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1997-02-25 第140回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十五日(火曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    石川 要三君       臼井日出男君    江藤 隆美君       尾身 幸次君    越智 伊平君       越智 通雄君    菊池福治郎君       桜井  新君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    中山 正暉君       葉梨 信行君    松永  光君       村上誠一郎君    村山 達雄君       谷津 義男君    愛知 和男君       愛野興一郎君    太田 昭宏君       岡田 克也君    鍵田 節哉君       北側 一雄君    北脇 保之君       小池百合子君    田中 慶秋君       田端 正広君    中井  洽君       西川太一郎君    西川 知雄君       原口 一博君    平田 米男君       安住  淳君    生方 幸夫君       海江田万里君    末松 義規君       日野 市朗君    木島日出夫君       辻  第一君    松本 善明君       矢島 恒夫君    上原 康助君       北沢 清功君    岩國 哲人君       新井 将敬君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君  出席政府委員         首席内閣参事官 太田 義武君         内閣総理大臣官         房内政審議室長 田波 耕治君         内閣法制局長官 大森 政輔君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁警備局長 杉田 和博君         総務庁長官官房         審議官     瀧上 信光君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁物価         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務大臣官房領         事移住部長   齋藤 正樹君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省経済局長 野上 義二君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房長 涌井 洋治君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省関税局長 久保田勇夫君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         国税庁次長   堀田 隆夫君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         文部省体育局長 佐々木正峰君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生大臣官房審         議官      江利川 毅君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省薬務局長 丸山 晴男君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省経済         局長      熊澤 英昭君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         農林水産省畜産         局長      中須 勇雄君         食糧庁長官   高木 勇樹君         林野庁長官   高橋  勲君         通商産業大臣官         房長      広瀬 勝貞君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       今野 秀洋君         通商産業省基礎         産業局長    白川  進君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         中小企業庁小規         模企業部長   篠原  徹君         海上保安庁長官 土坂 泰敏君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         郵政省貯金局長 品川 萬里君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君  委員外出席者         参  考  人         (国際協力事業         団理事)    小澤 大二君         参  考  人         (国際協力事業         団理事)    松本 紘二君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ――――――――――――― 委員異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   石田 勝之君     原口 一博君   田中 慶秋君     西川太一郎君   海江田万里君     末松 義規君   仙谷 由人君     安住  淳君   松本 善明君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   西川太一郎君     北脇 保之君   原口 一博君     田端 正広君   安住  淳君     仙谷 由人君   末松 義規君     海江田万里君   辻  第一君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   北脇 保之君     鍵田 節哉君   田端 正広君     石田 勝之君   木島日出夫君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     田中 慶秋君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。  平成九年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は  第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣総理府(ただし経済企画庁環境庁国土庁を除く)並びに他の分科会所管以外の事項  第二分科会は、法務省外務省大蔵省所管  第三分科会は、文部省自治省所管  第四分科会は、厚生省労働省所管  第五分科会は、総理府環境庁)、農林水産省所管  第六分科会は、総理府経済企画庁)、通商産業省所管  第七分科会は、運輸省、郵政省所管  第八分科会は、総理府国土庁)、建設省所管 以上のとおりとし、来る三月三日、四日の両日分科会審査を行いたいと存じますが、これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 深谷隆司

    深谷委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  お諮りいたします。  分科会分科員の配置及び主査選任、また、委員異動に伴う分科員補欠選任並びに主査辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 深谷隆司

    深谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  次いで、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  5. 深谷隆司

    深谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  6. 深谷隆司

    深谷委員長 平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  7. 愛野興一郎

    愛野委員 きょうは、私は、この原口君と関連で、親子二人でひとつ質問を分担してしたいと思っておるわけであります。  まず、私は、例えば今活躍をしておる党首クラス政治家の中で、もはや船田元君とか鳩山由紀夫君とかあるいは鳩山邦夫君とかは戦後生まれの、これはもう希望する希望しないにかかわらず二十一世紀を受け持っていかなければならぬ政治家であります。そういう観点から見ると、どうも我々は、戦後復興をなし遂げた、やり遂げた政治家で、まことにこれは気楽なもののようでありますが、これからの戦後生まれ人たちが受け持っていく政治というものは大変なものであろうと思います。  この前も参考人から聞いてみると、会社ならもうとうに倒産しておるであろう、一時間に三十億ばかりの借金をずっと日本は積み重ねておるという。何でもかんでも、ひょっとすると我々は戦後復興の苦労に誇りを持っている、それはいいが、今度はその後の問題について、これはずっと先送りをしておるのではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。  そういう意味で、農業問題もその最たるものであるというふうに考えるわけでありまして、私ども年代が今の日本農業を受け持っておる、そうして、幸いにして後継者になってきた奥さんと私ども年代日本農業を受け持ち、その後継者たる息子さんたちは、学校の先生会社やあるいは地方の役人になっておるというのが今の現状であります。  我が佐賀県を見てみれば、これはもう本年度、農業後継者になった者は、四十歳以下、五市町村でゼロ人です、一人もいないわけであります。そして農協職員と結婚する女性というものはおっても、農業従事者と結婚する者はいないというような状況であります。やはりこれはもう与野党の垣根を外してざっくばらんに、二十一世紀農業をどうするかということを考えなければならぬ時期に来ておるのではなかろうかと思うが、農林水産大臣の御意見を求めます。
  8. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 お答え申し上げます。今の農業につきましての委員の強い危機意識、私も同じ思いでございます。  何よりも、どの産業にとりましても後継者が一番大事な問題でございまして、後継者を養成するというか後継者を育成するというか、そういう面と、まだそういう農業後継者として、日本農業のために働こう、こういう意欲を持ってもらえるようなそういう農業にしていく、そういうことが非常に大事であろうというふうに思うわけでございまして、魅力のある農業、そういう農業を築いていくために、いろいろな施策を組み合わせて取り組んでいかなければならない問題だと思います。  もとより、国民にとりましては、必要な食糧を安定的に供給するということは政治の非常に大きな基本的な責任でございまして、その責任を果たす意味からも、農業後継者が育成できるように、また後継者として農業に入ってきていただけるように、そういう観点から取り組んでいくことは当然のことだと思っております。
  9. 愛野興一郎

    愛野委員 ちょっと経済企画庁長官にお伺いをしておきますが、生産性は上がり、そうして実際に豊作であるにもかかわらず、それがいわゆる農 業全体の足を引っ張るということで、本来毎年豊作でなくちゃいかぬのです、農業は。そのためにこんな膨大な圃場整備事業をやっておるわけですから。大体、豊作であるから減反をして米づくりはやめなければならないというのはノーマル自由経済社会政策であるのか、アブノーマルであるのか、ちょっと経済企画庁長官に感想をお伺いしたい。
  10. 麻生太郎

    麻生国務大臣 質問の通告がありませんでしたので、これは私の私見でありますけれどもノーマルアブノーマルかというその定義がちょっと難しいのだとは思いますけれども豊作であるのはこれは需給のバランスがとれておらぬということなんだと思いますので、そのまま手を離してほっておけば、米が、農産物が、その他食物がどんどん上がっていけば、当然のこととして、価格が決まっていなければ値段が下がりますので、値段が下がればつくる人が減ってくるという形になってきて、生産者が逆に減ってという可能性が多分、いわゆる市場の手にゆだねればそういう形になる。それが本来のあるべき姿だというのであれば、今のような形でどんどん物は余っていく、価格はそのまま維持されているというのは、その本来の形からいけばアブノーマルな形ということになるのだとは思いますけれども、ちょっとそのノーマルアブノーマルが今の状況でなかなか定義がされにくいところですし、また今後とも、食糧自給率の確保などなど、いろいろこれから先の二十一世紀を見詰めた場合、食糧というのは非常に大きな問題だと思いますので、これは政策判断が極めて難しいところだということが、私の今答えられる範囲であります。
  11. 愛野興一郎

    愛野委員 私は、今冒頭申し上げましたように、息子時代日本というものを考えておるわけですから、そういう意味では、今の若い農業者は、インターネットで各市場を呼び出して、そしていつごろイチゴを出荷した方がもうかるのか、あるいはメロンをどこの市場に出荷すればもうかるのかという、我々の時代のあれとは違った形でやっておるのですね。でありますから、米市場も、やはり系統と農林省とで束縛をしたような米市場農業というものが二十一世紀も通っていくかどうかというのは、やはり若い人たち自体判断をしておると思うのです。そこも一つ後継者不足の原因になっておる。  これはみんな信用せぬが、私は四十年ばかり前に農協長を十年やったのですよ。実際農業現場のことは何も知らなかったですが、農協長をやった。(発言する者あり)今も知らない。農業経営のことなんて実際は今も知らぬがね。しかし、そのころは何もかにも不足しておったものですから、殊に米は、だから農協と県と国の信頼というものが非常に厚かったですね。今はこういう状況だから、幾ら農家の子弟といえども、東大を出たり、少なくとも短期大学ぐらいまでは出ている人がほとんどです。ですから、農業高校あるいは農業大学等々も農業に従事する率というのは極めて少ないと私は思っておるのですね。  そういうことを考えますと、我々の農業政策はもう一遍検証してみなければいかぬのじゃないか。これは、松村謙三先生がせっかく一握りの地主から小作人農業を解放してやったのに、その後の我々の農業政策は、日本が財政的に豊かになるに従ってこの松村謙三先生がねらいとしておった農業とは別方向に行ったのじゃなかろうかというふうに私は率直に検証、反省をしなければならぬと考えておるわけであります。  例えば、ロッチデールの精神というのは協同組合精神ですが、我々のときは組合員が主人公であったのですよ。そして、組合員にもっと信頼があり、本当にいわゆる営農指導者が一番農協の中ではウエートが強かった。今はその営農指導者以外の人が一番力が強くて、そして組合員も自転車で農夫姿で気軽に肥料とか飼料とかで来たのですよ、私ども農協時代。今は何やら大企業のようにしてどこでもやっておるから、そしてトラックでずっと各生産集落におろしていくわけだから、何やらこの信頼関係というか農協組合員との真心の通じ合いというものが少なくなっておるわけですね。そういう意味で、私ども誇りを持って農業をやっていくということの政策には、遅まきながらやはりもう一回検証、転換をしていく必要があるのではなかろうか。  ところで、外務大臣がせっかく来ておられるわけですから、ウルグアイ・ラウンド農業合意に関する件と、それから畜産オレンジ自由化決定段階に至るまでの経過、及びどうしてこういうことをしなければならなかったのかということは、これはいたずらに細川内閣がやったからといって、私は佐賀県で袋だたきに今でも遭っておりますが、こういう……(発言する者あり)そのとおりと言うが、国際的な意味合いがあったからやったのですよ。私は反対したが、細川内閣合意したものだから、これは袋だたきに遭っておるだけの話です。でありますから、その経過、どうして合意をしなければならなかったのかということをひとつ外務大臣から答弁をお願いします。
  12. 野上義二

    野上政府委員 今先生から御質問経過についてだけ御説明申し上げます。  御承知のように、牛肉とかんきつ及びその果汁につきましては、米国は従来から、我が国が行っておりました輸入数量制限、これがガットの規定に適合性を欠くということで、一九七七年ぐらいから断続的に米国及び豪州等交渉してきたわけでございます。  七八年、それから八四年と二度合意いたしまして、この際には、数量枠の撤廃ではなくて、輸入枠の拡大ということで日米間で合意してまいったわけでございますけれども、八四年の合意が切れます前に、アメリカはガット紛争処理の方にこれを持っていきまして、輸入自由化をしろということを言ってきたわけでございます。  その結果、八八年六月、日米で二国間合意をしまして、牛肉につきましては九一年から、それからオレンジ果汁につきましては九二年から輸入枠を撤廃する、そのかわり牛肉につきましては関税を引き上げる、それから九一年までの間に徐々に枠を拡大する、それから輸入が急増した場合に緊急措置を講ずる、こういうような内容で合意をしたわけでございます。
  13. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま経済局長が御答弁いたしましたように、牛肉あるいはかんきつ類についての自由化のプロセスは、もう七〇年代から、特に米国との間でいろいろなやりとりがあり、いろいろな段階を踏んでまいりまして今日の状態になったわけでございます。その間、畜産農家あるいは果樹農家において、そういった自由化への対応に大変御苦労なさった、こういうことはあるわけでございますけれども、しかし、全体としての我が国経済、そしてそれが国際経済とのかかわりの中でどうあるべきかという中でやむを得ざる選択であった、こう思うわけでございます。  それからまた、WTO関係についても、ウルグアイ・ラウンドについてもおっしゃいましたけれども、この問題につきましても、すべての問題を一括して受けるか受けないか、こういう交渉になったものでございますから、農業関係についてもあのような合意我が国も受け入れたわけでございますが、これに対する対応は大変厳しいものがあると思います。  しかし、この点につきましても、今回のウルグアイ・ラウンド交渉を全体として見ますと、例えばWTOというものをつくっていく、これは従来、いわゆるガット体制のもとで、いわば物の貿易についていろいろルールがございましたけれども、そういったものも改善していったわけでございますが、それだけではなくて、これまでガット体制のもとでは対象外でございましたサービス・貿易であるとか知的所有権であるとか、そういった新しい分野も取り込んだわけでございます。それからまた、そういった国際的な取引上におけるいろいろな紛争が生じました場合の紛争解決のシステムについても、ガット時代に比べますと一段と強化され、合理化されてきたわけでございます。  そういったものを全体としてとらえますなら ば、やはり基本的に貿易立国という行き方をとらざるを得ない我が国にとりまして、トータルで見ればやはりこれは国としての利益に合致するところであろう。また、そういった意味WTO体制も進めていかなければいけない、こういうふうに考える次第でございます。  そういった中で、一括して合意するということで、農業に従事される方々には大変難しい対応を強いられますが、そういった点については政治の面においても国内的にどうやって対応していくか、こういうことを考えながら大きな流れに従っていく、こういう必要性があったというふうに認識しております。(発言する者あり)
  14. 愛野興一郎

    愛野委員 今雑音がありますように、私は外務大臣が言われることが正しいと思っておるのですよ。それを政治やあるいは選挙戦略に利用して、実際の、やむを得なかった、我慢してくれということを言わないで、細川総理になったからいかぬじゃったとか、そういうことで情緒的に農政を持っていったということに私は一つの反省すべきことがあると思う。  まあこう言われますと、細川羽田さんは私が自民党におる時分から国際派と言われておったのです。細川さん、羽田さんばかりじゃないのですよ。副大臣の保利さんも国際派と言われておったのです。でありますから、何も細川内閣だからミニマムアクセスになったのではないのですよ。今の外務大臣が言われたような、国際的な我が国外交戦略としてやむを得なかったと、そういうことはそういうことでやはり農民に正しく伝えて、農民国際競争に打ちかつ意欲を喚起しなければならなかったのではなかろうか。人身御供をつくって、そして全くそっちの方に責任を押しつけて、そして政府農政に対する責任を逃げていったというふうに私は考えておるわけであります。  それから、今後WTOにおいて農産物……(発言する者あり) いや、細川内閣のときだから。まあ、あなた方と質疑しておるのじゃないから。  それからもう一つは、WTOにおいて今後農産物の問題についてはどういう要求が日本にされてくるであろうか。あるいはASEANですか、この前不公正貿易に対するアジアのあれがありましたね。それをお聞かせください。
  15. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、先ほど、大きな流れはそうであるのに、あたかも我が国政治の中で一部の人間がそういったことを推進したということで、そういった方々が人身御供になっているという話がございましたけれども、その点につきましてはいろいろな考え方があると思いますけれども、大きな流れとしてこういうものがある、それにどう対応していくかというときに、やはり具体的にどの段階でどういうふうに進めるかということについては、政治の世界の中でもあるいは農業に携わっておられる方の中でもいろいろな考え方があるのだと思います。したがいまして、そういったところでいろいろな議論があったからといって、大きな歴史の流れがどうこうということは私はないのだと思います。逆に申しますと、そういった流れを見ながら、本当に適切に対応するときにはみずから進んで場合によっては人身御供になるということも必要だという心構えも政治家にはあってもいいのだという感じもいたします。  それから、さて今のお話は、WTOがこれからどうなるかという点でございますけれども、この点については今もいろいろな国際的な場で議論になります。昨年の、あれは暮れでございますか、十二月だと思いましたが、シンガポールでございましたWTOの第一回の閣僚会議におきましても、この農業の問題、特にウルグアイ・ラウンドの後どうするかということで議論になるのじゃないかと事前にもいろいろ言われましたし、現実にシンガポールではいろいろ話題になったのでございます。  私がシンガポールではと申しましたのは、シンガポールで開かれたWTOの閣僚会議そのものではこれは議論にならなかった。これは私ども日本も主張いたしまして、今はともかくこの前できた合意を着実に実行していく、そのために日本も本当に血のにじむような思いで努力しているんだ、したがってその後の話は、我々はその後は全く知らぬというわけではないけれども、まだ今その議論の場にのせるのは早いのではないかということで終始したわけでございます。しかし、場外と申しましょうか、正式の会議ではない各種のほかの集まりにおいてはいろいろな立場から議論が交わされた、こういうように承知しております。しかし、具体的なものが出てくるのはまだ先でございますし、我々も、将来またいろいろな要求や要望が我が国にも来るということは覚悟しながらも、当面はまず合意したものを着実に実施していく、こういうことでまいるべきだ、こう考えております。
  16. 愛野興一郎

    愛野委員 外務大臣は、自由民主党であるにもかかわらず、農林族の前で堂々と本当のことを言ったことに敬意を表します。あなたは、ひょっとすると総理大臣になるかもわからぬ。  もういいですよ。  そこで、まずこの米問題ですが、ウルグアイ・ラウンド対策で六兆百億円、この中の公共事業、それから非公共事業のほとんどが土木事業ですね。農業農村整備事業、三兆五千五百億円。これは、ありがたくないと言っているのではありません。それからまた、村の生活基盤整備事業、これも農業構造改善事業ですよ。カントリーエレベーターなどの共同利用施設の建設を補助する。それから、その他の非公共事業、八千億円。中山間地帯や土地改良の農家負担金軽減、中核的農家に農地を集める事業など、これなんぞはいわゆる負債整理だから農家の所得向上に役立っておるというふうに思いますが。そのほかにも、農家の負債を軽減するための低利の借りかえ資金の創設が六千億円とか中山間地関連融資の金利引き下げが千七百億円とか、それで合計六兆百億円になっておるわけですが、実際に農家の所得を上げていくための対策費というものが私はやはり少ないと思うのですね。  立派に圃場整備事業をしてもらった、しかし、その圃場整備事業によって立派になった道路は農民以外が大いに利用し、しかもその道路は立派に舗装して白線まで入れてある、しかし、せっかく圃場整備事業をしたその農地は、これはもう何も、米農家は、所得は年々落ち、そうしてこの負担金はずっとふえる。それからまた、この圃場整備事業も期間どおりにやっていただくわけではありません。多少は、やはり二年とか三年とかおくれる。そうすると、負担金と、それから金利負担が来るわけでありますから、土木事業のために農家は相当な負担も強いられておるというのが現状であります。  でありますから、地方では、もうこの圃場整備事業の負担金は放棄する、もうやめたと。本当にそれを実行しておるのが日本全体に相当あるのですよ。そうして、今まで町村が土地改良組合員負担分を受け持っておったところも、それは適法か不適法かは別として負担しておったのが、今度はその町村も、議会で、もうそれは打ち切りと言ってやめたところもあるのですよ。そういう現実を、農林大臣御存じでありますか、そして、その対策をどう考えられるか、お伺いをいたします。
  17. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 農業所得の向上を図るということは、これは最も重要なことでございまして、そういう観点から考えますと、一つには生産コストを下げていく、もう一つは高く売れる高価値の農産物をつくっていく、この二つが農家の所得を向上させるために基本にあると思うわけでございます。  我々といたしましては、農業が他産業並みの所得と労働時間、生涯所得が二億円から二億五千万、それから労働時間が年間千八百時間から二千時間、こういう経営体が農家の中心になる、そういう農家をこれからつくっていくということがまず何よりも大事であるというふうに考えておるわけであります。  そのためには、今、生産基盤の整備がおくれている、時間がかかり過ぎるという委員の御指摘もございましたけれども、我々は、このラウンド対 策によって、むしろ一〇%から十数%この期間を短縮できる、現実に短縮しておるわけでございますし、そういう基盤整備を重点的にやる。それからさらに、カントリーのお話もございましたが、そういう流通施設の整備を図りまして高度化を進めていく、そういうことも具体的な対策としては必要なことであろうと思います。  そういう対策を通じまして、先ほど申し上げましたような、他産業並みの農家を中心とした農業構造に持ってまいるために、いろいろな施策を組み合わせまして推進している、こういうことでございます。
  18. 愛野興一郎

    愛野委員 大臣の御答弁は全く私と同じです。しかし、現実問題としてそういっておるかというと、そうは思っておりません。  これは、平たん地はほぼ立派に、田面も圃場整備ができ上がり、昔の構造改善事業等々は、田面はやらぬで農村集落の道路を農産物の集出荷にやりやすいようにやったりしておりましたが、今は田面を生産性を上げるために立派にやっておるわけであります。しかし、それをやると同時に、せっかくそういう大きな圃場整備事業をやった以上は、やはり生産組合単位にコンバインは一つ、それからまた、農業機械は全部生産組合単位に一つとしないと、それぞれ個々の農家が、コンバインから農業機械、耕運機から播種機から何からかんから持っておるわけでありますから、これはもう何のために圃場整備事業をやったかわからぬようになるために、かえって生産経費がふえていくわけであります。  それともう一つは、私は農政協議会から公認されなかったからということで言っておるわけではありませんよ。この原口君も、実際は農協組合員なのに推薦されなかったが。やはり、系統でやるというのもいいが、流通コストが、直接生産組合からやる、あるいは、個人からやれば今まではやみであったが、能力がある者は個人が直接米を販売する、あるいは二人で組み合わせて販売をするとか、そういう新しい時代に適したもう一つの所得向上の面を、いわゆるソフトとハードと両方でやっていかなければならぬと思いますが、そっちの方が、どうも農協が、昔と違ってこれはもう頑固であるために、何でもかんでも系統を通じさせようとするということがあるのではありませんか。でありますから、農家の所得向上のためには、そういう流通コストを切る方法をどう考えておるのか。
  19. 堤英隆

    ○堤政府委員 先生の方から、ただいまコストの関係で、系統とコストの関係ということの御指摘がございました。  現状を申し上げますと、確かに、農家の方々は、個々に見れば、非常に、販売能力なりそういう生産規模も小そうございますから、有利販売がなかなか個々人ではしにくい、そういう状況の中で、御案内のような形で、恐らく、系統利用という形での販売をすることによって農家全体の利益を上げていく、農家全体の所得を上げていくということで系統利用というものがスタートし、今日まで来ているというふうに理解をいたしております。基本的な現在の農業構造から見ますというと、まだ、自分で、自分たちだけの力で市場を獲得し、有利販売することについてはなかなか限界もございますので、そういう意味では、系統利用ということが現在においてそれなりの意味があるというふうに思っております。  ただ、現在は、しかしながら現状は、それぞれ農家の方々も力をつけてこられてきたということがございますし、それから、新食糧法の世界におきましても、系統農協によります販売だけでなしに、自分たちの力で直接、例えば産直等をやるといったことも認められてきましたので、そういう努力もされております。現実に系統利用率も、品目によって若干違いがございますが、徐々に下がってきているという状況でございます。  したがいまして、やはり、系統利用ということを全面否定することはできないと思いますけれども、そういう中にありましても、農家の方々の個性を生かした、あるいは自分たちの販売努力が報われるような、そういう流通ということもこれからは重要になってくると思いますし、いろいろな諸制度も、そういう形での、規制緩和といいますか市場動向をベースにした流れになりますように、私どもとしても心がけていかなければならない問題、そういうふうに理解いたしております。
  20. 愛野興一郎

    愛野委員 農業協同組合に、信用事業、購買事業、販売事業、共済事業、これをやらせる必要があるのかどうか。  私は、ミニマムアクセスのときに、実際は、集中攻撃を受けたものだから、夜、組合長さんの自宅をずっと回ったのですよ。これは細川内閣じゃから仕方なかった、もうあなたを攻撃してもということで、五分ばかりで、あとは、これからの信用事業は、もうほかの金融機関並みにやってもらっては信用事業はやり切らぬとか、そういう要望ばかりだったのですよ。  そうしますと、実際、本当に農家の所得が上がるように誘導していかなければならぬのに、しかもいっちょん上がらぬのに、農業所得を収奪することに各単協の事業はなっておるのじゃありませんか。これをどうにか改革しようとしておられるのですか。
  21. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  確かに、農業協同組合は、地域の中で、農協組合員だけでなくて、地域の住民を含めた経済活動の中核として大変幅広い事業を行っている、これはもう先生御承知のとおりでございますが、その中で、確かにややもすれば、信用事業とか、あるいは共済事業、購買事業に傾斜しがちである、そういう意味で営農指導の点が弱くなっているのではないか、そういう指摘がなされていることも、私ども、重々承知をいたしております。  特に、最近は、農協の経営の改善あるいは体質の強化、そういうこともありまして、組織の改革ということで、農協の合併も含めまして、現在、組織、系統全体で取り組んでいるところでございますが、そういった中で、組織全体といたしましても、営農指導について強化をしていこうということで方針を打ち出しまして、現在取り組んでいるところでございます。  そういう中でいえば、先ほど来出ております営農の指導だけではなくて、営農活動全体を統合しました、例えば営農センターを設置する、そこに営農指導員をきちっと確保して、そういった営農指導員の資質、能力を向上させる、これは研修が一番大事でございますけれども、さらには、そういった農協の営農活動と、地域におきます行政機関、例えば市町村とかあるいは改良普及センター、そういったところと連携をとって、その地域における営農指導を補完しながら、連携して総合的に営農指導を進めていくという取り組みが大事だということで、現在取り組みに入ったところでございます。私ども農協の再編の推進の中で、そういったものを支援する助成事業も予算上措置しておりますけれども、その中でも、営農指導についていえば、研修事業の充実ということが重要でございますので、そういった助成措置も講じています。  今後とも、そういう系統の取り組みに対しまして、支援、指導を鋭意やってまいりたいというふうに考えております。
  22. 愛野興一郎

    愛野委員 自由民主党の農政の大家でもあり、また、国の果樹連の会長でもあり、佐賀県中央会の会長でもあった故大塚清次郎君は、政府よりも早く一県一農協を提唱したのですよ。彼は商業学校出身だったですから、これではやはり個々の農家が利益を上げていくのは大変だなということから、一県一農協を提唱したのです。そういう意味からいたしますと、今、住専じゃないですよ、農協だけの、いわゆる員内、員外を通じての不良債権は全体でどのくらいあるのですか。
  23. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  不良債権につきましては、単協部分の不良債権の額というのはなかなかつかみにくい面がございますし、特に単協段階ですと、主として地場の企業あるいは農家の方に対する貸し付けが多いものですから、率としてはそんなに多くないというふ うには考えておりますけれども、ただいま私どもが承知しております数字では、信連系統、これは中金と信連を合わせた不良債権の額でございますけれども、全体、昨年の九月末の調査では、不良債権としては二千四百八十億円という数字を私ども把握しているところでございます。
  24. 愛野興一郎

    愛野委員 各単協のいわゆる不良債権は、組合員が、員内だから余り大したことはないというような、そういう感覚が私は問題だと思うのですよ。一組合員にとってはこれは大したものですよ、それだから単協に負債を返済し切らぬわけだから。  そういうことですから、要は私が申し上げたいのは、これはもう「食糧法、価格支持、農地保有、規制緩和のやり玉に」「農業分野二十六項目経団連が要望」なんて、もうこれは国民の方からも、それから組合員の方からも、それからまた他産業からも農協は孤立していく。そうすると、農家のよりどころである農協も権威がなくなっていく。  それから、もう少し、消費税にしても、これは農家が一番広範囲に払わないといかぬわけですよ、農具からコンバインまで、それからまた飼料から肥料まで。こういうこともやはり考えていかないといかぬわけでしょうし、第一、農家所得がもう少し上がるようにするためにこの圃場整備事業等々土木事業はやっておるというような認識を農林省はしていただかなければならぬ、こう考えております。  そういう意味で、私はまだ暗たんたるものを、まさに戦後生まれの世代のときに日本農業産業として存立するのかどうか、あるいは大企業から農業をとられてしまうのじゃなかろうかという非常な危惧を持っておりますので、またの機会に質問をいたします。  最後に、せっかくお呼びしたわけでありますから、もう時間がなく、若き原口君にバトンタッチしようと思っておるわけですが、通産大臣にお伺いします。  この規制緩和等々を進めていってもらっておるのは、これは当然のこと。規制緩和から自由化にいく。しかし、その準備というか国際競争に勝ち得る対策というものは、例えば、もう端的にあらわれてきたのが国内の各地方の商店街ですね。こういう対策はどういうふうに対策をしておられるのか。  まだほかにもいろいろ中小企業のあれはありますが、代表的なものとして地方の商店街対策を、この規制緩和の、あるいは規制緩和から自由化に進む際にどうなるのか。これは地方の商店街も、小売店は、後継者は役人になったり会社に勤めたりして、本当に我々年輩で終わりのところが多いのですよ。先進的なものは後継ぎをしようとしておるんですがね。  通産大臣にお伺いをいたします。
  25. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の愛野委員質問の前段の方は、御存じのように、高齢化社会というものがどんどん進んできて経済的な活力を失う、一方では、いろいろな条件によって産業の空洞化というものがふえる。そのために規制緩和を徹底的にする、あるいは高コスト構造是正、このまず二本柱でやろうというのが今度の経済構造改革、その創造のためのいわゆるプログラム、こう実はなったわけでございます。  その中において、確かにそうした場合に既存のところが非常に被害を受けるのではないだろうか。その代表的なものが今言われた商店街、これは一体どうなるのか。地方においては空き店舗がふえている。あるいはやはり大型店の進出によってこういうものが緩和された場合には被害を受けるじゃないか、こんな実はお話じゃないかと思います。  おっしゃるとおり、そういう面がございますが、ただ、商店街に関しては、消費者のニーズというか、これが年々実は変わっているということは我々位置づけなければいけない。御存じのように、今まではやはり店舗販売というのが主流でございましたが、最近では通信販売だとかさらには電子商取引、こういうものに移行してくると、無店舗でやろう、こんな動きもあります。  一方、モータリゼーション、これの進展によって消費者の行動の範囲が大きく拡大してまいって、そして深夜だとか休日の買い物、また買い物するだけではなく、そこに行って時間を娯楽性志向に費やす、こういうことで、俗に言う消費者の行動パターンが大きく変わってきたということが実は見逃せないわけでございます。  といって、ほっとくわけにはいかないわけでございますので、通産省としては、今の中小小売商業対策ということで、具体的には大企業との連携、これは特定商業集積法という法律がございますが、そういうものを含めて商店街、商業集積の活性化、もう一つは商品の調達だとか配送等の共同化、これを推進させよう、あるいは売れ筋情報の提供等によって消費者のニーズへの的確な対応を確保するということを図るためには、補助、高度化の無利子の融資、低利融資、こういう各般の支援措置、これを講じているところでございまして、この平成九年度、今御審議いただいている予算の中においては、情報技術の活用による中小小売業の業務の効率性の向上に対する支援の新設、あるいは空き店舗の有効活用等の商店街の活性化のためのソフト面の支援、こういうことで総額百六十三億円、これを実は計上しております。  そういうことで、中小小売商業の対策の一層の拡充それから強化というものを図ってまいりたい、かように考えておるわけでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  26. 愛野興一郎

    愛野委員 経済企画庁長官に、これはもう全部かかわりのある内外価格差の是正をどう進めていかれるのかお聞きしようと思っておりましたが、原口君にもぜひひとつ質問をしてもらいたいので、この円の、円高、円安とか株式の価格にもいろいろ左右はされますが、何といってもこの内外価格差が日本の場合高いということがすべての産業において致命的なものになっておりますから、その点はまた後ほど質問することにして、原口君に譲ります。
  27. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、原口一博君から関連質疑の申し出があります。愛野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原口一博君。
  28. 原口一博

    原口委員 新進党の原口一博でございます。通告に従いまして、主に厚生行政、そして郵政行政、この二点についてお伺いをしたいというふうに思います。  まず、これから日本は未曾有の大競争の時代に入っていきます。その競争の中で敗れた人たち、そしてさまざまなストレスの中で心が痛んだ人たち、今お手元に資料を差し上げておりますが、実に百五十七万人の精神の病んだ人たちが出てきている。これは精神障害という形でとらえられた数だけであります。これ以外の、神経症、いわゆるグレーゾーンの方まで含めると、これから未曾有の心の危機の時代を迎える。そのことについて政府はどのような御見解をお持ちなのか、この危機をどのように乗り切っていこうと思っておられるのか、基本的な認識を厚生大臣にお伺いしたいというふうに思います。     〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
  29. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 心の不安を抱えている人々は大変多いと思います。障害者と言うまでもなくその以前の方々がふえているということは、厚生省としてもこの問題に取り組む必要性を認識しているつもりであります。  現に、昭和六十年度より心の健康づくり推進事業を都道府県への補助事業として予算化しておりますし、地域住民を対象とした心の健康づくりに関する啓発普及を図っているところでもあります。また、平成二年度からは心の電話事業を新設し、相談体制の充実も図っているところでありまして、今後とも国民の心の健康づくり対策の充実に努めていきたいと思います。
  30. 原口一博

    原口委員 今厚生大臣からお答えいただいたように問題意識を持っていただいている。ただ、今お話しになりました精神保健福祉相談員の配置状況、全国に配置をされておるわけでありますが、その配置は全国で平成七年の六月三十日現在で二千三百二十四人であります。もっと早く相談をす ることができたらこんなに重篤にならずに済んだのに、あるいはもっと身近にだれかに心の重荷を聞いてもらえたらここまで家庭が崩壊しなくて済んだのに、そういう事例を多く見かけます。  今お手元の資料の中で、精神病院に入院されている患者の在院期間の構成ということで、三年以上の方が六割を超え、そして、その入院患者さんの年齢構成も五十歳以上の方が六割を超えているという状況であります。約半分の人たちが実は社会復帰をすることができるにもかかわらずその受け皿がないために病院の中に入所を余儀なくされている。私も現場で通所施設のお願いに走り回ったことがありました。しかし、現在まだ精神障害者に対する偏見や差別が厳然としてあり、その通所施設一つをつくることについても周辺からの反対の声が上がる。私はぜひ厚生大臣にこういった偏見から精神障害者の皆さんを解き放つその努力をしていただきたい。そして、これは他人事ではない。今もう百人に一人、精神障害の人たちが出てきている。そして十人に一人が心の不安を持っている。この大競争時代の始まりに当たり、その施策を強力に推進していただきたい。  そしてその次に、今心の健康づくり対策というふうにおっしゃいましたけれども、各医療機関でももっともっと心のケアができる、総合病院に行けば長い時間並んで三分の診療で終わる、こんなことを改革をしていただきたいというふうに思います。  今、医療保険の改革が議論に上っています。今度から新たな老人負担を求める、そして勤労者負担を求めるということでありますが、私は厚生大臣にこのことをぜひ見合わせていただきたい。毎年一兆を超える医療費の負担が上がっている。しかし、その中で厚生省はどういう努力をされたのか。例えばコップに例えてみますと、コップの底があいてしまっている。高い薬価の問題あるいは機械の問題、そして薬価差でもって病院が経営をされている。このシステムそのものに抜本的なメスを入れないで、患者やあるいは特に今回はお年寄りの皆さんでありますが、その皆さんに負担をかけるということはいかがなものかというふうに思いますが、厚生大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  31. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 医療保険の改革を今国会で御審議いただく予定になっておりますが、医療保険というのは国民全体で支えていく制度であります。確かに患者さんに御負担をいただきますけれども、それがないとしても、それでは、保険料を支払っている方々、病気にはかからないけれども保険料だけ出している方々により多くの負担をいただくのか、あるいは税金をもっと投入するのか、さらには現在の増税は嫌だけれども国債を発行して若い世代に増税のツケを回すのか、その選択しかないのですね。  そして、今回出している改革案、これはどんな構造改革を出しても私は必要だと思っています。決して過重な負担だとは思っていません。だれかがどこかで負担しなければならない。構造改革はやります。今国会でも、抜本的な構造改革案は今与党内でも議論していただいています。政党を問わず、こういう案がいいという案を政党で出していただければ、私は柔軟に対応したいと思います。
  32. 原口一博

    原口委員 非常に前向きの御答弁をいただいたというふうに思います。  もう一つ資料を出させていただいております。これは行監から出された資料でありますが、重複受診者に関する資料。お手元の資料をごらんになっていただきたいと思いますが、Aという九十三歳の方、この方は同じ一カ月の間に三つの医療機関にかかっている。慢性胃炎や慢性気管支炎、胃炎や腰痛、骨粗懸症、座骨神経痛ということで、内服薬をcd内科医院というところで二十八日分、筋肉注射を二十四回も受けている。さぞ痛かったことだと思います。もう一つの病院では、内服薬を六種類二十八日分、ほぼ毎日飲まなければいけないというようなもの。そして、またここでも筋肉注射を四回。同じ病気であるにもかかわらずたくさんの医療機関にかかっている。  私どもは地方を回っておりますと、私たちのお父さんお母さんの世代の人たち、つまり六十、七十の人たちが八十、九十のおじいさんおばあさんの世代の人たちを連れて病院回りをされている。そして、新たに検査をしようと思えば、別の機関にかかればまたもう一回ゼロから検査をし直さなければいけない。  私たちはこの状況を放置しておいて、そして今厚生大臣がおっしゃいました、未来に対する増税かあるいは今の方々に対する医療保険の増大か。それしかないというのはよくわかります。しかし、今現在、特に高齢者世帯は長引く低金利の中で大変家計が苦しい状況になっています。この時期に果たしてやっていいものか。私は、セットで出すべきだ。医療費の改革をこういうふうにやります、ですから皆さん、ここは財源が足りないからお願いをしますということであれば結構でありますが、医療費の方はどんどん伸びていく、その中でただただ負担だけが国民に回される、このことはおかしいのではないかというふうに思います。  私たちは一体何のために政治をやっているのか。それは、かけがえのない子供たちの未来のためであり、私たちを支えていただいた前の世代の皆さん、おじいさんおばあさん、お父さんお母さんの世代のために、その老後を安心して暮らしていただくために政治をやっているのではないか。私はぜひ慎重な対応をお願いをしたい。  きょうは官房長官、お見えであります。私たちは一体何のために政治をやっているのか。そして、官房長官と同じ世代の皆さんが、そのおじいさんおばあさん、お父さんお母さんを連れて今病院回りをなさっている。一から検査をされている。そして、このように薬漬けになっている。この現状を変えなければいけないというふうに思いますが、官房長官の御所見をお尋ねしたいというふうに思います。
  33. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 医療サービスが無限に増大をすることは個人個人にとっては幸せなことでありますが、社会が成り立ちません。今小泉厚生大臣が申し述べられたように、専門的な知識を十二分に駆使をしながら、これから取り組んでまいろうという決意を披瀝をされているわけですから、どうかひとつ温かくお見守りを願いたい。
  34. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 我々は、この医療保険改革案を出しているのは、あすのためにやっているのです。医療保険制度そのものは今後も安定的に運営していかなければならない。お年寄りのためだけじゃないです。働いている方、子供のため、すべてのための改革を促すために、我々は今医療保険改革法案を今国会に御審議をお願いしている、そういう中でいろいろ問題点が指摘されております。  当然、あるべき抜本改革をしていかなければならない、委員御指摘のとおりこれは政治責任であります。なぜここまで放置しておいたのか、私は政治責任だと思います。国民所得の伸びよりもはるかに医療費の伸びの方が多い、このまま放置しておいていいのかということから、今回ある程度の患者さんに対する負担をお願いしている。これだけではありません。あるべき診療報酬の見直しやら、薬価基準の見直しゃら当然進めております。しかし、これについてもなかなかいろいろな意見があってまとまりにくい段階であります。  しかし、ともかく今回政府としてまとめて、法案を提出して、だからこそこうしていろいろな改革案が出てきたのだと思います。今後、そのあるべき改革案については私ども真剣に検討したいと思います。  同時に、今委員が御指摘の重複受診、これは確かに問題であります。いろいろな病院に出かけていって、前はどういう薬が投与されたのかわからない、どういう診療かわからない、あちこち病院を駆け回る。これは医療費の適正化の観点からも問題であるし、それから何しろ本人の健康保持の点でも問題であると思います。薬は飲み過ぎていいものじゃない、飲み過ぎればまた副作用等の心配も出てくるという観点から、この重複受診の是正には積極的に取り組む必要があると私も考えております。  このために、従来から診療報酬明細書、いわゆるレセプト点検による重複受診者の的確な把握に努めておりますし、個別の健康相談事業において必要な助言等を行ってきたところであります。また、これからも健康手帳の様式を投薬等診療に関する情報の記載が容易になるよう見直すとともに、その積極活用を図ることにしておりますし、現在提出しております医療保険改正法案においても、重複受診者について保健婦等を活用した訪問指導が可能となるよう、その対象者の見直しを行うこととしています。さらに、市町村向けの重複受診対策の手引の作成について今検討を進めており、重複受診の是正をさらに進めたいと思っております。
  35. 原口一博

    原口委員 ありがとうございます。  この改革ができるのは、小泉厚生大臣を除いておられないというふうに思います。厚生大臣の前向きの御活躍をお祈りさせていただいて、次の問題に進みたいと思います。  橋本総理は、金融ビッグバンということをお話しになりました。私は、この基本的な考え方について賛成であります。千二百兆にも及ぶ日本の貯蓄、その個人貯蓄が果たして有効に生かされているのか。そして日本市場、その市場を嫌って海外にどんどんたくさんのお金が流れていってしまっている。その中で、一つだけここで議論をされていないことがある。それは公的金融であります。この公的金融について幾つかの視点からお尋ねをしたいというふうに思います。  まず公的金融の出口に当たる特殊法人の問題について、これもお手元に資料を差し上げておりますが、特殊法人、これは総務庁の行監資料でございます。九十一の特殊法人の中で貸借対照表、損益計算書、事業報告書、そして財産目録、決算報告書、監事の意見書、これの備えつけが法律によって義務づけられていないところがある。一体どんな決算が行われているのか、一体どこにどういうお金が使われているのか、このことがわからない。  私はこの衆議院に来て四カ月になりますが、海外のテクノクラートと話をしていると、海外のテクノクラートはさまざまなオプションを示してくる、政治家政策材料を示す。ところが、日本の官僚機構は政治判断までをなさる、つまり落としどころを政治家に持ってこられる、そして基礎となる資料も御自分たちで加工しておつくりになる。私は、政と官の関係で、この関係を見直していかなければいけないというふうに思います。私たち政治家が自分で官僚機構の手によらず資料をつくり、そしてデータをもらい、だれでもどこからでも行政資料にアクセスできるようなそういう体制をとらなければいけない。  まず総務庁長官にお尋ねをしますが、私は、総務庁の行監、大変立派なことをなさっているというふうに思います。その報告書を逐一読んで、そしてチェックをしていけば、今の行政改革、行政の中に巣くうシロアリのようなものをあぶり出すことができる、そのことこそが今国民から私たちに求められている使命だというふうに思います。  この特殊法人については、私は、基本的にすべて国民の知る権利に基づいてオープンにするべきだし、その法整備をしなければいけない。また、総務庁長官がこの予算委員会の中で前向きの答弁をされているように、電子化をして、情報にどこからでもアクセスできる、そしてサーベイができる、そういう法整備、そして予算整備をすべきだというふうに考えますが、基本的なお考えをお尋ねしたいというふうに思います。
  36. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御指摘のとおりで、私どもの行政監察局で特殊法人の財務諸表の備えつけあるいはそれの公開、あるいは子会社あるいは関連公益法人というような関係の監察をいたしました結果、今御指摘のとおり、その情報公開という点からいけば十分でない点が非常にあったことが行政監察の結果わかりましたので、それぞれ昨年の末に関係各省に対しては勧告をいたしました。それだけでは不十分だと思いましたので、今後はすべての特殊法人が損益計算書とかあるいは貸借対照表、資産、負債、その他の財務諸表、あるいはまた関係の子会社、あるいは今問題になっております関係の公益法人、こういうものについてもできるだけ詳しく情報をしっかりとつかみ、そしてそれを作成し、そしてそれを整備した上で保管をし、一般にも公開をする、閲覧に供する、こういう形で情報公開するようにこの国会に法案を提出させていただくことになっておりますので、御指摘の点は今後は十分私はそのようなことのないようになると思っております。  それから、いま一つの、今後の情報社会でございますが、依然としていろいろの行政手続をするのにたくさんの書類をつくらなきゃいけないとか、あるいは行政の情報を提供していただくのに十分インターネットがまだ、この役所の中の霞が関WANはできましたけれども、一般の方にも十分そういう点ではインターネットなどを通じて行政情報が提供されるようにしていくのは当然でございますし、また今度は、今申し上げましたように、いろいろ手続をするときには、やはりペーパーレス化という時代ですから、電子化でできるように、電子メールあるいは電子ファイル、こういうものを活用していくようなことにしていきたい。ただ、時間がちょっとかかりますけれども、少なくとも来年中にはそういうことが完備するように進めていきたいと思っております。
  37. 原口一博

    原口委員 ありがとうございます。  私は、その際に国民の知る権利を明示すべきだというふうに思います。官官接待、いわゆる地方のむだ遣いについても、オンブズマンによって明らかにされることによって六十三億円ですか、縮小が、削減が見られている。私たちは、今までブラックボックスにあった行政のさまざまな問題を、そしてそこに分配という形で権力を温存しようとしてきたそのグループについてメスを入れていかなければいけない。これは与党、野党を問わずやっていかなければいかぬことだというふうに思います。  そこで、大蔵大臣と郵政大臣にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、金融システムの見直しというのは基本的に三つ方針があるだろうというふうに思います。一つは、民間でできるものは民間にゆだねる、行政の活動を必要最小限にとどめる、そしてもう一つは、国民本位の効率的な行政を実現するために国民が必要な行政を最小の費用で行う、そして、仮に行政の関与が必要な場合は国民に対するアカウンタビリティー、説明責任を果たさなければいけない、この三つだというふうに思います。  ビッグバンの中においてこの郵貯という存在は例外なのか。公的金融の問題はそのままビッグバンの例外として、公的金融も必要です、よその国にも公的金融はございます。しかし、日本の公的金融の割合は大変大きなものがある。これをこのままにしておいて果たしてビッグバンというのが成功するだろうか。基本的なお考えを大蔵大臣、そして郵貯という関係で郵政大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。     〔中川(秀)委員長代理退席、小里委員長代理着席〕
  38. 三塚博

    ○三塚国務大臣 金融システム改革、いわゆるビッグバンと言われております。ロンドン並み、よくウォール街、ニューヨーク並みと、こう言われるわけでありまして、グローバルでなければならないということ、規制があってはならない、フェアでなければならないという意味でディスクロージャーが徹底されていくだろう。そういう中で、貴重な国民の資金が活用されていく、国際的な取引の中で安定した市場が確立するであろうという大きな目標を掲げておるわけであります。  そういう中で、ただいまの郵貯の指摘でありますが、これは財政投融資資金制度という、また法律に基づいて、ただいま御指摘のような民間ではでき得ないものという観点政府金融機関があることは御案内のとおりであります。中小企業金融公庫、農林公庫等々、そういうものに安定した資金を提供することにより他の金融機関もこれに参加せしめるという効果を出すという制度があります。  それともう一つ、民間ではでき得ないものと言われました。そのとおりであります。民間金融機関は原則三年であり、長くて五年の融資期間しか見ておりません。今後どうなるかは競争の中でということだろうと思いますが、しかし、やはり資金の有効的な回転ということであれば、その辺に制約されるだろうと思います。  それに加えまして、政府予算において補完できない分野、七カ年計画の公共事業がその倍かかっても完成をしない、こういうこともありますから、長期大型プロジェクトというものはどうしても公団等を、第三セクをつくりながら進める。また、純粋に政府の機関として取り進めることが今日までの社会的な、また地域的な強い要求であったことにかんがみまして財政投融資制度がありますことも御案内のとおりであります。  そういう点で、財投のあり方、財政と金融という、大まかにとらえて国民論議が盛んになってまいりました。その論議は盛んにしていただくことは当然であるわけでございます。  金融制度と財政投融資制度の基本は、そういう意味でただいま整理をされておるところでありますが、今後の議論の中で、当然のことでありますから、資金運用審議会の中に懇談会をつくりまして、各界、民間の代表をずらりとお願いを申し上げまして、今後のあり方の論議をいただいておるというところであります。
  39. 原口一博

    原口委員 五分、懇切丁寧に説明をいただいて本当にありがたいのですが、時間が限られていますので、ぜひ……。  ビッグバンの中にこの公的金融の問題を入れるのですか、どうですかという質問をしているのです。入れるのか、いや検討中だという答えか、それだけで結構でございます。官房長官にもわざわざお見えいただいておりますので、郵政大臣、官房長官、一言ずつお願いをしたいというふうに思います。
  40. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、先日総理の方から御答弁いただいておりますが、一義的なものとして公的金融を取り上げているわけではないというようにはっきり答弁されておりますが、私もそのように理解をいたしております。
  41. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 ビッグバンといわば公的資金、公的金融のあり方、これは必ずしも連動をいたしておりませんと私は理解をします。  大蔵大臣の話が長いと言うのですが、若干私に時間をちょうだいしたいと思います。  あなたたち若い年代の方々のために、私はこの金融の国際化、これはどうしてもやらなければならないというのは、確かにこの経営資源を見て、日本の、低いと言っていいのか、金利が妥当であるかどうかは別といたしまして、今のこの改革の要求は国際化であります。金融というものの金利が果たして国際化をされているかどうか。部分的には開放はされておりますが、現実にそれは国民の利益につながっておりません。  ですから、金利政策を見ますと、諸外国と比べて、日本はスイス以外の国では一番金利は安うございます。金利が安いということは、あるいは国債や地方債を発行するのに楽かもしれない。あるいは企業の経営に楽かもしれない。  しかし、企業経営の基盤を見ますと、金利以外は全部外国から見て高いのです。その安いものを高くし、世界のものと同じにし、世界のものと違って高いものを低くすることが国際化、それを考えますと、私のある友達は一年三ケ月、外貨定期預金にお金を預けまして、約一・三ケ月で一・二五倍になっております。格別選んだわけでも何でもありません。  そうしますと、一年物で、もちろんこれは為替の変動があったからでありますが、大概三・五%から四%ぐらいの金利がある。そうしますと、公的資金がいいとかあるいは民間がいいとかと言われる以前に、ここ数年たてば間違いなく金利の自由化ないしは外国資本の金融業界がここに上陸をしてくれば、日本の金融は成り立たない。しかし、国民の利益は守られる。  ですから、一千兆とあなたが言われたような国民の金融資産があるとすれば、一%上がれば十兆円であります。こういうものを改革をすることが今回の一番大きな流れではないか、こう思いますので、その民間の資金であるとか公的な資金だということを全部乗り越えて、押し流されるというか、これを巧みに乗り切らないとやっていけない、このように思いますので……。  あなたたち時代は得であります。私の一生懸命ためた貯金は極めて安い金利でしか補給をされていないことに憤りを感じます。
  42. 原口一博

    原口委員 得な時代にしていただくように心からお願いを申し上げます。  政府金融の割合を見ますと、日本の場合はもう百四十兆円、アメリカの場合は二十一兆円、ドイツの場合は二十四兆円、これを一つとってみても大変大きなシェアを占めるわけでございます。このことについても聖域とせずに頑張っていただきたい。  そして、時間がもうございませんので、NTTの分離分割の問題について、堀之内郵政大臣、これは十五年間の議論の末にこの巨大な企業、NTTを縛っていたものを解き放った大臣として郵政大臣の名前は後世に残ることだというふうに思います。  しかし、その中で、今回連結納税制度という特例措置をNTTとの間にお願いをされている。そして、それを大蔵省に御協議をされているということでございますが、ぜひこのことについて過たないでいただきたい、特例政治を続けることによって、税の公平性、公正性を失わないようにしていただきたい、このことをお願いをしまして、質疑の時間が終了しましたので、私の質疑にかえさせていただきます。  ありがとうございます。
  43. 小里貞利

    ○小里委員長代理 これにて愛野君、原口君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  44. 海江田万里

    ○海江田委員 官房長官、ただいま大変お元気な発言をいただきましたが、お風邪を召しているというように伺っておりますので、私、当初予定をしておりました順番を入れかえまして、先にお尋ねをします。  ただ、官房長官の前に、通産大臣もお越し願っておりますので、まず通産大臣にお尋ねをしたいと思います。  これは佐藤大臣が就任をされる前の話でございますけれども、一九九三年度、平成五年度の通産省の財団法人余暇開発センターへの委託調査で、「祝日の曜日指定化による休日制度の活用と可能性」ということについて調べたことがございます。  この結果は新聞などにも発表されておりますけれども、時間がありませんので私がかいつまんでお話をしますと、休みをとにかく三連休にしようということで、曜日を決めましょう、特に月曜日に休みを、祝日にしますと、今、土日の休みが定着をしておりますから三連休になるということで、そのことはどうだろうかというアンケートをしましたところ、個人につきましては、大変賛成であるという方が三七・八%、それから若干条件をつけますよ、ただ、条件をつけるけれども、条件次第では賛成であるよという人が二四・八%ですから、両方合計しますと六三%の人がこの制度化に賛成であるということ。これは個人でございます。それから、企業につきましても同じく調査をしておりますが、四九%の企業が、これは賛成である、それからやはり条件つきで賛成だというのが一〇・三%おりますので、これも合計をしまして六割の方たち賛成をしている、こういうような結果が出ております。  それから、特に、この制度化をしますといろいろなメリットがあるんじゃないだろうかということで、三連休化にしますと、まとまった休日が祝日本来の意義を高めることになるでありますとか、それから連休なれが週休二日制など休暇制度の充実を加速するというようなメリットでありますとか、休暇の分散効果と長期休暇の促進でありますとか、企業の休暇制度等との連動による休暇 のバリエーションの拡大につながるでありますとか、新しい余暇スタイル・余暇活動の誘発をする、これは経済効果でございますけれども、そんなような効果があるというような調査結果があるわけですけれども、まず通産大臣、こういうような調査結果を踏まえて、三連休化というのですか、祝日、休日の三連休化ということについてどういう御意見をお持ちか、その経済効果なども考えながらお答えをお願いしたいと思います。
  45. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員お話しのように、祝日の三連休ということになると法制化を伴うものでございまして、これ自体は私の所管でございません、通産の。  こういうことでもって、私の方でもって余暇開発センターというのがございまして、それが中心になって民間による推進会議が発足して、それで実現に向けて活動が進められているということは承知しておりますが、この構想は、ゆとりの増進だとか休暇の分散による集中の緩和、あるいは地域の活性化につながるということで、通産省の業務としてはこれは大いに期待する面がございますが、しかしその実現に当たっては国民各層の幅広い意見が必要だろう、かように思っております。
  46. 海江田万里

    ○海江田委員 国民各層の意見というのは、今お示しをしましたアンケートの中でもある程度の傾向は出ておるんじゃないだろうか。  それから、今これだけ、景気そのものの回復の足取りというのは比較的しっかりしているわけですけれども、やはり国民全体に蔓延をしております不景気感といいますか、こういうものを何らかの形で打ち破らなきゃいけないんじゃないだろうか。しかも、片一方では大変逼迫をした財政事情があるわけですから、この法制化ということ自体は、これは一円もお金がかかりませんね。この法律をつくったから予算の手当てをしなければいけないというようなものでもございませんので、私は、今こそ、そういう事情を考えてみると、こういう問題について政治の側がひとつ、国民の世論、私はかなり機は熟していると思うんですが、さらにもう一歩踏み込んだところで決断をすべきではないだろうかという考え方を持っております。  特に、アメリカでも、これはもう言うまでもございません、よく御存じだろうと思いますけれども、一九七一年に月曜日祝日法という法律を決めまして、この中で、ジョージ・ワシントンの誕生日、本来は二月の二十三日ですけれどもこれを二月の第三月曜日にしたとか、あるいはコロンブスデー、コロンブスがアメリカ大陸を発見した日にちが十月十二日ですけれども、これを十月の第二週にするでありますとか、あとキング牧師の記念日でありますとか戦没将兵追悼記念日でありますとか、それからレーバーデー、労働祭をするでありますとか、こういう形で月曜日にやって、三連休を大変つくっておるわけですね。  それから、民間の方でもかなり、今佐藤通産大臣からもお話がございましたけれども、去年の十一月に祝日三連休化推進会議というものが発足をしました。我が国の祝日というのは決して少なくありません。アメリカが十日に対して日本は十四日ありますから少なくないわけですけれども、この数を、十四日ですからさらに十五とか十六にするんじゃなくて、一応候補に挙がっておられますのが四つありまして、成人の日、一月十五日を一月の第二月曜日にする、それから海の日が七月二十日、これを七月の第三月曜日にする、敬老の日、九月十五日、これを九月の第三月曜日にする、それから体育の日、十月十日を十月の第二の月曜日にするということで、私はこれは、体育の日は東京オリンピックだからとか、海の日は、あれはそもそも明治天皇が最初に船に乗って行幸したときの記念日であるとか、いろいろそういう故事来歴はわかっておるつもりでございますが、この四つぐらいを月曜日に移すということはさほど抵抗がないんじゃないだろうか。  それから、これはまさに主務大臣は官房長官になると思うんですが、海の記念日のときにもやはり、この海の記念日を、七月二十日を七月の第三の月曜日にしたらどうかというような議論も内閣委員会であったというように聞いておるんですけれども、そのとき、曜日指定は国民にとって大変有意義な休みになると思うが、曜日指定というのはまだ祝日法の中に確定していない、今後さらに検討したいというような答弁もあるわけでございます。先ほど来るる述べておりますような情勢を勘案をして、そろそろ法制化に入ってもいいんではないだろうかと私は思うわけでございますが、官房長官、いかがでしょうか。
  47. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 内容的には検討しなければならない課題だと思っておりますけれども日本自身が休日が、祭日が多いということ。それからもう一つは、長期のバカンスというか、夏季休暇なりあるいはクリスマスなり、こういうものを、有給休暇を活用して若干長目の休暇をとることの方が、私は二日、三日ということよりはより効果的ではないかと思いますが、産業政策の上から見ていいのか。あるいは、私のように古い人間は、二日休むととても頭がなまくらになって、というより焦慮感に駆られて何とも困る。そういう人間がだんだん少なくなって、皆さん方は機能的に二日なり三日の休みを使えるわけでありますが、私のような老兵というか、それはもうせいぜい一日休むとあと何をしていいか知らないで、おろおろして、休みの使い方のできない人間もおるということもひとつお含みおきを願いたいと思います。
  48. 海江田万里

    ○海江田委員 そういう方がいるということも重々承知をしておるつもりでございますけれども、やはり三日休みになると一泊旅行ができるんですよね。二日だとやはり一泊できないんですよ、これは本当のこと言いまして。  あと、これで祝日法を変えますと子供が休みになりますから、そうするとやはり若い人たちも行けるということで、お年寄りだってお孫さんと一緒に行ったっていいわけでございますから、これはぜひやはり政府が前向きにしていただくか、あるいは政府が前向きにしていただかなければ、これはどうですか、皆さん方、賛同される議員で議員立法ということもありますので、かなり民間動いていますので、議員の動きがちょっと鈍いかなというような気もしますので、ぜひお誘いをいたしますので、私の身柄が行くということじゃありませんで、アイデアをそちら、超党派でというようなことも考えておりますので、これはぜひ、お金のかからない景気対策という観点もあわせて御検討をいただきたいということでございます。  官房長官、ありがとうございました。それから、通産大臣もよろしゅうございますので。  それでは、本来の順番に戻らしていただきますが、今確定申告の時期でございますけれども、この確定申告の中で、もう制度自体が生まれましてから十年経過しております制度で、給与所得者の特定支出控除というのがありますね。きょう、この席にいらっしゃいます委員の皆様方はよく御存じだろうと思いますが、なかなか一般の方はこの制度自体よく認識をしていないと私は思うのですけれども、そのせいかどうか、この給与所得者の特定支出控除というものの利用者の数が大変少ないわけでございますね。  大蔵省、お手元の資料で、毎年の確定申告でこの給与所得者の特定支出控除を受けている人の数、これをお教えいただきたいと思います。
  49. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの特定支出控除の利用状況でございますけれども、給与所得者のうち特定支出控除を適用して確定申告書を提出した者の数でございますけれども、この五年間について申し上げますと、平成三年分が八人、平成四年分が七人、平成五年分が四人、六年分が七人、七年分が一人ということになっております。
  50. 海江田万里

    ○海江田委員 今お聞きになって驚いた方もいらっしゃるのじゃないかと思いますが、給与所得者というのは約四千三百万人いるわけですから、それが平成七年分はたった一人ですからね、これは。それから平成六年分が七人、平成五年分が四人、平成四年分も七人、四人とか七人とか、ましてや一人とかということになると、これはやはりどこかに問題があるのじゃないかなと私は思って おるわけですけれども、大蔵省は、こういう統計をとっておられて、これだけ申告者が少ないということは何か制度に問題があるというふうにお考えにならないのでしょうか、どうなんでしょうか。
  51. 薄井信明

    ○薄井政府委員 給与所得者の特定支出控除といいますのは、給与所得者の、御存じの給与所得控除という概算控除制度がございまして、一般の方は、まずこれを適用すると特定支出控除の額を超えるということがこの原因かと思います。  もうちょっと簡単に敷衍して申し上げますと、例えば年収五百万円の方は、給与所得控除という概算の控除が百五十四万円受けられます。比率にして三〇%を超えるわけでございまして、給与所得収入にかかるいわゆる必要経費等々がこれだけ、百五十四万には達しないということが一般的だと思います。七百万の場合ですと二七%で百九十万円。そういう意味で、給与所得控除の額との比較の問題として、これを超えるほどの特定支出控除の方がいらっしゃらない。  もう一つ申し上げれば、日本の場合、給与所得控除が極めて高くなっているということを反映しているのではないかと思います。
  52. 海江田万里

    ○海江田委員 私がお尋ねをしておりますのは、やはり利用者がこれだけというのは制度に何らかの欠陥があるのではないだろうかというようなお尋ねをしたわけで、どういう仕組みになっておるかということはもうわかっておるわけでございます。  今おっしゃった、給与所得控除が高くて、その給与所得控除を上回る部分でなければいけない。しかも特定支出ですから、中身がかなり細かく決まっているわけです。単身赴任の人が自分のお金でもって家に帰る場合とか、それからあと、自分で何か資格を取るために勉強した場合とか、しかもその中もかなり細かく決まっていて、そういうふうに、大きく分けて、その特定支出の中身についての決まりが厳し過ぎるのじゃないだろうかという議論と、もう一つは、給与所得控除を上回ったところでしか利用できないというところに欠陥があるのじゃないだろうか。二つなんですよね、欠陥があると思われるのは。そういう認識は持っておられるのかどうなのかということです。
  53. 薄井信明

    ○薄井政府委員 おっしゃるようなサイドからの御指摘があることは存じ上げておりますし、私どもこの制度をつくるとき、六十二年にかけて大分議論をいたしております。  やはり、給与に係るこの種の経費といいますか支出といいますか、これを、さっき御指摘のように、何千万というサラリーマンの方がいらっしゃる中で、混乱がないように、不公平がないように、わかりやすくということになりますと、どうしても、具体的にはっきりした支出項目でないと混乱が生じる等々の問題があります。また執行上の問題もございます。それから、支出額がある程度まとまっていないとこれもなかなか仕分けが難しくなってくる。そうなってきますと、非常にそういうことについて細かく考える方だけが引ける制度でもおかしいというようなこともあり、御指摘のようなサイドの御議論があることは十分承知しておりますが、現在の制度が、日本の場合、給与所得控除が高いという中で考えた場合、一つのおさまりではないかという結論が当時出ているわけでございます。
  54. 海江田万里

    ○海江田委員 実は、端的に言いますと、大蔵省はこの制度をつくることにそんなに賛成じゃないのですよ。熱意を持っていないのですよ、本当は。  そもそもこの経緯は、皆さん方はもちろん専門家ですからよく御存じだろうと思いますけれども裁判所の判決がありまして、最近余り聞かなくなりましたけれども、いわゆるトーゴーサンとかクロヨンとかいうことが随分言われまして、給与所得者と、それから農家だとか自営業だとか、そういう方たちの所得の捕捉率がどうも違うのじゃないだろうかということで、大島訴訟ということで言われているわけですけれども、そこで裁判所が、やはりそういうサラリーマンの間にある不公平感を何らかの形で払拭しなければいけないのじゃないだろうかという判決を出して、まあその判決に従って、ただ、従いましたけれども、本心からそれを、よし、それならサラリーマンのために何とかやろうという気持ちがありませんから、だから、まさに最初から利用できないような形につくったのじゃないですか。私はそうとしか思えないのですよ。最初のころだって十人とか七人とか六人とか四人とか、四千三百万人の給与所得者がいて四人とか七人とか、ましてや一人しか利用できないようなそんな制度をつくって、それでもっていいとお考えなのかどうなのかということ、私はその点を聞いてみたいと思うのですね、これは。もし大蔵大臣、一言あったら。その前にちょっと、じゃ、薄井さんから。
  55. 薄井信明

    ○薄井政府委員 この考え方は、多分、所得税、特にサラリーマンの給与所得に対する税金をどう計算するかという基本にかかわる問題でして、概算で経費控除を行うという、かつそれも低収入の方々にかなり幅広く控除するという考え方をとるのか、それとも実際に支出したものだけに限るのかという両者の選択に帰着する基本問題だと思うのですね。  先ほど最初に申し上げましたように、極めて給与所得控除が高い、しかも概算の方がいいという道をとっている以上、特定支出があってもそれを超えないわけですから、計数として少ない数字しか出てこないということになるわけです。しかし、考え方を変えて、それはもう概算で引かなくてもいい、本当に支出したものだけしか引かない方がいいという給与所得控除の考え方を突き詰めていけば、それも一つの考え方かと思います。しかし、日本では、やはり概算でかなり多目の給与所得控除を引くことが適切であると考えているということでございます。
  56. 三塚博

    ○三塚国務大臣 余り聞いていてぴんときません。よく勉強させて、検討します。
  57. 海江田万里

    ○海江田委員 恐らく制度自体も御存じない方が多いのじゃないですか。大蔵省も、この「私たちの税金」という、まあこれは比較的よくできた本で、一般の方も読んでわかりやすいので見てみましたら、特定支出控除はたった五行しかやはり書いていないのですよね。確かに、利用者が一人であるとか四人であるとかなら五行でもいいのだろうと思いますけれども、私は、せっかく制度をつくったのですから、もう少し周知徹底方を図って、やはりそういう人があるかもしれないと。  それから、先ほどもお話ししましたけれども、やはりこの制度そのものに欠陥があるのですよ。確かに、片一方で概算控除でもって給与所得控除があるから、そこをまず第一に優先をして考えて、そしてそこから上に出てきた、本当に特定な、サラリーマンが自己啓発のために投資をしたものとか、会社の命令で出張してしまって、出張旅費というのは出るケースもあるのですれども、まあ月何回か帰ったら、あるいは子供が病気になって何回も帰ったりしたら、そこの部分は足が出るからその部分を面倒見ようとか、そういう話なんですけれども、やはり根底にサラリーマンの不公平感というのは残っているのですよ、トーゴーサンとかクロヨンとか言われなくなりましたけれども。  じゃ、所得の捕捉率が、消費税ということではみんな納税するようになりましたけれども、トーゴーサンとかクロヨンが今どういうふうに変わっているのかというような資料がありますか、そういう所得の捕捉率が。ちょっとお願いはしていなかったけれども。そういうのが変わっているならいいのですけれども、ほとんど変わっていないでしょう。もしよかったら、ちょっとデータを教えてください。
  58. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 今お尋ねの所得の捕捉率のような数字はございません。  私ども、おっしゃいましたようなクロヨン、あるいはトーゴーサンという御指摘がございましたけれども、そういう表現で十把一からげに論議するのは適当でないと思っております。ただ、こうした言葉に象徴されるような、その所得の種類間におきます所得の把握の差に基づく、今おっしゃいましたサラリーマンの不公平感等が存在することは事実でございまして、依然として過少申告を 行う不誠実な納税者がいることも事実でございます。私ども執行当局は、そうした中で、適正かつ公平な課税を実現するために、限られた人数の中で、できるだけの課税の公平に向けての努力をしているということでございます。
  59. 海江田万里

    ○海江田委員 向こうから出てこられたから何かデータでもあるのかなと思ったけれども、ないということですが、これは税調なんかでも一回議論してみてくださいよ。果たして、こういう制度をつくっておいていいのか。本当にもう要らないという話であれば、これはやはりなくした方がいいですよ。そうじやなかったら、どこをどういうふうに変えれば、例えば給与所得控除を半分にして、その半分を上回ったところにするとかいう議論もあったやに私は聞いておるのですね、これは。給与所得控除を二分の一にして、その二分の一を超えた部分ということにすると、もう少し利用者もふえてくる。  それから、サラリーマンは普通は源泉徴収ですけれども、やはりこうやって自分で確定申告に行くことによって納税意識も出てくるわけですよ。だから、そんなようなことも考えて、それから、せっかくつくった制度でもありますので、何らかの形でやはり手直しというのは、今のままで、一人だとか四人だとかで、このままでいいのだということにはならないと思うのですがね。いかがですか。
  60. 薄井信明

    ○薄井政府委員 給与所得者の課税の仕方という意味では基本にわたる問題ですから、これは今後とも私ども永遠の課題として、よりよい方向に持っていきたいと思います。  今御提言のありました、二分の一を超えた部分については特定支出控除を認めていいじゃないかという場合に、そうすると、今百認めているものを五十しか認めないで、あとは特定支出控除の部分を認めるとなると、一般の方は相当増税になると思いますね。この辺、どういう仕組みをお考えになるのか。今は、少なくとも概算で経費が出ているか出ていないかは関係なしに認めている額があって、それと特定支出控除を背比べして、超えている部分は結構ですよ、その結果、数が少ないということなんですね。給与所得控除、特に中低所得者についてはかなり日本の場合高いという、その給与所得控除のあり方の問題ともこれは絡んでくるかと思っております。
  61. 海江田万里

    ○海江田委員 薄井さん、誤解されていますけれども、私は、全部のサラリーマンの給与所得控除を圧縮しろなんて話をしているのじゃないんですよ。それはおわかりのはずですよ。特定支出控除を選ぶ人は、計算式の上で、給与所得控除を二分の一に圧縮をして、そして、その特定支出控除の控除額を計算する上で圧縮しろという話をしているのであって、わかるでしょう、税金の専門家なんだから。そんな難しい話をしているわけじゃないので、そんな給与所得控除を減らせなんという議論になるはずもない話でして、何らかの形でこれは少し議論をしていただかないと、こういう一人だとか四人だとかいう事実自体も伝わっていませんからね。そういう意味で私は質問させていただいたわけでございます。  それから、続きまして、大蔵省の所管の公益法人の問題にちょっと入りたいと思います。  この大蔵省所管の公益法人の中に、社団法人研究情報基金というものがございます。これは一九八六年、昭和六十一年に設立てございますが、現在の理事長は元大蔵省の事務次官の斎藤さんでございます。この斎藤さんのほかにも次官を経験をされた方がここの理事長だとか評議員をおやりになっているわけですけれども、この社団法人研究情報基金の仕事の内容を教えていただきたいと思います。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 武藤敏郎

    武藤政府委員 研究情報基金は、日本と諸外国の間の相互理解を深めることを目的といたしまして、昭和六十一年に設立されました。財政金融政策等の諸問題について国際的、総合的な研究交流及び情報の収集分析を推進しております。  この目的を達成するために、海外の対日理解の促進に資するシンポジウム等の開催、諸外国についての研究、情報収集及び広報、環太平洋発展への日米欧の協力活動等を行っております。
  63. 海江田万里

    ○海江田委員 今お話しいただきましたように、私もこの社団法人研究情報基金の登記簿をとってみました。そこに今説明のあったような目的というものが書かれておるのですけれども、そのほかに私は、やはり大蔵省所管の公益法人で財団法人国際金融情報センター、それから社団法人総合研究フォーラム、大蔵省は所管の公益法人を全部で百二十一持っておりますが、全部とってもいいのですけれども、結構高いものですから、港区のこの登記をしております公益法人、三つだけですけれども、とってみましたら、そこも、例えば財団法人国際金融情報センターというところの「目的」も同じようなことを書いているのですね。「この法人は、諸外国の経済及びこれに関連する諸事情について広く情報を収集し、総合的な調査研究を行い、併せてその成果の普及を図り、もって我が国経済及び国際金融の健全な発展に寄与すること」ができる。「事業」として、「諸外国の経済及びこれに関連する諸事情についての総合的な調査研究の実施及び助成」でありますとか、それから総合研究フォーラムもやはり同じように、「本会は、長期的、総合的、国際的視野をもつて、我が国における財政、金融、経済及び対外政策の在り方について研究調査を行うとともに、経済及び文化に関する国際交流の推進を通じて国際的相互理解の浸透を図り、併せて会員相互の研修を行い、もって国際経済社会における我が国経済の調和ある発展に寄与することを目的とし」とか、どれを入れかえたって同じなんです、本当のことを言うと。試験か何かでこの三つがそれぞれどこの法人の目的ですかということをお示しをしたら、間違えちゃいますよ、はっきり言って。うまく線でつなげないというような状況だろうと思うのですけれども。  今私が言いました、例えば国際金融情報センターというのは、これはさっきお話をした理事長、この研究情報基金の理事長の斎藤さんは国際金融情報センターの顧問もやっていらっしゃるのですよね。どこがどう違うのですか。
  64. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ただいま御質問のありました国際金融情報センターでございますけれども、これはまさに国際金融の問題につきまして専門的に調査研究をやっておりまして、先ほどのFAIRの方は、もうちょっと広く一般的な財政金融政策あるいは経済政策等につきまして研究をやっておるというふうに理解しております。
  65. 海江田万里

    ○海江田委員 じゃあ、総合研究フォーラムとFAIRはどう違うのですか。総合研究フォーラムとはどう違うの。――まあいいです、はい。いいですよ。  まあ、大して違いはないのですけれどもね。ありますか、言えますか。
  66. 武藤敏郎

    武藤政府委員 総合研究フォーラムでございますけれども、これも国際的視野での財政、金融、経済の諸問題に関しまして、長期的、総合的にやっていただいておるわけでございますけれども、これは大蔵省と外務省の共管になっておる団体でございます。
  67. 海江田万里

    ○海江田委員 共管になっているか、なっていないかだけが違うという話のようなんですが、本当は一番大きな違いは何かというと、今私がお話をした社団法人研究情報基金と、それから財団法人国際金融情報センターと社団法人総合研究フォーラムとの違い、これはそちらからお話がなかったから私の方から言いますけれども、この社団法人研究情報基金だけは特定公益増進法人の認定を受けているのですよ。特定公益増進法人というのは一体どういう性格のもので、それに認定されるとどういう恩典があるのか、それを教えていただきたいと思います。
  68. 薄井信明

    ○薄井政府委員 法人税法あるいは所得税法の世界で、特定公益増進法人という概念がございます。公共法人あるいは公益法人等のうち、「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するもの」とされてお りまして、具体的には特殊法人等で個々に政令で掲名されているもの、あるいは民法法人で主務大臣により認定されているものなどがあります。  これらの法人に対する寄附につきましては、通常の企業の寄附の枠の倍の控除枠がある。個人が寄附する場合も、寄附金控除の対象となるという特典があるということでございます。
  69. 海江田万里

    ○海江田委員 今お聞きいただいてわかったと思いますけれども、この特定公益増進法人というところには、一般の財団法人や社団法人の、アバウトな言い方をすれば、法人から寄附の場合は倍の枠があるわけです、はっきり言って。個人でもほぼそれと同じような枠があるわけですよ、非課税の枠が。それはどうしてかというと、いわゆる公益の増進に著しく寄与するものであるというような定義づけがあるのですよ。  この今お話をした、国際金融情報センターだとか総合研究フォーラムとどこがどう違って、この研究情報基金に特別の、公益の増進に著しく寄与する点があるのですか、教えてください。
  70. 武藤敏郎

    武藤政府委員 研究情報基金が特定公益増進法人に指定を受けております理由について、申し述べさせていただきたいと思います。  これは、特定公益増進法人の要件、いろいろございますけれども、その中の一つに「海外における我が国についての理解の増進を図るため、我が国政治経済、文化その他の我が国の事情の紹介その他の業務を行うことを主たる目的とする法人」という要件がございます。  研究情報基金は、先ほど申し上げましたとおりさまざまなシンポジウム等々、研究、広報活動をやっておりますので、それに該当するということで、その他、運営組織、経理が適正であること等の条件を満たしているものといたしまして、現在、特定公益増進法人に認定されているところでございます。
  71. 海江田万里

    ○海江田委員 それは、国際金融情報センターでも、総合研究フォーラムでも同じなんですよ。この違いというのは、そういう意味では今お話があったようなところでは私は納得できないのですけれども一つだけさっきちょっとお話をして、今の説明の中で入っていなかったのは、これは、法人税法施行令第七十七条及び所得税法施行令第二百十七条に規定する特定公益法人のうち第三号なんですね、これはちょっとお話がありましたけれども。  第三号というのは、主務大臣の認可によってこの特定公益増進法人という認定を受けることができるんですよ。第一号だとか第二号というのは大体もう決まっちゃっているのですね、どういうところが該当するかというと。それこそ海外での日本人学校を支援する団体でありますとか、留学生の交流の組織でありますとか、福祉や環境保護の団体でありますとか、こういうふうに決まっているのです。この第三号のところが、そういう意味では、いわゆる主務大臣がとにかくこれだよということを言えばできるわけですよ。  しかも、この第三号について言えば、いいですか、第三号の認定は原則として二年の期限がつけられている。第三号だけ二年の期限をつけているのですよ。どうしてかというと、そうやってどんどんお金を集めちゃうと、確かに立ち上がりのときはそういうものも必要かもしれない、百歩譲って。だけれども、そうやってそこだけに特別に穴をあけてどんどん寄附金を集めればそこだけ太っちゃうから、だから一応二年でもって区切りますよということをわざわざつけているわけですよ。  ところが、どうですか、これは。毎年毎年更新しているじゃないですか、二年間だって言うけれども。ずっと更新しているのでしょう。ことしの二月だってまた更新したんじゃないですか。そこを教えてください。
  72. 武藤敏郎

    武藤政府委員 研究情報基金が特増法人に認定を最初に受けましたのは昭和六十三年のことでございます。それから平成二年までの二年間受けましたが、その後、次の認定が、第二回目が平成三年、さらに第三回目が平成五年でございますけれども、現在の認定は平成八年ということで、その期間がつながっているものではございません。
  73. 海江田万里

    ○海江田委員 ただ、それは多少のタイムラグというか切れる端境期はあるけれども、基本的に二年ごとに更新しているじゃないですか。これはまだこれからもやり続けるのですか。どうですか、それは。
  74. 武藤敏郎

    武藤政府委員 平成八年の二月から平成十年の二月まで、現在認定を受けておるわけでございますが、その後のことにつきましては、特に現時点におきましては申し上げるべきものを持っておりません。
  75. 海江田万里

    ○海江田委員 これにつきましては一部新聞なんかでも報道をされまして、その新聞は、これは大蔵省の事務次官のいわば保養所だというような書き方をしているわけですね。保養所というのはどういうことかというと、これはもう御案内だろうと思いますけれども、国家公務員法でもって、公務員をやめますと、一応民間企業への離職前五年間いた関係のあるところには二年間いわば天下りできないというような規定があるわけでございます。だから、普通一番すんなりいけば、大蔵省の事務次官なんかやった人は政府系の金融機関に行けば一番いいわけですけれども政府系の金融機関もなかなかそのポストがあいていないわけですから、そうすると、いわば保養所とか、あるいは別な表現をすればとまり木というか、やはり一回どこかに行くところが必要なんですよね、これは。だから、この事務次官、大体二年間ぐらいで次々かわっているわけですね、歴代の理事長だとかそういう人をずっと調べてみると。  どうも、そういうふうにやはり利用されているのじゃないかというふうに私なんか見てしまうんですね、本当のことを言いまして。恐らく、きょうここにいらっしゃる委員の方もどうもそういうふうに見える方が私は多いのじゃないだろうかと。普通の納税者の目とか普通の国民の目で見ると、やはりそういうために公益法人をわざわざつくって、しかも公益法人をつくるだけじゃなくて、そこに「公益の増進に著しく寄与するもの」という規定を当てはめて、大臣の認定でもって、そしていわゆる特定公益増進法人という形でさらに税金の優遇を受けるようにしてしまうということ。寄附金を集めやすいのですよ。現にたくさん集まっているのですよ、これは。そういうことはやはり納税者の目から見て納得できることですかね。  大蔵大臣、今の話をお聞きいただいてどうですか。大蔵省、これは全く問題ない、どんどんやれというようなお考えになるのか、それとも、今度自分のところへそういうような認定が回ってきたら、これはひとつ慎重にしなければいけないなというようなお考えになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  76. 武藤敏郎

    武藤政府委員 研究情報基金の活動につきましては、ここで細かく申し上げませんけれども、それぞれ中身がきちっとあって、立派な活動をしている基金であると我々は考えております。  しかも、この理事長職につきまして、今いろいろ保養所ではないか等々の御指摘がございましたけれども、必ずしも歴代次官が順番に座っているというようなことでは決してございませんで、財政金融に関する識見を有する適任者が選任されているというふうに考えておりますし、理事長となられた方はその職務を適切に遂行されているというふうに承知しております心
  77. 三塚博

    ○三塚国務大臣 認定の申請がありましたら、厳正に対応いたします。
  78. 海江田万里

    ○海江田委員 実は、大蔵省のこういう問題というのはなかなか、本当のことを言いましてやりにくい問題でもあるんですよ。私も、この問題をどうしようかということで私の知人なんかに聞いたら、それはやめておいた方がいいよ、そんなことを言って大蔵省を敵に回して後で税金でいろいろ言われたら困るからとかね。いや、これは別に私はそんなことは思いませんけれども、非常にやはりナーバスな問題であるということも確かなんですね。だからといって、だけれども大蔵省が聖域であっていいはずもないし、それから、薄井局長 も先ほどから別なことで御答弁いただきましたけれども、主税局で本当はよくわかっているから。本当はわかっているんですよ、これは。なかなかうんとは言えないでしょうけれども。  私は、もちろん公務員制度全体も見直しをしなければいけないということで、次官経験者だとか、それから局長なんかやられた方たちがその後どうするかとか、あと定年の問題とか種々ありますけれども、余り公益法人を次々につくって、そしてそこに税制上の恩典を与えるというのは、これはやはりちょっと行き過ぎじゃないだろうか。私はそう思うんですね。  それから、こういう時期ですから、よく、李下に冠を正さずとか、スモモが咲いているところじゃ冠を直しちゃいけないとか、瓜田にくつをかえずとか、いれずというんですかね、たしか。そういう言葉もあるように、この問題は少し考えてみないと、余り世間に向かって大っぴらに、全然問題ないんだよということは言えないと思うんですがね。  もう一回大臣、御答弁を。
  79. 三塚博

    ○三塚国務大臣 一生懸命やっておると思っておりますが、いよいよ行政改革、諸改革、断行しなければならぬところに来ております。隗より始めよという言葉もありますので、そういうことで、スリムないい感じのものをつくって、国民各位も改革に参加をいただいて、いい日本をつくり上げることが第一だと思っております。
  80. 海江田万里

    ○海江田委員 大蔵省の公益法人というのは、大蔵省所管の公益法人、百二十一ですか、ありまして、それで、一番直近の大蔵省をおやめになった方がその理事長だとか、あるいは常勤の役員に入っている公益法人が幾つあるか調べたら、五十ほどあるんですね。これは、大蔵省から直接、大蔵省をおやめになって直接公益法人に行ったというのをカウントすると五十ですけれども、このほかに、大蔵省から日本たばこだとか、それから民間の金融機関に一回行ってそこからまた入ったとか、こういうのを数えると、やはり六十以上になるわけですね。それから、あと常勤の役員のほかに、顧問とかいう肩書がたくさんあって、この顧問の中に入っている人たちもたくさんいるわけです。  私は、この際ですから、これは大蔵省だけじゃありませんけれども、いわゆる公益法人と言われている財団法人だとか、それから社団法人だとか、こういうところにもメスを入れていく必要があると思います。  これ以上お答えはいただけないと思いますので、この問題はこのくらいにしまして、あと次に、金融のビッグバンの話ですね。  先ほどもお話が出ていました、公的資金をどうするのかという、これは何度かお話が出たんですけれども、私は、この金融のビッグバンの中で消費者保護というものは果たして守られるものなんだろうかどうなんだろうかという点について質問をさせていただきたいと思います。  まず、この金融のビッグバンということでいいますと、ビッグバンという言葉自体はかなり前からあったわけでございますけれども、金融のビッグバンという形で言われましたのは、たしか去年の十月の経済審議会の行動計画委員会の「わが国金融システムの活性化のために」ということの中で初めて、このビッグバン方式ですね、これは、「改革は「漸進的、段階的」ではなく、ある程度一気に行われなければならない。しかも、諸外国との大競争を考えれば、それは早い程良い。このため、「ビッグ・バン」方式により、遅くとも一九九九年度末までに改革を全面的かつ一挙に実現すべきである。」という記述があります。この一九九九年年度末というのが、総理の指示になりますと二〇〇一年になるわけでございますが、この総理の指示でございますね。  この総理の指示につきましては、これは十一月だったと思いますけれども、この総理の指示の中で、「我が国金融システムの改革」の三原則として、よくこれは大蔵大臣も引用されますけれども、フリー、フェア、グローバルという三つの原則があるということで、このフェアということの中身として、「透明で信頼できる市場に」と「ルールの明確化・透明化、投資家保護」というふうに書いてあるんですけれども、これは、投資家保護だけに限定をしないで、少なくとも金融サービスを受ける消費者を保護しなければいけない、こういうふうに私は読んでいるんですけれども、大蔵大臣総理の指示で、こういう三つの原則の指示があったということで、その中で消費者保護というのはしっかりとした手当てをするというような認識はお持ちでいらっしゃいますね。
  81. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本件は、前段海江田議員が言われましたとおりでありますが、結果として消費者保護が達成されるのではないかと。そのためには、リスクの高い商品、デリバティブなどというのも広く知られるようになりました。こういう問題がございますから、この保護をどのように詰めるかというのはいよいよ重要なポイントの一つになってきております。  本件については、総理からも、前段とにかく三原則を遂行して横並びのサービス提供ができるようにしむけよう、同時に、消費者保護、個人預貯金、利用者保護、こういうことになるんだと思うんですが、本件についても大臣のところでひとつ研究してほしい、こういうことであります。
  82. 海江田万里

    ○海江田委員 これはぜひ力を入れてやっていただきたいんですが、その場合一つの参考になりますのが、アメリカで消費者信用保護法というのがあります。  これは、CCPAということ、一九六八年に最初に制定されておりますが、七〇年にも八〇年にもと、いわゆるアメリカの金融の自由化の進展の中で、この消費者信用保護法というのは常に中身を新しくしているわけですね。それから、州法としましては、州の法律としましては連邦の消費者信用保護法とほぼ同じ内容の統一消費者信用法典、U3C、U、C、C、Cとつくんですが、こういう法律があるということで、これは随分、いわゆる消費者信用の取引の中で消費者を保護するということが大変細かく、しかもかなり消費者の側に寄った中身が決められているんですね。  例えば私たちは、割賦販売法でいうと、あるいは無店舗販売なんかによると、クーリングオフというのがありますね。契約をしてから、頭をもう少し冷静にして三日間ぐらい考えていいですよ、ペナルティーなしですぐ解約できますよということですけれども、アメリカなんかは、信用取引においても、例えば金融機関から融資を受けたときに、土地を担保あるいは建物を担保にして融資を受けたときに、判こを押しました、契約をしましたけれども、ちょっと待てよ、この融資で本当にいいんだろうかどうなんだろうかということを少し頭を冷静にして考えようというような決まりもあります。しかもそういう場合、契約書をきちっと出して、その契約書の中には、これは法律でそこまで細かく書いているんですけれども、十二ポイントというかなり大きな活字で、日本の漢字と違って英語ですから読みやすいんですけれども、それでも十二ポイントの活字でもってそういうクーリングオフということがあるということを規定しなきゃいけないとか、そんなことを書いているんですよ。  ところが、我が国の場合、もちろんそういう法律はない。それから、私も銀行の預金の、これは我が国の場合定款で対応しているんですけれども、どういうふうに書いてあるのかということをちょっと自分の通帳を見たのですけれども、こんな小さい字で書いてあって、これは全然読めやしないですよ。私も最近老眼ですから読めないのですね、これは。それで、コピーで拡大をしてやっと読めるような次第なんですがね。それでもある銀行の、「取引については、別にお渡しした規定によりお取扱いいたします。」その次に「規定がお入用の場合はいつでも窓口にお申出ください。」「お渡しした規定によりお取扱いいたします。」というけれども、そのすぐ後で「規定がお入用の場合はいつでも窓口にお申出ください。」つまり、渡しはしないのですよ、本当の規定は。そういう ことが書いてあるとか。  それから、やはりこういうのはだれも読みませんから、消費者だとか預金者本位になっていないのですね。「通帳や印章を失ったとき、または印章、名称、住所その他の届出事項に変更があった時は、直ちに書面によって取引店に届出て下さい。この届出の前に生じた損害については当行は責任を負いません。」とか「この通帳または印章を失った場合のこの預金の払戻し、解約、または通帳の再発行は、当行所定の手続をした後に行います。この場合、相当の期間をおき、また保証人を求めることがあります。」とか、とにかく一方的なのですよ、それは。どちらかといえば、自分のところでつくる約款ですから、自分にとって不利なことは余り書かない。しかもそれが読まれない。わざと、わざとと言っては語弊があるかもしれないけれども、読みにくい小さな字で書いてある。  こういうことを考えると、私は、やはり預金者保護というかいわゆる金融サービスを受ける消費者保護というのは、少し気合いを入れてやっていかないといろいろな問題が起きてくるんじゃないだろうかというふうに思うのですね。  とりわけ、いわゆる消費者金融、サラ金でありますとか、あるいはクレジット、割賦販売のところでありますとか、こういうところはこれまでにも法律があるわけですね。これは言うまでもないと思いますけれども、利息制限法でありますとかあるいは貸金業法でありますとか、あるいは先ほどお話をした割賦販売法ですとか、こういう法律で一応消費者保護というのは守られているわけですけれども、やはり銀行の融資だとか、あるいはこれから、さっきもちょっとどこかで議論になりましたけれども電子マネーなんということがありまして、これはもうあっという間にコンピューターで決済されちゃうわけですよ。知らない間にゼロがずらっとふえていたのならいいけれども、知らない間にゼロがずらっとなくなっちゃうことだってあるわけですから、そういうときにどういうふうに消費者を保護をするかということは、これはよほど性根を入れて考えなければいけない。  しかも、先ほど来お話をしているように、今銀行との取引については預金者を守る法律がないということ、このあたりをどういうふうにお考えになるのか。これは当局でもよろしゅうございますから、お答えいただきたいと思います。
  83. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、金融システム改革が進みますと一層の規制緩和ということになるわけでございます。そうしますと、金融商品、サービスが非常に多様化し高度化してまいるということが予想されるわけでございます。したがいまして、利用者たる消費者にとり、よりリスクの高い商品あるいは複雑な商品というものに接する機会がふえるわけでございます。したがいまして、私どもも、こういったビッグバンが進んでいきますと消費者保護をどう考えるかというのは大切な問題だというふうに考えております。  ただ、先ほど銀行の例を申されましたけれども、銀行はいろいろな行為に規制がありまして、その規制をきちっと守るということで対応してございます。その融資態度にしても、デリバティブの商品の説明等もきちっと通達を出し、それを守らせるという形で今やっております。  それから他の業態、例えば証券取引につきましては、御承知のように証取法で、適合性の原則というのが法律で書いてあります。これは非常にリスクが高い商品だというのが背景にあります。保険につきましては、実は保険の募集というのがいろいろテクニックなものがありますから、虚偽を告げてはいけないとかそういった制度がかなり書いてあります。貸金業については御承知のとおり。  各業態いろいろ区々でございますが、そういったものをトータル的に消費者保護という観点からよくこれからも検討してまいりたいと思っております。
  84. 海江田万里

    ○海江田委員 余り時間がありませんけれども、確かに規制があるということはよく承知をしておるのですけれども、それから通達があるということはよくわかっておるのですけれども、ところがやはり、じゃ実際にその規制や通達がきちっと守られておるかとか、それから先ほどお示しをしましたように、そういう約定なんかについてもなかなか示していただけないというようなことが現実問題としてあるわけですから、本当だったらやはりここは立法化した方が私はいいと思うのですね、本当にビッグバンと言われるぐらいの大きな制度改革なわけですから。  その立法化について私が去年質問主意書を出しましたら、立法化への検討を行っていないという返事をいただいているのですが、立法化のことも含めて検討するのか、それとも立法化はもう最初から頭にないのかということ、そのことだけ。外務大臣も先ほどからお待ちいただいて本当に申しわけないので、立法化も含めるのか、含めないのか、それだけお答えください。
  85. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  今御説明いたしましたように、各業態によりましてかなり区々の消費者との接触形態でございます。したがって、それを統一的にやった方がいいのか、あるいは個々の業態の中できちんとやらせた方がいいのか、今後の検討課題だと思います。
  86. 海江田万里

    ○海江田委員 もちろん私が言っているのは、もう既に先行しているのがあるわけですから、全部を含めたアメリカみたいな統一的な消費者信用保護法というのは無理だろうと思います。やはりそれはまず銀行のところから入っていくとか、そういうことですから、そういう手順で、まあ、じゃ立法も含めた検討というふうに私は理解をさせていただきます。よろしゅうございますね、大臣。はいと言っておりますので、そういうことだと思います。  本当に時間がなくなってしまいましたけれども外務大臣にお尋ねをします。  これは先日新聞記事になりましたので、皆さんよく御存じだろうと思いますけれども、中国と韓国が非常に遠い国になっておるという世論調査でございますね。「親しみを感じない」というのが「どちらかというと親しみを感じない」も含めていずれも六割でございます。「親しみを感じる」というところが非常に低いパーセンテージになっておりますので。もちろん日米関係というのは基軸でございますけれども、やはり近隣諸国との友好関係というのは大変大事だと思いますので、こういう調査が出て、これは中国なんかにおいても、前の世論調査でやはり親しみを持つが五〇%を割ってということで、毎年毎年そういうふうに、かなりこれは毎回調査をするたびにポイントが上がっているのですね。何か手を打たないでいいのですかね、これは。
  87. 池田行彦

    池田国務大臣 今御指摘の調査でございますけれども、まず二つの意味でのタイムラグの要素があると思います。  調査時点、たしか昨年の十月だと思いましたので、その後、日中あるいは日韓の関係についても改善を図らなくちゃいけないというので、それぞれの国といろいろ努力をしてきたところでございます。そういった調査の時点でのタイムラグがあります。それから、そういった努力が両国の国民の皆様に御理解いただけるかどうかという、そういうことでございますので、若干は、そういった意味でいわば一番悪い条件の中でのあれかということがございます。  しかし、それにいたしましても、委員も御指摘になりましたように、趨勢的にも、特に日中の関係の世論調査の結果はずっとよくない方に、日本でもまた中国でも来ております。これはよく考えなくちゃいけないと思っております。  いろいろ原因はありますけれども、両国にいろいろ関係する他の国々との相関関係がどうなるかというのと、あるいは二十五年前の日中国交回復のときの相互のああいった熱気というものがだんだん薄らいできたということ、いろいろな要因はあるわけでございますけれども、いずれにしても、中国あるいは韓国、隣国でございまして、この両国の間との関係をしっかりやっていくということは我が国にとっても大変大切でございますし、そ れだけじゃなくて、アジア太平洋地域全体の安定のためにも我々はこれを良好な関係に維持していく責務がある、こう考えておりますので、いろいろ手を尽くしてまいりたいと思います。  そういった意味で、いろいろな手法ございますけれども、例えば人物その他の交流を通してということで、昨年の五十年の節目の年に、中国並びに韓国との関係では新たなそういった平和友好の交流の計画というものを発足いたしましたし、また、韓国の関係につきましては、先般、別府で行われました日韓首脳会談の席上、主として青少年交流を強化するためのさらなる計画を推進することで合意いたしました。  それから、さらにもう一点つけ加えますと、議員ベースの交流もこれは大切でございます。そういった意味では、日韓あるいは日中の間の議員交流も、少し低調といいましょうかそういった気味がございましたが、昨年の暮れには日韓議連での大勢の方々の訪韓というお話もございましたし、中国につきましても、先週でございますが、超党派での日中議連の活性化の動きがあるということでございます。そういったあらゆるレベルで相互理解の努力を広げるために外務省といたしましても力を尽くしてまいりたいと考える次第でございます。
  88. 海江田万里

    ○海江田委員 もう時間が来ましたので終わります。  青年交流、特に大事ですから、よろしくどうぞお願いします。
  89. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩     ―――――――――――――     午後一時二分開議
  90. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日野市朗君。
  91. 日野市朗

    ○日野委員 きょうは、日本と外国とのいろいろな関係をこれから構成していく上でこれは大事だろうと思われるポイントについて、何点か質問をいたします。  まず、海外における日系人のことについて、若干、政府の考え方、外務省の考え方をただしておきたいと思います。  実はこの間、ある人と、あるパーティー、これは私が主催をしたパーティーでございますが、そこで外国の方とお会いをしました。南米のある国でありましたが、そこの方が日本人に対する賛美の言葉を語ってくださいました。非常にまじめだ、それから物事について責任感が非常に強い、そして人に対する思いやりも非常に厚いというようなことを言ってくださいまして、私もその方のおっしゃってくださったことについて非常にうれしかった。こんなにも外国の方が日本人を高く評価してくださっているということ、その場だけではなくて、実はいろいろなところで、そういう高い評価を日本人に与えてくださっている方々とお目にかかることができます。  ただ、その方がしゃべっていたのは、日本から移民をして非常に苦労をされながら、その国でしっかりした地歩を固められた日系人のことを言っているわけなのでありますね。ビジネスマンとかそういう方々のことについて言っているのではありません。  私は、そういうもの、そうおっしゃる方々の話を聞いて、日本というのは実は非常にすばらしい財産を海外で築いているな、つくっているなという感じがいたしました。  日本の移民政策というのは、おとといあたり外務省から公表されました外交関係の文書なんかを見ましても、必ずしも行き届いたものではなかったと私は思っております。しかし、そうやって、いわば棄民と言われるほどの、民を捨てると言われるほどの移民政策もあったわけでありますが、そのような中で海外に出られた日本の方々がそういうすばらしいものをおつくりになった。これは、今後日本が国際化していく社会の中で、グローバル化していく、そしてボーダーレスになっていくと言われるこの国際社会の中で、私は非常に大事にしなければならない日本の財産だ、このように思っているところでございます。  そして、この方々の日本人としての祖国に対する思いというのは非常に熱いものがございますね。毎年、海外日系人大会というものを日本で開催をいたします。私も何度かそれに出席をいたしておりますが、そこにおいて語られる海外日系人の方々の日本に寄せる熱い思い、これは見ていて、お話を伺っていて非常に感激をする場面が何度も何度もありました。私は、こういう方々をこれからの日本は大事にしていかなければならないと思うわけですね。  しかし、外務省政策を見ておりまして、確かに一応のことはずっとやってきておられるのはよくわかるのです。しかし、さらにこの人たちを、これからの日本の外交、経済、それからいろいろな文化的な発展、そういったものを見据えるときに、こういう人たちに対する政策の基本的なスタンスというものを日本外務省は持っていなければならないのではないかというふうに思いますが、外務大臣、いかがお考えになりましょう。
  92. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもといたしましても、移住者として世界の各国に行って懸命に働き、そして定着のための努力をしておられる方、あるいはその御子孫である二世、三世、最近は四世の方も少なくありません、そういった方々の生活が安定すること、このことも大きな関心事項でございますし、それと同時に、そういった方々がいわばそういった国々と日本との間のかけ橋として、対日理解の促進なり経済面、文化面、いろいろな面での交流の上で大きな役割を果たしていただく、これは我が国にとっても大変ありがたい、また大切なことだ、こう考えております。  そういった観点から、外務省といたしましても、これまでもいろいろな諸施策を講じてきたわけでございますけれども、どちらかといいますと従来は、移住された方の定着、安定、それをどうするかということが中心であったと思います。しかし最近は、もうここかなり長い間、新規の移住者というものは原則としてない。むしろ、二世、三世、そういった方々をどうするか。やはりそういった方が有為の人材として成長され、その移住された国において、二世、三世の方はそちらの国民でございますから、その国々の発展のために大きな役割を果たされると同時に、先ほど申しました我が国とのかけ橋としての役割も果たしていただく、そのために一体我が国政府としてどういうふうな支援が適当だろうか、こういう観点から施策を講じておるわけでございます。  そういった意味で申しますと、日系人社会のいわば世代交代の進展といったような環境の変化を踏まえながら、将来をにらんだ施策をやってまいりたい、こう考えておる次第でございます。  施策の細部については、また御質問ございましたらお答えしてまいります。
  93. 日野市朗

    ○日野委員 施策の細部については、むしろ私の方からお話しした方がいいでしょう。  いろいろなことをやっておられるのはよくわかります。いろいろな教育も、日本語教育なんかもやっておられる。それから、日系人に日本での雇用の機会を与える、そういったこともいろいろやっておられることはよく私も存じておりますし、JICA、国際協力事業団なんかも、この委員会では、政府の事業団で褒められるのは恐らくJICAぐらいなものですよ。ほかはみんなおしかりを受けているわけですが、国際協力事業団は非常によくやっておられるということも私よく存じております。  私は、これからもこの日系人社会を大事にしていくという点からいいますと、幾つかの観点があると思うのです。  まず一つ観点を申し上げますが、実はこのアジアにおける日系人社会がどうなっているか、この点は私は外務省には十分考慮していただかなけ ればならない。  韓国における日系人はどうなっている、フィリピンにおける、またインドネシアにおける日系人はどうなっている。この人たちは実に肩身狭く、しかも、その地域の社会から疎外されるかのようにして生きでおられる方が多いわけですね。非常に貧困な生活に耐えておられる、そういう方が多いのです。こういう方に対して、今までラテンアメリカとかそういった方面についてはかなりの努力もしておられるようですが、このアジアにおける残留した日本人、その子孫、これの実態を十分に調査されるように。これは私、きのう質問の通告の中でちょっと漏らしましたので。これは非常に悲惨な生活をしておられる方が多い。これは海外日系人の調査によりますとそういう状況ですから、この点については今後十分に調査をされて、そして日本として手を伸ばすべきは伸ばす、こういう抽象的な問いにしますが、いかがでございますか。
  94. 池田行彦

    池田国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、我が国のそういう移住者あるいは日系人に対する政策と申しました場合に、かつて中南米あるいはカリブ諸国もそうでございます、あるいはカナダなどもございましたけれども、いわば政府の施策として移住をされた、そういった方々が定着し、その後どうされるかという観点から仕事をしてまいりました。その中心の推進母体といたしましては、現在JICA、かっては移住事業団というのがございましたが、そういったものが中心になり、また、そのほかいろいろな任意の団体等のお力もおかりしながら進めてきたわけでございますが、今お話しになりますような、アジアにおいでになる日本人あるいはその方々のお子さんあるいはお孫さんといった方々については、残念ながら、日系人あるいは移住政策という観点からは正直申しましてこれまで見ていなかった。むしろ、邦人保護の範疇であるとか、あるいはそれぞれの国との間の友好親善を図っていく中でそういった境遇の方々をどうするかという観点からの対応であったかと思います。  おっしゃるとおり、先ほど名前を挙げられました国々には決して少なくない数のそのような方々がおいでになるわけでございますので、今後そういった方々が生活の面で安定されると同時に、また、先ほども申しました、我が国とそれぞれの国々との関係の改善のためにも役割を果たしていただけるような、そういった方向で施策のあり方をよく検討してまいりたい、こう思います。
  95. 日野市朗

    ○日野委員 JICAの方にちょっと伺いますが、青年海外協力隊、これと同時に日系社会青年ボランティアというものをやっておられますね。日系社会青年ボランティア、これは日系社会に向けてのボランティアを派遣するということでございます。大体一年間に、今全世界で百五十人ぐらいが展開しておられるわけですが、この数をもっとふやした方がいいのではないかというふうに私は考えているのです。新規は毎年五十人ぐらいずつが派遣になるわけでございますね。これでは海外の日系社会に対する対応が十分ではないのではないかという思いを私は抱いております。この部分を強化するお考えはないかどうか、これは外務省とも関係するわけでございますが、JICAのお考えを伺いたいと思います。
  96. 松本紘二

    松本参考人 中南米地域に対する日系社会青年ボランティア派遣事業につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、年間約五十名程度を新規派遣をしておりまして、現在、中南米八カ国に百二十二名を派遣中でございます。  日本語教師を中心といたしまして、教育分野等での青年ボランティアの活動に対しまして評価は非常に高くて、期待も高まっておりますので、国際協力事業団といたしましては、今後とも、日系社会青年ボランティア事業の充実に努めていく所存でございます。
  97. 日野市朗

    ○日野委員 先ほど私は、特にアジアにおける海外日系人の状態というものをきちっと調べる必要があるということをお話ししました。こういうボランティアの方々なんかにも御協力をいただく、そういう観点で、ひとつそちらの方にも事業を広げていただきたいということを要望をいたしておきます。これは外務省にも強く要望をしておきたいというふうに思います。  海外日系人の方からは、語学教育を、日本語教育をもっとやってくれという要望と同時に、海外日系人センターというものをつくってくれということが、海外日系人大会のたびに要望をされているわけですね。現在、横浜の根岸に海外移住センターというものがありまして、これは非常に古い建物で、これを今改修をしているようですが、これを海外日系人センターのようなものにつくっていくことはできないかどうか。これもJICAの方が具体的にやっておられますから、ちょっとJICAから伺いたいと思います。いかがでしょうか。
  98. 小澤大二

    ○小澤参考人 移住担当の理事でございます。  今先生の御指摘の、日系人大会で日系人センターの設立に関する御要望が出ておりまして、私どもとしてもこの内容については十分理解しておりまして、日系人の人材育成とか高齢者の福祉あるいは医療衛生対策、教育文化対策、移住者の安定定着等にかかわる協力分野を含めまして細かな援助を展開しております。  現在、横浜の根岸に移住センターという三十一、二年になるものがございますが、この施設の中におきまして日本語教育等を含めて現在協力を展開しておりまして、JICAといたしましては、この日系人にかかわる協力が今後円滑にいくようさらに一層の努力をしていきたい、このように思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  99. 日野市朗

    ○日野委員 私は、これからこの海外日系人社会というものは非常に日本にとって重要な宝物になるだろうなという思い、これは先ほどもお話ししました。いろいろな国際的な局面にあっても、結局最終的には人と人のつながりというようなものがこれは無視できないわけでありまして、ペルーのフジモリ大統領、日系人でございますが、あのように日系の方々が、せっかく日系人社会というのは今まで尊敬をされて海外に存在をしているわけでありますが、このような中から多くの尊敬される人々が育っていって、日本とその移住先の国との本当にかけ橋になってくださることを私は期待をしたいというふうに思うのです。よく、かけ橋、かけ橋という言葉を使われるけれども、実質的に強いかけ橋につくり上げていくようにこれは努力をしなければならないことであるというふうに思います。  そこで、私、こうやって最終的には人だというお話をしたのですが、今世界で最もビルのテナント料といいますか、それが一番高いのは実はインドなんだそうですね、私もちょっと意外だったのですが。なぜインドかといいますと、インドは今情報通信関係で非常に発展をしております。バンガロールというところなんかは情報通信のソフトの企業がどんどん集積をしていって、非常にインドの経済発展を推し進めているところなんですが、そこでどんな人たちが働いているのかというと、アメリカで勉強をした人たちなんですよ。  アメリカで勉強をし、アメリカで仕事をし、そして、いざ自分の国がさあ発展するぞということになると、どっとそこにアメリカで育った人たちが行くわけですね。そして、インドの経済発展のために懸命の努力をする。私はこういうのを見ていて、アメリカというのはやはり偉大な国だなと思いますね。これから何か日本とインドがアメリカとの関係で競争になったら、恐らくその人たちはインドの肩を持つことは間違いないだろう、こう思うのですね。  私は、そういった意味から、日本の留学生受け入れ、これは海外の日系人も大事だが、日本に外国の留学生を受け入れてきて、そしてその人材を育て上げていくということは非常に大切なことだと思うのでございますね。  ちょっと外国人の留学生についての予算を見てみました。そうしたら、国費外国人留学生についてはちょっと額が上がったが、これを受け入れる関係団体の補助金の方はちょっぴり下がってい る、こういうような状態で、一進一退なのかなというふうに思っていますが、これはやりようによって、いろいろ工夫をすることによって、留学生を受け入れていく、そして日本において教育をしていくということは可能なのだろうと思います。  何か、このごろ日本パッシングという言葉が新しい日本語につけ加わったようでありまして、私、非常に日本に外国の留学生が来なくなったということは憂慮をいたします。これはいろいろな要因があると思うのですよ。物価高のこともありましょう。それから、いろいろな文化的な問題、言葉の問題、いろいろあると思うが、しかし、そういったものを乗り越えて、やはりこれは文部省としてもこの点は力を注がなければならないところであろうというふうに思いますが、いかがでしょう。
  100. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 日野委員が言われるように、留学生交流は、我が国と外国との国際理解、相互理解に非常に寄与いたしますし、また我が国の教育の国際化にも貢献すると思っております。  文部省としては、昭和五十八年以来、二十一世紀十万人受け入れ計画ということで努力をしてまいりまして、急ピッチで留学生の数がふえております。今五万人を超えたところでありますが、ただ最近この伸びが鈍化しておりまして、昨年平成八年は前年度を下回る、こういう状況でございます。今度の予算でも、二・二%増の五百五十六億円を計上して、国費留学生、私費留学生、あるいは研究指導の充実とか、その他万般の対策を講じているところですが、なかなかこれからの予測は非常に難しいわけです。  私も、先般東南アジア諸国を歴訪して、教育大臣とかあるいは大学の学長さんともお話をしたのですが、二つの面で私たちは考えなければいけないと思うのです。一つは教育指導面、例えば日本へ留学すると日本語を勉強しなければいけない、そのために一年、二年時間が余計かかる。あるいは、日本で生活をすると生活費のコストが非常にかかる。最近は、オーストラリアなどは非常に国策として留学生誘致に熱心でありまして、オーストラリアで生活すると日本の半分で済むとか、あるいは語学の心配が要らない。こんなことでかなり流れて、今ジャパン・パッシングというような話がありましたけれども、そんな傾向が出てきております。  そこで、文部省としては、最近、留学生問題の研究をしていただくということで、留学生政策懇談会というのをつくりまして、去る一月二十四日第一回の懇談会を開き、ことしの夏を目標に第一次の報告を出していただこうと思っております。いろいろ具体的に申し上げるとありますけれども、要は、日本がやはり勉強するにふさわしい魅力を持つ、例えば先端技術であるとか、あるいは経営のノウハウであるとか、そういう点で魅力を持続するということが根本であろうと思っております。  以上でございます。
  101. 日野市朗

    ○日野委員 日本人、それから日本で受け入れる外国人、こんな話をしてきましたが、このごろは地球市民という言葉がはやっておりまして、まさにコスモポリタンであることはいいだろうと思う。しかし、よき地球市民になるためには日本人としてのアイデンティティー、これをきちんと主張していかなければよき地球市民にはなれない、私はこう信じています。私がこのようにお話をしたということはひとつ外務大臣も文部大臣も銘記をいただければというふうに思います。  もう一つ別の、今度は経済の問題ですが、WTOの問題に移ります。  日本というのは、これはもう自由貿易がなければ生きていけない国でございますね。そして、自由に貿易が行われ、人が自由に行ったり来たりできる、そういうような国同士の間では戦争なんか起こりません。私はそう思います。そういう観点からひとつWTOの問題について伺いたいのでありますが、きょうはちょっと通産省さんや何かにはお話しする時間がなくなってしまいました。大蔵省にだけ聞きます。  今度、しょうちゅう、それからウイスキー、それからスピリッツ類、こういったものについての酒税が変わります。これは、WTOではこの問題について仲裁を出したわけですね。その仲裁に沿わずに別の方法をとろうということで、大蔵省は今度の法案を出して、二十日に衆議院で趣旨説明をしているわけなんですが、私はこのようなやり方でいいのだろうか、こう思います。  たしかアメリカでも関係者が、バシェフスキーさんのことですが、新聞記者会見なんかをやって、大体日本のやり方というものを了承するかのような発言もしておられるわけですが、私は、やはり自由貿易をきちっとやっていくというのなら、WTOのルールというものはきちっと守るという基本的な姿勢を日本は貫かなければならないと思うのですよ。  それで、まず大蔵省に伺いますが、どういうことでWTOの仲裁をそのとおり守るのではなくて別の手段をとるような形になったのか、ひとつ説明してください。
  102. 薄井信明

    ○薄井政府委員 御指摘のとおり、WTOにしようちゅう、ウイスキー等の税率格差について提訴が行われ、最終的には去年の十一月でございましたが、勧告が採択されたわけでございます。私ども日本日本なりの正論として申し述べることを申し述べてきましたが、残念ながら厳しい勧告内容でございました。  私ども、その内容を委員御指摘のとおりWTOの一員として誠実に対応すべく、税率の仕組み、制度をどうするかということにつきましては、勧告に沿ったものをつくり上げまして、これをもとにEU、アメリカ、カナダとその実施につきまして合意を求めてまいったわけですが、残念ながら、EUとは合意が成りましたが、アメリカとの間でその実施の時期の問題で合意が見られない。内容的には問題ないと思うのですが、その実施の時期をどうするかについて仲裁に提訴を先方がされました。  この仲裁の裁定が二月の十四日になされたわけでございます。私どもその裁定の内容を読みますと、アメリカが主張していたことしの四月から実施しろということも退けておりますが、他方、私どもが考えていた国内事情を十分合理的に勘案した経過措置についても認めないということでございまして、答えとしては、十五カ月以内、昨年の十一月一日から十五カ月ですので来年の二月となりますが、そのときまでに実施するようにという裁定がおりたわけでございます。  そうなりますと、WTOの裁定ですから、私ども、これも誠実に対応していくということでございますけれどもWTOの協定の中で許される事柄は十分に対応の余地としてあり得るわけですので、現在提出させていただいております法律は法律として通していただき、それをもとに、これから来年の二月まで時期はありますので、アメリカとの合意が成るならば、それはそれでWTOの考え方に沿うわけでございますので、誠心誠意努力を重ねてまいりたいと思っております。
  103. 日野市朗

    ○日野委員 これから日本が自由貿易の世界の中で生きていく。そのためには、今は提訴をされて受ける側ですな、圧倒的に。しかし、今度はこちらから提訴をするというようなことも十分考えられることですね。  現在国際収支の動きなんかから見ていると、そういうことはもう十分に考えられることなのであって、WTOのルールというものをきちんと守りましょう、ガットのルール、WTOのルール、それを守りましようということを日本から世界に向けて発信しなければならないと思います。  そのWTOを大事にしていく、その紛争処理のルールを大事にしていくということをまず第一に重要視すべき課題だと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  104. 池田行彦

    池田国務大臣 WTOは、世界の自由貿易、それを守っていく上で大変大切な仕組みでございます。そして、もとより貿易立国を、そうして自由貿易、自由経済を旨とします日本といたしまして も、また世界経済に大きなウエートを占める日本としても、これを大切にしていかなくちゃいけないと思います。そういった意味で、我々も、いろいろ紛争が生じたときの解決手続も含めて、WTOのルールを大切に守ってまいりたい、こう思っております。  ただ一点、申し上げるとするならば、紛争が生じたときの解決手続についてWTOはどういう原則をとっているのかと申しますと、まず紛争当事国の間で、二国間でその話をする、それがうまくいかなかったときに第三者機関のパネルなどへ持っていく、こういうことであるわけでございますが、それも含めてWTOを大切にしてまいりたいと思います。
  105. 日野市朗

    ○日野委員 終わります。
  106. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて日野君の質疑は終了いたしました。  次に、北側一雄君。
  107. 北側一雄

    ○北側委員 新進党の北側一雄でございます。  まず最初に、知的障害者の人権の問題で質問をさせていただきたいと思います。  今、我が国には、法律上は精神薄弱者というふうに言うわけでございますが、この精神薄弱者の方が約四十一万人いらっしゃいます。その中で十八歳以上の方が約三十万人おられまして、この三十万人のいわば成人もしくは成人に近い方のうち、常に社会で働かれている方というのは約六万人ぐらいだというふうに聞いております。二割、成人の方の約二割の方しか知的障害者の方は雇用に従事をしておらないわけでございます。そういう意味で、これまで労働省を中心に進めてこられました知的障害者の方々の雇用促進というのは極めて重要でございまして、これからもしっかりと進めていただきたいと思います。  この二割しか雇用者がいらっしゃらない、雇用が確保されていない、これは間違いないでしょうか。
  108. 坂本哲也

    坂本(哲)政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
  109. 北側一雄

    ○北側委員 私の地元の親しい企業の中でも、雇用主の方が、社長さんが地域社会に貢献しようとされておられまして、その一環として、その雇用主のもとで障害者の方々が健常者の同僚に囲まれまして元気にお仕事をされている姿をよく見ております。これがむしろ私は通常の、ノーマルな姿であると思うわけでございますが、最近こうした知的障害者を被用者とする雇用関係の中で、知的障害者の財産が搾取されたり、またその人権が著しく侵害されるような事件がここ最近非常に、まあ数多くとは申しません、幾つか目につくわけでございます。きょうはちょっとこの話を、まず議論をさせていただきたいと思っておるのです。  私が直接関係者からお聞きした話というのは滋賀県の例でございます。  この滋賀県の事例というのは、肩パットの製造加工を業とする会社なのですけれども、この会社で事件が起こりました。この会社障害者ばかりを雇用をしておりまして、そして住み込み、全寮制でこの知的障害者の方々は働いておりました。去年の五月にこの会社の社長が逮捕をされました。その内容は、知的障害者である従業員の、実際に自分のところの会社に勤めるときに、その社長は、その障害者の方の療育手帳とか、それから預金通帳とか印鑑などを預かりまして、毎月というか二月に一回ですか支給される月額数万円の障害基礎年金を長年にわたって本人に渡さないで着服をしていたという事例でございます、これはまたこれから後で話しますが、ごくごく一部の話なのですけれども。  私は、ちょっと調べてみましたら、ことしの初めに、この事件は横領罪として刑事事件になりまして、ことしの一月の十三日に大津地方裁判所彦根支部で判決が出ました。刑事事件の判決でございます。懲役一年六月の実刑というふうに聞いております。内容は、この事件で起訴された事実また認定された事実というのは、この知的障害者である従業員の預金、年金、合計一千四百三十万円を着服した、横領したという事実が認定されて有罪、一年六月の実刑というふうになったというふうに聞いております。  法務省、この事実、間違いございませんか。
  110. 原田明夫

    ○原田政府委員 お尋ねの事件につきましては、ただいま委員御指摘の概要であると承知しております。
  111. 北側一雄

    ○北側委員 この裁判所で認定された事実というのは、一千四百三十万の横領なんですけれども、それはもうごく一部の話でございまして、私が聞いておるところによりますと、従業員の未払い賃金とか、これまで過去さかのぼって横領された障害基礎年金を含めますと、二億以上の被害があるというふうに私はこの滋賀県の地元で聞いております。  これは、細かな話をしたら時間がかかってしまいますのでしませんが、この内容を知れば知るほど、本当にひどい話だなというふうに思うわけでございます。  この会社、大体従業員の数が二十名前後。おととし三月当時は二十四名いましたけれども、男性が二名、女性が二十二名。女性の方が圧倒的に多いのですね。その従業員の平均年齢は二十九歳、これは皆さん全員知的障害者の方々でございます。こういう会社でございます。  財産の侵害という面だけではなくて、これは全寮制であったわけでございますが、労働基準法の違反も私が聞いている限りは著しいものがありまして、例えば工場で働いているわけでございますが、その工場といいましたら、トタン屋根、壁もトタン張りの建物で、夏はもう大変暑い。風通しは悪いのに、空調の設備は一切ない。冬は逆に大変寒い。暖房の設備がない。また、長時間労働。午前八時から夜の九時まで働くことが常日ごろのことである。休日も労働させる。賃金については、最近はほとんど払っておらない。寮の方は寮の方でもう悲惨な状況で、寮の建物も粗末でございますが、寮で出る食事も非常に劣悪で、御飯しか、お米しか出ないときもある。こういう話を聞きまして、従業員の中で栄養失調の人が出てくる、入院する人が出てくる、それが理由で。そんな環境なんですね。  また、仕事においても、暴力と虐待というのが繰り返される。女性が大半なんですけれども、げんこつで殴られる、棒で殴られる。女性が多いのですけれども、女性を丸坊主にする等々、もうこれ以上この場ではお話しできませんけれども、極めて著しい人権侵害がなされている。  これが、つい最近の短期間あったという話ではないのですね。かなり昔からこうした雇用関係の中で障害者の方が働いていた。なぜ、これがわからなかったのだろう。これは、もうだれが聞いてもそう思うわけでございます。  そこでお聞きをいたしますが、これは労働省とそれから厚生省、双方に私はお聞きをしたいのです、この滋賀県の事例で。  もうこういう判決も出て公になっていますからよくよく御存じだと思いますけれども、この件は。国とか県とか現場の福祉行政、労働行政は、こうした違法な事実、著しい人権侵害の事実について全く気づかなかったのか。もし気づかなかったとしたら、私はそれ自体に問題があると思うのですけれども。また、仮に少しは気づいていた、でも何もしなかったのか。それとも、制度上できなかったのか。この辺の認識を、厚生省とそして労働省にお聞きをいたします。
  112. 坂本哲也

    坂本(哲)政府委員 滋賀県の福祉部門の方からの、私ども職業安定機関あるいは労働基準監督機関の方にこういった情報の提供がございましたのが、平成七年の五月でございました。  職業安定機関では、これを受けて直ちに調査を行いまして、このサングループに対しまして当分の間職業紹介を行わないという、それを徹底をいたしたところでございますし、また、労働基準監督機関の方におきましては、賃金の不払いにつきまして捜査を行いまして、大津地方検察庁への送致といったような措置を講じたところでございます。  なお、それまでの間も、職業安定機関あるいは 労働基準監督機関におきましては、職場適応指導の実施、あるいはまた最低賃金法違反の是正、こういったことで対応してきたところでございますけれども、当該事業所につきましては、問題の早期発見ができなかったというのが実情でございます。  いずれにいたしましても、今後、これまで以上に関係機関と連携をとりながら、こういった事件の再発防止に努めてまいりたいと思っております。
  113. 中西明典

    ○中西政府委員 厚生省の方で滋賀県から報告を受けておりますが、それによりますと、このサングループにおいて、新聞等で報道されているような人権侵害が生じているとの情報を福祉部局が得たのは、平成七年二月ごろであるということでございます。以後、福祉部局を中心といたしまして、サングループに雇用されておられる知的障害者の方々について、保護者の同意のもとに、他の就労先、あるいは自宅で引き取りが難しい場合は居住場所をあっせんするなどの取り組みが行われたと聞いております。  それから、それと並行して、県の担当部局の方から、労働基準監督署あるいは法務局、警察署に直接情報提供をするとともに、保護者の方々もそういうところに相談に行かれるよう勧奨したという報告を受けております。  それ以前の時点においては、サングループにおいて、かかる人権侵害が生じているという的確な情報を得るには至らなかったというのが県当局からの報告でございます。
  114. 北側一雄

    ○北側委員 本当は、時間があったらその辺のところを細かくやらせていただくのです。私が現場で聞いている話は、そんな話では全然ないのですよ。福祉事務所にも、かなり早い時期から何度も、保護者の方や、また関係者が相談に行っているのです。また、労働基準監督署にだって、かなり前に行っているのです。  今の御答弁ですと、平成七年五月に労働省の方は地元の機関から聞いたと。平成七年五月というのは、逮捕されたときじゃないですか。そのときまで報告はなかったということなのですよね。平成七年二月に厚生省の方の現場機関は聞いたとおっしゃっていますが、こうした労働基準法違反の事実や暴力や、虐待やら財産の侵害が行われているのは、昭和五十年代からされているのですよ、五十年代から。えらい昔から起こっているのです。それが気づけなかった。  また、苦情に行っても、現場のさまざまな機関、福祉事務所、労働基準監督署、職業安定所、さまざま機関ありますよ、いろんな施設、県、こういうところが結局、連携をとった行動を起こすということができなかったんです。一部一部の事実はいろんな関係機関に伝わっていたんです。わかっていたんです。ところが、それが放置されたままの状態でこのような事件になってしまったわけです。この間、五人の方が、従業員が、この会社で死亡しているんですよ。五人の方が死亡しているんです。一件は、保護責任者遺棄罪で今告発されているはずです、地検が動いているはずです、どうなるか知りませんけれども。  というぐらい極めて悲惨な事件なんですね。本当は、時間があったら、この辺の細かな事実関係もやりたいところなんですけれども、また改めて別の機会でやります。  両大臣、こうした件が、この一件だけだったら私もここは特有な事件だというふうにするんですけれども、一件だけじゃないんですね、この種の事件が。水戸でも全く類似した事件が起こっております。また、和歌山でも同じような事件が起こっています。ともに刑事事件になっておるんですね。  法務省にお聞きをいたします。  質疑通告の段階で詳しい話、事実関係、どういう事件かというのはお伝えしてありますので、ここではもう申し上げません。水戸の事件についてはこのような、私が今申し上げた滋賀の事件と同じような、同種事件が起訴されていると思うんですけれども、その内容について教えてください。
  115. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの事件といたしましては、詐欺、傷害及び暴行という三つの事件がございまして、いずれも水戸地方検察庁から水戸地方裁判所に起訴されている事案であると思われますので、その概要について申し上げます。  まず、詐欺事件でございますが、平成八年一月二十九日に起訴されておりまして、その公訴事実の要旨は、被告人は、ほか一名と共謀の上、真実は労働者十九名に茨城県の最低賃金の約五〇%ないし七〇%の賃金しか支払っていないのに、満額支払っている旨の虚偽の申請をいたしまして、最低賃金に基づく特定求職者雇用開発助成金支給決定を受けまして、平成六年六月十七日から同七年十月二十六日までの間、十八回にわたりまして、その助成金名下に合計約八百四十八万円を騙取したというものでございます。  また、傷害事件でございますが、これは平成八年三月十九日に、同様、起訴されております。その公訴事実の要旨は、平成七年十月六日ごろ、水戸市内の工場内におきまして、被害者に対し、その大腿部を足げにする暴行を加えまして、加療約二週間を要する両大腿部打撲内出血等の傷害を負わせたというものでございます。  暴行事件でございますが、平成八年十月十七日に起訴されておりまして、その公訴事実の要旨は、平成六年六月十日ごろ、水戸市内の会社従業員寮において、被害者に対し、その左耳付近を数回スリッパで殴打するなどの暴行を加えた、また、同七年十二月上旬ごろ、同じ従業員寮におきまして、被害者に対し、その右ひざ付近を数回足げにする暴行を加えたというものでございます。  以上でございます。
  116. 北側一雄

    ○北側委員 ということでございますが、この水戸の方の事件も、今の起訴事実、三件あるのですけれども、これはごく一部の話なんです。  告発されている件というのはほかにもたくさんございまして、今これは公判中でございますが、被害者の方々はさらに告発をたくさんしております。その中には、知的障害者の女性に対する暴行罪もあります。本当に、先ほどの滋賀の事件とよく似ておるわけでございますが、同じような事件がある。  和歌山の件はもうやりませんけれども、和歌山でも、これは財産侵害の方だけでございますが、書類送検されておる事実がございます。  両大臣、これは、知的障害者の人権という観点からいいますと、こういう雇用関係の中だけでこんな問題が生じているわけじゃないのです。もうきょうは詳しくやりませんけれども、これも刑事事件になっている話です。  精神病院で知的障害者の財産を横領した事件が今、これも逮捕されまして、捜査中でございます。また、知的障害者の施設で、先ほどの年金受給権でございますが、障害者の方々の年金を一億八千万無断流用したということで、横領事件で問題になっている事件がございます。ほかにもあります、もうやりませんけれども。  私は、特に雇用関係に限って進めていきたいと思うのですけれども、この知的障害者の方々の財産をどう守るかだとか、それから雇用関係の中で労働基準をどうきちんと適正に守らせていくかだとか、さらには、こんな暴行だとか虐待のような事例が生じないようにするには一体どうすればいいのかなと。これはもちろんその被疑者になっている方々に大きな問題があることは当然のことなんですけれども、私はやはり制度、仕組みの中に、この雇用関係の中で働いている知的障害者の方々への配慮が欠けている部分があるのではないのかなということを、こうした事件を通して感じるわけでございます。  今までの論議を聞いていただいて、両大臣、御感想、御意見がございましたら、ぜひお聞かせください。
  117. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先生、雇用関係におきますところの知的障害者というお話でございますので、労働大臣として先に答えさせていただきます。  先生の冒頭のお話、お近くの企業で知的障害者の皆さんを健常者ともども大勢お雇いになって と、非常に明るいお話から始まりました。  私どもは、知的障害者の皆さんも身体障害者の皆さんと同じように雇用の率というものを定めて、そういった不幸な皆さんが大きく雇用にアクセスできるというような方向で考えておりましたところ、先生の具体的なまことに悲惨な、非常に厳しい、そういうお話でございました。  私どもといたしましては、当然、知的障害の皆さんを雇用する場合に、雇用主に対して、それから雇われる身体障害あるいは知的障害を持たれる皆さんに、事前にこういう制度あるいはその運用の仕組み等々十分周知をして、万遺漏なきを期してまいりたい、こう思っておりましたが、先生のお話を聞けば聞くほど、まだ不十分の限りであったという感懐を深くいたします。  今後も、職場のコンサルタント等々、あるいは社会復帰、これらの連絡会議等々を通じまして万遺漏なきを実質的に期してまいりたい、こう思っております。  今まで至りませんことをまことに痛感をいたしまして、おわびを申し上げます。
  118. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今までのお話を伺っていまして、話を聞けば聞くほどひどい、悲惨な話だと。確かにこの面については、事前にかなりそういう苦情なり実情なり、関係方面に申し出があったにもかかわらず、この事件の摘発といいますか、この悪質な事業主に対してしかるべき措置がなされなかったという点は、そういう知的障害者であるだけに、その話を聞いた人が、真剣に受けとめていいかどうかという点については、私は配慮なり誠意に欠けている面があったと思います。  また同時に、こういう事件が起こったために、この一部の悪質な事業主のために、ほかには本当に善意で知的障害者の雇用の場を図ったり、保健福祉に心を砕いている事業主もたくさんいると思うのであります、そういう方に対して、障害者を預かっている事業主はみんなこんなものかという疑念を持たせてしまったら、大変迷惑なことだ。また同時に、障害者に対しても、これから働きに出ようという方に対して、こんなことをされるのかという不安に思わせてしまうということを考えますと、これは大変大きな問題だと思います。  今後、この障害者の権利擁護について、厚生省としては、労働省を初め都道府県関係者と、保健福祉の立場からどのような施策を講ずべきか鋭意検討していきたいと思っております。
  119. 北側一雄

    ○北側委員 ありがとうございます。  それで、一応私の方から、二つ具体的な提案をちょっとさせていただきたいと思うのです。  一つは、こういう、施設でもそうです、施設にいる障害者の方、そういう働いて雇用関係の中におられる障害者の方、どちらも同様でございますが、こういう知的障害者の方々は、人それぞれに程度の差はあるのですけれども、障害によって意思能力が乏しいわけですね。その方々の年金だとか貯預金だとか、こういう財産を守っていくためには、社会とか地域とかそういうところがやはり協力していくような体制をつくらないといけない。  まず、私一つぜひ提案したいのは、ある施設では、例えばその施設に知的障害者が入った。預金通帳だとかそれから年金証書だとか、そういうものがございます。そういうものを、事実上預けているだけではまずいというふうに施設の方が思われまして、施設の方々と保護者の代表とで財産の管理委員会というのをつくられまして、そしてきちんとお互いにチェックできるように、こういうものはちゃんと使わせましょう、こういうものはちゃんとこういう形で保管しましょうというような形できちんとやっているのです、管理委員会をつくって。これは決して一例や二例ではありません。全国でもいろいろなところでそういうことをやっているところがございます。  というふうに、やろうとすればちょっとした行政指導なりなんなりでそういうことが私は可能だと思いますし、私はまた、中長期的に言ったら、こういう知的障害者の方々の財産を管理する何らかの仕組みというのを考えていく必要があるのではないかと思うのです。地方自治体ではそういうことにもう取り組んでいるところもあります。  これは、大阪の例でございますけれども、大阪では、これは知的障害者だけではなくて、痴呆性老人の方々なんかも含めまして、そういう意思能力の乏しい方々の財産を保護するために制度をつくりまして、弁護士さんなんかも入って、制度的にセンターをつくって守っていこうという制度をやっています。こういう財産保護のための制度をぜひ検討していただきたいのです。  これから高齢者社会になってまいります。痴呆性老人、大変な数今いらっしゃいます。その方の財産の問題、同じような問題です、この財産の保護をどうするか。その仕組み、もちろん運用でできることもあると思いますよ、それをぜひ厚生省、検討してもらいたいのですね。  もう一つは、今までお話ししてきた事件に見られる最大の問題点は、私はこういうことだと思っているのです。  結局、労働省の方は、雇用の確保だとか雇用の促進だとか雇用の安定だとか、そっちの方向にどうしても視点は向きがちです。それで雇用関係に一たん入ってしまいますと、厚生省の方は、現場の福祉事務所の方は、いや、そこの問題には自分たちは入っていけないよ、そこは労働省の労働基準監督署の問題だという意識があるのです。という中で、今回のような雇用関係の中で悲惨な事件が起こりまして、行政がなかなか一部の情報しか手に入らなかったというのがあるのですね。  滋賀県ではこの事件の後に何をしたかといったら、ネットワークをつくったのです、その地域で。ネットワークというのは県の福祉事務所、それから施設、さまざまな障害者、大体障害者は施設から紹介されてその雇用先に行っているわけですよ、施設、そして労働省の労働基準監督署とかまた保護者、そういう関係機関がネットワークをつくって、そして定期的に会合を開いて情報を交換し合う、こういう仕組みを滋賀県ではこの事件の反省の上に立ってやり始めました。  私は、こういうネットワーク化ということを各地域地域でぜひやる必要があるのではないかと思うのですね。これをぜひ検討してもらいたいのです。財産の保護をどうするかということと関係機関のネットワーク化ということをぜひ検討していただきたい。両大臣、いかがでしょうか。
  120. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 人権擁護あるいは財産の擁護、障害者のみならず、今お話しの痴呆性老人等、年金とか貯金という問題でも、その財産侵害とか問題が起きているようであります。  そういう点も含めまして、各省、関係者それぞれ権限とかあるようでありますけれども、できるだけ今お話しのネットワークの広範な総合的な取り組みができるように、鋭意検討させていただきたいと思います。
  121. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 私は、先ほどここで社会復帰連絡会議、お互いにネットワークをつくってというお話をいたしました。しかし、先生の御披露になられた例は非常にいい例だと思います。したがって、他山の石というようなことで、先生の御提言を踏まえて広く検討してまいりたい、こう思っております。よろしくまたお願いします。
  122. 北側一雄

    ○北側委員 この問題でもう一つだけ、これは指摘だけしておきます。  厚生大臣所管の話なのです。これは年金福祉事業団の話なのです。この滋賀の件だけではないのです、これも。滋賀の件では、この会社の社長が、障害者の従業員を連れまして、代理店の窓口になっている金融機関のところに行きまして、年金の受給権を担保にしまして、年福事業団からお金を借りているのです。これも一つや二つじゃないのですよ。相当な数の従業員の方を連れて消費貸借、お金を借りているのです、窓口の各金融機関から。これはあくまで代理店ですから、年福事業団の。それで、年福事業団は、その年金受給権を担保にしてお金を貸しているのです。ところが、この社長は事業がうまくいきませんから返済できない。結局、国の年金は、この年福事業団の方に払われているのですよ。本人はわずかな年金も受 け取れていない、こういう話なのです。  これもひどい話で、知的障害者の方々、年金受給権のある方々というのは大体一級か二級です、等級が。そうしたら、年金証書を担保にしてお金を借りてというふうな、こういう結構複雑な法律関係について理解する能力は、多くの知的障害者の方がございません。それが銀行の窓口で、連れていっているのですよ、書かせているのです。窓口の銀行の人から見れば、金融機関の人から見れば、わかるはずですよ、そんなこと。ここも私は、こういう制度があること自体を否定するとは思えませんけれども、もう少し運用のあり方として、知的障害者に対する年金受給権を担保とした融資についてはこれは検討しないといけないと思いました。もし一言何かございましたら。
  123. 矢野朝水

    ○矢野政府委員 お答えいたします。  この年金担保融資につきましては年金福祉事業団が実施しているわけですけれども、この年金福祉事業団につきましては、廃止を含めて見直しをするということで見直しをやっておりまして、そういう点では非常に微妙な問題なんですけれども、引き続きこの制度を続けていく、こういうことになりますと、今おっしゃられましたような運用面の改善、何ができるかということを真剣に考えて改善を図っていかなきゃいけない、こう思っております。
  124. 北側一雄

    ○北側委員 だから、廃止するといったってそんなすぐに廃止できるわけじゃないんですから、その問題とは別に、その間は実際こういうふうなことがあり得るわけですので、ぜひ運用について検討をしていただきたいというふうに思います。  じゃ、知的障害者の人権の問題はとりあえず終わらせていただきまして、次に、難病対策の問題についてお聞きをいたしたいと思います。労働大臣、結構でございますので。  特に、難病対策ということで、ALSという難病がございます。厚生大臣、このALSの患者さんに多分お会いしたことないんではないのかなというふうに思うのですけれども、筋萎縮性側索硬化症という正式名でございます。  このALSという難病はどういう難病かといいますと、運動神経だけが侵されるんですね。運動神経だけが侵されまして、発症してから、人によってこれはさまざまなんですけれども、三年とか五年ぐらいで手足が全く動かないようになります。だんだんこれが進行してきまして、話すことも食べることも、それから進んでいったら自分で呼吸さえもできなくなる。人工呼吸器を装着しなければ死を免れないという難病なんです。原因が全然まだ不明でございます。治療法もございません、現在のところ。そういう意味で、ぜひこれは研究をしっかりやっていただきたいと思うんですが、このALSという難病は、運動神経は侵されるんですけれども、最後の最後まで頭ははっきりしているんです、患者さんの。最後の最後まで。  何で私がこんな具体的な話を知っているかといいますと、私の学校の同級生がこの病気で亡くなったんです、五年前に。だから、彼の闘病生活の姿をかいま見ていましたから、少しこのALSという難病についてかかわりがございました。  今全国でこの患者さんというのは約四千人ぐらいいらっしゃるんじゃないか、まあ四千人以上いらっしゃるんじゃないかというふうに言われております。人工呼吸器をつければ生きられるんです。ただし、それはもう運動能力ないわけですから、人工呼吸器つけないと呼吸できないわけですから、二十四時間つきっきりの看護がなかったら大変なんですね。家族の方々の大変さというのは壮絶なものがございます。  ちょっと具体例をお話しさせていただきたいと思うんですけれども大臣に知っていただくため  に。  このALSの患者さんたちを支援するための組織で、日本ALS協会というのがございまして、その協会がこういう患者さんたちの家族構成なんかを千人近い患者さんたちを対象としてアンケート調査をとってみましたら、二人家族が一番多いんですよ。夫婦なのかもしれませんね。また親と娘、親と息子かもしれませんけれども、二人家族が四一%。三人家族が一七%、三人家族といっても子供さんの場合がありますから、子供さんの場合が。三人家族が一七%。一人も家族がいないというひとり暮らしの患者さんも四%、このアンケート調査では、いる。このアンケート調査に協力された患者さんたちの半数近い方が、自力で呼吸できないか重度の呼吸障害に苦しんでいるというふうなこと。  また、幾つかの家族のちょっとお話をさせていただきますと、ある方は、五十一歳の方なんですけれども、男性。これは大臣、私の友達もそうだったんですけれども、結構若いときに出てくるんですよ。高齢じゃなくて三十代、私の友達も三十代の前半でした。三十代から始まった。三十代、四十代から、一番働き盛りで発症を始めるものですから、これはもう大変なんですね、家族が。  このある方は、五十一歳、男性で、発症してから十五年。人工呼吸器を装着していて、在宅で療養中。奥さんと娘さんとの三人暮らしてございます。当然、本人は所得はございません。奥さんと娘さんが交代でパートに出まして、というのは、交代でパートに出ないと介護をする人がいないから、出て、月間に十万円の所得を得ている。出費は、医療費七万、生活費が八万。  それからまたある方は、五十八歳の男性ですけれども、発症七年で、人工呼吸器を装着して在宅療養中。妻との二人暮らし。奥さんが生活を支えるために働きに出て、二十四時間有料ボランティアを頼んでいる。その支払いも含めて、医療・介護費六十万、生活費二十万。収入は、妻の所得四十万と、後でちょっとお話ししますが、東京都からの介護支援金でやっているんだけれども、赤字の部分は家族、兄弟から応援してもらっている、こんな例ですね。  もう一つちょっと大臣に聞いてもらいたい話があるんですが、それは、了解得ました。ALS協会の方に患者さんの家族が手紙を出されたんです。こういう手紙なんです。ちょっと読ませていただきますと、これは患者さんの息子さんです。   ALSの母親を持つ私ども家族は現在、ひとつの大きな決断をすることを強いられています。それは多くのALSの患者や家族が直面しなければならない決断である人工呼吸器をつけるかどうかの問題です。   家族のサポートがあって初めて人工呼吸器をつけて行けるのだろうと思います。   恥ずかしいことに私の家族には、そのようなサポートを行っていける状況ではありません。   現在、父親(六十七歳)と私の二人で主に面倒を見ています。現状ではかなり介護の負担が大きくなってきています。   母親の現在の状況は両手が上がらず手の平や指はある程度動きます。ものを飲み込むことはできず、胃にチューブで直接液体の栄養を入れています。しゃべりはわかりづらいですが、ある程度はわかります。   足はだんだん弱ってきていますがトイレなどへは付き添いながら歩いて行っています。その他首や体の体力も衰えており、多くはベッドで過ごしています。   先日、担当の先生からお話しがあって、ここ二か月位のうちに呼吸器の取り付けが必要になるだろうと言われました。ただし、今の状況では私だけではどうにもならないのが現状なんです。 こういう手紙を出されまして、きょう私、お聞きをしたいというか、ぜひお願いをしたいのは、これはもう決してALSだけの問題じゃございません。このような難病患者の方というのはほかにもございます。例えて言えば、そういう二十四時間介護が必要な難病を申し上げますと、パーキンソン病ですね、それから脊髄小脳変性症とか、それから多発性硬化症とか、全部特定疾患に指定されているわけでございますが、こうした二十四時間介護が要るような難病というのはあるんですね。  こういう方々への介護というのを一体どう考えていくのかということを、私は厚生大臣に、介護 保険法が今大きな問題になっているときに、ぜひそのことも視野に入れながら検討をしていただきたいのです。  そこで、まずお聞きをいたしますが、今度の介護保険法の中に、第七条で要介護者の定義をしておりまして、この要介護者の定義は、一つは「要介護状態にある六十五歳以上の者」、もう一つは「要介護状態にある四十歳以上六十五歳未満の者であって、その」「障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるものによって生じたもの」、こういう規定が法案の七条の中にございます。この「政令で定めるもの」の中に、今申し上げたALSを初めとする介護を必要とする難病患者の方々は含まれるのでしょうか。
  125. 江利川毅

    ○江利川政府委員 先生御指摘の政令で定める疾病の関係でございますが、これにつきましては、現在高齢者医療を専門とする専門家による研究会をつくって、どういう疾病が加齢に伴って障害を生ずる疾病になるかということを検討中でございます。少なくとも、私どもは、脳卒中であるとか初老期痴呆であるとか、そういうものは当然入るのだろうというふうに思ってはおりますが、今御指摘になりましたALSを初めとする難病につきましては、その研究会での検討成果を踏まえて政令で定めてまいりたいというふうに思っております。
  126. 北側一雄

    ○北側委員 今の御答弁は、ただいま検討中というふうに聞いていいのですね。法案も既に提出されておりますので、いつまでも検討していたらあかんわけでございまして、大事な部分でございます、これははっきりさせていただきたい。  こういうところをはっきりさせないで、私はやはり介護保険法を成立させるわけにはいかないと思います。こういう難病患者に代表されるような方々の介護をどうするのかということを無視して、無視してと申し上げません、ほっておいて、何も決めないで、そして介護保険法を成立させるわけにはいけない。その審議をしているうちに、この「政令で定めるもの」をちゃんと提示をしてもらいたいということをお願い申し上げます。  質問に移りますが、大臣、ここからはまた私の提案なんですが、東京都ではかなり前からこういう介護を必要とする方々への介護手当制度というのをやっているのです。私調べましたら、事業を二つやっていまして、東京都です、一つは、東京都介護人派遣事業というのをやっているのです。介護券というカード、券を発行するのですけれども、介護人の方が介護を必要とする方のところに介護に来られる、それで仕事をされる、そうしたら介護券をもらうのですね。その介護券をもらって、一月まとめまして東京都の方に請求するのです。東京都はその介護費を支払う。こういうふうな手続でございます。  もちろん、こういう介護手当が出るための要件というのはきちんとしているのですよ。きちんとしていて、だれでもかれでも受けられるというわけじゃございませんが、東京都にお住まいのこのALSの患者さんに代表されるような難病患者の方々はこの介護手当が使えるのです。  この介護というのが家族にとっては今一番大事な問題で、きょうあすの話で、これに介護人の方をお願いすると、毎月の費用というのはもうすさまじい金額なんですね。難病患者の介護というのは、普通の生活の介護だけではありません。吸引なんかをするとかというふうな医療介護の側面も相当入ってくるのですよ。ということもあったりしまして、この介護の問題で非常に苦労をされておられる。東京都ではこういう制度をつくっている。東京都にお住まいの方はまだ救われているのですね。地方の方は大変です、こういう制度は今のところ東京都しかありませんから。  それ以外に、また別の、心身障害者ホームヘルプサービス事業費補助金制度というのもありまして、これは各、二十三区とか市町村なんかでやっている事業について補助金を出すというものです。これも介護手当の制度なんですね。  大臣、この介護保険法が今審議をされるわけでございますが、そういう中で、単なる高齢者の介護だけではなくて、こういう難病患者の方々の介護の問題もどうしていくのかということをぜひ射程距離に入れながら検討していただきたいとともに、実際東京都などでこういう介護手当の方法をとっているわけです。こういうふうなことをやっている自治体については、厚生省が何かバックアップをしていくような制度、仕組みというのは私は現実的に可能なんじゃないかと思うのです。そういう制度を厚生省がつくれば、各地方自治体なんかでは、同じようなニーズがございますから、そういう制度をさらにつくろうというふうな地方自治体の努力も起こってまいりますし、もちろん要件はどういうふうにするかは検討しないといけませんが介護手当に関する支援の仕組みを、ぜひ今回の介護保険法が検討されている中で検討してもらえないかなというふうに思うのですが、いかがでしょうか。大臣、どうでしょうか。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕
  127. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 大臣への御質問ですが、その前に事務当局から現在まで検討してきてやっていることについて御説明をした上で、大臣から答弁させていただきたいと思います。  まず、介護を必要とするALS等の難病患者に対する介護支援事業につきましては、今先生がおっしゃいましたように、大変我々としても問題がある、何とか対応をということを考えておりまして、実は、公衆衛生審議会の難病対策専門委員会にお諮りをいたしまして、平成七年十二月二十七日におきまして、難病患者の生活の質の向上を目指す福祉事業を推進することが重要、こういう御意見をいただいております。具体的に申しますと、ホームヘルプサービス事業、それから短期入所事業、日常生活用具供給事業の創設が提言をされたところでございます。  これらを平成八年度から予算化をいたしまして、本年一月から難病患者等居宅生活支援事業というのを開始をいたしました。我々といたしましては、今後この事業を全国の市町村への普及を図ることによって難病患者の介護支援の充実に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。  東京都さんの場合には、対物サービスではなくて現金による給付という形をとられておりますが、政府としては、まず我々は現物給付の方、サービスそのものを給付することによって全国普及を図って、その上で考えるべきだ、このように思っておるところでございます。
  128. 北側一雄

    ○北側委員 今のお話は、障害者プランに基づくお話をされておられるんですよね。大臣、今の話、私が聞いている限りは、これは身体障害者福祉法等の施策の対象とはならない者という要件があるんじゃないですか。
  129. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 難病患者のうち身体障害者手帳の所持者は、身体障害者として障害者施策の中でホームヘルプサービス等の介護支援が受けられることに既になっておるわけでございます。
  130. 北側一雄

    ○北側委員 大臣、今のお話のとおり、今いろいろ事業をやっていますよと、難病患者のために、始めようとしていますとおっしゃっています。だけれども、大半のALSの患者さんには適用ございません。なぜかといったら、今おっしゃった制度というのは、身体障害者福祉法の施策の対象とはならない者という要件になっているんです。彼らは一級とか二級の手帳を当然持っているんですよ、身体障害者の。多くの難病患者は、大半の難病患者の方はそういう手帳を持っているんです。そうでしょう。
  131. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 難病患者のうち身体障害のある方は、多く身体障害手帳を持っていらっしゃいます。今先生の御指摘のALSの方は、多くの方が身体障害者手帳を持っていらっしゃいます。それで身体障害者としてのサービスを受けていらっしゃる。  それから、その前に私が申し上げた方々は、身体障害でない方でも、難病患者の方で介護が必要な方については支援事業等の実施をこの一月から始めたところでございますと申し上げたわけです。
  132. 北側一雄

    ○北側委員 身体障害者福祉法のもとでの支援サービスでは足らへんから、全然間に合わないから、今私ずっとお話をしているわけなんですね。  大臣、ちょっとこれ、ぜひ実態を調べていただいて、今介護保険法がかかっていますので、ぜひ実態を調べて検討をしていただけないでしょうか。
  133. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今までのお話を伺ってみまして、そのALSという難病、これは、最近のたしか有名な方ではホーキング博士ですか、宇宙物理学者の、あの方もそのような病気であると。古くは、今お話を聞いて、私、ちょっと思い出したのですが、ルー・ガーリック。戦前、ベーブ・ルースとニューヨーク・ヤンキースの三番、四番を打った大打者ですね、打撃王。たしかルー・ガーリックも似たような病気で若くして亡くなられたと私は伝記で見たような記憶がございます。あの三番、四番打者が突然、筋肉神経症で野球界を引退せざるを得なくなって、若くして亡くなられた。そういう難病のお話を聞いておりまして、確かにその支えておられる家族の方々の御苦労は大変だと思います。  今お話しの中の介護支援策、今後、実態を調査しまして、何とか充実策を図れないか、検討させていただきたいと思います。
  134. 北側一雄

    ○北側委員 ありがとうございました。ぜひ、実態をお調べになられまして、前向きな御検討をよろしくお願いを申しあげます。  ここで、当初の予定ではO157の問題をやらせていただこうと思っておったのですが、ちょっと先に、今建設大臣と自治大臣もお忙しい中、今自治大臣委員会の中を抜けてきていただきましたので、先に、民主政治を考える会という会がございます、この会の問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。厚生大臣、済みません。もしかしたら、後で時間があったらまた質問するかもしれませんので。  民主政治を考える会という会が、一昨年の、一昨年ですから九五年ですな、平成七年ですか、十月ごろから昨年の衆議院選挙、十月までの約一年間、私、ここにちょっと持っているんですけれども、こういうビラですな、二色刷りのB4判のこういうビラです。ここにいらっしゃる予算委員先生方も、これを活用された先生方もいらっしゃるかもしれませんし、これで攻撃に遭った委員の方もいらっしゃるかもしれませんけれども。  一昨年の十月といいましたら、参議院選挙が終わりまして、参議院選挙で新進党が勝利させていただきました、その後でございます。次は衆議院選挙だ、新しい選挙制度での衆議院選挙が近いうちにやってくる、こういう時期に始まっているのですけれども、この会が、一昨年の十月ごろから昨年の衆議院選挙までの約一年間、このビラを大量に作成し、配布し、販売したという話なんですけれども、全部で六種類のビラをつくられているのです。  第一号というのは、二種類ございまして、九五年の十月ごろにつくられて、配布をされたようでございます。第二号というのは、九五年の十二月ごろに作成をされ、配布をされました。第三号というのは、九六年の四月ごろに作成をされ、配布をされました。これはなぜわかっているかということを後でお話しします。第四号、第五号というのは、もう衆議院選挙の直前でございます、選挙にはまだ入っておりませんけれども、第四号、五号は、昨年の九月から十月にかけて作成、配布をされたようでございます。このビラには、きちんと、このビラを発行した方のお名前もちゃんと出ています。民主政治を考える会、代表世話人内藤国夫というお名前で、名前が出ております。住所も、電話も、ファクスもちゃんと書いてございます。  この内藤国夫氏が、昨年の四月の二十二日付で、民主政治を考える会代表世話人内藤国夫という名前で、与党の国会議員各位あてにこういうペーパーが配られたようでございます。このペーパーにはこういうことが書いてありまして、  緊急レポート第一号(平成七年十月発行)一千五百万部、同第二号(平成七年十二月発行)二千万部を全国で配布し、   今回、同第三号(平成八年四月発行)が出来上がり、二千万部の配布を予定しております。   日頃、議会制民主主義擁護のため活躍しておられる先生のお役に立ちますことを願い一千部をお送りいたします。支持者に配布するなど、御自由にお使い下さい。   配布された結果、効果ありと判断なされ、緊急レポートを更に御希望の方には、実費として、以後は一部三円(送料込)で提供させていただきますので事務局までお申し付け下さい。 民主政治を考える会の代表世話人の内藤氏から、与党の国会議員の方々あてにこういう文書があったようでございます。  今申し上げました話によりますと、御本人自身がおっしゃっているのだから間違いないと思うのですけれども、第一号が一千五百万部、第二号が二千万部、第三号が二千万部ですから、これだけで五千五百万部なんですね。すごい大量のビラですよ。五千五百万ですから。そして、ほかにまだ三種類ありますから、この後まだ発行されてきますから、合計六種類のビラ全部で、ほかがどれぐらいやられているのか、でも戸別配布されたような実態を見たら同じような数字ぐらい作成されているのかもしれません。まあ一億部前後は合計で六種類のビラで発行されているのかな。そうすると、全国の有権者人口をはるかに超えている、えらい枚数のビラをつくられたわけでございまして、まあ、ある意味じゃ、敵ながらあっぱれやなと思う側面もございます。  この資金が一体どこから出たんかな。印刷代、折り賃、運送費、保管費、郵送費、広告宣伝費。広告もしているのですね、これ、新聞で。でかでかと広告しています。配布費等々相当な経費がかかりますよね。一体この資金はどこから出てきたんかな。どれだけ販売したか正確にはわかりませんけれども、さっきの内藤国夫氏の文書によれば一部三円で提供というふうにおっしゃっています。広告を見たら、第一号とか第二号は二円五十銭でやっておられたみたいでございます。二円五十銭でやりまっせということで。三号以下は三円で提供というふうになっています。  仮に全部、これは仮の話ですよ、全部販売したら三億円前後、一億枚前後あるのと違うかなと考えたら、三億円前後のお金の動きがあったかもしれない。仮に、半分だけ売って、あと半分は配布したんだとすると、一億五千万。いずれにしても、販売という業で相当な金銭の出入りがあったことは私は確かであると思います。経費も大きいですから利益があったかどうかわかりませんけれども、寄附もあったかもしれません。  このビラの内容なんですけれども、いろいろ書いていますけれども、ちょっと幾つか紹介しますと、「新進党が第一党になることは、日本政治だけでなく、将来の国民生活にとって、きわめて危険なことです。」こう書いていますね。もう自民党の候補者の方々からすると、そのとおりだ、こういう話かもしれません。  さらには、「私たちは、新進党に、はっきりと〝ノー〟を突きつけなくてはなりません。」こういうことも言われています。  さらには、「党首選挙」、これはうちの新進党の党首選挙の後に出たやつですけれども、「党首選挙にあたって、小沢一郎氏は、①消費税を十%にあげる②国連警察部隊を創設するなどの政策をかかげました。小沢氏が党首に当選したことは、新進党としてこの政策を認知したわけです。これは、憲法を無視する、また、大衆増税をめざす乱暴な政策です。」「小沢一郎氏の新進党が、万が一にもこの国を支配するようなことになれば、国民は、有無をいわさず増税を押しつけられ、平和憲法はふみにじられ、若者は戦争に追いやられるおそれがたかまります。」なんていうふうなことがこのビラに書いてあるわけでございます。  そこで、このように書かれたビラを大量に発行しまして、衆議院の選挙前に何度も全国の不特定 多数に大量に配布したわけでございまして、この民主政治を考える会という会が新進党の候補者に反対することを主たる活動としていること、これを組織的かつ継続的に行ったことは、私は明らかだというふうに思います。民主政治を考える会は、政治資金規正法第三条の政治団体と私は言わざるを得ない、そういうふうに思います。  そこで、自治省にお聞きをいたしますが、民主政治を考える会、住所が東京都新宿区市谷砂土原町ですね、この民主政治を考える会、自治省どうですか、政治資金規正法六条で政治団体は届け出が、自治省もしくはこれでしたら東京都ですね、いずれかに必要です。これは、届け出がなされておりますか。
  135. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 御指摘のような名称の団体からは、自治大臣に対しまして政治団体の届け出は提出されておりません。また、東京都選挙管理委員会に確認いたしましたところ、同様に提出されていないとのことでございました。
  136. 北側一雄

    ○北側委員 自治大臣、お聞きいたしますが、所管の事項でもございますので。  今私がお話しした事実関係からしたら、この民主政治を考える会というのは、その活動から見て政治資金規正法三条の政治団体に当たるというふうに、私は当然そうなると思うんです。大臣、弁護士御出身ですから、その辺の見解、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
  137. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 自治大臣という、自治省へのお尋ねでございますので、私からまずお答えをしたいと思います。  政治資金規正法上、政治団体とは、ただいま委員が御指摘になりましたように、三条にその定義が設けられておりまして、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」これらのほか「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。」または「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること」を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体をいうものとされておりますが、自治省といたしましては、個別具体の事実関係を調査する権限を有しておりませんので、お答えができかねるところでございます。
  138. 北側一雄

    ○北側委員 そうしたら自治大臣、また聞きますから。  では、別の観点からこの会が政治団体じゃないのというお話を少しさせてもらいたいんですけれども、きょうは建設大臣に来ていただいたのはその理由からなんですが、平成七年十月の二十六日付で、これは建設大臣御本人が御存じかどうか知りません、知りませんけれども、自由民主党組織広報本部長亀井静香名で、自由民主党所属国会議員各位あてに、「民主政治啓蒙ビラの取り扱いについて」という文書が平成七年十月二十六日、平成七年十月二十六日といったらもう民主政治を考える会が恐らくできた間もなくのころの話じゃないかと思うんです。  というふうに書いてあるんですけれども、その内容を見ますと、   去る十月十五日に「民主政治を考える会」という民間団体が設立されました。この団体は、ジャーナリストの内藤國夫氏が代世話人を務める団体です。今般、「民主政治を考える会」は、啓蒙用のビラを作成し、具体的活動を始めました。わが党に対しても、活動に対する理解を求めるとともに、啓蒙ビラをご提供いただきました。そこで、党といたしましては、次期衆議院総選挙で新進党との激しい戦いが予想されることから、党所属国会議員各位に、ご提供いただいた啓蒙ビラを日常の政治活動の媒体として有効にご活用いただくため、ご送付することといたしました。なお、ご送付申し上げた啓蒙ビラについて、更にご入用の場合は下記まで所定の用紙にご記入の上、お申し出いただきたくお願い申し上げます。 といって、その下記には、自民党本部の担当者の名前もちゃんと書いて、電話もファクスも書いて、このような用紙をつけて送られています。  さらには、これは平成八年の一月の十二日でございます。同じく組織広報本部長亀井静香名で友好団体代表者各位あてに、これは新年のことです、やはりこういうお手紙を出されておられまして、そこにも、  民間有志が「民主政治を考える会」(代表世話人 内藤国夫)を設立し、「真相レポート」を作成し、わが党にも、ご提供いただき、有効に活用させていただいているところであります。そこで、運動の輪を拡げ、一人でも多くの方々にご理解いただくため、わが党友好団体の皆様にもご送付申し上げることといたしました。 こういう文書がございます。  さらに、平成八年一月二十五日に、同じく組織広報本部名で、自由民主党所属都道府県議会議員並びに政令指定都市議会議員あてに「民主政治啓蒙ビラ「真相レポート」のご送付について」と題する書面が送られておりまして、その内容は、  党本部におきましては、組織広報本部が中心となり、民主政治を考える会(内藤国夫代表世話人)よりご提供いただきました同封の「真相レポート」を関係方面に対し、その配布啓蒙方のお願いをいたしているところであります。各地で党をささえている都道府県、政令指定都市議会議員各位にも、本レポートを政治活動の一環としてご配布いただくことで、こうした運動の輪を拡げることが出来るものと存じ、ご送付申し上げる次第です。 といって、問い合わせ先として自民党の機関が示されております。  さらに、平成八年の四月二十二日、同じく自由民主党組織広報本部名で、自由民主党所属各級議会議員各位あてで、「民主政治啓蒙ビラ・第三弾「緊急真相レポート」の取り扱いについて」と題する書面が送られております。各級議員ですね。ですから、もう国会議員、地方議員を含めて全部だということだと思います。   党所属各級議会議員各位におかれましては、先般来ご送付申し上げた「民主政治啓蒙ビラ」(民主政治を考える会作成)を各々の政治活動の中でご活用いただいていることと存じます。この「民主政治啓蒙ビラ」につきましては、ご送付申し上げて以来、関係方面より大変な反響があり、その効果は各種の選挙において実証済みであります。そこで、今回新たに民主政治を考える会(代表世話人一内藤國夫)より「緊急真相レポート」と題するビラをご提供いただきましたので、「民主政治啓蒙ビラ・第三弾」として各位にご送付申し上げることといたしました。ご送付申し上げた啓蒙ビラについて、更にご入用の場合は下記まで所定の用紙にご記入の上、お申し出いただければ無料でお届けいたします。 そういうふうに、これは今四つ御紹介いたしましたけれども、これは大臣、事実として間違いございませんでしょうか。
  139. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、現在党の役員をいたしておりませんけれども、閣僚という立場で党活動についてお話をするということは、私はこれは本来するべきことではない。これは委員も御承知と思いますが、しかし、しかられるかもしれませんが、隠すことでもありませんから申し上げますが、委員が御指摘のようなそうした党活動を私自身がやってきたということは事実であります。
  140. 北側一雄

    ○北側委員 建設大臣、今私が読み上げた書面のとおり、今の御答弁ではこのビラを確かに各級議員に配るようにしましたよ、段取りとりましたよということですが、ちょっと昔の話で恐縮ですが、この六種類のビラ、全部譲り受けられたのかどうか知りませんけれども、全部でどれぐらいのビラの枚数を譲り受けられたのでしょうか。また、無償で提供されたのか、それとも自民党として購入 をされたのか、いずれなんでしょうか。
  141. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほども申し上げましたように、私の今の閣僚という立場で、自由民主党の党活動の詳細にわたりますことを私は申し上げるわけにはいかないと思います。これは御理解をいただけると思います。もしお聞きしたいということであれば、証人喚問か何かで、別人格でお呼びいただければ申し上げたいと思います。
  142. 北側一雄

    ○北側委員 大臣、さっきはお答えになったじゃないですか。私が聞いているのは、大体で結構なんです。だから、どれぐらいの枚数譲り受けられたんですか。それは買われたんですか、無償でもらわれたんですか、提供があったんですか。これぐらい答えてくださいよ。
  143. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 これは私は何も理不尽な答弁をしておるわけじゃございませんで、私が自由民主党の党活動の過去のことにつきましても、詳細なことをこういう場で申し上げることについては、これは私は差し控えなければならない。それは、もしこのことについて何か重大な疑惑なり、そういうような問題があるということで解明を要するということであれば、先ほども申し上げましたように、別人格で、元組織広報本部長という立場で、私は証人喚問をしていただければいいことであろうと思います。しかし、私の記憶では、正当な私は活動をやっておった、このように考えております。
  144. 北側一雄

    ○北側委員 そうしたら、今の話はきょうのこの質問の一番最後でもう一遍やります。  先ほどの、亀井建設大臣が前の広報本部長のときに出された書面なんか考えましたら、またこれまでるるお話しした話を前提といたしますと、自民党は、民主政治を考える会が発足されて、これが亀井さんのこの文書によりますとおととしの十月の十五日なんですけれども、新進党の批判を内容とするビラを作成を始めたその九五年十月からこの会の活動、民主政治を考える会の活動に直ちに自民党は連動して、党として組織的、継続的にこのビラを政治活動として積極的に活用したことは、これは否定されないと思うのですね。そう書いてあるのです、文書の中に。  これがさきの衆議院選挙まで一年間続くわけですよ。このことを先ほどの書面は私は明確に証明していると思います。民主政治を考える会の活動は自民党の政治活動の一部を実質的に支援した、サポートしたことは明らかであって、民主政治を考える会は政治資金規正法三条の政治団体であることは明らかだというふうに私は言わざるを得ないと思うのです。  自治省に、これは個別論じゃないですよ、一般論としてお聞きします。政治資金規正法三条所定の政治団体の実態を有する団体が、政治団体の届け出前にその政治活動のために金銭の支出をしたり、または寄附を受けたり、お金の出入りがあったら、政治資金規正法上どのように評価をされますか。一般論として答えてください。
  145. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 一般論として申し上げますと、政治団体は、設立届を提出した後でなければ政治活動のために寄附を受けたりまたは支出をすることはできないものとされておりまして、これに違反をした場合は五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処するものとされています。
  146. 北側一雄

    ○北側委員 政治資金規正法八条違反で、二十三条で百万円以下の罰金、禁錮五年以下、これは政治資金規正法の罰則の中で一番重い罪なんですよ。  警察庁にお尋ねをいたします。昨年の九月に新進党の西岡幹事長名で、民主政治を考える会の代表世話人内藤国夫氏を政治資金規正法違反で告発する書面を警察庁に提出をしているはずでございます。また、ほかの幾つかの新進党県連でも、県の警察に同様の告発をしております。これは現在どのように取り扱われておりますでしょうか。
  147. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 お尋ねの件につきましては、警視庁等におきまして、告発の事実を踏まえて情報収集等所要の捜査を行ってきたところでございますが、その具体的状況については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。なお、この過程で刑罰法令に触れる行為がありますれば、法と証拠に照らし、警視庁等において適切に対処していくものと存じます。
  148. 北側一雄

    ○北側委員 自治大臣、この予算委員会で答弁されましたよね、できるだけ協力しろというふうなお話をされておられましたけれども、所要の捜査をやられている、ぜひやってください、しっかりと。別の場でどんな捜査内容か、差し支えない範囲でまた聞かせてもらいたいと思っております。  以上のことから私は、民主政治を考える会というのは、政治資金規正法上の政治団体で、同法の六条、八条に違反する疑いが強いと考えます。ただし、万一私のこの考えが違っていて政治団体でないとしたら、それでも問題があるのですよ、法律上の問題が。政治団体じゃなくて任意団体だとしても、法律上の問題がございます。  国税庁に一般論としてお聞きをいたします。任意団体がその活動のためにビラなどの出版物を大量にかつ継続的に作成し、これを販売した場合、法人税法上また所得税法上どのような課税関係になるでしょうか。一般論として答えてください。所得税法と法人税です。
  149. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 ただいまの課税関係についてのお尋ねでございますけれども、仮にその行為者が人格のなき、人格のない社団等ということでございますれば、法人税法所定の三十三の収益事業を営む限りにおきまして、その収益事業から生じた所得について法人税が課せられるということになります。実際にその人格なき社団の営む事業がこれらの収益事業に該当するかどうかというのは、実態に即して判断をするということになります。  また、そうでなくて、個人が仮に印刷物等を作成し販売して得た収入ということになりますれば、それは所得税法上、事業所得等の収入金額といたしまして所得税の課税の対象となるということでございます。
  150. 北側一雄

    ○北側委員 民主政治を考える会は、九五年十月からビラの作成、販売をしておりますから、昨年の三月に何らかの税務申告をしていないとおかしいのですね、おかしいのです。また、ことしの三月も。法人税法に係る場合は収益事業として当たるかどうか、個人だったら確定申告しているかどうか。また、仮に利益がなかったとしても総収入金額報告書というのを出さなあかんような仕組みになっているのですよ。それも多分しておらないのではないのかなと私は思うのですが。  いずれにしても、そういう税法上の問題にも当たるわけでございまして、委員長、仮にこの民主政治を考える会が政治団体だとしたら、政治資金規正法違反の問題が出てきます。政治団体でなかったら、任意団体だったら、税法上の問題が出てまいります。いずれにいたしましても、これは罰則つきの刑罰法規でございます。その違反の問題があるわけでございます。違反かどうかは別にして、違反の問題があるわけです。明らかです、そういう疑いがあることは。  であるならば、建設大臣、先ほどの話に戻りますが、これは何の疑いもないわけじゃないのですよ。政治団体だったら政治資金規正法違反。一番重い刑罰です。そして、政治団体でなくて任意団体だったら、所得税法かもしくは法人税法違反の疑いがあるわけですよ。  そういうことに深くかかわっている話でございますので、委員長、この民主政治を考える会から自民党という政党がどれだけのビラの枚数を譲り受けたのか。そして、それが無償であったのか、有償であったのか。有償であれば幾らだったのか。さらに、自民党という政党からこの民主政治を考える会に寄附がされていなかったのかどうか。こうしたことについて答弁を求めます。また、答弁ができないと言うのであれば、私は、きちんとこの委員会として、ちゃんと答弁を出していただくように求めます。
  151. 高橋一郎

    高橋委員長代理 後刻、理事会で協議いたします。
  152. 北側一雄

    ○北側委員 またこの問題については改めて質問をさせていただきますが、O157の問題、厚生大臣、済みません、本当はしたがったのですけれ ども、また別の機会でぜひさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  以上でございます。
  153. 高橋一郎

    高橋委員長代理 これにて北側君の質疑は終了いたしました。  次に、小池百合子さん。
  154. 小池百合子

    ○小池委員 新進党の小池百合子でございます。  本日、一時間、納税者の観点、そして被災地の出身議員であるということ、さらに日本経済を含めましての観点から、国家としての危機管理全般につきまして御質問させていただきます。  予定いたしておりました震災復興関連でございますけれども、これはちょっと、私、時間が足りないのではないかと思いますので、この後ダブルヘッダーで、大蔵委員会の方でまとめて伺いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  さて、最近、テレビの報道をめぐりましてさまざまな動きがございます。例えば、日本テレビが今月の十八、十九日に放映いたしました国松警察庁長官狙撃に関しての本人の自供という、極めて珍しい形になっているわけでございますけれども、当時現職の警察官だった人が、催眠状態とはいえ、非常に克明にそのときの模様を話しているというビデオが二日間にわたって延々と放送されました。これについて、警視庁の方は日本テレビの方に厳重に抗議したというふうにも伝えられております。  また、もう一点、テレビ朝日の、ペルーの日本大使館に記者が潜り込んだときに無線機を置いてきたということで、この情報につきまして、伝わっていた、伝わっていないなどの問題もあるようでございますし、そもそも無線機を置くことがいかなるものかということでも非常に論議のあるところでございます。  それぞれ問題は多いわけではございますけれども、昨今、こういった報道機関の動きに対しまして、政府そして政党の関与が私は多過ぎるのではないかというふうに思います。報道の自由ということで、時には行き過ぎて私どもも頭にくることもございますけれども、しかし、やはり報道の自由はあくまでも守られるべきであるという観点で私は申し上げているわけでございますが、それにつきまして、郵政大臣そして警察の方の所見を伺いたいと思います。
  155. 杉田和博

    ○杉田政府委員 長官狙撃事件の犯行を自認しております元警察官の供述につきましては、これまでのところ、同人の供述が具体的かつ詳細であり、しかもこれまでの捜査結果と一致する点もあるということで、同人が本件に関与していたという疑いがある。ただ、それと同時に、そういう供述を裏づける客観的な証拠がまだ得られていないということで、現時点においては、なお同人を実行犯というふうに判断をする段階に至っていないということであります。現在、東京地検と警視庁で連絡をとりながら鋭意捜査を進めておるという状況にございます。  そういう状況のもとで、警視庁としては、この元警察官の精神状態というものがどういうぐあいであるかということについて把握をする必要があるという判断をいたしまして、精神科医を含むところの数人の、複数の専門家に面接をさせたところでございます。御指摘の、いわゆるテレビ放映に関与した専門家というのは、まさにこういう精神状態を見てもらう依頼をした一人であります。  このビデオ放映に至るところの経緯等については、現在、その事実関係について調査をしておるところでありますけれども、いずれにいたしましても、現在鋭意捜査中であるところを、こういった形でビデオ放映がされるということは、捜査上極めて重大な支障がある、遺憾なことである、かように考えております。
  156. 楠田修司

    ○楠田政府委員 日本テレビの放映の件でありますが、郵政省といたしましては放送法から物事を見るわけでありますが、放送法では、一方で、番組編集の自由というのが第三条で決められております。しかしながら、その内在的制約として、放送法第三条の二で、例えば「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」この四点が決められておりまして、これが放送法に違反するかどうかということの課題で見るわけであります。  今回、このビデオ放映がされまして、放送局の方から事情を聞いた限りにおきましては、この放送法に違反するには当たらないというふうに今は考えております。
  157. 小池百合子

    ○小池委員 今、大臣の方のお答えをいただかなかったわけでございますけれども、郵政大臣、この放送法ということがいつも何らかの、かつてのテレビ朝日の椿局長の問題であるとか、すぐに放送法を引っ張り出されてくるわけでございますけれども、今、電波がボーダーレスになって、そして国内におきましても、パーフェクTVであるとか、Jスカイですか、今多チャンネル化がもうどんどん行われてきているわけですね。  そもそも放送法によります免許制度というのは、私は非常に、これからも見直していかないとというか、現実の方が先に来るのではないかと思うのでございますけれども、そういった意味で、この放送法の適用の範囲、今後どのような見通しを大臣はお持ちなのか、伺わせていただきます。
  158. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま放送局長から放送法の第三条の二に規定する問題について詳細に御報告申し上げましたが、郵政省としては、こうした放送法の規定に違反することがなければ、これを放送法に違反するとして処分するということはあり得ない、こう思っております。  また、仮にそうした問題で放送法に違反するような問題が出てきました場合には、やはり憲法の保障する表現の自由という関係から、そういう事態を一回注意したからすぐ電波法による無線局の使用停止を命ずるとかあるいは免許を取り消すとか、そういうことにはならない、こう思っております。数回繰り返されるということになりますと、どうしてもその再発防止の手段がほかになければ、そういうことを適用しなきゃならぬのじゃないか、こう思っております。  なお、先ほど委員の最初の質問の中で言われましたのはペルー事件の問題でありますが、これは私どもも、ペルー政府を初め関係者が人質の全面解放、そして平和的解決ということで大変努力をされておるさなかに、ああいう強行取材をされたりあるいは無線機を置いてくるということは、これはもう不測の事態を招きかねない状態でございますので、この点については極めて遺憾であるということ、そして、全面的にやはりこうした関係者の努力に協力をするように要請をいたしたところであります。
  159. 小池百合子

    ○小池委員 そうしますと、郵政大臣、今のペルーの件については、放送法に抵触するというふうに見ておられるんでしょうか。
  160. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 放送法には抵触いたしませんので、今後全面協力を要請をしたということであります。
  161. 小池百合子

    ○小池委員 昨今の報道というのは、非常に私も問題あるところも多いとは思います。しかしながら、そのたびにこの放送法を出して、そしてそこに余りにも政府そして政党の関与が出てまいりますと、私はやはり報道の自由ということが阻害されるのではないかというふうに懸念いたしておりますので、報道の自由ということをまたこの場だけでなくて改めて検討もしていきたいというふうに思っております。  それから、警察の方でございますけれども、今回の日本テレビの報道は大変衝撃的な報道でございましたが、これは一般の国民の感覚に立ちますと、そもそも警察庁のトップの、トップ中のトップが狙撃された事件が、非常に長期にわたって、かつ自供者が出ていて、そこでなぜこれほど手間取るのかというような、そういう感覚も持っているということもございまして、この警察庁の長官狙撃事件というものの早期の解明ということをぜひともお願いしなければ、警察そのものへの信頼感にもつながっていくというふうに思うわけでご ざいますが、いかがでございましょうか。
  162. 杉田和博

    ○杉田政府委員 委員御指摘のとおり、まさに本件は国民の警察に対する信頼にかかわる大変重大な事件であるという認識のもとに、現在鋭意捜査をしておるところであります。  また、まさに今具体的に御指摘になりましたとおり、元警察官が具体的かつ詳細な供述をしておる。しかし同時に、それだけ具体的な供述をしながら、使用して捨てたとされるけん銃等、いわゆるそういう客観的なものが出てこない、ある意味で特異な状況にあるのでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、それゆえにこそ慎重かつ徹底をした裏づけ捜査が必要であるということで、地検とも緊密な連携を保ちながら裏づけ捜査を徹底しておる。  いずれにいたしましても、重大な事案でありますので、何とか本事件の早期解明のために総力を挙げたい、かように考えております。
  163. 小池百合子

    ○小池委員 郵政大臣はもう結構でございますので。  それでは、今の問題、警察庁長官狙撃事件もそうでございますけれども、最近の情勢を考えますと、北朝鮮で重要人物の亡命がありました。そして、つい最近、中東におきましては、あの日本赤軍が数名ベイルートにおいて拘束されたということがございます。  それから、ついこの間までタンカーの重油の漂着騒ぎがあったかと思うと、今度は中国からの亡今、亡命じゃなくて密入国者という人たちが、押し寄せるという表現は適当ではないかもしれませんけれども入国してきているというようなことでございまして、大変、いわゆる広い意味での危機管理がますますこれから必要になってくるのではないかというふうに思われるわけでございます。一言で言うならば、テロ対策というのは極めて重要かつ喫緊の課題であるというふうな認識を持っているわけでございます。  海外におきましては、現在在外邦人七十三万人、登録してない方などはもっともっと多いわけでございますので、海外に住んでいる日本人というのは数多いわけでございます。  そしてまた、年間の海外旅行者、一千六百万人を突破するというような状況でございますので、あのパスポートに書いてあるがごとく、やはり国は国民の命を守るということ、これがもう最低必要条件であろうということを改めて認識したいと思っております。  そこで、ペルーの問題でございますけれども、対話がこれまでも何度か重ねられてまいりました。まだまだ時間はかかろうかと思いますけれども、それでもやはり一日も早く人質の皆様が無事に解放されるということを願うのはだれしも同じでございます。  そこで、さまざまな問題が指摘されるわけでございますけれども、私は、そもそもなぜあのペルーの日本大使館がねらわれたのか、なぜあそこにあのテロリストたちが入っていったのか、この点をまずクリアにしておかなければならないというふうに思うわけでございます。  特に、あのペルーの日本大使館というのは、在外公館の中でも最も警備が厳しかったと言われている。そこがまんまとテロリストたちに乗っ取られてしまった。かつ人質もとられて、フジモリ大統領の弟さんまで今も人質になっているという状況、つまり在外公館の危機管理ということについて今後もっと強化していかなければ、これはみっともない話だと思います。やはり、海外における日本の象徴である日本大使館がテロリストに乗っ取られるという話は、まことに私はみっともない話だと思うんですね。  そこで、なぜまずペルーの大使館がねらわれたとお思いになるのか、外務大臣、お願いいたします。
  164. 池田行彦

    池田国務大臣 ペルーの大使公邸占拠事件、二カ月を超えましてもまだその解決に至っておりません。大勢の方々が人質の状態に置かれているわけでございまして、私どもも何とか人質全員の御無事の解放を支援したいと努力しているところでございます。委員御指摘のように、本来世界じゅうで活躍している日本企業あるいは日本人、そういった方々が安心して活躍できるように邦人保護の観点からもその責任を持つべき在外公館、そこがこういったテロリストの陥れるところになったということはまことに残念なことでございまして、私どもも、まず事件の解決を図る、これが第一でございますが、しかし同時に、今回の経験も踏まえまして、将来に向かって対テロ対策の充実を図ってまいらなくちゃいけない、こう考えております。  さて、それで、委員なぜ日本の大使館が標的となったかということでございますが、そこのどころは私ども今これと明確に申し上げることはできないわけでございますけれども、一般的に申しますと、ペルーにはこういう情勢があったと思います。  一九八〇年代、今回のMRTA、そのほかにセンデロというのもございましたけれども、あの国ではテロリストの活動がしょうけつをきわめました。年間に大体四けたの、多いときは三千数百件というような、三千、四千件というようなテロの事件が続発した、そういった状況があったわけでございます。そういった根底には、政治的な問題のほかに経済的、社会的な貧困、こういったこともあったかと思います。  そういった状態が、フジモリ政権になりましてからテロに対しては毅然と対処していくという方針、また同時に、貧困から脱却するためのいろいろな施策、そういうものとも相まちましてかなり効果を上げてきて、九〇年代になりまして次第にテロ事件は減っておったわけでございます。  たしか、九五年、九六年の段階では百数十件ぐらいのレベルまで下がっておったと記憶しておりますが、そのような状態にあったということでございますけれども、依然としてあのような武力を用いてテロリズムの活動をするという者があったということでございます。  なぜということでございますが、考えられますのは、一つは、やはりMRTAという団体が、ペルーの国内で、あるいは海外に向かって自分たちの存在あるいは活動の目的、テロリストに言わせれば自分たちの大義でございましょうけれども、そういうものをPRするといいましょうか、知らしめるということもございましたでしょう。そういった意味では、世間の耳目を引くにふさわしい場所であるとかあるいはイベントであるとか、そういったものが一つの対象になり得たということもあると思います。  また同時に、収監されております仲間の釈放を求めるについても、やはりペルーの政府等にいろいろプレッシャーをかける上において、ああいった状況というものが彼らの目から見て有効であるということもあったかと存ずる次第でございますけれども、しかし、私も、そのセルパと話したことがあるわけじゃございませんから、本当の意図がどこにあったかというのは承知いたしません。  しかし、そういった意味で、日本のいろんな活動が世界で大きくなってまいりますとそれだけ目立った存在にもなり、また、いろんな面で危険にもさらされるわけでございますから、我々としても在外邦人の保護の充実を図らなくちゃいけない。  そして、まずそれに当たるべき在外公館の警備体制については一層強化しなくちゃいけないということで、今御審議ちょうだいしております平成九年度の予算におきましては、例えば公邸の警備要員を従来より三倍増以上に増員するということをお願いしておりますし、また、先般、平成八年度の予算におきましても、通信の機器、あるいは障壁を高くするといったような公館の防護措置等々について約二十億円の特別の追加予算の措置をちょうだいした次第でございます。  そういったハード面だけじゃなくて、今回の反省の上に立って、将来に向かって一層適切な対策を講じてまいりたいと存ずる次第でございます。
  165. 小池百合子

    ○小池委員 ペルーの状況はいろいろるる御説明いただきましたけれども、最後の方なんですよね、 問題は。つまり、ペルーに、リマには在外公館幾らでもあるわけで、なぜ日本なのかというところが一番ポイントになってくるかと思います。アメリカのテロの専門家も、僕がテロリストだったら日本をねらうなどということを公言しているような状況でございまして、非常にわきが甘いということが世界的にも残念ながら知られているということで、入りやすかったというのが、入りやすくかつ効果が大きいというふうにねらったというふうに思うわけでございます。  そこで、今、警備費を三倍にふやしてというようなこともございました。そういったお金の面で、また人員の補強ということもございましょうけれども、私は、もっと危機管理ということ、最悪の状況を踏まえての危機管理という、そのシステムを整えていかない限り、本当の意味の危機管理というのはできてこないんじゃないかというふうに思うわけでございます。  前回のこの予算委員会の質問のときにも伺わせていただきましたけれども日本にはSAT、特殊部隊があるということで、そこでそのSATを、例えば今回も、アメリカはデルタフォースをパナマまで送ったり、各国は、大体が軍隊に関連しているんですけれども、こういった特殊部隊を送っているわけでございますね。非常に早く送っているわけでございます、情報の収集ということもありますけれども。  日本の場合には、情報収集ということでSATの要員を、前回の予算委員会では二人送ったということでございました。しかし、このSATを、必要なものを備えて海外に派遣するということについて、警察法の六十一条に基づいて合法であるということを伺ったわけでございますけれども、警察庁、この警察法六十一条によってSATは海外に送れるということをもう一度確認したいと思います。
  166. 杉田和博

    ○杉田政府委員 先般委員にもお答え申し上げたとおり、警察は、国内法上は、警察法第六十一条、管轄区域外の権限行使、この規定によって外国の領域にも権限を及ぼし得る、かように考えております。
  167. 小池百合子

    ○小池委員 この六十一条の二の項目で、「警視総監又は警察本部長は、当該都道府県警察が、他の都道府県警察の管轄区域に権限を及ぼし、」云々、「その他他の都道府県警察と共同して事案を処理する場合において、」云々というふうに続いている、この項目でよろしいわけでございますか。  そしてまた、基本的にこれは国内、今おっしゃいましたように国内の広域捜査を想定しているわけでございまして、海外の警察権力とともに共同して事案を処理するという解釈でございますけれども、これはちょっと拡大解釈というふうに受け取られてもしようがないんじゃないでしょうか。
  168. 杉田和博

    ○杉田政府委員 ただいま御説明申し上げたのは六十一条でございます。管轄区域外の権限行使、この点でございます。  なお、先ほど申し上げましたのに加えますと、当然のことながら、公権力の行使でございますから、相手国の同意が必要でございます。
  169. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど警察庁から御答弁ございましたのは、日本の国内法の立場から、日本として海外へ派遣することができるかどうかという話でございまして、一方、海外で何か事件が起きている、そこへ日本のそういった警察の関係者が行って活動するためには、当然のこととして相手国の承認が要るわけでございます。第一義的に、その国の警備はその国の責任でございますから、これは在外公館といえども同じことでございます。  世間一般で、何となく在外公館の施設は治外法権であるとか日本の主権であるとかいうことが言われているようでございますが、これはやはり、その受け入れ国の完全な主権のもとにある。警備も、第一義的にはその責任であるところでございまして、ただ、外交施設であるということで、その施設にその当該国の官憲が入るときには、その在外公館を送っている国の方の同意が要るというだけの話であるということでございます。  いずれにしても、第一義的には、その事件を解決する国の責任なり同意なり、そういったものが優先するということは言うまでもないことでございます。
  170. 小池百合子

    ○小池委員 それはもう当然の話でございまして、相手の、相手国の主権の中での行使ということ、これは当然、相手の同意なしにはできないことでございます。  今私がいろいろと申し上げているのは、現在ペルーでああいう状況が起こっている、これは現在進行形である、そして、かつ、対話が今静かに進んでいるという状況でございますが、私はこれは危機管理というのは、あらゆる場面を想定して、いざとなったときにそれが使える状況にしておかなければ、結局意味がないのではないかということで、私は別に今この件についてペルーだけを考えて言っているのではございません。  先ほど申し上げましたように、今在外邦人が百万単位でおられるというようなこと、それから、海外にいるからといって国民の命をほっておくというような政治の無責任はできないといったような意味から、冷静に、何ができて何ができないのか、そして何をするためにどういうものが必要なのかをこの場で検討しておく必要があるんじゃないかということで申し上げているわけでございます。  それでは、このSATの場合、海外派遣ができるということでございますが、相手国の承認ということもございますけれども、具体的にもっと詰めさせていただきたいと思っております。  火器の使用でございますけれども、SATを海外に派遣した場合、警察法の六十七条に基づいてけん銃の使用ができるということ、これをもう一度確認させていただきます。
  171. 杉田和博

    ○杉田政府委員 SATを海外に派遣をしたときにけん銃の使用ができるかということでありますけれども、これはただいまも外務大臣が申されたとおり、いわゆる常に相手国がある話でございます。国内法上は海外に権限を及ぼし得ることでありますけれども、あくまでも相手国との話、相手国の同意、相手国の国内法律、こういったものに従うのは当然でございます。
  172. 小池百合子

    ○小池委員 逆に言えば、相手国が同意すれば可能であるというふうに受けとめられるわけでございます。  ただ、小型武器ということでございますけれども、この小型武器というのはどこまでをいうのか、伺いたいと思います。  ちょっと遠いので、どこか近くにいていただければと思うのですが。
  173. 杉田和博

    ○杉田政府委員 小型武器と申しますのは、けん銃、ライフルなど、警察官が個人装備として携帯できる程度のものである、こういった解釈で私どもは考えております。
  174. 小池百合子

    ○小池委員 そうしますと、今テロリストというのは、最近のテロリストってすごいですからね。ロケット砲まで持って今も立てこもっているわけでございますけれども、そうなると逆に、現実的に考えますと、たとえその相手国が同意し、そしてこのSATを送ることができたとしても、相手の重装備ということに対抗して何かするとなると、逆に実際に派遣される方々の方が危険にさらされるというような心配も出てくるわけでございますけれども、そうすると、SATの場合には、例えばM16とかマシンガンとかそういったものは持ってはいけないということでございますね。確認方お願いします。
  175. 杉田和博

    ○杉田政府委員 海外への派遣というお話を前提にいたしますと話は若干複雑でございますので、一般論として申し上げます。  私どもの考えでおりますSATというのはあくまでも人質を安全に解放することであります。したがいまして、テロリスト側がある程度我が方を上回る装備をしておっても、手持ちの今申し上げたようないわゆるライフル等をひっくるめました装備でこれを制圧をする。つまり正面から重装備で撃ち合う話ではございません。あくまでも、い わゆる急襲と申しますか、ひそかに接近をして、そして相手方を制圧して重装備を使わせないようにする、そして人質を安全に解放する、こういうものが趣旨でございます。  そのために平素から、起こり得る事態というものを想定をいたしまして、考えられるテロリスト側の装備というものを前提に、そういうものをいかにして制圧するか、こういう訓練をしておるところでございます。
  176. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。  まさにこれは、何度も申し上げますけれども、危機管理の場合にはあらゆる場合を想定してあらゆること、お金もかかりますし、訓練も大変ですし、しかしながら各国そうやってわきを固めて、そして、あの国の在外公館などに入ったりしたらかえって大変だぞみたいな、そんなことの意識を、ある意味のPRもするわけでございますね。  私は思うのでございますけれども、別に私は行け行けどんどんとかそういうことじゃなくて、基本的に海外にいる自国民の安全をいかに守るかということはやはり真剣に考えるべきだという観点から、今お話を伺っておりますと、警察の場合には警察法の範囲がある、限界もあるということでございますが、例えば各国のその他の、アメリカの場合ですとアーミーがデルタフォース、それからネービーの方はシールスというのでしょうか、それからフランス等々、軍隊がこれをやっているケースが極めて多いわけでございます。  そこで、例えば自衛隊の中にテロ対策特殊部隊というのをつくってみる方がかえって私は現実的なのではないか。ただ、これはハード面と人材面の方で現実的ではございますけれども、逆に今度は法律的な面がまた問題点が出てくるというようなところでございますけれども、防衛庁、このテロ対策特殊部隊の創設ということについて、防衛庁はどういう見解をお持ちでしょうか。
  177. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 御指摘の特殊部隊が具体的にどういうイメージでなされているのか明らかでございませんので的確なお答えができるわけではございませんけれども、一般的に申し上げますと、まず自衛隊がいわゆるテロ事件に対応するため法令上なし得る任務、こういったものについてまず慎重に検討する必要があると考えるわけでございます。その上で、法令上の問題ということであれば、検討した上での話でありますけれども、法令上可能な任務の遂行に必要な範囲内でそのための部隊を保有することは、これは法律上可能であると考えております。  しかし、現在自衛隊は、いわゆるテロといったようなことについて特別な部隊は持っておりません。そして、保有する装備や、訓練等を通じて得ました技能あるいは経験を生かしまして、法令の定めに従いまして関係機関と連携しつつ各種の事態になし得る限りの対応をする考えでございます。  特別の部隊を保有する考えはないかという御質問であるとすれば、防衛庁といたしましては、このテロリズムに対する対応というものは第一義的には警察機関の任務であると考えておりまして、現在そのような部隊を保有するという考えは持っておりません。
  178. 小池百合子

    ○小池委員 アメリカの先ほど申し上げましたようなデルタフォースのような部隊ということを想定してお伺いしているわけでございますけれども、法律的な問題として法制局長官、先ほどのそういう自衛隊のテロ対策部隊というようなことの可能性、そして法的問題点について御見解を伺いたいと思います。見解というか、法的な見方を伺いたいと思います。
  179. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 あくまで一般的な抽象論としてお答えするわけでございますが、現在の自衛隊法上お尋ねのような部隊を組織できるかということになりますと、自衛隊法をずっと見渡してみましても、それの根拠となる規定はなかろうと思います。  したがいまして、法改正を要するということになろうかと思いますが、その場合には、いかなる目的でいかなる行動、任務を与える組織を設けるかということについての法改正内容、目的、趣旨ですね、それとの関係で、やはり憲法との関係を十分に検討しなければならない問題があるであろうというふうには考えます。
  180. 小池百合子

    ○小池委員 憲法問題まで波及してくるであろうとは思いますけれども、基本的に、他国に派遣した場合、それを他国を侵略したり攻撃したりということではなくて、自国民をいかに取り戻すかというような想定というときに、この場合は憲法問題をどこまでクリアできるのか、その辺のところはいかがなんでしょうか、法制局長官。
  181. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 自国民、外国にある日本国民の生命身体の保護、安全を確保するということは、まず基本的に考えますと、これは当該日本人がいる外国の責務であるというふうに国際法上は考えられているわけでございます。したがいまして、当該国との外交交渉を通じて具体的な日本人の安全を図ることに努めるということが、まず我が国のなすべき責務であろうと思います。  その関係で、具体的な危難に遭遇している日本人が仮にいるとしました場合に、よく言われますことは、自衛権の行使ができるのかできないのかという議論になるわけでございます。  しかしながら、我が国の自衛権、これは具体的には自衛隊の自衛行動ということになるわけですが、この自衛権発動には三要件というものが必要である、我が国を防衛するために必要最小限度の実力行動に限って憲法九条は認めており、それを超えるものは憲法上認められないという観点から考えますと、やはり外国にある個々の日本人の生命身体が危難に遭遇しているということだけでは、いまだ自衛権発動の三要件は満たさないのではなかろうかと一般的には考えられるわけでございます。
  182. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。  国際テロというのは、まさにサミットの大きな議題にもこれまでも何度かなってまいりましたし、そしてまた日本もテロには屈しないということで合意しているわけでございます。  しかしながら、今いろいろとお伺いしましたように、何かとまだまだ問題点は多いということだと思います。よって、この国際テロ対策ということをもう少し縦横に考えて、そしていざというときには、ちゃんとその機能が果たせるといったようなことを考えていくのがこの場での責務ではないかと思いますので、引き続きこの問題につきましては検討していきたいというふうに思っております。  それでは、続いて、これも私は国家の危機管理だと思っているんですけれども経済についてお伺いしたいと思いますので、それでは外務大臣と法制局長官の方はお忙しいでしょうから、何だったらおつき合いいただいて結構でございますけれども、残念ながら、次回ちゃんと御指名させていただきます。予約しておきます。  それでは、経済について伺わせていただきたいと思います。大蔵大臣、お待たせいたしました。  最近は、英語が飛び交ったり、何かわけのわからないことがいっぱい出てきますけれども、アカウンタビリティーという言葉は御存じでしょうか。この意味というのはよく御存じでいらっしゃいますね。よく知っていますということで、間接的な御答弁をいただきました。  そして、このアカウンタビリティーということは、私この予算委員会、初めてこのプロパーの委員にさせていただきまして、ずっとこの審議の中身といいましょうか、委員として務めているわけでございますけれども、どうもやはり基本的に納税者に対するアカウンタビリティーというのは我が国は極めて貧弱であると言わざるを得ないというふうに思うわけでございます。  これまでも、積算根拠を示せであるとか、それから箇所づけをというようなこともたびたび各委員が指摘するところでございますけれども、それがなかなか出てこないということでございますし、また、最近では、この予算は無修正でいくけれども、しかしながら執行段階で手を加えてなどという話も聞くところでございます。  私には予算というのが、これは大変積み重ねの、御苦労の多い作業であることは重々わかりますけれども、何か絶対に手を触れてはいけないような、まるでルーペンスとかピカソとか、そういった人の完成した絵に我々が手を加えることはまかりならぬというような、そういう空気があるのではないか。また、予算を組み替えたり修正をするということはその政権にとってメンツをなくすといったような、そんなことがもうこの永田町においては当たり前のようになっているようなところを私は大変不思議に思うわけでございます。  各国の場合ですと、審議を通じて修正をするのはごくごく当たり前でございますし、それに応じて、そのためにもまた審議もするわけでございまして、ですから、そういった点で非常にかたくなである。かたくなであること、それが目的になってしまって、そして本当にいい予算づくりをしようというような、何かその辺のところが欠けているのではないかということをまず問題点として申し上げておきたいと思っております。  また、せんだっても公聴会が開かれましたけれども、あの方たちの意見がどこまで取り入れられるのか。これは院の方の問題かとは思いますけれども、極めて順番にシステム化というか、形骸化した部分というのは多分にあるんじゃないかというふうに思っております。  そこで伺いたいのでございますけれども、まず、この年末年始のたんす預金が幾らであったかというのを大臣、御存じでしょうか。覚えていらっしゃいますか。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 小村武

    ○小村政府委員 日銀券の発行残高等々は公表されておりますが、たんす預金というのは私どもは存じておりません。
  184. 小池百合子

    ○小池委員 もちろんたんす預金という言葉はわからないからみんな、余りへそくりまで数えられてしまったらへそくりにならないわけでございますが、年末には約五十兆円ということが報道もされておりました。  年末年始ですから現金が要るということもございましょうが、いわゆるたんす預金、つまり銀行にも郵便局にも預けないお金がたくさんあるということは、このお金そのもの、まずここから税金も取れないわけですね。そのまま眠ってしまっているわけでございますね。基本的に超低金利ということでございます。  私はイスラムの世界におりましたけれども、イスラム世界では銀行は金利を取ってはならぬということでございますので、今の超低金利、普通預金だったら〇・一%ぐらいなんですが、税引きだったらもうほとんど何も残らない、バス代ぐらい出るか出ないかみたいな状況、これはもうほとんどイスラム原理主義と同じじゃないかというふうにも思うわけでございます。  そこで、この予算審議の間もなかなかそちらの方向には話は行かなかったんですが、FRBのグリーンスパンさんも指摘しているように、日本というのは実は大変な力を持っている国なのにどうしたんだということもおっしゃっておられます。その力は何かといったら、これは個人資産、個人預金でございまして、一千二百兆円に上るということでございます。大臣はこの一千二百兆円、なぜ生かされていないというふうにお感じになりますでしょうか。
  185. 三塚博

    ○三塚国務大臣 一千二百兆、カウントされた総額として、労働金庫まで集計した形で推計をされておる。昨今計量経済盛んでありますから、ほぼこの部分の積算は大蔵及び主管庁の積み上げで出ておるものと見ております。  なぜ生かされておらないかということでありますが、それは総資産として見るということで、貸し出しもありますし、そういうことでその辺は毎月動くんでしょう、根底にそれがあります。平成八年九月現在のデータでしょうかね。
  186. 小池百合子

    ○小池委員 何かまるで人ごとのようなのですけれども、やはり私は、ポイントはこの一千二百兆円の個人資産がいかに活用されるような環境をつくるかというのが、今の日本経済、極めてがけっ縁に立っておりますけれども、そこがポイントだと思うのですね。  しかしながら、この超低金利、これはしばらく続けざるを得ないような経済状況、また金融状況だろうというふうに思います。そして、しかしながら、であるならば普通は株式市場にまたこんな超低金利ですと流れるわけですが、バブルの後遺症というようなこともありますし、また日本経済の低迷ということもあって、そうそう株式には流れていないというような現状ではございます。しかし、八〇年代のアメリカの不良債権を抱えて銀行がもうばったばったと倒れていったような時代から、今アメリカの例えばニューヨーク・ダウなども七千ドルを突破する。バブルじゃないかなどと逆に言われておりますけれども、その辺の秘訣といいましょうか、秘密というか、それをよく検討すべきではないかというふうに思うわけでございます。  私は、この一千二百兆円がなかなか動かないというのは、一言で言って国民の皆さんは将来に不安があるからという、もうこの一言に尽きるのではないかと思うのですね。将来どうなるかわからない、だからとりあえずためておこう。銀行は最近危ないから郵便貯金の方に回そうということで、大変に最近は郵貯の方がまた膨らんできているような状況でございますけれども。  そこで、アメリカの場合ですと、これがいわゆる企業年金のカテゴリーの中で幾つかあるのですけれども、その中でいわゆる四〇一Kというのが大変パワーを持って、そしてこの四〇一Kの活用によって企業の負担が減るということ、特にベンチャー企業などの場合そうですね。それからまた、個人とすれば、国の年金とか公的な年金が当てにならないからということで自己防衛のためにこの四〇一Kというのに走るし、また減税ということもある。いろいろな面でこのいわゆる四〇一Kと呼ばれている金融商品でございますけれども、アメリカの経済の活性化に一役買っている。さらに、時価会計の対応ができるというようなこともプラス要因として出てくるわけでございます。  行政改革委員会、そして厚生省の審議会などでも、このいわゆる確定拠出型年金ということの御審議、そして規制緩和の対象ということで検討なさっているということでございますけれども、厚生大臣、今後の、将来の不安等々を抱えて、また今、年金システムの大改革を迫られているわけでございますけれども、その中でこの確定拠出型の年金システムの導入、もっと早期にできないものでしょうか。いかがでございましょう。
  187. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 確定拠出型年金には長所もあれば短所もあると思います。どちらがいいか、また現在の公的年金制度に加えてこの確定拠出金制度も加えるべきかということは、それぞれの年金に関心ある方で議論されていることは承知しております。将来の検討事項としてこの問題、厚生省としても今後研究を進めていきたい、そう思っております。
  188. 小池百合子

    ○小池委員 もう審議会の方では随分話が進んでいるように聞いておりますし、むしろいかに早期に導入できるように環境、条件を整備していくかが問題ではないかと思います。  ですから、年金の確保ということと、そしてまたそれが経済の活性化につながるというこの両面を考えていかなければならない。となると、今のような現状の一つの大きなばねとなるものなんですね。もちろん、運用等々の面で確実といいましょうか、間違いがないように、そんなはずじゃなかったとまた後で言われないためにも、いろいろ条件の整備などをしていかなければならないかと思いますけれども、大蔵省、この確定拠出型年金につきましての検討はどこまで進み、いつごろできるのでしょうか。
  189. 薄井信明

    ○薄井政府委員 厚生大臣からお答えありましたように、確定拠出型の年金の特徴、よい面も悪い面も、悪い面というか、プラス面、マイナス面あるわけでございまして、とはいいながら、その両方があったっていいじゃないかという考え方もあるのだと思います。  御指名が大蔵省にありましたのは、多分税制上の制度の問題について絡んでいるから御質問いただいたのかと思いますが、この点について申し上げますと、現在の日本の年金課税制度といいますのは、拠出時非課税、それから給付時実質非課税ということでかなり緩い課税になっております。それに対して、先ほど御指摘のアメリカの四〇一Kですか、これによる課税というのは、拠出時には非課税ですが、給付時には課税をするということで、むしろしっかりしているわけですね。  ただ、我が国の年金制度の実態自体が確定拠出型年金というものが余り、余りといいますか、企業年金の形としてはありませんので、そのことを前提とした制度をつくっておりませんけれども、もしそういうことが世の中の需要として、現在のような給付型だけでなくて確定拠出型年金ができるならば、アメリカの制度なども参考にしまして、きちっとした年金課税制度を構築しないといけないと思っております。  繰り返しになりますが、日本の現在の税制のままで確定拠出型年金を設けることは、これはおかしなことになると思います。それはそれなりの税制の対応をしていかなければならないと思っております。
  190. 小池百合子

    ○小池委員 これは新しい考え方ということでございますので、当然税制についても整備が、環境の整備も必要でございましょうし、また選べるような形にするためにもその辺のインテグレーションも必要でしょう。  ただ、アメリカの四〇一Kを見ておりますと非常に示唆に富んでおりまして、これからの雇用形態もこれまでの終身雇用型というよりはむしろ会社を移っていくような形、もう既に出ているわけでございますけれども、そういったときに、特に女性の場合、会社をやめてしまったときに、その年金の給付について非常に後の処理が困難だったりもするのですね。  いわゆるポータビリティーと言われているようでございますけれども、雇用の流動化ということがこれからもますます多くなるということを考えますと、この拠出型という年金制度というのは受ける方にも非常にプラス面はあるのではないかというふうに思っておりますので、ぜひとも早急に税制面、そして全体の年金の構築の中での位置づけ、そういったことを進めていただきまして、そしてかつ、この金融不安の中で光り輝くような、そういう商品になることを期待しているところでございます。  また、厚生年金について聞きましても、これはちょうど二十三日の日経新聞でございますけれども、資産運用の規制を撤廃する、これまでの五・三・三・二ルールというのがあるわけでございますけれども、この規制の方も早急に行うということでございますけれども、厚生大臣、この動きにつきましては、いつごろ、どのような形になるのでございましょうか。
  191. 矢野朝水

    ○矢野政府委員 厚生年金基金の資産運用規制でございますけれども、現在御案内のとおり、基金資産全体としていわゆる五・三・三・二規制がございます。ただ、一定の運用体制が整った基金につきましてはこの規定も適用除外しておりまして、既にそういった基金も十一基金生まれておるわけでございます。  私は、将来的にはこの五・三・三・二規制というのは撤廃すべきだと考えておりますけれども、ただ、受託者責任の問題とかございまして、そういった問題にきちんとした対応をせずに規制を撤廃いたしますと積立金の運用というのがおかしくなる、こういう面もあるわけでございますので、この受託者責任の定着、こういったものをきっちりやりながら、近い将来に規制を撤廃するということで進めてまいりたいと思っております。
  192. 小池百合子

    ○小池委員 この年金問題、非常に国民の間でも関心の高いことでございますので、また、予算と同様、これまでの厚生年金の運用の硬直化といったことが問題となっているわけで、そういった総合的な見直しを早急にお願いしたいと思います。  せっかく経済企画庁長官お越しいただいていますので、最後に伺わせていただきます。  同僚の山本幸三議員が再三この場でお伺いしてきました公共投資の乗数効果の件でございますけれども、たまたま、またこれ二十二日の段階で毎日新聞の記事が出ております。バブル崩壊後はゼロになった、経企庁試算で証明というふうに出ておりまして、基本的には経済白書、そして世界経済モデルの中から出てきた記事だというふうに承っております。であるならば、一体全体この平成九年総予算というのは、乗数効果、幾らで計算されたのか、それだけお答えいただきたいと思います。
  193. 麻生太郎

    麻生国務大臣 御指名をいただきましてありがとうございました。  最初にお断りしておきますけれども、毎日でしたっけね、あれはたしか。七月公表された平成八年度経済白書の記述をもととしておりということで説明してありますが、経済企画庁として改めて一昨日何か分析して公表したことはありません。これだけは、あの新聞がどういう根拠で書いておられるのかわかりませんけれども、それがはっきりしておるところであります。  それから、「力失った?公共投資」という見出しがついておりましたけれども、乗数効果というのは、これは御存じのように、一兆円なら一兆円の公共投資をやれば、間違いなく一兆円は一兆円なりの工事を発注するわけですから、それはそれなりの計数が出てくる。そして、それに加えて乗数効果がどれぐらい出るかというのは、これは乗数効果だけで経済効果を全部出してあるわけではありませんので、これが出たからこうなってというようなものではなくて、一応こうなればこうなるという、第五次世界モデルとかいろいろな例は、山本幸三先生のときにはマンデル・フレミングだったと思いましたけれども、あれを、理論を使っておられたと記憶をしますけれども、そのフレミングの理論どおりですべてがやっているわけではありませんので、これではこれだけというような効果が全部計算されて経済成長率一・九%というように出したわけではありませんので、経済成長率と波及効果とが、直接的にそれが関係してすぐ幾らに見込まれて書いたというわけではないということを御記憶をいただければと思います。
  194. 小池百合子

    ○小池委員 時間が参りましたけれども、基本的なそういうシミュレーションもなしに予算を立てているのかという、そういう印象を今承って、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  195. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて小池さんの質疑は終了いたしました。  次に、田端正広君。
  196. 田端正広

    田端委員 新進党の田端正広でございます。  きょうは、私は、薬物の乱用についてお伺いしたいと思います。  白川国家公安委員長がほかの委員会との時間の調整で冒頭だけしか出られないということなので、先にお伺いさせていただきます。  大変今国際化が進んでいるわけですけれども、国際化という美名と同時に非常に複雑な犯罪、事件等もふえていくという、こういう皮肉な結果になっているわけでありますが、二十一世紀日本の社会ということを考えた場合に、そういうボーダーレス化ということは、これは必至だと思います。しかし、治安の維持といいますか、そういう健全な社会を守るということは、これはもう最優先しなきゃならない、こう思います。きょうは私はそういう意味で、現実にその薬物問題がどこまで進んでいるかといいますか、そういう意味で警鐘を鳴らしたい、こういう思いでございます。  物と人が国際化によって交流が深まれば、そういうことで犯罪もふえるわけですが、その中で、薬物、特に覚せい剤、これが今たくさん日本に入ってきているといいますか、ふえている、こういう状況であります。  先般、政府の方でも、一月十七日でございましたか、閣議で、薬物乱用対策推進本部というものを、おくればせながらといいますか、ようやく設置されて、総理大臣が本部長になられて、そして、 国家公安委員長、それから文部大臣、厚生大臣も副本部長ということでございますけれども、この設置をされて、これからどういうふうにやっていかれようとしているのか、そして、今現実に起こっている、既にもう中学、高校生まで汚染されている現実を、どうこれから対処されようとしているのか、まず国家公安委員長にお話をお伺いしたいと思います。
  197. 白川勝彦

    白川国務大臣 田端委員には本当に申しわけないのでございますが、きょうは地方行政委員会が同時並行で開かれている関係で、お許しをいただきまして、冒頭、基本的な方針だけ私からお答えさせていただいて、あとは政府委員からお答えをさせていただきます。  御指摘のとおり、最近の薬物情勢は、高校生の乱用の激増を初め覚せい剤事犯が急増するなど、非常に深刻な情勢にあると認識をいたしております。  このような情勢を踏まえて、これまでも警察におきましては、薬物の供給の遮断と、そして需要の根絶、この二つの側面から総合的な薬物対策を推進してきたところでありますが、このたびの内閣総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部の設置によりまして、関係省庁間の連携を一層緊密化をいたしまして、青少年による薬物乱用防止対策や密輸・密売組織に対する取り締まりが一層強化されるものということで、薬物問題については非常に関係のある警察庁といたしましては、大変喜んでいるところであります。  私といたしましても、薬物対策の強化を図るために、今までもその大事な一翼を担ってまいりましたが、今まで以上に大きな役割を政府の中で果たして、その任にたえていこうと思っておる次第でございます。
  198. 田端正広

    田端委員 薬物の中にいろんな種類があると思いますが、鎮静作用といいますか、そういう部類でくくるもの、それから興奮作用といいますか、あるいは幻覚作用、大きく分けてこういう三つのものがあるようでございますけれども、例えば、麻薬の中には非常に強いヘロインとかあるいはコカインとか、こういうものは麻薬取締法で規制されている、こう思います。  まあいろいろありますが、今日、ここ一、二年急激に日本でふえているのは、そういうものとは違って、つまり、覚せい剤という、昔で言われるヒロポンといいますか、シャブという隠語で言われたようでありますけれども、こういうものが今急激に広がっている。これは、そういう意味では、麻薬のヘロインとかそういうものとはまた違う意味で非常に手軽に手に入るようになった、あるいは、使い方が非常に簡単になってきた、こういうことのようでもあるわけです。  そこで、小泉厚生大臣にお伺いいたしますが、こういうものがここ一、二年急増している背景といいますか、この麻薬の問題についての所管厚生省でございますから、そういった意味で、こういうゆゆしき事態に対していかにして社会啓発をされていくのか、そして追放運動を実施されるのか、そういった御所見をまずお伺いしたいと思います。
  199. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 先ほど委員の御指摘のように、ことし新たに、総理に本部長になっていただきまして薬物乱用対策推進本部が内閣に設置されたということは、いかに橋本内閣においても、若年層に覚せい剤を中心とした薬物乱用状況が広がっているか、大変憂慮すべき状況であるということが認識されている一つの証左だと思います。  こういう点に対して、厚生省としては、関係省庁と連絡を図りながら、麻薬取締官事務所における取り締まりの強化に努める、そして、学校での薬物乱用防止教育等に麻薬取締官OBを活用する等、乱用の危害についての啓発活動を推進して、今後とも、この薬物に対する危険性、若年層に特に絶対に使用しないように、社会環境の整備、確立に努力をしていきたい、そう思っております。
  200. 田端正広

    田端委員 文部大臣、今、若者といいますか、高校生の間でSとかスピードという言葉で表現されている、これは何のことか御存じでしょうか。わかりませんか。実は、それが覚せい剤をあらわしている言葉でありますが、彼らは今、そういう意味で非常にファッション感覚といいますか、遊び心といいますか、そういう形でこの覚せい剤ということを認識しているようであります。  例えば、どういうことかといいますと、やせることができる、ダイエットできる、こういう認識なんですね。そして、頭がすっきりして受験勉強に集中できるとか、こういう意識のようであります。だから、動機というものが、そういう非常に今様のファッション感覚的な動機で手を出してしまう。あるいは今までよりも、覚せい剤の場合も、例えばアルミホイルのようなものの上に載せて熱を浴びせて温める、それをそのまま吸引する、こういう、注射とかそういうのじゃなくて手軽にできる。あるいは、ジュース等のようなものに混入して、まぜて飲む。こういう、使用方法が簡単になったといいますか、それが若い世代に汚染してきている理由であろう、こう思います。  これは、取り締まり当局、警察の方ではぜひこれからも一層の努力をお願いしたいわけでございますけれども、例えばどういうふうに薬物使用の検挙者がふえているかといいますと、平成六年、七年、八年、この三年間で、平成六年は一万四千台、それが平成七年で一万七千台、平成八年は一万九千四百二十件、こういうふえ方であります。そのうち少年というのが、平成六年が八百二十七人、平成七年が千七十九人、平成八年が千四百三十六人、そういうふうに全国的に、未成年者といいますか、若い世代に急増している。  中でも注目すべきことは、高校生、平成六年が四十一人だったのが、平成七年に九十二名、そして平成八年は何と二百十四名、六年から八年にかけてもう五倍にふえている。しかも、女子のふえ方が同じ割合でふえていっている。いろいろな事件があったようでありますけれども、中学、高校、大学、専門学校、今では小学校にまで、小学生まで、昨年ですか、検挙されている。  こういう汚染の拡大していっている実態は、私は、今のアメリカの高校生の汚染状況はもう大変なことだ。高校生のマリファナ経験者が四割いるというのですね。それからコカインというのは大変中毒性が強いわけですが、コカインですら一割いる、こういうアメリカ社会の状況に、このままほっておけばどんどん近づいていくという危険性を今感じるわけであります。  そういう第二のアメリカにならないためにも、ぜひ、教育改革も、大臣、大変大事なんですけれども、教育の現場でこういう実態に対してどう取り組んでいかれるか、御決意のほどをお願いしたいと思います。
  201. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 最近、青少年の薬物乱用の状況がここ一、二年急激にふえている、今御指摘の数字のとおりでございまして、私ども、こうした事態を大変深刻に憂慮すべき状況だと受けとめております。  そこで、こうした状況を踏まえまして、総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部の副本部長として私も全力で取り組んでいるところでございますが、この原因といいますか、背景は、委員も御指摘のようにいろいろ複雑な状況が絡み合っておりまして、例えば薬物を容易に入手できる社会的状況とか、あるいは遊び感覚、ファッション感覚という御指摘がありましたが、そういうふうに抵抗感がなくなってきている、あるいはまた子供たちの自制心が欠如している、そういうことが絡み合ってこんな事態になってきたと思っております。  そこで、文部省としてもこうした事態を深刻に受けとめまして、特に保健体育という科目がありますが、そこの学習指導要領の中でも、薬物に対する抵抗感というものを植えつけるということをきちっと位置づけておりますし、あるいはまた、道徳とか特別活動、こういう授業の中でも薬物乱用による有害性とか危険性というものを徹底して指導していく、こういうことをやっております。  それから、指導をする先生方には指導の手引きの資料とか、それから研修も行うということで、 特に平成九年度の予算の中でも、チラシ、ビラ、あるいはまたビデオの作成、教員の指導資料あるいは研修、そういういろいろな方法を通じまして、何とか児童生徒が薬物に手を染めないように徹底した努力を続けたいと思っております。
  202. 田端正広

    田端委員 ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思います。  今、新宿、渋谷の町で植物ドラッグというものが売られています。これはもう大変なゆゆしき事態だと思います。これは薬物ではないのですが、植物でございますね。厚生大臣にお伺いします。私、きょう見本をお持ちいたしました。こういう三点でございますけれども、これを繁華街で堂々と売っているわけです。  これは何かといいますと、これはマジックマッシュルームと通称言われていますが、シロシベクベンシスというものなのですが、ここに白いものが、菌糸になっていますが、この菌糸が二週間で瓶いっぱいに広がるそうです。その菌糸が広がったそれを水槽に移しかえて一週間栽培すると、キノコがだあっと百本ぐらい生えてくる。そのキノコを食べると幻覚作用が起こる。これは大変高い値段になっております。こういうものを町で売っている。これはベラドンナという、花ですけれども、これをパイプに詰めてたばこがわりにする。それから、これはワンウッドという、葉っぱです。これは急須でお茶がわりに使う。  疑似薬物といいますか、こういうものが町で売られる、これがインターネットで紹介されている、あるいは電子メールでも販売する、こういうふうに今なってきているわけです。だから、ちょっとした薬物の疑似体験といいますか、そういうものは簡単に今できるようになっている。これは、そのものは植物ですから法的には何も問題はない、しかし、その成分の中に幻覚作用になるサイロシビンとかそういうものが入っている、こう言われているわけです。  私は、このものがそういうものであるかどうかわかりません。実際に私買ってきたわけですが、そういうふうに彼らは説明して売っているわけです。全くインチキかもわかりませんが。どちらにしてもこれは一回調べてもらわなければならない、こう思います。厚生省の方でこのものを、私これ差し上げてもいいですから、分析していただいて、どういうものかという、それで実際に違法行為に当たらないのかどうなのか。  つまり、このことを放置しておきますと、海外旅行で植物ドラッグの経験をした人が日本に帰ってきてこういうものに出会いますと、すぐ手を出すと思います。あるいは、町でこういうものを見かけた人が、それはおもしろそうだと思えば買ってしまう。それが次は、今度は本物に手を出す。こういう事態になることが大変怖い、そう思うわけでございますので、ぜひこの問題については、取り急ぎ商品分析をし、どう対応するのか、そういったことも御協議いただきたい、こう思います。小泉厚生大臣
  203. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 先生今お示しのキノコの類につきましては、現在、国際条約で麻薬原料植物になっておる範囲から対象外になっておりますけれども、おっしゃるとおりの成分、あるいは麻薬に該当するサイロシビンという成分が含まれているという指摘もございます。かって、別な種類でございますけれども、私ども麻薬取締官事務所で分析したところ、半数からは検出されなかった、他の半数からは検出されたわけでございます。そういうことでございますけれども、今お示しのこの植物につきましては、ぜひ検査をしてまいりたいと考えております。  次に、これを規制できるかどうかということにつきましては、これは国際条約で指定をして、それから国際的に規制をしていくということでございますので、この点につきましては、なかなか今後の問題というふうに考えております。
  204. 田端正広

    田端委員 もう一つ、現場からの報告といいますか、この覚せい剤の、先ほど数値を申し上げましたが、私は大阪でございますけれども、大阪においても薬物の汚染状況というものの拡大は同じ状況であります。平成六年千五百八十五人、平成七年千八百五人、平成八年二千百五人と、こういうふうにどんどんふえていっておりますが、その中で少年、未成年の人が、平成七年九十八人から平成八年は百七十四人と倍増しているわけですね。女子も四十八人から七十七人と、こういうふうにふえています。大阪府警本部とか大阪府等ではキャンペーン活動を大変積極的にやっておりまして、「ダメ。ゼッタイ。普及運動」ということをやっているわけですけれども、しかし現状は追っつかない。  私が住んでいる大阪の西成区というところは、今NHKのドラマ「ふたりっ子」で大変人気になっているところでございますけれども、この大変すばらしい庶民の町である西成にあいりん地区というのがございますが、このあいりん地区に労務者が二万五千人ぐらいいます。このあいりん地区において、覚せい剤の取引が白昼堂々と行われている。しかも、今携帯電話がありますから、携帯電話と車があれば連携をとり合って、車で移動しながらお金を所定のところに置いて移動して、物を窓から手を出して受け取る、そしてすっとそのまま行くと、こういう状況が行われているわけです。  それからもう一つ、大阪のミナミに、繁華街ですが、その一角にアメリカ村という、若者が集中して集まっている若者ファッションの一角があります。ここでイラン人を中心にした不良外国人といいますか、そういった人たちによる取引が行われている。そのために、大阪においても若者の中にどんどん汚染が広がっているということが現実であります。  私は、そういう意味で、一つは暴力団とのかかわりがあろうかと思います。もう一つはそういう外国人の問題とのかかわりが残る、こう思いますが、こういう意味で、ぜひこの問題については深刻に受けとめて、取り締まり当局においてもやっていただかなきゃならない、こういう思いでいっぱいでございます。警察庁の今までの御努力に対しては多としますけれども、なお一層深刻に受けとめていただいて、治安を守っていただくことをお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  205. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいままでの御指摘のとおり、薬物事犯、なかんずく覚せい剤事犯が非常に深刻化している中で、今御質問にもありましたように、ある地域におきましては、他の地域に比べて覚せい剤等の密売が非常に多いのではないかというような地域がございます。そういうところにつきましては、警察としましては、従前から、私服の薬物取り締まりの専従員の集中的投入、あるいは警戒等のために制服による重点的パトロール等の対策を繰り返し行いまして、そのような薬物事犯の取り締まりに力を入れていっておるところでございます。  今後とも、御指摘もありましたように、全国警察の総力を挙げてこの薬物事犯の取り締まりにつきましては強化してまいりたいと考えております。
  206. 田端正広

    田端委員 ここ二、三カ月の間に密航者が大変激増している、こう思います。密航と密輸とはやはり切っても切れない関係があるんではないかな、こういうふうに思うわけでございます。  例えば、去年一年間で密航者の検挙数が四百八十一人ですか、ところが、ことし既に、この二月、今現在でもう三百人を超えているというふうに聞いておりますけれども、大変な事態でありまして、昨日も島根県で五十五人検挙しているようでありますけれども、こういう大変異常な中で、麻薬の密輸入関係はないのかどうか、これはだれしもが心配するところでございます。  警察庁においては、ぜひこの問題についてもしっかりと監督、監視をしていただきたいと思いますが、特に海上保安庁、なお一層また頑張っていただきたい、こう思います。どちらにしても、密航者を見つける場合でも民間の情報というのが大事だろうし、協力がなければなかなか大変だろう、こう思います。そういう意味で、この密航の問題も含めて、ぜひ民間との協力体制を整えて、 そしてこういう治安の維持に対して、あるいは薬物乱用の追放に対してこれからも取り組んでいただきたい。海上保安庁でもしそういう御決意があれば、一言お願いして終わりたいと思います。
  207. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 御指摘のとおり、密航が異常な勢いでふえておりまして、過去数年二百人程度でございましたけれども、昨年は五百人、既にことしに入りましてから検挙者が三百人を超えたという状況でございます。  密輸、密航ともに水際の阻止というのが大変大事であると思っておりまして、今おっしゃいました民間との関係も含めまして、情報の収集が基礎になりますので、その情報の収集、それからおそれのある海域の監視の強化、あるいは立入検査の徹底、こういったことを通じて、この問題について、先生の御指摘も踏まえながらいま一層の努力をさせていただきたいというふうに考えます。
  208. 田端正広

    田端委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  209. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて田端君の質疑は終了いたしました。  次に、安住淳君。
  210. 安住淳

    安住委員 連日、各閣僚、大変御苦労さまでございます。  私はこれから、四十五分の持ち時間でございますが、その中で、三点に分けて政治のリーダーシップの問題について御質問をさせていただきたいと思っております。  まずは、予算書それから決算書、国会に提出されているそれらの問題と、それから、今の閣議、それから政務次官、事務次官等の役割とその意思決定、最後に行政監察の問題等を、少し皆様のお考えを聞きたいと思っております。  ところで、大蔵大臣、連日御苦労さまです。きょうは、私、実は特別会計予算の正式な添付書類等持ってまいりました。予算の質問があるということで随分調べましたが、実は、私は一年生だからかもしれませんが、特に、具体的なところを探していきますと、例えば道路整備特別会計というようなところが何ページかにあるわけですね。これを見ても、実際大きな額は書いてあるんです、一兆九千六百億円余りなんですが、ところが、具体的にどこにこれがどういうふうに使われたかは全くこの予算書の中では書いてない。どこを探してもないんです。各項目、各省庁の各目を見てもわからない。これでは、予算の審議をするといってもなかなか具体的には、我々国会議員としてチェックをするということになるとかなりこれは不可能じゃないかと思うのですが、今のこの予算書のあり方について、基本的なお考えというか、どのように思われていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  211. 三塚博

    ○三塚国務大臣 詳しくは主計局長から申し上げますが、年度予算につきましては、分厚いものを御提供申し上げている。そして、予算の説明書というのがございまして、これもできるだけ多く工事名、工事費を記載をいたしておる。要すれば、直轄事業は網羅されておると見てよろしいと思います。補助事業の分については、予算委員会で建設大臣とのやりとりがありましたとおり、最終的に自治体とのすり合わせでオーケーをとりました後にこれを公開をする、こういうことになっておりますものですから、その点はその点として御理解をいただければと思います。  主計局長からお答えさせていただきます。
  212. 小村武

    ○小村政府委員 予算書でございますが、予算のうち、議会におきまして議決をされる事項は、予算総則あるいは甲というものが予算書の前の方にございます。これが議決項目、あるいは継続費等々の同じようなものがございますが、基本的には議決項目はこの甲でございます。ただ、この甲だけで内容を御判断することが非常に難しいということで、予定経費要求書あるいは科目別表等々が掲げられております。  ただ、公共事業のような大きな予算につきましては、財政法も、その執行過程において大蔵大臣と協議をするという規定がございます。その実施計画というものでございますが、これに基づきまして具体的な箇所づけを行うというものが、公共事業を中心にして、これは告示で大蔵大臣との協議事項が定められるという仕組みになっております。
  213. 安住淳

    安住委員 確かに、甲のところを審査すればいいんだ、要するに、そこで細かいところは、大きいところ以外はやらなくていいんだということで私は済む問題ではないと思っています。つまり、それでは伺いますが、大蔵省は予算の決定の段階で予算査定というのを行うと思いますが、これはどういうふうに行うのか、そこをちょっと教えていただきたいと思うのですけれども
  214. 小村武

    ○小村政府委員 国の財政に対する需要というのは、各方面から各般のものが要求されてまいります。それぞれ大変強い御要求でございますが、この各般の要求を限られた財源内に、国民の生活の安定あるいは経済発展等に寄与するためにバランスのとれた資源配分を行う、こういうのがまず査定の段階で大きな資源配分の問題として出されます。公共事業にどれだけの配分をするか、社会保障にどれだけの配分をするか、防衛費にどういう配分をするか。  そのおのおのの中におきまして、例えば今委員御指摘の公共事業におきまして、あるいは道路、あるいは治水というような、これまた無限大に相当する需要がございますが、そういったものについて、大きな工事、大きな事業につきまして、あらかじめ全体の予算の中で消化をできるめどを立てながら予算をそれぞれシェア配分をしていくわけでございますが、そういった中におきまして、個々の事業にすべて積み上げをするというのは困難でございますので、先ほど申し上げました実施計画で、大きな枠組みをつくった後実施計画で協議をする、こういう仕組みでございます。
  215. 安住淳

    安住委員 すべてを明らかにするのは確かに無理かもしれませんが、しかし、考えてみると、どこの箇所にどういう予算をつけるかという少なくとも積み上げがなければ、さっき申し上げた道路特別会計の一兆九千億というお金は出てこないと私は思います。  となれば、大蔵省は、言ってみれば官の側から査定をするということになると思うのですね。それでは、我々政治家の側はその査定をしなくていいのかというと、大臣、ここが私は国会の役割だと思います。となれば、ここできちっとした議論をするためには、逆に言えば、大蔵省の査定の根拠、それからその積み上げたものは予算委員会に出していただいて、それを我々国会議員が国民に成りかわって議論するということは、これは私はあってしかるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  216. 三塚博

    ○三塚国務大臣 予算の段階における審査のデータは前段申し上げたとおり。それと加えまして、資料要求に対しては、大蔵省は最大限の提出をするよう各省にこれまたお願いを、命じておるところでございます。  そういう点で、ディスクロージャー、全部ということがよく言われますが、最終決定までのプロセスがありますから、その部分は残るであろう。これは理解できることで、決まればそのことは公開されるわけですし、それと補助金のたぐいにおきましても、個人を対象にした補助金もありまして、プライバシーの問題があり、一概にそれの公開はどうか。こういう点も含めまして、できるだけ審議に便利でありますように、実態がよくわかりますようにというので相努めておりますが、今後もそういうことで努力を傾注をしてまいる。  予算編成権は御案内のとおり、財政法で書いておりますとおり、概算要求書、取りまとめ、査定を行い、内示、最終的に決定、これを閣議に提出をし、そして了承を得れば政府原案、こういうことになるわけで、その作業を続けておるところでございます。また、審議の便にどうぞということであれば、今申し上げたことで、どうぞ各省に足らず前は要求をして御勉強いただければと思っております。
  217. 安住淳

    安住委員 私は、国会にその審議をしていただく立場ではないのかな、そう思うのですよ。  それは、例えば建設省の予算についてお伺いしますけれども、道路整備特別会計についてちょっと私も調べてみました。すると、一兆九千六百四十七億円計上されています。これは特別会計ですけれども。これには何と書いてあるか。説明が書いてあるのです。そこには、「一般国道一号ほか百三十四路線の新設及び改築事業」等々と書いてあるのです。そのほか、地方公共団体等が施行する一般国道、それから都道府県道等の道路事業の事業費の一部補助千百十七カ所等の説明が載っているのですが、じゃ、そこはどこかなと思って、予算で調べました。建設省へ行って、資料で各目も調べても全くないのですよ。全くありません。それではこれが本当に適正かどうか私はわからないと思いますが、これは建設省、おいででございますか。じゃ、どういう根拠で、お出しになっている資料があると思うのですよ、大蔵省に。それはなぜ国会の場にお示しはできないのか。
  218. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のとおり、道路事業費につきましては、国が施行するあるいは一般の一般的な箇所数、例えば公共団体が施行いたします一般国道等でございますと一千百十七カ所というようなことになっております。  これにつきましては、先ほど主計局長からお話がございましたとおり、予算の決定に当たりまして、大幅な枠の中でいろいろ大蔵当局と、財政当局と詰めをいたすわけでございます。そこで大枠の予算額を決めまして、それから具体的な実施箇所ということになりますと、これを箇所づけということでございますけれども、これは、予算でお認めいただいた段階で財政当局と実施計画を詰めまして、数が余りにも膨大だということもございまして、実施計画の御承認をいただいた段階で公表する、こういうことになっております。  したがいまして、予算を詰めるときに、余りにも箇所等が大変多いということもございまして、その内容等を逐一、財政当局と内部的な、行政内部の議論はいたしますが、これを国会にお示しをするということは従来からやっていないわけでございます。お認めいただいた段階で箇所づけということで公表をする。  ただ、幾つかの例外がございます。例えばダム事業等でございますけれども、大変規模も大きい、あるいは特定多目的ダムということになりますと、公共団体あるいは国といった、そういう公共事業の主として事業主体以外に、利水者の負担というようなこともございます。そういうものにつきましては、特に大規模な事業だということにかんがみて、個別の工事ごと、具体的にはダム事業の名称ごとということになりますけれども、それにつきまして経理をきちっと規定をしてお示しをしている、こういうことでございます。
  219. 安住淳

    安住委員 確かにダム事業等、それから例えば農林水産省の国営土地改良については、珍しくというかかなり詳しく載っているのです。これだと、どこにどれだけのお金が使われているかはわかるのですよ。しかし、今の説明だと、これは行政内部で決める。言ってみれば、それは確かにそうです。しかし、では、大蔵大臣、国会ではこの予算が適切かどうかを審議しないといけませんよね、この道路特別会計。どういう角度で議論をすればいいのか。全くこれは、資料がこれ以上なければ、この一兆九千億余りが適切かどうかという話は、なかなかその先議論できないと私は思うのですけれども、いかがでございますか。
  220. 小村武

    ○小村政府委員 建設省からお答え申し上げましたように、各種の負担金を伴うもの、国民の権利義務に関係するものについて、あるいは大きな事業としてくくれるものにつきましては、できるだけ予算編成期においてその内容を明らかにし、予算書あるいは予算の編成段階で内容を公表するようにしております。  ただ、例えば道路事業のようなものにつきましては、大きなものについては公表をいたしております。高規格道路等の大規模なものについては、具体的な箇所、予算額については、予算編成時にそれは公表しております。予算書には載っておりませんが、建設省の方から公表しております。  ただ、どこどこの町のどの道路というのは、これは、各地方公共団体の土地の手当てだとか、いろいろな関係者の調整をまだ必要とするものがございます。それから、おびただしい御要求の中でどこに優先順位を設けるかというのは、この予算編成段階では行政的にも間に合いません。したがいまして、それは財政法が予定をしております実施計画の段階におきまして、議会におきまして予算が承認された後、行政権の中で調整を行い公表をしているということでございます。
  221. 安住淳

    安住委員 各目明細書というのがございますが、そこで、膨大な数字にはなりますが、出すことが、例えばそれを国会に提出することが行政権を侵害するなり、そこに不合理が生じるというふうな考え方なのですか、それは。主計局長
  222. 小村武

    ○小村政府委員 私ども、予算について御理解をいただくために、できるだけ多くの資料を御提供申し上げたいと思っております。したがいまして、各目明細書等につきましても、議決権の内容におきましてどういう細分化がされるかということは、これは各省から、議会において御理解を得るためにできるだけ詳しいものを御提供申し上げているわけでございます。  ただ、公共事業のようなこういう予算の性格でございますと、なかなか実施計画段階でないと、予算編成段階では間に合わないもの、こういうものについては予算が議決を経た後に各省から御提示を申し上げるということでありまして、例えば社会保障の予算等々におきましては、年金等におきましては基礎計数はどういうふうにして私どもは計算をしということを客観的に、その積み上げのものはございます。そういうものとやや性格を異にするものではないかと考えております。
  223. 安住淳

    安住委員 場所の決まっていないものは出せない、しかし決まったものは多分僕は出せると思うのですよ。  では、アメリカはどうかというと、アメリカは、各省がどこの場所でどういう予算をつけているかを全部インターネットで示しています。これは情報公開が進んでいるということですね。  私が申し上げているのは、政治の場できちっと議論をしないと、そこのところを、大きな額だけ丸投げされてと言ったら変ですけれども、さあ、それで審議をしなさい、賛成しなさい、反対しなさいと言われても、具体的にやはりそこはチェックをしないとだめだと思いますよ。  つまり、補助金の問題だって、確かに今主計局長がおっしゃった線はあります。しかし、これは政治の問題として考えたときに、きょうは小泉厚生大臣おいででございますが、あの岡光前次官の事件の補助金の交付の問題なんかは、全くこれは、例えば行政監察局が勧告をしているにもかかわらず、それを無視して、そしてまた補助金を毎年毎年出していた。こういうのはなぜチェックできないかといえば、予算書に全くそういうのがないからだと私は思います。  予算書にないから、私は、じゃ決算書類にあるのかなと思ったら、決算書類にも全くそういうことは載っていないんですよ。大臣、決算書類というのは前年の使ったものを明示するわけですから、となれば、これに対しては、それでは執行をした予算、例えば公共事業をこれだけ上げました、どこの会社がそれをとって、見積もり予定額は幾らで、そして例えば余ったお金というのは、場所によってはそれを集めて、そして足りないところに、ダムにまた出しました、そういうことというのは全部わかるわけですよ。そうしたらば、決算書類もそれは明示をきちっとすべきではないかと私は思うんですけれども、いかがでございますか。
  224. 小村武

    ○小村政府委員 予算で議決をいただきました事項につきましては、決算書でその中身を明らかにしております。ただ、予算の執行は各省各庁の長にその権限が任されているわけでございます。  御指摘の社会福祉施設整備費等の執行に当たっては、厚生大臣が各県等々の要望を聞き、それによって優先順位を定め、執行していくわけであります。その内容につきましては、予算が議会の議 決を経た後、厚生大臣と大蔵大臣が協議をして実施計画をつくり、それを公表し、御批判を仰いでいるところでございます。
  225. 安住淳

    安住委員 大臣、法的に伺います。財政法二十八条の第十号というのがございますが、御存じでございますか、何が書いてあるか。
  226. 小村武

    ○小村政府委員 財政法二十八条は予算の添付書類について規定をしております。国会に提出する予算には、参考のために提出する書類について財政法が一号から十号まで規定をしているということでございます。
  227. 安住淳

    安住委員 それでは伺いますが、財政法二十八条の第十号には、その他の財政状況及び予算の内容を明らかにするために必要な書類を提出すると書いてありますが、この財政法の二十八条の十号に従って国会にこれまで大蔵省は書類を出したことがございますか。
  228. 小村武

    ○小村政府委員 財政法二十八条は、一号から九号までは具体的にその内容を指定されております。十号におきまして「その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類」ということでございます。  この規定に基づいて今まで提出したものというのはございませんが、これに準ずるものとして、例えば委員のお手元にございます予算の説明等がこれに該当すると考えております。
  229. 安住淳

    安住委員 今お伺いしたように、実はないんです。なぜ今までそれでは出さなかったかというと、これはまた長くなりますが、私はここで、大蔵大臣、大蔵大臣は国鉄改革等で改革男とまで言われた方でございます。今回私は、大蔵省というよりもこれは内閣全体の問題だと思いますが、やはり政治が霞が関をコントロールしていくべきではないか。政治のリーダーシップを求められているのであれば、むしろ私は、積極的に大蔵省の方からこの財政法二十八条十の項目に従ってより詳しい、詳細な、それこそ我々自身が見てもわかるような内容の資料を今後予算の審議に出すことを検討すべきでないかと思うんですが、いかがでございますか、大臣大臣に。
  230. 小村武

    ○小村政府委員 今まで私ども、折衝中のことはともかく、予算に関する確定した数字について公表をすべて行ってまいっております。予算に関する計数において秘密にすべきものはございません。私ども、財政構造改革白書等々において世に問うているのもそういうことでございます。  ただ、それが十号に該当するものがないからといって我々がその公表を拒んでいるというふうに解釈をされると甚だ遺憾でございますが、これからも私ども、「財政の中期展望」とか、先ほど先生お示しの各省から出ております予算の明細書等についても、これはこの規定ではございませんが、各種の資料をこの国会にお出しをして御審議の参考にさせていただいているということでございます。
  231. 三塚博

    ○三塚国務大臣 今主計局長が言ったのが基本でありますが、説明資料その他については、前段申し上げましたとおり、各省に審議のデータですから出すようにと。大分努力をして要求の書類が提出される、こういうことを聞いておるところでございます。財政法二十八条に基づくデータは出させていただいている。  しかし、今後の国会のあり方は、財政構造改革で今全力投球をし、この常会会期末には基本方針が明示をされて具体的に出されていく、こういうことでありますから、その中でこの扱いはどうすべきか等は当然議論になるわけです。膨大な資料でありますから、我が国の国会議員は世界で一番忙しいと言われておる、膨大な資料をなかなか、正直言いまして、安住議員はNHK政治部でそっちの方を頑張って勉強したようですが、見てくれる人は三分の二おりますかね。そう申し上げておきます。  ですから、見やすいようにこれからどうやるか、審議しやすいように……(発言する者あり)ですから、そういう声が出ますので、国会の側から予算委員長を中心に協議をいただいて、やってください。
  232. 安住淳

    安住委員 わかりました。  大臣、紙は膨大ですけれども、今はもうインターネットの時代です。クリックを押せば、全部の資料が出るようになるんです。つまり、都合のいい役所の情報だけがどんどんどんどん来て、ホテルのインフォメーションじゃあるまいし、大蔵省には何人職員がいて、こんなことをやっていますということを聞きたいわけではない。つまり、もう予算が通過したら、これは国民の皆さんの税金でありますから、逆に言うとむしろ国民の皆さんに、今、どういうふうに政府はこの予算を編成し、どこにどういう予算をつけましたということを国会どころか国民の皆さんに知らせるのは、言ってみれば私は義務だと思っておるわけでありますから、その辺のところをきちっと踏まえて、これは法律を改正しなくても改革としてできることでございますから、ぜひ来年度からでも実行をしていただきたいと思います。  最後に、この点については簡潔に御決意だけ伺いたいと思います。ぜひそれをやってください、インターネットで。
  233. 三塚博

    ○三塚国務大臣 インターネットの時代であることは承知しておりますから、研究をしましょう。
  234. 安住淳

    安住委員 次に、官房長官、御苦労さまでございます。何か風邪をお召しのところを本当に申しわけございません。政治のリーダーシップのことについて、もう一つ別の角度から伺います。  十二月に我が党の菅代表が質問をした続きをちょっとやらせていただきたいんですが、実は、事務次官会議の問題と、それから現状の閣議の政策決定過程の問題について、あのとき何点かにわたって我が党の菅代表は質問いたしました。  そこで、ちょっとここは確認をとりあえずさせていただきたいのですが、法制局長官、今、毎週、事務次官会議を催しているようでございますが、この事務次官会議というのは法律で位置づけられているものであるのかどうか、また、その主宰者とは一体どなたなのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  235. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 昨年の十二月だったと思いますが、菅委員に対してお答えしたとおり、事務次官会議と申しますのは、法令にその設置、運営についての明文の根拠を有するものではない、しかしながら、統一的な行政の実施を図るという観点から、事前に事務的な調整等を図るため開催しているものでございまして、その主宰者はだれかと申しますと、内閣官房長官でございます。
  236. 安住淳

    安住委員 それでは、官房長官に伺いますが、ことしに入って事務次官会議に何度御出席なさったでしょうか。
  237. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 一回出席をしております。
  238. 安住淳

    安住委員 法制局長官からお話があったように、事務次官会議というのは法的根拠がなくやっている、しかし内閣が統一的な見解を持つ、言ってみれば調整機構として行われているんだということです。  それでは伺いますが、主宰者である官房長官、これは今、週二回でよろしゅうございますか、事務次官会議。その前にちょっと確認をさせてもらいますが。
  239. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 私も、今の立場に立つ前は事務次官等会議のメンバーでございました。  週二回というのは、おおむね、通例は週二回。具体的に申しますと、閣議がある場合に、その前に行われる。したがいまして、閣議が飛べば事務次官等会議も原則飛ぶということにはなろうと思いますが、通例、通常は週二回、月曜日と木曜日の昼ごろに開かれるというのが定例でございます。
  240. 安住淳

    安住委員 今の政策決定のシステムの中で、内閣が提出する法案は、実質的に事務次官会議の了解を得て、そして次の日の閣議に出すというふうな形でやっていると伺っておりますが、主宰者の官房長官はお忙しいのでそこには出席できない。ということは、事務の官房副長官が多分出席をなさって、それで主宰をしているということになると思いますが、それでは、橋本内閣になって、実際に事務次官会議を得ないで政府が提出した法案 というのは今まであるでしょうか。
  241. 太田義武

    太田(義)政府委員 お答え申し上げます。  ございません。
  242. 安住淳

    安住委員 つまり、実質的には、言い方は大変悪いのですが、事務次官会議が実際の閣議のようになっていて、閣議そのものは非常に形式化している、形骸化している、私はそう思っております。  そこで、まず法制局長官にお伺いしますが、内閣法の第四条、その三には、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」と書いてありますが、要するに、事務次官会議、これは法的根拠はないわけですから、事務次官会議を得ずして、それぞれ個々の閣僚は、国務大臣という立場であれば、みずからの所管でない、つまり主たる任に当たらない事柄、事案であっても閣議にそれをかけることは可能でございますね。
  243. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま御指摘のとおり、内閣法四条三項はそのように規定しております。  したがいまして、純法律上の解釈論といたしますと、国務大臣は、事務次官等会議を経ることなく、また主任の大臣でない大臣も、案件を内閣総理大臣に提出して閣議を求めることは可能でございます。
  244. 安住淳

    安住委員 橋本総理は我が党の菅代表の質問に対して、閣僚懇談会等でかなりかんかんがくがくをやって、それを下に流したことがあるというふうに申しておりました。しかし、記録を見ると、そのときの答弁では、橋本内閣ができてからそういうことをやったのは、二時間もかけてやったのは一回程度というようなことを話しておるのです。  長官、これは例えば閣議というものをもっと、私はもちろん閣議に参加したことはございませんが、閣議の中でいろんな発言があってそれを役所に対しておろしていく、つまり、政治がある意味ではトップダウンとして役所に指示を出すということがもっとあってしかるべきだと私は思うわけです。ところが、今の状態では、事務次官会議のところにだあっと上がってくる間に、いろんな法律があるんですけれども、それをある意味では各省横並びというか、そういうことをやり過ぎるものですから、実質的に思い切ったことがなかなかできない仕組み、システムに私たちの国の政治の決定過程というのはどうもあるんではないかと私は思っているのです。  そういう観点から実は今伺っているのですが、これも実は法律を改正しなくても、つまり、法律を改正しなくてもいいというのは、事務次官会議は法的根拠はなくてやっているわけですから、これを正式に政策決定過程の中で、こういう事務次官会議のあり方とか閣議のあり方等を私は見直したらどうかなと思うのですが、官房長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  245. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 委員御承知のとおりでありますが、日本の行政の仕組み、これはいわば積み上げ方式をとってまいったわけであります。長い間の官僚政治と言われるものは、それによってでき上がった。その頂点に立つ各省大臣、これはいわば自分の政策意思を自分の省庁のもとにおろして、それを積み上げてそれを成文化をする。それをさらに最終決定は閣議の全会一致を常道として決定をするわけでありますから、各省庁との連絡調整が終わらない限り、各大臣単独でもってその法律ないしは予算の執行はできないわけでありますから、当然、事務方のトップに立つ事務次官が大臣の命を受け、それをそしゃくをし、それを積み上げてつくり上げて、それを事務次官会議にかけて、各省おおむね異議はないという段階になって今まで行っているわけであります。  ただ、現状、スピードが速い今日、それだけでもつのかどうなのかということになれば、もちろん、時代が変わっていることもございます。ですから、おたくの菅代表が、昨年、実はお互いに閣僚の席を同じゅうしていたわけでありますが、菅代表といえども、なかなか大臣として、例えばO157に忙殺をされる、何か一つの厚生行政の中の、取り上げてみますと、ほとんど閣議の時間もそこそこに飛び出さなきゃならなくて、みっちり閣僚懇談会ないしはそういうもので積み上げることが一つ一つできるかどうかということになりますと、私は、菅代表は当時厚生大臣として厚生省に指示をし、それででき上がったものは対策としてでき上がるわけでありますから、今までのことよりはさらに進んではおりますが、形式を変える必要はない。  ですから、今、例えば行政改革、財政改革、これをやっているのは、ほとんど国務大臣たる各省大臣が、お互いに知恵を絞り合ってこれを各省におろしながら現在行っている。これは完全なトップダウンであり、今までもそういうケースはございますが、これを見て、事務次官会議で諮ってでき上がったからこれは積み上げ方式である、そうじゃなくて閣議に初めからかけて唐突に出すことがトップダウン方式である、そういうふうにはなかなかなり得ない。現状の仕組み、これが現実でございますので、そんなにトップダウンがいいかどうかということになりまして、その権限を全部総理に集中をいたしますと、これは今度は独裁の弊害が出てまいります。  こういうことをもろもろ考えながら、積み上げも必要でありますし、それからトップダウンも必要、その二つを現状の機構の中で使い分けながらやっているわけであります。
  246. 安住淳

    安住委員 ですから、積み上げてやらないといけない問題もあるし、そうでない部分もあるので、そのときには、事務次官会議がむしろこの内閣法の四条をもっとよく認識をしていただいて、私は、政治がリーダーシップをとるべきだということを申し上げているんです。  例えば、小泉厚生大臣いらっしゃるので、大変恐縮なんですが、小泉厚生大臣は郵政事業の民営化が持論でございますね。これは厚生省所管ではございませんが、実はこの内閣法の四条の規定を見ると、小泉厚生大臣は国務大臣でございますから、国務大臣としてこの案件を閣議にかけて提案することができるとなっておりますが、小泉大臣、これはおやりになるおつもりはございませんか。
  247. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 物事には潮どきというのがあるんです。タイミングというのがあるんです。いずれ、だれが総理になっても、どの政党が政権をとっても、増税をしない、国債を発行しない、それで財政再建をしようとするんだったらば、歳出削減じゃできないのはわかり切っています、今の財政状況。必ず郵政三事業民営化はしなきゃならないときが、いつか気づく。早ければ早いほどいいんです。私は、焦らず、あきらめず、あすの日本のために郵政三事業民営化の必要性を事あるごとに主張し、いつか折あらば、閣議においても私の判断で問題提起し、議論をしていきたい。(安住委員「国務大臣としておやりになるんですか」と呼ぶ)当然、国務大臣としてやります。
  248. 安住淳

    安住委員 私は、そういうことを閣議でかんかんがくがくやることを国民の皆さんに示すことが、実は今一番必要なんじゃないかと思いますので、小泉大臣、どうぞ、時期とタイミングがもし近ければ、閣議の席でそういう案件を国務大臣として提案をしてもらえば、非常に閣議そのものが、私は、逆に言えば官僚にコントロールされない本当の意味での内閣の姿というのが少し見えてくるのではないかな、そういうふうに思っております。  実はこの問題もっとやりたいんですが、最後に、総務庁長官に御質問をさせていただきたいと思っております。  実は、我が党は御存じのとおりGAO、行政監視院法を提出しておりますが、そこで、ちょっと総務庁にお伺いをしたいんですが、総務庁の研修指導員、つまり、行政監察をする指導員をつくるときに、「実戦的折衝論」という内部資料を使って講義をしておられますか。
  249. 土屋勲

    ○土屋政府委員 ただいま御指摘の資料は、若手職員を対象に行います部内研修において、折衝技術論として先輩職員が体験談等を話したものを研修教材として取りまとめたものでございます。
  250. 安住淳

    安住委員 確かにあるんです。私、実は持って おるんです。  それで、長官、私ちょっとその中の一部を読ませていただきますので、御感想をお伺いしたいと思います。  建設省関係の勧告をする場合、建設関係のいわゆる族と言われる先生方のところに事前に根回しに行くときに、下手をすると、そこでけられ、勧告の内容が一部方向を変えられたり、削られたりすることがある、こういうことが書いてあるんですよ。各省庁別に細かく傾向と対策が書いてあって、要するに、根回しのハウツー物になっているんですよ。  長官、我が党は何度か質問をしましたけれども、内部監察が必要なのはわかりますが、内部監察で周到に根回しをして、勧告文を、ある意味では、本来総務庁の方が一生懸命やろうと思っているのを、族と言われる先生方にも全部根回しをしたらば、勧告でなくなると思いませんか。いかがでございますか。研修で使っているんですよ、これ。
  251. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 この間マニュアルの話も出ましたし、きょうはまた、テキストというんですかガイドラインといいますか、いろいろと今までやってきたようでございますが、私は、そういうことは決して好ましいことではない。事実関係をしっかり把握をするために各省庁とよくいろいろと打ち合わせをすることは必要であるけれども、行政を進める上において問題がある、これはぜひ勧告をして改めさせるべきだという判断をしたら、もうそのときには主体性を持って、全く当該省庁とは相談をしないで勧告をしなさい、こういうことに来年度から切りかえることにいたしましたので、この間のマニュアルもなくなりますし、今御指摘のあったものも私はなくすというふうに考えております。
  252. 安住淳

    安住委員 武藤長官は就任なさってまだ、そういう意味では行政監察の実態というものを認識といいますか、そこはなかなか大変だと思います。しかし、現実には、この問題はこの後我が党の末松議員が質問をしますけれども、すべての面でこういうことが露骨に行われています。  厚生大臣、実は、その中で一つだけお伺いしますが、平成三年の八月に血液事業に関する調査というのを行政監察局は行っているんです。そのときに、これは血液事業における赤十字とか地方公共団体の役割の法的な明確化、これを言っているんです。それともう一つは、採血取締法、これの規定の見直しを時代おくれなのでやったらどうですかという勧告を受けて、法改正をいたします、それから新規の立法措置も検討しますと言っているんです。  ところが、平成三年の八月にそれを言って以来全く、厚生省は、今の段階ですら、これに対する法の改正や新規立法の予定はないということなんですが、これであると監察をしている意味というか、監察というものを全く無視していらっしゃるということになると思うのですけれども、いかがでございますか。
  253. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 平成三年の総務庁勧告におきましては、御指摘の法律の見直しを含めまして四つほどの指摘がございます。私ども、それを現在まで鋭意、勧告の指摘の内容の実現をいたしてまいっております。(安住委員「手短に言ってください」と呼ぶ)手短に申し上げますと……(安住委員「要するに、法改正の予定があるのかないのかと言っているんです、今国会の。あるんですか、ないんですか。あるかないか聞いているだけだから」と呼ぶ)今まで……(安住委員「ないんじゃないですか。いやいや、立ち往生されると時間がないから」と呼ぶ)
  254. 深谷隆司

    深谷委員長 済みません、発言は、委員長の許可を得てやってください。
  255. 安住淳

    安住委員 局長、あるかないかだけ確認をしたいのですよ。あるかないかだけ言ってください。
  256. 深谷隆司

    深谷委員長 丸山業務局長、しっかり答えなさい。
  257. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 重要な御指摘だと考えております。  これまで私ども、いわば献血をいかに国内自給で進めていくかということと安全対策をいかに進めるかということをやってまいりまして、勧告の中で残された課題と認識をいたしております。  これにつきましては、現在、血液行政の在り方懇談会を設けまして、鋭意その内容の検討を進めておるところでございます。立法措置につきましては、その検討を踏まえて検討をしている次第でございます。
  258. 安住淳

    安住委員 ごらんのとおり、全く予定がないんです。  厚生大臣、最後に伺いますけれども、この問題、ちょっと続きですが、五年間も立法措置を検討しているなんという話は私聞いたことがないんです。これはやはり厚生省、怠慢と言われても僕はもう仕方ないと思いますよ。逆に言えば、一生懸命行政監察をやった総務庁の方から見たって、これはどうなっているんだという話になると思うのですが、最後に、長官とそれから厚生大臣、申しわけございませんが、五年もほうり投げておいて、何の話でしたかという話だったんです、きのう私が通告したら。これはちょっと私はおかしいと思いますので、最後に、両大臣のお話を聞かせていただきたいと思います。
  259. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 勧告というのは大事ですから、御指摘の勧告の趣旨を検討しながら、立法措置も含めて今後検討していきたいと思います。
  260. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 具体的に私は承知をいたしておりませんでしたけれども、勧告をした以上は、勧告が十分果たされるように、私からできるだけ努力をこれからしていきたいと思っております。
  261. 安住淳

    安住委員 終わります。
  262. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて安住君の質疑は終了いたしました。  次に、末松義規君。
  263. 末松義規

    末松委員 民主党の末松義規でございます。初当選なので、質問、無礼があったらお許しください。  私は、行政監視院法案をつくっている者の一人として、行政監察について絞ってお話をさせていただきたいと思います。  最近、総務庁が、民主党の行政監視院法案をつぶそうとするために国会議員に根回しに走っているという話を聞いておりまして、この根回しペーパーというものを実はここで入手しているわけでございます。先日、菅議員が代表質問の際に、反対運動をやっているんじゃないかというお話をしたときに、総務庁長官からは、これは反対運動とはとらえていないというお話がございました。長官はこのペーパーをごらんになったことがございますか。
  264. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 菅代表に本会議で私御答弁いたしましたとおりでございまして、私は反対運動とは承知をいたしておりませんし、実はペーパーも見てはおりません。
  265. 末松義規

    末松委員 ペーパーを見ておられませんか。ペーパーを見ておらなくて、反対運動ではないというふうに言った理由はどこにございますか。
  266. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 本会議でも御答弁をいたしましたけれども、そういううわさがありましたから事務当局にただしましたところ、民主党のお出しになろうとしている法案の中身、それから現在の行政監察局の実態、こういうものをいろいろ比較的に書きまして、御要望のある方々にそれを説明に行っております、こういう話でありましたから、私は反対運動ではないというふうに判断をしたということを答弁をいたしました。
  267. 末松義規

    末松委員 このペーパーは総務庁で作成したということでございましたが、これは間違いございませんですね、政府委員の方。
  268. 土屋勲

    ○土屋政府委員 民主党から行政監視評価委員会構想あるいは行政監視院法案等が発表されたころ、私どものところに当庁の出先幹部からの問い合わせ、あるいは議員の先生からのお求めがございまして、その時点で検討を要すると思われる事項を整理したものでございます。
  269. 末松義規

    末松委員 このペーパーは課レベルで作成しましたか、それとも局長レベルで作成しましたか。あるいは省全体で、つまり、どこまで決裁を上げ てこのペーパーをつくったのかということなんですが。
  270. 土屋勲

    ○土屋政府委員 部内的に決裁等の手続をとったものではございません。
  271. 末松義規

    末松委員 このペーパーは、ではだれも決裁していないということですか。
  272. 土屋勲

    ○土屋政府委員 先ほど申し上げましたとおり、決裁手続はとっておりません。
  273. 末松義規

    末松委員 ということであれば、これは総務庁のペーパーじゃないということになりますね。これは個人的にだれか趣味でつくったんですか。こういうことを総務庁では許しておられるのですか。
  274. 土屋勲

    ○土屋政府委員 行政部内でつくっている文書も、決裁をとるものもとらないものも存在をいたすわけでございます。
  275. 末松義規

    末松委員 ちょっとよくわからない答弁でございます。私も役所におりましたが、一応、外に出すものはきちんとだれかの決裁、責任者の決裁というものは通常要るんじゃないですか。そこら辺は、ちょっとどうもおかしい話だと思いますね。  これも、議員に対して説明をしているんですよ。ということは、議員の皆さんがほとんどその決裁を要しないもので足りるというふうに考えているという解釈も成り立ちます。そんなことでよろしいのですか。長官にちょっとお尋ねします。
  276. 土屋勲

    ○土屋政府委員 私たち、事柄の性格上、お求めがあってもなかなかお答えできないところもあるわけでございますが、あえてお求めになられた方に整理をしたものをお届けをしたということでございます。
  277. 末松義規

    末松委員 私、総務庁の気持ちもわからぬではないのですが、今の答弁は納得できません。委員長もそういうふうに思われませんでしょうか。きちんとそうした答弁をしてもらわないと困ると思います。  ちょっと時間がありませんので先に進ませていただきますが、私も最初はこういったペーパー、気にもとめていなかったのです。説明ペーパーだということで、それはそうだろうということでやっていたんですが、ある政治家のルートからこのペーパーをいただきまして、政治家の方は与党、野党を問わず情報のルートというのはいろいろと多いものですから来るわけですけれども、この内容を見てから、これは見過ごせないぞという気持ちになってきたわけです。  私の知る限り、このペーパー、先ほど局長の御説明がありましたけれども、二種類ございまして、一種類は多分昨年十月以前に書かれた古いペーパーであろうし、もう一種類は民主党の行政監視院法案が案として固まる直前に出た十一月ごろのものでございます。このペーパーなんですけれども、地方行政監察局の方にも送られておりまして、これはわざわざ書いてあるわけです、「本資料は、取扱を厳重に注意して下さい。」ということは、それなりに総務庁の中で重要性を持っているということではないかと思います。  これが事実ならば、やはり大きな問題だと思うわけです。総務庁の職員が、人事院規則に定める政治的行為というものを行っているのかどうか。要するに、翻って考えれば、総務庁設置法にそういうふうな形で民主党の行政監視院法案に対して反対運動あるいは根回しの活動をしろという、そういうふうな根拠規定でもあるのでしょうか。
  278. 土屋勲

    ○土屋政府委員 国家公務員法百二条で制限されています政治的行為、私たちは、政治目的のために行う行為であって同条及び人事院規則に列挙されたものであるというふうに理解しておりまして、私を含めまして私のところの職員がやった行為が政治的行為に当たるとは思っておりません。
  279. 末松義規

    末松委員 このペーパーは、地方行政監察局のほかにどのようなところに配ったのでしょうか。また、その中で、衆議院や参議院、合わせてどのくらいの議員に配ったのでしょうか。
  280. 土屋勲

    ○土屋政府委員 先ほどのお話の中で、二種類というお話があったように記憶をいたしておりますが、先ほどお話に挙げましたものは、私たちの出先の幹部職員の照会に、求めに応じてつくったものでございまして、それは部内限りでございます。  それから、二点目の資料につきましては、個別の求めに応じて出したものでございまして、記録等はとってございませんので判明しかねます。
  281. 末松義規

    末松委員 政治家のルートをたどっていけばいろいろと、総務庁の方で出したと。全く出さないということであれば、そういう資料も手元にはないわけです。そういった意味で、局長におかれてはもう少し誠意ある答弁をしていただければと思います。  ここに人事院の方が来られていると思いますけれども、お伺いしたいと思います。  私は、公務員がいろいろな目的を持って行動することに何もやみくもに反対するわけではないし、私が公務員のときもそういうことをやったこともあります。ただ、野党の民主党の法案に反対するために組織的に、しかもこの野党の法案が固まろうとしているその非常に微妙な時期にこういうことを大がかりにやるということは、公務員の中立性の観点から問題があると思うのですが、いかがでしょう。
  282. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  私、事実関係につきましては詳細に承知しているわけでございませんので、ごく一般的、抽象的に申し上げることをお許し願いたいと存じます。  もう委員御承知のとおりでございますが、政治的行為、これの制限は、職員の憲法に規定されております市民的自由と、それから公務員の中立性及び行政の安定性、これを確保するために調整するための措置でございまして、そういうところから、制限の内容につきましては、合理的で必要やむを得ないというような限度にとどめなければならないものと従来から考えられておるところでございます。  御指摘の今の人事院規則でございますが、こうした観点から、人事院規則に規定されております政治的行為ということは限定的に解釈をしているということが従来からのしきたりでございます。
  283. 末松義規

    末松委員 ただ、政治的な行為として受け取られかねないような、つまり人事院規則の一四―七の五号でしたか、政治的に影響を与えるような、そういったことをやるということそのものは非常に誤解を招く、そのぎりぎりのところであろうかと思います。  私はこのペーパーの内容を見まして、何が書かれてあるかといいますと、民主党提案の行政監視院法案が憲法上問題だとはっきりと言っているわけですよ。つまり違憲であるというような書き方もして、そういうニュアンスを漂わせておりますし、また、国会の調査室や国会図書館などほとんど有効に活用できない現状でこういう行政監視院をつくることには意味がないかのような書き方がなされているわけです。さらにまた、それをつくった場合、政府機能が弱体化して問題だということで、どちらかというとおどしをかけるようなそういう文言、我々にとってはそう見えるわけですね。  ですから、こういうふうに行政監視院は憲法上問題であると決めつけているような表現、それを外にばらまくためには、やはり内閣法制局とのすり合わせを当然やってからばらまくのが仁義だろうと思うのですね。先ほどのお答えを見ていると、ただ何となく、総務庁のだれかが何となく配ってだれも知らないというようなやり方というのは、役所の中で本当に通用するんでしょうか。そこを私は質問してみたいと思います。
  284. 土屋勲

    ○土屋政府委員 先ほど申し上げましたように、今先生の引用なさっているものは、私たちの出先の幹部の求めに応じてとりあえず整理をしたものでございまして、精査中であるということもはっきり書いてありますし、未定稿であるという断りもありますし、お話しの憲法上のところは断定的な書き方はしてございません。
  285. 末松義規

    末松委員 これ、もし委員長の御許可をいただければ、これを総務庁長官にお見せしたいと思っております。よろしいですか。
  286. 深谷隆司

    深谷委員長 どうぞ。
  287. 末松義規

    末松委員 一応この中で、憲法上問題ある機関を設置する前に国会の既存機能の活用を検討され るべき、そういうふうな文言があるわけです。  今お渡ししてすぐに感想をという話はなかなか厳しいかもしれませんが、それとともに、総務庁の方に本当に何回もお伺いしたいわけですが、どうも総務庁では決裁過程にしろ何にしろ一体どうなっているんだ、きちんとそこのところはやっておかないと責任問題も生じるんだろう、そういうふうに考えられます。今の御答弁にしても、実際に内閣法制局ときちんとすり合わせをしたのかしないのかも全くわからない。そんなことでいいんですか。ちょっとここは大臣に一言お伺いしたいと思います。
  288. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、書面を見てないので何とも具体的に、今のお答えになるかどうか存じませんけれども、私は、国会でこの問題が、議論が始まりましてから一度として、今の民主党がお考えになっている法案がいけない、必要がないと言ったことはありません。私としては、民主党がお出しになって国会の中で御議論があって、そしてその法案が法律として成立することは、決して反対をしているわけではないわけです。  ですから、行政監察局の中の、ひょっとしてだれかがいろいろとそういうことでやったかもしれませんけれども、それはあくまでその個人の立場でやったことであって、責任者である私としてはそれを許すわけではありませんから、これから国会の中の場で、いろいろ民主党がお考えになっている法案が議論されて法律になっていくことに対しては、私は決してそれを阻止しようとかそれに反対しようとか、そんなことは責任者としては考えておりませんので、どうかそういうことで御理解をいただきたいと思います。
  289. 末松義規

    末松委員 今長官の御答弁がありました。確かに長官のおっしゃるとおり、民主党の法案に反対だという話でないことは、私も議事録を見て知っております。  ただ、そのやり方が、どうも総務庁のやり方を見ているとおかしいというのがあるわけです。先ほど言った「実戦的折衝論」、このジッセンのセンが戦になっているわけですね。非常に何か気合いの入った文章だなという気もするわけです。先ほど安住議員が紹介されましたけれども、族議員のところに根回しに行くんだというようなことをここで先輩がきちんと書いているわけですよ。それを勘案しますと、これはもう、こういうふうな法案が出た場合にはつぶしに走るというような、そういうきめ細かい指導がなされているというふうに思わざるを得ないわけですね。  だから、私自身ちょっと今問題視しているのは、武藤長官はそのペーパーをお読みにもなっていない、ペーパーが何たるかということも実は御存じないわけです。そうですよね。それにもかかわらず事務方が走りまくって、そして私たちが問題視しているペーパーをどんどん議員に説明し、そして反対運動をしているということですよ。特に、民主党の行政監視院法案が固まるか固まらないかの時期に、そういうデリケートな時期に、本当に何回も申し上げますが、組織的に大規模にやるということ、これは大臣が知っておられれば政治責任はとられるわけです、先ほど政治責任の話も出ましたけれども。それを知らずに、どんどん事務方がやっているということ。  これは事務方の人にお聞きしたいのですが、そういう場合、問題になったときにはだれが、だれに責任をとらせようとするのでしょうか。
  290. 土屋勲

    ○土屋政府委員 先生が具体的にどういう法令に基づく責任の追及をお考えになっているのか私にははっきりいたしませんが、私が局の責任者でございますので、局の不祥事については私が責任を負っております。
  291. 末松義規

    末松委員 そうすると我々は、行政監察局長が独断の判断で、これを議員に全部配って、そして憲法違反だということについても、局長がしっかりと見て、そして決裁をやったのだということがここで明らかになったと解釈していいわけですね。
  292. 土屋勲

    ○土屋政府委員 先ほど来申し上げておりますように、部内的な決裁手続はとっておりません。  ただ、私は局長として、部下のやった仕事について責任を逃れるつもりはないということを申し上げているわけでございます。
  293. 末松義規

    末松委員 私、本当に、今のちょっと答弁を聞いていても、どうも総務庁のやり方が、役人の仁義の中でもおかしいなという気が何回もするわけですよ。私は、これは何回もここで言ってもしょうがありませんから、今度、こういう形で政治的行為と受け取られかねないような行為を大規模に、また微妙な時期にやる場合には、私も具体的な官僚の名前を挙げて、そこはもうきちんと再度追及していきたいと思います。今回は名前は伏せさせていただいたのですけれども。  これから、長官、こういう誤解を招くような行為について、きちんと徹底した御指導をしていただきたいと思います。また政府委員の方からも、行政監察局長からも、大臣の言葉を受けて、きちんとした言葉をいただきたい。
  294. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私の承知していないことですから、これ、何度今言われてもあれですが。  私、先ほどから申し上げているように、この法案をつぶすようなことに私が肩を持っていることはないわけですから、これからもそのような、もし反対運動ととられるようなことが私の耳に入れば、十分注意をして、そのようなことをさせないようにさせます。
  295. 土屋勲

    ○土屋政府委員 大臣の御指導のもと、遺漏なきを期していきたいと思います。
  296. 末松義規

    末松委員 ちょっと今度は視点を移しまして、法律論についても最終的に話をしたいと思いますが、この「実戦的折衝論」を読むと、実は私は、行政監察局の方に非常に同情したわけですよ。ほかの省庁の方にこづき回されながら、白い目で見られて、そういう冷たい反応を受けながらも、行政監視というプロの意識を持って行政改革をもっとやっていこう、いいサービスをやっていこうということで日夜一生懸命頑張っている姿というのは、非常にここでよくあらわれているわけです。そのためのノウハウなんですね。本当に第一線で、行政改革、苦労されている方々が行政監察マンと言われている方々であろうと思います。特に、各省のエゴとか省益と戦っている本当にすばらしい姿が書かれているわけです。これらの方々が、実際、現場でもっともっと仕事がしやすいような環境整備をつくっていくことが、私たち政治の第一義的な仕事であるべきだと考えておるわけです。  本当に、このペーパーを読んだとき思いましたのは、書いてありますのは、各省の調査をする段階、そして勧告を出す段階、そして勧告を守らせる段階、すべてがすべて、相手省庁のさまざまな妨害に打ちかつために頑張ろうと言っているペーパーです。  例えば、具体的に言えば、他省庁とのすり合わせの段階で、同じ公務員じゃないかと言って口説いたケースとか、あるいは、情のもろい人には情に訴えて口説き落としたケース、さらには、同郷の出身者や大学の友人など、個人的な縁を通じて納得してもらったケースとか、あるいは、調査した痕跡を残すだけだからということで納得してもらったケースとか、最後は最後で押し切ったケース、そういうさまざまなノウハウが書かれているわけです。先ほど長官言われたのは、最後に押し切ったケースだけにしようという話でございます。これについてはちょっと後でまた申し上げます。  ちょっと印象に残っているのは、その中で大蔵省に関する指摘がございまして、「大蔵省は官僚主義的で資料を提出しない場合が多い。」と名指しで批判されているわけです、不名誉なことだと思いますけれども。  行政監視について、大蔵大臣の認識と決意のほどをお伺いしたいと思います。
  297. 三塚博

    ○三塚国務大臣 霞が関の官庁の中の官庁と言われるから、大蔵バッシングという声がしきりに聞こえる。しかし、私は、党の政策責任者をやり、また大蔵大臣を拝命して仕事をやっておる限りでは、行政監察調査にも協力しておりますし、問題 はない。今後、できる限り協力をしていくこと、まさに行政監察ディスクロージャーというのは時代の大きな要請である、こういうことです。
  298. 末松義規

    末松委員 それでよろしくお願い申し上げます。先ほど安住議員の話にもありましたが、情報公開というものがやはり一番大きなポイントになってまいります。  そこで、もうちょっとこの「実戦的折衝論」の話を続けさせていただきますが、やはり一番現場の職員が困るのは、現状の悪さを指摘して勧告した、勧告した後に、相手の省庁から、勧告の責任を総務庁はどうとってくれるのだというふうに詰め寄られる場合、それから、今後、行政監察局には一切協力はしないということで言われると非常に弱いわけですね。ここから構造的な問題がわかるわけです。結局、やはり総務庁が置かれた立場というのは、非常に非力な立場、つまり他省庁と一緒だ、つまり横並びで、権限上、総務庁がそれを超えたものじゃないという、そこに総務庁の一番の苦しみがあるのは私もわかるわけです。  それで、今、総務庁が勧告に従えと強権を発揮できない。そこで長官もいろいろと今苦しまれているやに伺っておりますが、今の例えば、総務庁が行政監察法とかいろいろと法的なものを新たにつくっても、憲法構造上、総務庁自身がこの官庁の横並びの一つである限り、勧告を守らせるのに一切そういうふうな強制力は持たせられない、そういうことになると思いますが、いかがお考えですか。
  299. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 大変御同情もいただいたようでございますけれども、本当に行政監察をやっている職員はつらい立場でやっていることも多いと思います。  私が今言っていることは、国会でも何回も答弁をいたしておりますけれども、今までの横並びではなかなか難しい。やはり、一段高い立場で行政が正しく運営されるように監察を進めていくという点からいけば、高い立場からチェックできるようなことが必要ではないか。たまたま今、中央の省庁の統廃合をやっておる中で、官邸機能の強化ということもございます。今後、中央省庁の統廃合の中では、場合によれば官邸機能の中に含めていくということも一つの方法ではなかろうかと思っておりますし、あるいは、確かに会計検査院は憲法上保障されておりますが、その点は違いますけれども、業務は非常に似ていると思いますから、その辺は、会計検査院と同じような、憲法では言われなくても、何か法律的な仕組みはできないだろうか。  いま一つは、とりあえず総務庁の設置法の中で、御承知のように、もし勧告がうまくいかない場合には、私から総理に対して、これはぜひその省庁の責任者に対して指導してもらいたいということを言えるのは今の設置法の中にもございます。ところが、これはまだ一回もそれを行われたというのは聞いておりません。例えば、そういう方法も一つとれる方法ではなかろうか。  それからいま一つは、総務庁の設置法を改正をして、このごろ法律の一つの仕組みとして割合多いのは、公表制度というのがございますから、例えば行政監察をやった結果、勧告をした、しかしその勧告がなかなかうまくいかない、もう一度それじゃ監察をする、そして再勧告をする、それでもうまくいかないというときは公表するというような形に法律を改正するというのも一つの方法ではないか。  今、大体三つか四つ、私は選択肢をどれにしたらいいかということで、役所にも検討をさせているわけであります。
  300. 末松義規

    末松委員 今いろいろな案をお聞きしました。  ただ、それにつけても、現場の声を聞きますと、やはり相手省庁の協力がないと何もできない、それが実態であります。それを横並びの省庁の一つである総務庁に、官邸というお話もありましたけれども、総務庁にやらせること自体が非常に苦しい面があるということは否めないと思うのですね。  その面でもうちょっとお聞きしたいのですが、やはり今の時代、大きな時代の流れで行政改革をやらなきゃいけないという絶対命題がございます。その中で、この行政監察ということを、そういう視点というよりも、もっと本当に国全体で国を変えていかなきゃいけない、古い殻を破っていかなきゃいけないということで、一番大きな力を持っているのはやはり国会だろうと思うのです。  そういう視点から、国会が動かないと何もできない。例えば、先ほど安住委員の方から厚生大臣に、勧告を守っていないじゃないかという話をしたときに、いや、それはもう守りますという話の、そういうふうな形でどんどん国会がやはり活発に動いていかなきゃいけない。そういった視点から、民主党は行政監視院というのを国会のもとにつくって、そしてずばっずばっと、情報公開の先駆的な役割を行政監視院に持たせて、そして行政の中の秘密をもっともっと少なくして、みんなの目の前にさらして、そしてそれを蒸発させていこうということを考えているわけですね。  その中で、この総務庁という、この前テレビで亀井大臣が、もう建設省という名前の省もなくなっているかもしれない、そういう認識も示されました。総務庁という名前もなくなっているかもしれない、そういうことでございます。それから、そういう新しい時代の中で、やはり国会が主導する形をつくっていかないと、どうしても官僚主義に陥ってしまうということでございますし、地方においても、きょう新聞に載っておりましたけれども、地方制度調査会が監査制度について外部監査を導入するという話がございました。地方でももう外から監査をやるという時代に来ているわけであります。  そういった意味で、これからもこの監査、あるいは監察、あるいは監視ですね、これが変わっていかなきゃいけない。特に、さらに申し上げれば、もう各省庁自身、自分でチェックさせる、そういうことをやらせるべきじゃないか。  ちょっと事務方の人に聞きたいのですが、今各省庁の自己監視システムはどうなっておりますか。そして、この自己チェックをもっと強化するという方向にございますか。
  301. 土屋勲

    ○土屋政府委員 各省庁におきましては、組織令等によりまして、内部監査に係る組織を設置しておりますが、一般的には所管行政に関する業務の適正な執行の確保の観点から、行政の考査、事務能率の増進を図るということで、担当補佐以下数名という組織が通例ではないかと思います。  ただ、郵政省など一部省庁におきましては、所掌事務に関する犯罪、非違、事故の調査等を専門に調査をするための数百人組織の組織を持っているところもあるというふうに承知いたしております。
  302. 末松義規

    末松委員 この予算委員会の方々にもぜひ御認識いただきたいのですが、今市民社会というのは、市民の自己責任と結果責任、それでこの社会をどんどん動かそうとしている。それが時代の流れであろうと思います。各省も自分の自己責任のもとにやって、そして悪かったらそれをきちんと公表する機関、例えば民主党は行政監視院というものをつくろうとしておりますけれども、そこが指摘をして、悪ければ公の場で、なぜ悪いか、じゃあどうすればいいんだ、そういうふうなことを一つ一つ積み上げていけば、不要な省庁、あるいは不要な業務、あるいは必要な業務というのはどんどん分かれて、見やすくなってくる、これがこれからの新しい社会であろうと思います。  そういった意味で、ちょっと総務庁長官の御決意もお聞きしたいのですけれども、もう総務庁もない時代になってくるということでございますが、行政改革をやる場合、各省庁からも、まず総務庁が見本を示してみろ、手本を示してみろということで、行政監察局、これは要らない、廃止して、まず総務庁が身を切って行政改革、国全体でやるんだという御決意あるいはお考え、ございませんでしょうか。
  303. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、先ほど申し上げておりますように、総務庁の中に必ずしも置く必要はないということは申し上げております。しかし、官邸 機能の強化の中で、あるいは会計検査院的な性格の立場でやるか、いわゆる行政府の中で全くそういうチェック機能をなくしてしまうという考え方はありません。もっとより強い立場で、きっちりチェックができるような機能をぜひ確立をしたいという考え方を持っております。  いま一つは、先ほど来いろいろお話がございますけれども平成九年度中に私ども情報公開法をぜひ国会で制定をしていただきたいと思って、今もう作業に入っております。これからその法律ができれば、当然こういう行政監察のいろいろの報告が、勧告がなされたものは、全部これは情報公開で国民の前にさらされるわけでございますから、先ほど来御心配になっているようなことは私はなくなっていくというふうに考えております。
  304. 末松義規

    末松委員 世論調査でも、行政監視院の話になりますが、総務庁行政監察局を廃止の上、民主党提案の行政監視院の設置に賛成している人が、これは時事通信の話ですが、三三・八%いる、それから行政監視院と行政監察局の併置に賛成している人が一八・八%、今の行政監察局の体制のままでいいという人は一四・四%にすぎない、こういう世論の事例もあります。それから、行政監察局のうち、かなりの人、今は表にできないけれども、民主党提案の行政監視院に移ってプロの仕事がしたいという人もかなりいるわけです。そういったことも、ぜひ長官の耳にとともに国民の皆さんにも知っていただきたいということでございます。  きょうは通産大臣にもお越しいただいております。厚生大臣の方は先に安住議員が指摘されたので、私の方は言いませんけれども、私もちょっとここで行政監察マンになって、この総務庁、行政監視の観点からお聞きしたいのですが、通産省の石炭鉱害事業団、これが一九八七年に中期総合計画を策定せよと勧告が出た。それから、一九九一年に業績評価基準を策定せよと言われて、もうかれこれ十年から数年間たつわけですけれども、全くそれがなされていない。それで、一九九五年に、特殊法人等の活性化に関する調査で再度この勧告をもらっても、いまだにできていない。それに対して、まずちょっと事務方から、その状況それから決意についてお伺いしたいと思います。
  305. 江崎格

    ○江崎政府委員 お答えいたします。  ただいま石炭鉱害事業団の中期的な総合計画を策定せよという勧告のことだと思いますが、これは、国が従来、臨時石炭復旧法に基づきまして、十年間、これは平成四年から平成十三年までですが、その間の土地の物件の種類ごとあるいは地域ごとの鉱害の量とか、あるいはその基本的な事項につきまして、国の計画として鉱害復旧長期計画というのをかなり具体的に定めております。  したがいまして、石炭鉱害事業団におきましては、この国の長期計画というものを、内容が十分具体的であるということで、これを中期的な総合計画というふうに位置づけておりましたので、別途この事業計画を定めなかったわけでございます。  ただ、平成十三年度に実はこの石炭関係の法期限が参りますので、それを控えまして、鉱害の復旧をより効率的にさせるためには、今後重点を置くべき地域などにつきまして計画をつくった方がより事業の効率が上がるという判断をいたしまして、今回、石炭鉱害事業団、これは現在はNEDOに吸収されておりまして、NEDOの鉱害本部になっておりますけれども、ここにおきましても、自主的な中期的な総合計画を策定するように指導いたしました。それで、本年の三月中には策定する運びになっております。
  306. 末松義規

    末松委員 通産大臣も一言、行政監視にかかわる御決意をお願いします。
  307. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 行政監察の結果出された勧告については、最大限尊重して速やかに対応すべきものである、かような認識を持っております。
  308. 末松義規

    末松委員 いろいろと役所の抵抗で、行政監視をしている人々、本当に私は国の宝だと思っております。これからもっと大きな国の要請にこたえていかなければいけない。その意味で、国全体でやっていく、そういう大きな流れの中でこの行政監視というものをぜひまた御検討いただきたいと思います。  そういった意味で、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  309. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて末松君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日午前九時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時三分散会