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1997-03-03 第140回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成九年二月二十五日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       大原 一三君    菊池福治郎君       中山 正暉君    愛知 和男君       日野 市朗君    北沢 清功君 二月二十八日  菊池福治郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ————————————————————— 平成九年三月三日(月曜日)     午前十時開議 出席分科員    主 査 菊池福治郎君       大原 一三君    熊谷 市雄君       中山 正暉君    根本  匠君       愛知 和男君    大畠 章宏君       日野 市朗君    北沢 清功君       中川 智子君    兼務 江渡 聡徳君 兼務 田中 昭一君    兼務 吉井 英勝君  出席国務大臣         農林水産大臣  藤本 孝雄君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省経済         局長      熊澤 英昭君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産省農         産園芸局長   高木  賢君         農林水産省食品         流通局長    本田 浩次君         農林水産技術会         議事務局長   三輪睿太郎君         食糧庁長官   高木 勇樹君         林野庁長官   高橋  勲君         水産庁長官   嶌田 道夫君  分科員外出席者         環境庁企画調整         局環境保健部環         境安全課長   中島 正治君         環境庁水質保全         局水質管理課長 南川 秀樹君         大蔵省主計局主         計官      三國谷勝範君         農林水産大臣官         房予算課長   小林 芳雄君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 分科員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   大原 一三君     飯島 忠義君   中山 正暉君     熊谷 市雄君   愛知 和男君     石井 啓一君   日野 市朗君     大畠 章宏君   北沢 清功君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     田中 和徳君   熊谷 市雄君     根本  匠君   石井 啓一君     鍵田 節哉君   大畠 章宏君     肥田美代子君   中川 智子君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     大原 一三君   根本  匠君     中山 正暉君   鍵田 節哉君     島   聡君   肥田美代子君     日野 市朗君   畠山健治郎君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   島   聡君     愛知 和男君 同日  第二分科員田中昭一君、第四分科員江渡聡徳君  及び吉井英勝君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算  (農林水産省所管)      ————◇—————
  2. 菊池福治郎

    菊池主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管環境庁並び農林水産省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算及び平成九年度政府関係機関予算農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。藤本農林水産大臣
  3. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 平成九年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  まず、予算の基礎となっております農林水産施策基本方針について御説明します。  農林水産業は、食料安定供給という大切な使命を初め、地域経済社会の安定と発展、国土や自然環境・景観の保全等の多面的で重要な役割を果たしております。一方、農山漁村は、生産の場であるとともに、地域住民生活の場であり、また、伝統に裏づけられた地域文化をはぐくみ、緑と潤いに満ちた生活余暇空間を提供する国民共有の財産であります。  我が国経済社会が調和ある発展をし、真に豊かな国となるためには、こうした役割や機能を有する農林水産業農山漁村の健全な発展が欠かせないと確信しております。特に、近年、開発途上国中心に人口の増加が続くとともに、地球温暖化等の環境問題が顕在化しつつある中で、今後、食料農林水産業重要性に対する評価が国際的にも高まっていくことが予想されます。  このような中で、今後の農林水産行政推進するに当たっては、農林水産業及び農山漁村を二十一世紀に向けて持続的に発展させ、将来にわたって基幹的な産業及び地域として次世代に受け継いでいくことが重要であります。  このため、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進を図るとともに、足腰の強い農業生産確立活力にあふれた住みやすい農山漁村創造等施策を積極的に推進するため、平成九年度予算において所要予算を計上したところであります。  まず、その枠組みから御説明します。  平成九年度一般会計予算における農林水産予算総額は、関係省庁計上分を含めて、三兆五千九百二十二億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆九千六百四億円、非公共事業のうちの一般事業費が一兆三千六百二十七億円、主要食糧関係費が二千六百九十二億円であります。  以下、農林水産予算重点事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、御説明を省略させていただきたいと存じます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  以上であります。
  4. 菊池福治郎

    菊池主査 この際、お諮りいたします。  ただいま藤本農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算重点事項説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菊池福治郎

    菊池主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔藤本国務大臣説明を省略した部分〕  以下、予算重点事項について御説明します。  第一は、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進であります。  ウルグァイ・ラウンド農業合意後の新たな国際環境に対応し、農業の将来展望を切り拓くこと等を目的とする同対策の三年目として、高生産性農業基盤整備等に要する経費として公共事業を六百億円、農地流動化対策新規就農対策等に要する経費として非公共事業を三百九十三億円、合計九百九十三億円を計上し、事業の着実な推進を図ります。  第二は、中長期的な食料需給の動向にも対応しうる足腰の強い農業生産確立てあります。  経営感覚に優れた効率的かつ安定的な農業経営実現するため、農地保有合理化法人が買い入れた農地長期付け実施農業金融充実等により担い手経営基盤強化を図ります。また、農業機械の効率的な利用体制確立するととも.に、担い手補完的農作業高齢農家農作業の受託を行うファームサービスグループを育成し、地域全体での役割分担に基づく生産性の高い営農体制を構築します。  また、市町村農協が設置する研修農場における技術研修等を通じて現場実践方式により新規就農者を育成するほか、農協等による農用地や施設の貸付け等を通じた畜産後継者就農支援を行います。また、農山漁村における女性と男性のパートナーシップを確立するために必要な経営知識技術を習得するための研修実施します。  さらに、環境保全に配慮した生産体制確立するため、土づくりをはじめとする環境保全型農業推進するとともに、家畜排せつ物処理施設計画的な整備等により畜産環境対策充実します。  このほか、消費者ニーズに対応して高品質な農産物を安定的に供給する体制確立するため、主要作目生産流通対策強化します。特に、米については、需要や流通多様化に対する産地の取組みを強化するため、産地流通拠点整備します。また、国産野菜競争力強化するため、先導的施設園芸団地の育成やにんにく・しょうが産地体質強化のほか、出荷規格簡素化等による低コスト・高鮮度流通促進原産地表示適正化を図ります。  また、飼料等生産資材を安定的かつ低コストで確保することを通じ、農業経営安定化を図ります。  第三は、活力にあふれた住みやすい農山漁村創造であります。  各地域創意工夫を活かした美しいむらづくり推進するため、市町村が策定する計画に基づいて、農業林業水産業関係の各事業を一体的かつ集中的に実施する美しいむらづくり対策を創設します。  また、都市農村交流の多様な展開を図るため、文部省と連携し、山村地域子供達学習情報を提供するとともに、都市子供達との交流の場を整備します。さらに、都市に比べて立ち後れている農山漁村生活環境整備するため、関係省庁連携し、汚水処理施設計画的に整備するとともに、農村型CATV整備等により情報化を進めます。  第四は、食品流通消費対策充実であります。  食品産業の振興を図るため、情報化推進による流通コスト低減等に取り組むこととし、生鮮食品等取引における電子化促進地域食品販売業者が共同で消費者との在宅取引を行うシステム開発等推進します。  また、衛生管理施設整備、厚生省との連携による病原性大腸菌汚染防除に関する研究実施消費者への情報提供体制確立等により食品品質安全性の確保を図ります。  第五は、農林水産分野における新技術・新分野創出等であります。  まず、産学官及び関係省庁連携の下に、農林水産業及び関連産業構造改革を図り、二十一世紀における食料安定供給等に資するための研究開発推進します。また、農林水産公共事業コスト低減に資する新技術開発普及等推進します。  さらに、世界の安定的な食料供給実現に向けた研究協力強化中心として、効率的かつ効果的な国際協力展開を図ります。  第六は、林業木材産業活性化と緑豊かな森林山村整備であります。  林野公共事業を再編するとともに、第二次森林整備事業計画及び第九次治山事業五箇年計画を策定し、各事業計画的な推進を図ります。  また、森林病害虫等防除制度を見直し、新たな松林保全対策推進するほか、合併促進等による森林組合経営基盤強化や、均質な製材品の大ロットでの供給を可能とする拠点的加工流通施設整備による木材安定供給体制確立を図ります。  さらに、国有林野事業については、一般会計からの繰入れ等の財政措置を講じ、経営改善推進するとともに、林政審議会における論議・検討を踏まえ、経営健全化のための抜本的改善策について、関係省庁の密接な連携の下に政府一体となって検討・策定を行うこととしています。  第七は、新海洋秩序の下における活力ある水産業漁村の形成であります。  漁獲可能量制度の円滑な定着を図るため、漁獲可能量協定に参加する漁業者等に対する長期低利資金融通等経営対策充実するとともに、実効ある協定の締結と併せて減船実施する場合に高率の助成を実施します。  また、つくり育てる漁業を一層推進するほか、高性能の取締船建造等により取締体制充実します。  さらに、合併促進等により漁協の経営基盤強化するほか、産地における漁獲物の直接販売等供給体制強化等を通じ水産物の新たな供給システム開発を図ります。このほか、漁業生産基盤及び漁村生活環境整備実施します。  次に、特別会計について御説明します。  食糧管理特別会計においては、管理経費節減等に努めつつ、一般会計から調整勘定所要額の繰入れを行うとともに、その他の各特別会計についてもそれぞれ所要予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等借入れ等総額六千二百四十一億円を予定しております。  これをもちまして、平成九年度農林水産予算概要説明を終わります。     —————————————
  6. 菊池福治郎

    菊池主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 菊池福治郎

    菊池主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。熊谷市雄君。
  8. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 今、UR対策のあり方をめぐって国会の内外でいろいろ議論を呼んでおりますが、これはある意味では関心の度を示しているあらわれかな、こんなふうに考えるわけであります。私は、本予算委員会分科会審議に当たって、自由民主党を代表して、この件について自分の意見を述べながら政府考え方をただしてまいりたい、かように考えますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  ただいま政府は、財政改革内閣の総力を挙げて取り組んでいるわけであります。その実現に向けて、与党である我々も協力をすべきは当然でございます。また、その中に聖域は設けないという考えについても理解をしているところでありますが、このUR対策費、これが歳出削減の有力な標的になっているわけであります。この事業そのもの軽々に扱われる筋合いのものじゃないなという考え方で、疑問に思っておりますし、また同時に不安に思っているわけでございます。  したがって、私は、このUR対策というものは当時の政治の状況の中で極めて特殊な政策として打ち出されたものでありまして、これを軽々に扱われるという性格のものではないな、こんなふうに認識をしておりますので、UR対策のよって来るその原点と申しますか、そういうことをもう一度明らかにして、再確認の上に立って議論することが必要であろう、こんなふうに考えるわけであります。  当時は、これは平成五年十二月ごろということになりますが、米は我が国農業基幹作目でありまして、自由化をすれば日本農業というものが根本的にダメージを受けることになる、これはもう明々白々である、したがって一粒たりとも輸入を許すことはできない、そういう合意の中から、政府は三度にわたる国会決議を踏まえ、この方針というものを公約として貫いてきたわけであります。しかし、国際世論の大勢というものがラウンド合意に向けて流れているという状況から判断して、日本だけが孤立するわけにもいかない。農業を犠牲にすることは忍びないが、我が国全体の国益というものを考えて、ある日突然に、断腸の思いで自由化を容認をするという首相声明が行われて、これは全く異例な形でありましたが、自由化に踏み切ったという事実があるわけであります。  そこで、政府としては、国会決議国民や農民との公約があった中でこれに反する選択をしたわけでありますから、大変な責任というものを負う結果になりまして、その代償というか、担保として登場したのがUR対策である、そういうことになると思います。  すなわち、日本農業を守るために、自由化影響最小限度にこれを食いとめて足腰の強い農業農村というものを構築するために思い切った抜本的国内措置を講ずる、これを本物にするために、総理を本部長に全閣僚から成る緊急農業農村対策本部なるものを内閣総ぐるみ体制で設置をいたして、それでこれに投入する総事業費というものを六兆百億円にする、さらにこれは六年間の期間の中で実現に取り組む、こういう方針内閣の決意として表明をして、そしてこれを実行に移し、政府の最重点、最優先の課題として進めて今日に至っている、こういうものであろうというふうに思うわけであります。  したがって、こういう原点というものを十分に論理の中で踏まえていかなければならないし、この原点から逸脱するということがあれば、当然これは軌道修正をしていかなければならないものであろう、こんなふうに考えるわけでありますが、そういうことからすると、ましてや歳出削減のやり玉に上げられるということは、この原点論からすれば言語道断と言わざるを得ない、このように考えるわけであります。  そこで、大臣にお伺いをしたいと思いますが、今私が申し上げましたように、UR対策原点に立って当初の目標どおりこれを進めていくべきじゃないか、そのように考えますが、改めてUR対策目的そして必要性について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  9. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 今、このラウンド対策につきまして、今までのいきさつ、また原点としての考え方、お話がございまして、私もその認識は同じ認識でございます。  財政再建は確かに橋本内閣にとりましては最重要課題でございますけれども、これは何も公共事業だけを考えているわけではございませんで、全体を考え、聖域はない、こういうことで、何もこの公共事業に絞ってねらい撃ちをしておるということではこれはございません。その点は多少一般論として誤解があるように思えますので、それを私はそうではないという認識をしております。  それから、先ほどのラウンド対策費についての御意見でございますけれども、このウルグアイ・ラウンド農業合意によりまして、非常に農業農村影響を受ける、その影響を何とかして最小限に食いとめて、そして足腰の強い農業をこれから築いていく、そのために一年かかって各方面の御意見を聞いたり、また国会決議も、平成六年の十二月には六兆百億円の事業費でしっかりした農業をつくっていくように頑張れという御決議もあったわけでございますし、政府与党責任を持ってこのラウンド対策費を決定をした、こういういきさつがございまして、その当時のことを思い出せば、私は、この所期の目的に向けて、まず六兆百億の事業費足腰の強い我が国農業を築いていく、つくり上げていくということを推進していくことがまず一番我々にとっては大事な問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  10. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 ありがとうございました。どうかその考え方をしっかり持っていただいて、日本の農政、誤りない方向でかじ取り役をひとつお願い申し上げておきたいと思います。  次に、若干内容に触れてお伺いさせていただきます。  UR対策事業の中で、特に農業関連公共事業、これは基盤整備を指していると思います。圃場整備を指していると思いますが、これが過大投資になっているとか、あるいはこれ以上投資を続けるとむだ遣いを助長するようなものだ、こういう論評が一部にあるわけでございますが、一体全体、現時点でどれぐらい圃場整備というものが進んでいるのか、その全面積に対する割合、整備率、これをお聞かせいただきたいと思います。あわせて、UR達成期限時、平成十二年度までにどれぐらい整備率が達成される計画をお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。
  11. 山本徹

    山本(徹)政府委員 圃場整備現状なりこれからの目標でございますけれども、圃場整備というのは、農業生産性を上げ、また作物の多様な作付を実現していくために大変重要な事業でございますけれども、これも、農業農村整備の本体の事業ウルグアイ・ラウンド対策事業の重要な柱でございますが、現在、整備率は、三十アール区画にするというのが一つの目標でございますけれども、この整備率現状が五三%でございます。  それから、さらにこれを大型の機械を導入し、また直播を普及させる、これらによってさらに一層のコストダウンを図るために、現在、一ヘクタール程度の大区画圃場整備事業推進いたしておりますけれども、大区画圃場整備率が三・五%でございます。  今、第四次の土地改良長期計画平成十四年度を目標にこの圃場整備推進しておりますけれども、これは平成五年から十四年までの十年間の計画でございますけれども、この実施の当初は、圃場整備三十アールまでのものが五〇%、それから一ヘクタールの大区画が三%でございますけれども、これを目標終了年度には、三十アールの圃場整備率を七五%、それから大区画を三〇%、一応目標にいたしております。  ウルグアイ・ラウンド対策の中でも、大体ウルグアイ・ラウンド対策農業農村整備のおおむね三割程度圃場整備として実行されると今考えておりますけれども、この中でも圃場整備をできるだけ推進していきたいと思っております。
  12. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 ただいま説明をいただいたように、これは第四次土地区画長期計画達成時にしても七五%までにしか至らないという、現時点で五三%という数字でありますから、まだまだこの必要性というものは存在していくな、こういう感じがいたします。私の宮城県の場合を見ましても、UR対策期限平成十二年でありますが、この時点でやっと六〇%程度整備率ということであります。  ただ、その中で、ラウンド事業が採用されてから、それ以前よりも面積が倍に拡大をされて実施をしてきているということになるわけであって、ラウンド対策がこの圃場整備に貢献している役割というものは大変大きいものだな、こんなふうに考えているわけでありまして、こういうことからすると、決してこれは過大投資でもないし、ましてやそれ以上行うことがむだ遣いなんという論拠はどこにも当てはまらないのではなかろうかな。そういうことを言っている人があるとするならば、それは実体というものをよく知らない人が言っている言い分としか受け取りようがないわけでありまして、これは、物に例えれば、目隠しをして象の体にさわって、これは何ですかという当てっこをするようなもので、適当な感触で、考え方で判断をするというようなことでは困るわけでありますから、この実体、正体というものを確かに見定めていただいていろいろな言い分というものをやっていただきたいな、こんな感じがしているわけであります。  あるいは、この人たちはそういった面積とかなんとかということではなくて、この事業そのもの効果がどうなのかという、効果に対する疑問というものを持っておられるのではなかろうかな、こんな感じもしないわけではないわけでありますが、実際、私も圃場整備をもう既にやった立場からすると、投下労働力というものが大体半分ぐらいに減少することができた。さらには、生産コストは四割も低減することができた。この事業のありがたみ、恩恵というものを肌で感じ取っているわけであります。  そこでお伺いしますけれども、これは一般的に見て、圃場整備効果というものをどのように把握をなされておられるのか、そして、これからこれを進めるに当たって、いろいろな事例もあると思いますが、どのような指導を考えておられるのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  13. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘のように、圃場整備によって投下労働時間が大幅に節減され、生産費が下げられるというような実績が出ているわけでございますが、これを、圃場整備実施地区につきましてできるだけたくさん事例として調査し、パンフレット等いろいろな広報媒体を通しまして農業関係者に普及し、また広く国民一般にも御紹介しているわけでございます。  今先生具体的な事例で御紹介ございましたが、例えば大区画圃場、一ヘクタール以上の区画圃場整備する事業について表彰制度を現在設けておりまして、例えば宮城県では南郷町で、これは大区画化率が三一%、これは対象面積が二百八十三ヘクタールでございます、これの三割強を大区画化することによりまして、労働時間が、全国平均三十八時間、十アールでございますけれども、これが三十時間と八割以下に低下いたしまして、また生産費が、全国平均十三万二千円でございますけれども、これの半分、七万五千円といったような効果が見られております。  こういった各種の優良な事例を私どもできるだけ御紹介しながら、広く農業関係者あるいは国民にこの事業の意義というものを訴えているところでございまして、こういった優良事例を紹介しながら、この大区画事業が順調に進み、またこれによって大規模な担い手あるいは営農集団が設立され、効率的な機械農業実現することを期待しているわけでございます。
  14. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 今説明があったように、圃場整備効果というのが極めて大きい、特に生産性向上という面で大きな役割を果たしているということがはっきりしたわけであります。  アメリカの農業経済学の理論の中にトレッドミルというのがあります。これは日本では踏み車効果というふうに訳されるそうでありますが、簡単に言いますと、農業生産者が心血を注いで技術の改良なりあるいは土地改良に取り組んで、生産コストの削減というものが達せられることになりますけれども、これは直ちに農産物の価格低下というものに結びついていく、そして、これを通して消費者にそのメリットというものを移転していることになるのだ、こういう意味だそうであります。  したがって、この理論からしますと、UR対策公共事業投資というものは、これは単に生産者の範囲にとどまらず広く消費者のもとにメリットが及んでいくのだということになるわけでありますから、この事業は決して過大投資でもなければむだ遣いでもない、極めて大事なところに投資をしているのだということになるわけでありますから、改めてこのことをはっきりさせておきたい、このように思います。  それから次に、時間も余りないわけでありますが、中山間地対策についてお伺いしたいと思います。  UR対策の中で、中山間地というものを大きな柱に位置づけをしているわけであります。二つの柱の中の一本だということでありますが、この中山間地対策を大きな柱に据えたということは先ほど大臣説明の中でも十分にうかがえるわけでありますけれども、たまたまこの中山間地対策の中身で、いろいろその目的以外に使用されているのではないかとか、あるいは予算のばらまきではないかとか、こんなような批判がえてしてこの中山間地対策に浴びせられている、こんな感じがしてならないわけであります。こういった批判に対して、政府当局としてはどのように受けとめておられるか、そのことを、事務局でもよろしいですから、お伺いさせていただきます。
  15. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘のように、中山間地対策もウルグアイ・ラウンドの重要な事業でございます。  この中山間地対策といたしましては、農業生産の高度化というものも一つの大きな柱でございます。このために、中山地域はどうしても事業などにコストが余計にかかりますので、特別の中山間地の総合的な対策というメニューあるいは事業種目を設定してこれを推進いたしておりますが、これとともに、農業だけではなかなか雇用が確保できない面もございますので、ウルグアイ・ラウンド対策の大綱にもあるところでございますけれども、「多様な地域資源と農村空間を総合的に活用した都市との交流事業の積極展開を図る」といったような方法によって、多様な雇用機会の確保、さらには農村生活環境の向上を図るということが、一つの大きな眼目になっております。  こういった、都市農村交流施設と言っておりますけれども、このための事業として、公共的な施設整備いたしまして、地域の農林水産物の販売あるいは加工、調理施設、さらに、都市の住民に広く、特に青少年、家族の皆様方も含めて、農業の体験をしてもらい、あるいは、豊かな自然の中で農山村に滞在してもらい、農林漁業の体験をしてもらう。これらを通じて、農産物の販売、消費の拡大、あるいは農村のさまざまな雇用の場を確保するというようなことをねらいまして、滞在施設、さらにはこのための附属の研修施設交流施設等をつくる場合がございます。  そういった中で、地域の資源というのは、一般的には豊かな自然であり緑であり、農林水産物でございましたり、あるいは景観でございますけれども、たまたまその地域に温泉が出るというような場合に、温泉施設をその附帯施設の一部として整備するわけでございますが、これらが大変な、レジャー施設を税金でつくっているのではないかという一部の指摘、批判がございます。実際には、こういった施設整備農業構造改善事業あるいは山村振興事業整備しておりますけれども、全体の事業の中、生産施設あるいは関連施設を含めて、例えば温泉施設は全体事業の中の、農業構造改善で一%であったり山村振興対策で一・五%程度でございまして、そういった地域の、たまたま温泉の施設整備するということが非常に過大に取り上げられておりますけれども、私どもとしては、広く国民の皆様方に、中山地域山村の振興のためには、雇用の確保、拡大、これを通じた定住条件の整備というのが大変重要である、そのための施設として都市農村交流施設整備しておるということを広く訴えていく努力をいたしたいと思っております。
  16. 熊谷市雄

    熊谷(市)分科員 かように大変な機能、役割というものを果たしているということになるわけであって、こういうところにこそやっぱり税金というものを生かして使うべきではないかというふうに私は思っております。  治山治水、それによって国土というものを保全をしていく、あるいは水や緑というものを創生をしていく、そして、すばらしい景観というものを保全をしていく、これはもう、国民生活にとって欠かすことのできない要素なわけですね。これを供給をしていく、言うならばこれは基地になる地域でありますから、これを大事にしないで、国民生活の安定も国の将来性も私はないであろうというふうに思います。僻地であるから、人がいないからこれはどうなってもいいんだというものじゃないわけですね。  そういう政治の空白というものは決してつくるべきではないし、ましてや、そこに今、本当に農地を守り、森を守るためにその地域にしがみついて頑張っている人たちがまだまだおられるわけであります。この人たちは、余り楽しみもない、娯楽もない、レジャーもない、そういう環境の中でその地域というものを守っているわけでありますから、この人たちのために温泉の一つや二つぐらいつくってやって、むしろ、頑張れよ、こういう形で金というものは使うものだという、いい意味での地域社会というものを活性化する、エールというものをマスコミの方からも送っていただけば、私は大変ありがたいな、こんなふうに思っております。  ひとつ自信を持って、一部のそういうものにくじけないで、大事な仕事の使命感というものを持って、自信を持ってこの地域対策というものを進めていただきますようにお願いを申し上げまして、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  17. 菊池福治郎

    菊池主査 これにて熊谷市雄君の質疑は終了いたしました。  次に、大畠章宏君。
  18. 大畠章宏

    大畠分科員 民主党の大畠章宏でございます。  北海道も農業の大変大きな地域でありますが、茨城県も、最近千葉県にちょっと抜かれましたけれども、農業というのは大変大きなウエートを占めております。そういう茨城の農業、特に私が住んでおりますのは県北の方で、まさに中山間地、今熊谷先生からもお話がありましたが、中山間地の農村地帯がたくさんあるところですが、そういう実態を踏まえながら、農水大臣に、これからの農業政策の基本について何点か御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、最近、地方自治体の首長さんが大変話題にし始めています減反政策について、これをどうするのかということをお伺いをさせていただきたいと思います。  たまたまきのうの新聞ですが、岩手県の方で、これは東和町というのですか、この町長さんが、減反には関与せずという発言をされました。それから、ちょっと前でありますけれども、これは一月の初めのころでありますが、減反は生産者団体がいろいろと考えてやっていくんだけれども、やはりこの減反というのはもう地方に押しつけるべきじゃないんじゃないかという発言を、橋本総理大臣の弟さんであります大二郎さんが高知県知事として初めて発言をされました。  私は、この二人の首長さんが発言されるというのは、大変熟慮に熟慮を重ねて、今どきこの状況の中でこんな発言をして本当にいいんだろうか、ひょっとしたら大きな波紋を呼ぶんじゃないかということを考えながらも、地域の実態からするともう農水省が進めている減反政策には限界がある、地方自治体の首長として、責任ある立場から、もうこの減反政策を地域の農民に押しつけるという政策そのもの自体が間違っているんじゃないか、そういう悲痛な思いから発言をされたと思うのです。  この問題は、考えてみますと、いわゆる米余りの実態もありましたが、基本的には減反政策、いわゆる日本の国内の生産量と需要という、需給の調整をしようということで始まったんですけれども、その一角が崩れまして、ガット・ウルグアイ・ラウンドで一部米の輸入というのが始まりました。そして今、二〇〇〇年にさらに見直しがあるということでありますが、そうなってきますと、日本国内の需給調整をするという意味での減反政策そのものが、そのベースが崩れたんじゃないかと思うのですね。  例え話をしてはあれですけれども、かつて日本も鎖国をやっていました。鎖国をして、江戸時代、日本の国内での自給自足体制の経済を立ち上げましたけれども、結局開国をすることになりました。そして、開国をする中で、日本が海外の国々とも十分対抗し得る体力をつけようということで、政策を、経済政策と軍事の立ち上げ、いわゆる富国強兵策をとり始めたのですが、今、この減反政策というのはそういう状況なんじゃないか。  いつまでも農民の皆さんに、おれたちが守ってやるから、おれたちが守ってやるからと言いながら、実態的にどんどん進んでいるとすれば、私はこの減反政策を基本から考え直してみる必要があるんじゃないか、そういうふうに感ずるわけでありますけれども、大臣として、この減反政策についてどう今考えておられるのか、そしてこれからどうされようとしているのか、最初にお伺いしたいと思います。
  19. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 この米の生産調整、いろいろな意見があることは私も承知をいたしておりますが、まず基本の問題としては、米の生産、潜在的な生産能力は千三百五十万トンもある。米の消費はだんだんと落ちてきて、今一千万トンになってきた。そうしますと、この潜在的な生産能力と、それから今の米の必要の生産力と比べてみますと、いわゆるこの需給ギャップが三百万トンから三百五十万トンある。ですから、そういう需給ギャップがある限りは、これはどうしても生産調整をして、要るだけの量をつくるということにしないと、これはお米を円滑につくり、また円滑に消費者にお渡しするということに支障が来る、そういうふうに思うわけです。  ですから、適正な価格で、安定的に米を消費者に渡すためにはこの生産調整が必要な措置である、そういう認識で私ども平成八年から三年計画で今の生産調整に取り組んでいる、こういうことでございます。  それから、この今の日本農業がお米中心農業であるということは、これは事実そのとおりでございまして、この米中心農業から、いろいろな他の農産物をつくっていく、そういう農業に転換するということも非常に大事なことでありますし、そういう点のこともこれからの農政の基本的な課題だというふうに思っております。  それから、国民の皆さん方がこのお米についてどう考えていらっしゃるかということの総理府の調査が出まして、その総理府の調査によりますと、国民の七、八〇%の方は国内のお米を食べたい、こういう御意見があったわけでございまして、その御意見を我々としては十分に頭の中に入れまして、生産者の皆さんにも企業努力をしてできるだけコストダウンを図ってもらうことは当然でございますけれども、やはり米の安定的な供給ということについては、非常に大きな、我々にとっては責任がある問題であるというふうに思っております。
  20. 大畠章宏

    大畠分科員 基本的な考えはわかるわけですが、それじゃ、大臣というか、農水省の皆さんにお伺いしますが、二〇一〇年になったとき、アジアの食糧と日本の食糧というのはどういう状況になりますか。  このいわゆる米が余るということでありますけれども、二〇一〇年のときの中国の人口あるいはインドの人口、アジアの人口、そういうものを考えますと、日本国内のいわゆる需給調整だけやっていればいいという時代は私は終わるんじゃないかと思います。あるいは二〇五〇年になったとき、地球人口は何億になりますか。百億を突破するんですよ。そういうときに、日本国内の国民の要求がこのくらいだから、このくらい調整すればいいんだという話なんですか。例えば、二〇五〇年のときに関税がどうなっていますか。日本国内の関税を上げて一定しか入れないなんという話ができるんですか。逆に言えば、日本国内でそれだけの食糧生産能力があれば、もっとやってほしいという声がアジアから起こるんじゃないでしょうか。片方じゃ餓死している、片方じゃつくり過ぎている、そういう日本国内の需給バランスだけで日本農業政策というのをやっていいとは思わないんですよ。  私は、やはり日本のいわゆる国際貢献というのは、もちろんさまざまな形がありますが、食糧援助というものも一つの道じゃないですか。それも、今大臣からお話があったように、千三百五十万トンも生産能力を持っているとすれば、それを大いに活用しながら国際的な貢献をするということが必要じゃないですか。  最近私は思うんですが、農家の方がなかなか元気がない。それは物をつくる自由というのがないんですよ。このくらいだけつくってください、このくらいだけつくってください、その中で意欲が増しますか。それもつくっては青田刈り。あるいは農業基盤整備をやったところが、正直言って、公に聞くと、いやそういうことはありませんと言うんだけれども、休耕田になっていますよ。お金かけたところが休耕田になっているんですよ。そんな実態を目前にしながら、農家の皆さん頑張ってください、あなた方が頼りですというふうな話をどんなにしたって、私は農家の方が元気が出るわけがないと思う。  農水省の幹部の皆さんが二〇五〇年あたりをにらみながら、どういうアジアの食糧状況になるのか、そしてその中の日本農業政策というのはどうあるべきかというのを、少し長期的な展望で、ちょっとどなたか責任ある回答をしてもらいたいと思う。
  21. 堤英隆

    ○堤政府委員 これからの中長期的な世界の食糧需給ということについての御指摘でございます。  これはなかなか見定めがたい面がございますけれども、しかし、今の状況から考えましても、アジアを中心として人口が爆発的に伸びていくということが言われております。  それから他方、食生活は高度化してまいりますので、耕種作物から畜産その他のものへのいわゆる代替が相当に進むだろうということになりますというと、牛や豚やそういうものが食べます穀物の需要というものが、これまた非常に伸びてくるということも当然予想されるところでございます。  それから他方で、じゃ農業生産をめぐる状況はどうかということになりますというと、やはり環境問題が非常に悪化してきている。現在でも、年間に五百万ヘクタールほどの砂漠化が進んでいるという状況にございます。それから、環境問題に対します世界の方々の関心が高くなってきておりますので、従来のような農法がこれからもいつまでも続けられるということではないというふうに思っております。  そういう点では、今先生御指摘のように、中長期的に見て、人口問題、食糧問題、エネルギー問題、環境問題、そういうことを考えますと、世界の食糧需給というものは、やはり相当厳しい状況ということを念頭に置いておかなければならないというふうに思っております。  そういう観点の中で、私どもとしましても、できるだけ国内で生産できるものはやはり生産していくという基本的な考え方に立っております。そういう意味で、備蓄それから輸入それから国内資源を最大限に生かした生産、この三つを適切に組み合わせた対策ということが必要だというふうに思っているわけでございますが、今生産調整との関係で御指摘ございましたけれども、これは現状の米の需給ということを考えますというと、この四分の一世紀そうでございましたように、当面もやはり過剰が続くというこの事態というのは、これに対して適切な手を打っていかなければいけないんじゃないか、そのことが、大臣申し上げましたように、農家の方々の経営の安定ということと同時に、消費者の方々に米の価格が暴落、暴騰するという形で不安を与えてはいけない、そういう観点から当面の対策として私どもとしては実施をしているということでございまして、そういう意味で、その点の違いといいますか、その点については御理解を賜りたい。  しかし、私どもとしましても、できるだけ国内生産の資源をこれからも生かしていく、それを人それから土地、資源、そういうものを大事にする政策をこれからも重点的にやっていきたいというふうに思っております。
  22. 大畠章宏

    大畠分科員 私は今のお話もよくわかるんですけれども、その理論では二〇〇〇年までもたないんじゃないですかね。二〇〇〇年にこれはガット・ウルグアイ・ラウンドの見直しをしなければならないということがありますし、二〇二五年には大体地球人口八十五億ということが言われておりますし、日本の人口は減少傾向にあるんですよね。したがって、日本国内での、例えばある統計によりますと、出生率が一・五で続くならば、百年後には六千五百万人になってしまう。半分になっちゃうんですよ。そうしたら、お米食べるのも半分なんです。そうしたら、それに合わせてまた減反を今の倍々とやっていって、もう田んぼも半分でいい。単純に需給調整ということだけで言えばそうなっちゃいますよね。そんなにこれから日本の将来に向けて、その減反というものが進むんですか。  その一方で、インドの人口が急増して、九億を突破していまして、中国を抜くんじゃないかと言われていますね。中国の人口も十二億と言われていますけれども、非常に人口が増加していて、生活向上に伴って食糧も不足し始めている。こんなことを考えていきますと、私は、今おっしゃったような日本国内の食糧の需給関係を調整していれば農水省としての役割は済むとは思わないのです。  それはなぜかというと、日本はもう、日本国内の自給自足といいますか、経済もそうでありますが、日本国内のバランスが調整されればそれで生きていけるとは思わないのです。私も通産政務次官をさせていただいて、APECに行ってまいりました。十八カ国の国々がどうやって自分の国の将来に明るい展望を見出すかと必死なんです。その経済対策の一つとして、二〇一〇年、二〇二〇年には関税をゼロにしよう、どこの国でつくった製品も、それぞれお互いに交流をしながらお互いの国の経済力を上げて、そして助け合ってやっていこうという流れができ始めているのです。そのときに今のような日本国内の食糧の需給調整だけを農水省でやっているとすれば、十四兆の国のお金を使っているというその重みからすれば、私は、非常に小さな範囲内でしか物を考えていない、そういうふうにしか思えないのです。  最近、農業予算についても国民からさまざまな厳しい指摘をいただいています。農道空港については一般の飛行機も着陸できるようにしようというような発想もあります。さまざまな新しい試みは非常にいいと思うのですが、あの当時の、いわゆるバブル経済時代の、いわゆる経済成長が一〇%、一二%続くだろうという時代の発想だったと思うのです。したがって、そろそろ、穏やかなといいますか、持続可能な経済成長をするような物事に視点を置いて、そして日本国内の需給調整だけではなくてアジア全体の、あるいは世界全体の食糧事情というものを考えながら、日本の食糧政策はどうあるべきかという視点に切りかえないと、いつまでもバブル時代の基本方針をまじめに守っていればいいという時代ではないと思うのです。  国の予算もだんだんなくなってきたのです。ことしだってそうでしょう。大臣も御存じですが、十六兆七千億も国民から借金して、十六兆八千億も利子補給で払っているのです。国民から借りた金が全然生きないのです。そういう状況予算をつくりながら十四兆を超える農水予算を出しているわけです。  そんなことを考えますと、今のような発想で果たして本当にいいのだろうかと。いわゆる官僚として将来に責任がある政策を打ち出すべきです。多少いろいろな方々から話があったとしても、やはり官僚の皆さんの優秀なところは、将来を見通して常に先手先手を打ってきたのが今日の日本を築いたと思うのです。どうも最近、目先のといいますか、当面のという話だけで来るからどんどん方向性がなくなって、本当にそれで日本農業に、食糧政策に展望が開けるかといったら開けないのです。どんなに農家の方のことを考えているといったって、意欲が出ない農業ではまず困ると思うのです。  この問題は、正式な回答はそういうことしかないかもしれぬけれども、ぜひ私は、日本国民の食糧と同時に、アジアの食糧の全体の供給体制も含めて農水省として検討していただきたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  23. 堤英隆

    ○堤政府委員 ちょっと二点ほど申し上げさせていただきます。  まず一点は、米の生産調整に関してでございますけれども、これはよく減反政策と言われるわけでございまして、米の生産をやめる、中止する、減らすということだけが強調されるわけでございますが、農水省として、政府全体として進めておりますのは決してそうではございませんで、米の消費は減っていきますので、その分だけ生産をある程度抑制していくことは仕方ないわけでございますけれども、他方で、今おっしゃいましたように麦でありますとか大豆でありますとか、飼料作物、その他の野菜、畜産物その他につきましては、自給率の問題からいきましても、まだ生産を拡大していかなければならない面もございます。  そういう意味で、日本生産の構造というものを日本の食生活に見合った形にどういうふうに調整していくか、これがいわゆる生産調整対策でございまして、そういう意味では、決してマイナス面のやめることだけという意味ではございませんで、これから伸ばしていかなければならない分野、あるいは自給率が非常に低い分野、そういう分野の作物につきましてはこれを拡大していく、そういう生産構造の変革を農家の方々の御協力をいただきながら、厳しい状況でございますけれどもやってきている、そういう過程でございます。  それからもう一点は、アジア全体あるいは世界全体につきましての食糧の需給問題、これは私ども政策当局として頭の真ん中に据えております。  そういう意味で、日本の周りを見ますと、ほとんどの国で、従来でありましたら食糧輸出国でありましたものを輸入国に転換するという形の中で、食糧の需給問題が非常に厳しい状況になっているという認識をいたしております。そういう意味で、また私どもとしてはいかに国際貢献ができるかということで、日本が持っております人それから技術力、そういうことを生かしまして、いろいろな国に対しまして相当な国際貢献をいたしております。  今後とも、そういう意味で、世界の食糧需給の安定ということとそういう地域に住んでおられる方々の民生の安定という観点に立ちまして、国際貢献という面で汗を出していかなければならないというふうに思っておるところでございます。
  24. 大畠章宏

    大畠分科員 わかりました。  あと、日本の過剰生産の——農産物対策というのは大変重要だと思うので、いわゆる一般にもよく言われていますが、ODAの中でさまざまな支援をしていますけれども、日本がもうかるという意味でのODAじゃなくて、本当に人道的な立場、あるいは食糧の支援とともに米栽培の技術をその支援を受けている国にやっていくというようなことも考えながら、やはり日本国内で自由に物がつくれる、農業のすばらしいところは、自分の判断で自由に作物をつくれる、働いたら働いただけ収入が上がる、そんな環境がなければなかなか意欲がわかないと私は思うのですよ。  その意欲を引き出すのと同時に、世界の国々への貢献ということをするために、食糧支援というのは大変重要だと思うのです。日本でとにかくそういうふうな食糧を生産するいわゆる能力があるのですから、それを大いに発揮してやってほしい。日本国内で過剰になったものは海外に対する支援に振り向ける、そういうことをしながら、確かに日本の農産物、高いとは言われていますが、そういう形でアジア諸国と連携をとりながら、そういう過剰に生産されたものについては各国の支援に入れていくという姿勢を打ち出すべきじゃないかと思うのですが、ぜひここら辺も十分念頭に置きながら、農家の方々の意欲を増すように努力をしていただきたいと思います。  それから、中山間地農業の問題については、先ほど熊谷先生からもお話がありましたが、この中山間地農業というのは、昔は山と農業と、二つを一緒にやっているような感じでずっと来ていたのですけれども、今、中山間地農業についてもいろいろ支援策をとっていただいていますが、もう山が今荒れ果てています。茨城の方でも今、山火事が発生していて、きょうも多分一部で燃えているという状況も聞いていますが、山が荒れてきました。そして夏になりますと、渇水だというので水の制限等があり、水の大切さというのを感じているわけです。  司馬遼太郎さんが小学校の教科書の中に、水と空気は人間にはどうしてもなければならないものです、いずれ二十世紀の末になってくると、自然というものが大切だということを改めて知ることになるでしょう、さらに人類も、科学技術を使ってここまで伸びてきましたが、人類も自然の一部だということを痛感する時代が来るのじゃないですか、こういうような内容の教科書を私はきのう見たのです。  そんなことからいいますと、山がもうからないからといって、もうかるもうからないで対応している状況が続いているわけですけれども、山の森林対策、特に国有林と私有林がいろいろあるのですけれども、ここに対してペイするとかペイしないという形じゃなくて、先ほど熊谷さんからもお話がありましたけれども、国を守るあるいは人を守る、人類を守るという観点から何らかの、前に水源税というふうな税を起こそうかという話がありましたが、応分の負担を町で暮らしている方々に負担していただいても、中山間地というか、山にもうちょっと投資をすべきじゃないかと私は思うのです。今のままでしたら、どんどん予算削減になって、山にますます手が入らなくなると思うのです。  この山の問題について、たくさんの方が質問されていると思いますが、改めて、どういう方針で臨まれようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  25. 高橋勲

    ○高橋政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、林業を取り巻く大変厳しい情勢の中で、森林整備ということが大変問題になるわけでありますが、御指摘のように、水資源の涵養とか木材生産だけでなくて、いろいろ公益的な機能を発揮しております。  それで、林野庁、政府といたしましては、昨年十一月に、森林資源整備の基本方向を定めます森林資源に関する基本計画を策定いたしたところであります。これに即しまして、森林事業計画的に実施しまして、水資源の涵養等の公益的機能を初め、保健、文化、教育的な森林の利用、あるいは生活環境整備、そういうものを重点的に推進したいと思っております。  それから、林野庁だけでなくて、関係省庁ともいろいろな協力を求めてやっていこうという意味で、自治省や国土庁と一緒になりまして、森林山村検討会を設置して、そこで、林道の整備とか担い手の育成というふうな施策充実を図っております。  それから、国民に参加を求めるというふうな意味で、森林づくりボランティアのネットワークづくりあるいは緑の募金というふうな運動で、国民の自発的な森林整備活動についても積極的に支援していきたいと考えております。  これからも、森林の持つ多面的機能の重要性にかんがみまして、広く国民協力を得ながら、森林整備に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  26. 大畠章宏

    大畠分科員 基本的な考えはわかりましたけれども、とにかく今のままではだめなんですよ。そういうふうに非常に滑らかな答弁をされていますが、とにかくこれまでの流れではだめなんですよ。何か新しい手を打ち始めないと私はいけないと思いますよね。先ほどの食糧政策と同じように、とにかく、これまで長く農林水産省も一生懸命農家の皆さんや林業の皆さんや地域の皆さんのためにやってきたけれども、どこかで方向が少しずつずれ始めたんですよ、現状と。  だから、ことしは行革元年とか、あるいは財政再建元年と言われていますが、とにかく、それだけじゃなくて、みんなの考え方を、もう一回現場を見よう、現場を見て、山を見て、農家を見て、そして物事をもう一回考えてみようという、私はそういう年だと思うんですよ。私は、今の基本的な考えは十分理解しているところでありますが、さらに、山を見て、あるいは山間地の田んぼを見て、将来の子供たちに不安がないような状況をつくるために一層の努力をしていただくことをお願いしたいと思うんです。  それから、大臣、最後になりましたけれども、今さまざまな形でこの予算問題が言われていますが、中海の開拓の問題が新聞紙上でもいろいろ取り上げられます。先ほど言いましたように、日本の米問題については、食糧が過剰生産であると。それで、二十年前からこれはやっているわけですけれども、それでもなおかつ、この中海開発を進めなければならないということが果たしてどうなのかという国民の疑問があるんですよ。  それで、その一方では、十六兆七千億という国民からの借金をして、十六兆八千億も国民に対して借金返済しているという状況で、いわゆる中海に象徴されるような形での農業に関する公共事業というものをもう一回根本から見直して、本当の意味で農家のためになるんだったらいいですよ、そういう視点で、ただやってきちゃったから、しようがない、やろうかという話じゃなくて、これまでのことが間違っていましたとかなんとかということを、なかなかこれは言いづらいから難しいんですが、しかし、この時点でもう一回、私は、この予算問題について、本当に頑張っている農家の方や林業で頑張っている方々や、そういうことに役に立つような予算に切りかえるべきだと思うんですが、この件についてお伺いしたいと思います。
  27. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 この中海の干拓の問題、いろいろ今まで予算委員会で議論がございました。  これは、考え方を整理しなければならぬと思いますのは、米は、確かに米余りで生産調整をいたしておりますけれども、一方で、我が国の食糧の自給率というのはだんだん低下をしてきているわけで、この低下傾向に歯どめをかけて自給力をふやしていく、こういうことになりますと、これは農地面積を確保していかなきゃならぬ、またつくっていかなきゃならぬ、こういうことでございます。今、農地面積は五百万ヘクタールで、全体の、今外国から輸入をしている食糧を日本の国内でつくるとすれば、さらに一千二百万ヘクタール要る、こういう状況も頭の中に入れておかなきゃならない問題で、そういう観点からしますと、食糧自給力を上げて、国民の皆さんに安定的に供給するためには、農地面積をやはりふやしていく、こういう政策が一方で必要である。確かに、米は余っていますから、これは減反政策をとらにゃいかぬ、だけれども、これは全く別の問題だと思っております。  それで、中海の問題につきましては、今までの経緯がございますので、米の問題を、中海でもしこの干拓という事業実施できるということになりましても、お米の問題を、ここでつくるということは一切考えておりません。その前の問題として、県議会、地元からの要望がございまして、二年間、中立的な調査をして、総合的な調査をして、その上で何をするかということを結論を出そうということでございまして、今の我々のスタンスは、一切そういうことを考えずに、中立的な調査を二年間かけてやろう、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  28. 大畠章宏

    大畠分科員 ありがとうございました。大臣におかれましても、現場といいますか、一生懸命農業林業に携わっている方々の生の声を聞きながら、ぜひこれからの農業政策を進めていただきたいと思います。藤本大臣初め、農水省の関係の皆さんのさらに一層の御努力をお願いしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  29. 菊池福治郎

    菊池主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。  次に、江渡聡徳君。
  30. 江渡聡徳

    江渡分科員 自由民主党の江渡でございます。  現在、日本におきます食糧自給率というものは四〇%強というような状況になっておりまして、かなり厳しい状況であるというふうに言わざるを得ないと思っております。特に、農家におきます所得の低迷あるいは後継者不足など、かなり多くの問題を抱えているのもこれまた現状でございます。これからの農業に対しまして、明るい兆しがなかなか見られないというところでもありまして、それらの点も踏まえましてお伺いしたいと思います。  まず最初に、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の見直しについてお伺いしたいと思っております。  平成五年十二月のガット・ウルグアイ・ラウンドの合意を受けまして、平成六年十月にはウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱というものが決定されました。我が国農業体質強化を図るために、事業費ベースで総額六兆百億円のウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策がスタートしたところでございますけれども、これによりまして、全国各地で、大区画水田等の生産基盤整備や集出荷施設等の整備が進められております。積極的に活用する動きが見られておりますが、農林水産省といたしまして、特に二十一世紀におきます我が国農業政策の基本的な考え方というものをまずお聞かせいただきたいと思っております。
  31. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 農政をこれから進めていく上での基本的な考え方、私は四つあると思っております。一つは、まず農業を魅力ある産業として確立していく。それから二番目には、国内生産を維持、拡大をいたしまして、国内の供給力を確保していく。それから三番目には、消費者に対しまして、良質で安全、新鮮な食料を適正な価格で安定的に供給をするということ。それから四番目は、住みやすく活力のある農村地域を建設していくということ。この四つが、これからの我が国の農政の基本的な方向であるというふうに考えております。
  32. 江渡聡徳

    江渡分科員 ありがとうございます。特に、今大臣がお話しされましたように、四番目の魅力ある農村づくり、これがこれから若い方々が農業に従事していく上においてはかなり重要な部分だと私は思っておりますので、その辺のところに対しまして鋭意御努力されることを御期待申し上げたいと思います。  ただし、現在、多くの場所におきまして、このガット・ウルグアイ・ラウンド対策を見直すべきではないかという意見がかなり出されているわけでございますけれども、私自身、農業県出身という立場から申し上げさせていただきますと、この事業は国際化への対抗策として政府与党責任を持って決定したことでございますので、事業費を削減することのないようにしてほしいものでありますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
  33. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 江渡委員の今の御意見のように、このウルグアイ・ラウンド対策の問題は、いろいろな方の意見を聞いたり、国会決議をいただいたり、また政府与党責任を持って決めたといういきさつがございまして、新しい国際環境のもとで足腰の強い農業を築いていくための必要な対策としてスタートした事業でございますから、まずこの事業推進していくということが一番大事なことだと思っております。また、この六兆百億円の事業費については、そういういきさつからいたしますと、六年間の対策として進めていくために必要な事業費であるというふうに政府与党でも決めた、そういういきさつもございますので、これも私どもとしてはこのままこの事業費対策を進めていかなきゃならぬと考えております。  それから、見直しの問題は、これはいろいろ、与党と野党との関係でいろいろな回答がございまして、与党側から野党三党に対する補正予算の組み替え動議に対する回答の中にございました。これは公党間の約束でございますから、我々としてもこの点については十分に配慮していかなければならぬと思っておりますが、この見直しの問題は、総額ではなくて中身の問題であるというふうに認識しておりますし、また、この見直しも平成十年度から、内容については実施状況であるとか関係者の御意見を聞きながら検討していく、こういうふうな考え方でおるわけでございまして、その点もそのように御理解していただきたいと思います。
  34. 江渡聡徳

    江渡分科員 ありがとうございます。  総額は見直さないということですので、そのお答えを聞いただけで私非常に安心いたしました。特に、見直しは中身の方に対してのことだということですけれども、本当の意味で農家のためになるような形での見直しをよろしくお願いしたいと思っております。  次の御質問をしたいと思います。  青森県のような積雪寒冷地域におきましては、補正時期というものがおくれますと、どうしても工事期間が制約されてしまいます。効率的な予算執行が困難となりますので、見直しに当たっては補正時期を早めるなど、より使いやすいものにするべきだと私は思っております。このことについて御見解を聞かせていただきたいと思います。
  35. 堤英隆

    ○堤政府委員 ウルグアイ・ラウンド対策につきましては、御案内のように当初予算それから補正予算で対応してきております。いろいろな経緯があってそういう対応をしてきているわけでございますが、一般論として申し上げまして、今おっしゃいましたように、当初予算予算を計上できればその分だけ計画的に、かつゆとりを持って実行できるという面がございます。それが基本だというふうに思っております。  また、当初予算を組みます場合におきましてもできるだけ早く組むことによって、その残りの期間において事業を執行できる、そういうことが積雪寒冷地域、その他の地域にとっても有効だということだろうと思います。  ただ、現実問題として、当初予算で精いっぱい組みながら、なおかつその後の状況ということで補正を組むという場合もあろうかと思いますが、今御指摘のようなことも念頭に置きながら今後対応してまいりたいというふうに考えております。
  36. 江渡聡徳

    江渡分科員 ありがとうございます。  特に、私どものような青森県を含めまして、積雪寒冷地域に対しましての御配慮のほど、よろしくお願いしたいと思っております。  次に、ニンニクのことに関しましてお聞きしたいと思いますけれども、ニンニクの日中二国間協議についてお伺いしたいと思います。  青森県は全国の出荷量の七割を占める日本一のニンニクの主産県でありまして、ニンニクは青森県におきましても極めて重要な基幹品目として位置づけられております。このような中におきまして、平成五年におきましては、極めて安価な中国産のニンニクの輸入が、特に前年の約二・四倍に当たる一万五千三百トンというふうに急増いたしました。そういうことから青森県産ニンニクの市場価格が低落いたしまして、これによりまして、青森県におきましては、平成六年産で二千二百ヘクタールと、三〇%ほども減少したという事実がございます。極めて大きな影響を受けました。このため、青森県におきましては、中国産に対抗できる高品質大玉ニンニクの安定生産推進するとともに、機械化、省力化によるコストの低減、消費宣伝活動の強化など、産地の維持に向けた生産販売対策等に万全を期しているところでありますけれども、農林水産省といたしまして今後の対応をどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  37. 高木賢

    高木(賢)政府委員 ニンニクの生産対策についてお答えを申し上げたいと存じます。  ニンニクにつきましては、これまで国内産地の国際競争力強化を図るという観点から、出荷施設などの産地基盤の整備、あるいは展示会の開催、パンフレット、新商品の開発などによる消費啓発等の対策を講じてきました。  しかし、今の事態に対応するために、今先生御指摘のように大玉化を推進する。これは消費者にとってもむきやすいものでありますし、収量増にもつながる。中国産との差別化の観点からも極めて重要であると思います。そういう大玉化を進めるという点から、農協を含めたウィルスフリー株の増殖体制整備確立を図りたい、これがまず第でございます。  それからもう一つは、種のニンニクを垂直に植える、これが非常にその後の生育にとって重要な技術上のポイントになりますので、垂直に植えるという植えつけ精度の向上を図るための植えつけ機の改良、これを柱といたしますにんにく・しょうが特別対策事業平成九年度予算で要求しておりまして、ただいま御審議をいただいておるところでございます。
  38. 江渡聡徳

    江渡分科員 ありがとうございます。  特にニンニクの生産におきましては、農家の方々はかなり手間暇をかけまして、よりよいものをということで努力しているところでございます。今お答えの中にもありましたけれども、このたび、国におきまして、産地強化を図るためににんにく・しょうが特別対策事業というものを予算化したわけでございます。このことに対しては、私は本当に多大なる評価をするものでありますけれども、そのほかに農林水産省といたしまして対案があるのかどうなのか、お伺いしたいと思っております。
  39. 本田浩次

    ○本田政府委員 ニンニク及びショウガの輸入急増対策につきましては、一般セーフガードの政府調査の開始につきまして、関係省庁と、具体的には大蔵省、通産省でございますが、協議を進めますとともに、現実的な解決を図る見地から、これと並行して中国との協議を進めてきたところでございます。  今回、中国側から輸出の自主管理を強化する旨の一定の回答がございましたので、当面、中国側の対応を注視することといたしまして、セーフガードの政府調査開始につきましての関係省庁との協議は一たん休止したところでございます。  今後、中国側の措置の効果があらわれずに、ニンニクの価格の下落でございますとか、ショウガの輸入数量の増加といった状況が生じました場合には、直ちに中国との協議を再開することとしておるところでございます。  また、そのような場合には、一般セーフガードの政府調査開始につきましても、これまでの関係省庁との議論も踏まえまして、早急に協議を始めたいと考えているところでございます。
  40. 江渡聡徳

    江渡分科員 ありがとうございます。  今回、日中両国の合意によりまして、現行の輸出割り当て及び輸出許可証による管理のさらなる強化という点。第二点におきましては、日本側の管理に資するための輸出業者名の提供ということ。そして、第三番目におきましては、生産、消費、貿易に関する定期協議の実施。こういうような対策が講じられたということは、ニンニクのみならず野菜の輸出に一定の秩序を与えるものだと、私は極めて意義深いことだと認識しているところでございます。  国産野菜の自給率向上に対しましての、国の考え方並びに具体的対策というものはどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  41. 高木賢

    高木(賢)政府委員 国産野菜の自給率向上につきましては、現在八十数%の自給率でございますが、平成十七年度の長期見通し八八%というふうに想定をいたしております。  現在、野菜生産の抱えている課題が大きく二つございます。  一つは、生産農家の高齢化などの労働力問題、それから都市化の進展によります都市近郊産地の壊廃など、こういう面から作付面積が減少傾向にありまして国内供給力の低下が懸念されている、これが一つでございます。それから一方、需要者サイドでございますが、食品・外食産業等の加工・業務用、あるいはスーパーなどの量販店の需要が増大いたしまして、需要者側からは定時、定量、定価格での安定した供給が求められております。  こういった二つの国内供給力の低下の懸念、定時、定量、定価格での安定供給を求める声に対応するということが自給率向上のポイントではないかというふうに考えているわけでございます。  まず、国内産地強化の観点から具体的に申し上げますと、やはり省力化、低コスト化ということが重要な課題になろうと思います。そこで、野菜産地におきます労働力調整とか土づくり、合理的な輪作体系、こういったものの確立によりまして作柄を安定する、安定的な生産システムをつくるというのが一つでございます。それから二つ目には、省力化を図るために、特にキャベツなどの葉物類でございますが、これには機械化一貫体系を確立して対応する。さらに、施設園芸が相当なウエートを占めてきておりますが、低コスト施設の導入等によります園芸施設の設置コストの低減。こう大きく三本の柱で省力化、低コスト化を推進してまいりたいと考えております。  それから、二つ目の課題であります多様なニーズに対応して量販店などの需要に即した供給を行う。この観点からは、まず一つには、都市近郊、中山地域におきまして、立地条件を生かした多品目少量生産あるいは直接販売、こういったものによる特色ある産地づくりを進めていくというのが一つでございます。また二番目に、輸入野菜による影響が懸念をされる国産野菜につきまして、特に量販店あるいは外食等のものでございますが、特にこれに対応しては定時、定量、定価格契約取引推進ということを大いに進めまして、国産野菜のシェアを維持する、あるいは向上する、こういうことに努めてまいりたいと考えております。
  42. 江渡聡徳

    江渡分科員 ありがとうございます。  できるだけ国産野菜供給がスムーズにいけるような形の政策をこれからも随時よろしくお願いしたいと思っております。  リンゴの輸入解禁についてお伺いしたいと思っております。  生果リンゴにつきましては、これまで植物防疫上の理由から、平成五年にはニュージーランド、平成六年にはアメリカからの輸入が解禁されました。その後、オーストラリアやフランス、カナダからも輸入解禁の要請があります。特にアメリカにおきましては、ふじ、ガラ、グラニースミス、プレイバーンの四品種を追加するように強く求めてきているところが今の現状でございます。リンゴの生産地におきまして、国のりんごわい化栽培等緊急推進対策事業等を活用しまして鋭意矮化栽培等の推進をし、コストの低減あるいは品質を高めるように努めておりますけれども、相次ぐ輸入解禁の動きに対し関係者の間には不安がかなり広がっております。特に、植物防疫上の不安は大きいものがあります。リンゴの輸入解禁に当たりまして慎重に対応し、もし万が一火傷病やコドリンが等の病害虫が我が国で発生した場合におきまして、国の責任はどのように考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
  43. 高木賢

    高木(賢)政府委員 ただいま先生御指摘のとおりでございますが、諸外国には我が国では未発生の重要病害虫でありますコドリンガ、火傷病が広く発生しております。したがいまして、これらの病害虫の発生国からのリンゴの輸入を禁止しているところでございます。ただ、コドリンガ、火傷病の侵入を完全に阻止できる検疫措置が輸出国において確立された、こういう場合には輸入禁止措置を解除しているところでございます。したがいまして、この検疫措置が完全に行われれば、これらの病害虫が我が国に侵入することはないと考えております。  しかし、万が一これらの病害虫が侵入した場合どうなるかということでございますが、これは当然組織的かつ早急に対応しなければならない、そして撲滅しなければならないわけでございまして、このような場合に備えまして植物防疫法におきましては、その十七条でございますけれども、緊急防除の制度を設けてこれに対応するということにしております。そしてまた、緊急防除に要する費用は、全額国庫負担で行うということにいたしております。  しかし、いずれにしてもまず入らないということが一番大事なことでございますので、万が一にも入らないように、的確な植物検疫の実施に万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  44. 江渡聡徳

    江渡分科員 できるだけそのような形でお願いしたいと思っております。  今回のリンゴの輸入解禁に対しまして米国は、今後の協議がもし不調に終わった場合、世界貿易機関に提訴することも辞さないというような構えのようでありますけれども、米国の動きがどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
  45. 高木賢

    高木(賢)政府委員 アメリカの主張がどういうことであるかということを申し上げたいと存じますが、我が国は植物防疫法で輸入が禁止されている植物の輸入の解禁に当たりましては、植物の品種ごと、リンゴならリンゴの「ふじ」とかそういう品種ごとに殺虫効果の確認試験を要求いたしております。これに対しましてアメリカは、品種による殺虫効果の差はない、もしくはあっても植物検疫上問題とならない程度のものであるということで、一たん一つの品目のある品種について殺虫方法が確立されれば、以後新たな品種の追加に当たって品種ごとの殺虫効果の確認試験は必要ない、こういう主張であります。  我が国といたしましては、品種ごとに殺虫効果に差があるのではないかと考えておりますので、品種ごとの殺虫効果の確認試験は引き続き必要であると考えておりまして、米国に対してはこの旨主張しているところでございます。  現在、アメリカはそういう主張で、昨年大臣あてに書簡がございまして、これに対して大臣からただいま私が申し上げた趣旨でお答えをしている、その後、昨年十一月の日米専門家会合の場においても話し合いを続けておりますけれども合意が得られるに至っていない、そういう状況のもとでバシェフスキー次期通商代表からそのような御指摘の発言があったというふうに承っておる次第でございます。
  46. 江渡聡徳

    江渡分科員 ありがとうございます。  ただし、リンゴ農家の方々の不安というのはかなりのものでございまして、やはりそういう方々に対する不安を取り除くためにも、特に病害虫が入った場合には、もう日本の場合ですとあっという間に日本じゅう全部広がってしまうというような形も考えられます。ですからこそ、できるだけ日本の主張というものをきちんと告げて、農家の方々に資するような形のものにしていただきたいと思っております。  次に、農産加工についてお伺いいたします。  農業所得の向上あるいは農家所得の向上を図るためには、農業生産から加工、流通までを有機的に結びつけて、より付加価値の高い加工品を開発、販売する必要があると私は考えております。特に、健康志向や本物の味へのこだわりを重視した無添加手づくり加工品、郷土料理や伝統食品のよさを生かした加工品など、原料のよさやつくり方に特色のある、わけあり産品が消費者に受け入れられているようでございます。  各都道府県では、公設の試験研究機関において、これら消費者のニーズに対応した加工品の開発を行っております。例えば、私の地元青森県では、来年度、農林水産省の補助事業を活用いたしまして、県内二つ目の農産物加工指導センターを設置し、農産物加工の試験研究をさらに積極的に推進する方針であると伺っております。  そこで、農林水産省にお聞きいたします。  このような自治体の試みを成功させるためには、全国にこのような施設整備推進し、さらにこれらの施設のネットワーク化により研究成果の活用を図る必要があると思いますけれども、施設整備にかかわる現状及び今後の方針をお伺いいたします。  また、これらの試験研究機関における研究を支援するためには、単に施設整備だけではなく、研究費に対する補助などの何らかのソフト的な支援などが必要と思われますが、いかがでございましょうか。
  47. 本田浩次

    ○本田政府委員 先生から御質問の中の、施設整備現状と今後の方針につきまして、私からお答えをさせていただきます。  御指摘の農産物加工指導センターにつきましては、食品産業競争力強化と国産農産物の利用拡大を目指しまして、県または第三セクターが地域の中核的拠点として整備を行っております、新製品でございますとか新しい加工・流通技術開発、実用化、普及、研修のための施設でございます。  この施設につきましては、昭和五十八年度以降平成八年度までに、青森県を含めまして二十県で二十一カ所の整備を行っているところでございます。  今後とも、各地域の自主的な取り組みを踏まえながら、地域のニーズに応じまして、引き続きこのような施設整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  48. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 農産物加工に関する研究費の助成、支援といたしましては一重要かつ緊急に解決すべき課題で、都道府県の試験研究機関が共同で行うような試験研究、あるいはバイテク等の高度先端技術を駆使して都道府県試験研究機関が民間と共同で行う試験研究、あるいは民間団体が行う新規産業の創出につながるような試験研究に対する補助金等の予算措置を講じております。  現在、こうした措置によりまして、地域特産物を利用した新規加工品の開発、酵素等を利用した新しい食品加工廃棄物の有効利用技術、そういったような研究推進しているところであります。また、都道府県試験研究機関の研究者の資質の向上を図るため、国の試験研究機関へ研究者を受け入れて研修等を実施しているところでございます。  今後も、こうした措置によりまして、農産物加工分野の試験研究に対する支援を引き続き行っていきたいと思っております。
  49. 江渡聡徳

    江渡分科員 大変ありがとうございました。  以上をもちまして私の質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、大臣を初め農林水産省の皆様方、どうぞこれからも日本のよりよい農業確立のために鋭意御努力されることを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  まことにありがとうございました。
  50. 菊池福治郎

    菊池主査 これにて江渡聡徳君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  51. 菊池福治郎

    菊池主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉井英勝君。
  52. 吉井英勝

    吉井分科員 日本共産党の吉井英勝でございます。  世界貿易機関、WTOの昨年十一月の税率是正勧告を理由にして、政府の方はしょうちゅうの税率を引き上げる法律案を今国会に提出しております。これが強行されると、沖縄の泡盛、それから芋じょうちゅうの鹿児島、宮崎を初めとして、しょうちゅうには米も麦もありますが、熊本から大分からと随分、中小地場産業であるしょうちゅうメーカーが打撃を受けることになります。それだけにとどまらないで、原料生産農家にも大きな打撃が及ぶことになります。  そこで、鹿児島県の例について見てみますと、大島つむぎとか仏壇など、主要特産品九品目の生産額千九百八十四億円の実に三分の一、六百六十八億円が今しょうちゅうなんですね。そのしょうちゅうの原料となるカンショの収穫量というのは鹿児島が全国の三四・四%。九州が大体全国の半分を占めるわけであります。そうなると、カンショがしょうちゅうの原料ということであるだけに、農水省の方に最初に伺っておきたいのですが、このしょうちゅうと原料作物としてのカンショの位置というものは大体今私が御紹介したような状況にあるんじゃないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  53. 高木賢

    高木(賢)政府委員 全国におきますカンショのシェアでございますが、鹿児島県のカンショのシェアは平成七年で作付面積で三一・四%、粗生産額では一八・七%でございます。それから、アルコール用のシェアでは七一・四%というものを占めております。それから、しょうちゅうのウエートは、ちょっと私どものストレートな所管外なので、私正確にはわかりかねますが、かなりのウエートではないかというふうに思っております。
  54. 吉井英勝

    吉井分科員 私の方も鹿児島県の商工観光労働施策概要という県の商工労働部から取り寄せておりますデータに基づいて大体御紹介したわけですが、今もお話ありましたように、しょうちゅう原料としてのカンショというのはこういう非常に大きなウエートを占めておるわけです。その上に、でん粉用のサツマイモですね、カンショ、これはでん粉の輸入自由化影響で年々減る傾向にあります。ここでしょうちゅう用も減少するということになりますと、サツマイモ農家というのは壊滅的打撃を受けると枕崎市農協組合長も言っているわけですが、大体置かれている状況というのはこれが実態じゃないかと思うのですが、農水省、どうでしょう。
  55. 高木賢

    高木(賢)政府委員 カンショの全国のしょうちゅう原料用の七割が鹿児島県でございます。今回の税率改正の影響によりまして、まず蒸留酒メーカーの経営が大変厳しくなるということが予測されます。そのメーカーの経営努力がありますので、ストレートではないにいたしましても、これに伴いまして蒸留酒原料用カンショの価格面においても厳しくなることが予測されると思っております。
  56. 吉井英勝

    吉井分科員 前に二回、税の引き上げをやっていますね。八九年もやっています。ですから、八九年と九四年、過去二回しょうちゅうの税率引き上げをやっているわけですが、その結果、鹿児島と宮崎のしょうちゅうの生産量は激減したわけです。それはまたしょうちゅう用のカンショの生産量も非常に大きな減少を招いたと思うのですが、どんな影響が出ていますか。
  57. 高木賢

    高木(賢)政府委員 両県からの御報告の作付面積の資料によりますと、鹿児島県の場合、八八年が二千三百ヘクタールでありましたのが、八九年、千八百七十、九〇年、千六百五十というふうに下がっておりますが、その後また、平成四年、二千二百四十ヘクタール、平成五年、二千三百ヘクタールというふうになっております。それから六年は千九百六十五ヘクタールということで、ストレートに、一概に、必ずしも下がり続けているという状況にはないわけでございまして、その他の需給要因とか、いろいろが絡まったものかと思います。  なお、宮崎県の作付面積もほとんど横ばい、余り動いておらないという状況の報告を受けております。
  58. 吉井英勝

    吉井分科員 今のは作付面積でお話をしておられるのですが、生産額で見ると、これは顕著な変化が見られます。宮崎の場合ですと、八九年から九〇年にかけては二百七十九億が二百四十四億円、九四年から五年にかけては三百九十四億円が三百五十四億円、鹿児島も九四年から五年が六百六十八億円が六百六億円というふうに、生産額では非常にその他の年に比べて顕著な変化が出ているわけです。  それで、六年前に酒税が四五%上がったときもしょうちゅうの消費というのは約一〇%落ちたのです。あなたもおっしゃったようにいろいろな努力もあったことは事実です。回復に二年もかかっているわけですが、このときの税率アップというのは、実は他の酒の酒税も皆上がっているのですね。今回はしょうちゅうだけ税率アップなんです。逆にウイスキーなどは税率引き下げなんですね。だから、やっと立ち直りの兆しが見えたら、ここでまた値上げた。これではもう鹿児島で生き残るのは、酒造メーカーでは二社ないし三社じゃないかと言われているぐらいです。それに伴って生産農家の方も大変な打撃を受けることになると思うのです。  農水省にちょっと伺っておきたいのですが、こういう農家の受ける打撃について、傍観しているだけなんですか。ちょっとそれじゃまずいと思うのですが、どうなんですか。
  59. 高木賢

    高木(賢)政府委員 まず、御指摘のあった点ですが、元年の改正の際にはウイスキーの税率は下げられたというふうに記憶をいたしております。  それから、今の、まさにこれから起こる事態に対してどうするかということでございますが、当然、これはそのまま放置していていいというふうに私ども思っているわけではございません。原料用カンショの生産性の向上、あるいは省力化ということが一つの大きな課題になると思います。したがって、ハーベスターなどの機械の導入とか、集出荷・処理加工施設整備だとか、優良種苗の安定供給とか、合理的輪作体系の確立、こういったことを推進する必要があると思います。これに対して必要な支援をしてまいりたいと考えております。
  60. 吉井英勝

    吉井分科員 非常に大きな打撃を受けることになるのは明確なんです。  それで、昨年十二月に本格焼酎税率引き上げ反対鹿児島県民総決起大会というのが開かれて、酒造組合、生産農家、料飲業者ら千五百人が参加しました。また、鹿児島県下では十市三十三町村で、九州各県議会でも税率据え置きなどを求める決議とか意見書が採択されております。  ところで、南日本新聞というので紹介されている一つに、EUが問題にしたのはしようちゅう甲類と麦を中心とした貯蔵酒であった、それなのにしようちゅうが十把一からげに扱われ、最も打撃を受けるようになったのは芋じょうちゅうだという指摘がありますが、実態を見ればまさにそのとおりだと思うのですね。今回の税率改正案を見ると、しょうちゅう乙類を二・四倍にして、甲類は大分少なくて一・六倍、ウイスキーは五八%引き下げですね。  しょうちゅうの甲類といえば、これはサントリーとか宝酒造など大手メーカーのしょうちゅうなんですね。それが乙類の中小零細メーカーの芋じょうちゅうより税率アップ分が少なくて、価格の方は乙類よりますます安くなってしまう。サントリーなどのウイスキーの方は税率が大きく引き下げられる、価格は大幅に安くなるわけです。結局、これでは、外圧を利用した国内大手ウイスキーメーカーとしょうちゅう甲類の大手メーカーのためのしょうちゅう税率引き上げではないかということになってくると思うのですよ。  そこで、大臣、中小地場産業の業者や地域の雇用はもとより、これは何といっても生産農家のことを考えて、これはまだ審議中のものなのですから、内閣としてやはりしようちゅうの税率引き上げの法案は撤回するように、大臣として働きかけていくべきじゃないかと思うのですが、大臣どうでしょう。
  61. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 今政府委員から答弁いたしましたように、経営安定化を図るためにいろいろと対策を進めていかなければならぬ、こういう答弁をいたしましたけれども、私もそのような考え方で、この鹿児島につきましては、実態や実情をよく調べてみますけれども、非常に大きなウエートを占めていることはもうそのとおりでございますので、十分に経営の安定が図れるように対策を講じていくということが必要な措置ではなかろうかというように思っております。
  62. 吉井英勝

    吉井分科員 経営努力はさまざまにこれまでもされていますが、しかし大変なのですよ。  実は、九四年十一月二十九日の衆議院のWTO特別委員会で、私の質問に対して外務省の原口経済局長は、各国がどうしても除外したいという理由があれば、それに従ってWTOの品目、項目から除外できるのだということを明確に答弁しました。現に、アメリカは商業衛星打ち上げなどの市場、EUはAV、オーディオビジュアルなどのサービス分野で、また、民間航空機産業に対する航空機開発補助金の規制問題など、物の分野でも実はWTOから自由化をすることを除外しているのですね。  そこで、大臣、実は今もこれら自由化の点では除外しているものについて協議が続いていて、除外されたままというのが実態なのじゃないですか。だから、日本がWTOの圧力ということでしょうちゅうで言いなりになるということはなくて、本当は、この点は頑張るというのが必要なのじゃないでしょうか。実態はそういうことじゃないですか。
  63. 高木賢

    高木(賢)政府委員 直接のしょうちゅうの所管ということでございませんので、大変恐縮ですが、ちょっと経過については申し上げかねる状態でございます。
  64. 吉井英勝

    吉井分科員 もともと出発がWTOからなのですからね。WTOでは、除外されたものについては協議中というのは随分あるのですよ。だから、日本だけがしょうちゅうで屈服してしまって、それで生産農家に経営の努力をしなさいだけでは、これはやはり話が通らないのじゃないかと思います。特に、地場産業や文化、伝統などにかかわる重要な分野国民の立場に立った主張を貫いていないというところが私は問題になってくると思うのです。  そして、あるいは外圧を利用して国内大手ウイスキーメーカーの利益の立場に立ってしまうとなれば、これはとんでもない話です。実は、九州本格焼酎協議会の吉野専務理事は、しょうちゅうの増税でなくウイスキーの減税で対応すればそれで済むことではないかと主張しておりますが、これは全く筋の通った話です。  枕崎市では、生産されるカンショの六割かしょうちゅう用。カンショ農家は全農家の八割、約一千戸。酒造会社で働く人が四百五十人。ですから、ここの市長は、枕崎市はサツマイモ農家が多く、しょうちゅう産業は大きな雇用の場でもある、しょうちゅうの増税があれば本市の経済に打撃を受けることは必至だ、しょうちゅうの里枕崎の命運がかかっているとまで言っているくらいです。  五百年の伝統を持つ食文化と農業地域経済にかかわる問題ですから、これは大臣、重ねて伺っておきたいのですが、しょうちゅう税率の引き上げ法案についてはやはり撤回をして臨むということが、これは内閣の中でそういう取り組みというものを、やはり農水大臣としてここが根本のところですからぜひやっていただきたいと思うのですが、これは大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  65. 高木賢

    高木(賢)政府委員 しょうちゅうについては、やはり関係御当局が一生懸命折衝した、そういう結果であろうと思いますので、内閣としてはその方針を堅持するということになろうと思います。
  66. 吉井英勝

    吉井分科員 私は、これは撤回という立場で大臣に、農水省の立場としてはこんなものは応じられない。これは法案が大蔵委員会にかかっているのですから、私は農水の分野でここで主張しているわけですが、大臣、これは本当にこういうことでいいのだろうか。WTOの本来のあり方についても、原口経済局長の答弁にあったように、各国これはどうしても除外しなければならぬというものは除外できているわけですから、これはやはりそういう立場で頑張り抜くという点で内閣の中で取り組んでもらいたいと思います。  次に、真珠貝の異常大量死問題、へい死問題について伺いたいと思います。  真珠貝の異常な大量死が近年目立って発生しています。特に、昨年の春以来、愛媛の母貝、三重、長崎、佐賀、熊本、大分、鹿児島などの各県で大問題になっています。被害総額は数百億円に上ると見られますが、日本共産党としては、昨年十一月に、国の責任ある調査と早急な原因究明、償還延期や長期低利の融資の問題、漁場の改善と貝の品質向上など政府に申し入れをいたしました。  水産庁と愛媛県水産試験場などの調査で、夏の高温水とか飼料プランクトンの減少、あるいは幾つかの複合的影響などを指摘しておりました。また、その有力な原因の一つとしてホルマリンを挙げている人たちも、そういう論者もたくさんおられます。  水産庁は、八一年六月二十五日の通達で「水産用医薬品以外の物については、食品への移行残留や排水による環境への影響などが十分解明されていない物もあり、」「魚介類に使用することにつき、問題が提起されている。」として、原則禁止の通達を出しておりますが、あれから十六年たっているのですね。  そこで、ホルマリンの影響研究や解明はどこまで進んでいるのか、これを伺いたいと思います。
  67. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今言われましたように、昭和五十六年にホルマリンにつきまして水産庁長官通達を出しております。これは、当時、ホルマリンの主成分でございますホルムアルデヒドに発がん性があるという報告が米国であったものでございますから、そういうことを受けまして、当時ウナギが中心であったわけですが、それに対しまして極力使用の抑制に努めるべくという通達を出したわけでございます。  この通達以後、それほど大きな問題はなく今日まで推移してきておるわけでございますが、今回の問題、ホルマリンの使用とアコヤガイの大量へい死との関係、これにつきましてはトラフグ養殖という観点からいろいろ問題が指摘されております。これにつきましては、例えばトラフグ養殖場と近接していない場所、三重県の英虞湾でございますとか徳島県の内の海とか高知県の浦ノ内などにおきましては、こういうところでもアコヤガイの大量へい死が見られるということが被害県の方から報告されておりまして、現在のところ、ホルマリンの使用とアコヤガイの大量へい死との因果関係は不明という状況にございます。
  68. 吉井英勝

    吉井分科員 母貝の産地の方で母貝の段階で影響を受けている場合の問題も出てこようかと思いますので、ホルマリン使用と現時点で全く無関係のところだから関係ないというふうには言い切れないとまず思うのです。  それで、愛媛県水産試験場の昨年十一月の研究報告では、ホルマリンの影響について、真珠貝のへい死の原因からは排除して考えることはできるとしているわけですね。その発表があった後、しばらく抑制されていたホルマリンが再び大量に使用されるようになっています。  しかし、愛媛の研究でも、同時に飼料プランクトンの減少というのは挙げているわけです。実は、長崎県の株式会社上村真珠で、ホルマリン添加による植物性プランクトンの培養試験というのをやっています。御存じかと思います。ホルマリンの添加された海水中ではプランクトンが死滅するデータをここでは得ているのですね。つまり、愛媛の場合も、プランクトンの死滅や減少とか、増殖がとまった、この問題が影響ありということは認めているわけです。一方、ホルマリンによって植物性プランクトンの死滅とか、増殖が抑制されるということも実験データも出ている。この点では一致しているわけです。  そこで、民間でもやった研究は、当然水産庁や愛媛県の水産試験場でもやっていると思うのですが、その結果、つまり、ホルマリンの濃度がふえるにつれてプランクトンの生存率あるいは増殖率がどうなるかという、その実験結果はどうなっていますか。
  69. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 ホルマリンと、今言われたような関係でございますけれども、今言われましたように、一部の県におきましては、ホルマリンを濃度別に、また浸漬時間別に、アコヤガイを言うなら液に浸しまして、それをまたかめに戻してそのへい死状況を観察するというような、そういう調査研究を行っておりますし、また、水産庁の研究所におきましても、これらの県の水産試験場のデータを含めまして、時間をかけて今調査研究を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、今言われましたようなことも含めまして、ホルマリンの使用とアコヤガイのへい死との因果関係につきましては、今後十分時間をかけまして調査研究を進めていきたいというふうに考えております。
  70. 吉井英勝

    吉井分科員 今後の調査研究を待つと、必要なんですが、とりあえず今お聞きしていますのは、ホルマリン濃度と、それによるプランクトンの生存率ですね、あるいはその増殖率といいますか、増殖が進むのか、死滅に至るのか。その実験はされているのなら、データを伺いたいと思いますが。
  71. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今のところ、水産庁の研究所におきましては、まだそこまでの調査研究は行っておりません。今後行っていきたいと思います。
  72. 吉井英勝

    吉井分科員 これは、民間の会社でもやっているぐらいのことで、そう大した難しい研究じゃないので、本当に、二十時間とか三十時間という単位でもできる実験なので、なぜこれだけ問題になっていながらやっていないのか、ちょっと私は不思議に思っているのです。  それから、もともとこのホルマリンというのは、低濃度でも皮膚に炎症を引き起こすという毒性の強いものであるということは指摘されていて、それだけに、環境保護の面で法的規制もあるものですが、ホルマリン添加した海水中での真珠貝への影響ですね。つまり、ホルマリン濃度を変え、漬けている時間を十日とか二十日とか一カ月とか、濃度の低い場合ですよ、薄い場合、それによる生存率なんかの試験もやっておられたら、結果を伺っておきたいのですが。
  73. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 先ほど申しましたように、一部の県におきましては、そのように、ホルマリンの濃度別、それから浸漬時間別の調査を今やっているところでございます。こういうような結果を受けまして、水産庁の試験研究所におきましても、今言われましたようなことを含めまして今後十分調査していきたいと思っております。
  74. 吉井英勝

    吉井分科員 わかりました。  では、確認しておきたいのですが、真珠貝をホルマリンが直接的に、濃度が濃ければ死滅させるわけですが、あるいは間接的には、ホルマリンによって植物性プランクトンが死滅する、そのことによって飼料用プランクトンがなくなるわけですから、当然真珠貝の方は衰弱していくわけですね、衰弱死していく。そういう問題が当然あると思うのですが、それらの可能性については、直接間接のこれらの問題については、水産庁としてはまだ実験やっていないわけですから、実験的にその可能性を否定する結果もデータもまだ得ていないということですね。これだけ確認しておきたいと思います。
  75. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 先ほど言いましたように、例えばトラフグ養殖が一番使われているわけですが、トラフグ養殖と近接していない場所におきましても相当の大量へい死が見られるということでございますので、そういう意味では、アコヤガイの大量へい死との因果関係、今のところ不明でございますけれども、今言われましたことも含めまして、今後十分時間をかけまして調査研究をしていきたいと思っております。
  76. 吉井英勝

    吉井分科員 母貝の段階で影響を受けておりますと、持っていったところで別にトラフグ養殖をやってなくても影響が及ぶ場合があるのです。ですから、問題は、直接間接の可能性というものについて、それはまだ実験的にそれを否定することはできないわけですね、研究してないから。その点だけ確認しているのです。
  77. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 そういうことも含めまして、今後十分調査研究していきたいと思っております。
  78. 吉井英勝

    吉井分科員 株式会社上村真珠の試験結果によりますと、「極めて微量のホルマリンであってもプランクトンに影響を与え」「魚類養殖場での寄生虫駆除に使用したホルマリンを海中に投棄した場合、その沿岸のプランクトンを死滅させ、或いは増殖を阻害し、その生態系に大きな影響を及ぼすことが考えられる」というふうにしています。  そこで環境庁に伺っておきたいのですが、ホルマリンというのは大気中で特定規制物質として扱われているわけですね。毒性の非常に強いものです。海水中なら問題は起こらないという物質ではありません。そこで、ホルマリンが大量に海水中に投棄された場合、一般論として、一般論で結構ですから、動植物や生態系に急性ないしは慢性の影響としてどんな問題が出てくるのか、一言で結構ですから、お聞かせください。
  79. 中島正治

    ○中島説明員 ホルマリンの海域での動植物、生態系への影響ということでございますが、WHO、世界保健機構では、化学物質が人の健康や生態系に及ぼします影響を総合的に評価しておりまして、その結果を環境保健クライテリアということで公表をしておるわけでございます。  このホルムアルデヒド、ホルマリンにつきましても既にその評価結果が公表されておりまして、これによりますと、水生生物への影響につきましては、幾つかの種ではホルムアルデヒドに対する感受性が比較的高いとされておるものもございますが、魚類ではその耐性がより強いということでございまして、こういった記載がされております。また、水や土壌中ではホルマリンは比較的短時間で分解をされるということでございまして、環境に蓄積されないという記載もございます。  以上でございます。
  80. 吉井英勝

    吉井分科員 それで、現実に多くの地域でホルマリンが使用され、真珠貝の異常大量死の原因の一つではないかと言われている問題も起こっておりますし、同時に、もしホルマリンに汚染された魚介類を食することになると、他国と違って我が国の場合は魚を食べる国ですから、国民の健康に直接かかわる問題が出てきます。そこで、環境庁として緊急に調査研究が必要ではないかと思うのですが、この点だけ、一言お答えください。
  81. 南川秀樹

    ○南川説明員 私ども、水質に係る環境基準というものを設定しまして、いろいろ施策を講じております。ただ、現在は、それにつきましては人の健康を直接に保護する観点から設定いたしております。御指摘のように、有害物質の中には、生態系を含めた各般の影響を持つ物質も多うございます。したがいまして、海域を含めた水域について、生態系保護のための環境基準についても設定が必要じゃないかということで、現在検討いたしております。
  82. 吉井英勝

    吉井分科員 ぜひ緊急に調査研究をやっていただきたいと思います。  それで大臣、さっき言いました水産庁長官の通達を出して十六年たつわけです。今回、真珠貝の大量の異常なへい死問題が全国で問題になっているときですから、やはりホルマリン使用によるプランクトンの死滅等の関係を含めて、原因の徹底究明と対策、被害者救済に万全を期すべきだと思うのです。これが一点です。  二つ目に、さっきも出ました、トラフグ業界である社団法人全国かん水養魚協会では、ホルマリンの自主的な使用禁止を決議しています。それで同時に、ホルマリンにかわる安全な代替医薬品の開発を国などに求めているのです。ですから大臣、この協会の期待にこたえて、やはり国としても、代替医薬品の開発と、もっと言えば、本来薬品を使わずに養殖できる技術開発に国として力を入れていくべきだと思うのですが、この二つの点について、大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  83. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 今の御質問にお答えする前に、いろいろ具体的な調査の御提案がございました。必要な調査であれば、私ども、その調査をいたします。  それから、真珠の養殖は非常に重要な産業でございますから、今の事態は、これは地元にとって非常に大変なことだと思っております。私も香川県の人間でございますから、愛媛の事情はよく承知をいたしておりますので、これについては十分に調査をし、その調査に基づいて、養殖業の皆さんがこれからも十分に頑張っていけるように対策を考えていかなければならぬと思っております。  三番目の、代替のホルマリンに対する研究でございましたか、代替医薬品の研究の問題、これも勉強させていただきたいと思っております。
  84. 吉井英勝

    吉井分科員 時間が参りましたので、終わります。
  85. 菊池福治郎

    菊池主査 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  次に、根本匠君。
  86. 根本匠

    根本分科員 自由民主党の根本匠です。  私は、今後の農業政策あるいは農政のあり方について御質問いたしたいと思います。  最近私も、農業青年の皆さんと話し合う機会が多くありまして、あるいは手紙をもらったりいたします。日本農業、これからどうあるべきか、常に考えているわけですが、いろいろな議論をしている中で一番出てくるのは、ガット・ウルグアイ・ラウンド予算六兆百億円、これがどこに使われているのかどうもよくわからない、生産者に直接実感として感じられない、こんな意見が出てまいります。  これは、私も、ある意味でやむを得ないのだろうなと思いますのは、生産者の方に直接所得補償のようなことをやれば、非常にストレートですからこれは個々の生産者にとってわかりやすい。ただ、ガット・ウルグアイ・ラウンド予算の使い方は、一つは圃場整備などの、例えば大区画圃場整備をして農業生産性を上げるというような投資分野とか、あるいは集落排水のようなものを整備して農村生活環境をよくするような投資、そういう共通的な投資ですね。それから具体的には、農業生産者という目で見れば、スーパーL資金とか、あるいは土地改良負担金の制度融資、これは償還条件を改善したわけですが、そういうことになっているものですから、このガット・ウルグアイ・ラウンド対策予算というものの効果、これが直接的になかなか感じられにくい、こういう点がどうしてもあると思うのですね。  その意味で、ガット・ウルグアイ・ラウンド予算効果的な使い方あるいは効果、そういう観点から、農業投資事業効果あるいは政策効果をどう把握し、あるいはどう位置づけているのか、こんなことを含めながら、三つほど質問をしたいと私は思います。  今のような議論の中で、例えばガット・ウルグアイ・ラウンド農業予算六兆百億円、これは近年、公共事業の削減ということも議論される中で、具体的にその予算がどのような事業に使われて、どのような効果があるのか、こういう事業の経済効果というのを的確に把握して明らかにしていく必要性、こういうものも、農業分野でのいろいろな政策議論とはまた別に、一般的な公共事業予算の使い方という点でも出てきていると私も思うのですね。  農業予算、これは共通的な、基盤的な投資では、生産性向上に資するような分野とあるいは生活環境の向上に資するような分野と大別されるということも先ほど申し上げましたが、私がここで聞きたいのは、集落排水のようなものは、生活環境の向上には資するということが言えますけれども、農業生産性の向上に直接つながるものではありません。その意味で、農業生産性の向上あるいは活性化という観点から、例えば圃場整備などの生産関連投資で、農業生産性の向上を促すような、あるいは結びつくような、そういう予算がありますが、便宜的に言えば生産関連の農業予算について、事業あるいは政策効果をどのように把握しているのか、これを聞きたいと思います。  もうちょっとあるのですが、具体的に私の地元の事例で言いますと、これはガット・ウルグアイ・ラウンド予算の優等生だと私は思っているのですが、実は私の選挙区に安達町という町があります。ここでピーマンの袋詰め、選別の機械化をやったのですね。これは二億四千万の投資ですが、そのうちガット・ウルグアイ・ラウンド関連予算で一億四千万投資をしてもらいました。その意味では非常に前倒し効果があったわけです。この結果どうなったかといいますと、労働時間が四分の一に減少した。したがって、言ってみれば生産性が四倍になった、こういうことになりますね。  具体的に言えば、今まで、例えば夫婦二人で十アールしかできなかった、一人五アールですから。ところが、四倍ですから夫婦二人で四十アールのピーマン栽培ができるようになった。では、十アール当たりどのくらい所得が上がっているか。これは二百万、こういうわけですよ。すると、大体八百万くらいの所得が出てくる。専業農家も一戸できました。こういう事案があります。  これは非常に効果的な予算の使い方だと私は思いますが、この案件でもう一つ非常にいいのは、これは地域生産者の皆さんがみずから考えたピーマンなのですね。これはどういうことかというと、そこの安達の町長さんが、町の予算でちょっと研究予算をつけてやって、この予算をつけてやるから、おまえたちで研究しろ。二十七人の方が参加したというのですよ。それでいろいろな先進地方を見て、やはりこれはピーマンがいいや、こう決めて、この機械化を導入したという。要は、桑畑がだめになった地域ですから、桑畑からピーマン栽培に転換した、こういう事例なのですね。  ガット・ウルグアイ・ラウンド予算がこういう形で使われていれば、これは非常にわかりやすいと私は思うのですよ。そういう観点から、農業予算の、特に生産性の向上に資するような予算、これについてどんなメニューがあって、どんな事業効果、政策効果があるのか、この辺をどう把握しているのかということをお聞きしたいと思います。
  87. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘のように、公共事業あるいは施設整備事業は、その政策効果、経済効果をよく検証することが大変大事でございます。  まず、農業農村整備事業公共事業でございますけれども、これは土地改良法に基づきまして、費用対効果というものを事業着手前にきちんと計測することが要件になっておりまして、具体的には、総投資額に対して、農業生産の増加額がこれより多い、一以上であるということが要件になっております。これで採択されて、事業が終了した後に、実際にどういう投資効果があったか、検証することが大事でございまして、平成九年度予算案におきまして、二土地区を対象に、事業効果の発現状況、すなわち農業生産が幾らふえたかとか、あるいは農業担い手、例えば今地元の事例でおっしゃいましたように、担い手がどれだけ所得が増加したかというような点について、具体的に把握できるような調査を実施することにいたしております。  また、先ほどの事例は、これは非公共事業農業構造改善事業でございますけれども、あるいは中山地域等では、山村振興特別対策事業、これがウルグアイ・ラウンド対策事業の一環でございますが、これらにつきましては、市町村が構造改善の計画なり山村振興の計画をつくっていただきます。これは、事業実施後五年程度の期間を対象に、担い手の育成、それから生産費がどの程度下がるか、労働時間がどの程度短縮されるか、またどの程度担い手の所得が向上するかといったような、具体的な農業の振興目標を策定していただきまして、その効果が十分上がると認められる地域事業採択することにいたしまして、事業実施後には、三年間にわたりまして、毎年度この改善目標の達成状況あるいは具体的な地域での施設を利用した事業への取り組み状況等について、市町村長から報告をいただくことにいたしておりまして、これによって、特にウルグアイ・ラウンド対策もそうでございますけれども、事業効果を把握するようにいたしております。
  88. 根本匠

    根本分科員 私も、今のような政策効果事業効果を絶えず点検しながら、フォローアップしながら把握して、逆に、やっぱりいいものはいい、こう積極的にアピールすべきだろうと思います。  今個別の事業効果という点から質問をしたわけでありますが、それからもう一つ、個別の事業効果ということから地域全体での政策効果をどう上げるのか、こういう視点からお伺いしたいと思います。  今、農林省に各種事業あるいは各制度がありますが、これは、農道、基盤整備、かんがい排水、今のような非公共のもの、こう縦割りになっているわけです。私は、これを地域全体で総合的、計画的、重点的に取り組む仕掛けが必要ではないか、こういう点からお伺いしたいのです。  私は、農政、これは国のレベルの農政、地域のレベルの農政、もう一つは生産者レベルの取り組み、これがあると思うのですね。実は、大事なのは地域の取り組みが非常に大事だろう、こう思っております。地域に着目してみると、例えば私の地元の郡山市、私は、農業の三大プロジェクトだ、こう言っているのですが、実は今大きなプロジェクト三つに取り組んでおります。  一つは、農業センター。これは、どんなところにどんな作物がいいのか、適地適作物、その知恵やノウハウを出してもらうという点と、あるいは農業指導の一元化、これをやってもらおうという意味で、農業センター。これは今着工しております。もう一つは、卸売市場が古くなったものですから移転しましょうということで、これも事業化に向けて取り組みを始めております。もう一つは、外郭環状道路、こう言っているのですが、郡山市のいわゆる農村地域をぐるっと回る農用地総合整備事業でやっている外郭環状道路、これも地区調査が認められました。私は、この三つのプロジェクトによってこの地域全体の農業生産性の向上を図るべきだ、こう言っているのですね。  もう一つ大事なのは、実は、東部開発という開発がありまして、千五百ヘクタールぐらいの開発をやっているのですが、これがほぼ事業終了に近くなっております。この地区で一番問題が出るのは、土地改良負担金が二倍になった、これを何とかしてくれ、こういう話がよく出るのですね。これについては、一つは、土地改良負担金については、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策の中で償還条件の緩和をいたしましたから、これで対応する。それからもう一つは、できるだけ公共事業で担える部分は担うという形で土地改良負担金の償還の緩和を図る、これをやらなければいけません。  ただ、私は、もう少し前向きに、積極的に地域全体としてとらえれば、私が今申し上げました三つのプロジェクトによって、東部開拓で、そこでつくる野菜を中心農業生産活性化させれば東部開拓の土地改良負担金緩和に対する一つの答えにもなる。その意味では、一つの地域に着目して、各種事業を組み合わせた、総合的に、重点的に支援するような仕組みが必要ではないか、あるいはその発想が必要ではないか、こう考えております。  もう一つ言えば、郡山市は今、グルメランド構想といって、食の文化というのをいろいろやっているのですね。いろいろな地域の食文化に関するものの発掘あるいは創造、こういうものをやっております、最近やったのが、郡山で米を初めいろいろな野菜、果物が生産されますから、そういう素材を材料としてフルコースメニューをつくって試食会をやる、これは農協と市が一緒になってやりましたけれども、そういうこともやっています。  やはり農業の問題は、私は、国全体の取り組みということになると制度論になりますが、地域全体でいかに効果的に事業を組み合わせてやっていくか、これが大事だと思います。その意味では、私が申し上げましたような、地域に着目して総合的に、計画的に、重点的に支援するような仕掛けづくりが必要ではないかと思いますが、その点についてお答えいただきたいと思います。
  89. 山本徹

    山本(徹)政府委員 御指摘のとおり、地域に着目した総合的、重点的、計画的な事業実施というのは、それぞれの事業効果を十分に発揮するために大変重要なことであると思っております。  私ども、そういった観点から、各事業種目を地域地域で組み合わせていただく、いわゆるメニュー事業といいますか、そういう事業をできるだけふやすように努力いたしておるわけでございまして、具体的な事例で申し上げますと、先生の地元でも事業展開されているかと思いますが、農用地公団が実施する農用地の総合整備事業、これは、中山地域等を中心に、線的な農道とかかんがい排水、それから面的な区画整理等々を地域の実情に応じて組み合わせて地域活性化農業所得の向上を図る事業、それから農村総合整備事業と申しますが、これは地域のすぐれた景観あるいは自然条件に配慮しながら、都市に比べて立ちおくれている農村生活環境整備を総合的に進めようということで、集落排水あるいは飲用水の整備等々、幾つかのメニューを組み合わせて事業実施するもの、それから非公共でいいますと、農業構造改善事業あるいは山村振興事業、これも、生産基盤整備から生活基盤整備にわたるいろいろな事業を、市町村地域創意工夫、自主性あるいは地域の実情に沿って計画をつくっていただいて、これに対して支援する事業、それから中山間では中山間の総合整備事業等々、いろいろな総合整備という、「総合」をつけた事業を私どもふやしておりまして、これによって事業効果地域で十分上げていただくことを期待いたしております。
  90. 根本匠

    根本分科員 いろいろ総合的なメニューによるメニュー補助方式、これは非常に使い勝手がいいのですね。確かに、今お話がありましたように、中山地域の総合整備事業、これは私の地元でも、岩代町、東和町というところでやっておりますが、これはメニュー補助で地域でも非常に喜ばれております。  それから、今いろいろお話がありましたように、私も総合的な取り組みが必要だと思いますが、例えば現行の制度でいうと、農振法の体系の中で、農業振興地域整備基本方針というのをつくって、農業振興地域整備計画というのがあるわけですが、これはどうも用途区域、ゾーニングに偏っているのではないか、こんな感じがあって、もう少し農村活性化ビジョンとか、地域の将来性が見えるような構想にして生きた計画にする必要がある、こう思っておりますが、その点についてはいかがでしょうか。
  91. 山本徹

    山本(徹)政府委員 農振法に基づきます地域整備計画というのは、先生御指摘のように、ゾーニング、農用地区域あるいは農振地域の線引き、もう一つは、その地域農業農村活性化のために整備すべき各種の基盤整備あるいは施設整備目標を十年間を見通して策定するものでございまして、五年ごとに見直しを行うということになっております。  ゾーニングに偏ってはなりませんが、ゾーニングも、優良な農用地区域として守り、また、そこを大区画整備等地域の実情に沿って生産性の上がるような基盤整備を進めるということも大事でございますし、また、農振地域において計画的に土地利用をし、集落として発展させるべき地域、あるいは各種の就業機会の確保、開拓、工場の施設であるとか、あるいは集出荷施設等々で整備すべき地域農村においても自然の風致、景観を尊重した計画的な土地利用ということが重要であると思っておりますが、これとともに、施設整備、これも重要でございまして、ゾーニングだけに偏ってならないのは先生御指摘のとおりでございます。  これは十年を計画期間といたしますだけに、施設整備計画も、事業の熟度とか地元の合意形成、いろいろな社会経済情勢の変化とかまた予算上の制約等々ございまして、必ずしも計画どおりにいかないという嫌いもございますので、平成九年度予算案におきましては、こういった施設整備なり農用地利用計画を二千五百分の一の地図におろしてできるだけ詳細な計画としながら、これを、集落の代表者による検討委員会のようなものを設けて事業の内容を十分理解してもらい、また、県あるいは農政局等とも協議しながら、これが実現できるように市町村としてもさらにしっかりしたものとしてつくっていただくということを考えております。
  92. 根本匠

    根本分科員 私も、できるだけ地域全体で本当に農業活性化するような総合的な取り組みについての支援、あるいはそういう取り組みを促進するような姿勢でやっていただきたいと思います。  次に、生産調整についてお伺いしたいと思います。  昨今、生産調整をやめるべきだという議論もあるし、農業全体の健全な育成、発展には生産調整はやるべきだ、こういう議論、両論ございます。まず、基本的な生産調整についてのお考え方、これをお伺いしたいと思います。
  93. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 生産調整につきましては、委員御指摘のようにいろいろな議論、意見があることは承知いたしておりますが、現在、米の需給ギャップが約三〇%あるわけでございまして、三百万の農家を対象にして円滑な米の需給とまた価格を維持していくということを考えまして、平成八年から三年計画生産調整を今実施しているところでございます。  基本的には、生産調整は生産者が自主的に行うべきであると思いますけれども、やはり三百万農家が自主的に、主体的に生産調整というのはなかなか難しいわけでございまして、行政側がこの生産調整については助言もしたり指導をしたりしながら進めていく、そういうことで今進めておるわけでございます。
  94. 根本匠

    根本分科員 私も、生産調整、需要に応じた生産というのは、例えば鉄鋼などの他産業でも需給調整はやるわけですから、つくる自由、売る自由というのは基本なんですが、現状では、日本農業の健全な発展という観点からはやむを得ないだろう、こう思っております。  今いろいろと私も農家の青年の皆さんと話をしているわけでありますが、専業農家からも、例えば自由にやらせてほしい、こんな意見もあります。あるいは、こういう生産調整の工夫をしたらいいのではないかという提言もいろいろ聞いているんですね。  それで、一つ、私もややおもしろい発想かな、こう思った提言がありました。私が手紙をいただいたのですが、簡単に言いますと、要は、今の食糧政策、もう少し長期的な視野に立ってやってもらいたい。今どんなことが問題になっているのか。これは、お米が余るなら転作をして違う作物をつくればいいが、米以外の土地利用型作物、例えば麦、大豆、これは輸入物との価格縮小のためにどんどん安くされてしまって採算に合わない。減反や転作が進まないのは、日本農業の中では米しか守ってもらえるものがないからだ。需給の情勢に合わせて米の値段を下げれば作付が減ったり転作も進むが、これ以上価格を下げれば水田の四〇%を占めると言われる中高冷地の稲作が全滅してしまう。これはそうですよね。  この方が最近事あるごとに主張しているのが、主食は米だという既存の概念を捨てよう。米以外の土地利用型の穀物のほとんど一〇〇%近くは輸入されているが、これらの食べ物も今ではお米と同じく欠かせない食糧ではないか。だから、この方は、米だけ守るというのじゃなくて、全体を、きちんとつくる、守るということにしよう、こういうことだと思うのですね。この方の提言は、利益の出る水田には税金をかけ、利益の出ない小麦や大豆に補助金として回せば、米の過剰生産も解消され、立地条件による不平等も解消されるように思う、こういう提言をしているんですよ。  それで、税金を取れというのは、これは非常に技術的な問題で極めて困難でありますが、私なりの解釈をすれば、これは共補償の発想に近いのではないか、こう思うのですね。  共補償については、平成八年もいろいろな取り組みをしているわけですが、例えば小麦とか大豆とか、転換作物の所得に生産調整助成金、これを加えて、それで共補償をまたオンしてやる、こういうことで、いろんな条件はかかっているのですけれども、これをやると米に近いような所得が生まれてうまく生産調整ができる、こういうことでもあろう。この意味で、今いろんな優良事例もあるだろうと思いますが、共補償を活用した転作の推進、あるいは生産調整の円滑な推進方策、この点についての考え方をお聞きしたいと思います。
  95. 高木賢

    高木(賢)政府委員 生産調整を地域で円滑に実施するために、今お話のありましたように、稲作と転作作物との間に依然として収益性の格差が存在しているという状況におきましては、転作による所得の向上とあわせまして、生産調整の実施に伴う不利益を農業者が地域において調整しながら相互に補償し合う、こういう共補償の取り組みが大変有効であるというふうに考えております。  この仕組みは、本格的に平成八年度から地域調整推進事業という形で発足したわけでございますが、その際には、根本先生からは、地元の方々の御意見をくみ上げられていろいろ御提言をいただいたというふうに記憶をいたしております。その具体的な仕組みは、地域農業者が参加をして共補償の実施計画を策定する、そして農業者が拠出して基金を造成する、一方、この基金には国が助成をする、でき上がった基金から生産調整を実施した農業者に対して補償金を支出する、こういう仕組みでございます。  実際やってみてどうかということでございますが、共補償の取り組みは、地域におきます円滑な調整などによりまして生産調整の円滑な推進につながったということだけでなく、稲作と転作を組み合わせた水田営農の構築に寄与するものと考えております。  御指摘のありましたように、小麦なり大豆の所得に生産調整の助成金を加え、さらに共補償が行われる、こういうことになりますと、稲作所得と遜色のない、あるいは場合によってはそれ以上の所得になりまして、まさに先生が御指摘のとおりの成果を得ているというふうに考えております。
  96. 根本匠

    根本分科員 共補償、本格実施はまさに平成八年度からということで、これは非常に効果的な制度だと思うのですね。これからいろんな意見も出てくるかと思いますので、この制度をブラッシュアップさせて、ぜひ生産調整の円滑な実施が図れるように頑張っていただきたい。私も積極的に取り組んでいきたいと思います。  ありがとうございました。
  97. 菊池福治郎

    菊池主査 これにて根本匠君の質疑は終了いたしました。  次に、中川智子さん。
  98. 中川智子

    中川(智)分科員 社会民主党・市民連合の中川智子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、私は、この体形からもお察しいただけますように、とても食べることが好きな人間でございます。この永田町で暮らし始めましてまだ四カ月ぐらいですが、本当に食べることというのが唯一の今ストレスの解消になっております。それで、よりおいしくてより安全なものを、そしてまた、日本で、この国でつくったものをこれからもずっと安心して食べ続けていきたい、そのような思いを込めまして、これから質問をさせていただきます。  最初に、今はいわゆる社民党という名前になりましたが、かつて社会党と言われていたときに、社会党の「新農業プラン」というのが一九八九年十一月につくられました。「食糧自給率向上・地域農業確立のための「新農業プラン」」というものを発表いたしまして、その中に、第一次産業である農林業は土地を通じ人間の生活と生命維持に必要な農作物をつくるばかりではなく、良好な自然、そして社会環境を保全する産業として位置づけるということが書かれてあります。  また、自然の中に溶け込み、それを利用しなければ生産ができないもので、徹底した利潤と合理性を追求できる工業などとは全く違う分野のものである。また、農林業国民の生命維持と再生のため不可欠なもので、良質な食糧を安定的に供給し、国民生活にとって最重要な社会的、公益的機能を担うもの、このようにうたってございます。そして、これらの機能は工業化社会が深化すればするほどその必要性は増大いたしますし、また、この機能を国民の財産としていかに保全し利用していくかは今後の国民課題である、このように基本認識を持っております。  そこで、まず「新農業プラン」、今申しましたこの基本理念に立ちまして、日本農業に未来はあるのか、本当にそこが私たち国民としては心配なところでございます。あいまいな質問ではございますが、これからの日本農業に未来があるのかというところを少し、大臣、自分のお言葉で結構ですので、聞かせていただきたいと思います。
  99. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 大変共鳴をするお話を初めからいただきまして、大変ありがとうございました。私も食べることは大好きでございます。今の日本農業に未来はあるのかという非常に大きな御質問でございまして、私は、未来があるようにしていかなきゃならぬというふうに考えております。それにはやはり、農業は魅力のある産業である、そういう産業だという確立を、それをまず第一に考えなきゃならぬ。それは、言葉をかえて言えば、他産業並みの労働時間であるとか所得、それが保障されるようなそういう経営体が農業の中核になる、そういう農業でなければならぬと思っておりますし、また、先ほど、食糧の供給だけではなくて、環境問題それから国土の保全、そういう問題につきましても非常に大きな役割を果たしているわけでございます。そういう観点からしますと、これはもう農業の持つ多面的なそういう役割を果たしていかなきゃならぬわけでございまして、そういう観点からも、農業の将来が明るくなるようにいろいろな施策を組み合わせてやっていかなきゃならぬと思っておるわけでございます。  そのためにも、やはりその生産性が非常に他産業に比べて低いわけでございますし、それからまた一年周期的な生産でもございますし、また貯蔵がきかないというそういう特徴もあるわけでございまして、そういう面から考えて、生産性が高まって、コストが下がって、そして安い質のいい食糧を国民の皆さんに提供できる、そういう農業に持っていくことが農業の明るい将来を期待できるというふうに思っておりますし、また、農村地域活性化、住みやすいそういう地域活性化も図ることによって農業の将来も明るくなってくるというふうに思っております。
  100. 中川智子

    中川(智)分科員 ありがとうございました。その言葉を本当に心に刻んで、日本農業の未来が明るくなるように私どもも頑張っていかなければいけないと思っております。  やはりその農業を明るくするための大きな柱は、つくってくださる人、農業従事者だと思うんですね。調べましたところによりますと、昭和三十五年は、新規学卒の新規農業につかれる方たちは七万七千人でございました。そして昭和六十年は四千八百人になっております。そして一九九一年、平成の三年におきましては千七百人、このような悲しい数字になっております。これは、今の都道府県各市町村三千二百三十七で割りますと、この年で二つの町にたった一人の新規生産者が生まれたということになっております。  それで、私はこの新しく農業を頑張ってやっていこうという若い力を今国の施策の中で精いっぱい取り組まなければいけないと考えておる者ですが、フランスの場合ですと、新しく農業をやりたいという人に対しては一年間国が国費を投じましてその人を育てる、そしてまた、新しく何か始めたいときの資金援助をしっかりするというシステムがございますが、日本新規就農者に対する支援というのはどの程度おありか、担当のお方で結構ですので、お伺いしたいと存じます。
  101. 高木賢

    高木(賢)政府委員 新しく農業につこうという方に対する支援措置につきましては、大きく三つの範疇で対応しておるところでございます。一つがまず技術などの習得の局面であります。二つ目が資金の手当てであります。それから三番目には生産の基本である農地の確保と、この三本の柱を立てまして各種の施策を講じているところでございます。  まず技術などの習得でございますが、これは、ほとんどの県におきまして農業大学校というものを設けております。また、国でも一つ農業者大学校というのを設けております。これらの場所におきます研修、教育を実施をいたしております。それから、昨年からですけれども、働きながら農業について学べる、俗に就農準備校という名前をつけておりますが、農業外の人が入ってくるための準備的な勉強の場ですけれども、これが大変好評を呼んでおりまして、もう既に千数百人がこの学校で学んでいるという状況にございます。それが技術などの習得でございます。  二番目には、御指摘のありました金の問題でございますが、これは、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の一環といたしまして、新たに就農しようとする青年に対しまして、無利子資金、これは貸し付けでございますけれども、償還期間十二年、中山地域は二十年という画期的な長さの就農支援資金制度を設けまして、これも既に実行に移っておりますが、順調に希望者がふえ、貸付額が伸びている状況にございます。  それから三番目に、農地の確保でございます。農地の確保は、地域におきます新しく就農する方の信用というのが大変大きなウエートは占めておるんですけれども、やはり農地に関する情報の提供とか相談活動とか、それからまた、一遍に取得しますとお金が一時にかかりますので、リース方式でまず使っていただいて、それからある程度営農が軌道に乗ってから譲渡をする、こういう方式によります農地の取得、こういうことなどの各種の施策推進しております。  幸い風は変わってきております。かつてかなり少なくなった、新しく学校を出てすぐ就農するという方は、今の学歴が長くなる社会におきまして、また、おやじさんの引退の時期が長くなっているというところから必ずしもそんなに急速には伸びませんが、uターンして帰る、就農するという方などが相当ふえてきておりまして、今後ともその着実な推進に努めてまいりたいと考えております。
  102. 中川智子

    中川(智)分科員 わかりました。でも、農業者大学校が日本で一つというのはやはり寂しい限りですし、ぜひともそのような学習する場、そしてまた、それが将来の農業の安定に結びつく人の育成ということはこれからもしっかりとお金と力を注ぎ込んでいただきたいと要望いたします。  それとまた、私どももいろいろなお野菜やお米を顔の見える関係ということでいろいろなところでいただいているのですけれども、そこでよく話題になりますのは、農村青年にお嫁さんの来手がない。本当に、四十歳以上の人たちが、恋人ができても、恋人というか、この人いいなと思ってつき合い始めても、職業は農家だ、しかも長男だと聞くと、ほとんどみんな暗い顔をして別れ話になってしまうという悲しい現実がございます。  人口一万人の小さな町の中で四百人の農業従事者の青年が結婚できない恐るべき数字もございますけれども、なぜ結婚できないのでしょうか。どうしてだとお思いでしょう。お願いします。
  103. 高木賢

    高木(賢)政府委員 結婚というのは全体的にすぐれてプライベートな問題であろうとは思いますけれども、各方面からいろいろな御指摘もありますように、農村社会におきます青年の結婚問題、これは今後の農業経営発展なり継承なり、あるいは農村地域社会としても活力ある維持発展という点から見ると重要な問題だと思います。  配偶者問題の背景には、今の農業農村をめぐる情勢の問題もありますけれども、農村におきます女性の地位、これがやはり若い女性の方々に疑われているというとなんですけれども、嫁に行ってしかるべく処遇が受けられるのかというか、地位がはっきりしているのか。昔のように角のない牛なんという時代はありましたけれども、まさかそんなことは今はありませんけれども、相応に財布を預かって家計の切り盛りができるのかというような、要するに女性にとって農業農村の世界が入りやすい、暮らしやすい世界であるかどうかという点に疑念が持たれているのではないかというふうに思います。  したがいまして、言いかえますと、やはり農業におきます女性の地位の向上とか明確化ということを図りますことが、同時に農業世界の配偶者問題の一番基本にもなるというふうに考えておりまして、私どもは、配偶者ということもありますけれども、まず女性農業者の地位の向上、明確化、これを進めなければ一般的な条件はできないだろうというふうに考えまして、現在、その地位の向上ということで、一つは社会的な側面、農業委員会とか農協ですね、これに対する役員の数も極めて少ないのが実態でございます。そういう社会的な評価を受けて社会的に活躍できる場にもっと女性が進出することについてもっと取り組んだらどうかというふうに思っております。  それから、農業経営という場でも、夫とともに農業経営を営むいわばパートナーとしての位置づけをすべきである。パートナーシップの確立ということで、男性ともども経営の一員としてやっていく、こういう形ができればなということで、例えば家族間におきましても家族経営協定というのを結ぶことを推進しておりますけれども、きちんと働いたなりの報酬を入れる、そしてまたしかるべき時期には経営の承継を受ける、こういった取り決めをするということを促進をいたしております。  それから、そのほか加工流通業の面におきましても、農産物の付加価値をつけるというふうなことで農産物の加工とかあるいは直売場を運営するとか、こういったところで女性の経済的な地位をつけていただくということについても支援をしておりまして、社会的な面、農業経営の面、経済的な面、それぞれの場で女性の地位の向上、明確化を図るということがひいては、御指摘になりましたが、青年の配偶者を得るための条件整備にもつながるものというふうに考えております。
  104. 中川智子

    中川(智)分科員 かなり情報はテレビとかいろいろなものの普及で行きながら、まだ農村の保守化傾向、それがやはり女性の地位、そこにあらわれてきていると思いますし、最近は、平均年齢が六十七歳、そしてまた女性の参入、ほとんど三ちゃん産業の中でかあちゃんの存在が大きい。そのあたりの施策を徹底して推進していただくようにお願いいたします。  それで、私ごとになりますけれども、体は元気だという自信がございましたが、子供を妊娠して、一度流産しました。そのときに医師が言うには、今は食べるものも水も空気もすべて汚れている、こんな中で健康な赤ちゃんを産むこと自体が非常に難しい世の中になってきた、だからもうこれは早く忘れなさい、こんな悲しいことは早く忘れなさいと言われましたが、やはり忘れられませんでした。自分自身がもっと気をつければこの子を殺さずに済んだのではないかと思いますと、やはり母親は常に自分を責め、その責めた中で一つの結論に達したことは、安全なものを食べたい、安全なものを食べて元気な子供を産みたいと思いました。それが十九年前でした。  そのときから私は、地域の農薬を使っていないもの、安全な農作物を求めてあちこち走り回りまして、たくさんの友人に声をかけ、いわゆる低農薬のお野菜ですとか果物ですとか、できれば無農薬のもの、そして卵もケージで飼ったあのように大量生産するものではなく平飼いの鶏の卵ですとか、牛乳などもこだわりまして、一生懸命そういう意味での消費者運動をしてきました。  やはり環境の汚染から国民の命と健康を守り、またそこからとれるものが安全であるということを私どもは常に国の立場として追求していかなければいけないと思うのですね。やはり国民の命と健康を守るためには、三度三度食べるその食べ物が安全かどうかということが非常にネックになってくると存じます。  そこで、いわゆる安全な農作物、環境保全型農業を最近国の方も推進していらっしゃいますけれども、その施策について伺いたい、これが一点。それからもう一つ、その環境保全型農業を担当される農水省の職員の方の人数をおわかりならば、おわかりでなければまた後で教えてくださって結構ですが、どれくらいのウエートでそれを推進していらっしゃるかということを伺いたいのです。
  105. 高木賢

    高木(賢)政府委員 まず、第一点のお尋ねの環境保全型農業推進状況なり考え方でございます。  ただいま御指摘になりましたように、平成四年に農林水産省も新しい農業政策の方向を打ち出しまして、その中で環境保全型農業を農政の柱の重要なものの一つということで位置づけたわけでございます。以来、環境への負荷の軽減に配慮した持続的な農業、いわゆる環境保全型農業推進を図ってきておりまして、有機農業もその一環、一形態として位置づけまして支援をいたしております。  これは行政レベルで関係の皆様方も頭をそのように切りかえていただかなければいかぬということで、まず都道府県におきまして、全都道府県で既に、七年度まででございますけれども、基本方針の策定を終わりました。今度は続いて市町村レベルになりますけれども、現在、市町村としての推進方針の策定を行っておりまして、八年度で六百余の市町村がこの環境保全型農業推進方針をつくるという運びになっております。  それぞれの生産現場ではどうかということでありますけれども、生産現場におきましては、農薬、肥料などの資材の適正な使用とか、土づくり、リサイクル、こういったものを推進するために必要な技術開発とか普及指導を行っております。それから、場合によってはその過程で堆肥の供給施設だとか、そういった施設整備をしなくてはいけませんので、その施設整備につきましても助成を行っております。  それから、これは言うまでもなく行政が旗を振ってやればいいというものではなくて、やはり生産者なり流通の関係者なり、皆さんの相互理解と協力、いわば運動として進める側面というものも非常に重要ではないかと思っております。幸い民間レベルでも学識経験者あるいは農業団体、消費者団体、こういう方々も皆御賛同いただきまして、全国環境保全型農業推進会議というものが設置をされまして、いわば国民的な運動の推進機関ということで動いているわけでございます。具体的にどういうことをやっているかといいますと、その会議では、例えば、ことしの二月末、ついこの間ですけれども、環境保全型農業推進憲章というものを皆さん寄り寄り御相談いただいてつくった、これをまた、まさによりどころとして運動を進めるというふうな状況になっております。  ただ、いかんせん、まだまだ点の存在といいますか、でございますので、当面は、まず全国的に、点から面へということ、それから、行政だけでなくて関係者万般が取り組む、こういうことを目標にいたしまして、その一層の推進に努めてまいる考えでございます。  それからまた、二番目の人数は、私の農産園芸局だけについて言いますと、環境保全型農業対策室というのがありまして、そういう組織でやっておりますけれども、これは、畜産とか、その他、省内万般に関係の組織というか担当者がおりますので、ちょっと今一口に言えませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
  106. 中川智子

    中川(智)分科員 今、点から面へというふうにおっしゃいまして、また、民間レベルでのそのような運動の高まりというふうにお答えがございましたけれども、有機農業というのはかなりのリスクを伴いまして、それは、土に全く農薬を使わない期間が三年間ですとか、本当にお金がかかるのですね。ですから、今地域で有機農業を一生懸命やってくださっている生産者というのは、もう、国を守るんだ、そしてみんなの命を守るんだというところで、必死で、自分自身の私財を投入して頑張っているというのが実態です。  でも、最近は、消費者も、私どもも賢くなってまいりまして、ただ見た目にキュウリが真っすぐできれいだから買うとかというんじゃなくて、なぜきれいなのか、きれいな方がおかしいんじゃないかというふうに、本当に利口にはなってきております。それで、いわゆる大手流通業者でも、最近は、有機農産物のコーナーを設けますと、そこに人がたくさん集まっていて、安全なものを食べたい。本当に、周りを見渡すと、がんですとか難病ですとか、もうわけのわからない病気がいっぱいですし、子供たちを抱えている人は、アトピーという、四人に一人の子供が今わけのわからないそのようなアトピー性疾患で悩まされている、やはりこれは食べ物が原因だろう。  ですから、より安全なものへの要望は強まっておりますし、実際そのようなものがよく売れているという現状を御認識いただいて、有機農業などは、やはりお金を国もかけていかないと、みんなそれぞれ頑張ってくれたまえでは決して広がっていかない、そこをぜひとも強調したいと思っております。そこに対して国のお金を投じていただいて、やはり安全なものがどこに行っても買えるように、そして、このような安全なものが市場に出回ったから本当に医療費も少なくなってきたということになるように方向性を定めていただきたいと心からお願いいたします。  それに伴いまして、生産者と行政の話し合い、また、業者などの話し合いは各地に結構あるのですが、そこの話し合いに消費者が入るというシステムがなかなか今ございません。ですから、消費者もいっぱい勉強しておりますので、そのような有機農業推進したり、安全なものへのそのような話し合いがあるときには、ぜひともこれからは視野の一つに消費者も入れていただく、そのような委員会などをつくっていただくことをこの場で要望しておきます。  要望ばかりで申しわけございませんが、ついでにいろいろなことを、あと二つほど要望したいと思います。  先週の厚生委員会で遺伝子組み換え食品について質問をいたしました。そして、遺伝子組み換え食品には、まだまだやはり絶対安全ということはないというお答えが参りました。そして、それを受けて、表示に話が行きましたときに、遺伝子組み換え食品の表示に関しては農水省の方が御担当なので、そちらで聞いていただきたいと言われましたので、ここで伺わせていただきたいのですが、遺伝子組み換えに対する不安が、とても今国民の中に広がっておりまして、先週も、私ある集会に参りましたら、二百人ぐらいのホールに、もう人があふれておる状況でございました。その中で一番議論の焦点になったのが、表示の問題でした。  現在ただいまで、農水省としては遺伝子組み換え食品に対する表示に対してどのような御見解をお持ちか、お教えください。
  107. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 食糧の問題は、量と質、基本的にこの二つが問題だと考えておりますが、その質の問題について、昨年は、狂牛病の問題とかO157、非常に国民の皆さんも関心が高まったと思うのですね。それで、私どもも、昨年の年末の九年度の予算編成のときに、食糧の安全性をさらに進めていくために予算をつけました。私が指示をいたしまして、具体的には、有機・バイテク食品表示対策事業という事業を進めていく、そのための予算を、調査費をつけまして、この調査を今からいたします。  この遺伝子組み換え食品の表示につきましては、ヨーロッパで今、FAOとWHOの合同の食品規格委員会、コーデックス委員会と言っておりますけれども、ここの食品表示部会で検討が行われております。この議論を聞いてみますと、原料に遺伝子組み換え食品をすべて使った製品については遺伝子の組み換えの表示、それはいいじゃないかというような議論がなされているようにも聞いております。ただ、遺伝子組み換えの原料とそれから遺伝子組み換えでない原料がまざった食品についてどういうふうに表示をするかということについては、なかなか難しい、そういう議論もあるように聞いています。それから、生産地の表示で、ここの生産地は遺伝子組み換えの食品生産しているという、そういう生産地ごとの表示ということは、これは可能なんですけれども、それから流通に行った場合になかなか表示が難しいというような議論も行われているように聞いております。  私は、消費者の立場に立てば、この食べ物は遺伝子組み換えの食品であるということとそうではないということを、表示によって選択権を消費者が持つということは非常に大事なことでございますので、そういう問題意識を持ちながら、先ほど申し上げました国際機関での議論も十分に見ながら結論を出していきたいというふうに考えております。
  108. 中川智子

    中川(智)分科員 せめて選択権をいただきたいし、やはり、遺伝子組み換えというのは自然界では決してできない、そして新しいものでございますから、本当に安全の上に絶対がつくぐらいの慎重さを持ってやっていっていただきたいと思います。  今もう既に入っているわけで、姿形を変えて口の中に、もう食べているやもしれません。そして、後で、ああ、これは大変危ない、大変怖い、危険なものだったということがわかりましても、もう取り返しがつきません。また、生態系すべてを破壊してしまいますので、ぜひともこれについては、表示の問題、そしてもう一つ前に戻って、これを輸入すること自体もやはり検討に加えていただきたいと、最後に大きな要望をいたしまして、質問を終わります。  本当に大臣も、皆様ありがとうございました。
  109. 菊池福治郎

    菊池主査 これにて中川智子さんの質疑は終了いたしました。  次に、田中昭一君。
  110. 田中昭一

    田中(昭)分科員 自由民主党の田中昭一でございます。先番議員さんの御質問に重複がございましたら、お許しと御了解をいただきたいと存じます。  私は、戦後五十年、今日の日本の繁栄は、我が自由民主党の政策、指導に誤りなきがもたらしたもの、さらに、アメリカを初めヨーロッパ先進国に追いつけ、追い越せの指導で、五十一年間のひずみがバブルの崩壊となって現在の円安と株安の原因であろう、このようにも考えます。私は、国民が豊かさをさらに実感しつつ、安心して暮らしていける日本を築いていかなければならない、このような信念を持って質問をさせていただきたいと存じます。  ガット・ウルグアイ・ラウンドを初めとする我が国農業は、断崖絶壁に立たされたと同様、非常に危険な状態であると申し上げましても決して過言ではない、このように考えております。米を初めとして、片方では基盤整備が進められ、一方では生産調整を強いられる。これでは、農家の皆さんは、今後どういう方向で何を生産したら生活設計が立つのか、全く政府のやり方は不透明で納得できないというのが実態であります。  私は、我が国生産できる米は精いっぱい生産をしていただき、勤労意欲にあふれた農業推進していくべきだ、このように考えておりますが、農林水産省はどのように考えておられますか。また、今後どのように指導していこうと考えておられますか、お伺いをいたしたいと存じます。  また、果実、オレンジを初め、野菜から乳製品、あらゆる食料品が輸入をされ、一体日本ではどれぐらい自給自足が可能と見込んでおられますのか、お伺いをさせていただきたいと存じます。  米を初め、果実、野菜類、魚介類まで一切の食料品について、後ほどで結構でございますから、我が国生産漁獲高はどれぐらいで、生産調整をしている米を初め、我が国にありながら輸入を押しつけられておる、我が国で必要としない生産物、いわゆる輸入を強いられている品目について、お教えをいただきたいと存じます。  日本は、アメリカを初め諸外国に対し、欲しいものは欲しい、要らないものは要らない、またお願いをしていくものはお願いをし、もっと強い態度で諸外国に物を言うべきだ、このように考えておりますが、どのように考えておられますか、大臣考え方をお伺いをさせていただきたい、このように考えております。  私は、日本農業を、さらに豊かで、農家の皆さんの夢と希望にあふれた農業推進を図るべきと考えますが、農林大臣はどう考え、どう指導していこうと考えておられますか、あわせてお伺いをいたしたいと存じます。  また、どのような指導をしたならば足腰の強い日本農業が生まれてくると考えておられますか、あわせてお伺いをいたします。  なお、余った米に対しましては、外国の援助米に回すべきだ、このように考えておりますが、大臣はどのように考えておられますか、お伺いをいたします。
  111. 高木賢

    高木(賢)政府委員 まず、米の生産調整の問題についてお答えを申し上げます。  米につきましては、現在、御案内のように、国民の皆さんの食べる量が減りまして、一方、単収にあらわされます生産力はふえてくる、こういう状況でございまして、依然として約三割の需給ギャップがございます。  そういう中におきまして、御指摘のように、自由に精いっぱいつくるということになりますと、当然生産過剰をもたらしまして、価格の大幅な低落を生じる。そうなりますと、稲作経営に深刻な影響を与えるというのがまず生産者に対する懸念としてあるわけでございます。また、そうなりますと、翌年は生産が十分に行われないということになりまして、今度は消費者に対して安定的な量を供給することが難しくなる、そういうことが懸念されるわけでございます。  やはり米の問題につきましては、需給バランスをとるということが必要不可欠な措置、これは生産者も、消費者にとってもそうであります。そういうことで、農業団体の皆さん、関係者、るる相談した結果、やはり生産調整の方をやろうということに相なって、八年度から三カ年計画で現在推進しているところでございます。その量が、面積に直しますと六十七万ヘクタールということでございまして、今、全国約三百万の農家になりますけれども、いろいろと厳しい事情はございますが、御協力をいただいて推進をしているという状況でございます。
  112. 堤英隆

    ○堤政府委員 果実、オレンジを初め、野菜、乳製品等につきまして、どれくらいの自給自足が可能と見込んでいるかという御指摘がございました。  農林水産省の方で、平成十七年度の見通しというものを平成七年度に作成をいたしてございます。全体的な日本の需要がどういうふうになっていくだろうかということを見込みまして、かつ、品目ごとに生産がどうなっていくのだろうか、あるいはどのくらいの生産をこれから意欲的に見込んだらいいのか、そういう作業をして発表をいたしているわけでございます。  それによりますと、野菜につきましては、平成十七年度の見通しでございますけれども、国内消費仕向け量が大体千七百万から千八百万トンということがございます。国内生産量が千五百万トン強と見込んでおるわけでございまして、大体八割から九割、自給は可能だというふうに見ております。  それから果実につきましては、平成十七年度の見通しにおきまして、国内消費仕向け量は九百万トン程度ということに対しまして、国内生産量が約四百六十万トン程度ということを見込んでおります。したがいまして、五〇%強が自給は可能であろうかというふうに見ております。  それから牛乳・乳製品でございますけれども、これにつきましても、大体千三百万トン程度の需要を見込んでおりまして、国内生産量が千十万トン程度ということで、七七%ぐらい、八割弱の自給は可能だというふうに見ております。  それから因類につきましても、六百万トンから六百五十万トンの国内消費仕向け量が見込まれるのに対しまして、国内生産量が約三百六十万トンということで、これも六割程度の自給は可能ではないかというふうに見込んでおります。  こういった一定の見通しのもとに、私どもとしてはいろいろな政策を集中的に投じていかなければならないというふうに見ております。  それから魚介類についての御指摘ございましたけれども、現在の魚介類の国内生産量は約六百七十万トン程度でございまして、国内消費仕向け量が大体千二百万トン程度でございますので、同じぐらいの量が輸入されているという現状にございます。  私どもとしましては、国内資源を生かしてこれから生産していかなければならないところにつきましては国内生産ということを考えていくわけでございますが、例えば食料消費の構造の変革に伴いまして、どうしても畜産を振興していこうということになりますと、日本ではなかなか生産しにくい穀物類、牛、豚等が食べます穀物類について相当な輸入をしなければならないというような状況がございます。そういう面で、国内の生産を図っていくとどうしてもそのためのえさみたいなものは輸入せざるを得ない、そういう構造になっておりますものですから、自給だけではなかなかしがたい、やはり国外から輸入すべきものは輸入していかなければならないというものも多いわけでございます。  いずれにしましても、生産あるいは備蓄それから輸入というものを適切に組み合わせて、かつ、その中でも、やはり国内資源をできるだけ生かした国内対策というものを中心に据えていきたいというふうに考えているところでございます。
  113. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 私からは、米の海外援助、その前に農政の基本的なこれからの方向について申し上げます。  農政の基本的な方向は、私ども四つの方向を考えておりまして、一つは、まず、我が国農業を魅力のある産業として確立をしていく。それから二番目には、生産面におきましては、その生産力を維持強化して国内供給力の確保を図っていく。それから三番目には、消費者の皆様方に対しては、適正な価格水準で新鮮な食料の安定した供給を図っていくということ。それから四番目には、住みやすく、活力に満ちた農村社会をつくっていく。こういうことを今後の農政の基本として考えております。  また、米の海外援助の問題でございますが、これは委員も御承知のように、まず外務省で、外国に対する援助の問題についてはこちらが窓口でございまして、そういう点がございます。  米の海外援助については、財政的な面と国際上のルールの面と、二つの面がございまして、財政上では、国内の米はトン当たり三十万円いたしておるわけでございますので、仮に平成八年のように一年間で十万トンの無償の海外援助をいたしますと、それだけで三百億円の財政負担になるわけでございまして、そういう財政負担上の問題が一つございます。それからもう一つは、先ほど申し上げました国際ルールの問題がございまして、そのルールにのっとって米の海外への援助を考えていかなきゃならぬ。こういう二つの側面がございます。  しかし、私は、外務省の問題でございますけれども、農林水産省としては、適正な在庫水準、それから発展途上国に対する人道上の援助などから考えまして、我が国の海外に向けての食糧の援助について、どういう援助のやり方があるかなということにつきましては、平成九年度に調査費を計上いたしまして、その調査にこれから本格的に取り組んでいこう、今こういう状況でございます。
  114. 田中昭一

    田中(昭)分科員 私は、若いころ田植えまでもやった一人でございますので、日本は余っておるお米を何で輸入をするのか、こんなばかなことをして日本はどうなるんだと痛切に感じた一人でございますが、日本生産をするお米が余っておりながら外国から輸入をして、日本国民にどのようなメリットがあると考えておられますか、お伺いをいたしたいと存じます。
  115. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話ありました、いわゆるウルグアイ・ラウンドの農業交渉のことでございます。  この農業交渉におきましては、すべての農産品を関税化する、こういういわゆる包括的関税化ということを基本的な考え方として国際的な調整が行われたわけでございます。  この関税化というのは、先生御案内のとおり、いわゆる輸入数量制限は全部なくしてしまう、それで関税に置きかえるんだというのが一つであります。また、これとあわせまして、我が国の米のように、基準期間、これは一九八六年から八八年でございますが、このときの輸入量の国内消費量に対する割合が三%未満のものにつきましては、ミニマムアクセス量としまして、初年度は三%、最終年度は五%入れるようにアクセスを求められているという内容でございました。  このいわゆる包括的関税化の方針が、我が国の米の場合、仮にこれを受け入れたということになりますと、今申し上げた、三%から六年間で最終年次五%というミニマムアクセス数量以外に、いわゆる関税相当量を払えばだれでも米の輸入が可能になるということでございます。したがって、そうしますと、国産米それから輸入米というものを合わせました数量調整というのは、全体的な数量調整は困難になります。我が国の稲作農業に多大な影響を与えるということで、私どもはこの包括的関税化に強く反対をしてきたわけであります。  また、稲作農業だけでございませんが、我が国農業は、そういった経済的な貿易ルールの問題だけでなく、いわゆる環境の問題とか、それから国土保全の問題とか、いろいろ非経済的な要因があるということも主張をいたしまして、これについて強く反対をしてきたわけであります。  ただ、世界的な流れは包括的関税化の方向に向かっていたわけでございまして、交渉の最終段階でミニマムアクセス数量を、初年度四%、六年目の最終年度八%に引き上げるということを内容とする関税化の特例措置を設けてはどうかという調停案が示されたわけでありまして、これをめぐって国内で大変な議論をしたわけでございます。  最終的には、数量制限が維持できる、国内の数量調整が可能である、また、関税化をしていないということで、いわゆるマークアップも二百九十二円、その限度が二百九十二円ということでございますけれども、これも六年の間削減しないでいいという内容にもなったということで最終的に受け入れたということでございまして、今申し上げましたような包括的関税化を受け入れた場合と、そうでない今の特例措置のもとでの場合、今申し上げたような我が国農業への影響というものを少なくできるというメリットがあるという判断をいたしたということでございます。
  116. 田中昭一

    田中(昭)分科員 先ほど大臣が、今後の農業指導に対しまして、すばらしいキャッチフレーズと申しますか、政策を述べられたわけでございますが、私は、千葉県の第四区、千葉県船橋市の出身の議員でございます。  船橋の卸売市場では、今後すべて、国内生産品ではなくして、諸外国、ベトナムを中心とした野菜を卸したらいかがか、このような動きもあるところでございますから、魅力のある農業、すばらしい生産品目と申しますか、生産量が上がっていきますような指導をしていただきたい、このように強く要望を申し上げたいと存じます。  いま一つ、農業法が改正になろうとも言われておりますが、農家、農民に対してどのようなメリットを考えた改正法なのか、御説明をいただけたら大変ありがたい、このように考えております。よろしくどうぞ。
  117. 堤英隆

    ○堤政府委員 農業基本法は昭和三十六年にできたわけでございますが、それから三十六年間経過いたしております。その間におきます農業農村の著しい変貌、それから食生活の変貌、そういうものもございますし、それから、日本の経済構造も大きく変わってきております。  そういう中にありまして、今の農業あるいは農政につきまして、さまざまな御意見、御指摘があるというふうに承知をいたしております。非常に幅広い御議論をいただいておるわけでございますが、そういった議論の中で、これから間もなく二十一世紀を迎えるわけでございますが、若い方々を中心として日本農業に、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、魅力を持っていただけるような対策として何があるのかということが一つございます。  それからもう一つは、ちょっと順不同でございますけれども、二十一世紀に向けて日本の食生活がどういうふうに変わっていくのか、その中におきまして、日本農業に対しまして、あるいは農村に対しまして、国民の方々がどういう期待を持たれるのであろうか。  それから三点目には、先ほどこれも出ておりましたように、過疎地域あるいは中山地域、そういう地域日本の国土の四割、農地面積の四割あるわけでございますが、そういった地域におきまして一生産性の拡大とかあるいはコストダウンだけではなかなかはかりがたい価値がございますし、条件もございます。そういったよさを生かしながら、そういった地域に住んでいる方々も意欲を持ってその地域に住んでいただけるような、そういう生産条件整備とは何であるか。  そういうことで、一言で申し上げますと、日本の食生活の変化なりを踏まえまして、農業なり農村に、国民の皆様、農家の皆様の御期待をできるだけ私どもとしては幅広く受けとめて、いろいろな各方面の知恵もいただきながら、今後積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  118. 田中昭一

    田中(昭)分科員 私が先日、地元の農協の総会に出席をいたしますと、組合員の中から、バブルの崩壊によって、何と申しますか、農協中央会は、そして農林中金は多額の不良債権を生んでしまった、そのために、我々の農協を国は、中央は合併をしようと考えておるのではないか、こういう組合員の中から懸念、心配の声が数多く出されております。私はそのようなことは絶対ないと信じておるわけでございますが、事務当局はどう考えておられますか。お答えをいただきたいと存じます。
  119. 堤英隆

    ○堤政府委員 農協合併を現在進めているわけでございますが、これは決して農林水産省だけが進めているわけではございません。むしろ、どちらかと申し上げますと、農協みずからが自分たちの問題として農協合併を進めていこうとされている。それに対しまして国としてもそれを側面から支援していく、こういう構図だと思います。  と申しますのも、農協、御専門でございますけれども、農協をめぐります、特に農協の信用事業をめぐります情勢、非常に厳しゅうございます。一つには、都市銀行でありますとか地方銀行でありますとか、そういった他の業態との農村地域におきます競争というものが非常に激しくなってきているということがございます。それから、今おっしゃいましたように、バブルの崩壊の中で不良債権問題、これは決して農協だけではございません、農協も含めまして出ているわけでございますが、そういう状況の中で、国民の皆様方からは、金融機関として十分であったのか、そういった資金の管理、貸し出しの管理、そういうところにおいてきちんとしていなかったのではないかという大変強い御指摘が、住専問題を契機にあったところでございます。  そういった、農協をめぐります他の業態との競争の激化、それから、バブルの崩壊のもとにおきます不良債権が出てくる中で、農協がこのままでいいのかという経営上の問題、それから、基本的には、従来は資金が不足ぎみであったわけでございますけれども、現在のように過剰な状況になってまいりますと、金融機関としてより一層の体質強化が求められてくる。  そういった三つの状況の中で、農協経営をやっておられます農協の方々みずからの問題として、農協のこのままの姿ではやはり太刀打ちできないのじゃないか、そういう強い危機感から、農林中金と例えば各信連との統合、いわゆる垂直統合と、それから、今御指摘のような単協同士の合併、横の統合と、この二つを軸に、農協みずからの問題として努力をされている。そういったものを私どもとしては支援をしていきたい。  そのことによりまして、結局は、農協は農家の組合員の方々の負託を受けて経済事業、信用事業、営農指導事業をやっておられるわけでございますから、そういった農家の方々の負託が十分農協として果たせるように、そのために必要な経営基盤を急速につくり上げていく、こういう基本的な考え方であろうというふうに理解をいたしております。
  120. 田中昭一

    田中(昭)分科員 大臣に確認をしておきたいのでございますが、私がお伺いをしたところによりますと、農林中金は金融機関に膨大な融資をされた、住専ですか。その際に、大蔵大臣と農林大臣は、絶対農林中金には迷惑をかけない、農協には迷惑をかけない、こういう一筆が入っておる、このように伺っておりますが、そういうお約束、一筆はあったのでしょうかどうかをお聞かせをいただきたいと存じます。
  121. 堤英隆

    ○堤政府委員 農協が住専に貸し込んでおりましたのは、中金のほかに、各都道府県四十七の信連等でございまして、いろんな経緯がございますけれども、昨年来の住専国会におきましてもさまざまな御指摘がありましたけれども、農林中金に迷惑をかけないとか、そういうことではございませんで、農協が住専に貸し込んでいたわけでございますけれども、その問題につきまして、今後、元本の返済等々きちんとそこはしていきましようということで、役所間の、何といいますか、約束、覚書と言っているのですけれども、役所間の一つの考え方を整理したものはあったわけでございます。  そういう考え方をそれなりに私どもとしても大事に思いながら、昨年の国会におきまして御審議賜りましたような住専問題につきましての一定の解決のスキームというものをつくり上げまして、都市銀行、それから地方銀行、それから農協系統、それぞれに精いっぱいの協力なりあるいは債権放棄という形で現在の住専処理スキームができたというふうに理解いたしております。
  122. 田中昭一

    田中(昭)分科員 どうもありがとうございました。
  123. 菊池福治郎

    菊池主査 これにて田中昭一君の質疑は終了いたしました。  次回は、明四日午前十時より開会し、農林水産省及び環境庁所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十九分散会