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山中(燁)
委員 カナダのサスカチェワンという州なんですが、ここの州法の中で、
女性の従業者が深夜
労働をした場合に、その後自宅に帰るまで安全に送り届けるためにタクシーチケットを出すということが
法律で決まったのです。それで、それに対して、
男性の方はそんなに遅くなってもタクシーチケットをもらえないというのは逆
差別ではないかという声が上がるのではないかというふうに考えられるわけですけれども、
男女の平等というのは、同じことを同じように扱うことが平等であるという考え方は、これはカナダのチャーターの場合ですけれども、伝統的な
男女の平等の
あり方であって、これからはもうそういう観念ではなくて、実質的にどういうふうに平等を担保していくかということである。
つまり、深夜を過ぎて、
日本の場合は安全で、私も十一時とか十二時とか
自分で歩いていますからこれは適応しませんけれども、考え方としてお聞きいただきたいのは、深夜歩いていて
女性は襲われる危険がある、
男性はそういうことが少ないので、
女性が安心して働くためには往復の安全も確保するというような発想の
法律が既にできているところもあるわけです。
ですから、
男性と
女性が同じ
状況になれば平等かというふうな考え方、先ほどの
保護規定の問題もございますけれども、果たしてそういう考え方で
差別を
撤廃していけば平等になるのだろうかということではない、それよりももっと実質的に、それぞれが
自分の置かれた
立場の中で少しでもクオリティー・オブ・ライフを享受できるというような、そういうためにどういう制度が必要かということに思いをいたしますと、今回の
法律に幾つか、これは修正ということではなくて、いろいろな形で加味していただいて、現実に実際に
運用するときに考えていただきたいという点がございます。
先ほどから申し上げましたように、
労働時間の短縮の問題とかあるいは多様な
雇用形態の確立、パートタイマーも含めまして同じ時間働いたら同じ費用を払うというのは、もうイギリスはそこまでいっております。パートであるから安いということは通用しないというような
時代にもなってきている、その点も一つです。
それからもう一つは、
家庭と職業活動の両立というのを容易にするためには
男性も
女性も
育児にも携わるのだ。ところが、これはちょっと余談になりますが、私、デンマークに行きましたときに、昼間、
男性の方が大変乳母車を押していらして、ここは
男性、
女性の区別なく
意識が発達しているのだなと思いましたところ、二十四週間の休業で、お給料の安い方が休暇をとって子育てをするという現実で、四分の一が
男性がとっているという現実もあります。
ですから、
言葉どおりすべてがいくわけではございませんけれども、そういった観点も含めて、
男性も子育てに参画するような
意識も含めて、それから体制も整えていって、お互いに分かち合って
家庭を築いていくということがないと
少子化に歯どめをかけられないというふうに私は思っております。
それから、
母性保護を含む実質的な平等というのは決して
差別でない、この点はしっかり申し上げておきたいと思います。
ともすれば、まだそういうところに至らなければ何でもできそうな気がするのですが、実際に子供を持って育てて、私も切迫流産という
経験もございますけれども、仕事とそれから
家庭ということ、あるいは子供が健康であるとは限らないわけです。そのほかに、
日本の国においては特に老人
介護の問題がほかの国々よりも今非常に立ちおくれた状態になっておりますから、それも
女性への負担が加重してくる、こういう
状況ですので、ぜひ
母性保護と、それからその
母性保護を含む実質的な不均衡ということが決して不平等ではないということも含めて施策に反映させていただきたいというふうに思います。
それから、百七十一号条約も含めて、できるだけ早く国際
基準を批准していただいて、そして国際的に通用する、つまりノルウェーなどは、御存じのように全部国連にこういうふうな
法案というふうに出しているわけですけれども、そのときに
日本はまだ百七十一号は批准しておりませんので、ですからここの
部分は欠落しています、そういうことはこれから余り通用しないのではないかというふうに思いますので、ぜひその辺も含めまして、
最後にこの
改正案の問題点を補強することも含めて、
大臣の御決意をもう一度承れたらと思います。