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1997-05-27 第140回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十七日(火曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         直嶋 正行君     理 事                 佐藤 泰三君                 二木 秀夫君                 戸田 邦司君                 中尾 則幸君     委 員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 竹山  裕君                 野沢 太三君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 平井 卓志君                 横尾 和伸君                 瀬谷 英行君                 筆坂 秀世君                 末広真樹子君                 栗原 君子君                 芦尾 長司君    国務大臣        運 輸 大 臣  古賀  誠君    政府委員        運輸大臣官房長  土井 勝二君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        大蔵省主計局主        計官       南木  通君        大蔵省主税局税        制第三課長    西原 政雄君        大蔵省理財局資        金第二課長    楠  壽晴君        建設大臣官房会        計課長      倉林 公夫君        自治省行政局選        挙部政治資金課  岩尾  隆君        長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を  図るために平成九年度において緊急に講すべき  特別措置に関する法律案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 野沢太三

    野沢太三君 国鉄改革十年目という節目を迎えまして、いよいよその総仕上げをするときが参りました。  最大の課題は、当初から言われておりましたような債務処理をどう合理的に解決するか、この問題だけが大きく残っているわけでございます。そして、この問題の解決には広く国民の皆様に御理解をいただき、また御協力をいただくということが私は一番のかぎであると思うわけでございます。  そこで、ここで改革原点に帰ってこの実態を明らかにすることが一番大事である。既に改革十年目を迎えまして、あのときの経緯十分御存じでない方々も世の中にふえておりますので、第一にその点について、債務実態と今後の方向について明らかにしてまいりたいと思うわけでございます。  そこでまず、改革時点債務は一体どういう状況になっていたのか、また、その負担区分はどのように処理をするつもりであったのか、御説明をいただきたいと思います。
  4. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 国鉄改革時におきまして処理しなければならない長期債務総額三十七兆一千億円でございました。  その内訳でございますけれども、国鉄自身長期債務が約二十五兆一千億円、それから青函トンネル、本四連絡橋などの鉄建公団、本四公団債務が約五兆一千億円、それから営業損益赤字が発生すると見込まれましたJR北海道四国九州の三社に対する経営安定基金債務が約一兆三千億円、それからさらに国鉄清算事業団に所属いたしました余剰人員方々の再就職のための費用が約三千億円、それから国鉄職員の将来にわたる年金にかかわる負担が約五兆円、これらに加えまして事業団の運営のための管理費などが約四千億円、こういうような内容となっております。  これらにつきまして、国鉄改革時におきましては、JRには最大限の効率的経営を行うことを前提に、当面収支が均衡し、かつ将来にわたって事業等を健全かつ円滑に運営できる限度、このような考え方でこの限度国鉄長期債務負担させたというところでございます。JR負担し得ない債務国鉄清算事業団におきまして処理する、このような考え方で整理されております。  こういう考え方に基づきまして、総額約三十七兆一千億円のうち、JR各社には約十一兆六千億円の債務が承継されまして、残る二十五兆五千億円の債務などにつきましては事業団処理するということになった次第でございます。  なお、JR負担につきましては、既設の新幹線、すなわち東海道、山陽、東北、上越、これらの新幹線施設の再調達価格八兆五千億円と帳簿価格約五兆七千億円との差額約二兆九千億円につきましては新幹線保有機構が保有いたしまして、事業団に対して負う債務というぐあいに整理されまして、この債務につきましては新幹線施設リース料という形でJR本州三社が負担するということになりましたので、JRの実質的な負担は、先ほど申し上げました十一兆六千億円に加えましてこの二兆九千億円のリース料を合わせまして十四兆五千億円、こういうことになっております。
  5. 野沢太三

    野沢太三君 JR負担した十四兆五千億円は着実にJR努力で減少していると伺っております。一方、事業団が引き継いだ二十五・五兆円が、伺いますと二十八兆円を超えるようなレベルにふえつつある、どうもこういう状況でありまして、その意味では、政府側考え方努力が一体いかようなものであったか、まことに疑問とするわけでございます。  そして、この問題は既にもう先送りを許されない大事な問題でありまして、何としてもことしじゅうくらいには結論を得なきやならぬと思うわけですが、現在までに事業団債務の増加した内容あるいはその理由金額等について端的に明らかにしていただきたいと思います。
  6. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 国鉄清算事業団が負いました二十五兆五千億円の債務でございますけれども、これが平成九年度首には約二十八兆一千億円となる見込みでございます。見込みと申しますのは、八年度がまだ決算が確定しておりませんので、そういう関係で見込みということでございますが、こういうような状況でございまして、昭和六十二年度首に比べますと約二兆五千億円増加いたしております。  このように債務などが増加いたしました理由でございますけれども、これに関しまして若干整理いたしますと、収入面では地価高騰問題に対処するために土地売却が見合わされた、このような事情。その後、土地信託など、地価を顕在化させないさまざまな手法なども活用いたしまして土地売却の促進に努めましたけれども、バブルの崩壊に伴います土地需要低迷であるとか、こういった事情から土地売却が思うように進まなかったということ。それから株式につきましても、株式市況低迷あるいは阪神・淡路大震災の影響などによりまして、これも思うようにJR株式売却が進まなかった。  こういったような事情が重なりまして、資産売却を初めといたします収入昭和六十二年度から平成八年度までの十年間で、決算は先ほど申し上げましたとおりまだ確定いたしておりませんが、約十二兆九千億円、こういうような見込みでございます。  これに対しまして支出面では、この十年間に金利の負担あるいは年金負担等が発生いたしまして、それからさらに、鉄道共済年金財政危機に対処するために平成二年度以降毎年一千億円、合計七千億円の特別負担、これを新たに負うということもございまして、合計支出は約十四兆六千億円になると見込まれております。  さらに平成九年度におきましては、鉄道共済年金厚生年金への統合に伴います移換金債務、これが八千億円の見込みでございますけれども、これが新たに発生いたしましたことから、先ほど申し上げましたとおり債務が約二兆五千億円増加した、このような状況でございます。
  7. 野沢太三

    野沢太三君 土地が売りたいときに売れなかった、あるいは株の公開がおくれたとか、また年金特別負担が加わった、それぞれみんなこれやむを得ない事情と思うわけでありますけれども、これの処理に当たって、本来、国鉄時代に入っていた財政資金改革時点からほとんど入らなくなった、多少入っておりますけれども、十分な額が入ってないということで、その分を財投資金を入れたということによる利息というものは無視できないと思うわけです。この点については後ほどまた改めて議論をいたしたいと思います。  そもそも国鉄赤字というものはなぜ出てきたかということをさかのぼって考えてみますると、昭和三十年代以降、モータリゼーションがどんどん発達して、地方交通線とか、あるいは長距離線については飛行機の発達であるとか、そういった交通分野の革命が起こった。これに十分国鉄が対応し切れなかったという近代化合理化のおくれもまた言わなければならぬだろうと思います。  また、当時は運賃法定主義で、この運輸委員会で一々決めないと運賃も上げられなかった、その都度乱闘騒ぎというようなことも当時はもう恒例化していたわけでございます。  加えましてもう一つ大きな問題は、そのとき出てきた赤字を本来なら国の機関として単年度主義で決済しておけばこんなことにならなかったと思いますが、累積累積先送り後送りと、こういうことでついに積み上がって先ほどお話しの三十七兆を超えるというようなところまで行ってしまった、まさにこれが最大の問題であろうかと思います。  この辺の経緯仕組みにつきまして、大臣、所見、感想がございましたらよろしくお願いしたいと思います。
  8. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生が最も御高承かと思いますけれども、国鉄は御承知のとおり昭和二十四年に我が国の公共企業体として発足をいたしたわけでございます。それ以来、比較的順調に経営を続けてきたわけでございますけれども、昭和三十九年度に単年度赤字を生じて以来、御指摘いただいているように毎年度巨額赤字を計上いたしました。昭和六十一年度末の長期債務残高が約二十五兆円という大変膨大な額に達したわけでございます。  なぜ国鉄がこのような経営破綻に陥ったかという要因につきましては、今先生が数点お述べになりました。私も全く認識を同じくするところでございます。  このような状況というのは、まとめて申し上げますと、大きな要因一つは、公社という自主性の欠如した制度のもとで全国一元の大変大きな組織として運営されてきたという経営形態そのものに弊害があったのではないか、的確な対応ができなかったというのが、先生指摘いただいた要因を全部まとめてみますと最大の原因になってくるんではないかというふうに考えております。  また、今御指摘いただきましたように、債務についての単年度処理というものが行われなかったということが、結果論ではありますけれども、毎年度債務を生じさせたままそのまま処理を怠ってきたという一因になっていることは先生指摘のとおり否定できない、このように考えております。
  9. 野沢太三

    野沢太三君 今、私が申し上げました数々の理由というのは、今後この問題をどう処理するかという処理方法ともつながりができてくるわけでございます。  今、大臣指摘公社という組織、これは確かに初めのうちはよかったけれども、後になったらどうにもならない。結局、半官半民というのは責任がとれない体制ということで、分割民営という形で明確に責任をとり、また新しい時代に適応した経営形態改革をしたわけでございます。その意味でいえば、七万人からの職員がこの鉄道を去り、そして地域密着主義ということでの分割効果というものを今最大限上げまして、民営化効果と相まち両輪となって仕事を進めておる、この改革原点を大事にしておかないといかぬだろうと思うわけでございますが、この点はまた再度御議論をしたいと思います。  そこで問題は、清算事業団は何をしていたかということでございますが、事業団がこれまで処分した土地、これについての実績を御説明いただきたいと思います。
  10. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 清算事業団におきましては、昭和六十二年度から平成八年度まで合計約六千九百ヘクタールの土地売却いたしまして、総額約五兆六千億円の売却収入を上げてきております。  この処分方法別内訳を見ますと、公開競争入札で約四千億円、それから自治体等への随意契約で約三兆六千億円、それから建物提案方式などの地価を顕在化させない多様な処分方法ということで約一兆六千億円、このような内訳になっております。
  11. 野沢太三

    野沢太三君 今の御説明で非常に問題があると思うのは、当初の予定では公開競争が原則であったはずですが、これを例の緊急土地対策要綱の中でストップをかけてしまって随意契約、これは当初から予定はあったんですが。地価を顕在化させない多様な方法ということでさまざまな売却方法を工夫していただいて一・六兆の売り上げをやっていただいた、これは相当な努力であったと思うわけでございます。しかし、なかなか現況ではこれとても先行き余り明るいものではないということでありますが、今後とも残っている土地がまだあるはずでございますので、これについて全力を挙げて努力をいただきたいと思うわけであります。  もう一つ収入の大きなめどでありました株式売却実績についてはいかがでしょうか。
  12. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 株式の方でございますけれども、平成五年度にJR東日本の株式、これは四百万株中の二百五十万株を売却いたしました。それから、平成八年度にJR西日本の株式、これは全株式二百万株中の百三十七万株の売却を実現いたしまして、両方合わせまして約一兆六千億円の売却収入を上げてきたということでございます。この結果、現在清算事業団の保有いたしておりますJR七社の株式、これの合計は五百三十二万株となっております。  以上が今までの経緯でございます。
  13. 野沢太三

    野沢太三君 ことしはたしか東海を上場して何とか収入を上げたいということがございますし、株式市場状況によっては東と西の残っている分も早く処分をして、一日も早く債務総額を減らしてまたその利息も減らす、こういう努力をしていただくことが肝要かと思います。  しかし一方、どうでしょうか、三つの島、北海道、四国九州経営はなかなか厳しいものがあると伺っておりますし、また、貨物は連続してこのところ赤字を計上しておるという状況株式上場基準にはなかなか達しそうもない。この残りました三島と貨物株式についてはどのようにお考えでしょうか。
  14. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘ございましたとおり、JR北海道四国九州、それからJR貨物、この四社につきましては厳しい経営状況ということでございますので、この四社の株式を直ちに上場するということは困難な状況にございます。  この問題につきましては、まず上場を実現するための前提となります経営基盤強化、これを図っていく必要があるということで、私どももこの問題に関しまして九年度予算におきましてできる限りの措置を講ずるとともに、それからJR貨物の問題に関しましては、経営基盤強化のために諸方策をどうするか、現在懇談会を設置して検討している状況にございます。
  15. 野沢太三

    野沢太三君 やはり鉄道としての他の交通機関に対する競争力を付与するということも一つの大きな道ではないかと思うわけでございます。  先般議論しました新幹線等も、そういう意味財政の成り行きに悪影響を残さない形でやはりやるべきことはしっかり進める、そして、まずは自主的な力でそろばんがとれる会社に育てるということが非常に重要ではないかと思います。またあわせて、貨物会社につきましても、その意味でトラックあるいは海運との競争の中で生き残る力がつくようにやはり政策的な誘導がここしばらく大事だと思いますので、これはよろしくお願いを申し上げる次第であります。  続きまして、法案内容について多少触れていきたいと思います。  今回の法案は、当面、累増する利息を抑えまして、とにかくこれ以上の負担をふやさないようにしょうという一時的なものと伺っておるわけでございますけれども、実は、非常に法案として大事な方向を示唆していると私は考えております。今度の国鉄債務全体を処理する行き方、いろいろございましょうが、まずは利息累増を抑えて、元本に関しては時間をかけてしっかり処理する、こういうことが学識経験者等からも指摘をされておる中でございますので、その意味でこの法案のしっかりした方向が出れば、一つのモデルとして十分これは今後とも役に立つ形になるのではないかと思うわけです。  そこで伺いますが、まず第二条、三兆三十五億という数字が出てまいります。この中身はどういう中身でございましょうか。
  16. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま先生も御指摘ございましたが、この法案趣旨は、本格的な処理を策定し、これを実施するまでの間におきましても、利子負担等によります債務累増による最終的な国民負担の増加を極力防止する、こういう観点からこのような措置を講ずるものでございます。  この第二条に言っております三兆三十五億でございますが、これは、平成九年度におきます清算事業団債務償還費等支出が約四兆六千億円に達する、こういう状況でございます。これに対しまして、資産処分収入を予算どおり確保いたしまして、それから一方では無利子貸付金償還を猶予してもらう、このような措置を講じたといたしましても三兆三十五億の資金借入金によって調達せざるを得ない、こういう状況でございます。  このような事情から、平成九年度におきます事業団借入金見込み額でございます三兆三十五億に相当する額の事業団有利子債務一般会計において承継するとともに、同額の無利子貸付金一般会計事業団に対し貸し付ける、このようなことにするものでございます。
  17. 野沢太三

    野沢太三君 大変結構なんですけれども、これをこの期に及んでやるというところに手おくれ、先送りツケが来ているわけです。今ここで長期資金を無利子で貸すということになっておりますが、これができるなら、さらに今後も一つ可能性として大変これは評価できると思うんですが、この無利子期限はいつまでですか。
  18. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今回の措置でございますけれども、一般会計利子負担分を実質的に負担しようという措置でございますので、事業団一般会計に対しまして負うこととなります無利子貸付金期限を決めました償還条件、これは、承継した事業団債務につきまして、一般会計がその債権者に対して行う元本償還と同時期、同額とするということにしております。したがいまして、事業団債券が十年満期一括償還であるということでございますので、平成十五年度から十八年度にかけて返済がなされるということでございます。  なお、この前提として、具体的に三兆三十五億に相当する額の債務、これは平成五年度から八年度におきまして事業団が発行いたしました政府引受債を政令で指定する、こういう予定にしております。  したがいまして、このような考え方で、事業団債券がまた十年満期一括償還でございますので、先ほど申し上げましたように平成十五年度から十八年度にかけて返済をする、こういうことでございます。
  19. 野沢太三

    野沢太三君 ということは、結局平成十五年から十八年にまた相当大きなツケが回ってくる、こう予測せざるを得ないんですが、できるならば、平成五年ないし八年に問題が出てきたときに、あの時点ではもう土地はそう売れないんだということがわかっていたわけですから、今回のような措置をしておけば相当事態は軽減できたのではないかと思うわけであります。しかし、先へ急ぎましょう。  それから第三条で、事業団法規定を外して国債のルールでと、こう言っておりますが、この点についての内容を端的に説明してください。
  20. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今回の措置によりまして、事業団が発行いたしました事業団債券にかかわる債務、これにつきましてはその一部を国が承継するということになりますけれども、これに伴いましてこの債務が国の債務となる。それから、この債務の形、形態証券という形態をとっておりますので、国債につきましての基本的な法律でございます国債に関する法律適用されるということになります。  一方、事業団債券は、債務者事業団から国に変更された場合におきましても清算事業団法に基づき発行された債券という性格は変わらないということでございますので、特段の規定を設けなければ同時に清算事業団法適用も受ける。要するに、国の債券に関する法律に言う国債にも該当し、同時に清算事業団法適用を受ける債券でもある、こういう部分でございます。  今回の措置にかかわる事業団債券取り扱いでございますけれども、当該債券にかかわるこの債務証券という形態をとる国の債務でありまして、また、財政法会計法等法律におきまして国債として取り扱う必要があるということから、原則的に国債に関する法律規定適用いたしまして、清算事業団法規定適用しないということを規定する、これが三条の趣旨でございます。
  21. 野沢太三

    野沢太三君 大変大事な部分でございます。  そして第二項で、国債整理基金特別会計法規定適用しないと。たしかこの規定元本繰り入れについて規定しているものと考えていますが、この点について再度御説明をお願いしたいと思います。
  22. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 国が承継いたしました事業団債券にかかわる債務、これは国債整理基金特別会計法に言います国債に該当するということになります。したがいまして、当該債務償還国債整理基金を通じまして行われるということになります。  国債整理基金国債償還に備える仕組みでございますけれども、ただいま御指摘ございましたとおり、一定の率で繰り入れをするということになっております。すなわち、前年度首の国債残高の百分の一・六を一般会計から繰り入れ定率繰り入れを行うという制度がございます。これに対しまして、この清算事業団にかかわる債務でございますけれども、国が承継いたしました債務元本につきましては、事業団への無利子貸し付け、これによりまして債務元本につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、平成十五年度から十八年度の間に事業団から国に返済をするという仕組みになっておりますので、そもそも償還財源を積み立てる定率繰り入れ制度になじまない、こういうことからこの三条二項に基づきまして適用除外とするものでございます。
  23. 野沢太三

    野沢太三君 その元本を据え置いた分は、今後どういう処理をするかはこれからの議論ということかと思いますが、こうした形で事業団債務を国の債務につけかえていくという、これは一つのパターンがここで示されているわけでありますので、今後の処理方法として大きく参考になるものとして受けとめておきたいと思います。  続いて四条で、現在無利子で借りております債務据置期間を一年以内で延長と、こう言っておりますが、この一年以内とした理由はいかがなものですか。
  24. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 本条による措置でございますが、これは、平成十年度から実施いたします国鉄長期債務等本格的処理までの間の新たな借り入れによりまして事業団利子負担が将来的に生じないように所要の措置を講ずるというものでございます。したがいまして、今回の措置では、平成十年度以降の取り扱いにつきましては国鉄長期債務本格的処理に関する今後の検討にまつという基本的考え方のもとに、それまでの一年間に限りまして据置期間を延長するということでございます。
  25. 野沢太三

    野沢太三君 やはりそういう意味でも、どうしてもことしじゅうには抜本的な対策を立てる必要がある、この法律はもうそれを前提にしていると理解しておきたいと思います。  それから、さらに附則で、清算事業団の持っている債券の中で社債登録を受けている債券というのがどのぐらいあるのか、この辺についてはいかがでしょうか。
  26. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 清算事業団債券を紛失したような場合のリスクを回避するということで、債権者が社債等登録法に基づく登録制度によりまして債券を所持するかわりに登録機関に対して登録を行うことができるというような仕組みがございます。  現在の時点におきまして、どのような状況になっているかでございますか、平成八年度末時点におきます発行総額約十二兆六千億円分の事業団債券がございますが、このうちの九九・九%につきましては登録機関において登録されているというように聞いております。  なお、今回政令で指定することになります政府において承継いたします特定債務、これにつきましては、全額資金運用部引き受けの債券予定いたしておりますけれども、これらにつきましてはそのすべてが登録機関におきまして登録をされている、こういう状況でございます。
  27. 野沢太三

    野沢太三君 ただいまの御説明を聞いて安心する人が相当いるだろうと思います。国鉄のいわゆるこの債権、残された債務というものは決して不良ではないんだ。まさに国が国に貸して、その使い道はすべて明確になっており、しかもこれが日銀等できちんと登録されているという意味では、ある意味では優良債権だとさえ評価をする人もいるわけでございます。あとは、要するに決められた手順に従ってきちんとこれを処理すればいい、こういうことで考えていく必要があるんじゃないかと思うわけであります。  法案につきましてはこのくらいにしまして、抜本的な国鉄債務処理をどうするか、こういうことが一番大事であろうかと思います。  昨日開かれました財政構造改革会議におきます企画委員会の報告が出ておりますが、これについて大筋了承、こうなっておりまして、その中に国鉄債務処理方法について十項目ほどが挙がっておるわけでございますが、ひとつこれについて一つずつ御意見を伺い、議論を進めてまいりたいと思います。  まず第一が、自主財源でどのくらい返せるのか。これは先ほどもお話がありました、土地がまだ残っておるとか株式がこれからもあるとか、さらには整備基金に対する債権があるとかいろいろあろうかと思いますが、この見通しについてどのくらい見込めるのか、差し支えない範囲で結構ですが、お話しいただきたいと思います。
  28. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) もう当然御承知のことと存じますが、今後の地価の動向であるとかあるいは株式の市況に影響されるものでございますので、見込みを確定させるということはなかなか困難でございますけれども、私ども、一定の前提を置きまして、本年の三月時点におきます試算を行っております。  これで申し上げますと、土地は、平成十年度以降でございますが、これは今年度予算どおり土地売却できるという前提でございますけれども、その上で平成十年度以降土地は約一千ヘクタール、売却収入は四千億から六千億にとどまるものと試算いたしております。それから株式でございますけれども、株式につきましても、今年度、JR東海の株式等々を売却するということを前提といたしまして、残る株式三百三十二万株というように試算いたしまして、この売却収入が八千億から一兆六千億、このように見込んでおります。それから、鉄道整備基金に対する債権、これが三・五兆円。合計いたしまして四・七兆から五・七兆程度にとどまるのではないか。土地株式売却費用を差し引きまして、収入といたしましては四・五兆から五・五兆程度にとどまる、このような試算を行っております。
  29. 野沢太三

    野沢太三君 大分幅があるようでありまして、その意味でも今後の努力あるいは市場の環境整備等が大変大事であろうと思います。  ほかの項目ともこれ関連が出てこようかと思いますので先に話を進めますが、改革時点できちんと仕分けをして、そして土地を売り、株を売りとやったんですが、それが予算どおり売れない。売れなかった部分について財投でつなぎあるいはやりくりの穴埋めをしていただいていたのが、今になってみると金利の負担で首が回らない、こういうことになっているわけでございます。  その意味で、二十八兆のうちの高利の資金をできるだけ繰り上げ償還あるいは金利を減免したらどうかという提言が一つの選択肢として出ているわけでございます。特に財投資金がその意味で問題であろうかと思いますが、これの繰り上げ償還あるいは金利の減免措置というものができないのかどうか、大蔵省、いかがでしょうか。
  30. 楠壽晴

    説明員(楠壽晴君) 財政投融資の繰り上げ償還などについての御質問でございますが、金利の低下を理由といたします繰り上げ償還や低利借りかえによる金利減免は、借り手が負担軽減を受けるかわりに資金運用部が相当するコストを負担することとなるものでございまして、政府全体としてのコストが軽くなるものではございません。  資金運用部は、できるだけ低利の資金を供給するために、運用部からの貸付金利と郵便貯金、年金などからの預託金利を同一といたしまして、利ざやを取らずに長期固定金利の貸し付けを行いながら収支相償うように運営されておりまして、このようなコストの負担を受け入れることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
  31. 野沢太三

    野沢太三君 さはさりながら、運用の余剰も発生している、こういうふうにも伺っておるわけでありますので、今後の財投の仕組み全体の改革を視野に置きながらこの問題をあわせ議論を進めなければならぬかと思うわけであります。  三つ目に一つの提案として出ておりますのが、今国民の皆様が持っております金融資産は千二百兆円にも及ぶと言われておるわけですが、これがなかなか出てこない。こういった金融資産の一部をこのような債務返済に充てることができるのではないか。その一つの手段といたしまして、例えば相続税の免除というような特典つきの無利子国債を発行したらどうか。そうすると、やはり一部の金持ちという話にはなろうかと思いますけれども、いずれにしても、このような形で国民の皆様の力をうまく引き出すということも方法としてあり得るのではないか。  過日行われました我が党の長期債務返済問題の特別委員会におきましても、セカンドベスト、サードベストとして検討する価値あり、こういう御指摘もいただいておるわけでございます。これにつきまして、大蔵は大分御意見があるようですけれども、ひとつお話を聞かせていただきたいと思います。
  32. 西原政雄

    説明員(西原政雄君) 相続税免除の特典のついた無利子国債を発行してその利払い費の軽減をしてはどうか、こういう御提案でございます。この点につきましては、私ども、次のような問題点があるので、これは非常に難しい問題だなというふうに考えております。  第一点でございますが、まず、購入する方はどんな方かということでございます。これは、無利子であるということによりまして失う利子収入の減、これよりも軽減される相続税額、これの方が大きい方が購入されるということになるわけでございます。したがいまして、利子相当分、これにつきましては財政負担軽減にはなるわけでございますが、それを上回る相続税収が失われることになる。したがいまして、そのために逆に財政収支自身はより悪化させてしまうことになるというのが第一点目でございます。  それから第二点目でございますが、実際、それじゃ相続税が課税されている人がどのぐらいいるかということなのでございますが、現在、お亡くなりになる方が百人いるといたしますと、大体五名から六名程度、このぐらいにしか課税がされておりません。そういう状況でございますが、この相続税免除の無利子国債を購入することによってメリットを受けるという方はさらにその中でも相当な資産をお持ちの方、こういった方に限られてくるというような問題点もあろうかと思います。すなわち、そのようにごく一部の人のみに、先ほど先生もちょっと御指摘にありましたが、ごく一部の人のみを優遇するというようなことにもなるわけですので、課税の公平上もいかがなものかというふうに思っておるわけでございます。  それから第三番目に挙げられますことは、現在、国債自身は円滑に消化されておるわけでございます。もし仮にこのような無税国債といったものが市場で特別有利なものとして受けとめられた場合には、その後に発行されます国債、こういったものの消化に悪影響が出るおそれがあるというふうに考えておりますので、そういった点の留意も必要かなというようなことで、多々問題があるのではないかというふうに我々受けとめております。
  33. 野沢太三

    野沢太三君 よくわかるわけですから、そういうことであるならば、特別なことをしなくても普通の方法処理をしていただける、我々はそれを期待するわけであります。  もう一つ大事な四つ目の選択肢になりますが、これはきょうの新聞でも皆さんごらんいただいているとおり、財政構造改革会議でも大きく取り上げておりますのが、公共事業費等の歳出の見直しをやろうと。もう社会保障費もあるいは教育もODAも防衛も一切の聖域なしで歳出を見直して、その中でやりくりをすればこの借金は返せるのではないか、こう言っておるわけでございます。  これはもう有力な手段だと思いますが、これについては構造改革会議にも御出席の大臣にひとつ御所見をちょうだいできますでしょうか。
  34. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 今、国鉄長期債務の問題についてどういう選択肢があるかということでさまざま御論議をいただいております。企画委員会の方で中間報告と申しますか、報告された項目ごとに具体的に先生指摘をいただいておりますが、今御答弁があっておりますように、具体的になってきますと、それぞれの理由と申しますか要因を持っておりまして、大変難しい難しいという話が出てくるわけでございます。  そういった中で、選択肢の一つに、先生指摘いただいたような公共事業の縮減だとか社会保障費だとか、そういったいろいろなものを一律歳出を縮減していくというようなことで、財政構造改革会議の中で総理も示されております五原則ということを念頭に置きながら今論議いたしておりますけれども、縮減した分を長期債務償還に充てていくという論議と直接結びつけるということはなかなか難しいのではないか、私自身そんな認識を持っております。  いろいろな選択肢が出てまいった中で、今御指摘いただいているような点をつっと論議していきながら、さてどういうことが一番国民のコンセンサスを得るのか、こういうことを見出していくということはなかなか困難なことだろうとは思っておりますけれども、閣議で九年中に本格具体的な処理策をやるんだということでございます。また、それを前提としてこの法案を御審議いただいているということを考えますと、大変困難な作業でございますけれども、どういう選択肢が国民のコンセンサスをより得ることができるかという視点の中でさまざまな論議をこれから重ねていくということに努力をしていく必要があろうかと思っております。
  35. 野沢太三

    野沢太三君 この点につきましては相当技術的な問題もあるし、また、ただ一律切るという、昔からよくやってきたシーリングというようなやり方では芸がない。やっぱり必要なところはつけて要らないところは切る、こういうことが大事ではないかと思うんですが、その意味では大蔵省、一番これ大事なんです、立場上。御意見をひとつ言ってください、どうやったらできるか。もう腕のいい主計官だから、その辺はめり張りをきかせてしっかりやりますと言っていただけたらと思うんです。
  36. 南木通

    説明員南木通君) 先生よく御存じのとおり、我が国の国債残高平成九年度末で二百五十四兆円という大変な額に上るというふうに見込まれているわけでございます。極めて厳しい財政状況にございます。  それで、こういう状況でございますから、我が国の財政の健全化というのはそれ自体喫緊の課題でございますし、ただいま運輸大臣からも御答弁ございましたように、現在、財政構造改革会議において御議論がなされているわけでございます。  それで、財政構造改革会議の三月十八日に出されました財政構造改革五原則ということがございます。その中で、歳出の改革と縮減は一切の聖域なしとするということ等を内容としているわけでございますけれども、現在、同会議それからその下にございます企画委員会を中心にそういったことの具体的な方策につきまして御検討をいただいているところであるというふうに承知をいたしております。
  37. 野沢太三

    野沢太三君 今後の検討に大いに期待をするわけでありますが、ただ削ればいいというものではなくて、やっぱり費用対効果あるいは政策目標、そして今後の日本の国際的な競争力、さまざまなポイントを見ながらひとつ進めていただきたい。そして、その中でやっぱり返すべき借金はしっかり返していくんだということを実現していただきたいと思うわけであります。  もう一つの選択肢に入りますが、交通機関利用者全体で負担をして痛みを分かち合うということも提言をされております。  鉄道の過去債務をほかの利用者が持つということの理解が得られるかどうか、これは相当難しい問題かと思いますけれども、等しからざるを憂うるという一つの連帯意識がこの方面でできるかどうかが大きな課題だろうと思いますが、これについては鉄道局、どうでしょうか。
  38. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 与党の特別委員会でも熱心に御審議いただいております先生に私が申し上げるのもいかがかと存じますが、確かに、鉄道の問題を考える際に道路あるいは航空を含めました全体の交通政策の中で検討する必要がある、したがってそういう観点から交通機関利用者全体で負担すべきだ、こういう意見がございます。  ただ、これに対しましては、先生御自身も御指摘ございましたとおり、国鉄長期債務と他の交通機関の利用者との関係というのは希薄であって負担を求める合理性は困難である、こういったような意見もございます。このような意見につきまして、私どもは、国鉄長期債務本格的処理につきましては、何と申しましても必要な新たな財源措置について国民的な議論を十分に尽くしましてコンセンサスを得るということが必要である、不可欠である、こう考えております。  したがいまして、今後幅広い論議を十分踏まえました上で、成案が得られるようにあらゆる選択肢につきまして精力的に検討していきたい、このように考えております。
  39. 野沢太三

    野沢太三君 そういうことで難しいとなると、今度はやはり国鉄を継承したJRに持ってもらったらどうか、特に本州三社は負担能力があるのではないかという意見もございます。  しかし、これは国鉄改革のときに、先ほどお話がありましたように、既に四割の債務を持ってスタートしておるということ。これは収入の四倍から五倍の負担になって、企業としてはもう限界、ぎりぎりであるというようなことがございます。こういった問題で、せっかく競争力のついたJRに新たなる負担ということになりますと、これはもう株主が承知するかどうかという問題、競争力が落ちて株が下がってしまっては、せっかく株をこれから売ろうといっているときにアブハチ取らずだということになりかねないわけでございます。  こういった面で、やはり約束どおり、きちんとした当初の枠組みを国がしっかり実行する、これがもう一番大事だと思いますが、JRに対する新たなる負担という点についてはいかがお考えでしょうか。
  40. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘ございましたとおり、JRに対する負担につきましても、負担を求めても差し支えないのではないかという意見に対しまして、ただいま御指摘ございましたように、そもそも国鉄改革時に長期債務負担の枠組みというのは決定済みではないか、あるいは、まだ全部株を放出しておるわけではございませんが、これから完全な民間企業になろうとしているJRに対しまして追加負担を求めるのは一般株主との関係におきましても問題ではないかといったような御意見があることも十分承知いたしております。  この問題につきましても、先ほど申し上げましたように、幅広い論議を十分踏まえました上で、この選択肢を精力的に検討して成案を得るべく努力をしていきたいと考えております。
  41. 野沢太三

    野沢太三君 JR自身はせいぜい企業努力をしていただいて税金をしっかり納める、あるいは株の値段を上げる、それからさらには事業団から出てくる皆さん方の世話を引き受けるとか、あるいはディベロッパーとしての能力もあるわけですから、駅周辺等の開発を進めて土地の有効利用を図る、さまざまな私は努力の道があるんじゃないかと思うわけであります。  さはさりながら、この二十八兆、依然としてあるわけであります。これに対して税の方から何とかしょうかという提案が幾つか出ております。  まず最初に、鉄道利用税等の形によるJR利用者の負担を考えたらどうか、こういう御意見があります。これも、先ほどの株式公開に差し支えるとか、あるいは競争力を減殺して金の卵を産む鶏の首を絞める、こうなりかねないわけでありますが、この点についてはどうでしょうか。利用者負担ということです。
  42. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 鉄道利用税という形でJR利用者に負担を求めるということでございますけれども、これもJRの利用者は国鉄改革によって利益を享受している、こういうことで一定の負担を負ってもいいという意見が一方でございます。また一方では、御指摘ございましたとおり、結局は運賃に転嫁するといいますか、JRはこの税を利用者に転嫁せざるを得ないわけでございます。あるいは、これは利用者に対する税そのものでございますから、当然のことながら運賃等の面で航空に対する競争力の低下を招く、航空だけじゃなくてあるいは高速道路といったようなこともございますけれども、競争力の低下を招きまして、健全経営に支障を来すおそれがあるというような意見もございます。  したがいまして、いろいろこの問題に関しましても賛否両論あるところでございますが、これも今後におきます幅広い論議を十分に踏まえました上で今後検討していきたい、このように思っております。
  43. 野沢太三

    野沢太三君 なかなかこれも難しいと。  こうなりますと、財政構造改革会議での御提言を見ますると、もう一つの道といたしまして、揮発油税あるいは自動車重量税等の財源を一般財源の方に一部回しまして、これをもって償還に充てたらどうか。これは既に西ドイツあるいは韓国等がそういった方法をとりまして、鉄道債務を道路財源の一般化あるいは転用等によって賄っている、既にこういった先例もあるわけでありますが、この方法はどうでしょうか。
  44. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この問題も、確かに揮発油税等の道路財源を活用したらいかがか、こういう意見がある一方で、道路財源につきましては、受益者負担に基づくものでございますので、ある施設の利用者の負担で別の施設整備を図るとか、あるいはこれを国鉄長期債務償還財源に充てるとかいったようなことにつきましては、国民の理解を得られるかどうかにつきまして慎重な検討が必要であるといった意見もまた強くございます。  したがいまして、この問題につきましても、先ほど来お答え申し上げておりますが、今後におきます幅広い議論を十分踏まえまして検討していきたい、このように考えております。
  45. 野沢太三

    野沢太三君 私も過日、この点非常に興味を持ったものですから、西ドイツの交通関係者と話し合ったことがあるんです。西ドイツあたりでは、自動車を利用する人は税を出してもいい、そのかわり鉄道の利用者がそれだけふえて道路がすいてくれば私らもその分だけは受益するんだというまことに合理的な感覚で受けとめておられました。その意味でいえば、日本も早く行革を進めまして、道路も鉄道も一元的に管理されるようなお役所ができるとこれは話が早いのかなと、こう思います。行革を一生懸命やらなきゃいかぬ、こういう感じもあるわけであります。  さはさりながら、なかなか間に合わないということでありますので、最後の手段といたしましては、増税によって国民の皆様に広く負担をお願いする。昔の赤字発生の経緯を見ても、先ほどお話をいただきましたが、運賃を抑えてその分お客様も貨物も既に受益をしておるわけでございます。住専と違いまして、どこに消えたかわからぬというものではない。確実にこれは国民の皆様のお役に立つ資産になったりあるいは輸送サービスになったりしているわけでありますから、これを回収するにはやはり広く薄くという、例えば消費税の上乗せというような形が適切ではないかと思うんです。  今、増税なき再建ということも言われておるわけでありますけれども、この道についてはどうお考えでしょうか。
  46. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘ございましたとおり、国鉄長期債務は、住専の債務と違いまして、もともと国の債務であるということではその性格を異にするものだと思います。  それで、増税による処理ということでございますけれども、最終的な処理財源を消費税などの引き上げを行いまして増税によって対処せざるを得ない、あるいは炭素税みたいなものを創設いたしまして国鉄長期債務償還に充ててはどうか、こういったような御意見が一部にはございます。  これに対しまして、消費税の引き上げというようなことにつきましては、やはり国民の理解はなかなか得られないのではないか、あるいは炭素税というのを仮に創設する場合におきましても、これを国鉄長期債務償還に充てるということは本来の目的から外れることになるのではないか、こういつたような御意見がございます。  たびたびで恐縮でございますが、私ども、このような御意見につきまして、今後の幅広い論議を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
  47. 野沢太三

    野沢太三君 ずっと見てまいりましたけれども、いずれもどうも難点があるわけでありますが、最後に期待されるのが事業団債務一般会計へのつけかえという方策でございます。  これについては、ただ右のポケットを左のポケットに移しかえるだけの安易な方法だということで、大蔵省が一番お嫌いのようでございますけれども、ほかに方法がなかったらこれしかないじゃないかということにもなるわけであります。  しかも、国の債務二百五十兆というような膨大な債務を今から償還していかにゃいかぬ。やはり、これと一体的、有機的に関連をさせながら、かつ国鉄債務というものがある意味機関車の役を果たしてこういつた債務をきちっと返す、後年度へ送らないということを示すことこそまさに今大事だと思うんですが、大蔵省の御意見はいかがですか。
  48. 南木通

    説明員南木通君) 国鉄清算事業団債務につきまして、これを結局一般会計へつけかえるということで処理するほかないのではないかというお尋ねでございますけれども、仮に国鉄清算事業団債務をすべて一般会計負担償還をするということになりますと、それはその部分、いわば結果といたしまして赤字国債累増するということになるのではないかということになりますと、ただいま先生がおっしゃっておられましたように、政府部門の中で国鉄清算事業団という債務主体から一般会計という形にかわる、債務主体がかわるに過ぎないのではないかという問題があるというふうに考えられるわけでございます。  この点につきましては、昨年の七月に財政制度審議会が「財政構造改革を考える」という報告を出しておりまして、その中でもこの点について触れられているところでございます。  ちょっと御紹介をさせていただきますが、「処理策の一つとして清算事業団債務の全額を一般会計に移し換えれば良いのではないかという考え方があるとすれば、それは政府部内における一般会計への単なる債務の付け替えにすぎないことから、金利払いのコストも軽減せず、旧国鉄債務の最終的処理とは到底言えず、将来世代への先送りをするだけのものであると言わざるをえません。」というような御指摘がございます。  国鉄長期債務等の問題につきましては、財政構造改革の観点からも避けては通れない重要な問題であるということでございまして、その処理に当たりましては、将来世代への負担の単なるツケ回しとならないようにあらゆる選択肢を精力的に検討いたしまして、なかなか大変ではございますけれども、とり得る選択肢を平成十年度から着実に実施していく必要があるというふうに考えている次第でございます。
  49. 野沢太三

    野沢太三君 少なくとも、事業団債務一般会計に移しかえますと、毎年の予算委員会を初めとして国民の皆様に明確にわかる形で議論がなされるんです。ところが、事業団が持っている限り、隠れ借金と称して財投で穴埋めさせられるのが関の山だと。そのために雪だるまになるんですから、その点についてはもうことし限りでやめてもらいたい。少なくともこの法案一つのモデルとして、一年限りですけれども、こういうことができるんですから、ひとつこれを将来にわたっても進めていただくことを要望しまして、引き続きの議論をまた改めてやるということで、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  50. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。  今、御答弁を一時間余り聞いておりまして、何一つ解決策らしきものが浮かんでこないというだけではなくて、お話の中にはあらゆる選択肢を検討してということで、選択肢そのものを消去法的に検討することはかりを、力なくそろって答弁席の皆さんはおっしゃられている。これはどういうことか、後ろ向きじゃだめだと、後ろ向きの問題ではあるけれども後ろ向きでは解決ができないということもわかっている。そういう意味でまだ本気じゃないな、本気じゃないというか本気になれないのかなという非常に切ない残念な思いに駆られたわけであります。  それでは、具体的にお聞きしたいことを質問してまいりたいと思うんですが、基本的な問題として、今回の問題の原点昭和六十年七月の国鉄再建監理委員会の答申、これがベースになっていると理解しております。  この答申の中では、国の負担分といいますか、国民負担というふうに置きかえられたりいろんな表現がされているんですけれども、いずれにしても国の負担分は最終的には十六・七兆円になるだろう、こういう内容であります。それに対しまして、昭和六十一年の国鉄改革の関連法案のときには、その十六・七兆円に当たる分は数字が変わっておりまして、十三・八兆円という数字になっております。  これは当然いろんな問題の詰まりぐあいによって精査をしなければいけないし、したんでしょうけれども、それにしても随分数字に差がある。三兆円ほどの差である。三兆円といっても我々実感がないけれども、やっぱり大変なお金だと思うんですよ。たった一年余りの間に、なおかつこんな大変重要な問題であるにもかかわらず、どうしてこんな三兆円の差が出てきたのか、その内容についてわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
  51. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘ございましたとおり、国鉄再建監理委員会が意見を取りまとめました昭和六十年七月時点でございますが、このときはまだ清算事業団ということが確定いたしておりませんので旧国鉄ということになっておりますが、旧国鉄におきまして処理しなければならない債務の額は二十五・九兆円と見込んでおりました。これに対しまして、旧国鉄土地株式等の自己財源収入、これにつきましては当然のことながらその時点におきます評価額、評価を前提といたしまして、土地売却収入は五・八兆円、株式売却収入は〇・六兆円、それから新幹線保有主体からの収入は二・八兆円と見込みまして、これらを差し引きました残りの十六・七兆円が先ほど先生指摘国民負担額として試算したものでございます。  それから、十三・八兆円というぐあいにいたしましたのは、国鉄改革実施後に清算事業団におきまして処理すべき債務を二十五・五兆円といたしまして、それから、営団の出資持ち分を再評価するといったようなことによりまして株式売却収入を一・二兆円と見込みました。それから、新幹線保有機構からの収入を二・九兆円とするといったようなことから、昭和六十二年度首時点におきます国民負担額の推計値、これを十三・八兆円と試算したところでございます。  なお、国鉄関連法案を審議する際にはこの中間的な数字で、細かくなりますけれども、これは当時の運輸大臣も答弁いたしておりますが、処理しなければならない債務の額を二十五・九兆円といたしまして、一定の土地売却収入株式売却収入見込みまして、残る国民負担額につきましては十四・七兆円というような試算をいたしております。  すなわち、国鉄再建監理委員会のときは十六・七兆円と試算しておりまして、それから国鉄関連法案を審議する際には正確に申し上げますと十四・七兆円というふうに試算をいたしておりまして、それから国鉄改革実施後に国鉄清算事業団になりまして十三・八兆円と、このような試算をした、こういう経緯でございます。
  52. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 どうも理解できなかったし、私以外に理解できた方がこの部屋にいるのかどうか大変疑わしく思うんです。  大体三兆円も違っていて今の御説明、どこの部分を今からどうこうするという意味で聞いているんじゃないんですけれども、そもそも再建監理委員会で答申を出すときもやっぱり相当な大問題だということでしっかり詰めていたはずなんです。それから、法案を出すときもやはり詰めていたわけで、そこのところの出し入れがきちっと説明できないというのは、一つ考え方次第で大きく変わる部分があるのか、あるいはあいまいな部分といいますか、よく言えばデリケートな部分考え方、視点によってお金の位置づけを変えることができる部分というのがあったのかな、そう想像せざるを得ないんです。  先ほどの説明内容からは、その点について私は理解できませんでした。また、そのこと自体を細かく今から詰めても、これからの話については実は余り役立たないと思いますので、ただ部分的なものでありますけれども、そういった性格のものであるという理解をしておきたいと思います。  今回のこの問題、国民が二十兆円にも及ぶ負担をある意味では新たに課せられる、国民の多くはそう思っていると思うんです。十三・八兆円が二十兆円あるいは二十一兆円に膨れ上がったというだけではなくて、本来十三・八兆円というのはいろんなやりくりでどんどん減っていくだろう、そういう中で考えられていたものが、実は減るどころか二十一兆円ぐらいになるというふうに言われてもいる、まだ確定的なことを言ってはいけないんですが。そういう意味では、これは本当に国民にとっても、また国としても行政としても大変な問題だと思うんです。その問題の受けとめと、これまでこの問題が放置されてきたということについて伺いたいわけなんです。  先日の参議院本会議で総理に対して、当時当事者であり一番の責任者であった運輸大臣として総理の責任考え方、受けとめ方ということを私は聞いたんですけれども、私は大変不満だったんです。ここに総理がいないのは残念なんですけれども、私はこのような問題に対して、政策の失敗以外の何物でもない、「この失敗を当初から運輸大臣として担当された橋本総理はどのように認識し、責任を感じているのか、お尋ねします。」と、こういうことを聞いているわけですが、総理の答えとしては、その反省らしきものは感じられない、なかったと言ってもいいんじゃないか。その部分の答えは「政府としては、そのときそのときの情勢の中で国鉄長期債務処理に最善と思われる措置を講じてまいりました。」、これだけなんです。  聞きようによっては、その当時批判が出なかったからかどうかわからないけれども、批判らしきものがなかったから、これ以上の知恵が出なかったから、ベストを尽くしたんだから何が悪いんだ、こう開き直っているようなんです。その開き直ったことによって、今回の二十兆円前後の国民負担を新たに課するかもしれないという問題を国民に突きつけているわけなんですけれども、これ大変なことだと思うんです。一言も、責任を感じているあるいはこれは大変申しわけない、当初のスタート時点からボタンのかけ違いか、あるいは政策の基本的な間違いだったのか、そういったことに対しての言及は一切ない。何が悪かったかと。  私はその点について、ちょっと質問が長くなりますけれども、結果が悪ければ政策は失敗そのものである。その時々のベストを尽くしたなんというのは失敗した人が言う言いわけにいつも使われているんです。これはもう古来からそういうことになっているんです。そのときのベストを尽くしたから何が悪いなんというのは総理大臣の言うことじゃない、大臣経験者の言うことじゃないと私は思うんです。  だからそういう意味で、結果がもし、一応全部のことを考えたけれども、それでもなおかつ何か不測のことが起きて結果が悪ければやはり責任をとろうというところに、一歩踏み込んだところに政治家の政治家たるところがあるんじゃないか。そこに一歩踏み込むからこそ学者ではない違う知恵がもしかしたらわいてくるかもしれない。そういう部分があるからこそ政治家は学者とは違う別な大きな力を与えられている、私はそう考えておりまして、先日、本会議でも一言申し上げたわけであります。  そういう意味で、知恵が出ない、おざなりの政策以上のものになり得なかったということはやはり大失敗の原因であろうと思うんですけれども、こういった総理の態度も含めて、今回二十兆円になんなんとする新たな国民負担国民に提示するということの重みを踏まえて、運輸大臣はどのように受けとめられているのか、お尋ねします。
  53. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 総理の本会議場における御答弁につきましては、さまざまな受け取り方があろうかと思いますけれども、総理自身、この問題については本会議でも述べてありますように、そのときそのときの状況を踏まえながら、政府としては、厳しい制約の中ではありますけれども、長期債務処理に最善と思われる措置を講じていただいてきたということについては、総理が申し述べられているとおりだというふうに思っております。  私に対して、待ったなしの、先送りが許されないこの国鉄長期債務処理についてどういう姿勢で対応するかという御指摘だろうと思いますけれども、まさに二十兆円を超えるという大変な債務を、いろんな選択肢の中で検討させていただくという答弁に尽きておりますけれども、私自身この問題の重大性というものは強く認識をし、また、この具体的な処理策を九年中につくるという閣議決定、この重みも感じているところでございます。  最大限の努力をいたしまして、学者にない知恵を政治家は出せということも御指摘をいただきました。ない知恵でございますけれども、いろんな皆様方の御論議をいただく中で、国民のコンセンサスをいただける最終的な具体的な処理策をつくるということが私に課せられている最大責任だということを痛切に感じております。  最大限の努力をさせていただくということを改めて先生に申し上げ、そして、それに向かって努力をさせていただきたいというふうに思います。
  54. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 運輸大臣は、今時点での最大限の努力ということで、これ以上具体的なお話はこの今の問いでは出てこないんでしょう。運輸大臣のお考えはわかりました。  今回の問題、債務中身土地売却あるいは株式またはそれに準ずるものの処分といったことで努力をする。そして残った債務をどうするかということになるんですけれども、今申し上げた土地株式売却については、これは運輸相が主務大臣国鉄清算事業団を指導することになると思うんですが、それはもう最大限の努力をするという今の大臣のお言葉、決意としてはよくわかりました。しかし、問題はその後残ったものをどうするかなんですが、今の努力の結果、残ったものは運輸大臣処理されるんでしょうか。その点だけちょっと。
  55. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 当然、この問題の解決というのは政府が一丸となって取り組んでいく問題だと。残りました債務について具体的な処理策を皆様方の御理解をいただく中で策定させていただくわけでございますが、それに基づいて政府一丸となってこれは処理していくことだ、このように認識いたしております。
  56. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そういう意味では、今大臣言われたように、これは政府が一丸となって処理しなければいけないということはだれが考えてもわかることだと思うんですが、特に大蔵省は財政の元締めでもありますし、大蔵省に責任ある立場でお答えいただきたい。  本来の今の問題からすると、今申し上げたように、運輸大臣あるいは運輸省として対応できる部分というのは部分にすぎない、全体の問題というのは政府で当たらなければいけない。そういう中で、責任ある省庁の一つである大蔵省にお聞きしたいと思うんですけれども、きょうはどうも大蔵省の局長は見えられないということで大変残念ですが、そういう点ではまた次の機会に重ねてお聞きするかもしれません。きょうは主計官ですけれども、同じ問題を、今回の問題は運輸省の問題か政府全体の問題か、その点について大蔵省としてはどのようにとらえているのか、私が質問の中で申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、大事な問題ですので大蔵省としてお答えいただきたいと思います。
  57. 南木通

    説明員南木通君) 基本的に、ただいま運輸大臣が御答弁されたとおりでございますけれども、この国鉄長期債務等の問題につきましては、財政構造改革の観点からも避けて通れない問題であるというふうに考えております。大蔵省といたしましても、本問題の解決に努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  58. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 大蔵省としてもじゃなくて、大蔵省が中心になってやるぐらいのことでなければ、そこのところの政府の姿勢が私は基本的に問題があると思うんです。  みんなでやるんだと、みんなでやる割には財政については大蔵省が握っている。この問題、今言われたように財政構造改革に基本的に絡んでくるというか、それとの連動がなければ解決の道はあり得ないと言ってもいいんじゃないかと思います。いわゆるどれだけ歳出を減らしてこちらの債務処理に実質的に、手続は次の問題としても、実質的にどれだけ充てられるかということについては、関係省庁が自分でそれを判断できるなんということは極めて限られているんです。政府としてどうするかという場合には大蔵省が中心にならざるを得ないんじゃないんですか。一緒になってやっていくというニュアンスで先ほどのお答えを聞いたんですけれども、一緒じゃなくて大蔵省が中心になってやっていく、こういう御答弁をいただきたいんですが、いかがですか。
  59. 南木通

    説明員南木通君) 先ほども申し上げたわけでございますけれども、大蔵省は財政当局としての立場で参画するわけでございます。その財政当局としての立場として、もちろん本問題の解決に努力してまいりたいということでございます。
  60. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 財政当局としての立場が一番中心だと言っているんですよ。責任ある立場でないということで物が言えないのかもしれませんけれども。  昭和六十三年一月の閣議決定では、この残った分は「国において処理する」という言葉が出てくるんです。これは、国において処理するということが、その後の閣議決定や政府関連のいろんな文書には国民負担ということとどういう使い分けか理解ができないような形でほぼイコールで使われているように思うんです。残った債務については国において処理するということと国民負担ということがそのまま、債務はイコール国民負担だ、こういうふうになって、聞きようによっては残ったものは即増税だというふうにも、これは聞きようによってはですよ、いろんな深い聞き方があるからそれだけじゃないということもあるかと思いますけれども。  要するに、国において処理するというのは、国を担当している政府が責任を持って処理をする、その責任を持って処理する中にはどれだけ減税をし、またその減税をしたことに対応させてどの部分を増税するとか、そういった対応そのものもダイナミックに含まれてくると思うんです。そういったことができる中心というのは、今私が大蔵省と申し上げたのは、そういったダイナミックなことが要求されている。  要するに、国民負担即そのままであれば大蔵省は事務手続だけでいいわけです。そうじゃなくて、どうやって政府として努力ができるのか。それで増減税あるいは何らかの予算の割り当て、そういったことをやりながら、それでもどうしても残ったものは国民の新たな負担ということで増税、増税の分はこれこれこうですよという形になるというふうに私は理解しているんです。そういうことからすると、今申し上げた国において処理するというのは、即増税ではなくて国としてできることはすべてやり切るという大事な部分が含まれている。残った債務は国において処理する、そのダイナミックな部分はやはり大蔵省が中心にならざるを得ないんですよ。  そういう意味で、大蔵省もう一回、財政当局としてやりますだけではなくて、財政当局としてこの問題に中心になってやりますと、財政当局でないなんて言っていないんでね、そういう決意をお述べいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  61. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生も御承知のとおり、国鉄改革も運輸省の所管といたしまして、さまざまな関係省庁の御協力をいただいた中でこれを実現させていただいたわけでございます。国鉄長期問題につきましても、当然運輸省がその所管として中心にあることは事実でございますが、今おっしゃっているようなあらゆる観点から選択肢をこれから検討する中に、国においてどういうことが処理できるのかということを考えた場合、何といっても財政当局と表裏一体と申しますか、一緒になって力を合わせていくということが一番肝心なことだというふうに思います。  そういう意味では、運輸省、財政当局または関係省庁、そういった御協力をいただくわけでございますが、運輸省を中心といたしまして、財政当局は全く運輸省と同じ考えの中でやっていただくものだというふうに理解いたしております。
  62. 南木通

    説明員南木通君) ただいま運輸大臣から御答弁をいただきましたとおりでございますけれども、国鉄長期債務等処理策につきましては、いずれにいたしましても、それは歳入面の措置であろうが歳出面の措置であろうがということでございますが、何らかの形で国民生活に痛みを伴うものになると考えられるところでございます。  最終的な形といたしましてどういうことがあり得るのかということで、そこは国民的なコンセンサスがどうすれば得られるかということであろうかと思いますけれども、歳出削減等を含みますあらゆる方策について今後議論をいたしまして、その中でとり得るものをやっていくということであろうかというふうに考えているわけでございます。
  63. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 大臣の御答弁、運輸省が中心になり、同じ立場で大蔵省も中心になるはずだということで、それをベースに今大蔵省からの御答弁があった、そう理解をいたします。大蔵省も、立場は少し違うかもしれないけれども、運輸大臣とともに中心であるということを確認させていただきました。  それで、ちょっとこれ根本的な問題なんですけれども、この国鉄改革時に十三・八兆円という数字が前提になっておりましたけれども、これが国民負担についての上限なのかどうかということについて、私はこれは本会議でも伺いましたけれども、こういう議論は当時全くなかったということであります。恐らく政府も考えてなかった、与野党も考えてなかった、全く考えてなかったということをどうとらえるかなんです。十三・八兆円を前提として、それがふえることについてはだれも言及しなかったというのは、十三・八兆円は幾らになったって無限大で国民負担しますよという意味なのか、あるいは当時、冷静に考えてみるとまさか十三・八兆円を超えるなんということはあり得ないんだ、想定していなかっんだということの両方の可能性があると思うんです。  私は、よくよく当時の、よくよくでもないけれども、可能な限り私なりに当時の議事録なり状況などを調べましたところ、やはりこれは上限がなく、十三・八兆円というのはただの数字であって、これが二十兆円になろうが五十兆円になろうが国民が全部負担しますよという意味合いではだれも理解していなかった。つまり、十三・八兆円というのは上限であって、これがむしろ少なくなっていくという理解をすべての方がしていたと私はそう推測をせざるを得ないんです。事実、六十三年の閣議決定では、なお残る債務については云々と、いろいろやってそれでも残る債務についてはと、こういう表現になっているんです。  だから、膨れ上がる債務についてはなんというんじゃない、減らす減らす、みんなが減らすと考えているんです。減らす中でそれでも残るものについては、だから逆に言うと、むしろ上限が十三・八兆円なんだと、私はそう思うんです。  これは考え方として、ある意味ではやっぱり基本的な問題ですので、運輸省と大蔵省にこれについてのお考えを伺いたいと思います。
  64. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘ございましたとおり、昭和六十三年一月二十六日の閣議決定におきましては、確かに、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団債務等については最終的には国において処理する」、こうなつております。この点につきましては、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、国鉄清算事業団法を含む国鉄改革関連法案の審議に先立ちます昭和六十一年一月の閣議決定におきましても同種の内容について規定をいたしております。  ただいま先生指摘のとおり、国鉄長期債務がこれほど増加するということは確かに当時予想されていたわけではないと考えますが、ただ十三・八兆円が上限であったのではないかという点に関しましては、それはやはりこの十三・八兆円というのが、清算事業団負担しております債務から、当時の地価あるいは株価等を前提として自主財源でどれだけ返済し得るか、その差し引きとして国民負担がこれだけ残るというような考え方で整理されておりますので、必ずしも上限であったということではなかろうかと思います。  ただ、御指摘のとおり、それでは国鉄長期債務がこれほど増加するというようにもともと考えていなかったのではないかという点は、確かに御指摘のような事情があろうかと思います。
  65. 南木通

    説明員南木通君) ただいま鉄道局長から御答弁されましたとおりでございますけれども、なお一つだけ補足的に申し上げますと、昭和六十三年一月の閣議決定におきましても、その中の一の「長期債務償還等の予定額」というところがございますけれども、その中に、「これらの債務の借換え等のため、当面新たな借入れが必要となり、処理すべき債務等の予定額が増大することが考えられる。」という記述があることだけちょっと補足させていただきます。
  66. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は六十一年の国会に上がった内容について聞いているんですけれども、今大蔵省から言ったのは六十三年の閣議決定ですね。私が言いたいのは、六十一年で、国会では十三・八兆円という先ほどの位置づけなんです。それを、今のちょうど御指摘いただいた六十三年の閣議決定以降、閣議決定というのは閣議で要するに国会に諮られていないわけですが、そういう中でむしろ国民負担を無制限化する、今の表現そのものですよ。  あたかも十三・八兆円のことについては、国会ではそれ以上の話は一切出なかった。しかしその後、六十三年一月の閣議決定のときから、いや、幾らになってもやるんだというニュアンスを出して、国民からすればそれは政府が勝手に、勝手にというのはちょっと乱暴な言い方かもしれませんけれども、国会にかけずに政府が閣議レベルで、当然全部負担するんだというニュアンスで、どんどん何回もこの種の閣議決定などをやりながら既成事実化してきた、私はこういう経緯だと思うんです。  だから、今の債務についてはどうこうするということと直には結びつかないかもしれません、それでは解決策にならないかもしれませんので結びつけたいとは思いませんけれども、ただ、そういう経緯で十三・八兆円が国会にかかったんだと。それ以降国会は関係なく、閣議でそれ以上の負担については当然国民負担なんだというふうに追認する、あるいはそういうものをつくってきた。  こういうことを考えると、本当にこの十三・八兆円、これが二十兆円になった。もとの十三・八兆円に戻せばいいというものじゃないですけれども、この二十兆円の重み、これを減らさなきゃいけないということに対して、もう今さらながら言うまでもないけれども、政府としては何重にも責任がある、そのことを申し上げたいんです。  十三・八兆円で国会にかけられて、それから以降は国民が幾らでも負担するなんということは国会で議論されたのは今回が初めてなんですよ。それまでは閣議で、国会とは別なところで、ふえたって国民負担ですよという趣旨のことを何回も上塗りをしてきたというふうに私は理解するんですけれども、この点について大臣、どのようにとらえておられるんでしょうか。
  67. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 確かに、ただいま先生指摘ございましたように、最終的に国において処理すべき所要額あるいは国民負担を求めざるを得ない額というものにつきまして、国鉄改革の際の国会審議以来、ある意味では本格的な議論がなかったのではないか、これはまことに御指摘のとおりであろうと私どもも思います。  ただ、若干言いわけぎみになりますが、国鉄清算事業団土地処分等の自主財源でどれだけの収入を上げてきて、したがいまして、国鉄改革の当初に負担しました二十五・五兆円という債務がどのようになってきたかというのは、これは私ども国会にも御報告させていただき、あるいはそのデータを公表いたしまして一般にも御理解を得てきたつもりでございますけれども、ただ、差し引き国民にどれだけの負担を求めるのかという点を議論してこなかった、これはもう事実でございます。  そのような点につきましては、私ども確かに債務状況ということに関しましては、あるいは資産処分状況ということに関しましては、今申し上げましたとおりいろいろ努力をしてきたつもりでございますけれども、先生の御指摘は御指摘として重く受けとめておきたいと思います。
  68. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 大臣いかがですか。
  69. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御指摘のように、この国鉄長期債務がこれほど増加するということについては、予想はされていなかっただろうというふうに思います。ただ、言われますように、政治が結果責任でありますだけに、これだけの膨大な債務累増しているという事実を踏まえてみますと、政府も、また国政に携わっております政治家一人  一人もやはり反省する点はあろうかと思っております。  ただ、この十三兆八千億というのが上限として考えられてきたかということについては、先生の御指摘一つの視点ではあろうかと思いますけれども、私は必ずしもそういうことだったんではなかろうかと。一方では、またあの経済状況や経過を踏まえてみますと、十三兆八千億がこんな膨大な額に上るということも予想してこなかったという点も先生が御指摘いただくように、私どもといたしましても、また私個人といたしましても国政の場におりましたけれども、こういう状況になるということを予想していなかったことは事実でございます。
  70. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 まあ大変難しい問題ではあるんです。  次に、昨年末の閣議決定で具体的処理方策、具体的処理方策というのはかなり具体的なものだとまさに言葉どおり受けとめておりますけれども、これを平成九年末までに得る、具体的に示されるということだと思うんですが、もう既に閣議決定から半年、残りも半年ということになりました。  またきょう、財政構造改革に関して与党側の中間報告があったようです。これとの連動を私は期待していたんですけれども、財政構造改革でこれだけ歳出を減らします、減らした分のこの部分をこのようにしますというところで、何らかの形で今回の解決策と連動してくるだろうと期待しておりましたところ、全然レベルが違う話であった。公共投資の歳出削減についても個別の判断を避けて全体を、表現が適切かどうかわかりませんけれども、マッチ箱をつぶして長方形をひし形にして少し期間を長くする、これじゃ構造改革じゃないんで、構造をちょっとゆがめただけであって改革になってない。  しかし、まだ時間が九年末までにあるということで、きっとその構造改革の成果が私の期待するところ、ちょうど年末、予算案の編成は年末になるのが通例ですけれども、その年末の来年度予算と今回の具体的処理策というのは完全にかみ合うものと、そこでかみ合ったものが提示される、そのように理解をし、また期待をしているんです。それ以外あり得ないと思うんです。  念のために、ここで大臣と大蔵省に、十二月というのは予算ともリンクしておりますよと、それだけ具体的なものとして財政構造改革の成果というのはきちんと示しますよということを、御決意なりお考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  71. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私といたしましても、先生の認識と全く同じ考えでおります。
  72. 南木通

    説明員南木通君) 国鉄長期債務等の問題につきましては、去る三月の財政構造改革会議におきまして示されました基本的な考え方にもございますけれども、本問題は財政構造改革の見地からも極めて重要であり、避けては通れない課題であるというふうに認識をしているところでございます。  それで、本年末までに具体的な処理策をということになっております本問題の本格的処理によりまして、私どもとしても財政構造改革を実現してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  73. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 御決意のほどはよくわかりました。  それでは、九年度末までの検討ということなんですけれども、今、運輸省としても、また大蔵省としてもそれなりの体制をつくって検討していると思うんです。これだけ大きな問題ですし、期限のある問題ですし、当然だと思うんですけれども、どういう体制でやっているか。あるいは想像するに、私的諮問機関大臣の諮問機関、何かそういった通常とは違う体制で行っていると期待しているわけなんですけれども、それは運輸省、大蔵省、それぞれどういう体制で検討を行っているか、お聞きいたします。
  74. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この問題は、国鉄改革に伴う債務処理という問題で、先ほど来先生もたびたび御指摘のとおり、財政当局の御協力なしにはなかなか処理策が固まらない問題でございます。  運輸省におきましてはそのような事情も考慮いたしまして、昨年来、与党におきましてこの問題につきましての検討の場が設けられましたので、あるいは与党以外の各党におかれましても検討の場が設けられておりますが、いずれこの問題は国民的なコンセンサスをどうやって得るかというのが極めて大きな問題でございますので、私ども積極的にそれらの場に参画いたしまして、現状につきまして十分御説明し御理解を賜り、幅広い議論をそこで行っていただくことを踏まえながら検討していくという段階でございます。  今のところ私どもが一定の案を絞って検討しているという状況ではございませんが、今後ともそういったような場での幅広い論議を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。
  75. 南木通

    説明員南木通君) 今、鉄道局長から御答弁ありましたとおりでございますが、財政構造改革会議でも御議論があるわけでございます。それから、与党でも検討の場が設けられましていろいろ検討が進められているというところでございます。そういったところで、私どもそれに参加をいたしまして検討を今しているというところでございます。
  76. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 各省といいますか行政側は、政策については大変元気があって機動力を発揮されているのが常だと思っていたんですけれども、今のお話を聞くと、結局、運輸省にも大蔵省にも行政内部には、二十兆円ともなろう、もしかしたら二十兆円になるかもしれない大問題に対して、行政側としてはといいますか、政府部内には特別な体制は設けていないというふうに聞こえたんです。そのことの確認とともに、担当の大臣としては、そういった政府部内に設けていない、与党あるいは各党がそれぞれやっているからそれを持ち寄って一緒に考えようというふうに私は聞こえたんですが、そんなことでいいのかどうか。  もちろん、持ち寄って考えるプロセスは当然必要なんですけれども、政府部内で本気になってやるということがやっぱりある程度中心にならなきゃいけないんじゃないか。そういう観点で私はお尋ねしているんですけれども、それがない。大臣、どうお考えですか。
  77. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 当然のことながら、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、この問題は、運輸省と財政当局初め、特に財政当局でございますが、この連携なしには処理策が固まらないというのはもう当然のことでございまして、私どもは財政当局と密接な連絡をとりながらこの問題につきまして今まで検討を進めてまいりました。  なお、一般的に政策を樹立するといったような場合には、大臣の諮問機関でございます審議会におきまして検討するというようなことがございますが、この問題に関しましては、基本的には国鉄再建監理委員会の答申が、自主的な財源を処分する、それによって処理できるもの以外、すなわちそれで残ったものは国民負担を求めざるを得ない、こういうことでございまして、後はその具体的な内容をどうするかということでございますので、正直申し上げまして、例えば運輸省の審議会とかそういうところで諮問し審議するというのは余り適切な場ではなかろう。そういった意味では国鉄再建監理委員会の答申ということで基本的な考え方は出されておりまして、それを実施するという位置づけになる、このように私どもは考えておる次第でございます。
  78. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それはわかっているんで、実施するメニューをどのように詰めるかということについて、各党が持ってくるのを待っているというんじゃだめでしょうと言っているんですよ。行政は行政である意味では一番実態を知っている、実態を踏まえている。その行政はどういう案があるか、それを詰めるだけ詰める。一方ではまた各党からの知恵も出てくる。そういうことがやっぱり合わさって物事というのはできるんじゃないんですか。  私はもう関係ありません、大蔵省の問題なんじゃないんですか、どうせ運輸省は何にもできませんというふうにも聞こえるんですよ。そんなことじゃ、その態度そのものは、私はある意味ではやっぱり不十分だし、そんなことではいい案も出てこないと思いますよ。局長のお顔を見ていると、どうせ最後は政治的決着だろうと、行政が詰める必要なんかないんじゃないか、あるいは詰めたって意味がないんじゃないか、私はそういうふうに思うんですけれども、答弁を聞くまでもないので、次に移ります。  平成元年の二月十日に土地対策関係閣僚会議の決定がありました。これは一年半前に閣議決定で、旧国鉄用地の売却については、その地域の地価の異常な高騰が沈静化するまでこれを見合わせるということでストップがかけられた、実質。その一年半後に今申し上げた土地対策関係閣僚会議の決定事項があって実質それが解除されると、一〇〇%の解除ではないけれども。そこを読みますと、「周辺地域の地価の動向等に照らし、地価に悪影響を与えないと判断されるものについて、順次、一般競争入札を行うことができるものとする。」ということで、実質解除。  これは読みようによってはかなり幅の広い受けとめ方がありますが、土地を売らなければならない、それだけがほとんどの仕事だという立場にある国鉄清算事業団にとってみれば、これは大変大きなものとして受けとめなければならないはずなんです。それがどうも一年半後に実質解除されたにもかかわらず、つまり、平成元年度及び二年度、三年度と、まだバブルがはじける前には土地売却はもっともっと進んでなければならなかったんではないか。六十二年にスタートして、けたが変わらないんですよ。六十二年のブレーキそのものを、逆に仕事をしない言いわけにしているんじゃないかというふうに受けとめている人もいるくらいなんです。  この辺の国鉄清算事業団努力について、またその結果についてどう思うか、運輸省としての評価を伺いたいと思います。
  79. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘のとおり、平成元年二月の土地対策関係閣僚会議の申し合わせによりまして、地価に悪影響を与えないと判断されるものにつきまして一般競争入札の実施が順次認められるということ、それから地価を顕在化させない処分方法の導入あるいは随意契約の拡大という方針が決定されました。  この状況の中で、運輸省あるいは清算事業団といたしましては、一般競争につきましてはこれが実施できるように関係の地方公共団体と精力的に協議をする、それから随意契約につきましても自治体等にこれによります売却の推進をたび重ねて要請する、それから地価を顕在化させない処分方法といったようなことを精いっぱい努力してきたという状況でございます。  結果的に見ますと、先生指摘のとおり、六十三年度には約二千億円という売却実績でございまして、これが平成元年度にはまだ二千八百億円弱という程度で、平成元年度にはまだ大きな上昇を見ておりませんが、平成二年度、三年度になりまして八千億円台の売却収入を上げる、平成四年度には九千億といった売却収入を上げるということになりまして、やはり我々としては一生懸命努力をしてきたつもりでございます。  若干、何と言いますかタイムラグがありますのは、土地処分というのがやはり関係者といろいろ調整をしなければいけないといったようなこともございまして、多少時間がかかったという点は御理解を賜りたいと思っております。
  80. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 タイムラグが半年、一年ならまだわかりますよ。私は、この数字、実績を見て、タイムラグが五年だか十年だかかかっているんですよ。つい最近を除けば一兆円の大台にのったことがないんですよ。何千億円で始まって、そのままずっと何千億円単位。これが仕事じゃなかったのか。  私はそういう意味で、先ほどの土地対策関係閣僚会議の決定をかなり重いものと見なければいけないんじゃなかったかと思うんですよ。平成元年の二月でしょう。その後、平成元年の十二月にはそのことを非常に心配して閣議決定されているんです。  どうもぴんときていないのか、あるいはあえてそういうことを装っておられるのかあれですので、私の方から申し上げますけれども、平成元年二月に出された土地閣僚会議の解除、さらに十二月にはそのことを強調して、「事業団の原則的な土地処分方法である一般競争入札による処分については、「緊急土地対策要綱」及び「国鉄清算事業団用地等の一般競争入札による処分について」」、これ今言った閣僚会議の申し合わせですが、「に従い、地価対策に配慮しつつその拡大に努めるものとする。」と。「拡大に努める」ということをあえて第一項目にこの閣議決定の中で言っている。  ちょっと前後しますけれども、その前段を読み上げますと、「事業団債務等から発生する金利等は年間約一・五兆円であり、事業団債務等の処理は、いわば金利との競争である。このまま推移すれば発生金利による債務等の累増が避けられない状況となっている。」、こういう危機感を平成元年十二月の閣議決定ではしっかり持っていたんですよ。だから、「地価対策に配慮しつつその拡大に努めるものとする」ということを主眼とした閣議決定を行っているんですよ。にもかかわらず、この成果たるや、一回出されたブレーキに酔いしれてというか、甘んじてというか、仕事をされてないんじゃないか、こう思わざるを得ないんです。  監督官庁としての運輸省にこれ以上評価を求めても内容のあることは期待できないと思いますので、少し具体的に伺いますけれども、今、清算事業団の役員数と年間所得の合計、それから職員数と年間所得の合計、これだけわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  81. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 本年四月一日時点におきます清算事業団の役員数は八人でございまして、九年度の認可予算ベースでの役員の年間給与の合計額は一億七千八十四万円でございます。それから、同時点におきます清算事業団職員の定員でございますが、千九百六十一名でございまして、九年度認可予算ベースでの職員の年間給与の合計額は百七十三億五千九百七十二万円でございます。
  82. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そうしますと、約百七十数億円の給与が現時点だから、もっと人数が多かったんでしょうけれども、直近では百七十億円程度の給与が支払われているということですが、役員が八名、その役員の給与の合計が一億七千万、これを八で割ると二千万を超えるんですね。二千万が高いか安いか、どう判断していいのか、これも伺いたいところですが、ちょっと今のに加えて、それでは清算事業団の理事長の年間所得、これはどのくらいになるんですか。
  83. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今年度の認可予算ベースでの理事長の年間の給与でございますが、これは三千三十二万円でございます。
  84. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 何か大変な数字が出てきて、大臣、大変恐縮ですけれども、大臣はどのくらい年間所得がおありなんでしょうか。私の場合で二千数百万だと思うんですけれども。
  85. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私の家庭は家内が全部管理することになっておりますので、歳費から大臣に就任してどのくらいベースアップになっているか定かに把握いたしておりませんが、恐らく三千万前後の年収ではないかというふうに御理解いただければ余り違いはないんじゃないかと思います。
  86. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 そうしますと、国鉄清算事業団の理事長の給与に近づいてきたということでしょうかね。  それで、理事長が三千万を超える給与をもらっている。それから、役員も一人一人はここでは避けますけれども、八人で一億七千万ですから、平均して二千万を超える。八人の役員が二千万を超え、また理事長は三千万を超えるという給与が支払われていて、どういうふうに評価していいのか難しいところだと思うんですけれども、まず、どういう基準でこれを決めているのか、それを伺いたいと思うんです。
  87. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 清算事業団の理事長の給与の額でございますが、これは法人の業務内容や事業規模に応じまして特殊法人全体の中でのルールがございますので、それに基づきまして決められている、こういうぐあいに承知しております。
  88. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 ちょっと聞き取りづらかったんですが、業務内容にかかわらずと言ったんですか、それとも業務内容も勘案してと言ったんですか。
  89. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 業務の内容や事業規模に応じましてということでございます。
  90. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 業務内容の中にはどれだけ仕事をしたかというのは入って、当然査定されたり、国民的感情からすると、こんな大事な仕事ですからそういった判断があるんだと思うんですけれども、そこはどのようになっているんでしょうか。
  91. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 清算事業団といいますのは、大変巨額の債務処理するというのが責務でございまして、そのために土地株式処理を行うためにみずから各方面と調整をしてもらうといったような点で大変御苦労も多いことであろうと思いますが、そういった面は法人の業務の内容であるとか、あるいは事業規模に応ずるというような点で反映されているものと私ども思っております。
  92. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 先ほど申し上げた業務の実績、今の答弁だとよくわからないんですが、要するにそれには関係なく支払われているという趣旨だと思うんですが、そんなことでいいんですか、こんな大事な問題で。しかも、ある意味では六十二年にストップかけられた、平成元年、そのストップの一年半後に解除された、さらにその半年後にその解除を強調する閣議決定がなされた。そういう中で、この仕事ぶりというのは私は随分のんびりした、専ら用地の売却が仕事なんですね、私はそう思うんです。大変仕事としては不十分だ、こう思うんですけれども、もう一度運輸省のお考え、評価をお伺いします。
  93. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 土地処分等々、御指摘がございましたけれども、やはり土地区画整理をきちんとしなければいけないとか、あるいはそういうことも含めまして自治体との調整が十分行われなければなかなか進まないとか、そういったような点で、大変関係方面との調整をしなければいけませんので時間がかかるという要素があることもまた事実でございまして、私どもは清算事業団が理事長以下、この問題に関しまして一丸となって鋭意取り組んできたというぐあいに思っております。  そういう点から見まして、私どもといたしましては、大変困難な業務、しかも予算規模も大変大きい特殊法人でございますので、そのようなことに応じまして給与が決められている、こういうぐあいに理解いたしております。
  94. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は、三千万というのは高いのか安いのか、何か判断の材料なりいただけるものと期待して質問しているんですが、どうも余計わからなくなってきた。  これは私の個人的な見解ですが、連日、大臣大臣として御活躍されるお仕事ぶりと同じ額の給与をこの国鉄清算事業団の理事長が得ているということがどうしても理解ができない。また役員については、これは八人中四人が役人のOBなんですね。運輸省から二人、大蔵省から一人、自治省から一人、これは責任の重みを人数であらわしているのかなとも思えないこともないんだけれども、それはともかく、こういつた、ある意味で高額ではないかと思われる給与を国鉄清算事業団、特に役員が得ているということについて、国民感情からしてやはり非常に抵抗があると思うんですが、その点について、今までのこの件についての議論を総括する意味で、大臣の御所見を伺いたいと思  います。
  95. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 一番難しい質問だと思いますが、確かに国鉄清算事業団の業務というのは非常に時間のかかる、また緻密ないろんな交渉事だとかそういったものの多い、御苦労の多い業務だというふうに私自身は理解いたしております。  そういう意味で、理事長の給与だとか役員の方々の給与というものが適当かどうかということは、今先生もくしくもおっしゃっていただきましたけれども、判断材料というものがきちっとないわけでございます。それだけに、この給与というものが私個人としてどうかというお尋ねだと思うのでございますが、残念ながら私の人生経験や力量、それから知識等を振り返ってみますと、人様の給料が高いかどうかということを評価できるほどまだ人間形成ができていないというのを非常に残念に思います。
  96. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 大変謙虚のようですけれども、責任者としては非常に頼りない、そのように私は思いました。  それでは、別の質問になりますけれども、先日、毎日新聞の四月二十日付なんですけれども、「JR会社が千二百万献金」ということが、このように一面だったと思いますけれども出ているんです。別にこれ自体が法律違反だとかそういうことで申し上げたいわけじゃなくて、ちょっとこの辺について事実関係の確認を中心にお尋ねしたいと思うんです。  まず、子会社ではなくてJR各社については政治献金が制度上できるのかどうか、また、その根拠についてもあわせて伺いたいと思うんですが、自治省来ていますか。
  97. 岩尾隆

    説明員(岩尾隆君) 政治資金規正法によりますと、その二十二条の三でいわゆる質的制限と申しておりますけれども、例えば、国から補助金、そういうものを受けている法人、これは一定期間原則として政治活動に関する寄附をすることができない、こういう規定がございますし、また国から資本金などを受けている、こういう会社につきましても政治活動に関する寄附をすることができない、こういう規定はございます。  ただ、本件の団体につきましては、事実関係を私ども承知する立場にございませんので、これに該当するかどうかを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  98. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 聞いていることを差し控えちゃったら何にも答えになっていないので、例えば、株の保有については国鉄清算事業団が相当部分持っているということは事実なんですけれども、その事実を踏まえたらどうですか。
  99. 岩尾隆

    説明員(岩尾隆君) 今申しました二十二条の三は、国から資本金等の出資でございまして、国からでございます。ですから、清算事業団からは国に該当いたしません。
  100. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それではできると、つまり、抵触をしないという明確な判断をされたということで受けとめていいのかどうか。
  101. 岩尾隆

    説明員(岩尾隆君) ただいま申しましたのは、清算事業団からの出資は国からの出資に該当しないということでございまして、そのほかに補助金があるのかないのか、私ども承知しておりませんので、これには該当いたしませんが、JRができるかどうかにつきましては、私どもとしてはよくわからないということでございます。
  102. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、監督官庁である運輸省はその点についてはどう把握しておられますか。
  103. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 補助金でございますけれども、JR各社鉄道関係で受けている補助金は戦傷病者等無賃乗車船等負担金だけでございます。このほかに、鉄道整備基金を通じまして、補助金として踏切保安設備整備費補助金等が交付されております。  これらが政治資金規正法に言う国からの補助金として取り扱われることになるのかどうか。この補助金につきましては、経営に資するものといったような一定の要件があるというぐあいに聞いておりますけれども、そこを政治資金規正法上どう解釈するかは、これは自治省の御担当であろうと思います。
  104. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、今のことを踏まえて自治省。
  105. 岩尾隆

    説明員(岩尾隆君) 二点あったと思います。  一点は、鉄道整備基金からの補助ということでございまして、これは先ほどと同じことでございまして、鉄道整備基金は国とは違う法人でございますので、これにつきましては該当しないものでございます。  ただ、前段ございました戦傷病者等云々ということでございましたが、これにつきましては、二十二条の三は補助金云々のほかに括弧いたしまして、性質上利益を伴わないものは補助金であっても構わないという規定がございますので、これに該当するかどうかにつきましては、お話を詳しく伺わなければ、この場ではちょっとわからないということでございます。
  106. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 JR各社が政治献金を政治資金規正法上、制度上できるかどうかということを端的に聞いているわけなんですけれども、所管している運輸省も役者が全部そろっておられる、そして法律を所管している自治省もいらっしゃるという中で、今の答弁だと何が何だかさっぱりわからないんです。  もう一度お伺いしますけれども、JR各社は政治献金を制度上できるのかどうか、それについてもう一度お答えいただきたいと思います。
  107. 岩尾隆

    説明員(岩尾隆君) 申しましたのは、一つは、鉄道整備基金からの補助金はこれに該当しないということでございます。もう一点は、清算事業団からの出資もこれに該当しないということでございます。  ただ、それ以外にどういう補助金があるのかは私どもはわかりませんので、例えばこれ以外に、運輸省からは今申しました一つあるということでございますが、ほかの省庁からもらっているかもらっていないか、私ども承知しておりません。ですから、今申しました二点につきましては構わないわけでございますけれども、それ以外にあるかどうかわかりませんので、JRがいいかどうかはちょっとこの場ではお答えできませんということでございます。
  108. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 委員長にお願いしたいんですけれども、これだけ関係者がそろっていながらJR各社のこの問題についての判断ができないとおっしゃる。それでしたら、よく調整されて、その結果についての報告を当委員会に求めたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。
  109. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 今の横尾君の件は、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  110. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 それでは、運輸省は、JR各社が政治献金をしているかどうかについて、事実関係はどのように把握されているんですか。
  111. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) JR各社に聞いたところ、JR各社は政治献金は行っていないという回答を得ております。
  112. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 JR各社は、今の自治省の話だとどうも抵触するものはなさそうだけれども、やっていないということだそうです。その点については、後ほどまた資料をいただけるものと期待しております。  JR各社についてはそういうことなんですが、それではJR各社が一〇〇%出資、一〇〇%がどうということじゃないんですが、一つの例として一〇〇%出資している子会社、これについては運輸省は政治献金の実態をどのように把握しているのか。  つまり、具体的に言うと、先ほど言ったような記事がぽんと出て、私も国民もどうやって受けとめていいのか、あれはどうももっともらしいぞというような感じもあるものですから、やっぱりはっきりさせておいた方がいいんじゃないかという意味で、この場でわかる部分については少しでも明確にしておきたい、こういう観点でございますので、どうかそれを踏まえてお答えいただきたいと思います。
  113. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 子会社が政治献金をどのように行っているかにつきましては、私どもは把握いたしておりません。
  114. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 今後、その点について把握するつもりはありますか。
  115. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 私どもは、鉄道事業の監督をしているというのが主として運輸省とJRとの関係でございまして、政治献金の状況につきまして、特に子会社がどのような状況であるかというのを把握すべき立場ではないと考えております。
  116. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私が申し上げているのは、先ほど言ったような記事が出て、国民もそうだそうだという部分も出てきて、本当にそうなのかどうかはわからない間に、もしかしたら間違った認識が広まってしまうということを一部では心配しているんです、それだけじゃないんですけれども。  事実、今回は、原点にさかのぼればJRがすべて悪かったとか、そういうことを言っているんじゃないんですよ、JRに絡んで、もしかしたら二十数兆円もの国民負担が新たに出てくるかもしれない。これ大問題というか巨大問題ですよ。  そういう中で、JRの株そのものも国鉄清算事業団が相当部分をまだ保有している。この国鉄清算事業団というのは、言ってみれば準国営というか、どういう言葉が適当かわからないけれども、要するに公ですよ、私企業じゃないです。つまり、逆に言えば、税金がそれなりに入っているということです。その税金が入っているJRの各株式。そのほかにも、JRについては当初、国鉄JRへの事業の引き継ぎに伴って必要な資産等の財産を現物出資することとされた、これは運輸省からいただいた資料なんですけれども。要するに、JRに対して、国鉄というのは国有鉄道ですから、国の側が必要な資産等の財産を現物支給したという事実があるわけです。それに加えること、今申し上げた清算事業団株式の保有がまだ相当数ある。  こういう中で、JR関係がどれだけの努力をみずからしようとしているのか。JRからふんだくろうとか、追加の負担をしてもらうというのは、これは全体の議論の中で、もっと恐らくダイナミックな議論の中で今後展開される一つのメニューだとは思いますから、そのこと自体を今申し上げたいわけではありません。  少なくとも、今できるJR側の努力として、JR本社がみずから、公のお金が相当入っている、税金も入っているから政治活動はしませんということで、恐らく政治献金は控えているんだと思うんです。この新聞によりますと、私も一部は確認しておりますので、すべてではありませんけれども、みずからかどうかわからないけれども、JR各社が自粛しているのか、ないしはやっていない政治献金を、一〇〇%出資の子会社はやっているという事実があるんです。  このこと自体は法律違反ではないけれども、事の異常性、二十数兆円もの国民負担をどうするかという、こういうときの原因者の側に立っている者が、それなりの自粛あるいは自重といったことが国民の側から見えるようになるということも一つ大事な要素ではないか、こう思うんですけれども、局長いかがですか。
  117. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘のような点がないわけではないと思いますけれども、ただ政治献金という問題そのものに関しますと、JR各社は、子会社の政治献金の取り扱いは政治資金規正法の規定に抵触しない範囲におきましてそれぞれの子会社の判断において対応する問題である、こういう基本的な立場であるということでございます。  私どもといたしまして、JR各社がこのような考え方をとることにつきましては、JRとその子会社というのは独立した別の主体であるということから、このこと自体に特に問題があるとは考えておりません。
  118. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 問題だと考えるかどうかというのは国民の見方なのであって、もう既にこういう意見が今言ったように出ているわけです。だから、ほっておくよりもやはり国民に対してわかりやすく正しい、シロクロという意味じゃないのですけれども、納得のいく対応をされることがあらゆる面で要求されるということを、あえて非常中の非常事態という前提で、通常ならばこういうことはまた少し格の違う問題かもしれませんけれども、すべての関係者が可能な限りの努力をする、そういう立場に立って一つの問題を申し上げたわけであります。念のためにそのことを申し上げておきたいと思います。  それから、前にも質問ありましたけれども、財投について伺いたいと思うのです。  財投に依存し続けてきたと、ここでは名前は申し上げませんけれども、JR関係の中心中の中心の人物が雑誌などの原稿で明確に、国の対応は大体これはおかしい、基本的に破産団体の清算人である国鉄清算事業団に対して高利の財投を貸し付けてそれをずっと続けている、当初の財投についての金利が七%、最近では五%台、こういうことも挙げながら言っているのです。  そのくだりをちょっと結論部分だけ御紹介しますと、これはJR側の方が具体的に言っているのですが、  このように、国は財政投融資資金国鉄清算事業団に貸し付けて金利収入を得てきた。しかも、巨額の債務償還を進めるために早急に実施すべきであった土地売却という手段を地価への配慮だとして国鉄清算事業団から奪っておきながら、その金利負担には何ら対策を施さなかったのだから、単に問題の先送りというだけではすまされない。  JR自身、国は何をやっておるのかと。これだけのことを国がやつちゃったのだから、勝手にといっては乱暴ですけれども、どうぞ国の責任でやってくださいよという意味だと思います。私もこの部分については、この方の言うことすべてを肯定するわけじゃないのですが、この部分については当たっていると思います、同じ意見です。  財投に依存し続けてきたことについてどのように考えておられるのか、局長の後に大臣にもお伺いしたいと思います。
  119. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 私から、まず財投といいますか借り入れの際の今までの考え方につきまして、若干実務上の観点からの御説明を申し上げたいと思います。  先生御承知のとおり、清算事業団は大変多額の借り入れを行いますが、その際に、基本的に幾つかの観点でどのような調達をするかということを考えるわけでございます。その場合、第一点は、長期間安定的な金利の資金が必要であるという要請でございます。二番目に、他方でできる限り低金利の資金を調達する必要があるという要請でございます。  この二点、長期間安定的であること、一方、できる限り低い金利であること。これは当然のことながら、長期的な金利でございますと金利が高くなる、一種のトレードオフの関係にございますが、この二つの要請をどうやって調和させるかということを基本といたしまして、毎年その時々の資金需要、あるいは清算事業団にあります資金需要、それから全体としての金融界の状況等々を考えながら、その都度判断をしてきたわけでございます。  結果的に見ますと、民間の低利資金をもっと導入すべきではなかったか、こういつたような御指摘がございますが、この点に関しましては、この低金利が長期間にわたって続くということを予測することがなかなか困難であったということも御理解賜りたいと思っております。
  120. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいま鉄道局長の方から御答弁申し上げましたけれども、国鉄清算事業団が借り入れるにつきまして、その時々においていろんなことを考えられ、一番有利な借り入れということで財投からの借り入れを行ってきたということは理解できるわけでございますが、結果といたしまして、この財投の金利が債務累増につながったということは事実でありますから、そういった反省を兼ねて今後検証していく必要はあろうかと思います。  いずれにいたしましても、国鉄長期債務の本格処理について、この財投の位置づけという問題についてはその時点で検討していくことが必要だろうというふうに認識をいたしております。
  121. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 前後してしまいましたけれども、大蔵省はこの問題についてどのようにお考えですか。
  122. 楠壽晴

    説明員(楠壽晴君) 国鉄清算事業団に対する財政投融資でございますけれども、昭和六十二年四月の国鉄分割民営化国鉄清算事業団は二十五・五兆円の債務を引き継ぎました。それで、国鉄清算事業団は、長期債務の本格的な処理が行われるまでの間、当面、土地処分収入等の自己財源のみでは長期債務の元利払いや年金負担の支払いが賄えないことから、資金繰りのための資金が不可欠となったところでございます。  国鉄清算事業団に対します財政投融資は、このために必要なつなぎ融資としまして、国鉄改革法第十六条、また昭和六十三年一月の閣議決定の趣旨を踏まえ実施してきているものでございます。
  123. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 どうも解決とは全然関係ないことを答えられているような気がします、大変失礼な評価で申しわけないとは思いますけれども。  それで、せっかく建設省にお越しいただいているので、一問だけお伺いしたいと思うんです。  私は、今回の問題、これは冒頭にも申し上げましたけれども、どれだけ歳出を削減するかということはかなり絶対的に基本にならざるを得ない。ただ残ったものは何でもいいから国民負担で増税だ、あるいは借金のツケ回したということで片づけるわけにはいかないというふうに考えておりまして、そういう意味では、公共事業の歳出削減というのは中心の柱の一つであることには間違いなかろう、こう思っておるんです。  そういった観点から、大変気になることなんですけれども、総理はいつも財政構造改革に際しては聖域を設けないということを強く明確に指針として、また旗頭として使っておりますけれども、建設省が、主に建設大臣の言動なんですけれども、公共事業は聖域とは別だというニュアンスのことを言われたり、あるいは揮発油税等に代表される道路特定財源は別だと、あたかも既得権にしがみつくような態度をとられているように見えるんです。そうだとすると閣内不一致でもあって、これは国民はどうとらえたらいいのかと迷うわけです。この点について、建設省は聖域を設けないとする総理の考え方に沿って認識をされるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  124. 倉林公夫

    説明員(倉林公夫君) 建設大臣のお言葉に私が解説を加えるのはいかがかと思いますが、我が国の社会資本の整備は、かなり諸外国に比べて投入しておりますけれども、スタートがおくれたということもあっていまだ立ちおくれているという状況でございます。そういう意味では、高齢社会を前に早期に効率的に整備を進めることが急務であるというふうに考えております。一方で、将来を見据えて、財政状況が非常に危機的な状況にあるということも事実でございます。  そういったことで、そういう財政再建の必要性を十分踏まえた上で、建設大臣としては、しかし公共事業の縮減によるいろいろな地域経済に与える影響とか、そういったものについて発言をされているというふうに考えております。  そういう意味で、社会資本整備はまだまだおくれております。しかし、一方で財政再建という問題もございます。そういう中で建設省といたしましては、いろいろな面で公共事業の一層の効率的な実施あるいは重点化などによってより投資効果が上がるような整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  125. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 終わります。
  126. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  127. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本国有鉄道清算事業団債務負担軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  128. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 話は古くなりますけれども、十年ほど前に分割民営をめぐっていろいろと論議が行われました。メンバーがすっかり当時と運輸委員会は変わってしまいましたけれども、私は生き残りの一人みたいなもので、十年前のことをまだ覚えております。  そこで、その当時の国鉄改革、未来を開くために分割民営といったようなことを内容にした監理委員会の答申が出たわけですよ。それで、これをやれば国鉄はよくなる、こういうようなことだったのでありますけれども、現状は、長期債務なんてものは理想的にいけばなくなっているわけなんだけれども、なくなるどころかだんだんふえてきて二十八兆などと言っております。  けたが違うんですよ。住専のときは六千八百億というとえらい大金だなと思ったんです。ところが、一けた上がって兆になるっていうと何千何百兆じゃないから、六千何百億が何十兆になるんですよ。何となく何十兆というと大した金じゃないような気がしちやうんですね。ところが、実際にはけた違いなんです。このけた違いの長期債務をどうするかという問題が、これは深刻な問題です。  今までの論議を聞いておりますと、どこからその金を引き出すかという当てがないんですよ、率直に言って。大蔵省の、つまり政府の負担でどうかというと、大蔵省の方はそうはいかないと言うし、JRの方ではもう限界を超えちゃっていると言うし、じゃどうしたらいいのか、八万ふさがりのような話になっているんです。ふさがりっ放しで済ますわけにいかないですから、そうすると何とかしなきやならぬということになるでしょう。  そこで、これからいろいろと有識者の参考意見も聞かせてもらって対策を講ずるわけでありますが、じゃ監理委員会の答申が正しかったかというと私はそうじゃないと思うんですね。終わりよければすべてよしという言葉があるけれども、終わりがよくなかったんだから。だからといってやり直しがきかない。だから、どうしたらいいかという問題が出てまいります。  監理委員会の当時の十年前の論議に戻りますけれども、監理委員会のメンバーはどういうメンバーだったかというと、委員長が亀井正夫さんですね、それで委員長代理が加藤寛さん。それからあとはメンバーで、委員では隅谷、住田、吉瀬、こういうメンバーの方がそろっておりますけれども、この中で運輸省出身というのは住田正二さんです。亀井さんというのは住友電気の代表取締役会長をやっておられる。加藤寛さんは慶応大学の教授をやっておられる。こういうメンバーであります。だから、事実上この監理委員会の答申を書いた人はだれかということになるのでありますけれども、私は住田さんじゃないかと思っておるんですよ。あとの人は素人なんですから。そうすると、素人以外の玄人というのは、運輸省から行ったのは住田さんだということになる。  それで、この委員会でもっていろいろと論議があって、そのときに監理委員会の見解を聞こうという段になると、なかなか監理委員会が出てこないんですね。それで、途中でもって、どうして出てこないんだというような話になったんです。それで、鶴岡委員長だったか、鶴岡運輸委員長が腹を立てて、じかに電話をかけて、監理委員会から出てこいと、こういうことを言ったことがあるんですよ。これは理事会で問題になりまして、それでやっと出てくるには出てきたけれども、時間の制限を言ったりなんかして、もう実際問題として監理委員会を相手取ってのやりとりというものはできなかったんですよ。だから、ああいうような形でもって監理委員会の答申がうのみにされてしまった。  こういう経験があるのでありますけれども、これらの問題についてあれでも監理委員会の答申は正しかった、あのとおりであるというふうにお考えになるのか。やっぱりやり直しをする、あるいはやり直しとまではいかないけれども修正をするということが必要だというふうにお考えになっているのか。その点をまず冒頭にお聞きしたいと思うんです。
  129. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 国鉄再建監理委員会の意見につきましては、その後、政府といたしましてもこれを尊重するということで、その後の国鉄改革の関連法案の提出となり、国会での御審議を経まして国鉄改革が実施されたわけでございますから、私どもといたしましては基本的には国鉄再建監理委員会の意見というのは正しかったのではないか。  その後の国鉄改革の評価といたしましても、そもそもその国鉄改革をやりました基本理念が、国鉄事業の破綻がもう先生も御承知のとおり公社制度による全国一元的な経営にあるという、経営形態そのものにあるという考え方のもとから、これを効率的で地域の実情に即しまして、かつ責任ある経営を可能とするということによりまして国鉄事業の再生を図ろうとしたものでございます。そういったようなところがら出発しましたJRは全体としては高い生産性やサービスの向上を実現してまいりまして、鉄道事業の再生という観点からはおおむね順調ではないかと考えております。  ただ、御指摘ございましたように、清算事業団に残されました長期債務等の本格的処理策、これをどうするかという問題、あるいはJR北海道四国九州、それからJR貨物、これらの完全民営化という問題、これらの大きな課題が残されているのもまた事実でございます。ただ、国鉄事業の再生、鉄道事業の再生という観点からはおおむね順調であると私どもは考えております。
  130. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 局長の答弁、その調子でやられるというと、時間はすぐ終わってしまうんです。  そこで、じゃ簡単にお聞きしますけれども、答申の中で「外部からの干渉」というのがあるんですよ。それで、「国鉄においても、予算、役員人事、運賃、重要施設に対する投資等経営上の重要事項をはじめとして、非常に広範囲にわたり国会あるいは政府の関与を受けている。」、こういうことが書いてあるんですね。国会または政府の関与を受けているということがはっきり書いてあるんですけれども、じゃどういう関与を受けたのか。あるいは大事から運賃、重要施設すべてにわたって経営上の問題について関与されているということが書いてあるんですけれども、今ちょっとわかりやすい例を挙げますと、全日空の人事でもいろいろ問題ありましたね。結局、大臣も、余り古い人がそのまま残っているのはいいとか悪いとか、いろんなことをやったんだけれども、会社のメンバーが変わってしまった、こういうことが実際にあったわけです。  昔の話をするとやっぱりそういうことがあったのかなと思わせるんですが、監理委員会の指摘は具体的じゃありませんけれども、そういう事実があったということをお認めになるのかどうかお伺いしたい。
  131. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘のとおり、「外部からの干渉」ということで、「国鉄においても、予算、役員人事、運賃、重要施設に対する投資等経営上の重要事項をはじめとして、非常に広範囲にわたり国会あるいは政府の関与を受けている。」と、このように意見ではなっているところでございまして、私どももそのような事実はあったんだろうと、こう思います。
  132. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 あったんだろうということは、そういう話は聞いていないということですか、もう忘れたということですか、どっちなんですか。
  133. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 大変恐縮でございますが、私自身、当時の国鉄そのものの行政にタッチしておりませんが、したがいまして、具体的な事案でどうこうということはございませんけれども、一般的にはそのようなことであろうというぐあいに思います。
  134. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 抽象的な話をやりとりしておると聞いている人もおもしろくないと思うので、具体的な例を挙げます。  これは私自身が質問したことなんです。新幹線、上野から東京の間を結ぶ前に、御徒町でもってやりかけの地下工事が陥没したということがあるわけです。陥没をしたといっても、幸いにして死傷者は出なかった。その上を人なり車なりが走っていて一緒におっこちたということになると、これはかなりの犠牲者が出た可能性があるんです。そのことについて私は運輸委員会で質問したことがあるんです。そのときの答弁はどういうことだったかというと、監理委員会の方から一つの提言があったと、復旧の工事はやめろと言われたので、それでやりかけのトンネルをやめてしまったと、こういうことが答弁としてあったんですよ。  トンネルなんというのは、あれ途中でやめるというと役に立たないんですね、全然。通るわけにもいかないし、あったからといって費用の節約になるわけでもないんです。やりかけのトンネル工事を途中でやめるぐらいばかげたことはないんです。だけれども、監理委員会から言われたからやめちゃったというんです。それが原因で陥没しちゃったと。だから、そのときに監理委員会あって大臣なしというような印象を受けたんです。大臣に聞いてみても、これは監理委員会の方で言われたから、そういう示唆を受けたからやめたんだと言っている。  監理委員会の方は、じゃ出てこいと、こう言ったら、言を左右にして出てこないんですよ、監理委員会のメンバーが。出てくるとすると、もう一番の御大が出てきて抽象的なわけのわからない答弁をする、これじゃしょうがないじゃないかと。実際にこの答申をつくった人間を呼んできてくれといってもらちが明かないんです。だから、ごまかされてしまうんですね。今の局長も大臣もその畠時のことは知らなかったかもしれないけれども、そういう事実があった。  私、今この会議録の中を読み直してみたんです。これを読み直すというと時間がすぐ終わっちゃうから、概略だけ申し上げたわけなんです。  監理委員会あって大臣なしと、こういうことじゃしようがないじゃないか。労使関係の不正常とかあるいはもろもろの問題がいっぱいそれから出てきている。今日に及んでは膨大な長期債務が残っちゃっている。  この長期債務をどうしたらいいのかということで、名案が浮かばないんです、全然。名案が浮かばないけれども何とかしなきやならないんですよ。そうすると、結局は株を売るとか土地を売るとかいうようなことを今までやってきた。しかし、売るものはみんな売ったというんですね。だけれども、どこのお店だって倉庫の品物をみんな売ってしまえばあとは売るものはなくなっちゃうんです。このJRの場合だって、これは土地を売るといっても売れるものはもう売れちゃったんでしょう。今残っているのは、線路をはがして使えないような跡地だけになっちゃう。そうすると、交通の便利は悪いし、時々クマが出てくるなんというところはだれも買い手はないですよ。こういう状態になっていて、じゃ株がどうだと。これも水ものですから、ほいきたとどんどん売れるというわけにいかないです。  そうすると、財政的にどうやって穴埋めをしていいかということは行き詰まってしまう。行き詰まったからほっておいていいかというとそうはいかない。そこで今度は日本の財政の問題になるし、それから、そもそものこれは根本にさかのぼると、こういうようなことでいいのかどうか、縦割り行政というものについても考え直す必要があるんじゃないか。  だから、陸海空と交通にはいろいろあるけれども、道路は道路でもってやはり建設省の方で所管をしている。こういつたようなことは、交通行政の一元化をするということを考えたらどうだろうか。西ドイツなんかの場合は東西ドイツでもって分かれたのを一緒になったというようなことでいろんな苦労があるようでありますが、これも細々と申し上げませんけれども、交通省といったような形でもって一元化をする。鉄道であろうと飛行機であろうと自動車輸送のための道路であろうと、貨物、旅客を含めてこういう交通行政を一元化して、交通省のような形でもって大臣はこれをまとめていく、こういうような構想をとったらどうなんだろうか。  予算の分捕り合いとかなんとかということがあっても困るし、そういうことはやらないで、大所高所に立って日本の交通行政はいかにあるべきかと、こういう立場に立って判断をしないと政治家としての判断にならないと思うんです。それぞれの狭い視野でもって予算の分捕り合いをやるような格好になったんではこれはしようがないだろうという気がするんです。  そういう意味での交通行政の一元化というものは考えられないのかどうか。これはもう一にかかって政治的な問題でありますので、大臣の見解を承りたいと思います。こういう問題に対してどういう答弁をするかということが政治家としての真価を問われると思うんです。ひとつよろしくお願いします。
  135. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 答弁によって真価を問われるということでございますと、大変緊張して答弁をいたしますが、先生指摘のように、行政改革という大きなテーマの中で今後それぞれの省庁の再編問題という問題についても議論を始めようということで、今さまざまな角度から検討を始めたところでございまして、今おっしゃるように陸海空の交通体系の一元化、こういった問題も当然その視野に入れて私は前向きな検討が必要だろうと、こういう決意でこの行政改革の省庁再編に向かっては推進していきたいと考えております。
  136. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 行政改革が具体的にどういう形でもって行われるかということはやはり内閣に対する評価とつながりますから、あいまいなことをやっているというと何だということになるんですよ。だから、この行政改革という一つの大きなテーマが出てきた以上は、特に運輸省の場合は、陸海空のそれぞれにわたっている交通問題をどういうふうにするかということが一番大きな問題でしょう。それがすぱっと割り切った形でもって、なるほどそっちの方がいいというふうにみんなから思われるような形でもって解決しないと、これは何やつているんだということになると思うんです。  だから、その点で私は一つの勇断が必要だろうと思うんですね。それらの勇断を振るって交通行政の一元化を図るという構想がおありかどうか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
  137. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいま申し上げましたように、私といたしましては、各省庁間のそれぞれの調整の中でこれから省庁の再編を考えていくわけでございますが、今先生が御指摘いただいているような交通体系の総合的な一元化、このことは非常に大事な分野だと思っておりますから、そういう観点に立って省庁の再編に当たっては検討を進めていきたい。非常に前向きな姿勢を先生と同じように私も持たせていただいているということを御理解いただきたいと思います。
  138. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そこで、先般も申し上げましたけれども、もし今急いでやるべきことがあるとすれば何か、後回しでもいいものがあれば何かというふうに分けて、そして緊急にやらなければならないことはやはり長期債務返済だろうと思うんです。  大蔵省の方との話が、そこへ行くというといろいろと問題になってくると思いますけれども、先ほどの質疑を聞いておりますと、大蔵省がもう予防線を張る、おれの方にひとつ考えてくれと言われても困るよと。一言で言えば予防線を張るという感じを受けたんです、予防線を張られて、大蔵省の方もだめだと。それから、自前の方で何とかしょうと思っても、財布を逆さにしてももうこれ以上は出ないということになると行き詰まってしまうんですよ。行き詰まったままではいけないと思うから、打開しなきやならない。打開をするための妙案を考えるのは、これは運輸省の責任であり、運輸大臣責任でもあると思うんです。  どのようにして当面のこの難問を打開するということができるか。これは具体的な問題になってまいりますから、突っ込んだ意見を遠慮なく出してもらった方がいいと思いますので、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
  139. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) たびたび答弁をさせていただいて繰り返しになって恐縮でございますけれども、今先生がおっしゃっていただいておりますように、この国鉄長期債務処理につきましては運輸省がもちろん中心になっていろいろな御議論を今いただいております。  それは、一つ財政構造改革会議の場もそうでありましょうし、各党間で検討委員会の場で御論議いただいているのも参考にさせていただくでしょうし、また各界のそれぞれの御意見というのも、こうした大きな国民関心事の問題でございますから、関心がだんだん深まってきている中でいろいろと御論議が始まってきている、こういう状況にあるわけでございます。  今先生がおっしゃっていただいたように、当然運輸省だけで解決できるという問題ではございません。各省庁間の綿密な連携はもちろんでございますけれども、とりわけ財政当局との徴密な連携と申しますか協力と申しますか、そういったことが不可欠であるということは当然のことだと思っております。  そういうことを踏まえながら、今あらゆる選択肢を、ただいま申し上げましたような各界の分野の中での御論議を私どもは十分検討させていただきながら、できるだけ早い機会に運輸省が考えられる原案と申しますか、そういったものをまとめながら、財政当局の協力と連携の中で、政府一丸となって九年じゅうにこの成案を得るということを閣議で決定させていただいているわけでございますから、その線に沿って全力を尽くしていくという決意でおります。
  140. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 新幹線問題についてもお伺いしたいと思うんですけれども、こういう財政難になった以上は、新幹線はちょっと待てというような意見も出てくるかと思うんですよ。しかしへ新幹線のような高速の交通機関というのは飛び石じゃまずいと思うんですね。飛んでいくわけにいかないんだから、飛び石じゃまずい。つなぐところはちゃんとつながなきやならない。  だから、単に先延ばしをするということはこれは意味のないことになる。先ほどもちょっと触れましたけれども、あの御徒町でもってトンネルが陥没事故を起こした。もう監理委員会からはちょっと待てと言われて、そのまま待った。意味はなかったんです、時間つぶしで。待ったからその間にひとりでにつながるというものじゃないですよ。そうすると、その間は全く意味のない空白期間が残ってしまう。  私なんかは、やはり新幹線が上野でとまらないで東京駅までつながるようになって大変便利になったと思っているんですが、あれがつながらないというと乗りかえをしなきやならない、上野でもって。乗りかえのためには、多くの人は乗車効率が非常に高い山手線、京浜線に乗ってこなきやならないと思うんです。  だから、そういう意味からいうと、今残っている新幹線の問題にしても、やはり単にしばらく待ったということじゃなくて、つなぐことによって効率の上がるものはなるべく早くつないでしまうというような方法をとらなきゃいかぬと思うんですが、整備新幹線の問題と絡んでくるんですけれども、これらの問題は中途半端にしないで、私はつなぐところはつなぐという工事を進めるべきではないかというふうに思っておりますが、その点についての大臣の見解。  それから、伝えるところによると、整備新幹線の方も少し待たせようじゃないかという意見もあるかのように聞いておりますが、その辺のところは一体どういうことになりますか。これもまた大臣の見解を重要だと思いますので、ほかの人が言うよりも重みがあると思いますから、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  141. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生が御指摘いただいておりますこの国鉄長期債務処理問題と新幹線整備の問題、私も全くこれは別の問題だという認識でそれぞれの検討を重ねていくということが必要だろうというふうに思っております。  御案内のとおり、我が国の国債残高が二百五十四兆、この大変な赤字国債というものを後世につながないために、今財政構造改革に取り組んでいる。また一方、国鉄改革十年、この長期債務が膨大な累増の中で、この本格処理というものについても、今申し上げましたようにあらゆる選択肢の中で本格的な処理策を九年じゅうに成案を得なければいけない。しかし一方では、国土の均衡ある発展、また沿線地域の経済の活性化、そういったことを考えますと、やはりこれも一つの大きな後世につなぐ財産でありますから、この整備についても私たちは真剣に検討していく必要があろうかと思っております。  そういう中で、財政構造改革会議の中におきましても、財政構造改革と矛盾しないということを意見として言われておりますけれども、基本的には政府・与党合意のもとで、未着工区間の着工につきましてはいろいろな条件を整えた上で着実に推進をしていきたい。検討委員会の場で、この整備新幹線未着工区間の整備については前向きに検討されていくべきものだと、そういう決意で努力をしていきたいと考えております。
  142. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 時間ですから、これでやめておきます。
  143. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。  午前中、そして今、これまでの質疑を聞いておりまして、長期債務二十八・一兆円に上る債務処理というのは大変だなと。大きな荷物を、これは一人ではしょっていけないから小さく分けてそれぞれに運ぼうよということが皆さんわかっているようで、いろいろな案が出てくるんですが、なかなかその荷物の引き取り手がいないというのが先ほど来の審議を伺った上での感想でございます。  まず、具体的なお話に入る前に、どうしてもこの長期債務処理の問題については、政府、運輸省の責任というものは、この私も、本会議で大臣あるいは総理にも質問をいたしましたが、伺っておかなければならないと思います。  これまでの論議の中でもございましたけれども、直接的には、例えばこの債務が膨れ上がった原因、その原因の一つとしては財投等の高金利による金利負担に耐えかねなかったということでございますが、有効な手だてをこれまで講じてこなかったと言われる指摘に対して、大臣の見解を最初に求めたいと思います。
  144. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生が今御指摘いただきましたように、国鉄改革が行われた折に、国鉄長期債務の問題についても、その当時としては適切な処理がなされたというふうに思っておりますけれども、十年たって結果といたしましてこれだけの債務累増を見ている。それの中身はいろいろな原因があろうと思っております。  しかし、政府または運輸省といたしましても、そのときそのときの状況を踏まえながら、可能な限りの措置はしてきたということではあろうかと思いますけれども、結果として今日このような実情を考えた場合、運輸省の責任というものについては、私は大いに反省をしていかなければいけないということは当然のことだと思っておりますし、私も、長期債務の本格処理をやらなければいけないというちょうどこの大事な時期に運輸大臣としての職にあるということについては、この責任を十分痛感いたしております。  そういうことを踏まえながら、今後本格的な具体的な処理策について、必ず九年中に成案を得るべく努力をいたしてまいりたいと思っております。先生方にもその都度適切な御指導とまた御支援をいただかなければいけない、こういう気持ちでいることを御理解いただきたいと思います。
  145. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほど野沢先生の御質疑にもございましたけれども、ここでちょっと整理しておきたいんですが、残る土地処分の見通し、あるいはJR東海が株式上場予定している、あとJR東、西の残った株式売却等々を含めまして、平成十年度首において債務残高は一体どのぐらい合計で残ると予測されているのか、お伺いします。
  146. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 平成十年度首でございますが、平成九年度で予算どおり土地株式売却できたといたしまして、長期債務の残高見込みは二十七兆八千億になる、このような現在の見通してございます。
  147. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 二十七兆八千億、これが平成十年度首における債務残高予測ととらえていいんですね。わかりました。  続いてちょっと伺いますが、古賀運輸大臣財政構造改革会議の企画委員会のヒアリングで、国鉄改革当時に国民負担とした債務とその利子分を一般財源で処理せざるを得ないとの認識を示したと報道されております。四月十八日の日経新聞でございますが、それは事実でしょうか、確かめたいと思います。
  148. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 事実でございます。
  149. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 再び大臣に伺いたいんですが、一般会計に当初の十三・八兆円、これは閣議で決定した数字でございますが、その利子分も含めてということになりますとこれは二十一兆円程度になるのかなと思いますが、間違っていれば鉄道局長からでも指摘してください。  一般会計につけかえた場合に国民負担が二十一兆円になると。その十三・八兆円と当時閣議決定がなされた、国において処理する、つまり最終的には国民負担もやむなしということでございますけれども、その利子分も含めたという理由について大臣からお伺いします。
  150. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 一つ考え方といたしまして、今先生もお触れいただいておりますけれども、国鉄改革時に政府として十三・八兆円分は国民負担であることを国会の場等で明らかにしてきたところでございます。そしてその後、十三・八兆円というこの額に対して利子負担等措置が今日まで十分に講じられてこなかった。よく言葉では先送り先送りと言われておりますけれども、そういった状況の中で今日まで国民負担額を累増させてきたという側面は私は否定できないんではないか。  こういう考えのもとでこういう経過に着目をいたしますと、少なくとも当初の国民負担とされていた十三・八兆円、その利子分の大半については国の一般財源で処理せざるを得ないという考えを一方では私は財政構造改革会議の中で述べてもいいことではないかと、また私の考えそのものを率直に申し上げておきたい、こういう気がしたものですから、さきの先生がお話しいただいた財政構造改革会議のヒアリングの場で私の意見として申し述べさせていただいたところでございます。
  151. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ここはちょっと大事なところで確認させていただきたいんですが、十三・八兆円の当時の閣議決定の額に利子分を加えた分を一般会計につけかえたいという大臣の意見でございますか。もしそうであれば、それは具体的にどのぐらいの金額になるんでしょうか。
  152. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) これはあくまでも仮定の計算でございますが、十三・八兆円に対しましてこれまでに発生いたしました利子をそのまま加算いたしますと、利子分が七兆円を超えるという状況でございまして、合計いたしますと二十一兆円になる、こういうようなことで単純に利子分を足すとそのような数字になるということでございます。  当然のことでございますけれども、その間政府はいろんな施策を講じておりますが、この場合の考え方は、いろいろ施策を講じた分は、十三・八兆円と切り分けた清算事業団が自主的に処理するものとして、二十五・五兆円から十三・八兆円を引きました残りの方にすべてが投入されて、十三・八兆円の方には利子軽減対策として何らの措置も講じられないという前提でそういったような計算をした結果の数字でございます。
  153. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 国民の理解を得てというのは私も当然のことだろうと思いますけれども、例えば十三・八兆円の長期債務を一体どうするか、一般会計につけかえるのもこれはやむを得ないなという考え方に私も立っております。しかし、国民にわかりやすい説明をするためには、この間に発生した利子分を加えてというのは、私はこれは理解が得にくい論議だろうと思うんです。それについては今までの処理策が、政府を含めて責任はあるわけです。  ですから、例えば十三・八兆円についてのみ一般会計につけかえる、国民負担になるわけですけれども、これであればまだ理解が得られやすいんじゃないかというふうに私は思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  154. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の御議論というのが国民のコンセンサスを得るという意味では一番わかりやすい一つの物の考え方だということは、私にも理解できます。  ただ、あのヒアリングの場で私が申し上げましたのは、この十三・八兆円に国鉄清算事業団がさまざまな努力をしてまいりました。また、今政府委員鉄道局長からも答弁申し上げましたけれども、そのときそのときの可能な限りの手当てはいたしてまいりましたが、この十三・八兆円の利子分ということについて、ほとんどそのときそのときの適切な処理がなされていないということを考えた場合には、やはり十三・八兆円の中から生じてきた問題だという視点に立って、私としてはその利子分の大半も一般財源に組みかえるべきではなかろうかという、私の考え方として申し述べさせていただいたところでございます。
  155. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 それであれば、返済については一番処理すべき借金といいますかの大半がそちらに移しかえると、そうはいくかなというふうに私は思うんです。十三・八兆円に限って一般財源化するという方がわかりやすいんじゃないかと思います。  さて、その処理財源をどうするかということで、先ほど野沢先生が多くの質問をされましたけれども、私も確認の意味で何点かしたいと思います。  今まで有識者あるいは私どもの党もそうですが、各党各会派がいろいろ財源をどうするかということで検討されていると思いますけれども、いろいろある中で絞ってみますと、一つは金利負担軽減策はどうか、二番目には歳出削減で財源を生み出す、三番目、今申し上げました一般会計への繰り入れ、四番目、交通関係者全体で幾ばくかの負担をする、それから五番目がJR三社に新たな負担を求める、あるいは六番目、鉄道利用税で利用者負担に求める、七番目は増税あるいは先ほどありました炭素税などの導入によって広く国民負担を求める、八番目は道路特定財源の見直し、一般財源化するという方法、それから九番目は相続税免除等による無利子国債の発行、十番目、JR会社の法人税収入の一部を債務処理に充てると、大きく分けてこのようなところで話が進められているんではないかと思います。  この中で、先ほどからのお話でありますが、道路特定財源の見直しについてでございます。揮発油税等の道路特定財源、これは揮発油税が平成八年度税収約二兆五千億、それから自動車重量税が平成八年度税収約六千四百四十億円になっているわけでございます。  それで、道路整備も私は大変必要だなと思うんですが、この際、今まで私も主張してまいりましたけれども、やはり交通財源の一元化、いわゆる交通会計の一元化を含めて考えていかなければ、この国鉄債務処理の財源がどうしても生み出されないということでございます。  特に注目しますのは、揮発油税は本法税率がリッター当たり二十四・三円、これは揮発油税法の第九条で定められております。暫定税率が租税特別措置法の第八十九条の二項でリッター当たり四十八・六円となっておるわけです。ちょうど倍になっておりまして、この暫定税率が切れるのが、租税特別措置法が来年の三月三十一日でございます。  確かに目的税でありますから、それをすぐ長期債務に充てるというのはいかがかという意見も私は承知しておりますけれども、この暫定税率によるかさ上げ分を単純に計算しますと、これだけでも一兆二千五百億円は生み出されるというわけでございます。これをそのままいただくという論理は私は成り立つかどうかは別としましても、この中から、一つは、先ほど言いました交通基金なら交通基金の一般財源化にして何とか国鉄長期債務処理に一部充てられないかというふうに思ってございます。  自動車重量税の場合は、その四分の一が地方の分でございますからなかなかすんなりと落ちないんですが、いずれにしましても、こういった道路特定財源を交通財源、一般財源化してその一部をやはり返済処理に充てるという考え方について、大臣はどのようにお考えなのか。
  156. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) この特定財源の一元化ということを先生は非常に熱心で、この委員会でもたびたび御指摘をいただき、またお尋ねいただいているわけでございまして、その都度同じ答弁になってまことに恐縮でございますが、確かに道路財源、揮発油税にいたしましても自動車重量税にいたしましても、道路財源といたしまして今日まで我が国の道路整備の推進に大きな役割を担ってきているわけでございます。  いつも申し上げますけれども、こうした特定財源というものは、受益者の負担、そういったバランスの中で負担率というものが決められておりますので、これを全然別の施設に使うということが適当かどうか、国民の理解を得ることができるかどうかということを私もこの長期債務のあらゆる選択肢の中の一つとしていろいろ考えるのでございますけれども、非常に難しい問題があるなというふうに思っております。  一つは今申し上げましたような仕組みの問題、もう一つは我が国の道路整備の状況がどういう状況にあるかということ、特に自治体を初めとして地域格差をなくしていく、こういった意味で、どうしても公共の社会資本の整備の中で道路整備というものの期待と申しますか要望というのが非常に大きい。一方ではそういう問題があるということも私どもは政治全体を見ていく中で考えていく必要があるんではなかろうか。  こういうことで、極めて慎重な検討を要する課題だという認識でただいまもいることを御理解いただきたいと思います。
  157. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私も北海道でございますから、特に道路整備の重要性については、新幹線もそうですけれども、承知しているつもりでございます。  ただ、道路整備はいろいろ考え方によって十分に行われているんではないかという考え方もございますが、ただ、この巨額な特定財源を、全部とは言いませんけれども、一部を何とかその処理に充てる方法はないかということを考えていかなければ、先ほどからずっと総論賛成、しかしだれがこの荷物を、いわゆる小さく小分けした荷物を引き受けるのかという論議にならなければ、結果的には論議だけ進んで何の手当てもできない。最終的には、これも国民負担でございますけれども、そういったやりくりの中から、まさに総合戦力の中からやっていかなきゃいけないなと思っておるわけでございます。  それからもう一点、JR各社の法人税、固定資産税、これは二千億円を上回ると。かつては、改革時の直前には六千億円の補助金が出されておりました。しかし、今は補助金をもらわないかわりに逆にJR三社を中心に固定資産税、法人税を含めて二千億円の税金を払っている。  特に法人税につきましては、JR七社でございますけれども、平成七年度法人税納付額が九百十六億五千万円になっている。もう一千億を超えているわけでございます、これは平成七年度でございますから。例えばこの法人税収を、これは国鉄改革で特にJR東、西、東海の皆さんがいわゆる血を流し汗を流して国に納めた税金でございますから、法人税についてこの長期債務に充当するという考え方は私は不思議でないと思っておりますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
  158. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいま道路財源のお話を申し上げましたけれども、私が申し上げておりますのは、さまざまな論議の中でいろいろなことが選択肢として実は浮かび上がってきているわけでございます。その一つには当然この道路財源の問題もございますし、またJRについてのさまざまな意見もあります。  私は、こういつたことをこの仕組みがあるから、この制度があるから最初から選択肢の一つからこの分だけは外していくんだというふうな考え方ではなくて、先生から御論議いただいているようなことも十分検討させていただく、耳を傾けさせていただく、こういう姿勢で臨んで、あらゆる選択肢の中から検討していくということでこれからの作業を進めていきたいというふうに考えていることを御理解いただいておきたいというふうに思います。    〔委員長退席、理事戸田邦司君着席〕
  159. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私もない知恵を絞っていろいろ考えさせていただきました。  先ほどから申し上げましたように、これは私個人的な案でございますけれども、十三・八兆円については一般会計へのっけかえもやむを得ないのではないか、国民の皆さんに御理解いただく、しかしあとは株式土地売却等々によって六兆から七兆ですか、これは地価の変動もございますから何とも言えませんけれども、最終的にはなるだろう、純粋に残る分は二十一兆円から二十二兆円になるだろうと試算いたしました。その中の十三・八兆円分を一般財源につけかえる、残りはおおよそれ兆円ぐらいになるのではないかというふうに考えました。  その中で、先ほど言った道路特定財源のあり方、それからJR各社の法人税の、いわゆる長期債務処理財源に充当する等々のあれがそう難しいことではないのではないかというふうに考えるわけです。ですから、九兆円の処理を真剣にまず考えるという形でモデル計算をしてみました。    〔理事戸田邦司君退席、委員長着席〕  例えば、九兆円を五%で元利均等償還した場合、十五年間で総額が十三兆百億円、そして毎年度に支払うのが八千七百億円程度、これが九兆円を三%で元利均等償還した場合に十五年であれば総額が十一兆三千百億円、毎年度が七千五百億円になるという、あくまでもこれは計算でございます。九兆円とした場合に絞ってこの七千億、八千億、これは公共事業費の見直したとかさまざまな経費や歳出削減を行った後にこれに全力を挙げるという考え方も私は一つ成り立つのではないか、あくまでも私の個人的な計算でございます。  これについて、質問通告はしてございませんけれども、どのようにお考えいただけるでしょうか。
  160. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) きょうも各先生方から、いろいろな角度から長期債務償還問題について御指摘また御指導いただいたところでございますが、ただいま先生から極めて現実的な数字を挙げて御指導いただいているわけでございます。私といたしましては、十分先生のそうしたお考えというものも踏まえさせていただいて検討させていただきたいと思っております。
  161. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 長期債務、大変難しい問題があるのは私も承知しております。  先ほど、大臣財政構造改革会議の企画委員会のヒアリングでの一般会計の話をなさいました。私は、きょうこれをなぜ質問したかといいますと、いや、そういう事実はありませんと、例えば新聞報道とは違いますというお答えがあろうかと思ったんですが、やはりきちっと大臣の意見を表明されている。これは財政当局、強いて言えば政府全体、国民全体の問題だと思うんですが、運輸省のそうした考え方を、九年中に成案を得ると言いながらも、今から運輸省はこう考えるんだ、国民の皆さんどうなんだと、大蔵財政当局どう思うんだということを、やっぱりきちっとした考え方を出しておかなければ、あれもあります、これもあります、そうですねという形では私はこの問題は進まないのではないかと思うわけでございます。  これは大臣にもぜひともリーダーシップを発揮していただいてしっかりとやっていただきたい。これは鉄道局長も含めて運輸省はこう考えるんだと、そういう球を国民の前に投げない限り、どんな処理策もこれは国民の理解を得られないと思うんです。少々厳しい逆風になろうがやっぱりやるべきだと私は思っております。  さて、昨年十二月の閣議決定にも方向が示されておりますけれども、事業団合理化が出ております。そして、職員の雇用対策についても十分な配慮をするというふうになされておりますが、平成十年度末では定員の半減をする意向のようです。再就職対策については平成九年度より開始するというふうにありますけれども、これについてどのような取り組みをなさっているのか、お伺いしたいと思います。
  162. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘ございましたとおり、昨年十二月の閣議決定で、国鉄清算事業団につきまして、本格処理を実施した上で速やかに事業団を整理する方向で再就職対策は平成九年度より開始する、こうなっております。こういうことに備えまして、私ども運輸省の中に運輸事務次官をヘッドといたします清算事業団職員の再就職を支援するための本部みたいなものを設置いたしまして、全省的に、運輸省の総力を挙げてこの問題に対処するということでやってきております。  当然のことでございますが、鉄道局を中心にまず各省庁に対しまして、事業団職員の採用の要請、これは各省庁の特に所管しております特殊法人、そういったところにお願いをする、それから運輸省各局、省内で所管しております特殊法人につきましてはもちろんでございます。それから、国家公務員そのものということで、各省におきます採用、こういつたことに関しましても御協力をお願いしているところでございます。当然のことでございますが、JR各社に対しましてもお願いをしているところでございます。  こういつたような努力を私ども引き続き講ずることによりまして、職員の再就職対策に遺漏がないよう最大努力してまいりたいと考えております。
  163. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間がもう余りないんですが、先ほど野沢先生からの御質問にもございましたけれども、債務処理についてもう一点だけ伺わせてください。  JR三社に負担という考え方も一部には出されておりますけれども、現在の負担JR三社実質十四・五兆円になってございます。改革論議を踏まえれば大変無理があるとか民営化されたJRに国の介入はすべきではないとかいろいろ意見がございます。私もそのとおりではないかと。そして、もう一つは、JR利用料、利用税については、こうした形で競争力を失ってもいいのか、あるいは株主の問題もございます。私は、このJR負担の前にやるべきことはたくさんあるだろうと先ほどから申し上げました。これについて大臣のお考えを聞きたいと思います。
  164. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御答弁申し上げている中で、個別の問題について適切なお答えができないでいることを大変申しわけないと思っております。  先生からも御叱責いただきましたように、まず運輸省がこの国鉄長期債務問題についてどういう処理策が考えられるかということをまとめていくという責任があるということは私は当然のことだと思っております。そういう意味でさまざまな御論議を今この委員会でいただいております。正直言って大変ありがたいことだと思っておりますし、参考になっていると思っております。  そういうことを踏まえまして、運輸省がみずから逆風の中にありましてもその責任の先頭に立っていくということをきょうは先生にお誓い申し上げまして、今具体的なことについてお触れいただいておりますけれども、そういった観点も選択肢の一つとして十分踏まえさせていただいて、運輸省なりの考え方を一日も早く明らかにしていくことが今次の我々に課せられた責任だということを十分認識して作業を進めさせていただきたいと思います。
  165. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間が参りました。公共事業費の削減について一点伺いたかったんですけれども、官房長にもお越しいただいて大変失礼しました。時間が参りましたので、また改めて御質問したいと思います。  ありがとうございました。
  166. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、これまでの議論とはちょっと違う選択肢もあるということを申し上げたいと思います。  国鉄長期債務をどうするかというのでは、道路特定財源方式をやめる、総合交通特別会計をつくるというのが我々の基本的な考え方であります。同時に、もう一つかぎになるのがJRに対してどういう負担を求めていくかという点にあると、こう考えています。JR側は既に、特に本州三社は十分な債務負担した、もうする必要ない、こういう見解であります。  そこで、まず伺いますけれども、本州三社が承継をした債務負担というのは、東日本が三兆二千九百八十七億円、JR東海が三千百九十一億円、JR西日本が一兆百五十八億円というふうになっておると思いますけれども、これは間違いございませんか。
  167. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) あるいは繰り返しになるかもしれませんが、JR等が国鉄改革時に承継いたしました債務でございますけれども、JR東日本が四兆二千三百六十九億、JR東海が四千五百二十五億、JR西日本が一兆九百八十二億でございます。
  168. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 もともと、JRが引き継いだ国鉄の資産というのは、これは国民の共有財産というべきものであります。これを戦前の簿価、中には明治だとか大正だとかいうものもありますけれども、その簿価で承継をした。例えば、山手線で言いますと二十九ある駅用地、幾らで承継したかといいますと、七十九億円で承継をしておる。これは八六年当時の時価で換算すると約二十兆円というふうに言われています。単純に計算しますと大体二千五百分の一の価格で山手線二十九の駅用地を承継した。事実上ただ同然と言っても差し支えない。  東日本が承継した債務というのは、結局この山手線で承継した駅用地の時価換算でいえばせいぜいその五分の一、山手線の五分の一で賄える。その程度の債務しか東日本は承継していない、債務負担を。例えば、東京の表玄関の一つである上野駅の用地というのはどれぐらいで入手していますか。
  169. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま数字を持ち合わせておりませんので、後刻御報告申し上げたいと思います。
  170. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私たちの調べでは二億円ですよ。承継当時の時価で言いますと約二兆円になる。それを二億円で承継しているんです。一万分の一ですよ。一万倍の国民資産、これをJRは手に入れたことになる。これでJRはもう十分負担しましたという理屈は、これは通らない。  そこで聞きますけれども、JR発足後にJR土地売却しています、用地売却をやった。それぞれのJRについて、時間がありませんから、件数、面積はいいです、どれぐらい売却しているか、価格で答えてください。
  171. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 国鉄改革後、JR七社でございますが、昭和六十二年度から平成七年度までの九年間、用地売却の価格でございますが、六百四十八億でございます。
  172. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そうですね、JR七社合計で六百四十八億七千四百万円。ちょっと個別に言いますと、北海道が三十一億二千二百万円、東日本が百九十四億三千二百万円、東海が二十九億三千三百万円、西日本が百億三千七百万円、四国が二十一億五千九百万円、九州が三十三億五千四百万円、貨物が二百三十八億三千七百万円、合わせて六百四十八億七千四百万円と、これは莫大な売却額に上っておると思うんです。  この中には清算事業団売却したもの、こういうものも含まれていますけれども、これらは承継した簿価と同額清算事業団に対しては譲り渡されている。ところが、多くは時価で売却されている。任意売却、あるいは自治体に売却、こういう形ですね。先ほど言ったように、ただ同然で手に入れた土地を時価で売却する。  例えば新宿区戸山ケ原社宅、これは新宿区に売却しています。大体、簿価で言いますと、一平方メートル当たり六千六百六十六円、これ一番高いところでそうです。これは全部で大体三千八百万円ぐらいでこの戸山ケ原の社宅用地を承継しているんです。この三千八百万円で承継したものを五十二億六千七百九十七万円、これで売却している。これはぼろもうけですよ、三千八百万円のを五十二億六千七百万円で売るんですから。  それで、もしこういう売却できる土地JRが持って、これぬれ手でアワですよ、ぬれ手でアワ。長期債務二十八兆円を超えているんでしょう。こういう費用はそちらへ回すというのは当たり前じゃないですか。
  173. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先ほども申し上げました土地売却でございますけれども、先生も御指摘ございましたが、清算事業団売却したもの、それから土地収用法の適用があるということで、例えば道路等になるということでお渡ししたもの、それから任意に売却したもの、合計でございます。いずれにいたしましても、これは事業上必要なものとして国鉄改革の際にJRに承継した資産がその後の事情の変更で任意売却ということになったものでございまして、基本的に、国鉄改革の際に整理したものにつきまして、それを売却したからといって、清算事業団に納入させるとか、そういったようなことは必ずしも適切ではないのではないか、このように考えております。
  174. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 何で適切でないのか、理由を何も言わなかったですよ。仮に百歩譲って、あなたの主張がそうだったとして、当時は鉄道事業に必要だったからJRに承継しましたと。あなた、今事情が変化したと。事情が変化したら返せばいいじゃないですか。  まじめに、清算事業団二十八兆円超える債務、たとえ一円だって一億だって何とか減らそうという立場に運輸省が立つなら、もし事情が変更してJRがもう鉄道事業に必要ない、だから売却できるというふうなものなら清算事業団に移して、清算事業団売却すれば、この戸山ケ原でいえば五十三億近くのお金が入ったわけでしょう。それが債務を減らしていく努力でしょう。必要ないのにJRにやったままでぬれ手でアワで五十二億円以上もうけさせる、そして二十八兆円、いい知恵浮かばないと。臨時特例の措置で今回この法案を出してきたんでしょう。二十八兆円の抜本対策だって、抜本解決策いまだに出てこない。こんなことやっておるからじゃないですか。
  175. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘のございました点は国鉄改革法等施行法の問題になろうかと存じますが、その三十二条におきまして、承継された土地に係ります清算事業団による譲渡の請求の期限が決められております。これは五年間という期限になっておりまして、これは新経営形態JRの発足当初の期間に、承継計画の決定時には予測し得なかった事情によりまして、JR土地を事業の用に供しなくなった場合には当該承継法人には承継させるべきではなかったものという取り扱いをするということでございますが、これをどの程度の期間このような扱いをするかという問題でございまして、これは法律上五年間と、国会での御審議も経ましてこのようになっておるわけでございます。  したがいまして、この期間を経過しました後についてまで事情変更に伴いますJRの用地の処分を追求して清算事業団に納入させるといったようなことはやはり適切ではないのではないか、このように考えております。
  176. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ちっとも適切でないという理由がわからない。もしそうだったとすれば法律改正案を出せばいいじゃないですか、五年じゃなくて十年だと。  一件や二件じゃないですよ、さっき言ったように二千二百三十二件もあるんですよ。四千百三十五万八千平方メートルの土地が売られているんです、JRから。そして、六百四十八億七千四百万円、JRはもうけているんです、これだけで。これからだってまたこれはあり得ますよ。  だから、ちゃんとした適切な手を打っていないんですよ、機敏に。そして、五年たったからもう仕方がないと。しかも、そういうことをやられると、本当にJR鉄道事業に必要な土地だけを承継したのか、実はそうじゃない土地まで承継したんではないのかという疑問だって持たざるを得なくなりますよ、鉄道局長がそういう態度をとっておられるのなら。  もう一つ聞きますが、JR南仙台駅にJR東日本が分譲マンションを百五十四戸販売しておる。びゅうバルク南仙台という物件ですけれども、この土地はもともとだれが所有していたものですか。
  177. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) お尋ねの土地は、もともと新幹線保有機構が所有していたものでございます。
  178. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そうですね。百五十四戸は既に完売となっています。この用地は新幹線保有機構がもともと所有していた。飛び地だった。そこで既設新幹線の譲渡とともにこの飛び地の分もJR東日本に移ったんです。  しかし、鉄道用地に必要な土地なんかじゃなかったんですよ、全く飛び地で。だから、何をやったかといったらマンション建設をやったんです。これだけ債務が大変だと言っているときに、マンション用地まで承継しておった。そして、営利目的で土地を販売していた、もうけていたということでしょう。そういう飛び地なら何で新幹線保有機構に持たせたのか、そして、そのまままたJRに移したのか。最初から清算事業団に渡せばいいじゃないですか。  これは、こういうさっきの土地ですよ。今度は土地を利用して、これは売却じゃないけれども、マンション建設ですよ。話が違うじゃないですか、分割したときの。鉄道事業に必要なものだけ、ぎりぎりのものだけ承継するということになっているけれども、それ以外のものをいっぱい承継している。  私、こういう事例はほかにいっぱいあると思いますよ。調査するべきだと思います。そして、報告してもらいたい。
  179. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先ほど申し上げましたとおり、まず売却の方に関しましては五年間ということにしておりますけれども、これはやはり一定の期限を切りませんと、承継法人たるJRの事業運営の自主性が著しく阻害されるというおそれがございますので、五年間という判断になったとこのように思っております。  それから、調査という点でございますが、具体的な御指摘がございましたら、私どもその土地につきまして状況を調べてみたいと思います。
  180. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これは五年といったって、長期債務は十年たって膨らんで、さあこれは一般会計に持っていくのか、総合特会をつくるのかどうするのか、鉄道利用税でつくるのか、今これはけんけんがくがくの議論をやっているわけですよ。何がJR自主性ですか、このぐらいのことで。飛び地でもうけている、こんなものはなくすのが当たり前の話。こんなもの、自主性をちっとも損なわない。私はそう思いますよ。  それで、ほかにも、売却はしないけれども、JR用地を貸してそして多くの利益を上げている、こういう事例というのがたくさんあります。JR移行後、各社は駅ビルであるとかホテルであるとか等々の建設を次々に進めて、そのために子会社もいっぱいつくっている。そして、その子会社JR本体の用地を貸し付けることにして、子会社がそこでホテル建設をやる、あるいは駅ビルをつくる、あるいはデパート経営に参加する、こうやってこれは莫大な利益を上げているんです。  この間を見ますと、最近で見ても、東日本では駅ビルを池袋、大船、葛西臨海公園、新浦安、大井町、牛久にオープンさせています。ホテルについても、山形、武蔵野、遠野で開発をしている。  そこで伺いますけれども、JR本州三社、東日本、東海、西日本、この不動産収入JR発足時の八七年度と現在でどういうふうになっているのか、あるいは関連事業の収入はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
  181. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 関連事業の収入で申し上げさせていただきます。旅客六社と貨物会社を含めてでございますが、昭和六十二年度関連事業収入全体で千四百六十八億円でございましたが、平成七年度に二千八百六十一億円となっております。  なお、この関連事業収入にはいわゆる運輸附帯収入といったようなものも含まれております。
  182. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 千四百六十八億円が二千八百六十一億円ですから、関連事業収入はほぼ倍加したということであります。  この用地というのも結局は、今ホテルを建てている、あるいは駅ビルを建てている、全部これは簿価で、さっき言いました平均すれば時価の二千五百分の一、これで承継したものなんです。  今、局長は不動産収入をおっしゃいませんでしたけれども、東日本、東海、西日本、本州三社合わせて四百七十九億二千万円、簿価で手に入れて、ただ同然で手に入れて、それで不動産業をやって、そしていわば何百倍もの収入を得ている。売却しなくたって、こういうことをなさってJRはもうけているんですよ。  さっきの繰り返しになりますけれども、本来、鉄道事業のために最小限の用地をJRに対しては承継するという話だったんです。ところが、鉄道事業じゃないじゃないですか。ホテルが走ったなんて聞いたことないですよ。ただホテル事業をやって、そしてぼろもうけをしている。  こういう経過を見れば、これ関連事業収入二千八百億円超えていますでしょう。三社だけで不動産収入四百七十九億超えている。土地売却で、さっき一カ所だけでも五十数億円超えている。全体では六百億円超えている。全体の債務からいえば大したことはないかもしれないけれども、やっぱり何千億円単位ですよ。何でこれが清算事業団長期債務返済のために充てられないのか。  私は、JRに追加の負担を、これ見たって正当な追加負担を求めるのは当然の道理ある提案だと思いますけれども、大臣この点いかがでしょうか。
  183. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 国鉄改革の際に資産をどのような価格で承継させたかでございますけれども、鉄道施設につきましては、その施設を用いまして事業を行うということでございますので、帳簿価額、簿価を基準として評価いたしております。  しかしながら、例えば駅ビルのような関連事業におきましては、新会社はこれらを処分することも可能であるということから、原則として時価を基準として評価いたしておりまして、この評価に従いまして債務負担させる、このような措置を講じております。
  184. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) さまざま今鉄道局長の方から国鉄改革当時の経過についてお話をいたしているところでございます。  いずれにいたしましても、たびたび御答弁申し上げておりますように、あらゆる角度からそれぞれの選択肢の中で運輸省が中心となってこの国鉄長期債務の本格的な、具体的な処理策というものをつくらせていただくわけでございますから、今御議論いただいている点も踏まえながら、十分ひとつ検討を重ねさせていただきたいというふうに思います。
  185. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 本当にJRの追加負担という問題は私は真剣に考えるべき選択肢の一つだというふうに思います。  ともかくもうかるんですよ。ただ同然で土地を手に入れて上物だけをつくる。それで、場所はもう最高の場所だ。最高の場所です、駅前どころか駅上みたいなものなんですから。だから、これはもう莫大な利益が上がるということに、これはもう必然的になっていくんです。  ところが、このJRの駅ビルやデパートなど関連事業で上がった収益が鉄道事業、こちらに回っていない。鉄道事業は鉄道事業、関連事業は関連事業ということで、これ経理が区分されちゃっているんですよ。だから幾らJRがホテルでもうけたって、デパートでもうけたって、何でもうけたって、これは鉄道利用には、鉄道の利用者、運賃収入、こういうものを引き下げるとか利用者負担軽減するとか、こういうものにはつながらない、こういう仕組みになっているんじゃないですか。
  186. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 鉄道運賃に関しましては、御承知のとおり、鉄道事業法第十六条で定められております基準に基づきまして運輸大臣が認可するわけでございますが、その際に、やはり鉄道におきます能率的な経営のもとにおける適正な原価を償い、かつ適正な利潤を含むものであるというのが大きな基本的な考え方でございます。  関連事業が好調な場合には、じゃ、それを鉄道の方に還元すればいいじゃないかという御議論に対しましては、それでは、関連事業が悪い場合に鉄道の方でその分も負担し得るのかと、逆の問題もございまして、この問題に関しましては、どちらかといいますと大手私鉄の運賃の際に大変今までも大きく議論がございまして、やはり鉄道鉄道として適正な原価を償う、そういうことで運賃水準を決めるのが妥当である、こういうことで従前からやってきているわけでございます。
  187. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 もっともらしい答弁だけれども、JR東日本が二十一世紀の経営構想というのを発表しているんです。これを見ますと、四年後の二〇〇一年、鉄道収入は約二・四兆円、あと資産活用などで全体で五・四兆円、五兆四千億円の売り上げを図るというんです。五兆四千億から鉄道収入二兆四千億を引く、つまり関連事業で三兆円の売り上げを図るというんです。二〇〇一年にはJR東日本は鉄道事業よりも関連事業の売り上げの方を多くするんだという経営戦略を立てているんですよ。  それは、あなたは関連事業がうまくいかなくなったら鉄道事業の方に響くと、だからやはり分離するのは合理性があるとおっしゃったけれども、これもし三兆円こっちで、さっき言ったような経過の土地でぼろもうけして、それで鉄道の方は二・四兆円と、これは道理に合わないんですよ。  かつて三塚運輸大臣は、国会答弁で、長期債務国民負担をお願いしている以上、共有財産であるから、鉄道事業施行上必要なぎりぎりのものを鉄道会社に持っていってもらうと。鉄道事業用に必要最小限のものは簿価で渡すというふうにこれは述べておられるんですよ。必要最小限のぎりぎりだと。しかし、これ実際にはそうなっていない。それどころか、鉄道鉄道というのであれして、おいしいところは子会社でぼろもうけしているというのが実態だということです。  この子会社の問題に絡んで、子会社で利益をいわばため込んでいくという仕組みがつくられて、それがしたがって長期債務の返還にも何の貢献もしない、あるいは利用者にも還元もされないというのでは、これは二十八兆円国民負担をお願いしますと言ったって、何を言うかというのが国民の率直な感想だと思う。  しかもそれだけじゃなくて、この子会社が何をやっているかと。これは政治献金いっぱいやっているんですよ。名前を余り挙げたくないけれども、挙げますけれども、衆議院議員の今村雅弘さん、関連会社、子会社から四百九十七万七千八百三十七円。三塚博現大蔵大臣、三十万円。橋本首相、十二万円。加藤六月さんに二十四万円。これ中身どういうところが献金しているかというと、JRの一〇〇%子会社JRの一〇〇%子会社、二つありますね、この今村さんのところに献金したところを見ると。九三%というのもある。これは事実上JRそのものですよ。  しかし、JRが政治献金できますか、できないでしょう。しかし、子会社ならこれはできる。子会社の方に利益をいっぱいだめ込んでいる。これ違法献金とは私言いませんけれども、しかし、それにひたすら近い、いわばトンネルだと思われたって仕方ない。そして、JR負担はないようにという意向がここにあらわれているかもしれない。こんなことを野放しにして、長期債務何とかして税金でやってください、国民負担でやってくださいと言ったって、私はこれは通らない。やはり子会社まで含めてこういうことはやるべきじゃない。  私、最後に大臣にこの点について御見解をお伺いしたいと思います。
  188. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 子会社の政治献金の問題については、先ほども横尾先生の御論議の中で政府委員の方から答弁をさせていただいておりまして、あくまでも子会社の自主的な判断によって、政治資金規正法にのっとって行われていることだというふうに承知いたしております。  いずれにいたしましても、これからが正念場でございますので、どういう国民のコンセンサスを得るような具体的な施策ができるか、私ども真剣に取り組んでいるところでございます。ぜひひとつ御理解をいただいておきたいと思います。
  189. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  190. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  数カ月間心を痛めた結論を先に申し上げますと、国鉄民営化の折にJRは、会社設備一切と運営のノウハウ、そして多くの優秀な人材、そしてお客様と四拍子そろって独立しております。そして、手かせ足かせになりそうなものは一切合財清算事業団へ置いていった。商売というのは、普通はだれでも全くのゼロから始めるものでございます。特に、人材育成には大変皆さん苦労していらっしゃいます。それを思えば、JRは大変恵まれたスタートを切っていると言えます。  一方、清算事業団の方は、土地と株の売却で何とか半分くらいの借金に減らせる予定でおりましたけれども、手違いがございました。一つには、昭和六十二年に土地売却凍結した政府の判断ミス。二つ目には、整備新幹線売却費の上積み分一・一兆円を借金返済に回さずに、整備新幹線着工の方へ回してしまった。この二つの失策はまずもって国民に顔向けのできない事実だと思います。  しかし、目くじら立てて政府を追及したからといって、二十八兆円の借金が減るんだったらいいんです、減らないんですよ。この法案も一年間の止血剤にすぎない。その点については先ほど来先輩委員からの御指摘のとおりでございます。そこで今回は、違った角度から大臣に質問をしたいと思います。  それは、今の財政状況で、鉄道の残した借金なら運輸省で、こういう観点だけで議論していても借金は減らない、全然前向きじゃない。もう少し、何が国民のための利益なのか、どうすることを国民は望んでいるのか、そんな大きな観点で大臣のお考えをお聞きしながら進めてまいりたいと思います。よろしくおつき合いいただきたいと思います。  債務残高二十八・一兆円という想像を絶する金額について、頭を悩ますばかりか心も暗いと先週金曜日の委員会で申し上げました。なぜ清算事業団の借金はふえ続けたのか。原因は先ほどの二点だけでもないんですね。例えば、私の住む愛知県に南方貨物線というのがあります。大臣、御存じないですね、南方貨物線。
  191. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御存じないんですねと言われて答弁をするのは非常に難しいのでございますが、実際に私もこの線を見分したなりまたその地域のことを詳しく聞いたということはございませんが、当然、この問題について先生がお触れいただくということで、どういう経過で今どういう状況になっているということは承知いたしております。
  192. 末広まきこ

    末広真樹子君 これは地元の人もだれも知らないんです。大変不思議な不幸なお話なんです。  この南方貨物線というのは、旧国鉄が東海道線の輸送力増強策として誕生させました。大府駅から名古屋駅間の貨物用バイパスの役割を果たそうとしたんです。ところが、昭和四十二年に着工したこの工事は、新幹線並行区間の沿線住民にこれ以上やかましくなってはかなわぬと反対運動を受けて、簡単に挫折しました。その後工事は再開されましたが、貨物輸送の衰退を理由に、昭和五十八年に再び挫折しております。結局は完成することなく、民営化の折に、お荷物は置いていきましょうというJRと国の判断のもとに清算事業団へ置いていかれました。JRに連れていってもらえなかったんです。  それが現在どうなっているかと私、見に行ってまいりました。大臣、どうなっていたと思いますか。残っていたと思いますか。それとも消えていたと思いますか。
  193. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 事実関係でございますので、私の方からお答えさせていただきますが、もう立派な構造物がきちんと残っております。
  194. 末広まきこ

    末広真樹子君 大臣に答えてほしかったんですがね。  そうなんです。立派にというか寂しくというか、野ざらしに耐えて十九・五キロの高架線が、全線高架ですよ、一瞬高速道路かなと思います。ところが、悲しいことに、ところどころ歯が抜けたようにつながっていない部分があるんですね。一番長い断絶部分で三百メートル、あとは、えっ、ここからここまでどうしてつながなかったのというところが二カ所、全部合わせた未着工区間が何と五百メートル、ロングホール一つ分。これは写真を撮ってきましたんですが、写真にしますとわずか四センチほどです、つながっていない部分は。用地買収はすべて終わっているんです。かくて、野ざらしの南方貨物線はただ雨にぬれているだけなんです。世にも不思議な世に出なかったお話でございます。  運輸省に伺いますが、工事費は合計幾ら使ったんですか。完成させるのにあと幾らかかるんでしょうか。また、撤去して売却するとなると差損はいかほどになりましょうか。
  195. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 幾ら使ったかということでございますが、事業団が承継いたしました際の資産額は百五十一億円でございます。建設で幾ら使ったか、ただいま承知いたしておりません。  それから、撤去する場合の撤去費でございますけれども、これも撤去の範囲が具体的にどうするかということが確定的でないということで、確定的に申し上げるのは難しゅうございますが、一定の前提で計算すると、おおよそ百五十億から二百億ぐらいの撤去費がかかるのではないか、このような見積もりがございます。
  196. 末広まきこ

    末広真樹子君 にっちもさっちもいかないとはこのことですね。前へ進んでマスコミ報道では三百億と言っています、撤退して百五十億から二百億。売ろうにも、兵児帯のように幅四メートルのが十九・五キロざあっとあるんです。こんな土地清算事業団売却予定地の中に入っているんです。要は、がらくたを一切引き取ってできるだけ身軽な状態でJRを出発させてあげたかった、こう考えてよろしいんでしょうか。  大臣にお伺いしますが、JR民営化に際して、これは当然どんな場合でもそうなんですけれども、光と影の部分があろうかと思いますが、清算事業団の果たしてきた役割というのはこの影の部分という解釈でよろしいんでしょうか。
  197. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 光の部分、影の部分というのは一概には申し上げることはできないというふうに思いますけれども、昭和六十二年に清算事業団が発足をいたしまして、国鉄から引き継いだ全国の膨大な土地処分、またその売却収入を財源として債務償還という、いわば非常に難しい分野を分担させられているということには違いはないのではないかなと。それが影なのかどうかというのはちょっと私も判断に迷うところでございます。
  198. 末広まきこ

    末広真樹子君 それじゃ、清算事業団に残っているのはこのような、申し上げ方は悪いですけれども、ぼろくずばかりなのかなと思って、さらに愛知県下を歩いてみました。そうすると、JR稲沢駅の真ん前の土地ですよ。名古屋ドーム九個分の敷地面積で、これは宅地造成して分譲すればあっという間に完売して優雅な一戸建てマイホームが八百戸はできる土地。名古屋駅からこれ通勤十五分です。しかし、そうしなかったんですよ。平成元年に決まっているのに、八年間何を居眠っておったのか清算事業団、と怒りたくなるんですが、これ運輸省はどんな指導を行ってきたんですか。
  199. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘の稲沢駅の周辺の事業団用地でございますが、もちろん私ども事業団ともどもできるだけ早期に処分をしたかったわけでございますが、昭和六十三年度から稲沢市、愛知県などが中心になりまして開発方法等の検討が行われてきましたけれども、開発区域の範囲であるとか、それから区画整理事業の主体とか、それから土地区画整理後の土地利用などにつきまして関係者間の調整に時間を要したということで、御指摘いただきましたが、それほどの進捗も見ずに現在に至っているという事情でございます。
  200. 末広まきこ

    末広真樹子君 これ民間事業ならそんなこと全然言ってなんかおられないと思いますよ。  もう一つ愛知県下に問題児がいるんです。それは名古屋市内にあるんです。名古屋駅から八百メートル、飛び切りの一等地でございます。今名古屋市内で、いや日本全国でこれ以上のところはないと言えるほどの超一等地でございます。これが坪百万円ぽっきり。しかも角地。売れません。これは御存じ笹島跡地でございます。名古屋ドームがすっぽり三つ入る大きさなんですが、買うのを決めているのは、名古屋市が一八ヘクタール、簡易事業団が二・一ヘクタール、国際協力事業団が一ヘクタール。全体が十二ヘクタールですから、残るは七ヘクタール売れ残っているんですね。これ百万円ですよ。私の住んでいる東区葵だって三百五十万円だと不動産屋は言っていましたから、何か売れないいわく因縁でもあるのか、それとも大きな事業目的があるのか、お聞かせください。
  201. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 笹島の貨物駅の跡地でございますが、御指摘のとおり、立地条件としましては名古屋駅のすぐ南でございまして市街地にも近いということで、大変いいというのはもう御指摘のとおりでございます。ただ、現状でございますと道路に接しておりませんので、利用に当たりましては域内の道路など公共施設の整備が必要だと、こういうこと。それから、実際に利用できるまでに数年を要するということなど、こういつたような事情がございまして、一般企業の購入意欲は必ずしも高くないというのが現状でございます。  私どもは、基本的にはこれは非常に潜在的な価値を有するものだと思いますけれども、こういつたようなものを効率的に効果的に処分していくためには、やはり地元の自治体等の協力もいただきながら、早く区画整理といったような計画を進めていくということが必要であろうと思っております。
  202. 末広まきこ

    末広真樹子君 本当に計画が必要なんですね。申し上げておきますけれども、普通の民間ディベロッパーだってきちんと道路整備ができたり、下水道の完備したような土地を売るわけじゃありません。みんな自分でやって売るんです。そんなこと当たり前だと思います。  一口に清算事業団が持っている土地といっても、このように玉石混交でございます。それを一律に清算、売却という方程式でくくっていくのは無理があるんじゃないのか。私ならまずどれがダイヤモンドでどれが石ころか、まずランク評価づけを求めます。当然運輸省でもそのような要求はなさっていると思いますが、愛知県下は今申し上げたこの三つ、例ですけれども、清算土地についてのランク評価は一律なのか、それとも個別に考えるべきものかお聞かせください。
  203. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘のランク評価というのがちょっと正確に私は受けとめていないかもしれませんが、それぞれの土地の評価、価格評価をどうしているかということでございましたら、当然のことでございますけれども、立地条件とか土地の形状などを勘案いたしまして個別に評価すると。その際に、例えば鑑定士の意見を聞く必要がある場合は、そういったようなものも参考にいたしまして評価をしているということでございます。  笹島、稲沢、南方貨物線と、この三つの御指摘ございましたけれども、これらにつきましても当然のことながらそれぞれに応じまして土地の評価をしておる、こういうことでございます。
  204. 末広まきこ

    末広真樹子君 個別に評価は異なるということでございますね。  そうしますと、笹島の跡地というのは石ころの方の低いランクに入るのか、それとも磨けば光るダイヤモンドだという認識を持っていらっしゃるのか、その認識、評価はどうですか。
  205. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 笹島は、先ほど申し上げましたけれども、相当の可能性を秘めたものであると考えております。
  206. 末広まきこ

    末広真樹子君 それじゃ、相当な可能性を秘めたものということは、ある程度そこに何かビジョンがおありなんじゃないかと思いますが、将来的活用についてどのようなビジョンをお持ちですか。
  207. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 笹島の活用方策でございますけれども、現在、名古屋市が名古屋駅周辺におきます新たな開発の拠点といたしまして、オフィスなどの商業業務機能を主といたしました開発の構想、「ささしまライブ24プラン」と称しているようでございますが、こういつたような構想を有しておると聞いております。
  208. 末広まきこ

    末広真樹子君 そういう漠然としたビジョンで大阪市はかつて大失敗をしておりますね。大阪駅前に第一ビルから第四ビルまでございますが、今何になっているか、あの超一等地が。全部ゲームセンターですよ。ちょっと夜が更けると怖くて通れないというような現状でございます。そんな寂しいプランでは日本の将来は大丈夫かなと思います、場所が場所ですからね。  大臣、私から提案してみたいと思います。  愛知県では二〇〇五年に万博を計画しております。自然との共生をテーマに海上の森という場所でやろうとしております。ここは本当に緑あふれるすてきな場所です。絶滅のおそれのあるシデコブシの群生など、レッドデータブックに掲載されております絶滅危急種十四種が確認されております。万博はそれらの自然環境に配慮した上で開催されるべきだと思っています。  このことを私は議員になってすぐに環境特別委員会で申し上げまして、その後、閣議決定によって万博のテーマと構想が変更されました。自然との共生にその方向性を転じてきたところでございます。ことしの六月十二日のBIE総会での決定を待っている段階ですが、この自然との共生という言葉の持つ響きは大変魅力的で多くの国の人々のハートを今動かしています。しかし一方で、本当に自然の持つ価値、海上の森本来が持っている魅力を知り尽くしている地元の人々は深いため息をついているのです。  どんなすばらしい技術をもってしても、一日に二十万人の入場を想定している万博という大がかりなイベントを開催したのでは、草も鳥も虫も大地の土壌も地下水系も大気も、すべてが汚染されます。万博が終わればもとの緑に復元するというのは、今の営みのとうとさ、不思議をどこかへ置き忘れた人の言うことではないのか。  大阪万博の跡地の緑地公園、私も二十五年ぶりに行ってまいりました。それは海上の森とは、それこそ石とダイヤモンドほどの違いがございます。その違いを一口で言えと言われると、緑地というのはそこに行ってぼうっとくつろいでいる、これが緑地。この海上の森のような自然の森というのは、そこに行くとじっとしておれぬのです。どきどきして探し回って、出会いの感動があったり、すてきな発見がある。つまり、ひとときもじっとさせてはくれないのがこの自然の森の持つ特性なんです。  大臣は大変豊かな人生経験を多分にお持ちだと思いますが、こういう違いを御理解いただけますでしょうか。
  209. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私ごとで恐縮ですが、私はまだそれほど心にゆとりのある人生を送ったことがないものですから、本当にどういう自然の森というものが感性を打つものかどうかということが実は余りわからないわけでございます。  ただ、先生の場合は、大阪の万博以来、大変万博で御活躍いただいた経験をお持ちです。また、その後の跡地がどういう状況になっているかということは、私も何回か大阪万博の跡地を見たこともありますので、つくられた自然と申しますか、それと、確かに心を打つ、感性を揺り起こす本当の自然との違いというのは何となくわかるような気は先生のお話でいたしますけれども、実感としてはどうもまだぴんとこない、こんな感じがいたします。
  210. 末広まきこ

    末広真樹子君 私は、恥ずかしながら幾つになってもそういう気持ちが抜けない人なんです。  決して万博を愛知県ですることには反対ではありません。愛知県も一度は世界の波を素肌で受けとめてみる必要がある、こう思っています。そのためには、万博のテーマ、自然との共生という整合性のためにも、会場は広域開催が望ましいんじゃないか。そして、万博の中心になるのは、今申し上げてまいりました新幹線名古屋駅から歩いていける万博。八百メートルです。奇跡的に残っているんです。本当に奇跡としか思えません。巨大空地、その笹島跡地が超一級のダイヤモンドとして光輝く瞬間が二〇〇五年ではないのか。少ない投資で高い効果、今我々に求められているのがこれです。合い言葉は歳出削減、もう本当にこれ一言でございます。  そうなれば、遠くにある自然の森を削るむだ遣いは避けるべきです。近いところで公共事業として万博のインフラ整備を行い、その跡地は、これはもう名古屋の国際マーケティング、あるいは先週も申し上げました情報発進基地、そして中部新空港のCAT、運輸省で言うCATでございます。そのようにして存分にその真価を発揮していくであろうことが予想されます。つまり輝きが見えております。  原則は公開入札制でございましょう。しかし、しょっぱなの御質問でもございましたけれども、随意契約も過去にはございます。自治体がまとめて買えるような方策も生かすべきではないのか。国民の貴重な資産として政策配慮が必要な場合もあるのではないでしょうか。  ここで一区切り、ちょっと大臣の御感想を伺いたいのでございます。もう私的御感想で結構です。
  211. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) きょうはもう随分優しく御質問をいただいているなと思っておりましたが、最後は一番大事な問題が待っていてびっくりしているのでございます。  御承知のとおり、先生も今お話しいただいておりますように、愛知県では現在、瀬戸市南部の丘陵地帯を会場といたしまして、二〇〇五年に国際博覧会を開催するということを実は計画をされております。政府といたしましても、平成七年の十二月十九日に立候補のための閣議了解を行っているという経過がございます。  会場の選定に当たりましては、今先生がおっしゃっております博覧会のテーマの一つであります人と自然の共生のあり方というものを具体化する、そういう場所にふさわしい場所をということで、それぞれ検討された結果といたしまして、この候補地が最もふさわしいということで選定をされたというふうに聞いております。  いろいろ先生の方の御意見を聞かせていただいたわけでございますけれども、こうした場所の選定のさまざまな経過の中で、二〇〇五年の国際博覧会の開催立候補予定地として決めさせていただいている閣議の決定という重みを十分御認識をいただきたいと思っております。  環境問題につきましては、当然ながら、それぞれの環境の自然をできるだけ生かすという形の中でこの問題が行われてくるものだというふうに思っております。  最後に、全くエールを送らせていただいて恐縮でございますが、感性ほど大事なものはないと思います。この森だけではなくて、日本にはたくさん立派なもっと感性を躍らせるような自然の場所もあろうかと思いますので、どうぞ先生におかれましては、いつまでもその感性だけは失われることのないように、ひとつ政治の場でも我々に教えていただければ大変幸いだと思っております。
  212. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。  すべては、これ愛知県での万博が決まるかどうか、決まってから多分大臣も閣僚の一人として再びテーブルにお着きになって議論をなさると思いますので、私の申し上げたことを心の片隅にとどめておいていただければ幸いかなと思います。  とりわけ、将来的付加価値、こういうのは大事です。それをつける政策立案ができるかどうか、それともただもう清算事業団に入っている土地だから切り売りしていくのか、これはもうくずにするかダイヤモンドにするかのまさに分かれ道、政府の都市政策が問われているところだと思います。  いずれにしましても、私の希望としましては一たんは土地を国に移管していただきたい。そして、国に移管した後に自治体でしっかりした論議を促していただきたいと思います。売り払うも清算、しかしここまで来たからには付加価値をつけることを関係大臣とお話し合いになって、負の遺産をプラスの遺産に、大胆に発想を変えるというのも今の時代としては必要なんじゃないか、これも一つの清算の形ではないのかなと思いますが、この点について、最後になりますが、大臣お願いいたします。
  213. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生おっしゃるように、土地の価値というものは、その土地をどう有効に使うかによってダイヤモンドにもなりますし、くずにもなろうと思います。そういう発想のもとで、今後あらゆる角度から検討してまいりたいと考えております。
  214. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございました。
  215. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございますが、よろしくお願いをいたします。  まず、旧国鉄債務は、当初十三兆円であったものが、八七年には二十五兆五千億円、さらには現在では二十八兆円を超えようといった状況になっています。国民負担が大体二十兆円以上さらにのしかかってくるのではなかろうか、赤字ばかりが膨らむような状況でございます。  こうした旧国鉄は、戦後の外地からの引揚者の雇用対策も含めまして、今日までずっと引きずってきた結果である、私はこのように思っております。もともと国策として行ったわけでございますので、どう考えてみても、今運輸省だけにこの問題を押しつけるには大変荷が重いような気がいたしますけれども、まずそういったところをどうお考えになっていらっしゃいますか。
  216. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生がおっしゃろうとしていることと私は全く同じ認識でおります。  御承知のとおり、国鉄改革の総仕上げという観点、また財政構造改革の見地からも、この国鉄長期債務処理というものが極めて重要な課題でございます。また同時に、政府としては避けて通れない課題であるというふうに位置づけるべきだというふうに思っております。  そういう意味でも、九年中に本格的な具体的な処理策の成案を得るということにいたしておりますが、政府一丸となって取り組んでいく問題だろうというふうに思っております。御指摘のとおり政府一体の問題として認識をいたしているところでございます。
  217. 栗原君子

    ○栗原君子君 もう一度大臣にお伺いしたいと思います。  これだけの債務が重なってきたわけでございますが、これは国鉄改革は成功したと考えていらっしゃいますか、それとも成功していないと。おおよそ何点ぐらいであろうか、点数にすれば八十点ぐらいなのか七十点ぐらいなのか、どのようにお考えでございますか。
  218. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 何点かということは、視点の置き方によってかなりの違いが出てくるだろう。ということは、それぞれ国民の皆様方がどういう評価をされるかということに尽きるだろうというふうに思います。私個人的に言わせていただくと、合格点以上ということになれば国鉄改革は八十点以上なのかな、そういう意識でおります。
  219. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、昭和六十三年一月二十六日に閣議決定がなされておりまして、「日本国有鉄道清算事業団債務償還等に関する基本方針について」ということがありまして、このときの大臣は現在の橋本総理でございます。この間、何人の運輸大臣が担当なさったのかわかりませんけれども、やはり当時の運輸大臣でありました今日の橋本総理にも大きな責任があると私は思っております。  そうした中で、この問題はやはり内閣を挙げて、橋本総理が中心になって事を運ぶべきだと思いますけれども、どうお考えですか。
  220. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいま御答弁申し上げましたように、政府一体となってこの問題に取り組むということは、今の総理大臣、橋本総理みずから先頭に立っていただくという理解をしていただいていいのではないかと思います。
  221. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、実は昨日でございますか、五月二十六日に政府・与党財政構造改革会議というところで企画委員会報告なるものが出されておりまして、ここで旧国鉄債務の問題について取り上げられているわけでございます。  この中には、確かにたくさんのものを盛り込んでありまして、例えば増税による国民負担とか、あるいは事業団債務一般会計へのつけかえ、揮発油税等道路財源の活用、鉄道利用税等の形によるJR利用者の負担JRによる負担、あるいはまた交通機関利用者全体の負担一歳出全般の大胆な見直し、相続税軽減等の特典をつけた無利子国債の発行などなど挙げられておるわけでございます。  これだけ挙げられておるならば、今年度中に成案を得るということを先ほどから何度も答弁をなさっていらっしゃいますけれども、これら挙げられておるものを実行すれば解消するとお考えでございますか。局長、お願いします。
  222. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘いただきました財政構造改革会議の企画委員会の報告は、まさに国鉄長期債務問題としての財源対策として考えられる選択肢を挙げられたものだと私どもは理解いたしております。この中にもございますとおり、こういったような選択肢につきまして、これらを含めましてあらゆる方策について個別具体的に検討を行って平成九年中に成案を得ることとする、こうされております。  私ども、与党初め各党におきます幅広い議論も踏まえながら、あらゆる選択肢につきまして検討し、成案を得るように努めてまいりたいと考えております。
  223. 栗原君子

    ○栗原君子君 この間何年かかったでございましょうか。国鉄改革がなされてもう十年を過ぎるわけでございますけれども、いまだにこれといった打つ手がないといった状況で今日に来ているわけでございます。あと半年余りの中でできるという自信がおありと考えてよろしいわけですね。もし成案を得ることができない場合はどのように考えていらっしゃいますか。
  224. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) まず最初に申し上げたいと思いますのは、清算事業団債務につきましては、これはもう国会の場でもたびたび御答弁させていただいておりますが、清算事業団の自主財源を効果的に処分することによりまして国民負担を極力縮減する、こういう基本的な考え方でやってまいりました。いろんな事情はございましたけれども、最大の自主財源でございます土地につきましては平成九年度末に実質的な処分を終了する、こういうことで政府としてやってまいりまして、いよいよその期限が今年度末ということでございます。  したがいまして、このような状況になってまいりまして、今までの方式では清算事業団が持っている自主財源もいよいよ限られてまいりましたので、この清算事業団債務につきましては決着を図らなければならない、こういうことで、どちらかといいますと、国民負担議論というのは昨年来だと存じますけれども、どうするかということを運輸省としても持ち出しまして、広く国民のコンセンサスを得るべく御議論をいただいているという状況でございます。  そこで、今御指摘ございましたいろんな選択肢、これにつきまして今後鋭意検討の上、昨年十二月の閣議決定でも、本年中に成案を得て、平成十年度から本格処理を実施する、こういうぐあいになっておりますので、政府といたしましては、これは運輸省はもちろんでございますけれども、政府のそれぞれの関係のところとも十分相談いたしまして、成案を得るべく最大限の努力を尽くさなければならない、このように思っております。
  225. 栗原君子

    ○栗原君子君 私は、もし成案を得ることができなかったらどうされますかと聞いたんですけれども。
  226. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 今、鉄道局長が御答弁申し上げましたように、国鉄清算事業団の資産というものの大方の目安がわかってきたわけでございまして、そういうことを踏まえまして、この本格的な処理というのはもう待ったなしたと。  こういう状況の中で、たびたび申し上げておりますように、昨年の暮れの閣議決定で九年中に成案を得て、十年度からは本格処理に取りかかるということでございます。どんなに困難であってもこれは成案を得ないことには前に進まない。そういう自信があるかということでありますけれども、そういう自信を持って成案をつくるための最大限の努力をやっていくということで、必ず期待にこたえていきたい。  そのためには先生方のこの上とも御指導とか御支援とか、いろんな問題点をさらに御指摘をいただく、こういう観点もぜひお願いをしておかなければいけない問題だと思っております。必ずやらせていただきます。
  227. 栗原君子

    ○栗原君子君 大変強い決意を伺いまして安心したわけでございます。  ここで幾つか選択肢があるわけでございますけれども、その中でJRの関係者の方からこんなことを伺ったことがあるんです。JRは既にJR分として十四兆五千億円を着実に払っているから、もうこれ以上負担をさせないでほしい、こういったことをおっしゃる方がありました。  そして、また一方では、旧国鉄長期債務のうちの二十兆円以上が返済困難になっているわけでございますし、また、もともと国鉄分割民営化国民負担を最小にして債務処理する最良の方式であるということで始めたことであります。旧国鉄の用地とかあるいはJR株の売却益十一・三兆円はこの利息の支払いに消えてしまっているわけでございます。二十五兆五千億円だった債務は二十七兆八千億円にも膨れ上がっているのでありますけれども、これらが国民負担となるならば、赤ちゃんからお年寄りまで大体十七万円から二十万円の負担となるわけでございます。  そこで、債務返済の失敗として政府の責任が大きくここでも問われているわけでございまして、JRに対しての先ほどからのやりとりを聞いておりまして、負担もしていただいてもいいのではないか、このように私は思うようになりました。特に、JRは政府と一緒に責任を負うべきでありまして、例えばそれはなぜかといいますと、九六年の決算を見てみますと、JR東日本は千二十一億円、そしてJR東海は六百二十五億円、JR西日本は五百五十六億円の経常利益を上げているわけでございます。一方でまた、北海道は十四億円、四国は七・九億円、さらにはJR貨物は八・九億円の赤字を出しております。  これら三島と貨物についての赤字は当初からわかっていたことでありますけれども、本州三社については大変な私は利益を上げているということが言えると思います。  このことについて二つの意見がありまして、JRから負担をさせないでくれという声も聞こえてくる、一方では、やはりこれだけ成績を上げているならば当然負担をしてもらってもいいのではないかという声もあるわけでございますけれども、これについてはどうお考えになりますか、JR分。
  228. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) JR負担の問題、ただいま先生から御指摘ございましたとおり、賛成論、反対論、確かにあろうかと存じます。  国鉄改革後の好調な経営状況も踏まえると、JRもさらに一定の負担をしてもいいのではないかとか、あるいは清算事業団側の国鉄職員年金負担を負っておりますけれどもJRも一層の負担をすべきではないか、あるいは国民負担を求める以上JRが全く国鉄長期債務について知らないというようなことでは国民が納得しないのではないか等々の御意見がございます。  これに対しまして一方、御指摘ございましたように、JRによる国鉄長期債務負担というのは国鉄改革時に既に決定済みであって、経営成績が好調であるからといって十年前にさかのぼってこれを見直しするというか仕組みを変更するというのはおかしいのではないか、そんなことをやりましたら民営化の基本理念に反するのではないか、あるいは一般株主との関係でも問題が発生する、あるいは株式処分に伴います収入の確保といった点でマイナスが発生するのではないかといったような御意見があることも十分私ども承知しております。  これにつきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますが、私ども、今後におきます幅広い論議を十分踏まえました上であらゆる選択肢を精力的に検討しまして、この本格処理のための成案を得るべく努力をしていく、このような考えでおります。
  229. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、今大変、例えば揮発油税を道路ばかりでなくしてこちらに回してくれてもいいのではないかとかそういった声もあるわけですね。あるいはまた自動車重量税についてもそうした声があるわけでございますけれども、随分とこれについてはそれぞれの省庁絡みがありまして抵抗が強いようでございますけれども、このことについてはどうお考えですか。
  230. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) これは、揮発油税あるいは自動車重量税といった道路財源の問題でございますが、これを国鉄長期債務処理するための財源として活用したらいかがかどいう御意見がある一方で、これらの財源は受益者負担に基づくものでございまして、負担と利用の関係といいますのがやはり当然のことながら相互に関連をしている、この道路財源で国鉄長期債務処理を図るということにつきましては、そういった受益と負担の関係が説明がつかないので国民の理解を得られないのではないか、こういったような御意見もございます。  たびたびで恐縮でございますが、私ども、あらゆる選択肢の一つとして、この問題につきましても広く議論をさせていただきまして、国民のコンセンサスを得られるように幅広く具体的処理策につきまして成案を得るように努力をしてまいりたいと思います。
  231. 栗原君子

    ○栗原君子君 例えば踏切を整備するとかあるいは線路を高架にしていくとか、こういったことについては私は当然建設省あるいは自治体あたりの協力もいただいてもいいと思うし、必ずしもこういつたことまですべて運輸省絡みでやるべき問題でもないような気がするわけでございます。  それと、やはり公共事業の見直しもいろいろ考える中で少しそうした財源をこちらに回していくとかすることによって、さまざまな工夫をする中で成案を得るための努力をしていただきたいということをお願いするわけでございます。  そこで、もう一つ、旧国鉄時代長期債務償還の財源として土地JR株式、と同時に長期債務の金利の負担がこれまでも押しつけられているということが言えるわけでございまして、先ほどからも議論になっておりますように、例えば簡易保険の場合七・五五%、大変高い金利でございますけれども、こういうことまで押しつけているわけでございます。いただいた資料を見ましても利子分が九・九兆円あるわけでございまして、この中の財投分は七・二兆円で大変これは負担とすれば重いわけでございます。  この金利の負担を負うために努力して土地を売っても、元金は一向に減少しないというのが実態でございます。この清算法人に金利負担まで負わせていることにも問題があると思うんですけれども、もう一度このことについて御答弁をお願いします。
  232. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 確かに、清算事業団資金を考えました場合に、毎年度の自主的な財源が十分売却できなかった、これに伴いまして債務償還する際にさらに、自主財源による収入を充てるということで処理ができればよかったんですが、これができないがために借りかえによって処理をしてきた、こういつたようなことで利子負担がとても大きかったというのは事実でございまして、御指摘のような結果になっているわけでございます。  これにつきましては、私ども、金利の長期的な安定性あるいはできる限り低金利なものであること、幾つかの要請をあわせ検討しながら、その時々の判断で財投なりあるいは民間借入金からの調達ということでやってきたわけでございますが、結果的にこの利子負担が大変大きいために御指摘のような利子、あるいはこれに年金負担もございますが、自主的な収入ではこれらを賄えるような収入を上げることはできなかった、このような経緯でございます。
  233. 栗原君子

    ○栗原君子君 続きまして、国鉄清算事業団職員の雇用の確保についてお伺いをいたします。  職員の雇用問題に責任を持って対処するため、内閣に特殊法人の職員の雇用問題に関する対策本部を設置するということが約束されているようでございますけれども、これについては設置されているんでしょうか。
  234. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生指摘いただいた件については、平成七年の閣議決定に基づきまして、本日第一回の会合を持たせていただいたところでございます。
  235. 栗原君子

    ○栗原君子君 平成七年に決められて本日とは、この間は全く機能していなかったと思ってよろしいんですね。
  236. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 特殊法人の職員の雇用問題に関する対策本部の設置といいますのが、平成七年四月二十八日に閣議決定されておりますけれども、特殊法人の整理合理化といいますのが最近急速に進展を見ておりまして、このような時期を踏まえまして、本日初めての会合が行われたというぐあいに私ども承知しております。
  237. 栗原君子

    ○栗原君子君 事業団職員を整理する時期がいずれは来るわけでございますけれども、職員の雇用の安定確保を図った上で行うという、先ほどおっしゃった閣議の決定もあるわけでございまして、以前アンケート調査をなさったところがございまして、おおよそ二千名にアンケートの調査をいたしまして、回収率が九八%といった報告をいただいております。  その中で、七〇%の職員は今の職場で働きたいということを希望しております。それはなぜかと申しますと、国鉄改革以来十年間培った技術を生かしたいからといったことが大変強うございまして、それとあわせて、既に職員は五十歳を過ぎている人たちが圧倒的に多いわけでございます。今さら他の職種にはかわることができないという人たちもあります。  それから、三〇%は条件によっては退職してもいいかな、あるいはまた転職してもいいかなといったような声が出ておりますけれども、このことについてはやはりそれでも整理縮小をしていく、そして、職員については他の職種に配置転換などなど含めてかわってもらうというお考えでございますか。
  238. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 清算事業団組織そのものでございますけれども、これは昨年十二月の閣議決定におきまして、国鉄長期債務等本格的処理平成十年度より実施し、平成九年中に成案を得ると、こういうぐあいにされておりますが、その際に、本格的処理を実施した上で速やかに事業団を整理する方向で再就職対策を平成九年度より開始する、こういうことにされたところでございます。  やはり、国鉄長期債務問題の解決に当たりまして、この清算事業団国鉄長期債務処理するために設立された組織でございますから、この組織を整理するという方向は、これはやむを得ないものであると私ども考えております。その際に、この事業団でお働きいただいております職員方々の再就職対策というのは極めて重要な問題でございます。  私ども、この問題につきましては大変重要な問題と考えまして、先ほども御答弁させていただきましたが、運輸省全体としてまず取り組むということで、対策本部を設置して、運輸省のまず所管の特殊法人であるとかあるいは各省庁に対しまして職員の採用を要請している、こういう状況でございます。それから、JR各社についても同様でございます。  大変、職員方々は御指摘のとおり高齢の方々が多うございますが、やはりこの点は、長期債務問題を検討する場合に当たりまして避けられない問題であろうと考えております。
  239. 栗原君子

    ○栗原君子君 特に、この旧国鉄時代に建設部門とかあるいは保守部門を担当した職員が来ております。そのために、新幹線の工事とか、駅の改良工事とか、あるいは線路の増設工事とか建設とか、営業線の工事を担当していた人たちが来ている、そういった仕事に携わっておりました。そして、事業団に参りましてからは、用地の売却のため自治体との折衝に汗を流した人たち、あるいは更地化するための工事とか宅地造成とか、それから土地利用計画とか、先ほども出ておりましたマンションの建設などもしてきた人たちであります。既に相当な年になっておりまして、なかなか今さらほかの職種にかわれと言われてもできないといったことを言っております。  そうした中で、再就職を希望する職員の労働条件を守るための努力はしていただくことができますか。
  240. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 再就職、大変難しい問題も多々あろうかと存じますけれども、私ども、ただいま先生指摘ございましたアンケート調査も承知しております。職員方々の御要望にできるだけ沿えるように最大限の努力を尽くさなければならない、このように思っております。
  241. 栗原君子

    ○栗原君子君 できることであるならば、もっと職種をふやしていただいて、例えば事業団の用地に係る自治体との共同開発の町づくりのプラン、そうしたものをするところとか、あるいは国有財産の活用のためのそうしたプランづくりとか、JR駅周辺の整備、駅前の広場とか交通アクセスのそうした関係の職種、さらには受託業務、特に新交通システム等の鉄道の建設、マンションの建設、土木建築などなど職種をもっとふやしていただいて、続けてこの職場で働くことはできないか、こういった声もあるわけでございます。  ぜひそうしたことも十分考慮していただいて、だれ一人迷うことのないように、ぜひ省を挙げて対応していただきますようにお願いをして、最後に御答弁いただいて終わりたいと思います。
  242. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま清算事業団職員方々の再就職の問題、御指摘を受けました。  繰り返しになりますが、この問題、私ども、国鉄清算事業団組織のあり方を考える場合にとても重要な基本的な問題だと思っております。運輸省を挙げて鋭意努力をするとともに、他省庁にも御協力をお願いし、あるいは地方公共団体にも御協力をお願いし、あるいは民間、JRはもちろんでございますけれども、その他民間の方々にも御協力をお願いするといったような努力を積み重ねまして、この再就職の問題に対処してまいりたいと考えております。
  243. 芦尾長司

    芦尾長司君 芦尾長司でございます。最後になりまして皆様方お疲れのところでございましょうが、少し勉強してまいりましたので、申しわけございませんが御協力のほどお願い申し上げます。  まず、今回の提案されております国鉄清算事業団負担軽減を図る特別措置法でございますけれども、平成十年度から本格的な処理を目されまして、その事業団処理すべき国の債務累増を防ぐために平成九年度で一年限りの臨時特別の措置を講じていこう、こういう法律でございます。本法の制定というのはやむを得ないものというふうに存じております。  その上で、一つ御質問させていただきたいのでございますが、今回この国鉄債務の問題につきまして、これから国会で審議があるんだということを知人、相当の有識者なんかにもお話をしたのでございます。会う人ごとに意見を聞いてみますと、ある意味では国鉄時代の放漫経営ツケといったものを税金で負担していかなければいかぬのかといったような意見でございますとか、また一部マスコミでも報道されておりますように二十八兆円、一家族六十四万円にもなるじゃないかといったような意見もあるわけでございます。  なおこれから、国民に対して国鉄債務というものにつきましての御理解を深めていただく必要があるんじゃないかなというふうに思っておるわけでございますが、この点につきまして、大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  244. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生おっしゃっていただいておりますように、この国鉄長期債務の問題については、国民の皆さん方の大変多くの厳しい目があるということを承知いたしております。  しかしながら、十年前に、先輩や先人の大変な御英断と決断によりまして国鉄改革というものがなされたわけでございます。その結果といたしまして、国鉄改革というものは、ただいまも答弁させていただきましたけれども、それぞれの視点の違いはありますが、また国民一人一人によって評価の違いはあろうかと思いますけれども、おおむね私は成功したと、そういう結果の中で国鉄長期債務というものを本格的に処理していくという課題が残されているわけでございます。  その辺のことを、この国鉄改革の基本的な理念というものがどこにあったのか、その結果としてどういう現状になっているのか、そしてこの国鉄長期債務というものの本格的な処理策を施すことによって初めて国鉄改革がすべての面でさらに大きく実るというようなことを国民の皆さん方によく理解していただき、知っていただくということがまず大事だろうと、先生指摘いただいているとおりでございます。  そういうことを踏まえまして、たびたび御答弁申し上げておりますが、まさに国民の皆さん方のコンセンサスを得るということが大事でございます。そのために、あらゆる角度で幅広い御論議をいただく中で、きょうも御論議をいただいておりますが、さまざまな選択肢がございます。また意見がございます。そういうことを運輸省が中心になりまして、平成九年中にまとめていくということが私に課せられている使命だと思っております。全力を尽くしてまいりたいと思います。
  245. 芦尾長司

    芦尾長司君 大臣の力強い御答弁で、私も安心をいたしております。  そこで、いずれにいたしましても、この長期債務等が発生してきておりますけれども、その原因というものをどういうふうに考えていくか、そういうことを国民の前にももう少しはっきりとさせていただいた方がいいんじゃないかなという気がいたします。  昭和三十九年度に純損失が発生してからこれまで赤字が膨らんできた、こういつたようなことになりまして、国鉄改革時代に三十七兆一千億でございますか、そしてまた、現在が二十八兆一千億といったようなことが言われておるわけでございます。  いずれにしても、国鉄時代とそれから事業団が引き受けた後とで、どういうふうな原因でその債務が発生してきておるのかというものを、一つは、施設整備にお金がかかったとか、経営安定基金にお金がかかっておるとか、現時点に立った場合、年金負担があるとか、そして残りは国鉄長期債務だといったような一応分類はされておりますけれども、もう少し立ち入った分析というものがこれから必要になってくるのではないかなと思うんですが、いかがでございましょうか。
  246. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘のとおり、国鉄長期債務中身は一体何なんだということであること、あるいはこれはどうしてそうなったのかということを明らかにしていくことはとても重要なことだと存じております。  国鉄改革の際に、国鉄長期債務等総額は三十七・一兆円と、こういうぐあいにされましたけれども、この内訳を申し上げますと、国鉄自体の長期債務が二十五・四兆円ございます。そのほかに、鉄建公団、本四公団にかかわる債務、これは上越新幹線の建設分であるとか、青函トンネルの建設分であるとか、あるいは主要幹線、日本鉄道建設公団が建設いたしまして国鉄に貸し付けておりました主要幹線あるいは大都市交通線の建設費等々の分、それから本四連絡橋のうちの鉄道施設分でございますが、こういったようなものを合わせまして五・一兆円。それから、経常損益では赤字が見込まれますので、基金を積みましてその運用益で経営を支援しようということで、JR北海道四国九州、この三社に設けられました基金分、これが一・三兆円ございます。それから、国鉄清算事業団の方に所属されました余剰人員に対する再就職対策費等で三千億円。それから年金負担で五兆円、こういったような内容でございます。  こういったようなものがどのようにしてこうなってきたかということでございますが、その原因でございますけれども、これは先ほど来御指摘もございましたが、一つは自動車や航空の発達に対しまして国鉄のシニアが減少してきたという、輸送構造の変化という点がございます。それから、不正常な労使関係による生産性の向上意欲やコスト意識が欠如していたという点、それから収益に必ずしも結びつかないような過大な設備投資、あるいはローカル線等の不採算路線の建設維持が行われてきたこと、それから運賃改定が適時適切に行われなかったこと等々の要因が挙げられると思います。このような状況に対しまして、国鉄という経営形態そのものが、公社という自主性が欠如いたしました制度のもとで全国一元の巨大組織として運営されてきたという、組織形態そのものに内在する弊害によりまして的確な対応ができなかった、これが最大要因であると考えております。
  247. 芦尾長司

    芦尾長司君 今いろいろ原因をお述べいただきましたが、そういうことを申し上げますのは、こうした長期債務等の原因と、それからこれを処理していく仕方といいますかスキームといいますか、その整合性というものを少し持たせていく必要があるんじゃないか。  三十七兆一千億でございますか、今お話しになりましたように、施設の整備分というのは新幹線の機構でございますとか、それから普通のJR等に負担をしていくようなシステムにはなっています。例えば、先ほどJR負担の話もありましたけれども、JRについてはその新しい事業体が健全な経営基盤を確立して、事業の運営に支障を来さないようにということで、あるいは少し施設整備よりは少ない金額になっているのかもしれない、その分が長期債務の方に回っておるのかもしれない。そこらの、債務が発生しておる原因と処理する部分とを一遍きれいに整理しておく必要があるのではないか。そしてまた、資産処分をこれからして、それで収益を充てていく、充てていくものも、結果としては一緒かもしれませんけれども、収益分は何に充てたかということを、そういう整合性というものを持ったこれからの処理ということが必要になってくるのではないか。  トータルすれば一緒になるかもしれませんけれども、そこの理屈づけというものをやはり国民の前にきちっとしていく必要があるのではないかなというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  248. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 長期債務が発生いたしました要因といいますか、定性的には今申し上げたようなとおりでございますが、これらは相当複雑に絡み合いまして、結局トータルとして国鉄の損益はどんどん悪化をしていったわけでございまして、一般的にいろんな要素を申し上げることはできますが、これがどの程度であり、したがって、その処理策としてこれこれだという対応関係をとることは大変難しいのではないかと実は考えております。  ただ、御指摘のとおり、なぜこのようになってきたかということに関しては、やはり国民の御理解が得られるようにこの点は私ども十分実態を開示すべきだろう、このように思っております。
  249. 芦尾長司

    芦尾長司君 確かに難しい問題であろうかと思うんですが、いずれにいたしましても、国鉄なりJR経営の経済性というものと公共性というものとの二つの要素がある。経済性の部分はこれは料金で賄うべきであろう。公共性の部分は、これはあるいは公共事業、税負担で賄ってもいいのではないか。そういう部分がきちっとあるのではないかなと思いますが、そういう部分については、これからは、この債務についてはある意味では税負担を求めていくといったそういうきちっとした理屈づけをもって国民の前に正々堂々とというとあれかもしれませんけれども、申し上げる部分があるんではないか。  もちろん、その場合にも施設整備費とそれから運営費の問題があって、それをそういう経済性と公共性で分けるというのは難しいかもしれませんけれども、これまでの赤字につきまして何かそういった区別が必要ではないのかなという気がするものですから申し上げておるのでございます。  そこで、先ほどの御議論もありましたけれども、現時点財投資金の金利というものが非常に今高く出ておるわけです。今回、平成九年度の措置の中でも民間資金をとにかく活用してこの金利を下げていこうというような御努力をされておるわけでございますが、これからもこうした民間資金導入といったようなものも含めて、借りかえでございますとか減免というものを運輸省として進めていくお考えがあるのかどうかお伺いしておきたいと思います。
  250. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この問題、運輸省の希望といいますか、そういうことであればあるいは勝手な希望というのがあり得るのかもしれませんが、そもそも財投の仕組みといたしまして債務の繰り上げ償還によります低利の借りかえにつきましては、結局のところ債権者に借り手の金利軽減コストをツケ回す、このようなことになりますので財投制度の根幹にかかわる問題でございます。この問題に関しましては、財政当局とも意見を調整いたしておりますけれども極めて難しい、こういうことでございます。  このような点も含めて考えまして、先ほど来いろいろ御意見をちょうだいしておりますけれども、本格的処理策のためのあらゆる選択肢につきまして、今後個別具体的に検討した上で国民のコンセンサスが得られるような成案を得るように努めていかなければならない、このように思っております。
  251. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。  そこで、先ほども申し上げましたが、ただいまも御議論になっていますが、一体借金の額が二十八兆円なのか二十兆円なのかといったようないろんな数字がひとり歩きして出てきておるわけでございます。  このいただいた資料を拝見しておりましても、将来費用の点につきましても、例えば七・三%で割り戻しているということからいけば、本当は七・三なんかで割り戻さずにもう少し低い率で割り戻さなきゃいかぬのではないか。また、現時点土地株式の資産がある、そうしたものがこれから引かれていくことになるだろう。  そういうようなことで、国民に本当に、国民といいますか、これから処理しなければならない負担になってきそうな額というものをある程度早目に明確にしていく必要があるのではないか。いつまでも二十八兆がひとり歩きしたり二十兆がひとり歩きしたりということにならないようにすべきだと思うんですが、いかがでございましょうか。
  252. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘のとおりだと思います。  数字的なことを申し上げさせていただきますと、平成九年度の予算、これが土地処分等が予算どおり確保できたといったようなこと、それから今お願いしております法案が通りましてこの措置が実現できるといったこと、こういったことになりますと、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、平成十年度首には二十七兆八千億という長期債務の残高になる見込みでございます。  これに対しまして、清算事業団が持っております自主的な財源であとどれだけ処理ができるかということでございますが、これは当然のことながら株式市況地価の動向等によって確定するということはできませんけれども、本年の三月に一定の前提を置いて試算を行いまして、平成十年度以降資産処分等の収入はおおむね四・五兆から五・五兆にとどまるであろうと、こういうことでございます。差し引きをいたしますと、本年三月時点ではどの程度の資産かということはわかるわけでございますけれども、二十兆を超えることになることはほぼ確実と、そのように私どもは見込んでおります。
  253. 芦尾長司

    芦尾長司君 できるだけ国民に誤解のないような数字で御議論をしていただくようにお願いをしたいと思います。  そこで、最後になるわけでございますけれども、いろいろ申し上げてきましたが、こうした債務負担をどういうふうに処理していくかということになるわけです。  先ほど中尾先生の方からも御議論ございましたが、これまで有識者の意見というものがいろいろおっしゃられておりまして、もう全部その方法が出尽くしておるような気がするわけでございます。一つは、JRで持つのか、それとも税負担でいくのか、片一方では国民負担をこれ以上ふやすのか、現行制度でいくのか、そういうマトリックスの中でいろいろ動いていくのではないかなという気がいたします。  JR負担でいきますと、もうJRの企業努力で納付金で納めてもらうとか、国民にやはり料金アップをお願いするかというようなことになりましょうし、片一方からいけば、新税を創設するのか、それとも、そうではなくて一般の事業を圧縮して余った部分で補助金を出すなり、また無利子の今回やっているような貸し付けでいくなり、または税制を優遇措置をして税の方で、そういうところで負担をしてもらうというのか。  いずれにいたしましても、そういった組み合わせをずっと考えながら、一方で、今も申し上げましたような、こうした長期債務が出てきた原因というものと組み合わせながらこれからこの負担のスキームを考えていく必要があるのではないかなというふうに思います。  十把一からげで例えば二十兆を処理しなければならない、国民負担をしてもらわなければならない額だからそれを一括して何かでやっていこうというようなシステム、そういうスキームではちょっとたえられないのではないか。バラエティーのある処理の仕方というものを考えていかなければならないと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、そういうきめ細かい配慮というものをして、そして国民負担を訴えていくということが必要であろうかと思うんですが、大臣、最後に御所見をお願いしたいと思います。
  254. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 今、芦尾先生の方からいろいろな選択肢を検討する中で具体的な手法と申しますか、そういったことを例にしてお話をいただいたというふうに思っております。  私自身、まだこの長期債務の具体的な施策についてコンクリート的に固まっているわけではございませんけれども、確かに先生指摘いただきますように、これだけ債務額というものが膨大でありますだけに、どうしてそういう要因をつくったのか、まずその検証をやるということは当然必要なことだろうと思います。  また、その検証を行うことによって、さまざまな選択肢の中でどういう組み合わせができるのか。そして、その組み合わせによってどう国民の皆さん方は理解していただくのか、そのことが非常に大事なことだろうと思っておりまして、これだけの膨大な額を何かの一つの組み合わせの中で一遍にできるという魔法じみたような処理策というものは到底不可能だろうと、私自身そういう印象を持っております。  先生の御指摘は十分勉強する中で参考にさせていただいて、国民のコンセンサスを得る、成案を得るための期間も決まっているわけでございますから、全力を尽くさせていただきたいと思っております。
  255. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございます。
  256. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十一分散会      —————・—————