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1997-05-14 第140回国会 衆議院 労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十四日(水曜日)    午前九時開議 出席委員   委員長 青山  丘君    理事 荒井 広幸君 理事 大野 功統君    理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君    理事 河上 覃雄君 理事 桝屋 敬悟君    理事 岩田 順介君 理事 金子 満広君       飯島 忠義君    大石 秀政君       奥山 茂彦君    小林 興起君       滝   実君    竹本 直一君       棚橋 泰文君    藤波 孝生君       綿貫 民輔君    鍵田 節哉君       塩田  晋君    西田  猛君       吉田  治君    近藤 昭一君       中桐 伸五君    松本 惟子君       藤木 洋子君    辻元 清美君       畑 英次郎君  出席政府委員         労働政務次官  小林 興起君         労働省婦人局長 太田 芳枝君  委員外出席者         参  考  人         (日本経営者団         体連盟労務法制         部長)     荒川  春君         参  考  人         (日本労働組合         総連合事務局         長)      鷲尾 悦也君         参  考  人         (弁護士)   中島 通子君        参  考  人        (全国労働組合        総連合女性部        長)       笹沼 熈子君        労働委員会調査        室長       中島  勝君     ————————————— 委員の異動 五月十四日 辞任          補欠選任   河井 克行君     奥山 茂彦君   能勢 和子君     滝   実君   大森  猛君     藤木 洋子君   村山 富市君     辻元 清美君 同日 辞任          補欠選任   奥山 茂彦君     河井 克行君   滝   実君     能勢 和子君   藤木 洋子君     大森  猛君   辻元 清美君     村山 富市君     ————————————— 五月十三日  労働基準法女子保護規定撤廃反対に関する  請願児玉健次紹介)(第二六二二号)  同(矢島恒夫紹介)(第二六九五号)  同(石井郁子紹介)(第二七六一号)  同(瀬古由起子紹介)(第二七六二号)  同(藤木洋子紹介)(第二七六三号)  同(藤田スミ紹介)(第二七六四号)  男女雇用機会均等法及び労働基準法改正に関す  る請願坂上富男紹介)(第二七六五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  雇用分野における男女均等機会及び待遇  の確保等のための労働省関係法律整備に関す  る法律案内閣提出第二九号)      ————◇—————
  2. 青山丘

    青山委員長  これより会議を開きます。  内閣提出雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等のための労働省関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として日本経営者団体連盟労務法制部長荒川春君、日本労働組合連合会事務局長鷲尾悦也君、弁護士中島通子君、全国労働組合連合女性部長笹沼熈子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いをいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。  御意見は、荒川参考人鷲尾参考人中島参考人笹沼参考人順序でお一人十分程度お述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  念のため申し上げますが、発言する際には委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対して質疑することはできませんので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。  それでは、荒川参考人からお願いいたします。
  3. 荒川春

    荒川参考人 私は、日本経営者団体連盟荒川春と申します。  本日は、雇用分野における男女機会均等及び待遇確保等のための労働省関係法律整備に関する法律案、以下整備法案と言わせていただきますが、これに関し意見を述べる機会をいただき、大変ありがたく思っております。  御案内のとおり、平成七年十月から婦人少年問題審議会におきまして、男女雇用における機会均等推進するための方策につきまして審議がされたところでございます。経営側といたしましては、今日の企業経営にとって雇用における男女機会均等は重要な課題であり、その推進にはたゆまぬ取り組みが必要であるという認識のもとに、経済経営情勢あるいは一般社会におきます同問題の認識女性労働者の置かれている状況等、問題にかかわる環境を十分勘案しながら、そのあり方を真剣に検討してきたところであります。  そこで、経営側がまず第一義に主張してまいりましたことは、一層の雇用機会均等推進し、女性の職域を拡大し、活躍の場を広げるためには、労働基準法労働時間、時間外・休日労働、深夜労働部分でありますが、これに関する女子保護規定解消することであります。これは現行法が成立した昭和六十年以前から一貫して要請、主張しているところであります。  この女子保護規定解消は、仮にこれを男女均等家づくりというふうに例えたとしますと、いわばその土台となるものが女子保護規定解消ということではないかと思います。そして、その土台をしっかりとした上で、均等の家を立派に構築するということを行わなければならないということであると思います。  女子保護規定解消する上で問題とされます労働時間の現況や、特に重要な点であります仕事家庭生活調和の点につきましては、まず、労働時間につきまして、この四月から週四十時間労働制中小企業も含めまして全面的に適用され、かつ関係労使の大変な御努力によりまして実労働時間の短縮が進んできていること、また、仕事家庭生活調和につきましても、近年、国会審議を経まして育児休業法あるいは介護休業法が相次いで制定されたことなどなど、成果を見ているところでございます。  女子保護規定解消により問題の点があるとするならば、それは育児介護のいわゆる家庭責任を有する労働者の深夜労働における配慮ではないかと存じます。このことにつきましては新たな改正に取り組んだところでございます。女子保護規定解消されますと、労働基準法規定により、使用者が時間外あるいは休日労働を命ずる場合には、労働組合あるいは従業員過半数代表といわゆる三六協定を締結することになります。今後は、この三六協定によって労使が合意し、男女に適正な時間外労働実現が図られていくものと思われます。  婦人少年問題審議会では、この女子保護規定解消方向とその関連環境整備について原則的な部分で完全に一致したところであります。このたびの整備法案の中では女子保護規定の全面的な解消がうたわれており、あわせて環境づくり措置が含まれております。これらを十分御理解いただき、ぜひとも本法案の成立をお願いする次第であります。  参考までですが、日経連では女子保護規定あり方について会員から意見を聞いておりますが、その中で、女性従業員みずから女子保護規定解消を望む声が寄せられております。そこで、たくさんある中の一つを御紹介させていただきます。  この方は非製造業技術職として平成四年度に入社された方でございます。原文のままでございます。   私は平成四年度に技術職として入社しました。約一年半機器関係保守をし、現在制御関係保守工事をしています。   仕事では、女性でも男性と同様に点検業務など日中現場へ出向する機会が多く、十七時ごろ戻ってきてかち机上業務をしています。毎日現場というわけではないのですが、日々の業務を行っていくのに週六時間という時間外の枠があるため、この枠が仕事を進めていく上でかなりの支障となっています。特に工事関連仕事となるとほとんど毎日現場へ出向することになり、週六時間、年百五十時間の時間外では仕事が進みません。   また、私の職場では保守業務上何か支障が出た場合、緊急対応をしなければならないことがあります。自分関係した事でも女性では週六時間の時間外、深夜労働禁止のために緊急対応に制約があります。   せっかく男性と同様にやっていける環境にありながら、労働基準法女子保護規定によって仕事が制約されているようです。男女同様にできる仕事であれば、時間外や深夜労働の枠も男女同様にしてほしいと思います。   女性といえど技術職として採用された一人工として数えられている以上、与えられた仕事ができなければ他の人に迷惑がかかります。また、他の人が時間外で仕事をしている時、自分仕事が残っているにもかかわらず退社しなければならないのでは責任感を持って仕事にとり組むことができません。   現状を考慮した労働基準法女子保護規定の緩和、撤廃を早急に進めていただきたいと思います。 このように、最近では、男性と同様の働き方を求める女性、時間外労働を含めて男性と同様に働く意欲を持つ女性がふえております。問題は、そうした意欲のある女性に対し、法がそれを不可能としてはいけないということであろうと思います。  男女雇用機会均等法の改定につきましては、経営側は、現行法の趣旨を一層徹底させることを新たな出発点としながら、さらに、女性労働者の置かれている現状をいま一層改善していくには、現行法の枠組みの中で最も重点を置くべき諸点として、募集採用配置昇進について新たな取り組み方を模索しようとしたのが基本的な考え方であります。そして、審議会におきまして、それ以外の推進策につきましても、社会一般男女均等に対する受けとめ方、経営が人事・労務管理責任を持って完遂できるかどうかという点を基軸に積極的に検討をしたところであります。  その結果、幾多の改正点、例えば一方申請による機会均等調停委員会開始ポジティブアクションセクシュアルハラスメントあるいは公表などなどでございます。この多くが盛り込まれたところでありますが、これらは、結局、婦人少年問題審議会公労使委員がぎりぎりの接点として意見の一致を見たものであります。その点は経営側としても大切にしていきたいと思っております。ぜひとも、整備法案につき、立法府におかれましても御理解を賜りたいと思います。  この上で、最後でございますが、あえて均等法部分について申し上げなければならないことがございます。中小零細企業では、現在、週四十時間労働制への移行を初めとしまして、最近の新たな労働関係法への懸命な対応をしているところでございます。今回の均等法改正は、まさにこうした中で、企業として雇用における男女均等で一層の取り組みをすることになりますので、この点、行政としても十分な御支援、御配慮お願いできればと考える次第です。  ありがとうございました。(拍手
  4. 青山丘

    青山委員長 ありがとうございました。  次に、鷲尾参考人お願いいたします。
  5. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 御紹介賜りました連合事務局長鷲尾でございます。  本日は、いわゆる均等法並び労働基準法及び育児介護休業法改正審議に当たりまして、当労働委員会で私ども考え方を聞いていただく機会をつくっていただいたことにお礼を申し上げたいと思います。  せっかくの機会でございますので、私は、改正に当たりました視点と改正案評価、そしてその問題点を指摘させていただいた上で、原案の補強をしていただきたい事項について幾つか提案させていただきたいと思います。  御案内のように、現行均等法勤労婦人福祉法改正して施行されたのは八六年でありました。それから十一年たったわけでありまして、国内外の情勢は大きく変化しております。この変化の中で一番大きいのは女性労働者の増加でありまして、現在、これも御案内のとおり、雇用労働者おおむね五千三百万人おられますが、女性労働者が二千八十四万人と四〇%近くを占めているわけであります。  とりわけこの十年間変化ということを見ますと、十年間伸び率が五%ということでございまして、いわゆるパート労働者等の短時間労働者がふえているということが大きいわけでありますけれども常用労働者についても大きくふえているということも御承知のとおりでございまして、もう既に女性労働者我が国雇用労働の中の中核を占めているという認識を持たなければいけない、このように考えているところであります。  この十年間いろいろな問題が起きました。例えば女子学生募集採用で受ける差別扱いに対する訴えなどは、就職戦線が超氷河期となっているこの三、四年、大きな社会問題になっているのも御承知のとおりであります。女性労働者職場における処遇についても、男性に比べて均等に与えられていない、このような声が多く出されているわけでありまして、現在ございます均等法実効確保についての多くの疑問も提示されているわけであります。  雇用分野での扱いが、依然として、女性であるがゆえに男性の補助的な労働であったり、昇進や昇格がおくれたりしているという問題が指摘されているわけでございまして、現在、女性労働者が数の上では職場中核にある今日でありまして、また実質的には大きな役割を果たしているという現実を見ますと、女性が生き生きと自分能力が発揮できるための実効ある均等法見直しが迫られているのではないか、このように考えているところでございます。  また、もう一つ大きな変化がございますのは、国際的な動きを受けた均等法見直しについてであります。  十年前の均等法改正時は、国連やILOでそれぞれ採択されました、女性差別撤廃条約ILO百五十六号の家族的責任条約がございました。今回、これら条約を踏まえました国内の法的整備とあわせまして、欧米諸国が既に取り組んでおりますポジティブアクションセクシュアルハラスメント措置や、そして労働時間の面で女性保護をなくして男性と同じ扱いにしてきておるわけでありますが、我が国でその面についてどう措置するかというものが課題になっているのではないかと思います。  さらには、今日の日本社会で進行しつつあります少子化や高齢化対応した政策をどうとるかであります。これは、単に今日の均等法の問題だけではなく、日本全体の社会システムに大きな影響を与えるということは必然でございます。そのためには、何よりも、現在の子供の育児家族介護は専ら女性が担っているという現実、こうした現状を改善いたしまして、男女がともに職業生活家庭生活を両立できる職場社会環境整備というのも必要であるということでありまして、保育介護システムを充実して安心して働ける社会をつくるということが大切ではないかと思います。  このように、十年間変化を踏まえまして、今回の見直しの内容でございますが、私ども連合としては大筋の点では評価できると考えます。  つまり、募集採用配置昇進禁止規定にしたこと、差別禁止する教育訓練対象範囲を拡大したこと、三点目に、法違反企業是正勧告に従わない場合、企業名を公表して法の実効確保をしようとしていること、四番目に、調停開始に当たって個別紛争当事者の一方申請に道を開き、申請したことに対する不利益扱い禁止すること、五番目に、企業女性能力発揮を促進する計画作成を進める措置法律で制定したこと、六番目に、企業セクシュアルハラスメント防止配慮規定したこと、七番目に、妊娠中及び出産後の女性労働者健康管理措置義務規定にし、多胎妊娠にかかわる産前休業を十週間から十四週間に延長して、母性保護を強化したこと、八番目に、育児家族介護を抱えた労働者について、本人の請求により深夜業を免除する措置を講じて、男女労働者職業生活家庭生活を両立できるようにしたことなどであります。  また、児童福祉法改正によって今までよりは保育体制が充実されるでしょうし、介護保険法案も今国会で制定されるということでございまして、介護システムも一歩前進するということについて大きく期待を寄せているところでございます。  今回の改正案について課題になっておりますのは、私どもは、労働時間の女子保護規定解消と、その後の取り扱いの問題でございます。  現行均等法への改正を取りまとめた八四年の婦人少年問題審議会の建議でも、法のあるべき姿として、「原則として、企業募集採用から定年・退職・解雇に至る雇用管理における男女差別的取扱い撤廃し、労働基準法女子保護規定母性保護規定を除き解消することが求められるところである。」というふうにしているわけでありまして、この姿の実現に向けて雇用慣行労働時間及び就業条件整備をすべきであることを指摘しているところでございます。  この十年間、特に労働時間の面では、週四十八時間法制から、今年四月一日、週四十時間労働になりました。三六協定の目安についても、一九八五年では月十五時間で年間の定めがなかった、一九八八年には年間四百五十時間というのが制定された、九二年に現在の三百六十時間というふうに圧縮されたわけでありまして、就業条件整備の点では、男女労働者対象とした育児休業法介護休業法も制定されたということでございまして、こうした条件も、徐々にではありますけれども整備をされているところでございます。  連合組合員の要求も、女子保護を存続するということよりも、男女共通規制など新たな規制を望む声が多くなっておるわけでありまして、連合は、妊娠出産など母性保護の強化を一層図りつつでありますけれども女子保護規定については解消し、新たな男女共通の時間外・休日及び深夜労働規制を行うべきであるというふうに考えているところでございます。  今回の改正案問題点について幾つか申し上げたいと思いますが、とりわけ、今申し上げました労働時間の女子保護規定解消後の新たな措置について先送りしているところでございます。  男女にかかわる労働時間の問題は、中央労働基準審議会審議事項ということでございまして、今回の均等法審議を行いました、いわゆる婦少審では議論できなかったという経緯がございました。中央労働基準審議会も四十時間労働制の四月一日以降の実施というものについて議論をしておりましたので、十分審議できなかったというふうに私ども聞いているところでございます。  そこで私は、最後に次の五点を特に、本労働委員会を初めとする与野党で議論をしていただくように、ぜひ御要請を申し上げたいと思います。  第一番目には、政府の目標でありますし、国際公約ともなっております年間労働時間千八百時間の達成並びに女子保護規定解消に伴う新たな措置を設ける観点から、時間外・休日及び深夜労働に対する男女共通規制が必要であるということを明らかにしてほしいことであります。  二つ目は、新たな時間外・休日労働及び深夜労働男女共通規制については、空白期間を置かないように、均等法改正施行日となっております九九年四月一日までにするように明らかにすべきではないかと思っております。この点については先食いをするということがないように、ぜひお願いをしたいと思います。  三点目でありますが、今回、育児介護休業法において措置されております深夜業の免除と同様に、労働者から請求があった場合には時間外・休日労働についても免除する措置を講じてもらいたいということであります。  四点目は、改正均等法公布施行前に、深夜業が禁止されていた女性労働者を深夜労働に新たに就業させる場合には、当該労働者の同意を必要とするなど、何らかの配慮措置が必要ではないかと思っております。  五点目は、女性労働者を新たに深夜業につかせる場合の、事業主が講ずべき必要最低限就業環境整備について明確にすべきであるということであります。  以上、提案を五点ほどさせていただきましたが、ぜひともこの点について御配慮いただき、御審議をいただきたいと思います。  ありがとうございます。(拍手
  6. 青山丘

    青山委員長 ありがとうございました。  次に、中島参考人お願いいたします。
  7. 中島通子

    中島参考人 弁護士中島です。  私は、この均等法が制定された十二年前あるいはそれ以前から、日本弁護士連合会女性権利委員会委員長さらに委員長として、長年にわたってこの法案立法に関して意見を述べてまいりました。その立場からが一つ。そしてもう一つは、現在、働く女性のための弁護団共同代表を務めております。このグループは、電話相談その他さまざまな形で、現実に働いている女性たちの生の声、悩み、その他、日々訴えを聞いて、その解決に当たっております。  この二つ立場、日弁連として立法過程にずっとかかわってきたという立場と、現実にたくさんの働いている女性たち、特に労働組合のない中小企業その他で働いて、かなりひどい労働条件、ひどい差別を受けている人たち立場を代弁する形で、本日は意見を述べさせていただきたいと思います。  まず、今回の法案に対する評価でございますが、大きく分けて均等法労基法女子保護廃止関係がございます。  均等法につきましては、私たちが求めてきたものからはまだ大きく隔たっております。例えば間接差別が明記されないということだとか、賃金についてはこれは労基法だということで全く触れられていない。あるいは、パートに対してどのような適用をするのかということについてはほとんど議論もされていない。そして救済機関が、若干の改善はありましたけれども実効性を期待するというにはほど遠いなどのさまざまな問題があります。  しかし私は、今回の均等法に関しては一歩前進であるというふうに考えております。今申し上げた問題あるいは残るさまざまな問題点につきましては、できれば修正あるいは指針その他の法的な措置によって実効性を確保できるように御審議の上、成立させていただきたいと思っております。  なお、後の御質問で均等法についても御質問いただければ補足させていただきたいというふうに思っております。  きょうは、時間の関係がございますので、労基法女子保護の問題を中心に意見を述べさせていただきます。  御承知のとおり、女子保護廃止に関しては多くの方々、特に現実に働いている女性方々から、大変不安である、心配である、このまま実行されたら女性は働き続けられないのではないか、パートになるしかないのではないか、こういう心配が寄せられております。私もその点については全く同様の心配をしております。  しかし、基本的な考え方として、私は、女子だけが保護されて男性が全く法的に保護されていない野放し状態であるという現在の法制が望ましいとは思っておりません。二十年前から、女性男性も健康でそして家庭職業調和できるような、そういう労働時間法制をつくってほしい、これをずっと私たちは求め続けてきました。それが当時、二十年前はなかなか現実的な課題にはならなかったわけですけれども、今回ようやくその方向に向けて、つまり女子のみ保護から男女共通保護へ、男女共通規制へという言葉で言われておりまして、私もその言葉に賛成なんです。こういうことが具体的な課題になって中央労働基準審議会審議されている、これは私は歴史の中で大きな前進であると考えております。  したがいまして、この点について、つまり女子のみ保護から男女共通保護へという世界の流れをぜひとも実現してほしい。  確かに、現在の国会審議されています法案に関しては、共通規制が含まれておりません。これは中央労働基準審議会で現在審議しているからということです。立法の手法としてといいますか、順序として、経緯としてそういう形になっているということのようです。しかし、立法機関というのは、皆さん方、先生方、この国会をおいてないわけですね。審議会に任せればいいということでは決してなくて、この法案を成立させるに当たっては男女共通規制というものが必要である、現在審議されているけれども、それは女子のみ保護をなくしても心配がないという状態にするということを前提としてこの法案を採択していただきたい。  つまり、私の立場は、労働基準法女子保護廃止に関しては条件づきで賛成。条件とは、男女共通規制をつくる、それで、その実施と女子保護廃止の実施が一致するということですね。これを条件として賛成したいと思っております。  そのためには具体的に、空白期間を置かないということが絶対的に必要であると考えます。この点に関しては、今、鷲尾連合事務局長がおっしゃいましたし、昨年の建議に対するコメントでもそのようにお述べになりました。  私は心からこれを実現していただきたいと強くお願いして、そして、これは、労働側だけではなくてこの委員会の皆さん方にもぜひこの立場審議していただきたいということを、もうこれは祈るような気持ちで私は参りました。  それで、このことに関しては、先ほども出ましたように、千八百時間というのは国際公約ですから、しかも、この目安時間を現在の三百六十時間からもっと短縮するということに関しては、九二年の段階で約束されていることですね。本当はことしの四月までに三百六十時間を短縮することになっていたわけです、これは中央労働基準審議会労働時間部会で。これが、約束が守られていないということについてもっと真剣に受けとめていただきたい。そして、この目安時間に対して法的根拠を持たせるということについても、労働時間部会で検討されていたわけですから、これをきちんとやっていただくように国会の皆さん方も強く要求して、あるいはみずからそれを実現していただきたいと思います。  それで、二番目に、男女共通規制ができるとしても、その内容とレベルがいかなるものであるかということが重要です。この点に関して、実態調査も行われないで女子保護の廃止が先行したということについては、私は大変遺憾である。労働省については、これは今からでも、実施前にきちんと調査をしていただきたい、これを強く要望しておきたいと思います。  そして、それではどのような基準であるべきか。これは、諸外国とILOの資料が委員の皆さん方にはお配りされていますので、これに沿ってぜひ実現していただきたいと思います。  それで、時間が大分迫ってきました。  あと、そのような一般の共通規制ができたとしても、家族責任のある労働者保護という点に関してはまだまだ不十分です。これについては、時間外労働、休日労働規制の問題とそれから深夜業の規制の問題、この二つがあります。育児介護休業法が深夜業についてだけ免除の規定がありますけれども、これも私どもから見ると、非常に不十分であると言わざるを得ません。この不十分な点については、後で御質問いただければ述べさせていただきたいと思います。育児介護休業法でも、家族責任のある労働者についての時間外・休日労働をぜひ制限していただきたいということです。  それから二番目に、残業命令をする場合に、したとしても、断れる場合の法的保障をしていただきたい。この点については、九日の委員会審議で、太田局長が、年内に、正当な理由がある拒否理由についてガイドラインのような基準を示すというお話がありまして、私は大変心強く思いました。  この点については、今までの判例を踏まえて、つまり、判例とそれから学説で、業務上の必要性が実質的に認められなければならないし、必要性が認められる場合であっても、労働者にそれを拒否する、行わなくてもやむを得ない正当な理由があれば拒否できるということが判例、学説でほぼ一致しておりますので、家族責任がある場合の多くは時間外・休日労働については拒否する正当な理由があると考えておりますので、それを労働省の年内にお出しになる基準の中に明記していただきたい。その上で、この法案について採択していただきたいと思います。  最後に、深夜業ですけれども、この深夜業については、育児介護休業法で制限を新設いたしました。このこと自体は非常に重要なことだと思いますけれども、しかし、権利の性格が形成権であるにもかかわらず、ただし書きで「事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。」と書いてあることによって、形成権としての性格が非常にあいまいになってしまっております。  年次有給休暇についての規定を使っているようですけれども、あれは時季変更権だけでして、深夜業の免除の規定を全然適用しないということになると、これは性格がまるっきり違いますので、ここの部分については一体どうなさるのか、どういう解釈なのか、これからの審議で詰めていただきたいと思います。  それから、昼間の労働への転換権がないということ、それから適用範囲が非常に狭いというようなことについても審議を十分に尽くしていただきたい。  そしてもう一つ労働条件の一方的不利益変更の問題として審議していただきたい。この点については、やはり九日の審議の中で、一定の場合には不利益変更になる場合があるという局長答弁でありました。これについては、最高裁の判例によって非常に具体的な基準が確立されております。変更の必要性と不利益の程度、内容、社会的相当性、こういうようなことが判例上確立しておりますので、これらについて、家族責任がある労働者の場合については原則として不利益変更がある。本人が望む場合は別ですよ。本人が望まない場合には、一方的不利益変更として許されないということを法的に担保していただきたい。  これらについては、後で補足説明させていただければ幸いです。どうもありがとうございました。(拍手
  8. 青山丘

    青山委員長 ありがとうございました。  次に、笹沼参考人お願いいたします。  なお、時間は、ちょっと今の方、五分以上オーバーしましたので、そのあたり、ひとつお願いします。
  9. 笹沼熈子

    笹沼参考人 私は、全国労働組合連合、略称全労連女性部長笹沼熈子と申します。  共働きをしながら二人の子を育ててまいりました。同じような多くの女性労働者の願いを代弁したいという思いで意見を述べさせていただきます。  私は、女子保護規定撤廃に反対でございます。女性が働き続けることを困難にし、男女平等どころか、実質的には均等法改悪に等しい結果を女性労働者にもたらすからです。財界と政府は、女性労働者をめぐる労働条件が向上して女子保護は必要なくなった、女子保護規定機会均等、職域拡大の障害になっているので撤廃が必要だと言っております。しかし、職場はそのような実態にはありません。  均等法後、女性の深夜労働が緩和されたアナウンサーは、連続三十時間の徹夜勤務や数カ月休みなしという勤務になって、生理不順や無月経など、二十代、三十代の前半で母性機能が既に破壊されるというような人が出ています。しかし、職域が広がってはいません。女性の正規社員の採用は十年間でたった三%しか増加せずに、多くの女性たちは契約社員で賃金や処遇の差別を受けているというのが実態です。出版界でも、ある女性誌の編集者たちは、残業が月平均で百九時間と言っています。薬漬けの生活をしながら働いている。それから、最近の医労連の調査でも、深夜労働が入る三交代制の看護婦は、三割以上が切迫流産の状態。そして、この深夜勤務をしている人たちの異常出産は、全労連の調査でも四割というふうになっております。  このように、深夜働く女性たちの体は既にぼろぼろですが、賃金や昇進差別も、雇用形態での差別も、むしろこの十年拡大しています。深夜労働や長時間労働をして、母性や健康破壊は進んだけれども雇用における差別はなくなっていない、これが現実の姿です。  アメリカ人学者のダグラス・ラミスさんが、なぜ日本人は死ぬほど働くのですかと言って話題になりましたが、過労死弁護団によると、年間約一万人が過労死をしていて、数十万人が過労死予備軍と言われています。  三六協定さえ結べば、断然男性の残業は青天井。そのため年間労働時間は、九四年の総務庁統計でも、サービス残業を加えますと二千二百二十七時間、政府の統計でこうなっております。ドイツやフランスより数百時間以上も長く働いています。ヨーロッパ諸国では、時間外労働や深夜労働規制が当たり前です。日本でも男性規制こそ必要なのに、女性規制まで取り払ってしまったら、日本社会は一体どうなるのでしょうか。  政府が目標としている年間千八百時間労働もまだ達成していない、男性の中では過労死がふえているという現状に加えて、女性も、事実上無制限の深夜労働、休日労働そして残業を強いられたら、それは過労死の平等になりかねません。私たちは、そのような平等は嫌です。これはすべての女性労働者の声であろうかと思います。  もしこの状態の中で女子保護規定撤廃されたら、使用者女性に深夜労働や長時間残業の業務命令が出せることになります。女性はそれを拒否できなくなります。拒否したら解雇される、解雇が不当かどうかの判断は最終的には裁判でという政府の答弁がこの労働委員会でありました。  政府は、女性が希望すれば深夜も働けるようにするのだとも答弁していますけれども、希望しなくとも強制されて、拒否できなくなるのですね。これでは家庭仕事の両立は無理です。どれだけの女性均等法適用の正規労働者として働き続けられるでしょうか。その結果、女性は仕方なく、パートや派遣労働者としてしか働くことができなくなるでしょう。結局、男性の半分から三分の一の賃金で女性男性並みに働く。これでは不平等は広がってしまいます。  読売五月七日付に、「歓迎一色の経営側」という記事がありました。保護規定撤廃は財界や経営者の要求であって、このような要求から労働者を守る、保護するのが法律ではないでしょうか。  保護規定撤廃は、また社会全体に深刻な影響を及ぼすということで心配されております。  今保育所で、シンデレラ・ベビー、夜中まで眠れない赤ちゃんが問題になっております。また学校現場でも、父母の深夜労働、長時間残業が子供への影響になって、学校での荒れの原因になっているというふうに言われております。東京の教職員組合がまとめた現場の教師の報告、これを労働委員の先生の皆さんにお配りさせていただきましたけれども、私は、自分の子育て時代のつらさと重なって、本当に胸が詰まる思いでいます。子供と御飯が食べられない。子供の話も聞いてあげられない。すれ違いで夫婦の会話もない。これでは家族のきずなが薄れて、家庭は崩壊状態になってしまうと思うのです。  今、働く女性の出生率〇・六。そのうち事務労働者は何と〇・四七。さらに少子化に拍車がかかるということになろうかと思います。労働省は、医者の知見で女子保護は必要ないと結論が出たとおっしゃいますけれども、多くの産婦人科医が反対の声を上げております。専門家の意見も分かれております。五十年続いた制度を変えるなら、時間をかけて調査を行って、納得できるデータを示すべきではないでしょうか。  また、婦少審で全会一致の建議といいますが、中間報告に対して国民から寄せられた意見、それは、女子保護撤廃男女ともの労働時間規制条件にせよというものでした。男女とも労働時間を青天井にすることなど認めていません。世界第二位の経済大国日本で、八時間労働の原則をめちゃめちゃに崩すような労働基準の改悪を行うことが許されてよいはずがありません。  今運動は大きく広がっております。私どもが呼びかける運動にどんどん入ってきております。  この点については、時間を厳守したいと思いますので、後で質問していただけるとありがたいと思うのですが、例えば女子保護撤廃に反対であるという二十四氏が呼びかけたアピールがありますけれども、この呼びかけ人には、秋山ちえ子さん、一番ケ瀬康子さん、内橋克人さん、櫛田ふきさん、黒柳徹子さんなど大勢の方たちが呼びかけ人になってくださいまして、現在五百八十八人の著名人が中央で賛同を寄せてくださって、このアピールに賛同する運動が全国に広がっております。  運動についてはもっと述べたいことがたくさんありますが、後に譲ります。  ことしは、憲法と労働基準法施行の五十年です。過労死を生むような劣悪な労働実態を改善して、人たるに値する労働条件の最低基準をこそ確立すべきなんだと思います。女子保護規定問題点は、そうした労働条件の改善を実現した上で、その上で議論されるべきだというふうに考えます。女性労働者を初め各界の方々が求めているのは女子保護撤廃ではないと思います。慎重に審議することと、女子保護撤廃は中止する、そのことを先生方にお願いいたしまして、発言を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  10. 青山丘

    青山委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 青山丘

    青山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑者は、質問の前に、御意見をお伺いする参考人の方を御指名願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  12. 荒井広幸

    ○荒井委員 おはようございます。  またきょうは、四人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。  御参考にさせていただくために質問をさせていただく次第でございますが、私は自由民主党の荒井と申します。  まず、荒川参考人鷲尾参考人にお聞かせをいただきたいと思います。今ほど、改めてそして新たにという気持ちでお聞かせをいただいておりましたけれども、前置きはさておきまして、今回の法案審議する場合に、今回という、過去を見て今回ではなくて、やはりこれからというものを見通していかなければならないというのは四人の方に共通しておったようでございます。特に、今後の社会経済情勢変化、こういったことを見通して男女共同の参画社会をつくっていくということ、これは当然のことでございまして、それを実現していくために国会仕事というものは非常に重くなりますし、そういう点からいくと、ビジョンというのが非常に大切になってくるのだろうと思います。  これからの女性の働き方、あるいは男女を問わず雇用労働あり方、これからどんなあるべきビジョンがあるのか。まず経営者の側から荒川参考人に、そして同じ視点で労働界のお立場から鷲尾参考人にお尋ねをしたいと思います。  それでは、荒川参考人からお願いいたします。
  13. 荒川春

    荒川参考人 これからの女性、並びに男女を問わず雇用労働あり方につきましてのビジョンの御質問だと思います。  経営側といたしましては、雇用におけるさまざまな変化というものを直視いたしまして、かつ働く側の大変大きな変化、多様な意識の発露、こういうものを受けまして、これまでの企業のさまざまな人事・労務管理あり方というものを大きく変化させていかなければならない。そのキーワードといたしましては、男女を問わず、あるいはさまざまな雇用の形態を問わず、まずもって個人を尊重する。そして、多様な意識、要求あるいは考え方などにつきまして、人事・労務管理としてさまざまな制度あるいは機会の提供をしていく。さらに基本となりますのは、あらゆる場面におきまして機会均等待遇の平等を確保していく。全体といたしまして雇用が流動化し、産業構造の変化対応しまして人の動きが活発になろうかと思います。  働く方も意欲能力を前面に押し出しまして企業のニーズにおこたえいただきたい、またそれに企業がこたえるべくさまざまな人事・労務管理あり方を広く多様なものに設定していきたい、こういうふうな考えを持っております。
  14. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 今回の均等法見直しについても述べられているところでありますけれども、基本的な理念としては、男女職業生活においても、あるいは家庭生活においても、あるいは地域においても、お互いを尊重し合い、そして生き生きとした人間らしい人生が送れるということが基本的な目標だと思います。  現実日本社会を見てまいりますと、職業生活、いわゆるワークスタイルにおいても、本当に女性能力を有効に活用しているというふうに思えない実態があるのはこれまでの御審議の中でも明らかにされているところでございます。その意味からいいますと、今回の均等法見直し、今後、将来とも、私は男女平等法に変わっていかなければいけない、このように考えているところでございますが、単にワークスタイルという意味合い、職業生活という意味での男女が平等であるということと同時に、いわゆるライフスタイル、家庭生活や地域生活、いわゆる自由時間においても、すべての時間において男女がお互いに尊敬し合い、尊重し合い、生き生きとした生活ができるような社会をつくるというのが究極的な目標だ、このように考えておるところでございます。  したがいまして、もちろん働くということは人生においても大変重要なポイントでございまして、私どもは、労働組合といえども労働時間が千八百時間から千六百時間になり、千五百時間になり、千時間になり百時間になるというようなことを想定しているわけではありません。人生において、自分たち能力を発揮し、能力を発揮することによって喜びを感じ得るという、職業仕事というものも大きな要素であると同時に、家庭生活における、あるいは地域活動、自由時間におけるいろいろな喜びというものを感ずるのが人生の究極の目標でございますが、こうした目標に対して、現在さまざまに、いわゆる法律的にもあるいは実質的にも障害となっております男女差別やあるいは物の考え方の違いというものをあらわにするような社会がなくなるようにしたいというのが私ども考え方でございます。  その意味からいいますと、私は、今回の均等法見直しを受ける職業生活上における男女の平等が実現することによって家庭生活や地域における男女の平等が実現する、このように考えておりまして、そうした理想の社会が早くできるように私どもも努力したい、このように考えているところでございます。
  15. 荒井広幸

    ○荒井委員 ありがとうございました。  これは一人一人にとっても、そして労使間にとりましても、お互いの努力目標ということでもございますけれども荒川参考人にお尋ねをさせていただきます。  今回の法案では、先ほどからお話しされているとおり、募集採用配置昇進における女性に対する差別禁止すること、女子保護規定解消、まあここに危惧の念あるいは附帯条項といいますか条件つきということのお話がありましたけれども、こうしたこと、そしてポジティブアクションセクシュアルハラスメントに関する規定の新設など、企業の人事・労務管理雇用管理に多大な影響を及ぼすというふうに思っております。  先ほどもお話しいただきましたけれども、ポイントは、まず経営側対応いかんによっては、それぞれお話がございましたけれども、今度の法改正の目標を達成できるかどうか、あるいは実効が確保できるかということは、まずは経営側に課せられている、このように私は考えております。  そこで、今回の法改正経営者側としてはどのように受けとめて、そしてこの改正への対応としてどのように取り組んでいくのか、その取り組みの気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  16. 荒川春

    荒川参考人 確かに、今回の男女雇用機会均等法改正の中身は、経営側にとって大変な問題を提起されたと正直のところ申し上げます。  企業の中には、たくさんのお考えを持ち、かつさまざまに対応しているところ、それが法律をして一定の基準を設定され、さらにはそれをもってしてさまざまな影響が出ることも企業経営の中ですべてのみ込まなければいけないということになりまして、個別の問題は控えさせていただきますが、全体といたしまして、今回の改正事項ということは、一つ一つが非常に重いものである。しかしながら、男女雇用機会均等推進するという基本理念につきましては、経営側であろうと何であろうとこれは変わらないものでございまして、その本旨に基づきまして臨むところは臨んでいこうという踏み出しをしたというふうに応援していただければと思っておるところでございます。  しかしながら、全体といたしまして、一般社会雇用におけるというわけではございませんで、男女均等という一人一人の気持ちと、企業が実施をするあるいは取り組む内容との間にギャップが出るという場合があるのではないかなと少し心配をしておるところであります。  例えば、家族の中で役割分担という意識がまだまだあるといったようなこと、これはそのまま企業経営、人事・労務管理あり方に反映してはならないわけでございますけれども、何かというと、やはりそこに働く従業員の方あるいは構成する経営者の方、管理者の方も含めまして、どうしても意識の中に入ってしまう。ここを企業としては、それはあってはならない、あるいは改善する、推進する、こういう立場に立たなければならない。大変その意味で難しい点があるという点が一点。  それから、経営が人事・労務管理責任を持って完遂する、完結をするということにつきましては、例えばお客様、顧客でございますね、そことのニーズにおきましてもギャップが出る場合に果たしてどうしたらいいか。  こもごもございますが、やはり今回の法改正によりまして、この改正の趣旨、目的というものは、何があっても理解をして目的を完遂させなければいけないという形で、経済団体も、これからこの法律ができ上がりました暁には責任を持って広報宣伝、理解を求める運動をしていかなければならないかと思います。  何しろこの法律経営者のための法律ということになっておりますので、そこは十分覚悟をしておるつもりでございます。
  17. 荒井広幸

    ○荒井委員 ありがとうございました。  最後にお話のございました経営者側の法律、こういうことでございまして、いわゆる事業主の講ずるべき措置といいますか、ポジティブアクションについて二、三、ちょっと時間が押してまいりましたので、お聞かせをいただきたいと思います。  そもそもこれからの企業経営、これは中島参考人にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、これからの企業経営を考えたときには、まさに多様化、それから国際化を含めまして大きな変革が社会経済環境に来ているわけでして、その中ではやはり女性を活用できないような企業ではもう私は成り立たないのだろうと思うのですね。そういう意味では、ポジティブアクションというのは世界的な流れでもありますけれども、今回の法律でこれは非常に大切なところでございます。このポジティブアクションについての意義をどのようにとらえておられるのか、そして、どんな取り組みが必要とお考えになっておられるか、長年、電話相談等を含めまして、女性のみならず男女均等に取り組んでこられたお立場から、中島参考人にお尋ねをさせていただきます。
  18. 中島通子

    中島参考人 御質問ありがとうございました。  おっしゃるとおり、これからの企業経営にとって女性を活用しなければ企業は発展しない、このことについてはこれまでの審議の中でも労働大臣も何回かおっしゃっていたことです。これをぜひお願いしたいと思っておりますが、ポジティブアクションに関しては、これは御承知かと思いますが、個々の差別禁止して、その差別訴えた人を救済するということがまずは絶対に必要なわけです。しかし、長年積み重ねられた差別について、それだけの措置で構造的になった差別をなくすことはできない。  そこで、世界的には、全体としての差別をなくしていくためには、現状を分析して、その差別をなくして、全体として女性の管理職をふやすとか職域を拡大していくとか、そういうようなことについてプランを立てて、それを実現するためには何が必要であるかということを具体的なプランの中に位置づける。そして、一定の期間、経過期間が過ぎて達成されたか否かを点検し、できなかった場合にはさらにそれをもう一度点検し直す、これがポジティブアクションと言われているものです。  それで、これなしには男女平等はあり得ないということが国際的にはもう当然の合意された原則になっておりまして、それについて今回均等法の中にようやく規定されることになったということは、私は大変評価しております。  ただし、これは事業主に対して義務づけているのではなくて、ポジティブアクションをやろうと思う企業に対しては労働省は援助するというところにとどまっているのが私どもとしては大変残念なところではありますけれども、しかし、もう既にガイドラインなどもおつくりになって、これをぜひ各企業においておやりくださいとおっしゃっているわけですから、これは、これからの国際社会の中で発展していこうということで公正な競争に基づいて発展を図っていらっしゃる、それを志向される企業はぜひこのポジティブアクションに取り組んでいただきたいと心からお願いしております。  以上です。
  19. 荒井広幸

    ○荒井委員 ありがとうございます。  今、ガイドラインというお話もございましたけれども、既に労働省では研究会でガイドラインを出しまして、予算も組みまして、九年度予算ですね、その中でトップセミナー、そして業種別使用者会議の開催などを含めまして、経営者団体や各種業界の団体の皆さんとの連携をしっかりと図って、ポジティブアクションの重要性や手法についての理解をこれからも我々進めていきたいというふうに考えております。  今のお話のとおり、国による援助を規定したものである反面、事業主の皆さんにはしっかり取り組んでいただきたいということでの規定でもあるわけでございます。  そういう意味におきまして、荒川参考人にお尋ねさせていただきますが、今、中島参考人のお話もございましたけれどもポジティブアクションの意義についてどのようにお考えになり、今後どう取り組んでいかれるのかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
  20. 荒川春

    荒川参考人 ポジティブアクションにつきましては、企業が法に基づきまして対応する以上に、女性能力発揮を促進し、その活用を図る積極的な施策と私ども理解しているところでございますが、法を超えましてさまざまに対応することにつきましては、やはり企業各社の状況、さまざまあると思います。あくまでも自主的に取り組む性質のものであろうと思います。  今回、労働省におきましてガイドラインが設定されました。このガイドラインも一つの重要な参考になりまして、企業はこのガイドラインをいろいろそしゃくしながら、独自に、また自社の問題別にこなしながら運用されていくものと思います。  私ども経営者団体といたしましても、このガイドラインの存在というものにつきまして十分関心を持ちまして、均等法全体のこれからの啓発の中でもこのガイドラインの存在というものを大いに流布していきたいと思っておるところでございます。
  21. 荒井広幸

    ○荒井委員 ありがとうございました。  同様の質問を鷲尾参考人にお尋ねしたいと思うのですが、時間の関係上、もう一点あわせましてお尋ねさせていただきたいと思うのです。  それは、言ってみれば、組合の皆様方の役員構成、この中で、女性の方の占める割合というのは、お聞きするところでは少し低いのではないか。というふうになりますと、今度いろいろ協議をしていく、話をしていくというようなことがポジティブアクションでは出てまいりますから、そんなときに、若干労働界の皆さんとしても役員構成という意味で対応をまたひとつしていただく面もあるのではないかと思っておりますけれども、この辺、いかがでございましょうか。
  22. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 済みません。  まず、ポジティブアクションの問題でございますが、女性能力を積極的に活用するという際に、私ども自身も、あるいはすべての国民が、あるいは事業主も当然でございますが、考えなければいけないのは、女性能力を活用するというのは、男性能力では不十分といいますか、足りないから女性能力を活用するというところにまだやや男女差別の意識が残っているような気がいたします。  あくまでも、男性が優先であって、その足りない分を女性能力で活用するということであれば、本当の意味のポジティブアクションということにはならない、このように考えているところでございまして、それぞれが、男女問わず、個々人が持っている能力を最大限に発揮する、その中で、現状を見た場合に、女性能力が有効に活用されていないのではないか、このような認識のもとに企業が強い政策をとるということがポジテイブアクションの本来の考え方ではないか、このように考えているところでございます。  そうした意味合いで、男女全く同じ能力と同じ資質を持っているということを前提にしてそのような政策をとられることが企業においても大変重要なのじゃないか、このように考えているところでございます。  第二番目の組合の御質問であります。組合の役員でございますが、これは私どもが参加しております国際自由労連の中でも、外国でも同じようなことがございまして、日本ほどではございませんけれども、それぞれ国際自由労連の女性委員会の中でも目標値をつくって、そしてその目標値に従ってその比率まで女性の役員をふやすようにという合意をしておるわけでありますが、なかなか毎年のレポートでもそれに到達しておりません。  私ども、現在の組合の役員の構成は五・二五%ということでございまして、本来であれば、先ほど申し上げましたように、女性労働者が四〇%を占めているわけでありますから、同じ比率であれば四〇%の役員がいなければいけないということでございます。しかしながら、そこまで一気にまいりませんので、私どももプログラムをつくって、段階的にこれを引き上げていきたい、このように考えているところでございます。
  23. 荒井広幸

    ○荒井委員 ありがとうございました。  これは荒川参考人にお尋ねをさせていただきたいのですが、先ほど十分ずつのお話の中でもございましたけれども、本当に私は、今回女性でございますが、女性男性自分意欲能力、これを職場でもあるいは家庭でも、そして地域でも、社会全体でその能力が十分に発揮できる、開かれたチャンスがある、そして自分も入っていけるという、そういう意欲に満ちた社会が非常に必要になってくると思うのですが、反面、やはり危惧するところもあるわけですね。それは、このように男女雇用機会均等化が進んで、今後さらに女性職場進出が進んでいくということになると、健康を確保しながら、地域ということも鷲尾参考人からありましたけれども職業生活家庭生活調和を図っていくということは本当にお互い大変な、これは、私も共働き家庭で育った、そして子守さんに預けていただいた経験を持っておりますが、私も親として非常にそういったことを悩んでおりますけれども、この点は非常に重要な調和だと思うのです。  その点、時間外と休日、まだ不十分だという御指摘もありましたけれども、私が高く評価しておるのは、この育児介護休業法改正の中に、先ほどお話があったように深夜業の制限を規定したわけですね。これはなかなか世界にも似た例はないのです。そういった意味で、非常にこれは配慮している、しかもそれは日本的だなというふうに私は思っておりまして、いい制度だというふうに考えているのです。  しかし、こういう新しい制度と労働時間の短縮、こういったことをあわせてバランスのよい職業生活、そして家庭生活を送れるように願わくば、もちろんそういった中で地域とのバランスもまた出てきて、人生の喜びがともに感じられるわけでございますけれども荒川参考人に、経営側として、バランスのよい職業生活家庭生活を働く皆さんが送れるようにすることについて、ますますの重要性があると思いますが、この点についてどうお考えになっているか、お尋ねをさせていただきます。
  24. 荒川春

    荒川参考人 荒井先生から御指摘あるいは御意見ともとれる御主張がございましたが、まさしく経営側といたしましてもおっしゃるとおりの認識を持ち、かつ条件整備をしていかなければならぬのではないかなと思うわけでございます。  労働時間短縮につきましては、基本的には生産性の成果を配分する方法の一つとして時間短縮というのが選択されておるわけでございます。これは、全体の経営が発展する中でそれが可能になるというものであります。  さらに、その配分の仕方におきまして、今先生の御指摘のありました家庭生活職業生活調和、あるいは地域生活とのかかわり合いをいま一層深めていこうというのは、これは経営活動をしていく中で従業員がそのような気持ちでもって取り組むということは、経営にとって大変有益なものになるわけでございます。  原資は経営の生産性、労使がつくりました生産性の成果というものをうまく使い分ける、どういうように配分するかということにつきましては、経営側労働組合側あるいは労働者個人と一緒になって考えていく課題ではないかと思います。  先生の御指摘、ありがとうございました。
  25. 荒井広幸

    ○荒井委員 御意見を大切にさせていただきながら、今回のみならず今後に向けましても、その空白というお話もありました。そういったことも含めまして今後に生かさせていただきたいと思います。  本日は、まことにありがとうございました。
  26. 青山丘

    青山委員長 これにて荒井広幸君の質疑は終了いたしました。  次に、桝屋敬悟君。
  27. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 四人の参考人の皆さん、本日は本当に御苦労さまでございます。貴重な御意見をありがとうございます。  早速でございますが、新進党、二人質問をさせていただ巻たいと思います。  最初に、鷲尾事務局長参考人にお伺いをしたいのでありますが、今回、この委員会でもいろいろな議論がありました。先ほどの参考人意見陳述を伺いまして理解もできたわけでありますが、先ほどの陳述の中で、婦人少年問題審議会を舞台に労働側と使用者代表の間でぎりぎりの議論がなされた、そしてまさにぎりぎりの、なおかつ一定の結論を見た、こういう理解をさせていただきました。  この委員会でも、ややもすると連合内部には反対の意見もあるというような声も出るわけでありますが、私は、まさに先ほどの事務局長の、ぎりぎりの部分でという、この理解が正しいのだろうというふうに理解をいたしております。逆に、そういう意味では、鷲尾事務局長鷲尾参考人がおっしゃった改正案の補強についての要請というのは、それはまた逆に大変に切実な声なんだろうということを理解するわけでございます。  さらに内容をお聞きしたいのでありますが、特に重要な労働時間法制等につきまして、突っ込んだ意見もあろうかと思いますので、重ねてお伺いをしたいと思います。
  28. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 ただいま私ども議論の経過についても御指摘がございました。確かに、女子保護規定撤廃については、既に確保できている既得権益という意味合いもございまして、こうしたものがかえって今回の均等法改正によって退歩するのではないか、こういう懸念があるわけでございます。  それに対しまして、私どもは、婦人少年審議会やあるいは中基審、中央労働基準審議会議論において、ぜひとも男女共通の時間外規制というものを、空白期間の間に十分議論ができるわけでありますから、これを国民合意のもとで議論をしていただき、こうした連合内部にもたくさんございます懸念というものをぜひ払拭していただきたい、このように考えているところでございます。  母性保護改正部分を除いて、施行日が一九九九年四月一日になっているわけであります。これはもちろん、この九九年まで猶予があるのは、企業側の体制整備という条件もあってこのような施行期日になったというふうに理解をしておるわけでありますが、私どもは、この二年間の期間というものが改正法の周知徹底という意味合いだけではなく、その間に条件整備をし、議論のあります労働時間法制改正というものをぜひとも実現しなければいけない、このように考えているところでございまして、こうした御審議をぜひ今回の均等法議論の中でも事前にしていただければ大変ありがたいと思います。  この問題については中央労働基準審議会審議事項でありますけれども、私は、中基審、もちろん審議会議論というのを尊重していただくというのは大変重要でございますけれども国会の中でもこの点について真摯に御議論いただき、どのような問題点があり、どのような方向性を見出したらこの二年間でその条件整備ができるかということについて十分御議論いただきたい、このように思うわけであります。  その意味で、均等法施行男女共通規制の間で空白を設けることがないようにぜひともよろしくお願いしたい、このように思うわけであります。
  29. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  これは今回の委員会でも終始一貫議論されているところでございまして、さらに本日のこの参考人の御意見を承りまして、この委員会でさらに審議を進めてまいりたい、こんなふうに思っている次第であります。  それで、先ほど鷲尾参考人がおっしゃった補強の中で、何点かお話がありましたけれども、特にその中で、今まで女子保護規定の中で働いてこられた方々にとりまして、今回の改正というのは確かに大きな変化、五十年ぶりという話もありましたけれども、大変に大きな変化であろうと思います。  そこで、先ほど言われた新たに深夜業につかせる場合の事業主の講ずべき、必要最低限とおっしゃったけれども就業環境整備について、しっかりやってもらいたい、こういう話がありました。事業主の講ずべき最低限の就業環境整備というのは具体的にどういうことを言われるのか、さらに詳しく御主張いただきたいと思います。
  30. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 とりわけ深夜業の問題が大きく問題になると思います。  この深夜業の問題、女子労働者にとって、深夜業を行うということになりますと、これは当然のことながら、子供の保育というようなことが大きく問題になると思っています。婦人少年問題審議会でもいろいろな審議がされまして、こうした問題についての議論がなされていると思いますが、まず何よりも大切なのは、働く女性が子育てができる環境条件整備するということであります。そして、これは単に企業側だけに要請するというわけにはまいりませんけれども企業においてもそうした条件整備をすることができるのではないか、このように考えているところでございます。  例えば現在の保育園の状況などを考えてみますと、保育園に入れる条件が数の上では全うされておっても、職場家庭との距離等々を考えますと、そうしたものが十分でないというようなことがございますので、そうした問題については、企業あるいは働く方の労働組合、そして地域、市町村、国の行政を含めて、そうしたものについて整備するという条件が必要なのではないか、このように考えているところでございます。  とりわけこの深夜業の問題については、育児との関係というものに私どもは着目していかなければいけない、このように考えておりますし、これは、これからの日本の大きな課題であります少子化というものについてどう対応するかということにも関係があるだろうと思いますし、冒頭にも申し上げましたように、いわばワークスタイルとライフスタイルを調和させるための環境条件整備というものにはまだまだ不十分な部分があるのではないか、そういうふうに考えておるところでございます。
  31. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  一番問題なのは育児との関連という御指摘でございました。確かにそこが私も一番大事な点だろうと思っております。  あわせて、今は経営側に全部というわけにはいかないが、こうおっしゃったのだけれども経営者団体連盟の荒川参考人に今度はその部分をお伺いしたいのであります。  実はこの委員会でも議論しておりますが、現在の我が国にとりまして一番大きな課題は、現在、厚生委員会でもいろいろ、医療保険の改革や介護議論しておりますけれども、やはり少子化という問題は極めて大きな社会問題だろうと思います。ただ、これはなかなか議論がしにくいという観点もありまして、私ども大変苦しんでおるわけであります。  荒川参考人にお伺いします。  今回の改正によりまして、ますます少子化現象というのが進むのではないかということを私は大変懸念もしているわけでありますが、経営者団体としてはどのようにお考えになっているのか、認識をお伺いしたいと思います。
  32. 荒川春

    荒川参考人 今回の法改正によりまして少子化がますます進行するのではないかという御懸念でございます。  私ども、全体といたしましてこの少子化の傾向を懸念することは先生と全く同じでございますが、女子保護規定解消をする中でそれが加速するかということにつきましては、なかなか判断がつきにくいというところが実態でございます。  しかしながら、経営者団体といたしまして、この少子化問題というのは、皆様と全く同じレベルで一生懸命考えなければいけない課題ということははっきりしてございまして、私ども日本経営者団体連盟といたしましても、政府審議会委員、いろいろな委員連合で集まりまして、この問題に対応しようという形で取り組みをしているぐらいまでになっております。  全体のこの少子化対策ということに多角的に取り組まなければならなしというので、今私、全体像と、それから個別の、これだという経営側としての策をお示しできない、残念ではありますが、いずれにしましても、皆さんといろいろ御協議をさせていただきながら、経営側としてのあるべき、あるいは経営側から皆さんに発信するというようなことを今後していきたいということでお答えにさせていただきたいと思います。
  33. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  今回の均等法が少子化現象にどういう影響を与えるか、それはなかなか難しい議論だということでございます。しかし、いずれにしても、何も経営者側だけに、使用者側だけにその努力を求めるわけではなくして、社会環境整備ということを格段に進めていかなければいかぬのは確かでありますが、しかし、実際に現在の育児休業の状況を見ても、勤務時間短縮等の具体的な措置については、その実態というのはなかなか厳しい、特に中小に行くほど厳しい実態もあるわけでありますから、この均等法がもし成立になれば、私は、格段の取り組みが必要なのではないか。これはもう使用者側だけにお願いするわけではない、全体としてということだろうと思います。  最後に一点だけ荒川参考人に、データがあれば御教示いただきたいのですが、今回のこの改正によりまして、女性の深夜業、経営者がみんな待っておられるという記事もあったりしまして余計恐ろしいわけでありますが、どれぐらい新たな深夜業に参画される方が出てくるか、就業される方が出てくるか、もしデータがあればお示しいただきたい。なければ結構でございます。
  34. 荒川春

    荒川参考人 日経連で集めた資料は今のところございませんが、ほかの経済団体では今さまざまにデータを集めております。  私、その中間的なまとめを見させていただきましたらば、特に中小企業の関連で見てみますと、今回の基準法の女子保護規定解消に伴い、深夜労働を待っていましたといったようなコール、手を挙げるところは意に反して非常に少なく、むしろ深夜労働というものにつきまして、期待する以上になかなかなり手がいない、やっていただけないというのが現状であるといったような御指摘のところが多いということでございます。  これは、どういう取り扱いになるかは、私どもの団体のものではありませんのでちょっと何とも申し上げられませんが、一応団体ベースでもって調べた、傾向は間違いないところでございます。
  35. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  ただ、これは本当に予測がつかないところもあるわけでありますが、先ほどの参考人の方からも、実態の把握あるいは今後の展望という、そのデータはやはり労働省としても努力してもらわなければならぬだろう、こんなふうに私は思っているわけで、その点はさらに審議の中で私どもも取り組んでまいりたい、こんなふうに思っております。  以上で私は終わりまして、次へ譲りたいと思います。
  36. 青山丘

    青山委員長 これにて桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田治君。
  37. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それぞれ参考人の皆さん、本当にお忙しい中おいでいただき貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。  今度の法改正において、やはり女子保護規定解消というのは非常に大きな論点になるというのは御承知のとおりなんですけれども、その保護すべき女子職場、今参考人の御意見を聞いていましたら、認識が随分違うのかなと。日経連の荒川さんのお話は、どちらかというと、四年制の大学を出て、ある意味で俗に言うキャリアウーマン的な方が働きたいけれども働けないという、それ以外の参考人の皆さん方の御意見は、いやいや、そういう方もいらっしゃるけれども、例えば製造現場だとかさまざまな現場において大変厳しく働いている方もいらっしゃるのだよというふうな、非常に認識の違いというのですか、そういうのがそれぞれまた審議会の中での発言等々にもあったのかなという感じもいたしております。  私、まず最初に荒川参考人に、女子保護規定解消に伴い、深夜、時間外・休日労働男女共通規制が必要という声が随分高く言われておりますけれども、これについて参考人としてどう考えていられるのか、まずお答えをちょうだいしたいと思います。
  38. 荒川春

    荒川参考人 私ども日経連におきましても、傘下の経済団体、これを経由いたしましてさまざまに意見聴取をしたところでございます。  これは内部の資料でございますのでつまびらかにすることはできかねますが、そこには各企業女性の声がたくさん寄せられてきたところでございまして、その傾向を見る限りは、ホワイトカラーの方あるいはブルーカラーの方というのでしょうか、現業、非現業を問わず求められる方はたくさんいらっしゃったということ、あるいは労働省の調査におきましても、女子保護撤廃につきまして求めておられるデータが随分多くなってきているという実態が出ております。  詳しくは労働省のデータで見ていただきたいところでございますが、いろいろな御意見があることは確かでございます。大勢として、女子保護解消につきまして望んでいらっしゃる方が多いという傾向はあり、私どももそれを受けまして主張をしているということでございます。
  39. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いや、申しわけございません。もう一点、女子保護規定撤廃した後の男女共通規制を制定するという、共通規制の必要性を叫ばれていますけれども、私、それについての御意見を賜りたいのです。そちらの方がメーンなんですけれども、よろしくお願いいたします。
  40. 荒川春

    荒川参考人 時間外・休日労働あるいは深夜労働扱いにつきましては、これは経営側と働く方たち労働組合あるいは従業員代表とのお話し合いによって決める事項でありまして、あくまでも関係労使の判断にゆだねるべき内容のことでございます。  新たな法規制ということについては、私どもは反対をしているところでございます。労使がその事業上のいろいろな状況を判断しまして時間外の上限を設定し、それを守りながら進めるというのがこれまでの我が国の時間外・休日労働、深夜労働あり方であったわけでありますし、さらに新たな規制ということは日本経営のフレキシビリティーを失うことにもなります。さらには時間外労働、休日労働の一定の部分につきましては雇用を維持するという機能を持ち合わせているわけでございまして、それまでも経営側として失いたくない、こういう観点から新たな法規制については私どもは反対をしているところでございます。
  41. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでは、もう一歩踏み込んで聞きます。  中基審の場においても、今申された御意見使用者団体の意見として、これからもずっと、極端なことを言えば、そういう共通規制議論が出てきても議論対象としないという形で臨まれるということでございましょうか。
  42. 荒川春

    荒川参考人 中央労働基準審議会におきましては三者構成審議会という機能がございますので、議論は尽くすということはいたします。しかしながら、私どもの主張も一貫してこれは通していきたいというのが今現在の私の気持ちであります。
  43. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そういう中で、鷲尾事務局長鷲尾参考人使用者側はそういうふうな意見でこれからずっと臨んでくるということですけれども、これについて参考人のお考えと、それから、今、荒川参考人議論を尽くすということですが、深夜労働また時間外・休日労働男女共通規制、多分答えは必要性を言われると思うのですけれども、どういうふうな規制が必要なのか。その辺の具体的な御意見を賜れればと思います。
  44. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 ただいま荒川参考人が一貫して言われたことについては、常に審議会の場あるいは労使交渉の場で対立している部分でございますから、私ども承知をしているところでございます。今回の均等法改正の問題について経営側が積極的な意味を持っていただいているということであれば、私は、男女が共通してある一定の条件のもとで働くということができ上がらなければいけないと思います。  先ほどの御質問にもお答えをいたしましたように、この問題は単に労働生活ということではなく、社会生活全般にかかわる問題でありますから、そうした条件整備をすることがぜひ必要だ、このように考えているところでございます。  また、常に経営側労使が自主的にというふうにおっしゃられるわけでありますが、これもほかの参考人からも御指摘がございましたように、残念ながら現在の日本における労働組合の組織率は二四%弱でございます。組織拡大に努力しないでそんなことを言うなという御指摘もあるかもわかりませんけれども、私どもも努力をしているところでございますが、その現実を踏まえますと、大部分企業、とりわけ中小企業には労働組合がないわけでございまして、そうしたところに自主的な労使交渉にゆだねるということを言っても絵にかいたもちになるわけでありまして、社会的な規制というものはぜひ必要だ、このように考えているところでございます。  したがいまして、現在の目安時間、三百六十時間ということでございますが、この上限時間を、連合としては方針は持っておりますけれども、これは審議会議論の中で、段階的でも結構でございますし、私どもとしては、理想としては百五十時間程度をめどにしたい、このように考えているところでございます。  こうした男女共通規制をつくる、そのことによっていわば男性家庭に戻る。あるいは、先ほど地域活動のことについて申し上げたわけでありますけれども、現在の状況を見ますと、非常に雑駁な見方でございますけれども、地域活動の方はどちらかというと女性が担っているというような実情にございまして、こうしたものに男子が参加するということも重要でございます。  その意味では、時間外労働やあるいは休日労働、深夜労働の共通の規制をつくることによって、広くこうした男女がともに参画できる社会がつくり上げられるということが理想ではないか、このように考えているところでございます。
  45. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今、時間外・休日労働社会規制の中で、時間外労働の上限設定ということで申されましたけれども、割り増し率のアップというふうなことについてはどういうふうにお考えになられていますでしょうか。
  46. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 この問題についても、先生御承知のとおり、諸外国に比べて日本の割り増し率の水準というのは非常に低いわけでございます。これをペナルティー的なものだというふうに考えるかどうかということについては、労働観だとか失業というものに対しての認識が随分諸外国と違いますので一律には論じられない、このように考えているところであります。しかしながら、現在、時間外労働が野放しになる危険性がある条件一つに、割り増し率の低さというものがあるのではないかというふうに思っております。  私どもも毎年の春季生活闘争でも要求をしているわけでありますが、これは企業のコスト負担というような問題との兼ね合いからなかなか要求が実現しない問題でございまして、これは今後とも取り組んでまいりたいと思いますし、ぜひとも経営側にその努力も願いたい。私は、トータルコストという意味合いからいいますと、いわば時間外労働というものをできるだけ少なくするということ自体が必ずしも経営側にとってマイナスである、このように考えておりません。そうした総合的な労働条件の問題として取り上げていただきたい、このように考えているところでございます。
  47. 吉田治

    ○吉田(治)委員 経済の本を読んでおりまして、日本が第一次石油ショックが終わって過剰流動性の中で経済が立ち直ってきた中で、当時の鉄鋼労連の委員長である宮田義二さんが随分産業構造の転換において積極的な役割を果たした。私は、労使対立ではなく、労使協調、その中において、今話題になっているこの女子保護規定というのはまさに対立の一つの軸になっていると思うのですけれども、これは賛成、反対一辺倒ではなく、できるだけいい解決策というものを計らっていただきたい。  その中で、鷲尾参考人は鉄鋼出身でいらっしゃいます。鉄鋼というのはやはり深夜業というふうな形になってまいりますけれども、深夜業の規制について、交代制勤務等における深夜労働の回数、拘束時間の制限、それから深夜労働の勤務間隔等、いろいろ規制の状況はありますけれども、この辺のことについて、具体的にどのような規制が今後男女共通規制として必要なのか、御意見を賜れればと思います。
  48. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 深夜業が必然的にやむを得ない産業というのはあるわけであります。またもう一つに、社会的なニーズからいって、新しいニーズで深夜業を要請されるというようなこともあるわけでございます。  その意味からいいますと、まず第一番目の産業の実態から深夜業を余儀なくされている産業というものと、それから社会的なニーズの中でそうしたものが要請されるものと二つあると思うのですが、二番目の部分については、社会システム変化というものと兼ね合わせて、野放しにするということが必ずしもいいかどうか。これは労働条件の問題ではなくて社会のシステムとしてどうかということでございます。  例えば現在、流通業においても二十四時間営業というものは常識になっているわけでありますが、これを野放しに二十四時間すべてやっていいかどうかということについても一考の必要があるのではないか、このように考えております。  それから、第一番目の産業特性としてやむを得ない部分についても、できるだけ技術革新の進展のもとでそうした部分を少なくするという努力はこれまでもしておりますし、そうした努力は経営側にもぜひお願いしたい、こういうふうに思います。こうした社会的な最低限の規定が、努力を推進することにうまく回転するということが重要なのではないか、このように考えておるところでございます。
  49. 吉田治

    ○吉田(治)委員 先日の国会審議で、時間外・休日労働及び深夜業が禁止されていた女性労働者が不利益をこうむることを防止する観点から、例えば時間外労使協定を、年間について女性百五十時間、男性三百時間と労使協定した場合は労働基準法に違反するのかという質問がありましたけれども、これについて今までの質問に関連して、鷲尾参考人、どういうふうにお考えになられますでしょうか。
  50. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 この問題は、一般論としては最低基準を上回る労使協定が優先するということになるだろう、こういうふうに思います。しかしながら、今回の場合には、女性均等機会待遇の確保を定める法律でありますから、これの邪魔になるということになりますと、これはぎりぎり考えますと、この均等法に違反するということになるのではないかと思います。  男女別の協定が法違反でなく、協定をした場合には、この女性労働者均等法における配置昇進、昇格等の禁止規定に違反するというふうに仮に訴えられた場合には、この差別的な取り扱いが合理性を持つというふうに判断されかねませんので、この点では大変微妙な問題ではございますけれども法律論からいいますとこれは違反になる、このように考えております。
  51. 吉田治

    ○吉田(治)委員 将来的には男女雇用平等法を制定するということが必要であると考えられておりますけれども、この件について、荒川参考人鷲尾参考人、申しわけございません、時間の都合上手短に、どういうふうにお考えなのか、御意見を賜りたいと思います。
  52. 荒川春

    荒川参考人 男女平等法の方向性につきましてでございますが、将来的にはどういうふうになるか、私もわかりません。  今回、現行法改正したこの視点というのは、我が国女性の置かれている状況、こういうものをトータルで判断して、やはり女性を視点に置いたさまざまな機会均等待遇の平等を図ることが非常に現実的であろうとしうふうに判断したところでございます。  将来的な平等法につきましては、私は現行の状況を見ながらまた判断していくべきものではないかなと思います。
  53. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 私どもは、今回の均等法改正男女平等法に向けてというふうに位置づけておりまして、本来であれば、今回、男女平等法という形で制定をしていただきたかったわけであります。しかしながら、さまざまな条件からステップ・バイ・ステップということであると考えておりますので、その意味では今回の均等法男女平等法に向けて一歩前進であるというふうに評価をしているところでございます。  したがいまして、その意味からいいますと、空白期間の間にはぜひ男女共通労働時間等に関する規制というものをお願いをしたい、このように考えております。
  54. 吉田治

    ○吉田(治)委員 荒川参考人の御意見はまさに、反対ではないけれども明言を避けたなという感じで受けとめさせていただきたい、将来に含みを残したという感じでとらえさせていただきたいと思います。  もう時間が来ましたので、最後鷲尾参考人中島参考人。  女子保護規定解消男女共通規制というのは同時に実施することが必要であると私は考えております。これについて、イエス・オア・ノーという聞き方は非常に失礼ですけれども、それぞれの御意見を本当に手短に、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
  55. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 私はこの点については何度もお答えさせていただきましたとおり、ぜひとも、吉田先生のおっしゃるように、イエスということで進めていただきたいと思います。
  56. 中島通子

    中島参考人 私ももちろんイエスでございます。それで、ほんの一言、追加させていただきます。  先ほど荒川参考人から、労働省の調査によっても女子保護を廃止すべきであるという女性の声が多いというお話がありましたけれども、これは昨年十二月に発表された調査だと思います。しかし、これは正しくないと思います。一番多かったのは、家庭責任男女がともに担うべきであるから女子のみの保護解消して男女ともに規制すべきであるという意見が一番多かったのです。ですから、ちょっと先ほどの御発言については意見を述べさせていただきました。  それで、ここにいらっしゃる皆さん、荒川参考人も含めて、女性が長時間、深夜も働き、子供も産めないし家庭も崩壊するような、そういう状態、そういう社会を望んでいらっしゃらないと思うのですね。そうであるならば、女子保護のみが廃止されて共通規制がないというような状態については絶対に避けていただきたい、心からお願いしたいと思います。
  57. 吉田治

    ○吉田(治)委員 貴重な御意見ありがとうございました。  本当に、先ほどの同僚議員の御意見にありましたように、社会を変える法律でございます。私どもは、昭和六十年に大学を出まして、この男女雇用機会均等法によって総合職、一般職というふうに、女性は本当に荒波に乗った世代でございますので、よりよいものをつくるように頑張りたいと思います。  以上で、質問を終わらせていただきます。
  58. 青山丘

    青山委員長 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  次に、近藤昭一君。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  59. 近藤昭一

    ○近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。  本日は、参考人の皆さん、本当にお忙しい中、私ども委員会にお越しいただきまして貴重な御意見をいただきましたことを、まずもってお礼を申し上げます。  実は私も、先回の総選挙で当選させていただきました一年生でございます。現在の均等法施行されましたとき、私もサラリーマンをしておりました。  当時のことを思い出しますと、私の同期入社の女性がおりました。新しい法律施行されるに当たりまして、私の所属しておりました会社の入社の応募規定というのも実は変わったわけでございます。それに合わせて、私の同期の女性が会社を受け直しました。一たん会社をやめて、同じ会社の入社試験をまた受け直した。見事合格して入社するわけですけれども。私はそのとき本当に、そういった法律をつくること、これがまさしく人の人生を左右するような大きな役割を果たすのだなということを実感したことを思い出すわけであります。  また、私の妻は実は外資系の会社に勤めておりました。外資系の会社でありますので、どうしても本社がある国の法律に影響を受ける割合が多くなるわけでありますけれども、そのことにかんがみまして、その会社の規定等を見ますと、やはり本社が日本にある会社よりも、女性というか雇用均等に関する規定につきましては随分と進んでいるなという感じを持ったことを思い出すわけであります。  ただ、今申し上げた、そういった法律をつくっていくことが非常に大きな役割を果たすとともに、私の同期で会社を受け直した女性が、それではその後順調に男子と同じような条件で働いていたかというと、残念ながらまだまだそうでないところがあるわけでございまして、実際に決められたこと、またそれが運用されていくに当たってはいろいろな障害があるなと。いわゆる社会の障害、会社の持つ障害、さまざまな障害があるなというのが実感であります。  そういった意味で、今回、均等法施行されて十一年目に当たるときに、私自身がそういった法律改正に携わることができることを喜びとしながらも、こうしてやっておりますと、なかなかたくさん問題があるなというのが実感であります。  そういった意味で、中島参考人にちょっとお伺いしたいわけでありますけれども現行雇用機会均等法が成立するときにも、中島参考人女性権利委員会委員長で積極的に携わってみえたということ、またその後も、電話相談等において働く女性差別是正に取り組んでこられたというふうにお聞きしております。  そうしますと、そういった立場からこの十一年間を振り返って、まず、現行法のプラスの面はどういったものがあったのか。また、マイナスの面はどんなところで起きているのか。そして今回の改正については、いろいろと求めていらっしゃるものとの大きな隔たりはあるけれども、それなりの前進があったと先ほどおっしゃられたと思うのですが、それぞれの点について御意見をいただきたいと思います。
  60. 中島通子

    中島参考人 お答えさせていただきます。  この十数年間のことを考えると、大変いろいろな思いが浮かんでくるのですけれども、時間の関係で本当に短くお話しさせていただきます。  均等法ができたときに、私たちが求めていたものに比べると本当に不十分な法律で、私どもとしては大変がっかりいたしました。しかし、この十年間を振り返ってみて、効果が全くなかったとはもちろん思っておりません。何よりも啓発的効果があったということははっきり認めなければならないと思います。  そして、今、近藤先生のお話がございましたように、一部の職種、職場に関しては、これまで閉ざされていた門戸が開かれて、女性が進出を果たしているということも確かでございます。それは大きく評価していきたいと思います。しかしながら、全体を見ると、これは必ずしも男女差別がなくなっていない、雇用における平等は実現していないと言わざるを得ません。  それの最も重要なメルクマールは賃金です。賃金格差はいろいろな統計のとり方がありますけれども、全体の平均賃金で比較しますと、この間といいますか、そのもっと前の一九七五年当時、七八年当時から比べると、現在の男女の賃金格差は縮小していないわけですね。依然として世界で、特に欧米諸国に比して最も大きな賃金の男女格差のある国であるということで、国際的な批判の的になっているということは御存じのとおりだと思います。  その理由としてどういうことがあるかというと、均等法の欠陥といいますか、肝心のところが努力義務である。そして実効性の担保がない。そしてもう一つ、片面性の問題ですね。女子のみに適用される法律、こういう問題がありました。これらについては今回一部改正されるということで、これは私はよかったと思っております。ただし、片面性といいますか、男女雇用平等法ではない、女子だけに適用される法律であるという限界については、これは大変残念に思っております。  ただし、この問題については、今までの委員会議論を聞いておりますと、正しくとらえた上での議論が行われていないと思います。つまり、男女雇用平等法がなぜ必要かというと、男と女を分けるという状態をなくさなければ差別がなくならない、こういう問題であるわけですけれども、これが女子についてどうするこうするだけであるために、この片面性が解消されない。そして、それが女性差別を固定するという問題なんですね、これは世界の常識なんですが。残念ながら、この委員会議論はそこの議論が行われていないと思います。しかし、これは今後残された課題であると思います。  もう一つの問題としては、この十年間パートが非常にふえた。それから、コース別雇用という形で新たな差別が拡大しているということで、これは間接差別と言われるものですが、これについては、残念ながら今回法律の中に明記されないということで、大変残念に思っております。  しかし、この間接差別については国際的にも、非常に日本に対する批判、そして、間接差別に対して措置をとるべきであるということが勧告されているわけですから、これは均等法に明記されなくても、労働省としてはきちんと行政指導をおやりになる。あるいは裁判の中では、この問題は違法とされるに違いありません。この点を踏まえて、次の提案ではなくて、今回も、違法な間接差別についての是正を審議の中で法的に確認していっていただきたいと思います。  そのほかに、セクシュアルハラスメントが入ったということ、ポジティブアクションが曲がりなりにも入ったということについては評価したいと思います。  そして、もう一つ重要な女子保護廃止のことなんですけれども、正直に言いまして、ようやくこれは、男女共通規制によって、女子のみ保護が実質的には解消される時代に来たのだなという感慨があります。しかし一方、本当に男女共通規制が行われなかったらどうするのか。経営者団体が反対するということをおっしゃっているので、これはどうなるのか、大変不安です。しかし、このことについては、きょうの委員会の皆さん方も、共通規制ということについてはほぼ多数の方々が強く賛成していらっしゃるようにお見受けしますので、このことを明確に確認した上で、今回の法案について審議をしていただきたいと思います。
  61. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございます。  今、中島参考人の御意見をお聞かせいただく中で、非常に、まだまだ実態を把握していない中で、確かに進歩はあったけれども、この十一年間の反省、また、今の状況の実態調査がまだ足りないのではないかというような御心配をしていらっしゃるというふうに感じました。多分それがまさしく、弁護士で前線にいらっしゃる中で感じられたことだと思います。  今も少し触れられたわけでありますけれども、今回の法改正で非常にいろいろな方が心配をしていらっしゃること、多分、もう既に中島参考人のところにもいろいろな声が寄せられているのだと思います。その中で、今回女子保護規定撤廃される、そのことに対して事実上何も規制がない、男性労働者と同じ時間外あるいは深夜業にほうり込まれるのではないか、残業や深夜業を拒否すると仕事をやめさせられるのではないか、パートあるいは派遣社員という立場に追いやられてしまうのではないかという危惧が出ていると聞いておりますが、そういった不安を解消する、不安というか、そういったことを避けるためにどういったことが必要か。中島参考人が思っていらっしゃることをお聞かせいただきたいと思います。
  62. 中島通子

    中島参考人 御質問ありがとうございました。  ちょっと今のことに関連してですけれども男女共通規制が必要であるということですが、実は、もう既に五百万人の女性たちが深夜業をしております。看護婦さんを中心として、サービス業、飲食店その他で深夜業をし、一たん深夜業を解禁された女性たちについては何の規制もないわけですね。それで、最近医労連の調査結果が発表されましたけれども、妊産婦だけではなくて、妊娠以前の過剰な労働、深夜業、長時間労働の結果、母性機能さえ破壊されるという事態が起きていることは事実でございます。  それで、男女共通規制と言いましたけれども、この中にはっきり、既に深夜業が解禁されている、さらに、時間外労働の制限がもう解禁されている五百万人にわたる女性労働者を含めて、男女共通規制、すべての労働者に対する共通規制をぜひともこの際つくっていただきたい、このことをお願いいたしたいと思います。  さて、先ほどちょっと十分に触れる時間がなかった、今後、時間外、深夜業が解禁されることによって受ける不利益、具体的にはパートにならざるを得ないというような、そういう不利益をどうやって防いでいくかということについて、先ほど判例を含めて幾つか申し上げましたが、一つは、まず育児休業法です。これは、一歳未満の子供を育てている労働者については時間外労働をさせないということが四つの選択肢のうちの一つにすぎないということ、しかも、一歳以上就学までについては努力義務にすぎないわけです。ですから、これでは極めて不十分であって、家族責任を有する労働者に関しては、働き続けられないという事態が起こってまいります。  そこで、もう一つの法的な担保として、残業命令を断れる場合の法的保障というものがどうしても必要であると考えます。  本来、時間外労働はあくまでも例外的、臨時的なもので、本人の個別的な同意が必要であるということは多くの学説が認めているところですけれども、判例では、一定の要件があれば時間外・休日労働義務が発生するということになっております。しかし、この判例を踏まえた学説でも、業務上の必要性が実質的に認められなければならない。つまり、恒常的残業をやらなければいけないというようなことは、これは業務上の必要というふうに認めることはできないと思います。  そして、労働者に時間外・休日労働を行わないやむを得ない理由、正当な理由があれば拒否できるということですけれども、これは、家族責任がある多くの労働者の場合には、正当な理由、拒否理由になるというふうに考えます。例えば、就学児がいる場合でも、これは、つまり小学校に入れば、お母さんが、あるいはお父さんも含めて、残業して家に帰らなくてもいいということはあり得ないわけですから、この点については正当な拒否理由にすべきであると考えます。  それから次に、深夜業なんですけれども、これは、育児介護休業法規定が非常に不十分であるわけで、先ほどは、形成権との関係でただし書きが非常に疑問があるというふうにお話しいたしましたが、そのほかに、昼間の労働への転換権の明記がないということ、それで、もし転換しない場合に休業補償があるのかどうなのか。全く収入がなくなってしまうということであれば、これは意味がなくなるわけですから、これについてどうするのかという問題。  それから、適用範囲なんですけれども雇用の継続が一年未満である場合には適用除外になっておりますけれども、これは極めて問題であると思います。例えば、パートの人に期限をつけて時々間をあけるというようなことによってこれらをすべて適用させないというようなことも十分あり得ますので、ここら辺も問題である。それから、小学校の就学後であっても深夜業の免除が必要になる場合があると思います。  それから、労働条件の一方的不利益変更という点からいっても、家族責任がある労働者に関しては、深夜業を望まない者について一方的不利益変更で深夜業を強制したり、それに従わないからといって解雇するということは、これは絶対に避けなければならないと思います。  先ほどの、変更の必要性、不利益の程度、内容、社会的相当性という点からいうと、家族責任を有する労働者の場合には、女性の方が安上がりだからというのは、これは必要性と認めることはできない。相当性と認めることもできない。あくまでも、女性の地位の向上のために必要であって、女性がそれを望んでいるという場合でなければならない。そして、不利益の程度については、家族責任がある労働者については、これはさまざまな具体例について検討する必要があると思いますけれども、基本的には社会的相当性がないということを明確にしていただきたいと思います。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 近藤昭一

    ○近藤委員 ありがとうございました。  冒頭でも私申し上げましたように、社会を変えていく中で、法律規制していくところが非常に必要だと思います。ただ、そういう法律的な規制があってもまだまだ前進しない部分がある。そういった意味で、今回の法改正には今いろいろ御意見をいただいたものを反映させていく、そういう必要があることをますます実感しております。  時間も余りなくなってまいりましたので、最後に、鷲尾参考人に御質問させていただきたいと思います。  今回の法改正は、多くの女性並びに男性のみならず、海外でも大変に注目をしているわけでございます。そこで、労働者の権利を守り、社会的に公正な労働条件を確立していく、その先頭で闘っている連合の役割は大変に大きなものがあると思います。  そういった中で、先ほどおっしゃられた男女共通規制、まだこんな規制が、こんなところが必要じゃないかということがあればお聞かせいただきたいということと、もう一つ、こういった法律をつくり、また、それが実際に社会実現されていくことはなかなか難しいとは思います。しかしながら、そんな中で我々は全力でもって取り組んでいかなくてはなりませんが、そこにおける連合の役割は大変大きなものがあると私は思っているわけであります。  そういった意味で、この問題に対する連合としての取り組みの御決意もお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  64. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 私どもに対する先ほどからの諸先生方の御質問の中でも私は答えさせていただいたわけでありますが、まず、男女共通の時間外規制というものについく私ども連合の方針としては、現在の三百六十時間という上限をおおよそ目安とし、そして百五十時間程度を上限とするというようなことで、当面、この二年の間に御審議をいただき、そうした方向で時間外規制が進めば、千八百時間という目標に向けても相当程度前進するだろう、こういうふうに思っております。  それから、二番目には、特に深夜労働に対する問題点議論されているところでございまして、深夜労働に対する連合規制方法でございますが、男女労働者が健康で仕事ができ、なおかつ深夜労働を若干したとしても、家庭生活配慮が十分行き届くというようなものでなければいけない、こういうふうに考えているところでございます。  規制については、総量規制をする、そして三週間を通じて四十時間以内、二番目に回数でございますが、四週間を通じて八回程度に制限する、深夜を含む拘束時間は十時間以内とし、勤務間隔については十二時間以上をとるというような具体的な方針を私ども議論しております。これは、あくまでも連合の内部の議論でございますので、こうした方針を前提にいたしまして、さまざまな諸条件を勘案して議論に参画していきたい、このように考えているところでございます。  第二番目には、やや面映ゆい気持ちがあるわけでありますが、連合の役割について私どもも自覚をしておりますし、社会的な大きな影響力を持たなければいけない、このように考えているところでございます。  とりわけこの男女共通規制の問題について、既に今回の均等法部分でも議論がなされ、そして空白期間をなくすようにという社会的な要請というものが強くあるわけでございます。そうした社会的な要請にこたえるために、審議会等の議論を通じての具体的な規制というものが実現するようにこの審議を通じてぜひともよろしくお願いしたい、こういうふうに思うわけであります。また、これが社会的に見ても今後とも日本社会規定づける大きな条件整備になる、このような自覚のもとで取り組みを強化していきたい、このように考えております。  その意味で、職場段階における議論というものは大変重要だというふうに思っておりますのでへ職場の中における男女議論もこれを機会に沸騰させるということが大事でありますし、とりわけ男性の意識改革というのも重要なのではないか、それについても連合としても役割を果たしていきたいな、このように考えている、こう申し上げたい。  ありがとうございました。
  65. 近藤昭一

    ○近藤委員 どうもありがとうございました。  質問の時間が来ましたので終了させていただきますが、皆さんの御意見を法の改正にしっかりと生かしていきたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 青山丘

    青山委員長 これにて近藤昭一君の質疑は終了いたしました。  次に、松本惟子君。
  67. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 松本でございます。本日は御苦労さまです。  私の持ち時間、十分でございますので質問をさせていただきますが、実は、御報告いろいろございましたように、今働く女性が大変心配をしておりますのは、時間外労働と深夜労働の問題でございます。生活二十四時間を単位にして男性女性あり方を比べてみますと、職場はさることながら、家庭生活における女性の負担というのは依然として大きい。これは、国会審議の中でも男性は七分ということが出ておりました。そういった中で、男女同一の規制にしていくということでございます。  私は、御報告にもございましたように、関係法の施行とそれから労働時間の関係において、仮に努力をした結果、空白ができるというふうなことであるならば、均等法施行期日を見合わせても仕方がないのではないかというくらいの気持ちでこの審議に臨んでおりますっこの間、国会審議におきまして、総理や大臣や関係者の方々の御答弁を伺うておりますと、公労使が一致をしてまとめて出してきた答申であるから、今後の審議にゆだねたいというふうなことで、私は立法府としての機能を一生懸命果たそうということで頑張っておりますけれども、なかなか重たいものがございます。したがって、残された審議の中で国会審議前進させていくためにひとつお伺いをさせていただきます。  まず、荒川参考人に伺います。  荒川参考人は、先ほどのお話の中で、長年の懸案であった女子保護規定解消実現をした、これはやはり働く場での、建築に例えれば土台であるというふうなことをおっしゃられました。私、同様に、均等法労働時間関係について言えば、労働時間は女性男女均等に働いていく土台であるというふうに考えています。建物の土台と考えていますが、ちょっと方向が違うように思いますので、質問をさせていただきます。  実は、時間外労働というのは、既に長い間、千八百時間に向けて国際公約を果たすために国を挙げて努力をしているところであります。ところが、時間外は、男性青天井、これに対して現在あるのは大臣告示で三百六十という目安であります。これを実施するには三六協定というもので動かしていっているわけですけれども、まず強制力がないですね、規制力がありません。告示というものは要するに行政指導の目安になっています。それからもう一つ実効性が上がらないというのは未組織労働者が圧倒的に多いということ、この二つの側面からでございます。  今回これを外して、中央労働基準審議会の中で議論を促進していくということになっているようでございますけれども、中基審の中にはたくさんの課題、裁量労働を初め課題がございます。私、拝見しましたところ、この労働時間は一番終わりの方に書いてありまして、時間外・休日労働あり方などについて今後議論をしていくというふうになっていると思いますが、ここで、どのような内容で、どのようなプログラムで、そしてどのような方法で、方法と申しましたのは、実効性がなかなか上がらない、例えば守らなかったところに対するペナルティーも全くない緩やかなものでございます−これまで百五十時間という規制を持って働いていた女性が、今度はどんと、仮に外されたらそこへ入っていくわけですから、ここのいわゆる建物の土台というのは大変重要でございますので、その件について、内容とプログラムと方法についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。
  68. 荒川春

    荒川参考人 三六協定につきまして危惧の念をお持ちであるというふうに私は受けとめたのでございますが、確かに目安三百六十時間ということを設定し、そして個々の労使が、従業員代表あるいは組合代表と経営者が三十六条協定を結ぶわけでございまして、その結んだ数値につきましては、これはそれを超えた場合には法違反という形で問われるわけでございます。罰則つきの法違反でございまして、決して青天井あるいは野方図のものというふうには理解はできません。  三六協定労働基準法の制定以来この方式をずっととってまいりまして、さまざまに議論はされておりますが、その方法につきましては大変な普及をし、そして、そこにおきます時間外労働の制限、労使において決めた規制というものをへ労使みずから決め込むというそのルールはもはや確立しているわけでございます。その中で時間外労働は、その企業の状況、経営の状況、その時々におきましてフレキシブルに対応する、それが雇用を守るという形で機能してきたものでございまして、これは大切にしなければならないということだと思います。今回の女子保護規定解消に伴いまして、その機能はいささかも変わらないというふうに思います。  番外でございますが、先ほど労働省の数値につきまして私が申し上げまして、数値そのものは申し上げませんでしたが、私がその参考にしようと思ったものは、労働省の男女雇用機会均等法に係る女子労働者調査、平成七年版でございます。「時間外、休日労働の制限の必要性の有無及びその理由別女性労働者の割合」というのが出ておりまして、「不必要だと思う」というのが六七・〇%という数字が出ております。中身も、理由につきましてもそれぞれ設定はされていますが、傾向としては六七・〇%の方が不必要だという思いを持ち合わせていることは大切にしなければいけないことと思っております。
  69. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 私の質問がよくなかったと思いますので、もう一度荒川参考人に伺わせていただきたいと思います。  中央労働基準審議会で今後同一の枠組みについて議論をされていくことと思いますけれども使用者の方としては、この時間外労働を同一の枠組みということできちんと論議の俎上にのせていただけるのであろうかということが一点でございます。  それから二点目は、今ある大臣告示では弱過ぎるというふうに思いますので、これについて水準を含めて、例えば、三百六十でなくもう少し短くしていくという方向で、方向性ですね、中基審のこれからの議論になろうかと思いますが、そういう方向で千八百時間に接近していく考えがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  70. 荒川春

    荒川参考人 中央労働基準審議会は三者構成でございます。そこにおきまして、お互いに決められた課題、あるいはその課題を詰める過程におきまして合意したことにつきましては、これは十分意を尽くして議論をすべきものだと思いまして、使用者側もそれは明確にしていきたいと思っております。  しかしながら、そこにおける内容につきましては、私ども、今回の男女共通規制につきましては、これは労使が自主的に三六協定をベースにして決め込むものであって、新たな法規制というのには反対するという立場は現在のところ貫くつもりでございます。  千八百時間への問題につきましては、労働時間はお国が確かに目標は定めました。しかしながら、労働時間の時間数をどのように設定するかというのは、企業労使の中で決め込む話でございます。千八百時間は確かに目標でございます。目標に向かってさまざまに企業努力はすると思いますが、あくまでも、企業の中における生産性の成果配分の中でそれを実現していくものであろうかと思います。
  71. 松本惟子

    ○松本(惟)委員 時間が参りましたので、私これで終わらせていただきたいと思いますが、男女家庭仕事の両立を保ちつつ平等に働いていける条件整備のために、特に使用者の誠意を期待したいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
  72. 青山丘

    青山委員長 これにて松本惟子君の質疑は終了いたしました。  次に、金子満広君。
  73. 金子満広

    ○金子(満)委員 参考人の皆さん、御苦労さんです。私は、日本共産党の金子と申します。  参考人の方に早速質問をさせていただきますが、まず最初に、笹沼参考人の御意見を伺いたいと思うのです。  女子保護規定撤廃という問題をめぐっては確かに賛否両論があります。しかし、そこで注目すべきことは、この国会の外では反対の声が日増しに大きく広がってきている。保護規定撤廃、もろ手を挙げて賛成などというのはとても人の前では言えないという空気が確かにあると思うのですね。  こういうように全国的に広がってきている女子保護規定撤廃という問題、考えてみれば、労働基準法の制定以来五十年間最低基準として決められていたものがなくなるわけです。最低基準というのは、人たるに値する生活というのがあるわけですから、これがなくなると人たるに値しないという、人権の無視と民主主義の否定と、そして健康、家庭の破壊ということも確かにもう指摘されているとおりだと思いますが、今どういう状況で広がっているか、参考人の御意見を伺いたいと思います。
  74. 笹沼熈子

    笹沼参考人 今、私どもが呼びかけて女子保護撤廃に反対する連絡会というのができておりますけれども、ここに参加している人たちというのは、中央だけじゃなくて全国にできております、これは。今できていないのが二つの県だけで、四十五都道府県にできております。その中では、参加しているのは労働組合だけではなくて、もちろん女性労働者だけじゃなくて男性も、そして女性団体、法曹団体、業者団体、そういったところも参加しておりますし、学生の組織、主婦と、広範な層の中に広がっております。この連絡会には、労働組合の上部団体の系統の違いを超えて参加をしてきております。例えば自治体では、女性のこの問題に反対する共同の決議が、自治体に働く女性の会ということで、これも、上部団体の違いを超えて女性部長が名前を連ねて意見を出しているというような状態にあります。  その中で四月十八日に私どもが集会を行いましたけれども、ここには全国、全県から代表が参加しておりますし、労働組合だけでなくて、今申し上げたような各中央組織八十組織、そして全県参加しまして、百三十の団体が参加をいたしました。政党としても二つの政党が連帯あいさつに来てくださいました。  このように広がっておりますし、全国で街頭宣伝などを行っておりますけれども、ここには四十名から百名ぐらいが押しかけて、かわるがわるマイクを持って訴えるというような状況になっております。  ですから、国民の中には、女子保護撤廃されたらあしたの生活が心配だ、女性はこのままでは働き続けられない、家庭はどうなってしまうのか、夫の過労死が心配だ、息子の生活はどうなるのか、これが共通の声として女性だけでなく男性の中にも広がってきているというふうに思っております。
  75. 金子満広

    ○金子(満)委員 きょうお配りされた資料があります。「教職員は、訴えます「女子保護規定がなくなれば、子ども達の生活はめちゃくちゃです!」という、東京都内の小中学校の教師からのものがあります。四十人近くの方がここに意見を述べております。確かに、賛成という人も広い世間ですからあるのですけれども、これは毎日働いている女教師なんですね。そして、毎日子供さんと接している人が真実を語ったものだと私は思うのです。こういうようなことは多くの職場でたくさんあると思うのです。  ですから、今参考人の方から言われましたように、議論すればするほど、そして実態がわかればわかるほど、このままで、今の現状女子保護が廃止されたらどんな結果になるかという点では、みんな先の見えない状況の中にあると思うのですね。私は、そういう意味で、保護規定をなくすこと反対というのは、女性労働者のみならず、男性を含め国民全体の正当な立場だと思うのです。  そういう点で、今こういう問題で、法曹界、日弁連や東京、大阪、千葉の弁護士会が反対の声明を出したということは決して軽い意味ではないと思うのです。こういう点の指摘について反対運動でも生かされていると思うのですが、どうでしょう。
  76. 笹沼熈子

    笹沼参考人 日弁連の意見書では、男女ともに規制のない中で女子保護撤廃には反対であるというふうに言われております。これは、やはり働く人たちの、労働者の人権を擁護するという立場での意見書だろうというふうに思います。国会の先生方のところにもその意見書が届けられていると思いますけれども、本当に、私たち運動している者にとっては心強い意見書であったというふうに思っています。  これがどんなふうに職場の声になっているかということをちょっと触れてみたいと思うのですけれども、今、私ども全労連が調査した中で、女性たちはいつも疲れているというのが六四%もありますし、健康に不安が六八%、そして、過労死の心配を三五%の人がしているというような状態にあります。そして、女性の家事労働というのは、日本では男性の九倍というふうに今までの参考人の方も述べられましたけれども家庭的な負担というのは、望ましい方向はともかく、現実問題としては主に女性が担っているという状況にあります。  そして残業、長時間通勤、もうぎりぎりの生活をしている、その実態については、二十四時間型の労働をしているところの二十四時間シンポの報告も先生方にお配りさせていただきましたけれども、こういう状況の中で女性たちは、これ以上残業が延びる、これ以上深夜まで働かなければならないということは、もう働けるか働けないかのぎりぎりだという思いなんだろうというふうに思います。  きのう、私のところに、静岡県のある職場から激励のファクスが届きました。ちょっと紹介させていただきますと、私たちの声を代弁して先生方に伝えてほしい、このまま撤廃が通ったら過労死はもっとふえてしまうのではないかとある女性は言っております。それから、保護規定撤廃されたら、これからの労働者全体、男女ともの働き方はどうなっていくのか、子供の時代、孫の時代が心配だという声も寄せられております。そして、子育てに一区切りがついたと思ったら今度は両親の介護だ、家庭に入るにしてもやはり三人もいる子供の教育費があって、パートでも何でも出なければならない、結局そういうことになる。子育てや介護も共働きの夫婦にとっては大変重くて、役割分担をして頑張っているけれどもつらい。週に何回かの家族そろっての夕食のひととき、この至福のときもこれから奪われてしまうのかと思うというような切実なメッセージが寄せられました。  職場の実態、労働者の暮らしの実態というのは、ぎりぎりの生活で働き続けられるかだめになるかというところにあるからこそ、私たちの呼びかけに対して署名や何かが広がっていると思いますし、未組織の労働者からも、それから上部団体の違いを超えて、私たちの呼びかけた署名をどんどん送り返してくれるというようなことも続いております。  ある県では、私たちが集会をやるところに上部団体の違う労働組合の方が連帯あいさつに見えるというようなことがあります。これは新潟なんですけれども、そこで上部団体が違うところの労働組合がつくっている署名用紙というのを見ましたが、要求は全く私たちと同じです。女子保護撤廃はやめてほしい、中止してほしいという要求での署名がさまざまな労働組合の中に、独自につくったり私たちの用紙を使ったりということで広がっている。これは国民の声と言えるのではないかということを思います。  先ほどから伺っていて、三者構成の中基審で、財界の方はあくまで反対と言っておられるならば、男女ともの規制の見通しというのは、きょうの審議の中では、全然確約ではないのではないか。そうしたら、当然空白は生じてしまうということのもたらす国民への被害ということに対して、その不安に対して運動が広がっているのだというふうに思っております。
  77. 金子満広

    ○金子(満)委員 そこで、今度は賛成派の荒川参考人の方にお伺いしたいと思います。  荒川さんは最初の御発言の中で、女子保護規定撤廃ということは日経連としては早くから求めていたことだと言われました。私は、それですっと思い出したのは、去年の八月五日の読売新聞に、あなたがインタビューに応じた記事が出ています。その中で、こういう質問が出されました。「女性が深夜労働を行うとなると、仮眠室の整備や給与体系の見直しなど、企業のコストアップにつながります。」という質問に対して、あなたは、「企業にとっては、今後は女性の有効活用が一段と必要になってきますから、コストアップにつながってもそれに余りあるメリットがあると思います。」非常に正直におっしゃっていると思うのです。そうでなければ求めていないわけですから。  さて、そういう中で、メリットという中には女性の低賃金ということとか、あるいは当然のことでありますが、時間外、深夜の割り増しも低いということもあるのです。極端に言えば、男女を入れかえることによって、おっしゃられるように確かにメリットが生まれてくる。そうした場合に、では男性はどうするのかという問題が一つ起こります。これが一つの、御意見を伺いたい内容です。  もう一つは、女子保護規定撤廃された場合、日経連としては今後どういう業種、どういう職種に女子が進出してくるか、どういうところで採用が広がってくるか。こういう点が二点です。  それから、先ほどお話の中にありましたけれども女子保護撤廃を望むか望まないかという世論調査の問題がありました。それに触れられて、女子保護の廃止反対は三〇%で賛成が六〇%だというような意味のことを言われましたけれども労働省の平成七年の調査で、女子保護規定撤廃するのに賛成か反対かという中で、女子保護規定撤廃に賛成という中には、男女共通規制を入れればという問題があるので手放しに賛成ということではないので、この点だけは事実関係ですから、別に質問ではありません。前の二つの点についてお答えいただきたいと思うのです。
  78. 荒川春

    荒川参考人 企業従業員を雇うということにつきましては、これは一方的にできるわけではございませんで、やはり望む方と望まれない方、労働条件の高低等によりまして、市場で決まる話でございます。市場原理で、深夜労働について望まれるか望まれないかということになるわけでございます。メリットと申し上げましたのは、これまでは男性だけであった、女性もそこに参画できる、そういう意味で市場がやはり広がるということを正直に申し上げたものでございます。ただし、その選択につきまして、女性だけが全部そこに追いやられるなどという傾向というものは、私どもは考えられませんし、考えておりません。  どういう業種がふえるだろうかという御質問でございますが、今のところ私どもは余り把握してございません。全体としてこれも新しいいろいろな労働条件の提示がされて、それによって皆さんがどういうふうに動くか。男性女性を問わず、その条件にみんなどのように賛同するかということいかんにかかってくると思います。  男性はどうなのかと申しましても、これは男女共通にあるわけでございますので、その限りにおいては男性女性との競争関係は全く一緒になるという形でございます。どういうふうに労働市場の中で皆さんが選択し、企業がそれの条件で一致するかということいかんにかかってくるのではないかと思います。
  79. 金子満広

    ○金子(満)委員 この法律が本会議にかかったのは六日です。七日のこれもまた読売新聞ですけれども、その中であなたの談話が出ているわけであります。全体の見出しは、「歓迎一色の経営側」という形で出ています。その中で、「残業や深夜業の解禁で女性雇用しやすくなり、採用は確実に増えるはず」と日経連の荒川さんが述べている、こういうふうになっておるわけです。  自動車産業などはもう待ち望んでいるのだと思うのです。二十四時間稼働、そしてその生産ラインの中に女性を組み込んでくるというのはもう前から言われている点で、私たちはそういう点を、何らの規制なしに今女子保護規定を廃止すると、時間外、つまり残業も深夜も青天井のまま同じになる。ですから過酷な労働での均等になってしまう、全体のレベルがダウンしてしまうわけですね。こういう点は、多くの労働組合その他も指摘されているとおりです。  そこで、私は鷲尾参考人に伺いたいのですけれども、先ほどいろいろお話は伺いました。そういう中で、なるほどという点もありますけれども幾つかの大事な点について触れさせていただきたいと思うのです。  女子保護撤廃ということ、これが今のままで撤廃されてしまったらどうなるか、この懸念についてはお話しになりました。しかし、そういう中で、懸念はあるのだけれども、この懸念をそのままにしてやったら、よく言われる使用者側の食い逃げになってしまうのですよ。この食い逃げの問題は、連合でも指摘をされている場合があるわけですね。そうしますと、それは後でやります、中基審でやってもらえればいいです、まだ少し間がありますと。間があっても、やるという保証は経営者側も労働省側も確約はないのです。そうすると、随分人のいい話だなと。一歩前進だというお言葉もありましたけれども。  そこで、これは連合の機関誌ですよね、この機関誌に出ていることなんだけれども、これは去年の九月号です。この中で、この女子保護問題についてのシンポジウムをやっておりまして、連合の総合労働局長さんは次のように言っているのですね。   私たちの決意としては、女性家庭職場を両立できる前提条件は、男子の働きすぎを解決すること。そうでないと女性は安心して職場仕事ができないと考えている。基本的に、これができなければ次なんですね、  男女平等法の見直しは凍結する覚悟でやらなければ、本当に食い逃げされると思う。私は、これは図星だと思うのです。確かにこうなるのですね。  そういう中で、これは去年の十一月二十八日ですけれども、その二日前に公益委員会の案が出されたのです。婦少審の建議はその後ですから、そのときに、非常に大事な指摘が、ゼンセン同盟からあなたのところの芦田会長にあてられた意見で出ている。これは当時新聞にも報道されましたし、多くのところで紹介されているのですが、今はゼンセン同盟が五十八万といいましたか、大きな組織体なんですね。そこで出されていることは何と言っているか。それは、結論のところで言いますと、   労働基準法における女子保護規定解消と、男女共通の新たな法的規制の実施が同時であることが前提であり、それが遵守されないことは絶対に容認できない。 条件つきじゃだめだということですね。   連合に、当初の確認通り、このことを死守することを要求する。 「死守することを要求する。」というのは、命にかえても守ってくれという意味です。そうしますと、死守していたら、今の状態ではこの規定がないのです。そして、保護規定の廃止だけがひとり歩きになっているのです。だから、座談会でもあなたの組合の幹部が言っているように、食い逃げされる寸前なんですね。  そうしますと、今提案されているこの法案に、ゼンセン同盟の立場も、それから皆さん連合の担当者の立場も、賛成できないということになると思うのですが、その点、どうなんですか。
  80. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 今、金子先生御指摘のとおり、連合の内部にもたくさんの意見がございます。  私どもは、昨年の六月に開きました中央委員会という機関でこの方針をまず第一に決めました。その上で、今、金子先生御指摘のような、秋から暮れにかけての婦少審の審議に合わせて、それぞれ機開会議でいろいろな議論をいたしました。今、一部の連合の内部にある意見が先生から御紹介されましたが、私は、そうした議論があった上で私どもとしてのこの均等法に対する考え方をまとめたというのは、我が連合が民主的な議論の手続を踏まえた上で議論したという証拠ではないか、このように考えているところでございます。  したがいまして、問題が幾つかあることは承知でございます。確かに、今諸先生方の質問に対して私も答えました。食い逃げをされる懸念があるというのは先生御指摘のとおりでございまして、私どもも、その事実について否定をしているわけではありません。しかしながら、せっかくの機会ですから、それでは、もし、金子先生御指摘のように、そういうふうにおっしゃっていただけるのでありましたら、食い逃げをされないように、この国会審議の中で、男女共通規制をつくるようにぜひ御決定をいただければありがたい、このように考えているところでございます。  と申しますのは、さまざまな問題がございますけれども、一方では、この均等法についても、全面的にすべて私どもの希望どおりの内容ではありませんけれども、段階的に見ますと、前進した部分が多々ございます。本日の議論では、保護規定撤廃というところだけで、撤廃される、いわば、保護撤廃という言葉だけ並べますと、いかにもすべてが退歩しているように聞こえますが、ほかの諸規定については多くの前進がある。こうした前進があるような内容のものを、婦少審が審議をされ、そしてさまざまな意見を取り入れられてまとめられた、労働省側が積極的にそれを推進されたということについては私ども評価をしたい、こういうふうに考えているところでございまして、ぜひとも、この点については私どもの懸念がないように、この労働委員会でも御決定をいただければ大変ありがたい、こういうふうに思います。
  81. 金子満広

    ○金子(満)委員 きょうは討議の場ではありませんから、やりとりということではなくて、今確かに、現状のままではいろいろ疑問がある、矛盾があるということは、鷲尾さん自身の言葉で出ました。問題は、その矛盾と、そしてこの疑問が一番大事な問題なんです。これをそのままにしておくと、もう同じホームにいたとしても、一つ駅を行ったら、こんなに違ってしまうわけですよ。次に行ったら、もう取り返しがつかないところまで行くと思うのですね。  私は、何にもないところでこれを議論しているのではなくて、今度の法改正がなくとも、基準法による女子保護規定は現存しているわけです。しかも、五十年続いてもってきたのだから、女性労働者がどんどん比率も高まってきている、それはそのとおりだと。これは保護規定廃止の中でやっているのじゃないのです。保護規定のもとで職域が拡大してきたのだから、こういう点を大事にしていくことが、私たちは非常に大きい問題だと思うのです。  次に、今度は笹沼さんに戻るわけですけれども、これは、単にこの問題が女性だけの問題でなくて男性、国民的な大きな問題だ。あすだけの問題ではなくて、将来にかかわる問題だ。ですから、よくスイスの例が出ます。これは皆さんの方でも検討されているかもしれませんけれども、スイスでは、去年三月に女子保護規定撤廃するという法案が出ました。国会では、確かに八十九対八十で可決しているのですね。しかし、十二月にこれを国民投票にかけました。これは、もうスポーツ団体から宗教団体から労働団体から大きな運動になりまして、十二月の国民投票の結果は、六七%が撤廃に反対なんです。これだけの内容を持った重大問題だと思うのですね。  同じ労働組合の中で、鷲尾さんは国会でもその点よく審議してくれと言うけれども、十六日はもう採決で、終わります、こうなってしまうわけですよ。だから、そうなったら大変なことだから、私どもは慎重に審議することを求めていますけれども、そういう点を考えて、スイスの例もありますので、ぜひ笹沼さんの方でも、今広がっている運動をさらに広げる条件はあると思いますが、その点どう考えますか。
  82. 笹沼熈子

    笹沼参考人 私は、やはり女性労働者の五十年続いた既得権の問題ですから、女性労働者の実態を見ていただきたいということと、それから意見を聞いていただきたいというふうに思っております。きょう、こういうふうに意見を述べる機会を与えていただきまして、大変うれしいのですけれども、全国の女性たちがそのように思っているというふうに思いますし、労働者だけじゃなくて専業主婦の方も含めて、日本男性女性も二十一世紀に向けての働き方、日本社会生活、家庭生活あり方がかかっているから急速に反対の世論が広がっているというふうに思っております。  ですから、中央でも地方でも公聴会を開いていただきたいというふうに思っておりますし、労働省は各県に婦少室があります。私は婦少室の体制というのはもっともっと強化すべきだというふうに思っておりますけれども、こういうときには労働省は中央から出向いて、そして各県の婦少室と一緒になって、だれでも意見を述べたい人は来てくれというようなことをしたらいいのじゃないかというふうに思うのです。  直接、国民の声を聞いてほしい。今、行政改革ということが言われておりますけれども、国民の声を行政に反映する、労働者保護のための労働省なんですから、そのために労働者の声を聞いて労働行政をやっていく、そういう立場に立つことが本当の行政民主化だと思いますし、そういう点でもつともっと声を聞いてほしい。実態に即して調査もして、そうしたらスピード審議でこれを通すというような状況にはないのだろうというふうに思いますし、そうでないと日本社会で禍根を残すことになる。日本全体の働き方がかかっているのですから、もっと声を反映させるような、審議にも時間をかける、何も今国会だけじゃなくてもいいのではないかというふうに思っているところです。
  83. 金子満広

    ○金子(満)委員 それでは時間が参りましたが、今、笹沼参考人から言われましたけれども、私は公聴会が必要だというのは前から国会でも主張しておりましたし、審議はやはり納得いくまでやるべきだということも申し上げてまいりました。しかし、これですべてが終わるのじゃなくて、矛盾がある以上必ず発展の方向があるわけですから、そういう点で、私どもも多くの国民の中にある反対意見が実るようにこれからも頑張っていきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  84. 青山丘

    青山委員長 これにて金子満広君の質疑は終了いたしました。  次に、辻元清美君。
  85. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党・市民連合辻元清美と申します。  きょうは参考人の皆さん、どうもありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。私の持ち時間は二十分しかありませんので。  まず、荒川参考人にお聞きしたいと思います。  全体的な状況をどのように把握されているかということをお聞きしたいのです。具体的には、よく国際的にというか、諸外国から日本人は働き過ぎやなというふうな声が上がります。雑誌などで過労死というものの特集で日本がばんと出るとかというような企画を目にすることもふえてまいりました。日本はゆとりがあって非常に労働者も豊かな生活をしておるという記事は、私は残念ながら見たことがないのです。  そういう中で、国際的には日本は本当に働き過ぎだ。実際には企業は諸外国にも出ていくというボーダーレスな時代になっております。それぞれの国ではそれぞれの基準に従って運営されているということはさておきまして、日本企業が出ていくというような時代になりまして、国際的に企業の良識が問われるという時代に来ておるのですが、そういう中で、日本人は働き過ぎるという、批判かどうかはわかりませんけれども、この国際的な声に対してどのように御見解をお持ちか、その声は正しいと思っていらっしゃるのかどうか、明快なお答えをお願いしたいと思います。
  86. 荒川春

    荒川参考人 働き過ぎという言葉、ごろも含めまして、疑問が非常に多いわけでございます。実態を数値なら数値なりできちっと比較しながらこれは言うべき話ではないかなと思っております。  現在、労働時間につきましては、これはお国の統計を使わせていただければ、アメリカ、イギリスと日本の状況というのはよく似ておりまして、確かに、ドイツやフランスよりは一人当たりの時間数というのは長いということは確かでございます。こういう事実関係をして、日本人全体が世界に伍して働き過ぎかどうかということは言えないのではないかなと思います。  これを言った背景がどこにあったかということをるる申し上げるわけにはもう時間がありませんのでまいりませんけれども、私はいわれなきものではないかなと思っております。  それから、労働時間の働き方そのものでございますが、確かに日本人の性格からして、組織なら組織あるいはグループならグループと一緒にいろいろ行動するといったような働き方そのものにつきましては、これまではそれが原因でもって時間の長さがなかなかコントロールできないというようなことがあったかと思いますが、今働く方たちはさまざまな意識を持っておりまして、労働時間もそれぞれ個人でさまぎまに考えを異にしようとしていることが出ております。そういうのが積み重なることによりまして、全体として働く側から労働時間をいろいろシビアに見ていくという面がたくさん出てくるのではないかと思います。  企業の方も、時間外労働を推奨しているわけではございません。時間外労働といえども大変なコストがかかるわけでございますので、そのコストに対しまして、受注であるとかあるいは会社全体の権衡、バランスをとりながら従業員お願いしているということでございます。企業といたしましても、時間外労働は極力少なくしたいという思いは皆持ち合わせていると私は思っております。
  87. 辻元清美

    辻元委員 次に、中島参考人にお伺いしたいと思うのです。  中島参考人は、いろいろ電話相談などをお受けになっていると先ほどから伺いましたが、ちょっと具体的に女子労働者の悩みといいますか、トラブルですね、どういう事例が多いか、一、二具体的に御紹介いただけないでしょうか。
  88. 中島通子

    中島参考人 電話相談で多いのは、いきなりやめさせられる、パートにさせられるというような解雇関連のものが多かったのですけれども、最近、それにあわせて賃金や昇格などで差別されるという問題が非常にふえてきております。それから、セクシュアルハラスメントに関する相談が結構ふえてきております。
  89. 辻元清美

    辻元委員 はい、わかりました。  それでは、荒川参考人にも同じ質問をしたいと思うのですが、企業経営者側でもやはり女性の悩みやそれから経営者側とのトラブルというのは常に分析されていると思うのですが、ベストスリーといいますか、どういうのがございますでしょうか。
  90. 荒川春

    荒川参考人 ベストスリーというのを私どものサイドで調べておりませんので、明快にお答えはできません。申しわけございません。  ただ、男女雇用機会均等法におきまして、いろいろな対応する措置法律上組まれておりまして、その中でやはり企業内でいろいろな問題を処理しよう、その件数というのが労働省統計でも非常に多いわけでございます。わけても、上司との間で均等法にかかわるさまざまな差別機会均等が失われている、あるいは差別的取り扱い解消するべく相談業務が一番多いという事実があるのをもう少し分析してみればそのベストスリーがわかるかもわかりません。  大変申しわけございません。今資料を持ち合わせておりません。
  91. 辻元清美

    辻元委員 今、中島参考人から具体的なこと、そして荒川参考人から均等法が適用されていないじゃないかというようなトラブルがあると聞きました。  そこで、鷲尾参考人に質問なんですが、そうしますと、今回の法改正の中で調停委員会の役割というのは非常に出口として重要になってくると思うのですけれども鷲尾参考人は、この調停委員会あり方、今回、一方の当事者が調停を申し出た際には成立するというような話もございますが、どのようにこの調停委員会評価なさっているのか。問題点があれば指摘いただきたいのですけれども
  92. 鷲尾悦也

    鷲尾参考人 冒頭にも意見として申し上げたわけでございますが、私は、今回の均等法の中でこの調停委員会の役割というものが明示された、一方の申し出によって処理されるということについては評価をしたい、このように考えているところでございます。  したがいまして、この調停委員会の機能を具体的にどうするかということについては、この法案が成立をした上で、その調停委員会の担当といいますか、労働省なり行政の側で具体的な規定をどういうふうにつくられるのか、どういう運営をされるのかということについてそれぞれ議論があろうかと思いますので、その中で積極的な調停委員会の役割、機能というものを十分発揮できるように御議論を願いたい、こういうふうに望んでいるところでございます。
  93. 辻元清美

    辻元委員 それでは次に、中島参考人にお伺いしたいのですが、先ほどのトラブルの事例の中にセクシュアルハラスメントという言葉が出てまいりました。今回の法改正は、セクシュアルハラスメントが、「配慮」という言葉でございますけれども、入っています。今回のこのセクシュアルハラスメントについての法改正における位置づけをぜひ伺いたいと思うのですが、御意見がありましたらお願いします。
  94. 中島通子

    中島参考人 セクシュアルハラスメントについては、今回二十一条という形で新設されるということ自体は大変よかったと思うのですけれども、ただ、この条文自体を拝見しますと、既に雇用されている労働者に対して配慮をするという配慮義務であって、しかも、これに対してどのような行政指導が行われるのか、救済措置が行われるか、非常に不明確である。どうも余り行われないのではないかという、例えば調停の対象にならないのではないかとか、そういう心配がこの条文を拝見したときにありました。  ところが、先週、九日のこの委員会での辻元さんの御質問に対して、太田婦人局長が再三にわたってお答えになりました。それは、面接セクハラを含めて、これは行政指導の対象になり、企業名公表の制裁の対象になるということを再三御答弁なさいましたので、私は大変よかったと思っております。  つまり、そうなりますと、この均等法改正案の二十一条というのは、予防のために事業主配慮義務を課すということであって、あらかじめ、こういうことをするとセクシュアルハラスメントだよ、だからこういうことをしてはいけないよということを従業員に周知徹底させ、そしてそれを教育訓練するという根拠規定であるというふうに解釈し、そして、これにとどまらず、セクシュアルハラスメントというのは性差別であるということは、これは世界でもう当然のこととして合意されていることですから、性差別に当たるセクシュアルハラスメントはこの二十一条に限定されず、五条から八条の、つまり、募集採用から配置昇進教育訓練、定年、退職、解雇、そのすべてに関して性差別としてのセクシュアルハラスメントは違法であるということであり、それに違反した企業に対しては労働省としては是正勧告し、企業名を公表するという解釈を労働省がなさって、この委員会で正式に確認されたというふうに考えております。その点では大変評価しております。
  95. 辻元清美

    辻元委員 それでは、ここで荒川参考人に引き続き質問させていただきたいと思います。  先ほどのどなたかの質疑の折にも出ましたが、男性の家事の負担の時間が七分というような結果がございまして、そういうことを考えますと、やはり働く女性にとっても介護育児、家事が負担になってきているというのは、これはもうだれが見ても共通の認識であると思うのです。  こういう中で、時間外労働、深夜労働については、私自身も働く者として心配な点があります。  特に時間外労働についてちょっとお伺いしたいと思うのですが、それぞれの労働者にとって、その日その日、もしくは家庭の事情が急に変わるとか、いろいろな意味で経営者の方と相談しながら仕事を進めていくことになるかと思うのですけれども、この場合に、こういうくだりがあるのですね、正当で合理的な命令であった場合は拒否できないという。この、企業側の正当で合理的な命令というのはどういうことなのか。それからもう一つは、正当な理由があった場合はこの時間外労働をしなくてもいいという、正当な理由。ここは結構もめる点ではないかと私は思うのですよ、きっちりしておかないと。  ということで、それぞれの事業主に任せますという以上に、何か、荒川参考人の御団体でガイドラインのようなものをおつくりになるおつもりはあるのか、その際は、この正当な理由、合理的な命令というのは一体どのように荒川参考人はお考えで、もしくはその労働者側の正当な拒否できる理由というのを一、二何かアイデアがあれば教えていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  96. 荒川春

    荒川参考人 最後の方から申し上げますけれども、日経連でガイドラインをつくるかどうかということにつきましては、これは今のところ白紙の状態でございます。今、すぐでき得るかどうかということは即断できません。  それから、前段の御質問でございますが、いずれにしましても、これは裁判によりまして、判例の積み重ねによりましてそれが一般法理となるという傾向がこれから出てくるかどうかわかりません。いずれにしましても、個々のケース、さまざまにあろうかと思いますので、今現在、私が、その基準がこれこれでございますという形はちょっと申し上げられません。
  97. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、私ちょっとここのところにこだわっていますので、引き続き、ちょっと観点を変えてなんですけれども、この正当で合理的な命令という言葉ですね。これはだれにとって正当なのか、事業主にとって正当なのか、それとも、労働者事業主との協議において両方がこれは正当であると認めるものであるのか、この点は日経連としてはどのようにお考えなんでしょうか。
  98. 荒川春

    荒川参考人 私は、事業主にとってということであろうかと思います。
  99. 辻元清美

    辻元委員 私は、もしも今の御答弁のようでありましたら、ぜひちょっと検討していただきまして、やっぱり正当な理由というのは、企業というのは社会的な責任があると思うのですね。私は、今回の均等法をどのように運営していくかというのは、その社会責任が問われると思うことと同時に、事業主だけで企業は成り立っているわけではなくて、労働者と一緒につくっているわけです。それは、何をつくっているかというと、利益を生み出すとか商品をつくる以外に価値をつくっていると思うのですよ。その価値の部分、この社会的な責任を負いながら社会的な価値を生み出すのが企業であるというふうに思いますので、ここのところは、ぜひ私からの要望といたしまして、この正当な理由というのは、事業主労働者、ともに納得するのが正当な理由であると、ちょっとお考えをすぐに変えられるかどうかわからないですけれども、御検討していただけないかというふうに私は思います。  そうでないと、先ほどから申し上げています企業の良識といいますか、これからそこの部分が問われてくると思うのですね。それは、一番最初に申し上げました、国際的な意味でも問われるかと思います。ですから、今回の均等法改正、これをどのようにして運営していくか、そして、これを契機に、そういう責任や良識という意味において、この正当で合理的な命令というところについての御認識が非常に象徴しているのではないかと思ったので、私は聞いたわけです。  さて、先ほどから保護規定撤廃と、それにまつわる弊害というところが話し合われておりますけれども、私、前回の質疑の折にも意見として、私は女性ですが、門戸は広くありたい、しかし弊害は少なくありたい、今の現状から見てやはり女性家庭責任というのは多いのが現状ですから、そのように考えております。それはやはり実現しながら、平等法の方向につなげていくというのが非常に大事だというふうに考えております。  そういう中で、これは中島参考人にお伺いしたいのですけれども、今のいろいろな現状を見ながら、女性の、微速前進だと思うのですが、私はこの十年、均等法ができてからも、そんなによくなってないんじゃないかなというような心配というか危惧もありますので、この後十年ぐらいの展望はどうあるべきというふうにお考えなのか、最後にお伺いしたいと思います。
  100. 中島通子

    中島参考人 時間がないようなので、大急ぎでお話しいたします。  原則は、先ほども申し上げましたように、時間外労働にせよ深夜労働にせよ、本人の同意、特に今までそのような労働をしていなかった労働者に対して新たに労働させる場合についての本人の同意ということは、これはぜひともここで確認していただきたいと思います。  そして、男女共通規制を必ずつくって、同時に実施していただきたいと思いますが、その上で、それができたからといって、その範囲内であれば時間外・休日労働を無制限にしてもいいということでは決してないということで、この点に関しては、やはり九日の委員会において、太田局長の方から、どのような場合には時間外を断る正当な理由になるかどうかということに関するガイドラインのような基準を年内におつくりになるというお話がありました。これも私は大変心強く思っているところです。これは男女共通規制の問題ではなくて、現在の問題ですから、家庭責任のある労働者の問題ですから、ぜひともここで、委員会議論して確認していただきたいというふうに思っております。  私が今とりあえず考えています休日労働を含めて時間外労働を拒否できる正当な理由としては、まず何よりも、小さな子供の世話をしている労働者男女労働者と考えますが、保育園の送り迎えをする、あるいは食事を食べさせなければいけないという、そういう立場男女労働者に関しては、拒否の正当な理由があるというふうにはっきりと示していただきたい。特に、その日残業を命じるということは、これは大変なことになりますから、小さな子供を置いて御飯も食べさせられない、保育所に迎えにも行けないというような、こういう事態は絶対に避けなければいけませんから、これらについては、正当な理由であるということをはっきりさせていただきたい。  それから、小学校に入った後であっても、例えば不登校の子供が今ふえています。その他、学校のいじめその他で精神的に非常につらい状況に置かれる子供たちがいます。こういう子供を抱えている男女労働者に対しては、やはり時間外労働を拒否する理由になるということをはっきりさせていただきたい。  さらに、病人を抱えている場合ですね。特に子供が病気のときの看護休暇というものが、残念ながら、諸外国ではみんなできているのに、日本育児介護休業法では、長期間の分についてはありますけれども、ちょこちょことした数日間の子供の病気については休暇が認められていないという大変致命的な欠陥がありますので、こういう場合については少なくとも時間外を拒否できる。  さらに、障害者、それから高齢者を抱えている。高齢者については介護休業法で時間外労働をさせないというのが選択肢の一つにも入っていませんので、この点についてはぜひ入れていただきたい。  そのほか、社会生活において、あるいは地域生活というのがさつきから出ておりますが、それぞれ予定はあるわけですね。町内会、ボランティア活動、それぞれについていろいろな予定を入れているにもかかわらず残業せよというようなことであれば地域活動、社会活動が成り立たないわけですから、これらについても拒否理由になるということをはっきりさせていただきたい。  あるいは、学校に行っている、習い事をしているというようなことについても拒否理由にしていただきたい。  こういうふうに申し上げると、それではみんな残業ができなくなって、そうでない人たちがしわ寄せを食うではないかというような御懸念があるかもしれませんが、そういう実態を踏まえて、全体としていかに時間外労働を減らすかということを、その本格的な議論にさらに進んでいただきたい。  今の十年ぐらいの展望ということは、それぞれがそれぞれの立場家庭責任が第一ですけれども、それ以外の都合も含めて残業によってそれらの生活が犠牲になるというようなことをなくしていく、これはILOの百五十六号条約と勧告に明記されていることでもありますし、これを十年の間には全体に広げていただく、こういうふうに展望して今回の法案審議に当たっていただきたいと心からお願いして、私の陳述を終わらせていただきます。
  101. 辻元清美

    辻元委員 どうもありがとうございました。  質疑時間が終わりました。  今、皆さんのお話を伺っておりまして、それぞれのお立場によりましていろいろな意見がある。そうなってくると、これから労働省がどういうふうなガイドラインを出すかとか、労働省がどういう政策を出していくかということは非常に大事になってくるのではないかと思いますから、引き続き委員会の中でその点について私たちで詰めていきたいと思います。  どうも私はトリになりましたが、ありがとうございました。
  102. 青山丘

    青山委員長 これにて辻元清美君の質疑は終了いたしました。  以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げたいと思います。  本日は、参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきました。まことにありがとうございます。心からお礼を申し上げます。本委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  次回は、来る十六日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十八分散会