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国務大臣(
池田行彦君) 非常に大きな御
質問でございますのでお答えしにくうございますけれ
ども、私なりにこういうふうにお答えさせていただきたいと思います。
一つは、
我が国自身の利害、いわば国益と言ってもよろしゅうございましょうが、そういった
観点からどういうふうに考えるかということ。いま一つは、
国際社会の中で
我が国が担うべき役割といった
観点から考えてみたいと思います。
まず、最初の方から申しますと、これだけ経済の面でのグローバリゼーションが進み、そのほか安全保障の
関係においてはもとより
国際間の
関係の中で
我が国の安全も保たれるわけでございます。そういった
意味で、
我が国の利益に立脚する場合にも当然各国とのかかわり合いというものを考えてまいらなくちゃいけません。
それで、経済面で考えました場合には、
我が国はこのように資源の乏しいところに大勢の
国民が住んでいるわけでございますから、その存立のためにも、
国際経済
関係の中で貿易、投資その他いろんなことの中で存立を図っていかなくちゃならぬわけでございます。そこの中の一つといたしまして経済
協力というものも有効だと思うのでございます。
かつて経済
協力の初期
段階では賠償、準賠償から始まりましたけれ
ども、ああいった
段階では日本から資金面での
協力をしていく、そのことが
我が国の例えば輸出にも直接結びつくなんということが言われたこともございます。現在はもうそういった
観点は余り重視しなくてもいい、アンタイイングはほぼ完全に進んだところでございますから、すぐそれを意識するわけではございませんけれ
ども、やはりそういった効果も今ゼロになったわけじゃない、そういった面もあるんだと思います。
それから、それだけではなくて、やはり
我が国の経済
協力というものは
開発途上国の経済的な面での発展に生かされていること、そのことがそういった国々の購買力を高めまして、そういった
意味での新たなマーケットの創出につながってくる、こんなこともあろうかと思います。
それから、もとよりそういった経済的な発展の効果として
開発途上国が
政治的にも安定していくということは安全保障面においてもより望ましい
環境をつくっていくという点もあると思います。そういった面で、経済
協力というものも有効だと思います。
もとより、それだけじゃございません。ほかにも民間ベースでいろんな経済活動というようなものであるとか、いろんなものも効果があるわけでございますが、経済
協力もそういった役割を果たしている。
とりわけ
我が国のこれまでの経済
協力の成果という
観点から申しますと、今世界の成長センターと言われているアジアの諸国がこれだけ伸びてきたという中において、
我が国の経済
協力は確かに役立った面があると思います。これから将来に向かっても
我が国の経済
協力の
取り組み方というのは
開発途上国全体、つまりは世界経済の安定と発展のためにも役に立つんだ、こういうふうに考えている次第でございます。そのことが
我が国の国益にもなると申しました。
それで、世界全体のために貢献するあるいは役割を果たすといった
観点からどうかといった場合に、いろんなことがございます。例えば、安全保障の面でも、米国のような巨大な力を持った国が、かつての世界の警察官とまでは言わないにしても、アジア太平洋あるいはヨーロッパ、いろんなところでの安定を確保していくために役割を果たしていく。これもある
意味では
国際公共財を提供しているんだと思いますけれ
ども、そういった役割を果たしておる。
我が国も、経済面だけではない、ほかの面でも、例えばPKOに見られるような役割も果たしております。しかし、そういったいろいろなものがあります中で、
我が国の場合はどうしても経済的な面での役割あるいは貢献というものが大きなものであったし、これからもやはり相対的に言えば大きなものであり続けるだろうと思います。
もとより、それは
先ほども申しましたように、民間での経済のいろんな交流もありましょうし、今いろいろな面で規制緩和を進めておりますが、それが
我が国のマーケットへのアクセスを容易にするという
意味で
開発途上国を含めて世界の国々にいろんなチャンスを与えるという
意味での貢献もあると思います。そのほかに、東京の金融センターとしての役割あるいは資本市場としての役割はどうか、いろんなこともございますけれ
ども、そういった中でやはり経済
協力というものが依然として
我が国が世界に役割を果たしていく上で大きなウエートを占めるんだと考えている次第でございます。
経済効果の面ばかり申しましたから、おまえは経済
協力の持つ人道的な面だとか民生安定の面などは余り意識していないじゃないかと言われるかもしれませんけれ
ども、それも十分意識しながら、代表的な点と私が考える点について申し上げた次第でございます。