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1997-05-22 第140回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      真鍋 賢二君     竹山  裕君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         直嶋 正行君     理 事                 佐藤 泰三君                 二木 秀夫君                 戸田 邦司君                 中尾 則幸君     委 員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 竹山  裕君                 野沢 太三君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 平井 卓志君                 横尾 和伸君                 瀬谷 英行君                 筆坂 秀世君                 末広真樹子君                 栗原 君子君                 芦尾 長司君    国務大臣        運 輸 大 臣  古賀  誠君    政府委員        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        国土計画庁・調        整局計画課長   浜野  潤君        自治省財政局指        導課長      木村 良樹君        自治省財政局調        整室長      岡本  保君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を  図るために平成九年度において緊急に講すべき  特別措置に関する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十九日、真鍋賢二君が委員を辞任され、その補欠として竹山裕君が選任されました。     —————————————
  3. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野沢太三

    野沢太三君 新幹線整備法の一部改正当たりまして、最初に、新幹線という鉄道がいかなる性格を持ち、またいかなる経緯があり、今後どのようにこれが伸びていくのか、その辺についての展望をまず明らかにしてまいりたいと思うわけでございます。  私は昔、国鉄昭和三十一年に入社をした者でございます。三十三年から東海道新幹線建設を開始いたしまして、これが五年余りの経過の後、三十九年に開業、こういうことでありましたが、当初、私どもが入社したころは鉄道斜陽論というのが世の中に大分流布されておりまして、確かにアメリカの鉄道などはもう軒並み会社がつぶれていく、あるいは航空機に取ってかわられる、まことにさような中で今なぜ新幹線かということが随分議論されたことを鮮明に覚えておるわけでございます。  しかしながら、東海道輸送力が逼迫をする中で、どうしてもこれをやらないともう輸送上もたないという、やむにやまれないいわば線路増設という国鉄自体改良工事としてこれが取り組まれた。しかし、あの当時としても決して楽な資金があったわけではないし、もう大変な四苦八苦、やりくりの中で建設を進めてまいりまして、当初予定した金額の倍近い金額が必要になったというようなこともあり、これを提唱した十河総裁開業を待たずにその責任をとって辞任されるというような事件もあったわけでございます。  しかし、結果的に見ますと、五百キロ三千八百億という中でキロ当たり七億程度の安いコストで立派にこれが完成された後では、まさに高速鉄道というものの価値が極めて高いということが立証をされまして、内外ともに大変な評価を受け、今日の鉄道再生のいわば原動力になっていった、かように思うわけでございます。  その後、山陽あるいは東北上越ということで、東北上越につきましては新幹線整備法という、きょう御議論させていただきますこの法律に基づいての議論ということで仕事が進められたわけでございます。  今、整備新幹線を進めるということがどれほどのやはり価値があり値打ちがあるか。そういった過去の経緯を振り返りながら、かつ、今後の日本経済の進展のためにこの鉄道が一層有効に機能していただけることを念願している一人でございますが、これにつきまして、新幹線の果たす役割という面で大臣の所見、感想を最初にお伺いしたいと思います。
  5. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生は、国鉄時代の経験を生かされまして、国会の場にありましても常に鉄道、とりわけ新幹線必要性、また我が国新幹線整備に大変熱い御支援をいただいているわけでございます。先生もお触れいただきましたけれども、私は、新幹線というのはまさに二十一世紀我が国交通体系において大変大きな、重要な役割を果たしてくれるものだと期待をいたしている一人でございます。  と申しますのも、御承知のとおり、新幹線は何といっても定時性、時間の正確さ、そしてまた安全性環境面、特に省エネルギーということから極めてすぐれた高速大量輸送機関であるということは申すまでもないことでありまして、この輸送機関を通じまして我が国国土の均衡ある発展とまた地域活性化に資すると。そういう意味で、冒頭申し上げましたように、まさに二十一世紀交通体系の中にあって本当に重要なかつ必要な役割を担ってくれるものだと。特に、欧米諸国でも改めてこの新幹線優位性、また必要性というものが急速に高まっているわけでございます。  そういう意味からも、私どもはあらゆる努力を尽くして整備新幹線のこれからの整備努力をしていく必要があろうかと、そういう見識を持っているところでございます。
  6. 野沢太三

    野沢太三君 交通機関が伸びていくか衰退するかということについてはいろんな理由や原因があろうかと思いますが、一番大事なことは、御利用していただけるお客様がどのくらいいるか、あるいはそれがどのくらい伸びているかということが非常に重要でございます。  東海山陽についてこの経緯を見ますと、当初、開業した初年度は三万人ちょっとの利用でありましたのが、七年度で見た場合、実にこれが十九万六千人、六倍を超えるお客様が現在毎日利用しておられる、これは一日当たりの御利用というふうに御理解いただければいいわけです。  一方、東北上越はそれじゃどうかということですが、東北が、開業した五十八年の一年間で見て二万三千人だったのが、現在ではもう約七万二千人、既に山陽新幹線利用者を上回っているというのが実態でございます。また、上越が同じく五十八年に開業といいますか、これがフルに使われたのは五十八年からですが、このときが一万人そこそこでありましたのが、七年度で二万七千人と二・七倍。  東北の三倍と引き比べてみましても、いかにこの二つの新幹線がお役に立っているかということがこの面からも言えるかと思うんです。  一方、これがJR各社経営にどのくらい稗益しているかという点を見てみますと、JR日本で見た場合に、新幹線収入が約二五%、二・五割というところに落ち着いておるわけですが、これはこのところ少し横ばいですけれども、先ほどのように開業から見れば随分伸びてきた。東海道に至りましては、これはJR東海でございますが、八八%、約九〇%近い収入比率新幹線が占めている。また、西日本ではどうかといえば、山陽新幹線がちょうど四〇%、四割の収入比率である。こういう状況でございまして、論より証拠と言いますが、本当にこういった中でこれからもやはり都市間交通の基軸は新幹線が担うんだということが言えようかと思います。  そして、新幹線利用していただけます一番の特性といいますか、大事な鉄道としての機能は、一つには安全、一つには高速、そして便利ということがあると思います。この安全の面につきましてお尋ねしたいと思いますが、新幹線開業以来、全体の交通事故の件数がどのくらいあって、その中で鉄道事故はどのくらいの割合になって、かつ新幹線ではどのような事故が出ているのか、これについてお答えいただきたいと思います。
  7. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) まず、鉄道道路とで見させていただきたいと思いますが、道路交通事故に伴います死亡者数でございますが、交通安全白書等により公表されましたデータを集計いたしますと、昭和四十年から平成八年まで三十二年間におきます死亡者数は約三十六万三千人でございます。これに対しまして、同期間におきます鉄軌道事故によります死亡者数は約二万五千人というような数字になっております。  このうち、新幹線にかかわる死亡事故は十七人ございます。この内訳でございますけれども保線作業員などが新幹線車両に触れまして、いわゆる触車に伴う事故が十三人、それから一般の方々線路内に立ち入りまして、これに伴って発生した事故によりまして死亡された方が三人、こういったような状況でございます。
  8. 野沢太三

    野沢太三君 今お話しのように、三十六万の交通事故死亡者が発生して、まさにこれは交通戦争と言われる状態ですが、この中で鉄道関係死亡者が二万五千、これは踏切事故も入っているはずですね。そういうことになると、これは半分は道路事故でもある。  その中で新幹線が、保線作業員や立ち入りという法律違反のものを除きますと、ただ一人、三島の飛び乗り事故で亡くなった高校生の事故以外にない。まさにこういつた安全性というものは、人類がこれまで手にした交通機関の中では最も安全な交通機関である、これをやはりできるだけ多くの国民の皆様に利用し、活用していただくことこそ、政治のやはり私は大きな責任一つではないかと思うわけであります。  こういう安全性に加えて、さらに速度向上という面でも目覚ましい技術改善があったと見ておりますが、これについて簡単にその経緯を御説明いただきたいと思います。
  9. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先生承知のとおり、最初昭和三十九年に新幹線開業いたしました際の最高時速は二百十キロでございました。これで営業を開始いたしました。それ以来、車両軽量化でありますとか、あるいはモーターの出力を向上させるといったような技術開発を進めまして、最高時速は二百四十キロメートル、二百七十五キロメートルと着実に進んでまいりまして、ことしの三月からは山陽新幹線の「のぞみ」によりまして時速三百キロという最高速度による運転が行われております。
  10. 野沢太三

    野沢太三君 三百キロ運転はフランスでは既に大分前からやっておりますが、ついに日本でもこの運転ができるようになったということはまことにこれはうれしい話でございます。実験等状況を見ますと四百キロを超える実験例もたくさんございますし、運輸技術審議会等の答申では三百五十キロぐらいまでは実用領域として活用ができるのではないか、こんな数字もございまして、将来の日本国内交通のいわば基盤はこの新幹線が担えるのではないか、こういうふうに推量されるわけでございます。  加えまして、エネルギーの面でも極めて新幹線効率のいい交通機関と考えられるんですが、航空機それから自家用車等と比べてどのくらいのエネルギー効率であるか、これについて御説明をお願いします。
  11. 相原力

    政府委員相原力君) お答え申し上げます。  エネルギー効率の御質問でございますが、人一人を一キロ運ぶのに必要なエネルギー消費量という観点で、これは平成六年度のデータがございますので、これに基づきましてお答えを申し上げます。  鉄道、これは申しわけございませんが、新幹線独自のものということでなく、新幹線を含めた鉄道全体でございますと、人一人を一キロ輸送するのに百四キロカロリー、これに対しまして自家用自動車は六百十三キロカロリーで、鉄道に比べまして六倍に当たります。航空機は四百二十七キロカロリーでございまして、鉄道に比べまして四倍となっております。
  12. 野沢太三

    野沢太三君 石油というものがもう三、四十年すると枯渇をするということが予測をされておるわけでありますので、今後ともこの化石燃料に頼る交通機関あるいは産業というものは抜本的にそのエネルギー構造改革していかなきゃいかぬということもございますから、今からやはりそのような体制にしていかなきゃいかぬ。電気で走るという特性を十分これは生かした形で国内交通の見直しをやることが大変大事であると思うわけでございます。  加えまして、昨今、環境問題が非常に厳しくなっておりますが、二酸化炭素の発生量を一九九〇年並みに抑えようということで国際的な取り決めまであるわけでありますけれども、どうもことしもそれを上回ってしまいそうだ、なかなか大変だということです。このCO2の発生量だけで見ましても、飛行機の五分の一あるいは自家用車の八分の一というようなデータもあるわけでございます。  今後ともその面で、環境面からしてもこの鉄道建設、特に飛行機とも代替のできる新幹線というものの有効性というものは極めて大事ということでございまして、財政が厳しい中ではございますが、このような鉄道を一層国内で普及、均てんさせるということが大事な仕事と考えるわけでございます。  そこで、今回の新しいスキーム法案についての質問に入りたいと思いますが、今回の法案の条文の中で、第一条でございますが、今まで国家プロジェクトといううたいとげてあったところに加えまして、地方振興目的を加えられて、しかもそれに対する手続も定められたわけでございますが、このことの意義について大臣からひとつお伺いしたいと思います。
  13. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 新幹線は、国土の均衡ある発展という観点から地域格差の是正が図られるわけでございます。また同時に、利用していただく地域住民方々利便性というのは向上をいたします。同時に、産業振興等に大変大きな役割を果たすものであるということから、今回新幹線建設費につきましても地方公共団体負担法律上定めさせていただいたわけでございます。  そういうことにかんがみまして、新幹線整備地域振興に資するというものであることを法律目的規定に置いてあわせて明らかにしたものであるというように御理解いただいておきたいと思います。
  14. 野沢太三

    野沢太三君 これは大変適切な改正であって、新幹線の持っている特性を極めて的確に法文化したと評価をしているわけでございます。  東海道五十三次が栄えたのも、やはり宿場宿場に人が集まる、こういつた性格があるわけでありまして、新幹線のできました各地方の駅を抱える市の人口の増加あるいは事業所増加等を拝見いたしましても、着実にこれは増加の傾向がございます。そういった面で今後一層地方の力を活用し、またいただきながら、この国家プロジェクトを推進するということが極めて大事だと思います。  今回の新しい政府与党の申し合わせば一年間かけて議論をしたわけでございますけれども、この中で決められております考え方といたしまして、私ども与党側としては、これからの鉄道につきましては上を運営する主体と下をつくる主体とを明確に分離する、いわゆる上下分離という形にいたしまして、下の資産の資本費用負担を上の経営主体にかけないということによりまして、これからつくるような地方ローカル新幹線でも、あるいは後ほど申しますが都市鉄道等においてもこのような考え方が極めて有効と考えて、これを明確にしょうということが一つございます。  そして、下の整備につきましては、これまでのように自己資金が借金というようなことで首が回らなくなるようなやり方ではまずいということからいたしまして、公共事業方式に準じまして国が二とすれば地方が一という二対一の比率できちんとインフラ整備した上で、これを利用するJR受益範囲貸付料で済むようにしょうじゃないか、こういうことにいたしておるわけでございます。  この関係につきまして、今までの三線五区間費用負担との違いについてはどこが主に違うのか、そしてこれを政令事項として別に整理したのはなぜか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  15. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) まず第一点の、現在までの三線五区間財源考え方との違いでございますが、三線五区間に関しましてはJR負担がまず五〇%である。この財源といたしまして、既設新幹線譲渡収入として充てられる毎年の七百二十四億円の分がある。それからそれに対しまして、国と地方は、駅部とそれ以外のところで負担割合は違いますが、それぞれ合わせまして五割である、こういうような考え方でございます。これに対しまして、御指摘の昨年の政府与党合意におきまして成立を見ました考え方は、既設新幹線譲渡収入をすべて国の負担分とみなしまして、これに国の公共事業関係費を加えまして、これに対しまして地方がその二分の一を負担する、このようなスキームでございます。国は全体の事業費の約三五%、このような考え方になっております。  それから、国と地方公共団体負担割合政令事項とした理由でございますけれども、国と地方公共団体負担割合を定める法律、これは法律そのもので定めている立法例もございます。ただ、技術的な事項も含めまして技術的な規定を行う必要があるような場合には他の立法例を見ましても政令に委任しておりまして、例えば都市公園法であるとか土地改良法であるとか漁港法といったような例がございます。  整備新幹線の場合でございますが、既設新幹線譲渡収入全額を国の負担分とみなすとかそういったような技術上の規定をあわせてやる必要がございますので、具体的な国と地方公共団体負担割合政令で定める、こういうことにさせていただいた次第でございます。
  16. 野沢太三

    野沢太三君 そこの少しややこしいところが残っておるわけでございます。既設新幹線譲渡収入というものはこれは限られたものでありいっときのものというふうに考えますと、やはり鉄道の基本的なインフラをつくるのは国と地方がこれをつくるんだという意味で、道路、空港あるいは港湾その他含めて明確に法定化することが望ましいと思うわけでありますが、過渡的な段階としてはまだ改善の余地があると私そういう意味で思うわけでありますので、ひとつまた機会を見てより一層望ましいスキームにこれを変えていかなきゃいかぬ、こう思っておるわけでございます。  先ほどもお話がありましたように、七百二十四億という譲渡収入の一部がこれに充当されているということが大きな特定財源になっているわけでございますが、一方、国鉄改革を行ったことによりましてJR各社国税を新たに納めるようになり、地方税相当額を納めるようになってきたわけでありまして、まさにこれは改革の果実として大きな希望でございます。このJR各社改革以来納めた国税地方税金額はどのくらいになっておるのか教えてください。
  17. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 国鉄改革後、JR各社、貨物も含めまして七社でございますが、この七社が昭和六十二年度から平成七年度まで九年間に納税いたしました額は、国税で九千百一億円、地方税で一兆一千二百二十二億円でございまして、合計二兆三百二十三億円でございます。  なお、七年度単独で見ますと、国税は九百八十八億円、地方税は千五百七十三億円、合計二千五百六十一億円となっております。
  18. 野沢太三

    野沢太三君 今お話しのとおり、大変な納税会社になった。そして、株式の上場も西、東、さらにことしは東海も予定されるということで、行政改革としては極めてこれは望ましい形で推移をしているわけでございます。そして同時に、このことが新幹線の新しい方式による建設を可能にしたということで、この改革一つの成果としてこれからもこの新幹線建設を進めなきゃいかぬということでございますが、ここでやはり気をつけなきゃいかぬことは、私ども第二の国鉄をつくらないということが極めて大事でございます。  その意味で、JRがこの新幹線利用する場合の貸付料というものが大変大事になってまいります。受益範囲で払うと言っておりますが、これは一体、具体的にはどのような内容になるでしょうか。
  19. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) JR貸付料、ただいま御指摘のとおり受益範囲を限度とするというぐあいにされております。これを具体的に算定する場合の考え方でございますが、新幹線建設しまして並行在来線経営分離した場合の当該新幹線収支、それからその会社関連線区収支合計したもの、これから新幹線建設されない場合の並行在来線収支当該会社関連線区収支合計したもの、これを差し引きましたいわゆる収支改善効果を算出いたしまして、これをもとに受益範囲を決定していく、このような考え方でございます。
  20. 野沢太三

    野沢太三君 このことが今後新幹線が相当広範囲建設できる大きな一つの保証になっているわけでございます。その意味でも、ことしは長野までの開業が予想されておりますが、これがまず最初のモデルにもなろうかと思いますので、適切な使用料の設定ができるようできるだけ早い御検討をひとつお願いしたいと思っております。  そして、今回やはり大事なことは、地方負担が名目的に非常に膨らむ、一五%だったのが三〇%まで上がるということであるんですが、そういうことで地方負担が重くなるということでは大変だろうということで、国の方から地方自治体に対して必要な措置を講ずる、こうなっております。これの具体的な中身について自治省にお伺いしたいと思います。
  21. 岡本保

    説明員岡本保君) 先ほど先生から御指摘がございましたように、新幹線住民利便向上地域振興に大きな効果をもたらすものでございます。しかし、これから整備を進めてまいろうとしておりますいわゆる未着工区間新規着工区間と言われる部分につきましては、相対的にこれまでのものと比べますと採算性が劣るという面もございます。そういう観点からいたしますと、これからの新幹線整備を進めますためには、営業主体でございますJR負担を明確にした上で、不足する部分については国の負担とあわせて地方団体も相応の財政負担をしょうとするものでございます。  この場合、今御指摘ございましたように、関係地方団体はいわば相対的に言えば財政力も脆弱でございますので、また既設新幹線にも地方負担がなかったということ等も勘案いたしまして、税源の偏在を是正し、先ほど御指摘がございましたように地域格差を是正するという新幹線目的あるいは交付税目的というのが一致するということを考えまして交付税措置をしょうとするものでございます。  具体的には、新幹線建設に係ります地方団体負担につきましてその九割に地方債を認めまして、その元利償還金の五〇%を普通交付税により措置しようとするものでございます。
  22. 野沢太三

    野沢太三君 実は御英断を下していただいたということでありまして、目的地方振興を加えただけではなくて、今のお話のように三分の一、三〇%前後になりますが、これを地方負担として、しかも半分を交付税措置をする、これは明るい展望ができたと私ども大変評価をしておるわけでございます。随分御苦労をされましたけれども、これによって今後新幹線が必要な地方については確実に建設が可能になったと考えておるわけでございます。  昔の新幹線は、全額国鉄自己資金もしくは借金、ということはお客様の運賃でございますけれども、運賃でつくるために地方負担がない。しかし、これからつくる新幹線は、財政力が比較的少ないところであるにもかかわらず地方負担をしなさいというのはいかにも不公平ではないかという声があちこちからございました。しかし、これは民営化したJRということで、税制という制度を使ってのいわば地方自治体同士の外部補助、外部援助の形で建設ができるようになった、こういうことと考えられるわけでございます。これは、昔は国鉄が全部自分のどんぶりの中でやったために首が回らなくなったという経緯がありますが、今回のこの措置によりまして、北海道から九州まで全部建設可能な展望財源の面で開けたと大変評価をしております。  今後ともひとつさらなる支援措置、税制その他含め、地方鉄道が維持できるように自治省の格段の御配慮をよろしくお願いしたいと考えております。  そこで、もう一つ大事な課題が貨物輸送の確保でございます。  これからつくる新幹線の新しい区間については、東北あるいは北陸その他貨物輸送の主要幹線としてお役に立っているわけでございますが、これに新幹線が行くということによりまして、新線に乗せるかあるいは在来線を使うかを含め大変関係者の御議論をいただいております。  基本的には新幹線が複線でできるわけですから、これは輸送力が増強されるんだということでありますから、いずれにしても貨物を運ぶルートがきちんと確保されることがありませんと、せっかく省エネあるいは環境上の配慮から貨物を健全に残そうという配慮が無になるおそれがあります。したがいまして、ルートの確保をしっかりやること。  それから、その場合に、新幹線という比類なき安全な鉄道特性を損ねてはいけない、この面での配慮がどうしても必要ではないか。私は客貨分離を基本的に行うことが極めて重要と考えているものでございますけれども、この点についての配慮はどうなっているのか。  それから、今までは旅客会社線路の上をアボイダブルコスト、回避可能経費として比較的割安なコストで運行してきたわけですが、これが分離をされました場合に別なルールではじかれますと貨物会社が立ち行かないような使用料になってしまうおそれがあるわけでありますが、この場合の配慮がやはり今後の貨物鉄道の健全な運営に不可欠であると考えます。その意味で現状程度の線路使用料で済むようなルールづくりが必要ではないかと思うわけです。  以上三点、ルートの確保と安全上の配慮、さらには線路使用料のあり方についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  23. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 新幹線整備いたしまして並行在来線JR経営から分離する場合に鉄道貨物輸送をどうして維持していくか、これは大変重要な問題であると私どもも考えております。  この問題は、昨年十二月の政府与党合意におきまして、「鉄道貨物輸送については、並行在来線JRからの経営分離後も適切な輸送経路及び線路使用料を確保することとし」、鉄道貨物が「新幹線鉄道上を走行することを含め、関係者間で調整を図る」こと、こうされております。私ども、この合意に従いまして関係者間で十分調整を図っていきたいと考えております。  まず、貨物列車が新幹線上を走行する場合、ただいま先生指摘のとおり安全性の問題というのは極めて大きな、何といっても絶対の、不可欠の条件でございます。この問題に関しましては、平成八年の七月から、私どもとそれからJR旅客会社、貨物会社など関係者から構成されます貨物列車の新幹線鉄道走行に係る安全問題検討会、こういうものをつくりまして、この場におきまして実務上の検討を進めております。新幹線鉄道上に貨物列車を走行させる場合に具備すべき条件、それから今後必要な技術開発あるいは技術的検証につきまして昨年の十月の段階で中間的な取りまとめを行いましたけれども、引き続きこの問題については、必要な技術開発であるとかあるいは技術的検証につきましてさらに検討を深度化していきたいと考えております。  それから、在来線を走行するとなりました場合に、これをJR経営から分離をするということでございますと、その在来線を維持するのが地域である、こうなりました場合にJR貨物の線路使用料をどうするかというのは、これは地域も含めました極めて大きな問題であると思います。JR貨物の経営を考えますと、基本的にはフルコストによる線路使用料というのはなかなか難しいのではないか、一般的にはそのようなことが言えようかと思います。したがいまして、そのような場合にJR貨物が自立できるような線路使用料をどうやって確保していくか、これは非常に難しい問題でございます。  この問題は最終的には、貨物列車を新幹線上を走らせるのか在来線を走らせるのか、この選択をどうするかによってまいりますので、先ほど申し上げました安全性の問題も含めまして十分検討した上で関係者間で調整をしていきたい、このように考えております。
  24. 野沢太三

    野沢太三君 将来の問題として、青函トンネルの中などはどうしてもこれは新在含めて走らざるを得ない、こういった場合にはもちろんその場合の安全性をどうするかということが主要なテーマになろうかと思いますが、その他の区間は在来線ががらあきになるわけでありますから、これをうまく活用することが極めて私は適切ではないかと思います。そして、基本的に貨物輸送量が変わらなければ線路の破壊量は理論的に変わってないということからいたしましても、その場合に使用料が大きく変わるということもこれまた不合理でございますから、今後の課題としてこれをしっかり詰めまして、新幹線の今後の建設あるいは維持管理等に支障なきようさらなる検討をひとつ御要請をしておきたいと思います。  そこで、この並行在来線をどう維持するかということが大きな課題でございます。これまでは地方の管理によります第三セクターでやろう、こういうことになってまいりまして、長野までの場合には既にしなの鉄道という会社ができて準備をしておられます。しかし、今後新幹線が展開する地域を考えますと、さらに条件の厳しい地域での第三セクターということになりますので、これが円滑に運営できるような支援策が極めて大事と思います。  例えばしなの鉄道の場合には、資産買い取りのために県の方から百億を超える無利子融資をした上で、これを長期にわたって返却するという形で成り立つような配慮が行われたわけでありますが、国としてこの第三セクター鉄道に対する支援措置をどう考えているのか、お答えいただきたいと思います。
  25. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 基本的には経営分離後の代替交通機関の確保につきましては地域の力で維持をしていただきたい、こういうぐあいに考えております。そのために関係者間で十分協議を行っていきたいと思っております。  具体的に実例として御指摘のとおり、しなの鉄道が出てまいりましたが、その際、国としての支援措置といたしまして、第三セクター鉄道によります鉄路の維持を図るといったような場合には税制上の措置を講ずることといたしまして、登録免許税それから不動産取得税につきましては非課税、固定資産税それから都市計画税でございますが、これにつきましては一定の軽減措置を講ずるというのを、平成九年度よりこのような措置を導入いたしました。  なお、これは国による措置と申しますか、実際問題JRも乗り入れをするといったような事情もございますので、JRに対しまして第三セクターに対して要員の派遣を行っていただくとかあるいは運行面での協力を行っていただくとか、このような指導もしております。
  26. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 答弁をもう少し大きな声でお願いいたします。
  27. 野沢太三

    野沢太三君 大変いいことをしているんですけれども、もっと鉄道局長は大きな声でこれを世間に言わなきゃだめなんですよ。だから誤解が出るんですね。本当にいい鉄道を皆さんは立派にやっているんですから、自信を持ってもっと大きい声でPRをしていただきたい。  その意味で、今の国としての登録免許税、不動産取得税、こういったものも減免したり、固定資産税に配慮したり、こういうことをしっかりやりながら、できる限り地方の自力、実力でこれが運営できることが望ましいわけですから、今後ともひとつ自治省も含めこの辺の御配慮をお願いしたい。  そこで、ちょっと新幹線から離れますけれども、今回私どもがこの新しいスキームで徹底をしようとしております上下分離考え方というのは、これは実はもうヨーロッパでは相当先行しておるんですけれども、これを都市鉄道あるいは在来線の建設、改良にも拡大適用をしてほしいという声が大変上がってきておるわけでございます。  こういつた鉄道事業への参入促進を考えまして、運輸省の方も運政審の部会で議論をしていただくような段取りもしているようでございますが、とにかく今一番よく働いていただいている東京、名古屋、大阪、特にこの首都圏についての通勤者のあの混雑ぶりを緩和することはやっぱり最大の責務ではないか、かように思うわけでございます。  その意味で、この都市交通の建設に関する新しい助成措置というものをどのように考えているのか、お話しいただきたいと思います。
  28. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘ございましたとおり、都市鉄道、特にこの整備のための資金が大変巨額でございますから、これを事業者が負担するというのは非常に難しい問題である、こう私ども思っております。これまでこの問題に関しましては、真に整備が必要なものにつきましては、第三セクターによりますインフラ整備への公的助成、こういつたような方式も参考といたしまして、それぞれの個別の事情に応じまして制度の拡充に努めてきたわけでございます。  今般、規制緩和の問題に関連いたしまして、運輸政策審議会に運輸事業全般にかかわる規制緩和上の問題につきまして諮問をいたしましたが、鉄道関係につきましても参入をより容易にするという観点からも鉄道整備の問題につきまして問題点を整理するということが必要ではないか、こう考えておりまして、そういったような観点から、この鉄道部会の中で鉄道整備にかかわる方策につきまして今後検討していきたいと考えております。
  29. 野沢太三

    野沢太三君 既に、都市計画の手法とあわせて鉄道建設する、例えば常磐新線のように集約換地というようなことで鉄道に必要な用地を都市計画で生み出す、このような手法も実行されておるわけでございます。知恵を絞ればそのようなことも可能になる。長年言い続けてきました開発利益の還元というのも、そういった面で税制上の制度をうまく活用することによってこれが実質的に実現できるわけでありますから、この辺をひとつぜひとも今後進めていただきまして、都市の鉄道の混雑の緩和、安全の確保、輸送力の増強、こういうものにもつと意を用いていただきたい。これは御要望にとどめておきますが、よろしくお願いします。  それを進めるためにも、実は今特別会計が何本もございましてやっておりますけれども、少なくとも交通関係の特別会計は一元化をいたしまして、必要なところ、急ぐところ、緊急なところに資金を集中できるようにするということが大事ではないかと思います。これはもうかねてから言われてはおりますが、なかなか進んでおりませんけれども、できれば道路、港湾、空港、鉄道、こういったものが全部一本になっておりますような姿が望ましいわけで、西ドイツ等に一つの先例もあるわけでございます。既に、今後十年くらいのめどでは鉄道により重点を置いた投資をしょうというようなことも向こうでは言われておるわけであります。  この一元化につきましてはいかがお考えでございましょうか。大臣、ひとつこれはよろしくお願いします。
  30. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 申すまでもなく、我が国の二十一世紀に向かっての各交通機関がそれぞれ特性を生かした上で、整合性のとれた総合的な交通体系の形成というのが肝要であるわけでございます。先生が御指摘いただきました交通関係の特別会計の二元化の問題でございますが、いろいろと各方面で御議論をいただいていることは承知いたしております。  ただ、先生方も御承知のとおり、この制度は施設ごとに受益負担のバランスを考慮した上で利用者負担が実は制定をされているわけでございます。そういうことを考えますと、別の施設を整備することにこれを充当することが適当かどうか、国民の理解を得ることができるかどうか、非常に難しい問題でございます。いろんな各界の御論議をいただきながら慎重に検討していく必要があろうかというふうに思っております。私としては前向きに取り組んでいきたい、そういう決意でおります。
  31. 野沢太三

    野沢太三君 道路関係の行政にも大変お詳しい大臣が前向きに取り組んでいただける、大変心強いことでございます。しかし、まず運輸省の中で差し当たり隗より始めよと、港湾、空港、鉄道等を一本化するということの勉強はひとつしていただきたいと思うわけでございます。今後予想されます行革の進展の中では、建設省も運輸省も農水省も一緒にするというような案もあるわけでありますので、そういった抜本的な対応策が予想される以上こういつた会計上の制度もやはり一元化することが望ましい、かように考えておるわけでございます。  それでは次に、今まで新しいスキーム法案についての考え方について触れてまいりましたが、昨今の世論といいますかマスコミからこの整備新幹線に対して大変厳しい意見が出ております。  昨今の調査で、例えば、不要である公共事業のトップに新幹線があるんだと、こんな話もあります。あの調査を後で調べてみますと、地方等のいわゆる会計担当の職員の方に調べを回す、そうしたら要らないもののトップが新幹線だったというんですが、おかしいんですね。既にできているところはこれは要らぬわけです。それから、本来もう行くところもない離れ小島ではこれまた要らぬわけでありますから。必要なのはやはりこれからつくろうと思って望んでおるところの皆さん、これは全国でいうと約三分の一です、十八都道府県でありますから。これを、ただ機械的にアンケートをとればあのような結果が出るわけでありまして、私は、このような調べ方は妥当ではない、適切にプロジェクトごとに費用対効果をしっかりと見きわめた調べ方をしないと方向を誤るんではないかと思います。  それで、昨今のマスコミ論調に対して、二、三反論をしたいと思うんですが、整備新幹線予算がばらまきであるというふうに書いてある新聞がたくさんあります。本当にそうか。残っております未着工区間は千五十キロほどでございますが、今回のスキームでは二百二十キロにこれを絞り込んでおる。金額的には五・二兆というのを一・二兆に絞っておりまして、しかも、なるべく効果の高いところがら着工し開業しよう、こういう段取りで進んでおるわけでございます。  本当にこれがばらまきかどうかについて、道路等の比較も踏まえて大臣の御所見を伺いたいと思います。
  32. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 今、先生におっしゃっていただいておりますように、今度の公共事業の一つの特徴といたしまして、この整備新幹線がばらまき予算であるというような報道がされるということはまことに遺憾でございまして、私も鉄道局長も声が小さいせいかどうか、もっと大きな声でこの辺はきちっと国民の皆さん方に御理解をいただかなきゃいかぬと反省をいたしているところでございます。  御承知のとおり、先生にも大変御苦労いただきましたけれども、昨年の十二月に、今次の大変制約されました財源の中で、平成三十年度までの間の整備区間につきまして、時間の短縮効果や既着工区間との一体活用等を考慮いたしまして、JR地方公共団体の意見を踏まえながら与党三党の申し入れが行われ、政府与党間で実は合意を見たわけでございます。  この検討委員会において、いつも申し上げておりますけれども整備区間ごとに収支採算性の見通し、JR貸付料等の負担、また並行在来線経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意等基本条件を十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾しない形の中で適切に対処していくということといたしているところでございます。予算のばらまきだとかそういったことは当たらないと、私どもは当然必要な分野の中で全力を尽くして整備新幹線整備の推進を図っていく、そういう決意で努力してまいりたいと考えております。
  33. 野沢太三

    野沢太三君 期待をいたしております。  二つ目の問題点、批判といいますか、この世論の中で気になるのが、つくればつくるほど赤字になるような新幹線をまたぞろ政治家が主導して始めていると、これが大変実はけしからぬ話でございます。  先ほども指摘しましたが、私ども第二の国鉄はつくらない、一定以上の輸送量が見込めるところを選んでつくっておるわけでございます。しかも、貸付料受益範囲でしか払わぬで結構ですよと、もうからないところがらはもらわないんだということが一つありますし、もう一つ大きなものが在来線の分離でございます。これを経営分離し、あるいは会計を分離するとすれば、在来線が赤字になることによって足を引っ張られるという要素がない。しかも、切り離した在来線は第三セクターによってフリークエンシーとか駅の増設とか、きめの細かいサービスをすることによって十分黒字転換も可能であるという極めて有機的なスキームになっておるにもかかわらず、その事実を見ずに、つくればつくるほど赤字というのは当たらないんじゃないか、こう思うわけでございます。  今回この点ははっきりとPRをしてもらわにゃいかぬと思いますが、鉄道局長、この辺についての御見解を伺いたいと思います。
  34. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘のとおり、JR新幹線整備した場合に支払う使用料受益範囲ということになっております。それから、並行在来線の廃止も織り込みました受益範囲使用料を払うということでございます。したがいまして、このような基本的な考え方でございますので、今回の措置によりましてJR経営が圧迫されるというようなことにはならない、私どももこう考えております。この点につきましては、やはり個々の線区別に今後収支採算性等を検討してまいります際に具体的に明らかにしていく必要がある、このように考えております。
  35. 野沢太三

    野沢太三君 もう一つの点が、行財政改革に逆行している、こういう言い方があるんですが、私どもこれは全く逆だと思っております。最初指摘しましたとおり、地方税国税含めて改革によって生まれた税収効果範囲内でスキームを組み立てておる、しかも将来にわたって相当増加が見込まれる、地域経済に対する振興も非常に高い、こういうことでありますれば、まさにこれは今後財政再建と並行して進めて十分可能なプロジェクトではないか、こう思うわけであります。  また一方、地方のエゴという御批判もございます。田舎の人が政治力を使って何かやっておる、とにかく官庁に対して圧力をかけてと、こう言うんですが、これは全く違うんですね。やっぱりいいものを欲しいんだ、安全な交通機関を欲しいんだ、便利な交通機関を欲しいんだと、これはまさに当然な要望であると私どもは思います。地方といっても今度の十八都道府県、整備新幹線にかかわる地方の人口は実に四千万人を数えるわけでありまして、これを一地域のエゴとして切り捨てるのは余りにも当たらない話であると思います。一方、できてしまった人たちはもう地方はいいだろうと言うのは、これは逆に逆エゴだと私は思うわけでありまして、この点についても、まさにこれをできるだけ多くの方々に御利用いただくという配慮で今回の法改正が行われるという点については、大変評価をしておるわけでございます。  さはさりながら、今国鉄の旧債務というものが大変まだ膨れ上がっておる、二十八兆一千億にも年度末にはなるんじゃないかと言われておるわけでございますが、これをほったらかしておいて新幹線だけつくるというのはけしからぬと、こういう意見があるわけです。これについては既に財政構造改革の中でしっかりと議論を重ねておるわけでありまして、後ほどまた法律が提案されることになっておりますけれども、まずそれをはしりとして、ことしじゅうにはしっかりめどをつけよう、こういうことで議論を重ねておるわけでございます。  国鉄改革というのは、本来、過去に発生した責任なり債務をきちっと整理をして棚上げし、努力をして土地、株を売った残りは国民負担だと。そしてまた、新幹線については将来延びるものは延ばしてやろう、JRも頑張れというのがこの改革の趣旨であったと思うわけですが、これについてどうも当たらぬ批判があると思うわけでありますが、御担当の運輸大臣の所見をこの点についてお伺いしたいと思います。
  36. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 整備新幹線につきましては、ただいまも申し上げましたように、幾つかの基本条件というものが整えられているかどうかということを十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾しないような形で適切に対処するということが必要であろうということを考えております。  一方、国鉄長期債務につきましては、また改めてこの委員会でも御審議をいただくわけでございますけれども、昨年の十二月の閣議決定におきまして、平成九年じゅうに本格的な処理のための具体的な処理方策の成案を得るということといたしておりまして、今後いろいろな御論議をいただく中でいろんな選択肢を精力的に検討させていただきまして、国民的なコンセンサスを得る具体的な処理方策が策定できるように私といたしましては最大限の努力をしていく必要があろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今申し上げましたように全国新幹線鉄道整備法に基づく整備新幹線整備と、これから御審議をいただきます国鉄の長期債務の処理の問題、それぞれ私は別個に考えてそして推進をしていく問題だというふうに理解をいたしているところでございます。
  37. 野沢太三

    野沢太三君 債務は改めてまた御議論をする機会があると思いますので、最後に明るい話題といたしまして、このたび開業した秋田新幹線「こまち」が大変輸送の面で評判がいいわけであります。開業前に比べてお客様は五割増し以上ふえたとか、飛行機との比率が逆転をして鉄道優位な形に変わってきた。あるいは、西の方では「のぞみ」の五〇〇という三百キロ運転の列車が、これはまだ一本しか走っていないようですが、これの効果が大変期待をされておるという状況でございます。  加えまして、山形までの新幹線をさらに新庄へ延ばそうというようなことで、大変輸送力の少ないところにもかかわらず、これが可能になっているということでありますが、この新庄スキームについて簡潔にお答えいただきたいと思います。  それからもう一つ質問だけ先にしておきますが、私どものこの新しいスキームの中で、軌間自由可変電車いわゆるフリーゲージトレーンというものを開発しようということになっておりますが、これの構想についての御説明をいただいて私の質問を終わります。
  38. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 最初の山形新幹線の新庄延伸のスキームでございますけれども事業費につきまして財団法人山形県観光開発公社が、山形県から補助金を受けるとともに金融機関等から資金調達を行いまして、これを財源といたしましてJR日本に対して施設工事費それから車両費につきまして無利子で貸し付けを行う、こういったようなスキームでございます。  それから、軌間自由可変電車いわゆるフリーゲージトレーンと言っているものでございますが、これは車輪の間隔を自由に変換できる電車でございまして、その実用化によりましてフル規格の新幹線とスーパー特急であるとかあるいは在来線との間の乗りかえなしの運行が可能になるというものでございます。  これにつきましては、平成六年の運輸技術審議会の答申におきましてこの開発について提言がなされておりまして、現在、財団法人の鉄道総合技術研究所におきまして研究開発が進められております。これまでに、軌間自由可変電車に必要な車輪の間隔を変える仕組み、それから車輪と一体となって回転するモーターなどにつきましての基礎的な研究開発が行われております。同研究所の構内試験線におきまして試作の車両を低速で走行させまして基本的な性能の確認試験を実施したというような段階でございます。  これにつきましては、基礎的な研究開発の成果を活用いたしまして、今後は実用化に向けましての実証試験の電車を製作して、高速時におきます走行安定性の確認であるとかあるいは耐久試験などの実証試験を行う、こういう予定にしておりまして、平成九年度からおおむね四年をかけまして実用化のめどを立てたい、このように考えております。
  39. 泉信也

    ○泉信也君 平成会の泉でございます。  きょうは、大きく二つに分けてお尋ねをさせていただきます。最初法律案そのものについて、そして後半はいわゆる政府与党の合意の内容についてお尋ねをしたいと考えております。  本会議でも同僚議員が質問をいたしました第一条の目的について、地域振興という言葉が入りましたけれども、これの理由をもう一度御説明いただけますでしょうか。
  40. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先ほど大臣から御答弁したとおりでございますが、新幹線地域格差の是正に資するものである、あるいは地域住民利便性向上に資するものである、さらに地域産業振興などに大きな役割を果たすものである、こういつたような点を考慮いたしまして、今般、新幹線建設につきまして地方公共団体負担法律上定める、従前は奨励的な補助制度でございましたけれども法律上の負担ということにするということでございます。このような措置を講ずることにかんがみまして、新幹線整備地域振興に資するものであるということを法律目的規定におきましてもあわせて明らかにする、このような趣旨でございます。
  41. 泉信也

    ○泉信也君 新幹線地域の浮揚に今日まで寄与してきたことを私は否定するものではありません。  二番目におっしゃった、自治体の負担を、今回一五%から三〇%という数値が出ておりますが、そういう負担を求めるために目的の変更をしたということが強いんでしょうか。
  42. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 一緒に連動した問題であると思いますが、基本的には財源スキームといたしまして、法律に基づく補助といいますよりは法律に基づかない奨励的な補助というのが従前の負担考え方でございましたけれども、今回、昨年の政府与党の合意におきましてこれを明確な法律上の負担ということで位置づけようと、こういうぐあいになりまして、そのような負担制度を導入することにあわせまして地域振興ということも法律目的として入れる、こういうようなことでございます。
  43. 泉信也

    ○泉信也君 総理の御答弁の中にも、新幹線国土軸だということをお答えになっておられるわけですね。しかも、衆議院の運輸委員会地方自治体の負担の軽減の方向を示唆しておられる御答弁もかつてありました。一五%がいいのか二〇%がいいのかはちょっと別にしまして、私自身は、新幹線というのはやはり国土の骨格を形成する大変重要なものだ、俗的な言い方をすれば国家的プロジェクトだという認識を持っておるわけです。  そこで、類似の法案でこういう地域振興という言葉をうたっておる法案があるのかどうか私なりに調べてみました。空港整備法ありません。港湾法もありません。道路法もありません。私が調べた中で、国土開発幹線自動車道建設法の中に、これは三十二年につくられた法律ですが、「自動車道を開設し、及びこれと関連して新都市及び新農村の建設等を促進することを目的とする。」と、こういう地域振興のことが目的に書き込まれておりますけれども、今回のような目的の中に地域振興というものをうたったものは余りないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 大変恐縮でございますが、他の立法例を十分承知いたしておりませんけれども新幹線に関しましては、もう長い間この整備スキームをどうしていくかという審議、検討が行われました結果、先ほど申し上げましたような考え方財源スキームが決まり、そのような財源スキームを新たに導入することに伴いまして、法目的の中に地域振興も入れる、あわせてこの点も明確にした方がいいというような判断を私どもとしてはするに至ったという状況でございます。
  45. 泉信也

    ○泉信也君 これは憶測でございますけれども、運輸省と自治省の間の役所の、あるいは大蔵省も絡んでおるのかもしれませんが、そういう事務処理的発想の中で目的がいじられたのかなというようにも私邪推をするわけです。やはり新幹線国土の非常に大切な骨組みをつくるという位置づけで押し通してほしかったなという気持ちを持っております。  ここでこういうふうに目的が変われば、新幹線の基本計画とかあるいは整備計画というようなものの再検討が必要になってくるということが起きてまいりますでしょうか。
  46. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) そういう点では、私どもそのように思っておりません。実質上、財源スキームの点につきましては従前の三線五区間の進め方とスキームが違っておりまして、これは従前の三線五区間部分も含めまして新しいスキームで対処するということになりますが、目的規定であれこれということではないと思います。  それから、先ほど、これだけが原因ではございませんけれども一つは、従前は新幹線整備に関連する地方公共団体に対しまして国のサイドからの財政上の措置はございませんでしたけれども、今回あわせて、法律上の負担とすることに伴いまして、自治省のサイドにおきまして国側から地方公共団体に対する財政上の負担に対する措置を講ずるということも背景にございます。
  47. 泉信也

    ○泉信也君 この問題はこの程度にして次に移らせていただきますが、現行法でも十三条の二項にこうした地域の開発というか地域振興観点からの規定があったわけですから、私はこれで十分ではなかったかということだけ申し上げまして、十三条に移らせていただきます。  先ほどもお尋ねがございましたが、本法の中ではなくて政令で定めるという理由と、もう政令のおよその内容がわかっておるんでしょうか。
  48. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) なぜ政令かという点に関しましては、先ほども御答弁申し上げたとおりでございますけれども立法例といたしましては、法律で国と地方負担割合を定めるものもございますし、政令に委任しているものもございます。負担割合を定めるに当たりまして、あわせて技術的な規定を定める必要がある場合には政令に委任をしているというようなのが一般的な立法例であろうかと思います。  整備新幹線に関しましては、昨年の政府与党の合意で、まず基本的に既設新幹線譲渡収入につきましては国の負担分とみなすという、これを明らかにした上で、あわせて国が二、地方が一という負担割合を定めるものでございますので、そのようなことから政令に委任したものでございまして、これは極めて技術的な理由によるものでございます。
  49. 泉信也

    ○泉信也君 政令の内容はまだ。
  50. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 失礼いたしました。  政令につきましては現在鋭意検討中で、各省で調整中という状況でございます。
  51. 泉信也

    ○泉信也君 法技術的なお話だというふうに今御答弁をいただきましたけれども、公共事業にかかわるものはほとんど法律の中で負担なり補助なりの規定がなされておって、若干過去の経緯がありますのでいきなり書くことの難しい点も理解できないわけではありませんが、やはり私はこの部分についてはいずれきちんと本法の中に書き込むようにすべきではないか。後でまたお尋ねいたしますが、何か、だれがどうやって本当に負担するのかというのが政令の中でだけ記述されるというのは余り歓迎されないという思いでございます。  そこで、JR負担規定というのはこの法律の中にはどこにも出てこないわけですが、これはどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
  52. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) JR負担は、新幹線整備されました後の貸し付けに伴う貸付料というのがJR負担分でございます。これにつきましては法律上明らかにする必要がないということから、これをどうするかというのは規定しておりませんが、この法文を見ていただきますと、鉄道建設公団の自主的な収入といいますか、それをまず除きまして、法文の十三条でございますが、括弧の中に「除く」ということが書いてございます。例えば、貸付料を償還の原資といたしまして日本鉄道建設公団が借入金を導入する、この借入金を建設資金に充てるといったような場合には、この括弧書きでまず除きまして、その除いたものを国が二、地方一、こういう割合負担をするという考え方でございまして、そういった点ではこの十三条の一項に出てきているわけでございます。  ただ、基本的には貸付料そのものは日本鉄道建設公団の自主財源となるものでございますので、これを法律上明らかにする必要がないということで、明確な規定は置いておりません。
  53. 泉信也

    ○泉信也君 確かにこの貸付料と言われるものの部分が動くというか、額が確定できないというような物理的な面もありますけれども建設費用の負担、こういうふうな言葉では具体的には国と都道府県ということしか出てこないのに、実態上はもう一つ別の財布がある。この法的な位置づけというのはなされなくてもよろしいという理解でしょうか。
  54. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この十三条の趣旨は国と地方負担割合を定めるというところにございまして、貸付料といいますのは、これは建設主体である日本鉄道建設公団と当該施設を借り受けるJRとの間の民法上の契約に基づく収入である、こういうことでございますので、今私が申し上げたような考え方で整理をされているわけでございます。
  55. 泉信也

    ○泉信也君 そこで、十三条の現行法と改正法の中で負担をするという言葉とそれから助成をするという書き分けがしてあるわけですが、これはどういうふうに理解をしたらいいんでしょうか。十三条の前の括弧書きを見ますと「建設費用の負担等」、現行は「財政上の措置等」とこうなっておりまして、片方は負担をする、片方は助成をする、これはどういう理解をしたらよろしいでしょうか。
  56. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) これは先ほど来ちょっと申し上げておりますが、改正前の十三条は予算上の措置その他ということで助成を講ずる、いわゆる法律に基づく負担ではなくて通常の補助金とかそのような措置を講ずるということでございます。これに対しまして、改正後の十三条は一定の考え方のもとに国と関係地方公共団体負担割合を決める、このような考え方でございます。
  57. 泉信也

    ○泉信也君 では次に進ませていただきますが、十三条の二項の「利益を受けるもの」というのは具体的にはどういう事柄を指しておるんでしょうか。利益を受けるものに負担金の一部を負担させることができると県が判断をするときに、当該市町村が利益を受けるか受けないかというのはどうやって判断することになりましょうか。
  58. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この点は現在の三線五区間建設の場合も同様でございますけれども新幹線整備に伴いまして、沿線の都道府県それから市町村につきましては一般的に言って受益がございますので、そのような観点から沿線の市町村というぐあいに私どもも考えております。それから、受益を受ける限度につきましては具体的にこれから調整をしなければいけない問題であろうかと思います。
  59. 泉信也

    ○泉信也君 これから御検討をいただくということでございますが、こういうところに恐らく目的をいじった影響が出てきておるんじゃないか。市町村にまで負担を場合によってはお願いをするということは、新幹線がローカル線みたいな位置づけになってきたのではないか、私はそのことが一番最初にお尋ねしましたように大変残念だと。国の財政は厳しいんですけれども、この評価は先ほど同僚議員言われましたように大変高いということを私も信じておりますので、これから御検討なさるにしましても、当該市町村の利益という事柄に余り重きを置かれることは本来の新幹線の存立意義とは違うんではないか、こう思っております。これはこれからお詰めになるときに頭の隅にでも置いていただきたい、こういう思いでございます。  それから、十三条の二で「財政運営に支障を生ずる」という文言がございます。これは自治省にお尋ねした方がいいのかもしれませんが、これはどういう判断基準をお持ちでしょうか。
  60. 岡本保

    説明員岡本保君) 私どもが今回この地方負担につきまして措置しようとしておりますのは、先ほども御答弁いたしましたが、国と地方負担割合を二対一と法定化した上で、地方負担についてその九〇%に地方債を認め、その元利償還の五〇%を普通交付税措置しようとするものでございます。それは、新幹線建設費等非常に関係都道府県の重い負担でもございますので、そういう重い負担について財政運営に支障が生じないようという意味で、まさに標準的な行政経費として交付税措置をしてその機械的な計算ができるようにしたものでございます。
  61. 泉信也

    ○泉信也君 これは交付税等の手当てを自治省としてはなさるということでございましょうけれども、この規定だけでは大変あいまいではないか。恐らく、政令ベースでどう書かれるのかわかりませんけれども、「支障を生ずることのないよう」という言葉は、地方自治体の財政事情が何の原因で支障を生じることになるのかということが明快でないと、新幹線なのか何なのかというのは私はわからない部分があるというふうに思っております。  自治体が負担した分の五〇%を見るというような事柄からいけば、負担した自治体は当然そういう交付税の手当てを受けるという画一的な事柄で進められるのかもしれませんけれども、この規定からいくと、地方財政に支障がなかった場合には見ないということだってあり得るのではないか、このまま読めば。そういうことはないというふうに私は理解しておきますが、よろしゅうございましょうか。
  62. 岡本保

    説明員岡本保君) 法文上の議論は直接法の所管の運輸省のお話だと思いますが、私どもの考えでおりますのは、そういう新幹線建設負担によって各地方団体財政運営に支障が生ずることのないようという、財政運営上の大きな負担になるのでまさにそういうものを事前に措置しておこうという考え方でございます。
  63. 泉信也

    ○泉信也君 次に、政府与党の合意の点についてお尋ねをさせていただきます。  まず、既設新幹線譲渡収入の七百二十四億円というものの性格、これは従来の三線五区間のときも、一部分は国の負担になったりJR負担になったり、この境界が右、左に動いてきたこともありますけれども、この金は本来国の金なのかJRの金なのか、そういうところを含めてお答えをいただけませんでしょうか。
  64. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 既設新幹線譲渡収入でございますけれども、ちょっと経緯から御説明させていただきたいと思います。  既設新幹線につきましては、国鉄改革時から本州三社、JR三社の経営基盤の均衡化あるいは利用者負担の適正化を図るということから新幹線鉄道保有機構によります一括保有制度がとられてまいりましたけれども、これにつきましては、経営の自主性と責任の明確化を、明確化といいますか国鉄の分割・民営化の趣旨を一層徹底するために、本州JR三社の株式上場をにらみまして、資産、債務を確定するという観点から、平成三年に既設新幹線を本州のJR三社に譲渡いたしまして一括保有制度を廃止することといたしたわけでございます。  その際に、既設新幹線の資産といいますのは新幹線保有機構が保有するものでございまして、いわば準国有財産である、こういうことでございますので、国有財産の処分に準じまして、譲渡時点におきます適切な時価、すなわち、その際に再調達価格というのを算出いたしまして九・二兆円で譲渡することにしたというものでございます。この結果、新幹線保有機構には新幹線にかかわる債務額約八・一兆円ございまして、その差額の一・一兆円が財産として残ったと。これが鉄道整備基金に引き継がれたということでございます。  この七百二十四億円といいますのは、JRから鉄道整備基金に支払われます既設新幹線譲渡収入のうちの、再調達価格の九・二兆円と債務の額八・一兆円の差額の一・一兆円にかかわります六十年間の元利均等償還分である、こういうことでございます。したがいまして、性格といたしましては準国有財産である新幹線鉄道施設の譲渡収入であるので、こういう観点から、今回の財源スキームにおきましては国の負担分とみなしたということでございます。
  65. 泉信也

    ○泉信也君 最後に局長お答えいただきましたところ、国の負担とみなす理由をあわせてお尋ねしょうと思ったんですが、今の御説明ですと、むしろ三線五区間のときに一部をJR負担と逆にみなしてきたというのは、今回の国の負担とみなすということとは矛盾は出てこないんでしょうか。
  66. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 従前は、確かに今までの三線五区間の際の考え方といたしましては、JRが五割、その五割というのは七百二十四億円である、こういうことでございました。  それを今回このようなスキームにいたしましたのは、今までは既設新幹線譲渡収入の実質的な負担者という観点での整理であったと、今後は、国と関係地方公共団体負担割合を定める際に、やはり七百二十四億円といいますのが準国有財産であります既設新幹線の資産という性格にかんがみまして、国の負担分と整理をいたしまして国と地方負担割合を定める、このような考え方に立ったものでございます。実質的な意味での負担者という点での変更はないかと思います。国と地方負担割合を定める際に国の負担分としての位置づけをしたということであろうかと思います。
  67. 泉信也

    ○泉信也君 新しい財源スキームのこの表は決して公式なものというか、法的なものでもないと理解をした上でお尋ねしますけれども、このJR三五%という考え方が、国民にとってはJRが常にまだ負担をしておるということを思わせることになっておると思うんですね。ですから第二の国鉄とかなんとかという話が出てくる。むしろこのJR三五%というのは切って、国と地方と、そして、先ほど言われました貸付料の話が出てくればそれは枠外で対応するんだ、そういう説明に切りかえることはできないんでしょうか。
  68. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) これはなかなか微妙な問題でございますけれども、それら全体の中で国はどの程度持つのかというようなことから、国の負担分ということで約三〇%という考え方でございまして、先ほどから申し上げておりますのは、国と地方負担割合を定める際の考え方と、それから、七百二十四億円といいますのは実質的な負担者はJRでございますので、実質的な負担者という意味での整理をする場合と、整理の観点がちょっと違うということから非常に御理解を得にくいようなスキームになっているかと存じます。それは今申し上げましたように、物を見る観点がちょっと違う、別の観点からの整理である、このように御理解を賜ればと思います。
  69. 泉信也

    ○泉信也君 もう一つ、この譲渡収入についてお尋ねをいたしますと、これはそもそも三線五区間にだけ使うという話ではなかったかと私は理解をしておるんですが、新しい区間にもこれを使っていいということは何かどこかに断りをした上でそういうことになるんでしょうか。それとも本来これは従来の整備計画路線なりすべての新幹線に使える、六十年間は対応できる、こういう性格づけのものだったんでしょうか。
  70. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 従前とそこは基本的に考えは変わっておりませんで、新幹線譲渡収入は一定の期間まで従前の三線五区間の際も新幹線整備財源として使うという考え方でございますが、これがじゃなぜ三線五区間だけではなくて新しい区間についてまで財源として充当ができるようになったかといいますと、一つは、三線五区間の六十三年当時のスキームを整理しましてから現在までの間に、国の公共事業関係費新幹線にかかわる分でございます、これの増額に私ども鋭意努力をしてまいりまして国の公共事業関係費がふえたこと、そういうことに伴いまして三線五区間が完成した後はそれ以外の新しい区間に回せる分が出てきたということが一点。  それから、今度新しいスキームによりまして、新幹線譲渡収入を国の負担分とみなしまして国が二、地方一という割合負担いたしますので、これに伴う財源増加分がございまして、そういったような要素を反映いたしまして三線五区間以外に回せる財源の余裕が出てきた、こういうことでございます。
  71. 泉信也

    ○泉信也君 もう一つちょっと理解できないところがありますが、お尋ねしたいことがたくさんありますので先に行きます。  今回、国と地方割合を二対一というふうに決められましたけれども、これは何か考え方の根拠みたいなものが、理屈と申しましょうか、あるんでしょうか。
  72. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 一般的に他の例えば空港であるとか道路であるとかいったようなケース、国土の骨格形成上も極めて重要なものであり、かつまた地域にとっても極めて重要なものであるといったような場合には、国が二、地方が一というような負担割合の例が多うございます。新幹線につきましては、新幹線役割等々も考え、あるいはそのような例も参考にいたしまして、国が二、地方が一というぐあいに決めた次第でございます。
  73. 泉信也

    ○泉信也君 これも目的のところにかかわる話でございますので、とりあえずは三分の二、三分の一ということで決められたということでございますので、一般的な公共事業でもこういう比率がないわけではございません。国の性格が強いものについてはもっと高率の国の負担というのが私はあってもしかるべきだというふうに思っております。  そこで、自治省にお尋ねいたしますが、今回の平成九年度の予算で地方公共団体は五百三十二億円を負担するということになるわけですが、この中は、従来からの持ち分、従来から出していただいた分と今回固定資産税の特例廃止分というふうに分けました場合にはどういう額になるんでしょうか。
  74. 岡本保

    説明員岡本保君) 今回の五百三十二億は、それに対します国の二に対して一の対応をしているわけでございまして、五百三十二億が、今先生のおっしゃいましたような、過去の分とそれから固定資産税の承継特例の廃止に伴う分というような仕分けの性格のものではないと思っております。
  75. 泉信也

    ○泉信也君 結果的には今、室長からお答えになったようなことかもしれませんけれども議論の過程では固定資産税の話が絡んで出てきましたね。その中で最終的には、いやその分が六百億、八百億あるとか、いろんな話があった結果がたしか三百億ぐらいになったというふうに思っております。  今の室長のお話ですとそういう区分はないというふうに理解した上でお尋ねしますと、この部分はこれから増額というようなことが出てまいります。例えば国がふやせばその二分の一を持っていただかなきやなりません。それは可能だというふうに、限度がもちろんあると思いますが、そういうことも想定をした上でこういう負担割合についてお考えをいただいたと理解してよろしいでしょうか。
  76. 岡本保

    説明員岡本保君) 少し経緯を御説明させていただきますと、JRの固定資産税の承継特例がいろいろ今回のスキームの際に議論になっておることはもう御承知のとおりでございます。  それで、その政府与党合意にもございますが、今回、地方負担について交付税措置をするというときに、今先生の御指摘のように、現在の承継特例が大体年間六百億弱というふうに考えておりますので、その廃止に伴って交付税等の額の基準財政収入額の減等にはね返ってくるものが約三百億程度あるであろうと。したがって、そこで交付税措置をしても他の交付税の需要額の費目に影響を与えない、いわばほかの新幹線以外の財政の需要に対して財源保障を交付税はしているわけでございますが、そういうものにも影響を与えないだろうということも一つの要素として交付税措置をした理由になっているわけでございます。  私ども、今JR負担以外の一兆二千億のこれから工事をやるというふうになっておりますが、それについて、運輸省さんからいただいたような一定の仮定の中のケースを入れていきますと、償還時のピーク等を考えましてもその措置は十分できるというふうに考えております。
  77. 泉信也

    ○泉信也君 かつて自治省地域負担割合をふやす余地はないというようなべーパー、それからまた地方交付税による措置はできない、地方交付税性格からしてそういうものはできないというふうにお答えになったことがありました。私はそれを今どうこう申し上げるつもりはありませんけれども、こうやって決めていただいた、そして運輸省として公共事業の枠をできるだけふやしていただくという御努力を私としてはお願いをしたいわけですが、その結果として地方自治体の負担がふえてくるということに連動するわけですね。ですから、ぜひ途中で息切れしないように今から覚悟しておいていただきたい、このように思います。  そこで、JR受益というか負担について貸付料というところをお尋ねしたいんですが、貸付料というのは何なのか、まず御説明いただけますか。
  78. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先ほども若干申し上げましたが、貸付料といいますのは、新幹線の施設ができ上がりました後に、建設主体である日本鉄道建設公団から運営主体でありますJR旅客会社の方に施設を貸し付ける際の貸し付けに伴う対価でございます。
  79. 泉信也

    ○泉信也君 そういたしますと、この「等」についてはちょっと別といたしまして、貸付料の算定方法というのはどういうことになりますか。これは事実かどうかわかりませんけれども、東洋経済のことしの二月号の中では、従来はJR東、西は建設費の二〇%、JR九州は五%というようなものが算定根拠になっておった、それが今回受益範囲と、こうなってくるわけですが、どういう計算になるのかお尋ねいたします。
  80. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この点は三線五区間と今回の新しいスキームでも同じでございまして、たびたびお答えさせていただいておりますが、受益範囲を算定するに当たりましては、収支改善効果を見るということでございます。収支改善効果は、新幹線建設した場合の当該新幹線、それからその会社関連線区収支合計から、新幹線建設しない場合の、すなわち並行在来線のままということでございますが、その在来線の収支関連線区収支、これを差し引きまして収支改善効果を算定いたしまして、これで受益範囲を算定する、こういうぐあいにしております。  どこどこの線区で幾らという今御指摘ございましたが、これは詳しく私ども承知しておりませんが、仮にそういう数字があるとすると、それはこのような算定をした結果として出たものであるとしか理解がしにくいものでございます。
  81. 泉信也

    ○泉信也君 受益範囲ということは、受益がなければそうすると貸し付けでは出てこない、こういう理屈は成り立つわけでしょうか。  それで、もう一つお尋ねしますと、これはJR民営化十年の新聞情報ですと、開業による受益範囲負担すると決まっておるけれども受益の概念が極めてあいまいで行政とJRの鋭い対立になっておる、これは具体的な数字として両者の言い値は半年分で百億対五十億円の開きがある、こういう新聞が出ておりますけれども受益の定義がきちっとしておれば、若干の思いの違いはあるにしましてもこういう話は出てこないんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  82. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 受益の算定の仕方に関しましては私どもJRの間で差はございませんが、先々の見通しに関しましては、どのような経済成長があってどの程度旅客が伸びるかとか、そういう点に関しましては当然最初からぴったり意見は一致しませんので、その点はいろいろ調整をいたしまして合わせるようにしてきたと、今の三線五区間におきましてもそのような努力をしてきて意見調整に努めております。
  83. 泉信也

    ○泉信也君 そういたしますと、受益が発生しなければ貸付料という料金の収入はなくなるわけですが、例えば高峰−長野間みたいに公団債なり財投資金でやった場合は、これはどういうことになるんでしょうか。借金でやるわけですから、どういう項目で公団はJRからお金をとられることになるんでしょうか。
  84. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 高崎−長野の借入金の問題でございますけれども、これは借入金を導入する際に、高崎−長野が開業した場合にJRから鉄建公団側の収受いたします貸付料でもってまず基本的に償還の原資とする、こういうのがまず基本的な考え方でございます。  なお、三線五区間建設スキームは、三線五区間全体のプール制ということになっておりまして、高崎−長野間の貸付料だけで償還できない場合は三線五区間全体の貸付料でこの借入金を償還していく、こういう考え方でございます。
  85. 泉信也

    ○泉信也君 今、お答えいただいたそのあたりも実はお尋ねしたい。  高崎−長野間だけで償還できない場合には三線五区間の全体に負担をしていただく、こういうことですね。今お答えになりました。そうしますと、恐らく利益が出ないというか受益範囲と言われた限界をオーバーする線区が出てくることもあるということでしょうか。
  86. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) そのようなケースはないと私ども考えております。すなわち、受益がないということは収支採算制が成立しないということとほぼ同意、同じような意味でございまして、収支採算制がある場合に初めて建設をするわけでございますから、その限りにおきましては一定の受益があるわけでございます。  それから、新たに三線五区間は、六十三年、平成元年とスキームができ上がりました場合にプール制をとるということがこれは政府与党の申し合わせでも決められておりまして、三線五区間貸付料全体でもちまして高崎—長野の借入金を導入する場合はその償還の原資とするということにいたしておりまして、私どもそういうことがちゃんと償還できるかどうかというのを確認した上で借入金の導入を図ってきた、このような経緯でございます。
  87. 泉信也

    ○泉信也君 これは新規着工区間の話にも絡んでくるわけですけれどもJR東だけでこの部分負担するということとは違うわけですね。後でお尋ねしますけれども、それぞれの路線の収支採算性議論はそのJR会社範囲収入、支出で議論するというふうに私は聞かせていただいておりますが、この部分については三線五区間全体でカバーをするということになると、ちょっと私の理解が間違っているのかもしれませんが、お願いいたします。
  88. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御説明があるいは十分でなかったかもしれませんが、それぞれの線区ごとに受益範囲は算定するわけでございます。ただいま先生の方から、高崎−長野の借入金の問題がございましたので、その借入金と連動して御説明いたしましたのでちょっとわかりにくかったと思いますが、借入金の原資となる貸付料は、これは今の各三線五区間貸付料をもって償還の原資とするということでございます。要するに、各線区それぞれごとに受益範囲を算定いたしまして貸付料は決まってくる。その決まってまいりました貸付料が高崎−長野の借入金の償還の原資になるわけでございます。まず借入金があって、それをそれぞれ三線五区間に割り振るということではございません。
  89. 泉信也

    ○泉信也君 そういたしますと、当然借りた金ですから年次ごとに返していかなきやならないんですが、それに見合う金が十分に上がってくると。論理的にはそういう説明をさっきされましたけれども、上がってこなかった場合はどうするかと貧乏人がすぐ心配したくなるわけですが、上がってこなかった場合はどんなことが起きてまいりましょうか。
  90. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 私ども、借入金を導入する際に、今申し上げましたように三線五区間ではプール制でございましたから、三線五区間のそれぞれの線区の受益範囲貸付料、これを原資として償還ができるということを確認した上で借入金を導入しておりまして、今申し上げたようなことが維持できるようにきちんとやっておるつもりでございます。
  91. 泉信也

    ○泉信也君 国の負担のことについて少しお尋ねをいたしますが、国の負担が三五%、こういうことになっておりまして、私、最初はこの三五%という数値を見まして、国の負担の額が先に決まって、それを〇・三五で割ると全体の事業費が出てくるんだな、こういうふうに理解をしておりましたところ、そうではないということでございました。  そこで、今回の政府与党の合意の中でどういう幅で国の負担が考えられるか。これは論理的な数字でございますけれども、全然ゼロの場合から八百億までと、恐らく理論値はそういうことになるというふうに思うわけですすが、平成九年度ですと国の負担三百四十億、これはどの程度でこれから心づもりとしては伸ばしていきたいとお考えでございましょうか。
  92. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 大変難しい御質問でございますが、当然、国の公共事業関係費をどれだけ伸ばし得るかということに尽きる問題でございますので、私どもとしましては必要な財源を確保するために精いっぱい頑張りたいのでございますけれども、これは具体的な数字を申し上げるのはちょっといかがかと思いますので、それは毎年毎年の予算の中で努力をして具体的な予算の増額に努めていくということであろうかと思います。
  93. 泉信也

    ○泉信也君 そこで、新規着工区間にどれくらい投資ができるかということをお尋ねしたいために今のような質問をさせていただきましたが、まず三線五区間の残事業はどれだけあるのでしょうか。
  94. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 三線五区間につきましては、平成九年度以降、残事業費といたしまして約一・二兆円でございます。
  95. 泉信也

    ○泉信也君 そういたしますと、合意の内容で新規部分に約一・二兆円想定をしておられますので、全体として約二・四兆円程度の事業規模が平成三十年までの事業費として想定をされておるということかと思います。  そこで、この新規着工区間の一・二兆円の算出の考え方説明していただけますか。
  96. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) これにつきましては、新幹線財源が、先ほどから申し上げておりますとおり、貸付料等のJR負担分を除きまして、それから既設新幹線譲渡収入を全額国の負担分として、その上で国が二、地方が一という割合負担するということになっておりますので、その際に、国の公共事業関係費平成九年度の三百四十億円を発射台といたしまして物勝率程度の伸び率で推移をする、このように考えまして全体としての平成三十年度までの財源の規模を出した、こういうことでございます。それで、先ほど御指摘がございました今進めております三線五区間の所要資金が一・二兆円ございますので、差し引きをいたしますと新規に回せる分が平成七年の価格で一・二兆円である、このような考え方になっております。
  97. 泉信也

    ○泉信也君 確かに、ことしの予算千七百三十五億から貸付料を引いた額を二十二年間同じように投資をしていくとすれば、計算ですと約二兆五千億から二兆六千億ぐらいの数字が出てくると思います。  これは私の計算ですと、三百四十億を今固定して計算したわけですが、局長の御答弁ですとこれを発射台にしてというお話でございますので、そう大幅に伸びるとは思いませんがもう少し余裕があるかなと。残事業一・二兆円、そして新規も一・二兆円というのはかなり厳しい見積もりかな。残事業の分の建設費がアップするということももちろん考えなきゃなりません。ですから、ぎりぎりという見方もあるかと思いますが、もう少し余裕があるかなと思いますが、どうでしょうか。
  98. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま申し上げましたように、国の公共事業関係費につきましては、三百四十億を発射台といたしまして物騰程度の伸びを見込んでおりますが、なおこれに関しましては、また平成七年価格に割り戻すということもございまして今言ったような数字になっておるわけでございます。名目値ではないということで、平成七年価格に置き直しまして一・二兆円程度、こういうようなことでございます。
  99. 泉信也

    ○泉信也君 確かに平成七年価格で計算をする必要があると思いますので、一・二兆円というのは私の計算ではもう少し余裕があるというふうに思いますが、とりあえず一・二兆円ということになりますと、このことと次にお尋ねしたい新規着工区間事業費との関連性というのはどういうふうにとってあるんでしょうか。というのは、一・二兆円ありきで議論したのか、ある程度の交通体系を考えて新規着工区間をお決めになったのか、そのところを御説明ください。
  100. 梅崎壽

    政府委員梅崎君) 新規着工区間は、多分与党三党申し入れに言いますところの新規区間だと思いますが、これに関連しましては、与党におかれまして全体としての事業規模もある程度考慮に入れられながら御検討されたものだと考えております。
  101. 泉信也

    ○泉信也君 そうしますと、政府与党議論されたと、その政府の一翼を担っていかれるわけですから、どの程度関与されたかわかりませんが、一・二兆と新規着工区間関係は必ずしも今当局としては明快に説明ができる段階ではないと、こう理解すべきでしょうか。
  102. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 具体的当てはめをきっちりと政府としてやっておるわけではございませんけれども、そう大幅にまた食い違うとも思っておりません。新規着工区間として与党三党から申し入れがありました三線の建設費、それからその他区間のトンネル等の工事費につきましてはおおむねは適合するのではないか。ただ、これを個々の線区にどれだけの工事費がかかるかというのは、やはり詳細詰めていかなければなお確定できない部分はあるかと思っております。
  103. 泉信也

    ○泉信也君 そこで、新規着工区間が三線区出てくるわけですが、これの考え方、できますならば各線区ごとに御説明いただけますでしょうか。
  104. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 与党におかれましては、JRであるとかあるいは地方公共団体の意見を踏まえながら取りまとめられたものと承知しておりますが、各線区の選定の考え方といたしましては、八戸−新青森間につきましては、時間短縮効果が大きいということ、それから既着工の盛岡−八戸との間の一体的活用によりまして青森—首都圏を乗りかえなしで利用可能になる、こういつたようなことが配慮されたのではないか。  それから長野−上越間につきましては、本年秋開業予定の高崎−長野間と一体的活用が可能となることを踏まえまして、北陸地域との利便性向上に資することになること。  それから船小屋−新八代間につきましては、他の線区と比較いたしまして線形が悪く新線建設によります時間短縮効果が大きいこと、それから既着工の八代−西鹿児島間との一体的活用によりまして乗りかえなしで利用可能になること、こういったことが考慮されたものと考えております。
  105. 泉信也

    ○泉信也君 政府与党の合意ですから、御当局がどういう関与をされたのか私はわかりませんけれども、今の局長のお答えですと何となく第三者が決めたというような感じも私には受けとめられるわけです。そのことを今議論をしても仕方がありませんが、東北ルートにつきましては、東北新幹線については一つのターミナルを新青森という想定で考えるということは私は理解できるわけです。  北陸新幹線につきましては、長野−上越間というふうになっておりますけれども、これは現在の北陸線の旅客の利便を考えますと、上越でとめるんではなくて糸魚川まで延ばすべきではないか、そのことが東京方面に出てこられるお客様にとっては乗りかえが少なくて便利ではないか、現に金沢−石動間とかいろんなことをやっておられる現在の投資をさらに生かせるんではないか、こういうふうに思いますけれども、ここはどうでしょうか。
  106. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 確かにそのようになりますと利便性は増すかと存じますけれども、一方では工事費が相当大幅にふえるという問題もございまして今の長野−上越の間になっていると、このように私どもは理解しております。
  107. 泉信也

    ○泉信也君 工事の話は、きょうはお尋ねするつもりはございません。全体の枠の一・二兆円の話でさせていただいておりますので、個々のことはまたいつか議論ができるかと思いますが、これはやはりお金との相談事であることももちろんそうですけれども、交通論的には私は、やはり糸魚川まで絵をかいて、そして結果的にできないことは場合によってはあるかもしれませんがそうすべきではないか。そのことが新聞にも冷やかされましたほくほく線の経営にまで影響が出てくるのかどうか私はわかりませんけれども、少し中途半端になっていないかという感じを持っております。  それから、鹿児島ルートについては時間短縮効果、私も八代—西鹿児島間というか鹿児島間は大変大きいものがあると思っております。しかし、これはちょっと細かい話になりますが、博多から南に下がってくる部分が大変在来線が込んでおるわけでして、この部分に手をつけるべきではないか、むしろ私はそういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  108. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 確かに、九州新幹線鹿児島ルートにつきましてそのような御意見があることは承知しておりますが、そういたしますと財源が限られておりますから、博多から参りましてまたそこで乗りかえて鹿児島に行くというぐあいになります。一方、八代−西鹿児島間の間は現在既に工事しております。  そういうことから、工事費がどの程度かかるか、あるいは財源の制約があるといったことから、現在工事をしております八代−西鹿児島の分も合わせまして全体としてスムーズな時間短縮効果を図るには今のようなものが妥当であると、このようなことで船小屋−八代になった、このように私ども理解しております。
  109. 泉信也

    ○泉信也君 この部分は、今の原案も一つ考え方だと私も理解しないわけではありません。  ただ、今の鹿児島−八代間三時間三、四十分ぐらいが二時間十分になると、これは物すごく短縮効果が大きいと思うんですね。それで、八代から博多まで仮につなげた場合には恐らく二十分ぐらいの短縮になるということでございますので、福岡−鹿児島の飛行機の便を今私調べますと年間六十五万人ほどあるわけですが、この転換交通量は、恐らく一番きくのは今の八代−鹿児島間で相当部分が転換するだろう、こういう思いをまず持っております。  そこで、さらに二十分の短縮効果というのがどの程度航空旅客あるいは周辺旅客を転換させるかという議論も大変大切だということを承知の上で、もう一言だけ言わせていただきますと、この福岡の都市圏が南に延びておる、その中で通勤、通学列車が現在在来線を日に四百本走っておって、非常に線路容量いっぱいであるという事実がございますので、むしろ博多から船小屋あたりまでを整備していただいて、都市圏の拡大に対応する通勤、通学の在来線利用をもっと円滑にするという考え方も私は成り立つのではないか、こんな思いを持っておるわけです。  私の生まれたところの近くの話でございますので熱が入るわけですが、福岡への通勤圏にするために久大線の電化でありますとかいろんなことをやらなきやならぬという話も地元にはございます。その地元の要望も受けてでありますけれども、交通的に考えた場合には、これは私論ですけれども、場合によってはとりあえず博多から船小屋までスーパー型でつないで、そして最終的にはフルでいくということも想定をすれば新規着工区間の変更も御検討いただけるのではないか。これはスーパーでいくなんて言ったらまたいろいろ問題が出てくる可能性もありますけれども、そういう思いを持っておりますことを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。  今回のこの政府与党合意の中で、やはり一番大きなところは収支採算の考え方が大変重みを持っておるというふうに思うわけです。そこで、この前提となります需要予測につきまして、どのようなモデルというか計算をなさるのか。抽象的に言いますと、それがかなり確かなものでないと二十年先、三十年先の収支計算が信頼性を損なうことにもなると思うものですから、大変技術的な話で恐縮ですが御説明いただけますか。
  110. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 需要予測の考え方は今までもあるいは御説明しておるかと存じますが、当然のことながら一般的な経済成長率であるとか、あるいは将来の人口がどうであるとか、それから所得の地域間の配分がどうであるとか、そういったような一般的にとられております手法によりましてやっておるわけでございます。  それから、その際に使いますデータに関しましては、国の計画であるとか、あるいは人口に関しましては厚生省の人口問題研究所の将来推計値であるとか、これも一般的に行われておりますけれども、できる限り客観的なデータを用いまして将来を推計する、こういうやり方でやっております。
  111. 泉信也

    ○泉信也君 こり需要予測モデルというのは、どうやって検証するかということになるとなかなか難しい点が技術的にもあると思っております。今、想定されておりますモデルの再現性みたいなもののチェックが何かなされたというか、分析の過程でございましたでしょうか。
  112. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 私どもが今持っておりますモデルは、六十三年当時の今の三線五区間につきまして検討した場合のモデルと基本的に同じでございまして、それを更新してきておるわけでございますが、かって六十三年当時には、このモデル式に関しまして実際に再現してみたらどの程度の適合性があるかということをやりまして、相当程度適合性があるという結論になっております。
  113. 泉信也

    ○泉信也君 これはこういう場で議論することは必ずしもなじまないと思いますので、モデル式の議論をしたところで余り委員会の議論としては得策ではないと思いますから、このことについてはこれで質問を終わらせていただきますが、収支償うかどうかという議論はまさに需要予測が根幹にあるわけです。  お伺いしましたモデルの変数などが本当にどの程度需要予測に影響していくのか、例えば人口でありますとか、ホテル、旅館の部屋数でありますとか、そういうものがどれが一番きいてくるのか、あるいは専門的職業従事者数とかというような言葉もあるようですが、ぜひモデルの精度を上げるように御努力をいただいて収支にそごを来さないようにやっていただきたいと思いますし、いずれまたこの部分については、できましたならば諸先生の前でも御説明いただければというふうに思います。  もう一つ今回の投資について重要なことは、こういう線区ごとの採算性も、当然経営計算もしなきやならないと思いますが、この新幹線投資が国民経済的にどうなのかという議論も特に財政事情の厳しい折には大切だと思いますが、この点のチェックはどんななされ方をしておられましょうか。
  114. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 確かに今の御指摘は重要なことでございまして、投資のために必要なお金、それに対して新幹線が通ることによります時間短縮の効果であるとか、あるいは直接的には鉄道事業を初めといたしまして発生する収益の増大とか便益がございます。こういつたような点に関しましては、かつて六十三年当時の三線五区間の検討をする際におきましてもこのような点を検討いたしまして、経済的内部収益率という形で投資の効果を算定するということもやっております。  今後、今度の新規着工路線の検討に当たりましてもそのようなことを踏まえまして私ども十分検討していきたいと考えております。
  115. 泉信也

    ○泉信也君 局長、もし今お持ち合わせでしたら、その三線五区間のときの内部収益率、どれぐらい出ておるかお答えいただけますか。
  116. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 内部収益率を当時の資料としては国民経済的投資効果ということで出させていただいておりますが、東北新幹線の盛岡−八戸間では七・二%、これは三十年間の計算でございまして年率でございます。それから北陸新幹線、これは高崎−長野間、それから糸魚川−魚津間、高岡−金沢間でございますが一二%、それから九州新幹線の八代−西鹿児島間は七・五%、このような当時の試算で、これは公表された数字でございます。
  117. 泉信也

    ○泉信也君 今のような高い数値が出ておるということをもっと私は世の中に知らしめるべきだと思います。一二・〇というのはちょっと高いかなと思いますが、それにしましても七%を超える内部収益率が出ておるということは国民経済的にプラスだということを少なくとも計量的に表明をしておるわけですから、こういう数値をもっと世の中に明らかにしていただきたいと思いますし、今回の新規着工区間についてもこういうものが出ましたときにはぜひ、国会にももちろんですが一般国民の方にも広く知らせていただきたい。要望でございますが、何かございますか。
  118. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘いただきましたけれども、この数字は私どもは公表して、説明をしてほしいというところにはどんどん説明しておりまして、私どもにございます記者クラブの方々に御説明したりもしております。  新規着工区間の問題をどうするかというときには、こういった点もどう評価するかというのは当然のことながら問題になってくると思いますので、政府与党の検討委員会の場におきましてこういつた点も十分検討していきたいと考えております。
  119. 泉信也

    ○泉信也君 次に、並行在来線の扱いについてお尋ねをさせていただきます。JRからの経営分離を考える際の運輸省の基本的な考え方、これは何か基準というかルールがあるのでございましょうか。
  120. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 基本的な考え方はございまして、これはJR経営に過重な負担をかけることを避けて第二の国鉄をつくらないという観点から、従前から開業時にJR経営から分離するということを原則的な考え方にしていると。これを具体的には、その区間に関します工事実施計画の前に沿線地方公共団体JRの同意を得て確定するということにいたしております。  その際に、問題は地域の足をどうやって確保していくかということではございましょうが、この点に関しましては、私どもとしては、まず地域の皆様方のお力で支えていただきたい、そのための関係者間の協議を十分行っていきたい、このように考えております。
  121. 泉信也

    ○泉信也君 非常に俗っぽい言い方をしますと、もうかるところはJRは自分でやる、もうからないところは切り離す、こういう言い方が非常にわかりやすいと私は思っております用地元の方々にとって新幹線は待ち望まれることではございますけれども、周辺での在来線鉄道の日々の役割というのはいささかも低下することはない。自動車の時代ではありますけれども、そういう思いを持っておる中で、私はJR考え方がもう一つ理解できないところがあるわけです。  経営上成り立たないところは切り離す、分離するということは、企業の経営としてはそういうことがあってもいいかもしれません。しかし一方、新幹線は国家的プロジェクトということをさっきから申し上げておりますが、仮に民間企業がこの線を引いたと仮定をいたしますと、そのことに対してJRは市場の競争の中でどう対応するかという議論があってしかるべきだと思うんです。したがって、民間企業がもしも新幹線をつくるというようなことが、法律的にはできるわけだと思いますが、そういうことをした場合にはJRは今と同じようなことをおっしゃるのか、あるいは別の考え方、もっと合理化をして対応しようとする方針をとられるのか、私はちょっと疑問な点があります。  わかりにくい点があるかもしれませんが、第二の国鉄を出さないという言い方と、JR採算性のいいところだけをとっていこうとする、結果として初めて出てくる今回の高崎−長野間に係る新幹線にまつわる第三セクターが、果たしてうまくいくのかどうかということについてはやってみなきゃもちろんわかりません。収支計算は聞かせていただきました。しかし、本当にそうなるかということについては大変私は疑問を持っておるわけです。  そこで、自治省にお尋ねをいたしますが、実は二十年先、三十年先という事柄の発生を今の自治体の方々、市長、町長さんに決断していただくわけです。在来線は経営分離しますということでいいですかというようなことを着工の条件として運輸省は求められるわけですが、行政の継続性ということは承知の上で言いますけれども、その市長なり町長さんが二十年後、二十五年後まだそのポストにいらっしゃるかどうかわからないということを考えますと、よほど手当てを今からしておく必要があるのではないかと思うんです。  その手当てと申しますのは、第三セクターの経営が必ずしもうまくいっていないケースの方が多いわけでして、これは新幹線とは別の話ですが、鉄道の第三セクターで経営がうまくいっておるという例はかなり少ないものですから、そうした在来線の経営分離がなされるところについては今からある種の基金を積み立てておく。そしてもし、二十年、二十五年、三十年後にそういう事態に立ち至ったときに、地域方々に本当に迷惑をかけないような段取りを自治省として金銭的にあるいは行政指導的になさっていくというようなことは可能なんでしょうか。
  122. 岡本保

    説明員岡本保君) 新しい新幹線建設着工する場合には、先ほど運輸省の方からも御説明ございましたように、並行在来線区間について、そのとかあるいは関係地方団体財政負担の要素というようなものを総合的に判断する、まさにそこは今御指摘のようになかなか難しい判断であろうかと思います。  ただ、そういう諸要素を含めた中で御検討いただいてそれぞれの地方団体がどういう対策をなさるのかということでございまして、まずそれは各団体、それから例えば経営が始まれば第三セクターで基本的に責任を負うべきものというふうに考えております。  御案内のとおりでございますが、北陸新幹線の高崎−長野の区間につきましては、しなの鉄道株式会社に対する関係地方団体の出資について自治省としては地方債措置を講じているというところでございます。
  123. 泉信也

    ○泉信也君 確かに、しなの鉄道については長野県を中心に自治体の方々が資本金を出していただいて経営をうまくやろうと御努力いただいておることは評価をいたしますけれども、いわゆる会社として地域利便性にこたえていく過程でうまくいかなくなる可能性がやっぱりぬぐい切れないと私は思うんです。だからこそ、つい先日までしなの鉄道の沿線の方々経営分離の反対の陳情を私どものところにまでなさった、もう開業すぐのところまで来てもそういう声があったと。  また、最終的にどうなったかわかりませんが、一部は料金が乗り入れの関係で現状よりも高くならざるを得ないというようなことも情報として私はいただいておりますけれども、そういう不安感を新幹線が通る地域方々に与えないような方策として、今お答えいただきましたような、ちゃんと第三セクターをつくるときには資金的にも援助いたしますということではございましょうけれども、何しろ長い時間かかるわけですから、今から対策をとっていただく。  それが幸いにして、金銭的に使う必要がなければその時点で別の考え方に使っても私は構わないと思いますけれども新幹線建設費に三〇%負担をしていただくならばそれを二〇%にしていただいて、一〇%はそういう在来線の活性化というか経営の安定のためにさらに力をいただくということの方が新幹線のプロジェクトをより評価していただくためには私はいいのではないか、こんな思いを持っております。今そのことをここでお答えいただくということはもちろん無理だと思いますけれども、第三セクターになった鉄道経営がいずれもうまくいっていないという実態を考えますときに、やはりそうした手当てをしておくことが重要ではないかということを提言させていただきたいと思います。  そこで、最後でございますが、政府与党の申し合わせの中で、とりあえず今年度の予算では百億円を新規着工というふうに割り振っていただいておりますが、私はそれはある意味では大変妥当な考え方かなという評価をする一方で、来年度以降はどうなっていくのかな、むしろ三線五区間を早く仕上げるために限られた予算を投入すべきではないか、こんな思いを持っております。  線区別に細かなことはわかりませんけれども、今の予算ベースでいけば三線五区間の完成は平均的には八年とか、長いものでは十年を超えるような状態だというふうに想像をするわけです。そうしますと、全国各地の方が待っておられるということはそうですけれども、いわゆる日銭を稼げるように早く完成をさせるというために、新規の区間へ余りお金を入れないで三線五区間を早く完成させるというようなことを考えるべきではないか、こういう思いを持っておりますが、いかがでしょうか。
  124. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) その点は一つのお考えかとは存じますけれども、新しい財源スキームを成立させることによりまして新規着工区間に投資をする余裕ができたわけでございますので、新規着工区間の問題をどうするかは、たびたび大臣からも御答弁いただいておりますとおり、政府与党の検討委員会の場で諸条件を十分にチェックした上で決めていくべき問題だと思います。  やはり新規着工区間財源スキームが成立をしたということで、新規着工区間の具体的問題点をどうしていくかというのをこれから詰めていくのがまず基本ではないかというのが私どもとしては基本的な考え方ではないか。それを新規着工区間の問題は後回しにして、既存の三線五区間にまずすべて投入をして、新規着工区間の問題はそれからの問題であるというような考え方は今のところ私どもとしてはとっていないわけでございます。
  125. 泉信也

    ○泉信也君 それは、政策的な考え方ももちろんあると思います。それから、全国で長い間、極端なことを言いますと三十年も四十年も、四十年はないかもしれませんが、お待ちになっておられる方々のお気持ちも政治的には配慮しなきやならぬ点もあると思います。  しかし、繰り返しになりますが、もしもこれが企業経営的な物の考え方をするのであれば、もう申すまでもなく、一日も早く完成をさせて毎日の収入を得ていくということが考え方だというふうに思うわけでして、私は、新規着工区間に三線五区間が完成するまで全くお金を回すなということを申し上げるつもりはありません。しかし、まだこれから十年以上も今手をつけておるところがかかるというようなことは避けてしかるべきではないか、こういう思いを持っております。  三線五区間もやりながら新規着工区間にも手をつけるというようなあたりが、誤解の上ではあると思いますけれども、ばらまき予算だというような間違った評価になってくるところもあると私は思うんです。ですから、非常に政治的な話、あるいは交通の問題をどう処理するかという視点からの予算配分でもあるとは思いますけれども、私は、できるだけ早く今手をつけている部分の完成を急ぐ、そのことが重要ではないかというふうに思います。  そこで、最後に大臣にお尋ねをさせていただきますけれども、一番最初に申し上げましたように、新幹線というのはやはり国土の交通網を形成する大変重要なものだという位置づけを私はしておりますので、最初から今回の法改正目的をいじることについても反対の立場からお尋ねをさせていただきました。社会資本として極めて重要なものだという思いがございますので、ぜひこれから政府与党の中で議論をしていただく際に、適宜適切に私ども運輸委員会にも状況を御報告いただく。情報開示というはやりの言葉ではございませんけれども、幾つかきょうの質疑の中でも詰めていただくというかこれからの問題点として残されたものがあるというふうに私は受けとめましたので、決まってしまっての報告ではなくて、お決めいただく過程でぜひ話を聞かせていただく。  最終的にはこれは行政の立場でおやりになるということは百も承知でございますけれども新幹線に対する汚名を晴らすためには、国会でも十二分に議論をしておるという姿を国民の皆さん方には見ていただく必要があると私は思っておりますので、大臣にはぜひこういう運輸委員会の場で途中経過を含めて議論をさせていただく機会を設けていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  126. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生には、整備新幹線整備必要性について御理解をいただいておりますことに大変感謝をいたしたいと思います。私といたしましても、いつも申し上げておりますけれども、二十一世紀我が国高速交通体系を考えた場合に、整備新幹線に寄せる期待というのは国民の多くの方々に御理解をいただけるものだと思います。それだけに、国民の皆さん方の理解を得るということがまた一方では大変重要なことだということは先生が御指摘いただいたとおりでございます。  政府与党で検討委員会を設けさせていただきまして、その検討委員会の中でいろんな角度から論議をしていくわけでございます。その大前提は、常々御答弁申し上げておりますように、基本的な条件というものを確認した上でどう未着工区間に対応していくか、適切な対処をしていくかということだろうと思っております。  検討委員会の論議のあり方につきましては、可能な限り国民の皆様方にその状況、そして議論の中身等について情報を公開してまいりたいというふうに思っておりますし、先般来衆議院の方でこの法案について御審議をいただいたわけでございますけれども、その附帯決議といたしまして、検討委員会の結論は速やかにこれを国会に報告するということとされたところでございます。私といたしましては、その趣旨を十分尊重いたしまして政府として努力をしてまいりたい、ぜひひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
  127. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。終わります。
  128. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  129. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  130. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 これからリニアモーターカーの問題について、ちょっと質問をしたいと思っているんです。  というのは、ともかく長期債務というのは大きなお荷物になっています。親の代の借金をしょって、清算事業団というのはこれは何とかしなきやならないという問題に直面しているのでありますけれども、その中で、余り金のことは心配しないで一生懸命研究をやっているのがこのリニアモーターカーなんですね。  そこで、この実験の現状とか、あるいは進捗の度合いとかというものについてひとつ御報告をいただきたいと思います。
  131. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 超電導リニアモーターカーでございますけれども、実用化に向けまして技術開発、これは平成二年度より山梨実験線の建設を行ってきておりまして、ことしの四月三日より、先行区間におきまして第一編成車両によります本格的な走行試験を開始したという状況でございます。  それから、第二編成車両につきまして現在製作中でございまして、ことしの秋ごろには現地に搬入する予定と、こういうのが今の状況でございます。
  132. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 このリニアモーターカーの目標なんですが、一体いつごろからどういう構想でもって走らせるという目標があるのか。多分、二十一世紀になると思うんです。来年、再来年というわけにいかないでしょう。そうするとかなり先のことになると思うんですけれども、一体どういう構想でもってこれを走らせるのか、どこを通るのかという問題が全然わかっていないんですけれども、目安があるんですか。
  133. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今の段階で、超電導リニアモーターカーを実用化する具体的路線というのは決まっていないのが現状でございます。ただ、これに関しまして、実用化のための技術開発を進めまして、これを中央新幹線で位置づけるとか、そういったような構想はございます。
  134. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 技術開発の目標としては、ピーク時間に片道一万人程度を輸送能力として考えている、採算性を踏まえたシステムの経済性を確立するということなので、いずれも大変に難しい問題ではありますけれども、具体的にはある程度それは見通しが立たないというと実験をする方だって張り合いがないと思うんですが、その点はどうなっていますか。
  135. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 技術開発の目標はただいま先生指摘のとおりでございますが、この目標に対しまして、先ほど申し上げましたとおり本年四月から開始いたしました山梨の実験線におきましてこれらの目標に関しまして技術上のめどをつけていく、こういう考え方で今後三年の間にめどをつけるべく鋭意開発を進めていくというような考え方でやっております。
  136. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今、整備新幹線が大きな問題になっておりますが、整備新幹線よりもこっちの方が先が長いわけですね。先が長いというか、いつからということがはっきりしないわけなんです。新幹線でも、例えば東海道新幹線のように既に輸送上飽和状態になっている。三分か五分ぐらいの間隔で今東海道新幹線は走っているわけです。あれではいろいろな工事をするのでも、合間を縫って仕事をするというのは大変だろうと思うんですよ。だから、そういう飽和状態になっている東海道線はもう一本の東海道線をつくらなきゃ間に合わないんじゃないかなと、素人目に見てもそう感じられるんです。  一体、この整備新幹線の場合は、そういう東海道新幹線のバイパス的な役割を果たすつもりなのか、あるいはそんなことは一切考えないで、これはまた別線として考えるのか、どっちなんですか。
  137. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 東海道新幹線のバイパスというような御質問でございますので、具体的に中央新幹線の問題と受け取ってお答えさせていただきますと、中央新幹線に関しましては確かに東海道新幹線と代替関係にある新幹線である、こういうような機能面での位置づけがある程度はできるだろうと考えております。
  138. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ある程度はできるだろうと、じゃ、これはバイパスとして活用することを意識しているのかどうか。
  139. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 中央新幹線そのものは新幹線の計画の中ではまだ基本計画路線でございますし、この中央新幹線に関しましてまだ政府として整備をするという形でのきちんとした位置づけがございませんので、また性格づけというのも一律的には決められないかと存じますけれども、東京と大阪を結ぶという性格からいたしますとバイパスといいますか、東海道新幹線の容量がいっぱいになりましたら当然そのオーバーフロー分を吸収しあるいは代替し得る新幹線である、このような機能を有するものだと、こういうぐあいに私ども考えております。
  140. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 東海道新幹線がいっぱいになりましたらと言うんだけれども、既にいっぱいになっているというふうに私は思うんだけれども、まだ余裕があるんですか。
  141. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 確かに活況を呈しているのは間違いございませんが、一方で東海道新幹線につきましては、先生承知のとおり、品川の新駅につきましてことしから工事にかかりまして、品川で折り返す輸送というのをやるという計画になっております。そういたしますと、今までよりも約四割弱の輸送力の増強ができるようになりまして、その関係東海道新幹線輸送力が飽和状態になるというのはしばらくの間はまだ避けられる、こういう状態になろうかと思います。
  142. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 しばらくの間はまだ間に合う、だからバイパスは特に考えなくてもよろしいというふうに聞き取れるんです。  じゃ、このリニアモーターカーの場合は、そういうことを考慮しないで全く別の輸送機関として考えると。既に実験線が実験をされているんですから、あれは実験ばかりしたってしょうがないので、延長しないというと使い物にならないでしょう。現在の実験線を延長するとなれば、これは中央新幹線という格好になりますね。そうすると、中央新幹線をつくるにいたしましても、その間に日本でも有数の難所があるわけです。南アルプス連山というものをトンネルで抜かなきゃならないでしょう。その工事だけでも大変だろうと思うんですよ。  差し当たっての中央新幹線にこのリニアを使う、こういう構想ですか。間に合えば使うんですか、間に合わなくても何か考えるのか、どっちなんですか。
  143. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 当然のことながら、今の実験線は、適地を選定するに当たりまして将来有効活用ができる、こういう可能性を選定基準の一つにしておりまして、これがいずれ将来は実用線の一部として活用されるということは想定してあるところでございます。ただ、今の段階で中央新幹線に関しまして具体的にいつの段階から取りかかるかとか、そういった点に関しましてはまだ、先ほど申し上げましたが東海道新幹線輸送力の余裕の問題もございますので、具体的に決められるような状態にないということでございます。  なお、それに関連しまして中央新幹線にリニアを適用するかどうか、これにつきましてもまだ具体的には物が言えるような段階ではない、これから技術上の開発を進めまして、そういった点を踏まえながら検討していくべき問題であろうと考えております。
  144. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、先行きがさつばりわからないわけですよ。まず東海道新幹線のバイパスとしての中央新幹線を先につくるのか、あるいはリニアモーターカーが間に合わなかったらそうするのか、間に合わせるつもりなのか、どういうことなんですか。
  145. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) もちろん地元の要望等々を踏まえますと、中央新幹線を現実のものとして整備する場合には、それまでの間にリニアの技術開発が終了しておればこれを当然中央新幹線に導入していくということであろうかと存じますけれども、ただいま具体的な展望としてはそこら辺はまだ申し上げられるような状況にないというのが正直なところの実情でございます。
  146. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 リニアの方も申し上げられるところまで来ていないと。じゃ、今申し上げられないと言うんなら間に合いっこないですね、中央新幹線のバイパスとしては。  中央新幹線という構想はあるのかないのか、先にやるのかどうか。そういう構想があるとすれば、これは東京から差し当たり名古屋ということになる。名古屋どまりでいいかどうかわかりませんが、そういうことでとりあえず取り組むつもりがあるのかどうか、お伺いしたいと思うんです。
  147. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) あるいは繰り返しになるかもしれませんが、中央新幹線そのものをどうするかは、先ほど申し上げましたように基本計画路線でございますし、現在まだ調査をしている段階でございますので、これを具体的に現実のプロジェクトとしていつの段階でどう動かしていくかというのはなかなか今の段階で申し上げられない状況である。  一方、リニアモーターカーの技術開発につきましては、先ほどから申し上げておりますように実用化のための開発をやっていこう、こういうぐあいにしております。山梨実験線での実験を踏まえまして実用化のめどをつけていきたい、こう考えております。これの実用化の時期もこの実験の成果を踏まえながら判断していかざるを得ないということがございますので、正直申し上げましてなかなか具体的な展望を申し上げにくい状況でございますが、いずれにしても私どもはこのリニアの実用化のための技術開発は鋭意進めまして、実用化のめどはできるだけ早くつけるという方向で今鋭意進めているところでございます。
  148. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 できるだけ早くと言いますけれども、現実の状態というのは差し迫っていると思うんですね。だから、リニアはいつごろまでに実用化のめどを立てるのか、それから東海道新幹線のバイパス的な役割をする新しい別線をつくるとすればどういう構想でつくるのか、それらの点を目標を明らかにしておいた方がいいんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
  149. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 技術上の開発のめどにつきましては、先ほどからお答え申し上げておりますとおり、山梨実験線でこの三年の間にできる限りめどをつけたい。ただ、一部今のいわゆる先行工事区間ではできない問題等々ございますので、今の先行工事区間でできるものは相当程度のものでございますが、これにつきましてはこの三年の間に実用化のめどをできるだけ立てていきたい、このように考えております。  ただいま先生の御指摘は、技術上の実用化のめどとこれを現実のものとして鉄道の施設としてどう実用化していくかという御質問であろうかと存じますが、その点につきましては、まことに恐縮でございますが、今の段階で中央新幹線につきまして具体的な展望を明らかにすることはなかなかできませんので、今の段階ではそれにつきまして具体的なプロジェクトでどうするかは申し上げにくい段階でございます。
  150. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 しかし、予算は使っているわけでしょう、ただでやれることじゃないんだから。そうすると、リニアの方はどのくらいの予算を今まで使ってきたのか、これから使うのか、その点は報告してください。
  151. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 超電導の技術開発費、これは国の補助金で申し上げますと、昭和五十四年度から平成九年度予算まで合わせまして四百十四億でございます。それから、開発条件の調査委託をするというふうなことがございまして、この関係で四億弱の委託費を今まで使っております。
  152. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 実用化した場合の採算性までは計算に入れているのかどうか、計算に入れるとすればどういうルートを通るのかということがわからないとはっきりしないわけでしょう。その点はどうなんですか、両方ともわからないんですか。
  153. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいまやっておりますのは技術上の開発のめどをつけるということで、ただいま先生指摘のどういうような場所で、あるいはどのような施設で実用化するかということまで構想を持ちましてこの技術上の開発をやっているわけでございません。
  154. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 これは要するに何だかさっぱりわからないんですよ。借金の言いわけしているわけじゃないんだから、わかるかわからないか、できるかできないか、こういう点をちゃんと述べてもらいたいと思うんです。  それで、今度は大臣にお聞きしますけれども、実用化した場合の採算性なりルートなりというものを考えておかないというと、やる方は張り合いがないわけですね。一体どういうものができるのか、どんな構想なのか。  それからもう一つは、五百キロのスピードだというけれども、五百キロのスピードでもって走るものを東京—名古屋間とか東京−大阪間につくったところで余り意味がないだろう、バイパスならともかく。これは日本列島を横断するには時速五百キロは要らないですよね、実際問題として。三十分もあれば太平洋側から日本海まで行つちまうわけですよ。そうすると、縦断をするということになると思うんですけれども、縦断をする場合にも果たして五百キロがいいかどうか。それに莫大な金をかけて採算に合うかどうか。今まで二百キロ以上のスピードで走っているわけですから、それで間に合うものならば何も五百キロのリニアモーターカー、莫大な金をかけてつくる必要もないということになつちゃうんです。その点はかりにかけるとどうなんですか、大臣の見解を聞きたいと思うんです。
  155. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私は常々、技術革新というのは非常に大事な分野だという認識を持っている一人なんですが、運輸分野におきましてもやはり今後どういうふうに魅力のある交通体系をつくっていくのか、そういうことを考えた場合にやはり常に新しい技術の革新というものについて研究、努力をしていくということは大事な問題ではないかなというふうに認識をいたしております。  私も、つい先般新しい実験線が開通いたしまして、実際に超電導リニアモーターカーというのを実は目の前に見てまいりました。今先生がおっしゃっていますように、実験が成功いたしますと時速五百キロで走るということでございます。その五百キロのスピードが必要かどうかということは別にいたしまして、今申し上げましたような、常に技術を革新することによって夢だったものが現実に一つずつ実用化されて実現してくる、こういうものもやはり政治の場面では国民の皆さん方にそうした胸躍るというようなそういう分野も私はある意味では非常に大事なことではないか。  しかも、それが実用化されることによって五百キロというスピードだと、恐らく東京から大阪というものは一時間ぐらいで走ってしまうのかなというような気がいたします。そうなることによってまた新しい日本国土軸というものができてくるでしょうし、そういったことを考えたら、厳しい財政の中でありますけれども、そうした努力を一方では重ねていく、積み上げていくということも大事な分野だというふうに考えております。  当然、これを実用化するに当たりましては五百キロのスピードは本当に必要なのか、またそのときの経済的な社会的な情勢がどういう状況にあるのか、こういうことを勘案しながら、総合的に実用化するに当たってはさまざまな問題点を検討していく必要があろうかと思いますけれども、当面こうした新しい技術革新に努力を傾けていくということも私は必要な分野であろうというふうな認識に立っております。
  156. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それは夢も必要ではあろうと思いますけれども、五百キロというのは中途半端なんですよ。飛行機よりはのろいでしょう、新幹線よりは速いけれども。そうすると中途半端なんです。  しかも、線路から何からみんな新しくつくんなきゃいけないでしょう。今までの新幹線線路利用してというわけにはいかないでしょう。トンネルだって、この前笹子トンネルを見てきましたけれども、やっぱり大き目のトンネルつくってます。それから、車両も見てきましたけれども、その割に車両はいわゆる狭軌の在来線の車両と同じなんですよ。そうすると、輸送力は大したことないなと思ったんです、この前見てきて。  そうすると、スピードの点でもあるいは運べる人数の点でもみんな中途半端なんですよ。中途半端なもので、しかもいつできるんだかわからない、どことどこを結ぶんだかわからない。こういうんじゃ目標がないようなもので、こんなことに大金かけていいのだろうか、そういう懸念が出てきますよ。それなら在来線の方をもっと充実させた方がいいんじゃないかという気がするんです。果たして五百キロというスピードがいいかどうか。空を飛ぶのならば五百キロでいいかもしれないけれども、地百の上を走るんだから、これはやはり安全ということを考えなきゃいけないです。  それで、この間も新幹線が車どめを越えて事故を起こしたということがありました。スピードが出れば事故を起こした場合の損害だって大きいし、回復も大変時間がかかると思うんです。そういうことはある程度勘案をしてかかるには、現在果たしてこのリニアモーターカーを急ぐ必要があるのかどうかというような心配まで出てきますが、その点はやはり政治的に判断をしなきやならぬと思うんで、その点、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  157. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 答弁の繰り返しになって恐縮でございますけれども、確かにスピードの五百キロがいいか悪いか、そういった御論議もあろうかと思いますけれども、私が申し上げましたように、やはり運輸の分野にも常に技術の革新、技術の進歩というものが求められてくることは当然のことだろうと思います。  そういう意味で、そうした常に技術的な開発を積み上げておくことによって、新しく変わってくる社会や経済の構造の変化の中にいつでも対応できる、そういうことを目標にしながらやはり地道な積み上げ、技術の開発、これは私はある意味では大変重要な分野だというふうに思っておりまして、決してそのことが将来的にむだなものであるということにはならないのではないか。物の考え方はいろいろ違いはあろうかと思いますけれども、私自身はそういうふうに認識をいたしております。  ただ、実用化するに当たりましては、いろいろなそのときの経済社会情勢というものも考えていかなきゃいけませんでしょうし、本当に五百キロのスピードというもので果たしてあらゆる分野の中でその効果が上がるのか。また同時に、当然、今先生の御指摘いただいた安全面はどうなのか、いろんな検証が必要だろうということは十分承知をいたしております。  そういうことを踏まえながら、繰り返しますけれども、やはり常に新しい技術に対する挑戦、そういったものを我々は心がけていくということも国政に携わる一人としても重要なことではないか、そう認識をいたしております。
  158. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 動燃が爆発事故を起こしたけれども、どうもどうしてああなったのかということすら一般の庶民にはわかりにくいんですね。だから、技術屋さんの道楽に終わらないようにしてもらう必要があると思います。  それで、私は今度は現実的な問題に一つ触れますが、この間、十四日に東北新幹線車両事故があった。そして、ダイヤが乱れました。たまたまそのとき私は現場に居合わせたんです、東京駅で。それで、ホームが一面しかないでしょう。ホームが一面しかないのにダイヤが混乱をすると、これはどうにもならない。  それで、十三番線に並んでいたお客さんは、今度来るのは十二番線だなんて言われる。そうでなくたって、東北あるいは上越新幹線がごっちゃになって走っているんですから、それがダイヤが乱れるというと収拾がつかなくなります。だから、ああいう場合の対応策というものを常日ごろ考えておく必要があるんじゃないかと思うんです。  お客は一生懸命に職員に詰め寄るけれども、聞かれた方はさっぱりわからない、こういう状況が出てきたわけです。だから、あんなような場合には、ダイヤどおりにおくれたまんま走らせようとしたって無理だから、どんどん各駅停車に切りかえて、そしてホームにあふれそうになっているお客をもう運んでしまう、こういうことを考えなければいろいろと不測の事故だって起こりかねないというふうに心配いたしました。  新しいホームができれば何とかなるという気もいたしますけれども、それまではやはり時間がかかるわけですから、その点の非常の事態に備える研究あるいは訓練というものをもう少しやった方がいいんじゃないかということを感じましたから、その点についてちょっと大臣の見解も聞いておきたいと思います。
  159. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 私も新聞情報で故障のことについては承知いたしておりますし、また鉄道局の方からも報告を受けております。  不幸にも先生がそこにいらっしゃったということは存じ上げませんで大変恐縮をいたしておりますが、やはり一番大切なことは安全、そして事故のないこと、故障といったことがなくて御利用をいただくお客さんたちのニーズにこたえていく、そして喜んでいただくということが一番大事なことだろうというふうに思います。  故障の原因等につきましては、技術的には私も専門的なことはよく理解できないわけでございますけれども、ただ、そういう故障だとか事故だとかということが起きたときに、現場にいる人、またそれに対して適切な指示を出す人、そういった方々がどう臨機応変に即応的な対応ができるかということについての日ごろの訓練と申しますか、体制と申しますか、そういったことが必要であるということは先生指摘いただいたとおりでございます。  日ごろ、どういう予測されない事態が起きてもお客様たちに最小限の御不便さで食いとめることのできるようなそういう体制づくり、また指示、指導、手順と申しますか、そういったことがいつでも行われるようなことにつきましても、今後JR各社に対しての適切な指導そしてまた監督に努めていきたい、このように考えております。
  160. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 時間ですから終わります。
  161. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。  私は、今回の法案審査に当たりまして、まず大臣に伺いたいと思います。  政府与党財政構造改革会議が大詰めを迎えているというふうに言われておりますけれども、この改革会議におきまして、整備新幹線については財政構造改革と矛盾しないように扱うという旨の意見といいますか、集約されたというふうに報道されております。集中改革期間の向こう三年間は新規着工等抑制の方向にあるのかどうか、運輸大臣はどう考えているのか、まずお伺いしたいと思います。
  162. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 財政構造改革会議の問題でございますけれども、この問題につきましては、去る三月に実は財政構造改革会議におきまして取りまとめられました「歳出の改革と縮減の具体的方策を議論するに当たっての基本的考え方」によりますと、この整備新幹線につきましては「財政構造改革と矛盾しないようにその取り扱いを検討する。」、このように表現をされているところでございます。  一方、企画委員会というものが設置されておりまして、その報告書につきましては現在取りまとめ作業というものが行われているわけでございますけれども整備新幹線の具体的な表現の仕方、記述につきましては現在のところ承知をしていないというのが現状でございます。  いずれにいたしましても、財政構造改革会議において基本的考え方に示されておりますように「財政構造改革と矛盾しない」ということでございます。御案内のとおり、整備新幹線の未着工区間の着工につきましては、数点の基本的な条件というものを十分精査した上に着実に適切に対処していくという基本的な今日までの姿勢で検討委員会の方で検討させていただきたい、こういう認識でおります。
  163. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ただいまも御説明ありました検討委員会について何点かお伺いします。  政府与党合意、昨年の合意によりますと、新規着工区間等の着工順位等は検討委員会で議論をする、決めていくということでございますが、いつ結論が出るのか、いつごろ出される見通しなのか、まず伺いたいと思います。
  164. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) まず、今御審議をいただいているこの法案を速やかに成立させていただきまして、その上で政府与党検討委員会を設置していかなければいけない、これが第一段階だろうというふうに思います。その上で、結論を得る時期等につきましても十分な検討委員会におきます検討が必要になってくるんではないか、こういうふうに思っております。
  165. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 わかったようなわからないような、ちょっと私も理解に苦しみますが。  収支採算性が一番きょうの論議の中心にもなっておるわけですけれども、その基礎的検討データが一応出されたわけです。これは衆議院の運輸委員会に出された資料でございますけれども、これはあくまでもモデルケースでありまして判断基準がいま一つ明確でない。その事情もわかりますが、この中を見ますと、「収支予測は、開業年次を平成二十五年度としたうえで、三十年間行う。」とあります。  先ほど大臣が検討委員会で検討を行うということでございましたけれども、この基礎データはあくまでもモデルケースですけれども、これでは我々も検討を本当はできないんです。我々も実際の具体的なデータをいただいて国会で検討したいと再三申し上げましたけれども、運輸省としてはどのような具体的なデータを今収集されているのか、積み上げているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  166. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 収支採算性の検討に当たりましてでございますが、基本的なデータは、将来人口をどう見るか、それから経済成長率といった社会経済フレーム、それから将来の交通ネットワークはどうなっているか、当然、航空、高速道路がどのようになっているか、こういうことでございます。このネットワークにつきましては各種の五カ年計画等々を参考として設定する。基本的には今申し上げましたこれらのデータをもとに需要予測を行うということでございます。  この需要予測を踏まえまして、これは再三お答え申し上げておりますけれども新幹線建設された場合、新幹線並行在来線を廃止する場合のその合わせました新幹線建設した場合の収支それから関連線区収支、これを合計したものと、それから新幹線建設されない場合、これは並行在来線そのものの収支それから関連線区収支、これを合計したものを差し引きして収支改善効果を出すわけでございます。この場合、いずれにいたしましても、収入には、運賃・料金収入はどう見込むか、あるいは広告収入など運賃・料金以外のその他の収入をどう見込むか、あるいは各経費についてどう見込むか。経費につきましては、運転とか保守に要する経費、それから車両の減価償却費、施設・車両の固定資産税、当然のことながら人件費、それから借入金利等、それぞれの構成につきまして採算性を見る、こういうことでございます。  なお、最初に申し上げました基本的な将来の経済社会のフレームあるいは交通ネットワークのフレーム、これにつきましては先ほども御答弁申しましたけれども、例えば人口につきましては厚生省の人口問題研究所の将来見通しであるとか、あるいは各種の政府の将来予測データ、こういつた客観的なデータに基づきまして推計をするということでございます。
  167. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 大体、それはこの資料に全部書いてございますのでもうちょっと簡潔にお願いしたいんです。  今鉄道局長からもお話ありましたけれども、確かにいろいろな収支採算性の計算は運賃収入だとか広告収入等々ございます。今回の法案では目的改正、先ほど泉先生からも御指摘ございましたけれども、その中で「地域振興に資する」、これは私は盛り込んで結構だなと思っているわけです。  収支採算性を検討する場合に、運賃収入とか、そういう見えた金額が出てこないわけですが、例えば地域経済への波及効果等、これは今回の新幹線論議をする場合に非常に大事な視点じゃないかなと思うんです。これは、特に過疎地になればなるほど乗客が足りないからそれはもう収支採算性は合わない、それならやめちゃえという議論もあるでしょうけれども、いわゆる社会資本として地域にどう影響を与えるかというこの一つの視点も私は大事でないかなと思うんです。その点について、この収支採算性とのかかわりの中でどう生かしていくのか、運輸省としての考えをお伺いしたいと思います。
  168. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 新幹線整備に伴いましてどれだけの投資効果があるか、これはマクロ的にやるということは今の三線五区間を決定する際も鋭意検討いたしまして、また公表もしているわけでございます。  ところで、私どもそのようなことはこれからも十分やっていかなくちゃいかぬと思っておりますが、ただいま先生が御指摘されましたそれぞれの地域にどれだけの波及効果があるかという点に関しましては、私もちょっと中で議論をしてみたんですが、今の段階でどうも各地域ごとにとらえていくというのは余り確定的な手法がないという状況でございますので、今後そういったような手法も含めまして検討していかなければならないと考えております。
  169. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほどからのお話野沢先生からもございましたけれども新幹線はどうも悪者扱いになっている、私も本会議の質問で言いました。財政構造改革に逆行するだとか、あるいは族議員呼ばわりするような、いろいろございました。こうしたいろいろ地域の視点を数字にのっけるというのは大変厳しいことではありますけれども、きちっとやっぱり説明する必要があるんじゃないだろうか。それで、果たしてそこに新幹線を敷設していいのかどうか、それを私は検討すべきだと思うのでございます。  時間もありませんから、次に移ります。  衆議院で附帯決議がなされました。私も委員会等で再三申し上げましたけれども、「新規着工区間についての結論が得られた場合は、速やかにこれを当委員会に報告する」とございます。結論のみならず審議の経過も踏まえてぜひ当委員会に報告していただきたいと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  170. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先ほどの泉先生の御指摘にも答えさせていただきましたけれども先生おっしゃるように、整備新幹線整備当たりましては、何といっても国民の理解を得る、そしてまた、そうした中で作業を進めていくということは大変重要なことだと考えております。そういう意味で、この検討委員会の作業を進める際には、国民に対する情報公開、このことには十分配慮していかなければいけないということを改めて申し上げておきたいと思います。
  171. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 国民に理解を得るというのは、これは大変大事なことだと思うんですが、そこで委員長にちょっとお願いがございます。例えば検討委員会に出された資料、審議の途中経過、中間報告でも結構でございますが、それが出された段階で当委員会に速やかに報告していただいて、閉会中であっても私は国会で、この委員会で審査を行うべきだと思います。取り計らいをよろしくお願い申し上げます。  次に、本会議の代表質問でも触れましたが、新幹線無用論あるいは公共事業費ばらまき論がなぜ出てきているのかというのは、私はやっぱり理由があろうかと思います。旧国鉄長期債務の問題を棚上げしてと。それとは別問題だという考え方も私はこれも否定できないと思いますが、国民の一般感情として、二十八・一兆円にも上る長期債務をそのままにしておいて新幹線建設あるものかという声は、これは私は納得いく話だろうと思います。  それで、私は新幹線建設というのは必要だという立場に立ってございますけれども、少なくともこの長期債務の返還のスキームを決めてから予算等の執行を行うべきじゃないかと思います。これについて大臣の所見を伺いたいと思います。
  172. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御承知のとおり、整備新幹線の進め方それから国鉄長期債務の具体的な本格処理策、こういつたものが並行してこれから進められていくということになろうと思います。その結果といたしまして、整備新幹線の具体的な着工についての検討委員会での結論、また国鉄長期債務についての本格的な具体的な処理策、こういったものとの兼ね合いと申しますか、どういう作業状況になって進んでいくかということだろうと思います。私は一概に、長期債務の本格処理策の具体的な策が得られて整備新幹線の検討委員会の作業を進めることでなければいけないというふうには考えておりません。あくまでも並行しながら進めていく、別問題だという認識の中で検討委員会の作業、本格的な処理策、こういつたものを進めさせていきたいと思っております。  なぜならば、九年じゅうには本格処理策をあらゆる選択肢の中で決めさせていただくということを取り決めさせていただいているわけでございますので、そんなに大きな時期的な違いも出てくるということは物理的に考えられないという観点から考えても、私は並行して議論していくべき問題だというふうに思っております。
  173. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 この問題については、長期債務の法案の審査もありますので、そこでまた改めて質疑申し上げたいと思います。  続いて、事業費の問題について一つお伺いします。  未着工区間千五十キロのうち、新規着工区間として予算づけしたのは二百二十キロメートル、予算は全体区間の五・二兆円に対して一・二兆円と、非常に圧縮した予算になっているという予算規模でございます。新規着工区間の事業規模は平成三十年度までの間おおむね一・二兆円、これはJR貸付料等の負担を除く、平成七年度価格ということになっておりますけれども、ちょっと懸念しますのは、過去の例で東北新幹線が当初の見込みより約三倍、上越新幹線が三・四倍と、これは膨れたわけですね。  当時の時代背景を考えてみますと、二度にわたるオイルショック、あるいは物価上昇率が極めてそのカーブが高かったというような問題点があります。過去の公共事業の中で、先に見積もった額よりも倍とまではいかないけれども、関空もそうでございましたけれども、最低五割増し、場合によっては倍というような形があるわけで、これについても国民の皆さんが果たしてそれでいいのかと、また結果的には倍の事業費、それはだれが負担するんだというようにいろいろな議論、懸念がそこにあろうかと思うんですが、それについてはどのようにお考えなのかお答え願います。
  174. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま先生指摘ございましたとおり、東北上越新幹線につきましては、オイルショックがあったこともございまして大変当初計画に比べまして事業費が増大したわけでございます。ただ、言いわけになるかもしれませんが、これらにつきましては計画期間が短かったということもございまして、十分に内容をチェックせずに計画額を決めたという若干の事情もございます。  私どもこのような事情につきましては十分反省もして、まずは計画段階で十分な事業費の正確な見積もりはやると。それから、実際の建設当たりまして物騰分というのは、なかなかこれを抑制するということは難しいかと存じますが、物騰分以外の事柄増に伴う建設費の増はできるだけ抑制して、当初計画もできるだけ正確に見積もり、かつそれをまた適正に守っていくというようなことで建設費の抑制に努めていきたい、このように思っております。
  175. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほど野沢先生の御質問にありましてお答えは出ておるんですが、私からもちょっと確認の意味で一問お伺いしたいと思います。  交通関係の社会資本の整備の一元化は、私もこれはぜひ進めていただきたい。整備新幹線が本当に必要であれば、例えば港湾、鉄道道路等々のいわゆる交通体系の社会資本の予算を一元化して、その中から優先順位をつけて予算を執行すべきではないかと私も思うわけでございます。  港湾についても、道路についても、道路建設省でございますけれども、いろいろむだが指摘されております。やっぱりこれが非常に国民の不信感を買っている原因だろうと思っております。その公共事業費をいわゆる交通関係の基金なりあるいは特別会計に一本化して何が必要なのかと、あれも欲しい、これも欲しい、全部欲しいじゃこれはもう今の財政事情の中で無理だと思うんですよ。その中から新幹線の位置づけをきちっとすべきじゃないかと私は思うんですが、大臣、一言お答え願います。
  176. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先ほどもお答えいたしましたし、先生も十分御承知のところでございますけれども、それぞれ特別会計というものは施設ごとの受益負担のバランスを考慮して利用者負担するということで設定されておるわけでございます。毎度申し上げておりますけれども、別の施設の整備にそれを充当することが適当かどうか、国民の理解を得ることができるかどうか大変難しい問題で、今までも長い間検討は重ねられているわけでございますけれども、今後とも慎重に検討してまいりたいと思っております。  ただ、各省庁間の連携を今まで以上に密にしていく、そしてまた同じ省内での社会資本の整備というものについての効率効果的なもの、そういったものについてさらにひとつ厳しく検討していく、そういうできる側面というものもたくさんあるわけでございますので、そういう点もあわせて十分今後検討していくことが必要だろうというふうに考えております。
  177. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 財政構造改革に関する有識者アンケート調査というのを手に入れました。これは総理府が五月九日にやった結果ですけれども、投資を抑制すべき項目で、学識者等々皆さんの第一番に抑制すべき項目として、これは整備新幹線が挙げられているんです。これは大変誤解だとかいろいろあろうかと思いますけれども、これは無視できないなと思うんです。先ほどから言いました社会資本としてのあり方をどう位置づけるかということがやっぱり明確でないからじゃないかなと私は思っています。  個人的な意見でございますけれども、このアンケートも、これはここで議論するべき問題じゃないんですが非常に時代がかったアンケートだなと。つまり、社会資本は四十五項目あるんです。道路だとか書いてあるんですが、私びっくりしたんですよ。二十一世紀の社会資本の整備の中では、高度情報通信社会と言われています。これはアメリカも戦略がはっきりしてやっておりますが、光ファイバー等の整備なんか一項目も書いていないんです。私は、まあこれはこういうアンケートだからさもありなんかなと思うんですが、言ってみれば過去の観念の中でこれ議論をしている一端だと私は思っております。  何を申し上げたいかといいますと、光ファイバーを含めて二十一世紀は情報通信の時代だと。デジタル化をします。例えば映像も、髪の毛一本で今までの情報量の千倍、一万倍送られる時代になりました。しかし、考えますと、その情報通信だけでは社会資本整備は十分に行き届かない。  常々私が思っているのは、世界各国の情報がインターネットでも全部とれるようになりましたけれども、例えばおいしいトマトを私の地元であります北海道から、これは少なくとも百年間どんなデジタル化してもおいしいトマトは手に届かないだろうと思うんです。そのために交通体系整備の重要性を私はここで主張したいなと思うんです。そういう視点から、例えば旅客輸送であり、それから物流であり、考えていくべきじゃないかなと私は思っております。  最後になりますけれども、先ほどもちょっと出されましたけれども整備新幹線建設に伴う鉄道貨物の問題について何点かお答え願いたいと思います。  まず第一点、昨年の十月、JR貨物の完全民営化のための基本問題懇談会がつくられました。さまざまな検討がなされていると思いますけれども、第一点、安定的なルートの確保をどうするのか。新線上を走行するのか、あるいは在来線を走行するのか。安全性の問題がどうなるのか。新幹線上を走行する場合、コストの問題はどうなるのか。それから四点目は、ダイヤ調整の問題。これは第一種鉄道事業者がJR旅客鉄道です。第二種が貨物鉄道でございますから、優先順位からいえば第一種鉄道事業者が持っていると思われますけれども、そこの四点についてかいつまんでお答え願います。
  178. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) まさに今御指摘ございました点は、これから鋭意調整をしなければいけない、また研究をしなければいけない問題でございます。  ルートは、当然のことながら新幹線上を走行するか、在来線を走行するかという問題がございます。新幹線を走行する場合は当然のことながら、まず安全性の確保というのは絶対の条件でございますので、この安全性を確保するために必要な施設をどう整え、あるいは安全性をどうやって検証していくかといった、地道でございますが大変重要な問題がございます。  それから、当然貨物が走行するための必要な施設の整備の投資をどうするか、そのお金をどうやって持ってくるかという問題がございます。  それから、走行する場合のコストの問題、これは貨物会社線路使用料の問題でございますが、これは特に在来線を走行する場合には大変大きな問題になりまして、在来線を地方公共団体が維持される、こうなりましたら、JR貨物はフルコストを負担しておりませんから、それではそういったようなものを地元が負担できるのか、これが大変大きな問題でございます。そういった意味で、新線上を走行するのか、あるいは在来線を走行するのかというのは非常に大事な問題になります。  それから、ダイヤの問題は今先生指摘になられましたとおりでございまして、いずれにいたしましても、これは旅客会社との間で、あるいは並行在来線を走行するような場合には、第三セクターを維持される場合は第三セクターとの間の現実の調整をどうするかといった問題、これが必要になってまいります。
  179. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 基本問題懇談会の検討結果というんですか、これはいつごろ出される予定なんですか。
  180. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 実は、昨年の十月から懇談会を開催していただいておりまして、六月の中旬には意見を取りまとめていただきたいと思っております。
  181. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほど来の論議にもございましたけれども、今鉄道局長からもありました、貨物鉄道の死命を決する線路使用料の問題、アボイダブルコスト・ルールが今実際なされておりますけれども、第三セクターになった場合どうなるのか。これは、今お答えの中にもありましたけれども、このアボイダブルコスト・ルールをきちっとやっぱりしていかないと、三年連続今JR貨物も赤字で、これは立ち行かないということはもう火を見るよりも明らかだろう。それから、今現在でも二百億円近くの線路使用料を払っておりますね。  ですから、その点について、アボイダブルコスト・ルールをきちっとやっぱり貫いていくんだ、そういう考えをお持ちなのかどうか、もう一度確認したいと思います。
  182. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この点につきましては前もお答え申し上げましたが、JR貨物は、そもそも出発のときからフルコストではなかなか難しい、こういう前提で出発いたしておりまして、御指摘のとおりアボイダブルコスト・ルールを維持していくというのは、JR貨物にとりまして大変重要な課題だと思っております。  したがいまして、新幹線整備に伴いまして貨物が新幹線上を走行するか、あるいは在来線上を走行するか、この選択と、その際の線路使用料のあり方をどうするかというのは大変大きな問題でございまして、私どもは、今申し上げましたように貨物がフルコストをなかなか払えない、こういう前提で出発しているということを十分踏まえましてこの問題に対処していかなければならないと考えております。
  183. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 大臣の先ほどのお答えで、懇談会の結論が来月にも出るということでございますけれども、貨物鉄道は全国一社化したわけでございます。完全なる民営化を目指してという懇談会のタイトルにもございますけれども、この貨物鉄道の再生をどう位置づけて、今回の懇談会でどういう結論が出されるのか、どういうお考えが示されるのか、ちょっとわかりませんけれども、どう意見を反映して具体化していくのか、大臣から決意を含めてお答えをいただいて私の質問を終わります。
  184. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいまお答え申し上げましたように、この懇談会は諸井座長のもとで昨年十月から開催していただいております。大変精力的な検討を進めていただいているわけでございまして、ただいま御答弁申し上げましたように、六月の中旬には意見を取りまとめていただくということでございます。これを踏まえまして、JR貨物自身がまず徹底した経営努力を尽くしていただくということが一番重要なことだろうというふうに思っております。  また同時に、今御議論いただいているような問題、また関係する多くの方々の協力もいただかなければいけないわけでございます。JR貨物が早期に経営基盤が確立をされまして、できるだけ早く完全民営化の道筋ができるように私たちも最大限の努力をしていく必要があろうと思います。頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。
  185. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 誤解もあるようですので言っておきますけれども、私たちは、新幹線そのものを一般に否定し反対しているというわけではありません。ただ、財政負担のあり方であるとか、あるいは在来線の問題だとか、今のやり方には大いに問題があるというのが私たちの立場であります。  そこで、まず最初JR負担の問題について伺いますけれども、今、国、自治体そしてJR負担というのが全体のスキームになっているわけですけれどもJR負担については開業後に受益範囲負担するということになっています。その額はまだ決まっておりません。つまり、現在工事が進められている費用というのは実際には国と自治体が負担している、足らざるところは鉄建公団が財投などから借入金で賄っているということであります。  これは今年度予算分を含めますと、鉄建公団の借入金は二千七百五十一億円に上っています。この借金というのは、長野オリンピックに間に合わせるというので北陸新幹線の高崎−長野間、ここに投入をされています。この区間の、高崎—長野間の受益範囲で今後JRがこの部分については負担をし償還をしていく、こういうことになるわけですか。
  186. 梅崎壽

    政府委員梅崎君) ただいま御指摘ございましたとおり、三線五区間建設のための借入金、これは高崎−長野間に充当いたしております。これの償還の原資は、三線五区間は、貸付料につきましてはプール制ということで一括的な運用ということになっておりまして、高崎−長野間の開業貸付料はもちろんでございますが、他の四区間貸付料につきましてもこの高崎−長野間の借入金の償還に充てていく、こういうような考え方のもとにこの高崎−長野間の借り入れの導入が行われております。
  187. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今言われたように、貸付料をプールするということになっていますね。  この公団の借入金とJR負担する受益範囲、この負担関係ですけれども、運輸省に聞きますと、受益範囲というのは借入金を確実に上回るように設定をしていくということであります。つまり借金以上の収入が、これわかりませんが、一応今の前提としては借金以上の収入があるということが前提になっている。したがって、実際に投入したもの以上の収入があるわけですから、残った部分については三線五区間新規着工分、こういうところに回していく、こういうことですね。しかし、それは私はどう考えたって筋が通らないと、このプール制でやるやり方は。  なぜなら今、国と自治体が二対一で負担するということになっていますね。この二対一に負担するもとの数字というのは何かといえば、JR負担を除いた残りについて二対一の負担割合だというスキームでしょう。これが前提になって、まずJR負担を除いて、そしてその残りについて国と自治体が二対一の負担割合でやると。ところが、このJR負担受益範囲ということで借入金を上回るものが入ってくるということになるわけですから、そうしますと余りが出てくる。本来ならこの余りの部分を差っ引いたところで二対一になるわけでしょう。ですから、これおかしい、前提が分母が違ってくるわけですよ、こうなってくると。  私は、今自治体の財政が大変だというときに、そうなれば、やっぱり余った部分については三線五区間新規着工に回すんじゃなくて自治体にこれは返していく、そして自治体負担を身軽にしていくというのが筋としては当然のことじゃないですか。
  188. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 三線五区間につきましては、基本的な考え方としてプール制という考え方でやっておりまして、それは全体としての貸付料収入を例えば次なる新幹線整備財源に活用していく、このような考え方でプール制という考え方が了解をされておったわけでございます。  今御指摘のとおり、それでは高崎−長野の借入金を償還した残り分、三線五区間貸付料に余裕がある場合どうするかということでございますが、これはもともとコンセンサスを得ておりましたとおり、この三線五区間に関しましてはプール制でございますから、全体として新幹線整備のための財源にも充てられる、このように私どもは理解いたしております。
  189. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 自治省が出した「整備新幹線について」という資料を見たって、JRが支払う貸付料等を除いたものについて国及び地方自治体が二対一で負担すると、こうなっているんですよ。つまり、JRの支払う額が計算上は例えば一〇〇としましょう。しかし、実際には受益範囲で一一〇の負担になる。そうすると分母が違ってくるわけですよ。しかも、これは三線五区間JR負担分でしょう。それを新規着工分にまで回していく、言葉は悪いけれども流用するようなものです。このやり方がこれはまともなやり方だと到底言えないということを私まず最初に一点指摘しておきたいと思います。  整備新幹線建設で自治体負担が非常に大きくなっておる、今度の法案もそうです。それに加えて、JRの施設整備に対してJRがさまざまな名目で自治体から寄附をとっている。これも私非常に重大だと。  地方自治体がJRに寄附をすることについては、地方財政再建促進特別措置法の二十四条で、国鉄清算事業団や鉄建公団などに地方自治体は寄附をしてはならない、これがまず原則として決まっているんです。ただし、やむを得ない場合については、自治大臣の承認を得てJRに対して寄附することができるというのが今の地方財政再建措置法の仕組みになっている。そして附帯決議で、JR国鉄清算事業団や鉄建公団に準じるということがうたわれている。これは間違いないですね。自治省でもいいですよ。
  190. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) ただいまお話にありましたように、国鉄の民営化に伴い発足いたしましたJR各社につきましては、地方財政再建促進特別措置法二十四条第二項の制限の直接の対象にはならないわけでございますけれども、民営化に係る国会審議におきまして、地方公共団体に対し、再建法第二十四条第二項の趣旨を超えるような負担を求めない旨、衆議院及び参議院で附帯決議が行われておりますので、当分の間、従前の国鉄に対する寄附金等の支出制限の制度に準じ、地方公共団体から自治省に協議を受けているところでございます。  この際、再建法適用時の取り扱いと同様、専ら当該地方公共団体利用に供され、または地域振興地域開発等の観点から主としてその地方公共団体を利することとなる施設で、また一般的な設置の基準というようなものを超えているものについて、しかもそれが当該団体の財政運営に支障にならないということが認められる、こういうふうな場合に私どもとして同意している、こういうことでございます。
  191. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ところが、これが全く守られていない。国鉄最後の年の八六年に地方自治体の寄附は二十五億九千四百万、JRになって九六年度二百八十二億二千七百万、寄附が十一倍に膨れ上がっている。自治省からいただいた資料を見ると、九一年度以降急激にふえていて、九一年度は二百二十一億、九二年度百六十二億、九三年度二百四十二億、九四年度九十六億、九五年度百七億六千八百万と、国鉄時代と比べて寄附が異常に膨れ上がっている。本来、今説明されたように、これ全く例外として認めようというものがここまで膨れ上がっておる。  どういう施設に対してやっているかというと、鉄道高速化を図るというので少し曲がった部分を直線にする、こういうものまで自治体負担とっているんですよ。複線化を図る、エスカレーター、エレベーターの設置、駅舎の改築、自由通路等、こういうものに対して自治体が負担している。  しかし、高速化などを図るというのは、これは鉄道施設の基盤そのものでしょう。線路のない鉄道なんてないんだから。線路のない鉄道なんて聞いたことないよ。何でそれに自治体が出す必要があるの。そんなものを認める方、自治省もおかしいじゃない。つまり文字どおり営業用施設、鉄道にとっては不可欠な施設にまで何で自治体が寄附をやらなきゃいけないのか、どう考えたっておかしいよ。  続けて言いますが、どういうものにやっているかというと、例えば立川駅、ここのホームに九四年度から四基のエレベーターが設置されてきた。総工費は六億五千三百九十万円、JR負担は二億三千七百四万円、負担率三六%、立川市と東京都、自治体側の負担は四億一千六百八十六万円、六四%。吉祥寺駅、これは九四年度から九七年度にかけてエスカレーター三基設置、総工費二億五千万。武蔵野市と都の負担は一億八千七百万、七五%、これが自治体負担になっている。  いずれも、これは改札口の中ですよ。改札入ってそしてホームに上がるのにエレベーターを設置する、エスカレーターを設置する、それが何で自治体負担になるんです。これは合理性のある説明は私できないと思うけれども、どうですか。
  192. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、この地方財政再建促進特別措置法二十四条の二項の趣旨に沿いまして、例えば地方公共団体受益の程度でありますとか、それからまたJR各社が普通に行うような一般的な設置の基準を超えた施設であるかどうか、すなわちそういう施設を設けることによって非常に大きな収入JRに来るというようなものではなくて、その地域のためということが非常に強いような施設であるかどうか等々幾つかの基準を設けまして、そしてまた、そのことが地方公共団体にとって大きな財政負担にならない、そして意欲が非常に強いというようなことを見きわめました上で同意をしてきているものでございますので、御了承いただきたいと思います。
  193. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんなもの了承できるわけないじゃない。  大体、収入に大きな関係がないとあなた言ったけれども、そんなの当たり前じゃないの。収入に大きな影響があるのは、どこを鉄道が走っているか、どれぐらい電車が走っているか、これが基本でしょうが。それだったら、自治体に鉄道へ行け、電車も購入しろと、そうでない限りあなたたちの解釈は認めますということにこれなるじゃない。それじゃ国会の附帯決議、全然守っていない。再建措置法二十四条二項、全く守っていない。あなた方、通達でやったのかどういう解釈でやったのか知らないけれども、野方図でやっているじゃない。  大体、高齢者のためにあるいは障害者のためにエスカレーターつくります、エレベーターつくりますと、鉄道事業者のこれは本来責任ですよ、そうでしょう。それとも、鉄道事業者というのは、障害者は利用しないでください、足の悪い高齢者は利用しないでください、こういうことが前提になっているんですか。鉄道局長、どうですか。
  194. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 障害者対策としてのエレベーターあるいはエスカレーターの設置の問題でございますが、これにつきましては事業者の負担だけでなかなかできない点もございますので、障害者基本法にも規定されていますとおり、国あるいは地方公共団体も必要な施策を講ずる必要があるということではなかろうかと思います。  個別の駅につきましてどのような負担割合整備していくかはケース・バイ・ケースでございますけれども、ただいま自治省の方からもお答えになられましたが、当該自治体における必要性あるいは財政負担の程度等々を勘案して、福祉対策の一環としてその自治体自身の御判断と鉄道事業者側との調整の中で負担をしていただいている、こういうのが実情ではないかと思いますが、そのこと自体決して非難されるべきものではなかろうと私どもは考えております。
  195. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これはもう全然鈍感だな。今、地方財政どうなっているの。  そして、自治体は求めるんです。それはそうでしょう。例えば武蔵野市民だってあるいは立川市民だって、あのJRの立川駅はエスカレーターがない、エレベーターがないうちのおじいちゃんおばあちゃん、だからもう電車に乗るのは嫌だと言っていると、こういう要請、自治体の首長のところにはいっぱい来ますよ。そうすれば、自治体としてはJRに対して何とかならないかと言うのは当たり前でしょう、自治体として。  だから、JRがそこの弱みにつけ込んでいるんです。たかりみたいなものだよ、これ。法律でだってこんなものは出してならないと。それに七五%、後で言いますけれどもひどいのは一〇〇%出しているやつだってあるんだから、自治体が。そんなものはJR負担するのは当たり前の話じゃないか。お客さんに対してしっかり利用しやすくしますと、障害者の方でも高齢者の方でも当然ですと。この努力しないで地方自治体が頼んでくるからと。そんなものは頼まれなくたってつくるのが当たり前ですよ、自治体が言わなくたって。  例えば東京でも最大のターミナル駅の一つである池袋、山手線の内回り外回り、それぞれホームに二基のエスカレーターが設置されている。総工費四億円、JR負担が四五・五%、豊島区の負担、都も若干入っていますが、五四・五%。私行って、写真も撮ってきました。改札入ってホームに上がるエスカレーターです。  池袋駅って一日大体乗降客何人いますか。百数十万人です。豊島区民は何人、二十五万人だよ。二十五万人全員乗ったって、これ何で豊島区が五四%も持たなきゃいけないの。もしあなたの理屈だったら、自治体が要請するというんだったら、埼玉の選出の方もいらっしゃるのであれだけれども、埼玉県民だって随分使っているはずです。これ全国の人が使っていますよ。  これ自治省に言うけれども、じゃ池袋駅のエスカレーター、何県の人が何人だと、その受益に基づいて自治体負担というならまだわかりいい。何で豊島区が全部持たなきゃいけないの。しかも駅の中だよ。説明してもらおうじゃないの。何で埼玉県は持たないのか。持てと言っているんじゃないよ。豊島区民だけがこれ助かっているんじゃないでしょう、池袋駅は。どうですか。
  196. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) 当該池袋駅の身障者用のエスカレーターにつきましては、この池袋のあります豊島区が福祉の町づくりということを重点事業として進めておりまして、みずからの地域の各種の公共施設につきましてもこういうふうな身障者の方が利用しやすい施設をつくっているということで、こういう方がこの池袋駅を利用してそういう施設へ行くというときにエレベーターを使うということがあるということから、非常に重要な豊島区の施策の一つというふうになっているということで、私ども理解いたしているところでございます。
  197. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 答弁になってないじゃない。  何で豊島区民だけなんだよ、じゃほかの自治体は。筋が通らないでしょう、どう考えたって。筋が通らないところがあるなと思わない。
  198. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) これはまあいろいろございますが、何人の方がどこで使っているかということ、これはなかなか数量的に把握できるものではございませんし、豊島区といたしましては、この池袋駅が豊島区内の移動手段の拠点となっているという理解でございますので、そういう中でみずからの区民、そしてまたほかの人も含まれると思いますけれども、のために行われているいろいろな福祉の町づくりという施策の中で、これが非常に大事なことだと、そしてまた今それをJRに全額の負担を求めるということが難しいということの中から、こういうことで対応していっているというふうに理解しております。
  199. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これは大臣に聞きますけれども、山手線なんか一番もうかっているんです。しかも、池袋駅なんか乗降客が本当に多い。私、今ちょっと新宿区に聞いてみました。新宿駅にもあります、やっぱりエスカレーター。新宿区は出したのかと。新宿区は出していないですよ。全く関与していませんと。何で新宿駅のエスカレーターはJR負担して、池袋は何でJR負担できないのか。そんな理由は絶対ないです。  私、これは余りにもひどいと。今、福祉の町づくりだとかいうことがこれはどこでも言われています。だから、エスカレーターが設置されることは非常に社会的要請にこたえているし、いいことです。JRはそれに悪乗りしている、こういうふうに私は言わざるを得ない。JRに対して、こんなものは自分たちでつくりなさいというのを、私は運輸省として当然言うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  200. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 本来、事業者側で利用していただく利用者方々利便性向上させるという意味では、先生の御指摘というのは考えられないことではないと思います。しかし、残念ながら、まだそれだけの経営基盤だとかそういったものが十分なことではないし、また、それぞれ地域によって地域の町づくり、そういった施策の温度差と申しますか、そういう問題もございます。  いろんなことの観点から、できるだけのJRとしての努力はいたしておりますけれども、総合的な考えの中でそれぞれの駅についてその事情に即した対応をしていただいているものだというふうに思っておりまして、今後、できる限りのJRの前向きの姿勢というものについては私たちも指導していく必要はあろうかと思います。
  201. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 この際だからもう一つ言っておきますと、武蔵境駅、南北自由通路というのがつくられているんですよ。既存の通路が狭い、階段が急だというので、橋上駅の武蔵境駅につないで南北の自由通路をつくると。その工事費が六億五千七百万。補償費を入れると約十億円。これすべて武蔵野市が負担している。JRは一円も出していない。もともと、JRの通路が狭い、乗降客の混雑緩和ということから拡幅することになったんです。拡幅部分について自治体が持ちましたというなら、これまだ理屈はある。これは武蔵野市がもとのJRの分も含めて全部負担をしている。総額十億円だと。  JR財政事情はどうか知らないけれども、自治体だって財政事情、大変なんじゃないの。自治省、そのときにJRの言うままになっていたらだめだよ。もっと自治体の立場に立たなきゃ、自治省というぐらいなんだから。どうですか。
  202. 木村良樹

    説明員(木村良樹君) 私どもといたしましては、先ほども申しましたように、法の趣旨にのっとって非常に厳正な対応をしているつもりでございます。
  203. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 余り厳正じゃないからこういう事態になっているんですよ。  しかも、それだけにとどまらないんです。こういう工事をやるときに、武蔵境駅でもそうです、武蔵野市が十億円、一〇〇%全部出しているんですが、これどこが工事をやっているか自治省つかんでいますか。
  204. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) それは実際の工事をどうするかという話でございますので、私どもの方でお答えさせていただきますが、そういったようなケースは、鉄道を動かしながら工事をするというようなことで、鉄道の運行の安全を図るということと、それから列車運行との調整が必要であるということから、一般的にJRが委託を受けて工事をしているというケースが多うございまして、御指摘のケースもそのようなことになっていると思います。
  205. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そのとおりなんです。これはJRの関連会社、子会社が全部受けているんです。ところが、ここでまたぼろもうけしているんですよ。それはそうでしょう、だって一〇〇%、入札も何もないんだから。自分たちの子会社、関連会社にやらせるんです。  どういうことかというと、さっき言いました立川駅のエレベーター設置工事、エレベーター一基当たりは約一億六千万円。ところが、公共工事の際の参考にされている施工単価資料によれば、積載千三百五十キロ、昇降速度一分当たり百二十ないし百五十メートル、これはこの公共工事の施工単価資料で一番高い、材料、取りつけ費用一切含めて一基当たり六千三百六十万円。これが立川駅じゃ一億六千万円。一億円水増ししているよ。しかも、この公共工事の施工単価資料はビル十階建て用のものなんです。立川駅は十階もないよ、あれ。十三人乗りです、立川駅の方は。大体三倍の値段を取っているんです。池袋駅のエスカレーター、これも一基当たり二億円以上の費用がかかっている。こんなばかな話があるわけないじゃないですか。  あなたは、鉄道の安全運行が必要だからとか言うけれども、そんなものどうにでもなるよ、別にそんな難しいところにつくっているんじゃないんだから。ホームを囲っているだけじゃないですか、安全といったって。工事のところへ行ってごらんなさい。普通のエスカレーター設置工事者が絶対できないような難しい工事なんかやっていない。そんなものはへ理屈です。そしてこうやって水増しをやっているんです。  これは、一体どれだけ単価かかったのか、公共工事の施工単価資料と比べてどれぐらい水増しされているのか、私は調査すべきだ、そして改善すべきだと。自治体負担七五%、一〇〇%取って、ましてや水増しをやっている、これがJRのやり方かと。これは調査するのが当たり前じゃないですか。調査して私、当委員会に報告していただきたい。
  206. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 一般論で申し上げますと、新規につくる場合と、それから先ほど来御指摘ございますように既に鉄道施設がありましてその中でつくっていくといったような場合には、コストに大幅な差があるんだろうと思います。それから、当然のことでございますけれども、列車運行との調整等々の問題がございますので、例えば工事をする時間帯も限られるとか、いろいろな制約要件のもとで工事をせざるを得ないといったような事情もあろうかと思います。  したがいまして、私どもJRに委託した場合に高いのはそれなりの事情がやっぱりあるのではないか、このように考えるところでございますし、自治体とJRの間で工事の受委託をする場合に、当然その金額につきましては自治体の方もその金額が妥当であるかどうかというのはチェックした上で両者が合意をしているということではなかろうかと思いますので、一般的にかんがみまして、JRが何か非常にそこで合理性のないことをしているというぐあいには考えておらないところでございます。
  207. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いろいろ言ったけれどもJRを弁護しただけで、いろんな事情があると言っただけだよ、局長。だから、どんないろんな事情があるのか、私が指摘したものについて本当に妥当性があるのかどうか、これをちゃんと調査して後で回答してくださいよ。これは当然でしょう。
  208. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいまの御指摘の点は、私どもできる範囲での調査をやってみたいと思います。
  209. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大臣、私ほかでもちょっと聞きたいことがあったんですけれども、もう時間がなくなりました。繰り返しになりますけれども、やはり今自治体財政が大変なときに、それはJRもいろいろあるでしょうけれども、やはり鉄道事業者としての責任をきちっと果たしていく、そしてこういう疑惑を持たれることがあればきちっとただすということで御指導いただきたいと思いますけれども、最後に一言御答弁を求めたいと思います。
  210. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御指摘に沿って指導してまいりたいと思います。
  211. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  212. 末広まきこ

    末広真樹子君 きょうは、整備新幹線に関連しまして、素朴な国民的疑問について平たくお伺いしたいと思いますので、お答えの方も平たく、わかりやすくお願いします。  まず一番気になります点ですが、どれだけのお金をだれがどんな形で負担して、いつまでに返済していくのでしょうか。ここが最も気になる点でございます。
  213. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 昨年の政府与党の合意におきまして決まりました新しい財源スキームでは、平成七年価格で新規着工路線分といたしまして一・二兆円。これを負担する者は、まず既設新幹線譲渡収入、年額七百二十四億円でございますが、これの実質的な負担者はJRでございます。それから、そのほかに国が公共事業関係費。この七百二十四億と国の公共事業関係費を合わせましたものの半分、これは関係地方公共団体。そのほかにJRは、開業新幹線の線区の貸し付けを受けますけれども、この貸し付けに伴う対価として支払います貸付料という形で負担する、こういうようなスキームでございます。お金を返すということではございません。
  214. 末広まきこ

    末広真樹子君 僭越ですが、マイクって近づけば近づくほどごぼごぼして、結局聞こえないんですよ。今一生懸命何か近づいて言おうとしていませんでしたか。かえって不明瞭で全然聞き取れないんですね。ある程度距離を置いて、おなかに力を入れてもらった方がはっきり聞こえますので、お願いします。カラオケのマイクとちょっと性能は違いますので。  それで、できた新幹線をだれがどんな目的でどれくらい使うんでしょうか。ユーザーをどのように想定していらっしゃいますか。
  215. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 新幹線という鉄道施設を使いましてだれが運行するかということだと思いますが、これは法律に基づきまして運営主体というものの位置づけがございまして、これはJRの各社ということでございます。もちろん、地域ごとに分割されたJRでございます。
  216. 末広まきこ

    末広真樹子君 おっしゃることは聞き取りにくいし、こっちの言ったことをミスアンダースタンドしてもらっちゃ、何かじいさんとばあさんでしゃべっているようで、何ですっていつまでもやって。  だれがどんな目的でどれくらい使うのかと言ったんです。聞こえませんか。ユーザーをどのように想定しているか、こういう質問なんですよ。
  217. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 私は、施設を借りまして運行する者ということでお答え申し上げましたが、今御指摘のユーザーといいますのが一体だれが旅客かということでございましたら、これは一般国民、一般の利用者であろうと思います。
  218. 末広まきこ

    末広真樹子君 それは一般国民でしょうよ。中尾先生の話じゃないが、まさかジャガイモを運ぶんじゃないと思いますよ。  先ほど来、目的地域政策だと午前中から説明していらっしゃいますが、私の知っている新幹線の駅はできて三十年以上になるんですけれども、駅前は田んぼのまんまなんです。これは地域政策に何かなったんですかしらね。これ一つ疑問なんです。  そうしますと、収支採算性というものはどのようなものになるんですか。つまり、先ほど来、お客様はどういう方が何の目的でどれだけ使うかという具体案が何にもないんです。それはおわかりですね。
  219. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) これはもうたびたびお答え申し上げますとおり、各線区ごとに需要予測をしてどれだけの需要があるかというのをやって、これから政府与党の検討委員会の場でやっていくわけでございます。ただいま建設をしております三線五区間につきましても、当然のことながらそういう点をきちっと詰めまして、どれだけ需要があるか、あるいは採算性がどうかということを明らかにした上で着手をするかどうか決めたわけでございまして、今御指摘の点は、これから具体的なデータも明らかにし、皆様の御理解をいただきながら進めていくということであろうかと思います。  それから、地域の問題でございますが、ただいま先生指摘の駅の事情を私余り承知しておりませんが、一般的に申し上げますと、地域におきます産業の増大、あるいは入り込み観光客数の増加、こういつたようなことで地域へ与えるいい効果というのはやっぱりあるんではないかと考えております。
  220. 末広まきこ

    末広真樹子君 それはつくる以上はそう考えたいでしょうよ。でも、それの算出基準とか、もっとちゃんとした調査に基づかないと、盆と正月以外の乗客確保をどうするんだとか、そこまで考えて物をつくってもらわないと大変心配なんです。  メンテナンスの費用なんてすごい高くつくわけでしょう。これどう考えていらっしゃるんですか。
  221. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 完成いたしました新幹線の施設を維持するのは、これを借りまして運行するJR各社が当然負担するということになります。  当然のことでございますが、収支採算性をやります場合には、そういうような維持費は費用といたしまして織り込みまして、その上で採算性が成立するかどうかというのをきちんと検証した上でこれを決めていくわけでございます。
  222. 末広まきこ

    末広真樹子君 そうすると、引受企業としては、いかに公共交通機関といえども利益性の乏しいものになると言ってちゅうちょしているわけです。JR側はそういった面で余り乗り気ではないというふうに伺っておりますが、その点はいかがなんですか。
  223. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) これは、昨年の段階で与党三党から申し入れをされる際に、与党三党におきましてもJR側の御意見を聞かれたと思いますし、私どももこれから政府与党の検討委員会の場できちんと聞いてまいりますけれどもJR受益範囲内での貸付料を払うということでございますので、その点につきまして明確な見通しがきちんと立てば、この問題につきましてはこれを踏まえた上で対処する、そういったような問題を抜きにして、全く乗り気でないとかそういうことでは決してないと私どもは考えております。
  224. 末広まきこ

    末広真樹子君 そこで違うあめをねぶらせて引き受けさせるとか、そういうことをしていていいのかなと思うわけでございます。それは今後におきましょう。  角度を変えまして、国内旅行というのは海外旅行に比べて年々ふえておりますでしょうか。これはニュースで明らかなように年々減少しております。その理由を考えてみますと、一つ目に、国内旅行は運賃そのほかで高くつくということが挙げられております。今やヨーロッパへ十万円で行くことのできる往復旅行券に人気が集まっております。二番目に、国内どこに行っても画一的。新幹線の駅前の味気なさ、金太郎あめみたいですね。失われた個性と旅情。一番旅に大事なものが失われました。三番目に、単純に欲望を満たす旅行として、例えばディズニーランドへリピーター、何度も行きたいという若い人はじゃどうしているか。深夜バスを使って時間とお金の両方を浮かしているんです。物すごい知恵と工夫があります。つまり、消費者はかくまで賢くなってきているし、あらゆる業者の方は知恵を絞って競争に勝とうとしているんでございますね。  このような状況を見ますと、鉄道道路飛行機の特徴を踏まえた一体的な交通体系の見直しというのがユーザーの側から、ユーザーは鉄道屋さんではありません、消費者でございます、お客様ですが、そのお客様の側から求められているのではないでしょうか。それについて運輸省の見解をお伺いします。
  225. 相原力

    政府委員相原力君) 先生指摘のように、利用者お客様のニーズに的確に対応できるような交通体系をつくるということは非常に重要なことであるというふうに考えております。各交通機関の特徴を踏まえてという御指摘もございました。  例えば、鉄道は大量性、正確性において非常に優位性を持っているわけでございまして、具体的に申し上げますと、例えば所要時間で四、五時間以内の近距離、中距離の都市間を連続的に、また頻繁にサービスを提供できるという、これが一番の特徴ではないかというふうに思っております。  また、自動車につきましてはいつでもどこへでも行けるというふうな意味で、機動性、随意性において優位性を持っておりまして、近距離、中距離の面的な移動に適する特徴がある。また、今先生から御指摘ございましたように、費用、時間の節約の観点、一泊浮かせることができるものですから、深夜バスを使うというお客様も大勢おられる。具体的には、ディズニーランド行きの深夜バスも相当数運行されているということでございまして、そういうふうな特徴も持っているというふうに思っております。  また、航空につきましては高速性において圧倒的な優位性を持っているわけでございまして、並行するほかの交通機関で所要時間が四、五時間を超えるような交通機関、例えば鉄道等で四、五時間を超えるような中長距離、それに加えまして海を越えるような交通、あるいは山越えの都市間の直行輸送、こういうのに適するという特徴を持つているというふうに考えているわけでございます。  こういうような各交通機関の特徴を生かしまして、各交通機関間の競争と、また当然のことながらユーザーの自由な選好が反映されることが原則であるというふうに考えておりまして、各交通機関特性を踏まえた交通体系を形成していくことが非常に重要であるというふうに考えているところでございます。
  226. 末広まきこ

    末広真樹子君 初めてユーザーというのを国民の視点に置いていただきましてありがとうございます。そこのところは絶対忘れていただきたくないところでございます。  全国新幹線鉄道整備法が制定されましたのが昭和四十五年の五月でございます。その後、昭和五十七年九月には、これらの整備計画の推進を当面の間見合わせると決定がされております。理由財政難でございます。当時の国債発行残高九十六兆五千億円、GDP比率にして約三五%ですから、これは妥当な判断ではなかったかなと思います。しかし、これは御存じのとおり、昭和六十二年には整備計画の着工が再びよみがえってしまったのでございます。死んだはずだよお富さんと叫びたいところだったんですが、よみがえってしまいました。  整備新幹線がよみがえった翌年、何があったか。これは御存じだと思いますが、ちょうど消費税の導入が決定されております。そしてまた、ことし消費税が三%から五%に上がりました。このように、消費税の導入なり税率アップになったときに、決まって整備新幹線の新規着工計画が行われております。つまり、税収見込みを追い風として整備新幹線計画は浮上してくるのでございます。  しかし、消費税の導入というのは、そもそもこれは福祉のためではなかったのかなと思うんです。私は当時国会議員ではありませんでしたが、そのように理解しております。確かに、厚生省は平成元年にゴールドプランをつくっております。結局は、介護は保険による国民負担で決まろうとしております。明らかに国民は裏切られました。健康保険の自己負担率もふえます。福祉どころか生活の基本的なところで負担がふえる一方なのに、新幹線で生活は豊かになるのでしょうか。  大臣大臣にも御高齢の御両親がおありかと思いますが、年金暮らしの人々にとって必要なのは福祉だと思われますか、それとも新しい新幹線でございましょうか。個人的な御感想で結構でございます。お願いします。
  227. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 個人的なことだということでございますので、まず私ごとなんですが、父親は私が二つのときに戦争で亡くしております。父親の顔を知りません。母親も残念ながら三年前に他界しております。  しかしながら、お年寄りを大切にしていかなければいけないという気持ちは、私も先生に劣らぬほど持っている一人だと思います。福祉も大切であります。しかしながら、我が国土の均衡ある発展やその地域活性化を図っていくという観点も、私ども政治家としては考えていかなければいけない問題だと思っております。  そういう意味で、今日まで整備新幹線整備につきましては、大変限られた財源の制約はありますけれども、時間をどのようにして短縮していくのか、また既にできている既着工区間との一体性をどのようにして一日も早く整えていくのか、こういつたことを考えながら適切に対処してきたところでございます。  今、消費税またそれから税率の変更、こういったこととの因果関係について先生のお尋ねでございますけれども、私はそういった因果関係はないものだと承知いたしております。
  228. 末広まきこ

    末広真樹子君 大臣が、まさにおひとりでこの世を渡ってこられたということはただいま拝聴いたしまして大変何というか、御尊敬申し上げますけれども、ただ政治家としてはこのようにいろんな問題があるんですね。だから、これは一眼レフでは見られない、常に複眼で見ていかなくちゃいけないと思うわけでございます。  ところで、今回財源スキームについて見直しが行われます。運輸省はこのスキーム平成三十年までやっていきたいと考えているようです。しかし、私がどうしても不満に思いますのは、公共事業投資額について見直しが余り行われていない。  国民の税負担と社会保障負担を合わせたいわゆる国民負担率は平成八年度では約三七%です。しかし、通産省の試算によりますと、平成二十年ごろにはそれが四〇%台後半になるとされています。経済企画庁は、二〇二五年には約七〇%くらいになるだろう、こうも言っております。もう日本の将来はお先真っ暗、日本人の将来は生き地獄、こう言うしかございません。何のために働いているのと肩をたたかれて聞かれて、はい、社会保障と税金とローンですと。これは地獄です。  鉄道ができても国民生活が豊かでないと旅行どころではない。残りの三〇%で米を買って野菜を買って、旅行、そんなことできっこないですよ。いかがですか、大臣のこれまた個人的な御見解をお伺いします。
  229. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 国民負担率の問題を先生から御指摘いただきましたけれども先生お話しいただきましたように、今三七%前後でございます。これが、通産省、経済企画庁の将来にわたっての推移につきましても先生がお示しいただいた数字になろうと思っております。  だからこそ、財政構造改革を初めといたしまして、六つの改革をやらせていただきたい。そして、子供さんやお孫さんたちの時代には日本の国の財政というものが健全であってほしい、またそうならなければいけない。国民負担もどういう角度から見ても四〇%前後、五〇%を超えることのないように最大の努力をしていかなければいけないということで政府を挙げて今取り組ませていただいているわけでございまして、先生方からもいろんな御論議を今いただいているというのが実情であろうかと思っております。  豊かでなければ整備新幹線で旅行どころではないということでございますけれども整備新幹線は、ただいまも申し上げましたように、まず第一に私は国土の均衡ある発展地域の格差をなくしていくということであろうというふうに思います。同時に、整備新幹線沿線の地域経済、産業活性化していく、そしてその地域発展に資する、こういう私は大きな役割を持っているものだというふうに思います。整備新幹線整備されたおかげで、通勤にもこれを利用する、そういう国民の利便性というものも非常に多様化をいたしております。  そういう整備新幹線役割というものについては先生にもぜひ御理解をいただきたい、このように思います。
  230. 末広まきこ

    末広真樹子君 早く六つの改革をやってほしいと思うんですけれども、ただ整備新幹線が通勤用に使えるかなと、金額的に見ましてさあちょっと一それはまだ疑問がございます。  日本全国あまねく、地方の隅々まで整備新幹線を張りめぐらす新幹線ネットがそれほど必要不可欠なものなのだろうか。時代はインターネットの整備を必要としているのではないのでしょうか。二十一世紀になってもビジネスマンは新幹線を乗り継いで本社会議に出ているのかな、地方自治体の役人は霞が関もうでを年間三分の一やっているだろうか。テレビ電話で会議している会社が既に出始めているんです。地方分権も着実に進んでいくし進まなければいけない課題なんです、これは。  そこで、本日は大臣の個人見解オンパレードでございますが、二十一世紀というものを描いたときに、日本に必要なのはこの新幹線ネットなのかイントラネットを含めた情報ネットなのか、これはどちらだと予測されていらっしゃるんでしょうか。
  231. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 結論を申し上げますと、私は両方の整備が必要だというふうに思います。まさに二十一世紀は情報通信の時代であります。また、それをより確実なものにするという意味でも、整備新幹線の全国ネットワークというものは必要だというふうに考えております。
  232. 末広まきこ

    末広真樹子君 もう何か整備新幹線がお念仏のようになってまいりました。それは両方必要でしょうよ。だけれども、今の日本財政状況はどうなっているんですか。両方にぼんぼんと振れるような打ち出の小づちがどこかにあるんですか。国と地方を合わせた債券発行残高は約四百兆円以上に達しているんでしょう。これは国民一人当たり約四百万円、一世帯当たりにして千六百万円。さらに、今国鉄清算事業団の債務二十八兆円、どうしょうかと困っているところなんですね。豆腐一丁を私は三日で食べていますが、二十八兆円なんて気が遠くなってしまって、どうしょうかなと。この処理のためにも国債を発行しようとするんでしょうか。それでは日本は破産しますよ。  私は、財政再建のめどが立たないうちは新幹線建設は見合わせるべきだと考えています。大臣のお念仏に反するお答えでございますが、整備新幹線を凍結して、その財源をまずは国鉄長期債務の返済に充てるべきが順当で健全なんじゃないでしょうか、そう思います。そんなにあっちも手をつけこっちも手をつけ、それはいかぬわ。まずは一個ずつ片づけていかなきゃ。  財政再建を進めなければいけない中で整備新幹線はどのように取り扱われるべきなのか、この点について大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  233. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 整備新幹線のお念仏と言われておりますけれども、私は、政治というのはできるだけ幅広く、またいろんな可能性の中で、日本国土の均衡ある発展を含めまして今後どういうふうに発展させていくのか、また当然福祉という問題もどういうふうに考えていくのか、いろんな角度からここは御論議をして収れんをし、そして一番いい方向に向かって国民のための政治を行っていく。私が申すまでもなく、先生方もそういうお気持ちでやっていただいているわけであります。  このたび整備新幹線の新しい財源をつくる場合にも、今の日本の国の財政というものがどういう状況にあるのか、十分それを踏まえながら可能な限りの努力をしてこうした新しい財源をつくらせていただいたわけでございます。しかも今後、政府与党から成る検討委員会の中で幾つもの条件というものを一つずつ精査していきながら、そして十分それが整っているということを確認した上で進めていこうという、非常に慎重な今度の整備新幹線の取り組みだというふうに評価いたしている私は一人でございます。  一方、国鉄の長期債務の問題についても、今先生がお触れいただきましたように、本当に大きな問題でございます。今後、この委員会を通じまして、先生方からさまざまなまた御論議をいただくわけでございますけれども、これも国民の本当に御理解をいただけるような、コンセンサスを得るような成案というものがどういう形の中ででき上がっていくのか、私ども先生方の御指導をいただきながら精いっぱいの努力をしていかなければいけない。まさに国鉄改革十年、一番難しいまた重要な時期に来ていると思っております。心して取り組ませていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  234. 末広まきこ

    末広真樹子君 そこまで御丁寧に言われちゃうと、キャリアのある大臣でございますから、御信頼申し上げますから頑張ってとしか言いようがないのでございますけれども、しかし私、国鉄の長期債務の話を聞いたとき、最初にレクを受けましたときからずっと心の中が暗いんですよ、憂うつで憂うつで。私一人の借金じゃないのに何かそんな気分になってしまって、とてもじゃないけれども晴れ晴れとしないんです。  今、本当に必要なものとそうでないものをしっかり見分けることが必要だと思います。子供たちや孫たちに胸を張って残せるプラスの財産は何か、あんな負の遺産なんかじゃないんです。次の時代を敏感にかぎ取る嗅覚が政治家に一番求められている。国民の代表である政治家が果たす役割は、民間鉄道経営負担、国民への税負担をしっかりと考えるべきで、ツケだけを先送りするような、そんな無責任なことをしてはならない。自分のお名前だけを刻むような、そんなことをしちやならない。このことを僭越ですが申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  235. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。  まず、先般、九七年五月六日午前二時五分のことでございますけれどもJRの岡山新幹線運転所構内での新幹線の脱線事故がございました。このことについてお伺いをさせていただきたいと思います。  この事故運転士の居眠りが原因とされておりますが、それだけではございませんで、新幹線の命綱とも言えます自動列車制御装置、いわゆるATCの作動にも問題があったのではないか、あるいはまた勤務体系に無理はなかったのか、それから運転所の施設は万全だったのか。新幹線についてはこの間安全神話を築いてまいりました。山陽新幹線で初の脱線事故が起きたわけでございますが、今さまざまな議論がなされているところでございます。  そこで、JR岡山支社の調査によりますと、センサーは、列車が通過した時点でブレーキがかかっていた。そして十二両編成の場合、ブレーキがかかって完全にとまるまでの制動距離が時速二十五キロメートルで三十五メートルの距離が必要だと言っております。ところが、今回の場合二十メートルしかございませんで、十五メートル不足していたというものでございます。さらに、この軌道の末端部には砂利が高さ五十センチ盛られておりまして、その先に高さ一メートルの鉄骨の車どめがございます。一両六十五トンもあるという車両は、車どめを越えましてその先の金網を突き破りまして市道に飛び出したわけでございます。  昭和四十七年三月の使用開始以来、旧国鉄時代から、労働組合からもこの制動距離の短さは指摘され続けておりました。運転所の東西にはいずれも市道が通っておりまして、市道に挟まれているわけでございます。ずっと用地不足を理由にそのままにされてきておりました。  私は、五月十一日に現地に参りまして現場を見てまいりました。このことにつきまして、どこに原因があったとお考えでございましょうか、まずお伺いいたします。
  236. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 五月六日に発生いたしました岡山新幹線運転所構内での車両脱線事故、ただいま先生指摘のような経緯あるいは状況であろうかと思います。  この事故の原因そのものは、やはり運転手が一時的に居眠りの状態になってブレーキをかける時期を失したところにある、これが直接的な原因として起こりまして、ただいま御指摘ございましたように、非常ブレーキが作動いたしましても、距離的な短さ等々ございまして車両がとどまるに至らなかった、このようなことが重なって飛び出して市道まで行った、このようなことになったと理解しております。
  237. 栗原君子

    ○栗原君子君 このように距離が不足しているような箇所というのは、ほかには全国でどのようになっておりますでしょうか。そして、どういった対策を講じていらっしゃるんでしょうか。
  238. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この事故をきっかけに私どもの方でJRに言いまして調べましたところ、線路の終端から公道等までの距離が五十メートルに満たない箇所でございますが、これはJR西日本で五カ所、JR東海で十九カ所、合計二十四カ所でございます。  それで、今回の事故の原因は、先ほど申し上げましたように、基本的には運転手の居眠りによる運転操作の誤りでございますけれども、その結果として車両が市道まで飛び出したということもございますので、このような事故をなくすという観点から、事故を起こしましたJR西日本それからJR東海に対しましても、同様の事故を防ぐための対策を講ずるよう指導をしたところでございます。
  239. 栗原君子

    ○栗原君子君 それで、もともとATCの装置がついているということは、たとえ居眠りをしているとか、あるいは運転手が何かの事故で意識を失ってしまったとか、そういう場合でもとまるような装置になっている、このように解釈しておりますが、これはいいですね。
  240. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 営業線におきましてはただいま先生指摘のとおりでございますが、今回の事故のように運転所内での入れかえ作業等々につきましては、ATC装置じゃございませんで、手動によって操作をするというのが考え方でございます。
  241. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、以前から労働組合の方からもずっと指摘をされ続けてきたことがございます。それは、勤務につく場合、夕方十六時三十分から勤務につきまして翌朝の八時十五分まで、拘束時間が十五時間四十五分ということになっております。そして、間で十八時五十分から十九時三十分まで休憩、ここで夕食をとるようでございます。さらには二十三時二十五分から零時まで三十五分間ございますが、ここで夜食をとる。そして、零時から翌朝の七時十五分まで全く休憩はなく勤務についているわけでございまして、七時十五分から七時四十五分までの三十分間、ここに休憩がございますけれども、ここで朝食をとって八時十五分に勤務を終えるということになります。そして、その日の十六時三十分から次の勤務に入るわけでございます。この間は昼間でございますのでなかなか休息ができない、こうした訴えが長年出ているわけでございます。  いわゆる夜勤、夜勤、非番といった勤務形態が月に二、三回あるということになっておりますが、このことについては今まで労使でさまざま議論を重ねてきたところでございますけれども、どのようにお考えでございましょうか。
  242. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今、先生指摘のような勤務形態といいますか、勤務態様といいますか、これは私どもも今回事故を起こされた方の勤務態様としてそういうのがあるというのは承知しております。この問題に関しまして、夜間の連続の勤務形態といったようなことでございますが、会社側ではこの勤務形態そのものには問題はないという見解でございます。  申すまでもございませんけれども、どのような勤務形態とするかは、事業者が労働基準法に基づきまして所定の手続を経まして就業規則等で決めるという事柄でございまして、まずはやはり当事者間でよく協議して決められるべき問題だろう、このように思っております。
  243. 栗原君子

    ○栗原君子君 拘束時間が先ほど申しましたように十五時間四十五分、そして実働時間が十四時間でございます。その間の休憩時間というのは一時間四十五分しかないわけでございます。特に、夜中の零時から朝の七時十五分というのは全く休息はないわけでございますが、法に触れなければこういう働き方もよいというように解釈をしていらっしゃるんですか。そこだけちょっと確認したいです。
  244. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 私ども基本的には、今申し上げましたように、どのような勤務の態様にするか、これは言ってみれば事業者とまた従業者の方が法律に定める所定の手続に従いまして決めるべきで、それが就業規則という形に普通はあらわれるわけでございますが、まずはそこできちんとおやりになられるべきであろう。  本件のケースにつきましてもきちんと就業規則で位置づけられておりますので、その点では勤務態様といいますか、勤務形態自体には特に違法といったような問題はないと私どもは考えております。
  245. 栗原君子

    ○栗原君子君 先般、五月八日でございますけれども、中国運輸局の鉄道部長の方から、西日本旅客会社鉄道本部長に対しまして文書によります警告が出ておりまして、これに幾つか挙げられております。この中にも、服務規定を徹底しろとか、あるいは乗務前の心身の状態の把握の徹底をしろとか、安全管理の徹底をしろとか、さらには鉄道施設面の見直しを含めた再発防止策と、こうしたことは挙げられておりますけれども、特に心身の状態の把握の徹底ということが気になりまして、先般、会社側では健康のチェックはしていなかったと、このように言っているわけでございます。  それから、この間、先ほど申しましたように、労使の方でも勤務形態につきましてはたびたび議論を重ねてきたところでありますが、そのままずっと続けられておりました。そして、組合員の方では連続して夜勤をすることは大変つらいんだということを言い続けていたんですけれども、一向にこのことについて会社が聞いてくれなかったということを言っております。運輸省としてそうした会社に対して指導の責任があると私は思いますけれども、どうお考えですか。
  246. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 基本的には、先ほど来お答え申し上げますとおり、勤務形態をどうするかというのはやはり事業者が従業員の方々とも所定の手続を経て決められるべき問題であろう、こういうぐあいに思います。  先ほど御指摘の中国運輸局の文書でございますが、これは実は新幹線鉄道運転規則に運転手などの鉄道係員の健康状態とかあるいは心身状態等の管理を鉄道事業者が行うということを義務づけておりまして、こういったような義務に基づきまして鉄道事業者がこういった管理をちゃんと行っているかどうかというような観点から指摘をしておりまして、この点につきましては、私どもは事業者がきちんと自己の責任において適切に管理すべきだとは考えますけれども、勤務の形態をどのようにするかは、先ほど申し上げましたように、これはやはり使用者側が所定の手続を経て決めるべき問題だろうと思います。
  247. 栗原君子

    ○栗原君子君 この中で、岡山においては健康チェックをしていなかったということでございますが、先般の中国運輸局からの警告によりますと、こういうこともこれからはするようにということを言っております。  この健康管理の面でございますけれども、面接できょうは体の調子はいいかとかそういうことを聞きましても、もう大丈夫です、働けますと、ほとんどの労働者であったら私は言うと思うんですよ。もしそこで、きょうはどうも調子が悪いなどと言いますと、やはり昇進に差しさわりがあると考えるといった報告も来ておりますけれども、このことについてはどうお考えですか。一言でお願いします。
  248. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 私どもはその現場を十分承知しておるわけではございませんが、当然のことながら、新幹線鉄道運転規則というところでこういう健康状態とか心身状態とかの管理は事業者の責務として行うことを義務づけておりますので、これにつきましてはきちんとやっていただく必要がある、このように思います。
  249. 栗原君子

    ○栗原君子君 それでは、制動距離のことについてお伺いしますけれども、ただいま伺いまして全国に二十四カ所距離の短いところがあるということでございますけれども、私も見ておりまして、ちょうど私が参りましたのは昼間でございまして、たくさんの人たちが自転車とかあるいは歩いて通っている人もおりまして、夜中であってまだ不幸中の幸いだったかなと。もしこれが昼間であったならば、多くの犠牲者が出たであろうということを私は感じたわけでございます。  このことにつきましては、JRになりましてから十年になるわけでございますけれども、旧国鉄時代からずっと引き継いできたものでございます。このことはどうお考えでございますか。
  250. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 運転所内におきます入れかえ作業ということで、確かに旅客を輸送しているわけではないものですから、今まで、またこのような事故が起こるとも多分思わずに手動によって操作するということでそれまでのところは事故もなく来たわけでございます。結果的に見ますと、一定の速度を前提とすれば距離が短いところがあるというのがわかったわけでございますが、こういったようなことを経験しなかったものですからなかなかこの対策に手が回らなかったんではないか、このような印象を私も持っております。
  251. 栗原君子

    ○栗原君子君 今まで新幹線は安全であるということが神話のように語られていたわけでございますが、この神話が崩れたわけでございます。ぜひそうした改善をするように強い行政指導をしていただきたい、私はこのことを思うんです。  さらに、私が先般参りましたところ、すぐ市道が通っておりまして、この市道を少し振ればその距離は確保できるかなという感じもしてきたわけでございますので、ぜひこの二十四カ所につきまして十分な点検をしていただくようにお願いしておきたいと思います。  次に、整備新幹線につきましてお尋ねをいたします。  全国新幹線鉄道整備法ができましてもう三十年にもなろうかとしております。当時からいたしますと、経済的な状況とかあるいは鉄道技術の進歩とか高速道路網の整備とか地方空港の整備とか交通環境の変化とか、さまざま私はこの三十年の間変わってきたと思うんですけれども、この中で今、整備新幹線をやろうということがどうも理解できないというたくさんの国民の声が私は聞こえているわけでございます。もしそういう金があるんならば二十八兆円の長期債務を早く返したらどうか、こうした強い声もございますけれども、こうした声に対して、本当に普通のおじちゃんやおばちゃんにわかりやすい言葉でお答えをお願いします。
  252. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 整備新幹線の問題はもう長年にわたる関係地域の熱い要望でございまして、それこそ随分長い間いろいろ検討をした結果、昨年末の政府与党の合意ができたわけでございます。直接的には平成六年の十二月に関係大臣の申し合わせあるいは与党の申し合わせがございまして、平成八年じゅうに検討の上新しい基本スキームについて作成をする、このような合意もございまして、それを踏まえまして昨年一年間政府与党において検討された結果でございます。やはり何と申しましても、地域の長年にわたる熱意のあらわれというぐあいに私は理解いたしております。  それから、国鉄長期債務問題等々あるし、このようなときにいかがなものかということでございますが、これはもう再々運輸大臣から御答弁申し上げていますとおり、国鉄の長期債務の問題も平成十年度から本格処理をやるということで、本年じゅうに成案を得るということにいたしておりますし、これも近々の課題でございます。  私どもといたしましては、この二つはやはりそれぞれともに推進をしていくべき課題ではないかと考えております。
  253. 栗原君子

    ○栗原君子君 時代は変わってきているとは思いませんか、どうですか。
  254. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 時代は、当然のことながら刻々変わってきておると思います。このような時代の変化の中で、また新幹線の意義、必要性も踏まえながら適切に対処していくべきかと考えております。
  255. 栗原君子

    ○栗原君子君 国鉄改革経緯にかんがみまして、JR負担が過剰なものにならないよう配慮する必要がある、このように考えていらっしゃるようでございます。  その中で、JRに対しては受益範囲、こう言っておりますが、JRの三五%というのは受益範囲だと、このようにお考えでございますか、範囲を超えているとは思いませんか。さらに、運行して赤字になってもJR責任はないと考えてよろしいんでしょうか。
  256. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘受益範囲でございますが、これは一つは、新幹線ができました場合に、完成しました後、新幹線鉄道施設を日本鉄道建設公団からJR各旅客会社が借り受けまして、その場合に支払う貸付料、これは、再々お答え申し上げておりますとおり、受益範囲でその貸付料を定めるということでございます。  一方、JR各社既設新幹線譲渡収入ということで年間七百二十四億、六十年間の例の支払いをしておりまして、これは言ってみれば準国有財産的な性格のものでございますので、JR各社から鉄道整備基金を通じまして、これが新幹線財源として日本鉄道建設公団に交付されまして使われるということでございます。三五%は、たまたま本年度の財源の内訳としてこれを出しましたときに、書いてございますが、これは三五%ということで決まっているわけじゃございませんで、結果的に今年度の負担分の全体に対する割合を計算いたしましたら三五%になっておる、こういうような性格のものでございます。
  257. 栗原君子

    ○栗原君子君 運行して赤字になってもJR責任ではないと考えていいんですね。
  258. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 恐縮でございました。その点は今申し上げましたとおり……
  259. 栗原君子

    ○栗原君子君 短くていいです。イエスかノーかで。
  260. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 受益範囲内での貸付料ということでございます。したがいまして、運行に伴って赤字の出ることは、通常は受益範囲での貸付料しか払えませんので、生じないものと考えております。
  261. 栗原君子

    ○栗原君子君 それでは、百歩譲ってやることにしたといたしましても、フル規格でなくてもミニの場合だって十分対応できるんではなかろうか。あるいは、今、山形でやっております三本レールを引きました三線軌条、さらには線路のカーブなどの多いところはこれを真っすぐにするとかさまざま考えることによりましてフル規格の三分の一でできるんではなかろうか、こうした専門家の声もございますが、このことについてはどうでしょうか。
  262. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今御指摘がございましたのはいわゆるミニ新幹線だと思いますが、これにつきましては、やはり改良しましたものは線形が悪いとか、あるいはなお踏切が残るということで、通常言っております新幹線のようなスピードが出ない。新幹線は、この法律に基づきますものは時速二百キロ以上のものでございまして、そのようなものにはならないということでございます。  ただ、それぞれの地域の実情に応じましてフルの新幹線が適切なものもあれば、あるいはミニのものもある、その点は私どもはそのように思っております。
  263. 栗原君子

    ○栗原君子君 そうですと、函館から札幌まで北海道新幹線を想定した場合に、たったの二十分しか速くならないということですね。それで、住民の皆さんにとりましては乗りかえがないのが何よりいいんだと、こうした声も来ておりますけれども、これらの改善ができるならば無理に私は新幹線でなくてもさまざま知恵は出せると思います。  それから、特に貨物の輸送につきましては、新幹線と同じ線路を走るということで考えてよろしいんですか。
  264. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 貨物につきましては、新幹線上を走行するのか在来線を走行するのか、これは新幹線上を走行する場合は安全上の問題がございますし、在来線を走行する場合は線路使用料をどのような形で今程度の負担で維持していくかという問題がございまして、これから十分検討しなければいけない問題だと思っております。  政府与党の合意におきましても、新幹線上を走行することも含めまして、関係者間で調整するということになっておりまして、今後鋭意この調整をやってまいりたいと思っております。
  265. 栗原君子

    ○栗原君子君 もう時間が参りますけれども、今JR経営の分離をしたいということを考えていらっしゃる並行在来線の場合は、一部区間だけ次々と第三セクターになりますと、新幹線JR、そして第三セクターとJRの場合、それから第三セクターが継ぎはぎ継ぎはぎになることも予想されるんですけれども、そのことはどうなんでしょうか。
  266. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 並行在来線の問題は、新幹線整備いたしましてJRに過重な負担をかけないということで、第二の国鉄をつくらないという考え方から、並行在来線JR経営から分離をするというのが基本的な考え方で、三線五区間からも同じ考え方でやってきております。したがいまして、やはりこの点は整備新幹線を進める場合も基本的な考え方として今後とも踏襲していくべきものだと思います。  その際に、地域の足の確保をどうするか、これはやはり大変大きな問題だと思いますけれども、地元のお力によりまして鉄路で鉄道を維持するといったケースもあろうかと存じますが、そういったような場合は、やはり地域の皆様方の十分な話し合いのもとにそのような施策を講ずるかどうか決めていかれるべき問題だろうと思います。
  267. 栗原君子

    ○栗原君子君 けさほどからのやりとりを聞いておりまして、国の財源確保に頑張ると、こうした決意をお述べになりましたけれども、私はこの件に関しては余り財源確保に頑張ってほしくないと思うんですよ。もっと私は、例えば福祉のところとか教育のところに頑張ってほしいと思いますので、そうした意味では余り頑張っていただかないようにということを考えるわけです。  それと、最後になりましたけれども大臣にお伺いしたいと思いますが、行革、財政構造改革にどう考えてみても反するような気がしてならないわけでございます。そうしたことを国民に一言で、わかりやすい言葉で、反しないかという問いに対してどうお答えいただけますでしょうか。
  268. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先ほども御答弁申し上げておりますけれども、去る三月の財政構造改革会議におきまして、財政構造改革と矛盾しないようにその取り扱いを検討する、整備新幹線についてはそういう基本的な考え方が示されたところでございます。  今、国の財政というものが非常に厳しくて、財政構造改革のみならず六つの改革ということで政府を挙げて努力をいたしているところでございまして、また、先生方からいろいろな形で各方面にわたってこの六つの改革について御指導もいただいているところでございます。  私は、整備新幹線というのも、子供さんやお孫さんたちに残す大きな財産だと、一方ではそういう考えを持っている一人でございます。財政構造改革、この大目標に向かって私たちは努力すると同時に、一方では、そうした均衡ある国土発展という一つの大きな目標のために整備新幹線整備していくということも、子供さんやお孫さんたちに残していく財産として私たちが考えていく必要のある分野だということは明確にさせておきたいというふうに思います。
  269. 栗原君子

    ○栗原君子君 子や孫に残す財産ということはよくわかりますけれども、今この時期になぜか、もう少し時間を置いてもいいんじゃないか、そういう気持ちはしております。このことを申し上げまして終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  270. 芦尾長司

    芦尾長司君 芦尾長司でございます。  最後になりましたが、新幹線につきましての議論は非常に重要であるというふうに思います。お考えをしっかりとお聞きいたしておきたいと思いますので、重複する質問もあろうかと思いますけれども、どうかよろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、新幹線営業路線でございますけれども、今千八百三十六キロと言われておりますが、この十月一日に高崎−長野間百二十七キロが開業いたしますと千九百六十三キロ、二千キロになんなんとするということになります。  我が国交通体系の中において整備新幹線が果たす役割につきましての大臣の御認識をまずお聞きいたしておきたいと思います。
  271. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども整備新幹線は、まず時間の正確性、そして交通事故等に対しての具体的な数字をるる局長の方からも例示させていただいておりましたけれども安全性、そしてまた環境面、そういった面で私は極めてすぐれた高速大量輸送機関であるというふうに思います。  この整備を進めさせていただくことによって、国土の均衡ある発展、そして沿線地域産業経済の活性化、こういつたことに資するものだと考えておりまして、我が国交通体系においては極めて重要な役割を果たすと、こういう認識でぜひひとつ御理解をいただき、整備新幹線整備に今後とも力を入れてまいりたいと思っております。
  272. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。  そこで、国土庁からお見えいただいていると思うんですけれども、第四次の全国総合開発計画におきます整備新幹線の位置づけはどういうふうになっておりますでしょうか。
  273. 浜野潤

    説明員(浜野潤君) 御説明いたします。  昭和六十二年に策定をされました第四次全国総合開発計画におきましては、東京一極集中を是正しまして、多極分散型の国土を形成するということを目標にいたしまして、地域主体となりました地域づくりや全国一日交通圏の形成などをねらいといたします交流ネットワーク構想を推進するということとしたところでございます。このために、その基盤となります交通、情報・通信体系の整備を主要施策の一つに掲げまして政策体系を示しております。  御質問整備新幹線につきましてもこの体系の一つとして位置づけられておりまして、当時国鉄改革の取り組みが並行して進められていたこともありまして、「全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画五線については、国鉄改革の趣旨をも考慮して、逐次建設に着手する。」としたところでございます。
  274. 芦尾長司

    芦尾長司君 全国総合開発計画は、その時々におきます国力というものを前提といたしまして、国を挙げて取り組むべきあるべき姿というものを、そういったたずまいというものを全国民に明示しておるものだと思います。その総合開発計画において、逐次建設に着手するとこの整備計画の五線について位置づけられておるわけでございます。  そういう整備新幹線建設を推進するということが財政改革に反する事業の象徴とされておるといいますのは、これはどうかというふうに私も、これまでの議論もありますけれども思います。私は神戸出身でございますから、新幹線の便益というものを十分に享受いたしておる一人でございますけれども、長崎や北海道にも勤務をいたしたことがございます。地元住民が熱望するその新幹線がそういうふうに扱われるというのは非常に耐えられないことじゃないかなというふうにも思うわけでございます。  この建設推進について意欲を持って当たられたいと思いますけれども、改めて、最後でございますけれども御決意をお伺いしたいと思います。
  275. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘のとおり、整備新幹線は、国土発展であるとかあるいは地域振興とかいったようなことで大変重要なものであると私ども考えております。今後、収支採算性の見通しなどの基本条件を十二分に確認した上で、一方では財政構造改革という問題がございますので、これと矛盾しないように適切に対処していく、このような基本方針で臨みたいと思っております。
  276. 芦尾長司

    芦尾長司君 いろいろマスコミ等での誤解を受けるということも、ある意味では、今までも議論にありますように、政府与党検討委員会におきます資料とかそういう会議録の開示がやっぱり必要であるということにも関係すると思いますので、その点についてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、今新しい全国総合開発計画が策定されようとしております。聞くところによりますと、新しく国土軸というような考え方もお取り入れになっております。また、今度の法律によりまして新幹線整備法地域振興という観点も取り入れておりますけれども、これからの新しい計画におきます整備新幹線の位置づけというものはどういうふうになっておりますか、国土庁の方からお伺いしたいと思います。
  277. 浜野潤

    説明員(浜野潤君) 御説明いたします。  新しい全国総合開発計画につきましては、昨年十二月に国土審議会の計画部会におきまして、これまでの作業成果を計画部会の調査検討報告ということで中間的に取りまとめて公表をしたところでございます。  この調査検討報告におきましては、先生も御指摘の長期的な国土軸の形成など、今後の国土づくりを進めるに際しましては、広域的な地域間の連携等を通じて地域の自立を促進することを重要な課題としております。こうした地域間の連携や交流の促進のためには交通基盤の整備が引き続き重要としておりまして、御質問整備新幹線につきましては、「既着工区間建設を進めるとともに、未着工区間については、新しい基本スキームの検討及びその結論が得られた段階での所要の措置を踏まえて、その整備を行う。」としております。  今後、できるだけ早期に新しい全国総合開発計画を策定できるように、なお一層検討を深めてまいる所存でございますが、整備新幹線につきましても、昨年十二月の整備新幹線の取り扱いについての政府与党合意を踏まえまして、関係省庁とも御相談をしながら対処してまいりたいと思っております。  以上です。
  278. 芦尾長司

    芦尾長司君 新しい全国総合開発計画でもその位置づけが重要になってまいろうと思います。  そこで、新しい負担のルールが今回確立をされておるわけでございますが、いずれにいたしましても、これは公共事業の関係費が総体の事業費を結局は決定するということになろうかと思います。たびたび御議論がございますように、行政改革が進められております厳しい環境の中にあろうかとも思いますけれども、いうところの経済性ということと、それから公共性ということとあわせて検証を厳正にしていただきまして、他の社会資本整備におくれをとらないように、一元化という御議論もございましたけれども、この整備新幹線整備のための公共事業関係費といいますか、事業費のコスト削減ということも踏まえますと、関係事業量の確保ということを図っていく必要があろうかと思いますけれども、この点につきまして大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
  279. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 整備新幹線整備の重要性についてはたびたびこの委員会で申し上げているところでございます。  今回、新しい未着工区間に対する財源確保も、大変厳しい財政の中でございますけれども政府与党で合意を得させていただいたところでございます。先生からも御指摘いただきましたように、大変厳しい公共事業を取り巻く環境でございますが、ただいま申し上げましたように新幹線整備の重要性にかんがみまして、精いっぱい公共事業の関係費の確保につきましても努力をしてまいりたいと思います。どうぞよろしく御支援のほどお願いいたしておきます。
  280. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。国土庁の方、結構でございます。  これから少し各論に入らせていただきたいと思いますが、一つ政府与党の検討委員会の結論が出る前におきましても、従前から調査を行ってきております九州新幹線の長崎ルートでございますとか北海道新幹線につきまして、未着工区間の駅やルート公表、また環境影響評価等、所要の手続で進め得るものは進めることができないでしょうか。特に、九州新幹線長崎ルート等は調査開始後もう二年九カ月もたっておるというふうにも聞いておりますけれども政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  281. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 九州新幹線の長崎ルート武雄温泉−新大村間、これにつきましては平成六年の九月から、それから北海道新幹線の新青森−札幌間につきましては平成七年の一月から、日本鉄道建設公団が駅・ルート公表のための調査を開始しまして、現在調査を推進しているところでございます。  一方、昨年十二月の政府与党合意与党三党の申し入れにおきましては、北海道新幹線と九州新幹線の長崎ルートについては、駅・ルート公表、環境影響評価、工事実施計画認可申請、このほかにトンネル難工事推進事業及び駅部調査の各項目が示されているというような状況になっております。  これらの区間にかかわります各項目の取り扱いでございますけれども、従前から調査を実施しております駅・ルート公表のための調査、これにつきましては必要な箇所について引き続き推進していきたい、このように思っております。
  282. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございます。  いずれにいたしましても、要するにある意味ではまだスタートラインにもついていないといったようなことにもなろうかと思いますから、余りお金もかからぬと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  それからもう一点でございますけれども、これは先ほど御質問ございましたが、ちょっとよく聞き取れなかったのでもう一度お願いしたいんですが、軌間の自由可変電車の問題でございます。これは技術開発のための予算が計上されておりますけれども、現在の開発の現状とか、これからの見通しをもう一度お願いしたいと思います。
  283. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 聞き取れなくて大変失礼いたしました。  軌間自由可変電車でございますが、これは車輪の間隔を自由に変換できるという電車でございまして、これの実用化によりまして、フル規格の新幹線と、スーパー特急であるとかあるいは在来線、狭軌の在来線でございますが、これとの間の乗りかえなしの運行が可能になるということで、新幹線と結びますと、新幹線鉄道高速効果を在来線の沿線地域にも及ぼすことができる、均てんさせることができるものでございます。  この電車につきましては、平成六年の運輸技術審議会、「二十一世紀に向けての鉄道技術開発のあり方について」という答申がございまして、この答申におきまして開発についての提言がなされております。これを受け、財団法人の鉄道総合技術研究所におきまして研究開発が進められております。  現在、どこまで開発が行われているかでございますが、まず軌間を自由に可変するために必要な車輪の間隔を変える仕組み、これや車輪と一体となって回転いたしますモーターなどにつきまして基礎的な研究開発を行いまして、研究所構内の試験場におきまして試作車両を低速で走行させまして、基本的な性能の確認試験を実施しているという状況でございます。  今後でございますが、このような基礎的な研究開発の成果を活用いたしまして、実用化に向けての実証試験の電車を製作いたしまして、高速時における走行試験、走行安定性の確認とか、あるいは耐久試験などの実証試験を行うということを予定いたしております。平成九年度からおおむね四年をかけまして実用化のめどを立てるための技術開発を進める、このような計画で進めることといたしております。
  284. 芦尾長司

    芦尾長司君 軌間自由可変電車、こういう開発が進められますと、先ほども議論ありましたが、本当の新幹線を入れるというよりは相当コストが安くつくようなことも考えられると思います。既設新幹線から直接乗り入れられるようにして、スーパー特急方式で進められておるようなルートにも適応できるのではないかと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  285. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘のとおり、新幹線とスーパー特急の区間を直接的に結ぶことができるようになります。
  286. 芦尾長司

    芦尾長司君 実は、兵庫県は南の方は新幹線が通っておりますけれども、北部の方はなかなかまだ高速、広軌の鉄道という恩恵には浴しておりません。今、日本海を縦貫する高速鉄道といいますか、その推進が望まれておるわけでございますが、長期的には余り新幹線とか在来線とかいう区別、そういうことも余りかたく考えずに直接両者が乗り入れられるような、軌間の異なる在来線間におきましても相互乗り入れが自由になるような時代も来るのではなかろうかと思います。  旅客の利便性向上にも有効と考えますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  287. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この技術開発が進み、軌間自由可変電車が実用化されますと、ただいま先生指摘のとおりゲージが異なる線路を直接的に行き来することができるようになりますので、乗りかえなしの鉄道サービスが提供できるということで、非常に多面的な活用ができると私どもも考えております。
  288. 芦尾長司

    芦尾長司君 どうもありがとうございました。これで終わります。
  289. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  290. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  我が党は、新幹線そのものに反対するものではありません。しかし、今回の法案による新幹線整備財源スキームは、破綻した従来型のやり方をさらに拡大するものであります。  反対理由の第一は、本法案により新幹線建設費用の地方自治体負担について、従来の任意補助から義務的補助に変えられ、その結果、負担割合が一五%から倍の三〇%に引き上げられることです。九七年度予算でも、この負担額が五百三十二億円に上ります。この一部について地方交付税措置するとしていますが、九〇%が起債による地方自治体負担分は、金利負担を考えればその償還額は約一・五倍以上に膨らむことになります。これは住民地方自治体に過大な負担をもたらし、地方財政の危機をさらに深刻化させるものです。また、新幹線整備を条件に、在来線の廃止が地方に押しつけられることも重大です。  第二は、全くつじつま合わせの財源スキームだということです。その典型が既設新幹線譲渡収入の扱いです。これは、従来JR負担分とみなされていたものを、今度は国の負担分とみなすことによって、自治体負担は国負担の二分の一というスキームのもとで、国負担分を見せかけだけふやすことにより、地方自治体負担を膨らませるこそくな仕掛けであります。  第三は、JR負担割合が三五%とされていますが、実際は受益範囲を限度とした貸付料等によるとされており、並行在来線に比べ受益が同等か下回るなら負担しなくていいという全く負担とは名ばかりのものとなっていることです。また、受益範囲ということについて、三線五区間は必ず受益が借入金を上回ると運輸省は説明していますが、そうであるならその上回った分について、今後の新規着工の財源にするのではなく、過大な負担をしている自治体に返していくべきです。  以上のことを指摘し、反対討論を終わります。
  291. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  292. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  戸田君から発言を求められておりますので、これを許します。戸田邦司君。
  293. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 私は、ただいま可決されました全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会の各派及び各派に属しない議員芦尾長司君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり次の事項について万全の措置を講すべきである。  一 鉄道道路、空港、港湾などの交通ネットワークについての将来展望を踏まえ、これらを総合的に検討するとともに、効果的な整備に努めること。  二 整備新幹線新規着工区間に係る収支採算性の見通し等については、厳正に判断し、検討の経過も踏まえ適宜当委員会に報告すること。  三 整備新幹線建設に当たっては、建設事業コストの見直しと事業の効率的執行に努めることにより、極力総事業費を抑制すること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  294. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいま戸田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  295. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 全会一致と認めます。よって、戸田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、古賀運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。古賀運輸大臣
  296. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいま全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府として十分な努力をしてまいる所存であります。
  297. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  299. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。古賀運輸大臣
  300. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいま議題となりました日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄改革が行われた昭和六十二年度首において約二十五兆五千億円であった日本国有鉄道清算事業団の債務等の額は、平成八年度首には約二十七兆六千億円に増加しており、今後、日本国有鉄道清算事業団が保有する資産の売却収入も多くは見込まれないことから、大幅な債務の縮小は期待できない状況にあります。  このため、政府としては、昨年十二月の閣議決定において、平成十年度より債務等の本格的処理を実施することとし、平成九年中にその具体的処理方策の成案を得る旨を定めたところであります。  本法律案は、このように日本国有鉄道清算事業団の債務等の額が累増している状況にかんがみ、当該債務等に係る本格的処理策が実施されるまでの間において、最終的な国民負担増加することを防止する観点から、日本国有鉄道清算事業団による平成九年度の借り入れから生じる将来的な利子負担を軽減するため、一年度限りの臨時、異例の措置として、平成九年度において緊急に講すべき特別措置を定めるものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、日本国有鉄道清算事業団の債務等に係る負担の軽減を図るため、政府は、日本国有鉄道清算事業団の債務のうち、額面金額合計額が三兆三十五億円に相当する日本国有鉄道清算事業団債券に係る債務を一般会計において承継することとし、同時に、日本国有鉄道清算事業団に対し同額の資金を無利子で貸し付けたものとすることとしております。  第二に、政府は、日本国有鉄道清算事業団に対する無利子貸付金について、据置期間を一年以内の期間延長することができることとしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  301. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  302. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  303. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  304. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会