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松原政府委員 非常に多面的な御
質問でございましたのでちゃんと答えられるかどうかわかりませんけれ
ども、
退職金制度、そもそもできてきた背景というのは、おっしゃったとおりだと思います。企業の中で教育訓練をし、その基幹
労働力に育てた
労働者が定年まではその企業に定着してもらわなければいけない、そのための一種引きとめ策的な要素もあって、
退職金制度というのがいわば日本的な
雇用慣行の中でできてきたものでございます。
ただ、そういう形で導入されたものでも、
労働者の側にとりますと、今度は退職後の生活を保障するものだということで、また別の
意味での重要性が増してきているというのは御指摘のとおりでございます。
御指摘ございました高齢化社会になっていく、また、産業構造が転換する、それに伴う
労働移動がふえるといったようなことの中で、この
退職金制度というのをどう考えるかということでございますが、
民間企業におきましては、既に、こういう時代の要請から、
退職金制度というものをもうそもそもなくしてしまって月例
賃金に上乗せする形にするといったような試みも始められた企業もあるというふうにも聞いております。
ただ、一方で、非常に定着した
制度でございますし、今、大企業と
中小企業の格差を御指摘ございましたけれ
ども、特にこの
退職金制度についての
中小企業での普及がおくれているということが目立っている点もあり、かつ、実際に実施している企業の統計を見ますと、
中退制度に入っているというのが半分ぐらいあるわけで、
中小企業における
退職金制度、その中での
中退制度の占める位置というのは非常に大きいものがあるというふうに思っておりまして、この
制度はこの
制度で充実し、きちんとした
運営ができるようにしなければいけないというふうに私
どもは思っております。なお、ポータビリティー化といいますか、
労働移動すると、この
退職金制度というのは
一つの企業にずっと勤続するということがそもそも前提となってつくられて当ているわけでございますので、
中退制度については、その
中退制度の中でのポータビリティー化というのは実現はされているわけでございますが、それは、
一つには、
一定の掛金を掛けるということ、その掛金が決まっていて、将来受け取る退職給付は、先ほどちょっと予定運用利回りの見直しの話も申し上げましたけれ
ども、その実勢に応じてその辺は見直さなければいけないということが出てくる、そういういわば確定拠出型になっているというところから可能になっている面もあるわけでございます。
確かに、
退職金、企業年金のポータビリティー化がいそれがポータブルでないために、一たん退職すると通算されないことに伴う不利益というのも指摘はされております。
労働市場の
流動化を阻害している面もあるのではないかという指摘もございます。
そこで、この点、今直ちに結論を出すというのは非常に難しいかと思います。
退職金制度が持っているそもそもの機能をどう見るか、これを新しい
雇用・
労働市場が
流動化していくという中でフィットさせるためにはどうしなければいけないか。
一つの形というのは確定拠出型の
退職金制度というのがあるわけでございますが、一方、それでは将来もらえる給付というのがはっきりしていない、大体はわかっていてもきちんと決まっていないといったようなことからくる老後設計の不安ということもあるではないかといや声もございます。
そういったことなどさまざま
検討しなければいけないかというふうに思っておりまして、今直ちに
お答えすることは難しいのでございますけれ
ども、新しい時代に適応した
退職金制度のあり方というのは私
どもも
検討したいと思っておりますし、また、
勤労者の財産形成という観点からは、財形
制度というのもございます。
これは
労働者の自助努力を国と企業がサポートするという考え方でできたものでございますが、
勤労者が在職中から
資産形成を行い、老後の生活に備えるという
意味においては、この財形
制度というのも非常に重要であろうかと思って参りまして、とういった大きな産業構造変化の中での
勤労者の老後生活をどういうふうにきちんとしたものにしていくか、
資産面でしていくかということについては、
退職金のみならず、この財産形成
制度な
ども含めて
検討をすることが必要ではないかというふうにも考えているわけでございます。