運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-04-03 第140回国会 衆議院 予算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月三日(木曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    飯島 忠義君       石川 要三君    臼井日出男君       江藤 隆美君    尾身 幸次君       越智 通雄君    大石 秀政君       大原 一三君    嘉数 知賢君       桜井  新君    下地 幹郎君       砂田 圭佑君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    竹本 直一君       橘 康太郎君    戸井田 徹君       中山 正暉君    西川 公也君       野中 広務君    葉梨 信行君       松永  光君    村山 達雄君       谷津 義男君    愛野興一郎君       石田 勝之君    漆原 良夫君       太田 昭宏君    岡田 克也君       北側 一雄君    小池百合子君       白保 台一君    田中 慶秋君       中井  洽君    仲村 正治君       並木 正芳君    西川 知雄君       原口 一博君    平田 米男君       丸谷 佳織君    村井  仁君       生方 幸夫君    海江田万里君       川内 博史君    日野 市朗君       前原 誠司君    東中 光雄君       矢島 恒夫君    上原 康助君       北沢 清功君    岩國 哲人君       新井 将敬君    土屋 品子君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         通商産業大臣  佐藤 信二君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君  出席政府委員         内閣審議官   及川 耕造君         防衛庁参事官  山崎隆一郎君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      牧  隆壽君         外務大臣官房領         事移住部長   齋藤 正樹君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省関税局長 久保田勇夫君         通商産業省貿易         局長      伊佐山建志君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         郵政省通信政策         局長      木村  強君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ――――――――――――― 委員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   生方 幸夫君     家西  悟君   松本 善明君     不破 哲三君   矢島 恒夫君     志位 和夫君 同月十三日  辞任         補欠選任   家西  悟君     生方 幸夫君 四月三日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     竹本 直一君   越智 伊平君     大石 秀政君   大原 一三君     戸井田 徹君   菊池福治郎君     下地 幹郎君   松永  光君     飯島 忠義君   村上誠一郎君     砂田 圭佑君   谷津 義男君     嘉数 知賢君   愛知 和男君     原口 一博君   石田 勝之君     村井  仁君   太田 昭宏君     丸谷 佳織君   北側 一雄君     漆原 良夫君   西川 知雄君     仲村 正治君   海江田万里君     前原 誠司君   仙谷 由人君     川内 博史君   志位 和夫君     矢島 恒夫君   不破 哲三君     東中 光雄君   新井 将敬君     土屋 品子君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     松永  光君   大石 秀政君     西川 公也君   嘉数 知賢君     谷津 義男君   下地 幹郎君     菊池福治郎君   砂田 圭佑君     橘 康太郎君   竹本 直一君     相沢 英之君   戸井田 徹君     大原 一三君   漆原 良夫君     北側 一雄君   仲村 正治君     西川 知雄君   原口 一博君     並木 正芳君   丸谷 佳織君     太田 昭宏君   村井  仁君     白保 台一君   川内 博史君     仙谷 由人君   前原 誠司君     海江田万里君   東中 光雄君     不破 哲三君   矢島 恒夫君     志位 和夫君   土屋 品子君     新井 将敬君 同日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     村上誠一郎君   西川 公也君     越智 伊平君   白保 台一君     石田 勝之君   並木 正芳君     愛知 和男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  予算実施状況に関する件      ――――◇―――――
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  予算実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 深谷隆司

    深谷委員長 予算実施状況に関する件について調査を進めます。  本日は、沖縄問題について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
  5. 村井仁

    村井委員 新進党の村井仁でございます。  沖縄問題につきましてまず申し上げたいと思いますのは、沖縄における米軍基地使用権原問題をここまで混乱させたのは、私は、村山内閣以来、自民党が社会民主党、もとの社会党に迎合、妥協して、国民にとって大切な政策の実行よりも政権維持を重視するために問題解決を先送りし続けてきたことによるものだということであります。その一番の犠牲者沖縄県民であり、また日米両国関係にも暗い影を落としかねない事態になっておる。  政府が今提案しているいわゆる駐留軍用地特別措置法改正案につきまして、これはけさ閣議で御決定になったやに承知しておりますが、与党を自称する社会民主党がいまだに賛否を決せずに、従来のだめなものはだめという何でも反対の政党に本卦帰りをして、しかし与党にはしがみついていたいというまことに虫のよい対応をしていることは、国民の政治に対する信頼をますます失わせる。与党とはいえ閣僚を送っていないから案件ごとに是々非々が許されるなんというような理屈をこねているようでありますけれども、これは国民を愚弄する詭弁としか言いようがない、私はそのように思います。  私がこれから申し上げたいと思いますのは、第一に、いわゆる駐留軍用地特措法改正案は、沖縄における米軍基地問題につきまして泥縄的緊急避難にすぎず、根本的な解決にならないという点でありまして、自社さ与党のお家芸ともいうべき問題の先送りにすぎないということであります。第二に、極東そして東アジアの安定のために不可欠な日米安全保障体制を一層強固なものにするために、沖縄県民の負う過剰な負担日本国民が広く分かち合っていくことが大切だ。この二つのことを私は特に強調して申し上げたいと思います。  さて、具体的に沖縄の声は、後ほど同僚仲村正治白保台一両議員が申し上げると存じますので、私からは、在日米軍基地の七五%が日本の国土のわずかに〇・六%を占めるにすぎない沖縄に集中している現実が大変重い。そして、沖縄に関する特別行動委員会、いわゆるSACOの協議、これを通じまして沖縄現状を改善しようという努力はなされて、それから沖縄県議会もこれには一定の評価はしていますけれども現実にそこで合意されたことが容易に実現するという保証はないと言わざるを得ない。そのことを指摘したい。事実、キャンプ・シュワブを持つ名護市は、普天間基地の機能の県内移設反対していまして、SACO決定の重要な部分が実現に向けて進んではいない、これが現状であります。  こうした状況の中で政府は、駐留軍用地特別措置法を改正して、三月二十七日までに三回審理が行われているわけでありますけれども沖縄収用委員会裁決が行われるまでの間は用地使用が合法的にできる、こういう仕組みをつくろうとしているわけであります。  私は、これは例えて言いますと、相撲で寄り身になってきまして、どんどん寄ってきた、土俵際まで寄ってきた、もうちょっとで寄り切られちゃう、寄り切られるのは確実だ、こうなりまして慌てて土俵を後ろへずるずるとずらす、それに近いようなものでありまして、それは確かに国が違法の状態をつくるということは避けるべきことでありましょうけれども審理中の案件につきまして、新たにルールをつくりまして、あるいはルールを変えまして、そして合法という形をつくるというのは、やはり非常に割り切れないものを私は感じる。そういう意味で、沖縄県議会反対意見を決議しているということも、私は非常に理解できるところだと思う次第であります。  ところで、こういう事態というのはどうして生まれたのか。私は、何といっても村山政権時代に、村山総理内閣総理大臣としてするべきことをしなかったことにそもそも原因があるということを申し上げたい。それを指摘した政府高官が舌禍で辞職するということがあったことを今思い起こすわけでございますけれども、それを思い起こすと、どっちが正しかったかということは非常に明白なことだと思います。  平成七年の五月に総理使用認定を行って以来、裁決申請書作成のための手続過程総理職務執行手続をちゅうちょしたことによりまして、約二カ月間も裁決申請がおくれた、これは厳然たる事実であります。  また、橋本内閣にかわりましてから、平成八年の五月十一日、楚辺通信所緊急使用が不許可になったわけでありますけれども行政不服審査法に基づく不服審査請求を行うでもなく、法改正を行うでもなく、一年近くそのまま放置してこられた。そのあげく、三千人の土地使用期限が切れるからといって慌てて審査期間中だけは合法化するための法改正をしよう、これは私は余りにも便宜的と言わざるを得ないと思うわけであります。  沖縄米軍用地強制使用に必要な法手続や、抜本的な、安定的な基地使用のための法整備を怠ってきた責任というものは、私は大変重いものがあると思う。政府のこれまでの対応について、どのような責任を感じておられるのか。楚辺は一人の問題だった、今度は三千人だった、私はそういう問題ではないと思うわけでございますけれども、このあたりにつきまして、関係大臣から、そして総理から見解を伺いたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から、沖縄県民の声は同僚議員から、その上でという前置きをつけられて、真剣な御意見の、また御質問の開陳がありました。基本的な部分につきまして私から御答弁を申し上げながら、各閣僚から補足を願おうと思います。  事実問題といたしましてまず申し上げなければなりませんのは、今回の駐留軍用地特措法に基づきます手続、この開始に当たりましては、過去三回、手続期間、実績などを十分考慮をいたしました上で、平成七年の三月三日に手続を開始いたしました。しかし、全く予測をいたしておりませんでした平成七年九月、沖縄県において発生をいたしました大変不幸な事件、これが手続を開始いたしました後、この事件を契機として、沖縄県、さまざまな問題を提起されるに至りました。そして、そうした環境の中で、土地物件調書署名押印及び裁決申請書公告縦覧につきまして沖縄県知事さんなどの御協力が得られないという事態発生をいたしました。そして、職務執行命令手続をとらざるを得ないという状況を惹起する、従来の手続の中では全く想定し得ない状況となりました。  こうした状況の中におきまして、沖縄収用委員会の第三回の公開審理が三月二十七日に開催をされましたが、この審理におきまして、今も結論が得られておりません。そして次回の公開審理の日取りも決まらない、そういう状況の中で、今私どもは、特措法改正法案国会提出をさせていただき、御審議を願おうといたしております。  これは、この国の安全保障、その根幹をなしております日米安全保障条約、この条約上の義務日本政府が果たしていく上で、米軍に対する基地施設提供責任があるわけでありますが、これが五月の十四日に権原が法的に切れるわけであります。そして、五月十五日という日を私どもは国が使用権原なしという状態で迎えることはできない、これは我が国として、国益としてもとるべき道ではないと真剣に考えてまいりました。  その中で、ぎりぎりの選択をどうすべきか。政府としては、暫定使用という必要最小限措置内容とする法案提出に踏み切るということになりました。そして、私どもは、一日も早くこの法案国会において御審議をいただき、成立をすることによりまして、条約上の義務を履行できない日本という状態にならないことを今心から願っております。  そのプロセスにおいて、沖縄県内基地の整理、統合、縮小という問題について、従来から政府が早く立ち上がるべきであった、この御指摘は、私は、歴代の内閣のすべての責任を負うことはできませんけれども県民のお気持ちとして、少なくとも現時点における行政府責任者に対し当然持たれるお気持ちであると思います。そして、これに抗弁をするつもりはありません。  その上で、本当に、一昨年の不幸な事件の後、いわゆるSACOにおきまして、日米政府は、安全保障上の観点というものは当然のことながら踏まえながら、どうすれば沖縄基地を少しでも減らしていくことができるか、真剣な論議をいたしました。そして、その結論というものは、現時点におきまして、日米政府として全力を尽くして一つ方向性を持ったもの、この内容について賛成いただけるかどうかは別として、その努力は私はお認めをいただきたいと願っております。  そして、その多くの部分県内における基地移設である、あるいは縮小である、こういう御批判も甘んじて受けなければならないと思いますが、今、例えば岩国基地への一部移転、あるいは本土の五つの射撃訓練場に一〇四号線越えの射撃訓練を移す問題、既に非常に好意的なお返事をいただき、少しでも沖縄県民の抱えておられる苦労を分かち合おうとしていただいているところもあることも、ぜひ御理解を願いたいと思うのであります。そして、今後の沖縄県における県民気持ちにこたえるための努力に対し、私は、党派を超えてこの問題は御協力を願いたい。  同時に、日米安全保障条約というものが我が国安全保障根幹をなすものであり、同時に極東の安全の維持の上にも大きな役割を持っているということをこの機会にぜひ想起を願い、本当に、少しでもその負担を軽減するための協力を他の都道府県にも分かち合っていただけることを心から願っております。
  7. 久間章生

    久間国務大臣 今総理がお答えになったとおりでございますが、先ほど委員が、今度の法律沖縄基地固定化するものではないかという意見があるぞという御指摘でございましたが、これは基地固定化するものではなくて、現在の状況で、少なくとも期限が切れることによって権原がなくなるものを、とにかくその裁決が行われている間だけ延長しようとするものでございますので、基地固定化には決してつながらないものでございます。  基地の今後をどうするかにつきましては、現在SACOで定めましたものを、あれも完全、すばらしいものじゃございませんかもしれませんが、少なくとも第一歩としてこれはまずやらせていただきたいということで一生懸命取り組んでおるところでございます。  基地の問題は、政府として挙げてこの問題についてはこれからやりますけれども、少なくとも日米安保条約に基づく施設提供義務がございます我が国としては、権原のない状態は避けなければならないという、その一点だけで今度の法案を出しておるわけでございますので、その点については、決して基地固定化をするものじゃないという御理解をしていただきたいと思うわけでございます。
  8. 村井仁

    村井委員 今防衛庁長官から、基地固定化をするものではない、こういうコメントがございましたけれども、私たちがやはり直視しなければならないと思いますのは、今度政府が提案しようとしている案というのは、いずれにしても基地問題の根本的な解決になるようなものではない、今まさにおっしゃったように、当面の問題をとりあえず片づける、こういう法律だということなんですね。  これは、私は、そもそも安全保障という国の本当に重大事項、今総理も、日米安保というのが本当に大事なことだということをお触れになりました。そういう重大事項について県知事あるいは県の収用委員会というような地方にゆだねまして、逆に地方にゆだねるべき事業が国の方の規制によっていろいろ縛られている、こういう現象が現在の日本に非常に多い。ある意味では逆転現象といいますか、そういうものの私は典型のような気がするんですね、この事件のもとというのは。  政府は、そもそも昨年の六月の時点では、都道府県収用委員会を関与させずに国がみずから強制使用裁決を行うために、新たに行政委員会を設けるとか、あるいは都道府県収用委員会公告縦覧手続の後二カ月以内に裁決しない場合に、これは内閣総理大臣だったと思いますが、それが代行裁決をするというような方式にするとか、いずれにしても、そういう形で今までの特措法のやり方を変えて安保条約実施円滑化を図る、こういう方針を検討していたんですね。これはいろいろな証拠で明らかであります。  しかし、だんだんこれは後退しまして、結局、駐留軍用地特措法をほんの一部手直しして対応することにした。その際も、当初は、収用委員会土地収用法四十七条の規定によりまして却下裁決するなんということはない、こういうようなことを言っていたんですけれども楚辺通信所緊急使用が認められなかった先例を見まして、ある意味ではそこで方針を変えまして、却下裁決のときには防衛施設局長土地収用法の百二十九条によって審査請求をして、建設大臣裁決するまでは使用できる、こういう案にして今度出してきた、こういうことですね。  これはちょっとややこしいので、委員長、お許しをいただきまして、ちょっとパネルを使わせていただきながら申し上げたいと思いますけれども委員の皆様にはお手元に資料をお配りしてございますので、それを便宜御参照いただきたいと思います。  まず常識的な形でございますと、今収用委員会で審査されているわけですが、真ん中にずっと一本線がおりておりますけれども、ここで特段問題がなければ収用委員会使用裁決をする、そして権利取得ができる。これが一番標準的なスタイル。これを期待しておるわけです。しかし、それに時間がかかる。したがって、この過程が無事進行するまでの間、権限があるという状態にしよう、これが基本ですね。  ところが、もう一つ考えなければならないことがありまして、この右側の線ですけれども収用委員会がある。これは土地収用法の四十七条に規定があるわけでございますけれども、だめだと却下裁決をする、こういう可能性もないわけではない。そうした場合には防衛施設局長はどうするかというと、これまた土地収用法の百二十九条、今申し上げたことですけれども、それによりまして建設大臣審査請求をする。建設大臣は当然に収用委員会が行いました却下裁決を取り消す、こういう裁決をするということになりましょうから、そうするとどうなるかというと、また収用委員会に戻ってくる。収用委員会は同じ理由では却下裁決はできません。しかし、また別の理由を用いて却下裁決をする可能性は否定できない、法律論としては。  そうしますと、ここで堂々めぐりが始まる可能性があるのですね。非常に時間を空費する可能性がある。これは非常に憂慮すべきことであります。しかし、最後に収用委員会が、どうやってもやはりこれはもう使用裁決をしなければならないということで使用裁決に至るかもしれませんが、これは非常に時間がかかる可能性がある。  それからもう一つ、今度はこのチャートの左側を見ていただきますと、収用委員会権利取得裁決をする際に、土地収用法の四十八条によります と、土地の区域、使用の方法、使用期間権利取得しまたは消滅させる時期、こういったことについて定めることができる、こういうことになっていますね。今までは大体常識的には、十年間使わせてくださいといって申請して、それを収用委員会は五年認める、こういう形をとってきたのですね。ところが、ここでもしも収用委員会が、例えば一年間しか認めませんよということになりますと、これは国としては大変な問題になるのですね。非常に準備にも時間がかかったこの手続でたった一年しか使用を認めてもらえない。しかし使用裁決はちゃんとおりた。これが、便宜限定的使用裁決という言葉を使って表現してございますけれども法律論としてはこういう可能性もある。こういった場合に一体どういうふうにするのだろうか。  以上、この法律案で考えております案の問題点というのをちょっと申し上げたわけでございますが、これは防衛施設庁長官、事務的で結構ですから、大体法律的にこの特措法改正案、こういう可能性があるということはそのとおりですね。簡単に答えてください。
  9. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 ちょっと法律的な事実関係について御説明いたしますと、今先生御指摘のこの表でございますが、これは現行法駐留軍用地特措法十四条で土地収用法を準用しております。したがいまして、現行法特措法に基づきますと、収用委員会はこの法律に違反がある場合には却下裁決をすることができるという規定が定められております。  したがいまして、その却下裁決を受けた際には、私ども内容的に問題があると思われる場合には審査請求という手続をとらせていただくということになるわけでございます。この審査請求を受けて、建設大臣上級機関でございますので、建設大臣の方で却下裁決の取り消しの裁決をするということになりますと、行政庁のいわゆる内部の話として、収用委員会はその建設大臣決定に一応拘束された再審理を行うというのが現行法手続になっておるところでございます。  したがいまして、私ども新しい法案の際には、こういう再審理を行われている際は最終的な使用権原が得られない、いわゆる審理中でございますので、その間については暫定的な使用権原をいただきたいというのが改正案の中身となっておるところでございます。  それから、二つ目に御質問のございました期間の点につきましては、収用委員会期間とか金額についての裁決をする権限を有しておるところでございますが、内容的に極端な場合は、これは私ども内容的に問題があるということで、やはり同じような措置をとらせていただくことになろうかと思います。
  10. 村井仁

    村井委員 要するに、今私が問題点として指摘したところをそのとおりだということを言われたということであります。  このたびの法改正につきまして、沖縄の人々は基地が今度の法律改正で事実上固定化する、事実上ですよ、固定化するということを恐れていらっしゃるのです。これは当然のことですけれども、これまでの政府対応では沖縄負担を軽減する有効な措置がとられているとは言えない、私はそこに一番問題があると思うのです。今度の提案されている案も、収用委員会裁決が出るまでの間は合法的に使用できることにする、これだけのことだということなのです。  私は、さっきも申しましたけれども日米安保条約というのは日本の安全、さらには極東、東アジアの本当にかなめ石だと思います。その負担というものは、先ほど総理も強調されましたけれども、広く日本国民の間で分かち合って負担されなければならない。しかし、その方向に向かうという保証は、先ほど総理は確かに幾つかのところでそういう努力がされていると例示をなさいました。しかし、その保証はどこにあるのか。残念ながら何もないのではないかと私は思うのです。沖縄の県道百四号線越えの砲撃訓練の国内移転問題でも、現実には五カ所の候補地のうち北海道の矢臼別以外、地元自治体が完全に容認したということにはなっていない、そういう状況であります。  私は、政府が本気で国内移転を進めるのなら、基地使用にかかわる基本的な法整備というのは、こんな形ではなくて、今提案されているような形ではなくて、どうしても基本的な法整備をやらなければいけないのではないか、そういうふうに思うのですけれども、このあたり防衛庁長官、どうですか。
  11. 久間章生

    久間国務大臣 委員が御心配されるそういう法的整備が必要ではないかと言われるお気持ちはわかるわけでございます。しかしながら、法律というのは御承知のとおり国会で最終的に制定していただくわけでございますが、その間には国民世論、また国会の各党各会派の御論議等を集約していただいて、これならやはりやれるというような段階で初めて実行できるわけでございます。  今私どもがお願いしているのは、ともかく五月十四日で期限が切れる、この問題を解決しなかったならば、日本国がアメリカに対して、米軍に対して提供する義務を負っているこの問題がクリアできない、そういう問題にもういちずに絞って提案しているわけでございますので、委員指摘のそういう課題については今後勉強させてもらうとしましても、今この時点では、なかなかそこまで時間的にも余裕がないわけでございますので、ともかくこの法案をぜひ御審議いただきたいということで、本日、閣議決定させていただいたわけでございます。
  12. 村井仁

    村井委員 そういうことで、今直面している問題が大変だからともかくここはしのがせてください、これでずっとやってきているのですよ。それじゃだめだということを私ども申し上げているので、やはりここで腹をくくらなきゃいけないと思うのですよ。少なくとも、国民世論、国民の皆様にお訴えして、私ども努力する、政府の皆さんもきちんと努力をする。そして、ともかく沖縄の皆さんが今まで耐えに耐えてきた、それにきちんとこたえる、そういう道を私は探らなきゃいけないと思うのです。  それで、駐留軍用地特措法というのは、そもそも日本が独立する際に、便宜的に一般の公共事業などに適用される土地収用法を準用する、こういう形でつくられた。だから、さっき施設庁長官の説明でも上級官庁が建設大臣だというような話が出てくる、そういう法律体系なんですね。  ところが、ほかにいろいろ法律を調べていますと、昭和三十六年に、「公共の利害に特に重大な関係があり、かつ、緊急に施行することを要する事業」について土地収用法の特例をつくる、こういうことが行われております。公共用地の取得に関する特別措置法、こういう法律でございまして、十分御案内でございましょうけれども、一定期間内に収用委員会裁決が得られない場合には、こういう重大な公共事業につきましては建設大臣が直接裁決の代行ができる、こういう仕組みができているわけですね。簡単に言えば、収用委員会の仕事を国が引き取ってしまう、こういうやり方。私は、こういった仕組みもこの安全保障などという問題については適用することを検討されていいのじゃないかと思うのですね。  国の安全保障というのは、公共事業よりもさらに大きな公益です。そのために必要な同盟国たる米軍提供する土地にかかわる判断というものは、本来国が直接行う道を開くべきでありまして、ついでに言わせていただければ、さっきもちょっと言いましたけれども地方分権というのがいろいろなところで進んでいる、こう言われていますけれども、本来地方に任せていい話が国の仕事になっていたり、国の仕事になるべきものが地方の仕事になっていたりする。これは地方分権を論ずる視点からも議論されているわけですけれども、私は、この例などというのは典型的な例だと思うのです。  よく考えてみれば、沖縄基地を減らしていくことも、国が真剣に対処しなきやどうしようもできないことなんですよ。それから、日米安保条約の精神を尊重しながら、交渉を通じて、それから 米軍の軍事上の所要をきちんと把握して、それに適した地域を見つけて提供するということ、これも国の大変重い条約上の義務なんですね。ここで出てくるのは国なんですよ、基本的に。そうであれば、沖縄県の収用委員会あるいは本土のどの都道府県収用委員会も、総合的な安全保障の観点からの判断などというものは行えないわけですし、その観点に立って事務を行う立場にない。それは明らかに純粋に国の仕事だと私は思うのです。  例えば、収用委員会だけに任せていたら、千葉県のように、あれは成田闘争に関連してでしたけれども収用委員会が消えてしまった、そんなような事態だってある。そういう意味で、私は、今の制度というのは大変大きな欠陥を持っていると思います。沖縄の負っている基地負担というのは、いずれにしても大き過ぎると私は思います。  後で同僚議員も触れると思いますけれども、私ども在日米軍を問題にしているのじゃない。在日米軍にはぜひこの地域にきちんと座っていてもらわなきゃ困る、これは極東の地域の諸国、東アジアの諸国、皆そう思っている、そういうことなんですけれども、この日本米軍が駐留しているということがアジア周辺諸国に大きな安心感を与えている、これは厳然たる事実です。それを考えるとき、本土の米軍基地が優先して減らされてきたために沖縄が今こうむっている負担、これを軽減するために本当に思い切った措置をとらなきやならないと私は思うのです。  そういう意味で、今の駐留軍用地特措法の改正のように、まあとりあえずしようがないからというので、現状をそのまま容認してあいまいな状況を継続するということではなくて、国がもっと前へ出ていって、そして積極的に状況を改善する、そういう努力をするべきだと私は思うのです。そのために、国が基地使用を直接裁決できるような、そういう特別な法制をつくるべきではないか。そうすれば、沖縄基地が過剰に集中している事態に国が積極的に対応することを可能にする。  沖縄基地を削減していくためにも、国が前面に出て責任を果たしていくということが大切なんですよ。日米安全保障体制は大切と、今までは、沖縄から本土への移転は難しいということで沖縄振興策で沖縄の憤りを静めて、結果として沖縄基地の恒久化を放置してきた、これが現実ですよ。  ですから、私は、今こそ真剣に考えるべきことは、本土移転をいかに実現するかということでありまして、それには国がいかに責任を負う体制をつくるかということが必要だと思うのです。例えば、沖縄基地の本土移転を進めるための基本計画の策定を法律の中にきちんと明記するなどということも考えられる。総理からぜひ御意見をお伺いしたいと思います。
  13. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員御自身が例に引かれましたように、こうした問題につきまして、私は、必ずしも法律の仕組みだけの問題で解決ができるものではないということを千葉県の例で学びました。御承知のように、土地収用委員会委員の全員が辞任をされ、その後の新たな選任が全くできない、そして、委員が不在でありますから案件が中央に送付されない、こうした事態がありましたことも御承知のとおりであります。  その上で、確かに、私が今、国と地方との事務という点で地方分権推進委員会にお願いを申し上げている作業の中に、機関委任事務の問題がございます。そして、地方分権推進委員会で第一回の勧告としてちょうだいをいたしました中には、この問題はまさに調整中の問題として位置づけられておりました。内閣としては、当然ながら、地方分権推進委員会にお願いをしてそのお答えをいただくわけでありますから、その方向の定められる前に事柄の云々をすべきではないかもしれません。  ただ昨年、私は、同様の御質問を御党からちょうだいをいたしましたとき、当然ながら、国の事務、地方の事務、どちらになじむかということを議論をしていく中で、条約上の義務を履行する責任というものは国にある、そうした視点を持つことを否定するものでは全くありませんという答弁を申し上げ、そうした視点からの法制度を整備せよという御意見には、率直に耳を傾けたいと思うという御答弁を申し上げました。現時点におきましても、その思いは変わるものではございません。  その上で、現時点において政府としてこの事態解決するために一番必要な、また最小限度の範囲で対応し得るものはと、議論に議論を重ねてまいりました結果、今回、最小限度の特措法の改正をお願いをいたしたい、そしてそれは、収用委員会の権限を侵すものではなく、収用委員会の御審議の続きます間における暫定使用をお認めいただきたい、このような考え方に立ち至りました。  今後、地方分権推進委員会から、当然のことながら何らかの御意見をちょうだいすることになろうかと存じますし、政府としてはそのお答えを待って行動していくということは以前にもお答えを申し上げたとおりであります。
  14. 村井仁

    村井委員 私は、これは高度に政治的な判断に属する問題だと思うのでありますけれども、いずれにしても、今提案されている法改正というのは当面の状態対応するというだけのことでありまして、沖縄の期待をしていることにきちんとこたえる対応ではない。私は、やはり抜本的な法整備というものが不可欠だということをもう一度強調をさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、これは、日米安保の基礎をなすものでもあり、そして沖縄の今の本当にうっせきした気持ちを、皆様のお気持ちをどういうふうに本土で受けとめるかという重要な課題でありまして、私は、私どもも真剣に議論をしながらきちんと対応をしていかなければならない、そういう課題だということを強調しまして、私の質問を終わります。
  15. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、仲村正治君から関連質疑の申し出がございます。村井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。仲村正治君。
  16. 仲村正治

    仲村委員 私は、去る三月三十一日の総理法改正に関する記者会見を聞いて、総理が、基地から派生する事件、事故被害の重圧に苦しんでいる沖縄県民の感情を刺激しないように慎重に言葉を選んでお話をしておられたが、むしろ県民にしてみれば、あの面映ゆい、くすぐったい一語一語が、今回の法改正などを考えれば単に言葉の遊びにしか聞こえず、真にその苦しみを打開することのないむなしさを感じたのは私一人ではなかったと思っております。  私は、私自身の政治信条、信念として、国家国民の安全と安定を保持するための安全保障政策の確立は独立国家存立の基盤だという点では全く議論の余地なしとするものであります。したがって、そのための負担権利の制約を受けることは国民がひとしく負うべき責任であると考えます。  しかし、我が国安全保障政策上の重要な部分を占めている日米安保体制維持のための負担や犠牲を一方的に沖縄県民だけに押しつけていることを、総理の言葉の一語一語を聞いていて、我が国の平和と安全のための日米安保体制維持のためには、沖縄県民の苦しみはよく理解しているので、済まぬけれども我慢してほしいという論理だとしか沖縄県民には思えてなりません。  この点についての橋本総理の御見解をまずお聞きしたいと思っております。
  17. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私の選びました言葉が、もし沖縄の皆さんに聞いていただけないような言葉を選んだのだとすれば、これは私はおわびをいたします。  しかし、私は記者会見で真剣にお話を申し上げたつもりでありました。なぜなら、議員も御承知のように、私は恐らく比較的多く沖縄県に足を運んだ本院議員の一人であろうと存じます。そうした中で、こうして極めて厳しい御論議をいただく状態以前の段階から、沖縄県の皆さんのさまざまなお話を伺う場も持ってまいりました。そうした思いを私は素直に申し上げたつもりでありました。  先ほどの御質問にもありましたが、国土面積のわずか〇・六%しかないその沖縄県に米軍施設・区域の七五%が集中している事実、そしてそれが、よく占領下の米軍によってというお話がありますけれども、むしろそれ以前の、第二次世界大戦中の日本の陸海軍の基地から端を発したものであることも私は知っておるつもりでございます。そして、議員には御評価をいただけないかもしれませんが、少なくとも内閣として全力を挙げて沖縄県の問題には取り組んでまいったつもりでありました。  そして一方では、我々はまさに条約上の義務を果たしていく責任も国際的に持っております。そうした中において、収用委員会の作業というものが次回の日程が決まらないという状況の中で、今回、私どもは、現時点におけるぎりぎりの選択肢として最小限の法改正をお願いを申し上げております。  こうした状況県民の皆さんに、賛否は別として、語りかけた言葉自体が心がこもっていないということで受け取られたとすれば、私は非常に残念です。
  18. 仲村正治

    仲村委員 私は、総理が一生懸命、沖縄県民気持ちを酌み取っていこうという誠意を認めないというわけではございません。じゃ、この一語一語選んでお使いになった言葉が本当に沖縄県民気持ちにこたえるような状態になっているのか。むしろ、勘ぐって申し上げますならば、法改正のための環境づくりじゃないかというふうに言われても仕方がないんじゃないかというふうに私は思っているわけであります。  この際、私は、沖縄米軍基地の成り立ちの歴史、背景の事実を確認しておきます。  沖縄米軍基地は、日米間の戦争で米軍沖縄に上陸、占領し、いわゆる戦争行為の略奪的手法で県民土地を取り上げてつくったものであって、まさにその土地の強制占拠の非合法性の歴史は消すことのできない事実であると思いますが、この点についてどのように考えますか。
  19. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  占領下にございました時期につきましては、いわゆる琉球政府等を通して、米軍は米国の高等弁務官布告、布令等に基づきまして、米国内の手続に基づいて賃貸借契約を締結し、それが応ぜられない場合には米国のそういう手続に基づいて土地使用を継続してきた。しかし、その間の補償も行われておるというふうに私どもは承知しております。
  20. 仲村正治

    仲村委員 全くでたらめな話をしないでください。これは占領して一方的に、非合法的にこの土地を占拠したのであって、県民が了解してその基地ができたわけじゃない。こんなでたらめな答弁を許すわけにいかない。もう一回やってください。
  21. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  基地拡張の過程で先生が御指摘のようなことがいろいろと、私どもも資料等を、文献といいますか、そういう形で承知しておりますが、私が先ほど言いました、その後いろいろな過程を経て、昭和三十三、四年だったと思いますが、その時期に、三十四年に米国は……(仲村委員「私の質問を聞いてくださいよ」と呼ぶ)はい。まあ、そういうことだと承知しております。
  22. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 長官の答弁を私が補足するというのは多少おかしいかもしれませんけれども、先ほど私が申し上げましたときに、米軍の占領以前の問題から私はお答えを申し上げました。  第二次世界大戦中に、我が国の陸軍及び海軍が沖縄県に基地を設け、それが、敗戦の結果、米軍基地としてそのまま使用されてきたものがあることも私は承知をいたしております。事実としてそうした問題があったことを先刻私は御答弁を申し上げたつもりでありました。
  23. 仲村正治

    仲村委員 今総理から御答弁があったとおりでございまして、だれ一人、ここは基地として使ってくださいと言った人はおりません。米軍の一方的な、まさに非合法的な形での不法占拠であった、その延長線が今の在沖米軍基地であるということは、これはもう何人も否定できない歴史の事実であります。  私は念のため申し上げますが、日米安保条約は、昭和二十六年に旧安保が締結されて、昭和二十七年四月二十八日に発効しております。そして昭和三十五年、日米安保条約、地位協定がさらに改定、調印されております。さらに一九七〇年、昭和四十五年、安保条約は自動延長されている。これは無期限になっているわけですが、この三つの協定どれ一つとってしても、沖縄県が日本の施政権の外にあったときであるということは間違いないですね。お答えください。
  24. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいまの点につきましては、委員の御指摘のとおりでございます。
  25. 仲村正治

    仲村委員 同時に、沖縄県は、昭和二十年四月に米軍が上陸、占領して以来、昭和四十七年五月十五日の日本復帰まで二十七年間も米軍の占領統治が続き、我が国の施政権の及ばない地域であったという点も間違いないですね。お答えください。
  26. 池田行彦

    ○池田国務大臣 そのとおりでございます。米国の施政権のもとにあったわけでございます。
  27. 仲村正治

    仲村委員 それでは、ここで沖縄米軍基地安保条約との関係についてお尋ねいたします。  私は、我が国の平和と安全を保持し、すべての国民の善良な社会活動の自由が保障される国家であり続けるためには、現在も、将来も、日米安保体制は我が国の国益に合致するものであると思っております。  しかし、沖縄米軍基地は、米軍の占領統治下で我が国の施政権が及ばない期間につくられたという事実、さらに、昭和二十七年四月二十八日に発効した日米安保条約とは無関係であったという事実、しかも、沖縄米軍基地は、東西冷戦構造の米ソ対決の緊張状態の最絶頂期に米軍の対ソ戦略の基地としてつくられたものであるという事実。この点は、いかに日米安保体制が我が国の平和と安定のために必要不可欠の政策といっても、これは明確に分離、区分して沖縄基地問題の解決をすべきであって、日米安保体制を維持するという理由で、なし崩しで沖縄基地問題の戦後処理を棚上げにしてはならない、既成事実化してはならない、こういうふうに思っておりますが、この点についての総理の御意見をお聞かせください。
  28. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員が確認をされましたように、我が国の独立後も沖縄県が米国の施政権下にあった、その時期が存在したことも事実でありますし、その時点において、先ほど来申し上げておりますように、旧日本陸海軍の基地がそのまま使用されたもの、拡張されたもの、新たにつくられたもの、さまざまな基地沖縄県に設けられ、それが施政権の返還後におきましても継続をしてきている状態、これは、私は、事実として否定することのできないものだと思います。  ただ、同時に、その基地の存在というものも含めまして、現時点において日米安全保障条約というものが存在し、その中における沖縄県の基地というものが、これは県民に大変申しわけないことでありますけれども、大きな比重を占めている基地であること、これもまた事実でございます。そして、施政権の返還の時点におきまして、その基地の継続使用というものが、私は、条件になっていたかどうか、正確な言い回しを、どう申し上げればいいのかわかりませんけれども、これが継続しておりましたことも、事実として私は申し上げなければならないと存じます。
  29. 仲村正治

    仲村委員 総理が、まず、沖縄米軍基地が占領状態の延長である、それから、施政権の及ばない時期であった、安保条約とは関係なくつくられていた、こういう点について誠意を持って御答弁になられましたので、私も、そのとおりであるので、そういう時代的背景を踏まえて沖縄基地問題の解決を図っていかなければ、真の戦後処理ができた、こういうことは言えない。  確かに、沖縄が復帰してから二十五年の間に、戦中戦後に起こったいろいろな本土にない戦後処 理など、解決をしていただいております。しかし、私は、何よりも最大の戦後処理は、この戦争行為という国家目的、それによって占領されて基地ができた、その状態がまだ続いている、この解決は国の責任においてなされるべきものであって、それを、復帰前の、アメリカ当時の、米軍当時の状態を既成事実化してはならないという考え方から、特にこの点を申し上げているわけであります。  今、世界は、東西冷戦構造が崩壊し、米ソ間の軍事的対峙の構造も消滅し、地域的な局地紛争はあちこちあったにしても、沖縄基地がつくられた時期に比べて、世界の軍事的緊張状態は大きく緩和されてまいりました。そのことは、我が国の新防衛大綱でも明確に示されております。特に、人的規模と部隊編成の点では、現在十八万人の陸上自衛隊の自衛官を十六万人に減らすとされています。これは、まさに国際情勢の変化に対応した防衛政策の見直したと私は受けとめております。この点についての総理の御見解をお聞かせください。
  30. 久間章生

    久間国務大臣 確かに、冷戦構造が終わりまして、新しい時代に対応すべく、そういう中で効率化、コンパクト化を図る一環として、陸上自衛隊を十八万人体制から十六万人体制にしているところでございまして、先生のおっしゃるとおりでございます。
  31. 仲村正治

    仲村委員 そこで、私は申し上げます。米ソの軍事的対峙の一触即発の緊張状態の最絶頂期に日米安保条約とも全く無関係でつくられた沖縄米軍基地は、沖縄の祖国復帰二十五年の節目の時期を迎えた今なお、全国のわずか〇・六%の狭隘な地域に全在日米軍基地の七五%が集中的に偏在し、沖縄県民は、基地から派生する事件、事故被害に苦しめられ続けております。これは、国防のための負担を全国民が公平に負担するという原則から、いかなる理由をもってしても、在日米軍基地の七五%を沖縄県民だけに押しつけることはもはや許されない話だ、こういうふうに思います。  しかも、この二十五年間で、本土ではKPCPの基地の整理縮小、このKPCPというのは関東空軍施設整理統合計画、これは沖縄が復帰する半年前、昭和四十七年一月にアメリカのサクラメンテで、日米首脳会談で決定をしておりまして、これに基づいて、本土では六〇%以上の基地が返還されている状況であります。しかも、その時期は、まだ米ソ間の敵対の対峙が続いていて、現在とは比較にならないほど不安定な要素が強かったわけであります。それなのに、なぜ沖縄基地の返還と、在沖米軍基地、私は在日米軍基地とは申しません、特に海兵隊の中長期的視点での削減を、アメリカの意見ではないですよ、アメリカの意見ではないです、我が国の主張として言えないのか。  先日、総理の記者会見で、一語一語言葉をお選びになって、県民感情をおもんぱかって話された気持ちがあるならば、戦後五十年間もこの基地の犠牲になってきた県民の苦渋の気持ちにこたえる意味でも、ぜひ私は、海兵隊の、在沖米軍基地の整理縮小と軍の削減をアメリカに要求すべきである、独立国家我が日本として、主権国家我が日本としてアメリカに要求すべきであると考えておりますが、その点についていかがお考えでしょうか。
  32. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員指摘がございましたけれども、国の安全のための負担は本来国民がひとしく分かち合っていくべきものである、私どももそのように考えております。  しかしながら、今現実を見ますと、全国土のわずか〇・六%の沖縄の中に、我が国の安全を守るための大きな柱、自衛隊と並ぶ二本柱の一つである駐留米軍のために必要な基地の実に七五%が依然として存在しておる。そして、委員の御指摘にもございましたけれども、これまでに本土にございます米軍基地の返還は相当程度進んでまいりましたが、沖縄につきましては、二十五年前の返還後もたしか三千八百ヘクタールほどの返還しか進んでいない。いまだに大変重い御負担を強いているということは、我々政府としても、いや、日本国民全体としてもよく考えなくちゃいけないことだと思っております。  そういったことを踏まえまして、もとより十分なことではございませんが、御承知のとおり、KC130の岩国移駐であるとか、あるいは、県道百四号線越えの訓練の本土の五つの訓練場への移動であるとか、そういった努力もし、また、それぞれの地元の方々にも御理解をちょうだいすべく努力しているところでございます。  それと同時に、沖縄基地も、現在の状況の中でも極力削減できないかということで、いわゆるSACOの作業を通じましていろいろやってまいりました。その結果出てまいりましたのが、五千二ヘクタール、つまり現在ございます沖縄基地の二一%に当たるものを返還しよう、こういう案でございます。それが実現しましても、依然として全国土にございます米軍基地のうちの七〇%ぐらいが沖縄という現実は残るわけでございますが、今の段階でいろいろ日米間でも精力的に作業をして、ぎりぎりここまではやればできる、ぜひやろうじゃないかということで合意したところでございますので、何としてもこのSACOの最終合意を着実に実施してまいりたい、こう考えているところでございます。  そしてまたさらに、在日というよりも在沖の米軍の、とりわけ海兵隊の削減、これを米側に日本として求めるべきではないかという御主張でございました。  私も、そのような声が、沖縄の県だけではなくて住民の方々の中に大きな声としてあるのは、お気持ちとしてあるのはよく承知しております。私どもも、我が国の安全を確保するという観点も考えながら、できる限りのそういった努力はしたいと思っておるのでございます。しかしながら、残念ながら、現時点において、我が国を取り巻きます国際情勢、安全保障環境ということを考えました場合に、今の時点で米側にそれを求めるということは現実的ではないと言わざるを得ない。  しかしながら、これからもやってまいります。御承知のとおり、昨年四月の日米首脳会談で合意しました安保共同宣言におきましては、国際情勢の変化に対応して、それに最もよく適応し得るような防衛政策は、あるいは軍事態勢は、これは兵力の構成なり、その数も含めてでございますが、そういったものはいかなるものであるか、これは日米間で協議していこうということは明文で書き込まれております。そして、これはやってまいります。  先般、ゴア副大統領とお会いいたしましたときも、私は、この条文は文句だけじゃないよ、言葉だけではないよ、きちんとやっていくんだ、そしてまた、これからの協議において米側がこういうものが必要でございますと言われても、それをそのまま日本はうのみにするものではない、明確に言っております。  もとより、米側が安保条約上の責務を果たすためにこれだけの態勢が必要だということは、一義的には考えなくちゃいけないかもしれない。しかし、日本日本として国際情勢を、そして、その情勢のもとで安全を守るためにはどうすればいいかといった分析、判断の上に立って、現実日本の主張をしますということも言ってまいりました。そういうこともやってまいります。  しかし、現時点においては、削減ということは今提起できるような情勢には残念ながらないということは、御理解賜りたいと思います。
  33. 仲村正治

    仲村委員 私は専門家ではありませんけれども、国際情勢が今どういう状態であるかぐらいは、それはわかっているつもりです。一触即発で今日本の安全が脅かされる状態であれば、国民を代表する立場の者としてそんな主張はいたしません。  しかし、沖縄が復帰する直前、昭和四十七年一月のサクラメンテでKPCPの日米首脳会談の決定をして、本土では六〇%も基地を減らして沖縄のは減らすことはできませんという、こんな理論がどこにあるかというのです。そのしわ寄せば沖縄に来ていると言っても過言ではないと私は思います。そして、自国の自衛隊は二万人も減らすというのに、米軍の削減が国際情勢を理由にして言えない、こんな理屈がどこにありますか、こんな矛盾した理屈がどこにありますか。  私は、総理は二十四日から訪米されるということでありますので、ぜひこのことについては、今、きょうにもあすにもということを申し上げているわけではありません、中長期的な視点で海兵隊の段階的削減を、日本の立場として、沖縄県民意見として言っていただきたい、これを申し上げておきたいと思います。
  34. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変この点だけは、私は、残念でありますが、議員の御意見でありますけれども、今の時期、海兵隊の縮小、あるいは将来における行動というものを大統領との間の議題にするということは、申し上げることはできません。  私は、全力を尽くして可能性のある問題でありましたならば、それこそ全力を尽くします。しかし、一時逃れで海兵隊の問題を日米首脳会談の議題にいたしますと申し上げ、それが後で幻滅を買うようなことはしたくありません。そして、今日、前方展開部隊、緊急展開部隊としての性格を持つ海兵隊というものの性格を考えるとき、海兵隊を含めまして在日米軍の兵力縮小を論議すべき時期ではない、私はそのように判断をいたしております。
  35. 仲村正治

    仲村委員 先ほど防衛庁長官はちゃんと、その自衛隊の二万人削減は、国際情勢の緊張緩和の状態から我が国としてもコンパクト化を図っていく、こういうことを言っておりますので、なぜ自国の自衛隊は二万人も減らすのにアメリカの在沖米軍基地縮小は言えない。こんな矛盾した論理はどこにもないと私は思っております。いいです。  政府は今、沖縄県内の駐留軍用地の強制収用手続を進めていますが、現在収用手続に適用しているその法律駐留軍用地特措法の改正をするということであります。  このことについて国民の間では、まるで野球の試合で九回の裏で二アウト二ストライクに追い込まれて、負けそうになったからといってルールを変えるようなものじゃないかという厳しい非難を浴びせております。  しかも、政府は、沖縄が復帰してから二十五年の間に、過去五回も三つの法律を適用してやっているのです。最初、公用地暫定使用法、二回目は地籍明確化法の附則に書いて五カ年延長する、そして三回目からはこの駐留軍用地特措法を適用して三回、これを今までやってきたわけです。なぜ、今回、現行法律でそれができなかったのか。現行法律のどこに不備があるのか、これを簡潔に答えてください。
  36. 久間章生

    久間国務大臣 先ほどから委員もおっしゃられましたように、四十七年に復帰しましたときに、今まで使われております土地のいろいろな関係がはっきりしないということで、特別の法律によりまして五年間やられたわけでございます。五年間の間にできるだけたくさんの方から同意をとるようにということで、その当時約三万八千人おられました土地所有者の中で、かなりの方からとったわけでございます。  ところが、五年たちましたときに、まだいわゆる境界その他がはっきりしていなかったものですから、そのときに位置境界をはっきりさせる法律をつくると同時に、この法律を五年間延長していただいたわけでございます。そして、五十七年のときにはもう……(仲村委員「その経過は知っております。現行法律のどこに不備があるのか聞いているのです」と呼ぶ)まあ、聞いてください。そういうことで、その法律を適用してやったわけでございます。  ところが、今回、そういう法律をそのまま適用してやってきたわけでございますが、そのときには十分期間があるからということで、二年前から、平成七年三月三日に着手したわけでございますけれども、いろいろな不幸な事態もございましたでしょうが、いろいろと予想しなかったような手続上の問題が出てまいりまして、そして今日まで至ったわけでございます。  それでも収用委員会裁決が可能ではないかということで、我々も期待しておったわけでございますが、今度の収用委員会の日にちも決まらないということになって、ここになったならば、とにかく権限がなくなる状態だけは避けなければならないという、そういう思いから法律改正を提案したわけでございますので、どうかその辺の経緯については御理解賜りたいと思います。
  37. 仲村正治

    仲村委員 私が先ほど申し上げたのは、過去三回、この駐留軍用地特措法を適用して、強制収用手続を済ませているわけであります。なぜ今回できなかったのか。どこにこの法律の不備があるのか。  これは、前村山総理平成七年五月に収用手続使用認定をしている。二カ年前ですよ。平成九年五月十四日に期限が切れるというのはわかっているわけでありますので、その間にあらゆる問題が起こることを想定した上で政府はちゃんと手続の万全を期すべきである。そういうことのできなかった責任を棚に上げて法改正とは、これは全く話にならぬわけであります。
  38. 久間章生

    久間国務大臣 我々政府としましては、現在ある法律でできる限りのことをするわけでございます。そして、そういう法律の中で、村山総理がその手続に入られましてからも、しかしながら、その後に予測できなかったような、職務執行命令というような、いろいろなことがございました。知事を相手取って裁判を起こすようなこともありました。しかし、そういうことを乗り越えまして、申請がなされまして、その後収用委員会が粛々と行われてきたわけでございますから、これでやっていただきたいということで、現行法でできる限りやっていただきたいということで待っておったわけでございます。  しかしながら、現行法でどうしても期限を超えてしまうおそれが出てきた。事ここに至っては、法律を改正していただかなければ我々は権原のない状態を迎えるということで、今法案を提案しておるわけでございますから、だから、我々は、やはり法律は提案しましても、最終的に決めていただくのは立法府でございますから、ぎりぎりまでは、現行法でやれるところまでやってきたけれども、もう難しいということで今お願いをしているわけでございますから、その辺については、ぜひ御理解していただきたいと思うわけでございます。
  39. 仲村正治

    仲村委員 現行法に何の不備もない。手続のミスがあって、今日の事態を迎えた。その責任は一体だれがとるのか。そこを明確にしないままに法改正手続をとられる、私はこれはもってのほかだと思っております。  そして、今回の改正点の暫定使用制度は、収用委員会審理している間は期限が切れても暫定使用ができるということですが、まさに、その内容収用委員会の役割の形骸化を意味するものであって、現在何の不備も欠陥もない法律を、これからブレーキのない自動車みたいな欠陥車にしてしまうようなものではないかと私は思っております。行政が行政執行の権力を執行しようとするときに、それをチェックする機関として収用委員会はあるわけであります。もう全く収用委員会の存在が意味をなさなくなる、こういうことになっているわけであります。私はこのようなブレーキのないような自動車にしてはいかない、こういうことを考えているわけであります。  しかし、今政府は、みずからの手続のミスから期限切れになってしまう、おしりに火がついたような現状からして、なりふり構わず、何が何でも法改正ということだが、これは条文に書くのではなくて、附則に織り込んで、今回限りの時限立法ならまだしも、この改正点を構造化するということは、これは許されない話だと私は思っております。その点についてのお答えをいただきたいと思います。
  40. 久間章生

    久間国務大臣 まず、御理解していただきたいわけでございますけれども、今度の改正で収用委 員会を形骸化するというような、そういうことはないわけでございまして、収用委員会は引き続きこれからも裁決していただくわけでございます。  ただ、収用委員会裁決をしている間に、無権原状態が国の方に発生しますと、安保の、基地として提供している国が無権原状態提供するということになるのは、これは国際上も非常に大きな信用を失墜するわけでございますから、収用委員会の権限を決して損なうものではなく、形骸化するものではなく、収用委員会収用委員会として裁決をいただくわけでございますので、どうか、その点についても、最小限の改正だということを御理解していただきたいと思うわけでございます。
  41. 仲村正治

    仲村委員 収用委員会裁決をおやりに、慎重審議で、過去には八回もあったし、十回もあったし、九回もあるわけです。今回、まだ三回ですが、次の日程は決まっていない。それはやはり皆さんの手続のおくれだと思っておりますが、この法改正をやりますと、どうぞ収用委員会、気の済むままにごゆっくりおやりになってください、こういう形になりかねないわけですよ。なりかねない。これはまさに収用委員会の形骸化の何物でもないと私は恐れているわけでございます。  そこで、もう一点、さらに、昨年四月一日から政府楚辺通信所、いわゆる象のおりの土地を不法占拠してから一年になります。今回の法改正はその土地にも適用できるのか。この場合、権利者の不利益になる場合に、さかのぼって適用する法律はつくってはいけない、こういうことになっております。いわゆる不遡及の原則、これに反するのではないかというふうに言われておりますが、この点について、お答えをいただきたいと思います。
  42. 久間章生

    久間国務大臣 楚辺通信所につきましては、昨年の三月三十一日で権限がなくなっておるわけでございます。これは今度の法律をつくりましてからでも同じでございます。そういう意味では、不遡及の原則に反するわけではございません。  ただ、今度の法律では、いわゆる申請をしている十二施設と一緒に、十三施設ともどもに、この法律が施行されましてから、それに基づいて担保を提供した後は暫定使用ができるということで、同列に並べておるわけでございますので、そういう意味では、決して不遡及の原則に反するわけではないというふうに御理解していただきたいと思います。
  43. 仲村正治

    仲村委員 それは専門家がそのようなことを言っておりますので、私はそのおそれ濃厚だというふうに思っております。今後の成り行きを見守っていきたいと思っております。  昨日、梶山官房長官、もう席をお立ちになっておりますが、官房長官は、沖縄から基地が移せる状態ではない、そのかわりに、沖縄には一国二制度の、制度面の優遇措置なり、あるいは経済特区としての措置をとってもいいではないかということを報道されております。  これは、官房長官いらっしゃらないのですが、橋本内閣の重要なお立場として、やはり橋本内閣の考え方だと思っておりますが、この点について、総理の考えをお聞かせいただきたいと思います。
  44. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 官房長官のもとに、俗に島田懇と呼ばれております、非常に真剣な、しかも沖縄県を代表される方もお入りをいただきました審議会におきまして、振興策をさまざまな角度で議論をしていただきました。そして、この結論というものを我々は大切にしていきたいと考えております。  同時に、ここで私はひとつ誤解のないように改めて申し上げておきたいと存じますが、我々は基地の問題は基地の問題として、今後も整理、統合、縮小というものに努力をしなければならないと思っております。それと、沖縄県が完全に自立のできる経済を確立するための経済振興策というものは並列的に存在するものではあっても、そのかわりといったような性格で考えるべきものではないと思います。  その上で、内容的にはさまざまな御提案も既に知事さんの方からもいただいておりますし、また、閣僚の中に知事御自身にお入りをいただいている政策懇談会の場もございます。県と十分御相談をしながら具体案をちょうだいし、それを実現するように努力をしていきたい。これは我々が基地の問題とは別に沖縄県の経済振興、自立できる経済をつくりたいと言われる知事のお気持ちにこたえながら進めていこうとしている仕事です。
  45. 仲村正治

    仲村委員 私は、次に、官房長官の前提条件の言葉、これが非常に気にかかってしようがない。基地が移せるわけがない、だから一国二制度あるいは経済特区をつくってあげるべきじゃないかということを言っておられたので、私は、今総理基地問題とこの経済振興の問題は別個に考えるべきだということを明確におっしゃったので、ぜひそれは、基地問題は基地問題、そして基地があるためにおくれている県民の経済状況、これの振興策については別個の問題として考えていただきたい、このように強くこの点は要望を申し上げておきたいと思います。  そして最後に、昨年十一月、政府沖縄振興政策の各省庁からの八十八項目の提案がなされて、その後各省庁で整理をして何項目かに絞られておりますが、平成八年度の補正予算でその振興策として五十億円入っておりました。そしてそれが、きょうの新聞によりますと、各事業ごとに調査費がつけられている、こういうことでございます。これは主としてやはり沖縄の第三次振計に関連する項目が非常に多うございます。これはぜひ確実に実施をしていただきたい、こういうふうに思っておりますが、最後に稲垣沖縄開発庁長官から御答弁をいただきたいと思っております。
  46. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 ただいま委員から御指摘がございましたとおり、私どもといたしましては、沖縄の問題は内閣を挙げて取り組んでいかなければならない極めて重要な問題だと認識をしておる次第でございます。  そこで、先ほどからお話のありますとおり、振興策については沖縄政策協議会、これは内閣官房長官関係各大臣、沖縄県知事とで構成する協議会でございますが、ここで検討がなされているところでございまして、開発庁といたしましても、庁内におきまして沖縄振興プロジェクトチームを中心に、昨年来から総理大臣の大臣談話に基づきまして空港あるいは港湾等の社会資本や観光関連施設の整備、特にさらに今御指摘ありましたとおり、自由貿易地域の拡充等によります産業や貿易の振興策等について一層検討を進めることにしておる次第でございます。  先ほどお話のありました問題につきましては、まだ沖縄県構想の域を出ていない点もございますので、これを十分私どもとこれから協議を進めて連携を進めながら、沖縄県が地域経済として自立し、雇用が安定され、そして県民の生活の向上に資するように、我が国経済、社会の発展に寄与する地域として整備されるように真剣に沖縄の振興開発に全力を傾注してまいる所存であります。
  47. 仲村正治

    仲村委員 終わります。
  48. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、白保台一君から関連質疑の申し出がございます。村井君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。白保台一君。
  49. 白保台一

    白保委員 関連質問を行います白保台一です。よろしくお願いいたします。  昨日、沖縄においては屋良朝苗先生の県民葬が行われました。お忙しい中、総理も、そしてまた各党の党首の皆さん方も参列をいただきました。屋良先生の業績、功績を私たちは高く評価し、そしてまた尊敬をしております。そういう尊敬をしている県民の一人として、お忙しい中参列いただきました総理並びに各党の党首の皆さん方にお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。  さて、昨日の県民葬で総理が弔辞を述べられました。その中で印象的なのが二つあります。  一つは、あえて屋良先生と呼ばせてください、こういうふうに総理は言われました。それは私は、教育者として占領下の沖縄の子供たちを、占領下であるにもかかわらず、日本人として、また日本を担う子供を教育していきたい、こういう思いで頑張られた屋良先生、やはり教育者としてすばらしい功績を残されました。そういう意味では、総理が屋良先生と呼ばせていただきたい、こう言われたその気持ちはよくわかります。  もう一つの印象は、沖縄の痛みを国民全体で分かち合っていく、こういうふうなことも述べられました。  そこで私は、屋良先生の功績については、まさに復帰の先頭に立って全力で頑張ってこられて、そして復帰をなし遂げられた。そして県知事としても、復帰を挟んで本当にその前後の困難な時期を頑張ってこられた。その中で復帰というのは、私たちは、一つには人権を回復していく、占領下におけるところの高等弁務官政治の中で人権が抑圧されている、その人権を回復していく闘いの一つであった、こういうふうに思います。同時に掲げられたのは、核抜き・本土並み、基地の問題、もう一つは格差の是正の問題、この二つが大きな柱であっただろう、こう思います。  先ほど申し上げましたように、痛みを分かち合っていくというふうに言われた総理気持ち、具体的にどのようになさるのか、そのことをまずお聞きしたいと思います。
  50. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 昨日の弔辞の中でも申し上げましたように、私は屋良先生という方を尊敬し、眺めておりましたが、実は二人でお目にかかるという機会はありませんでした。そして例えば、まさにあのときは私は沖縄の海洋博の開会式だけを挙げましたけれども、たしか国際福祉事務所の皆さんが、国籍を異にする両親の間に生まれた子供さん方、二重国籍の問題で非常に悩んでおられる、その会合で一番私は身近にお目にかかったと思います。そして、そうした幾つかの問題でお手伝いができたことを、ある意味では今でも幸せだと思っています。  しかし、気がついてみたとき、例えば対馬丸の問題あるいは今申し上げました問題、さらに六歳未満で戦争によってけがをされた方々が成人されて何の対象にもならなかった、戦傷病者特別援護法の対象に拾い上げる、そのようなお手伝いをしているうちに、いつの間にか私自身沖縄の皆さんとの間に日常の交流が切れておりました。そして、総理という職を拝命し、改めてその間の我々の沖縄県に対する、また県民に対する考えの足りなかったことを悔いております。  しかし同時に、一度にすべてのことが、だからといってできるわけではありません。そして、少しでも、その抱えておられる苦しみを減らしたい。さまざまな御批判を受けておりますけれどもSACOの問題一つをとりましても、真剣に取り組んでまいったつもりであります。  同時に、今仲村議員にもお答えを申し上げましたが、私は、基地の問題と県勢振興のためにお手伝いをする問題とは別だと思っております。そして、特に知事から何回か、若い方々の就職の問題、あるいはかつて比較的多くの枠が与えられていた、特にアメリカに留学する留学生の枠が減少しているような問題、非常に身近な問題としてはこうした問題から御相談を受けてまいりました。私どもは、こうした問題に一つずつ、少なくとも誠実に取り組んできたつもりであります。  そして今、例えば一国二制といったお話も出ております。私は、必ずしも一国二制という考え方に一〇〇%賛成だとは申し上げておりません。殊に、最近の密入国の増大の背景に組織的な動きが感じられるといったようなことが報じられる中で、果たしてノービザが本当にいいかとかいうことになりますと、私は、議論をなお県とさせていただかなきゃならないところがあると思うのです。  しかし、少なくとも県が望んでおられるように、自立できる沖縄県をつくりたい、そのためにでき得る限りの協力をしろと言われることには、国として全力を挙げてお手伝いをしていく責任がある、そのように思います。
  51. 白保台一

    白保委員 これから質問しようと思ったことを全部答えられたような感じです。   それはともかくとしまして、先ほど仲村議員にもお答えをしていただいた中で、総理は、基地問題と経済の自立の問題は別のものであると、私自身もそういうふうに思ってやっております。  ところが、いろいろな委員会で質問されていると、これは具体的に言いますと参議院の内閣委員会で、一国二制度、経済特区の問題、こういった問題で質問されると、今沖縄の振興策を話をすると時期的に駆け引きととられそうな感じがするから答えられない、こういうような答弁が出てきたりするわけですね。  これは私は違うと、基地の問題は基地の問題、これはこれとしてきちっと議論をしていかなきゃならない。経済振興の問題は経済振興の問題として、今総理がおっしゃるように別な問題として議論をしていきませんと、絡めていくと、これはおかしな話になってくる。こういうことで、私は今、御答弁についてはそのとおりだと思います。  そこで伺いたいのは、先ほども話がありましたように、大変失業率も高いわけですし、若年層の雇用の問題が非常に大きな問題となっています。そういう意味では、これから振興策というものが極めて重要な問題でございます。  そういった中で、まず一つお伺いしたいのは、郵政大臣おいででございますので郵政大臣にお伺いしたいと思いますが、昨年の十一月に郵政省の局長や室長が沖縄に行きまして、沖縄マルチメディア特区構想というものを発表されました。確かに、地理的条件とか、あるいはまたこれまでの海外との、あるいは東アジア等との交流、交易の蓄積したその歴史の中からいえば、当然極めて重要な地域でありますし、非常に有意義なところであろう、こう思います。  そこで、局長がそうやって話されて、それからまた十二月には政務次官も行かれてそういう構想を発表しておるわけでございますが、郵政省が描いている沖縄のマルチメディア特区構想、これの概要についてお答えいただきたいと思います。
  52. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 沖縄の振興策につきましては、橋本総理を初め内閣官房長官からも強い指示をいただいておるわけであります。特に、沖縄政策協議会の中で、県の方と十分打ち合わせながら進めておるわけでありますが、ただいまお尋ねの沖縄のマルチメディア特区構想もその一つとして、今県の方と打ち合わせながら進めております。  この構想は、アジア太平洋地域において、情報の受発信や技術あるいは人材等の交流あるいは情報通信関連の企業活動が盛んに行われる拠点として、すなわち情報通信ハブの機能を有する国際都市沖縄を形成することを目的といたしておるわけであります。  具体的には、無料または低料金で利用可能な研究開発用の高速ネットワークや、内外の研究者が気軽に利用できる共同利用型の研究開発施設の整備をまず進めていきたいと思っております。そしてまた、沖縄は離島が非常に多いわけでありますので、この沖縄の特性を踏まえた遠隔医療あるいは遠隔教育などの先進的なアプリケーションの開発あるいはモデルの展開など、情報通信の施策を沖縄で集中的に展開することによりまして、情報通信分野の技術あるいは企業、人材、施設の集積を実現しようと考えておるところであります。  この構想を推進することによりまして、沖縄県の経済の自立や雇用の確保に大きく貢献する、そしてまた、国際都市沖縄の形成に大きく貢献するものと期待をいたしておるところであります。
  53. 白保台一

    白保委員 当然、ハブ空港それからハブ港湾、そういったものが形成されていく中で交易も盛んになるわけですから、そういう中で初めてこういつたハブの情報通信の基地というものが重要になってくるであろう、こう思うわけです。  そういった場合に、今も御答弁もありましたが、アメリカなどはもう既に大変なマルチメディアの進展を見せております。そして、イギリス、アメリカ、フランス等、世界を駆けめぐって、そういった情報通信の問題が非常な勢いで進んでいる状況でございますが、その際に、やはり先ほどもありましたように、周辺の施設の問題だとか、あるいはまた人材の育成をどうしていくのかという問題がある。非常に多くの人材を必要としています。したがって、研究機関を大学に置く、また、大学に新しい学部を設置する、そういう要望等も出されてくるわけでございます。  同時に、全国で、あるいは世界でつくられるところのソフト等の問題も収集をしていく、そういったことが大変重要になってくると思いますが、そういうものが集約されていった際に、まさに情報の発信基地になっていくわけでございますので、その発信していく基地、それについて、発信する際にはどうしても、いろいろなさまざまな方法がありますが、衛星等も考えなきゃならない。したがって、非常に気の早い人のお話ではありますけれども沖縄一つ衛星を打ち上げたらどうだ、こういうような話もありますが、現状は極めて過密な状況にありますから、それはなかなか難しい話だろうということも言われています。  そこで、BS4後発機、これの利用の仕方の問題ですが、どのようになっていますか。
  54. 楠田修司

    ○楠田政府委員 衛星を利用した放送というのには、BS放送、ブロードキャスティングサテライトでありまして、これとCSというのと二つございます。CSは、コミュニケーションサテライト、通信衛星でございます。  先生御指摘のBS放送につきましては、これは放送を行うことを目的にして高出力の放送衛星を使用するものでございます。日本には八チャンネルが割り当てられておりまして、現在四チャンネルがもう既にやられております。  後発機につきましては、二〇〇〇年からデジタル方式で行うということでありまして、四チャンネルのうち一チャンネルは、サイマル放送といいまして、アナログでやっておる先発機のものをそのまま放送する。あと三チャンネル、これをデジタルにしますと、ハイデフィニション、ハイビジョンのようなもので六チャンネルとれます。それから、一般にしますとその数倍のチャンネルがとれるということで、これにつきましては、広く一般の放送事業者から公募いたしまして、ハイデフィニションの高精細の放送を中心とした放送で実施したいということで現在進めておるところでございます。
  55. 白保台一

    白保委員 そうしますと、このマルチメディア特区構想、これを進めていく中で、BS、CSどちらか、いずれにいたしましても沖縄特区で使えるような状況になるのかどうか。この辺はどうですか。
  56. 楠田修司

    ○楠田政府委員 BS放送は非常に限られたチャンネルでございますが、現在CSデジタル放送というのが進められておりまして、もう既にパーフェクTVというものが六十数チャンネルの放送をやっております。なお三十数チャンネルふやしまして、まもなく百チャンネルになる。それから、来年には三百チャンネル程度のもう二つほどの放送が出てまいります。  このCSのデジタル放送は、国内をエリアとするだけでなく、国際ビームも積んでおりますので、放送対象エリアも国内及びアジア太平洋地域まで広げられるということで、非常に可能性の強いものでございます。ただ、このCSデジタル放送につきましては、これを受けるための受信機というものに幾らかお金がかかりますし、有料放送が中心でございますが、現在非常に可能性があるということで発展しております。これは非常に可能性があるということになります。  なお、ちなみに、現在このパーフェクTVの一つの電波を使いまして、CSラジオ、ラジオでございますが、ラジオ沖縄というものが四月二十七日から開局される、これは沖縄の放送をほぼそのまま全国に放送する。だから、沖縄出身の方あるいは沖縄に非常に関心のある方、沖縄の音楽に関心のある方は、こういうふうな形で、将来テレビということになりますと、それも利用できるということで、非常に可能性はあるというふうに考えております。
  57. 白保台一

    白保委員 ぜひマルチメディアの特区構想を実現をされたい、このように多くの地元の方も気合いが入って頑張っておりますので、進めていきたい、こう思います。  次に、時間も余りありませんので、進めていきます。  官房長官がおいででございますので、沖縄の経済特別区の問題について、官房長官が蓬莱経済圏、こういうようなことを発言されて大変話題を呼んでおるわけでございますが、今ある沖縄のフリー・トレード・ゾーンにつきましては、極めてさまざまな問題があって、制度改正の問題が出ております。したがって、その制度改正の問題等を含めて沖縄からの要望があるわけでございますが、現状のフリー・トレード・ゾーンを、要求が出ている中でどういうふうにしていくべきかということが一つあります。  それからもう一つは、将来的には、やはり官房長官おっしゃるように、蓬莱経済圏等も含めて大きくまた展開をしていかなければならない、こういう面で、まず官房長官の考え方についてお聞きしたいと思っております。
  58. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まだ確たる考え方には至っていないということが前提でありますが、やはり沖縄の置かれてきた今日までの長い歴史や、それから戦後五十数年の思い、そして現状を見ますと、沖縄の振興というものに本当に取り組んでいかなければいけないという気がいたします。  それからもう一つは、やはりこれだけアジアの経済が高まる中で、そのアジアに一番近い沖縄というものを考えますれば、東京と比べて二時間、時間として違うわけですから、これは東南アジアその他に向けての、日本では最大の基地になり得る。そういう沖縄の振興というのを考えるために、今幾ばくかの税やその他のいろいろなことをやっておりますが、効果的な成果を上げていない。  そういうことを考えますれば、あるいは一国のシンガポールであるとか、中国の海南島であるとか深切であるとか上海であるとか、あるいは香港であるとか、それぞれがどうやって、どういう経緯であれだけの経済的な繁栄を来したか、あるいはその拠点形成ができるのかどうなのか。これは、伸び行くアジアというのを考えれば、その中心位置に沖縄があってもいいはずだ。  そういうものを考えれば、国はもちろん一制度が望ましいわけでありますが、一制度で救われないということは、私よく言うんですが、地方自治というのは、それぞれの地域の特性を生かした発展があることが地方自治の本旨である、そういうものを両々加えてまいりますと、にわかに私が申し上げることがいいかどうかは別として、知事さんも、六月までには我々の中でも一つ私的な成案を得たい、それから国は国で沖縄の懇談会を通じて、協議会を通じてそういうものに取り組んでいきたい。  ただ、総理も前々から言われているように、このやむを得ない必要最小限度の国の権原を失わないための特措法の改正をお願いしている段階に、この問題を余りにも表に出すということは、何か取引に見える、お互いに嫌なことではないか。そういう侍道的な考え方もございますが、それは考えて考えて考え抜いて、一気にそれができるわけではございませんが、いずれにしても、そういう問題を近い将来に、お互いに議員が相検討し合いながら、この問題に取り組んでいける機を渇望しておりますし、ぜひ協力をしてやってまいりたい、このように思います。
  59. 白保台一

    白保委員 総理、お聞きになりましたですか。私はそうじゃない。特措法関係ないんです。沖縄の経済は経済、基地問題は基地問題として、長い歴史があって、また大変な問題を抱えています。確かに関係はあるかもしれません。拘束されているから経済の発展というのはあり得ないんです。だから、関係がないということは言えませんけれども、これを特措法と絡めて官房長官が言われると、非常に問題が残ります。  ただ、一国二制度を今認めていかなければならないのかなというお話でございましたので、私どもは、先行制度として、将来的にはそういう形になってくるかもわかりませんから、一国二制度などというかたいことを言わないで、先行制度としてぜひ認めていただいて、沖縄の自立の方向を持っていただきたい、こういうふうに考えているわけです。総理、いかがでしょう。
  60. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、官房長官もそういう批判をされる方があるので、誤解のないようにということを申し上げた、そこはどうぞお間違いいただかないように。というのは、私自身も、時にその振興策の方のお話をしておりますと、取引をする気か、取引はできないというような言葉を返された場面がございます。ですから、むしろそういう誤解のないようにしていただきたい、それを官房長官は言われたと、私はそう思っています。  そして、その上で、今の自由貿易地域を中長期的に拡充していく必要があることは、これは私、否定のできないことだと思います。その上で、どういう中身なのか、あるいは全島に広げちゃった場合に、逆に伝統的な産業に与える影響はどうかとか、私、本当に真剣に考えなければならないことが中にたくさんあると思います。先ほども申し上げましたように、私どもは県のいろいろな御相談を真剣に承り、努力をしていく、これは官房長官も今そういう趣旨を述べられたと私は思いますし、むしろ、時々県の関係の方々の中に、問題を混同するなと言っておしかりになる方があるものですから、非常に官房長官も気をつけて話されたと思います。  私は、ですから、先ほども申し上げましたように、一国二制度という言葉を使うのは余り好きじゃありません。それはそうでない方、同じ制度の方がいいものがあるはずですから、何でもかんでも違えばいいということではないはずです。その上で、先ほども申し上げましたように、自由貿易地域を広げていく、質量ともに拡充していく、そうしたことは必要なことだ、そのように思います。
  61. 白保台一

    白保委員 時間が迫ってまいりましたので、最後に基地問題についてお伺いしたいと思います。  総理にまずお聞きしたいのですが、昨年の九月八日に県民投票がございました。この県民投票に対する御認識、これについてお伺いしたいのです。  あれは、基地の整理縮小と地位協定の見直しを求める県民投票でした。御存じのとおりであります。これについて総理は、終わった後に、県民投票が終わって翌々日でしたか、九月十一日でしたでしょうか、沖縄の方に来られまして総理談話を発表された。その中で総理は、前段の方のお話の中で、この県民投票に対する敬意をあらわした後に、政府として基地の整理、統合、縮小、これに努めるというお話をされているわけですね。県民が求めたのは基地の整理縮小だったのです。ただ、総理のお話の中では、整理、統合、縮小、こういうふうになってまいりました。どうして統合縮小というふうな形になるのでしょうか。県民投票と総理のその御発言との乖離、これをお聞きしたいと思います。
  62. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 県民投票は、間違いなしに県民の方々のいわば本当に考えておられることを投票によって表現されたもの、そしてそれはまさに整理縮小であった、私もそのように思います。  その上で、行政の責任者としての立場から申しますなら、私は、その目的を達成していく上でいろいろな組み合わせを考えていかなければならない、その場合には統合という手法も必要になる場合があると思っておりました。そしてそれは、許されるのであれば、今後もやはり統合することによって少しでも減らしていく、そういう実効が上がるのであれば、そうした手法を使うことは許していただきたいものだ。それは私は今もそう思います。
  63. 白保台一

    白保委員 復帰の時点で、核抜き・本土並みという言葉がよく使われました。そしてまた県民は、先ほど申し上げましたように、核抜き・本土並みということと格差の是正という、これは非常に大きな柱です。その格差の是正については先ほども議論をしたわけですが、この核抜き・本土並みという問題について、二十五年間、基地はだんだんに縮小されていって、今の過重負担状況を解消することができるだろう、こういうふうに期待をしていました。  先ほど、一番最初の質問の中にもありましたように、不測の事態が生じたというお話がありましたが、一昨年の九月四日に少女の事件がありました。そのときに、復帰以来と言われるほどの大きな盛り上がりが出てきて、基地あるがゆえにこのように事件、事故が起きてくる、そのことはまた沖縄の一人一人にとっては人権にかかわる重要な問題だということで、安保を認める人も認めない人も、そういった人たちがみんな結集してこういう事態を変えていこう、こういうのが一昨年の県民の一〇・二一の集会でありました。それは、二十五年間待っても結局はこのように変わっていかない、こういう状況に対する県民の怒りであるし、非常な不満がそこにあるわけであります。  したがって、私たちは、今回特措法の問題が提案されましたけれども、どうやったら具体的に一つ一つ基地解決していくのか。SACOの報告を見ても、結局は県内移設をしていく、一部本土へ持ってくるものもありますけれども県内に持っていく。こういう状況では、二十五年間、本土政府は必ずやってくれる、こう思っていたものが結局は前へ進まない、そのことに対する不満というものが非常に強い。また、そうしていただかなければ、私たちは毎日毎日その中で生活をしているわけです。  今度の特措法の問題で、賛成、反対、いろいろな議論があります。その中で必ず出てくるのは、国の安全保障の問題が出てきます。まさにそのとおりだと思います。私は、安保を反対したり、あるいは今反対をしている人たちの立場に立って物を言っているのじゃありません。私が言っているのは、この約束した本土並みというところの方向性をどうめどづけをしていくのか。同時にそのことが平和と人権と民主主義の日本国憲法に返る復帰闘争の大きな目標であったわけですから、そういう面で県民は、まだまだ目標は達成されていない、大きな問題が残っている、こういうふうに受けとめています。ましてや、ルールを途中で変えるなどというのは、これは県民にとっては考えられないことでございます。そういう面で、私たちはこの事態を変えていかなければならない、こう思っています。  基地の整理縮小、このことについてもう一回、総理、具体的にどのように進めていくのか、お聞きしたいと思うのです。
  64. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、その統合という言葉、議員が取り消せと言われますなら取り消して、整理縮小で申し上げる、それは決してやぶさかではございません。そして、復帰後今日までの間に、歴代内閣、この沖縄県における基地の整理縮小というものに十分意を用いてこなかったというおしかりは、私は甘受いたします。  その上で、ちょうどその県民集会の行われましたとき、私は四極通商代表会議でロンドンにおりまして、その日のBBCの二番目のニュースとしていきなりあの光景が放映されましたのに、本当に実は非常なショックを受けました。そして逆に、帰国後、あれだけの隻会でありながら非常に制御された、整然とした集会であったということにも感銘を受けました。そして、それだけの重みのあるその声というものは、私なりに真剣に受けとめてまいったつもりです。  その上で、私どもは本当に、そのSACOというものにどれだけのものができるかを一生懸命内閣として努力をいたしました。これは、お地元の立場からすれば至らぬ点はありましょう。しかし、少なくとも日米政府が一生懸命に一つの方向を模索し努力をしてきたという事実は、お認めをいただきたいと思います。  そして、その中で、確かに一部ではございます、岩国への航空機の移転にいたしましても、本土内五カ所の射撃訓練場における実弾射撃の移しかえの問題にいたしましても、しかもそれがまだ完全に同意がとれている状況ではない、国民がひとしく痛みを分かち合っていない、言われるお気持ちを決して私は理解をしないのではありません。しかし、私どもは本当に、現実を飛び越えて一挙に振り出しがら上がりにすごろくで飛んでいくようなことができないことは、ぜひおわかりをいただきたいと思うのであります。  そして、一つ一つ私たちは誠実に問題に対処してこれからもまいります。それだけに、私は御協力をも県民から賜りたい、この場をかりて心からお願いを申し上げます。
  65. 白保台一

    白保委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、最後に一つだけ申し上げたいのは、先ほど仲村委員の議論の最後のときにもありましたけれども沖縄の方は、現状を何としても変えてもらいたい、だから兵力の削減をしてもらいたい、こういうことを言っているのです。この声があるということ。そして、中長期的にはやっていけるのだということも言えませんか。
  66. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先般来、今回四月の末にクリントン大統領に面談をする機会があれば、そのときに海兵隊の撤去の問題をというお問いかけでありましたから、現段階で、それは海兵隊だけではございません、私は在日米軍縮小というものを持ち出すつもりはないということを申し上げてまいりました。  同時に、本院、当委員会でも何回かお答えを申し上げてまいりましたが、当然ながら、我々は一生懸命に努力をして、この地域の安全の確保、安全の必要性というものの中で、例えばARFでありますとかいろいろな努力の中で、兵力全体の必要性を減らせるように努力をしていかなければなりませんし、国際情勢の変化の中で、当然ながら、我々はその時点における安全保障、必要な軍事態勢というものについての議論をしてまいるということは繰り返しお答えを申し上げてきたところであります。
  67. 白保台一

    白保委員 今の答弁では地元の方はなかなか納得いかない、こういうことを申し上げて、終わります。
  68. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて村井君、仲村君、白保君の質疑は終了いたしました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  69. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。生方幸夫君。
  70. 生方幸夫

    生方委員 民主党の生方幸夫でございます。連日の会議、御苦労さまでございます。  私は、沖縄の海兵隊の削減が可能であるのではないかという観点から、御質問をさせていただきたいと思います。  私も、先日、沖縄に参りまして、二日間という非常に短い時間ではございましたが、各方面の方々のお話を伺ってまいりました。特措法そのものについて云々という話ではなく、沖縄県民の方たちの間には、やはり、あそこで実際に訓練を行っている海兵隊の方たち、特に今、海兵隊は、沖縄において米兵力の六三%を占め、基地の七五%を使っているという現実がございますので、この海兵隊の削減を何とか実現したいというのが沖縄県民の方たちの偽らざる心であるというふうに感じ取ってきた次第でございます。  そこで、外務大臣にお伺いしたいのですが、アメリカの海兵隊というのはアメリカ以外の国では日本にだけ存在をしているというのを、私、承知をしておるのですが、アメリカの海兵隊がなぜ日本に今駐留しているのか、その意味についてお伺いをしたいと思います。
  71. 池田行彦

    ○池田国務大臣 米国の海兵隊は、大きなものとして三つの海兵隊群がございます。そのうちの二つは米国本土にあるわけですが、西海岸と東海岸でございますね。それで、沖縄にございますのが第三海兵隊群と言われるものでございます。これは、規模としましては他の二つの海兵隊群に比べますと若干コンパクトではございますけれども、そういうことでございます。  それでは、米本土以外には沖縄だけなのかといいますと、必ずしもそうではございませんで、もう少し規模の小さなものが、洋上展開するという格好でヨーロッパあるいはインド洋等にも展開しているところでございます。  いずれにいたしましても、沖縄にこのような一万数千人から成る第三海兵隊群がございます。その理由というのは、基本的に申しまして、アジア太平洋地域の安定を確保していくために米国としてその責務を果たしていく、こういうことでいるわけでございますが、特に、海兵隊と申しますのは、その有する機動性なり即応力をもって必要なときには迅速に対処する、そういう特性を持っておりますけれども、そういった観点から申しまして、この地域でそういった対処が必要な事態が生じました場合に、例えば米本国などにおります場合に比べまして、距離的な点からいいまして時間的に機動的に対処できるというのが一番でございます。  それともう一方は、それとはまた逆の観点になるのでございますけれども、このアジア太平洋地域のいろいろなところで何か事態があったときに若干の距離がある、米本土から見るとずっと近いところにあるけれども、それでもある程度の距離があるということで、縦深性と申しましょうか、縦に深みのある陣形が組める、そういった意味で有効である。  こういったことで沖縄に今第三海兵隊群というものが展開しているものと承知しております。
  72. 生方幸夫

    生方委員 私も、沖縄に参りまして、海兵隊のマイケル・ヘイズ准将とお話をして、どうして沖縄に駐留をしているのかという理由を尋ねましたところ、三点お答えが返ってまいりまして、第一点目には、もちろん朝鮮半島における有事に対応するためである、第二点目としては、その他戦争、自然災害等への迅速な対応、それから三番目として、平和時における各国間との訓練、協力体制を確立するためにここにおるんだというようなお話をしていただきました。  私も、直近には、やはり朝鮮半島の有事というか緊張というものに備えているというのが大部分の海兵隊の存在理由だというふうに考えておるのですが、朝鮮半島の有事あるいは緊張関係というのを、日本政府としてはどういう事態が起きたら有事あるいは緊張態勢、あるいは今現在がどのような緊張の状態にあるというふうにおとらえになっているのか、そこを外務大臣にお伺いしたいと思います。
  73. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず、沖縄における海兵隊の司令官のお話というのが今御披露ございましたけれども、それはそういった立場にある者としてお話しになったのだと思いますけれども、これは、やはりとらえ方がいろいろあると思います。  朝鮮半島のいろいろな事態に備えてというお話があったということでございますけれども、それは、朝鮮半島も含めまして、この地域、まだいろいろ不安定な状況もあるわけでございます。したがって、そういったことへ備えているということを言われたのだと思いますけれども、決してそれは朝鮮半島の事態のみを考えておるということではない、こう思います。  それと同時に、また平時においても、例えば自然災害等というお話があったということでございますが、そういう点もあると思いますし、また、現にこの地域にそういった戦力が存在する、いわゆるプレゼンスがあるということが、そのこと自体が抑止力になりこの地域の安定をもたらしているという意味も、その平時にもという言葉の中にインプリシットされている、合意されているのではないかと考える次第でございます。  そして、さて朝鮮半島の有事とはどういうことかということでございますが、有事という言葉につきまして国際法上等で確たる定義があるわけではございませんけれども、その地域の状態が非常 に緊張していきまして、政治的な話し合いその他で事態解決できなくなり、実力の行使によって問題を解決しようという状態になる、あるいは、問題の解決に至る道もないままにそういった、いわゆる戦闘状態といいましょうか、そういったことが起こるというのが典型的な有事であろうかと存ずる次第でございます。  朝鮮半島について今そういった事態があるかないかということは、委員も御承知のとおりでございまして、現在そういう状態はないわけでございますし、我が国も含めまして国際社会全体としましても、あの地域の安定のためにいろいろ努力を傾注しているところではございますが、それにいたしましても、またいろいろ不安定な政治、経済あるいは社会的な事情もございますので、なかなかあの地域の情勢、目が離せない、こういうふうに考えている次第でございます。
  74. 生方幸夫

    生方委員 有事の定義は国際法上ないということなんですが、具体的には、有事として考えられ得るのは、北朝鮮が何らかの国内事情を受けながら南の方へ南下してくる、軍事的に南下してくる可能性があるということが一点。それから、一時話題になりましたミサイル等で、射程が広いミサイルを開発することが可能になってくれば日本もその射程距離内に入る、それは日本にとっては非常に脅威であるというようなとらえ方がございます。  一時、ノドン・ミサイルというものの実験が行われたというふうに報じられまして、あれが五百キロぐらい飛んだのではないかというふうに見られておりまして、その後、ノドン・ミサイルについての情報というのは私も伺っておらないのですが、日本政府がとらえているノドンに対する情報というのはどの程度あるのか、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  75. 久間章生

    久間国務大臣 ノドン一号は、現在開発中のミサイルということもございまして詳細は明らかでございませんが、各種情報を総合的に勘案すれば、ノドン一号の性能諸元は次のとおりというふうに推定できます。  射程については約千キロ、配備位置によって我が国の過半がその半径内に、射程内に入る可能性がございます。  弾頭については、単弾頭、弾頭重量約千キロ程度というふうに言われております。弾頭の種類については明らかでありませんけれども、通常弾頭のほかにいろいろと搭載し得る可能性もあるというふうに考えられております。  命中の精度、いわゆるCEPでございますけれども、これはやや劣るんじゃないかということで、三千メーター、三キロというふうに見られております。  移動式であるか固定式であるかについては、一部に移動式があるとの情報もありますけれども、確認はとれておりません。  燃料については、液体燃料である可能性が非常に高いというふうに言われております。  また、開発状況の詳細について不明でありますし、また、開発完了の時期、実戦配備時期について明確なことを申し上げることができる段階にはまだ至っておりません。
  76. 生方幸夫

    生方委員 これは軍事評論家の方たちのお話なんですが、一度だけの実験しか行われていない、それから、アメリカ等の偵察衛星で見ても実戦配備されているかどうかはまだわからないということなんですが、日本政府としては、これは実戦配備されているというふうに、もう使用可能な状態になっているというふうに理解をしておるのかどうか、お伺いしたいのですが。
  77. 久間章生

    久間国務大臣 まだ、そういうことについて具体的に申し上げるほどの情報は得ておりません。
  78. 生方幸夫

    生方委員 重ねて外務大臣にお伺いしたいのですが、現在の朝鮮半島の状態は、安定している状態というふうにおとらえになっているのか、あるいはまだ不安定な状態であるというふうにおとらえになっているのか、どちらであるかをお答えいただきたいと思います。
  79. 池田行彦

    ○池田国務大臣 決して安定しているとは申せないと思います。しかしながら、今極めて不安定であって、いつ何どき不測の事態が起こるかわからない極めて緊張した状態であるとまで見るべきかどうかは、慎重でなくてはいけないと思います。  だから、不安定要因は非常に大きいけれども、みんながそれを安定させるために努力を傾注すべき地域である、こう考えております。
  80. 生方幸夫

    生方委員 沖縄の海兵隊の削減ということについて、総理も重ねておっしゃっておりますが、今現在の時点で削減ということを言うことはできないというふうにおっしゃっておりますが、私は、道路が渋滞していて車を運転しているとき、先何キロまで渋滞しているというのがわかれば渋滞も耐えられるのですけれども、これがずっとわからないというのは非常にいらいらが募るという意味で、ある程度の展望、ここまで来たら海兵隊はこれだけ削減できるというようなことがわかれば、沖縄の方たちの心も大分違ってくるのではないかというふうに思っております。  したがって、今決して安定した状態ではないということに関連して申しますと、ではどういう状態になったら安定したというふうに見られるのか。例えば、米朝の間に駐在官事務所が置かれるというような事態になればある程度安定したというふうに見られるとか、あるいは米朝の間で国交正常化交渉が進むということになれば安定した状態になったと見られる、あるいは、もちろん日本と朝鮮との間の国交正常化交渉が進んだ段階では安定化したというふうに見ちれるというような段階で、沖縄の海兵隊すべてが朝鮮有事に備えているわけではないとしても、かなりの大きな部分は朝鮮半島のためにあるとするならば、仮にこういう段階になればここまでは削減できるのではないかというような展望を示せば、沖縄の方たちもかなりの部分、今の状態、今非常に厳しい状態であることは私も行ってよく存じておりますが、耐え得るのではないかというふうに考えるのですが、その辺はいかがでございましょうか。
  81. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私どもも、いろいろな状況を想定しながら、こうなればこういったことができるとか、あるいは大体このぐらいの時間でそういうことが考えられるとかいうふうな、ある程度の計画性なりそういったものが考えられるような予測ができればと願ってはおるのでございますけれども、そこのところが非常に難しいところでございます。  今の状態というのは、この地域が不安定要因をいろいろ持っている、その不安定要因がこれ以上大きくならないように、まず今の状態を支えていこう、そしてできることならばそれを改善して安定の方向へ持っていこうという段階だと思います。  そういった努力の具体的なあらわれとして、今おっしゃいましたような朝鮮戦争の後始末を最終的に決めるための枠組みである四者協議というものが動いてくるということ、あるいは米朝間における協議が進展して事務所の相互設置であるとかそういったことが進むということ、あるいは我が国との正常化交渉が進むというようなこともその要因でございましょう。何といっても一番中心は、南北の間の対話が進んでいくということだと思います。  もちろん、そういったこと一つ一つは大切でございます。しかし、それだけではなくて、やはり朝鮮半島以外のアジア太平洋地域の情勢がどういうふうになっているのか、あるいはARFその他の場における信頼醸成なり予防外交の努力の進展がどうなっているのか、いろいろな要因を組み合わせながらあの地域の安定度というものをはかり、そして安定の上に立って、一体どういった、例えば軍事体制についての変化が可能になるかということを考えていくべきものでございまして、委員のおっしゃることは私ども本当によくわかるわけでございますが、現時点でそういった個々の具体的な事象との強い相関関係を持って時間的にこういうことが考えられるということを申し上げるのは、ちょっと適切ではないのかな、こう考える次第でございます。
  82. 生方幸夫

    生方委員 今、四者協議のお話が出ましたですが、朝鮮半島の安定のために日本政府がやれることはたくさんあると思うのですけれども、なかなか私どもには朝鮮半島の安定のために日本政府が今どのようなことをおやりになっているか見えてこないのですが、具体的に、外務大臣として、四者協議を含めてどのような対応を朝鮮半島の安定のために行おうとしているのか、お伺いしたいのですが。
  83. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず、今具体的に表でいろいろ起こっている動きといたしましては、おっしゃいます四者協議の話、あるいは北朝鮮の核疑惑を除去するためのいわゆるKEDOのプロセス、こういうものがございます。  御承知のとおり、四者協議につきましては、昨年の春、クリントン米国大統領、金泳三韓国大統領、御両所によってそれが提喝されました。その日に、直ちに橋本総理から、この四者協議を支持する、そしてこれが朝鮮半島の安定化のために役割を果たすことを期待するということを表明され、そして日本も必要なバックアップはしていく、こういうことを表明したわけでございますが、それ以後、米韓両国とも緊密に協力しながらこのプロセスが動き出すように側面的な支持をしているところでございますし、KEDOのプロセスにつきましては、御承知のとおり韓国、米国と並んでその理事国としての役割を果たし、これは今は重油を供給するという段階でございますが、いずれ軽水炉を導入するという段階になれば、我が国としても、意味のある貢献といいましょうか、寄与はしていこうというようなことも態度も明らかにしているところでございます。  そういった、今具体的に動いている、あるいは動こうとしているプロセスのほかに、いろいろそれはございます。マルチの場あるいはバイの場で、この地域の安定を図るのにどうするかということにつきまして常に話をしながらやっているわけでございますし、それから、日朝国交の正常化の問題につきましても、今中断したままでずっと推移をしておりますけれども、私どももこれが開かれるような状況ができることを期待し、また私どもなりに動いているところでございます。  もとより、ASEAN地域フォーラムの場で私どもも積極的に信頼醸成を高めるための役割を果たしておりますし、これはまた民間のレベルでございますけれども、北東アジア独自の、マルチのサブリージョナルな安全保障のためのフォーラムなんかもございます。そういったところなんかでもいろいろ努力しているところでございます。今後とも続けてまいります。
  84. 生方幸夫

    生方委員 最初に申し上げましたように、海兵隊の削減ということが今の沖縄の問題を解決するのに展望を開く最初の扉になるのではないか。  そのために、総理にお伺いしたいのですが、今も池田外務大臣がおっしゃいましたように、日朝間の話し合いというのが金丸訪朝団の、九二年以来途絶えているということがございますので、不安定要因が残る朝鮮半島を安定させるためにも日朝間の話し合いというのが再開されるのが望ましいと考えるのですが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  85. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 我々は、本当に世界のどこの国とでも仲よくしたいというのが実感でありますし、その意味におきまして、日朝国交正常化交渉というものがこれから先も我が国として大事な仕事の一つであることは、私は議員の御指摘のとおりだと思います。  その上で一点申し上げなければなりませんのは、ちょうど九一年の一月から八回にわたって日朝国交正常化交渉本会談というものが開催をされました。ただ、その第八回の本会談の際の、御記憶でありましょう李恩恵の問題、この問題の実務者協議におきまして北朝鮮側が一方的に退席をしてしまわれたために、その後の日程が話し合えないままに切れてしまったという状況があります。そして今日におきましても、外交当局として全くその糸が切れたわけではございませんけれども、それ以外の問題もいろいろ議論をされて、なかなか交渉の再開という形になりません。  しかし、第二次世界大戦後のこの日朝間の不正常な状態というものは必ずどこかで正さなければならないものでありますし、これがまた同時に朝鮮半島の安定と平和に資するものでなければならない。そうした観点も踏まえながら、韓国などとも十分御相談をしながら進めてまいりたい、そのように思います。
  86. 生方幸夫

    生方委員 これで終わります。どうもありがとうございました。
  87. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。生方君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。
  88. 前原誠司

    前原委員 民主党の前原でございます。  通告をしました問題に入ります前に、総理一つお尋ねをさせていただきたいと思います。  きょう、臨時の閣議が行われまして、駐留軍用地、米軍に対する用地でございますけれども、その特別措置法というものが閣議決定をされたと聞いております。この問題についてはなかなか、イエスかノーか、賛成か反対かというのは言いがたい、非常に難しい問題でありますし、総理もなかなか複雑な気持ちでこの閣議決定をなされたものと思っております。  例えば、賛成の意見でありますと、日米安保というものを堅持するためには空白をつくることはまかりならない、そういう意味でこれはやるべきだという意見もございましょうし、また、条約の履行というものについては憲法の九十八条で定められた日本義務である、こういう見方もございます。また、そもそも国の外交、安全保障にかかわる問題については、地方で判断するということではなくて国が判断すべきだという考え方もあるかもしれません。  一方、賛否の否、つまり反対の立場でございますが、今収用委員会でやられているルールがあるのに途中でルールを変えるのはいかがなものかとか、あるいはこの法律案というのは沖縄だけをねらい撃ちにしたものではないかとか、あるいは沖縄の今後の将来像というものが提示をされないままで法律だけ変えて、土地使用については国に任せろというのはいかがなものか。こういう賛成と反対の立場、両方ある問題だというふうに私は認識をしております。  我が党の立場といたしましても、仮に賛成するにしても、沖縄県が求めておられます兵力構成の問題、特に、今生方議員が質問をいたしました海兵隊の削減の可能性というものについても議論をしてまいりたいと思っておりますし、また地位協定の見直しの問題についても、これはもっと突っ込んだ話し合いがなされるべきではないかと思っております。また、沖縄振興策についても、きょう御質問いたしますけれども、具体的な詰めというものをやらなくてはいけない問題だと思っています。  そういうふうに閣議で決定されたということですから、現時点においては政府としてベストのものを出された、こういう認識だと私は思っておりますけれども、こういういろいろな賛否の問題があるテーマでございますので、特別委員会が設置をされて議論をされる中で、私は、今はベストだと思われていても、議論の中でやはり修正ということになったり、あるいはよりいいものをつくろうという意見が出てきたときには、それについては政府はお認めになるべきだと思っておりますけれども、その件について総理の今の御見解をお伺いしたいと思います。
  89. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、さまざまな立場の意見を御紹介になりながら、今回の特措法改正案についての態度を尋ねられました。  私どもは、今議員が最後にまとめられましたとおり、現時点におきましてこれ以外にない、そう考えて改正案を閣議で決定をし、国会提出をさせていただいた次第です。  そして、その理由を長々と申し上げるつもりはありませんが、まず第一に、この特措法沖縄県だけを対象とした法律という誤解だけは解いていただかなければなりません。むしろ、昭和四十七 年以前、特措法が国内の、国内という言い方はその当時のであります、沖縄の復帰の前でありますから、その当時の国内基地について活用された事例は幾つかの例があったはずであります。ただ、その後、沖縄の施政権我が国に戻りまして以降、むしろ本土における基地特措法の運用を必要とするような事態発生をいたさなかったために、いつの間にかそうした誤解を生じてきた。しかし、特措法というものはあくまでも我が国全土を対象としたものであり、沖縄県のみのものではありません。  そして、過去この運用の中でいろいろな体験をしてまいりました中から、今回の対応はたしか平成七年の三月三日に手続をスタートさせたと思います。そして、従来の経験からいくならば、十分な御論議をいただき結論を出していただける時間を見込んでおったつもりでありました。ところが、一昨年九月、沖縄県において大変不幸な事件発生をいたしました。そして、その後生じましたさまざまな事態の中で、次第次第に予測しない事態の展開となりました。そして、収用委員会が動き始めましてから第三回目の収用委員会の後、日程が決定しないという状況でございます。  しかし、私どもは間違いなく、議員も引用されましたように、我が国安全保障根幹をこの日米安全保障条約とその体制に大きくゆだねております。そして、我々自身の安全保障の問題としてこれは考えなければなりません。同時に、その条約を締結しております当事者として、当然ながら条約上の義務を履行する責任があります。それは米軍に対し基地施設を安定的に提供するという義務でありますし、そのもととなります使用権原が五月の十四日で切れる、その事態を間近に控え、収用委員会の後の日程が決まらないという状況の中で、私どもは、収用委員会結論を出されるまでの間、暫定的な使用を認めていただきたいと、まさにこの特措法の最小限の改正を国会にお願いをいたしました。  そして、これにはさまざまな御意見があろうと思いますけれども、私は、現時点において最善の道は、この五月十四日から十五日の間を使用権原が切れた状態で過ごすことはできないということ、同時に、地方自治の観点からさまざまな論議もありましょう、この仕組みの中で、その権限を本質的に傷つけるものではなく、収用委員会裁決までの間、暫定的に使用権限を取得するというこの体系がベストのものだ、そう思って国会に御審議をお願いをいたしております。国会結論も同様のものになることを私は心から願っておりますし、それが今一番必要なことではなかろうか、私はそう思います。
  90. 前原誠司

    前原委員 当然、閣議で決められて、そして出された責任者総理はあられるわけでありますから、今の段階ではベストのものだという御主張をされるのはわかるわけでありますけれども、国権の最高機関としての国会で、これを法律案として、改正案として議論をするということで、その中で、今総理がおっしゃったような空白をつくらないというような状況のもとで、しかしながらここは変えられるではないかとか、あるいは、これはもっと沖縄県に対して、言ってみれば顔の立つような話になるのではないかと、いろいろな意見が出てきて、根本の部分が担保をされた場合においては、それはあり得るというふうに今の御答弁をとらえてよろしいのでしょうか。
  91. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、大変これは失礼な言葉を使わせていただきますが、今、議員の述べられた中で、沖縄県の顔を立てるという言い方をされたところは、私は大変気になります。  午前中の御議論のありました各委員に対しましても、例えば沖縄振興策の問題と基地の問題は分けて論じさせていただきたいというお願いを私は申し上げました。そして、これは私は、一つは国の責任として、また国が安全保障という立場からまとめ上げた考え方、そして、その中で最小限必要な行為をというお願いを申し上げているわけでありまして、もちろん国会で御議論をいただく、その中で国会としてお出しになる結論を我々がとやかく申し上げることはできませんけれども、我々は最善のものという御説明を全力を尽くしてさせていただきたいと思います。
  92. 前原誠司

    前原委員 次からの質問にかかわってくる問題でありますので、この問題についてはこの程度でとどめさせていただきますが、私も、沖縄振興策とそして基地の問題というのは基本的に分けて考えるべきだというふうに思っております。ただ、こういう国会の場で、あるいは、きょうはテレビも中継されている場で話をしていいのかどうかという部分はありますけれども、私は、建前と本音の部分が大変沖縄の問題はあるというふうに認識をしております。  沖縄の振興の問題とそれから基地の問題は分けて考えていくべきでありますけれども、しかし実際問題、基地があるために沖縄の振興ができないという部分でつながっている部分もありますし、なかったときにはもっと今と違った沖縄になっているのではないかという沖縄県の方々の気持ちも私はあると思うわけですね。ですから、違う部分かもしれないけれども、しかし根底ではつながっているし、複雑だし、表ではなかなか言いにくい、本音の部分ではなかなか言いにくいというところが、この沖縄の問題というものを一層複雑にしている部分はあるのではないかということは指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、沖縄振興策について私はお話をさせていただきたいと思いますけれども、もともと沖縄というところは、琉球という違う国でもありましたし、また、太平洋戦争のときに日本では唯一の地上戦が行われた場所であります。また、非戦闘員の方では十万人以上の方が戦死をされましたし、今なお遺骨収集作業が行われているということで、私なんかは、沖縄県の気持ち理解するというのは、とてもじゃないけれども同じ立場に立って理解できないぐらいに大変なことだったのだろうと思います。また、その戦争を契機にして、沖縄県の方はよくおっしゃいますけれども、銃剣とブルドーザーによって占拠をされた状況が今の基地の延長線上として続いている、こういうお話もなされているわけであります。  さて、そういった沖縄県、もちろんSACOの最終報告で数字は変わりましたけれども日本の国土の〇・六%という非常に狭い沖縄県に米軍施設の七五%、四分の三が集中をしているというのは、どう考えても過重に集中をし過ぎているのではないかというのは、これはだれもが思うことだと思っております。  しかし、沖縄県の大田知事もよくおっしゃいますのは、私は安保を否定するつもりはありませんよと。この間も我が党の調査団で行かせていただきましたけれども、そのときもおっしゃっていました。安保を何も否定するものじゃないのです、この狭い沖縄県に、なぜ沖縄だけに七五%もの米軍施設・区域が集中をしているのですか、もし安保が必要ということであれば、本土にもその負担というものをひとしく引き受けていただけませんか、こういう言い方をよくされています。当然、総理もよく聞かれている話だと思います。  しかし、現実の問題として、じゃ、日本の安保体制を守るために、沖縄に集中している基地を本土に分散できるかどうかということを現実的に考えた場合に、なかなか難しい。県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練でも、五カ所で分散移転をするということで今防衛庁長官一生懸命に御努力をされておりますけれども、受け入れもなかなか難しい。受け入れ決定をされている自治体もございますけれども、訓練でさえ難しいような状況で、ましてや基地を引き受けてくれというのは、私はこれは現実的に難しいと思うのですね。  しかしながら、日米安保は大切だ、だから沖縄基地があることは重要だ、沖縄の人は我慢をしてくださいという論理でずっと来た、そのうっせきというものがもはや限界点に達してきて、あの痛ましい少女の暴行事件が仮になくても、何かのきっかけにおいてこの問題は必ず噴き出していたという私は認識を持っております。  さて、その沖縄県でありますけれども、実際問題、本土に分散することが難しい、沖縄だけに過重な負担が行っているということであれば、本音の話として、やはり日本の国家政策安全保障政策として沖縄負担を強いているということになれば、何か沖縄に対してその代償といいますか、やっていただいているお礼といいますか、そういう部分は私は必要だと思うのですね。ただ、それが前面に出過ぎたら、さっき総理からもおしかりを受けましたけれども、私は、札束で沖縄県の人たちに、とにかく基地提供のために財政支援をしますよと言うことはむしろ失礼だ、こういう思いを持っているわけであります。  しかし、本音の部分では、全体の負担というものを本土に分散させられない以上は、その代償というものは何らか沖縄県に対してしていくということは私は必要だと思っています。それは当面の財政措置だけではなくて、とにかく沖縄県が自立をして発展していけるような装置というか、何かそういうシステムをつくり出すということが、日米安保というものをしっかりと足元に位置づけて、そして新たな日米安保像、日本安全保障像というものを切り開いていく上でも重要だと私は思います。  さて、じゃ個別にその前提に立って御質問をさせていただきたいと思うわけでありますが、沖縄開発庁の予算、三千三百億余りでございますか、概算要求で出されております。本土に復帰をされた年、昭和四十七年でございますけれども、そのときは国の平均の収入の約六割程度しかなかったということを資料としていただいております。今はようやく七二%、七三%までになってきたということでありますけれども、四十七都道府県の中でもまだ最下位ということで、二百十万を超える一人当たりの県民所得だということであります。  私は、資料をいただいて、もっと沖縄にはお金が行っていると思っていたのですね、実際問題。案外行っていないのですね。行政投資額というものを都道府県別に資料としていただきました。これが全体としてどうなのかといえば、もちろん人口の多い少ないはありますけれども、全体の投資額でいえば、沖縄県は四十七都道府県中の三十三番目。それから、一人当たりの行政投資額ということになれば二十位なのですね。ですから私は、その点はもうちょっと沖縄県に対してはそういう負担も含めてお金を出すべきではないか、もちろん何に使うかということは大切でありますけれども。今までの経緯で、六割から七二%まで上げてきたのだから、それは頑張ってきているという言い方はもちろんあるかもしれませんけれども。  一つ長官に伺いたいのは、沖縄開発庁の予算というものを落として、本当に沖縄県の中にちゃんとそれが落ちているのかどうか。つまり、大きな公共事業なんか大手のゼネコンがとって、沖縄開発庁予算といいながら、実際問題それが沖縄県以外に還流されているということはないのかどうか。その点の情勢をちょっと分析をしていただきたいと思うのです。
  93. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 前原議員にお答えを申し上げますが、前原議員は、どう見ても県民所得が大変低いではないかと。申されておりますとおりに、ちなみに申し上げますと、平成六年度で一人当たり二百十一万九千円でありますから、全国平均の七一・二%でございますし、これは全国最下位になっております。ここ五年間は全国平均の七一%台で推移しておりますので、全国との格差が縮まっていない。これは委員指摘のとおりでございますし、沖縄県民の生産の伸びに比べて実は人口の増加率が非常に高いわけでありますので、このことが一人当たりの県民所得格差の原因になっているというのが一面ございます。  すなわち、沖縄県の経済成長率、名目で見てみますと、平成二年から六年の間の五年間の平均で見ますと三・二%でありますが、これは全国の三・四%と大体同率でありますけれども、人口の伸び率は、同じ五年間の平均伸び率が、全国の〇・三に対して沖縄は実に〇・七ということで、倍以上の伸びを示しておるわけでありますから、こういった面で見ると、沖縄も全国と同じように経済がある程度成長しながらも、人口の伸びが大きいために一人当たりの県民所得の格差が縮まっていない、こういう分析も成り立つわけでございます。  沖縄県の経済につきましては、よく言われますように、先ほど、公共投資がどのように使われておるか、こういうことでございますが、いわゆる三Kと言われておる公共事業、観光、基地収入への依存度が高くて、第二次産業のウエートが非常に低くなっているという実態がございます。また、こうした実態のもとで、沖縄においては、大企業が少ない反面、中小零細企業が極めて多いわけでありますので、雇用の吸収力が弱いという特別な事情があります。いわゆる高失業率につながっていると考えられるわけであります。失業率が高いということが、ひいては、一人当たりということで申し上げますと県民所得の低さに極めて影響しておる、こういうことが言われるわけでございます。  そうしたことから、先ほどから言われておりますとおり、公共投資をなるべく県内の方たちにという配慮もこれから十二分にしていかなければなりません。その点についてもまた庁内の方でも配慮していきたいと思いますが、いわゆる雇用の場を確保して県民生活の向上を図る、そしてさらに自立的な経済発展、これを図るために産業の振興は極めて重要であろうということで、ただいま頑張っておるところでございます。
  94. 前原誠司

    前原委員 何%ぐらい……。
  95. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 御答弁を申し上げます。  平成八年度における公共事業の発注実績につきましては、年度が終わったばかりでございますので、まだ出ておりません。そこで、平成七年度の実績について御説明をさせていただきたいと存じます。  平成七年度の沖縄開発庁の公共事業関係費、これは補正後の予算額でございますが、三千三百七十九億円となっております。そのうち、直轄事業費が九百三十五億円、補助事業費が二千四百四十四億円となっております。二八%対七二%というところでございます。  平成七年度における県内企業への発注実績でございますが、直轄事業費は先ほど申し上げました九百三十五億円で、その四〇%程度の三百七十四億円が県内に受注されております。補助事業費は先ほど申し上げました二千四百四十四億円でございまして、そのおよそ八割に当たります一千九百五十五億円となっております。直轄及び補助事業を合わせますと、予算額のおよそ七〇%程度が県内企業に発注されているのではないかというふうに考えております。
  96. 前原誠司

    前原委員 七割ぐらいということでございますが、先ほど長官がおっしゃったように、できる限りその予算を、もちろん額の高いものはWTOの取り決めで一般競争入札をしなければいけないということでありますから、なかなかそういう県内発注ということには誘導できないと思いますけれども、できる限りやはり沖縄に使うお金が沖縄の方のところで使われるというような形で開発庁としても努力をしていただきたいということを要望させていただきます。  次に、沖縄県から要望の強い一国二制度的なものについて、二つばかりお伺いしたいと思います。  一つは、ノービザ制度の導入という話であります。これは一国二制度というよりも、日本の国家戦略としてこれから沖縄をどう位置づけていくかといったところにも非常に深くかかわってくる問題だと私は思っています。特に、ことしの七月一日には香港が中国に返還をされるということで、今台湾と中国の福建省の交流、中国との交流が盛んになっているわけでございまして、三通ということが言われているわけであります。  ただ、香港が中国に返還をされた後にそういうものがどうなっていくのかといったこともございますし、この間、私は台湾に行かせていただきまして、李登輝総統にもお話を伺って、その沖縄振興策にあわせて、今後の人の流れ、物の流れというものについてのお話もさせていただいてきたところであります。  そうすると、沖縄県に対する期待というのは非常に強いのですね。例えばノービザについては、三日間でいい、七十二時間ノービザというものができれば、相当人の流れというものも沖縄経由ということになるのではないか、また観光客もふえるのじゃないか、こういうお話もされておりました。  このノービザ制度の導入というのは、お互いの国がそれを認め合うというふうなことでありまして、今、調べたところによりますと、台湾、韓国は日本に対してのノービザというものをやっているというお話を聞いております。そういうことから、やはり沖縄だけにノービザというのは私もなかなか難しいと思うのですね。沖縄に来られて、そしてまた沖縄から別の日本に来られるときに、国内線でありながらそういう通関業務をやらなければいけないということになりますので、沖縄だけにというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、私は、今まで議論されてきた不法滞在者とか、あるいは不法就労者の問題というのは、少なくとも韓国、台湾については可能性は非常に低いんじゃないかと思いますし、沖縄だけではなくて日本全体の、韓国、台湾に対するノービザ制度の導入ということは積極的にとらえるべきではないかというふうに思っておりますが、御答弁をいただきたいと思います。
  97. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員も御指摘になりましたけれども、一国二制的な、こうおっしゃいました。今一国二制といいますと、香港の中国への返還に伴ってどうかという話でございますが、あそこの場合は、やはり香港の地域、やはりいろいろな面で、法律の仕組みにしましても、あるいは経済面にしましても、いわゆる中国の本土とは画然とした違った地域をつくるということでございますので、それと同じようなものを沖縄にというのは非常に難しいと思います。  しかし、思い切っていろいろな活動が沖縄で盛り上がってくるようにしていかなくちゃいけない。その一環としてノービザという御要望があるのは私どもよく承知しております。  委員も御指摘になりましたけれども、基本的に、やはり査証の制度なんというのは一つの国単位で考えるものでございますから、香港のように違った扱いを画然とするということでない限り、非常に難しいという点はございます。それからまた、不法就労だとか不法残留という問題も今非常に大きな問題になっているというのも御承知のとおりだと思います。  しかし、そういったものがあるけれども、やはり何とか、査証制度の現状というものが大きな壁になって、沖縄と近隣地域とのいろいろなビジネスの面での交流、あるいは観光の面での交流が大きく阻害されているとするならば、これは取り除かなくちゃいけない。極力その壁を、全廃はできないまでも極力低くしていこう、そういうことで鋭意努力しております。  委員も御指摘になりました中で、沖縄だけじゃなくて、日本全体についても低くしてもいいじゃないかと。そういった観点から、現にビジネスの関係の渡航について思い切った手続の緩和を、今おっしゃった国を対象にして考えてもおります。そしてまた、観光なんかにつきましても、いろいろ検討はし、できる限りの査計画での手続の簡素化は図っていく所存でございます。
  98. 前原誠司

    前原委員 ぜひ、今大臣が御答弁になりましたように、私も、なかなか沖縄だけというのはこの点については難しいと思っておりますので、日本全体でビザというものを、今の二つの国、地域に対して……(発言する者あり)そうですね。日本全体としてやっていただいて、あとは地域間の競争だというぐらいでとらえていただくようにお願いをしたいと思います。  大蔵大臣にお越しをいただいておりますので、今度は、関税の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  沖縄県から要望の出ているもう一つの問題について、いわゆる関税の自主決定権とか、あるいは選択制度、こういう問題が出ております。  実際問題、一つの国において二重関税という問題については、これはいかがなものだろうかという観点は確かにあろうかと思います。また、今までいろいろな検討をなされている中で、例えば、沖縄だけ低い関税率を適用した場合に、沖縄をトンネルとして安い製品が本土に流れて、そして迷惑する、ほかが困るというようなことで、なかなかそれについては難しいというような話があるやに聞いております。  しかし私は、沖縄県がトンネルになって、すべてのものがトンネルになるということは考えられませんし、キャパシティーの面からしても、とてもじゃないけれども無理だというふうに思うわけですね。ですから、ビザの問題よりも、むしろこっちは、一国二制度的なものを取り入れられる要素というのは十分あるんだろうと思うわけです。  ですから、品目を決める。これについては低率関税をやるとか、それで、ある程度それは低いものが流れるかもしれませんけれども、しかし、それが多量になって日本全体に及ぼすかどうかという問題については、私はキャパの問題からしてそんなに難しい問題ではないと思います。  また、もう一つは法人税の問題ですが、沖縄県の法人税率を低減するということも僕は可能だと思うんですね。ただし、実業をしてもらう。ペーパーカンパニーはだめですよ。ペーパーカンパニーをそこにつくって、タックスヘーブンという形でそこだけで法人税の軽減を図って、節税、脱税まがいのことをやることはだめですよということは、私はこれは一国二制でも、さっき前段で申し上げた安保の枠というものを日本全体で負担が今できない以上、沖縄に対してそういう特別措置というものを講じるということは、ほかの県から見ても私は説明のつく話じゃないかと思いますが、関税自主権、二重関税の問題と法人税率の軽減の問題について、御答弁をいただきたいと思います。
  99. 三塚博

    ○三塚国務大臣 前原委員にお答えをいたしますが、十二分に税制の基本を心得ておる上に立ちましての御質問でございます。  沖縄振興は、理屈抜きに日本人の心に残っておる大事なポイントだと思っております。そういう点で、観光沖縄でありましたり、独自の路線の地場産業をつくり上げる中で取り進むということについては、大いにこれに関与をし、推進をすることが大事だと思っております。  特に関税、低率関税、選択制の問題を言われました。関税は、御案内のとおり、国内産業の保護育成という観点がございます。それと、税の公正というのがやはり基本にまたございます。そういう点でなかなか難しい点はございます。  外国の例、どうかと思って調べてみました。本件について、自由貿易地域におきましてもそのような制度導入がないようであります。そういう中で、関税課税の選択制の導入という問題は、国内産業の影響等もございますから、関係各省またそれぞれの業界との検討、連携を深める中で真剣に検討していかなければならないことだと思っております。  いずれにいたしましても、沖縄政策協議会のもとで設けられましたプロジェクトチーム、沖縄と各省との協議であります。精力的に調査検討が進められておりますものですから、関税面などで私はどのような措置を講じていくか、または講じ得るかについては、この検討状況を踏まえながら、真剣に検討を進めてまいりたいと思います。  もう一点は、法人税の問題でございますが、沖縄県振興に効果のある措置として、法人税でどのような措置が考えられるかということを検討いたしておるところであります。本件も、沖縄と一緒になりまして取り組んでいく考えでございます。進出企業の法人税の負担を軽減し、かつ、法人税制になじむ租税特別措置を工夫してまいりたい、このように考えております。
  100. 前原誠司

    前原委員 時間が参りましたので、これで最後の質問にさせていただきますが、今土地を国に提供していただいているという方々の中には、返還をされて後、要は、跡地利用が決まるまでに随分長い間かかってしまって、基地として提供している間は政府協力をしていたのに、返還が決まつた、しかし長い間野ざらしにされて、長い期間になりますと二十年以上もそれがほったらかしになっていて、いわゆる地代というものが入らない、こういう問題があるわけですね。協力していただいていた人に、返還が決まった後にそういう不便を生じさせるというのは、私はいかがなものかと思うわけです。  軍転法で三年間というような取り決めがなされましたけれども、今申し上げましたように、三年間ではなかなか難しい問題もあります。したがって、私は、希望される方については、返還後も土地を買い上げるというシステムを国で何かやはりつくるべきではないかというような考えを持っております。  それについて国としてはどういう御所見をお持ちなのかということと、最後に総理に対して、いろいろな小さな問題点、大きな問題点もございますけれども、全体的な沖縄のことを考えていけば、あとはやはり少々のマイナスには目をつぶって政治決断をしていただくという時期に私は来ているのではないかと思いますけれども、それに対する総理の御決意を最後にお伺いしたいと思います。
  101. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 今議員の言われます公共用地の取得に要する土地開発基金というものは、沖縄県及び関係市町村において保有をしておるということを承知しております。  返還跡地を国が買い上げる制度をつくるべきではないかという御指摘でございますが、用地の確保の問題は、そもそもとのような規模、内容の跡地利用を考えるのか、また、そのための事業主体や事業手法はどのようなものになるのかといった問題と大変密接をしておりますので、それらに係る問題であると考えておりますが、開発庁といたしましては、返還跡地の有効利用については、現行制度を最大限に活用いたしましてその促進に努めてまいりたいと考えております。今後、沖縄開発庁を初め関係省庁、また、沖縄県が参加した沖縄政策協議会の基地跡地の利・転用プロジェクトチームにおきまして、米軍施設・区域返還跡地整備に関する制度、手法について検討していくこととなりますので、今後必要があればその中で検討をしていくのではないかと考えておる次第であります。  いずれにしましても、引き続き精力的に取り組んで、適宜適切に対応してまいりたいと考えております。
  102. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から求められました決断というのは、基地に関連する部分なのか、それとも振興策に関連……(前原委員「振興策です」と呼ぶ)私は、振興策に関連する部分について、何といいましてもやはり中長期的な視野に立った振興策を講じていく必要性がある、それはそのとおりに思います。だからこそまた、沖縄政策協議会に閣僚とともに知事にもお入りをいただいて御相談をしてまいりました。そして、例えば今県の方で規制緩和について検討委員会を設置される、そう伺っています。これが県の方でおまとめになり、知事さんから今度はその政策協議会に出てくれば、当然ながら検討していきたい、そういう思いも持ちながらこれからも努力をしていきたいと思います。
  103. 前原誠司

    前原委員 終わります。ありがとうございました。
  104. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて生方君、前原君の質疑は終了いたしました。  次に、東中光雄君。
  105. 東中光雄

    東中委員 きょう、いわゆる米軍用地特借法の改正案が閣議決定され、国会提出されました。この法案は、沖縄におけるあの軍用地使用収用委員会審理がどうも政府の思うようにいかぬということで、強制使用をする手続そのもの、ルールそのものを変えていくということをやっているんだ、私たちはそう思うのですが、憲法上の重要問題がいっぱいあるように思います。  それで、私はこの問題に限ってお伺いをしたいと思うのですが、最初に防衛施設庁長官にお伺いしたいのですが、軍用地特措法に基づいて防衛施設局長収用委員会裁決を申請するというのはどういうときにやるのか、そして、何のために特措法による収用委員会への裁決申請をやるのか、まずお聞きしたいと思います。
  106. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  駐留軍用地特別措置法というのは、駐留軍のために、私ども条約に基づいていわゆる施設・区域を提供するためにつくられた特別法でございまして、原則として、私ども、地主の方々とは賃貸借契約をすることにしております。どうしても賃貸借契約に応じていただけない場合に、土地収用法と同じような手続をとって駐留軍用地特別措置法に基づく使用もしくは収用をお願いする、こういう仕組みになっております。
  107. 東中光雄

    東中委員 地主が承諾、契約をしてくれないので強制使用をする、強制収用をするために収用委員会にそのことを裁決申請をする、こういうことですね。だから、それをしなければ、それで裁決が出なければ強制使用をする権原は生じないということになるんですね。
  108. 久間章生

    久間国務大臣 原則として、その裁決はあることになっております。例外的に却下することになっておりまして、事業認定は、その前に総理大臣の方で認定をしてもらいまして、その上で今言う収用委員会に出すわけでございますが、収用委員会の方は裁決をされる仕組みになっております。
  109. 東中光雄

    東中委員 そんなことにはなっておりません。土地収用法の四十七条で却下する場合がちゃんと書いてあります。「却下しなければならない。」とまで書いています。(久間国務大臣「例外的にね」と呼ぶ)あの四十七条の規定は「却下しなければならない。」と書いていますよ、法律に違反した場合。  それでお伺いするのですが、だからそういう裁決が出て収用される、そのために出すので、その裁決をもらわなければ使用できないんだから。ところが今度の法律は、その裁決が出なくても、裁決をお願いしますという申し立てを出しておるだけで、これは権限がなくなってきたら今度はこの法律の改正で暫定使用ということで使ってもいい、こういうようにしようというんでしょう。裁決申請をして収用委員会裁決をもらわなきゃいかぬのに、もらえないから、だから法律で使えるようにしよう。これは、手続の途中でルールを変えるということになるわけですよ。  そこで私は言うんです。それは暫定使用だ、こう言っておられるから、暫定使用というのは、暫定使用期限はどれくらいですか。
  110. 久間章生

    久間国務大臣 収用委員会に申請をしまして収用委員会裁決が出ない状態、そういうときに、権原が切れますと不安定な状態になりますから、その間を暫定使用という形で延ばそうというわけでございますから、明け渡し裁決が出まして、それに基づいて供託金を供託したときに初めて、それまでの間は暫定使用が可能だということになるわけでございます。
  111. 東中光雄

    東中委員 いや、私が聞いていることによく答えてください。  政府は今度の制度を暫定使用制度だと言う、括弧づきでそういう説明をしていますね。暫定使用をするんだと言うのだけれども暫定使用期間は、例えば沖縄が本土に復帰したとき、あのときは沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律、これは随分乱暴なもうむちゃくちゃな憲法違反の法律でした。米軍が占領していた部分をとにかく文句なしにそのままこの法律暫定使用するんだという、そのまま引き継いでいくということをやったわけですから、まあ憲法上は全く許されぬ法律をつくったのですが、その暫定使用法は当初五年ということにしましたね。今度の暫定使用期間というのは幾らですか。
  112. 久間章生

    久間国務大臣 そういうふうな明確な期間ではございませんで、本裁決が出るまでの間をとにかく暫定使用でつなぐということにしているわけでございますから、本裁決が何日かかるか。それはケースケースによって違うわけでございますから、何日というわけにはならないわけでございます。
  113. 東中光雄

    東中委員 裁決が出たらそれでいいんですか。(久間国務大臣「そうです」と呼ぶ)そうですが。あなた方の言っているのは、収用委員会裁決による使用権原取得するまでの間と言っていますね。そうじゃないですか。どうですか、大臣。だめだ。そういう問題じゃない。大臣答えなさいよ。
  114. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 ちょっと事務的な点でございますので。  今の権原の問題でございますが、暫定使用期間は、最終的に私ども収用委員会裁決がおりた後、裁決処分送達が行われまして、それからその後に私どもが補償金の支払いをいたします。その支払いを経て初めて使用権原というのが得られるわけでございますので、その間を一応暫定使用期間としてお認めいただきたいというのが法案の趣旨でございます。
  115. 東中光雄

    東中委員 だから、収用委員会裁決によって使用権原取得されるまでやというんです。却下されたら取得されへんですね。そういう場合はどうなるんですか。
  116. 久間章生

    久間国務大臣 却下されました場合には建設大臣審査請求をするわけでございます。そして、裁決審査請求をしまして裁決をもらいまして、そしてまた審理をしてもらうわけでございますね。その間は、だから暫定使用が続くわけでございます。要すれば、そのすべての本裁決手続が完了するまでの間を使用権原を暫定的にもらうということでございます。
  117. 東中光雄

    東中委員 そこに大きなごまかしがあるんですよ。というのは、裁決が出るまでというのは、裁決というものはあなた方は、使用権原を与えられる、要するに強制収用をするという、強制使用をするという裁決が出るまで、こう言っているんだ。ところが現実の、今沖縄でやっている状態を見ますと、これは後で申しますが、この権原が出なくなってくる。却下することがある。却下された場合、本当を言えば、使用したいんだという申し立てをして許可されたら初めて使用できるんだ。ところが、だめだと言っているのに、この法律をつくっておいて、収用委員会却下しているのにこの法律のおかげで権原がもうできてしまっているんだ、そういうことになるんです。  初めは権原をもらう必要があるから出した。裁決権原をもらわなかったら無権原になるからということで出した。それで、収用委員会がだめだということになったという場合は建設大臣に審査を請求をする。請求をした場合は、収用委員会裁決の意思とは違った結論施設庁は求めているから、要するに、だからそれが通るまでは異議申し立てをやって、建設大臣が取り消して、異議申し立てを認めてそれで原裁決を取り消して、それで再審査をやるということになったら、その間またやるわけよね。その間この法律使用してしまう。それで、またこの収用委員会が審査をやり直す。そこでまた、やはり考えてみたらこれは収用委員会としてはだめだと言って却下した。そうすると、また申し立てをするわけよね。そうすると、そういう場合は延々として続いていく。使用を認めるということを収用委員会が出さない限りぐるぐるぐるぐる回っていって、これは何年かかりますか。
  118. 久間章生

    久間国務大臣 いや、そうはならないわけでございまして、収用委員会がまず却下した場合に、それに対して起業者として審査請求をします。それに対してまず建設大臣が、それはそのとおりだということで却下をそのまま認めた場合はそれで終わるわけですから、暫定使用の形はないわけですね。  ところが、それを、審査のやり直しを命じた場合には、今度は行政庁としての上級行政庁でございますから、下級行政庁になる収用委員会はその理由と同じ理由却下することはできないわけでございますから、だから違う理由でまた出てくる場合がある。その場合は、確かに今委員がおっしゃるようなそういうケースでまた来ますけれども、そういうようなことでない限りは……(東中委員「いや、その場合を言っているんですよ」と呼ぶ)いや、ところが、そもそも却下というのは、先ほど委員も言われたように、例外的に法律に違反している、そういうケースしかないわけでございますけれども、しかし、そういうふうになった場合でも、ないことはないから、とにかくこの規定はやはり入れなきゃいけないということでいっているわけでございまして、今の土地収用の委員の先生方のああいった顔ぶれを見ているときに、そういうように法に違反するようなことをされるとは私どもは全く考えておりません。  ただ、法律をつくる場合には、どういう形があるか、そういうことを全部網羅してつくっているわけでございますから、その一部をとって堂々めぐりになるじゃないか、そういうような議論をされても大変困るわけでございます。
  119. 東中光雄

    東中委員 今防衛庁長官自身が言いましたよね、そうは普通はならないんだと。しかし、建設大臣というのはこの収用については何も、本来言えば、直接的ないわゆる不服審査の上級機関じゃないのです。上級機関じゃなくて、行政的に上になっておるだけですからね。この収用委員会というのは中立、独立機関ということになっているんですね。国の機関じゃないんですよ。そうでしょう。これは、そこのところをひとつはっきりしなきゃいかぬですよ。  日本収用委員会制度というのは、明治三十三年の旧収用委員会制度ですね、このときは明治憲法のときです。これは、主務大臣がいろいろ計画を立てて請求をする。どこへ請求するのかといったら、主務大臣の監督下にある地方長官及び高等文官でつくっておる収用審査会、ここへ裁決申請したんですよ。これはもう主務大臣の監督下にあるわけだから、それでそのまま、それこそ官憲的、そこから一方的な収用をやったわけです。これじゃ憲法上ぐあいが悪いぞということで昭和二十六年、日本国憲法のもとで、私有財産制を保障している憲法二十九条、そこから、そういう適正法理を決めておる憲法三十一条、こういった原則からこの制度ができた。  どういうことかといえば、収用する機関は国から独立した、地方議会の、府県の承認を得て知事が任命した独立機関としての収用委員会、これが適正な手続を経て、だから所有者の主張も国側の主張も聞き、それから調べもし、審査を適正にやってそして裁決をおろす、その裁決に従ってやるのだ、こういう制度ができたんですよ。これは憲法上の体系ですよ。日本国憲法の二十九条と三十一条のそういう体系ですよ。だから独立機関だ、中立公平だということは、だってずっと今までそう言ったでしょう。  そういう問題なんだから、ですからそれを、その独立したものを、あなた方はそこへ申請を出して、当事者でしょう、申請を出して、そこの裁定をもらわなきゃいかぬといって出して、もらえそうにないぞと、これは。現にこの間、緊急使用の裁定を楚辺通信所のところで出して却下されたじゃないですか。それが起こったから、このままでいったら却下されるかもしれぬというので、期限が五月十四日で来るから、だから今度は突つかい棒をやるのだ、こういうことになっておるんですよ。  そして、収用委員会が、何回も上から、却下してもその却下した収用委員会に対して審査請求をして建設大臣へ持っていく。建設大臣がその決定はだめだと言うたら、そうしたらやり直しせにゃいかぬ。やり直しして、収用をするという結論収用委員会が出せば、それならよろしい、こういうんですよ。収用するという結論を出さぬかったらまた審査請求をするぞ、そういうことになっているじゃないですか。  法律の仕組みがそうなっているから、だから、建設大臣があなた方の不服申し立て請求について それを認めないで、それ自体を却下してしもうたらそれは終わりだと書いていますよ。しかし、あなた方はその使用権原ができるまで、だから何としても、建設大臣がそんな反対のことをやるわけがないのです。やるのだったら総理大臣が罷免しますから、罷免する権限があるのやから。そういう仕組みになっているという、そこが問題なのですよ。これは完全に収用委員会制度そのものを否定してしまう、こういうことになるわけです。どうですか。
  120. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 ちょっと法律の制度の点について御説明したいと思いますが、収用委員会というのは、公共の利益の増進と私有財産との調整を図るという目的のために設けられておりまして、「この法律に基く権限を行うため、都道府県知事の所轄の下に、」収用委員会というのは収用法の五十一条に基づいて設けられております。それで、先生御指摘のように「独立してその職権を行う。」と書いてございますが、その中身は今申し上げました調整という範囲に限られるという、いわゆる機関委任事務の範囲がきちっと書いてございます。  したがいまして、こういう収用委員会の独立性というのは機関委任事務の範囲内における独立性でございまして、その範囲内で、先ほど大臣から申し上げましたいわゆる却下という規定も設けられておるところでございますが、その却下の点については現行の土地収用法にも既に規定がございまして、その現行の土地収用法規定を、私ども駐留軍用地特措法も同じように適用させていただいているわけでございます。  この現行のいわゆる審査請求部分は第百二十九条にございまして、「収用委員会裁決に不服がある者は、建設大臣に対して審査請求をすることができる。」という趣旨の規定が百二十九条に書いてございます。この規定を私どもは現在の駐留軍用地特措法でも適用させていただいて、既に現在の制度の中でそういう仕組みがあるということを先ほど来大臣は御説明しておるところでございます。  それから、この限りにおいては審査権は建設大臣にございますので、機関委任事務という行政府の中の権限の範囲内で、一応審査権を建設大臣が持っております。したがいまして、収用委員会却下という裁決について、その内容について審査して、内容が不適当な場合あるいは無効な場合、そういういろいろな判断をして、収用委員会にその裁決の取り消しを命ずる場合もございます。あるいは、そのまま確定する場合もあるということでございます。
  121. 東中光雄

    東中委員 そういう制度だから、今言うた制度だから、収用委員会却下裁決をしても、建設大臣へ持っていって裁決を取り消す。収用委員会は、その取り消しに従って今度は収用するための再審査をやる。再審査をやった場合でもこれは却下、取り消しをした理由と違う理由の場合、さっき大臣言いましたね、そういう場合でまた却下するということがあるかもしれない。ないとは言わない……(久間国務大臣「そう、そう」と呼ぶ)そうでしょう。あるでしょう。そうして、また却下したらまた上へ上がっていくわけですよね。それで、上へ上がっていってそうだということになったら、それならもう却下されてしまうわけです。  ところが、建設大臣というのは国の、それこそ総理大臣の指名下にあるのだから、これは首切ることができるのです、違うことをやるのだったら。そういうことで、制度としてあなた方の今説明したとおりで言えば、それを幾らでもやっていく。何年かかるやわからぬということになっても、なおそれはこの暫定ということで何年でもずっと続いていけるということになる。だから問題だ。  それで、私、もう一つ申し上げたいのは、それは、暫定使用権原をこの法律で与えるのだけれども、要件は何かといったら、権原をいただきたいという裁決申請をやったということだけでしょう。だから、施設局が言うたとおりに出ればいいし、出なかったら言うたとおりに出るまでの間はこの暫定使用ということでずっと使用していく、こういうことになるから、これは戦前のやっと同じことになってしまうということを言っているのです。  それで、私、違うと言うのは、収用委員会の審査というものについてどういうふうに見るのか、適正な審査ということですよ。これが今沖縄でやられています。  このことについて、去年の八月に最高裁の大法廷の判決があります。皆さん御承知の、あの例の職務執行命令についての最高裁大法廷の判決です。この中で、特別措置法によって沖縄において土地収用をやっていくということについて、それは憲法違反だといういろいろな論点での主張がありました。それに対して、最高裁の大法廷は憲法違反ではないという判決をしたのですけれども、その判決の理由の中でどう言っているかといいますと、ここが非常に重要なのです。  これは、去年の八月二十八日の職務執行命令訴訟についての最高裁の大法廷判決です。駐留軍用地特別措置法による土地等の使用、収用の認定に当たっては、「駐留軍による当該土地等の必要性の有無、程度」だから、米軍がそこを使う必要性があるのかないのか、あるとしたらどういう程度にあるのか、そこから「当該土地等を駐留軍の用に供することによってその所有者や周辺地域の住民などにもたらされる負担や被害の程度、代替すべき土地等の提供可能性等諸般の事情を総合考慮して」、そして判断するのだということを言っているのです。これは最高裁の大法廷の判例ですよ。そして、補足意見で「ただ行政的外交的配慮のみによってなされるものではなく、個々の土地使用認定については、」特措法三条の「「適正かつ合理的」の要件を充足すること」が必要である、こう言っているのです。  だから、収用委員会は、米軍の嘉手納の基地なら嘉手納の基地を使う必要性の有無、それからその程度、それから所有者のあるいは周辺世帯がどんなに損害を受けているかということを調べて、その上で総合的に判断をするのだと最高裁が書いているのです。そういう審理を今やっているのですよ、収用委員会は。  収用委員会は、事業認定についてのことも当然審理の対象になります。ところが、そういうことでやっているのに、国側は、そぐわないとか言ってまともに答えようとしない。大法廷で、あなた方が盛んに引用するところで言っていることを、実際にはやっていないのです。だから長引いているのです。それで、この審理をやっていけば、これは却下ということになる可能性が極めて多いのです。だからこそ、あなた方は、これでは困ると。五月十五日までに間に合わぬ、だからこの法律をつくるのだと。  これは体制について、それはもう間違っている、こういう憲法体系にですね、憲法二十九条の。公共の利益のために、それから個人の財産権を侵害しない、その調整、それから適法手続、この点からいって、それを侵害することになってしまう。だからこれは許されないと私は思います。  総理、こういう法律、やめるべきだ。
  122. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 ちょっと事実関係を御説明いたしますと、先生今お触れになったのは、いわゆる認定の部分だと思います。  認定そのものについては、内閣総理大臣が、既にこの土地は駐留軍のために提供すべき必要な土地であるということを認定するのがこの行為でございまして、その認定のことについて昨年八月二十八日に最高裁判所の判例が出ておるところでございまして、これはちょっとその部分、一部読ませていただきますと、「使用認定に何らかの瑕疵があったとしても、その瑕疵が使用認定を当然に無効とするようなものでない限り、これが別途取り消されるまでは、何人も、使用認定の有効を前提として、これに引き続く一連の手続を構成する事務を執行すべきものである。」ということで、昨年の楚辺に関する認定の取り消しの訴えに対して、この認定そのものは有効であって、取り消されるまではそれに従って裁決申請を受け付けて審理を続けるべきであるというのが最高裁判所の判決であるというふうに私ども承知しております。
  123. 東中光雄

    東中委員 その判決はそうなんですよ。ところが、私の言っているのは、特措法による沖縄での収用については、それは憲法条文はいろいろ挙げていますが、違法だということ、違憲だという主張に対する判断として、今言ったことが書かれているのです。  だから、そういうことが全然明らかにされてないでしょう。そういうことを全然明らかにしないで、主張さえしないで、そして、使用期限が来るから、だからそれじゃ困るからといってこういうぐるぐる回りをしておれば、いつまでも、暫定使用というけれども暫定使用期間は一じゃ、暫定使用期間についての最大限、規制がありますか。全然規制がないのでしょう。
  124. 久間章生

    久間国務大臣 先ほどから何度も申しておりますとおり、上級行政庁になりますと、建設大臣がその裁決をしましたときにはそれに下級庁は縛られるわけでございますから、同じ理由では却下できないわけでございます。しかも、却下できる場合は非常に限定されて、違法性があったときに限られておるわけでございますから、そんなに理由を幾つもつけてぐるぐる回しに回すなんということは考えられないわけでございますから、そういうあり得ないような、そういう状況でぐるぐるぐるぐる未来永劫に回るみたいな、そういう前提に立って今度の法律ができているんだという、そういう言い方は当を得ていないのじゃないかというように思います。  だから、これは、とにかく本裁決がなされるまでの間、不安定な状態をそのまま続けるわけにはまいらないということでつくっているわけでございますから、どうかひとつそういう点を素直に受け取っていただきたいと思います。
  125. 東中光雄

    東中委員 全然言ってることが、あなた方は手続的に認めながら、審査請求したら却下することもあるし、却下しないで認容して差し戻すことがある、差し戻したらまたやることだって理論的にあり得るわけだから、それはそこから裁決結論が出るのに三年かかるやら五年かかるやら、建設大臣でずっと抱いておったら、その期間中は、これは結論が出ないです。だから、成田の収用委員会が全然機能しなかった……
  126. 深谷隆司

    深谷委員長 東中君に申し上げます。  時間を経過しておりますので、御協力ください。
  127. 東中光雄

    東中委員 はい。そういうことで、暫定使用と言いながら、その期限を明らかにしないままで半永続的な使用になるということで、反対であります。
  128. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて東中君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  129. 上原康助

    ○上原委員 橋本総理並びに稲垣国務大臣、昨日は沖縄へ行き、大変御苦労さまでした。屋良元行政主席、初代知事の県民葬に御参加をしたことにお礼を申し上げたいと存じます。  私は、社民党の立場から、限られた時間ですが、できるだけ議論がかみ合うというか、問題点をより明らかにして、ぜひ政府の方にも基地の整理縮小を初め重要課題をもっと積極的に進めていただきたい、そういう期待を込めて、まず、基地の整理縮小問題で、同じことを何度かお尋ねするようで恐縮なんですが、やはり入り口から少しというか、かなり認識の隔たりがある気がしてなりません。それは、よく、沖縄に過大な犠牲と負担をかけているからそれを軽減していきましようと皆さんおっしゃる、そのとおりだと思うのですね。過大な負担と犠牲を軽くしていくには、やはり沖縄にある米軍基地の量やあるいは質という面も減らしてもらわないと、これは可能性は出てこないわけですね。  そういう意味で、SACOの合意事項等もあるわけですが、残念ながら、総理、普天間移転の問題、もう合意してから一年近くなりますね。あるいは、那覇軍港に至っては、昭和四十九年に日米協議委員会で合意をして、いまだになされない。読谷のパラシュート降下訓練の問題、問題の象のおりの移転等々、私は考えるだけでもなかなかこれは進んでいかないんじゃないかと思うんですね、残念ながら今の状況では。  確かに、今すぐ日米間で新たにやり直しなさいということは無理なお願いかもしれません。だが、その基本をもう一度政府全体として、私ども努力いたしますけれども、やっていただかないと、沖縄基地の整理縮小ということは、いろいろな話は出たけれども、結果としては五年たち十年たち、さほど成果を得られなかったということになりはしないのか。そういうことについて、総理の御心境を含めて、今私が指摘をいたしましたことに対して、今後どのような御決意でなさっていかれるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  130. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員とは、しばしばこの問題で、この委員会の場だけでなく、私的な部分でもわざわざ時間をとっていただき、議論に応じていただいたこともあります。残念ながら、この点でなかなか意見の一致を見ることはできません。  その上で、私は本当に逆に力をかしていただきたいという気持ちがいたしますのは、今、一たん方針が出ましてからなかなか実現をしない例としての那覇軍港の問題を例示に出されました。これは私も経緯を存じております。しかし、私は、那覇軍港の移転が、移転ということで一つめ方向が出、それが移転先の地域の御協力が得られないためにとまっている、これは実は経済的に、あるいは地域の発展のために非常に影響を及ぼすということはありますけれども、これは直ちに人命の危険を覚悟しなければならないという普天間の場合とはちょっと違うと思うんです。  私は、去年、総理に就任いたしました後、初めて総理という立場で大田知事にお目にかかりましたときに、一番印象に残ったのは、町の真ん中にある、子供たちがしょっちゅう学校に行く、そのど真ん中にある普天間、もし事故が起きたときという、ある意味では大変重い知事のお話でありました。  当時、その普天間という名前を出すことすら本当にできるんだろうかと疑っておられた方々がたくさんおられました。そして、私は全く自信はありませんでした。しかし、これだけ皆さんの中で声がある。自信のないままに私はサンタモニカで初めてのクリントン大統領との会談でこの問題を出しました。私は、アメリカも真剣にこの問題を考えてくれたと思います。そして、それが海上移転、そして、未来永劫に固定してつくり上げるのではない、いっか、必要のないとき解体も可能だ、どけてしまうことも可能だ、そんな工法を模索しようという結論になりました。県内に大変いろいろな声があることも承知しています。しかし、今実現する可能性のあるものとして、我々なりに必死に考えたのです。私は、人命にかかわりそうなという話は、他の話より本当に優先させていただきたい、そのための、せめて調査の御協力くらいは地元にも助けていただきたい。この場をかりて、私は本気で訴えます。
  131. 上原康助

    ○上原委員 確かに、普天間基地の位置というのは、申し上げるまでもなく、宜野湾市のど真ん中にあります。万一の場合を考えたら、これはどなたも、何とかしなければいかないという気持ちにおいては変わらないと思いますね。総理のその決意と、また、協力してもらいたいということに対しても、私は、力はありませんけれども沖縄選出の議員としても、一国会議員としても、できるだけ基地の整理縮小が具体化していくように努力をしていきたい、こう思ってお尋ねもしているわけです。  そこで、これは私の持論でもある、沖縄県民の要望というか、強い要求と見ていいと思うのですが、やはり、県内だけで条件をつけて基地の整理縮小を図るということに限界があるということを、政府はぜひもう一遍御検討を願いたい。これはまた、各党にも私はそのことを強く訴えたいわけですね。本当に沖縄の痛みをわかってくださるというなら、日本の安保体制というものを一体国民全体でどう分かち合うかということをもう少し真剣に議論しないと、この問題は解決しません。その点を申し上げておきます。  そこで、けさほどからいろいろ出ましたSACO合意については、私は近い将来再検討を余儀なくされると思いますので、そのことをぜひ御留意を願いたい。そしてもう一点、海兵隊の縮減問題については各党お触れになっておられます。これも、これだけ議論が出たというのは、一定の前進と見てもいいでしょう。アメリカの国防総省だって、国会における議論を全く聞いていないとは言えぬと思うのですね。そういう面で、確かに、北東アジアの微妙な状況から、今すぐということには、一定の説得性もあるかもしれませんが、やはり計画的、段階的にどう縮減を図っていくか、減らすことができるのかどうか。むしろ、今は新兵の演習場になっているのですよ、沖縄の海兵隊基地というのは。本当の前方展開という位置づけには私は疑わしいものがあると思う。  そういう意味で、総理、くどいようですが、海兵隊の計画的、段階的縮小問題、これは全面撤去とは今は言いません、やはり時期を見て、アメリカ側と緊密に協議をするということをちゃんと日米共同宣言で書いてあるわけですから、これはやはり日本側の方からも、誠実に履行するような努力をしていただきたい。そのことについて、総理の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  132. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これもたびたびお答えをしてまいりましたけれども、私は、現時点、海兵隊の撤去等を求めるつもりはない、議題に供する気はないということは申し上げてまいりました。しかし、同時に、日米安保共同宣言の中に明記をいたしておりますとおり、国際情勢の変化いたします中で、この地域の状況も当然ながら変化をいたします。そうした中において、アメリカとの間に兵力構成等を含めて議論をしていく、そうしたことをしないということを申し上げたことはないつもりです。そして同時に、それ以上に、この地域における安全保障体制がより前進をするような外交努力もあわせてしていく、そうした中でおのずから情勢は変化し、その中においてこの構成も変えていく、変わっていく、そうした努力もあわせてしていくと申し上げてきていることを改めて申し上げます。
  133. 上原康助

    ○上原委員 やはり非常に慎重な御答弁ですが、そうならざるを得ないのかなと理解もいたしますが、重ねて強調しておきますが、海兵隊の計画的、段階的というか、縮小問題については、私は、避けて通れない、このことを強く求めておきたいし、私たちもそういう立場で努力をしていきたいと思います。一説には、普天間問題、先ほど総理御自身の言葉で語っていただきましたが、今度の、この月末予定されているクリントン会談で、あるいはまた、総理は、以上の決意で、何か海兵隊問題でやっていただくんじゃないかという期待感があるということも、ぜひひとつ、沖縄県民だけじゃなくして、多くの国民が注目をしているという点を御理解を願いたいと存じます。  次に、時間が限られますので、特借法問題について一言二言触れておきたいと思います。  この件については、まだ社民党は、目下党内でもいろいろ、また、与党の六者会議あるいは与党沖縄問題懇談会等でも、私もその末席を汚していますが、いろいろ意見交換をしておりますので、確たることはきょうの段階では申し上げられません。  ただ、私の理解は、先ほど来議論がありますように、九五年三月三日からこの五月十四日に期限切れになるであろう土地については、継続して使用したいという、政府はそういう御方針努力をなさってきた。何か村山内閣だったからこれができなかったという強い御指摘や批判もあるが、私はそう思いません。村山首相を初め橋本総理も、沖縄県民気持ちを体して、沖縄大田知事との対話というものを大事にしたいということで大変な努力をしてきたということを、私は強くここで国民に、あるいは沖縄県民にも申し上げておきたいと思うのですね。  そういう前提に立って、さまざまな不幸な事件や、いろいろな法廷闘争等も重なって、結局時間切れになりそうだということで、しからばどうするかということだと思うのですね。確かに、沖縄の皆さんなり私の気持ちとしても、それをよしとする立場には今ありません。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕 きょうの法案国会提出をしたということに対しての大田知事のコメントも私は拝見をいたしました。やはり、県としては賛成しかねる、こう強くおっしゃっておられます。だが、一方、政府、行政を執行する側から、この法的空白期間のままでいいのかとなると、ここにもひっかかりがあることは、これは常識の範囲なら理解ができないことではない。こういう立場を、どう政党や政治家が判断するかということがあると思います。  もう一つは、民主主義社会ですから、いろいろな運動やあるいは抵抗闘争があっていいと思うのです。また、少数の意見も私は大切にすべきだと思う。政治の場においても、特に、私有財産を国のためなり、あるいは公共の用に供する場合は尊重すべきだと思うのです。  同時に、軍用地主が三万二千六百二十五人おって、多くの、二万九千五百四十四人が賃貸借契約を結んでおるという現実、こういうことと、あくまで自分の土地は戦争のためには使わさない、軍用地にはさせない、生産の場に変えていくという信念に燃えてやっている人々の立場ということもわからないわけではありませんけれども、こういった軍用地主の構成、分布がどうなっているかということも総合判断した上で基地問題というものの複雑性、多様性ということを考えないと、私は沖縄基地問題というのは容易に整理縮小、そしてその跡地を、跡地を効果的に利用していくためには細切れ返還ではいかないわけですから、そういう面で、この法律のあり方というもの、これからの基地整理縮小問題との関連でどうするかということを考えねばならない一側面ではなかろうかと私個人は認識をしている、今の立場であります。  細かいことは省きますが、今私が指摘したことについて、総理なりあるいは防衛庁長官から御意見があれば承っておきたいと思います。
  134. 久間章生

    久間国務大臣 いや、今委員がおっしゃられたのは、全くそのとおりでございます。私どもも、基地の問題については何とかこれを縮小しなければならない、そういう気持ちでございますが、それと同時に、やはり法的な空白を設けちゃいけない。そのためには、いろいろな法律の手だてもできるかもしれませんけれども、その中で、しかし最小限の形で今やらせていただくということでやっているわけでございます。  そして、今言われた数字その他土地の所有の形態の問題、それについても全く委員のおっしゃるとおりでございます。
  135. 上原康助

    ○上原委員 さりとて、法案には、先ほど来いろいろ指摘がありましたように問題点があります。  そこで、このことについてはきょう多くは申し上げませんが、総理から、前原委員の御質問へのお答えだったかと思うのですが、私はやはり衆参でこの法案審議というのは大変白熱した論議が展開されていくと思うのですね。そういう面で、一つは、特措法改正というものは、時限立法的性格というものをどう考えるかというのも一つの方法ではないかと思うのですね。これは問題提起として申し上げておきます。  さらに、先ほど来議論がありますように、改正法案附則の二項の「経過措置」について、これはどうも防衛庁長官の答弁聞いても、それは非常にレアケースだ、ないであろうが、まあ法律だから規定をしておかなければいかないというようなことをおっしゃっておるのですが、果たしてそこまで厳しくというか、水も漏らさないようなことをやって、収用委員会の権限制約じゃないのか、事実上の任務取り上げじゃないかという批判を受けるようなことでいいのかどうかという問題があると思うのですね。  もう一つは、却下裁決があったときを想定して条文を規定をしているということ。さらに、遡及適用というような法律のあり方というものが、果たしてこの種の非常に賛否両論の強い法案にとって必要かどうかということは、十分お考えになった方がいいと私は今の段階で思っているのですが、その点、何かありましたらお聞かせください。
  136. 久間章生

    久間国務大臣 この遡及適用という問題につきましては、これは遡及適用するわけじゃございませんで、法律の施行後に、その時点から、この場合で言いますと、担保を提供してその時点から暫定使用が始まるわけでございますので、不遡及の原則は貫いておるわけでございます。  それと、今さっきも議論がありましたけれども却下の場合、これは法律却下ができる場合は非常に限られておるわけでございますけれども、法文上ちゃんと、却下する場合がそういう例外であってもあり得るということになっておりますと、それについてやはりきちっと手当てをしておかなければならないということで書いておるわけでございまして、それが非常に誤解を呼んでいるんじゃないかということになりますと非常に残念でございますが、やはり法律をつくる以上はそういうことはしなければならない。  それともう一つ、時限立法の話がございましたけれども、実は、これは沖縄だけじゃなくて全日本国土に適用される法律でございまして、来年あるいは再来年、そういったところで今契約をしている期限が切れるものが来るわけでございまして、そういうときに、この沖縄の場合は例えば五年だからということで五年の立法にいたしますと、そういった方々の、途中で法律が切れるということになります。そういうときに、沖縄と似たような形でたくさんの方々がこれから先所有者になられるようなケースが出てきたときに、この法律が適用できないことになりますと大変困りまして、そういう場合にやはり空白ができる場合もあり得るわけでございますので、そういう点で、やはりこういう形で一般法として出させていただいたわけでございます。
  137. 上原康助

    ○上原委員 明日からになるのか来週になるのかわかりませんが、法案国会で具体的に審議をされる過程においては、そのほかにもいろいろあると思うのですが、私が今指摘をしたことは、各党ともそれは関心のあるポイントかと思いますので、ぜひ御留意をしておいていただきたいと思います。  あと、時間がありませんので、振興策について一言二言、せっかく大蔵大臣もおいででありますので。  先ほど来、基地問題と振興策は別という総理や皆さんの御答弁ですが、私も基本的にはそうだと思うのですね。  ただ、これはもう申し上げるまでもなく、沖縄県が策定をしております基地返還アクションプログラムにしても、あるいは国際都市形成にしましても、総理沖縄県民に約束しておられる五つの項目にしても、米軍基地の整理縮小を図らずして、実現せずして、この振興策はあり得ないんですね。そういう意味では、政治的に絡むとか絡まさぬとかいう条件闘争はもちろん私たちもやりません。だが、これはある面では一体のものなんですね。私はそういうふうに思うのです。  そこで、この米軍基地の大幅縮小がないと国際都市形成構想ももちろんできないわけで、そういうことについては私はもう議論の段階ではないと思うのですよ。少しスケールの大きい思い切った振興策というものを打ち出すべきだ。きょう法律を、ああいう沖縄側が非常に不満を持っている法律国会に御提出をせざるを得ないというなら、例えば一国二制度的特別区というのか、そういうものとか振興策についてはこうしたいということを、もう一度私は総理や官房長官からおっしゃっていただきたかった。  この点についてはどうお考えですか、今私が申し上げたこと。
  138. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今述べられたような御意見議員が述べられるから許されるので、我々が言ったら、金で基地を買うのかという批判を必ず呼ぶ話、今まで実はそうでした。そして、私は、あえてこれをできるだけ絡まさないように絡まさないように申し上げてまいりました。  たまたま先日の共同記者会見のときにも、岩国への移転の話をいたしました瞬間に、そのかわりの岩国へのお土産は何だという趣旨の質問が出まして、これはちょっと待ってくれと言って、私はそこでも話したのです。ですから、私は、議員が言われるその言葉に乗って、私なりに答えさせていただきます。  そして、私ども、今、内閣官房長官関係大臣と知事で構成する沖縄政策協議会を設置して具体的に議論していただいていることは御承知のとおりですが、その中から、小さいかもしれませんけれども、既に、大学生の留学制度、あるいは同時通訳の養成制度の実現など、幾つかのものは動き始めました。  また、全く別に、これは内航海運の方々が、自分たちもリストラに苦しみながらの状況を抱えている業界ですが、県内の雇用情勢を聞いて、船員学校の新しい卒業生を全部内航海運で引き受けると言ってくれて、現にその方向で動いてくれている。私、本当にこれは、痛みを分かち合うという一つのあらわれとして感謝をいたしております。  これから先、先ほど申し上げましたように、県で、例えば規制緩和の検討会をおつくりになりました、当然ながらこの議論というものは、知事さんが政策協議会の場に持ってこられるだろうと思います。我々は、こうした一つ一つのテーマを誠実に実行していきますし、県と十分御相談をしながら、県勢振興のための努力は続けてまいります。
  139. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ推進をしていただきたいと思います。  私は、言葉のあやの問題でないと思うのです、ちょっと言葉を返すようで申しわけありませんが。誠意の問題です。誠意を持って対処し、具体的に可能性のあるものを一つ一つ実行、実現をすれば、沖縄側の理解協力なり、政府や本土に対する不信感というものが、私は次第に弱く、薄くなっていくと思うのです。  そういう意味で、大蔵大臣もおいででありますので、私は、やはりこれは沖縄側も考えないといかないことは、国際都市とかあるいは自由貿易港とかいろいろな経済特区をつくれば、さっき総理もおっしゃっておられましたように、地場産業へのしわ寄せ、影響もあるでしょう。また、いろいろなデメリットもないとは言えない。それを克服していく意欲とあれがないといかない面もあると思うのです。そういう面で、税制問題等ありましたが、やはり自由貿易港の設置と経済特区というものは、沖縄振興にとってはやっていただかないといかない最重要課題だと思います。  こういう点について、税制面等を含めて、大蔵大臣の御決意といいますか、御所見もお聞かせを願いたいと思います。
  140. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ただいま来の論戦をお聞きしておりました。同時に、予算委員会総括における上原議員の熱い郷土への愛情、これも承らせていただきました。内閣において、もちろん総理もその熱い思いがあり、官房長官、時折、蓬莱経済圏というネーミングの中で、自由港あるいは経済特区の話をいたしております。稲垣長官はまさに沖縄県民の産業振興、レベルアップ、インフラの整備、これに全力を尽くしておりますことは御案内のとおりであります。各閣僚一体となって、この問題にどう対応するかということであります。  私とすれば、ただいま御指摘の自由港としての位置づけはどうできるのか、経済特区とイコールであろうと思うのでありますが、これのあり方はどうするのか、帰するところは関税及びその他の税制、こういうことになることは間違いありません。一国二制度の論議はこちらに置いて、何ができるか、何をなし得るかという時点に来ておる、こう思っております。  沖縄県におきましても、検討委員会、協議会が持たれておると承っておるわけでございますから、正式に自由港及び特区についての御提言がありますなら、真摯に受けとめます。そして、あらゆる観点から、この問題を税制全体の中でなおかつ有効な措置としてやり得るか、結局、租税特別措置法ということになろうかと思いますけれども、全力を尽くしてまいりたいと思います。
  141. 上原康助

    ○上原委員 時間ですから終わりますが、きょうは、外務大臣、稲垣長官、大変失礼いたしました。また、総理もぜひ、きょう私が申し上げたことについて、大変御苦労も多くて難しい課題だとは思うのですが、沖縄県民の期待にこたえていただくように強く御要望を申し上げて、終わりたいと思います。
  142. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて上原君の質疑は終了いたしました。  次に、岩國哲人君。
  143. 岩國哲人

    ○岩國委員 安全保障及び基地問題の質問に先立ちまして、太陽党といたしましては、今回のこのような事態を招いたことは、自社さ連立政権維持を優先してあいまいな対応を続け、法律上の手続の遅延を来し、また、土地所有者に対する説得を怠ったことによるものであって、政府の政治責任を明確にしていただきたいという認識を持っておることをまずお話ししたいと思います。  次に、質問に入らせていただきます。  日米安保は、日本の発展に対し、特に経済発展に対し、一定の役割を果たしたということは我々も十分認識しております。  しかしながら、一方では、他国に防衛を依存する国、そして経済発展だけに集中する国、そのような面から、顔が見えないという批判を招いたことも事実でありますし、また、国内にあっては、防衛を他国に任せ、そして防衛そのものについて自分の頭で考えようとしないという、そのような政治であるという批判を招いたことも事実であろうかと思います。  また、国民の間にも、残念なことでありますけれども、空気と安全はただで手に入るといったような風潮を生じたことも事実であろうかと思います。そのような一面はありながらも、日米安保は国の存立の基盤であるという認識は、橋本総理においても、これはたびたび強調されておられます。  であるならば、この〇・六%という小さな国土に七五%もの戦力が集中しておる。この一極集中ぶりについて、総理はどのようにお考えなのか。  とりわけ、総理も首都機能移転ということについて非常に真剣に取り組んでおられます。この首都機能移転の大きな理由として、災害時における危機管理体制、そのような対応が必要であることが理由として取り上げられ、膨大なお金を使ってこのような首都機能移転が今進められようとしております。  来年秋には移転先の決定を見よう、このような速さ、そして財政に大きな負担をかけてまで強行されようとする首都機能移転と、もう一つは、次元は違うかもしれませんけれども、このような我が国安全保障体制における大きな一極集中を現に招いておるということに対して、万一そうした沖縄を中心とした災害が生じた場合に、我が国安全保障体制の危機管理はどのようになっているのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  144. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変いつもながらにユニークな切り口の御質問をいただきました。そして、私は、この東京という都市に潤いとゆとりを取り戻すために、抱えております機能の一部を移しかえるべきであるという長い議論の中から、国会等移転調査会の設置を決められ、その答申が出てきたプロセスというものを議員にぜひ振り返っていただきたいと存じます。  そして、それは防災あるいは過密といった問題に対する答えであるとともに、東京という都市に潤いのある町を取り戻そうとする論議の一つの方向でありました。阪神・淡路大震災の後、これに特に機能が分散していく、それが安全という視点からも大切だということで大変な議論がございました。そして、国会が通されました法律によりつくられ、国会によって御承認をいただいた手順で、一方で作業が進みます。これから先、これがどう動いていくのか、今、私には確たることは申し上げられませんが、それなりの結論を真剣に御検討いただいておると思います。  同時に、先ほど来、議論がさまざまな角度からなされておりましたように、殊に党派を超えて、沖縄県出身の議員の方々から、沖縄戦の悲惨な体験から、占領下、さらに日本の独立の後も、施政権がアメリカ側の管轄下に残された状況の中でできてきた基地の歴史を語られました。そして、その話られたこと自身が、現在沖縄県に七五%の基地が集中しているその重みを示しております。  そして、私は、議員が述べられましたような視点から、例えば災害等で米軍が全滅しちゃったらというような発想を持ってこの問題は考えてはみませんでした。それは、米軍関係者にそれだけの被害が出るときは、沖縄県民はよりひどい被害を受けるときでありましょう。  台風常襲地帯の真つただ中に位置する沖縄県、防災等において、当然ながら今までもさまざまな努力が積み重ねられてまいりました。そして、そうした安全を守ることも国の、我々の役割だと存じますが、私は、今議員が御指摘になりましたような沖縄県全体が災害によって大被害を受けるような事態を想定したくはございません。
  145. 岩國哲人

    ○岩國委員 そうした戦力の一極集中に伴って我が国全体の安全保障体制に大きな危険が生じる、それを私はお伺いしたがったわけです。その点について十分な御答弁をいただけなくて残念でしたけれども、そうした沖縄における地域的な限定された防災体制のためには、戦力があるということは、総理のおっしゃるように決してマイナスではないと私は思います。  しかし、沖縄の戦力は日本全体のためのものであるとするならば、こうした首都機能移転、経済力が集中している東京の機能を分散させることが必要である、同じような発想は、私はこの安全保障体制についても必要ではないかというふうに思います。  沖縄県議会は、今回の特措法の改正に反対する決議を行っております。その中で、米軍基地をさらに固定化するものにほかならず、基地の整理縮小を求める県民の要求に逆行するものである、さらに、沖縄県のみに適用される実質的に差別的な立法であることから、断じて容認できない、このような県民の声を代表する県議会の決議を、もっと我々国会も重く受けとめることが必要ではないかと思います。さらに、沖縄県の中に、今度の改正に賛成する市町村長は一人もいないという事実も重く受けとめるべきではないでしょうか。  こうした沖縄基地の整理縮小という要望に対して、もっと具体的な方針を示す時期が私はやってきたと思います。  例えば、新防衛大綱によりますと、現役だけで三万五千人の縮小が計画に出ております。総兵力としては十八万人を十六万人に削減する。そして、それは総兵力でありますけれども、現役兵力として見ますと、三万五千人の削減が既に計画としてうたわれております。なぜ、そのような世界的緊張緩和の中にこれだけの自衛隊の戦力削減を行おうとしている国が、外国の軍隊の削減を求めることができないのでしょうか。沖縄のそうした総兵力というものについて一極集中を是正する好機は、この防衛計画の改定がなされたときに、同時にそのような要求をすべきではなかったかと思います。  沖縄にある海兵隊は日本の国を守るためのものでしょうか。現にアメリカの国防省の次官は、沖縄の海兵隊は日本を守るためのものではないと、はっきりアメリカの議会で証言しているではありませんか。この点、防衛庁長官としてはどのようにお考えなのか。あちらの考えが、そのように日本を守るためのものではないとはっきり言っている以上、こちらの相手方の防衛庁長官としても同じ認識を持っていらっしゃるのかどうか。  そうした日本を守るためのものではないという発言に対して、防衛庁長官の見解をお願いしま す。
  146. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お尋ねは防衛庁長官ということでございましたが、米軍の目的なり役割なりの問題でございますので、私の方から御答弁させていただきます。  御承知のとおり、米国は、日米安保条約に基づきまして我が国の安全を守る、そういった役割を引き受けてくれております。また同時に、同じ条約に基づきまして極東地域の平和を維持していく、こういった役割を担う。そのような米国の責務、条約上の責任を果たしていくという、そのために米軍としていろいろなことをやってまいりますけれども、その中心的な体制というのが駐日米軍、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、現在日本に駐留いたします米軍は、沖縄にございます海兵隊も含めまして、今申しましたような日米安保条約上の責任を米国として果たしていく、そのことを目的にしておるわけでございます。  しかし、当然のことでございますけれども、この条約に基づいて提供される施設・区域を用いて活動いたします米軍が世界中のいろいろなところを移動する、これは米国の運用上の問題でございまして、移動があるということは条約と何ら矛盾するものではないということは、かねてからたびたび申し上げているところでございます。  それと同時に、そもそも今のような国際情勢の中で、我が国にこういった米軍が存在するということ自体がこの地域の大きな安定要因であって、これは抑止力というものを含めましてそういう点もございます。  したがいまして、米国の国防当局の責任ある地位にある方が米国の議会で証言されたという点でございますが、その発言の詳細を私は今承知しておりませんけれども、当然根底には今御答弁申し上げましたことがありまして、それを前提とした上で、在日米軍が果たしている役割なり、あるいはここに駐留することによってもたらしている効果なりということをいろいろ証言した。その中で、例えば日本の安全のためだけではなくて、ほかのところにも効果があるのだというようなことを言ったということは十分あり得るし、それは間違っていないと思います。
  147. 岩國哲人

    ○岩國委員 それでは、八二年のカールーチ国防次官の議会における証言を、後ほどで結構ですから、取り寄せて御提供いただきたいと思います。  また、外務大臣にもう一点お伺いしたい点があります。午後最初の生方委員に対して、今海兵隊の規模は一万数千人という表現をされました。正確には何人でございますか。
  148. 折田正樹

    ○折田政府委員 海兵隊の人数はその時々によって動いておりますので、いつの時点でとらえるかということによりますが、大体一万七千人から一万八千人の間で動いていると承知しております。
  149. 岩國哲人

    ○岩國委員 私が外務省から取り寄せた資料によりますと、二万人を割ってはおりません。この十年間の間に二万人を割っているのは、いただいた資料によりますと、湾岸戦争の行われた二年間だけであります。  また、一万数千人という表現は、一万九千人であっても一万一千人と思わせる効果があるという点で、非常にこれは誤解を招きやすいという点。とりわけ今海兵隊の役割、規模、それに対して沖縄県民あるいは国民的な関心が高まっているときに、できるだけ正確な資料に基づいて御答弁いただきたいということを申し上げます。
  150. 深谷隆司

    深谷委員長 岩國委員に申し上げますが、折田北米局長から再答弁を求めていますから、お聞きください。  折田北米局長
  151. 折田正樹

    ○折田政府委員 今私が申し上げましたのは、沖縄の海兵隊の数でございます。全体で二万人から二万一千人、沖縄で一万七千人から一万八千人の間を動いているということでございます。
  152. 岩國哲人

    ○岩國委員 また、こうした外国の戦力を基地として受け入れている国は、世界の中で、外務省の資料を見ましたところ、陸軍、海軍、空軍、海兵隊、その四点セットで、いずれも千人、万人単位で受け入れているのは日本だけしかない、このような事実があります。  こうした点について、我々は、やはり国連の安保理事会の常任理事国を求めるような国としてこのような資格はあるのだろうかと大きな疑問を持ちます。あるいは国連加盟国の資格さえもないかもしれません。陸軍、海軍、空軍、海兵隊四点セットで千人、万人単位で常時置いているような国、このような状態は一日も早く解消するような努力をし、午前中から総理は再三答弁しておられますけれども、やはり海兵隊のみならず、全体としての沖縄を中心とした軍縮の方向を具体的にしっかりと打ち出していただきたい、そのような方針がはっきりと打ち出されない限り、今回の特措法改正についてなかなか我々としては賛成しかねるということを申し上げたいと思います。  また、総理は、行政改革等に絡んで六つの改革、三つの理念ということをおっしゃっております。一番目に危機への対応、二番目に選択の自由、三番目に共生ということをおっしゃっています。  危機への対応をおっしゃるのであれば、今こそそうした安全保障の問題、沖縄県民を中心とした国民の信頼を失うことの方が危機であると私は思います。  二番目の選択の自由。削減を検討したり主張をすることさえもできないような国が、どうして日米同盟ということを口にすることができるのでしょうか。私は、この二番目の選択の自由という理念についても、はっきりと今対等の立場で発言していただきたいと思います。  三番目、最後になりますけれども、共生というのは、本土の人も沖縄県民もひとしく日本人として負担を分かち合う、そういう方向に今度の特措法改正一つの契機となるのであれば、私はもろ手を挙げて賛成したい一人であります。  しかしながら、重ねて言うようでありますけれども、こうした総理のおっしゃる理念なら理念らしく、言葉を実行で裏づけていただきたい。それは私だけではなくて、すべての沖縄県民日本人の願いではないかと思います。  今度の特措法改正に当たりまして、こうした将来の防衛のあり方、そして独立国日本として、このような状態をどのような方法でどれぐらい早く解消できるのか、そうした点を踏まえて明確な考えをどうか一日も早く打ち出していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  153. 深谷隆司

    深谷委員長 橋本内閣総理大臣が発言を求めていますので、お願いします。
  154. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 長い御答弁を申し上げるつもりはありません。  議員の御意見は私も真剣に聞かせていただきました。その上で、我々は条約を結んでおるその一方の当事者として、その条約義務を果たす責任があるということは議員のお話の中にございませんでした。大変私は残念であります。  そして同時に、この日米安保条約というものの中で、なるほど日本に陸、海、空、海兵というものがすべて駐在をする、そういう条約の中で我々は戦後五十年というものを平和に過ごしてまいりました。そして今、先ほど来御論議がありますけれども、自衛隊の総定数、スリム化、コンパクト化という目標を我々は追求のできる状況にございます。  しかし、アジアの諸国には近年の経済成長の中で武器を相当更新している国があることも議員御承知のとおりでありまして、そうした問題をあわせてお考えをいただきたい、私はそう思います。
  155. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。  次に、土屋品子さん。
  156. 土屋品子

    土屋委員 21世紀の土屋品子でございます。持ち時間が十分でございますので少し早口になるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。  私は埼玉県選出でございまして、埼玉県には昭和二十年に米軍に接収された基地が十六カ所、約千九百二十五ヘクタールもの基地がございました。以後、数回に分けて返還されまして、現在では三施設、二百二十八ヘクタールとなりました。この間、地元市町村、周辺住民は多くの課題を抱えていた時期がございました。沖縄のことを考えますと、日本にある米軍基地の七五%を抱えているわけですから、長い間大変な御負担をいただいてきたと思っております。  これまでの質問でも再三出てきておりますが、沖縄振興策は、今回の駐留軍用地特別措置法の改正とははっきり区別してもちろん考えていくべきだと私も考えております。しかし、沖縄の経済自立を考えた場合には、沖縄振興策というのは大変重要な課題であるとも考えております。長い間、政府沖縄振興策に関しまして力を入れてきたということもよく理解しております。沖縄の経済は、観光産業を除けば慢性的な経済の停滞に悩み、失業率は全国平均の二倍、しかも、若年層の失業率が高いということを私は本当に懸念しているところでございます。  その中で、きょうは自由貿易地域について御質問をさせていただきたいと思います。  沖縄振興開発特別措置法の中で自由貿易地域がつくられておりますが、設置された当初は二十七社入っていたということでございまして、現在十一社になってしまったということでございます。  ある台湾から進出しております企業にちょっと取材させていただきましたところ、その企業が言うには、スペースが狭いということと、港や空港に隣接していないために通関手続が不便であるというような問題点を挙げられました。このほかにもいろいろな問題があるとは思いますが、どうお考えでしょうか一お願いいたします。
  157. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 現在の自由貿易地域の拡充強化につきましては、沖縄県の要望の中に指定地域の拡大が含まれております。同時に、第三次沖縄振興開発計画におきましても、那覇地区の充実を図ることが指摘されておるのでございます。また、自由貿易地域本来の機能を発揮していく上におきましては、委員指摘のとおり、空港や港湾との連携を図っていくことは極めて重要なことであると考えておるのであります。  沖縄開発庁におきましては、本年度、自由貿易地域についての沖縄県の要望を踏まえまして、ただいま沖縄に展開する自由貿易地域のあり方をどうするか、また、そのために必要な機能について調査を行うことにしております。予算といたしましては本年度四千二百万計上しておるわけでありますが、その中で、現在の自由貿易地域那覇地区の拡大のあり方についても調査検討してまいりたいと思う次第であります。  さらに、現在、沖縄政策協議会プロジェクトチームにおきましても、空港や港湾の基盤整備についても検討を開始したところでありますし、これはプロジェクトチームとの連携を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  ただ、これを今拡充強化するといたしましても、現在のままでありますと空域と水域の活用が前提になりますので、返還前の拡大ということになりますと米軍との調整が必要でありますし、それからまた地主との調整が民有地については必要でございますが、多くの課題を抱えておるということをつけ加えておきます。
  158. 土屋品子

    土屋委員 昨年八月にも沖縄県から今おっしゃったようないろいろな要望が出ているということでございまして、その中に規制緩和に関する要望書が出されていると思いますけれども、自由貿易地域の拡充強化による経済特別区の形成について四項目にわたって要望されていたと理解しております。  国内外の企業の進出を促進し、雇用拡大を考えたときに、今世界的な競争時代でございますので、隣接した国や経済地域と比較して魅力ある経済地区を形成することは不可欠だと思います。独自の関税制度や法人税の軽減措置等も必要かとは思いますが、その点について具体的な可能性をお伺いしたいと思います。
  159. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大蔵大臣から本来なら御答弁を申し上げた方が正確に細かい点まで申し上げられると思いますが、先刻来、大蔵大臣からも、この自由貿易地域の拡充を含め、沖縄の振興策、さまざまな角度から御答弁を申し上げておりました。そして、幾つかの税制を挙げながら、実際、実行をしていく場合には租税特別措置の形になるのかもということを付言しながら御答弁を申し上げてきた次第です。  そして、今、県と国との間には、官房長官以下全閣僚沖縄県知事をもって構成する懇談会が政策対話の場として存在をいたしております。県が今、例えば規制緩和について委員会をつくられました。ここで出てくる御意見は、私は知事からこの懇談会の場に当然送られると思いますし、それに対して政府としても真剣に対応していこう、そう申し上げておるところでございます。
  160. 土屋品子

    土屋委員 大変前向きなお答えをいただきまして、ありがとうございました。  貿易促進、企業立地の促進をもう少し具体的に考えていきますと、国内外の企業がどういうニーズを持っているかということの調査、把握をすることが非常に大事なことだと思っておりますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  161. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 どのような投資環境が整備されれば企業が沖縄県へ貿易投資を進めるのか、産業界の意見を十分に踏まえる必要があると考えてございまして、その内容を正確に把握すべく、間もなく、広範に内外の企業に対しまして、その意見を聞くべくアンケート、ヒアリング調査をすることといたしてございます。五月にも開始すべく、現在、詳細調査設計をいたしてございますが、その結果を踏まえまして、沖縄政策協議会の場でさらに対応を検討していきたいと考えております。
  162. 土屋品子

    土屋委員 最後に、もう一度総理にお伺いしたいと思いますが、沖縄の自立のために最も重要であります振興策の実施について、法人税、関税の問題について、一国二制度になるのではないかということでやや後ろ向きな見解も出ておりますが、具体的な方法論などでは微妙な見解の相違というものもあるとは思いますが、ぜひ沖縄県民のためにも総理の前向きな政治決断をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  163. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、一国二制度という話は実は余り好みませんということを本委員会でも御答弁を申し上げました。それは経済政策だけを意味するものではない、外務大臣が先ほど申し上げましたように、まさにこの一国二制度、香港の中国返還に伴って生まれた言葉でありますだけに、非常に幅の広いものを意味します。  ですから、そうしたことではなく、先ほども御答弁を申し上げましたように、また先ほど通産省の環立局長から企業のアンケート、ヒアリング調査の分析をするという話が出ておりましたけれども、私どもは、より具体的な、どうすれば一番役に立つのかということを知りたいと思いますし、調べたいと思い、また調べております。そして、大蔵大臣は、先ほど幾つかの税項目に触れながら、恐らく租税特別措置の形になると思いますが、というお答えを申し上げておりました。我々は、それをどうすれば一番有効なものとできるか、これからも論議をしてまいりたい、そのように思います。
  164. 土屋品子

    土屋委員 どうもありがとうございました。私は一国二制度にこだわっているわけではございませんので、ぜひ前向きに沖縄県民のためによろしくお願いします。  どうもありがとうございました。
  165. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて土屋さんの質疑は終了いたしました。  次に、下地幹郎君。
  166. 下地幹郎

    下地委員 自由民主党を代表して質問をさせていただきます。  きょうは、党が配慮いたしまして、私ども沖縄選出の議員にも、沖縄気持ちを伝えてみろというふうなことで質問の機会をいただきました。しっかりと質問をさせていただきたいというふうに思っております。  まず最初に、昨日行われました元沖縄県知事屋良朝苗先生の県民葬に際しまして、総理みずから来ていただきまして、追悼の言葉を述べていただきましたことにまず感謝を申し上げたいと思います。そして、稲垣開発庁長官にも本当に感謝を申し上げたいと思っております。  総理、本当に毎日御苦労さまでございます。私も、きょうの質問の時間をいただきましてから三日間、眠らずにずっと考えておりました。どういうふうな切り口で総理に質問し、どういうふうな切り口で総理が御答弁をいただいたら、沖縄県の県民総理の真剣な気持ち理解できるのか、そのことばかりを考えさせていただいておりました。きょうはテレビも入っておりまして、沖縄の問題がクローズアップされております。そして、内閣におきましては、午前中に沖縄駐留軍用地特別措置法の一部改正の決定をなされたと聞いております。多くの皆さんがきょうはテレビの前でこの予算委員会を見ていると思います。沖縄県民に語りかけるように、わかりやすくぜひ御答弁をいただきたいというふうに思っております。  そして、私は切り口をこういうふうに考えさせていただきました。今、沖縄の問題が、特借法の問題が焦点になってまいりましたけれども、私は、この沖縄の問題を条約の問題とか法律の問題という切り口で話をして本当にいいのだろうか、それは、衆参の先生方が手を挙げてこの法律は決まるわけでありますけれども、私は沖縄県民の感情というものを無視してはできないと思うのであります。  そこで、私が一番考えているのは、この基地に対する総理の考え、そして沖縄に対する総理の思いやりという気持ちをしっかりと訴えていかなければいけない。その意味で、この基本の基本であります平和という沖縄県民が望んでいる問題に対して総理がどういうふうにお考えになっているのか、そして総理沖縄基地の整理縮小という問題に対してどういうふうなお考えなのか、そのことをまず明確にお伺いをしたいというふうに考えております。  そして、先月でありますけれども、三月二十八日、石垣において戦後のマラリアの追悼式がございました。三千六百四十七人、マラリアの伝染によってとうとい命が亡くなられました。私もその追悼式に参加をさせていただきましたけれども、本当にその追悼式の中で感じたことは、二度と戦争を起こしてはいけない、そして平和を守っていかなければいけない、そういうふうなことを心の中に刻み込ませていただきました。総理は、このマラリアの問題にも本当に御尽力をなされたと聞いております。そして対馬丸を初め、沖縄のいろいろな戦後処理の問題に御尽力をいただきました。  そこで、総理に御質問いたします。二十一世紀に向けて総理が恒久平和に対してどういうふうな誓いを持たれているのか、そのことをまず明確に沖縄県民に語りかけることが私はこの特措法のスタートになるというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
  167. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 敗戦のときがちょうど私にとりましては小学校二年生の夏でありました。そして、沖縄県という地名を聞き、またそれが南西諸島と呼ばれる地域であることを後に知った。それは、昭和十九年十月十六日、南西諸島方面において未帰還という私のいとこの戦死の公報を読んだときからであります。  自来、必ずしも私は沖縄県というものに縁を持ってはおりませんでした。ところが、大浜信泉先生の御紹介状を持たれて対馬丸の遺族の方々が私の父を訪ねてこられたときから、沖縄というものへの関心が芽生えました。たまたま私はそれを御案内する役回りであったからです。  そして、昭和四十年、初めて私は沖縄の土を踏みました。そのときの一番強烈な印象は、二十年という時間が経過しながら、本当に私よりも背丈の高い木がほとんどない、弾丸によって削り取られたその植物がようやく私の背丈ぐらいに育った姿でありました。今、例えば戦跡摩文仁に参りましても、その木の姿一つを見ても時間の経過を思います。  そして、その時代から復帰運動の燃え盛る時代、そして復帰を挟んでしばらくの間、私はさまざまなかかわりを沖縄の皆さんとの間に持ってきました。そして気がついてみたとき、いつの間にかその中で沖縄基地の問題というものが小さくなってしまっていたことを改めて本当に申しわけなく思います。  昭和四十年に初めて参りましたとき、案内をしていただいた立法院議員の方々に当時の基地を見せていただきました。その後ベトナム戦争が激しくなり、その影響を受けた沖縄基地の姿も見ていながら、いつの間にか忘れていたな、自分で本当にそう思います。  そして、昨年総理という座に着いて改めて、その間、私自身も含めて、本土が沖縄の重荷というものを余りに考えな過ぎたという思いは、今深刻に受けとめています。  そして、現実の世界には本当にさまざまな不安定要因がありますし、いわゆる米ソ二大陣営対立と言われた時代とは異なり、アメリカだけがスーパーパワーを軍事の面において持っている、その状況でありますけれども、依然としてこの地球上から争いは絶えておりません。そして、紛争と窮乏の中で暮らす人々も減りません。私どもの身近を見ましても、さまざまな問題がございます。我が国が初めてPKO活動で殉職者を出しましたカンボジアも、今またさまざまな問題が報ぜられております。  どうすれば一体本当に平和というものをつくれるのだろうか。結局は貧困をなくしていく以外にない、それがあるいは答えなのかもしれない。それでも、宗教間の対立とか長年の地域的な怨念というものはそれだけでもう消えるのだろうか。そういう思いを持ちながら、私どもは少しでも平和というものを固めていく、まず我が国、周辺、我々のできるところに手を差し伸べていきたい、そのような思いであります。
  168. 下地幹郎

    下地委員 今総理が御答弁をいただいたように、平和を固めていく、そして我が国から、そしてアジア、そして世界の平和をつくっていくという総理の考えを、私は県民にしっかりと訴えていくことがこれからの沖縄基地問題にとって非常に大事なことだというふうに思っております。今までも総理もずっと語りかけてまいりましたけれども、これからもずっと県民にそのことを語りかげながら、そして御理解をいただく、そういうふうな作業をしていただきたいというふうに思っております。  そして総理、今沖縄基地が全国の七五%あるとよく言われます。この七五%の沖縄基地、私は世界の平和にも大きな貢献をしてきたことだけは間違いないと思うのであります。しかし、貢献をしたという分だけ沖縄基地が集中をし、過度に集中しているとお思いになっている方は本当に多くいらっしゃいます。総理もその中の一人だと思うのです。私も、今は過度に集中している、そういうふうに認識をさせていただいております。この認識のもと、総理はいろいろな委員会をつくって、SACOの最終報告を導き出しました。そしてSACOの最終報告によって、基地の整理縮小日本政府の大きな課題としてやっていくんだということが、私はそれであらわれたというふうに思うのです。  ひとつ検証させていただきますけれども一つ目には、二十四年間で四千ヘクタールしか返らなかったその土地が、十九年までの十年間で五千二ヘクタール、二一%返しますよというめどが県民に示されました。  そして二点目には、だれもが沖縄普天間基地は返るはずはない、そういうふうに思っていた普天間基地を返還をするという日米の合意ができました。  そして三点目には、戦争というものを一番身近に感じる県道一〇四号線越えの射撃訓練、それが、鈴木宗男代議士の御尽力もありまして、北海道の矢臼別の訓練場に移設をするというふうなことも決まりました。  そして四つ目には、公道における行軍もやめるというふうなこともできました。  そして今、KC130航空機十二機が、岩国の皆さんの御理解もいただいて移設をすることにもなりました。  そして普天間基地の夜間の訓練も制限をされました。  そしてもっと一番大きなことが、公務外の事故によって泣き寝入りをしていた皆さんが、地位協定の運用の見直しによってしっかりとした補償制度ができた。  私はまさに、いろいろな問題が前に進んできたと思うのであります。この総理の前向きな姿勢は、私は高く評価できることだと思うのであります。  しかし総理沖縄県民は納得をしたとまではいかないと思うのです。まだ重いからであります。総理は前向きに一生懸命に御尽力をいただいて、沖縄基地の整理縮小に政治生命をかけて取り組むんだ、そういうふうな姿勢は、私は、SACOの最終報告でも見えてまいりましたけれども、これからも総理が政治家として、沖縄基地問題の整理縮小に本当に自分の政治生命をかけて突っ込むんだというふうなお気持ちをまずお聞きをしたいと思うのであります。よろしくお願いします。
  169. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 現在沖縄県の抱えておられる問題は私一人の力で解決ができるなどと、そんなうぬぼれを私はとても申し上げる気にはなりません。しかし、今までもできるだけのお手伝いをしてきました。今、総理という立場になり、責任を持ってできる限りの努力をしようとしています。その座を去りましても私なりにできる限りのことを沖縄にはしていきたい、私はそう申し上げたいと思うのです。  そして基地の問題、今あなたから言われたように、SACO、これは日米の両政府が一生懸命努力をしたものでありますけれども沖縄の皆さんからすれば、今までのたまりたまったものがありますから、それで納得されると私自身も思いません。ただ、努力したということは認めていただきたいと思います。そして同時に、これからの県勢振興策、知事を初め一生懸命に島田懇に参加をしていただいたメンバーも含め、いろいろなアイデアをいただきました。この一つ一つを生かして県勢の振興につなげていきたい、全力を尽くしたいと思います。
  170. 下地幹郎

    下地委員 平和に対するお考えをお聞きして、そして基地の整理縮小に対して総理が前向きに取り組んでいきたい、この二つの御答弁は、私は、今テレビの前で見ている沖縄県民はしっかりと理解してくれるというふうに思っております。  今、私どもが考えているのは、駐留軍用地の特別措置法、その法の改定そのものだけの話ではないのです。沖縄のこの米軍基地の将来がどうあるべきなのか、平和というものをどうつくるのか、そのことをしっかりと示す、そして方向性を見せる、そのことがスタートになると冒頭でも申し上げましたように、まさに私はそのことが大事なことになると思うんです。  そして、SACOの最終発表の中で一番の目玉が、私は普天間空港の移設問題だというふうに思うのであります。とにかく市内のど真ん中にあるあの普天間基地移設する一そういうふうなことをやらなければいけない。総理の強いリーダーシップがあの日米の合意を生んだと思うのであります。  そして、その普天間基地移設、それが本当に沖縄県民の整理縮小に対する考えと相反するものなのかどうなのか、そのことも私は具体的に検証してみたいと思うんです。  私の考えでありますけれども基地の整理縮小には四つの定義があると思います。一つは、何といっても面積です。面積が小さくなるということも整理縮小一つだと思います。そして二つ目には、危険度が小さくなる。今沖縄土地のどこかに基地があって、それが住民に及ぼす影響が大きいとしたならば、それが住民に及ぼす影響が小さいところに移設をするということも私は基地の整理縮小一つだと思うんです。そして三つ目には、いつまで沖縄基地が残るのかということに関して、一つ一つ物事を見せる、固定化をしないということも私は基地の整理縮小のもう一つだと思います。そして、今論議になっておりますけれども、兵力の削減、そのこともまた基地の整理縮小の四つ目の定義になると思うんです。この四つに照らし合わせながら、総理がリーダーシップを持って決断をなされた普天間基地移設が整理縮小の定義に当てはまるのかどうなのか、検証をさせていただいております。  この普天間基地の面積、移設をしますと五分の一の大きさになります。四百八十ヘクタールあるものが百ヘクタール、そういうふうな大きさになってくるのであります。  宜野湾市には八万二千人の人口があります。そのど真ん中にあの普天間飛行場があるわけでございます。ヘリの一日の発着回数は四十一回、一年間で一万五千回のヘリの発着回数があります。まさに危険きわまりない、そういうふうな状況であると思うんです。それが海上に移設をしたときに、その八万二千人の危険度が小さくなることは、だれしもが私は認めることだと思うんであります。  そして、三点目でありますけれども、シュワブの沖に移設をする、そういうふうな中でメガフロート構想というものが総理の間から出てきている。それの根本的な理由は、とにかく固定化をしないんだ、必要じゃなくなったら取り除く、そして引き返す、そして環境問題にしっかりとした、影響を及ぼさないようにする、この三つの観点からメガフロート構想が出てきているというふうに聞いております。これも、固定化をしない三つ目の要素だというふうに思うんです。  そして、四つ目になりますけれども、兵力の削減は、今論じておりますけれども、言えるものと言えないものがある、状況を見ていかなければいけない、そういうふうなお話であるわけです。しかし、世界の流れは、今どんどん減ってきております。アメリカの海兵隊も、十九万九千いた兵が十七万四千、この十年間で二万五千人減っております。総理の口から今答弁を引き出さなくても、世の中の流れがそういうふうになってきている。そして、北朝鮮の問題がしっかりと解決をしていけば、それはおのずと兵力の削減につながってくるというふうなことは、私はだれしもが言えることだと思うんです。  そういう意味でも、必ず確約をとらなければ物事ができないというのではなくしっかりとした、世界を見た、そしてアジアを見た今の流れを皆さんにもしっかりと見ていただきたいというふうに思うんであります。  それで、話を戻しますけれども、この四つの定義の中でこの普天間基地移設を考えたときに、私は、県民が願っている基地の整理縮小というものにこの移設の問題が相反するものじゃないということはしっかりと皆さんに理解をいただけるというふうに思っております。この政策総理が自信を持ってもっともっと推し進めていただきたいというふうに思っているわけでございます。  しかし、今の現状はなかなか難しいところがあります。名護市の市長さんは、沖縄県が間に入らなければ私は国との交渉には応じません、そういうふうにおっしゃっております。そして、沖縄県の大田知事も、私の政治的な考えからして、二〇一五年までに基地をなくすという私の考えからして、私は国と市の間に入って私が交渉するということはできませんと明確に何度も大田知事はおっしゃっているわけです。  私はこういう状況を見て、整理縮小に間違いがないという方向で、この行動が間違いないということを前提として今この問題を進めなければいけないとなると、国は新たな選択をしていかなければいけない、そういうふうな時期に来ていると私は思うんです。  そして、その新たな選択というのは、名護市長さんのように、日米安保条約を選挙の段階からしっかりと御認識なされて、そしてその方向で物事を考えられている市長さんに、今の国の責任に おいて、日米安保条約はどういうふうな形で進まなければいけないのか、そして世界の平和を守るという意味でどういうふうにしていかなければいけないのか、基地の整理縮小に対する考えはこうですよということをしっかりと私は示した方がいいと思うんです。  それで、総理にぜひ御答弁をいただきたいんですけれども、今の状況を打開するために、総理みずから、また防衛庁長官も、名護市長さんと国の方で直接会って、その気持ちを伝えるという作業を早目に行ったらどうかというふうなことを提案をさせていただきたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  171. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今真剣な御提言として伺いながら、多少過去を振り返っておりました。  ちょうど一月の二十一日に、那覇の防衛施設局長から、この代替ヘリポートに係る調査をさせていただきたい、名護市、沖縄県そして県漁業協同組合連合会に協力要請をさせていただきました。そして、三月二十五日に大田沖縄県知事にお目にかかりましたときにも、この建設調査のためにぜひ県の御協力をいただきたいというお願いをしましたが、今お話しのとおり、知事さんから積極的なお答えはいただけませんでした。そして、名護の市長さん、ちょうど昨年十二月に沖縄を訪れさせていただいたとき、基地所在市町村長の皆さんにお集まりをいただいたときに、名護の市長さんのお話も伺いました。むしろ余り議論が白熱し過ぎまして、時間を延ばしてしまって失礼をしたんですけれども、非常にいい対話ができたと私は思っております。  防衛庁長官なりあるいは私なり、例えばお目にかかることで事態が前進するのであれば、私も久間長官も、どちらもそうした労を全くいとうつもりはない。事態解決に役立つのであるならば、私どもはどんな努力でもいたします。
  172. 下地幹郎

    下地委員 嘉数先生と交代しなければいけない時間になりました。  最後でありますけれども、私は、ぜひ橋本総理に自信を持って交渉していただきたいと思うんです。今総理がやられていることは必ず沖縄県民理解を得られるというふうに思っております。この特措法の問題も、冒頭で申し上げました、平和をつくる、基地の整理縮小に真剣に取り組む、そういうふうな観点から、そういうふうなお気持ち総理が進めれば、必ず県民理解していただけるというふうに私は思っております。ぜひお体に気をつけて頑張っていただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  173. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、嘉数知賢君から関連質疑の申し出があります。下地君の持ち時間の範囲内でこれを許します。嘉数知賢君。
  174. 嘉数知賢

    嘉数委員 大事な時間を、質問する時間をいただきまして、心から感謝申し上げます。  今、私と下地代議士、私は沖縄県民の良識を代表する二人が相次いでこの予算委員会で質問するという心づもりで質問をさせていただきたいと思うのです。  総理は、昨年の御就任以来、私ども沖縄県の抱える問題について真剣に取り組んでいただいております。沖縄を死に場所と言ってはばからない梶山官房長官ともども、本当に真剣に沖縄問題について取り組んでいただいて、しかも誠意を持って取り組んでおられることについて、私は県民を代表して心からお礼を申し上げたいと思っております。  私ども沖縄県民、実は復帰のときに望んだことは、核抜き・本土並み、これが第一の目標だった。しかしながら、二十五年たった今検証してみますと、確かに格差是正あるいは経済の振興等については相当のお力をいただきました。第一次振興開発計画、第二次振興開発計画、そして第三次振興開発計画と、本当に国の誠意ある対策をいただきまして、私ども沖縄県、十分に発展をしてきた、このように理解をいたしております。  しかしながら、その反面、先ほど総理も御答弁ありましたけれども基地からの重圧、基地の整理縮小については、ある意味で取り残された部分が相当数ある。私は、相当に先送りされた部分があるだろうと思います。  特に、沖縄に駐留する米軍あるいは軍人が起こす事件、事故等を私は地方議員として体験をしてまいりましたけれども、国にぶつけますと、常に安保がありますよ、地位協定がありますよと、その壁にぶつかってなかなか前に進んでおらない、そういういら立ちを実はしておりました。沖縄で起こる問題、基地問題については、常にローカルの、沖縄県のみの事件として取り扱われている、そういう思いを実はしておりました。その県民のいら立ちといいますか、その怒りが、実は一昨年、平成七年のあの不幸な事件を契機に一気に爆発をした、そのように理解をしております。  私は、そのときちょうど議長をしておりましたけれども、いろいろな形でその問題にかかわりを持ってまいりました。たくさんの抗議行動が起こりました。その中で私は、安保に反対する政党あるいは団体、あるいは安保に賛成する政党、団体を含めて、無党派層も含めまして、いろいろな会合に出席をさせていただきまして、話し合いをしてまいりました。そして、県内の大体三百五十団体以上の代表者の皆さんにお集まりをいただきまして、県民総決起大会をすることによって沖縄県民の意思を一つにまとめようという話し合いをしてまいりました。  その結果、じゃ、どのような形にするかというときに、県民の最大公約数として一つ意見にまとめてぶつからなければこれからの沖縄基地問題は解決できないだろうというみんなの意見がありました。安保反対ではだめだ、基地の即時撤去でもだめだ、基地の整理縮小を進めること、またその中で地位協定をきちっと解決していただく、その二つを実は最大公約数としてまとめてまいりました。  その裏にあるのは、実は沖縄県民が今望んでいることはといいますと、沖縄基地問題を含めて沖縄の問題を、これまで先送りされた部分も含めて、国が、内閣責任を持って国の重要な課題として取り扱っていただきたいというのが、実は大きな県民の願いだった。私は、その問題を解決しなきゃいかぬ、そのために県民の真摯な意思をぶつけようと。ですから、そのときに、一〇・二一に集まっていただいた八万五千の皆さんに、デモはしちやだめだ、それから大会は整然として行う、終わったときにはちり一つ残さない、それが沖縄県民の強い意思の表示だということでやろうじゃないかということで大会を主催し、そして実行委員長としてやってまいりました。見事にそれを県民は守っていただいた。それだけ沖縄県民が、国に対する期待というのですか、しっかりと私ども沖縄県民を支えて、基地問題、あの基地に、二十五年間放置された沖縄県民の重圧をしっかりと受けとめて返していただきたいという熱い思いだったと思っています。  ですから、冒頭に申し上げましたけれども総理初め真剣に取り扱っていただきましたけれども、いま一度、一過性のものじゃなくて、今後、私ども沖縄県民が、そして若い世代が夢を持って、その夢が実現できるように、そしてその子供たちが平和で豊かな生活を享受できるようになるまで、引き続き国の責任によって沖縄問題、基地問題に取り組んでいかれる、そのように総理の決意をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  175. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何人かの委員から同様の御趣旨の御質問をいただきまして、多少重複する部分がありましてもお許しをいただきたいと思います。  私は、あの大会は、たしか一昨年の秋、十月だったと思いますけれども、ちょうどあの大会の映像をイギリスで見ることになりました。ちょうど四極通商代表会議、そのさなか、一たんホテルに帰りましたときに、たまたまBBCをつけましたとき、その日のBBCの二番目のニュースがあの大会だったのです。正直、語学力のない私ですから映像を見て判断するだけですが、非常にショッキングな映像でありました。  そしてそれは、私がショッキングなと受けとめた以上に、あれだけの多数の方が集まられ、それが整然と行われ、騒ぎを起こしていない、しかもまさにその整理縮小という言葉に、安保廃棄といった文字が一つもないという、この光景というものを、実は私はその後会いましたときに、当時のUSTRカンター通商代表たちが、一体沖縄はどうなるんだということを私に聞き、いや、あの看板や何かから見れば、スローガンから見れば一大丈夫、騒ぎ、いわゆる暴動のような騒ぎにはならないと、彼らは半ば本気で心配をしましたし、本気で私は説明をいたしました。その後、帰ってまいりましてから、議長としてのあなたに状況を改めて伺い、逆に私は、あれだけの大会が非常に整然と行われたことに敬意を表するということを申し上げたことを覚えています。  それだけに、これからの沖縄県の問題、いずれも楽な問題は一つもありませんけれども一つずつ一生懸命に解決努力をしていきたいと思います。殊に、大田知事が顔を見るたびに言われるのは、雇用の問題であり、殊に若年者雇用の問題でございます。そして、先ほども、内航海運の皆さんがやってくれた、自分たちもリストラをする努力をしている最中でありながら、沖縄県の船員学校の卒業生を皆引き受けると言い切り、事実そういう方向に努力をしてくれた、そうしたことも御報告をいたしました。既に知事と御相談をした中で、同時通訳養成制度あるいは留学生枠、こうしたことを一つずつ動かしておりますけれども、そうした将来の雇用に結びつく努力も含めて、一つずつ解決に努めていきたいと思います。
  176. 嘉数知賢

    嘉数委員 どうもありがとうございます。  実はあの大会で私が一番気を使ったのは、政党の政争の具にされちゃ困るということです。ですから、あの大会で政党代表の発言は一切とめました。あいさつをさせない。純粋に県民だけでやろうということで実は行ってまいった大会でございます。これは共産党を含めて全政党が参加をして、賛成をしていただきました。それからすると、沖縄県民の真の願いがそれだと理解して結構だと思うのです。  ですから、今特措法の問題とかいろいろありますけれども、それほど県民がそれに対して神経質になることはないだろうと思っています。要は、国が責任を持って、これからの沖縄基地問題をしっかりと踏まえて解決していただくという姿勢をしっかり示していただいて、そして総理が今までとられてきた沖縄県民に対する思いをしっかりと語りかげながら理解をいただくということであれば、私は、これからの沖縄基地問題は決して難しくはない、しっかりと進んでいけるだろう、このように理解をいたしております。  そこでお伺いしたいのですが、実は、その意を受けてSACOができましたし、SACOの中でいろいろな沖縄基地問題の解決に向けての合意もなされてまいりました。しかしながら、その合意がなされた割には、まだなかなか進まない部分が相当あります。ですから、沖縄県民として実は一つの不安を持っているのは、SACO関連事項が合意をされて、それが進んでいく、それで沖縄基地の整理縮小、これで終わりですよと言われたら大変困る。県民としては、実はこれが第一歩なのだ、今までずっとやってこられなかったのが、これから第一歩として進むのだ、引き続き整理縮小努力をしていただかなきゃいけない。そのための第一歩として、SACO関連問題を早目に実は解決をしていただきたいと思っております。  その中で、私がひとつぜひ御理解いただいて、進めていっていただきたいのがあります。一〇四号の移設の問題です。これは、SACOの合意を得た中で、唯一沖縄県から県外に移設する条件のものなのです。したがいまして、県民としては、果たしてきちっとそれが移設されるだろうかということも大変関心を持っております。当初よりも相当作業がおくれているということもありまして、私は、沖縄で三十五日間やられるのを五つの県に分けてやるのですから、ある意味で自分たちの嫌なものを他県に押しつけるなんと言われる節もありますけれども、しかしながら、本当に沖縄県民の痛みを痛みとして、全国民が分け合わなきゃいかぬということからしますと、国はやはり責任を持って精力的にその作業を進めるべきだろうと思っておりまして、その点について防衛庁長官にお伺いしておきたい。
  177. 久間章生

    久間国務大臣 今おっしゃられました、県道一〇四号越えのものを本土の五カ所の演習場で行うということにつきましては、それが発表されました当時、本土の各地で大変反対運動が起きたわけでございます。しかしながら、その後、ずっと沖縄の問題等を理解されて、最近では各地の皆さん方が、やはりこれは前向きに検討しようということで、かなりの地区で、というよりもほとんどの地区で、とにかく勉強会という形で、あるいはまたいろいろな会合を開いていただいて真剣に受けとめていただいております。  既に、議会等で反対決議等もされた町もございまして、そういう議会では、どういう形でそれを乗り切るか、そういうことまで検討してもらっている市町村もおられまして、私は、遠からずこの問題については光が差してくるのじゃないかと思っております。  実は、予算が通りましたら、その問題に全力を挙げるつもりでおったわけでございますけれども特措法の問題等が出てまいりましたために、まだ現地になかなかウイークデーに行くことができませんけれども施設局の職員等が、各地方自治体の首長さんはもちろんでございますけれども議員の皆さん方あるいは地域の地区長さん、その他いろいろな方々とお会いしながら、現在のいわゆる射撃日数の中でやるのだから、あるいはまた治安の問題については、もう責任を持ってそういうことは起こさないからということで今説明をしておりまして、非常に理解を得つつあるという状況でございますから、必ず今度の平成九年度にこちらの方で実施するように努力してまいりたい、そういうふうに思っておるところでございます。
  178. 嘉数知賢

    嘉数委員 ぜひ万全の努力をしていただきたいと思いますし、またもう一つお伺いしたいのですが、きのうのニュースでしたか、宮城県でしたか、知事さんが受け入れる意向を示された。今幾つかの県で受け入れを認めようとしている、あるいはまだ全く反対だという部分もあるのですが、その五つの地域で、全地域で受け入れが決まった段階で移すのか、あるいは、その都度、賛意を得た地域から少しずつ分散しながら移していくのか、そのあたりを明確にしていただきたいのです。
  179. 久間章生

    久間国務大臣 正直言いまして、今までのいろいろな経緯から、自分のところがトップを切ってというのを皆さん方非常に気にしておられます。そういうこともございますし、やはりこれは公平に分担してもらう、そういう考えでおりますので、できますれば五カ所全部で一つの方向を見出したい、そういうことで今努力しているところでございます。
  180. 嘉数知賢

    嘉数委員 私どもにとりましては、これは少しでも負担を軽くしたいということからしますと、決まったところから順に入っていった方がいいかと思っておりますけれども、もし五カ所が一括で、一回でということでありましたら、それは国としてできるだけ速やかにやる努力をやっていただきたいな、そのように思っております。  お断りするのを忘れましたけれども、たくさんの方が質問をして、いろいろ重複をして、それを一生懸命削ったりくっつけたりしているものですから、相当あちこち飛んでしまいますけれども総理にもう一度御説明いただきたいのです。  日米安保の重要性、これは私も十分承知をしておりますし、過去、県議会の中で、そのために大変苦労もさせられてまいりました。しかしながら、堅持をしなければいかぬ、これはもう十分に理解をしている。ただ、沖縄県民の立場から見ると、安保は大事だ、しかし、安保があるから沖縄県民がそのはざまに苦しまなければいかぬという、なかなかその整合性がとれないのです。安保の重要性は承知しているけれども、そのために沖縄県民負担しなければいかぬ、その重圧に苦しまなければいかぬという部分は、なかなか理解が得られない。そのために、実は今問題の特措法に関してもそうですけれども、ある政治的な意図を持った皆さんにある意味で誘導されながら行く部分が相当あると思います。  したがいまして、やはり安保の重要性と沖縄基地の整理縮小を含めたこれからの方向性というのを、しっかりとその枠組みを県民にわかりやすく説明していただかなければいかぬと思っておりまして、総理に御説明をいただきたいと思っております。
  181. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、実は一番難しい、お答えをするのに難しい質問です。というのは、例えばこれを事務的に申します、このまま申しますならば、アジア太平洋地域には、朝鮮半島における緊張が続いていることを初め、依然として不安定性、不確実性が存在している。そのような中で、在日米軍の駐留を中核とする日米安保体制は、日本の安全のみならず、この地域の平和と安定を維持していく上で必須の枠組みである、このような文章になるわけです。しかし、私は沖縄の皆さんに聞いていただきたいことは、これではありません。  第二次世界大戦の後、占領下の日本が独立をいたしますとき、憲法九条というもののもとで、自衛隊の芽は出しながら、将来を考え、当時の先輩方は日米安保条約を結び、日米安保体制というものに我が国の安全というものをゆだね、その中で日本が発展を続ける道を選ばれました。  その当時、沖縄県は返還をされず、占領の状態が継続したわけであります。そして、本土の各都道府県それぞれにある程度の発展を迎えた段階で、大きくおくれて昭和四十七年に、沖縄県の施政権が返還をされました。その間に、沖縄県には既に多くの基地が存在しておりました。それはよく県出身の皆さんから言われるように、米軍の銃剣とブルドーザーによってという形容をされますが、それ以前に、第二次世界大戦中に日本の陸軍、海軍がつくった基地、それがそのまま引き継がれ、今日に至っているものがあることも承知をいたしております。  そして、それは非常に不幸なことに、多くが結果として沖縄県に集中し、存在し、その姿で本土復帰という日を迎えることになりました。そして、その復帰の当初、私たちもそうでありますが、皆沖縄県の基地の存在というものは頭の中にありましたし、まさにその負担を減らす努力をしなければと思ったことは、私は、間違いではなかったと思います。  しかし、いつの間にか、この日米安保体制というもののおかげで続いている平和の中で、我々は沖縄における基地の重圧というものを十分に受けとめる努力を怠っておりました。これは、我々は沖縄県の皆さんに申しわけないと思います。しかし、その上で我々は、やはりこの日本という国の将来にとって、この条約、そしてその条約によって形づくられる平和は必要だと思っております。問題は、ならば沖縄県の負担をどこまで減らせると今すぐにお答えの申し上げられる状況ではないということです。  その中で、SACOの作業の中、我々は、今議員から御指摘を受けました一〇四号線越えと岩国への一部航空機の移転を除いて県内移設という選択肢しかありませんでしたが、私は、日米両国政府は一生懸命努力をしたことは認めていただきたいと願っております。そして、これから先、沖縄県の基地の整理縮小に努めていきますためにも、このSACOの合意事項というものをできるだけ早期、着実に実施に移していく、これが求められると思います。  そのためには、実は県民に楽しい話ばかりでないことを私は承知いたしておりますし、その負担を新たな場所につくり出すことも承知をいたしておりますが、普天間に代表されるような状況を改善していくためにも、ぜひとも、むしろ調査の開始くらいは協力していただきたいとお願いをしたい、そしてそういう中から次のステップにつなげていきたい。率直な思いを申し上げます。
  182. 嘉数知賢

    嘉数委員 どうもありがとうございます。  実は私どもSACOの中で普天間基地移設するという話が出るとは全く予想していなかったのです。私も、アメリカへ行ってまいりましていろいろやったときも、沖縄で一番大事な基地問題を解決するのに何が一番大事かといえば、普天間を動かせということを要請してまいりました。そういう意味で、総理の御決断、それは私は高く評価する。ですから、その部分で私どもがお手伝いできることは、私は、精いっぱいやりたいと思いますし、今よりもよりよくなるならば、それはみんなで力を合わせて努力しなきゃいかぬだろう、そのような理解に立っております。ぜひ頑張っていただきたいと思っています。  それから、これは質問ではありませんが、特描法、もうきょうも朝からずっと議題になっておりますけれども特措法の対象になっておられる地主が所有される土地というのは全体の〇・二%、全軍用地の〇・二%しかないわけで、しかも、その所有者の大多数が、ある政治的な意図を持って、目的を持って所有者になった。ある意味で、普天間あたりは六十七平米に六百八十人前後の地主がおられる、およそハンカチぐらいの大きさの地主がひしめいて、あるいはまた座布団ぐらいの大きさの地主がひしめいておられるという意味からしまして、私は、この特措法が議会で通ったから沖縄県民が大きな混乱を起こすということは全くあり得ないと思います。  ただ、私ども、むしろ心配するのは、ここで空白状態にしておいて、そこに本土からいろいろな左翼活動家が入り込んできて、そこで混乱を引き起こす、そのために県民が巻き込まれるという懸念の方を実は心配をいたしておりました。これは、前のあの象のおりの楚辺のときも大変心配しました。あのときは、九州各県から警備の皆さんをお願いをして、そして警備をしていただいて、実は、逆の意味沖縄県民を守ったという経緯があります。そういう意味で、私は、ぜひ沖縄県民理解を得られるという自信を持ってこの改正を進めていただきたいな、そのように思っております。これは質問じゃございません。  最後に、梶山官房長官にお伺いいたしたいと思うのですが、冷戦構造時代、私ども沖縄県は東洋のかなめ石だと、軍備の、あるいは極東の安全のための東洋のかなめ石だという表現を実はされました。地理的条件からして、東洋の安全を守るための基地の存在として一番いい場所だと言われた。  今、冷戦構造が消えてなくなった段階で逆の見方をしますと、経済的にも当然のこととしてかなめ石になり得る。アジア地域に一番近い位置にありますし、そういう意味では、これは私どもが今望んでいる、第一次振興開発、第三次振興開発までやってもなかなかうまくいかなかった企業誘致、あるいはまた青少年の人材育成、あるいは雇用の問題等を含めて抜本的な解決をするためには、先ほどから話が出ています経済特区をいかに実現するかにかかっておる、そのように思っておりました。  その地理的条件を最大限に生かすということであれば、私は、経済特区をいかにして実現するかということに実は大きな主眼を置かれる、そう思っておりまして、官房長官、蓬莱経済圏等の発言もございましたけれども、私は、今それを実現するために、今のままで進んで果たしてうまくいくだろうかという気がしています。早目に何らかの、今はまあ政策懇がありますけれども、早目に、その経済特区だけを対象にした、各省庁間の、事務レベルといいますか、その方たちが集まるある機関を設置をして、そこで、果たして可能なのだろうか、果たしてどういう形でいけばいいのだろうかということを検討する必要があると思います。そうすることによって初めてこの施策が前進をしていく、このように思っております。  沖縄県民は、マルチメディア特区、総理がおっしゃったマルチメディア特区と経済特区に大変期待をしておりまして、何とかして実現をしていただきたいという思いを持っております。その意味で、官房長官、沖縄担当大臣としてどう対応なされるのか、お考えをお示ししていただきたいと思っております。
  183. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私は古い人間でありますから、この沖縄にかかわればかかわるほど、戦中戦後の思いが、自分の命までの人生とそれぞれの地域がオーバーラップして大変胸の痛みを感じているわけであります。しかし、我々は、国益を追求していかなきゃならない、最小限度の仕事をいたさなければなりません。今、総理が私に沖縄担当を命じたのも、まさに嘉数委員が言われるように、思い切ったことをするためには今までの積み上げ方式だけではだめだという思いがあろうかと思います。その総理の御指示に従って、これから、本当の意味沖縄が振興できる特区的なものを、どういうことをつくればそれに合うのかどうなのか、一生懸命つくり上げて努力をしてまいりたい、このように考えます。
  184. 嘉数知賢

    嘉数委員 官房長官、そういう検討をするための機関を置くという方向はまだ検討なさっておられないのですか。お答えできますか。
  185. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 これは総理が答えるものでありますから、思わず総理と、こう言ってしまったのですが、実は、総理から御下今もあったし、つい先日、官房副長官その他を歴訪というか、話をし、各省庁、幾つかの省庁でありますから今言うことを差し控えますが、この問題に英知をすくってくれ、それはトップダウンでなければできない、総理の決断を仰いで梶山やってみろという非公式の話がありましたから、この問題にすべてをかけて頑張っていきたい、このように思います。
  186. 嘉数知賢

    嘉数委員 質問時間が終わりましたけれども、ぜひ沖縄県民の期待を実現できますように、総理を初め皆さんで頑張っていただきたいと思いますし、基地を抱える沖縄県民が本当に国の協力によって、あるいは我々は国に協力しているんだという誇りを持てるように、そういう施策を展開していただきたい、心からお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  187. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて下地君、嘉数君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会