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1997-03-25 第140回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十五日(火曜日)    正午開会     —————————————    委員異動  三月十七日     辞任         補欠選任      小山 孝雄君     亀谷 博昭君  三月十八日     辞任         補欠選任      阿曽田 清君     平井 卓志君      戸田 邦司君     田村 秀昭君  三月十九日     辞任         補欠選任      亀谷 博昭君    大河原太一郎君      田村 秀昭君     戸田 邦司君  三月二十一日     辞任         補欠選任     大河原太一郎君     亀谷 博昭君  三月二十四日     辞任         補欠選任      中尾 則幸君     竹村 泰子君  三月二十五日     辞任         補欠選任      竹村 泰子君     中尾 則幸君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         直嶋 正行君     理 事                 佐藤 泰三君                 二木 秀夫君                 戸田 邦司君                 中尾 則幸君     委 員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 平井 卓志君                 横尾 和伸君                 瀬谷 英行君                 竹村 泰子君                 筆坂 秀世君                 末広真樹子君                 栗原 君子君                 芦尾 長司君    国務大臣        運 輸 大 臣  古賀  誠君    政府委員        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省海上交通        局長       岩田 貞男君        運輸省海上技術        安全局長     山本  孝君        運輸省港湾局長  木本 英明君        海上保安庁次長  大森 寿明君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        科学技術庁原子        力安全局原子力        安全課防災環境        対策室長     野家  彰君        環境庁水質保全        局企画課長    柳下 正治君        外務大臣官房外        務参事官     齋藤 泰雄君        外務省北米局北米        米第一課長    山本 忠通君        外務省北米局日        米安全保障条約        課長       梅本 和義君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    三本木 徹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  )     —————————————
  2. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、中尾則幸君が委員辞任され、その補欠として竹村泰子君が選任されました。     —————————————
  3. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事戸田邦司君を指名いたします。  なお、残り一名は、都合により後刻指名いたします。     —————————————
  5. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木政二

    鈴木政二君 本委員会の今回の法案質問をさせていただきます。二十分という持ち時間でありますので、簡潔に質問をさせていただきます。  今度の法案で、定期検査間隔が四年から五年に延長されたということであります。運輸技術審議会答申の中で中間検査定期検査実施方法についても見直しをされるという話を聞いておるんです。これらについて今回どんな見直しをされるのか。そして、この検査対象になる船舶一体何トン以上で、船種というんですか船の種類、そして現在この対象の船は何隻ぐらいあるか。まず、最初にそれを聞かせてください。
  7. 山本孝

    政府委員山本孝君) 今回の改正提案に先立ちまして、昨年十二月に運輸技術審議会答申をいただいております中に先生の御指摘のとおり、中間検査についてもやり方が提示されております。これによりますと、中間検査につきましては、定期検査定期検査の間に実施するものが中間検査でございますが、これらのうち内航貨物船あるいは漁船につきましては定期検査終了後、現在では二年以内に実施することとされておりますところを改めまして、今後五年の間に、つまり定期検査間隔が五年に延長されますのでその五年の間に一回実施するということでまいりたいと、このようなものでございます。  それからその他でございますが、検査を繰り上げて受けました場合に次回の検査時期も、現在の方法では検査を受けました場合、早く繰り上げますと次回の検査が繰り上がってまいります。そういった不利がございますが、今回の改正ではこういった不利を除きまして、一定の期間内に検査が完了した場合には次回の検査時期はもともと検査の予定時期にすると、固定的な検査時期というんですかそういうものを導入すべしと、こういうことがうたわれております。  こういった定期検査間隔を見直すことに伴いまして、船舶所有者等によりますところの自主的な保守整備を促進する観点から整備記録の充実を図って、こういったものの記録を活用して検査方法を合理化する等の検査実施内容についてもあわせて見直しを図ることが提起されております。  先生のお尋ねの検査対象船舶の数でございますが、現在この検査対象になりますものが、総トン数二十トン以上の船舶及び総トン数二十トン未満小型船舶のうち危険物ばら積み船あるいは国際航海に従事する旅客船等一定のもの、この二種類がございますが、これら合計約二万隻でございます。これについては国が検査実施することになります。なお、それ以外の小型船舶約五十万隻につきましては日本小型船舶検査機構が国にかわり検査実施しておりますが、これの定期検査間隔は六年と、こういうことになっております。
  8. 鈴木政二

    鈴木政二君 二十分しかないものですから、簡潔にぜひともお願いしたいと思います。  定期検査中間検査の今答弁をいただいたんですけれども検査を受ける者は今回のこの改正は非常にありがたがっていると言うんですよ。  私、一つの例をとってみますと、この間内航海運がありましたからちょっとそこらも聞いてみたんですけれどもセメント専用船七百トン、これは普通の小さい方の型ですけれども、これが入渠というんですかドックヘ入るときとかそれから検査関係費用を合わすと、現在平均で一年間で一千三百九十万ぐらいだそうであります。今回のこの改正になると、延長するわけでありますから四年から五年に延びるわけですから、八百六十万ぐらいの費用差額が出てくるという推定を受けているんです。  例えば、もっと大きい船になりますと、普通セメント専用船というと二千二百六十四トンというのがもう一つ標準の船ですけれども、これだと今現在平均千八百六十万円ぐらいで、五年の延長になると一千百十万も費用差額が出てくる、これは企業にとりましては大変な大きなメリットなんですね。  今回、こうした改正で今言ったような具体的に受検者にどんなメリットがあるのかそして運輸省としても余りないかもわかりませんけれどもどんなメリットがあるか、一遍聞かせてください。簡潔にひとつお願いします。
  9. 山本孝

    政府委員山本孝君) 先生の御指摘のとおり、定期検査間隔延長いたしますことによりまして、船舶稼働率がふえるとか、あるいは検査に要する直接的な費用の削減が期待されるということが受検者にとってのメリットになると思われます。また、受検時期に一定の幅を持たせるということによりまして、船舶運航スケジュールあるいはドックのあきぐあいに合わせて受検時期が弾力化できるというところでもまた新たなメリットが生じてまいります。  一方、私どもこの検査実施しております側にとりましては、従来、IMO等国際的な動向としてはむしろ船舶の基準が強化される傾向にありまして、これに対応するためになかなか検査官増員その他が追いつかないという事情がございましたが、今般こういった定期検査間隔延長すること等によりましてサービス水準といいますか受検者が希望するときに検査ができるというサービスの向上が図られるというメリットがございます。
  10. 鈴木政二

    鈴木政二君 今、検査官の話が出たわけでありますけれども大臣、本当にこれは運輸省としても大きな決断をしてもらいまして、経済的にも非常に高い価値が含まれる、私は大いに評価をしたいと思うんです。  今、局長の方から船舶検査官の話が出ましたけれども御存じのように、海外で建造される日本船舶建造地で今度製造検査を受けることができるということになりました。今、定期検査海外でも実施していますけれども、ちょっと余裕ができるという検査官の話、局長の話を聞いたんですけれども、本当にそうなのか。特に、定期検査海外でも実施していることでありますけれども製造検査もするということになると一体どんな国を対象に考えているのか、そしてどんな体制またどんな程度検査実施しておるのか、そして運輸省体制が今後これでいいのかということを簡潔にひとつ答えてください。
  11. 山本孝

    政府委員山本孝君) 現在、年間延べ四百隻程度日本船舶海外船舶検査受検しております。こういった検査を円滑に実施いたしますため、現在シンガポール等海外六カ所に検査官を駐在させております。また、必要な場合にはそのほか日本から検査官を派遣しておるところでございます。海外で建造される日本船舶は現在のところまだ年間数隻程度でございますから、当面はこういった現在の体制で十分対応できるのではないかと考えております。
  12. 鈴木政二

    鈴木政二君 まだ円高関係もありますからこれからひょっとするともっとふえるかもわかりませんけれども、今のところはいいということです。  ただ一つポートステートコントロールを今実施していますね。それで、この間のナホトカ号事故以来これをさらに強化するということを表明されたわけであります。平成九年度から全国に四十六名の外国船舶監督官を新しく配置するということであります。  ちょっと内容を調べましたら、これは今の船舶検査官と何か振りかえをするような感じもあるように聞いているわけであります。こういうサブスタンダード船みたいなものはきちっと排除も大事ですけれども、せっかくこういうふうに延長して慎重な形で検査をするわけでありますが、今の日本船舶検査は、この外国船舶監督官とのこうした振りかえで人数が減ってくるわけです、単純に考えると。この体制日本船舶検査支障を来さないか、答えてください。
  13. 山本孝

    政府委員山本孝君) 先生の御指摘のとおり、我が国に寄港する外国船監督を強化する必要があるという観点から今般外国船監督官制度を創設したものでございますが、その際に、船舶検査官からと船員労務官からどの振りかえ並びに増員ということでこの四十六名の外国船舶検査官の確保を図ったところでございます。  こういったところで確かに船舶検査官の専任の数が減少するのも事実でございますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、定期検査間隔を四年から五年に延長して若干生まれるその余裕分を活用いたしまして日本船舶検査支障を来すことがないよう努めてまいりたいと思います。  なお、このポートステートコントロール業務そのものは今般急に新しく始まるという業務ではございませんで、従来からも船舶検査官なりあるいは船員労務官業務一つとしてこの外国船監督をやっておりましたので、四十六名分が全く検査官から消えてあるいは労務官から消えてしまうということではございません。
  14. 鈴木政二

    鈴木政二君 よくわかりました。何とか回っていくだろう、こういう話でありますね。ただ、心配をしておりますのは、こういうふうに延長されますから、手抜きはしないだろうと思いますけれどもしっかり検査官に認定をしていただきたいなと思っております。  時間が余りありませんので次に移らさせていただきますけれども海洋汚染防止条約で規制されていない老朽タンカーのことでちょっとお聞かせ願いたいと思います。  海事産業研究所の調べによりますと、ナホトカ号のように船齢が二十年を超えた一万トン以上の老朽タンカーは世界に千二百隻あるそうであります。ほとんどが油漏れを防ぐための二重構造がなされていないという大変ショッキングなことであります。  海洋汚染防止条約では、新造タンカーについては五千トン以上のものは二重の船底化が義務づけられておりますし、六百トン以上から五千トン未満のものには船底部を二重化しかつ各貨物タンクの容量を制限することが義務づけられておるそうであります。老朽タンカーについて、二万トン以上の原油タンカーは三万トン以上の特製油タンカーしか二重船体構造化が義務づけられていない。それ以下の老朽タンカーは義務づけられていないということであります。  今回、ナホトカ号の例の船ですけれども、これも二万トン未満原油タンカーでありまして、もうこれは大変なことじゃないか。二万トン以下のナホトカ号でもこんなに大きな災害を受けておるということで、ここらを運輸省一体どう考えているのか。私は、大変重要な問題だと思います。  そして、今回こうして法改正でやっております延長の問題でありますけれども、それによって心配をしますのは、航海安全性だとかそれから海洋環境保全の問題が本当に延長して大丈夫なのかという危惧もするわけであります。あわせてひとつ御答弁願いたいと思います。
  15. 山本孝

    政府委員山本孝君) 確かに老朽船の問題に取り組んでいくことは大変重要であるという認識は持っております。  今般、我が国がこういった情勢の中で検査間隔を四年から五年に延長しようとする考え方に踏み切りましたのは、検討したそれなりの理由がございますが、まず一つ日本籍船につきましては実はこのナホトカ号のような老朽船がほとんどない、皆無に近いということが一つございます。それから、同じく日本籍船については、日本の国が旗国として検査を徹底するわけですが、その検査の確実な実施を行っておりますので、こういった老朽化といえどもその船舶運航支障を来すような状況には置かれていないというのが一つでございます。  それから、こういった我が国と同じように検査を徹底して行っております欧米先進国等におきましても既にこの検査間隔を五年にしたという経験がございまして、その限りにおいて大きな問題が生じていないというようなことがございますので、今般四年から五年に延長することにしたものでございます。  なお、検査やり方につきまして、船齢が十年以上のものにつきましては、既にその定期検査に際しまして、板厚の計測であるとかタンク圧力試験等を新しい船より厳しくするという検査方法を義務づけておりまして、そういったことでも老朽化による船舶の安全に支障を来すことがないように努めておるところでございます。
  16. 鈴木政二

    鈴木政二君 やっぱり国際的にも我が国リーダーシップをとっていただいてきちっとした形で今後はぜひ進んでいただかないと、御存じのように、これは溝手先生からちょっと聞かせてもらったんだけれども、この間の内航船の話じゃないですけれども、何か古い船を中国とかああいうところへ売って、そのぼろい船が日本海をよく通るんだそうですよ。日本で余り使い物にならぬような船が向こうから通ってくるということは非常に危険なことですので、ひとつしっかりとしたリーダーシップをとってもらいたいと思います。  時間があれですので、最後の質問をさせていただきます。大臣にちょっとお伺いを二点させてもらいます。  例のナホトカ号のことで国民は、皆さん本当にいろんな面で船の安全性というのを十分認識したと思うんです。そのときテレビでしょっちゅう出ますし、先輩皆さん方や同僚の皆さん方が視察にも行って大臣もしょっちゅう行かれた。そのときに高波、ちょうど季節柄ああいう大きい波で、大臣も非常に感じられたと思うんです。今、外洋で大量の油を回収できるのは私どもの名古屋の第五港湾建設局清龍丸一隻なんです。あとはみんな内海の船だけだったんです。今回ちょっと聞きましたけれども造船工業会が波の高さが四、五メートルまで大丈夫だという油の回収船運輸省に提言したそうですね。  そういう面で大臣、これは有事というか余り使っちゃ困るような話もあるんで、つくった方がいいのか財政的に非常に厳しいという御意見も多々私はあろうかと思いますけれども大臣の一遍考え方を聞かせていただきたい。  それからもう一点。今回の法改正はほとんど大型船関係ばかりです。先ほどちょっと触れましたけれども外国との関係や何かいろいろ合わせて私は今回は大きな意義があると思うんですけれども、時代に沿った感じもあります。ただ、小型船舶もそろそろこうした規制緩和の時期を大胆に見直す時期じゃないかなと私は思うわけであります。戸田先輩もいろいろ私にハッパをかけてよく言われておりますけれども、これは非常に大事だと私は思うのです。  そういう面では大型船舶が国家的な物を支えて、小型船舶が身近なものですから国民と密接したかかわり合いがあるということで、やはりそういう面ではお互い大型船舶小型船舶が両輪になってやっていくことが、海洋の安全だとかそれから海の美しさ、きれいさを求める重要なことだと思うのです。  質問はしませんけれども大臣は船の免許を持っていますか。
  17. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) いえ、持っていません。
  18. 鈴木政二

    鈴木政二君 また後で聞かせてもらいたいのですけれども、むちゃくちゃ忙しい時期だと思っていますけれども、落ちついたら小型船舶免許でも取れるのなら取ってもらって一遍肌で感じてもらいたいなという気持ちもあります。  今の二つ意見、御所見を古賀大臣にぜひ聞かせてもらいたいと思います。以上です。
  19. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 最初に、ナホトカ号重油流出事故委員長初め御出席委員先生方には大変御心配をおかけいたしましたし、また的確な御指摘、また御指導を賜りましたことを改めてお礼を申し上げ、感謝を申し上げたいと思います。  ただ、今先生指摘いただきましたように、私自身もそうでございますが、今回の事故運輸省といたしましてもいろんな問題点を検証する中で反省すること多々ございました。そうした反省を教訓といたしまして、今さまざまな問題点についてどう対応すべきなのか検討させていただいておりますけれども、その一つに、鈴木先生から御指摘いただきました油の回収船の問題があろうかと思います。  ただ、残念ながら、今先生もお話しになりましたように、今我が国で油の回収船と言える船は清龍丸一隻でございます。しかも、これもどちらかというと静穏な海域を対象として建造されております。また、しゅんせつと同時に使わせていただいている油の回収船でございます。そういう意味で、今回の事故教訓として、日本海のあの荒天の中ででも活用できる油の回収船、今具体的に波高四メーター、五メーターというお話がありましたけれども、正直言いましてぜひ検討したいと私自身もそう思います。  ただ、経済的な問題等もございまして、どう効率的に効果的にそういった油の回収船をつくることができるのか、こういうことも踏まえまして今運輸技術審議会の方で、三月五日から第一回目の会合を始めさせていただきましたけれども、検討させていただいているわけでございますが、その結果を踏まえまして、私といたしましてはぜひひとつ、本当に今度の事故重大性にかんがみまして前向きに取り組んでいきたい、こういう決意でおることを御承知おきいただきたいというふうに思います。  それから、我が国の海の問題で、大型船小型船の両面においての有効な活用という御指摘をいただきました。  御承知のとおり、我が国は四面が海でございます。また資源がございません。それだけにタンカーを初めといたしまして、海外から海を通じての資源海上輸送というものが非常に大きな分野を占めております。また同時に、国内的にも大小さまざまな船舶によります大量の貨物の流通というものを行わせていただいております。それが我が国の今日の経済に大変大きな役割を果たしているということはもう御承知のとおりでございます。それだけに海上における、また船舶における安全面、そしてまた海洋環境問題、こういったところに万全を期していくということは当然のことだと思っておりまして、今回提案させていただきました法案も私はそういう観点を踏まえた法案だというふうに認識をいたしております。  先生方の御理解と御指導をいただきまして、さらに船舶そして我が国海運、すべての面での安全と環境のさらなる保護に御指導いただければ大変ありがたいというふうに思います。
  20. 戸田邦司

    戸田邦司君 平成会戸田でございます。  本日は船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部改正ということですが、船舶安全法改正につきましては海運造船合理化審議会で検討されて、その結果を受けて今回の改正に至ったということでありまして、海運造船合理化審議会答申書もしっかり読ませていただきました。もとになりましたのは、千九百七十四年の海上における人命安全条約の一九八八年の議定書、それから千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約に関する一九八八年の議定書、この二つの一部改正議定書もとになっておりまして、それで、その中で検査と証書の調和システム、これを国内的に規制緩和ということもあって先取りしていこう、そういうようなことであったと思います。  よく考えてみましたら、この議定書は実は私が政府代表として採択書にサインしておりまして、中身は長いこと検討しましたのでよく知っているつもりでありますので、その辺の議論はきょうはできるだけ省略することにいたしまして、幾つか造船に関するあるいはナホトカ号関係議論をさせていただきたいと思います。  私は、昔答弁するのにはなれておりましたのですが、どうも質問するのにはなれておりませんで、この間時間をオーバーして厳しい委員長ににらまれました。きょうは時間の範囲内でスムーズに進めさせていただきたい、そう思っております。  まず第一に、昨年の通常国会でOECDの造船協定、これが外務委員会関係で承認されておりまして、それに関して運輸委員会で扱われたものは外国船舶製造事業者による船舶の不当廉価建造契約の防止に関する法律、ちょっと長たらしい名前になっておりますが、要するにこのOECDの協定というのは、これまた私も長いかかわりがありましたが、不当廉売によっていわゆるダンピングによって損害を受ける、それから政府助成によってフェアな競争ができない、そういうことがもとになっていたと記憶しております。  実は言い出しっぺのアメリカがこの協定の批准をしないというようなことで、協定がいまだ発効しない、そういうようなことになっているわけですが、その米国が最近になって協定の一部変更をする国内的な措置を含めて検討しているようなことをお伺いしております。その辺についてひとつ事情をお聞かせいただければと思います。
  21. 山本孝

    政府委員山本孝君) 造船協定をめぐる米国の状況を私どもの入手いたしております情報に基づき御説明いたします。  米国行政府は引き続き協定の早期発効を支持しておりまして、今月十二日に開催されましたOECD造船部会におきましても、米国代表団から米国の協定批准を可能とするところの国内の実施法案の議会通過を推進していく旨の説明があったところでございます。この実施法案内容につきましてはまだ明らかにされておりませんけれども、米国内には先生御案内のとおり、いわゆるタイトルイレブンと呼ばれる国内制度の存続を要望する声も大変強い状況でございますから、これに配慮したものとなる可能性があります。しかしながら、米国行政府は、この実施法案は現行協定の枠内のものとする意向を表明しておりまして協定テキストの修正を求めるものではない、このように説明をしております。  我が国といたしましては、今後とも造船業におけます公正な競争条件の確立の観点から、米国に対しまして同協定の早期批准を促してまいる所存でございます。
  22. 戸田邦司

    戸田邦司君 我が国もこの協定の協議に当たってはいろいろ国内的にも相当議論があったところでありますが、この協定に従って進めていこうというようなことでこの協定の受け入れを決めた経緯もありますので、ひとつ外務省その他可能な限りの場を利用して、アメリカに圧力をかけるといいますか要請していってほしいと思います。  次に、先般から問題になっておりますナホトカ号関係なんですが、これは今までいろんな議論がし尽くされてきておりますので、今後の事故防止対策、その辺に焦点を絞って幾つかお伺いしたいと思います。これは海上人命安全条約及び海洋汚染防止条約、両条約に深いかかわりもありますのでその点も踏まえながらひとつ御議論いただきたいと思います。  船舶の安全、特に先ほど取り上げられました老朽船の問題があるわけですが、我が国に入ってくるあるいは我が国船舶である、そういうような船舶じゃない今回のように第三国だけを走っている外国船舶、こういうものの安全確保という点を考えますとなかなか国際的に考えても効果的な手だてが非常に難しいというようなことが考えられます。そういったナホトカ号のような老朽船対策の実効性という点を考えますと、これを国際的にどういうふうに進めていったらいいとお考えになっておられますか。
  23. 山本孝

    政府委員山本孝君) 既に先生が詳しく御案内のところでございますが、船舶の航行の安全につきましては、御指摘のとおり海上人命安全条約いわゆるSOLAS条約によりまして船舶旗国、いわゆる船舶の登録国によって条約に定めますところの構造あるいは設備の基準への適合性を検査することという国際的な制度が定められております。また、船舶による海洋汚染防止につきましても、海洋汚染防止条約MARPOL条約により同様に定められておるところでございます。  しかしながら、先生指摘のように、旗国としての責務を十分に果たしていない国も存在するのは事実でございまして、国際的な基準は満足しないいわゆるサブスタンダード船が存在し、また老朽船サブスタンダード船が多い、こういうことも残念ながら事実でございます。  したがいまして、これらのサブスタンダード船対策としましては、まず旗国による検査の徹底を図ることが重要ではございますが、また寄港国に権利が認められておりますところの外国船監督いわゆるPSCの徹底強化を図ることも大変重要であろうかと考えております。したがいまして、これらの対策を強化するために国際海事機関IMOを通じて各国に働きかけを行うとともに、我が国においても旗国検査の徹底及びPSCの強化を図ってまいるということが重要であると考えております。
  24. 戸田邦司

    戸田邦司君 旗国規制ということになりますが、我が国のように法整備も十分されている、それから検査のシステムも完備している、そういうような国であると大体問題なく安全確保がされていると考えてよろしいんじゃないかと思いますが、発展途上国のような、自分のところの検査システム、いわゆる検査官を持っているかあるいは船級協会にきちっと委任するか、そういったことになると思いますが、その辺が十分でないと見られるような国に対してはどういうような働きかけが可能になると思っておられますか。
  25. 山本孝

    政府委員山本孝君) 御指摘旗国による検査を確実に実施いたすための施策につきましては、既にIMOのもとにいわゆる旗国委員会というものが設けられております。ここを中心としまして旗国が条約上の責務を適切に実施しているかどうか、これを徹底する趣旨でいろいろ案が検討されておったところでございますが、現在のところ多数意見といいますか主流になりつつあります議論は、旗国が自分の検査やり方について徹底した自己評価を行う、そういうことを義務づける、そういう制度の導入を図るべきではないかということで検討が進んでおります。  我が国といたしましても、こういった制度の導入は、十分に条約上の責務を果たしていない旗国に対してその旨を認識させ必要な自己改善の努力を促すこととなるというふうに効果があると考えておりますので、これを積極的に支持してまいりたいと考えております。
  26. 戸田邦司

    戸田邦司君 その自己評価のチェックというのはこれまた難題じゃないかと思いますが、その辺もあわせて、ひとつ漏れのないようにということをお願いしたいと思います。  関連で申し上げますと、いわゆる便宜置籍国、パナマ、リベリア、それからホンジュラスなどもありましたね。そういった便宜置籍国というのは自分のところに検査官がいるわけではない。それから、その船舶がそういう国の港には一度も入らない、できたときから死ぬまでほかの国を渡り歩いている、そういうようなことに相なるわけでありまして、そういう国は何をやっているかといいますと、船級協会にその検査をすべてゆだねていると。そこで、そういった国が船級協会をきちっと監督していかなければその点の確認がとれないというような状況がありまして、これは七八年の議定書のそもそもの検討の始まりでこの問題が取り上げられていたことを覚えておりますが、つまり、そういった船級協会もこれまた自分たちの直属の検査員じゃない人に検査をやらせているケースがあった、そういうようなことがあったわけであります。  そういう点から、船級協会の業務をきちっと監督していくチェックしていく、このチェックシステムがまた大事になってくるということですが、これまでの状況それからこれからどういったやり方をすべきかその辺についてちょっとお話しいただきたいと思います。
  27. 山本孝

    政府委員山本孝君) 先生の御指摘のとおり、海上人命安全条約等では、旗国が行うべき検査につきまして国がその責任を負うことを条件にしておりますけれども、船級協会等の代行機関に委任することが認められております。しかしながら、これも先生の御指摘のとおり、国によっては検査能力が不十分な船級協会に検査を委任したり、代行機関そのものに対する監督が不十分なものが確かに見受けられます。こういった状況を踏まえまして、IMOにおきましては、検査を委任する場合の代行機関の要件あるいは代行機関に対する国の監督内容を定めた指針、これは主管庁の代行業務を行う団体に対し権限を付与する場合のガイドラインというものでございますが、これを定めまして一九九六年一月から強制化をいたしました、  我が国といたしましては、IMOを通じましてこの指針の確実な実施を各国に求めていくとともに、問題のある船級協会につきましては、今後各国との協力のもとポートステートコントロールを重点的に実施するなどの対策を講じてまいりたいと考えております。
  28. 戸田邦司

    戸田邦司君 これまたチェックシステムをチェックするような話になりますので、各国に強く要請して手落ちのないようにということをお願いしておきたいと思います。  それから、老朽船事故防止対策に関しましては、IMOで既に検査強化のガイドラインをつくっていると、しかもそれを条約の中に導入して、それで実施しているということを聞いておりますが、その内容実施状況についてお話しいただければと思います。
  29. 山本孝

    政府委員山本孝君) 先生の御指摘の点は検査強化ガイドラインというものであろうと思いますが、これは一九八九年のアラスカ沖におけるタンカー座礁事故に伴う油流出事故等を契機として、油タンカー及びばら積み貨物船にかかわります一層の安全確保のために、船齢に応じ板厚計測、タンクの圧力試験及び損傷の生じやすい箇所について精密検査を強化するというものを条約化したものでございます。この検査強化ガイドラインは、これも一九九六年一月に発効いたしまして、国際航海に従事いたします総トン数五百トン以上の油タンカー及びばら積み貨物船に対しまして強制化されておりまして、我が国におきましてもこのガイドラインに基づき検査を強化して実施しておるところでございます。  我が国といたしましては、IMOを通じましてこのガイドラインに基づく検査の確実な実施を各国に求めますとともに、今般のナホトカ号流出油事故の原因究明調査等を踏まえて、今後さらにその強化について検討を行ってまいる所存でございます。
  30. 戸田邦司

    戸田邦司君 そういうガイドラインの実施につきましても、やはり各国間でかなりばらつきがあるということは否めない事実ではないかと思いますので、できるだけ内容の充実を図ってもらうというようなことについて、我が国ができることはやってやる、協力してやる、指導してやる、そういったことも非常に重要なことではないかと思います。  そこで、もう一つのテーマでありますPSC、先ほど鈴木議員からも御発言がありましたが、このPSCにつきましては、ヨーロッパサイドはパリMOUという組織がある、我が国もそういった動きに応じて東京MOU、メモランダム・オブ・アンダースタンディンクと言っておりますが、そういうことで太平洋地域をとらえて各国に同じようなやり方でPSCを進めていく、そういうような一つのグループをつくっておるということです。  特に、発展途上国が多い東南アジア地域を管轄する東京MOUというのは非常にこれから重要になっていくのではないかと思いますが、その活動状況、どういった仕組みでどういう活動をしているか、その辺についてひとつお答えいただければと思います。
  31. 山本孝

    政府委員山本孝君) 確かに、アジア太平洋地域の経済活動が活発化いたしますとともに、この地域に出入りする船舶の数が増大を続けております。一方、ヨーロッパあるいはアメリカにおきましては既に早くからポートステートコントロールを国際的な協力のもとに進めるという体制ができておりまして、こういった関係もあり、我が国あるいはアジア地域でポートステートコントロールを強化しないままもしも放置いたしますと、いわゆる非常に質の悪い船がこの地域に集中して配船されるおそれも考えられたところでございます。  こういったことを受けまして一九九四年四月から、アジア太平洋地域におきまして、先生指摘のような地域協力の行政取り決めといいますか、いわゆる東京MOUを実施しておるところでございます。現在、日本、中国、豪州、カナダ等十五カ国が参加しております。  これらの参加国のレベルはいろいろまちまちでございます。こういったことから、まず、東京MOUにおきましては、ポートステートコントロール実施方法あるいは基準、こういったものを標準化したり実施データの交換を行うとか、さらに進みましては、これらの地域から検査官の研修を受け入れて我が国ポートステートコントロールやり方の研修を実施する、こういったようなことを行っておるところでございます。来年度からは新たにポートステートコントロールの専門家を途上国に派遣いたしまして、現地で研修を実施することも予定しておりまして、こういった形で今後とも途上国におけるポートステートコントロール検査能力向上の取り組みを図っていきたいと考えております。
  32. 戸田邦司

    戸田邦司君 アジア太平洋地域については一九九四年からというようなことで考えてみますと、まだ立ち上がって間もない、こう言った方がよろしいかと思いますが、これは我が国でPSCを実施した場合に、その情報を各国に流してやる、特にこれから訪問するであろう港の政府に情報を提供する、あるいはその船が登録されている国に報告する、そういったことが重要になるだろうと思います。  そのほかに、地域間での情報の共有、交換、そういった世界的なネットワークがないとこれがうまく働いていかないというようなことだと思います。いわゆるブラックリストといいますかリストに載っているような船については各国とも注意して特にポートステートコントロールを厳しくやるというようなことになるかと思いますが、その辺の世界的なネットワーク構成という観点から考えての地域間の協力体制、連携体制、その辺についてひとつお話しいただきたいと思います。
  33. 山本孝

    政府委員山本孝君) ポートステートコントロールの地域協力につきましては、現在、ただいま御説明申し上げましたアジア太平洋地域のほかに、欧州地域十七カ国あるいは南米地域六カ国及びカリブ海地域の二十カ国というようなところでそれぞれ協力が行われておりまして、引き続き地中海南部あるいは西アフリカ、ペルシャ湾等においてもその新たな協力の枠組みが検討されていると伺っております。このうち特に欧州地域におきましては、一九八二年からパリMOUと呼ばれております地域協力に取り組んでおりまして、船籍国等ターゲットを絞ってポートステートコントロール実施するなど、アジア太平洋地域の協力体制の推進に大変参考になることがたくさんございます。  このような観点から、従来、パリMOUの会議に東京MOUの代表も特別に参加させてもらって両地域間の連携を図ってきたところでございますが、このような連携協力関係をさらに進めるために両地域のポートステートコントロール合同閣僚会議を平成十年三月に開催する予定でございます。今後、他の地域とも連携協力を図りまして全世界的規模でポートステートコントロールにかかわる協力体制構築を目指していく所存でございます。
  34. 戸田邦司

    戸田邦司君 そういうことになりますと、札つき船舶は世界どこに行っても排除される、そういうようなことになっていくんだろうと思いますが、ひとつその辺の連携がスムーズにいって相当の効果を上げられるようにということを期待しておきたいと思います。  ポートステートコントロールをして条約に合致していない、そういうときに出港停止処分にしたりあるいは領海外への退去命令、そういうことが可能になるわけですが、その場合にIMOに報告するというようなことがあったかと思いますが、それに加えて旗国への通報も必要だったと思います。そういう点から考えますと、旗国規制とポートステートコントロールの有機的なリンケージが大変重要になると思いますが、その辺については具体的にはどういうふうに考えておられますでしょうか。
  35. 山本孝

    政府委員山本孝君) 海上人命安全条約等におきます現在のポートステートコントロールの制度は、ただいま先生の御指摘のとおりPSCに、これはポートステートコントロールのことですが、PSCにより重大な欠陥が発見され航行停止等の処分を行うこととなる場合には、その船舶旗国及びIMOにその事実を通報することとなっております。この場合、船体構造の欠陥のように、PSCを実施した寄港国において短期間で是正できない場合には、寄港国から通報を受けた旗国は責任を持ってその欠陥を是正することとされております。  このような制度を前提といたしまして、PSCで発見されました船体構造の欠陥等について旗国により行われる是正措置を徹底させるためには、新たに逆に旗国から是正措置についてIMOへの報告を義務づける、こういう制度が有効ではないかと考えているところでございます。今後、このような制度の導入につきましてさらに検討を行ってまいりたいと考えております。
  36. 戸田邦司

    戸田邦司君 IMOの場で非常にリーダーシップを持っている日本政府の立場ですから、その辺はひとつ強く各国に訴えて理解していただき賛成が得られるようにというような働きかけが重要になっていくと思います。今までいろいろ議論していただいた諸点については、IMOで各国に訴えていかなければならないというようなことになると思います。  IMOにいろんな委員会があるわけですが、少なくとも海上安全委員会あるいは総会、そういった場で各国への周知徹底を図るということになると思いますが、これも可及的速やかにということが重要だと思いますが、具体的には次回、いっそういうようなアクションがとり得ると考えておられますか。
  37. 山本孝

    政府委員山本孝君) 次の、IMOでの海上安全委員会は本年の五月二十八日から開催が予定されております。これが一番早い機会でございます。ここにおきまして、旗国検査とPSCとの連携を図る制度につきまして検討されるよう具体的な提案を行いたいと考えております。なお、それに引き続きまして、例えば環境保護委員会であるとか総会、そういったところでも一連のものとしてこのような提案を続けていきたいと考えております。
  38. 戸田邦司

    戸田邦司君 そういった会議への出席の場合に非常に重要なのは、ここは大臣にもよく聞いておいていただければと思う点でありますが、えてして我が国の人事を見ておりますと、IMOを担当していくような人が非常に短期間でかわっていくようなケースも見られるわけです。きょう答弁を担当してもらっています海上技術安全局の例などを見ますと、幸いにも何度かそういうところに戻ってきてIMO対応をしているわけで、そういうIMOのような国際機関で考えてみても、顔見知りであるかどうかということがかなり各国説得に大きな影響を持っていると、私は自分の経験からそう思っております。そういったことで、大臣にもひとつその辺を強く御認識いただきたいというのが第一点であります。  それから第二点は、こういった海事関係国際条約になりますと、条約は一元的に外務省が扱っているといいますが、実は実質的には運輸省が全部やっている。これは海洋汚染防止条約もそうですし、この条約もそうです。それから今話題になっております油濁補償基金関係、そういったものもそういうことになりますが、その辺も大臣にひとつよく御認識いただいておきたいと思います。  運輸大臣質問するところが少なくて申しわけないんですが、次の点はひとつ運輸大臣にお考えをお伺いしたいと思っておりました。  ポートステートコントロールにつきましては先ほどもちょっと議論になっておりましたが、我が国体制が本当に十分だろうか。それで、来年度から専門的にそれを扱う人が出てきた。これは船の検査の問題だけじゃなくて、乗組員の資質の問題についても国際条約がありまして、それも対象になっているということでそういうような組織がえをしたというふうに聞いておりますが、それだけではまだまだ不十分ではないか。  例えばタンカーなどについては、オフショアターミナルと言っておりますが、沖合の荷役のポンツーンにつけて原油やあるいは精製油の荷役をやっている。そういうところにポートステートコントロールに行くにはやっぱり海上保安庁の協力も要るのか、あるいは自前で船を調達するのか、そういった点も必要になると思いますし、それから人員的にもまだまだ難しいのかなと私は思っております。  その辺について、再来年度予算の問題もありますし、大臣の心意気といいますかその辺もあわせて御意見をお伺いしておきたいと思います。
  39. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生は極めて専門家でございますので、非常に専門的な御論議を今いただいているのを私も必死になって聞かせていただいているところでございます。  まず最初にお触れになっておりますIMO等の国際機関における我が国の人材と申しますか、確かに先生おっしゃるように、国際会議等まず何よりも人と人との信頼関係だというふうに思います。初めて会う人たちに十分な意見を申し述べるということはなかなか至難のわざでございまして、また、それを聞いていただく相手方もそういう感じで聞いていただくというのは非常に難しいだろうというふうに思っておりまして、まず顔つなぎと申しますか人と人との交わり、交流というものをどう深めておくかということがまず基本だろう、これは私も全く同じでございます。  私ども大臣は早ければ一年以内でかわりますけれども、そういう大事なポストはやはりしっかりしたそういう人間関係のできる人たちにできるだけ働いてもらうということを基本にすべきだろうと。先生の長い間の御経験からの御指摘だと思いますが、私も全く同感でございまして、そういうことに気をつけてまいりたいというふうに思います。  また、PSC、ポートステートコントロールの問題、これは先生の長い間の経験の中で、今度のナホトカ号事故重大性にかんがみまして、まず老朽船を含みます国際条約に満たないいわゆるサブスタンダード船事故防止という観点旗国の徹底した検査ポートステートコントロールの必要性、こういった両面にわたっての先生の御指摘、御論議をいただいたところでございます。  とりわけ、ポートステートコントロールの今後のあり方については、今も御論議をいただいておりますように、平成九年度から専従の外国船舶監督官を新たに設置させていただくということで、一歩前進したのかなというような気がいたしております。  しかしながら、人員の問題それから今御指摘いただいたようなハード、ソフトの面、また、これからますますこの方面が進んでくるんではないかと思いますが沖合によるさまざまな荷役の問題等を考えてみますと、今度の外国船舶監督官の設置だけで喜んでばかりはいられないだろうと、ますます充実強化していかなければいけないという点は十分私も踏まえながら、平成十年度の概算要求の基本に考えさせていただきたいというふうに思っております。  しかし、いずれにいたしましても、ポートステートコントロールのあり方につきましては、今、東京MOU等の活動状況についても政府委員にお尋ねでございましたけれども、やはり国際的に協力をしていくということは極めて重要なことだというふうに思っておりまして、そういうことも踏まえながら、先生の御指摘を十分生かせるような体制の強化にさらに努力をしてまいりたい、そういう決意でおります。
  40. 戸田邦司

    戸田邦司君 運輸大臣から懇篤なるお話をお伺いしました。  大臣交代のときに、私はやめていきますが運輸大臣のOBとして何なりと皆さんのお役に立ちたいと、こういうことをおっしゃられますので、今からそういうことを言うのは大変失礼であろうかと思いますが、将来そういうこともあろうかと思いまして、ひとつ大臣その辺も重ねてお願い申し上げたいと思います。  きょうは、相原局長にせっかくおいでいただいていますので、最後に一問だけお伺いしたいと思います。  今の海洋汚染及び海上災害防止に関する法律、これはそもそもはオイル・ポリューション・プリベンション条約、海洋油濁防止条約というのがありまして、それに基づいて国内法を制定して、その後に海洋投棄関係を禁止するロンドン条約、さらにMARPOL条約、OPRC条約、さらに国際海洋法条約、そういったものを受けて今の形になってきたと思います。今度の海洋汚染防止条約改正に伴いまして今般の海洋汚染防止法の改正をすることになりましたが、その趣旨について最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  41. 相原力

    政府委員(相原力君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のように、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律は、大きな目的として油と有害液体物質それから廃棄物の排出の規制ということを目的としているわけでございますが、今回の改正は廃棄物の排出に関してでございます。廃棄物の排出については、排出海域とかあるいは処理方途について規制が行われているわけでございますけれども、現在、例えば違法な廃棄物の排出も相当程度出ておるということで、それに伴う事故等も起こっておる、こういう状況にございます。このような状況にかんがみまして、海洋汚染防止条約の附属書がございますが、その附属書のVが今回改正されたところでございます。今回の法律改正も、その附属書Vの改正に対応するものでございます。  内容につきまして簡単に御紹介いたしますが、船舶から発生する廃棄物につきまして、廃棄物の汚染防止規程を策定すること、それから二番目に廃棄物の記録簿を備えおくこと、三番目に法律の規制内容について船舶内へ表示する、この三つの義務を新たに課すものでございます。これによりまして廃棄物に関する規制を周知いたしますとともに廃棄物の処理について認識を高める、そういうことによりまして廃棄物の排出に関する規制の実効性を上げよう、こういう目的のものでございます。
  42. 戸田邦司

    戸田邦司君 ありがとうございました。
  43. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 限られた時間でありますので、なるべく簡潔に質問いたしたいと思います。  今回のナホトカ号の事件でありますけれども、めったにない事件ではあります。しかし、やたらと起こっては困る事件なんですね。  それで、今まで聞いた範囲内では、ナホトカ号の船体自体が大変にもう老齢で廃船に近い船だったということ、それから、船首の部分が日本に流れ着いたのでこれを詳細に調査してみると、鉄板も薄くなっておるということです。どのくらい薄くなっているのだか、ともかく、あの大きな船にしてはブリキ板みたいに薄くなっちゃっているんじゃないかと。だから、これが波の荒さに耐えられなくて結果的にはぼっきり折れて沈んでしまうということになったわけですね。  私は、やはりこういう問題については、大量の油が流れた、この油の汚染と同時に責任の所在がこれまた流れてしまったら困ると思うんです。今までのところ、この船の持ち主であるロシア側は、なぜ沈んだかということについては、船体が老齢になっていて荒天に耐えられなかったというふうな、責任をなるべく回避しようとしている。これは仕方がないんだ、悪いのは海が荒れたからだと、こういうような逃げ口上を使おうとしているんじゃないかという感じがするわけです。だけれども、そう言ってしまうと責任の所在があいまいになってしまうんです。私はやはり、こういうおんぼろ船を平気で使って、しかも重要な油を輸送していたという、そのことの道義的な責任というものを国としても十分に感じてもらわなきゃいけないと思うんです。  立場を変えて、日本の船がこんなことを引き起こしたら一体どうするかというんです。あれはおれのせいじゃない、波のせいだと言って逃げるわけにいかないと思うんですよ。だからその点で、ナホトカ号検査の結果、一体その荒天に耐えられるだけの強度を持っていたのかどうか、一体どのくらい摩滅をしていたのかそういったような検査の結果がある程度わかっておるんだろうと思いますが、その点をお知らせ願いたいと思います。
  44. 山本孝

    政府委員山本孝君) このナホトカ号の船首部でございますが、三月十八日に漂着した船首部の水中調査というものを実施いたしました。この調査の内容は、一つには船首部の部材の採取、鉄板を切り取るということ、それから二つ目が板厚の計測、三つ目が写真をしっかり撮っておく、こういうことでございました。  部材の採取でございますが、まずこの部材は今後ナホトカ号の船体強度を計算するために基本的なデータとして必要でございますので、この材料の特性を把握するために船底部及び船側部の一部を切り取りました。採取した部材は、加工といいますか実験ができるような形にした上で引っ張り試験等の材料試験を行う予定にしております。  さて、先生お尋ねの板厚の計測でございますが、計十五カ所の板厚を計測いたしました。これは外板の衰耗状況を把握する、こういったような目的でございますが、船体の船側外板とか船底外板、あるいは内部の骨材、こういうものについて超音波計測装置というものではかりました。その結果でございますが、おおむね二ないし三割程度板厚が減少していることが明らかになっております。しかしながら、今回の調査は、これは潜水調査でございましたために計測できない部分もございました。こういったことで、船首部を陸揚げした後にさらに板厚計測を行いまして、もう少し詳しく衰耗の状況を分析する必要がございます。  こういったような状況でございまして、この時点で原因が何であるかというのは、断定するにはちょっとまだ早いのかなという感じがいたしております。
  45. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 原因の調査を早くやらないと今後の対策が講じられないという気がするんです。年がら年じゅう四海波静かというわけにいかないんです、日本の周辺は、いつ何どきこれ以上の波が荒れ狂うおそれなしとしないわけですね。  そうすると、またまた同じようなことを繰り返すということになるとまことにだらしのない話なんで、だから、ナホトカ号については、これは仕方がなかったんだというふうな言いわけを許さないで、やはり船体に問題があった。問題がなければぼっきり折れて沈んでしまうなんということないわけです。だらしのない話なんですね、これは船とすれば。しかも、船長も犠牲になっている。人命の損傷もあった。助かった船員にしたって、日本海上保安庁の船がああいう荒海の中で必死の作業をしなければあの連中だってどうなったかわからないんです。そういう点を考えますとまことに危険な話だったわけですね。だから繰り返しちゃならないことなんです。  そこで、例えば国際的な相談をする場合に、一体どういうふうな点でこの種の事件を防ぐことができるか。そして、責任を回避しないで建設的に今後このような事故を起こさないためには、船舶検査というのはどのようにしたらいいのか。それに合格しない船は航海を許さないあるいは寄港を認めないといったようなことをやらないと、平気な顔をしてまたぼろ船が右往左往する、こういうことになるといけないと思うんですね。その点を今後防止するために一体万全の策はとれるのかどうか。  昔のことを思い出すと、戦後担ぎ屋というのがいろいろと活躍した時代があった。やみブローカーですね、あれが活躍した時代があった。大きな貨物を運ぶ船は、やみブローカーみたいにして規格外れの船を運航するということがもし許されたならばとんでもないことになると思うんです。  今回のナホトカ号というのは、その点では非常に大きな教訓になったというふうに思うんです。だから、この教訓を生かすためにどうしたらいいのか。これはもう日本だけの問題じゃないんだから、当事国のロシアはもちろんのこと、日本の近隣の国、あるいは船舶の形態もいろいろあります。船の籍は日本にはないけれども、いろんな形でもっていろんな船が走っているのは事実ですからね。  そういう場合に責任の所在がわからない、あいまいにされるということが一番困ると思うんです。だから、油と同様に責任の垂れ流しも許さないという方針を法律的にも確立しなけりゃならぬだろうという気がするのでありますが、その点は特に運輸省としてはどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  46. 山本孝

    政府委員山本孝君) 先生の御指摘のような問題を解決する対策といたしまして、まず国際的な枠組みでございますが、いろいろな条約がございます。例えば海上人命安全条約というのがございますし、海洋汚染防止のためには海洋汚染防止条約というのがございます。また、船員などの安全運航を確保するための条約もございます。こういった条約を徹底して守らせる責任は、一義的にはその船の登録国である旗国というものが責任を持って安全確保をするということになっております。  仕組みといたしましては、そういう国が検査をいたしまして、これに合格いたしました場合には、条約証書と私ども言っておりますが合格した旨を記した書面を持たせて、どこの国に行ってもその船は合格しているから入れてやってくれと、こういうことでわかりましたと、こういう格好で入港を認めるという仕組みになっております。  先生の御指摘のように、実際は検査をやる能力がない国があったり、あるいは能力のないところに任せてしまったという実態が残念ながらあるのも事実でございまして、そのような場合には、今度はもう一つ別の国際的な仕組みといたしまして、そういう船の入港を受け入れた国、その国がみずからその船に立ち入って事実上の検査を行う、これがポートステートコントロールでございます。これは各国、入港を認める国の権利としてそれぞれ先ほど申しましたような国際条約の中にうたわれております。この仕組みを利用いたしまして、基準に満たない疑いのある船舶が参った場合にはこれを検査するということになっております。  この際に、一国でこの検査をやってもなかなか徹底いたしませんので国際的な協力関係をつくりまして、そこで例えばいわくつきの船はブラックリストとして情報を交換するとか、あるいは成績の悪い国の船は重点的にポートステートコントロールを各国で行うとか、こういったことで安全の向上を図る、こういう努力をする道がございまして、これは現在行っているところであります。  実際これでもまだ不十分な場合がございますので、さらに今後の問題としては、そういったようなよその国でポートステートコントロールをされて、どうも怪しいと言われた場合、その通報を受けた国は、自分の旗国としての責任でその船舶に必要な修繕を命ずる、その結果を国際機関であるIMOに通報する、こういう制度を新たに設けてはどうかということもこれから提案して検討してもらいたいというふうに考えているところでございます。  それにつきましても、今回ナホトカ号事故につきましては、まだ科学的な原因究明というものが終了しておりませんので、その事故原因の究明を鋭意進めまして、その結果に基づき、これは私の方からこの事故の原因をこうであるという示唆を今申し上げるわけにはまいりませんけれども、仮に老朽化が原因であるということがわかった場合には、またその対策を改めてIMOに提起して、こういったことが二度と起こらないような対策をとる、そういう方向で対処してまいりたいと考えております。
  47. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国際的にやはりはっきりとした形でもって責任の所在を明らかにするということも必要だろうと思います。  それから、必ずしも老齢であるというふうに断定できるかできないか、これはわかりませんけれども、今までの検査の結果を見ると老齢もいいところなんですね、もう二十七年ですから。それが荒稼ぎをやっているんです。やはり犬や猫だってもう生きられませんよ、二十七年も。もう完全にぽんこつなんです。それを荒稼ぎさせていたということは、事実の究明はいろいろ問題があって簡単にはできないかもしれないけれども、結論を出して責任の所在を明らかにする、そしてそれに基づいて対策をがっちりと組んでいただくということが必要だろうと思います。  それから、こういう油汚染なんかに対応できる船もまことに少ないわけですね。海上保安庁自体ではとても手が届かないというようなことになれば、仕方がないじゃこれはまた済まない。海上自衛隊の方にも、やはりその点は何とか協力をしてもらうといったような手だてを考える必要もあるだろうと思います。これはどこそこの縄張りの問題じゃないんです。海洋日本の問題でありますから、それらの点も外交的にも十分に考えて対処していただきたいといったようなことを私の方では希望したいと思いますが、大臣の所見をお伺いいたします。
  48. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生がおっしゃっていただいていますように、今回のナホトカ号事故に関しましては船籍側でありますロシア国の責任というのも、今、日ロ一緒になりまして原因究明の調査を鋭意やっているわけでございます。当然、その結果を踏まえてでございますけれども、いずれにいたしましても、荒天の中とはいえあのような折損事故というようなのは到底尋常では考えられないわけで、先生みたいに私もぼろ船とは今申し上げることはできませんけれども、まさに調査結果が出てからの話でございますが、調査結果を踏まえまして、やはり船籍側でありますロシアの国にもそれなりの責任を感じてもらうということは私は当然のことだと思います。  また、そういう形態がとれるように国際海事機関等がどう役割を果たしていくかということも、今政府委員の方で御答弁申し上げておりますが、さまざまな考え方があろうと思いますので、改善していく必要があるというふうに、今回のナホトカ号事故重大性にかんがみまして私自身そう痛感をいたしておるところでございます。  なお、いろいろな政府関係機関の協力につきましても、今検討委員会の中でこれだけの外洋での大規模な油汚染の事故に対しまして、例えば鈴木先生がおっしゃっていたような荒天の中での油回収船を含めまして、海上自衛隊等との、政府の関係機関との連携、こういったものがどうあるべきなのか、総合的な検討を早急に進めて結論を出していきたいというふうに思います。
  49. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ぜひこのナホトカ号の事件というものをうやむやに済まさないで、教訓として今後に生かしてほしいということを私の方から希望いたしまして、質問を終わります。
  50. 竹村泰子

    竹村泰子君 きょうは船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部改正ということで審議をしているわけですが、当然のことながら、現在非常に問題となっておりますナホトカ号の油汚染の問題にちょっと集中しているというふうに思いますが、私もいろいろな観点から少し質問させていただきたいと思います。  私も、環境委員会などで国際的な問題となっておりますPOPS、難分解の有害化学物質ですかそういったことについては何回か質問させていただいておりますが、海洋汚染は今や国際的にやはり非常に深刻なことであるというふうに思います。  最近、私の地元の北海道では、同僚の議員から話題になっておりました、老朽化したロシア船の入港、海難がそろってふえてきております。小樽にあります一管本部がまとめました数字を挙げますと、九二年から九六年までの五年間の一管管内のロシア船の入港状況は、九二年二千七百三十三隻、九三年三千二百六十七隻、九四年四千五百十三隻、九五年は何と六千五十六隻、九六年七千六百八十一隻というふうになっておりまして、一管管内のロシア船海難隻数は五年間でこれも三十三隻という多さでございます。外国船海難隻数全体の四五・八%を占めている。私の住んでおります北海道の海が危ないということで、きょうは少しく御質問したいと思います。  大臣御存じと思いますけれども、九四年六月、根室市双沖の沖根婦漁港沖でロシア貨物船マルスが座礁しました。本来ならば、座礁した場合、撤去費用などを含めて船主が自前で処理をするのが当然なんですけれども、このときはロシア船側との交渉が非常に難航いたしまして、現場海域の昆布漁場で被害がどんどん拡大をしていったということで、そこでもう根室市が主体となり撤去作戦を展開し、船体撤去費用は市が負担したという海難事故でありました。また、九四年十一月の稚内沖合の野寒布片で座礁しましたロシア船籍のタグボートの例もまた撤去作業等の交渉が非常に難航し、一千三百万円にも及ぶ追加費用の処理問題いまだ未解決という現状がございます。  これらの例から、座礁船によって漁業被害などを受けながら後始末まで押しつけられている道内自治体、漁業関係者の悲鳴が聞こえてくると思います。大臣、これらのことをお聞きになってどんなふうにお思いになりますでしょうか。
  51. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の郷里北海道とロシアの国とが極めて近い位置にあるということが一番大きな原因なんだろうなというふうに思いますが、これだけ急激にロシア船によります出入港、また海難事故が起きているというのを改めて認識を新たにさせていただいたところでございます。  今、具体的な例で一、二まだ船主側との交渉等が進んでいないというお話を聞かせていただきまして、あくまでも船主側と被害者との民事上の問題ではありますけれども、大変深刻なお話だということで認識を新たにいたしました。
  52. 竹村泰子

    竹村泰子君 私もこの数字を見ましてびっくりしたんですが、六千隻、七千隻という船、しかも老朽な船が入港しているということで大変驚いたわけです。  そこで、外務省にお聞きいたしますが、これらの現状を受けて北海道は九五年十一月、外務省にロシア船の座礁問題に関する要望書というのを提出しております。それは、ロシア政府に対して、所有者の責任による座礁船の早急な撤去を指導するよう強く求める、それから二番目に海上災害の未然防止対策に万全を期すよう申し入れる、それから船舶保険の加入促進を指導する、この三点の要請をいたしました。九五年十一月ですから二年未満の前ですが、どのように対処されましたでしょうか。
  53. 齋藤泰雄

    説明員(齋藤泰雄君) 政府といたしましては、座礁事故のために北海道沿岸等に放置されておりますロシア船につきましては、外交ルートを通じましてこれまでも累次にわたりロシア側に対し早急な撤去、座礁放置の再発防止及び船舶の保険加入促進方を申し入れてきているところでございます。  先生指摘の要望書を外務省がちょうだいしました時点におきまして、北海道沿岸には貨物船ドルジュバ、タグボートMB368号及び貨物船マルスのロシア船三隻が座礁したまま放置されておりました。我が方より引き続きロシア側に対しまして船舶の撤去につきまして申し入れを行った結果、マルスにつきましては九六年三月、MB368号につきましては九六年五月にそれぞれ撤去された経緯がございます。残るドルジュバにつきましても、今後とも機会をとらえてロシア政府に対し申し入れを行っていくこととしたいと考えております。
  54. 竹村泰子

    竹村泰子君 老朽化したロシア船の道内入港がふえ続けている現在、海難事故の危険は減らないところかむしろふえていくのではないかと危惧しています。今回のナホトカ重油流出事故のような大事故に対する備えについては、北海道内の官民機関が保有する油回収船四隻、油回収装置十二機、オイルフェンス六万九千九百三十九メートルとなっているんですけれども、備えは備えとして、このような万一の事故が起こる前に、できる限り予防策と申しますか危険船の排除に向けて努力すべきだと考えます。  けさ私、ちょっとテレビのニュースを見ておりましたら、八九年でしたか、ノルウェー沖にロシアの原子力潜水艦コムンモーレッツ号ですか、これが七年を経過してまだそのまま、原子炉もそのまま沈んでいると、魚雷の中にもプルトニウムが装てんされたまま沈んでいる状態で、今このプルトニウムの回収に向けて動き出したというふうなニュースを言っておりましたけれども、こういった危険船の排除に向けて、大臣もいろいろ今回の事故でもお考えと思いますけれども、どんなことが対策として今運輸省としては考えられるんでしょうか。
  55. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御承知のとおり、今回の重油流出事故の被害の甚大性を考えてみますと、何回も御答弁申し上げておりますが、今いろんな角度から問題点を検証いたしまして反省するところは謙虚に反省をし、教訓等生かしながら、今後どういう対応を体制として整備していくかということで今それぞれの機関で御検討いただいているわけでございます。  まず、今も各先生方から御論議をいただいておりますように老朽船対策というもの、これは旗国における船舶の徹底した検査、それから今も御論議いただいておりますポートステートコントロールを強化して国際海事機関の中でどう生かしていくか等々、これらの問題について検討していくということが一つ大事な問題であろうというふうに思いますし、また一方では、こういう油の流出事故が起きた場合にその防除体制というものの整備というのも極めて重要なのかなというふうに思っております。  とりわけ、今我が国の防除体制の中では静穏な海域を中心とした油回収船であり、資機材でございますので、北海道を含みます外洋での、しかも大規模な油汚染事故というものに今の整備体制で対応ができるかどうかということになると、鈴木先生の御答弁でも申し上げておりましたような回収船の問題、また荒天の中での今の資機材の問題、活用の問題等ではなかなか不可能だろうというふうに考えております。  そういう問題点を含めまして、三月五日、第一回の会合を開かせていただきましたけれども運輸技術審議会の方で総合的な整備について今御検討いただいておりますので、早急にその答申を踏まえまして、政府といたしまして、また運輸省といたしましてその先頭に立ってあらゆる角度からの防除体制の整備に全力を尽くしていきたい、そういう今決意でおります。
  56. 竹村泰子

    竹村泰子君 ありがとうございます。  先ほどから多くの議員のお話に出ておりますIMOにおいてのポートステートコントロール、近年大型船舶の海難が増大していき、その船舶の多くがいわゆる旗国による監督が不十分と言われる、各種の海事条約の基準に適合していない船、サブスタンダード船というんですか、であったことからサブスタンダード船排除の機運が高まってきた。旗国政府による監督だけではなく、寄港国による監督が非常に重要視されている。場合によっては寄港国が外国船への立入検査実施して、出港禁止などの処置をとることが重要となってきております。  先ほど同僚議員の御質問にもありましたが、本年四月から、従来の船舶検査官船員労務官に加えまして外国船舶監督官を新設して全国に配置されると、たしか全国で四十六人、そのうち五人が北海道に配置されるというふうにお聞きしておりますが、具体的に何をやる方たちなのですか、少し詳しくお伺いします。
  57. 山本孝

    政府委員山本孝君) このポートステートコントロールでございますが、具体的にどのようなことを行うかを申し上げますと、まず外国船舶の入港情報というものをつかむ必要がございまして、そこから入るわけですが、どんな船がどこに入っているかというのをつかんで、この船がポートステートコントロールを行う必要性の高い船であるかどうかを判断いたします。  その後、今までのやり方ですと船舶検査官あるいは船員労務官、その合同チームといったようなところで船に立ち入りまして、まず、所有していなければいけないはずの条約証書というものを持っているかどうかそれが有効であるか、つまりきちんと検査を受けた上で発行されていると見てそのように判断されるか否か、どこか構造設備に欠陥はないか等を探すわけでございます。  その後、どこかに条約の基準に適合していないと目されるところがあります場合には、まず第一にそこを修理しなさいという適合命令というものを出します。それに従わない場合は、究極の権限といたしまして、この船舶を直すまでこの船舶を航行停止処分にする、こういうことになっていくわけでございます。  こういった業務をするために、これまでですと全国で二百五十名の船舶検査官及び百五十名の船員労務官が今申し上げましたような業務実施してまいったわけでございますが、平成九年度からは、先生御案内のとおり四十六名のこういったポートステートコントロールを専門に行う人たちを配した組織を新たにつくりましてこの業務の徹底を図る、こういう趣旨でございます。  業務内容は以上でございます。
  58. 竹村泰子

    竹村泰子君 いろいろな観点からのお仕事があるんだと思いますけれども、ヨーロッパなどに比べて検挙率といいますか臨検率といいますか、非常に低いというふうに聞いておりますけれども、その確立を目指してぜひ頑張っていただきたいと思います。  先ほど私が申しました、自治体がみずから乏しい財源の中から身銭を切ってそういった撤去をしなきゃならないような状態、これはいかにも国の貧しい施策なのではないかというふうに私は思えてならないのですけれども、自治体からは、せめて撤去費用も含めて最終的には国が責任を持つような仕組みをつくってほしいということ。しかし一方で、日本側でこういう制度をつくってしまうと、たとえ座礁事故を起こしても最終的には日本政府が面倒を見てくれるというので、ますますロシア側の無責任体制を助長するのではないかというような御意見。  自治省はきょうおいでいただいていませんが、自治省では特別交付税で座礁船の処理ができるように省令の一部を改正しておられるというふうに聞いていたり、いろんな御意見があるし、いろんな施策も考えておられるようでありますけれども、きょうの法律は、日本船舶の安全な航行、そして日本船舶が排出する廃棄物の海上災害防止とか、そういったことに関する法律でありますが、今こういう法律改正をなさるのであれば、今回の事故のようなことに国がどう対処するか私はもう一頑張りしてほしかったなと、まあ準備が早くから事故の前からずっと進んでいたのでしょうが、しかし残念に思うわけです。  私は、きょうは最後に、先ほども話題に出ておりました八九年にアラスカ沖で起きたエクソン・バルディーズ号座礁原油流出事故、この事故を契機にアメリカは九〇年八月に米国油濁法というのを成立させているんですね。流出事故防止と対応能力の増強をこの法律で、世界で最も厳しい法律と言われているくらい厳しい法律をつくった。海運・石油業界は激しい反対運動を展開したそうですけれども、政府のイニシアチブで抑えだということです。このバルディーズ号は、御存じのとおり原油約四万二千キロリットルが流れ出し、総延長千七百五十キロメートルの海岸を油で汚染したという大変な事故でありました。  このアメリカの油濁法の最大の特徴は、緊急計画の策定、連邦政府の国家レベルの計画に基づいて州、市レベルも行動計画を持ち、緊急出動の体制や研究開発の推進というふうになっておりますが、外務省は何か具体的な、もう少し詳しい油濁法の情報をお持ちでしょうか。
  59. 山本忠通

    説明員山本忠通君) 先生指摘ございましたように、九〇年八月に成立いたしました油濁法は、損害補償、防止対策を含む包括的な内容でございまして、流出事故が起こった場合に、今はだれに責任があるのか、どのような場合に責任を負うべきか、また賠償対象となる損害、除去費用、支払うべき責任限度額、さらに船舶の所有者など関係者が加入すべき原油流出責任信託基金についても規定しておりますし、またタンカーの二重船殻構造を義務づけるなどの防止対策についても規定してございます。  それからまた、法律の成立当初は油濁事故発生時の国家的対応、除去体制についても規定があったようでございますけれども、これは今、水質汚染防止法に組み込まれているというふうに承知しております。
  60. 竹村泰子

    竹村泰子君 時間がなくなってしまいましたので詳しくはあれできませんが、この行動計画の中に、あらゆる地点での事故を想定して、そして油の進行方向や変質状況などシミュレーションをする。そしてさらに、船主、石油基地管理者など責任者の賠償責任を広範囲に問う。そして新造タンカーの二重構造化の義務づけ、これは実施されているようですけれども。それから、事故船から油を回収して別に派遣したタンカーに移動するとかそういう詳しいシミュレーションをきちんとつくっている。陸上ではまた、油回収の専門家や業者が行動計画で定められた場所、時間に出動すると同時に、資材を配備。水面上約五十センチの高さのオイルフェンスの到着とか、そういうことを詳しく述べております。  私は本当に、沿岸の住民や漁業関係者の方たちが手で油をすくったり石を磨いたり、ああいう姿を見るにつけまして、やはり大臣日本近海での油災害に対する危機意識が私たちは乏しかったのではないか。さっきから申し上げているように、日本海にも大変な数の老朽ロシア船などが横行しているというところを考えますと、やはり事故対応マニュアルを緊急に、ぜひ大臣御在任中に基礎をつくっていただきたい。そういうふうに思いまして、私の質問を終わりますが、大臣、一言どうぞ。
  61. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 在任中ということになればこれは大急ぎでつくらなければいけないという気がいたしますけれども、今、先生指摘いただいたように、確かにアメリカにおきましてはアメリカ独自の外交政策から米国の油濁防止法というものを実はつくっているわけでございます。その中には、今先生がおっしゃった緊急防災計画の中でさまざまな点についてマニュアルをつくらせているのは私も承知いたしております。  しかしながら、我が国といたしましては国際社会との調和という立場をとらせていただいているところでございますので、中身について今後体制整備の中には十分検討し入れていくもの、また参考にしていかなければいけない問題点はたくさんあろうかと思いますので、十分検討させていただきたいと思っております。  なお最後になりますが、今、先生指摘いただきましたように、今回の重油流出事故によりまして、初動態勢だとか油に対する危機管理の問題等問題点について、さらに私どもの整備体制が極めて希薄だった点というものも十分反省いたしております。今後、先生の御指摘等また今回の事故教訓を十分生かす体制を整備していきたいということをお約束させていただきたいと思います。
  62. 竹村泰子

    竹村泰子君 終わります。
  63. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 まず私は、船舶安全法についてお伺いします。  今度の法改正によって、外国で建造される日本船舶についても製造検査ができるということになったわけです。これ自体は船舶安全性確保ということで結構なことだと思います。ただ問題は、そのことによって新たな問題は出てこないのかという心配をするわけです。  といいますのは、なぜこういう改正が行われたかというと、その背景には円高などを理由に外国で建造される日本船舶が増加していると、現に韓国や中国あたりでは日本の製造コストに比べて約半分以下だというふうにも言われております。そういうときに、これ自体は結構なことだと思うんだけれども外国建造地で建造される日本船舶に対して製造検査ができるということになれば、これは日本造船業、特に中小造船業に対して影響は避けられないんじゃないかという危惧を抱くわけですけれども、まずこの点いかがでしょうか。
  64. 山本孝

    政府委員山本孝君) 今回の船舶安全法改正は、先生御案内のとおり、海外で建造される船舶についても製造検査受検することができるようにするということによりまして、海外日本船舶を建造する場合でも、日本国内の場合と同様に建造工程に合わせて効率的に検査を受けることを可能とするものでございます。  一方、今後海外において製造されます日本船舶が増加するか否かこれは先生の御心配の点でございましたが、確かに造船業の国際競争力、すなわち各国造船事業者の技術力あるいは為替レートの動向、良質な舶用機器を供給する舶用工業の存在等さまざまな要因がございまして、それにより総合的に決まるものであると考えております。すなわち、製造検査受検の可否がこれを左右するというものでは実はないと私どもは考えております。
  65. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 外国での製造検査によって影響はないというふうにおっしゃったわけですけれども、しかしこれまで外国建造地での製造検査はできなかったわけですね。例えば、ヤマハなどのプレジャーボートの大手メーカーが当然コストの安いアジアなどに進出していく、そこで製造検査を受けるということになれば、これはこれで大手メーカーにとっては当然メリットがあるわけです。したがって、やはりこういう影響が出てこないのかどうなのかということは、運輸省としてはよく把握しておく必要があるし、もし影響が出てくるということになれば、当然必要な国内対策もこれは運輸省として考えておく必要はあると思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  66. 山本孝

    政府委員山本孝君) 現状におきまして、海外で製造されて日本船舶として輸入されてくる船舶は、確かに先生のおっしゃるとおりいわゆるプレジャーボートといいますか小型の船舶には大変たくさんございますが、この製造検査を現実に受検するであろう船舶というものは実は小型の船舶ではございませんで、例えば船舶安全法で国内で強制的に製造検査をやるのを義務づけているものが三十メーター以上の船である、こういうことを見ていただきましてもそれなりの大型な船だろう、こういうことでございます。こういう船舶につきまして、確かに現在海外での製造実績はぼつぼつございますけれども、今後、私ども承知しているところではそれほど急激にふえていくという情勢にはないというふうに認識しております。  もちろん先生のおっしゃるとおり、これによって急激にどんどんふえていく、私どもはそういうことはないとは考えておりますが、実態としてそういうことが出てくるという場合には当然それなりの対策というものは必要になるかと思いますが、先生御案内のとおり、もともと造船業を含めまして我が国は開かれた国際市場ということを志向して政策の柱にしておりますので、今のいわゆる非関税障壁的な形で国内市場の囲い込みを図るような効果を残すというのは、私はこれまた適切ではないんではないかと考えております。
  67. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いま一つ検査体制上の問題について伺いたいと思うんです。  伺いますと、今海外検査、これは定期検査ですけれども、九三年が三百九十四隻、九四年が四百六十九隻、九五年が四百七隻、四百隻前後という実績になっていますね。日本での検査はどうかといいますと、この三年間で見ますと製造検査が三百隻台から四百隻台。それ以外に、定期検査が七千隻台から六千から五千、中間検査がやはり九三年が七千百八十、九四年が六千四百七十、九五年が五千八百七十。六千から七千前後の中間検査定期検査、四百隻前後の製造検査、それでこの上に今後海外での製造検査が加わってくる。これは相当な検査数だと思うんですよ。  そこで、船舶検査官の数、そして船舶検査にかかわる予算、この二、三年どういうふうになっているか、お伺いしたいと思います。
  68. 山本孝

    政府委員山本孝君) 船舶検査にかかわります予算の推移でございますが、本省、地方合わせて申し上げます。  この五年間の推移ということで申し上げますと、まず平成四年度が一億三千五百四十万六千円、五年度が一億三千六百二十九万三千円、六年度が一億三千七百九十七万円、七年度が一億三千九百六十万四千円、八年度が一億四千七十五万三千円、このようになっております。
  69. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 検査官の数も聞いたんだけれども検査官の数が九三年度で二百四十六人、翌年が二百四十四人、二百四十三人と若干ですけれどもふえるんじゃなくて減る傾向にある。  製造検査というのは通常の定期検査とか中間検査と違いますね。製造過程を検査していくわけですから、例えば溶接部分のチェックであるとかあるいはエンジンの組み立て前の検査、これもある。したがって、この検査をやろうと思えば検査官がいわば常時立ち会うということになるわけですね。常時といったって毎日じゃないけれども。  聞いてみますと、国内での製造検査期間というのは平均一月半から二カ月半程度を要している。この間に一週間ずつ二回ぐらい入るとかいう形でやられているわけですね。ですから、これは相当手間暇かけた検査というのが製造検査ということになると思うんです。これは外国で建造される場合にも、製造検査である以上、当然国内と変わらない検査をやっていくということになると思うんです。  ところが、今聞いてみますと、国内検査でも旅費などの予算が足りないということで、これは旅費が足りないのかどうか知りませんが、予算が足りないというのでなかなか十分な検査をやるのが大変だというのが実情だと。恐らくそうだと思うんですよ。いやいや、もう検査の予算は余っているんだ、だから検査する必要がないところまで行っているんだというようなことはないはずなんです。これはかつかつだと思うんですよ、プラス外国でやろうとするんですから。  そうしますと、これは当然必要な予算を組む、必要な人員も確保するということが必要になると思うんですけれども、決してぐるじゃないんですけれども、いかがでしょうか。
  70. 山本孝

    政府委員山本孝君) 先生御案内のところでございますが、現在海外における日本船舶検査につきましては、一つ方法として、シンガポール等六カ所に船舶検査官を駐在させまして検査を行わせております。またもう一つは、必要に応じまして日本から船舶検査官を派遣することによってこれを実施してまいっております。当面は現在の体制により十分対応できるものと考えておりますが、今後、海外も含めた検査体制の整備につきましては、私どもも万全を期してまいりたいと考えております。
  71. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今の体制でやろうということで、やはり船舶安全性にかかわる、これは人命にも直接かかわる問題ですから、もちろんある合理化は必要でしょうけれども、このことによって検査が手薄になるということは絶対に避けていただきたい、こう思います。  次に、海防法関係について伺いたいんですが、海防法の第四十三条の二に基づいて排出油防除計画というのが立てられてきました。これは十六の海域に分けて排出油防除計画が立てられてきたわけですけれども、私、資機材の保有状況そして整備目標、これ十六の海域全部読ませていただきましたけれども、率直に言って全く実態に合わないと、厳しい言い方になりますけれども随分気楽な整備目標だというのを感想として持ちました。  十六の海域の排出油防除計画を見ますと、驚いたのが、東京湾、伊勢湾、大阪湾・播磨灘、瀬戸内海東部、瀬戸内海中部、瀬戸内海西部、九州北部沿岸、山陰沿岸・若狭湾、九州南部沿岸、この九海域について排出油防除計画は何と書いてあるかというと、「油回収能力はほぼ満たしている」とこう書いてあるんですよ。山陰沿岸・若狭湾海域といえばあのナホトカ号の油流出で大被害を受けた海域です。一体どこから「油回収能力はほぼ満たしている」という整備目標の計画、こういう結論が出たんでしょうかね。
  72. 大森寿明

    政府委員(大森寿明君) 委員指摘の排出油防除計画のことでございますが、御指摘のように全国を十六に割りましてそれぞれにつくっているわけでございます。  それで、それぞれの計画の中でどのように必要な資機材の量を想定するかということでございますけれども、例えば港の中でタンカー事故が起きるというような場合に考えられるのは、そこで一番大きなタンカーが入ってきた場合に起きる事故を想定してその際にどのくらいの油が流れるんだろうか、その際に必要な資機材はどうだろうかということでその場所場所によって変わってくるわけでございますけれども、そういう想定のもとに計画をつくるわけでございます。したがって、今申し上げたのは、計画についてはそういう想定でできているので妥当なものだろうと、これは関係者からいろいろ聞いてつくっているわけでございまして、そういうことでございます。
  73. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 妥当なものだといったって妥当じゃなかったじゃない、これはもう事実が何よりも雄弁に物語っているのでね。  しかも、気楽なことだけ書いているかというとそうでもないんです。一方では、波浪、波によって油回収装置の回収能力が三分の一以下になることもあると、ナホトカ号のときには三分の一以下どころか打つ手なしという状態になったわけですがね。あるいは、排出油は二、三日のうちに非常に粘度が高くなるため回収が困難となる、二、三日が勝負だということも書いてあるんです。  だから、私罪が深いと思うんですよ。つまり、わからなかったからこういう整備目標で、あるいは保有状況でほぼ油回収能力は満たしていると、これはわからなかったら仕方がない。しかしわかっていたんですよ、冬の日本海がどうなるか、別にことしの冬だけが荒れたわけじゃないんですから。ですからわかっていた。わかっていたけれどもこういう計画を立てて、そして関係者の今意見を聞いたと言うけれども、どんな関係者か知りませんけれども、ほぼ回収能力を満たしていると、これは責任重大だと思うんですよ。  それじゃ私聞きますけれども、あなたは妥当なものだとおっしゃったけれども、今でもこれは妥当なものだと思いますか。
  74. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生から御指摘いただいているように、今度のナホトカ号で、この十六海域におきます排出油の防除計画というものが問題点の検証の中で極めて反省しなければいけない点が多かったかということは十分承知をいたしております。確かに、今政府委員が御答弁申し上げましたように、それぞれの条件また環境というものを考えながらこの十六海域の中で整備体制をつくらせていただいたということはそのとおりだと思いますけれども、現実としてこれだけの甚大な被害が起きたということは、結果としてこの整備体制というものに欠陥があったということは反省しなきゃいけないと思っております。  しかしながら、私は、危機管理というのはこうした検証の中で改善をされていくものだということにもぜひひとつ御理解をいただきたい。それに甘えるわけではございませんけれども、それだけに今度の事故重大性にかんがみまして、私どもといたしましては、あらゆる点で検証をし反省をしそして防除体制を整備していくという意欲と決意に燃えているわけでございますので、どうぞひとつそういう点でまた先生にも御指導いただければ幸いだというふうに思います。
  75. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、大臣から御答弁がありましたけれども、こういう計画で、しかも整備目標を達成していないんですね。運輸省の方で、十一管区でどれぐらいを達成しているか、管区ごとに油回収能力で見ますと、この事故があった関係海域、第九管区、第八管区、この不十分な整備目標ですら達成率は油回収能力ですが第九管区が三六%です、第八管区は八〇%。十一管区のうち七管区がこの不十分な整備目標にすら到達していないというのが現状です。  ですから、今大臣おっしゃったように、仏つくって魂入れずという言葉がありますけれども、排出油防除計画は立てたけれども、しかし中身ができなかったというのではこれはどうにもならないわけで、今大臣御決意を述べられましたけれども、ぜひそういうことで早急な努力をしていただきたい、こう思います。  最後に一問だけ、昨日の橋本首相とゴア・アメリカ副大統領との会談でも問題になりましたし、四月一日には岩田海上交通局長もアメリカに行かれるらしいですけれども、事前協議の問題です。  事前協議制度というのは、何かとんでもない制度であるかのようなことがややもすると言われていると思うんですけれども、これは入港作業体制の準備であるとかあるいは貨物量の把握だとか、これは大事な作業手順を決めるためにつくられた制度で、これはILOの百三十七号条約でも承認されている、これが事前協議制度だと思うんです。しかも、労働組合の側でも、三百六十五日、二十四時間体制は絶対嫌だと言っているわけじゃないです。外国は三交代の制度がある、日本は一直体制だと、ですから労働力を確保しなきゃ、あるいは運送料金もそれに見合ったものにしてくれれば我々は三百六十五日、二十四時間体制に応じたっていいんだということを言っているわけです。  ですから、この問題を抜きにアメリカの制裁措置に唯々諾々と屈するという態度はとるべきではない、私はこう思うんですけれども、この点について大臣の御見解をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  76. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生も今おっしゃっていただきましたように、この事前協議制度というのは長い港湾荷役の中でそれなりの役割を果たしてきた制度だというふうに私は思っております。ただ、文化だとか歴史観だとか、そういうのが極めて違うアメリカの船社側に言わせますと、この制度がいかにもわかりにくいと申しますか透明性や制度そのものが非常に複雑だということで前から指摘があったわけでございます。そういう中で運輸省といたしましても、この事前協議制度の改善策に向かってそれぞれの関係者で今合意形成に実は努めているところでございます。  そういう中で、FMCにおきましては四月十四日という期日を決めてあのような制裁措置を打ち出してくるというのは、これはまことに私としては遺憾でございまして、ぜひひとつこれを撤回してもらうべく今いろんな機関を通じて実は再三抗議をし、また申し入れをいたしているところでございます。特に先般来、中間合意ではございますけれども、七月を目途にいたしまして関係機関との中間合意が実は同意されているところでございます。  そういうことを踏まえて、昨日総理とゴア副大統領の中でもこの問題が議題になったというふうに承知いたしておりますけれども、できるだけひとつアメリカ側の理解を得るべく、今お話しいただきましたように、局長にも向こうの日程の調整ができ次第渡米していただきましてしっかりした交渉をやっていきたい、こういうふうに思っております。
  77. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  78. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  海上汚染に関しまして何点か質問してまいりたいと思います。  先般の日本海重油流出事故に際しましては、多くのボランティアの方が駆けつけてくださいました。その理由を伺ってみますと、小さいころに泳いだ水のきれいな日本海を守りたいと思ったという声が多かったんです。それは理屈以前の海への親しみやあこがれ、感謝であり、海はかけがえのない大切なものであるという認識だと思うのです。  今回提出されました海洋汚染防止法の改正は、船の中で発生するごみの不法投棄を防止して、海洋環境を保護することを目的としているとお聞きしております。確かに、海岸に打ち上げられたビニール袋、それからペットボトルのプラスチックごみがどこの海岸へ行っても目立ちます。船からごみを不法に捨てた人の罰金額の最高は、昨年の法律改正で一千万円になっているんですね。この額を知っていたらごみを捨てる人はまずいないんじゃないかと思うような金額でございます。  そこでお伺いします。海洋汚染防止法は国民や船主にきちんと周知されているのですか。
  79. 相原力

    政府委員(相原力君) 先生指摘のとおり、国民にきちんと周知されていなければ幾ら立派な法律があっても実効性がないということになるわけでございます。  そういう点で、特に海洋汚染につきまして、大半は例えば取り扱いの際に不注意でやったとかあるいは廃棄物については故意に投棄するという、人為的な要因によって発生いたしております。そういう意味におきまして、海洋環境保全の重要性に対する認識がまだ十分ではないというふうに私どもも考えているところでございます。  そういう意味で海洋汚染防止のためには、海洋環境の保全に関する思想の普及啓発等が必要である、このように考えております。具体的に申し上げますと、例えば海洋汚染防止法の周知徹底等に際しましては、業界団体等を通じまして船舶所有者とか船員に周知を行う、あるいは海洋汚染防止に関する各種の講習会を行って適切に周知をしているところでございます。  まだ不十分かもしれませんが、例えば平成七年でございますが、海洋環境保全講習、これは海上保安庁が主催するものでございますが、年間で四百六カ所で三万四千名以上の受講者に対しまして講習を行っております。それから、これは日本海防止協会という社団法人で実施しております海洋汚染防止講習会、これは平成七年度で七カ所一千百名以上ということで、必ずしも一〇〇%十分とは申し上げられないかもしれませんが、できる限りの手段によりまして国民あるいは船舶所有者、船員に対して周知徹底を図りたいというふうに考えているところでございます。
  80. 末広まきこ

    末広真樹子君 海岸にプラスチックごみが今現在も転がっている現実を考えれば、結果から推しはかれば、周知徹底がパーフェクトであるかあるいは五分どおりであるかあるいは効果がゼロであるかということは、これはもう結果から見れば明らかであると思うんでございますね。環境面の規制を厳しくするということは非常に重要なことなんですが、汚染防止規程のようなマニュアルの整備やプラカードの掲示など、この程度改正で海はきれいになるのかなと、正直に申し上げたいと思います。  なぜかというと、この前の重油流出事故のときも、油汚染に対するマニュアルが各船、各施設に配備してあると、これは平成七年度、泉信也委員の御質問に対して政府はきちんと答えていらっしゃるんです。私、議事録で拝読いたしました。ところが、いざそのマニュアルを見せてくださいと私が要求しましたら、現物は運輸省にはないということでございました。これは一体どういうことなんでしょうか。何はともあれ、マニュアル整備やプラカードの掲示などによる海洋汚染防止法の改正で本当に海は守れるのかなという疑問を感じます。  二点質問点がございます、いかがですか。
  81. 相原力

    政府委員(相原力君) 今回の海洋汚染防止法の改正は、ただいま先生から御指摘のように廃棄物の処理につきまして廃棄物汚染防止規程を備え置くとか、あるいは記録簿へ記載しなさいとか、あるいはプラカードとおっしゃいましたが、海洋汚染防止法の規制内容の掲示を義務づけるという内容でございます。  ただ、これは今回新たにこういうことが必要になったということで追加するものでございまして、海洋汚染防止法自体は、先ほどの御答弁でも申し上げましたように、油の排出規制あるいは有害液体物質に対する排出規制、それから廃棄物に関する規制ということで総合的な規制が既に実施されているところでございます。その中でさらに実効性を持たせるために廃棄物について新たな規制を追加するというものでございまして、総合的に海洋汚染防止を十分に担保するという目的で行われているものでございます。  また、これでも不十分であるということであれば、また条約の附属書の改正等を含めまして今後さらに検討していくということになろうかというふうに思っております。  それから、第二点の御指摘の、これはいわゆる油濁防止緊急措置手引書の件であろうかと思います。これは先般先生の方から運輸省の方にも御照会があったというふうに伺っておりますが、これはこれ自体各船がそれぞれ手引書を保管しているものでございまして、それぞれ施設あるいは船舶ごとに異なっているものでございまして、運輸省で原本の写し自体は保管してないと、そういう趣旨でどうも先生の方に申し上げたようでございますが、もちろん、今ちょっと手元に持ってきておりますが、これが緊急措置手引書のいわゆるひな形でございます。これ自体はございます。  大変申しわけございませんでした。そういう意味で、写しがなかったという趣旨で先生に申し上げたと思いますので、早急にお届けするようにいたします。そういう意味で手違いがございまして、大変申しわけございませんでした。  以上でございます。
  82. 末広まきこ

    末広真樹子君 そんなの手違いで済みませんよ。それは腹の中が間違っておる。手じゃない、恐らく。出したくなかったんでしょう。そういうのがあると、信頼関係、やっぱり情報公開ということが今一番問われておるんですね。政治不信の根本は何かというと、情報を公開したがらない体質、これに対して国民は怒っておるんです。その国民の代表者である政治家が教えてください、見せてくださいと言ったら、やっぱり見せてもらわないと困りますね。以後御協力願えるんでしょうか。
  83. 相原力

    政府委員(相原力君) 私ども全く他意はなかったことはぜひ先生に御了解いただきたいと思います。大変誤解によりまして原本の写しがないということを申し上げたのがこういう結果になりました。大変申しわけございませんでした。
  84. 末広まきこ

    末広真樹子君 今後は。
  85. 相原力

    政府委員(相原力君) 今後はもちろん誠実に対応してまいりたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
  86. 末広まきこ

    末広真樹子君 そこが大事なんですね、以後どうするかというところが。  ところで、去年より七月二十日が海の日となって国民の祝日になりました。趣旨は海を大切にする日、海に感謝する日ということでございます。第一回海の日の祭典が四日市港で行われましたが、歌手による芸能イベント等が主たるものだったと聞いておりますが、どうだったんですか。
  87. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) 海の祭典と申しますと、昭和六十一年から毎年我が国の主要な港湾都市で開催されてきたものでございます。この海の祭典は各地方自治体が実行委員会を組織しまして主催しているものでありまして、特に去年は初めての海の日だったものですから、かなり盛大に四日市を初めとして行われました。  その中で、今先生がおっしゃいましたような民謡の大会とかいろんなのがありましたけれども、それ以外にもシンポジウムを開くとか、帆船パレードをするとか、図画のコンクールをするとか、それから三重県ですので松尾芭蕉の出身地でございますので、「一句ください」というキャッチフレーズで俳句大会とか非常に文化的な薫りの高いものもやっておりました。  私自身もそこに行きましていろんなことを見学させていただいたんですが、そういう意味では大変盛り上がった、海に感謝し海事思想の普及が図れると、先ほどありましたが海洋環境の保全も含めまして、そういうような催しも盛りだくさんであったと私は理解しております。
  88. 末広まきこ

    末広真樹子君 盛り上がるのも結構なんですけれども、これはせっかくの海の日でございますから、盛り上がってばかりいていいのかなという気がするんです。  各方面から御意見があったと思いますが、本年は徳島県でビーチウオーク・クリーンアップ作戦というのが行われると聞いております。これはどんな目的で何をするんでしょうか。
  89. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) これは、長い名前でビーチウオーク・アンド・クリーンアップ大作戦ということでございまして、これは先ほど申し上げました実行委員会をつくりまして、みんなで海に親しみ、仲よくビーチを散歩しながら、そこは非常にあれなんですが、ごみを、先ほどありましたペットボトルとか空き缶、そういうものを拾って海をきれいにしようというのがメーンでございます。もちろん海の環境に触れながらそういう行動をするということでございまして、去年の例ですと、七月二十日の海の日に全国三十七都道府県の五十カ所で行われまして、八万三千人が参加しまして二百五十トンのごみを回収したということでございます。  私どもとしましては、これら海をきれいにするということを通じまして海洋に対する感謝をするという意味もありますので、今後もこの運動を運輸省一つの運動として海の日にちなんでやっていきたいと思っております。
  90. 末広まきこ

    末広真樹子君 今まさにやらなければいけないのがこのクリーンアップ作戦ではないのかなと思うわけでございます。せっかくできた海の日でございますから、今後の海の日の位置づけ、あり方について大臣の率直なお考えをお聞かせください。
  91. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 海の日というのは、御承知のとおり、昨年第一回、国の祝日として御決定をいただいて四日市で今申し上げているようなイベントが開かれ、今度は徳島で予定をされているようでございます。私はいいことだと思っております。  海の記念日ということで、今まで昭和十六年からずっとこの七月二十日というものに決めさせていただいてきたわけでございますが、それが国を挙げて、今先生がおっしゃったように、国民が受けている海の恩恵に感謝する、また海を大切にしていく、海洋国家として日本の繁栄を願う、そういう意味で祝日と決めていただいたわけであります。  これをぜひひとつ幅広い国民的な啓蒙運動としてどう盛り上げていくかということを、今御答弁申し上げておりますように、民間団体の方々がそれぞれのお立場で実行委員会をつくって行っていただいているわけでございますが、その年その年にそれぞれの地域で特性のあるこうした啓蒙運動として国民に理解されるようなイベント等を行っていくということは、今後も私はぜひひとつ続けていきたいものだというふうに思っております。  先生も大阪の万博で大変御活躍いただきましたので、七月二十日の海の日にはぜひひとつ先生も今度は国会議員として先頭に立って国民の啓蒙運動に御活躍いただければ大変幸せだと思っております。
  92. 末広まきこ

    末広真樹子君 そういうことではなくて、私が申し上げたいのは違うんですよ。海の日を、一句詠んだり歌手呼んでちゃちゃんかちゃんとやっているお祭りでいいんですか、それとも国民の意識向上のためにきちんとした筋と位置づけをする、大事なことがあるんじゃないですかというところを大臣に今お聞きしたんですよ。  海岸のビニール袋やペットボトルを海に捨てることを規制してさらにその規制を強化するということは大切なんですが、海岸に打ち上げられたごみの清掃というのも、これはもうめちゃくちゃ大切なことだと思います。と同時に、美しい海岸を自分たちの手で積極的につくり出していくという国民の意識改革、海の日という日にはそこの思いを再認識して気持ちを一つにするということが必要なんじゃないでしょうか。  先日、運輸委員会の視察で横須賀にある港湾技術研究所へ行ってまいりました。日本で唯一ここにしかない研究施設なんですが、さまざまな港湾施設のテクニカルな研究から干潟のモニタリングまで多岐にわたっているところでございます。私にとって何より印象深かったのが干潟の浄化作用実験であり、アサリガイを使った実験でした。これ私写真に撮ったんですけれども、私のアルバムのトップです。(資料を示す)  これ、アサリガイが三個入ったビーカー三つ、それから入っていないビーカー一つ、合計四つのビーカーを並べまして、アサリガイ三個入れて三十分経過、順次一時間経過、その隣が一時間半経過、こういう順序になっているんです。大臣、遠くですけれども見えますか。——アサリガイ三個で一時間半でこんなにも透明化されるんですね、干潟の水が。アサリガイの入っていないのは真っ黒です。本当に汚いです。  私、アサリってすごいんだということをここで初めて認識したんですよ。余りにもアサリガイというのが庶民的で、小さいときから海岸に行ったらもう子供でもころころとれるものですから、何かこんなに立派に自然浄化作用の役割を果たしているんだということを少しも知りませんでして、アサリガイに対して長い間認識不足をしておったな、申しわけなかったなと反省したんでございますが、大臣はこのアサリガイのかくも重要なる役割について御存じてしたか。
  93. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) いや、アサリガイそのものは私もよく承知いたしております。と申しますのは、私ごとで恐縮なんですが、私の郷里は有明海でございまして、これは世界一の干潟なんです。アサリのだから名産地なんですね。ただ、残念ながら陥没その他で今非常にこのアサリの生殖が落ちております。  そういう意味では大変私も心配いたしておりますけれども、きょう先生から、実際にその研究所をお訪ねいただいて写真にも撮っていただいて、払いつも御叱正いただいている質問ばかり受けておりますので、きょうは逆に少し褒めていただいている質問なのかなと思って、港湾局といたしましても、港湾整備のときには本当に自然とどう調和するかということで一生懸命考えて今研究しているということはその写真で御理解いただけると思って、私も大変うれしく今質問を聞かせていただきました。今後も、そういう問題に注意しながら、自然を生かしながら港湾を整備していくということは非常に大事なことだと思っております。
  94. 末広まきこ

    末広真樹子君 実はアサリは愛知県も名産でございまして、伊勢湾、三河湾でとれるアサリが平成六年で日本一の漁獲高、約一万トンでございますね。大相撲名古屋場所の優勝賞品になったこともございます。ところが七年以降は減少著しく、先ほどの実験にもありましたように、干潟の浄化の主役アサリが減少するということは海の汚染が進む、こういうことでございます。それではとても美しい海岸をつくり出す意識革命なんかできませんですね。  ここでじれったいなと思うのが、船や観光地は運輸省、アサリふやすのは農水省で、全国豊かな海づくり大会やっています、こういうことになりまして、海の環境汚染は環境庁というふうに一体化すべき話がばらばらになって、結局、ボランティア一人一人がきれいな海を守るんだと立ち上がっているという行動を政府としては支援できないでいる。こういう行政側の縦割り事情が国民の意欲をなし崩しにしている現状に対して、これは国務大臣としてどのようなお考えをお持ちでしょうか。  済みません、ごく手短にお願いします。
  95. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 縦割り行政がいろんな分野でそれぞれ御指摘をいただいているわけでございますが、今まさに海洋の問題、環境の問題についてもそれぞれの分野の所管が違って、今御指摘をいただいたような問題点、私どもも十分認識をいたしております。ただ単に関係省庁で連絡を密にするということではなくて、やはりどこの省が責任を持つのかという責任を明確にしていくということが今後大事になってくるのではないかと思います。
  96. 末広まきこ

    末広真樹子君 まさにそのとおりでございます。すばらしい御決意だと思います。  海洋汚染防止法が単に法律として存在するのではなくて、海の日などにおけるきちんとしたキャンペーン趣旨の徹底と、国民とともに美しい海岸をつくり出そうという大きなうねりになっていくことを期待しまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  97. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。よろしくお願いいたします。  私は、産業廃棄物など海洋投棄にかかわって御質問をさせていただきたいと思います。  まず、海洋汚染の立場から御質問をさせていただくわけでございますが、日本は、し尿や産業廃棄物などの海洋投棄処分が諸外国に比較いたしまして大変多い国である、このように伺っているわけでございます。  いただきました資料を見てみましても、一九九二年に四千百十八万トン、そして九三年には四千七百六十四万トン、九四年は四千二百九十三万トン、九五年は四千三百三十二万トン、このようになっております。それから、この中でもとりわけし尿とかあるいは浄化槽から出ます汚泥等の廃棄物というものも結構ございまして、これは九二年で三百二十五万トン、九三年が三百三万トン、九四年が二百七十九万トン、九五年が二百六十三万トン、こういったようになっているわけでございます。  そこで、海洋投棄によります海洋環境への影響につきまして環境庁はどのように認識をしていらっしゃるのでしょうか、まずお伺いします。
  98. 柳下正治

    説明員(柳下正治君) お答えを申し上げます。  まず、海洋は人類共通の貴重な財産だという考え方で極力海洋を汚染しないようにということが基本であろうと思います。  国内的には国内法、廃棄物処理法で例えば陸上処理の原則、海洋投棄はなるべく減らす、こういったことでさまざまな規定を盛り込んできているところであります。また、国際的にも順次海洋投棄に関する規制の強化の動きがございまして、最近でもロンドン条約の九三年の議定書あるいは九六年の議定書等が採択されるなど、規制の強化の動きがございます。環境庁の立場で、こういった国際的動向を踏まえまして、国内制度の整備を初め海洋環境を守る立場から今後とも対応していかなければいけないものだと。  また、環境庁におきまして海洋投棄による影響を把握するためにも海洋の実態調査を行ってきているところでございまして、現在までのところは顕著な影響というものはないというふうに考えておりますけれども、未然防止という観点から、今後とも廃棄物の海洋投棄に伴う影響の有無などについて海洋の調査を進めていかなければならないものと、こういうふうに考えてございます。
  99. 栗原君子

    ○栗原君子君 し尿とか浄化槽の汚泥の海洋投棄の海域というのはいわゆるC海域と言われておりまして、五十海里以遠に捨てるということになっておりますけれども、それらの環境に与える影響などにつきましての追跡調査などはなさっていらっしゃるのでしょうか。
  100. 柳下正治

    説明員(柳下正治君) 環境庁におきまして、昭和五十年以降、廃棄物の海洋投棄が行われております海域を中心に海洋の調査をさまざまな水質の項目を対象実施してきております。既に実施をして二十年余がたっております。
  101. 栗原君子

    ○栗原君子君 実施の結果心配ないということでございますね。  そういたしますと、別に調査をしなくてもいいというお考えなんですか、それともこれからも厳しい調査を続けていくということなんですか。
  102. 柳下正治

    説明員(柳下正治君) 海洋につきましては、一たん汚染がなされたような場合にこれを復元するというのは大変に困難を来します。そういった観点から未然防止というのが非常に大事だと思います。  現在までに著しい影響が認められないといたしましても、今後とも必要な海洋調査は努力してまいりたいと思いますし、また、昨年の七月二十日から我が国におきましても国連海洋法条約が発効いたしておりまして、生態系も含めて排他的経済水域におきます海洋に関して責任があるということで、なお一層これまで以上に海洋環境モニタリング、調査のモニタリングをしていく必要があろうというふうに考えております。
  103. 栗原君子

    ○栗原君子君 ナホトカ号によります油の流出事故におきましては、船尾の沈没地点で油が噴き出しているという状況の中で界面活性剤が多量に使われたといった報道もあるわけでございますが、これらをごらんになりまして、環境問題を取り組んでいらっしゃる市民運動の人たちから、界面活性剤は大変有害なものである、こうした御指摘が随分とあるわけでございますけれども、これらについてはいかがだったでしょうか。
  104. 柳下正治

    説明員(柳下正治君) お答えを申し上げます。  油処理剤としての界面活性剤でありますが、油の分解を促進する効果はございますけれども、重沖そのものが消滅するわけではないと思います。また、生物生態系などへの影響も指摘されておるわけであります。そのため、当面、流出油や漂着油につきましては、副次的な影響のない物理的な回収を主、油処理剤というものは従とすべきではないかというような認識を持っております。  やむを得ず使用する場合には周辺環境への配慮が必要ということで、水産庁とも十分に調整をいたしまして共通の理解に達しておりまして、今般のナホトカ号の対策本部などを通じまして関係省庁にも見解をお示しし、あるいは自治体に対してもこの考え方に沿って対策を徹底していただきたいということでお願いをしてきた経緯はございます。
  105. 栗原君子

    ○栗原君子君 海洋投棄につきましては大変厚生省もかかわりの深いところでございまして、とりわけ、産業廃棄物の海洋投入の原則的な禁止に伴いまして影響を受ける船員の雇用と生活の問題が取りざたされているわけでございます。それらにつきまして、影響を受ける企業の実態調査とかあるいは、特に中小の業者も結構あるわけでございますけれども構造転換のできる体制整備を行うべきではないでしょうか。それらにつきましてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  106. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 御説明申し上げます。  廃棄物の海洋投棄は、廃棄物処理法では原則一応禁止ということになってございます。いわば例外的に陸上で処理することが難しいようなものなどについては認められている、こういう考え方になってございます。海洋投棄については、国際的にも減少させていくという基本の方向が示されております。したがいまして、それに応じた形で行政対策、行政上の施策も講じていかなければならない、こういうことでございます。  ただ、産業廃棄物については、基本的には処理責任は排出事業者にございます。コストを支払って処理業者で処理していただく、こういう形になっておりますので、先生御説明いただきましたようないわゆる処理業界への対応策というものは現在のところは存在してございません。  一方、割合として多いし尿処理でございますが、これは廃棄物処理法では市町村の処理責任のもとで処理業者の皆さんが苦労なさっておられる、こういうことでございますので、このし尿処理業の部分につきましては、昭和五十年に、これらの業務のいわば減少に伴います業界対策といいましょうか、そのための特別措置法ができてございます。そういうものの中で、例えば転廃業をしていくためには市町村が交付金を交付するとか、あるいは新しい業態を営む上での例えば職員の教育訓練であるとか、あるいはさらには市町村の中で持っている各種の仕事にその方々の仕事を移転するといいましょうかやっていただくとか、そういうさまざまな施策がこの法律に則してとられている、こういうような状況でございます。
  107. 栗原君子

    ○栗原君子君 今、市町村がとにかく責任を持ってやれと、そういった御答弁だろうと思うんですけれども、下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法というのがございまして、この中には第六条もそうでございますし、それから八条もそうでございますし九条も言っておりますのは、国はということが頭にあるわけでございますね。だから、国は市町村に対しそうしたことをやれとかあるいはまた資金の金融上の措置にいたしましても国は地方公共団体がこれらのことをやるようにと、こんなことが言われているわけです。それから、第九条の就職のあっせん等につきましても国または地方公共団体ということになっているわけでございますから、国に責任がないということにはならないと思うんですね。職業訓練の実施とか就職のあっせんその他の措置を講ずるよう努めるようにしろとかこんなことを言っております。  確かにそれは自治体の責任もありましょうけれども、やはり自治体をアドバイスする立場にあるのは私は厚生省じゃないかと思うんです。そういったところはどうでございますか。
  108. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) まず、厚生省といたしましては、これらの法律に則した形で各市町村が適切な対応をしていただくということでの指導は今までもしてきておりますし、これからも強化をしていきたいと考えております。  具体的に申し上げますと、例えば市町村が転廃交付金を処理業者の方に交付した場合に、受け取った処理業者の方々については例えば税制上の恩典といいましょうか特例があるとか、あるいは、市町村が交付した転廃交付金については、これはまだなかなか実現が、我々も関係省庁と相談させていただいておりますが、例えば地方財政措置の中で対応できるようなことはできないだろうかとか、そういったことをさまざまやってございます。  先生指摘のように、残念ながらまだこの合理化法という法律に則して市町村が転廃業対策等々の業界対策を講じているケースがかなり限られておりまして、我々はむしろそれをまず先に進めていく、その上で先生指摘のような事柄がかなりの市町村の段階でいろいろ出てくれば私どもとしては積極的に対応していきたいというふうに考えております。
  109. 栗原君子

    ○栗原君子君 今、廃棄物の排出船の隻数が四十八隻あるということがいただいた資料の中にもあるわけでございます。例えばの話でございますけれども、こうした作業にかかわっている人たちが、中学校を卒業いたしましてからずっとその船で仕事をしてきた、今さらおかへ上がれと言われてもなかなかおかへ上がれないんだ、こうした声が聞こえています。それから、下水処理場の立派なのが全国自治体関係でいろいろつくられておりますけれども、そこへ就職しようにも今かなりのコンピューターの技術がなければ就職させてもらえないしできもしないしと、こういった声があるわけでございます。  だから、そういった個々の乗組員につきましては大変深刻な死活問題になるわけでございますので、ぜひ前向きに親切に取り組みをお願いしたいということをお願いさせていただきます。  そこで、私はもう一点、環境への影響あるいはまた水質の汚濁にも大きく影響していると思いますけれども、鳥島におきます米軍の劣化ウランの関係につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。  これは三月十二日の朝日新聞でございますけれども、米海兵隊が劣化ウラン弾を発射した沖縄県鳥島の環境調査計画が十一日出された、こんなことが書かれておりまして、その中に「米軍が放射線測定器で地表を測ると、あちこちでガリガリという音が高まった。」と、こういうことになっております。  これは土壌だけでありませんで、周りの海域にも随分と劣化ウラン弾が撃ち込まれたということが言われておりまして、この量と申しますと大体千五百発が撃ち込まれた、こういった報告があるわけでございますけれども、これらにつきましてはどのように科学技術庁はお考えでいらっしゃるのでしょうか、お伺いします。
  110. 野家彰

    説明員(野家彰君) お答え申し上げます。  今回、沖縄の鳥島射爆撃場におきまして米軍が劣化ウラン含有弾の誤使用を行ったということでございますが、その環境に対します影響に関しましては、まず米側が昨年三月、四月に環境調査を実施しております。その中では危険はないという説明を政府として受けているわけでございますけれども、政府としては、沖縄県民の安全確保に万全を期すという観点から、日本側としての現地調査ということをまず第一回、二月二十四日に鳥島周辺海域で行ったところでございます。  これに関しましては、海上保安庁の方の協力もいただきまして、海上保安庁の調査船「明洋」という船を出していただきまして、鳥島の周辺で空間放射線量率、それから水中放射線量率を測定いたしました。また、周辺海域から海水を採取して詳細なウラン濃度の分析ということも行っております。また、付近でとれます海産生物につきまして、これは久米島漁協の協力を得まして採取して、それについての詳細な分析も行っているところでございます。  現在までの結果では、空間放射線量率それから水中放射線量率とも特に異常な値は検出されておりません。また、海水の詳細なウラン濃度の分析に関しましても、ごく普通の海水にもウランは含まれてございますけれども、大体普通の海水に含まれているウランと同じ程度の濃度である。またさらに、ウラン同位体の放射能比というものを見ますと、天然ウランが溶けているのか劣化ウランが溶けているのか影響がわかるわけでございますが、その結果を見ましても溶けているのは天然ウランである、劣化ウランの影響は見られないということになってございます。  まだ海産生物につきましては分析結果が出てまいりませんけれども、こういった分析を進めまして、周辺海域における環境影響ということを把握していきたいというふうに考えております。
  111. 栗原君子

    ○栗原君子君 私は時間が少ないものですから、申しわけないんですけれども。  そこで、影響がないからやってもいいということにはならないと思うんですね。日米地位協定の十六条には、米軍は「日本国において、日本国の法令を尊重し、」と、このようなことがうたわれているわけでございますが、全く私は法令を尊重しているようには見えない、このことを指摘したいと思うんです。  これは一昨年、九五年の十二月から昨年の一月、二月にかけまして千五百発撃ち込んだ、そして回収いたしましたのは昨年百九十二発だというんですね。先般、三十発ほど回収をしているわけです。本当、わずかなものしか回収されていないわけでございます。大方は鳥島を中心にその周辺の海域とかそういったところに撃ち込まれているわけでございます。  きょう外務省の方もおいでいただきましたけれども、国内の基地にも劣化ウラン弾があるといったようなことがさまざまうわさもされているわけでございますが、私は、この被爆国日本国民の感情から、あるいは今日の沖縄の県民の皆さんの感情からいたしますと決してこれは許せるものではない。もし、国内の他の基地も含めましてこうした劣化ウラン弾が貯蔵されているものであるならば、ぜひ外交ルートを通じまして、日本国民とすれば敏感お問題だから、お持ち帰りいただくような、そういう申し入れとかなどなどの外交努力をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  112. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) お答え申し上げます。  これは外務大臣からも外務委員会等で累次御答弁申し上げておりますので、私の御答弁もその繰り返しになるわけでございますが、在日米軍は、我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持ということに寄与するために我が国に駐留しておるわけでございまして、いざという場合にこれは即応できるような態勢を平時から維持しておく、そういうことで、緊急事態が発生した場合に必要になるような装備、物資というものは保有をしておかなければならないということでございます。  もちろん、この劣化ウラン含有弾につきましては、米側の規則によりまして我が国における訓練場においては使用しないということになっておりますし、今回誤使用というものが起きましたので、米軍においても訓練に使わないということを改めて徹底をしたということでございますけれども、やはり先ほど申し上げましたように、例えば私が国に対する攻撃があるとか緊急事態において米軍がこれを使用する必要性はあり得るということで、そこについては御理解をいただきたいというふうに思います。これは外務大臣の方からも累次御答弁を申し上げていることでございます。
  113. 栗原君子

    ○栗原君子君 時間が参りましたから終わりますけれども、ぜひそうしたことも含めて、きょう運輸大臣おいでいただいていますけれども、直接にはその担当でないところもあるかもしれませんけれども日本周辺において海洋汚染がなされないような、そうしたことをぜひ先頭になって御尽力いただきたいと思います。
  114. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) わかりました。
  115. 芦尾長司

    芦尾長司君 しんがりを承ります芦尾長司でございます。どうかよろしくお願いいたします。  最初に、船舶検査の問題について御質問しようと思いましたが、各委員先生方から御質問がございましたので省略させていただきます。  いずれにいたしましても、船舶検査の問題は、限られた人員、予算の中で、国際条約等によりまして業務量もふえてまいるわけでございます。先ほど山本局長の方からもお話がありましたが、検査の合理化に努められまして、また船級協会や小型船舶検査機構、さらには指定検査機関、認定事業場、そういった民間機関との検査分野を明確にされながら合理的な検査をされまして、その検査に遺憾のないよう御活躍されるように期待を申し上げるところでございます。  そこで、今後の問題ということになるわけでございますが、ロシア船籍のナホトカ号重油流出事故につきましては、先ほど来たびたび御議論が出されましてちょっと食傷ぎみであろうかと思いますけれども、私の考え方もちょっと述べさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。  最初に、運輸省内で今回の油流出事故への即応体制を検討するために流出油防除体制総合検討委員会というものが設置をされまして、三月五日に初会合が開かれたというふうにお聞きいたしておるわけでございますけれども、この委員会の検討課題といいますか、それとこれからの見通しといったようなものにつきまして御答弁願いたいと思います。
  116. 相原力

    政府委員(相原力君) ただいま先生から御指摘いただきましたように、今回のナホトカ号による重油流出事故、非常に大きな事故になったわけでございますが、この重大さにかんがみまして、油防除体制の強化あるいは事故再発防止等につきまして総合的な対策を推進する必要があるという観点から、運輸技術審議会に流出油防除体制総合検討委員会を設置いたしまして、三月五日に第一回目の会合を開催したところでございます。  その検討委員会におきまして、いろいろな課題があるわけでございますが、検討課題といたしまして、まず事故再発防止対策がございます。これは事故原因調査委員会というのが別途調査しているところでございますが、その調査結果等も踏まえまして、問題点を抽出いたしまして、先ほど来御議論ございます老朽船対策等に関する国際的なルールづくり等の対策を検討することといたしております。  それから、大きな第二番目の事項でございますが、流出油防除対策でございます。事故の際の対応あるいは防除活動等にかかわる問題点を抽出いたしまして、即応体制等の対策を検討することといたしております。油汚染事故への即応体制、あるいは流出油の防除技術、あるいは油防除に必要な資機材の整備等の油防除体制、それから環境リスク情報の事前管理、これらの問題について検討をすることといたしております。  それから、大きな第三番目の柱といたしましては、海洋汚染防止国際協力体制を構築するということがございます。大規模海洋汚染が発生した際に、国家間の緊急時対応のあり方を検討するということでございます。日本、ロシア、韓国、中国との間でNOWPAP、北西太平洋地域海行動計画というのがございますが、これを具体化していこうというようなことを検討していただくということにいたしております。  第一回が先ほど申し上げましたように三月五日に開催いたしたわけでございますが、六月末ごろまでには中間報告をしていただくという予定で御審議をいただいておるところでございます。
  117. 芦尾長司

    芦尾長司君 ぜひその結論を早く出していただくようにお願いいたしたい。  そこで一つ、これはそのほんの一部の問題にすぎないかもしれないんですけれども、ちょっと意見を申し上げさせていただきたいんですけれども、この重油流出災害というものの特殊性というものはやっぱり再認識していただかなければならないんではないか。事件としてはこれは民事事件であるのは間違いないわけでございますけれども、被害範囲が大きくなる、そういう意味では原因者がはっきりした災害事件であるということになろうかと思います。自然災害と違うところでない、そういうふうに受けとめる必要があるんじゃないか。  もちろんこの海洋汚染、それから海上災害防止、油濁損害の責任、こういうものはもちろん船舶所有者なり船長にあります。海防法の二条にも書いてあるとおりだろうと思いますが、その上で、通常の民事事件とは違いまして、大災害につながる海洋事故の場合等は、今回もそうでございますが、災害というふうに受けとめる。  その場合に、費用を負担する責任者とそれから防除対策を実施する役割というものを分けて考えていく必要があるのではなかろうか。大事故の場合はいわば行政指導で、原因者の対策を待たないでも行政サイドでまず防除対策を講じる、そういう原則というものもこれから確立していく必要があるのではないか、そういうふうに考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
  118. 大森寿明

    政府委員(大森寿明君) 今、先生指摘のように、今回の事故は原因者がはっきりしているということでまず原因者が油の防除に当たるということでございまして、それで間に合わないような場合には、国としての海上保安庁なり地方自治体それから関係業者、協会というようなことで防除に当たっていくわけでございます。したがいまして、この原則を踏まえながら、具体的にその場に応じてどうやって臨機応変に対応していくかということが必要なんだろうというふうに思うわけでございます。  原因者がはっきりしている段階で原因者を離れてお金をだれが負担するかということはできないと思いますので、その原則を踏まえた上で緊急時に一定の行動をとると、海上保安庁としては、原因者によって海上災害防止センターが通常の場合委託を受けるわけでございますが、その委託を受けてやっているいとまがないというような場合には、海上災害防止センターに一定の命令を下すというようなことで臨機応変な対応をしているわけでございます。  この場合のお金というものは原則的には原因者に求償をするということになっていくわけでございますが、今回のような場合に、全体の反省の中で、そのようなあり方で今後もいけるのかどうかということについてもいろんな場で議論をしていくということになろうかと思いますが、先ほど運政局長の方からも御答弁がありましたように、全体の検討の中でその議論がなされていくのかなというふうに考えているところでございます。
  119. 芦尾長司

    芦尾長司君 今の御答弁、まだはっきりしないところがあるんですが、いずれにいたしましても、民事事件ではあるけれども規模が大きくなると民事事件の質というものが変わってくるだろう、そういうことの中でやはり行政主導という面が出てくる可能性がある。この前の阪神大震災のときでもそうでございましたが、被害者の方から通報してそれで自衛隊を出していただくといったようなシステムではもたないんだ、それと同じような考え方がこの場合も必要になってくるのではないかな、そういうことで申し上げておりますので御検討願いたいと思います。  その次の問題として、防除対策を実施する者が、御答弁に出ておりましたように、費用負担のことを考えて対策が後手になったり不十分になったりすることがあってはならないと思うわけでございます。そのために、やはり何といいましても状況を的確に判断して適切な対策を講ずることのできる、被害者、原因者双方から信頼を寄せられるような専門の防除機関というものを設けていく必要があるのではないか。  もちろん、現在海上災害防止センターというものが御活躍をいただいておるわけでございますし、また設置目的もそういうことになっているんですけれども、今回の事故というものを見た場合にやはりこれを強化していく必要があるのではないか。この場合に、事故の拡大を防止することによりまして損害賠償額が抑制されるということにもなるわけですから、国際基金なり、そこに拠出する油受取人というんですか、油濁損害賠償保障法の二十八条に書いてありますような、そういう拠出者の協力も得られるのではないか。  海外でもこういった例がもう既に出てきておるというふうに思うんですが、そういう方向で御検討いただくということにはなりませんでしょうか。
  120. 大森寿明

    政府委員(大森寿明君) 御指摘海上災害防止センターでございますが、先ほど申し上げましたように、基本的には原因者からの委託を受けてやるのを第一原則としているということでございます。ただ、事態が非常に進展するというような場合にあっては、それだけでは足りませんのでいろんな関係者と連携してやるということでございまして、その連携のあり方がどうなのかという問題はやはり今後いろんな面で反省していく部分があろうかと思います。例えば、地域の防災計画の中で国とか地方自治体あるいは関係業界の役割がどうなのかというようなことを議論しながら位置づけていくということを、今後関係省庁等と議論しながらやっていくことも必要かなというふうに考えているところでございます。
  121. 芦尾長司

    芦尾長司君 今回の事故に対してセンターの果たすべき役割というものが改めて再認識をされておるということでございますから、そこで、今もお話が出ましたが、今回の事故にかんがみまして、こうした油流出事故の場合の地方公共団体の果たす役割というものを明らかにしていく必要があるのではないか。と申しますのは、現在の法律で言いますと、海岸部におけるこういう流出事故に対して海洋汚染防止法でもはっきりしていないんですね。そういうことから、海岸部における防除措置といいますか、どういうことをしたらいいのかということがまだはっきりしていなかった。地方団体の話でも、人は集まってくるんだけれども何をしていいのかわからないといったような段階もあったというふうに聞いておるわけです。  またある意味では、先ほどのお話もありましたが、ボランティアの方がいっぱい集まってきましたけれども、ボランティアの皆さんにこれからの事故の場合にもなお頼っていかなければいけぬのかどうかということも反省しなければならぬと思うわけですが、そういうことも含めて海岸部における防除措置ということを明らかにしながら、地方団体の防災対策ということについても、今お話がありましたように地域防災計画の中で明らかにして盛り込んでいく必要があるのではないか、そういうふうに思います。  その上で、海洋汚染防止法の四十一条にも海上保安庁長官の措置に要した費用の負担という規定があるわけでございますが、地方が防除措置に要した費用の負担につきましてもはっきりと規定をしておく、そういったような法律改正といいますか、そういうことをこれから御検討いただく必要があるのではないかなと思いますが、いかがでございましょうか。
  122. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生指摘いただいておりますように、今回のナホトカ号の流出油の事故に際し、いろんな問題点で今検証をやらせていただいておりますが、例えば油の回収船だとか資機材だとかそういった面だけではなくてまさに即応体制のあり方、これには今御指摘いただいているように関係省庁等の連携がどうあるのかまた地方関係団体とどういう役割分担があるのか、また今具体的におっしゃっております、あくまでも船主側の負担によって防除というものが行われるわけでございますけれども、それを委託する海上災害防止センターの役割のあり方が今のままでいいのかどうかそういうところをやはり総合的に洗い直していく必要があるだろうと思います。  そういうことを踏まえまして、これからの油の防除体制のあり方というものはぜひひとつ今御審議いただいております運輸技術審議会の総合的な検討の中に盛り込んでいただきたい、そういったことを私も期待いたしておりますし、当然そういった御論議をいただくものだというふうに思っておりまして、先生指摘いただいた点も私は重要な観点だという認識で、早ければ六月のうちにでもこの検討委員会の中間答申をいただくようになっておりますので、見守っていきたいというふうに思っております。
  123. 芦尾長司

    芦尾長司君 今、大臣の方から力強い御返事もいただきましたけれども、いずれにいたしましても、今申し上げたことにつきましては法律改正の問題にもなりますし、また、これは今の海防法の範囲を超えるものにもなるかもしれません。そういう中で、やはり運輸省としてリーダーシップをとってひとつ御対応いただきたいと思う次第でございます。よろしくお願いをいたします。  それから、もう一点、最後の問題でございます。  これもまた各委員からも御意見があったわけでございますけれども、油回収や処理技術の研究開発の問題でございます。先ほど鈴木委員の方からも、日本造船工業会で四メートルの波でも回収できるような油回収船開発計画があるというふうな御発言がございました。また、先ほどお話ございましたけれども、先般私も横須賀の港湾技術研究所を見学させていただきまして、地道だけれども世界的な研究に真摯に取り組んでおられることに本当に私どもも感動したわけでございます。  そうしたことの中で、油回収についてのいろんな研究というものをこれから進めていかなければならないだろう。そしてまた、きのうの橋本・ゴア会談でも、事故防止や油処理で日米が技術、知識両面から協力するといったような合意がなされたとお聞きいたしておるわけでございますが、港湾技術研究所がいいのかどうかわかりませんけれども、せっかくあそこまで頑張っておられるわけでございますから、我が国のこういった研究のメッカにするような、そういうことが大切ではなかろうかと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  124. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 港湾技術研究所というところは、非常に今先生からもお褒めいただきましたけれども、地味ではございますけれども本当に熱心に取り組んで研究を進めてくれております。  その中で、先ほどからも再三御論議いただいておりますけれども、波高が五メーター、六メーターというふうな日本海の荒天の中ででも使える油の回収船というものの建造が科学的に可能なのかどうか、また実用が可能なのかどうか、あらゆる角度から検討をする必要があろうかと思っておりますし、今先生も触れられましたけれども、こういった技術開発についても日米間ででもひとつ一緒になって研究を進めていこうというようなお話もあっているようでございます。今回の事故教訓といたしまして、そういった油の回収船というものの可能性について、ぜひひとつ前向きに検討をしていただいて結論を出していただきたいというふうに思っております。  さらに、それを実現するためには非常に緊縮財政の今次でありますけれども、ただ単に油の回収船というだけではなくて、多目的なものとして実用化が図っていけるというようなことを考えながら、効率的な活用ということも十分踏まえて、できれば平成十年の概算要求にでもそういうことが積極的に取り上げていければいいなと、私自身はそういう姿勢で臨んでいきたいと思います。
  125. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。終わります。
  126. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  127. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、竹村泰子君が委員辞任され、その補欠として中尾則幸君が選任されました。     —————————————
  128. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、理事補欠選任を行います。  先刻、委員異動に伴う理事補欠選任につきましては、一名は後刻指名することといたしておりましたが、この際、その補欠中尾則幸君を指名いたします。     —————————————
  129. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) それでは、これより船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  130. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会