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政府委員(
山本孝君)
先生の御
指摘のような問題を解決する対策といたしまして、まず国際的な枠組みでございますが、いろいろな条約がございます。例えば
海上人命安全条約というのがございますし、
海洋汚染防止のためには
海洋汚染防止条約というのがございます。また、船員などの安全
運航を確保するための条約もございます。こういった条約を徹底して守らせる責任は、一義的にはその船の登録国である
旗国というものが責任を持って安全確保をするということになっております。
仕組みといたしましては、そういう国が
検査をいたしまして、これに合格いたしました場合には、条約証書と私
ども言っておりますが合格した旨を記した書面を持たせて、どこの国に行ってもその船は合格しているから入れてやってくれと、こういうことでわかりましたと、こういう格好で入港を認めるという仕組みになっております。
先生の御
指摘のように、実際は
検査をやる能力がない国があったり、あるいは能力のないところに任せてしまったという実態が残念ながらあるのも事実でございまして、そのような場合には、今度はもう
一つ別の国際的な仕組みといたしまして、そういう船の入港を受け入れた国、その国がみずからその船に立ち入って事実上の
検査を行う、これが
ポートステートコントロールでございます。これは各国、入港を認める国の権利としてそれぞれ先ほど申しましたような
国際条約の中にうたわれております。この仕組みを利用いたしまして、基準に満たない疑いのある
船舶が参った場合にはこれを
検査するということになっております。
この際に、一国でこの
検査をやってもなかなか徹底いたしませんので国際的な協力
関係をつくりまして、そこで例えばいわくつきの船はブラックリストとして情報を交換するとか、あるいは成績の悪い国の船は重点的に
ポートステートコントロールを各国で行うとか、こういったことで安全の向上を図る、こういう努力をする道がございまして、これは現在行っているところであります。
実際これでもまだ不十分な場合がございますので、さらに今後の問題としては、そういったようなよその国で
ポートステートコントロールをされて、どうも怪しいと言われた場合、その通報を受けた国は、自分の
旗国としての責任でその
船舶に必要な修繕を命ずる、その結果を国際機関であるIMOに通報する、こういう制度を新たに設けてはどうかということもこれから提案して検討してもらいたいというふうに考えているところでございます。
それにつきましても、今回
ナホトカ号の
事故につきましては、まだ科学的な原因究明というものが終了しておりませんので、その
事故原因の究明を鋭意進めまして、その結果に基づき、これは私の方からこの
事故の原因をこうであるという示唆を今申し上げるわけにはまいりませんけれ
ども、仮に
老朽化が原因であるということがわかった場合には、またその対策を改めてIMOに提起して、こういったことが二度と起こらないような対策をとる、そういう方向で対処してまいりたいと考えております。