけでございます。  それと同時に、私どもは安保条約に基づきまして、これをきちんとした権原のある状態で提供するという状態を確保したいと思っておりますので、そのために一体どうすればいいのか真剣に考えてもおります。
  218. 矢田部理

    ○矢田部理君 施設庁のこの法案に対する準備状況ですが、何か土地収用委員会の結論が出るまでは期限が切れても従前どおり使用できるということが中心のように伝えられております。それだけではなくて、土地収用委員会で負けても、つまり却下されても再審査請求を建設大臣にやりますが、その結論が出るまで使えるというような暴論とも言える議論がひそかに準備されているというんですが、いかがでしょうか。
  219. 伊藤康成

    政府委員伊藤康成君) 特措法の関係につきましては、ただいま外務大臣からもお話がございましたように、私どもといたしましてはまだ、今まさに、きょう公開審理の第三回目でございますが、整々と行われていると聞いておるところでございます。したがいまして、できる限りこの手続の中で何とか使用権原が得られるようお願いをし、努力もし続けているところでございます。  御指摘の特措法の問題につきましては、かねてからいろいろ私どもとしても勉強しておるということは申し上げているところでございますけれども、いまだこのような案ということを決めたわけでもございません。したがいまして、今お尋ねの点についてこうである、ああであるということを申し上げるわけにはちょっとまいらないところでございます。どうぞお許しいただきたいと思います。
  220. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は出せと言っているんじゃなくて状況を伺っているんで、そう警戒しなくてもいい。また、推進の立場で全くないんですが、私から言わせれば土地収用委員会で係争中に自分たちの思うとおりに進まないからといって法律を変える、先ほど法律家の発言がありましたけれども、これはしかしいかがなものでしょうか。期限が切れれば不法占拠となる、この不法を、いわば無法を合法にする、こういう立て方は国家のありよう、あり方としてもいかがなものでしょうか。一般の常識で考えたってそんなことはすべきでないし、法治国家としてあってはならないというのが私の見解なのです。  結論的に伺いたいのは、これは社民党がいろいろ議論もされているようですが、与党である社民党の合意が得られなくとも出すのでしょうか。その辺、大臣、いかがですか。
  221. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 政府といたしましては何とか御理解をちょうだいしながら五月十四日までに使用権原が確保されるという状態をきちんと実現したい、こういうことで各方面にもお願いもし努力もしているところでございます。そういったことで、ぜひ収用委員会の真剣なお取り組みの中から私どもが望んでいるような状態が実現することを祈っておりますし、またいろいろそういった無権原状態にならないためにどうすればいいかという勉強もしております。  また、このことに御関心をお持ちの方は委員も含めていろいろお考えいただいておると思いますので、そういう知恵もちょうだいしたいし、今賛成する立場ではないとおっしゃいましたけれども、またお考え直しいただくこともあるんじゃないかと期待もしている次第でございます。
  222. 矢田部理

    ○矢田部理君 もうだれが見ても収用委員会の結論が出るなどという見通しは全くないのに、そらぞらしいという言葉を何回も使いたくありませんが、答弁をして議論を避けるやり方は私はよくないと思う。おやりになるならなるらしく、真正面からやっぱり議論をすべきではないでしょうかというふうに私はきょうは申し上げておいて次の質問に移ります。  外務大臣は、劣化ウラン弾の問題に関連して、アメリカ軍と日本の法令の適用の関係について衆議院で次のような答弁をしているんです。「接受国の同意を受けて駐留する外国の軍隊は、特段の、」「合意のない限り、当該受け入れ国、接受国の一般法令に従う必要がない、」というのが原則だと。その見解は今も維持されますか。結論だけ言ってください。
  223. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 一般国際法上必ずしも接受国の法令がそのまま適用されるわけじゃございません。しかし同時に、接受国の国内法令を尊重するべきものだというのも一般国際法上の原則であると考えております。  さらに申しますと、在日米軍の場合には地位協定で、十六条にそういった我が国の国内法令を尊重するということが明記されておる。さらに、三条でございましたか、公共の安全等に配慮でしたか尊重でしたか、そういった規定があるというのも承知しております。
  224. 矢田部理

    ○矢田部理君 余り聞かないことを冗漫にしゃべっていただきたくないのですが、要するに日本国の国内法令は駐留米軍には原則として適用になるのか、原則として適用にならないのかという問題なんですよ。  あなたは衆議院の、これは議事録を今正確に読んだんですが、二月二十一日の外務委員会で、原則適用にならない、アメリカ軍はということなんでしょう。違いますか。これはそう書いてある。
  225. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 一般国際法上直接適用されるわけじゃない、直ちに。しかし、それを尊重する、こういうことになっているわけでございます。
  226. 矢田部理

    ○矢田部理君 あなたは原則として国内法令は適用にならないんだと、これが一般国際法だと言っておる。これは大きな間違いで、非常に大事な問題なんですね。日本の主権が及ぶのか及ばないのかという基本問題がここに横たわっているわけです。  昔、六〇年安保のときですが、衆議院の安保特で政府の正式な見解、「原則として日本の法令が適用になる、」と。特別の規定がない限り日本の法令が適用になると。あなたは特段の合意がない限り適用にならないと言っている。政府見解が真っ二つに分かれているんです。あなたの見解は従前の安保特で言ってきた政府の見解と全く逆の立場を、その後いろいろつけますけれども、基本のところで言っています。そこの認識をまず問いたい。
  227. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 詳細は条約局長から補足してもらいますけれども、それはこういうことじゃないかと思います。  法律技術的にどうかという問題と、それから法の趣旨あるいは精神に関してどうかという二つの面があるんだと思います。法律技術的に言いますと、接受国の法律がそのまま適用されるわけじゃない。しかし、その趣旨なり精神からいえば、先ほど申しましたように、国内法令は尊重されるというのがございますから、だから大体においてそれは国内法令が適用されるだろうと。そういうことでございますから、その間に矛盾はないんだと思います。
  228. 矢田部理

    ○矢田部理君 一般国際法上地位協定がどういう条項を持っているかじゃなくて、一般国際法上外国軍隊にはその国の法律が適用にならない、特段の合意がない限りというのがあなたの答弁なんです。これは帝国主義軍隊、植民地支配の時代の議論としてはあり得たかもしれないけれども、今日そういう議論を立てるのは明確に間違いだと。少なくとも安保特で正式に表明した見解とは全く逆の立場をとっている。そう書いてあるじゃないですか。あなたの議事録を読んでいるんだ。——いや、ちょっといいですよ。大臣の発言を私はただしているんですから。
  229. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど私が答弁したとおりだと私は考えておりますけれども法律的あるいは国際法上的な観点からも条約局長から補足して答弁をお聞き取りいただきたいと思います。
  230. 矢田部理

    ○矢田部理君 条約局長から聞く必要ありませんが、あなたの立場をとると、特別な合意がない限り適用にならないという立場ですよね。ところが、我々が考えるのは、原則としてというか基本的に除外されない限りは適用になる。これは当然の話なんですが、そういう立場から政府の立法政策も、例えば航空法だとか水先法とか道路運送車両法などで米軍の行動に対して特例を設けている。例えば、飛行場をつくるに当たっても、日本でつくる場合には運輸大臣の許可が要るんですけれども、米軍がつくる場合には許可が要りませんよと、飛行機の騒音規制も特例で結構ですよと、外しますよと。あなたの立てた原則と全く逆の立場を日本の立法の体系はつくっておる。明白に間違っているんです、あなたのここでの答弁は。ここを訂正する気持ちはありませんか。
  231. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 訂正というよりも、その際の答弁が舌足らずであったとするならば補足、敷衍させていただきたいと存じます。  先ほども御答弁申し上げましたように、一般国際法上直接に接受国の法律が直ちに適用されるわけではないけれども、これは同時に接受国の国内法令が尊重されるべきものであるというのが一般国際法の原則である、このように考えております。  そういったものを踏まえまして、現実に我が国の立法のあり方、あるいは法の適用の状態にあってはまず尊重するのも原則でございますから、一般的にはそれが適用されるケースが多い。そして、特にこれを別な異なる取り扱いにする必要があるときには、今も委員指摘になりましたように、法令で明記しているということじゃないかと思いますが、詳しいところは条約局長から補足していただきます。
  232. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間がありませんから私から伺いますが、尊重という言葉ですりかえてもいかぬです。原則として外国軍隊にも適用がある。これは読んでおきましょうか。議事録もありますよ。昭和三十五年三月二十五日の日米安保特、衆議院の議事録ですが、「施設、区域は、もちろん日本の施政のもとにあるわけでございまして、原則として日本の法令が適用になる、」と。特別の場合には除外規定を置くというのが当時の高橋政府委員説明だし、それから林修三さんもそれを確認している。これが原則なんですよ。あなたは例外と原則を取り違えて物を言っている。尊重論じゃないんです。適用があるんだということをまず明確にしておいてほしいんですが、いかがですか。
  233. 林暘

    政府委員(林暘君) 今、委員が御指摘になりました国会答弁を手元に持っておりませんので正確にどういう答弁がなされているか調べた上でまた御答弁申し上げますけれども大臣が申し上げましたように、軍隊というものが、その特性からいって、他国に合意を得て駐留している場合に、その他国の法令がそのままの形で適用にならないというのは、これは軍艦の場合も同様でございますけれども一般国際法上確立した原則でございます。したがいまして、通常の場合、軍隊が合意を得て他国に駐留する場合には、その法律関係をどうするかということをいわゆる地位協定のようなもので規律をしているというのが現実でございます。  他国に軍隊が合意を得て駐留するというのは、占領のような場合を除きましては、第二次大戦後起こったのが、それ以前には余りそういう事態がなかったものでございますからそういう地位協定のようなことで規律しているのはございませんけれども、第二次大戦後、共産圏のワルシャワ機構の方がどうなっていたかは私承知をしておりませんけれども、NATOの場合にはNATO国内において他国の軍隊が駐留するということがございましたのでそういう形での地位協定がつくられておりますし、日本の場合にも地位協定をつくりましたし、韓国の場合にも地位協定がつくられておるということになっておるわけでございます。  先ほど大臣から御指摘がありましたように、地位協定の十六条で「法令を尊重し、」ということが書いてございます。「法令を尊重し、」という条文があるということは、裏を返して申し上げれば、法令が適用がないということを前提に、ただ適用はないけれども法令は尊重しなくちゃいけないんだということを十六条で書いているわけでございます。  矢田部委員が今言われました施設・区域において云々と、軍隊に対して法令が適用があるかないかという問題と、施設・区域という区域、それは日本の領土でございますから、その領域に日本の法令が適用があるかないかというのはこれは別の問題でございまして、施設・区域は治外法権ではございませんので、施設・区域の中にも日本の法令が適用があるというのはそのとおりでございます。日本の場合でいえば、駐留米軍に日本の法令がすべてそのまま適用になるかということになれば、それはそうではないという趣旨でございます。
  234. 矢田部理

    ○矢田部理君 あなたの言うとおりだとすれば、わざわざ特例を設けて、日本の法令がもともと適用にならないのであれば、航空法や道路運送車両法や幾つもたくさん法律ありますよ。電波法もあれば郵便法もある。いろんな法律を設けて、これは適用にならないんだという条項をつくる理由は全くなくなるでしょう。もともと適用にならないのにどうしてそんな法律をたくさんつくる必要があるんですか。それは単なる尊重義務ではなくて、航空法上こういう条項については何条も適用除外をしていますよ。もともと適用にならないならそういう立法体系がおかしいということになる。  それから、あなた方は施設と、軍艦の場合はまた一つの扱いがありますから考え方はいろいろ議論をする余地がありますが、そうではなくて、やっぱり日本の国内法令は原則として適用になるというのが基本ですよ。そうでなきゃ治外法権を与えたことになってしまいます、外国軍隊に。  その上に立って私が伺っておきたいのは、原則適用になる、少なくとも外務大臣も尊重する、尊重義務があるというのであれば、この間の劣化ウラン弾の問題についても、原子力の平和利用、原子力基本法があります。それから、劣化ウランについてもその保管や使用や配置については厳重な管理監督の規定があるわけですから、この規定が特別の除外規定がない限り適用になると見るのが筋ではありませんか。そういう規定をどうしてアメリカは尊重しなかったのか。尊重論だけではなくて、私はその規定が直で適用になるというふうに読むのでありますが、その点はどうお考えでしょうか。
  235. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 劣化ウラン弾のケースにつきましては、米軍におきましても日本では訓練の際には使用しないということになっておる。それが誤って用いられたというケースでございます。したがいまして、それが直ちに我が国の法令にどうかこうかという話ではないのでございますけれども、しかしまあそこまでにしておきましょう。
  236. 矢田部理

    ○矢田部理君 劣化ウラン弾、つまり劣化ウランについては原子力関係立法の規制の対象だと。それはアメリカ軍が持とうと日本が持とうと原則適用になる。国際法上あるいは日本の法令上、これを除外する理由、根拠となる明確な規定はないということは認められるでしょう。
  237. 林暘

    政府委員(林暘君) 先ほども御答弁申し上げたとおり、この点については矢田部議員と考え方の基本の部分が違うものでございますから、そういう意味で議論がかみ合わないのかとは思います。  日本の国内法令、原子力基本法とか規制法とか、そういったものが直接米軍に適用がないというために、例えば日本の施設・区域の中に貯蔵されていると言われている劣化ウラン弾、日本の法律によれば劣化ウランというのは規制対象の核燃料物質だと思いますけれども、それに基づく措置がとられていないということでございます。これは、基本的に日本の法令が除外がない限り米軍にそのまま適用になるのか、同意がない限り適用にならないのかという考え方の違いの問題だと思います。  先ほど日本の法令の中にも特例を設けたものがあるじゃないかということを委員指摘になりました。そういうものはあると思います。ただ、すべてのものを、確認ないしは念のためにそうやっている法律と、その点をやっていない法律と両様あると私は理解をいたしております。
  238. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間もありませんから、もう一度私の見解を整理して申し上げます。  外国軍隊が駐留をする、その外国軍隊に当該国の法令が原則として適用になるのか、原則として適用にならないのかというのは一国の主権にかかわる基本的な問題なんです。その点について、従来の安保特などでの考え方は何カ所かいろいろ出てきますけれども、租借地などとは違って施設・区域の提供を中心とする考え方だから、原則として米軍等にも日本の法令は適用になるんだと。適用にならない場合には特別の除外規定が必要なんだという考え方に立っている。その延長線上で航空法だとか道路運送車両法とか、これは列挙すれば大変な量になる。それから、地位協定にもそれに見合った条項もあります、税関の関係で。そういう立法政策をとってきた。  ところが、あなた方の言っているのは原則適用にならない、外国軍隊には。ということになれば、そんな幾つもの立法をつくる必要がない、もともと適用にならないんだから。つくったのは、その部分についてだけ特別の地位を与えると。飛行場建設に当たっても許可は要らない、それから道路運送法の規定は適用しない、こういうことを法律で決めているわけです。それから、地位協定もその流れの中でつくられているわけでありまして、単なる尊重義務を超えて原則適用になるんだということがやっぱりこの問題に対する一連の態度でなきゃならぬ。その点で外務省の態度は問違っている。少なくとも従来の政府答弁とは全く違った対応を今回しているということを申し上げておいて、質問を終わります。
  239. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 一言。  その点につきましては、施設・区域も治外法権じゃございませんから、そこにも我が国の法令は適用される。例えば、米軍の軍隊の行動以外のいろんな行動があり得るとすれば、それは完全に日本の法令の規定のもとに規制されるんだと思います。しかしながら、米軍の行動につきましては直接日本の法令が適用されるわけでございませんから、もちろん尊重はしなくちゃいけませんが、直接日本の法令が適用されるものではないと考えております。  ただ、道路運送法なんかにつきましては、先ほど条約局長からも答弁いたしましたけれども、いわゆる創設的規定ではなくて、これは確認的規定として置かれている。これは適用されないということを特に明確にする必要があるということだと思います。  それで、その点につきましては過去に、これは委員が御指摘になったものかと思いますけれども、昭和三十五年六月十二日の参議院、当院の安保特別委員会におきまして、政府委員である林修三氏、法制局長官であられたかと思いますけれども、その答弁の中でこういうことがございます。「軍隊というものの特性から申しまして、その軍隊の行動に必要な範囲のことは、これはやはり合衆国軍隊の駐留を認めました以上は、ある間において、日本の法令の適用が排除される、かようにこれは国際法的に見ましても考えられると思うのでございます。」、こういう答弁があることを申し上げておきます。
  240. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういう答弁があることを私は承知しておるんです。問題は、個別問題は時間があればまた議論しますが、原則的に外国軍隊の行動と施設・区域を区分けしたりしておりますが、施設・区域の中にウラン弾を置いてあるわけです。同じことなんですよ。原則として適用になるのか、原則として適用にならないのかという議論の本格的な争い、対立の問題なんであって、それは私は原則として適用になると。しかし、軍隊の特性と特別の条項を設けた場合には、それが優先するというか、そういう扱いになるということなのであって、全然答弁になっておりませんが、きょうは時間切れでありますから、これで終わることにいたします。
  241. 小山峰男

    ○小山峰男君 私は青年海外協力隊に関して御質問を申し上げたいと思います。  知日派をふやすとか日本についての理解を深めるという意味で青年海外協力隊の活動というのは大変大事だというふうに思っております。私も長野県におりまして、青年海外協力隊に行くというようなときに青年たちのあいさつを受けたことも何回もありますが、非常に意欲的なすばらしい青年たちが海外に行っておるということでこの事業を大いに進展させる必要があるというふうに思っております。  そこで、平成九年度の予算上で青年海外協力隊の予算というのは幾らぐらい組んであるのか、その辺をお願いしたいと思います。
  242. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 平成九年度予算案におきましては、新規派遣人数八十名増を盛り込みまして、対前年度比二・七%増の百九十二億七千六百万円を計上したところでございます。
  243. 小山峰男

    ○小山峰男君 これは国際協力事業団事業費の中に入っておるというふうに理解していいわけですか。
  244. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) そうでございます。
  245. 小山峰男

    ○小山峰男君 受け入れ国と日本との間の問題ということで、協定とか何か多分結んでいると思うんですが、現在何カ国とそういう協定のようなものを結んでいるか、おわかりでしょうか。
  246. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 九七年二月末現在で五十六カ国に派遣しておりますけれども、協定を結びまして現在派遣していないところもございますので、現在六十七カ国と取り決め自体は持っております。
  247. 小山峰男

    ○小山峰男君 それでは、現状で、現在人数がどのぐらい派遣されているのか。今五十六カ国と言われたのは現在派遣されている国の意味というふうにとっていいんでしょうか。
  248. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) そのとおりでございまして、九七年二月末日現在五十六カ国に対しまして二千三百二十九名の隊員を派遣中であります。
  249. 小山峰男

    ○小山峰男君 いろいろの分野があるというふうに思いますが、主な、大きな方からの分野というか、その辺はどうなっておりますか。
  250. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) これまで派遣分野、職種実績につきましては、大きな分野といたしましては七分野に分けて考えておりまして、農林水産、加工、保守・操作、土木・建築、保健・衛生、教育・文化、スポーツといった七分野に派遣しておりまして、これをまた細かく分けまして、職種としましては二百四十一職種に分けて募集をし、派遣をしております。
  251. 小山峰男

    ○小山峰男君 いろいろの分野があると思いますが、基本的には受け入れ国側がこういう人材が欲しいというような形で派遣されるのか、あるいはこちらから日本の考え方で派遣するのか、その辺はどうでしょうか。
  252. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 基本的には先方のまず必要としております分野といいますか要請を受け付けまして、そしてそれに見合います人を公募するわけでございます。現在のところ、例えば農林水産分野では百八十一件の要請がありますけれども、充足率ということで申しますと百十二件を派遣しているというようなことで、まず要請を受けますけれども、国内で資格のあるといいますか、一応試験もいたしますので、そういった人たちが十分にある分野と、それから充足率の悪い分野ということはございます。
  253. 小山峰男

    ○小山峰男君 そうすると、ミスマッチももちろんあると思いますが、現在要望があって、トータルとしては充足率というのは今どのぐらいになつているんでしょうか。
  254. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 平成八年度のあき募集の例で申し上げますと、要請数は八百六十七件、そのうち充足いたしましたのは五百七十三件、六六・一%というのが全体の充足率でございます。もちろん、申し上げました分野によって充足率は高いものと低いものとがございます。
  255. 小山峰男

    ○小山峰男君 それで、元職というか行くときの職業の状況というか、現在職があって休職とか、あるいは派遣で行くとか退職して行くとか、あるいは全然無職でいて行くとかというような状況というのはどうなっておりますか。
  256. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 平成七年度で申し上げますと、現職参加の人が二二%、それから退職参加といいますか、職業を持っておりますけれどもやめて参加された方が全体の四二%、そして無職参加と申しますか職業を持たないで、例えば学生から応募されるといったような方々が三六%でございます。
  257. 小山峰男

    ○小山峰男君 それから、帰ってきてから、今の状況でいけば現職というか職を持って行かれた二二%はまたもとの職に戻るということかと思いますが、退職して行った人は帰ってきて新たにまた職を求めるということになるだろうし、また学生なんかで行った場合にも帰ってくれば当然職という問題があるんです。いろいろ話を聞きますと求職に苦労をされているという状況が大変多いというふうに聞いていますが、外務省としてその辺について何か手だてをというような考え方があるのかないのか。
  258. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 先生指摘になりましたように、青年海外協力隊に参加されて戻られました方の帰国後の進路先というものをきちんと手当てをすることが一つの課題でございますけれども、現在のところ、帰国隊員で帰国後一年以内に進路先が決まっておられる方々が約七九%でございます。  また、そういう進路先が帰ってきてできるだけ見つかるようにということでJICA、青年海外協力隊といたしましては、帰国隊員の帰る六カ月ぐらい前から就職情報の提供をいたしましたり、あるいは進路相談をいたしましたり、さらには帰国隊員が帰ってきました後の再就職のための研修会を実施しましたり、そういったような措置を講じてきておりまして、その結果が先ほど申し上げましたような水準でございます。
  259. 小山峰男

    ○小山峰男君 できれば現職で派遣するというようなことが拡充していけば、それはそれで大変結構なことだというふうに思うわけですが、何か所属先の補てん制度というか、給料を払った場合にそれを補てんするというような制度があるというふうに聞いていますが、それはどんな形の制度なんですか。
  260. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 国際協力事業団では、協力隊員を現職のまま派遣する所属先の負担を軽減するために、昭和四十八年度から所属先補てん制度というものを実施しております。この制度は、民間企業職員等の所属先に対しまして、所属先が休職中に当人に支給する基本給の一定限度、上限は七〇%まででございますけれども、を所属先に対して補てんすることを基本的な内容としております。  さらに、民間企業に対しましては、この人件費の補てんに加えまして、所属先における一般管理費の一部補てんということで先ほど申し上げました人件費補てん額のさらに六〇%までを支給するという二つの制度を実施しております。
  261. 小山峰男

    ○小山峰男君 そういう制度もより充実してもらう必要があろうというふうに思っているんですが、例えばそういう民間企業等で派遣した場合、給料等について税の控除というか優遇措置というようなものについては何かお考えがあるんでしょうか。
  262. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) ただいまお話のありました企業に対する税の優遇措置につきます基本的な考え方は次のように考えております。  協力隊員を現職派遣させた企業に対しましては、そのために生じる企業の負担を軽減するために先ほど申し上げました所属先補てん制度を既に設けております。ボランティアを促進するための措置として具体的に何が適当かということにつきましては今後慎重に検討する必要がございますが、いずれにせよ、政府といたしましては協力隊の活動を社会全体として支えるような方向で国民の理解が得られることが一番大事だと思っております。
  263. 小山峰男

    ○小山峰男君 先ほど充足率六六・一%というお話がございましたが、例えば予算的には一〇〇%充足しても措置ができるという形になっているのか。現在の百九十二億というのはどういう積算になっているのか、その辺はどうでしょうか。
  264. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 予算といたしましては新規に派遣しております千三百五十二人分すべて予算計上してございます。
  265. 小山峰男

    ○小山峰男君 これは充足率一〇〇%として考えて千一二百五十二人ということなんでしょうか。
  266. 畠中篤

    政府委員(畠中篤君) 派遣する人数ということで申しますと、そういうことでございます。要請はもっとございますけれども、派遣する方の一〇〇%の計上をしてございます。
  267. 小山峰男

    ○小山峰男君 今の六六・一%、それが派遣する数ということになっているんですか。
  268. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほどからの政府委員の答弁はこういうことだと思います。充足率といいますのは要するに派遣先国、受け入れ国の方から一定数の要望がある、それに対してそれにマッチする人材がいるかどうかということで充足できるのが六六%、こういうことでございます。そして、その六六%分が現実に派遣されているわけでございますから、それに見合う予算措置はきちんと講じられている。したがいまして、予算が足りないから充足率が落ちるということはない、こういうことだと思います。  もとより、きちっと一名もそういう問題がないかというと、それはいろいろあると思います。これまでの経験などもいろいろ見ながら、充足率というものを見ながら、要望もあり、そうしてこちらからそれにこたえられる人数が大体何人だということの見積もりを立てて予算というものは積算しているんだと思います。  それからいま一点、先ほどの御質問の中で税制上どうだというお話がございましたけれども、要するに所属先に補てんされればそれでいいんだというお話がありましたが、補てんされ切れない部分でなお派遣している隊員に対して企業、所属先が負担している経費があるかもしれません。しかし、そういうものは税法上は会社の経費として落とせるわけでございますから、こちらの補てんの対象にならないで支払っているものもあると思います。それは税制上の優遇措置を講ずるまでもなくきちんと対応できている、こういうことだと思います。
  269. 小山峰男

    ○小山峰男君 今いろいろお聞きしまして、せっかく相手国が要望しているならやっぱり一〇〇%充足すべきだと思いますし、また分野別にもアンバラがあるような形だと思います。だから、これは国民全体がこの制度を理解して、やっぱりみんなでお手伝いをするという形、また政府もそれなりの制度化をするというようなことが大変必要だと思いますので、最後に今までの問題点等も含めて大臣の決意をお願いしたいと思います。
  270. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 委員指摘のとおり、青年海外協力隊というのは経済協力としても大切でございますし、それだけでなくてやはり若い人を中心としての人的交流、文字どおり肌での接触あるいはハート・ツー・ハートの交流ということで大変意義のあるものだと考えている次第でございます。そういった意味で、これまでもいろいろな施策を講じてきたわけでございます。  たまたま先ほど所属先補てん制度が四十八年度予算から導入されたという答弁を局長がいたしましたけれども、私はその当時ちょうど主計局で外務省予算担当官でございまして、この制度を発足させた関係者でございます。そんなこともございますし、受け入れ国の方からも大変歓迎されていることでございますので、委員が今最後に御指摘になりました充足率をさらに高めるように努めるという点、海外の諸国はどういうところに協力隊員を求めているかということをよく国内でも周知徹底を図り、その要望にさらにこたえられるように、有為の人材を発掘できるようにも努力してまいりたいと考える次第でございます。
  271. 小山峰男

    ○小山峰男君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。以上で終わります。
  272. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  274. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約に関する千九百八十八年の議定書締結について承認を求めるの件及び千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約の千九百八十八年の議定書締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  275. 戸田邦司

    戸田邦司君 平成会の戸田でございます。  本日、差しかえで私がしゃしゃり出てまいりましたのは、実はこの両議定書を私は作成途上から深く関与していまして、一九八八年十一月十一日というのは私調べてみましたらロンドンにおりまして、この両議定書の採択書にサインしているというようなことで、一言で言いますと、これはいろんな技術的な条約、船の検査関係の条約がありますが、その条約の中で検査の仕方が違っているところがありまして、それを全部合致したような形で一遍に検査ができるような新しい調和システムをつくり出して各条約を改正した、そういうような中身になっております。今までに比べますと、受検者といいますか船を持っている人々の便宜、コスト、そういった面で大幅に改善されたということであります。  内容について特別御質問するようなこともありません。関連で二つだけ外務省にお願いしておきたいと思います。  一つは、昨年の通常国会でOECDの造船協定が承認案件としてこの委員会にかかりました。これはアメリカが言い出してつくった協定であります。造船に関する政府助成を廃止する、それから加害的廉売を防止する、そういうようなことでっくりましたが、米国がまだこの協定に参加していないためにこの協定の実施がおくれているという事情がありますので、ひとつ外務省の方から米国にも強くその点を指摘し、要請していただきたいというのが第一点であります。  それからもう一つの点は、これは承認案件を求める条約のすべてにかかわることでありますが、外務省で扱っている条約が膨大な数になるといいますか、毎年相当数の承認案件が上がってくるわけですが、割合重要な条約で批准がおくれるということが多々見受けられます。そういったことで、条約に関する限りは我が国の権限の拡大という面もあるわけでありますから、重要条約について遅滞なく承認を求め、国内的に効力を有するようにしていただきたいという点であります。  具体的に申し上げますと、昨年の海洋法条約は一年八カ月おくれました。それから、先日問題になりましたオイルポリューション関係の条約ですが、これが五カ月おくれている。その他幾つかあるかと思いますが、そういうようなこともありますので、ひとつ外務省の方でも事務的手続について簡素化できるところを工夫していただき、また国会、委員会での審議についてもっと進んだ方法といいますか、割合技術的に簡便な条約と重要案件とはっきりと分けて審議を進めるようにしてみてはどうかというのが私の感想であります。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  大臣、何か御感想がありましたら一言お伺いしておきたいと思います。
  276. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、造船協定につきましては、委員指摘のとおり、元来が米国の提唱により始まったものでございますけれども、いまだ米国が批准するに至っていない、我々も大変残念だと考えております。外交ルートを通じまして機会あるごとに米国にも手続の促進方を求めております。私自身も何度か閣僚レベルでもそういう要請をしたところでございます。今後ともそのように努力してまいりたいと思います。  それから、条約の締結手続のおくれの問題でございます。御承知のとおり、最近条約が非常に多うございます。特に最近はいろいろな分野多国間の条約というものがふえておりますので、それを審査する外務省の陣容というものも限りがございますのでいろいろ苦労もしているところでございます。しかし、決してこれは外務省だけの話ではなくて、それを国内的にどうするかといった場合に関係省庁とのいろいろな調整に手間取るケースもございます。あるいは、国際的ないろんな情勢、状況の中で各国の動きを見ながら対応するということもあるわけでございます。  いずれにいたしましても、大切な条約が手続あるいは作業のおくれのために締結ないし加盟が時期おくれになるということは避けなくちゃいけない。せっかく国会におきましても審議に精力的に当たっていただいておるわけでございますので、外務省としても今後一層努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
  277. 戸田邦司

    戸田邦司君 その他、二、三質問を通告している案件がありますが、せっかくおいでいただきましたがへそれらの点についてはまた事務的に教えていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  278. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御意見もなければ、これより直ちに採決に入ります。  まず、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約に関する千九百八十八年の議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  279. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約の千九百八十八年の議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  280. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  282. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明聴取いたします。池田外務大臣
  283. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。  改正の第一は、国際民間航空機関、ICAO日本政府代表部の兼館としての新設、在コタ・キナバル日本国領事館の総領事館への種類変更並びに在ホラムシャハル及び在プレトリアの各日本国総領事館の廃止を行うことであります。  改正の第二は、以上の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額の設定、削除を行うことであります。  改正の第三は、在ボンベイ及び在マドラスの各日本国総領事館の名称等の変更並びに在香港日本国総領事館の位置の国名等の変更を行うことであります。  なお、本法案は、在ボンベイ及び在マドラスの各日本国総領事館の名称変更については、インド政府よりの要請もあり、また在コタ・キナバル日本国領事館の種類変更についても、法律成立後に行う先方政府との協議その他の諸準備に相当の時間を要しますことから、できるだけ速やかな法改正が必要であります。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  284. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  本案の質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  285. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、中東・北アフリカ経済協力開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明聴取いたします。池田外務大臣
  286. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) ただいま議題となりました中東・北アフリカ経済協力開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、中東和平プロセスの一環として開催された第一回中東・北アフリカ経済サミットでの宣言を受けて専門家会合等において検討された結果、平成八年八月二十八日に作成されたものであります。  この協定は、中東・北アフリカ地域の平和、安定及び開発を強化し及び促進するため、地域的な経済開発及び経済協力を促進する機関として中東・北アフリカ経済協力開発銀行を設立すること並びにその運営について定めることを目的とするものであります。  我が国がこの協定を締結することは、中東和平プロセスを経済的側面から支援することに資するものであり、また国際開発金融機関による地域の経済開発及び発展のための活動に貢献するとともに、我が国と中東・北アフリカ地域の各国との友好関係を増進する見地からも有意義であると認められます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  287. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  本件質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会      —————・—————