○武藤国務大臣 行政改革担当大臣を仰せつかりまして、大変責任を感じております。
今御指摘のございましたように、この間の選挙は、新進党さんも同じように行政改革を一つの大きな柱として公約されておられました。どの政党もみんな公約をしておられて、私どももそうでございます。ということは、もう今の日本の国の現状が大変なことになってきてしまった。
今お話しのように、財政の問題もしかりでございます。この間、この
委員会でも言われているように、公的な債務が国、地方を通じて五百二十一兆、一年の日本のGDPの金額よりも大きくなってしまった。こういう現状から見ますと、どうしても日本の国の財政は立て直しをしていかなければいけない。
それからいま一つは、
西野さんも多分地元でいろいろ現実にお気づきになっていると思いますけれども、縦割り行政というものがそれぞれ住民に非常にマイナスになってきておる。住民に対してサービスをすべき行政が縦割り行政であるがためにマイナスになっている、これではいけないわけでございます。
それからいま一つは、二十一世紀をもう目前にして、時代が非常に変わってまいりました。日本の社会は高齢化・少子化社会になってきてしまった。このままほうっておいたら一体年金はどうなるのか、将来パンクしてしまうのじゃなかろうか。あるいは労働者の数がどんどん減ってきてしまって、そして引退した人がどんどんふえていくという状態が続いていく。
あるいはまた、高度情報化時代ということになってきた。あるいはもう一つは、国際社会の中で日本が生きていかなければならなくなってきた。
そういう非常に変わってきた中で、今までどおりの日本ではとても二十一世紀には生きていけない、それこそ沈没してしまうのじゃないかということは、多分
西野さんもそういうお気持ちだと思うのでございます。私もそういう気持ちでおります。
ですから、次の時代までのこの数年間に、もう一回日本という国を根本から立て直さなければいけない。それが橋本総理も言っておられます六つの改革だろうと私は思うのでございます。とりわけ財政をまず立て直しをしていこうと思えば、これからは国民にある程度御辛抱願わなければならない点が出てくる。
そういうときに、民間は既にリストラをやっているのに、行政面は依然として一向にリストラが進んでいないじゃないか。確かに行政改革、行政改革と言われてきているけれども、少なくとも民間と比べるとそのリストラというのは非常に度合いが少ない。そういう面からいけば、思い切ってここで小さな
政府というか簡素な
政府にしていかなければいけない。そしてもう一つ、効率のよい、むだのない行政にしていかなければいけない。
それからもう一つは、先ほどの縦割り行政にも関連しますけれども、規制が余りにも日本は多過ぎる。これは諸外国から指摘をされているとおりでございまして、もうできるだけ規制というのはなくしていく。
それから、役所でやる仕事は、小さい
政府にしようというのですから、なるべく仕事は少なくしてしまう。どうしても役所でやらなければならない仕事は別だけれども、民間でやれる仕事というのは極力民間にこれからは移していく。こういう形で、いわゆるスリムな行政機構というものをつくり上げていく。
そしてもう一つ、その次の段階として、そういうスリムになった行政機構を新しい時代に、橋本総理が四つのフレームを言っておられる。国家の安全、それから国を富ます、あるいは
国民生活を守っていく、いま一つは教育、
科学技術、こういったような四つのフレームで考えていきたいということを橋本総理は言っておられますが、私ども行革
会議でも、その辺は橋本総理も必ずしも自分の意見にはとらわれないとおっしゃっておられるので、私ども、行革
会議の方々の御意見も踏まえながら、私自身も、もう少しその辺の哲学、二十一世紀はどういう形の国家機能をきちんとやっていくべきなのか、そしてその中で一体総理のおっしゃっておられる官邸機能を
強化していくべきなのかどうか、この辺を踏まえて、リストラした小さい
政府にした上で中央の省庁はどうあるべきなのか。
もう一つ、強いて言えば、イギリスのエージェンシー、要はイギリスの場合には、政策立案、こういうものは従来の役所のようなところでやる、しかしそれで決まったことを執行する部門は外へ出してやろう、こういうのが最近はやって、英国のエージェンシーという言葉が流行語になっておりますけれども、場合によれば、私はそういう考え方も日本の中に取り入れていってもいいのではなかろうかと。この辺のところは行革
会議でこれから秋に向けていろいろと議論を活発にやっていく。
そしてもう一つは、特殊法人という問題がいろいろ言われておりますが、私は、強いて言えば、特殊法人もそういうエージェンシーもある程度性格は似ているのじゃなかろうかと。その辺は、現在の行政の機構、そしてその付随している特殊法人、こういうものも一括の中で、日本のこれからの行政機構が一体どうあるべきか、そしてその中でエージェンシー化をしていくのかどうかというところは、特殊法人も含めた形で私は考えていっていいのではなかろうかと思います。
それからもう一つの問題は、やはり地方へなるべく移すということでございます。これも大切なことでありまして、地方分権
推進委員会もできているわけですから、できるだけ地方に、もう機関委任
事務はやめよう、その他の
事務についても地方でやれることは地方でやっていただこうということであります。
ただ、私は、この点は地方分権の
推進委員長である諸井さんにも申し上げておりますが、やらなきゃいけないけれども、国がリストラをやって、そして地方へそういうお仕事を持っていった、あるいは財源も持っていってもいい。しかし、そのときに受け入れ
体制が果たして今の市町村でいいのかどうか。本当に田舎の町へ行って、あるいは村へ行って、こういうことを今まで国がやってきたけれども、あなたの方でやってくださいよといって、果たしてできるのかどうか。
この辺、やはり思い切って受け入れ
体制の地方自治体はどうあるべきなのかということをきちんとしてからでないと、なかなか地方分権というものはうまくいかないのじゃなかろうか。国は小さくなったけれども、中央は小さくなったが地方がかえって大きくなったのじゃ、これは国全体としての行政改革になりませんので、その辺のところも踏まえて、私はこの地方分権は時間的には少しかかるのじゃないかなとは思っておりますが、これもぜひやらなきゃならない問題だろう、こう思っておるわけであります。