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1997-03-04 第140回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月四日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員   主 査 高橋 一郎君       尾身 幸次君    愛野興一郎君       島津 尚純君    家西  悟君       生方 幸夫君    佐々木秀典君       新井 将敬君    兼務 笹木 竜三君 兼務 西川 知雄君    兼務 西田  猛君 兼務 金子 満広君    兼務 辻  第一君 兼務 中西 績介君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 信二君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      広瀬 勝貞君         通商産業省産業         政策局長    渡辺  修君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         通商産業省生活         産業局長    村田 成二君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   中村 利雄君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡本  巖君         中小企業庁長官 石黒 正大君         中小企業庁次長 岩田 満泰君         中小企業庁計画         部長      田島 秀雄君         中小企業庁小規         模企業部長   篠原  徹君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      御厨 邦雄君         通商産業大臣官         房会計課長   古田  肇君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     南本 禎亮君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部企画課長 金子 順一君         労働省職業能力         開発局特別訓練         対策室長    下永吉 優君         建設省住宅局住         宅整備課長   石川 哲久君         自治省財政局調         整室長     岡本  保君         商工委員会調査         室長      安本 皓信君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 分科員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   野中 広務君     河野 太郎君   愛野興一郎君     島津 尚純君   生方 幸夫君     岩田 順介君 同日  辞任         補欠選任   河野 太郎君     田中 和徳君   島津 尚純君     遠藤 乙彦君   岩田 順介君     家西  悟君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     吉川 貴盛君   遠藤 乙彦君     愛野興一郎君   家西  悟君     佐々木秀典君 同日  辞任         補欠選任   吉川 貴盛君     野中 広務君   佐々木秀典君     中桐 伸五君 同日  辞任         補欠選任   中桐 伸五君     生方 幸夫君 同日  第一分科員笹木竜三君、第二分科員中西績介  君、第四分科員金子満広君、第七分科員辻第一  君、第八分科員西川知雄君及び西田猛君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ————◇—————
  2. 高橋一郎

    高橋主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算及び平成九年度政府関係機関予算通商産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹木竜三君。
  3. 笹木竜三

    笹木分科員 新進党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。  まず最初に、プルサーマルのことについて何点かお伺いをしたいと思っております。  今回、大臣も直接立地自治体知事に対してプルサーマル協力への要請をするなど、熱心に活動されているわけです。お聞きしたいのですけれども、先般も科学技術委員会でこれについていろいろ議論していたわけですけれども世界じゅうのウラン埋蔵量を年間の需要量で割っていきますと、七十年以上、七十年から七十五年分ぐらいはあると言われています。これは普通に軽水炉で燃やしていく場合でもそのぐらいはあると言われています。そんな中でプルサーマルをやってさらに節約をしていく。その場合、コストの問題もあると思うわけですけれどもコスト面での計算も踏まえて、このプルサーマルをやっていくことが本当に合理的なのかどうか。そのことについて、政府委員の方で結構です、御認識を確認させていただきたいと思います。
  4. 江崎格

    江崎政府委員 プルサーマルを実施する場合のコストの問題でございますけれども、直接の計算をしたものが日本にはないのですが、OECD・NEAというところで報告が出ておりまして、これによりますと、プルトニウム加工するMOX燃料加工費ウラン燃料加工費に比べまして三倍から五倍ぐらいかかるというのが出ております。ただその場合に、ウラン海外から取得するのに購入費がかかるわけですけれどもMOX燃料加工する場合には日本でできた使用済み燃料加工するわけでございますから取得費がかからないということでございます。ですから、それらを相殺いたしますと燃料費取得べースではほとんど変わらないということが言えるかと思います。  それから、発電所建設費につきましては、プルサーマルを実施する場合には特別新しい設備投資は要らないということになっておりますから、その点でも特に経済性で問題があるというふうには思っておりません。  それから、委員承知のように、原子力発電の場合に燃料費コストのどのくらいの割合を占めているかといいますと、原子力発電の場合というのは大体一割ぐらいと言われております。その一割ぐらいのコスト燃料費が占めるわけでございます。特にMOX燃料を使う場合というのは二〇一〇年ぐらいというのを考えますと、日本原子炉が十数基ぐらいそこで行われているということが想定されますが、そういたしますと、全体の原子力発電のうちのMOX燃料を使う部分というのは大体一割ぐらいということでございます。燃料費が一割、それからMOX燃料を燃やす部分割合が一割ということ、日本全体の電力のコストという点では合計で一%ぐらいのウエートを持っているということでございます。  かつ、その部分というのは、最初に申し上げましたように、MOX燃料にする場合と単純にウランを燃焼する場合とそう変わらないということでございますから、そういうことを考えますと、総合的には経済性の点ではほとんど変わりがないというふうに私ども認識しております。
  5. 笹木竜三

    笹木分科員 さらに安全性について、海外でもたくさん例があるし、これまでの軽水炉でもかなり後半部分になってくると実際にはプルトニウムを燃やしていることになっているので、ほとんど実験済みと同じようなものなのだというお答えをたびたび聞いていますけれども、本当にその点大丈夫なのか。今までの実験結果についても余り地元では知らされていないという不満が強いわけですけれども安全性の面についてどうなのかということをお答えいただきたいと思います。
  6. 江崎格

    江崎政府委員 プルサーマル安全性の問題でございますけれども、御承知のように、現在でも発電中の原子炉の中におきまして中性子の一部を吸収したウランプルトニウムに転換されておりまして、これが核分裂によりましてエネルギーを起こしているということで、全体の三分の一くらいがその反応によって行われているということでございます。そういうことから、既に軽水炉におけるプルトニウム核反応というのは現在の軽水炉設計においてあらかじめ織り込まれているということでございまして、その意味で、軽水炉の中でプルトニウム核分裂反応利用して発電するというのは、そのこと自体新しい問題ではないというふうに思っております。  それから、今先生おっしゃいました海外の様子でございますけれども、一九六〇年代以降海外でもかなり豊富に行われておりまして、既に実績としては千六百体以上の装荷が行われているということでございますし、それから我が国におきましても、既に敦賀の一号炉ですとかあるいは美浜の一号炉におきまして、少数体MOX燃料というのを装荷されまして、問題なく照射が終了しているというふうに理解をしております。  それから、平成七年六月に原子力安全委員会で、炉心装荷率三分の一程度までのMOX燃料利用につきまして検討がされましたけれども基本的に従来のウラン燃料技術と同様な安全設計手法とか安全評価手法の適用が可能であるというふうに結論が出ております。  こういうことを総合的に考えますと、プルサーマル安全性につきましては基本的に問題がないというふうに理解しておりますけれども、実際にプルサーマルを始めるということになりますと、許可申請が出てまいりますので、もちろん通産省におきましてもまた原子力安全委員会におきましても、その段階では厳格に安全審査プラントごとに実施するということになっております。
  7. 笹木竜三

    笹木分科員 大臣が直接知事にいろいろ協力要請をされた。しかし、まだ三県の知事はそれに対してわかったと言っているような状態ではございません。私も地元福井ですから、よく首長とか知事と話す機会があるわけですけれども、なかなかわかったと言えない、言ってみれば不信がある。その理由としては、いろいろな要素があると思いますけれども、大きい要素が、例えば原子力発電についての方針といいますか、国の路線というのがかなりぶれがある。変更があったりもしてきた。  最近のことでいいましても、新型転換炉原子力委員会がみずからさらに積極的に推進するんだと言って、そのわずか一年後には同じ原子力委員会がやはりやめたと発表する。あるいは、第二再処理工場建設計画について、これも最初計画に比べればかなりずれ込んでおくれている、こういう事実もございます。  例えば、今度このプルサーマルということを実際にさらに盛んに行っていくことにしましたら、使用済みMOX燃料、これも当面は発電所内での使用済み燃料と同じように貯蔵していくというお話ですけれども、この総合エネルギー調査会原子力部会中間報告書なんかを見ますと、「二〇一〇年頃を目途発電所外での貯蔵も可能となるような所要の環境整備を行う」、そういうふうに書いております。しかし、二〇一〇年ごろを目途環境整備を行うと書いてあるわけですけれども、これも一体いっかはっきりわからないというのが地元の実感です。  二〇一〇年ごろ環境整備、結局いつなんだ。発電所内でどんどん使用済み燃料がたまっていく、使用済みMOX燃料もどんどんたまっていく、あるいは、ところによってはその敷地もどんどん拡大をしていく。どんどん地元でそういう量がふえていって、最終的に外で、どこで預かってくれるのか。いつから預かってくれるのか。二〇一〇年ごろ環境整備、また当てにならないのではないのか。こういった意見もたくさんございます。  このことについて、まず政府委員の方で結構です、ぜひ、こういう計画なんだということをお答えいただけたらと思います。
  8. 江崎格

    江崎政府委員 御指摘のように、使用済み燃料貯蔵の問題、自治体にとりましても大変大きな課題だというように私ども承知しております。  総合エネルギー調査会におきましても議論が行われたわけでございますけれども、今御指摘のように、二〇一〇年をめどにサイト外での貯蔵の問題についても環境整備を図るということで、私どもとしては、この三月中ぐらいにでも検討委員会を設けまして、この問題について真剣に検討する場を設けたい、こうした議論を通じまして地元自治体の御理解を得るように努力をしたい、このように思っております。
  9. 笹木竜三

    笹木分科員 それ以上のことはちょっと答えられないということなんだと思いますけれども、二〇一〇年ごろ、そしてそのころに環境整備、こういう一般的な表現ではなかなか安心できる状態ではないということをお伝えしておきたいと思います。  それともう一点、最後に大臣にぜひ御意見をいただきたいと思うわけですけれども先ほどお話ししましたATR新型転換炉、これを原子力委員会みずからがやると言った一年後にはやはり中止しますと言う、だから莫大な国費のむだ遣いをしている、こういう経験もございます。さっき言った第二再処理工場、これも計画からかなりずれ込んだ、こういうこともあります。  非常に残念なのは、この二回の場合とも、あるいは今回のプルサーマル重視、まあ基本路線は変わっていないとはいいましても、この報告書を見ますと明らかにプルサーマル重視でやっていこうということだと思います。これも何の国会議論もなしで、この報告書が出されて、基本路線が引かれていく。ATR方針についてもそうでした。方針変更しても、国会ではそれをこうやって事後的に何だかんだと言うだけ。  あの三県知事のいろいろな言葉の中に、しっかりと国会議論してくれ、縦割りじゃなくて、国としての確たる方針を決めるために国会でしっかりと議論して国民合意をつくってくれ、こういうことも何度も述べられております。  現在の原子力行政について、よく縦割りとも言われます。例えば、地域に対する対策でも縦割りとよく言われます。あるいは、こういった基本路線についても審議会ですとか原子力委員会任せという、その弊害がたくさん出ていると私は感じているわけですけれども、このことを踏まえまして、国会でのもっとしっかりした議論を、国民合意をという立地自治体知事の皆さんからの声に対して、大臣のコメントをいただけたらと思います。
  10. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 原子力発電所設置というとき、非常に問題になるのは安全性ということでございますが、同時に、先ほど長官は言いませんでしたが、これはもう委員よく御存じのように、原子力平和利用という言葉がございます。それは何を示すかといったら、核不拡散、これとの関係をいうわけです。  今回のプルトニウムを燃すやり方でも、必ず残存のものがある。それがたまるとやはり核不拡散どうなるだろうか、こういうことからいって、早くから、委員御存じのように、要するにプルサーマルというものは、こうした疑惑も含むために、残ったのとウランとを混合して継続的に使っていく、こういうことでございます。  ですから、今、方針が若干くるくる変わるように言われましたが、私の方は当初から、これからの日本原子力発電所というものは高速増殖炉に持っていくんだと。これは御存じのように、あの「もんじゅ」、ああした実験段階における不幸な出来事がございました。そういうことからいってどうも国民理解がないということで、今申すように、プルサーマル利用、これは唐突に出たものではなかった、かようなことをまず御理解いただきたいわけでございます。  それで、今のお話のように、やはりこれだけ大きな問題だから、国会でもっとちょうちょうはっしゃるべきじゃないだろうかという御指摘でございます。しかし、私たちの方は今まではっきり原子力政策というもの、それが、国会の中でも多々ございましたが、往々にして極端な議論に走ってきていたのが今まででございます。  そういうことで、本年の一月の総合エネルギー調査会原子力部会中間報告原子力委員会決定、こういうものを踏んまえて政府として「当面の核燃料サイクルの推進について」の閣議了解を行ったということで、国会に確かにそういう問題をお諮りはしなかったが、そういうふうな議論をいただいているというもとに、この原子力委員会決定、こういうことだということでもって閣議了解させてもらったわけでございます。  繰り返して申し上げるように、プルサーマル実施等について政府方針をここで確認したということでございますし、この内容ということで先般近岡科学技術庁長官と、福島、新潟そして委員のお地元福井の三県の知事さんに御上京願って御説明申し上げて、御協力をお願いしたわけでございますが、同時にまた、総理からも三知事さんにお願いしたところでございます。  そういうことで、私たちの方は、あくまでもこのプルサーマルの意義、安全性等について、これから立地地域を初め国民全体に広く御理解いただけるようにということでさまざまな形で積極的に努力してまいりたいと思いますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  11. 笹木竜三

    笹木分科員 お話はよくわかるのですけれども先ほどから何度もお話ししている新型転換炉、例えばこれの裏づけになる法律は、今詳しい年数を忘れましたけれども、三十年以上前の法律根拠になっている。この中間報告書にも、資源エネルギー庁の方々がよく口にするように、社会情勢変化あるいはエネルギーについてのコスト面での変化、こういったものを踏まえていろいろな見直しも必要になったりしていると。にもかかわらず、根拠になる法律が三十年前のものということで、新型転換炉方針変更もあったと思います。やはり国会でもっとしっかりした、例えば評価の組織を設けるとか、あるいはこういった原子力委員会とか審議会報告国会承認のものにするとか、こういったことがどうしても必要ではないか、そういうことを考えております。こういったことはまた別の機会お話をさせていただきたいと思います。  次に、産業の振興について幾つか質問したいわけです。  おととしから何度も私も個人的に、ベンチャー育成のためのエンゼル税制、このことを訴えさせていただきました。今回それが大体実現したということで、私も個人的に喜んでおります。非常にいいことだと思います。新しい技術、新しい研究で伸びていこうとする企業お金が集まりやすくするために、エンゼル税制をやるということはいいわけです。  しかし、他の先進国の例を見ましても、民間でのお金を流れやすくする、これはもちろん大事なわけですけれども民間での新しい技術、新しい研究を後押しする、行政、これは地方政府中央政府もバックアップしていくことが当然必要なわけです。  その中で、まず繊維のことについてお聞きしたいわけです。  繊維といいますと、何か今、構造改善ですとか空洞化とか、他のアジアの国からの追い上げで景気の悪い話ばかりなわけですけれども、非常に新しい技術研究も進んでおります。例えば、糸を三方向から編んでいって、非常に硬性、強さのある織物をつくる、これがNASAとかでも採用されて、私の地元のある企業の開発した技術ですけれども人工衛星素材あるいはアンテナの素材に使う、こういった繊維産業もございます。あるいは、今砂漠化、例えばアフリカでの砂漠の問題が非常に深刻になっているわけですけれども、特殊な繊維繊維の間に芝生を置いて、あるいは作物のもとになる土を置いてそこでメロンを栽培する。これは、もう去年から成功しております。  こういったことも繊維産業の最前線であります。情報産業と絡むもの、今言った航空産業と絡むものあるいは環境問題と絡むもの、最先端でいろいろな繊維の新しい技術研究が行われております。政府委員の方で結構です。こういった動きについては御存じでしまうか。
  12. 村田成二

    村田政府委員 お答え申し上げます。  先生、まさしく御指摘になられましたように、繊維産業といいますと、一般的には非常に斜陽な、後進国発展途上国追い上げを受けた産業というイメージでとらえられているわけでございますけれども、今までの繊維産業を振り返ってみましても、常に時代の先端を切り開いてきた、大事な機能を担ってきた産業分野であるというふうに基本的に認識いたしております。  先生が挙げられたいろいろな分野におきまして、これからの繊維産業のさらなる技術力の発揮というのが期待されておりますけれども、既に、例えば人工腎臓ですとかあるいは建築資材分野ですとか、そういった分野におきまして繊維技術を活用しました新しい物質あるいは技術というものがどんどんと活躍の場を広げているわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、きちんとした繊維産業構造改革を進めながら、しかし、先端分野におきます。そういったポテンシャリティーというものをどうやって発揮していってもらうか、それに対して政府としてもできる限りの支援をしていくという姿勢で臨んでいるところでございます。
  13. 笹木竜三

    笹木分科員 地域産業集積活性化対策のいろいろな支援事業とかもあります。けれども、今お話ししましたようなそういった新しい技術についての支援予算というのは、大体どのぐらいありますか。
  14. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘がありました新しい法律支援をいたします研究開発人材育成支援、まとめまして六十九億の予算を用意いたしてございます。
  15. 笹木竜三

    笹木分科員 ぜひ、追い上げられてそれに対応するということだけではなくて、世界トップの水準を維持していく、新しい、今言った情報産業との絡み、環境産業との絡みあるいは新素材との絡み、こういった面での世界トップを走っていくという意味でいろいろ施策をお願いしたいわけですけれども予算的にもとてもまだまだ少ないのじゃないかというのが率直な感想です。そのことをお伝えしたいと思います。  次に、眼鏡産業のことについてお伺いしたいわけですけれども原産地表示について。  現在日本製眼鏡を輸出する際には、ヨーロッパ、アメリカともメードインジャパンというその打刻、印刷を製品に義務づけている、非常に厳しい、それに対して輸入の場合は、シールを張るだけで許可したり、国内でほんの少しの手直しを行っただけでメードインジャパンとしている、それが慣例となっているということをよく現場の方から苦情を聞きます。このことについては、事実はどうでしょうか。
  16. 村田成二

    村田政府委員 お答え申し上げます。  まず、欧米の制度でございますけれども、大変申しわけないのでございますが、私ども調べる限り、どの程度の厳しさでどういう制度を設けているかというのは必ずしもつまびらかではございません。ただ、通関時におきましては、どの国も原産国をきちっと把握するというのが通関時の制度の共通したポイントでございまして、そういう意味では、特にアメリカにおきまして通関時の原産国確認というのは非常に厳しくなっておる、厳しいものがあるというのは、そのとおりかと思っております。  それから、それでは日本はどうかということでございますが、日本通関時におきましてももちろん原産国表示あるいは申告というのはされているわけでございますけれども委員指摘のように、実際に、例えば諸外国、アジア地域等々でつくられました眼鏡国内日本製と偽って売るとか、あるいは本体、大事な部分東南アジア等でつくった上で若干の加工を施して日本で売る、そういう実例があるやに聞いておりますけれども、残念ながら、私どもとしましてそれがどの程度の量に上っているかという正確な把握はできておりません。  ただ、こういった問題につきましては、原産地を偽るということになりますと、これは公正取引委員会の所掌でございますけれども不当景品類及び不当表示防止法というのがございまして、同法におきまして原産国の不当な表示というのは禁止されておりますから、そういった法律の運用を通じて、きちっと実態を把握しながら対応していくというのが基本であろうかと存じております。
  17. 笹木竜三

    笹木分科員 今御説明ありましたけれども、要は、輸入の場合はシールを張るだけの場合がかなりある、しかもそのシールが売られている日にはもうはがされてしまっているような場合も間々ある、こういった苦情がたくさんございます。その結果、消費者にしてみれば、眼鏡に対するイメージ、こんなものかというような、工業製品に対するイメージ、あるいは日本製と同じように置いてあって日本製だと思って買って、日本製でもこの程度かといったようなイメージになってしまう、そういう弊害があるという苦情をよく聞くわけです。  こういった輸入品に対するさらに厳しい表示法とかチェックが必要と思うわけですけれども、それについてのお考えはいかがでしょうか。
  18. 村田成二

    村田政府委員 お答え申し上げます。  先生よく御案内のように、御地元福井は特に鯖江市を中心に非常にすぐれた眼鏡枠をつくっておられるわけですが、やはりそういった日本製であるあるいは福井の鯖江産のものであるということをはっきりセールスポイントとして表示して販売してもらうということが、多分日本製とそれ以外を区別していく、市場において差別化していく最大の有効な手段であろうかと思います。  ただ、この点につきまして不当表示があれば、先ほど申し上げましたような景表法に基づいてきちんと対応するというのが無論必要になるわけでございますけれども、さらにそれ以上にすべての製品につきまして原産国表示を義務づけるかどうか、国内市場において義務づけるかどうかという点になりますと、これはWTO協定との整合性ですとか、あるいはいろいろな消費者への情報提供の観点、あるいは新たな規制を設けることの是非の問題、いろいろ総合的に考える必要があろうかと思っております。実態をよく見きわめた上で、できる限り市場の実態に即した対応を官民ともにとる必要があるというふうに考えている次第でございます。
  19. 笹木竜三

    笹木分科員 実際、先ほど最初お話にもありましたように、アメリカ向けに出していく場合には非常に厳しい表示が義務づけられている、入ってくるものに対しては非常に甘いというのが現状だと思います。もちろん、積極的に自国の製品あるいは産地の製品をアピールする、これももう一生懸命そういう方がやっているわけですけれども、それでも、今質問でお話しさせていただいたようなことによる弊害をこうむっているのが現状です。ぜひ、原産国表示のあり方あるいは輸入品についての表示のあり方、見直しをお願いしたいと思います。また、いろいろな詳しいデータ、資料等は御報告させていただきたいと思っています。  もう余り時間がない。最後に一点だけ、また別の点になりますけれども、ロシアタンカーのナホトカによる原油流出事故、これによって、今、例えば地元の土産物屋も非常に被害をこうむっているわけですけれども、もう実際に基金等いろいろな交渉も始めようかという段階になっております。基金の上限が二百二十五億円、それより全被害額が多分上回るであろうと言われている。そんな中で、例えば被害額の集計とかされているのか、窓口としてそういう集計をされているのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
  20. 岩田満泰

    岩田(満)政府委員 ナホトカ号の重油流出事故にかかわります中小企業への影響でございますが、私ども関係いたします各府県を所管する五つの通産局を通じまして、被害状況の把握をずっと続けてきておるところでございます。詳細はおきますが、福井県を初めといたしまして、観光関係、水産物の関係等々に影響が出ているという報告を受けているわけでございます。  ただいま御質問ございました、補償の問題等々に絡みます全体の被害の問題につきましては、通産省も当然その一翼ではございますけれども政府全体の中に、閣僚会議のもとに被害状況を把握するためのワーキンググループがつくられておりまして、このもとで現在全体としての被害状況の把握に努められておるということです。中小企業の被害把握という点につきまして、通産省としても連携をとって対応しておるということでございます。
  21. 笹木竜三

    笹木分科員 もう時間ということで終わりますけれども、最後に、大臣にお願いだけしておきたいと思います。  今、被害は通産省所管のものは集計しているというお話ですけれども、二百二十五億円より被害が確実に上回るということを言われております。その場合には、基金としては単純計算で足切りをして、六〇%ずつだけそれぞれに払っていくという形になる。その場合に、あとの足りなかった分四〇%をどうするのか。全部国が面倒を見てくれるなら問題ないけれどもということで、土産物業者など非常に不安を持っております。議論がずっと続いておりますけれども、運輸、各省とお諮りになりまして、こういった被害を集計していく、あるいは要請していく、きちんと交渉していく、それについての調整をさらにしっかりと果たしていただきたい。その要望をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  22. 高橋一郎

    高橋主査 これにて笹木竜三君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  23. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私は、奈良県吉野郡大淀町にあります北野団地で関西電力が計画しております五十万ボルトの超高圧送電線の問題について質問をいたします。  この問題については、二月二十日に参議院の商工委員会で日本共産党の山下芳生議員が質問をいたしました。また、現地の住民の皆さんや同僚議員の皆さん方からも通産省にお話が行っていると思います。  北野団地は、大淀町の都市計画に基づいて建設された第一種住宅専用の住宅団地であります。将来二千四百一尺約一万人の居住が見込まれ、今千三十四戸、約三千人が住まわれています。一戸建ての住宅で、周辺は緑に恵まれ、吉野連山の見える、住宅環境も風景もすばらしいところです。数百メートルも下がりますと吉野川の清流、それから、大淀町といいましても吉野町に隣接をしたところで、あの天下の名勝花の吉野山から三キロほどのところにあるわけであります。住民の皆さん方は、ついの住みかというのですか、生涯の住居として求めてこられたところであります。  現在、団地内を高さ三十メートルの鉄塔で七万七千ボルトの送電線が通っています。しかし、関西電力の計画では、これを高さ百メートル、そのような鉄塔五基を建てて、何と五十万ボルトの超高圧送電線に変更しようという計画であります。この計画地元住民に明らかにされたのは一九九四年と聞いております。  地元住民の皆さんは、五十万ボルトという超高圧送電線の危険性、倒れたらどうなるのかとか、いろいろと御心配があります。電磁波の被害はどうなのか。あるいは、この地域は中央構造線が通っておりまして、近くに千股の活断層というのがあるのですね。そして、雨が降っても風が吹いても騒音という問題など、本当に快適な住環境、景観の破壊、不安が募りまして、白紙撤回やルート変更を求める反対の運動が住民の圧倒的多数の意思のもとで続けられて今日に至っているわけであります。  大臣、この住民の皆さん方の気持ちをわかっていただけると思いますが、その間、関西電力と地元自治会の間でいろいろ話し合いや交渉がありました。九四年九月十日には確認事項ということで、ルート変更を含めて双方が話し合うことを中心にした確認事項、九四年の十二月十八日には確認書、これは主として自治会役員会を飛び越えて直接訪問したり文書を郵送したりしないというようなものでしたけれども、こういうことが行われた。  その後もいろいろ曲折があったのですが、関西電力がこれを破棄した。そして、ことしの一月二十二日の早朝、午前三時とか四時とか言われているのですが、抜き打ち的に調査の工事を強行した。多数のガードマンを雇って、一部は裏のがけからはい上ってきた。こんなこともしながら強行した。そういう中で、住民と作業員がもみ合う事態が出てきたり、また、その後、住民の皆さん方が何カ所かで見張り用のテントを立てて交代で監視をする状態もあったということであります。  こんなことで、今、関西電力に対する地域住民の皆さん方の怒りと不信が極度に高まっているのですね。私も二月二日に山下議員と現地に参って実態を見せていただき、いろいろ御意見を聞きました。また、一年ほど前、寺前巖衆議院議員とも一緒に現地を調査したこともあるわけであります。  それで、通産省の認可のもと、地域独占の公益事業が公益性の名のもとに関係住民の意思や利益をじゅうりんしてよいのか、住民の合意や納得なしに力ずくで調査の工事を強行するというようなことが許されてよいのか、私も心の底からの怒りを覚えているわけでありますが、大臣の御所見を伺いたい。
  24. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、辻委員指摘のように、先般参議院の商工委員会でもって委員の同僚議員からこの問題の御指摘がございました。  率直に言って、こうした問題は、何といっても地元の住民と電力会社がよく話し合って理解を得なければ、そうした工事に入るべきではないというのが基本的な考え方であります。  そういうことで、少なくともその委員会における指摘以降、すなわち本年の二月二十日以降、地元住民と関西電力がどうなっているのだろうか、こんなことも指摘をいたしました。それ以降、両者の対話が始まっていると聞いております。  当省といたしましては、関西電力に対して、あくまでも地元住民に対して誠実な対応をとるよう指導をしていく所存でございます。
  25. 辻第一

    ○辻(第)分科員 今大臣の御所見がありましたが、住民とよく話し合って誠意のある対応をすべきである、当然のことだと思うわけであります。  次の質問に移るわけですが、お尋ねしたいことがいっぱいあるのです。ところが、時間が短うございますので、今非常に明快に簡潔に御答弁いただいたのですが、これからの御答弁もできるだけ簡潔にお願いをしたいというふうに思います。  次に、地元大淀町長から、特別高圧架空電線路の施設計画に関する現地調査の実施についての要望書が出されていますが、どのように対応されたのか、お答えをいただきたい。
  26. 岡本巖

    岡本政府委員 一月の末に町の方がお見えになりまして、私ども送電線の建設についての技術基準で市街地近接性についての基準を定めているわけでございますが、その関係での判断をするために、地元に来て判断をしてもらいたいという御要請があったのでございますが、そのときに、私どもの担当者から、実は市街地近接性の判断をするにつきましては、工事計画認可の段階で出てまいります正確な図面に基づいて判断をするということになっておりますので、今現在、私どもその段階にありませんので、まだこの作業全体で工事計画認可の申請に及ぶという段階ではありませんので、私どもが市街地近接性の判断をするにつきましては、その段階で図面に即してちゃんとした判断を申し上げるということを御説明をして、町の方にも御理解をいただいたところでございます。
  27. 辻第一

    ○辻(第)分科員 次に、大淀町長の要望書におきましても、電気事業法第四十八条及び電気設備に関する技術基準を定める省令との関係指摘いたしております。  さて、電気事業法に基づく通産省令であります電気設備に関する技術基準、その技術基準第百十一条は、「特別高圧架空電線路は、その電線がケーブルである場合を除き、市街地その他人家の密集する地域に施設してはならない。ただし、使用電圧が十七万ボルト未満の場合において特別高圧架空電線路を次の各号により、かつ、危険のおそれがないように施設するときは、この限りでない。」このように決めておりますね。それからまた、資源エネルギー庁公益事業部編の「解説電気設備の技術基準」には、特別高圧電線路は、電圧が高く危険であるから、原則として、市街地のような人家の密集する土地に施設することを禁止している、このように言っていますね。  結局、先ほど言いましたように、特別高圧電線路は電圧が高く危険であるから、市街地のような人家の密集する土地に施設することを禁止する、これが原則だと思うのですが、基本的な精神だと思うのですが、いかがですか。
  28. 岡本巖

    岡本政府委員 私ども、電気事業法に基づく技術基準におきまして、先ほど委員指摘のように、市街地に近接して設置しないというようなことに規定をいたしておるところでございます。
  29. 辻第一

    ○辻(第)分科員 これで原則や基本的な精神がわかりましたが、問題は、「市街地その他人家の密集する地域」とはどういう場所なのかということですね。この「解説」では、この省令で明確に定めていないと不明確さを認めているということです。確かに、この通産省令は肝心なところが不明確だと私は思います。  しかし、「解説」では、百十一条の市街地等の判断について、本条適用に当たってはおおむね次のように了解してよいとして、電線路の両側にそれぞれ五十メートル、線路方向に五百メートルとった五万平米の長方形の区域で、この地域内の建ぺい率が二五ないし三〇%以上である場合をいうとしていますね。どうもこの基準あるいは「解説」を見てまいりましても、もう一つはっきりしないのですね。何でこの両側に五十メートル、五百メートルということなのか、また、二五%−三〇%の数字の根拠はどういうことなのか、何で二五%から三〇%と幅があるのかとか、あいまいさというのですか、いろいろ疑問が私どもあるわけであります。時間がありませんので、これは答弁は結構でございます。  そういう中で、建ぺい率がこの値以下であっても、電線路の周囲に商店街、興行街、事務所街などが集中しているような場合は当然市街地と解すべきである、このようにしていますね。これは、人家の密集地に施設してはならないという省令の精神を適用していると思うのです。とすれば、大臣、電線路から七十メートル、八十メートルに小学校や幼稚園、保育所があるのですが、五十メートルのエリアの外ではありますけれども、「市街地」等を適用して、五十万ボルトの送電線の施設制限をしてもよいのではないかと考えるのですが、いかがですか。
  30. 岡本巖

    岡本政府委員 技術基準の、送電線の両側五十メートル、長さ方向五百メートルの範囲内での建ぺい率二五ないし三〇%以上というのは、実は都市計画法における既成市街地の定義の仕方というものをにらみながら定めたものでございまして、そういう意味では、昭和四十年以降、この解釈のもとに電気事業法、技術基準を運用してまいっているわけでございますが、今日まで特段の問題を生じているということはございません。  先ほど先生の御指摘の点につきましては、私ども、今申しましたような都市計画法における既成市街地の概念というものも参考にしながら定めております今の技術基準に照らして、厳正に判断をしてまいりたいというふうに考えております。
  31. 辻第一

    ○辻(第)分科員 承服できませんけれども、次へ参ります。  これは申し上げておくだけでありますが、この北野団地は第一種住居専用地域ですね。建ぺい率に規制があって五〇%に制限をされている。したがって、一種住専とそうでない地域、そういう中に二五%−三〇%の数字を一律に当てはめるのは無理ではないか、このようなことも指摘をしておきたいと思います。  それから、これはちょっと遠いので見ていただいてもわかりにくいかと思いますけれども、この北野団地というのは市街地ですよ。人家が密集した地域ですよ。この赤い線が通るところで、この黒いところが住宅なのですね。ここらだといっぱいですね。まだこれで大体三分の一なのですね。これからどんどんふえるわけであります。  公益事業部は、住民の皆さんの質問に対し、申請時の建ぺい率で判断をする、このようにおっしゃっています。これは、省令はもとより、「解説」にもないのではないでしょうか。ということからいえば、不当な判断ではないか。これからどんどん住宅が発展をしていって人家がふえていく、まだその過程のときにこういう判断をするというようなことは、これは結局、計画達成時というのですか、全戸入居の状態で判断をすべきではないのかというのが住民の皆さんや私どもの考えであります。  それで、技術基準適合命令、電気事業法第四十条には、通産大臣は、通産省令の技術基準に適合していないと認めるときは移転などを命じる、このようにありますね。北野の入居者は年々ふえ続けております。仮に五年後あるいは十年後、入居者が建ぺい率二五%を超えた場合どうするのか、これが一点ですね。近い将来、通産省令に適合しない事態が十二分に予測されるのに、なぜあえて申請時で認可をするのか。法令や基準に違反する見込みが明らかなのに、なぜ申請時の状況で認可をしようとするのかと私どもは言わざるを得ないわけであります。その点についてお答えをいただきたいと思います。
  32. 岡本巖

    岡本政府委員 技術基準は、工事計画認可の際の私どもの判断の基準になりますと同時に、電気事業者においては、その技術基準を電気工作物を設置した後においても常に守らなければならない維持義務がかかる、そういう基準でございます。  したがいまして、先ほどの建ぺい率基準に関しましても、申請時において私どもそれをチェックすると同時に、送電線が設置された後に先々周辺環境の変化があった場合においても、引き続きこの基準は満たさなければならないものであるということは電気事業者にあまねく徹底をいたしております。  申請時に建ぺい率をなぜ判断するかというのは、先々の事情を確たるものとして予測するのは難しゅうございますので、私どもは、工事計画認可の段階では、その段階における現況に基づいて判断をいたしますが、その場合に、電気事業者には当然のこととして技術基準は先々とも維持義務がある。したがって、将来において基準を満たさなくなる場合においては、ルート変更を含めて対応してもらわなければならないということは事業者に申し上げているところでございます。
  33. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それでは、先々そうなれば変更もあり得る、それは具体的にどういうことですか、具体的にどういうふうにさせるということですか。     〔主査退席、尾身主査代理着席〕
  34. 岡本巖

    岡本政府委員 事業者の側において、技術基準は将来とも維持しなければならないということは十分承知いたしておりますので、例えば住居がふえていくという見通しが一方である中にあって、電気事業者自身がその線路下の対象地域において他の建造物が設置されることのないような土地を手当てするとか、そういうことを含めて建ぺい率基準を含む技術基準を将来にわたって守るための努力をされるものと承知をいたしております。
  35. 辻第一

    ○辻(第)分科員 そうしますと、もしどんどん家が建ってきて基準に合わないという状況になれば鉄塔を撤去させる、こういうこともあるのですか。
  36. 岡本巖

    岡本政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、技術基準は将来にわたって守っていただかなくてはならなくて、先ほど委員の御質問の中にもありました基準適合命令というものもございますので、そういう法律に基づいて、私どもは、間違いなく基準を将来事業者に守っていただくべくしかるべき対応をとってまいる所存でございます。
  37. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私が言ったことと答えが違いますね。もう時間がありませんので次に行きますけれども、どんどん人口がふえていくのに、それを将来のことはわからぬ、それはあすのことはわかりませんけれども、そういうことを言っていたずらにあいまいな形で物事を進めるなんということは、これは本当に解決すべき大きな問題だと思います。このことも指摘しながら、次に参ります。  地域住民の方々は、電磁波の問題を物すごく心配されています。それは本当に、この話になると殊に目の色が変わるような形で熱心にお話をされるわけです。電磁波の人体に与える影響、殊にお母さんは子供に与える影響を物すごく心配しているのですね。それで、通産省のこれに対する御意見というのは、いろいろ検討会などでやられている中で、大体今のところ被害が出ないというような判断ですかな。電磁界影響調査検討会の報告書を挙げて、人の健康に有害な影響があるという証拠は認められない、このような結論の立場におられるようであります。  これは、これからの科学的な検討を待たなくてはならない問題だと思います。また、今はっきりクロだシロだと言い切れない問題だと思いますが、WHOも昨年の六月に五カ年計画で本格的な調査に乗り出すことを決めたということであります。また、スウェーデンは学校に関して二ミリガウスの規制を行っている。アメリカでは環境保護庁から依頼された放射線防護委員会が規制するガイドライン検討を始めた、このように伝えられています。  そして、先ほど言いました検討会、この検討会の委員であります京都大学医学部の武部教授は、人体への影響はある、しかし有害とは言えないと、一定の影響は認めて、安全とは言い切れない、安全宣言はしていない、このように明言されているのですね。また、ある京都大学の教授は、電磁波というのは人体に非常に影響がある、悪い影響を与えるということをはっきりおっしゃる教授もおられます。そういう方ともここの住民の方は勉強会もやっておられるわけです。  また、通産省は、労働省産業医学研究所の研究結果で、通常の居住環境で測定された五十倍という極めて強い磁界であり、この研究をもって送電線等からの微弱な磁場についても悪影響を与えるとの結論を下すことはできない、このようにしています。しかし、皆さん、強い磁場で一日と、弱い磁場で例えば五十日の関係については、先ほどの武部教授は、難しい問題で今後の重要な研究課題だ、これは去年の五月の大淀町での講演会における質問にこのようにお答えになっているのですね。ですから、この電磁波の問題というのは、もっと慎重に、もっと適切に対応していただきたい。  地元の運動している方のお話を聞きますと、慎重に回避をするということをおっしゃっているようでありますが、悪影響を与えるとの結論を下すことはできないというような考え方、これが通産省の基本的な考えだと思うのですが、これは本当に危険な独断だと言っても言い過ぎではないと私は思いますね。  過去の歴史の中で、いろいろな公害の問題があったが、そのような独断あるいは一部隠ぺいですか、そんなことも含めて、基本は独断でありますけれども、誤りを繰り返してきたというのが歴史だと思うのですね。  私は、この電磁波の問題についても慎重な対応を、適切な対応を、慎重に回避ということですから、ぜひやっていただきたい。このことについてお答えをいただきたいと思います。
  38. 岡本巖

    岡本政府委員 私ども通産省におきましては、平成二年から平成五年にかけて、先ほど委員指摘の電磁界影響の検討会において、これはほとんど医学系とか工学系の大学の先生から成る検討会ですが、そこで御審議いただいた結果、先ほど委員も御指摘のような、現状で人体に影響があるというようなことは言えないという結論をいただいたわけです。  国際的にも、つい最近で申しますと、全米科学アカデミーが、アメリカ議会の要請に基づいて研究をいたしまして、過去十七年における研究調査の結果として、去年十月でございましたが、報告を出しておりまして、そこで、いわゆる送電線の電磁波が人体の健康に対して影響があるということは言えない、そういう結論を出しております。  それから、委員お話の中にもありましたWHOの基準は、私ども承知するところ、五万ミリガウスという大変高いレベルになった場合に、そこまでであれば人体に影響がないということを言っておるわけですが、送電線から通常出ている電磁波というのは数十ミリガウスのものでございますので、WHOが言った五万ミリガウスというようなものに比べれば大きく違ったものでございます。  私ども、送電線の電磁波の問題につきましては、科学的な調査研究が進むに応じまして、引き続きそういったものの知見というのは逐次フォローして、国民の皆様方にも正確な情報提供をやってまいりたいと考えておりますが、一方で、増大する需要に対応するために、送電線を各地で建設していくことの必要についてもぜひ御理解を賜りたいと存じ上げます。
  39. 辻第一

    ○辻(第)分科員 時間が来たようでありますが、一言大臣にお尋ねいたします。  先ほど来申しましたが、この電力供給事業そのものに反対しているわけではないのですね。この団地は、本当にすばらしい環境、そして周辺の山林には適地がいっぱいあるのですね。あえて問題が山積しているこの住宅地に通さなくても、住宅地を縦断するルートを変えてくださいというのが全住民の願いです。一九九五年九月には、住民の九四%の二千数百名の要望書を当時の橋本通産大臣に提出いたしております。大淀町長も、町議会の答弁や住民集会で、ルート変更を求める住民意思を尊重すると明言いたしております。関係住民の意思を尊重する、合意や納得の上で事を進めていく、これは本当に民主主義の今の社会で当然のことですね。それを納得なしに工事を強行するということは許せぬ。  先ほど大臣の御答弁もありましたが、当たり前のことが当たり前に通る行政や政治になってほしいと思うのですね。ですから、百メートルから五百メートルで建ぺい率云々ということではなしに、それだけではなしに……
  40. 尾身幸次

    ○尾身主査代理 辻第一君、時間が終わっておりますので、よろしくお願いします。
  41. 辻第一

    ○辻(第)分科員 もっと高所からお答えをしていただきたいと思います。一言大臣の所見をいただきたいと思います。
  42. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 先ほど申したように、やはり関西電力と地元の方々の誠実なる話し合い、その中において、先ほど申しませんでしたが、今言われた電磁波の問題あるいはこれをルート変更した場合どうなるか、そういう話まで実は立ち入って対応しているようでございますから、この結果を待ちたい、かように思っております。
  43. 尾身幸次

    ○尾身主査代理 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、島津尚純君。
  44. 島津尚純

    島津分科員 新進党の島津尚純でございます。三池炭鉱の閉山問題につきまして質問をさせていただきたいと存じます。  三池炭鉱は、明治政府による官営の操業から数えまして百二十四年、民営化されてから百八年の歴史を誇り、この間の総生産量は約三億トンという膨大な量であり、戦前戦後を通じて、日本の近代化と産業の飛躍的発展のためにみずからの地の底を削り貢献してきたのが三池炭鉱であると存じます。  その三池炭鉱は、今日、大きな歴史的使命を果たし、栄光と苦悩の歴史に幕をおろそうとしております。この炭鉱とともに発展をしてきた大牟田市を中心とする二市二町にとりまして、閉山による影響は甚大なものであり、また、閉山により離職を余儀なくされる直轄、関連を含む三千人以上の従業員の方々の将来に対する不安ははかり知れないものがある、このように存ずるところであります。  大牟田市だけをとりましても、閉山による影響調査によりますと、人口流出は約七千八百人、地域経済に及ぼす影響は約四百七十億円と予測されております。最盛期より既に六万人の人口が減少している今日、閉山による影響の予測が現実のものとなりましたら、この地域は再び立ち上がることのできない痛手をこうむるのではないか、このように危惧をいたす次第であります。  そこで、この地域と離職者に対する影響を最小限度に食いとめ、力強く新しい道を歩み始めるには、多岐にわたる国の支援が不可欠であると思うのであります。既に二月二十日の石特におきまして通産大臣の所信はお伺いいたしておりますが、先週、組合は会社の提案を大筋で受け入れることを機関決定いたし、今週からは条件闘争に移ることになっており、いよいよ閉山が現実のものとなってきたわけでありまして、この新たな段階を踏まえて、改めて三池炭鉱閉山問題に対する通産大臣の決意のほどをまずお聞かせいただきたいと存じます。
  45. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、島津委員指摘のように、まさに一つの時代が終わらんとしているというか、それぞれ日本国民、この福岡、熊本の県民以外にも随分いろいろな思いがあるわけであります。特に戦後の復興期において、三井三池炭鉱を初めとして炭鉱というものが日本の再建にいかに重大な使命を持っていたか、こういうことで、時代の流れとはいえ、この閉山に至るということ、私としてももちろん無関心でおりませんし、今までの閉山の例を参考にしながら、俗に言う万遺漏ないようにしたい。  特に、後から御質問があると思いますが、政府としては、閉山交付金の役割、何といっても離職者の人たちの再雇用、そしてまた地域の振興、こういう問題に、私の省だけではなく、関係省庁とも連携をとりながら行っていきたい、かように考えております。
  46. 島津尚純

    島津分科員 ありがとうございました。  ただいまの大臣の御答弁の中にもありました閉山交付金についてお伺いをさせていただきたいと存じます。  危険と隣り合わせの仕事に従事してこられ、国家の産業振興に寄与してきた三池炭鉱閉山に伴う離職者に対して、人生の節目として心機一転し次なる飛躍を図るためにも、閉山後遅くとも三カ月程度で退職金が支払われるべきである、このように思います。そこで、この退職金の半分以上の原資となります閉山交付金の交付時期が離職者にとって大変重要なものになってくるわけであります。  この交付金については、従来は坑口がすべて密閉された後交付される、このように聞いております。三池炭鉱に関しては、坑口が十九もあり、短期的にこの坑口を閉鎖することは困難であります。かつ、水揚げ作業のために、すべての坑口を閉鎖することは物理的に不可能であります。  閉山交付金支給に当たって、これらの事情を勘案の上、弾力的な運用を行い、早期に支給していただくべきである、このように存ずるわけでありますが、閉山離職者の心情も考慮していただき、その時期についてひとつ政府の責任ある回答をお伺いいたしたいと存じます。
  47. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 まず、この前提は言うまでもなく三井三池炭鉱の閉山が決まるということでありますし、そして会社から閉山交付金の交付申請が行われるということが前提でございますが、申請があれば、会社による閉山対策が円滑に行われるよう、法令に基づき所要金額の交付を遺漏なく行うということに努めてまいります。  それで、御質問の交付の時期、条件みたいなことでございましたが、今御指摘のように、三井三池炭鉱の坑口が十九ございます。大変多数でございます。炭鉱の状況が同一でございませんから、一概に過去の事例と同様に考えるということはちょっと難しいわけでございますが、しかし、私の方といたしましては、鉱山保安法上の特別許可によって一部坑口の閉塞義務を免除する、お聞きしているところによると十九のうち七つはやはりすぐ閉めなきゃいけない、こういうことでございますので、そういうことを通じて、過去の閉山事例における交付の時期や関係者の要望等を勘案して、可能な限り早期に交付を決めたい、こう思っております。  過去の例は、御案内のごとく、申請後三カ月から四カ月でもって交付をしております。
  48. 島津尚純

    島津分科員 ただいまの御答弁にありましたように、平成四年から七年にかけまして北海道で三つの炭鉱が連続して閉鎖をいたしております。その実績を見ますと、三井芦別炭鉱が平成四年九月の二十八日に閉山、退職金は十二月十八日支払い、住友赤平炭鉱が平成六年二月の二十五日に閉山、退職金は五月三十日支払い、空知炭鉱が平成七年三月の十八日に閉山、退職金は六月の二十九日支払い、このようになっております。芦別は二カ月と二十日、赤平は三カ月と五日、空知は三カ月と十一日、いずれも閉山後三カ月程度で閉山交付金が支給され、退職金が支払われております。  三池炭鉱につきましても閉山後三カ月程度で支払われても差し支えない、このように考えるわけでありまして、重ねて閉山交付金の支払い時期につきまして、過去の例に倣い三カ月程度で交付できるかどうか、改めて明確な御回答をお願いいたしたいと思います。
  49. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 先ほど大臣が答弁されましたように、坑口の一部閉塞免除の特別許可を与えるというようなことを通じまして、早急に、できれば三、四カ月以内に交付できるように努めてまいりたいと思っています。
  50. 島津尚純

    島津分科員 ありがとうございました。  次は、雇用の確保と省庁等の連絡会の強化についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  三池炭鉱の三つの労働組合の再就職アンケートでは、約九割が地元での再就職を希望しております。職種については、運輸・倉庫、機械・金属、土木・建設がそれぞれ二割から三割程度となっております。これらの希望に沿って地元での雇用を確保することは、閉山に伴う地域経済への深刻な影響を防ぐ観点からも最も重要なことであると存じます。会社側におきましても再就職確保については熱心に準備を進めておられますが、長期不況とリストラという状況の中にあって、完全再雇用を達成することは大変な作業である、このように思います。特に、大半の従業員が希望しております地元の就職先で大変苦労しているというのが現状であると存じます。  政府におきましても、関係省庁との連携を強化され、十分な支援策を講ずべきであると思いますが、この点につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  51. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 御指摘のように、雇用の確保というのは最も重要なことでございます。既に会社の方では、例えば三井鉱山株式会社各支店に担当者を配置しまして全国的な求職活動を行っているわけでございます。また、通産省におきましても、例えば三井グループにいろいろな要請を行うというようなこと、あるいは九州経済連合会に対して要請を行うというようなことを通じまして、雇用の確保に努めているわけでございます。  そのほか、新しい分野の開拓事業を会社に行っていただくとかいうような形でさらに雇用の確保に努めてまいりたいと思っていますし、さらに、雇用につながります地域振興策につきましては、各省庁連絡会というものがございます、そういう中でいろいろ検討いたしまして、地域振興策を検討してまいりたいと思っています。
  52. 島津尚純

    島津分科員 ただいまお話のありました産炭地域振興関係各省庁等連絡会、このことについてお尋ねをしたいのですが、この参加されているメンバー構成、そのレベルについてお尋ねをしたいと思います。
  53. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 産炭地域振興関係各省庁等連絡会は、昭和四十四年の閣議決定に基づいて設けられているものでございます。現在、中央連絡会と九州連絡会というのが二つございまして、私ども、既に提案の二日後に開催をいたしまして、今後検討しなければいけない事柄等につきまして検討をお願いしたということでございます。  メンバーは、各省庁の課長から成っております。
  54. 島津尚純

    島津分科員 ここで提案なんですが、三池炭鉱の果たしてきた役割の重要性あるいは地域経済への影響を勘案しますと、この産炭地域振興関係各省庁等連絡会に参加しているメンバーのレベルを局長、長官クラスに上げて、政府支援を手厚くすべきではないか、このように存ずるところであります。  同じような関係省庁の協議機関として、電源立地に際しての地域振興策等を協議する電源開発調整審議会電源立地部会があり、関係十二省庁の職員として局長あるいは長官クラスがメンバーとなっております。今回の三池炭鉱閉山については、電源立地よりもさらに急を要し、影響も深刻なものがあるだけに、電源立地部会と同じ程度のレベルとして体制の強化を図るべきではないか、このように存じますが、大臣のお考えをお尋ねさせていただきたいと思います。
  55. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 要は、どういうメンバーでやるというよりか、どういう成果があるか、実効が上がらなければ意味がないと思います。  本件は、もう委員よく御存じのように、役所の中では通産省が主務官庁というか中心にならなければいけないわけでございます。そういう意味では、どのレベルでやるということよりか、今申したように、私の方が、地元と、同時にやはり三井三池の親会社である三井鉱山、こういうところによく話をして責任を持ちたい、かように考えております。
  56. 島津尚純

    島津分科員 関係省庁の連絡会の機能強化は、今後極めて重要な問題になってくると思います。どうかよろしくお願いをしたいと思います。  続きまして、鉱山保安法に基づく資格の乗り入れ、この件につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。  三池炭鉱の従業員の中には、鉱山保安法に基づく国家資格取得者が四百七十六人、所要の保安教育の受講によって得られる有資格者が千三百八十九人、合計延べ資格者人員は千八百六十五人、大変な数の方々が取得をされておるわけであります。一方、労働安全衛生法にも類似の資格があり、両制度の資格の乗り入れが可能であれば、既得の鉱山保安法の資格をむだなく活用でき、再就職活動に大変有利なものになると存ずるのであります。  現在、発破に関してはそのまま乗り入れ可能でありますが、ボイラー技士、クレーン運転士あるいはガス溶接等に関しましては、経験が考慮され受験資格が付与されるにとどまっております。さらなる資格の乗り入れについて検討できないかどうかをお尋ねをさせていただきたいと思います。
  57. 南本禎亮

    ○南本説明員 お答えいたします。  鉱山保安法に基づく資格の労働安全衛生法への乗り入れの問題でございますが、先生御発言のとおり、発破、ガス溶接等の業務については逐次乗り入れを行ってきておるところでございまして、あるいは平成三年六月の石炭鉱業審議会の答申を受け、また平成六年二月の鉱山関係労働組合からの要請等を受けまして、双方の資格全般について業務の類似性等の観点から乗り入れについて検討を行いました結果、平成六年九月に関係法令の一部を改正いたしまして、先生指摘のクレーン運転士免許、ボイラー技士免許、車両系建設機械運転技能講習等の十二件にわたりまして乗り入れの措置を講じたところでございます。  さらに、労働省といたしましては、労働者の安全の確保を考慮しつつ、鉱山離職者の再就職の一助となるよう、一定の鉱山保安関係の資格を有する方々に対しまして、労働安全衛生法で義務づけられています特別教育について、教育科目の全部または一部の免除をすること等について検討してまいりたい、このように考えております。
  58. 島津尚純

    島津分科員 本来ならば、鉱山保安法の国家資格から労働安全衛生法の国家資格へ並行して乗り入れをさせてもらうということが最も望ましいということでありますけれども、それがなかなか難しいというふうにも聞いております。  そこで、お尋ねしたいんですが、鉱山保安法の国家資格から労安法の有資格者、技術講習修了者といいますか、それに講習を受けることによって乗り入れをさせていただく、このようなことは御検討がいただけるでしょうか。
  59. 南本禎亮

    ○南本説明員 既に、安全を考慮いたしましてできるものにつきましてはほとんどもう終了しているのではないかと思いまして、今後は、先ほど申しましたように、特別教育の資格というのもございますので、これについて検討してまいりたい、そのように考えております。
  60. 島津尚純

    島津分科員 次に、職業訓練所等につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。  閉山になりますと、直轄、関連を含め離職者が三千人を超える、このように言われておりますが、再就職の促進のためには新たな技術や資格の取得が肝要であり、そのため、閉山後早急に職業訓練の体制を整えることが必要である、このように思います。また、例えば一時期に五百人以上の入校希望者が出るということも十分予想されるわけでありまして、そのような事態に対応するためにどのような職業訓練体制を検討いただいておるのか、その辺をお尋ねをさせていただきたいと思います。
  61. 下永吉優

    ○下永吉説明員 お答えいたします。  労働省といたしましては、炭鉱離職者の職業訓練につきまして、重要かつ緊急の課題と認識しており、積極的に取り組んできているところでございます。三井三池炭鉱の場合におきましても、十分な訓練が講じられますように対応をしていくこととしておりまして、雇用促進事業団立及び地元の県立高等の訓練校を中心に、訓練枠の確保を図っていくということにしております。  具体的に申し上げますと、既設訓練科の定員枠の拡大または優先的な受け入れ、また訓練希望者が多いと見込まれます、例えばフォークリフトあるいはまたクレーン等の建設機械運転科などにつきましては特別のコースを新設していく、また大型自動車運転等につきましては自動車教習所等への委託訓練の実施をしていく、これらを検討しているところでございます。また、訓練希望者の期待に十分こたえていきますように、訓練枠の大幅な拡大、また、場合によりましては仮設の訓練所の増設を図っていくというようなことも今検討しているところでございます。  また、訓練の実施に当たりましては、特に雇用促進事業団立の荒尾職業能力開発促進センターにおきまして、訓練の円滑な実施を図りますために、全国的なネットワークを活用した指導員の応援体制を確立するということを考えているところでございまして、これまでの炭鉱離職者対策のノウハウを十分に活用いたしまして、多様な訓練ニーズに対応していくように最大限の努力をしているところでございます。  いずれにしましても、離職者に対しまして希望訓練科等のアンケートを実施するということにしております。そのアンケート結果を十分尊重しながら、さらに地域の雇用動向等を総合的に勘案した上で、機動的かつ効果的な訓練を迅速に実施すること、こういうふうに考えておるところでございます。     〔尾身主査代理退席、主査着席〕
  62. 島津尚純

    島津分科員 職業訓練所の場合、一般的には入校日が四月と十月、このようになっていると思います。三月末に閉山した離職者は、いろいろな手続のために三カ月ぐらいの時間を要すると思われます。したがいまして、入校の時期は七月ごろになるのではないか、このように思うわけでありますが、この入校の時期につきましても柔軟な対応をしていただけるかどうかというのが一点であります。  いま一つは、先ほど申しました鉱山保安法と労安法の乗り入れにつきまして、その必要な講習をこの訓練所で受けることができるかどうか、ぜひ受けられるようにしていただければ大変ありがたいと思っているんですが、その辺はいかがでしょうか。
  63. 下永吉優

    ○下永吉説明員 お答えいたします。  入校時期につきましては、随時入校ということで今考えているところでございます。  二点目につきましては、所管の局と十分検討してまいりたいというように考えております。
  64. 島津尚純

    島津分科員 職業訓練につきましては、何か大変前向きのお取り組みを既になさっていただいておるということで、感謝を申し上げたいというふうに思います。  最後の質問でございますが、離職者の住宅確保についてお伺いいたしたいと思います。  閉山離職者の九割以上が地元での再就職を希望しております。これに伴い、現在社宅に住んでいる約五百世帯、関連を含めますと約一千世帯についての住宅確保が必要となってまいります。閉山後一年間は現在の社宅に住むことが許されているというふうに聞いておりますが、既存の公営住宅は現在あきがない状態であり、民間が新たに賃貸住宅事業を当該閉山地域で実施することは、人口減少などもありまして、期待できない状態になっております。  そこで、既存の社宅の買い上げなどや、会社が提供する土地を購入して公営住宅を建設できる制度についてお伺いしたいと思います。
  65. 石川哲久

    ○石川説明員 離職されます方々の住宅対策等につきましては、非常に大切なことだと考えておりますので、私ども、再雇用の状態あるいは居住の状況等を踏まえた上で十分対応してまいりたいと思っていますが、今先生の方からお話のありました公営住宅の買い取りというようなものでございますけれども民間の社宅、住宅等を買い取りまして公営住宅として活用する買い取り住宅制度というのが確かにございます。  考えられます住宅対策の選択肢の一つではあろうかと思いますが、伺うところによりますと、現在の社宅は大分古いものもあるようでございますし、それらを公営住宅として活用させていただくのがふさわしいのかどうかという問題もございます。あるいは、居住されている方々が今後どのような形で居住を希望されるかということもございますし、公営住宅というのは割と低所得者の方に向けて使われている制度でございますので、今までの方は収入もそれなりの方があろうと思います。あわせて、その方たちに優先的にお入りいただくということがまたふさわしいのかどうか等々、いろいろと検討すべき点もございますけれども、そういう意味で、選択肢の一つとしてまた検討させていただきたいというふうに思います。
  66. 島津尚純

    島津分科員 時間が迫っておりますので、急いで質問させてもらいます。  住宅の問題に関しまして、特別交付税の活用、このこともぜひ考えていただきたい、このように思いますが、その辺をお伺いさせてもらいます。
  67. 岡本保

    岡本説明員 炭鉱が閉山となりました場合、関係地方団体の財政運営にも大きな影響を及ぼしますので、自治省といたしましても、従来から、地方交付税上の措置あるいは地方債の措置等を通じ所要の措置を講じてきたところでございます。  御指摘の炭鉱の閉山による離職者の住宅対策につきましても、関係省庁とも十分な連携を図りつつ、今後地元で具体的な対応、判断がいろいろ出ると思いますので、そういう対応を踏まえ、よくお話をお伺いして、関係地方団体の財政面に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  68. 島津尚純

    島津分科員 地元自治体でこのような事業計画が上がってまいりましたときは、ぜひ積極的な対応をお願い申し上げたいと思います。  時間が参りましたので、この辺で終わらせていただきたいわけでありますが、きょう私が取り上げました問題は、それぞれこの離職者の皆さん方が最も関心と不安を持っている問題であります。人生で最も幸せなことは、みずからが打ち込むことのできる仕事を持っているということであります。不幸にも人生半ばにおいて離職しなければならない、そのような状態になった従業員の皆様方の心情をぜひお酌み取りいただきまして、今後政府が積極的な対応をいただきますことをお願い申し上げまして、質問にさせていただきます。ありがとうございました。
  69. 高橋一郎

    高橋主査 これにて島津尚純君の質疑は終了いたしました。  次に、西田猛君。
  70. 西田猛

    西田(猛)分科員 新進党の西田猛でございます。  朝早くからお疲れさまでございます。大臣、お昼前でございますので、もうちょっと頑張っていただきたいと思います。  私は、産業政策、通商政策を全般的に所管している通産省、それから、その所管大臣であられます通商産業大臣に対しまして、行政改革、経済改革、財政改革、その一つのアイテムであります規制緩和、それから地方分権、そして電源開発、エネルギー問題等についてお伺いをしたいと思います。  まず第一点目は、今我が国は二十一世紀に向けて大変な時代を迎えております。その中で、あらゆる意味での改革が志向されておるわけでございますけれども、経済改革あるいは行政改革、ともに必要なことでございます。その中でも特に、やはり我が国の政府が小さな政府になって、ある意味では大きな国民経済を実現して、二十一世紀に向けて活力のある日本がつくられていかなければならないのではないかというふうに考えております。その意味でも、我が国の社会の中に根づいておりますいろいろな意味での規制、これらの規制の中には経済的な規制も社会的な規制もあるわけでございますけれども、これらを一つ一つ丹念に見直して、必要な規制とそうでない規制を取捨選択の上、規制の撤廃を図っていかなければならないと考えております。  ここで、行政改革あるいは経済構造改革の上で規制緩和ということが叫ばれておるのですけれども、規制緩和というものをどのように認識しておられて、なぜこの時代に規制緩和、なかんずく経済的な規制の緩和でございますけれども、撤廃ないしは廃止が必要だというふうに通産大臣はお考えになられるか、お考えをお伺いしたいと思います。
  71. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 この規制緩和ということ、これは大きく分ければ二つあると思うのです。一つは経済的規制緩和、それから社会的規制緩和。  それで、今私たちの省はこの経済の規制というもの、これの緩和に向けて全力を尽くしておることは御存じのとおりでございますが、その意味合いということになると、まず、民間の活動に対する政府の関与を本当に必要なことに限る、こういうことで民間経済活動の活性化を図るという観点から今当省が中心となっている経済構造改革、これの推進の観点から大変重要な課題だ、こういう認識を持っております。  また、規制緩和は一官民の役割分担の見直し、より合理的かつ効率的な規制手法への移行等を通じて、簡素で効率的な政府を実現するために不可欠であり、いわゆる小さい政府、こういうことで行政改革を進めていく上では大変重要な施策だ、こういうふうに認識しております。
  72. 西田猛

    西田(猛)分科員 今おっしゃったように、通産省が中心になられて昨年の十二月に経済構造改革プログラムというものを策定しておられるわけでございますけれども、通産省として日本の経済構造あるいは財政構造を、これは大蔵省の所管にもかかわることかもしれませんけれども、本当に二十一世紀に向けて、力のある、元気のある日本にしていくためにはどういう手法で抜本的にこの改革を進めていかなければならないというふうに考えておられるのか。その具体的な考え方、基本的考え方でも結構ですから、このようにしていくんだという手法についてお伺いしたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  73. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、やはり高度情報化、これが目覚ましい進展を遂げました。まさに世界の一体化が進んでまいりました。そこでもってこれから日本世界の中で生きていくために、今までのような構造では対応できないだろう、こういうことであります。他方、財政的には、戦後五十年のツケというか、国、地方を通じて四百数十兆になる借金がある。  こういうことで、橋本内閣でもって五つの構造改革、これを唱えました。ことしになって教育改革を加えて、一応六つの改革と申しておりますが、その教育を除く初めの五つは全部関係があると思うのです。特に、私の役所、通産省として所管する経済問題ということで、経済構造改革、こういうことを申しました。  これは、今も申したように、世界の一体化の中において産業空洞化が大変進んでまいった。そういうことで、二十一世紀になって日本で職場を失う者が出てくるだろうということで、やはり新しい産業というものを興さなければいけない。同時に、やはり少子・高齢化ということで、どうしてもこれから日本の経済に対して活力がない、こういうことですね。  そこで、私の方は、具体的には、そのためには規制緩和ということと高コスト構造是正、これをやはり中心になってやろう。これを二本柱にしたわけであります。具体的にはと言われますと、例えば、規制緩和に関しては大店法を見直していこう。それから高コストの方に関しては、物流、エネルギー、こういう問題でございまして、そしてこれは関係省庁の中心になる、こういうことです。  今御質問がございました財政に関しては、私の所管外ですから今は答弁をいたしませんが、そういうことで、やはり新しい時代に向かっていこうということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  74. 西田猛

    西田(猛)分科員 ただいまおっしゃっていただきました規制緩和、それから高コスト構造の是正という二点を挙げられました。その中で例に挙げられた大店法の規制緩和ということとか、あるいは物流、エネルギーについての規制緩和というようなお話もございましたが、私、今おっしゃった中で二つほど具体的に例を挙げてみたいと思っているのです。  例えば大店法などですと、これは、本来その法律の中に含まれていない規制を事実上の制度として地方の商店街の皆様に、あるいは出店しようという事業者に課していたということが事実上の問題としてあったわけですね。それを是正していこうではないかということですから、言うならば、法律の本来の姿に戻していくことにすぎないというふうに私どもは考えているわけなんですね。そういう観点からいたしますと、地方に対してもっとより大きないわば権限を与える。ただ、これは当然受け皿が必要になってくることではございますけれども、何も東京の通商産業本省の方で事細かな地域産業政策あるいは全体的な商店街の振興に対してまで指導していくことは必要ではなくなってきているのではないかなというふうに考えているのですね。  そこで、一つ一つの具体的な例としてお伺いをしたいのでありますけれども、通産省というところは政策官庁として名の通ったところでありますから、いわゆる補助金、負担金等々のものは数は多くはないというふうに私も承知しております。そこで、今予算委員会に付託されております平成九年度予算案の中で、通商産業省所管のうち、地方公共団体等に交付される予定の補助金というのは通産省全体の予算額の中でどの程度割合を占めているのかをお伺いしたいと思います。
  75. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 お答えを申し上げます。  平成九年度の通産省所管の予算全体でございますけれども、一般会計と特別会計を合わせまして二兆一千四百十一億円でございます。そこで、お尋ねの地方公共団体向けの補助金の総額でございますけれども、二千六百八十八億円ということでございまして、予算額全体の一三%となっております。
  76. 西田猛

    西田(猛)分科員 通産省におかれても約一三%、約一割以上のものが補助金ということになっているわけですね。  補助金の本質というのは、要するに、日本全体におけるナショナル・シビル・ミニマムといいますか、どこの地域に行っても同じような行政水準が担保されるために国の方で地方を喚起するような、これが補助金の本質だというふうに私ども考えておるわけですね。  ということでありますれば、例えば、地域における商店街の振興あるいは商工の振興ということのためにつくられました商工会ですとか商工組合とか、そういうものに対しての補助金も予算書の中には入っているわけですけれども、こういう地域的な、包括的な産業振興を旨とした奨励的な補助金については、もう既にその地域地域にお任せしていいのではないかなというふうに考えるわけですね。  すなわち、国から補助金を県、市町村、それから商工会におろしていくというものではなくて、しかも今聞いたところでは、何やらまた、事業計画を商工会等の方から提出していただいて、そのうち、この事業に対しては何%の補助、この事業に対しては何%の補助という形で交付されているというふうに聞いておるのですけれども、そういうことよりは、例えば、私の地元でいえば、茨木市なら茨木市、池田市なら池田市、箕面市なら箕面市というところに包括して補助金をお渡しになられて、そしてその地域の包括的な産業政策のために資する、それを商工会の方と一緒にやっていくことでもいいのではないかなというふうに考えるわけです。  したがって、今、通産省が所管しておられる商工会、商工会議所等に対する補助金を、包括した補助金として交付すること、あるいは、さらに一歩進めて、先ほどの質問にもありましたけれども、地方交付税の算定費目に入れてしまう。現に、交付税の算定費目には商業振興という費目があると思いますけれども、そういうものに合算してしまうということで、地域の振興を図るべく、さらに地方分権と規制緩和を進めていくというふうなことが考えられると思うのですけれども大臣の御所感、いかがでございましょうか。
  77. 篠原徹

    ○篠原政府委員 今委員からお尋ねのございました、商工会、商工会議所が実施しております小規模事業指導費補助金という費目がございまして、この補助金は都道府県に補助いたしておるものでございます。都道府県が、国からの補助二分の一と都道府県の二分の一を合わせまして商工会、商工会議所に補助をしておるという制度でございます。  通産省といたしましては、臨調答申等を踏まえまして、国と地方の役割分担を絶えず見直してきております。商工会、商工会議所の例えば経営指導員の人件費等につきましては、平成五年から七年にかけまして一般財源化を図ったところでございます。  他方、現在、商工会等は、国民金融公庫のマル経融資と相まったきめ細かな小規模企業への指導や倒産防止相談窓口の設置等、国全体のナショナルミニマムとしての責務を果たしているところでございます。  さらに、近年の時代の要請に応じまして、空洞化に直面しました中小企業の経営革新支援、あるいは流通構造の劇的な変化に対応しました商店街対策、あるいは中小企業の情報化の推進など、我が国の経済構造改革を推進する上で必要な事業を実施しているところでございます。  通産省といたしましては、このような商工会等の事業に対して助成しているものでございまして、今後とも、国の責務として必要な施策を中心に助成を進めてまいりたいと存じております。
  78. 西田猛

    西田(猛)分科員 今、国の責務として行うべきことを行っていきたいとおっしゃったのですけれども、私どもが考えているのは、地域の商工会、商工会議所が地域産業振興のために考えて実施することまでが果たして国の責務と言えるのかなとうかなというところが実は論点なのでありまして、そのようなところをちょっと今後とも詰めていきたいなというふうに考えております。  その意味では、地域における産業の活性化の一つとして、通商産業省が平成九年度の施策の一つの目玉としておられるのが特定産業集積の活性化に関する施策であるというふうに聞いております。  これは、私ども読ませていただいたところ、非常によい施策を考えていかれているのだなというふうに存じておりますが、聞くところによりますと、残念ながら、平成九年度においてはわずかと申しますか、二十地域に対してのみ、このような集中的なある程度の措置を行っていかれるということでございます。  さて、そこでお伺いしたいのは、この施策で、本当に概要で結構です、どのような施策を行われるかの柱だけ、箇条書きで結構です。それと、どのような地域をこの施策で集中的に興していこうと思われるのか、その対象となるべき地域をどのように選定するか、そしてまた、どういう地域を想定しておられるのかについてお伺いしたいと思うのです。
  79. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘の、新たな法律で対象地域と考えておりますのは、二つのタイプの既存の集積を念頭に置いてございます。  一つは、自動車、家電等の基幹産業を支えてまいりました鋳鍛造、メッキ、金型、試作品製造など、物づくりの基盤でありますサポーティングインダストリーの集積でございます。それからいま一つは、いわゆる産地などの形態で、地域経済の自律的発展基盤であった地域の中小企業の集積の存在する地域でございます。こうした地域は、御指摘のように全体としては二十地域ぐらいを想定いたしてございます。  ここで行います措置の内容、いわば産業政策のメニューでございますが、研究開発施設・機器、人材育成施設、賃貸工場等を並べました産業インフラの整備が一つのジャンルでございます。それから、中小企業の新商品・新技術開発、人材育成、研究開発等が二つ目の大きなジャンルでございます。  これに対応します予算措置といたしましては、直接的な地域に対するインフラ整備のための予算として八十一億円、研究開発を含めました総関連予算としては二百二十五億円を用意してございます。
  80. 西田猛

    西田(猛)分科員 このような施策によって、我が国の空洞化の原因とも思われますいわゆる物づくり、我が国の基幹産業を支えてきた物づくりの、そういう基盤となる地域産業集積を今後とも根絶やしにしないようにぜひ進めていっていただきたいと思いますし、東京都にもたくさんございますけれども、大都市の周辺、私の大阪府の中にもこのような地域がたくさんございますので、今後ともこのような施策に力を入れていっていただきたいと思っております。  それから、次の質問に移りますけれども先ほど大臣がおっしゃられた産業構造の改革、それから行政改革の柱の一つとしての高コスト構造の是正というお話がございました。その観点から、プラス今の日本にとって非常に大切なエネルギー供給の話を絡めて、お伺いしたいと思うのであります。  昨今、産業の高コスト是正がぜひとも必要というお話がございましたけれども、特に産業のもとになりますのはエネルギーですね。我が国ではどうしてもエネルギーコストが割高だと言われておると思うのです。この点につきまして、例えば特に電力に限って言いますと、我々一般消費者が使う電力の料金設定というのはどのようになっているのかお伺いしたいのです。
  81. 岡本巖

    岡本政府委員 電気料金は、原価主義と公平の原則というのが電気事業法にうたわれておりまして、能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものという原価主義をベースにし、一定の者に対して不当な差別的取り扱いをするようなものでないという公平の原則をもう一方にらみながら、設定しているわけでございます。  実際には、各電気事業者が料金改定の申請を行いまして、それに対して私どもは厳正な審査をやりまして、実際に料金改定の認可をするに先立ちまして公聴会を開催し、その前に関係書類を需要家の方々、消費者の方々に閲覧していただく、そういう手続を踏みます。それから、私どもがある程度審査ができましたところで、物価問題関係閣僚会議、そういったところにも御説明申し上げた上で最終的な認可を行うという手順で進めているところでございます。
  82. 西田猛

    西田(猛)分科員 そのようにして決定されるエネルギーコスト、今は特に電気料金の御説明をいただいたわけですけれども、しかし、今後とも我が国は電力供給の多様化をぜひとも進めていく必要があるというふうに思うのです。  その中で、非常に微妙な問題でございますけれども、いわゆる電力のための原子力発電所の問題がございます。これは、原子力発電所を必要とする事情がある他方、それが立地する地域の皆さんにとっては何がしかの不安を伴うものでございます。そういう意味からは、電力の安定供給を図る、しかし、他方まだそういう電源地域地元住民の皆さんの福祉向上のためにも、そのような電源立地を促進するために政府としていろいろな施策を今後とも講じていくべきではないかなというふうに考えるのですけれども、そのあたりのことについて大臣の御見解をお伺いしたいのです。
  83. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、やはり我が国の将来を見た場合に、産業、民生、そして運輸、こういうところは非常にエネルギーが重要だということは、これは委員指摘のとおりでございます。  このエネルギーに対する考え方というのは、まず第一に徹底した省エネというものを行わなければいけないと思います。二番目に新エネルギーの開発、こういうことだと思うのです。条件的に最近変わってまいりましたのは、特に環境問題、地球環境ということが非常に重要な問題であります。まさに環境が悪化すれば我々人類がこの地球に生息できないということですから、これは大変な問題ですね。そういうことからいくと、もう一つは環境の負荷が少ない原子力、こういうものをどうしても、新エネルギーが完全に完成するまではこの三つでいかなければいけないのだろう、こういうことを思っておるわけであります。  ところが、今委員指摘のように、やはり現実問題としては、自分のところに発電所自体も嫌な中において、原子力発電、これはどうも気分的にすっきりしない、こういう意見があることは重々承知しております。そこで、少しでも地域住民の感情、そしてまたほかの地域の方にもこうした原子力発電の必要性というものを理解してもらおう、こういうことで、この内閣議でもって今後の原子力政策というものを了解してもらったわけでございますが、同時に、地域に対しては交付金を支給することによってある程度その立地のところの同意を得よう、こういうことで電源三法があることは御案内のとおりでございます。  この交付金というものは従来と違って、実は平成九年度からの予算に入っておりますが、原子力発電所地元市町村に対しては運転終了まで、今までは運開から一定の期間でしたが、運転終了まで交付する、こういうふうな新たな交付金制度を創設、これを実は盛り込んでいるわけでございます。  今申したように、あくまでもこれからも地元の要望を踏まえて各種の施策というものを講じながら、電源立地、こうした振興を図っていこう、それが日本エネルギー政策、かように実は考えている次第であります。
  84. 西田猛

    西田(猛)分科員 今大臣お答えいただきましたように、立地する地域の住民の皆様の福祉の向上、これもまた図っていかなければならないということだと思います。  今度は、目を転じまして、電気事業者の立場になって考えてみますと、電気事業者といえども、確かに公益事業ではありますが、これは一私企業でございますから、先ほど電力料金の決定のところでもありました、自分のところの適正な利潤というものも考えなければいけない。他方、供給する電力はどうしても高く料金を設定せざるを得ないという状況があるわけですね。  そんな中で、通産省の方でいろいろと御指導をされて、電力料金をせめて欧米水準並みに引き下げてはどうかというふうな御指導があるかというふうに聞いているわけなのですけれども、どのようにしたら電力料金の水準をいわゆる欧米水準まで引き下げていくことができるのかということについてちょっとお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  85. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 先ほど申したような高コスト構造の是正という中で、これを筆頭に上げておるわけです。この問題で、実は、二〇〇一年の段階で欧米に比較して遜色がない、ここまで下げるということ、これはもう国際的にも公約というか明言をしてまいりました。  しからばどうするのかということですが、まず、一般的には経営の効率化という言葉がございます。御存じのように、IPP制度ということで、これを積極的に活用するということ。もう一つは、特定電気事業制度、いわゆる小売というもの、これもやはり要件を緩和していくわけですが、最も大きいのは、日本の場合には負荷率が非常に低いということが問題になります。ということは、夏の一番暑いときに合わせて設備をつくるということであります。半分冗談ですが、夏の一番暑いときに甲子園が開かれる、それに合わせて全国民が冷房とテレビでもって電力の消費が上がるのだ、こんなことをよく言われるようでありますが、何しろ夏の一番暑いときに合わせてあるということで、それを違うときにしているヨーロッパ、また特にドイツとの間には、やはりこの負荷率の差が二〇%ある、こんなことが言われておるわけでございますから、こういうところを中心にやっていこうと思うのです。  これは、今からやはり私たちの省が中心となってありとあらゆることを考えて下げるということ、今のように、産業界も非常にこれに期待していますし、民生というよりも一般の国民の方も、大変いいことだ、しっかりやってくれ、こんな激励を実は受けているわけであります。よろしく御理解をいただきたいと思います。
  86. 西田猛

    西田(猛)分科員 今お答えいただきましたことで、値段を下げるためのいろいろな論点は出てきたわけでございますけれども、他方、その電気事業会社、先ほども申し上げたようにこれも民間会社ですから、このことも、それからまた、その民間会社で働く労働者の皆さんのことも考えていきますと、余りにも無理な電力料金の引き下げを強いてしまうことはいろいろな意味で問題が生じてくるのではないかなというふうに考えております。  と申しますのも、欧米水準に電力料金を引き下げる、それは大変必要なことだと思うのですけれども、他方、欧米に比べて高い人件費とか、エネルギーを生むためのコストが非常に高いとか、そういう問題が我が国にはあると思いますので、きめ細かな指導がこれから必要になってくるのだと思うのですね。  例えば、今おっしゃった負荷率の問題であれば、夜間に電力をためておけるような電気機器を、今度は電気機器のメーカーさんにいろいろお願いするとかいうふうなことも必要になってくるでしょうし、無理やり値段を下げさせるという従来的な行政のやり方ではなくて、やはりそういうきめ細かな産業政策が必要になってくるのだと私ども考えておりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。  それから、そのようなことに関連するのですけれども、どのようにしたら包括的に、二十一世紀に向けて我が日本を元気で福祉の行き届いた国にしていくことができるのかということを考えているわけなんですけれども、私が考えますのは、実はまず減税ありきではないかというふうに考えます。  例えば、私ども新進党の言っていた十八兆減税。十八兆減税というのは、それでは代替財源はどうするのだという議論もありましたけれども、私に言わしめれば、それはまあ代替財源の議論も必要ながら、むしろ、今やもう日本予算は七十七兆円になんなんとする世界で最大規模の予算でございます。先ほども一つ議論に上せましたけれども、一つ一つの予算を見ていけば、果たして不要不急の予算は一円ともないのか、全く役割の終わってしまったような補助金とかいうものは一円もないのですかということを考えていかなければならないと思うのですね。  したがって、私が考えますのは、歳出の削減、そして減税。そして、減税をいたしまして、今政府のいわば所得の再配分機能、資源の再配分機能がうまく機能していない、そういう中では、国民の皆さんから税をいただいて、それを政府という機構を通じて再配分するということよりも、いわばそれがある程度機能不全に陥っているわけですから、税として……
  87. 高橋一郎

    高橋主査 西田君、時間ですので、結論を急いでください。
  88. 西田猛

    西田(猛)分科員 国民の皆さんに税金をたくさん残すことによって、それで国民経済が活性化して、国民の皆さんが新しい産業を興すということで日本の経済が活発化していく、そういういわば経済循環をとっていくべきではないのかなと思うのですが、最後に大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  89. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の予算委員会を通じて、この国会でも今の委員の御指摘の点が論点だったと思うのです。  今私たちは、私たちというのは政府の方は、やはり中長期に向かっては、今唱えている六つの構造改革に真摯に取り組んでいくということ、これで明るい展望ですが、今のお話というのは、ことしというか短期的に見て、日本の経済というか活力、景気がどうなるだろうか、こういうことだと思うのです。  これに対しては、やはり今のように減税先行でなければ景気は回復しない、そうした説もあることは存じておりますし、片一方では、やはり政府の言うようにこうした緊縮したあれでもって予算を早く通すこと、それが潤滑油になってくるということで、今景気というものが緩やかながら回復を見せているから大丈夫だと。これはやはり一つの政治判断だと思いますので、そういうふうな選択をした、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  90. 高橋一郎

    高橋主査 これにて西田猛君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  91. 高橋一郎

    高橋主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。家西悟君。  なお、家西君に申し上げますが、おかけになったまま質疑を行って結構でございます。どうぞ。
  92. 家西悟

    家西分科員 ありがとうございます。私の質問とさせていただきます。  まず、奈良県吉野郡大淀町北野台における五十万ボルトの超高圧送電線の建設について、地元住民は人体、環境への影響を心配し、住宅密集地や学校、保育施設を回避して建設するよう要求しています。できるだけ住宅地を避ける形での計画路線への変更を求めるものであります。  そこで、まず、電磁波が人体に与える影響についてお伺いいたします。  過去の国会審議の中でも、電磁波が人体に与える影響について、幾つかの指摘がなされています。この問題は、通産省だけでなく、幾つかの省庁に関する問題なので、各省庁によってとらえ方、受けとめ方が違っていると思います。平成八年二月二十九日に、予算委員会第五分科会において宇佐美議員が電磁波の人体に与える影響についての質問をなされていますが、そのときの環境庁の答弁では脳腫瘍や白血病との因果関係に言及しており、この見解を踏まえて実態の解明に前向きな姿勢を示しています。通産省としてはこの点についてどうお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。
  93. 岡本巖

    岡本政府委員 お答え申し上げます。  電磁界の健康に対する影響につきまして、私ども通産省の中に、平成二年に電磁界影響調査検討会、座長は東京大学の関根名誉教授でございますが、検討会を設置しまして、専門家による検討を行ってまいりました。  その結果、平成五年十二月に報告書を取りまとめていただいたわけでございますが、その中におきましては、現時点において居住環境で生じる商用周波磁界、いわゆる送電線からの電磁波でございますが、これにより人の健康に有害な影響があるという証拠は認められないということでございました。それから、送電線による磁界の強さという点についてでございますが、世界保健機関、WHOの環境保健基準などに比べましてうんと低いレベルでございます。  ただ、私ども、この送電線の磁界と人の健康との関係につきまして科学的な解明を行っていくことは引き続き重要だと考えておりますので、今後とも内外のいろいろな機関の見解、調査の結果などにも十分目を配りつつ、努力をしてまいる方針でございます。  ちなみに、昨年十月に、アメリカの全米科学アカデミー、世界のノーベル賞をもらったような学者が百数十名メンバーになっている非営利の団体ですが、ここがアメリカの議会の要請に基づいて過去十七年にわたるいろいろな機関の調査研究の結果を精査をいたしまして、その結果、全米科学アカデミーでも私どもと同様に、人体の健康への影響があるという証拠は認められない、そういう報告を出しているところでございます。  いずれにしましても、先ほど申しましたように、科学的な解明に関するいろいろな情報については、私どもこれから引き続き注意深くフォローし、国民の皆様方に提供してまいる所存でございます。
  94. 家西悟

    家西分科員 時間がありませんので、端的に答えていただいて結構です。  先ほど指摘しました大淀町の住民も、何が心配なのかというと、電磁波が人体に及ぼす影響に尽きるのです。住民の立場に立って考えて、現在立っていると万七千ボルトの送電線の鉄塔でさえ嫌なんです。雨の日にはジージーと鳴り響く音が物すごい。これが五十万ボルトになったときのことを考えたときに、そこに住む人たちの気持ちを考えたことがおありなんでしょうか。  それと、近年、アメリカ、ドイツ、スウェーデンなどでは行政がこの問題に関心を示し、政策化しつつあることを御存じのことと思います。エネルギー庁では電磁波は人体にとっては無害であるという立場をとっていますが、そうであるならば、福祉先進国のスウェーデンでは、地方自治体レベルで学校などの教育施設、保育施設周辺にある高圧送電線を撤去したり、施設の移転を行ったのはなぜなんでしょうか。スウェーデンでは、慎重なる回避、つまり不必要な被曝は避ける旨の政府見解が出されています。おそれのあるものについては、事故が起こる前に慎重に対処することが行政の責任だと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 岡本巖

    岡本政府委員 北野台の送電線の計画につきましては、私ども、まだ事業者から工事計画の認可申請という法律に基づく手続の申請を受けていないわけですが、これまで承知しているところでは、百メートルの非常に高い送電鉄塔をつくるということで、これは電界の地上への影響を小さくするという点と、今先生お話の中にもありました騒音のようなものを、できるだけ地上での影響を小さくするという観点から、非常に高い鉄塔で計画されているわけでございます。  それから、二番目にお話のございました外国の例、特にスウェーデンの点でございますが、スウェーデンは確かに慎重な回避の方針というのを国が打ち出しているわけでございますが、そこにおける考え方は、磁界の大きさが通常から極端に逸脱する場合において、被害者一名を減らすのに必要な経費というものを計算して、合理的と思われる範囲内で対策をとるということを推奨する、そういう考え方のものと聞いております。この対策の経費ということについて、放射能被害の場合にはスウェーデンのように定量的な基準というのがあるわけですが、送電線の場合についてはそういうものは示されていないというふうに承知をいたしております。いずれにしましてもさきほどもうしましたように、私ども科学的な知見の解明ということには引き続き意を用いていきたいと思っておりますが、現状において送電線の電磁波のレベルというのは数十ミリガウスから最大でも二百ミリガウスということでございまして、先生お話にもありましたドイツが基準としております千ミリガウスというものを優にクリアできる、そういうレベルのものでございますので、まずもっては、計画をしている事業者が住民の方々にこの辺のことを丁寧に御説明を申し上げるように、私どもとしても指導してまいりたいと考えております。
  96. 家西悟

    家西分科員 では、私の経験に基づいて意見を申し上げます。  一九八三年のHIV問題が起きたときに、国は安全であることを強調し、対処がおくれ、後手後手に回ったので、私自身を含めて薬害エイズの被害がこのように広がったわけです。電磁波の人体に対する影響があるのかないのか、今のところ白黒はっきりしていないことは承知しています。少なくとも、がんや白血病の原因が指摘されている中で、今のような対応が許されるべきでしょうか。薬害エイズ事件は、戦後の厚生行政史上、大変な汚点を残したことはだれもが認めるところです。ことし三月二十九日で和解一周年を迎えます。行政や製薬会社は謝りましたが、それでも患者の体が回復したわけではないことを忘れてはなりません。  ところで、昨年、PL法が施行されましたが、電磁波に関する万一の事故が起こった場合、PL法に基づいて製造物責任をとってくれるというのでしょうか。薬害エイズのように時間がたってから危険が判明した場合、一体だれが、どういう形で責任を明確にするか、責任の所在を明らかにされたい。  以上、よろしくお願いいたします。
  97. 岡本巖

    岡本政府委員 PL法との関係については、突然のお尋ねで、私ども十分法律的に勉強しておりませんので、改めて勉強させていただきたいと思います。  それから、先生の電磁波の影響についての御懸念は私どもも重く受けとめたいと思いますけれども、他方で、WHOが、五万ミリガウスまでの電磁波について人の健康への影響ありということは言えないということを発表しているわけでございます。先ほど申しましたように、国内の送電線というのは数十ミリガウス、最高でも二百ミリガウスということで、電磁波というものを発生する施設にはいろいろなものがあるわけでございますが、私ども、今問題になっております送電線につきましては、国際的にも、それから国内で、冒頭申しました通産省の中の医学、工学関係のそれこそ専門家の方々に御審議をいただいた結果として、人の健康への影響ありということは今言えないという結論をいただいているところでございますので、その辺の事情については御理解を賜りたいと思います。  私ども、引き続き科学的な知見の解明という点については努力を払ってまいる所存でございます。
  98. 家西悟

    家西分科員 先ほどからWHOのことで言われていますけれどもアメリカや北欧では、二ミリ、三ミリガウスの電磁波でも学校と児童の施設の近くでは鉄塔の除去をしたり、そして、WHOは九六年、昨年の六月に、五年計画で本格的な調査を再度行うということを言っていますね。そして、エネルギー庁などの報告で、電磁界の影響に関する調査報告で明確な証拠は認められないということで言われていますけれども、これはまさしく薬害エイズの、八三年、八四年、八五年当時、被害者の私たちに厚生省が説明したことと何ら変わりないことだと思うのですよ。因果関係が認められない、だから何もしない、そして被害をもたらしたときには、責任がない、当時としては知り得なかったということをるる言われてきたわけです。こういうことがあるからこそ、慎重なる回避というものはなぜやれないのかということをお尋ねしているのです。お願いいたします。
  99. 岡本巖

    岡本政府委員 送電線の電磁波の問題につきまして、内外でいろいろな調査研究の結果が発表され、そういう中で、スウェーデンもそうでございますが、アメリカの一部の州で規制をするという動きもございました。ただ、その場合でも、どんなに低くても二百ミリガウスというところで規制はされているわけでございますが、そういう中にあって、アメリカ議会の要請を受けて全米科学財団が本当に三年越しの精査をやって、去年十月にああいう結果を出された、そういう状況でございまして、私ども、引き続きこの点について、決して楽観はしないで、十分に注意を払いながら内外の研究というものをフォローしていく必要があると考えております。  他方で、先生にも御理解をいただきたいのでございますけれども、今問題になっている北野台の送電線の場合でいえば、今でも近畿のエリアというのは、ほかの地域から電力の融通を受けて夏のピークの需要を賄っている状況なわけでございます。そういう中にあって、紀伊水道を挟んだ向かい側の火力の電源を近畿に持ってくる、そのための基幹送電線として計画されているものというふうに私ども承知しておりますが、遠く離れた電源から需要地に電気を運ぶ、そのための送電コストを考えた場合に、基幹送電線のようなものの建設がこれからも必要であるということについては御理解をいただけたらと存じます。
  100. 家西悟

    家西分科員 私も、送電事業というか電力事業というものは否定するものでは何らありません。地元住民も否定していません。何を言っているのかというと、住宅地の中に五十万ボルトの鉄塔を建てるよりも、やはり吉野の山間部です、周りは山ばかりです、そういったところになぜルートをつくらないのか、わざわざ住宅地の中を通すことが必要なのかということを訴えているだけであります。そして、その五十万ボルトの送電先というものは、私の郷里というか地元です。生活している場所です。そこへ送電される部分だということは知っています。ですけれども、そういったところを回避するような政策というか、そういうのが行政としての姿ではないのか。住宅地を避けて、山間部があるのなら山間部を通すということの対応を言っているわけであります。  次の質問に移らせていただきます。  本年の一月二十二日、早朝の四時、関西電力が抜き打ちで工事を開始しました。以来、住民と関電とのにらみ合いが続いているそうです。関電のやり方は非常識だと言わざるを得ない。朝の四時からそういうような強行の抜き打ち工事を、ボーリング調査を行うということが果たして許されるのかということを私はあえて言わせていただきます。  そして、地元の反対住民が昨年五月十六日、東京の各行政に陳情に来たときの話ですけれども、当時の総務庁長官は、普通は山の上を通すんだがなという発言をされています。そしてまた、当時の通産省の政務次官は、地域の皆さんが納得できるように、また安全に路線を設定することが大事と発言されています。地域の住民の九四・四%が反対しているところに強行して鉄塔を建設することが果たして民主国家と言えるのでしょうか。大臣、御答弁をお願いいたします。
  101. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 この問題は、先月の二十日、参議院の商工委員会で提起されました。私自身、不敏にしてその時点でこのことを知りまして、直ちに関西電力の方に照会いたしました。まず言えることは、あくまでも、送電事業の場合にはやはり地域関係住民とよく話し合って、その理解を得るということが前提であることは言うまでもございません。  そこで、今申したように、二月二十日以降、地元の住民と関西電力の対話が始まってまいりました。そこで、私たち通産省といたしましては、関西電力に対して、地元住民に対して誠実な対応、これに取り組むよう指導しております。朝の質問でも御答弁申し上げましたが、この誠実な対応という中にはルート変更も含んでいる、こういうことを御承知願いたいと思います。
  102. 家西悟

    家西分科員 誠実なる対応というものは、住民が寝ずの番をしてテントをつくったりするようなことではなくて、まず、やはり安心して生活できる環境をつくることだと思います。そして、冷静にお互いに話し合える環境を整えることが第一だと思います。今のやり方では、決して住民は納得できないと思います。朝四時からそういうような工事を行うということは、本当に非常識きわまりないと思いますね。そういうところがある以上、住民は、幾ら誠心誠意話し合いの場を持ちたいと関西電力が申請したところで、受け入れられるような話ではないと私は思います。やはりそういうような抜き打ち的なことはやめて、こういう事業がやりたいのだ、だけれども住民の人たちが反対するのならば、その意向に沿うような形でルートの変更をするための努力をすることが行政としてまず肝要ではないかと私は思います。  次の質問をさせていただきます。  送電線建設の条件についてお伺いしたいと思いますけれども、市街地その他人家の密集地における送電線の設置について、通産省令電気設備技術基準の百十一条において、十七万ボルトを超える特別高圧架空電線路の建設が制限されていますが、平成四年の資源エネルギー庁公益事業部が出した解説に従えば、市街地その他人家の密集地域に新たに電線路を建設する場合は、あらかじめ十分な調査を行い、対策を講ずるべきだとされています。この点に関してはどうお考えなのか。  それと、ルート変更についてもお伺いいたします。周りを吉野の山林に囲まれているにもかかわらず、鉄塔建設ルートは北野台住宅地を通さなければならないその必然性、その理由が私には到底理解できないのです。地元の町長も反対の態度を明確にしています。町長にあっせんの労をお願いして、代替用地の確保を目指すよう行政として側面的な力をかすことが責任ある行政のあるべき姿だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  103. 岡本巖

    岡本政府委員 技術基準の百十一条は、先ほど先生がお読みになられたとおりでございまして、市街地近接性の判断をするために、両側五十メートル、長さ五百メートル、計五ヘクタールの中で建ぺい率が二五ないし三〇%以上という考え方で審査をすることにいたしております。  それから、ルート変更の点につきましては、地元の自治会との約束で、話し合いをするという場合に従来からそれも議題に含めて議論をするということになっておりまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたが、会社の側は二月三日以降工事は中断をして、そういう中で二月二十日から話し合いが実際に再開されて両方がテーブルに着くということで、自治会のみならず地元の住民の代表の方も参加をして話し合いが始まったところでございまして、そういう中で双方で十分お話しをいただくべきテーマの一つというふうに考えております。
  104. 家西悟

    家西分科員 ルート変更というものはたやすいことかどうかというのは、いろいろあると思います、経済的な問題とか。しかし、九四・四%の地域住民が、通さないでくれ、ルートを山間部に持っていってくれと言っているだけであって、そのための努力をしてほしいということを言っているわけですよね。そして、二ミリガウスの電磁波を受けることによって子供の白血病の発症率が二・数倍とか、三ミリガウスで三・八倍というようなことを書いていましたけれども、そういうようなことを皆さん非常に心配されているわけですよ。子供たちが影響を受けないのか、そして、ようやく買ったマイホームの近くにそういうものができて、そこに住んでいることによって子供たちがそういう被害をこうむらないのかということを最も懸念されているわけですよね。そういうときに、行政として慎重なる回避ということをぜひともお願いしたいと思います。  八三年にそれが行われなかったために、これだけの大きな被害をもたらした厚生省です。それと同じことを、同じ歩みをしないでいただきたい、通産省は。そうしないと、後になって、当時としては知り得なかった、わからなかったということを述べられても意味がないと思います。そして、北野台を初め、それ以外の方々が同じような反対運動をされている中で、仮に被害が起こったときに、私のように何年もかけてこの場でこういうような発言をする人がないようにしていただきたい。そして、この問題が、三里塚闘争、そして薬害エイズ闘争のようなことにならないようにしていただきたい。慎重なる回避というものはそういうことを私はお願いしているわけです。そして、後になって、ああだった、こうだったと。  そして、今研究者の方々が調査をされるということですけれども、通産省にとって、国にとって都合のいい学者ばかり集めるのはやめていただきたい。やはり異論のある方、電磁波によって影響があるのだということを今述べられている人たち意見も取り入れた調査研究会でなければ意味がないと思います。安部英という方、元帝京大の安部英という方は、血友病の権威であり、エイズサーベイランス委員会の委員長までされた方です。しかし、今、御存じのとおり、薬害エイズの責任において刑事告発を受け、三月十日に初公判が行われます。そういうようなことを繰り返してはならないと私は思います。  私の言っているのは、危険を回避すること、それが行政にとっての最大の責務であり、そうすることが本来の行政の責任である、国民の生命を守り、財産を守ることだと思います。その辺について、大臣、お答え願えればありがたいのですけれども
  105. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の家西委員の体験からくる警告と申しましょうか、御発言、私お聞きしていて大変胸を打つものがございました。  ただ、この電力行政というか、それを推進する立場でいうと、やはり電力の安定供給ということも、これも重要な意味がございます。しかし、今のように、そうした場合に一つの基準ということになると、その当時の学者、そうした知識層の判断、またそうした資料に頼らざるを得ないという一面もあることは御認識願いたいと思うのです。  ただ、おっしゃるように、事が事だけに、先ほどから申しているように、この問題は、そうした電磁波の影響に関する研究調査のこれからの推移も見定めますし、同時に関西電力の方にもそうしたような注意をしてまいりたいと思います。  そして、結論的には、先ほどから申し上げているように、地域住民と本当に十分な話し合いの末、本問題を解決して、そして早く送電設備ができて、安定供給に資していきたい、かように考えております。
  106. 家西悟

    家西分科員 ぜひとも、不必要な被曝を避けるような慎重なる回避ということをお願いしたいと思います。  そして、最後になりましたけれども、この質問をさせていただきます。  経済的なコストばかり考えている行政から脱していかないと、これから生まれてくる子供たちに将来大きなツケを回すことになりかねないのではないでしょうか。本当の意味で、人の命を大切にし、人権を尊重する国にしていきたいと切望してやみません。  そこで、将来の日本エネルギー政策について真剣にお考えいただきたい。大規模な火力発電所や原発から大規模送電線を使ってエネルギーを供給する道を今後も続けていくつもりなのか。これからは、小規模な水力や地熱、太陽熱、風力など地域規模のエネルギー供給に視点を移す必要もあると思います。国が新しいエネルギー開発に比重を移さない限り、いつまでたっても第二、第三の吉野問題は発生するし、解決していかなければならないと思いますけども、新エネルギーについて、通産省の方のお考えをお伺いしたいと思います。
  107. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃるように、これからのエネルギーセキュリティーの確保、あるいはまた地球環境問題への対応ということからいえば、新エネルギーの開発、導入ということは、これはもう大変重要な問題です。しかし、その前に大事なことは、まず徹底した省エネというものに我々は心がけなければいけない。  御存じのように、大分産業界においては省エネという考え方も徹底してまいりましたが、どうも民生あるいは運輸、こうした部門においては省エネがまだ徹底していない。これが大事だと思うのです。これには、今委員も御指摘のように、一般の消費者に対するそうした教育という問題が必要だと思いますし、そしてそれに基づいて新エネ、御存じのようにこれはコストの問題を言われます。しかし、そこまでも努力して、新エネでもって人体にもより安全というか、そういうものをやはり見出していかなければいけないと思います。  そういうことからいって、実は本国会に新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法案、こういうものを提出している次第でございます。こういうことでもって、政府国民の新エネルギーに対する取り組み、これの明確化を図っていきたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。
  108. 家西悟

    家西分科員 最後にお願いです。どうぞ慎重なる回避を、そして厚生省のようなことにならないように、通産省として努力を期待したいと思いますし、ルート変更の方、ぜひともお考えいただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  109. 高橋一郎

    高橋主査 これにて家西悟君の質疑は終了いたしました。  次に、金子満広君。
  110. 金子満広

    金子(満)分科員 限定された時間でありますから、前置きは抜きにして、いきなり石材産業の危機とその打開についての政府の見解を聞きたいと思います。  御承知と思いますが、石材というのは国民の生活文化に密着してきた伝統的なものであります。したがって、この石材については全国各地に主要な産地があります。福島、茨城、岐阜、愛知、香川などがそうでありますけれども、そうした中で、今石材産業が外国からの石材と石材製品の膨大な輸入によって大変な危機にある。しかも輸入製品が、価格破壊どころの話じゃないのですね、例えば製品でも地蔵様の像、輸入が一万円で国産は二十万円だ、品質のでき、ふできは別として。そういうような状態にまでなっている。  そういう中で、今石材産業の業界誌も、これは全国版でありますけれども、「石材産業の現況」として、「わが国の石材産業の現況は、いまだかつてない大きな転換期を迎えている。墓石業界は、中国から輸入されている低価格製品の影響を受けて価格競争が激しく業界に大きな波紋を投げかけている。」これは九五年度版の資料ですけれども、そこで指摘されている点でいえば、中国からの輸入の花崗岩、この御影石は、製品だけでも一九九〇年六万三千トンが、九四年には何と六・六三倍の四十一万九千トンになってきている、こういう大変な厳しい状態でありますけれども政府も概略はこういうものがあるということは御存じだと思いますが、いかがですか。
  111. 村田成二

    村田政府委員 お答え申し上げます。  ただいままさしく先生指摘のように、特に近年中国製品を中心といたしまして、輸入のシェアが非常に高まってきております。  墓石についての御指摘がございましたが、石材並びに完成品を含めまして、中国等々からのシェアが過半を超えている、六割、七割に達しようとしているという実態はよく存じ上げているつもりでございます。
  112. 金子満広

    金子(満)分科員 そこで、全国の石材産業の中で全国一のシェアを持っているのが茨城県なんですね。私も選挙で行っているうちに石をだんだん覚えたら、深刻な事態になっているということを聞きました。これは党派を超えてだれも同じことを言うわけですね。  その茨城県の西部、俗に言う筑波山、加波山の山ろくには現在約二千を数える事業所があります。そして、一大産地をなしているわけですね。こういう中で、今、石材産業の危機というのは、転廃業問題が深刻な問題になっている。同時に、従業員の数が激減しているというのは、失業しているという意味にもなります。そういう深刻な事態をどう打開するかという中で、関係業界はもちろんのことですけれども、茨城の石材業を守る、発展させるということから、今運動が非常に大きく盛り上がっています。  特に、関係自治体は、税収減で予想もできなかったような危機に陥っている。きょうは、このことについて現地の事業関係の方、業者関係や地方自治体関係の方も傍聴に見えておりますけれども、そういう中で、今の輸入の問題を考えると、規制はゼロなんですね。今正確に通産省の担当官からお話がありました。事態はそういうことなんですね。  この事態をただ見ているということは、規制なしに、ルールなき輸入がされているということになる。しかも、価格破壊の大量輸入ということになりますから、この輸入を何とかできないものか、規制できないものか、そういう点で今悲痛な叫びが業界から出ているし、自治体からもこれはたくさんあるんですね。そういう意味で、どんなことができるか検討してほしいと思いますが、いかがでしょう。
  113. 村田成二

    村田政府委員 お答え申し上げます。  確かに輸入の増等々によりまして、いろいろな問題が出てきていると認識はいたしております。ただ、先生よく御案内のように、WTOあるいは世界自由貿易秩序のもとで輸入対策を直ちに政府が講ずるというのもなかなか難しいわけでございます。したがいまして、いかにしてこういった石材産業の抱えている問題、あるいは将来に向けて前向きにどういう対策をとっていけるかという点を中心に考えてまいりたい、かように思っている次第でございます。
  114. 金子満広

    金子(満)分科員 現状の認識はお互いにあるわけですけれども、さあ、どう打開するかという点では、今直ちにWTOによる措置をとることも難しいというお話がありました。日本も加盟しているわけですが、そのWTO協定の中で、特定の産品の輸入が急増し国内産業に被害が及ぶ場合、一定の条件下で緊急避難として関税の引き上げまたは輸入数量制限措置をとることが認められているわけなんですね。これは別に無理じゃなくて条文はそうなっているのですけれども、この発動がなかなかできない。  できないというにはまたそれなりの理由があるわけですけれども、悪い言葉で恐縮ですけれども、見て見ぬふりをするというか、輸入は急増だ、価格破壊だ、業界は大変だ、なるほど転廃業がきょうもあしたも、失業者数多いな、お気の毒ですねだけでは、これはえらいのんきな話になるわけで、今ここでどうということじゃありませんけれども、こういう深刻な事態に直面しているということで、通産省の担当官、現地の声を直接聞いてみたらどうか、そういう点で現地調査なども考えたらどうか、これが一つですね。  それから、輸入問題については、その上でもう少し何らかの手が打てないか。ここには関税という問題がありますけれども日本の場合は関税をだんだん下げてきてついにゼロになっちゃった。これは佐藤さんが大臣になる前のことですから関係ないのですけれども、そういう事態が進んでいて、もうこれ以上下がれといったって後ろへ下がる土俵はないのですね。そこの貿易、輸入ということで何ができるかといったら、業界はできない、自治体もできない、そして代議士もできない。通産省、政府がその気になって何かしないとできない。  その点も考えて、現地調査の点と、今すぐ何かこういうことはできないかという検討をしてみてほしいという点は、佐藤さんが大臣をやっているうちにぜひやってほしい、こういう意味で問題を提起するわけです。
  115. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 実は、金子委員から石材の話が出るとお聞きしましたが、私のイメージにはどうしても下町の金子満広というイメージが強かったので、戸惑っているわけでございます。  今御指摘の点は、私なりにも理解できる点がございます。特に地元産業が衰退しそうだということになると、これはどの国会議員、どの政党の問題ではない、超党派の問題だろうと思います。茨城県の方は我が党でも有力な議員が出ておりまして、内閣の中にも重要な地位を占めている人もおります。そういうことからいって、今のように少し研究してみろというお話研究はしないというわけにいきません。真摯に研究してみたいと思いますから、しばらくお待ち願いたいと思います。
  116. 金子満広

    金子(満)分科員 それでは、研究してできるだけ早く結論的なものを出してほしいと思うのですね。その上に立って、次に若干具体的な問題でお聞きしたいのです。  私は、先日現地へ行って、業者の方々にも会っていろいろ説明を聞きました。また、各自治体の担当者からも聞きました。訴えられることに差異は全然ないのです。何党であっても同じですね。そういう点を強く感じたわけですけれども、その実情を聞き、そこから出ている要望の中で、業者や自治体関係者がひとしく訴えていたことは、この危機の打開について国が何か法的な援助措置がとれないかという問題なのです。  こういう点について、昨年の夏、我が党の矢島恒夫議員などが通産省の担当官に会っていろいろ交渉した中で出ていることもあり、言ってみれば活性化法を適用してほしいということなのです。通産省もそこは非常によく考えていると私は判断いたしました。そのときも、真壁、笠間などの石材業が臨時措置法の対象となる、県から申請があれば条件を確認の上法を適用し石材業の活性化を援助する、これはかなり前向きで積極的な対応があったと思うのですね。  そういう中で、去年十二月に茨城の県議会が開かれた。そこで、これは通産省の方はよく知っている方ですけれども、商工部長の前野さんは、県議会の答弁で、国の支援制度を積極的に活用することも重要と考えられますので、地場産業等の振興を目的とする特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法を本県石材業へ適用するよう国に働きかけ、業界の今後の動向の把握や新たな需要先の開拓、デザインの改良等を支援していきたいと考えております、こういうことで答弁をされ、県議会の問題にもなった。ここまで広くなった中で、今度は通産省にも請願、陳情に来ているわけです。  それに対して、通産省の担当官は次のように答えている。これは現地ではかなり大きな話にもなっていますし、私の部屋でも改めて聞きましたが、県の担当者から二度相談があり、適用要件を満たせば適用したい旨伝えてあります、これは非常に積極的だと私は思うのですね。  そういう点で考えてみると、反対する人もだれもいないわけだ。ですから、佐藤通産大臣、時間が過ぎれば過ぎるほど転廃業がふえて失業者がふえてくるのですから、一日も早くこれを適用できるようにやってほしいと思いますが、どうでしょう。
  117. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今金子委員指摘の活性化法は、計画の承認については都道府県からの申請が前提となっております。したがって、茨城県の笠間地域の石材産業の集積に関する活性化法の適用については、集積の実態、活性化の目標及び各種事業内容の適切性、有効性等、茨城県の策定した計画の内容を総合的に勘案して判断する、こうなっております。  ですから、今委員指摘のように、細かい要件は大体どういうものだということはおわかりだと思いますので今は省きますが、県の方にプッシュされたらいかがなものだろうかと思います。
  118. 金子満広

    金子(満)分科員 大変積極的な答弁で、業者の方は県に対してもプッシュするという、これは当然やられることだろうし、今やっているわけですね。活性化法で適用を受ける内容というのは数字的には全部合っているのです。ですから、そういう点で早急に、これは大臣の方は出てくれば実施するというお答えですから、私どもも進めていきたいと思うのです。  そこで、それとも関連するのですけれども輸入製品という点で見ると、これが輸入でこれが国産だというのは一日で見て私なんかも全然わからないのですね。行ってみて説明されたらすぐわかるのです。専門家は見れば一遍でわかりますけれども大臣、これは輸入品と国産品なのです。これはどちらかと言われてすっと答えられる人はいないのです。いなくたって別にどうということはないのですけれども、これが中国産の花歯岩、これが現地の茨城の花崗岩なのです。この二つを見て、ああ、そうだと一目でわかる表示が必要ではないか、特に原材料よりも製品について。いろいろなところから要望がたくさん出ているのは、石材製品の原産国表示を徹底できないかという問題なのです。  思えば、これは別に秘密ではないのですね。そして、秘密でなかったら出してもいいではないか。ただ、こちらが高くてこちらが安い、安い方を使って国産品だと言わんばかりの、あるいは黙ってやれば安い原料で高く売れるとか、こういうことはあるかもしらぬけれども、これは通産省としてもいいことではないというのはすぐおわかりだと思うのです。原産国表示は難しいけれども何とかできないか、その点は私は検討に値すると思いますが、いかがでしょう。
  119. 村田成二

    村田政府委員 お答えを申し上げます。  いろいろ日本製の製品を売られる際に、一つの大きなセールスポイントがあるとすれば、日本の熟達された非常に技能の高い方々によって加工され、製作されたものである、ないしは産地として伝統工芸士等々の方々が非常に伝統的な技能に基づいてつくられたものである等々、いろいろなセールスポイントがあると思います。そのセールスポイントについてきちっと表示をされるということ自体は別に全く問題ないわけでございます。  ところが、中国製であるとかあるいはほかの国の製品であるというようなことをもってそこを区別しよう、差別しようということになりますと、これはなかなか簡単にいきませんで、やはりWTOのTBT協定というのがございますが、貿易の技術的障害に関する協定といいますけれども、このTBT協定でも貿易上の不必要な障害にならないこととか、いろいろなことが要件としてかぶっているわけでございます。  したがいまして、できることならば、まずは日本製であるということを積極的に何らかの形で大きく表示され、そして、それを逆に輸入品が偽って表示するという場合には、これは公正取引委員会の所管になりますけれども不当表示防止法というところで違反をきちっと厳正に対処していくという方法が当面とるべき方法かと思います。
  120. 金子満広

    金子(満)分科員 表示することは別に差別じゃないわけなんです。商品によっては、これがブランド製品ですとどんどん宣伝するものもあるわけですね。ここだけは隠すという一般的風潮が出ているわけですから、国産品を正確に宣伝をすると同時に、それとの対比でどうだということはやれるわけです。そういう意味で、この原産国表示というものも、きょうで答えが終わったんじゃなくて、まだ今後も続きますから、検討してほしいと思いますね。  そこで、もう一つは、活性化法の適用で石材産業の振興という内容の一つに、いろいろな研究の問題とか何かあるわけですけれども、石材加工で出る石の破片、現地へ私も行ってコッパという言葉を覚えました。これは、大和村の役場で村長さんや議長さんのお話の中で、これがコッパですと出された花崗岩の破片なんですね。こういうのを見ると、コッパというのは何か毒性があるんじゃないか、産業廃棄物だと構えるとすごいという感じを持つわけです。これは別に毒性どころの話じゃなくて、戦後なんかはトイレの浄化装置にみんな使ったぐらいですから、清潔に通ずるものなんです。  この茨城県の御影石、現地では稲田御影、羽黒御影、真壁御影、御存じのように種類があるのですけれども、これは石碑、墓石とか石灯籠とか、建築材料にうんと使われているわけですね。だから、汚いどころの話じゃなくて、現実に見れば、それぞれの自治体が苦労していっぱい物をつくって宣伝しているのです。例えば、こういう御影石でいえば、成田山の新勝寺にも使ってあるし、そこの芝の増上寺もそうだ。柴又の帝釈天もそうだ。神田明神もみんなこの御影石を使っているし、大体国会の入口がこれなんですね。そして、最高裁判所もそうだし、迎賓館もそうだ。東京駅もそうで、日本銀行もと、みんな使っているわけですから、そういう意味でいえば、非常にいい石材なんですね。  問題は、このコッパの処理の問題。これは業者にしても、莫大に出るから物すごく費用がかかる。それから自治体も、どこに捨ててどうするかでこの処理に困るわけですね。ですから、一地方自治体や一業界ではどうにもならないのです。そのことがまた悲鳴のようになって出てくるのですね。  そういう点で、このコッパと言われる石材の活用、再利用研究してみたらどうか。これは通産省だけでなくて建設その他にも関係があると思いますけれども、ぜひ通産省が旗を振ってもらって——かつてはこれを業者が買っていたんだ。いろいろ道路や何かに使う、川底の石と同じようにセメントにできるわけですから。ところが、今は荷厄介になっているので、これをぜひ各省庁とも相談をして、河川の堤防とか、それから最近は多自然型の護岸とよく言われている——川の洪水を防ぐためにコンクリートだけでやってしまって、だから魚もすめないというようなことが随所に見られるわけですね。そういう点についても、自然を破壊しない程度にこういうものを使って堤防をつくるとか、道路の舗装に使うとか、あるいは建築のための土台づくりに使うとか、霞ケ浦の護岸とか、そういう点にも使えるように、活性化法が適用されるとそういう研究もできますから、そういう点もぜひ新たな努力をやってほしい、こういうことをお願いするわけですが、大臣、どうでしょう。
  121. 村田成二

    村田政府委員 お答え申し上げます。  先生よく御案内のように、今御指摘になられた茨城県の石材産地で年間約七万トンぐらいの石材の廃棄物が出るということで、県の方も路盤材などに活用できないかという研究を進めているようでございますけれども基本的に、私どもといたしまして、石材廃棄物につきましては、資源の有効利用、有効活用という点からも、あるいは廃棄物の減少という点からも、積極的に取り組んでいくべきものというふうに考えております。  今御指摘になられましたように、集積活性化法の仕組みとしまして、中小企業、組合等が具体的に新商品、新技術の開発というプランをお持ちの場合には、国と県と二分の一ずつ費用負担のもとにそういった開発促進の助成を行うという仕組みが用意されておりますので、集積活性化法に基づく計画承認、それからまた地元の組合の皆さんからの御要望等々が出てまいりますれば、いろいろな具体的な方策について検討を進められるものというふうに考えております。
  122. 金子満広

    金子(満)分科員 ぜひそういう方向で努力をお願いしたいと思うのですね。  時間がございませんから、最後に、真壁の石灯籠というのが二年前に通産省から伝統工芸品に指定をされました。これは、現地にとっては三百年の伝統があるわけですから、社会的にもここで大きく認められた。これは誇りであると同時に、この石灯籠産業を守っていくということは大きな責任でもある、こういう点で大変な感動が地元にはあるわけです。  そこで一つの問題は、伝統工芸品をつくる伝統工芸士というのがあります。この真壁では現在二十一名が伝統工芸士の資格を持っているわけですけれども、先般調査に行って、会長さん、副会長さんにも会いました。そしてまた、会員の方も言うわけですけれども、伝統工芸品に指定された、そして伝統工芸士になったけれども、この伝統工芸士というのは五年に一遍書きかえるんだ、何か車の免許証みたいに書きかえる、一回七千円だとか言っていました。七千円取って国家財政にプラスなんというのはおかしな話です。  そこで指摘されたのは、労働省担当で技能士の認定があるわけですね。一級技能士、二級技能士とありますけれども、今、百三十三業種あるそうです、労働省の方。それで認定を受けているのが二百十万人いるそうです。それは家内工業のようなものから電気の関係、しかも、今は無線まで含めてある。その技能士は、一たん資格を取ると終身資格になっている。  ところが、伝統工芸士の方は、この法律でもはっきりしているのですけれども、手作業でなければならない前提があるわけです。ですから、一度手にした技術、技量というのは持ち続けるわけですね。ただし、それがなくなるのは、亡くなればこれは消滅する、寝たきりになれば資格は持っていても使えない。こういうのはありますけれども、私は、寝たきりになっても、こういう名誉ある工芸士の認定の資格というのは終身であっていいのじゃないか。これが、思いやりだけじゃなくて、伝統工芸を守っていく通産省の立場じゃないか。ないそでは振れないというけれども、これはそではなくても振れるわけですから、そういう点でぜひ終身資格にしてもらえないだろうか、この点を最後に伺っておきたいと思うのです。
  123. 村田成二

    村田政府委員 まず、伝統工芸士制度に対します御評価、厚く感謝申し上げます。  先生も御指摘になられましたように、技能士の場合には二百十万人ということで、これは基本的に本人の就職を前提としまして、やはり働く人の技能と地位の向上を図る、こういう趣旨で成り立っているわけでございますが、それと伝統工芸士というのは、若干趣が違うところがございます。  やはり伝統工芸士の方には、伝統的な技術、技法の権威ある保持者として、きちんと社会的に、後継者の育成、あるいはつくられたものを市場にきちんと出していっていただくことによる伝統技能、伝統工芸に対する評価の確立、そういったいろんな役割を期待しておるわけでございます。そういう意味合いからも、具体的に更新と申し上げましても、要するに五年間で期限が切れると申し上げましても、講習を受けていただくということだけでございますので、そうそう御負担にはなっていないのではないかという気がいたしております。  ただ、五年間でこうやってリボルビングしていくのが本当にいいのかどうか、そこいらはやはり現在の伝統工芸士制度全体をいろいろ見直していかなければいかぬ要請もございます。それからまた、正直申し上げれば、平成四年につくられたといいますか、通産大臣の認定事業になったわけでございます。したがいまして、そのときには、五年間ぐらい様子を見ようということでこういった制度にした経緯もあるやに聞いておりますので、全体的な見直しの中で前向きにいろいろ検討してまいりたい、こう思います。
  124. 金子満広

    金子(満)分科員 前向きという言葉を聞きましたから、大臣、この点は本当によろしくお願いします。  私の質問を終わります。
  125. 高橋一郎

    高橋主査 これにて金子満広君の質疑は終了いたしました。  次に、中西績介君。
  126. 中西績介

    中西(績)分科員 三井三池炭鉱が去る二月十七日、企業側から閉山の通告がなされました。  振り返ってみますと、この炭鉱というのは、一八七三年に官営で始まり、そして三井資本が一八八九年にこれを払い下げを受けて以来、今までの総生産量が約三億トン、こういうことになってまいりますと、これでの利潤が相当追求されたということをおわかりいただけると思っております。  なおかつ、ここ二十年間の三池炭鉱に対する国の補助金というのは八百八十四億円に上っています。しかも、御存じのとおり、一九六三年、昭和三十八年に三川鉱の炭じん爆発、死亡者四百五十八名、重傷者六百七十五名、今なお苦しんでおるという状況で、こういう犠牲の中でこの炭鉱が経営されてきたということを考えますときに、民営化されて百八年の歴史を閉じるということは、今本当に残念でなりません。  そこで、時間がございませんから、私は、雇用問題を中心にただしながら、内容的に詰めていきたいと思っております。  私は、先般の調査に際しましても一番感じましたことは、企業責任が非常に希薄である、このことを嫌というほど感じました。その後に、今大変少なくなっておりますけれども、二百三十五万トンの生産。かつて、十年くらい前からしますと倍ですね、一人当たりの生産量。しかも、平均の年齢というのは四十七歳から八歳になるという状況ですから、高齢者が相当多い。こういう状況の中で、臨時請負まで含みますと千三百三十四名の離職者を出すということになります。解雇通知が出るわけです。この中で、地元を希望しておる人は約九〇%に上ると言われております。  そこで、私がいろいろ調べてみましたところでは、先般の調査のときもそうだったのですが、この炭鉱経営を中心にして発展してきた三井グループ、ここで、今までにわかっておるのが全国で二千三百名の求人があると言われておりますが、グループから五百人出ておるということであります。そのうち二百四十が九州地域内ということになります。  そうなってまいりますと、九〇%地元を希望しておるのに、通勤圏域はどれだけか、あるいは四十五歳以上はだめだということを言われておるだけに、実際に、その二百四十というのは果たして一握りではないかという感じがしてならぬわけですね。このこと一つをとってみても、首切りをするわけですから、企業の責任がどこにあるかと私は大変危惧をいたしております。  それとあわせまして、では、どのように動いたかということを調べてみますと、地元経済界に対して、例えば九州・山口経済連合会、あるいは九州経済同友会、あるいは福岡経済同友会、九州商工会議所連合会、福岡県商工会議所連合会、福岡商工会議所等、これに加えて自治体等を調べてみましても、どこ一つ行っていないのですよ、要請していない。通産局は、局長がこれ全部行っていますよね。  ですから、企業の方は首切りをして、何かないかと探してみて、千七百が二千三百になりましたとこの前我々に報告がありましたけれども、中身を聞いてみますとこのように、四十五歳以上はだめだとか非常に困難だとか、そういうように制限をしてまいりますと、その範疇に入る者はほとんどいないということになってしまうのです。だのに、こういう状況でありますから、私があえてここに挙げましたのは、内容的なものは別にいたしましても、行政の側は一応対応しているわけですから、これに対する行政の側の感想をお聞きしたいと私は思っております。ひとつお答えください。
  127. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 御存じのように、閉山提案がなされたという段階でございますので、それが受け入れられたという前提で物事をお話ししたいと思います。  この三井三池炭鉱の閉山というのは、中西委員指摘のように、百年余の長い歴史、そして一時期は国策、国のためということでもって、まさに黒ダイヤ、こんな異名のもとに、戦争中からそして戦後の復興期、こういうことで、ややもすると、企業の方も国策会社であったなどという甘い考え方を持っているのかもしれないなという気がするのです。  だけれども、今度の場合には、どこの責任ということじゃなくて、もちろん国も地方自治体も一生懸命、閉山された場合の支援策は講じてまいりますが、その際において、三井三池炭鉱並びにその親会社の三井鉱山というもの、これはやはり社会的責任というものがないというわけにいかないだろう、もっと積極的にこれからの地域の再開発、あるいはまた再雇用の問題に真剣に取り組んでもらいたいなと思うのが私の感想でございます。
  128. 中西績介

    中西(績)分科員 労働省、どなたでも結構ですから、こうした企業の態度、これに対する見解はありますか。
  129. 金子順一

    金子説明員 お答え申し上げます。  労働省といたしましても、やはり会社側として、十分その責任を自覚していただいて、雇用の受け皿確保に努めていただくということが大変重要だろうというように考えております。
  130. 中西績介

    中西(績)分科員 これはもう当然でありましす。やはり三井グループという大変強大な中における、かつてここは中心であったものですから、ランクづけからするとトップクラスにおって、資本金だとか現状からするともう下の方になっているんだけれども、まだ昔のそうした感覚というのが抜けずに、頭を下げるということをこの人たちは知らないんじゃないかと私は思っていますよ。  私はこの前もちょっと言ったのですけれども、首を切るということは一人の人間の生活を左右することになるわけですから、一人でも採用可能だということであれば、地べたに頭をすりつけてでも私だったらやるというんですよ。それくらいこの就労問題というのは大変重要なんだということを自覚してないこれが証左だということを私は指摘したいと思うのですね。  そこで、これは石炭部長でも結構ですが、石炭鉱業構造調整臨時措置法に基づいて新分野開拓事業計画を立てて、これに対して助成をするということになっていますね。それで、平成八年度、これらの問題についてあらかじめ対策等がどのようになされておるのか。もしおわかりであれば、過去の分も入れてどれくらいになっていますというようなことがわかれば……。
  131. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 三井鉱山グループとしましては、新分野開拓事業、これは平成四年度に制度が創設されておりますけれども、以来、大牟田市でトラックの架装事業、警備・ビルメンテナンス事業など十事業、それから荒尾市でホテル事業など二事業を行ってきております。  これら新規事業による新規雇用は数百名に上っておりまして、うち四十九人が炭鉱離職者となつております。事業によって業況とか雇用創出効果等にばらつきがございますけれども、全体として見ますと、厳しい経済状況の中にあってそれなりの効果を上げているのではないかと認識いたしております。  さらに、昨日でございますけれども、閉山提案を踏まえて三井鉱山グループから提出されておりました新分野開拓計画変更申請を承認いたしました。変更後の計画には、新たに建設・住宅関連資材製造加工業、コンテナ貨物輸送事業など十事業が三池地区における新規事業として追加されております。追加されました事業による新規雇用人員は、平成九年度から十三年度までの間に百六十九人が計画されております。  通産省としましては今後も、承認されました計画に沿って新分野の開拓に一層努力するよう会社を指導してまいりますとともに、無利子融資とか補助金などによりまして支援してしてまいりたいと考えております。
  132. 中西績介

    中西(績)分科員 ですから私は、今、十事業をこれから新しく変更申請をしたということでありますけれども、今、大牟田あるいは荒尾地区にそうした三井系の事業所なりなんなりがあるからということで、これらの問題についてももう少し積極的に措置をしておく必要があったし、特にこのような話はもう既にここ数年の間、閉山をということも含めていろいろ論議されてきているわけですから、このようなことをやはり十分考えておく必要があると思うんです。  それで、極端な言い方をしますと、今から十五、六年前に討論を我々やったんですけれども、そのとき、いろいろ困難な中でやっている石炭エネルギー、この利用あるいは生産のための措置をするためにいろいろな国の補助ということで要求    んを我々はしてきたんですけれども、そのときの答弁は、私企業でなくなってしまうのでできないと言っておったけれども、既に十六年たってみると、そのうち我々が主張した分はもう三分の二ぐらい入っているんですよね、補助事業の中に入っている。ですから、国営あるいは公社に近い手厚い措置をしてきておるという、こうした点からいたしましても、むしろそのことがあだになって、さっきのように、この就労、雇用という問題について余りにも無関心過ぎるではないかと思っております。  したがって、これは通産あるいは労働両省とも、これらの問題については徹底した指導を今後やっていくように指摘をしたいと思うわけでありますけれども、この点はもう回答要りませんが、ぜひこれを強めていただくように申し上げておきたいと思います。  そこでもう一つは、今解雇されようとしておる皆さんが一番心配しておられるのに、やめた時期に退職金支払いができるだろうか。その理由としては、今まで炭鉱閉鎖する場合、ここには余りにも坑口が多くあるし物すごく拡大されておりますから、これらが全部すぐということになれば相当時間的におくれていくんではないか、こういうことが言われています。  したがって、退職金支払いは弾力的に考えて措置をされるかどうか、この点について、交付金等についてお答えいただきたいと思います。
  133. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 退職金につきましては、かなりの部分が閉山交付金で賄われることになっております。この閉山交付金につきましては、通常、坑口の閉塞等が終わった段階で、個々の従業員の方に公示をいたしましてお支払いするという段取りになっているわけでございますが、坑口閉塞の一部特別許可を、例外の特別許可を与えるなどしまして速やかに交付するように努めてまいりたいと思っています。
  134. 中西績介

    中西(績)分科員 それともう一つは、財政的な面からいたしますと、これなんかはもう特に企業側が中心になってやらなくちゃならぬ問題でありますけれども、三池問題といえば必ず出てくるのが貯炭の問題。現在どれだけ残っておるのか、そしてこれらが販売の先行き見通しがあるかどうか、この点どうですか。
  135. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 三井三池炭鉱におきましては、閉山の時点で約百万トンの貯炭が見込まれているわけでございます。  通産省としましては、閉山対策が円滑に実施されるという観点から、唯一の需要業界でございます電力業界に対しまして、三井三池炭鉱の貯炭の引き取りについて協力をお願いしているところでございます。  通常、国内炭につきましては、毎年度、石炭鉱業審議会での審議を踏まえまして、電力業界による引き取り協力が行われているところでございますけれども、現在、電力業界において引き取りについて前向きに検討が進められていると認識いたしております。
  136. 中西績介

    中西(績)分科員 これは今までの分を全部清算するということになりますと、よほど指導なりあるいは企業が対応していかないと、この分だけでもまたいろいろ後に問題を残すことになるわけでありますから、そうした点について、ぜひ指導していただければと思います。  そこで、時間が余りありませんから、社有地の問題についてちょっとお聞きをしておきますが、大牟田の場合には、大牟田市の中に占める社有地は七・九%に上ると言われていますね。公共用地の場合が〇・二%程度です。これは借用地になつている。隣の荒尾の場合も大体似たり寄ったりになります。したがって、こうした問題があるだけに、例えば私が知っている範囲では、今の飯塚が、若者が集まり、大学設置をやったその土地というのは、日鉄鉱業が市に寄附をして返った土地である。国立大学で初めて情報工学部を設置されたときに分校をそこに設置して、ある意味において今国際的な発展をしておるわけです。  こういう問題等を考えるとき、企業側に聞きますと、借入金返済だとか担保の問題、第三担保まで入っているとかいろいろ言って、なかなかこれらの問題について明らかにしようとしておりません。したがって、これらの問題について、これから相当、市なり地元との折衝が始まると思っています。したがって、先ほどから私が指摘をしておりますように、企業責任として、百年以上そこでうんと利潤を上げてきたわけでありますだけに、わずかな土地だって結構ですから、やはり寄贈するというような基本的な姿勢、態度を示す必要があるのではないかと思うので、これはなかなか言いにくいだろうと思うけれども、これからもしいろいろ接触する機会があるといたしますならば、これらについても、多くの地方の皆さんの、自治体あたりを援助するためにも、ぜひそうした気持ちを伝えていただければと思います。
  137. 中村利雄

    ○中村(利)政府委員 三井鉱山グループが大牟田市、荒尾市におきまして広大な社有地を有しておりまして、そのうち学校など公共用地の施設に貸与しているということでございます。現在、その取り扱いが問題になっているのは私ども十分承知いたしております。  今後、三井石炭鉱業と地元自治体は、不用施設の除却でございますとか、ポンプ場等公共施設の移管などにつきまして協議を行っていく予定でございます。その中で、貸与されております公共施設敷地の取り扱いについても協議をしていくということになろうかと思っております。  いずれにいたしましても、私どもとしましては、会社に対しまして、企業の社会的責任を十分念頭に置いて、地元自治体と誠意を持って話し合いを行っていくよう指導してまいりたいと考えております。
  138. 中西績介

    中西(績)分科員 そのほか、自治省関係の助成措置だとか、あるいは中小企業対策だとか、挙げていきますとたくさんの民生的な問題だとかありますけれども、時間がございませんので、ここではそれくらいにいたしまして、あと労働省、時間ある限りお聞きをしたいと思います。  特に、これは最終的には詰めたお答えは要りませんけれども、例えば、退職後に発給される黒手帳、緑手帳の問題ですね。これにつきまして、石炭生産に直接かかわる者については黒手帳を発給されますけれども、炭鉱離職者の臨時措置法、これを見ますと、発給対象者にたくさんのものが挙げられまして、坑内での仕事だけでなしに、事務所、診療所、浴場、配給所等当該炭鉱に附属する施設における業務まで含みまして、あるいは採掘した石炭を処理、加工する施設であって、当該炭鉱に附属する業務というようなことまで含んで、広範な指定をしていますね。  ただ、私たちが心配をいたしておりますのは、同じ選炭をやっておるのだけれども、坑務所というところでやっておりますと、これらがいろいろ問題になってくるということをお聞きしています。したがって、これらについては、きょう結論は要りませんから、やっておるその仕事の中身というのは全く変わらないわけですね。そういう条件の中だけれども困難だというような声もありますので、ぜひこれについて再検討していただけるかどうか、お答えください。
  139. 金子順一

    金子説明員 お尋ねのございました炭鉱離職者求職手帳、いわゆる黒手帳と言っておりますけれども、これの発給に関する件でございます。  今先生指摘いただきましたように、基準といたしましては既に確立されたものがございます。今回、閉山という事態に至った場合には、この基準に基づきまして、それから実際にそれぞれの労働者の方がどういう仕事をされているかということをよく精査をさせていただきまして、迅速かつ適正な手帳の発給に努めてまいりたいというふうに考えております。  現段階では、地元の安定所を通じまして、こういう状況でございますので、事前の内々の調査は進めておりますが、今後離職という事態に至った場合には、そういった事前の調査の結果も踏まえて、さらによく調査をして適切に対応してまいりたいというように考えております。
  140. 中西績介

    中西(績)分科員 次に、離職者の訓練でございますけれども、職業訓練等について、希望する者に対しまして遅滞なく訓練を受けられるような体制をとっていただきたいという視点から、これらの問題について、所内の機能の強化だとか、あるいは訓練生のニーズに合った、一人か二人ではしようがありませんけれども、一定の数を占めるならば、科目設定等について配慮してやるべきではないだろうかと思っておりますけれども、この点についてどうでしょう。
  141. 下永吉優

    ○下永吉説明員 お答えいたします。  私ども、最終的には離職者に対しまして受講希望訓練科目等のアンケート調査をしようというふうに考えております。そのアンケート結果を十分尊重しながら、さらに地域の雇用動向等を総合的に勘案した上で、機動的かつ効果的な訓練を迅速にやっていこうというふうに考えておりますが、その結果によりましては、訓練枠の拡大、あるいは随時入校、あるいはまた非常に希望の多いものについては特別の訓練コースを設ける、あるいは自動車運転等につきましては教習所に委託訓練という形で委託して実施したい。また、数が相当数出てくるということが予想されます。既設の訓練校で対応し切れないという場合には、仮設の訓練校をつくりまして、そこで受講していただくというような案を積極的に考えていこうということで、今進んでいるところでございます。
  142. 中西績介

    中西(績)分科員 最後になりますけれども大臣先ほども申し上げましたように、ほかにもまだたくさんあります。もう時間が来ましたのであれなんですけれども、やはりこのほか、後でまたお聞きをしたいと思うけれども、鉱害問題だとかいろいろな問題がたくさんありますので、こうしたことに対する企業側の誠意がこれからどれだけあるかということによって、この地域の人の納得できる状況になるかどうかということ等もあります。しかし、先ほど私が申し上げたような雇用面におけるこのような措置の仕方では、やはり今までの国の施策とそれから私企業とのあり方、そして生産された炭価も決め、さらにまた販売先もある程度折衝して確保するという手厚い形の中でやっておるときだけに、さらになお一層の企業責任というのを逆に強く感じなきゃならぬけれども、これらについてぜひ大臣の方からも企業に対して、もしこれからお会いする機会なり、あるいはその機会がなければお呼びいただいてでも、こうした問題について話をしていただき、そして企業を督促をしていただく、この点についてどうでしょう。
  143. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 中西委員おっしゃるのはもっともでございます。  そこで、先ほど申しておるように、正式に閉山が決定した段階で、国からの閉山交付金を含めていろいろな助成措置もありますから、当然三井三池炭鉱の責任者と会う機会、接触する機会があると思います。そのときに、今のようなことを誠心誠意話してみようと思います。
  144. 中西績介

    中西(績)分科員 以上で終わります。
  145. 高橋一郎

    高橋主査 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木秀典君。
  146. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)分科員 民主党の佐々木秀典でございます。きょうは、中小企業の問題に絞ってお尋ねをしたいと存じます。  御案内のように、我が国で中小企業は、例えば事業所数では、六百四十七万事業所で全体の企業の中で九九・一%を占めております。それからまた、中小企業で働いている従業員の数も、四千二百二十七万人という膨大な数で全企業の七八%を占めるというように、これは通産省でおつくりになった資料の中でも明記されているわけです。  ただ、これまでの我が国の仕組みといいますか、経済的なシステムといいますか、それを通じて見ると、どうも大企業のシステムに偏って、偏ってというか、そちらに重点が置かれていたのではなかろうか。これは、戦後の日本の経済の復興などということを考えるとある程度はやむを得ない面もあるのでしょうけれども、しかしこれだけの経済発展、大企業を中心に来たとはいいながら、それを支えてきた中小企業の役割というのは、私は大変大きなものがあったろうと思うのです。しかしここで、この段階で、中小企業の位置というものを国民経済の健全な発展の主軸となり得る可能性を秘めている存在として再認識をする必要があるのじやなかろうかと私などは考えております。  私の地元の旭川市も、もうこれはまさに中小企業の町でありまして、大きな企業というのは、実は日本製紙、昔は国策パルプと言っておりましたけれども、現在は日本製紙に分合されて、これが唯一の大企業の工場ということになろうかと思うのですが、ほかはすべて中小企業。  幾つかの職種に分けますと、旭川というところはもともと製材の町、それから農業産品の主産地として栄えてきたのですけれども、この材木関係も非常に落ち込んできております。  そのほかには、今から三十数年ぐらい前からでしょうか、新しい地場の産業として北方材を使った家具、これに大変力が入りまして、一時期随分伸びてまいりまして、この製品に対する評価も非常に高かったわけですけれども、これが最近大変苦闘をしておりまして、この三年ぐらいの間に家具の地元のメーカーの中でも、例えば家具協同組合の組合長で理事長であった会社が倒産するなどということがありまして、むしろ大手が参っている。そんな中で、残った家具メーカーなどは、常設の展示場、地場産センターの協力もあるのですけれども、そのほかにかなり大きな展示会をやって、全国からたくさんの方々が引き合いに来られて、大変ないろいろな努力をしています。製品開発、新製品の開発もそうですけれども。  そのほかには、やはり木材、製材関係が、これも大変な苦労の中で頑張っていることは頑張っています。それとあとは商店、それからサービス業、こういうところが主なものになるのではないかなと思っておりますが、しかしいずれも一様に大変苦労しております。  きのうの朝日新聞だったでしょうか、大企業の方々に対して景気の回復状況、景況についてのアンケートが発表されておりましたけれども、経済企画庁などが言われておるように、緩やかな回復傾向というのがはっきりしてきておると言われてはおるのですが、しかし、私なども地元に帰って中小企業家の皆さんとおつき合いをし、お話し合いをすると、どうも景気の回復というのがなかなかそんなに身近に感じられない。特に北海道などの場合には、どうしても中央で景気が回復したということがあってから相当たってからおくれてその回復感が出てくるというようなことがあるのですが、それ以上に非常にいろいろな意味で厳しいと言われております。特に、四月から消費税が上がるというようなこと、もうこういうことも意識されておりますし、それからまた、最近議論されております公共事業の抑制というような雰囲気ですね、こうしたこともやはり厳しくなるんじゃないか。  もう一つは、先ほどの私の方の地元関係では、建設業、土木、建設関係が多いんですね、中小企業では。殊に下請さんが多いわけですけれども、この公共事業との関連では、こうした建設業の中小の企業が大変深刻な危機感を持っておるわけです。  それで、政府としてもいろいろ御配慮をいただいているのだろうと思うのですけれども、冒頭に申し上げましたように、どうもこれまで大企業の方に重きが置かれているのではないだろうか。かつて私の父親は、国会に参ります前に、中小企業の出でございまして、戦前は小さな店でしたけれども食料品店を経営したり、あるいは小さな製材会社を経営したり、そちらの方は余りうまくいかなかったようですけれども、しかし商店の経営では、やはりそれぞれが小さくばらばらにやっていたのではだめだということで声をかけて、旭川の専門店会を組織した。それが今大きく発展しておりますけれども、そういうような実績を持った上で国会に来た。  よく私ども子供のころに聞かされていたのですけれども、秀典、国会に行ってみたけれども、おれみたいな中小企業の出という議員は非常に少ない、自民党にももちろん少ないし、社会党にも少ないぞ、だから中小企業者の苦労というのを議員の中でもわかってもらうというのはなかなか大変なことだし、またその肌合いを知っている議員というのは意外に少ないものだということをよく聞かされておりました。  今はそういうことはなかろうとは思うのですけれども、しかしこの面で中小企業の位置づけ、これに対しての対策の必要性といいますか、この辺、大臣の御所見をひとつお伺いしたいと思います。
  147. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 佐々木委員にお答えいたしますが、今委員指摘のように、我が国の中小企業、数字の上では総事業所数の九九%あるいは従業者数の七八%ということで、雇用や国民生活を支えるという重大な意味と同時に、やはり地域経済の基盤として、また活発な創業を通じて経済活力の源泉となっている、そうした大きな役割を果たしている、こんな認識を持っていることは言うまでもありません。  他方、中小企業をめぐる景況でございますが、今委員指摘のように、我が国経済も緩やかながら回復の動きを続けているというものの、依然として中小企業をめぐるものは厳しいものがある、こんな認識をしているのです。特に、今申したように、大と中小というのは差があるし、もう一つはやはり地域格差というか、率直に言えば、東京、大阪のような大都市とそれから委員のいらっしゃる地方の都市、またその中で郡部、また北と南、あらゆるところでもって非常な格差を生じていると思います。  しかし、この中で工業の方というのは非常に上昇傾向にあると考えていいのではないだろうか。こう思うのは、今割と大企業、業種なら例えば自動車がいいとか家電がいいとか、そうするとそれにくっついている中小企業はいいと思うのですが、どうしても設備投資なんかの方で商業の方が非常に低迷している。実はこんな認識でございますので、通産省といたしましては、中小企業の方々が先行きに明るい見通しを持って現在の環境変化を乗り切っていけるよう、中小企業構造改革、経営の安定等中小企業対策に全力を尽くしてまいる所存でございます。  御存じのように、今我々が取り組んでいます経済構造改革、その中においても産業空洞化に対して新しい十五分野産業をつくり出すのですが、やはりこれの主力は中小企業の方でなければいかぬということで、一つはやはり物づくりだとか、またベンチャービジネスなんというのも中小企業の方に非常に期待しているということでございます。
  148. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)分科員 大臣がそういう点で万般の面に大変お心を砕いている、そしてまた地域の問題も御指摘いただいたというのは、私はまことに正鵠を得ている、こう思っております。  そこで、政府としての本年度予算案と政策、これは法律を含みますけれども、ここで今大臣が述べられたようなことをどういうように具体的に考えておられるのか、これをひとつ御指摘いただきたい。時間の関係もありますので、特徴的な点を簡単にお述べいただきたいと思います。
  149. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答えさせていただきます。  先ほど大臣から御答弁申しましたように、中小企業をめぐる環境は厳しゅうございまして、こういう厳しい環境の中で、中小企業の経営基盤の強化と構造改善を図るための対策というのを九年度施策に織り込んでいるところでございます。  具体的に申しますと、ちょっとお話がございましたけれども、まず空洞化の影響が懸念されております地域産業集積に対する支援策を抜本的に拡充することとしておりまして、今般、地域産業集積活性化法案を本国会に提出をいたしたところでございます。さらに、空洞化の懸念を払拭いたしまして経済の活性化を図るためには新規事業の育成も重要な課題でございまして、いわゆるエンゼル税制の導入などを盛り込みました中小企業創造活動促進法の一部改正案を本国会に提案しているところでございます。この他、経営基盤強化を図るための小規模企業対策であるとか中小小売商業対策とか、万般に至りましてきめ細かく対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  150. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)分科員 予算的にはどうですか。
  151. 石黒正大

    ○石黒政府委員 予算でございますけれども、九年度の予算につきましては、増額をいたしまして一千二百四十七億円という要求をさせていただいているところでございます。
  152. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)分科員 制度それから法律案の改正については、また当該の委員会での御審議もあるだろうと思いますし、私もまた別の機会にも詳しくお尋ねをして中小企業家の皆さんなどにお知らせをしたい、こう思っております。きょうは時間がありませんから、後ほどまたぜひそういう機会を御協力いただいてつくらせていただきたい、こう思っております。  そこで、一つは、今もお話が出ました新規事業あるいはベンチャー企業です。これの育成ということを政府は非常に強調しておられるわけですが、従来アメリカなどと比較をした場合に、ベンチャー企業の創業時に社会的な支援あるいは公的な支援ということが日本の場合どうも薄いのではないかというようなことを指摘される向きがあるのですけれども、今お話がありましたように、今度はこれに対しても相当力を入れていただけるものと私どもは期待しております。  同時に、お金がかかるわけですから、この支援の方策としての融資の問題。一つは、民間金融機関の融資について、例えば、どうしても不動産を担保にしてこれに頼るというようなことが一般的であることはわかるのです。しかし、金融機関の担保の評価、とり方など、去年私も予算委員会で、例の住専の問題で相当この辺が論議されましたが、何か中小企業などに対しては非常に厳しいけれども、例の住専に見られるように非常にずさんな担保評価もあったりしているわけですね。この辺、不動産にかわるような担保の方法というのは民間機関の融資についても考えられているのかどうか。例えば、無担保融資あるいは知的所有権などを担保化するというような方法ですね。この辺についてはまずどうなのか。それからもう一つは、中小企業金融の信用保証における対応でこういう弾力的な方法というのは考えられているのかどうか。  いずれにしても、中小企業の皆さんが新しく企業を起こそう、ベンチャーで頑張ろうというようなことを援助するような方法としては少し弾力的にお考えいただく必要があるのではなかろうかと思っているのですが、既にとられている方法あるいは新たに考えている方策などについてお示しをいただければと思います。
  153. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  今、ベンチャー企業への資金供給を円滑化する上で、民間の金融機関による融資は極めて重要であるという御意見をいただきました。この認識は我々と全く軌を一にするものでございます。  通産省におきましては、かねてより民間金融機関のベンチャー企業に対する融資を促進するという視点に立ちまして、ベンチャーエンタープライズセンター、頭文字をとりましてVECと呼んでおりますけれども、VECだとか産業基盤整備基金、こういった両機関からの債務保証、あるいは民間金融機関の融資の呼び水になります開銀の融資制度の創設、こういったようなことをやってきております。さらに、今御指摘のありましたように、物的財産、担保を持っておらないベンチャー企業でございますが、同時に、ベンチャーでございますのでこれからの事業に成功した暁の知的所有権というのはしっかりしたものを持つことになります。こういった知的財産権の担保化の促進を図る、こういったような各種の施策を講じてきておるところでございます。  こういった我々の呼びかけあるいは政策意図に呼応するような形で、各民間金融機関におきましてもベンチャー企業に対する支援を専門的に行う部署を最近どんどん設置いたしておりまして、我々と一体となるような形で、意思の疎通を図りつつベンチャー企業に対する融資を行っている。こういったような形で、今弾力的な施策の浸透を図っておるところでございます。  さらに、今先生指摘もございましたように、物的担保にかわるところでございますが、我々は平成八年三月に、知的財産権の価値評価方法等についての調査研究をいたしました。さらにその点につきましてしっかりした基準をつくりまして、民間金融機関の知的財産権を担保としました融資の弾力化、こういったものに努めていきたい、かように考えておるところでございます。
  154. 田島秀雄

    ○田島政府委員 先ほど指摘のありました中小企業の点につきまして補足をさせていただきます。  中小企業庁といたしましても、ベンチャー企業に対する支援というのは大変大事であると思っておりまして、補助金や税や融資や信用補完やあるいはベンチャー財団に対する直接金融といったようなことで、いろいろな多様な手段を投入いたしております。  融資や信用補完につきましては、まず政府系金融機関におきまして、新規事業貸付制度というものを平成七年の秋につくらせていただきました。これは担保徴求の特例というものも含んでおるものでございます。そのほかに中小企業創造法という法律、今国会に一部改正を御提案申し上げておりますが、この法律に基づいて認定を受けた中小企業に対しまして特別の低利融資の制度、それから別途、技術開発に関する低利融資の制度等々でベンチャー企業支援を申し上げているところであります。さらに信用保証につきましては、同じく創造法の認定を受けた企業につきましては信用保証協会の保証の特例といったような措置を講じておるところでございます。  今後ともベンチャー企業支援についてはいろいろ工夫をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  155. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)分科員 非常に意欲を持って頑張る中小企業、これに対する支援策、ぜひ国としてもあるいはその他の団体としても、その意欲をそぐことのないように、それをやはり力づけるような弾力的な施策を私は講じていただく必要があるだろうと思いますので、ぜひ、今お述べになったようなことをさらに積極的にお進めいただくようにお願いをしたいと思います。  それから、冒頭にもちょっと申し上げましたように、中小企業の皆さんはいろいろな不安感を抱えております。そこでのもう一つの不安というのは、主として商業だとかサービス業の方々が非常な不安感を持っているのは、規制緩和との関係であります。  最近非常に規制緩和の声が大きくなって、また実際に各種の規制緩和が行われているわけですけれども、特にその中でも大店法の規制緩和ですね。中小商店の皆さんが、これによって大型店の攻勢をもろに受けて立ち行かないというような事態が起こっております。こうした苦情を私ども地元に帰るとお店の皆さんからも聞く。  旭川市の場合も、実は村山内閣で官房長官をお務めになった五十嵐広三先生が、今から三十数年前に三十代で市長さんにおなりになった。町の活性化ということで、旭川の場合には駅前からずっと続いて商店街のメーンになっているのですが、これを恒常的な歩行者天国にしようという大胆な発想を立てられて、そして商店の皆さん、それから町を挙げての御協力で、平和通り買物公園というのが駅前から約一キロ余にわたってつくられまして、国道だったところを車を遮断するという大変な大事業であったわけです。  これもできたときには大変活況を呈していたのですが、これが完成をいたしましてもう十七年ぐらいになりましょうか、車社会になってきたものですから、車をとめてお買い物をするということにはこれが不便になっているというようなこともあって、ここの再開発が今大変重要な問題になっている。  加えて、その当時にはなかった大型スーパーがどんどん旭川にも進出してきて、郊外などに非常に大きな店舗を開いておるわけです。例えば、そのうちの一つの店舗が、ことしが初めてですけれども、元旦営業をやったのですね。これについては評価がいろいろあったり、実際には期待したほどではなかったというようなことも言われるのですが。しかし、店舗面積も広くなるし、それから営業時間などもこういうようなことになってくると、なかなかこれは、やはり既存の小売店ではそれだけの余裕もありませんし、太刀打ちできていかない。  これは町づくりの問題ともあわせて、今旭川ではみんなでいろいろ工夫を凝らしているところではあるのです。しかし、現にあるそういう商店がもろにショックを受けたり、それからまた従業員の労働時間の問題もあったりしてなかなかに大変だということがあるのですが、この辺についてはどんなようなことを考えておられるか。
  156. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答え申し上げます。  規制緩和というものの裏側と申しますか、その関係で中小企業の方々が非常に痛みといいますか、感ずる事態があるのではないかという点でございますけれども、あくまで規制緩和というものの積極面というのもあるわけでございます。高コスト構造の是正であるとか、新たなビジネスチャンスの拡大というようなことにもなりますし、それがまた雇用にもつながるということで、それはある意味では中小企業の方々にもメリットは及ぶだろうというふうに考えておりますが、他方、負の部分と申しますか、一部の中小企業の方々に影響があるということも全くそのとおりでございます。  構造改革を進めるに当たりましては、この点、両方によく目配りをしながら進めなければいけないというふうに考えておりまして、私どもで昨年まとめました経済構造改革のプログラムにおきましても、その点は明確に書いているところでございます。規制緩和の実施に当たっては、重大な影響を受ける事業者に対する構造改革、新分野への進出のための支援等の環境整備に万全の配慮を行うことが必要という認識でございます。
  157. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)分科員 今の大店法の問題は、大規模小売店舗法の第一条でも、その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保すべしということが書かれてあるわけですね。ですから、この辺もやはり頭に置いていただいて、行政指導なども大きな店に対してはしていただくということがどうしても私は必要なんじゃないかなと思います。小売業者の方々というのはどうしても弱いですからね、それぞれが。もちろんさっき言ったようにいろいろな組合ができておりますけれども、ぜひ御配慮いただきたいと思うのですが、大臣、何かございますか。
  158. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、佐々木委員指摘の大店法、これは御案内のごとく、昨年の三月に政府の規制緩和推進計画でもって一応平成九年度に見直す、こうなっているわけなので、それを実は経済構造の変革と創造のためのプログラムという中にも追認しているわけですが、問題なのは、その中において出店規制という問題と営業規制という問題、どちらの方を見直すのかどうするのかという問題。  これも先ほど申したように、そういうことでやりますが、要するに地域差があると思うのです。今、私、委員お話でもって旭川の五十嵐構想というか町づくりに非常に興味を持って、また勉強させてもらおうと思ったのですが、要するに、地域によって違うだろうと。そして一口に言うと、私は、やはりこれから二十一世紀に向かって日本でもって新しい町づくりなんかを考えるべきところは北海道以外にないだろう、こういう考え方を実は持っています。  まあ、それはそれで、今の消費者ニーズ、モータリゼーション到来ということで、非常に大きく世の中が変わっております。とはいうものの、いろいろな中小企業者の悩みもございますから、消費者あるいは中小小売業者、学識経験者、そういう関係者みんなの意見を幅広く聞いてこの見直しをやりたい、かように考えております。
  159. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)分科員 そろそろ時間でございますので、最後に、これも簡単にお答えいただきたいと思います。  中小企業経営者の皆さんにお聞きをした場合に、一つ深刻な問題としてよく話が出てくるのは、相続税の問題なんですね。企業経営者が亡くなった、その息子さんや御親族が企業経営を承継する、そのときに相続財産が多く事業のために使われているということがある。ということを考えると、何とか相続税に対してもう少し考えてもらえないだろうか。  基礎控除についても特別なお考えを実施していただいているということがあるのでしょうけれども、これをさらに、例えば基礎控除を引き上げてもらえないかとか、あるいは事業用資産については相続に当たって特例的な扱い、例えば事業承継猶予制度などというものの提案なども考えられているようなところがあるのですけれども、こういうことに対する配慮はどうなるのか。これをひとつお伺いしたいと思います。
  160. 田島秀雄

    ○田島政府委員 お答えを申し上げます。  世代の交代期、ちょうどそういう時期に当たっておりますこともありまして、中小企業の皆様方、相続税の負担が大きくて、事業承継に支障が生じているんだという声は私ども承知をいたしております。  このため、通産省といたしましても、事業承継の円滑化の観点から、負担の軽減措置を税制改正等で要求をいたしまして、随時改善措置が講じられてきておるところでもございます。特に、平成六年度、御案内かと存じますけれども、相続税の税率構造が緩和されまして、基礎控除も上がった。それとあわせて、事業用の小規模宅地の減額割合が引き上げられておりますし、それから同時に、取引相場のない株式の評価につきましても改善措置が講じられたところでございます。  いずれにいたしましても、事業承継及び事業の継続ということの重要性は十分認識をいたしておりますものですから、中小企業者の皆様方の声に真摯に耳を傾けながら、引き続き勉強してまいりたい、こういうふうに存じております。
  161. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)分科員 時間が参り寒したので終わりたいと思いますけれども、どうか、お話にありましたような諸施策を、本当に中小企業の皆さんが頑張っておられるその意欲を助長するような方向に使っていただきたいと思います。  大臣から御丁寧にお答えをいただきましたことを感謝いたします。ありがとうございました。
  162. 高橋一郎

    高橋主査 これにて佐々木秀典君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  163. 西川知雄

    西川(知)分科員 西川知雄でございます。  通産大臣とはいろいろと予算委員会で一カ月以上おつき合いしているわけですけれども、残念なことというか、通産関係の質問というのは大体泉井問題ということで、本来予算委員会で内閣から提出されたことしの予算案をどうやって審議していくか、そういう中身に触れた問題がなくて、私はまことに残念であったというふうに思っております。  この第六分科会、どうも私が最後の質問者であるということでございますけれども、実は私、午前中に建設関係分科会でも質問をしてまいりましたが、建設関係は十一こまもございまして、ある意味では非常に人気がある。ただ、その話の内容は、大体、地元での道路をつけてくれとか、進捗状況がどうなっているかという陳情型の話でございまして、私は、ちょっと情けないなとある意味では思った次第でございます。  私が、一般質問のとき、道路の特定財源がございますけれども、それについて、これは聖域だと言われていたところで質問をいたしましたところ、あらゆる方面から攻撃を、批判を受けまして、本会議でも、橋本総理が一般財源化とか交通特別会計を設立するということはなかなか難しいということを二度も言われまして、私は、省益というものがまだまだすごいな、こういうふうに感じた次第です。  通産大臣におかれましては、これからの日本世界産業の大競争時代の中でどういうふうに持っていくかということの非常に重要な指導者でございますので、どうか、省益にとらわれず、日本の国がどういうふうに今後あるべきかということをまずお考えになっていただきたい、これを初めにしまして、きょうの私の質問をさせていただきます。  実は今、環境問題ということと、それから、これから産業空洞化が場合によってはますます進むかもしれない、これをどういうふうに調和させていくのか、これが本日の私のメーンテーマでございます。  現在ボンで、今度の気候変動枠組み条約、COP3ということに向けていろんな検討がなされておる。それから、通産省も環境庁といろいろ御協議の上、p案とかq案とかいろんなことで考えておられるところでございますけれども、いずれにしましても、この枠組みというのは先進国基本的に縛るものである。したがって、後進国は、ある意味で、しばらくの間そういう環境問題について先進国よりは有利な立場にある。例えば、中国の大陸の方から酸性雨がどんどん日本のところに降ってくる。これも、向こうの方の環境問題が日本のようには考えられていないからだ、こんなふうにも言われておるところでございます。  ということはどういうことかと申しますと、これから大競争時代に入る。今までは先進国同士の競争で、そのために、どうやって先進国同士の利害関係を調整しようかということでサミットなんかが行われてきたわけでございますが、最近のサミットは、どうやって先進国が一致団結して、これから市場にますます活躍してくるであろうと思われる発展途上国と対決していこうか、こういうことに変わってまいった次第です。  そういう中で、地域産業空洞化というものがますます進んできております。環境問題に気を配れば、高コスト、環境のコストがかかります。一方、産業空洞化ということで、私の地元であります横浜市の鶴見区、神奈川区、この辺は京浜工業地帯の重要な一部でございますが、町を歩きますと、小さな工場がこの間まであったのに、どんどんなくなっていっている。歯抜けの状態になっている。こういうときに、こういう今の環境問題、それによるコスト増によって、日本産業構造がますます、大競争時代において外国と比べて、特に発展途上国と比べて戦いにくくなっているのじゃないか、こういうふうに思う次第でございます。  通産大臣といたしましては、また通産省といたしましては、この二つの整合性をどういうふうに保って、日本がさらに工業立国また産業立国として世界の競争の中である意味で勝ち抜いていくことができるか、まず、この辺についての大きな方針大臣の方から述べていただければありがたいと思います。
  164. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 西川委員の方から、きょうは非常に国会委員会らしい質問がありました。ありがとうございました。  今御指摘のように、世界は物すごく大きな変化を示している。その原因というのは、何といってもやはり高度情報化の到来と申しますか、これの進展に伴いまして、世界の一体化というものがなされてきた。もちろん、それは政治的にも、前のようなアメリカとソ連を中心とする東西の対立もなくなったこともございますが、私は、やはり何といってもこの高度情報化というのは大きかったと思うのです。  そこで、日本のような今までもともと技術立国だとか貿易立国で成長してきた国というのは、急激に空洞化といった現象が出てくる。片一方では、少子・高齢化ということで、個人的にはみんな長生きすることは大変いいことなんだけれども、これだけ進んでしまうとやはり将来の経済の活力を失う。こういうことから、このままでもって日本経済、すなわち日本の国全体が地球上で一体どういうふうに位置づけられるだろうかというような気持ちから、やはり今こそ構造改革を行わなきゃいけないというので、それが財政であったりあるいは経済であったりするわけでありますが、そういうことにおいて、我が通産省というのは、言うまでもなく経済を受け持つところですから、経済構造改革の中心の官庁となった。その中で、今のように国際的な面を見た場合に、どうしても日本の場合には外国との違いがあるということで、規制緩和ということと、そしてまた高コスト構造、こういうことを改めていこう、こういうことなんです。  そこで、新しい産業を生み出そう。ところが、今、御存じのように、空洞化でもって産業、製造業が一〇%日本から出ています。ほとんど入ってくるものがない。これからどうするかということで、いろんな施策とともに十五分野ほど実は選びましてやりました。  その中に、今のこうした情報化社会の中において、成熟した社会で、環境ということを言わないというのはやはりちょっと時代におくれている。こんな感覚からして、どの国でも環境——ことし、御存じのようにCOP3というのが京都でございます。その中の問題は、今地球の温暖化という問題、これは非常に大きな問題です。昔のような一般的に工場の廃液云々という時代は過ぎて、今大きいのはオゾン層を破壊するフロンの問題、そしてCO2の増加による地球の温暖化。そうすると、高温になって、そして雨が多くなる、こういうことで生態系が変わる、こういうことでございますね。  そこで、私たちの省としても、この今の十五分野の中に入っている環境産業というか、これを一体どういうふうにこれから考えようか、ここに力を入れていこう、こういうふうにおのずからなってくるわけでございます。  それで、御存じのように、先ほど申したように、経済構造改革ということで、昨年の十二月に閣議で決定しました経済構造の変革と創造のためのプログラムの中に、環境産業の基盤整備ということから始まりまして、まさにハードとかソフトの両面にわたってどういうふうにしようか、こういうルールづくりを検討しているわけでございます。  具体的には、リサイクル施設の設置の支援によるインフラ整備、これは補助金だとか税制で考えますし、また将来の環境産業の発展の基礎となる環境技術の開発、これは予算面で考えますし、また企業内における環境管理それから監査制度の構築等のルールづくり、これは国際規格でございますが、こういうところに取り組んでいるわけでございます。
  165. 西川知雄

    西川(知)分科員 通産省は、環境問題については、今後、環境大国としても、日本世界に誇れる国となるためにも、非常に重要なことでありますので、今の大臣のおっしゃった線に沿ってぜひ頑張っていっていただきたいというふうに思いますが、果たしてこの環境産業が、今大臣がおっしゃったように、産業としてすばらしく大きなものになっていくだろうかということについて私若干疑問がございますので、その点について御質問をいたしたいと思います。  今おっしゃった経済構造の変革と創造のためのプログラムの環境関連分野で、雇用規模の予測が、現在が約六十四万人で、二〇一〇年には百四十万人程度になるだろう、市場規模も、現在が十五兆で、二〇一〇年には三十七兆円程度になるだろう、こんなことが書かれております。  これがもしそのとおりであれば、これはなかなか大きな分野であるというふうに考えられるんですが、実は平成九年の一月に産業構造審議会の廃棄物処理・再資源化部会というところから「産業廃棄物対策の今後のあり方について」という答申がなされておりますが、そこで「減量化・リサイクルの停滞」という記述がございます。どういうことを言っているかというと、産業廃棄物の最終処分場、これは新規のものが非常に難しくなってきた。したがって、例えば二〇一〇年ごろには最終処分場の残余容量がゼロになるんじゃないか、それからまた減量化率とかリサイクル率、これも平成二年度以降いずれも四〇%程度で伸び悩んでいる、こういうような記述がございます。  それで、十五兆円から三十七兆円程度の伸びの三分の二程度は、廃棄物とかリサイクルによって需要が生み出されるものであるというふうになっているわけでございますが、この報告書、答申にございますように、現在、産業廃棄物の処理施設もだんだん残余容量が少なくなってくる。それからリサイクルも、おっしゃっているように、これからそういうリサイクルをどんどんどんどん進めていかないといけないけれども、なかなか思うようには進んでない。こういう状況で、今のような新しい環境産業というものが果たして本当にできてくるのかどうか、私若干疑問に思います。  個別の細かい議論になりますけれども、リサイクル型経済社会システムの構築に向けて、九年度の予算、今大臣がおっしゃっておりましたように、いろんな技術開発を援助しようとか、エコタウン、ゼロエミッションということでエコタウン事業を創設しようというような話が出ているわけでございますが、リサイクル型の経済社会システムの構築に向けての技術開発等についての予算が百六億六千万円程度、エコタウンというのは五億七千万円程度、こういうふうに聞いております。そして、エコタウンというのが一つの重点施策の中でも、きのうの棚橋委員に対する御回答でもありましたように、重要そうである。ハードで一件、ソフトで五件ということでこれからやっていこうということでございますが、環境産業をこれからどんどん発展させていこうというためには、私は道路にこだわっているわけじゃございませんが、道路の予算の特定財源が六兆あるということに比べて何か微々たるものであって、果たして通産省として、この産業を十五分野の一つとして真剣に取り組むような姿勢があるのかどうか。何せ政策は予算によって実行されるわけですから、この辺のところ、ひとつ大臣から御回答いただきたいと思います。
  166. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、西川委員の御指摘、もっともだろうと思うのです。私もこの環境産業という言葉にもちょっと抵抗が実はあったわけなのです。ですから、環境問題とこの産業との結びつきになるわけですが、今本当に環境問題というのは国民全体で考えるべき問題だ。そこで一番大事なのは、今御指摘のように、産業廃棄物、出てきたものをどう処理するか。このままでいくとだんだん捨てるところはなくなるだろう、こう私は思うわけですね。  そこで、この産廃に関する環境の基本計画というのは、まず第一に減量、できるだけ出すものを減らす。次には再利用ですね。例えば牛乳瓶のようなものをもう一回洗浄して、リニューというやつです。それから三番目にリサイクルがあって、四番目にもうどうしても処理できないものは捨てる、こういうことになるだろうと思うのです。  その場合のリサイクルの一番の難点というのはコストアップだと思います。これを一般の国民、消費者の方がどこまで理解してもらえるだろうか。また、教育というと大変申しわけない言い方ですが、そういう指導を、これこそ指導的立場の人は協力してすべきじゃないだろうか、そう思います。  そういうことをしていっても、今のままでいっても、このリサイクル部分というのをふやしていかないと、今の産業廃棄物の廃棄場の問題その他がどうしても賄えないというところから、先ほど委員指摘のように、このプログラムにおいては、現状から比べて二〇一〇年には雇用が六十四万から百四十万に、あるいは市場規模が十五兆から三十七兆、こういう数字を算出したわけでございます。
  167. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘のございましたように、リサイクル率四〇%が恒常化して、処分場も二〇一〇年、先行き非常に細っているという大問題を抱えてございますが、今後のこういう経済社会の中で、この対応を図るという活動の中から新しい産業が生まれてくるものと思ってございます。  通産省としての施策、大きく四つの分野に分かれてございまして、リサイクル施設の設置に関する支援でございますが、民活法、税、財投を含めた支援を行っております。この中に、委員指摘のエコタウン事業を平成九年度から起こすこととしてございます。また、リサイクル関連技術につきましては補助金を中心とした支援体制をとってございます。また、分野別に実効的なリサイクルシステムを構築するための調査というのを行ってございまして、明年度は電気機器を念頭に置きまして、輸入品、中古品の現状、あるいは流通ルートなどを前提に、新しいリサイクルシステムの構築に向けた調査を行うこととしてございます。  また、大臣も申し上げましたが、消費者等に対する普及啓発というのが今後の非常に大きなテーマであろうかと思いますが、クリーン・ジャパン・センターの事業、あるいはこの四月から法律が施行されます容器包装リサイクル法の啓蒙普及等について対策をとっているところでございまして、引き続き積極的な対応をしたいと考えてございます。
  168. 西川知雄

    西川(知)分科員 今の御答弁、そのようにぜひやっていただきたいわけでございますが、エコタウンの事業等について、私、横浜市の選出でございますけれども、そこが対象になるのであれば、私ども非常に興味のあるところでございまして、この分科会で環境問題について質問を集中的にしたのは私だけだと思いますので、ぜひその辺も深く見守っていきたい、こういうふうに思っております。  それから、中小企業のことについてはたくさんの方が質問されていると思うのですが、環境産業との関係で、ISO14000というのが規格として、ISO9000に続いて、環境対策についてどれだけその会社が設備、人を整えているかという一つのメルクマールになるような規格ができ上がっております。ただ、これは中小企業利用しようと思うと、どうも非常にコストがかかる。この間、通産省の方から聞きましたら、認定機関に支払う費用だって二百万円ぐらいだ。これでは、商売が本当にうまくいっているかどうかまだまだ先行き見通しがわからない今の中小企業におきましては、なかなかこのISO14000が普及しないのじゃないかと思うのですけれども、この辺のことについての通産省のお考えを、簡単で結構ですが、聞かせてください。
  169. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘のように、ISOにかかわる今後の対策、中小企業分野は大変大きな課題でございます。  中小企業庁がメーンとなりまして、中小企業に対する環境対策関連情報提供・指導事業というのを起こしてございまして、これは中小企業事業団が中心になった講習会等でございますが、一億四千万の予算を来年度計上いたしてございますけれども、各種セミナーを通じて普及に努める予定でございます。
  170. 西川知雄

    西川(知)分科員 私、通産大臣にぜひお願いいたしたいことがありまして、来年度の予算では、もうきようで終わりでございますから、なかなか難しいかもしれませんけれども、その次も恐らく閣内の重要な地位にとどまられると思いますので、お願いをしたいことがございます。  先ほどいろいろな市民の環境産業に対する理解とかそういうものが必要である、こんなことをおっしゃられました。私、少なくとも日本の大都会に住んでいる我々、それからそうでない方々も、環境問題ということについては大いに理解をしているというふうに思います。そして、そういうリサイクルの観点、これも世界的なトレンドであるし、これからの産業というものも右肩上がりばかりを考えていたのではだめだ、環境問題にも対応した日本の大きな国をつくっていかないといけない、こういうのがみんな理解していることだと思います。  一方、私何回も言いますけれども、公共工事のうちの二八・二%、ことしは二八・〇%ですけれども、これが道路の予算にずっと使われている。きょうも私ちょっと申し上げたのですけれども、あかずの踏切というのがございますが、それも道路予算でつける、こういうことなんですけれども、これは余り国民一般には理解されていない。我々都会から選ばれた者は、そういう大都市圏特有のいろいろな問題というものを重点的にお金を使ってやはり解決していってほしい、こういうふうに思っているわけです。  この間、加藤寛さんが我々に講演をされたときに、北海道では、横路さんが北海道知事をおやめになるときに「もう横に路は要らない」というふうに言われたぐらい北海道では道がたくさんある。ところが、東京の方、神奈川の方ではあかずの踏切というのがたくさんあって、市民生活にいろいろと支障を来している。  予算の中身の配分でございますけれども、私は、例えば整備新幹線一〇〇%賛成であるとは申しませんが、ことしの道路に使われる国費というのは約三兆四千、それに比較して整備新幹線は三百四十億、あれだけ新聞等々に整備新幹線のことが言われておりますが、三兆四千から比べるとわずかである。それに比べ、これから環境立国だ、これから環境産業をうんと伸ばしていかないといけない時代に、この通産省の予算で果たしてそんなことができるのかどうか、私は非常に疑問に思っております。  そういう意味で、もっとオーバーオールな考えを入れまして、できれば来年度、できなければ再来年度から、そういう観点で通産省もぜひ頑張っていただきたいと思いますので、最後に大臣の決意だけお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  171. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 西川委員、いろいろな今の政治に対する考え方をおっしゃいましたが、私、若干異を唱えて恐縮でございますが、実は政界に入りましたのは、四十九年の参議院の当時の全国区という制度でもって当選したのです。そのときに、実は友人から、全国回ってどうだというから、日本という国は狭いというけれども随分広い、細長い、そのために随分地域の格差というのがあらゆる面であるよ、こういうことを申したことがありますが、それが二十数年たったら、今日ますますその思いが強くなったということがあります。ですから、今委員がお住まいの横浜、そういう大都市と地方都市、地方といっても、地方都市といわゆる郡部、郡部と島、これは物すごい格差がある、そこに住んでいる人の意識もまた変わっておると思います。  そこで、先ほどの問題でございますが、環境問題に関しても、環境に対する熱意はあっても事項によってそれぞれ関心度が違うのじゃないだろうか、こう実は思います。先ほどから申し上げるように、私の方はその中でリサイクルを中心とした、啓蒙運動を中心としたようなところでございますので、今のように、初年度の予算としてはまあまあだったのではないだろうか。しかし、先ほど申したように、これから経済構造改革の推進と相まって、やはり主張し、要望するところは要望していきたいと思いますので、御支援のほどよろしくお願いいたします。
  172. 西川知雄

    西川(知)分科員 終わります。
  173. 高橋一郎

    高橋主査 これにて西川知雄君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時三十四分散会