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1997-02-19 第140回国会 衆議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月十九日(水曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    石川 要三君       臼井日出男君    江藤 隆美君       尾身 幸次君    越智 伊平君       越智 通雄君    大原 一三君       菊池福治郎君    桜井  新君       砂田 圭佑君    関谷 勝嗣君       田中 和徳君    高鳥  修君       橘 康太郎君    中山 正暉君       野中 広務君    葉梨 信行君       松永  光君    村上誠一郎君       村山 達雄君    目片  信君       谷津 義男君    愛知 和男君       愛野興一郎君    石田 勝之君       太田 昭宏君    北側 一雄君       小池百合子君    田中 慶秋君       中井  洽君    西川 知雄君       平田 米男君    生方 幸夫君       海江田万里君    川内 博史君       北村 哲男君    桑原  豊君       日野 市朗君    細川 律夫君       木島日出夫君    松本 善明君       矢島 恒夫君    北沢 清功君       中川 智子君    畠山健治郎君       岩國 哲人君    新井 将敬君       土屋 品子君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 松浦  功君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長   三井 康有君         内閣総理大臣官         房管理室長   榊   誠君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁警備局長 杉田 和博君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         環境庁大気保全         局長      野村  瞭君         国土庁計画・調         整局長     塩谷 隆英君         国土庁大都市圏         整備局長    五十嵐健之君         国土庁地方振興         局長      鈴木 正明君         国土庁防災局長 福田 秀文君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務大臣官房領         事移住部長   齋藤 正樹君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         国税庁次長   堀田 隆夫君         文化大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         水産庁長官   嶌田 道夫君         通商産業大臣官         房長      広瀬 勝貞君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省港湾局長 木本 英明君         海上保安庁長官 土坂 泰敏君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫君         消防庁長官   佐野 徹治君  委員外出席者         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    平岡 哲也君         参  考  人         (預金保険機構         理事長)    松田  昇君         参  考  人         (日本銀行総裁)松下 康雄君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     田中 和徳君   大原 一三君     目片  信君   村上誠一郎君     砂田 圭佑君   生方 幸夫君     細川 律夫君   海江田万里君     北村 哲男君   仙谷 由人君     川内 博史君   矢島 恒夫君     木島日出夫君   上原 康助君     中川 智子君   新井 将敬君     土屋 品子君 同日  辞任         補欠選任   砂田 圭佑君     橘 康太郎君   田中 和徳君     江藤 隆美君   目片  信君     大原 一三君   川内 博史君     桑原  豊君   北村 哲男君     海江田万里君   細川 律夫君     生方 幸夫君   木島日出夫君     矢島 恒夫君   中川 智子君     畠山健治郎君   土屋 品子君     新井 将敬君 同日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     村上誠一郎君   桑原  豊君     仙谷 由人君   畠山健治郎君     上原 康助君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日も引き続き、経済、行財政、危機管理及び沖縄問題等について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。権藤恒夫君。
  3. 権藤恒夫

    権藤委員 新進党権藤恒夫でございます。  危機管理について総理にお伺いしたいと思うわけでありますが、十八日の新聞やテレビで一斉に報道されました、レバノンにおける日本赤軍の人ではないかという、五名ないし七、八名ということで明確でございませんけれども拘束をされたという報道がなされました。その実態はいかがでございましょうか。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 細かい点につきましては外務大臣から御報告を申し上げますけれども、私どもとしては、こうした、かつて日本国内から脱出をし、その後においてテロ行動を続けていると言われているグループというものの動静というものには非常な神経を使って今日までもまいりました。そうした中で、先般来、日本赤軍関係者が各地で逮捕される、そうした中の大きな出来事でありますだけに、我々としてもより大きな成果を願いつつこの報道を待っていたと申し上げて間違いではないかと存じます。  なお、今後におきましても、国際的な協力関係の中で引き続きこうした事態を収束させるための各国捜査協力体制というものが存続し、その中での成果が上がることを心から期待をいたしております。  細部につきましては、外務大臣の方から補足をさせていただきます。
  5. 池田行彦

    池田国務大臣 今回の件につきましては、レバノン政府の方から日本人と思われる人物を数人身柄拘束したという連絡がございまして、それで、それがどういう人物であるかということを確認する、そういった過程に現在あるわけでございます。  それで、もし赤軍のメンバーであるとか、あるいはそのほかの人物であっても我が国の法律を犯したおそれがある人物であるということが確認されますならば、これは犯人引き渡しを要請するということをもう既に連絡しているわけでございます。  委員も御承知のとおりに、レバノンとの間ではいわゆる国際的な犯人引き渡し条約は結んでいないわけでございますけれども、しかし、それにいたしましても、いろいろな手だて、方途はあり得るわけでございますので、赤軍であるというようなことが確定されれば、引き渡しを受けるように、そして適正に対処できるように進めてまいりたい、こう考えております。
  6. 権藤恒夫

    権藤委員 国際的なそういうテロ組織でございますので、総理も慎重に言葉を選んで御発言なさっておるようでございますけれども拘束をされたと言われるその中に、かつて人質を拉致し、人命尊重ということで超法規的な措置として国外へ出国させたという事例がございますが、その人のお名前は何という方でございましょう。
  7. 杉田和博

    杉田政府委員 岡本公三と承知いたしております。
  8. 権藤恒夫

    権藤委員 その岡本公三という人が、テルアビブロッドでございますが、自動小銃乱射をし、そして全く関係のない二十四名の殺害をしたということが報じられておりますが、これについて総理並びに外務大臣はどういう御感想をお持ちでしょうか。
  9. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 テルアビブ空港における銃器乱射事件と申しますか、一般人を殺害した行動、これが報ぜられましたとき、私どもは非常に大きなショックを受けましたし、その中に犯人グループとして日本人がいたということ自体が我々にとっては極めて大きな衝撃でありました。  そして、当然ながら日本警察関係等は、その関連を捜査し、捜査協力も当然当時行ったと存じます、詳細は存じませんけれども。そして、それがその後の超法規的措置というものにも影響してきた。そして、イスラエルの囚人と申しますか、イスラエルにおいて刑に服しておりました者が、身柄の交換の中で刑期を残しながら釈放をされたということも当時相当大きな関心事でありましたし、衝撃を与えた事態でもございました。  今回、レバノン政府身柄拘束した中にその名前を見出し、改めて今日までの時間の経過とともに、彼の行動によって殺害された方々に対する哀悼の心を再び思い起こした、そのような感じを持っております。
  10. 池田行彦

    池田国務大臣 イスラエルロッド空港におけるあの乱射事件文字どおり向こうの多くの人々を痛ましい犠牲にしたわけでございまして、天人ともに許さざる犯罪行為であると存じます。そして、世界全体を震撼させ、また、ある意味ではテロリズムしょうけつをきわめる状況というものにつながった、その一つの大きな要因だったと思います。  それと同時に、我が国あるいは日本人世界におけるいろいろな活動にもいろいろな支障をもたらしたということでございまして、その犯人である岡本がもし今回の身柄拘束された者の中に含まれておるということでございますならば、それはきちんと対処され、改めてこのようなことは許されることではないのだということを知らしめると同時に、将来に向かって同種の犯罪あるいはテロリズムしょうけつを許されないような状況をつくっていく、そういう方向に結びつけなくてはならないと考えている次第でございます。
  11. 権藤恒夫

    権藤委員 わかり切ったことを聞いておるわけでございますけれども犯人にも人権はございます。ですけれども、サミットの合意事項の中に、テロに対する対策をどうするかいろいろと論議をされておるわけでございますが、絶えず超法規的な措置でもってこのような凶悪犯国外へ追放し ている、追放というか、出国をさせている。私が記憶するだけでも、よど号事件もございました。その後、国際社会の中で大変な日本の信用を失墜させてきた事実があるわけであります。  そういうことを考えましたときに、やはり政府は、こういう暴力組織に対して毅然として立ち向かう、そういう姿勢が私は大事ではないかというふうに思って申し上げておるわけでございます。安全保障にしても何にしても、絶えず拡大解釈をしていく、きちっとした、安全保障であるとかあるいは危機というものに対して欠如しておるものがあるのではないかというふうに私は思う次第でございますけれども、今自由民主党の中でも政府の中でも危機管理について検討なされておると聞いておりますけれども危機管理に対する総理の御認識をお伺いいたしたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 危機管理体制強化というものは、昨年内閣がスタートをした瞬間からの非常に大きな課題として私どもの背中にのしかかってまいりました。そして、これまでも阪神淡路大震災などの教訓を踏まえながら、災害対策基本法の改正でありますとか、情報集約機能強化でありますとか、関係閣僚緊急参集体制整備など、さまざまな角度からその充実には努めてまいりました。  しかし同時に、危機というものの性格からして、過去の全く同じケースというものはあり得ないわけでありますけれども、たまたま今議員が引用をされましたよど号ハイジャック事件、これは第二次世界大戦後の日本の、ある意味では危機というものに直面した最初のケースだったかもしれません。そして、山村新治郎議員、当時の運輸政務次官でありますが、当時は全く連絡の手段を持ち得なかった北朝鮮への飛行に際し、みずからが身がわりを志願し、テロリストグループもその要請を入れ、他の人質と引きかえに山村次官を伴って北朝鮮へ離脱をするという事態がございました。  たまたまその当時、私は厚生省政務次官で、外務省外交ルートから、そして厚生省は赤十字のルートを使い、何とかして北朝鮮との連絡をとれる情勢を生み出して、安全を確認した上で山村政務次官に現地に飛んでいただきたい、そんな思いで必死で連絡をとりましたけれども、ついに連絡のつかない状態のまま、全く安全の確認ができないままに同僚でありました山村さんにピョンヤンに飛んでいただくという結果になりました。  私どもにとりまして、あの事件は、極めて危機管理というものの大切さ、あるいはふだんに想定し得るマニュアルというものをできるだけ整備をしておくことの必要性を脳裏に刻み込んだ事件であったと思います。その後さまざまな事件の起こりますたびに、私は、歴代の内閣はその都度その事件の中からの反省を次の対応にと生かしていく、そういう努力は必ずしてまいったと思っておりますし、それなりの積み重ねも今日までの間にはできてまいりました。  しかし、その間にむしろ国際的な常識が、例えばテロについて大きく変化をいたしました。そして、テロリズムに屈しないということがまず最大のテーマであり、その上で、人質になった方々、その安全をいかに確保するかということに視点は移ってきたように思います。当然のことながら、こうしたテロばかりではなく災害等におきましても、危機としてとらえ、国際的な支援の体制をいかに組むか、強化するか、こうした視点からのマニュアル各国の中に定着しつつあります。  しかし、これから先も実は政府として、これまでに遭遇をいたしました事件、事故、災害、こうしたものを超えて、いかにすれば初動時における対応仕組みをつくり得るか、危機の種類に応じた、例えばテロでありますとかハイジャックでありますとかあるいは災害でありますとか、そうしたカテゴリーに応じた、より汎用性の高い危機管理システムというものを構築していくために今後ともに努力をしていかなければならない、そのように思っております。
  13. 権藤恒夫

    権藤委員 後ろの方で、総理も大変お疲れのようでいい知恵も浮かんでこぬじゃないかというような話があっておりましたが、まあひとつ頑張ってください。  二月の十一日、建国の日と言うと差しさわりがございましょうが、お祝いの席で総理が、平和と繁栄を築いていくために全力を挙げて職責を全うしていきたいという決意、感銘深くお聞きしたわけでございますけれども、それは、平和というものは黙って来るわけじゃございませんから、そうすることによってだれに報いていくかというと、それはすべて主権者であります国民に向かっておっしゃっておること。  今、日本警察公安関係者の方は、フランスやあるいはアメリカから比べて自分の担当する範囲も広うございますし、そういう少数の中でございますけれども刑法犯についての検挙率というのは世界一を誇っております。だから日本は安心して住める国だというふうに言われてまいりましたけれども、今は全く危険な国だというふうに言う人もあるやに聞いておるわけでございます。そういう公安関係の人が必死になって捜索をして検挙をしている。  国際化の中にありまして、きょうの新聞もきのうの新聞も、外国の方が、同じ外国人でございますけれども拉致をして、そうしていろいろな問題を起こしているということが報道されておりますけれども、今お話を伺いました限りにおきましては、もっと危機管理の概念を明確にして定義を定めて、そうして日本人生命と安全は断固として守る、主権国家として当然じゃないかというふうに私は思っております。ぜひともひとつ御努力を願いたいと思う次第でございます。  私もいささか危機管理については先輩の教訓をいただいておるわけでございますけれども、この危機管理は、個人や地域社会国家や、そして人類に及んでくるわけでございます。それも自然的な災害あるいは人為的な問題。その自然には、先ほど申されました雲仙の大火砕流あるいは阪神大震災、それより引き起こされた二次災害日本海のあの重油の流出、そして在ペルー日本大使公邸テロ組織による監禁、さまざまでございます。  でありますけれども、すべてが初めてだということではなくして、あらゆる問題が起こり得るであろうという想定をして、そして可能な場合はどうするか、あるいは予測できない場合はどうするか、予知した以上に拡大したときにはどう対応すべきかという、そういう危機管理に対する明確な定義を定めて、そうして日本人生命と安全を守る、主権国家を守っていくという、民族主義者ではございませんけれども、当然のことであろうと私は思っておるわけであります。そのことについて、何か御感想があればお聞かせください。
  14. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 感想と申しますか、私は今議員が述べられた内容に基本的に全く異論のあるものではありません。  そしてその意味では、大変不幸なことでありますけれども自然災害というものにつきましては、今例示で挙げられましたような雲仙・普賢岳の噴火あるいは阪神淡路大震災という、あるいは北海道における津波、さまざまな体験の中から、私はそれなりマニュアルというものは我が国は持ちつつあると思っております。  問題は、まさに議員が言われたように、危機と言われるものはほとんど初めてぶつかる、それに初動でどう対応するかということに尽きていくと思います。それだけに、今汎用性の高い仕組みをということを、対応体制をということを申し上げましたのは、まさにそうした場合の最小限の汎用性のある動作、それはまず情報の収集であり、分析であり、その分析の結果をいかに行動に生かしていくかというシステム、そのようなシステムをつくるべく、これからも全力を尽くしてまいりたいと思います。
  15. 権藤恒夫

    権藤委員 今まで申しましたような、そういうさまざまな問題に対する対応について、結果としていろいろな批判は私たちもできます。けれども、これは一政党の問題じゃなくして、やはり日 本の国会として取り組むべきであろうというふうに私自身も思っておるところでございます。精いっぱい頑張ってまいるつもりでございますので、政権を担当していらっしゃる橋本総理におかれましては、ぜひともそのことについては真剣に考えてほしい、このように思います。  ですから、そのような事態に対して、解決のおくれであるとかということが、政治に対する不信、それから官僚に対する不信、本当に国は我々の生命を守ってくれるのかというような不信、またこれが、経済的にも日本は危ないから投資はできないのじゃないかというふうにも言う人もいらっしゃるわけであります。  古い話で恐縮でございますけれども、ブレジンスキーさんが、これから先は、GNPでもってその国を知ることも大切であるけれども、またGNS、安全度ということも考慮に入れていくべきじゃないか、その国の豊かさをはかるにはそういうことも必要じゃないかというふうに申されておるわけでございます。何もアメリカの人ばかりじゃありません。日本の将来を考える人たちはそのようなことを言っていらっしゃいます。私もそのようなことを考えながら、これから先やってまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、過日は、大変御多忙の中にもかかわりませず、トロントまで行かれまして、フジモリさんと会談をなされました。概要は文書でもって拝見させていただきました。今解決努力をしておられる最中でございますから、このことについては深く聞くつもりはございませんけれども毅然とした態度で臨んでいっていただきたい、このように思う次第でございます。ちょうどきようで六十四日になると思います。日本海の重油流出も一月の二日でございましたから四十九日ぐらいになると思うわけでございます。被害を受けられた人やボランティア活動で一生懸命に努力していらっしゃる方に敬意を表するとともに、再びこういうことが起こらないように、私は事前の対応をぜひともしっかりとやってもらいたいと思う次第でございます。  それから、やはり日本は火山列島でございますから、古い文献によりますと、天武天皇十二年の十月十四日、西暦六八四年でございますから今から約千三百年前、伊豆七島のことが詳しく文献に書かれております。どういうふうに書かれておりますかと申し上げますと、伊豆島西北に自然増、火山が噴火して島が一つふえたということであります。ますます三百余丈さらに一島をなすということが載っております。そうして、灰が降った、それによっていろいろな被害を受けたということも書かれております。  でありますから、何も雲仙が初めてのことであるとか、阪神大震災が初めてであるとかということは間違いでございます。自分が経験することが初めてであって、過去には、そういうものに対してどうしたらいいかということが莫大な資料として残されておるわけであります。  でありますから、先ほど申し上げましたように、日本危機管理は一体どうなっているのだ、ああだこうだ、ああだこうだとその都度うろうろしている。危機管理というものに対する概念を明確にして、きちっとした定義のもとに政治を運営してもらいたいというふうに先ほどから申しておる次第でございます。  それで、一つだけお伺いいたします。  過日、同僚議員の西村眞悟君がある一文を引いて、そうして横田めぐみさんが拉致されたのではないかということをこの委員会の席で質問をいたしました。そのときに引用した文がいいとか悪いとかということで、予算委員会やあるいは理事会でかんかんがくがくの論議がなされておるわけでございます。  私どもは、何も国によって差別をしようとか、そういう考えは毛頭持っておりません。でありますから、食糧についても、あるいは経済協力にしても、やはり同じ人間でございますから、ないそでは振れませんけれども、やはり地域の平和と安全のためには必要であるという観点から、援助を惜しむ必要はありません。最大限の援助をする必要があると思うわけであります。でありますが、すべてそれは国民の税金でありますから、公開をして、裏でちょろちょろやるようなことはやめてほしい。  終戦になりまして、数十年たってなおかつ生まれた国に帰れないという人たちがシベリアにたくさんいらっしゃいます。あるいは旧樺太にいらっしゃいます。  我が党の草川議員や自由民主党の野中先生たちは、この朝鮮人妻を一回韓国やあるいは北朝鮮へ里帰りさせたい、私費を投じて大変な御努力をなさって、そのような人道的活動をしていらっしゃるわけでございます。  だけれども、それはそれ。あの横田めぐみさんの問題につきましては、最初からいろいろとうわさがございました。けれども、新潟の警察は、千数百名の人を動員して、あらゆる限りを尽くして捜索をしたけれども判明しなかったということで、失踪事件として取り扱った。  でありますけれども、朝鮮民主主義人民共和国の元工作員であるという人が韓国に亡命をされて、そして韓国の安全企画部の人と亡命者と話をした中で、それらしい人がおるのではないかというような話が伝わってきたということで、佐藤勝巳さんという人が、新潟に出かけ、いろいろな関係者の話を聞いて、そうして、もしそうであるならば重大な問題である、日本の主権を侵されて、何をやっているんだ、国民の人権をどうして守るのだというお話でございました。  そこで、外務大臣にお伺いしますけれども、安全企画部の方とその工作員の方がいろいろとお話をしていらっしゃるということでございますけれども、在韓大使館の人たちがその工作員の方と接触を持ったことはございますか。お聞きします。
  16. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘の件につきましては、私ども報道のあった時点でそのことは承知しておる次第でございます。そして、もしそのようなことであるならば、これは何としてもその事情を掌握し、ぜひその失踪しておられる方の安否を確認し、できることならば親御さんともお会いいただけるような状況をつくらなければいけない、これは当然のことでございます。  しかしながら、このことにつきまして、どういうことを今しているか、外務省あるいは政府としてしておるかということにつきましては、その失踪しておられる方の安全そのものにかかわる問題でございますので、恐縮でございますけれども外国政府との接触の有無も含めまして、御答弁することは控えさせていただきたいと存じます。
  17. 権藤恒夫

    権藤委員 接触しておるのですか、していないのですかというだけの話なんです。どうですか。
  18. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申し上げましたように、当然のこととしていろいろ手を尽くさなければならない、そういう認識のもとに立って対応をしておりますけれども、それを具体的にどういうことをしているかということにつきましては、外国政府との接触の有無も含めて答弁は差し控えさせていただきたい。最初に申しましたいかなる認識を持っておるかということで御理解を賜りたいと思います。
  19. 権藤恒夫

    権藤委員 このことについては、御両親がテレビに出演されまして、どういう心境でお話しなさったかということはよく御存じのはずでございます。  ここは、こういう場で言うと、話が拡散してかえって効果が逆になるということで御配慮なさっておると思いますけれども、私は、いろいろなことは情報を公開していくということが一番大事だろうと思うのです。情報を公開して、そして明るみに出していけば、それに対して衆目も注視するでありましょうし、それは薄暗いところでごそごそやっているとかえって危険じゃないかというふうに思うわけでございます。これは、こういう犯罪だけではございません。  今、在外邦人はどのくらいいらっしゃるのでしょう。お答え願います。
  20. 池田行彦

    池田国務大臣 最近、企業の活動を含めまして 日本人の海外における活動、随分多くなってまいりました。現在、年間に海外に渡航される方は千六百万を超えたと思いますし、また、海外にお住まいになりまして、いろいろ活動をしておられるいわゆる在留邦人と言われる方も七十万人を超えておる、このように認識しております。
  21. 権藤恒夫

    権藤委員 外務省からちょうだいしました資料によりますと、在外邦人の数と社員の数が、これは九五年の三月のデータでございますから若干変動があると思いますけれども、企業数が一万一千四百四十一社、そして社員が二百十九万三千七百三十一名、そういうふうに言われております。国際機関では四百七十五名、在外公館が三千五十四名、日本人学校が一万三千。そして海外協力、JICA等につきましても約三千名、四千名の人がいらっしゃるわけです。  私は、ここで申し上げたいことは、これだけの多くの方が海外で協力をしていらっしゃいます。過去にJICAの人が無謀にも射殺されたという事件がございました。これは、発展途上国であろうと先進諸国であろうと別にいたしまして、やはり政府としてそのような方々生命と安全を守るということに対しては毅然としていかなければ、一体日本という主権国家は何だ、こういうふうに言われても私は仕方ないのじゃないかと思う次第でございます。そういう意味で、どうかひとつ今後とも対応していただきたいと思います。  最後に、西村発言に戻りますけれども佐藤勝巳さんの話を引用して、そうして申し上げたことは、特定の方に対して何らかの趣意を持って発言したことではございません。そう私は思っておるところでございます。  次に進みます。  次に、政治倫理、政治の危機ということについて質問をさせていただきます。  質問をいたします前に、みずからのことを恥じなければなりませんが、このたびの総選挙で、私が自分の友人を候補に推薦をいたしました。その人が、落選をしたわけでございますけれども、大学の初任給ぐらいの額面でございましょうか、選挙の直前に手渡しをして、それが発覚して逮捕されております。そういう人を候補に選んだということにつきましては、国民の皆さんや関係者の皆さんに申しわけないなと思っております。したがいまして、それなりに私は責任をとるつもりでございます。  そこで、お伺いいたしますが、この委員会で、山本有二さん、それから平沢さん、そして村上さんでございますか、いろいろな角度から我が党に対する詰問がございました。それは、オレンジ共済にかかわる友部という方を推薦したということでございます。  このことにつきましては、党内で事実をはっきりとして、そうしてもし事実であるならば断固として処分しなさいというのが大方の意見でございます、大方というよりもすべてだと思う。私もその一人で、いいものはいい、悪いものは悪い、過ちはおわびしなさいというのが私の生き方でございます、だからみずからも反省を込めて申し上げたわけでございますけれども。  甚だ恐縮でございますけれども、そのほかにたくさんの、新しく変わりました選挙制度のもとでの疑問がございます。  そこで法務省にお伺いしますが、総選挙以前、総選挙以外に、新しい法律のもとに行われました統一選挙の選挙違反等について何か資料があれば、資料というよりも事犯があればお答え願いたいと思います。
  22. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  新しい選挙法に基づく違反ということでございますか。——まず最近のものといたしまして、第四十一回の衆議院議員総選挙における選挙違反の状況でございますが、本年一月三十一日現在で調査いたしましたところ、全国の検察庁におきまして受理した人員のうち、実人員で千六百六人につきまして処分の決定がなされております。その内訳は、公判請求が百五十二人、略式請求が四百八十人、不起訴九百六十三人となっております。
  23. 権藤恒夫

    権藤委員 今報告がありました中で、やはり連座制の強化ということが大部分で、そうして失格あるいは立候補停止というような事犯が起きている。  どのようなことが選挙違反に抵触するかということでございます。間違ってはなりませんので書いてまいりましたから、メモに従って質問をさせてもらいたいと思います。  昨年の第四十一回総選挙は、小選挙区比例代表並立制で初めて行われた中、従来の中選挙区制度の選挙違反と比較をしてどのような変化があったか、総括をして、大臣は来ていらっしゃいませんですね、自治省の方にお答え願いたいと思います。
  24. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 お答え申し上げます。  選挙期日後九十日現在で集計した検挙件数を比較をいたしてみますと、今次の選挙では八百八十六件、千七百十三人の検挙をいたしております。これに対しまして、前回における同時期の検挙は三千二十一件、五千八百三十五人でございました。したがいまして、件数で二千百三十五件、人員で四千百二十二人、それぞれ七〇%強、検挙は減少いたしております。  以上でございます。
  25. 権藤恒夫

    権藤委員 やはり公職選挙法の強化ということでかなり違反が減ったということでございます。  また、さきの総選挙で国民が関心を持ったのは、連座制の強化がどのように生かされたかということであると思います。現時点で連座制の適用がどのような状況にあるのか、説明をしていただきたいと思います。
  26. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  連座制につきましては、委員御高承のとおり、検察官から連座訴訟を提起いたしまして、その連座訴訟における勝訴判決の確定によりまして連座の効果が発生する類型と、もう一つは、候補者の側から連座訴訟を提起いたしませんと、所定の出訴期間の経過によりまして連座の効果が発生する類型とがございます。  今回の衆議院議員総選挙に関しましては、現在までのところ前者の類型、つまり検察官が連座訴訟を提起したとの報告はまだ受けておらず、また、連座訴訟を提起するかどうかは刑事裁判の確定の後に、所定の出訴期間内に、検察官において、捜査、公判等の過程で得られました全証拠等を総合的に勘案して料断ずるものとされているものでございますから、今後の見通しについて答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、候補者の類型に関しましては、選挙の総括主宰者を、公職選挙法二百二十一条三項のいわゆる加重買収罪によりまして起訴をいたしました事案につきまして有罪判決が確定した事案が二件あることを承知しておりますが、候補者の側からの出訴期間はいずれもまだ経過していないものと承知しております。
  27. 権藤恒夫

    権藤委員 政治改革の柱としてこの連座制を強化したわけでありますけれども、先ほど報告がありましたようにかなりの成果が上がっておると思うわけでございますが、その中で適切な運用について整備すべき問題があることも承知いたしております。  総選挙の直後、全国的にひどい選挙違反の実態が具体的に報道されたこともございます。多くの関係者が連座制適用間違いない、このように思うようなことがございました。また、捜査当局も当初一生懸命にやっていらっしゃったことも私も存じ上げておりますが、それがいつの間にかしぼんでしまったと言えば適切な言葉ではないと思いますけれども、何となく終わったという、そういう疑問は全く捨て切れません。  現在では連座制の適用が極めて不公平に行われているのではないかという危惧もあるやに聞いておるわけではございますが、法務大臣そして検察庁の方、何かあれば御答弁ください。
  28. 原田明夫

    ○原田政府委員 御質問は、検察官のいわば連座制規定をめぐります運用についてのお尋ねでございますので、事務当局としてとりあえずお答え申 し上げたいと存じます。  委員御高承のとおり、選挙違反の捜査は第一次的には警察においてなされることが多く、また検察官におきましても、事案によりまして、適正な捜査またその公訴権の運用に努めているものと存じます。その中で、法の適正な運用という観点と同時に、やはり刑罰権の運用でございますので、あくまでも厳正に、証拠に基づいて判断していくということがございます。  その中でやはりいろいろな問題が生じてきたということはあるいはあるのかもしれませんが、検察官といたしましても、あくまでこの法のつくられました趣旨と、そしてその背景にございます政治に対する国会のお考え方ということを十分考慮いたしまして、あくまでも厳正、公平に運用していくように努力しているものと考えておりますので、そのあたりを御理解願いたいと存じます。
  29. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 警察におきましては、特に選挙運動に伴う違反の摘発に当たっては、不偏不党を第一の最も大切なことということを肝に銘じて鋭意捜査をし、職務を執行しているものと承知しております。
  30. 権藤恒夫

    権藤委員 決して何らかの意図的なものがあると言っているわけではございません。やはりいかに公正を確保するかということについてお尋ねをしているわけでございますから、耳ざわりがあったら御勘弁ください。  それでは、具体的に申し上げさせていただきます。制度を整備していくための参考として若干の具体的な例を挙げながら、問題点を指摘してみたいと思います。  埼玉の茶谷さんの選挙のときに、たくさんの支持者の方がいらっしゃるわけでございます。これは当然でございます。その中で組織的に、これは三師会でございますから、薬剤師、歯科医師と内科等ということでございましょう。こういう文面がございました。会合がございますからお集まりください、昼食はささやかでございますけれども差し上げます、後に費用弁償として交通費も支給いたしますというような文書でもって後援会の集まりがあっております。  このことについては、法のもとにいかがでございましょうか。
  31. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 ただいま御指摘のようなケースでございますけれども、私どもの立場から申し上げますと、あくまでも捜査という見地でございますので、具体的な事実に即しまして、かつ証拠に基づいて判断すべき事項かと存じますので御答弁いたしかねるということでございますので、御理解賜りたいと存じます。
  32. 権藤恒夫

    権藤委員 まあいいでしょう。  それから、宮城県の第六区菊池氏のこと、栃木県第四区佐藤氏、和歌山県第三区野田氏、高知県第三区広田氏、以上の五選挙区について連座制が適用される可能性があるのかどうか、簡単で結構でございますから当局の御説明を願います。
  33. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員お挙げになりました中には、現在まだ裁判中のものもございますし、刑事裁判が確定していないものもございますし、また、刑事裁判が既に確定したものもございますが、いずれも出訴期間中ということでございますが、あくまで検察官といたしましては、証拠に基づきまして事案について連座訴訟を提起するかどうかということを判断いたしまして、適正に対処してまいるものと考えております。
  34. 権藤恒夫

    権藤委員 それでは、栃木県第四区、茂木町というんですか、前助役さんと前副議長さんに対し、一月二十五日、宇都宮地裁で懲役一年六カ月と一年、それぞれ執行猶予という判決を受けました。  このケースは、日本テレビ等で特集番組でも報道されておりますが、国民が強い関心を持っている一つの例だと思っております。これに連座制が適用されないとすれば、政治改革で強化した意味は全く失ってしまうのではないかという心配をする人もおります。  前助役と前副議長の両人は、町長を初め十七人の町会議員と自民党候補のため後援会を結成し、事務局長、幹事長として町内の運動の計画を立案、調整、監督を行い、両者によって後援会が動かされ、実質的、中心的存在であったことは明らかであると言われております。  これが組織的選挙管理者等に入らないとするならば、捜査当局が極めて恣意的な判断をしたことになるのではないかということを心配する人もおりますが、捜査当局の信頼感が失われるということは、極めてこれは重大な問題であると思いますので、法務大臣並びに自治大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  35. 原田明夫

    ○原田政府委員 検察官の法令に定められた権限、また責務についてのお尋ねでございますので、事務当局からまずお答え申し上げさせていただきたいと存じます。  ただいま御指摘の事件は、本年二月八日に確定した刑事判決にかかわるものと存じます。この事件につきましても、検察官におきまして、連座訴訟を提起するかどうかにつきまして、買収等を行った者につきまして、その状況、捜査、公判等の過程で得られました全証拠に基づきましてこれを総合的に勘案いたした上で、所定の連座要件に該当するかどうかを判断して決定するものでございますので、法務当局としてただいま答弁をいたすことは差し控えさせていただきたいと存じます。検察官におきましてこの期間内に適切に判断するものと存じます。
  36. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 お答えいたします。  先ほど法務省の御答弁にもございましたように、連座の適用につきましては検察官において判断されるところでございますけれども警察に対しましてもお尋ねでございますので、お答え申し上げる次第であります。  御指摘の事件につきましては、栃木県警察におきまして、昨年の十月、助役及び議会議員を二名買収で逮捕いたしました上、十一月にさらに別事件で再逮捕の上、宇都宮地方検察庁に送致いたしたところでございます。したがいまして、警察といたしましては、所要の捜査を厳正に遂げたものと考えております。(発言する者あり)
  37. 権藤恒夫

    権藤委員 司法権の介入じゃないかということでございますが、決してそうではありません。連座制という制度の中でどういうふうになっているんだということを私が知らなかったから聞いているだけでございまして、そういう誤解はひとつ改めていただきたいと思います。  さきの総選挙の特色は、自民党候補を町ぐるみで支援するというやり方、町長、助役、町議会議員等によって後援会をつくる方法が全国で行われました。まあ戦術の問題でしょう。地位利用とかさまざまな圧力を住民にかけているというようなことも、全くないわけではなかったと思います。これが実態であるならば、法的に何らかの措置はできないのかということがございますが、このことにつきましては、抽象的なことで具体的には申し上げません、指摘をしておくだけでございます。  それから、自治省は公正な選挙の確保に責任を持つところだろうと思いますが、大臣でも結構ですし、自治省の担当の方でも結構でございます、お答えください。
  38. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 選挙の公正を確保いたしますために、公職選挙法を初め選挙関係法規、各種の規制を置いているところでございますが、私どもは、これを国民に周知徹底をいたしますために各種の啓発事業を行いまして、その普及啓発に努めているところでございます。
  39. 権藤恒夫

    権藤委員 これは自治大臣にお伺いします。  自治政務次官という役職についておられる方がいろいろな選挙運動を、これは私は実際に見たことはございませんけれども、そういう報告がございました。現職の政務次官という役職についておられる方が選挙運動をなさるときに、何か制限があるでしょうか。お伺いをいたします。
  40. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 その件につきましては別の委員会でもお尋ねがありましたが、一般論としまして、例えば、私も今大臣でございますが、しか し、一方では衆議院議員であることも事実であり、その政治家たる者が政治運動をやること自身には、それ自体何の制限もないと思うわけでございます。  ただ問題なのは、大臣であれ政務次官であれ、あるいはその他の公務員が、その地位を利用して法に許容される以上のことをした場合にとかく問題が起きるということであり、公職についているのであろうが、一方では選挙で選ばれなきゃならないという宿命を持っている者が日常的に政治活動をすることは、それ自体禁止されていないと思いますが、もし誤りがあれば事務当局が訂正すると思います。
  41. 権藤恒夫

    権藤委員 さきの総選挙のときに自治政務次官の要職にあられました、高知県第三区で当選をされました山本有二氏でございますが、山本氏は、自治省の政務次官の祝賀会と称して二十四市町村すべて、これは国選挙区に含まれる全市町村でございます、昨年の二月から解散直前の九月二十二日までに実に細かく運動をしていらっしゃいます。精力的にやっていらっしゃったということでございます。  後援会の主催とは名ばかりで、自治政務次官という地位を利用しての事前運動を行っているんじゃないか、そういうことを言う人もあったようでございますが、不特定多数の者を集めたり、会費制といいながら会費を徴収しなかったり、企業が会費の肩がわりをして従業員を出席させたり、明らかに公職選挙法違反の疑いがあるという行為でございます。そういうあれであります。  この件につきまして、昨年十一月二十七日の参議院の決算委員会で平成会の加藤修一氏が取り上げました。自治大臣と国家公安委員長でありました白川大臣に調査を要求しておりましたけれども、白川大臣、調査をされましたでしょうか。もし調査をされたならば、どのような状況でどのような問題があったのか、これも捜査中のことでございますから、御答弁できる範囲で結構でございますが、お答え願いたいと思います。
  42. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 まず、自治大臣という立場では、自治省は、選挙は管理はいたしておりますが、ある案件について、政治資金規正法も同じでございますけれども、調査をしたり、そういう機能が与えられておりません。与えられておりませんので、当然事務当局に指示するというわけにもいきません。  ただ、私は山本有二衆議院議員とは懇意でございますので、こういうことが問題になったんだが私に話を聞かせてくれということで話は聞きました。私も政務次官、国土政務次官等をやったことがありますが、政務次官になるためにはやはり当選三回とか、七、八年かかるわけでございまして、地元の方々政務次官になったのを機にお祝いをしようというのが、例えば普通国政報告会というのが、町村に行くときには祝賀会という形でやってくれる、そういう話であって、大量の金を集めるとかそういうものではなかった、こういうふうに聞いております。  また、国家公安委員長でございますが、これは委員御案内のとおり、私どもは国民の代表として警察を管理し、これに過ちがあった場合にこれを正すというのが私たちの仕事でありまして、警察大臣ではございませんので、こういうものがあるから警察捜査せよ、こういう立場にはございませんので、御承知おきをいただきたいと思います。
  43. 権藤恒夫

    権藤委員 これは私が調査したものではございません。実は、自由民主党の総支部ですか、そこでつくられた資料をもとにして御質問しておるわけでございますから、後ほど、必要であれば提出いたしますけれども、それをあげつらってとやかく申し上げておるわけではございません。常識として、そういう立場にある人が、かつてないような、選挙に勝ちたいという気持ち、それはだれだってございます。けれども、度を過ごしますとそのように誤解もされるということを申し上げておるだけでございますから、どうか、先ほどから申し上げておりますように、司法権に介入しようなどという考えはさらさらないということだけは重ねて申し上げておきたいと思います。  なぜそういうふうになったかと申し上げますと、高知県では自民党の県連と高知市連が対立をしておった。総理も応援に行かれておりましたからよく御存じのことだろうと思います。本部と県連と市連と推薦する人が違うものですから、いろいろな利害が絡んで告発合戦があっております。その挑発に乗って私どもがとやかく言うつもりはございませんけれども、やはり政治改革、政治を浄化しなきゃならない。  元新進党、今は離党しておりますあの友部さん、我々も独自の調査をして、そして、もし事実であるならば厳正な処分をしなきゃならない。それは、改めて他党の方から指摘されるまでもございません。にもかかわらず、本委員会におきまして二回、三回と御注意をいただきました。全くそうだと思っております。でありますから、私どもは、やはり政治の危機であるならば、それを意識しながら行動するということもまた大切である、このように申し上げておるわけでございます。  いかなる団体であろうと、また、企業からの献金であろうと、これは、公職選挙法に決められた範囲では、その運動やあるいは資金を提供するということは合法でございます。これは否定はできません。  でありますから、私どもも、三十五年間にわたって地方議会、国会に籍を置かせていただいて、そしてもう年をとってしまいましたが、そういう思いをも込めて、経験の上から申し上げておるわけでございます。  いろいろと質問をいたしましたけれども、次に移らせていただきたいと思います。  きょうは住宅管理機構の中坊社長の御出席をお願いしたがったのでございますけれども、私の手違いでできませんで、急遽松田さんに来ていただいておりますので、御質問をさせていただきたいと思います。急なことで、本当にお忙しい中御出席をちょうだいしましてありがとうございました。  私ども、昨年、住専国会のときに、やはりこれは企業の責任でもって不良債権の処置はするべきだ。六千八百億円という税金が投入されるということでございますから、預金者を守るためには、あるいは金融の混乱を防ぐためには、税金の投入も効果的であるならばそれはやむを得ない。ただし、貸した人、借りた人、バブルの時代にはやりたい放題やって、そして足りない分を国民にツケを回す、関係のない人に回すということにつきましては反対をいたしました。けれども、最終的に座り込みやらいろいろいたしました。私もいたしました。いろいろな激励や、ダニに食われるなよというような御注意もいただきましたけれども、そういうような……(発言する者あり)まあ、批判も激励のうちと思っておけばいいでしょう。  それで、私はお伺いしますけれども、あの住宅専門会社というものが管理機構に移され、そして住管機構で今処理をされておりますけれども、当初の出発の時点と現状では何か変化があったでございましょうか、お伺いしたいと思います。
  44. 松田昇

    ○松田参考人 お答えをいたします。  私ども預金保険機構は、特例業務としまして、住宅債権の回収処理をいたします、先生御指摘の住宅金融債権管理機構と一体となって債権の回収等に取り組んでいるところでございます。  当初のスキームの始まりのときの一次ロスの額は六兆四千百億円というふうに見込まれていたわけでございますけれども、この点が、その後、譲渡契約の締結と、その後の資産の実査の状況などを全部踏まえまして、結局十二月の資金の決済時に一次ロスが九百億円ほどふえまして六兆四千九百九十億円、こういう状況に相なりました。  一方、住宅専門会社から住宅管理機構が引き受けます資産の問題でございますけれども、これも当初、スキーム策定時には六兆七千八百億円という数字でございましたけれども、これはその後、いろいろ借入金の一部返済とか、それから債務者の資産の悪化、劣化をした結果などで約七千億円減少をいたしました。それに加えまして、住専管 理機構の方で回収などで得ました流動資産をもって、これは一部自助努力でございますけれども、母体行、一般行、系統からの借入資金を少なくするために三千億円投入をいたしました。結局、譲り受ける資産の価額としては一兆円減った、こういう変化がございました。
  45. 権藤恒夫

    権藤委員 七月二十一日ごろでございましたね、発足をされまして、そして十二月二十六日でございますから、わずか三カ月ぐらいの間に不良資産が、回収不能が一千億ふえている。それで、優良資産が一兆円ほど、まあ七千億ぐらいでしょう、返済をされたのは。  大蔵省、このスキームをつくるときに、十年ないし十五年かかって回収をするという計画のもとに策定されたと思うわけでございますけれども、法が施行されて会社が発足し、そこで改めて資産を確定したときに八千億近くの誤差が出るということは、スキームの作成そのものに問題があったんじゃないでしょうか。当局、御答弁願います。
  46. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  今、松田理事長の方から御紹介いただきましたようなことで、当初のスキームから若干数字が変わっておりますけれども、これは一件ごとに債権を精査しまして、それでいかなる資産を引き継ぐか、その価額はどうするかということを精査した結果でございます。したがいまして、その間にはいろいろ劣化したものもございますし、逆に有価証券で益が出たということでプラスの面もございました。差し引きございまして、これで確定するということでございます。  今委員のおっしゃいました、十年十五年かけて回収するというのはこれからでございまして、今申し上げましたような新しい形で確定しましたので、これから本格的に住宅金融債権管理機構が預金保険機構と一体となって回収に努めていただくということになっております。
  47. 権藤恒夫

    権藤委員 松田理事長にお伺いいたします。  私どもは、当初、これは貸し手、借り手責任、いわゆる法的措置をもってきちっとすべきである、そして責任を明確にしてやるべきであるということを主張しました。アメリカだってそうでございますし、今イタリアにおきましては通貨統合をあと数年の後に控えて、そしてリラを国際通貨にしていかなければならぬということでやっております。日本とちょっと状況が違うようでございます。そのためには、貸した人、借りた人、千五、六百人検挙をして、その中からかなりリラというものがECで評価されるようになっておるようでございます。  やはり、経済の混乱を防ぐ、金融を安定化させるためには、国民の理解を得るためには、そのような処置が必要であるということは論をまちません。けれども、それができませんでした。でありますが、今いろいろと報道されております、その債権の回収の段階で法的措置をとっておるという事犯、何件くらいございましょう。
  48. 松田昇

    ○松田参考人 お答えをいたします。  回収は、ことしに入りまして本格化をいたしております。したがいまして、具体的な数字は完全に把握し切れていないのでございますけれども、最も象徴的な事例としては、最大の不良借り手でありました末野興産に対しまして破産の申し立てを、法的処理を行いました。あれが最大のものでございます。  先生が先ほどおっしゃいましたような形で、不良借り手あるいは不良貸し手の刑事責任につきましても、ここのところ当機構と住専管理機構と一体となりまして刑事告発を続けております。おかげさまで、警察、検察御当局の捜査で検挙もされております。そういう状況にございます。
  49. 権藤恒夫

    権藤委員 具体的に件数は御報告しにくいと思いますので、これ以上お聞きしませんが、私が知っている範囲では、やはり債権の回収につきましては相手もあることでございますから、相手の方も自分の都合があって、やはり管財人がいらっしゃいます。そうなると、いずれにしても法廷で争っていかなければならぬということになると思うわけでございます。でありますから、なぜそういうふうになったかということを今改めて申し上げるつもりはございません。けれども、こういうような不透明な、また公平を欠くような、そういう政治手法というものがこの金融に不安を及ぼしておるのじゃないかというふうに私は思っております。  中坊社長のところで、あの豊田商事の債権を回収された方でございますから、それは全力を挙げて回収に努力なさることは決意のほどを伺っておるわけでございますが、理事長も専門家でございます。そのような法的措置によらなければならないというものが残っておる、そして、優良な債権というものは、あの法律が施行され、そして住専機構が発足する三カ月の間にほとんど回収をされている、そのような優良債権があるんだったら何で公的資金を投入しなければならなかったかという疑問がどうしても解けないわけでございます。過去のことですからこれ以上申し上げるつもりはございませんけれども、もう一つお伺いいたしますが、今後の見通しはどうでしょうか。
  50. 松田昇

    ○松田参考人 お答えいたします。  住専管理機構は、約十五年でもって大体四兆六千四百億円の不良債権を回収しなければいけないということになっております。処理計画というのがございまして、それを当機構も承認をして、今一体となってやっておりますけれども、当機構としては、第一線は住専管理機構がもちろん債権の回収を行うわけでございますけれども、当方といたしましては、全般的にその指導助言に当たりますとともに、別途、前国会でお与えいただきました特別調査権などの実動部隊を持っておりますので、その調査を通して、例えば末野興産の隠し資産、約一千百億円ぐらい発見、領置をいたしましたけれども、そういう隠し資産のあぶり出しなどにも全力を注ぎまして、一体となって、今後、容易ならざることではございますけれども全力を挙げて不良債権の象徴的な存在である住専債権の回収、処理に取り組みたい、このように思っております。
  51. 権藤恒夫

    権藤委員 それでは、理事長、それからきょうは私の方の手違いでおいでいただけませんでしたけれども、中坊社長、御活躍をお祈りします。  そこで、もう一つだけお伺いしたいことがございますが、政府は地価安定、こういうふうに今盛んに努力をしていらっしゃいます。住専買取機構ですか、そこで回収された債権、これはいずれにしても、中坊社長は不動産屋か何かになって、そして三井不動産と変わらないぐらいやるんだというふうにおっしゃっていましたが、なかなかいいアイデアだと思っておりますけれども、やはりこれは、回収をした金は国民に還元するということが大原則であるわけであります。そうなりますと、競売ということになろうかと思います。その見通しについて何かお考えがあればお聞かせ願いたい。と同時に——それだけで結構でございます。
  52. 松田昇

    ○松田参考人 先生御指摘のとおり、債権回収の要請の一つは、いかに担保不動産等を処分するか、あるいは自分が所有した物件をどのように管理、処分していくかという問題でございます。  一つのアイデアとして、賃貸化して賃料収入を得ようというアイデアが強力にございますし、それを進めたいと思いますけれども、同時に、その中で地価の動向などを勘案しながら、しかし、かつ国民の全体のためにやっている仕事でございますので、透明性、公明性を持った処分もしていかなければいけないな、こういうことでございます。  現在、ありがたいことに、当機構としては、政府四省庁等から成ります担保不動産等関係連絡協議会というのがございます。そこでいろいろ具体的な指導をいただいておりますし、当機構と、それから住専管理機構あるいは整理回収銀行との三者でも不動産協議会というのを持っております。順次研究、検討を重ねながら、公正で透明でかつ効率的な資産の回収に当たれる不動産の管理、処分、それを目指して現在努力をしているというところでございます。
  53. 権藤恒夫

    権藤委員 それで、まことに恐縮でございますけれども、回収実績の状況と、それから回収をどのようにしていくかという計画を策定されておると思いますが、その中で、損失といいますか見通しといいますか、そういう資料がもし提出できるようであればひとつ、住管機構の方と御相談いただいて結構でございますが、提出していただきたいと思います。  長時間ありがとうございました。  次に、大蔵大臣にお伺いいたします。  当委員会におきましても、景気は緩やかながら回復をしております、こういうふうにおっしゃっておりますが、景気が回復しているというその指標といいますか、何をもってそういうふうにおっしゃっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  54. 三塚博

    ○三塚国務大臣 月々発表されます経済月例報告、また産構審、また大蔵省独自に収集をいたしております経済指標等をベースに判断をいたしておるところであります。  総体的に見まして、設備投資は回復傾向にあることは事実でございます。住宅建設は駆け込みで、四月一日以降はないだろう、ダウンするだろうということでありますが、この動向も一定の水準を保ちながら動くということの実態になっております。最大の個人消費の問題でございますが、緩やかではありますが、八年度の動向、そして一・九というこの経済成長見通しの根底に実は外需はございませんで、一・九の経済見通しのすべてが内需であります。主たる個人消費がその中でどう動くかは大変大事なポイントでありますが、これも回復の動きを続けておる。テンポは緩やかでありますけれども、民需が下支えになるであろう。一点、雇用状況が厳しいのでございますが、これまた経済の見通しの堅調さを先取りをするということになりますでしょうか、そういう中で、改善の動きも見られますということで申し上げておるところでございます。  これからこれらのペースが、民間需要が軸となりまして、経済全体が、緩やかなスピードではございますが、経済界をリードをしていくのではないか、こういうことであります。
  55. 権藤恒夫

    権藤委員 これは国税庁が発表しました資料に基づくわけでありますが、大臣のお手元にあろうかと思います。平成九年度の統計から見た、法人が黒字であるか赤字法人であるかということが出ております。いかがでございましょう。
  56. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 突然のお尋ねでございますが、今ちょっと手元に資料がございませんので、後ほど調べまして御報告させていただきます。
  57. 権藤恒夫

    権藤委員 この国税庁が発表されました統計によりますと、昭和四十五年、利益法人が六九・八%、欠損法人が三〇・二%。それからかなり、昭和五十年ごろまで景気がずっと続いております。そうして、五十六年ごろからかなり厳しくなってまいりまして、一九九一年ごろから赤字法人がふえてきておるわけでございます。そうして、平成六年では、その割合でございますけれども、黒字法人が三一%、また欠損法人が六九%、これは平成六年であります。失礼しました。これは平成七年であります。これで景気がいいと言われますでしょうか。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  58. 三塚博

    ○三塚国務大臣 今そのデータ、そのうち出てくるでしょうが、トレンドとして申し上げられますことは、赤字法人割合が、権藤議員が言われます、七年度六四、今メモが入りまして、その前六二・七、こういうことで、トレンドはそのとおりであります。  しかしこれは、堅調な企業がおり、これを支えていくということの中の税収の高、当然赤字法人は法人税免除になりますので、税収の動向との総合判断で見ていくべきであろうと、数字はここにありませんけれども、瞬間的にただいまの御質問に対して申し上げられると思うのであります。  二・五という経済成長は、平成八年度見通しのとおり達成できるというこの事実がありますことが、底がたさを一つ証明するデータになったのではないでしょうか。
  59. 権藤恒夫

    権藤委員 ですから、今その法人の、欠損法人、利益法人を例に挙げて申し上げたわけでありますから、こういうことは、資料をもらったのですからちゃんとしておいた方がいいんじゃないですか。  それから、赤字法人がふえたという理由が一つあると思います。と申し上げますのは、こういう厳しいときでございますから、経済が堅調なときは赤字法人が公共事業に参入することは許されなかった。特に建設業はそうでございます。ところが、不良債権を抱えておるものですから、不良債権を抱え、早くそれを解消するためには、たとえ決算が赤字であったとしても、公共事業には参入してよろしいということが昨年中に通達されている。でありますから、粉飾をする必要はないようになりましたね。そういうことで、実態が解明されたということも事実じゃございませんか。どうですか。
  60. 三塚博

    ○三塚国務大臣 やはり現況の不備を改善をするということはプラスになることである、問題点は、それをクリアすることによって前進をするベースになるだろう、権藤議員提案の改善方策がそういう方向に働いたということでしょうかね。
  61. 権藤恒夫

    権藤委員 でしょうかねじゃなくて、私の方が聞いているんですよ。しゃんとしてください、しゃんと。(発言する者あり)それはもう技術の問題で、済みません、私が至らなかった。それは認めます。  それで、実は一般消費税の結果でございます。  これはやはり、公共料金の値上げですとか、あるいは減税が廃止されたということで、まあマクロで八兆八千二百億円の増になりますね。それをもとに、エコノミストの試算がございますが、四百万標準世帯、四百万所得のある人が年間に負担する増額分九万三千円、年収五百万の人で十二万二千円、六百万の人で十五万四千円、七百万の人で十八万程度の負担増になる、こういうふうに試算されております。  これは、こういうようなことで消費がふえる、消費が拡大する、こういうふうに思われますでしょうか。
  62. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 消費税の引き上げによりまして、私どもの年収七百万円の標準的な勤労者世帯の場合の試算によりますと、六・七万円の負担増になります。おっしゃるとおり、約七万円近い負担増になると見込まれるわけでございますけれども、ただ、御承知のとおり、平成七年度より先行して所得税、個人住民税の恒久減税を行っておりますが、これによります負担減額がほぼこれに見合うものというふうになっておるわけでございます。  こういうことで、もちろん消費税の導入時に、現在駆け込み消費等があるということで、その反動等があることは想定されるわけでございますけれども、その後、大臣から御答弁がありましたとおり、緩やかな回復軌道に入っていくものというふうに考えておるわけでございます。
  63. 権藤恒夫

    権藤委員 そのように試算をされておりまして、景気が回復すればまた消費も拡大できるでしょうけれども、やはり総理がおっしゃっておりますこのすべての大改革を実行していけば、かなり状況としては厳しいわけでございます。そんなに楽観するような状況にはございません。まあ実質成長率一・九ということを強調していらっしゃいますけれども、そう言わなければ予算の編成ができないわけでありますから、それは、大蔵大臣のおっしゃることは理屈の上ではそうだろうと思っておりますけれども、実際はもっと厳しいということが実態であります。設備投資がふえたか。具体的にどこがふえましたかというと、なかなかお答えも厳しい。私どもも把握することは非常に厳しゅうございます。そういう状況であるということは間違いございません。  それから、設備投資がふえ、そして雇用が拡大していくということでございますが、今の雇用状態はいかがでございましょうか。
  64. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 御指摘のとおり、雇用情勢には大変厳しいものがございます。  完全失業率が三・三%ということで、かなり高い水準にあるのも事実でございますが、一方、最近の有効求人倍率を見てみますと、十二月では〇・七六ということで、逐次改善の動きが見られる。こういうことで、総合的に判断いたしますと、大変厳しい状況にはあるものの、改善の動きが見られるというふうに判断しております。
  65. 権藤恒夫

    権藤委員 ここに統計が出ておりますけれども、やはりこれは大蔵大臣に聞くのは酷な話だと思うのですけれども、労働大臣はお呼びしておりませんので。  男子では、十五歳から二十四歳までの人が五・五%減であります。それから、三十五歳から四十四歳の人が、これも全体の二%の雇用減である。四十五歳—五十四歳の人も一・三%が減になっている。それから、女性では、三十五歳から四十四歳の人が二・五%やはり減になっている。四十五歳—五十四歳の人たちも一・八%減になっている。これは、このような状況の中で企業が、やはりコストを削減しなきゃいかぬということで大変リストラをしていきます。コストを削減しましてむだを省いてまいります。そして、後に残るものは、もう削減するものは人しかないのですというようなことがあらわれている結果だというふうに新聞には報道され、エコノミストもそのように指摘をしております。これは当然だろうと思います。  そこで、十五歳から二十四歳の人、こういう人たちは、中学を卒業して就職、あるいは高校を卒業して就職をした人たちだろうと思うわけであります。いろいろな事情があるにはあるでしょう、個別には。けれども、何らかの事情で働いていかなきゃならぬという人たち、そこに集中的にしわ寄せが来ている。三塚先生、官僚の人も立派な教育を受け、そして競争に勝ち抜いてきておられますけれども、こういうクラスの人たちが職を失っていくというような状況、おわかりになりますか。これは本当に苦労した人でないとわかりません。  きょうは日銀の総裁も来ていただいておりますから後でお尋ねしたいと思っておりますけれども、消費税なんというのは正札をたった一回書きかえればいいんだ、それは前後にもありますよ、前後には、いろいろとおっしゃっていますけれども、そういう人たちが本当に苦労して汗を流して働いている、わかっていないんじゃないですか。どっちを見て政治をやっているんだというふうに私は思います。でありますから、長々と申し上げるつもりはございませんけれども、本気になってこの大改革をやるならば、その受け皿をどうするか、ミスマッチをどうしていくか、そういうことにもっと心血を注いでやる必要があると私は思います。  私のふるさとであります大牟田の三池炭鉱が閉山をします。千二百人、下請も入れますと二千人近くおります。常用雇用の人たちそれなりに優遇されますけれども、下請企業の人たちは大変なんです。でありますから、三百十日分の退職金を上乗せしたり、あるいは関連企業に就職をさせたりということで努力なさっている。こういうことはわかり切っておるわけでありますから、計画が進んでわかっておるわけでありますから、やはり国もそういう人たちに対して、今まで近代国家を支えてきた、原動力になってきたそのエネルギー産業というものが産業構造の変化でこういうふうになっていくことは、これは国際競争力を失っているからやむを得ないとは思いますけれども、そういう技術を生かしてまた新たな産業を起こしていくということも私は国の責務だと思います。(発言する者あり)それは企業の責任だ、当たり前です。  というのは、あの新潟の石油を掘削をしたあの刃物というものは大変なもの、それを利用してあの燕、三条で洋食器をつくられたということもあります。八幡製鉄所も、溶鉱炉の火を消しましたときに、あの製鉄技術というものを生かして、そして自動車の鋼板というものをつくって、軽くて強いというものを開発してまいりました。SSKあたりも造船技術がございます。あの溶接技術を利用して、そして海中の溶接をやる、そういうような新しい分野での開拓というものが企業の努力によりなされておるわけであります。これから先もまた、太平洋炭鉱でありますとか、あるいはそういう基幹産業というものが構造転換していくわけでしょう。そのためには、莫大な資金を投入しているわけでありますから、それとあわせて国も新しい産業を開拓していく研究機関をつくって、そして、その情報を企業に提供するということも一つの方法だろうと思うわけであります。そういうこともひとつ考えて、国民あっての政治だということを、当たり前のことでありますけれども、もう一つ申し上げさせていただいておきます。  総理、何か感想がございましたら、お答えください。
  66. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私が通産大臣のとき、北海道で、炭鉱において同様の事態が発生をいたしました。そして、その閉山の後の対策に、地方自治体の知恵も、また、さまざまな工夫もいたしましたが、非常にその後の状況は厳しいものがございます。しかも、地域的に、その地域は炭鉱というもの以外にほとんど立つものがありませんでしただけに、今、スキー場開発等を考えながら非常に苦しい道を歩んでおります。議員の御指摘は、私はよく理解ができるつもりです。  私自身が社会人になりましたとき、綿紡績の会社に入りました。そして、私が会社に入った瞬間から日米の繊維問題が発生をいたしました。そして、会社を去りまして数年後、その会社は消えました。そういう意味で、私自身も厳しかった状況を今、思い起こしながら伺っております。  国の研究機関、例えば現在通産省関係だけでも筑波にございますさまざまな研究機関、さまざまな種というものは存在をいたしておりますが、先ほど議員は雇用の面でのミスマッチを突かれましたけれども、技術の面のミスマッチというものもあると思っております。そして、研究機関と民間との交流の場をできるだけふやしたい、通産大臣在任中にも工夫をいたしましたり、ポスドク対策の中で民間、経済界、官の研究機関の交流というものも工夫をしてまいりましたが、そうした努力を一層重ねてまいりたい、今そのように御意見を伺いながら考えておりました。
  67. 権藤恒夫

    権藤委員 それでは、日銀総裁にお伺いいたします。  この前、この前というよりも過日、講演をされておりますが、その中で、今金融機関の不良債権の額は約二十九兆円でしょう、その中でいろいろと引き当てその他を考慮すれば大体七兆ぐらいじゃないのかということが講演の中でございました。実態はいかがでございましょうか。
  68. 松下康雄

    ○松下参考人 御指摘の講演におきまして、私が申し上げました数字は今の御指摘のとおりでございます。  この数字は、実は大蔵省当局の御発表の数字を引用させていただいたものでございまして、その際、この数字を引用しながら私が申し上げたかったことは、各銀行がそれぞれ非常にリストラの努力をし、不良債権を早期に処理をするという努力を重ねられました結果、その要処理の不良債権の金額というものがこの一年間で約十兆円の減少をしておる、そのように着実な努力の跡が見られるということを申し上げたわけでございます。
  69. 権藤恒夫

    権藤委員 日本銀行が今引き受けていらっしゃいます金融債はどのくらいあるでしょうか。
  70. 松下康雄

    ○松下参考人 日本銀行といたしましては、金融債の引き受けを行っておりませんので、それは買っておりません。
  71. 権藤恒夫

    権藤委員 それでは、今全銀連の一年の純益はどのくらいございますか。おわかりでしょうか、わからなければわからないで結構です。
  72. 松下康雄

    ○松下参考人 銀行の年間純益の計数につきましては、手元に数字がございませんので申し上げられませんが、業務純益そのものの金額はかなりの水準のところに参っております。
  73. 山口公生

    ○山口政府委員 補足して御説明させていただきます。  全国銀行の合計で業務純益、八年の九月期、これは半期でございます、これで約三兆円ございます。
  74. 権藤恒夫

    権藤委員 なぜこういうことを申し上げておるかと申し上げますと、総裁の講演の中で、大蔵省が発表したのによりますと今不良債権は二十九兆ぐらいだろう、そして引き当てその他を考えれば二十二兆はあるはずだ、そうすると残り七兆ぐらいだから、この不良債権の解消はもうすぐ前に来ている、であるから、全文申し上げますと長うございますから関連して申し上げるわけでありますけれども、消費税を仮に二%引き上げたとしても、それは一回正札を書きかえるだけでいいんだ、そんな混乱は起こらない、こういうような発言であります。そういうことをおっしゃっているんじゃないですか。引当金あるいは不良債権の残りが幾らあるか、だからどのくらいすればどうだという、今申し上げたことをおっしゃった事実はございませんか。
  75. 松下康雄

    ○松下参考人 私が講演の中で消費税について触れましたのは、ただいまの御指摘の金融機関の不良債権の処理の問題とは全く別のものとして申し上げたわけでございます。  ただいま正札云々のお話を御指摘でございますけれども、私がそのとき申し上げたかったのは、中央銀行といたしまして通貨政策を通じながら物価の安定を図っていくという立場から見まして、消費税引き上げは即物価のある程度の上昇につながるわけでございますから、これをどう対処するようにこの問題を見ていくかというお話をいたしたわけでございます。  そこで、私が申し上げましたのは、一般の物価の上昇、例えば需給が逼迫して物価が上昇するとか、あるいはマネーサプライが非常にふえ過ぎて資金がだぶつきますために物価が上昇するといったような場合には、物価上昇の影響は次から次へと相乗作用がございまして継続的にあらわれてまいりますけれども、税制の改正によって行われる物価の上昇は、それは税の負担の上乗せによって一回物価の上昇がございますというと、その次に続いて、これが引き続いて相乗作用を持つという性質のものではございませんので、その点では通貨当局としての見方に違いがございます。  ただ、通貨当局としましては、その際に、物価の上昇は一回限りのものといたしましても、仮にそれが便乗値上げでありますとかその他の理由から増幅をするというようなことがあっては問題なので、その点を見ておくべきでございますと申し上げまして、そのとき、一回限りということをなるべくわかりやすく御説明をしたいと思いましたので、正札云々と申したわけでございます。
  76. 権藤恒夫

    権藤委員 私もそう思っております。だけれども、やはり消費税を払っていく国民の側からそのところだけ見れば、ああ、そのくらいのことしか考えていないのかという誤解を生むということについて、もっと御発言には注意された方がいいのじゃないか。というのは、総裁の発言というのは、それによって経済が動くわけでありますから。よくもなれば悪くもなるでしょう。だから今までずっと口先介入してきたわけでありますから。口先だけでも動いてきたわけでありますから。そういうことを指摘しておきたいと思う次第でございます。  それから、大蔵省にお聞きします。  兵庫銀行、阪和銀行の業務停止、兵庫銀行は終わり。この兵庫銀行の破綻前の不良債権の額と破綻後の不良債権の額はいかがでございましょうか。
  77. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  兵庫銀行のお尋ねでございました。  破綻先債権の破綻直前期の七年三月期の計数を申し上げますと、六百九億円でございました。破綻時における公表の不良債権額は、一兆五千でございます。うち、損失額が七千九百ということでございます。  兵庫銀行だけでよろしゅうございますか。
  78. 権藤恒夫

    権藤委員 結構です。  細かく聞いてまいりますと、また金融不安を起こすんじゃないかというふうにまたいろいろと誤解を招きますのでそれ以上申し上げませんが、私が言いたいことは、やはり開示をしなさい、本当のことを言いなさい。ディスクロージャーというのが全くなされていないから、金融界に対する不信が結果として今日の経済混乱を招いていると言っても過言じゃないのでしょう。そうだと私は思っております。でありますから、もう大蔵省もいいかげんに銀行あたりに行って決算の事前承認を認めますとか認めませんとかというようなことはやめて、そして本当に自己努力をさせていかなければ、またそのツケが全部国民に回ってくるということであります。  あの不良債権の買取機構だってそうじゃないですか。無税で償却しなさいと言う。暴落したものを無税とすれば、持っておくに決まっているじゃありませんか。それが、地価の値上がりを待った、だけれどもだんだん下がっていくから何とかしなきゃならぬということで、今一生懸命にやっている。六〇%か六五%しか見ていない。そうして、時価と簿価の差がありますから、その損益分については、これは無税で決する。最低の金利、百万預けて二千円しか今利息がない。年金者なんか泣いているじゃありませんか。我々だってそうです。そういうような優遇措置をとりながら、なおかつそういうことをやっている。  そうして大蔵省も、破綻前の額は六百億でございます。実際やってみたら、それの十四倍も十五倍もあるじゃありませんか。だましているじゃありませんか。そういうような、その事実を隠しているところに国民の皆さん方が金融不安を感ずるし、だからだんだん株を買う人が少なくなってくるということにつながっていると私は思っております。だから、何回も何回も政府は、透明性が大事だ、あるいは公平でいかなければいかぬ、こうおっしゃるけれども、そのようなことばかりやってだれが信用しますかというふうに思います。これについては答弁は要りません。  それから、山崎政調会長の発言について、時間がありませんから、日本開発銀行と日本債券信用銀行と合併したらどうかという話がありますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  79. 小里貞利

    ○小里委員長代理 時間が参っておりますから、簡潔に。
  80. 三塚博

    ○三塚国務大臣 山崎政調会長の言は言でありまして、私ども、行政改革の基本に沿い、特に特殊法人の見直し、これが緊急の課題に相なっておるわけでありますから、三党の方針を踏まえながら、内閣内閣として、首相のもとに行政改革の基本点を着実に、誠実に取り組む、こういうことであります。
  81. 権藤恒夫

    権藤委員 債券銀行とそれから開発銀行、法律を改正しなければならないようなことを合併をやる、どだい認識の欠如じゃないですか。だれかが言わせているんじゃないですか、これは。  もし、債券銀行は、言われるようなことであるならば、長銀もありますしあるいは日興だってありますし、そういう同じようなところが合併するのが筋じゃございませんか。今まで大蔵省は、護送船団方式だと言って、それで合併や併合ややってまいりました。それは橋本総理の今の経済改革に反するということでやめております。してはならぬわけでありますけれども、もし仮にどこかを救済するとするならば、そのような方法が私は妥当だと思います。いかがでございますか。
  82. 小里貞利

    ○小里委員長代理 簡潔にお願いいたします。時間が参っております。
  83. 三塚博

    ○三塚国務大臣 お答えしますが、今、固有名詞の銀行を、まあ債券銀行というのは日債銀のことなのでしょう、言わんとするところは。日債銀については、それぞれ報告を受けておりますが、リストラをやり、不良債権の回収をやり、全力を尽くしておるわけであります。いささかも根底に揺るぎはないと私は見ております。
  84. 権藤恒夫

    権藤委員 同僚議員の時間を五分ほどちょうだいしまして、もう一つだけ。  大蔵大臣がおっしゃるとおりでございます。  それで、これは昨年の十月ごろでございます。 もう大臣もお聞きと思いますが、前ニューヨーク連銀の総裁であられましたコリガンさんのお話があります。金融を安定化するためにはどうしたらいいか、そういうお話なのですけれども日本の金融システムについて、ずばりこのように言っております。  一つは、貸倒引当が過小である。これは、先ほど申し上げましたように、利益の減少につながるということが問題であってそのようにしたと思います。二番目には、過小の原因は、情報公開がおくれておるから、十分ではないからそのようなことがまかり通るのである、それを改めなさい。三番目には、銀行がみずから金融を安定させたいと思うならば、自己資本をきっちり積みなさい、その自助努力がないと、幾ら財政やあるいは周囲の好意的な発言があったとしても、それは口先だけであって実質的な改善はなされないでしょう、こういうふうに言われている。  そういう中でやはり、先ほども、重ねて申し上げますけれども、決算の事前承認というものは大蔵省がやめました。でありますから、もし公認会計士がそれに判を打つようなことになりますと、粉飾決算ということになっていく重大な問題であります。そこで今、不良債権をどうするかということが重大な課題になっておるわけであります。そういうようなこともおっしゃっております。  したがいまして、これから先大変な時代が来る、こう覚悟を決めて、すべての問題については、それは公開できないものもございます、外交だとかいろいろなものがあると思います。けれども、やはり情報を公開する、そして透明度を明らかにして、そしてこういうふうに運営されているんだということで信用を挽回していかなければなりません。  それで、この前、エコノミストの三国協議というのがあっておりました、三元放送で。そのときに、アジアにおける日本の円というものは国際通貨として通用したいということを日本のエコノミストが言っておりました。それに対してタイの人が、個人的な意見だと言いながら、条件がありますと。私たち日本の円は持っております。けれども日本に投資するためには、情報の公開がなされておらない、だからそういう危険なところには今投資できない。だから、日本が自分の国だけでやっていこうとするならばそれで結構でしょうけれども国際社会の中でやっていくのだったらやはり国際水準に合わせていきなさい、こういうふうなことを言っておりましたが、当たり前のことでございます。  私は金融の専門家ではございませんから、いろいろと勉強した範囲で今お尋ねしましたけれども、やはりこういうような、政府やあるいは特定の、特に大蔵省の国際金融局あたりが、変な会社を外国につくって、そうして黒目の外国人ががぼがぼ買いまくっているというようなことを言われないように、これから先は明確に情報を公開しながら再建に当たってもらいたいということを要望し、じゃ、答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  85. 三塚博

    ○三塚国務大臣 御指摘の点は、銀行、金融経営の基本であります。ビッグバンを目指す金融システム改革でありますが、その基本にしっかりと踏まえて取り組んでまいります。
  86. 権藤恒夫

    権藤委員 ありがとうございました。
  87. 小里貞利

    ○小里委員長代理 これにて権藤さんの質疑は終了いたしました。  次に、二階俊博君。発言を許可いたします。
  88. 二階俊博

    ○二階委員 最初に、行政改革と地方分権についてお尋ねをいたします。  このことは既に橋本内閣の目玉の一つであり、総理自身が相当な決意を持って取り組んでおられます。行政改革を断行する上で、地方分権は極めて重要なウエートを持つ課題だと考えております。ことしは地方自治法施行五十周年に当たる年でもあります。  まず、自治大臣にお尋ねしますが、地方分権については地方分権推進委員会の第一次勧告が出されておるところでありますが、地方分権の定義と、地方分権にどのようなことを期待しているのか、将来どのような姿を描いておられるのか、まずお示しを願いたいと思います。
  89. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 二階委員のお尋ねでございますが、私は、正直申しまして地方自治というようなことについて深い造詣があるわけではありませんので、お答えできるかどうかわかりませんが、おか目八日ということもありますので、今、地方分権という問題を取り巻く問題について、せっかくのお尋ねでございますので、多分、後の質問、私のところも過疎地、その他いっぱいありますので申し上げます。  地方分権という言葉は、多分、中央集権との関係で出てきた言葉なのではないかなと思います。余りにも中央集権化して、もちろんそれは明治以来百三十年間に大きな成果を上げたわけでございます。まず第一に、我が国の独立を守ったというのが明治維新の方々の大きなやはり功績だろうと思います。そして、戦争を起こしたのは逆に中央集権かもわかりませんが、しかし、ゼロから、廃墟からの出発は、紛れもなく中央集権の強いリーダーシップのもとで私は戦後の復興は行えたと思っております。  しかし、百三十年中央集権ということでやってきて、いい面も多く出てきたけれども、一方では、明らかに中央集権のマイナスの面も出てきた。そして、日本を本当に、もう一回豊かな、そして個性のある、そして本当の意味で強い国にするためには、もう一回それぞれの地方が力を持ち、底上げをする必要があるという中で、自治関係者が長い間もともと要求してきたものでありますが、中央集権というものの中で考えてきた人たちも中央集権というものの限界を見て、これからはもう一回地方分権の時代が来た、こういう流れなのではないのかな。そして、時たまたま行政改革というものもしなきゃならないという中で、官から民へということと、中央から地方へと橋本総理がキーワードを出したわけでございますが、それとも合致する。  こういう中で、私は、ことしの夏までに出される最終答申の中で、二十一世紀に向けた地方自治のありようについては少なくともきちんとしたコンセプトが出され、そして、二、三年はかかるかと思いますが、それに向けてのしっかりとした法的整備、財政的な整備をして、少なくとも二十一世紀の前半は地方中心の時代をつくっていくというのが全体として今国民的なコンセンサスになりつつあるんじゃないだろうか、このように私は承知をいたしております。
  90. 二階俊博

    ○二階委員 総理にお尋ねをいたします。  先ほど申し上げましたとおり、ことしは地方自治法施行五十周年に当たるわけでありますが、総理自身は、今後、地方自治のあり方、国土の均衡ある発展と過疎過密の問題等についてどのような問題意識を持っておられるか、お答えを願いたいと思います。
  91. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、委員のお尋ねにお答えをするとすれば、第二次世界大戦後の主として五十年。しかし、それ以前の日本の行政というものが、今自治大臣からもお答えをしておりましたように、中央集権の形ですべての仕事が進んできた。そして、しかし、その時代において、実は内務省という役所は相当な権限を持ち、その範囲内における地方の独自性の発揮というものは、第二次世界大戦前の日本というのは比較的うまくいっていた時期があるんじゃないだろうか、私はそんな思いが一片でいたします。  ところが、その後、敗戦後の荒廃の中から立ち上がっていくプロセスにおいて、まさにそれが、資金的にも資材の面でもさまざまな点での制約がある中でありましたから、まさに中央集権という手法の中で国土の再編整備が行われてきた。結果として、大変立派になった日本といいながら、気がついてみますと国土軸が一本、太平洋ベルト地帯と言われる状況にある、あるいは東京一極集中と言われる現象が生じる。そして、それに気づきながら、対応策を考える視点もまた中央の権限の中での発想でありましたから、今日までの間に、 ある場合は過密の解消、ある意味では過疎の解消、いろいろなアイデアが出されてきましたけれども、結果的には必ずしもバランスのとれた国土づくりができなかった。  私が地方分権というものを考え始めたきっかけは、むしろその過密と過疎の解消というものをどうするかという思いでありました。こんなお話を申し上げて恐縮でありますけれども、私の郷里は岡山県でありますが、その岡山県でも、これは備前、備中、美作という昔の国々の集まりでありますが、その中においてもまた地域格差が生じた。そして、さまざまな工夫はいたしましたけれども、必ずしもそれが問題の改善につながってはいないというまず反省がございます。そうすると、むしろ国が抱えている権限、その中でできるだけ多くの部分を地方にお渡しをし、地方自身がみずからの地域社会における青写真を描くことができたらどう変わるだろう、私自身の発想のもとはそんなところからでありました。  そして、今現実に地方分権推進委が第一次の勧告の中で、長い間の論争の、国と地方という関係の中の論争点でありました機関委任事務の廃止という大きな方向づけを打ち出されました。そして、既に具体的な内容も一部ちょうだいをしております。これは、私は非常に大きな分権委からの勧告であると思いますし、その勧告を現実のものとすべく、既に私どもは準備に入り、事務を進めております。そして、地方分権推進計画にこれはきちんと位置づけていきますけれども、前倒せるものはできるだけ前倒していきたい、一方ではそうした指示も行っております。言いかえるなら、分権を進めることによって、それぞれの地域社会がみずからの地域における青写真をみずからの責任において描ける、これが一番大切なことではなかろうか、私はそう考えてまいりました。
  92. 二階俊博

    ○二階委員 現在、過疎の市町村の数は、御承知のとおり千二百八市町村、全国の市町村の数は三千二百三十二、このうち過疎地の面積は十八万平方キロメートルであり、我が国全体の四七・七%、早く言えば、日本の国の約半分の面積を過疎市町村が占めていることは御案内のとおりであります。過疎の市町村の数は、十年前千百五十八でした。五年前千百六十六でした。現在もほとんど変わらない、まだふえておるわけであります。もちろん、国、特に国土庁や自治省を初め、過疎地域活性化特別措置法を議員立法でつくり、それぞれ御努力をされていること、さらに、これらの地域を抱える都道府県、また関係の市町村においては涙ぐましいような努力を続けておられることも、私も承知をいたしております。  そこで、担当大臣であります国土庁長官に、今後の過疎対策と今言われております地方分権、今総理からお答えがございましたので、ごく簡単で結構ですが、御答弁を願いたいと思います。
  93. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 過疎と過密をどう解消するかというのは、歴代の内閣の極めて重要なテーマでございました。池田内閣の時代から、地方に産業を持っていこう、それをさらに大規模にしていこう、若者たちが定着をするためには、そこには文化がなければだめだ、いろいろな定住圏構想であるとかあるいは田園都市構想であるとか、もちろん、その中にはあの大きな列島改造もございました。昨今ではふるさと創生、そうしたことを経過してまいりましたが、今委員御指摘のように、依然として三千二百三十二市町村のうち千二百八市町村は過疎の地域です。  実は、最近国土庁が、間もなく夏前を目途にしてポスト四全総、我々は五全総と言わずに、新しい二十一世紀のある意味では夢とロマンをかけた日本の魅力のある国土構造の転換を図る、そういう意味で、新しい全国総合開発計画を策定中であります。私は今、私たちのこの小さな日本列島でありますが、さまざまな地域があります。離島、半島あるいは豪雪地帯、特殊土壌地帯、そうしたいろいろな地域にそれぞれの、これまで議員立法でいろいろな御努力をいただいてきたわけですが、国が余り財政上一つ一つ細かくしないで地域に、今総理や自治大臣からも御発言がありましたように、もっと個性的でそして独創的な地域の町や村をつくる、そういう意味では、やはり財政、予算というものをもっと自由にそれぞれの地域が使える、そういう仕組みも必要なのではないか。これは議員立法で、それぞれがそれぞれの歴史を経てきたことでありますから、我々がその法案一つ一つに対してということではなくて、国政全体として、そうした大きな国土行政の見直しのときに財政もそれに見合った転換をしていかなければならないのではないか、そういう認識でこれからも国土庁としては取り組んでまいりたいと思っております。
  94. 二階俊博

    ○二階委員 国土庁長官の意欲のある御答弁でございましたが、何せ日本の国内において七百八十万人の人口を持っておる過疎地でありますが、これがまた全体の人口からしますと六・二%、わずか六%で国土面積の半分を占めておるというところに大きな問題があるわけであります。  私は、残念ながら、今日までの過疎対策を今後十年二十年仮に続けたとしましても、過疎市町村が幾つ卒業して過疎脱却の宣言をすることができるか。この問題をこのままにしておいて地方分権等をどうして進められるのか。国土の均衡ある発展、これはもういつも白書などにも書かれておりますし、国是のように言われてまいりましたが、これがどうして均衡ある発展の姿なのだろうか、まず国土庁長官に承りたいと思います。  あわせて、先ほどから総理からもお話があり、それぞれ御答弁がございましたが、地方分権推進委員会の第一次勧告が出されました。この中で、分権の論議の対象は人口五万人以上の都市だということを、昨年暮れ、地方分権推進委員会の第一次勧告を発表した際に諸井委員長が述べられたと言われる。二月九日の朝日新聞には、分権推進委員の過疎地切り捨てが見え隠れする、弱い財政に配慮の姿勢見えず、格差是正は撤退、こう書かれておるわけであります。新聞の評価はともかくとしまして、この勧告の中に、過疎地ということに対して目につくところは三十六ページに一カ所、「地域交通」ということの欄に記述されておるわけであります。これは地方公共団体がバスの事業の許可を求める際にこれをスムーズにやるようにしようということでありますが、これは全く過疎の問題とは現実離れをした意見であります。  時間がありませんから多くを述べませんが、過疎の市町村がバスの事業の許可を申請してくるというようなことなんかほとんど考えられないわけであります。分権論に期待をかけております地方はこれでは助からない。この点につきまして国土庁長官の御答弁をお願いしたいと思います。
  95. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 過疎と過密を解消していくためにはいろいろな考え方があると思いますが、私たち、私自身は個人的に申し上げると東京にいるわけですから、なぜ東京にみんなが集まるか、いろいろな理由があると思いますが、やはりそこにはさまざまなビジネスチャンスがある。しかし、最近私どもは新しい国土行政を進める中で、余り過疎地域と言わないで多自然居住地域と。人々は都市にそうしたチャンスを求めますけれども、やはり豊かな自然の中にどう共生して生きていくか。時代が変わってそうした人々の暮らしにも変化が出てきているわけでありまして、そうした多自然居住地域にも人々が魅力を持って住めるような、そのためには今御指摘をいろいろいただいておりますようなアクセスの問題あるいは職場の問題、若者たちの文化の問題、そうしたことを総合的に考えていかなければならないと思っております。  少し数字で申し上げて恐縮でありますが、平成七年の国勢調査によりますと、平成二年から五年間の過疎地域の市町村の人口減少率は四・七%、その前の五年間の減少率五・八%に比べて若干小さくなっております。平成二年から五年間でいわゆる人口が増加をした市町村も百十市町村ございます。その反面では、人口減少率五%以上の団体が五百九十六となっているわけでありまして、人口の減少率は鈍化してきているわけでありますけれども、高齢化の進行あるいは若者たちの流出など、そうした状況が見られるわけでありまして、 冒頭申し上げましたように、魅力のある自立的な地方都市をどうつくっていくかということが大きな課題だというふうに思っております。  そのためには、若い世代の人たちにも魅力のあるような、地域に対して、先ほど申し上げましたけれども、余り国が一つ一つ細かく地方の財政についていろいろ指定をするというよりは、財源をできる限り地方に自由に任せる、そういう仕組みに転換をしていく必要がある。そのためには、先ほど申し上げたようなさまざまな議員立法もございますので、私たちは今後できる限り調整費などそうした方向で、予算編成でもそうしたことに、新しい時代に向かっていかなければならないのではないか、そういう認識で取り組んでまいりたいと思っております。
  96. 二階俊博

    ○二階委員 ちょっと私の質問とは答弁がずれておるわけでございますが、私がお尋ねしたいのは、第一次勧告を発表された際に、分権の論議の対象は人口五万人以上の都市だということになると、あとは切り捨てになるわけですね。それでは、今分権分権あるいは行政改革を言っている際に、国を挙げて協力する、すべての国民が協力するという体制でなくてはならない際に、そういうものを委員長の権限で排除しておるということに対して指摘をしておきたいと思います。  なお、この地方分権推進委員会の第一次勧告でありますが、今、いろいろな新しい名称で、過疎と言わないでいこうなんというお話がございましたが、呼び方は何でもいいんです。呼び方は何でもいいんですが、これだけの書類の中でただ一行だけ、今申し上げたバスの認可をどうしようか、こういうことを言う人たちに任せておいて地方分権推進委員会からこの次立派な答申が来るかどうかということが不安になってきました。  私は、この委員の皆さんには失礼でございますが、過疎の問題なんかほとんど知っておる人はいないのじゃないかと思うのですが、このことにつきましても今後十分御配慮をいただくようにお願いして、次に進ませていただきたいと思います。  農林水産大臣にお尋ねしたいと思います。  過疎問題というのは、一つは農業にもありますし、森林にございます。そして、水産もまたしかりであります。これらの問題につきまして、今後農林水産大臣としてどのような方針で取り組まれるか、平成九年度の予算等につきましてもお示しをいただきたいと思います。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 先ほどから御指摘のように、過疎地域は全体で約五割、また国土保全であるとか自然環境の保全、これに大きな役割を果たしておりますし、御指摘がございました過密過疎の関係、また都市と農村の関係、非常に政治上大きな問題も抱えております。  私は個人的に、国民の皆さん方が生活する場所が仮に異なりましても、行政から受けるサービスというのは同じでなきゃならぬ、これが政治の基本的な責任であるというふうに思っておりまして、そういう点では、過疎問題に非常に御熱心に取り組んでおられる委員につきましては、これからもひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  それで、先ほどの御指摘の問題につきましては、この過疎地域の活性化のために、農林水産省としては農林水産事業の振興を基本として、そして関係省庁と、建設省であるとか、文部省であるとか、厚生省であるとか、郵政省であるとか、こういう省庁と連携を図りながら、いろいろな施策を今まで推進してきた、こういうことでございます。  平成九年度のことにつきましては、特に新しい制度といたしまして、農業、林業、水産業、この事業がばらばらである、こういう御批判もあったわけでございまして、これらの三つの事業のうちで二つ以上の事業を一体にして、美しい活力のある村づくりを図っていこう、これを全国五十カ所指定をするということで新しくスタートをいたすことにいたしました。これは五年間続くわけでございまして、大いに我々としては期待をいたしております。  それから、やはり都市と過疎地域との関係、一番大事なことはアクセスだと思うわけでございまして、道路の関係整備は進めていかなければならぬと考えております。  それから三番目には、やはり過疎地域の生活環境の整備ということが非常に大事でございますので、集落排水事業であるとか、それから上水道の問題であるとか、そういう点についてもこれから平成九年度の予算で力を入れていく、こういうことを考えておるわけでございまして、これからも懸命に努力をいたしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  98. 二階俊博

    ○二階委員 郵政大臣にお尋ねをいたします。  携帯電話二千万台、自動車電話は二十万台と言われているときでありますが、過疎地がこれらの通信文明から疎外されていいわけではありません。移動通信が可能になるように、今日までも郵政省でも御努力をいただいておりますが、一層この方向で進んでいただきたい。  山村や漁村の若者たちも、どんな山奥でも海辺でも、みんなそうした新しい通信技術の開発に伴った利益をお互いに共有しようという希望を持っております。大臣の見解を伺いたいと思います。
  99. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま移動通信電話の問題でお尋ねいただきましたが、実は私も昨年の八月、和歌山県をプライベート旅行いたしました。携帯電話を持っていきましたが、ほとんど使えずに、ちょうど勝浦町に一晩泊まったところでありましたが、我が宮崎県とほとんど変わらない山村だなということを痛切に感じました。  調べてみますと、二階委員の選挙区は和歌山県の七割が選挙区ということでありますから、本当に……(二階委員「七割五分」と呼ぶ)七割五分ですか、大変な、これは宮崎県以上の山村だ、こういうように痛切に感じます。  今御指摘のように、携帯電話は爆発的な普及をしてまいりましたが、せっかく持っていった電話も使えないようなぐらいで、この点は私どもも痛切に、山村がやはり有効な通信サービスを受けられるようにということで、郵政省としては平成三年度からこの中継基地の建設について補助事業を実施いたしておるところであります。平成八年度末で大体百十カ所ぐらい、わずかでありますが、整備が終わる予定であります。幸い平成九年度におきましては、財政当局も非常に理解を示していただきまして、ちょうど昨年の倍の予算を認めていただきました。したがって、今まで百十カ所かかったのが、来年度はこの予算が認めていただければ五十カ所以上になるんじゃないか、こういうように思っております。  今、この携帯電話が利用できない市町村が、先ほどからいろいろ過疎地の問題が出ましたが、約二〇%、六百四、五十町村がこの携帯電話が利用できないというような状況でございます。したがって、郵政省としては約一〇%、二〇〇〇年までに半分に減らすということを目標に今努力をいたしておるところであります。
  100. 二階俊博

    ○二階委員 堀之内大臣、わざわざ南紀の方までお見えいただきまして、ありがとうございます。今御答弁の中にもございましたが、私はもうここまで進んできたわけですから、もう一息頑張って、二十一世紀の到来まで、日本のあらゆる地域でこのことが完成できるように、そう大した予算が必要なわけではないわけですから、そのことを心からお願いをしておきたいと思います。  次に、道路局長にお尋ねをします。  さきの国幹審におきまして、基本計画区間、整備計画区間、それぞれ格上げが決定されました。この整備計画区間が供用開始に至るまで、事業費でどの程度、工事期間として何年ぐらい必要とされるか、基本計画についても同じように、大体で結構でございますから、御方針をお示し願いたいと思います。
  101. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃられたように、昨年末に第三十回の国幹審が開かれまして、高速自動車国道の計画 的な整備を図るといった観点から、新たに整備計画区間につきましては三十六区間、九百八十二キロが議決されたところでございます。  整備計画区間の事業費につきましては、八兆六千億を見込んでいるところでございます。  この整備計画の決定から供用までに要する期間でございますが、これもその時期時期の情勢等にいろいろなことがございますが、事業だけのことを考えますと、その事業の地元におきます調整状況とか、それから用地買収等地元の御協力の度合いによりまして変わってきますが、近年の実績といたしましては、整備計画決定から施行命令までがおおむね二、三年、それから施行命令から供用までの期間がおおむね十年から十二年程度を要しているようでございます。  それから、新たな基本計画区間でございますが、これも二十五区間、八百八十六キロが議決されたところでございます。  この基本計画区間は、御存じのように、整備計画に至るまでのその前の段階の基本計画でございますので、この基本計画が出た区間につきましては、整備計画を早く出せるよう、事業の投資効果とか、それからルートもまだ決まっておりませんので、ルートとか構造に関する調査とか環境に対する調査といったことを進めておきまして、早く整備計画を出し、さらに現在、二十一世紀初頭までに整備を進めるといったことで、なるべく早くということで進めているところでございます。
  102. 二階俊博

    ○二階委員 大蔵大臣もこの国幹審の有力なメンバーであり、もちろん橋本総理が会長でありますが、今、それぞれ整備計画、基本計画をこの国幹審でお決めになったわけでありますが、ただいまの建設省当局の御答弁について、大蔵大臣としての見解といいますか、所感をお願いしたいと思います。
  103. 三塚博

    ○三塚国務大臣 国幹審で決定になりました整備、基本計画、そのとおりであります。同時に、政府財政方針といたしまして、平成九年度予算編成に当たりましては、めり張りをつけたわけであります。経済だけではなく、地域のために、また国民生活の上からとりまして重要な公共事業とはと、こういう点でこれは橋本首相からの指示で、高規格道路についてはその収益性も勘案をしながら重点的に取り急ぐべきである、こういうことに相なっております。  今後、所要の調査が行われた後、施行命令についての検討が行われ、順次整備が図られるものと、ただいまの発言のとおりであります。厳しい財政事情ではございますが、適正な料金水準のもとで採算性が確保できるよう、引き続き必要な検討をしていかなければならぬと思っております。
  104. 二階俊博

    ○二階委員 何も国が打ち出の小づちを持っておるというふうな感じは当然国民もないわけでありまして、利用者負担を導入して行う有料道路制度というのはすばらしい発想だと思っております。今日まで日本経済を支えてきた、発展に果たした役割というのは、私は今日までの関係者の御努力を高く評価したいと思います。  財政が四苦八苦しているところへ、先般、今大蔵大臣からも御答弁がありましたように、国幹審で新たな整備計画、新たな基本計画が策定されたわけであります。建設省はまた、財政困難の折だけに大変御苦労が多いわけでありますが、私は国土の均衡ある発展やあるいは過疎対策にも思いをはせるときに、高速道路は極めて有効な手段であるというように考えております。しかし、今料金を上げることもなかなか難しい。公共投資基本計画を実質減額の方針を政府は固められたようでありますが、しかしこうした計画は先へ進めなくてはならない。今大蔵大臣の御答弁にもありましたとおりであります。  私は、この際、建設を急ぐ路線については地元が建設費の二割ぐらい負担する道を開いてはいかがかと思っております。二割というと、ちょうど用地費相当額であろうと思います。有料道路制度ができて今日まで二十年も三十年も待っていた地域が、今道路局長の御答弁によりますと、十五年か、どう考えても二十年近くかかるのではないかというふうなことでありますが、今から二十年待てというのじゃなくて、もう二十年、三十年前から待っておるわけですから、これでは私は政治にはならぬのじゃないかというふうに考えるわけであります。やや気の遠くなるような話をお伺いしているような気がしてなりません。  ここで何らか知恵を出す必要がある。私は、今申し上げたように、建設を急ぐ路線については特急料金をちょうだいする。せめて用地費だけは地元で準備する。先に高速道路ができたところは地元負担なんかなかったではないかという議論も当然あるでしょうが、私は、そんなぐずぐずしたことを言っておっても二十年も三十年も先になる。今まで二十年も三十年も待ってきた。この問題の解決の方法を見出さなければ、財政がどうだとか交通量がどうだとかという理屈を並べただけで国民は納得しない、地域住民は少なくとも納得しない。このことに対して、道路局長の御答弁をお願いします。
  105. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 高速道路の整備につきましては、二十一世紀初頭までに一万一千五百二十キロといったことを目指して進めておりますが、現在六千キロをちょっと超えたところでございます。整備状況はまだ道半ばといったところでございまして、そういったことで高速道路の整備はもともと国みずからが整備するといった観点から行ってきておりますが、これまでも地元の地方公共団体におかれまして、インターチェンジの取りつけ道路、それから工事用道路とか、それから側道の整備といったことなどにつきまして、一定の御支援をいただいているケースは幾つかございます。しかしながら、道路本体でございますが、こういったものにつきましてはまだ現在のところございません。  そういったことで、一昨年の十一月に道路審議会の中間答申におきまして、こういった道路の本体の一部につきましても、地方から直接の御支援をいただけるようなことができないかといったようなことも、今後の検討課題といたしましてその是非を含めて広範囲の議論が必要といった提言をいただいております。そういったことで、建設省といたしましても、地方の御意見等を十分に聴取させていただいた上で検討を進めていきたいというふうに思っております。
  106. 二階俊博

    ○二階委員 今申し上げた本体部分の件でありますが、私はこれには法律の改正も必要であろうかと思います。あわせて建設省において御検討をお願いしておきたいと思います。  次に、厚生大臣にお尋ねをいたします。  過疎地は都市に比べて高齢化が一層進んでおる、これも問題であります。若者の定着も少ない。それだけにお年寄りの率が多いわけでありますが、お年寄りは特に健康の問題を心配しております。病院や福祉施設の充実を求めておるわけですが、これは難しいことでありますが、今では都市と同じようなレベル、同じような水準のそうした病院施設であるとか福祉を希望しております。したがって、問題は極めて深刻であると思っております。ここに改めて福祉が問い直されようとしております。厚生大臣は、五年先、十年先を見据えて、地域医療や福祉の格差是正についていかなるお考えを持っているか、お尋ねをいたしたいと思います。
  107. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 各地域の医療、福祉を充実させ、また整備していくということは、我々も重要だと認識しております。医療法では、各都道府県ごとに医療計画を定めて、少なくとも五年ごとには見直すことにしているということで地域の整備を進めているところでありますけれども、僻地保健医療対策として昭和三十一年度からこの計画を策定していますが、この平成八年度からは新たに五カ年にわたる第八次僻地保健医療計画を策定して、今後とも過疎地、僻地における医療計画を進めていきたい、そう考えております。  さらに、高齢者保健福祉サービスの整備においては、平成十一年度末までの整備目標を定めた新ゴールドプランを着実に推進することによって、全国の地方公共団体がそれぞれの地域の事情を考 えながらこの福祉計画の達成を進めていますから、その計画を厚生省としても支援していきたい、そう思っております。
  108. 二階俊博

    ○二階委員 全国の地方公共団体と相協力してという大臣のお考えであろうと思いますが、全国の、特に過疎地の市町村長の皆さんは、毎日のようにそれぞれの地域のお年寄りと接しておるわけであります。そして、病院がどうだ、福祉がどうだということを毎日責められておるのですが、この人たちはまだ分権が進んでおりませんから、手がないわけであります。どうぞ今厚生大臣が御答弁になりましたようなことを積極的に御推進をいただくように、一層の御指導をお願いしておきたいと思います。  次に、運輸大臣にお尋ねをします。  新幹線が今日の日本の経済の発展に果たした役割、さらにこれから果たそうという役割は、先ほど申し上げました高速道路とともに極めて大きいと思っております。しかし、財源の問題等で、当委員会におきましても運輸大臣は連日大変御苦労をされている。しかし、まだまだ私たちの国は交通インフラの整備はおくれている。空港にしても港湾にしても、世界の中の日本などと威張れる状況ではない。したがって、やるべきものはやる、国の将来に必要のあるものは、財源問題をきちっと整理しながら毅然とした姿勢で取り組むことが大切だと思いますが、運輸大臣の見解と決意を改めてお伺いしたいと思います。
  109. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 大変心強い激励を賜りまして、心強く思っております。  先生御指摘いただきましたように、新幹線の我が国の経済の発展に果たした役割等につきましては大変大きなものがあろうと思っております。運輸省といたしましても、御承知のとおり、既着工区間の三線五区間、着実にその整備、推進をさせていただいているところでございます。また、お触れいただきました整備新幹線の未着工区間につきましては、昨年暮れの政府・与党の合意に基づきまして、それぞれ整備区間におきまして、収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担の問題、また並行在来線の経営分離によります地方公共団体との同意の問題、そしてまたJRの同意等、こうした基本的な条件を確認しました上で適切に処理してまいりたい。  今御指摘いただきましたように、国土の均衡ある発展それから地域の活性化、この整備新幹線に寄せられる期待は極めて大きいというふうに私も認識いたしております。
  110. 二階俊博

    ○二階委員 私は、この新幹線問題で、新幹線が既に開通している地域、つまり県はどれだけあるか調べてみましたら、二十一県あります。これから建設に向かい、やがて開通、開業が待たれている地域が十県、そして新幹線とは全く無関係の地域が十六県ございます。私は、かつて当委員会で、高度成長の波に乗って発展している日本の地域とODAすら必要とするような日本の地域、日本が二つあるような気がしてならないということを申し上げたことがあります。私は今、今日新幹線が走っている地域、これから走ろうとする地域、ほとんど期待が持てない地域、日本を三つに分けて、それぞれの開発等についてはメニューを三点提示しなければまさに均衡ある発展にならないのではないか。  新幹線が走っている地域の方々、これは議員だけではなくて一般の国民や有識者と言われる人たちも含めてでありますが、ほかの地域の新幹線はむだ遣いでもしようとしているような発言が、報道がしばしばなされるわけであります。しかし、将来においても新幹線とは全く無関係な地域、ただ国土の均衡ある発展、地域格差の是正等、キャッチフレーズだけは並べていただいておるわけですが、私は、これだけでは問題の解決にならない。運輸大臣として、今の新幹線の問題で頭を悩まされておるところへ新たな問題を投げかけるようでありますが、地方鉄道、つまり新幹線がもう将来とも、永遠とは言いません、永遠とは言いませんが、ここ当分の間、当分の間というか、三十年、もっと先まででしょうが、新幹線の期待が持てないというような地域には地方鉄道の高速化、在来線と新幹線直通運転等について、既に運輸省でも研究、検討されていることと思いますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  111. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 確かに、新幹線が走っているところ、これから走ろうとするところ、またその計画のない地域、二階先生の地元もまさにこの新幹線の期待の薄い十六県の一つではないかなというふうに思います。それだけに鉄道の高速化という問題も、運輸省としては真剣に考えていかなければいけない問題だろうというふうに思っております。  鉄道の高速化につきましては、しかし、大事なことは、これからの輸送動向がどうなるだろうか、また鉄道の高速化に、投資額というのは莫大になるわけでございますので、その投資の採算性はどうなんだろうか、こういったことは当然最初に考えていかなければいけない問題だろうというふうに思います。  経営主体であります鉄道事業者、そして、今おっしゃっているように、国土が均衡ある発展、地域格差を直していくという意味では、何といっても地方の公共団体の方々の熱意、そういったことの御協議というものをこれからいろいろとくみ上げていく中で検討していく問題では一方あるのではないかなというような気がいたします。  ただ、鉄道の高速化につきましても、運輸省といたしまして、先生もよく御存じでございますけれども努力をいたしております。例えば補助制度だとかそれから鉄道整備基金の無利子貸付制度を活用するとかということで、具体的に山形ミニ新幹線だとか秋田のミニ新幹線だとか、新幹線に直通運転化を図っていくだとか、それから在来線の高速化というものには大変努力を重ねてきているところでございます。  さらに、先生の御指摘をいただきました観点を十分踏まえまして、鉄道の高速化、そして質の向上に全力を尽くしてまいりたいと思いますので、御支援のほどよろしくお願いいたしておきます。
  112. 二階俊博

    ○二階委員 新幹線を語る際、私たちは例の二十八兆円に及ぶ国鉄の長期債務の問題が何よりも重要な課題であるということを認識しなければならないと思います。しかし、このような課題を先送りするばかりで、重要問題に対する政治の決断、国民の決断を先送りさせてはならないということであります。このまま放置しておくならば借金は雪だるまのように膨らんで、清算事業団の資産の売却等は焼け石に水になりかねない。国鉄債務は、創意工夫を重ねることが重要であることは当然でありますが、国全体でこの債務を担っていく以外に道はないのではないか。政治の決断が迫られておると思うわけであります。  政府は、速やかに解決の道筋を明らかにすることが重要でありますが、この際、与野党が協力して対策を講ずべきだと考えておりますが、運輸大臣の国鉄債務に関する御方針をお尋ねしたいと思います。
  113. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 国鉄の長期債務の問題は、国鉄改革総仕上げという意味で極めて重要なことだというふうに認識をいたしております。特に、これ以上国鉄長期債務をふやしてはいけない、御指摘をいただいたとおりだと思います。  政府といたしましては、御承知のとおり、昨年暮れの閣議決定におきまして、国鉄の長期債務の抜本的な処理を平成十年度より実施するということを決めさせていただきました。今御指摘いただいておりますように、非常に大きな問題であります。国民の皆様方の理解をいただかなければいけない問題であります。国民の幅広いコンセンサスを得る処理策を十年から抜本的に実施していくために九年中にその成案を得たいということで、この二点についての閣議決定をさせていただいたところでございます。これからそれぞれの機関の中で、また多くの方々の御意見を聞きながら、九年中の成案を得るべく努力をしてまいりたいと思っております。
  114. 二階俊博

    ○二階委員 小里議員、ちょうどお隣でございま すが、先般、産経新聞を見ておりますと、新幹線問題について極めて積極的な問題の提起を行っておられます。一つの見識だということで、敬意を持って拝読をさせていただきました。  総理及び運輸大臣はこのことは当然ごらんになっておられると思いますが、その所感を、一言で結構ですからお尋ねをいたしたいと思います。
  115. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 私も、小里先生を前にして恐縮ですが、読ませていただきました。そして、いろいろな角度からこの整備新幹線の問題に触れていただいております。  例えば、この委員会の中で御議論をいただいている、財政上、今財政構造改革元年というときに、この整備新幹線の財源というものがどうなっているのかという観点、それから、今後ますます高速交通ネットワークを整備していく中での整備新幹線の特性、それは安全性の面から、また正確性の面から、環境の面から、そして大量輸送という面から、きめ細かく実はお示しをいただいております。また一方では、エネルギーの問題にも触れていただいております。そして何よりも大切なことは、日本の国土の均衡ある発展、地域の格差、そして次の世代に何を残すべきかということを最後に触れていただいております。大変私は意味の深い提言だということで読ませていただいたところでございます。
  116. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私もこの「問題提起」という小里さんの論文は見せていただきました。そして、これ自体は日ごろからお互いに議論をしております中身ですから、この文章そのものについて云々ということではありません。ただ、この中で提起されている点で、従来余り議論にならなかった二つの点について私は特に触れさせていただきたいと思います。  ちょうど三塚大蔵大臣、私の前任の運輸大臣でありまして、国鉄を分割し、また民営化するそのとき、三塚さんからバトンを受け継いで私は法案の審議の責任をとりました。そして、この案をまとめます段階、お互いに力を合わせてきたわけでありますけれども、今のJRの形態をとるそのポイントが、一つは鉄道輸送というものの将来の役割は何だという議論にあったということでありまして、都市部における通勤通学輸送、これは鉄道が非常に大きな役割を果たす、同時に、中距離都市間の輸送というものについての鉄道の役割、これが非常に大きなものだというのが当時の結論でありました。  恐らく今は道路の発達で多少数字は変わってきているだろうとは思いますけれども、当時、二百キロまでの間の人的輸送は自動車が強いが、だんだん二百キロに近づいてくるに従って鉄道と自動車輸送の差が減り、大体二百キロを分岐点として七百五十キロぐらいまでの都市間輸送は圧倒的な鉄道の役割、そして、その七百五十キロから千キロの間ぐらいで航空機との競争が激化し、千キロを超えると航空機による輸送というものが非常に大きな数値になる。そういった意味での国土の総合的な交通体系を考える上での鉄道の役割というのが、当時大きな論点の一つでありました。  さらに、これは国会で一度私が御答弁を申し上げて、むしろしかられたことがございますけれども、一昨年の阪神淡路大震災の中から得た教訓の一つとして、国土軸の複数化、複線化というものが将来の日本を考えるときに絶対に必要であり、その選択肢の中には、鉄道も高速自動車網も、さらには港湾、飛行場というものを含め、その関連する地域の住民の選択で選んでいかなければならないが、複数の国土軸の必要性というものは否定できない、そしてその中における、長い目で見たときに、環境等の影響をも考えた場合に、鉄道というものは否定できないという感じを持っておりました。  それだけに、この小里さんの論文を見せていただきましたとき、期せずしてそのような論点を思い起こした次第です。
  117. 二階俊博

    ○二階委員 市町村の合併の問題について、自治大臣にお尋ねをしたいと思います。  白川自治大臣は、先日の御答弁でも、地方自治の責任者は自由を選ぶか死を選ぶかだというみずからの決意も込めて、地方自治の困難な課題について言及されました。  市町村合併については、合併特例法、二年前に改正されましたが、このかなり配慮がされておるはずの現行法をもってしても、ここのところ合併はほとんど進んでいない。過疎の白書を見ましても、過疎地が、地域の担い手である若者の流出、高齢化の進行に対して活力が低下している、また、依然として産業面でのおくれや財政面での脆弱さなど課題を抱えておる、問題点を指摘しておるわけでありますが、私は、この人口が減少して人口の少ないところ、もう底をついているんだというふうに思うわけなんです。ですから、これらの市町村の広域的な地方行政を推進していくことも大事ですが、私は、小さい町をたくさんつくっておいて、そして一方では大都市もあればいろいろなところもあって、それを全部合わせて地方行政の推進あるいはまた地方分権を推進していくといっても、分権委員会からも排除されようとしておるような地域は、これはなかなかついていけない。これらについて、合併推進に対して、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  118. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 市町村合併という問題は、いざ考えてみると難しい問題が多々あると思います。そして、我々国会議員でございますから、どうしても国の立場から合併というのが出てくると、当然合併推進というのが出てくるわけでございますが、まず原理原則に立ちますと、三千三百の地方公共団体は、それぞれが人格を持った一つの団体でございます。よくとも悪くとも三千三百の地方公共団体をつくった以上、おまえのところは小さいじゃないか、それでやれるかというような形でそこの地方公共団体の意思を無視してやる法手段は、地方自治法のどこを見てもございません。それは、例えば我々一億二千数百万の国民、千差万別、いろいろな能力もあるわけでございますが、一たびこの世に生まれたならば一人の人間であるということと全く同じかなと思っておりまして、どうかこの点をまず前提に議論をしなければならない話だと思っております。  ただし、同時に、今の三千三百の地方自治体は、昭和三十年前後にできたものが委員御案内のとおり圧倒的多くでございます。私の選挙区でもそうでございました。したがいまして、二、三年前は合併市町村成立四十周年というのにほとんど出させていただきました。  その当時の社会経済環境を見たら、まず圧倒的にそういうところは農村地帯でありました。自動車もほとんどないという状況の中で、三つないし四つの当時の町や村が集まって、町になるあるいは市になるという状況であったわけでございますが、以来四十数年たってみて、全く社会経済状況が変わってきておりますので、住民の方には、私は、もう町村を超えて生活している人が圧倒的に多いので、住民側の方には町村合併という問題についてはほとんど違和感はないと思うわけでございますが、例えば首長さんとかあるいは市議会議員が合併したらどうなるかというような問題が、小さな問題のようだけれども意外に現実的な障害になっているとしたならば、そういうものは時間を置いてやれば議員の皆様や首長さんの皆さんに迷惑をかけることはないのだから、私は事務当局に、その辺は柔軟に考えていいのじゃないだろうか、こういうことを申し上げております。  いずれにいたしましても、市町村合併については、今までとはちょっと違う形で、私は、強力に進めていかなきゃならない。しかし、当時もそうであったように、町村合併をしなさい、あるいは、した方がいいのではないですかと、市町村合併をしなさいと言う以上は、そういうことを勧める側も、町村合併したことに関してのかなりのメリット、そして合併に伴うデメリットについては、できるだけこの際例外的にでも解消するという特別の手段を得ないといけないのじゃないだろうか、そんな形で、今事務当局に、今までとはちょっと違った発想でこの市町村合併の問題を考えてほしいと指示しているところであります。
  119. 二階俊博

    ○二階委員 大臣の御答弁を全部納得したわけではありませんが、おっしゃる意味もわからぬではありません。わからぬではありませんが、そのことをそのまま言っておりますと、これは町村の議会で言っているのと同じことであります。やはり、地方分権をどう進めていくのだ。あるいは、この地方分権のこういう勧告の中にも、過疎などということはたった一行しか書かれていない。こんなところで、自由を選ぶか死を選ぶかと言われたって、選びようがないじゃないですか。  我々は、小さい市町村をたくさん抱えておる地域は今後どう対応していくかということを、みんなが毎日真剣に考えておるわけです。今大臣が後段に言われたように、何か新たな発想をと、どうぞひとつ新たな発想で取り組んでいただきますようにお願いしておきたいと思います。  時間がございませんので簡潔に申し上げますが、私は、前に阪和銀行の問題でお尋ねをしたことがございます。預金者保護、中小企業に対する金融、株主、あるいは銀行員の雇用対策、いささか問題を残しておるようでありますが、銀行局長にその後の経過を簡単にお尋ねしたいと思います。  なおあわせて、幾つかの経済誌に、連日のように、他の金融機関も多額の不良債権を抱えて営業継続が危ぶまれておるといって具体的に固有名詞まで出して、数字の裏づけまでつけて出されておるわけですが、本当のところはいかがですか。これをお尋ねしたいと思います。
  120. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  阪和銀行のその後でございますが、私どもの方で業務停止命令をかけさせていただいた後に異議の申し立てが出ておりまして、今それを精査させていただいているところでございます。  一方、預金者の保護の方につきましては、金融三法をお認めいただいておりますので、それに従いまして、預金者の保護には万全を期すべく、そのシステムもあわせて今検討を進めているところでございます。  また、従業員の雇用の問題でございますが、これは、大蔵省の離職者の雇用確保のための施策というのは特別にあるわけでございませんけれども、昨年破綻しました阪和銀行につきましては、現在その従業員の雇用につきまして関係者が大きな関心を有しておられることは十分承知しております。  したがいまして、大蔵省としましても、雇用関連施策を所管します労働省並びに和歌山県に対し、阪和銀行の従業員が離職した場合には、適切な対応がなされるようかねてよりお願いしてきたところでございますが、そのような中で、一月二十日、和歌山県が中心となりまして、阪和銀行雇用問題連絡調整会議が設置されまして、二月の十四日には第二回目の会合が開催され、求人の数等の御紹介がなされ、今後とも各委員全力を挙げて、また積極的に行動していくということを申し合わせているというふうに聞いております。
  121. 二階俊博

    ○二階委員 先ほど権藤委員の質問にもありましたが、倒産前に公表された不良債権が、しばらくするとその何倍にもなってあらわれてくる、大蔵省の調査、監査法人の監査が本当に信用できるのか、これはちまたの声であります。  もうこれ以上うそをつくことができないという監査法人の抵抗に遭って、ついに業務停止に踏み切ったということを新聞で見たことがあります。不良債権を多く抱える銀行の生命維持装置がこんないいかげんなやりとりでなされているとすれば、他の健全な金融機関にも信用、信頼が集まるわけがない、株も景気も上がるわけがない。倒産して不良債権がどんどんふえてくるということに対して、大蔵省はもっとしっかり調査なり監査なりおやりになることを要望しておきたいと思います。  あと、もう時間がありませんか。ちょうど来ましたね。それでは時間がありません、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  122. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて二階君の質疑は終了いたしました。  午後一時十五分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時十五分開議
  123. 小里貞利

    ○小里委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。桑原豊君。
  124. 桑原豊

    桑原委員 民主党の桑原でございます。  私の地元は、このたびの重油流出事故で大変な被害を受けた石川県でございますけれども、きょうはナホトカ号のこの問題につきましてたださせていただきたいと思います。  大変被害が広範にわたっておりますし、そしてまた深刻な事態になっております。加えて、この先長期にわたりまして補償問題など大変困難な課題も多い、相手が外国ロシアである、そういうこともございますので、ぜひこの先も国が前面に立って、そして最終的な結末が出るまで責任を負って先頭で頑張っていただきたい。その基本姿勢をぜひ御要望しながら、質問に入らせていただきたいと思います。  今から七年前の同じ冬場、一月でございますが、京都の丹後半島の沖で、リベリア船籍のタンカー、マリタイム・ガーデニア号が座礁いたしまして、今回よりは規模は大変小さいですけれども、同様の重油の漂着事故が起きております。  そのときの国会の関係委員会の会議録を見ますと、今起きておると同じような問題が議論をされております。例えば、油回収船の日本海側への配備の問題でございますとか、あるいは冬季での大変荒天下での対応をどうするのかということでありますとか、また老朽船のタンカーの問題、あるいは荒波に耐え得るようなオイルフェンスをどうするかと、同じような議論が行われておるわけですけれども、しかし、結果的にまた今回も同じようなことを議論しなければならなくなった。  私は、この間の、この種の事故は大小織りまぜて一年半に一回ぐらいはどこかで日本の近海で起きておるということでございますので、大変そのことの教訓とか知見というのは集積をされているというふうに思うのですけれども、それがなぜなかなか生かし切れないのか、そこら辺の根本的な問題はどこにあるのかということを、ぜひ総理、どうお考えになっておるのかということをまずお聞きしたいと思います。
  125. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 この事故発生以来、関係する各府県さらには市町村、そして油防除に努めていただいておりますボランティアの方々、しかもボランティアの方々の中から不幸にして生命を失うという方まで出るという事態になりました。本当に、申しわけないという以外に言葉がありませんし、それを弁解をいたすつもりはございません。  ただ、議員から御指摘がございましたように、今回の問題、いろいろな問題点を含んでおります。  最初にお尋ねがありましたそのリベリア船籍タンカーの事故、平成二年でありますが、この際、確かに議員も御指摘になりましたように、量的にはたしか九百二十前後だったと思います、量的には今回と全く違いますけれども、同じような問題が提起をされました。そして我が国の油防除体制というものが、確かに御指摘のように、船舶交通がふくそうし事故が起こると影響が大きいと想定をされました海域に集中した対応になっていた、荒天時の外洋における防除体制として十分なものが用意されていなかったという点は御指摘のとおりでございます。  まさに、その平成二年のリベリア船籍船の事故の結果として、教訓の中に、荒天下の外洋において有効に機能し得る資機材が必要だという指摘がございました。しかしながら、世界的にも実はこのような資機材というものが十分実用化されているとは言えないという状況もございまして、我が国におきましても、現時点においてはこのような 資機材が採用されるに至っておりません。  今回の事故におきましても、油回収船そのものの能力についてもさまざまな御論議をいただきました。しかしながら、これほど荒天の続く中で操業可能な油回収船というものが現実に存しない、これもまた事実でございます。  そして、今後を考えますときに一番大きな問題は、二千五百メートルという深海に沈没しております船体後半部、その中に残っております油、これをどうするかという問題になるわけでありますけれども、いまだかつてこれほど深海に沈没しております船体を引き揚げたという経験、これは世界的にも実は持っておらないわけでございます。科学技術庁の深海探査装置を用いまして今その状況の把握に努めながら、どういう対応策があり得るかを検討いたしておりますけれども、なおこの作業は継続をさせていただき、条件をきちんとそろえていきたい、そのように考えております。  また、油濁損害の補償についての問題、これは、一義的にはというか基本的には船主と被害者、民事上の問題になるわけでありますけれども、これは国もまた、その意味では被害を回復するための責任を負うております。そして、現に海岸に漂着いたしました廃油の回収等、努力をいたしておるところでありますし、地元の皆さん、ボランティアの皆さんにもお力をかりながら、こうした仕事をしていかなければなりません。当然のことながら、船主側からの賠償等が円滑に行われるように既にロシア側にも働きかけをしてまいりましたけれども、今後ともにそうした働きかけを行いながら、適切な情報提供等を行ってまいりたいと考えております。  細かい点につきましてなお御論議をいただきますならば詳細のお答えを申し上げますが、今、基本的に国としても、被害を受けた漁場の再生など被害状況を踏まえて、今後とり得る方策につきましては関係各省で検討をいたしております。また、漁業者あるいは中小企業者等、その経営にも配慮しながら資金の円滑な融通等についても対応をいたしておりますが、これで国の責任が終わったというものではない、今後の補償請求につきましても国としてもできる限りの協力、支援というものを続けてまいりたい、そのように思います。
  126. 桑原豊

    桑原委員 全体的なことも含めてお答えになられたようですけれども、こういった反省をしながらまた次も繰り返すということはもうこれで、この種の事故についてはとどめを打つような、そういう意気込みで臨んでいただきたいと思いますが、その際に、今回のこういった議論を次につなげていくその体制をどうつくっていくのか、どこの省庁がリーダーシップをとって全体をまとめて一つのものをつくっていくというふうにしていくのか、そこはどこなんですか、総理
  127. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 現時点におきまして、政府といたしましては、古賀運輸大臣を本部長として本部をつくり、一義的にこの本部がさまざまな御相談にも応じております。  ただ、議員が今御指摘になりました将来につなげるという意味で、例えば技術開発といったような部分になりますとこれは運輸省ということではございません。運輸省ももちろんでありますけれども民間の力も、また各省庁の研究機関等の協力も得なければなりませんが、現実の起きております事態について、古賀運輸大臣を本部長として対応をいたしております。
  128. 桑原豊

    桑原委員 それでは、一昨年の末に油汚染事件への準備及び対応のための国家的緊急時計画がつくられました。このことについてお聞きをしたいと思います。  大変立派な計画で、文章的にも立派なのですけれども、これがそのとおりに実行されれば、今回、初動態勢のおくれなども含めて、かなりしっかりした対応ができたのかなというふうに思うのです。しかし実際には、私の思うには、この計画を具体的なケース・バイ・ケース、いろいろな事故の態様に合わせてやっていくというようないわゆるマニュアルが欠けていたのではないか、あるいはそれを実行していくシステムというものが十分にしっかり整えられて機能しなかったのではないかというような危惧を持つのですけれども、そういったマニュアルとかシステムとかという点について、この計画が十分に動き得たのかという点について、運輸大臣、ちょっと。
  129. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 最初に、先生のお地元、石川県の方でも大変御心配をおかけしております。また、先生にもそれぞれのお立場で重油の今回の事故に対して御支援をいただいておりますことにお礼を申し上げたいと思います。  お尋ねの件でございますけれども、この国家的緊急時計画、これ自体は閣議決定されているものでありまして、その中には、今御指摘いただきましたようなマニュアルだとか、それから実施のシステムという点については具体的にうたってはおりません。しかし、海上保安庁の中で、関係機関との調整、また防除計画を定めているわけでございますが、具体的な油の流出事故を想定したその対応のための必要な防除資機材、そういったものの調達方法とかというものは定めているわけでございます。そういう意味では、国家的緊急時計画そのものには今おっしゃっているような御指摘があろうかと思いますけれども、具体的な点においては、今申し上げましたような機関の中で整備をさせていただいているという状況でございます。  ただ、今回のナホトカ号の事故に関しましては、総理の方からも全体を大変丁寧に今御答弁いただいたように、大変荒天の中での整備対応というものに反省すべき点があるということは先生の御指摘のとおりだというふうに思います。
  130. 桑原豊

    桑原委員 現実の事故というのは、季節も違う、そして海の状況も違う、流れてくる重油の性質も違うというようなことで、千変万化だというふうに思います。  そういう意味では、できるだけ細かく具体的な対応をあらかじめ決めておくというのは大変大事なことだろうというふうに思いますので、今後の対応策の中では、そういった面で突っ込んだ具体的なものをやはりあらかじめやっていくという、そんな対応をぜひお願いを申し上げたいと思います。  それと、総理は補償の問題についても少し述べられましたけれども、具体的な補償交渉は漁連別ですとかあるいは自治体別とか、被害を受けたおのおのがそれぞれまとまってやっていくというようなそんな対応のようですけれども、私は、それぞれにやはり利害が対立する部分もあるでしょうし、調整を必要とする部分もあると思いますし、また、大変手続がふくそうしてくる、長期の時間を要する、時にはどこを優先するかというようなことも、大変限られた基金の中からの補償ということになればそういう問題も出てくると思います。  ぜひ、国が窓口を一元化して、一括して国が代行して交渉をやっていただくような、そういうことを地元でも強く望んでおりますので、そういう方法がとれないのかということをひとつお聞きしたいと思います。  それから、きょうも朝刊ではきのうの基金の理事会のことが報告されておりましたけれども、恐らく求める補償額のかなりの部分が支払われないという危険性が非常に大きいわけですね。そういう意味では、国が対ロシア、いわゆる船籍国として監督責任もあると思います、そういう意味では対ロシアの交渉を、そういった償い得ない分についてやっていけるのかどうか、やっていっていただきたいと思いますけれども。あるいはまたどうしても償い得ない場合には国が特別立法などでそれを補償していく、そういったことを考えていただきたいと思うのですけれども、そういったことも含めて、どのように考えておいでなのかお聞きをしたいと思います。
  131. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 お答えいたします。  まず、賠償の窓口の一元化の問題につきましては、総理の御答弁の中でも触れていただきましたけれども、現状におきましては国も一被害者という立場にございます。当然賠償請求を行っていくわけでございます。そういう意味では他の被害 者、請求なさっている方々との利害が相反する、こういう意味で、それがいいのかどうかという問題が一つあろうかと思います。  それから同時に、賠償請求を一元化いたしましても、支払い側の査定というのはこれは個々に査定が行われるという事情もございます。そういった意味で、先生今お触れいただきましたけれど一も、漁業者の方々はもう既に弁護士さんを選定した中で賠償請求に入っていただいているという団体も実はあるわけでございまして、なかなか窓口の一本化というのは、かえってメリットが少なくなるのではないかな、基金との交渉の中でうまくいかないのではないかなというふうなことを考えているところでございます。  いずれにいたしましても、国として、基金に対する交渉が円滑に行われるような相談窓口というものを充実させまして、基本的には一本化されたと同様の成果を得るような努力をしていくということが大事なことではないかなというふうに思っております。  また、二点目の、国において損害を与えた国にその賠償を求めたらどうかというお話でありますけれども、これは御承知のとおり、外務大臣の方からも御答弁があろうかと思いますけれども、民事責任を規定した制度の中において船籍国の責任まで拡大するということは、新たな国際的な合意というものが当然必要になってくるだろうということで、今の状況では極めて困難ではないか、このように判断をいたしているところでございます。  なお、特別立法というお話がありましたけれども、この問題につきましては、御承知のとおり民事上の手続によって回復していかなければいけない問題でございますので、現行制度の中におきまして各種事業を活用することによってそれぞれの手当てをしていくということになろうかと思っております。
  132. 桑原豊

    桑原委員 外務大臣にお願いをしておりましたけれども、時間がもうございませんので。運輸大臣からのお話で大体の察しがつきましたので、あれですが。  最後に、時間が切れてしまいましたが、総理に、日本海側は大変閉鎖的な海域でございますし、これからの経済発展をいろいろ考えてまいりますと、この種の事故が大変起きやすい、そして起きたときには非常に大きな被害を及ぼす。こういった問題を機に、何とか沿岸国が協力、協調して日本海環境保全機構のようなものをつくって、そういったものに備えていくというような、協力、協調のそういうものをつくれないか、日本がリーダーシップをとれないか、その点、ぜひ求めたいと思うのですが、総理の見解をお伺いします。
  133. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今回のような事故の再発防止などさまざまな点につきましては、今政府としてはナホトカ号流出油災害対策関係閣僚会議のもとにプロジェクトチームをつくりまして、関係省庁間で鋭意検討を行っております。  ただいま議員から環日本海環境保全機構といった御提案がございました。ちょうど国連環境計画の提唱のもとで、日本とロシア、中国及び韓国が中心となって策定いたしました北西太平洋地域海計画というものがございます。これに基づいて、日本海などの海洋汚染防止対策に関する国際会議我が国で今年の夏ごろ開催をし、この会合におきまして、事故発生時の対応についてもこれらの国々と検討すると同時に、再発防止策についても意見交換を行いたいと考えております。  この国連環境計画の提唱いたします地域海行動計画、これは世界に十三あるわけでありますが、この北西太平洋地域海計画というのはまさにその一つでございまして、海洋環境保護あるいは緊急時の対応などについて参加国の協力のもとに行動計画の策定を目指すというものでございます。  たまたま日本海及び黄海を対象海域として考えておりまして、この対象国は日本、ロシア、中国、韓国及び北朝鮮でありますが、九四年の初会合以来今日までさまざまな努力をしてまいりました中に、海洋汚染に対する準備、対応というのは九七年から開始されるということになりまして、本年の七月ごろを予定してその会合を日本で主催をいたしますので、議員の御提案の趣旨をこの席で生かしていきたい、そのように考えております。
  134. 桑原豊

    桑原委員 終わります。
  135. 小里貞利

    ○小里委員長代理 これにて桑原君の質疑は終了いたしました。  次に、北村哲男君。
  136. 北村哲男

    北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  泉井純一という一人の石油卸商人が、平成七年十月に脱税容疑で査察を受けました。理由は、平成四年から平成六年の間に約六億六千万円の所得隠しを行い、三億三千万円の脱税を行ったという疑いでありました。一年後の平成八年十月三十日、大阪国税により泉井は告発を受けました。そして、その一週間後の十一月七日に逮捕されました。海外逃亡を企てたので緊急逮捕をされたというふうに言われております。  この脱税の裏には、平成四年から平成六年の間に、三菱石油から不明朗な石油の売買の仲介料名目で約四十一億円の所得を得ていたということであります。この四十一億円のお金が一体何のための金かということが昨年暮れから大きな問題になっております。それは、その相当部分が政官界に何らかの目的で流れたのではないかということであります。しかし、今日現在、何の目的で何に使われたか、そして、だれに渡されたかということははっきりしておりません。  昨年十一月十七日の新聞には、十数人の政治家の名前と約三千五百万円の献金リストが出回りました。そのうち何人かの政治家は、献金の事実を認めております。三塚大臣も六百五十万円の献金の事実を認めておりますが、特別に何かを頼まれたことはないと言っておられます。また、多くの官僚の皆さんもゴルフや接待を受けたことを認めておりますし、通産省の内部の調査で明らかになっただけでも実に四十二人の人が接待を受けているということが判明しております。しかし、何のための接待であったか、いまだにはっきりしておりません。  ところで、ことし一月二十四日、突如として、泉井が平成七年の暮れに現職の大蔵幹部に結婚祝いとして絵画を贈ったが、この幹部は泉井が脱税で告発されたことを知り驚いて送り返したということが報道されております。この幹部は、絵をもらった当時はどんな人かよく知らなかったと言い、また、四、五年前にゴルフコンペで知り合ったとも言っております。  これに対して大蔵の秘書課は、一月二十四日、結婚祝いなので特別の問題にならないとして処分は検討しないというふうに言っておられた。その後、わずか一週間後の一月三十一日に、三塚大蔵大臣は一転して当該幹部に対して口頭による厳重注意を行っております。その理由は、服務管理を統括する者がさほど親しくない人から多額の、判然としない品物を受け取ったことは不注意のそしりを免れないというものでありまして、私がここで疑問に思い、こだわるのは、次の四点であります。  一つは、当該幹部が泉井を本当によく知らなかったのかどうかということであります。二番目に、絵は本当に御当人が言われるように二十万ないし数十万のものであったのかどうかということであります。三番目に、絵は本当に返したのか、泉井の受領証などがあるのだろうかということであります。そして四番目に、当該幹部は本当にもらった当時査察の事実を知らなかったのかどうか、この四点でありますが、大蔵大臣、この点についての御調査をされておるのでしょうか。
  137. 三塚博

    ○三塚国務大臣 概要、北村さんが言われたとおりであります。  四点についてでございますが、当該幹部は、さほどのつき合いはございません、こういうことでございますが、本件は、本人から聴取いたしましたところによりますと、泉井氏との関係は、三、四年前にある人に誘われてゴルフに行ったら、泉井氏主催のゴルフコンペのようで、そこで同氏を紹介され、その後会食を一回しております、そのほかに、記憶は定かではございませんが、十年以上前に多人数の参加する会食の場で一回会食をしているかもしれません、こういうことでございます。  絵画の件につきましては、版画であります、こう言っております。版画も極めて小さいもので額におさめられておりました、値段はわかりません、こういうことであります。  返したかどうかは、返しましたということで、きちっと返した旨の証書というのですか、頼んだときの、そういうことに相なっております、こういうことでございます。  もう一つ何でしたか。
  138. 北村哲男

    北村(哲)委員 本当に査察の事実は知らなかったのか。そうですが。
  139. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本件については、査察の事実は知りませんし、その件について関知もいたしません、こういうことでございました。
  140. 北村哲男

    北村(哲)委員 まず、よく知らなかったという点について、ゴルフ、そして会食一回と言われますけれども報道によると、平成五年九月七日に向島の料亭「さわ」で、田谷広明東京税関長とともに接待を受けたということも報道されております。さらに、二、三、何回か接待を受けたということも報道されておりますが、それだけではなくて、この大蔵幹部は、公私ともに泉井との関係、そして、その泉井と親しい人たちとの人的関係があるということが言われておりますけれども、そのあたりのことはさらに調べられたことはあるのでしょうか。
  141. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ただいま申し上げましたとおりでございまして、週刊誌その他でいろいろ記事の中で取りざたされておりますがということに対しまして、聞き取りいたした報告は、申し上げた、三、四年前のゴルフで一回、その後、紹介、会食、数人で一回、それから十年以上、これは記憶に定かでありませんが、お会いしたのは三回でございます、こういうことであります。
  142. 北村哲男

    北村(哲)委員 さらに、先ほどはっきりしないのですが、絵は本当に返したかということについて、受領証あるいは送り状など、はっきりした証拠のようなものは確認をされておるのでしょうか。本当に返したかどうかです。
  143. 三塚博

    ○三塚国務大臣 今秘書官を通じて確かめましたが、受領書をちゃんと保管をいたしております、こういうことです。  それともう一つは、向島云々でございますが、本件は事実に反しますので、掲載をいたしました週刊誌に抗議をいたしておりますという事実がございます。
  144. 北村哲男

    北村(哲)委員 さらに、絵は本当にそういう版画で小さなものであったかどうかということですが、大蔵当局はその絵を現実に確認をしておられますか。
  145. 三塚博

    ○三塚国務大臣 私が聞きましたら、これくらいのものだと言っています。ですから、小さい版画。しかし、額は大きい額です、二、三倍ですか、こういうことであります。
  146. 北村哲男

    北村(哲)委員 一説によると、その絵は版画ではなくて、しかるべき油絵であった、有名な画家のものであったということもありますが、それはここでおきます。  そして、次の問題ですが、絵をもらった時期及び絵を返した時期と、泉井氏が査察を受けた時期及び告発された時期が一致するわけですが、すなわち、絵をもらったのが平成七年暮れで泉井が査察を受けた時期であって、しかも、絵を返したのは平成八年の秋ごろで告発がなされた直前であります。この絵をもらった日付及び返した日付は正確に確認されておるのでしょうか。
  147. 三塚博

    ○三塚国務大臣 これは、北村議員が言われましたとおり、九五年暮れに版画が自宅に送られてまいりました、それで、九六年秋に同氏に対し返却をいたしました、こういうことでございます。
  148. 北村哲男

    北村(哲)委員 この間、泉井さんは、査察を受けた後、あらゆる手を尽くしてこの告発を免れるために人脈と金脈を動員して運動したと言われております。そして、その趣旨の報道もあります。これは、人間だれでもやることであって、人情であると思います。査察を受けて、何とかして免れようということです。問題の高官がその間に職務権限を行使したのではないかという疑問が生ずるわけです。これに関連した多くの報道もあります。この職務権限行使が行われたかどうかの調査はしたのでしょうか。
  149. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本件は、税務調査等に関しまして泉井氏から何らの依頼もございませんでしたし、仮に依頼があっても、そういうものにはタッチしない、個別の案件にタッチしないというのが、大蔵官僚の基本的な心構え、特に税務であります。
  150. 北村哲男

    北村(哲)委員 法務当局にお伺いしますけれども、泉井の家宅捜査はされたはずです。絵は実際に押収されておるのか、それで、その返されたという絵を確認しているかどうか、そして、その絵がどういうものであるか、あるいは、どういう価格のものであるかということは確認されておるでしょうか。また、その絵の作家名、あるいは画名というものは確定されておるかどうか、お伺いしたいと思います。
  151. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  検察当局は、泉井氏の脱税事件について、告発を受けて捜査、起訴したわけでございますが、その中身に関することにつきましては、法務当局から御答弁申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  152. 北村哲男

    北村(哲)委員 私は、この間の時期の問題、そして、普通に結婚祝いとしても、そう親しくない人からもらうというのは非常に奇妙な関係であります。そこに何らかの職務権限が働いたのではないかということが疑われますので、この点については御当人に聞かなければわからない問題が数々あると思いますので、ここで問題となっている涌井洋治官房長の証人喚問を請求したいと思います。さらに、今逮捕中でありますけれども、泉井純一の証人喚問の請求をしたいと思います。
  153. 小里貞利

    ○小里委員長代理 ただいま証人喚問についての発言については、後刻理事会で検討いたします。
  154. 北村哲男

    北村(哲)委員 この泉井という人は、今までも、政治家や官僚とのきな臭い関係でしばしば登場する人物であります。  例えば、平成五年暮れに通産省関係者に配付された、あるいは、その同じものが昨年暮れにも再び配付された怪文書があります。通産前次官にかかわる疑惑問題というものであります。これは、その中に、三菱石油系の大阪の泉井石油社長が石油やみカルテルの疑惑を仕組んだという記載がされております。同時期に出された、政治家との癒着という怪文書もあります。その中に、大阪の泉井石油社長の金を使い、派閥の会合等を開催し云々と。その見返りに、例えば最近では、三菱石油の重油を泉井を通じて東電に売るべく、東電に圧力をかけたとも書いてあります。これは、あくまで怪文書でありますから、怪文書の域を出ないものでありますが、やっと最近になってその扉が開かれそうになっております。  通産省は、昨年十一月二十六日に内部調査をし、十二月五日には、牧野次官ほか数名に一定の処分を行っております。しかし、この調査対象からは通産OBは外されております。そして今、その調査対象から外された通産OBに対し疑惑が広がっております。  その一つは、平成四年春ごろ、資源エネルギー庁の幹部から中部電力、関西電力に三菱石油のC重油の売り込みの打診があって、これに従い中部電力は、その後三年間で約十万キロリットルのC重油の購入を行ったと言われております。この事実は両電力会社が記者発表で認めておりますし、また関係者の一人は、この働きかけがなかったら中部電力はC重油の購入を行っていなかったと言っております。  このエネ庁の幹部とは一体だれですか。わかっているならば言われたらいかがかと思いますが、通産大臣、いかがでございますか。
  155. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 実は、今御指摘のように、昨年の暮れに六名の職員の処分を発表いたしましたが、これはあくまでも、いわゆる泉井事件というものとのかかわりではなく、綱紀粛正という面でもって行き過ぎた面があったということで、監督責任も含めて六人処分したわけでございます。その点をまず御理解いただきたい。  そのときにも、OBというものを一体どういうふうに考えるのか、どういう者をその対象にするのか、こういう議論がありました。その際に申し上げたのは、あくまでも綱紀粛正という点であるから、綱紀粛正の処分の対象にならない者に関してはこれは処分の対象外である、ただし、やはり、今いろいろなことでもって言われていて、刑事事件に発展しようとしているから、その刑事事件の発展をまずよく見きわめてもってする、こういうふうに実は話をしたわけです。  そこで、今せっかくのお話でございますが、既に、OBとはいえ、もう民間人に実はなっておるということで、その人の人権も、またプライバシーもあるということで、新聞紙上その他が発表していない以上、こちらの方から発表するわけにはいかない、こういうことでございますので、御容赦願いたいと思います。
  156. 北村哲男

    北村(哲)委員 通産省は今後、中電、関電から、あるいは東電から事情を聞いて、あるいは本人から事情を聞いて、さらにその点の解明をする御意思はあるわけでしょうか。
  157. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 先ほど申し上げましたのが実は昨日までの前段でございまして、昨日の当委員会の審議でも、やはりこれだけに、今申したように刑事上の責任追及というふうに発展するならばということもあった。こういうことからして、このエネ庁の幹部、あるいはまた電力会社というものに事情を聴取しよう、こういうことを実は昨日も申し上げました。  そこで、実は、昨日のきょうなので、まだそういうことで下の方に指示をしているという段階でございます。
  158. 北村哲男

    北村(哲)委員 法務当局にお伺いします。  私は、まだそれはうわさの域を出ておらないことは承知の上ですけれども、もしこれが本当なら、三菱石油が泉井と共謀して、石油に関し強い権限を有するエネ庁高官から、中電あるいはほかの電力会社に対して売り込みをあっせんしたという構図が成り立つと思います。また、その見返りに接待を初めその他のことがあったというふうなことが考えられますけれども、それについて法務省の御見解と今後の捜査方針について、考え方についてお伺いしたいと思います。
  159. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘のような報道がなされておりますことは承知しているのでございますが、お尋ねは、検察当局の捜査にかかわる事柄でございます。また、どのような事項につきまして捜査するかということは、検察官において法と証拠により判断すべき事柄であると考えますので、法務当局としてお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  160. 北村哲男

    北村(哲)委員 多分そういうお答えしか出ないと思いますけれども、結局、まだそういう事件、法務当局がどうするかということがわからない段階では、私ども、この国会でこの点については解明するほかないと思っておりますので、この際ですから、山田菊男という三菱石油の会長、及び今申し上げました氏名不詳のエネ庁元高官についての証人申請を行いたいと思います。
  161. 小里貞利

    ○小里委員長代理 ただいまの要請についても、後刻理事会において検討いたします。
  162. 北村哲男

    北村(哲)委員 終わります。
  163. 小里貞利

    ○小里委員長代理 これにて北村君の質疑は終了いたしました。  次に、細川律夫君。
  164. 細川律夫

    細川(律)委員 細川でございます。  私はまず、昨年四月、公正取引委員会の方から、日本医療食協会、そして日清医療食品株式会社、これらに対して排除命令が出ました点についてお聞きをいたしたいと思います。  医療用食品に対して診療報酬加算が昨年の四月廃止をされております。まず、この加算が廃止をされた理由及び医療用食品について診療報酬加算ができ上がってそして廃止をされるまでの期間どれくらいその給付がなされたのか、お答えをいただきたいと思います。
  165. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 医療用食品加算でございますけれども、これは、昭和五十三年の二月に創設されまして、ただいま先生おっしゃいますように、平成八年の五月に廃止されております。その間、平成六年度までの実績で申し上げますと千二百二十五億八千万円ほど支払われております。  それで、これが昨年廃止された経緯でありますけれども、そもそもこの医療食加算、これは入院の食事の際、加工食品を的確に栄養管理を目的としてやってもらおうということで設けられておるわけでありますけれども平成八年の四月に日本医療食協会、それからまた日清医療食品、これは民間企業でありますが、こういったところが公正取引委員会から独占禁止法の三条違反ということで勧告を受けております。  そういったこともございますし、また、加工食品の表示そのものが今後進んでいくということ等がございまして、そういった制度の必要性というものが乏しくなったということで、昨年の五月に廃止をすることにいたしたわけでございます。
  166. 細川律夫

    細川(律)委員 この昨年四月に出されました公正取引委員会の排除命令でありますけれども、公益法人でありますこの協会がなぜ排除命令を受けるようになったのか、これは大変深い、構造的な問題があるというふうに思います。  簡単に申し上げますと、厚生省が、医療用食品が診療報酬の対象となりましたその直後に、財団法人の日本医療食協会に対しまして唯一の検査機関というふうに指定をいたしまして、そして、その指定をされました協会と日清医療食品がいわばやみの協定をいたしまして、この会社に対して膨大な利益、シェアでいいますと約九〇%のシェアを与えている、そういうようなことをしていたわけでございます。  特徴的なことを申し上げますと、まず一点は、厚生省がこの協会に唯一の検査機関としてお墨つきを与えたということでございます。そして、この協会には厚生省のOBがたくさんおられるわけでございます。そして、そのお墨つきを受けた協会の方では、検査料として五%を納入業者からもらう、これが年間約八億円もあったわけでございます。  そして、そもそも問題なこの協会と日清医療食品、民間の一会社がやみの協定をいたしまして、シェアをほとんど独占的にこの日清医療食品の方に与えるというような結果になっていたということでございます。  そして、この医療食品には保険が加算をされまして、一人当たり一日に十八点、百八十円が加算をされまして、保険会計から総計年額百七十五億円が支払われていたのでございます。  そういうことで、この日清医療食品は、医療機関への納入、これのうちの二百六十億円という巨額の取引を独占をしていたということになります。  しかも、本当にびっくりすることには、この医療食協会の厚生省のOBであります理事長さん、年間五千万円もの報酬をもらっていたというものでございます。これはまさに厚生省、そしてOB中心の協会、そして日清医療食品という会社が癒着をいたしまして、国民の負担をいたしました大切なお金をいわば食い物にしていたというふうに言えるのではないかと私は思います。  特に、公正取引委員会の方では、このことについてこのように表現をいたしております。「本件では、このような巧妙な仕組みのもとに行われたものであり、一たんこの中に組み込まれさえずれば膨大なメリットを享受できるというものであったために、非常に排他性の強い性格を持つようになった。」こういう指摘があるわけでございます。  そこで、今私が申し上げましたように、このような公益法人であります協会が排除命令を受け るようになったその結果、その構造的なものに対しまして、総理がどのようにお考えになっておるのか、そしてまた厚生大臣のお考えも聞かせていただきたいと思います。
  167. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 日本医療食協会は、公取から勧告を受けてその役割は終わったと思いましたので、厚生省としては、昨年の秋に、本年三月に解散するということを決定しております。
  168. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今事実関係を厚生大臣からお答えになりましたけれども、これから先も関係業界において公正な競争というものが阻害されることのないように適切な指導を必要とする、そのような教訓を得ております。
  169. 細川律夫

    細川(律)委員 同じような厚生省の所管をいたします公益法人で、同じような事件がもう一つございました。これは平成六年二月に、これも公正取引委員会の方から独禁法違反ということで勧告を受けております。この事件も、厚生省が、公益法人であります病院寝具協会、これを唯一の業務代行保証というものに指定をいたしまして、その協会員であります綿久寝具などの会社が不当に仕事を独占をするような、そういうことが指摘をされたところでございます。これも病院寝具あるいは病衣、これは寝巻きでありますけれども、これらに保険診療報酬の加算がなされておりまして、ここでも国民の出したお金が不当に食い物にされていたということでございます。  ここで、やはりこの二つに共通いたしますことは、厚生省、公益法人、そして業者、これらが癒着をいたしまして、その癒着のいわば接着剤というものが保険の診療報酬加算であったということが言えると思います。  そこで私は、この診療報酬の加算の点について私が疑問に思っておることについて伺いたいというふうに思います。  この報酬加算というものは一点につき十円でありますから、点数が上がれば上がるほど保険機関から病院に給付されるお金は多くなるわけでありますし、一方、業者の方もこれによって余り苦労もなく増収になるわけでございます。そういう加算されます点数につきまして、どうもほかの物価などから比べますと、上がり幅といいますか、それが非常に高いところでございます。医療用食品、寝具、そして病衣、これは寝巻きです、この三点について上がり幅が非常に高いということでございます。  これは八三年から九二年まで、九二年が最後の加算のあった年なのですけれども、この十年間を比較をいたしますと、普通の物価指数の総合では約一七%のアップ、食料が一七%、衣料が三〇・八%の増加でありますけれども、この三点につきましてはこのようになっております。医療用食品につきましては、十四点から十八点に上がっておりまして二八・六%の上がり幅であります。寝具については、十二点から十七点に上がりまして四一・七%。そして寝巻き、病衣に至っては、四点から七点に上がりまして七五%もの上がり幅になっております。  これは比較しますと大変異常な上がり幅でありまして、一体どうしてこれほどになったのか、説明を願いたいと思います。ちなみにこの十年間で、医家の方の診療報酬の平均の上がり幅は二四・三%、薬局の平均はわずか七・二%でございます。なぜこのようにこの三点については上がり幅が非常に多いのか、説明をいただきたいと思います。
  170. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 まず医療用の食品加算でありますけれども、これは診療報酬の改定の際におおむね一点ずつ積み上げるような形で最終的には、廃止する直前が十八点ということでございますが、これら点数の算定につきましては、これは消費者物価にスライドさせるというようなことよりもむしろ医業経営の実態、こういったものに着目するのがまず一点でございますし、それからまた物価もございますけれども、賃金の動向等、こういったものを総合的に勘案をした形で、そして全体の病院経営の中での点数をどういう格好で配分するかというような視点でこれまでも中医協の御審議の中で決めてきていただいたわけでございます。  そういった意味で、物価と比べますとかなり大幅な伸びの形になっておりますけれども、これらを総合的に勘案した状況の中で考えますと、全体の原材料のコストアップ等々もございますし、トータルで見ますとそれほど異常であるというふうな考えは私ども持っておりません。
  171. 細川律夫

    細川(律)委員 全く納得のいかない説明であります。総合的な判断と言われますけれども、しかしこの上がり幅につきましてはまさに突出をいたしておりまして、そのような説明では全く納得がいかないわけでございます。  そこで、先に参りますけれども、これらの問題につきましては、公正取引委員会の指摘を受けるまでもなく、日清医療食品あるいは綿久寝具などの業者は診療報酬加算で大変な利益も上がっておりました。したがって、これらについては、この業者らは政治連盟などもつくりましていろいろ政治的な活動もいたしておりました。  このようなことを端的にあらわす一つの病院寝具協会の機関誌がございます。その機関誌「病院寝具」にはこういうふうに書かれております。「関係国会議員、病院団体、厚生省などに対して全力を挙げて陳情を繰り返したが、その結果、幸い、基準寝具の設備保険点数が引き上げられた。」というような記述がなされております。そういうことで、こういう構造の中での業者の方たちのいろいろな動きも大変強かったのではないかと思います。  それらの方々がいわゆる政治献金というもの、これはメディカル給食政治連盟、病院寝具政治連盟、これらの政治連盟からの政治献金というのは、報道等によりましても四億円を超えているというような大変大きな額になっているわけでございます。  そういうことからいたしましても、私は、これらの問題が、どうも厚生省の出身の議員さんであるとかあるいはまたいわゆる厚生族と言われている人たちに対しても、先ほど申しましたようにいろいろな働きかけがあったのではないかというふうに思いますけれども、特に先ほどの政治連盟の中で活動いたしております村田士郎という人、それから吉永浩三という方、これらの方々について、総理あるいは大蔵大臣、厚生大臣、この方々を御存じなのかどうか、働きかけがあったのかどうか、そこらについてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  172. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私は一時期、病院寝具連盟の会長をしておりましたから当然知っております。しかし、名誉的な会長なもので、実際……(細川(律)委員「吉永さんですか」と呼ぶ)それはメンバーですから、それは当然知っております。しかし、どういう働きかけをしたのかというのは私、全く記憶にないもので、もし私の働きかけによって何かあるというのなら、それは過大評価していただいているんじゃないかと思っております。     〔小里委員長代理退席、高橋委員長代理     着席〕
  173. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど昭和四十年代の初めに綿久寝具の社長さんとしての村田清次という方がおられました。そして、その方は私は面識がございました。  それから、昨日、そういう名前を聞くよというお話でしたので、その吉永さんという方も調べてみました。そのころ関係業界の役員の一人だったようでありますが、私は、その意味では、あるいは村田清次さんという人を介してお目にかかったことがあるのかもしれませんが、全く思い当たる方ではございません。  それから、その士郎さんという方、清次さんがたしか亡くなられて、社長さんがかわられて、その後、どなたか私は覚えておりませんけれども、弔問のごあいさつを受けたことがございますけれども、そのときにあるいはお目にかかっている方なのかもしれませんが、わかりません、よく。
  174. 三塚博

    ○三塚国務大臣 御指摘のお二人、存じ上げておりません。上げておらぬわけですから、接触もご ざいません。
  175. 細川律夫

    細川(律)委員 時間もありませんから、シルバーマークの問題にちょっと移りまして、どうしてもこれは私が聞いておきたいことを申し上げたいと思います。  シルバーマークについては、ことしの一月ですか、これは国が関与することを撤廃したということであるようですけれども、シルバーマーク制度についての研修、講習がこの一月から三月まで国の補助金によって行われるということを聞いておりますけれども、これは間違いありませんでしょうか。結論だけちょっと……。
  176. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  今研修のお話ございましたけれども、これはシルバーマークの研修ではございませんで、今やろうとしておりますのは、シルバーマークの取得希望の有無にかかわりませず、新規にシルバーサービス事業を展開しようとしている民間事業者を幅広く対象にいたしまして、サービスの質の向上等を図るというような観点からやっておる研修でございます。
  177. 細川律夫

    細川(律)委員 シルバーサービス振興会に対して、今年度の予算、五千百六十八万四千円ついております。この予算は、こういう交付目的が書かれております。   社団法人シルバーサービス振興会がシルバーマーク制度の普及を推進し、シルバーマーク取得事業者を育成するため、各地方ブロックにおいて研修事業を行うことにより、全国的に偏りなくシルバーマーク取得事業者を育成し、ふやしていくことを目的とする。 そういう目的でやるわけですね。シルバーマーク制度ということでやるわけです。そして、事業内容についても、シルバーマーク取得の研修企画事業とか、あるいはシルバーマーク制度の普及啓発事業と、シルバーマークについてやるわけなのですね。  したがって、シルバーマークについての国の方の関与はもうしないというのですから、補助金を使ってこれを研修するのはおかしいのじゃないでしょうか。私はこれは当然やめるべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。いやいや大臣、大臣に、時間がありませんから。
  178. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 シルバーマークの研修といいますか、補助金を交付決定されたのは十月だそうです、決まったのは。それで、私が大臣に就任したのは十一月ですから、廃止を決定したのがことしの一月ということで、既に交付決定された後だ。しかも、もうシルバーマークじゃなくてシルバーサービス全体に、マークには関係なく研修をやるということのようであります。  しかしながら、もっと早くやっていればこれもできたと思うのですが、また同時に、ことしやるのだったら、マークは廃止したのだからシルバーサービス全体にやれという意見もあるのです。しかし、もう来年から廃止するからそれはしない。あわせて、今までのいろいろな議論を通じて、公益法人等に対する補助金というのが、各方面からいろいろな御意見が出ております。必要があるものあるいはないもの、今回のシルバーマークみたいなものについても、やろうと思えば廃止できたわけですね。  こういう点にかんがみ、私自身、もうことしの予算は間に合いませんでしたけれども、来年の予算についてはむしろ公益法人に対する補助金は半額に減らせないか、この検討を進めるよう既に指示しております。
  179. 細川律夫

    細川(律)委員 もう国が関与しないということになったのですから、こういう制度について補助金を使うということは、私はこの際もうあっさりやめるべきじゃないかというふうに思います。この点については、大蔵大臣の方にも、一体こういうふうなことになった場合に、使っていいのかどうか、むしろこれは国庫の方に返すのが当然じゃないかということをお聞きしようと思いましたけれども、ちょっと時間がありませんのでもう終わりにしたいと思います。  このシルバーマークの問題でも、村田士郎さんという方は、去年の排除勧告を受けた直後に全国在宅配食サービス事業協議会、こういうのをつくって理事長になって、そしてその直後に、厚生省の方はこのシルバーマークを適用するということを全国の自治体に指示をしているわけなのですよ。これは余りにもおかしいのじゃないかなと思って、これからひとつお聞きをしようと思ったのですけれども、時間が来ましたのでもう終わりにしたいと思います。  先ほどいろいろお聞きしましたけれども、どうもこの村田士郎氏、それから吉永浩三氏、この二人については、国会の方に出てきていただいていろいろとお聞きをしたいというふうに思います。どうしてこういう、先ほどの三者の構造になっていったのか、そこのあたりも聞いてみたいと思いますので、ぜひこの二人の証人喚問を要求をいたしたいというふうに思います。
  180. 高橋一郎

    ○高橋委員長代理 御提言は、後刻理事会において協議いたします。  これにて細川君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。
  181. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  私は総理の政治献金の問題についてお尋ねをしたいと思います。  総理の政治資金の受け皿である資金管理団体、新政治問題研究会が大阪の財団法人成研会から政治活動に関する寄附を受けた事実、既に本委員会において総理みずから認めているわけですが、この問題についてお聞きします。  今月十三、十四日のマスコミ各紙の報道によりますと、それは二回であり、最初が九五年十二月、そして二回目が九六年八月、金額はいずれも五十万円とのことですが、間違いないでしょうか。
  182. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 成研会から平成七年の十二月、五十万円、平成八年の八月、五十万円の寄附をいただいておりました。支払い方法は新政治問題研究会の持つ口座への銀行振り込みと聞いております。この問題につきましては、指摘を受け、調べてみましたところ、こうしたものがありましたので、本年の一月二十日に事務所の者が成研会に赴いて、直接現金で返済をいたしております。
  183. 木島日出夫

    ○木島委員 財団法人成研会は、大阪府富田林にある公益法人で、精神科、神経科、内科を診療科目とする汐の宮病院を開設しておりまして、代表者は秦潤子という人物ですが、総理は面識があるのですか。
  184. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私が時々呼ばれ、続けております勉強会にエムディーエスという会合がございます。この方はこのメンバーではなかったかと思います。
  185. 木島日出夫

    ○木島委員 いつごろから面識が生まれているのでしょうか。
  186. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 申しわけありませんが、私はそれに年一回今まで出ておりました。しかし、去年出ておりませんし、その方がいつからということは、必要でありますならば入会の年月日等を調べますけれども、私自身わかりません。
  187. 木島日出夫

    ○木島委員 ぜひ調べておいていただきたい。  財団法人成研会は昭和四十四年十月一日に公益法人として設立され、当初の代表者は医師である秦忠世という人物ですが、総理はこちらの方の人物とは面識がございますでしょうか。
  188. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、その方自身が、存じ上げているかどうか、私には記憶がございません。正確に必要であるならば、その方というよりも、その成研会という法人なのか、あるいは秦さんという個人名なのかも含めて、このグループにどういう形でいつごろからというのは私は調べておきます。
  189. 木島日出夫

    ○木島委員 これも確認なんですが、九五年十二月と九六年八月、二回にわたる各五十万の政治献金は銀行振り込みによってなされたということですね。それで、百万返したというのは、この二度の五十万、この分について現金で返したということですね。
  190. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほども申し上げましたよ うに 平成七年十二月十四日に五十万円、平成八年八月三十日に五十万円、いずれも新政治問題研究会の会費として納入をされました。そして、それを合わせて平成九年一月二十日に返還をいたしております。
  191. 木島日出夫

    ○木島委員 なぜ返したんでしょうか。
  192. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 全く私自身存じませんでしたけれども、この法人が補助金を受けている団体である、そういう御指摘を受けました。そして、調べましたところそのとおりでありましたので、これは返済をいたしました。不注意であったと思っておりますし、これからも気をつけたいと思います。
  193. 木島日出夫

    ○木島委員 政治資金規正法二十二条の三第一項、政治活動に関する寄附の質的制限として、国から補助金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定を受けた日から同日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないと規定しています。同条第六項は、何人も第一項の規定に違反してなされる寄附であることを知りながらこれを受けてはならないと規定しています。そして、これらに対する違反は、いずれも三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金と、政治資金規正法の罰則としてはかなり重い規定を置いております。  この二回の五十万の会費としての政治献金、両方ともこの政治資金規正法二十二条の三に違反するということでお返しになられたんでしょうか。
  194. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 正確に申し上げますと、どちらかはその補助金の交付後一年という制限を外れていたのではなかったかと思います。しかし、いずれにしてもその補助金を受けている、そうした性格を持つものであるということを知りましたので、これは直ちに返済をいたしました。
  195. 木島日出夫

    ○木島委員 平成七年、九五年十二月の五十万については、既に自治大臣に対して政治資金収支報告書がきちっとなされて載っています。九六年八月の五十万については、報告書の提出期限がまだ来ておりません。ですから、もちろんわからないわけですね。まだ報告もしてない分についてまで返されたということですが、一体だれからそういう指摘を受けたんでしょうか。
  196. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 たしか、私自身は事務所から連絡を受けましたが、その事実関係について恐らく報道機関からの問い合わせ等があり事務所が調べた結果ではないかと存じますが、そこまで必要でありますなら改めて調べておきます。
  197. 木島日出夫

    ○木島委員 厚生大臣、厚生省にお聞きしますが、財団法人成研会は、九四年、九六年、二回にわたって国から補助金の交付を受けています。  そこで、具体的な金額、補助事業の概要、補助率、工事期間、工期、事前ヒアリングの時期、内示の年月日、交付決定及びその通知の年月日、補助金支払いの年月日、それぞれについて明らかにしていただきたい。
  198. 中西明典

    ○中西政府委員 財団法人成研会に対して平成五年度及び平成七年度に国庫補助が行われておるところでございますが、平成五年度には病院の病棟の新築、改修工事に対しまして、一億六百六十九万二千円を医療施設等施設整備費補助金として補助しているところでございます。補助率は三分の一でございます。これにつきましては、平成五年九月ごろヒアリングを行い、平成五年十二月二十二日内示、平成六年三月二十五日に交付決定を行っております。  工期につきましては、当初計画では平成五年十一月一日から平成六年三月一日まででありましたが、地元調整に時間を費やしたことから、平成六年十月一日から平成七年三月二十四日までと変更になりまして、平成六年度への繰り越しとなっております。  また、国庫金の支払いは平成七年四月二十七日に行い、平成八年二月十五日に交付額の確定を行ったところでございます。  それから、平成七年度には二種類の事業に対して国庫補助が実施されております。一つは、デイケア施設新築工事に対しまして三百十七万三千円を、それからもう一つは、精神障害者生活訓練施設及び福祉ホームの新築工事に対しまして、五千三百七十万五千円を保健衛生施設等施設整備費補助金として補助いたしております。補助率は、デイケア施設の方が三分の一、生活訓練施設及び福祉ホームについては二分の一であります。  両者とも、平成七年二月ごろヒアリングを行いまして、七年五月三十日に内示、平成八年三月十八日に交付決定を行っております。  工期につきましては、平成七年十二月二十七日から平成八年三月三十一日まででございまして、国庫金の支払いにつきましては、デイケア施設については平成八年四月三十日に、生活訓練施設と福祉ホームにつきましては平成八年五月三十一日に支払っておりまして、現在、実績報告書の内容審査に入っておるところでございます。
  199. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  病院の新築、改築工事の方が、工期が当初予定よりも一年おくれた、そして補助金の執行といいますか、具体的な交付が年度を越えてしまったということですが、なぜこんなにおくれてしまったか。  それから、今御報告の工期、工事期間ですが、始めと終わりがあるんですが、どういう日をとつているのか教えていただきたい。
  200. 中西明典

    ○中西政府委員 繰り越しの理由でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、工事に伴う周辺住民への説明や調整に時間を費やしたため、平成六年度への繰り越しとなったと聞いております。  それから、工期につきましては工事契約の期間だと承知しております。
  201. 木島日出夫

    ○木島委員 事務的手続によって工期がおくれたんじゃなくて、何かはかの理由があったんじゃないんですか。地元の了解がとれないとか、建築確認がとれないとか、そういう事情があったからではないんでしょうか。
  202. 中西明典

    ○中西政府委員 細部については承知しておりません。今議員がお話しになったような話については聞いておりません。
  203. 木島日出夫

    ○木島委員 その部分の補助金一億六百六十九万二千円の交付決定が、平成六年、一九九四年三月二十五日に行われていることは、今報告があったとおりであります。  私は、大阪府庁へ行きまして、この建物の建築についての建築確認がいつ行われたか調べてまいりました。この公益法人、財団法人成研会が四階建ての病院の建築確認を得たのは、平成六年、一九九四年十二月六日であります。私は、ここに今その写しを持っております。厚生省が補助金交付の決定を行ったのは、そうしますと、まだ建築確認がとれていない時期になります。  極めて異例なことだ。建築確認がこの時期であったにもかかわらず、交付決定が、そのはるか前ですか、平成六年三月二十五日ですね。建築確認が十二月になって初めてとれる、その八カ月も前に交付決定が行われた。まことに私は異常きわまりない。何でこうなったのか。
  204. 中西明典

    ○中西政府委員 手続について、ちょっと詳細を、今資料を持ち合わせておりませんので、また調査した上で返答したいと思います。
  205. 木島日出夫

    ○木島委員 後半の、デイケア施設や福祉ホームについては非常にスムーズで、これが普通なんです。  いいですか。私も、これについても建築確認がいっか調べてまいりました。こちらの方は、こういうことなんですよ。ヒアリングが平成七年二月、内示が平成七年五月三十日、建築確認が平成七年十月十九日、確認があって、そして工期が平成七年十二月二十七日から平成八年三月三十一日。まともですね。内示があって、内示があるから、よし仕事やれるというので、建築確認をとるんですね。建築確認はもっと早くてもいいのです。そして、内示があるということは、補助金が出ることがほぼ約束ですから、それで工事を発注する、それで工期が始まるんです。それで、そのとおりになっていますね。ここまでいって、平成八年三月三十一日に仕事が終わる、デイケア、ホーム。それで、交付決定、これは手続です、法 律的には意味があるものですが、その手続が平成八年三月十八日、まあこれはまともでしょう、工事がほとんど終わりの段階です。交付決定が平成八年三月十八日で、国庫金の支払いが平成八年四月三十日、これはまともだと思うんですよ、私。ところが病院の方は、当初見込みより一年もおくれる。そして、補助金の具体的な支払いはもっと先におくれるのです。そして、確認がなかなかとれない、非常に異常だと思うのですね。  もう一つ異常を指摘しておきたいと思うのですが、工事着工が、厚生省の答弁によると平成六年、一九九四年十月一日です。先ほど私は建築確認が平成六年十二月六日と言いました。だから、これは厚生省の調査なんでしょうか、工事着工が十月一日というふうになりますと、確認がおりていない。十二月六日に初めて確認がとれたのですから、確認がないにもかかわらず四階建ての病院建設始まってしまった。建築基準法上違法な工事が強行されたと思わざるを得ないのです。  厚生省、こういうところまできっちり調べた上で平成八年二月十五日に交付額の確定という作業をやっておりますか。
  206. 中西明典

    ○中西政府委員 財団法人から提出されました実績報告書の内容を審査した上で交付額の確定を行ったところでございます。
  207. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほどお尋ねがありましたので、今秘書官を通じて調べましたところ、まず第一に、その秦潤子さんという方は、会員ではありません。秦忠世という方がエムディーエスの会員であります。そして、この方は、平成三年に入会をしていただいております。そして、総会にも出席をしておられるので、お目にかかったことはあるかと思います。潤子さんは、これは続柄までちょっと今わかりませんけれども、御夫妻か親子か御兄弟かということだと思いますが、したがって、恐らくお目にかかったことはないのではないかと思います。
  208. 木島日出夫

    ○木島委員 政治資金規正法二十二条の三に関して、今の厚生省にかかわる補助金の交付決定の通知と橋本総理のこの財団法人成研会からの寄附金の受領との関係を調べてみますと、確かに第一回目の政治献金ですか、これはこの交付決定が平成六年三月二十五日ですから、それから一年以上たって銀行振り込みがされた。ですから、法には触れないと思います、形式的には。  ただ、二回目の方ですね、交付決定が平成八年三月十八日で、総理がこの補助金を受けた公益法人から五十万円、受け皿である資金管理団体に銀行振り込みを通じて受け取っているのが平成八年八月ですか。ですから、これはもうまことに一年以内、五カ月後ですから、これは絶対に政治資金規正法上受け取ってはいけない、刑事罰に処せられる金の受け渡しということ……(発言する者あり)いや、ですから、もらう方は知らなければいいのですが、渡す方は渡しちゃいかぬのです。ですから、違法な払い渡しになるわけですね、渡した方は。  それで、法務大臣に伺います。法務省に伺います。  二度目の五十万円の政治献金の支払い、受けた方じゃない、支払いです。支払い側は、もう明白に政治資金規正法二十二条の違反になる、明らかだと思うのですが、厳正に捜査をし、しかるべき処分をすべきだと思うのですが、決意のほどを聞かせていただきたい。
  209. 松浦功

    ○松浦国務大臣 具体的な一つ一つの事案について捜査すべきかどうかということは、捜査当局において判断すべき問題だと私ども考えております。したがって、法務大臣としての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げますならば、捜査当局は御指摘の政治資金規正法の二十二条の三の問題をも含めて、刑事事件として取り上げるべき問題があれば、法と証拠に基づいて適正に処理するものというふうに考えております。
  210. 木島日出夫

    ○木島委員 総理の方の側は、そういう団体であった、そういう、国庫から補助金をもらっていた団体であったということを知らないで受け取っていれば、それは規正法に違反にはなりません。これは総理が知らなければならないことは確かだと思うんですが、少なくとも総理、あなたの資金管理団体である新政治問題研究会が受け取った五十万が、渡し手の方が明白に政治資金規正法違反になって、刑事処分に付されても仕方がないような状況をつくり出したんですから、これは私は、一国の総裁としての政治責任は軽くないと思うんです。どうですか。
  211. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 一国の総裁と言われましたが、多分総理の言い間違いでありましょう。  そして、私自身が不注意だと認めてお返しをした、これが事実です。
  212. 木島日出夫

    ○木島委員 銀行振り込みだから現金の受け渡しじゃないんですけれども総理の政治資金を預かっている会計責任者とかそういう方が、もし、この渡し手の方が直前に厚生省関係の補助金をもらっていて今病院改築中だということを知っていれば、これは受け手の方も規正法違反になる重大な問題なんです、これ。その辺、まだわからない事実だと思うんですね。  ですから、そういうところについてしっかりやはり調べていただきたい。法務省はそこもしっかり調べていただいて、これは五十万だから、金額が少ないなんという問題では断じてないと思うんです。それをやるべきではないか。
  213. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 誤解のないように。私は、幾らだからいいとか悪いとかということを一回も申し上げておりません。そして、私自身が不注意でありましたので、これは返却をしたと、事実をそのままに申し上げております。  以上です。
  214. 木島日出夫

    ○木島委員 自治大臣をお呼びしておりますので、お答え願いたいと思うんですが、政治資金規正法二十二条の三がつくられたのが昭和五十年、三木内閣のときの改正によるものでした。こうした質的制限を導入した趣旨、この趣旨はどういうものだったんでしょうか。
  215. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 この政治資金規正法の第二十二条の三の規定は、国あるいは公共団体から補助金の交付等を受けます法人との政治資金の授受は、補助金の決定等をめぐりまして不明朗な関係を生じさせる危険性があることにかんがみまして設けられた規制でございます。  以上です。
  216. 木島日出夫

    ○木島委員 この改正法が成立したときの自治省の選挙部管理課長の山本武氏、詳解政治資金規正法という本を出版しているんですが、その本の中でこう書かれています。「補助金や出資金等を通じて国又は地方公共団体と特別な関係にある会社その他の法人からの寄付が往々にして不明朗な関係を生み出し易い傾向がないわけではないので、その弊害を未然に防止しようとするものである」。まことにこのとおりだと思うんです。補助金を受けた法人と政治家とが金で結びつくことは政官業癒着の温床になりやすいから、これを防ごうというのがこの質的制限。一円ももらっちゃ違反になるんです。そういう質的制限の立法目的だったものだと思うんです。  法務省にお尋ねしますが、それじゃ、この法律が制定後どれだけ発動されたか、法違反で有罪判決を受けた件数と内容についてお知らせいただきたい。
  217. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの政治資金規正法二十二条の三違反として捜査、起訴された事件といたしまして、現在当局が把握している限りでは、昭和五十一年のケースでございますが、三重県から補助金の交付決定を受けた法人の会長らが政治団体に対しまして政治活動資金として現金を寄附したという事案がございまして、この事案につきまして、昭和五十一年十二月に津地方検察庁等におきまして関係者三名を起訴いたしまして、そのうち寄附者側二名につきましては執行猶予つきの禁錮刑が、また受寄附者、寄附を受けた側でございますが、一名につきましては罰金刑が確定しているものと承知しております。
  218. 木島日出夫

    ○木島委員 その後、この法律がほとんど使われ ないという状況が続いているわけでありますが、大変残念であります。  新政治問題研究会の政治資金規正法に基づく報告書によりますと、平成八年四月一日付でなされた報告書、平成七年分の収入欄には、今問題にした財団法人成研会からの五十万円だけではありませんでした。この財団法人が運営している汐の宮温泉病院からも五十万。それから、秦さんがやっておられるハタ・クリニック、大阪市にあります、五十万円。三つ載っております。  五十万円というのは法人が資金管理団体に一年間に献金できる最高限度なんです、法律上。天井なんですよ。平成七年の時点でのお金の受け取りというのは、確かに規正法違反にはならないかもしれません。しかし、先ほど来私が指摘しておりますように、なかなか建築について難しかったという時期での献金でありますから、この規正法の趣旨を生かして、この二つについても受け取るのはいかがなものかと思うわけであります。  私はここに汐の宮温泉病院の、汐の宮病院のパンフレットを持ってきておりますが、一つのところには汐の宮病院、財団法人成研会、このアフターケアをやるものとして、ハタ・クリニックとあるんですね。だから、関係は明白です。こちらの方には、財団法人成研会附属の汐の宮温泉病院とありますから、もう関連団体であることは明々白々であります。  やはり今、政治と金との問題が厳しく国民から問われていると思うわけであります。私も総理が出版された政権奪回論というのをしっかり読ませていただきました。総理の考えはかなり明確です。一言で言えば、きれいな金と汚い金を峻別する、そして政治改革の目的は一汚い金が政治家に渡るのを防止するということにあるということだと思います。そして企業献金、政治献金は必要なんだ、政治活動をやるのに必要なんだというお立場だと思うんです。それは一つの立論かもしれません。しかし、今日本の政治を見るときに、政治と金、政治家と金、政党と金の関係を考えるときに、何が問題かと言ったら、きれいな金と汚い金の区別が非常にあいまいになっている。ほとんどがグレーゾーンの中にあるんではないかとすら言えるような状況だ。  やはりそこを見逃していたんでは、国民本位の清潔な政治はできないと思うわけでありまして、そのためにはやはり、温床でありますから、企業献金、団体献金、こういう不明朗なものはやはり全面禁止するという必要があるんではないかというふうに思います。  我が党は、そういう立場で本国会で企業献金全面禁止法案を提出しておりますが、総理の御所見もお伺いいたしまして、質問を終わります。
  219. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 事実関係、先ほどにつけ加えて御報告を申し上げます。  このきっかけになりましたのは、マスコミから成研会に問い合わせがあった、そして成研会から橋本事務所に連絡があったということでありましたので、正確にもう一度申し上げ直しさせていただきます。  そして同時に、社会的に問題となった団体・企業からそれ以降は寄附を受けない、今回のように不注意で受けてしまった場合、その時点以降の寄附を返却するという考え方でまいりました。  そして、企業・団体献金の禁止という問題、これは先般の三党政策合意におきましても、政治資金規正法の平成六年改正法附則九条及び十条の規定を踏まえて、「政治資金のあり方について今後、さらに協議を進める。」という明記をされていることでありまして、各党各会派においても十分御論議をいただきたいと考えております。
  220. 木島日出夫

    ○木島委員 終わります。
  221. 高橋一郎

    ○高橋委員長代理 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、畠山健治郎君。
  222. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私は、社会民主党を代表いたしまして、主として公共事業問題について質問させていただきたいと思います。これまでも本委員会において予算審議のあり方との関係から、公共事業の箇所づけあるいは積算内容等についての論議が盛んになされておりました。こうした質問を踏まえながら、少し別な観点から質問をさせていただきたいというふうに思っております。  本論に入る前に、まず高速道路課税問題について承りたいというふうに思っております。  これまで高速道路に対する固定資産課税は、それが公共の用に供するもので償還後は無料となるから非課税とされてまいりました。その後、料金はプール制となり、そして一昨年の道路審議会中間報告では、維持費管理費の徴収も示唆されております。  そこでまずお尋ねいたしたいと思いますが、この中間答申では、維持管理費を徴収するとすればそれは従来の考え方からの転換となると指摘しております。結論ではございませんが、そうした転換が行われた場合、当然これまでの非課税問題も検討の対象になろうかと思いますが、自治省、建設省のお考えをお尋ねいたしたいと思います。
  223. 湊和夫

    ○湊政府委員 ただいま先生おっしゃられましたように、地方税法におきまして、「公共の用に供する道路」というものについて非課税措置が講ぜられております。この非課税の理由につきましてでございますが、一定の料金徴収期間というものが定められておりまして、この期間が経過すれば無料になるということにかんがみて、一般の、事業として行われております有料道路とは取り扱いを異にするということで、従来からこれに、「公共の用に供する道路」の非課税規定に当たるというふうに解してきております。  そういう非課税規定の解釈の建前からいたしますと、仮に建設省が平成七年十一月の答申を踏まえて道路関係法令の改正を行うということになれば、現在のこの非課税にしておる前提がやはり異なってくるということになりますので、その時点においては見直すことが必要になろうか、見直しの検討が必要になろうかというふうに思っております。
  224. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 ただいま自治省の方からも回答がございましたが、高速道路につきましては、現在の制度におきまして、「公共の用に供する道路」ということで非課税になっております。先生のお話にもございました道路審議会の中間答申におきましては、償還期間後の維持・更新費に関しましての提言がございまして、その中にも、この提言を実現、具体化させるためには今後幅広い国民の議論、それからコンセンサスが必要であるとともに、法改正等の制度、そういったものが必要になってくるといったことが議論されております。  そういったことでございますので、現時点におきましては、固定資産税につきましては非課税の取り扱いというものは全く変更はないものというふうに私ども考えているところでございます。今後、答申を踏まえて法改正等が行われるとすれば、その時点での議論ということになるかと思います。     〔高橋委員長代理退席、中川(秀)委員長     代理着席〕
  225. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 事務方からただいま答弁を申し上げましたが、私の立場で申し上げますと、その審議会は私に対する中間答申でございますので、答申内容につきまして、私なりに現在検討させていただいております。  ただ現在、総理からの厳しい御指示もございまして、日本道路公団の抜本的なやはり改革、前向きの改革、これに今建設省、道路公団挙げて取り組んでおる最中でございますので、将来の日本道路公団のあり方につきましては、もうちょっと確定的な結論を得るには時間がかかる、このように思います。
  226. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今回の日野市の問題提起は、即法律違反とは言えないと思うのです。なぜかと申しますと、地方税法第三百四十八条の二項は、「公共の用に供する道路」と規定しているだけでございまして、高速道路という規定はないわけであります。  それよりも大事なことは、プール制導入以後、 関連市町村に対する公共施設整備費助成金という形で三百六十七億ほど交付がされておりますように、課税問題が常に底辺にあったということ、それが中間答申を機に改めて浮上した、むしろ異議申し立てであったのではないだろうか、そういうふうな受け取り方を私はとりたいと思っておるわけであります。  そういうときに、一部穏当を欠くというような大臣の御発言がございました。当然、課税権者たる市町村長を積極的に説得するという立場の大臣なわけでありますから、そういう立場からすると、少し縁の遠いお話ではなかっただろうかなというふうに思っています。その辺の気持ちを率直にお聞かせいただきたいと思います。
  227. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は再三申し上げておりますように、固定資産税を払うべしという自治省の地方税法上の立場が確定いたしますと、それは払うことは当然の話であります。しかし、その場合は当然、通行料をさらにアップしていくか、あるいは真水をつぎ込んでいくか、天から降るわけでもございませんし、地からわくわけでもございません、それはそういう形で、国民に何らかの形でこれは負担を求めていくということにならざるを得ない、もちろん合理化はやりますけれどもね。  私どもとしては、法律の立場として、建前上それはできないことを行政に責任のある市長さんが、評論家の方々が将来に対する提言としておっしゃることであれば私は耳を傾けますけれども、歳入の見積もりにまで入れてしまわれるというような、そういうことをおやりになるということは、私は、責任のある市長のお立場としてはこれはいかがなものか。どう考えても私は、正常に御判断されるのであればそういう発言が出るはずはない。水をがぶがぶ飲む人があれば糖尿病にかかられたのかなというように思うのと同じように、私は、御高齢でもあるから、アルツハイマー病にかかられたのかなというふうに申し上げただけでありまして、私は別に不穏当なことを申し上げたわけではない。やはり市長である以上は私は責任のある対応をされるべきだ、このように思っております。
  228. 畠山健治郎

    ○畠山委員 水かけ論になりますが、法の解釈上の問題ですから、どっちが正しいというようなことじゃないと思うのです。  特に、一つだけ申し上げておきたいことは、国民には納税義務を押しつけながら、国という立場からすると納税義務があたかもないというような受け取り方をされたのではこれは大変な問題だというふうに思うわけでありまして、ぜひひとつこのことを指摘しておきたいというふうに思っております。  そこで、本論に入らせていただきたいというふうに思っています。  予算審議も、総括、一般、それから集中審議と進んでまいりました。そういう立場からすると、今年度というよりもこれから先の国会における予算審議のあり方という観点から、特に公共事業を中心とした基本的な問題について幾つかお尋ねを申し上げたいと思います。  まず、会計検査院にお尋ねをいたしたいと思います。  正確性、それから合規性、それから経済性、効率性、それから有効性、この四つが検査の視点と伺っております。まあ当然かと思います。  そこで、こういう視点から、農水、運輸、建設省の公共事業に限った場合、最近十年間におけるこれらの三省庁の公共事業の検査数並びに問題ありと報告した指摘事項及び指摘金額、そして背景金額等々はどれぐらいなのか、お尋ねいたしたいと思います。
  229. 平岡哲也

    ○平岡会計検査院説明員 会計検査院の場合、農水、運輸、建設、三省の工事に関する指摘は、道路、港湾その他広く各種施設の整備について行っておりますので、予算上の公共事業費の概念より若干広いのではないかと思いますけれども、昭和六十一年度から平成七年度まで、十年間の検査報告における工事に関する三省の指摘でございますが、件数が、農林水産省七十三件、運輸省二十一件、建設省八十六件、合計百八十件、指摘金額は、三省合計で百六十三億円となっております。  なお、このほか、三省所管の公団の工事についての指摘が、三十七件、二十六億円ございます。  それから、金額につきましては、指摘金額のほかに背景金額という概念がございます。これは、事業効果に問題があるとして取り上げた事態などについてその背景となる金額を示すものでございまして、個別の各事業ごとに金額の性格が異なることから、必ずしも合計するのにはなじまないものでございますけれども、あえて合計をいたしますと、この十年間、三省で計九件についての一千百八十七億円がございます。  以上でございます。
  230. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまの説明でもおわかりのように、件数、金額の指摘がされています。しかも、これらは、全事業を実地検査したわけではなくて、書面検査だけのものも相当あるのではないかというふうに思いますから、実際には報告件数以上に大きな指摘がされるものだと推定いたします。  そこで、ただいまの報告の中で、積算単価に関する指摘をしたもの、または投資効果が上がっていない事業で特別、指摘事項等がございましたものがありましたら、御説明いただきたいと思います。
  231. 平岡哲也

    ○平岡会計検査院説明員 工事に関しましては、計画、設計、積算、施工、事業効果に至るまで、多面的に検査をし、指摘しております。  先ほど申し上げました三省の工事に関する指摘件数のうち、積算に関するものを申し上げますと、農林水産省六件、運輸省五件、建設省十一件、合計二十二件、指摘金額合計、三省で六億三千六百二十九万円となっておりますが、なお、このほか、三省所管の公団の工事について、計三十件、二十三億円の指摘がございます。  次に、実効が上がっていないではないかというような、有効性の観点からの指摘でございますけれども、指摘件数、農林水産省十八件、運輸省一件、建設省五件、合計二十四件、指摘金額、合計百二十五億円となっております。  この投資効果に関しましては、指摘金額のほかに、先ほど申し上げました背景金額が、三省で計四件につきまして一千百二十三億円、検査報告で掲記をされております。
  232. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまの件数の中には、例えば農水省では、積算単価が不適切なものとして、水路トンネル工事の覆工コンクリート打設工事を初め何件かあり、また投資効果の点では、漁港整備事業により造成された漁港施設用地の利用、管理などが指摘されておるはずであります。運輸省では、岸壁築造工事などにおける揚土費の積算が、あるいは投資効果との関係では、公共マリーナの利活用が、建設省では、開削工事による下水道布設工事における埋め戻し工費の積算問題。ちょっと年度はずれておりますけれども、都市施設などの整備事業の実施が、数次にわたって事業延伸したにもかかわらず事業期間内に完了する見込みが立たず、事業効果の発現が不十分とされたもの等々がございます。  そこで、三大臣にお伺いいたしたいと思いますが、このような指摘を受けたことは間違いないと思いますが、そしてまた、これらの指摘に対する改善結果、特に投資効果の観点からどのような方策を講じられてきたのか、説明いただきたいと思います。
  233. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 会計検査院の非常に御熱心な検査の結果、私ども、今後の予算の執行につきましてさらに努力をしなければならない、そのように常に考えておるわけでございます。  ただ、マスコミ等で、むだ遣いがあったとか、何か不適当な表現で会計検査院から指摘された中身が報道されておる場合があるわけでございますが、当委員会でも検査院から何回も御説明がございましたように、例えば用地の買収の問題とか、不可抗力とまでは申しませんけれども、予期しない障害に出会ったためになかなか事業が早期に完成をしないで投資効果が生まれないという場合も あるわけでございまして、このあたりは会計検査院におかれましても御理解はいただいておるところでございます。  しかし、我々といたしましては、効率的な予算執行ということに対して、今後とも一生懸命心がけていくつもりでございます。
  234. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 運輸省といたしましても数点の御指摘をいただいているところでございます。  御承知のとおり、まず、積算のあり方について御指摘をいただいた点につきましては、算定方式の見直し等改善に努めているところでございます。  また、施設の有効利用についての御指摘の点につきましては、その施設の整備の見直し、また、管理者等に施設の有効な利用の促進等を指導しているところでございます。  今後とも、投資効果という意味では運輸関連の公共事業を実施するに当たりまして今日までも努力を重ねているところでございますが、さらに、昨年の十二月策定をいたしました運輸関係公共事業の行動指針に沿いまして、効率的な、効果的な公共事業の整備に努めてまいりたい、このように思っております。
  235. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 平成七年度の会計検査院の検査報告の中で、漁港管理者が漁業情勢の変化に対して漁港の施設用地の利用計画の変更を行っていないとの指摘を受けておりますが、これにつきましては、利用計画の変更を行うように漁港管理者に指導してまいっております。
  236. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまの御説明では、個別事業の是正については取り組んでおるようでございますが、問題は、公共事業の構造問題についての見直しはどうなのか、この点が大事だというふうに思うのです。  そこで、お尋ねいたしたいと思いますが、公共事業のコスト問題は、一つには、資機材、労働費の単価計算など個別問題も当然でありますが、施工過程の構造問題こそ重視される必要があるのではないかと思うのです。私の見たところ、計画から施工完了までの手続に関する関係省庁は十三省庁にも及ぶという問題があろうかと思っています。これら省庁の手続を見直し、効率化することが必要ではないかというふうに思います。この際、コスト削減の数値目標を政府として明確にすべきではないだろうかと考えます。  そこで、この点について、総理のお考えをお尋ねいたしたいと思います。
  237. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員からも御指摘をいただきましたけれども、公共事業のコスト削減というものは、本委員会におきましても何回か議論になってまいりました。そして、内閣としては、去る一月二十一日に公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議を発足させまして、工事の各段階での制度や手続の改善、合理化のために、関係省庁で広く検討しながら、本年度、本年ではございません、本年度末を目途に政府全体の行動指針を策定することを指示いたしました。その際、コスト削減の具体的な数値目標の設定も指示いたしたところでございます。
  238. 畠山健治郎

    ○畠山委員 コスト問題もさることながら、公共部門の最大の課題は政策的有効性にあろうかと思います。  そこで、三大臣にお尋ねいたしたいと思います。  漁港整備事業では、投資効率一・〇以上でなければ事業化しないとされております。公共事業について、投資効果測定、それから地域経済への波及効果、外部経済へのプラス・マイナスについてどのように推計なさってきておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  239. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 漁港につきます投資効果でございますが、先生今言われましたような数値はまだつくっておりませんで、重点投資する漁港につきましては、具体的には、例えば利用漁船数でございますとか陸揚げ金額が一定以上である、それからあと、漁場開発または避難対策上特に必要な漁港、そういうことを勘案いたしまして、また、かつ漁港施設の不足度が高いものを選定するということで、投資効果が上がるものを重点的に採用しているということでございます。
  240. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 私ども、公共事業の実施に当たりましては、先生御指摘の投資効果あるいは外部経済、不経済をどのように測定をするかということは大変重要な課題だと思っております。  例えば道路整備事業について申し上げますと、箇所採択をするに当たりまして、地域経済から見た場合に当該道路の必要性がどういうところにあるのか、有用性がどうか、あるいは事業実施段階では、都市計画決定上どの程度事業が熟度を持つているかといったようなことを総合的に十分勘案した上で実施をしてきているところでございます。特に道路の場合には、例えば時間短縮便益でございますとかあるいは走行便益というようなものを費用便益分析というようなことで実施をいたしまして、その結果によって優先度を決める、こういうことをやってきております。  貴重な税金を財源とする公共事業につきましては、特にこれからも、例えばいろいろな事業につきまして費用効果分析を十分やった上で事業を実施していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  241. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 農業農村整備事業についてお答え申し上げますと、主要な農業農村整備事業につきましては、かねてから費用対効果分析というものを行っております。  具体的に申し上げますと、事業の実施による効用、具体的には圃場整備によって農産物の生産額は幾らになったかというようなことでございますが、この効果が、その事業に要する経費、圃場整備の予算を償うものであるかどうか、それを上回っているかどうか、これが一以上であるかどうかを判断いたしまして、一以上である場合についてのみ事業を採択するようにいたしております。  また、農業農村整備事業は地方で行われる事業でございますので、中小企業への発注率が高いこと、また用地補償費の割合が低いことというような特徴がございまして、地域の経済への波及効果が大変大きい事業として私ども位置づけておりますが、この農業農村整備事業の有効性については、さらに国民の皆様方への御理解をいただくように努力するとともに、事業の効率的な執行に今後とも一層努力してまいりたいと思っております。
  242. 畠山健治郎

    ○畠山委員 事業によっては、投資効果の測定あるいは地域経済への波及度、外部経済に対する影響測定は難しいものもたくさんあろうかと思います。事業の性格上、社会政策として行うべきものも多数あることは十分考慮の必要があろうかと思います。  しかし、公共事業の基本が経済振興にある以上、効果測定は当然あってしかるべきものと思います。今後、少なくとも新規事業についてはこれら効果測定を必ず行い、予算審議に当たっては参考資料として国会に提出すべきと考えますが、三大臣にそれぞれお尋ねいたしたいと思います。
  243. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 ただいま官房長がお答え申し上げましたように、私どもといたしましては、投資効果等についてはできる限りの調査を実施する中で重点的な取り組みをやっておるわけでございますが、大型プロジェクト等について我々が調査をした資料等お出しするということは私はこれは可能と思いますけれども、ただ、一般に、公共事業すべてについて提出をしろと言われましても、これはもう大変な数量にも上るわけでもございますし、これはちょっと不可能かと思います。しかし、大きなプロジェクト等については私どもできる限りお出しをしたい、このように思っております。
  244. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 農水大臣を拝命をいたしましてから数度にわたりまして総理から、公共事業につきましてはその効率、効果、費用対効果分析について十分に意を尽くすように、しかも重点的に早く事業が完成するように、そのような御指示がございました。私どもといたしましても、そういう御指示を体して農水省関連の公共事業を推進しておるわけでございますが、その場合に、効率的に 効果的に公共事業を進めていく上には費用対効果の分析というものが必要でございまして、そういう点については十分に今後とも取り組んでまいるつもりでございます。  御指摘の資料につきましては、農水省関係の公共事業の有効性等についての参考資料でございますが、これにつきましては、工夫をいたしましてできる限り提出をさせていただく、さように考えております。
  245. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 運輸省といたしましても、平成九年度以降、大規模な事業につきましては、原則といたしまして、費用対効果の分析実施につきましてどういう手法でできるかということを今検討いたしているところでございます。御期待にこたえていきたいと思います。
  246. 畠山健治郎

    ○畠山委員 もう一度会計検査院にお尋ねいたしたいと思います。  検査院が検査対象として挙げる経済性、合規性、有効性が持つ意味は先ほどから指摘しておりますとおりでありますが、省庁の事業効果測定との対比であろうかと思います。正確性、合規性の観点からする検査は当たり前のことでありますが、国民が望んでいるのは、経済性、合規性、有効性の観点からする政策評価であろうかと思うんです。この点では、これまでの答弁でも明らかなように、事業執行者である省庁に政策評価への努力が乏しいのではないだろうかという疑念もないではないわけであります。  そういう観点から、会計検査院もこうした観点でしっかりとチェックを求められているんではないかというふうに思います。この点についての御見解をいただきたいと思います。
  247. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 お答えいたします。  ただいま先生からの御質問は、私ども会計検査院が、投資効果、いわゆる有効性の検査についてもっと取り組んでいくべきではないかという御質問だと承りました。  私ども会計検査院の検査の対象は、決算と各種の会計経理、すなわち予算や政策の執行結果でございまして、この執行過程に問題がある場合には、その原因を徹底して究明するということによりまして、関連する予算や政策の効果といったことまで含めて積極的に取り上げるよう努めてまいりたいと考えております。  なお、事業の有効性に関しまして、例えば地域経済への波及効果、こういったより広い観点からの検査を行うということにつきましては、現在必ずしも評価手法が確定されておりません。こういったようなことなどから難しい面もございますが、現在、先進諸国の会計検査院におきましても、重要な課題の一つと位置づけて各国鋭意取り組んでおられるところでございますので、相互に情報交換するなどいたしまして、より充実した検査に努めてまいりたいと考えております。
  248. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そこで、まとめとして、総理からお伺いをいたしたいと思います。  憲法八十六条に基づけば、内閣は、毎会計年度の予算を編成し、国会に提出し、その審議を受けて議決をしなければならないとなっております。ここに言う審議とは、予算額を組む当該事業の妥当性、つまり政策評価のことと思います。これは国会に課せられた審議であろうかと存じます。この点からすれば、現在の予算書が国会の政策評価を可能たらしめるにはほど遠いものだというふうに言わざるを得ないと思っているんです。  この間、論議されている公共事業の箇所づけ、あるいは積算単価の公開問題もこの政策評価の一要素であり、今後、国会審議権の保障の観点からも予算書の内容を改革する必要があるんではないだろうかというふうに考えます。総理の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  249. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 予算は、毎年度の各経費の有効性、効率性などについて十分検討し、その編成を行っているものであり、九年度予算も、全体として抑制を図る中で重点的、効率的な資金配分を行い、現時点として最善の予算を編成してきたと私どもは考えております。  予算書を作成いたしますに当たりまして、複雑かつ膨大な予算というものを組織的に組み立てながら一つのまとまった体系として、あわせて、計上されました金額の内容を国民や国会に対しわかりやすく表現するように、そしてその予算を執行する面からも能率的であるように、従来から工夫を凝らして作成してまいりました。また、予算の国会提出に当たりましては、国会の審議の用に供する、そうした視点から予算の説明等を作成し、提出してまいりました。  今、議員からは公共事業予算について御指摘をいただいたわけでありますけれども、参考資料を工夫するなど、これからもできるだけの努力を払ってまいりたい、そのように思います。
  250. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間になりました。終わります。ありがとうございました。
  251. 中川秀直

    中川(秀)委員長代理 これにて畠山君の質疑は終了いたしました。  次に、岩國哲人君。
  252. 岩國哲人

    ○岩國委員 太陽党の岩國哲人でございます。  本日は、橋本総理に、日本という国家についてどういう将来像を描いておられるのか。施政方針でも、言葉は非常にたくさん使われておりますけれども、いま一つ明確でない点がございますし、また、別な言い方をしますと、どなたが使われてもいいような表現が多過ぎて、橋本首相らしい国家ビジョンというものがわかりにくいという声が非常に多うございますので、本日は、二十一世紀の将来、小学生にもわかるような、我々国会議員にもわかるような、そういう言葉でお話しいただきたいと思います。  私も海外に長くおりましたけれども、こうした、日本という国はとかく国際的な問題は金で解決すればいいと考えているんではないかという誤解、あるいはそういうふうな解釈は非常に流れております。国際社会で血や汗を流すことはよその国にお任せし、そしてお金を出せばよその国が満足してくれる、あるいは喜んでくれる、言ってみればミツグ君のような国家になりつつあるんではなかろうかというおそれを持っております。そうした、国際社会の中で軽べつと侮辱の中に生きることを許されているような日本ではなくて、やはり我々は、信頼と尊敬の中に生きていく、そのような国家であってほしいと思います。  次の世代に残すべき日本とはどういう国家なのか。特に総理は五つの大きな改革を掲げておられますけれども、この五つの改革、いずれも、行政改革あるいは財政改革、国家像に迫るというよりは、どちらかといえばそろばん勘定に近いような財政の面からの改革が非常に多く、最近つけ加えられました教育改革、これは大変重要なことであると私も評価しております。  しかし、その教育についても、読み書きそろばん、大切なことでありますけれども、教育で一番大切なことは、次の時代に我々の文化を伝えていくことと、もう一つは、次の時代の国民にどういう国家を建設してくれという願いを伝えることではなかろうかと思います。  その点において、総理がどのような日本を残してほしい、建設してほしいと次の時代に訴えられるのか、その辺の、総理自身のお言葉で語っていただきたいと思います。例えばアメリカのような国家を目指すのか、あるいはスイスのような国家を目指すのか、あるいはかつてのイギリスのような国を目指すのか、今のようなイギリスの国を目指すのか、わかりやすいお言葉で総理の御意見をお願いしたいと思います。     〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  253. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 海外の経験の大変長い議員から、侮べつされる国家というような言われ方をしたことを、私は現在のこの国のために大変残念な思いで拝聴をいたしておりました。それほど屈折した気持ちで語らなければならない日本なのだろうか、私は率直な感じをそのように持っております。  しかも、現在、他の場所から議席を得ておられる議員でありますが、我が国の民族的な伝承の極めて多い、いわば歴史と伝統の息づく出雲の地で地方行政の責任者もしてこられた。その歴史の中 に誇るべき、あるいは後世に伝えるべき、後代の人々に伝えるべきよきものはなかったのだろうか。率直な感想を申し上げるなら、私は議員の立論にそのような思いを持ちながら聞きました。  そして、何度も私は申し上げてまいりましたけれども、一言で申し上げるなら、かつて我々が若い時代、自分の将来というものに夢を持ち、その夢を追い、そして、全く今と違った世界を私は夢見ておりましたけれどもそれなりにその夢の世界に仕事を持っている時期を持つことができました。私はこれからも、若い人々が自分の将来というものに自分なりの夢を持つ、そしてその夢をかなえるために挑戦することができる、そしてその努力の中から実現される可能性のある国であってほしい、そのような日本であってほしいと願っております。  同時に、これは本年、新年を利してASEANの国々を回りましたときに、ASEANのそれぞれの首脳たちに申し上げたことと軌を一にすることでありますが、アジア太平洋地域の国々、それぞれにおのずから長い歴史と伝統の中で独特の文化を築き上げてきた。日本もその一つです。そして、ややもすると、その長い歴史、伝統、その中にはぐくまれた文化というものは、一括してアジアの混乱とか多様性とか、弱い見方で見られるケースがしばしばであります。しかし、本当にそうなんだろうか。  例えば、日本の文化をよく木と紙の文化という評価をされる方々がありました。事実、伝統的な我が国の建築の中には木と紙の文化は存在をいたします。しかし、その木と紙の文化で千二百年以上そこに首都が置かれ、そこで人々が暮らし、まあ応仁の乱なんかがありましても人々のはぐくみが続き、歴史と文化の中に今日も市民の生活の息づいている京都という町があります。それ以上古い歴史を持った奈良という町もあります。そうした歴史と文化、伝統の中に息づいてきた日本というものを私は次の世代にも伝えていきたいと思います。そして、それを卑下するものだとは私はとっておりません。
  254. 岩國哲人

    ○岩國委員 私もそういう国際社会の中の経験を生かし、私は六年間、出雲市長時代、木の建物以外は一切判こを押したことはありませんでした。そうした木づくりの文化、出雲だけではありません。私が選挙区といたしております世田谷区においても、世田谷村以来の伝統というものが非常によく残されているということに私は感銘もし、喜んでもおります。そうした各地各地で、総理のおっしゃる日本の伝統的な文化を残そう、歴史を残そうということは息づいております。どうか、日本が次の時代も残るような、そのような教育もこれから必要であろうと思いますし、また、この安保体制につきましても、そのような我が国安全保障においても、国際社会の中で軽べつされ、侮辱されるような見方がされないような日本であってほしいという願いで私は質問させていただきましたので、その点は誤解いただかないようにお願いいたします。  次の質問に移らせていただきますけれども我が国における米軍基地、これは二十一世紀もずっと置いておきたいと総理は考えておられるのか、一日も早く米軍基地は解消したいというふうに考えておられるのか。昨日、石破委員からもそのような御質問がありました。石破委員の質問は、なぜ沖縄にという点に関しての質問であったと記憶しておりますけれども、私は、なぜ日本に米軍の基地がいつまでも置かれなければならないのか。今まではともかく、そして現在はともかく、将来的には一日も早く解消したいと考えておられるのか、あるいは一日も長く置きたいと考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。  例えば、ジョセフ・ナイ国防次官補は、こうした極東地域における安保問題についての大変な権威であり、いろいろな意見を発表しておられます。昨年三月十二日、私はボストンにおいて、ジョセフ・ナイ氏と私とで基調講演を行いました。昨年の三月、大統領が訪日される前でありますけれども、ジョセフ・ナイはこのように言っております。彼は独特の、日米安保は言ってみれば酸素のような存在であって、そしてあるときには気がつかないけれどもなくなったら酸素のようにだれもが欲しがるものである、そのような見解を述べた後、極東における十万人、日本における四万七千人は必要だということを日本にわかってもらわなければならないと。  さらに続けて彼が言いましたのは、多くのアメリカ人もその会場にはおりました、そのアメリカ人に向かって、アメリカのタックスペイヤーに、なぜあの経済的に豊かな金持ちの日本を守るために我々の税金を使わねばならないのかという不満、疑問が非常に勢いを増してきているけれども、私は次のように説明しておる。彼が説明しているのは、総理も御承知のように、日本の経済力が非常に強かった、金融の力が強かったときにはアメリカの有名な企業あるいは資産を次々と買い取り、そのようなどっちが戦勝国かわからないという批判さえ出るころに、そうした国に対する防衛を行うということは日本ただ乗り論といったような目で、一般の人の間にもそのような認識が広まっていた時期があります。今でももちろん残っております。そうした、アメリカの税金をなぜ日本のためにという批判や疑問に対しては、アメリカの防衛力の一部を日本に置く方がコストがはるかに安い、あなたの税金がそれだけ少なくて済む、このような説明をして納得してもらっているということなんです。  私はその会場にいて、日本人として複雑な思いがいたしました。アメリカの防衛力の一部を日本にお預かりすることによってアメリカの税金がそれだけ少なくて済むというふうな説明でアメリカの納税者が納得するということであります。  例えば、平成九年度におきましても、米軍基地に対する日本側の負担は二千七百三十七億円が計上されております。この二千七百三十七億円、ドイツにおける米軍の基地に対するドイツ側の負担と比べてどれぐらい違うのか御説明いただけませんでしょうか。
  255. 折田正樹

    ○折田政府委員 数字だけ単純に申し上げますと、ドイツの米軍駐留に関する負担は、ドルでいきますと約十四億ドルでございます。  ただ、アメリカの同盟国が米軍駐留に対して行っておりますいわゆる接受国支援は、それぞれの国の国情、それから安全保障体制の形態、それぞれ異なった状況のもとに置かれておりまして、なかなか単純な比較を行うことは困難ではないかというふうに思います。
  256. 岩國哲人

    ○岩國委員 今のドイツ側負担と日本側負担、米兵一人当たりに換算して何対何ぼぐらいになりますか。
  257. 折田正樹

    ○折田政府委員 一人当たりに換算いたしますと、日本の場合は、米軍兵一人当たり十二万四千ドル、ドイツにつきましては、米軍兵一人当たり一万七千ドル程度だろうと思います。
  258. 岩國哲人

    ○岩國委員 今答弁いただきましたけれども、約八倍の差があるということについて、外務大臣、どのような所感をお持ちになりますか。
  259. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど政府委員からも御答弁申し上げましたけれども、その受け入れ国の側の費用負担については、やはりその国々のその国情によりましていろいろ違ってくるという面がございますので、一概にこれを計数的に比較してどうこうということは言えないかと存じます。  そして日本の場合は、やはり我が国の安全を守るという観点から申しまして、みずから自衛隊というものを整備すると同時に、日米安保条約により日本に駐留する米軍というものを中心といたしまして対応していくという、こういう基本があるわけでございます。  そして現在、世界は大きく変わり、冷戦時代とは随分変わった国際情勢ではございますけれども、やはり我が国の安全、そうして我が国の周辺地域の平和を守るという意味で米軍のプレゼンスは大きな意味を持っておりますし、私どもは、やはりそのために必要な経費を日本としても負担していくべきものだと考えております。  それから、なお、先ほど委員おっしゃいまし た、ナイさんがアメリカのタックスペイヤーズに対してこういう説明をしておった、こういう話でございますけれども、それは、アメリカのタックスペイヤーズにのみ込みやすい表現としてされたんじゃないかと思います。私もナイさんとも何度か話したことがございますけれども、必ずしもそういった面からだけの説明ではない。やはりアメリカ自身がアジア太平洋地域に持っているみずからのいろいろなインタレスト、国としての利益、これは経済活動等も含めてでございますが、そういった観点からも説明しておられたと思いますし、やはりこの日米安保体制というものが今日において果たしている役割、それが日本にとって、またアメリカにとって、またこの地域全体にとってということを考えながら、我々は適正な負担をしていくべきものと考える次第でございます。
  260. 岩國哲人

    ○岩國委員 時間がなくなりましたので、残念ですけれども。大臣の御答弁ありがとうございました。  ただし、ナイ次官補がアメリカのクックスペイヤーに明快に説明されたと同じように、日本側の大臣であれば日本のタックスペイヤーに、なぜ日本人はドイツ人の八倍を払わなければならないのかという明快な説明を政府としてお願いしたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  261. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。  次に、土屋品子さん。
  262. 土屋品子

    土屋委員 21世紀の土屋品子でございます。  きょうは、災害ボランティアについて、二、三質問をさせていただきたいと思います。  私も、三国町の重油の事件が起きまして、福井県三国町に先月行ってまいりました。そして、ボランティアの活動を目の当たりに見まして、大変ボランティアの活動がこれから重要であるということを認識してまいりました。  今回、三国町の地元の皆様ともちょっとお話をさせていただきましたけれども政府対応に対して−番感謝をしていたのが、自衛隊の出動が大変早かったということを皆様が口々に言っておられて、大変心強かったという答えを聞いてまいりました。それで今回、ボランティアについてもさらに政府対応をお伺いしたいと思って、きょうは質問に立たせていただきました。  阪神大震災以来、ボランティアの活躍が非常に目立っておりますけれども、その中で、今後の防災、災害対策を考える上でボランティアをどのように位置づけているのか、また、長期的な視点に立ってどのような位置づけにするのか、将来像について、総理並びに国土庁長官にお伺いしたいと思います。
  263. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 土屋委員御指摘のとおり、阪神・淡路の大震災では、百四十万人とも言われるボランティアの方々がお支えをいただきました。また、今度のナホトカ重油事故に関しましては、最近の新しいデータですと二十一万を超える方々がボランティアで参加をしていただいた。こうした災害にきめの細かい対応をしていただくということに対しまして、ボランティアが非常に大きな役割を果たしていただいている。また、国民のボランティアに対します認識というものも非常に高まっているように思います。  実は、企業でもこのボランティアに対して有給休暇をとる、あるいはもちろん公務員の場合にも人事院の規定にもございます。赤十字などでもボランティアの方々を常時啓蒙している。あるいはボランティアバンクなどというものも民間ではいろいろ試行錯誤されているところでございます。  私どもは、これからもボランティアの方々が支えていただくということは大変大事なことだというふうに思っておりますので、さまざまな機会に、特に防災ボランティアの日であるとかあるいは防災ボランティア週間であるとか、こうしたときにボランティアの大切さ、また、ボランティアへ参加していただく、そうしたさまざまな活動に対してしっかりした啓蒙活動をしてまいりたいと思いますし、必ずしも防災だけではなくて、これから恐らく福祉社会などということを、私たちが二十一世紀を迎えますときにボランティアはさらに日本を支える大きな柱になっていくのではないか、そういう観点からもボランティア活動にはしっかりした啓蒙活動をやってまいりたいと思っております。
  264. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 阪神淡路大震災以前におきまして、実は、例えば福祉の第一線あるいは地域における青少年活動、こうした分野で、我々は随分ボランティアの協力というものを大きく受けてきました。また国際的にも、途上国への支援の中に必ず我が国のボランティアの諸君がその第一線で活躍していてくれたことを、余りそのころ世間は目を向けていただけませんでした。しかし今、阪神淡路大震災、そしてナホトカ号の重油流出事故、こうした大きな不幸な出来事のおかげで、ボランティアというものに対して世間の目が正面から本当に向けられるようになりました。  そして、まさに災害と限定をしてみて考えても、柔軟であり、またきめの細かい災害対策をしようとした場合に、ボランティアの協力体制というものを抜いては考えられない状況になっております。そして、国民の認識も一層私は高まってきていると思います。  しかし、まさにボランティアでありますから、国が、皆さんが奉仕してくださることを前提に施策を組むわけにもいきません。むしろ、先ほど冒頭に自衛隊の諸君の努力を評価していただきました。本当にありがとうございます。しかし、やはり国自身が全力を尽くす中に国民の本当に奉仕的な協力というものを受けとめていく。  その意味では、我々が考えておかなければならないのは、これは阪神淡路大震災のときにも、ボランティアの方々のせっかくの善意をいかにむだなく効果あるように地域に配分していくか、こんな作業もございました。  我々は、やはりボランティア活動というものが円滑に行えるような環境整備というものを常に心がける必要があると思っております。
  265. 土屋品子

    土屋委員 ありがとうございました。  次に、救援ボランティア育成に乗り出すという記事なんですけれども平成七年の一月二十七日、予算委員会で加藤委員がボランティアについての御質問をされた中に、野中国務大臣が「自治体におきましてもボランティアをどのようにサポートしていくかというのは重要な課題でございまして、」ということがあります。それから、五十嵐国務大臣におきましても、「ボランティア活動の成熟というものに対応して、さまざまなことが今必要になっている」というふうな御見解を述べておられます。  また、その後に九五年、同じ年の五月二十八日付、野中自治大臣が神戸において記者発表で、災害救援ボランティアの育成に乗り出すとの方針を表明したという記事がございます。その時点で災害救援ボランティアの育成に乗り出したということで、その後の進行状況及び現状はどうなっているかということについて、ぜひお伺いをしたいと思います。
  266. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 災害救援ボランティアの育成に関するお尋ねでございますけれども阪神淡路大震災以降防災に対する関心が非常に高まりまして、防災に関する専門的な知識を身につけ、そして災害時においてはボランティアとして地域に貢献しょう、こういう動きが出てきているところでございます。  こういったことから、私ども消防庁といたしましても、災害応急活動等の専門的な知識を有する災害救援ボランティアの養成を支援いたしますために、消防機関だとか消防学校だとかそういうところにおきます研修の実施だとか、それから講師の派遣など研修への協力、こういったことにつきまして平成七年の十月十八日付で私ども消防庁の方から各都道府県に通知も出しまして、消防機関に対する要請もいたしているところでございます。  その後、例えば東京消防庁におきましては災害時支援ボランティアの育成が本格化したのを初め といたしまして、兵庫県などにおきましても災害救援専門ボランティア制度といった制度が創設されております。このように、各地域におけるこの種の活動につきまして取り組む機運が高まってきておる、こういうように理解をいたしているところでございます。
  267. 土屋品子

    土屋委員 どうもありがとうございます。  もう時間がございませんので、最後に、防災ボランティアコーディネーターというものが日本に存在するのかどうかわかりませんが、阪神・淡路の震災のときでも、今回の三国町の重油の問題のときでも、ボランティアの方が善意でいっぱい集まってきていただいてもそれを指揮する人がいないということで、そういう現場に立ってボランティアを指揮するコーディネーター、そういうものを養成できるような形というものをぜひ考えていただければありがたいということで、私の質問を終わらせていただきます。
  268. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて土屋さんの質疑は終了いたしました。  次に、高橋一郎君。
  269. 高橋一郎

    ○高橋委員 私は、自民党の高橋一郎でございます。集中審議の最後の質問者としてお尋ねをいたします。お疲れでしょうが、御協力をいただきたいと存じます。  まず、大都市と災害対策について質問申し上げたいと存じます。  今回のペルーの人質事件に関しましては、日本人全体が本当に心配しております。もう既に六十日を経過いたしました。橋本総理におかれましても、日夜心痛のきわみだとお察ししておりますが、私も、もし東京でこんなことが起こったらえらいことだなという思いでいっぱいでございます。  企業経営を担当する者の最も基本的な課題は、危機に際して会社を安定的に維持管理するというところにあると思います。私は、そういうことから、行政においてもそのとおりで、政治においては危機管理は常に究極のターゲットだととらえなければならないと思います。我が国の諸外国に対する自慢の種は治安のよさであり、殊に東京はそれを誇りとしておりました。しかしながら、この東京においてもあのサリン事件のようなことが起こりまして、面目を失墜したのも現実でございます。  質問の運びとして、確認のために、あってはならないことですが、まず東京において某国大使館に来賓を人質とする武装テロ集団が建物を占拠して今般のペルーのような法外の要求を突きつけたと仮定いたしますと、政府はおおむねどのような手順で、またどのような態勢で対応されるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  270. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 高橋委員にお答えいたしますが、これを仮定にということでございますが、警察当局としてはそういう仮定が起きないように警備局を中心にあらゆる治安情勢を分析し、またおっしゃられるようなテロその他を起こさせないよう常時努力をいたしているわけでございまして、今おっしゃられたように、某国の大使館が武装したそのような例えば現在あるような大変大きな武器を持った者が占拠するというようなことは起きないように努力しておりますし、まず起きないだろうと信じております。
  271. 杉田和博

    杉田政府委員 一般論として申し上げますと、委員が想定をされたような突発重大事犯が発生をいたしますと、直ちに警察といたしましては警察のあらゆる機能を集中的に運用できる対策本部を設置いたします。そのもとで、まず第一に状況を把握するための情報収集活動を行います。もとより警察だけではだめでありますので、関係機関との連携、そういった連絡網の確立ということに努めてまいります。  さらにまた、その対象であった公館の周辺の警戒警備はもとより、状況に応じまして、高度に対応できる専門的な部隊の運用も含めまして、あらゆる警備措置をもってこれに対応したい。ただ、この時点では当然内閣において対策本部が設置されましょうから、警察といたしましては、その対策本部のもとで他省庁と有機的な連携を保ってこれに対応する必要があるというふうに考えております。  もとより、ただいま大臣が御答弁申し上げましたとおり、こういうことがあってはならないのでありまして、都内に百数十カ所ございますこういった在外の公館の警備については、平素から国際的または国内的な情報収集、これを行いまして、その分析の上に立って、そういう情報に基づいて警戒警備を行う。さらにまた、その公館の周辺の実態把握ということも十二分にいたしまして、万全の警戒警備を実施したいと考えております。
  272. 高橋一郎

    ○高橋委員 東京に住む者が今一番心配しているのは大地震だと思います。私がこんなことを申し上げますのは、今満ち足りておりますから、こういう質問をしましても一般の方には受けないかもしれません。しかし、命にかかわることでございます。河角博士の地震の六十九年周期説というのを私は承知しております。もう大正の大震災から既に七十年余たっております。そういう学説からいけば、いつ地震が起きても不思議でないこの関東地区、こう考えますと、何としてもきょうは皆様方にお聞きしておきたいわけでございます。  先般の阪神淡路大震災におきましても、政府危機管理の不備が一部で指摘されました。これは貴重な、そして厳しい反省材料でありますが、東京において震災対策についてお伺いしたいと思います。もし東京を関東大震災級の大地震が襲った場合、東京都及び周辺県と政府との連帯体系や、情報連絡上特に政府が力を入れている点は何でしょうか、総理並びに関係大臣にお尋ねしたいと思います。
  273. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 高橋委員は、かつて東京都議会の議長として御活躍をされ、また、東京の置かれております状況をだれよりも熟知されている委員であります。そうした立場から御指摘をいただいているのは当然かと思いますが、私も東京選出の議員でありますので、同じような問題意識を持っているわけでございます。  実は、どんな危機体制でもこれが完璧ということがなかなか言えないところがありますけれども、東京のこの大震災に関しては、何といっても私たち初動体制が大事だという危機意識を持っておりまして、特に直下型の大規模の地震発生時における内閣初動体制について、私ども国と東京都あるいは首都圏との連絡を密にして、しばしば定期的な検討会を持たせていただいているところでございます。  特に、政府と東京都を結びます中央防災無線網の強化拡充を図るとともに、官邸や国土庁、あるいは防衛庁の中央指揮所が被災をした際には、立川の災害対策本部の予備施設の整備を進めてまいりました。また、国土庁を含みます災害対策関係の派遣員をこの東京都の災害対策本部にも送る、そうした緻密な連絡もとらせていただいているところでございます。なお、例年の防災週間においては、南関東地域の直下の地震を想定をいたしまして、政府と首都圏七都県、あるいは近隣の市との合同防災訓練を実践的に行ってきたところでもございます。  先ほど申し上げましたように、国土庁と東京都におきまして、地震災害応急対策に関します情報交換を目的として、定期的に検討会を実施しているところでもございます。
  274. 高橋一郎

    ○高橋委員 かつて美濃部都知事時代に、私は震災対策で質問したことがあります。私は、大正時代の可燃物はまき、木炭、たどん、そんなものだったと思いますが、今は各家庭にも可燃物があり、都市ガスがあり、そして、道路は渋滞して、LPGあるいはガソリンを満載した車が数珠つなぎであります、そんなときに地震が起きたときどう対処するのかと聞きました。そして、その上で、ヘリコプター等自衛隊との協力を得て、空からの消火が必要じゃないかと聞きましたが、火薬のにおいのする提案は受け取れない、こういう答えでございました。  私はこれで御答弁をいただこうと思いません が、高度な、機動的なそういう準備もこの都会においては必要だと思います。これは、今後の検討課題、やっておられたら結構ですが、検討課題として申し上げておきます。  そして、今国土庁長官から御説明がありましたが、政府が、特に不備を感じたり是正をしたいということで改善方を、各出先といいましょうか、東京なら東京都、あるいは大阪府というふうなところに要望等をしている件がありましょうか、協力体制の上で。
  275. 福田秀文

    ○福田(秀)政府委員 阪神・淡路の後、その教訓を踏まえまして、私どもの方で防災基本計画を改定をいたしました。この中身は、災害の種類ごと、例えば風水害とか地震、そういう種類ごとに、予防段階、あるいは応急対策段階、あるいは復旧段階に、それぞれ時間的にそれを追ってまいりまして、できるだけ網羅的に、詳しく規定をいたしまして、例えば、だれが何をするのかといったようなマニュアル的なところまで規定をしております。  これに基づきまして、各公共団体で地域防災計画というものを、今までもありましたけれども、それを修正をいたしております。ですから、私どもの考えている考え方に沿いまして、各公共団体では地域防災計画の中に盛り込んで今後対策を講じていくということにしております。
  276. 高橋一郎

    ○高橋委員 大震災に対する予防措置というのは、一番緊要なことだと思います。それについては、いかに災害に強い都市をつくるかということと同時に、その構造をもちろん改革しなければいけませんでしょうが、被害があったときに、大火災等を引き起こさないためには消防体制の完備が必要でしょうし、また、医療体制も必要だと思います。  そういうことを備えた東京なら東京の都市をつくるには、東京は戦後の誤った都市計画によりまして、言いかえますと、都内外に無秩序な開発の侵食でビルが林立しております。計画的に形成された近代的都市とは言えない面があります。東京を災害に強い都市にするために最低限度の改善を行うには、国と都の強力な連係施策が必要だと思いますが、建設大臣、国土庁長官はどのような覚悟で対処されましょうか。率直、真摯にお答えいただきたいと存じます。
  277. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 真摯な御質問をいただきましたので、真摯にお答えいたしたいと思いますが、委員御指摘のように、東京都あるいは大阪を含めて大都会が防災上万全な状況であるかということになりますと、そうは言えない現実があると思います。いつ災害が襲ってくるかわからないわけでありますので、そういう観点から、建設省といたしましても、市街地を、そうした震災及びその他の災害に強い都市としてつくり上げていくために今努力しております。  昨年十二月、東京都知事、大阪府知事にも私の部屋においでをいただきまして、そうした問題についても率直な意見の交換もいたしまして、密集市街地を防災に強い形で再開発をしていく、そのためにネックになっておるものを、これをきっちりと整備をしていく法案を今国会にも提出をいたしております。  さらに、総理から非常に強い御指示がございまして、これは規制緩和との関係でもございますけれども委員御指摘の都市形成におきまして、建築基準法が現在実態に合っていない状況が生まれてきております。これにつきましても思い切って抜本的に、容積率等を含めまして防災上の観点からも都市整備ができるような視点からも、改正も視野に入れて今検討をいたしておるところでございます。
  278. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございます。  私は、今御答弁をいただきながら、首都高速の第二号線、これだけ考えても大変な予算がかかります。それで、都市ガスだとか上下水道、電力、各種通信施設等、公共施設の地下化、こういうふうにいたしますと、またとてつもない経費がかかると思います。これらの公共施設の地下化に要する費用というのは、都心部において、概算どのぐらいというふうにお見込みなのか。建設、通産、郵政、各大臣にお聞かせいただければ幸いです。
  279. 木下博夫

    ○木下政府委員 ただいま大臣からお答えしましたように、大変都市の課題というのは多うございまして、やはりまず何といいましても安全対策でございましょうし、加えて活性化とかあるいは美観の問題もございますが、お尋ねのございました地下化でございます。本来、下水道施設については地下という構造は当然でございますが、先般の阪神・淡路のときも、我々いろいろ貴重な経験をしまして、くどくなりますけれども、下水道管とマンホールとの継ぎ手のところとか、あるいは処理場あるいはその他のところを見ましても、地質の大変弱いところがウイークリーであることがわかっておりまして、地震の直後から我々いろいろ検討いたしまして、現在、たわみに大変強いというような性格の施設あるいは液状化対策、こういうことをやっております。  金額的にはどうかということでございますが、これは具体的な計算はしておりませんが、総理から最近は公共事業のコスト問題を言われておりますので、こういうところで多少たりともコストについては、当然かかるわけでございますけれども、それらをのみ込みで何とか全体的には増嵩のないような努力もしてまいりたいと思っております。
  280. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 私に対する御質問は、電線の地中化の問題、それからガス管の問題だろうと思います。  これはいろいろな前提がございますが、今、東京二十三区内で配電線、これは実は長さが三万二千百八十五キロメートル、そのうち地中化されたものが一万三千十五キロというわけでございまして、これを引いたものがすなわち地中化していない。それをもし地中化するとするならば、条件はございますが、一キロ当たり大体五億かかるということでございますので、単純に見積もって大体十兆円かかる、こういうことになるわけでございます。そのうち約四割は国あるいは地方自治体、そういう方面が負担しまして、電力会社の方は六兆円負担する、こういうふうな数字になります。  一方、ガスの方は既にいろいろな対策を講じておりまして、大ざっぱに言って、一九九六年から二〇〇〇年までの五カ年という中に千百億実は投入してこうした耐震用の対策をとっている、こういうふうに理解しております。
  281. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 私に対する御質問は通信ケーブルの地中化だと思いますが、郵政省といたしましても、情報通信ネットワークの安全性、信頼性という立場から、この地中化は重要な政策課題として認識をいたしております。また、地中化によって、快適な空間の確保あるいは都市景観の確保上からも大変大事な政策だ、こう思っております。  地中化に伴います事業者の費用負担計算でありますが、これは地中化のいろいろな様式がありますので、一定の前提を置いて計算をいたしてみますと、方法によって二倍ないし十倍、こういうような費用が計算されるようでありますが、一定の前提のもとで計算をさせていただきますと、東京都の場合で約三兆円という試算が一応なされておるところであります。  郵政省といたしましては、今後、税制上の支援等事業者の負担の軽減を図りながら、今後とも関係各省庁、これは共同でやる場合も相当出てまいりますので、関係省庁との連携を深くとりまして、積極的に推進してまいりたいと思っております。
  282. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございました。  建設省で、もしそこに資料がありましたら、東京都の都市計画街路、これの完成のための費用、どのぐらいかお示しできますか。
  283. 木下博夫

    ○木下政府委員 ちなみに東京都の都市計画道路の総延長は三千百四十キロ、おおよそでございますが、現在おおむねその半分が完成されております。区部と部かとは若干、数字がございますけれども、それぞれこの十年間に二百キロぐらいを整備させていただいています。  十年前をお考えいただきますと、それぞれ新宿通り、明治通りというのは大分変わっておりますので、それなり努力はしておりますが、地権者の御協力とかあるいは用地交渉その他で何とか今頑張ってやっておりますが、今後、それじゃしからばどのぐらいかということでございます。大変これは大ざっぱな計算でございまして、確たる数字じゃございませんけれども、やはり三十兆とか四十兆近い数字ですから、むしろソフト的なことを含めますと、現在着工しております仕掛かり品をできるだけ早く完成すること、あるいは既にできている道路の空間を、我々としては、例えば違法な駐車対策とか、あるいは掘り返しの工事をできるだけ削減するとか、そういうところもあわせて都民の方々の渋滞その他に対するいら立ちを何とか我々もクリアしていきたい、こう考えております。
  284. 高橋一郎

    ○高橋委員 かつて堺屋太一さんが、十九世紀、世界の都市はパリ、二十世紀前半はロンドン、二十世紀後半の世界都市はニューヨーク、そして二十一世紀の世界都市は東京といううれしい言葉を吐いております。しかし、東京が、今伺っただけでも大変な事態だというのは予算の面でもわかるわけですが、東京を文字どおり二十一世紀の世界都市とするためには、何としても災害に強くて治安のよい、そして環境のよい都市にしなければならないと思うのですが、総理の御決意はいかがで  ございましょうか。
  285. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 二十一世紀の先導的な都市東京という夢があった、確かに私は、いろいろな問題点を持ちながらも、東京という都市、これは依然として、世界の中でも経済的にも文化の面でも有数の機能を持った都市の一つだと考えております。  そして逆に、例えば震災、たまたま今議員からは震災という災害を例示にとられての御議論がありますけれども、そのほかにも、例えば水という、生活用水の供給という面、あるいは都市の中で排出される廃棄物が自分のエリアの中で処分ができない、こうした点を考えていきますと、都市活動というものが環境に与える負荷に対して非常に問題のある都市、これをどう低減するかというのがこれからの課題。そういう意味では、美しいゆとりのある都市環境というものをつくり出すという意味では、極めて重要な課題を持った都市だと思います。  それだけに、今、国会等移転調査会の答申を受け、その後任である審議会が大所高所からの議論をしておられますけれども、こうした議論も生かしながら、いかにして東京というこの都市の中に、現在居住し日常生活を送る国民にとってのゆとりを、空間を生み出すことができるか、これが我々の課題であろうと考えております。
  286. 高橋一郎

    ○高橋委員 今総理から御答弁いただきましたが、これには、先ほどから話に出ています経費という問題が避けて通れませんでしょう。こういう財政状況もよく承知しておりますが、心苦しいのですが、けさ、ほかの党の議員から、過疎化を含めて地方への地方分権という観点からのお話も伺いましたけれども、東京は東京なりに大変な悩みを持っております。東京都自体で対策を講じようとしても、東京都は大阪府とともに重大な財政上の不利益を受けているのです。  これは皆さん御承知だと思いますが、その不利益な扱いというのは、義務教育費国庫負担削減を初めとして、総額約九百十八億円、これが財源調整ということでもらえないのです。それで、東京とともに二十一世紀を担って我が国の発展の中核となるような大阪府は、美濃部都政の末期のように赤字団体転落寸前だというのです。それで、この東京都と大阪府が富裕団体ということで、いただけるものもよそと比べていただけない、こういうことで我々は悩んでいるわけでございます。  地方の時代とか地方分権の大きく叫ばれるきようですから、東京における今後の都市整備必要性、財源の削減というふうなことについては、総理のお考えをちょっと伺っておきたいと思います。
  287. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに、一部の補助金などにつきましては、財政資金の効率的な使用という観点から財政力による調整を行わせていただいております。その意味では、不利益と委員が言われる部分を全く私は否定するものではありません。しかし一方で、例えば地方交付税の算定に当たりまして、大都市に特有な財政需要、あるいは相対的に高い地価に伴う増嵩経費といったものをより適切に反映するように努めておりますし、地下鉄などの都市交通事業あるいは都市生活環境整備に係る財政措置の拡充ということに努めている点もお認めをいただきたいと思うのであります。  私は、どっちが得とか損とかという話ではなくて、やはり同じ一つの国の中でバランスをとって国土が築かれていく。そうした中におきまして、私どもも今後ともに、大都市特有の財政需要がある、そういうことを十分踏まえながら財政運営に支障がないよう適切な財政措置を講じていきたい、そのように思います。
  288. 高橋一郎

    ○高橋委員 このような財源調整で是正するお考えは、自治大臣、お持ちでしょうか。
  289. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 先ほど義務教育国庫負担金を例に挙げて御質問がございました。今総理からも御答弁がございましたように、財政資金の効率的な使用という観点から、一部の補助金につきましてそういう財源調整が行われておるわけでございます。一方で、しかし、義務教育国庫負担金のように、いわば国と地方が割り勘で負担するような負担金につきましては、国と地方の負担のルールあるいは本来財源調整は地方交付税で行うべきものといったようなこととの関連もございまして、慎重に対処されるべきものと私どもは考えております。  今後とも、その取り扱いにつきましては、これまでの経緯を踏まえまして関係省庁とよく協議してまいりたいと思っております。
  290. 高橋一郎

    ○高橋委員 今の御答弁で私なりに解釈すれば、慎重に対処というのは、こっちにメリットがあるようにしていただきたい。私は東京エゴで質問しているつもりはありません。  ちなみに、東京都のこれから審議する九年度の一般会計の予算規模は六兆六千五百五十億円です。前年度当初予算の六兆八千六百五十億円に比べて二千百億円減、三・一%に当たります。一般歳出では前年度に比べて六・一%の減となっております。それでその上に、余り詳しくやっていますと時間がなくなりますが、リストラといいましょうか、国で言う公共事業関係費に当たる投資的経費を前年度比二〇%以上も削減しているとか、職員定数を千六百七十七人を削減した上で、これは八年度ですが、トータルで三千二名の削減を、ことし含めでしようとしているくらいなのです。  それはそこでとどめますが、結局、地方の時代とか地方分権の大きなことを叫ばれている現在ですけれども、都市整備必要性とか財源の削減は、今それぞれの大臣あるいは事務当局から御答弁いただいてわかりましたけれども、とにかく東京の抱える課題というのはたくさん多うございます。  先ほど九百十八億円の財源調整のお話をしましたが、地方交付税の不交付に加えてさらに国庫支出金の交付制限等を行うので、いわば二重の財源調整を受けているわけですね。これはもう釈迦に説法で皆様方に申し上げることではありませんが、こういう点もあるということを御理解いただいて、今後の大きな国政の発展を図る上で御対処いただきたいと思うわけであります。  地方分権の推進ということでちょっとお尋ねしていきたいのですが、これは生活優先の豊かな社会を実現する上で地方分権を推進することは重要な課題、これは橋本総理も十分お認めになって、いろいろと各所でお話しになっているところでございます。地方に大胆に権限と財源を移譲することによって、国は外交や安全保障、経済、金融システムの運営など、国本来の課題に専念することができる。  こういうことは、反面、地方自治体は地方の特 色に応じた個性ある地域づくりを行うことができるようになることでして、これは既に地方分権推進委員会からは昨年末に第一次勧告が出されて、本年六月には財源の移譲などに関する第二次勧告が出されるようになっているわけでございます。橋本総理はこれらの勧告を受けられて、平成十年の通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成して、総合的かつ計画的に分権を推進すると述べておられます。  機関委任事務制度そのものの廃止とか補助金の整理合理化、現在進めようとしている地方分権の内容、これは総じて戦後の行政システムを抜本的に改革するもので、国民の負託を受けた政治の強力なリーダーシップがまず必要だ、それでなくては実現しない、こう理解しております。  橋本総理は、これまでも、さっきも触れましたが、かたい決意で地方分権の推進に努めると言明してこられたのです。昨年十一月には総理は分権推進委員会の諸井委員長らと会われて、実行可能なしっかりした案をと発言されたと伺っておりますが、私は総理の真意は、地方分権の実現という世紀の大改革を何としても実現しなければならないという御決意を述べられたと理解しているのです。  しかし、各省庁の官僚の中には、総理の発言を、実行可能とは省庁の同意が必要という意味だと勝手に解釈し、自治体への権限移譲に抵抗する動きがあるやに聞いております。狭い省益を乗り越えて、歴史に残る大胆な地方分権をやらなければ総理の御決意をないがしろにするものだと思うのですが、この点について総理の御決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。
  291. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 実行可能なと申し上げたのが、議員からも御指摘を受けましたが、今までにも同様の御質問を何遍も受けることになりました。  ただ、かつて私ども、地方制度調査会からいろいろな御意見が出ながら、それが顧みられることの極めて少なかった実例を目の当たりにいたしております。それだけに、より具体的に答申を書いていただきたい、そうお願いをしたことがこれほど誤解されるとは思いませんでした。  そして、既に政府としては、地方分権推進委員会の第一次勧告というものを最大限に尊重する、その姿勢のもとに内閣に地方分権推進連絡会議を設置すると同時に、分権推進計画作成のための所要の作業に取り組んでおります。その大きな第一次勧告の柱が機関委任事務の廃止であったことは御承知のとおりでありまして、これも既に具体化に入っているわけであります。  そして、その中で前倒せるものは当然のことながら前倒していきたい。自治省にも作業のいわばカウンターパートとしての役割の中で全力を挙げてくれるように依頼をし、既に動かしつつあります。
  292. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございます。  地方分権の実現に向けた行政改革は抜本的なものだけに、地方分権推進計画が予定どおり策定されたとしても、地方自治法の改正などが必要なのは言をまちません。  そこで地方は、しばらくの期間は、分権に向けた取り組みの中で、地方自治体それぞれの都市が抱える問題に創意を生かした独自の施策を展開するのは当たり前のことだと思うのです。それで、これらの施策の中に各都市の固有の事情を反映させたり、国の従来の施策とは若干方向性が変わるかもしれないというふうなことも含まれると思われます。  こうした全国一律でない地方独自の政策は、地方分権が実現された暁には当然許されていいのじゃないかと思うのですが、今日の時点において、分権委員会の勧告の精神にのっとって、国の省庁は地方自治体のこういう意味での自主的な施策を認めて支援すべきであると思いますが、自治大臣いかがですか。
  293. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 委員おっしゃるとおりでございます。何も全体像ができなくても、こういう地方分権、地方が主体的に物をやるという大きな流れができているのでございますから、どんどんやっていただきたいと思いますし、自治省はもちろんでございますが、関係省庁にもぜひ御協力をいただいて、一日も早い地方の時代が来ることを希求しているものであります。
  294. 高橋一郎

    ○高橋委員 よくバスの停留所を十メーター動かすにも運輸省の許可が要るなんて、みんな都民は笑っています。これはこれとして、鈴木前都知事が臨海副都心の橋、レインボーブリッジですが、あれをつくるときに、湾岸を管理する運輸省と、それから都市計画と道路建設を担当する建設省のはざまに立って往生したとこぼしておられたのを聞いています。  大都市東京のことは、こういう地方の時代と言われているんですから、もっと大幅に東京都にお任せいただいて、地方の自治体もそうですよ、それで都市計画などについては独自の計画を任せたらどうでしょう。財源の不利益の扱いなども、先ほどの局長の答弁で少しは安心しましたけれども、前向きに私は理解していますが、これもまた言うはやすく行うはかたしたと思います、率直に申し上げて。  こういう点で、行政改革の地方分権の方向にも合致すると思えるような、ひっくるめた施策に関しては、総理はどんなようにお考えでしょうか。
  295. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど今のバス停の話というのは、第一次臨調のころにもさまざまな話題を提供した、ある意味では古くて長いテーマでございます。  私は、本当にできるだけ多くの権限、それぞれの地方自治体にお渡ししていく。その中で逆に、今度はその都道府県と市町村の間の役割というものをうまく整理をしていただきたいということを、議員が今提起されました中で一つつけ加えさせていただきたいと思うのです。  これはちょっと差しさわりあるかもしれませんが、東京都と二十三区の間で保健所の行政をどちらが責任持つかで、私どもが知る限りでも二十三区に移管されるまで随分時間がかかりました。  国はこれからもできる限り積極的に地方分権を進めてまいりますが、その結果として都道府県と市町村、あるいは市区町村と申し上げるべきかもしれません、との間の行政再配分が効果を減殺することのないように、ぜひとも地方行政の大ベテランでもある議員の御協力をも得たい、今問答を聞きながらそのようなことを思っておりました。
  296. 高橋一郎

    ○高橋委員 私は、旧制中学の時代に、地理の試験で山が外れて困ったことがあるんです。それは、地理の教官がたった一問で百点満点の期末試験を出したんです。断層の糸魚川—静岡ラインについてという設問なんです。私はびっくりして、地図をかかなければいけないからというので、頭の中でうろ覚えの地図を思い出して、富士五湖を含めて断層をかいて、自分なりに、ああ困ったなと思いながら、一度や二度は読んでいるんですから、試験の前の晩でも。それをかいて何とか過ごした思い出があります。  その地域が、おととしの風水害の断層地帯で今度の土砂流の大災害を起こした小谷村の地域なんですね。私は、これは天災だと言えば天災だけれども、やはりそういうふうに地理の試験に出るような断層を何ともできなかったというところに、私は政治にかかわったという立場で、いや、これは大変なことなんだな。政府を責めているんじゃないんですよ、一般の人に安心して住める国土づくりというのは大変だなと。治山治水は政治の基本だといいますけれども、こういう点を考えますと、震災対策とか危機管理の問題というのは大変大事だと思うので、さっきからくどくどと質問したわけでございます。  私は、そして環境の問題に入っていきたいと思います。  この二月十日、中央環境審議会の近藤会長から橋本総理が、アセスメントを統一的な仕組みで実施するよう法制化を求める答申を受けられました。そして、それを受けて、当委員会でも真剣な質疑がなされました。私は、平成五年四月二十日、自民党を代表して、内閣提出の環境基本法に つきまして、当時の宮澤総理、林大幹環境庁長官に質問をした立場で、深い関心を持って拝聴していました。  そして、最近、新聞紙上で南極の氷の中に湖ができたり、川が流れているという報道写真を見まして、私は当時の質問の前置きで、   今日、地球温暖化やオゾン層の破壊など、人類の生存の基盤であるかけがえのない地球環境が損なわれるおそれが生じております。例えば、このまま何の対策も講ぜず、二酸化炭素など地球温暖化の効果を持つ気体を排出し続けば、二十一世紀末までに地球の平均気温は三度高くなり、また海面が最大一メートルも上昇し、地球全体の生態系が大変化を生じたり、海岸部の人口密集地帯が水没したりすることが予想されているわけであります。 と述べて、基本的な質問にかかっていったのです。ここ数年の世界の環境破壊が南極のこの報道写真を見て進んだんじゃないかと心配しているわけです。  そしてまた、私は、昭和四十五年の公害国会のころ、東京都議会で公害対策関係委員長をしていました。ですから、公害防止条例の抜本改正や、そしてまた光化学スモッグや河川の著しい水質汚濁の問題を当時の深刻な公害の問題として取り組んで、今日においても窒素化合物による大気汚染などが解決せずに、二十数年を経過しても歯がゆい思いをしているわけです。  私は、経済企画政務次官のときに、琵琶湖のほとりの野洲町に表彰式に行きました、役所を代表して。というのは、四十二、三年のころでしたか、東京都議会の予算特別委員会で、琵琶湖の汚染について質問したんです。それは中性洗剤のことでした。勉強しましたよ、本当に、マウスの実験などの本まで読んで。それで、あれからもう大分月日がたったんだから、琵琶湖はきれいになったんだろうなと思って聞いたら、何と京都の生活圏になって、家庭排水で汚染しているというのです、より一層。そして、野洲の公会堂の一階の展示場に行ったら、中性洗剤じゃなくて、主婦の方々がつくった石けんを売っていました。ああ、やはり昔のとおりなのかな、一面という、これだけ進歩した時代で感じた記憶があります。  ところで、最近の都会の子供たちの中には、日の出、日の入りをよく知らないという子供がいるんです。本当の話です。それからまた、夜露を見たことのない子供がいるというのです。何か私たちは子供の育て方についてとんでもない間違いをしてかしているんじゃないか、こういう心配をしています。後代の子供たちに、私たちが子供のころに与えられた環境を既に伝えられないような立場になっているようなことを大変心配しているんです。これらのことは、私たちが通ってきた道筋への厳しい反省に迫るものでしょうね。  総理は、先般、我が国は経済発展の過程で生じた各国の公害問題と環境破壊の苦い経験をアジアの諸国に踏ませてはならないという趣旨の発言をされたと記憶していますが、このことについて、総理のお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。
  297. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 たまたま今議員からも、公害国会当時、都議会において持たれた問題意識についてお触れになりました。あの公害国会、まさに私は厚生省政務次官として、公害特で答弁に立っておりました一人でございます。そして、その後、環境庁をつくっていく過程で、その下働きをした人間でもありました。私どもは当時まさに、環境問題ではなく公害問題というとらえ方をいたしました。そして、産業活動の中から汚染が生ずる、だからこそ、排出源対策を行うことによって大気であれ水であれそれぞれの公害問題を排除できる、基本的にはそのような発想を持ったわけであります。  確かにそれはそれなりの効果を上げました。そして、昭和四十年代半ばのいわゆる公害問題というものは今日社会に存在することを許さないだけに社会も成熟をいたしております。しかし、その間に、例えば大都市に人が集まるから、その結果として出てくる廃棄物の問題、あるいは自動車の普及に伴い、その加速的な増加に比して道路のキャパシティーが伸びていかないための渋滞、その渋滞による大気汚染、環境庁をつくりました当時の我々の発想にはなかった環境問題というものを抱えるようになりました。そして、アブノーマルに対抗するための行政という設定でつくりました環境庁が、非常に苦労してもなかなかワークしないと言われる、そういう原因を当時つくったと思っております。  それだけに、今我々は、これから経済発展をしていこう、あるいはその途上にある、そうした方々に対して、我々が昭和四十年代の半ばに自然の浄化力の限界を超えて現出せしめたような汚染というものを経験しないで済ませてもらいたい、そのためには、我々の失敗の記録そのものを提示し、それに対する対応策にどのような手段を用い、それがどのような結果を生じたのかを正確に伝えていくことによって、少なくとも我々が犯したと同じ失敗を地球上で繰り返さないで済むようにしていきたい、そのようなことを思う次第であります。  公害、環境破壊、どちらの呼び方でもいいですが、一たん生ぜしめると、これを解決するのには非常に時間がかかりますし、また費用がかかります。未然に防止ができるならぜひしていきたい、そのために我々のかつての失敗が役立つなら役立てていただきたい、そのような思いでこの問題を提起いたしました。
  298. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございました。  また、昭和五十五年十月二日、東京都議会において、東京都環境影響評価条例、いわゆるアセスメント条例が可決された。そのとき、私は議長でした。その折は、デモ隊が廊下に大勢集まってシュプレヒコールで反対していました。私は、眼鏡を課長に持たせたり、台本を係長に持たせたりして不時に備えたのです。幸い通りましたけれども、当時の厳しい社会情勢をよく知っておりますから、十五年のさまざまな経過を経て近く国会に法案が提出される運びになったことは喜んでいるのです。ただ、OECD加盟の二十九カ国中、アセスメント法が整備されていないのは我が国だけだったという現実もありますので、先ほどの総理の答弁とあわせて、恐縮ですが、総理の御感想をお聞かせいただけたらと思います。
  299. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど前回、国会に環境アセスメントに関する法律が提案をされましたとき、期せずして東京都御出身の我々の同僚である鯨岡兵輔環境庁長官の大変な努力があったことを今も私は記憶をいたしております。しかし、残念ながら、論議がほとんど行われないままにこれは廃案となりました。  そのかわりにというわけではないと思います。しかし、これが廃案となるプロセスの中で、少なくとも自発的なアセスメントが必要だということは社会的な合意が生まれる。その後、昭和五十九年、閣議決定をされました要綱などに基づいての環境アセスメントというものは、現在制度として定着をいたしております。去る二月の十日、中央環境審議会から、法律による環境影響評価制度を設けることが適当、こうした答申をいただくことができました。所要の法案を今国会に提出したい、そのような思いで、今事務方に努力を命じております。
  300. 高橋一郎

    ○高橋委員 近く提出を予定されているアセスメント法案ですが、これは公害問題と今総理のお言葉をまつまでもなく、多くの厳しい経験を重ねてきた我が国ですから、アセスメント法のモデルともいうような立派な法律を立案、制定するべきだと思うのですが、ここで環境庁長官の御抱負を伺いたいと思います。
  301. 石井道子

    石井国務大臣 大変長い議員経験の中で、特に環境問題に対して御熱心に取り組まれてこられました高橋議員からの御質問でございます。  議員のおっしゃいますとおり、アセスメント制度につきましては大変長い経緯がございます。そして、先進国の中でも日本だけが法制化をされてなかったという点では大変残念な思いを続けてき たわけでございますが、このたび、ようやく中央環境審議会から総理に対しまして答申が出されました。そして、その答申の中では、内外の環境影響評価制度の実施状況等を踏まえて、法律による制度とすることが示されております。そして、早い段階からの環境影響評価を可能とすること等の、新しい制度が備えるべき基本原則が示されているところでございます。これは、諸外国にも引けをとらない、大変よい仕組みであるという御提言であると認識をしているところでございます。  環境庁といたしましても、ことし十二月に行われます地球温暖化防止京都会議に対して、国際的にも我が国の環境保全に取り組む積極的な姿勢を示さなければなりません。そのような意味でも、審議会の答申を踏まえまして、また国民の期待にこたえまして、そして各関係省庁との調整を十分に図りながら、実効のある環境影響評価法案を今国会に提出をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  302. 高橋一郎

    ○高橋委員 今御抱負を拝聴しましたが、アセスメント答申の過程やその後の動きでも、きょう通産大臣においでいただいていますが、通産省は発電事業について中環審の大方の意見に必ずしも沿い得ない面があるというような報道があったものですから、通産大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  303. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 まず、若干新聞紙上その他で誤解があったかもしれません。そのことに対して今高橋委員から質問がありまして、お答えをしたいと思います。  それは、従来、発電所のアセスメントというものについては、環境保全に万全を期すことによって電源立地の円滑化を図るため、他の事業に比べて大変厳しい手続を実施してまいりました。その結果、御案内のごとく、SOxの排出量では先進六カ国の平均の二十四分の一、あるいはNOxは八分の一というふうに世界の最高水準の実績を上げてきた、こうした実は自負がございました。したがって、通産省としては、発電所のアセスメントの法制化に当たっては、早くから法制化の必要性ということは申しましたが、中央審議会の答申がまだ出ない段階ではということで若干の誤解を招いたのではないかと思っております。  そこで、この中央環境審議会の答申が出まして、そして十二日からの当予算委員会でもって総理の御答弁がございました。そういうことで、このアセス法というものの条件をすべて満たした上でさらに厳しい手続の制定をすることが必要だ、こうした認識でございまして、発電所をアセス法の対象事業とした上で、アセス法に基づく一般原則を発電所に適用し、発電所のアセス手続が他の事業と異なる特別な手続を電気事業法の改正で対応する、実はこうした方向でもって検討しているわけでございます。
  304. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございました。どうぞ御退席くださって結構でございます。済みません。  アセスメント法の性格を規定すると考えられます今回の中央環境審議会の答申、多くの工夫が見られているのですけれども、なお重要な二、三の点に疑問があると私は思いますので、お聞きしたいと思います。  まず、弱点と考えられる第一の点は、アセスの最終審査は事業を主管する省庁が行う、こう言っております。都道府県知事や環境庁長官が意見を申し述べる機会があるということになっていますけれども、例えば高速道路の建設は建設省、空港、港湾の建設については運輸省が最終判断というのでは、一般の国民が納得するのでしょうか。ここは学識経験者から成る第三者機関による最終審査が望ましいのじゃないかと私は思いますが、環境庁長官、いかがですか。
  305. 石井道子

    石井国務大臣 アセスメントの信頼性を確保する観点から、審査のプロセスにおいて、許認可等を行う者による審査のほかに第三者が参画することは必要であると思います。中央環境審議会の答申におきましても、このような観点から、許認可を行う者による審査のほかに、都道府県知事や環境庁長官が意見を述べることが適当とされているわけでございます。  そしてさらに、地方公共団体における意見形成に際しましては、審議会等の意見を聞く機会を設ける例も多い実情でございますので、それを踏まえまして、審査体制の中に「専門家の知識や経験が案件に応じて活用されることが重要である。」と指摘をしているところでございます。  環境庁といたしましても、この答申を踏まえて、その面を十分に尊重いたしまして法制化に努めてまいりたいと思っております。
  306. 高橋一郎

    ○高橋委員 次に、国の制度と自治体の制度の関係についてですが、この答申では、重複を避けるため国の制度による手続のみを適用することになっております。  環境影響評価制度に関する自治体の取り組みが早いですね、さっきから申し上げているように。東京都の例を挙げましたけれども、ほかの多くの都市もアセスメント条例を持っております。それが根づいている面もあります。ですから、法制度の整備を含めて懸命の対策を今まで講じてきたそういう自治体、それで自主的な制度になれている市民なり都民なり、それで成果を上げてきています。ですから、環境への影響は地域の住民に直接及ぶものでもありますし、住民の生活に直接密接な関係を持つ自治体の果たす役割というのも極めて大きいわけですね。ですから、その意味で、国の制度は、既に制度化されている自治体のアセス制度を何らかの形で組み込まないと実効が上がらないのじゃないかと思うのですが、環境庁長官、いかがお考えでしょうか。
  307. 石井道子

    石井国務大臣 これまでの自治体における取り組みにつきましては、高橋議員おっしゃるとおりでございます。特に、東京都は先進的な県として先駆的な役割を果たされてきたというふうに認識をしているわけでございますが、このたびの中央環境審議会の答申におきましては、地方公共団体において地域の環境保全の観点から環境影響評価が実施されていることにかんがみ、国の制度では、大規模であって許認可において国の関与がある事業を対象事業として取り上げることとしております。  そして、この手続の各段階におきましては、地方公共団体の意見が十分に聴取をされまして、それが反映できる仕組みであるとすることと示されているわけでございます。このことが指摘されておりますので、早期の段階での手続を導入いたしまして、環境基本法に対応した幅広い評価項目やフォローアップの位置づけ等、現在地方で先進的に行われている内容を答申に取り入れているところでございます。  私といたしましても、この答申を踏まえまして、地方公共団体の理解をいただきながら法制化に努めてまいりたいと思っております。
  308. 高橋一郎

    ○高橋委員 今そういう御説明を受けましたから、これは質問ではなくて、地方自治体では住民と密接ですから、いろいろな住民の方々の意見を聞く過程が何回もあります。今回の中環審の答申によるアセスメント法ができるのは、私が危惧しているのならそれは危惧でよろしいのですが、それがちょっと足りないような気がします。そうしますと、なかなかおさまるものもおさまらないという心配があるものですから、そんな質問をいたしました。御答弁は結構でございますが、御検討ください。  次に、東京都が平成七年に実施したアンケート調査によりますと、自然を保護することに関心がある都民八七・三%、産業都市開発も大切だが、どちらかといえば環境保全を優先すべきだという意見に近い都民八二・四%、環境保全のために生活が多少不便になっても我慢できるという意見に近い都民六五・三%となっています。また、別の平成五年の電通の調査によりますと、環境問題が現世代のうちに深刻化すると考えている人の割合は八〇%を占めています。  このような環境に対する世論の高まりがあります中で、今やっとアセスメント法案の上程が予定されているときですら、各省庁間で対立があると聞いています。環境保護に基づく維持可能な社会 への道をこれは阻むものだと思います。これは悲劇ですね。  先般の日本海における重油汚染事故の発生以来、既に一カ月有余ですね。いまだに被害は拡大して、海産物等の損害ははかり知れないでしょう。海鳥などの野生生物への影響は、テレビで見ても、北海道へ行ってケアしていたりしていますね。全貌解明にはまだ多くの時間がかかると思います。この事件においても、あんなに内閣挙げての努力があっても危機管理体制の不備を時に指弾されたり、各省庁の縦割りの弊害を痛感した国民もいるようでございます。  また、大都市を中心として自動車の排出ガスによる窒素酸化物NOx、浮遊粒子状物質SPM等によって汚染が甚だしいのですが、これら自動車排気ガス対策については、環境庁のほか通産省や運輸省、警察庁など、多くの省庁に分かれているのです。  まず、環境庁長官にお伺いしますが、環境行政推進に当たっての最大の懸案や隘路、そういうものは何でしょうか。率直にお答えください。
  309. 石井道子

    石井国務大臣 委員の御指摘なさいましたナホトカ号の重油流出事故につきましては、各省庁挙げて取り組んでおりますし、また、内閣におきましても関係閣僚会議の中で取り組んでいるわけでございますが、十分な危機管理体制がなかったという点とか、あるいは日本海の荒れた海での特殊事情とかさまざまな原因がありますけれども、私ども環境庁といたしましては、最近になりまして、さまざまな調査を行っている中で、専門家によりますナホトカ号油流出事故環境影響評価総合検討委員会を設置したところでもございまして、そういう面で、各関係省庁との調整を図りながら調査も進めていくというような準備もしているところでございます。  また、自動車排出ガスなどにつきましては、既に関係省庁会議などにおきましていろいろ取り組んできたところでございまして、ある程度長い期間を設けながら、その段階ごとにチェックをしている段階でありますが、なかなか十分な成果が上がっていないかもしれません。しかし、このような縦割りの弊害を除くという点についてはあらゆる分野で必要なことでございますので、私どもも、できるだけ各関係省庁の連携を図りながら取り組んでいかなければならないと思っております。  環境問題に対しましては、環境基本法及び環境基本計画に基づきまして、関係省庁が連絡調整を図りながら、最近は非常に総合的また効果的な環境政策の推進を図っていくような状態が生まれてまいりました。そして、環境庁といたしましても、従来より以上に積極的にリーダーシップをとって努力をしているわけでございますが、今後も企画調整機能を十分に発揮しながら、政府一体となった環境行政の推進に全力を傾注する所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  310. 高橋一郎

    ○高橋委員 長官のお立場としての御答弁ではよくわかるんです。ですが、環境保護政策を積極的に推進するには、本当にリーダーシップが必要だと思います。  それで、これがなかったら環境行政は成り立たないと思うのですが、リーダーシップを発揮しやすくする組織や制度に対して、総理はいかがお考えでしょうか。
  311. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、環境庁というものを振り返りますと、創設以来いつの間にか二十六年という日がたちました。そして、先ほど申し上げましたように、これを設計いたします段階で、アブノーマルな状況と戦うという視点から設定しましたことが、逆に環境行政というものが効果を上げれば上げるほど、皮肉なことに行政組織としては機能を失うという、まことに妙な状況になりました。  そして、先日、愛知議員の御質問の際にもお答えをしたことでありますが、私はそれを切りかえていく、世間の認識を変えていく一つの転機になりましたのは、環境庁創設二十周年の際、既往を振り返りまして、我々が体験してまいりました典型的な公害の幾つかを分析し、まとめ上げた論文集としての「日本の公害経験」であり、それを受けて翌年の環境白書の中に盛り込まれた、公害問題を切り抜け、解決していくための産業活動をいかに引き出したかという分析であり、そしてそういう中で、私は、新たな姿を皆が模索し始めたのではないかと思います。そして、改めて公害問題から環境問題へ、そして地球環境というものの保全へという認識の変化がこれに伴ってまいったと思っております。  私は、過去往々にして、先ほど来御議論をいただきました、アセスメント法の前回のような環境庁対他の全省庁といったような形ではなく、まさに政府全体が環境行政に取り組んでいける時期に既に入っていると思っております。そして、一方で今行政改革という目標を追い続けておりますけれども、その中において私は環境行政が後退するとは全く考えておりません。
  312. 高橋一郎

    ○高橋委員 今総理の御答弁を伺いながら、そうかもしれないなと思いました。しかし、環境の保護機構を完璧にするには、やはり総理直轄のような機構がないとできないんじゃないかなという感じもいたします。  環境庁は、私が理事をしていたころは小杉大臣が委員長でしたけれども、あのころは、職員の中で課長職になったのはプロパーで一人しかいませんでした。今十人ぐらい育ったようでございますね。それで、トップクラスの管理職は、十人おられますが、みんなよその省庁から来ている。骨を埋めるつもりで一生懸命やられているのは十分認めます。しかし、いろんなすり合わせの中で、できるかなという危惧があるんです。これは私の勝手な危惧ですから、御答弁を求めているわけじゃありません。そういう私の気持ちも環境庁長官はよく御理解いただいて、指揮をおとりいただきたいと思います。  文部大臣が見えましたから、環境教育についてちょっと伺いたいと思います。  この委員会でもいろんな立場で環境教育に触れておられた方がいました。私は、ちょっと違った立場で申し上げます。  先日新聞の投書欄で「生活必需品に税をかけぬ英国」、こういうタイトルの記事に本当に興味を引かれました。英国の付加価値税は一七・五%で、英国では食料品のほか、子供用品や書籍、文房具には税金がかからないというのですね。子供用品には税金がかからないということは、子を持つ親を大切にするということでもありましょうが、つまりは子供の育成や教育を社会が何よりも大切にしているあかしたと思うんです。  国情や歴史その他の相違もありましょうけれども、さきに申し上げましたように、近ごろの子供、都会の子供は日の入りや日の出をよく知らないということと考え合わせますと、今私たちには何か大切なものが欠落しているんじゃないだろうか、こういう心配をしています。社会全体が子供の教育に懸命になっている社会、そんな社会を我が国に芽生えさせるには、そして根づかせるにはどうしたらいいんだろう。これが政治の基本命題じゃないでしょうか。有名校進学シンドロームに教育の基軸を揺るがせられているかに見える今の学校教育、これを是正することにも一役買えるんじゃないかと思うんですがね、環境教育というのは。  総理、文部大臣の御答弁をいただけたら幸いです。
  313. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 過度の受験競争が子供たちの生活を非常に多忙なものにしております。それから、遊ぶ時間があってもファミコンで、自然との触れ合いというのは大分少なくなっておりまして、私は、やはり青少年期こそいろいろな自然との触れ合いとか社会体験が必要だと思うわけであります。  文部省としても、できるだけ子供のそうした自然体験とか社会体験をふやすということを目標にしておりますが、幸い、週五日制というものが今、月二回行われておりますし、二〇〇三年までに週五日完全実施、こういう目標でやっておりま すので、これはぜひ家庭におきましてもあるいは社会におきましても、できる限り一人一人の子供が、また休みがふえたから受験の塾に行くとか、ごろごろテレビばかりを見ているというんじゃなくて、やはりお父さんも、これは企業にもお願いしなきゃいけないんですが、せっかくの休みを子供と一緒にどこか、自然の体験をするとかボランティア体験をするとか、自然の中で豊かな感受性とか人間性を培う、そういう、学校ももちろん努力しますが、社会全体、地域全体、家庭もそういういわば受け皿づくりといいますか環境づくり、これにひとつ協力をしていただきたいな、こう考えております。
  314. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今文部大臣から答えられたのにもう少しつけさしてください。  たまたま私、五人の子供のうち四人までを完全に自分のふるさとである岡山県の小学校で育てました。そして、一番下の子供だけ、忙しくなりまして、三年から四年にかわるところで東京に連れてまいりました。  そして、一番感じますのは、岡山県、ふるさとで育っておりましたときには、肩ひじ張って環境教育とか自然と親しめとか言わなくても、学校の行き帰りに自然がそれでもあったのです。だんだん下の子になるほど減りましたけれども、それでも周りに自然がありました。  今、私はそういう意味で、東京にあるいは大阪に、大都市にいかに自然を取り戻すかをむしろ地域社会の中で考える時代じゃないかと思うのです。そして、そういう中から生まれてくるもの、地域社会での横のつながり、世代間の交流、そういう中にまさに環境教育というものを位置づけていくことはできないだろうか。今、御論議を聞きながら、そのような印象を持ちました。
  315. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございました。  私どもの小さいころも、都会に住む子供は何かしら自然との接触の中で、周囲の自然との接触の仕方とか命のとうとさとかを知りまして、年かさの子や親やそれから近所の大人、そういう人たちから、じかに何かとうといものを教えられて成長してきたと思うのです。  次世代に自然を残すためには、環境保護の最も基本的な論理を遂行する以外にないと思いますね。自然を愛し環境を大切にする心構えと習慣から、殊に子供の心がはぐくまれると思いますが、これは日本の将来のためには大変大事なことだと思うのです。  環境教育と子供の健全な成長との関連、環境問題も明るい小杉文部大臣、ひとつお答えください。
  316. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 現在、環境教育を進めるについては、次の視点に立ってやっております。  一つは、自然に対する豊かな感受性や環境に対する関心等を培うということ。二番目に、環境や自然と人間とのかかわりや、環境問題と社会経済システムのあり方や生活様式とのかかわりについて理解を深めること。それから三番目に、環境保全や環境の創造を具体的に実践する態度を身につけること。こういうことで教育に当たっているわけです。  特に、この間、愛知さんからもお話がありましたように、今地球上の人口がどんどんふえている。資源は枯渇している。食糧もだんだん減ってくる。そういう中で、自然との共生ということ、これは総理もこの間ずっとお答えになっておりましたけれども、やはり人間は地球上の一生物にしかすぎない。そういう一つの地球市民という感覚で生活をして、その中で自分のライフスタイルをどう構築していくか。あるいは企業活動も、あり余る資源とかエネルギーを使い放題使って、大量生産、大量廃棄という形でいいのか。そういうことを通じて、私はやはり、これからの人生なりライフサイクルなりライフスタイルなり企業活動を考えていく。そうした中で、同時に、先ほど申し上げた自然に対する豊かな感受性というものを育てていくということで、そういう観点から、学校のみならず、地域社会あるいは家庭におきましてもぜひ環境教育の意義をよく理解していただいて、子供たちのこういう健やかな成長ができるその受け皿づくりといいますか、条件づくりをやっていただきたいと考えております。
  317. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございました。  次に、環境問題に関連して、都市の再開発について質問申し上げたいと思います。  ヨーロッパを訪れる人がひとしく感じることなのですが、歴史と伝統に裏打ちされた都市の町並みと建築物のたたずまいに文化を見る思いがする、こうみんな言います。  東京の町は、昔は木と紙でつくられた家々の集落でしたが、そこに言い知れない心の休まるたたずまいと文化を感じることがありました。今は根岸あたりにわずかにその面影を残しています。新宿あたりの新しい高層オフィス街では、それはそれで近代的で結構なのでしょうけれども、東京という都市全体を覆っている印象というのは、不合理な空間の利用、その場しのぎの建築物の雑然たる集落、こうも見られます。三間間口の雑居ビルの林立などはその典型だと思います。災害時における危険はもちろんですけれども、ビル内部の安全だけを見ても、消防署の署員の心胆を寒からしめているのじゃないでしょうか。  率直に申し上げて恐縮ですけれども、戦後の経済の急成長で、急場しのぎの建築物が、我が国特有の細分化された土地の上に思い思いに家を建ててしまいました。その結果だろうと思います。特に、我が国の人々は一般に土地の所有に対して抱く執着が強いのですね、ほかの国の人よりも。それだけに、空間を公共的に使うとかあるいは共通に利用しようという可能性が本当に乏しくなっています。こんなことは経済の急成長の過程でのやむを得ないひずみかもしれませんけれども、今考えたら、取り返しのつかないことだなという悔やみは強いものがあります。  ただ、戦後、半世紀の年月を経まして、今、東京の町もかなりの数のビルが建てかえの時期が来ています。木造家屋を鉄筋コンクリートにしようとしている人も多いわけです。亡き田中角栄元総理は、都市の再開発の必要と法の整備を訴えて、活発な論議を巻き起こして成果を上げたと思いますが、建てかえの時期を迎えて、この時期を存分に生かすときだと思うのですね。  まず、東京やその他の大都市において、再開発の現況、まあ再開発推進の概況ですかね、法的整備を含めて、行政指導の状況を含めて明らかにしていただきたいと思います。
  318. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほど来委員のお話を聞いておりまして、生活環境の整備あるいは都市の再開発と環境の問題等について、極めて重要な御指摘をいただいておるというように私は先ほどから聞いておりました。  委員も御承知のように、この永遠に流れていく宇宙の中で、地球という小さな惑星に瞬時我々は今住んでおるわけでありますから、そうした我々の立場からいいますと、やはり自然に対する恐れとか、またある意味では感謝の気持ち、そういうものが基本になければならない、それが建設行政においても基本的な気持ちでなければならない、私はこのように考えております。  委員が先ほど来御指摘のように、都市の再開発、ちょうど戦後五十年ということで、一つの節目に来ておると思います。私は、建設行政について今職員に言っておりますことは、あの焼け跡の中でとりあえず雨露をしのぐバラック建築をやるというのがこの五十年間の建設行政であった、しかし、今から二十一世紀へ向けて、いわゆる本格建築をやっていく時代だというふうに考えております。  そういう意味で、都市の再開発につきましても、住都公団が今後そういう方向に方向転換をしてまいりますけれども、自治体と一緒になって、国、自治体、民間ディベロッパー、これが一体となった、そうした環境を大事にしながら、住みよい住居空間をつくっていきたい。御承知のように、今国会で提出しております法律も、そういう観点から、今の規制の不幸な点を取っ払っていっておるわけでもございますし、先ほどもちょっと 申し上げましたけれども総理からの非常に厳しい御指示もございまして、建築基準法につきましても、そうした整備をする上において、今日この時点でどう改正するべきか、これをできれば今国会において法律を提出いたしましてやってまいりたい。  なお、今後の方針の中で、東京都あるいは大阪、大都市の首長と我々建設省との間で、できれば常時協議をする機関を設置して、再開発につきまして呼吸を合わせて取り組んでまいりたい、このように考えております。  美しく、安全で、かつ、私はこの点が大事だと思うのですが、やはり人間のにおいのする私は町づくりをしなければならない、このように考えております。
  319. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございました。  ここで総理、ちょっと煩わしたいと思いますが、まあ何としても、私的所有権の、憲法とかそれに基づく制約ですね、それから公共の福祉、これは時には矛盾していますね。それを超えて都市の再開発や大震災対策のための再開発に強力な法の整備を行う、画期的前進を図るというふうなお考え、お持ちになれませんでしょうか。総理の基本的なお考えを伺いたいのです。
  320. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど海部総理のもとで大蔵大臣を拝命しましたとき、土地基本法をめぐる議論、そしてその議論は後の地価税につながっていったわけでありますけれども、大変活発な議論がございました。そして、地価の急上昇の続いておりますさなかでありまして、これに対して税で対応を求める御意見が大変多数ございました。  私は、税は地価対策の上で、どちらかに振り向けることも中立的に行動することも、どれもできる、基本のルールは何なのだ。言いかえれば、伝統的な江戸時代からの町並み、しにせのお店屋さんがこれからも仕事を続けられるような土地対策を求めるのか、それとも再開発によって新たな町を生み出すそういう方向を求めるのか、それによってその税の組み立ても違いますということを繰り返し御答弁申し上げた記憶がございます。  結果としては、土地基本法という法律をつくることによって、まさに公衆の利益といいますか、公共性というものに重点を置いた土地政策を日本は選択をしたわけでありますが、それが十分に地価高騰の時代にワークをしなかったという苦い思い出も実は我々は持っております。  今、今度は土地の有効利用というものを目指し、これによって経済の活気を取り戻す一つのばねをつくりたい、あるいは将来の地域の再開発につなげたい、そのような思いがございますけれども、基本法をつくりましてもそれだけ意見の幅が出る。  今回、先ほど大臣が御答弁をいたしましたけれども、まさに地域住民の方々による市街地整備の取り組みの支援、あるいは都市計画制度の充実、これを実現するための権利移転の促進、このもとは、まさによく御承知のように、密集市街地における老朽木造建築物の建てかえとかそうしたことから始まった議論でありますが、法律案を提案をいたしております。  私は、この議論の中で、十分にそうした今議員が御提起になりましたような問題点も俎上にのせながら議論をしていただきたいと思うのであります。そして、我々は、今与えられているこうした基本法を初めとする、また新規に御審議をお願いしているこうした法律を生かしていきたいと思います。
  321. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございました。  亀井建設大臣の強い再開発の指導力で土地が生み出されたとしますね。その都市環境は本当に重要で、植樹等の義務づけは当たり前なことだと思いますが、近ごろ東京の町中でも野鳥の姿が目について、町を行く人々を楽しませています。私は、繁華街の活気あるにぎわいと同時に、住宅街の閑静な静けさもなくてはならないもので、青々と茂った木々の緑、それこそが都民の目を和ませたり、鳥や植物、昆虫たちもそれぞれの命の営みを謳歌できる環境、これは人間にとってもまた住みやすい環境だと思います。環境と人間との関係を考えるときは、人間が自然とともに生きるといういわば東洋的な思想が大切であると思います。  まあ小さな問題かもしれませんが、環境庁長官、バードサンクチュアリーを極力設置するような、誘導する施策を講じていただきたい。環境庁長官、いかがでしょうか。
  322. 石井道子

    石井国務大臣 これからの都市部における町づくり計画においては、環境に配慮した質の高い生活環境づくりが大変必要であると思います。議員御指摘のとおりでございまして、自然と人間が共生する町づくりということで、環境基本計画の中にも盛り込まれているわけでございます。また、生物多様性国家戦略におきましても、都市地域における生物の生息空間の積極的な創出が重要であるという考え方が示されております。  今後は、このような方向に沿って、生き物と共生するための具体的な取り組みを進めていくことが必要であると思っております。  このような中で、とかく自然が減少しつつあります都市部でございますので、野鳥たちの生息空間を確保して、そして子供たちを初めといたしまして多くの人々にとって身近な自然との触れ合いの場を整備していくことは、自然と人間の共生を目指した地域づくりを進めるという点から大変重要なことと認識しております。  環境庁といたしましても、地方自治体が野鳥やトンボなどの多様な生き物が生息する身近な自然を回復、整備するための取り組みを積極的に支援したいと考えておりまして、その費用の一部を補助する事業につきまして、平成九年度予算案において新たに計上したところでございます。
  323. 高橋一郎

    ○高橋委員 ありがとうございました。  大分長時間質問させていただいてまいりましたが、最後に建設大臣にお尋ねしたいと思います。というよりも、御意見を徴するのかもしれません。  過日、私、国会から帰るとき、高速道路の見晴らしのよい新宿のインターのところでちょっとビル街を見ていました、走りながらですが。そこで、第二国立劇場とかNTTの本社ビルを眺めて、いや、よくビル街ができたな、立派なビルが林立したな。私自身が新宿副都心建設公社の評議員をしていたころ想像もつきませんでした。第一、京王プラザの土地を一坪百万円で買ってくれるかどうかと東京都が売りに出したときは心配したぐらいなんですから。それが今何億という現状。  それはそれとして、私が一人でつぶやいたのです。それは、もうすぐ竣工だな。これは国立劇場のことです。随分立派なビルが林立したな、新宿副都心建設公社の評議員をしていたころ、今申し上げたようなことですが、こんな町並みになるとは想像もつかなかったよと言いましたら、運転していた若い私の秘書が、先生、将来このビル群が老朽化して建てかえるとしたら、この地域はどうなるのですかと言われて、一瞬息をのみました。今でも夜間人口のない都市像でしょう。そして、人の心の通わないビル街に私は辟易しているのです。そして、耐用年度が一斉にもし来たとしたら、建てかえ、再開発は、恥ずかしながら思いもかけない、私の頭の中では、現時点では、ビルが建ったと喜んでいたのですから。  解体しても運ぶ場所がないのですね。東京湾はもう埋め立てられませんよ。よしんば、全部埋めたとしたら、鳥類から魚介類から水質でも何でも、ありとあらゆる生態系や環境を破壊してしまうのですね。科学の進歩で高度な廃材再利用方法が発見されたらともかく、まさに古びたビル、鉄とコンクリートの砂漠があの地域に現出するのです。これは都心、銀座だってそうだと思います。かわいい子供や孫たち、もっと先かもしれません、耐用年度は。しかし、そういう時代に我々がそんな負の遺産を残していいのでしょうか。取り越し苦労でしょうか、私の。あるいは、実行力のある大臣は、既に部下に命じてそういうものに対処する案を検討させているのでしょうか。お教えを請いたいと思います。
  324. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員の今の御質問というのは、私ごとき者が回答を出せるような、そんな問題ではない。ただ、非常に文明論的といいますか、それは何も東京だけじゃなくて、やはり人類の行く末を含めて、これはやはり大きな問題であると私は思います。  そういう意味で、そうした我々の生活の営みが、現在我々だけがうまくやれればいいというのじゃなくて、子々孫々までどういう形でこれを活用をし生かしていくのかという、そういう長期的視点に立って、私は社会資本整備を含めてやっていかなければならないと思います。  最近、ともすれば今財政事情が悪いから社会資本は抑えろというような議論もありますけれども、私は、やはり委員のようなロングランの立場で、日本国全体をどうしていくのか、北海道から沖縄まで、そうしたグランドデザインの中でそうした都市の将来の問題も考えていかなければならない、このように思います。回答にならないかもしれませんけれども、そのように思います。
  325. 高橋一郎

    ○高橋委員 どうもありがとうございました。  私は、いろいろと思いつくままに質問させていただきました。原稿は十分用意したのですが、はしょって時間を節約しようと思いましたので、舌足らずなところがあったかもしれません。また、風邪薬で舌がもつれます。  橋本総理大臣におかれては、きょうは集中審議の最後ですが、私も風邪を引いておりますが、総理大臣もずっと風邪を克服されながら務めておられます毎日を見て、国を担う責任の重大さを私なりに拝察して、国民の一人として感謝しておりました。他の大臣におかれても、真摯にこれからの行政を担って、日本の安泰のために、発展のために御活躍できると私は信じます。  総理大臣初め各閣僚の御自愛と御健闘をお祈りして、私の質問を結びます。ありがとうございました。
  326. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、経済、行財政、危機管理及び沖縄問題等についての集中審議は終了いたしました。  次回は、明二十日午前十時より公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十三分散会