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岩國分科員 太陽党の
岩國哲人でございます。本日は、農水
大臣、大変お忙しいところ御出席いただきまして、心から感謝申し上げます。きょうは、
我が国農業のあり方、そしてその中における干拓
事業等について質問させていただきたいと思います。
私は、曾根崎小学校一年生のときに父を亡くし、それから母の里の出雲へ帰されて、小学校二年生のときから、私は長男でしたから、ずっと
農業、百姓をやっておりました。高校三年が終わって大学に入るまで、私は毎日毎日、キュウリ、ナスビ、トマト、カボチャ、大根をつくり、芋を植え、麦を植え、麦踏みをし、麦刈りをし、ありとあらゆるものをつくっておりました。私は今でも
農業にこだわりを持っております。
出雲市長として、私は出雲市の小学生には
農業体験、
農業実習を強調しておりました。大きくなったらみんな
農業をやりなさいということではなくて、小さいうちから土の中で物をつくる喜び、そして苦労を味わってほしいからです。小さいときから、自分より弱い命がある、その弱い命を守る、そして育てる、その喜びを自分の手と足で握ってほしいからです。
ありとあらゆるものをつくったと言いましたけれども、私は米だけはつくったことはありませんでした。米をつくるのは嫌だったのか、米をつくるのは苦手だったのか、米の
自由化を見越しておったのか。そんなことではなくて、私の育った西浜村というところは、米をつくる田んぼがないところだったのです、
日本海岸の砂地の村でしたから。ですから米以外のものを私はつくってきました。
そして、市長時代も、私は
農業を大切にということを言ってきました。議会でいろいろと質問が出ますけれども、道路とかほかの問題は担当の部長に
答弁させましたけれども、
農業の問題だけは私は一遍もほかの部長に
答弁させたことはありませんでした。一生懸命働いていらっしゃる農家の方が傍聴に来ておられる。一人でも二人でもその姿を見たら、私ば自分の言葉でいつも答えたかったからです。
農水省からもいろいろと御指導いただいてまいりましたけれども、その中でも特に、
環境やあるいは
農業を大切にする心を小さいときから育てるために、出雲市は樹医
制度をつくりました。人が病気をしたらお医者さんがいます。動物が病気をしたら獣医さんがいます。木にも命があります。その命のある木にだけはお医者さんがいない、私は間違いだと思いました。命のあるものすべてにお医者さんがいる。樹木の樹、樹医
制度。わずか四百万円でつくった樹医
制度、今十人の樹医が出雲市にはいて、そして
農水省、林野庁もそれに倣って、今全国に三百人、四百人と樹医
制度が広がっていっております。うれしいことであります。
電話一本、庭の木、道端の木、この木は元気がない、この木は病気ではないか、樹医さんが飛んできて無料で診断して、そしてその木は元気になる。たったそれだけのことで木を愛する市民の皆さんの喜びの顔をすぐに間近に見ることができます。たったそれだけのことで、小さな子供にもすぐにわかるのです。木にもお医者さんがいる、木にも僕たちと同じように命がある。木に命があるということを知ってしまった子供は木をいじめなくなるのです。
そういう子は、大人になれば、木を大切に、森を大切に、山を大切に、地球を大切に、自然を大切に、
環境環境と朝から晩まで新聞、テレビは言っていますけれども、一番大切な
環境教育の原点は、自分たちの身の回りの木にも、緑にも命があるということを小さな子供のうちから教えることではないかと私は思ってまいりました。
そうした
環境教育という点でも
農業は大きな役割を果たしているし、また、
日本の
農業は守っていかなければならない。必ずしも大規模な、経済性のある、採算のとれる農家だけではなくて、
日本の
農業の強さというのは
中山間地の
農業にあるのではないかと思います。工夫を凝らし、気候条件に一番合った適材適地適所のそういう
農業をやっていくことに、恐らく私は
日本の農家の生きがいがあり、喜びがあった、そのように思っております。
そうした
環境を守るという点、そして
日本の食糧を守るという点からも、これからももっと
農業には力を入れていかなければいけない。しかし、力を入れるということはお金をかけるということとは必ずしも一致しないと思います。
とかくお金を使う人は頭を使わない、頭を使わないために金だけをかける、そのような批判が
日本の農政にもございます。私も現場でもそのようなことを幾つも見てまいりました。これからは、力を入れるということは、お金をかけるより、もっと工夫をしていくこと。例えば、
生産農家と
環境農家とをもっときっちり分けてこれからの育成を図っていくということも大切ではないでしょうか。
環境問題に対する世間一般一社会一般の関心の高まり、そして国政一般の中にも
環境問題はウエートを持ってきた、そのような時代の変化。
それからもう
一つは、
農業のあり方そのものにもいろいろと時代の変化がやってきております。長い目で見たら食糧は不足する、このような懸念は確かに私はあると思います。しかし、目先は米が余っている。目先の米の余り方、しかし、将来的には食糧は不足するのではないか、このアジア地域において。
そのような問題についても、またいっか機会があれば議論させていただきたいと思いますけれども、きょうはそういう
環境問題に対する変化、そして
農業のあり方に対する変化、そして農地そのものをふやすのか減らすのか、そして
農業の後継者は今現在どうなっているのか、農地に対する
需要、そのようなもろもろの変化の中で、三十年前から始められた中海干拓
事業等を含めまして、この二月二十八日に総務庁より、大規模な
農業基盤
整備事業に関する行政監察結果についてという報告がなされました。
農水省としてはこの
内容をどのように受けとめておられますか。いわゆる大規模
農業基盤
整備事業というのは、全部で幾つあって、その中の七十七が取り上げられたのか、そして、
農水省としてはこの中海干拓
事業についてはどのような受けとめ方をしておられるのか、
大臣から御所見を伺いたいと思います。