運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-03-03 第140回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月三日(月曜日)    午後二時三十分開会     —————————————    委員異動  二月二十五日     辞任         補欠選任      益田 洋介君     高野 博師君  二月二十八日     辞任         補欠選任      高野 博師君     渡辺 孝男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         楢崎 泰昌君     理 事                 鈴木 栄治君                 高木 正明君                 星野 朋市君                 照屋 寛徳君     委 員                 板垣  正君                 尾辻 秀久君                 永田 良雄君                 長峯  基君                 橋本 聖子君                 三浦 一水君                 加藤 修一君                 風間  昶君                 福本 潤一君                 渡辺 孝男君                 鈴木 和美君                 前川 忠夫君                 吉岡 吉典君                 島袋 宗康君    国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長  稲垣 実男君        官)    政府委員        内閣審議官    及川 耕造君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        防衛施設庁長官  諸冨 増夫君        防衛施設庁施設        局長       首藤 新悟君        沖縄開発庁総務        局長       嘉手川 勇君        沖縄開発庁振興        局長       牧  隆壽君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務大臣官房領        移住部長     齋藤 正樹君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省欧亜局長  浦部 和好君        外務省条約局長  林   暘君    事務局側        第一特別調査室        長        入内島 修君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (平成九年度沖縄及び北方問題に関しての施策  に関する件)     —————————————
  2. 楢崎泰昌

    委員長楢崎泰昌君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告申し上げます。  去る二月二十五日、益田洋介君が委員辞任され、その補欠として高野博師君が選任されました。  また、去る二月二十八日、高野博師君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君が選任されました。
  3. 楢崎泰昌

    委員長楢崎泰昌君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のうち、平成九年度沖縄及び北方問題に関しての施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 最近、沖縄に行くたびに感じる極めて素朴な疑問から質問をさせていただきます。  本土との格差があると言うんですけれども、町並みを見ても県民の皆さんの生活を見ても、本土と少しも変わりはないじゃないか、少なくとも私にはそう思えるんです。  そこでまず、復帰以降、沖縄県民所得だとか公共施設整備水準など、言うならば沖縄経済的な力を示す数字がどのように変わってきたのか、お尋ねをいたします。
  5. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘の点でございますが、沖縄本土復帰時と最近時点を比較しますと、一人当たり県民所得は、昭和四十七年度で四十四万五千円と全国の六〇%であったものが、平成六年度で二百十一万九千円と全国の七一・二%に上昇をいたしております。  公共施設等整備状況についてでございますが、復帰以来、水資源開発交通体系整備生活環境施設整備農林水産業基盤整備など、沖縄振興開発計画に基づく諸事業を積極的に推進してまいりました結果、本土との格差は、先生指摘のように次第に解消、縮小されてまいっております。  例えば、人口千人当たり道路延長でございますが、これが昭和四十八年三月時点で四・五キロメートルと全国の四六・四%であったものが、平成七年四月時点で五・八キロメートルと全国の六二・九%に上昇してまいっております。また、人口一人当たり都市公園面積でございますが、昭和四十八年三月時点で〇・八平方メートルと全国の二七・六%であったものが、平成八年三月時点で六・四平方メートルと全国の九〇・一%に上昇しております。  御指摘のように、確かに以前と比べ県民生活についてはかなりの改善が図られてまいっておりますが、生活産業基盤の面でなお整備を要するものが見られるとともに、一人当たり県民所得は先ほど申し上げましたように依然として低いということなど、産業振興雇用面解決を要する課題を抱えているというのもまた現実の姿でございます。
  6. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 沖縄開発庁立場ということであれば、格差は依然として残っておると言わざるを得ないんでしょうけれども、今もお話がありました、経済企画庁が先日発表した九四年度の県民所得でも、私はもはや格差というものはほとんどないと思います。確かに、四十七位、全国最下位であることは確かですから、そこからすると格差があるとも言えるかもしれませんが、じゃ、四十五位とどのぐらい差があるか、四十六位は我が鹿児島でありますけれども、じゃ、どのぐらい差があるかというともう知れたものでありまして、格差と言えるほどのものではない、私はこう思うのであります。  特に、先日の長官所信表明の中にもございました、さきの戦争で悲惨な目に遭った、戦後二十七年間も占領下に置かれたということは重い事実でありますし、誤解のないように強調して申しますけれども、決して忘れてはならない事実であります。ただ、私がきょう申し上げたいのは、そのことからくるハンディはもう解消されたと言ってもいいのではないですか、こういうふうに思うから申し上げているところであります。  むしろ、沖縄を支える三Kと言われる基地収入公共事業観光のうちの最初の二K、基地収入それから公共事業、ここに依存しておることに私は問題があると。この依存体質に問題があるというふうに思っておるわけでありますが、沖縄開発庁の見解を尋ねます。
  7. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) 御答弁申し上げます。  ただいま先生指摘の三Kのうちの二K、つまり公共事業基地関係、この二点でございますが、この公共事業依存度でございますけれども平成六年度の県民支出三兆三千百十四億円のうち公共事業費等に係るいわゆる財政固定資本形成が四千七百八億円でございまして、そのウエートが一四・二%を占めております。ちなみに全国は八・四%でございます。この公共依存度が高いというのは先生指摘のとおりでございます。また、基地収入への依存度でございますが、いわゆる軍関係受け取りが一千六百二十八億円となっておりまして、これが県民支出に占める割合は四・九%と相なっております。  このように、依然として公共事業基地収入に頼る経済構造であるのは御指摘のとおりでございまして、これから、いかにしてそれから脱却していくかというのが沖縄開発庁にとりましても大きな課題ではあると考えております。
  8. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 そこでなのであります。今回、SACO合意により米軍基地返還が決まりました。いずれ必ずそうしなければなりません。このことを考えますと、今も申し上げたように、依存型経済から自立型経済へ一日も早く沖縄を変えなければならない、この転換が極めて重要なことだと思います。  そこで、今の沖縄政策を見ていますと、ちょっとこれは例えがきついかなとも思いますが、私が思う例えで率直に言わせていただくと、ハンディを背負った子供がいる、かわいそうだからといって小遣いをくれと言えば幾らでも小遣いをやって、おやつが欲しいと言えば甘いものをふんだんに食わせて、そんな子育てをやっているようにも見えませんかという例えをしたくなる、そんな感じがするわけであります。よかれと思ってやっていても、逆に沖縄をおかしくしている面がないかなと、そんな気がします。  沖縄自立という観点から、沖縄開発庁は今私が申し上げたようなことをどんなふうに思っておられるだろうか。そして、沖縄開発庁の仕事の内容というんでしょうか、少し変えるときに来ているんじゃないかと思うんですが、そんなことをお感じになりませんかという質問をします。
  9. 嘉手川勇

    政府委員嘉手川勇君) 沖縄に対する先生の思い入れ、またお考えというのはよく私ども承知をさせていただいているところでございます。  現在の沖縄県をめぐる諸情勢を勘案しながら、これから沖縄についてどのように施策を進めていくか、特に経済自立化を図るためにいかような方法で進むべきかという点についての御質問が主なところではなかろうかと存じます。  経済自立を図るということは極めて難しいことではございますが、やはりやっていかなければならないということで、沖縄地域特性を生かした特色ある産業振興を図ることが大切ではないかと考えております。すなわち、沖縄型の特色ある産業構造を目指さなければいけないというふうに考えます。  具体的には、観光を先導的、戦略的産業とする独自の産業連関をつくり上げる必要があるのではないか、これが第一点でございます。第二点といたしまして、高齢化社会を迎えまして、また観光振興という面から長期滞在型の保養施設形成が必要でございますので、この長期滞在型の保養施設などの健康、福祉関連サービス業などの新規産業の育成が必要になってくるのではないかと思われます。  現在、極めて弱い構成下にございます製造業につきましては、食料品地場産業、いろいろと特産品もございますので、また観光入り込みのお客様もいっぱい入ってこられますので、食料品中心とした生活関連型の産業振興、それから沖縄地理的特性を生かしました中継加工のいわゆる組み立て型産業充実強化を図る必要があるのではなかろうかと思います。また、これらの産業と他産業との連結を強化するという面にも目を向けていかなければならないと思います。同時に、経済ボーダーレス化に対応しまして、周辺諸国、特にアジア諸国との交流を促進し、それらの諸国からの沖縄への投資を促進する時代に来ているのではないかと思います。  産業振興当たりましては、民間の創意工夫というものが大変大切だと思われます。また、この産業には担い手が必要でございまして、そのための人材を育成していく必要があるのではないか、このように考えているところでございます。  自立的発展を支えます社会資本整備もまた必要でございまして、経済社会の変化に対応した各種社会資本整備を推進するとともに、特色ある沖縄産業振興と南の国際交流拠点形成を図る上で基盤となる社会資本整備を推進するために、沖縄開発庁として今後とも努力を続けていかなければならない、このように存じております。
  10. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 SACO関連外務省にちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  まず、今回の合意普天間基地をどこかへ移転することが決まったわけでありますが、肝心の移転先がどうにもよくわかりません。いろいろ言われているんですが、一体どうなっているんですかという質問であります。
  11. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 普天間飛行場が今果たしております役割といいましょうか機能につきましては、それを移転しながら普天間そのもの返還を実現したい、これがSACO合意でございますが、その中で一番大きいのは代替ヘリポートをどうするかという問題でございます。  これにつきましては、最終報告におきましては、海上施設案を追求するということになっております。そういった観点から、まずこの検討当たりましては現地の事情を把握する。どういうところが適当であるか、そのための調査が必要でございますので、現在のところ、いわゆるキャンプ・シュワブ沖候補地一つとして挙がっておりまして、これをまず調査させていただこうということで、一月二十一日でございますが、那覇防衛施設局長から、関連します名護市、そして沖縄県、さらに沖縄漁連に対しましてこの調査に対する協力を要請申し上げたところでございます。まだ今のところ、それに対しまして結構だよという話はちょうだいしておりませんけれども政府といたしましては、引き続きその協力をお願いして、何とかまず調査に取りかかりたいな、こう思っております。  それを経ました後でございますが、SACO最終報告にも記されておりますとおり、海域の選定というものを終えまして十二月までには実施計画を作成すると、こういうことになっておりますので、何とか速やかに調査が行われるように地元の御協力をお願いしている、こういうことでございます。  それからなお、普天間飛行場が果たしておりました機能のうちの一部、KC130、いわゆるハーキュリーズという航空機でございますが、これにつきましては、山口県の岩国市にございます米軍基地移転といいますか、移駐するということでお願いしておりまして、先般、山口県知事岩国市長、そして隣接の町長、この三者の協議によりまして、その移駐を容認すると、こういったことを発表していただいたわけでございまして、これは普天間飛行場移転を図る上において重要な一歩である、こういうふうに認識している次第でございます。
  12. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 私がお聞きしたがったのは、その移転先海上ヘリポート案なんですが、地元は最近になってまた強く埋め立てを望んでおられるという話も聞きます。そして、どうもやっぱりそれしかないのではないのかなと言い出しておる人もおられるようであります。お聞きしたがったのはそこの部分でありますが、いかがでありましょうか。
  13. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 実は、私どもSACOの作業の中ではいろいろな可能性を追求いたしました。この海上施設案以外の代替案があるかといろいろ検討した結果、やはりいろんな観点から見て、海上施設案を追求することが最善だろう、こういう結論に達して現在それを追求しておるわけでございます。  委員おっしゃいますように、地元の一部にそういった埋め立てでどうだという話が出ているということは承知しておりますけれども、それも決して地元全体としてそういった方向が固まっているとか、あるいはそれが大勢になっているという情勢でもないと私どもは現時点承知しておりますので、政府といたしましては、この海上施設案を追求する、その前提としてのキャンプ・シュワブ沖調査をぜひ早急に実施できるように何とか御協力をお願いしたい、こういう姿勢で臨んでおるところでございます。
  14. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 劣化ウラン弾の問題についてもお尋ねしたいと思っておりましたが、ちょっと時間がないかもしれないと思いますので、後ほど時間があったらお尋ねいたします。  次に、内政審議室お尋ねいたします。  一体、長期的に沖縄をどうする方針なんですかということであります。  このごろ、日本は普通の国かという議論があります。この普通の国論風に言えば、今の沖縄も普通の県ではありません。すなわち、沖縄の存在というのは、四十七分の一ではなくて、私に言わせていただくと四十六プラス一だな、こういうふうに思います。沖縄知事もやっぱり普通の知事ではない。誤解されると困るなと思うけれども、思いつく言葉で言うと、琉球国大統領に見えるな、こういうふうに思います。  先日の外務大臣所信でも、政府沖縄県との間の意思疎通を緊密にするために、もう一回言いますけれども政府沖縄との意思疎通を緊密にするために大使を発令したと、こういう表明がなされましたけれども、やっぱり今、普通の県ではないなと言わざるを得ない。  沖縄は普通の県の方がいいのか、ちょっと違っていても普通の県でない方がいいのか、どっちが沖縄県にとって幸せなんだろうと言われると、正直私も迷うんですけれども政府は一体どのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  15. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 大変恐縮でございますが、普通というのをどういうふうに考えていいかわかりませんので直接お答えできるかどうか、お許しいただきたいと存じますが、確かに一つやはり大きいのは、沖縄県の場合、戦後五十二年の歴史の中で復帰以来の年数の方がむしろ米軍施政下にあった歴史よりなお短いという大きな歴史的な条件を背負って今日あられるという点は踏まえなければならないだろう。そういう点では、確かに他の都府県とは違う条件歴史をお持ちであったということ。  さらには、今、先生も御指摘ございましたけれども東京等からはかなり遠い。よく沖縄県の方は、那覇中心に同心円を書きますと、マニラの方が札幌より近いというような、そういういわゆる亜熱帯的な気候条件、地勢的な条件等の中に現在置かれている。  そういった点から、ユニークな発展あるいは経済振興というものが沖縄県にとって必要ではないか、こういう御認識であろうかなというふうには思っているところでございます。  したがいまして、そういった条件を踏まえて振興策を考えていくべきであろう。その点につきましては、現在国土庁で御検討いただいております新しい全総、あるいは沖縄開発庁におきます第三次の沖縄振興計画後期等において、その条件を踏まえて検討されているのではないかというふうに存じているところでございます。
  16. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 そんな答えしかできないことを承知の上で聞いた方が悪いと思いますから、わかったようなわからないような答弁になるのはしようがないなと思っております。  そこで、じゃ、例えばどういうことになるかというのを話してみたいと思うんです。  今度の航空運賃です。一言で言うと、国が税金をまけて四千円安くする。そのことによって東京沖縄間と東京鹿児島間の航空運賃の差が幾らになるかというと、もう二千円でしかなくなる。  さっきも申し上げたように、私は鹿児島ですから、鹿児島側から見るとうらやましい話だなとついつい言わざるを得ない。先月沖縄に行ったんですが、そのときでも那覇のホテルは全部ふさがっていまして野宿になるかと思ったんですが、最後最後になってやっと何とか一部屋見つけてもらったとそんな状態なんです。  私は、沖縄観光問題点というのは決して航空運賃ではないと思っているんですが、それはそれとして、きょうぞんなことを言おうと思っているわけではありません。この航空運賃を安くするというのは、物すごくはっきり言って、基地で迷惑をかけるからその場しのぎ迷惑料なのか、それとも、今後ともやっぱり沖縄というのは国内の中だけれども、ちょっとそういう扱いをして沖縄独特の観光を考えてもらうとか場所にしていくとか、どっちなんだろうなと思いながら、もちろん今度の措置に限って言えば五年間という期限つきですから、それは五年たったらもとに戻りますというか、そのときまた考えますということになるんでしょうが、とにかくそんなことを聞いてみたいなと。  どっちが沖縄のためにいいんだろうなと思いながら、考えているということを言いたかったわけでありまして、これまた質問してもどうせお答えづらいだろうと思いますから、質問にはいたしません。  私がそれでもこんな質問をしておりますのは、沖縄への対応が、方針もそうなんですが、体制も何となく首尾一貫していないところがあるんじゃないかなと。そして、それが沖縄の真の自立というのを妨げているところがないのかなと感じるからであります。今は、内政審議室中心になって沖縄政策協議会検討だとか、五十億円の調整費の配分だとか、基地所在市町村懇談会の提言を取りまとめるとか、いろいろやっておられるんですが、少し口悪く言わせてもらうと、沖縄開発庁が二十五年も一生懸命頑張ってきておるわけでありますから、今さら別の人が御用聞きに回ったからといってもそんなに格別新しいものが出てくるわけはない、私はそう思うわけであります。  基本方針は、政府がきちっと決めてやってもらわなきゃならない。だから、基本方針については、内政審議室に今お尋ねしたんですが、沖縄振興開発に関する総合的な官庁はあくまでも沖縄開発庁でなきゃいけませんし、私に言わせてもらえるならば、今さら屋上屋を重ねることもないと思っております。  先日、沖縄の新聞の記者の方が見えて取材をされました。沖縄県にすら沖縄開発庁はもう要らないんじゃないかという声があるんですがとおっしゃるから、ボーナスをたくさんもらったから本給は要らないという話ですかとつい私は申し上げてみたんですが、私に言わせてもらうとそんな気がするわけであります。  この際、真の沖縄のためにという立場での沖縄開発庁の決意をぜひお聞きしておかなきゃならないと思いますので、お尋ねをいたします。
  17. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 委員は大変よく沖縄のことについては、政務次官等々もおやりになって先刻よく御承知のとおりでございますが、何にしても沖縄の問題については全国民で、またその解決内閣を挙げて取り組むべき極めて重要な課題であるという認識に立っておるのでございます。  沖縄開発庁はこれまで三次にわたります振興開発計画に基づいて、先ほど来話をしておりますが、本土との格差もだんだんと縮小してまいっておるのは事実でございます。この二十五年間に約五兆円にわたります予算をかけましてもろもろの施策もやってきたわけでございますが、何にしましても沖縄自立をしていくことが極めて大切だ、その自立的な発展基礎条件整備すると、こういうところに力点があろうかと思うわけであります。また、特色ある地域として整備を図っていかなきゃならぬ、沖縄なるがゆえにという点も十分配慮していかなきゃならぬと思うわけでございまして、各般の施策を目下のところ講じておるところでございますが、今後とも計画目標達成に向けて努力を重ねてまいりたいことを考えておるわけでございます。  委員承知のとおり、昨年の沖縄問題についての内閣総理大臣談話に基づきまして、とにもかくにもまだまだ社会資本整備といいますか基礎的な条件整備というものが進んでおらないということでありますから、まず空港港湾。これは、本土とつながっておりますと鉄道ということが考えられるんですが、今回沖縄県も初めてモノレール、軌道が、他の県は全部あるんですが、沖縄は初めて今度軌道というものが敷かれるわけであります。空港港湾というような社会資本整備や、またあそこでいろいろな自立経済を考えましても、先ほど来私どもから言っておりますのは、観光関連施設整備を積極的に進めておる、そのためにまたあの地域国際都市形成構想というような構想もあるわけでありまして、これから二十一世紀に向けましてもやはり自由貿易地域の拡充も図っていかなきゃならぬ、そしてそれらによります産業貿易振興について一層検討を進めてまいりたいというところでございます。  沖縄開発庁といたしましても、今後ともやはり関係省庁との連携というものも十分踏まえていかなきやなりませんし、また沖縄県からも強い要望がいろいろ出ているわけでございますので、そういった問題を遂げながら、沖縄県がまた地域経済として自立をしていくことがまず第一であります。それから、雇用の問題を考えましても、学校を卒業しましても県内でなかなか就職する場がない、県外に出ていかざるを得ない、こういう状態では自立的にしっかりしたものができ得ませんので、やはり若年の方たちが県内で就職できるようなそういう雇用の確保を十分に図っていかなきゃならぬ。そしてまた、沖縄県民生活の向上、先ほど来話がありますとおり、まだいまだしてございまして、本土との差が七五%ぐらいのところじゃないかと言われておるところでございますので、その生活の向上に資してまいりたい。  いわゆる我が国経済社会発展に十分寄与し得る地域として整備されるように、沖縄振興開発に全力を傾注してまいる所存であります。
  18. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 終わります。
  19. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 自由民主党の橋本聖子でございます。北方領土の問題に関係しまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。  戦後五十年を過ぎましたけれども、我が国固有の北方領土が今なおロシアに不法占拠されたままになっているということをとても残念に思っております。その中で、政府を初めとしまして関係者の方々が解決に向けて御努力してくださっていることを大変感謝いたしておりますが、近年において前進が見られるものの、具体的な施策がまだ解決に至っているとは思えません。  外務大臣所信の中で「さらなる努力を重層的かつ多面的な形で傾けていく」というふうにおっしゃっていましたが、従来の拡大均衡の基本的な考え方というものとの相違点をお聞かせいただきたいというふうに思います。  また、もう一つは、これはお願いのような形になってしまうんですけれども、国民から見て政府が懸命に取り組んでいるという姿勢を積極的にアピールしていただくために、また北方領土返還運動がマンネリ化しているという声もありますので、国民の皆さん、また地域の方々を激励する意味においても、橋本総理にぜひ視察をしていただきたいというふうに思うんです。総理視察というのは昭和五十六年の鈴木総理以来されていないというふうにお聞きしておりますので、ぜひ外務大臣にお力添えをいただきたいと思いますが、この件につきましてお考えをお聞きしたいと思います。
  20. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず、対ロ外交の進め方について、「重層的かつ多面的な形」と私は先般所信で申し上げましたけれども、そういう言い方と従来の拡大均衡という言い方との違い、異同はどうなのかという点でございます。  私ども、対ロ外交の基本は、何といいましても一九九三年のエリツィン大統領訪日時に交わされました東京宣言、これに基づいて北方領土の問題を解決し、平和条約を締結して完全な正常化を達成する、これを一番大きな方針としているところでございます。それを進めていく過程におきまして、一方においてロシアが現在政治、経済あるいは社会各面で改革を進めておりますが、その改革を支持し協力していこうということ、そういった意味でいろんな面での関係強化を図っていくということを考えております。  具体的に申しますと、政治対話の推進であるとか、あるいはロシア、その中でも特に極東地方の経済社会面での発展に寄与するように努力もしていこう、また交流も進めていこうというようなこと、さらには国際問題全般についても日ロのいろいろな対話も進めていこうと。こういうふうにいろいろな次元での協力関係というものを重ね合わせていこうという意味で、多方面にわたり、そしてまた重なった形でということを「重層的かつ多面的」というふうに表現させていただいたわけでございます。  拡大均衡というのは、これは九三年十月にエリツィン大統領がお見えになりましたときに経済関係の宣言をいたしましたが、その際に使われた言葉でございます。これも基本的に今回申しました「重層的かつ多面的」というようなものと違いがあるとは思いませんけれども、強いて申すならば、そのときには、経済その他の実務関係を進めていく上でいろいろ拡大を図っていく、そしてバランスをとりながらという言い方をした。そういった意味では、今、多面的、重層的と言っているものと重なるけれども、強いて言えば、少し分野が限定されておったかなと。そして、経済の方に力点を置きながら拡大均衡ということを言ったんだと思います。しかし、方向において変わるところはございません。  それから二つ目の、橋本総理の北方領土視察をという点でございます。  委員指摘のとおり、昭和五十六年に当時の鈴木善幸総理が視察されて以来、総理の視察というのはございません。民族の悲願でございます北方領土の返還を実現するためにも、国民の運動に一つのモメンタムを与えるためにも、総理の視察をという委員の御指摘は本当に正鵠を射たものと考える次第でございます。その際、また地元の住民の方々といろいろ御懇談されることも有意義なものかと存じます。  総理も外交、内政に非常に御多忙でございます。いろいろございますけれども、その可能性につきましては、そういったいろんな要素を勘案しながら検討を進めていただくように、私からも総理に進言したいと考える次第でございます。
  21. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  次に、ロシア国内におきましてもさまざまな世論調査が行われているというふうにお聞きしておりますけれども、国際社会学調査センターによります対日問題専門家百名の方たちへの北方領土返還についての支持率を調査しますと、その方たちには四五%の返還支持率があるということです。  もう一つは、世論基金によるロシアの五十六都市の千五百名を対象にしたものにつきましては、返還支持率がわずか一〇%ということです。かなりのばらつきがあるんです。この数字をそのまま受け取ってはいけないかとは思うんですけれども、この点につきまして、一般ロシア国民の北方領土問題に関する姿勢というのは依然厳しいものがあるようにもうかがえますが、政府返還交渉を続ける際、ロシアの世論をいかに変えていくかが交渉推進に際して重要であると思います。これについてのお考え、広報活動の具体的な内容を聞かせていただきたい。  もう一つは、諸外国では地図等において北方領土がもうロシアの領土として記されている地図もあるというふうに聞いているんですけれども、国際社会一般における北方領土問題の認識度も決して高いものではないと思います。ロシア以外の諸外国に対する広報活動はどのように行われているかということもあわせてお聞きしたいと思います。
  22. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) ただいま先生指摘のように、ロシアの世論調査を見ますと、ある機関ですとこの数字、別の機関ですと全然別の数字というようなことでございまして、確かに世論調査にいろいろばらつきが見られるようでございます。したがいまして、我が国としてもロシアの世論の動向というものを十分注視しながら、先生指摘のように、北方領土問題に関しましてロシア国民の理解を得るべく最大限の努力を行っていく必要があるというふうに考えております。  このような観点から、政府といたしましては、在モスクワの我が方大使館あるいは各地にございます総領事館におきまして、大使あるいは総領事みずから現地のマスメディア等に働きかける等の日常の広報活動に加えまして、例えば日ロ両国外務省によります「日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集」というようなものを作成し配布するとともに、我が国独自で作成いたしました「日本の北方領土」ロシア語版及び英文版、あるいは日ロ関係全般に関しますパンフレット「日本とロシア 真の相互理解のために」、これはロシア語版でございますが、このようなパンフレット等を作成、配布いたしまして、できるだけ努力をし、その広報効果を上げていきたい、かように考えております。  また、御指摘のございました第二点目でございます。各ロシア以外の諸外国に対する広報活動という点につきましては、例えば政府としましては、北方領土に関します英文パンフレット約一万部を昨年改訂いたしまして、在外公館約二百カ所ございますが、そういう地で広報活動に使用しているほか、例えばインターネットで外務省のホームページがございます。そのインターネットにもこの英文の内容を紹介いたしまして、世界に発信をしている次第でございます。  なおまた、諸外国におきまして誤った記述がある地図等がございます場合には、我が方の現地の在外公館を通じて適宜その修正を申し入れているという状況でございます。
  23. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  また、外務大臣にもう一つお伺いしたいと思います。  昨年の九月、北方四島における共同開発の話がロシア側より出されたというふうにお聞きしました。正式には、昨年十一月十五日の第七回日ロ外相定期協議の際にプリマコフ外相から提案されたというふうに聞いておりますが、外務大臣は、領土の帰属問題を棚上げするものであってはならない、そして詳細な提案が提示されれば検討することにやぶさかではないというふうに報道されていたように思います。  ロシア側の共同開発提案につきまして、経済力の比較等から日本側の持ち出しになるんではないかとか、また領土主権問題があいまいになる、また開発後の帰属がはっきりしないなどという声が上がっておりますけれども、この問題に対しまして、外務大臣の考え方を改めてお伺いしたいと思います。
  24. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) いわゆる共同開発と申しましょうか、共同経済活動というふうにプリマコフさんは言っておりましたけれども、昨年秋、東京で行いました外相会談の席で持ち出されました。それも、ロシア側も十分に検討したわけではないがという前提の上に持ち出した話でございます。プリマコフさんのおっしゃり方では、それぞれ双方の北方領土の主権問題に関する立場を損なわないような形で何か共同経済活動を展開することができるんじゃないか、例えば水産加工とか観光インフラとかというふうなことをおっしゃいました。また、そのとき、フォークランドといいましょうかマルビナスといいましょうか、英国とアルゼンチンとの間で係争になった島でございますが、その地域において英国とアルゼンチンとの間での共同開発といいましょうか、そういった例もあることでもあるしと、こういう話がございました。  私の方からは、あなたの方もそんなに詳細に検討したわけじゃないがという前提つきでもあるし、具体的な中身がよくわからないので何ともお返事のしょうはないけれどもと言いながら、ただはっきりしているのは、その提案が領土の帰属の問題を棚上げにしたり、領土の帰属の問題に代替する、それにかわるものだというようなことでは日本として受け入れるわけにはいかないよというふうにくぎを刺した次第でございます。そして、その点についてはプリマコフ外務大臣も、いや、そういうつもりはないということでございました。それで、私の方からは、そういうことであるならば今どうこうとは言えないけれども、さらにロシア側において具体的に詰めた提案をされるならば、それを当方としても検討することはやぶさかではないと。  こういったことで昨年の秋は別れまして、その後、今日までまだロシア側から具体的な提案が出されているわけじゃございませんので、我が方としてはそういうふうに考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、我が方としては帰属の問題、つまり領土交渉が非常に大切なわけでございますので、これと領土問題を解決するためのいろいろ環境の整備をしていく、こういった動きを車の両輪のように進めていきたいと思っている。そして、共同経済活動というものもいわば環境整備の一環をなすものになるんであろうというふうに考えておりまして、今後具体的な提案が出てくるならば、先ほど申しましたような前提の上で、全くニュートラルな立場でまずはその検討をするにやぶさかではない、そういう姿勢でございます。
  25. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。  あと五分間あるんですけれども、もう一つ総務庁長官にお伺いしたいと思います。  北方領土返還についての問題で今質問をさせていただいていたんですけれども総務庁長官所信の中で、国民世論の一層の高揚を図るために、特に青少年の方々の意識の喚起に重点を置かれるというお話がございました。充実した広報啓発活動を推し進めておられるというふうに思いますけれども、北方領土に関する関心が低い青少年に対しまして、さらに返還運動についての啓発活動を進めていただきたいと思うんです。その件につきまして、私も若手議員としまして青少年への啓発活動を全力で頑張らせていただきたいと思います。  現在でも行われている交流の中にビザなし交流が挙げられていると思いますが、両国の次代を担う青少年層の交流ということでは大きな意味を持ちまして、さらにそれに対して多面的かつインパクト性の強いイベントを考えていただきたいなというふうに思います。スポーツイベント等もあわせてお考えになっていただきたいんですけれども、意識の向上のきっかけといたしまして、交流を合い言葉にスポーツイベントというのはとても青少年にはわかりやすいことだと思うんです。  今でもロシアの青少年が北海道に来てというような交流はありますけれども、北海道の子供たちが北方四島に出向いてということがなかなかなされていないということで、スポーツ等をするときにはあちらの方の施設が充実していないということも問題があるというふうにお聞きしております。だからこそ、ないものだからお互いに協力して工夫していくことで交流を一層深めるということもあります。  そういう意味で、ぜひ総務庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  26. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) ビザなし交流を拡大しているわけでありまして、今のお話は、それをスポーツを通じてでもやったらどうかということでございます。  私は、考え方は賛成でございます。ただ、やっぱり交流なんですから、現実に向こうの島民の中でどれだけそういうスポーツをやっているのか、私も実際の事実関係がよくわからないので、スポーツを一生懸命やろうというそういう青少年が向こうにいれば、こちらのスポーツをやっている青少年と交流していくということは決して不可能なことではないわけでございます。その辺は、これは外務省で調べていただいているのかも存じませんけれども、実態を踏まえながら、スポーツを通じてのビザなし交流というものがやれるのならば大いに結構なことだと私は思っております。
  27. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 私も一生懸命頑張らせていただきたいと思いますので、今後ともぜひよろしくお願いいたします。  これで質問を終わらせていただきます。
  28. 福本潤一

    ○福本潤一君 平成会の福本でございます。よろしくお願いいたします。  沖縄は、さきの大戦で本格的な地上戦を戦いましたし、また、戦後二十七年にわたって米国の施政権下に置かれました。今日においても全国基地の七五%が集中している。沖縄の本島面積の二割を基地が占めているという状況に置かれております。このような沖縄県民の皆さんの苦労というものを考えるときに、沖縄基地問題の改善とともに、基地という大きなハンディを背負った沖縄振興開発全国的な問題として大いに推進していく必要があるのではないかと思われます。  そこで、稲垣沖縄開発庁長官、所信表明で「沖縄の皆さんの視点に立って精いっぱい努力してまいりたいと考えております。」というふうに述べておられます。この「沖縄の皆さんの視点」という立場をもう一度詳しく説明していただければと思います。
  29. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 私は、沖縄振興開発を推進するに当たりまして、まず沖縄をとにかく訪れて、そして県民の皆さんの生の声を聞くことが非常に大切だと、こう思いまして、就任直後の昨年十一月に二回にわたりまして沖縄を訪問してまいりました。  その際、普天間基地の状況を視察する機会がございましたので、私はあえて、基地の中から見てくれという要望等もございましたけれども基地の中から見るのではなくして、ちょうど普天間基地のところに嘉数公園というのがございますが、そこの高台から市街地の真ん中に存在する普天間基地の全体を眺望いたしながら、市長さんからのお話をじっくりそのときにはお聞きいたしました。それは、県民の皆さんは基地の外からきっと接しておられるからでありまして、私も基地の中から見るのではなくて、県民の皆さんたちは常に基地の外から基地の中を見ておられるということでありますので、そういう視点に立って、県民の皆さんが日常見ておられる基地の姿を見て肌で感じたい、これが極めて大切だと考えたからでございます。  これは一例にすぎませんが、総理も言われますとおり、さきの大戦で本土では唯一の激戦地となり、戦後も二十七年にわたっていわゆる被占領地として不自由な体制に苦しまれておられる、今なお基地問題に悩まされておられる沖縄の皆様に対しまして深く理解することが、またそういう努力が今までちょっと足らなかったんじゃないか、必ずしも十分でなかったことは国民全体として率直に認めまして、反省していかなきゃならないとも考えておるわけでございます。  所信におきましては、沖縄の皆さんのちょうど見る視点に立ってと申し上げたのは、そういう気持ちを常に胸に抱いているからでありまして、今後とも精いっぱい沖縄振興開発という重い職責を果たしてまいる所存であります。
  30. 福本潤一

    ○福本潤一君 沖縄の皆様と歴史観、また同じ認識でということだと思いますが、沖縄の場合は特に沖縄の人々が味わった体験というものを同苦する精神といいますか、同じ苦しみを苦悩としてみずからのものとして味わう精神がないと、沖縄の人たちはなかなか理解をしてくれないという問題があると思います。私も学生時代、もう三十年近く前ですが、そういうときから沖縄の方々と交流しておりますが、歴史認識が余りにも本土の方は少ないということで激しい怒りを何度も受けたことがありますので、その点に立って今後の振興開発を考えていただければと思います。  続きまして、外務大臣にお伺いしたいんですけれども、予算委員会で、沖縄の議員の方の質問に対して、沖縄の心を心としてという表現をされました。これについても具体的に外務大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  31. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど、委員が冒頭で御指摘になりましたけれども沖縄県民の方々、さきの大戦におきましても我が国で唯一地上戦が行われたところでございまして、単に軍の方々ではなくて、沖縄の住民の方々はその戦禍に巻き込まれ、大変な犠牲も払われ、また苦しみ、その中にあられたわけでございます。  また、その後も米軍統治下で長い間本土とは違った生活を強いられ、ようやく念願かなって一九七二年に沖縄本土返還が成りましたけれども、それ以後も、我が国の安全を守るために必要なことであるとはいえ、日米安保体制を維持していく、そのために我が国が基地を提供するという中で、沖縄の方々に非常に多くの基地、現在においても日本全体にございます基地の七五%、そして仮にSACO最終報告が全部実施されたといたしましてもなおかつ七〇%程度の基地沖縄の方々、全国のわずか〇・六%しか地積のない沖縄の方々にお願いしなくてはならない。こういう状態が過去、現在、そして将来にわたってもある程度続かざるを得ない、こういう姿になっているわけでございます。  そういったことからくる沖縄県民の方々の御負担あるいは生活上の不便、そしてまた米軍が駐留することに伴いましていろいろ起きます事故や事件、そういったことが全体としてどれだけ沖縄の方々の暮らしに多大な影響を与えているか、どれだけの影響を与えているか、私も十分承知しているつもりでございました。そして、外務省も、そのことは十分認識しながらあとう限りそういった御負担を軽減していくための努力をしようということで、昨年、一年かけましてSACOのああいった報告をまとめてきたところでございます。  しかしながら、私、外務大臣といたしましては先般初めて沖縄の現地に行ってまいりまして、ひめゆりの塔を初めとしまして南部の戦跡にも参ってまいりましたし、それから沖縄県、また基地関係の市町村長さん方にもいろいろお話をお伺いし、さらに基地の内外から実情も見てまいりました。  もとより、わずか一日でずっと回ったところでございますので、これはせいぜいかいま見たということしか言えないと思います。それで私が沖縄の実情を十分に掌握しただとか、あるいは沖縄県民の方々のお気持ちというものを自分のものにしたとか、そういうふうに申し上げるほどうぬぼれてはおりません。しかし、そういったわずかな時間であったといたしましても、沖縄の方々の苦しみがどれだけのものであるか、また、そういったことからくる悲しみあるいは憤り、さらにはやりきれなさといったお気持ちが少なくとも私自身にはひしひしと伝わってまいり、身につまされる思いをしたわけでございます。  そういったことで、それは十分とは言えないというのは承知しておりますけれども、私自身といたしましては、でき得る限り沖縄県民の方々のそういったお気持ちというものを自分の気持ちとして、現在の沖縄の方々の担っておられます御負担の軽減、あるいは諸問題の解決に今後一層の努力をしてまいろう、こういった気持ちを込めて先般衆議院の予算委員会でもあのような答弁をさせていただいた次第でございます。
  32. 福本潤一

    ○福本潤一君 沖縄は、特に基地がずっと常在している中で、婦女暴行事件、また殺人事件、航空機事故等々が連綿と続いておるわけでございます。こういうことに関しましても、現地の大田知事は、私も新進党の沖縄調査団で行かせていただきましたけれども、ある意味では、南北朝鮮の三十八度線問題がちょうど日本国内の北緯三十度線問題として沖縄本土との間に横たわっているという認識を、当時の基地化していった状況を踏まえながら言っておられました。今後、その点についてまた御質問させていただきます。  総務庁長官、また次の大事な御用事があられるようですので、先に総務庁長官にお話を聞かせていただきたいと思います。  沖縄振興策、今の基本的な認識の上にやっていくということで、橋本内閣も国政の最重要課題だというふうに言われております。その中で、規制緩和という面で総務庁長官にお伺いしますけれども平成八年八月に沖縄県が政府に提出した規制緩和要望という中に、自由貿易地域経済特区化というのがあります。先ほどのノービザ制の問題もありますが、この規制緩和に対しまして、総務庁として、行革担当大臣というふうに言われておりますので、具体的にどういう形で振興策として対応していかれるかというのをお伺いしたいと思います。
  33. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 私ども、行政改革の一環といたしまして、とにかく規制緩和は思い切ってやらせていただこうと。要は、とにかくできるだけ規制というものをなくしていきたいという考え方に立っております。そして、行政をスリム化していきたい。  沖縄の問題につきましては、先回の沖縄問題協議会でたしか知事さんの方から、沖縄については、規制緩和について県で独自の検討の会を設けて、そこでいろいろと規制緩和について要望していきたいという御要望があったと承知をいたしております。私どもは、それを受けまして、それがまとまってくればまた沖縄問題協議会にかかってくると思いますので、そういうときにはできるだけ前向きと申しますか、少なくともほかの都道府県よりももっと沖縄県の御要望をより重視した形で規制緩和については思い切って協力をさせていただきたい、こう考えております。
  34. 福本潤一

    ○福本潤一君 私も現地でFTZ等々を回らせていただきましたけれども沖縄の現在のFTZ制度等を考えますと、二十七社中、黒字はただの一社で、十一社はもうそこを撤去したというぐらいの形で振興策が成り立っているだけという現状でございます。  ある意味では、例えば交易型の産業とか情報通信型の産業とか、また沖縄がハブ空港なり大きな貿易の拠点になれるような形の規制緩和を今後推進していっていただければと思います。産業としては、大きな産業が具体的にはない。例えば海底油田でもあそこの近くに出れば、精製等々を沖縄でやれたり、大きな産業振興にはなると思いますけれども、そういう産業振興に向けての取り組みをお願いしたいと思います。これがある意味では自立一つのきっかけになるんではなかろうかというふうに思われます。  総務庁長官はこの点だけ聞かせていただければあとは結構でございますので、よろしくお願いいたします。
  35. 武藤嘉文

    国務大臣(武藤嘉文君) 今のお話、官房長官もいろいろと構想を発表いたしておるわけでございまして、自由貿易港としてもっと大きく沖縄というものがその中核的な存在になっていくといいんじゃなかろうかという構想も持って発表しておるわけでございまして、そういうことが具体的にまとまってくれば私どもは大賛成でございます。  ただ、現実に沖縄県の皆さんの幸せにつながらなきゃいけないわけでございまして、自由貿易港になり、例えば那覇のどこかにハブ港ができたとした場合に、沖縄県の皆さんにそれがプラスになるような形で働いていかなきゃいけない。規制緩和をいたしますと、ややもすれば本土の方の力の強い資本がそこへ出ていってやってしまうというようなことになると、逆に沖縄の皆さんには御迷惑をかけるということにもなりかねないんではないかと私は思っておりまして、その辺は、沖縄県民の皆さんのプラスになるような形での規制緩和をぜひ考えていきたいと思っております。
  36. 福本潤一

    ○福本潤一君 地元の大田知事、吉元副知事は、ある意味では、沖縄振興に対しては跡地利用に公的資金を集中的に投下するとか新たな特別法も必要であるというふうに述べられておりますので、今後その点も検討していただければと思います。  じゃ、総務庁長官、結構でございます。  引き続き、駐留軍用地特措法の問題で外務大臣にお伺いしたいと思います。  現在、五月十五日で使用期限切れを迎えるという十二施設、約三千名の地主の土地使用手続について審理が進められておりまして、先ほどの二月二十一日にも行われました。新聞の最近報道されるところによりますと、今後特措法の改正というものが国会に提出されるというふうに聞いておりますけれども、具体的にこれが事実なのかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  37. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私ども沖縄における基地の整理、統合、縮小には最大限の努力を今後とも払ってまいりますけれども、しかしながら、一方におきまして、日米安保条約上の我が国としての義務である所要の基地を米軍に提供する、これは行っていかなくてはならない、こう考えている次第でございます。また、そういった際に、国内法的にも十分な権原を有する状況でその提供をしていきたい、こう考えております。  そういったことで、いろいろお願いいたしておりますが、先般、沖縄知事におかれましても、国との信頼関係の中であのように代行の手続も進めていただいたわけでございます。それを踏まえまして、収用委員会、今御指摘ございましたけれども、先月二十一日、第一回の会をお持ちいただきまして、それが整々とした状態で行われました。  そういったことで、今私どもは、何とか地主の方あるいは沖縄県民の皆様方の御理解を得て、どうかこの手続が順調に進んで私どもが希望しているような状況が実現する、そのことを願っておるところでございます。今月中旬にまた第二回が開かれますけれども、私ども、ただいま申しましたような気持ちで最大限その努力を払ってまいろうと、そうしているところでございますので、委員が今御指摘になりました点につきましては、今そういうような現在の法律のもとでの手順を追求しているということでひとつ御理解を賜りたいと思います。
  38. 福本潤一

    ○福本潤一君 立法措置をしないと五月十五日の期限までに審理を終えないということでございますので準備しておられると思いますが、この法改正の内容、具体的には収用委員会審理中は暫定使用を認めるという形で具体的に法案が出てくるのか。出てくるのだったらば、ある意味では沖縄の方々の具体的な心情とまた違う形で出てくるんではなかろうかということを危惧しておりますけれども、これが事実かどうか、お伺いしたいと思います。
  39. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 実は、この特措法の関係は、これは防衛庁といいましょうか防衛施設庁が主管になりますので私から御答弁するのはいかがかと存じますけれども政府といたしましては、先ほど申しましたように、現在収用委員会が進めておられます手続、これが順調に進むことを願い、そのために努力しているところでございます。  委員指摘のように、大変時間的に厳しい状況になっているのは承知しておりますけれども、なお全力を傾注するという姿勢でおりますので、仮定の上に立ってあり得べきその法案の内容という点につきましては、今私から御答弁申し上げることはちょっと難しいというところを御理解賜りたいと思います。
  40. 福本潤一

    ○福本潤一君 答弁するのが難しいということですと、新聞報道によれば、暫定使用を認めるという形の方向だというふうに報道されておりますが、私も現地に行ってみますと、ある意味では沖縄の方々は、県内の基地、それのたらい回しということではなくて、具体的には基地をなくしてほしい、基地を整理、縮小してほしいというのが第一義であるというふうにお伺いしております。そういう意味では、先ほど沖縄の同じ苦悩に立ってということでございますので、慎重にも慎重に対応していただければと思います。  施設庁長官のお話もお伺いさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
  41. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) ただいま外務大臣からも御答弁いたしましたように、私どもは現在収用委員会に起業者としてお願いしている立場でございまして、これがまだ三月十二日にようやく第二回目の公開審理をお願いしておる、こういう状況でございます。  幸い第一回目の公開審理も整々と行われておりまして、第二回目の公開審理も整々と行われて、何とか五月十四日の期限内に使用権原が得られるように、現在政府を挙げて最大の努力をさせていただいている、こういう状況でございます。  したがいまして、先ほどの外務大臣の答弁にございましたように、私どもとしては何とか関係者の協力を得るべく今努力をさせていただいている、こういうことで御理解をいただきたいということでございます。
  42. 福本潤一

    ○福本潤一君 今の基地の問題とまた関連が強いと思いますけれども沖縄からの海兵隊の撤退というものを現地の大田知事は強く要望されておられるようでございます。  具体的に、この海兵隊という存在が沖縄にいることの役割と意義について、簡略にお願いしたいと思います。
  43. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私ども、先ほど申しましたように、沖縄基地の整理、統合、縮小には最大限努力してまいります。そしてまた、沖縄の方々が海兵隊の撤退ということを強く願っておられるということもよく承知しております。しかしながら、現実にできることとできないこと、いろいろございますので、私どもは、現時点で具体化のめどが立っていない問題についてあえて夢のあるようなことを申し上げるのほかえって不誠実だと思っておる次第でございます。  現時点で我が国の周辺の国際情勢、とりわけ安全保障環境を見る限り、沖縄に駐留します海兵隊は、その有する機動性と申しましょうか、機動力あるいは即応性でございますね、そういうものをもちまして在日米軍の重要な一翼を担っている、このように私どもは位置づけておるわけでございます。そういった意味におきまして、現時点におきましては、我が国の安全あるいは極東地域の平和を守っていく上で米軍が果たすべき役割、それを担うためにそのような海兵隊というものの持つ意義は非常に大きいと思う次第でございます。  先ほど機動力と即応性と申しましたけれども、御承知のとおり水陸両用の戦闘能力を持っている部隊でございますので、そういったものがそういう機能を生かしまして迅速かつ柔軟な対応というものが海兵隊の特性でございますが、それが先ほど申しましたような平和を維持していく上における役割は非常に大きいと考えている次第でございます。
  44. 福本潤一

    ○福本潤一君 海兵隊は沖縄では訓練のみが中心ですから、ある意味では指揮系統のみ残してというような考え方とかいろいろありますけれども、具体的には難しいんだろうと思います。  ただ、梶山官房長官は、極東情勢が安定すれば中長期的には削減もあり得るという発言をされておられますので、この中長期的、どういう情勢、例えば朝鮮情勢に限って言いますとどういう状態になったらば可能かというのを聞かせていただければと思います。
  45. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私ども時点では、この海兵隊も含めまして日本に駐留している米軍の兵力構成とそれからそのレベルは必要である、このように認識しております。そして、しかしながら、我が国を含みますこの地域の安全保障環境に大きな変化がありました場合には、それは米国のこの地域に存在しますプレゼンスがどの程度になるか、これは十分変化はあり得るんだと考えております。このことは従来からたびたびのいろいろな機会に言ってまいりましたけれども、最も典型的には、昨年の四月の日米安保共同宣言におきましても、そのように中長期的に情勢が変わってくれば兵力、軍事態勢も含めていろいろ協議していこうということを確認しているわけでございます。  今、委員指摘の官房長官の発言もそういった文脈のものであると、こう理解しておりまして、今の時点で具体的にどのような変化があったということを明確に申し上げられる情勢にもないというふうに御理解いただきたいと思います。
  46. 福本潤一

    ○福本潤一君 朝鮮半島情勢、緊迫してきたりいろいろあるようでございますが、この件はまた別の機会にさせていただくとして、先ほども出てきました普天間代替ヘリポート計画東京におりますと、例えば定置型だとか浮遊型とかセミサブ型とか、具体的に埋立案がいいとか、いろいろ出てきていますけれども、現地の方々の意見をお伺いしますと、とにかく基地はやはり撤退してほしいというのが、大田知事、また市町村・県議、また住民の方々の一番大きい声だというふうに思われます。  そこで、所信にも、SACO最終報告を着実に実施したいというふうに池田外務大臣は言っておられますけれども地元の要望との調整、ここは矛盾すると思いますが、具体的にはどう対応されるのかを聞かせていただければと思います。
  47. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) SACO最終報告におきましては、普天間のヘリポートの代替機能につきましては海上施設案を追求すると、こういうことになっているわけでございます。そして、地元の御協力を得るために、先般、防衛施設局長が、沖縄県、そして名護市、さらに沖縄漁連にも、まず調査についてお願いしたところでございます。私ども、そういったことで、何とか地元の御協力を得ながらまず調査をさせていただき、しかる後に今年末までに場所も選定した上で実施計画を立てたい、こう考えている次第でございます。  もとより、地元で最終的には全体としての海兵隊の撤退なりその関連の施設の撤去というものを望んでおられるということは承知しておりますけれども、先ほども申しましたような現在の情勢を考えますならば、やはり現時点においてはこういうものが必要である、そういうことでSACO最終報告ができたわけでございます。  なお、海上施設というものは撤去可能なものでもございます。そういうところにもいろいろな地元の御要望も考えながらぎりぎりの選択をしたということを御理解賜ればと思う次第でございます。
  48. 福本潤一

    ○福本潤一君 沖縄の心を心としてというふうに言われましたので、現実に沖縄県民の要望を最大限生かす形で取り組んでいただければと思います。  以上で終わります。
  49. 加藤修一

    加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  私は劣化ウランに限定して質問をさせていただきます。  この事件によって種々の問題があらわになったように私は考えておりまして、まず第一点は、環境汚染の処理の姿勢についてのあり方の問題、事件発生の通報体制の問題、さらに、これに関係しますけれども情報開示の問題、最後に外交姿勢のあり方、そういったさまざまな問題がこれに関係しているというふうに私は理解しております。  まず最初に、今回の事故について、なぜ一回、二回、三回まで気がつかずにその後に気がついたか、また表示に何と書いてあって間違ったのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  50. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 委員指摘のように、一九九五年十二月五日、十二月七日と二回やった後、一月二十四日に訓練をやった際に、嘉手納飛行場におきまして武器を整備する者が、劣化ウラン弾が装着されているということが判明したために劣化ウラン弾を使ったということがわかったわけでございます。武器に弾薬を装てんする場合には、武器に書いてあります番号とそこのカタログと照らし合わせて装てんするわけでございますが、そのカタログの記載が不適切であったために積み込んでしまったというように説明を受けております。
  51. 加藤修一

    加藤修一君 カタログ表示が不適切であったということによって装てん中に判明したということですけれども、どういうふうに不適切だったんですか。
  52. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 私自身まだカタログを見ているわけではございませんが、そのカタログにこれが劣化ウランを含有する砲弾であって、日本において訓練の際に使用することが禁止されているということが明記されていなかったという説明を受けております。
  53. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、二月十日の外務省の公表資料によりますと、これはちょっと別な話になりますけれども、一九九三年に始まって五つの、今回の事故を含めて六つの事故が起こっておりますけれども劣化ウラン弾を搭載していた機体はございますか。例えば、AV8はハリアー機であることから可能性が高いと思いますけれども、その辺についてお答えをお願いいたします。
  54. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) この誤使用に気がつきまして米側は弾薬の記録を徹底的にチェックしたわけでございます。どの弾薬をいっ使ったかというのはきちんと記録に残っているわけでございまして、その記録を調べた結果、本件以外に劣化ウランを含有する砲弾が使われたということはないという結論に達したということでございます。
  55. 加藤修一

    加藤修一君 今回の事件については環境調査を九六年の三月から四月に行われている。この劣化ウラン弾はエアゾール化すると百キロメーターぐらい飛ぶと言われております。要するに、微粉末化したものを吸引すると肝臓、腎臓、造血機能の障害の原因になると言われている。これは、アメリカの会計検査院、大統領諮問委員会、あるいは陸軍の環境政策研究所等々におきます結論もございます。  それで、今回の大気の測定をしたというふうに聞いておりますけれども、その辺の数値を公表していただきたいと思います。
  56. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 九六年の三月五日、六日、十一日に米軍が、アメリカの専門家が鳥島に参りまして回収それから環境調査をやったわけでございます。そのときに、たしか六人だったと思いますけれども、六人の人間が空気のサンプラーというのをつけまして、空気試薬がどういうことになっているかというサンプリング調査を行ったわけでございます。  そして、その結果は、空気試料が劣化ウランに汚染された土壌またはちりにさらされていた形跡はないということでございます。そして、その細かい数値につきましては、アームストロング研究所の報告書というのがございまして、その中に、その六つのサンプルそれぞれについてアルファ線がどうであったかということを調べておりますが、いずれもその計器では探知できないぐらいの低さのものであったというふうに記されておるところでございます。  その検査自体についてアメリカ側がそういう判断をしているわけでございますが、日本側におきましても科学技術庁にお願いをいたしまして、専門家によって今その数字の分析をしていただいている最中でございます。
  57. 加藤修一

    加藤修一君 陸軍の健康増進予防医学センターも再調査をやるというふうになっておりますけれども、これについては他日に議論させていただきたいと思います。  そこで、外務大臣にお伺いしたいんです。  琉球大学のある教授が、調査の結果から、鳥島から二十五キロメートル離れた久米島、ここに微粉末が漂着した、そういう危険性が高い、そういった観点から環境調査、さらに長期間にわたる健康調査が必要であるというふうに述べているわけですけれども、これについて調査をすべきであると私自身は考えておりますが、どのようにこの辺の認識を持っていらっしゃいますか。
  58. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 今、琉球大学の教授がそのような趣旨のことを述べられているという新聞記事は我々も承知しております。この教授の御指摘につきましては、科学技術庁におきましても、どのような仮定を用いたのか等が不明であって、飛来による危険性は推定できないとしているというふうに承知しております。  実は、二月二十四日でございますが、鳥島周辺海域、久米島周辺の空中放射線量率、それから水中放射線量率等を調査する調査団を派遣いたしまして調査したわけでございますが、空中放射線量率、それから水中放射線量率とも異常な値は検出されていないという報告を受けております。
  59. 加藤修一

    加藤修一君 今回の劣化ウラン弾関係につきましては、保管場所、保管量も公表できない、あるいは劣化ウラン弾の撤去の要請もしない。こういった意味では米国のやられっ放し、言われっ放しというふうに考えざるを得ないわけです。  いわゆる日米間で取り交わされておりますFGS、ファイナル・ガバニング・スタンダーズ、環境にかかわるものでございますけれども、日本における米軍基地内においての環境問題を守るための環境基準を定めているわけですが、この中には劣化ウラン並びに劣化ウラン弾のことについて書いてございますか。
  60. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 今、委員指摘の評価基準、ファイナル・ガバニング・スタンダーズでございますが、アメリカはこれに基づいて環境管理行動を行っているというふうに承知しているわけでございます。このファイナル・ガバニング・スタンダーズの中に劣化ウランのことが記載されているかということでございますが、そこは記載されておりません。  他方、米軍は米国の原子力規制委員会の基準に従わなければならないということになっておりまして、例えば土壌汚染の浄化につきましては、改善を要すると定めている値、例えば一グラム当たり三十ピコキュリーというのを定めておりまして、それに従って米軍は行動しているわけでございます。そして、今回につきましても鳥島の土壌のサンプル調査をいたしまして、そのいずれのサンプルにつきましても、測定されました放射線濃度はこのレベルの十分の一以下であったということを我々に説明しているところでございます。
  61. 加藤修一

    加藤修一君 在日米軍基地の環境問題については、日米合同委員会の環境分科委員会で協議が常に行われるというふうにいつも私は答弁を受けているわけですけれども、今回それが機能していなかったことが明らかになったわけであります。私は、当委員会でもさんざん申し上げていますように、日米地位協定の中に環境保全の遵守項目を入れるように強く要求いたしますし、こうした協定の中に明文化されてこそ米軍の環境保全の取り組みが約束されると思いますので、この辺につきまして外務大臣はどのような所見をお持ちでしょうか。
  62. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 一般的に申しまして、こういうふうに外国軍隊が他国に駐留します場合、一般国際法上は、特段の合意があるほかは、その接受国の国内法に縛られるわけではございません。しかしながら、その接受国の法律を尊重しなくちゃならない、こういうことになっております。  そのような前提の中で駐日米軍のいろいろな行動も行われているわけでございますが、今、環境の問題につきましては北米局長からも御答弁申し上げましたように、我が国の環境保全に係る国内法令あるいは米国の同様の法律も勘案いたしまして、いわゆるファイナル・ガバニング・スタンダーズというものができておるわけでございます。  それからさらに、日米合同委員会におきましても、必要な都度こういった環境の問題につきましても討議が行われているわけでございまして、そういった枠組みの中で対応してまいりたい、こう考える次第でございます。
  63. 加藤修一

    加藤修一君 終わります。
  64. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最初に、沖縄開発庁長官に何点かお伺いをさせていただきます。  稲垣沖縄開発庁長官を初め開発庁の皆様方には、沖縄問題の解決のために御奮闘、御苦労をいただいておることに県民の一人として心から敬意を表するものでございます。稲垣長官所信表明にありましたように、二十一世紀の沖縄の未来を力強く切り開くために、ぜひ長官を先頭に、引き続き沖縄のさまざまな問題、課題解決に御尽力をいただきたいことを冒頭お願い申し上げさせていただきたいと思います。  さて、具体的な質問に入ります前に、先ほど尾辻委員沖縄振興策質問の中で、例えでございましたが、ハンディを背負った子供の甘えにこたえる振興策の構造の質疑がございましたが、私は県民の一人として非常に残念に思っております。  私ども県民は、決して甘えや同情で沖縄振興策政府に求めているものではございません。戦後五十二年経過をしてなおかつ、縮まったとはいえ本土沖縄経済的な格差がなぜ生じておるのか。それは、あの五十二年前の二十万余のとうとい命の犠牲、それに引き続く二十七年間に及ぶアメリカの軍事支配下のもとに置かれた、その間日本の施政権が及ばなかった、そして膨大な軍事基地が置かれたがゆえに沖縄振興策の大きな障害になった事実を指摘せざるを得ないわけであります。  復帰後、十年単位で三次にわたる振興策を図っております。五兆円近くの財政投資がなされておる事実もよく承知をいたしております。そのせいで沖縄社会資本整備をされてきたことも事実でございます。しかし、三次にわたる振興策の中で、政府がつくった沖縄振興開発計画の中でもはっきり、沖縄自立経済の障害になっているのは膨大な米軍基地であると、こういうふうに書いてあるわけであります。  したがって、沖縄が求めている今の振興策あるいは社会基盤整備社会資本整備、これは同情、そういうものではなくして、国の責任、政府の責任でなされるべきである、こういうふうに私自身は考えておりますし、また、政府もそういう御認識で取り組まれておるんじゃないかと思いますが、冒頭、長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  65. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 今、照屋議員から御指摘のありましたとおり、私も沖縄へ先回参りましたときにも、とにかく沖縄県民の視点に立ってといいますか、そういうことで生の声をお聞きしたり、見てまいりました。  なるほど、戦後今日まで大変な御苦労をいただいているなというところが強く感ぜられますし、何にしましても、基地があるがゆえに大変な悩みや、先ほど来外務大臣からも述べられましたように大変な御苦労、痛みをしておられるということからしまして、私ども内閣を挙げてとにかく沖縄県民の皆さんにおこたえをしようと。二十一世紀の展望を見てまいりましたときに、本当によかったな、こんなにも立派になったな、基地の問題もこのようにある程度解決もついてきたなと、こういう姿を求めて私も全力投球でこたえてみたいということでまいったわけでございまして、今もその熱意に燃えておることは間違いありません。
  66. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 先般、梶山官房長官のもとに米軍基地所在市町村懇談会というのが設置をされまして、島田座長提言がまとめられました。その島田提言に基づく平成九年度での幾つかの事業の芽出しもしたようでございます。開発長官として、島田提言への評価、あるいはまた米軍基地所在市町村懇談会の今後の展望というのでしょうか、そのことなどについて御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  67. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 懇談会の提言は、委員承知のとおり、基地所在市町村のいわゆる町づくりや各種の施策のあり方等について幅広い認識のもとに、市町村の要望を十分に踏まえつつ住民の目の高さで取りまとめられたものであり、極めて重要な内容を含んでいると認識しております。  今後は、提言を受け取った官房長官のもとで、政府全体としてこの提言を真剣に受けとめまして検討し、できる限り実現に移すよう努力していかなければならぬと考えております。沖縄開発庁としても、沖縄振興開発を推進する観点から、できる限りの協力を行ってまいりたいと考えております。
  68. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 長官も、そして振興局長も総務局長沖縄の現状をよく御理解いただいている方々ばかりでございます。私は、沖縄開発庁政府の中で積極的に沖縄の新しい時代へ向けた振興策の樹立のために大いなる力を振るっていただきたいことを期待申し上げるものでございます。  さて、現在、政府沖縄県との間で政策協議会が開催をされております。たしか十のプロジェクトチームがつくられまして、新たな沖縄振興策の樹立へ向けた協議が進められておるのでございますが、この十のプロジェクトチームの中で開発庁はどのようなかかわりを持っておられるのか、また、開発庁として新たな沖縄振興策の樹立へ向けてどのような積極的なイニシアチブをとっていかれようとされるのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  69. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 委員承知のとおり、沖縄の問題につきましては、その解決内閣を挙げて取り組まなければならない重要な課題でありますだけに、やはり全国民的な立場沖縄県民の皆さんとともに考え、そして進めるべきだと思っている次第でございます。  沖縄振興策につきましては、昨年の九月十日の沖縄問題における内閣総理大臣談話におきましても、政府として、沖縄県が地域経済として自立し、雇用が確保されて、そして沖縄県民生活の向上に資するように、我が国の経済社会発展に寄与する地域として整備されることに全力を傾注いたしたいということでございます。このために、内閣官房長官関係各大臣と沖縄知事とで構成する沖縄政策協議会が設置されまして、沖縄に関連いたします基本施策に関しまして協議しているところでございます。  先ほど委員がおっしゃいました十とかいろいろなことを言われておりますが、そういう総合的な観点でぜひ協調し合いながらやっていかなきゃならぬ問題だと思っておりますし、この内閣総理大臣談話に基づきまして、まずやはり社会資本整備、いわゆる空港港湾等の社会資本観光関連施設整備や、さらに積極的にそういった問題等を進めるとともに、自由貿易地域の拡充等におきまする産業貿易振興についても一層検討を進めることとしておるわけであります。  沖縄開発庁としては、引き続き第三次の沖縄振興開発計画に基づく諸事業の推進に努めてまいりたいし、内閣官房と協力いたしまして、沖縄政策協議会に設置された十のすべてのプロジェクトチームに積極的に加わりまして、関係省庁及び沖縄県と密接な連携をとりながら沖縄振興開発に全力を傾注してまいる所存であります。
  70. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 沖縄県また沖縄県内の経済界の方々から強い要望がございます自由貿易地域の規模、機能の拡大の件について、これはぜひ沖縄産業振興上大変大事な政策になると私は思っております。この自由貿易地域の規模や機能拡大についての長官のお考えをお教え願いたいと思います。
  71. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 委員承知のとおり、自由貿易地域につきましては、先ほど来御発言のとおり、沖縄県の県庁の幹部あるいは県の経済諸団体等からもう本当に連日にわたって税制、関税面を中心とした特別措置の導入をいたせと、あるいは、指定地域の拡大等による拡充強化が強く要望されておりますことはよく承知しております。  自由貿易地域につきましては、昨年九月の内閣総理大臣の談話におきましても、その拡充による産業貿易振興におきまして沖縄県とともに検討を行うこととされておりますので、沖縄県との連絡を密にいたしまして、そして今後、沖縄政策協議会国際貿易・物流基地形成プロジェクトチームというのがございまして、ここにおきまして自由貿易地域の拡充強化について幅広く検討していくことになると考えております。  沖縄開発庁におきましても、平成九年度におきまして、自由貿易地域においての沖縄県の要望を踏まえまして、沖縄産業振興あるいは貿易振興のための沖縄に展開する自由貿易地域のあり方、どのようにするかというようなあり方、そのために必要な機能等について調査費四千二百万円を計上しておりますので、これで行っていきたいと思っているところであります。  いずれにいたしましても、沖縄開発庁としても、今後とも関係省庁また沖縄県と連携をとりながら自由貿易地域充実強化に鋭意取り組んでまいる所存であります。
  72. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最後に、開発長官にお願いでございますが、先日の予算委員会で私は総理に、沖縄振興策を図っていく上での国発注の公共工事はなるだけ県内業者に優先発注をしていただきたい、こういう質問をさせていただきました。総理も、委員指摘のとおりだ、そういうふうにしたいという決意の御答弁がございました。  そこで、この質問の前に開発庁から資料をいただきましたので具体的な質問は避けたいと思いますが、これでも、平成七年度の実績で発注の件数からいいますと県内業者が約七〇%、県外三〇%でございますが、その受注高、請負額からしますと県内が約四〇%で県外業者が六〇%を超えておるわけであります。総理の御答弁もあったところでありますが、開発長官として、この県内業者優先という考え方についてどういうふうに思っておられるか、所信をお伺いいたします。
  73. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 委員指摘のとおり、公共事業のいわゆる地元への発注機会が増大することは、沖縄地域経済にとって極めて重要なことと考えております。沖縄開発庁といたしましては、工事内容に応じまして技術の程度とかあるいはまた資本力とかいろいろな観点がございますけれども、そういった点を十分配慮いたしまして、分離あるいは分割発注または混合入札といったような方法をとりまして、そういった点を活用して可能な限り地元の業者の受注機会を確保するように努めてまいる所存であります。
  74. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 開発長官、どうもありがとうございました。ぜひ頑張ってください。よろしくお願いします。  さて、諸冨防衛施設庁長官にお伺いいたします。  私は、実はきょうは諸冨長官だけに質問しようかなと思うぐらいたくさんのことを準備してまいりました。せんだっての衆議院の予算委員会で、国会議員で反戦地主はおるかと聞かれて、私と島袋宗康議員の名前を述べたようでございます。長官ともあろう者がプライバシーの権利というのをわかっていらっしゃるのかなというふうに怒りにたえないわけでありますが、そのことはじっくり予算委員会でまた反論をさせていただきたいと思います。  五月十四日に使用期限が切れる嘉手納基地を含む米軍用地の土地への対応についてお聞かせ願います。
  75. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 先ほども御答弁申し上げましたように、現在、私ども収用委員会に対しまして裁決をお願いしておる立場でございまして、三月十二日に二回目の公開審理というのを控えておりまして、現在第一回目が整々と行われております。それから、第二回目の公開審理も何とか整々と行っていただきまして、五月十四日の期限切れまでに私どもとしては使用権原が得られるように関係者の御理解をぜひ賜り、そういう結論といいますか、いただけるように最大限の努力をさせていただいておる、こういうことでございます。
  76. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 過去の県収用委員会の審理の期間あるいは現在の審理の進行状況等に照らして、五月十四日の期限内に使用権原が取得できると思っておりますか。
  77. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 過去の収用委員会の審理状況から見ますと現在大変厳しい状況にあるということは、私ども承知しております。しかしながら、先ほど来答弁しておりますように、まだ残された期間がございますので、この間何とか理解を賜るように努力をしておる、こういうところでございます。
  78. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 使用権原を取得すべく米軍用地特措法の改正あるいは新規立法は考えておるんでしょうか、考えていないんでしょうか。
  79. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 現在私どもは起業者として収用委員会にお願いをしている立場でございまして、私ども立場からはあくまでも手続に基づいて整々と裁決が行われるようにお願いをしておる、こういう立場でございます。現段階で私ども、現在の法律を執行する立場といいますか、そういう立場がございます。  一方では、私どもこれも従来から申し上げておりますが、現行手続上いろんな点で問題があればそういう点についていろいろ勉強をさせていただいておる、こういうことは事実でございますが、現段階ではあくまでも裁決申請をしておる立場として、期限内の私どもの権原が間に合うように今お願いをしておる、こういう立場でございますので、どうぞ御理解をお願いしたいと思います。
  80. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 緊急使用の申し立てをなさいますか、それともやりませんか。
  81. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 現行手続に緊急使用という制度があることは先生指摘のとおりでございますが、現段階ではあくまでも裁決に向けて努力をさせていただいておるということで御理解をいただきたいということでございます。
  82. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、外務大臣にお伺いをいたします。  二月二十二日に初めて沖縄を視察されました。  私も、外務大臣が主催をしていただきましたレセプションに出させていただきました。ごあいさつも拝聴いたしました。改めて沖縄視察の感想を簡潔にお願いいたします。
  83. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先般二十二日、外務大臣立場では初めて沖縄へ参りました。その際、外務省としての沖縄地元連絡事務所を開かせていただいたわけでございますが、そのお披露目の会に委員にもお越しいただきまして、本当にありがとうございました。  私も外務大臣立場沖縄問題にこれまでずっと携わってまいりましたが、沖縄県民の皆様方があの戦時中に筆舌に尽くしがたい辛酸をおなめになったということ、それからまた、長きにわたり米軍の施政下にあったこと、さらに、念願の本土復帰が成って以後も依然として非常に大きな米軍の基地が所在するために生活の上においても地域振興の上においても大きな影響を受けておられるということ、そして、そういったことがどれだけ沖縄県民の皆様方に負担をおかけすると同時に、お気持ちの上でもどれだけのものになっているかは承知しているつもりでございました。しかしながら、先般、わずか一日ではございましたが、沖縄の現地に参り、県あるいは関係の市町村長さんの方々からもいろいろなお話、お気持ちも含めてお伺いいたしました。そしてまた、南部の戦跡、また現在の基地も視察いたしました。  そういったことを通じまして、私は、今さらながら、また改めて沖縄県民の方々が耐えておられるその御負担がいかに大きいか、そして、そのことが沖縄県民の方々にどれだけのお気持ちの上での憤りあるいは悲しみ、やりきれなさ、こういうことにつながっているかということを痛感した次第でございます。  もとよりわずか一日でございますから、十分に理解したというまで申し上げるつもりはございません。しかし、私なりに痛切に感じましたところを体しまして、今後、基地の整理、統合、縮小、さらにいろいろな地位協定をめぐる問題の解決にも全力を傾注してまいる所存でございます。
  84. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 最後に、五・一五メモの公表問題についてお伺いいたします。  五・一五メモとよく言われるわけでありますが、正確には外務省ではこの文書のことを何と呼んでおられるのか、それが一つ。それから、もしかすると日米合同委員合意と、こういうふうに呼ぶのかなと思いますが、この日米合同委員合意あるいは五・一五メモは、復帰時点で何件合意がなされたのか、その件数、あるいは復帰後今日までふえたのはどれぐらいあるのか、その項目別というか目的別の件数、公表済み、未公表の件数等についてお教え願いたいと思います。  また、外務大臣には、五・一五メモは全文公表するおつもりかどうか、その決意もお聞かせください。
  85. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 五・一五メモ五・一五メモと言われますが、何か正式名称があったり定義があったりするものではございません。国会等で御論議いただいている対象になっているものとして私どもが受けとめておりますのは、昭和四十七年五月十五日、沖縄返還の日に八十八の施設・区域の提供を合同委員会の合意ということで行ったわけでございまして、それを指しているものというふうに考えているところでございます。  そして、我が国の国内にある在日米軍の使用に供している施設・区域の提供、それから返還に関する日米合同委員合意というのがございますが、昭和四十七年五月十五日の沖縄復帰の日前の時点で約八百六十件ぐらいございました。そして、現在では、合計いたしますと三千七百件ぐらいあるわけでございます。そして、その目的別というお話でございますが、ちょっと目的別ということで仕分けをしておりませんので、どの分野で何というのはちょっとお答えできないというふうに思います。  それから、どれぐらい公表されてきているのかということでございますが、国民生活と関連がある施設・区域の使用条件のようなものにつきましては、これまでその内容について随時公表しているところでございまして、例えば施設・区域の提供に関しましては、その主要点は官報で告示しているところでございます。たしか昭和五十三年五月だったと思いますけれども、特にまた国会で御論議になりまして、沖縄の二十二施設・区域、それから本土の六施設・区域に関しまして、アメリカ側と協議の上、国民の生活と密接な関連がある使用条件等の概要を取りまとめて公表したということもございます。  それから、委員御記憶のことと思いますけれども、昨年の三月二十八日に合同委員合意というものをつくりました。今まで合同委員合意というのは双方の合意がない限り不公表とするというのが原則だったんですが、昨年の三月二十八日にそれを逆転いたしまして原則的に公表するということで、それ以降の合同委員合意はすべて公表されているということでございます。
  86. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) いわゆる五・一五メモの公表につきましては、米側にそれを申し入れまして、今調整の最中でございます。そして、私自身、先般オルブライト国務長官とお会いしましたときにその協力方を求め、オルブライト長官もその協力を約束されたところでございます。そして、全貌が明らかになる形で公表できるように全力を尽くしてまいりたいと思います。
  87. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 民主党・新緑風会の前川でございます。  最初に、防衛施設庁にお伺いをしたいと思います。  今、社民党の照屋議員の方からも指摘がありましたが、五月十四日で期限切れ、しかも昨年の楚辺通信所の不法占拠の問題であれだけ学習をしたはずなんです。その学習の効果というのが全然出ていないというのはどういうことなんですか。私は期限切れはもう間近でないかと思うんですが、どうですか。
  88. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) ちょっと御質問の趣旨を私は取り違えているかもしれませんが、昨年の楚辺通信所の事案は、賃貸借契約を二十年間やっておりまして、その期限が四月一日に切れるということで、従来は円満な契約をしていただいたものの期限が切れたという事案でございます。それから、今回残りのものは、過去三回にわたって私ども駐留軍用地特別措置法に基づきまして強制的に使用をさせていただいた、こういうものの期限が五月十四日をもって切れるということで、背景はちょっと違っております。  しかし、いずれにしても、楚辺通信所のものについても当時の収用委員会は四十数日の期間をかけて、なおかつ不許可の決定をされたということでございまして、今回はそういう事態にならないように現在最大限の努力をさせていただいておる、こういう状況でございます。
  89. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 楚辺と今度の使用期限切れの問題とは違うということぐらい私も十分承知をしているんです。  そうではなくて、国としてあるいは防衛施設庁としての対応は、五月十四日までにどういう手順を踏んでどうなってどうなるだろうかという大体想定がっくと思うんです。次の公開討論が三月十二日でしたね。三月十二日から今度は逆に追っていっていただいても結構ですし、過去のケースもあるわけですよね。  そうしますと、いずれにしても法律改正をするかあるいは緊急使用の申し立てをするか、どちらかしか選択肢がないと私は思うんですが、ほかに何か選択肢はあるのでしょうか。
  90. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 先生の今の御指摘は、私どもおっしゃっている意味はよくわかりますが、現段階では、先ほど来申し上げておりますように、何とか使用権原が期限内に得られるような努力をさせていただいておるということで御理解をいただきたいということでございます。
  91. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 普通で言う一政府委員か何かでしたらともかく、防衛施設庁長官という立場からある程度読みはできるはずなんです。また、考えてもらわなきゃ困るんですよ。それだけの責任があると思うんです。  とすれば、防衛施設庁としてはこういう努力を今していますと、しかし、例えば防衛庁、外務省なり、あるいは政府全体のものとしてどうするんだという結論をいいかげんに出した方がいいんじゃないかというふうに私は言っているんです。  ずるずる引っ張っておいて、こうなりました、したがってこうですという強行的な手段をとることの方がよほど私は沖縄県民感情を逆なですることになるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  92. 諸冨増夫

    政府委員(諸冨増夫君) 繰り返しの答弁でまことに恐縮でございますが、三月十二日の第二回の公開審理を私ども控えている立場でございまして、私どもはあくまでも期限内に裁決が得られるように現在収用委員会の方にお願いをしておる立場でございます。  したがいまして、現在私どもの事務的に置かれておる立場から、先生のおっしゃるようなこと、意味はよくわかりますが、現段階で政府としてはあくまでも裁決が間に合うようにお願いをしておるということで、何とか御理解をいただきたいということを申し上げておるわけでございます。
  93. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 長官とここで押し問答をやっていますと私の持ち時間がみんな終わっちゃいそうな気がしますので、いずれいろんな問題が明らかになったとき、もう一度これはたださせていただきます。政府自身の対応のお粗末さということになる可能性があるから私は申し上げているんです。  早く政府としての、政府としてのですよ、施設庁としてのお答えは収用委員会の方に今お願いをしているのだからと言えばそれはそうかもしれませんけれども政府全体としては政治的にどう考えたらいいかという決断をそろそろしなければならない時期だと思うんですよ。そのタイミングを失することがどういうことになるのかということを十分に考えておいていただいて、いずれ結果は出るわけですから、改めてまた質問をさせていただきたいと思います。  そこで、私は外務大臣にお伺いをしたいと思うんです。  沖縄問題とよく一言で言いますが、私はやっぱり基地問題に収れんをされるんだろうと思います。特に昨年のSACO最終報告あるいはそれ以前の中間報告の段階から、沖縄基地を、過重な負担がかかっているからということで、例えば本土にも一部移転をしましょう、あるいは沖縄県からも強い要望があった普天間のヘリポート基地を同じ県内でどこか移転するところはないか、さまざまな手を打たれたということについては私も承知をしています。  実は、つい最近の情報では、御案内のように、県道一〇四号線越えの実弾射撃場について北海道の別海町が受け入れの意思表示をされたという話もお聞きをしていますし、あるいは普天間にありますKC130、これについても岩国で受け入れようという話になったということは承知をしています。ただ、私は、基地のたらい回しが本質的な問題の解決にはつながっていないと思うんですね。  ちらちらとニュースを聞いている限りですからもし間違っていたら地元の人たちに大変申しわけないと思うんですが、何らかの政府からの見返りがあるはずだからということなんです。これは見返りと言ってはいけないのかもしれませんが、例えば別海町の矢臼別は自衛隊と共用になっています。自衛隊の駐屯地を新中期防の中では縮減をするとかあるいは廃止をするとかいう情報があって、何とか地元としては駐屯地を残してほしい、これを受け入れることによって自衛隊の駐屯地も残るんじゃないかというような思いが地元にある。何か見返りがあるわけです。これは、基地を本来受け入れるという地元の人たちの意識の完全な二分化につながるのじゃないかと私は思うんです。そういう例えば見返りで、利益と言うとしかられるかもしれませんが、恩恵を受ける人と逆に被害を受ける人というのは当然あり得るわけですね。  これはなぜこんなことを言うかといいますと、私は実は神奈川県の藤沢というところに住んでいまして、実は厚木の飛行場があるわけです。ちょうどその飛行コースの真下に住んでいるんです。  最近でこそいわゆる夜間の離発着訓練というのを硫黄島の方にも少し移しましたから一時ほどひどくはないんですが、訓練期間中ですけれども、夏場は窓をあけて寝ることはまず不可能です。本当は湘南というのは非常に涼しいところなんです。  もし仮に、仮の話ですよ、沖縄の一部の基地を厚木基地に移してくれといったら私は真っ先に鉢巻きを巻いて反対運動をやります。多分そうだと思うんですよ。  沖縄の問題を議論するときに、沖縄の過重な負担を減らすということは私ども大賛成であります。しかし、その方法がほかに分散をするということでは本質的な解決にならないのじゃないか、むしろ問題点の拡散につながるのじゃないかというふうに考えますが、このSACO最終報告をまとめるに当たっての外務省の基本的なスタンスについてまずお伺いをしたいと思います。
  94. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) まず基本的に申しまして、現在の我が国周辺地域の安全保障環境、国際情勢を考えました場合に、我が国の安定、そしてその周辺地域、極東地域の平和を守るために米軍の安保条約に基づく駐留、プレゼンスは必要である、そしてまた現在の兵力構成を含めまして現在のレベルのプレゼンスが必要である、そういうふうな認識をしております。  そして、さてそれがどういうふうに展開するかという点でございますけれども、これは米軍が安保条約上求められております役割を果たしていくためにはやはりある程度の部隊が一カ所に集まるとか、あるいは分散するにしてもその連携が十分とれるかどうか、そういった観点も大切だと思います。  そういったことを考えながら、しかしそれにしても沖縄に余りにも基地が集中し過ぎているじゃないか、何とかこれはできないかということでいろいろ考えていく中で、今委員も御指摘になりましたKC130の岩国移駐であるとか、これは訓練ではございますけれども、一〇四号線越えの訓練を本土の数カ所のところへ分散するとか、そういうこともお願いするような形になったわけでございます。  しかしながら、いろいろ考えまして、今の時点でそれ以上の沖縄から本土への移転とかあるいはその他の地域、場所への移転というのは現実に具体化するに至らなかった、これがSACO最終報告の姿でございます。そういった中で、沖縄における機能というものは維持しながら、なお極力基地の面積も縮小していこうということでいろいろ工夫をいたしまして、あのように面積におきまして二一%くらいの縮小を図るという結論に達したところでございます。
  95. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 私は、外務省に基本的な考え方の転換をしていただけないかというふうに実はお願いをしたいんです。  それは、昨年九月の総理の談話がございますね、総理大臣談話。これはたしか閣議決定をされていると思います。あの中でも、基地についても整理、統合、縮小という言葉が入っています。それから、アメリカとの間でも、協議の項目として、兵力構成等を含めて継続的に協議するという一項が入っていますね。  こういう議論が実は起こったなさまざまな背景を考えてみますと、確かに基地の問題というのはずっと継続をしている問題ですけれども、これは一昨年九月の例の少女暴行事件をきっかけにして、さまざまな沖縄の問題で隠れた問題が浮上してきた。改めて沖縄基地問題がクローズアップをされて、さあどうするかということもあったわけですね、この議論の背景には。もちろん、基地の使用期限の問題ともさまざまな問題も絡みました。あるいは、私の聞いている限りでは、九五年から九六年、昨年までのわずか二年の間にもう六回ぐらい、ヘリコプターを含めて航空機の墜落事故があの周辺で起きているとか、基地があることによって起きているさまざまな問題というのがあるわけです。  私は、今ここで、日米安保をどうこうしろとか、あるいは日米関係はどうでもいいとか言うつもりじゃないんです。もちろん、アジアにおける安全保障の問題も大事な話です。と同時に、いろいろ議論があるところなんですけれども、日本の防衛力についてはどうするかという議論もこれは当然しなければならない議論かもしれません。と同時に、できれば基地を縮小するあるいは削減する、あるいは、今、沖縄には海兵はたしか一万八千人ぐらいじゃなかったでしょうか、駐留をしていると思うんですけれども、当面、例えば海兵隊を段階的に縮小していくとか、こういう方向にまず方向転換ができないものだろうか。  実は、一昨年から、この問題が出ましてから、外務省の皆さん方にもいろいろと来ていただいて、勉強会に私も何度か参加をさせていただいたんですが、外務省自身がアメリカの兵力、あるいは兵力構成と言った方がいいのかもしれませんが、削減について具体的にアメリカ側と議論をした経過、形跡というのは余りないんです。もしあったら、後ほど紹介していただいて結構です。  外務省というのは、日本の外務省なんです。ですから、もちろん日本の国民の安全を守る、これは大変大事なことだと思います、国際関係において。と同時に、そういう基地やあるいはアメリカ軍に頼らないような、頼らなくて済むような平和を確保する手段、これも私は外務省の大事な仕事だと思うんです。今、朝鮮半島の問題が時々話題になります。そこにもやっぱり私は日本の外務省の果たすべき役割というのがあるような気がするんです、待ちの姿勢ではなくて。それを実は国民の皆さんみんなが待っているわけですよ。  そういうことの一歩一歩の積み重ねが実は沖縄問題の解決にも少なからず効果を発揮するんじゃないか、そんな気持ちが私はあるものですから、できれば、外務省自身の基本的なスタンスの変更というとこれは大変なことですからそう簡単にはいかないのは承知をしておりますけれども外務大臣の方から、積極的なもしお考えがあればお聞かせをいただきたいと思うんです。
  96. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもは、現在の時点における我が国周辺のいろいろな国際情勢から見ますと、在日米軍の今の兵力構成を含めたプレゼンスというものが必須である、こういうふうに考えております。しかしながら、将来に向かってこれは全く変わらないのかといいますと、そんなことは毛頭考えておりませんで、これは昨年四月の日米安保宣言その他にも明記してございますように、国際的な安全保障情勢において起こり得るいろいろな変化に対応して、日米両国の防衛政策も変わり得るでしょう、あるいは兵力構成も含めた軍事態勢も変化し得るでしょう、だからそういったことについては日米間で緊密に協議していこう、こういうことは安保宣言にも明記してあるわけでございます。  そして、先般、オルブライト国務長官がおいでになりましたときに、橋本総理がそのことに触れられました。しかし、何分すぐにそういった変化が可能であるかどうかということが協議の対象になるということじゃない。現時点ではそれは検討できる状況にはないけれども、中長期的にはそういうことも協議することになっていますねということを確認したということにやはりそれだけの意味があるんだというふうにお考えいただきたいと存ずる次第でございます。  それから、それだけではなくて、国際情勢、安全保障環境の変化をただ待つというのではなくて、好ましい方向にそういった情勢が変化するように我が国としても外交努力を傾注していくべきは当然のことだと、こう考えております。  例えばバイラテラル、二国間の関係におきましても、アジアの諸国あるいは我が国周辺の安全保障環境に影響を及ぼし得る可能性がある多くの国々と事あるごとに我々はいろいろ協議をしておりますし、最近は、外務省だけではなくて防衛庁におけるいろいろなレベルの対話なども進んでおることは委員承知のとおりでございます。また、多国間の仕組みにおきましては、例えばASEAN地域フォーラムにおきましていろいろな作業が進んでおりますけれども、とりわけここ一、二年、いわゆる信頼醸成措置に関するワーキンググループの活動が非常に活発でございます。我が国も昨年までその共同議長を務めておりましたが、そういったところでお互いの信頼醸成を進めていこう、さらには予防外交の方向へ展開していきたいものだということでいろいろな努力をしております。  それから、これは必ずしも政府間のものではございませんけれども、民間ということになっておりますけれども、北東アジアを対象にしましたそのような安全保障問題について話し合うフォーラムもございます。そこへ例えば外務省の者が個人の立場で入っていろいろ議論している、こういうこともあるわけでございますので、今後いろいろな形でそういったものも進めてまいりたいと思いますし、それから、現実のいろいろな外交の活動におきましても、そういった対話だけではなくて、この地域の安全保障環境が改善するために、よかれということを常に我々は念頭に置きながら一つ一つの政策の決定もするように心がけておるところでございます。
  97. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 外交、特に安全保障を含めた外交の問題というのは非常に微妙な問題が含まれていますから、こういうやりとりの中で、きれいに答えが出て、はい納得しましたというような性格のものではないことは私も十分承知をしています。  ただ、沖縄の人たちを含めまして、政府自身の姿勢というものを今注目しているわけです。  今、外務大臣からお話がありましたように、特にアジア諸国における緊張というものが米軍基地の存在を規定づけていると言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういう性格を持っているだけにアジアにおける日本の役割というのをもう少し重要視していただきたい、これは私の方から要望を重ねて申し上げておきたいと思います。  そこで、稲垣沖縄開発庁長官にお伺いをしたいと思いますが、もう時間もありませんので二点ほどまとめてお伺いをいたします。  一つは、沖縄県がアクションプログラムということで、二〇一五年ですか、最終的には基地をなくしたい、こういう構想を打ち出されています。  と同時に、国際都市形成構想というものを発表されて、沖縄の二十一世紀のあり方についてグランドデザインを明らかにされています。私は、この沖縄県の思いと政府の思い、特に開発を担当しておられる開発庁の考え方にギャップがなければいいがなという心配を一つはしています。  端的に申し上げますが、沖縄県は、方針、考え方、構想の中では、基地はできればゼロにしたい、なくしたい、こういう構想一つの背景にもちろん持っています。しかし、これは勘ぐりでなければいいんですが、政府自身がさまざまに打つ手だての中に、基地は何とか認めてくれ、そのかわりこちらの方はこうしますよというものがないかどうか。もしそうだとしますと、先ほど言った見返り云々といったぐいの話になりかねませんので、この点はどうなのかというのが一つであります。  それからもう一つは、先ほど照屋議員も指摘をしておりましたが、戦後もう五十二年たつわけですが、昭和四十七年までの最初の二十七年間というのは実は大変なハンディなんですね、沖縄の皆さんにとっては。実は、昭和三十年代から四十年代、日本というのは大変な高度成長を遂げたわけです。そのときには沖縄はアメリカの占領下に置かれてきたわけです。もちろん、私は高度成長もさまざまな問題があることは承知をしています。  また、地理的な条件を含めて全くほかの都道府県と同じようになったかどうかももちろん議論があるところかもしれません。しかし、日本が戦後の荒廃から立ち直って発展をしていくこの時期に、あの沖縄という地だけが占領下に置かれたというハンディはやはり国の政策だったと私は思うんです。  そういう意味で、これからの振興策というのは、やはり先ほど尾辻先生からも幾つが御指摘がありましたけれども、例えば一〇〇%同じになっても完全に心の中の痛みというのは消えないんです、はっきり申し上げて。  私も機会がありまして何度か沖縄へ行ってまいりました。最初の印象を申し上げますと、空港からタクシーに乗ります、まず安いなというのが実感なんです。安いというのをどういうふうに見るか。例えば東南アジアへ出かけていって何か乗り物に乗ったとします。確かに安いですよ。つまり、おくれているという印象の方が強いんです、私の場合には。これは変な言い方かもしれません。だから、賃金も安くてもいいんだ、あるいは労働条件も低くていいんだ、まあ仕事がないからしようがないじゃないか。この発想では沖縄の人たちはたまらぬと思うんです。ましてや、今若い人たちの失業率が非常に高いという現実があります。  私は、沖縄になぜ産業が根づかないのかなと。  私も機械金属産業の出身なものですから、いろんな経営者の皆さん方とお話をするときに、前川さん、やっぱり地理的なハンディは否定できませんねというお話をされます。これがもし昭和三十年代、四十年代にこの議論ができたならば、まだまだ日本が伸び盛りで、例えばの話ですけれども、オートバイ産業をあそこに誘致してオートバイをアジアの諸国に輸出するとかそういうことは可能だったでしょう、今はそういう時代じゃなくなりましたからねと、こういうお話なんです。  ですから、雇用を確保するためにも、沖縄振興という問題については、振興計画のほぼ半ばまで来ているわけですが、雇用問題や何かはまだ一向に実は解決していなんです。ぜひ、こういう問題の解決のために取り組んでいただきたい。  後の方は要望になるかもしれませんが、長官の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 今、前川議員から大変示唆に富んだお話を傾聴いたしまして、私も同じような考え方を抱いているところもあるわけでございます。  率直に言って、自立経済ということがよく言われますけれども自立経済を例えば産業とか農業に当てはめたときに、本当にあそこでみずからの資本を投じて、そして採算が合う。例えば、国からの援助とかそういうものがなくても、それが十分利益があってどんどん伸びていく産業になり得るかどうか、これが私はやはり自立経済一つの基本じゃないかと思うんです。  また、議員が御指摘のとおり、雇用の確保といいましても、かつての失業対策やその他等もいろいろありますけれども、あるいは公共事業ということが一つはその地域の確かに就職の手だてにはなるかもしれませんけれども、これから二十一世紀を展望してまいりましたときに、果たして沖縄がどういう役割を本当に果たし得るのかということを考えますと、よく地図を今までの平面的な見方から立体的ないわゆる地球儀をもとにしたグローバルな見方で見ると、これからの周辺国のもろもろの状況、経済発展あるいは産業の進展ということを見てまいりますと、沖縄というものは非常にこれから注目すべき、また発展する要素をたくさん持っておると私は思うんです。  今、議員が言われましたとおり、産業の中でも長大産業をあそこへ持っていってやろうといっても、これはなかなか難しいだろうと思う。軽薄短小のものにしましても極めて高度そしてまた特色あるもの、また、言ってみれば多種少量品種といいますか、そういったようなものだとか、いわゆるそこでもって本当に芽生えて発展していくものでなければ、なかなかこれは難しいと思うんです。むしろハード面よりもソフト面がこれから、マルチメディア時代とかいろいろ言われておりますが、そういった産業形成というものが私は二十一世紀には非常に必要だろうと。  そういう面からいきましたときに、沖縄という位置づけは周辺等とかよく言われるように、これから中国のあり方、七月一日を境にした問題とか、そういったようなこと等からいって、いやむしろお隣の台湾とかその他の関連を見てみたときに、沖縄というのは極めて重要な発展の要素があるよと。  そういうところを見てこれからの振興開発計画というものは、単に羅列しただけじゃなくて本当に中身のある、例えば春冬期における野菜なんかを見ましても、本当にすばらしいおいしい野菜がそこにできれば、本土にも輸送する手段が航空運賃その他が非常に安くなってくればいいんじゃないか、こういう考え方もあります。また、果物を見ましても、諸外国から入ってくるときにはどうしても防疫検査上からいきましても青いものを持ってきて本土で熟する。そうじゃなくて、現地で完熟したものは、私も食べましたが本当にすばらしいものでありますから、完熟されたものをどんどん本土内に持ち込むというような、そういう発展の仕方というものもこれからあるんじゃないか。  そういう意味における自立経済発展、それから雇用、若い人たちが求めていくのにやはりあそこでこれから教育、人づくりもどんどんやっていけば、これまたできていくんじゃないかというようなことで、これから沖縄県においての二十一世紀に向けた沖縄のグランドデザインとしての国際都市構想というものも制定されておりますし、また沖縄政策協議会に提示されたもろもろの件につきましても、沖縄県の同構想に基づいた提案とか各省庁の提案とか、あるいは市町村等一体となってやることがこれからさらに発展した姿ではないのかな、こう思っておる次第でございます。  さらに、ちょっと追加申し上げますが、米軍施設・区域においては、第三次沖縄振興開発計画においてできる限り早期に整理、縮小し、その跡地の有効利用を図ることとしているところでありますので、お尋ねのように基地の継続的使用を前提に振興開発というものを単に行っているのではありません。そういうことを申し添えておきたいと思います。
  99. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 最初に、事実関係を二点ほど、これは防衛施設庁になろうと思いますが、お答え願いたいと思います。  一つは、劣化ウラン弾が日本にいつから貯蔵されていたかがわかるかわからないか。それから、いつからそういうものが貯蔵されていることが日本にわかったのか、これが第一点です。  二番目、鳥島射爆場での米軍の訓練の状況、どういう部隊がどういう訓練をやっているかは米軍任せでわからないと答弁されていますが、わからないところはいいです。特に、昨年、一昨年、何日演習したか、逆に演習しなかった日は何日かでも結構です。  この二点、事務的にお答え願います。
  100. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 劣化ウラン弾でございますが、日本に貯蔵されてはおりますけれども、具体的にどこにあるかということは公にしないというのがアメリカの立場でございます。  それでは、いつごろに日本に配備されたのかということでございますが、十年ぐらい前というふうに承知しております。
  101. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 今、先生お尋ねの鳥島射爆撃場の件でございますが、米軍によるこの射爆撃場の使用につきましては、米側からの通報によりますと、まず平成七年度は二日間を除き毎日使用とされておりますが、その具体的な使用実態については私ども承知しておりません。したがいまして、七年度二日間ということで、この年はたまたまうるう年が重なっておりますので、引きますと逆に三百六十四日使われておる。それから、その前の年の平成六年度は使用しない日というものについての通報はございませんので、結果的に三百六十五日使用されたというふうに承知しております。
  102. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 さてそこで、十年ぐらい前から貯蔵されている劣化ウラン弾を使用しての訓練が行われたということが明らかになったわけですね。  アメリカ側は誤使用だと、こういうふうに言っています。誤使用であったかどうかは全貌が明らかにならなければ結論づけることはできないと思います。池田外務大臣は衆議院予算委員会で、全貌はまだ明らかでないと、こういうふうに答弁になっているわけですから、誤使用かどうかということは今後結論を出すべきものだと思いますが、外務省の一連の文書はもう最初から誤使用だ、誤射だと、こういうことになっている。これは、よく調べもしないうちから結論を出していることだと私は言わざるを得ません。  それはさておきまして、誤使用だ、誤ったんだというならば、何が何を誤ったのか。私は、本来計画自体に誤りがあったのかどうなのかというところから、だれがどの時点でどういうふうに誤ったかの全貌が明らかにされるべきだと思います。  しかし、これまでの答弁では、きょうもありましたけれども、カタログの表示の不十分さという単純な誤りであったと、こういうことになっております。  それにしても、それではどういう弾丸の発射をやろうとしたのを劣化ウランと間違えたか、これは今もまだわからないんですか。誤りだといろんなら、何を何に間違えたかがはっきりしなければ、これは誤りか誤りでないか言えないですよ。
  103. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今はっきりしておりますことは、この劣化ウラン弾は米軍では米国内の特定された、指定された訓練場で使用することになっておる、日本では訓練では使用しない、こういうことになっている。しかし、現実に日本の訓練において使用されたわけでございますから、これは誤使用であるということは明らかなわけでございます。
  104. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 十年以上貯蔵されていた弾丸をたまたま三回だけカタログの表示が不十分で間違ったというのは、これは全貌が明らかにならないうちにそのまま信ずるとすれば、これぐらいお人よしはないと私は思います。  それじゃ、お伺いします。  アメリカの軍部の規則なるもの、これは報道によるとアメリカの国内法令と書かれたり米軍の規則と書かれたり、あるいは外務省からもらった文書によると、米軍が日本に伝えている米海兵隊の政策によって禁止されているとか、いろいろあるわけです。どういう文書にどういう表現で日本で使用してはならないということが叙述されているか、これは確かめているんですか。見たんですか。どういう題名の法律あるいは内規にどういう表現で、どういうふうに書かれているか報告してください。
  105. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私自身米軍の内規を直接見たわけじゃございませんけれども、先ほども御答弁いたしましたように、日本における訓練では使用しないということになっている。しかし、現実に使用されたわけでございます。それで、アメリカ側も誤って使用したということを明らかにしている。誤使用であることは明らかであると思います。
  106. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 書いてあるかないかわからないじゃないですか、アメリカが言っているだけで。  アメリカの内規にそうなっていたということは見ないで、少なくとも当該箇所ぐらいは明らかにして、アメリカのこういう内規に反していたということにならなければ、そういうことは言えないと思います。私は、どうしてそういうことを言いたいかというと、カタログの表示不十分でたまたま三回行った訓練ではなく、過去にも行われていた可能性というのは大いにあると思うからそう言うわけです。  それで、そのカタログだけが不十分なカタログであったのかどうなのか、また、アメリカの規則なるものがどういう表現で、本当に守らなきゃならないものとして徹底していたのかどうなのか。  それじゃ、日本で使用してはならないという表現があるんですね。
  107. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 米軍において、日本における訓練では使用しない、こういうことになっておると。しかし、使ってしまった、申しわけないとアメリカが言っているので誤使用であるわけでございます。  それから、この三件以外にもあったんじゃないかという点でございますが、それにつきましては、米軍からは、この劣化ウラン弾の保管場所からの出入りについては記録がある、その記録を精査した結果、この三回以外にはそういった使用はなかった、こういうふうな説明を受けているところでございます。
  108. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 折田局長、説明に来た外務省の人はこう言っているんです。内規には、日本でやってはいかぬとは書いていないんです、アメリカの国内の特定の演習場でしか演習できないと書いてある。だから、裏を返せば日本でやってはならないということになっているんですということで、明確に日本でやってはならないという内規ではないんです。だからこういう問題が起こったんです。  私は、誤使用がほかにあったかなかったかということよりは、そういう仕組みに日本が置かれていたということが大事だと思うからそう言うんです。というのは、この問題がわかってアメリカは物すごい大騒ぎをした、僕はそういうふうに思っています。あなたもそう思っているでしょうけれども。それで、これが問題になる前に、もう既に去年の二月、直ちに調査チームを派遣して調査したり回収作業をやったりしているわけですね、当たり前のことですけれども。  その際、米軍が提供した、日本にも送られてきている文書によると、内規を変えたと、こう言っているんです。これはあなたのところからもらった資料です。米軍は、在日米軍区域での訓練において劣化ウランを含有する徹甲焼夷弾の使用が禁止されていることを明確に記載する措置を内規の改訂によってとって、それを在日米軍関係者にも周知徹底したと、こういうふうに内規を変えたといって日本に知らせているんです。あなた方がくれたものです。  だから、内規ではっきりしなかったんです。内規ではっきりしていないからこういう事件が起こったんです。だから、慌てて調査し、回収作業もやると同時に内規を変えたということを言ってきているわけです。それを、日本でやってはいかぬと書いてあるみたいなことを言っちゃだめなんですよ。なぜそういうことを言うかというと、劣化ウラン弾でそういうことがあったことは、ほかの基地のほかの問題でもこういうことがあり得るから言うわけです。そう思いませんか。
  109. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほど私が御答弁申し上げましたのも、この劣化ウラン弾は米国内の指定された訓練場以外では訓練に際して使ってはいけないと書いてある、したがって日本における訓練では使えないんだ、こうなっておると申し上げたわけでございます。  そして、今回内規を変えたとおっしゃいますけれども、米国側では、今回の誤使用があったということにかんがみましてそのことをはっきりとした、こういうことでございます。例えて言えば、Aでなければいけないと書いてあるのを、Aでなければいけない、したがってBではだめなんだ、そういうことを念を入れて書いた、こういうことでございます。
  110. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 米軍に徹底していないんです、そういうことがあっても。だから起こり得る状況にあったんです、これが。今の地位協定のもとでの日本における米軍の存在、それがこういうことの起こり得る仕組みにあったということを私は考えてもらいたいんですよ。  それでは、もう一つ聞きます。日米間にこのような演習を禁止する取り決めはあるんですか、地位協定上の取り決め。
  111. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 劣化ウラン弾に関しまして何らかの取り決めがあるかということでございますが、ございません。
  112. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もう時間が来ましたが、私はもうちょっとやりたい点があるんです。  今の米軍が日本にいる問題をめぐって、日米間のそういうことをやっちゃいかぬという取り決めもない。だから、日米関係でいえば、やられても日本は文句の言いようがない、そういう仕組みにある。米軍内規がある、米軍の内規でやれないようになっている、だからやるはずがない。やるはずがないことが起こった、なぜ起こったか。起こり得る状況にあったんですよ。内部の規則を改訂して徹底しなくちゃいかぬようなルーズなやり方であったわけですよ。  だから、全部を明らかにしていくためには、こういうことをこの問題で明らかにすると同時に、在日米軍の他の問題にもこういうことがあるかないか、私はそういうことまで含めてやらなきゃならないと思います。それを抜きに、アメリカの言うことを聞くだけでは、これはお人よしというふうに言われてもしようがないと思いますよ。  外務大臣、この機会に、劣化ウラン弾の使用問題だけでなく、他の分野でもこういう問題があるかないかということまで含めていろいろ検討なさる用意はありませんか。
  113. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私どもは、米軍が日米安保条約に基づいて我が国の平和を守るためにそういう役割を果たす、そういった機能が十分に果たせるように配慮していかなくちゃならないと考えております。  しかし同時に、そういった役割を果たしていく上における米軍の訓練その他の活動におきまし一て、やはり米軍としても配慮しなくちゃいかぬ点はいろいろあるわけでございます。それは、先ほども前の論議でお答えいたしましたけれども、一般国際法上から申しまして、外国に駐留する軍隊というものは接受国の国内法を直接遵守する義務はございません。しかしながら、一方、やはりそれを尊重しなくちゃいけない、こういうことは一般国際法上もあるわけでございまして、そういったことに従って米軍は行動していると思っておりますし、今後もそれが確保されるように配慮していくのは当然であろうと思います。
  114. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 国際法上の解釈の問題はまた改めてやりましょう、それは大事な問題でありますから。  ただ、最後にもう一つ言いますけれども、アメリカが誤射だと言っているから誤射だと繰り返しているけれども、誤射でなくて普通の状態で起こり得る可能性があったんですよ。それをあれは単純なミスだったというところで逃げようとしているんです。そこをきちっとしなくてはならないというのが僕の言いたいことです。  終わります。
  115. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 劣化ウラン弾の問題でいろいろ論議されておりますけれども、重複するかもしれませんが、その問題についてお尋ねをしたいと思います。  この問題は、日米の通報体制の不備とかそういうことが言われております。私は、それ以前に、米国の調査発表をうのみにしてしまったというふうな政府の対応にこそ問題があったのではないかというふうに思っております。  今、現地沖縄では、米軍の調査結果の信頼性に対する問題点が幾つか指摘されております。去る二月二十七日の沖縄県議会において結の会の伊波洋一議員が、米軍の調査報告を子細に検討した結果、意図的に鳥島の放射能汚染の実態を隠していると、政府の発表のあり方を批判しております。  実際、鳥島では深刻な放射能汚染があったのではないかというふうに言われております。  米軍側の報告を初めに受けた外務大臣のこういった問題についての所見をお伺いしたいと思います。
  116. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今回の劣化ウラン弾の誤使用につきましては、米側におきましては、その後回収作業を行うと同時に環境その他への影響の有無につきまして調査をした、その調査の結果については人あるいは環境への影響はないものと考えられると、そういった説明を受けております。しかし、我々も決してそれをうのみにしておるわけじゃございませんで、政府としても、やはり安全確保に万全を期すという観点から我が国としての調査を行うことといたしました。  具体的には、去る二月二十四日、海上保安庁の船を使いまして、科学技術庁を初め関係省庁の職員、さらに沖縄県の推薦される方々にも参加をいただきまして、さらに申しますと、地元の漁協の方にも参加していただきまして調査をした次第でございます。その結果、これは周辺の海域でございますけれども、空中の放射線量率であるとか水中の放射線量率につきまして、鳥島周辺海域と久米島の西沖で異常な値は検出されなかった、こういうことになっておるわけでございます。  ただし、今回採取しました海水のサンプルであるとか、あるいは漁協の方々に協力を得まして採取中の魚類につきましても、なお今後いろいろ分析を進めてまいりたい、こう考えております。何もうのみにしておるわけではございません。  さらに、米側に対しましても念には念を入れてさらに再調査をするように求めておりまして、米側もその準備を進めておると。我が国政府といたしましても米側と協議協力して再調査も進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  117. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 アメリカの調査報告書に、劣化ウラン弾発射の後、米軍が昨年三月に実施した三回にわたる処理は、核処理専門家たちが計八名のチームで核兵器事故処理と同様に行った、岩や二十五センチ以上深く入り込んだ弾はまだ放置されている、さらに、探査しながら除去した汚染土や砂は嘉手納基地に移し放射性物質許可に基づき保管した、自然放射能レベルまで浄化した後環境調査のサンプリングを行った、こういうアメリカの調査報告があるわけですよ。それに基づいて、先ほど私が申し上げた県議会で問題になっていると。  したがって、先ほど外務大臣がおっしゃったようなことについては、県民としては非常に問題があるというふうに指摘をせざるを得ないわけです。ですから、もっとその辺をやはり探査すべきじゃないかというふうに思っております。  現在でも残りの千三百二十八発、約二百キログラムの劣化ウランが回収されていません。それがどうなっているのか不明であります。このウランの量は、二千トンの砂とまぜても一グラム当たり三十ピコキュリーの放射能を出すというふうに言われております。また、琉球大学の矢ケ崎克馬教授は、劣化ウラン弾の訓練当時の気象データをもとに試算した結果、射爆撃場に近い久米島が酸化ウランの微粒子によって被曝している可能性指摘しております。  さらに、鳥島射爆撃場での環境調査は、先ほど申し上げましたように、そういった汚染された砂を除去した後にサンプリングをしているというふうなことなんです。米軍側が万全な処理体制で臨んでいることが事の重要性を私は示しているというふうに思っているわけであります。反面、我が国政府の対応には非常に納得がいかないというふうに考えております。  政府は、どのような資料に基づいて人体や環境への影響はないというふうなことを言われているのか、さっぱり私たちには意味がわかりません。  もっと調査を綿密にやるべきと考えておりますが、どのようにお考えですか。
  118. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、米軍は、誤使用の後比較的早い段階で調査をした、そして環境等に対する危険はないものと考えると、こういう説明をしておりますけれども、さらに念を入れて我が国独自でも調査をしたということは御答弁申し上げたとおりでございます。さらに、米側に対しましても、鳥島自体のさらなる回収作業、そして再調査を求め、その準備を進めているところでございますので、沖縄の方々が御心配されておられるそういったことを解消するために、文字どおり、委員が今おっしゃいます、念には念を入れてこれからも調査を進めようとしているところでございます。  なお、先ほど委員の御指摘の中で、米側の調査が非常に慎重であった、だからそれは危ないんだというふうなニュアンスで御発言がありましたけれども、それは調査そのものを綿密にやるために、厳格を期するためにやったというふうに御理解いただけないものですか。余り性悪説で物事を見ますとおかしくなるんじゃないかという感じがいたします。
  119. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そう書いてある。そのことを私は申し上げているわけですよ。除去した後にサンプリングをしたということをはっきり書いてあるじゃないですか。そして……
  120. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) だから、それをそのようなニュアンスでとっているからなんです。
  121. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 いや、だからそれは嘉手納基地にちゃんと保管しているということの報告書なんです。それに基づいて私は言っているわけですよ。  そういったことで、まだ再調査するというふうなことでありますから、私は、アメリカあるいは日本政府調査の結果に基づいて、まだ県民としては信頼性がないというふうなことを考えております。したがって、もっと具体的に県民の納得がいくような、完全な環境基準の問題をクリアするまではやはり訓練の中止をアメリカに求めるべきではないかというふうに考えますけれども、大臣、いかがですか。
  122. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) そもそも劣化ウラン弾を用いた訓練は我が国においては行われないことになっておる。それが誤って使用されたということでございますので、そうした誤使用がまた起こらないように表示なり管理の徹底を図ったところでございます、米側として。そういったことでございますので、劣化ウラン弾を用いた訓練は鳥島でもあるいは日本国内のほかの訓練場においても行われません。
  123. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この劣化ウラン弾がどこに保管されているかというふうなこと、それは米軍の機密事項に属するというふうなことになるかもしれませんが、少なくとも嘉手納に今のサンプリングされたものがあると同時に劣化ウラン弾もあるのではないかというふうなことを私は指摘しておきたいと思います。  そこで、全国に射爆撃場というものは何カ所あるんですか。
  124. 首藤新悟

    政府委員(首藤新悟君) 全国には八カ所でございます。  もうちょっと具体的に申しますと、沖縄におきましては射爆撃訓練に使用されておりますのが鳥島以外に六カ所ございまして、本土に一カ所ということで合計八カ所、こうなっております。
  125. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 御指摘のように、沖縄に七カ所あるわけですね。  そこで、誤射とおっしゃいますから誤射と言いますけれども、ほかにそういった誤射事件があったのかなかったのか、その辺についてお尋ねいたします。
  126. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 米軍におきましては、この誤使用の問題が起きましてから、同じようなものがあってはいけない、あったかなかったかを精査した、そして過去の保管の記録をチェックいたしまして、三回行われた鳥島における誤使用以外にはこのようなものはなかった、そういうことが明らかになったという説明を受けております。
  127. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今後、沖縄県もぜひ調査をしたいというふうなことをおっしゃっておりますから、政府としても再度調査するというふうな御意思がありますか、その辺についてお願いします。
  128. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 今の御質問の趣旨をあるいは取り違えておるかもしれませんけれども、今回の誤使用による環境等に与える影響をさらに調査しろということでございますならば、先ほど御答弁申し上げましたように、二月二十四日、沖縄県の推薦される方々の御参加も得まして鳥島周辺の海域での調査をいたしました。その結果は一部出ておりますし、一部はまだ現在解析中でございます。それはいずれ明らかにさせていただきます。そして、米軍におきましても鳥島自体の再調査を準備中でございまして、それに我が方としても協力してまいりたい、こう考えております。
  129. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 その二十四日の調査報告書というのはいつごろ公表できますか。
  130. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 一部は既に公表されておりますが、例えばウラン濃度の解析等についてはちょっと時間がかかっておるようでございますけれども、それも答えが出れば公表されるものと承知しております。
  131. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 劣化ウラン弾についてはこの辺でやめます。  先ほど来問題になっております五・一五メモ、このことについて、一九七二年の復帰時に日米合同委員会で双方において合意されたというふうなことでありますけれども、このメモは日本訳もございますか。
  132. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 合同委員合意はこれまで英語のみでつくられてきております。
  133. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そうすると、日本語訳というのはないんですか。
  134. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) ございません。
  135. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 外交文書というものは、日本とアメリカで合意を得た文書でも日本の訳文はないということですか。
  136. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 合同委員合意につきましては英文のみで作成しているわけでございます。
  137. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今のお話によると、何かアメリカが作成したものをそのまま日本政府が認めたというふうなことになっていませんか。
  138. 折田正樹

    政府委員(折田正樹君) 私ども英語で交渉いたしまして、私どもが文書をつくることもございますし、アメリカ側が文書をつくることもございます。そこで相互で交渉した結果が合意としてできるわけでございます。
  139. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 アメリカ側がこの五・一五メモの公表を渋っているというのはどういうわけですか。
  140. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 渋ってはおりません。  公表するためにいろいろ協力をこちらから求めておりまして、先ほど他の委員の方に御答弁申し上げましたけれども、オルブライト国務長官自身にも私から協力をお願いしまして、オルブライトさんも協力しましょうということになっております。ただ、その調整作業は今進んでおるところでございます。
  141. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 二十五年もたっているわけですよ。渋っているからこそ公表できないのであって、沖縄知事が、やっぱり五・一五メモはおかしい、沖縄基地が五・一五メモによって自由に使用されている、そういった問題を何とか解決するために五・一五メモを公表してくれということを言っているんじゃないですか。それを渋っているんじゃないですか、皆さん方は。何で県民に納得のいくような答弁をしないんですか。
  142. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 私ども、昨年の三月二十八日の合同委員会において、それまでは内容を明らかにしないという慣行できましたのを、自後は合同委員会の内容を明らかにするようにしようというふうにプラクティスを変えました。そして、それ以後は公表してきております。それと同時に、昨年の三月の合意以前の合同委員会の記録の内容についても明らかにしていくことを検討しようということが同時に合意されまして、ずっとそれから共同作業を進めているわけでございます。  そういった中で、沖縄知事からも先般橋本総理に対して五・一五メモの公表という御要望がございましたので、それを総理も前向きに検討しましょうとおっしゃった。そういうようなことでありますので、私どもは、そうした過去の合同委員合意の内容を明らかにしていく中でも五・一五メモを優先的に取り扱おうということで、現在アメリカといろいろ調整をしているところでございます。
  143. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後に、いつごろ全面公開といいますか公表される予定でございますか。
  144. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) なるべく早くと思って今、努力しております。
  145. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  146. 楢崎泰昌

    委員長楢崎泰昌君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会