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1997-04-18 第140回国会 衆議院 労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十八日(金曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 青山  丘君    理事 荒井 広幸君 理事 大野 功統君    理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君    理事 河上 覃雄君 理事 桝屋 敬悟君    理事 岩田 順介君 理事 金子 満広君       飯島 忠義君    大石 秀政君       粕谷  茂君    河井 克行君       小林 興起君    田中 和徳君       田村 憲久君    竹本 直一君       棚橋 泰文君    能勢 和子君       鍵田 節哉君    塩田  晋君       西田  猛君    福岡 宗也君       吉田  治君    近藤 昭一君       中桐 伸五君    松本 惟子君       大森  猛君    濱田 健一君       畑 英次郎君  出席国務大臣         労 働 大 臣 岡野  裕君  出席政府委員         労働政務次官  小林 興起君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省婦人局長 太田 芳枝君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         労働省職業能力         開発局長    山中 秀樹君  委員外出席者         文部省高等教育         局大学課長   早田 憲治君         文部省高等教育         局学生課長   山中 伸一君         文部省高等教育         局私学部学校法         人調査課長   久賀 重雄君         厚生省社会・援         護局地域福祉課         長       堀之内 敬君         労働委員会調査         室長      中島  勝君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     田中 和徳君   河井 克行君     田村 憲久君   村山 富市君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     飯島 忠義君   田村 憲久君     河井 克行君   濱田 健一君     村山 富市君     ――――――――――――― 四月十六日  職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一  部を改正する法律案内閣提出第二八号) 同日  実効ある男女雇用機会均等法改正労働時間に  かかわる労基法改正に関する請願藤木洋子君  紹介)(第二〇〇二号)  労働基準法女子保護規定撤廃反対に関する  請願不破哲三紹介)(第二〇〇三号)  同(大森猛紹介)(第二〇七三号)  同(金子満広紹介)(第二〇七四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一  部を改正する法律案内閣提出第二八号)      ――――◇―――――
  2. 青山丘

    青山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。岡野労働大臣。     ――――――――――――― 職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 岡野裕

    岡野国務大臣 おはようございます。  ただいま議題となりました職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  最近の急激な産業構造変化の中で、企業製品等の高付加価値化や新分野展開等を図ることが必要となっており、これらを担っていく高度な知識、技能技術企画開発能力応用能力等を有する、高度で多様な人材を育成していくことが急務となっております。  職業能力開発行政におきましては、事業主による能力開発を推進することとあわせて、企業内での教育訓練が困難な中堅・中小企業等中心に、産業界地域のニーズに応じ、公共職業訓練実施してきておりますが、事業活動高度化対応し得る人材を育成するため、公共職業訓練の一層の高度化を図る必要があります。  また、高度化複雑化または専門化している業務を遂行するには、創造性の発揮のような、労働者個人に依存する職業能力が強く求められていることや、急速な情報化進展等により従来の企業内の教育訓練だけでは十分対応できない部分もふえていること等から、個人の自発的な職業能力開発の取り組みが重要になっております。  政府といたしましては、このような課題に適切に対処するため、昨年十二月に閣議決定した経済構造の変革と創造のためのプログラムに沿って、職業能力開発大学校及び職業能力開発総合学校設置による高度職業訓練実施体制の整備並びに労働者の自発的な職業能力開発及び向上促進のための措置内容として、職業能力開発促進法等改正案を作成し、中央職業能力開発審議会全会一致答申をいただき、ここに提案申し上げた次第であります。  次に、その内容概要を御説明申し上げます。  第一に、現行職業能力開発短期大学校で行っている職業訓練訓練課程に加え、さらに専門的かつ応用的な職業能力開発向上させる長期間の訓練課程を行うためのものとして、職業能力開発大学校を国が設置することとしております。  また、都道府県及び事業主等においても、職業能力開発短期大学校と同様、職業能力開発大学校設置することができることとしております。  さらに、職業能力開発及び向上促進に資するため、現行職業能力開発大学校で行っている指導員訓練並びに職業能力開発及び向上に関する調査及び研究とともに、公共職業訓練等実施円滑化に資するものとして新技術等対応した職業訓練総合的に行う施設として、職業能力開発総合学校を国が設置することとしております。  第二に、労働者の自発的な職業能力開発及び向上促進するため、その自発的な努力を助長するように配慮しつつ職業能力開発促進が行われることを基本理念として規定するとともに、労働者がみずから職業に関する教育訓練を受ける機会を確保するための関係者の責務及び事業主の講ずる措置並びに当該事業主等に対する援助及び助成措置を明確化することとしております。  また、国が設置運営することとされている職業能力開発大学校及び職業能力開発総合学校設置運営並びに労働者の自発的な職業能力開発及び向上に係る必要な援助及び助成は、これを雇用促進事業団において実施することとしております。  なお、この法律規定のうち、職業能力開発大学校及び職業能力開発総合学校設置に係る規定平成十一年四月一日から、その他の規定は公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上、この法律案提案理由及び内容概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。よろしくお願いをいたします。
  4. 青山丘

    青山委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 青山丘

    青山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森英介君。
  6. 森英介

    ○森(英)委員 自由民主党の森英介でございます。  ただいま趣旨の御説明がありました職業能力開発促進法等改正案につきまして、幾つかの質問をさせていただきたいと存じます。  それに先立ちまして、現下行政改革並びに財政再建が最重要課題となっておりまして、その第一弾として、特殊法人改革についての方針が政府与党から打ち出されております。今回新設される職業能力開発大学校並びに総合学校設置運営に当たる雇用促進事業団に対しましては、大変厳しい目が向けられております。   こうした状況に対する労働大臣の御認識、御所見並びに今後の対応について、まずお聞かせいただきたいと思います。
  7. 岡野裕

    岡野国務大臣 森先生、御専門で御存じのとおりでございますが、今置かれました日本現状の中で、行政改革が一番大きな、我々が対処すべき問題である。その行政改革の中で、これまた比重の大きい一本の柱に、特殊法人の全面的なかつ基本的な見直しをしてまいろうということを決定いたしております。その中で、当省所管に係りますところの雇用促進事業団も、その八十を超える根本的な見直しをすべき事業団一つに相なっている、こういう現状でございます。  それで、これは全体としては、与党三党、この場で結論を出し、政府の方に申し入れをいただく、こういう予定に相なっておりますが、今の時点におきましては、私、労働省の中で、この促進事業団が現に営んでおりますところのもろもろ機能がございます、その機能を、どれが現下の情勢の中で、特殊法人でありますので、国の務めとしてやらなければならないか、雇用促進事業団のためではなくして、国あるいは国民のためにどの機能が必要であるかというのを洗いました。  その結果、きょう御審議を賜りますような、言いますならば職業能力というようなものを大いに力こぶを入れてやっていかなければならないという雇用促進事業団機能は、十分的に確保してまいらなければならない。  それからまた、雇用空洞化あるいは規制の緩和等に伴いまして、日の当たらなくなっていく産業と日の当たる産業があるのではないか。したがいまして、日の当たらなくなった産業においてやはり雇用の問題が発生をする場合、これをスムーズに、日が当たるような産業にこの就職先を設ける、スムーズな労働移転が行われるための中小企業等に対する支援、これは雇用促進事業団が現に営んでおるわけでありますが、これはより一層十分なものにしてまいらなければならない。  しかしながら、かつて、昭和三十年代後半、労働者移転先に新しい就職口を設けるというようなことのために、それ用の住宅を雇用促進事業団としては建設をし、かつ、これを賃貸等に供してまいりました。それからまた、かつて余暇というものの活用というものが叫ばれた時期がありました。労働時間の短縮をしていく、余暇ができていく、ところがうちのだんなはごろ寝であるというようなことを冷やかされる報道がいっぱいありましたが、やはり健全な余暇活用しようということで、福祉施設スポーツセンター等々を全国的につくって、これを中小企業雇用された従業員の諸君を中心に我々は活用を願ってまいりました。  しかしながら、現下民間マンション等々が多々建設され、あるいはリースされ、あるいは販売をされている。そして、どこの町等に行きましても、体育館も立派にできました、先生方のおかげで、屋内プール等もできました、保養所もできました。とすると、この辺は、国みずからやらなくても、民間の皆様におゆだねしていいのではないかというような考え方を持ち、かつ、これを例えば予算委員会等で、あるいは自民党の中の行革の担当の幹部の皆さんにそういった意向を伝えてございます。  先般、自民党の中では一つのまとめができたようでございますが、まだ三党の段階の話し合いのネタにはなっておりません。私は、それらを経て政府答申的なこうせいというような話が三党からありまして、それが労働省におりてまいりますのもいつの時期になるかというようなことで、そういう事態になりましたら、それを十分そしゃくし、そしてこれを実現するという体制を目下しいているところであります。  長くなりまして申しわけありません。
  8. 森英介

    ○森(英)委員 これからいよいよ雇用問題というのは大変重要になってまいりますので、雇用促進事業団の中で、雇用の確保、雇用の維持ということに寄与する事業はもちろんあるわけでございますので、これからますます必要になってくるそうした事業については、ぜひとも必要なものは必要であるということで頑張っていただくことを要望いたしたいと思います。  まず、これから法改正案内容について質問いたしますに先立ちまして、文部省にお尋ねをしたいと思います。  今、少子化進展、あるいは大学、短大、専門学校等を含めたもろもろ学校の数の増加に伴いまして、かかる教育分野は構造不況産業化する可能性があるのではないかというふうに私は思います。その点について、文部省見解を、見通しをお尋ねいたしたいと思います。
  9. 久賀重雄

    久賀説明員 お答えいたします。  御指摘のように、十八歳人口の減少に伴い、全体として高等教育の規模の縮小が見込まれます。特に高等教育の大部分を占める私立学校においては、学納金収入が過半を占めていることから、今後一層厳しい経営環境になっていくことが予想されます。  一方、私学はこれを単に経営の危機としてとらえるのではなく、大学改革等の好機であると積極的に受けとめ、時代進展に即応した教育研究組織カリキュラム改革社会人受け入れ、生涯学習等への対応など、社会の要請に対応した特色ある大学づくり等に取り組むことが重要でございます。  また、自己点検・評価により財政経営状況を的確に把握した上で、中長期的な観点から経営計画を策定し、財政基盤の確立、経営安定化に努めることが重要であると考えております。
  10. 森英介

    ○森(英)委員 ただいま御説明があったような状況の中で、十校もの大学校をこれから設置しようというのは、時代に逆行するものではないかというふうな見方もできるかと思いますけれども、その点についての労働省のお考えを伺わせていただきたいと思います。
  11. 山中秀樹

    山中政府委員 今回の改正現行全国に二十六短期大学校がございますが、その二年課程に加えてもう二年ということで、四年制の訓練に関する大学校設置したいということでありまして、特に今回、産業構造変化で高付加価値化あるいは新分野展開を担う高度な人材を養成するということで、ぜひ必要なものであると考えております。  果たして今の状況学生が集まらないのではないかとか、あるいは逆に集まり過ぎるのではないか、こんなような議論もございますが、私ども、現在短期大学校における応募倍率を見てみますと、二十六校、区々でございますが、平均して約二・六倍の応募倍率がございます。また、現在短期大学校に在学している学生アンケート調査実施いたしましても、半数以上の人がまた新たな課程に進学したいということを希望しておりまして、学生が集まらないということはないのではないかというふうに私は考えておりますし、また、今後少子化に伴う学生数の動向を展望すれば、非常に学生が集まり過ぎるということにもならないのではないかというふうに私は予測いたしております。
  12. 森英介

    ○森(英)委員 ちょっと観点を変えまして、私事にわたりますけれども、私、かつて工場で溶接技術者をやっておりまして、最近物づくり現場で働こうという志を持った若者が大変少なくなりつつあるという状況を憂慮しております。  我が国の産業界が本当に必要としている人材というのは良質なブルーカラーではないかというふうに考えるわけでございますけれども、この四年制の大学校となりますと、そこに進んだ学生はどうしてもホワイトカラー志向になるのではないかというふうに考えます。こういったことになりますと、労働省の本来の趣旨に若干そぐわないのではないかという気もするわけでございますけれども、その点についての御見解を伺わせていただきたいと思います。
  13. 山中秀樹

    山中政府委員 今回四年制の大学校ということで、今まで短期大学校では主として中小企業における物づくりを担う技能人材を養成するということで、主として機械系なりあるいは電気、電子、建設系などの高度な技能者を養成してまいったわけですが、今回四年制大学にしたいということでございますが、製造業生産現場において、今回の四年制で卒業した人たちは、生産現場における、現場と一体となって物づくりができるという人材を養成しようということでございまして、やはり生産現場と直結している、ただ、今までより高度化した段階でございますが、そういう意味でいわゆるホワイトカラーという志向にならないのではないかというふうに私は考えております。
  14. 森英介

    ○森(英)委員 ぜひそういったことも考え合わせて、これからその中身を詰めていただきたいと思います。  また、重ねまして、やや聞きにくいことを伺いますけれども、労働省失業なき労働移動ということを重点施策としておられるわけでございますので、新卒の高校生よりも、むしろリストラ対象労働者、いわゆる企業内失業者ですとか、それから転職したい労働者、あるいは定年後に第二の人生を歩む中高年齢層労働者などの新たな能力開発また職業訓練にむしろ重点を置くべきではないかというふうに私は考えます。  そのような人たちに、この大学校あるいは総合学校の門戸は開かれているのか。また、そのような目的だとすると、逆に四年というのは長過ぎるのではないかということにもなるわけですけれども、そこら辺を含めて御答弁をいただきたいと思います。
  15. 山中秀樹

    山中政府委員 私ども、職業能力開発について、失業なき労働移動、あるいは離転職者あるいは高齢者について重点的に職業訓練をやっております。例えば、全国職業能力開発センターを六十五設置して、主として失業者なり離転職者訓練中心実施しておりまして、リストラ等々で離転職される方については、機動的でかつ弾力的な訓練ができるように配慮をしておるところでございます。  今回の大学校化についてでございますが、現行の二年の職業訓練に加えまして、専門的、応用的な職業能力開発するための新たな訓練課程を二年間ということで設けるわけですが、私ども、新規学卒だけではなくて、社会人が円滑にこの大学校で学ぶことができる、職業訓練ができるような体制を整備いたしたいというふうに思っております。  具体的には、例えば社会人受け入れると申しますと、やはり多様な訓練期間なり、あるいは訓練時間の設定なり、あるいは単位制の導入等々、いろいろな業種、企業の実情に応じて特別の配慮をした形での多様な訓練機会を提供いたしたいというふうに考えております。企業人スクールという形で、私ども、実務と直結した多様な訓練コースを用意いたしたいと思います。その中で、先生の御指摘の、離転職者あるいは高齢者を含めた多様な対象者に対して、柔軟に訓練機会が提供できるような体制について考えていきたいというふうに思っております。
  16. 森英介

    ○森(英)委員 やはり労働省も、これからつくる大学校ですので、産業界への人材供給といった機能よりも、むしろ労働者労働者として十分社会にとって有用な存在であり続けることを支援する学校というふうな機能をぜひ充実させていただくように要望をさせていただきたいと思います。  そういった意味で、企業人スクールというお話もありましたけれども、その大学校に、例えばシルバー人材センターなどで恐らく需要が高いと思われる職人芸的な技術、例えば造園だとか大工だとか、そういったようなコース設置されるようなお考えはございませんか。
  17. 山中秀樹

    山中政府委員 先生指摘の、日本伝統芸能と申しますか、そういう技術というのは、今後の日本の文化あるいは経済を支えていく上で非常に大切であるというふうに私ども考えております。  今回、職業訓練学校ということで設置いたしたい趣旨は、やはり技術部門生産現場をつなぐ技能労働者ということで、生産工程の構築なりあるいは合理化に深く関与できる人材を養成するということで今回大学校設置しようということでございますが、やはり伝統的技能に係る訓練については、私ども、今現在、県でつくっております職業能力開発校、あるいは先ほど申し上げましたように六十五の職業能力開発センターでそういう訓練実施いたしておりますし、あるいは民間認定職業訓練法人民間自分たちでやるという、事業主団体がやるという認定職業訓練制度を設けておりますが、そういうところでこういう伝統芸能に係る訓練について対応いたしております。  そういう意味で、先生の御指摘伝統に係る職業訓練実施することは若干難しい面もございますが、なおその高度化という点から考えて、必要なカリキュラムが組めるなら検討をいたしたいというふうに思います。
  18. 森英介

    ○森(英)委員 いろいろ、ちょっといわゆるネガティブなことを申し上げましたけれども、職業能力開発行政一つの重要な役割というのは、発展途上国に対する国際協力ということが挙げられると思います。  今回新設されます職業能力開発大学校並びに総合学校発展途上国留学生や研修生の受け入れなどもぜひ積極的にやっていただくように要望をさせていただきたいと思います。  その点につきまして、そういう国から日本にやってきたときに、その大学校を卒業して資格が取れないと、やはりなかなか留学生も来たがらないのではないかと思いますが、これは、例えばこの大学校を卒業して大学卒業資格が取れるようになるのかならないのか。これは労働省あるいは文部省に、どちらがいいのでしょう、あるいは両方にお尋ねしたいと思います。
  19. 早田憲治

    早田説明員 お答えいたします。  各省設置いたしております大学校につきましては、各省庁設置法等法律規定に基づきまして、国の特定機関の職員の養成を行うなど、特定行政目的のための教育訓練等を行う機関として設置されておるものでございまして、これらの施設大学とは趣旨目的、使命を異にするものでございます。  しかしながら、平成三年の大学審議会の「学位授与機関の創設について」という答申によりまして、これを踏まえまして学校教育法改正され、平成三年度から、各省設置しております大学校十七校のうち、大学大学院と同等の水準の教育を組織的、体系的に行っていると認められる六校につきましては、これを修了した者に対しまして、その履修の成果が社会的に適切に評価されるようにするために、学位授与機構学位を授与することができるようになったところでございます。  そこで、現に、今回の法案による改正前の職業能力開発大学校長期課程につきましては、平成三年十二月に大学の学部に相当する教育を行う課程と認定されまして、これまでに千三百四十一名が学士の学位を得ているところでございます。また、同校の研究課程も同じ時期に大学院修士課程に相当する教育を行う課程と認定されまして、これも合計で九十四名が修士学位を得ておるところでございます。  他方、改正後の職業能力開発大学校につきましては、改正前の職業能力開発短期大学校の一部が平成十一年度以降に改組されて設置されるものと承知しております。この改正後の職業能力開発大学校学位授与機構との関係につきましては、労働省からは、改正後の職業能力開発大学校における課程につきましては、学位授与機構から課程認定を受けております現在の職業能力開発大学校長期課程研究課程とは異なる性質のものであるというふうに御説明をいただいているところでございます。したがいまして、こういう労働省からの御説明を踏まえますと、改正後の職業能力開発大学校を修了した者につきましては、学位授与機構から学位を授与されることはないものと考えておるところでございます。  以上でございます。
  20. 森英介

    ○森(英)委員 ちょっともう時間がなくなってしまったのでこれで終わりますが、これはおかしな話なので、ちゃんと前向きに双方で相談して、きちっと出せるように、これから作業を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。  終わります。
  21. 青山丘

  22. 鍵田節哉

    鍵田委員 おはようございます。新進党の鍵田でございます。  職業能力開発促進法の一部改正案に関しまして、私は、その背景にあります現在の環境でありますとか、またこの能力開発をめぐります現在の状況、さらには、今回の法案の改正内容、そういうものについて質問をさせていただきたいというふうに思っております。  現在の、能力開発が必要とされる、そういう背景として、中央の職業能力開発審議会が答申をしておるわけでございますけれども、現在の空洞化の中で企業の活力がなくなってきておる、そういうところに対して高付加価値化を目指し、技能技術、企画開発力、そういうものを強めていくための人材育成が必要である、こういうふうな答申が出ておるわけでございますけれども、そういうものに基づきまして今回の法案ができてきておるわけでございます。  私自身の見聞しておるところから見まして、かつての日米関係の中で、アメリカはどちらかというと生産よりも消費経済といいますか、そういうことに重点を置いてきたときに、ちょうど日本が成長期に入ってきて、そして製造業中心にして、アメリカの消費拡大に対して製造工場みたいな形で日本が貢献をする、そういう中で日本経済発展をするという日本にとっては非常にラッキーな一面があったのではなかろうか。  そこで、アメリカは大変貿易赤字がふえてくる、そこから貿易摩擦が起こってきておるわけでありますすれども、その後円高があったり、またバブル崩壊によります、またバブルそのものも日本物づくり、そういうものを軽視するというふうな風潮を生んだということもあるでしょうし、そういう中から日本製造業の力が今非常に弱まってきておる。昭和四十五年ぐらいには製造業の生産が国内総生産の中で三割を超える力を持っておったものが、現在では四分の一、二五%を切っておる、こういう状況になってきておるわけでございます。  そういう面からいたしまして、やはり物づくり、こういうものが今見直されてきておるわけでございまして、特定産業集積の活性化でありますとか、地域雇用開発促進法の改正の問題でありますとか、そういう現在の状況に適した法案が既に上程をされ、可決をされておるわけでございます。そういう産業基盤を確保し、これから育てていこう、こういうことになっておるわけでございます。  しかし、まだ現状において、例えば私の所属しておりますゼンキン連合におきまして調査をした内容におきましても、ではそういう基盤を支えていきます高度技能者がどのような処遇を受けておるかというようなことでは、いろいろ職場の中では工夫をして、役職面の昇進でありますとか、また勤務延長、高度技能者につきましては定年を超えても雇用していこうというふうなこともやられております。いろいろやられておりますけれども、その高度技能者から見ますと大変不満が多い、過半数を超える人たちが不満を持っておるというような実態が出ておるわけでございます。そういう中で、こういう高度な熟練技能者を育てていこうと思いますと七年から十年かかると言われておるわけでございまして、一たんこういう技能を失ってしまいますと、それを取り返すことはなかなか至難のわざであるということでございます。そういう意味で、今いろいろな施策が取り組まれておるわけでございます。  しかし、やはり職場における熟練技能者の評価が非常に低い、またこれらの人たちの不満も多い、こういう環境の中で、高度技能者を育てていくという環境づくりをしていく上において、やはり学校教育から見直していく、家庭の教育見直していくということもやらなくてはなりませんし、そういう社会的な環境を育てていくという面から見ますと、高度技能者に対しての何らかの経済的な裏づけをしたり、また褒章とか叙勲とかいうようなことでこういう人たちに対する対応をしていけないのかどうか。  今の叙勲の制度などは官尊民卑の方式でございまして、官職であります公務員以外の人たちが幾らいろいろ社会に貢献をしましても、そういうことが評価をできないというようなことになっておるようでございます。こういうことに対して工夫をし、そして高度技能者が育っていくような社会環境をつくっていく、そういうムードづくりをしていくということが大切なのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  日本経済を支えてきた自動車産業、また家電産業、これらでももう今どんどん海外に生産拠点も移しておりますし、海外での生産台数がもう既に国内の生産台数の半分以上を超えておる。さらには、家電製品などにつきましては、逆に日本の方が何分の一かに減ってしまっておる。そして、それが逆輸入として入ってきておるというふうな実態も多々見られるわけでございます。そういうふうなことに関してどのような施策を今後とっていかれようとしておるのか、大臣の方からお答えをいただければと思います。  以上です。
  23. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生物づくりの重要さは先生と全く同感であります。かつて、大学の理工学部を出たにもかかわらず、金融業あたりに続々とその学生諸君が行くという時代がありました。これを我々仲間では非常に慨嘆していたわけでありますが、そのうちに製造業の会社が、自分の製品を売って利益を得るのではなくて財テクで黒字を大幅に伸ばすというような、これまた理工学部の学生がみんな銀行へ行ってけしからぬと言っていた御本人の会社がそういうことで、これではどうなるか、こう思ったのでありますが、やはりバブルは見事にはじけた。この苦労は、我々生活者一様におっかぶさっているわけでありますので、まことに残念であります。  しかしながら、その反面、やはり製造業でなければだめだ、流通業が栄えるにしろ、ちゃんとつくった品物がなければ何を運ぶんだということから始まりまして、物づくりへの回帰というものがどんどん最近多くなってまいりました。そういうような意味合いで、私どもとしては、これからも物づくりというものを、立国におきます、一つの国を立てていく、発展をさせていく場合の土台になるということを腹に据えまして、きょう御審議をいただいております技能あるいは技術というようなものを伸ばしてまいるための法律案だ。  先生長い御質問でございましたが、答弁はまだいっぱいさせていただけると思いますので、一応の答弁はこれでよろしゅうございますか。
  24. 鍵田節哉

    鍵田委員 何か具体的な方策を考えていただいていないかどうか。
  25. 岡野裕

    岡野国務大臣 今、叙勲等のお話がありましたが、これは賞勲局その他に言っております。官尊民卑だというような傾向を徐々に脱却をしてきているという姿だとは存じます。特に芸能界、我々の御審議をいただいている分野とは違いますけれども、ああいう皆さんも文化勲章以外の、旭日章だとか瑞宝章、宝冠章、これらをいただける皆さんがどんどんふえてまいった。そうしてそれをマスコミ等は大きく載せる。役人が大きな勲章をもらってもそんなものは記事にならない。だけれども、杉村春子さん、亡くなってまことに寂しいことでありますが、あの方がうんと立派な勲章をもらえるようになった、そんなものは要らないよと言ったというような書きっぷりをされているということは、マスコミの皆さんも我々がさお差そうという方向に協力はしていただいているな、こんな気がいたします。
  26. 鍵田節哉

    鍵田委員 もちろん、叙勲とかというものは賞勲局がやられるということはよく存じてはおるわけでございますが、労働省として一体これをどうとらえて、そしてまた賞勲局などにも働きかけていくのかというようなことでお考えがあればというふうにお聞きをしておったわけでありますが、ぜひともこれは何とかお願いをしたいなと思っておる次第でございます。  次の質問に移ります。  人材づくりをしていくための能力開発について、過去長い歴史の中で、労働省で熱心に取り組んできていただいていることは私も承知をしておるわけでございますけれども、この取り組みの仕方の基本的なところで、もう少し何か違った、もう少しではない、もっと大きく違った取り組み方ができないのかなというふうに一つは思っておるわけでございます。  ずっと職業訓練の実態を見させていただいておるわけでございますけれども、例えば、毎年学校を卒業して就職される方は九十五万人ぐらいおられるようでございますが、公的な職業訓練を受けられる方、労働省は年間二十四万とか、それから都道府県がやっているのが十六万とか、数字は非常に大きい数字が出ておるのですけれども、実際の、例えば開発センターでありますとか短大でありますとか、その辺の卒業生だけを見ますと、せいぜい一万六千人未満という数字になるのではないかなと思うわけです。したがって、二十四万とか十六万とかという数字は、在籍のままで訓練をされるというふうな人たちの数字も入っておる。非常に短期の方々ですよね。  ですから、ちゃんとした職業訓練という意味では、やはり私は一万五、六千人というふうに見させていただきたいと思うわけなんです。短大卒で三千幾らですね、能開センターやその辺の訓練生を入れても一万六千人未満というふうに見ておるわけでありますけれども、その百万人近い、九十五万人ぐらいの就職をする人たち訓練というものは、企業のOJTにほとんど依存しておるということでございます。  伺いますと、本来職業訓練というものは各企業が自主的にやるものであって、企業が十分できない面を公的なものがカバーをしていくのだという考え方に基づいて施策がとられているということでございますけれども、OJTの場合には、確かにそこの企業に対しては大変な戦力になるわけですけれども、最近のような労働移動が激しく起こってくるような状況になってきますと、そこで教育された者が他の会社へ行っても通用するというふうなことにはなかなかならないわけなんですね。  したがって、やはり公的な職業訓練の戦略がちゃんとあって、その上に立って、公的な機関教育をするのと民間企業教育する、そういう分担をする、したがって国全体として一つ職業訓練としての戦略を持つ、そういう観点が必要なのではなかろうか。そういう訓練を個々の企業の中で実践的な教育として委託をするというような感じの、言ったら、公的な職業訓練が全体をカバーしているけれども、たまたま公的施設教育をする人と企業の中で教育をする人とがあるというような形で、やはりカリキュラムをある程度一貫したものにしないと、そういう流動化に耐えられないのではなかろうかなと今思っておるわけでございます。  そういう一貫した教育ができる、そのためには、やはり国としてそういう戦略に基づいた教育訓練の施策をきっちり確立をして、しっかりそれに取り組んでいく。何か最近は、行革の中でこの訓練も民営化したというふうな話もあるわけでありますけれども、これはやはり国の施策としてとらえていく、民間教育するのか、公的な機関教育するのかは別として、国がしっかりそういう施策を実行していく、こういう姿勢が必要なのではないか。イギリスなどでも民間訓練校が倒産をしたというふうな事例も聞いておるわけでありまして、やはり民間に大きく依存しておるという実態は余りよろしくないのではなかろうかと考えるわけでございます。  それらの考え方につきまして、国益として人材を育てていくという視点につきまして、いかがお考えでしょうか。
  27. 山中秀樹

    山中政府委員 先生指摘ございましたように、私ども、現在の公共職業訓練の実態を申し上げますと、国、都道府県合わせて全国に三百四十四の公共訓練施設設置いたしまして、年間約四十万人以上の方々の職業訓練を行っているところでございます。この中で、新規学卒者あるいは離職者、失業者あるいは在職の労働者の能力アップということで、主として中小企業労働者を対象に能力開発を行っているところでございます。  先生おっしゃいましたように、職業訓練は、私ども基本的な考え方といたしましては、やはりまず事業主がその雇用する労働者について能力アップ、職業能力開発するというのが基本ではないかと思っております。  そういう意味で、私ども、事業主能力開発ができるような環境整備と申しますか、いろいろな形でこれを支援して、訓練が受けやすい、あるいは、いろいろな訓練をやる場合にはお金もかかりますので、そういうお金について助成をしたりして、民間で、かつ事業主がしっかりとした訓練ができるということを基本に置いております。  そのために各種の援助措置を講じておるわけですが、そういう形で、なお中小企業失業者あるいは障害者等々、職業訓練が自分の企業で、民間でできない、事業主でできないという場合に私どもの公共職業訓練が行う、こういう体系をとっております。ただ、私ども、職業訓練能力開発が全体としてバランスよく上手にいくように全体として見ておりますが、そのような形で職業訓練をやっておるわけです。  特にまた、民間事業主団体等々が行う職業訓練は、公共職業訓練基準と同一の基準でやっていただくという認定職業訓練制度を設けておりますが、約千四百程度の認定職業訓練施設を私ども認定いたしております。これは、事業主なり事業主団体中小企業の方々と集まって職業訓練法人をつくって能力開発を行っている施設でございますが、それが全国で約千四百ございます。そこで約二十万人の人が訓練を受けておのおのの仕事についている、こういう形になっております。  そういう形で、民間事業主あるいは私ども国、県両々相まって必要な人材が育成できるような、そんなような施策を推進している、こういうふうに御理解いただければというふうに思います。
  28. 鍵田節哉

    鍵田委員 いろいろな施策をとっていただいているのは私もよくわかってはおるのですけれども、やはり、学校教育を終えて就職をしていく、この間に、一年とか二年とかという、ほとんどのそういう該当者が教育を受けられるというような政策がやはり国としてなくてはいけないのではないか、こういう観点から申し上げておるわけでございます。  それに関連をしまして、次の質問に入るわけでございますけれども、こういう職業訓練課題が出てきますといつも話題になりますのがドイツのマイスター制度の問題でございます。  私は、国情によりましていろいろな訓練のやり方があるというのは、各国の状況なども若干調べさせていただいてわかっておりますけれども、しかし、百数十年からの歴史を持って、そして、長い訓練の上にマイスターのような非常に社会的に地位の高いポストをつくっていくということは、やはり国家戦略として大変重要なのではなかろうかというふうに思っておるわけであります。また、デンマークにおきましても、国それから労働組合も積極的に訓練に参画をして、そして、これも国家的な戦略でもって、ほとんどが学校から引き続いて職場への間の教育に携わっておられる、こういうふうなことを聞いておるわけでございます。  こういう外国の、特にドイツのマイスターなどの制度について、どのように評価をなさっておるのか。長所も短所もあろうかと思いますけれども、よいところがあれば積極的に取り入れていったらいいのではないかというふうに思いますので、その辺のお答えを聞きたいと思います。
  29. 山中秀樹

    山中政府委員 先生指摘のドイツのマイスター制度ですが、御承知のとおり、通常十五歳で卒業して、企業と見習い契約を結んで、徒弟契約とか訓練契約を結んで、週四日程度は現実の工場でオン・ザ・ジョブ・トレーニングという形で訓練をし、それで、週一日か二日職業学校へ行って理論的な面を学ぶ、こういうことで、特にドイツの手工業マイスターは、そんな形でまず三年間養成訓練を受けるということで学んでおります。それはデュアルシステムとかいう言葉で呼ばれております。それで、現実に職人に、実際にマイスターの試験を受けるためには、やはり三年以上の経験を積んで初めてマイスター試験に合格する。これは非常に難しい試験であるように私も聞いておりますが、現在、手工業では約百三十職種ぐらいのそういうマイスターが資格を持っている、このような現状にあります。  先生今御指摘のマイスター制度について、やはり歴史もありますが、職業資格としては非常に、百三十ぐらいの職種の最高の階級として確立されているのは御承知のとおりかと思います。とりわけ手工業の分野では、マイスター資格を取りますと、営業資格あるいは職業訓練資格が得られる。したがって、この資格がないとその仕事の独立営業ができないという、そういう事業継続のための必須の資格という特典が与えられている、このように私ども理解いたしております。そういう意味で、技能者社会的評価、あるいは処遇の向上に大いに寄与しているというふうに私ども考えておりますし、一般の工場の労働者にいたしましても、マイスターの試験を受かれば、ある意味で賃金が優遇される、このようなことも聞いております。  ただ、他面、短所みたいなことを言わせていただきますと、やはり、この手工業のマイスターの職種について、自由な経済活動ができなくて、職種が固定しますので、新しい産業構造とか転換をやる場合に、なかなか転換が柔軟に対応できないという面も指摘されております。  ただ、このマイスター制度、非常に私ども注目いたしておりまして、ドイツのマイスター制度を直ちに、そのままの形で持ち込むことは難しいのではないか、営業資格とかそんな面もございますので難しいのではないかというふうに思っておりますが、ただ、伝統あるマイスター制度の果たしてきた役割等々、何とか我が国にある程度合った形でこんなものができないかなというような、私は今そんな気持ちでおりますし、具体的な検討なり必要な検討をやはりやっていく必要があるのではないかというふうに私は思っております。
  30. 鍵田節哉

    鍵田委員 日本でも、個々の企業の中では、そういう本当に高度な技能者を優遇をして、評価を与えるというふうなことがやられている例もあると思います。例えば、帝国ホテルの村上さんでしたか、コック長が重役さんになっておられるとか、それから大阪のロイヤルホテルでもそういうふうな事例を聞いておりますけれども、そのように、やはり高度な技能を持ち、長年会社に貢献をした人にそれなりの評価をしていくというふうなことがもっとほかの産業にも定着をして、そしてそういう技能習得が容易になるような、また、そういうことで努力をしようというような環境が育つように、ぜひとも施策を工夫していただきたいというふうに思うわけでございます。  それと、今国会におきまして、特定産業集積の活性化法とか、それから地域雇用開発法の一部改正案とか出て、いわゆる基盤技術技能をどのように育てていくか、こういうふうなことで、通産それから労働などが一環として取り組んでいく、そういう法案がそれぞれ通過をしておるわけでありますけれども、何か一つのそういう施策をとられていこうと思うと、たくさんの省庁にわたってそれを分散してやっていかなくてはならない。また、場合によっては、一緒になってその施策を推進していくというふうなことをやるわけでありますが、やはり、省庁としてのいろいろな壁とかそういうものもあろうかと思います。また、いろいろな回し方のルールなどもあるでしょう。  ですから、物づくりをしていくということに関しましては、通産も労働も、それから中小企業庁や、いろいろまたがる、また、場合によっては、文部省もその中に引き込んでやる必要があるわけでございまして、それらの省庁をまたがる物づくりについての一つの基本的な法律といいますか、物づくりの基本法というふうなものをやっていったらどうかなということを私たち、私の所属しておりますゼンキン連合などは考えて、何とか法制化できないかなということを考えておるわけでございますけれども、そういう考え方につきまして、労働省としてはどのようにお考えでしょうか。
  31. 山中秀樹

    山中政府委員 先生指摘の、省庁横断的なことで物づくりの維持発展を図るということは、やはり非常に大切なことであるというふうに私ども考えております。  ただ、現在、地域改正等々、関係省庁、通産省、文部省等々と、今回の能力開発法も文部省等と連携を図る必要がありますが、そんなことで、現在私ども施策を推進しているところでございますが、先生指摘の、物づくり基本法といった法的整備はいかがかという御質問だと思いますが、今後、今回の能開法改正あるいは地域法の改正等々の効果を見定めながら、関係省庁の政策全体を含めて、これからよく勉強してまいりたいというふうに考えております。
  32. 鍵田節哉

    鍵田委員 次に、特にこういう高度技能を持っております労働者中小企業ではなかなか確保しにくいというようなことが中央職業能力開発協会あたりの調査でも出ておりますし、それから、私の所属しますゼンキン連合でも、そういうふうな調査の結果、同様の傾向が出ておりまして、とにかくぎりぎりの要員で生産をしておるので、例えば学校へやるにもその時間もとれないし、また社内での教育もなかなかできにくいし、また指導をしていくという余力もない。  この間の質問の中でも私申し上げたんですけれども、なかなか職人さんというのは自分の仕事を教えてくれないで、ただおまえ黙ってついて見ていたらいいんだというような式で昔はよくやられたものでございますけれども、中小企業へ行きますといまだにそういうふうなところもあるわけでございまして、大変そういう技能者を養成するということが難しい。現状においても難しいけれども、将来において、先行きにおいてはさらに不足する、大体八割ぐらいのところが不足をするんだというふうな結果がこの能力開発協会あたりの調査でも出ておるわけでございまして、特に、この中小企業における高度技能保持者の充足ということが大変重要なのではなかろうか。  私自身が、大阪の南部地域、これは昔本当に大阪の経済を引っ張っていくぐらいの大変勢いのあった地域なんですけれども、今繊維産業でありますとかそういう地場産業がどんどん後退をいたしまして、活力がなくなってきておる。そういう中で、何とか業種転換をしてでも活力をあの地域へ持っていけないかな、関空ができましたから、何かそれをてこにしてでもというふうな話もいろいろやっておったわけでありますが、なかなかそれが実現しない。そんな中で、私たちも産業大学をあの辺に引っ張ってきて、中小企業に対してそういう産業の情報を持ってくるとか、また技能者教育するとかという非常に素朴な考え方から、とにかく産業大学みたいなものを持ってこれないかどうかということでやっておったわけでありますけれども、なかなかまだそれもできておらない。  最近聞きますと、短期大学が岸和田にあるということを聞いたんですが、実は私も最近まで知りませんで、ほかの人にも聞きましたら、そんなのあったのというふうなことで言われておりまして、どうも知名度はいまいちじゃないかなという感もするわけでございますけれども、そういうことで、大阪南部地域中小企業の皆さんでもこの短大を活用するとかいうことも不十分なのではないかというふうな気がするわけでございます。  そういうことで、やはり中小企業の場合には、いろいろな情報不足というようなこともたくさんあるわけでございまして、職業訓練にも大変事欠いておるというような状況でございます。特に中小企業の高度技能保持者をどのように充足させていくのかということについて、お考えがあればお答えいただきたいと思います。
  33. 山中秀樹

    山中政府委員 私ども最近、そういう高度熟練技能者についてどんな状況かということを調査いたしました。その結果を見てみますと、先生の御指摘のとおり、中小企業において高度な技能労働者が非常に、現在も不足しておりますが、今後を見てみますと、ますます不足が予想されるということの調査結果が出ております。そういう意味で、私ども、この高度な技能を持っておられる方、この技能を維持しあるいは継承するということが今後非常に大切な課題ではないかというふうに思っております。例えば、教える指導者が非常に足りないとかいろいろな要因がございます。  そういう意味で、私ども、今後こういう高度な熟練技能者活用とか継承をどうやっていったらいいかということを今現在検討中でございますが、例えば、全国企業等から推薦された高度熟練技能者に関する情報をある程度集積、データベース化して、それをみんなに、インターネットなりなんなりでこれを全国に提供するシステムを構築するなり、あるいはそういうシステムで登録された人たち企業内の訓練あるいは公共職業訓練の指導員として活用いただくとか、あるいはこの高度熟練技能を獲得するには相当な年月を要しますので、そういう習得プロセスの解明なり、具体的に高度熟練技能を分析して、それをみんなにわかるような形にして、秘伝と申しますか、極意書みたいなものができるんではないかというようなことで、高度熟練技能活用を図るという事業を今後積極的に展開してまいりたいというふうに考えております。
  34. 鍵田節哉

    鍵田委員 ぜひとも、特に中小企業に光を当てた高度な熟練技能者を充足していく、そういう施策を進めていただきたいと思っております。  次に、私たちもいろいろな運動を通じて、特に職業訓練にもかかわってきたわけでありますけれども、高度な熟練技能を習得するのには七年から十年ぐらいかかると言われておるわけでありますが、それと労働条件との関係、結局処遇との関係になってくるんですが、やはり今までとられてきた年功序列賃金というのは非常にそれにマッチをしておったような気がするわけなんですね。  例えば、学校を卒業した初任給から高度な熟練を身につけるまでの間の賃金カーブが年功序列賃金でやってきました。それと技能の習得との関係が非常にうまくいっておった。しかし、だんだん大量生産、規格化、単能化というふうなことでやられるようになってきましてからは、賃金体系のカーブそのものがどんどん寝てきたわけなんですが、しかし、その中にあっても、もっと高度な熟練技能というのが必要な部門もあるわけなんです。その人たちも同じようになって賃金のカーブがどんどん寝てきておるというような傾向があるわけなんです。こういう賃金カーブをどうするとか、どういう処遇をするかというのは、これは労働省の方は、こういう問題は労使間の問題だからタッチをしないんだというスタンスで今までこられました。労働条件については余りタッチしないということに過去からなっておるようでございますけれども、しかし、誘導すると言ったらなんですけれども、やはりこういう技能者に対してはこういう処遇をすることが望ましいのではないかというような考え方を打ち出したりすることが大切なのではないかなというふうに思うわけです。  先ほどから言いましたように、高度熟練技能者の処遇に対する不満が大変多いわけでございまして、それを解消するための施策として、こういう考え方もある、こういう考え方もあるというふうなことで、労働省としても一つのそういう考え方を打ち出していくということが大切なのではなかろうかなというふうに思うわけでございます。それは国として、そういう一定の基準を満たした技能労働者に対しては、何らかの手当を出していくとかいうふうな施策がとられれば一番望ましいのではなかろうかとも思うわけでございます。  もう一つ、そういうことになってきますと、高度の技能者というのは、どこの企業でも今要求があるわけで、ニーズがあるわけでございますから、雇用の流動化というふうなことも非常にやりやすいわけでございますけれども、それにマッチした一つの施策として、それにマッチしてということになるかどうか知りませんが、この二、三日、新聞各紙で報道されておりました松下電器の新給与制度の問題がございます。福利厚生の部分と退職金の部分というものを毎月、毎月というよりも年間所得の中に組み入れていって、そして生涯その企業で縛りつけておくというシステムを変えていこうというふうなことを来年度あたりから導入していこうということが、今労使間で話し合われておるということが報道されておるわけでありますけれども、これも企業にとっての一つの画期的な施策ではないかというふうに思っておるわけでありまして、今後これに追随するようなところがたくさん出てくるのではなかろうかというふうにも思うわけでございます。  さっきもお話ししましたように、こういう労働条件についての直接の介入はしないという労働省としてのお考えもあろうかと思いますけれども、そういう高度技能者に対しての処遇のあり方の問題や、また流動化に向けての松下電器の労使がとろうとされておりますこの考え方などにつきまして、何らかの見解があればひとつお出しをいただきたいというふうに思っております。
  35. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 ただいま先生から、特に熟練技能労働者中心にしました賃金のあり方、あるいは処遇のあり方、こういったことが御質問としてございました。  労働省でも、従来から賃金とかあるいは賃金制度、あるいは労働移動の実態等について調査を行っておりますが、初めに先生から御指摘ありましたように、確かに日本の賃金水準というものは、年齢と賃金との関係について見ますと、例えば十年前に比べますとカーブが相当緩やかになってきている。年齢は上がるけれども、賃金の上がり方がかつてほどそれに応じて上がっていないという傾向が、明らかに見てとれております。また、年俸制を導入する企業の割合も、特に管理職層を中心にしてこれを導入する企業の割合がふえてきている状況にあります。あるいは実力主義、結果主義、こういったことで個人の実力、能力、こういったものに着目して、従来の能力給をさらに充実する、拡充するという傾向が顕著に出てきているのが実情であろうかというふうに思っております。  ただ、労働移動の面につきましては、現在までのところは、産業計、男女計で見ますと、一つ産業企業におきます平均勤続年数が、十年前の十年三月ぐらいから、十年後の十一年三月ぐらいと少し伸びてきているのが現状ではあります。ただ、現状ではありますが、これから大きな規制緩和の動向あるいは産業経済の変革、高い付加価値を有する企業をつくっていく、こういったところで、それを担うような人材を育成するというふうなことを考えますと、この労働移動が速やかに行える、そういうシステムがいかにうまく構築されるか、こういったことが規制緩和や産業経済の構造改革のかぎを握っているというふうに思っておりますし、また、そういった動きが強くなっていくと思います。  そういった中で、技能を持った人、熟練技能を持った人が、本当にその実力を評価されながらその企業産業で能力を発揮する制度、仕組み、賃金体系、そういったものをつくっていくということが、ますますこれから重要になってくるのではないかなというふうに考えております。
  36. 鍵田節哉

    鍵田委員 それ以上のお答えをいただくわけにもまいらないというふうに思いますので、結構でございます。  それでは、具体的に今度は、短期大学の大学校化ということが今回の改正で図られるわけでありますが、全国で十カ所程度ブロック化をしていこうということでございますけれども、例えば各地方の今二十六ある短大、それぞれ綱引きが起こってくるような気もするわけでございますけれども、これらの大学校化を目指す場所の選定などにつきまして、どのような基準によって行われるのでしょうか。例えば、短大が幾つかある中から、中小企業でありますとか基盤的な技術が集積しておるような、そういう地域を選定するとかいろいろな基準があろうかと思いますが、それらについて今お考えになっておることにつきまして、お答えをいただきたいと思います。
  37. 山中秀樹

    山中政府委員 大学校化をどんな形で具体的に選定していくかという点でございますが、ブロック単位で、今二十六ありますのを約半数程度ということで、ブロックごとに拠点校として大学校に改組していこうというふうに考えておりますが、その関係で特に、今先生指摘のありましたように、今現在あります短期大学校の立地条件なり、あるいは先生がおっしゃいましたように、産業の集積度、あるいは労働力人口等々の産業のニーズなり、あるいは地域のニーズ等々を総合的に勘案して、今後早急に具体的な基準づくりに着手いたしたいというふうに考えております。
  38. 鍵田節哉

    鍵田委員 ぜひともその辺では、情報公開の時代でもございますので、いろいろな各界の意見を聞きながら、ひとつやっていただきたいと思います。  それで、短大につきましては地方公共団体も開設できるということになっておりまして、今三校ほど都道府県でやっておられるところがあるわけでありますが、この都道府県でやられる短大と雇用促進事業団でやられるところとの助成などが違うのかどうか。同じなのか違うのかというふうなことについて、お答えいただきたいと思います。
  39. 山中秀樹

    山中政府委員 職業能力開発短期大学校、現在、国は二十六校設置いたしておりますし、都道府県につきましては三校に、今年度岩手と熊本で新たに設定されまして、この間開校したところでございますが、現在、合計五校ございます。  それで、どういう形で、財政的措置はどんなふうに異なるかという御質問でございますが、まず、国につきましては、雇用促進事業団設置運営を行うということから、雇用促進事業団出資金により施設設備費を出しておりますし、運営については運営費交付金ということで支出をいたしております。  都道府県の場合につきましては、私ども全国的な能力開発状況地域的な状況等を勘案して設置について認可する、こんな形になっております。必要な経費につきましては、職業能力開発校設備整備費等補助金によりまして、施設設備につきましては都道府県が設置する場合は二分の一を補助いたしておりますし、運営費につきましても、雇用労働者数等客観的な指数に基づきまして定額を補助するという形で、交付金を都道府県に交付しているところでございます。  なお現在、都道府県立につきまして、九年度の予算については、設備整備費等補助金については約九億九千五百万、それで運営費の交付金については約十五億を措置いたしております。
  40. 鍵田節哉

    鍵田委員 時短促進法の精神にのっとって効率よくやらないと時間がなくなってまいりましたけれども、ちょっと質問の順番を変えたいと思います。  ホワイトカラーの、言うたら再就職能力というのですか、そういうものをどのように上げていくのか。労働省の方も、このホワイトカラー職業能力を高めていこうということで、そういうシステムを構築しようという考え方を持っておられるようでありますが、実は私も、合理化とか、それから倒産した会社などで再就職のお世話をするのに、技能労働者というのは割合どこにでもニーズがあるのですが、ホワイトカラーだけは、その能力の判定が非常に難しいものですから、いつも最後まで残るわけなんですね。ですから、この人はこういう能力を持っていますよということを判定するような、やはりそういうシステムというものをぜひとも構築をしていただいて、ホワイトカラーの方も、この流動化に対応できるような能力を身につけるというシステムをつくっていただきたいと思うのですが、それについてお答えいただきたい。
  41. 山中秀樹

    山中政府委員 先生指摘のように、ホワイトカラーにつきまして、最近、産業構造変化に伴いまして、職務の内容と申しますか、それが非常に専門化、高度化しているという状況にあります。そういう意味で、ホワイトカラー職業能力が客観的に評価され、企業における処遇改善なり、あるいは先生の御指摘の、再就職の際の客観的評価ということで再就職に結びつくような形での能力評価制度というのをこれから充実していかなければならないのではないかと私ども思っております。  そういう意味で、先生御承知かと思いますが、ビジネスキャリア制度ということで、今現在、専門知識を体系化、段階化しまして、十分野まで拡大しようといたしておりますが、そういう段階的、体系的な能力評価ができるような形での修了認定試験等を行って、客観的に評価される制度を今動かしているわけですが、これが、もっと実際に民間企業等々で御利用いただいて、今後、労働力が流動化する場合の再就職の際の客観的評価として社会に定着していくということが非常に大切なことじゃないかというふうに思っておりますので、そういう点から、これから施策を積極的にやっていきたいというふうに思っております。
  42. 鍵田節哉

    鍵田委員 ぜひとも早急にやっていただきたいというふうに思っております。  それでは、次に、各短大には推進協議会というのをつくっておられるというふうに聞いております。実は私の友人も大阪の方でそういうことをやっておる、御本人と話したわけではないのですけれども、何か名簿に載っておりましたので、ああ、やっているんだな、こう思っておりますが、実はこれの実態につきましては、何か各界の人たちが、労働界や経済界の方も参加をしてやられておるのですけれども、年一回ぐらいしか開催をされないようでありますし、実際に、言うたら民間の皆さんの声が本当にどのように反映をしておるのか。  先ほどもちょっとこちらで話をしておったんですが、大学そのものの存在もなかなか知らない人が地元にも多い。実は泉州地域大学をと言って運動しておった私自身が最近までこの岸和田に短大があるというのは知らなかったわけでありまして、岸和田の人も知らない人が多い。実は、ナビゲーションシステムございますね、あれにこの短大が載っておらないようでありますので、一度調べていただければというふうに思うのですけれども、事ほどさように、短大の存在が何かこうもうひとつ社会的にはっきりしておらないというふうなことがあるようでございます。  やはりこれらを形骸化させないで、そして民間の声もこの短大の運営にひとつ反映をされるような、そういう施策をとっていただきたいというふうに思いますし、また、学校の立地にしましても、大変便利の悪いところにあるというふうにも聞いておりまして、何か、通学をするのにバスが出るのですが、そのバスの頻度も非常に少ないし、何といいますか、バスが通行するのに、その学校でかどうかは知りませんが、ガードマンを置いて誘導をしたりなんかしないとそのバスもなかなか通れないというふうな、そんなところにあるようでございますので、ぜひともそういうものも改善をしていただきたいというふうに思います。  今の問題にひとつお答えをいただきたいと思います。
  43. 山中秀樹

    山中政府委員 能力開発施設、私どもで設置いたしております開発施設で、先生指摘のように、地域事業主団体あるいは労働組合あるいは関係行政機関を構成員とする運営協議会を設置して、労使のニーズ、訓練に対するニーズ等々を聞いておるという状況にあるのは御指摘のとおりであります。  それで、非常に公共職業訓練施設の知名度がないのじゃないかという御指摘でございますが、私どもも、こういういいことをやっているのだということを、学校関係者の皆さんやあるいは事業主の皆さん、あるいは地域住民の皆さん方に何とか知らせる手段、例えば地域住民の方に施設の開放を行ったりして何とか知名度を上げるように努力いたしております。今インターネットにも入れて、何とか知名度向上について努力いたしておるという状況でございます。  第二の御指摘の場所的な点、まだ具体的に私、今承知いたしておりませんが、早速調べたいというふうに思います。
  44. 鍵田節哉

    鍵田委員 時間が来ておるのですけれども、あと二、三分ちょっと時間をいただいて、吉田議員にも了解をいただきましたので。  公的職業訓練での女子の入校状況、二二・八%というふうなことで、これは短大の場合で聞いておるのですけれども、これは高いのか低いのか。これから女性もどんどん職場に進出をしてくる、均等法というよりも平等法だというふうな時代でございますので、やはり女子の入学ということももっと高めていくということが大切だというふうに思いますし、もう一つは、やはり高齢化社会の中で高齢者の方の活用ということも大切なのではなかろうか。特に、今六十歳定年が一般的でありますけれども、六十五歳程度までの雇用の確保なども必要なのではなかろうかというふうにも思いますので、これらについてひとつお考えをいただきたいということが一点。  それからもう一つ、実は雇用促進事業団が行革の対象になっておるようで、そういう議論が今進んでおるようでございますけれども、事業団そのものとして、全体として確かにそういうことになるのは、これは時代の趨勢としてやむを得ないのじゃないかというふうに思うわけでありますが、特に職業訓練に関しましては、先ほどから何度も申し上げておりますように、国家のやはり戦略として非常に重要な、むしろ今の職業訓練のあり方よりも、もっと国家としての戦略として全面的にそういう職業訓練に取り組んでいただきたい、こういうことを考えますと、やはりこれは公的な機関での職業訓練を強化していく、こういう視点でぜひとも取り組んでいただきたいというふうに思っております。  今の二点についてお考えをいただいて、終わりたいと思います。
  45. 岡野裕

    岡野国務大臣 前段の、先生おっしゃいました女子の入校率はいかん、これは政府委員をして答えさせようと思いますが、雇用促進事業団の言いますならば見直しについて、私からお答えをいたします。  雇用促進事業団見直します。住宅とか福祉、これからは撤退をすることあるべし、しかしながら、職業訓練についてはより一層充実をする方向で頑張ってまいりたいと思っておりますので、よろしく御協力を賜ります。
  46. 山中秀樹

    山中政府委員 女子の公共職業能力開発施設への入学者の比率を若干申し上げますと、平成七年度の入校者に占める女子の比率は、離転職者では四三・三%、新規学卒では二〇・九%となっておりますが、それぞれ十年前と比較すると着実に上昇はしてきております。  今後、その女性の職域拡大を図るという観点もありますので、特にこの女子の入校生がどんどんふえるように周知、啓蒙活動を図ってまいりたいというふうに考えております。
  47. 鍵田節哉

    鍵田委員 では質問を終わります。ありがとうございました。
  48. 青山丘

    青山委員長 次に、吉田治君。
  49. 吉田治

    ○吉田(治)委員 平成八年度版の労働白書の分析では、「労働の質が高い業種ほど、付加価値生産性が高くなっている。」また、「教育訓練に積極的に取り組んでいる業種ほど労働生産性上昇率が高い。」という結果が得られております。労働力の質と生産性という部分、特に今時、日本の国際競争というふうな中で、ともすれば、経営者というか世間の目というか学者の目というか、さまざまな論評はコストばかりに目が行っている。いわく、日本のコストは世界一だと。特に、働く人の賃金は世界でトップ水準だという議論がなされております。  その中においてよく言われておりますのは、それを下げるという方向、またその数を減らすという方向。しかしながら、これを言われておりましたのは、一ドルが八十円、九十円、まさに百円時代。大手企業でしたら、大体今は一ドル九十円体制でこの国際競争のためのコスト改革、コスト意識、コストのための会社運営をしているというふうに聞いております。  私は、ここで忘れてはならないのは、我が国の人的資本というふうなこの資本の蓄積が、企業の本当の意味での労働生産性の高い基盤となって「高い経済成長を実現するために大きく寄与してきた」というふうにまたこの労働白書でも述べられておりますが、まさに私はそのとおりと。お金の部分ばかりが非常に目についていると、では、今一ドル百二十六円、七円になってきた時代において日本の賃金は世界よりも高いと言えるのかどうか。また、これが百五十円、百六十円にもしもなった場合に、よく言われておりますように、日本の為替のマジックというやつでいくと百四十四円か百四十五円が一つの目安だと言われております。もしもそうなった場合に、果たして日本労働コストというものが非常に高いと言えるのかどうかなというところではないかと思います。  また、経済成長率の鈍化、国際競争の激化等、経済環境が急速に変化する中で、一方では産業職業構造の転換、また技術革新、情報化というのがやはり別の面としては進展しているというのは御承知のとおりだと思うのです。労働力のコストが高い高いと言う反面、労働力というもの、労働に求められる質というふうなものがかつてないほど高いものであり、かつ、今までとは違うものを求められている。まさに、国際競争において、コストと質という部分での質の部分をどう図っていくか、どう高めていくかというのが、今後の日本経済の世界で生き抜く、また勝ち抜く一つの方策だと思うのですけれども、特に、失業なき労働移動の実現のために能力開発面の施策というのは非常に重要であると考えますけれども、今の認識を踏まえて、大臣の方から、この能力開発の施策の重要性について、初めに御見解を賜りたいと思います。
  50. 岡野裕

    岡野国務大臣 戦後五十年になりましたが、日本の今日における産業経済の発展、これは目をみはるものがありますが、その基本は労働力であったと存じております。  そうして、企業というものは、御存じのとおり、人、金、物、これが三位一体で動くわけでありますが、人以外の金も物も、人間、人がつくったものであります。そういう意味合いで、人、労働力、その質、これの今後の維持発展は新しい産業構造改革の中でも基本的な役割を占めるものだ、そういう意味合いで本法を提案し、先生方の御審議をいただきたい、こう思った次第であります。
  51. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その中で第六次職業能力開発基本計画というものが昨年二月に策定をされ、昨年度から五年間の計画でされております。さまざまありますけれども、今般は、この中の一つで、職業能力開発短期大学校等についてのことですけれども、この能力開発基本計画、五年間でどういうことを具体的にされていこうとするのか。それが、今大臣のお言葉、また私の質問にもありましたように、国際競争というものでどれほど大きなウエートを占めていくものかということを手短に御説明をお願いしたいと思います。
  52. 山中秀樹

    山中政府委員 第六次職業能力開発基本計画、昨年二月に策定いたしました。御指摘のとおり、我が国における国際化の進展等を背景とした社会経済産業構造変化対応するため、副題として、各人の個性を生かしつつ経済社会変化に的確な対応を図る職業能力開発の実現を目指すということで、五つの柱を立てましてこの課題対応いたしたいというふうに思っております。  特に今回、法律改正につきましては、個人主導による取り組みを促進して労働者の個性を生かす職業能力開発の展開、あるいは、人材高度化を図るために職業能力開発の推進体制の整備ということで今回法律案を提案させていただいております。  今後、この五つの柱の具体化を図るということで、総合的なかつ積極的な能力開発の展開を図ってまいりたい、かように考えております。
  53. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その中で、新規産業の創出という形で、国で十数項、これが先に伸びる産業だよという形で、新産業の創出という形でよく言われております。資金面でもバックアップをするという中において、人材面、特に移動ですとか派遣ですとかを含めて人材についての育成が非常に叫ばれております。国の施策としては、建物をつくるハード、そして資金の部分、フローの部分、そして私は、人材育成というソフトがなければこれはだめだと考えておりますし、よく言われておりますように、新産業という福祉の分野においては非常にこの人材育成というのがおくれている。国においても、ゴールドプラン、新ゴールドプラン等々、間にスキャンダルはあったとしましても、確実に建物はふえていっていますけれども、そこで働く人が足らないということも一面では叫ばれておるところですけれども、そういうことを含めて、新産業の創出と人材育成の必要性、また、これに対して第六次の基本計画等ございますけれども、どう対応していくのか。この辺の御説明を賜りたいと思います。
  54. 山中秀樹

    山中政府委員 先ほど御説明申し上げたこの五つの柱で能力開発対策を推進したいと考えておりますが、特に製造業が集積している地域における新産業創出のための必要な人材育成ということで、私ども、今回、地域人材育成総合プロジェクト事業地域で自主的な取り組みを支援するという事業実施いたしたいと考えておりますし、先般御議論いただきました地域雇用開発促進法に基づきまして、雇用対策とも十分連携をとって総合的な施策を展開いたしますとともに、今国会に法案を提出いたしました、高付加価値化、新分野展開、新規産業創出という、これを担う人材の育成という方向での法改正を提案させていただいておるところでございます。それに基づきまして施策を展開いたしたい、こういうふうに思っております。
  55. 吉田治

    ○吉田(治)委員 何か一つ、具体的にありますか。
  56. 山中秀樹

    山中政府委員 先ほど申し上げましたように、地域人材育成総合プロジェクト、これは具体的に都道府県に補助をする制度でございますが、人材育成に関係する経済団体に対して、技能人材育成事業、例えば集積をされた地域での必要な人材育成なりをする事業、あるいは人材育成シンポジウムを開催したり、あるいは技能体験教室などで若い人たち技能が大切であるという事業等々、いろいろな事業を行った場合に助成する。こういう地域人材育成総合プロジェクトを中心に、そういう地域での人材育成に努めてまいりたいというふうに考えております。
  57. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そういう中で、能力開発施策というふうなことが必要になってくるわけですけれども、職業能力開発というのはまずどういう性質のものだという認識。そして、今非常に叫ばれておりますように、同僚議員の質問にも多分あったと思いますけれども、官と民の役割というもの、どちらが主体的役割を担うということなのか。そして、国の施策としての職業能力開発の位置づけにおいて、官民の役割分担というものはどういうものか。民が担う部分政府が施策として行う部分というふうなものがやはりそれぞれ両方あると思うのですね。それぞれが相まってうまく能力開発というものができると思うのですけれども、この三点、お答えを賜りたい。特に、海外との比較において日本はどうなのかという部分も踏まえてお答えをしていただきたいと思います。
  58. 岡野裕

    岡野国務大臣 三点目の民と官の役割について最初に私の方から答えまして、あと政府委員、こう思います。  官と民、例えば職能関係学校も専修学校等あまたあるわけでありますが、やはり鍵田先生おっしゃいました物づくりが重要だというような面からしますと、今、数あるそういう専修学校等で技能技術を教えるものは一四%であります。つまり、初期的投資が、機械その他購入をしなければいけませんので採算がいません。したがって、民のできない技術技能面は国がやるべきである。特に、民は最後は利潤の追求であります。したがって、競争場裏の中で極めて合理的で、能率は上がります。しかし、方向が間違ったならばこれは後に取り返しができないことになります。しかし、国がやりますのは利潤追求ではなくて国民のためでありますので、そういう意味合いで民の足らざるところを官で補おう。我々の職能関係についても同じであるということであります。
  59. 山中秀樹

    山中政府委員 職業能力開発につきましては、基本的に、その事業主雇用する労働者に対して能力開発を行うというのがまず第一義的にあります。それに対して、国は、それが助長できるように奨励する措置、支援する措置を講ずるという形で現在行っております。それで、特に国、都道府県は、必要な人材育成をするために、物づくりを担う技能労働者、あるいは能力開発の資金面等々でなかなか難しい中小企業労働者、あるいは離転職者に対するなど、企業民間教育訓練施設では十分職業訓練が行われない場合に公共職業訓練実施する、こういう考え方で行っております。  具体的には、雇用対策の柱である失業者に対する無料の職業訓練や、あるいは中小企業のための低料金の在職者訓練などは、民間では採算のとれない職業訓練ということでありますし、特に投資に見合う収益が期待できなくて経営的に成り立たない、相当な高額の設備投資を要する生産関係職業訓練、あるいは民間教育訓練施設では十分な教育訓練機会が提供されていない地方都市等の訓練などは、国が全国的なネットワークを通じて実施する、こんなような役割分担をいたしております。
  60. 吉田治

    ○吉田(治)委員 まさに設備投資という部分、また設備投資をかけるということは、特に私は中小企業人材育成というものに対して、国は積極的に施策をするということで考えてよろしいのですか。
  61. 山中秀樹

    山中政府委員 中小企業は、資金面、人的面で、みずからで職業訓練を行うということは非常に難しいということで、公共がそれを補う、補完するという関係にございます。
  62. 吉田治

    ○吉田(治)委員 非常に高額な設備投資をあちらこちらでされているのはよく存じております。ただ、後ほどの質問でも申し上げたいと思うのですけれども、せっかくお金をかけるのであれば、生産に直結しているとか、地域ニーズまた企業ニーズ、民間ニーズにマッチしたもの。どうもお役所の体質というのですか、学校といっても一つのお役所みたいなものでございますから、一つ機械を入れる、一つコースをつくる、一つの指導員の先生を入れると、途中でいろいろなニーズが変わってくる、そういうふうな中でも、だらだらと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、途中で見直しをやるのでしょうけれども、大きな見直しがなかなか難しいというのが現実ではないかな。その辺の見直しをもっとてきぱきとしていただきたい。官と民の違いの中で、大臣等々皆さん言われることはもっともなんですけれども、官と民の違いの大きなところは、そこがすぱっとダイレクトに、ドラスチックに変えられるかどうかということではないかな、そういうふうにこれがなっていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。  また、もう一点聞かせていただきたいのは、職業訓練において国が担う役割、そして地方が担う役割というのは、やはり役割分担があると思うのです。特に諸外国、例えばアメリカの例でございましたら、では連邦政府訓練をするかといったら、ほとんどこれはされておりません。各州政府が、各州の地域性、また地域ニーズに基づいてさまざまな職業訓練をされております。まさに各州政府の一番の大きなスローガンというのは、いかに州内での雇用をふやすか、これが各州知事の大きなスローガンでもあり、政策的な、また政治的な任務でもあるというふうに聞いております。  その中において、国と地方の役割分担、特に今回は、後ほど質問しようかと思ったんですけれども、十ブロックに職業能力開発大学校という形で分けていく。そうしますと、その中で短大というふうなものは地方で独自にやらなければならないというふうな形になってきましたときに、現状で地方が短期大学を三つほどやっているという中で、果たして地方が短期大学をやるという意識が芽生えるのか、やろうという気になるのかどうかということもあると思うのですけれども、その辺を含めて、国と地方の役割分担というふうなものについてどうお考えで、どういうふうになされていくのか、お答えをください。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  63. 山中秀樹

    山中政府委員 職業能力開発についての国と地方の役割分担についてでございますが、国は、雇用対策あるいは人材育成対策として、全国にわたります労働力需給の動向に対応した離転職者訓練、あるいは中小企業中心とする在職者訓練、あるいは技術革新に対応した高度な職業訓練実施するとともに、職業訓練指導員の養成を行う訓練なり、あるいは職業訓練に関する訓練技法の開発、教材の開発等々の調査研究実施いたしております。  他方、都道府県につきましては、職業能力開発校設置して、地域のニーズに応じた、都道府県の特色を生かした、地方の特色を生かしながら、中高卒者に対する基礎的な職業訓練実施するとともに、地域に必要な離転職者訓練なり在職者訓練を現在実施いたしておるところでございます。そんなような形で、国及び都道府県が両々相まって、職業訓練施策を展開いたしておるところでございます。  具体的に、職業能力開発短期大学校につきましては、現在都道府県で今まで三つ設置されておりまして、今回九年度から二つ開校いたしておりますし、今後まだ地方によっては開校したいという要望もございます。そんな形で、地方に今後この短期大学校設置されるよう、いろいろな形での支援を行って設置促進に努めたいというふうに考えております。
  64. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今言われた、国の方では指導員、カリキュラムということなんですけれども、先ほども申し上げました、まず最初に、質問予定していたのと前後するかもしれませんけれども、職業能力開発短大が大学校、また今の能開大が総合学校になっていく、その中においてカリキュラムというふうなもの、これはこれから策定をされるのでありましょうけれども、カリキュラムというのは、一度つくって、多分それぞれ幅を持たせて地域ニーズに合わせてということになるかもしれないのですけれども、カリキュラムの今後の、一度つくったものの見直しというのはどれくらいの期間を置いて見直しをされていくのか。  また、指導員という形で今言われました、国のやることにおいては指導員訓練だ。総合学校にすることによって指導員の育成もすると思いますけれども、私は、その指導員の方が、一度指導員になりますとずっと同じことを未来永劫やるのかなというふうな漠然とした危惧も持っております。これだけの世の中、また技術進展、発達、開発の中において、カリキュラム、指導員というのはいわばこの職業能力開発の命だと私は思うのですけれども、それを絶えず見直していく。できれば指導員の方に関しては、常勤で一度やったことをそのままずっと未来永劫続けるのではなくて、絶えず、例えば総合学校に戻って新しいアップ・ツー・デートな技術を、また技能を手に入れる。それが可能でないならば、大胆に私は非常勤の指導員という方を広く民間から、またさまざまな研究機関からどんどん入れていくということが必要だと思うのです。  このカリキュラムと指導員、地域での特性ということもあると思いますけれども、それについて、今後この大学校なり総合学校設置されていく過程、また設置されていった上でどういうふうに見直し、手直し、進展をしていくのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  65. 山中秀樹

    山中政府委員 この訓練校におけるカリキュラムについてでございますが、先生のおっしゃるとおり、やはり技術革新、時代変化対応してカリキュラムを編成していくというのが基本的に大切なことだというふうに思っております。  私ども、このカリキュラムについては、全部ではございませんが、必要に応じて毎年見直しを図っておるところでございます。今後とも、そういう時代変化というのですか、産業構造変化が激しいときでございますので、どんどんこのカリキュラムがフレキシブルになるように、ニーズに応じたものになるように見直しを図ってまいりたいというふうに考えております。  第二の指導員の関係でございますが、先生おっしゃるとおりだと思います。私ども、職業訓練学校で現在職業訓練指導員を養成いたしておりますが、と同時に、研修課程もつくっておりまして、年間延べで約一千人ぐらいを職業能力開発大学校で再研修、研修を行って、新しい技術技能対応した職業訓練の指導ができるような形での訓練なりを行っているところでございます。  御提案の、思い切って民間企業の人をむしろ入れるなりする必要があるではないかということでございますが、私ども、この産業構造変化対応した最近の知識及び技術技能民間から導入する必要があるというふうに考えておりまして、民間からの研究者なりあるいは技術者、高度熟練技能者等の社会人が指導員として私どもの訓練施設で活躍いただけるようなことを考えておりますし、と同時に、私どもの指導員が一定期間民間のところの現場を踏んでいただくということも、これからさまざまな方法でそういう変化対応した形での職業訓練ができるように、指導員の養成なり活用なり、民間の力をかりた形での活用なりを積極的に考えていきたいというふうに思っております。
  66. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その指導員の訓練なんです。指導員に対する訓練なんですけれども、総合学校においてその指導員を教える方の今度は講師陣、こういう人はどういう人を考えているのか。また、科目や時間というのは現状に比べてどう充実されていくのかということを具体的に聞かせていただきたいのと同時に、指導員の訓練修了者に対してどのような評価があるのか。具体的に言いますと、何か資格が与えられるのかどうか。私は、よりよい人材が、その教える方の人が集まるということにも、この評価がさまざま与えられるようなバックアップ体制が必要だと思うのですけれども、労働省は、その辺はどういうふうに今お考えになられているのですか。
  67. 山中秀樹

    山中政府委員 職業訓練の指導員の資質の向上というのは、今回大学校化を図る上においても非常に重要な、今後これがうまく回っていく上で重要なキーポイントとなるというふうに考えております。  現在、この職業訓練学校を卒業した人たちに対する資格関係でございますが、職業訓練学校長期課程、四年の大学に相当する課程を卒業された方には学位授与機構から学位資格が与えられますし、その上に研究課程を、これは大学院に相当する課程をつくっておりますが、そこは修士課程ということで修士の称号と申しますか学位を授与できる、こういう形になっております。  今後とも、そういう教える先生の資質の向上ということで、その辺の授業内容なりをもう少し精査して、新しい、質の高い訓練ができるように考えていきたいというふうに思っております。
  68. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いや、だからその指導員を教える講師の方というのは、例えばどういう方がいらっしゃいますか。
  69. 山中秀樹

    山中政府委員 失礼しました。  訓練学校で教える先生ですが、今ちょっと統計的に持っておりませんが、大学先生、教授クラス、助教授クラス、助手クラス等々の方が実際に先生として指導員を教えている、こんなような状況であります。
  70. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それは常勤の方なんですか、それとも非常勤なんですか。
  71. 山中秀樹

    山中政府委員 常勤、非常勤、両方でございます。
  72. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その辺はまた後日議論をさせていただきたいと思います。  では、同じように、資格という部分でいきますと、今度、職業能力開発短期大学が大学校化になっていくという中において、やはり入られた学生というのですか、入られた生徒の方が卒業したときにどういう資格がもらえるのかなというのが一つは非常に大きなその魅力でもありますし、出たけれどもそこを出ただけというふうな形になるのかどうか、その辺というのは大切だと思うのです。  まず、文部省の方に、大学校資格というもの、学位授与機構というふうなものについての御見解。それから、労働省として、この新しく大学校化していった場合に、その卒業生に対して、一つ学位というふうなものをつけた方がいいのかどうか。私は、二つ意見があると思うのです。学位を与えるという方向によって学士号であるとか修士号を出すという方向も一つ必要だと思いますし、それとは全然別個の、例えばドイツで言われているマイスターというふうな称号であるとか、広くこれから世間に認められようとするような、そういう称号を別個大学校化の中でつくっていく必要性があると私も思うのですけれども、その辺、労働省はどういうふうにお考えになられるのか。それぞれお答えをちょうだいしたいと思います。
  73. 早田憲治

    早田説明員 お答えいたします。  各省設置しております大学校は、各省庁の特定行政目的のための教育訓練等を行う機関として設置されているものでございまして、これらの施設は、「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」これが学校教育法第五十二条で大学の「目的」として掲げられておりますけれども、こういう大学とは趣旨目的、使命を異にするものでございます。しかし、平成三年度から、各省設置しております大学校、十七校現在ございますが、そのうち、大学あるいは大学院と同等の水準の教育を組織的、体系的に行っていると認められるもの六校を修了した者に対しましては、その履修の成果が社会的に適切に評価されるようにするということのために、学位授与機構学位を授与するという制度が創設されたところでございます。  この制度によります学位授与の手続といたしましては、まず学位授与機構各省の大学校の申し出に基づきまして、当該課程教育課程、修了要件、教育組織などを審査の上に、「大学又は大学院に相当する教育を行うと認めるもの」に該当するかどうかについて、専門的な判断に基づいて認定を行うことになっておりまして、現在、学部レベルにつきましては、防衛大学校でございますとか、職業能力開発大学校など六大学校の六つの課程が認定されているところでございます。その上で、学位授与機構は認定課程を修了した者からの申請を受けまして、学位授与機構の専任教員あるいは国公私立大学の教員など、大学関係者による専門的な審査等を行いまして、学位を授与することになっております。  こうして各省の大学校を修了した上で、学位授与機構から学位を得た方々でございますが、平成九年四月現在までの累計で、学士が五千三百二十五名、修士が四百四十名、博士が七十九名ということになっております。文部省といたしましては、学位授与機構による学位授与が今後とも円滑に行われ、各省の大学校等における学習の成果が社会的に適正に評価されることを期待しているところでございます。
  74. 山中秀樹

    山中政府委員 私ども、今回の改正により設けます職業能力開発総合学校は、現行短期大学校の行う訓練に加えて、二年のより高度な訓練実施するということからして、その修了生については、大学並みの能力評価あるいは資格付与がなされるよう配慮する必要があるというふうに考えております。  具体的に、国家公務員の採用Ⅰ種の資格が今現在、職業能力開発大学校では付与されておりますが、その他さまざまな資格が付与されております。そういうものを状況に応じて付与できるよう配慮していきたいと思いますし、学位の授与につきましても、今後、学位授与機構を所管する文部省にも前向に相談して検討してまいりたいというふうに思っております。
  75. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今言われたような形で、学位というだけじゃなくて、別のものも私は、そういうものを認めさせていく評価というものも必要だと思うのです。  では、この十ブロックに大学校化を分けていくという中で、具体的にどういうふうに分けていくのかということをお聞かせいただきたい、今後のスケジュールも含めて。  蛇足な話になるかもしれませんが、さきの選挙が終わった後、自民党さんが、新進党の勝ったところに対しては予算もつけぬとかつけるとかいう話をしていく中で、例えば、現在、短大がある中の市で、その市政をどの党が握っているのか、中には共産党的な市政があるところもあるやに聞いておりますし、果たしてそういうところの学校をそのままするのかどうか、自民党的発想からしたらその辺も考えていかれるのかなと思うのですけれども、その辺の十ブロック程度というふうな配置の仕方、スケジュールについてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  76. 山中秀樹

    山中政府委員 二十六の短期大学校を大学校化を図るということで、十ブロック程度、今考えております。具体的なブロック、あるいは細かいスケジュールにつきましては、現在あります職業能力開発短期大学校の立地条件なり、あるいは産業の集積度、労働力人口等々、産業のニーズなり、あるいは地域のニーズに応じて総合的に勘案して決定すべきものだというふうに考えておりまして、今後具体的な基準について検討してまいりたいというふうに考えております。
  77. 吉田治

    ○吉田(治)委員 この法案を出されてやられるのはいいのですけれども、何か具体的なものは後ほど後ほどというと、国会の委員会審議というのですか、運営というのは、これは何なのかなという基本的な認識というのに私は立ち返るのです。このごろ非常にこういう法案審議がちょっと多過ぎるのじゃないかな。法案だけは、何か与野党が通りやすいような法案を出して、後は私たちにお任せ、これがまさに霞が関の支配かなというふうな、私は今の局長の答弁を聞きますと非常にそれを感じて、きつい野党時代でしたら、これで質問しないと言うのですけれども、そういうわけにもまいりませんので、あとを続けさせていただきます。  この能力大学校化していく中において、現実に進められているのですけれども、職業能力開発行政の大きな柱の一つ国際協力というふうなものがある。現実に、開発学校また短期大学校も外国人留学生をたくさん受け入れられている。本来は、国の主に中小企業人材育成のために必要だと思うのですけれども、別途、海外からもさまざまな機会を持って、日本にそういう人材育成というものをする必要もある。語学の問題があるかもしれませんけれども、これが大学校化になっていくことによって、どう進められていくのか、どういうふうに計画を持たれているのかということ。  そして二点目は、今度は、日本の例えば中小企業も海外へたくさん出ていられる。そうしますと、何も人材というのは国内だけの人材ではなくて、日本から海外に出ていって、また海外での人材育成ということも必要になってきますと、政府間の技術協力の中で、指導員の方々、そういう技術者の方々が海外へ指導員として出ていかれますけれども、例えば、この職業能力学校化する中で、その指導員の方を海外へ出して、日本中小企業のその働くところの現場、多分海外でしたら、アジアでしたら、日本人向けといったら語弊がありますけれども、大体工業団地みたいなのができている、日本中小企業はたくさん出ていっている、そこでもやはり職業能力開発の必要性があるのであれば、日本からもそういう人を出していく、指導員も出していくという必要性があると思うのですけれども、この二点について、大学校化にしていく中で、議論、また検討されていくのでしょうか。
  78. 山中秀樹

    山中政府委員 現在、外国人留学生につきまして、職業能力開発短期大学校への受け入れ平成七年度より実施いたしております。短大において二年の専門課程を修了する、こういう形になっておりまして、これは将来の東南アジア諸国の産業構造高度化に寄与し得る人材を育成することを目的として実施いたしておりまして、短大が大学校化された後も、引き続き専門課程二年への留学生受け入れを継続してまいりたいというふうに思っております。また、四年課程、大学校化された場合の留学生受け入れにつきましても、まだ現在、短大の留学生第一期生が平成十一年三月に卒業を予定されておりますので、今後の卒業生の活動状況なり、あるいは関係各国の意向等を踏まえて検討することといたしたいというふうに思っております。  また、私ども、国際協力という形で、雇用促進事業団職業訓練指導員、私ども、海外での職業訓練に関するノウハウなり豊かな国際経験を有する指導員が多くおりますので、現在、JICAとの連携により、開発途上国に対して、昭和三十六年以来、技能労働者育成のための海外の職業能力開発施設設置運営に携わっております。  具体的に申しますと、現在まで四十五カ国九十三カ所に対して四百名を派遣しておりますし、短期のものについては三百三十人を派遣いたしております。現在、私ども、雇用促進事業団の長期派遣専門家として、二十三カ国に四十六人を派遣いたしております。私ども、大学校化の後も、引き続き国際協力を図るという観点から、積極的にこの事業を展開いたしたいというふうに考えております。
  79. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今はずっと職業能力開発大学校についての話なんですけれども、これはどちらかというと、大臣も言われたように、物をつくるという方向なんですけれども、今現実に問題になっているのはホワイトカラーの問題でございますね。  ホワイトカラーの生産性が低いであるとか、非常に過剰性があるというふうに言われております。安定局長、来ていただいておりますので、ホワイトカラーのこういう過剰感というのですか、生産性の問題についてまずお答えいただくと同時に、では、このホワイトカラー能力開発というふうなもの、これをどういうふうに進めていくのか。物をつくる現場でしたら、新しい機械が入り、手で技術を覚えるのですけれども、ホワイトカラーというのはどちらかというと、頭を使うといったら悪いのですけれども、足で歩いて頭を使うという中で、ビジネスキャリア制度とかをつくられるということですけれども、一点目は、今言いましたように、ホワイトカラーの評価制度であるとか、生産性、過劇性というもの。そして二点目は、このホワイトカラー能力開発について現状どうされているのか、これからどういうふうにしていくのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  80. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 ただいま御指摘ホワイトカラー、いわゆるホワイトカラー労働者でございますが、これは定義が必ずしもはっきりいたしませんけれども、職業分類別に見ますと、経営管理者あるいは技術者あるいは販売の職業、事務の職業、そんなグループがホワイトカラーと言われている方々であろうかというふうに思います。  御指摘のように、そういう方々は、現在、非常に厳しい雇用情勢の中で過剰であるというふうに言われておりまして、具体的な、数量的にどのぐらい過剰かという統計は必ずしもございませんが、過去のいわゆる好況期に、企業が国際戦略の中で販売等をふやす中でホワイトカラーの採用を大幅にしてきた、そういう流れがございます。それが、今回バブルがはじけて、長期的な不況の中で、そういうところに働く方々が余剰である、こういうことでございまして、そういう観点から、こういう方についての雇用対策をどうするか、これが極めて重要課題になっておりまして、その一環として、そういう方々の再教育能力開発、そういうものも重要課題になっているというふうに考えております。
  81. 山中秀樹

    山中政府委員 まず、ホワイトカラー職業能力の評価の点でございますが、ビジネスキャリア制度を私ども実施いたしております。これは具体的には、人事・労務管理あるいは経理・財務、営業・マーケティング、生産管理等々十分野の専門的な分野に分けまして、体系的に職業能力がどの程度ついたかということを評価するシステムを現在実施いたしておりまして、上級、中級という形で分けながら、専門知識がどの程度ついたか確認するための修了認定試験を実施して、これが客観的に能力評価として社会で認められるよう、現在努力をいたしておるところでございます。  また、ホワイトカラー職業能力開発の点につきましてでございますが、先生指摘のとおり、このホワイトカラー、職務内容専門化されてきましたので、これから能力開発を行っていくことが非常に重要となってまいっております。そういう意味で、私ども今回、七月に生涯職業能力開発促進センターなるものを設置いたしまして、ホワイトカラー能力開発の先導的な役割を果たしてもらいたいということで、この七月から開議いたしたいというふうに考えております。  その中で、具体的には、産業界の参加あるいは協力を得て、産業界課題に的確に対応した教育訓練コース開発するということ、あるいは実務に精通した専門家を招聘いたしまして、先導的、モデル的な教育訓練実施しながらホワイトカラー能力開発に努めてまいりますとともに、生涯職業能力開発促進センターで培った教育訓練に関するホワイトカラーのノウハウをいろいろな形で産業界に広めていく、あるいはホワイトカラー自身に対するキャリアカウンセリング等々を行いながら、それを社会的に広めていきたいというふうに考えております。
  82. 吉田治

    ○吉田(治)委員 建物をつくられるのはいいと思うのですけれども、やはりホワイトカラーとしての付加価値というのは、自己啓発、自助努力というのが非常に大きいと思うのですね。ですから、私は、もっと財政的支援であるとか雇用保険の活用であるとか、時間とお金というものをもっとかける必要があると思います。  また、ビジネスキャリア制度というふうな制度をつくるのであれば、それの基本である中央職業能力開発協会が自民党の行革推進本部で民営化される方向とありましたけれども、そんな民営化なんかされてしまいますと、俗に言う資格商法とほとんど変わらなくなってくる。公的なものであるからこそある意味ではありがたみもあるという日本的な方向からすると、やはり民営化というのはいかがかなというふうなことも思います。  ただ、今ホワイトカラーの中で出てきましたように、特にこれは中高年の方々、大企業の中高年、手持ちの日経新聞三月十九日の記事では、中小企業の六割が大企業の中高年など要らないよというふうな話が出ております。また、少子・高齢化社会においては、中高年の雇用と同時に、高齢者教育訓練というのも非常に重要になってくると思います。  この辺についての御意見と、それから、あわせて職業能力の評価。今局長も言われましたように、社内検定であるとか技能審査、技能検定等ありますけれども、社内検定の部分がこれからの雇用の流動化の中においては、一つの評価が一つの会社でしか認められないというのではなくて、できれば、一つの評価が基本的な部分はその業界もしくは産業全体で認められていくという方向がやはり必要だと思うのですけれども、その辺の考え。  そして最後に、物づくりであろうがホワイトカラーであろうがどういうふうなものであろうが、私は、高校もしくは大学時代から現場に触れるということが大事だと思うのですね。社会へ出て初めて現場を見て、こんなはずじゃなかったというふうにして離職、転職をしていく、やめていくという例も多いと思うのです。ですから、私は、特にきょうは文部省の方に来ていただいておりますが、これは物づくり現場であろうが働く現場であろうが、日本的インターン制度というものを入れるという必要があると思うのですけれども、その辺の文部省労働省の御見解を賜り、最後に、労働行政の中における雇用促進事業団の役割、もしも廃止されたときの影響であるとか、先ほど大臣、決意を述べられましたけれども、いま一度の決意と、それから先ほど申し上げました中央職業能力開発協会の民営化について、これについては官房長も来られておりますので、その辺をあわせてまとめて御意見を賜りたいと思います。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 山中秀樹

    山中政府委員 まず、中高年齢者、なかんずく高齢者能力開発についてでございますが、申すまでもなく、人口が非常に高齢化してまいります。そういう中で高齢者の就業の場をいかに確保していくかということが非常に重要な課題となっておりますし、定年延長等々で職業生活が長くなっておりますので、中高年齢者の能力開発というのは非常に重要な課題となっております。  そういう意味から、私ども、公共訓練施設においては、高齢者に適した職種の訓練科、例えばビル管理科、造園科、家屋営繕科等々を設定し、高齢者職業訓練を受けやすいように受講機会配慮いたしておりますし、短時間就労を希望する高齢者に対してはワープロ科とか、そんなことを実施して、高齢者の再就職に結びつくような訓練実施しておるところでございます。  とりわけ高齢者の方については、高齢者はいろいろな職業経験がございます、そういう職業経験の上に能力開発を行う必要があるということで、個々の高齢者に適したオーダーメード型の訓練プログラムを作成するなりして具体的な職業訓練に入っていくという特別の、マスターコースというふうに私ども呼んでおりますが、そういうことを実施しておりますし、特に、ホワイトカラーも含めてですが、自己啓発に対して奨励できるような形で、中高年齢者について中高年齢労働者等受講奨励金をつくっておりますが、そんなことを今回拡充して、自己啓発の機会を多くしていくということに努めてまいりたいというふうに思っております。  それから、能力評価の関係、社内検定制度あるいはそういう制度についてでございますが、現在、私ども技能検定職種百三十三職種を国家の検定、国の検定ということで、客観的に評価するという形とともに、技能審査制度、技能審査の認定をいたしております。これは具体的には、事業主の団体が自主的にいろいろな形での職業能力の評価をすることを行うシステムでございますが、現在、二十三団体、二十七職種について、この業界団体が自主的に能力評価を行うという事業実施しております。最近は、特にこういうことについて非常に注目されておりまして、現在二十七職種について認定をいたしておる、こんなような状況でございます。
  84. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 中央職業能力開発協会の民間法人化の問題でございますが、現在、この協会は法律上認可法人ということで位置づけられておりますが、この協会につきましては、補助事業見直し縮減する、自前収入をふやす、こういったことで民間法人化を図っていきたいと考えているところでございます。
  85. 山中伸一

    山中説明員 お答え申し上げます。  インターンシップ制度というのは、学生が在学中に実際に企業で実習するということ、これについての産学協同のプログラムということでございます。  インターンシップ制度は、学生が自分の職業選択あるいは人生設計について具体的に考えていく上で、非常にいい効果を与えるというふうに考えております。本年一月に文部省が策定いたしました教育改革プログラム、ここにおきましても、積極的な導入を図るという方向を示しておりまして、今後文部省といたしましても、インターンシップ制度の導入のための方策等について、積極的に検討していきたいと考えております。
  86. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 インターンシップ制度につきましては、労働省としても非常に効果のある制度であるというふうに考えておりまして、そのあり方について早急に検討を始めたいと考えております。
  87. 岡野裕

    岡野国務大臣 労働省傘下の各種特殊法人、認可法人等の見直しにつきましては、目下自民党と話をしておりまして、まだ与党三党ともあるいは政府筋とも話が詰まっておりません。
  88. 吉田治

    ○吉田(治)委員 もう終わりますけれども、職業能力開発一つにしても、やはり社会の動きだとか人生だとかいろいろ入ってきますので、しっかりとしていただくと同時に、委員会質疑、もっと審議が円滑にできるように、もっと具体的なものをこれからも出していただきますことを切に望みまして、質問を終わります。
  89. 青山丘

    青山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十九分開議
  90. 青山丘

    青山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岩田順介君。
  91. 岩田順介

    ○岩田委員 質問をさせていただきます。  我が党も一昨日、政策調整会議におきまして同法案の賛否の審議を行いました。各委員の関心は職業問題と雇用問題ということよりも、当面問題になっております雇用促進事業団そのものの存廃の問題に関心が集まりまして、私どもの労働部会としては賛成を決めておりましたので、賛成を説得するのでありますが、やはりやや議論になりました。おまえも労働族かという笑い話が出ましたけれども、この問題は極めて深刻だというふうに思っておるわけであります。  先ほど、自民党さんを初め、質問の中でこの問題が出ましたけれども、もう一つはっきりしないのです。昨年の十二月に閣議決定をされた経済構造の変革と創造のためのプログラムに基づいて、現在の産業構造変化の中で、高度人材育成という基本の流れが決まっているわけでありますが、自民党さんの、将来は廃止を含めた検討との指摘がなされてから今日に至っているわけでありますが、職業能力開発事業については別途組織がえをするという話もありますね。これについてはやはりしっかりしたものを、これは行政改革委員会の議論を経てどうするかという判断になるという流れではありましょうけれども、労働問題、雇用問題を一手に責任を持つ労働省としては、どうするかということは言ってもらった方がいいのではないかと思うのですね。  私がややこの問題にそういうふうに固執しますのは、地域的な問題という御指摘もあるかもしれませんけれども、昭和三十年代の石炭の石油への転換で旧産炭地は見事に荒廃をしたわけであります。その過程で、労働者の移動住宅や福祉施設が展開をされた歴史もありますけれども、かかる地域の財政逼迫の状況の中で事業団事業を展開してくれたことには、地元としては非常に感謝をしているわけです。どこがどういうふうにだめだったのか、ここは伸ばす必要があるのか、あるだろうと思いますね。  ですから、私も一昨日説明をしてまいりましたのは、この行政改革というのは、組織のスリム化も大事なんだけれども、情勢の変化の中でどういうふうに企画立案を新たにしていくかということが大事だということで了承させてまいったのでありますが、もう一度、大臣の決意というか、この事業団のあり方を含めた雇用政策について、確たる御答弁をいただきたい。
  92. 岡野裕

    岡野国務大臣 雇用促進事業団のありさまをめぐりまして、温かい御意見をちょうだいをいたしました。  雇用促進事業団、これは国の特殊法人であります。国家参与の一端を担っているということであります。そうすると、行政改革の中でやはり見直していかねばならないということだけは確かであろう。そういう意味合いで、今雇用促進事業団も、あまたある特殊法人等の一つとして私も見直しつつあります。  その見直しというのはどういう見直しかというと、雇用促進事業団というのはどういう事業をやっているのであるか、どういう機能を現在営んでいるのであるか、そしてその各機能は今、国の仕事としてやるに値するか、やるに値しないかという観点で個々の機能見直してやります。そうすると、イの一番に重要なのは雇用の確保、雇用促進事業団、名前のとおり雇用を確保し促進をする、この機能はもう絶対必要だ、こう思っております。  しかしながら、その雇用のためには、言いますならば新しい分野の産業というものが栄えていき、あるいは、言いますならば日が当たらなくなっていくというようなものも世界経済の中の一つ変化として出てくる。そうすると、日の当たらなくなったところに働いている皆さんは、あるいは雇用調整になってしまうかもしれない。そうだとするならば、そういう皆さんを早目に、新しく栄えるであろうところの新たな雇用先、これに結びつけて雇用確保するのが一番ではないか、こう思います。そうだとすると、今まで労働を提供されてこられたその労働提供の態様と、新しい職場に臨んだ場合に提供する労働の態様と、いささか違うものがあるかもしれない、こう思います。そうだとすれば、新しい労働の提供をして、より多くの対価を我が物として、御自身及び家族が楽しく平和な生活を送られるように、こう私は思います。そうすると、新たな労働提供ができるような能力を身につけるべく、職業能力開発、つまり職業訓練、これを大いにやっていかなければならない、これは雇用促進の非常に大きな柱である、こう思っております。  ところで、ほかにもいろいろございますけれども、国そのものがやらなければならないかという必要性の面から見て今一番薄くなっている、なりかかっているかなと私が思いますのは、先生御存じの、昭和三十年代の後半から四十年代、労働者の皆さんが新たな土地を求めてそこで再就職をなさる、あるいはそこに新たな就職をするといいます場合に、行き先にやはり家族とともに住める家がなければ、そこの新たな就職先労働提供ができないじゃないかというようなことで、移転労働者向けの住宅といいますものを大量に我々は建設し、それを御利用願ってまいりました。  ところが、後で政府委員から答弁させてもよろしいのでありますが、そういうふうにできました住宅が、現在、本来の目的のために住まっている皆さんのシェアというものが非常に減りまして、二一、二%である、そして、空き家の戸数も非常に多くなっている。それはつまり、民間ベースでいっぱいマンションその他の住宅ができてきた、そういうようなところを利用される皆さんが多い。そして、住宅公団そのものも新たな住宅建築というものはひとつストップしようではないか、レンタルリースもこの際見直すというように相なりました。そういう意味合いで、労働者が移動して、そこで労働提供のための住宅というものは、国みずからがやらなければならない比重は薄くなってまいったな、こう思っております。  それから、ちょうど時を同じゅうして、そのころ、余暇活用余暇活用という言葉が言われました。私なんぞ、土曜日、日曜日、ほっとして休めると、一日じゅう、二十四時間ごろ寝だ、粗大ごみだと家内からぶうぶう言われるというようなのは私だけではなさそうで、一般的に、新聞、マスコミその他に大きく取り上げられました。これではいかぬということで、労働省は、雇用促進事業団をして、そういった余暇活用のために、トレーニングセンターだとか、いや、あそこへ行けばテニスもできるしプールもあって泳げもする、あるいはリゾート地域には、安く利用できるような保養所をつくるというようなことをやってきました。  ところが、もうそういったレクリエーションセンター的なものは民間ベースでいっぱいあるということになりますと、雇用保険の事業としてこれを営んでいくというのはいかがなものかなと。鍵田先生、塩田先生、隣で笑って、長過ぎましたか、申しわけありません。というようなことで、今、私としては見直している。これは自民党の中でいろいろな議論もあるようでありますが、結局、与党三党ではまだ結論が出ておらない。それが出なければ政府にもそれらの意向は伝わってこない。したがいまして、私どもはいまだ検討の最中にあるという次第であります。長過ぎて申しわけありません。
  93. 岩田順介

    ○岩田委員 おっしゃることは一般的にはわかるのでありますが、大臣、しゃんとしたり、ちょっとぴしっとした姿勢になって言われておったり、やや前傾姿勢になっておられるというのが見え隠れしますので、私、申し上げているわけです。いわゆる能力開発事業については断固たる姿勢でやっていく、これはどこから見ても大事ですよ。そして、この行政改革や何かをやっているときに、システムを変えてまたやっていきますか。  それから、全国で展開をしている福祉施設もそうでありますし、雇用促進事業団のお手伝いをしている職員などは一生懸命展開してきたわけですよ。彼らに対しても、私は、確たる大臣の姿勢、労働省の姿勢が何よりも今後の励みになると思います。そういう意味で言っていることが一つ。  もう一つは、住宅政策。福祉の問題は余りおっしゃいませんでしたけれども、住宅政策をおっしゃいましたが、言われますように、最初はいわゆる労働者が移動するための事業として展開をされました。よくわかるのです。その稼働率というか有効性が非常に減っているというのは、これは去年、おととし減ったわけじゃないのです。ずっと以前から減っているわけです。ですから、我々が理解しておったのは、勤労者の住宅政策としてやられてきた面に実質は移行してきたのじゃないですか。そうだと私は思うのです。したがって、どこからかつつかれたら、いや、行政改革や規制緩和の時代だから仕方がないというのではなくて、住宅政策に限って申し上げますと、政府としての勤労者住宅政策という観点は新たにないのか、あってしかるべきではないかということを申し上げたいのです。  施設もそうです。これは全国の過疎地や、そうでない都会もそうですけれども、箱物をつくってくれ、こういう施設をつくってくれという要望にこたえた。そしてこれが非常にこたえがいがあった時代もあったわけです。しかし、時代は変わった。ミスマッチがある、新旧の交代もある、当然収入の減が出てきている施設だってあるわけです。当然あると思います。しかし、内外価格差等がまだまだある日本の勤労者の実態から見れば、賃金も上がらない時代でありますが、一方は余暇利用だとか豊かさだとか、標語だけは先に走りますけれども、実態はそうではない。そういったときに、勤労者用の宿泊施設だとか福祉施設というのはこれでいいのかということがテーマになって、その答えが出ていないというふうに私は思っているから言っているわけでありまして、ぜひともそういう観点も視野に入れた検討を行うべきじゃないかということを申し上げて、これは答弁は要りません、そういうふうに思っております。
  94. 岡野裕

    岡野国務大臣 お話が先生ございましたが、胸を張っていることもある、かがんでいることもある、こういう御指摘であります。  私は、雇用問題、それに伴うところの言いますならば職業訓練、この問題については、終始一貫胸を張り過ぎるぐらい、声はでか過ぎるぐらい張り上げて主張してきております。  それからまた、移転住宅につきましても、やはり当初の目的と異なって、大企業はみずから社宅ができる、しかしながら中小企業者は個々の企業ごとに社宅はつくり得ないだろう、したがって、中小企業者の皆さんが一丸となって共用の社宅をつくる、そういう意味においてこの住宅が役に立った時期というものも当然ある。  だが、今日の時点において、昭和四十年代、昭和五十年代等々と比べると、住宅事情というものは非常によくなってまいった。民間ベースのマンションその他もあまたある。したがって、我々の住宅に住んでおられた皆さんもそういったマンション等に移転をなさる、移住をなさる、かわられる、そういう皆さんも出てきた。その数字が言いますならば入居率全体で八三・四%、こういうようなことになっていて、これが三井三池では、しめた、百九十二戸あいておるぞということになったのでありますけれども、全国すべてが三井三池のようによかったなというわけにまいらないような実態になっている。そして元祖であるところの住宅公団、これが先ほどお話をしたとおりだということであれば、私どもとしてはこれは見直すのに値するなという気持ちになっているということであります。
  95. 岩田順介

    ○岩田委員 ちょっと腰を折られた感じがしますが、高齢化社会に突入したわけですから、お年寄りが四階や五階やエレベーターのないアパートに住むものですかね。こういうミスマッチも含めて私は今後の検討をお願いしておきたいというふうに思っております。  そしてまた、職業訓練の問題もそうでありますが、地方分権の時代とだけは申し上げませんけれども、国のやるべき責務、それから地方自治体がやるべき業務、それから民間が当然受け持たなければならない分野というのはあるわけでありまして、相当これは精査していく必要があるだろうと思います。それも一つ視野に置いていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  次に、雇用失業状況についてお伺いをしていきたいと思います。  戦後五十二年でありますが、これはもう言うまでもないのでありますけれども、振り返ってみるまでもなく、日本は戦後、若い労働力があふれるようにたくさんいたわけでありまして、経済の成長の大要因は私はそこだと思いますね。それがあっという間に高齢化社会になった。それから、経済小国であった日本経済大国になったわけですね。そして何よりも、これまでは欧米の後を、第二梯団を走っておればよかった日本が、フロンティア、もうとにかく一番前に躍り出たわけですから、かつて経験したことのないような状況の中にあるわけです。これは産業空洞化リストラ、高失業時代というのがそうでしょうね。  したがって、申し上げますように、職業訓練失業なき労働移動をどうしていくかというのがまさにテーマでありまして、全部が全部それは国の責務として、能力開発事業としてやっていけるわけではないのでありますが、ミスマッチは少ない方がいい。したがって、この点について幾つかお伺いをしておきたいと思います。  これは経済白書から拾った日本現状の幾つかを申し上げますと、簡単に申し上げますが、経済の面で一つのバロメーターでありますけれども、九〇年のバブル期に比べまして、自動車の新車の登録台数、届け出台数というのが六十三万ぐらい減っていますね。  それから、現金給与総額の伸び率というのがありますが、これも〇・九から一・四、なかなか二に行かないという実態ですね。これは長期的になるでしょう。長期というよりも、ずっとこれがベースになっていくやもしれないという数字がこの五、六年の数値からは推察ができます。  それから、完全失業率が九五年で三・二、今三・四を超えているのじゃないでしょうか。これは一体どうなるか。  それから、今後の雇用問題とも大きく関係してきますけれども、平均世帯人員というのがずっと減りまして、これは九五年ですけれども、一世帯当たり二・八二になっていますね。これはずっと減っていきますよ。家族は完全に核家族になりましたね。二・八人だということになりますと、高齢化社会をどうするのか。介護は女性が八五%以上になっていますが、女性の労働はどうなるのか、介護はどうなるのかという問題がありますね。  それから、高齢者人口が、つい最近に厚生省が出しましたが、今までの、前回の高齢者人口は二五・八だったものが二七・四%、二ポイント近く上がっていますね。非常に加速的になっておりますが、これらの状況について、これは漠然とした質問になりますけれども、一体、今後の失業状況というのはどうなるのか、一言、回答してください。
  96. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 ただいま先生指摘のような状況にあろうかと思います。  今後、これから二十一世紀に向けて高齢化が相当急速なテンポで進んでいく、そういう中で雇用失業情勢がどうなっていくか、こういう点でございますが、これはなかなか先の見通しが難しいわけでございますが、公式的に申し上げれば、一昨年の十二月に閣議決定されました雇用対策基本計画において、これは二十一世紀までの間の六年程度を頭に置いた計画でございますが、そこにおいて、経済構造改革その他を進めることによって経済成長が実質成長平均三%程度ということを想定し、そういう中において、最終年度で完全失業率がニカ四分の三%程度、こういう計画になっているところでございます。  ただし、非常に先行きが不透明であるということから、今回の計画におきましては、構造改革等が進まなかった場合のそういうケースもあわせて計画にのせておりまして、そうなると、経済成長率が一カ四分の三%程度にダウンする、それに対して完全失業率は三カ四分の三%程度に上昇するであろう、こういう見通しをしているところでございます。  したがって、いずれにしても、間違いなく進むこの高齢化に対処しまして、私どもとしては、ただいま先生の御指摘もございましたが、失業なき労働移動に対する支援、あるいは中小企業の活力を生かした雇用機会の創出、あるいは六十五歳までは現役として働ける社会の構築、そのための雇用対策の推進、そういうような雇用対策面からでき得る対策を積極的に進めることによりまして、我が国が高失業社会に陥ることがないような、そういう努力を全力を挙げて進めていかなければならないというふうに考えているところであります。
  97. 岩田順介

    ○岩田委員 これは、厳密にスケールではかったような数字は出てこないと思いますが、もう一つお聞きをしておきたいと思います。  三カ四分の三という状況というお話もありましたが、平成七年に雇用政策研究会というものが労働力需給の展望と課題という報告を出していますね。漸次変わってはいくのだろうと思いますけれども、この中で、二〇〇〇年までは労働力人口の伸びが鈍化しつつも増加する一方、年率二%ないし三%程度の実質経済成長率が見込まれる中で労働力需要も増大することから、二〇〇〇年時点でおおむね労働力需給は均衡するというふうに言っていますが、これは今お話があったことと整合性というか、大体符合してまいりますか。
  98. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 ただいま御指摘雇用政策研究会の調査結果につきましては、雇用対策基本計画が決定される以前の報告でございますが、基本的な情勢認識はほぼ同じと考えていいかというふうに思っております。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、経済成長率が二%の後半から三%程度ということであれば、二〇〇〇年、二十一世紀において労働力需給が大体均衡するのではないか。  ただ、そのとおりになるかどうかという点につきまして現時点で見た場合に、足元の経済成長率は、御承知のような状況で、昨年度は実質二・五%でございますが、本年度につきましては経済見通しで一・九%というような数字でございまして、なかなか厳しい状況もあるという認識をいたしております。
  99. 岩田順介

    ○岩田委員 それから、時短問題と雇用問題について今後の見通しを聞いておきたいと思うのですが、欧米では、時短問題というものを雇用と結びつけて考えていく、つまりワークシェアリングの一つの柱になってきたわけですね。日本でもそういう考えのもとで実行されておるのだろうと思いますけれども、なかなか、現実はそういう議論が真剣かつ具体的にまだなり得ていないというふうに私は思います。  それで、四月からいわゆる四十時間制が実施されますね。このことが今後、新規雇用との関係でどういうふうになっていくであろうと思われるのか。それはリストラ関係の進行状況の推移にも関係しますが、その点いかがでしょうか。
  100. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 労働時間短縮と雇用関係でございますが、まず、この四月から全面実施に入りました週四十時間労働制、これが定着していくことによりまして、一つは、高年齢者や家庭責任を負った女性の方にとって働きやすい雇用機会というものが生まれてくるだろうというふうに考えております。また、もう一つは、これはやや長期的な効果としては、週四十時間制を前提として労働投入量を決定して事業展開する、こういう形になることによりまして雇用量を増加に導く要因の一つになっていくだろうというふうに考えております。  ただ、短期的に見ますと、この週四十時間労働制を、現下経済情勢等も考えて生産性の向上によって対処していこうという傾向が強いこと、あるいは今回の四十時間制の導入が迫られている部分の大半が中小企業であること等から、目に見えた形での相当量の雇用機会の増大ということはなかなか難しい面もあるのではないかというふうに考えております。  私ども、これからの週四十時間労働制を定着させ、一般化させてまいるという仕事があるわけでございますが、そういったことのために、この四十時間制を実施し定着させていく過程で、人をふやす、新たな雇用をするという場合も、今回設けました助成金の対象にすることによりましてそういった道も積極的に支援をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。      〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  101. 岩田順介

    ○岩田委員 短期的に見られる問題ではないのでありますが、きのう、石特委員会でこの問題も議論になりましたね。大牟田の三井の閉山で、特定地域に、新たに増大地域に指定していただきましたが、まだ期間が短いということもあって行き渡っていないということもあるでしょう、応募されるというか、こたえられる企業というのは意外に少ないのですね。  過去もこういう傾向ではなかったかと思いますが、ぜひ四十時間の時短問題だけではなくて、労働省はこの雇用調整助成金等、幅広く、温かく、せっかくしているわけですから、地域のハローワークであるとか、それから労働基準局も入れた方がいいですね、監督署も入れた方がいい。それから高等学校職業先生などとも連携をとったり、さらには商工会議所は当然、市役所の商工課とも緊密な連携をとるなどということを自発的にやっていかないと、これは伸びませんよ。そして、そういう状況の中から個々人の、中小企業の皆さんも、この雇用の分かち合いをどうするのかというふうにしかなっていかないです。あなた方が幾らここで、労働省で企画立案をしてパンフレットをつくっても動かないと僕は思います。そういう実践こそ大事だということを要望しておきたいと思います。  それから、改正法が議論されているわけでありますが、雇用情勢、今幾つかしか申し上げませんでしたけれども、この雇用情勢と産業界の実情とのミスマッチをなるべく縮めていかなければならぬという命題があろうと思いますね。  そういった意味から幾つか質問をしたいと思いますが、最近の雇用人員の判断DIの推移というのが手元にございますけれども、これは日銀が出した調査であります。これなどによりますと、ことしの三月、製造業では過剰感が一六、それから非製造業では一二、全産業では一三、こういうふうになっておりましたのが、大分この状況は変わってきました。それで、大企業中小企業を見てみますと、大企業の方は過剰感が一一、それから中堅企業が三、ところが、中小企業はマイナス四という数字も出ていますね。したがって、全産業を見る場合と個々の産業を規模別に見る場合と随分違う。  これを単純に見ていきますと、先ほどの質問にもあったやに思いますが、中小企業では今後やや不足するのか。つまり、大企業、中堅企業から中小企業にむしろ逆に労働移動があるとすれば、ここに能力開発事業がどういうふうにコミットするのか、対応していくのかということになっていくだろうというふうに思います。  その点で、この法律がどれくらいカバーできるかということは答弁を求めませんが、どういうニュアンスで、ニュアンスというか、どういうことを考えて実践されていこうとするのか、お答えをいただきたいと思います。
  102. 山中秀樹

    山中政府委員 先生の御指摘のように、大企業から中小企業労働移動が進んでいくという御指摘でございますが、今後、産業構造変化の中で、やはり雇用過剰感の強い大企業から中小企業へという労働移動が起こり得ることが予想されます。そういう意味で、円滑な労働移動が行われるように、能力開発というのはしっかりやっていかなければならない課題ではないかというふうに思っております。  今回の改正におきましては、今の短大を整備いたしまして、再編いたしまして、職業能力開発大学校設置しようとしているわけですが、その中で、やはりこの職業能力開発大学校を広く社会人に門戸を開放して、いろいろな形での転職を考える人等々について広く門戸を開けて、その人たちが高度な職業能力開発できるような形を考えていきたいというふうに考えております。と同時に、この労働移動の際、やはり自分で自己啓発と申しますか、個人主導型の能力開発によって、本当に自分の適性に合った職業につけるということではないかと思いますので、そういう形での支援、具体的には労働者の自発的な能力開発を支援する施策を組んで、改正案内容にありますように、そういうことを通じて労働移動にも対応し得る職業能力開発政策を行うというふうに考えております。
  103. 岩田順介

    ○岩田委員 今の説明を受けていて、ちょっとこれだけは余分に聞いておきたいと思いましたのは、中堅企業や大企業製造業の中で過剰感が出ているという、これは後ほども触れますけれども、ホワイトカラーや管理職、事務職部門ということになっていくだろうと思いますが、これらのリストラの進行状況は当面どうなっていくのか、どう推測しているのか。  これを聞きますのは、もう一つの側面から私は心配というか、憂慮しますのは、過日発表されておりました数字などを見てみますと、製造業からは六十万人の人がリストラや何かで雇用が減った、しかしサービス産業などで八十五万人ふえた、差し引き二十五万人プラスだ。これは全体の失業率や雇用率には数字に出てきますが、しかし、担税力、税金の納入という意味からは大変大きな問題を含んでいくわけですね。したがって、製造業からのこの大規模な減少というのをどう食いとめるかというのは、これは大変。もう一つは、どう新規事業を起こすかということも含めて、この辺は、いわゆる国全体の雇用問題、単なる雇用だけではない雇用問題、これになると思うのですが、御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
  104. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 御指摘のように、五年間ぐらいで見た場合に、製造業で六十万入減少して、サービス業関係で八十万人ぐらい雇用量がふえている、こういう結果がございます。  この点につきまして、製造業物づくり中心に非常に重要であるという点につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、ただ、これが厳しい国際経済競争の中で、ほっておけば産業企業が海外に移転していく、あるいはその移転がとめられない。こういう中で、物づくりに必要な、あるいは重要な役割を果たす技能、そういうものをどうやって保存していくか、それに関連する労働者、そういう方についてどう確保していくか、こういうことが非常に重要であるわけでございます。  その点については、一方では新しい分野が具体的に雇用を創出することによってそちらの方に吸収するというケース、あるいは当該産業企業においては、これはやむを得ざる事情で、失業しない形で労働移動をすることによって新しい製造業分野に移る、そういうようなことが今後の雇用対策として非常に重要であるというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、できるだけ製造業におきます基幹的な労働者あるいは技能者、こういう方々が確保され、あるいは後継者が育っていく、非常に難しい課題ですけれども、そういう対策が重要課題であるというふうに考えております。
  105. 岩田順介

    ○岩田委員 局長、後継者が育ちようがない分野の失業状況というのもまた深刻になっているわけですね。  これも資料からでありますが、就業者の推移をここ近年見ていきますと、極端な統計が出ておりますのは、自営業主、その家族従業者が大変な状況ですよ。これは大店舗法の問題もあるでしょうね。それから、町全体が市街化計画で、ブルドーザーで非常に変貌するということもあるでしょう。後継者問題もあると思いますね。大きな問題はやはり大店舗法の関係だと思います。  原因はともかくとして、これをどういうふうに見て、これをどういうふうに雇用者として社会参加していただくか、その環境をつくるかということも法案の大きな趣旨だろうというふうに思っております。  その次には、卸売・小売業、飲食店の次に、農林業なども顕著な状況を統計の上では見せておるところであります。そういう状況がありますけれども、一体、これは雇用保険でやる事業というけちなことを私言いませんけれども、そうでない方々が、自営業者、農業者もたくさんおるのですけれども、この展開で一体どういうふうに考えられるのか。  それから、この際、やはりより細かな対応のできるのは、各都道府県の同種事業対応は早いし非常に丁寧にできるということを私は客観的に考えるのでありますが、その持ち合いも将来検討してもらわなければならぬが、現状どうなっているか、お尋ねしたいと思います。
  106. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、確かに今回の長期にわたる不況の中で特に私ども心配いたしましたのは、自営業者あるいは家族従業者の方、これが相当構造問題の中で減少してきた、こういう経緯がございます。一番減り方の多かったのは、たしか昨年の二月時期だったと思いますが、八十万人以上の自営業あるいは家族従業者の減少がございました。ただ、その後、景気の緩やかな回復とあわせまして、この減少傾向は減ってまいりまして、最近ではこれが十万人台になっております。そういう意味では、比較的落ちついてきているのかなというふうに考えております。  ただ、中身を見ますと、そういうことでやめられた方は二通りありまして、恐らく、高齢の方で、例えば夫婦でやられていた方などで廃業してもう引退してしまう方、そういうケース。それからもう一方では、すぐれた技能技術を持っている方がやっておられて、そういう方は引き続き雇用者、労働者として働かれる方、そういう方も相当おられまして、具体的に失業率にはね返ってくるパーセンテージはごくわずかという結果ではございました。数%、三%弱ぐらいだと思います。  そういう意味で、直接雇用問題に深刻な影響を及ぼすというところには至っておりませんけれども、ただ、今言ったような経緯で非常に深刻であった、そういう事態はございます。労働市場にあらわれて、公共職業安定所に求職に来られた方については、当然これは私ども全力を挙げて職業紹介し、就職のあっせんをするということで対処はしてきております。  それから、農業関係につきましても後継者等減少しておりますが、ただ一方で、農林省などの調査によりますと、最近ややそういう意味でも後継者もふえている面もあるわけでございますが、この辺についても、具体的には農林水産省と連携をとりながら私どもとしてできる対策をとっていく、こういうことでございます。  それから、地方公共団体との連携問題につきましては、雇用対策について、やはり国がやるべき役割、それから都道府県あるいは市町村、そういうところで住民対策という観点から幅広くやっていただく雇用対策、そういうものもございます。そういうところについては、十分連携をとりながら、できるだけ効果的に、お互いが協力しながらやっていくことが必要であろうというふうに考えているところでございます。
  107. 岩田順介

    ○岩田委員 いずれにしても、これは予測が不可能だということと、対象者に頼み込んで入校してくれということでもないので、その辺は忍耐の要るところだと思いますが、御配慮をお願いしたいと思います。  それから、簡単に質問をしてまいりたいと思いますが、若年者の失業率が最近非常に高いのじゃないでしょうか。十五歳から二十四歳が一番カーブが高いですね。あとはもう申し上げませんが、なぜ高いか、どういうことでやめているかというと、これは自発的にやめているということなんですよ。これは、自分の適応能力と会社が求める技術や能力と全くミスマッチであったということだと思いますね。これをどういうふうに見ていくのか、労働省として対応していくのかというのが一つ。  それから、逆に、高齢者の方は、五、六年前から、この統計を見てみますと労働率が高まっていますね。これは将来に対する不安もあるでしょう。時間がふえたということで就職をしたいということもあるでしょう。職業訓練校に来られるお年寄りの中では、趣味だということもあるでしょう。さまざまあると思いますね。しかし、概して言えることは、この働きたい、働かなければならないという状況を見てとっておかなければならないと思いますけれども、これは非常に労働率が高まっているということは失業率を高めていることになっていますね。明確に高まっているのですよ。  簡単に申し上げましたが、若年者と高齢者対応、これからの状況はどうなるか、ましてやこの職業訓練校における対応はいかなるものか。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  108. 山中秀樹

    山中政府委員 若年者の、先生指摘のとおり非常に失業率が増加しているということで、これはある意味で自発的離職者が増加していることによるものでありますが、私ども、この若年者が明確な職業意識を持って、ちゃんと職業について意欲を持って認識を持つということが非常に必要ではないかというふうに思っております。  そういう意味で、私ども、この職業訓練を通じて若者が職業に対してちゃんとした見識を持って物づくりをやっていくということが必要ではないかというふうに考えておりまして、今回の改正案におきましても、特に現在の短期大学校でも若者の職業意識の確立ということで外部の講師を呼んで職業意識についてセミナーをやったりして職業意識の確立に努めているところでありますが、今回、物づくりを熟知した立場からの高度な技能労働者の育成を図るということで、その中でそういう形で若者に職業能力を一段とレベルアップして、そして職業についてちゃんとした見識を持ってやっていくということが大切ではないかというふうに考えております。  なお、高齢者の問題につきましては、非常に高齢化が進展する中で、やはり職業生活が長期化いたしております。そういう意味で、高齢者が十分にその能力を発揮して充実した職業生活が送れるようにするということが今後の高齢化社会の中で非常に大切なことではないかというふうに思っておりまして、現在、私ども、各県と連携を密にして、高齢者のニーズに合った形での職業訓練を、例えば訓練科目を高齢者向きに設定したりして、できるだけ高齢者職業訓練を受けやすい環境の整備に努めておるところでございます。  特に、高齢者が今までの職業生活で取得した技能なり経験なりが生かせる形での能力開発、やはり高齢者というのは一人一人、オーダーメード型と申しますか、高齢者はいろいろな形でおりますので、よく相談しながら、高齢者に適した訓練プログラムを策定しながら、この職業能力開発事業実施しているところでございます。
  109. 岩田順介

    ○岩田委員 これ以上言いませんが、高齢者問題についても、可能な限りカリキュラムをふやす、科目をふやすということは日本の高齢化社会全体にとって有意義なことであるという観点からも、ひとつ御検討をお願いしておきたいと思います。  それから、若年者の問題についてあえて申し上げたいと思いますのは、これは文部省の問題だろうとは思いますけれども、福岡県における去年の新卒者の未就職者が六月の時点で七千名近かったと思いますね。今どうなっているかというのがちょっと心配でありますが。  六月から七月にかけて、たしか福岡県では、北九州と福岡市に分けまして、この方々に集まっていただいて職業相談をやるわけです。私は、企業がまたざあっとたくさん並んで、お互いに面接するのかと思ったら、そうではないのですね。つまり、職業に対する自分の適応能力、どういう職業が適応しているのか、またどこに行けば就職の情報が入るのかというところからこれは教育を、教育というか、研修、講習をしたというのですね。これ以上のことは言いませんが、実態は、全部ではありませんが、そういう実態があるのではないでしょうかね。  これはひとつ、労働省は、精査というか、実態をよく分析をしていただいて、文部省の、就学時における職業教育を、もう少し時間をふやすなど、内容を含めて検討をしていただく必要があるのではないかと思っておりますので、私は申し上げておきたいと思います。  もう一つは、若年者に対する職業訓練というものについて、これは田中万年さんとお呼びするのでしょうか、職業学校の教授が書いている論文の一節に、  学校卒業者の若年者に対しては、基本的・基礎的訓練というよりも職業探索のための入り口として位置づけ、在職労働者に対しては、向上訓練というよりも、現在担当している仕事の基礎を学んでもらうと位置づけ、そして、離転職者に対しては新たな職業に転換するためではなく、これまでの経験を活かしてME化して発展している技術技能を追加的に学んでもらうと位置づけるべきである。 つまり、これは全般に言えると思いますけれども、これまでやってきた、行ってきた職業訓練の発想をやはりどこか切って、発想の転換をするということの必要性をも示唆をして、各論として、今私が申し上げたようなことを指摘されております。  私は、けだしそうではないかというふうに思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
  110. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生の、若年者層の就職の関係の御心配は、私どもも実は数字で持っておりまして、先生がおっしゃるように、どういう職業についたらいいかというようなことについて余り知識がない。そのために今、中学を出た人で、一年でその職場をやめてしまう人が四五%という数字が出ています。三年でやめてしまう、つまり、三年はもったという人が六六%になっています。これは中学卒です。高校卒は、一年でやめてしまう子が二一・二%。だから、五人に一人は一年でやめてしまう。それから三年でやめてしまう子が四〇%というようなことだし、大学ですら、一年でやめる人が一二%で、三年もつ人が二四%。こういうようなことで、若年で就職をした皆さんが、非常に腰が軽いといいますか、我々老齢者、もう老人だと思っておりますけれども、腰が落ちつかぬ、何だおまえはというようなせりふをかつて聞いたことがありますけれども、そういう現象であります。  だから、私どもは、先生がおっしゃる、その田中万年先生の、職業訓練を新しい職業訓練教室で受けて、自分はどの職業に合っているかという探索をするよりも、教育を受けている中学三年の最後の一年くらいに、おまえはこの偏差値だからどこの高等学校へ行けとか、おまえはどこへ行けとかいうのもさることながら、やはり就職組というのもあるのでしょうから、そういう人に先生が、偏差値ばかりでどこの学校へ行けという指導ではなくて、どういう職業が向いているかというような話をやる雰囲気ができないだろうか。  かつて、工業学校、商業学校というのが戦前にはありまして、これは本当に就職指導を一生懸命先生方がやっていただいたわけです。今大体、普通の高等学校へ行く兆しが多いことを、私はまことに残念だと思う。したがって、その上にある工業高専みたいなものを高く評価をし、我々の、労働省の中におけるところの短期大学校を高く評価をしているわけであります。  やはり、労働省としてもいろいろ、適性検査みたいなものの手法というものも職業安定所で持っております。それらを今度は広く学校当局等にも普及させるようにし、なるべく情報を多く提供して、やはり終身雇用ではありませんけれども、二年や三年でやめてしまうというのは本人の一生にとってもったいないし、また企業の方も、一年や二年でやめられたのではマイナスだ、こう思います。  先生がおっしゃること、全くそのとおりだと思っております。努力をいたしたい、こう思います。
  111. 岩田順介

    ○岩田委員 今の大臣のお話を聞いておりまして思い出すのでありますが、クリントンの労働長官を今はやめたのでしょうかね、ロバート・ライシュという人がいましたね。五年ほど前に書いた本の中で、アメリカと日本の少年少女、十六、七歳の少年少女をテストすると、ペーパーテストではとても日本には及ばない。しかし、シンボリックアナリストとしてのアンケートをとると、これは絶対に日本はアメリカに及ばない。つまり、十六、七歳のアメリカの少年少女の圧倒的大部分は自分の将来を、職業人としての将来を決めている。日本は決めているだろうかという、皮肉たっぷり、皮肉だろうか、事実を指摘しておりましたが、それを思い出しておりました。  時間がなくなりましたが、きょうは厚生省に来ていただいておるのでありますけれども、高齢化社会に、本当にみんな、地域の方々、市民の方々は真剣になり始めましたね。それで、労働省も、一校だけだったろうと思いますが、介護のプログラムを持っている学校があると聞いております。職業訓練校で、介護者の基礎的な養成といいますか、職業訓練とは言わないでしょう、これは今後どういうふうに考えておられるのか。僕は有意義だと思いますね。そして、看護というわけにはいかないでしょうけれども、看護の基礎知識みたいなものはきっちりしておった方がいいと思います。  それから、厚生省が、訓練校と結びつけて考えるわけではないのでありますが、ボランティアの方々の介護訓練について、いいと思いますね。公民館活動で、そういう議論が全国では盛んに行われるようになったわけであります。労働省にはもっと展開をしてほしいという希望を持っております。これは厚生省マターのことでもありますが、厚生省としては、どういうお考えがあるのか、将来計画があるのか、両省から簡単にお願いをしたいと思います。
  112. 山中秀樹

    山中政府委員 介護関係訓練状況を、まず公共訓練状況を御説明申し上げたいと思います。  私ども、職業能力開発施設二十校で、介護サービス科あるいは福祉ヘルパー科等々を設けて、約千人以上の定員で介護関係訓練科を設けて、介護労働者に対する人材需要に対応した育成施策をとっておるところでございます。今後、介護保険制度の導入等々で、これからますます介護関係人材養成というのは重要性が増してくるというふうに考えておりまして、厚生省とも密接な連携のもとに、地域訓練ニーズに応じた公共職業訓練の充実等に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  113. 堀之内敬

    ○堀之内説明員 厚生省の地域福祉課長でございます。  地域におきまして必要な福祉サービスが提供される、そういったためには、私ども公的施策を高齢者関係とか充実しているわけでございますが、先生おっしゃいますように、住民の自主的、自発的な福祉活動への参加とか、また住民相互の助け合いとか、そういったものが今後非常に重要になると思います。  そういう中で、現在厚生省といたしまして、国民の社会福祉活動への参加促進に関する基本指針というのがございまして、それに基づきまして国民の自主性、自発性の尊重を基本とし、いつでもどこでもだれでも、気楽に楽しくボランティア活動に参加できるよう、市区町村社会福祉協議会に設置されましたボランティアセンターへの助成などを通じまして、その基盤整備ということで努力しているところでございます。その基盤整備の中で、ただいまの介護訓練とかボランティアの養成研修、これは初任研修からボランティアコーディネーターの研修もございます、そうしたところを充実いたしまして、地域におきましてボランティアの方たちが十分高齢者の介護とかにお役に立てるよう、努力したいと思います。
  114. 岩田順介

    ○岩田委員 ありがとうございます。  先ほど、展開している学校は一校だと言いましたが、訂正をしておきたいと思います。  時間が参りました。各論についてはほとんど触れることができませんでしたけれども、今までいろいろお聞きしてきましたけれども、その関連で言うならば、大勢は学校を、職業訓練校の強化、再編をすると。では、教員やいわゆる学校が有する能力の強化をどうするのか、向上をどうするのかという点は最も大事な点でありましたが、ぜひともこの点も強化充実するようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  115. 青山丘

    青山委員長 次に、大森猛君。
  116. 大森猛

    大森委員 本改正案の具体的な審議に入る前に一点だけお伺いをしておきたいのですが、おとといの夕刊に、例の動燃問題で労働省基準監督署が調査等に入った旨の報道もありましたけれども、先週の本委員会において労働大臣も、動燃問題、労働安全衛生法百条の虚偽の報告に強い関心をお持ちとの答弁もございました。夕刊の報道がありましたけれども、その後労働省として、動燃問題、どのような調査等を行われたか、御報告をお願いしたいと思います。
  117. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 今回の動燃の事故に関します一連の経過につきましては、先般労働大臣から申し上げましたように、私ども大きな関心を持ち、かつ必要な対応をさせていただいているところでございます。御指摘のありました報告の件でございますが、その点につきましても、目下引き続き茨城の労働基準局において調査を進めさせているところでございます。  先生御承知のように、安全衛生規則に基づきます私どもへの事故報告書そのものの中の誤りではなくて、それに添付された、事故への対応措置等を含みます資料、これへの誤りの事実があったということでございます。その点につきましては、この資料が、同時に原子炉等の規制法に基づいて科学技術庁へ提出されている資料でもございまして、そういった方面からの調査の結果というものも見守っていかなければならないというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、この報告等の件につきましては、一定の段階で茨城労働基準局から詳細の報告を求めますとともに、この安全衛生規則に基づきます事故報告書が、いわば監督機関の早い発動を促すための事故があった旨の報告であり、それから原子炉等の規制法に基づく報告が事故への対応措置まで含む広い報告であること等の法律構成の違いも十分吟味しながら、今後必要な対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  118. 大森猛

    大森委員 放射線等ああした施設で働く労働者の安全を守る、そういう立場で今後もしっかりと進めていっていただきたいと思います。  具体的に今度の改正案に入りますけれども、今度の法案の提案理由によりますと、最近の急激な産業構造変化とか、企業は高付加価値化や新分野展開等を図ることに対応して、法改正を図るということになっているわけなんです。  具体的には、職業能力開発短期大学校に、より高度な訓練課程を加えて職業能力開発大学校、そして職業能力開発大学校と東京短大とを合併して開発総合学校というような形になるわけなんですが、職業能力開発というのは、これは労働者にとっては、憲法で規定する職業選択の自由、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、能力に応じてひとしく教育を受ける権利、あるいは勤労の権利等の基本的人権の実質的内容、これを実現するものでありますから、職業能力開発対応して具体的に中身が改善され、変化していくことは、これは当然だと思います。  しかし今、今日の雇用失業情勢、とりわけ今回の提案理由に載っております急激な産業構造変化ということから来る大きな問題としては、やはり産業空洞化と、そして多くの技能労働者等の失業、こういう深刻な問題があると思います。  この雇用の問題に加えて、具体的にこうした能力開発あるいは職業訓練、これが、こうした産業空洞化等の中で職を失った失業者等にもっと光を当てるべきじゃないか、このように考えるわけなんですが、より高度な訓練課程が、こうした産業空洞化の中で職を失った広範な失業者等にどう保障されているかということをまずお聞きをしたいと思います。
  119. 山中秀樹

    山中政府委員 私ども、失業者に対して職業訓練を、実質機会を保障していくというのは、極めて大切なことではないかと思っております。  現在、具体的に私ども、雇用促進事業団設置いたしております職業能力開発センター全国に六十五カ所ございますが、そこで失業者離転職者に対して約五万六千人程度の訓練ができるように措置いたしておりますし、都道府県段階におきましても、二百二十八校全国職業能力開発校設置いたしておりまして、そこでも地域の実情に応じた離転職者訓練、約四万二千人の規模で訓練実施いたしておりまして、今後、このような産業構造あるいは地域失業情勢を踏まえて、職業訓練機会が確保できるように、十分今後も配慮してやっているということでございます。
  120. 大森猛

    大森委員 今回の改正案提案理由の中で言われております高付加価値化や新分野展開等に見合う、そういう点に焦点を当てた職業訓練能力開発、この点では、こういう失業者等についてはどういう形でやられているでしょうか。
  121. 山中秀樹

    山中政府委員 職業能力開発短期大学校を改組して大学校にするわけですが、その場合、より高度な能力をつければ、よりよい就職の場所を、職業を見つけるという点から、広く社会人に門戸を開放して、社会人でそういう失業者等々いろいろな状況がございますが、そうした人たちもこういう柔軟な訓練で、例えば訓練機関をバラエティーに富ましたり、訓練時間をバラエティーに富ますなりして、そういう人たちを積極的に受け入れるということも考えておりますし、特に中高年齢者が失業した場合、やはり、公共職業訓練のみならず、自分でこういう職業につきたいということで自己啓発をやる場合に、私ども、今現在、中高年齢者等受講奨励金を設置して、中高年齢者が失業した場合でもこれを受けられるような形で、そういう、できるだけ失業がなくて就職できるというようなことをこの法律では考えております。
  122. 大森猛

    大森委員 今おっしゃいました中高年受講奨励金ですか、これはどの程度今やられているでしょうか。あるいは、今後どういう御予定なのでしょうか。
  123. 山中秀樹

    山中政府委員 中高年齢者の受講奨励金につきましては、今回拡充をいたしております。  具体的に申しますと、今までは四十歳以上の方で、専修学校とか各種学校で受講する場合に、受講料の二分の一を限度額十万円ということで私ども支給いたしておりますが、今回それを拡充いたしまして、三十歳以上でも、ある条件の人には支給する、それから失業者にも支給するという拡大をいたしております。  支給実績につきましては、最近こういう自己啓発をやるという労働者がふえてきておりまして、九年度の予算額では約十三億用意いたしておりまして、前年度約七億から倍近く予算額を増加させております。
  124. 大森猛

    大森委員 離職者あるいは転職者を含めて公共職業訓練実施状況でいいますと、これは都道府県立の職業能力開発校で、普適職業訓練では十五万八千人余り、先ほどもお話があったでしょうか、雇用促進事業団立の職業能力開発促進センター、これは職業訓練二十万人余り、高度職業訓練が九千六百七十人、合わせて二十一万人ぐらいになるわけなんですが、こういう中で、今度の法案で言われている高度な知識、技能技術企画開発能力応用能力等を有する高度で多様な人材という面での位置づけというのは、非常にこれは弱いのではないかと思います。  今回の改正にかかわる能力開発という点では、あくまでも、今、中高年齢の受講奨励金の制度の話がありましたけれども、今回の制度については、離職、転職者を対象にしないというやに伺っておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  125. 山中秀樹

    山中政府委員 公共職業訓練、先ほど申し上げましたように、失業者離転職者に対しては、九万八千人を受け入れる規模で実施いたしておるところでございます。  今回の改正は、新分野展開あるいは製品の高付加価値化を担う人材産業高度化していきますので、それに見合う人材を養成しよう、こういうことの改正でございます。失業者に対して特に配慮していないのじゃないかという御指摘がございましたが、今回、人材高度化をしていく職業訓練、これは訓練レベル全体がアップするのではないか、アップすることによってやはり離転職者訓練内容訓練技法あるいは訓練指導員の能力アップにつながるというふうに考えておるところでございます。
  126. 大森猛

    大森委員 私が今回の法案を拝見して申し上げたいのは、そういう今日の雇用情勢の中で、先ほどもお話がありましたけれども、離職者、転職者に対して、単なる職種の転換じゃなくて、より高度な技術技能あるいは企画開発能力、そういうものを開発していく、そういう位置づけもやはりきちんとすべきじゃないかというわけなんです。この産業空洞化の中で、いわば取り残された、光の当たらない分野に従事されていた皆さんに、単なる職種転換じゃなくて、こういう面での配慮もやはり労働行政としてきちんと行うべきじゃないかということであります。この点は、ぜひ大臣にも御答弁をお願いしたいと思います。
  127. 岡野裕

    岡野国務大臣 やはり雇用空洞化だとかあるいは規制の緩和だとか、広くは産業の構造改革だとかいうような中で、どうしても失業者、というよりは、みずから、現にある職場から出て新しい自分の能力を十分発揮できるようにしたいというような意味での離転職者というものがこれからはふえていくのではないか。転職者は、むしろそういう時流に乗ったものとして、我々は、積極的に職業訓練等を通じて新たな技能を身につけていただく必要があるのではないかな、こう思っております。したがいまして、雇用促進事業団等のそういった意味での機能を十分活用をして時代の要請にこたえてまいろう、こう思っております。
  128. 大森猛

    大森委員 これは神奈川県のある大企業の職場でありますけれども、転進援助休職制度、こういうのがありまして、これは基本給の六割程度を支給して一年間、そこを自己啓発の期間として有給で保障される、こういう制度もあるわけなんですけれども、民間で行われているこうした制度について、公的な助成も含めて、今後、この面での強化拡充をぜひお願いしたいと思います。  ところで、今回改正された大学校等の卒業生が、大企業から求人の申し込みがあれば、これはもう大企業の募集に応じられることは当然だと思うのですけれども、大企業の場合、こうした高度な知識をさらにつけていくという点では、いわば自前でできる力が十分あると思うのですね。  今回、こういう大学等の新たな整備拡充等、そういうものがやはり、とりわけ中小企業においても新たな技能開発等々を必要としている、そのために位置づけられるべきものじゃないかと思うわけなんですが、その点をより一層具体的に、これは指導等も含めて明確にすべきだと思います。これは、私は商工委員会もやっておりますけれども、例えば、産業空洞化対応するために中小企業創造法なども新たに改正されて、ベンチャービジネス等に対する支援策を通産省として持っていくということも今回行われたわけなんですが、そういうベンチャービジネスなども含めて中小企業の新たな高度化、それに対応する労働者能力開発という位置づけを今回の改正の中でぜひ明確にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  129. 山中秀樹

    山中政府委員 私ども、公共訓練施設全国設置いたしておるわけですが、大企業は、先生の御指摘のとおり、オン・ザ・ジョブ・トレーニングなり、自分のところで訓練校をつくって人材を養成しているという状況にあります。中小企業ですと、財政力、指導員の先生がなかなか確保できないということから、私どもの公共職業訓練施設は、主として中小企業にかわって、ある程度職業訓練をやっている。  今回も、短期大学校が現在ありますが、そこでも就職は、ほとんど一〇〇%近くの人が就職いたしておりまして、その中で四分の三が中小企業に就職しているということで、やはり中小企業みずからでできない分野を国がある程度責務を負ってやりていくべきものだというふうに考えております。
  130. 大森猛

    大森委員 しかし、最近の大企業の傾向として、アウトソーシングなどということが言われているように、外部で研修等々、開発された労働力に依存するという傾向が非常に強まっている面もあるわけですから、特にその点は明確に位置づけて、必要があれば大企業に対しても、自粛というのはあれですけれども、指導をきちんと行っていただきたいと思います。  関連しまして、職業訓練、これは二十数万人規模でさまざまなレベル等で行われているわけなんですが、そこで、二点だけお伺いをしておきたいと思います。  一つは、労働者としての権利、あるいは、動燃問題もありましたけれども、労働者の安全を守る、その点での基礎的な知識をこの職業訓練の中にきちんと位置づけるべきではないかということであります。  先般の動燃問題、虚偽報告で科技庁からも告発をされるということになりましたけれども、内部からの告発あるいは内部で共同でうその報告がされるという点で、それが体質ではないかというような指摘などもされているわけなんですが、個々の労働者事業者責任あるいは安全衛生法、労働基準法等の基礎的な知識を身につけていたら、そういう立場での対処をしていたら、もっと違う面もあるいはあったのではないかと思います。職業訓練校一年あるいは二年のところでは労働安全衛生法についての研修、講義も行われているようでありますけれども、短期の職業訓練の中でもきちんと位置づけるべきではないかということが一つ。  それから、これは私も最近体験をしたのですけれども、ある食品製造業の職場で、とにかく毎日新しい人が入ってくる、パート労働者、時には派遣労働者がおると。派遣労働者製造業のラインについているというような状況で、とにかく職場が、もう人が毎日かわるので大変荒れているというようなお話を伺いました。  そこで、労働者派遣にかかわる法律では製造業のラインにつくのは違法とされているわけなんですけれども、そういうことはそこの労働者に余り知られていないという面があるわけですね。労働基準法等での、労働者の権利を守る、これは一つには労働基準監督署等の監督と、もう一つ労働者の側からの申告、これが労働基準法ひいては労働者の安全を守る大きな担保になっているわけで、労働基準法の基本的な理念やらあるいは基礎的な知識、そういうものを、これは本来ならば小学校、中学校、一般教育の中でも位置づけられるべき性格のものかもわかりませんが、こういう職業訓練の中でもきちんと何らかの形で位置づけるべきではないか、このように思いますが、この点はどうでしょうか。
  131. 山中秀樹

    山中政府委員 職業訓練、公共訓練では、物づくりに携わる技能労働者の養成を中心として行っております。そういうことから、安全衛生の知識、技能を付与することは特に重要であると考えておりまして、学科、実技ともに、安全衛生の科目を設けることを義務づけております。安全衛生管理、各種労働災害防止対策、応急処置等についての技能、知識を付与し、安全衛生法についても学ばせているところでございますが、短期の在職労働者を対象とする措置は、短期の訓練につきましては、非常に時間が限られているということで、義務づけていないところでございます。  また、労働基準法関係でございますが、先生十分御承知のとおり、使用者に法令の周知義務が基準法上課せられており、これらの方法を通じて周知が図られるべきものであるというふうに私どもは考えておるところでございます。
  132. 大森猛

    大森委員 具体的に幾つかお聞きをしておきたいのですが、能力開発短大、ポリテクカレッジについて、今回の法案では、二十六校のうち各ブロックごとに大学校化というお話でありますけれども、一つはその基準と、それからスキーム図などを見ますと、横浜の港湾短大、沖縄短大が別個に、いわばその枠に入っていないということなんですが、その辺の理由はどういうものでしょうか。
  133. 山中秀樹

    山中政府委員 まず、沖縄短大につきましては、沖縄県において現在職業能力開発短期大学校設置いたしておりまして、工業系の訓練科目を中心に、高度な職業訓練実施いたしておるところでございますが、その卒業生の九三%は県内に就職し、高い評価を得ているものというふうに聞いております。  この沖縄短大を職業能力開発大学校化したいという沖縄県の要望がございます。それは十分承知しておるところでございますが、この要望を踏まえて今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。  また、港湾短大、神奈川県に設置いたしておるところでございますが、ここ数年、国際化、情報化の中で貿易あるいは海運、保険等々をめぐる港湾の流通業務が非常に大きく変わりつつあります。物流技術は、物流機器を非常に多機能化し、それぞれの分野で自動化、無人化を可能にしております。さらに、情報ネットワークと物流システムの同期化により、高度な物流システムが出現しております。  こうした状況の中で、横浜の港湾職業能力開発短期大学校では、港湾流通全般を学ぶ港湾流通科あるいは物流管理全般を学ぶ物流情報科を設置して、物的流通における経営及び物流システムの構築ができる物流管理技能者の養成に努めておるところでございます。これは我が国唯一の港湾に関する高度な職業訓練実施しておるところでございまして、今後ともその職業訓練の一層の推進に対応してまいりたいというふうに考えております。
  134. 大森猛

    大森委員 私も、今回この二つが別枠になっているということで、それぞれ沖縄県、横浜市に事情も聞いてみました。特に沖縄の方は、こちらの方から考えている以上にこの短大に非常に大きな期待を持っておられる。  先ほどこれは質疑もありましたけれども、例えば若年労働者失業が、全国平均で六・二%なのに沖縄では一七・三%、あるいは有効求人倍率でも、全国的には〇・八九なのに沖縄は〇・三〇という中で、非常に高い就職率を短大卒業生は持っておる。聞くところによりますと、沖縄では、こういう工学部系の、これは学部と言っていいと思うのですが、学科は二つしかないらしいのですね。ですから、琉球大と並んで、あるいはそれ以上の強い期待を持たれているわけであります。  横浜港湾短大についても、非常に積極的に自治体も評価をしておりまして、定員拡大をやってほしいというような要望も私も強く受けたわけでありますので、重ねてこの点、積極的な位置づけを、御答弁をお願いしたい。  加えまして、都道府県の能力開発校、職業訓練校の実態なんですが、これも若干、今回の法案提出に当たって調べてみたのですけれども、例えば教室等の冷暖房設備、これは、真夏でも十五日間しか休みがないということなんですが、都市部にある、例えば横浜の紅葉ケ丘校とかは、もう騒音のため窓をあけることができない、蒸しぶろのような状況の中でやられているわけですね。冷暖房全くなしというような状況とか、それからコンピューター等についても、本来、更新時期が来ているのにそのまま使用せざるを得ないというような状況もあるようであります。  お聞きしますと、こういう設備費に対する補助金については、平成六年から見ますと、年々下がっているような状況なんですね。施設整備費、これが、平成六年が七十四億七千六百万、それがだんだん下がって、九年度では六十五億七千七百万と大幅に下がっているような状況なので、こういう能力開発職業訓練、そのいわば一番土台に当たる都道府県の能力開発校に結集したそういう多くの生徒さんたちに、もっと温かい補助、援助の手を差し出していただきたい。  この二点を最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  135. 山中秀樹

    山中政府委員 まず、沖縄短大の大学校化、これは、沖縄県の要望等をよく聞きまして、そういう方向で対応できればというふうに考えておりますし、港湾短大につきましては、現在定員四十人ということで実施いたしておりまして、この辺は、応募状況等々を勘案して、今後、そういう場合に検討いたしていきたいというふうに考えております。  今、都道府県の公共職業能力開発施設の設備につきまして御質問がございました。  毎年、都道府県から計画を出していただいて、その内容を精査いたしまして、補助率二分の一ということで補助をいたしておるところでございますが、パソコン等の情報関連機器につきましては、リース対応やソフトの更新等、陳腐化しないように私どもは配慮をしているところでありまして、また、冷暖房については、主として情報関連機器等を安定稼働させるために必要な場合に設置を認めているという状況でございます。  補助金の施設設備費について減額になっておりますが、これは、九年度開校予定でありました熊本と岩手の分の施設設備に要する予算が必要でなくなりましたので、そういう意味で、ちょっと補助金の額は落ちている、こういうことでございます。
  136. 大森猛

    大森委員 終わります。
  137. 青山丘

    青山委員長 次に、濱田健一君。
  138. 濱田健一

    濱田(健)委員 最後の質問になりました。  少子・高齢化の進展、そして産業構造変化など、我が国企業を取り巻く環境変化は物すごく大きいと思います。そして、二十一世紀に向け安定した発展を遂げていくためには、本日いろいろな方からお話がありましたとおりに、当然、その基盤となる人材育成が極めて重要であるということは、皆さん御承知のとおりでございます。  しかしながら、企業の側では、長く厳しい景気の低迷の影響もあって、なかなか人材育成まで手が回らないというのが、特に中小の企業では現状ではないかというふうに思っております。人材育成に手が回らないということで、力を入れる必要がないかといえば、それは全く逆でございまして、各企業とも、生き残りをかけて、より高度な製品の開発や新しい分野への展開を図る必要があり、これを担う人材の育成が急務となっているということは、各委員御承知のとおりだろうというふうに思っております。数字は概算だろうと思うのですが、中小企業では技能労働者の不足が百万人にも上るというふうにも言われているところでございまして、技能労働者の確保が難しいというのは、きょうの論議の中でも出てきたのではないかというふうに思います。  今回論議をされております法案について申し上げますと、現在の職業能力開発短期大学校を計画的に大学校にしていくということでございますが、現在の短大というのが中小企業人材育成にどのように役立っているのか、そして、この短大を卒業された皆さんが、実際に中小企業にどの程度就職をしていらっしゃるのか、あわせてお聞きしたいと思います。
  139. 山中秀樹

    山中政府委員 先生指摘のとおり、技能労働者の不足を数字的に申し上げますと、大企業においては不足率一・一%、不足数で約七万一千人であるのに対して、中小企業は、それぞれ、五・九%、数字にして百五万七千人ということで、中小企業における技能労働力不足は、大企業に比べて非常に著しいものがあります。  現在、職業能力開発短期大学校全国に二十六校設置しておりますが、これは主として二つの機能を持っておりまして、まず第一は、新規学卒向けの職業訓練。二年間の訓練をやるわけですが、これは、中小企業での人材養成が困難な、高度な技能労働者を養成するということで、八年度の数字で申し上げますと、修了者は約二千九百人であります。そのうち四分の三が中小企業に就職いたしておりまして、地元中小企業に貢献いたしておるところでございます。  また、もう一つ機能であります、中小企業の在職労働者人材高度化を図るということで、事業主のニーズに合わせた形での訓練をやっておりまして、そういう対象人員、これは短期でありますが、平成八年度では約九千人の方を受け入れてやっておりますし、来年度においても一万人を超える規模で、そういう中小企業における在職労働者のレベルアップを図るということを予定いたしております。  特に、地域の商工会議所等の中小企業団体と職業能力開発推進協議会の場などを設けまして、具体的な訓練ニーズを把握して、そういう訓練実施している、こんなような現況でございます。
  140. 濱田健一

    濱田(健)委員 今のお話の中で本当に役立っているということがわかるわけでございますが、先ほどもどなたかがお話しされておりましたけれども、沖縄県の問題について少しお聞きしたいのです。  先ほどありましたとおりに、中小企業では、教育訓練職業訓練を行おうとしても、なかなか困難。そして、民間訓練施設を使おうと思っても、大都市部が中心だということが事実として出ているわけですが、沖縄においても特にこのことは顕著に見られるのではないか。民間教育訓練施設が少ない、中小企業が物すごく多いという沖縄では、安全保障の問題とは別に、産業振興を図りながら、基地に依存しなくてもよい雇用の場の確保というものを含め、人材の育成等々、政府も力を入れているところでございます。  今回のこの法案の中に、職業能力開発短期大学校をブロックごとに大学校に変えていくというふうになっているわけですが、ブロックといえば沖縄は九州ブロックということになるわけでございますけれども、沖縄県からも要望が上がってきていると思うのですが、沖縄独自にこういう大学校というものをつくっていくお考えはないのかどうか、その辺をお聞かせください。
  141. 山中秀樹

    山中政府委員 現在、沖縄県に、沖縄市に職業能力開発短期大学校、定員百五十名、一学年百五十名ということで、これは新規学卒ですが、それを設置して高度な職業訓練実施いたしておりまして、先ほど申し上げましたように、非常に卒業生、九三%が県内に就職いたしまして、やはり高い評価を受けているというふうに聞いております。  この短期大学校について大学校化をしたいということは、沖縄県から強い要望があります。そういう意味で、この要望を踏まえて積極的に対応できればなというふうに考えております。
  142. 濱田健一

    濱田(健)委員 ブロックの枠で大学校化ということは基本でございましょうけれども、今お答えいただいたようなところで積極的にその推進を図っていただけるよう再度お願いをしておきたいと思います。  その他にも沖縄県からは若年者の人材育成を中心とした新たな施策の要望が出ていると聞いておりますが、どのような内容で、それらを総合的に労働省としてどう対処していかれるおつもりなのか、この点もひとつお聞かせください。
  143. 山中秀樹

    山中政府委員 この若年者を中心とした人材育成について、沖縄県の方から相当強い職業能力開発実施する施策を拡充してくれ、こういう要望が三点ございまして、まず具体的には、沖縄県における情報通信産業の若年技能労働者等が高度な技能を習得することを支援する事業、二番目に、沖縄県における若年求職者に対する公共職業訓練と同レベルの建設関係職業能力開発を推進する事業、三点目は、沖縄県における今後の職業能力開発施策の展開方法等について検討する事業、この三点であります。  今、沖縄県当局とも十分連携をとって具体的な詰めをやっておりますが、これらの要望が実現できるよう努力をいたしていきたいというふうに考えております。
  144. 濱田健一

    濱田(健)委員 大学校というプログラムのほかにも今お話しくださいましたような三点の要求があるということを踏まえながら、早期にそういう対策ができるように努力いただきたいと思います。  大臣にお聞きしたいのでございますが、沖縄開発政務次官をなさいました大臣に、今労働省考えておられる、沖縄からの要望等々含めまして、職業訓練等、沖縄県における人材育成というもの、どういうお考えを持っていらっしゃるのか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  145. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃいます、私、沖縄開発政務次官は、そこにおいでになります粕谷大臣のもとで約一年、もうはや十年以上の昔に相なります。しかしながら、沖縄の経済的な現況というものが余り大きな進歩がないということを、まことに残念に悔しく存じているところであります。  やはり産業そのものは、水力がない、電力が十分ではない等々いろいろあるわけでありますが、雇用先を求めるのに、一つには、本土に雇用先を求めて、そこへ行っていただくというようなことで訓練をしていた時期もありました。しかし、やはり沖縄の人であるならば、沖縄にぜひ勤め先を設けたい、持ちたい、これが本当の心の中ではないかということで、先ほど政府委員からもお話をしましたように、沖縄市に短大を設け、北谷にもその種の施設を設けて、一生懸命身につく教育をさせているところであります。  結局、沖縄県に発するところの、例えて言いますならば、亜熱帯植物等を利用した医薬商品、健康食品等々というようなもの、いろいろその他、例えばミンサー織とか、こういったものを活用して、もう少し大きな規模でと、いろいろな考え方があるわけであります。したがいまして、そういうような技能が身につくようにというものを心がけ、沖縄県大田知事から参っておりますところのいろいろな要望にも対処してまいろう、こう思っている次第であります。
  146. 濱田健一

    濱田(健)委員 橋本総理を含めて私たち、この沖縄の問題については、基地の関係から振興策まで、本当に戦後のというか、戦後半世紀、復帰されて四分の一世紀、いろいろな不都合を沖縄の皆さん方に感じさせてまいったわけでございますので、今大臣が答弁いただいたようなことも含めて、地元での雇用、地元で生きていける、これはもちろん県外に広く大きく羽ばたいていただく必要もあるのですけれども、やはり地元で働ける場というものをつくっていくということをお互いに確認をしていきたいものだと思います。  時間がございませんので別な観点に入りますが、三井三池炭鉱が三月末で閉山をいたしました。産業構造変化と、石炭産業というものが、まだまだ石炭は埋もれていながら実際に使う状況にないということを含めて、こういう形になりました。  昨年末に、経済構造の変革と創造のためのプログラムというものを経済構造改革を進めていくために策定をしておりますけれども、痛みを分かちつつ改革に果敢に取り組むという決意のもとに規制緩和とか諸制度の改革等に取り組むとなっているわけですが、やはり国民にとって一番の問題は失業問題なわけでございまして、三井三池の皆さん方が今、一定の心の整理をされながら新しい職業を求めて必死で毎日頑張っていらっしゃる、そのことに対して、閉山後の現在の状況と、雇用対策としてどういうことを取り組んでおられるのか、お聞きいたします。
  147. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 三井三池炭鉱の閉山の問題でございますが、これにつきましては、御承知のように、長い歴史的経過の中で、炭鉱、石炭、これがなかなか国際経済競争の中で国内炭がうまくいかない、こういうことから閉山のやむなきに至ったということでございまして、その後、この閉山によりまして、四月十五日現在で見ました場合に、下請労働者を含めて千三百八十四名の方が現実に離職をいたしております。そのうち、公共職業安定所に具体的に求職申し込みされた方が千二百九十一名でございます。今後、閉山の影響が地元経済にさらに及ぶようになるにつれまして、この離職者の数がさらに増加するものというふうに考えておりまして、その動向を十分注視していく必要があるというふうに考えております。  労働省といたしましては、この問題につきましては、もう昨年来取り組んできているところでございますが、本省内に炭鉱離職者等対策本部を設置いたしまして、当面の離職者対策をいろいろ検討するというようなことをやってまいりました。  この閉山が具体的に決まりました後、直ちに労働大臣に現地視察をしていただきまして、現地の要望をいろいろお聞きし、さらに、三月二十六日に、大牟田・荒尾地域について、地域雇用開発促進法に基づきます特定雇用機会増大促進地域に指定して、その準備を進めるとともに、機動的な職業訓練が必要になるということから、三井三池離職者用の専用枠、これを関係施設で九百名分を用意するというような体制の整備も行ったところでございます。また、具体的な求職受け付けに際しましては、地元の公共職業安定所のほか、三池鉱業所内に臨時職業相談所を設置いたしまして、職業相談あるいは職業紹介を行う体制を整備いたしたところでございます。  今後、これらの対策が有効に活用されるように、まず関係者の方々に十分周知徹底を図るとともに、離職者の方の地元志向、これが非常に強い、あるいは平均年齢が高い、そういうことを踏まえまして、職業紹介を行う、あるいは特別求人開拓を実施する、あるいは機動的な職業訓練実施することによって新しい仕事についていただく、こういうような努力をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。離職者の方の一刻も早い再就職に向けて、最大限の努力をしていかなければならないというふうに考えております。
  148. 濱田健一

    濱田(健)委員  時間が来ましたので終わります。先週でしたか、運輸委員会で、やはり国のプロジェクト、例えば、きのう新幹線法が衆議院を通ったわけですが、いろいろなそういうプロジェクトにも、こういう大規模な離職者の皆さん方の雇用の道というようなものも国として関係省庁と連絡をとりながら見つけていただきたいということを要望しておきたいと思いますし、おやめになった皆さん方が、平均年齢五十歳ぐらいでしょうか、まだまだこれから、人生七十年、八十年生きていらっしゃるのに、新しい職を見つける、そういう技術の獲得といいますか、職業の再訓練の場というものも、そのニーズに応じて適切に配置していただきますように要望して終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  149. 青山丘

    青山委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  150. 青山丘

    青山委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  151. 青山丘

    青山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 青山丘

    青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  153. 青山丘

    青山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十四分散会      ――――◇―――――