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1997-03-17 第140回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十七日(月曜日)    午後二時開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      亀谷 博昭君     小山 孝雄君  三月十七日     辞任         補欠選任      平井 卓志君     阿曽田 清君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         直嶋 正行君     理 事                 佐藤 泰三君                 二木 秀夫君                 戸田 邦司君                 中尾 則幸君     委 員                 小山 孝雄君                 鈴木 政二君                 野沢 太三君                 真鍋 賢二君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 阿曽田 清君                 泉  信也君                 横尾 和伸君                 瀬谷 英行君                 筆坂 秀世君                 末広真樹子君                 栗原 君子君                 芦尾 長司君    国務大臣        運 輸 大 臣  古賀  誠君    政府委員        運輸大臣官房総        務審議官     西村 泰彦君        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省自動車交        通局長      荒谷 俊昭君        運輸省海上交通        局長       岩田 貞男君        運輸省海上技術        安全局長     山本  孝君        運輸省港湾局長  木本 英明君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部企業        取引課長     横田 直和君        運輸省海洋技術        安全局船員部長  土橋 正義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○内航海運組合法の一部を改正する法律案内閣  提出) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録  事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出) ○船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  )     —————————————
  2. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、亀谷博昭君が委員辞任され、その補欠として小山孝雄君が選任されました。     —————————————
  3. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 内航海運組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 鈴木政二

    鈴木政二君 委員長のお許しをいただきまして、内航海運組合法改正案につきまして逐次質問をさせていただきたいと存じます。大変長時間でありますので少し協力もさせていただきますので、よろしくお願いをしたいと思います。  御案内のように、内航海運は、我が国輸送機関の中でも自動車に次いで国内経済を担ってきた重要な海上貨物輸送であります。資源の乏しい我が国にとりまして、外国から運ばれました産業資材生活必需品などを、四面海に囲まれた我が国地理的条件の中で、特に臨海工業や大都市そして地方都市へ大量かつ長距離の輸送を行って、国内経済の重要な役割を果たしてきたことはもう皆さん案内のとおりであります。いわば戦後復興から今日の発展を築いた陰の功労者といいますか、大変苦労の多い仕事でありますけれども。  皆さんがお気づきだと思いますけれども、この間の阪神大震災でも、あの遮断されました交通網の中で大変内航海運はよく活躍をしていただきました。これは目に見えない大変な団結とそして国家に対する寄与だと、私は本当に敬意を表する次第であります。  今回の改正案でありますけれども市場原理活用によって内航海運活性化を図る観点から、本法の船腹調整事業については将来の解消を図ることになっており、この事業解消に当たり、船舶建造資金の調達の円滑化が図れるよう内航海運組合債務保証を行うことができることとするものであります。  そこで、内航の中で大変独自な船腹調整事業でありますけれども、今までいろんな経緯があったわけでありますけれども、最初に運輸省としてこの船腹調整事業に対してどのような見解を持っておったか、お聞かせ願いたいと思います。
  5. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) お答えを申し上げます。  今先生からお話がございましたように、内航海運組合を中心とした制度でございますが、内航海運は今の調整制度もとにしまして国内貨物の安定的な輸送を長い間培ってきたわけでございます。さらには、業界内の秩序形成とか安全問題、老朽船が余りふえないようにという観点からでございますが安全問題などに大変寄与してきた船腹調整事業だと思っております。  ただ一方で、再三にわたりまして審議会行政改革委員会から指摘されているものでございますが、この事業につきましては意欲的な者の事業規模拡大新規参入が制限されるものですから、内航海運事業活性化支障となっておるということ。それから、船腹調整事業への過度な依存体質を生んでおることによりまして、事業規模拡大などによる経営基盤強化に向けた構造改善が進まない要因になっているということが指摘されておりまして、私どもとしては、このような答申あるいは御意見を踏まえながら、市場原理活用による内航海運事業活性化を図る観点から計画的解消を図る必要があると考えておりまして、昨年の三月にその旨閣議決定をいたしているところでございます。
  6. 鈴木政二

    鈴木政二君 今局長から説明があったわけでありますけれども、これが独禁法の適用除外にもなっているということで、そこのできた背景というのは私は大変重要だと思うんです。我が国においてこういうものがほかにもあるかもわかりませんけれども、そういう面ではこれが一体いつごろできて、特殊と言っちゃ大変恐縮かもわかりませんけれども、なぜこういう形の船腹調整事業ができたのか、その経緯をひとつ御説明願いたいと思います。
  7. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 内航海運組合法は昭和三十九年にできておりまして、それに基づきまして調整規定一つカルテル施設調整カルテルが設けられたわけでございます。  その背景というお尋ねでございますが、三十九年当時は大変過剰船腹がございまして、小規模事業者が乱立しているという状況でございました。ちなみに、今内航海運事業者数は六千五百事業者ぐらいですが、当時は一万六千二百二十八という二・五倍ぐらいの事業者さんがおられまして、大変事業者の乱立があった。それから、一般貨物船を例にとれば今過剰船腹は四万トンぐらいなんですが、当時は七十万トンにも及ぶ過剰船腹があった。大変な過当競争があったわけでございます。このような過当競争防止し、経営基盤が極めて脆弱な中小零細事業者が大半を占める内航海運事業者経営基盤強化を図るとかあるいは荷主さんとの運賃やその他の交渉で経済的地位の向上を図るということを目的としましてこの法律ができたわけでございます。  今お尋ね船腹調整事業につきましては、そのようなことから過当競争防止船腹需給の適正を図るということで設けられた経緯でございます。
  8. 鈴木政二

    鈴木政二君 今の話で、一万二千隻ぐらいあった。大変大きな混乱の時期で整理をされてきた。そうしますと、今回のこの船腹調整事業解消されるとまたその時代に、もとのもくあみで、時代が違うと言えばそうかもわかりませんけれども非常に過当競争が激しくなる。それに伴って、当然ながら運賃競争も激化をされると思うんです。そうしますと、慢性的な低運賃と過剰な船舶になる可能性が非常に高くなるというような、今の説明でいってどうなっていくかわかりませんけれども運輸省は、一万二千以上もあったというこの過剰船舶、これ解消されるともっと前にもとに戻ってしまうような可能性を考えていませんかどうですか。
  9. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 先生提出した私ども資料に若干間違いがありまして、一万二千社じゃなくて約一万六千社です。  三十年前でございまして、いろいろな中小企業者が大変乱立していたということでございまして、そういう経緯でできたわけでございますが、確かにこの船腹調整規定いわゆるカルテルでございますが、これを外せばそういう参入が外からなるわけでございますから、そういう御指摘のような傾向があるんだろうと思います。  ただ一方で、我が国経済状態とか産業状態あるいは資本の蓄積が随分進みまして、意欲的な事業者さんもあるわけでございます用意欲的な事業者さんにとっては、そういう規制が緩和されたことによって規模を大きくしようという御意欲もあると思います。それから、今中小零細と申し上げましたけれども、そういう方々でもこの際、協業や合併化してもっと違う分野へ出ていくとか、あるいは違う輸送分野へ出ていくとかあるいは違う輸送分野ということよりも新しい分野を開拓していこうという意欲も出てくるんだろうと思います。そういう意味では企業が大きくなれば経営安定化になる。カルテルをやめることによって自主意欲というか活性化意欲によりまして、規模が大きくなって、経営安定化やなんかにつながるんだろうと、私どもは反面そう思っております。  ただ、船腹というものは一たんつくりますと十五年とかそこら辺の期間は必ず稼働しなければならないものですから、需給バランスがとれなくなるというおそれも確かに御指摘のとおりでございます。  私どもとしては、この船腹調整規定があるとしてもあるいはなくなった後も、内航海運事業者さんへの中長期的な指針となる適正船腹量というものを、毎年いろんな関係者から資料を得まして、それを御審議して公表してございます。船種ごとにそういうものをやっておるんですが、引き続きこのようなものをきちんと策定する、要するにメルクマールをつくる。さらにはそれらの適正船腹量のやり方をもう少し補完するものを、例示を出すというようなこと。あるいは今行われておりますけれども、内航海運業者荷主業界との定期協議機関、例えばセメントですとかあるいは石油ですとか鉄鋼ですとか、その他もやっております。あるいは化学品もやっています。そのような場を活用しまして、物質別の細かい船腹需給見直しについて相互認識を図っていただく。  そのようなことで適正船腹が著しく過剰にならないようなことをいたしていきたいと思っております。
  10. 鈴木政二

    鈴木政二君 今のお話を聞いていて、ちょっと矛盾もあるような気がするんですね。  といいますのは、適正に、運輸省も数字を出していくと。そうすると、もちろん現実の今やっていらっしゃる事業者の方の意欲で三隻も四隻もふやすのはいいんですけれども、じゃ新規参入意欲のある人というのはこれはどうなってくるんですか。意外どこれからはこれだという人もたくさん出てくるかもわかりませんけれどもそこらにちょっと話が欠けているような気がしましてもう一度お願いします。
  11. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 内部の方は、意欲のある方はそういうことで自主努力というか新規分野に出ていくとかあるいは協業化によって経営が強くなるということになるだろうと思いますが、ただ逆に、外部で今先生指摘のような方々が出てきて、そこらの人は自分らだけの見通しで参入をしてきて過剰の傾向になるんではないかという御指摘だと思います。  だから、私どもとしましては、そういう船会社内航海運組合に入っている人だけじゃなくて、一般的に内航海運船腹量がどうなのか、どの分野でどのようなバランスがとれているのかというのを公表しながら、著しく過剰にならないようにしなければならないと思っております。  さらに、これは最後の手段みたいなものなんですが、今はやっておりませんが、実は内航海運業法には最高限度額というのがございまして、現有船腹需給が非常に違ってくるという場合になりますと、この最高限度額というものを設定しまして建造許可をしばらく待ってもらう、こんな制度もございます。そういう制度もいざとなった場合はあるんですよという周知とともに、著しいアンバランスがないような努力をしていきたいと思っております。
  12. 鈴木政二

    鈴木政二君 最後の切り札もあると、こういう話ですね。  次へ進みます。次は運賃の話です。  ほかの機関許可とか届け出制であるんですけれども、この内航運賃だけ自由運賃だと。ですから、必然的に需給バランスで、例えば東京−北海道間を見てよその運賃を聞きますと、一キロ当たりトラックは二十円、それから鉄道は十六円、内航が二円弱と、これは間違いじゃないかと思ったんですけれども現実に二円弱だと、こういう話でありまして、もう極めて本当に安い、安価だというのを痛切に感じます。ちょっと外国の例も調べましたんですけれども外航運輸はもう当然これよりも高いわけですけれども、欧米の内航運輸でもやっぱり日本は安い、こういう話でありました。  そうしますと、この事業解消されますと運賃もどうなっていくのかちょっとよくわからない非常に不透明な部分が多いわけでありますけれども局長自身はどう考えていらっしゃいますか。
  13. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 今、御指摘もございましたように、内航運賃については役所がこれは全く関与しておりません。そういう意味では規制が極めて緩和したものでございます。  この内航運賃といいましても二つ種類がございまして、鉄鋼製品とか石油を運ぶような、要するにインダストリアルキャリア運賃と、それからもう一つは、これは例えば陸送しておりますコンテナコンテナ船ローロー船で運ぶというような、私ども申し上げているいわゆるコモンキャリア一般荷主さんから荷物をもらってくるというこういう二つに分けられると思います。  実は、規制が緩和されまして船腹が第三者もその運営ができるようになる、船腹運航ができるようになるとすると、それは方向として運賃が下がる方向にあるんだろうと思います。  しかしながら、そのインダストリアルキャリアの方は、実は先ほど御説明しましたような大きな荷主間と、内航海運組合一定の部門と私どもが入りまして、私どもからすれば実際どのような苦労をしてこういう運賃を提供しているのかということを説明しております。荷主の側も、自分の他の分野でこんな苦労しているんだからということで御披露がございますけれども、私どもの立場からすれば、そんな内航海運組合が非常な運賃をもらっているということはないので、この辺を御理解していただきたいということで、個別に大きな産業分野についてはそういうお話し合いを行っております。半ばでございますが、ほとんどのところも、確かに多大なもうけはないなと御理解を賜っているところも大きな分野ではございます。  ただ、荷主さんもいろいろ努力しているものですから、少しずつお前の方も合理化船効率化船、あるいは大型化によってコストダウンが図られた場合は、少しはこっちにも還元しろという話は当然ございます。  一方、コモンキャリアの方、これは陸送のものをとってくるということでございまして、これはモーダルシフト観点から、我々としては規制が緩和されることになればより一層、コンテナ船ローロー船がありまして、新規参入方々陸送の方からこっちに転出してきてもらいたいということでございます。これは実は内航海運同士争いではなくて陸上のトラックと船との争い、あるいは鉄道貨物運賃との争いがございまして、これについてはなかなか厳しいものがございますが、しかしながら、これはローローコンテナ船の場合はほとんど内航の場合でも大きな企業でございますので、そこら辺の経営の判断とか経営弾力性はあるんではないかこのように理解をしております。
  14. 鈴木政二

    鈴木政二君 確かに局長のおっしゃるとおりだと思います。今後これは、さっきのモーダルシフト関係から私も悠長な話じゃないなという気がいたします。  ここで、一番今回の焦点でありますスクラップ・アンド・ビルドを原則とする船腹調整制度の長い間の運用の中で、スクラップに充当する船腹量、これは業界では引き当て資格と言っているそうでありますけれども、この船腹量引き当て権として売買の対象になる。価格がつくために、事業者がその船を代替建造するときに銀行がその引き当て権担保価値を認めている、これは非常におもしろいというか興味ある話であります。  けさも、私の先輩のお隣の溝手先生から、専門家なものですからいろいろ聞かせていただいておったんですけれども、本船以外に担保資産が非常に少ない、さっき局長の話で小規模事業者が多いという話ですね。新しい船の資金を調達するためにこの引き当て権担保にしている、頼りにしている。現に銀行側も融資の際、担保の中にこの引き当て権を含めて考えているという。もっと言うと、たまたま担保物件がほかになくてもこれさえあれば安心して銀行は貸しているというのが現状だそうであります。つまり簡単に言うと、零細企業の一杯船の船主でも、船舶ファイナンスをこの船腹調整制度でできるということであります。ですから、これが解消されたら零細企業は大変な混乱を招くことは事実であります。  けさ溝手先生にちょっとお話を聞いたら、もう銀行は、この話が出たときに陰でというのか表というのかどうかは知りませんけれども零細企業事業者担保物件を調べているというような話までちょっと聞いているわけでありまして、これが解消になったときに特に零細の多いこの事業者皆さんがどんなふうにやっていくのか。  一つこれ質問ですけれども、今現在、参考までに内航海運業界引き当て権の総額は一体どの程度になっておるのか。そして、今言いましたように償却は十四、五年だというふうに聞いていますけれども船腹調整事業解消した場合、この引き当て営業権価値がなくなるわけでありますから大きな混乱が必ず出てくると思います。運輸省としてどんな対策を持っているのか、教えてください。
  15. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 引き当て権というのは、これをもくろんでこの制度ができたわけではないんですが、船腹調整事業、いわゆる施設カルテルをつくることによってやむを得ずといいますか副次的に出てきたものでございます。したがいまして、政府がこうしたからとか政府の責任でできたものではないんですが、ただ御指摘のようにこれが一つの権利として売買をされていることも事実でございます。  そこで、今どのぐらいあるのかというお尋ねなんですが、これは実は、個々の事業者さんで初めから船を持っていた方につきましては、これは調整規程ができたときですから自分がずっと持っている船がそのまま資格として生きているということで、これは帳簿にも載らないんだろうと思います。それからもう一つは、途中で船腹を買った方も、これも一つ営業権でございますので五年ぐらいを立てて償却している、大手の場合はほとんど償却していると思います。それから、あるいは中小の方でも償却している方もあるし、してない方もあります。  ここは内航海運組合にもよく聞いているんですけれども、全体的に帳簿上にどのくらいの営業権としての引き当て権が残っているのかというのは、残念ながら私ども内航海運組合も含めまして資料はございません。ただ、一定相場、例えば貨物船ですとトン当たり引き当て権幾らだからそれが何百万トンあるから幾らだとかあるいはタンカーだと幾らだからそれが何百万トンあるから幾らだとかいう単純な計算をすれば何千億という額になりますが、それはまた相場で決まるものでございますので、必ずしもそれが全部担保価値になっていると思ってはおりません。  その担保価値が減っていったらどうするのかというその次のお尋ねでございますが、私ども船腹調整規程を計画的に解消しようとしましても今直ちにやるつもりはないし、やれば今御指摘のような混乱があるわけです。一定期間、かなりの期間を定めまして、解消時期は目標として計画的解消をする場合には掲げなければなりません。  その期間にだんだんに引き当て権が下がっていくと思いますが、先ほど申し上げました協業化意欲のある方の集中化等によって御尽力を願いたいということと、きょう提案しておりますようなこれから船をつくろうという方には引き当て権が、担保がなくなるものですから債務保証制度を設けたいとか、あるいはその他、金銭的には直接関係ないのかもしれませんけれども荷主の優越的な地位防止することによって、さっきの話と同じなんですけれども運賃が急に下がらないようにとか、いろいろな措置。あるいは、内航海運組合がこの船腹調整規程を仮に将来やめるときには共済制度をつくってくださいという、具体的な内容をもう一つこれから勉強しなきゃいけない面もありますが、そんな制度創設を考えながら急激な変化がないような円滑な計画的解消が図られるようにしていかなければならないと思っております。
  16. 鈴木政二

    鈴木政二君 大変詳しく説明していただきましてありがとうございました。  ただ、今言ったように、調べれば恐らく運輸省ですから多分調べられるとは本当は思っていますけれども現実にこれから担保の、相場ですからどんどん下がってきてっかみづらいということは確かによくわかります。  今、共済制度の話も出て、少しはそういうところも考えると、これはもし四、五年という形でなったときに、そのときに運輸省というか国がある面では助成というか支援というか言葉は非常に難しい言葉で言いづらいところがありますけれども、そういうことは考えてみえるんですか。
  17. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 内航海運組合と将来の計画的解消をベースといいますか、計画的解消についていろいろお話し合いをしているわけでございます。そのときに、さっき私例示として申し上げましたけれども共済制度船腹調整解消時期と合わせてつくるとか、いろいろそれまでの措置をこうしてくれとかいうことで、お金がかかるようなことも彼らから一つ提案はされています。  ただ、いずれにしましても、私どもとしてはそういった提案をこれからも、今までも詰めてきたんですけれどももう少し詰めなきゃならないところがございます。それからもう一つは、他の施設、例えば紡織機ですとかお酒ですとか、他の例もございます。そんな事例をよく勉強しまして、一応一覧表はつくってあるんですけれども、もっと深く背景その他仕組み等を勉強しまして、これからしていかなきゃならないと思っております。
  18. 鈴木政二

    鈴木政二君 大変心強い答弁でありがとうございました。  次に、船舶整備公団のことですけれども共有建造方式拡大というか推進を図ろうということなんですけれども、御存じのように平成七年の二月二十四日の閣議決定で、特殊法人整理合理化基づいて鉄道整備基金と統合されるという話を聞いております。これは、これからの建造について支障を来すことはありませんか。規模も縮小するとか、統合されてもいろんな問題が出てきませんか、どうですか。
  19. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) これも行政改革絡みで、今先生のおっしゃったようにしなければならないということで、国会に法案の御審議提案しているところでございます。その中で私ども一番困りましたのは、鉄道整備基金の業務と内航海運の業務、これは旅客船もございますから国内旅客船も含めた内航ということでございますが、その業務を足しただけだと何の行革だと、こういうふうに言われるわけでございます。  その中で、私鉄道の方はちょっと熟知しておりませんがそれなりの整理があったんだろうと思いますが、足しただけにはならないようにいろいろな業務を整理しております。今まで活用しなかったもの、あるいは活用の程度が少なかったものについては整理をしております。  それから、今まではなかったけれども、要するに技術の進歩によって効率化を図る。効率化を図るということは運航効率がよくなるだけではなくて、乗組員の方々の負担も少なくなって、その分だけは省力化が図れるんではないかというものもありまして、そのような技術のものについては今度は膨らます。要するに、しかし膨らますものが減るものより多くては行政改革にはなりませんが、少なくともそういうような工夫をしながら一つ事業団としてまとめていっているところでございます。
  20. 鈴木政二

    鈴木政二君 言いたいことを先に局長に言っていただいたから、よくわかっていらっしゃるからいいです。  これはどうなっていくか、マイナスになってしまうと意味のない話でありまして、きょうも先輩の野沢先生お見えになりますけれども、何となく言葉には不自然さを感じますけれども、内容的にどうしていくかというのはこれは私非常に重要な統合だと思っておりますので、局長自身もその立場でしっかり物を言っていっていただきたいなと思っています。  次に、規制緩和推進計画の改定の中で、モーダルシフトの適応船以外は荷主理解と協力を得ながら五年間を目安に所要の環境整備に努め、その達成状況を踏まえて船腹調整事業への依存の解消時期の具体化を図るという言葉で出ているわけであります。船腹調整事業への依存の解消時期の具体化を図るというのは、環境整備が達成されたときということをどういうふうに理解していいのかちょっと非常にわかりにくい言葉なものですから、一体何を環境整備が達成された時期というふうに私ども受けとめていいのか、ちょっと教えてください。
  21. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) お答えします。  環境整備計画というのは、昨年の三月に政府として閣議決定したときから内航総連合会がいろいろ工夫をされましてまとめたものがございます。  その中には、自己資本の充実ですとかグループ化、協業化の達成とか、船腹需給の適正化ということがございます。これは、過剰船腹があるものですから計画的解消とはちょっとベクトル、方向が違うんですけれども、引当権を逆に上げて五年の環境整備期間過剰船腹が減るようにということで決めてございます。  そのほかにいろいろございますが、取引関係の優越的地位の乱用防止と受注機会均等化ということで、これは、内航海運組合は一部やはり荷主さんから比べれば力が弱いことはそのとおりでございますので、そうしたものについてクレームを処理するようなシステムを考えております。いろいろなことがございますが、そういったものの中に、もう一つはきょう御審議いただいています内航海運組合による債務保証基金の造成というのもございます。  そういったものを、いっどこでどうなれば達成されたという一つのきちんとしたものはございませんが、この五年の中でどのくらいまで達成されているのかというのを見きわめながら具体的な時期をはかりたいというのが去年の閣議決定の内容でございます。
  22. 鈴木政二

    鈴木政二君 今、答弁として私は不満なんだけれども、ちょっとわかりにくいんですけれども一つずつ見て総合的に判断をしてこの時期だというふうな理解でいいですか。
  23. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 一つずつじゃなくて全部の項目を見ながらやっぱり総合的に判断をする、そのとおりだと思います。
  24. 鈴木政二

    鈴木政二君 次に進みます、時間もそろそろ来ましたから。  ちょうど今たまたま触れたんですけれども内航海運業というのはすごく荷主が強いというのか、当然といえば当然、要するに輸送物が鉄鋼材とか石油、セメント、自動車ですから、こういうのは当然ながら利用者の荷主さんは大企業に決まっていますね。  その反面、非常に問題のあるところは、この内航海運業界というのは、本当に一隻しか持っていない船主というのが全体で七〇%もある。資本金も、普通これくらいの船を持っているとなればかなり大きいだろうと思ったらとんでもない話で、一億円未満が九五%。老朽船、この間から例のロシア船の問題も出ているんですけれども、これは老朽船というよりも償却できる船という考え方をした方が正しいのかもしれませんけれども、船齢が十四年、これは償却の年数ですけれども、十四年以上の船舶が五〇%近くもある。  こうやって見ますと、圧倒的に利用者側が優越的な立場になる。ほかの業界では余り考えられないような産業界だなという感じがいたします。  そんな中で、私は三つ非常に心配する点があるんです。  まず、こういう大手がありますと、内航海運業者も系列が出てくるというのはこれは当たり前の話であります。そうすると、かえって自由競争にしていこうという原則が、競争の制限が生まれてくるんじゃないかなという、反面非常に心配をしている点が一点です。  それから、さっき廃業になると局長もおっしゃった、確かに廃業になる人も出てくると思う。そうすると、前も私プレジャーボートのことでちょっと質問をしたことがありますけれども、プレジャーボートが今十万台捨ててある中で、この船がまた廃船になってばっと捨てちゃう。そうすると放置船が物すごく多くなってくる。そうするといつものように自治体が非常に困る。こういう問題がもう一つ。  それからコストの面で、これ溝手先生ともちょっと話をしたり、業者の人とも、私の友人もちょうどたまたまおりましたんですけれども、ほとんど夫婦でやっている。中には一人ぐらい、ちょっときょうは余分に多いからというとどうしようもない青年を連れてきたりすることもある。ここの業界では山出しという言葉もあるそうでありまして、大変なところからも連れてくるという話で、家族経営というのが非常にある。そうすると大変な高いコストになる。一生懸命頑張ろうとしても大変なコスト。  こういうふうに調整制度解消になってくるとこういうような問題がありますけれども、もう一遍そこらの話の整理をぽんと局長言ってください。この今の三つ。
  25. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) お尋ねの点が三つあったと思いますが、一つは系列化の問題で大企業の支配が強まるのではないか、こういうことでございます。  実は、内航海運組合は、さっき申し上げましたようにインダストリアルキャリアとしてのとそれからコモンキャリアとしての二つに大まかに言って分けられますが、大企業の製品を運ぶ、例えばタンカーですとか、あるいは鉄の製品を運ぶとかセメントを運ぶとかということは、どうしても今の制度におきましても、あるいは制度解消してからも、これは資本の原理だと思いますが系列化が進むんだろうと思っております。今でも進んでおります。  ただそのほかに、さっきも申し上げましたけれども、逆にコモンキャリアの方は、コンテナローロー船を初めとしまして、これは陸の隘路となっているものを規制の自由化によりまして積極的にとってくると、もちろんそれだけではだめでコンテナ内貿埠頭の整備等その他も要りますが、とってくるということでこれはむしろ荷主の系列化よりも逆の傾向があるのではないかと思っております。  インダストリアルキャリアにつきましては、荷主の系列化が進むということにつきましては、私自身はどちらも中立ではないのかと、それが必ずしもいけないということで役所がだめだということは少し言いにくいのかなと思っております。  それから放置船、これはそのおそれは確かにあると思います。プレジャーボートを見ましても、あるいは外国の船も放置をしているんで、非常に私の担当としても困っておるところがございます。  ただ、内航の船ですと、一般的には何々丸ということで所有者が特定できることが多いと思います。そして、今まで持っていた人、要するに船としてそこに放置した方がわかるわけでございまして、これにつきましては、例えば海に捨てたという場合は海洋汚染防止法の罰則規定もございますし、あるいはいつも陸岸に放置してそれが撤去されないということになれば、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などによりましてこれは適切に処理していただくということが可能ではないか、かように思っております。  それから三番目は、これは大変難しい質問なんでございますが、一杯船主と言っては失礼ですが、中小零細な方は相当我慢をして輸送しておるわけでございまして、かなり運賃的には競争力が強いもので、大きな企業自分のコマーシャルベースでやってもなかなかかなわない部分もあるんだろうと思います。  ただ、私どもは、さっき申し上げましたように、運賃規制というものはこれまで関与をしてまいりませんし、今後も余りこういうものに関与して行政府が余計なことをやるということは望ましいものとは考えておりません。船腹調整事業解消することによりまして参入が自由になって、いわゆる市場原理で適正な運賃が確保されることを期待しているというような状態でございます。
  26. 鈴木政二

    鈴木政二君 それから、規制緩和推進計画の改定の中で、「前倒しの方向で検討する」というこの間の平成八年十二月の発表があったんですよ。この「前倒しの方向で検討する」というのは一体何を、どっちを前倒しにするのか。例えば五年間の環境整備を前倒しにするのか、それとも船腹調整事業解消を前倒しにするのかどちらか教えてください。
  27. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 実は解消時期が決まっているわけではないので、確かに非常にあいまいなところがございます。私どもとしては、物流の基本計画がございましたので前倒しを今検討しているわけでございますけれども、それは意味としては両方にとれるんだろうと思います。ただ、私どもとして今、内航海運組合といろいろお話し合いをしているのは、やはり具体的時期の前倒しということを頭の中に描きながらお話をしているという状態でございます。
  28. 鈴木政二

    鈴木政二君 わかりました。  この話が出てから内航の関係の海運組合総連が環境整備推進計画を大騒ぎしてつくったんだと思うんですけれども、五年間を目安に所要の環境整備を進める、こういう計画書をつくられました。大臣も当然読まれたと思います。  それによりますと、ここの中で大変注目されるのは、先ほど局長がずっと一貫してお話しの、四%の自己資本率を高めて二〇%に引き上げるとか、グループ化、協業化、合併、転廃業、こういういろんな話が出ていたんです。その中で、現在三分の一である三隻以上の事業者を三分の二に引き上げる。現在六千の事業者、九千隻の体制を二千減らして四千の事業者と船は一緒の九千隻体制にする、こういうような計画書と見させていただきました。運賃や用船料の話、船舶需給の適正化の話も出ておりました。  この計画は当然ながら、荷主や行政の協力や理解がないと何一つできない計画だと私は思っております。ここで行政という話ですから、運輸省は一体この計画書をどんな形で支援していくつもりですか。
  29. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 先生お話しになりましたような環境整備計画の中では、事業者さんが自主的な判断のもとで積極的にやっていただかなきゃならないもの、それから、そういうものであっても荷主さん、ほかとのお話し合いをしていかなければならないものなどがあります。  自主的なものはぜひそういうことで中で推進をお願いしたいんですけれども荷主さんとしてあるいはその他の関係の方としてお話をしていかないものについては、先ほども申し上げましたように、私どもが仲立ちになりましてさまざまな協議会とか打ち合わせの場を設けて関係の向きに理解を求めているところでございます。荷主さんの方も大企業になりますと、輸送部分まで経営者の気配りといいますか、目が行かないと言っては怒られますがちょっと知識が少ないところもございますので、かなりの上の方に出てきていただいてよく説明をしております。  それからもう一つは、当然政府がやらなければならないものがございます。その一つがバックアップ体制としての、さっきもお話がございましたような、船舶整備公団が合併しますけれども、それを活用した適正な船舶ができるという措置、あるいは改造ができるという措置、あるいは技術革新によって経営の効率化がスムーズに進むような措置等のことでございます。  それからもう一つは、これは船の税制の問題等で事業がやりやすいような租税特別措置の問題ですが、あるいは、転廃業をしてもうそろそろ海からおかに上がろうという方に対する税金が、船の売買あるいはおかに上がったときの取得によって税金が大変取られてしまうということをなくそうというような租税特別措置の問題。それから、先ほど来申し上げていますような荷主の優越的地位の乱用防止のために新たな措置を必要ということがこの整備計画の中でうたわれていますので、それらにつきましてはこれは政府がやらなければならないということでございまして、これにつきましての積極的な取り組み、こんなことをやっております。
  30. 鈴木政二

    鈴木政二君 時間もそろそろであります。  大臣最後に、この内航海運、私も先輩からいろいろ聞かせていただいたり肌でいろいろ感じながらちょっと調査をさせてもらったんですけれども、集約というか究極的に言うなら内航船員の安定的確保というんですか、要するに簡単に言いますと給料がよくて職場の環境がよくてやりがいがある、こういう業種にしなきゃいかぬと思うんですね。全然例えが違うかもしれないけれども、我々政治をやっておる人間でも、永田町で勉強したいというような人がたくさんおるということは、それだけ政治も活気があるし、いい政治をしているということだと思うんです。  そういう意味では、私は、これから将来に向けて、若手の船員がまた若手の事業者がこの内航海運に夢と希望を持って、一生の仕事として日本の経済を支えているんだという誇りを持つようなそういう業界にしないと、この規制緩和の意味が私は全くないんじゃないかというふうに思うんです。そういう意味で、最近の傾向は、どうも社会風潮を見ますと規制緩和、いろんなものを廃止、外圧等にもいろいろあるわけでありますけれども、やはり日本の国益というか経済社会に、その規制の存在に積極的な意味があるかないかという判断が私は大事だと思うんです。  運輸省は特に今、規制緩和を先頭切ってやっていただいておるような状況です。大臣にいろんな方々から風当たりが大変強いのはよく私も知っているつもりでおります。そういう面では、私たちはやっぱり冷静に客観的に真摯にこれは検討していかなきゃならないと思いますけれども最後に、今までの船腹調整事業やこの問題につきまして大臣の所見を伺いたいと思います。
  31. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 内航海運業また船腹調整事業という、鈴木先生のさまざまな背景から経過というものの御審議を通じまして、私なりにまた改めて認識を新たにいたしている点も非常に多いわけでございます。  確かに、平成七年の六月でございますか海運造船合理化審議会の答申を受けまして、昨年の三月に船腹調整事業についての計画的な解消ということの閣議決定を受けて、今こうした御審議を実はいただいているわけでございますが、今次、行政改革それから産業構造改革という中で規制緩和というものが一つの大きな喫緊の課題であると同時に、また国民が最も注目をしている政治的な課題でも実はあるわけでございます。  今の政府委員とのやりとりを私も聞かせていただいておりました。一番大事なことは、まさに先生から触れていただきました新しい内航海運業というものをつくり上げていくその基本になるのは、やはり若い人たちが自分たちの仕事にどういう誇りと夢を持てるか、そういう面に変わっていかなければいけない、これが基本であるということは私は当然のことだと思っております。そこを見据えて環境整備をやっていくということは極めて大事なことだと思っております。  今後、今先生も触れられましたけれども運輸省が政策の根本にしておりました需給調整というものを原則廃止するわけでございますから、これからさまざまな問題点がいろんな局面で、いろんな分野で出てくるわけでございます。そういう中でも、この船腹調整を今回やめることによってどういう環境整備ができるかというのは一つの指針になるだろうというふうに思うんですね。それだけに今度の御審議いただいている法案というのは非常に私は重要な意味を持つというふうに思っております。  私どもといたしましては、御承知のとおり、まず自己資本がどう充実できるかということも考えさせていただいております。どういう形でまた集約化ができるか。同時に、債務保証等によります船舶建造がより円滑化していかなければ意味がないわけでございます。そういう点だとか、盛んに今御論議いただいておりました余りにも強い荷主さんの力というものをこの法案の改正によりましてどう調整していくのか、こういうのが私は主な点だろうというふうに思っております。  しかし、これだけでいいということではなくてこうした問題が今後どういうふうに進められていくのか、やはり業界方々との連絡を密にすることによってさらに改善すべきところは改善をしていく、そういう決意でこの問題には取り組んでいかなければいけないんではないか、そういう認識で今御審議を聞かせていただいたところでございます。
  32. 泉信也

    ○泉信也君 内航海運の問題は大変議論の積み重ねが今日までございまして、特に船腹調整の問題は各方面から多くの指摘がなされてきたわけであります。私の理解では、部分的には誤解に基づく話もあって、そのことによって進む方向が間違ってくることのないように、我々委員会の中でも十分議論をしなきゃならぬ課題だというふうに思っております。  先ほど大臣の御答弁にもございましたように、昨年末の運輸省の大きな政策転換の方向は大変歓迎をいたしたい、需給調整に関する政策転換については時代の流れでもありますけれども、大きな変化を受けとめての政策転換であるというふうに思っております。これは当然のことではございますが、そうした政策転換をするに際しましては綿密なアセスメントをして必要な手だてをしていくということが欠かせないわけでありまして、今回の法案改正もそうした観点からなされたものだというふうに受けとめておるところでございます。  そこで、八年三月の閣議決定の内容と、それから十二月の閣議決定の内容が少し違っておるというかわずかな一年足らずの中で考え方に随分違いが出てきておるように思うわけであります。  そこでまずお尋ねをいたしますけれども、このモーダルシフトの担い手となるコンテナローロー船平成十年度末までというのが三月の決定でございますが、十二月の決定ではできるだけ早い時期にということになっております。このことは、このローロー船あるいはコンテナ船についてはこうした段取りで進め得るというふうにお考えでございましょうか。
  33. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) これは大変いろいろな複雑なあれがございまして、実は昨年の三月に、今ローロー船コンテナ船は十年度末までにと決まっております。その他の船舶については、環境整備の達成状況を踏まえながら廃止時期の具体化を図るというふうになっておるわけでございます。十二月になりまして、これは規制緩和ということで、メーンは政府が持っている免許システム、需給調整システムをやめられないのかということでございます。したがいまして、私ども関係では例えば旅客船については免許制度がございますので、それは需給調整を廃止するということで検討させてくださいということになっているわけでございます。  内航の場合はそれとは少し違っていまして、政府がやっているんじゃなくて民間の中の船腹調整ということで、経済的には入ろうとする人が先ほどお話がありました引き当て権等を外部から入る場合には持ってこないと、逆に言うとスクラップがないと入れないということで効果としては需給調整があるのかなと、こういう需給調整の面があるということでございます。  そこで、私どもとしては免許制度の中にあります需給調整を廃止の方向で検討する際に、これも前倒しの方向で検討できないのかなということで十二月の閣議決定に書かれてあるわけでございます。ただ、これは役所の権限というよりも民間が、役所の認可はありますが、そのもとで行っている船腹調整事業を民間とお話し合いもとで前倒しができないかという話でございますので、少し性格が違っておるわけでございます。したがいまして、その船腹調整規程の前倒しの方向につきましては関係業界とお話し合いをしている、こういう状態でございます。
  34. 泉信也

    ○泉信也君 ローロー船等につきましては、先ほどの局長の御説明ですとコモンキャリアとしての役割を担っておるかと思いますが、十年度末までと申しますともう本当にわずかしかないわけです。この部分は、民間の話し合いの中で運輸省としてはそういう指導をしていくという理解でよろしゅうございましょうか。
  35. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 十年度末が前倒しになるかならないかも含めましてお話し合いをさせていただいているということでございます。
  36. 泉信也

    ○泉信也君 その他の船舶については、平成八年の十二月では前倒しという言葉で表現をされておるわけですが、三月の時点の、先ほどもお尋ねがございました達成状況を踏まえてというこの部分が実は落ちておるわけです。これは、三月の閣議決定の達成状況を踏まえてというのは生きておるのか三月の決定の際に出されたこの言葉は十二月の閣議決定の中では生きておるのか、それとも消えてしまっておるのか、いかがでしょうか。
  37. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 先ほど私お話し申し上げましたように、三月の閣議決定モーダルシフト船等については末尾が決まっている、その他については達成状況を踏まえてということでございます。これを、どこの部分をどうだじゃなくて、総合的にもっと前倒しの、言葉でいえば前倒しの表現にならないのか、実態的にいえば前倒しの記述ができないのか、前倒しの期限が明確にできないのかということで検討をしろ、こういうことでございます。
  38. 泉信也

    ○泉信也君 私は閣議決定というものは大変重みのあるものだと思いますので、決めていただいたことは確実に実行する、そのことは大変重要だと実は思っております。閣議で決められますと、一般国民はもちろんのこと、事業者もそれに基づいた経営計画というものの議論をなさるんだろうと思うんですね。ですから、この十二月の閣議決定お話を進められるとすれば、それなりの体制をさらにつくっていただくことが必要かな、こんなふうに思っておるわけです。  この閣議決定の中にございます環境整備の達成状況を踏まえてということについては、先ほどもお尋ねがございました。必ずしも明確なお答えがいただけなかったんではないかというふうに思ったんですが、具体的な環境整備が整ったという判断をどうやってするかという一つの尺度としまして、古賀大臣にも内航海運の方から陳情書が出ておると思うんです。環境整備が整うまでの要望としてたしか五点が出されておると思いますが、簡単に項目程度で結構ですので御説明いただけませんでしょうか。
  39. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 要望書としましては、私が整理して頭の中に描いておるのを、ちょっと今現物を用意しておりますが、環境整備というよりも船腹調整規程の廃止の計画的解消の目標をはっきりさせる場合には、一つは、これはちょっと順序が違いますが、事業者さんが六千社今ある、それで四千社にする条件として一定資金を出せあるいは出すということがあります。それからもう一つは、過剰船腹があるので、これを適正に処理するための措置をしなさいというものがあります。それからもう一つは、これは解消時期に合わせて共済制度をつくるということでございますので、共済制度もつくってくれという話もございます。それからもう一つ、さっき申し上げましたように、荷主の優越的地位の乱用防止のための措置もつくってくれ。それから、債務保証基金についてもてこ入れをしてください。  こんな五つの問題がございます。
  40. 泉信也

    ○泉信也君 この五つの要望の中で、中でと申しますとちょっと言い過ぎかもしれませんが、今回、具体的にこの債務保証基金をつくって支障のないようにというのが一つ取り上げられたというふうに私は理解ができるわけですが、そのほかの項目についてじゃどうするのか。  先ほどのお尋ねの中にも、御答弁はもちろんございましたのでこれ以上踏み込むことはきょうは差し控えさせていただきますが、特に、この優越的地位の乱用を防止するための下請法の話が一項目出ておるわけであります。強い荷主さんに対する海運業界方々がお困りになっておるということだと思いますが、内航海運業においては、荷主が優越した地位を利用して運送業者に不利益を与えておるというのは私どもしばしばこの業界方々から聞かされるわけでございまして、公取としてはこの問題にどういうふうに取り組もうとしていただいておるか、お答えをいただきたいと思います。
  41. 横田直和

    説明員(横田直和君) 私ども公正取引委員会におきましては、従来から運輸業を含めました役務の委託取引について個別業種ごとに調査をいたしましてその実態の把握に努めるとともに、必要に応じまして独占禁止法の観点から取引の適正化を要望するなどの対応を行ってきているところでございます。  そして、近年ですが、我が国経済のサービス化が進展しているとか規制緩和という問題もございますので、役務の委託取引が公正に行われるということを確保するというのが重要だということにかんがみまして、現在内航運送業を含めまして十四業種、役務の委託取引について実態調査を実施しているところでございます。そして、今後この調査結果を踏まえまして、優越的地位の乱用行為があるかないか等を含めた問題について検討を行いまして独占禁止法の適切な運用にさらに努めてまいりたい、かように考えております。
  42. 泉信也

    ○泉信也君 今お話ですと実態調査をしていただいておるということでございますので、その結果を待たなければ方向が出てこないことになるかと思いますが、ぜひ、先ほど来も出ましたように、一杯船主と言われる方々がどのような状況で通常の経営上のコストを割って運送に従事しておられるかというようなことをよくお調べをいただきたい。必要があればこの下請法と言われます法律の改正も含めまして御検討を進めていただきたい。きょうは要望にとどめておきます。何かお答えいただけますか。
  43. 横田直和

    説明員(横田直和君) 私どもでは、今回の調査でアンケート調査をいたしましたけれども業界関係の各方面の方々からのヒアリング調査をしておりますので、そういう意見を踏まえて今後対応を検討したい、かように考えております。
  44. 泉信也

    ○泉信也君 そこで、この法律の改正の中でもう一つお尋ねをしておきたいことがございますが、内航海運組合法の八条の九の二に今回の改正の内容があるわけですが、「金融機関の委任を受けてするその債権の取立て」ということも記述がなされておるわけです。  中小企業等協同組合法の中にこうしたことが明記されておるわけで、そのことがここに引用されておるというか、こうした役割を担うようにということが書かれたのかと思いますが、これは運輸省としては、むしろ積極的に内航海運組合の中がこうした役割を担うべきだというお考えから記述されたのか、それとも別の要因でこういうことが規定されようとしておるのか、いかがでしょうか。
  45. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 先ほどお話がございました船腹引き当て権というのは副次的に発生をしてそれが金融の担保になっているということから始まるわけですが、これから計画的解消することによってそれがなくなっていく、そのための債務保証措置をつくろうということで、この八条に一号を加えて九号の二と、今先生お話しになった規定を加えることをお願いして御審議をいただいているわけでございます。  このメーンの趣旨は、むしろそういった債務保証をすることができる、内航海運組合がなかなか民間の金融機関が貸さないような場合には債務保証をすることによって融通の道をつけるということがもちろんメーンの目的でございます。  ただ逆に、債務保証をした、不幸にしてそれが取り立てられなかったとすると、これは自分債務保証をしているわけですから銀行からお金を請求されちゃう、それをそのまま泣き寝入りするわけにはいかないものですから、自分債務保証した立場として債務保証を受けた人にお金を返してもらうようにするということでございます。  ただ、今先生がおっしゃいましたように、内航海運組合はこれについて今までの知見もそういう能力もないわけでございます。これにつきましては、今お話がございましたような中小企業等協同組合法に基づくそういう措置がございますのでその事例、あるいはそのほかに森林組合法でも同じような事例がありますので、そこら辺をよく実務を勉強していただいて、あるいは我々と一緒に勉強して、実際はお金の取り立てとなると弁護士さんとかそういうことの相談をしなければならないと思いますが、もし不幸にしてそういうことになった場合は、あるいはなることに備えて十分勉強していきたいと思っております。
  46. 泉信也

    ○泉信也君 大臣に一つお伺いをさせていただきたいんですが、内航海運も今の船腹調整制度の廃止の方向に進んでおりますし、いわゆる需給調整の政策を転換されようとする中で、同じ国内の海運の中にございます旅客船についてもこうした施策が展開されていくだろうというふうに思うんです。  旅客船の場合は、なかなかこれは離島との間でございまして、飛行機のあるところは別といたしますと唯一の島民の足ということから考えますと、よほどきめ細かな配慮をしながらでないと、いわゆる採算ベース、経営ベースだけでは成り立たないことがたくさんあるというふうに思います。既に、運輸省はこうした事柄についてこれまでも自治省等との協力の中で新しい施策を展開しておられますけれども、例えば海水浴シーズンというような大変お客さんの多いときだけ船を回して、悪い言葉ですが荒稼ぎをし、閑散期はおれは知らないというような、例えばそういう船会社が出てくるということになりますと、苦しい中で努力をしておられる事業者にとっては大変迷惑なことだと思うんです。  内航海運そのものも一番最初に申し上げました誤解に基づく議論もなされておりますが、この旅客船につきましても特段の配慮が必要だと思いますので、大臣の考えを聞かせていただきたいと思います。
  47. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 最初に、先生の方から御指摘をいただいておりました八年三月の閣議決定と昨年十二月の閣議決定の件でございますが、私の認識では経済構造、行政改革、まさに喫緊の課題であります橋本内閣六つの改革ということを実現するためにも、私は、平成八年の閣議決定より一層ひとつこの需給調整原則廃止ということに強く向かって、言いかえれば目標期限は三年ないし五年と決めておりますが前倒しのできることはひとつ徹底的に検討していこうと、特に人流、物流、それも全分野において検討していこうではないかと、こういう認識であるということをぜひひとつ御理解をいただいておきたいというのがまず一点でございます。  それから、当然、今需給調整というものを原則廃止してまいりますと、先生指摘いただいているような問題が出てくるだろうと思います。それは何も船の問題だけではなくて、過疎地を走っております、私たちの郷土もそうでございますが、先生も御一緒ですのでおわかりいただけると思いますが、路線バスの中ででもそういう問題が当然出てくるだろう。それだけに、非常に政策の大転換をやるわけでございますから、よほどきめ細かな環境条件の整備をどう国民的コンセンサスを得てやっていくのかそれはよく生活の維持路線だとかということで我々表現させていただいておりますけれども、それだけではなくて今まさにおっしゃっておりますような問題が生じてくるだろうと思います。  運輸省のみならず政府といたしましては、八年度末、具体的な行動計画を立てまして、それで閣議決定させていただきますと、運輸省といたしましては運政審等の御審議をいただかなければいけないということでございます。生活維持路線の問題、利用者の保護の問題、また運輸行政の中で最も大事な安全確保の問題、そういったところの環境条件整備というものの御答申をいただいた上で、私どもといたしましては、さらにきめ細かくそれぞれの業界方々との連絡を密にする、協議を重ねていくということも必要でしょうし、そういう点に十分な配慮をしながら措置できるべき改善を行っていかなければいけない、そういう強い決意でいるということを御理解いただき、また、先生の長年の運輸行政に対する御経験の中で御指導いただければ大変ありがたいというふうに思います。
  48. 泉信也

    ○泉信也君 次に、これまでの内航と話を変えまして、外航の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  いわゆる日米の外航問題が大変重大な時期を迎えつつあるのではないかというふうに思うわけでございます。運輸大臣からもスレーター運輸長官に親書を出されて、この問題解決に御努力をいただいておることを承知いたしております。その上で、少し現状をお聞きしたいと思うわけでございます。事務折衝がなされたようでございますが、アメリカ側が最も問題にしている点というのはどういう点であるかお答えをいただけますでしょうか。
  49. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) この問題は、発端はアメリカの連邦海事委員会でございます。準司法的な機関でございますので、大変言い回しが難しくなっております。難しくなっておるのでございますが、少し私ども理解をしているというところでお答えをさせていただきますと、一つは、日本の港運協会が事前協議を通じて港湾を支配して競争を排除していると、これは港湾間の競争ではなくて港運事業者間のというふうに理解しておりますが、競争を排除しているということでございます。  この事前協議というのは、今私が申し上げましたけれども、これはコンテナ船やその他の革新船が来た場合というか、配船が変更になる、例えば川崎から東京に変わるとか神戸から大阪に変わるとかいう変更でございますが、そうしますと、そこで働く方々の職域がかなり変わるということで、そういう場合については事前に話をして労働組合側の承諾を得るということです。  労働組合側が産業別労働組合であるために、こちら側も日本港運協会が間に立って労働組合と交渉するというシステムでございますが、その事前協議の運用が、船会社が配船を変更しようとすると港湾運送協会に労働協議を頼まなきゃならないというところを指していると思いますが、その事前協議の運用が透明性を欠いていると。こういう場合はやってあげる、こういう場合はやってあげないとかそういうことがあるわけでございまして透明性を欠いているということとか、あるいはその事前協議の中でいろいろ複雑なシステムにしているとかあるいはその配船変更のために荷役業者を変わる場合には指定してくるとか、そういったことを指摘しております。  それからもう一つは、これはそういう事実はないんですが、日本の船会社はアメリカでは港湾運送事業の免許をもらっている、これは免許をもらっているというか向こうは登録制ですから自動的に得られるわけなんですが、日本の場合は免許を与えていない、これは差別であるというような三つの点を指摘しております。実際アメリカ側からそういうような免許申請とか具体的な計画があるというのは私どもは承っていませんが。  その三つをアメリカ側が指摘をしている、こういうことでございます。
  50. 泉信也

    ○泉信也君 今回のFMC等のやり方というのは、私はけしからぬ、断固反対をしてほしいというふうに思っておるわけです。邦船三社に課徴金を課すなどというのはとんでもないことだ、こういう思いを持っています。  しかし、一方では今、局長説明ありました事前の協議制度と言われるようなものが透明性を欠くと言われておることは、対アメリカとの問題じゃなくて国内的にもこれまでも何度か指摘をされたことがあります。これは新聞の情報ですと、日本の港運業界の指折りの企業と言われる方だと思われますが、事前協議が港湾運送事業者の受注調整、制限を図る場として機能することが多く、船会社荷主の発注権限まで制限しているという、こういう指摘を内部の方がなさったということが新聞報道で出ておるわけであります。  したがって、このことはアメリカが言ったからということではなくて、私ども内部の国内問題としても認識をもう一度しなければならないというふうに思うわけですが、この事前協議制度というのは海外にもあるんでしょうか。そして、それは日本がかなり違っておるという点があるんでしょうか。
  51. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 当然海外でもいろんなコンテナ船などの革新船が配船変更する場合があるわけですから、そういう場合どうしているかということでございますが、一般的には、例えば釜山ですと港湾管理者がそういった荷役をする従業員を抱えているというのが一つございます。これは港湾管理者の職員として働いているわけですから、それは配船変更のときはそういう申し込みがあれば港湾管理者が自分関係する従業員との間で人をかえる、こういうことだと思います。  もう一つの方は、大きく分けますと、実は労働組合が人材派遣をしているということがあります。これはアメリカが典型的な例でございますが、その場合は配船変更であろうとコンテナ船が新しく就航しようと、アメリカ側の港湾運送事業者船会社が申し込むとそこでアメリカの港湾運送事業者が労働組合に言って人材の派遣を得る、こういうことでございます。  それで、さっき申し上げました釜山のような問題については私どもちょっと承知しておりませんが、アメリカのようなタイプですと、例えば大きな変更、新しいタイプの船が導入されるとかあるいはターミナルの大幅な改修を行う場合でございますが、そういった場合につきましては、個別案件につきまして、作業会社といいますか船会社側プラス港湾運送事業者と地元の労働組合の間で事前協議が行われる、そしてこれが紛糾した場合にもそういった話し合いのさらに上の段階で調整する、こういうシステムになっていると承知しております。
  52. 泉信也

    ○泉信也君 港運協会が中に入って調整をする、二・二協議というんですか何かそういうシステムが日本では行われておるということですが、労働組合のつくり方が諸外国と違うところもあって全く同じにはならないと思いますが、運輸省が今、三者協議ですか四者協議ですか、その協議の中に入っておられるようでございますけれども、この協議の進捗状況はどんなものでしょうか。あす十八日も何か持たれるやに伺っておりますが。
  53. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 今、先生がおっしゃられましたのは二者、二者協議といいまして、特殊用語でわかりにくい言葉でございますが、船会社と港湾運送協会、港湾運送協会と産業別労働組合が二回に分けて労使協議をするという意味で二者、二者協議ということになっているんですが、これは全く労使間で、労使の自然発生的にと言ってはなんですが、役所とは直接関係なしで民間の慣行ベースとしてそういう制度がなされたわけでございます。  私どもが今FMCに言われているのは、その二者、二者協議の前の協議がさっき申し上げましたように透明性を欠くとか複雑であると、こういうことでやられているわけなんで、一方的制裁は大変けしからぬということで先生のおっしゃるとおり我々もクレームを言っているんですが、やはり改善するところがあれば改善をする必要があるわけでございます。  本来は、冒頭申し上げましたようにこれは民間の話なんで、政府が変に介入、介入と言っては失礼ですがくちばしを入れてよりややっこしくするというのは絶対避けなければならないわけでございますが、船社側と港湾運送業界側でなかなか話し合いが進まないということでございますし、さらに両者が、役所が中に入ってくれと、入ってもいいというお話があるもんですから、私どもとしては調整のお役に立てばということで入っておるわけでございます。それで、さらには制裁がほっておくと来るということもございますが、そういうことで入っているわけでございます。  今回まで一月、二月と協議を進めてまいりましたが、いずれにせよ何が問題なのかとか、初めはどこがどう直せばいいのかというようなこと、あるいは具体的な問題について二者間の見識の相違などがありまして、そういうことをまずほぐしていかなきゃならないということで二回が進みました。今お話がございましたように、三回目としてあしたが予定されているということでございまして、その中では、これは四者といいましても港湾運送協会と、労働組合ではなくて外船社と邦船社の団体と、私どもが司会をしている、こういうことでございます。
  54. 泉信也

    ○泉信也君 確かに民間ベースの話ではあるかもしれませんが、これからの成り行きによっては国益にもかかわるような話でございますので、ぜひある意味では積極的に運輸省も出れるところは出ていただきたい、こんな思いを持っておるものです。  きのうも日曜荷役が八大港か何かでとまったようでございまして、このストが単純な経済闘争というよりも、アメリカのこうした制裁措置を見て、これに反発する組合の動きでもあるというように新聞では出ておるようでございます。  ですから、これからどういうふうにおさめていただくかということでございますが、来月の半ばまで余り時間がない中ですけれども局長、見通しはどんな状況でございましょうか。十万ドルというような制裁措置をうまく受けずに済むような見通しをお持ちでございましょうか。もしお答えが難しければ結構でございます。
  55. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) ちょっとその前に済みません、日曜荷役でございますが、これは直接その事前協議と絡むのではなくて、組合側が日曜荷役までやるならば作業時間の交代制を入れてくれと、こういうことを言ってきたわけでございます。それについて調整がつかないままに少しずつ三カ月延ばすとか半年延ばすとか言ってきたわけでございまして、三月十日が最終の日曜荷役のやる場だったものですから、それ以降は日曜荷役が、ストライキじゃなくて原則に戻って日曜荷役をやらないということになってしまっているということでございます。これは、今春闘やっていますので春闘の中で、私どもとしては、日本の港湾が取り残されないようにぜひ解決をして日曜荷役を再開してもらいたいということでお願いをしております。  それから、事前協議に伴う役所の四者協議でございますが、原則は労使協議であり民間の問題なものですから、役所がこれをしなければならないといって相手に命ずるというかそういう強制手段を持っておりません。したがいまして、私どもは仲立ちとして精いっぱい中の調整を図りながら円満に解決するように努力をしているということでございまして、一生懸命やらせていただきたいと思っております。
  56. 泉信也

    ○泉信也君 なかなか局長のお立場ではお答えにくいことかと思いますので、最後に大臣にお尋ねをさせていただきます。  この港湾運送事業の問題は、あるいはもっと広く言えば日本の港湾の行く末にかかわる大変大きな課題だと思っておりまして、いずれこの需給調整の政策の変更の中でこの問題も扱われるんだろうとは思います。先ほど申し上げましたように、あくまで国内問題として私どもは真剣に議論をしていかなきゃならぬと思っております。しかし、今アメリカから火をつけられ、そしてEUからも同種の問題で議論を吹っかけられておるという中で、大臣には対外的には日本の国益のために強く出ていただきたいと思いますが、これからのお考えを少し聞かせてください。
  57. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) いや、私も実は運輸省でさまざまな分野で勉強する中で、またよく理解できないのが、この事前協議の制度というのが本当に自分なりに理解できているのかというとなかなか自信を持ってお答えできない。非常に長い歴史的な背景もあるようですし、難しい分野だなというふうに思っております。今先生からも御指摘いただいておりますけれども、これがまさに国際問題として取り上げられてきたわけでございます。  まず一点は、今回のFMCの一方的な制裁措置というのはまことにけしからぬと、私もそういう思いでございます。外交ルート等を通じましても、また直接、撤回についての申し入れ等を行わせていただいているわけでありまして、今先生からも激励していただきましたけれども、外に向かっては国益を守るという意味でしっかりやっていかなきゃいかぬと思いますが、一方、先生も触れられましたけれども、やはりこの事前協議制度そのものに、今政府委員も御答弁申し上げましたが、ある意味では透明性また複雑性等に国内にもさまざまな意見があるのは承知いたしております。  そういうことを踏まえまして、今答弁申し上げましたように、あくまでも労使、民間の問題ではありますけれども、このまま放置するわけにはいかないというふうに思います。四者会談と申しておりますけれども、改善策について、明日も見通しが立っているかというと、私も全く不透明でまことにはっきりしたことを申し上げることができずに残念なんですけれども、会合だけは持たせていただくということができているようでございますので、まずそういった会談を通じてしっかりひとつお互いのまず信頼を高めていくということが大事だろうというふうに思っております。お互いの考え方、お互いの認識というものが過去二回で思いっ切り、お互いに言いっ放してはございませんが問題点は出し合ったようでございますので、これからどういうふうにそれをまとめていくかということになろうかと思います。  私は、今申し上げましたように、これは労使だ、これは民間だということではなくて、やはり運輸省ももう少し積極的な取り組みと申しますか、司会をやっているというような今は答弁ですけれども、ただそれだけではなくて、やはり責任のある立場というものを、法的には何の処理もできないにいたしましても実態論の中で積極的な取り組みを示していく、姿勢をわかるようにしていくということは非常に大事なことではないか。そういうことを踏まえて、本当に国際問題、これ以上心配かけないで済むようなひとつ方向に取り組みは積極的に行ってまいりたい、そういう決意でおりますのでよろしくお願いしたいと思います。
  58. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。
  59. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。先ほど来の質疑といささか重複することをまずもってお許しいただきたいと思います。  内航海運は調べましたら我が国の物流の約五割を占めておる、経済発展の下支えをしてきた輸送機関の本当に中心的役割を果たしてきたなという感がしてございます。  船舶建造にかかわる船腹調整制度、内航二法によりまして船腹需給安定化を図ってきた、この船調制度はそれなりに一定の役割は私はあったのではないかと思うわけでございます。しかし、昨今の経済社会情勢を見ますと規制緩和と、規制緩和すべてよしというふうに私は考えるところではございませんけれども、自己責任の原則あるいは公正な市場経済の競争の原理、これは欠くべからざるものではないかと思うんです。先ほどから御意見を伺っておりまして、しかしその海運業界の今後を決める大幅な政策変更でございますので、さまざまな課題が出てくるのは当然だろうと思います。以下、何点がその課題についてお伺いしたいと思います。  バブル経済の一時期を除いて船腹過剰状態が続いておった、現在もその状況にあるということを伺ってございます。特に過剰状態をどうするか。過剰であれば当然遊休船が出る、あるいはコストダウンを迫られる、あるいは廃業を迫られる、いろいろ中小零細業者が多い中でさまざまな課題を抱えてきたんではないかと思います。  今回の規制緩和、私は総じてこの法案には賛成の立場ではございますけれども船腹調整制度解消するわけでございますからいろいろな問題が出てくるのではないか。特にグループ化、協業化を進める、一杯船主を本当に減らしていこうというような形ではございますけれども、じゃ規制緩和の原点といったら、一つにはやはり消費者がメリットをどこまで受けるのかということがあろうかと思います。まず、これによって消費者がどうメリットを受けるのか、運賃、コストダウンにつながるのか。それからもう一点は、事業者にとってのメリットは何かこの点について伺いたいと思います。
  60. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 初めに、消費者へのメリットでございますが、それが同時に事業者へのメリットになるんだろうと思いますが、要するに、船腹調整事業解消されて垣根がなくなれば、その中で今やっている事業者さんは、積極的なその意欲のある方は新しい分野へどしどし出ていく、そして、今の分野にももちろん大きな船を使ったりあるいは効率化を考えながらどしどし出ていくということによってサービスがよくなる。それは直接その消費者になるのかどうかは別としまして、そこでスーパーの荷物が船でより運ばれるようになるとスーパーを通しまして最終消費者がよくなる、こういうことが考えられると思います。  それから、同じように事業者さんにつきましても、これは垣根が少なくなるかなくなるわけでございますから、意欲のある方はどしどし出ていくということで事業規模が大きくなって景気の波に対して事業安定化できる、あるいは事業規模が大きくなればさまざまな分野に進出することによりましてその収益性が高まる、あるいは大きくなれば荷主との競争力もできるということで活性化が図れる、こういうことではないかと思っております。
  61. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今のお話を伺っておりますと、非常に先行き明るいという何か見通しを立てていらっしゃるようですけれども、ただ、いろいろ対策は講じられておると思うんですけれども、今回の船腹調整制度事業解消によりまして、これは当然中小零細の業者を転廃業させなければいけないわけでございますね。  特に内航海運組合の計画では、船腹需給の適正化では三、四年で過剰船腹解消を図る、減船対策も実施するというふうに言っておりますけれども、この中小零細企業の倒産等についてあるいはその転廃業についてどのような対策を講じているのか、ちょっと伺いたいなと思います。
  62. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 一つには、これは過剰船腹解消と同じことなんですが、一定期間、環境整備期間ですが、五年間を頭に置いておりますが、引き当て比率を実は逆に、さっき申し上げたんですが上げまして過剰船腹解消していきたい、だぶだぶの状況を締まらせていきたい、こういうことでございます。ただ、これをやっている間に、ちょっとタンカーの方がなかなか難しい、石油の自由化がありまして私どもが想定していたよりもかなり船舶が余っているという問題がありますが、そういう過剰船腹の引き締めを行っております。  あとは、今法案に出してございますような、副次的に発生しました引き当て権の対応として、ここにありますように債務保証制度を設けて下支えをするとかあるいは大きな荷主船会社がいじめられないような制度を設けるとかということでございます。  そして、これが急につぶれるではないかという御指摘でございますが、これも急にやめるということではなくて、少なくとも環境整備期間の五年間をかけてその中で徐々に、いろんな今申し上げたもののほかの対応をしながら徐々にその解消に向けた努力をしていきたい、こういうことでございます。
  63. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今の御説明で五年間かけて徐々に激変緩和をしていきたいということでございますけれども内航海運組合が昨年六月に環境整備計画をっくりました。計画では、先ほども説明しましたけれども、自己資本の充実、グループ化、協業化、それから船腹需給の適正化などをうたっておりますけれども、今御説明ございました向こう五年間をめどに船腹調整事業依存から脱却する、こう言っておるわけでございます。  先ほどの質疑にもございましたけれども平成八年三月の規制緩和推進計画の中での閣議決定ではこう言っております。「荷主理解と協力を得ながら五年間を目途に所要の環境整備に努め、その達成状況を踏まえて同事業への依存の解消時期の具体化を図る」。これを読んでいますと、五年間で果たしてやろうとしているのか様子見なのか、ちょっとはっきりしないわけです。  それで、先ほどの議論にもありましたけれども、前倒しをしていくんだという話もございました。これがいま一つ歯切れが悪いんですが、これは五年ということをさらに前倒ししていくというふうなお考えなんですか運輸省としては。
  64. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 平成八年三月の閣議決定でございますが、この表現は八年の三月から起算しましてですが五年間をかけて環境整備をします、環境整備の達成状況を踏まえて、それは五年間の間でもいいし五年がたった後でもいいけれども、その達成状況を踏まえていつやめるかを明らかにします、こういう表現、意味でございます。  そして、前倒しとは何かということなんですが、モーダルシフト船とか年限が書いてあるものを省きますと、前倒しというのは二つ意味にとり得ます。それは環境整備期間の短縮化もあるし、あるいは環境整備期間を経てからの具体化の目標年度を上げるということも前倒しとして考えられます。ただ、これは前倒しについて検討するということでございますので、今内航海運組合総連合会その他とどういうことがあり得るのかを検討しているという状況でございます。
  65. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今の説明を聞きますと、いろいろとれるということがわかりまして、それは言ってみれば海運行政あるいは海運政策自体が大幅に変更されるわけですから、急に三年でやめろとか私は申し上げているわけじゃないのですが、規制緩和推進計画あるいは前倒し計画等々の閣議決定を含めて出されてもなかなかよくわからない。結局は五年が目標だけれども、いわゆる内航海運の組合等々の出方を見るということが正しいのではないか、五年ということを目標に挙げているけれども、その前であっても後であってもこれはやむを得ないというふうに私は受け取ったのでございますけれども、そういうふうに受けとめてよろしいのですか。
  66. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) この字面だけではそのようにとれますが、私どもとしては、この環境整備期間を短くするというのではなくてむしろ具体的な目標年次を出せないのかなということで、内航海運組合総連合会とお話し合いをしているということでございます。
  67. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 質問を変えます。  内航海運の環境整備計画を読ませていただきました。達成するには先ほどのお話もありましたけれども運輸省の支援ばかりじゃなくて何よりも荷主理解と協力が必要だと。どちらかというと海運業者は受け手側で弱い立場にあるということは指摘されていることでございますけれども荷主内航海運の環境整備計画の達成に向けてやっぱり協力を得なきゃいけない。  こうせいというふうなことは運輸省からは強く指導はできないのでしょうけれども、環境づくりの面では運輸省はどういうふうに考えていらっしゃるのかお答え願います。
  68. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 荷主理解と協力を得てというところでございますが、具体的にはコンテナローロー船になりますとこれは一般荷主さんでございますので、こちら側の企業もかなり大きゅうございます。現在やっておりませんが、例えば鉄鋼石油、セメント、石灰石、ケミカル協議会、そのほかにも空港建設土砂資材等輸送委員会というのを設けておりますが、これは実際に稼働してませんが、実際、今稼働しているのは四つございまして、これもかなり頻繁に、私どもも入りまして、荷主業界の幹部とそれから内航総連合会の幹部と私どもと協議をしております。  それは、さっきもお話し申し上げましたけれども、内航の実情、このように非常に苦労して厳しい作業で海員の方々が働いているところから説明をいたしまして、そんな別に遊びというか豊かな収入を得ているわけじゃないということ、それから原価がこんなになっているということも十分御説明をしまして、運賃の決定につきましてはつけるときには適正な原価を反映させていただくようにお願いをしております。例えば鉄鋼連盟ですと、このように原価計算をしましたというのを半ば公表しております。そのくらい御理解を求めておるところでございます。  ただ問題は、荷主の方も大変苦しい話になっておるようでございまして、荷主さんからすれば私どもに逆に説明をされるわけです。石油製品ですと特石法が廃止されまして、もう外国からすぐガソリンが入ってくるようになる、もたもたしていると日本の石油精製業がおかしくなるんだ、販売業がおかしくなるんだというような御説明を受けてまして、そこらも含めまして私どもとしては私らの立場も十分理解をしていただいている、あるいはそういう特別な例については荷主さんの立場も理解をしなけりゃいけない、こんなふうにやりながら協議会を進めております。
  69. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 続いて、船員の高齢化と若年対策、リクルート対策についてちょっと伺いたいと思います。  内航海運にとってはもう一つの課題、内航海運ばかりじゃなくて農業も漁業もそうでございますけれども、船員の高齢化、そしてそれに伴う若手の育成、リクルート対策といいますか、やはり将来ずっと内航海運を発展、維持していくためには人材の育成というのは大きなかぎであろうかと思いますけれども、その点についてどのようなお考えを持っておられるのか。運輸省は、さきに健全なマンニングのあり方に関する調査研究会を設置されたというふうに伺っていますけれども、その辺の事情を手短にお答え願います。
  70. 土橋正義

    説明員(土橋正義君) 船員部長の土橋でございます。お答え申し上げます。  ただいま内航船員の高齢化の問題について先生指摘ございましたが、まさしく先生の御指摘のとおりでございまして、現在日本の内航船員の一つの非常に大きな課題といたしましては、四十五歳以上の中高年齢の船員の占める割合が半分以上という大変な厳しい状況になっておるという問題がございます。ちなみに全産業をとらえてみますと、四十五歳以上は約三四%、三分の一ぐらいでございますので、内航業界における中高年齢船員の割合がいかに高いかということはこれからも推しはかれるところでございます。  この問題につきましては、従来より私ども一つの大変重要な課題ということで取り組んでまいっておりまして、実は数年前に学識経験者あるいは内航海運業者あるいは海運組合の代表、荷主方々にも御参加いただきまして懇談会を設置いたしまして、今後の高齢者対策をどういうふうにしたらいいのかということで御報告をいただいておるところでございます。この報告の中で、内航船員の現在の高齢化の一つの原因といたしましては、いろいろ御指摘はございますが大ざっぱに申し上げて三つほどあろうかと思います。  一つは、賃金水準ですとかあるいは休日、労働時間を含める労働条件が見劣りする。二つ目といたしましては、船内での作業環境ですとかあるいは船の中での居住環境、こういった労働環境が見劣りする。三つ目といたしましては、これは海上職場の特殊性でございますが、家庭から離れて長い間海の中で過ごさなければだめだというふうな、離家庭性と私ども申しておりますが、こういったものが最近の若い方々に必ずしも受けなくなっておる、こういうのが主な原因として指摘されたところでございます。  こういった問題を鋭意解決する必要があるということで、先ほどの懇談会の報告では大変詳細多岐にわたっていろんな提言をいただいておるところでございます。これにつきましては具体的な対策をやっておるところでございまして、その後毎年約一回この懇談会での報告事項の実施状況についてフォローアップしておるところでございます。こういった対策を通じて高齢化の対策に取り組みたいというふうに思っております。
  71. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 週四十時間労働制、先ほどの本会議でもこれが質疑されましたけれども、この四月から本格的にスタートするわけでございます。他産業に比べてこの内航海運、今も御説明ありましたけれども、大変長時間労働である、作業環境が悪いと。この週四十時間労働制をスタートするに当たって、これは労働省の範囲ということじゃなくて、運輸省はどういうふうに考えて取り組んでいるのか。これは一気にやると大変なんでしょうけれども、簡単に一言お願いします。
  72. 土橋正義

    説明員(土橋正義君) 先生案内のとおり、内航海運につきましては、実は七百トン以上の船舶、中・大型船でございますが、これにつきましては既に平成七年から週四十時間制をスタートしております。  それで、七百トン未満の小型船舶に対しましてはこの九年の四月から週四十時間制を施行するということでございますけれども、御案内のとおり、この範疇に属する内航船主は非常に中小零細企業が多いものでございますが、いきなり強権をもってやるというふうなことはやらないで、懇切丁寧に指導しながら二年間でやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  73. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 懇切丁寧にやるのもいいんですが、実効あるように御支援してください。  最後に大臣に一言だけ、二十一世紀の内航海運、これは大きなテーマですけれども、魅力ある活力ある産業に育てていくために、大臣の決意を最後に伺って私の質問を終わります。
  74. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 鈴木先生の御質問にも若干触れさせていただきましたけれども、まず魅力のある産業という意味からは、荷主さんとの問題が一番大きな問題になってくるのかなというふうな気がいたします。ちゃんとした収益がどう確保できるか、そのために荷主さんとの交渉力をやっぱり強くしていけるような、そういうことが必要になってくるのではないかというふうに思います。  また一方で、新しい輸送分野へどのように積極的に参加していけるのか、こういうことの条件整備をやっていくということがこの産業に魅力を持たせることの基本ではないかというふうに私は思います。そのために、やはり意欲的な方々事業規模拡大新規参入に積極的に参入できるような内航海運事業の基盤整備というものをしっかりと整備していくということが必要になってくるのではないか。整備にはいろいろあろうかと思いますが、時間がございませんので具体的なことは申し上げませんけれども、そういったことを十分配慮しながらこれから政策面で推進してまいりたいという決意でございます。
  75. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 終わります。     —————————————
  76. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、平井卓志君が委員辞任され、その補欠として阿曽田清君が選任されました。     —————————————
  77. 阿曽田清

    阿曽田清君 平成会の阿曽田清でございます。  私は、熊本県、しかも天草の入り口におりまして、三角港という港が生まれ育ったところでございます。天草周辺にかけまして、内航海運業者方々、出稼ぎとして大変頑張っていただいて、古い歴史を持っているところでございます。私が県議会時代に内航議員連盟をつくっておりました折には、四、五百隻ぐらいあったかなというふうに思っておりますが、ついせんだって聞きましたところがもう三百を割ったというようなことでございました。確かに近くの方々の中で、陸上がりをしておる方で既に他の事業に転回されておったり、あるいはもう悠々自適の生活をされている方もいらっしゃいます。  ついせんだって私、一カ月ほど前に松島の方からお手紙をいただいたんです。済みませんが、これにすべて凝集されているなと思いますからちょっと読ませていただきたいと思います。   弊社は、明治初期頃から帆船にて天草地区から長崎方面へ砂、砂利、又は、大牟田方面へ石灰石等の輸送に従事し、その後、祖父、父、子供へと三代に受け継がれ、その間、帆船、機帆船、鋼船と数多く乗り継がれ、今日まで紆余曲折の中なんとか家業を継承することができました。   我々の町はこれといった産業はなく、学校卒業と同時に船に乗船しました。海運業の宿命とはいえ、若い時には妻、子供達も乗船させておりました。   今日まで、海運業も時代の節目節目の苦労はありましたが、船に対する誇りとロマンがありました。   内航海運も昭和四十一年に船腹調整事業が開始され、以来、日本内航海運組合総連合会の指導のもと需給調整バランスをコントロールし、船主の無体財産権が今日まで確保され、安定した経営基盤の確立と輸送秩序が保たれてきました。   又、その無体財産権は船主の設備資金調達上、もっとも大きな担保権となっております。   ここにきて、急激な国の政策転換による規制緩和が風潮化され、オペレーターは荷主の物流合理化から一方的に用船料の値下げが行われ、担保権となっている無体財産権が大幅に値下がりし、現在は銀行担保割れになっている状況です。   この様なことから、船主経営はかなり圧迫されており、銀行の返済が当初の約定通り支払いができず、ここにきて銀行から運転資金及び検査費用等の借入れが全く出来ない状況になっております。規制緩和は時代の趨勢である事は十分理解はしておりますが、船腹調整法律によって需給調整は行われていない。従って、運賃も自由化され、参入も自由に出来る業種なのに、何故、規制緩和の対象業種とされるのか全く理解が出来ません。   船腹調整にかわる代替措置を講じないと、船主の信用不安は一挙に高まり、社会問題に発展することを大変憂慮致しております。   国が救済措置を明確にして頂ければ、金融機関も安心してご融資頂けるものと考えられます。今の状況では海運業を止めるにも、借入金が埋まらず、金融機関だけではなく、大勢の関係者に多大なご迷惑を及ぼすことになります。   若い後継者が将来希望を持てる職業として是非とも御尽力賜りたく、切にお願い申し上げます。 というお手紙をいただきまして、私もこのように急遽質問させていただくようなことにさせていただいたわけでございます。  そこで、我が熊本県におきましても、五百近くあった海運業者が今三百を割って二百五、六十というようなところに来た。これは全国的にもそのように半分ぐらい減ってきた。このことは、船腹調整事業によってうまく転換できた方々あるいはリタイアしている方々ができた。今回これが実施されることになれば、いわば国の認可のもと船腹調整事業が行われてきておって、みずからの努力で公的資金もなくやりくりをしてこられた、それが一気に、いろいろ議論はあったと思いますけれども、五年間の猶予というふうに思ってそれまでの準備万端整える余裕すら与えず、一挙に八カ月後には前倒しで三年から五年のうちにというふうになってしまったことに対し戸惑いの色を隠せないというのが実態であります。  したがいまして、規制緩和だから早いことはいいことだなんということでお進みではなかろうとは思いますけれども、急いでやらなければならないならならないだけに慎重に、私は、中小零細業者である内航海運業者方々が納得するような対策をやはり講じた上で臨むべきことだと思います。前倒しに、三年から五年のうちに解消していくというような方向に転換された理由をまずお聞かせいただき、それだけ急いでしなければならないものなのかどうか、私自身も納得できませんので、その点数えていただきたいと思います。
  78. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) これは実は審議会二つ経ておりまして、大変長くて、それから熱い議論を今までしてきております。先ほど来申し上げましたように、海運造船合理化審議会、これも一年より長くやっておりますし、行政改革委員会でもやっておりますし、その間にも私も先生方の間に回りましていろいろな議論をしてきたわけでございます。  最終的には、答申の中身によれば、今の船腹調整規定は確かに事業者の安定とか安定輸送には尽くしてきた、そして日本の経済を支えてきた、それはだれも否定をされておりません。ただ、世の中が大変変わってきていることも事実である。そして、これからの日本を考えると、やはり意欲的な事業者事業規模拡大新規参入を制限していくのではなかなか内航海運業が本当に活性化しない、発展しないということが答申で述べられているわけでございます。そのほかにいろいろございますが、市場原理基づいてやはり内航海運活性化させる必要があるということが、そういう先生方も含めた、内航海運に関する答申になっているわけでございます。  そして、今急激にという話がございましたけれども、これがなかなか御理解が得られないところがございますが、先ほど申し上げたように、免許につきましては三年から五年をかけてそれぞれの免許制度の中にあります需給調整を廃止することで進めていきたいということで出しております。ただ、この船腹調整規程というものは実は内航海運組合が行っている事業でございますので、これは役所がこう決めるというわけではありません。したがいまして、三年から五年、私どもとしては当然三年ということが頭にあるわけではないんですが、一定の目標年度をもって前倒しがならないかこの前倒しにつきましてもいろいろ幅のある解釈があるんですが、前倒しがならないか関係事業者さんと検討をさせてくださいというのが現状でございます。  したがいまして、急に今船腹調整規程をやめるということではなくて、環境整備計画あるいは今ある環境整備計画に加えた違う環境整備計画も含めて、一定期間、新しい環境整備期間の中で解消することはできないのかということで内航海運組合と調整をしているということでございます。
  79. 阿曽田清

    阿曽田清君 陸上がりができたということには、それぞれ引当金といいますか無体財産というものが権利としてあった。だから、熊本県でも五百隻あったのが二百隻、三百隻に減ってきても陸上がりができた、あるいはリタイアできたということであります。  その間、みんながそういう組合の人たちで金を出し合ってといいますか、一つの権利を買う形で減らしてきたというのが今日まででございます。そういう意味では、新しく普請、造船をする場合は、そういう内航組合の皆さん方が一対一・二とか一・三とかいう形の中でお互いがその部分を請け負うたということで、いわゆるその基本にあって新造船というのも内航海運方々でつくれてきた、つくる権利があった。  ところが、今度そうなってしまいますと、荷主の価格決定権も新造船をする権利もともに荷主さん例あるいはオペレーターさん側の方にすべて移ってしまうんじゃないか。少なくとも、新造船をつくる権利といいますか、それには金は余計、引当金等も伴うけれどもそれもあえて用意してつくっていくということは、価格決定権を持つ荷主さんとのある程度バランスがそこで調整が図られていくんじゃなかろうかなと。もしこれが廃止されてしまうとすべて荷主さん、大企業もとに系列化してしまいはせぬかなと。そして、最終的には安い用船料でとうとう金が回らなくなってしまう。  特に私の場合は、天草というところは出稼ぎに行っておるんです、船を持って。二カ月間なら二カ月間出稼ぎに行って、二週間天草に住んでまた二カ月間出ていく。しかも、そういう借金をして買っている船でございます。  そういう意味からして、船腹調整事業というものが果たしてきたものは、ある意味では荷主さんと内航海運方々とのいわゆる力関係バランスもとっていたし、また、スクラップ・アンド・ビルドのもとで、船腹調整事業がうまく果たせてきた。これが、その引当金部分を出しておった分はそれはなくなったにしても、償却費で認めてなくなったにしても、もう陸上がりをするよといったときのその権利さえもゼロになってしまうということになるわけでしょう、そうでしょう。  いわゆる引当金部分として今まで一対一・二とか一対一・三とかといってそれぞれが権利を出していた。その部分、これは引当金として五年なら五年の間に償却資産に見てあるけれども、これはそれで費用の中で見ていくことができたにしても、一たんやめるときに、自分がいわゆる一九九なら一九九の船をやめたときに、それの十万なり十五万なりというものの財産というのもあったればこそ陸上がりができるしリタイアができる。しかし、それもゼロになってしまったら借金だけが残る、こういうことになるわけでございます。  ですから、私は、この法を改正することによって打撃を受ける方々、そういう方々に対してはやはり行政的に緩和策とかあるいは救済措置というのが講ぜられて当然だろう。行政が法を改正して実行する、それによって打撃を受けた方々時代だからしようがありません、そんなのは悪い法じゃないか、こういうことに私はなるんじゃないか。  だから、環境整備をした上でまたもろもろのと話がありましたけれども、もう少しはっきり、こういうものに取り組むときにはちゃんと対象者の方々が安心して、将来内航海運を続けていった方がいいのかどうなのかということまで検討できるような内容を踏まえて私は提案すべきじゃなかろうかなというふうに思いますが、そこのところを教えていただきたいと思います。
  80. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) ちょっと御理解を賜らなきゃいけないのは、今御審議いただいている法律は、内航海運組合債務保証機能を与える、だから債務保証をするかどうかは知らないけれどもすることができるという法律でございまして、これがイコール船舶調整規程解消を何月何日にするからということとリンクしているわけではありません。  だから、これは内航海運組合のメンバーの方も入っていただいた審議会で、将来には計画的解消をします。しかし新しくつくる、副次的に調整事業から生じてまいりました引き当て権が少しずつなくなっていくから、それを金融機関担保としていたから、それにかわるものとしてそういう機能を国会が内航海運組合に与えますということでございまして、裁量の余地を大きくしたということでございます。これができたからすぐやめるということでは全くありません。  今問題になっているのは、先ほど来、去年の三月の閣議決定の読み方、いろんなことがございましたけれども、その閣議決定の内容を前倒しすることで検討ができないのかということでございまして、個々の船会社さんとはできませんから、それを内航海運組合総連合会と私どもが検討しているということでございます。その中で、仮に前倒しをするとすれば、今の環境整備計画に加えて別の計画も入れてもらえないかということをもとに今お話し合いをしているということでございます。
  81. 阿曽田清

    阿曽田清君 法案は債務保証ということで提案されておりますが、しかし、債務保証という裏腹には引当金ということの今までの担保能力としての価値を認めませんよという、いわゆる船腹調整事業というものをなくすかわりに債務保証ということで、金を今まで借りて船を造船してきた人たちに保証してあげましょうと、こういう意味でしょう。ということは、財産権というものは消滅するということの裏づけじゃありませんか。そうじゃないんですか。
  82. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 将来的にはそういうことでございます。  ただ、これは我々の海運造船合理化審議会の中もそうですし、環境整備計画の中でもそうですし、将来的には計画的解消を図るということは皆さん内航海運組合も含めまして合意をしているわけです、将来的には。しかし、そのための環境整備としていろんなことがございますよということが提案をされていて、その中の一つとして内航海運組合から出された環境整備には債務保証をつけてくれと。もちろん答申にも書いてありますが、債務保証機能を付与してくれというお話がありますので、ここにつきましては組合の方々と私どもとの間の意思の一致があるわけでございます。
  83. 阿曽田清

    阿曽田清君 将来的にはということでの総連の方々との話は一致を見ているということでありますが、それは五年間かかって環境整備をした上で随時というようなことでの合意というふうに理解されているというふうに聞いております。しかも、我々の末端の内航海運業者方々はそれをまだ了承しているというふうなお話としては聞いていない。トップの人たちはそうかもしれぬけれども、現場の方はそうは聞いていないというのが一杯船主の方々の御意見でありました。  ですから、この五年間のところがもっと早まるということになりますと、少なくとも自分が船をもうやめるときの、今まで何億という金の価値がゼロになってそして借金だけが残るというような、そういうことにずるずるっと入ってしまいはせぬか、またはそうなってしまっていきはせぬかということを大変みんな心配をいたしておるのが現状であります。そういう意味で転身するにしても、将来のその救済策といっちゃなんですけれども安心して海運業が続けられるような、あるいは転身するのにも転身しやすい、そういう一つの、急激な手法じゃなくて段階的に皆さん方が納得いくスケジュールあるいは手法というものを示された上で事を進めていただきたいということが、今御説明に対しまして追加しての私のお願いであります。  それから、本当に時間がなくて申しわけありませんが、そういう内航海運業者方々が、天草の松島の方のところだけちょっと私調べてみましたら、松島町というところは九千ちょっとの人口のところで、百隻ほどの一杯船主の方々で、大体七、八百人がそれに従事をいたしております。したがって松島町というところの基幹産業になっておるんです。大体どれくらい売り上げを稼いているかなど見ますと、大体全部で百億ぐらいかなと。  それだけの売り上げをしておるところでございまして、もしそういうことで財産はなくなる、あるいは出稼ぎという形の中で非常に競争力も乏しいというようなことからすると、天草の方は非常に弱い状況に立たされてくる。そうすると、自然と今まで五百近かったのが三百を割って二百六十になった。さらにいなくなってしまうとしたら、今まさに過疎地ですけれどもさらに過疎化に拍車をかけることになって、地域全体を大きく地盤沈下をさせるということにもなってまいります。  これは運輸省自体の問題ではありませんが、運輸行政の中で生まれてきた地域が停滞をする、沈下する、こういうような問題についてもやはり同じ国という立場の中で配慮されるべきことではなかろうかなと、地域振興策等も運輸行政のサイドから私は考えていただくことはできないものだろうかということについてちょっとお尋ねしたいと思います。
  84. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 今先生の御指摘も踏まえまして地域振興、すべて運輸省だけではないんですが、少なくとも観光その他の所管はいたしております。それから、地元の県庁とか地方自治体のお役割も大変だと思います。相談をしながらそういうふうに進めていきたいと思っております。
  85. 阿曽田清

    阿曽田清君 時間が参りまして以上で終わりたいと思いますが、天草地域は一杯船主の船がほとんどでございます。もう九十数%一杯船主でございまして、いつでも吹っ飛ぶような状況でございます。したがいまして、大きな流れは流れとして理解はできますが、どうぞ一杯船主の方々がいわゆる野たれ死にすることのないような、ちゃんとした裏づけをもって事に当たっていただきたいということを強くお願いを申し上げまして、古賀大臣は九州でございますので特に有明海は詳しいと思います、ひとつ心強い御返事をいただけないものでございましょうか決意をひとつお願いします。
  86. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 私と隣同士でございますから、先生のところはよく事情は私なりに承知いたしているつもりでございます。先生の御論議を踏まえながら総合的にしっかりした環境整備をやっていかなければいけない、そう認識いたしております。  ありがとうございました。
  87. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  88. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 これまで各委員質問を伺っておりまして、今回の改正あるいは船腹調整事業の廃止というのが大問題だと、もしかして採決すれば一体どうなるかと思えるような議論でありましたけれども、こもごも御指摘がありましたけれども航海運業者の九五%というのは中小零細業者であります。  一隻のみの船舶所有者が四千事業者、三隻以上が二千事業者。この十年間で千三百事業者が廃業に追い込まれています。船員も年間総労働時間が三千時間という極めて長時間、劣悪な労働条件。中でも九千隻のうち約四千九百隻は二百総トン未満の船舶。大体定員が三名で家族労働に依存している。少人数、長時間労働のもとで海難事故もふえる。大変深刻な状況にあります。  こういう環境のもとで、船腹調整事業というのは、中小零細の海運業者にとっては文字どおり命綱と言うべき役割を果たしてきました。この目的について先ほど来答弁がありましたけれども中小零細が圧倒的に多い内航海運業者経営基盤安定化を図る、そのために過当競争防止すると、ここにその目的があったということであります。だから、この制度の運用としましてはスクラップ・アンド・ビルド、新造船をつくる場合にはそれに見合う老朽船をスクラップする。このことによって船腹量が無限にふえるということを防止するという役目を果たしてきました。  この三十年間、これに基づいて船腹調整事業が行われてきたわけですけれども、先ほども答弁がありましたが、確かにこの制度が導入されたときに比べれば過剰船腹量というのはこれは相当減少しています。しかし、それでもなおかつ四万トン過剰船腹量があるということは、過剰状態というのが依然として解消されていないということになるんじゃないでしょうか。
  89. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) この制度ができたときには七十万トンのかなりの過剰船腹がありましたけれども、現在でも今御指摘があったように四万トンでございます。バブル時期の一時期を除きまして数はわずかにはなりましたけれども過剰船腹が残存しているということは事実でございます。
  90. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 依然として過剰状態にあるということはお認めになったわけですけれども、そのもと船腹調整事業を廃止する。先ほどの御答弁でもある競争の激化は避けられない、意欲的な業者が規模拡大を図っていく、こういうことにもなるだろうと。  しかし、意欲的な業者が規模拡大を図れば、だれかがいなくならない限りはこれは過剰はますます進んでいくということになるわけで、七十万トンから四万トンに減ってきたけれども新規参入をこれからどんどん認めましょう、意欲ある業者は大規模化を図っていきます、こういうことになればこれは今後また過剰状態が進んでいくということに必然的になるんじゃないでしょうか。
  91. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 今、外から入ってくる人に船腹調整規程ということでバリアがあるわけでございまして、これがなくなれば傾向としてはそういうことになると思います。ただ、これができたころから三十年ぐらいたっているんですが、その三十年前とあるいは二十年前とを比べれば、日本の経済も非常に成熟しておりまして、そしてさらに、経営者も自分の判断で自分経営するような傾向になってきていると思います。さらに情報もかなり進んでおります。  そういったことを踏まえまして、私どもとしては、先ほど来申し上げていますように中長期的な指針となる適正船腹量というものを毎年審議会にかけてつくり、そしてこれの足らないものは、もっと附属資料を出せというのならそれも出しまして引き続きこれを策定し公表して、そういう自主的判断の一つのメルクマールにさせていただきたいということでございます。そういうことをいたしまして、自分の判断で経営の進展をお願いしたいということにかえていきたい、こういうことが一つの趣旨でございます。  さはさりながら、先ほど申し上げましたように、荷主さん対船会社としますと、一部のコンテナローロー船の会社は別としまして、産業に非常に密着している産業の製品を運んでいるところにつきましてはやはり力関係が非常に弱いということでございます。それにつきましては定期協議会を、先ほどインダストリアルの分野に分けまして申し上げましたけれども協議会を頻繁に開いて、向こうの立場、こちらの立場の意見を交換しているということでございますし、さらに、中小企業に圧迫がかからないように公正取引委員会ともお話をしながら、弱者の、不当なダンピングに対しましてクレームをし得るような法案、法措置が考えられないかということで今検討をしているところでございます。
  92. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いろいろおっしゃったけれども、結局、過剰過当競争がますます進むということはお認めになった。要は、それを今までは船腹調整事業中小零細業者は大変だから経営の基盤の安定化を図ろうというのでやってきたけれども、今度はそういうことをやらないで、今の言葉かりると自分の判断だと。自分の判断でということは、要するに自由競争にさらけ出すということですよ。そうなるとどうなるか。  これ二年前ですけれども、当時の亀井静香運輸大臣は、過剰な船舶によって要するに弱肉強食の論理になると、過剰なもとで競争をやれば。そうなってどうなるかというと、勝ち残った強者が今度は寡占状態になって価格をつり上げていくということにもこれはつながりかねないと。自由競争をやれば、これは大規模化があなた方進むと、それを目指すと言うんだから。そして、大規模化が進んでいく、寡占化が進んでいくということになれば、これは価格が下がるどころか、自由競争でそれは一時的に下がることはあったとしても、最終的にはこれは価格が上がっていくということにもなりかねないと。これは当時亀井運輸大臣が指摘をされていました。  今、大手業者はこの国内内航海運業に新規参入を着々とねらっていますよ。ですから、公正取引委員会を通じて大手業者、あるいはアメリカもそうですね、新規参入を認めろとこういう圧力をかけてきた。今までならまだ内航海運業者同士の競争だったけれども、そこへ大手が入ってくる。例えば石炭、石油鉄鋼、こういうところは物流子会社をつくっている。そして、内航にもオペレーターという形で介入してきたけれども、今度は直接介入しようという動きだってこれは当然出てきます。そうしますと、中小零細業者の淘汰が非常に激しく進むという危険性は否定できないんじゃないでしょうか。
  93. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 先ほど私もう一つ申し忘れましたけれども船腹調整規程がなくなっても最高限度額という措置が残っておりまして、これは今はやっておりませんけれども、四十年代、あるいは五十六年とか七年、八年だと思いますがやっておりまして、大変過剰船腹が生じているというときにつきましては、そういう最終的な政府の判断で最高限度額を超えているようなときは建造をしばらく待ってもらうという措置もございます。  それで、今お話がございましたけれどもインダストリアルキャリア化しているということは、産業の製品を運ぶ分野コンテナローロー分野があるんですが、産業の製品を運ぶ分野につきましては、これは船腹調整規程があるとかないとかでそういうことだけでやっているんではなくて、むしろ大手荷主さんが船舶事業者さんを、どっちかというと系列の傾向にあるだろうと、これは直接船腹調整規程関係ない、言うなれば大企業荷主さんと小さな船主さんとの力関係ではないかと私どもは思っております。
  94. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いま一つ大きな問題が、先ほど来議論ありました引き当て権あるいはスクラップ権とか解撤権というふうに呼ばれているそうですけれども、従来はそれが財産的な価値を持っていて、銀行から融資を受けるときに抵当あるいは担保として融資を受けてきたわけですね。  これはバブルのときには大体トン当たり約三十万円だったと言われています。今はこれが下がりまして、十三万円から十五万円程度になっている。日経新聞によると、業界全体で大体一兆五千億円ぐらいになるだろうと。あるいは別の業界新聞を見ますと、一兆円から二兆円というふうにこの引き当て営業権ですか、この財産権があると。ところが、船腹調整事業がなくなると、先ほど局長もお認めになったけれども今後だんだんこれが下がっていくだろう、いずれこれはなくなると。これはお認めになりましたですね。  そうしますと、例えば銀行からそれを担保にして今融資を受けています。今トン当たり例えば十五万円ということで借りている。十万円に下がりました、トン当たり五万円不足すると。これは当然追加担保を提供してくださいということが銀行の側から出てくるんじゃないでしょうか。
  95. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 御議論が、景気変動によって引き当て権が変わるということと、それから船腹調整規程を将来的にやめることによって漸次下がっていくということでございます。
  96. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 景気変動はいいよ。
  97. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 景気変動のことをおっしゃられると、これは土地でも何でもみんな、株でもそうなもんですから、ちょっと私どもとしてはどうしても対応ができないと、お答えするのが大変難しいわけでございます。  ただ、この船腹調整規程計画的解消によっていつか少しずつ下がっていくということにつきましては、それはそのとおりだと思います。ただ、私どもは、先ほど来申し上げていますように、環境整備期間、環境整備の内容の中にいろいろな措置を入れて、そういうことが急激に起こらないようにということで内航総連合会とあるいはその他の団体といろいろお話をしているということでございます。
  98. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 まだこれから事業を子供あるいは孫と続けていこうという人は、例えば今度新しく債務保証の基金が設けられる、そこで債務保証を受けてそして融資を受けて新しい船をつくってということもあるでしょう。  しかし、中にはもう私限りで終わりだという業者の方だってこれは当然いるわけですね。そうしますと、いずれこれゼロになることだってあるわけですから、簡単に言えば千トンの船を持っていれば一億五千万国会までだったら融資を受けた、先ほども指摘あったけれども、融資受けて例えば廃業するあるいは転業するということもできたけれども、今度これ全く無価値になっちゃう。廃業する人にとってはこれは大変な事態ですよ。例えば悪いけれども、今やまさに死なんとする人から葬式代取るようなもんですよ、これは。余りいい例えとも言えませんけれども。大変これは厳しいことに私はなるんじゃないかと思うんです。  ですから、業界紙見ても、やはり何らかの保障措置、何らかの対策を講じないと、まだずっと続ける人はいいけれども今後廃業しようと思っている人は廃業するにもできないと、これまことに深刻な事態になると思うんですけれども、大臣、このあたりはやはり何らかの対策を講じないと大問題にいずれなっていくと思うんですね。いかがでしょうか。
  99. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 再三そういった問題は御審議をいただいているわけでございますが、確かに環境整備と一言で言いましても、いろいろな問題をそれぞれ考えてみますと難しい問題もございますし、またきめ細かな改善措置というものを行っていかなければいけない問題、支援措置を行っていかなければいけない問題、たくさんあると思います。その一端を今御議論いただいているわけでございます。  私どもは、そういったものの全体を明らかにしていく中で、それぞれの問題でどういう対応が必要なのか。それは支援措置なのか、また改善措置なのか、そういったことを一つずつ真摯に受けとめながら、そして、本当に中小零細企業方々のさまざまな問題について適切な対応を措置していくということに全力を挙げるということは当然必要なことだ、そういう認識でこの船腹調整の計画的な解消に向かっては進めていきたい、そういう決意でおりますので、よろしくお願いいたします。
  100. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 内航海運業界にとっていま一つ大きな問題は、これも先ほど来ありましたけれども荷主が大体鉄鋼であるとか石油であるとかセメントであるとか非常に大手である。したがって、なかなか対等な立場で価格交渉をする力を持っていないという問題は、これは従来から言われてきました。したがって、やはり運賃の適正化をどう図っていくかというのは、これはもう従来からもそうだし今後も引き続き大事な課題だと思うんですけれども運輸省として例えば荷主協議会に対してどういう御指導をされているのか、簡潔に御報告をしていただきたいと思います。
  101. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 産業別にそういうものを設けまして、かなり頻繁にお話をしております。私どもとしては、きちんとした船舶の原価計算とか、それから船員費もそうなんですけれども、ちゃんと乗り組ませなければならない船員がこうおりますと。それから、運航費も港湾荷役も含めましてこういうふうにかかりますということを、これはもうぎりぎりでだれがどう査定してもこれ以下になりませんということを積極的に、そういった資料、もちろんその他の資料も指し示しますが、海運組合と一緒になってそういうことを説明して、荷主さんのそしてかなり上の人の御理解をいただけるように今努めているところでございます。
  102. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 運賃の仕組みは、要するに荷主からその子会社であるオペレーター、それも二次、三次とあって最終的に海運業者のところへ行くと。ここまでどんどん下がっていって、そして内航海運業者のところでは非常に低運賃になる。  やはり私、この仕組みに一つはメスを入れる必要があるし、トラックの場合には不当なダンピングに対しては運輸省が勧告できるという制度がございます。たしか、つい半年ぐらい前ですか、運輸省として調査もされて、そして必要があれば余りひどいダンピングがあれば勧告するという決意でこのトラック輸送については運輸省さんはやっておられるわけで、やはりこの海運についても余りにもひどいダンピングがあれば、それはまずいよということで勧告できる、こういうことも大いにやっていかないとこの問題というのはなかなか解決しないと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  103. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 先ほど来の説明で少し漏らしましたが、実は取引関係の優越的地位の乱用防止等の措置ということで、いい仕組みができないかということで公正取引委員会にお願いし、あるいは私ども自身としても勉強していると申し上げました。これは荷主船会社というだけではなくて、船会社と今お話がありました二次オペ、三次オペ、あるいは船主さん、それとの関係もこの優越的地位の乱用があって、下請の方が大変少ない運賃しかあるいは用船料しかもらえないということがないように、そういう中で検討してまいりたいと思っております。
  104. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 時間が来ましたので、終わります。
  105. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  本日は、内航海運法の質疑でございますが、内航、外航海運を問わずに日本の港にとって当面緊急な問題となっておりますアメリカの課徴金等についてお尋ねしてまいります。  今回のアメリカからの要求は、日本の海運業務の不透明さを指摘し簡素化を求めて強硬手段に出ております。日本の船会社がその課徴金という制裁対象となるのはまことに理不尽な対応であるにもかかわらず、政府は民間のことであるとして一方的に介入できないという姿勢をとっていることに私は疑問を感じます。これを機会に、免許行政の改善を初め港湾サービスの向上、コスト低減化、港湾の構造改革に取り組むべきだと思います。  以下、これらについて何点かお尋ねしてまいります。  政府の免許制のもとに港湾労働者の職域と雇用を守ることに貢献してまいりました事前協議制度時代とともに変革を迫られています。日本国内の問題にとらわれ過ぎている間に、気がついたら物流面では日本はアジア諸国や世界から取り残されて世界のハブポートからフィーダーポートへと脱落寸前であるという声がございますが、最も大きな原因は何であると認識しておられますか。
  106. 木本英明

    政府委員(木本英明君) アジアの近隣諸国等は港湾の整備、港湾の運用あるいは経営といいますか、そういったことで大変力を入れてやっておりまして、そういう中で日本の港湾というのは例えばハード面ですと、コンテナ船大型化等に対応する大水深のコンテナターミナルの整備が若干おくれた状況だとか、あるいは港湾関係のいろんな諸料金がそういった国々の港湾と比べまして割高だとかいろんな要素が絡んでおりまして、そういったことが今先生お話しされたような状況を若干生み出しているのかなと、こういう認識をいたしております。
  107. 末広まきこ

    末広真樹子君 日本の企業でも日本の港を見限っていく現状で、日本の港を活性化してアジアの物流拠点としての役割を果たすための課題は大きく分けて三つあると思います。  その第一点がコストを安くすることだと思います。  外国船舶協会の調査によりますと、四万トン級のコンテナ船が香港へ八時に着岸いたしまして二十一時に離岸した場合には、これ一ドル百円換算でございますが、その場合諸経費合計が三十九万円、同じ条件で横浜港を利用しますと二百二十万円、我が名古屋港で百五十万円。どうしてこういうことになるのか。調べてみますと、経費細目としてタグボート代が高い、岸壁使用料も香港の三倍以上。そして、日本にあって香港にないものがある、それは入港料と特別とん税でございます。  これだけの内外価格差があれば当然外国船は日本の港に入らずに安い香港、シンガポール、高雄などへシフトして、コンテナ取り扱いランキングベストファイブから日本が脱落するのも当然かなと思えます。低コスト改革へ政府はどのような対策をお持ちでございますか。
  108. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 港湾の諸料金を低コストにしていくということは、我々日本の港湾の国際競争力を確保するといいますか強化していくために大変重要なことであるというふうに思っておりまして、今先生お話しされましたようにいろんな料金、いろんなものがあるわけでございますけれども、そういったものを総合的にやはり取り組んでいく必要があるだろう、こういうふうに考えております。  いろんな諸料金が高いという主たる要因としましては、やはり日本の人件費が割高だとかあるいは土地代といったものが非常に高いとか、そういった状況がすべてのコストを高める諸要因になっているのかなということで考えているわけです。  そうは言いましても、やはり今言いましたように取り組んでいく必要があるだろうということで、例えば港湾の施設使用料を少しでも低減化させていくためには国の財政的な支援を高めることによって使用料を安くしていくことも一つの手だろうということで、例えば数年前から埠頭公社が整備いたしますコンテナターミナルにつきましては、従来無利子の貸し付けが港湾管理者、国会わせて四割だったものを六割に高めることによって貸付料というものを下げていくということだとか、あるいは、一般公共埠頭の岸壁の使用料につきましても先ほどちょっとお話ありましたが、従来二十四時間制だったものを十二時間制にすることによって十二時間以内で離着岸できる船はその分安くなるとか、いろんな手だてを講じておりまして、そういったことで少しでもコストを下げるように私どもとしては努力をいたしておるところでございます。
  109. 末広まきこ

    末広真樹子君 ちょっと時間的な制限がございますので、言いわけは一切なしにして、対策をと聞いたら対策だけお答えいただきたいなと思います。  日本の港が危ない二つ目の課題としましては、高規格ターミナルの早急な整備が望まれます。大水深化に向けての十五メートルバースの整備と、それにふさわしいバックヤードの整備です。  まず十五メートル級の岸壁整備計画、これは去年五月の運輸委員会で、コンテナ扱い高日本第三位の我が名古屋港がその整備計画に入っておらず、私は東海地方の地場産業を見捨ててしまうのかと訴えました。その結果、十二月の閣議で、追加で十五メートル水深バースを一つお認めいただきました。まことにありがとうございます。これは西四区岸壁に平成九年度中に完成する運びとなっていると地元では伺っております。  しかし、ますます大型化するコンテナ船の世界的流れの中で、名古屋港に十五メートルバースがやっと一つできるというのではお寒い限りで、輸出とともに輸入貨物の増加、そしてトランシップ比率の増大を考えますと、港のハブ機能そのものを見直す必要が早急の課題であると思います。私の地元の名古屋港を例にとってまいりますと、まず十五メートル級バースの増設見通し。既に神戸に五バース、東京、大阪、横浜に三バース、名古屋は現在ゼロなんです。現四号岸壁の十四メートルバースを十五メートル化改良工事すべきじゃないでしょうか。そして、物流基地の再整備、五百ヤードという広いヤードが必要でございます。同時に、アクセスの問題等々が山積しております。  そこでお伺いします。名古屋港のポートアイランドは現在どの程度できているか御承知なんでございましょうか。将来計画としてポートアイランドを名古屋港物流基地としてどの程度位置づけていらっしゃるのでしょうか。また、ポートアイランドヘのアクセスはあと二キロ道路をつなげばできるということを御存じでしょうか。ハード面での名古屋港整備計画についてお尋ねいたします。
  110. 木本英明

    政府委員(木本英明君) 名古屋港のハブポート化への取り組みのお尋ねかと思いますが、ポートアイランドは、現在、名古屋港の航路しゅんせつ等で出てくる土砂の処分場として整備をいたしておりまして、全体面積が二百五十七ヘクタールございます。そのうち約百七十七ヘクタール程度、全体の七割に相当しますけれども、これはほぼ埋め立てが終了いたしておりまして、この航路整備等の状況からすれば平成十三年度ぐらいには全体の埋立地が竣功するのではないかというふうに考えております。  そこでお尋ねの、じゃできたポートアイランドは一体どうするのかということでございますが、現在の港湾計画ではポートアイランドを将来のそういった大水深岸壁及び埠頭用地として利用するための開発空間、いわゆる保留用地として位置づけをいたしております。  そこで、じゃどう計画を具体化するのかという問題でございますが、現在、港湾管理者である名古屋港の管理組合の方で港湾計画の策定の準備に入りつつある状況でございまして、いろんな調査も必要ですので四、五年ぐらいはかかるかと思いますが、港湾計画を改定する段階で、ポートアイランドについて、今お話しされましたような状況で、もちろんそのときの経済社会状況の影響も勘案しなきゃいかぬわけですけれども、そういった大水深岸壁及び広いヤードを持つような高水準の物流基地としての位置づけをしていきたい、こういう意向でございます。いずれにしましても、現在からそういった検討に入りつつあるという状況でございます。  私ども運輸省といたしましても、名古屋港というのは中枢国際港湾として位置づけておりますので、管理者等を適切に指導してまいりたい、このように考えております。
  111. 末広まきこ

    末広真樹子君 心強い御計画、まことにありがとうございます。期待しております。よろしくお願いします。  さて、日本の港湾の活性化の三つ目の課題に戻らせていただきます。ソフト面における高水準のサービス提供であると思います。内外とも指摘しておりますのが、手続の複雑さなんです。書面を届けるところが多過ぎる。  これも地元名古屋で調べてまいったんですが、例えば入出港届、これは港湾管理者へ行ってください、輸出入許可は税関へ行ってください、植物、食料品の検疫は厚生か農水へ行ってください、出入国と海上交通安全、これは港長ですから海上保安庁へ行ってください、乗組員上陸は入国管理局、これは法務省でございます。ぜんざい公社じゃないんですよ。汗だくになって自転車で駆けずり回って四十分かかったという涙ぐましい話を聞きます。港の中にこれはらばらにみんな点在しているんですね。  シンガポール港は港湾庁に一本化されて、手続は三十分以内が原則だそうです。船が着岸する前にファクスで完了する場合もある。日本は最長四日かかるというのは本当なんですか。高いわ遅いわでは、国際競争にこれで勝てというのはそれは無理ではありませんか。大臣、どう思われますか。
  112. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 確かにハードとソフトの面でコストダウンを推進していくということは大変大事なことだと思いますし、今先生の方でソフトの面で具体的にお話をいただきました。  この問題につきましては、実は昨年の五月二十四日だったと思いますが、閣僚懇談会におきまして、神戸港の早期復興の一環といたしまして、総理大臣から直接にこの簡素化の問題について御指示もあったところでございます。それを受けたからというわけではございませんが、かねがねこの問題等について運輸省といたしましても勉強も重ねてきていたところでございまして、申請書類の様式の簡素化、また今お話があっておりますように、申請書類のファクシミリによります受け付け等を実際に今始めさせていただいているところでございます。  今後、今先生指摘いただきました点については大変大事な分野だと思いますから、なお積極的に取り組ませていただきたいということをお約束させていただきます。
  113. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。手続を簡素化することはサービスとしては当然なんですね。  もう一点、世界の港が通年フルタイム稼働する中で、日本だけが時間制限つき、日曜はだめよという現況なんです。大蔵省が通関可能時間に役所的制限をつけているんです。ちなみに神戸港は、今大臣おっしゃいましたように震災後二十四時間体制をとることが認められました。これも暫定措置なんですね。  おもしろいデータが出ております。運輸省の海上交通局、平成七年の統計調査ですが、神戸港の日曜荷役実施数が全体の三五%、そして十八時以隆の夜間実働が神戸港荷役全体の四四・六%、二十四時以降の深夜にも需要は一八・一%生じているんです。  この数字を見れば、船主はどんなサービスを求めているかが一目瞭然と思いますが、政府はユーザーのニーズにこたえるべく対応していくのか、それとも今までどおりの規制と既得権を容認していくのかお考えをお聞かせください。
  114. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) この問題は、日曜荷役と平日も含めました夜間荷役との問題を分けてお答えを申し上げます。  まず、三百六十日フル稼働という話ですが、日曜荷役につきましては、先ほども申し上げましたけれども、三月十日まで労使協定がございまして、実は三月十六日から切れております。これはなぜ切れたかというと、日曜荷役を恒常化するには労の方からすると交代制を導入してくれというお話でございます。交代制を導入すれば当然それだけの労働賃がかかるわけでございまして、その問題で労使で協議をしております。今まさに協議をしているところでございまして、いわゆる春闘のところで協議をしております。  私どもとしましては、やはりその日曜荷役が世界的には普遍化しているし、近隣の港湾もみんなやっているわけですから、大きな五大港につきましてはぜひそれをお願いしたいということで、労使双方に早期の積極的な解決を目指して御努力いただけるようにお願いをしているところでございます。  その次に夜間荷役でございますが、これは日曜も本来はあるんですが、日曜は今そういうことで中断していますので日曜以外の夜間荷役を御説明申し上げますと、これも先生の今お話しございましたようにかなり活用しております。それで、港によってかなりばらつきがございますけれども、やはりいつ船が来ても荷役ができて余計な船費がかからないようにということで、私どもとしてはそういうことで港が運営されるようにということで、これも引き続き皆様のさらなる協力をお願いしているところでございます。
  115. 末広まきこ

    末広真樹子君 ぜひぜひお願いしたいですね。  サービス改善のもう一点としてEDI、エレクトロニック・データ・インターチェンジを指摘しておきたいと思います。民間、役所を問わず異業種間で一つの情報の受け送りができるということでございますね。諸外国ではUN・EDIFACTを進めておりまして、貿易手続の簡素化と国際標準様式というのが既に定められております。日本は今そこへ向けてやっと動き出したところでございます。将来的にはSea−NACCSと貨物流通企画課が一体的に連動しないとこれ意味がないと思いますので、御留意願いたいなと思います。  港の情報化ができていない。これは電卓の国日本が港の情報処理をそろばん玉でやっているようなとろくさい感じでございますね。出入国手続のファクス化は当然すべきでございます。神戸港では既にやっているんですから、政府の港湾情報化への御見解をお伺いいたします。
  116. 西村泰彦

    政府委員(西村泰彦君) ただいま古賀運輸大臣より港湾の諸手続の簡素化、合理化などにつきまして御答弁申し上げたとおりでございますけれども、私どもの方もお尋ねのとおり、EDI化の問題につきましてはかねがね重要な事柄であるということで検討してまいっております。来年度の予算につきましてもその関係の調査費などが既にもう盛り込まれておりまして、来年度あるいは再来年度そのあたりでずっと研究をしてまいりまして、平成十一年度に税関の方のSea−NACCSという大きなシステム更改が予定されておりますので、何とかそれと連動いたしまして港のシステム全体についてもEDI化を図っていく、こういうようなことで努力をしてまいりたいと思っております。
  117. 末広まきこ

    末広真樹子君 さらに具体的な話になりますが、高速クレーンの使用料金を三十分単位に設定すれば低コスト利用できる、それから岸壁の使用料も二十四時間単位でやっているのを十二時間単位にすれば安くなるという、ターミナルサービスの二十四時間化も神戸ができて何でほかの港はできないのという、そういう声が多々上がっていることを申し上げておきたいと思います。  ハブポートヘの整備というのは、日本の地場産業を支えるためにも、それから国民の消費コストを下げるためにもぜひとも必要な国のかなめであると一年前にも申し上げました。港なくして国なし、ますますその思いを強くいたします。地方港の整備を含めて、大臣、日本の将来を見据えた御見解をお願いいたします。
  118. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 御案内のとおり、高コスト是正、またこれからますます進展してまいります国際競争の中で勝っていくためにも港湾の整備、特に国際ハブ空港を初めとする整備の必要性、緊急性については今先生から御指摘いただいたとおりでございます。公共事業についてさまざまな御論議をいただいておりますが、港湾整備については全力を挙げてまいりますので、先生もしっかり御支援いただきますようによろしくお願いいたしておきます。
  119. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございました。
  120. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。  先ほどから御答弁も聞かせていただきまして、幾らよい制度と言われましても、弱肉強食をもろに持ち込まれていることの一つのように思えてならないわけでございます。そこで、特に零細業者が淘汰されていくという思いがしてならないわけでございます。私は広島の出身でございますので、瀬戸内海を回っております小さな運搬船、こういったことが大変気になってなりません。  そこで、幾つかお尋ねをさせていただきます。これらの船舶輸送形態に大きな影響を与えるということは確かでございますが、小型船しか入港できないような地方の小さな港湾は輸送が困難になっていくんではなかろうか、このことを思います。また、小型船の不足によって小ロットの貨物も大型船で輸送するという大変運搬に非効率が生じてくるんではなかろうか、こんな思いもしておりますけれども、これらについてはいかがでございますか。    〔委員長退席、理事戸田邦司君着席〕
  121. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) この船腹調整規程計画的解消と小型船の話というのがどう結びつくかでございますが、小型船と大型船があるわけでございまして、それから船種としても、コンテナローローみたいに自動的に自動車やなんかが乗る船と、そうじゃない在来荷役が要る船といろんなのがございます。  最終的には一言で申し上げれば、小型船で小さな港に行ってすぐ消費地なら消費地にまで運ばれるか、大型船で行って近隣の大きな港に行ってトラックで横持ちをするかのコストの比較によるんだろうと思います。私どもとしましては、道路事情が大変隘路であるということを考えればなるべく海路の利用ということをお願いしているわけでございまして、小さな港で余り横持ちのコスト、横持ちの手間がないものが理想的だなと思います。ただ、それはコスト計算でございまして、津々浦々の小さな港にみんな船が行くとすればこれはまた違う問題が起こってくるわけでございまして、そこの兼ね合いだろうと思います。  いずれにしましても、内航港湾の整備、いわゆる実態に合った整備を通じまして一番最適な輸送が確保されるように努力をしてまいる所存でございます。
  122. 栗原君子

    ○栗原君子君 努力をしていただくのは結構でございます。例えばどういう努力があるんでしょうか。瀬戸内海の小さな島々は大きな陸送などは入るわけないんですね。そして、そこには人が住んでいるわけでございますけれども、例えばどういう努力をなさるんですか。
  123. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) これは二つあります。まず、内航といいましても旅客船と、旅客船でも貨客船でございますね、貨客船と純粋な貨物船の問題がございます。私どもとしましては、先ほどもお話がございましたけれども、旅客船の分野、これは貨物も一緒に積める旅客船の分野でございますが、も含めまして規制を緩和しなければならないということで、今そういうことで打ち出しているわけでございます。    〔理事戸田邦司君退席、委員長着席〕  ただ、大臣も先ほど御答弁申し上げましたように、そうしたら離島やなんかに船が行かなくなる、あるいは夏休みとかそういう繁忙期に大きな船が来て優良なお客さんをとっていく、そして既存の定期運送をしてお客さんと生活物資を運んでいる船がなくなるということはこれは大変なことでございまして、そこら辺を十分留意しながら今後の規制緩和に取り組んでいきたいということでございます。
  124. 栗原君子

    ○栗原君子君 今考えられているのは、将来的には小さな船はなくなる制度である、私はこのように思いますけれども、見解の相違なんでしょうか。
  125. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) その船腹調整規程が廃止というかなくなれば、船が大きくなるか小さくなるかという意味では中立だと思います。要するに、そこに荷物があってそれだけのコストが貯えられれば船は行くんだろうと思います。  それから、百トン未満の船につきましては現在でも船腹調整規程はございませんから、具体的な事例がどうなのかによりましてちょっとお答えも変わるかと思います。
  126. 栗原君子

    ○栗原君子君 一隻以下の持ち主ですか、これが七〇%、それからまた二隻以下を含めても八〇%以上になりそうというようなこの状況の中で、私は資金力の弱いところというのは淘汰されていくような気がしてならないわけでございます。  それから、大手が中小零細よりも安いコストで輸送するということは将来的には私は考えられないような気がしてなりません。これは今中小零細、特に零細業者にとっては、たたかれるわけでございまして本当に生活するのにやっとという状況の中での収入でございます。こういう中に大手が入っていくということになりますと、船員費を初の輸送コストは大幅に上がっていくということを予想するわけですけれども、この点についてはどうでしょうか。
  127. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 大手の解釈ですけれども、まず一つあるのは大手荷主と小さな船主さんといいますか小さな運航業者という話と、それから大手の海運会社の下請としての小さな船主さんという、二つあるのだろうと思います。  力関係でやはり大きいものが小さいものよりは強いということは今の御質問のとおりでございまして、これにつきましては、先ほど申し上げましたように荷主さんと船会社であろうと船会社同士であろうと、取引関係の優越的地位の乱用の防止のための手はずは打っていかなければならないと思っておりまして、そのために今いろいろ勉強しているところでございます。
  128. 栗原君子

    ○栗原君子君 次に、現在スクラップ・アンド・ビルド方式によりまして老朽船の処理は確実に行われてきたわけでございますが、船齢の古いものが放置されていくようなことにならないのか。プレジャーボートの放置船が問題になっているわけでございますけれども、この二の舞になる可能性はないのでしょうか。
  129. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) だんだん競争が激しくなる、それからやめていく船があるとすればそういうおそれはあると思います。ただ、プレジャーボートとかあるいは遠いところの外国船が放置をされているというのもありますが、内航船はそれぞれちゃんと登録された立派な船名を持ち、そういう資格を持つ船でございます。もしそういうことであれば海洋汚染防止法で放置をしていればあるいは海に沈めてしまえば罰則がありますし、あるいは廃棄物処理法でそういう船があればその所有者、元の所有者なのか、捨てた人ですね放置した人に対して適切に処理するように求めることができるだろうと思っております。
  130. 栗原君子

    ○栗原君子君 使用できなくなったものについては適切な処理がなされると思います。一方で、まだ使用可能ではあるけれども放置をされるという船が出てくるのではなかろうかと思います。そうしたときには不法運航が行われないのかどうかこうしたことを心配するんですが、これは大丈夫でございますか。
  131. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 特段の運航について規制がありませんから、不法運航という言葉はちょっとよくわかりませんが、例えば横切ってはならないところを横切ったとかあるいはとめてはならないところに船を放置した、とめたということになりますと、これは例えば港則法という法律がございまして、海上保安庁あるいは出先機関によりましてそういうことのないよう直接強制ができることになっております。
  132. 栗原君子

    ○栗原君子君 今そうした答弁をいただきましたので、心配をしなくてもいいということをまた伝えていきたいと思います。  ところで、安芸灘架橋の建設に伴う雇用対策及び離島者の損失補償措置についてお伺いをしたいと思います。  本州四国連絡橋、尾道−今治ルートに加えまして、広島県によります安芸灘諸島連絡橋の建設が進められております。明石、来島を入れるとその地域におおよそ二千六百人失業者あるいはまた離職者が出ると言われておりますけれども、長年、島嶼住民の交通手段と地域経済の発展に寄与してきた旅客業者を廃業、縮小に追い込むということになるわけでございます。そこに働く船員、あるいはまた従業員の職場が奪われますし、その家族の生活までも破綻されるという状況が起きてまいります。  政府は、適切な立法措置を講ずることなく、この旅客業者と地方自治体に任せて国としての責任を回避しているように見受けられますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  133. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 今、安芸灘架橋ということで、私も具体的にどこの場所にあるか存じないのですが、安芸灘架橋の建設問題が航路の再編で大変問題になっているということは承知しております。ただ、これは本四架橋とかあるいは東京湾と少し違いまして、県の事業でございます。県の事業として有料道路とそれから農道であると承っておりまして、今そういう関係で、県と関係旅客事業者の間で影響軽減のための措置や離職者に対する対策についてお話し合いが進められていると承知しております。  ただ、今言われましたように、政府といいますか運輸省が黙っているというわけではなくて、少し地域的な問題もあるものですから、中国運輸局がこの協議会に参加しまして、旅客船対策等を検討しているところでございます。冒頭申し上げましたように、これはそもそも県道、農道とか有料道路でございますので、私どもとしましては積極的にそういう協議会に入っておりますが、やはり地元地方公共団体が主体となって所要対策を講じていただくように働きかけを行い、私どもができることはやる、こういうことで対処しております。
  134. 栗原君子

    ○栗原君子君 同じ瀬戸内海に隣接いたします島嶼間にかかる本州四国連絡橋には本州四国架橋特別措置法が適用されましてよろしいわけでございますけれども、この安芸灘諸島連絡橋建設にはそうした適用がないわけでございますね。そこで広島県は、本四架橋特措法に準じた対応を地域の住民の人たちに約束をしているわけでございますけれども、なかなか具体的な案が出せないといったような状況がある、こうしたことを聞くわけでございますけれども、これらについては何かそうした情報が入っておりますか。
  135. 土橋正義

    説明員(土橋正義君) お答え申し上げます。  今の御質問の点については、私どもについては具体的な話はまだ来ておりません。
  136. 栗原君子

    ○栗原君子君 実は、全日本海員組合が幾つかの今要求を県に出しているわけでございますけれども、例えばこの中には、離職者の生活を補てんする離職者補てん補償措置を明確にしろとかあるいは本州四国架橋特措法に定める離職者に関する措置を講じてほしいとか転業、転職による離職者の教育訓練が実効あるものとするため必要な財源措置を講じること、さらには船員の雇用の促進に関する特別措置法第三条第一項に基づく離職者に対し失業給付等の延長措置が講じられるように、こうしたことを言っております。  例えば、本州四国連絡橋の場合はこれらのことが十分にできたものかどうか、お伺いしたいと思います。
  137. 土橋正義

    説明員(土橋正義君) 本四架橋の架橋に伴う離職対策についてお尋ねでございますので、お答え申し上げます。  本四架橋につきましては、先生指摘のとおり特別措置法がございまして、さらにこの特別措置法に基づきまして、本四連絡橋の建設に伴う旅客船問題に関する対策の基本方針というのが策定されております。  こういったものを踏まえまして、まず航路再編成計画でもってできるだけ航路の維持、職場の維持を図る。それでもどうしても廃業あるいは事業縮小がやむを得ない場合につきましては、例えば本四公団とか地元の自治体で転職先の確保をお願いする。あるいはそれでも離職することを余儀なくされる方に対しては、職業安定所等を通じまして転職先の紹介とかあるいは職業訓練を実施する、こういう対策になっております。
  138. 栗原君子

    ○栗原君子君 全日本海員組合からもそうした要望を出しているわけでございますけれども、例えば離職者に対しての教育とか訓練とかをやっていただくようにと要望を出しておりますが、それらにつきまして、まだ県の方あるいはまた関係自治体等の中でも具体的な話というのは全く進んでいないわけでございます。これは二〇〇〇年には開通をすると言われておりますから、時間的にも迫ってきつつあるわけでございます。  ただ自治体任せにしておいてよいものかどうか、大変疑問に思うわけでございますけれども、これらについては運輸省は適切な指導、措置というものはなさるのかなさらないのか、お伺いしたいと思います。
  139. 土橋正義

    説明員(土橋正義君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、安芸灘架橋については地元の方から具体的な話が参っておりませんので、早速この点について調査をいたしまして、今後お助けできる点があるかどうか、検討させていただきたいと思います。
  140. 栗原君子

    ○栗原君子君 地元の自治体としても大変財政的にも、こういう状況の中でございますので厳しいといった情報は入ってきております。そうした中で、やはり国の財源的な措置も含めて持っていらっしゃるそうした知恵をおかりしたいという気持ちは大いにあるように思いますけれども、その節にはぜひ適切なアドバイスができますように強くお願いをさせていただきます。  最後に、運輸大臣にお伺いいたしますけれども、今回のこの法の改正によりまして弱肉強食の状況というのは私は免れないような気がいたします。特にそうした小さな島々を回っております運搬船の業者につきましては、まず生活がもろに直撃をされるわけでございます。そうしたことに十分配慮していただきますように重ねてお願いし、最後に御答弁をいただきたいと思います。
  141. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 御要請の点につきましては、今後、規制緩和全体を進めていきます中でも十分検討させていただきたいというふうに思っております。
  142. 芦尾長司

    芦尾長司君 最後になりましたが、各委員先生方から御質問をされまして、私の方から聞くことが余りなくなってまいりましたのでこれでやめてもいいと思いますけれども、せっかく与えられた時間でございますから、どうかよろしくお願いします。できるだけ重複を避けましてお願いをしたいと思います。  まず一番最初に、これはこの前の質問とも関係いたしますのでちょっと重複いたしますけれども、よろしくお願いいたします。  最初に、米国のFMCが最近日本船舶に対しまして制裁措置を決定したところでございますが、さきの運輸委員会で私の方から我が国の港湾の国際競争力について質問をいたしました。木本港湾局長からも御答弁がございまして、先般の三月九日の新聞報道によりますと、五月から主要八港で十二時間の短縮係留について実質二五%の料金の軽減措置を各港湾で講じていくといったような大変心強い発表もなされておりまして、その取り組みに感謝をいたしたいわけでございます。  しかし、今度はまた米国の連邦海事委員会、FMCが日本の港湾荷役の慣行につきまして不服として制裁措置を講ずる、こういう報道がなされておりました。せっかく国際競争力を強めていくための努力をしようというやさきでこういうことが起こっております。さらには、十二日にこれに抗議いたしまして、約五十港で十万人の港湾労働者の半数の方々が二十四時間のストを行ったといったような報道もなされております。  先ほど来の御質問がありまして、今回のこの二十四時間ストの中で、震災直後から全国五大港で日曜荷役が実施されまして、神戸港では特に暫定的に日曜を含む二十四時間荷役が全国に先駆けて導入をされてきておりますが、それがこのたびまた荷役を行わないといったようなことが報道されておるわけです。これはFMCに対する抗議とは少し別物だというふうにわかりましたが、しかし、いずれにいたしましてもこれは世界の趨勢にもなっておると思うわけでございます。  今、労使で話し合い中であるというふうに聞きましたけれども、その見通しというものはどんなものでございましょうか、お聞きいたしたいと思います。
  143. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 今先生お尋ねのようなことでございますが、今月の十日まで日曜荷役をやるという協定が切れてしまいました。したがいまして、十六日からは日曜荷役をやらないという状態でございまして、これはストではなくてやらないという状態でございます。しかしながら、国際的には日曜荷役、特に近隣諸国はみんなやっておるわけでございますので、私どもとしてはぜひこれは継続してもらいたいということで直接労使にお願いをしているところでございます。  ただ春闘で、さっきから申し上げておりますように、交代制を入れるか入れないかということで少し難しいテーマになってございます。賃金を上げろとか上げるなというよりも交代制を入れるのか入れないのかに絡まってきておりますので、例年になく少し難航しております。私どもとしましては、ぜひできるだけ早い時間にもどのように日曜荷役をやってもらえるようにさらにお願いをしていきたいと思っております。
  144. 芦尾長司

    芦尾長司君 これから港湾の競争力をつけていく上で、国際的な広い視野に立って、また国内的にも高い立場に立って関係者が一体となってこうした難関を乗り切っていただきますように、ぜひ運輸省におきましても御活躍いただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは次に、今回の債務保証制度の創設の法律改正につきまして若干御質問させていただきたいと思います。  これまでの御質問の経過から、私自身も、今回の保証制度の創設の目的といいますものが単に新船建造に当たっての金融制度を変えるというのではなくて、供給サイドから需要サイドに立った大きな転換、規制緩和の流れの中で行われようとしておるということを認識いたしまして、以下御質問をさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、こういう規制緩和を実施していきますに際しましては、やはり摩擦といいますかフリクションというものが生ずるわけでございますが、こういう摩擦をできるだけ最小限に抑えて、そしてその規制緩和の効果を最大限に発揮していく、そのことが政治に与えられた行政に課せられた課題であろうというふうに存ずる次第でございます。  その一環といたしましてまずお聞きいたしたいのでございますが、今回のこの保証制度で、基金の造成目的というのでございますか、そういうものは大体どの程度というふうにお考えになっておられるのか、お聞かせいただければと思います。
  145. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) これは、法律を成立させていただきましてこういう機能が内航海運組合に与えられた場合、内航海運組合がどう判断をし、どのように資金を集めていくかということだろうと思います。今までのところ内航海運組合とのお話し合いの中では、目標としてこれはかなり十分な目標だと思いますが、百三十億ぐらいを基金として事業者から出損をしてもらって、それを元手に債務保証事業をやっていきたいと思っております。  ただ、債務保証事業ですからこれのいろいろな計算がございますけれども、十倍とか二十倍とかいう債務保証はできるということでございます。さもに、債務保証のときに手数料が入りますので、それの益が出れば少しずつ基金がふえるということでございます。ただ、百三十億なければ債務保証事業はできないかというと、そうではなくて、その中間段階でもその基金の額に見合っただけの債務保証はやっていけるのだろうと思っております。
  146. 芦尾長司

    芦尾長司君 そういたしますと、今のお話でございますが、保証倍率がどの程度になるかといったようなことにもかかってくると思うのでございますが、そうした規模でどの程度の事業量といいますかトン数が新しく建造されるかといったような、何か見通しはあるのでございましょうか。
  147. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) これは少し横の制度を見ながらのこのようなものかなということでございますが、ほかの制度を見ますと十五倍ぐらいでございますので、百三十億が集まれば約二千億円の保証能方ができるということでございます。したがいまして、船が数億円でございますけれども、これが満額できればかなりその建造のための債務保証の枠ができるということでございます。
  148. 芦尾長司

    芦尾長司君 それは一応ちょっと置いておきます。  これまでの御議論から、船腹調整という土俵の場が外されようとしておりますが、そうしたことの中でこれから非常に重要になってまいりますのが、運輸大臣が策定されます内航海運事業者船舶建造の中長期的な指針となります五年間の適正な船腹量といいますかガイドラインということになろうかと思いますが、それが非常にこれから重要になってまいると思いますけれども、その点の御認識はいかがでございましょうか。
  149. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) きょう各先生方からそれぞれ御質疑をいただいたわけでございますけれども、各先生とも一番関心と申しますかまた御心配をいただいている点は、今先生がお触れいただいている点だろうというふうに思います。私も、ここのところは一番重要であり、また本当にきめ細かな環境整備というものがそれぞれの先生方の御意見を拝聴させていただく中で必要だということを、改めてきょうの御審議をいただく過程の中で認識をいたしました。  この船腹調整事業というものが規制緩和で計画的に解消に向けてその第一歩を進めさせていただいているわけでございますけれども、この基本が事業拡大だとか新しい分野への参入だとか事業者方々により夢と希望のある内航海運業として育っていかなければいけないわけでございます。  しかし一方、私はいつも先と影と申しておりますけれども、そのために大きな犠牲と申しますか、そういった痛み、負の分野というものに対してどういう支援をしていくのか、どういう措置ができるのかまたやるべきなのかということを、今後与えられた期限目標というものをつくらせていただいておりますから、目標期限は定めさせていただいておりますだけに、関係者方々と十分協議を重ねさせていただいて環境整備に努めていきたいというふうに思っております。今回提案させていただいております組合法の一部の改正につきましては、これはその一環として、十分皆様方と御論議をしていただいた中で提案をさせていただいている改正案だということについては先生方にも御理解をいただいておきたいというふうに思っております。
  150. 芦尾長司

    芦尾長司君 確かに、今回の適正な船腹量というものがこれから非常に大きな意味を持ってくるのではなかろうかと思います。  そこで、先ほど来岩田局長も御答弁をされておりますけれども、今回の法律といいますものは連合会の選択肢をふやす改正になるということであります。そういうことでありますが、今までの委員の御議論から出てまいりますと、この組合法の八条の四号の仕事ですか、これをこれから削除するときが非常に大きな問題になってくるだろうと思いまして、その期間を今探っておられるだろうと思います。  いずれにいたしましても、この適正量というものを一つの何か目標にされまして、今平成八年から十一年の間に六万トンなり四万トンなりの過剰があるという数字が出ておりますが、そういうことからいえば一つの目標として、例えばこういう六万トンなり四万トンの過剰というものを解消するというのが一つの計画目標である。言うならばそういうものを一つ前提に掲げていただいて、そしてこれからどういうふうに取り組んでいくかということのスタートをするのが重要になってくるのではないかなというふうに考えるんでございますが、いかがでございましょうか。
  151. 岩田貞男

    政府委員岩田貞男君) 実は、現在の環境整備計画の中にも、こういうような法律をつくってくださいとか、あるいは弱者救済といいますか優越的地位の乱用防止のための法律をつくってくださいとかいろいろございます。その中の一つとして、これは法律じゃないんですが、過剰船腹解消してくださいという内容もあります。これはしてくださいというか、解消するということでございます。  先ほど申し上げましたように、自分資金でそういう過剰船腹解消するのもありますが、引き当て比率を去年の五月だったと思いますが少し引き上げまして、その五年間の環境整備期間の中で解消するんだという計画になっているわけでございまして、私どももそういうベースで環境整備計画を進めておるわけでございます。
  152. 芦尾長司

    芦尾長司君 いずれにいたしましても、これまでの御答弁の中で、その期間はまだはっきりしないといったようなことから若干不透明なところがある。そういったものを透明にされて、その上で例えばこの船腹調整事業でどの程度の新船建造を図っていくのか、またこれからできる新しい制度の中でもどういうねらいを持ってどの程度新船建造を図っていくのか、そしてトータルとしては一体どういう姿になっていくのか、そしてそれでこの適正量に向かって五年間で収束させていくのか、そこをはっきりさせて透明にした上で、公的支援というものはやはりこういうことで必要であるということを堂々と前に打ち出されて、そしてこれからの新しい施策というものをお立てになると。  そういうことが、この規制緩和を進めようということの中で非常に大切になってくるのではないか。従来どおり、何か不透明なままで例えば公的支援をやるといったことになりますと、これは従来の補助金を出しているのと同じようなことになっていくだろうと思います。  そういう意味で、これから残された期間そう時間はないと思いますけれども、非常に内航海運の新しい世界を築いていく上で重要な時期に差しかかっておると思うわけでございますので、そうした新しい目標のはっきりした計画を立てていただいた上でいろんな環境整備の諸対策を講じていただくことをぜひお願いいたしたいと思います。御答弁いただければと思います。
  153. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) 確かに、目標期限は三年から五年というふうに明らかにさせていただいておりますけれども、今先生指摘いただきましたような全体像の中でそれぞれの分野において全体像を明らかにしていく、透明性を明らかにして、そしてそれに向かっていろいろな環境整備をつくっていくということは先生指摘いただいたとおりだと思います。  私も、そういう認識のもとで、まず内航海運事業者方々の自助努力と相まって、その中で国の環境整備としてやらなければいけないある意味では支援を含めた措置というものはどういうものが必要になっていくのか、まず全体のいろんな分野の中でこういう形にやっていくんだということを明らかにしていくということは、そういった意味でも非常に大事なことだというふうに思います。  先生の御指摘を十分踏まえて、これから解消に向かっての計画で明らかにさせていただきながら進めていきたいというふうに思っております。
  154. 芦尾長司

    芦尾長司君 どうもありがとうございました。
  155. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  156. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、内航海運組合法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。  船腹調整事業は、圧倒的に中小零細業者が多い内航海運業界にとって最大の課題となってきた過剰船腹による過当競争防止するために行われてきたものです。しかし、三十年余たった今日も、長期不況とも相まって依然として船祭り状況が続いています。また、荷主石油鉄鋼、セメントなどの大企業がほとんどという業界の特徴もあって、荷主側の優越的地位を利用した運賃ダンピングも改善されていません。船腹調整事業について、今こそ実施していくべきものであり、廃止などとんでもないという声が内航海運業者から上がっているのも当然です。  世界の趨勢を見ても、EU諸国は八九年から内航海運への新規参入を認めておらず、我が国における廃止の動きは世界の趨勢にも逆行するものであります。  こうした状況を踏まえず、規制緩和、自由化のかけ声のもと、従来から運輸省内航海運不況対策の柱として運輸白書でも挙げてきた過剰船腹処理対策をやめてしまうのは、全く道理のないことです。しかも、今回の法改正の背景には、公正取引委員会を通じた大手荷主側や米国からの廃止要請があり、この要請に沿って新規参入を容易にするため障壁を取り払おうとするものです。  船腹調整が廃止されれば、過当競争がさらに強まり、運賃ダンピングがますます横行し、ほとんどが中小零細業者である内航海運業者の多くが深刻な事態に追い込まれることは必至です。また、内航海運業者にとって命綱とも言うべき解撤権の財産的価値が消失することも看過できないことです。  このように、今回の改正は日本の国内物流輸送に大きな役割を果たしてきた中小航海運業者の営業を根底から脅かすものであることを指摘して、反対討論を終わります。
  157. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  内航海運組合法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  160. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。古賀運輸大臣。
  161. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この案件は、運輸省の地方支分部局として、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録事務所を設置しようとするものであります。  すなわち、千葉県の北西部地域における自動車の検査及び登録に関する事務の円滑化を図り、あわせて当該地域の住民の利便を増進するため、千葉県野田市に、関東運輸局千葉陸運支局の下部組織として野田自動車検査登録事務所を設置する必要があります。  以上の理由によりまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し国会の御承認を求める次第であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  162. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。——別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、関東運輸局千葉陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  165. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。古賀運輸大臣。
  166. 古賀誠

    ○国務大臣(古賀誠君) ただいま議題となりました船舶安全法及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  我が国においては、船舶の安全確保及び海洋環境の保全を図るため、船舶を航行するに当たっては、船舶の構造・設備について検査を受けなければならないこととされております。近年、日本船舶は信頼性が向上するとともに、構造・設備に起因する事故は概して減少傾向にあることから、検査に合格した船舶に交付する船舶検査証書及び海洋汚染防止証書の有効期間について、海外の主要海運国の動向を踏まえつつ、見直しを行うことが可能な状況となってきております。このため、昨年、運輸技術審議会に対し、船舶の定期的検査の今後のあり方について諮問を行い、同年十二月に同審議会から船舶検査証書及び海洋汚染防止証書の有効期間を五年に延長すべきとの答申がなされたところであります。  また、外国の造船所の技術向上等を背景として外国建造される日本船舶が増加する傾向にあることから、これらの日本船舶について、船舶検査を円滑かつ確実に行うことが必要とされております。  さらに、平成七年九月に国際海事機関において、千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書について船舶発生廃棄物汚染防止規程を船舶内に備え置くことを義務づけること等を内容とする改正が行われ、本年七月に発効することとなっていることから、同議定書の改正に伴い新たに必要となる国内法制の整備を図る必要があります。  このような趣旨から、このたびこの法律案提出することとした次第であります。  次に、改正案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、船舶検査証書及び海洋汚染防止証書の有効期間を四年から五年に延長するとともに、これらの証書の有効期間の延長特例の上限を五カ月から三カ月に改めることとしております。  第二に、海外で建造される日本船舶建造地において製造検査を受けることができるよう措置することとしております。  第三に、船舶所有者に対し、船舶発生廃棄物汚染防止規程を定めて、これを船舶内に備え置き、または掲示することを義務づける等所要の規定の整備をすることとしております。  以上がこの法律案提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  167. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十分散会