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1997-02-27 第140回国会 衆議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十七日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    石川 要三君       臼井日出男君    江渡 聡徳君       江藤 隆美君    尾身 幸次君       越智 伊平君    越智 通雄君       大原 一三君    菊池福治郎君       桜井  新君    関谷 勝嗣君       田中 和徳君    高鳥  修君       中山 正暉君    野中 広務君       葉梨 信行君    松永  光君       村山 達雄君    谷津 義男君       愛知 和男君    愛野興一郎君       石田 勝之君    太田 昭宏君       岡田 克也君    北側 一雄君       小池百合子君    田中 慶秋君       中井  洽君    西川 知雄君       平田 米男君    生方 幸夫君       海江田万里君    佐々木秀典君       日野 市朗君    石井 郁子君       中路 雅弘君    松本 善明君       矢島 恒夫君    上原 康助君       北沢 清功君    岩國 哲人君       新井 将敬君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         管理局長    尾木  雄君         内閣総理大臣官         房管理室長   榊   誠君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君         国土庁大都市圏         整備局長    五十嵐健之君         国土庁防災局長 福田 秀文         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省薬務局長 丸山 晴男君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         通商産業省貿易         局長      伊佐山建志君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         通商産業省基礎         産業局長    白川  進君         通商産業省機械         情報産業局長  中川 勝弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省港湾局長 木本 英明君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省婦人局長 太田 芳枝君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    村瀬 興一君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         消防庁長官   佐野 徹治君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         参  考  人         (社会福祉・医         療事業団理事         長)      黒木 武弘君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     田中 和徳君   村上誠一郎君     江渡 聡徳君   仙谷 由人君     佐々木秀典君   松本 善明君     石井 郁子君 同日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     村上誠一郎君   田中 和徳君     臼井日出男君   佐々木秀典君     仙谷 由人君   石井 郁子君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   中路 雅弘君     松本 善明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田昭宏君。
  3. 太田昭宏

    太田(昭)委員 おはようございます。新進党の太田昭宏です。  政府は、景気は堅調である、ファンダメンタルズは悪くないと繰り返しこの委員会でもずっと大蔵大臣初めとして皆さんおっしゃってきたんですが、三月期、特に景気の失速はもとよりのこと、特に金融機関の不良債権問題あるいは含み益に相当依存する企業の三月決算、手形の決済、極めて懸念されていることはよく認識されていることだと思います。  いよいよ予算委員会も最後の段階に入ってきているんですが、かなり国民の間にはこの予算に対しての不満というものがあるし、私も大変、特に歳出削減に踏み込んでいないということについては、変えていかなくてはいけないのではないかというふうに思っておりますが、大蔵大臣、今連合が連日大変寒い中、国会の前で座り込みをしたり集会を行って、特に特別減税の継続と医療費の凍結ということを大変強く主張しているわけなんですが、そのことは御存じでしょうか。
  4. 三塚博

    三塚国務大臣 存じております。
  5. 太田昭宏

    太田(昭)委員 それから、九兆円の増税が行われ、歳出削減に踏み込んでいないということに対する大変な不満がありますし、それからきょうの例えば新聞等見ましても、「広がる「消費税ノー」の輪」ということで、「お年寄りや主婦に切実」である。特に、ここに「「払えぬ」消費者金融から借金」というようなことで、私も税理士さんやいろんな方に聞いてみますと、消費税をなかなか払えないというようなことで、納税に当たって消費者金融から借りて払うというような事態が、特にこれからあるいは九月あたりに心配をしている税理士皆さん方も大変多いわけで、そんな状況であるということをこれまた大蔵大臣御存じかどうか聞きたいと思います。
  6. 三塚博

    三塚国務大臣 存じております。
  7. 太田昭宏

    太田(昭)委員 それから、特に個人破産が、昨年といいますか、この八年度五万件を突破したということで、昨日も最高裁から資料をいただいたんですが、私もさらにこれがはね上がっていることについて大変危惧をしました。実に、報告によりますと五万九千六百十七件の平成八年度の個人破産、昨年度が四万五千九百八十九ですから、相当これがはね上がっているという現状があります。これまた非常に現場の感覚からいきますと、国民はかなり切迫した余裕のない家計の状況にあるということが示されていると思いますが、そこで、企業倒産状況とこの数年の増減、これについて、これは経企庁ですか、どうなっているか、現状をお知らせいただきたいと思います。
  8. 中名生隆

    中名生政府委員 お答え申し上げます。  東京商工リサーチの調査によりますと、昨年の倒産件数は一万四千八百三十四件ということで、前年に比べまして一・八%の減少になっております。それから負債金額で申し上げますと八兆千百二十八億円余ということで、前年比一二・一%の減少になっております。  こういうふうに、昨年一年間で見ますと倒産件数あるいは負債金額総額というのは減少いたしておりますけれども、倒産のレベルといたしましては、一万四千件を超えているということで、高水準であるというふうに考えております。  それから細かい月別で申し上げますと、十二月が千二百七十九件それから一月は千二百三十六件ということで、引き続き高水準であるというふうに考えております。
  9. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今この特別減税への連合の毎日の座り込みとか、あるいは九兆円の増税であるとか個人破産の非常に多い状況あるいは倒産も多いというような状況があるわけで、国民生活が大変なんですが、昨日の夕刊です。富士総研が、個人消費は大幅に減速をしている、「一家庭十八万円の負担増」これは常に言われていることなんですが、「さらに、消費者物価が一・五%上昇し、春闘による賃上げが前年比三%前後にとどまった場合、九年度の実質個人消費支出は前年度比〇・一%増のほぼ横ばいとなり、大きく減速する。」こういう報告があるわけですね。  個人消費が大体〇・一%増というような横ばいになりますと、これはもうGDPに与える影響というのは相当あるわけで、なかなか政府の予測するようなそうしたものにならない、このことが大変懸念されております。この三月を乗り越えて四—六はちょっと落ちるだろうという予測を現実には政府はされていると思いますが、そこから底上げするよというような動きになっているという認識をされていると思うんですが、こういうような消費の減退ということがありますと、ここにも解説が、総研の主幹が言っているんですが、景気が一段落するかもしれないと見られていると月以降も個人消費右上がりにならないから、景気に与える影響というのが非常に心配であるということを言っているわけなんです。  私も非常にこのことについては心配をしておりまして、昨年の景気を下支えした個人消費に今危険信号がともっている、非常に一人一人の消費マインドというものが冷えてきているということをぜひとも私は認識をしていただきたいというふうに思うんです。個人消費という表面的なそうした、まあ回復基調にあるとか、あるいはファンダメンタルズは悪くないと言うんですが、私は、その個人消費のもっと底にあります消費者心理というものを見ますと、軒並みいろんなデータが悪くなっているということを考えますと、政府がやはりこのことについてよくわかった上で景気対策とかいうことをして温かい措置をとらないと大変なことになるという認識をしておりまして、それが結局、四−六だけでなくてことしの景気動向に赤信号をともしている、このことを認識していただきたい。  大蔵大臣は、経済ファンダメンタルズは悪くない、そして景気は堅調である、こう言っているんですが、個人消費も緩やかな回復傾向にあるという御認識かと私は思うんですが、私が今申し上げたようなものを踏まえた上で、果たして、繰り返しそうおっしゃっているけれども、そう判断する根拠を示していただきたい、このように思います。
  10. 三塚博

    三塚国務大臣 各計数、今の消費者及び社会経済動向についての見解の披瀝がありました。私も心を痛めながら、本件は重大な関心を持って見ておるわけであります。予算審議中でございますから、委員政府とのやりとりの中で、今後の経済あり方等についての論議は必ず生きていくことであろうと思います。  そういうことの中で我が国経済はということでありますが、個人消費は、雇用者所得増加傾向を背景に、自動車パソコン等の販売が好調であります。これは指数に出ておるところでございまして、回復基調にあるという根拠一つであります。それともう一つ設備投資先行指標である機械受注が大幅な伸びを続けておるということ、中小企業に明るい動きが見られるというのもございます。住宅建設は、御案内のとおり、消費税アップ織り込み済みの中で着実な水準で推移をいたしております。鉱工業生産もそのようにあります。雇用情勢、厳しい状況でありますけれども、雇用者数が堅調に伸びておるという数字もございます。物価は世界の優等生でございまして、国内卸売物価、特に消費者物価とも安定をしておるということで、国民生活の下支えになっておることは間違いございません。  こういうことの中で、補正予算もお通しいただきました。ただいま大詰めの衆議院の予算審議が行われておるわけでございまして、年度内に衆参あわせまして成立をさせていただきますことが、切れ目のない予算執行ということの中で着実な経済見通しが出るのではないか。  転換期でありますから、太田委員指摘をされました倒産数以下個人破産等あります。ありますけれども、ここは最大関心を持ちながら、最大のベースである政府予算、財投も含めましてこれが決定をいただくことによりまして、四—六はなだらかなものにいく発射台になるだろう。年度後半は、いつも申し上げますとおり、一・九に向けてこの状況を突破をしながら進むのではないか。当然、六改革経済システム改革を先行して、並行して行財政改革金融システム改革等が行われることに相なります。  マスコミの皆さんは、なかなか、できっこないんじゃないかという御激励をいただいておりますけれども、御激励をてこに、着実に前進に向けての準備作業が進んでおりますことを申し上げさせていただきます。
  11. 太田昭宏

    太田(昭)委員 かなり私は状況認識が甘いと思うのです。例えば自動車、今大臣がおっしゃったのですが、私いろいろ聞いてみますと、大手自動車メーカー社長は、駆け込み需要反動減の方が大きい、景気の足元はしっかりしていない、こう言っていますし、別の大手自動車メーカー社長は、これは実需じゃないんだ、ディーラーに無理に置いてもらっているだけだ、こういうような話もしているし、あるいは住宅にしましてもかなりこれは、百八十二万戸から百四十万戸に急落しますから、山高ければ谷深しということで、これは影響力が非常に大きいわけですね。その辺の認識をぜひとも政府がしていかないとならないというふうに私は思います。  一月三十一日でしたが、経企庁の昨年十二月の景気動向調査、ここにあるわけなんですが、ここでもかなり厳しい数値が出ておりまして、これから消費者がどういうふうに景気を見ていくかという消費者心理を示しているわけなんですが、前回の九月調査に比べて二・二ポイント下がって四一・四となった。これは円高不況の懸念が広がった九五年半ばと同じ水準で、消費税率引き上げなどが消費者心理にくっきりと影を落としている、こういう分析をしているわけですね。経企庁幹部自身が、今回の消費税引き上げ影響が九七年度前半を通じて残る可能性がある、こういうコメントを同時にされているのですが、この点間違いないですね、経企庁
  12. 中名生隆

    中名生政府委員 お答え申し上げます。  委員が御指摘になられましたのは、一月の三十一日に経済企画庁で発表いたしました消費動向調査でございます。  この消費動向調査と申しますのは、五つの項目につきまして消費者の意向をアンケート調査をしているものでございまして、具体的には、暮らし向きが今後半年間でどうなるか、あるいは収入のふえ方はどうか、物価の上がり方はどうか、雇用環境はどうか、それから耐久消費財の買いどきであると判断するかどうかという五つについて、半年先をどう見ているかということを消費者からお伺いをしている、こういうものでございます。  それで、これで十二月時点調査した結果というのを見ますと、先生が御指摘になられましたように、九月調査に比べまして二・二ポイント低下をいたしております。低下しております中身を見ますと、物価の上がり方、それから耐久消費財の買いどき判断というところが下がってきているということであります。これは当然、四月から消費税率が変更されるというものを消費者が織り込んで回答している、そういうふうに考えております。
  13. 太田昭宏

    太田(昭)委員 もう一つ、一月にまとめた日経消費DI、これによりますと、とにかくこれもやはり、消費者支出意欲に対するDI値がマイナス二六と、前回調査より非常に低下しているのですね。  特に私が心配をしておりますのは、そのときに同時に出しておりますけれども、この日経から出ております三カ月後の業況DI、三カ月後をそれぞれの人たちがどう見ているかということで、ここにあるわけなんですが、今までは、これは景気業況がいい割に下がってきていますが、今までは大臣、ここの時点で見た三カ月後はよくなるだろう、去年はですね。九六年四月で調べたところによってもよくなるだろう、三カ月後は。七月に調べてもよくなるだろう、十月に調べてもよくなるだろうというのですが、今回、三カ月後の見通しはダウンするという、初めて三カ月後は悪くなるだろうという、そういうこの三カ月後の業況DIというのが出ているわけですね。  この九月期からことしの一月にかけて消費者心理が完全に暗転している。この影響というものは、当然それは消費税上げとか九兆円増税とかいうことの中で相当消費者心理というものが冷え切っている。ですから、私は、表面的な数字だけを見て個人消費回復基調にあるというような論理をとっていると、私はこれは大変なことになる。現在の政府が使っていて、消費者というものが今こういう状況にあるぞというものをむしろ数学的にいえば微分をして、その微分の中で消費者心理というものが一体どうなっているかというと完全に下がっているわけですから、このことが景気というものに対して、GDPの六割を占める消費というものは非常に大臣、大事だと私は思います。  ぜひともそのところを私は認識をしていただかなくちゃならないと思うし、三日前ですか、二十四日のこの予算委員会城島委員の質問だったと思いますが、今回の予算消費者に対して、あるいは働く者に対してどういうメッセージを送っているのかという問いかけに対して、私はここに座っておりまして、大変気になる言葉を大臣が吐いたなと思ったのですが、暫時辛抱である、こういうように大臣はおっしゃって、今回は財政再建のためにこういうことをやったんだから、まあ暫時辛抱である、こういう表現をされたと思います。  私は、本当に大臣の言うように暫時になるのか、消費者は非常に不安を感じているし、その不安がそのまま消費者心理として働いていて、それが結果として四—六だけでなくてその後の景気というものに大きなダメージを与える、早くそういうことに対しての手を打たなければ、消費者を守ってあげる、弱者を守ってやる、あるいは中小企業を守ってあげる、そういうようなメッセージをここで政府の側が発せられないと大変な景気状況になるというふうに思いますが、大蔵大臣、重ねて答弁をお願いします。
  14. 三塚博

    三塚国務大臣 大きな転換期は、予期せぬ困難も出ます。近代政治は、その困難を収束するために、全体を分析をしながら、ベストの道は何かということで選択をしなければなりません。議会制民主主義の中において政治の果たす役割というのはまさにそういうこと、国家と国民現状、特に大事なことは展望であります。  危機的な、財政危機、御案内のとおりでございます。この危機を乗り越えるためには、先ほども申し上げました六つの改革教育改革は、国民心理という、また国民のこの国に対する愛情、またファミリーの愛情、こういうのが底にあるでありましょうし、私どもは、その中で経済システム改革は逐次進んでおります。許認可、これはビジネスチャンスの拡大であり、さらに、多様な経済行動の展開がこれで保障されるわけでありますから、これもあります。政府として特にやらなければならない財政構造改革借金借金を重ねながらその都度その場を通り抜けていかなければならないということになりますと、国民全体に対して政治の持つ責任は果たせないのではないだろうか。  ですから、そのことが分析として明確になりましたとき、そのことに蛮勇を振るってやることも大事だ。しかし近代政治の原点がありますから、そこのところは国民各位の理解を得て進まなければなりませんけれども、幸いに我が国は、完全雇用国家を目指しながら、今厳しい状況でありますけれども、雇用制度、そしてそれを補完する法制度も完備をいたしております。自己責任の世界である企業については、これまたそれなりの制度ができておるわけでございます。  そういう中で、暫時辛抱と申し上げましたのは、まさに政治の果たす役割、太田議員を初め予算委員会の議論を踏まえながら、諸改革、特に私の担当する金融改革であり財政構造改革に向けては、全力を尽くして健全体をつくるべきスタートを切らなければならない。  九年度予算編成、当予算委員会では与党を除き評価がまだしでありますが、まさに元年にふさわしい編成をしたと思っております。その突破口を切り開くために、プライマリーバランス、御案内のとおり、対八年度の比較におきましても、本年度は公債金十六・七兆、国債費十六・八兆、こういうことの中で、税収に見合う国債費除きの歳出、六十兆でありますが、これをつくらさせていただいて、いよいよ後世に責任を持つ気迫の中で、現在の財政の危機を突破をして健全体になってまいるという、これから来年度予算編成、十年度でありますが、概算要求の基準をつくりながら具体的に数値目標も挙げざるを得ないと思います。そういう中で前進をしていかなければならないという、きのうも閣僚懇談会がございましたが、それぞれ深刻な意見のぶつけ合いの中で、国民に対する責任を果たそう、こういうことにいたしておるわけであります。現制度の中ででき得る限りのことをしてまいるということで御理解をいただきたいと存じます。
  15. 太田昭宏

    太田(昭)委員 私の主張しております。その辺の消費者心理の暗転ということについて、ぜひとも認識していただきたいということなのですが、なかなか、大きな角度といいますか漠然としたお話しがいただけないのですが、一家庭を見ますと、これは年間十八万円ということがよく言われて、確かにそのとおりでしょう。月一万円以上というのは相当なのですが、最近でも、ちょうど大学受験があって、娘さんが私立の一流大学に通って一たんは喜んだけれども、その入学金が払えるかどうか。もう一つの県立の方は十分通るという見込みであるというようなことで、実際にお嬢さんも父親の方もお互いに、仲のいい親子でしょう、言い出せないで非常に困っている。  真っ先に衣料が削られて、次に教育費が削られるといいますから、こんな状況で余裕がないという国民生活状況にあって、私は、だから何とかしなさいというだけではなくて、その余裕がなくなっているという、可処分所得が少なくなっているというその中においての九兆円増税というものが大変だということをよく踏まえた上で手を打たないと、景気自体が失速をしてしまうということを申し上げているわけなのです。  特に、今一番日本で大変なのは、高齢者ということが十年前ぐらいに言われてきたのでしょうが、よく一橋大学の高山先生等がおっしゃっているのですが、高齢者というよりも、むしろ今一番大変なのは三十代とかあるいは四十代、そういう方たちが非常に大変で、所得再配分という面から見てもその辺の人たちが大変だ。ここが元気がなくなるような、そういうような手を政府が打ってくるということが非常に問題である。  現在の世代間格差を見ると、最も恵まれないのは三十代、四十代、こういう指摘があります。それはもう御存じのとおりだと思います。子供の教育費がかかるし、食料費、衣料費、一番お金が要る。四十代になれば、年収が六百万とか七百万です。ここのところが一番余裕がないわけですね。ここのところに一番かかってきて、何とかしなくてはならないということになるので、私は特別減税の継続ということがそういうことで非常に大事だというふうに思っておりますし、同時に、特別減税が行われる時期を見ても、四−六というのが非常に危険であるという、その立ち上がりの時期の六月とか七月というところにその特別減税が行われるということが、実は景気というものを非常に押し上げていく力になる。  そういう意味で、今連合等も言っている、我々も言っている特別減税というのは、実はこういう意味で大事なんだという認識をぜひともしていただいて、継続というような、これは答弁がいただけないかもしれませんけれども、ぜひとも認識だけはしていただきたい。見解を下さい。
  16. 三塚博

    三塚国務大臣 国民生活を思う至情は理解できますけれども、財政構造改革元年という厳しい諸状況の中で、それぞれの分野でそれぞれの決心をしながら改革を断行しようといたしております。そういう中で、特別減税の財源は、既に御承知のように赤字国債、借金をもって補てんをせざるを得ません。三カ年にわたり行ってまいったわけでございます。  経済指標が、若干のずれがございますけれども、緩やかな回復基調にありますという分析をいたしておるわけでありますが、そういう中で、国民各位に御辛抱いただきながら、まず健康体をつくるためのスタートを切らさせてほしいと、念願を込めてぜひともお願いを申し上げたいというのが担当者としての決意でございます。
  17. 太田昭宏

    太田(昭)委員 もう一つ、やはり今大変なのは中小企業の皆様方であろうというふうに思いますし、これは、先日の法案が提出されたりというようなことはそのままそういうようなことだと思いますが、中小企業庁が、ことし二月の「最近の中小企業の景況について」という中で、かなり厳しいという認識をされているという発表をされておりますが、中小企業庁、どう分析しているか示してください。
  18. 石黒正大

    ○石黒政府委員 お答えいたします。  「最近の中小企業の景況について」というのを先月発表いたしまして、中小企業をめぐる景況というのはなかなか厳しいというあたりの実態を報告をいたしておりますけれども、基本的には、景況感という部分、それから実態の数字、実績というのと二つあるわけでございますけれども、特にここで景況感、中小企業の方々の気持ちと申しますか、景気に対する見方といいますか、そういう観点から申しますと、この調査は昨年の十—十二月期の実態を調査したものでございますけれども、前期に比べてやや悪化して足踏み状態というふうに調査結果としてはなっておりまして、産業ごとの景況感にばらつきが見られ、製造業につきましては前期に比べて持ち直しをしているものの、小売業やサービス業は前期に比べて悪化をしたという結果になっております。  それから、一—三月期がどうであるかという見通しについても同時に聞いておりますけれども、総じて見れば、引き続き足踏み状態という結果が出ております。  他方、景況感ではなくて、その実態の数字の方でございますけれども、生産につきましては、中小企業の生産は、十二月におきましては指数が九五ということで、これは徐々に上がってきております。緩やかな回復基調でございますけれども、他方、大企業との比較ということで申し上げれば、大企業の回復に比べまして足取りは緩いということが言えると思います。  倒産件数については、先ほど企画庁から答弁ございましたけれども、中小企業におきましても、一昨年よりは少し数字は落ちておりますけれども、依然高水準であるということはそのとおりでございます。  こういう状況で、中小企業をめぐる景況は、我が国経済が緩やかな回復の動きを続けている中で、大企業の回復に比べてはおくれがあるという実態認識をいたしておるところでございます。
  19. 太田昭宏

    太田(昭)委員 一月三十一日、日本商工会議所が示した調査結果でも、これは全国二千五百六十八の中小の業種組合からヒアリングによったデータですから、かなりの母集団であろうというふうに思いますが、これも平成七年十二月以来のマイナス三〇ということで相当深刻な状況だし、私は、上で見た指標というものではなくて、中小企業といわゆる大きな企業との間のねじれ現象というものをよく見ていただかないと、大変なことになるという認識をしているわけですが、通産大臣中小企業と大企業とのねじれ現象あるいはその辺の数値、そういうことについての認識と、応援体制といいますか支援体制というのはどういうような具体的なものを考えているかをお述べいただきたいと思います。
  20. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今中小企業庁長官がお答えしましたように、中小企業をめぐる景況、我が国経済全般は緩やかな回復基調を続けている中で、依然として大変厳しい、こうした認識を持っております。  この中小企業の生産というものは上昇傾向で推移はしていますが、大企業に比べた場合にそのテンポが緩やかだということ、依然として生産水準には大きな格差が見られております。  また、設備投資という面については、中小製造業、この方は回復の動きが広がりつつありますが、中小商業の方の設備投資は引き続き低調でございます。  総じて言えば、中小企業の景況感は足踏み状態だということで、これからの動向、これを注意深く見守っていきたい、かように考えております。
  21. 太田昭宏

    太田(昭)委員 私が、大蔵大臣、ずっと申し上げてきたのは、こうした中小企業あるいは庶民の生活、結局消費者心理を冷やして、個人消費を暗転させて、やっと上向きになった景気というような認識をされていると思いますがその足を引っ張ってしまうというようなことが現在行われている。景気を失速させてしまえば、株価は下がって、金融問題、不良債権処理が難しくなって、一切の計画が破綻するわけですね。  そのためにも、今政府で大事なのは、先ほど国債発行とかいうことはできないという、それは当然です。今一番大事なのは、歳出削減ということです。増税を強いる予算を無修正で通すことではなくて、歳出削減に今踏み込む。規制緩和や経済構造改革に踏み込んでいるという政府のリーダーシップといいますか姿勢を示す。そして、景気の効率的な刺激策を残しつつ、政府が支出にメスを入れる、そうしたメッセージ国民に送れば国民は安心をするということの中で景気が普通の基調に乗っていく。ここの構造とか流れをぜひとも理解をしていただきたい。そういう意味で、消費を健全化するためにも、二兆円以上の歳出削減、そして特別減税の継続というものが私はぜひとも大事だということを主張させていただきたいと思います。  次に、話は変わりまして、耐震の問題に移らせていただきます。  ちょうど阪神大震災から二年が経過をしまして、それで神戸をどうするかということについては、大変御苦労されてここまで来たと思いますが、じゃ全国は一体どうなっているか。その阪神大震災の教訓というものがどういうふうに全国のものに影響を与え、体制がとられているかということを私調べてみますと、それは教訓と言えば、一番大事なのは耐震補強ということだと思いますが、それが、耐震補強というのは非常にお寒い状況であるし、耐震診断は行われていない。法律はつくったけれども、それが活用されていない。  そういうような状況で、ちょっと考えてみても、一人一人の職場なら職場、例えば国会は大丈夫なのか、議員会館は大丈夫なのか、建設省なら建設省の建物は、本当に阪神大震災級の地震が来たときに大丈夫なのかということをお考えになったことがあるのかどうか知らないけれども、明確に自信があって答弁できるという方は私は少ないと思います。同じことが全国みんな起きていまして、果たして阪神大震災の教訓というものがあるかどうかということで、調べてみますと私は大変心配になりまして、きょうはあえて質問させていただきたいということになったわけでございます。  耐震補強ということを考えると、今までは関東大震災、これはプレート理論からくるもので、ちょうどこの東京にかかった地震の加速度は大体三百ガルから四百ガルと言われて、それを基準にしてこれまで耐震基準というものがつくられてきまして、二百ガル相当のものが来ても大丈夫だということで、〇・二という水平の力をかける。質量がMとしますと、重力加速度がかかりますから、Mgという力がかかっていて、物には重みがあるわけなんですが、それが関東大震災級のものということで、横に〇・二かけるという、〇・二gという弾性設計でこれまで行われてきたということだと思うのですが、これがもう通用しないというようなことで、今回は、阪神大震災では、何と二百ガルどころか八百十八ガル。そしてその八百十八ガルを入れたところ、建物によっていろいろ固有振動数とか違うのですけれども、二gまでかかっているというようなことがありまして、これは、物事の基準となる耐震の設計震度というものをどのようにしていくかという変更が当然あるわけで、そこで土木学会等では、これについて、弾性設計から塑性域の設計ということの大きな変更の中から、レベル一とレベル二という両方兼ね備えた物の考え方にしていきなさい、こういうような方針が出ているわけなんですが、これがなかなか統一されていないということに私は大変危惧を持っているわけなんです。  このレベル一、レベル二の概念、その弾塑性設計、非線型振動論、こういうものについて、この建設省の基本的な考えというものを示していただきたいと思います。
  22. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 お答えいたします。  土木学会の提言によりますと、レベル一地震動といいますのは、構造物の供用期間内に一、二度発生する確率の地震動、それからレベル二といいますのが、先生おっしゃられました、地震動が陸地近辺におきまして、大規模なプレート型の地震とか直下型地震といったような、構造物にとりましては恐らく供用期間中に発生する確率が低いのですが、急激に発生する、そういう地震動でございます。  これらに対する設計の基本的な考え方といたしまして、レベル一の地震動につきましては、原則として構造物が損傷しないといったことを要求しておりますし、それからレベル二につきましては、損傷を受けることがあったにしても、そこら辺を考慮して、その損傷過程にまで入って構造物の耐震性能を照査することを求めております。具体的には、それぞれ、レベル一の地震動につきましては弾性設計、それからレベル二につきましては弾塑性設計によって対応するということになっております。  そういうことで、建設省におきましても、このような考え方に基づきまして耐震基準の見直しを実施したり、あるいは対応方を進めているところでございます。
  23. 太田昭宏

    太田(昭)委員 弾性設計とか塑性設計とか、線型振動論とか非線型振動論と言っても、なかなか恐らくよくおわかりにならないと思うのですが、素人っぽく言えば、今、橋脚とかいろいろな高速道路で補修がされています。補正予算とか本予算でも今いっぱいあります。大臣がきょうは大勢来てくださっているので申し上げますが、いろいろな建物があったりします。道路も直さなければいけない。いろいろなものに現実には予算が使われています。それは、阪神大震災級の地震が来たときにびくともしないということを基準にしながら物を考えていらっしゃるのか、それともびくともしないのではなくて、どういうことを基準にされているのかということは、政治家とかいうものがこれは国をどう考えるかという、町をつくる上で非常に大事なことだと思います。それが今、レベル一、レベル二というような話があったのですが、要するに、レベル二ということは、びくともしないものをつくろうとされているのですか。
  24. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 レベル一につきましては、びくともしない形の弾性域での対応といったことでございます。ですが、先ほど申しましたように、レベル二につきましては、機能が多少は影響を受けたにしてもそれで形を保つことができる、そういったことで被害が比較的少ないといったところの二段階に分けております。これは構造物の経済性からいきましても、そういうことが必要ではないかといったことで考えております。
  25. 太田昭宏

    太田(昭)委員 まさにそのとおりだと思います。弾性設計としての強さ、そして塑性設計としての粘り、その粘りと強さというものをドッキングさせて、そしてもとに完全に戻るという弾性設計でなくて、崩れてしまって、勇断破壊が起きないというところまで持っていって、そこの人命だけは守るという考え方で私はだんだん統一されてきたと思いますが、これが現実には、いろいろな省庁がそれぞれ管轄する建物がきちっと整理されていない。入力の加速度がばらばら、どういう地震を想定するかということがばらばら、そして設計震度がばらばら。そしてどこまで、そういうような塑性域まで踏み込んだかというと、弾塑性設計というような概念になっていないところもある。  こういうことで、私は、政府はぜひともそこで物事については統一的なものにこの作業を進めていくという時期に今来ているのではないかということを申し上げたいというふうに思っているわけです。  そこで、具体論に入りますが、東京等の首都高速などでは橋脚の補強が進んでいますが、全国の高速道路の橋脚が何本あり、そして緊急防災対策として本予算とかあるいは補正予算で言われていますが、その優先順位というものをどのように考えてこの橋脚の補強というものは行われて、現在何%ぐらいがこの高速道路の橋脚について補強がされているのか、それについて御答弁をお願いします。
  26. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 全国の高速道路におきまして、橋梁の橋脚でございますが、これが高速、それから都市高、有料道路含めまして約七万五千基ございます。そのうち、今回緊急補強事業としては二万一千八百基について緊急補強を行うことといたしまして、平成七年度から行っておりますが、今の二万一千八百基を三年間で行うといった計画になっておりまして、現在、八年度まででございますが、補正も含めまして一万五千基、したがいまして六九%でございます。この緊急のものにつきましては、九年度で補強がすべて完成させられるといったことで考えております。  補強に当たりましての優先順位のつき方等でございますが、今回の大地震の経験を踏まえまして、復旧に時間を要したり、あるいは被災時の影響の非常に大きかった立体交差の区間とか、それから高架橋といっておりますように、複断面、下の道路があるところの高架橋でございますが、そういったものの昭和五十五年より古い基準、基準が何回か改正されておりますが、昭和五十五年よりも古い基準で設計されたもの、こういったものの橋脚につきまして、緊急度の高いものから優先的に実施しております。したがいまして、九年度、十年度以降については、それ以外のものも必要なものは行っていくといった方向で進めております。
  27. 太田昭宏

    太田(昭)委員 昨年十一月に、道路については新しい仕様書で最大想定加速度八百ガル、保有耐力二g、こういう設計震度ということで決まったというのですが、間違いないですか。
  28. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 八百ガル程度の地震力が加わったにしても、先ほど先生がおっしゃられましたようにたわみやすい構造にできておりますので、塑性設計の段階ではもつ、そういった形にしております。
  29. 太田昭宏

    太田(昭)委員 ところが、建築では、弾塑性設計にはなっているのですが、八百ガルというふうに橋脚ではなっているのですが、弾塑性設計で一gということで、入力としては三百から四百ガル、保有耐力一g、こういうことになっているというのですが、間違いないですか。
  30. 小川忠男

    ○小川政府委員 ただいま御指摘のとおりでございます。
  31. 太田昭宏

    太田(昭)委員 それでは、私はこの土木、橋脚等と調整をすべきであるというふうに思っておりますが、例えば消防庁、石油タンク、この場合の最大想定加速度、最大の保有耐力は幾つにして震度設計をするということになっていますか。
  32. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 特定屋外タンク、貯蔵所の耐震基準の二次設計の考え方でございますけれども、これにつきましては設計水平震度最大〇・四五相当ということで省令等の改正をいたしております。加速度は約四百五十ガルを想定をいたしております。
  33. 太田昭宏

    太田(昭)委員 運輸省の耐震岸壁、液状化等が一番問題ですが、これはどうなっていますか。耐震岸壁の最大人力と新基準、また液状化対策、これについて簡単に言ってください。
  34. 木本英明

    ○木本政府委員 港湾の岸壁の耐震強化でございますが、兵庫県の、阪神の地震以前につきましては、それぞれの地域の既往最大の地震を想定して設計を行うという考え方になっておりまして、地域によっていろいろ異なるわけですけれども、最大級のものでは最大加速度約三百ガルぐらいを想定してやってございます。  阪神の地震以後は、直下型地震もその設計対象地震の対象として考えるということになりまして、これもそれぞれの地域の直下型地震をいろいろ想定して行うわけですけれども、例えば兵庫県の南部地震、阪神地震の場合では約五百ガルぐらいを想定して今後の設計震度を行っていく、こういう考え方をしております。  それから、液状化対策につきましても、過去の地震の教訓を踏まえまして液状化対策の設計とか施工の基準を決めておりまして、それに基づきまして各港湾でそれぞれ対策を講じてきております。  地震が起きましても、そういった講じたところにつきましては被害が生じていないという実績をつかんでおりまして、今後そういった方針で進めていきたい、こういうふうに考えております。
  35. 太田昭宏

    太田(昭)委員 通産省のコンビナートの最大人力、新基準あるいはガス設備、これはどうなっていますか。
  36. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 コンビナート事業所のうちの高圧ガス設備に係る耐震基準につきましては、本年四月から新たに、タンク等に対する基準に加えまして、重要な配管部分を追加して基準を策定することとしてございますが、最大人力加速度につきましては、現行の三百ガルに対しまして、新基準では六百ガルというところにしておるところでございます。なお、この六百ガルは継続的な入力加速度でございまして、瞬間的な最大人力加速度八百ガル程度には十分対応し得るものと考えてございます。
  37. 太田昭宏

    太田(昭)委員 要するに、今いろいろお聞きしたところ、おわかりいただいたと思いますが、耐震岸壁、運輸省は活断層も考慮して約二百七十ガルの入力を想定する、道路橋では八百ガル、石油タンクでは四百五十ガル、コンビナートでは六百ガル、建築物では三百から四百ガル、あるいはガス設備では改定をしないで百五十ガル、ダムでは二百四十ガル、それぞれが入力自体がばらばらになっていて、従来のものからの脱皮が私はできていないというふうに思っております。  そういう意味では、この辺の、物をつくるときにどういう物の考え方の中から耐震というものを統一的にやっていくか。全部これは全く一緒のものにするという必要はないと思いますが、地震力というのをどの程度想定するかということ自体ぐらいは合わせておかないと、これは大変なことになるというふうに思っていますから、それについて建設大臣、ぜひともその辺の総合的な対策というものを考えていただきたい。  これは全部一律にしようと私は言っているわけじゃなくて、物の考え方でなかなか、それぞれの学会もそうでしょう、それぞれの省庁もそうでしょう。どうしても縦割りになったりいろいろなメンツもありますから、沿革という歴史の中でしかできませんから、その調整役というものを政府がこの際していって、そしてこういう、地震力に対して日本の町づくりをしていこうという基準をつくっていくことが私は大事だと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほどから委員の御質問をお聞きしておりまして、のど元過ぎればという残念な国民性のある中で、最近いろいろなところで、防災について何かもう忘れてしまったような議論が横行しておるわけでありますが、まさに国会一の地震の権威者でもある委員から、日ごろ建設省に対しましてもいろいろ具体的な御指導もいただいておるわけであります。  ただいまいろいろ御指摘なされました件については、委員指摘のようにトータルとしての耐震に関する政策、そうした強度等についても、それについてはやはり私は政府として一体的な取り組みをしていく。なお、中にはやはり病院だとかあるいは学校だとかそれぞれの建物の用途、特性についてのそれぞれの配慮は必要だと思いますけれども、委員おっしゃいますようにトータルとしてのそういう政策がなければならない、このように考えております。
  39. 太田昭宏

    太田(昭)委員 ちょっと、五分しかなくなっちゃって困っているのですが、国土庁長官、短くちょっと同じように。これは国土庁の役割とも思いますが、どうでしょう。
  40. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 都市工学の専門的な立場からいろいろ御指摘をいただいているわけでありますが、阪神・淡路の大震災を我々は貴重な教訓として、平成七年の七月、中央防災会議の改定によって新しい基本計画に沿って、各省庁が統一をした、特に直下型の大地震あるいは海溝型の巨大地震に対応できるそうした備えをきちっとやるように、最近もいろいろな方面から指摘をされて、きょうも委員からも御指摘をいただきましたが、各省庁でその耐震に対してばらばらな基準でないように、今申し上げたような大地震が来たときに対応できるような統一的な基準に従って対応するように、関係省庁とも十分連絡をとってまいりたいと思っております。
  41. 太田昭宏

    太田(昭)委員 御出席をいただいて大変申しわけないのですが、私、非常に心配をしておりますのは、例えば学校とか病院でございます。  いろいろ調べたり、またお聞きをしますと、学校もなかなかこれが、五十六年に新しい耐震基準が建築ではできましたから、それ以前のものがどれだけあってどういうふうにやるかというような作業ががっちり進んでいるのかなと大変心配をしておりまして、これは市町村がやっていることだからというようなことをお聞きしたりいろいろしておりますが、ぜひともその辺の、学校というのはいろいろな意味で大事なところでもありますから、それについてお願いをしたいと思います。  もう時間がなくなってしまってお答えいただけないかと思いますが、同じように病院についても私は大変、これは特に心配をしておりまして、厚生省の方にもお聞きをしましたところ、まだかなり私は不十分ではないのかなと。あるいは五十六年以前の病院がどれだけあってどういうふうにしていったらいいのかということが非常に、特に学校と病院について私は心配でならないわけであります。  その辺は、ぜひとも文部大臣そして厚生大臣から、もう一遍これは点検していただいたり、安全措置をとっていただくように指導をいただきたい、このように思いますので、お二人から御答弁をお願いしたいと思います。
  42. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 公立学校の施設が、児童生徒の安全確保とかあるいは地域住民の応急避難所として大きな役割を果たしたことは、阪神・淡路大震災等で証明されております。  そこで、文部省としても、この昭和五十六年以前の学校、特に全体の約四分の三が以前の基準の、前の建物でありまして、面積にいたしますと一億一千万平方メートルに当たります。そこで、平成七年六月につくられました地震防災緊急措置法、それとそれに基づく緊急の五カ年計画、これに基づきまして今改善計画を策定中であります。  文部省としても、あるいは各都道府県、市町村におきましても、冒頭申し上げた見地から、大至急、少なくとも防災機能の強化へあるいは耐震性能の向上、こういうことで診断とかあるいは補強工事に努めておりますとともに、備蓄倉庫とかあるいはプールの完備、こういうことに鋭意努力を続けております。  時間の関係で細かい数字は、もし必要があれば言わせますが、そういうことで取り組んでおりますが、何せ事業量が膨大でありまして、今五カ年計画で相当の事業量ということで、何とか早く耐震性能の向上、強化に努めてまいりたいと思っております。
  43. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 耐震の問題、特に災害が起こってしばらくたってから重要な点を御指摘いただいたのですが、率直に言って全部の病院について厚生省がこれの実態把握に努めろというのは無理な点もあると思うのですが、災害拠点病院の整備等の施策を推進するため、耐震強化が必要な病院についての実態把握については鋭意努めていかなきゃならぬなと思っております。
  44. 太田昭宏

    太田(昭)委員 終わります。
  45. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。  次に、石田勝之君。
  46. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 質問通告は、彩汚職関連、そして特殊法人の改革関連が二番目に入っておるわけでありますが、官房長官が記者会見で十分か十五分ほどで離席されるということでありまして、質問通告の二番の二から、定年制の延長問題について、まず質問に入らせていただきたいと存じます。  特殊法人の改革をめぐる論議が昨今大変活発になってきております。中でも、官僚の特殊法人への天下り問題は、これは古くて新しい問題と言えるわけであります。この問題は一面、国家公務員の定年制の問題とリンクしていると指摘されておりますが、きょうはまずこの問題を取り上げさせていただいて、質問をいたしたいと思います。  事務次官の定年につきましては、御案内のとおり、現在六十歳で一般公務員と同様であります。現在、人事院ではこの事務次官の定年制を六十から六十二歳に引き上げようと検討しているわけでありますが、この事務次官の定年問題について、どういうねらいで、どんな取り組みをしていくのか、まず人事院からお聞かせいただきたいと思います。
  47. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  御存じのとおり、昨年の人事院勧告の際に、退職管理のあり方に関連をいたしまして、早期退職慣行の見直しということについて報告をさせていただいたところでございます。  幹部職員の退職管理につきましては、これまで比較的早期に退職勧奨がなされてきたところでございまして、このような慣行は、公務組織の活力を維持する面、これは決して否定をするものではございませんが、これからの急速な高齢化社会あるいは行政の複雑、高度化が進んでまいります中で、今後在職期間の長期化を図っていくべきものであるというふうに考えておるところでございます。  幹部職員の退職管理のあり方につきましては、各省の人事運用の基本にかかわる問題でございまして、在職期間の長期化に向けて、これは総合的な検討を進めているところでございますが、その 一環といたしまして、事務次官等について特例定年を設定するという方向で検討をいたしておるところでございます。  特例定年を設けるということは、一律に定年まで在職しなければならないというふうな、義務づけるものでは決してございませんが、事務次官等の退職年齢を各省庁の実情に応じて引き上げることができるようにすることによりまして、それを通じまして、局長以下の幹部職員の退職年齢が全体として徐々に上昇していく効果があるのではないかというふうに思料をいたすところでございます。
  48. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 報道によりますと、天下りをたくさん持っている経済官庁の抵抗でこの事務次官の六十二歳定年が宙に浮いている、このように報道されているわけであります。  私は、この事務次官の定年を契機に、天下り問題の解消へ向けて、これを、今人事院の総裁から答弁がありましたけれども、行革の一つの突破口にすべきである、こういうふうに考えているわけでありますが、人事管理されている総務庁長官に、この六十二歳までの定年延長へ向けての御見解を伺いたいと思います。
  49. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今いろいろ人事院総裁から答弁がございました。  私ども、特殊法人その他への天下りの問題、これはぜひ改善をしていかなきゃならぬと思っております。  しかし、一方においては、何というか、五十歳を過ぎてくるとそろそろというような形で肩たたき的なことが行われていることも事実でございますから、やはり定年を延長するという問題も考えていかなければならないのではないかと。  ただ、御承知のとおり、民間の企業がまだ大体六十歳というのがほとんど、約八割でございまして、六十一歳以上という定年になっているところは、私どもの調査では、八%弱ということになっているわけでございます。その辺も考えていかなければなりませんし、また、事務次官だけの定年を延長しても、今度は事務次官に次ぐその他の幹部職員の問題もあるわけでございます。  幸い、今度の予算案で私どもの公務員制度調査会の設置というものがお認めいただける方向にございますので、予算が成立をいたしましたら、できるだけ早い機会に公務員制度調査会を発足をさせまして、この定年の問題を含め、あるいは最初に採用する場合、これを一括採用するのかしないか、このような問題もあります。公務員の採用からやめていくまでの間のライフワーク全体について、できるだけいろいろと、早い機会に議論し、今お話しの点についてもできるだけ早い機会に答えを出していきたい、こう思っております。
  50. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今御答弁をいただきましたが、私も公務員全体は、これはいずれやらなければいけない問題だろうと思います。しかし、その突破口として事務次官からまず手がけてやるべきであるし、そして年功序列制度というのですか、これを変えて、民間ではもう既に逆転人事が当たり前のような状況にもなっておりますし、同期入省組が横並びでずっと上がっていくという今の制度のあり方、これではいろいろなあれが停滞するのは、私は当然のことであろう、かようにも思うわけであります。  そこで、行革を完遂させるためにも、事務次官の定年延長へ向けて、これを突破口として、官邸においてぜひ官房長官にリーダーシップをとっていただきたい、これを強く要望いたしておきたいと思っております。  そして、官房長官には、昭和五十二年十二月二十三日の閣議決定、「特殊法人の役員の選考」について、これは「公庫公団等特殊法人の役員の選考に当たっては、広く各界有識者の中から適任者を人選するとの見地から、今後、特に次の事項に留意するもの」、こう書かれているわけでありまして、主なものを言いますと、「特殊法人の業務内容を勘案し、民間からの登用を積極的に推進すること。」とか、それから「特殊法人相互間のたらい回し的異動は、原則として行わないこと。」とか、「清新な気風を反映させるため、高齢者の起用は努めて避けること。」とか、それから五十四年の十二月十八日の閣議了解では、「特殊法人の役員について」、「全特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。」それから「民間人等の起用について一層努力するもの」、それから「特殊法人相互間のたらい回し的異動に関する例外については、真に止むを得ないものに限ることとし、この場合においては、一回限りとする。」こういう閣議了解、決定がなされております。  この閣議決定、了解というものは大変重要なものだろう、これは尊重していかなければいけない、大変重みのあるものであろうと私は理解をしておりますが、官房長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  51. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 人事のみならず、閣議決定及び閣議了解というのは、行政機関たる内閣の意思決定機関であります。大変重みのあるものであります。  そして、今委員指摘の特殊法人その他についての御指摘でありますが、私は、その前提にあるのは、官民交流のパイプがどうも詰まっているという気がいたします。それは、民間と官庁間の格差があり過ぎることが、民間から優秀な人材を求め、あるいはいわゆる公儀を重視をする風潮を民間が持ち合わせない、そういうところに実はパイプの詰まりがあるという感じがいたします。  そういうことを理由に何遍も渡り鳥をやっていいということではございませんが、少なくともそういうことを観点にしながら、これから官民交流というか、お互いに行き来ができるような環境形成ができれば、私は、さらに行政の能率やあるいはその他の問題の解決につながろうかと思いますので、そういう問題にも配慮をしながらやってまいりたい、このように考えます。
  52. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 どうぞ官房長官、結構ですから。  それでは、この件に関係をいたしまして、きょうは建設大臣にお越しをいただいておりますから、住宅・都市整備公団、これをケーススタディーとしまして質問をさせていただきたいと思います。  公団役員のうち、官庁出身者の数、割合について、ここ十年間で結構ですから、それをお示しいただきたいと思います。
  53. 小川忠男

    ○小川政府委員 過去十年間の住宅・都市整備公団の常勤役員数は、各年十五名でございます。そのうち、国家公務員出身者につきましては、平成三年と四年が十一名でございますが、その他の年度につきましては十二名でございます。八三%でございます。(石田(勝)委員「何%」と呼ぶ)失礼しました。八〇%でございます。
  54. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 先ほども私、この閣議了解、決定の文書を読み上げさせていただきましたが、そこは、「特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標」としている、こういうことになっているわけでありまして、住宅・都市整備公団は、今局長の御答弁によりますと八〇%ということでありますから、これは閣議了解の精神に反している、こういうことであろうと思っております。  先ほど官房長官も、閣議了解、決定というのはこの特殊法人問題だけでなくてすべての意味で大変重みのある重要なものである、こういうふうに答えておられるわけでありまして、閣議了解では「半数以内にとどめることを目標とする。」というのが今から十八年前の五十四年に閣議了解をされているにもかかわらず、住宅・都市整備公団では八〇%を超えている、こういうことでありまして、これでは古証文ではないか。この閣議了解、閣議決定というのは全く古証文で、こんなことは全然知らない、そういうことでやっている、私はそう言わざるを得ない。これが何が火の玉行革、火の玉内閣なんだというふうな感じも受け取られるわけでありますが、その行革の初めの一歩、私も先ほどから質問をいたしておりますが、これは単な る古証文にすぎないのではないか、かように思いますが、建設大臣いかがでしょうか。
  55. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 最初にちょっと事務的に、私の方からお答えをさせていただきます。  御案内のとおり、国家公務員の出身者を半数以内にという五十四年の閣議了解があるわけでございます。これは大変重いものだと思っております。遺憾ながら、住宅・都市整備公団につきましては、先ほど住宅局長から御答弁いたしましたとおり、八割が現在でもまだ国家公務員出身者、こういうことになっているわけでございます。  いろいろ努力をしなければいけないということで努めてまいりましたけれども、個別の具体の大事に絡む事柄ということになりますと、なかなか関係省庁との調整もございます。住宅・都市整備公団にもやはり各省庁から専門家に来ていただいているということもございまして、調整にある程度の時間はどうしてもやはり必要だ。それにしても長過ぎるではないかという御指摘もございますけれども、今後とも、そういう方面との調整も十分いたしました上で、閣議了解のベースに沿ってやっていけるように努力をしていきたい、こう思っているところでございます。
  56. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今、専門家という答弁がありましたけれども、この法人の業務の関係では一律にはいかない、こういう答弁でもありました。建設省のOB、いわばプロがリードしないと住宅建設や販売もできない、こういうことなんでしょうか。  例えば、そのプロが、今答弁にあったように役員のうち八〇%も占めていて、工事中断の塩漬け住宅が三千百戸、売れ残りと合わせて五千戸もの在庫をこしらえて、一万戸以上が空き家になっている。その上、財投資金を一兆二千億も使って、そして補給金を千四百億円もつぎ込んでいるのです、現状。これは、官僚出身者の硬直した経営感覚がこの事態を招いた一因であると私は思いますが、建設大臣、先ほどから手を挙げて、何かどうも建設大臣、最近指していただけないような感じを見受けられますが、建設大臣の答弁をいただきたいと思います。
  57. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 御答弁したくてしようがないわけじゃございませんが、委員から先ほど来問題提起をされておる部分について、私ども自身が問題意識として持っておる面も多々ございます。  ただ私、言葉じりをとるわけではございませんけれども、住都公団が、今まで総裁初め職員が必死になって中・低所得者層に対する住宅供給という民間ディベロッパーに任せることがなかなか難しい分野に取り組んできて、それなりに成果を上げてきておるという、その実績も私はぜひ評価をしてやっていただきたいと思います。  ただ、今売れ残りがあるじゃないかというようなお話でございますが、これはもう、民間の野村不動産にしても三井不動産にいたしましても、それぞれがあのバブルの急激な崩壊という状況経済状況の変化の中で非常に苦吟をしてきておるという実態があるわけでありまして、そういう中で住都公団がつくった分譲だけが飛ぶように売れるというようなことは、これはなかなか理想であっても難しいという現実があるわけでございますので、そういう面で、歴代総裁、幹部職員の将来に対する見通しが、これができなかったというような、民間に比べてそういう面でも努力あるいは程度が落ちたという御判断は、士気にもかかわることでございますから、ぜひひとつ御容赦を願いたいと私は思います。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕  ただ、先ほどから御指摘のように、委員は天下りとおっしゃいますが、私は建設省の所管についてだけじゃなくて全体と見ておりまして、天下りというよりも、待遇面から見れば天上がりになっておるという判断をしていい面もあるんじゃないか。例えば、事務次官の給料よりも総裁、理事長の給料が、待遇がうんといいというようなことで本当にいいのかどうかという問題も基本的に私はあると思います。  そういう意味では、定年が非常に早いということで、五十二、三からそういう分野にどんどん入っていくということが、私はやはりこの際、委員も御指摘でございますが、事務次官、うちの事務次官もまだ元気はつらつとしておりますが、これが長く居座ると昇進に、下の連中に影響するということがあるかもしれませんけれども、しかし私は、六十二歳というよりも今の時代は六十五歳ぐらいまで、検事総長がそうですが、六十五歳ですか、それぐらいまでは、長い間仕事の中で蓄積したノウハウを徹底的に国民に対して尽くしていく、そういう形で定年問題は検討していくということがなければ、なかなか五十二、三で役所をやめて、かすみを食って生きていくわけにはいかぬわけでございますから、そういうことをきちっとした上で、やはりそういう問題もちゃんとしていく。  しかし私は、この際、行革の中でそうした問題等も、これは決して避けて通れないものだと。委員は先ほど火の玉、火だるま改革、おかしいじゃないかとおっしゃいますが、私どもは今現に取り組んでおるわけでございますから、今全員の生首を切るとかそんな処置なんかできるわけじゃございませんが、抜本的な行革の中で、全体を私どもは見直していくということを宣言を申し上げておるわけでございます。
  58. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今亀井大臣から、事務次官より総裁の方が給料がよくてとかそういうお話がありましたが、それじゃ角度を変えて御質問させていただきたいと思いますが、住宅・都市整備公団の官庁出身役員のうち、この十年間で特殊法人に再就職した、いわゆる転任者は何人いますか。
  59. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  他省庁所管の特殊法人への再就職というのは、ちょっとこれはわからないわけでございますけれども、建設省所管の特殊法人に就職をいたしました者は一名でございます。
  60. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 これは三人いるんですよね、この十年間では。そうじゃないですか。
  61. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 他の特殊法人への就職をした方も含めますと三名でございます。
  62. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 これは、三人いるうち、平成七年六月まで総裁としておられた方は三つの特殊法人を渡り歩いておられるわけであります。すなわち、建設省から住都公団、住都公団から阪神高速公団、そしてまた住宅・都市整備公団、こういうふうに渡り歩いておられるわけで、これは五十二年の閣議決定の趣旨に反しておるわけであります。  さらに、五十四年の閣議了解では、先ほど来申し上げているように、「特殊法人相互間のたらい回し的異動に関する例外については、真に止むを得ないものに限ることとし、この場合においては、一回限りとする。」こういうふうに閣議了解、閣議決定では言われているわけでありまして、そして官房長官も、閣議決定、閣議了解というのは大変重いものだという答弁もされておるわけです。なぜ「真に止むを得ないものに限る」のかが、これ、わからない。  それじゃ、官房長、説明してもらいたいのですが、「真に止むを得ない」理由というのは何なのですか。そして、三法人を渡り歩くというのは転任一回でなくて転任二回でしょう、これ。これは明らかに閣議了解に反しているじゃないですか。そして、これは例外の規定からも外れた例外の例外というのですか、これ。どう思われますか。
  63. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  今先生御指摘の方でございますけれども、住都公団の副総裁で就任をいたしました。阪神公団の理事長になったわけでございますけれども、これにつきましては、阪神財界の大変強い要請によりまして、当時、阪神高速道路公団等がいろいろ重要な、大変重要な路線等の建設もやっておりまして、ぜひというようなお話もございまして阪神公団の理事長に就任をいたしました。その後、理事長から住都公団の総裁に帰ってきたものでございます。確かに回数としては三回ということになるわけでございますが、大変住宅行政等についても見識が高いということで住宅・都市整備公団の総裁に就任をしたわけでございます。  ただ、これは、そういう阪神財界の特に強い要請というようなこと、あるいは従来の識見といったようなことが買われた結果だということでございまして、閣議でも口頭了解をお願いをいたしまして、口頭了解を得て任命を大臣がされたわけでございまして、閣議決定違反ということではないのではないかという、まあ思うわけでございますが、御指摘は大変具体的に、また、たとえもとの公団に戻られたとはいえ、回数では二回ということにはなっているわけでございます。それは、そういう事情があったということで御理解をいただければと思います。
  64. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 事情は別にして、これは転任一回ということが決まっているわけですよ。それを転任二回されているんでしょう。これは閣議了解違反なんですよ。これは、あなたは阪神公団から請われて行った、優秀な人材で請われて行ったと言ったって、閣議了解、閣議決定では転任一回、こういうふうに言われているわけで、転任二回していることは事実なんでしょう。これは閣議了解に違反しているんですよ。どうなんですか、官房長——官房長
  65. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 当該事案については委員から御質問が出るということを聞いておりましたから、私なりにも調査いたしましたけれども、まあ渡り鳥ということを委員おっしゃいますが、別に、渡り鳥になりたくて渡り鳥やっている鳥もおるでしょうけれども、一カ所に巣ごもっておった方がいいという人もおるわけでありまして、私の警察のOBも阪神高速道路の理事長に赴任された方がおりますけれども、こんなことを言っちゃおかしいですが、関東に、東京に、もう定住と言ったらおかしいんですが生活の本拠を置いている方が、阪神高速道路の理事長にわざわざなって行きたいというような希望をしておる方はそんなにたくさんおるわけじゃございませんで、当該事案の……(発言する者あり)それは関西の方から見ればそうでありますけれども、東京にどんと腰を落ちつけておられる方は、できることであれば東京におりたいという気持ちもあるわけです。  やはり、住都公団の副総裁という、自分なりに非常な生きがいを感じているポストにおったけれども、他に適当な人材がいないということで行かれたということもあるわけでありますから、委員、一律にそういう御判断をされるのは、私はやはりいかがなものかな。  やはり、やむを得ない事情が発生する場合がある。物事には原則に対して例外ということが起きるわけでございますから、そういう一つをもって今までの建設省の大事なり公団の人事がすべておかしかったみたいな御判断をされることは、私は本当に、聡明な委員にしてはいかがなものかと、本当に残念でしようがないわけでございます。ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  66. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 いや、亀井大臣、やはり部下のことで、かばって盛んに熱弁振るわれるわけですが、閣議了解というのは非常に重いものだ、ここで私は余りやりとりする気はないですが。  そこで、「特殊法人相互間のたらい回し的異動に関する例外については、真に止むを得ないものに限る」とし、じゃ、それを百歩譲って、大臣のおっしゃったのを「真に止むを得ないものに限る」とした場合でも、「一回限りとする。」こうなっているんですよ。だから、これは閣議了解に反していることではないのかと私先ほどから聞いているんです。
  67. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 閣議了解は重いものでありますけれども、これについて、完全に例外と言ったらおかしいんですけれども、ないのか。また、「真に止むを得ない」場合という、そういうあれがあるわけでありますから、そういう観点でぜひ御理解いただきたい。  なお、本人が今はもう公団の総裁等におるわけじゃございません。
  68. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 だから、この場合においても「一回限りとする。」ここに書かれているわけですから、閣議了解で。これは二回移っているわけだから、閣議了解に反しているんですよ。(亀井国務大臣「精神に反していない」と呼ぶ)反しているんですよ。(亀井国務大臣「形式的にね」と呼ぶ)いや、形式的なって、どうなんですか、反しているんでしょう。これは反している、反しているんですよ。
  69. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほども申し上げましたように、「真に止むを得ない」事情に私、相当していると思うんです。(石田(勝)委員「だが、二回なんだから、二回行っているんだから」と呼ぶ)いや、ですからそれは、先ほど言いましたように、本来が副総裁で、そのまま総裁に同じ特殊法人の中で昇格が予定されておった人物でありますから、それがわざわざ東京を離れて大阪に赴任をした。これは大阪がどうどう言うんじゃないですよ。逆に大阪から東京に移ってくるのも、私容易じゃないと思いますよ。そういう意味で、好きこのんで本人が動いたことではない。  やはりこれは、そういう意味では、建設省所管のいろいろな特殊法人、それぞれきっちりと運用していかにゃいかぬわけでありますが、そういう面でお願いをしたということでありますから、私、閣議了解の精神に反しておるとは思いません。
  70. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 これ以上建設大臣と議論していてもすれ違いになっちゃって。  私は、過去の閣議決定や閣議了解に違反している事例が過去にあった、そのことを改めて今ほじくり出している、そういうことではないんです。そうでなくて、これからの話をするために、特殊法人改革論議が今非常ににぎわって議論されている中で、例えばこの渡り鳥というか転任だとか、この禁止を例外規定することなく、「原則として」という言葉は私はすぐに取ることはできるのじゃなかろうか、そういうふうに思うのです。  それについて人事管理担当の総務庁長官、今までのやりとりを聞いていて、「原則として」とかいろいろ書いてある、「真に止むを得ない」限りとするとか。それらのことについて、原則だとかそういう文言についてはすぐ取るということはできると思うのですよ。それがやはり行政改革の一歩につながってくることなので、それを私はすべきだ。だから、本来これは、今の建設大臣とのやりとりの中でも、これは明らかに閣議了解に反している話なんですよ。  そういうことで、一々これ以上言いませんが、これらのことについて、原則だとかそういうものについて見直して、そういうものを取るということは今直ちにでも私は内閣においてできることだろうと思いますが、総務庁長官の御見解を伺いたいと思います。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いろいろ事情が、今建設大臣の答弁を聞いておりましてもあるようでございますけれども、少なくとも、閣議で了解をして、あるいは閣議で決定したことは当然尊重されるべきことでございますから、好ましいことではないと私は思います。  ちょうど私ども、来年度というか平成九年度で、行政監察で、特殊法人についてもいろいろ見直しをするのか、あるいは場合によれば、必要でないものは必要でないという指摘をするのか、とにかく特殊法人全体について監察をすることになっておりますので、今の点も含めてテーマの中へ入れまして行政監察をやっていきたい、こう思っております。
  72. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それじゃ、この質問についてはこれで終わりにいたします。どうぞ建設大臣、建設省へ帰ってばしばし仕事をやってください。人事院も結構です。総務庁長官、まだちょっと最後にありますので。  それでは厚生省、彩福祉グループの汚職関連について御質問をさせていただきたいと思います。  去る一月二十八日のこの予算委員会の補正の総括質問でこの問題を取り上げさせていただきました。社会福祉事業団から融資を受けたその償還者あるいは償還金について、私はるる質問をしたわけであります。今回、彩福祉グループ六施設に対して、償還者、その償還金が金額的に異常に多くなっていた。これはおかしいのじゃないか。  例えば、一つの施設で五千万もの寄附金を集めていたとか、私は、同じ県内の他のしにせの施設でも大体三百万ぐらいですよ、ほかの施設の方にも聞きましたら一千万が上限です、一千万が限界ですと。そういう話の中で三千万とか五千万とか、ましてこの短い期間でそれらの寄附者を集めたというのは非常に不可解ではないかということを、きょうは事業団の理事長に来ていただいておりますが、事業団の理事長とこの件についてこの間の予算委員会でいろいろとやり合ったわけであります。  そのときに黒木理事長は、事業団としては契約外の話なんだ、事業団としては担保をきっちりとっている問題だから問題ないのだ、こういう答弁であって、融資及び審査のあり方に何の問題もなかったのだということを、ここに議事録ありますが、答弁を繰り返されたわけでありますが、今でもそう思っていらっしゃるのですか。
  73. 黒木武弘

    ○黒木参考人 お答えを申し上げます。  先般、私の方から、事業団の融資の方法なり審査の方法あるいは判断の基準等を申し上げたわけでありますけれども、本件が、彩福祉グループに対する融資が、そのルールなり判断の基準なりあるいは方法なりに沿って審査が行われ、融資が決定されたというふうに申し上げたわけでございまして、その融資に手抜かりとかあるいは便宜を図ったということがないということを申し上げようと思って申し上げたわけでございます。  現時点におきまして、先生から御指摘がありまして、償還財源のもとになります寄附予定者に対しまして調査を行ったわけでありますけれども、後、お尋ねがあればその結果を申し上げますけれども、現時点では、私どもは、法人側からの虚偽の申し立てに基づいて融資がある意味では不適正に行われたという形が結果的に生じておるわけでございますから、その融資の審査の方法なりルールなりについては見直しが必要だ、非常に特異なケースであると思いますけれども、今後二度とこのようなことがないように、厚生省の指導を受けながら、融資のあり方については鋭意検討してまいりたい、かように今思っております。
  74. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今、理事長の答弁ですと、結果、そういう虚偽の内容であったということが調査したところわかった、こういうことでありまして、これは小泉大臣もこの間の質疑の中で即刻調査する、こういうことだった。  私は、この質問をするについては、一月の半ばぐらいから社会福祉・医療事業団といろいろと、どうなっているのだということを聞いていたわけであります。ましてや、この間の衆議院の総選挙が終わって間もなく岡光逮捕、茶谷逮捕になって、これはもう国民がだれしも注視する事件に発展をした。そのときに、社会福祉・医療事業団としては、彩グループに対して三十一億円貸していたわけですよね。そういうことは、当然もうその事件が起こったときに認識されたのです。一月の末の質問ですから、本来、ここに立たれるときには、もう調査が終わっていなければいけないんですよ。大臣調査をしますとかというのではなくて、金額も三十一億も貸していて、そこがああいう事件になったのであれば、事件が発生したら直ちに、どんな内容になっているかということを調べなきゃいけない。  ところが理事長は、この間の私の質問でも、今回の償還者については、私どもとしては無理のない範囲の償還計画であるという審査をいたしました、こういうふうに言っているんだよ。この間の、一月の二十八日の答弁ですよ。そのときに理事長は、無理のない償還計画であるという審査をいたしました、こういうふうに答弁しておられるのです。私は、これはもうどだい無理な話だということを再三言った。あるいは、その質問をする一週間も十日も前からのやりとりの中で、私もこれを質問するに当たっては、県だとかあるいは関係者だとかいろいろな方々に聞いて、いろいろなことを勉強した上で質問に立たせていただいて、今、改めて調査しましたら虚偽でしたと。  本来、この間の予算委員会のこの場で立ったときにそれを理事長が言うべきなんですよ。ましてや金額が、大小にかかわらず、三十一億ものお金を事業団として貸しているわけだから、そういう焦げつきの心配だとか当然出てくるわけですよ。  私は、本来、直ちにこれは調べてやるのが当然だろう、そういうふうに思うのですが、なぜ直ちに調べなかったのでしょうか。
  75. 黒木武弘

    ○黒木参考人 本件が明るみに出ました後、私どもは、行政当局もそうでございますけれども、事業団として、その融資に不正はなかったのか、あるいは今後の債権保全に問題はないのかということで、年末から早速、現地に担当係官を調査に派遣したわけでありますけれども、当時は、理事長も、責任者が逮捕されているということもありますし、書類もすべて押収されているということで、とても調査ができないというふうに回答を担当から受けたわけでございます。その後、新しい執行部の体制もでき上がりましたし、先生の御指摘がこれあり、やっと調査一つができたという状況でございます。  なお、いろいろ融資について、二千万の寄附について、非常識なものをよく認めていたなというようなことから、ずさんな審査ではないかというお尋ねがありまして、さらに精査いたしましたところ、その方は前年所得が一億以上ある。それから、行われている会社の年商と申しますか、五十億を超えているというようなことを法人からヒアリングを得ているわけでありまして、大変結果的には恐縮でありますけれども、その当時としては許容できる範囲と申しますか、審査基準に達しているということをそういう状況の中から判断をし、融資に結びつけたということでございまして、結果的に、それがすべてあるいはほとんどが虚偽であったということが判明した現時点において、私どもの審査のあり方等を含めて反省はいたしております。
  76. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 反省しているということですが、やはりこの間の質問をした、もう約一カ月前ですが、そのときにやはりきちっと、事業団として責任ある立場なんですから、ここへ来て、この問の答弁と今の答弁と手のひらを返したような答弁じゃなくて、これだけの事件なんだから、そのときにはっきり、これは虚偽の疑いがあるとか、あるいはそういう指摘もあり得るとか、そういうふうに答弁するのが当然じゃないか。こんな白々しく、「償還者について私どもは無理のない範囲 の償還計画であるというふうに審査をいたして、今回の融資をしたどころである」、全く非はないというような言い方をしているでしょう。  じゃ、もっと具体的に言いますよ。私がいろいろその償還者等々に当たって聞きました。調査しましたところ、ある人は、「一億円を贈与することを了解したことはなく、突然の申し入れに困惑している」。小泉大臣調査しろと言って調査して、それに当たったところ、私は私なりに自分で調査をいたしまして、調査をしたら、「その一億円を贈与することを了解したことはなく、突然の申し入れに困惑している」。別な人は、「贈与契約には全く心当たりはなく、青天のへきれきだ」と言っている。また別な人は、「契約書は初めて見た。押印されている印鑑は偽造したもので無効だ、履行の意思はない」。さらにある人は、「小山に頼まれて名前を貸したが、書類上の名前だけで、履行してもらうことはないと小山が確約した」などと口々にその立場を訴えているんですよ。これは余りひどい話じゃないですか。まさしく青天のへきれきですよ。こういった私の言った話について事実かどうか、ちょっと確認をしたいと思います。どうですか。
  77. 黒木武弘

    ○黒木参考人 今回の調査結果でございますが、今委員指摘のとおりでございまして、二十一人ほどが意思確認の対象であったわけでありますけれども、名義貸しのみで履行の意思がないという回答が四人でございまして、大半は契約書は無断で作成されたものである、したがって履行の意思なしという回答が十四名でございます。一人だけ、契約内容を承知しているが、現状経済状況から履行困難との回答でございます。あと二人の方が死亡、それから小山本人は逮捕中でございまして回答なしという調査結果でございます。
  78. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今、理事長から答弁がありましたように、小山以外はみんなこれは償還者となり得ない、こういうふうに言っているわけですよ。そんなものはした覚えないとか判こを勝手に押されちゃったとか、結局、その社会福祉・医療事業団が当てにしていたその二十二人からは全部もらえないということなんです。  これは三十一億、これはまあ繰り返しになりますが、三十一億貸しちゃったんですよ。三十一億貸しちゃって、この融資のあり方が大変ずさんだとこの間も言いましたけれども、まさしくこれは融資のやり方に問題があった、こういうふうに私は強く感じるわけでありまして、まして、この間も申し上げましたように、一人で一年間で二千万ものお金を二十年にわたって本当に寄附者として寄附し続けることができるのか。いや書類上そうなっていましたとか、いや給与所得がそうだったとかと理事長先ほどもおっしゃっておられたし、この間の委員会でも同じような答弁されておられましたが、常識で考えて、一人の人が一年間で二千万も二十年間にわたって、二年や三年ならいざ知らず、事業だって三年先、五年先だってわからないじゃないですか。二十年にわたって二千万もの金をずっと寄附し続けられることというのは、そんなこと常識ではあり得ない、私これは申し上げたわけであります。  そこで、これは埼玉県が一つの施設で、この全部で、償還する際の償還金、これはピーク時で千七百万弱なんです。全国平均は、ピーク時でですよ、ピーク時で千六百万なんです。ところが、彩グループは、あけぼのという施設で五千万とか、あるいは上福岡で三千万とか、そのピーク時でも破格に図抜けている。ましてその中には一人で二千万も入っている。二千万も償還できる人というのは、私は全国の中で最高だったと思いますよ。  私も調べたところ、答弁していると時間がないから言いませんが、二千万も出せる人というのは最高なんです。そうすると、書類が回ってくれば、一人で二千万も寄附者として出せると言ったらこれはちょっとおかしいんじゃないかなと普通は、篤志家でまじめな気持ちで寄附をされている、そう思っても、やはり大丈夫なのかな、こう思うのが私は当然ではないのか、かように思うのですが、理事長、いかがですか。
  79. 黒木武弘

    ○黒木参考人 融資に当たりまして、私どもが、法人としての償還能力を参考までに聞くという観点から、寄附者のリスト、金額を聴取しているわけでございます。それを見て償還がスムーズにいくだろうという判断のよすがにいたしているわけでありますけれども、当初の予定でございまして、経営が軌道に乗りますと、施設の経理の中から償還に充て得る財源も生じますし、あるいは、法人の経営いかんによっては地方自治体が助成金を出してくれるということもありまして、当初の予定から現実の給付予定額というのは、やはり私どもの承知している限りでは減少しておるというのが現実でございます。  さはさりながら、当初の審査レベルで巨額な寄附申し込みがあったときの判断について、事業団は非常識ではないかという御指摘でございますけれども、私どもも、担当に聞いた限りにおいては懸念をいたしまして、したがって、先ほどの御指摘の方については、前年の所得がどれほどか、一億を超えている、さらに大丈夫かということで、法人を通じてでございますが、そこの会社の状況を聞いたところ、年商が五十億を超えるということでありますから、大変奇特な方、知人、友人であろうと思いますけれども、やはり懸念を持って、そこまで法人を通じてヒアリングをした上での融資判断をした。  しかし、法人が私どもに丸ごと全部だましにかかるということでありますと、私どもは法人を通じてヒアリングをし、法人との契約において融資しているわけでありますから、法人がでたらめをやったという場合には、なかなかそこのところについてのチェックのシステムが非常に難しゅうございます。  しかし、御指摘でございますから、今後は、印鑑証明とかその他、私どもみずから事前に確認する方法はないのか等々を含めまして、前向きに検討させていただきまして、甚だ今回は特異なケースだと思いますけれども、ほかの法人についても、このようなことがないように厳正に審査を行うようにやってまいりたい、かように思っております。
  80. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それでは、この貸付金額が三十一億になって、結局これは焦げついたわけですよね。この不景気な時代に、この六施設を運営していくには、これを集めていかなければしようがないわけでしょう。おたくは返してもらわなければいけないわけですよね、事業団としては。この不景気なときにこんな金額を集められるんですか。これは私、非常に困難だと思いますよ、これから新たに三十一億の金を集めるというのは。当てにしていたというか、事業団が認めた人は全部返さない、そんなの聞いた覚えもないとか、そんなこと勝手に判こ押されちゃったとか、そういうふうに言っているわけですから。この三十一億、これからどうするんですか、この回収を。例えば、場合によっては、県にこの借金の肩がわりをしろなどという議論にだってなりかねない、そんなもの冗談じゃないですよ。  もう一度これは申し上げたいと思いますが、三十一億のお金を集められますか。どうなんですか。
  81. 黒木武弘

    ○黒木参考人 これは、大きな意味では国の政策でございまして、特養施設が建設される場合におきましては、国と県の補助金で、大部分は補助金で都合をつける、その残余については自己資金ということになるわけでありまして、創業者が自分の財産でそこの部分を見られるというのが通常でありますけれども、それに及ばない場合には協力者を求めて、寄附の形で施設ができ上がっていくわけでございます。  したがって、公的な資金ですべて建設ができるということではないわけでございますから、どうしても自己負担がある。この自己負担について、創設者が全部調達できないという場合にはどうしても協力者が必要だということでございまして、ほかの法人もすべて、自己負担部分については私どもが長期で低利で融資しておりますけれども、それを自己負担の形で、理事長さん本人かあるいは協力者を求めて償還財源に充てるという政策をとっているわけでございますから、そこのところは、私どもは、何らかの形で法人側の努力によって償還が協力者を得てなされるもの、そして、それについて、資金その他の事情によって困難な場合には私どもに相談をしていただいて、貸し付け条件あるいは返済金についての取り扱いについて相談をしていきたい、かように思っております。
  82. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 時間がありませんから先に進みますが、私は、今回のこの一連の彩福祉グループの汚職問題について、社会福祉・医療事業団は、まさしく償還者が一人もこれは返す意思がない、そういうことで、非常にこれはずさんだ。何でこんな全国にも破格な金額を認めたのか、それも安易に認めたのかというのは、やはり、事業団に厚生省から五人も理事長が、理事長もそうですが、行っている。私は、これはこの間理事長は否定されましたけれども、これは岡光なり茶谷からやはり何らかの働きかけがあった、私はそういう疑念を完全にぬぐうことはできません。まあ、これは押し問答になりますから、この質問はこの程度にとどめて、次へ進みます。  会計検査院が埼玉県の今申し上げました一連の問題について調査に入ったということですが、現在までの調査結果について、明らかにできるところで結構ですから、何について調べているのか、具体的に教えていただきたいと思います。
  83. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  埼玉県に対します彩福祉グループの問題につきましては、先ごろ実地検査を実施したところでありますが、現時点におきましては、引き続き資料の収集あるいは分析等を行っている、その結果につきましては、あるいは内容につきましては、現段階におきましては申し上げる状況にないということを御了承いただきたいと思います。
  84. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 社会福祉・医療事業団の融資についても調べるんでしょうか。そこは調べるとすると、どこに着目をして調べるのか、それも具体的に伺っておきます。
  85. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 今回、施設整備費補助金とあわせまして、社会福祉・医療事業団の彩福祉グループに対する福祉施設設備資金の貸し付けについても実地検査を実施したところでありますが、現時点におきましては、先ほど御答弁いたしましたと同様の実態でございますので、その結果あるいは内容について申し上げることについては、現段階ではできないということについて御理解いただきたいと思います。
  86. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 検査の結果、仮に過大に補助金が交付されていることがわかった場合、厚生省の命令で補助金の返還ということになろうかと思いますが、その場合はだれが返すことになるんでしょうか。
  87. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答え申し上げます。  検査院の検査結果につきましては、先ほど答弁ございましたように、現在検査院において精査中というお話でございますから、それを待っての話になりますけれども、特別養護老人ホームの施設整備等に対しまする国庫補助金、これは、社会福祉法人が整備を行います場合には、都道府県に対する間接補助の形で私ども補助をさせていただいております。したがいまして、国が返還をお願いをする、求めるのは、直接には埼玉県に対して、補助金を返してくださいということをまず申し上げることになると思います。
  88. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今の答弁では、過大交付があれば埼玉が返すんだ。埼玉が返すんだと言われたって、埼玉県から考えてみれば、国から役人が来て県知事の判こをばんばか押しちゃって、やりたい放題やって、厚生省のトップとつるんではんぱんやられた話ですよ。それでこういう問題になって、後は埼玉県の税金で返せと言う。全くこれは県民感情としては割り切れない、また釈然とできない話です。厚生大臣、どう思いますか。
  89. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 釈然としないのは当然だと思います。審査体制にずさんな点があった、甘いことがあったということを反省して、今後の事業に生かしていかなきゃいかぬと思っております。
  90. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それで、会計検査院にお尋ねをいたしますが、一月の十六日に、これは県が作成した資料で、これは一つの例ですが、彩川会と川里苑というのがあって、そこが、ジェイ・ダブリュー・エムという、これは小山あるいは村田氏の会社と言ってもいいわけですが、ぞこが九億四千六百万で受注して、これを六億九千五百万で下請に丸投げしているのです。この丸投げした川里苑では補助基準額が七億円になっているわけなんで、補助基準額の方が多いのですが、これは当然返還の対象になると思いますが、会計検査院の御所見を伺いたいと思います。
  91. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  川里苑につきましては、検査を実施中の事項でありますし、また個別の事項でございますので、答弁は差し控えさせていただきますが、一般論で言えば、仮に実際の事業費に誤りがありまして、正しく計算しますと実施事業費が低くなり、基準事業費を下回ることになる場合には、補助金の過大交付になるものと理解しております。
  92. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 一月の末に厚生省では、この彩グループの事件の反省点に立って、施設整備業務等の再点検のための調査委員会第一次報告書というのを出されて、私も手元に持っております。  この補助金交付の対象施設を都道府県市が選定する際、例えば、埼玉では茶谷が独走しちゃったわけですね、先ほどからも言っているように。これを許さないために合議制による審査を経て決定するとなっている。しかし、県では、国からプロ、その専門家がその部署へ役人として来れば、周りの職員は、厚生省から出向している専門家が決めたんだからとか、あるいは、あの専門家が言うんだから大丈夫だろうとか、そういうふうに思って今回独走を許してしまった。  これは、合議制で決定するというのはいいのですが、中央官庁の出向体制自体を見直さないと、この事件の教訓を本当に生かしたことにはならない、私はかように思います。最低限、同一ポストへの連続出向をやめさせるとか、そういう措置が考えられなければいけないと思いますが、今回の改善措置は、実行可能で効果的なものをまとめたということでありますけれども、出向制度については検討されたかどうか、厚生大臣、最後にちょっと、時間がありませんので、今までのやりとりを含めて御答弁をいただきたいと思います。
  93. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 出向問題について、特定のポストに固定して長年出向をし続けるというのは好ましくないと思いまして、原則としてそういう状況を改めよう。例外としては、都道府県が、特別の技官、専門的な知識のある人はどうしてもそこの部署に欲しいんだという場合は例外になりますが、原則として特定のポストにこだわり続けて出向するのは好ましくない、そのような形で指導していきたいと思います。
  94. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 時間になりましたので、質問を終わります。
  95. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田克也君。
  96. 岡田克也

    ○岡田委員 新進党の岡田克也です。官房長官に来ていただいておりますので、最初に沖縄問題を少し質問させていただきたいと思います。  先般のオルブライト国務長官の訪日時に、総理との間で沖縄の海兵隊の問題について議論があった、こういう報道がございます。報道の中身は新聞によってかなり差がございますが、例えばある新聞は、海兵隊削減について緊密に協議するという話が総理から出された、あるいは他の新聞は、将来の削減を含め柔軟に対応していく、こういう話になったというふうに伝えております。あるいは官房長官御自身の記者会見の中で、極東情勢の変化、そういうものを踏まえれば、中長期的には当然変更がなされなければならないし、その時代に合うような体制にこれから持ち込まれるであろう、こういう発言もあるわけでございますが、総理と国務長官の間で、この沖縄の海兵隊の問題について正確にはどのようなやりとりがあったのか、官房長官にお聞きをしたいと思います。
  97. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 オルブライト長官と総理の、私は陪席をいたしておりませんからどういう話が正確になされたのかは知りませんが、それぞれニュアンスの違いのある表現に新聞等においてはなっております。それぞれ、ある意味では期待、願望を持ちながら双方がお話しになっているわけでありますから、それぞれの所感が違うかとは思いますが、全く話題にならなかったということではない。  しかし、一般のことでもそうでありますが、軍事力、特に考えますと、これは仮定の条件で物事を判断をするわけにはいかない。将来の推定そのものはありますけれども、現実の今の対応はどうするかというと、そういう新しい体制が発生しない限りそう簡単に変えることはできない。  昔から、百年兵を養うはこの一戦のためという言葉がありますが、精兵を養い、なおかつ保有をすることは、それは百年間平和が続くことを祈念をするからであります。百年間平和が続かない場合に敗れないためであります。  そういう二つを考え合わせてそれぞれのお話を聞きますと、含蓄のある思いがしますけれども、私は残念ながらその表現力を持っておりません。何とお答えをしていいかわかりませんが、それぞれの思いを込めて話があったというふうに理解をいたしております。
  98. 岡田克也

    ○岡田委員 官房長官、沖縄問題、大変熱心に取り組んでおられるわけですが、この沖縄の普天間の問題を考えましても、やはり私は、最終的に沖縄から兵力あるいは基地を減らしていこうという考え方に立てば、海兵隊の削減あるいは撤退ということに行き着かざるを得ないんではないか、そういうふうに思っております。  沖縄にはもう一つ嘉手納の空軍基地がございます。どっちをとるかという話になったとすれば、嘉手納の空軍基地というのは全体の、場合によっては中東まで含む米国の空軍の戦略拠点であります。もちろん普天間の海兵隊についても重要であることは論をまたないわけでありますが、しかし、二つある限りは抜本的な兵力の削減や基地の削減にならないとすれば、そしてその中でどっちをとるかといえば、私は、海兵隊に将来撤退をしてもらう、そういうことしか道はないんではないかという気がいたします。  もちろん、今の極東情勢、特に朝鮮半島の情勢を考えれば、今撤退をしてくれ、そういう情勢にはないようにも思います。しかし、今撤退をしてくれということは言えなくても、将来、例えば朝鮮半島が安定をするとか一定の条件が満たされれば、そのときには撤退をしてくれ、そういう話を今することは、私は決して不可能ではないと思います。  先ほどの官房長官のお話では、それは将来のことは予想できないからという趣旨の話であったと思いますけれども、しかし、今沖縄の県民の皆さんの気持ち、そういうものを考えれば、何らかの将来の展望がなければ、普天間の基地の移転の問題もデッドロックに乗り上げておりますし、結局、この四月に迎える大変な問題について、それを乗り越えていくことはできないんじゃないか、そういう気がするわけでございます。ここは、私は、もう政治家の判断だ、政治家の決断の問題だという気がいたします。四月には日米首脳会談も予定されておりますが、私は、その場で、将来の一定の条件が満たされた場合の沖縄からの海兵隊の撤退について首脳間で話をして、そういったものがきちんとメッセージとして沖縄に伝わる、そのことが、少なくとも沖縄の県民の皆さんが将来について希望を持つための最低条件じゃないか、そういうふうに考えているわけでございます。  官房長官のいろいろな沖縄についての答弁をお聞きしておりますと、沖縄の問題を何とかして、自分の政治生命をかけて解決しようという意欲は伝わってまいります。そういうことがわかった上で御質問申し上げたいんですが、今私が申し上げました海兵隊の問題について、官房長官、今どういうふうにお考えでございましょうか。官房長官の政治家としての御見識を聞きたいと思います。
  99. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 岡田委員の発言の意味がわからないわけではありませんが、私は、政府を構成する一員として、国家に責任を負わなければなりません。そういうことを考えますと、冒頭、私、例えを引いて申し上げましたけれども、百年兵を養うはという言葉がありますが、決して自国の兵ではありませんが、日米安保条約によって有効に日本の安全が維持をされている、この現実を考えますと、みだりにそういうことは今軽々に申し上げるわけにはまいらない。  しかし、沖縄の県民の痛いほどの気持ちを理解しないわけではありません。私は、政府を構成する一員として、また国会議員として、国益を最大限に考えなければなりません。苦痛を乗り越えてもやっていかなきゃならないという決意でおります。
  100. 岡田克也

    ○岡田委員 この話は大変微妙な話であります。政府の中でもいろいろな御議論があって、検討されていることだと思いますが、ぜひ政治家としての御判断、御決断というものを期待を申し上げておきたいと思います。  官房長官、以上で結構でございます。  さて、次に、日米ガイドラインについて質問をしてまいりたいと思います。  先般の予算委員会で、堀込委員の質問に対しまして、ガイドラインの国会への中間報告の問題でありますが、防衛庁長官は、ある程度まとまりが出てきた場合に、できるだけ早くオープンにしていきたい、こういう議論の中でさらに詰めていきたい。つまり、国会にまず報告する中で国会の議論もやり、そして日米の詰めもやっていきたい、そういう趣旨だと私理解いたしましたが、そこで、じゃ、いつごろ国会に対して中間報告をいただけるのか、時期について明確にお話をいただきたいと思います。
  101. 久間章生

    ○久間国務大臣 ワーキンググループ等をつくっていろいろと検討しているところでございますけれども、この問題は、我が国の安全保障のあり方の基本にかかわる問題でもございますから、国会初め広く国民の御理解を得ながら政府間の作業を進めていくことが極めて重要だということはこの間も言ったとおりでございますけれども、その作業の過程である程度の区切りが出た段階でということを申し上げるわけでございまして、それがいつかというのは作業の進捗状況にもかかわってくるわけでございますので、できるだけ早くやれれば越したことはないのですけれども、やはりある程度の区切りができます時期を、今ここでいつという時期を切ってはなかなか申し上げにくいわけでございまして、今作業が続いておりますので、ある程度の区切りが出た段階でまた議論をさせていただきたい、そういうふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  102. 岡田克也

    ○岡田委員 この問題を議論しているのは防衛協力小委員会、SDCの場だというふうに理解しておりますが、近々局長クラスでこの会を開く予定はいつなんでしょうか。それが一つの区切りになるだろうというふうに思っておりますが。
  103. 折田正樹

    ○折田政府委員 防衛協力小委員会は、御指摘のように局長レベルの会合でございますが、今のところ国会の御日程その他がありますので、いつごろ会合が開けるかということでめどが立っているということは、今の時点ではございません。
  104. 岡田克也

    ○岡田委員 この日米ガイドラインの問題、非常に大事な問題を、後で申し上げますがたくさん含んでおります。そういう中で、国会の会期は今のところ六月半ばということになっているわけでございますので、ぜひ国会開催中に十分議論ができるようなタイミングで中間報告をしていただきたい、そういうふうに考えておりますが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
  105. 久間章生

    ○久間国務大臣 先般もそういう御意見が出ておりまして、それを十分頭に入れながらできるだけ早くという気持ちでおりますけれども、作業の詰めぐあいがどうなりますか。しかし、今おっしゃられましたそういう趣旨は十分尊重してまいりたいと思っております。
  106. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは具体的中身に入っていきたいと思いますが、外務大臣にお聞きいたします。  ガイドラインの対象とする地域の問題であります。  ガイドラインの中で、具体的な検討対象として、日本周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす場合についていろいろ研究をする、こういうことになっております。  ここで、日本周辺地域という概念が登場するわけでございます。この日本周辺地域というのは防衛計画の大綱、防衛大綱でも出てくる概念でございます。この日本周辺地域というのは、これは外務委員会で外務大臣に一度お聞きしたことがあるかと思いますが、具体的にどの範囲までを言うのか、そしてまた、極東地域に限らず、日本周辺地域という概念がここで用いられているのはなぜかということについて、お答えをいただきたいと思います。
  107. 折田正樹

    ○折田政府委員 御指摘のように、日米防衛協力のための指針の見直しにおきましては、「日本周辺地域において発生しうる事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力」についても研究、協議することになっておりますが、ここに言います日本周辺地域というのは、日本の周辺であって、そこで発生する事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与える可能性のある地域という一般的な意味で使用しているものでございまして、特定の地理的概念を念頭に置いたものではございません。
  108. 岡田克也

    ○岡田委員 今の答弁はトートロジーの典型でありまして、日本周辺地域というのは日本の平和と安全に重大な影響を及ぼす地域だ、それで日本周辺地域において発生する事態で日本の平和と安全に重大な影響を与える場合について検討するんだというと、一つの言葉の中に二つ同じ言葉が出てきまして、全く答弁になっていないように思います。  じゃ、具体的にお聞きしたいと思いますが、時間も限られておりますので、例えばインドネシアやあるいはタイやマレーシアでの米軍の活動に対する日本の支援、こういうものはこの指針の対象ということになってくるんでしょうか。
  109. 折田正樹

    ○折田政府委員 いろいろな事態が考えられるわけでございますが、我が国の平和と安全に重要な影響を与える可能性のあるということでございまして、現段階で日米間で、そもそもこの作業はどこかの地域を、特定の国を念頭に置くものではございませんし、今委員がおっしゃられた区域について特定の議論をしているということはございません。
  110. 岡田克也

    ○岡田委員 ガイドラインというのは抽象的なものですから、特定の地域についてというものではないというのはわかりますが、しかし、そのガイドラインをつくったときに、それが適用対象になるのはどこまでかということは、それは当然政府として前提としてあるはずですね。それが抽象的には日本周辺地域ということになっているわけですが、じゃ、具体的にインドネシア、これは極東には入っていない。極東というのはフィリピン以北だ、こういうことですから極東には入っていないわけですが、インドネシアやあるいはその他のその周辺の国というのはどうなんですかということを私はお聞きしているわけであります。具体的にそこで何かあったときに、この防衛協力の指針が適用されて、そして自衛隊が例えば後方支援活動をするんですか、どうですか。そのことについて防衛庁長官、いかがでしょうか。
  111. 池田行彦

    池田国務大臣 日本の周辺地域ということをどういうふうに考えているかということは、先ほど北米局長から御答弁したとおりでございます。  それから、今回ガイドラインのいわゆる第三項でいろいろ協議しておりますのは、日米安保条約に基づくいろいろな日米間の協力だけじゃございませんで、例えば国際的な人道的な面からの救援活動に際してどうするかとか、あるいはいろいろな事態が生じたときに、例えば邦人の避難をどうするか、そういったことも対象に入っているわけでございます。そういった面におきましては、委員が意識しておられる極東地域とこの日本周辺地域云々ということは直接には並んでこない、こういうことは言えると思います。  それから、すぐれて防衛的な意味でのインプリケーションと申しましょうか、それと極東地域との関係はどういうことになるかという点でございますが、当然のこととして、日米安保条約に基づいて米軍がいろいろと行動していくというのは、安保条約上はこれは極東地域に入る、これは当然でございます。  ただ、極東地域の安全を守るためのものであるということは当然でございますけれども、これは従来からの政府の答弁で明らかになっていますけれども、極東地域の安全を守る、平和を守るために具体的に米軍が行動する地域がどうなのかというのは、これはまた若干別の観点から見ていく必要がある。必ずしもこの条約上平和を守る対象となっている地域に限定されるものではない、場合によっては、その地域の、極東地域の平和を守るために他の地域に米軍が行動することもあり得るということは、従来からの長年の政府答弁の中で明らかにしておるところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、今回のガイドラインで研究しております日本周辺地域のいろいろな事態というのは、先ほどの局長答弁のとおり、そこで生起する状況というものが我が国に対していろいろな影響を及ぼすことがあり得べしという、まあトートロジーとおっしゃいましたけれども、それはトートロジーかもしれませんが、現実に我々の問題意識、そして研究をします場合に想定している事態というものがそういうものでございますから、具体的にどこからどこまでというふうに地域を確定するということは、この論議の前提からいいまして必ずしもその必要はないんじゃないのか、あるいはむしろ地理的に確定することがそれほど大きな意味を有するものとは考えない、こういうことでございます。
  112. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、これは非常に大事な問題だというふうに認識をして質問しております。  例えば、防衛庁長官、二月十三日の堀込委員の質問に対してこういうふうに答えられていますね。「武力行使はだめでございますが、それ以外の分野では極東以外のそういったところ」、これは日本周辺地域のことです。「極東以外のそういったところへも平和貢献その他いろいろな形で防衛の役割としてあり得るのではないか、」これを私聞いたときにおやっと思いました。ちょっと今までの答弁とニュアンスが違うんじゃないかな。つまり、日米安保とは別だから、しかも武力行使でないんなら、それは極東ということにとらわれずにもつと広い範囲、日本周辺地域というところまで自衛隊の活動領域としてもできるんだ、そういうふうに私受け取ったんですが、久間長官、いかがでしょうか。
  113. 久間章生

    ○久間国務大臣 そのときに、国際平和協力活動とか人道上の活動とか、そういうことが頭にいって、議論の前後がどうだったのか今急に思い出せない点もございまして、そういう分野ではもっと幅広く行動することがあり得るというようなことがかすめたのかもしれません。  いずれにしましても、非常にこの問題で、最後の表現がガイドラインができ上がったときにどういう形になるのかなかなかつかみにくい点があるわけですけれども、それは一つには、その作業の過程においてはあらゆるいろいろなケース、あらゆるいろいろな状況を検討しながらやるけれども、きちっとまとめるときにはかなり抽象的な表現にせざるを得ないという、そういう問題があるわけですね、根っこには。  そうしますと、今具体的に言われましたような、そういう地域を含めてここは入るか入らぬかというような、そういうことはなかなか最後にでき上がったときでも表現しにくいんじゃないかという気がするんですよ。  だから、我が国に非常に安全保障上問題になるような、そういうような状況我が国周辺という表現で今来さしてもらっておりますけれども、これが、詰めていった最後にでき上がった状況のときに、機能とか分野とかをいろいろ抽出しながら、いろいろなことで表現できると思うんですけれども、場所についてここは入るとかここは入らないとかという表現ができないんじゃないかなという気がしておるもので、非常に抽象的なことでお答えしておるわけでございますので、どうかそういうような、特に今その経過のさなかでございますから、ぜひひとつそういうことについても御理解賜りたいと思うんです。
  114. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、だから問題だというふうに申し上げたいんです。  で、私個人的には、自衛隊の活動範囲というものが極東を超えて広がっていくということについて決して否定しているものではありません。しかし、それにはきちんとした、そういうことですよということを政府からお示しになって、そしてきちんと説明がなければ、抽象的な議論の中でいつの間にかそれが入ってしまうということは私は絶対やっちゃいけないことだと思います。  先ほど長官の答弁を引用しましたが、私は、長官の論理でいけば、例えば後方支援活動、一つの国の例をとって恐縮ですが、インドネシアで何らかの武力衝突があったときに米軍がそれに対して行く、そして米軍も戦闘行為に入っている、そこで日本が何らかの後方支援活動をするということも、それが武力行使にはならない限り、後方支援活動の武力行使にはならない限りそれも可能であるかのようにも思えるわけです。  そこのところについて、きちんとしたやはり線引きをして、そしてそういうことも認めるんなら、それはこういうことで認めるんですよ、憲法上あるいは従来の考え方から変わるところがあれば、その変わるのはどういうふうにして変わるんですよということをきちんと説明していただかないと、抽象的にいつの間にか入っているということでは困るわけで、そういう問題意識で私は質問申し上げているわけであります。
  115. 久間章生

    ○久間国務大臣 今は検討の過程でございますからなかなか言えない点がございますが、ただ言えることは、少なくとも、武力の行使となるような、今までの従来の政府が憲法解釈上とっているその武力の行使になるようなことはしないというその限定だけはきちっと守りながらやっていく、それを強調しておったわけでございまして、この間の多分あれでも、武力行使になるようなことはしませんということを強調したんだと思います。  だから、そういうような限定の枠の中でどこまでが精いっぱいやれるかということを今いろいろと検討しておるわけでございますので、だから、そういうふうにひとつ御理解しておっていただければ、これから先、詰まってくる中でまたいろいろな御論議もいただきたいと思いますけれども、今言えますのは、とにかく憲法の枠、日米安保条約、そういうものの従来のそういうような枠はきちんと守りながらやらしていただくということを強調したかったわけでございます。
  116. 岡田克也

    ○岡田委員 武力行使ができないのは憲法上当然であります。ですから、武力行使に至らない後方支援などについてそういった幅広い範囲まで自衛隊がやっていくということについて、私は、きちんとした説明が、もしそういうことをお考えであれば、あるいはそういうことが読めるようなガイドラインになるんであれば、きちんとした説明が必要ではないか、そういうことを申し上げているわけでございます。  それでは次に、その後方支援活動と憲法九条との関係について少し議論さしていただきたいと思います。  これも例で恐縮でございますが、例えば極東有事になって、そして既に米軍は戦闘状況になっている、戦っている、そういうときに、公海上において日本の自衛隊が武器弾薬を供給するということは憲法九条との関係で許されるというふうにお考えでしょうか。
  117. 久間章生

    ○久間国務大臣 戦闘状態になってというふうに言われましたけれども、具体的にどういう地域でどういうような形でなっているのか。そのときに、後方支援といってもいろいろありますけれども、どういう状況を想定してかなかなか難しい点がありますが、今言われましたような、武器弾薬等をじゃ供給できるかというように言われましても、今言う状況ですけれども、非常に憲法の制約があって難しかろうと思います。  ただ、抽象的には、戦闘状態にあってと言われましたので、それがどれぐらい遠いところでなのか、今まで法制局長官がずっと述べてこられましたああいう四つの条件みたいなことを一々クリアしながら、その中で可能性があるのかどうか、それはまた研究したいと思いますけれども、非常にシビアな感じがするんじゃないかなという感触はあります。  しかしながら、これがじゃ絶対できないかと言われますと、それはまだそういう場面が具体的に提示され、提示といいますか、具体的にどういうところでどういう形で戦闘がどの程度になっているのか、それは日本とどう離れているのか、そういうことがやはりきっちりしませんと、一概に絶対だめだと言い切れるかどうか。これもまた抽象論になりますけれども、非常に難しいけれども、ただ、感覚的に言うと非常に問題が多いんじゃないかなという気がいたします。
  118. 岡田克也

    ○岡田委員 従来、法制局の御答弁では、そこで武力行使との一体性の議論ということになって、主として四つの判断要素というのが出てくるわけでありますが、今長官がおっしゃったように、個々に判断していくんだということですが、それでは、その個々に判断をするのはだれがするんでしょうか。国としてするのか。それとも、現実に後方支援しようとするときに状況は刻々変わってきますね。そういう中で現場の指揮官がそれを判断するわけですか。いずれなんでしょうか。
  119. 久間章生

    ○久間国務大臣 少なくとも、現場の指揮官がそれを判断するようなことのないようにはしたい。やはり国がきちんとそういうものについては指導、指導といいますか例示をしてやれるような、そういうことをやはりすべきじゃないかというふうに私自身は思っております。現場の指揮官に憲法判断をゆだねるようなことはすべきでない、そういうふうに理解しております。
  120. 岡田克也

    ○岡田委員 私も、それはおっしゃるとおりだと思います。私は、国が判断するといっても、先ほどの四つの武力行使の一体性の議論ではありませんが、いろいろな複雑な抽象的な条件で一々判断をしていくというのは、国であってもこれはなかなか大変なことだと思います。  で、私は、やはりこれは法律であらかじめ決めておくべきじゃないか。もちろん、決めるといっても全部細かいところまで決められませんが、基本的な考え方について決めておくべきじゃないか。  今、ガイドラインの作業の前提として、具体的な個々の状況の物事について、先ほど言いました後方支援も含めてですね、具体例を挙げてそれぞれ判断を今している、あるいはこれからするんだというふうに聞いておりますけれども、その判断をするに当たって、やはり客観的な基準があるからこれは黒だ、これは白だと言うことはできると思うんですね。じゃ、その判断をきちっと法律に書いておいて、そしておおよそここまでは憲法に問題なくできるんだ、ここはだめですよということをあらかじめきちんと立法しておくのが私は筋だと思いますが、そういったお考えはありますか。
  121. 久間章生

    ○久間国務大臣 これから先、ガイドラインの見直しをやっていくわけでございますので、それが出てきて一つの方向が決まったときに、それを国内的にどういう形で実施していくかについてはこれから先やはり検討しなければならないわけでございますので、今委員がおっしゃられたようなことも、それは場合によっては出てくるかもしれませんし、あるいはそこまでいく必要はないかもしれませんし、それは、これから先の進め方によって一つの方向が出てきたときに実施の国内の体制づくりについてどうするか、以後、その時点で判断しなければならない問題だと思っております。
  122. 岡田克也

    ○岡田委員 私はやはり、こういった非常に重要な問題、憲法に触れるかどうかという問題については立法府においてきちんと審査をしてあらかじめ基準を決めておくべきだ、当然のことであるというふうに考えるわけであります。  そこで、法制局長官にお聞きしますけれども、法律的にそういった基準をきちんと決めておくということはできないというふうにお考えでしょうか。
  123. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 お尋ねは、憲法運用法と言われるような基本法を制定することができるのかできないのかというお尋ねだと思いますが、これは一般的に、できるとかできないとかということを一義的に答えることができる問題ではなかろうと思います。具体的にどういう趣旨、目的でどういう項目をその法案に盛り込むのかということに関連いたしますので、やはり個々具体的な、こういうものならばいいのか悪いのか、そういうレベルでしか考えることができないのではなかろうかと思われます。  一般論で恐縮でございますけれども、私ども、法案審査の任に当たっているわけです。その場合には、特定の法案が各省庁から閣議請議前に持ち込まれますと、憲法との整合性とかあるいは他の関連法案との整合性とか、そしてまた、その前に、盛り込もうとする内容が法律事項としてふさわしいものであるかどうかというようなものを、まさに全般的、網羅的に検討いたしますので、ただいまのお尋ねに対しましては、そういう観点から具体的な問題が提起されれば慎重に検討させていただきたいということになろうかと思います。
  124. 岡田克也

    ○岡田委員 法制局長官のお立場としてはそういうお答えかと思いますが、いずれにしても、これからこの後方支援の問題、かなり憲法上微妙でありますから、個々の具体的なケースについて、これは憲法九条との関係どうなっているのかということは、外務省なり防衛庁が法制局と御相談されるだろうと思います、ガイドラインをつくる前に。 御相談するということは、そこに何らかのやはり価値の基準が、判断の基準があるからシロとかクロとかそういう結果になるわけでありまして、その判断の基準について、私は、単に政府の中でそういうものを検討するというのではなくて法律にきちんと書いておくべきだ、そういう考えを持っております。  この問題はまた引き続きやらせていただきたいと思いますが、ガイドライン関係で最後に一つ質問したいと思いますが、自衛隊が後方支援活動をするという場合に今の自衛隊法上の扱いはどうなるのかという問題であります。  自衛隊法では、治安出動とか防衛出動、こういう場合にはこういう要件を満たせば自衛隊は発動できるということが書いてございます。あるいは個々的に、機雷の除去、九十九条、あるいは邦人の救出、そういうことが書いてありますが、後方支援活動については、私の知るところ、今の自衛隊法には出てこない。ということは、そういったものについて自衛隊法を改正しなければいけない、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  125. 久間章生

    ○久間国務大臣 これから先、ガイドラインを見直して一つの方向が出てくれば、その時点で考えなければなりませんが、現時点で、まだその内容が具体的に決まっていない段階で、自衛隊法の改正が必要かどうかということについて、この時点で申し上げるようなわけにはなかなかいかないわけでございますので、これから先のその検討の推移を見ながらまたその問題についても考えさせていただきたいと思います。
  126. 岡田克也

    ○岡田委員 今の答弁はちょっと納得できません。例えば自衛隊法の七十六条の防衛出動、これは外部からの武力攻撃に際して自衛隊の出動について規定しているわけですね。それから七十八条、治安出動ですね、「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができない」私は、いずれからも後方支援というのはどう読んでも出てこない、こういうふうに思うのですが、法制局長官、いかがでしょうか。
  127. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 今委員がお挙げになりました防衛出動あるいは治安出動、その規定から、今ガイドラインで議論になっておりますいわゆる後方支援といったようなものとぴったり合っていないという点はそのとおりだと思います。しかし、後方支援、その中身とか機能とか、これから議論していかなくちゃいけないわけでございますけれども、一般的に輸送とか補給とか整備とか、あるいは邦人の救出、それに伴うその他の方々の救出、いろいろな支援活動が想定されるわけです。お挙げになりました機雷の問題もあるわけでございます。  現在、自衛隊の法律に一部、委員もお挙げいただきましたけれども、そういう条文はございます。それで十分かどうかという議論は、もちろんこのガイドラインが一応まとまった段階で我々も政府の部内で議論していかなければならないと思いますけれども、今お挙げになりました七十六条、七十八条とは違った意味でのいろんな条文がありますけれども、またガイドラインができ上がったところでよく政府部内でも議論してみたい、かように考えております。
  128. 岡田克也

    ○岡田委員 なかなか局長にお答えいただくとよくわからなくなるものですから、法制局長官に、本当に今の自衛隊法でさっき言ったような後方支援活動、そういったものができるのか。例えば、それは公海上で支援することも場合によったら含まれるかもしれませんね、あるいは国内でもそうですけれども。そういうものが今の自衛隊法上果たして読み得るのか、その点について御意見を聞かせていただきたいと思います。
  129. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいまの防衛局長からの答弁、納得できないということでさらなるお尋ねでございますが、やはり、今答弁がございましたように、後方支援、いろいろ種類がございます。そして、いろいろな局面がございます。いろいろなその時々の目的があろうと思います。それを十把一からげ、抽象的に、一般的に現行自衛隊法でできるのかできないのかということを一義的に答えることは、これは私の立場でも困難であろうと思います。  したがいまして、具体的にこういう局面でだれに対してどういう行為を行う場合には現行自衛隊法でできるのかできないのかということを個別的にお尋ねいただければ、それに対して現在の自衛隊法上できるのかできないのかということは、慎重に検討した上、確定的なお答えはもちろんできる性質のものであろうと思います。
  130. 岡田克也

    ○岡田委員 自衛隊法というのは、抽象的な、一般的な概念ありませんね。自衛隊はこういう場合に限って出動できるということで幾つか書いているわけで、これは事の性格上当然だと思いますが、私はとても後方支援的な活動について読めないだろうというふうに思っています。  具体的にというお話でございますから、それでは、例えば自衛隊が米軍に対して水や食糧を補給する、これは自衛隊法のどこで読まれるのでしょうか。
  131. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 結局、ガイドラインでどういう支援を米軍にするのかというところにかかわってくるわけでございますけれども、現在の自衛隊法でも、先ほど挙げましたような条文以外に、例えば百条の八、輸送に関する法律ですとか、あるいは災害派遣それから医療関係、それから、これがストレートに適用できることになるかどうかわかりませんけれども、八十二条の海上警備行動ですとか、あるいは九十九条の機雷の除去、それから、自衛隊法ではない法体系としても物品管理法の世界もあるわけでございまして、結局、ガイドラインで具体的にどういうケースでどういうふうに自衛隊が米軍に支援をするのかということにかかわってくるわけでございます。  今御質問の点も含めまして、我々、ガイドラインの中身が確定した段階で、果たして現行の自衛隊法の条文で対応できるのかできないのか、できるとすればどういう制約があるのか、できない場合にはどうするのかということは、その時点でよく検討させていただきたいと思っております。
  132. 岡田克也

    ○岡田委員 時間のむだですからこの辺でやめますが、私はどう見ても難しいと。別に自衛隊法を改正することがだめだなんて言っているわけではありません。しかし、やはり法律の根拠なくしていろいろなことが進んでいくというのは大変気になりますので、ぜひ中身も詰めていただいて、そして同時に、自衛隊法を初め関係法律についてもきちんとしたものをこの国会に出していただきたい、こういうことを御要望申し上げておきたいと思います。  それでは、ちょっと一つ飛ばしまして、医療保険改革を先にさせていただいて、時間があれば集団的安全保障について少しお話をさせていただきたいと思います。  小泉大臣にお聞きしたいと思います。今回の医療制度改革でありますけれども、例えば医療保険審議会の平成八年六月の報告などを見ますと、二十一世紀初頭を目途とした総合的かつ段階的な改革ビジョンを作成し、その第一歩として目の前の平成九年の改革があるのだ、こういうふうに書いてあるわけであります。つまり、まずビジョンありき、具体的なビジョンありきで、その中で今回の改正がある、こういうことで考えておられたと思うのですが、いつの間にか、このビジョンありきがどこかに行ってしまって、負担増を中心とした今回の改正案になってしまった。これはどういうことなんでしょうか。どこでそういう方針が変わったのでしょうか。
  133. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 方針が変わったわけでないのであって、今、平成十二年度を目途に介護保険制度の導入を目指しております。そして医療保険制度の改革も並行して進めなきゃならないという中で、これからの医療保険を安定的に運営していくためには財政的な問題も解決していかなきゃならない。そして、各審議会で、あるべき構造改革についてもいろいろ建議をいただいております。そして、当面、その医療構造改革については、与党内でも今議論をいただいております。そして、論点もだんだん整理されてきております。診療報酬の見直しとか薬価基準の見直しとか、いろいろ出ておりますが、これは、国会の多数の方の賛同を得て構造改革をしていくというのにはなかなかまとまり切れない。  そういう中で、今回、いろいろな御意見を聞きながら政府としてまとめたのが医療保険改革案でありまして、この案ができたから構造改革の基本方針が変わったとか、あるいは構造的な改革ができないのかということではなくて、むしろ今回の政府案によって、私は、構造改革が進んでいくのではないか、必ずこの案をもとにしてあるべき姿というのが、各委員からも、議員からも、あるいは有識者からも出てくるのではないか、その議論を見守りながら、段階的に、総合的に構造改革を進めていきたいと思っております。
  134. 岡田克也

    ○岡田委員 例えばことしの一月の社会保障制度審議会の答申でも、抜本的な改革の考え方を明確にするとともに、その具体的な改革スケジュールを早急に政府の方針として示すことが不可欠だ、こういうふうに書いてあるわけですね。つまり、負担増だけを求めるのではなくて、全体としてこういう方向で変えていくということがあって、そしてその第一歩としての今回の改革であるということでないと、なかなか国民は、負担増だけ押しつけられた1今回の改革案、もう負担増だけだということは、この場にこの前来ていただいた塩野谷医療保険審議会会長も、そういうことについて認めておられるわけですね。  やはり、きちんとした将来の展望があって、その中の第一歩としてここは我慢してほしいということがなければいけないと私は思うわけであります。国民はみんな、今回負担増したらまた三年間それで何とかやっていけるから改革は三年間先送りになる、そういうふうに思っていると思います。政府の責任として、もう随分いろいろな審議会で議論をしてきたことでありますから、具体的な改革の方向あるいはスケジュール、そういうものについてこの負担増を審議する前にきちっとお示しになる、そういうお考えはありませんでしょうか。
  135. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 与党内でも、一年以内にあるべき姿に結論を出したいという方向で今議論を進めているということに聞いております。  私は、今回の患者に対する負担増、この案というものを御審議いただきながら、その結論、議論のあり方を見ながら、より総合的な改革案を近い将来出していかなきゃならない。そして、具体的なスケジュールというお話ですが、これは一年以内に結論が出ると言いますから、それを見守って決めていきたい。  今回の保険改革案も、患者負担増だけと言いますけれども、これはいろいろ、出来高払い制度とかあるいは総予算制度とかいうものを視野に入れながらこの患者負担増をお願いしているわけでありまして、私は、今回の案というものは、今後どのような総合的な、構造的な改革案が出ても、今回の法案がそれを阻害するというふうには思っておりません。むしろ、この法案を出したことによって構造的な改革案が進んでいくものと確信しております。
  136. 岡田克也

    ○岡田委員 今の厚生関係の布陣、つまり、小泉厚生大臣、行革を一生懸命唱えておられる大臣であります。そして、総理自身も厚生行政には非常にお詳しい。だから、国民は、この厚生関係の改革ができるかどうかをもって、橋本行革が、あるいは橋本総理の言われる六つの改革ができるかどうかのリトマス試験紙だ、そういうふうに見ていると思うのです。ここがきちんとできなければ、あとも全部、結局ふろしきを広げただけでできないだろう、そういう位置づけにあると私は思います。  今、今回の改革負担増だけではないというふうに大臣おっしゃったけれども、例えば、この場に来られた塩野谷公述人は、現在提出されている政府案は、おっしゃるように、改革を余り含まないで負担増を求めている、そういう提案だと思いますと、医療保険審議会の会長自身がそういうふうにおっしゃっているわけですね。そのことを指摘しておきたいと思います。  そこで、ちょっと具体的中身に入りますが、例えば、今回、当初、老人医療については定率制ということが言われました。それがいつの間にか定額制に変わりました。この点について、厚生大臣はどういうふうにお感じですか。
  137. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 医療保険制度を改革していく場合には、国会でも多数の方々の賛同を得ないと改革できません。そういう点も踏まえて、審議会では確かに定率制導入が多数意見だったと思います。しかし、現実、賛否両論があって、構造改革をせよ、せよと言う人は多いのですけれども、今回出している患者負担増でさえも、あらゆる聖域をなくして歳出削減をせよと言っている人でもなかなかまとめ切れない。いかに民主主義というのは合意形成が難しいかということを、その経過で痛感いたしました。  まず、国会議員の多数の意見を得るために、ある程度個人的な意見は妥協しなきゃならないなと。筋としては定額よりも定率の方がすっきりしている、国保は三割、健保は二割、老人が定額というのはおかしいといえばおかしいということも言えますけれども、私は、国会議員の多数の意見を尊重しなきゃこの法案は通らないということになれば、なるほどな、個人的な意見よりも多数の意見を尊重してまとめるためにこれもある程度必要なことではないかなと思っております。
  138. 岡田克也

    ○岡田委員 ちょっと時間もなくなってきましたので、恐縮ですが、外務大臣防衛庁長官、もうお帰りいただいて結構です。済みません。  今のお話ですと、国会議員とおっしゃいますけれども、別にこれは国会でこの問題を特に取り上げて議論したというわけではないのですね。今小泉大臣おっしゃる国会議員というのは、一体だれのことを言っているんでしょうか。
  139. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 議院内閣制として政権に協力してくれる議員、これを主眼に考えるのは当然だと思います。  そういう意味において、与党内の、今橋本政権を支えようとする政党の御意見を十分勘案したつもりでございます。
  140. 岡田克也

    ○岡田委員 政府としては定率制がいいと思って出したけれども……(小泉国務大臣「いやいや、そうじゃない」と呼ぶ)審議会ですね、審議会としては定率制がいいと思って出したけれども、与党との調整の結果定額制に変わった、こういうことですね。  じゃ、将来的に大臣はやはり定額制でずっと老人医療についてはいくべきだというふうにお考えですか。一方で介護保険は一割という負担を入れていますね。そことの関係もあると思いますし、将来的には定率制に戻していくべきだとお考えなのか、それとも定額制でいくべきだとお考えなのか、いずれでしょうか。
  141. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今国会では定額制で推進していきたいと思います。  将来の点については、国民動向、議員の動向国民負担の動向、そういうことを考えて、私は、必ずしも定額制がいいというのが多数意見になるとは、しばらく見ないとわからない。国会議員の間でも今定額制がいいと言っている人でもあるいは違う意見を持つかもしれない。その辺を見ながら判断していきたい。  今国会においては今回の定額制、これの方が理解を得やすいのではないかということで法案を提出しているわけであります。
  142. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、定率制というと所得の低いお年寄りにとってかなりきついというお話もありますけれども、それはどこに上限を設定するかという問題で十分回避できることであって、定率、定額、どちらがいいかと言われれば、定率の方が、私は、将来の老人医療費の自己負担を高めていくというときに、より妥当な道じゃないか、こういうふうに考えております。この点は、また厚生委員会でいろいろ議論していきたいと思います。  それでは、薬代の問題ですけれども、今回薬代も別途取るということになりました。  特にこの薬代を取ることのおかしさというのは、一般の、老人以外の方の場合に私は際立っていると思うんですね。二割、三割、定率で取られる。そこには薬代も入っているわけですね。別途薬代を取る、これは二重取りじゃないか。薬代、定率で取るならまだわかりますよ。ほかは二割だけれども薬だけ四割取るとか、そういう考え方はまだわかります。しかし、薬を定率で取っておきながら、次に定額でまた取る。この取る部分というのは一体どういうことなんだろうか。考え方が非常にわかりにくいのですが、厚生大臣のお考えを聞かせていただけますか。
  143. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 日本の医療は諸外国に比べて薬の使い過ぎではないかとよく言われます。そして、薬に対して、適正使用とかあるいは過剰投与あるいは患者がコスト意識等を持つために、もっと負担がいいのではないかというような議論もありました。  そういう中で、薬に対してはもう少し負担をしていいのではないかということを勘案して、確かに一割から二割取っていますけれども、それに対して、薬の負担の度合いをもう少し上げてもいいのではないかという意見を参考にして、二重取りというのではなくて、薬に対しては若干負担を上乗せしていいのではないかということでこの案を提出しているわけでありまして、二重取りということじゃなくて、薬に対して上乗せの負担をということで御理解をいただければなと。
  144. 岡田克也

    ○岡田委員 上乗せ負担といいますが、これ、場合によっては実際にかかった薬代のコストを超えて払ってもらうということがあり得るわけですね、薬によっては。二割一方で取ってて、残りまた、今の案では一日一種類十五円ということですね。そうすると、それより安い薬だって当然あるわけですから、そういう場合に、何か不当に国が取っているということになりませんか。
  145. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 薬に対する今回一部負担を設けたいということでお願いしているわけでありますが、この趣旨は、今大臣から御答弁がございましたようなことで、我が国は非常に薬が多用されておる、そういった中でその適正化を図っていく必要がある。その適正化の方策としてはいろいろあろうかと思います。  その一つとして、これは審議会の建議でも出ておりますけれども、やはり薬剤の一部負担ということを設けるべきであるということが言われております。ただ、そのやり方として、定率のやり方もあろうと思いますし、また私ども定額というやり方もあろうと思います。  今回、定額というような形をとらさせていただきましたのは、全体として今度の一部負担、御老人については定額という格好でやらせていただいていますが、ただ、従来のように一カ月千二十円ということだけじゃなくて、一回行くたびに五百円いただく、ただし上限四回限り、こういうようなやり方に変えさせていただいておりますけれども、そういった中で、この薬の負担というものをどういう形でお願いするかというときに、お年寄りも、それからいわゆる現役世代も、この薬については同じように多用されておりますから、同じようにこの一部負担というものを創設させていただきたいということでありまして、そういった中で、御承知のとおり、現役世代は、一割、二割、三割という格好で定率の一部負担が設けられております。  そういった中で、お年寄りについては定額負担ということでございますので、それぞれについてお願いするとした場合に、やはりこの定額の形で各制度お願いすることが最も公平であろうということで設けたわけでございます。
  146. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、実際にかかったコストよりもたくさん取ることになるんではないかというふうに質問しているわけでありますから、一般論をお聞きしているわけではありません。時間も限られていますから、余り関係ない答弁で時間をつぶさないようにしていただきたい、こういうふうに思います。  私が申し上げたいのは、そういった今言った問題以外に、どういう意味があるのかということもあると思うのです。  例えば薬代について、これだけかかった、そのうちの何割負担するということになれば、実はこれだけ本当は使っているんだなということがわかって、そのことが将来の薬代の圧縮につながっていくかもしれません。しかし、どんな薬を買おうとも、種類以外は、みんな金額が十五円に決まっているということであれば、どれだけ薬代使っているかという意識は全然芽生えてこないわけですね、コスト意識。そこに何の意味があるのだろうか、そういう気がするわけでございます。  私は、そういう意味で、今回定額で薬を取るということについて非常に大きな疑問を持っておりますが、同時に、私は大事なことは、患者が自分がかかった医療費について、これだけ薬代がかかり、これだけ医療費がかかったということがはっきりわかる仕組みというものを法律できちんとつくっていくべきじゃないか。診療報酬であめを上げるんじゃなくて、むしろきちんと規制してやっていくべきじゃないか。買ったけれども値段わかりません、とにかく負担金出しなさいというような非常にばかげたやり方はいつまでも通用しないと思うわけでありますが、最後に、大臣のこの点についての御見解を聞きたいと思います。
  147. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 将来の方向として、今岡田委員言われたような考え方の方が私はすっきりしているという事実は認めざるを得ないと思います。
  148. 岡田克也

    ○岡田委員 終わります。
  149. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  150. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。生方幸夫君。
  151. 生方幸夫

    ○生方委員 まず最初に、オゾン層破壊について質問をしたいと思います。  オゾン層の破壊の問題、この委員会でも一度取り上げられて、オーストラリアで赤ちゃんがサングラスをかけて外へ出るというような問題が起こっているというような指摘がなされました。また、昨年の十月十四日の毎日新聞によると、オゾン層の破壊が日本でも見られたというようなことが報告をされております。  オゾン層破壊を引き起こすものとしては、代表的なものとしてフロンがあるわけですが、フロンの生産については、私も一九九五年末に生産をストップしたということは聞いておるのですが、それにもかかわらず、まだオゾン層の破壊というのが進んでいる現状があるというふうに私は認識しております。現在、日本ではどのぐらい残存のフロンがあるのか、そしてそれの回収状況はどうなっているのか、まず環境庁長官にお伺いしたいと思います。
  152. 石井道子

    石井国務大臣 オゾン層の現状につきましては、南極上空におきまして、観測史上最大規模のオゾンホールが四年連続して観測をされておりまして、依然として厳しい状況でございます。また、我が国状況について見ますと、オゾンの量につきましては、一部の地域では減少傾向が確認をされておりますが、有害な紫外線の量については明らかな増加傾向は見られていない状況でございます。  オゾン層保護対策といたしましては、モントリオール議定書に基づきまして、オゾン層破壊物質の生産規制が行われております。そして、我が国を含む先進国においては、主要なオゾン層破壊物質の生産が平成七年末をもって既に全廃とされているところでございます。  国連環境計画によりますと、すべての締約国が一九九二年の改正モントリオール議定書を遵守すれば、来世紀初頭からオゾン層は回復に転じ、そして南極のオゾンホールも二〇四五年ごろまでに は出現しないようになると予測をしているところでございます。  環境庁といたしましても、国民の健康を保護するために引き続きオゾン層保護対策の推進に努めてまいる所存でございます。
  153. 生方幸夫

    ○生方委員 今の御答弁にもございましたように、先進国においては生産が中止されたということなんですが、途上国においての見通しというのはどうなっているのか、通産大臣にお伺いしたいんですが。
  154. 白川進

    ○白川政府委員 途上国におきましては、先進国よりは生産削減の義務が、スケジュール等についてしかるべき配慮がなされておりまして、発展途上国の規制スケジュールにつきましては、一九九九年から一定の基準年の生産量の一〇〇%以下にする、それから二〇〇五年から基準年の五〇%以下にする、二〇〇七年から一五%以下、二〇一〇年以降生産を全廃する、このようなことが取り決められておるところでございます。
  155. 生方幸夫

    ○生方委員 当然、生産するということはそれを使うということなので、それによる影響というのは環境庁長官、どうなっているんでしょうか、途上国の生産フロンによる影響というのは。
  156. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 途上国からのフロン放出による影響ということでございますけれども、フロンによるオゾン層破壊の影響というのは全地球的な問題でございまして、確かに、今通産省の方からお答え申し上げましたように途上国においても、もちろん先進国から比べれば量的には少ないわけでございますけれども、どのくらいの影響が実際にあるかということについては、科学的に必ずしも十分解明されてない状況だというように存じております。
  157. 生方幸夫

    ○生方委員 日本においては、生産そのものは中止になっているんですけれども、現実にはカーエアコンとか冷蔵庫とか、まだたくさん使われているというふうに聞いております。  これの回収なんですけれども、どの程度まで進んでいるのか、通産大臣にお伺いしたいんですが。
  158. 白川進

    ○白川政府委員 特に特定フロンが使われております代表的な分野は冷媒用途でございまして、カーエアコンとか冷蔵庫あるいは業務用の冷凍空調機器等でございます。  こういったものについての回収の現状でございますけれども、カーエアコンで廃棄される自動車から回収されるものが二五%程度、それから業務用の冷凍空調装置から回収されますものが二〇%程度、それから家庭用の電気冷蔵庫は数%程度と承知いたしております。
  159. 生方幸夫

    ○生方委員 せっかく生産を停止しているのに、今ので見ますと、大体八割から七割五分ぐらいが未回収である。未回収ということは、そこからまだフロンガスが出ているというふうに考えていいと思うんですが、これはやはり一〇〇%まで限りなく近づけるべきだと思うんですが、通産大臣、いかがでしょうか。
  160. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員おっしゃるように、これは製造はしておりません。代替のものに切りかえている。今おっしゃるように、既に販売使用しているもの、これが使用中なら問題ないんですが、これがもう使用の限界を超えたということでこれを廃棄したときに、そのときにフロンが発生というか、どこに行くか、こういう問題でございまして、それをどういうふうにして処分するかというのを今鋭意研究中だということでございます。
  161. 生方幸夫

    ○生方委員 昨年の十二月に化学品審議会オゾン層保護対策部会というところで、回収に取り組む方法というのをこれから考えていくということなんですけれども、具体的にはどんなような形で回収しようというふうにお考えになっているのか、通産大臣にお伺いしたい。
  162. 白川進

    ○白川政府委員 特定フロンの回収につきましては、以前は、補充用の需要があるのでリサイクル需要から市場原理に基づいて回収が進むという期待もあったわけでございますけれども、実は、日本では、予想よりも急速に代替が進みまして、このような補充用のリサイクル需要が必ずしも大きくないということで、一定の努力を包含した回収システムの構築が必要ではなかろうかと考えております。このために、関係者による費用負担等々をくみ上げるための御審議を、今御指摘の審議会で御議論をいただいているところでございます。
  163. 生方幸夫

    ○生方委員 もちろん費用の問題が一番重要になると思うんですけれども、回収の費用というのはどなたが負担するという形になるんでしょうか。
  164. 白川進

    ○白川政府委員 まさに、今その審議会では関係事業者それから学識経験者、消費者の方々に入って御議論をいただいておりますけれども、その点が議論のポイントでございまして、三月中ないしは春には報告をまとめていただきたいと存じておりますけれども、現在のところ、その費用負担の具体的あり方についてきちっとした結論が得られているわけではございませんので、御理解いただきたいと思います。
  165. 生方幸夫

    ○生方委員 フロンにかわるものとして代替フロンが今使われているということなんですが、環境庁長官にお伺いしたいんですけれども、どんなものが使われていて、それは使用しても心配がないものかどうか、お伺いしたいんですが。
  166. 浜中裕徳

    ○浜中政府委員 お答え申し上げます。  ただいまフロンの代替物質のお話についてのお尋ねでございますが、HFCと呼ばれるものがございます。これはハイドロフルオロカーボンということでございますが、これは人体に対しては毒性が低いということでございますけれども、化学的に反応しにくい、すなわち環境中で壊れにくいという性質を持っております。  地球環境への影響という観点から見てまいりますと、塩素を含まないという物質でございますのでオゾン層を破壊する効果は有しておりませんけれども、地球温暖化という観点から見てまいりますと、大変強力な温室効果を持つものでございます。この強度、強さは、いろいろな計算方法がございますけれども、二酸化炭素に比べまして、例えば百年間を積算した効果で見ますと一万倍以上、五百年を積算した効果で計算をいたしますと数千倍というような、非常に強力な温室効果を持つものもございます。  このHFCが使用されております分野は、冷媒が一つございまして、これは例えばカーエアコン、電気冷蔵庫あるいはルームエアコンなどでございます。それから次にエアゾールということでございまして、これは例えば一般消費者向けあるいは工業用のスプレーということで使われております。それから三番目に発泡剤がございまして、これは例えば冷蔵庫や建築物に用いられております断熱材でございます。  こういった各種の用途に用いられておりますHFCの生産量は、合計いたしますと、一九九四年のデータでございますが、年間約一万七千トンということで、近年非常にふえているところでございまして、このまま何も対策をとらずそのまま推移いたしますと、CFC、いわゆるフロン、特定フロンからの転換が進みまして、HFCの使用量が増加することが予想されるわけでございまして、地球温暖化に対する寄与が急速に増加するのではないか、そういうおそれがあると考えている次第でございます。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕
  167. 生方幸夫

    ○生方委員 それでは、そのHFCに対して、どのような回収措置ないしは温暖化効果を防止する措置というのがとられているのか、お伺いしたいのですが。
  168. 石井道子

    石井国務大臣 HFCにつきましては、オゾン層の保護対策には有効でありましても、温暖化に対して悪い影響があるということがありまして、その扱い方につきましては十分に配慮しなければなりません。そして、今のところはその使用分野が限られておりまして、対策が比較的容易である今のうちから、無制限に使用することとかあるいは大気中へ放出するようなことがないように、それを抑制することが重要であると思っておりまして、このために、必要不可欠な分野以外での使用は原則として行わないこと、それから使用する場合には外に漏れないクローズドシステムを使用すること、それから使用後のガスにつきましては、回収、再利用、または回収、破壊を行う仕組みを早い時期で整備していくことが必要であると考えているところでございます。  今後、気候変動枠組み条約に基づきまして、四月中にも作成する日本国報告書の中にHFCの対策についての日本政府の方針を明示できるように、関係省庁や関係方面と早急に協議を進めてまいりたいと思っております。
  169. 生方幸夫

    ○生方委員 公害は、日本は先進国だったわけですけれども、ある程度克服してきたのですが、やはり大事なのは消費者の教育というのか、そこが私は非常に大事じゃないかというふうに思っております。例えばカーエアコンの場合でも、最終的に廃棄して、そこからフロンを回収するというところまでやはり私はユーザーが責任を持つということが大事ではないかというふうに思っております。  その一つの方法なのですが、やはり製品そのものに、この製品を使った場合にはこれこれこういうものが出ることが予想される、ついてはそれに対する対策費をここに上乗せさせるというような形で、製品にきちんとその対策費まで込みで表示する。そのことが教育にもつながるし、ひいては環境悪化を防止することにつながるのではないかというふうに私は思っておるのですけれども、通産大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  170. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員おっしゃるとおりに、こうした環境問題に絡む廃棄物の再生だとかあるいはそのリサイクル、こういう問題にはまず環境教育というものが必要だということは全く同じでございます。  そこで、今そういうふうな製品に対して明示をして、そういうことでもって価格がこうなっているとか、どういうふうにして後処理するとかいうことを提示するということも一つの方法だと思いますので、研究してみます。
  171. 生方幸夫

    ○生方委員 環境庁長官にも、一言今ので御所見をお伺いしたいのですが。
  172. 石井道子

    石井国務大臣 昨年七月の環境基本計画の進捗状況を点検するときにも、中央環境審議会から御指摘をいただいている問題があります。それは、「有害物質を製品中に含む自動車や家電製品などについて、リサイクルシステムの構築・整備を進めるとともに、事態の推移を見つつ制度化について検討すること。」ということが指摘をされているわけでございまして、環境庁といたしましても、九年度予算案の中で、製品環境負荷削減長期目標策定調査費を計上しているところでございまして、使用済み製品中の有害物質の削減に向けての有効な手法について検討してまいりたいと思っております。
  173. 生方幸夫

    ○生方委員 どうもありがとうございました。  できる限り、消費者教育という面からもわかりやすい環境行政というのをしていただきたいというふうに要望申し上げます。  話を変えまして、きのうの日経新聞の夕刊にちょっと出ておったのですが、外為取引の支払い手段として電子マネーを使用してもいいというようなことが出ておりました。昨今の新聞を見ますと電子マネーが盛んに取り上げられておるのですけれども、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、そもそも電子マネーというのはどういうふうに定義をされているのでしょうか。
  174. 山口公生

    ○山口政府委員 電子マネーの一般的な定義というものでございますが、いわゆる電子マネーというのは、情報処理技術の進展を背景として開発されつつある、さまざまな新たな支払い、決済方法を示すものとして用いられておりまして、これまでのところ、これについて確立した定義というものはございません。  例えば、BISによりますと、資金の前払いをして、それに相当する価値をICカードなどに貯蔵するストアドバリュー型と、コンピューターネットワーク等を通じ、預金振替やクレジットによる支払いを行うアクセス型があると一般にされておりますが、通常前者のみを電子マネーと定義すべきとの意見もございます。
  175. 生方幸夫

    ○生方委員 日本でも、大蔵省、郵政省、通産省、それぞれが電子マネーについての実験を開始ないしは予定をしておるというふうに聞いておりますが、日本で現在、電子マネーというのはもう既に使われているものなのでしょうか。その利用状況がわかりましたら、教えていただきたいのですが。
  176. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  我が国におきまして、ATMの普及やプリペイドカードの普及を背景として、いわゆる電子マネーが広範に利用されているという状況には至っておりません。  しかしながら、我が国におきまして、従来からICカードの利用の取り組みがなされているほか、近年におきましては、幾つかの地域におきましてプリペイドカード型のプロジェクトが実施されておりまして、また、来年には首都圏における電子マネーの実証実験プロジェクトの実施が計画されているなど、電子マネーの普及に向けた取り組みが進展しているところでございます。それが現状と申し上げます。
  177. 生方幸夫

    ○生方委員 欧米の現状も、もしわかりましたら教えていただきたいのですが。
  178. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  ICカードを利用しながら、商店などの支払いに使用されるいわゆるICカード型の電子マネーにつきましては、イギリスで開発されましたモンデツクス、ドイツのゲルトカルテ、ベルギーのプロトンなどさまざまなプロジェクトが進められ、実用化に向けた取り組みがなされております。他方、主としてインターネットなどのネットワーク上の支払いに使用されるいわゆるネットワーク型の電子マネーにつきましては、米国のマークトウェイン銀行によるeキャッシュのプロジェクト等がございます。ただいまだ普及の段階には至っていないものと承知しております。  このように欧米ではさまざまな電子決済システムの開発が進められ、実用化に向けた取り組みがなされておるところでございますが、いずれもいまだ本格的な普及の段階には至ってないというふうに考えられると思います。
  179. 生方幸夫

    ○生方委員 本格的に普及するのはいつごろだというふうに大蔵省では見ておるのでしょうか、日本の場合ですが。
  180. 山口公生

    ○山口政府委員 日本の場合、先ほど御説明しましたような、まだいろいろな実験段階ということでございます。  それで、電子マネーにつきましては、日本の場合は、どうも現金を持ち歩く習慣というのが根強くあるというような社会風土もございます。したがいまして、今すぐに電子マネーが爆発的に普及していくというようなことはちょっと考えにくいかなと思うのでございますが、ただ、今の新しい若い世代の方々はかなりこういったものに対するなれというものが出てきております。例えばICカード型の電子マネーとなりますと、プリペイドカード等を使っている世代の方々が大分親しみやすいということになりますので、将来におきましてはかなり普及する可能性はあるというふうに思います。  日本の伝統的なそういう習慣とそういった技術革新へのなれというものの兼ね合いで次第に広まっていくものだろうというふうに思っております。
  181. 生方幸夫

    ○生方委員 インターネットの普及なんかを見ますと、インターネット上に今バーチャルモールというのが開かれて、そこで買い物をしてインターネット上に置かれたバンクに決済をするというようなことができるようになっているというふうに聞いております。今はまだ普及の初期の段階ですが、どんどん進んでいきますと、現実にどれだけ日本でお金が使われたのかがなかなか把握しづらくなってくるというようなことで、金融政策にも影響を与えるのではないかというふうに思っておるのですけれども、その辺については大蔵省ではどのように分析なさっているのでしょうか。
  182. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  電子マネーの金融政策に与える影響というものにつきましては、将来はいろいろと御指摘のような点が出てくる可能性はあると思います。ただ、現時点におきましてはまだそういった段階に至っておりませんので、今の時点でそれを見通すということはなかなか難しいだろうなというふうに思っております。
  183. 生方幸夫

    ○生方委員 普及し出すと、これは多分爆発的に普及すると思うので、今からやはりもうちょっと研究をしておかないといけないのじゃないかというふうに思います。  それと、電子マネーはやはりソフトでございますから、ネットワーク上で使われるものはソフトでございますから、やはり世界的な標準というようなものが今模索されているというふうに聞いております。日本においてもシティバンクが特許を出しているというふうに聞いておりまして、これが仮に通ったりすると、電子マネーを使うために、日本の銀行あるいはユーザーはシティバンクに利用料というかソフト料を払わなければいけないというような状況も起こってくるやに聞いておるのですけれども、その辺についての対策というのはどのようにお考えになっていますでしょうか。
  184. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  この電子マネーについての技術進歩、これは私どもとしては尊重していくべきものだと思っておりますけれども、この技術進歩に伴って出てきます例えば特許の問題等は、非常にある意味では各主体の利害にかかわる問題でございます。  この電子マネーの特許につきまして、今先生から御指摘がございましたが、現在、シティバンクの方で電子通貨の発行、支払い、入金等の業務フロー及び制度設計を広範に網羅した特許を申請しているところでございますが、これに対しまして、一部の都銀やメーカー等が既に公知または周知の事実であるなどの理由で異議申し立てをしていると承知しております。  いずれにしましても、この点につきましては、特許庁の方で異議申し立てをした主張を考慮した上で御判断をされるわけでございますので、大蔵省としてはそれを見守るべきであり、コメントは差し控えさせていただきたいと思っております。
  185. 生方幸夫

    ○生方委員 今申し上げましたように、モンデックスみたいな形で電子マネーを発行するということになると、これは日銀の通貨発行権との関連というのが出てくるのじゃないかと思うのですけれども、日本で仮にモンデックス、例えばある銀行が発行するということは法上は何も問題はないのでしょうか。
  186. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えさせていただきます。  今委員が言われました日銀の関係でございますが、日本銀行が日本銀行法第二十九条に基づいて発行しております日本銀行券は、これは法律によりまして強制通用力が付与された通貨であるわけでございます。他方、いわゆる電子マネーとして今議論されているものは民間が主体となって提供する決済手段でございまして、電子マネーによる決済はあくまでも当事者間の合意のみに基づいてなされるものであると理解しているわけでございます。こういうぐあいに申し上げますと、両者の性質は法的には基本的に異なっているものでございます。  今言われました日本銀行との関係でいいますと、電子マネーの導入によりまして日本銀行の通貨発行権が、これは大事な発行権でございますが、これが直ちに侵害されるというようなことにはならないと考えております。しかしながら、通貨秩序の維持ということは、これは国民生活の安定からもまた大変重要な問題でございます。現行法におきましては、通貨偽造を重く処罰する刑法もございますし、また、紙幣類似証券取締法等でその保護が図られているわけでございます。  こういうことから考えまして、仮に通貨秩序の維持にかかわる事態が生じるような場合には、これはもう厳正に対応を図っていく必要があるというぐあいに考えておりまして、民間の創意工夫、実証実験等の動向等を見守りながら、電子マネーの今後のあり方については私どもとしては注視しているところでございます。
  187. 生方幸夫

    ○生方委員 電子マネーはまさにこれから普及するものでございますから、最初に規制の網をかけてしまうと自由に伸びないということもございます。しかしながら、決済として使われるとなればセキュリティーの問題やマネーロンダリングの問題とかいろいろ出てくると思いますので、その辺の準備というのをしっかりしていただきたいというふうに思います。  もう一つ、電子マネーに関連するのですが、証券市場に関しても、アメリカとかイギリスにおいては、いわゆるネットワーク上に証券取引所というものをつくって、証券取引所そのもの本体を通さずにブローカーや機関投資家が直接株を売買しているというようなことが行われておる。これはバーチャル証券取引所というような言い方をしているようなんですけれども、日本にも、このバーチャル証券取引所というのですか、取り入れたいというアメリカの証券会社が既に進出しているというふうに聞くのですが、日本の証券取引所、一極集中原則というのはこれは法律で求められているものではなくて、あくまで慣例だというふうに聞いておるのですけれども、日本でそのようなネットワーク上での直接の株の売買取引というのは可能かどうか、ちょっとお伺いしたいのです。
  188. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  日本におきましては、証券取引法上の制度といたしまして、有価証券の公正な価格形成に資するため、すべての取引は証券取引所に集中して、そこで適正な価格形成を行うという形になっておりますので、個々の証券取引所でないところで証券市場に類する施設を開設することは認められないことになっております。  このやり方は世界どこでも同じかというと、違うケースもございます。例えばイギリスで申し上げますと、ロンドンの証券取引所というのがございますけれども、実はそこは、取引所に集中して売買しておるのではなくて、すべての取引は証券会社と顧客との間の相対の取引になっておりまして、その売買を取引所における取引とみなすという形になっております。  したがいまして、どこの証券会社に行くか、そのときの買いか売りかによってそれぞれ値段は違うというやり方をとっておりまして、こういったやり方が公平であるのか、それとも一カ所の取引所に集中した方が公平であるのかというのは種々各国でも御議論がございますし、これから、現在私どもが取り組んでおります証券市場の改革の中で、この取引所の集中といった問題を将来的にどう考えていくかというのは、各国の例も参考にしながらいろいろ検討するべき課題がございます。
  189. 生方幸夫

    ○生方委員 これは、ネットワーク上で証券取引所が開かれているということであれば、日本からも当然それはアクセスすることができて、日本のパソコンでも株を売買することができるということになっておるんですが、こういう世界的な大きい流れを踏まえて今回の金融ビッグバンの論議がなされているのかというと、なかなかなされていないような気がするんですが、電子マネーとかインターネット上のバンクとか今のバーチャル証券取引所とか、そういうものも取り込んだ形でやはり今度のビッグバンというのを行っていかなければいけないと思うんですが、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいんです。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕
  190. 長野厖士

    ○長野政府委員 先ほど、限定されました範囲の御質問に対して限定した範囲でお答え申し上げましたけれども、いわゆる電子マネーのきょうは御質問でございますけれども、決済手段としてのマネーということは別にいたしましても、取引そのものを電子的手段で行うという情報処理技術の発達というのは、証券取引などにつきましても大変いろんな場面で影響してまいります。  東京証券取引所にいらっしゃいますと、現在場立ちという形で取引しておりますけれども、しかし、現実には大部分の取引は既にコンピューター上で行われるようになっておりますし、証券会社が顧客との間での取引をインターネットで勧誘し、そこで注文を受けるという動きも出ておりますし、その前段階といたしまして、企業企業情報をインターネットによって投資家に提供する、決算情報とかいう動きも出ています。それぞれ大変重要な課題でございますし、証取審におきます審議では、重要な課題として今御研究いただいております。
  191. 生方幸夫

    ○生方委員 電子マネーというのは、実際に目で見えるわけじゃございませんからなかなか理解しづらいところがあるのですが、これは世界的には非常に普及しているものなんで、これも消費者教育も含めてもうちょっとやはり、何というんですか、アピールをしていただけたらありがたいというふうに思っております。  話題を変えまして、本日の新聞にNTTの分割法案が出ておりますので、そのことについてちょっとお話をお伺いしたいと思います。  郵政省のお出しになった案によりますと、持ち株会社をつくって、そのもとに東西の分割会社と長距離会社を置くというお考えのようですが、持ち株会社はもちろん独占禁止法で禁止されているんですけれども、このNTTの持ち株会社の場合はどういうふうに処理されるのか、その辺からまずお伺いしたいんですが。
  192. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 独禁法との関係につきまして、今政府内で独禁法の改正法案の今国会への提出準備が進められておりますので、私どもはその提出を前提といたしましてNTTの持ち株会社化を考えております。
  193. 生方幸夫

    ○生方委員 そうすると、これはNTTだけの特例措置ということではなくて、全体の持ち株会社の中の一つというふうに位置づけられるというふうに考えてよろしいんですか。
  194. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 そのような方向で検討を進めております。
  195. 生方幸夫

    ○生方委員 きょうの新聞報道によりますと、持ち株会社によって持たれる東西の地域電話会社というのは特殊法人になって、長距離・国際会社は普通の民間会社になるというふうに報道されているんですけれども、持ち株会社とそれから東西二社が特殊法人という、この特殊法人というのはどういう形の会社だというふうに理解したらよろしいんでしょうか。
  196. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回のこの再編成の基本は、NTTの独占部門とそれから競争部門とを分離する、そして、独占部門の地域会社につきましては東西二社に分離しまして、相互の比較競争を可能とするということでございます。  この東西の地域会社につきましては、実態土地域の電気通信事業を独占いたしておりますので、そういう実態と、それから、これらの地域における電話のあまねく普及に資する義務ということを考えておりまして、特殊会社として取り扱うことを考えております。
  197. 生方幸夫

    ○生方委員 NTTの株をたくさん持っている方いらっしゃると思うのですけれども、この持ち株会社によって分離分割されると、今持っている株というのはどうなるんでしょうか。
  198. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいまのNTTを再編成します際に、純粋持ち株会社とそれからそのもとでの東西の二地域会社と長距離会社でございますけれども、この純粋持ち株会社につきましては、日本電信電話株式会社の名称、それをそのまま引き継ぐことになりますので、株式につきましても、現在のNTTの株式はそのままこの純粋持ち株会社の株式になる。したがって、株主もそのままこの持ち株会社の株主になられるというふうに考えております。
  199. 生方幸夫

    ○生方委員 そうすると、東西に分割された新しい特殊会社の株というのは、民間の人は持たないということになるわけですね。
  200. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 実態的に地域独占でございます東西二地域会社につきましては、その株式の一〇〇%をこのNTT持ち株会社が持つというふうに考えております。
  201. 生方幸夫

    ○生方委員 すると、長距離・国際会社についての株というのはどうなるんでしょうか。
  202. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 再編に当たりましては、当然に一〇〇%の株式を持ち株会社が保有することになるわけでございます。その後の扱いにつきましては、諸般の事情を考えた上で検討していくことになろうと思います。
  203. 生方幸夫

    ○生方委員 一九八五年にNTTが民営化されてから、この間ずっと分離分割の論議というのがなされてきて、ようやっとここでまとまった考え方が出てきたということなんですけれども、基本的に、今一番大事なことは、通信が自由化されることによって自由競争が確保されるということが一番重要だというふうに今考えております。  各種統計を見ても、NTTの大きさというのは非常に大き過ぎて、現実に第二電電がたくさん出てきても思うような競争状態になっていない。今度の法案を見ても、東西に分割されたとはいえ、持ち株会社一つによって統合されているという形になりますと、西と東で、じゃ、本当に競争ができるのかということに関して、かなり私は疑問符がっくと思うのですけれども、本当に競争が実現されるのかどうか。これは相互参入してもいいというようなことになっているようなんですけれども、その辺の見通しについて、郵政大臣、どのようにお考えになっていますでしょうか。
  204. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 委員も御案内のとおり、昭和六十年に民営化されまして競争が導入されたわけでありますが、今回、この十二年間を振り返ってみましても、NTTが一社で独占という形で民営化されましたけれども、日本の情報通信というものはこの十二年間に飛躍的な発展を遂げてまいりました。そして、長距離、国際通信を見ましても、大変な改革がなされ、競争がなされてまいりました。特に遠距離通信並びに国際通信というものが大幅な価格引き下げを伴ってきたわけでありますので、したがって、今日のこれまでの状態で、NTT一社独占でもこのように十分な競争が確保されてまいりました。  今度のNTT再編成は、委員指摘のとおり完全な独立ではありませんが、今回三つの会社に再編成されたことによって、さらに私は大きな競争が確保される、そして、さらに大きくこの情報通信分野において大きな発展が期待できる、こういうように思っております。
  205. 生方幸夫

    ○生方委員 現実には、本当にNTTが巨大過ぎて自由に競争ができないというのが、私はそういう現実があるのはもう間違いないというふうに思っております。やはり通信分野の規制緩和、大分進んでおるんですけれども、まだまだ料金体系とか参入規制とかが一部残っているようにも感じられますので、金融のビッグバンと同じように、通信でもビッグバン的な大規模な規制緩和を行うことによって今この分野で日本が大きく伸びていかないと、経済成長もおぼつかないと思うんで、その辺の思い切った、NTTの分割と同時に規制緩和というのを行ってほしいというふうに思うんですが、郵政大臣のお考えを。
  206. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたが、今度NTTが、長距離通信は純然たる民間会社、地域二社は独占ということになりますが、この際、長距離通信をそうして純然たる民間にいたしますと、ほかの三電電の長距離会社、同じように地域に公−専−公の接続をするのでも、今までそのコストというのがはっきりわからなかった、一緒に計算されておったということもありますが、これからは長距離通信の会社、あるいはほかの第二電電等の競争においても公平な扱いがなされてくると思います。  そして、私はやはり地域通信もある程度の身軽な姿になってまいりましたので、お互いに十分な活動がしやすい体制になる、こういうふうに思っておるところであります。
  207. 生方幸夫

    ○生方委員 今回の改正によってNTTが国際通信分野にも乗り出せるようになったというのは、私、今、非常によかったというふうに思っております。メガキャリアが、そこらじゆうで支配されちゃった後にNTTが出ていったのでは、日本のプレゼンスもなくなってしまうというようなことを思っております。  ここで一点お伺いしたいんですけれども、NTTに残されている外資規制、二〇%までというのは、これは今度の法改正においてはまだ残したままなんでしょうか。
  208. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先般のWTOでNTT、KDDを除きます一種事業については一〇〇%の外資開放ということを約束したわけでございますけれども、NTT、KDDにつきましては、やはり実態の問題といたしまして、日本の基幹的通信業者でございますので、そういった観点、あるいは国際的な水準といいますか状況等も勘案いたしまして、今回はそのままというふうに考えております。
  209. 生方幸夫

    ○生方委員 NTTが出ていくということを考えれば、私はもう外資規制など外して、NTTも海外でそのかわり自由に地元の通信会社を買えるというようなことにした方がいいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  210. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 先ほど局長から答弁申し上げましたが、日本の場合はNTTとKDDだけが二〇%の規制がなされておるわけで、ほかは全面開放であります。しかし、まだアメリカとか諸外国の場合は、第一種通信事業というのはほとんど二〇%の規制がなされております。いろいろな、このたびのWTO交渉のときに、アメリカからも要求がありましたが、自分の国は全然それ以上の開放をせずに人の国ばかり開放とは何事かと言って、向こうの要求は断った経過もあります。  我々は、これからもNTT、KDDは日本の情報通信の基幹になりますので、やはり今後とも外国とのバランスも考えながら、国の安全という問題も考えながら取り組んでいきたいと思っております。
  211. 生方幸夫

    ○生方委員 これで終わります。どうもありがとうございました。
  212. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて生方君の質疑は終了いたしました。  次に、中沢健次君。
  213. 中沢健次

    ○中沢委員 民主党の中沢でございます。  実は、一般質疑、まだ明日まで残っておりますが、我が党としては私が最後の質問者であります。わずか四十五分でありますけれども、主として我が党の予算の組み替えを念頭に置いて具体的な質問をぶつけますので、率直なお答えをぜひお伺いをしたいと思います。  その前に、実は我が党としても非常に関心のあります公益法人の政治献金問題について、改めて幾つか新しい内容が出たようでありますから、具体的にお尋ねをしたいと思います。  まず、今までのこの予算委員会の議論の中で、この種問題が国民の前に公表された。一つは、きょうは総理がいらっしゃいませんが、総理の関係する政治団体、総理は既にその違法性に留意をされまして返却をされています。これが一つは事実として明らかになりました。  いま一つは、我が党の同僚議員が一昨日指摘をしたのでありますが、農水省所管の指定の公益法人、国際農業交流協会というところから二十一世紀基本政策研究会に対しまして、金額はわずか十万円でありますけれども、同様な内容がこの委員会でも指摘をされました。ただし、あえて関係の政治家については公表をしておりません。  さて、私としては、昨日の新聞報道にありました、これも固有名詞は挙げませんけれども、厚生官僚出身の国会議員、この方が、六団体から非常に違法性の強い指定公益法人の献金を受けている、こういう報道がございました。  実は自治大臣をお呼びしたがったのでありますが、地方行政委員会で重要な法案の審議があると。私自身もかつて地方行政委員会におりましたので、やや配慮をいたしまして、改めて政府委員を呼んでおりますので、昨日の新聞報道の具体的な事実について自治省としてどのように把握をされているか、まずそのことを明らかにしていただきたいと思います。
  214. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 御指摘の報道にあります寄附の有無につきまして、社会福祉研究会の平成七年分の収支報告書を確認をいたしました。  学校法人の日章学園学園本部から十二万円、医療法人の誠和会和田病院から二十四万円、社団法人都城市北諸県郡医師会から十二万円、それから、新聞の報道とは法人の性格が若干収支報告書と異なっておりますが、(社)となっていますが、宮崎県医師会から十二万円、宇治病院から十二万円の寄附が記載されております。  それから、報道にありました財団法人シルバーリハビリテーション協会につきましては、リハビリという名前を冠した団体からの寄附はございますが、このような団体からの寄附は記載されておりませんでした。
  215. 中沢健次

    ○中沢委員 今、自治省の政府委員からお答えをいただきました。新聞報道と若干事実関係が違うようでありますけれども、しかし、いずれにしても、複数の団体から極めて違法性の強い政治献金を受けている。これは恐らく、私のやや独断かもしれませんが、この種の問題の氷山の一角ではないか、そんな思いが非常に強いわけであります。  そのことを前提にして、総理府も政府委員を呼んでおりますので、総理府にお尋ねをいたします。  総理府は公益法人全体を所管をする官庁でありまして、この種の問題について、非常に最近の出来事でありますけれども、総理府としても問題意識を持ってこの実態の解明を私はすべきではないか、このように考えますが、それについてお答えをください。
  216. 榊誠

    ○榊政府委員 お答えいたします。  公益法人の行う政治献金につきましては、政治資金規正法で量的な制限あるいは質的な制限が課されているということは承知しておるところでございます。一方、公益法人一般の指導監督につきましては、民法の規定によりまして、公益法人の行う業務についての監督を行っているところでございます。したがいまして、このような法体系の中で、政治資金規正法において定められた献金問題を、個別の問題があれば別として、一般的な調査といいますか、そういうようなことを行うことは、民法の規定の持っておる監督権限との関係から考えまして、なじまないものではないかというふうに考えている次第でございます。
  217. 中沢健次

    ○中沢委員 今、総理府からそういう基本的なお答えがございました。確かに、この公益法人というのは文字どおり、政府が幾ら補助金を出しているとはいいながら、それぞれ自主性が保障された公益法人でありますから、なかなか総理府の立場では実態解明が難しい。現状において私はやむを得ないと思うのです。  そこで、この問題について、きょうはごく少数の大臣しか呼んでおりませんけれども、特に農水大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  もともと、公益法人の認可でいいますと、各省庁が責任を持つ、補助金についても各省庁が責任を持つ、これはもう言うまでもない制度上の問題ですね。そうしますと、今私が指摘をしましたような、少なくとも補助金が交付をされているようないわゆる指定公益法人、全部で百三十五ある。農水省に幾つあるかは改めて調査をしておりませんが、その中で、我が党の同僚議員が、先ほど言いましたように、農水省所管の指定公益法人の政治献金問題を具体的に指摘をいたしました。  さて、それ以外に農水省の補助金を出しているこの種の公益法人について、今のような実態解明を総理府ができないのであれば、最低でも所管の大臣として、自分の所管の公益法人を実態としてしっかり調査をして、その解明をして、全貌を少なくとも明らかにすべきではないか。そのことは恐らく各省庁の責任ある大臣に共通のことだと思うのでありますが、きょうは時間がありませんから、農水大臣に限ってお答えをいただきたいと思います。
  218. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 公益法人の性格上、慎重な対応が政治献金につきましては求められるわけでございまして、御指摘のような趣旨に沿って調査をすることにつきましては全く同感でございます。
  219. 中沢健次

    ○中沢委員 今、ごく限定されました農水省関係についての大臣のお答えがございました。  実はきょうは、総理もいらっしゃらないし、官房長官もお呼びをしておりません。ですから、それ以外の各省庁の問題についてはまた改めて機会をいただいて、橋本内閣全体の問題として指摘をして、政府の見解を改めていただきたい、それは別の機会にしたいと思います。  さて、二つ目の問題について、これから具体的に我が党としての予算に対する重点的な問題点を指摘をしたいと思うのです。主として大蔵大臣とやりとりになると思うのです。  ただ、その議論をする前に、建設大臣お見えであります。私自身は、別にあなたに対して個人的に恨みを持っていないし、何も偏見は持っていないのでありますが、実は、昨日のこの委員会で他党の委員の方から、大臣のテレビにおける発言が指摘をされました。私も、同じような立場で、もう少し大臣の率直な意見、あるいはあの発言がどうであったかという問題等について幾つかお尋ねをまずしたいと思うのです。  まず、事実関係ですが、先週の日曜、私は直接テレビは見ておりませんでした。新聞報道も、べた記事の報道でございますから、よほど注意深く見なければなかなかわからなかったと思うのでありますが、しかし、テレビで、あの番組というのは大変高い視聴率である、大変な宣伝効果があったというふうに私は考えます。ほとんど同じ意見だと思うのですね。そういうテレビに向かってどういう発言をしたかという全体のことはよくわかりませんが、新聞報道によりますと、現在の予算委員会は公共事業問題を中心にして極めて幼稚な論議がまかり通っている、こういう新聞記事が、これは朝日新聞です、べた記事で出ておりました。  私は、くどいようでありますがテレビは見ておりませんけれども、そういう新聞記事を改めて見まして、これはとんでもないと。昨日も、他の委員からもそういう指摘がありました。しかし、昨日の建設大臣のあのお答えは、正直言って無礼千万だと思いますよ。もっと言いますと、少なくとも我が党は、本会議予算委員会を含めて、行政改革、財政改革、積極的に支援するところは支援をしよう、しかし、やはり公共事業を中心にして、あるいは特殊法人ですとか公益法人問題も含めて全体の歳出カットを行って、例えば国債の発行を削減するだとか国民生活にその部分を振り向けるだとかという議論をやってきた。おっしゃるように、公共事業を中心にずっと議論をしてきた。そういう議論が、新聞報道で見る限り、表現としてあったと私は思うのですけれども、非常に幼稚な論議がまかり通っているということになってまいりますと、少なくとも、私を含めて我が民主党に対する最大な侮辱ではないでしょうか。  もっと言いますと、そういう議論というのは、我が党だけではなしに与党の一部からも出ている。もっと言うと、各野党は、濃淡はいろいろありますけれども、ほとんどこの問題について集中的に議論をしているのですよ。そういうことからいうと、我が党の問題であるということと同時に、もっと言うと、予算委員会全体に対する大変失礼な、私は暴言とは言いませんけれども、余りにも行き過ぎた発言ではないかと思うのですね。  ですから、事実関係と、建設大臣の私の質問に対する所見をまず聞いておきたいと思います。
  220. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 過日のテレビ番組で私が発言しましたことにつきまして昨日も御質問がございましたが、まず、テレビに出演いたしました立場を申し上げますと、私は一政治家という立場で出演をいたしたわけでございますので、政府を代表してとか建設省を代表してという公的な立場でないことは御理解をいただける、このように思います。  私があの番組で申し上げましたのは、現在の公共事業の額の問題あるいは執行の問題等が、財政再建をいかにしていくかということ、そうした大きな政治の中でどう取り扱われていくかということで論議されていることは、もちろん私は十分承知の上で申し上げたわけでありますけれども、ただ、私の一政治家としての感想といたしまして、財政再建をどうやっていくか、また一方では景気をどう確実なものとしていくか、まだ自律反転の段階には至っていない、そういう状況において、今後……(中沢委員「結論を言ってください」と呼ぶ)だから、説明しないとわからないでしょう。そうした中で、もっと公共事業について切り込むということももちろん場合によっては必要かもしれませんが、あるいは社会福祉、あるいは文教、万般の問題について同時に議論を並行的に進めていくということがなければ、公共事業費を削減をすれば直ちにこれが財政再建につながっていくものではない。  さあ、そういう中で、委員も大体熱心におられますから御承知のとおり、万般についての議論がほとんどなされていなかったということは事実であります。そういうことの中で私がそうした感想を述べたわけでありますけれども、そのことが、一政治家としての発言であっても、権威ある予算委員会の皆様方のプライドを傷つけるというようなことがもしあったとすれば、これはまことに遺憾なことだと思います。  立法府と行政府というのは、御承知のように、相互牽制の中でお互いに質の高い活動を展開をしていくということは、国民がこれは期待をしておるわけでありますから、そうしたことについてのお互いに率直な感想なり意見を述べ合うということは、私は必要だと思いますが、ただ、私の選びました言葉がそうした皆様方のプライドを傷つけたというようなことがあれば、これは大変なことでありますので、私としては、今後言葉に十分気をつけてまいりたいと思います。
  221. 中沢健次

    ○中沢委員 今、大臣の方からお話がありました。私は、二つ、三つ問題があると思うのですね。  一つは、確かに番組では亀井衆議院議員、こういうことで登場されたのでしょうけれども、しかし、紛れもなく橋本内閣の建設大臣なんですよ。しかも、公共事業でいえば、全体的なシェアの七割を権益として持っておられる建設大臣なんですね。そうしますと、見ている国民から見ると、橋本内閣は、一方ではいろいろ努力をして歳出カットに向けて頑張っているという、そういう受けとめ方も一方ではされている。もう一方では、肝心の建設大臣が、そういう議論をすること自体が幼稚だ、こういうような建設大臣の立場で発言する重み、私はもっとしっかり御本人もわきまえていただきたい。これが一つ。  もう一つは、国会議員のプライド問題というふうに一応釈明がありました。私は、国会議員のプライドということも大事ですけれども、予算委員会全体、もっと言うと、各党の問題として、単なる国会議員のプライドの問題ではなしに、予算委員会全体のプライド、あるいは各党のプライド、それについても大変侮辱をした、そういう内容であることを御本人としてもしっかりわきまえて、改めてこの二つの問題についてお答えをください。
  222. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 まず、私が公共事業の相当分を主管をする大臣という立場で、総理の現在の御方針とそごがあるように誤解しかねない発言であったのではないかという御指摘であろうと思いますが、私は、それはそのようには考えておりません。  総理が財政再建をやっていかれることはもう当然のことでありますから、私は、閣僚の一員として全面的にその指示に従って協力をしていくのは当然であります。しかし、その方法論につきまして、それをどうしたらやれるかということについては、私は、一閣僚、国務大臣という立場でも総理に申し上げることは申し上げてこなければならない、このように考えておりますが、現在のところ総理と意見が違うというふうに私は考えておりません。  二番目でございますが、これは、私何度も申し上げますように、私も政治家でございますから、政治家のパーティー等に行きまして、建設大臣という公的なそういう立場ではない、一政治家という立場でいろいろと話をする場合もございます。それがすべて建設大臣としての発言だというとらえ方をされますと、これは大変問題が起きる場合も私は出てこようかと思います。簡単に言いますと、個々の政治家に対して非常に強い思い入れで発言をする場合もございましょうし、自分が所属しております自由民主党に対する思い入れで発言をする場合もございます。  そういう意味では、一人で幾つもの人格を共有をしておるわけでございますから、そのあたりのことは、私は内閣の命令で出演したわけでもございませんし、一政治家という立場で、私は、今行政府にも身を置いておりますが、立法府にも身を置いておるわけでございます。それぞれの立場で皆様方も行政府に対して、今の政府は何だ、ああだといういろいろな御批判をされると思います、立法府の立場で。そういう面については、個人の立場でいろいろな感想を持ち、それをいろいろな形でオープンに言うということまで、これはだめだということが、果たして議会制民主主義が健全に育つという面でいいかどうかは問題がある。  ただ、先ほど申し上げましたように、私が使いました言葉が委員の皆様方、あるいはこの委員会全体の皆様方が非常に不愉快だ、プライドを傷つけたというお気持ちであるとすれば、これは私の不覚といいますか、言葉の選び方が適切でなかったということであろうかと思いますので、今後気をつけてまいりたい、このように申し上げている。(発言する者あり)
  223. 中沢健次

    ○中沢委員 私がお尋ねをしたいのは……(発言する者あり)
  224. 深谷隆司

    深谷委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  225. 深谷隆司

    深谷委員長 速記を起こしてください。  亀井建設大臣
  226. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 熱心に議論をしておられます委員会の皆様方にそういう面で大変不愉快な思いをおかけをし、名誉を傷つけられたということでありますから、今後、閣僚といたしましても、政治家といたしましても十分注意をしてまいりたいと思います。
  227. 中沢健次

    ○中沢委員 最後のところは、大変決意を含めたお答えであったと思うのです。ですから、私は、質問者としては質問は続行いたします。しかし、いずれにしても、今大臣からありましたからこれ以上は言いません。ぜひひとつ、今後とも、亀井大臣の持ち味はあるとは思うのですけれども、やはり、かなり過激な発言が多いと思いますよ。ですから、そこのところはぜひ今後の問題として、しっかり気をつけていただきたいと思います。  さて、もう余り時間がありませんので、これから先はほぼ大蔵大臣中心に、あるいは公共事業関連の三大臣、あるいは総務庁の長官にもお越しをいただいておりますから、具体的に幾つかお尋ねをしたいと思うのです。  一つは、我が党は、政党政治ということでもありますので、既に我が党として与党三党に対する本予算の組み替えの問題の提起をさせていただいています、二月の十九日。明日また改めて政党間の協議を行う、こういう内容になっております。  実はこの委員会では、改めてそのことを持ち出しますのは、明日の理事会、あるいは恐らくまだ日程が決まっておりませんが、いわゆる締め総の段階でいろいろ最終的な議論をすると思うのでありますが、私としては、先ほど言いましたように一般質問最後でありますから、ややそのことを念頭に置きまして、幾つか具体的にお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、公共事業関連の三大臣、具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  我が党は、公共事業のコスト一割削減、アバウトに言うと約一兆円の財源をそこで捻出ができないのか。二つ目には、六百三十兆が前提になりますけれども、十六本のいわゆる五カ年計画、これを全体的に計画の見直しをして、例えば五年計画を七年にするあるいは八年にする、物によっては現在の五カ年でもいい、こういう区分けをしておりますけれども、全体の計画の見直しで、これもおよそでありますが、約一兆七千億、何とか財源が捻出ができないか。公共事業関連でいいますと、一兆円と一兆七千億を足しましておよそ二兆七千億の予算の減額を、公共事業を中心にして、既に与党三党に問題を指摘をしております。  この二つについて、建設大臣、農水大臣、運輸大臣、順番で結構ですから、簡単に、我が党のこの種の問題提起について、どういう責任者としての見解をお持ちか。
  228. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 民主党におかれまして、そうした財政再建の具体的な取り組み手法について具体的な御検討をされているということは、私も承知をいたしております。  ただ、コスト削減の問題にいたしましても、これはもう委員十分御承知と思いますが、コストを構成する諸要素というのは極めて多岐にわたっております。一割を決めておろせば、それでコストがそれぞれ削減をされてこれが施工されるというものではないことも十分御承知であると思います。午前中の審議の中でも、太田委員から耐震性の向上について強い、的確な御意見もございました。また御承知のように、防災への配慮をした工事をやることについてのコストの問題も各委員会でいろいろと議論をされてまいりました。  そうした中で、そうした防災的な観点も含め、しかもすぐぶつ壊れるというようなことではなくて、二十一世紀へ向けて子々孫々に我々が誇り得るそうした社会資本を残すという観点を無視するわけにはまいりません。  そういう意味では、例えば文化庁の、今文化財調査が、これが適切なことであるのかどうかということも含めて、また警察庁の道路使用問題、他省庁のそうしたことがどの程度きっちりといくのかということがなければ、発注方法とかあるいはその他設計段階の問題等、我々プロパーで対応し得るものでどの程度コストを削減し得るかということは、委員御承知のように非常に大変な難しい問題がございます。  しかし、現在、行動計画に向けて全力を挙げて取り組んでおるところでございますので、今直ちに何割ということを示せということを言われましても、総理からは数値目標をできるだけ出すようにという御指示がございますけれども、非常に難渋をいたしておるというのが現在の状況でございます。  なお、長期計画にいたしましても、これは一応の目標でございます。それに基づいて、委員御承知のようにいろいろな社会資本、単年度予算では完成いたしません、やはり五年、十年の計画的な執行によってこれが完成するわけでございますので、そのあたりは民主党が御指摘の、できるだけ効率的に社会資本を整備をしていけ、また財政事情を勘案していけという御意見はよくわかるわけでございますが、じゃいかにしてやるかということについて我々も今必死の努力をいたしております。
  229. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 おおむね建設大臣から御答弁がございました、そのとおりでございますが、今この公共工事コストの縮減の問題につきましては、政府一体となりまして、現在、三月末を目途に事業別コスト削減計画をつくっている段階でございまして、具体的にどの程度のコストが削減できるか、その可能性があるかということにつきましては今検討中でございます。  それから、長期計画につきましては、それぞれ事業の内容によって長期計画を延ばせるもの、また延ばせないもの、そういう整理といいますか、考え方があろうかと思います。  農林水産省につきましては、例えば土地改良事業とか森林整備事業、そういう事業につきましては、やはり足腰の強い農業をつくる、また今の水不足の問題等から考えまして、これらの長期計画は着実にこの計画どおり推進していかなければならぬ、そういう問題であろうかと思っております。
  230. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生の御質問の二点についてお答えを申し上げます。  最初の一点目でございますが、平成九年度の運輸関係の公共事業費は六千七百二十億計上させていただいております。これは御承知のとおり、経済構造改革また国土の均衡ある発展、国民が一日も早く求められてある整備でございます。そういう意味で必要最小限の予算額だというふうに、まず一点目は認識をいたしております。  なお、二点目でありますが、長期計画についてでございますが、これは先ほど建設大臣農林水産大臣からもお話があっておりますように、私も長期計画というのは一つの、長期的な整備の計画的な目安だろう、こういうふうに思っております。  私ども運輸省関係では、海岸、港湾、空港と三つの分野において平成八年から十二年、五カ年計画、長期計画を策定させていただきました。昨年の暮れに閣議決定いたしておりますが、その中にも、今後の社会経済動向、そして経済事情を勘案しつつ弾力的な執行を図る、また同時に、必要に応じて見直しも検討する、こう言っているわけでございます。  そういう意味で、私といたしましては、運輸関係の社会資本の整備には、重点的、そしてまた必要性、そういった高いものから効率的、効果的に整備の推進を図っていきたい、こう決意をいたしているところです。
  231. 中沢健次

    ○中沢委員 今三大臣からそれぞれお答えがございました。  そこで、大蔵大臣、いずれにしても公共事業は省庁別のシェア、あるいは事業別のシェア、厳然とあるわけですね。本予算ということもそうなんでありますけれども、二十日の財政構造改革会議、これも議論になって、いずれにしても増税なき財政再建、こういう基本的なスタンスは確認をされて、さて問題は公共事業ということになってくると、確かにコスト削減の努力は三月に向かってやる、そして計画の見直しも、やや玉虫色でありますけれども、努力のできるところは努力をしたい、こういうことなんです。  ただ、率直な話、やはり公共事業のさまざまな権益をしょっている三大臣の立場としては、今の御答弁が私は限界だと思うのですね、立場からいえば。それを乗り越えて、財政再建の事実上の責任者である大蔵大臣は、一体この問題をどのように扱うのか。もっと言うと、きょうは何回も申し上げますけれども、総理がお見えでありませんが、橋本内閣として、この公共事業の具体的な削減についてどういうふうに考えるか。  新聞によりますと、最低でも五千億は来年度予算で何とかしたいということが報道として出されました。その事実は特別聞きませんけれども、今申し上げましたように、大蔵大臣として、財政担当大臣として、財政構造改革元年だということで胸を張っておられるわけでありますから、その立場で、もっと三大臣をいい意味で指導する大蔵大臣として率直なお話を聞いておきたいと思います、指導すると言ったらちょっとあれですけれども。
  232. 三塚博

    三塚国務大臣 午前中も太田議員から段々のお話賜りました。中沢議員から民主党を代表しての、これから提案するであろう項目についての詳細なエッセンスをただいま承らさせていただきました。  御案内のとおり、ただいま衆議院において大詰めの御審議をちょうだいいたしております。その趣旨は、この政府原案が、財政再建の観点からも、さらに財政構造改革への一丁目一番地としての大きな役割を担ってやり抜いていくという決意、経済システム改革、金融のシステム改革、以下ありますが、当面この問題にすべてをかけてやり抜こうということで取り組まさせていただいた予算であります。  よって、せっかくの御提案でありますけれども、全体の流れの中で、コスト削減でありますとか長期計画でありますとか特殊法人のリストラでありますとか、以下ございます。ございますが、九年度予算原案は精力を傾けまして、精緻な予算として、財政構造改革の元年としての実を上げる。片や、財政構造改革のベースである日本経済が健全体として国民の御期待に沿うことのできる措置を講じたと実は信じておりますし、それだけのバックデータは、時間がありませんから申し上げません。かつてない7年ぶりの編成をやり、公債金にいたしましても、国債費を下回るという基本をここに位置づけながら、税収に見合う支出をつくらさせていただきました。  そういうことなどもぜひ御勘案をいただきまして、重ねてこの予算の持つ意味について御理解を賜りますならば、望外の幸せでございます。
  233. 中沢健次

    ○中沢委員 それは締め総でいろいろやらせていただきたいと思います。  さて、今大蔵大臣からお答えはありましたが、率直に言って、なかなか私が期待をするような具体的なお答えがございません。  さて、もう時間がありませんので、少し急ぎまして、総務庁の長官に一つだけ。  特殊法人についても、あるいは指定の公益法人についても、やはり全面的にそこのところの行政改革をやってもらう。今まで随分議論がありました。建設大臣も大胆な提起もされている。一方ではそのことを評価をしたいと思うのですね。住都公団から始まって、いろいろありました。  やはりそういうところをもっともっと積極的に、いい意味で言うと切り込んでいって、民間で言っておるようなリストラをやって、結果的に国からの補助金を少しでも削減をしていく。こういう努力というのは、これからしばらく中長期にわたってやる必要は私はあると思うのですよ。  ですから、初年度ということで考えますと、少なくとも具体的にこの予算の中でその数字が明示できない。我が党は、例えば二兆五百億特殊法人に補助金が出ている、なぜこういう補助金が出ているかという内容については、僕は承知の上で言うのですけれども、この際ですから、やはり何千億かのそういう補助金の削減という大胆な切り込みを私はやはり九年度予算で改めて求めたいと思うのですが、それについてはいかがですか。     〔委員長退席、藤井(孝)委員長代理着席〕
  234. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 きのうでございましたか、おとといでございましたか、私、答弁をさせていただいた中で申し上げたのでございますが、私といたしましても、今のこの予算はベストのものであり、ぜひひとつこれを御審議をいただいた上で、できればこのままひとつ成立をさせていただきたいということをお願いをいたしました。  今、特殊法人の問題につきまして、私ども平成九年度に入りまして、正直、平成七年に決まって今特殊法人の統合の問題その他の法案をこの国会でお願いをいたしておりますけれども、それとは全く別に、改めて特殊法人全体について思い切った見直しをし、必要でないものは特殊法人も廃止をすることもあり得る、あるいは統合し、あるいはその特殊法人の業務の中で必要でないものは思い切って縮減をしていく、こういう形で私どもは監察をさせていただきたいと思っております。  その結果、必ずや今御指摘のような形で、将来においては助成を思い切って減らしていく、あるいは財投の金を思い切って出すのを減らしていくということは私はあり得ると期待をいたしておりますが、何にしても平成九年度から仕事を私どもさせていただくことになっておりますので、残念ながら、平成九年度の今御期待のようなものは、今のところは私どもの方で出すというわけにはまいらないわけでございます。
  235. 中沢健次

    ○中沢委員 それに関連をしまして、やや最後の問題に入りたいと思いますけれども、残念ながらもう時間がありませんから、途中は省略をいたします。  我が党は、大ざっぱに言って約三兆円歳出カット。与党の社民党の皆さんも、二十五日に具体的な提案をされて、およそ二兆円ぐらいという話をされているというふうに聞いております。  確かに、今までの政府側とあるいは野党側、与党、野党側の立場でいえば、予算というのは出したらもう一銭たりとも修正には応じない。これは今まで、いい伝統かどうかは別にして、それはずっと古いしきたりで来ていた、それは否定しません。しかし、これから日本の将来を考えますと、この九年度予算というのは非常に重たい意味を持っていると思うのですよ。つまり、新しい世紀に向かって、しかも六大改革をやろうという、そういう時代背景がある。  今までの悪い伝統にしがみつくのじゃなくて、この際ですから、我々が言っていることで、なるほどと、こう思ったら、かつてのように一銭たりとも修正には応じない、組み替えには応じない、こういう古い思想といいましょうか、古い考え方はこの際お互いに捨てて、虚心坦懐に、予算委員会はまだ続くのでありますけれども、そういう基本的な政策論争、予算をめぐって、予算の編成権 あるいは提出権、それはもちろんそちらにあります。我々はそれを審議する国会としての予算の審議権が一方であるわけでありますから、そういう基本的な問題についてタブーにしないで、ぜひこれからはやるべきではないか、そのことだけを申し上げます。お答えは要りません。  そこで、我が党は、約三兆円ほどの歳出カットをして、それじゃどういう事業にそれを充当したらいいかということについて言いますと、いろいろ党内では意見があります。しかし、我が党は少なくとも未来に責任を持つ。同時に、市民が主役の政党でありますから、市民の生活のことも大事にしなければいけない。  そうしますと、随分この委員会では議論がありました。政府の方は、二兆円の特別減税は今年度はやめる。しかし、これはぜひ継続をすることによって景気にも〇・九%の好影響が出る。数字的にもはっきりしている。景気にもいい影響がある。圧倒的に国民の大多数はそのことを望んでいる。もう一つは、やはりこの際、国債発行を少しでもカットをする。それがやはり未来に責任を持つという我が党の大きな志なわけです。  ですから、これ以上もう時間がありませんから申し上げませんが、いずれにしても、三兆円の歳出カットと同時に、我が党としては一応それに見合う歳出の構想は持っておりますけれども、今特別減税の継続と、そして国債の発行の削減、この二つを申し上げました。  もっと言うと、消費税の五%導入、これは事実上、補正で一千五百億、当面の問題を措置した。九年度をどうするか。いろいろな議論がある。私も個人的には、その問題も含めてぜひひとつ、この予算委員会で議論するのもいいけれども、例えば税制特でしっかりまた議論をしてもらう、こういう必要もあるのではないでしょうか。  最後に、いずれにしても、今ずっと私が申し上げましたような内容について言えば、いよいよこの委員会で最終的に締めくくりの総括をやるわけでありますから、そこの段階で、きょうは総理いらっしゃいませんが、これからいろいろな意見が出てくると思いますけれども、ぜひひとつしっかり受けとめて、基本的な問題、具体的な問題、しっかり受けとめていただいて、もっと予算委員会国民から期待をされるような、幼稚な議論ではないのだという、それを立証できるような予算委員会の審議をしたい。ですから、総理を含めてしっかり、閣僚懇談会でも結構です、頑張っていただきたいと思います。  以上です。
  236. 藤井孝男

    ○藤井(孝)委員長代理 これにて中沢君の質疑は終了いたしました。  次に、石井郁子さん。
  237. 石井郁子

    石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  ことしは憲法施行五十周年という記念すべき年であると思います。あわせて、労働基準法、児童福祉法、教育基本法も施行五十年を迎えるわけであります。  しかし、今国会の提出予定法案を見ますと、戦後五十年の民主主義的な進歩をひっくり返すような改悪法案が幾つも用意されています。私は、このような制度改悪を許すならば、国民の生活はこの先どうなるのだろうか、また二十一世紀の日本がどうなるのだろうか、そういう立場から、きょうは労働基準法改悪問題と教育改革について質問をさせていただきます。  総務庁長官にまずお伺いいたしますけれども、この数年間、世を挙げて規制緩和こそが日本を救うことができるのだというような主張がマスコミでも喧伝されてまいりました。私は、この間国会にいなかったのですけれども、国会でも各委員会で規制緩和の大合唱だというふうに聞いています。日本共産党は、緩和しても構わない規制もあれば、逆に規制を強化しなければならないものもある、こういう立場で対処してまいりました。  ところで、昨年三月二十九日に閣議決定されております規制緩和推進計画、この労働分野での規制緩和として、女子労働者の時間外労働、深夜業規制が明記されています。この女性の残業、深夜業の規制を緩和すべきだという、これを検討項目にした理由は何でしょうか。また、どんな団体から御要望があったのでしょうか。
  238. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは御承知のとおり、いわゆる女子に対する差別をすべて撤廃するという条約を批准をいたしまして、それに基づいて男女雇用均等法というのができ上がり、そしてそれを踏まえて、女子の方も男子と同じように働いていただくように、こういうことになってきておるわけであります。規制緩和計画の中にもありますけれども、それはそういうことを踏まえて規制緩和計画の中に入れてきたわけだと私は承知をいたしております。  それから、そういうことをぜひということを言ってこられた団体というのは、例えば日経連であるとか経済同友会であるとか、あるいは日本自動車工業会であるとか、あるいは日本鉄鋼連盟であるとか、どちらかというと産業団体が中心であったと私は聞いております。
  239. 石井郁子

    石井(郁)委員 この時点では労働組合からのその女子保護規定廃止の要望というものはなかった、今おっしゃらなかったわけですから、なかったということを確認してよろしいですね。いや、総務庁長官にお聞きしているのです。
  240. 西村正紀

    ○西村(正)政府委員 事実関係でございますので、私の方からお答えさせていただきます。  この規制緩和推進計画に時間外労働等についての保護規定の見直しを入れるに当たりましては、主なところといたしましては、先ほど大臣が言われたところ、あるいは民間の専門委員等から成ります行政改革本部、ここに規制緩和検討委員会というのが開催されておりますが、こういうところからも意見をいただいております。
  241. 石井郁子

    石井(郁)委員 労働者の側からの要望は聞いていなかった。とりわけ女性からの要望も聞いていないということははっきりしたというふうに思うのですね。  規制緩和について、これは七〇年代からアメリカで進めてこられましたけれども、アルフレッド・カーンという経済学者が、カーター大統領からの要請でホワイトハウスに入り、規制緩和の推進役を果たしたというふうに言われています。  そのアルフレッド・カーン氏や、そのスタッフであったポール・デンプシー氏らが文芸春秋誌の取材に対して、アメリカの規制緩和の結果についていろいろ述べていることがございます。  ちょっと読み上げたいのですけれども、まず規制緩和の中で、「アメリカの終身雇用制が終わりを告げた。」「つまり、規制緩和と終身雇用制は両立しない二つの概念だった」。さらに「富の分配の不均衡が増大した。」とも述べているわけですね。  そして、こう言っています。「もし、あなたが日本で規制緩和をしようと言うのなら、こう理解しておけばいい。要するに規制緩和とは、ほんの一握りの非情でしかも食欲な人間に、とてつもなく金持ちになる素晴らしい機会を与えることなのだと。一般の労働者にとっては、生活の安定、仕事の安定、こういったもの全てを窓の外に投げ捨ててしまうことなのだと」。新しい産業と雇用はふえたのか。「確かに、新産業は生まれた。しかしそのことの意味は、中流の豊かな暮らしを楽しめる給料が貰えた仕事が失われ、そのかわりに、とにかく生きていけるだけのお金を貰える仕事が生まれたということなのである。」  つまり、低賃金で不安定雇用の労働者がふえたということが強調されているわけであります。これは文芸春秋の九四年の八月号なのですけれども、この記事が載っておりますけれども、長官はお読みになったでしょうか。
  242. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 残念ながら目を通しておりません。
  243. 石井郁子

    石井(郁)委員 ぜひ御検討いただきたいと思うのですけれども、きょうは長官は大変お忙しいということで、以上で結構でございます。どうもありがとうございました。  労働大臣に伺いますが、今回提案された均等法の改正法案は、募集、採用での差別を禁止規定にしております。男女差別の是正勧告に従わない企業には社会的制裁として企業名を公表する。また、これまで、差別を受けた女性は労働省の婦人少年室長に調停の申請をしても、相手の企業が応じなければ調停は開始されませんでした。これは、私、大阪なのですが、大阪で住友系の女性たちが婦人少年室長を国家賠償請求で裁判に訴えておりますが、そういうこともあって、今回は一方側の申請で調停を始めることができるようにした、こういう、わずかですけれども、改正点もあると思います。  そこで、お聞きしたいのですが、身障者雇用促進法のときにも企業名の公表という制裁制度がございました。法定雇用率を守らない企業の公表を労働省はなかなかやりませんでした。今度、均等法違反の企業に対しては、その実効性を確保する制度として、企業名の公表というのを本当におやりになるのか、果敢におやりになるのか、この御決意をお聞きしたいと思います。
  244. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 石井先生もう御存じのとおり、男女雇用機会均等法、十年の歴史を踏まえてまいりました。その過程の中でいろいろな、先生おっしゃいますように、言いますならば差別を受けた女性、一方的な調停の申請ができないというようなことで、件数が非常に少ないというような数値も我々は踏まえておりました。  したがいまして、これから御審議をいただく予定になっておりますところの男女雇用機会均等法は、おっしゃいますような企業名の公表というものに一歩割り切ることになり、加えて、一方的な調停申請もできる。加えて、私どもはこの法内容につきまして、十分な周知をし、あるいは御指導申し上げるところは指導して、この法律の本来の目的、趣旨が定着をするよう、これから努力を十分いたしてまいりたい、こう存じているところでございます。
  245. 石井郁子

    石井(郁)委員 今も大臣からも御指摘がございましたけれども、均等法にはわずかな改正点も確かにございます。問題は次にあるのですけれども、このわずかな改正部分と抱き合わせに、労働基準法の女子保護規定である残業あるいは深夜業規制、休日労働、これを全面的に撤廃しようとしていることなんですね。  そもそも、均等法の改正と労基法の改正とは、立法論的には私は全く別の次元の問題だというふうに考えます。  日本の男子労働者が、残業規制とか深夜業規制が労基法で明文規制がないために、大変な状態に置かれている。これは、過労死という言葉が国際語になっているという不名誉な話があるわけですけれども、その実態もあるというふうに思います。  十年前、確かに一九八六年に均等法が施行されましたときに、女子の保護規定も部分的に緩和されました。しかし、一定の範囲で女子の残業、深夜業規制が緩和されてしまったために、この十年間にいろいろな問題が起きてきたというふうに思うのですね。  そこで、二点お伺いいたします。  その第一は、この残業、深夜業の規制を緩和した結果、どのくらいの女性たちが新たに長時間残業や深夜業に従事するようになったのでしょうか。  第二点目は、その女性たちの健康や、あるいは母体保護という、女性は特別な機能を持っていますから、その母性にどのような影響があったのでしょうか。  これは、調査していないということを実は先般の労働委員会で私は伺ったのですけれども、調査する必要がないというふうに判断されたのでしょうか。だとしたら、その理由もあわせてお聞かせいただきたいというふうに思います。
  246. 太田芳枝

    太田(芳)政府委員 先生御指摘の、深夜業に従事されるようになりました女性労働者の数でございますが、これは均等法ができる前から、保健衛生業とか接客娯楽業のように除外をされていた方々もございます。そしてまた、新しく六十一年に均等法ができましてから、指揮命令者それから専門業務従事者等、新しく深夜業が除外される労働者と、両方合わせた数字でございますけれども、約五百二十万、女性労働者の約四分の一に当たるというふうに考えております。  それから、この十年間でございますけれども、私どもは、新しく均等法を施行いたしまして、女性たちの職域の拡大等々で随分女性の活躍の場がふえてきたと思っております。そしてまた、深夜業に新たに従事することになった女性たちにおきましても、例えばタクシーの運転手等々にも見られますように、立派に務めを果たしている女性がふえてきているというふうに存じております。
  247. 石井郁子

    石井(郁)委員 今の五百万という数字は、この十年間に各産業別に深夜業についている女性の数というふうに考えていいですか。それは、ちゃんと統計がありますか。
  248. 太田芳枝

    太田(芳)政府委員 お答えいたします。  深夜業に従事することができる女性労働者の数でございます。  ただ、申しましたように、いろいろときちっとした形での統計ではございませんで、正確に把握するというのは難しい。例えば指揮命令者であり保健衛生業というような形でダブルでカウントされる方もありますので、正確な把握は難しゅうございますけれども、私どもで労働力調査、国勢調査、賃金構造基本統計調査、業界調査等に基づいて推計した数字でございます。
  249. 石井郁子

    石井(郁)委員 お尋ねしているのは、深夜業に実際に従事している女性労働者の数なのですよ。これはつかんでいないでしょう。そしてまた、その深夜業についている女性たちがどういう健康の状況というか問題を抱えているかということも、調査はないのじゃないでしょうか。  私は、そこのことを指摘したいというふうに思うのですね。これは、外国ではちゃんとそういったような調査があるわけですよ。これは持ってまいりましたけれども、ありますよね。  だから、労働省というのは、やはり労働者保護を使命とするところじゃないのでしょうか。ところが、そういうことについてのちゃんとした調査も持っていないというのは、私は、労働省としての責任を果たしていないと言わざるを得ないというふうに思うのですね。  私ども実際、本当にこの十年の間に、放送関係、出版関係を初めとしていろいろな分野で、女性たちが本当に深夜も働くようになりました。最近では、郵便局にも新夜勤として導入されましたでしょう。これは女性の声なのですけれども、このニュー夜勤というのは、本当にすごいのです。これは三年数カ月の間にもう三十四人の突然死の方が生まれているのですけれども、二十一歳の女性は、五日置きにこの勤務が来るのです、夜中に数回嘔吐しながら勤務を続けたことがあります、結婚、出産を待つまでもなく、あと数年したらこんな勤務は無理だと思うという声もございます。  私は、長時間残業が人間の命を縮めてしまうというのは、もう世界的な常識だというふうに思うのですね。これは、深夜業というのが人間の生体リズムに合わない。それから、これを繰り返しやってなれるようなものでもないといりことも言われています。これは医学的にもはっきりしている。国際的にもそうです。だからこそ、近代資本主義社会の初めの段階から、女子、年少者の保護が始まったのだというふうに思うのですね。そしてまた、男子労働者の労働時間の短縮も進められてきたというふうに思います。  今、こういう労働者保護の歴史が、やはり逆に戻されようとしているのじゃないか。それとも労働大臣は、こういう深夜業を本当にこの後続けても、女性の健康に悪影響がないと言い切れるのですか。ちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  250. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先生、この前もお話を申し上げましたが、今度男女雇用機会均等法がぜひ改正をさせていただきたいわけでありますが、これに伴って、今お話しの深夜業でありますとか、あるいは時間外労働でありますとか休日労働でありますとか、これを女子雇用者の皆さんにも制限を撤廃をしようということでございます。  制限を撤廃ということは、深夜業をしなければならないのではなくて、女性の皆さんの職域を拡大をし、女性の皆さんがお持ちになられる力を存分に発揮をし、正当な社会的評価も大きく受けていくという前進みの方向で、今度これが均等法との絡みで撤廃になるわけであります。そういう意味合いで、ひとつ積極的に評価をいただきたい。  それから、母性ということがございますものですから、妊産婦の皆さんの場合におかげんが悪くなるというようなことも考えまして、男女を問わず、深夜業に従事する皆さんは六カ月に一遍、一般には一年に一遍の健康診断でありますが、六カ月に一遍は診断を受けなければならない。そうして受けた結果、医師の診断によりまして、あるいは勤務場所を変えましたり、あるいは勤務時間を制限をいたしましたり、いろいろな手の差し伸べをしまして、女子におきますところの母性保護、これにつきましても新たな法律の中で規定をしているところでございます。
  251. 石井郁子

    石井(郁)委員 今大変重大なことを幾つか言われたんですけれども、これは後で触れたいと思うんですが、結局、労基法の女子保護規定撤廃をするということは男子労働者と同じにするということなんですよね。それがあなた方の平等だ、職域拡大だということなんですけれども、今男子労働者がどういう状態にあるんでしょうか。  残業の時間や回数も、これは労基法では上限規制はありません。深夜業はもともと規制がありませんでした。だから、実際今大変な状況があるんじゃないでしょうか。これは、自動車、電機そして製造業の分野では二交代勤務、三交代勤務、もうフル稼働だという状態ですよね。これはもう大臣に言うまでもないというふうに思うんですね。  驚いたことには、通常勤務というのは八時間ですけれども、残業八時間ということもある。だからもう夜中の二十三時から朝七時まで残業だ、連続十六時間の勤務になることがたびたびある、食事も休憩時間もとれない過密労働だということはあちこちから言われているわけであります。ですから、こういう状態に女性が正規社員として置かれたら、働き続けられなくなるんじゃないでしょうか。また、フルタイマーとして働き続けられないということは容易に予測できるわけです。  それで、ちょっと例を申し上げたいと思うんですけれども、日本たばこ、JTですね。ここは八五年に民営化されました。今は深夜業でなくて日勤二交代なんですけれども、早番は朝の六時から遅番は夜の十時まで働く。その結果、導入前にいた女性は四百五十人でしたけれども、導入後の今日では二百十人です。二百四十人が退職、出向してしまっているんです。だから深夜業の導入じゃなくても、今こういう長時間労働で女性がやめざるを得なくなってくる。だからここに、全産業にいわば深夜業が導入されたら一体どういう事態になるだろうか。  ちょっと具体的に申し上げたいんですが、私はやはり女性として本当にこういうことが許されるのかというふうに思うんですね。この日本たばこの女性ですけれども、早出のときは朝四時に起きているんですよ。朝食や子供たちの弁当をつくる。遅出のときも夕食をつくって出勤する。午後十一時に帰宅しても朝は六時に起きて朝食をつくる。こういう実態ですね。多くの日本の男性労働者も家に本当にいる時間がないと言われているのも、そのとおりであります。  ですから、これは日経新聞です。ことしになってこの「均等法改正 どうなる女性労働」という連載をしましたら、その後の読者の声がもう多数寄せられた。皆さん何て言っているでしょうか。大多数は、こういうことになったらこの先本当に働き続けられるだろうか、こういう声であります。  ですから、本当にこういう女性の声に対して、大臣は、そうならないということを言えますか。
  252. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先生も十分御理解の上でだと思うのでありますが、私ども、労働基準法あるいは今度の週四十時間労働制、これはあくまでも最低基準ということで労働省が定めるものであります。  残業の時間が非常に長いという例をお引きになりました。しかしながら、その一つの職場で雇用者の諸君がどのくらい休日労働に従事し、あるいは時間外労働に従事するか、これは使用者の方が一方的に命ずることはできません。御存じのとおりであります。その職場におきますところの労働組合と使用者側とが、可能な残業時間なら残業時間につきまして、労働基準法三十六条、これに基づきまして協定を結びます。その協定の範囲で雇用者の皆さんにも残業に従事をしていただく、これが日本の労働法制の構えでございます。  これを御理解をいただきまして、よろしくお願いいたします。
  253. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、今のそれはとんでもない発言だというふうに思うんですね。  あえて労働大臣にお返しいたしますけれども、労働基準法は、まさに女性労働者の権利を守るものです。今あなたは、これは強制すべきでない、強制するものではないというふうにおっしゃいますけれども、大体、強制するようなことってありますか。強制するようなことというのは、まさに国家総動員法みたいなそんなことになるじゃありませんか。  そして、今三六協定の労使協定と言いますけれども、本当に今働く国民皆さんがこのもとで守られていると本気で言えますか。そうじゃないでしょう。使用者の側が、使用する側でありますけれども、個々の労働者が一人一人では到底拒否することもできないという中でこの労基法が生まれているわけであります。だから、今そういう契約自由の原則にゆだねたら労働者の生存が脅かされるということで法律が定められているわけでしょう。その法律を今変えようとするんです。一体どうして女性労働者を守ることができますか。  ですから私は、大臣のそういう発言では本当に日本の労働者はとんでもないところに追い込まれてしまう、多くの女性労働者が。まず正規社員で働き続けられなくなります。パートの労働者になるしかなくなります。パートの労働者がどんなに労働条件が劣悪かということもあるでしょう。そういう点でも、これはそういう労働大臣としての答弁では、私はもう到底本当に女性の怒りはおさまらないということも重ねて申し上げたいというふうに思います。  さてそこで、今回もっと重大なのは、この雇用の条件だけじゃないんですね。それで文部大臣にお聞きします。  今お聞きのように、子供のいる女性労働者は本当に大変です。それで、フルタイマーをやめてパートになったとしても、時間外労働の規制もなくなります、長時間残業も強制され得ます、これは実際そうです。その上深夜業もということになるわけです。  これでは余りにも大変だということを考えてか、育児休業法の改正で、子供が小学校に入学するまではその母親労働者は夜勤の免除申請はありますね。しかし、これは夜勤をしなくてよいというのではなくて、あくまでも免除申請であります。だから、これは逆に言えば今度一年生になったらどうなるんでしょうか。深夜業の免除申請さえ出せない。小学校一年生が一人で留守番をする、また夕食をとって一人で寝る。今まさに少子化でもありますし、こんな状態がこの先大いに出てくるんじゃないでしょうか。  こういう状態はもう既に始まっていますから、これはさきの奥田文部大臣が、昨年、日経連に対して、父親を子供のもとに帰すように、こういう申し入れもなさっているわけですね。ですから、一方でそういうことを言いながら、今度の改悪ではもっと、父親どころか母親までもが子供と触れ合う時間を奪われていくということになるわけです。  私は、六つの子供を泣かすなというふうに言いたいと思うんですけれども、子供の健全育成という立場からも、文部大臣としてこういう残業規制の廃止や深夜業の規制の撤廃ということをやはり、こういう政策をどのように思われますか。
  254. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 家庭は、親と子の触れ合いの中で、基本的な生活習慣あるいは倫理観、道徳観などの生活態度を身につける最初の場であるということから、家庭教育の重要性ということは大変私も認識しております。  近年、御指摘のように女性の社会進出がふえ、さらに都市化現象、少子化現象の中で、家庭における教育力というものは非常に低下しております。  そこで、文部大臣といたしましても、特に家庭教育についての学習機会とか、あるいは情報の提供、あるいは親子の共同体験の充実とか、あるいはまた父親の家庭教育への参加、こういうことについての施策をいろいろと講じているわけでございまして、今後ともこうした社会の変化に対応した家庭教育の充実、これは家庭と学校と社会と共同連帯してやっていかなきゃいけない課題だと考えております。
  255. 石井郁子

    石井(郁)委員 文部省があれこれ言われるのは文部省としてそうかなというふうに思いますけれども、しかし、そういうことを本当に実行する基盤というのが崩されているんじゃないですか、あるいは崩されていくんじゃないですか。だったら、そういうことは本当に文部大臣として、やはり閣内でどうなのかということもぜひ私は御発言いただきたいなというふうに思うのですが、それはおいておきます。  次に、厚生大臣もおいでいただきましたけれども、厚生大臣は郵政大臣のときに、先ほどのニュー夜勤の導入に関係した我が党の質問に関してだったと思いますけれども、人間は昼働き夜眠る、そうすべきだというような御答弁をされたというふうに思うのですが、今も、国民の健康を預かる立場から、どうでしょうか、そのようにお考えですか。
  256. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私も、人間というのは朝起きて夜寝る、これが自然の姿だと思います。健康的に考えても、早寝早起き三文の徳といいますけれども、健康にとってもいいのじゃないかなと今でも思っております。
  257. 石井郁子

    石井(郁)委員 そういう信念というか哲学を持っていただくのは、私大変結構だというふうに思いますし、本当にそうなんですよね。人類の長い歴史からして、そうですよ。やはりそのようにすべきだというふうに私も思います。  もう一つ、しかし、厚生大臣にお伺いしたいのですけれども、今度の女子保護規定の撤廃で、私は、雇用における男女平等実現どころか、やはり男女平等を進める基盤そのものが破壊されるというふうに考えているわけです。健康破壊、母性破壊、そしてまた家庭破壊、そういう結果、少子化もさらに加速するだろうというふうに、想像にかたくないわけですね。そこで今の少子化はさらに加速される。そうすれば、二十年後の日本の社会が活力を失うだけじゃありません、社会保障制度も含めて非常にゆがんだ社会になるという点で、厚生大臣として、今、どうでしょうか。この残業規制、深夜業規制の撤廃ということで、少子化をさらに加速しないというふうに言えますか。
  258. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 少子化の問題は、これさまざまな意見がありまして、一つだけの理由ではないと思っています。むしろ生活水準が向上している国において子供が少ないという傾向を見ても、理由は一様ではないと思います。さまざまな理由があると思います。そういう観点から、この一つの、深夜業だから少子化になるというのは、ちょっとこう短絡的じゃないかな、もっといろんな意見があるものですから、さまざまな意見を聞いて、子供は社会の宝であるという共有認識のもとに、子供の健全な成長ができるような環境を整えていかなきゃならない、そう思っております。
  259. 石井郁子

    石井(郁)委員 先ほど御紹介しましたけれども、日経新聞、これは二月二十日付ですけれども、やはり「深夜業の解禁 「少子化を加速」」、多くの声はそういう声ですよね。女性自身が、とてもじゃないけれども産めないと言っているわけですから。だから、私も確かに少子化問題はこれ一つだというふうには言いません。しかし大きな要因になっている、ならざるを得ない。だって子供を産むのは女性なんですから、その女性が本当にきちんと産める条件をつくらなくて、どうしてこの少子化がとめられるかという点で、ぜひ、これではやはりまずいという、どうですか、大臣、言いただけませんか。
  260. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 雇用機会均等法というのは、むしろ女性の方から要求してきたものじゃないかな、私はそう思っているんです。女性の職場を広げようということなものですから、これが悪政であるかのごときというのはちょっと誤解じゃないかな、むしろ、働きたいという女性の立場を勘案してこの法律を設けたというふうに私は思っておりますが。
  261. 石井郁子

    石井(郁)委員 先ほどの質疑をどのようにお聞きになったのでしょうか。女子保護規定の撤廃を、女性の側からの要望というのは出ていなかったと確認したじゃありませんか。財界ですよ、これをみんな要望したのは。職域拡大とか均等法、また、均等法とこの保護規定の撤廃とは全く別の問題なんですよ。これをセットにすること自身がおかしいのです。そういうことをやはりあいまいにしてもらいたくないというふうに思います。  私は、ですから、本当に今申し上げたように、これは女性の健康、母性を損なうというだけじゃなくて、女性が正規常用労働者として働き続けられなくなります。だから、大量の女子パート労働者が生まれます。その結果、何が生まれるのでしょうか。それはやはり、労働市場の中では男子の常用労働者もさらに低賃金化していくということにつながるんだというふうに思うのですね。  最初に述べましたけれども、アメリカの例ですけれども、この女子保護規定の廃止という規制緩和の結果、労働者全体の賃金が下げられました。当然の結果として、消費購買力も低下しています。だから日本経済の再建もやはり困難だという、また、一方で、国際的には野蛮な競争力という問題もあります。貿易摩擦が一層激化するでしょう。国際経済社会での対日批判という問題も考えなければいけないということだと思います。  もう時間がありませんから、こういうことを本当に二十一世紀に持ち込んでいいのか。私は、男性も女性も人間らしく生き、働きたい、また家族的責任も負わなければいけません、そういうやはり本当の男女平等を進めるべきだというふうに思うのですね。だから、保護規定というのは、労働時間の短縮や労働条件の改善という歴史の中では死滅していくべきものであります。だけれども、そのようなレベルに達しない段階では、こういう必要な規定はなくすべきではないと思います。だから労基法の保護規定の廃止法案は撤回すべきだ、このことを強く要求して、この項の質問を終わりたいというふうに思います。
  262. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 小泉厚生大臣が、女性としても男女雇用は均等でなければならないということのはずだというお話がありました。冒頭武藤長官からお話がありましたが、今度のこの法律については、やはり国連の条約がございます、先生御存じのとおりであります。この女子差別撤廃条約、これの中で男女は均等に扱うべきだ、そのものの中で深夜業についてもというのが入っておりますことを申し添えます。
  263. 石井郁子

    石井(郁)委員 全然違いますよ、そんなの。聞かないことを言わないでください。  次に、教育問題で質問いたします。  一月二十四日に小杉文部大臣教育改革プログラムを公表されました。この教育改革プログラムは、橋本首相の指示で文部省が作成したというふうに聞いていますけれども、提出後、閣議決定したというふうには聞いていないんですね。橋本内閣が掲げる六大改革のうちの一つである教育改革というふうに受けとめていいのでしょうか。
  264. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 新年の一月七日に総理から、教育はすべての社会経済システムの基礎であるから、教育改革プログラムをまとめてほしい、こういう指示をいただきまして、文部省挙げて作業をいたしまして、一月の二十四日に総理に報告をいたしました。その後、二十七日の閣僚懇談会で各閣僚にも協力を求めたところであります。  おっしゃるように閣議決定とか閣議了解という手法はとっておりませんが、内閣の方針というのは何も閣議決定とか閣議了解ばかりではなくて、そのほかの形態もあるということで、こうした手法をとったことが問題であるとは考えておりません。
  265. 石井郁子

    石井(郁)委員 どうもすっきりしない説明のようですけれども、まず、中高一貫教育の導入という問題で具体的にちょっとお伺いしたいのです。  「学校制度の複線化構造を進める観点から、中高一貫教育を導入することができるよう」というふうになっているのですけれども、この学校制度の複線化構造というのは一体どういうものでしょうか。また、総理大臣もそういうことがあっていいという御答弁も聞いておりますけれども、現在、六・三・三・四制の単線型というふうになっているわけですね。ちょっと手短に言っていただきたい。
  266. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 戦後の教育は六・三・三・四制という単線型でありましたけれども、最近は、もっとこの複線化を図ってほしい、こういう要望がございまして、特に中高一貫教育につきましては、ゆとりの中で子供の人間性を育てたい、そして複線化をしてほしい、こういう要請から、この中高一貫教育というものが提唱され、今、中教審で鋭意審議しているところでございます。
  267. 石井郁子

    石井(郁)委員 それで、ちょっと具体的に伺いたいのですけれども、この中高一貫ですけれども、東京には現在二百三十校の全日制、百八校の定時制の都立高校がございます。この高校全部を中高一貫の対象とするのでしょうか。それとも、東京都内に数校の一貫校を置くということなのでしょうか。  また、現在、子供たちは受験競争で本当に苦しんでいますけれども、受験競争が軽減されるのかということで、ちょっとお聞きいたします。
  268. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 中高一貫教育をすべての学校に実施する、つまり全国化を図るという考えはありません。こういう制度も選択肢の中にあっていいではないかという複線型であります。  それから、確かに中高一貫になりますと、小学生段階で進路を決めなきゃいけないとか、受験競争がそこで起こるということで、受験競争の低年齢化という問題点はあります。しかし、そうならないように、今、その方法あるいは運営の仕方、そういうことは十分検討しているところでございます。
  269. 石井郁子

    石井(郁)委員 それで、東京の公立中学校は現在六百六十七校がございますけれども、その中の数校ということになったら、当然、その中高一貫を目指して受験競争が低年齢化するということはもう予測されるわけですね。ですから、私は、この数校の中高一貫教育ということでは、十二の春に泣いてまた十五の春に泣くというような、受験競争が激化するのではないかというふうに思うのです。どうですか、こういうことになったら、まさにエリートを集めるということにならないというふうに言えますか。  労働大臣、結構でございます。ありがとうございました。
  270. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 質問の趣旨がちょっとはっきりしないのですが、私は、何もすべての学校を中高一貫教育にしようというのではなくて、中高一貫教育という制度も選べる、こういうことであります。したがって、例えば、中学、高校、三年ごとに一つのチャレンジの機会があるわけですから、自分はそんな六年間なんて行かないで三年後にもう一度再挑戦をしようという人はそういう学校へ行けばいいし、それから、自分はもうそんな三年目ごとに受験戦争に巻き込まれるのは嫌だという子供は、これはもう六年間ゆったりと教育を受けたい、そういうふうに子供さんの希望によって選択ができる、こういうふうに考えております。
  271. 石井郁子

    石井(郁)委員 入るところが本当に間口が狭いわけですから、そこを目指しての競争が激しくなるということは言えるのじゃないでしょうか。それはそうならないなんて言ったら、余りにもまた現実と違うというふうに思うのですが。  それで、私はちょっと、今の高校と中学校の問題で、具体的にぜひ東京の例で伺いたいのですが、東京では高校進学率を九五・五%というような形で設定しています、来年は九六%なのですけれども。だから、生徒減にあわせてわざわざ学級数を減らして選抜制度というのが維持されてきています。それで、一九九〇年度から九七年度の八年間でどれだけの学級を減らしたのか。大臣は東京でございますから御存じかと思うのですが、ちょっとお聞かせください。
  272. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 平成元年から平成八年度までの都立高校の減少数でございますが、私ども、約千二百学級が減少したというふうに承知をいたしております。
  273. 石井郁子

    石井(郁)委員 ですから、子供の数にして約一万四千七百二十人、約二十校分の高校を廃止した勘定になるのですよね。私は、こういうことをしなければ、今、高校生、高校進学を希望する生徒全員を受け入れることができるというふうに思うのですね。  ところが、今は本当に、受験制度がどうなっているかということでいいますと、隣接区受験というのも可能だということで、六十八から七十二校の学校から一校を選んでいる。一発勝負をするということで、偏差値で輪切りです。内申点もある、入試素点というふうにある。これはもう市販されているから御存じと思うのですけれども、高校の受験案内などを見ますと、それはもう本当に、一点刻みのすさまじいランクづけ、高校のランクづけになっているというわけです。  だから、偏差値をなくするなんということを言われましたけれども、全然現実は違う。しかも、ボランティアで今度はさらに内申点が入ってくる。だから、子供たちは学校でいい子ぶりっ子というふうに言われるような形で、本当に疲れ切っているわけですよね。だから、何としてもこういうことをなくさなければいけないという点で、私は、希望者を全員受け入れることができる、そういうことがどうしても必要ではないのかというふうに思うのです。  それで、私ども日本共産党は、皆さんとも大いに議論もしながら、やはり高校の希望者全員入学の大前提ということを明確にすべきだ、そして入りたい人がやはり全員受け入れられる中高一貫教育、地域の総合制高校、こういう建設が可能だというふうに思うのですね。そして、その中では生徒の個性、能力をさらに伸ばすための教育課程が多様に、多彩に、豊富に準備される、そういう高校ができたら、本当にどんなに子供たちが伸び伸びとするだろうか。学校のランクづけもなくなるというふうに思うのです。  ぜひ大臣として、高校の希望者全員の入学を受け入れるような高校建設、建設というかそれをぜひしていただきたい。そして、数校の中高一貫教育だけで受験競争を一層激化する、本当に、子供たちが十二で泣いて十五で泣いてという、こういうことをやはりやるべきではないということを強く申し上げたいというふうに思うのです。ちょっと大臣、いかがですか。
  274. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 高校もかなり入りやすくなっているという現状があります。それで、子供がどういう能力、どういう適性を持っているか、そしてどういうことに興味を持ち、関心を持って、どういう進路を選ぶかということは、やはりそれを見きわめて進路指導が行われるのがふさわしいと思うわけでございます。  私は、やはりただ機械的に全部署り振るというような形ではなくて、そうした子供の適性、個性、あるいは自分の興味、関心、あるいは今後の進路の問題、こういうものを生徒自身あるいは保護者も考えてできる、そういうことから、一定のやはり選抜は必要であろうと思っております。  ただし、ただペーパーテストの成績とか偏差値だけで決めるのではなくて、もう少し入試選抜の多様化あるいは成績の評価の多元化、こういうことは必要だろうと思っております。
  275. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、やはり大臣の御答弁をお聞きして、これでは子供たち救われないなという率直な感想を持たざるを得ません。受験競争で本当にどんなに疲れ切っているか、またいじめなども起こっているかというようなことも考えますと、今やはりそういうことに抜本的に取り組むべきだというふうに思うのですが、きょうはもう一つ、これは予算と関連して御提案したいことがあるのです。  教育改革プログラムには、教職員の今本当にすさまじい多忙な実態、そしてまた学級編制の縮小というか、そういう問題については全然触れられておりません。もう時間もありませんので手短に申し上げますけれども、いじめ問題、登校拒否や不登校の問題のふえよう、今、親も教師たちも大変心を痛めています。何とかしたいとみんなが思っています。私は現場の先生方から本当に随分お話を伺いましたけれども、やはり教科指導でも生徒指導でも、ゆとりが欲しい、そして子供たちの話を聞きたいという声は本当に多いのですよね。ところが、なかなかその時間がとれないという実態です。  これは全日本教職員組合の調査なのですけれども、授業、部活、そういう時間を除いて子供と触れ合うのは、小中学校とも一日わずか十五分程度だという調査もございます。小学校の教師の八割は、もっとやりたいことは何かといえば、子供との触れ合いということを挙げています。今、都市部の中学校では一クラス三十六人以上、こういうクラスが約九割ですよね。ですから、本当にこの状況を打開するには、やはりクラスの人数を減らすこと以外にないわけです。これも、今の教職員の多忙の問題というのはいろいろな角度から考えなきゃいけないことがあるのはもちろんですけれども、しかし、やはり抜本的な対策というのはそこをやる以外にないというふうに思うのですね。  子供の数が多いほど個別指導ができないというのは、もう経験的に先生方が言われているし、また研究の報告でもあるとおりであります。それから何よりも子供自身が、やはりクラスの人数は少なくなってほしい、これは千葉大の教育行政学の研究室の千葉県の高校生のアンケートというのがございますけれども、そこではそういうことが出ています。それから、いろいろな方がそういう発言をされていまして、これは筑波大の下村哲夫教授も、今本当にやるべきことは何か、教師も頑張っているけれども限界だ、教師にゆとりを持たせるには人手をふやすしかない、これは教職員定数増だということがあるでしょう。だから、やはりそういう世論は本当に今高まっているのではないでしょうか。  ぜひこの三十人学級をやる、踏み出すということについて、ひとつ大臣の御見解を伺いたいというふうに思います。
  276. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 四十人学級という制度を一応持っておりますけれども、実態を調べてみますと、全国を平均いたしますと、小学校は一クラスの平均大体二十八人、それから中学校で三十二名ぐらい、詳細はまた必要があれば答えさせますが、そういう実態になっております。  それから、現在の四十人学級というものに基づいて教職員の配置改善計画というのを、平成五年から十年まで六年間でやっております。そして、生徒さんの数が減るに従って教師も減っておりますが、その中で特にチームティーチング、複数の先生がきめ細かな教育をやるとか、あるいは生活指導、生徒指導の教員を配置するとか、そういう中で、私は、制度は四十人学級であっても実態はかなりもう三十人学級に近づいているというふうにお答えしたいと思います。  なお、詳細な数字、必要があれば政府委員から答弁させます。
  277. 石井郁子

    石井(郁)委員 私、最初にちょっと御紹介しましたけれども、それはあくまでも全国平均なんですよ。だから、特に中学校ですね。今、小中合計で言われましたけれども、中学校は絶対にそんなことありません。先ほど三十六人以上のクラスは九割を超えているということを申し上げました。これは事実そうであります。それと第六次の定数改善、今行われているとおりですが、平成十年で終わりますね。その後どうするのかということもあります。そして、この第六次の定数改善でも、実際は何と自然減で六万四百人の先生が減っています。だからふやしていると文部省言うけれども、マイナス三万人なんですよ。だから、現場は本当に大変なんです。  私は、きょう資料を一応作成いたしました。これは文部省なかなかやらないものですから、三十人学級が本当にできないのかということで試算をしたものなんですけれども、私はやってみて驚いたのですね。六年間で三十人学級にする場合というのは、一九九七年、九八年、九九年、マイナスなんですよ。特に持ち出しをしなくていいということです。二〇〇〇年で四百四十三億です。ということですから、本当にできる条件にこの点でも来ているのではないでしょうか。  そういう点で、今予算審議の国会として我が党も公共投資、特にゼネコン型予算のむだを削れということを言っていますけれども、例えば軍事費の問題で見ても、今年度予算では、中期防の中のF2支援戦闘機、これは一機百二十億円するというふうに聞いていますが、八機も購入するということがございますね。ですから、本当にそういうことに予算を振り向けて、子供たちの教育、そして日本の未来にかかわるこういう問題、人間を大事にするという点では余りにも予算が削られ過ぎているという点だと思うんですね。私は、今この三十人学級に踏み出すことがどうしても必要だというふうに思います。  それから、この点でもう一枚資料をきょう入れましたけれども、ぜひごらんください。  これは学級編制の基準ですけれども、アメリカでは上限最大三十、これは一九七二年からなんですよ。もう二十数年前じゃないですか。ヨーロッパでも七八年から八〇年にかけてこういう数字になっているわけです。日本だけ本当にこういう点では異常です。だから大臣、実態はそうなっているというんじゃなくて、それはあくまでも平均なんですから、そんなことはありませんよ。そして、やはり教師の数をふやすということをしなければ教師たちの仕事にゆとりが持てないわけですから、今この学級編制基準を変えるということにぜひ踏み出してほしい。わずかこれだけの予算でできるわけですから、やはりその決意を、これは文部大臣がしなくて一体どうするんでしょうか。ぜひ私は大臣にしていただきたいというふうに思うのですね。     〔藤井(孝)委員長代理退席、委員長着席〕
  278. 小林敬治

    ○小林(敬)政府委員 お答えいたします。  先生から資料をいただきました。私ども、学級編制をこれまでも五十人から四十五人、四十五人から四十人というふうに引き下げてまいりましたときに、計画的に行ったわけでございますが、その際にやはり全国の市町村に協力をお願いして、正確に言えば通学区ごとの子供たちの増減状態というものを的確に把握をした上で計画を策定いたしておるわけでございます。  そういうわけでございますので、確かに数字は見せていただきましたけれども、一定の前提を置かれた数字だというふうに思っておりまして、私どもがもしこういうふうなものを考えるとすれば、相当な膨大な作業をした後でないと出てこないというふうに考えておる次第でございます。
  279. 石井郁子

    石井(郁)委員 それはもう政府としては当然そのぐらいの作業をすべきではありませんか。私どもも大変でしたよ、この作業は本当に。ぜひこれはやってください。それはもう当然文部省としての責任においてやってほしいというふうに思います。  それから、地方自治体、地方のことを言われましたけれども、私もいろいろ取り寄せましたけれども、これは岡山県で七十八の自治体のうち、三十人学級をすべきだという採択をされている自治体がどんどんふえ続けていますね。これは昨年から、七十八のうち五十近い自治体は三十人学級をするという請願を採択する、もう地方自治体、随分進んできているのではないでしょうか。  それから、あえて申し上げますけれども、これは経団連、新しいもので去年の三月「創造的な人材育成のための「五つの提言、七つのアクション」」というのを発表されましたけれども、この中でやはり「一クラス二十—三十人程度の充実した授業が可能となるように工夫する」と言っているではありませんか。私は、やはりこれが世界の趨勢だし、また日本の国内的な世論の高まりだというふうに思うのですね。だから、今本当にこれを踏み出さなければ、もう六次定数終わるんですよ、十年で。本当にこのことこそ教育改革としてやはりやるべきだ、やってほしいということを重ねて要望、要求いたしまして、質問を終わります。  大臣、一言、ぜひ御検討、いかがですか。
  280. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 繰り返しになりますが、現在四十人学級というもとでいろいろな工夫をしております。チームティーチングとか、できるだけ一人一人の生徒に応じたきめ細かい教育をやろうということで第六次の計画に基づいてやっているわけでありまして、今委員から試算が出されましたけれども、これは一定の前提条件のもとでの試算でありまして、私どもの計算では、もし三十人学級とか三十五人学級をやりますと先生の数がすごい勢いでふえてしまう。今の厳しい財政状況の中で、それはなかなか不可能である。しかし、四十人学級のもとでも、さっき申し上げたように実態としてはかなり三十人学級に近づいているということを御理解いただき、また今四十人学級の中でさまざまな工夫をしているということを御理解いただきたいと思います。
  281. 石井郁子

    石井(郁)委員 終わります。
  282. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、中路雅弘君から関連質疑の申し出があります。石井さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。中路雅弘君。
  283. 中路雅弘

    中路委員 さきの本会議で質問した問題と二、三ダブるわけですけれども、最初に、劣化ウランの徹甲焼夷弾の発射の問題について御質問したいんですが、本会議で、このいわゆる過って徹甲焼夷弾を撃ったハリアーは第十三海兵隊航空群の所属だということをお話しになりましたけれども、この航空群、これはアリゾナのユマ基地にあるわけですけれども、そこから配属されて岩国でこの事件を起こしたんですね。その部隊は何という部隊なんですか。
  284. 折田正樹

    ○折田政府委員 アメリカ側からの説明によりますと、一九九六年一月二十四日嘉手納飛行場において、この飛行場に展開していた海兵隊のハリアーの二十五ミリ砲が故障したことを契機に劣化ウラン弾が装てんされるのが発見されたということでございますが、これを受けて、米軍が弾薬使用等の記録を精査した結果、第一海兵航空団第十二海兵航空群所属のハリアー機がこれに関与していたということでございます。
  285. 中路雅弘

    中路委員 外務省はアメリカからこの事故の後報告をもらっていると思いますけれども、このアメリカの報告、いわゆるアームストロング報告ではこの部隊名が書いてあるんですか、御存じですか。
  286. 折田正樹

    ○折田政府委員 アームストロング研究所が作成いたしました報告書は我が方も入手しております。その中にAV8Bハリアーという名前は書いてございます。
  287. 中路雅弘

    中路委員 先日、安全保障委員会で東中議員の質問に、米側から明確な答えがまだ返ってきていないという答弁ですけれども、今の報告書の中に明確に部隊が書いてあるじゃありませんか。第五百十三海兵隊攻撃機のスコードロンですね、これが今度の事件を起こした部隊だということが明記されているのが確認できますか。
  288. 折田正樹

    ○折田政府委員 第五百十三海兵攻撃飛行隊所属のハリアーということでございます。
  289. 中路雅弘

    中路委員 既に外務省はアメリカから報告をもらっていて、そして先日の二十一日の質問で、まだ米側から明確な答えが返ってきていないと答弁している。これはけしからぬことじゃないですか。私が改めて質問をして、そしてここで述べる。外務省はアメリカから報告をもらっている。この報告の中の添付資料の中に明快に部隊名も書いてあるんですよ。それを国会で答えないというのはけしからぬことだと思うんですね。  ちょっと外務大臣、この問題は、どうですか。この前、外務大臣も出席された委員会で、アメリカから報告をもらっていないと言っているんだ。今私が指摘したら、そのアメリカから来た文書にあるということを言っているんです。一言陳謝してもらわないと困るんだ。
  290. 池田行彦

    池田国務大臣 本件につきましては、米側からこういう誤使用があったという話がございましてから、私どもといたしましても、いろいろ情報、あるいは情報の追加提供、あるいは疑問点についての回答を繰り返し求めるといった数度にわたるいろいろなやりとりがございました。そういった過程の中で、私どもも全体の姿を掌握するまでにかなり時間がかかったということでございます。  また、現時点におきましても実は全貌は明らかになっていないわけでございまして、これは三月末までに全体をきちんと掌握した上で報告を公表するということで今米側と調整しているわけでございます。そういった過程の中で、我々も、提供されました資料の解析が必ずしもスムーズにはかどらなかったという点もございまして、我々として、既に提供された資料の中にあったものを十分に掌握し切れなかったという面がその過程においてはあるいはあったかもしれません。  そういったことで、ある時点における国会での御答弁が不十分な点があったとするならば、その点は申しわけなく思いますけれども、決してそれは他意があったわけではない、今申しましたような、実態をより掌握するための米側との何度も往復するやりとりの過程で起こったことだということで御了解賜りたいと思います。
  291. 中路雅弘

    中路委員 この報告書の中には、関係者の事情聴取をいつやったというのも出ているんですよ、三月何日とかですね。それをあなた、一番最初に手に入れているんです。手に入れた報告書を私たちに配って、私が見てわかったことを質問して、答えないんです。外務省が一番先に手に入れたんじゃないですか。最近入ったんじゃないんですよ、この報告書は。これは厳しく私、抗議しておきたいと思うんです。  調べてみましたら、このスコードロンは、九五年の十一月から九六年の五月まで海兵隊岩国航空基地にローテーションで配備されて、嘉手納に分遣隊として配備された六機のスコードロンです。これが今度の訓練をやったんですね。しかし、既にアメリカに帰っている。あの報告書を見ますと、撃った海兵隊員、これは既にアメリカに帰っているということで、事情聴取のときにも、もう既に本国に帰っているんです。  こうした問題も、外務省、事故報告するならば、だれが事故を起こしたのかということを明快にすべきじゃないですか。そうでない報告というのは、全く事故報告にならないんですよ。  時間をこれにとるとあれなんで次に行きますけれども、もう一問聞きますけれども、過って撃ったとか、あるいは表示が違っていたという報告ですけれども、それならば、一体何と何を弾丸を間違ったんですか。過って撃ったと言われる劣化ウラン弾というのは、二十五ミリ徹甲焼夷弾、これはどういう名称の弾丸ですか。
  292. 折田正樹

    ○折田政府委員 アメリカからの説明によりますと、火器に弾丸を装てんする際には、弾丸そのもののラベルと弾丸のカタログを照合いたしまして、弾丸カタログに禁止事項の記載等がないかどうかを確認した上でこれを使用することになっているんですが、本件につきましては、弾丸カタログの記載に不適切な点があったために劣化ウラン弾が使用されてしまったということでございます。
  293. 中路雅弘

    中路委員 私が聞いているのは、その弾丸は何という弾丸かと聞いているんですよ。これもその報告書があるんです。アメリカが外務省に出した報告書の中にあるんですよ。全く読んでないのですか。
  294. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、この全貌を掌握して報告を公表するという作業を今進めておりまして、それはなお三月までかかるということでございます。  そういった意味におきまして、私どもも現時点で米側から提供されました資料を完全には解析し切っていない、こういうこともございますので、その事態の細部につきまして必ずしも十分な御答弁はできない点がございますけれども、事柄の本質的なところは何かと申しますと、日本における訓練に使用してはならないことになっておる劣化ウラン弾が使用された、その原因はどこにあったかと申しますと、先ほど政府委員が御答弁申し上げましたように、弾丸にございますラベルとカタログとの間の照合をして使用するわけでございますが、そのカタログにおける表示が十分ではなかった、つまり、これは日本の訓練においては使用してはならないものだということが明確になっていなかった。そこのところが本質でございまして、これを改めるように、米側ではもう既に是正の措置をとった、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、事件の細部にわたる事実も含めまして全体としての御報告は、今調整の作業を進めておるところでございます。  本質的なところについては掌握しておりますけれども、細部におきましては必ずしも十分にそれを解析し切れていないところもあるということは御理解いただきたいと思います。
  295. 中路雅弘

    中路委員 いや、細かいことじゃないのですよ。この問題は大事なのですよ。誤射は初めてだという答弁をされているでしょう。初めてだとすれば、今まではどういう弾丸を撃っていたのか。今度の劣化ウラン弾が初めてだとすれば、それまではどういう弾丸を使っていたのか、何を何と間違えたのかということを私は聞いている。この問題の重要な点じゃないですか。  しかし、ほとんど答えられないから私の方で、調査をしてほしいということがありますけれども、皆さんの、外務省に来ている報告書にあるのです。私たちがもらって、それを読んできょう質問しているのですよ。この撃った劣化ウラン弾の弾の名称は、PGU20という徹甲焼夷弾なのです。これはアメリカが外務省に出した三月十八日付の報告書に出ているのです。後で調べてください。  それでお聞きしたいのは、この二十五ミリ機関砲は五種類の弾を撃つことができるのです。詳しいことは私はきょうここでお話ししません。二種類は劣化ウラン弾です。もう一種の劣化ウラン弾は、今度撃ったやつよりもちょっと弾心が長いのですね。あとの三種類は、タングステンの合金だとか鋼鉄製の弾心なのです。  だから、今まで何で訓練をしていて、そして今度初めて間違ったと言えば、それがはっきりしなかったら今度初めてだということは言えないじゃないですか。誤射と言っているのだから、何と何とを間違えたんだということをはっきりしなければ、この問題は明確にならないということを私は言っているのです。  きょうはこれ以上答えられないのですね。皆さんの方はスタッフでもって翻訳できるのでしょう、来た報告。私らなんか、議員と秘書だけでやっているのですよ。それで今質問をしているのですよ。昔だったら、これでちょっととまって答えてもらうのだけれども、まあ一応進めます。  委員長、この問題は必ず報告してもらうようにお願いしたいと思います。
  296. 池田行彦

    池田国務大臣 米側からの説明を受けまして、私どもとして、こういうふうに米側は説明しておりますということを申し上げているわけでございますけれども、先ほど申しましたように、全体としての報告は今調整中でございますので、追ってまた公表できると思います。  なお、具体的にどういう名称のどういう爆弾を平素は使っておったのか、そしてまた今回何を使ったのか、それがわからなくては誤射がこれ一回だけであるか否かわからないじゃないか、こういう御指摘がございましたけれども、その点につきましては、米側の説明は、いろいろな弾薬の出入りの記録等を調べた結果、今回誤って使用された劣化ウラン弾はほかの機会に使用されてはいない、こういうことが確認された、このように報告を受けているところでございます。  いずれにいたしましても、そういったところも含めまして全体としての報告がいずれ三月末までには公表されることになるわけでございます。
  297. 中路雅弘

    中路委員 これはこの前の答弁で、この劣化ウラン弾は、米軍規則で基準を満たした特定の弾薬庫で厳重に管理していると言っているのですよ。特定の弾薬庫で厳重に管理しているのをラベルで間違えた、そんなことないでしょう。  じゃ、これを厳重に管理しているのを持ち出して訓練に使ったのはだれなのですか。責任者を明確にしなきゃいけないでしょう。そして、これで訓練をやったのですよ。三回にわたって、千五百二十発撃ったのですよ。だから、この部隊の責任者を明確にしなければ、この事件の報告にならないのですよ、繰り返し言いますけれども。この問題も明確にしてほしいのです。
  298. 池田行彦

    池田国務大臣 これまで我々が米側から説明を受けておりますところでは、この誤使用が発生した原因は、先ほど申しましたようにカタログの表示が不適切であった、こういうことに起因するわけでございまして、そして、その表示はもう既に改め、日本における訓練においてはこれは使われてはならないんだということを明確にわかるような方式に改めたということでございます。そして、そのことを米軍関係者に周知徹底も図った、こういうふうに米側からは報告を受けております。  したがいまして、この誤使用の原因がそういった表示の問題にありますので、今委員指摘のような、具体的にその砲弾を米軍のだれが例えば倉庫から持ち出したか、あるいは装てんしたかというところに責任問題が生ずるわけではない。むしろそういう表示の不適切さの方に原因があったというふうに御理解いただきたいと思います。
  299. 中路雅弘

    中路委員 弾丸が幾つか種類が置いてあって表示を間違えたんじゃないのですよ。あなたたちが言っているのは、基準を満たした特定の弾薬庫で厳重に管理していると言っているのですよ、この劣化ウラン弾は。それを表示で間違うはずないでしょう、普通の弾丸と。  繰り返しませんけれども、このことは明確にして報告をしてほしいということです。(発言する者あり)
  300. 深谷隆司

    深谷委員長 ちょっと申し上げますが、ただいまの大臣の答弁で、全体問題として今調査中で追って報告できると思いますという答弁をしておるわけで、その後引き続いて委員が質問を続けておられるわけですから、あなたがここへあらわれることは筋が通っていない。
  301. 中路雅弘

    中路委員 いや、私が言っているのは、全体は調べてほしいけれども、きょう取り上げている弾丸の名前にしても部隊の名前にしても、外務省にアメリカから来た報告書の中に既にあるのですよ。ある問題を私が質問するまで、その前の委員会でも全部報告してないのですよ、アメリカから来ていないということで。だから、これはけしからぬということを言っているのですよ。
  302. 深谷隆司

    深谷委員長 もう一回外務大臣お答えください。
  303. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げたと存じますけれども……(発言する者あり)
  304. 深谷隆司

    深谷委員長 お静かに願います。
  305. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも米側から寄せられました資料、情報の解析を必ずしも十分にし終わる前の段階で、いわば原資料を国会にも御提出した、こういうことがございます。そういった意味におきまして、私どもがその情報なり資料の解析が必ずしも十分でなかった、し切れなかった、そのために国会における我が方の御答弁に不十分な点があった、そのことは先ほど申しわけないと申し上げた次第でございます。  そういったことで御了解いただきたいと思います。
  306. 中路雅弘

    中路委員 それでは、とりあえず今まで来ているアメリカからの報告、これを全部提出してほしい。いいですか。
  307. 池田行彦

    池田国務大臣 それは、先般、資料の御提出のお話がございまして、理事会でいろいろ御相談賜りまして、その理事会の御指図に従いながら外務省としては対応してまいる、こういうことでございます。
  308. 中路雅弘

    中路委員 別の角度でまたお尋ねしますけれども、科学技術庁、どなたか来ておられますか。  核燃料物質であるこの劣化ウランを使用して劣化ウラン弾のような武器弾薬を作製するための研究開発、製造、これに日本にある劣化ウランを使用する申請があったときは許可されますか。
  309. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  核燃料物質の使用につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、使用の目的、使用の方法、使用施設などの構造及び設備など具体的な内容につきまして審査を行います。この法律に定めます許可の基準に適合していると認めるときでなければ許可をすることはできません。  ただいまの御質問は、仮に、劣化ウラン含有弾のような武器弾薬の作製の研究開発、製造を行う使用許可の申請がなされた場合はどうなのかということでございますけれども、核燃料物質が平和の目的以外に利用されるおそれがあると考えられますから、科学技術庁といたしましては、原子炉等規制法に基づく許可をすることはできないのではないかと考えます。
  310. 中路雅弘

    中路委員 この劣化ウラン、いわゆる核燃料物質が平和目的以外に利用されるおそれがあるときは許可しないということですね。  通産省お見えになっていますか。  この核燃料物質、劣化ウラン、これは、平和目的以外の、使用の許可を得ていない者から劣化ウランの輸入申請があった場合、あるいは、同じように劣化ウランを材料とした武器や弾薬そのものの輸入、こういう場合は通産省はどういうお考えですか。
  311. 伊佐山建志

    ○伊佐山政府委員 お答え申し上げます。  劣化ウランの輸入あるいは劣化ウランを材料といたします武器弾薬の輸入につきましては、外国為替及び外国貿易管理法に基づき輸入の承認の対象となっておりまして、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律による許可を受けていない者については輸入は承認されません。
  312. 中路雅弘

    中路委員 今科学技術庁、通産省から御答弁があったように、日本では劣化ウランを平和利用以外には使えない、劣化ウランというものを素材にした武器弾薬は日本ではつくれない、そして劣化ウランを使った武器弾薬は輸入できない、これが日本の法律なんですね。だから自衛隊も、自衛隊が持っている二十ミリ砲、これも弾丸の弾心としてタングステンを使っております。だから、日本では劣化ウラン弾の試験や射撃場ももちろん規定されていないし、訓練ももちろんやられないという状態にあるわけです。その劣化ウランを今度は発射をしたという問題であります。  私は、この点で、この劣化ウランの問題については、こうした弾丸は撤去をするということが当然のことだと思うのですが、外務大臣、いかがでしょうか。
  313. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、先ほど科学技術庁あるいは通産省の方から御答弁ございましたように、国内の法律がなっていることは承知しております。  しかし、一般論として申しまして、安保条約あるいはそのもとの地位協定に基づいて米軍が行動します場合には、我が国の国内法がそのまま適用されるものではないということは委員も御承知だと思います。ただし、やはり我が国の国内法も尊重しなくちゃいかぬ、これはもう当然のことでございます。そんなこともいろいろございまして、米軍も我が国における訓練においてはその保有する劣化ウラン弾を使用してはならない、こういうことにしておるのです。  それが今回は誤って使用したというケースであり、そのこと自体は我々は遺憾であり、そのようなことが再発しないように強く米側に求めておりますし、米側もそのような改善の措置をとっておるところでございます。  ただし、我が国あるいは我が国周辺の地域の安全を守る上において非常にいろいろな面で米軍がその役割を果たしていかなくちゃいけない、そういった場合のことも念頭に置きまして、我が国の一定の提供施設の中に米軍が劣化ウラン弾を保有している、こういうことはあるわけでございまして、そのこと自体、我々がけしからぬ、これを撤去するようにと求めるというのは適切でないと考える次第でございます。
  314. 中路雅弘

    中路委員 最初に時間をとってしまったので詳しくできませんけれども、ドイツでもスウェーデンでも、みんな最近はこの劣化ウラン弾の使用をやめているのですよ。日本で、日本の法律の中で、こういう劣化ウラン弾は持ち込んでも、あるいはこれを使うということも一切禁止されている国で、そしてアメリカが持ち込んでいる。どこに持ち込んでいるかということも言わない。どこの外務省かと私は言いたいのですよ。  続いて、この劣化ウラン弾の問題でもう一問聞きますけれども、この劣化ウラン弾が撃ち込まれた提供施設、鳥島の射撃場ですね。これは米軍のどの軍のどの部隊が管理をしているのですか、また使用部隊はどこですか。
  315. 折田正樹

    ○折田政府委員 鳥島全体が米軍の施設・区域として提供されておりまして、空対地射爆撃訓練のために使用されているとともに、その島の周囲三マイルは立入禁止水域となっておるわけでございます。そして、これを使用する部隊等の詳細につきましては、米軍の運用にかかわることなので、政府として一々について承知しているわけではございません。
  316. 中路雅弘

    中路委員 私が聞いているのは、この射爆場の管理部隊、使用部隊、これを聞いているのですよ。使用部隊も言えないのですか、どこが使っているか。  もう一度お聞きしますけれども、この射爆場を管理しているアメリカの部隊はどこか、使用している部隊はどこどこだと。
  317. 折田正樹

    ○折田政府委員 米軍の運用にかかわることでございまして、政府としてその一つ一つについて承知しているわけではございません。
  318. 中路雅弘

    中路委員 それでは私の方から話しておきますよ。  管理部隊は、嘉手納にある空軍の第十八航空団です。これは「沖縄の米軍基地」という県庁が出している冊子にあるじゃないですか。それも言えないのですか。使用部隊は第十八航空団と海軍、海兵隊です。委員長、こうして地方自治体の県が持っている資料、そのことも言わないというのは、これは私はけしからぬと思うのだな。  外務大臣、どうですか、この問題。そういう答弁じゃ質問できないですよ。  それでは、防衛庁に聞きますけれども、この鳥島で米軍がやっている訓練ですね、訓練の中身はもう答えられないでしょうから、年間で何日ぐらい使用していますか。
  319. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  米側からの通報によりますと、同射爆撃場につきましては、平成七年度は、平成七年十二月二十五日と平成八年元旦の二日間だけを除いて毎日使用されておると承知しております。
  320. 中路雅弘

    中路委員 私のもらった資料でも、例えば平成六年は、これは使用しないときだけ届け出するのですね、施設局に。使用しない日にちは、平成六年はゼロなんです。三百六十五日撃っているのですよ、この鳥島で。だから、新聞に出ているように、この島は今は変形して水没しそうだと言われているのですね。  この射撃の使用条件はどういうことになっているのですか。
  321. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  本施設は空対地射爆撃場として使用しているということは私ども承知しております。具体的な同施設の使用条件につきましては、現在いろいろ検討しております五・一五メモと言われる沖縄返還に際しての合同委員会合意に基づいて決められておりますが、従来から公表については差し控えさせていただいているということで、現在この公表も含めて検討させていただいているという状況でございます。
  322. 中路雅弘

    中路委員 今度のいわゆる誤射事件の全貌をはっきりさすためには、この使用条件も必要でしょう、明らかにするには。それが、今おっしゃったように、五・一五メモだと言って公表しないのです。この問題を明らかにする上でも、七二年の五・一五メモ、この全容を至急に提出してほしい、公表してほしい。外務大臣、いかがですか。
  323. 池田行彦

    池田国務大臣 その点につきましては、先般、大田沖縄県知事が橋本総理にお目にかかられました際にも、これを公開するように御要請がございました。そしてその際、橋本総理からも前向きに検討する旨のお返事を申し上げたところでございます。  政府といたしましては、そもそも、五・一五メモも含めまして、合同委員会の過去の記録をどういうふうに扱うかということをいろいろ検討してきております。昨年の三月二十八日以降の合同委員会の内容についてはその都度公表してきているわけでございますが、現在、それ以前のものにもさかのぼって公表できるものは公表していこうという方向で検討を進めております。  特に、この五・一五メモにつきましては、沖縄県知事を初め多くの方面から公開の御要請もあるものでございますから、これを優先的に取り上げまして、全貌がわかる形で公表する方向で、今調整をしているところでございます。  先般、オルブライト新国務長官と私がお会いいたしましたときにも、本件の公開について米側の協力を求め、オルブライト長官も、そのようにしていく、こういうお答えがあったところでございます。せっかくその作業を急ぎまして、できるだけ早く全貌が明らかになるような形で公表したいと思っております。
  324. 中路雅弘

    中路委員 劣化ウラン弾でもう一問お聞きしておきますけれども、これは沖縄だけじゃないのですね。  海軍の方も、横須賀を母港にしている十一隻の艦船は、すべて劣化ウラン弾を発射できる二十ミリの砲を持っていますけれども、十一隻で二十門備えているわけですね。これは、先日もアメリカの方が劣化ウラン弾を使用する態勢にあるということを報告していますし、地元の自治体が外務省にそのことを確認したら、事実だということも言っておられました。  母港というのは、そこが本拠地ですよね、出撃の。家族も全部移っているわけですから。そこで劣化ウラン弾を使用する態勢にある。ということは、横須賀施設内か浦郷弾薬庫に劣化ウラン弾が貯蔵されているということは間違いないことだと思うのですけれども、この海軍の母港にしている艦船の劣化ウラン弾は、使用する態勢にあるというが、どこに貯蔵されているのですか。
  325. 池田行彦

    池田国務大臣 私ども承知しておりますところでは、横須賀にございます艦艇でございますが、その中にいわゆる劣化ウラン弾を使用できるような装備を持っている艦艇があることは承知しております。しかし、その装備は同時に、劣化ウラン以外の弾薬も使用できるものでございます。  そしてまた、我が国のどこにどのような弾丸等が保管されているかということにつきましては、これは米軍の運用にかかわる問題でございまして、従来からそれは公表はしない、こういうことで来ているということについて御理解をちょうだいしたいと思います。
  326. 中路雅弘

    中路委員 この問題は、それ以上、外務省は答弁しないのですね。どこに貯蔵しているか、こんな危険なものは。日本では禁止をされている。これも言えないのですか。  横須賀のこの問題で、これは浦郷弾薬庫であることは間違いないと思うのですが、人口密集地なんですよ。ここは住宅の密集地なんですよ。だから最近、ある学者も、こういう住宅密集地でもし火災でもあれば、放射能の飛散や重金属の問題で非常な懸念があるということも言っている人もおられます。  こういう面で、沖縄だけではなくて、やはり日本の本土からも含めて、この劣化ウラン弾は撤去することをアメリカと交渉することを、重ねてこれは要求しておきたいと思います。  初めのことでひっかかっちゃいまして、予定より時間をとっちゃったので急ぎますけれども、もう一つは順序をちょっと変えまして、これは一、二問だけお聞きをしておきます。  一〇四号の県道越えの本土移転の問題です。  私も、一〇四号越えのあの百五十五ミリの砲弾の、恩納岳の山頂、着弾地を防衛庁のヘリコプターで視察したことがあるのです。もう全くの焼け野原ですね、山火事で、山頂は。不発弾も処理してないのです。しかも、一時は水源涵養林にも撃っていた。私、その焼けぼっくいを持って帰って、かつて瀬長亀次郎議員と一緒に国会で取り上げた。水源涵養林だけは撃つことをやめたのです。  今度また沖縄へ行きまして、金武町の町長にもお会いしました。ハワイの訓練場を見てきたのですね。写真も見せてもらいましたけれども、ハワイでは山頂周辺は環境保全地区に指定されて、ここは撃てないのですよ。一定の地域だけ指定して、そこに撃っているのです。全く違うのですよ。これは本土へ持ってくるのじゃなくて、ここで、アメリカの本土でやったらどうですか、持っていって。本土へ移すなんて、とんでもないですよ。  お聞きしたいのは、五カ所の候補地を挙げていろいろ今工作をやっておられますね。私は、この関係の自治体や住民の合意なしに、絶対強行しないということを防衛庁長官にまずお聞きしたいと思います。
  327. 久間章生

    ○久間国務大臣 今委員おっしゃられましたように、沖縄では、これまでもずっとあそこで、一〇四号越えでそういう百五十五ミリ砲が撃たれておったわけでございますけれども、やはりこれをできるだけ本土で分散してみんなが受け持ってもらいたいというようなことから、ああいうことで一応本土の方で、五カ所でやるということを決めたわけでございますけれども、今そのために各自治体にお願いをして、理解と御協力を願っておるところでございます。  いろいろと難しい点もございますけれども、中には非常に御理解していただいておりますし、また、反対を言っておられる地方自治体においても、今まで沖縄に全部、そこでずっと一貫してなされておった、それをやはり本土で、しかも一年のうちに十日間だけ、それも今までの自衛隊あるいはまた米軍との共同演習、いろんな形でやっている、そういう日数の枠内でそれを処理するということについては、まあ理解することはできるというふうに言っていただく地方自治体も出てまいっておりまして、大変ありがたいことだと思っております。  これから先も引き続き、そういったふうに地方自治体の御理解と御協力を得るべく一生懸命努力しながら、何としてでも今沖縄に集中してしまっておりますのを少しでも本土で分散して受け持つことができれば、そういうふうに思って一生懸命お願いに参っておるところでございます。
  328. 中路雅弘

    中路委員 ここに文書があるんですが、これは施設庁の文書です。秘密という判こが押してある、わざわざ。これは、今の県道一〇四号線越え実弾射撃訓練の分散実施に関する地元工作の全部のメモです。五カ所ごとに詳しく書いてあるんです。  これを見ると、表からというか、ちゃんと自治体に話しに行っておられる、そういうものだけじゃないんですよ。この文書自身、あなたたちが書いているんだ。水面下でこうやった、水面下でこうやったというのが全部出ているんですよ。国会議員だけじゃなくて、国会議員の秘書の人たちも使って全国を回っているんです。  その中ではいろいろ条件も出しているんですね、ここに書いてありますけれども。はっきりもう表に出ている条件で、例えば矢臼別で治安の問題が出たわけですね。三百人が行くでしょう。海兵隊に外出するときは施設庁の職員をつけますと回答しているんだ、条件を。そんなことできるんですか。これをやるんだったら沖縄でやってくださいよ、まず。沖縄の米軍にちゃんと職員をつけてくださいよ、外出するときに。  こういういろいろな条件を出して、しかも、その施設庁が出した条件を今度は逆に、町長さんの方からある時期に提案してくださいと。みんな書いてあるんですよ、工作が。水面下の工作とみんな書いてあるんですよ。ある局は百二十回もその工作をやっているんですよ。詳しくはお話ししませんけれども、こういうやり方はやめるべきです。  ある村長は、関係の町村の中でここの村長が一番実力者だから、この村長に了解をとって回せということまで書いてある。ほかの町長がこれを知ったら怒るでしょう。  もっとちゃんと、きちっと正面からお話をして、反対をされればやはりそこは強行しない、そうすべきじゃないですか。
  329. 久間章生

    ○久間国務大臣 各地方自治体にお願いに参りますときに、やはり先ほどお話がございましたけれども、とにかく、治安の問題とかいろいろありましたら、その問題についてどういうふうにすれば納得していただけるか、現実問題としてはそういうことが起きないようなことをするためにはどうすればいいか、そういうことでいろいろ方策を考えるのは、それは職員としては当然でございます。  私は、そういう文書は知りませんけれども、少なくとも、みんなが苦労をしながら各地方自治体でとにかく誤解を解くべく一生懸命努力しておる、そういうことでございますので、ぜひその善意を御理解していただきたいと思うわけでございます。  そしてまた、今実力者の町長と言われましたけれども、そういうような意味だけではなくて、やはり非常に温度差があるわけでございます。積極的に受け入れていただく町長もおられれば、あるいはまたその町長さんの周りに反対している方々がおられて、理解はするけれどもなかなかもろ手を挙げて賛成というわけにいかないと言われれば、そういう方々に対してまた理解してもらうために努力する。やはり一生懸命そういう形で、町長だけではなくて、議会の皆さん方にも、また区長さんにも、あるいはまた直接酪農等を営んでおられる方々にも、こういうことだからということで御理解を賜りながら、その中でどういうふうにうまく調整ができるか、そういうことについても鋭意努力してまいっておるわけでございますので、前長官の時代から、とにかく本土で受け入れるということに決まりましてから一生懸命みんなが手を分け、八方手を尽くして、とにかく一生懸命努力しておるわけでございますので、どうぞひとつ職員の努力等についても御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  330. 中路雅弘

    中路委員 中身はもう詳しくお話ししているあれがないけれども、今お話しされたようなそんなきれいごとじゃないです、実際にここに書いてあるのは。私は、この百五十五ミリは、さっき言ったように、本土へ持っていきなさい、アメリカに。こういったらい回しはだめだということ、これを要求しておきます、きちっと。改めてこの問題はまた委員会でやりますからもう時間がないからいいです。  もう一つの問題、若干時間をとってやりますけれども、これは私どもの不破委員長が衆議院本会議で取り上げた問題です。厚木基地の上空でのNLPを初めとした飛行訓練ですね。  橋本首相が、硫黄島にNLPをできるだけ持っていっているから、騒音は軽減されるように努力しているという答弁ですが、実態は全くそんなものじゃないんですよ、今の実態は。詳しく数字もありますけれども、それは時間がないですから。  この数年をとっても、NLPだけは若干減っていますけれども、全体の騒音のいわゆる騒音規制で、法で決められている騒音回数、地元の自治体が測定しています。この騒音回数は、年間三万件以上を超えていますけれども、もう去年、おととし、どんどん逆にふえているんですよ、数字は。特に昼間がひどいんです。編隊を組んで低空飛行訓練をやる。百五十万の上空ですよ。アメリカでこんなところはどこもやってないんですよ。いつかお聞きしたことがありますけれども、大体もう訓練やっているところは、都市から近くても十三キロ、十五キロ離れている。騒音なんか聞こえないんです。こんな上空でやっている訓練は世界にないと思うんですよ。  だから、先般の高裁の騒音訴訟についての判決でも、受忍の限度を超えた違法な状態だということを言っております。この状態をいつまで続けておくんですか。どうするんですか。  しかも、かつて空母の母港になるとき、七三年に私はこの問題で質問をいたしました。当時、外務省は、空母の母港は両三年だ、二、三年だから我慢してほしいと言いました。そして、厚木基地の上空では訓練はしないということを当時の司令官も県知事も約束を何度もしました。だから、七三年から八二年まで十年近くは訓練はしてなかったんですよ。あるいは、国会で文書で出しました、母港化によっていかなる地域、区域も要求しないと。それが、あの池子に森を壊して住宅を要求したから、十年間の住宅の建設反対の問題が起きたんです。  みんな約束を違反してきた、踏みにじってきた。国会での答弁も破ってきたんです。そして、今日のこうしたすさまじい騒音公害を招いているんです。約束どおり母港は撤回をしてほしい、そうしてこの上空の訓練はやめてほしいと思うんです。これは国会での約束なんです。いかがですか。
  331. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  厚木飛行場の航空機騒音につきまして、ふだんから周辺の住民の方々にいろいろと生活環境あるいは教育の問題等で深刻な問題を与えておりまして、騒音の軽減については私どもも非常に重要な課題だと考えておるところでございます。  かねがね私ども、米軍に対しては、日本の祝祭日には飛行しないとかそういう点について、細々とした地元の要望を伝えながら、少しでも騒音の軽減について努力をさせていただいております。  かねがね、一番問題がございましたNLPの夜間訓練につきましては、今硫黄島の方でほとんど九割方を消化するというようなことで、これについては一定の成果が上がっておると考えておりますが、いずれにいたしましても、厚木飛行場というものを日米安保条約上提供しておる立場上、私どもとしては、運用状況につきまして、年間相当数の飛行が行われておることは承知しておりますが、少しでも騒音軽減に努力するということで何とか御理解をいただきたい、このように考えているところでございます。
  332. 中路雅弘

    中路委員 年間相当数、一日に二百六十三回とかで、年間の話をしているんじゃないですよ。一日に何百回とやっているんですよ。これは、日本の航空法じゃ完全にできないんですよ。こういうことできないんです。なぜやれるのか。地位協定でこの訓練を除外しているんです、こうした低空飛行を。  私は、その点で、沖縄の県民の皆さんが一昨年から言っている地位協定の見直しということを強く要求し、国内法を守れということを言いたいんですけれども、その前に、日米合同委員会で決めた騒音の軽減措置というのが一応あるんですね。地元では騒音協定と言っていますけれども、これは六三年に結んだものなんです。最近も、神奈川県知事や周辺の市長さん合同で、この騒音協定をまず見直してほしい、幾らか具体的な要求を出しています。  この点については、外務大臣、どうですか。六三年に結んだ協定です。部分的には途中で改定していますけれども、この騒音協定を、地元の要望を踏まえながら、改定について日米の間で話し合っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  333. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど防衛施設庁長官からお話ございましたけれども、厚木につきましては、人口密集地の中にございます。そして、騒音の影響が大変大きいということは十分我々も承知しております。それを軽減すべく最大限の努力を払ってきたわけでございまして、特にNLPにつきましては、現在でも、先ほど答弁ございました、百六十回ぐらいでございますが、これは昭和六十二年の時点ではたしか年間三千七百回ぐらいだったと思います。それだけの回数の減も図っております し、また、そういったNLP移転に伴う必要な経費については、いわゆる新協定におきまして特別に配慮するということでやっております。  あらゆる面から努力を傾注しているところでございまして、今後とも、地域の住民の方々に対する影響を最小限にとどめるよう努力を払ってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  334. 中路雅弘

    中路委員 外務大臣、私が聞いていますのは、一つは、今のこの騒音協定、地元から、保守とか革新とか関係ないんですよ、関連の全部の市長、知事が要望している騒音協定の見直しのこの要望について、改めて日米合同委員会で協議をしてほしいということを言っているんです。
  335. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、我が国政府といたしましても、騒音の影響が最小限のものになるためにあらゆる努力を傾注しているところでございます。これからも、安保条約、その目的を担保していくための必要性、それとの兼ね合いを考えながら、努力は続けてまいりたいと思います。
  336. 中路雅弘

    中路委員 私がお話ししているのは、改めて騒音協定の問題で合同委員会で協議をしてほしいということを繰り返しているんです。  特にその中で、例えば航空ショー、年一回あります。アクロバット飛行をやっているんですね。これについては、毎年やはり関係の自治体から中止の要望が出ているんです。  昨年、私、外務省とお話ししたときに、このアクロバット飛行は安保条約に基づく訓練じゃないんだ、日米親善のためにやったのがこれだけ反発を受けているんだったら、これについては考えなければいけない、アメリカにも話してみるという話はされました。この騒音協定の改定とあわせて、特に、もう四月が近づいていますから、このアクロバット飛行、曲技飛行はことしはやめる。上空で、墜落の危険も皆感じ、すごいアクロバット飛行をやっているんです。  これは、地元の要望にこたえて中止をするということをアメリカ側と交渉してほしい。この点はいかがですか。
  337. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申しましたように、我が国の安全を守る上で大切な安保条約の目的を遂行していく、そのために厚木でどういうことが必要か、そういう点と、それから、地域住民に対する御負担、御迷惑を最小限にするということ、そのことの兼ね合いを考えながら、今委員おっしゃいましたような点についてもこれから考えてまいりたい、こう思います。
  338. 中路雅弘

    中路委員 私の持ち時間になりましたので、きょうは一応終わりますけれども、この問題、引き続いてひとつ、改めてもう少し詳しく御質問させていただきたいと思います。  それでは、終わります。
  339. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、矢島恒夫君から関連質疑の申し出があります。石井さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。矢島恒夫君。
  340. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、景気の問題、特にGDPの六割を占めるという景気回復の最大のポイントである個人消費、この動向政府はどう見ているのか、こういう問題で、経済企画庁長官にお聞きしたいと思います。  経企庁の月例経済報告、これを見てみますと、個人消費について昨年の一月からずっと、「緩やかな回復傾向」、こういう文言になっているわけです。  総務庁の家計調査の実質消費支出を見ますと、この一年間、個人消費は前年度比で〇・一%減少、こう出ているんですね。これで四年連続であるわけですけれども、月ごとに調べてみますと、大体、対前年同月比でわずかに伸びたかと思うとまた減っていく、これを繰り返しているわけですね。特に昨年の夏以降を見てみますと、七月がマイナスの四・四、八月がプラス・マイナス・ゼロ、九月になりますとマイナス四・四、十月がマイナスの一・五、十一月は、ここでプラスになりますが一・七、十二月がマイナスの〇・六と、前の年の同じ月と比べてみたときに、落ち込んでいる月の方が多いわけですね。  この月例経済報告を見ますと、先ほど言いましたように、「個人消費は、緩やかな回復傾向にある。」こういう文言をずっと繰り返してある。実質の消費支出が前年同月比でマイナスになるような今の状況の中でも、個人消費というのは回復していると言い切れるんですか。
  341. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 お答え申し上げます。  今お示しになりました、多分平成八年十二月の家計調査の一連の数字だと記憶をいたしますが、家計消費につきましては、今御指摘のあった支出は間違いないところだと思っておりますが、他方、いろいろなその他の消費につながっておりますものの販売でいきますと、例えばよく言われます自動車などというのは、前年度比一〇%、一一%、二けたで伸びております。また、波及効果が大きいと言われております住宅建設につきましても、大体年間百四十から百四十五万戸ぐらいですと住宅建設というのはほぼ順調と言われておりますけれども、十月なんか百八十台いきましたし、今でも、減ったとはいえ百六十台というような台が続いております。また、百貨店やチェーンストアの売上高を見ましてもこれは増加傾向に、天候要因等々、まだやや弱いと言われましたけれども、既存ベースでも増になっておりますし、家電、パソコン、いずれもですし、旅行につきまして、最近旅行の支出というのがよく言われるところですけれども、海外関係の旅行がえらく伸びております。そういった面で、いずれも数字が伸びてきておることは間違いないところでありまして、今御指摘の点に関して以外の数字がすべて伸びておりますので、私どもとしてはそう申し上げております。  加えて、所得面というのが大事なところだと思いますが、所得面につきましても、現金給与額というのは、これは本当にわずかでありますが、一・一という数字がずっとこれは続いておるというところでもありますので、そういった意味から申し上げますと、総じてそういったものは下支えにはなっておるという理解で、大変表現としては文学的になっておりますが、「緩やか」と申し上げておる背景がそれであります。
  342. 矢島恒夫

    ○矢島委員 個別の、自動車だとかあるいは住宅だとか海外旅行だとか、伸びている部分。しかし、私、後でこのことについては質問したいと思っているのですが、いわゆる実質消費支出という総体の数字で、先ほど私が申し上げたような数字になっているのですね、この間の経過というのは。ですから、個々のものではそういう状況も、それはないわけではない。全体から見たら、やはり消費というのは前年同月比でマイナスの方がこの間はずっと多かった、その点は認められると思うのです。その部分については後でまた質問したいと思います。  そこで、長官、いろいろと数字を言いまして、自動車あるいは国外旅行の問題、そのほか出しましたが、私、過去の景気が回復する時期、月例経済報告では何と言っていたかというのをちょっと調べてみたのです。なかなか一般には難しい。文学的とおっしゃられましたけれども、難しいというかわかりにくいというか、独特の言い方をどこもしているわけなんですね。  一九八〇年代前半の不況のときは、景気の谷間は八三年の十月から十二月ごろだ、こう言われています。そこで、私、一九八四年の三月の月例経済報告を見ましたら、「緩やかに増加している。」こういう表現になっています。実質消費支出はプラス一・二ポイントになっているんですね、ここは。明らかにプラスになっています。それから、これは八〇年代後半の円高不況のときです。一九八六年の十月から十二月が谷だと言われた。そこで、八七年の三月の月例経済報告を見ましたら、「堅調に推移している。」こういう表現になっています。実質消費支出はプラス一・九ポイントになっているのですね。いずれも、谷間から上がっていくところはプラスの前年同月比になっている。これが今までの景気が回復する時点での状況だったわけです。  こうしてみますと、今の状況はどうか。「緩やかな回復傾向」、こうしているのは、個人消費現状は緩やかにも増加はしてないんだ、あるいは回復しているとも言い切れない。「傾向にある。」わけですからね。こういう状態を、独特の経企庁用語というか官僚用語というのか、あらわしたものではないかな。このことが私にもだんだんよくわかってきたんです。  個人消費が緩やかな回復をしている、こうは言えないんだ、回復の傾向だというので「傾向」という二字をどうしてもつけなきゃならないというのが今日の状況ということは、結局、個人消費は増加しているどころか、緩やかという状況をつけても回復と言い切れない極めて不安定な状態に今あるんだ、こういうことですね。
  343. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 細部にわたりまして、数字の点については調査局長の方からお答えさせていただきますが、先生、これ、一番難しいところは、今、デフレ効果という言葉がよく使われますが、同じ商品を売りましても、卸売物価等々は前年度比マイナスになっておりますので、いわゆる支出の総額としては、物価が下がっておるということになっておりますので、その点は、今までと違い、右肩上がりの、インフレとは言いませんけれども、緩やかなインフレ経済をやっておりましたときと今回とは全く状況が違っておる点をちょっと考慮に入れていただかねばならぬところだと思っております。同じものを買ったとしても、家計支出の額から見ますと前年度比少し下がるというのが、卸売物価等々がそういうことになっておるという点もちょっと心にとめていただいて、細部につきましては調査局長の方から御説明申し上げます。
  344. 中名生隆

    中名生政府委員 私の方から統計数字につきまして、若干補足的に申し上げさせていただきます。  先ほど委員がおっしゃいましたように、昨年、平成八年の家計調査によります実質消費支出は〇・一%のマイナスになってございます。ただし、これは総務庁の方で約八千の世帯に家計簿をつけてもらって調査をしているものでありますけれども、その対象になっております世帯の世帯人員というのが最近は減ってきております。それで、総務庁の方では、そういう影響を除いた消費水準を見るという意味で、消費水準指数というのをあわせて発表しておられます。この数字で見ますと、昨年、平成八年は〇・六%のプラスという数字になってございます。したがって、世帯人員の構成でありますとか、それから世帯数の増加というものを考慮して考えますと、消費はまさに、緩やかではありますけれどもプラスになっているというふうに考えております。  なお、この家計調査だけでは必ずしも一国全体の個人消費というのが推計できませんので、企画庁の方では、国民所得統計という形で、ほかの統計も使って補いながら個人消費というものを推計いたしております。現在のところ、最近のところは昨年の七—九月でありますけれども、これで見ますと、実質個人消費支出は前年比で一・九%のプラスということになっておるということでございます。
  345. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろと数字を並べたり、回りくどく言われましたが、実質消費支出という総体の数字で、個人消費というのは回復しているとか、あるいは増加しているとかは言えない状態である。だからこそ「傾向」という二つの文字がついているのですね。緩やかな回復、そういう方向ですよね、傾向にある、こう言わざるを得ないのが今日の状況だということ。  経済白書を読んでみますと、こんなふうな書き方ですね。民間設備投資のおくれとともに、「個人消費の回復テンポが緩やかなものであったことが、成長率を低迷させたといえるであろう。」と指摘して、さらにその後に、「消費の伸びが緩慢であったのは、」「実質可処分所得の伸びが緩慢であったためである。」こういう記述があります。  大蔵大臣、お聞きするわけなんですが、つまり、税金と社会保険料などを差っ引いた残りのサラリーマンや勤労者の所得、いわゆる手取りですね、これが伸びないと個人消費も伸びない、こう分析しているけれども、これは大体、当たり前のことといえば当たり前のことなんですね。政府自身が、可処分所得の伸びが個人消費のかぎを握る、こう言っているわけですからね。今度の予算を見ますと、消費税五%ということに引き上げることによって五兆円、特別減税を打ち切る、二兆円、そのほかいわゆる医療保険の問題があります。九兆円と言われておりますが、こういう負担が国民にかかってくるわけですよ。ですから、これはまさに可処分所得を大幅に減らしていく予算である。これは間違いないと思うのですよ、可処分所得がふえるわけないですから。  大蔵大臣大臣は博学ですから、一つ質問しますといろいろな問題についてお答えになられる。それをどうしろこうしろと私は特に言いませんけれども、できるだけ私の質問に対してお答えいただくということで、景気回復の主役である個人消費、これを抑え込んでしまう予算になっているんだ、このことはお認めになるでしょう。
  346. 三塚博

    三塚国務大臣 可処分所得の問題、その前に、実質消費支出という数字はそのとおり。しかし、もう一つありますのは実質賃金の傾向、これは順調に伸びてきておるわけですね。もちろん消費税が四月一日執行されるということになりますと、これは四—六は下がることは間違いありません。しかしながら、全体としてベースが、基礎的要件といつも言いますが、ファンダメンタルズが確実な経済成長への足取りをあらわしておるという意味で、そのことが後半盛り返し、一・九に達するであろう、八年度は対前年度比二・五でございましたから。そういうことで、私はいろいろな悪い資料もいい資料も真ん中の資料も見させていただいておりますと、その方向に行くであろうという見通しが出ておる、こういうことなのであります。
  347. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先日行われた公聴会の中でも、やはり景気への影響を懸念する公述人の意見もございました。  後半にはまあ軌道に乗っていくだろうというのが大体今までの政府の共通した答弁なのですけれども、どうもいまいちそれがはっきりしないのですね。言葉ではそういうのは何回も何回も出てきているのですが、実際にどうだろうか。例えばよく言われるのが規制緩和、こういうことを進めていけば年度後半はよくなるのですよ、行財政改革、いろいろな改革進めていきますよと。その進めること自身と景気がよくなるということがなかなか国民に結びついていかない。だから、先行き、景気に対して不安感というのが依然としてあるわけですよね。  同時に、私、これは政府も答弁の中でも言っていることですが、規制緩和あるいは構造改革というようなことをやった場合に、景気にとってプラスの面はもちろんあるけれどもマイナスの面もあるんだということは、これはそういう要素があることはお認めになると思うのです。  実は、今までやってきた規制緩和でどれくらいの、毎年景気に対してのいわゆる経済効果といいますか、これがあったかということを、例えば大店法や携帯電話などで大体毎年八兆円規模の経済効果があった、これは大体政府の方の言っていることです。これは単純にいい面、先ほど私プラスの面とマイナスの面があると言いましたが、プラスの面をずっと積み重ねていったものだということなのですね。  例えば、前にもこの委員会で質問も出てきました大店法の規制緩和、これによって、確かに大きな店がどんどん出店ラッシュが起こる。そういうところでは、結局、建設費においては新しい店舗をつくるのですからそういう部分での増加はあるし、売り上げも上がったというようなプラス面がある。しかし、その一方で商店街が寂れて中小商店はつぶれていったとか、売り上げが伸びないとか、こういうマイナス面があるわけでしょう。  これを経済白書はこんなふうな表現をしているのですね。九〇年代に入り、いわゆる自営業主と家族従業者が大幅に減少している。その要因として、「八〇年代の自営・家従の押下げ要因は、主として農林業であったのに対し、九〇年代に入ってからは卸売・小売業、飲食店の減少が目立っている」さらにこういう表現もありますね。「既存の中小零細商店の店舗数が大きく減少するような形で流通構造の変革が進行している」、こういう指摘もこの八年度の経済報告、白書の中に書いてあります。  こうしたマイナス要因というものが全く計算されずに、プラスだけずっと積み重ねていったら八兆円の経済効果があるんだ、こういうことだとか、あるいは成長率が〇・何%これで押し上がる。これは私、極めて過大な推計ではないかと思う。実際にそういう過大推計であるという意見もあるわけですけれども、長官にお聞きしましょうか、このことについてどうお考えか。
  348. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 今、委員から御指摘のありましたように、一九九〇年から九五年までの六年間の数字で、正確には七兆九千億、GNPにして約一・六九%影響があったという面は、おっしゃるとおりプラスの面だけが書いてありまして、その経済白書の中にも、それによって中小の例えば商店街がつぶれたとか、いろいろ負のあれはございます。例えば携帯電話がえらくふえたために公衆電話の設置が減っております。もっとつまらないことを申し上げれば、バンケットが自由になったので芸者が減ったとか、これは細かく挙げれば幾らでも、これはいろいろ影響が出てきておるのは私どももよく聞かされるところでありまして、地元でもよく聞かされるところなのですが、そういった負の効果を勘案していないことは間違いありません。それは白書にもそう書いてあるところでもありますので、そういったところは、規制緩和というのは相当いろいろな意味で、あれも生み出すことも確かですけれども、そういったマイナスの出ることも確かであります。その点は十分認識しております。  数字につきましては、調整局長の方から御説明申し上げます。
  349. 土志田征一

    ○土志田政府委員 御指摘のとおり、お示しいたしました試算はこれまでのトレンドよりふえた部分というのを取り出したものでございます。したがいまして、ほかの部面でマイナスが生じているかもしれないということはあろうかと思います。  ただ、全体として見れば、規制緩和が効果を持ったということは確実だと思っておりますし、御指摘の点で、例えば小売業の従業員というようなことを見ますと、これはこの期間でも増加をしておりまして、そういう意味では白書の言っておりますように、中小の商店が減った、他方において大型店がふえたところで雇用が拡大をしている、その方がマクロ的には大きいであろうというふうに判断をいたしまして、数値的にはどうかという点はあろうかと思いますが、プラスの効果がかなりあるという判断をしております。
  350. 矢島恒夫

    ○矢島委員 全体として効果があった、ただマイナスの面は考えない。よくわかりますね。マイナスをきちんと、こういう面がマイナスだ、例えば店舗が減った、売り上げが減った、それでプラスの面はこうある、差し引きこうなったんだと言えば私も納得しますが、マイナスの方はあるんだけれどもそのままわきへ置いておいて、それでプラスだけやって、全体として効果があった、こう言われてもちょっと納得できないですね。  マイナスの面、どのくらいに想定しているのですか。
  351. 土志田征一

    ○土志田政府委員 お答えをいたします。  その発表いたしました試算の資料にも書いてございますけれども、マイナスの点の数値的な把握ができていないということを書いてございますので、その部分は抜けておるということをそのまま正直に書いたところでございます。
  352. 矢島恒夫

    ○矢島委員 正直に書いたと言いますが、ぜひこういう部分はきちんと国民の前にわかるように、マイナスの面もどうやったら、今後研究してもらってやってもらいたいと思うのです。  ただ、これは経企庁の事務次官の糠谷さんが公研セミナー、昨年の十月に行った財界人を集めた講演なのですが、あなたのところの事務次官ですから、「公研」という雑誌にそのすべてが載っているわけです。  糠谷さんは、こういうことを言っていらっしゃるのですよ。いわゆる八兆円弱の問題ですが、これは例えば、先ほど出てきた大店法ですよ。  新規出店が加速された場合、設備投資も増え、新規のお客さんが来て、売上も増えたという効果があると同時に、その裏側では地方の中小商店街が潰れたとか売上が減ったという陰の部分もあるわけですから、そういったマイナス部分も本当は考慮しなければいけないと思います。ただ、どれだけ考慮すればいいかというのもなかなか難しく、そういう意味で私も成長率を〇・何%とか嵩上げするというのは正直言って過大推計だと思います。  経企庁長官、やはりこれは過大推計だ、こう判断してよろしいですか。つまり、今言ったのはあなたのところの事務次官が言ったことなんですが、糠谷さんが、規制緩和などによって、先ほど約八兆円、こういう効果が上がる、それでこれが景気を〇・何%押し上げた、かさ上げした、こういうようなことは意味がないんだ、過大推計だ、こう言っていらっしゃるのですが、過大推計でよろしいですか。
  353. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 七兆九千億の件につきましては、経済白書にも書いてございますとおり、先ほど負のところは書いてないと申し上げましたけれども、マイナスになった部分という面は白書にも書いてございますとおり認めていないわけじゃないのですが、要は、全部が全部、七兆九千億丸々ではなくて幅を持って見ていただきたいということを申し上げておるのであって、マイナスの面が七兆九千億を上回っているというわけではございませんので、その点は御考慮をお願いいたしたいと存じます。
  354. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この経済効果の問題はどうなのかという点については、難しい面があると思います。  しかし、ここで経企庁としては、やはりプラス面だけではなくてマイナス面をどう表現するかという、数字で出てくるんですから、片方は八兆円という金が出てくる、それで〇・何ポイント上げたと出てくるわけですね。しかし、それはプラス面だけであってマイナス面が全然考慮されていないということは、これはもうはっきりしているわけです。だから、そのマイナス面をこれらの数字の中でどう扱っていくか、ひとつ研究してください。これは研究しておいてもらえればいいですから。  次に移ります。  橋本総理も、いろいろ改革をやっていくとプラスの面もあるけれども影の部分、マイナスの部分もある、こういうことは言っておられるわけですが、もう一つ、この問題もいろいろ出てきている問題ですが、雇用問題なんですね。  これは、経済企画庁の外郭団体である日本リサーチ総合研究所というところが十二月に実施して、ことしの一月に発表したものなんですけれども、雇用不安があるということについては、先日ここで、私どもの方の佐々木憲昭議員が総括の中で質問し、痛みの部分として失業や雇用不安が含まれている、こういうことについては橋本総理も否定はしなかった。実際、財界では、規制緩和によってたくさんの失業者が出るんだぞということを言っていらっしゃる財界人もいるわけですね。  例えば、日経連が一月に発表しました労働問題研究委員会報告、ここでは、産業構造転換などが進めば一時的に雇用失業情勢が悪化する、失業率は現在の二倍程度に及ぶだろう、こうしていますし、経済同友会も「市場主義宣言 二十一世紀へのアクション・プログラム」、こういうのを発表しておりますが、この中で、ある程度の失業増加は避けられないとしています。この点について、さらに牛尾代表幹事が補足しまして、瞬間的には一〇%くらいという議論もあったが、五ないし七%ぐらいにはなる、こう言っているわけですね。  雇用不安というのは、その不安というマインドの問題ですが、これが景気を落ち込ませていく一つの要因でもあるわけです。先行き勤めていることができるかどうかという心配については、先ほど言いました日本リサーチ総合研究所がこういうのを出しています。「消費者心理に悪化の兆 し 懸念される消費マインドの萎縮」という中で、一つだけ、失業の部分だけ取り上げて言いますと、こういう調査結果を発表しているのです。「失業不安は再び上昇」「今後一年間に自分または家族が失業することの見通し」、こういう設問があるわけですね。それに対して五六・一%の方々が「不安」と答えているのです、非常に不安があると。この数字というのは最も高い水準なんですね。九五年二月の失業不安の急上昇以降では最も高い数値を示しているわけです。  そこで、一つは、こういう失業率の増加あるいは雇用不安というものが個人消費を冷え込ませている、こういうことは事実だと思うのです。そういう上に、今度は規制緩和だといっていろいろと、そうなれば雇用が流動しますね。そういう雇用の流動が激化してきて、財界人からも失業率は高まるよ、こういう発言も続いているわけです。  現在、この雇用不安というのはさらに増大しているわけです。ですから、こういう見通し政府自身も認めているのだろうと思うのですが、これでは個人消費は上向きにはならないと私は思うのですが、長官、この辺どうですか。
  355. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 過去五十年間にわたりまして、大体日本では年功序列、終身雇用などなど幾つかの神話があったと思っておりますが、そういう状態から、今の規制緩和、何々改革、一連のそういったものの中、長い、この数年間の間に、かつての終身雇用という神話というものの価値が下がってきた、これは事実だと思っております。  ただ、そういった中にありまして、今失業率の数字をおっしゃいましたけれども、これは、いわゆる自分の都合ではなくて会社から首になった、すなわち会社がつぶれたとかいう非自発的な離職という人の数というのは、平成七年ごろはそれが五とよく言われた。だんだん今それが下がってきて、今マイナスまでになってきているのに対して、逆に自発的な離職、すなわち自分の自己都合による退職、基本的には転職が多いのだと思っておりますが、そういった方の数字は逆に同じ五から一〇にふえてきております。すなわち、いわゆる会社のリストラによって首になったのではなくて、自分の都合で新しい仕事へ移っていった人が多いというのでありまして、同じ三・幾つの中でもその数字の内容は一つ大きく変わってきている点は御留意をいただきたいと思っております。  また、今おっしゃったように、これはちょっと長くなるかもしれませんが、基本的に一連の改革とか規制緩和は何のためかといえば、これは改革やら一連の規制緩和というのが目的ではなくて、これは単なる手段でありまして、その手段は基本的には、こういった規制緩和とか構造改革をやることによりまして、企業におきますコスト、いわゆる国際競争力の基本をなしております日本の高コスト構造、これは公共料金も含みますけれども、そういったものを含んでの高コストというものを下げる。下げるのが目的である。  下げることによって何が出てくるかといえば、当然のこととして、企業が海外に流出する、逆に言えば日本においては空洞化しなくなるための状況をつくるのでありまして、それによって、結果として企業は工場を閉めずに国内にとどめられるような、コストが下がるわけですから、それによって雇用が安定するというところでありまして、目的は、改革が目的ではなくて雇用の安定、ひいては家庭生活などなどのものが安定するというのが本来の目的でありますので、そこのところが、改革は単なる手段と思っております。  今申し上げた一連の経済構造改革の中で、私ども経企庁が担当しております、六つの構造改革の中の労働と雇用のところで申し上げさせていただきますと、昔ですと職業安定所に頼っておりました部分を、民間でもできます有料職業紹介所の取り扱い範囲の拡大を目指して、結果としてそういった不安というものを取り除くための準備なり体制を整えねばならぬといって、労働省などなどいろいろなところで御努力をいただいておるというところであります。
  356. 矢島恒夫

    ○矢島委員 国際競争力を高める、企業のコストを下げていく、改革を進める。しわ寄せが働いている人に行かないようにしないと、これは非常に重大な問題だと思うのですよ。コストを下げるのにどんどんリストラ、合理化だというのでやっていったのでは、これは政府が意図している改革とは、ねらった方向とは違う方向へ行く可能性もあるのですから、やはりそういうのにも十分目配りをしていく必要があるということは指摘しておきたいと思います。  そこで、大蔵大臣にもお聞きしたいのですが、先ほど大臣、いろいろ改革を進める中で、年度後半には軌道に乗るんだということをおっしゃいました。やはり、今ずっと私もいろいろと企画庁長官に聞いてきたわけですが、経企庁長官の答弁の中でも、やはりこの先行きの場合の中で、確信を持って、規制緩和によってマイナス面もあるんだけれどもプラスだというところだとか、あるいは雇用の問題、いろいろ対策を立てる、立てる中でこれを実行していこうという方向も出されましたが、あるいは先ほどの過大推計の問題、これは経済企画庁の事務次官の方の発言ですから、言うなれば自分で計算した方の御意見でそういうのが出ているというようなことだとか、いろいろ考えていきますと、来年度の提案されている予算というのは、そういう不安というものを国民が持っているから、だから評判がよくないのですよ。改革だ何だといっても、これは目に見えてくるんじゃないんです、今現実にはまだやり始めようとしているわけですからね。それでこうなるよ、こうなるよと言ったって、なかなか国民は、雇用の問題にしてもあるいは景気の問題にしても、先行きいろいろな不安を持っているわけです。  この間の世論調査を見ましても、この予算が非常に評判がよくないというのが次々とあらわれているのですね。これは二月十一日の朝日ですが、消費税増税で暮らしに大きな負担となるとした人が七九%と出ている。二月二十日の中日新聞です。これは、消費税引き上げ反対が八三・八%。圧倒的ですね。さらに、二月十九日、これは時事通信ですね。来年度予算案を消費税を据え置きで修正すべき、こう答えた方が五三・九%で、予算修正要求の中ではこれがトップになる。  もちろん、国民の間のこういう世論調査結果だけではなくて、消費税というこの税制に賛成、こういう立場にある人たち、あるいは経済界、こういうところからも、来年度、この予算案の中で九兆円負担が増加するということは日本経済にとって大変なことになるという声を上げていらっしゃる経済界の方もいらっしゃる。先日行われた公聴会、内容については大臣御存じかと思いますけれども、野党の推薦した公述人はもとよりですけれども、与党推薦の公述人の方からも、この来年度予算はもろ手を挙げて賛成という状況にはならなかったんですよね。  ですから、来年度予算、とりわけこの九兆円の国民負担増、これが日本の経済に及ぼす深刻な打撃に対する国民の不安、こういうものをどう大臣受けとめていらっしゃいますか。
  357. 三塚博

    三塚国務大臣 総括して言いますと、政治の決断と執行の中で一番大事なことは、この国の展望なんです。国民生活の先行きの安定なんです。危機的な財政状況は、もう何回も申し上げておりますから省略をいたします。イタリーの後塵を拝するところまで参りました。  国鉄改革をやらさせていただいた最大のきっかけは、借金借金を払うという、これが破局的な状況になりました。国鉄職員二十四万人、国鉄だから政府がつぶれるまでは大丈夫だ、これが悲劇的な労働悪慣行、これが出ましたことは御案内のとおり。そういうことの中で、借金との決別を図るということで分割・民営に相なりました。  それが一つの例でありますが、そういう点で、本件を放置してイージーな道を政治として選ぶわけにいかないところに財政の危機があるということなんです。橋本内閣の浮揚と自民党の浮揚をかけて勝負をするのであれば、いい方向、やればいいわけです。しかし、それをやれば後世にツケ回しが行きますから、非常な決心をして借金との決別を図らなければならない、こういうことでありますので、お立場は違いますけれども、心の中では矢島さんもそう思っているんじゃないでしょうか。私はそのように理解します。
  358. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、いわゆる史上最悪の今の状況だと、財政的に。これをどう立て直すかという問題については、これはやらなければならないことですから、私たち、大臣御存じかどうかわかりませんが、財政再建十カ年計画というので、こういうところを削って、そして財政を立て直しをしょうじゃないかというのを提案しております。  ただ、私は、この間のこの理論の問題というのは、国民が、今言った世論調査やそのほかでもあらわれているように、来年の増税に対しては、やはりこれは困るという方向が多いわけですよ。あるいは、さらにもう少し言えば、増税に怒っている方もいらっしゃるわけです。しかし、財政再建財政危機だからこれは先送りできないんだと。どうして財政危機になったのか、その責任はどこにあるかということを、国民は全く説明されてないのですよ。ただそういうことで、大変な状況だから、大変な状況だからといって九兆円押しつけられたのでは、これじゃ国民、ああそうですがというので納得するわけはないし、理解をするわけもないと思うのですよ。  景気の回復が遅い、特に個人消費の問題、ずっと今経済企画庁長官といろいろやってまいりましたが、完全に回復なんという状況ではないことは確かであります。こういうときだからこそ、やはりむだを省いて、削減すべきところは削減して、財源をきちんと立て直していくということが必要だ。  それで、建設大臣、いろいろなことで、きょうは私呼んでおりませんからあれですけれども、一番国民がむだが多いなという批判の中心にあるのは、公共事業、その中でも大型プロジェクトですね。ですから、私、これから大型プロジェクトの問題でお聞きしたいのです。経企庁長官、もう結構でございます。官房長官の方にお聞きしたいと思うのです。  橋本総理の行革担当補佐官で、それで総理直轄の行革会議事務局長である水野元建設大臣、公共事業として行われた大型プロジェクトはうまくいっていない、こういう認識を示していらっしゃる。この水野さんは、総理補佐官になる前は自民党の行政改革推進本部長であったと思うのです。この水野さんが産経新聞のインタビューに答えて、本四架橋それから東京湾横断道路、むつ小川原開発などを具体的に例に挙げて、ことごとく失敗していると言っているのですね。  例えば、こういう表現で、これは産経の九五年の十二月十七日の朝刊です。この中で、  総務庁の監査で指摘された北東公庫(北海道東北開発公庫)を通じて融資をしている苫小牧開発、それからむつ小川原の開発、それぞれ一千億円以上の穴をあけている。返すあてはない。 ということだとか、あるいはこういう中身のことも言っていらっしゃるのですね。  大体四国に橋を三本かける必要はなかったんです。これは官僚の責任というより政治の責任です。いま考えればね。われわれの尊敬していた大先輩の総理大臣まで人気取りに押されて一生懸命おやりになった。あの当時、おかしいと考えた人もいたけど声が小さかった。 さらに、  われわれの周辺で大型プロジェクトは全部穴があいていますよ。東京湾の横断道路だって、私も建設大臣のときやったんですけど、あれは五千円で川崎から木更津に渡れないと、お客は湾岸の道路に逃げるんです。ところがいまの計算では工費がどんどん増えて七、八千円の料金をいただかないとペイしないでしょう。完成するとまた大変なことが起こるはずです。 こういうことを産経で書いてあります。インタビューに答えているのです。  もちろん、水野さんは行革担当補佐官です。これを言ったころは自民党の行政改革推進本部長ということです。  官房長官にお尋ねしたいのは、こういう大型プロジェクトがことごとく穴があいている、それは政治の責任である、こういうふうに指摘していらっしゃるのですが、官房長官、このことをどう受けとめられますか。
  359. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私をお呼びになって何をお聞きになるのかと思って、実はじっと座っていたのですけれども、この一つ一つの事業の評価やその積算を、今お示しになった水野さんの言葉のように、私は残念ながら評価や積算をいたしておりません。間違ったことを答えることは大変失礼にも当たりますから、勉強させていただきたいと思います。
  360. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、全部、その細かいことを官房長官答えてくれと言ったのじゃないのですよ。ことごとくこれは穴があいているという問題、それから、それは政治の責任だ、こう指摘した部分、これをどのようにお受けとめになっているか、ここだけなのです。
  361. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 その一つ一つ穴があいているという評価、このこと自身に関して、私は積算をいたしておりません。それから、ことごとく政治家の責任だといえば、これはもちろん、成功の場合も不成功の場合も政治家の責任であることには間違いはございません。
  362. 矢島恒夫

    ○矢島委員 首相の補佐官のこの発言ですが、これすらそういうお答えしかできないわけですけれども、財政について、あらゆる分野に聖域は設けない、こういう御答弁が何回かあっているわけです。一般論で聖域は設けないといっても、こういう既に進んでいる、先ほど挙げたような大型プロジェクトですね、これはもう済んだこととするのか、それともこの財政危機を招いた一つの要因として、こういうものにもメスを入れていくのか、内閣の姿勢が問われる問題だろうと思うのですね。  そこで、官房長官としてこの問題をどうこれから取り組んでいくか、お答えいただきたいと思います。
  363. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 過去ないし現在までにおけるそれぞれの政策遂行のためのいろいろな事業、この評価をすべて私は個々にはいたせないと思うのですが、結果として今日欠陥を生じているわけでありますから、総体的な反省はしなければならない。なおかつ、それに基づいてどんな立て直しをしなければならないか、それが今日的な私は政治の中心課題であろう、このように考えます。
  364. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ、この部分も聖域としないで、十分に検討していただきたいと思います。  官房長官もう結構でございます。  さてそこで、首都移転問題で国土庁にお聞きしたいと思うわけです。  やはり、今現在進められている、いろいろと問題が起きているそのような大型プロジェクト、これもこのままどんどんどんどん進めるのだという状況ではない、そういう中で、今後、巨額の税金を投入して大きな穴をあけかねないその典型が首都機能移転だと思うのですね。  首都機能移転について国会等移転調査会が報告書を出しておりますが、そこには十四兆円というのが書かれておりますけれども、実際には二十五兆円にもなるという話も出てきています。財政危機といいながら、なぜこんな巨費を投じて首都機能移転をやるのか、その目的はどこにあるのか、こういう問題です。  当初、首都機能移転をするのは東京の過密解消、こういうのが挙げられていたわけですが、国会の決議の中でも、人口の過密、地価の異常な高騰、良好な生活環境の欠如などを挙げながら、そういう状況に陥っていることを理由として挙げているわけです。  そこで、これは国土庁の事務方でいいのですけれども、平成七年十二月に国会等移転調査会が報告書をまとめております。東京の過密軽減に直接的に寄与するとして挙げられているのはどのようなことかを教えていただきたい。とりわけ、例えば通勤混雑がこんなふうに解消するとか何か、たしか計算されて数量的に上がっていると思うのですが、その部分をちょっと。
  365. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の国会等移転調査報告では、交通の問題でありますとか幾つか指摘されているわけであります。  まず、地下鉄の関係でまいりますと、国会でありますとか中央官庁が存在いたします。辺で、地下鉄の混雑率、ピークで一〇%程度の緩和がなされる。あるいは首都高速道路、都心環状線でありますけれども、交通量で三%程度の減少が見込まれる。そして、国家公務員等宿舎の跡地が出てくるわけでありますが、ここで、これは年によりましてマンションの供給量が違いますので、二、三年分ぐらいの供給が期待できるのではないか。  そして、これらに加えまして、やはり同調査報告書では、今までの、東京に対しまして集中が集中を呼ぶメカニズムというのがあったわけでありまして、こういう集中が集中を呼ぶメカニズムを打破し、企業が必ずしも東京に立地選択をすることのない方向に行くのではないか。それから、外国の場合には、第一の都市、その国の一番大きい都市に首都が置かれた場合には集中傾向が出ているわけでありますけれども、今度はそういうことでなくなりますので、国土構造の改編、再構築が期待できる。最後に、すべてが東京ということからきます東京志向といいますか、感覚、気持ちの問題でありますけれども、そこがかなり大きな影響が出てくる。  結局、機能集中あるいは過密軽減に効果が発生する、こういう報告がなされております。
  366. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今答えていただきましたが、直接的な過密解消に寄与する部分というのは、霞が関、永田町付近の地下鉄の混雑率の一〇%程度の緩和、首都高速環状線、これの交通量の三%程度が減少する、それから優良な土地が提供できるとか。しかし、首都圏三百万人のうち、実際に首都から移るのは三十万だろうと言われている。一%。この報告書でも、東京の過密の弊害の軽減に直接的に寄与するものと言って出したのが、大上段に振りかぶったものの、今申し上げたような効果しか予想できない。涙が出るほどいじましい数値だけです。  東京都がやはりいろいろパンフをつくっていますが、「首都機能の移転が私たちのためになるの」というパンフレットの中で、この混雑問題を取り上げているんですね。通勤混雑の率ですが、現在の一九四%が一九二%にしかなりません。新聞も読めない状況に変わりはありません。こんなのが出ています。  国土庁長官、今いろいろと政府の方からこの報告書の内容などを言われたわけですが、長官として、大体直接的な寄与というのはそんなものだな、こういうことでしょうか。
  367. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 委員が挙げられました具体的なそういう数字も大切なことだと思います。しかし、今世の中が閉塞状況の中にあるときに、二十世紀から二十一世紀という、世の中が、経済も社会の構造も大転換をしていく、ある意味では私たちの時代の、生きていく人々の考え方が変わっていく。そういう時期に、民族が、私たちの国がいろいろな過去を清算をして、そしてこの財政構造にいたしましてもさまざまなものを我々は見直していく、そういうことは必要でありますが、新しい時代に向かってやはり民族がチャレンジをする、そういう明るい未来に対する考え方というものは、国にとってはいつも私は必要だというふうに思っています。  例えば、昭和三十九年のあの東京オリンピックのときに、時の政府あるいは実力のある大臣が決断をして、夢の五百十五キロ、東京—大阪間の新幹線を実現をしました。それは、日本のあの時代にとっては一つの大きな夢とロマンだったと私は思います。  そういう意味では、新しい情報通信時代という二十一世紀に向かって、政治都市を私たちがっくる。ワシントンとニューヨーク、あるいは中国では上海と北京。そうした他国、隣国の国づくりや都市づくりを見ましたときにも、東京にもし大きな阪神・神戸のような震災があったらどうなるか。  やはり私は、首都機能の、新しい国会等移転というのは、そういう意味で二十一世紀への夢とまさにロマンをかけたチャレンジにもなるというふうにも思います。そういう意味で、精神的な、地方分権や新しい時代をつくるという意味の非常に大きな歴史的な意義があるというふうに認識をしております。
  368. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、直接的な寄与というのをお聞きしたら、やはり挙げるものがないんですわ。ですから、間接的な効果は幾つかそれなりに挙がりますが、最後は精神論になってきます。  どうも、この首都機能移転の目的は何だったのか。そもそもの目的からいろいろ変わっているんですよ、いわゆる過密解消だということから。いろいろな理由をくっつけて、何とか首都機能移転の正当性を言おう言おうとするから、余計無理が出てきて、いろんな問題が出てきちゃう。つまりこれは、大型公共事業、つまりビッグビジネスが先にあった、それで後から理由がくっついてくるなんというやり方だ。  一つ私聞きたいのは、空き地の問題なんですよ。これはやはり橋本総理も言ったんですよ。二百十ヘクタールある、貴重な空間だ、こういう答弁をされているんです、この委員会で。これについて私、国土庁に、どういう空き地の内容かというので、資料をくれと言いましたら、庁舎として、国会、最高裁、各本省庁内部部局、これが八十・四ヘクタール、そのほか宿舎、百三十二・二ヘクタールという、これ一枚きりくれないんですよ。  それで、実は、どうせ積み上げて出してきた一つの数値でしょうから、どういう省庁の庁舎が移転するとこれだけ土地が出てくる、この宿舎が動けばこれだけ、ずっとまとめるとこのいわゆる二百十ヘクタールになるんだよ、こういう資料を出してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  369. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  現在、中央省庁のあり方についての各種の御議論があります。それに加えまして、今移転先地を選定するという段取りでございまして、その先、具体のどの省庁が対象になるかという議論まで現段階では及んでおりませんので、現段階では試算は難しいかと存じます。
  370. 矢島恒夫

    ○矢島委員 これ、出したんですよ、二百十ヘクタール、こういうのを。これはどうやって出したんですか。積み上げたんでしょう、やはりだったら、そういう資料あるんじゃないですか。いや、もういいです、時間がなくなっちゃったから。  ぜひ委員長、資料をこの委員会に提出するように、理事会でお諮りいただきたいと思いますが。
  371. 深谷隆司

    深谷委員長 理事会で協議いたします。
  372. 矢島恒夫

    ○矢島委員 あと、時間がわずかになりましたので、財源の問題で大蔵大臣に聞きたいんですが、先ほどもちょっと出ましたが、調査報告では十四兆円、本体だけで二十五兆円だということも言われていますし、道路や、それから空港だアクセスだというとどれだけかかるかわからないという、こういう発言まで出てきているというわけですね。それで調査報告では、「その詳細なあり方については、今後適切な時期において検討されることが望ましい。」とだけになっちゃっているんですよ。  首都機能の移転ですから、国会とか最高裁判所だとか、あるいは中央省庁、それから宿舎にしても、公務員宿舎。こうなりますと、大体国費で行われるのが普通だと思うんです、この移転については。そうすると、移転先がどこになるかは別として、移転先を、私は北関東ブロックですから、茨城や栃木の方の移転の候補地を見て回ったんですが、そこへ持ってこいと言うんじゃないですよ、私は。問題があるということで行ったんですが、そういうところの自治体は非常に財政規模が小さいわけですよ。そうすると、六十万都市だといったって、上下水道だ、小学校だ、あるいは中学校だ、保育園だとなると、地元の財政力から見ても、やはり国が相当持ち出しをしなきゃ無理だろうと思うんです。ですから報告書にも、国の適切な支援が必要、こう書いてあるんですね。  この財源、どうするんですか、大蔵大臣
  373. 三塚博

    三塚国務大臣 これは国会で決め、国会で法律を制定し、審議委員を選任をいたしまして、ただいま二年をめどに結論を出すべく協議が行われておるという事実がございます。  それと、財源は、当然国費が中心になることは間違いないでしょう。
  374. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いや、今の財政危機という状況の中で、二十五兆円とも、もっとかかるだろうとも言われる。あるいは地方財政への応分な負担も必要だ。これはどこから出すんですか。国費が必要だったら、いわゆる赤字国債発行するんだとか、こんなことできませんし、六百三十兆円というのは、これはひとつ見直す必要があるというのが圧倒的ですよね。  ただ、宇野会長はこんなことも言っているんですよ。国会等移転調査会の会長ですよ。宇野会長は、六百三十兆円使うという公共投資があるんだから、仮に二十兆円かかったといたしましても、国会移転が非常に大事だと思うんならこれが使われるでしようというようなことだとか、この六百三十兆円があちこち出てくるんですよ。私議事録持ってきたんですが、まあすごいです、それは。  ですから、そういう六百三十兆円については、もう聖域にしないでいろいろ見ていくんだと、こう言っているんですよ、答弁で。だから、これも聖域にしないできちんと見直す。まだ財源がどうなるかもわからないんでしょう。国会で決めていただくんですと言うけれども、じゃ実際に、大蔵大臣大蔵大臣がどこからどれだけ出すかということを決められるわけですよ。そういうのをひとつ聖域にしないできちんと見直していくというお考えでございますか、これも。
  375. 三塚博

    三塚国務大臣 これは国民の論議の決するところ、一つあります。国会提案、各党提案の中で決まったものでございますという意味において、国会論議。もう一つ大事なポイントは、財政構造改革の真つただ中にあるわけでございますから、まず体質を強化をしていかなければならないと申し上げておるわけです。  そういう点で、ナショナルプロジェクト、伊藤長官が言われておりますように、壮絶なプログラムであります。人心一新であり、地震大国日本が安全な地域に、国家安全保障の観点から指定する場所にと、こういうことでありますし、行政改革の全くエッセンスでもあります。こういうことを考えますと、国会で決めて、発議をして決めたものですから、真剣にやる。財源はまさに行財政改革の中で、国民論議の中で取り組んでいかなければならぬ。
  376. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間がなくなっちゃいました。  最後に、九兆円というものの負担が経済に対する影響というのは非常に大きいということや、あるいは規制緩和というものの経済効果というものも期待できないというような中で、大型プロジェクトや首都機能移転などというところへこれだけ使うんだよとなると、国民はやはり納得しないですわ、これは。  ですから、先ほども出ましたけれども、政府はかたくななこの態度を改めて、そして国民や、あるいはこの国会の論議を十分踏まえて予算を修正するというような決断をすべきだと思うんですよ。我が党は予算組み替え動議を提出しますので、ぜひこれに対して明確なお答えをいただきたい。  終わります。
  377. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて石井さん、中路君、矢島君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十八日午前九時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十三分散会