○平田
委員 総理ではありませんが、
大蔵大臣が代表してお答えいただいたと私は思いますが、あちらの方で大きな声で手を挙げておられる方もおいでになりますけれども、本当にきちっとした態度をとっていただきたい。本当に情けない、そういう思いでございます。
では、次の質問に移りたいと思いますが、これは
規制緩和の話です。事は非常に細かい話なのですが、私は大変重要だと思って取り上げさせていただきました。
今度、不動産特定共同事業法の一部改正
法案が建設省から出てくるわけでございますが、そこの中で、何でこんなことをやっているのだろうというふうに思うところを、まず二点
指摘をしておきたいと思います。
不動産共同投資事業というのは一体何なのかというのがわからない方もおいでになるかと思います。要するに、大きな不動産事業、これはディベロッパーがやるわけでありますが、以前は、
銀行からディベロッパーが借金をして、そして自前の開発をして、そこにテナントを入れてテナント料をもらって、そして融資金の元利を返済していく、こういうことで事業をやっていたわけでありますが、これだと返済するまでに二十年あるいはそれ以上かかってしまうということで、ディベロッパーとしてもなかなか次から次へと新規の事業をやっていけない。
これは、民間主導の社会資本整備、こういうものも遅滞させる大きな原因になっているわけでありますし、また、景気の回復という視点からしますと、もっとこういうあたりがいろいろな民間活力を使って事業を展開してもらいたい、そういうことからすると何か知恵を出さなくてはいけないということで、
一つのプロジェクトでディベロッパーが建てたものを小口に
投資家に販売をして、そして一定の利回りがつくような、そういうメリットのある
商品にして販売をすることによって、
銀行からの融資ではなくて直接
投資家から、すなわち、普通は
投資家が
銀行に預金をして
銀行から融資を受けるのですから間接
金融なわけでありますが、
投資家から直接融資を受けるわけですから、これは直接
金融ですね。そういうふうに転換をして事業をどんどん進めていく。これは、ディベロッパーも自分のところのリスク負担が相当軽減されますから次から次へと事業展開ができますし、また、巨額なものも可能になっていく、そういう展望を持って二年前につくった法律でございますが、これががんじがらめの
規制に遭っておるわけです。
最初は建設省所管でずっとやっていたのですが、いよいよ
法案を出すときに
大蔵省は
大蔵省の共管にしてくれといって、
大蔵省と建設省の共管になりました。私はこの
法案の成立に、当時建設
委員会の
理事もやっておりまして、推進をした一人でございます。
与野党ともに推進をしたわけでございますが、しかし、出てきたものは、政令、省令だけではなくて通達でがんじがらめの
規制をやっている。
先ほど申し上げましたように、小口で出資持ち分を
皆さん持っていただいて、それで
銀行利回りと同等あるいはそれ以上の利回りを得て、場合によったらそれを現金化することが容易にできるというようなシステムにしないといけないはずなのですね。そうしなければこの法律をつくった
意味がない。
にもかかわらず
規制ががんじがらめというのは、まず
一つは、その出資額が、金銭で出資をする場合は一億円以上でなければいけませんよという規定になっているんですよ。
一般国民で一億円もの現金出資なんてする人は、まあできませんわ、あり得ませんわ、よっぽどの
お金持ち。
しかも、その出資持ち分を
理事長以外の第三者へ売っちゃいけませんよ、こういうことになっているんですよ。
理事長というのは、出資者が匿名組合とか無名組合をつくって、そしてその代表者として全体の事業を執行する、その
中心者を
理事長というのですが、要するに事業の
中心的な
責任者、その人だけに売ってもいいけれども、要するに買い戻しみたいなものですが、買い戻しは認めるけれども、第三者に転々譲渡させることはだめだというわけですよ。
つとにもう
皆さん御承知のとおり、
日本は間接
金融でずっとやってきました。しかし、もう直接
金融の
時代だ。また、千二百兆円もの個人
金融資産をどう回していくのか。
銀行という細いパイプでは、不良債権を抱えて身動きできない
銀行だけでは、本当にこの千二百兆円の血液が回っていかない。だから、これをいかに回すか、こういう大議論がされているわけですよ。その切り札として、まさにこの不動産特定事業をやるべきだ。今までは法律がなかったのでいろいろなトラブルが起きた。しかし、起きないようにきちっとやろう、こういうことでつくったんです。
私は、正確な表現ではありませんが、これは一体何かというと、
基本的にプロジェクトごとの担保つき社債なんですよ、プロジェクトごと。会社全財産を担保にする社債というのは今までもありましたね。工場だけを担保にするという社債もありますが、要するに、ディベロッパーがこれをやろう。例えばショッピングセンターをやる、あるいは
一つの町までつくっちゃう、ショッピングタウンですね、そういうものをつくって、そしてそれを販売するわけですが、その
一つのプロジェクトを担保にした社債みたいなものなんですよ。
だから、それを有価
証券にして、その出資持ち分は本来転々と譲渡させる。ドイツなどは、それは五兆円の
市場があると言われているわけですよ。
日本だったら十兆や十五兆すぐになってもおかしくないんです。千二百兆円の個人
金融資産を動かすには、今恐らくこれしかないだろうと言われている。公共事業をやるんだとか政府はおっしゃっていますが、その前に、民間のこういう金がスムーズに動くようにしてもらわないといかぬ。それを、法律でもない、政令でもない、省令でもなくて通達で
規制しているんですよ。こんなばかな話はない。
片っ方で、現物出資、一たん融資を受けてその物を買って、それでその全体的な事業者にそれを提供する場合は一口五百万円でいいですよという規定になっている。しかし、それをやるためには、一たん出資者に不動産の名義変更をしないといかぬ。名義変更をするためには登録免許税、登記をしなきゃいかぬですから。不動産取得税がかかる。そういう負担をした場合は五百万円でいいですよ、一口五百万円ですよ。そうじゃなくて、直接現金を出資した場合は一億円以上でなければならないですよ。何でこんな、五百万と一億で二十倍もの差をつけないといかぬのですか。片っ方、五百万出資の場合は税金の負担が重い。だれもやろうとしないですよ。利回りもなくなりますよ。こういうことを通達でやっているんですよ。これは
大蔵省がやっているんですよ。いや、建設省共管だと言われるから建設省も仲間なのかもしれませんが、どうも建設省よりも
大蔵省なんです。
それで、よう聞いてみると、
金融制度改革をやるからこういう
金融商品は今はやらせないんだ、こういう考え方のようですわ、新規のものは。じゃ、何で二年前に法律をつくったんだという話ですよ。さっきの予算と
一緒ですわ、予算はつくっておいて執行は別だという。こういうばかなことをやっとっちゃ、
橋本内閣の本当にメッキがどんどんはげていくわけです。そもそも通達などで、課長でも通達を出されるんですよ。そんな程度で、一番重要な首根っこをぐっと押さえてしまう。
私は、法律ができて、あと政令等の附属の法令をつくるときに言ったのは、もう
市場原理に任せなさい、こんなのは担保つき社債だから監査をきちっとやればいいんだ、政府が出ていってあれこれ
規制をする必要はないんだ、監査をきちっとやればいい、要するに会社の監査役と
一緒だ、会計監査は公認会計士にやらせる、あるいは法律上の
問題点は弁護士にきちっと監査をさせる、そういうシステムをつくれば、そんなお役所が出てこなくたって
市場原理のままにうまくいくはずですよというアドバイスまでしたんですが、もうがんじがらめ、
時代に逆行する
規制をしてしまいました。
大臣、余り御存じなかったのかもしれませんが、役所はこんなことをやっているんです、
大臣の目を盗んで。
大臣、これは本当に私は、与党
野党立場は違いますが、この景気をどうするのか、千二百兆円の金を回すしかないんだ、これはどの学者も口をそろえているわけですよ。
政治家もほとんどがそういう認識ですよ。そのときに、今これ以外に何が切り札があるんだ、ないんですよ。民間の資金を使って社会資本整備もできるんです。
そして、もう
一つこれに言わなければならないのは、最近新しい土地政策要綱が発表されましたね、総合土地政策要綱。土地利用の促進だ、こういうふうに大きく打ち出されました。
私は、この不動産共同投資事業は、土地を買ってやったら絶対失敗する。なぜならば、まだ下がっちゃうかもしれないから。キャピタルゲインどころじゃなくて、損失の方が拡大してしまう。だから、やるんだったら土地は定期借地権でやらなくちゃいけませんよ。ディベロッパーも、まさにそうです、こうおっしゃっているんですが、だけれども、これがまた
大蔵省が大きな壁になっているんですよ。
地主さんが土地を提供しますよといって土地を提供して、いざ相続になった、相続になったら、普通の賃貸借だったら底地の相続税評価は五割以下ですよ。それなのに定期借地権だと八割だというんですよ、八割。しかも五十年間返ってこないんですよ、定期借地権は
基本的に。まあ二十年というのもありますし、もっと短いのもないわけじゃありませんが、
一般的借地権は五十年ですよ。
一般的借地権、五十年で八割の底地評価を認めるわけです。これでは地主さん、こんなもの提供して、相続が始まったらだれも買ってくれない。相続税はどかっと来る。こんなことでは定期借地権などというのはだれもやろうとしないですよ。
じゃ、今までの普通賃貸借はどうなのかといったら、御存じのとおり、今までの普通賃貸借は法定更新というのがあるから、期限を決めておいてもどんどん期限延長されちゃうから、いつ返ってくるかわからない。そのデメリットを回避するために定期借地権というのを設けた。設けたら今度
大蔵省が出てきて、税金でがんじがらめにして使わせないようにしている。
大蔵省というのは一体何を考えているんですか、ここは。
財政再建だとかなんとかと言いながら、景気回復だとかなんとかと言いながら、実際上切り札は全部絞り上げているんじゃないですか、使わせないようにしているんじゃないんですか。
大蔵大臣、御存じなかったですか、この話も。なかったと思いますね、そのお顔の御表情では。(発言する者あり)ああ、そうでしたね。
こういうやり方をやっていたら、
橋本内閣はいつまでたっても
言葉だけです。目の前のことをやろうとしないんです。通達を廃止してください、これは。それから、定期借地権は、これは国税庁の取り扱いでしかありませんから、これも直してください。普通賃貸借よりももっと安くなってしかるべきですよ、五十年間拘束されるんですから。そして、普通賃貸借の場合は二十年で評価するわけですから、
基本的に。
ぜひこれは、お役人の
答弁ですと従来の
答弁しかありません、
政治家の論議をしましょう、
大臣。
官僚が壁になっているんです、
規制緩和とか
行政改革というのは。それを打ち破ろうとするときに、
官僚が
答弁していて、どうして打ち破ることができるんですか。(
三塚国務大臣「言い分を聞いて、私言いますから」と呼ぶ)そうですが。