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北脇分科員 新進党の
北脇保之でございます。
私は、昨年十月の総選挙で初めて当選をさせていただきました。きょうは、ただいまの同僚の
中川委員に続きまして、市町村の合併についてお尋ねをしたいと
思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、地方分権についてでございますが、地方分権ということについては、
国民の間ではまだまだその意義、十分な理解が進んでいると言えないのかなという感じがいたします。しかし、国会、政府、そうした政策検討の場においては一地方分権の必要性、かなりの合意ができてきているように
思います。
私なりに、地方分権、合意ができつつあるその要因はどういうところにあるかと
考えてみますと、
一つは、戦後五十年、何といっても世の中が大変成熟してきた、このことにあると
思います。戦後、
日本の国を、本当に、廃墟の中から、基本的なサービスが十分行き届いた、そういう国、
社会にしていこうということで
一つの中央集権的な仕組みのもとで一生懸命やってきたわけでございますが、それが一定のレベルに到達したということで、これからは、やはり身近な問題は身近なところで、
自分たちの
考えでやっていこうじゃないか、こういう
社会の成熟に伴う
国民の意識の変化が生まれてきている。それはまだ政策的な形で
国民に十分意識されているところまでいってはいないかもしれませんが、そういったことが
背景になってこの政策論議での地方分権ということが盛んになってきている、これが
一つの要因であると
思います。
そしてもう
一つは、何といっても行政
改革だと
思います。
日本の国の仕組みがいろいろな
意味で行き詰まってきている。特に、五百兆円を超えるような国、地方を合わせた借金を抱えるというようなことになってまいりましたので、これを何とか、国、地方を通ずる行政構造をもっと簡素で効率的なものにしなければいけない。国と地方で同じ行政分野を担当していることによる重複ということもありますし、よく例に引かれる、国の補助金を獲得するために地方から大挙して陳情に出てくるとか、そういった非効率な
部分もございます。そういったことを何とか変えていく、そのことが一番の行政
改革の決め手になってくる、効率的な政府をつくることにつながる、そして
国民の負担を軽減して活発な
社会をつくっていく、そういうことにつながる、こういったことで地方分権を進めよう、こんな合意ができつつあるのじゃないか、そんなふうに
思います。
そうしたときに、私はやはり、地方分権を進める上で、市町村の規模を適正化していく、言いかえれば合併を進めるということがどうしても大事になってくる、そんなふうに
思います。それはどうしてかというと、よく言われることでございますが、やはり地方分権の一番の受け皿、基本的な受け皿は市町村である。
日本の国は都道府県と市町村の二層性ということで明治以来やってきておりますけれ
ども、地方分権を進めていく上でどこを基本的な受け皿として
考えていくかといった場合に、私は究極の受け皿はやはり市町村であるというふうに
思います。
これは、シャウプ勧告の中で、基礎的な自治体としての市町村の重視ということはもう本当に五十年近く前に打ち出されていることでございますし、また、昨今のヨーロッパにおける地方分権の推進の基本的な
考え方の中でも、まず、基礎的な自治体で行える事務はその基礎的な自治体で行い、それができないものは次の広域的な団体でやる、そして、さらにそれで対処できないものは国が担当する、こんなふうな基本原則で事務の配分を
考えていこう、こんな動きもあるやに聞いております。そういうことを
考えても、やはり地方分権の受け皿として市町村の
充実を図っていかなければならない。
しかるに、現状を見るとどうかといいますと、これはもう自治省の方で十分把握されていることですので数字的なことは余り申し上げる必要はないと
思いますけれ
ども、市で見ても、三万人未満の市が六十七、それから三万人以上五万人未満までのところで累計で見ると二百二十二ということで、全体の市数六百六十八、これは
平成八年九月段階のものですが、その中の三三・二%が五万人未満というところにとどまっている。こういう点で、市町村は地方分権の受け皿として、現状は十分でないということが
一つあると
思います。
それともう
一つは、実態の面で見ても、私
どもの生活圏と市町村の行政圏が非常に不一致になってきてしまっている。市町村の合併というのは、ちょうど
昭和の大合併と言われる三十年前後の合併でほぼ今の形になっておりますけれ
ども、四十年前の国の状況と今とを比べてみますと、自動車の数にしたって、当時は四十万台だりたのが、今は六千五百万台もある。また、都市への人口の集中率を見ても、当時は四〇%だったのが、今はもう八〇%になっている。そんなふうに現状も変わってきている。そうすると、その辺を解消するためにも合併の推進が必要ではないか、こんなふうに
思います。
そこで、私のきょうの質問の基本的なポイントというのは、このように合併の必要性というのは大きい、それに対して、現在の合併特例法を基本とする合併の推進施策、これが十分ではないのではないか、この点でございます。この推進策が不十分であれば、何年たっても合併が進捗しない。確かに、今新聞でいろいろ報道されている件数はたくさんあります。しかし、それが必ずしも実るとは限りませんから。
一方で、今進められている地方分権、そしてそこでの受け皿としての市町村の
充実強化の要請、これと比べたときに、今の施策はミスマッチじゃないか、今の施策のままでは十年たっても二十年たっても今の三千二百三十二という市町村数、それは確かに十とか二十とかという、そういう単位では減っていくこともあるかもしれませんが、これがドラスチックに市町村数が減って、大きな固まりで、基礎的な、文字どおり基礎的な自治体としての市町村が誕生していくということが果たして保障されているかどうか、ここのところが私の質問の主眼でございます。
なぜそういう疑問を持つかといいますと、後でもう少し個別に分けてお尋ねいたしますが、
一つは、今の合併特例法の
考え方は、あくまでも地域の自主性を前提としている。市町村の自主性をあくまでも損なわない。確かに、住民による発議の制度とか、そういう新しい地域でのイニシアチブを尊重しよう、そういう仕組みはあります。しかし、それはあくまでも地域の自主性の尊重の中での話ですので、これを本当に頑固に守っていくということで、今申し上げたような
一つの地方分権の受け皿整備のスピードの要請に対して果たしてこたえられるかということが
一つでございます。
そして、もう
一つの私の疑問のポイントは、今の合併特例法にはいろいろな措置が盛り込まれております。例えば、財源措置であるとか、また市町村議員の特例、そういった形で、合併後不利益とか支障が生じないようにという、そういった配慮はあると
思います。しかし、もう
一つ、私が合併推進策として必要ではないかと思うのは、合併をして新しいもう少し大きな団体になることによってこれまで持てなかった権限を持てるようにしていく、そういう形で合併が市町村の権限の拡大につながる、そういうような要素を盛り込んでいくことも必要なのではないかというふうに
思います。
これについてはもう少し細かく後で御質問したいと
思いますが、以上、そういう私なりの意見を持っているということを踏まえて、自治省の方から、現在の合併特例法、それに基づく政府の合併推進施策の基本的な
考え方をお答えいただきたいと
思います。