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1997-02-21 第140回国会 衆議院 労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 青山  丘君    理事 荒井 広幸君 理事 大野 功統君    理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君    理事 河上 覃雄君 理事 桝屋 敬悟君    理事 岩田 順介君       飯島 忠義君    大石 秀政君       粕谷  茂君    河井 克行君       小林 興起君    竹本 直一君       棚橋 泰文君    能勢 和子君       藤波 孝生君    綿貫 民輔君       鍵田 節哉君    塩田  晋君       西田  猛君    福岡 宗也君       吉田  治君    近藤 昭一君       中桐 伸五君    松本 惟子君       大森  猛君    深田  肇君  出席国務大臣         労 働 大 臣 岡野  裕君  出席政府委員         労働政務次官  小林 興起君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労政局長 松原 亘子君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省婦人局長 太田 芳枝君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君         労働省職業能力         開発局長    山中 秀樹君  委員外出席者         労働委員会調査         室長      中島  勝君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   村山 富市君     深田  肇君 同日  辞任         補欠選任   深田  肇君     村山 富市君     ————————————— 二月二十一日  労働時間の短縮促進に関する臨時措置法の一  部を改正する法律案内閣提出第一〇号) 同日  高齢者雇用機会創出に関する請願今田保  典君紹介)(第一五七号)  実効ある男女雇用機会均等法改正労働時間に  かかわる労基法改正に関する請願大森猛君紹  介)(第二〇九号)  同(金子満広紹介)(第二一〇号)  同(瀬古由起子紹介)(第二二号)  労基法女子保護規定改悪反対母性保護を前  提とした男女雇用機会均等法改正に関する請  願(石井郁子紹介)(第二一二号)  同(藤木洋子紹介)(第二一三号)  同(藤田スミ紹介)(第二一四号)  労働安全衛生法改正による職場における喫煙  規制に関する請願大森猛紹介)(第二七四  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  労働時間の短縮促進に関する臨時措置法の一  部を改正する法律案内閣提出第一〇号)  労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 青山丘

    青山委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  3. 荒井広幸

    荒井委員 皆様、おはようございます。自由民主党の荒井広幸でございます。  岡野大臣には、ルーツが福島ということもございまして、一層の御活躍をいただきたいと思いながら、大臣の所信について、今国会提出法案予算に絡めまして、私は二点、雇用空洞化対策、そして男女雇用の一層の充実、こういったことの基本的認識対応についてお伺いをさせていただきたいと思います。  早速ですが、現在、産業雇用空洞化が進んでおりますが、労働省として現状についてどのようにとらえておられるか、お伺いをいたします。
  4. 征矢紀臣

    征矢政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、経済グローバル化が進む中で、産業あるいは雇用空洞化が進んでおりますが、これは我が国企業生産拠点海外に移しつつありまして、そういう意味海外生産比率、これはまだアメリカやドイツよりも相当低いわけでございますが、これが趨勢的に徐々に高くなってくる、こういうことでございます。またこれと同時に、海外で生産された工業製品輸入比率、これが高まってきておりまして、今後、産業空洞化が一層進むことが心配されておるところでございます。  近年、おっしゃるとおり製造業雇用者数は減少を続けておりまして、平成五年からの三年間、この間に製造業におきます雇用者数は六十万入減少しております。ただ他面で、経済サービス化が進む中で、サービス業におきましてこの同じ時期に八十九万人増加しておりますから、そういう意味では、我が国産業経済全体としましての雇用問題はヨーロッパに比べましてかなり堅調であるということは言えるかと思いますが、一番基本製造業におきましてそういう空洞化が起こっている、こういうことでございます。  特に製造業関係、この事業所集積しております地域におきまして、生産拠点海外移転などの影響を受けて雇用状況が悪くなっている、あるいは今後悪くなるおそれがある、こういうことが心配されております。  したがいまして、このような産業雇用空洞化などの構造的な問題に対応した対策を講ずることが当面の最重要緊急課題というふうに考えております。
  5. 荒井広幸

    荒井委員 サービス業は堅調であるということなんですが、製造業、非常に厳しいということでございまして、まさに局長がおっしゃいました空洞化が特に製造業について進むのではないか、そしてまた同時に、その雇用状況は悪化していく心配がある、我々、そういう認識に立っておるという共通認識を持っております。  実際、労使双方関係者はどのようにそれらの認識をしていて、具体的には要望という形で出てきていると思いますが、どういう要望が出されまして、そしてそれを踏まえて、どう労働省として、国として対策を打っていくか、これが非常に簡潔明瞭な対策だろうと思うのですが、労使関係からどのような要望が今出されているのか。そして、それを受けて、今度の予算あるいは法案、そういったものにどう反映されていくのか。これらにつきまして、大臣に御見解をいただきたいと思います。
  6. 岡野裕

    岡野国務大臣 荒井先生お話でありますが、労使それぞれから要望が出ております。事務局に調べさせましたが、例えて言いますと、二、三御紹介をします。  まずは連合からのものでありますが、物づくり産業発展に向けた技能育成、それから雇用創出してもらいたい、これが連合さん。それから、全国中小企業団体中央会がございますね。あちらさんから出されたものを要約しますと、構造変化対応した地域産業集積、これの活性化を頼むよという話であります。あるいはまた、関東商工会議所連合会というところがございますが、この方々からは、地域経済活性化に向けての雇用創出製造業における技能の伝承というようなものに要望のあらかたを集約できるか、こう思っております。  今も職安局長の方からお話をしたわけでありますが、これらの御要望等を踏まえ、労働省在来からの経験蓄積、これらを合体いたしまして、今度、地域雇用開発等促進法改正案を出しております。改めてまた、この面についての御審議をいただきますならば、まことに幸せであります。
  7. 荒井広幸

    荒井委員 これについての改正法案ということでございますから、またそれは後ほど改めた機会に譲ることにいたしまして、私は、今労働委員会、初めての所属でございますが、大臣からそうしたお話がありましたが、経験とかノウハウを非常に発揮してやっていかなければならない、私はそのように思います。  そうした事業のほとんどが雇用促進事業団の手になるものも非常にありまして、私は強く最近思っておりますのは、やはりそういった蓄積人材もおります。そういったところが手なれた形でいろいろな施策を打っていかないと、これは、言うはやすく効果というのはなかなか発揮しないのじゃないか。このような観点からも、現在行われている特殊法人の見直しや行政改革というものは広く見ていかなければならない、そのように私は思っておりまして非常にいろいろな施策の中での、特に地域雇用開発等促進法改正などにつきましても、改めてそれを実行していく。実を高からしめるためには、雇用促進事業団などの経験も重要である。こういった点についてはぜひ記録にとどめておきたい、このように思っておる次第でございます。  さて、大臣、そういったお話の中で、私自身は、次に大切なことは、行政改革にもつながるわけでございますが、どのように施策予算実効性というものをつかまえて、それを評価をして、そして次に新たな施策、あるいは臨機応変な対応として移行していくかということが非常に問われている課題だろうと思うのです。  その意味で、諸施策を適切に進めた、それを数値的にはかって、これはうまくいった、実効があるよとなかなか言いづらい分野が多いわけでございます。雇用について、いろいろな形でそれらは数字的には特にとらえにくいわけでございますけれども、少なくともその効果をチェックする仕組みということは、不断にこれは問われていかなければならないと思っておりますので、こうした特に新たな政策を進める場合の政策効果をどのように把握をしていくか、評価をしていくか、こういったことについて、基本的な対応について、これは労働省の方に伺いたいと思います。
  8. 征矢紀臣

    征矢政府委員 基本的な考え方につきましては先生指摘のとおりでございまして、政策を進めるに当たっては、やはり予算を組み、法律をつくり、それをきちんと実施していく、そういう中で政策的な効果が具体的にあらわれてくる、こういうことが基本的な考え方だというふうに思います。  ただ一方で、雇用対策につきましては、御承知のとおり、これはいろんな場面で離職者が出てくる、あるいは失業の心配がある、そういう場合にさまざまな対策をとっておるわけでございまして、これは言ってみれば対症療法であります。例えば、風邪になったときに医者に行けばいつも五つか六つの種類の薬がもらえる、こういう面があるわけでございまして、そういう面では必ずしもその効果が適切にはっきりあらわれてこないという面もございます。  ただ、今回の新しい施策を行うに当たりまして、地域におきます関係者の取り組み、これを促進するとともに、新事業展開に必要な人材の受け入れ、あるいは労働環境改善に対する支援、あるいは地域におきます技能育成発展のための人材育成に対する支援、そういう幅広い支援措置を講ずることといたしておりまして、これによって地域全体の雇用構造高度化あるいは雇用創出を図ろうというふうに考えているものでございます。これを現段階で、この施策効果を全体的に数量的に把握することは直ちには困難でございますが、予算の積算としては一応三千人ないし五千人程度の効果を頭に置きながら対策をとろうとしておるところでございます。  これにつきましては、法案を御審議いただき、法律を実施し、そういう中で施策効果を上げていく、あるいは問題があればさらに改善をしていく、そういう形で、できるだけ現実に合った形で地域の役に立つように、そういう対策をとっていく必要があるというふうに考えております。
  9. 荒井広幸

    荒井委員 三千から五千人の効果もあろう、こういうことでございますけれども、それだけでも非常に大変なことだろうと思います。私は、要は、行革というのはやはりそういう政策効果歩しっかりとそれぞれの役所、国が判断をして、そして改めるところは改め、またいいところは伸ばしていく、そういう柔軟な対応だろうと思っております。むしろ、そういうことが非常に私は実効性のある中身だろうというふうに思っております。  そこで、先ほど三つの団体の例を大臣から御説明いただきました。まさにそうした労使双方関係者の声、これがまさに私は生の声、評価だろうと思います。こういったことをしっかり、その都度その都度吸収をし、それをさらにどのようにするかという勇断、場合によっては勇断ということが必要だと思います。そうしたことをしながら柔軟に対応して、また働く皆さんの側に対しても、それから雇用者の側の方に対してもよくなるよろなそういう方向でいっていただきたいというふろに思っております。  しかし、これは労働省のみならずの問題でございます。やはり産業政策との十分な連携、これもまた行政改革一つの趣旨であろうと思います。縦割りなどというようなことを非常に言われておるわけでございますけれども雇用空洞化対策につきましては、労働省雇用対策、今のような対策、さらに実効あるものとするためには産業政策とも十分連携が必要と考えておりますが、改めてこの件につきましての連携について、大臣の御所見を承りたいと思います。
  10. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生労働省所管をしておりますのは労働者皆さんといいましても、非常に広いわけですね。その中で、私ども行政の対象は雇用労働者ということに相なっておりますので、雇用ということになりますれば、産業のもとにはせ参じて大きく自分の能力を発揮していく、そういう労働者ということに相なります。  先生お言葉の中にもございました産業空洞化ということになりますと、したがって、そこに雇用をされているところの労働者皆さん空洞化が生ずる、称して雇用空洞化、こういうふうになろうかと思います。  そういう意味合いでは、大体私どもが、産業が、製造業集積をしている地域、その雇用維持をしようと思います地域と、それから通産省のサイドから見て、ここがやはり産業空洞化しそろな地域というのはおのずと合致をしてくるわけでございますね。したがいまして、通産省所管産業の振興の、あるいは中小企業を何とか維持発展をさせていきたいという気持ちと、私どもの、雇用が安定をし、よりそれが創出をされていくという気持ちが一緒になりますもので、お互いに情報を交換しつつ、施策が相合致して全体の運営がらまくいくようにというような心がけで営んでいろつもりでございます。
  11. 荒井広幸

    荒井委員 どうぞ、そういう方向でよろしくお願いを申し上げたいと思います。産業雇用空洞化、これは最近、新しい問題であるにしてはいろいろな角度から議論がされ、なかなか困難な問題を含んでおるわけでございますけれども、少なくとも製造業においては根本的な新しい技術革新、こういうものが登場しないために、いわゆる技術的な差別化というのが非常に難しい。結局そういうことになるとコスト競争に走らざるを得ない、コスト競争に走れば、結果的には一番しわ寄せを受けやすい人件費労働者の側にしわ寄せがいってしまいまして、人件費の安い世界の地区にそれらが移転をしてしまうというようなことでございまして、結果それによって日本国内皆さんの所得、特に製造業にかかわっている皆さん方の収入がなかなか先行き不安であって、それが消費に反映される。そして消費が抑制され、最後景気も悪循環を迎えている、こういうことであることはいろいろな角度から議論をされています。  そういうようなことで、なお一層の労働省としての雇用対策、幅広く産業政策景気対策、いろいろな形からの各省庁との連携お願い申し上げたいと思います。  さて、二つ目の大きな私の質問の課題でございますが、今国会男女雇用機会均等法改正法案が提出される予定になっております。  そういうことで、今の雇用の問題の中で、女性皆様方に大いに活躍をしていただかなければ当然ならないわけでございますが、十年たちました。この均等法施行十年の間を振り返っていただきまして、どのようにその事案が変化してきているのか、その変化の中で最近はどのようなことが問題になっているのか、その問題意識、どのようにつかまえておられますでしょうか、この点大臣に。そして同時に、大臣に、恐れ入りますが、そういったことを受けての今回の均等法改正案はどのような考えなのかということでお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃいますように、男女雇用機会均等法、十年を経過したところでございます。この十年間には、各企業におきますところの服務管理的な面でありますか、あるいはそれを取り巻く社会全般意識、これが大分向上をしてきたように私どもは受けとめております。だがしかしながら、一つ一つ企業、特に中小企業さん等の内部に立ち入ってみますと、まだまだ雇用均等というものが定着をしておらないという念を深くするところであります。  最近どのような苦情的なものがあるかという先生お尋ねでありますが、各県に婦人少年室というものが設けてございます。この部屋に寄せられますところの苦情でありますが、かつては、男女で定年に差があるのではないか、これはおかしいというものが多かったのでございますが、最近は、学生就職難ということもあるのでありましょう、女子学生の就職問題、つまり募集あるいは採用についてどうも差がある、差別があるというような苦情が著しく多くなっております。  それから最近、新聞でも御存じかと存じますが、都内のある中小金融機関で、配置昇進について提訴して争うというようなことがありましたが、そういう配置昇進についての差別、あるいは結婚、そして出産でありますか、そういう時期をつかまえて、やめたらどうかというようなことを言われるというようなことが、最近の少年室に寄せられている事象であります。  というようなことを踏まえまして、今度また十年の経験にかんがみて新たに男女雇用機会均等法改正をしよう、そうして募集だとか採用だとか、今お話が出ました配置だとか昇進だとかいうような問題について男女差別を禁止しますとともに、注意、勧告等をしましてもなかなか是正が図られないという場合には、その企業名を公表するというような制度を設けるとともに、在来、今の婦人少年室調停を申請する場合にも、単独では、差別を受けたという女性の方からだけではできなかった。相手側の同意が要った。これではなかなか成果が上がらぬのではないか。したがって、一方的に調停申請ができるというような中身を盛り込んだ、そういう改正案でございます。また席を改めまして御審議をいただければ幸せであります。
  13. 荒井広幸

    荒井委員 また席を改めたところで、十分に掘り下げた各委員からの質疑があろうと思います。  企業名の公表とか調停の仕方というようなことで、私は非常に高く評価をしておる次第でございますが、一方、大臣から御指摘がありましたけれども苦情の中に、結婚の時期をつかまえて、どうですか、おやめになったら、こういうようなことが女性の方にはあるわけですね。そうなってきますと、これから少なくともやはり男女ともに働き続けていく、そして女性男性も対等にその持っている能力を発揮できる、こういうことが大原則ではありますが、この出産育児というところをつかまえましても、いろいろとまだ課題が嵐るわけでございます。  そこで、育児あるいは家族介護、今厚生省でも、介護法案議論が始まったと聞いておりますけれども、こういったことを労働者がしょっておるわけでございます。女性の方は特にしょっているわけでございますけれども、またこれは男性にもかかわってくるわけでございます。そういう意味におきまして、育児介護休業法改正するということで予定されておられますが、それのざつとさわりといいますか、内容をお聞かせいただきたいと思います。
  14. 太田芳枝

    太田(芳)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘のように、働く女性たち家庭責任職業とを両立できるということはとても重要なことでございます。このため、労働省では、育児介護休業法に基づきまして、育児休業法定着、それから介護休業制度、これは平成十一年に形成権化されますが、この制度早期導入企業お願いをするということを初めといたしまして、男女労働者が仕事と育児家族介護を両立させつつ、その能力経験を生かすことのできる環境の整備を総合的に進めてきておるところでございます。  そしてさらに、今回の改正法案におきましても、女性に対する深夜業の規制を解消させていただきたいと考えておりますので、それに伴いまして育児介護休業法改正いたしまして、育児家族介護の問題を抱えた一定範囲男女労働者に対しましては、その方々が請求された場合には深夜業をさせてはならないというような形で、家庭というものに対する配慮をしているところでございます。
  15. 荒井広幸

    荒井委員 最後になりますが、この男女雇用機会均等法改正法でございますが、改正均等法施行に当たって、これはすべてに言えることでございますけれども事業主労働する皆さんに対して十分な啓発周知ということが当然必要でおろうと思いますが、その取り組みにつきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  16. 太田芳枝

    太田(芳)政府委員 今お出ししております改正法案を無事成立させていただきますれば、私どもといたしましては、その円滑な施行に向けまして、施行前から積極的に特別に力を入れまして啓発活動を展開していきたいというふうに思っております。特に、事業主、それから労働者を初め関係者に対しまして、これは随分意識変化ということもお願いをしなければならない部分もございますので、その改正内容につきましては周知徹底を図っていきたいと考えているところでございます。  具体的に申しますれば、地域別業種別等によりまして集団説明会というようなものを実施させていただきたいと思っておりますし、また事業所訪問などのあらゆる機会をとらえまして周知を図ります。特に、中小企業などにも改正内容周知が徹底されますよう、できる限り力いっぱい努めてまいりたいというふうに思っております。
  17. 荒井広幸

    荒井委員 それらにつきましては、各政党、議員の役割も重大であるというふうに考えております。我々の側の対応というのも必要だと考えております。  いただきました時間、少々ございますので私、今の一連の質疑の中での私の問題意識をもう一つ御披露させていただきたいというふうに思っておりますけれども行革というのが今非常に声高に叫ばれております。もちろん、必要であるからこそ叫ばれているわけでございますが、政治改革があれだけ騒がれました三、四年前、いつの間にか政治改革選挙制度改革になってしまった。そして、そのころの新聞論調と現在の論調マスコミ論調、大きく変わっている。こういうことを見ましても、私は、非常に熱にうなされやすかった時代というものは、一遍に日本列島全部を覆い尽くしているんだなというのを改めて政治改革で痛感をしたわけでございます。  私自身、小選挙制度導入賛成者でございましたけれども、あの時期を振り返りながら、今のいろいろな世論の流れ、変わりようというのを見ますと、非常にそのときにきっちり、場合によっては世論にさおを差すようなことさえもしていくということが改革ではないかというふうに私は思っております。その意味におきまして、行革のための行革になりはしないかという心配をいたしております。  例えば、特殊法人数減らしをすれば行革であるとか、あるいは予算赤字減らしをすればそれが財政再建改革であるというような話に行き過ぎる嫌いがあるのではないか。問題は手段であって、今後の展望の中で国民のためになる内容はどういうものなのかという順番でそれらを構築していかないと、例えば予算も、ただ単に赤字を減らせばいいとか、そういうところだけの話になって、ちょっと議論方向というのは見失うおそれがあるのではないかということを私は申し上げたいわけでございます。  やはり実質的に、今後を展望して、どういう内容、あり方、形を含めて、いいのかというようなところをしっかりと一つ一つ取り上げて、十分な議論をしていく、総論で解決するものではない、これも当然お互い委員共通認識でございますが、私自身、そういう観点から、国民のためになるというスタートから、積み木を積み重ねるような形でいろいろなものを見てまいりたいということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  18. 青山丘

    青山委員長 次に、塩田晋君。
  19. 塩田晋

    ○塩田委員 新進党の塩田晋でございます。  岡野労働大臣を初め労働省の職員の皆さん方、真剣に国家国民のために行政に取り組んでいただいておりますことに敬意を表しますとともに、感謝を申し上げたいと存じます。  私は、新進党の内部におきまして明日の内閣というのがございますが、その労働雇用担当大臣を仰せつかっております。岡野労働大臣に、ここで全般にわたりまして御質問をいたしますので、率直に、簡単明瞭にお答えをいただきたいと存じます。  まず、岡野労働大臣、所信表明、趣旨説明をしておられますけれども、一言で自分の真情を吐露すればこういうことになるというところをひとつ御披露いただきたいと思います。
  20. 岡野裕

    岡野国務大臣 塩田先生お話、かみしもを着ないで、岡野、おまえの気持ちを話せ、こういう御質問だと受けとめまして、お答えをします。  私はもうよわい六十歳を超えておりますけれども、やはり安定した職場、職業を身につけられないと、その上に立つべき上部構造的なもの、言いますならば、文化教養、スポーツ、最近ではグルメ等々といいますものが一切実現不可能であろう、そうすると、労働行政といいますものは、人間が人間として生きる一番基本のものである、その考え方を腹に据えて行政をやらねばならない、こういうふうに思っております。よろしゅうございましょうか、一言で言うとそうなりますが。
  21. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございます。  私は、率直に労働大臣がお答えいただきましたそれを評価するものでございます。  やはり日本の国民お互い人間でございます。労働行政の最高責任者といたしましては、どうか人間に対する温かいお気持ち、これが基本であると思いますし、労使いろいろと対立する点もございますけれどもお互い話し合って、対等の立場で問題を処理していくという立場、それがまた国のため、国民のためになると思いますし、また日本の経済発展基本はそこにある、今まで発展してきた大きな原因は、やはり労使お互い協力し合って難しい問題を一つ一つ解決をしてきた、ここにあると思います。ひとつ今後とも、日本の経済発展のために、雇用の拡大のためには、ぜひともそういった気持ち労働行政を取り仕切って運営をしていただきたい、このように念願すろ次第でございます。  そういった観点に立ちまして、現在、高齢化が非常に進んでおります、また、身障者もかなりおられますが、そういった雇用対策あるいは労働冬件の改善等につきまして、どのようなお考えで進めていかれるかをお聞きいたします。
  22. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘高齢者あるいは障害者対策でございますが、御指摘のように、今後二十一世紀に向けまして少子・高齢化が進む中で、高齢者雇用問題、これは極めて重要な課題であるというふうに考えております。この点につきましては、現在、高齢者雇用安定法に基づきまして、六十歳定年の定着化あるいは義務化、そういうものを進めておりまして、これにつきましては、その目的が近い将来達成できるというふうに考えております。  ただ、今後を考えた場合に、雇用のあり方とまして六十歳定年では不十分でございまして、二十一世紀になりますと、社会保障制度も年金が印階的に六十五歳までになる、こういうことでございますから、そこを踏まえて、雇用のあり方につきましても、当然これは年金と雇用が連動していくのが本来の姿でありますから、そういう観点からの雇用対策を積極的に進めていく必要があるというふうに考えております。  ただし、これは労使の合意を得ながら進めていく、そういう必要がある対策でございまして、例えば六十五歳定年を一律に強制的にやるというのは、現段階では各方面の御理解が得られないわけでございます。したがって、そういう状況も踏まえながら、六十五歳までの雇用を積極的にさまざまな形で進めていく必要があろうというふうに考えているところであります。  障害者雇用につきましても、豊かな経済社会の中で、一定の障害を持った方もやはり一人前の雇用者として働けるような環境をつくることが非常に重要でございます。そういう観点から、当面の重点としましては、特に精神薄弱者の方々についての雇用対策、これが、従来職域が狭いというようなことから対策の強化が見送られてきた面もございます。この点について、その後、職場の範同が相当広がってきた、そういうことも踏まえて、今回、障害者雇用促進法を改正して、精神薄弱者につきましても法定雇用率にきちんとカウントする、そういうような対応をしていく必要があろうというようなことを中心としまして、関係法案改正について今国会お願いをする予定にいたしているところでございます。よろしくお願いいたします。
  23. 塩田晋

    ○塩田委員 現代の日本の経済のここまでの亜展、戦後のあの非常に困難な状況から考えますと、やはり国民の汗と知恵、努力の結果であると思います。やはり、高齢者に対しまして温かい与持ちで対策を進めていただきたいし、また、身障者につきましては、精薄者を含めまして、どうかひとつ、なお前進を対策の上でしていただきたい、このことを要望いたします。  次に、労働大臣にやはり同じ観点からお尋ねするわけでございますが、国民の生活にとりまして、消費税の四月一日からの二%アップ、この影響は大きなものがございます。また、連合の組合を初め、非常に強く要望いたしております、また我々も要求をしてまいりました所得税の特別減税、これの取りやめという事態その他も含めまして、国民の生活に直接響いてくる、それが約九兆円でございます。言うならば、国民の、特に大部り分を占める勤労者の生活の財布から九兆円を取り上げるという事態でございます。これは、生活よ直結して大きな影響が出るとともに、日本の経済景気の回復の足を引っ張るという点もあろうかと思います。  この問題につきまして、労働大臣はどのように認識をしておられますか、お尋ねいたします。
  24. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生お話しの消費税率の五%引き上げでありますが、勤労者の皆さんへの負担増、これは、平成七年度から実施をしております恒久的な制度減税、これによりますところの減税とほぼちょうど見合うものではないか、かように考えております。なお、八年度まで実施されていた特別減税が九年度からなくなるということでございますが、これは、言いますならば、本来の税制の姿に戻るのだなというふうに受けとめております。  なお、これらが影響する景気問題でありますが、消費税率の引き上げを行ったといたしましても、民間需要を中心とした自律的回復が実現をされて持続的成長への道が開かれるのではないか、こう考えているところでございます。
  25. 塩田晋

    ○塩田委員 消費税の引き上げにつきましては、新進党は反対をし、据え置き法案を本国会にも提案したところでございますが、これが残念ながら、我が党以外は全部反対であった。選挙のときの公約とは全く異なった異常な状況が出たこと、非常に残念でございます。  国民、特に勤労者の生活に直結する悪影響を及ぼすものであり、景気に対しましても悪影響が出る、このように認識いたしますが、こういった点こそ労働大臣は、閣議において、勤労者、国民生活のために力いっぱい頑張っていただきたかったと思うのでございますが、ひとつ今後ともよろしくそういった観点から閣内で頑張っていただきたいと存じます。  次に、失業の状況でございますが、どのような雇用失業情勢になっておるか、若干長期的な、時系列的な観点からお話をいただきたいと思います。
  26. 岡野裕

    岡野国務大臣 有効求人倍率でありますが、これは私就任をしました三、四カ月前、〇・六二ぐらいでございましたものが、今日では〇・七六ぐらいまでは上がっている、多少明るい兆しが見えているかな、こう思いますが、完全失業率は、先生御存じのとおりいまだに三・三ということで、厳しゅうございます。昨年の五月、六月ごろ、三・五あるいは四というような数字から見ますと、多少変わっているわけでありますが、非常に厳しい数字だ、こう受けとめて、今後も頑張るつもりであります。
  27. 塩田晋

    ○塩田委員 失業というのは本当に、その失業した本人にとっては家族を含めて大変な生活上の困窮に至るものでございますし、諸悪の根源と言われているのが失業でございます。身体的にも支障が起こる、いろいろな面で、社会的にもいろいろな不安が起こる。あらゆる諸悪の根源はここから出るのだ。また、その救済のためにも政治的にこれを利用してナチス・ドイツのような政治現象が起こるということも失業が大きな要素であったことでございますから、失業問題というものは、これはもう諸外国におきましては経済運営の、経済政策の一番のメルクマールとして失業率を掲げて、これをにらみながら経済運営をしているところでございます。  そういった観点がもう少し日本においてもあっていいんじゃないかと思いますが、まだまだそういう認識が薄い。しかし、いずれはこの三%の水準というのはもっと諸外国並みに上がっていくということを覚悟しなければならない問題だと思います。  ところで、地域的には失業率、雇用情勢はいかがでございましょうか。ブロック別で結構です。
  28. 征矢紀臣

    征矢政府委員 地域別に見ました場合に雇用状況がどうかという点でございますが、手元に資料を持ち合わせておりませんで正確には申し上げかねますが、例えばただいま大臣がお答え申し上げました有効求人倍率、これは全国平均で〇・七六倍ということでございますが、地域によりまして相当大きなギャップがやはりございます。一を超えているところも十七、八県あろうかと思いますが、一方で〇・五を割っているところも相当ございます。特に厳しいところでは、沖縄あたりでは〇・二倍台、こういうような数字でございます。  それから失業率につきましても、これはブロック別の数字でございますが、これもやはり平均的に三・三%ということでありますが、例えば、一番厳しい沖縄では五・五%ぐらいだったと思います。それから、状況のいいところでは二・五%というような数字もございます。二%台という数字もございます。  そういう意味では、やはり雇用対策につきましても、地域における状況を踏まえた対策もいろいろな面で考えていく必要があろうというふうに考えております。
  29. 塩田晋

    ○塩田委員 沖縄に触れての答弁でございましたが、これはいろいろと日米関係の問題もありますし、特別の雇用失業対策を実施していただきたいと望みます。  それから、同じく九州地区はやはり雇用失業情勢はよくないというふうに見ております。  ところで、新進党におきましては、三井三池の閉山の提案がございましたその明くる日、現地の大牟田、荒尾に参りました。調査団を編成いたしまして、十一名、衆参両院議員で現地を一日、朝から晩まで関係者と会い、また実情をつぶさに見、いろいろな御意見を承ってまいりました。その上に立ちまして御質問を申し上げます。  その三井三池の閉山、これは日本の産業を支えてきた石炭産業のほとんど最終段階での大規模閉山でございます。現地を見ましても、大牟田の人口は十六万、荒尾が六万、その中で、ずっと一貫して人口が減ってきておりますが、これでまた大きな火が消えて、一層人口減が進行するというふうに考えられます。現地は非常にいら立った表情で、いろいろな訴えを受けたところでございます。それを結論的に二、三点に絞りまして労働面で要望いたしますので、大臣のお考えをお聞きしたいと存じます。  まず、やはり主要産業でありました炭鉱がなくなるわけでございます。したがって、それにかわる新規の産業を誘致あるいは振興しなければならない、このように思います。そこに雇用を吸収していく、これがもう一番基本の問題だと思います。そして、離職される皆さん方に対しましては温かい離職者対策、再雇用あるいは再就職の施策をやっていただきたい、このことをお願い申し上げます。  その産業基盤の育成、整備のために、石炭会計あるいは一般会計から出ております公共事業、その中でも労働省関係では開発就労事業、これに対する要望がかなりございます。これは非常に臨機応変にやっていただいて、有効な手だてだと思いますので、開発就労事業をぜひとも集中的にこの地区に実施をしていただくということをお願い申し上げます。  それから第二点は、やはり現地では住宅問題が非常に深刻でございました。炭住も見てまいりました。新しくなっておるところは立派ではございますけれども、まだ戦前からの木造住宅に、社宅に住んでおられる方も多数おられます。  土地はかなりございます。また、会社の施設等も残るわけでございますが、そういったところを有効に活用して、いろいろな労働対策あるいは職業訓練、能力開発等の施策に有効利用をしていただきたいと思うわけでございますが、特に住宅の問題につきましては、炭住に住んでおられる方は八カ月後には出なければならない、そして最悪の場合でも四カ月延ばし、すなわち一年以内にはそこを退去しなければならぬという状況がございまして、非常に不安がっておられました。何とかしてもらいたいということでございます。  また、会社の方もそういった財産、資産を売却して退職金その他のいろいろな労働対策に充てるということになりますので、一年以内にはこの処分を考えなければならぬという状況にございます。  雇用促進事業団には、炭鉱離職者移転就職者用の宿舎といたしまして全国十四万戸を現在までにつくっておられます。運営しておられます。最後の大型の炭鉱離職者でございます、そういった要望にこたえるためにも、その地域の、大牟田、荒尾等の地方公共団体の意見を十分に聞かれまして、土地の提供を受けるなりして、本当に最後の大型施策になると思いますが、ぜひとも雇用促進住宅を三棟でも四棟でもつくってあげていただきたい、これが現地の皆さん方の強い要望でございますので、お願いをいたします。  それから、転入学につきまして、特に高校でございますが、公立高校に入学がなかなか難しい、たとえ転職をして移動しても転入学が難しいという問題がございます。これは文部省の関係でございますけれども、それが就職に非常に関連があるということでございますので、御配慮をいただきたいと思います。  それから、黒手帳と緑手帳の問題でございますが、今まで閉山が数十年にわたって行われてまいりましたけれども、三井三池の場合は今までのところとは若干様子が違う、事情が違うことがございます。詳しくは申し上げられませんけれども、若干違います。こういった問題につきましては、ボーダーライン、これは弾力的に運用していただくようにひとつ御配慮をいただきたい、お願いいたします。  それから、第三点でございますが、労働省は各種の離職者対策、これは一般も含めましての雇用保険の延長とか助成金あるいは融資、また奨励金あるいは雇用調整金、こういったいろいろな制度を持って、いわゆるメニューを持っておられるわけです。これをフルに活用して離職者対策に万全を期していただきたい、このことをお願い申し上げます。  そのためにも、これは黒手帳、緑手帳の問題のほかに、この閉山によって影響を受けるいわゆる小売業、卸売業、あるいはサービス業等々といったところから離職者が当然発生いたします。人口がそれだけ減っていくわけですから、当然起こるわけです。そういった問題に対処して、やはり手厚い対策をしていただきたい。それは、やはり特定雇用拡大促進地域をひとつ大牟田、荒尾、その周辺につきましてぜひとも認めていただきたい。言うならば格上げ、地域の格上げをしていただきたい。現在までに余りないようでございますが、空知等にその例がございますし、それ並みあるいはそれ以上の大きな離職、失業問題でございますので、よろしくお願いいたします。  これについて労働大臣の善処方を求めるものでございますが、大臣、率直にひとつ、この地域の人たちは大臣の一言一句を注目いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
  30. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生幾つかの項目についてのお問いがございましたが、全般的に三井三池の問題につきましては、先生おっしゃいますように非常に大きな社会的事象だ、こう思っております。通産大臣とも緊密な連絡をとって、この重大災事に努力をしてまいりたい、こう思っているところであります。しかし基本は、先生雇用の確保、これが重点だ、こう思っております。幸い、御存じのとおり、全国職業安定ネットワークがございますので、フル活用したいものだ。  また、今まで労働を提供していただいた諸君の労働の業種といいますものと、それから新たに職場を求めてそこに行かれます場合の発揮していただくべき技術といいますか、その面に大きな乖離がございます。したがいまして、雇用促進事業団の下部機関等々、地元に荒尾あり熊本あり飯塚あり佐賀ありというようなところをこれまたフル活用いたしまして、人材等も登用をし、臨時の講座等もつくりまして、職業能力を幅広くすることによって職域を拡大して、何とか再就職口を提供できるようにしてまいりたい、こう思っております。  あとは、失業保険給付、それから先生お言葉の求職黒手帳、緑手帳、これこれの活用によりまして、三年の間でなるべくミスマッチのないそういう就職先を考えよう、以上が労働行政として私が考えているところでございます。細論は事務局に任せますが。
  31. 塩田晋

    ○塩田委員 結構です。  労働大臣、もう一歩前進した対策として、私が最初申し上げました開発就労事業、それから特定地域への格上げ、これをぜひともお願いいたします。  それから、今お話がございましたが、昨年の十月に就職希望をとったものを見ますと、九割以上の方が地元就職希望です。他にも行く人はありますけれども、地元は求人が非常に不足しておるし、また今後とも不足が見込まれる。そこで、産業振興のための企業誘致等が必要であるわけでございますが、そういった中で本格的にまた意向調査、就職相談が始まるのは四月でございます。もっと確実な数字が出てくると思います。  ただいまのところ、雇用開拓をして、求人開拓によりまして千七百四十四名の求人が見込まれておるという報告がございましたが、せんだって現地へ行きまして各方面当たってみましたら、経済団体あるいは会社側の努力によりまして、現在は二千名を超える求人が見込まれるというような明るい情報も得ておりますけれども、どうかきめ細かな対策、炭鉱離職者はもとよりのこと、その周辺の人たちの離職、転業等の問題につきましても、どうか温かい御配慮、対策をしていただきたい、このことをお願いいたします。
  32. 岡野裕

    岡野国務大臣 私がつかまえている数字では、正社員及びそれとともに働いている下請の皆さん、千五百三十九、会社当局、この数字も先生から出ました千七百四十四、いかんせんやはり地元が少ない。全体としては再就職口の数は多いが、地元が少ない。その地で長く仕事をされておられれば、そこでまた新しい仕事を、これは人情だろうと思っております。  それも考え合わせて、例えば地元の職業安定所から三井三池の構内に出張所を設けまして、そこで個別に、ミスマッチがないような、人生相談も相兼ねたようなそういう御相談に乗れるようなことがあればいいかな。あるいは訓練等におきましても、大型ダンプ等の自動車免許、これはそれぞれ教習所があるわけでございますが、ショベルカーでありますとか、あるいはクレーン車でありますとか、そういうようなものの技能は、三井三池にありますところのそういった機具といいますか、機械といいますか、装置といいますか、これを活用して実地に技能を身につけていただくとか、パソコン、コンピューター等も利用ができればこれも大いにお勧めをしてみるとか、いろいろなことでやります。  もう一つは、ちょうど、これは製造業ではありませんけれども製造業空洞化が生ずる、その意味では雇用空洞化だ。やはりそこに新しいジャンルの産業が、ベンチャービジネス等々ができることが一番でありましょう。こういうような意味合いでも、通産省当局と十分連携をとりながら何とか雇用対策に万全を期してまいりたい、こう思っている次第であります。
  33. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  先ほど申し上げました開発就労事業雇用促進住宅の建設、そして特定地域への格上げ等につきましては、ぜひとも早い時期に結論を出していただいて、善処をお願いいたします。  それから、職業訓練の関係、能力開発問題につきましては、これも機動的に弾力的な運営を図ってひとつ対策をきめ細かくやっていただいて、ミスマッチを解消していくようにしていただきたいと存じます。  つきましては、雇用保険の給付延長等もございますし、今失業者が増大している中におきまして、雇用保険財政、収支はどのようになっておりますか。お伺いいたします。
  34. 征矢紀臣

    征矢政府委員 雇用保険財政の現状、あるいは今後の見通しでございますが、雇用保険の失業専給付に係る収支状況でございますが、昨今の厳しい雇用失業情勢を反映いたしまして、平成七年度決算におきましては、収入が一兆八千五百九十二億円、このうち、保険料収入が一兆二千四百五十七億円、国庫負担が三千三百八十二億円。一方の支出を見ますと、二兆二百二十一億円となっておりまして、結果として、千六百二十九億円の赤字を計上したところでございます。この赤字につきましては、当然積立金を取りまして補てんをいたしております。  また、八年度におきましても、経済の回復とあわせまして雇用情勢にも明るい兆しは見られるわけでございますが、ただ、雇用保険受給者につきましては、引き続き高水準で推移しておりまして、今後ともその動向を注視、注意していく必要があるというふうに考えております。  ただ、今後の雇用保険財政につきましては、積立金制度がございまして、これでなお四兆円余の積立金残高を有しておりますことから、当面、保険財政については料率の変更等を検討する必要はないというふうに考えております。
  35. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  積立金四兆円というのは、もう二年足らずでなくなってしまう額ですね。そして、これが五兆円を超えておった時期もあったわけですが、ここ二、三年のうちに非常に減ってきておるという状況。必ずしもこれは、当面はいいとしましても、このままでいけないのではないかということも考えられます。ひとつ、保険財政を十分にらんで、負担増にならないような運営をぜひともお願いいたします。  それから、同じく労働保険の中の労災と保険財政につきまして、現状をお伺いいたします。
  36. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 まず、労働災害の現状についてお答え申し上げます。  労働災害の休業四日以上の死傷者数は、平成七年で十六万七千人ほどでございまして、これは長期的に減少傾向にございまして、平成六年に比べましても八千七百人ほどの減少になっております。  ただ、労働災害による死亡者数につきましては、近年横ばいないし増加ぎみでございまして、平成七年は二千四百十四人、対前年で百十三人の増加になっております。  ただ、平成八年に入りまして、まだ確定をいたしておりませんが、現時点で発生状況を見てまいりますと、休業四日以上の死傷者数はもちろんでございますが、死亡者数につきましても減少することが見込まれております。  次に、労災保険の財政状況についてお答え申し上げます。  平成七年度の決算で見ますと、保険料を中心にいたしました収入総額が一兆七千九百七十八億円でございまして、他方、保険給付を中心にいたしました支出総額は一兆二千八百七十二億でございます。決算上の収支差五千二百三十九億円が出ております。この収支差につきましては、労災の年金受給者の将来の給付のために積立金に繰り入れておりまして、積立金の額は、平成七年度で五兆七百四十六億円となっております。  このように、労災保険財政、基本的には安定した状況にございますが、この積立金が、現在二十一万人おります労災の年金受給者の将来給付の必要額に比べますとまだ六二%程度でございまして、今後とも引き続き積み増しをする必要がございますので、私ども景気の動向や労働災害の動向を見つつ、健全な制度の運営に努めてまいりたいと考えております。
  37. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  労災につきましては、全体的には減ってきておるということで、御努力の結果だと思いますが、死亡が若干ふえてきておるという状況ですね。そして、近年、景気が停滞している中でなお死亡者がふえているというのは、これは問題だと思います。財政はかなり安定的に推移しているようですが、死亡がふえ、また年金がふえていくということで、これも注意する必要があると思います。  ところで、死亡者の中で労災認定されたもの、されないもの、大臣、過労死の問題がございます。働き過ぎ、深夜労働その他時間外労働が積み重なって、本当に大変な長時間労働になって、その結果過労死が各所で起こっておる。これにつきましては、認定されるものもあれば、されないものもある。審査請求が行われて認定されるものもあれば、不認定のものもある。片や裁判にもなっておる。判決も出たものもあるわけです。  生々しい例、本当にここで申し上げる時間がございませんが、去年では、裁判の判決が出ました電通事件ですね。若い二十四歳の男性が、大変な長時間労働に次ぐ長時間労働によって、心身ともに疲労し、遂に自殺に至ったというこの問題。これは御承知のとおりでございますが、判決は、損害賠償を一億数千万するようにという判決がおりております。  これと同じような例がたくさんあるわけですが、また、相談窓口におきましても一日に七十件ぐらいこういう相談があるというデータも出ておりますが、私の選挙区におきましても、本当にお気の毒な例が出ました。若い二十一歳の女性でございますが、保母さんとして大変な長時間労働。もう十二時過ぎて家へ帰ってきてからもまだ仕事をしなければならぬというような中におきまして、遂に自殺を一カ月後にするといったような事件が起こり、審査請求が出ておりますけれども、これは不認定ということで、今裁判も並行して行われております。  こういった生々しい、これは岡村牧子さんという方でございますが、本当に痛ましい事件が起こっております。これは係争中でございますし、ここでとやかく申し上げることは難しい問題かと思いますが、一般論といたしまして、そういった長時間労働による過労死が自殺を含めましてあちこちで起こっているということ、これをひとつ認識をしていただきたいわけでございます。これについて大臣、どのような御感想でしょうか。
  38. 岡野裕

    岡野国務大臣 労働に従事をされている皆さんが過労のために不幸にして倒れられる、まことに悲惨な気持ちでいっぱいになる、そういう事象、先生がおっしゃるとおりかと存じます。労働省といたしましては、安全衛生に十分に努力をする傍ら、その事後におきますところの措置につきましても、これから鋭意、今までも努力を重ねてきたところでありますが、今後も努力を続けてまいりたい、こう思っております。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  39. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  よろしく温かいお気持ちでひとつこの問題に当たっていただきたいと思います。  それから、労働時間の短縮、これは御承知のとおり今度新しく法案が出ておりまして、また、もう既に決定しておりますことしの四月一日からの週四十時間労働制の完全施行、この事態を迎えておるわけでございますが、それに対しましていろいろな問題が起こっております。  先ほども質問がございましたが、特に中小企業におきましてはこの問題、非常に頭を痛めておるところでございます。予算におきましても、そういった労働時間の短縮に伴うコスト高、それが公共事業等の各種の政府関係あるいは地方公共団体を含めての予算単価の中に織り込まれているのかどうか、これも心配でございますし、また民間の企業におきましても、親企業と下請企業との間のいろんなそういう労働時間から発するところのコスト問題、請負等のいろいろな問題が出てまいっております。中小企業者の今一番頭が痛いところでございますし、また、場合によってはベースアップ交渉でなくしてベースダウン交渉が始まるのではないかということすら言われておりますし、また三六協定をめぐる労使の問題、労働組合の意味というものが非常に大きくこの問題をめぐって出てくるのじゃないか。しかし、労働組合の組織されていない、二三%しか組織率がないわけでございますから、それ以外の多くの労働者、中小零細企業に働く皆さん方、大きな影響が出るわけでございます。  それに対しまして、指導期間を二年設けるとかありますけれども、これをめぐりましての問題は、きょうの本会議で新進党の議員から代表質問をさせていただきますのでそれに譲りたいと思いますが、どうか、そういったもろもろの中小企業問題がありますので、これに対しましてはきめ細かな対策を、ソフトランディングの対策をよろしくお願いいたします。  男女雇用機会均等法の強化、これは我々は大歓迎でございますし、これの平等化に向かって推進をなお一層しなければならない、このように望んでおるところでございます。  これを前提といたしまして、これに伴う法制の整備の中で、また規制緩和の一環といたしまして女子の深夜労働の禁止の撤廃、これが織り込まれてくるようでございますが、これは私は非常に重大な問題だと認識いたしております。女性雇用の場が拡大していくという点におきましては、女子の深夜労働禁止、これが撤廃されることは好ましいことでもありましょうし、また男女雇用機会あるいは条件の均等という点におきましては、これも結構なことでございますけれども大臣、ここを、ひとつ実態を見ていただきたい。  観念的、理念的にはこれは非常に結構なことだということは、だれもこれは異論のないところです。しかし、現実問題、先ほど過労死の問題も申し上げましたが、女子の過労の問題がこれから大きな問題になってくる。例えば今、裁量労働という制度、これは業種も拡大していくということでございます、しかし、その拡大された裁量労働あるいは深夜労働から外してある職種もございますね。ここにおける実態は、本当に女性の勤労者は男性に負けないために必死に頑張っておられる、雇用の場を拡大するためにも頑張っておられるわけです。そのためにもう二時三時、あるいはもう朝帰り、五時六時の地下鉄の始発に乗って帰ってくるような状況を、私は身の回りにも、また知った人もたくさんいるわけです。印刷、放送、編集、そういったところ、あるいは監督者という名において、どんどんそういう深夜労働を含め時間外労働が非常にふえておる。これを全部外しますと一挙に全職種、企業種・産業にわたってこの状況が起こってくる、時間外労働というものがどんどんふえていく、一般化していくわけです。  この深夜労働の禁止というのは、長年の労働組合運動の成果としてやっとかち取ったと言われるものでございます。それはそれといたしまして、国際労働条約あるいは勧告がございますが、まだ批准されていない夜業の禁止あるいは配慮、法制の整備、こういったことをやはり考えて、そして深夜労働の禁止を撤廃すると同時に一斉に各分野でふえてくる時間外労働、あるいは休日労働、あるいは深夜労働、こういったものが大きく広がる、これに対する歯どめですね、周辺の整備というものをしなければこれは本当に重大な事態になるのじゃないか、このことを心配するわけでございますが、大臣はいかがお考えでございましょうか。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生男女雇用機会均等法、やはり募集採用から始まってその後の昇進等、男女均等でいくべきだという考え方と、もう一つ、均等を主張すればするほど深夜業、休日労働あるいは超過勤務の枠も、保護規定も撤廃をしなければならない、その間にあってお悩みだというお話を今述べておいでになりました。これは、私ども労働省が今回この二つの法律改正をしますについて悩んだことと全く同じ悩みでございました。  その過程に立って、婦人少年問題の審議会におきまして十分御審議をいただきました結果が、ひとつ新しい雇用機会均等法でいこうではないか、そのかわり深夜勤等の女性保護の規定もひとつ排除をして、その新しい法律の中でどう雇用者が、あるいは雇用される者がこれに取り組んでいくかということでまずやってみようではないか、こうなったわけであります。  しかしながら、我々といたしましても先生が御心配の、女性には男性と異なった母性保護といろものがこれある、したがいまして、深夜業もやることになったが、しかし、育児だとか介護だとかいうようなことでどうしても仕事ができないといいます場合には深夜業の免除だとか、いや、そういう女性を就労させてはならないとかいうようなことまで私どもは準備をいたしましてこの男女雇用機会均等法を出させていただくことに相なった次第でありまして、その辺をひとつまたよく御理解を賜りますようお願いいたします。
  41. 塩田晋

    ○塩田委員 大臣の率直な御意見をお伺いしたわけでございますが、私は、やはりこの状況が進展しますと女子の休日労働、深夜労働あるいは時間外労働というものが必ずふえる、あるいは、条件が平等になっていくという方向は逆に、女子の増働時間がふえるということによって達成されるのじゃないかということが十分考えられるわけでございます。  大臣言われましたように、女性には女性の特性がございます。私は、長期的な観点から日本の小子現象、それから結婚率が非常に低くなっていること、出生率が低くなっていること、日本の将来の労働力ということを考える場合、日本の将来の人口ということを考える場合に非常に問題であるし、これが実は関連していると思うわけでございます。この点は私はなお、審議会で十分審議されたということを今言われましたけれども、別々の審議会でやって、お互い遠慮し合ったという面もあるのではないかと思うのですけれども、やはりこれは、もっと徹底してこれらの問題を深く掘り下げて、国民合意というものを得なければならいのではないか。連合の方も大筋は了承して協していくということでございますけれども、やはり女子の労働につきましてはまだまだ周辺整備が足らないのではないか。今、大臣若干触れられましたけれども、その周辺整備は本当にわずかなところに限られておると思うのです。  私は、一般的に女子の労働時間がふえる、このように見ておるわけでございまして、やはりこれに対する対策をやる。本当は、もうそれができるまでは深夜労働の禁止撤廃はやめるというぐらいのことをしなければならぬと私は思っておるわけでございますが、大臣お話もございますし、また労使ともにそういったことについての合意の方向が出ておるということを踏まえまして、このあたりにしておきたいと思いますが、重大問題だということだけはひとつ認識していただいて、今後とも周辺整備は、そういったわずかな手当てだけでなしに、やはり大きく規制を、女子については百五十時間の規制というのがありますね、男子については三百六十時間の指導目標というのがあるわけですが、これが女子の方が三百六十時間に近づくのではないか、そういうことによって雇用が平等になるかもわからない、このことを非常に心配いたしておりますので、母体保護の立場からも、あるいは日本の将来の労働人口を考える上におきまして、これはぜひともひとつ深く深くお考えをいただきたい、このように要望いたします。
  42. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生がおっしゃるような長時間労働等に女性皆さんがさらされるのではないか、そのお気持ちはよくわかりますと同時に、やはり男女の間で差別されて、働きたいと思ってもそういう望む分野に働き得ない、職域が狭まつてしまうのではないかというような考え方との両挟みの中で今度の答申も出され、私ども法律も出していくという試みでございます。  なおまた、時間外労働がふえる、あるいは休日労働がふえる、この点につきましては、法律の上に、労働基準法三十六条に基づく労働組合と使用者側との間で協定を取り交わしまして、その中で休日労働も時間外労働も存在をしていくことになりますので、言いますならば、二重の角度で守るき点は守っていくというようなことを私どもは頭に描いているところであります。
  43. 塩田晋

    ○塩田委員 どうもありがとうございました。  先ほど質問もあったかと思いますが、産業空洞化の問題でございます。  現在の日本の産業空洞化、すなわちそれに伴う雇用の減少、イコールこれは失業の輸入ということになると思うのです。この産業空洞化はなぜ起こっておると大臣はお考えでしょうか。それで、その対策として最も有効なものは何だとお考えでございますか。お伺いいたします。
  44. 岡野裕

    岡野国務大臣 もう先生お話をするまでもいことでありますが、日本の製造業、国際場裏におけるところの競争の過程にさらされているという中で、相手国の税制でありますとか、あるいは労賃の程度でありますとか、規制の緩和状況でありますとかいうようなものを頭に描きながら、より安価な製品ができるということであれば海外に新しく生産拠点を求める、これが世界的な現象になっておりますことは御存じのとおりであります。  その製品がまた、輸入自由化によりまして、我が国消費者・生活者の皆さんにも安い、レベルの高い商品が手に入るということでありますならば、これも一つの大きなメリットではないかなということでありますが、製造業集積をしております、その中の大きな中核になりますような製造拠点が遠くに飛ぶ、したがってそこに、言いますならば、産業面からするならば衰退をする、雇用空洞化ができる。労働省としても、これの対策は非常に力こぶを入れてやらなければいけない問題だ、こう思っているところであります。  やはりこれにつきましては、今までありましたところの、言いますならば先端の技術、技能というものを十分に発揮できるような新しい分野の製造業あるいはベンチャー企業というようなものを育成していこうではないか、それによって新たな雇用というものをつくっていこうではないか、そこへ、規制緩和等の結果日が当たらなくなってしまった、保護されていたが保護の屋根が取っ払われたというような皆さんに新しく就職をしていただく場を求めていこうではないか、そのためには、雇用促進事業団等で営んでおりますところの職能教育というようなもので新たな技術、技能を身につけていただければそういった雇用機会というものも多くなるのではないかと、いろいろな手法といいますものをこれからも相かみ合わせまして、ひとつ雇用の確保に万全を期したい、そのための助成もあれやこれや設けていっているというような次第でございます。
  45. 塩田晋

    ○塩田委員 労働大臣のお考え、私は全く同じでございます。新しい先端的な技術、人材を養成いたしまして、技能を開発して、新しい産業をどんどん興して雇用吸収を図っていくということが基本だろうと思います。そのためにも、技能、技術の開発、育成、訓練ということも大きく貢献するわけでございますから、それに力を入れていただきたいと存じます。  大臣、そのほかに、法人が出ていってしまうというのは、日本は法人税が高過ぎるということがやはり一つの原因じゃないでしょうか。
  46. 岡野裕

    岡野国務大臣 先ほど私がお話をいたしましたが、製造業生産拠点海外に出ていくといいますのは、先生がおっしゃいます法人税、これもありましょう。しかしながら、相手国の税制、それから規制の緩和ぐあい、あるいは賃金の高さ低さかげんといいますか、それらが総合的に当該企業にとりましてどう把握をされ、どういう判断をされてということにかかるかと思いますので、法人税のみにということではなかろうか、かように存じております。
  47. 塩田晋

    ○塩田委員 労働大臣は、国務大臣としての立場におかれまして、そういった税制面あるいは規制緩和等につきまして、ひとつ強力に労働省の立場から御発言をしていただきたいと存じます。  次に、行政改革の問題でございますが、行政改革は天の声といいますか、もう各党がこぞってこれを推進すべしと、また、前回の衆議院選挙におきましても、これは最大の争点というよりは、もう一致しての大きな声となって国民に訴えたところでございます。この行政改革労働行政の面ではどのように進めようとしておられるか、お考えを聞きたいと思います。
  48. 渡邊信

    ○渡邊(信)政府委員 ただいま御議論のありました産業空洞化の問題や、あるいは高齢化が急速に進展していく、こういった状況がありますなど、我が国を取り巻く環境は今大変大きく変化をしているというふうに考えております。その中で、簡素で効率的な政府をつくっていくということは大変重要な課題でありまして、行政改革は現下の最重要課題であるというふうに私ども考えているところであります。  労働行政につきましては、働く人の福祉の確保とかあるいは雇用の安定確保、こういった大変重要な問題を抱えております。こういったことにしっかりと対応するということを踏まえつつ、この行政改革に真剣に取り組んでいくというふうに考えているところでございます。
  49. 塩田晋

    ○塩田委員 労働省の関係で行政改革のやり玉に第一番に上がっておりますのが雇用促進事業団の廃止ということでございますが、大臣はこれに対しましてどのようにお考えでございますか。
  50. 岡野裕

    岡野国務大臣 塩田先生お話は、労働省行革の対象では雇用促進事業団がやり玉に上がっているようだがというお話でございました。私は、新聞ではその種の活字も目にして、あるいは耳にしておりますが、しかるべきところから雇用促進事業団の廃止をというようなことはいささかも聞いておりません。  ただ私は、大臣就任をいたしますみぎり、総理からは、それぞれの行政機関においてはその大臣たる者、当該行政機関を抜本的に見直すということで国民行政改革の声にこたえていくべく全力投球をせよというように言われております。したがいまして、在任三カ月余になりますが、就任以来、労働本省の組織機構等を初めとして外郭団体についても細かく指示を出しております。つまり、事業団なら事業団が存在するために事業団があるのではない、我が国民のためである、あるいは国民を支える産業経済発展のために、そういう角度のもとでそれぞれの外郭団体なら外郭団体を見据えなければだめだというようなことを申しております。  その中の一つ雇用促進事業団がございまして、現在、雇用促進事業団が相営んでおりますところの、先ほどから話題がいっぱい先生からも出ております職能教育の充実の問題でありますとか、あるいは二つ目は、空洞化等に伴うところの失業なき労働移動でありますとか、あるいは中小企業活性化によりますところの雇用創出あるいは確保でありますとか、あるいは中小企業の諸君の共同社宅的な意味での、かつては移転労働者のための住宅でありますとか、またそういった皆さんの体育施設等々、いろいろ広い仕事をいたしておりますのが、その個別業務につきまして、これが是か非かというようなことを検討させている真っ最中でございます。
  51. 塩田晋

    ○塩田委員 大臣のお考えを承りまして、わかりました。  新進党といたしましては、政府関係機関、外郭団体につきましては全部五年以内に廃止という綿を出しておりまして、雇用促進事業団が廃止という案が出ますれば、これに賛成するのは当然のことでございます。  しかし、その外郭団体の中にもどうしても必専なもの、国民生活あるいは経済発展にとってどうしても必要なものというものは精査をいたしまして、サンセット方式でこれをビルドする、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの立場でございます。  そうなりますと、私の感じでは、労働省の中におきましては、最も実務的な業務の、実際を推進しているのは、この雇用促進事業団の業務が多いわけでございます。これはやはり精査をしてスリム化するものはしていく。例えば、能力開発の問題にいたしましても、訓練校が雇用促進事業団の中心だからということを言われますけれども、これだって民間で設立し運営するということも入れて考えれば、これまたスリム化あるいは改革あるいは廃止ということも考えられるわけでございます。  ただ、大臣が言われました、炭鉱離職者対策はもういよいよ大詰めに来ているということでございます。そのための対策というものはずっと縮小してきたし、今後なくなるだろうと思いますが、それとともに発生しました体育、福祉、文化の対策としての施設をつくっておられますが、あれは私は勤労者にとって非常に大きなプラスになったと。勤労者の生活を豊かにした、内容を豊富にした。労働時間の短縮とあわせまして、余暇時間の活用という面におきまして非常にプラスになった。これは本当にいいことをやられたと思うのです。  体育の方にまず力を入れてやられましたが、これからは、体育とともに教養文化、芸術芸能を含めまして、そういった地域での活動が勤労者を中心にして各地で起こっております。非常に盛んです。私も、土曜日、日曜日に帰りましたら、大抵そういったグループの催し、運動に参加するわけでございますが、非常に盛んになっております。そのための箱づくりがやはり一つの役割としてあっていいのではないか、このように思うわけでございまして、それを含めて今後御検討をお願いいたします。
  52. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃいましたように、今私がお話しをしました雇用促進事業団の業務内容、いろいろ各般にわたっているわけでありますが、それの実際的な効果について、これはなかなか数量評価にはなじまない面もあるわけでありますが、ひとつやはり行革というようなことで、国民の声を体してスリム化を図ろうではないか、こう申しているところであります。  それから、最後先生お話しになられました体育、文化的な施設でありますが、これも在来はこの種の施設が当該市町村等に数少なかった。したがって、労働従事者の皆さんはそれを利用する機会が少なかった。されば、労働省が外郭団体を使ってもそういう施設を設けて、大企業にはちゃんとあるが中小企業に働く皆さんには乏しいのを補おうということでやってまいったところ、当今は、市町村当局でその種のものをどんどんおつくりになられるというゆとりが出てまいったようでございます。そういうような客観的な状況も踏まえながら、これについてどうするか、目下検討中であります。  以上でございます。
  53. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  今、最後に言われました市町村との関係ですが、事業団のつくっている体育施設、文化教養施設が非常に規模が小さいのです。だから市町村の方を要望する向きが多いということで、やはり規模のしっかりしたものをつくっていけば一もっともっと必要性はあるし、要望されるものだと私は思います。  それから、時間が間もなく参りますので、急いで最後に申し上げたいと思いますが、外国人労働者の導入、ODAの援助との関係もあるわけですが、外国人労働者がどんどん入ってきて、一時は、労働力不足のときは大変な量だったわけです。今はとまったり、あるいは帰っていっておりますが、それでも不法就労者が推定三十万人もいると言われております。なお今、密航者がどんどん入ってきているというような中で、労働行政としてこの外国人労働者をどう扱うか、どう考えておられるか、これについてお考えをお聞きしたいと思います。
  54. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の外国人労働者の問題でございますが、この問題につきましては、やはり今後の二十一世紀に向かう我が国労働経済情勢の中でどう考えるかという視点が長期的にはあろうかと思います。  ただ、現状を踏まえた場合に、外国人労働者の積極的な導入という観点につきましては、この厳しい雇用失業情勢の中で我が国経済社会への相当広い範囲の影響が懸念されるところでございまして、そういう意味では十分慎重にこれについて対応する必要があるというふうに考えております。  したがいまして、具体的には、専門的、技術的分野の労働者については可能な限り受け入れるが、いわゆる単純労働者については十分慎重に対応する、これが閣議決定されました政府の基本方針でございまして、私どもとしましては、この基本方針に基づいて対処してまいりたいというふうに考えております。
  55. 塩田晋

    ○塩田委員 当然のことでございますが、外国人労働者につきましては日本人と同じ人権を与える、保障するということが基本だと思います。また、それが将来進んでいって、今世界各地で起こっております民族紛争あるいは局地的な戦争といったことに発展しないように、そういったことも考慮に入れながら、この外国人労働者の問題はひとつ関係各省と連携を密にして対処をしていただきたい、腰を据えて取りかかっていただきたいと念願をいたします。  最後に一問、大臣に申し上げます。  都道府県の現在の機関委任事務、それから地方事務官制度、これをどうしようと考えておられるか。私の意見といたしましては、労働省は真っ先に地方事務官は廃止、機関委任事務も廃止といろことを打ち出された方がいいのじゃないかと思います。これについてどうお考えかということと、それとの関連におきまして、大臣は郵政省で長らく人事担当の責任者であられたわけでございますが、郵政行政におきましては各ブロックごとに届を置かれまして、全国二万数千の郵便局をブロックごとに統括をしておられる。そういった経験といいますか、事例を踏まえまして、労働行政の全国的な再編成の過程、特に機関委任事務、地方事務官制度の廃止、それとの関連におきましてどろお考えか、基本的なお考えをお聞きしたいと思います。  これで終わります。
  56. 岡野裕

    岡野国務大臣 今先生は、岡野裕は郵政省に長くおったというお話がございましたが、私は郵政省におりましたが、労働省と違いまして現業機関としての経験でございます。しかし、労働省はやはり行政機関でございます。したがいまして、その作用といいますものはいろいろな分野にわたって異なるところが大きい、こう思っているところであります。  先生、やはり地方事務官制度、機関委任事務はやめたらどうだ、そして全部労働省限りで全国的に一律行政をしたらどうかというような御質問の向きに承ったのでありますが、労働行政は、働く方々労働条件を守ったり、失業された方に雇用保険給付を行い、その生活を守りつつ、職業紹介を行うことなどを通じ、我が国経済社会全体の基盤を守る役割を担っているところであります。このような役割は、基本的には国家的見地から国が果たすべきものと考えております。一方で、地域の実情に応じてきめ細かな対応が必要な施策など、地方公共団体の取り組みが重要な分野もあり、国と地方公共団体とが適切な役割分担のもとに協力していくこともまた重要なことだ、こう存じております。  よろしゅうございましょうか。
  57. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  あとの問題、また引き続いて委員会で質問をさせていただきます。ありがとうございました。
  58. 青山丘

    青山委員長 次に、桝屋敬悟君。
  59. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ただいまは、我が新進党労働雇用政策担当の塩田大臣が、岡野大臣労働行政各般にわたる幅広い議論をされておられるのを横で見ておりまして、時間も大幅になくなりましたので、私は現実の現場の問題に限って一点、二点、お尋ねを申し上げたいと思います。時間に限りがございますから、御回答の方も簡略にお願いを申し上げたいと思います。  最初に、本日、労災リハビリテーション愛知作業所の付設自動車教習所、この新たな運営体制について記者発表がございました。かねてから、限場からもいろいろ切実な声も伺っておりまして、方向については、新たに障害者雇用促進協会に移管をされて運営されるということでございますが、実際に労働者に対するサービス、それから新たな負担増等が、サービスの変更なりあるいは負担増なりが出てくるのではないかという気もすろわけでございますが、おおむね今までのような行政サービスが展開できるのか、一点だけ確認を六せていただきます。
  60. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 ただいま御指摘のございました労災リハビリテーション愛知作業所の付設しております自動車教習所でございますが、本日労働大臣の方から発表いたしましたように、当分の間、社団法人の愛知県の障害者雇用促進協会に運営をお願いするということにいたしました。この新たな運営主体のもとにおきまして、障害者の方の雇用の安定、促進に十分資していくように、労災被災者のみならず、一般の障害者の方にも広く利用できるようにしてまいりたいと思っております。  また、その運営に当たりまして、例えば宿泊施設の利用とか、あるいは自動車の教習についてのノウハウとか、そういった点につきまして具体的なことはこれから詰めてまいりますが、物的、人的な援助につきましてできる限りのことをいたしまして、今までと大差のないサービスが提供できるように工夫をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  61. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今後具体的な内容をお詰めになるようでございますが、ぜひきめ細かな対応お願い申し上げたいと思います。  なお、当分の間という御説明でありまして、この当分の間という言葉は大変気になるのでありますが、私は、障害者にとりまして自動車の運転免許取得ということは極めて就労促進あるいは社会参加の観点からも大事な部分だろうと思っております。どうぞ、これからも地元の地方自治体とも連携をとっていただいて、将来的なあるべき姿はまた十分御検討いただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  さて、本題に入りたいと思います。  本日は、具体的なテーマとして労災の問題を取り上げたいと思います。私は、ずっと以前からこの労災問題に強い関心を持っておりまして、特に昨年度から法の中に入ってまいりました介護補償給付、この問題につきまして質疑をさせていただきたいと思います。  今申し上げましたように、昨年の四月一日から法の中に位置づけられたわけでありまして、当然ながら、そのことについては被災労働者の方は大変に喜んでおられますし、そして、この制度の運用に当たりましても、現場の労働基準局あるいは労働基準監督署の御努力をいただきまして、おおむね円滑に運営されているのかなと私は考えているところでございます。この点は感謝申し上げたいと思うのであります。  しかしながら、やはり制度の創設にはいろいろな問題が出るわけでありまして、特に私は脊髄損傷者の方々お話をする機会が多いわけでございまして、現場でさまざまな声を聞かせていただいております。そうした今回の制度改正に伴います、特に脊髄損傷者の方々の取り扱い、このことをきょうは質疑をさせていただきたいと思います。  まず、全体的なことをお伺いしたいのですが、昨年の四月一日以降、この労災の介護補償給付、実際にどういう認定状況といいますか、これは人数はなかなか難しいと思いますが、給付の件数等、どんなふうに推移しているのか、最初にお伺いしたいと思います。
  62. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 介護補償給付の給付実績でございますが、支払い件数でお答えをさせていただきたいと思いますが、平成八年の十一月におきます介護補償給付の支払い件数、常時介護を要するという方で二千三百七件でございます。それから、随時介護を要するという方で七百六十五件、合計三千七十二件となっております。これは施行当初を除きますと、大体昨年の七月以降、毎月ほぼ同様な支払い件数となっているところでございます。
  63. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今、給付件数、給付実績の御説明をいただきました。一応数字的にも落ちついたかなという気もするわけでございますが、なお今後の推移を見守る必要があろうかという気もいたします。もとより申請主義でございますから、もちろん本人の申請、請求という手続が必要ではございますが、給付漏れ等のないように現場におけるきめ細かな配慮をぜひお願いを申し上げたいと思います。  さて、脊髄損傷者の方々の一番の悩みを本日ここで御報告をさせていただきたいと思うわけであります。  それで、今いみじくも局長から、常時の介護が何人、それから随時の介護が何人というふうな御説明がございましたけれども、この介護補償給仕の認定基準の中では、障害の程度によりまして、常時介護を要すると認められる人、あるいは随時介護を認められる人、この認定の差があるわけでありまして、もちろん認定の結果それが決定されるわけでございます。その上で、常時介護と認定をされる方と随時介護だというふうに認定をさわる方と、金銭給付に倍、半分の差があるということでございまして、これは実際に被災労働者、特に脊髄損傷者の方々にとりましては、まことに日々の生活にかかわる重要なことでございます。  その中で、これは今までの、それは今も続いておりますけれども、傷病・障害年金の等級表、これを一応一つの柱にしまして認定基準が行われているというふうに理解をしているわけでありますが、この等級表の中でいわゆる一級と認定をされる方、最重度の方でございますが、この一級の方々の中で、この等級表の中に明確に、例えば精神神経障害等で常時介護を要すると認められる暑という規定があります。この規定に該当されて値病・障害年金が認定されている方は比較的問題が少ないわけです。なぜならば、既にその等級表の中に文言として、「常時介護を要する」こう書いてあるわけでありますから、その項目で認定を六れた方々は、運用に当たりましてもさほど私は問題はないだろう。問題は、それ以外の一級の方々、これは私も当初、制度導入の前にこの委員会でも質疑をさせていただきました。そのと髪に、私は全く意識はなかったのでありますが、同じ傷病・障害等級表の一級と言われている方々の中にもさまざまな認定がある。いわゆる一級第伺号で認定されているかというようなことでございまして、今の私申し上げた、「常時介護を要する」と認められる者という規定以外に、例えば障害等級表でいきますと、一級の九号とか、あるいは一級で併合とか準用とかという、かなり電算処理上は二十号とか三十号とかという言葉が使われているようでありますが、こうした方々はどういうふうに認定をされているのか、まことに気になるわけであります。  それでお尋ねなのですが、確認をさせていただきたいのですが、障害等級表一級、障害でいきますと、傷病はちょっとおいておきますが、障害等級は一級で九号でありますとか、あるいは併合、準用で認定されている脊髄損傷者で、今回の介護補償給付、常時とされているのか、随時とされているのか、そのあんばいといいますか、実際に認定の実態をまずお伺いしたいと思うのですが。
  64. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 この介護補償給付の給付決定に当たりましての要介護状態の認定でございますが、日常の生活動作能力、ADLと称されるものの観点から、常時介護を要する方と随時介護を必要とされる方、分けておるわけでございまして、それを客観的に全国整合的に行うため、先ほど先生指摘になられたような形で私ども認定をさせていただいておるわけでございます。  そういった基準からいたしますと、障害等級が第一級の九号として認定されている方にありましては随時の介護を必要とされる方として認定いたしまして、また、併合または準用によりまして第一級と認定されている方につきましては、専門家の判断を仰ぐ道をつくっておりますが、原則といたしまして随時介護として区分されることにいたしております。  したがいまして、請求事案、その御指摘のありましたケースにつきましては、ほとんどが随時介護を要する方として認定されているものと考えております。
  65. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の局長の御答弁はおおむね理解をいたしますが、ちょっと確認をさせてください。  今局長はこう言われましたね。例えば、一級の九号で認定されている人は、これは随時、原則随時です、こういうお答えがありましたけれども、そういうふうに機械的に認定をされているわけではないのじゃないですか。私は認定基準をつぶさに見させていただいております。きょうは時間がありませんから全部申し上げませんが、もちろん一級九号の方でも今の一級三号、常時介護と認定されている方々と同程度の状態にある人も当然あるわけでありまして、そういう方は当然ながら実際のADLの状況でありますとか身体的な状況で私は検討されるのではないか、機械的に、一級九号であれば随時ですよということではないのじゃないかというふうに思うのですが、もう一回確認をきせてください。
  66. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、日常生活動作能力を中心として介護補償給付を支給する際の要介護状態を判断するわけでございますが、整合的に、客観的に行う必要から、一級九号として認定されている方につきましては随時介護を必要とされる方として認定しているわけでございます。  ただ、併合、準用で一級と認定されている方につきましては、これは原則としてそういったほかの事情を加味するケース、そういった道を判断をするケースございますが、原則としては随時介護を必要とされる方として認定をさせていただいているところでございます。
  67. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 この問題を飛ばしてもう次へ行きたいのでありますが、大変気になる御答弁で、もう一回確認させてください。  一級九号は原則随時というお考えですか。私は、認定基準を見ますと、障害だけでいきますと、一級の三号以外の方については原則全部随時ということではなくて、その一級三号と同程度の方については、同程度であるかどうかというチェックはあって、場合によっては常時介護ということもあるのじゃないかと私は思うのですが、一級九号は全部随時ですか。ここは大事なところですから。
  68. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 繰り返しになりますが、現在の私ども昨年の四月から実施しております認定基準に基づきますと、この障害等級が一級九号の方につきましては随時介護を必要とされる方として認定をいたすわけでございます。
  69. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 時間もありませんから、こればかりやっておられませんが、ではもう一点確認ですが、一級九号はわかりました、お考えは。  あと、併合、準用というような方については、これはどうですか。同じ回答ですか。
  70. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘のございました併合または準用により障害等級の第一級に認定されている方につきましては、これは原則として随時介護を必要とされる方として認定いたしますが、もしADLの方との関係がございまして、その辺の判断に難しいケースがあれば、本省の方にもお伺いを立てさせるというような仕組みをとっております。
  71. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大変に今の御回答は気になる部分でありますが、きょうは時間に限りがありますから、次に行きたいと思います。  それで、何が問題かといいますと、これは労働省の現場の方も私は十分御承知のことではないかと思うのですが、今まで被災労働者で傷病・障害年金を受けている方で、あるいは今までの労働福祉事業介護手当を受けておられる方で、一級の何号かとかいうような意識は実はほとんどなかったのであります。そういう行政の通知の中にもきちっとその都度通知されているわけでもありませんし、本人も、受給者の方々もそういう意識はなかった。  ところが、今回この介護補償給付が入ってきて初めて何号かというのはみんなびっくりこいたわけですね。一級何号で認定されているかによって、現金給付の倍、半分というようなことにもなるわけでありますから、大変に驚いたわけでありまして、そこは制度が変更しているわけでありますから、それはやむを得ないことかもしれませんが、ただ、同じ被災労働者の中で脊髄損傷になられた、その状態の中で、片や常時介護と認定されて一級、あるいは片や随時介護とされて給付水準が半分になってしまう、こういうことが現実に合起きているわけでありまして、そこは大変な戸惑いを感じておられますし、現場で大変大きな問題になっているわけであります。  そこで、ちょっとお伺いするのですが、昨年の四月以降、認定事務が始まりまして、恐らく現場において審査請求等がかなり出てきているのでけないかと私は思っておりますが、この審査請求、どんなふうな状況になっているのかお示しをいただきたいと思います。
  72. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 介護補償給付の認定につきましての審査請求の状況でございますが、この平成九年、ことしの一月末時点で状況を見てまいりますと、介護補償給付に係る審査請求は三十件出ております。うち、既に審査が済み、処理された件数が十一件、残件数が十九件という状況になつております。
  73. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 三十件というのは、今ちょっと聞き漏らしましたけれども、いつの時点でございましょうか。
  74. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 本年の一月末の時点でございます。
  75. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 三十件、たかだか三十件だというお考えかどうかでありますが、先ほどの一番最初の、給付件数が全国で約三千件ぐらいだという御説明がございました。その中で三十件でございますから、私は、かなり多くの方がこの認定に対して疑問を持っておられる、あるいはお悩みを持つておられて、審査請求という行動に出ておられるというふうに思うわけであります。  その多くの方々、私も現場で何件かお話伺いました。そうしますと、ほとんどの方の事例がやはり先ほど私が申し上げた、同じ一級なのに片方は常時で片方は随時だというような、こういう素朴な疑問から実はスタートしているわけであります。  先ほど局長の答弁で、障害年金でいいますと一級三号以外はほとんど原則随時だという御説明もありましたが、今回の具体的な認定のありよう、あり方といたしまして、いろいろつぶさに見ますと、要するに全くの寝たきりの方、要介護性ということでこの介護補償給付を認定されるのだろうと思いますが、本当に寝たきりの方は常時だ、もうそれ以外の方はほとんど随時だという認定になっているのかな、私はこう思うわけであります。もちろん介護という問題は、身体的ないろいろな状況、いわゆるADLと言われておりますが、基礎的な、身体的な状況を御確認されて認定をされるということであろうと思うのですが、要するに全くの寝たきりでない限り随時です、こういうふうに考えてよろしいですかね、局長
  76. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 この介護補償給付の支給の対象者の方を認定いたします際の要介護の判断下ございますが、本来、日常生活の動作能力、これを総合的に勘案して行うものでございますが、私どもそれを客観的に、また全国整合的に行う観点から、障害の方で申し上げれば、障害等級第一級の三号に該当する方を常時介護を要する方として判断させていただき、それ以外の方につきましては、先ほど併合、準用の場合、原則としてと申し上げましたが、そういったものも含めまして、随時という判断をさせていただいているわけです。  それは、必ずしも横になられたきりかどうかということでなしに、やはり総合的なADLによる判断を客観的に行うための手法としてこういった認定の基準を設定させていただいておりますので、そこは御理解いただきたいと思っております。
  77. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 実際に現場で審査請求が出ておる具体的な事例を申し上げますと、まさにさっき一番最初に議論になりました一級九号で私は常時だ、こう御主張されておられる方々、私の手元にも幾つかの審査請求の写し等、あるいは実際の御本人の生活状況等もいただいております。  この方は一級三十号で随時と認定された方でありますが、この方は特に脊損でありますから、膀胱直腸障害あるいは尿路感染症あるいは性機能及び知覚麻痺、神経障害さらには腎臓機能障害、こうしたいわゆる脊損の方々特有のいろいろな病気も持っておられる、したがって大変に日常生活に支障を生じているし、介護性もまた重たくなつているわけでありまして、そういう実態もございます。  あるいは、この方は何号かはわかりませんが、排尿、尿路障害、こうしたものがある。大変に苦労しておられる。私ども現場で伺いました。排尿、排便障害というのは、要するに我々のように立って歩ける方が車いすの生活になった場合に一体どういう排便障害があるか。私はその生活をつぶさに伺いましたけれども、そういう方々がどうやって定期的に排便を毎日やるかということは大変な苦しみでありまして、私はその家族の手を見ました、奥さんの手を。毎日、毎週のように何とか排便をしたいということで、ついておられて、朝から排便の日は一生懸命薬を入れ、食事を調整し、最終的には自分の手で、肛門に手を入れられてうんちを出しておられる。そして手の色が変わっているというような、本当に大変な実態を目の当たりにしたわけでありまして、そういう方々の思いというのはたくさんいただいているわけであります。  こういう、いわゆる脊髄損傷者の特別の身体的な状況、そういうものは今回の認定基準上、どんなふうに取り扱われているのか。診断書の様式もお示しをいただきました。この中で、ADLの部分で行動能力、食事、用便等ございますが、そうした脊損の方々特有の身体的な特性、そうしたものがどんなふうに認定基準で反映されるのか、お伺いをしたいと思います。
  78. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました脊髄損傷の方の日常生活、そして先生指摘のとおり、介護をされる方につきましても、また御本人にとっても大変な御苦労なり、そういった特性に配慮した、行政面の認定等に際しても十分配慮していかなければならぬことは、私ども十分認識をいたしておるつもりでございます。  そういった観点から、昨年の四月にこの介護補償給付制度を新設させていただいたわけでございまして、先生指摘のようなそういった配慮に基づいて制度を十分運用してまいりたいと思っております。  御指摘ございましたように、そういった特性も十分考えながら、また診断書の御指摘もございましたが、そういったところで医師の方から日常生活の動作について評価されたものを総合的に見ていく、そういったものが基本であろうかと思います。したがいまして、私ども、そういった基本に立ちっっ、客観的に認定を行うために今の認定の扱いをさせていただいておりまして、ただ、併合、準用等によりほかの障害等を持っておられて一級に該当されておられる方につきましては、さらにそういったADLの実情を見て、判断が現地で困難な場合には本省等にも伺いを立てさせる、そういった道もつくって慎重に認定を今進めているところでございます。
  79. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  今のような私の事例を申し上げましたけれども、脊髄損傷者等の実態に即して総合的にという御説明でありましたけれども、私は、実際の現場で認定の実務をいろいろ伺いました。さらにはこの診断書の内容も見させていただきました。  けれども、今申し上げたような脊髄損傷者の特別の状況というのは今の認定基準では本当に反映されない、このように思うわけであります。よく現場で言われることは、いやいや、車に乗っているからだめだ、仕事に行っているからだめだというようなことが言われるわけでありまして、それは私、先ほども申し上げましたけれども、この認定基準は、完全に寝たきりで全く動けない、いわゆるベッドバウンドの状態で全く動けない人だけを対象としているとしか思えないわけであります。恐らくそうだろう、実態は。  私の本音は、私の主張は、そういう認定基準では被災労働者の中で脊髄損傷者をとらえることは困難である、認定は難しい、このように思うわけであります。立って歩けなくなった方々の生活の実態、身体的な実態を本当に反映するためには、この方々に特別の認定基準が、少し加えた認定基準が必要だ、私はこのように思うわけであります。  大臣、今のような話を伺ってどのようにお感じになったかでございますが、大臣も安心ということを所信でもおっしゃっているわけでありますから、ぜひ一日も早く脊髄損傷者の生活の実態に広じた認定基準というものをお考え直しいただきたいと私はお願いを申し上げたいと思います。大臣最後にいかがでございましょう。
  80. 岡野裕

    岡野国務大臣 介護補償給付の認定について、先生の実態を踏まえた今までの熱意ある御質疑を拝聴いたしておりました。  私はいまだ任浅いものですから、実態をつまびらかに見ているというわけにはまいりませんけれども、一応今の時点では、介護補償給付の認定は労働災害の結果を受けた障害の程度によって客観的に判断をしているのだな、したがって現状においてはこれでいいのではないかなという局長の答弁を耳にした次第であります。  しかしながら、何せ介護補償給付は昨年の四日から用意ドンで施行をしてまいったばかりであります。したがいまして、介護給付の認定の基準について、今後の取り運び、施行状況、それから介護を取り巻く環境、それらのものを十分これから見ながら必要に応じた検討をやってまいらなければいけないな、こう思った次第であります。
  81. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 まだ着任をされたばかりだというお話でございますが、ぜひこの部分、先ほど三十件という話がありましたけれども、数が少ないという認識を持っていただいては困るわけでありまして、本当にマイナーな方々の、数の少ない方々の切実な声だということをどうか御認識をいただいて、一日も早くお取り組みをいただきたいと思います。この問題、ずっと引き続き私も関心を持つて見守ってまいりたい、このように思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  82. 青山丘

    青山委員長 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。      午後零時十四分休憩      ————◇—————   午後二時二分開議
  83. 青山丘

    青山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西田猛君。
  84. 西田猛

    ○西田(猛)委員 新進党の西田猛でございます。私は、岡野労働大臣の所信表明演説等につきまして、数点御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、先ほど大臣お話しになりましたが、男女雇用機会均等法施行されて十年が経過するわけでございます。今日的な問題としての男女雇用機会均等法の規定、それから労働基準法の女子の保護規定について、これはあくまでも男女の均等な扱いをさらに徹底して、女性の職域拡大を図るという観点から見ていくものだと思います。  今回の法改正は、女性というものに対する差別を徹底的に禁止しようという趣旨でございますけれども、私なども考えますのは、男女、両性はこれはもう完全に同質であるというふうに考えております。したがって、将来的には、女性に対する差別の禁止ということではなく、ジェンダー、性に対する、性による差別そのものが撤廃されていかなければならないというふうに考えております。そういう観点から、今度の法改正、それらの措置についても、私どもは見ていきたいなというふうに考えております。  さて、この雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための法律改正案によりますと、この均等法の改正に伴いまして、労働基準法に定められている女性の保護規定が削除されることとされておりますけれども、私どもは、この女性労働者保護という観点からは非常に懸念をしております。  と申しますのも、昨日の新聞の夕刊にも出ておりましたけれども、この女性の保護規定が削除されるということについては女性自身の方からも非常に危惧する声がたくさん出ております。例えば、先ほどもども新進党の塩田労働雇用政策担当大臣がおっしゃいましたけれども、かえって女性の深夜・休日・時間外労働をふやして、過労死等の増加があるのではないかということを懸念しておりますところ、大臣のこれに対するお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  85. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生お話しのように、今度の女性保護規定、労働基準法上のものでありますが、これの撤廃は、やはり男女雇用機会均等法というものの十年の経験を踏まえた、ここで真に雇用の均等化を図るという意味合いからして、深夜業あるいは休日労働あるいは時間外労働、これが撤廃をされた。先生がおっしゃる、男性女性ではなくて性そのものによるところの差別というものを撤廃しようではないかという意味合いでは、先生のような御心配、今朝来、塩田先生からお話がありました。これは、ひとしく、私ども関係審議会で審議をしてきた経過の中で、それぞれあったわけであります。  しかしながら、女性の職域というものを拡大して真に均等な雇用機会をという意味合いではここは割り切ったらどうだという積極的な、建言という言葉でちょうだいをした、それを受けまして、ここでひとつやろうではないか。ただ、しかしながら、女性の中には、母性という男性が持っておらない、そういったニュアンスがある。したがいまして、母性保護観点から、介護休業でありますとかあるいは育児休業でありますとかいうような面でいろいろ細かな配慮もするというようなことで、今日この男女雇用機会均等法、これに基づくところの労働基準法上の手直しというものに踏み切ったということでございますので、御理解を賜りたく存じます。
  86. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今大臣おっしゃいました男女、性においては平等であるということを、この雇用それから労働の面においても実施していこうということだというお考えでございますが、先ほど一点申された、ただ女性には母性というものがあってそれが男性とは違うのだというふうなお話もされました。  ところで、女性が、言うなればその母性ということを抜きにして男性とほとんど平等に就労することができるのは、それは恐らく大学を新規に卒業した時点だと思うのですね。そのときには恐らく家庭も持っておりませんし、結婚している方は何人かいらっしゃるかもしれませんけれども、大体の方は独身でいらっしゃるでしょうし、それからお子さんもお持ちになっていらっしゃらない。そういう意味においては、新規学卒の女性というものは、全く男性と平等に就労それから就業の機会を与えられてしかるべきですし、またそれなりの意欲があると思うのですけれども、他方、近年の雇用情勢などを見ておりますと、特に女性の新規学卒者の就職環境が非常に悪化してきているという状況があると思われます。  これらの状況についての現実面の数字をちょっと教えていただきたいとともに、それに対して大臣の方から、今後どのように改善などを図っていかれる御所存かをお伺いしたいと思います。
  87. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の女子大学生等の新規学卒者の就職状況、数字についてお答えを申し上げます。  平成八年四月の女子新卒者の就職状況でございます。これは平成八年四月一日現在で文部省のサンプル調査によるものでございますが、これで見ますと、四年制大学で九〇・九%、これは男子が九四・六%でございます。それから短期大学、これは女子だけの調査でございますが、九〇・九%。専修学校では九一・四%、これは男子が九三・七%という数字になっておりまして、確かにこの就職状況を見ますと、結果として見た場合に、かなり就職いたしておりますが、男性に比べて女性の方が若干就職率が落ちている、こういろ結果になっております。
  88. 岡野裕

    岡野国務大臣 今局長からお話を申し上げましたような数字に相なっております。今度の、これから御審議をいただくわけでありますが、男女雇用機会均等法は、先生が御心配な、卒業生が初めて就職するという、その募集採用という段階にまで均等であらねばならないということをはっきりさせているわけであります。しかも、それで違反をしてかつ悪質だという場合には、当該企業を公表して社会一般の批判を仰ぐ、会社側からしても、その会社の矜持というものがあろうかと思っております。いたずらに直ちにむち打つということではなくて、世論全般の動きの中から自分の心の中から改めていくという、北風よりも太陽よというようなことで今度の法律は私は今の時点で裡解をしているところであります。これからも一層努力をしてまいろう、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  89. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大変心強いお言葉をいただきましてありがたく存じますが、私が、特に雇用の面における女性の問題について大きく取り上げたいのは、それからまた、これからも取り上げてまいりたいと思うのですけれども、それはやはり我が国における男、女というジェンダー、性についての考え方、これを今後は改めていかなければならないのではないかなというふうに考えるからでありまして、そのためには、やはり女性が社会のあらゆる場面において本人が望めばいろいろな活躍ができるという環境を整備していかなければならないと思うからであります。  それで、その点につきまして最近大きく取りざたされております問題が、セクシュアルハラスメントの問題がございます。これは、今回の法改正の中でもそれに対する対策が強化されておりますけれども、私どもの記憶に新しいところでは、昨年、アメリカにございます米国のある日本系の自動車製造会社が、社内のいわゆるセクハラ事件によってアメリカの雇用機会均等委員会から、公的な機関でございますけれども、提訴を受けたという事例がございます。  そしてこれは、こういう意見も他方にあります。それはアメリカの事例だから、それはアメリカの言うなれば法体系に基づいて処理される問題でありますという意見もありましょうけれども、ただ、その提訴を受けた、被告になった企業は日本系の企業でありますし、ほとんど意思決定等が日本人によってなされているわけでございます。そして、これはまた、こういう考え方もございます。日本と社会風土、それから企業風土が違うのだから、それをよくよく理解していないアメリカにおける問題であるということがあるんだと思ろのですね。  しかし、私は、実は問題の本質はそこにあるのではなくて、本質は、アメリカだからいけない、じゃ日本だからいいとか、そういうことではないと思うんです。世界じゅうどこに行ってもだめなものはこれはだめなんですね、特にその性という問題については。これは日本の国内においても、私どもこれから大きく意識を変えていかなければならないのではないかなと思うんですが、それは、何だたかだか社内で親しみを込めて、何々ちゃん今日はきれいだねとか、何だねと言ったぐらいなのにどうしてハラスだと言われなければいけないんだ、嫌がらせだと言われなければならだりいんだというふうな御意見もあるかと思いますが、私はハラスメントという概念は、これは言っている方が、そんなことで思うなよ、言っている方の意識ではなくて、受け手の問題だと思うのです。相手がどういうお気持ちで言われようと、受ける方が嫌だったらそれはハラスメントなんですね。そういうことを十分に、これから日本の男性も、それから女性もでございます、逆に女性から男性に対するハラスメントもあり得るわけですから、そういうことを認識していかなければならないと思っています。  私がこういう性についての強い平等観を持つように至りましたのは、アメリカで長年弁護士をしておりまして、徹底的に性による差別というものに対する闘いを目の当たりにしてきましたので、私自身もそのような観点からこれからも活動を続けていきたいと思っておるわけでございますが、さて、果たして、今でも世界じゅうのいろいろな国に出かけていっている日本の企業があるわけでございます。それらの企業に対して、二度とこういうセクシュアルハラスメントに関する、あるいはその他に関してでもございますけれども、かの国でひんしゅくを買うような行為が行われないように私はしていかなければならないと思います。  そしてまた、それはその一企業の問題ではなくて、我が国日本をある意味で代表してかの地に行っている企業の問題でありますから、我が国自体の危機管理の問題にもなってくるんだと思います。このあたりの労働環境の差とか、それから、労働条件の差とかいうものに対する指導、そしてセクシュアルハラスメント訴訟とかをなくしていくような御指導等について、労働大臣として今後どのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。
  90. 岡野裕

    岡野国務大臣 セクシュアルハラスメントにつきましては、先生おっしゃる男女雇用機会均等法の中で、審議会の中で、随分これは取り上げるべきか上げざるべきか議論が闘わされたところでありますが、最終建議におきましては、取り上げるべきだ、こう相なりました。  ただ、おっしゃるように、この内容、概念の内包外延、これが定かではないというようなことで、また別途御審議をいただくでありましょうが、労働省の方から指針を出しまして、こういう観念が定着をするようにという努力をこれから積み重ねていかなければならない、こう思っているところであります。  終わりに先生お尋ねになりました、海外へ進出する企業が多くなった、文化や教養その他万般において差異があるというような中で、我々海外へ進出すると同時に、そこで働く皆さんが間違いがないような、楽しい働きが営まれるような、そういうような願いを込めて、今、多国籍企業労働問題連絡会議というようなものを開催いたしまして、それぞれの地域においてトラブル防止に必要な情報、これを提供しているところであります。  なお、日本労働研究機構というところに委託をいたしまして、進出をしていく企業関係者を対象に、現地での労務管理のポイント、このようなものを紹介するハンドブックの発行でありますとか、現地の労働事情に関するゼミナールを開催するなどというようなことをやってまいっている、そんな次第であります。今後も相努めたい、かように存じております。
  91. 西田猛

    ○西田(猛)委員 女性の問題につきまして御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  最後に、こういう、男女は平等であるという環境を整えていけば、そこから先は、それは常に並行していくことでございますけれども女性自身も、それからもちろん片方の性としての男性自身も頑張っていかなければならないことだということを付言しておきたいと思います。  その意味でも、昨日の夕刊に、たまさか太田婦人局長が書かれております。「女性の時代」というコラムを書かれておりますが、「折角の「女性の時代」を確実なものにするのはひとえに女性次第である。楽しみつつチャンス、チャレンジと行きましょう!」まさにそのとおりだと思いますので、このことを付言しておきたいと思います。  それから、次の問題なんですけれども、春闘でございますけれども、この問題につきましては、昨今、特に私鉄総連におきましては、かつての中央労使交渉の方式をやめて会社ごとの個別の自主交渉とするとされておりますところ、この中で行われる今春の春闘の賃金引き上げ交渉はどのような影響を受けるのかあるいは受けないのかということをまずお聞きしたいのであります。  そしてまた、当然のことながら、この条件の交渉につきましては、労働者側と使用者側が対等の立場において決定すればそれでよいものでございますけれども、ただ、労働行政所管される大臣として、この春闘の状況等について、特に個別自主交渉となることの影響を踏まえて、どのようにお考えになられるのか、あわせて御所見を伺いたいと思います。
  92. 岡野裕

    岡野国務大臣 白状しますと、私は労使交渉の一方の当事者で長いことあり続けてまいりました。やはりそういう経験からしても、労使がどういうような手続を経て交渉するか、どういうような方式で交渉をするか、これはやはりそれぞれの企業において、産業において異なったものが当然あるわけでありますから、労使間の間で手続についても、交渉方式についても決めるのが妥当ではないかな、こう考えているところであります。  私も、新聞等を通じまして、長年にわたって著名でありました私鉄総連の集団交渉が今春闘からなくなるということを聞いております。やはり産業企業の中での差異が大きく出てきたのかな、また時代の変遷というものもあるのかなという眼で見ているわけでありますが、挙げてひとつ労働省としては、労使双方にお任せをしたい。  なお、何かありましたら、だれか加えてくれますか。
  93. 西田猛

    ○西田(猛)委員 筋論に終始されましたので、まさにそれはそのとおりなんですけれども、私たちといたしましては、やはり労働者の福祉それから生活の向上という点から、確かに現下の経済状況はございますけれども、個別の交渉になっても、企業として出せるものであればできるだけのことはしていただければありがたいなというふうに考えますので、それを付言しておきたいと思います。  それから、次の問題に移らせていただきますけれども、今度は、地域における産業それから雇用政策についてでございます。  昨今、産業空洞化が進展すると言われておりまして、従来、我が国の基幹産業を支えてきた物づくり、この企業がだんだん外国に流出しているというふうな状況もございます。しかしながら、いろいろな調査をしてみますと、確かに製造部門は海外移転するけれども、その製造に当たってのテクノロジーですとか技術開発とかをする部分については、やはりこれは日本になくてはならないということで、いろいろな地域にその物づくりのノウハウあるいは基盤となるものが集積した地域はあるわけです。しかし、それがだんだんいろいろな意味産業空洞化の波に洗われて崩壊の危機にさらされているということがありますので、それらに対しましては、我が国経済地域経済発展を支えるために、経済構造改革の一環としてでもありますけれども地域でのそういう集積した産業における技術の高度化そして新分野への進出等を促進していく必要があるのではないかと思います。  その意味で、平成九年度予算においては、労働省の方から、高度技能活用雇用安定施策それと地域人材育成総合プロジェクトという二本柱が出されていると思います。それに加えまして、通産省の方からは地域産業集積活性化施策というふうなものが提出されております。これらのものは製造業というものに、製造業集積に着眼した産業空洞化対策でございますけれども我が国においては、物をつくることは大切ですが、それ以外にもいろいろな産業がありまして、それらもやはり空洞化の波に洗われてきておるという現状があると思います。  それらについて、そういう物づくり以外の産業雇用安定及び人材育成施策について労働省はどう考えておられるか、御所見をお伺いしたいと思います。
  94. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、情勢分析等、まさに御指摘のとおりでございまして、我が国基本的には物づくりが非常に重要なわけでございまして、それを支える技術、技能集積、これが産業空洞化雇用空洞化でなくなってしまうということは非常に重要な問題でございます。そういう指摘、やや私ども対応も遅いという御指摘もあるわけでございますが、そういう観点から、物づくりを支える高度な熟練技能者、これが多数働いており、かつ、この技能が将来に向かって継承され発展していく、これが非常に重要な課題である、こういう認識をいたしまして、今回、そういう技能集積した地域におきます空洞化対応した雇用対策を講ずるべく、地域雇用開発等促進法改正案を提出し、できるだけ早い御審議お願いいたしているところでございます。  具体的には、下請企業あるいは中小企業などで働く労働者方々、これは優秀な技術、技能を持っておるわけでございまして、これを生かすために、産業政策とも連携を図りながら、生産能力や国際競争力の基盤となる技能集積している地域を対象として、高度な技能を活用した新規事業の開始等による雇用創出あるいは新事業展開を担う労働者育成支援、そういうものを行いたいと考えておるわけであります。  ただいま、もう一つの御指摘の、製造業以外についても必要な対策はどうか、こういうことでございますが、製造業に限らず、やはり雇用対策面でいろいろな問題がある場合についてはそれに応じた対策をとっていくことが必要であるわけでございまして、そういう対策もあるわけでございます。ただ、一般的に申し上げますと、現在の情勢、非常に雇用情勢が厳しい中で製造業労働者が減っている反面、いわゆるサービス産業につきましては堅調に雇用者数が伸びている、そういう問題もございます。したがって、そういう安定した産業におきます、そういうところに働く労働者についての支援、それから、ただいまの緊急課題であります空洞化対応した物づくりというものを支えるための雇用対策、そういうものと若干そういう意味では対策に応じた温度差もあるのも事実でございます。  いずれにいたしましても、雇用対策は、対象者の状況に応じまして必要な対策を考え、実施していく、そういうことが極めて重要であるというふうに考えております。
  95. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ただいまのお話で少し気になりましたのは、そうされますと、平成九年度で労働省がやられようとしている新施策では、あくまでも物づくりを対象にしているというふうなことだと思うのです。そういたしますと、それ以外の産業について、温度差があるというふうなお話がございましたが、今のところ、労働省としてのこういう人材育成あるいは地域高度技能活用の施策、これはございませんでしょうか。
  96. 征矢紀臣

    征矢政府委員 今回の法案と離れますと、例えば人材育成等につきましては、やはり全体の中でサービス経済化が進んでいくということであれば、そういう中で必要な人材育成をどうするかというようなことから、例えばホワイトカラー等につきまして、それに必要な技能の科目、そういうものを新しく追加することによって人材高度化を図る、そういうためのプロジェクト、こういうものについてはやはりあわせて検討していかなければならないというふうに考えております。
  97. 西田猛

    ○西田(猛)委員 わかりました。地域における産業雇用対策、非常に重要なことでございますので、これからも一生懸命、各省庁と協力の上、頑張ってやっていっていただきたいというふうに思います。  次の問題に移りますが、先ほど本会議の方で大臣が趣旨説明をされまして、若干の質問がございました時短の問題でございます。またこれは、本委員会法案が付託されましたときに審議されることと思います。  私、一つだけお伺いしたいと思いますのは、本年四月から、完全に例外なく週四十時間労働制が施行されるわけですけれども、それそのものは当然労働者の福祉向上の観点から必要なものでございます。  ただ、そういうふうになっていく過程で、私、一つやはりおかしかったのではないかなと思いますのは、なかなかそれを実施することができない企業が多いから特例を設けていた。その特例もこの三月三十一日で切れるわけですけれども、切れたことによって非常に困る企業がまだ残るので今度の法律を延長していろいろな手当てをしていこう、助成金を出したり指導していこうということだと思うのです。よく考えてみますと、言うならば、できないことを法定しておいて、そして、できないと困るからいろいろな措置をしていくんだよというように見えるわけでございます。  それは、先ほども話がありました、労働条件の決定などということは使用者側と労働者側がみずから決めればいいことであって、何ら政府が容喙することではないという御意見があったにもかかわらず、むしろこれは労使に任せておいたのではうまく条件が整っていかないことだから政府が積極的に関与するんだよというふうな法律案であり、施策であり、立場であるように見えるわけです。これは政府がいかに民間のことに関与していくかということにもなってくるし、行政改革の問題にもなっていくと思うのであります。  一つ大臣にお伺いしたいのは、先ほどの労基法における女子の保護規定の撤廃でもそうでございましたけれども、果たしてそこまで我が国労働環境が整っていっているのかなということだと照うのです。女子保護規定を撤廃するという労働環境が整っているならそれもいいでしょうし、週四十時間労働制という環境が整っているならそれけ当然必要なことでございますけれども、しかし、そういう状況にいってないのに無理やりやるのは、それによって困るのは、使用者の方もそうでしょうが、労働者の方もむしろ困るというようなことがありましょうから、もちろん難しい、いろいろ解決していかなければいけない問題がございます。しかしながら、本質的には労働者の生活の質の向上という観点から見て、この時短問題あるいは女子の保護規定の撤廃問題等々について、我が国の現在の労働環境がそういう時点にまでいっているのかどうかという観点も踏まえて、今後の日本の労働政策のあり方全般について若干のお話を例えればと思うのです。
  98. 岡野裕

    岡野国務大臣 もう先生お話をする必要もないことだと思いますけれども、この週四十時間出働制、それの基本になっているところの労働基準法、これは、明治以来、日本の産業復興の中に七いて、例えば、悪い例でありますけれども女工哀史というような経験を踏まえてきて、五十年前、労働基準法ができた。言いますならば、全体の出働条件の下支えで、労使間はこの下支えの上に立って、お互いに、その企業なりそれぞれの労働者皆さんの生活環境その他を考えて労働時間等々を決めていけばいいのではないかなという考えであります。  したがいまして、時短につきましても、昭和六十二年から第一次改正、第二次改正というような経験を踏まえてここまで持ってきた。ならば、今まで猶予をしてきた、準備もされてこられたであろう、ここで割り切ろうということでありますが、しかし、まだ追いつけないところがあるならば、ここで強行をして、かえってもとのもくあみになってしまってもならない。やはり生きた日本の、何といいますか、経済状況の中にある雇用主であり、あるいは被用者であるわけですね。そういった意味合いで、これが完全に定着をするためには、ここで罰則でといいますよりは、一応は指導期間を設けて、あるいはポジティブアクションについては助成もし、等々をやって、将来にまでわたってこれが定着するように、きょう総理からもお話がありました、これで終わりではない。まだまだドイツだとかフランスだとか、一歩先にはイギリスもあるというようなことでありますので、これから堅実な労働時間短縮を進めていく場合にもこれが必要ではないかなというようなことで、実は後日御審議を賜る関係法を準備した、そんな次第であります。
  99. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そういうことで労働時間の短編が行われていくこと、まことに結構なことでありまして、私どももこれを推し進めてまいりたいと思うのですが、しかし、そういたしますと、今度は余暇時間をいかに使うのかの対策が片方で必要になってきましょうし、また他方、労働時間が短縮された分を利用して労働者のさらなる福祉の向上のために職業能力開発という観点も必要だと思うのです。  先ほどの本会議で、大臣に対して我が党の吉田議員が質問をして、大臣が若干答えておられましたけれども、これは、もしできれば、政府委員の方からでも結構ですが、それら二本柱の施策について、これからこの時短でさらに労働時間が短くなってくることに対してどういう施策をさらに推し進めようと考えておられるのか、少しお聞かせ願えればと思うのですが。
  100. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 この週四十時間制を初めといたしました労働時間短縮を進めるための支援措置についてのお尋ねでございますが、この四月一日から、今まで猶予されておりました中小企業に新たに四十時間制が適用される。その円滑な定着を図ってまいらなければなりませんので、そういった中小事業主の方が労働時間制度改善したり、あるいは生産性を上げることによって労働時間短縮のコストを吸収していく、そういうための省力化投資や設備を備えていく、あるいは人を、雇用量をふやす、こういうような形で対応しながらこの四十時間制を確実なものにしていく姿が考えられます。そういった場合の費用につきまして私どもが助成金を支給することによって援助していく、こういう助成制度を、予算総額約九十八億でございますが用意して、そういったものの適用をしながら、労働時間短縮のノウハウも提供しつつ円滑な定着を図っていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  101. 征矢紀臣

    征矢政府委員 労働時間短縮と、それから自己啓発能力開発等の問題でございますが、法定労働時間が短縮されますと余暇時間がふえる。そういう中で、今後の厳しい経済情勢の中で、自分の将来を考えた自己啓発、これが非常に重要になってくるわけでございます。したがいまして、余裕ができた時間帯に勉強する、こういうことを積極的に進めていくべきである、こういう観点から、今回審議お願いしております職業能力開発促進法の中におきまして、そういう自己啓発について事業主支援した場合に、それに対する国の支援措置、そういうものも考えているところでございます。  なお、特に中小企業の在職労働者につきましては、これは時間が短縮されましても勤務時間中に自己啓発というのはなかなか難しいわけでございまして、そういう意味では、夜間訓練あるいは土曜、日曜、休日訓練、そういうものも非常に重尊でございます。そういう点につきましては、雇用促進事業団におきます職業能力開発の施設がいろいろございまして、そういうところで対応ができるような対策もとっているところであります。
  102. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ぜひ積極的に進めていっていただきたいと存じます。  それでは、次の問題に移りたいと思うのですが、労働者派遣事業等の問題についてお伺いしたいと思うのです。  この労働者派遣事業の適用対象業務についての規制は、専ら使用者側の観点あるいは都合から行われているのではないかなと私には思えるのですけれども、しかしながら、なるべくならば、派遣される労働者の権利義務の保護も図りながら、そしてまた、他方、使う側の、使用者側の多様な企業のニーズをも考えて、いわば派遣される労働者の側の、こんなことなら行きたい、こんなこともできるなというふうな希望等を勘案してさらに労働者派遣事業対象業務の規制緩和を図っていくべきではないかなと思うのですが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  103. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘労働者派遣事業関係につきまして、さきの国会改正法案お願いいたしまして、御審議いただき、成立したものにつきまして昨年の十二月に実施したところでございます。  その対象業務につきましては十一業務拡大したわけでございますが、これにつきましては、関係審議会、これは私ども審議会は三者構成で、労使、公益で成り立っておりますが、そういう中でどこまでどの業務を広げるべきか、そういう観点からの御議論をいただき、かつ、御指摘のように労働者保護という観点から何が問題であるかということもあわせて御議論をいただきましたものを労働者派遣事業法の改正法案という形で国会で御審議をいただき、国会での議決をいただいて実施したものでございます。したがいまして、この対象業務の範囲、これが専ら使用者側の観点、都合によって行われているかという点につきましては、必ずしもそうでないということも申し上げたいと思います。ただ、これで終わりかという点につきましては、経済社会情勢が変わる中で、労働者派遣事業制度のあり方について抜本的に見直すべきである、こういう御議論もございます。  この点につきましては、ことし一月、関係審議会におきまして抜本的なあり方についての検討をお願いし、開始していただいているところでございますが、その視点としましては、一つは、御指摘労働者派遣事業の対象業務の範囲、これをどうするか、それから派遣期間、これをどうするか、あるいは労働者保護のための措置、これをどうするか、そういうものについて全体の姿を基本的に、諸外国の法制等、あるいはILO九十六号条約の改正の動向、そういうものを踏まえながら検討する必要があろう、こういうことでございまして、現在検討を開始いたしたところであります。
  104. 岡野裕

    岡野国務大臣 青山委員長からは、次は大臣だよと言われたのですが、局長がみんなしゃべつてしまいました。しゃべることはありませんけれども、立ち上がりましたのでいたし方ありませんが、やはり雇用対策でミスマッチがないように、働く皆さんからすると自分に適した職場はどういうところがあるか、それから、雇用側にいたしますと適材はどこにあるかというようなことが、情報量が十分にあればミスマッチはなくなるのでありますが、まだまだそういうふうにはいかないということで、着任以来、まず職業紹介制度の大幅な自由化ということを事務局に命じまして、おねよそ結論が出まして、ホワイトカラーについては一部を除き全面開放というふうなことで、この四月一日からやるように指導をしております。  その次が人材派遣の関係に相なります。これはILOの条約との絡みもあるわけでありますが、先ほど申し上げました職業紹介の自由化と全く同じような意味合いで、ミスマッチをなくするのにはやはり一歩大きく開放すべきであるということで、昨年の十二月の二十八日でありましたか、これまた関係審議会の方にお願いをしまして、この一月から検討に入っているところであります。その結論を待ちたいというのが大臣気持ちであります。
  105. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大臣、話すことが少なくなつて残念そうであられましたので、それでは今度は大臣にお伺いしたいと思うのです。  労働者派遣事業ではないのですけれども、昨今、この経済状況の中でよく見られている雇用の形態に、期間を限定した契約の社員の問題があると思うのですね。特に航空業界等を中心としてそういう方たちがたくさんいらっしゃる。そして、私は、労働の原則としては、同一労働はやはり同一条件が原則ではないかなと思うのですけれども、全く同じ業務に従事しながら、他方全く労働条件の違う雇用形態の方たちがいるということについて、これは指導する立場の、業界を監督する省の問題を聞いているのではなくして、労働雇用問題を担当される労働大臣としてどのようにお考えになられるか、これについて御所見をお伺いしたいのです。これは大臣にお聞きしておるのですが。
  106. 岡野裕

    岡野国務大臣 御指摘がありましたが、某航空会社において、期間を定めた、新聞だねにもなりました契約制スチュワーデス、これを採用し、正社員とは異なる労働条件で雇用しているというケースがだんだんふえてまいっている、このように仄聞をいたしているところであります。  労働省としましては、契約形態によって労働条件が異なることは労働基準法上の問題は生じておらない、こう考えているところでありまして、労働基準法等で定める法定労働条件に違反しない限り、具体的な労働条件はこれまた労使間で自主的に話をして決めていただく、この線にのっとりたい、かように思っている次第であります。
  107. 西田猛

    ○西田(猛)委員 その線にのっとりたいという御答弁のところになかなか妙なる味が出ていたのではないかなというように思うのですが、やはり同じ職場で全く同じ労働に従事しておられながら労働条件の違う方たちがいるということは、ひとつこれからまた考えていかなければいけない問題なのではないかなというふうに私どもも考えております。このような問題が、これは別にある一定の業界の問題ではなくして、いろいろな業界にこういう経済状況ですから恐らく広がっていくのではないかなというふうに考えておるところでございます。  それで、最後になりますけれども障害者雇用の問題についてお聞きをしておきたいと思います。  これは私どもも今勉強させていただいておるところでありますけれどもへ身体あるいは精神等にいろいろな障害をお持ちの皆さん、これらの皆さんで、雇用に適する方とそれからいわゆる雇用に至らない、そういう障害をお持ちの方ということがあるようでございます。労働省におかれては、当然雇用という側面からの御所管でありますので、雇用に至る、そういう障害をお持ちの方についてはいろいろな施策を行っているけれども雇用に至らない、そういう障害をお持ちの方については、これは福祉の問題なんだよという、そのお考えは確かにわかるのですけれども、ところが、どういう程度から雇用に適する、適さないというのは非常にマージナルなといいますか、境界の不分明な問題でございますから、できれば大きく目を見開いていただいて、いろいろな障害、心身ともにいろいろな障害などをお持ちの方たちに対して広く労働雇用観点から施策を行っていただいて、少しでも多くの方が本当に我々と一緒になって、さっき大臣も言われました楽しく働いて楽しく暮らしていける、そういう共生の社会をつくっていけるようになればいいなと思うのですけれども大臣、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  108. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまの御指摘でございますが、御指摘の点よくわかるわけでございますが、基本的な考え方として、私ども雇用という観点から障害者対策を講ずる、厚生省につきましては雇用でない形での障害者対策、こういうことでございます。  ただ、そこの境界がはっきりしない、そういう問題が確かにございます。したがって、その点をどうしたらいいかという点につきまして、これはなかなか難しいのですが、考え方の整理としまして私どもが現在検討いたしておりますのは、例えば精神薄弱者等の方々に対する新たな事業所を活用した職業リハビリテーション事業、これを実施するなど職業リハビリテーションのさらなる充実を図ることが必要である。それから、あわせまして障害者雇用支援センターの設置、これを推進しまして、いわゆる福祉的な就労から一般雇用への移行のための支援体制の充実を図る。これによりまして、個別具体的に福祉的就労という形で雇用でない形で働いている方、そういう中から一般的雇用へ移行が可能かどうか、そういうものができるだけ一般雇用へ移行できるような、そういう支援体制の充実を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。  したがいまして、そういう観点から、このセンターの設置主体に社会福祉法人を加えること等を内容といたします障害者雇用促進法の改正案、これは今国会に提出することを予定いたしておりますので、この法案審議につきましてできるだけ早くお願いしますとともに、その際にもまたただいまの御指摘について御議論をいただきたいといろふうに考えております。
  109. 岡野裕

    岡野国務大臣 雇用といいますのは、雇用外にある皆さんについて雇用に誘うという意味もあるわけであります。その意味合いでは、私は、部内施設で身体に障害を持たれる皆さんの研修を直接この眼で見てまいりました。非常に生きがいを持って作業に取り組んでいます。これは必ず雇用に結びつく機会があるはずだなというような思いを強くいたしておりますので、また関係各省庁とも連携をとりながら雇用の充実に努めてまいりたい、こう思っておりますので、よろしくお願いします。
  110. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ありがとうございました。  最後に一言だけ。阪神・淡路大震災におきましては、私のふるさと、地元の池田市、箕面市、それから豊能郡におきましても労働省雇用調整助成金等の特例措置の対象ともしていただきましたが、その期間はもう過ぎてしまいました。しかしながら、まだ大変大きなつめ跡が残っておりますので、今後とも労働省におかれても万全の対策をとっていただきますようによろしくお願いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  111. 青山丘

    青山委員長 次に、岩田順介君。
  112. 岩田順介

    ○岩田委員 民主党の岩田でございます。  私は、国会に参りまして七年を過ぎましたが、この間に四つの石炭の山が閉山となったわけであります。来世紀には恐らく日本国内の石炭の需要は一億三千万トンを優に超すであろうというふうに言われているにもかかわらず、次々と石炭の閉山ということでありまして、極めて矛盾をも感じるわけであります。  言うまでもないわけでありますが、三井三池炭鉱というのは百二十四年の歴史を有しておりまして、その歴史の長さもそうでありますが、とりわけ大牟田市、荒尾市を中心とする有明全域が一言石炭で成り立ってきた、そういう歴史を持っておるところでもあります。つまり城下町であったわけであります。したがいまして、この三井三池の石炭は、閉山による離職者の数、それに影響される多くの人々の数、それから自治体に与える影響も極めて甚大でありまして、言ってみれば、超大型の閉山ということであります。  労働省におかれましても、既に労働大臣もしっかりやろうという決意を新聞でも表明をされておりますし、労働省でも、離職者雇用両面からの対策を、体制を整えられるということになっておりますが、まず冒頭に、午前中にも大臣の御発言がありましたが、各省庁との連絡を密にして、出に雇用だけではなくて、同有明地域地域振興というものも視野に入れた政府の責任というか努力が極めて期待をされるわけでありまして、そういう観点も含めまして、ひとつ大臣の御所見を賜っておきたい、かように思います。
  113. 岡野裕

    岡野国務大臣 過去の歴史では、赤平、住友でありますが、離職者千七百人、また、同じく三井大夕張、これが二千二百を超えた離職者を出したということだと存じますが、今回はもう一回り数が多いのではないか、非常に大きな心配をいたしております。  しかも、今私どもとしては全国的な公共職業守定ネットワークというものがあります。会社当局も千七百四十四、再就職ポストを準備はしていろわけでありますが、地元の皆さんは、やはり地元に長くいたかげんでありましょうか、その周辺で就職先を見つけたいというような希望が多いというのが実態である中で、我々はどうやってこの皆さんをしかるべきところに就職していただけるか、一生懸命これから努力をしてまいろう。  そのためにもやはり、先ほどお話をしましたが、技能というものを新たに身につけていただく、これが一番だと思います。だから、荒尾、能本、飯塚、佐賀等々の各研修センターがありますので、これを総動員するという傍ら、それらの新ししく身につけた技術を使ってこの地に何とか新しいジャンルの企業を芽生えさせることができないかというような意味合いで、幸いにして失業給付金あるいは炭鉱離職の手帳がございますので、これは全部合わせると三年間ある、その間に何とかミスマッチのないような努力を進めてまいれればな、こう思っているところであります。
  114. 岩田順介

    ○岩田委員 私も、今大臣が言われたような基未的な構想といいますか、こういうことでやっていくべきであろうというふうにも思っております。  過日、大臣の記者会見の、新聞記事なのでありますが、この雇用対策等については現行の法律の枠内でやっていくのである、それは特別措置をとらないということも書いてありましたが、それに私はどうこう言うつもりはありません。つまり、私が大臣お願いをしたいのは、これは世間の期待もありますが、閉山をする石炭社は三井なんですね、三井社なんです。三井グループの責任もあるわけでありまして、やはり基本的には、三井石炭社及び三井グループが、可能な限り責任を持って雇用創出雇用の受け皿をつくるということであるべきだという意味大臣もおっしゃったのかなというふうに、私はそういうふうに理解をするわけです。  したがって、現在千七百四十四名という会社側が提供しているメニューといいますか求人の人数もございますが、かなり本人たちの希望とミスマッチするのではないかというふうに思いますのは、それは現地の判断もありました。それから、つまり四十七歳、四十八歳という勤労者、この閉山に伴う離職者の年齢構成をも考えますと、大臣おっしゃったように、やはり地元雇用ということがありますから、ぜひやはり三井石炭社及びグループの責任を十分果たしていただくということが基本だろうというふうに私は思うのです。  後ほど、いわゆる訓練所問題なども一、二聞きたいと思いますが、関連して、私の経験を申し上げますと、先ほど、午前中の委員の方の御質問がありましたが、私は筑豊炭田の出身でありまして、朝に夕に石炭がつぶれまして、大量に労働者が移動した悲しい現実を体験をいたしております。この実態を政府で何とかしようということで、いわゆる四つにわたる失業対策制度をつくってきて、それも終息に向かっている状況ですね。筑豊の場合は、何十年も長い間やってきましたので、決してあれは、役には立ったのだけれども、どうかという評価意味では、時代も変わったし、必ずしも開発就労事業議論されるべきではないと私は思うのです。  そういった意味でも、まずこの関係企業の責任を最も発揮していただきたいというふうに思うのでありますが、同意見だろうとも思いますけれども、いかがでしょう、そういうことを各省庁とも相まってやっていくことは当然ではないでしょうか。
  115. 岡野裕

    岡野国務大臣 新聞、記者会見で私がどう申し上げたかは今記憶が鮮明ではないのでありますが、やはり一次的には、その会社側とそれから労働組合員の皆さんとの間の団体交渉で、例えば閉山が三十日だが三十日でいいのかとかいう細かな点についてまでこれは話し合いでお決めをいただくべき事柄である。しかしながら、これだけ大きな閉山ということになりますれば、通産省労働省もみんなが、言いますならば手と手を組みながら、全面的な解決に持っていかなければならないな。そうであるとするならば、我々や通産省の前に、三井鉱山グループというようなものが、今の三井石炭鉱業は三井鉱山から出てきた会社でありますので、三井鉱山等々も努力をしていただいているな、こう思っております。三井石炭鉱業としても三井グループにいろいろ働きかけた結果が今の千七百四十四ということになっているのだ、私はそう思っておるわけでありますが、今後も必要に応じ、労働省が出る幕がありますならば私どもも御協力を仰ぐのにやぶさかではありません。
  116. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま開発就労事業考え方についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、過去の経緯等御承知のとおりいろいろあるわけでございますが、石炭対策としては、ただいま大臣もお答え申し上げましたように、手帳制度雇用保険にプラスして全体で三年間の手当、こういう制度をつくり、これによって雇用対策に全力を挙げていく、こういう考え方に切りかえまして以来、現在に至るまでの考え方としましては、新たなこういう事態について就労事業で対処するという考え方は、そういう意味では持っておらないところでございまして、これについては基本的に終息の方向で対処する、こういう流れでございます。  具体的には、一般的な失業対策事業につきましては、非常にいろいろな問題がある中で、各方面の御議論をいただきながら、これは国会におきまして緊急失業対策法の廃止を提出し、廃止をしたところでございます。石炭につきましても、いわゆる旧産炭地で就労事業が行われておりますが、これにつきましても、基本的には縮小の方向で検討いたしておるところでございまして、したがいまして、三井三池につきましては、労働省といたしまして、昨日、炭鉱離職者対策本部、これは高齢・障害者対策部長が専門に担当するということで本部長ということにいたしておりますが、そういう本部を設置し、あるいは福岡、熊本両県におきましても、それぞれ対策本部を設置し、閉山に伴います離職された方々についての雇用対策、これはいろいろな事情がある方々についてきめ細かく相談をしながら、あるいは大臣が申し上げすしたように、広域的な職業紹介あるいは地元の職業紹介、そういうものを実施しながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  117. 岩田順介

    ○岩田委員 今局長大臣から答えていただいかことにつきましてはぜひお願いをしたいと思いますが、つまり、解雇された方々の不安、それから、これから先再就職、人生への再出発に向けて大変な苦労が要ると思いますが、その辺はいわゆる自立をしていかれる環境をどうつくるかといろ意味で、まず三井石炭の責任は重たいであろうし、政府も最大の支援をしてほしいということ序言っているわけでありますから、ひとつ御努力を賜りますように。  そしてまた、千七百幾つかのメニューはもっとふえるかもしれませんが、大臣、先ほど省庁とスクラムを組んでいただくということは本当にありがたいのですね。ですから、例えば通産大臣は通商産業省の持っている権益内で、あと七十か八十か百か就職口をふやしてくれ、運輸省はどうだ、古賀誠大臣は大牟田の出身ですから、この会はそういういろいろな方々がおられるわけで、省庁の協力は単なる、かつては省庁会議するのだけれども余り意味のないような会議もあったと私は思いますが、今回ばかりは人の生命にかかわっているわけですから、そういうことがないようにお願いをしたいということをあえて申し上げておきたいと思います。  もう一つは、これはもう既に通産の方とお話があっていると思いますが、三井三池炭鉱には全山で十九本の坑口があると聞いております。この坑口が閉鎖されないと、通産省でいう例の閉山交付金が支給をされないというルールになっているわけですね。法律はそうなっているわけですよ。  ところが、いわゆる閉山をする、完全に閉山するまではさまざまな坑内での作業もありますし、通風や換気や電気やさまざまな問題もありますが、もし仮にそれが完了しても、坑内の水を、抗内水を揚水しなければならない、ポンプアップしなければならないということ等を考えると、一説では八月ぐらい、盆前ぐらいまでになるのではないか。盆まで退職金を払わないということにはなりませんよね、かつての閉山のときもそれは前倒ししたことがあるのですが。  これは大臣、御相談があっているならば御答弁をいただきたいのですが、少なくとも二カ月ないし三カ月の間に、したがって、三月の閉山から井月か六月ぐらいまでの間には完全に退職金が支払われる。つまり、閉山交付金が支給完了するということは一日も早いものが望まれておるわけでありまして、退職金の関係では大臣、ぜひひとつ通産省と折衝というか、早目の交付金の支給についての御努力をいただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
  118. 岡野裕

    岡野国務大臣 やはり今団体交渉の真っ最中だと存じますが、退職金あるいは退職付加金でありますか、これらが取り決めどおり速やかに支給されるようにというためにも、これは通産省の方に閉山交付金を弾力的に交付をするというのも一つの手だというような意味合いで今後も話は進めていこう、こう思っております。
  119. 岩田順介

    ○岩田委員 過去の閉山でも経験をするのでありますが、ぜひそれはお願いしたいと思いますのは、三月末で閉山をして四月からすぐ再就職というのは困難ですよね。これは子供さんたちの学校の関係なども考えますと、三月の閉山というのは非常に悪い時期ではないかというふうに思うのです。  もう一つ、これは次々と閉山があっては困りますが、つまりこの閉山がまことしやかに報道され始めたのは、もう大臣、三年前からなのですね、三年前から。ですから、人々は、市民は驚かない割に非常に困ったことがあるのですよ。つまり、閉山提案があった二月の十七日までは、地元の市長や町長や各商工会議所も何を言っているかというと、閉山は間違いないのだけれども、継続をしてくれ、炭鉱を継続してくれということを言っておりながら、実態は閉山を覚悟しなければならぬ、こんな生殺しの状況というのはないですよ。  ですから私は、地元の三井三池の石炭にも言ったし、市長にも言ったのですが、もう少しはっきりしろと。そうした方が市民は目標ができて、市長と一緒に頑張ろう、商店街も頑張ろうというふうになるのだけれども、どうもそれも言えない。閉山提案を待って、しかも閉山提案から実際の閉山というのはもう四十日程度しかないわけですから、本当にこの仕組みは変えた方がいい。私は頭にきている点が多少あるのですが、それを言っても仕方がないのでありまして、そういった意味でも退職金が一日も早く払われて、次の生活に出発できるようにぜひとも御努力をお願いしておきたい、かように思います。  それから、黒手帳、緑の手帳という問題が出ましたのであえて多くは申し上げませんが、これは下請の関係者には、以前はかなりまだ差がついておったのですね。それで、緑の手帳という制度ができましてかなり救済できるようになったのですよね。それでもなおかつ、黒の手帳どころか緑の手帳をもらえないという人たちがいるわけですよ。  ここで私は、特例の措置になるのか運用の段階でいけるかというのはあるけれども、ぜひお願いしておきたいのは、例えば、いわゆるかつて閉山をした炭鉱の例でいきますと、三井石炭の従業員は、ほぼ全員黒か緑に該当しておったかもしれませんね。ところが、三井三池の場合は、ある時期に採炭から選炭までは三井鉱山の仕事である、会社でやる。しかし、送炭いわゆる輸送は別の会社でやる。それから、貯炭の管理は別会社にやらせる。それから、大牟田港の積み出しに関する船積みの荷役作業その他はまた別の会社にやる。全部分社化したのですよ。分社化をしますと、これは必ずしも黒手帳に該当しない。いや、緑の手帳にも該当しないというふうになったわけですね。  したがって、大牟田港務所というのがありますが、あれもかつては三井鉱山の一部だったのが恐らく出向になっているのじゃないですか、よくわかりませんが。これは地元の労使交渉にゆだねる部分がありますから、これ以上私細かいことは言いませんけれども、こういう会社側の都合で、いつの日にか三井鉱山の正社員であった者が出向職員もしくは別会社の社員になって該当しない、こういうことになっているわけですよ。  これはぜひひとつ、労働省の多少温かい配慮があれば、行政的配慮があれば僕はできる問題じゃないかと。調べておりませんが、そんなに莫大な人間じゃないですね。これこそやはり、労働者政策を進めていく労働省の血の通ったところが要請されていると思いますね。ぜひこれは、答弁はしにくいかどうか知りませんが、温かい気持ちでやるということだけはちゃんと言ってください。
  120. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生の御発言の趣旨は十分拝聴いたしました。
  121. 岩田順介

    ○岩田委員 ありがとうございました。  大臣は、本当に意気に感じるお方であろうと私は思いますが、本当によろしくお願いをしておきたいと存じます。細かいことは申し上げません。  それから、これも先ほど、午前中御質問があって答弁にならなかった問題でありますが、現在、大牟田市と荒尾市は、これは雇用機会増大促進地域に指定をされておりまして、支援をしていただいておりますが、もう一つ上に、特定のつく対策地域にぜひやはりしていただきたいというふうに思うのであります。  今、大臣の御答弁で、緑の手帳その他はまあまあ、御努力していただいて何とか解決するのじゃないかと思いますが、そのほかに納入業者だとか出入りの業者、恐らくあの小さな、十五万といっても、もうとにかく大変厳しい町でありますから、地域を超えて大きな商売をしている納入業者というのはそういない。恐らく納入業者のかなりの部分が倒産の憂き目に遭うのではないかということを私は心配するのであります。  したがいまして、そういった意味では、何とかこの法の網目の対象にしていただきたいという人たちが商店街にも関係労働者にも多いわけでありますが、そうなりますと、特定雇用機会増大地域について大牟田と荒尾、検討する場合には有明全域ということにはならないのかどうなのか。つまり、大牟田と荒尾を頭に置いた指定はぜひ必要だというふうに思うのでありますが、いかがでしょう。
  122. 征矢紀臣

    征矢政府委員 今回の三井三池炭鉱の閉山問題、これは地域にとって大問題でございます。そういう意味では、私ども対策も最大限、できることはあらゆる手だてを使ってやる必要がある、こういうふうに考えております。  そういう観点から、この特定雇用機会増大促進地域につきましては、これは、たまたま大牟田と荒尾で間に県境が入っておりまして、福岡県と熊本県にまたがっているわけでございますが、これについての検討をするとすれば、やはり両方を今めた一括した地域という形で検討する方がいいのではないかというふうに考えております。
  123. 岩田順介

    ○岩田委員 ありがとうございます。ぜひお願いをしたいと思いますが、今の征矢局長の答弁いただきましたことでもう一つ気がつきましたことをお願いをしておきたいと思いますが、熊本・荒尾と大牟田とまたがっておりまして、それで雇用対策上の問題も、実は調整をするのに現地では苦労していると思いますね。福岡県も、労働部の次長がキャップになりまして、熊本県荒尾市と協議をしながら雇用対策をしているというふうに私も伺っております。  ただ、先ほど、閉山の提案がなければ何も情報が入ってこないと。閉山が提案されないと、どういうことになっているかということを関係者にも調査ができないと。こんないらいらしたことを現地はさせられているわけですよ。しかし、時間はもう余りないということでありまして、労働省離職者対策本部ができるということを聞いておりますが、ぜひとも、福岡県、熊本県両県でそういうことをやっていますので、雇用の受け皿づぐり、後ほどもう一点聞きますが、いわゆる職業訓練についても十分な連携をとってほしいと思いますが、これはそういうことでよろしゅうございますかね。
  124. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のとおりでございまして昨日、私ども、高齢・障害者対策部長を本部長とします炭鉱離職者対策本部を発足させたところでございますが、これは先生指摘のような意味合いにおきまして、今回はたまたま福岡、熊本両県にまたがっておりますのでその間の雇用対策ができるだけ適切に実施されるように、本部長が中心となりまして、現地の状況を踏まえながら最大限の、最善の対応をとっていきたいというふうに考えております。
  125. 岩田順介

    ○岩田委員 ありがとうございます。ぜひこれは、人の将来、それから、平均年齢を考えると、児童生徒も場合によれば現地を離れて移動しなきゃならぬということがあるわけでありまして、ぜひお願いをしておきたいと存じます。  それから、職業訓練の関係で具体的なことをお願いしたいと思いますが、かつてから、これは平成六年九月一日ということになっております、市成六年の九月に、労働省も御努力いただきまして、つまり、鉱山保安法関係で資格を持っている人たちが労働安全衛生法上の有資格者に移行する場合の措置を考慮していただいている部分がありますね。したがって、これはありがたいのでありますが、残った部分についてできるだけ検討をいただきたいというお願いをしたいのです。  例えば、石炭の関係者というのは、坑内、坑外問わず、おおよその人たちが国家試験もしくは有資格者でありますね。この中で、汽缶係員、これはボイラーでしょうかね、ボイラーなどの国家試験は既に乗り入れが完備されておりまして、資格の方も幾つかありますが、もう細かいことは言いません、国家試験の有資格者が、三井三池の場合四百七十六人、それから、鉱山有資格者というのが千名ぐらいおられるのでしょうかね。ちょっとした、ちょっとという、私言葉はよくわかりませんが、屋外と坑内の条件を緩和して、多少の技術指導を加えれば労働安全衛生法上の国家試験が取れるというためのひとつ職業訓練は引き続き枠を広げた御努力をいただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
  126. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘のございました、鉱山保安法の有資格者を労働安全衛生法の有資格者へつないでいく措置につきましては、御指摘ございましたように、かねてから話し合いを進めて実行してきたわけでございますが、今回も、離職者の方の再就職に役立つ、こういうことであれば、どういった範囲の資格について可能か、また、例えば一部教育科目の免除等いろんな措置についてもどういった措置が可能か、早急に検討に取り組んでみたいと思っております。
  127. 岩田順介

    ○岩田委員 かつてからもこれは努力をしていただいて実験済みでありまして、それに適用された方々の現状は本当に有意義な職業生活を送ってあるということを私も随分知っていますので、ぜひとも枠の拡大と御努力をお願いしておきたいと思います。  最後に、住宅の問題も出ましたが、大臣、現在石炭で働いている方で五百五十世帯か五百六十世帯の方々が三つの社宅に大体居住されているわけですよ。これにつきまして、雇用促進事業団でどうするかというお話もありましたが、これは労働者の生活に欠くことのできない問題でありますから、当該自治体との関係は出てきますけれども、自治省、自治大臣にもこの辺について協議をしていただき、不安がないようにひとつ連携をとっていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  128. 青山丘

    青山委員長 次に、中桐伸五君。
  129. 中桐伸五

    ○中桐委員 民主党の中桐伸五でございます。私は、長野県小谷村蒲原沢で発生いたしました土石流の災害事件、事故に関連いたしまして、安全衛生対策についての御質問と、労働条件関連の一般的な質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、長野県の小谷村蒲原沢で発生し生じた土石流の災害に関連して、こういった災害を発生させないための今後の対策について述べさせていただきたいというふうに思います。  既に労働大臣の所信の中にもございますように、建設業の死亡災害は、死亡災害の全体の中で四割強を占める状態でございまして、また、長野県の小谷村を含むこの周辺の地域では、過去二十四年間に十三人の死亡者が発生しております。いわば土木事業に伴う災害多発地域というふうに言ってよろしいかと思います。しかも、この事件が発生して、労働省は砂防工事現場等における監督実施の実態調査をしておりますが、その結果によりますと、法違反現場数が全体の四一・七%、四割強が法律違反をしている実態でございます。  これに対しまして、この地域で大町労働基準監督署がどのような災害対策をとってきたかといろことも、現地に行きまして調査をいたしました。その結果、平成七年に一回、平成八年に二回、発注者あるいは元請事業者に対しまして安全対策要綱や、公共工事発注機関に対する要望事項等指導をいたしておるわけであります。つまり、災害多発地域でありますからそれなりに指導は行っているわけでありますが、しかし問題は、その指導の実効性でございます。現在、この大町の基準監督署の人数は八人、また、ここに仕事をしに来ておりました事業者の関連する糸魚川監督署、これまた八人でございます。  ここで、私ども、今日の第一級の政治課題は件政改革でございますので、その行政改革観点から、しかも、行政改革労働災害の多発を引き起こすような行政改革では困るわけでありまして、行政改革はするけれども労働災害対策は充実させていかなければいけないということでございます。  このような観点から考えますに、今労働省の職員数、これが問題でございます。本省に千三百三人、基準局が各都道府県を中心に四十七局ございまして、三千三百七十七人、そして監督署が三百四十三署で四千九百七十三人、つまり、基準局と監督署の比率は一対一・五でございます。  参考までに、行政の実績を上げるために、つまり、国税庁をこの際ひとつ参考にいたしたいと思いますが、税を徴収するという効率を上げるために国税庁がどのような職員配置をしているかということでございます。本庁は六百三人、これはちょっと時間がなかったものですから約の人数でございますが、国税局は十二ブロックでありまして、約一万五百人、そして税務署、末端でございますが、この末端に五百二十四署で約四万五千人というふうになっております。つまり、末端に力を入れておるわけであります。この労働安全対策というのは、現場に重点を置いた対策をしなければいけないわけであります。  ところが、確かにこの大町基準監督署及び糸魚川監督署、特に大町監督署におきましては、平成七年に一回、八年に二回の、三回の指導を行っておるわけであります。安全対策要綱や公共工事発注機関に対する要望事項もつくっておるわけであります。チェックリストもつくっておるわけであります。問題は、それを実効性あるものにするスタッフというものが不足しているのではないのかということでございます。  私どもが元請事業所あるいは請負事業所の何人かの方に事情聴取したところ、そのような実態が明らかになってまいりました。つまり、文書で安全対策要綱は出したわけでありますが、発注者の段階でとまっていたり、あるいは元請の段階でその文書がとまって、末端の労働者までその文書が伝わっていないという事実が明らかになったわけであります。  ここで私は、労働災害対策を強化するという大臣の所信表明もございましたので、この際、行政改革をしていただいたらいかがであろうか。つまり、今相当数ある基準局を十ないし十二のブロック単位に編成をする、この数は余り重要ではございません、ブロック単位に再編いたしまして、約千五百人、そして基準監督署に六千八百人、それで監督署の数をふやす、このような行政改革をしていただきたいと思いますが、労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  130. 岡野裕

    岡野国務大臣 蒲原沢事故は、私も長野県に居住をすぐ近くでしておりましたので、人ごとでなく、あの新聞報道、それからうちから派遣した者の報告を聞いたところであります。  先生詳細に御存じのとおり、一昨年の九月から昨年の七月にかけまして、要綱もつくり、それに基づきまして、建設省あるいは長野県、営林署、それから地方公共団体、元請といろいろな会議もやり、大会もやり、ファクシミリを使った指導文書も配付するなど、いろいろ対策を講じてきたところでありますが、まことに不幸なことに十四名が土石流に流され、いまだお一人が不明である、まことに遺憾のきわみだ、こう存じております。  全般の体制といたしましては、私ども、この要員は、先生おっしゃるとおり、行財政改革のど真ん中でありますが、第一に、第一線のこの労働基準監督署の充実強化を図るということでやってまいりました。その実態が今先生お話のような数値、私は耳にいたしておりませんが、今後も先生の意図を体しまして、第一線に力を投じていこう、こう思っております。  詳しくは事務局の方から何かあったらどうぞ……。
  131. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 ただいま労働大臣から申し上げましたとおり、私ども、安全というものを最重要課題として、それを徹底させていくための労働基準監督官の増員等に努めてまいっておるわけでございます。  先生指摘労働基準局のブロック化、こういう問題でございますが、私ども労働基準局、この大町で起きました事故につきましても、労働基準局と大町署が一体となりまして安全対策要綱等を作成し、それを関係事業主に広めていく、そういった作業を共同でやってきておりますが、やはり労働基準局、労働条件あるいは安全、これを未然に防ぐために、都道府県単位に置かれている経済団体あるいは業種別の事業主団体あるいは労働組合、そういったところと常時、連携協力、呼びかけを行いながら徹底を図っているわけでございます。  それで、またいざ事があれば、県内の監督署等を総動員して事に当たらせる非常に機動的なことを実施いたしておりまして、そういった意味では、都道府県単位に置かれている方が、やはり関係事業主労使との事前の呼びかけ等も徹底いたしますし、機動的な対応も、スピーディーな対応も可能であろうというふうに考えておるところでございます。
  132. 中桐伸五

    ○中桐委員 ちょっと余り期待される答えが返ってこないんですが、これは一日にしてできないことかもしれませんので、これからもう少しきちんとまたさらに検討を加えていきたいというふうに思うんです。  しかし、ここに総務庁行政監察局の「防災対策に関する行政監察結果報告書」というのがございますが、この中に砂防指定に関するデータが出ております。この「砂防指定状況」によりますと、長野県は、兵庫県に次いで土石流の危険のある、八百七十カ所という渓流数があるということがわかっております。にもかかわらず、先ほどのお答えによりますと、機動的に配慮していきたいということでございますが、なぜ八人なのかという問題でございます。つまり、この土木事業が行われることはわかっておるわけでございますから、計画書が出ておるわけですから、そのことがわかっている。わかって、その事業が行われる期間については、先ほどの私の提案している行政改革は今後の課題といたしまして、機動的に実際に末端まで労働災害対策が行き渡るような形で職員を配置するということができていなかったのではないかと思うのですが、この点について御意見を伺います。
  133. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃいますように、私は就任直後でございましたが、ここはフォッサマグナが通っている、しかも累次にわたって災害が起こっている、したがって復旧工事も随所で行われているというようなことは十分当省としては理解をしていたところであります。したがいまして、先ほどお話をしましたような、もう累次にわたってのもろもろの会議、会合、その他指導、周知に努めていたところでありますが、不幸にしてこういうような土石流に相なった。  緊急措置といたしまして、新潟県それから長野県、両県の労働基準局を中心として現地の対策を練る傍ら、新潟も長野も混然一体となってこれに対する原因究明、第一には人命救助の方が先でありましたが、人命救助に当たり、次いで今度は発生原因、それがはっきりした段階で今度は事後対策、こういうふうになろうかと思って努力をいたしているところであります。  今一般論で言いまして、行政省庁の定員をふやすということは非常に難しいことであります。したがいまして、どこの省庁でも共通でありますが、共通分野を減らして、それで前線に出す。したがいまして、中間管理機構を減らしても第一線の職場に定員を割く。したがいまして、ましてや本省を削るというようなのが趨勢だと思っております。  まことに残念でありますが、私、労働省先生がおっしゃるようなマクロで数字を目にしておりませんものでここで御答弁ができませんが、改めてまた事務局を督励したい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  134. 中桐伸五

    ○中桐委員 時間がありませんので、次に行きます。  公共事業においては発注者というのが問題でありまして、今の労働安全衛生法第三条第三項、あるいは第三十一条の三、あるいは第八十八条第八項に発注者を含む規定がございます。  この発注者に対して労働基準監督行政の立場は、例えば今回私ども調査しますと、土石流と関連をいたしますセンサーの設置を発注者がしていなかったということがわかったわけでありますけれども、これでこの事故が防げたかどうかといろ問題ではなくて、そういうことは今後の課題といたしまして、センサーがあれば、これは最も下請の事業者が言っていたことでございますが、一人は救えたかもしれないというふうに言っているわけであります。  このセンサーを設置すべきであったのに設置序していない、このような事態がわかった場合に、安全衛生法では、工事開始の差しとめまたは計画の変更の命令を出すことができるというふうになっておるわけですが、しかし、これはあくまで勧告、要請ということになっておりまして、極めて弱いレベルの規制でございます。  そこで、私は、労働大臣にお伺いしたいんですが、ILOは、一九四九年にもう既にILO第九十四号条約を決めているわけですが、その九十四号条約第五条には「公契約における労働条項の担定の遵守及び適用を怠る場合について、契約の手控えその他により適当の制裁を適用しなければならない。」という規定がございます。残念ながら、日本はいまだにこのILO九十四号条約を批准しておりませんが、この点について、私は早急にこの条約を批准し国内法を改定すべきだと思いますが、労働大臣の御見解を伺います。
  135. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃる九十四号条約といいますのは、公共工事に従事する労働者労働条件が、周辺に働く同種のような労働提供をする皆さんと劣らないようにしなければならない、私はかように認識をしているところであります。  ところで、現在の時点におきましては、私どもも民間部門におきますところの労働者雇用主と労働者との間の労働条件、その安全衛生については、それが公共発注に基づこうと基づかないとにかかわらず、労働基準法、労働安全規則等で守るべき基準、こういうようなものを定めて行政をいたしているところであります。  したがいまして、今の日本の実態からいたしますと、先生おっしゃるILOの九十四号条約といいますものを批准するのにはいまだちょっと時間がかかるのではないかな、こう思っておるところであります。
  136. 中桐伸五

    ○中桐委員 時間がなくなりましたので、私、懸案のどうしても一つお聞きしたいことの御見解を伺って終わりたいと思います。  今日の安全衛生の実態、安全衛生対策の重要ポイントは、法律による基準を守らせるということをウエートに置いたことから、労使あるいは政労使が共同で積極的に安全衛生対策を進めていくということがより必要になってきているんではないかと思います。これはポジティブアクションというふうな形の方向へ全体に労働法制の方向も向かっていっているということにも見られると思います。  そこでお伺いしたいのですが、中央労働災害防止協会という団体がございます。これは法律によって規定された団体でございます。この中央労働災害防止協会に労働者の代表が今参与という形で参加しているわけでございますが、参与というのは非常に弱い参加の立場でございますので、これはやはり運営に直接関与する理事というふうな立場で、中災防は理事だったかどうか、これは労働省の方でお答えいただきたいと思うのですが、そういうふうに運営のトップの役職ポストに労働者代表を加えるべきではないかと思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  137. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘がございました中央労働災害防止協会、これは労働災害防止活動を行います事業主団体等を構成員として設置運営されておるものでございます。  したがいまして、そういった構成員等の組織、そういった状況から見まして、労働組合関係者は直ちにそういった運営の理事あるいはそういった役員として構成することはなかなか困難なことであろうと考えております。  ただ、御指摘がございましたように、今相当数の労働側の代表の方に参与として入っていただいて、御意見等を拝聴しながら運営に生かしているところでございます。  そういった仕組みにつきましては、より活性化されるよう、労働側の代表の方の御意見等が労働災害防止対策に生きてくるように、私ども、中央労働災害防止協会に対しましても、新しい活用方策等についても早急に検討をさせてまいりたいというふうに思っております。
  138. 中桐伸五

    ○中桐委員 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  139. 河上覃雄

    ○河上委員長代理 次に、大森猛君。
  140. 大森猛

    大森委員 日本共産党の大森猛です。  大臣がかつて人事局長を務められた郵政職場で、横浜集中局ですが、つい最近、職場で突然死という事故が起こりました。私、伺って大変つらい思いがしましたのは、仮眠室で三日目に発見されたということです。三日間だれも発見できなかった。  大臣は、この間の所信表明で、豊かさを実感できる勤労者生活等々、「豊かさを実感」という言葉を四回、五回使われました。また、けさの質疑の中でも、今後の労働行政、一言で言えば、人間らしく生きるということもおっしゃいました。しかし、私は神奈川に住んでおりますけれども、今神奈川でリストラ合理化がそれこそ音を立てて進行しております。また、賃金体系、雇用体系が事実上崩壊するような状況が進んでいる中で、神奈川の労働者は、率直に申し上げて、大臣の所信表明をどういう感じで聞くのだろうか、こういう思いも持ったものであります。  一例を挙げれば、例えば鋼管のNKK、ここでは、一九九四年以来三年の間に五千八百入減らす、さらに追加して千七百人、合計七千数百名減らしてしまう、限界を超えた要員の削減ということで、極めて異常な事態が今起こっているわけであります。とにかく、ベテランがいなくなってしまった、仕事の濃度が大変濃密になってしまった。そういう中で、つくった製品の品質保証ができない。いろいろなつらい思いはありますけれども、物をつくる労働者がみずからつくったものに責任が持てない、自信が持てない、これほどつらいことは恐らくないと私は思います。  加えて、この職場では、昨年九月、十月、相次いで死亡災害事故、そして十二月にも意識不明の重大災害が起こって、一年間で二十一件もの休業災害が発生しております。ある労働者は、災害のことを考えると職場に行くのが怖い、こういうことまで言っているわけであります。豊かさの実感どころか、暮らしそのものが、命そのものが脅かされているという今の、とりわけ全国の中でも神奈川あるいは千葉の労働者の実態だと思うのです。  鉄鋼、自動車、電機等、大企業がとりわけ神奈川県に集中しております。そのため、地域経済雇用情勢は、全国の中でも極めて深刻な状況。例えば鉱工業生産指数、九〇年比で全国が九六・三と、ほぼ回復の傾向を見せておるのに対して、神奈川では八二・一%。午前中お話のありました有効求人倍率でも、全国的には〇・七六で、神奈川では〇・五〇というような状況であります。一方では、製造業ども、それこそ大企業が、史上最高の利益を上げている企業も含めて、多くの企業が高収益を上げている一方で、今労働者はこういう状態にあるわけであります。  きょうは、こういう点で、その中でもとりわけ深刻な事態が進行しております電機産業、その中で特にひどい日立について、まずお聞きをしたいと思います。  つい最近、私は、日立の労働者から、労働大臣にぜひ伝えてほしいという、こういう手紙をいただきました。ここでは、とにかく日立製作所新長期計画で、売り上げは今後、七年から平成十二年度までに四兆から五・五兆に伸ばす。経常利益率は三%から六%、海外事業比率は二五%から三五%に伸ばしていく。一方で、国内就業人員は七万六千から七万二千人、四千入減らすという計画ですが、この一年間だけでも、これは組合の調査ですが、四千六百人以上減っているわけであります。  この手紙の中で、今こういう中で労働者はどういう状況かということを書いていますけれども、人員削減の特徴には甚だ許しがたい内容を伴っています、日立ストレージシステム事業部、これはかつての小田原工場なのですが、汎用コンピュータ事業部、これは旧神奈川工場、ここでは、従業員の一〇%、二百名から三百名を抱える職場を、そっくりそのまま丸ごと孫会社化し、賃金・一時金を一律三〇%もダウンした条件で一定期間出向させた後、転属、これはいわゆる移籍に相当するのを転属と呼んでいるようなのですが、日立を退職して再就職する、転属させるという、解雇同然の労働者追い出しをなりふり構わず強行しているのです、こう書いているわけであります。  そこで、出向についてまずお聞きしたいのですが、労働条件の大幅な変更に当たる、そういうことが伴う出向、とりわけこの場合は職場が丸ごと出向ということですから、とにかく帰っていく職場がない、片道切符の出向であるし、しかも全く無期限の出向、こういうひどい出向です。こういう出向については、本人同意、これがどうしても必要ではないかと思うわけなんですけれども、まずこの点、お聞きをしたいと思います。
  141. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 出向をめぐる問題でございますが、ただいまの御指摘に対しまして、裁判例に即してお答え申し上げたいと思います。  在籍出向につきましては、就業規則や労働協約上の根拠規定があれば出向の際の労働者の個別の同意は必要でないとされているのが、裁判例に即すれば一般的なものでございます。また一方、転籍出向につきましては、もとの労働契約関係を終了させて新たな労働契約関係を成立させるものでございますから、裁判例によれば、労働者の同意が必要とされているところでございます。
  142. 大森猛

    大森委員 転籍については本人の同意が必要だということと、それから出向についても、これは就業規則を示すことは必要ですね。それは確認して進めたいと思います。  ただ、日立の場合はこれは大変巧妙といいますか、労働者を、言葉は悪いのですが、ペテン的な手口といいますか、こういうやり方でやっているところが大変重大な問題であるわけであります。  ここに、これは労働組合がつくった文書、資料なわけなんですけれども、会社側の提案をまず紹介して、そしてそれに対する組合の見解を示したもので、ちょっと委員長質疑を進める上で、これは大臣にもちょっと見ていただきたいのですが、よろしいでしょうか。  これは「業務移管」、会社側の提案に対して、組合の見解を示した、そういう資料でありますけれども、ごらんいただいたらわかるように、人事異動の取り扱い、例えばどの欄でもそうなのですが、四番目、これは「(汎用)」、汎用コンピュータ事業部だと思いますが、「DA応用技術業務の移管」、移管先は「(IT)」、移転先ですね。「DA 三十七名」、「申入れ日付」等と書いてあるけれども、その真ん中の「人員異動の扱い」を見ていただきますと、平成九年二月二十一日より六カ月間出向、つまりちょうどきように相当するわけなのですが、その下の段に、六カ月後、つまり平成九年八月二十日転属予定、こういうことになつているわけであります。  これは組合への提案として、この日立における出向というのが、とりもなおさず、一定期間の後に転属を意味する、こういうものであるわけであります。  ですから、これは単なる出向ではなくて、転属を前提とした出向であるという点から、こういう出向については本人同意を必要とするということを、労働省としてぜひ示していただきたいと思います。
  143. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 ただいま御提示のありました事例につきまして、具体的な実情、実態等、私ども承知しておりませんので、一般的なものとしてお答えさせていただきますが、労働者の籍を別企業に移すという形の場合には、一般的には労働者の同意が必要であるというふうに、先ほど申し上げましたように、裁判例等からは考えられるところでございます。
  144. 大森猛

    大森委員 一般的な御答弁ではなくて、今私が申し上げましたように、こういう資料を示して見解をただしているわけですから、これは限りなく転属に近い出向、事実上転属と言ってもいいと思います。ですから、直ちにこれに即して調査をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  145. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘のあった点については、私ども、できるだけ事実を承知するように努めたいと思います。
  146. 大森猛

    大森委員 ちょっと意味が判明しかねたのですが、調査をしていただけるでしょうか。
  147. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 資料をいただきましたので、調査と申しますか、どういう実情にあるかは私ども実情を把握するようにいたしたいと思います。
  148. 大森猛

    大森委員 問題があれば直ちにこれは指導をしていただきたい、改善の指導をしていただきたいと思います。  大臣、日本を代表する世界的な大企業でこういうことがやられているのが今の実情なんですね。転籍、出向問題、これまでも当委員会あるいは参議院においてもたびたび取り上げられてきたわけですけれども、転籍について本人同意が必要だということは、残念ながら、今申し上げた日立の労働者を含めて多くの皆さんが事実上知らない、承知されていないというのが現状だと思います。再三、当委員会等々でもこの告知、啓発普及について労働省の御努力を要請してきたわけですけれども、ただ、これは労基署にパンフレットを置いていますという程度では、今日の時代、とても間に合わないという状況だと思います。  そういう意味で、この啓発普及についてぜひ御努力をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  149. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 私ども、各労働基準監督署の方に対しまして、労働条件等をめぐるいろいろな個別の問題等につきましても親切に対応をして、問題点等を整理し、裁判例あるいはその他の情報を提供できる場合にはそういったものを提供して、そういった個別の労使の間でのいろいろな紛争等につきましても適切に対応できるよう指示いたしておるところでございます。  引き続き、労働省といたしましても、こういった裁判例を収集いたしますとともに、相談があった場合に提供できる情報等についても整理いたしまして、そういった面の業務を充実させてまいりたいと思っておるところでございます。
  150. 大森猛

    大森委員 労働基準法は、百四条でも明記をしてありますように、監督行政とそれから労働者の申告、こういうことで実効性が担保されているわけで、労働者がこういうことについて、労働行政について知らないということでは、労基法そのものが担保されないということにつながってくると思います。従来型を脱した啓発普及にぜひ力を入れていただきたいと思います。  関連して、ちょっと大臣に、大変失礼ですけれどもお聞きしたいのですが、大臣はパソコンあるいはワープロを立って打たれたことはあるでしょうか。
  151. 岡野裕

    岡野国務大臣 まことにお恥ずかしい次第でありますが、立っても座ってもさわったことはございません。
  152. 大森猛

    大森委員 今、大変失礼な質問を許していただいたわけですけれども、今の日立の出向、これは事実上、出向先というのは孫会社で、先ほど申し上げた旧小田原工場では日立の名前を外した小田原CMS、これはカスタム・マニュファクチャリング・サービスと言うようなのですが、ただ、労働者の方は頭だけとってカス工場に行くというようなぼやきをそれぞれ言われているらしいのですが、労働条件が変わることの一つに、勤務の形が全く変わるわけですね。  これはそちらからも見えると思うのですが、わざわざこういう座り型の机にげたを履かせて、そしてワープロや作業の物を置かれる。つまり、座っていてもできる仕事をわざわざ立ってやる。これは、例えば中学校、高校で生徒を一時間立たせて授業をやるなどというのはもう立派な体罰にも相当すると思うのですが、座ってもできる仕事を、なぜ立ってワープロ打ち、立ってキーをたたかなくてはならないのか。私は、これは本当に人たるに値する生活を保障している労働基準法の精神からいっても大変重大な問題だと思います。  大臣、これについてどのように感想を聞かせていただけますか。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 岡野裕

    岡野国務大臣 私は日立の会社の内容をほとんど存じませんので、立ったパソコン、座ったパソコン、何がゆえに立ってやらねばならないか、その必要性はどこにあるのか、そうして、その作業については労働条件の一つでありますので、就業規則においてはどう定められているか。就業規則は事業主において定めることができるわけでありますが、それに不服があるというような場合には、当該労働者を含む労働組合の方で団体交渉権の対象に相なるものだというようなことで自然に解決ができているものだ、こういうふうに存じております、日立でありますので。
  154. 大森猛

    大森委員 一般的に考えればそうなると思うのですが、もうその孫会社、出向先、これは電機関係の懇談会という組織の方が出されたビラですが、とにかく出向した先は孫会社。子会社、孫会社とあるわけですが、労働組合も労働協約もない、全く無権利状態。そこで今、残業が、最近は月間の残業時間は若干減ったようでありますけれども、それでも数十時間残業を事実上強要されているような状況であるわけであります。ですから、もし協約がないまま残業を数十時間、場合によっては百時間近い、そういう残業をやっている事実があれば、これは明白な労基法違反に相当するのではないかと思います。  私は、この点もあわせて調査し、違法、不当なことがあればぜひ指導で正していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  155. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 お話のございました実情等につきまして、私ども定かに承知しておりません。また、労働基準法上の監督といったような形で対応すべきなのかどうか、そういった状況もわかりません。まずは、私ども、そういった実情を把握いたしまして、そういった上でどう対処すべきか考えてみたいと思います。
  156. 大森猛

    大森委員 ぜひ実情を把握して、しかるべく対応お願いしたいと思います。  とにかく、今この職場で起こっている事態というのは、ある日突然、同じ日立の工場の中に別会社が出現するわけであります。職場で丸ごと出向するわけでありますから、出向といっても工場の中から出るわけじゃないのですね同じ工場の中の敷地のある部門が突然別会社になってしまう。しかも、職場丸ごとですから、二十代、三十代の人もいるわけです。世界の日立にあこがれて入って、ところが、二十代で出向になって、五十六歳が転属の最も遅いぎりぎりの年齢であるようですが、三十年以上も日立の名前の冠されない、あこがれの日立とは全く違う会社で働く青年の生涯を思うと、そういう面で、ぜひこれは実情を把握して改善をしていただきたいと思います。  次に、女子保護規定撤廃の問題で、大臣は所信表明の中で、「男女雇用機会均等法及び労働基準法の女子保護規定について、男女の均等な取り扱いをさらに徹底し、女性の職域拡大を図るための法的整備を行う」、こういうぐあいに言われました。  今、日本の女性労働者、十年前に一部、女子保護規定が撤廃、適用除外された職場も出たわけですが、適用されている職場でも、また適用が除外された職場でも、今、極めて深刻な状況が起こっていると思います。  これは昨年の十二月四日の朝日新聞ですが、総菜工場、前回、十年前に除外をされたと思うのですが、とにかく、総菜工場で深夜勤務、三十五人、平均四十一歳の主婦ということなのですが、「ある女性は仕事につく前の健診で正常な血圧だった。三カ月後、八カ月後と上がり続け、治療が必要になる。三回の健診を受けた三十一人のうち注意を要する軽症も含めて十六人が高血圧症群に入った。夜眠れるのは四時間弱、昼寝をしても睡眠六時間がやっとだった。」女性の深夜勤で、三十一人中十六人異常、いわゆる高血圧症候群、こういう半数以上の異常が出現するいうのは、これは極めて異常な事態だと思うのです。  連合女性総合職退職者追跡調査報告でも、退職前一年間の労働実態は、残業月平均三十六時間三十四分、深夜勤務五割、休日出勤七割に広がっている、こういう実態で、女性の残業が常態化し、多くの女性が実際退職に追いやられてしまう状況も起きたり、さらに、これは全労連女性部の調査で、日昼勤の女性と深夜勤のある女性では異常出産率が一〇ポイント以上の開きがある、月百時間以上の残業をしている女性は二人に一人が異常出産、こういう驚くべき結果が出ているわけであります。女子保護規定撤廃が先取り的に行われているところでは、女性の職域拡大どころか、結局、意欲的な女性を職場から追い出してしまう、深刻な健康あるいは母性の破壊が起こっているわけであります。  こういう点で、私は、労働大臣の見解をまずお聞きをしたいと思います。
  157. 岡野裕

    岡野国務大臣 先ほどもお話をしたとおりでありますが、職場において労働を提供してくれている皆さん、その労働条件に不満があるということでありますならば、これはぜひひとつ労働組合が使用者側と正規の話し合いを通じて解決をしていただきたい。それからまた、労働基準法に該当するような、安全衛生規則等に触れるような労働序強いられているということでありますならば、我々労働基準監督署は、門戸を広げて待っておりますので、いつでも御申告に来られれば対処をする所存でございます。
  158. 大森猛

    大森委員 今私が申し上げたのは、女性の深苑勤務が深刻な事態を起こしている、深夜勤務の規制が撤廃された職場で女性の健康が、母性がむしばまれているということを質問したわけであります。こういう点についてはお答えになりませんでした。  次に、婦人局長にお聞きをしたいのですが、谷野せっさんという方は御存じでしょうか。
  159. 太田芳枝

    太田(芳)政府委員 はい、存じ上げております。
  160. 大森猛

    大森委員 大変やぼな質問だったと思いますが、谷野せっさん、労働省初代の婦人労働課長で、その後婦人少年局長になられた。婦人局長の大先輩に当たるわけなんですが、最近、新聞のインタビュー記事を私は拝見いたしました。谷野さんはその中で、「ここ数ケ月、女子保護を廃止するなどと報じる新聞をみますが、どういうことなのか目を疑います。保護をなくしたら、人間でない扱いになるのではないか、それが心配されてなりません。」と強い懸念を表明されているのですね。  谷野さんは戦前、戦前は労働省はなかった、内務省の官吏として、日本で初めての女性の工場監督官として全国各地の工場の調査、指導をされてきた方で、戦前の日本の主要な産業だった紡績、製糸工場にも泊まり込んで、女工さんと一緒に体験し、その中で調査をされてきた。そういう体験を振り返って、「深夜勤がいかに疲労し、人間性をそこなうものであるか、体験してわかっています。あの頃の仕事といまの仕事とは、内容も働き方も違いますが、人間は自然に夜は寝るように出来ているのです。」こう言われて、「男と女は全く同じに働くと言うわけにはいきません。また同一であってはならないんです。人間としてあるべき姿が違いますから。」こう述べておられるわけなんですけれども、現在の婦人局長の大先輩の強い懸念にどのようにお答えになるでしょうか。
  161. 太田芳枝

    太田(芳)政府委員 お答えいたします。  谷野大先輩の業績に対しましては本当に昔、労働条件が大変だったころ一生懸命なさって、御立派な本も書かれておりますし、大先輩として私は心から尊敬するものでございます。  ただ、その後、均等法が六十一年に施行されましてもう十年が経過したわけでございます。この間、女性雇用者数は大幅に増大をしておりますし、勤続年数も延びておるわけでございます。また、職域も拡大をしておりますし、また、谷野大先輩の時代に比べれば、女性の就業に関する労働環境とか働き方、それから一般の意識がいろいろと変わってきているということも、これまた事実であろうと思うわけでございます。  そういう中で、また、週四十時間労働制の実施ということも行われておりますし、年間の実労働時間も着実に減少してきておるわけでございます。また、育児休業制度介護休業制度等の法制化も行いました。そういうことで、職業生活と家庭生活を両立するということで、かなり条件整備も進展をしてきているというふうに私は考えるわけでございます。  このような状況にかんがみまして、女性労働者に関する時間外・休日及び深夜業の規制につきましては、昨年十二月の婦人少年問題審議会の全会一致の建議を踏まえまして、女性の職域の拡大を図り、男女の均等取り扱いを一層進める観点から、均等法の改正とあわせて解消するということにしたものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  162. 大森猛

    大森委員 過労死という言葉が国際語になつてからかなりたったわけなのですが、今の日本の労働者全体の年間の労働時間、連合調査でも年明二千時間を超える。ドイツなどと比べて五百時明も多いわけですね。総務庁の労働調査年報によると、これは九四年版ですが、週六十時間以上働いている超長時間労働者は五百三十九万人、週六十時間以上というと、年間に直せば三千百時間以上になるわけなんですね。過労死弁護団によると、過労死被災者の年間実労働時間は二千九百から三千六百時間ということで、これはもう、過労死予備軍が数百万人規模で存在するという状況になると思うのですね。  これは全労連の調査ですが、日本の男性労働者の平日の自由時間はわずか二時間二十八分しかない。土曜、日曜を除くとほとんど家族と一緒に食事はとれないという労働者が五三%、半分以上になっているわけですね。  そこで、まず、過労死の最近の申請数、認定数についてお尋ねしたいと思います。
  163. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘のありました問題につきまして、脳疾患あるいは心臓疾患を業務上の理由によるものとして認定された件数で申し上げますと、ここ数年は大体年三十件程度で推移してきておりましたが、平成七年度に認定基準を改正したことも加わっておるのかと思いますが、平成七年度で七十六件となっております。
  164. 大森猛

    大森委員 なかなか認定の条件が厳しい中で、そういう中で、今度一挙に二倍以上の七十六名。過労死弁護団の過労死一一〇番などには本当に何千件という相談者が来られているわけなんですが、この七十六名の過労死、認定された中で女性は何名いるでしょうか。
  165. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 一名でございます。
  166. 大森猛

    大森委員 七十六名の過労死された方の中で女性は一名と大変少ないわけなんですが、これはどういう理由でしょうか。
  167. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 私ども、脳あるいは心臓疾患が業務に起因するものとして労災の給付の請求があった場合には、業務との関連性、過重な負担があったかどうかといったようなことを調べまして、その因果関係により業務上として判断いたしますので、特に男性あるいは女性であるからということ、こういった業務上外の認定と直接はかかわりないのではないかと思っております。
  168. 大森猛

    大森委員 女性がなぜ少ないかお聞きしたんですが、お答えになっていないんじゃないかと思います。  これはもう明らかに、女性が少ないのは、深夜勤務あるいはそういう残業勤務が規制されているということが最大の要因だと思うんですよ。それはどうでしょうか。
  169. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 御指摘のありました点につきまして、私ども、先ほど申し上げましたように、業務との因果関係、これを調べて上外の判定をいたしております。  実際、労働基準法上、女性の方につきましても、管理者を初め相当数が労働基準法上の時間外あるいは深夜業の規制について外されていること等もございますし、その辺の関連があるのかどうか定かな答弁を申し上げられる材料を正直持ち合わせておりませんので、御理解願いたいと思います。
  170. 大森猛

    大森委員 きのう、この過労死、脳血管疾患及び虚血性心疾患等の労災認定件数をお尋ねしたら、そういう資料がないと言われるわけですね。これは本当に正直言ってびっくりいたしました。  今回の、こういう女子保護規定を撤廃する、そういう議論の中で、こうした問題を一つも検討されなかったのか。こうした過労死、まず省庁の中でそのことに心を痛めなくちゃならないのは労働省であるはずだと思うのです。その労働省が、男女の別を聞いても全くわからないような状況で、この過去十年間の資料についてお尋ねしたのですが、結局単年度しか出されてこない。こういう点で、これは今後の労働省労働行政の上で、こういう統計についてはきちんと男女別でとっていただきたい、このこともあわせてお聞きをしておきたいと思います。
  171. 伊藤庄平

    ○伊藤(庄)政府委員 脳疾患あるいは心臓疾患の請求があった事案につきまして、先ほど申し上げましたように、平成七年度で七十六件でございますので、過去にさかのぼりましても、請求書段階でさかのぼれば把握可能でございますので、その辺につきましては、もし参考になる事実があるとすれば、私ども、そういった数字の把握はやってみたいと思っております。
  172. 大森猛

    大森委員 先ほど申し上げましたように、とにかく数百万人の過労死予備軍が存在するような今の現状、もうとにかく、そういう状況とか、これは男性なわけなんですけれども、土曜日、日曜日を除くとほとんど家族と一緒に食事がとれない労働者は五三%、半数以上になっている。今,こういう女子保護規定を取り払うことは、こういう日本の労働条件、こういう過酷な条件の中に女性をまさに送り込むことになっていくと思うのです。ですから、言葉をかえたら、これはまさしくもう過労死の平等ですよ。これは家族団らん、夕食時の家族不在の平等ですよということになるのではないでしょうか。  働きがいのある仕事を本当に生涯続けていきたい、こう願う女性は多いはずであります。ですから、こういう多くの女性は、かたずをのんで今度の国会、注目をしていると思います。同じ女性として、私は婦人局長に、こうした女性にどうお答えになるのか、私は重ねてお聞きしたいと思います。
  173. 太田芳枝

    太田(芳)政府委員 お答えいたします。  先ほども申しましたけれども男女雇用機会均等法の今回の改正は、女性たちのためにかなり資するというふうに考えておるわけでございます。女性たちが、男性と同じように、性により差別されることなく職業生活と家庭生活を両立できる環境をできるだけつくりたいという形での改正であるというふうに思っておりますので、その辺はぜひ、再度になりますけれども、御理解をいただきたいというふうに思っております。
  174. 大森猛

    大森委員 こういう過労死予備軍が数百万人も存在するということの一番の大もとは、やはり労働時間に対する日本の社会政策が極めて立ちおくれている。これは、関連したお話がありましたけれども、例えば残業でいえば、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、サミット参加各国の中で、残業時間の上限が大体これらの国は法的に想制されている。ところが日本では、例えば労使間の協定さえあれば、事実上青天井ということになっているわけであります。  ですから、機会均等を言うのであれば、過労旅までもたらす、この男性の異常な長時間超過密労働にこそ労働保護法制としての役割を発揮させるため、ここにこそメスを、規制を入れる必要があるのではないかと思います。女子保護規定に準じた規制男性労働者にぜひ適用するような法改正にすべきではないかと思います。  多くの女性が本当に望んでいるのは、過労死の平等じゃないと思います。あるいは家族不在の食事の平等じゃない。こういうことじゃなくて、本当に労働者が人たるに値する、生活を営むのに必要を満たす、そういう労働条件を男女平等に保障をすることではないかと思います。それをこそ今求めて、全国でこういう女子保護規定撤廃反対の大きな世論や運動が起こっているわけであります。  最近、つい最近ですが、同じようにスイスでもこの女子保護規定撤廃の問題が大問題になりました。そして、これは撤廃という方向国会を通ったわけなんですけれども、しかし、国民投票が国民の要求で実現をして、ついにこの女子保護規定撤廃については否決をされる。  これは、当時、国民投票の中で、女子保護規定撤廃に反対する団体が発行したパンフレットでありますけれども、この中でこういう漫画入りで紹介をされておるわけなんです。「昼間が延長される。 夜が短縮される。 もうけが増える。株主は有頂天になっている。「昼間を延長しなけれけならない」「株主が喜んでくれるだろう」」こういうような漫画も入っているわけなんですが、これが国際的な今趨勢ではないかと私は思います。むしろ、こういう女子保護だけじゃなくて、男性も含めた人間保護のそういう労働法制がかなり確立されているという国も少なくないと思います。  改めて私は、こういう点から、基準法の女子保護規定廃止を法案から削除されるよう大臣に求めるものですけれども大臣の御見解をお示しください。
  175. 岡野裕

    岡野国務大臣 男女雇用機会均等法は改めて御審議をいただきたい、こう思っております。  スイスの例は、私、存じ上げませんが、先生に御理解をいただきたいのは、保護規定の撤廃は、深夜業を女子もしなければならないということではなくて、深夜業をさせてはならないのが深夜業をできるようになつたということでありますことを御理解いただきたいと思っております。  それからまた、個々の労働基準法の定めの上に労働組合というものを多年の経験の中で生かして、自主交渉というもので職場のもろもろの案件が解決をしていくべきものだ、私はこう存じておりますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
  176. 大森猛

    大森委員 時間が大分迫ってまいりました。  一月二十一日の日経新聞ですけれども、ここで労働省のトップの方が「「労働分野にも市場原理の視点を導入することが必要」」だということを述べておられます。私は、これを読んで本当に憤りを持ちました。人間の労働、人間の労働力というのは、サツマイモやジャガイモと違うのです。サツマイモは売れないからきょうはジャガイモを売ろう、こういうことができない。とにかく、みずからの労働労働力、これを売ってしか収入を州得ることができない、そういう非常に弱い立場あるのを、そういう市場原理の荒波にこれを放り込んでいくと一体どういうことになるか、大変これは重大な発言だと思うわけであります。  今日、労働法制の一連の改悪が今回やられよろとしているわけなんですが、結局、これは労働者の中から、女性の中から起こった声ではないと思うのですね。これはもう、この間、本当にさまざまな段階で日経連等々、この労働法制の全面的な改定の要望が出されてきて、いろいろな口実はありますけれども、結局、これに従って今事が進められようとしているわけであります。とにかく、日経連の要求などは、一日八時間労働制の廃止とか、あらゆる労働法制、これを改定、廃止あるいは緩和を要求すると。今やられようとしていることは、まさしくこういう経営団体の要求に従った労働行政、このように申し上げることができると思います。  労働省の本来の任務というのは、労働者を保護する、これが労働省設置法に明記をされているわけでありますけれども、冒頭申し上げましたように、今叫びを上げている、悲鳴を上げている多くの労働者に、本当に労働省がその本来の使命に従ってきちんとこたえていくよう強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。      ————◇—————
  177. 青山丘

    青山委員長 次に、本日付託になりました内閣提出労働時間の短縮促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。岡野労働大臣。     —————————————  労働時間の短縮促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  178. 岡野裕

    岡野国務大臣 ただいま議題となりました労働時間の短縮促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  労働時間の短縮は、ゆとりある勤労者生活の実現の観点から不可欠な国民課題であるとともに、国際社会との調和のとれた国民経済発展のためにも重要であります。このため、政府といたしましては、完全週休二日制の普及、年次有給休暇の取得促進、所定外労働の削減を柱として労働時間の短縮に取り組んでまいったところであります。  特に、週四十時間労働制については、昭和六十二年及び平成五年の二度にわたり労働基準法の改正を行うなど、計画的かつ段階的に実施を進めてきたところであり、本年四月一日からは従来適用が猶予されていた中小企業においても実施されることと相なっております。  これらの中小企業において、週四十時間労働制が円滑に定着するためには、その実情にかんがみ、確実に定着するまでの間、懇切丁寧な指導や援助を精力的に行うなど、特別の措置を講ずることが必要不可欠であります。  また、これまでの労働時間の短縮に向けての施策の展開や労使による真摯な取り組みにより、労働時間の短縮に大きな進展が見られてきたところでありますが、今後とも労働時間の短縮のための施策を積極的に講ずることが重要であると考えております。  政府といたしましては、このような課題に適切に対処するため、中央労働基準審議会の報告を踏まえ、検討を加え、労働時間の短縮促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、これを作成し、同審議会の全会一致の答申をいただき、ここに提出をした次第でございます。  次に、この法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、週四十時間労働制の定着及び労働時間の短縮促進のための指導援助を効果的に実施するため、本年八月末とされている労働時間の短縮促進に関する臨時措置法、これの廃止期限を、年間総労働時間千八百時間の達成、定着を図る旨をうたっている構造改革のための経済社会計画の計画期間に合わせ、平成十三年三月三十一日まで延長することとしております。  第二に、週四十時間労働制の適用が猶予されていた中小企業等に対しましては、本年四月一日から平成十一年三月三十一日までの二年間を指導期間とし、国は、最近における経済的事情の著しい変化にかんがみ、本年四月一日以後週四十時間労働制が適用されることとなったこと、これを考慮しつつ、きめ細かな指導援助等を行うよう配慮しなければならないこととしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明を申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げる次第であります。よろしくお願いいたします。
  179. 青山丘

    青山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会      ————◇—————