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1997-02-18 第140回国会 衆議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月十八日(火曜日)     午前九時一分開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    飯島 忠義君       石川 要三君    臼井日出男君       江藤 隆美君    尾身 幸次君       越智 伊平君    越智 通雄君       大原 一三君    菊池福治郎君       桜井  新君    下村 博文君       関谷 勝嗣君    田中 和徳君       高鳥  修君    中山 正暉君       西川 公也君    野中 広務君       葉梨 信行君    松永  光君       村上誠一郎君    村山 達雄君       目片  信君    谷津 義男君      吉田左エ門君    渡辺 博道君       愛知 和男君    愛野興一郎君       石田 勝之君    太田 昭宏君       岡田 克也君    北側 一雄君       小池百合子君    坂口  力君       田中 慶秋君    中井  洽君       西川 知雄君    西田  猛君       平田 米男君    生方 幸夫君       枝野 幸男君    海江田万里君       坂上 富男君    仙谷 由人君       日野 市朗君    前原 誠司君       佐々木陸海君    古堅 実吉君       松本 善明君    矢島 恒夫君       上原 康助君    北沢 清功君       岩國 哲人君    小坂 憲次君       新井 将敬君    石破  茂君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 松浦  功君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長 麻生 太郎君         官)         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長 稲垣 実男君         官)         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長   三井 康有君         内閣法制局長官 大森 政輔君         行政改革会議事         務局次長    八木 俊道君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  山田 昭雄君         公正取引委員会         事務総局審査局         長       矢部丈太郎君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁交通局長 田中 節夫君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁経理局長 佐藤  謙君         防衛庁装備局長 鴇田 勝彦君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁物価         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁研究         開発局長    落合 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         国土庁計画・調         整局長     塩谷 隆英君         国土庁防災局長 福田 秀文君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省入国管理         局長      伊集院明夫君         外務大臣官房領         事移住部長   齋藤 正樹君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会 朝海 和夫君         協力部長         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房長 涌井 洋治君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省薬務局長 丸山 晴男君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省保険局長 高木 俊明君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         社会保険庁運営         部長      真野  章君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         食糧庁長官   高木 勇樹君         水産庁長官   嶌田 道夫君         通商産業大臣官         房長      広瀬 勝貞君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         環境エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   中村 利雄君         特許庁長官   荒井 寿光君         中小企業庁長官 石黒 正大君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 泰彦君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     荒谷 俊昭君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         海上保安庁長官 土坂 泰敏君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君         労働省職業能力         開発局長    山中 秀樹君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         消防庁長官   佐野 徹治君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     目片  信君   臼井日出男君     渡辺 博道君   尾身 幸次君    吉田左エ門君   越智 伊平君     西川 公也君   越智 通雄君     飯島 忠義君   小池百合子君     西田  猛君   西川 知雄君     坂口  力君   生方 幸夫君     坂上 富男君   海江田万里君     前原 誠司君   仙谷 由人君     枝野 幸男君   松本 善明君     古堅 実吉君   矢島 恒夫君     佐々木陸海君   岩國 哲人君     小坂 憲次君   新井 将敬君     石破  茂君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     下村 博文君   西川 公也君     越智 伊平君   目片  信君     相沢 英之君  吉田左エ門君     尾身 幸次君   渡辺 博道君     田中 和徳君   坂口  力君     西川 知雄君   西田  猛君     小池百合子君   枝野 幸男君     仙谷 由人君   坂上 富男君     生方 幸夫君   前原 誠司君     海江田万里君   佐々木陸海君     矢島 恒夫君   古堅 実吉君     松本 善明君   小坂 憲次君     岩國 哲人君   石破  茂君     新井 将敬君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     越智 通雄君   田中 和徳君     臼井日出男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、経済、行財政、危機管理及び沖縄問題等について集中審議を行います。  この際、昨日の愛知和男君の質疑関連し、中井洽君及び坂口力君から関連質疑の申し出があります。愛知君の持ち時間の範囲内でこれを許します。  なお、昨日の委員会終了間際に、質問がございました際、大臣答弁に食い違いがあるという御指摘がありました。理事間で協議をいたしまして、本日は、大臣の再答弁を求めて審議を行うということにいたしました。  この際、政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。松浦法務大臣
  3. 松浦功

    松浦国務大臣 法務当局といたしましては、国会の御審議や御議論につきまして、これを最大限に尊重するとの立場から、事案の真相解明支障のない限りにおいてできる限りの御協力をすべきものと考えております。  ただ、捜査内容等の公表につきましては、関係者の名誉、人権の保護、適正な捜査公安活動遂行等観点から、おのずから制約があるということについては御了解を願いたいと存じます。
  4. 深谷隆司

  5. 白川勝彦

    白川国務大臣 警察といたしましては、従来より、捜査に関する事項については、捜査の秘密やプライバシー保護等観点から支障のない限り、国民の代表たる国会を尊重するとの立場から、できるだけ明らかにしてきたところであります。昨日の私の答弁も、同様の考えで申し上げたものであります。  具体的にどの程度まで言えるかは、個々のケースによって捜査への支障等制約はありますが、今後ともこのような考え方で対応してまいる所存であります。
  6. 深谷隆司

  7. 中井洽

    中井委員 それぞれに御答弁をいただきました。  しかし、警察検察、それぞれ国民から見て、同じく捜査をされ、法というものを守られておる機関である。国会における議員の質疑に対して、捜査中の事件に対して、これに答えていく対応が、今のお話では、法務省、うまく言葉を選んではいただいておりますが、結局何も出せないということであろうか、そして公安委員長の方は、積極的に出していくんだ、こういう立場であるというふうに思わざるを得ません。  その点をお打ち合わせをいただいて、間違いなく歩調を合わせてやっているんだ、ここのところをもう一度、法務大臣、御答弁いただきます。
  8. 松浦功

    松浦国務大臣 御指摘の趣旨を十分胸に畳んで、過ちのないように取り締まっていきたい、こう思っております。
  9. 中井洽

    中井委員 それでは、昨日に続いていわゆる泉井事件のことでお聞きをしながら、その中でただいまのお答えが間違いないかどうかも見させていただきながら質疑を進めてまいりたい、このように思います。  通産大臣にお尋ねをいたします。  十三日の各新聞は一斉に、泉井容疑者に絡んで、電力会社二社に元エネ庁幹部三菱石油C重油納入方を特別に依頼をした、こういう疑惑が報じられております。これについて既に検察庁では調査が進んでいると報じられておりますが、通産省は、この報じられた中身について調査をされ、事実をつかんでおられますか。
  10. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 いわゆる泉井事件、これは新聞報道でもって私も存じておりますが、まず、現在まさに検察当局がその捜査を行っているということで、その捜査推移を見守っていくというのが当省の方針でございます。
  11. 中井洽

    中井委員 通産省として、電力会社を日ごろから行政的に指導なさっておる大臣お答えとは到底思えません。  検察調べておるのは検察仕事、しかし通産省として、当然、電力会社と、あるいはまた名指された元エネ庁幹部も含めて事情をお聞きになる、お調べになる、当然のことではないでしょうか。
  12. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 お言葉ではございますが、私の方は捜査権を持っておるわけではございませんので、事件というものに推移している以上、それについて立ち入ることはできない、こうした立場でございます。
  13. 中井洽

    中井委員 それはおかしな話ではないでしょうか。この泉井事件に絡んで、あるいは逆に、この泉井事件の本質というものは、通産省泉井という男の特異な結びつき、そこから発生するもろもろの疑惑、これが疑われて、通産省だって内部で御調査をなすったわけでありましょう。そして、処分もされたわけでありましょう。  しかし、その処分中身は、つき合いがあると疑惑を疑われたということだけで、何人かの方々が、減給二カ月、訓告訓告訓告厳重注意厳重注意、こういう形で終わられております。そして、この通産省報告書の中には、このように書かれております。「これまでの調査では、泉井氏と接触があったことで石油政策が歪められたことは無かったものと確信しているが、石油政策が今回の」云々と書いてございます。  まことに申しわけないんですけれども、このエネ庁長官が、電力二社に三菱石油C重油を特別に何とかしろ、こういう要請をされたこと自体が石油行政をゆがめたことではないでしょうか。こういったことを調査しないで、検察に任せてある、検察が立件しなかったら通産は知らぬ顔、こういうことですか。
  14. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 若干誤解があるかと思いますので説明させてもらいますと、昨年の十二月に、私が大臣になってから六名の者を処分したことは事実でありますが、それはあくまでも綱紀粛正という、こうした観点から、やはり過度のつき合いがあったということで、泉井氏とのつき合い中心にそうした処分をしたわけでございまして、その際に、当省の職員、食事をしたりゴルフをしたというのがございましたので、その行き過ぎた行為に対して監督処分も含めてああした処置をしたわけでございますが、その段階において金銭授受はなかったということでございますし、当然、そのつき合いの中においても石油行政に関することが一切なかったというふうな報告を実は受けているわけでございます。  今問題になっている人は、もう既に私の方の役所を退職いたしまして、そして、ほかの会社に今再就職している、こういうことでございますので、これが果たして事件性があるかどうかというところまで私の方から立ち入る必要はないということでもって、検察当局の動きを実は見守っているということでございます。
  15. 中井洽

    中井委員 お話ですが、二つの点で私は納得がいきません。  一つは、今回報じられましたこの事件は、当時省エネをやかましく言われた時代でありまして、電力各社重油使用量が減り始めた時期であります。そして、電力各社重油使用というものは、昨今少し入札制度等が取り入れられてまいりましたけれども、極めてパーセントも固定をしている中で、エネ庁の極めて幹部の方が直接電力会社に、三菱石油重油を購入をしてほしい、こういう依頼をやったわけであります。そして、報じられているところでは二社でありますが、私の調査では、まだ他の電力会社にも要請をした、こういうのが上がってきております。  これを受けて、検察がどういう形でお調べになるかはこれは検察仕事。しかし、当時エネ庁幹部エネ庁幹部として電力会社要請をした、そしてその人は泉井からたびたび接待を受けておった、これは明らかなことであります。また、ここにあります例の九四年の泉井の年末のパーティーにも出ておる人でもあります。したがって、通産大臣として、通産当局としてお呼びになってお調べになるのが当然であろう、このように思います。  それからもう一つは、佐藤通産大臣は、商工委員会等答弁におかれましても、たびたび、OBについてはもう退職しておる、したがって調べない、こういうことを言われました。  しかし、この泉井問題だけでなしに岡光さんの問題も含めて、あるいは大蔵省の不祥事も含めて、すべての役所関係の目を覆うばかりのずさんなモラルの低下の問題は、現職の問題だけではないのだろうと私は思います。現職官僚の皆さんにいろいろな意見を聞いておりますと、実際、ぐちで、私らの代よりも古い時代はもっとひどかったとか、あるいは古い時代からのつき合いだ、こういう話が出てまいります。  こういうOBに対する調査を、すべての役所がこの間からの綱紀粛正の中で怠ってきたところは、私はおかしいと思っています。退職されたからと言われるけれども、すべての役所高級官僚退職先仕事のお世話をしておるではありませんか。いわゆる天下りということで面倒を見ておるわけであります。また、OBも就職するときにはちゃんと役所報告をされているわけでありまして、そういう意味では、役所にもいまだに私はモラル等監督を担う責任はある、このように思います。  以上二点でお答えを重ねていただきます。
  16. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 先ほどから申すように、綱紀粛正でもって処分したということは、要するに、いわゆる通産省監督下にある者は、それに対して処分というか罰を科すことができるわけですが、OBに関しては罰を科すことができない、一点はこういうことでございます。そして、先ほど申したように、既にその者が再就職している場合には、そこの会社に対する、会社監督問題、そういう問題に関係をしてくるわけでございますので、私の方はあくまでも、これがしかも捜査問題、こういうふうになっている場合には、それの推移を見守っていくということしか考えようがございません。
  17. 中井洽

    中井委員 それは納得できません。通産省御自分の調査で、さっきも申しましたが、泉井との接触石油政策がゆがめられたことはなかったとお出しになっているわけであります。しかし、一九九二年のことであります、この依頼をされました電力会社のうち一社が子会社を通じて三菱石油石油を買われたのは九四年以降今日まで続いております。約五年間で十四、五万キロリットル、金額にして二十億円の商いを新たに行っているわけであります。それも石油が、幾らでも重油電力会社は欲しい、こういうときじゃなしに、省エネで、火力発電も少しずつその当時は量が減っておった時期にあえてふやしている。これはエネ庁幹部要請にこたえたからでありましょう。ここで石油行政関連をしてくるじゃありませんか。このことを調べないということはどうしてですか。これは納得できません。
  18. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 御存じのように私の方では、今の話は、OB調査対象というか調べませんでしたが、現職中心に、先はどのように綱紀粛正という観点から調査をした、その段階石油行政に対してかかわりがないという実は調査の結果を得たわけでございます。  それの延長線でもってということと、それからもう一つは、一般論として言えることは、やはり政策目的を持ってそうしたことを紹介するということは往々にしてあることでございまして、問題は、その際に金銭授受があったかどうかということだと思うのです。それがいわゆる捜査対象となっているということだと申し上げたわけでございます。
  19. 中井洽

    中井委員 佐藤大臣、少し違うんじゃないでしょうか。政策の要求とかいうことではないんですね。三菱石油石油を買ってくれ、入れてやってくれと、当時のエネ庁長官と言われておりますが、エネ庁長官であった方が頼まれておるわけです。これは政策じゃないんです。しかも、彼は泉井との交流が深くて、たびたび宴会にも招かれておった。お調べになったらどうですか。もし通産大臣政策だと言うのなら、多分そのころありました富士興産絡みのことだろうかと私もわからないわけではありません。しかし、それは通産省もお調べになることがはっきりする最大の要因でありましょう。調べずに検察にまっている。検察がそれでは贈収賄か何かで立件できなかったら、やみの中ですか。そういうことになるじゃありませんか。
  20. 広瀬勝貞

    広瀬政府委員 恐縮でございますが、ちょっと事務的な、私、現役調査をやったものですから、その関係で御説明をさせていただきますが、先ほどから委員指摘の、政策に対して影響がなかったのではないかと通産省が言っている、こういうことでございますが、これは十一月の末から、私ども、現役百三十八名でございますけれども、幅広く泉井氏との接触について調査をいたしまして、その結果を十二月五日に発表しております。  その中で、現役について調査をした結果、四十六名が泉井氏と接触があった。名刺の交換等で終わったのは四名おりますから、会食等が四十二名、こういうことでございます。  その中で、現役にはそのときに、泉井氏の接触に当たって職務について何か具体的な依頼がなかったか、あるいは金銭授受がなかったかといったようなことを詳細に聞いておりまして、その結果としては、現役については何もなかったということでございます。そのことははっきり申し上げておきたいと存じます。  それから、もう一つ大臣が申し上げたのは、今度の事件に関しまして、委員指摘のように新聞でいろいろ取りざたされておりますけれども、その件についてはただいま検察調査をしておられるということなので、具体的な言及を避けるというふうに大臣は申し上げたのだと思います。
  21. 中井洽

    中井委員 言及を避けるとか避けないということじゃなしに、通産省でお調べになられましたかと聞いておるわけです。だって、調べてないとおっしゃるから。言及を避けているんじゃないのですよ、調べる必要がないとおっしゃっている、OB調査しませんと。しかし、OB現職当時やったと言われておるじゃないかと申し上げておるのに、それもOBだから調べないとおっしゃっているから、それはおかしい、こう言っておるわけでありまして、これはちゃんと調べる、お約束いただくまでは質問できません。
  22. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今言われているのは、新聞紙上でそういうことが言われていることは私承知しておりますが、そのことの確証があるわけでないし、それが今捜査線に入っているということでございますので、捜査権を持っていない当省として調べる必要がない、かように申し上げたわけでございます。
  23. 中井洽

    中井委員 そんなばかな話はないのであります。捜査権のない通産省調べる必要がない、そんなことがありますか。何か問題があったら、電力会社なんかすぐお呼びになるじゃありませんか。これだけ通産省の元幹部が、幹部時代監督下にある電力会社に対して疑惑を持たれる行為をしたと報じられている。検察調べられておる。こういう報道がなされ、電力会社検察へ呼ばれたということを既に公表されている事件で、通産省がこの事実をお調べにならないというのはあり得ないでしょう。こんな答弁は納得できません。ちょっと出てください。やってください。
  24. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 私の方は別に捜査協力しないと言っているわけじゃないのです。ただ、今のように、本人のやはりプライバシーという問題、先ほど出ましたが、あるわけですね。やはり、そうした捜査線上にあるものというものは、私の方が聞くというのはいかがなものだろうか、かように申し上げているわけです。  ただ、石油行政に対してどういうふうにかかわりがあるだろうかということは、一般論でございますが、今まで既に現職現役の者にいろいろ事情を聞いておりまして、その意味では、今までにおいては石油行政を曲げたことはない、かような実は心証を得ているわけでございます。
  25. 中井洽

    中井委員 これは、こんなことで私も時間をむだに使いたくありませんが、到底納得できません。  通産省が九つの電力会社からこういう事実があったかどうかをお聞きになる。そして電力会社に頼んだと言われるOBをお呼びになって、プライバシーと言われるけれども私もプライバシーを尊重してお名前を申し上げておりません、お呼びになって事情をお聞きになる、これぐらいのことは当然やってしかるべきじゃないでしょうか。  その中で、通産省としてどこに綱紀粛正の面で欠陥があったのだろう、これから現職通産行政の中にどういう反省をすべきだろうか。罪と問われるかどうかは検察仕事であります。おっしゃるとおりであります。しかし、通産省としてほかにするべきことはあるでしょう。それをやらないというのは私は怠慢だ、おかしい。
  26. 深谷隆司

    深谷委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  27. 深谷隆司

    深谷委員長 では、速記を再開いたします。  続けて、佐藤通商産業大臣より答弁を求めます。
  28. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今のお話でございますが、一応石油行政を曲げたかどうかという点について調査をいたします。
  29. 中井洽

    中井委員 曲げたかどうかじゃなしに、電力会社泉井から頼まれてこういう要請をしたのかどうかということを含めて、九つの電力会社にもお尋ねをいただきたいし、御当人にも尋ねる、こういうことでいいですね。
  30. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員が御指摘の点も含めまし  て調査をいたします。
  31. 中井洽

    中井委員 それでは、この問題、次に入ります。  この泉井事件は、当人の詐欺事件あるいは脱税事件、それから贈収賄事件、また今回の元エネ庁幹部の関与した電力会社へのこういう事件、意外な広がりを見せておるところでありまして、これからもまだどこへどういうふうに広がっていくかわかりません。  そういう意味で、ただいま通産省から、官房長から、泉井通産省の職員との接触状況についての調査結果あるいは処分、こういったことを報告もいただきましたけれども、この泉井という人とつき合いのあった役所あるいは役所OB、かなりに上っております。大蔵省あるいは外務省、建設省、運輸省、こういうところの名前も挙がっているわけであります。ひとつそれぞれの役所におきましても、この泉井という男との接触状況、こういったことについて御調査をいただくよう、お見えの大臣、それぞれ御答弁をいただきます。
  32. 三塚博

    ○三塚国務大臣 大蔵省は、直接職務関連はないところでございますけれども、マスコミ等を中心に種々の報道がなされております現況にかんがみ、このまま放置すれば職員に対する無用の誤解も生じかねないことから、同氏との関係について、人事当局が職員から内々に事情を聴取したところであると聞いております。  なお、このような事情聴取の趣旨から、今御指摘の大蔵OBについては事情を聴取する必要があるとは考えていない、こういうことであります。  事情聴取は、職員と泉井氏との関係につき、面識、会食、ゴルフ、贈答品、職務にかかわる依頼等の有無について行ったことであります。  特に、涌井官房長に対して、職務管理を統括する立場にある官房長として、結婚祝いであったにいたしましても、さほど親しくない人物から美術品といった……(中井委員「そこまで聞いていません」と呼ぶ)聞きませんか。  そういうことで、他の職員については、節度を超える関係があった者はいない、こういう報告であります。(中井委員調査してくれましたか、もう済んだということですね」と呼ぶ)はい。
  33. 中井洽

    中井委員 外務省、運輸省、お願いできますか、突然でございますが。
  34. 池田要

    池田国務大臣 外務省につきましては、調査を  いたしました。  そして、これは、泉井氏が海外へ赴かれた際に在外公館でお世話になったということもあって、何かパーティーだったと思いますが、それに御案内をちょうだいして、パーティーにいわゆる顔を出したというだけの接触だったようでございまして、特に職務上問題がある、あるいは職務以外の関係でも疑惑を招いたおそれがあるということは見当たりませんでした。  そういうことを確かめましたので、これ以上の調査なり処分ということは考えなくてよろしいんじゃないか、こう考える次第でございます。
  35. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 運輸省といたしましても、運輸省の現職職員で泉井被告と交友関係があるのではないかと一部報道された者につきましては、直ちに官房長により事実関係を確認をいたしました。  パーティーでは一回か二回会ったことがあるのではないか、しかしながら接待を受けるような交友関係にはないという報告を受けているところであります。
  36. 中井洽

    中井委員 私どもの調査とも違うお話もあるかもしれませんが、それはそれでまた後刻いろんな機会に、問題のあるときにただしていきたいと思っております。  ここで、総理に一つだけお願いがございます。  今回、こういういろいろな事件にかんがみて、綱紀粛正ということで次官会議等も開かれて、それぞれに引き締めておやりをいただいております。しかし、先ほどからも議論ございましたけれども、役所のいろいろな交友関係の不明朗なものが出てきたときに、必ず議題となるのはOBであります。いろんな問題が起こったときにOBにも調査をする、そういうシステムをつくらないと、国民疑惑というものは晴れないんじゃないか、また後輩の官僚の皆さんも胸を張って仕事をできないんじゃないかと私は思います。  先ほど通産大臣とかなり議論をいたしましたけれども、これは問題が具体的になってきたからOBをそれじゃ調べます、こういうお話をいただきました。しかし、現実に各省庁のおやりになっていることは現職限り。この範囲ではまたいろんな事件がこれからも頻発をする、このことを心配いたします。そういう意味で、OBも含めたこの処し方、お考えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員の御意見を伺いながら考えておりましたけれども、私、やはりケース・バイ・ケースという言葉はこの場合にも適用される言葉だと思います。そして、問題として提起をされましたものが、OBまでさかのぼり当時の状況を確認すべき種類の話、また現時点においての現役から事情を聞くことで済む種類の話、私、両方のケースがあると思うんです。  ですから、これは必要に応じ、先輩からもその当時の状況等を確認する必要のあるそうした問題、私そういうものが起きないことを願います、しかしそういう場合には、やはり現役の諸君がためらわずOBの方々にもその当時の状況を伺うといった努力はすべきだと私は思います。
  38. 中井洽

    中井委員 通産大臣に重ねて申し上げます。  この泉井事件のいわゆる一番最初のきっかけとなりました詐欺事件の片一方の当事者は、これは三井鉱山であります。たびたび本委員会でも議論となり、またこれから大変な問題になってまいります三井三池鉱山を抱える会社が、実は片一方の当事者であります。また、三菱石油をめぐっては、昨日あたりの新聞では、昭和シェルとの合併とか業務提携、こういういろんなことが言われます。それぞれ通産の所管の問題ばかりであります。  もう十分お調べになられたということでありますが、役所の中から調べたのにまだ新たに出てくる、こういうことのないように、自戒をされて、OBを含めて厳しく、嫌なことでありますがチェックをされますことを重ねて要請をいたしておきます。  この泉井問題で最後に、総理、まことに申しわけありません。  総理は、厚生大臣、大蔵大臣、運輸大臣通産大臣をお務めになって、今総理大臣であります。現職を見渡しても、これだけの要職をお務めになった方はめったにおられません。しかし、そのお務めになった厚生では岡光さんの問題、大蔵では中島、田谷の問題、それから運輸大臣のときに次官をされておった服部さんの問題、次から次へと、タイミング悪くといいますか、重なっていろんな不祥事が起こっております。  聞かなくてもいいとは思うんでありますし、失礼だとは思いますが、通産大臣もおやりですから、この泉井と面識がおありですか、あるいは何らか会食を持たれたということがおありですか、御確認をさせていただきます。
  39. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 この問題が起きましたとき、改めて当時のいろいろな秘書官たちの記録簿も調べてみました。私自身全くお目にかかった覚えのない方でありますが、念のために調べてみました。そして、記録を振り返ってみましても、お目にかかった機会はないと思います。
  40. 中井洽

    中井委員 それじゃ、この問題を少し外れて、通産大臣にもう一つお尋ねをいたします。  この問題で業転という問題が出てまいります。業転というのは別に悪いことじゃなしに、当然、こういう仕事があって、それで石油の流通が円滑に行われておると私は考えています。  また、この泉井は、一部マスコミで業転業者だと書かれておりますが、業転業者の中では、泉井は業転じゃない、こういうことが専ら言われているわけでありますが、こういう事件を契機に、また、過般からのいろいろな石油の法律改正に伴って、石油も先物取引で日本でも扱う商品としたらどうだろう、こういうことを含めた石油のさらなる自由化の議論が行われる、検討されていると聞かせていただいておりますが、通産大臣、この点についてお考えをお聞かせいただきます。
  41. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今おっしゃったように、実は業者間にもいろんな今までのしきたりがある、一口に言うと商慣行と申しますが、それが大分今の実態、ニーズに合わない業界が出ているという認識を私はしております。  そこで、今当省でも進めております経済構造改革、その中の検討事項としてそういう問題、ニーズに対応していきたい、かように考えております。
  42. 中井洽

    中井委員 それでは、この泉井関連に関しましては、また後刻、他の機会に他の議員からも質疑をさせていただくということで、ほかのことに移らせていただきます。  きょうの朝刊あるいはテレビ、一斉に、レバノンにおきまして日本赤軍の数人が勾留をされた、こういうことが報じられております。ある新聞によりますと、八名、また五名、五、六名、NHK等によりますと五名ということであり、外務省は早速現地に人を派遣したという話も聞いております。  外務大臣から、詳しいわかっておる範囲での報告をいただきます。
  43. 池田要

    池田国務大臣 本件につきましては、レバノンの当局から、日本人と思われる者数人を拘束している、そういう連絡を受けておりますが、果たしてそれが日本人であるのかどうかも含めまして、レバノン当局においてもまだ十分正確には把握していない、そのように承知しております。  そして、我が方といたしましては、もしそれが日本人であり、しかも日本赤軍メンバー、あるいは我が国の法律を犯した者である場合には、そこで確認された場合には、その身柄を我が国に引き渡してもらうよう要請しているところでございます。
  44. 中井洽

    中井委員 警察の方はこのことに関してどうですか、情報は。
  45. 野田健

    ○野田(健)政府委員 新聞等によりましていろいろな個人の名前が出ておりますけれども、今まで確認できた者はおりません。現在、必要な情報連絡を行いまして、指紋等によって確認したいと思っております。
  46. 中井洽

    中井委員 大至急情報を確認され、日本赤軍のメンバーであるならば、身柄引き渡し、条約を結んでいませんから難しいこともおありかと思いますが、御努力をいただきますよう要請をいたします。  私は、なぜこんなことを言うかといいますと、私、国会へ初当選をしまして、国会で初質問をこの場所でやりました。それがこの超法規的措置のときでありました。そんなやり方あるか、こういうやり方をやっては日本は世界に恥をかく、こういうことを当時の総理大臣に、何にもわからぬままに質問をしたことを強く覚えております。  今回、日本がテロに屈しない、こういう決意を固める一番の原因となった事件、これを起こした連中が、レバノンの、中近東の情勢変化によって身柄を勾留された、大変結構なことだ。私どもは、今ちょうどペルー大使公邸の人質事件二カ月日を迎えます。テロに屈しない、その中で、人質の皆さん方の安全、平和的解決目指して、フジモリ大統領も含めて本当に御努力をいただいている最中であります。ぜひ早期にこういったことを明らかにしていただくよう重ねて要請をいたします。  もう一つ、総理にお尋ねをいたします。  昨日、大蔵大臣に、予算は原案どおり通って、そしてその後歳出カット等の手当てをやる、こういう手段はとりませんね、こういうことを御確認をいただきました。大蔵大臣ははっきりと、予算を通していただいてそのまま執行する、こういうことをお約束をいただきました。しかし、きょうの新聞で、自民党の中曽根さん、あるいは社民党の村山さん、また、さきがけの武村さんが御会談をなすって、予算は修正なしで通す、しかし執行段階において歳出の削除をやるんだ、こういうことを三人で合意されたと報じられております。  もしそういうことが可能であるならば、当予算委員会で民主党さん初め我が党から、いろいろな意味で歳出削減の問題提起がなされました。それならば、予算委員会の議論を通じてみんなで歳出削減をやって、少しでも赤字公債の発行を減らせばいいんだろうと私は思います。皆さん方は、予算を無修正で通す、こう言うからには、後から歳出削減をするというようなこそくな手段をとらない、このことを総理の口から再度御確認をいただきます。
  47. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私どもは、今この平成九年度予算を年度内にぜひ通過、成立をさせていただきたい、そして切れ目のない経済運営をさせていただきたいとお願いを申し上げているさなかであります。そして、昨日大蔵大臣が御答弁を申し上げましたことを確認をさせていただいた上で、一点、私は補足をしたいと思います。  と申しますのは、私自身が大蔵大臣のとき湾岸危機が起こり、そしてそれは湾岸戦争へと続いてまいりました。そして、予算を編成し執行し始めた段階において、全く予測しなかった多国籍軍に対する協力の問題が起きました。そしてこのとき、まさに既定予算の節減を私は各省にお願いをし、当初の必要経費というものは、その減額をした中から捻出をいたしました。  そういう意味で、生き物の部分はございます。全くそういう事態に対しても、行動のフリーハンドが政府にないということは、私としてはお約束はできません。しかし、今基本的にあるべき姿として、昨日大蔵大臣が御答弁をさせていただきました内容、それは私どもの気持ちであることは間違いはありません。
  48. 中井洽

    中井委員 あの湾岸戦争のときには、昨日も総理にお尋ねをいたしましたけれども、本当に日本が経験した初めての大変な出来事でありました。当時、大蔵大臣として大変な御努力をされたことも、私自身も大蔵委員会におり、また、政府の姿勢を、当時民社党という小さな党でありましたが全面的に御支持申し上げて、予算等につきましても賛成をさせていただいた一人として十分承知をいたしております。  しかし、今回、そういう大事件ではなしに、予算の審議の真っ最中に、皆さん方は、私どもがいろいろな形で修正をお考えになったらどうだと言われても、補正予算のときもそれは修正をしない、こういうスタンスをとられ、本予算も修正はしないと言っておられる。しかし、片一方で自民党の幹部の方、役職にある方が、通ったら減額修正をやるんだ、こうたびたび言われておる。私どもも、たびたびこんなことで委員会で質疑をして確認をとるのは情けないことでありますけれども、大事な問題でありますからあえて申し上げた次第であります。大蔵大臣、もう一度確認をとります。いいですね。
  49. 三塚博

    ○三塚国務大臣 総理が言われました国家緊急のときは、時に必要があろうかと思いますが、原則はそのとおりであります。
  50. 中井洽

    中井委員 最後の質問をいたします。これは運輸大臣だろうと思うのですが、お答えをいただきたいと思います。  二月の十二日に、三重県の鈴鹿市でお若い保母さん二人が行方不明になりまして、大変な捜査の結果、池に車ごとはまって亡くなっておられる痛ましい事件がございました。後部座席で二人おられたものですから、事故じゃないんじゃないか、こういうことで私どもも思いましたが、当局のお調べの結果、水死だということがわかりました。痛ましいのは、二人のうち一人が携帯電話で、自動車の中から、大変だというのを友達のところへ、実家といいますか、電話を入れているんですね。しかし、結局、窓があかなかった、そのために出られなかった、こういう事件でございます。実はこの保母さん、一人は私も大変かわいがったお嬢さんでございます。本当に両親の気持ちを思うと痛ましい限りであります。  そこで、こんな事件があるのかとお調べをいただきましたら、自動車の死亡事故の中で、毎年一万人ぐらい死亡されておる、大体〇・五%、五十人前後が、ここ三年ぐらい水死を、川や沼や海へはまって死んでおられる。これは、自動車の何か構造上の問題があるのか、あるいは落ちた途端に慌ててしまってあけ方がわからなくなるのか、何かそういうところに問題があるのだろう。ここら辺を、自動車の性能等は運輸省でありますから、運輸大臣としてお考えがおありであればお聞かせをいただきます。
  51. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生の御地元で、今、とうとい生命が奪われる自動車の水没事故が起きたわけでございます。お聞きしますと、亡くなられた方は先生とも大変親しい方だとお聞きしまして、まことに痛ましい事故であり、とうとい生命を失われたことを残念に思います。  今先生お話ししていただきました事故、自動車事故の問題でございますが、昨年は、政府を挙げて、交通事故による死亡者、おかげさまで九年ぶりに一万人を割るという非常に大きな成果を実は上げたわけでございますが、今御指摘いただいているように、自動車の水没による死傷者、これは非常に実は増加の傾向にございます。  運輸省といたしましては、車両の安全対策というのには鋭意取り組んでいるわけでございますが、とりわけ自動車が非常に便利になりまして、窓ガラスがパワーウインドー、電子系の自動ということになっております。水没したときにどういう状況にあるのか、電子系統がだめになってしまうのか、それとも、先生お話しになっていたように、慌てて、操作をするのを間違えてしまうのか、その辺の原因は、当然、今その事実関係調査をいたしております。  いずれにいたしましても、自動車が水没したときに窓ガラスを破壊する、これにはハンマーが一番いいんだそうでございます。それで、このハンマーをぜひ必要な人には用意していただく。必要な人にはと言ったら変ですが、それだけ用心深い、気をつけるということを兼ねて、私は、これは何も水没だけではなくて、一般交通事故ででも、閉じ込められて、一刻も早く脱出しなきゃいかぬというときには窓をたたき割る、そういうハンマーについての自動車のユーザーに対する周知徹底、こういったことはこれからぜひ積極的に進めていきたい、こういう考えでおります。
  52. 中井洽

    中井委員 きのう、愛知議員が梶山官房長官にお尋ねをしたら、緊急時には自転車でというお話がございました。今回はまたハンマーでというお答えでありましたが、自動車の構造上、そういうのにはまったら、どんと足でければ破れるような仕組みとか何かあるのだろう、自動車事故、それぞれ亡くなった方、痛ましいわけでございますけれども、こういう創意工夫すれば助かる命を損じないように、どうぞ少しでも御努力をいただきたい。私も、亡くなられた方の御冥福を心から祈って、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  53. 深谷隆司

    深谷委員長 次に、坂口力君。
  54. 坂口力

    坂口委員 中井議員の後を受けまして質問を続けさせていただきたいと思いますが、最初に社会保障関係のことをお聞きをし、あと沖縄問題等をお聞きをしたいと思っています。  まず、ソフトな話から入らせていただきますが、厚生省は、去る一月の二十一日、将来の人口変動を予測いたしました日本の将来推計人口を発表になりました。それによりますと、平成四年九月に推計をされましたものよりもさらに高齢化が進んでいる。その理由は、細かく拝見をいたしますと、高齢者の平均余命が延びたことよりも少子化がさらに進んでいることに主な原因があるというところがその統計の中から見られるわけでございます。  その内容を見ますと、いわゆる合計特殊出生率、すなわち、女性が一生の間に産みます子供の数、今まで一・四三という最低記録をしてきたわけでございますが、それが二〇〇〇年には丁三八まで下がる可能性がある、こういう予測が出ております こういうことになってまいりますと、だんだんと厳しさが増してくるわけでありまして、二〇二五年には非常に高齢社会、厳しいというふうに言われますが、もう一つその先、二〇五〇にはさらに厳しくなるわけでございます。  そんなことを前提にいたしましてことしの予算をちょっと拝見をいたしますと、いわゆる新ゴールドプランというのが、これはもう御承知のとおりございます。厚生省の予算全体で十四兆六千億円、厚生大臣、申し上げるまでもございません。その中で、老人保健福祉局に計上されております予算が二・六兆円。その中で、この新ゴールドプラン、すなわち、ホームヘルパーさんの増員でありますとか、あるいはショートステイの充実でありますとか、デイサービスセンターの増設でありますとか、あるいは特別養護老人ホームの増設でありますとか、さまざまなことに費やしますこの新ゴールドプラン、これが約一千億ばかりふえまして、八千三十七億円。これに対しまして、少子社会にふさわしい子育て支援というのがございますが、これが約二百五十億円ぐらい増加をいたしまして二千四百三十一億円という数字になっております。  高齢社会に対しますものは細かく拾い上げれば各省庁に散らばっているのでしょうからもっとあるのでしょうし、あるいはまた少子社会にかかわりますものも若干ほかにもあるのだろうというふうに思いますが、主な厚生省の予算の中で見ますと、新ゴールドプランに約八千億、そして少子社会にふさわしい子育て支援に約二千四百億、こういう数字になっております。全体のこの数字の高い低いはさておきまして、高齢社会に対します予算の配分と少子社会に対します予算の配分がこれでいいかどうかという問題があるのだろうと思います。  高齢社会の問題は、各市町村からももっともっとこれは上げなければならないという強い要請もございますし、ましてや高齢者からの叫びもございます。しかし、少子化の方は、これはなかなか小さな子供で叫びませんので、みずからは声を上げない、こういう側面がございますが、それだけに、この少子社会の問題というのは我々も心してやらないといけないのではないかというふうに思っております。  この配分の度合い、これは厚生大臣と大蔵大臣、どんなふうにお考えになるか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  55. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 高齢者と子供に対する配分の度合いという観点は、今まで、率直に言うと私はありませんでした。高齢者に対してはどういう施策が必要か、子供に対してどういう施策が必要かという点で予算を配分してきたと思うのであります。結果的に高齢者に比べれば子供に対する予算は少ない、事実であります。  しかし、今委員指摘のとおり、これから少子化の傾向が続いていく、高齢者がふえる、社会の活力やら、あるいは子供は社会の宝だという観点からいけば、子供に関係する予算も、子育てに対する支援策等十分な配慮をしていくべきだ、そう私は思っております。
  56. 三塚博

    ○三塚国務大臣 厚生大臣が言われましたように、九年度予算編成におきましても、子育て環境の整備、生きがいというようなことで、対前年度比一一%増ということで、今坂口議員御指摘の予算編成に取り組んだところであります。  それぞれの人生観、自然観、国家観の中において、少子化時代にはストップをかけて、前進、推し進めるために努力をしていかなければならぬと思っております。
  57. 坂口力

    坂口委員 先ほど厚生省から出ました推計を若干申し上げましたが、二〇五〇年になりますと、六十五歳以上の人口が、今度の推計によりますと三〇%を超えるわけであります。この数字だけを見ますと、高齢者の問題が大変だという気がするわけです。私もそういう感じがするわけであります。しかし、これはゼロ歳から十四歳までの年齢層との比較において高齢者の割合が多くなるということでありまして、これは大変なことではありますけれども、しかしこれだけで見ていては私はだめだと思っております。  もう一つは、六十五歳以上の平均余今、六十五歳に達した人がそれ以後大体どれだけ生きられるか、平均余命というのが戦後どのぐらい変わったかということを拾い上げてみますと、男の人で大体五歳、女の人で七歳、平均して六歳が六十五歳の人の平均余命の延長であります。これを大変長く延びたというふうにとりますか、それとも、いや、思っておったより少ないなというふうに思うかは、それは人によって違うと思いますけれども、びっくりするほどの延びではないと思うのです。今後どれだけ延びるかという予測を見ますと、二〇五〇年ぐらいまでの間にせいぜい二歳、延びましてもあと二歳という程度でございます。  ですから、これからの超高齢化社会のこの状態がさらに続くかどうか、そしてさらに厳しいものになるかどうかということは、 一にかかりまして、子供の数が減るかどうかということにかかってくるだろうというふうに思います。  ただし、産む、産まないは、親が決めることでございます。政治が決めることではございません。しかし、産みたいけれども産むことができない社会環境があるといたしましたら、これは政治が排除をしなければならないと思うわけでございます。  そこで、世界でも一番低いのはスペイン。スぺイン、イタリア、ドイツというのが世界の中で最も少子化の進んでいる国でございますが、これは一・三台になっておりますが、これらの国は、非常にいろいろの苦労をして、施策を講じているわけでございます。  例えば、フランスあたりは、出産奨励のための減税でありますとかあるいは家族給付でありますとか、この家族給付なども、総額で年間千二百四十億フラン、これは日本のお金にしますと大体三兆円に匹敵するのだそうでございますが、約三兆円、そんな額をここに投じている。大変な額だと思いますけれども、非常に少子化に対して努力をしているということでございます。  日本は急速に超高齢社会が進んでいる、世界で例を見ない超高齢化だ、こう言いますけれども、これは、戦後我々の社会がつくり上げた超高齢化社会だと思うわけです。我々がつくってまいりましたこの社会が、結果としてこの超高齢化社会をつくり上げたということでありますから、自然になってきたわけではありません。ですから、我々は、このままこれでいいのかどうか。このままいきますと、二〇五〇年ぐらいにはそれこそ大変な時期を迎える。  総理は、お孫さんが三歳と一歳ぐらいだということをお聞きをいたしましたけれども、私も大体そのぐらいでございますが、その孫たちが総理の年齢あるいは私の年齢ぐらいになりましたときに、日本の国は、現状のままでいけば大変なことになる。ここをどうするかということは今から考えておかなければならない。今やりましても、二十五年先の二〇二五年にはもう間に合わない、余り人口構成に変化を与えない。今始めて、五十年後に影響を与えるということでございます。  これは、政治家としてどうしても心していかなければならないことでありますし、また、子供でありますからそれほど声が上がってくるわけではありません。選挙に影響するわけでもありません。それだけに、放置される可能性も大きいわけであります。しかし、もしそういうことになりましたら、将来我々は大変な時代を後世に残すということになるわけでありますから、我々はこのことを忘れてはならないと思います。  総理に、その辺のことも含めましてひとつ答弁をいただきたいと思います。
  58. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ちょうど私どもが国会に初めて議席を与えていただきました当時、今とは違った次元で子供の問題が非常に議論されているときでありました。それは、当時まだ、日本の公衆衛生、環境衛生を含めました衛生面の水準の中で、妊産婦死亡率、周産期死亡率、新生児死亡率等々の死亡率の水準を、いかにして欧米先進国の水準までに下げるかということが非常に大きな問題であったと思います。  そして、その中からむしろ母体の栄養管理というものが一つの大きな問題となり、その中から母子保健法が生まれてまいりました。そして、その母子保健法が生まれ、これが定着し、いつの間にか乳児死亡率、周産期死亡率、新生児死亡率も低下をし、また妊産婦死亡率も低下を見ることができ、欧米の水準に我々は到達することができたわけであります。この間にも、母体への栄養補給というものが何回か見直される、そんな時期でございました。  そしてその中から、母胎内にあるときにいかにして先天的な疾病等を知ることができるか、そして、それを出産と同時に医学の世界のケアに移していけるかというのが、ちょうど国際児童年を挟んだ当時、一つの課題でありましたことは委員も御記憶だと存じます。そして、その国際児童年を中心にして日本政府が開きました、子供の問題、特に医学的な見地からのシンポジウムというものが非常にレベルの高い成果を上げ、当時においても非常に大きな評価を受けたと思います。  そして、その中でもう一つ役割を果たしていたもの、それは、議員もかつて所属をしておられた公明党が誕生されて以来非常に強力に主張をしてこられた児童手当というものでありました。  しかし、そうした条件が変化を始めたのはその時点まで。私は、御党が児童手当を主張された当時を振り返りましたときに、お互いの意識は、やはり世帯単位で問題をとらえて、その中で出生率も含めて議論をしていたと記憶をいたしております。何年ぐらいからでありましたか正確な日時は覚えておりませんけれども、そのうちに、例えば妻の年金権といった言葉が大きく使われるようになり、そして世帯単位の社会保障、福祉行政というものから個人に着目した行政に、これは世の中のニーズから次第に変化をしていく中で、出生率を含めた子供の問題、例えば母子保健でありますとか経済的事由というその理由をめぐっての優生保護法の論議といったものがいつの間にか国会の議論から消えていったように思います。  そしてそういう中で、先ほど議員は、高齢者に対する予算の配分、子供に対する予算の配分という切り口から議論を展開されたわけでありますけれども、この子どもたちの問題というものが、例えば出生率の低下の原因として晩婚化あるいは未婚率の上昇という現象面でとらえられるようになりました。  そうして見ますと、今私は、住環境あるいは雇用の仕組み、さまざまな点からこうした問題への切り口を考えていかないと、重層的なアプローチをしないと本質的な解決は出てこないのではないか、そのような問題意識を持って、この人口推計が出ましたとき受けとめていた次第であります。  議員が同様の問題意識を持たれこの論議を提起されたことに、私は敬意を表したいと思います。
  59. 坂口力

    坂口委員 ぜひひとつそうした立場でこれからの予算、お願いを申し上げたいと思いますし、それから厚生省の関係では学童保育の問題等も今取り上げられておりますが、これは働いているお母さん方のためという、そういう矮小化したことだけではなくて、もっと広い意味で、この少子化の問題対策としても積極的にこれはお取り上げをいただきたい、お願いを申し上げておきたいと思います。  総理も厚生大臣も、厚生関係のドンと言われておるわけでありますから、どんどんとひとつお願いを申し上げたいと思います。  さて、孫の話はこのぐらいにしておきまして、社会保障制度の改革の話を少しさせていただきたいと思います。  この高齢社会の中で、これからさらにこの高齢社会が進んでいくということになりますと、現在の社会保障の制度がこのままでいいのかといえば、これはもうだれしも、現在のままではいけない、何とか改革をしていかなきゃいけないし、そして新しい時代にふさわしい制度をつくり上げていかなければならないというふうに思うわけでありますが、じゃ、内容をどうするかということになりますと、なかなか具体的なその提案がなされていないというのが現状でございます。  我が国は、年金、医療あるいは雇用、労災と四つの保険制度がありまして、さらに今回また介護保険という五つ目の保険制度の提案が現在なされているわけでございます。しかも、この年金にいたしましても医療にいたしましても、今度の介護もそうでありますが、表面に保険がありまして、そして裏側から一般財源の裏づけがくっついている。今度介護なんかは半々にするというような話でありますから、いわゆる税による財源と保険による財源が表裏一体になっている。こういう形のものが日本の中ではずっと続いてきているわけであります。  今我々はこれを整理をいたしますときに、これから先、何を税にゆだね、そしてどの部分を保険にゆだねるかということをもう一度今問い直していかなきゃならない。また、保険の中ではどの部分を公的保険が受け持ち、そしてどの部分を私的保険が受け持つかということを今きちっと整理をしていかなければならないときを迎えていると思うわけでございます。  そういう意味で、これは大蔵大臣にお聞きした方がいいと思いますが、社会保障の中での話で結構でございます、どういう部分を税にゆだね、どういう部分を保険にゆだねたらいいというふうに思われるか、総論的にで結構でございますから、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  60. 小村武

    ○小村政府委員 社会保障制度の財源に関する委員の御指摘は、まさにそのとおりでありまして、かつて絶対的困窮時代におきましては、生活保護中心とした救貧政策、これは税財源によって措置すべきものとしてやってまいりました。今日高齢化社会を迎え、絶対的困窮時代を脱したときに、その財源としての論議は世代間の公平という観点が最も重要な観点になってまいると思います。  そういった意味で、社会保障、現在中心をなしております医療、年金については社会保険方式をもって現在行われております。将来の方向としてさらに高齢化が進めば、そうした傾向がなお強くなると思います。  御指摘の介護保険につきましても、そういった観点から今回新たに御提案を申し上げているということでございます。
  61. 坂口力

    坂口委員 大蔵省に言ってもらうと難しくてわからない。  私は、出す側は常に出し、受ける側は常に受けるというような性格のものは税が向いている、こう思うわけです。割合から言っておるわけですよ、完全にそうだとは言いません。どちらかといえば、出す側は常に出し、受ける側は常に受けるというものは税に向いている、しかし、出す側に回ったり受ける側に回ったりというものは保険に向いている、こう私は思っております。  だから、医療保険のように、健康なときには出す側に回り、そして病気になったときには受ける側に回る、これは保険というのが私は向いているんだろうというふうに思います。また年金も、若いときにはまとめて出す側に回り、年をとればまとめてもらう側に回る。個人を中心にして考えれば、出す側に回ったりあるいは受ける側に回ったり、これは保険がいいんだろうというふうに思うわけです。  しかし、例えば生活保護のように、生活保護の人も途中では立ち直ってまた出す側に回る人もありますけれども、あるいは障害者のように、もうどうしてももとへ戻れないという人たちのような場合には、これは税で得る方がいいんだろうというふうに思うわけです。  そういうふうに考えますと、今回のこの介護保険なども、介護保険の場合は若いときに、政府の案ですと四十歳から掛金をする。しかし、年金のように、若いときに掛金をしたからといって全部その人たちがもらうようになるわけではないわけで、六十五歳以上の人の約一割ぐらいしか介護は受けないわけでありますから、ほかの人は、九割の人は受けないわけですね。そして、一度もらうようになりましたら、その人たちは今度はまた健康になってもとへ戻るかといえば、もうその人たちは、もらうようになれば、それはもうもらいっ放しでもとへ戻らないわけでありますから、これは一般の医療とは大分違うと私は思っております。  そういう意味で、どちらかといえば、介護というのは保険よりも税が適していると私たちは思っているわけであります。そういう分け方をこれからやっていかなければならない。  これから介護の問題や医療保険の問題、きょうやっておりますとこれは時間がありませんから、また日を改めるというふうに思いますが、政府の方は、いや、保険がいいんだ、保険がいいんだというふうに言っておみえになりますけれども、それでは障害者の方の保険はどうかといえば、障害者の方は一般財源でやります、保険ではありませんと、今度はこうおっしゃる。どうも混乱をいたしております。  そして、社会保障を細かく細かく分断をしていかれるように思えてなりません。社会保障は、今まで細かくなっていたのをもっと統合化していく、もっと一元化していく、そして年金と医療とをもっと関係づけていく。あるいは年金と福祉とを関係づけていく、これからそういう方向へ向けていかなければならないそういうときに、また新しい分野をつくって、介護だけの分野をつくって、さらにまた複雑にしていくという嫌いがしてなりません。この辺のところは今もっとひとつ真剣に考えて、そしてその中で具体的にどうするかということをやっていかないといけないというふうに思いますが、これは厚生大臣、ひとつ。
  62. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私は、基本的に、今坂口委員言われたように、制度も簡素で効率的なものにしようという考え方に賛成です。  しかし、今回の介護保険の問題につきましても、今まで、年金についても医療についても保険と税の組み合わせであります、公費との。年金も医療も完全に税だけでやるというのだったならば、介護も税だけでいいと思うのですが、私は、介護の問題を考えると、国民の納得を得るためには、やはり保険方式の方が理解を得やすいんじゃないか。  同時に、これから介護を必要とされる方がどんどんふえていきます。現在は老人保健制度と老人福祉制度、分かれていますから、利用する立場の方から考えますと、自分が介護が必要になった、あるいは介護の世話をされる方が介護のサービスを受けたいという場合に、どこへ行ったらいいのか。市役所に行ったらいいのか、市町村に行ったらいいのか、あるいは福祉施設に行った方がいいか、あるいはどういうサービスが提供されているのか、なかなか複雑で利用しにくい。  そういう点も考えて、今回の介護保険制度導入に伴いまして、一カ所に行けば、どういう介護サービスが受けられる、利用者がむしろ選択できるような立場に立って、保険を払うことによって当然介護の給付も受ける権利があるんだ、しかも一割負担すればいい、税と保険は半分ずつで負担し、そしてみずからのサービスは、一割を支払うことによって各段階の程度に応じたサービスが受けられる。できるだけ利用者の立場に立って、医療と福祉を分けることによって、医療にしても介護にしてもより利用しやすい制度を拡充していくことによって、むしろ利用者の要望にこたえられるのじゃないかという観点からやっていたわけでありまして、これからも、福祉に対するさまざまな要望というのは、ふえることはあっても私は減ることはないと思います。  それだけに、全体のことを考えながら、できるだけすっきりした簡素で効率的なものにしていこうという考え方は重要だと思っておりますので、その点も忘れないで、さまざまな要望にどうこたえていくかということに努めていきたいと思っております。
  63. 坂口力

    坂口委員 いやいや、そこまでわかっていただいておれば、介護保険等を新しくまたつくって、別々なものでつくっていくというのは、その方向と逆の方向を向いているということを私は言っているわけであります。  だから、なぜ複雑化させていくのか、なぜまた新しいものをつくっていくのか。今までも、例えば医療保険は七つに大別をされて、そして保険者は五千三百もいる。そんな中でこれを今やっているわけですから、これは大変であります。これは大変なことは当然であります。またここに新しい介護というエリアをつくる。介護も、医療とも非常にかかわりが深いし、また福祉とも非常にかかわりが深いし、そこをここだけは介護ですよとまた新しいものをつくって、そしてこれをつくりますと、それだけまた事務費もたくさんかかるわけですね。  国民健康保険にいたしましても国民年金にいたしましても、大体年間千五百億から二千億ぐらいの事務費がかかっているというふうに思いますが介護保険だって、また年間二千億ぐらいの事務費を投じて、それをまたつくるのですか。これは今厚生大臣がおっしゃるのとはだんだん逆の方向を私は向いていると思うのですね。  厚生大臣、なられる前にこれはでき上がっていましたから、やむを得ないというふうにおっしゃるのかもしれませんけれども、厚生省は続いているのですから、これは軌道修正を、実力ある厚生大臣、やってほしいと私は思う。こんなことをやっていたらこれは大変なことになっていくな、だんだん拡大の一途をたどっていきますし、複雑の一途をたどっていく、こう思います。  また、医療保険につきましても今回改正案が出ておりますけれども、これも全体で二割負担しましょう。私はそれはやむを得ないことだというふうに思いますが、薬代、一種類について十五円、こんなわからない制度はないわけであります。  例えば、お医者さんの中で、きちっとしたお医者さんで、胃の薬を出すのに、ジアスターゼどれだけ、あるいは重曹どれだけ、今でもきちっとその症状に合わせて処方される方があります。それじゃ、ジアスターゼどれだけ、重曹どれだけ、一剤について十五円ずつ出すのと、もう錠剤になっているものを、だれでも構わない、同じ錠剤を出すのと、同じ錠剤を出せば、その一錠でそれは十五円で済むわけです。これを、ジアスターゼでございます、重曹でございます、ゲンチアナでございます、別々に出したら、それぞれみんな十五円かかってくる。そんなことになるのですか。こんなでたらめなものを出して、これで医療保険の改正でございますと言われたって、これはたまったものじゃない。これで日本の医療制度がよくなるとは私は思えません。  きょうは、この問題はこの時間じゃありませんから、この続きは厚生委員会にゆだねたいというふうに思いますけれども、全体の流れとして、こういうことではいけないということを申し上げておきたい。  もう一つ、きょうは、最後の厚生省関係の詰めといたしまして、先般来の厚生省の汚職事件がございます。それで、岡光前事務次官、それから茶谷前埼玉県の高齢者福祉課長等を中心といたしました官僚グループ、そして彩福祉グループの小山代表、この間の贈収賄問題が大きくクローズアップされる。これほど福祉に携わる人の心を傷つけたことはありません。  そのことを反省をして、厚生省は、今回いろいろ調査もされて改善すべき点をまとめられたというふうに聞いておりますが、もう時間ありませんので簡単で結構でございます、どういうふうにまとめたかという結論だけひとつお聞かせください。
  64. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今回の不祥事については、制度の仕組みを悪用したということで、施設をつくる場合に、申請者の選定手続あるいは工事の丸投げ等の問題が起こってきましたから、工事の契約の手続、さらには福祉施設の運営の問題、これをいかに適切にやるかということに重点を絞って所要の改善措置を講じまして、特養施設については既に一月末に調査を済ませましたけれども、今後、その他の施設については三月末を目途にさらにまとめて改善措置を講じたい。  さらに、厚生省職員の倫理服務規程、これについても、業者とのつき合い方、これについては節度を持ってやろう、この服務規程等を守ればもう不祥事は起こらないであろうというような服務規程を設けて、施設等についても今言った改善措置を講じたところであります。これがきちんと遵守されるように、鋭意省内一丸となって努力をしていきたいと思います。
  65. 坂口力

    坂口委員 今おっしゃいましたように、補助金の交付対象施設に対します決定方法の明確化、公共事業に準じた建設工事契約の適正化、幅広い関係者の参画による公正な社会福祉法人の運営、こういう結論を出されているわけでございますが、これを拝見をいたしますと、許認可の厳格化、そして監督指導の強化ということが目につくわけであります。一言で言えば、これは規制強化で一件落着という気がしてならない。さあこれでいいのかな、これで、本当にこの結論でこういった事件はなくなるのかなというふうに私は思えてなりません。  今までも、事件が起こりますたびにこの許認可や監督の強化が行われてきましたが、どこまで強化をすれば犯罪がなくなるのかといえば、それは強化をしてもなかなかなくなるものでないことは、小泉大臣の今までの持論からいたしましても、そうでないことは明白であります。  ここで欠けていることは、人材をどう養成するかという一点が私は欠けていると思います。  私たちも、今回、厚生省のこうした問題が起こりましてから、全国四十七都道府県にいろいろの調査をいたしました。その中には、厚生省から出向しておみえになる県もたくさんあるわけです。この出向しておみえになる県の御意見というのはかなり厳しいということを、厚生省は肝に銘じなければならないと私は思います。中には、茶谷氏も五十歩百歩という言葉も聞こえてくる、あるいは茶谷以上というふうに言われる人もいた、そういう声も聞こえてくる。  これは、厚生省はその衝でありますから、福祉のことも医療のこともよく御存じなことは当然であります。専門的な知識がありますことと、福祉のことをよく知っておりますことと福祉の心のあることとは別問題であります。どれほど知識がありましても、福祉の心がなければ何にもならない。そこを厚生省は今回反省をしてもらわなきゃならないし、そして隅々の福祉を志す人々に対してそのことを教えてもらわなければならない立場にあると私は思うのです。その一点、一番大事な点がこの厚生省の結論の中に欠けている。私は大変残念に思うし、厚生省は一体何を結論を出そうとしているのかと思うわけです。  もう一度、私は厚生大臣の決意を求めたいと思います。
  66. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 確かに、規制を強化するだけで不祥事がなくなるものでもありません。古来から、浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじとか、いろいろ言われております。また、幾ら規制を強化しても汚職はなくならない。しかし、だからといってあきらめてはいけないと思うのであります。日々みずからの行動というものを反省しながら、どうやって国民の期待にこたえるかということを、今回の不祥事を契機に厚生省本来の使命に立ち返りながら頑張っていこうということであります。  要は、今まで善意を育てていこう、その善意が裏切られたということによってこの不祥事が起きた面もあります。物事、裏腹であります。善意を伸ばすためにはある程度規制も緩やかにしなきゃいけない。規制を緩やかにすると、この善意を逆手にとって悪意を持ってやると、これはとんでもないことになる。その関係は実に難しいのですが、しかしながら、いろいろな今までの御批判にこたえて、初心に返って厚生行政を推進していこうということで、昨年来全省一丸となって努力しておりますので、今後とも御指導、御叱正をいただきたいと思っております。
  67. 坂口力

    坂口委員 それでは、沖縄基地の問題をひとつお聞きをしたいと思います。外務大臣、長い間お待たせいたしまして、申しわけありません。  昨日、一昨日と沖縄にお邪魔をしてまいりました。以前にもお邪魔したことがございますが、今回も多くの皆さん方の御意見を聞いてまいりました。  沖縄の皆さん方の御意見というものを要約をいたしますと、我々は決して無理なことを言っているわけではない、日本の国として、日本の国の一部として、公正な社会、人権の守れる社会をつくりたいんだ。ところが、あの少女暴行事件が起きましたように、その一番基本であります人権すら守れない現状にある。あの少女暴行事件は氷山の一角であるとさえおっしゃいました。このような状況、ここを一刻も早く打開しなければならない、我々は必死になって考えているが、沖縄の中だけでどれほど努力をしても、しかしそこには限界がある、日本全体としてこの問題に取り組んでもらいたいというのが沖縄の皆さん方のお声でありました。  きょうも新聞を拝見いたしますと、昨日、大田知事さんがお見えになりまして、総理との会見もあったというふうに承りました。我々も一昨日、大田知事さんとお会いをさせていただきました。  そのときの知事さんとのお話の中にも、四十七年の五月十五日、核抜き、本土並みということで日米合意がなされた。本土並みになると我々は期待をしていたけれども、それは名ばかりでなかなかならなかった。復帰をして今日まで二十五年、日本は米軍基地が六〇%返還になっているけれども、沖縄は一五%しか返還になっていない。この差別は一体何から生じているのであろうか。そうした意味で、五・一五メモを明確にひとつ示してもらいたいというお話が我々の会議のときにも出ました。  そのことはきょうの新聞にも出ておりますが、新聞によりまして、その方向で検討をされるという記事もございますし、明確にそういうことを決定されたかのような記事もございますし、若干のニュアンスが違います。その中には、米国と相談をしなければならない部分も含まれているというふうに書かれている部分もございます。この五・一五メモにつきまして公開をされるのかどうか、そして、これは全面的にされるのかどうかということもあわせてお聞きをしたいと思います。
  68. 池田要

    池田国務大臣 ただいま委員指摘のございましたように、沖縄におきます施設・区域の整理、統合、縮小、これに向けて全力を尽くしてまいらなくてはいけないと同時に、また、地位協定をめぐる問題その他を十分にこれから改善もいたしまして、沖縄の県民の皆様方の御負担あるいはその苦痛というものをできる限り軽減していかなくてはいけない、努力してまいらなくてはいけないと思っております。  さて、具体的に御指摘の、いわゆる五・一五メモでございますが、これにつきましては、昨日総理が、大田沖縄県知事とお会いになりました際に、その公表について前向きに検討する旨話されたところでございますけれども、私どもといたしましてもそのような方向で鋭意作業を急いでまいりたい、こう考えております。  委員御承知かと存じますけれども、実はこれまでいわゆる日米合同委員会の審議の内容等は公表しない、こういう方針でずっと来ておりました。それが昨年の、たしか三月二十八日だと思いましたが、その際の日米合同委員会合意によりまして、今後その内容をできるだけ公表していこう、こういうことにいたしまして、その後の合同委員会につきましては内容を明らかにしていく、こういうことでやっております。例えば、先般のSACOの報告についてもそういうような扱いになっていました。  それと同時に、過去の合同委員会の内容につきましてもいろいろ検討して、順次できる限りその公表をしていこう、こういう方針で日米間で話し合いをしているところでございます。そういったものの一環として、この五・一五メモにつきましても公表する方向で検討してまいりたいと思っております。  ただ、これはまだ日米間で相談する必要もあるところでございますので、その時期、あるいはできる限り内容の全貌がわかるようにしたいと思いますけれども、具体的なその公表の方法はどういうふうになるか、ちょっと現段階では御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、極力前向きに、しかも早期に公表できるように努めてまいる所存でございます。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  69. 坂口力

    坂口委員 ぜひそういう姿勢でお願いをしたい。  沖縄の皆さんの気持ちの中には、そうした問題を一つ一つ早急に取り除いてもらいたい。例えばキャンプ・ハンセン演習場等もございますが、同じ日本にあります演習場、あるいはまたハワイにあります米軍の演習場等と比較をしても、同じ演習場でもハワイのスコーフィールド演習場などは環境保全条例がきちっとできていて、山の緑はちゃんと残されている。日本の東富士の演習場も、十分とは言えないけれども緑が残っている。しかし、沖縄のキャンプ・ハンセン演習場の山は、完全な裸山で緑は一つも残っていない。同じ演習場でもそれだけの差がある。  なぜ沖縄だけがこれほどまでに徹底的に言われるままにならなければならないのか、そういう思いが沖縄の皆さん方にあるわけであります。我々も、これは米軍に対しましても言うべきことは言わなければならない、国としてなすべきことはしなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。  この劣化ウランの問題につきましても、昨日も出たようでございますが、私たちもお邪魔をいたしまして、大変しかられたと申しますか、日本から参りましたので、私たちも同じ、しかられたという気がいたします。これは米国から聞いたことでもないし、そしてまた日本政府から聞いたことでもない、一番最初に聞いたのは、ワシントン・タイムズからの取材によって聞いた、なぜこんなことが起こるのか、こういうお話でございまして、私たちももうこれには言葉がなかったわけでございます。  昨年十二月のSACOの最終報告で、「地位協定の運用の改善」として、事故報告について書かれております。これによりますと、平成八年の十二月二日に発表された米軍航空機事故の報告書の提供手続に関する新しい日米合同委員会の合意を実施するとした上で、さらに、よき隣人たらんとの米軍の方針の一環として、米軍の部隊、装備品等及び施設に関するすべての主要な事故につき、日本政府及び適当な地方公共団体の職員に対して適時の通報が確保されるようあらゆる努力が払われると合意された、こういうふうに書かれているわけであります。  政府は、この事件がこのSACOの合意に言うところの「主要な事故」に当たると考えていられるのかどうか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  70. 池田要

    池田国務大臣 私ども、今回の劣化ウランの爆弾の誤使用の問題につきまして、米国から日本に対する通報が一年もおくれたこと、また、外務省がその通報を受けましてから沖縄県に対する連絡が三週間を超えてしまったという点につきまして、私どもも、沖縄の県民の方々がお怒りになるその事情、よくわかるわけでございまして、配慮が足りなかった、このように考えている次第でございます。  その上で、今具体的に御質問のございました、そのSACOの最終報告に盛られておったこの事件・事故の適時適切な通報の対象に本件が当たるかどうかという点でございますが、私どもは、この誤使用の問題も含まれる、このように考えているわけでございます。  若干詳しく申し上げますと、米側としては当初、この問題は一般人の立ち入りが禁止されている区域で起こったことであるし、それから、米側としての調査の結果、人または環境への危険はない、こういう結論を一応出した、そういうことで当初は、日本に対して通報する、そういったたぐいのものではない、こういう認識を持っておったようでございます。  しかしながら、昨年来いろいろ作業を進めてまいりまして、今議論になっておりますこの通報体制の整備、システムの整備を進めております。それから、この事故についても、過去に起きた事故についても報告を改めてするように、こういうことを話し合いをしておったわけでございますが、その過程の中で米側も、いや自分たちとしては当初これは日本側に連絡する対象ではないと思っていたけれども、しかしよく考えてみるとこれもそうかなというので話が出てきた。いわばそういった連絡調整システムの改善の話し合いの中で、米側としても考えを改めたということでございます。そういったことで、私どもの米側との話し合いの中では、過去にいろいろ、委員も御承知だと思いますけれども、報告がおくれているという云々で問題になった、国会でも取り上げられた問題が五つぐらいございます。その五件に加え、この六件を対象として、早急に調査を進めた上で順次報告をしていこう、こういう話し合いをしたわけでございます。  それで、大体そういう話し合いが固まったところで、まず本件について、こんなことがありましたということを表に出し、それから詳しい報告は改めてしますということにしておりましたら、やはり日本だけじゃございません、メディアはなかなか優秀なものでございまして、そのあたりが米国のあるメディアの察知するところとなり、結果としてそちらの方からの話がお地元にも先に伝わるということになった、こういう経緯でございます。  いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、私どもはこのSACOの最終報告で盛られた連絡通報体制の対象として本件も考え、なるべく早い時期に調査を、日本側としてもこれから調査もいたしますし、そういうものも含めて御報告したい、それで公表したい、こう考えております。
  71. 坂口力

    坂口委員 今外務大臣がおっしゃるように、このSACOの合意に言うところの「主要な事故」に当たるというのであるならば余計のこと、これはいかに、危険はないとアメリカが感じたというふうにおっしゃいましたけれども、アメリカから一年もこれはもうおくれておるわけですし、これは湾岸戦争等でも問題になっていたわけでありますから、だからこれは危険はないということはないわけで、私は、危険が本当にないのならば最後まで言わなかったと思うのですが、それはそんなことはないと思うのです。  それから、日本の方がこれをアメリカから聞きましたときに、これは十分な調査をしなければ全貌は明らかにならないかもしれないけれども、とにかく聞いた以上は一報だけはやはり現地にしておかなければならないというのが私は常識ではないかと思うのです。ところが、聞いたけれども、しかしもう少しというのでずるずると一カ月もしていた。それが、外国の新聞にそれが出るということになって、慌てて言った。これは、それは沖縄の皆さん方が怒るのは私は無理がないと思うわけで、なぜこういうことになったのか。  SACOに言うところの「主要な事故」に当たるというふうにお考えになっているのであるならば、これはどれほど弁解をしても弁解することはできない、こう思いますし、それから、もう一つ先ほどの「日本政府及び適当な地方公共団体の職員に対して適時の通報が確保される」こう書いてあるわけでありますから、この「地方公共団体の職員に対して適時の通報が確保される」ということは、このことは日本の政府にその通報があるのと同時に、本当ならばこれは沖縄に対しても実はこうでありましたということがあってしかるべきだったはずであります。もしもこの時点で、日本の側が、日本の政府がアメリカから聞きましたときに、それではそのことは、この前SACOの取り決めもありますが、沖縄の方には言っていただきましたかと一言あってしかるべき問題だと思うわけです。ところが、それらも何にもない。そして、現地は何も知らないままで経過をした。こういうことでありますから、こういうことが不信をだんだんと増幅させていくことにつながっている。これは私は、日本政府としても大きな責任があるというふうに思っております。  これは外務大臣からもお答えをいただきましたが、この取り扱い方について、極めて私は遺憾だと思いますが、総理からもひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  72. 池田要

    池田国務大臣 先ほど御説明申し上げましたけれども、私ども今回の通報のおくれというのは、米側の通知というか通告がなかったのはまことに遺憾だと思いますし、また、我が政府から沖縄県への通報がこのようにおくれたことについても配慮が十分でなかった、このように考えている次第でございます。  ただ、その上で委員に二点ほど申し上げたいと思うのでございますが、この通報システムでございますね、これはどういうふうにするかということを改善するための協議を今一生懸命やっているわけでございまして、その最終的な形は遅くとも今年度内に確定する、そして動かせる、動かす、こういうことでございまして、そのことは沖縄県にもお話し申し上げております。  そして、今回の劣化ウランの誤使用の問題につきましては、これはその通報の対象になるべきものだと申し上げましたけれども、これは、こういった通報システムをどうするかという話をしている中で、実はこのような問題があったということが話題になり、そして日本としても初めて知ったわけでございますが、それでいろいろ事情を聞きつつ、そして米側と話し合った結果としてこの対象にするというふうに我々も考えておるわけでございまして、当初の段階では米側は、少なくともそういう連絡の対象ではない、こういうふうに認識をしておった、こういうことでございます。  そして、我々といたしましては、それを初めて、あれは一月の十六日の段階会議でございます、そこで聞きまして、それはちょっとおかしいぞ、これはやはり今後その対象に含めるべきものではないか、このたぐいのものは。それから、そもそもこの事柄自体についても、きちんと我々も事情を承知して、また沖縄にも御連絡し、また公表もしなくちゃいけないというのでいろいろ事情を調べたわけでございます。決して隠していたわけじゃなくて、こんなことがあったというようなことを聞きましてから何度も往復いたしまして、これはどういうことなんだと、極力正確な資料を、情報を得た上でと、こういうことであったわけであります。その努力をしておったということはひとつ御理解いただきたいと思います。  ただ、それにいたしましても、私は、そのやりとりが三週間余に及んだ、その点は少し時間がかかり過ぎたし、沖縄県側に対してもう少し早い段階、せめて、実はこんなことがありますというだけでもお耳に入れておくべきだったかな、その点は反省はいたしております。そういうこともございますので、将来に向かいましてしっかりと連絡通報のシステムをつくってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  73. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 もう経緯は今さら申し上げることもありませんし、連絡おくれという点についてはおわびをするということをきのうも知事にも申し上げました。その上で、この報告がなされると聞いております。三月末までにはその全体の報告書が来る、日本側に手交されるということでありましたので、それは手交され次第、直ちに沖縄県側にもお渡しを申し上げるということを知事にも昨日申し上げたところであります。
  74. 坂口力

    坂口委員 先ほども少し申しましたが、劣化ウランは人体に対しましても影響を及ぼしますし、湾岸戦争の兵士多数に起きております湾岸戦争症候群との関係も、これはまだ十分ではありませんけれども指摘はされているわけでありまして、こ  の辺のところも十分にひとつ調査をしていただかなければならないことだというふうに思います。  この事件で、今後政府は米国に対しまして環境調査を含めてその結果を聞き、そしてそれを公表してもらえるようにお願いをしているんだろうと思うのです。それから、今までに調べられたもの、関係資料というものがあれば提出をしてほしいということを言っているんだろうというふうに思いますが、既にもう提出をされているものがあるのかどうか、そしてこれからのものについては、大体いつごろそれを受けるつもりなのか、そしてそれが受けられたときには国会にも報告されるものと思いますが、その点につきましてもあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  75. 池田要

    池田国務大臣 米側としては、一応これまでに調査をいたしまして、危険がないという結論を出しておりますけれども、それについてはやはり十分とは言えない、再度調査すべきであるということを日本から申しまして、米側も再度調査をする、そしてその調査は今年度の三月の末までにはその結論を出す、こういうふうに言っております。  それだけではなくて、我が国といたしましては、我が国独自でもやはりさらに調査を進めなくちゃいけないと思っております。そして、我が国が行います調査には、沖縄県とも御相談いたしまして、沖縄県から推薦される方にも御参加いただくような方向で、今沖縄県、そしてまた関係省庁間でいろいろ協議をしている次第でございます。  そういった我が国の調査が済みましたら、当然のこととして沖縄県にも御連絡する、いや、むしろその中で御一緒に調べることになるわけでございますし、それから米側の方からも、米側としての調査の結果が出れば当然県にも出していく、こういうことになりますし、また国会への御報告あるいはその公表ということも当然考えてまいらなくちゃいけないと思っております。  それから、既にこれまでに得た情報いかんでございますが、このことにつきましては、まず、こういうことがあったということにつきまして得られた情報というものを明らかにしたところでございますけれども、さらにその後も、米側から得られた資料、情報につきましては順次沖縄県にも御連絡申し上げますし、国会にもしかるべき方途を講じまして明らかにしていくということを考えてまいりたい、こう思っております。
  76. 坂口力

    坂口委員 次は沖縄の駐留軍用地問題でございますが、これもなかなか悩ましい問題でございます。  本年の五月の十四日に、駐留軍用地特別措置法に基づきます十三施設、延べにいたしまして三十六・三ヘクタールの土地の使用期限が切れるわけでございます。政府はこれまで、沖縄の土地収用委員会に対しまして土地使用権原を得る裁決申請手続を進めておりますが、昨年十一月の十四日に審理開始の決定通知が行われまして、第一回公開審理は二月の、今月の二十一日、そして第二回目が三月の十二日に予定をされております。使用期限の切れますのが五月十四日でありますから、これはもう期限的に非常にせっぱ詰まっておりますし、間に合わないと言った方がもういいのではないかというふうに思います。  これまでの例を見ますと、公開審理に要しました期間は、昭和六十二年度では約一年間、平成四年度で六カ月間かかっているわけでございますから、最終的な土地使用権限の取得までにはそれぞれ九カ月、十五カ月を要しております。今回もこの前例どおりだというふうにいたしますと、今年の十一月から来年の五月にならないと国は土地使用の法的権原を得られないということになるわけでございます。  これも大変難しい問題でございまして、沖縄の皆さん方と我々もいろいろとお話し合いをし、そして御意見も聞いたところでございます。法治国家でございますから、不法状態というのも我々としてはなかなかこれは許されないように思いますけれども、現地の皆さん方の気持ちとしては、現状において、そして特別措置等が改正をされて立法措置がとられるということになれば混乱はさらに大きくなるだろう、さらに輪をかけるということをおっしゃるわけで、ならばどうしたらいいのかということを我々も申し上げ、いろいろと話をしたところでございます。  非常に期限が迫っております問題だけに、今までにもこの委員会でも議論があったところではございますが、昨夜大田知事とのお話し合いもあったことでございますが、現段階でどのようにお考えになっているのか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  77. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 晦日、大田県知事とお話をいたしました中に、明示的にこの問題を入れて議論はいたしておりません。  そして私は、本委員会でも何回も何回もこの問題についてお尋ねがありましたし、そして、期限切れがわかっているではないかという言い方で御議論をいただいた議員もございましたけれども、収用委員会の審理が二月二十一日と決められて、それを待っている今の状況において、我々は日程的に極めて厳しい状況にあることはよく承知をいたしておりますけれども、あくまでも収用委員会が使用権原が存在しないという状態をつくり出さないように全力を尽くしてくださることを信じているということ以上には申し上げられませんということを繰り返して申し上げてまいりました。本日もその立場に変わりはございませんし、また、いずれにいたしましても、知事にはこれからもお目にかかることはあろうかと思います。  昨日の段階で、明示的にこうした問題について言及いたしておりません。
  78. 坂口力

    坂口委員 沖縄の方の皆さん方の御意見としては、地元でもいろいろ努力はするけれどもそれにはなかなか限界がある、やはり国の方が何らかの手を打ってほしいというお気持ちが非常に強いわけでございます。しかし、今総理からお話をお伺いいたしますと、地元でより積極的にひとつ話を進めてもらいたいということでございます。  どうもこのままでいきますと、地元の方は行き詰まって打つ手がない、国に何とか出口を求めておる。国の方としてはいかんともしがたいから地元で何とかしてほしい。こういった状態で一日一日と日がたっていく。こういう状況が今続いているように思えてなりません。  そして、あっという間に五月の十四日が来てしまうということになってはいけないわけでありまして、やはりそこは国としても打つべき手を考えなければならない。もちろん総理はお考えになっているというふうに思いますけれども、これは重大な問題でありますだけに、ぜひひとつその点は再度御検討をいただいて、国としても打開の道を探っていただきたいと思うわけであります。  この問題は、時間的な都合もありますからこれだけにしておきたいと思います。  それから、もう一つの問題は、基地縮小問題でございます。  これも大変難しい問題でございます。沖縄の市町村長の皆さん方ともお会いをいたしましたが、皆さん方といたしましても、地元でいろいろのことをやってきたけれども地元でやれることというのはもうそんなにない、やはり大きな立場で国が何らかの手を打ってもらわないと現状は打開できないというお気持ちが非常に強いわけであります。そうした意味から、大田知事の海兵隊の削減問題への発言にもつながってきているというふうに私たちは思っております。  これは極東全体の問題にもかかわってくるわけでございますし、そして我が国の防衛全体にもかかわってくるわけでありますから、十分な議論が必要であることは私も十分わかっているつもりでおります。しかし、この沖縄の現状を救いますためにはそういう大枠の中で議論を進めていく、そしてこの海兵隊につきましても、日本としてやはり日本の立場というものを十分に説明をし、日本はこういう決意であるという決意を述べながら、極東全体のことも考えながら、その中で意見として言うことはできるのではないかというふうに思っております。その点につきましての御意見を伺いたいと思います。
  79. 池田要

    池田国務大臣 現在、米国は、日本を含めてこの地域に安全保障の面でいろいろコミットメントしております。それをきちんと保障し、そしてそれを米偏として役割を果たしていく、そのためには、いろいろ考えた上で、我が国に駐留する米軍も含めまして、このアジア太平洋地域に大体十万人のレベルの米軍を置くことが必要である、こういうことでございます。それは、繰り返しクリントン大統領初め米側から表明もされておりますし、いろいろな機会に日本との間でも話題になっておるわけでございます。  ただ、将来に向かって、我が国にございます米軍の兵力構成も含めて一体どういうふうになっていくか。これは当然のことながら、この地域の安全保障環境、国際情勢の変化によっていろいろ変わってくる、そして、そういったことは日米間でもいろいろ協議はしてまいりましょう、こういうことは昨年の四月における首脳間の共同宣言でも明らかにされておるところでございます。そうやってまいりたいと思います。  そしてまた、将来的には、我が国としてもこの地域の安定度をさらに高めるためのあらゆる外交努力を展開してまいりますし、米国も当然そういうことでありましょう。そういったことで、国際情勢がさらに好転して、今のようなレベルをさらに削減することが可能になる、そういうことがぜひ実現してほしいなと我々も強く願っておるところでございます。  ただ、現在の段階で、それでは米側に対して日本における米軍の兵力構成、あるいはそのレベルについてさらなる削減といいましょうか、そういうことを持ち出せるかといいますと、残念ながら、現在の我が国の周辺の状況というのはそういうことになっていない、今後のあらゆる努力の結果としてそういった道が開けるようにしてまいりたい、こういうことだと思います。
  80. 坂口力

    坂口委員 沖縄の方も、現在の時点でそういう約束ができるということは思っていないと私は思います。しかし、将来の問題として、全体構造の中で、そういう海兵隊の削減等もその中の念頭に入れてひとつやってほしいということを日本政府としてやはり発言をしてほしい、現在そのことが決まるということでなくてもいい、それは発言をしてほしい、将来につなげてほしいということを言っているわけでありまして、それは今の外務大臣の御発言とかなり近いようにも思いますし、若干ずれているようにも思いますし、もうちょっとお願いいたします。
  81. 池田要

    池田国務大臣 国際情勢がどうなるか、それとの関係で、兵力構成も含めて一体米軍のレベルがいかにあるべきかというようなことについても日米間で当然話をしてまいります。そのことはこれまでいろいろな機会に明らかにしてまいりましたし、一番典型的には、先ほども申しましたけれども、昨年四月、橋本総理とクリントン大統領の間で交わされました日米安保共同宣言でございますね。その中で明確にそういうことを書いておるわけでございますので、今後そういうふうにいろいろ協議は進めてまいりたいと存じます。  ただ、具体的に、今委員もおっしゃいました、現在日本に展開している米軍の中での具体的な一部の構成要素を現在の段階でどうするということは、これは持ち出すことが適切なような国際情勢にはなっていないと私どもは考え……(坂口委員「将来計画の中で」と呼ぶ)だから、将来は、いろいろ情勢の変化があればそういうこともあり得ると。そしてまた、全体として国際情勢が、そして安全保障環境がよくなるための努力はしていくということは、これは先般、伊藤委員の御質問に対して橋本総理からもそういった趣旨の御答弁があったところでございます。
  82. 坂口力

    坂口委員 時間がなくなっておりますけれども、せっかくですのでもうちょっとだけお聞きしたいと思います。  それは、将来の状況が変化をしたらそういうこともあるだろうというのではいけないので、将来そういう方向になるように努力をしてほしいということは少なくとも言わないといけないと思うのですね。将来そういう状況になったらひとつしてほしいというのでは、これは全然歯どめがかかっておりませんので、将来削減できるような方向でひとつ努力をしてほしい、すべきだ、すべきだということがあれなら、してほしい、それに対しては日本も協力するべき点があればする、こういうことでなきゃならないと思うのですが、それは状況が変化すればそういうことがあるかもしれないというのでは、これはいけないと思うのですよ。
  83. 池田要

    池田国務大臣 状況が変化すればそれは可能だというだけでなくて、状況を変化させる、改善させる、この地域の安全保障環境が改善され、より安定化した状態を具現化するためにあらゆる外交努力を傾注していく、こういうことを申し上げているわけでございますし、それから当然のこととして、米国もやはりこの地域の安定化を進めるためにいろいろ努力を払っておりますし、日米共同であるいはその他の国とも手を携えながら、いろいろな努力をこれからもやっていく所存でございます。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 坂口力

    坂口委員 いずれにいたしましても、沖縄にだけ負担をかけ続けるということは、やはり日本全体として許すことのできないことだというふうに思います。我々日本全体として、やはり最大限の努力をしなければならないと思います。ひとつさらなる努力を要請をいたしまして、この沖縄の問題はこれだけにしておきたいと思います。  通産大臣、お待たせをいたしましたが、三井三池炭鉱閉山に関する問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。  昨日からニュースにも流れておりますように、百八年でございますか、長い歴史を持ちましたこの三井三池炭鉱が閉山ということになりました。日本を代表する企業でありましただけに関係者の皆さん方の思いというものはどんなであろうかと、私もニュースを見ながら、いたたまれないような気持ちで拝見をしているところでございます。  我が党も党内に三池炭鉱問題特別委員会というものを設置をいたしまして、この十九日に野田政審会長を団長といたしまして現地調査団を派遣をし、幅広く各団体、地域のお声を聴取したいというふうに思っております。  鉱山の閉山ということが起こりますと、当然のことながら、そこで働いておみえになりました皆さん方の再就職をどうするかということが一番大きな問題になるわけでございます。  いつもそうでございますが、鉱山の場合には、やはり地下に入ってのお仕事が長かった、そういうお仕事の方が多いというようなこともありまして、急にこの仕事をつくったからこの仕事につくようにといっても、なかなかつけない部分もある。そして、できればその近くに就職をしたいということもございます。この場所、そして仕事の内容、こうしたことが非常にいつも大きな問題になるわけでございます。企業の方は企業として、これは最大限努力はしておみえになると思いますけれども、なかなか企業一社だけでは負担し切れない部分もあるのではないかというふうに思っております。  そういうふうな現状を踏まえて、どのように認識をしておみえになりますかを通産大臣にお聞きをし、そして労働大臣には、国としてどういうふうにしていったらいいというふうにお考えになっているか、その点をあわせてお聞きをしたいと思います。
  85. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御指摘のように、この三井三池炭鉱、百二十四年の歴史を閉じるという提案がなされました。それぞれの立場でもって関係者、感慨無量のものがあると思います。  今坂口委員からの御指摘というのは、その一番問題の従業員対策というか、どうするのかということでございます。御存じのように、千三百人程度が従業員で、それにさらに下請とか関連、これを入れると約二千名、そしてまた関連している地域を入れると約三千名ぐらいということになるわけでございますが、一応千三百名を対象として、三井石炭鉱業、これは千七百四十四名分の再雇用先を提示しております。  当省といたしましては、雇用対策に万全を期するためにも、会社に対しさらに再雇用先を開拓するため一層の努力を促し、同時に当省からも地域経済団体に対して再雇用というものに対してまず協力をお願いしたい、かように考えております。
  86. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 坂口先生、大臣のみぎりは住友赤平で非常に御苦心をされた、こう伺っておりますが、今度は三井三池、こういうことに相なりました。  中心は、やはり雇用対策ということでございます。全国に公共職業安定所ネットワークがありますことは、これは御存じのとおりであります。これはしかし広域であります。その努力もいたしますが、やはりそれぞれの皆さんとしては地元に再就職口を設けたい、こういう声が非常に多うございます。会社当局、今もお話がありましたように、解雇者、下請を入れまして千五百三十九人、再就職口が千七百四十四、オーバーの再就職先を準備をいたしておりますが、やはり地元ということになりますと、これは私どもの公共職業安定所の、言いますならばその三井三池の中に臨時仮設の公共職業安定所を設けまして、やはり個々の働く皆さんの再就職の要望、ニーズ、これに応じた再就職先を考える、これが一番だと思っております。  同時に、今まで採掘でありますとか石炭を運搬をするだとかあるいは選炭をするとか、いろいろございますが、その技術をそのままといっても、これはなかなか無理でございます。そうするとやはり職業訓練というようなことで、例えばショベルカーを運転できるようにする、クレーンカーを使えるようにする、ダンプができるようにするということを、コンピューターなどといっても無理だと思いますが、その種のものをやりたいものだなというようなことで、再就職先の間口を広げよう。特に大型の運転免許を取ること、これらは工場の中で訓練をすると同時に、運転免許証の教場、これらに委託訓練というようなことを頼みましてやってまいりたいな、つまり技能教育というようなものが一つであります。  あとは、炭鉱離職者に対しますところの求職手帳がございます。これは最高三年間、いささかの手当が支給されるということでありますので、その期間をフル活用することによってニーズに応じた再就職先を提供を申したいということで、一生懸命努力をしてまいりたい、こう思っているところでございます。
  87. 坂口力

    坂口委員 それぞれ具体的にお答えをいただきましたが、労働大臣から詳しいお話がございました。  ただ、この職業訓練所、ありますけれども、これは人員的に限定がございまして、一度に多くの皆さん方をするということもなかなか難しいだろうというふうに思われます。しかし、千三百人もの人たちが急に職を求めるということになりますと、そう時間を待っているというわけにもまいりません。ですから、職業訓練所の機能強化と受け入れ態勢の拡大を急いでもらわなければならないわけでございます。  当面の対応策として、できれば会社施設というものを利用した臨時の職業訓練所というものをつくってもらうことはできないだろうか。そして、そこでいつも平常に行っております職業訓練所よりもより多くの人をより速やかに職業訓練してもらうことはできないか、こういう要望がございますが、御検討いただけますか。
  88. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先生のお話、ちょうど私どもの訓練センター、外郭団体ではございますけれども、荒尾そのものにございます。それから、熊本にもありますし佐賀にもある。ちょっと車を飛ばさないといかぬのでありますが飯塚にもあるというようなことで、荒尾のセンター、これをひとつ、教科の課程というようなものを、新しいそういった需要を満たした、そういうのを新しく設けよう。それから、近隣から教官等を荒尾のところへ集中をして生徒さんの定員をふやそう。あるいは、先生がちょうど言っておられました、会社の中の施設を利用をするというようなことで、先ほど私もお話をしました、例えばクレーンカーなどというようなものの運転の関係は、三井三池でそういう作業をやっていた人たちもいるわけであります。その機具もあるわけであります。したがって、そこへ私どもの教官が出向いていってその旨の職業訓練をやるというようなことで、さっきお話をした、ニーズに応じて臨機応変の体制を私どもはしいてまいりたい。また、先生とも御相談をしながら、こう思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
  89. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。  それではもう一つ、退職金の支払いでございますが、これは、退職金の総額は百五十億とも百六十億とも言われております。その財源は、いわゆる閉山交付金というものと会社の借入金に頼らざるを得ないだろうというふうに言われている。この退職金の支払いに支障を来すことのないように、三池の場合は実情を考慮しまして弾力的な対応をひとつ講ずる必要があると思います。  退職金の場合には、坑口というのですか、鉱山の入り口、この閉鎖をすることが条件、これを閉鎖をした段階で払うということになっているようでございますが、しかし、十九カ所もこの坑口がある。また、全部これをふたをしてしまいますと、排水がありまして、排水のために少なくとも一カ所か二カ所かは残しておかなければならないということがある。それを全部ふたをしてしまうということもでき得ない。その辺のところは、全部口をふたしてしまってからでないとだめだというしゃくし定規なことはひとつやめてもらいたいという強い要望がございますが、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  90. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 この鉱山交付金の問題でございますが、この三井三池炭鉱の閉山が決まりまして、そして、この交付の申請が行われた場合、会社による、今申した退職金も含める閉山対策を円滑に行える、こういうことで、石炭鉱業構造調整臨時措置法にまず基づいて、こうした所要の金額の交付というものを遺漏なくやります。  今、具体的におっしゃったように、その予定金額は百二十億、その下請に対しても約十億ということでございますが、今御指摘のように、この全部でもって十九ある坑口のうち十二を一次的に閉めて、あとの七坑は一年後にやる、こういうことになっておりますが、そういうことで退職金の支払いがおくれては大変でございますので、これの閉塞工事が完了することが条件にはなっておりますが、これを、鉱山保安上の特別許可を行うことにより、当面は、閉塞工事というか、これを閉じる工事の実施の義務というものを免除するという予定をしております。
  91. 坂口力

    坂口委員 もう一点だけお聞きをしたいと思いますが、この離職者の皆さんの住宅の確保でございます。  現在は、社宅に入居しておみえになります従業員の皆さん方は、福利厚生面での会社との約束によりまして、離職後一年間は社宅に住むことができるようになっておりますが、それ以降は、新たな住居を見つけなければなりません。  大牟田、荒尾地域の市営アパート等の現状は、炭鉱離職者を十分に受け入れられる状況には現在のところないというふうに言われております。新たな住宅建設が必要になってくるわけでございまして、これらの点につきましても特段の配慮をひとつしてもらう必要があると思いますが、その点につきまして、これは住宅の話でありますから通産大臣にお聞きするのはちょっとあれかと思いますが、まあ、ついででございますので、あわせてひとつお願いいたします。
  92. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御指摘のように、従業員の約四割の方がそうした社宅の方にお住まいだということで、閉山後の住宅問題というものも懸念されております。  そういうことで、通産省といたしましては、当面、閉山後の住宅、社宅の取り扱いも含む労使交渉の行方を注意深く見守るとともに、今後、離職者の方々の住宅については、混乱が生じないよう、関係省庁、地方自治体、そして会社と連携を密にして対応していきたい、こう思っております。
  93. 坂口力

    坂口委員 ひとつ、誤りなきように、万全の措置をお願いをしたいと申し上げます。  きょうはもう一つ石油にかかわります問題を実はやりたかったわけでございますが、時間が、あと残されましたところ五、六分になりまして、どうもできそうにございません。ただ、若干だけ触れさせていただいておきたいと思います。  これは、総理大臣通産大臣をしておみえになったときでございますが、一昨年になりますか、三月に、特定石油製品輸入暫定措置法が出まして、特石法が出まして、そして、これは全会一致で衆議院を通過をし、参議院を通過をいたしております。これは御承知のとおりでございます。これは、石油の流通に対しまして、規制緩和、そして市場原理を一層導入をするということで廃止に踏み切ったものでございます。そうなったわけでございますが、しかし、現場では、これは実はそうなっていないわけでございます。  通産大臣がよく御存じかどうなのかよくわかりませんけれども、現場の小売の段階におきましては、非常に通産省あるいはエネルギー庁あたりの監督が厳しくなりまして、そして商標権、何々石油という看板を出しておりますと、もうそこの石油しか売れない、こういうことです。あるいは特約店契約というようなものがあって、その契約、これもそれしか扱えない。こういったことを非常に厳しく言われるようになって、そして規制緩和とは裏腹に、もうがんじがらめになっている。  そして新しい、新しいと申しますか、この特石法が廃止になって新しく外国からの輸入に参入をしましたところも、参入をしました会社は、それを全国で小売をしますスタンドを自分で持たないとよそには売れないということがありまして、そしてなかなかそこに参入はできないという現状になっております。  ですから、一方では、特石法を廃止をして規制緩和の方に国会の方は進んでいるわけでありますけれども、現場では逆の方向を向いている。これは一体どういうわけかということをきょうはもう少しきめ細かくやりたかったわけでございますが、ちょっと時間がございませんので、そういう状況にあるということを踏まえて、通産大臣、そういうことのないように、ひとつきちっとした指導をしてもらいたいと思うわけでございます。お願いします。
  94. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、この特石法という法律自体は、特定石油製品輸入暫定措置法ということで昭和六十一年に十カ年の時限立法ということでできたわけでございます。しかしながら、今日の国内における効率的なエネルギーの供給への要請が高まったということで、輸入主体が今までのように石油精製会社に限定されるということはいかがなものだろうか、こういうことで、平成八年の三月をもって廃止するということで、国内石油製品市場に輸入品との競争という市場原理を導入したわけでございます。そういうことで、我が国の石油産業の一層の効率化が図られる、かように考えておりました。  ところが、この石油業界においては、特石法廃止の検討が開始された平成六年の初め、初頭以来、自由化を先取りにしたというような格好で競争が非常に激化いたしまして、原油輸入のコストが上昇しているにもかかわらず、ガソリンの価格というものが下がる。   一つの例というか、具体的にそれを申しますと、本年の一月になりますと、今まで百二十二円だったのが十六円下がって百六円ということで、やはりこうした輸入の自由化のメリットが消費者に還元されている、実はこういうふうな事態が起こってまいりました。  そういうことで、大変価格自体が下がるので、消費者の方は非常に喜ばしいことでございますが、少しいわゆる競争が過当競争になっているのではないだろうか、実はこの懸念も持っている次第でございます。
  95. 坂口力

    坂口委員 いえいえ、石油の値段もそんなに下がってないんですよ。去年の三月に法律が通りましてから後、ことしの一月を見ますと二・四円、二円ちょっとしか下がってないんですよ。平成六年から比べましたらそれは下がっているかもしれませんけれども、そんなに前までさかのぼったら差は出てくるわけで、この特石法が通過をしましてからの、そしてそれが効力を発揮をしましてからの後を見ると、この一年間でやはり二円から二・四円ぐらいしか下がっていない。余り下がっていないのですよ、石油は。諸外国に比べたらまだ高いままになっているのですよ。だから私は言っているのです。  あれだけ、特石法を廃止をして、そしてもっと自由に流通ができるようにして、また一般の小売の方ももっともっと自由にやれるようになるだろうというふうに皆予測しておりましたけれども、逆に厳しくなってしまった。逆に厳しくなって、そして取り締まりが厳しくなった。そういう状況でありますので、値段も下がらないし、取り締まりは厳しくなるし、検査なども、大手のところは年に一回でいいけれども、新しく輸入に参画したところは月に一遍ずつ検査をするというようなことが続いている。月に一遍ではありませんか、十日に一遍、年三十六回、そういう状況が続いている。大変な格差があるし、非常にできにくいように事態は動いているということを申し上げて、時間が参りましたので、終わらせていただきます。
  96. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今委員指摘のように、特石法というものによって云々とかございましたが、価格の面では確かに下がってきた。というのは、私自身が自分でもって車を運転して自分でガソリンを入れてそういう実感が実はあることでございますので、委員の御指摘はその点は若干いかがかと思いますが、いずれにいたしましても、よく実態を調査してみたいと思います。
  97. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて愛知君、中井君、坂口君の質疑は終了いたしました。  次に、枝野幸男君。
  98. 枝野幸男

    枝野委員 民主党の枝野幸男でございます。  私どもは、公共事業費を中心としてこの予算案についてもっと切り込めるのではないか、削減ができるのではないかという視点から予算質疑をさせていただいておりますが、そうした観点から、まずは、過日私どもの仙谷政調会長が総括の最終盤でお尋ねをいたしました農業集落排水の問題について、仙谷会長の質疑の中などで資料を出していただきましたので、それに基づいてまず幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。  農業集落排水について、その基本設計の業務が平成八年度四百四十六地区について行われていますが、そのうち四百二十六件、九五・五%が社団法人日本農業集落排水協会が受託をしているという現状にあります。これはいわゆる独占状態、独占禁止法の問題になるというような認識はお持ちじゃないですか、農林省。
  99. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 委員よく御承知と思いますけれども、この設計等の業務の協会への委託をするかどうかということは、事業主体である市町村が判断することでございます。その意味では、委員指摘のようなことではないというふうに思っております。
  100. 枝野幸男

    枝野委員 しかし、受託を受けている社団法人日本農業集落排水協会の社団の社員はだれですか。
  101. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 社団法人日本農業集落排水協会は昭和五十八年に市町村等が会員となって設立されて、社員は市町村等でございます。
  102. 枝野幸男

    枝野委員 要するに、発注をする市町村自体が金を出し合ってつくっている社団法人が仕事の九五%を受けている。自分で発注しておいて自分たちで金を出したところで受けているという、全く要するに閉鎖的な社会をつくっているという、まさに逆にそのものじゃないですか。  しかも、各市町村は毎年二万円という会費を払ってこの社員になっているわけですね。そうすると、例えば地方議会との兼ね合いなどから考えても、毎年税金から二万円払っているところに、せっかくあるのにそこに仕事を出さなければ、何でその二万円払っておるのだというふうな批判を浴びますわね。必然的に、構造として、少しぐらいの違いだったらこの社団法人に仕事を出そうという構造自体にこの社団法人はなっているのじゃないですか。
  103. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 この協会、もともと、集落排水事業ということが町村の排水処理を円滑に進めるために大変重要な事業であるということから、排水処理事業を本格的に進める段階になった昭和五十八年に、そういった集落排水事業を進めたいといった市町村等が会員となって設立されたものでございまして、この協会の割合が高いのは、この協会がもともと集落排水事業の技術開発、調査研究あるいは普及指導等を目的として市町村によって設立されたものでございますので、協会の技術力が市町村等から高い信頼を得ている結果としてこのような、先ほど指摘のようなシェアの結果となっていると考えておりまして、この設計等の業務を協会に委託するかどうかというのは、事業主体である市町村の自由な判断に基づくものでございます。
  104. 枝野幸男

    枝野委員 しかし、これも前回仙谷会長が質問等をさせていただいた中で出てきていますが、補助金をつけるかどうかということを基本的に決める立場にある農水省の有力OBがこの集落排水協会の常勤役員三名中二名を占めている。そうすると、そういうところの顔を立てないと補助金はおりないのじゃないかなということをむしろ考えない方が不思議じゃないかという点を指摘しておきたいと思います。  ついでにもう一つ、この集落排水協会の収支報告書を出していただきましたが、会費が年間で三千万ぐらい入っているのですか、これが市町村などから金が入っている。これはよくわかります。事業収入が、これが二十一億ぐらいある。これがまさにこの集落排水事業の設計指導などを行ってその事業費として受け取った金、これはよくわかります。賛助費というのが五百六十万ぐらいあるのですが、この賛助費というのは何ですか。
  105. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 この賛助費は、集落排水協会の目的を達成する上で、この目的に賛同された民間コンサルタント等が任意に加入されて、その加入に当たって会費及び入会金を支払っていただいているものでございます。
  106. 枝野幸男

    枝野委員 要するに、関係業者が払っている金ですね。
  107. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 この会の趣旨に賛同されます民間コンサルタント等が賛助員でございまして、その目的は、この会でさまざまな資料を発行いたしておりますけれども、その資料の入手とか、あるいは研修会等も開催しております、研修会への参加等を通じて、その賛助員の方が技術力の向上を図るということを目的としておられます。
  108. 枝野幸男

    枝野委員 この法人は公益法人ですよね。不特定多数の利益のための団体ですよね。賛助会費を出さないような業者には資料は渡さないのですか、それとも研修はしないのですか。
  109. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 この集落排水協会、いろいろな出版物を出しておりますけれども、これは会員とあるいは賛助員あるいは一般の方と格差がある場合もございますけれども、一般的には公刊しているものでございます。
  110. 枝野幸男

    枝野委員 民間企業が賛助員にならなくても情報が手に入れられるのだったら、基本的には営利企業は金を出してはいけないのですよ。株主の利益にならないことについて営利企業が金を出したら背任なんですよ。現実は、この協会に入っているとほかの部分のところで仕事がとりやすいとか、あるいは仕事をとる上で信用が高いとかという事実があるんじゃないですか。  現実に、これは農業集落排水事業ハンドブックという民間の出している本ですが、農業集落排水の手続とかいろいろなことが書いてあります。これはこの社団法人日本農業集落排水協会の協力も仰いでつくられていると書いてある。その後ろの方に広告が載っているのです。特定企業の名前が出てしまって申しわけないですけれども、この関係する業者の広告のところに「社団法人日本農業集落排水協会会員」とか「賛助員」とかと一生懸命入れているのです。  なぜ入れているか。民間企業ですから、入れて意味のないことを入れませんよ。書いてあるから、賛助員になっているから、これを読んだ市町村が、賛助員のところにやはり仕事を出さないと集落排水協会との関係でややこしいことになるんじゃないかという現実的な効果を生むんじゃないかと少なくとも業者に思われているという現実があるんじゃないですか。
  111. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 賛助員がこの協会に入会されておりますのは、公刊されております資料の入手、研修会への参加等を通じて技術力の向上を図る等を目的にしておられるわけでございまして、賛助員であることをもって工事の受注等の面で特別な地位が得られるという性格のものではございません。
  112. 枝野幸男

    枝野委員 では、その結果を出してください。賛助員と賛助員の外と、実際にこの工事に絡んで賛助員である方が受けやすいという結果は出てないですか。そういったデータはつくれますか。
  113. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 工事の発注は、法令に基づきまして、市町村がみずからの責任によって適切に行われるわけでございまして、賛助員であることをもって工事の受注等の面で特別な地位が得られるわけではございません。
  114. 枝野幸男

    枝野委員 得られるわけではないと思っているだけであって、調べてないんでしょう。だけれども、事業収入の、二十一億あるうちの、大体大ざっぱに言ったって、補助率五〇%なんだから半分ぐらいは国の税金でしょう。市町村税じゃないでしょう。皆さんの、我々の、今審議をしている税金の使われ先の話ですよ。そんなこと把握をしてなくて、適正にやられていると思いますという答えだけで済んでいるのですか。  これは別に農林省だけをいじめようと思っているのじゃなくて、こういった構造が、市町村が補助金を受けて事業をやる、市町村などがお金を出し合って社団法人、財団法人をつくり、その社団法人、財団法人に関係業者から賛助金とかいろいろな名目で金を集めさせて、そこに天下りを押し込んで、天下りを食わせて、そこで仲間内で事業を全部丸めてやって、賛助費を払わないような企業には仕事を発注しない、あるいは入札などに申し込んでも実はなかなか落札できないという閉鎖構造をつくっているところが、農業集落排水を典型例としてあらゆるところにあるんじゃないか。  こういった社団法人の存在その他について、きちんと全体を、全役所について調べていただけませんか、総理。
  115. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 総理の御答弁の前に、ただいまの委員の議論を聞いておりました。賛助員であるということがこの工事の受注に特別の地位があるのではないか、こういう御意見でございますけれども、政府委員から答弁申し上げておりますように、あくまでこの工事の発注は地方自治法に基づいて町村が行うわけでございまして、そういう点からいたしますと、賛助員であるかどうかということはこの受注には関係ありません。  ただ、御指摘でございますので、賛助員の場合と賛助員でない場合との工事の受注の割合については早急に調べて御報告いたしたいと思いますから、御理解いただきたいと思います。
  116. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員が提起をされました一つの例、これは、それなりに真剣に私も伺っておりましたけれども、一般の法人すべてを全部調べろと言われますが、例えば特殊法人は、まさに国が国の責任で一つ政策目的を持って設立し、運営をしておるものですから、当然ながらこれに対してきちんとしたチェックをしていく責任がございますけれども、すべてをチェックする、そういう権限があるのかどうか、私ちょっと正確に存じません。  問題として御指摘を受けたものについて、その設立したそれぞれの省庁の監督責任の中でどこまで対応できるかということだと思いますので、そうした視点でこの問題を伺わせていただきます。
  117. 枝野幸男

    枝野委員 まさにその特殊法人じゃないというところが問題でして、この財団の収支、収入を見ると、会費とか入会金とか、これは市町村の税金ですよ。公金ですよ。事業収入というのは、まさに、農業集落排水の場合は五%ぐらいですか受益者の負担もありますが、国の補助金と市町村費です。税金です。本来は、市町村が別々に農業集落排水の技術を備えたいのだけれども、小さな市町村ではできないから、みんなで金を集め、出し合って社団法人をつくって、そこで技術を向上させている。まさに行政が本来やるべきことを、行政の金を使って、民間である公益法人という形を使ってやっているだけにすぎない。実態は、公金を使っての行政代行行為なのです。  ところが、これが公益法人という、形が民法法人であるがために、特殊法人はまだ少しはチェックはさくけれども、公益法人ということになると基本的にノーチェックになってしまって、どんな決算をしているのか、どんな収支をやっているのかという実態まで深く踏み込んでいけないのです。  例えば、この常勤三人の、農林省OBが二人いる役職員の報酬は幾らもらっているのだということを聞いたら、トータルで三人で五千万円ですという答えは出てくる。これ自体、民間の常識からして、一般人の常識からして高いのじゃないか、三で割っても高いのじゃないかという話もある。ところが、個別に数字は出てこない。個別の数字を出せと言っても出てこない。だけれども、こうやって税金で基本的には収入の大部分がなされている組織で、なおかつ役所の天下りの人たちで行政代行的な業務をやっているところの役員の報酬だなんというのは、民間から考えて高くないか、あるいは場合によっては安い場合もあるかもしれない、安過ぎないかということをきちんと国民の前でオープンにして、そしてチェックを受けるような話がなければ、こういった話は進んでいかないのじゃないかと思っています。  もう一点、午前中のうちに一点聞いておきたいことがあるので先へ進みますが、先日の仙谷政調会長の話の中で資料を出させました。浄化槽法の制定に関してという建設省と農林水産省の覚書であります。  この中に、「農林水産省の指定する団体は、(1)の認定」、これは浄化槽の建築確認の認定を受ける、建築確認の「認定の申請を行うに当たっては、財団法人日本建築センターの性能評定を受け、その評定結果を添付するものとする。」建築確認を受けるために、財団法人日本建築センターの性能評定を受けなければならない部分の種目があるというのは、間違いないですね。
  118. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 両省の了解事項に、建築センターの性能評定を受け、その結果を添付し、建設大臣に認定申請を行うという規定になっておりまして、この両省の覚書は、集落排水施設に関する浄化槽法及び建築基準法上の認定手続を定めたものでございます。
  119. 枝野幸男

    枝野委員 ですから、その認定手続の上で、建設省じゃなくて民間法人である財団法人の検査を受けて、その性能評定を受けなければならないという手続に今建築基準法はなっているんですか。
  120. 小川忠男

    ○小川政府委員 建築基準法の話でございますので、私からお答えさせていただきます。  浄化槽につきましては、一般化している技術についてはごく普通の状況で設置することは可能でございます。ただ、一般化されていない、新しい技術を使った浄化槽につきましては建設大臣の認定を必要とする、これが建築基準法の制定でございます。  ただ、運用上は、建設大臣がといいましても、組織にもいろいろ限界がございますので、建築センターであらかじめ粗ごなしをしてというふうな運用をさせていただいております。  以上でございます。
  121. 深谷隆司

    深谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  122. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。枝野幸男君。
  123. 枝野幸男

    枝野委員 それでは、午前中の質疑の最後のところでやっておりました財団法人日本建築センターの絡みについて、続けてもう一問だけお尋ねいたします。  結局はこの話は、建築確認という行政行為についてどういったところに建築確認を出すかという審査の一部を財団法人である日本建築センターというところに委託をして、そして、そこを通さないと事実上建築確認がとれない、これは特殊な建築物に限られているということではありますが。  この財団法人日本建築センターについて建設省にお尋ねをしたところ、財団法人で、その出資者、財団ですから基本財産を出資した出資者は、同じ名前の日本建築センターという株式会社だ。つまり、営利企業が一〇〇%お金を出している財団法人である。この株式会社日本建築センターの、じゃ株主構成はどうなっているんだということをお尋ねしましたら、民間企業の中のことなのでお出しになれないというお答えを事務当局からいただきましたが、まさに公の行政業務を一部代行するような仕事をするところ、それは、中立公正、客観的であるということの担保があるならばそういったことをやるのもあり得るでしょう。しかし、この財団法人日本建築センターは、役員が全部と言っていいぐらい、半分以上建設省のOBの方で占められているという天下りの問題を抱え、なおかつその組織そのものは営利企業が一〇〇%お金を出している。しかも、これは調べてみなければわかりませんが、役所の方でお出しいただけないので我々で調べてみないといけないと思っていますが、株式会社日本建築センターという名前から見ても、建築関係の業者さんが出資をしているという可能性がかなり高いんではないかと疑われても仕方がない。こういったところに行政代行的な業務を委託をしてきたということについてどうお考えになっているのか。  そして昨年、その当時私も自社さの与党三党の中で、与党のプロジェクトの中でかかわらせていただきましたが、こういった業務については改善をすべきではないかという勧告を当時の与党三党から出させていただいて閣議決定していると思いますが、この日本建築センターの問題についてどういうふうに対応されるおつもりなのか、建設省のお答えを求めます。
  124. 小川忠男

    ○小川政府委員 日本建築センターについてのお尋ねでございます。  出損は、おっしゃいましたように確かに同じ名前の日本建築センター、株式会社でございますが、一千万円の出損のみでございますが、財団法人として監督いたしておりますので、中立性、公平性については大丈夫であろうというふうな確信は持っております。  また、役員構成でございますが、建設省からは確かに何人か卒業生が行っております。ただ、民間人につきましては、いずれもこれは、建築士会でございますとか、あるいは建築構造技術者協会といった建築行政と不可分な関係にある団体の代表者というふうな立場でございますので、御理解をいただきたいと思います。  また、評定の実務につきましては、理事長が委嘱いたしました大学の先生方、これは全部で三百数十名の大学の先生方に委嘱して評定実務を行っているというふうなことでございます。建築関係で三百数十名といいますと、日本の学界の総力を挙げてお集まりいただいているというふうな状況かと思います。したがいまして、中身の中立性、技術的専門性については絶対的な自信を持っているというふうなことを御説明させていただきます。  ただ、今お話しになりましたように、それだけの仕事を行っている財団が行政運用の実務だけで位置づけられているというふうなことにつきましては、私どもも、将来に向けてはもう少しきちっとした形で法制上の位置づけを明確にした方がいいのではないかというふうな思いがございます。特に来年に向けまして、建築基準法、従来の仕様規定、例えば柱の太さは何センチ以上というふうな仕様規定から性能規定に大幅に変えたいと思います。したがいまして、性能規定化する場合にはやはり外国企業の参入というふうなこともございます。また、性能をきちっと評価する組織を簡明にして、わかりやすい組織をつくるという必要性もございます。  これらを踏まえまして、建築基準法の体系上、むしろ明快な形で位置づけさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  125. 枝野幸男

    枝野委員 閣議決定の趣旨を踏まえてきちんとやっていただくということをお願いをした上で、なおかつ、財団でちゃんと監督しているから大丈夫だという話は理屈にならないというのは、これはほかの役所で、たまたま小泉大臣おいでいただいているところで申しわけないですが、医療食協会、これも財団だったか社団だったか、厚生省が監督している公益法人が独占禁止法違反で公取から摘発されて、まさに業界囲い込みみたいなことをやっていたという前例はあるわけですよ。  むしろ、こういった公益法人に対して監督が十分できないという答弁をいろいろなところで役所、行政がしていることは少なくないんですよ、民法しかないからという言い方で。そこのところは、財団だから大丈夫なんじゃなくて、公益法人の監督をすべきところはきちんとする、純粋民間のところは純粋民間でやらせるという仕切りをしっかりつけていただかないと、こういったところに、天下りがたくさん巣くっているところに税金のむだ遣いが流れていっているんじゃないかという疑いが国民から持たれていて、だからこそこの予算ではだめだという声が国民の間で高いんじゃないかと私どもは思っているわけです。  農林水産大臣に最後にもう一点だけ、この天下り等との絡みでお尋ねをしておきたいのですが、平成七年の九月に審議会の透明化の閣議決定がなされていて、その中に、「やむを得ず省庁出身者等を一般の審議会の委員に任命する場合においては、特別の事由のない限り、当該一般の審議会の会長等に任命又は選任しない。」という閣議決定が平成七年九月になされています。これも、閣議決定に至る過程の与党手続に私も加わらせていただいていますので、よく知っている話です。  ところが、たまたま農水省の話を調べていってみましたら、農林水産省の関係の大きな審議会です、農政審議会の会長に、平成八年七月に農林事務次官だった方がついている。米価審議会の会長に、八年の三月にやはり事務次官経験者がついている。それから、かんがい排水審議会の企画部会長という、やはり会長的な立場に、八年十一月、構造改善局次長のOBがついている。林政審議会の施設部会長というのにも林野庁の長官OBがついている。  こんなにたくさん特別な事由があるのです。特別な事由というのをちょっと軽視し過ぎませんか。そもそも、役所OB審議会の委員につくことは原則としてしない、その上で、なおかつ例外的に委員につく場合でも、特別な事由がない限りは会長等には任命しない、二段階の縛りを平成七年九月の閣議決定ではしているのです。この一閣議決定を無視しているという話になりませんか。
  126. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 まず、委員はその間の事情をよく御存じでございますので改めて申し上げる必要はないかと思いますが、この閣議決定につきましては、審議会の会長の問題でございまして、審議会の部会長を拘束するものではございません。  そして、今言われました二つの審議会の会長でございますが、農政審議会、米価審議会の会長に農林省のOBが今会長として仕事をいたしておるわけでございますが、この平成七年の閣議決定に言う「特別の事由」に、私どもは該当する。その意味は、この二つの審議会の会長は、米麦価の政策や農政全般につきまして、理論的に、また実務的に極めて知識を要求される、そういう審議会の会長でございますし、また、中立的な立場でこの会を運営をするということも必要でございまして、そういう意味で、この委員が自主的に選任をされて、そして会長に選任された、こういうことでございます。  この平成七年の閣議決定に伴う委員指摘の見直し等の件につきましては、私ども、今後この閣議決定の趣旨を踏まえて選任が行われるように努力することは当然のことだと考えております。
  127. 枝野幸男

    枝野委員 だれも、今の話を聞いて特別の事由だなんて思う人はいないんじゃないですか。専門家を集めるから審議会なんでしょう。専門的な知識を集めなくていいんだったら、審議会なんかそもそもつくらないわけですよ。審議会はすべて専門家を集めてやるわけですよ。専門性が高いからよくわかっている人をつけるなんて、そんなばかな話はないんです。  なおかつ、役所の人間が、役所OBが専門家としてわかっているなら、審議会なんかつくらないで役所の中でやればいいのですよ。審議会なんかつくる必要ないでしょう。専門家なんでしょう。農林次官OBは農政についての専門家で、一番知識があると思っているから会長にしたという話でしょう。だったら農林省の中でやればいいじゃないですか。審議会なんかつくる必要ないですよ。全然話が矛盾しているんですよ。そんな話は納得できないです。ちゃんと答えてください。
  128. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 それぞれの委員会の構成は、先生御承知のように、中立的な委員もございますし、また生産者側の委員もございますし、また消費者側の委員も、これは米価審議会でございますが、委員としてございます。そういう委員会で審議していくためには、まさしく米麦価の決定であるとか、中立的なそういう立場、知識、実務的な経験、知識のある人が会長としてその審議会の運営をするということを私どもは必要であると思っておりますし、また、この点を特に御理解いただきたいと思いますが会長の選任はあくまで委員会の委員の互選で行っておる、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  129. 枝野幸男

    枝野委員 大体どの審議会でも、ほとんどのところの審議会の会長だなんというのは互選という形式をとっているんですよ。そんなのはわかった上で、事実上はつくっている省庁がコントロールしているという実態があるのを認めているから、閣議でも、選任または任命しないと閣議決定しているんじゃないですか。閣議決定で決まったことですよ。これは野党がこうしろああしろといって言っただけの話じゃないですよ。閣議決定で内閣としてみずから決めたことをみずから守らないで、これからどんな閣議決定が出ていったって、たくさんできてきたって、結局はこういう形で、特別な事由だとかほかの例外だとかいって全部骨抜きにされたんじゃ、何を閣議決定してもらったって話が進まないわけですよ。  これはちょっと総理、少し整理をきちんと内閣の中で、これは農林省だけじゃないはずですから、いろいろなところであるはずですから、これは内閣の首班として、きちんと各省庁でこういう特別な場合というのをどれぐらいあるのか調べて、本当に特別な場合に当たるのかどうか、官房長官にでもやらせて結構ですから、きちんと内閣として統一をしてください。
  130. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 審議会の問題につきましては、審議会そのものが、今も多分その点で御指摘いただいているのかもしれませんが、各省庁の隠れみの的になっておる審議会も結構あるようでございますし、私どもの方で、今度行政改革の一環といたしまして、審議会すべてにわたって見直しをするということになっておりますので、今の御意見を踏まえて、私どもの方でできるだけいい方向に持っていきたいと思っております。
  131. 枝野幸男

    枝野委員 平成七年のときの経緯、私も当事者みたいな、与党の側の当事者で半分知っていますけれども、結局は骨抜きにされていっているのです。そこのところをしっかりとやらないと、骨抜きにならないような、例外とか原則としてとかという言葉の入るような決定をしていったのでは結果的にはこういうことになってきますので、ぜひそのあたりのところを踏まえてやっていただきたいとお願いをしておきます。  今度は、行政監察の話についてお話をさせていただきたいのですが、ここに、平成六年三月に総務庁行政監察局が出している行政監察ハンドブック、「取扱注意」というハンドブックがあります。これは資料として役所の側から出してくれと何度もお願いをしたのですが、出してくれませんでした。たまたま私どもは別のルートで手に入れましたが、どうしてこうした資料を公開をすることができないのですか。
  132. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私も全部目を通しているわけではございませんけれども、その中には、いわゆる行政監察のやり方がいろいろ書いてございます。中には、こういうふうにやったらいいとか、大変こういう言い方は不謹慎かもしれませんけれども、手品師が手品の種を明かしてしまったら手品にならないのと同じことであって、やはりそこにいろいろと、うまく行政監察をやっていく、相手には知られないようにしてやっていくというやり方も書いてあるようでございます。  そういう面からいくと、行政監察というものが、私に言わせれば、今までがおかしかったのであって、もっと相手のいろいろの行政の運営が本当にうまくなされているかどうかということをそれぞれ調査し、そして分析し、総合的に判断して改善が必要なところは勧告をするというのが行政監察でございますから、そうなってくると、それをするときに、相手が手のうちがわかってしまっておって、こちらが調査をしようといったときになかなかうまくいかないという場合は困るわけでございますから、どうも、私もみんな目を通したわけではございませんが、役所からの説明によれば、そういう手のうちを、こういうふうにやった.らいいという形で、行政監察をやる職員の、まあ何というか、技術を向上させるという意味でやっているようでございますから、そういうことで公にはしていないということだと私は思います。
  133. 枝野幸男

    枝野委員 まず、皆様方自体のその行政監察のやり方の中で、「守秘義務等を理由に資料の提供を拒まれた時はどうしたらよいですか。」という設問があるんですよ。そこにこう書いてあるんです。内部資料だから出せないと言ってきたときには、内部資料には意味が幾つかある。一つは「当該機関の文書管理規則等に基づき正規の秘密文書として登録しているもの」を言う場合、二つ目に「通達等により閲覧できる範囲を定めている場合」、あるいは三の場合として「担当者が単に部外者にみせたくないという理由で内部資料と称しているに過ぎない場合」。  これは、何で私たちには見せてくれなかったんですか。どれなんですか、三つのうち。
  134. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 正直、私は、この間から御答弁申し上げておりますように、行政監察のあり方を思い切って変えようということで……(枝野委員「そのこと、後で聞きますから」と呼ぶ)まあ、ちょっと聞いてください。平成九年度からの行政監察のマニュアルについては、当然その中にある文章あるいはその中にあるいろいろな手法ももちろん参考にいたしますけれども、今度は私は、新しいマニュアルをつくってやらせていきたいと思っておりますので、あと、確かに来月まではそれが有効でございますけれども、四月以降は新しいマニュアルでやっていくというふうに御理解をいただけたらと思います。
  135. 枝野幸男

    枝野委員 質問に答えていただいてないんですが、三つの場合のどれの場合だから内部資料として表に出せないんですか。法令に基づいているんですか、内部の通達か何かあるんですか、それとも事実上なんですか、どれですか。事務局でいいですよ。
  136. 土屋勲

    ○土屋政府委員 ただいま大臣からお答えしたとおりでございまして、この監察ハンドブック、専ら行政監察従事職員の資質の維持、向上を念頭に部内限りの資料として策定したものでございますので、提出についてはお許しをいただきたいと思っております。
  137. 枝野幸男

    枝野委員 聞いたことに答えてないですよ。何で決めたか聞いているんですよ。答えさせてください。聞いたことに答えてないですよ、委員長
  138. 土屋勲

    ○土屋政府委員 本資料の作成者の意図として、「部内限りの資料」で公表しないということを表紙の裏に書いてあるところでございます。
  139. 枝野幸男

    枝野委員 これは税金を使ってつくっているんですよ。皆さんがポケットマネーを出し合って、便宜のためにつくっているわけじゃないでしょう。税金を使ってつくっているわけですよ。確かに、秘密にしなきゃならない行政情報があるのはよくわかりますよ。こんな、つくった人がたまたまこれは出したくないからといって出さないという話で内部資料にされていったんじゃ困るんです。  ほかにも二つか三つあるようなんですよ、この中を見てみると。平成五年の三月に「調査手法の手引—監察のかんどころ—」平成十二年三月、「評価手法の手引—要員と業務の評価—」、こういったものをぜひ公開をしてください。出せますか。
  140. 土屋勲

    ○土屋政府委員 御指摘の三点の資料、まさに監察の具体的な調査、評価手法などを書いているものでございまして、これが公にされたら私たち監察の業務の実施に大変な支障を生じるものでございまして、お出しはできません。
  141. 枝野幸男

    枝野委員 確かに、マニュアルで、手引だから、監察を受ける側に知られちゃったら困るようなことを書いてあるのかなと思って、最初から最後まで全部読みましたよ。確かに書いてありますよ、ノウハウが。   続いて、すぐに調査に入ってもいいのですが、互いに初対面の緊張感を和らげ、良い協力関係を保つために、最初に軽く天気の話題やス  ポーツの話題等の世間話をするのもいいと思います。会話の例「今日は寒いですね」、「この辺りは静かでいいところですね」 社会人だったら当たり前のことしか書いてないのですよ。社会人だったら当たり前のことがたくさん書いてありますよ。こんな当たり前のことをこうやってマニュアルにしなければわからないような人たちが集まっているので恥ずかしいというので出せないのだったらわかりますよ。まさに捜査の手法みたいなノウハウなんか全然書いてないわけですよ。  結局、本題に行きますけれども、この本の二百七十一ページに「ある監察の場合の各段階での作業及び所要期間」という参考例が載ってるのです、何月に何をやりますと。  この中に、平成五年十一月中旬に第一次勧告案の打ち出し、勧告案を取りまとめ、十月下旬の室内検討を経て、各省庁へ打ち出す。四、第一次の勧告案に対する相手省庁の回答、それに対して第二次勧告案の打ち出し、それで第三次勧告案の話があって、最終勧告案が出る。第一次、第二次、第三次とあるわけです。これは最終的には平成六年の一月下旬に勧告が出されているということですから、これはどうやら、その時期に勧告が出されているのは厚生省で薬事に関する監察のようだということはこの日程でわかります。  総務庁長官は先ごろから、この相手方と打ち合わせをして勧告を出すのはやめるということをおっしゃいましたが、ここに書いてある一次勧告、二次勧告、三次勧告、全部やめるということなんですか、それとも最後のところだけやめるということなんですか。
  142. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私の考え方は、この勧告については一遍で、一度でやるということにしたいと思っております。  ただ、勧告をする前については、それぞれの省庁とできるだけ議論をし、率直な意見の交換もしていきまして、事実を確認をし評価をした上は、勧告の段階に入ったら相手とは全く相談をしないで勧告するわけですから、このような一次とか二次とか三次とかいうことはなくなるというふうに考えています。
  143. 枝野幸男

    枝野委員 勧告の段階では相談をしないということは一歩大きな前進だと思うのですが、その前の段階で、事実の確認とかと称して相手省庁、つまり被告ですね、そこと話し合いをするということなわけですよ。そこの段階でどれぐらい、事実関係それは違うとかなんとか、いろいろなごちゃごちゃ注文がつくわけでしょう、そこのところをどれぐらい乗り越えられるのかということが担保されなければ、最終の勧告段階では一方的に出しますとはいっても、本当に、例えばこの薬事だったら厚生省の意向を聞かないということになるとはちょっと思いにくいのです。  そこで、まずはとりあえず、総務庁長官は、事前にこうやって相手方と相談をして勧告を出すのはおかしいということを踏み込んでいただいたのですが、この行政監察も税金を使って過去何年間かやっているわけです。過去十年も二十年もさかのぼれとは言いませんが、せめて過去三年分ぐらいは、最近のことですからそんなに状況も変わっていないところが多いでしょう、最終勧告の前の一次勧告、二次勧告、三次勧告、それぞれ出していただいて、どういう経緯で変わっていったのか、そして、その一次勧告案を見てみると、最終勧告と違ってもっと我々が見ても役に立つようなことがあるかもしれない。  例えば、この実際に日付の入っている厚生省の薬事に対する勧告の一次案、二次案、三次案と、それに対して厚生省がどう言ったかということを公開していただけませんか。
  144. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 先ほど申し上げたように、いろいろと話し合っていく中で、やはり多少駆け引き的なところというか、手のうちを明かさないでいかなければいけないところもあるわけでございまして、そういう今の、まあ私は、第一次、第二次、第三次と、それは決して好ましいことではないと思うのですが、そういうことをやったそのやりとりの中には、やはりいろいろノウハウに基づいて、今後の調査、行政監察についても必要なものも残っているのではないかと私は思うのです。  すべて手のうちを、そういうところが出てしまったら、今後の行政監察にマイナスになる点もありますので、私もそれは正直見ていないものでございますから、一度それを見て、私の判断で、この部分は公にしても将来の行政監察には阻害要因にならないというものはオープンにさせていただきたいと思いますし、これはやはりノウハウがあって、これは手のうちを見せてはいけないという部分があるというように判断すれば、それはやはり公開ができないというふうで私は進めていきたいと思っております。  全部を公開というわけにはまいりませんが、一度私はそれを直接見て判断をして、オープンにできるところはオープンにしたい、こう思っております。
  145. 枝野幸男

    枝野委員 ノウハウとか公になるとおっしゃいますが、一次勧告案というのは、例えばこの話だったら、厚生省に示したものを出してくださいと言っている、それに対する厚生省からの回答を示してくださいと言っているだけです。  逆に厚生省の方からでもいいです、出していただけるなら。厚生省から出していただけませんか。一次勧告でどういうふうなのが出て、それに対して厚生省はどう答えたのか、その経緯、出していただけませんか、厚生省。
  146. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 行政監察につきましては厚生省としても最大限の協力を行ってまいっておりまして、この監察結果の報告書の作成過程につきましては、厚生省から意見を出しておりますけれども、それだけを切り離して公表の可否を判断するのは適当でございませんし、また、一次、二次、三次、全体としての検討結果でございますので、私どもとしては意見を差し控えたいと存じております。
  147. 枝野幸男

    枝野委員 おかしいんですよ。だれのために行政監察をしていらっしゃるんですか。国民のためにやっているんですよ。国民の代表としての国会として、行政監察、ちゃんとやられたのかどうか、事後的にチェックをしたいと思うのは当たり前じゃないですか。それでなおかつ具体的なのが出てきているから、これはわかりやすいから出してください。  だれが困るんですか、この過程を出して。総務庁と厚生省とはお互いにやりとりをした文書でしょう。意見をやりとりした話でしょう。それを、何で国民に対して知らせて、だれに不利益になるんですか。それともそこでやりとりしている話は、じゃ、ここで言うこと聞くからちょっとこちらのところへ人員ふやしてよとか、そんな話をしているんですか。違うんでしょう。ちゃんと理屈と理屈でやり合っているんでしょう。だったら国民の前に公明正大に出してください。委員長、出させてください、これ。
  148. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私は、出せるものは出せると言っているんです。それは私は、やはり国民サイドから見て、できるだけ今情報を公開していくべきときでありますから、出せるものは出しますけれども、行政監察というものはまた、逆に国民立場に立ってこういう行政はよくないということを、やはり監察をこれからしていかなきゃならないわけでありまして、その行政監察をしていく上にマイナスになるような、手のうちをさらけ出してしまうようなことはいけないと先ほどから申し上げているわけであります。  私は、その第一次、第二次、第三次の勧告を見ておりませんから、それを見た上で、これはもうオープンにしていいというものはオープンにしよう、こう言っているわけですから、その辺、私もその勧告を見ていないので何とも言えないわけでありまして、勧告文を見た上で判断して私は対処していきたいと思っているわけです。
  149. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今厚生省の業務局長から答弁がありましたが、武藤大臣答弁のように、出した方がいいのは当然出すべきだし、中には隠さなくてもいいことを隠している向きもあると思います。これは常識の問題。  国民にいかに情報を公開するかというのが橋本内閣の一つの方針ですから、こういう情報公開という方向も勘案しながら、今武藤大臣答弁したように、真に公表すべきかすべきでないか、総務庁長官とも相談しながら、相手の役所があることなものですから、これは国民に公表した方がいいという問題については積極的に公表していきたい、そう思っております。
  150. 枝野幸男

    枝野委員 それは、要するにそのプロセス、第一次勧告案がつくられたプロセスまで話してくれと言うんだったら話は違いますよ。第一次勧告案とそれに対する厚生省からの答弁、そこに何で公開しちゃうと今後に差し支える話が出てくるのか私はよくわからないのですが、とにかく大臣がそこまで、自分で読んで判断するとおっしゃるんだったらちょっと期限を切っていただいて、いつまでにお読みいただいて、いつまでに二人で御相談いただいて、いつどういう形で御回答をいただけるのか。もし全面公開できないなら、公開できない部分の理由をつけてそこでは発表していただきたいのですが、それはいつまでにやっていただけますか。
  151. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 今なかなか忙しい立場におりますから、ゆっくり読ましていただきたいと思っておりますが、そんな長くはかかりませんけれども、少なくとも三月中に私は結論を出していきたいと思います。
  152. 枝野幸男

    枝野委員 ちょっと遅いんじゃないですかね。三月中じゃ予算は終わっているし、そのころもう一般の法案も終わっているんです。もうちょっと急いでいただけますか。
  153. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 努力はいたしますけれども、遅くも三月中には何とかそれの結論を出していきたいと思います。
  154. 枝野幸男

    枝野委員 御自分で読んだ上で結論を出しますという大見えを切られる姿勢も大変心強くも思いますけれども、確かに大臣がお忙しいのはよくわかりますが、こちらもその結果を見て行政監察のあり方はどうなっているのかと、御回答があってからいろいろ調べなきゃならないわけですよ。お互い都合もあるのですから、これもまた政党を通じてきちんとまた改めて時期については求めていきますが、できるだけ早くやっていただきたい。  もう二点ほどこの行政監察について聞きたいことがあるので話を進めますが、平成四年の六月に、行政監察局で、社会福祉法人の指導監督に関する行政監察の結果報告が、勧告がなされています。例の彩福祉グループなんかはこれをちゃんと守っていればこんな事件は起こらなかったとお答えになった勧告ですけれども、これを具体的にじっと読んでいくと、いろいろなことが書いてあるんです。  例えば、これの九十九ページでは、「事例3」として、   法人Mf(M県、母子寮経営)では、入所者から預かっている現金、預金通帳、印鑑を同一の者(寮長)が保管している。また、預り金出納簿が作成されておらず、入所者に現金を引き渡した際の確認印等の引渡し証明も行っていない。なお、同法人では預り金の取扱いに関する規程を作成していない。要するに、入っている人から金を預かっておいて、そのお金の管理がめちゃくちゃだという話ですね。こういった事例が、これは一番典型的な例を出しました。たくさん事例が出てきているわけです。  この事例、こういう問題のある社会福祉法人、その後どうしたんですか。これは総務庁が直させたんですか。それとも総務庁が厚生省に言って、厚生省を通じて直させたんですか。この個別事案はどういうことになったんですか。
  155. 土屋勲

    ○土屋政府委員 私ども、監察の過程で、それぞれ問題があるという事実につきましては相手省庁と事実確認をきっちりやっているわけでございまして、当然、その報告書に書いてある個別事例については、相手省庁は十分どこの何であるかということは承知をしているわけでございまして、勧告を受けて所要の改善措置が講ぜられているものというふうに承知いたしております。
  156. 枝野幸男

    枝野委員 じゃ厚生省のサイドは、ここにたくさん事例があります、この平成四年の行政監察結果報告書の中には。この事例についての、問題ある社会福祉法人に対する個別事案の是正措置の指導は具体的に行ったんですか、行っていないんですか。
  157. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 勧告の説明部分において具体例として取り上げられております社会福祉法人でございますけれども、総務庁の調査の際に各都道府県がこの調査協力をいたしておりまして、そういうことから、各都道府県がそれぞれの法人の状況を把握しておる、こういう実態になっております。そういうことから、またこの都道府県は社会福祉法人を監督する、こういう権限も持っておるわけでございまして、都道府県において所要の改善措置と申しますか指導を行っておる、こういうふうに考えております。
  158. 枝野幸男

    枝野委員 都道府県が指導監督をしたかどうかということについての情報は集めていないんですか、集めているんですか。
  159. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 現在、厚生省といたしましては全体の状況を把握いたしておりませんけれども、例えば、先ほど先生から御指摘ございました社会福祉法人Mfでございますが、このケースにつきましてはきちんと対応しておるということを聞いております。
  160. 枝野幸男

    枝野委員 それは、個別事案についてちゃんと対応したという報告を受けているんですか。例えば、具体的に言うと、九十九ページにあるM県の法人Mfはちゃんとよくなりましたというような報告を把握しているんですね。
  161. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 Mfについては把握をいたしておりますが、全体につきましては厚生省はまだ把握いたしておりませんので、取り急ぎフォローしてみたい、こういうふうに考えております。
  162. 枝野幸男

    枝野委員 何のために行政監察をしているのかといえば、要するに、そこで具体的に挙がってきたような不当な事案があるから、それを直さなければならないから行政監察があるし、行政監察に基づく勧告をしているわけですよね。  それで、勧告そのものは、抽象的な話として、こういうことをこういうふうに直せという話になってしまう、それはよくわかります。しかし、その過程で出てきた具体的におかしな事例がたくさんあったら、当然のことながら、それに行政サイドが気がついた以上は、間違いなくおかしなところを直すということをするとだれもが当たり前のことのように思っていますよ、行政監察している以上は。  ところが、今の話を聞いていると、総務庁は厚生省に投げました、厚生省は都道府県に投げましたといって、本当に監察をした総務庁の行政監察局の人たちは、おれたちが調べたところはちゃんと、あそこで何か金を勝手に預かられて、あの母子寮に入っているお母さんはどうなったかなと心配している総務庁の現場の人たちのところには、これは改善されたなんという情報は行かない仕組みじゃないですか。こういう仕組みをちゃんと変えないと、個別事案でおかしいことが出てきたのもちゃんと対応できるという仕組みをつくらないと、行政監察なんて意味がないんじゃないですか。
  163. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 その辺が私が実際総務庁へ参りまして感じたことでございまして、先ほどの勧告についても主体性を持ってやれと言ったことと同じように、現在の行政監察のやり方では、十分私は監察の役割を果たしていない。もう少し何らかの形で、現在の総務庁設置法の中にある法律を改正をするのか、その辺も含めて、あるいは将来においては、今私ども中央省庁の統廃合をやっておりますので、例えば官邸機能の強化の中で、そちらへこういうものは移すべきなのかどうか、いろいろと検討をいたしておるわけでありまして、とりあえず、中央省庁の統廃合はまだちょっと先になりますから、できるだけ早い機会に、場合によれば総務庁の設置法を改正するという方向も含めて今行政監察のあり方を再検討しているわけでございまして、今御指摘のようなことも踏まえて私は再検討しておるつもりであります。
  164. 枝野幸男

    枝野委員 検討をされること自体は大変いいことだと思うのですが、従来からずっとお話ししていますとおり、総務庁やあるいは内閣のもとにどんな組織をつくっても、今の憲法体系と法制局の憲法解釈を前提にしたら、その監察機関が内閣の行政各部に対して指揮命令することはできないんですよ、法制局の憲法解釈を前提にしたら。  ということは、今と同じように、総務庁が監察をして結果が出ても、それはお願いをする、勧告をして直してくださいとお願いをする、言うことをきかなければそれっきりよという話にしかならないのですよ。だからそこができるように、我々は行政監視院という、国会は行政に対して法律という形で、立法という形で強制権限を持っているわけですから、それでやっていこうということを提案しているんで、これはまた別の機会に詰めていきたいと思っています。  時間がそろそろ、私の持ち分がなくなって、運輸大臣に実はいていただいたのに、時間がなくなって申しわけないのですが、新幹線の問題などもやろうと思っていたのです。  我が党では、先ほどの公益法人などの話のところにもむだがたくさんあるんじゃないか、行政監察をしっかりやっていくといろいろなところにむだな金が浮いてくるんじゃないかというようなところを考えていくと、まだまだことしの予算案の中の歳出は削れるんじゃないかということで、まずは公共事業費のコストが一割削減できるだろう、コストを一割削減すると、国費ベースで一兆八百七十二億円の削減になる。  そして、公共事業の各計画がたくさんあります。これが全部予定どおりの期間でやらなければならないかというと、必ずしもそうではないだろう、こういう財政状態なんだから、五年後にできると思っていた道路が六年後になったとしてもそれぐらい我慢できるんじゃないか。そういうような操作をすれば一兆円ぐらいのお金が浮いてくるんじゃないか。合わせて二兆から三兆ぐらいの歳出の削減は、公共事業と補助金を中心にして可能であるということを考えています。  ぜひ政府として、こうした歳出削減をして修正をするということを真剣に考えていただきたいという御提案を申し上げて、もし御意見があれば総理からお答えをいただければと思います。
  165. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 公益法人について実例を挙げての御議論、それをスタートとして最後までの御意見を伺いました。  私どもとしてできる限りの努力をしてきたつもりでありますけれども、政府がなお努力しろというその御激励は、我々も大切にしたいと思います。
  166. 枝野幸男

    枝野委員 終わります。
  167. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。
  168. 前原誠司

    前原委員 民主党の前原でございます。  きょうは国鉄清算事業団の問題を一つの切り口として、財政再建の問題にまで分野を広げて総理並びに関係大臣お話を伺いたいと思います。  昭和六十二年の四月の一日に国鉄からJRになりました。そのときに継承された長期債務の総額が三十七兆一千億円でございました。その三十七兆一千億円のうち、JR各社あるいは新幹線保有機構等がその債務を負担した部分を除いて、国鉄清算事業団が合計で二十五兆五千億円の債務を受け継いだわけであります。その二十五兆五千億円のうち、国鉄清算事業団が持っている土地を売ったり、あるいはJRの株を売ったり、あるいは新幹線保有機構の収入などによって得られるもの以外が国民負担ということで、十三兆八千億円という額がその時点で出されておりました。  では、今どうなっているのかということでございますけれども、現状においては、平成八年度の頭、四月段階でございますけれども、二十七兆六千億円に膨れ上がっているわけですね。今度鉄道共済が破綻をいたしまして厚生年金に移転をするときに、国鉄清算事業団から余計に八千億円のお金をプラスしなければいけないということになりますならば、八年度の当初に残っている債務残高というものが二十八兆四千億円になります。そして今、残りの土地や株を売って得られる収益というものが大体試算で六兆円から七兆円という政府からの御答弁をいただいておりますので、それを差し引いた、いわゆる国民負担と言われるものについては二十二兆から二十三兆円になる、こういうことであります。  昭和六十二年度の国民負担分が十三兆八千億円、それで処理をしなくてはいけなかったにもかかわらず、その処理がおくれたり、いろいろな問題がありまして、二十二兆から二十三兆円の国民負担にふえている。つまり十兆円ぐらいこの十年間で国民負担がふえたことになります。しかし私は、この十兆円の増というものも、実はもっとふえているんだということを具体的に例を挙げて指摘をさせていただきたいと思います。  まず、株でありますけれども、株を売っての収入が当初一兆二千億円という試算がされております。これをお話を伺っておりますならば、JR株式の売却収入が五千億円、それから帝都高速度交通営団の出資持ち分の売却収入が七千億円、合計これで一兆二千億円となっています。この五千億円というのは、実はJRの株式発行数、これは九百十九万株でありますけれども、それに額面五万円を掛けたものにすぎないわけですね。五千億円というものが当初から非常に過小に見積もられたということであります。  実際、今どれだけの株が市場に流れているかといいますならば、JR東日本の株が二百五十万株、そして西日本の株が百三十七万株、全体の四二%の株が市場に今流れています。これの売却益というものが幾らあったかといいますと、これだけで一兆五千六百三十七億円なんですね。つまり、当初五千億円と見積もっていた、全体で五千億円と見積もっていたものが、四二%の株を売っただけでもう現実問題として一兆五千六百三十七億円ということは、一兆円以上の増益といいますか、なっているわけですね。まだ五八%の株は残っている。  北海道と四国は、今金利が低うございますので、この基金の運用益が非常に低下しておりますので赤字でありますけれども、それでもJR各社は頑張っておりまして、黒字をその二社以外は計上しているという段階であります。  実際問題、この積算がまず低かったのではないかということと、それから国鉄清算事業団の仕事というのは、早く株や土地を売って、そして国民負担というものを最小限度に抑えるというのがその趣旨であるにもかかわらず、まだ四二%しか株が売れていない。しかも、これからどうしていくのか、こういったことについて、運輸大臣、御答弁をいただきたいと思います。
  169. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 お答えをいたします。  先生御指摘いただいている、まずJRの株の問題でございますけれども、御承知のとおり、JR株式会社の発行済み株数九百十九万株、これは額面の五万円で実は算出させていただいておりまして、五千億ということでございます。  この理由でございますけれども、JRが、昭和六十二年当時、国鉄改革によって発足いたしましたJR各社、まだどういう状況で株を上場できるかという経営体質というものがはっきり見分けができなかったということが一点ございます。むしろそれよりも、本当にうまく改革がなし遂げられるだろうか、こういう実は心配の節もあったわけでございます。そういう意味で、清算事業団に額面五万円という算出方式で五千億円という資産の評価ということを行ったということは御理解をいただきたいというふうに思っております。  なお、今後の株式の上場でございますけれども、それぞれの各社の経営体質等を見て、できるだけ速やかに株の上場に向かって進めていきたい、このような認識を持っております。
  170. 前原誠司

    前原委員 当初、JR各社の営業収益がどうなるかわからないということについてのもちろん未確定要素はありました。しかし大臣、JRができてからもう十年たっているわけですね。それで、ある程度の目鼻だちというものは、前半でこれはわかっているはずですね。  大臣、ちょっと御質問しますけれども、国鉄清算事業団が抱える債務、利払いだけで一日幾らになるか、一年で幾らになるか、御存じですか。——御存じないようですので、私が答えさせていただきます。もういいです。  一日で三十六億円、それで全体で一兆三千億円、一年間で一兆一二千億円になるんですね。要は、一日その処理がおくれれば、利子だけで三十六億円つく。一年おくれれば、一兆三千億円の利子だけがっく。そうして膨らんでいくわけです。  ある程度の目鼻だちがついて、そして株も、後でお話しする土地も早く売らなきゃいけないのに、これだけおくれて、まだ四二%しか売れていない。こういうことについては、株というものの売却についてやはりミスがあった、そしてその結果、国民負担がふえてしまったということについては認めざるを得ないんじゃないですか。
  171. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 ただいまも申し上げましたように、それぞれのJR各社の経営、それから今後の経営体質の問題等を踏まえて、逐次売却をしているという状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
  172. 前原誠司

    前原委員 ちょっと答弁になっていないんですが、土地の問題とあわせて一緒に答弁していただきたいと思います。  国鉄清算事業団で売却見込みになっている土地の問題、これも七兆七千億円であります。これは当時の地価公示価格等を基礎にして、推定値ということで算出をされたものだと伺っております。このときはちょうどバブルの前、あるいはかかりのころでありました。土地神話があった時代、これからどんどん土地が上がるということで見込まれていたわけでありますね。  実際問題、昭和六十二年に、地価の異常高騰で、国鉄清算事業団が持つ土地の公開競争入札の実施を見合わせる、こういう閣議決定が行われております。私はこれ自体問題だったと思うわけです。  これは、当時運輸大臣だったのは橋本総理でございますけれども、国鉄清算事業団の仕事というのは、負債をいかに速やかに、そして国民負担を減らすべく努力をしていくかということであります。  確かに、土地の高騰があって、それに火をつけるようなことをしてはいけないというのはわかりますよ。わかるし、いろいろな対策もとられておりますけれども、例えば、平成元年の二月には、公開競争入札制限の緩和の方針を出されておりますし、まあそれ以降も出されていますけれども、結局、当初のそういう土地の売却というものに対するたがをはめてしまって、そしてこの資料を見ておりますと、実際、公開競争入札の売却収入額というのは横ばいになっているわけです。売れていないわけですね、実際問題。  地価が顕在化しないような形の多様な処分等の売却収入というものを得るために努力をされていますけれども、これも平成二年からようやく伸びて、平成二年、四年は多いですけれども、要は土地の売却についても後手後手になって、結局土地の売却がおくれているということですね。  さっき申し上げたように、一日の利子だけで三十六億円、一年間で一兆三千億円、これだけの利子がつくのにこれだけおくれてきたということ自体に、国民負担を増加させたという、私はあわせての責任があると思いますけれども、さっき御答弁をいただかなかったことと含めて御答弁をいただきたいと思います。
  173. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生もお触れいただきましたけれども、昭和六十二年四月、国鉄清算事業団が発足をいたしました当時、ちょうど地価が高騰の初め、そういう状況であったことは先生にお触れいただいたとおりであります。  昭和六十二年の十月に、実は地価対策ということで緊急土地対策要綱というのが閣議決定されておりまして、旧国鉄用地につきまして、地価が異常に高騰しつつある地域内の売却というものについては、地価の異常な高騰が鎮静化するまではこれを見合わせるということが決められているわけでございます。  今先生おっしゃるように、今になって振り返ってみますと、その当時も、例えば地価対策上そういう決定がいいのかどうか、一方では、国鉄の長期債務にかかる国民負担の軽減の観点からは、やはり供給と需要という観点から考えても売るべきではないかという、そういう論点、そういう観点から御議論をしたということもございます。しかし、結果として、今申し上げましたような決定がされたわけでございます。  そうしますと、今おっしゃるように、一日三十六億、これだけの利子が国民の負担として重荷になってきているという現状を見ますと、これは間違っていたんじゃないかということについては、現段階では、私も反省すべきところはあろうと思っております。  しかし、あの当時は、私も議席を持たせていただいておりましたが、この国会の議論の中ででも、またマスコミ等を通じてでも、やはり高騰につながるのではないかという御議論が多かったということも、私自身今振り返って思い起こしているところでございます。
  174. 前原誠司

    前原委員 現在、現在といいますか平成七年度末でございますけれども、処分できている土地の面積が六二・四%なんですね。ということは、まだ三七%余りの土地が処分できていないということであります。  今大臣、確かに、熱病という言葉がいろいろな分野で言われることがございますけれども、そういう状況だったのかもしれません。しかしながら、国鉄清算事業団というものの処理を考えた場合に、何度も申し上げているように、早くその処分をするということが、その利払いとか元本とか、そういうものを含めたときに欠かすことができなくて、そして結局は先送り先送りをしたことが今の二十二兆から二十三兆という国民負担につながってしまっているというわけであります。  これを考えるとき、私はさっき昭和六十二年度の十三兆八千億円という国民負担分の話をしましたけれども、株をうまく売っている、それから土地をうまく売っておく。別にこれは、ある程度対策はとられた部分でもありますけれども、例えば最高上限価格というものを設定して、そしてそれをかけていってもよかったわけです。そういうものでどんどん土地の売却をしていってもよかったわけです。そうしたら土地の値上がりにつながらない。上限価格を決めるわけでありますから、それ以上の札を入れたものについては不調というか、それはだめだということで、もっともっとこの負担を軽減することが僕は可能だったと思うのですね。それができていないことが、本来十三兆八千億円の半分ぐらいの負担で済んだと僕は思いますけれども、それが結局二十二兆、二十三兆に膨れ上がってしまっている。  消費税率一%が大体どのぐらいかといいますと、二兆三千億から二兆四千億。総選挙一回で、消費税あるいは一般消費税、売上税等々で体制が変わるぐらい大きな問題になるわけですね。それが、実際問題、処理がおくれてきたことによる損害額というのは消費税の税率によって得られる収入どころじゃない、それよりもはるかに大きな損失を国家に与えてしまっているということであります。  ここで総理に伺いたいのでありますけれども、私、常日ごろ不満に思っていることがあります。というのも、国民負担という言葉なんですね。例えば住専の問題でも、最終的に公的資金を導入しなければいけなかったということはわかりますけれども、大蔵省と農林水産省の覚書がなければ、もっと早くにこの処理は済んでいたし、税金を投入しなくても済んだ。じゃ、そういう覚書を交わした責任者の人たちは責任をとったのかどうか、そして税金を使わせてくださいという前提をきっちりしたのかどうかといえば、そういうものがなされていない。  今回、いろいろな都道府県で不正経理というものが発覚をしております。今知事になられた方は私はお気の毒だと思いますけれども、そういう方々も含めて、みずから不正経理の責任をとって、十何カ月間半分の給料で済むとか、あるいはそれを返すように努力をするとか、そういう責任のとられ方があると思うのですね。しかし、国の場合は、政策のミスでした、そして税負担がふえました。最終的にはどういう処理をするか後で質問をさせていただきたいと思いますけれども、税負担になるのだったら国民としてはやっていられない、そういう思いをみんな国民は持っていると私は思うのですね。  じゃ、そのときに、こういう対策がおくれた責任というものを政治としてどういう形でとるのか、また、そういう責任を明確にすることが政治の信頼の回復につながると私は思うわけでありますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  175. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 では、まず私の方から、責任の法的側面と申しますか、そういう観点からお答えをさせていただきたいと思います。  ただいま論旨を伺っておりますと、株あるいは土地の処分おくれということに基づいて生じた損害についてどう責任をとるべきかという御論旨があったわけでございますが、伺っておりましても、なお民事あるいは刑事あるいは国賠法上の個人責任を構成するにいまだ至らないのではないか、しょせん、いわゆる政治責任の有無という次元における問題を提起されているのではなかろうかと思います。  そこで、憲法六十六条第三項、御承知のとおり、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」というふうに規定しております。これは要するに、内閣を組織する国務大臣全員が内閣の施策について一体として政治責任を負うべきものであるという趣旨であると解せられているわけでございますが、国会において内閣の責任を問題とされましたときに、内閣がそれに対してどのように対応するかということは、具体的に一義的には憲法で定められておりません。  ただ、憲法六十九条により衆議院の内閣不信任決議がなされましたら、六十九条に定められているところにより総辞職あるいは解散ということを選択する道が規定されている、それが現行体制上の政治責任の問題であるというふうにお答えできようかと思います。
  176. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 当時の事情を改めて私は弁解するつもりはありません。そして、今の状況からすべてを抜きにして逆算して御議論になれば、私は議員の御議論というものも否定できないものだと思います。  ただし一点、清算事業団の業務について、各JRに採用をされなかった人々の就職という問題を抱えておった、これが非常に大きな課題であったことは事実問題として御認識をいただきたい。同時に、JR各社がスタートをいたしますときに、鉄道だけの業務量計算に約二〇%の定員を上乗せし、関連事業を率先して進めていかない限り経営状態が非常に問題を生ずる可能性ありというぎりぎりの定員を各社にいわば抱かせながら、なおかつ清算事業団において再就職をあっせんしていくべき人員が残っていたという事実は申し上げておきたいと思います。  そしてまさに、議員はよく御承知のようでありましたが、六十二年の十月、緊急土地対策要綱が閣議決定をされまして、旧国鉄用地について、現に地価が異常に高騰しつつある地域内の売却については、地価の異常な高騰が鎮静化するまでこれを見合わせるという閣議決定がされました。当時の私は閣僚であります。  その上で、当時の国会の議事録も恐らくお目通しでありましょうが、その年の翌年でありましたか、六十三年十月に、例えば、旧国鉄用地の売却を焦るな、旧国鉄用地の売却再開は愚策、なぜ急ぐ旧国鉄用地売却、これが当時の世論でありました。そして、むしろ清算事業団の、もし必要でありましたならこのコピーをお届けいたしますけれども、清算事業団における、あなたは嫌いだと言われましたけれども、将来の国民負担にお願いしなければならないという分がふえても売るべきではないというのが当時の論説の中心的な議論であった。そういう事実関係の中で、運輸省の諸君あるいは清算事業団の諸君は、売却という仕事に手をつけたくても許されなかったというのが実態であったことは事実であります。
  177. 前原誠司

    前原委員 事実関係としては確かにそれは世論の論調だというのは、私ももちろん、その時点のマスコミ等々の論調はわかっています。しかし、僕は政治は結果責任だと思うのですよ。その結果、将来に負担を残してもいいというふうなことでそれは与党あるいは政府全体として決めたのであれば、その責任をとらなければいけない、それだけ負債がふえたわけですから。それに、今総理が答弁されたのはマスコミの論調はそうですということで、御自身が閣僚であったのに、自分の言葉でしゃべられていない。  ちょっと待ってください、質問中ですから。  そういう中で、全体に負債がふえていてその責任をどういうふうにとるかということは、私は結果責任をとらなければいけないし、それに、今橋本総理がおっしゃっているときというのは、JRになってから今まで十年間あるわけですよ、どの時点を指して言われているのか。では、それまでずっとその論調だったのか。とんでもない。後半は地価が下がってバブルは崩壊して、そしてその土地や株の売却、もっと売れた時期もあるのですよ。  では、実際問題、資料を出させていただきますよ。  「国鉄清算事業団用地の資産額の推計」というのが出ていますよ、毎年毎年。平成二年をピークとして、これは十五兆円の推計値が出ているのですよ。その後、平成四年、平成五年、十二兆、八兆四千億と、だんだん減っていっているんです。しかし、その時点で売っておけば、平成八年四月の推計値は三兆ですよ。さっき話をされたのは前半の話じゃないですか。後半も含めて話をしなきゃいけないし、そのときに売っていれば国民負担は少しでも減らすことができたというふうなことを、トータルとして、私は十年の話としてお伺いしているわけです。
  178. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど、おまえも運輸大臣だったというお問いかけから始まりましたので、私は、運輸大臣の時点の私どもの置かれた……(発言する者あり)いや、せっかくお聞きいただいたんですからお聞きをいただきたい。そして、その当時、まさに客観情勢としてそういう事実があったことは知っておいていただきたい。そして、私自身、これはたしか昨年の五月のころだったと思いますが、この同じ問題で答弁を求められましたときに、今から考えてみれば売れるチャンスがあったと思いますということは申し上げた記憶があります。  そして、現在の時点から過去にさかのぼって問題をとらえるなら、むしろ、当時我々は、逆に、国鉄清算事業団用地という土地が大量に供給されることで地価を冷やす効果もあるという主張をしましたが、結果としては、そういう主張は通らない、そして売却をストップするというのが、当時の政府、また国会の御論議等においても、方向として支持されたものでありました。  私は先ほど、マスコミが当時どういうふうにとらえていたかというのを客観的な情勢として申し上げたつもりでありましたが、論説等を引用したことがお気に召さないのなら、それは取り消します。  そして、現時点において私どもは、この清算事業団の抱える負債というものを何とか処理をしたい、少しでも売却のために努力をしていきたい、努力をしていきますし、最終的な国民負担のあり方について今年中に幅広い検討を行って結論を出していきたい、そのような姿勢でおるわけであります。
  179. 前原誠司

    前原委員 数字の話を随分いたしましたけれども、結果的に後手後手に回っているのは否めないと思うのですね。それによって、先ほどから申し上げているように、一日で三十六億円の利子がついて、一年間で一兆三千億円の、利子だけでそれだけのお金がついているわけです。  そういう、後手後手に回ったこと、土地の売却でもそう、株の売却でもそう、今から考えたら言えるとおっしゃるかもしれないけれども、その当時の、いわゆる前半のそういう、土地を売ってはいけないというふうな国民世論を差し引いても、後半でもっと頑張れるはずじゃなかったかと私は思うわけです。そうしたときに、やはり政府の、国の施策としての失敗によって国鉄清算事業団の負債がふえたということは、私は、これは否むことのできない事実だと思いますし、先ほど運輸大臣もそのことについてはお認めになりました。  では、その負担増についてこれからどういう処理をするのかということであります、問題は。私は、本来十三兆八千億円もなかったと思われるこの負債が今二十二兆、二十三兆にも上っているということについて、国の施策として間違っているのであれば、これは、税金を投入してそれを処理するということは国民の理解が得られないと思いますよ。  それで、JRに負担をさせればいいという意見も一部では出ているようでありますけれども、これは全く別の話で、JR自体も、昭和六十二年度に民営化するときに、そのときの負債を抱え込んでいるわけです。そして、それを民営化の努力の中で返却をしつつあるということですね。  となると、私は、実際問題、この国鉄清算事業団の処理をする際には、今、既存の歳出の中でむだな部分を削るしか国民の理解は得られないと思いますよ。新たに税金を使う、あるいは国債を発行する、これは実際問題、去年の末の閣議で出ていますけれども、事業団の金利負担の軽減のために「平成九年度において講ずる措置について」とありますけれども、これは、全部借金を右から左に回しているだけなんですよ。要は、国も裕福じゃないのに国鉄清算事業団の利子補給をしてやっているだけなんですね。それをしてやれば、国がまた借金をしなければいけない。あるいは、借金をしてその利子を補給する部分はまた損失になるわけです。  そういうことを考えると、全体の処理について、やはり今までの国の責任というものの中でそれをこれから誠実に突き詰めていこうとすれば、税金とか国債という安易な道に頼るべきではない。そして、今の歳出のカットというものを公共事業を中心にやるべきだと私は思いますけれども、最後に総理の御答弁をお願いしたいと思います。
  180. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 最初に、認められたということでございますが、私は、今になって考えれば反省するところがあるだろうということを申し上げたところでございますので、御承知おきいただきたいと思います。  なお、国鉄の長期債務の問題につきましては、ただいま総理も御答弁の中に触れていただきましたけれども、平成十年度から国民のコンセンサスを得る本格的な処理を実施する、昨年の暮れに閣議決定をさせていただいておりまして、平成九年中にその成案を得るべく、それぞれの機関の中で御検討をいただきたいということにいたしているわけでございます。  なお、平成九年の措置として、今触れていただきましたけれども、あらゆる省庁の御協力をいただく中で、事業団の借入見込み額であります約三兆円の有利子債務を無利子化する等の軽減措置を精いっぱい行ってきているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  181. 前原誠司

    前原委員 質問時間が終わりましたので、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  182. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、坂上富男君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。坂上富男君。
  183. 坂上富男

    坂上委員 民主党の坂上富男でございます。  民主党は、他に先駆けまして、昨年来から発覚しております政官業の疑惑解明のプロジェクトをつくりまして、鋭意真相究明に当たってまいりました。私は本日オレンジ共済事件について、明日は、北村哲男議員から泉井事件について、細川律夫議員から厚生省事件について質問をいたします。  オレンジ共済事件によって引き起こされた友部参議院議員の詐欺犯罪は、著しい政治の不信を巻き起こし、依然としてその国会議員の地位を去らず、厚顔不遜の行動をもって行動をいたしております。その批判の声は全国に巻き起こっているのであります。私は、この犯罪は日本の憲政史上始まって以来の一大不祥事であると断定すると言っても過言でないと思います。友部議員は、議員を辞職すべきであります。私は、同じ国会議員として国民の皆様方に深くおわびを申し上げながら、怒りを込めて、この事件を糾弾しながら、質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、オレンジ共済事件の概要についてでございます。国家公安委員長、御答弁を。
  184. 白川勝彦

    白川国務大臣 年金会オレンジ共済による広域多額詐欺事件は、現職の国会議員らが定期預金の名のもとに全国約二千六百人から約八十億円以上の金銭を集めていたものであり、極めて重大な事件であると認識しております。
  185. 坂上富男

    坂上委員 もっと答えられますか、政府委員。答えはないですか。はい、どうぞ。
  186. 泉幸伸

    ○泉政府委員 本事件につきましては、警視庁などにおきまして捜査をいたしまして、被疑者六名を逮捕いたしました。検察庁に既に送致の上、引き続き捜査を行っておるところでございます。逮捕した六名のうち四名につきましては、昨日詐欺罪で起訴されたと連絡を受けております。  警察におきましては、引き続き全容解明に向けた徹底した捜査を行っていく所存でございます。
  187. 坂上富男

    坂上委員 まず自治省にお聞きをいたしますが、これはオレンジ共済のパンフレットでございます。ごらんになっていると思うのでございますが、先般も指摘がありました、ここに書いてありますとおり、「元受団体・自治省届出 年金会」という。「元受団体」というのは請負業におきますところの元請と下請の関係なんですね。下請がつぶれましても元請は引き受けますよ、そういう安心感なんですね。  それから、今度は自治大臣発行の確認書、これは年金党が、こういうふうな年金党をつくって自治省に届け出てあります。そしてこれは、元受の年金党であります、こういうふうなことを、これは今度は代理店の諸君から私がいただいた資料でございますが、そういうふうにいたして出資者を勧誘して詐欺をした、こういうことになっておるわけでございます。  自治省、これはもう自治省そのものが詐欺の片棒を担がされたんじゃないですか、どう思っていますか。
  188. 白川勝彦

    白川国務大臣 坂上委員のお怒りはもっともでございますが、私も、自治大臣として答弁に立ったときに、皆さんみんな政治団体をお持ちでございますので、政治団体がこういう詐欺の一つの手段に使われたということをゆゆしい問題だと考えておりますということを申し上げたことがございます。  確かに政治団体は、付随事業を営むこと自身は許されております。ただし、それも政治活動の一環でございますから、本来は、もしそれが付随活動ならば、関連事業ならば政治資金法上の届けをしなきゃならぬことになっております。この年金会は、たしか平成五年以降だったと思いますが、政治活動の届け出がゼロでございます。ですから、政治資金規正法上は全く政治資金団体の付随事業ではないということになります。  そういたしますと、そこに書かれているようなことというのは、まさに一般の人をしてあたかもこの事業が信頼できる事業なんだというふうに思わされるために使われたと言われても過言でないわけでございますが、自治省といたしましては、実態を調査したり監督する、そのような権限が与えられておりませんので、まことにざんきにたえない次第であります。
  189. 坂上富男

    坂上委員 大変率直な御答弁、新潟県選出の自治大臣でございまして、期待をいたしておりますので、どうぞひとつ……。  その次に、同じくオレンジ、ここにこういうふうに書いてあるわけであります。商標登録番号二三八三四〇九、これはあたかもオレンジ共済を特許庁に商標登録をいたしまして、そしてこれを公認をして登録させておる、こういうふうに特許庁もこれまた承認をしているのでございますと、こういうことになる。  私の調査によりますと、これは平成四年に一応登録がなされたんですね。しかしこの当時は、共済のようなサービス業については登録商標の対象にならないんですね。何がなったかというと、印刷のことだけがなったんです。これを利用して、あたかもオレンジ共済そのものが特許庁から公認を得た、こういうふうに利用されているのでございますが、特許庁、これについて御所見をどうぞ。
  190. 荒井寿光

    ○荒井政府委員 パンフレットに記載されております第二三八三四〇九号の商標につきましては、平成四年二月に登録されておりまして、権利者は友部達夫、指定商品は第二十六類の印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品であります。当該商標が出願された当時は、共済制度のようなサービス業についての商標登録制度はございませんでした。
  191. 坂上富男

    坂上委員 この友部という人は、あらゆるものを利用したんですね。上は政治家から、ざあっと関係官庁をすべて利用いたしまして、さてこの次に利用したのはどこであるかというと、ここに年金会オレンジ共済理事、麻布学園理事長  総理は麻布学園じゃないですか、御出身は。麻布の理事がずらっと九人、ここに書かれておる。文部省、麻布学園の理事長さんたちはこれを承知したんですか。  代理店にこの紙が配られたそうです。代理店はこれを出資者に説明をして、どういう説明をしたかというと、麻布学園というのは名門校だ、出資をすればここの学校に入れるかもしれない、利息が物すごくつきます、こういうような仕方で勧誘をしたというんですね。きのう代理店の皆さんが泣きながら私のところへ飛び込んでこられました。大変なことです。  文部省から、これは一体理事さんたちが承知をしてやったのかどうか。特に名門麻布学園については、総理もおられますなんて言ったかどうかわかりませんけれども、なかなか大変なことが行われていたなということがわかるんでございますが、文部省、どうですか。
  192. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 学校法人麻布学園を所轄しております東京都に事実関係を確認いたしましたわけでございますが、先生御指摘のように、年金会の理事といたしまして名前を借用されている方が、学校法人麻布学園の現役員あるいは前役員であるということは事実でございます。  しかし、当該役員は、年金会の理事としてそのような名簿に名前が利用されていることについては全く知らなかった、また、学校法人麻布学園としてもそのような事実は知らなかったということでございます。
  193. 坂上富男

    坂上委員 大変結構なことです。悪用された、こういうわけでございます。これもまた欺罔の手段で使ったんですね。詐欺の手段で使ったわけでございます。  さて、今度文部省、もう一つ。  友部容疑者から、21世紀青少年育英事業団の財団設立について文部省に相談がなされたようでございます。さすが文部省はこれに対しまして適切な対応をされたようでございまして、財団設立はできなかったようでございます。結構でございました。  さて、そこで、設立趣意書によりますと、こういうことが書いてあります。  明治維新の前夜、官軍と幕府との壮絶な戦いの中で、幕府側を支持した長岡藩は、 長岡藩というのは私の郷里の大事な藩でございますが、  官軍に徹底的に叩きのめされ、藩は焦土と化した。こうした惨状を見かねた周辺の藩より、藩内の人々の飢えを救うために米百俵が長岡藩に寄付された。人々はこれを食べて飢え凌ごうとしたとき、小林虎次郎という優れた教育者は、米を食べずに売却し、その得た代金で長岡藩の次の世代を担う青少年の教育の費用に充てることを提案した。この説話は、現在でも「米百俵物語」として語り継がれ、小学校の国語の教科書にも取り上げられている。 とあります。そして、この財団は、日本の将来を担うところの優秀な人材を育てることを目的とする、こう引用して書かれているわけでございます。  私のふるさと、越後の長岡藩の「米百俵物語」は、我がふるさとの誇りでありまして、語り継がれているのであります。友部のようなこの悪人ばらによって「米百俵」が引用されることは、まことに不快きわまりありません。友部容疑者の犯罪集団によって青少年が育てられたとすれば、本当に暗たんたるものがあったであろうと思っておるわけでございます。そんな意味で、白川公安委員長、頑張っていただかぬとならぬと思っておるわけでございます。  さて、いろいろ調査によりますと、被害者に被害を回復することはまことに薄いようでございます。このような友部詐欺犯人を国会議員にさせたのであります。友部が国会議員になったために、六十六億円の被害が増大したとも言われておるわけでございます。このような友部を公認して国会議員にした政党の責任は重大でございます。(発言する者あり)静かに。  その責任は何としても問われなければなりません。政党そのものが存在を問われているのであります。決してこの党だけではありません。私たち全体の政党人が問われていると言っても過言でありません。  公職法第二百二十四条の三、「候補者の選定に関する罪」に該当する疑いのある政治家が存在するとも言われております。ありとすれば、厳重なる刑事処罰がなされなければなりません。細川、初村両氏の疑惑が取りざたされております。法務大臣、これらの政治家への資金の流れと責任について、現在のところの捜査の状況、お話しできますか。できるだけ答えてください。
  194. 原田明夫

    ○原田政府委員 検察の現在における捜査状況についてのお尋ねでございますので、事務当局からお答えさせていただきたいと存じます。  現在、本件につきましては、一部関係被疑者につきまして公訴が提起されております。引き続き、検察当局警察当局と相助け合いまして、本件の全容の解明に向けて努力しているところと存じております。
  195. 坂上富男

    坂上委員 こんな程度の答弁では、真相の究明はできません。真相究明のために次の五人の証人喚問を要求いたしたいと思います。  一つは細川護煕、二番目は初村謙一郎、三番目は斉藤衛、四番目は新渡英夫、五番目は大久保維曙氏、これはきのう釈放された方でございまして出頭可能のようでございます。この五人について、私はこの真相解明のために証人喚問を要求をいたします。  さて、証人喚問に先立ちましてお願いを申し上げたいのがございます。テレビ、写真、撮影禁止が今なされておりますが、何としてもこれを解除されますよう、証言法の改正を各先生方協力方をお願いをいたしたいと思っております。民主党としては、証言法改正の議員立法の提出も用意をしておるところでございまして、各先生方の、各党の御協力をお願いをいたしたいと思っております。  さてそこで、今、法務省、この程度の答弁でございますから、さらに私はもう少し具体的に御質問をいたしたいと思っております。  公職選挙法二百二十四条の三について、名簿登載者の選定権限を有する者は刑法上の身分犯でありましょうか。身分犯であるとするならば、身分のある者と身分のない者が共謀して本件犯罪を犯した場合は、身分のない者も刑罰の対象になると思われますが、お答えください。
  196. 原田明夫

    ○原田政府委員 刑事法に関します一般的な理解について御説明申し上げたいと思います。  身分犯とは、犯罪の主体が一定の身分を有することが成立要件とされているものでございまして、本件は、もしこの御質問の罪について問擬するという場合には、身分犯というふうに解されます。また、身分のない者がこれに加功した場合は、共犯理論によって処理されるものと考えております。
  197. 坂上富男

    坂上委員 少し何かわかってきたようでございます。今法務省のこのような答弁であるとするならば、今指摘されております政治家の皆様方については十分これによって把握できると思うのでございますが、法務省答弁できますか、そういう意見について。
  198. 原田明夫

    ○原田政府委員 具体的な事件の取り扱いについてのお尋ねでございますが、あくまで捜査当局といたしましては、証拠に基づきまして具体的な事実を認定いたしまして、それに従って法律を当てはめるということがその職務でございます。具体的な事件について、どの点がどういう問題があるかということにつきましてのお尋ねにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論的に申し上げますれば、従来から、検察当局におきましては、犯罪に当たると認められる事実が判明した場合には、法と証拠に基づきまして適正に対処しているものと思います。
  199. 坂上富男

    坂上委員 これに実質的権限がある者が捜査対象だとか対象でないとかいろいろ言われておりますが、この共謀理論をもってやれば大体締めくくられるのじゃないかと思いますので、検察庁、期待をいたしております。  さて、総理、大変聞きづらいことでございますが、総理の政治団体、新政治問題研究会が精神病院……
  200. 深谷隆司

    深谷委員長 ちょっと、総理不在です。坂上君、もう一分お待ちいただきたい、ちょっと退席しておりますから。ほかの件で御質問を続けてください。
  201. 坂上富男

    坂上委員 いや、これは大事なつなぎだから。——総理、余りいい質問ではありませんが御質問します。  総理の政治団体、新政治問題研究会が精神病院経営の財団法人から違法な政治献金を受けた疑いがあるとして、五百万円、二口分を最近返還されたとの報道がなされておりますが、事実でしょうか。
  202. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 五十万。今五百万と言われましたが……(坂上委員「いえいえ、五十万」と呼ぶ)確かにそういうものがありましたことを確認し、返済をいたしました。
  203. 坂上富男

    坂上委員 法務省、この違反事実については処罰の関係はどうなっておりますか。これからどういうふうになるのですか。どうぞ。
  204. 原田明夫

    ○原田政府委員 具体的な事件につきます捜査状況につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
  205. 坂上富男

    坂上委員 一般的に、法務省、この処罰は、処罰根拠はどんなふうになっているのですか、お答えください。
  206. 原田明夫

    ○原田政府委員 政治資金規正法二十二条の三につきましては、国または地方公共団体から補助金等の給付金の交付決定を受けた会社その他の法人が、当該給付金の交付決定の通知を受けました日から同日後一年を経過するまでの間、政治活動に関する寄附をすることや、これに違反してされる寄附であることを知りながら寄附を受けることなどを禁止したものでございまして、違反者については所定の刑罰が科せられることになっております。(坂上委員「先例はありますか、先例」と呼ぶ)
  207. 深谷隆司

    深谷委員長 質問はお立ちになって、委員長の指示に従ってください。
  208. 坂上富男

    坂上委員 はい。先例はありますか。
  209. 原田明夫

    ○原田政府委員 同条違反として起訴された事案といたしましては、三重県から補助金の交付決定を受けた団体の会長らが政治団体に対しまして政治活動資金として現金を寄附したという事案につきまして、昭和五十一年十二月に津地方検察庁等において関係者を起訴いたしました事案がございます。
  210. 坂上富男

    坂上委員 さっき五十万を言い間違えまして五百万と言ったそうでございますから、訂正いたします。  特に総理にかかわることでございますから、総理自身の疑いもきちっと晴らすために、ひとつ厳格な捜査をしていただきますことも期待をいたしたいと思います。  さて、今まで私がこのオレンジについて調査をいたしますと、本当に、まあ総理の方からは五十万、二口が返されたようでございますが、オレンジの被害者には全く被害回復の見通しも返還するものもないようでございます。しかも、大蔵省も経企庁も公取も通産省も、これらオレンジ共済のような犯罪に対しましては、消費者保護観点から日本の法律や行政機関は全く無力であるということが明らかになったと私は思うのでございます。  米国の連邦取引委員会は、消費者保護観点から、捜査権や排除命令権、さらには欺瞞的行為の禁止、今のようなことなんですが、欺瞞的行為の禁止等が規定をされておりまして、これに対する禁止活動をすることができるようでございます。さらに、不正に集められた資金の返還命令権も有しているようでございます。  日本の独禁法は、欺瞞的行為を禁止はいたしておりません。これを取り締まる法律もありません。オレンジ共済事件が再度起きる可能性はまだまだ十分あるのであります。  私は、捜査権や返還命令権や欺瞞的行為の防止の機能をつくって、これが消費者保護に当たるべきだと思うのであります。これこそ急務でございます。そうでなければ、またあすからこのような犯罪が起きるのであります。  でありまして、総理、特に私は総理に、これに対するいわゆる消費者保護の行政機関それから法律、こういうものの改正を強く要望したいのでございますが、御決意はいかがでございますか。
  211. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、議員から独禁法等まで例示に挙げられながら御議論がありました。  私は、消費者保護に関する犯罪の捜査について、警察官及び検察官に加えてさらに別の機関をつくる、あるいは別の機関に対して特別の司法捜査権を与える、これはむしろ慎重に考える必要がないだろうかと思います。  ただ、こうした事件が往々にして非常に不幸な事態になりますのは、被害を受けた方々が、救いの手が伸ばされないということでありまして、私は、この種の事件における被害者の救済をできるだけ手早くかつ実効的に行うというのは非常に大事なことだと御指摘のとおりに思いますし、現在、法務当局がどのような方策が可能か検討していると承知しております。
  212. 坂上富男

    坂上委員 ぜひとも消費者保護観点から、返還命令権あるいは欺瞞的行為の排除権、こういうものはどこかの、公取その他で何らかの形で設定をして、早急に対策を講じてもらうことを要望をいたします。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  213. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて枝野君、前原君、坂上君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  214. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海でございます。  消費税の増税を初めとする九兆円の来年度の国民負担増の問題、この問題について質問をさせていただきます。  この九兆円の負担増というのは、本当に未曾有の問題、前例のない負担増の問題であります。とりわけ重要なのは、これが、今不況が長引き、国民が本当にその不況で苦しめられている、そういうときにこの負担増が押し寄せる、そういう問題でございます。この問題に関しては、新聞の社説などでも、政府は血も涙もない経済運営をする、こんな指摘までしているところでございます。  総理は、九兆円の負担増について国民の理解を求めております。そこで、総理に質問をいたしたいと思いますが、まず、消費税と財政の基本に関してお聞きをしたいと思います。  消費税の導入から八年が経過をいたしました。税率はずっと三%で来ました。しかし、国民への負担の重みは増してきている、こう言わざるを得ないと思うのです。家計に与える影響という点で見ますと、九〇年度で国民一人当たりの消費税の負担は四万円、四人家族で十六万円だ。九六年度では一人当たり六万円、四人家族で二十四万円。つまり、一・五倍にこの間負担が増しているわけであります。  これを国全体の財政という観点から見ますと、租税の総額、国と地方の総額に占める消費税の割合は、九〇年に六%だったものが九六年には八・四%になってきている。税率は変わらなかったけれども比重は一・六倍に高まっている、こういう事実が進んできているわけであります。  そこで、総理にお伺いしたいのですが、消費税への国民のいろいろな声は引き続き続いておりますけれども、そういうもとで国の財政が今ますます消費税に頼るようになりつつある、財政の現状はそうなっているのではないかという問題を、基本の問題としてまずお聞きをしたいと思います。
  215. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 消費税について現在もなお国民の中にさまざまな声がある、それは私も承知をしておるつもりであります。そしてその上で、昨年の衆議院選の際、私は全国を遊説しながら消費税率の二%引き上げを国民に訴えてまいりました。そして今、そうした上に立ち編成をいたしました平成九年度予算を御審議をいただいているわけでありますが、いろいろな角度から御議論をいただいておりますけれども、我々としては、精いっぱい努力をし最善を尽くした予算を御審議をいただいていると考えております。
  216. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 直接にお答えになりませんでしたが、国の財政が消費税に依存するその割合は事実の上で高まってきているし、来年度は一一%を超える、これが全体の中での比率の高まりであります。現実に消費税への依存が強まっていることは動かしがたい事実であります。  ひとつ、パネルを用意してまいりました。これを見ていただきたいと思いますが、これは消費税導入前年の一九八八年を基準にいたしまして、その八八年以降個人の租税負担がどういう経過をたどっているか、これに対して法人の租税負担がどういう経過をたどっているか、この増減を示したものでございます。  八八年の導入以後、個人の租税負担は大きく上にはね上がりました。それ以後、上下でこぼこはありますけれども、大体において八八年度に比べて十兆円を上回る、そういう負担が個人の方にかぶさってきている。最後は、来年度でありますから、大きくはね上がっていく。これに対して法人の租税負担の方は、消費税導入の前年の八八年に比べまして、最初のうちはちょっと高まっておりましたが、それ以降はそれよりも下にずっと沈み込んでいる。  つまり、消費税導入以降のこれらの経過を見ますと、国の財政、国も地方も含めてですけれども、これが全体として個人の負担、家計の負担への寄りかかりを強めている、そういうことが明らかではないかと思うのですが、総理、いかがでしょうか。
  217. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答えいたします。  数字の上では確かにその図のとおりかと思いますが、法人税は、法人の所得、つまり収益から経費を引いた差額に課税されるわけでございまして、不況の時期には所得が減ってくる、赤字法人がふえてくるということになりますと、法人税収は大きく振れるわけでございます。しかしながら、所得というのは、給料は大体毎年上がっているわけでございまして、そういう意味では、所得に対する税金は、法人の所得に比べれば安定的に推移している、それを反映しているものかと思います。
  218. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 確かに不況の影響があることは間違いありません。しかし、この不況のもとでも、税金の制度の特徴も明確に出ているのがこのグラフの特徴だと思うのです。  法人税は、もちろん今おっしゃったように法人の利益にかかるわけですから、不況で利益が減れば納税額は減るし、赤字になれば納めなくてもいい、これは当然であります。要するに、不況の時期には減少する、そういう仕組みになっている。しかし、その上、このグラフに描いた期間には、法人課税が四二・〇%から三七・五%に段階的に引き下げられて、累計で約十兆円の減税が行われている。だから、法人税の負担は、不況で下がり、さらに減税で下がった、それがこのグラフの下の青い線、こういうことにあらわれているわけであります。  他方、個人、家計の方はどうかといいますと、これも今おっしゃったように、もともと所得税などは、不況で家計がどんなに苦しくなっても、賃金が上がらないから大変だという家計でも、赤字になった家計でも、払わなくてもいいというわけにはいかないわけですから、高まっていく、それは当たり前であります。  同時に、それに加えて消費税が導入された。その消費税というのはもっとあからさまなものでありまして、年金暮らしのお年寄りも失業して収入がなくなった人も、物を買えば必ず払わなければならない税金だ。そういう消費税の性格もあって、さっきも言いましたように、九〇年度は消費税がこの中で五兆円を占めているし、そしてまた、九六年度を見ますと七・五兆円を占める。そういう形で、このグラフ、赤の線は高いところに横向きになっていて、来年度はぴんとはね上がる、こういうことになっているのではないかと思うのです。  首相は消費税について、景気の変動を受けにくい安定的な財源だというふうに何度も確認をしております。このことがはっきりこのグラフにも示されているわけですが、これは国民の側からいえば、景気が悪くなり家計がどんなに苦しくなってもこの消費税は払わなければならない税金だ、不況の時期には特に厳しい税だ、消費税はそういう性格を持っている税だということがはっきりと示されていると思うし、消費税はそういう税なんだということを首相はお認めになるでしょう。
  219. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 税制の議論がしばしば行われました中で、消費税の持つ逆進性、これが諸悪の根源のような言われ方をしたこともございました。また、直間比率の見直しという視点から、間接税としての消費税の特色を非常に高く評価する御意見もありました。税制全体は、それぞれのやはり特質を組み合わせながらより望ましい姿を模索していくべきものだ、私はそう思っております。
  220. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 これも直接お答えにはなっていないわけですが、消費税というのは景気の変動を受けにくい安定的な財源だ、まさに、今グラフでお示しした期間のこの不況の中で、庶民の懐、いわば国民の中でも特に弱い人に負担が押し寄せながらこういうふうに安定した財源を確保する、そういう税に消費税がなっている、このことは否定のしようのない事実であります。  そういう状況のもとで、八年間、家計や個人の方は、まさに身を削って国や地方の財政を支えてきているわけであります。そしてそういうときに、ほかでもない、その家計の方に重ねて大きな負担を加えようというのが今度の予算であります。  消費税の税率アップというのは、二%アップと言われますけれども、三が五になるのですから、厳密に言えば六六%のアップ、これで五兆円、さらに特別減税の廃止で二兆円の増税、合計七兆円の増税というのが全部、さっきのグラフでいうと、上の家計の方に押しかぶさっていく、それがグラフの最後の急カーブになっていくわけであります。これからもこういう負担がますます重くなっていくことは明白であります。  しかも、消費税だけでなくて、この間には、年金や健康保険の制度の改悪、そういう面での負担増も家計に加わってきているわけでありますから、そしてまた、今度予算でもそれが加わっていくわけでありますから、本当に、家計の負担への中心として、消費税がますます大きな役割を果たすことは明らかではないかと思うのです。  そこで、将来の問題はさておくとして、当面の問題でも、本当に、本来消費に回らなければならない家計や個人のこういうお金がまた増税で吸い上げられる、これが景気をさらに冷やすことは明らかでありますし、こういうやり方は、そんな景気という問題にとどまらないで、経済、財政に必ず大きなしっぺ返しをもたらすのじゃないか、我々はそう懸念するし、多くのそういう懸念が寄せられておりますけれども、それに対して総理はどうお答えになりますか。
  221. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 御党のこれまでの御質問の中でも同様のお答えを申し上げたと存じますけれども、私どもは、この平成九年度の年初において、消費税率の引き上げ並びに特別減税の廃止の影響が特に四—六において懸念される、それを十分計算に入れて平成九年度予算編成をさせていただいたつもりであります。そして、繰り返し繰り返し、どうか切れ目のない経済運営ができますように、年度内における予算成立をお願いも申し上げてまいりました。  同時に、平成八年度の補正予算、これは、まさに緊急のものに対応する、そうした性格の補正予算でありますけれども、これが同時に、この時期の景気下支えの効果も否定できないものだということも申し上げてまいりました。  十分そうしたことを念頭に置きながら、景気回復を一層安定したものにしてまいりたい、そのように考えております。
  222. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今おっしゃったような状況を考慮しても、こういう国民への大きな負担増というものがそう簡単に救済できるものじゃないということを申し上げたいと思うのですが、消費税について、もう一点お聞きしたいと思います。  消費税は、今申し上げましたように、個人や家計を直撃するものでありますけれども、企業の中では、大企業ではなくて中小企業を直撃するものであります。そういう意味では、徹底的に弱い者をいじめる税だということを言わなければなりません。  既に明らかになっているように、一連の大企業は、消費税の増税を一斉に製品価格に転嫁しよう、そういうふうに動いております。ところが、中小企業の方は一体どうか。新聞にも悲痛な投書が載っております。社会保険労務士の方の投書ですが、  私のお得意さんが破産宣告を受けて倒産した。従業員五十人ほどの製造業者であった。その社長は、かねて消費税が五%になったら間違いなく倒産する、と言っていた。五%になる前に倒産してしまった。社会的弱者にとって、消費税の問題は益税の問題より、逆進性や転嫁の問題である。今や製造業は海外シフトされていて、残されている国内の製造業者は、極端に小さな利潤を余儀なくされている。消費税を事実上転嫁できないのである。極端な話、消費税分が利潤なのである。こういう投書も載っておりました。三%でもやっていけないという声であります。  この消費税の転嫁の問題ですが、実際に、通産省が消費税の導入直後の八九年と九〇年に行った、中小企業にかかわる消費税転嫁の状況調査があります。これによりましても、年商売り上げ五億円以下の小売業の平均三割、同じくサービス業の平均六割が、消費税を全く、あるいは部分的に転嫁できないというふうに述べておりました。  昨年暮れの国会で、佐藤通産大臣は、転嫁の実態ということを見ると中小企業の転嫁の割合が相対的に低い、こういうふうに答弁をされております。  通産省調査は八九年と九〇年しかないのですが、この八九年、九〇年当時に比べて今の中小企業の状況はうんと悪くなっております。そして、通産省も転嫁の割合が相対的に低いと認めている。  そういう状況のもとで消費税が三%から、三%でもこんな状況なんですから、五%になったら、この投書も言うように、中小企業はこれを価格に転嫁できない、こういうことが広範に起こる、総理はそういう認識を持っておられるでしょうか。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  223. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 佐々木委員お答えいたしますが、今おっしゃるように、この消費税の中小企業に対する影響という問題は、転嫁の問題ともう一つは一般的な景気の問題だろうと思うのです。そして適正な転嫁を行い得るかどうかが重要なポイントだということでございますので、政府といたしましては、中小企業団体によるパンフレット作成あるいはまた講習会の開催等の対策を実施をしております。このことを、また平成九年度においても引き続き所要の施策を講ずる、こういう所存でございます。  一方、現下の中小企業の動向というものを見ますと、生産は、大企業に比べそのテンポは緩やかなものの上昇の傾向で推移し、また、設備投資については中小製造業にも回復の兆しが広がりつつある。こういうことで、九年度の景気の見通しについては、政府経済見通しにおいて、消費税率の影響により年度の前半は足取りが緩やかなものの、次第に民間需要を中心に自律的回復が実現されていくものと思っております。  こうした見通しにおいて示された経済の姿を実現すべく、引き続き景気の動向に常に注意していきたいというのが私たちの考え方でございます。
  224. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、いろいろ宣伝をしたりしてちゃんと転嫁できるようにしていきたいというお考えのようですけれども、そう甘くはないと思うのです。製造業のほぼ六割が下請ですけれども、そこでの実際はどうかということが政府調査、分析でもはっきりしております。  中小企業白書の九五年十一月の調査結果を見ますと、バブルの時期までは、親企業から下請にどういう要請があったかというと、量の確保だとか納期の安定だとか品質や精度の向上だとか、そういう点が中心だった。ところが、九一年六月のバブル崩壊以降は、徹底したコストダウン、つまり価格を下げよというのが群を抜いてトップになってきた、こういうことが中小企業白書にもはっきり示されております。  下請企業側は、七〇%以上がこれからさらに受注単価の要求水準が低くなるだろう、そういうふうに見ているという数字も中小企業白書にはちゃんと載せられております。白書でも、親企業の要求の高水準化、激しいコスト削減要求等により対処し切れなくなっている下請企業も出てきている、こういうふうに分析をしているのです。これが一昨年十一月の調査ですから、その時点でもこんなに大変だった。それが今度五%になる。本当に大丈夫なのかということを言わざるを得ないと思うのです。  総理は、消費税の五%というのが中小企業にとって極めて大変なんだということはこの政府調査によっても示されているわけでありまして、そう簡単に言ってもらっちゃ困るわけで、この大変な事実をしっかりと認識していただく必要があると思うのですが、どんな認識を持っているか、大変だという認識を持っておられるかどうか、そこをまずきちんとお聞きをしておきたいと思います。
  225. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、中小企業の経営に影響を与える要因というものは幾つかのポイントがあると思います。よく言われる一つは、生産拠点の海外移転に伴う影響であります。その結果として、新たな取引先を探す、こうした問題も私が通産大臣時代に実際の調査をしてみて出てきたことでありました。もう一つは、やはり為替の水準というものが影響を及ぼしておる、こうした点もあります。労務コストもあります。  当然ながら税制の影響というものも私は否定をいたしません。ただ、それだけを強調されるのはいかがなものかとも思います。
  226. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、その問題が本当に大きな問題になっているのです。私のところにも、四月の消費税の増税を前にその分早く単価を下げろということを言われているという、本当に何とかしてほしいという訴えが各方面から来ております。  だから、こういう中小企業は、帳簿上は確かに消費税を転嫁したというふうにこれからなっていくかもしれませんが、しかし実際には、さっきの投書もあったように身を削って単価を切り下げていくわけですから、まさに投書のとおり利潤分が消費税になってしまう。本当にこの増税でさらに追い詰められるということにならざるを得ない。このひどい実態を本当に政府はしっかりと認識すべきだと思うのです。  今、広範な国民が九兆円の負担増の中止を求めております。消費税の増税の中止を求めております。消費税の増税や九兆円の負担増に反対しているのが国民の圧倒的多数派ですけれども、同時に、消費税の増税の必要を否定しない、そういう立場からも、今こんな増税をやっていいのかという声が大きく上がっているのが私は特徴だろうと思います。  昨年の十一月の末に開かれた全国小売商サミット、これは全国の商店街の連合会やあるいは小売商の連合会など、従来自民党を強く支持してきた団体が多数結集しているものでありますけれども、そのサミットの宣言も、税率五%への引き上げは、中小小売商の厳しい経営実態にかんがみ、景気動向などを見ながら慎重に対処してほしい、こういうふうに要望しております。  あるいはまた、イトーヨーカドーグループの鈴木代表などは、政府は現状の厳しさをわかってない、消費税率引き上げも特別減税打ち切りも永遠にするなと言っているのではない、今がその時期かと問いたいのだ、こういうふうに言っています。  経済同友会が一月に実施したアンケートによれば、七五・九%が今度の予算を「評価できない」こういうふうに述べております。  総理にこの消費税の問題で最後にお聞きしたいのですが、増税はだれでも嫌という一般的な問題ではなくて、本当に景気や日本経済の問題を考えればこの四月からの増税はやるべきではないという、消費税の肯定論者を含んだ国民の広範な声に真剣に耳を傾けて総理の決断をすべきではないか、このことについて総理の考え方を聞かせてください。
  227. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、特別減税の廃止とともに消費税率の二%引き上げを決断をいたしました。  今、我が国の財政の状況を考えますとき、これ以上の国債等を財源とする対策に頼るべきではないという思いを持っておること、そして税収の中に歳出全体をおさめ込んでいこうとしてつくってきたこの予算編成、その中に共通する思いは、これ以上財政構造を悪化させないためにどうしていけばいいか。そして、先ほども私は素直に申し上げたつもりですが、確かに四—六が気になる。だから、その時期の経済運営というものを真剣に考えながら切れ目のない経済運営というものができるようにさせていただきたいということも申し上げました。そうした思いも持ちながら、その中で最善を尽くしたつもりであります。
  228. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大変残念でありますが、それでは、財政問題に関して若干のことをお聞きしたいと思います。  総理は、歳出削減には聖域を設けないというふうに言っておられます。例外はないとも言っておられます。とすると、軍事費や防衛費も例外ではないということだと思いますが、そこで率直にお聞きをしたいと思います。  ここに、防衛白書、九六年度版に基づいて作成した資料があります。日本とフランスとドイツとアメリカ、イギリス、この諸国の、ソ連が崩壊した九二年の時点を一〇〇と見て、それ以降の軍事費がどういう推移をたどっているかというグラフであります。ごらんのとおり、日本だけが明確な右肩上がりになっているわけであります。  総理、なぜ日本だけが右肩上がりなんでしょうか。
  229. 久間章生

    ○久間国務大臣 そのグラフをどういうふうにつくられたのかわかりませんけれども、最近のこの五年間を見ておりますと、実は駐留軍経費について五年間で漸増するという方針をとってまいりました。それが大きくそのグラフでは寄与しているのじゃないかと思います。  自衛隊そのものにつきまして共産党さんがどういうお考えか、よくわからぬ点もございますけれども、やはり我が国の独立と平和を守っていくためには防衛予算というものはどうしても必要でございまして、これも最近の状況を見ますと、防衛関係費においては人件糧食費や歳出化経費が全体の八割を占めているわけでございますし、また基地周辺の環境対策費とかあるいはまた訓練経費、また維持管理、隊員の処遇改善、こういうことを考えますと、どうしても予算が必要になってまいります。  平成九年度の防衛予算においては、特にこれらが大幅増という歳出増加要因を抱えておりまして、非常に厳しい財政状況のもとで防衛関係費をできるだけ抑制するために、かなりこういったいわゆる既定経費まで踏み込んだ徹底的な見直しを図ってまいったわけでございますが、どうしてもやはり中期防の二年目として必要な最小限の経費は盛り込まざるを得なかったわけでございますので、これ以上の削減は非常に難しいという状況でございます。
  230. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いろいろ言われましたが、そういう言葉を聞いていると、軍事費は全く聖域だということにならざるを得ないと思うのです。  今話が出ました中期防の計画ですが、九六年から二〇〇〇年までの間に総額で二十五兆円を超える経費を使うということになっております。それをそのまま実施すれば、平均の年率は二・一%の伸びになる。つまり、先ほどお示ししたグラフの最後の勾配はそのままずっと二〇〇〇年を超えるまで続いていかざるを得ない、そういうことになるのが明白であります。だとすれば、総理がいかなる分野も聖域にしない、例外はないと言っていたにもかかわらず、この分野は全くの聖域になってしまう。それでは財政の再建なんて言ってみたって始まらないじゃないかということになるのですが、いかがでしょうか。
  231. 久間章生

    ○久間国務大臣 防衛大綱に基づきます中期防を決めたとき、確かにそういう数字になっておりまして、これにつきましても、かなりの議論をしながらやはりこれから先の推移を見ていったわけでございます。  ただ、そういう中にあって、人件費につきましても、人件費の伸びというのがありますから、いわゆる十八万体制でありますのを十六万にする、そして即応予備自衛官を導入するというような結構苦慮もしておるわけでございますし、そしてまた装備にしましても、いわゆるコンパクト化を図る、あるいはまた合理化、効率化を図っていくというような、そういうことをしておるわけでございます。  ただ、防衛の装備というのは単年度でどっとするわけにいきませんから、やはり計画的にそれをやっていっている。ただし、前五年の、前の中期防と比べましても伸び率ははるかに下がっておるわけでございますし、そういうところについてもひとつ御理解していただきたいと思います。
  232. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今装備の問題も触れられましたけれども、例えば中期防での中心的な装備の一つにF2という新型戦闘機、支援戦闘機というふうに言われているものがあります、これは着陸、上陸してくる侵攻部隊を海上か地上で阻止するんだという位置づけのかなり新鋭の戦闘機ということになっていると思うのですが、例えばこれは九六年度に十一機、来年度予算でも八機は発注する、中期防全体で四十七機、最終的には百三十機を調達するということが決まっているようであります。今後十年ないし十五年かけて毎年買い続けて、最終的には一兆円もつぎ込むという、そういう計画であります。  このF2は一機約百二十億円、アメリカが現在第一線で使っている戦闘機F16は一機約二十億円だという報道もあります。まあ私、詳しく調べたわけではありませんけれども、しかし、他国の戦闘機も三十億、四十億というのが普通の価格のようでありまして、F2というのはこれらに比べると三倍、四倍、五倍、六倍くらいの価格にもなっている、そういう戦闘機であります。十年前から開発を始めたというものでありますが、その後にソ連の崩壊や財政問題での本当の深刻化、こういうものがあったけれども、それに対応して変化があったかといえば、ほとんど変化もないままに今日まで来ている。これが中期防の中心装備の一つであります。  だから、こういう問題でも、百三十機調達というようなことを前提にせずに計画を大胆に見直していくということが、財政危機をここまで強調する以上、当然の方向ではないかと思いますけれども、総理、いかがですか。
  233. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 いろいろ数字をお出しになりましたが、私は逆に、それぞれの機種の生産機数が何機であるのか、それもお示しをいただきたかったと思うのであります。航空機の場合、量産すればそれだけコストが低くなっていく、そうしたメリットがあることは議員御承知のとおりであります。その生産規模を全く抜きにしての単純な数字の比較というものは、必ずしも私は意味のあるものだと思いません。  同時に、先ほど防衛庁長官からも申し上げましたように、今私どもは、コンパクト化、スリム化、効率化ということを一つのキーワードにしながら、防衛予算というものについてもできる限りの節減を図ってまいりました。一方で、確かに駐留軍関係経費等ふえておるものもございます。しかし同時に、即応予備自衛官の制度採用とともに、定数の減を陸上自衛隊で果たしておりますことも、努力の一環としてこれはやはり見ていただきたい。そういう努力をしながら、我が国の安全というものを確保するための必要最小限の努力をしているという状況はお認めをいただきたいと思います。
  234. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今総理からいろいろな説明がございました。もちろん、このF2というのは生産の全体の数が少ないから価格が高くなる、それはそうでしょう。私もそんな事情を知らないわけではありません。しかし、そうであるならば、何もそういう機種をこのままずっと採用しなければならぬということもないし、そんなことを続ける必要もないわけであります。今のような御説明を聞いていますと、結局、軍事費いわゆる防衛費の問題は聖域になってしまう。一たん決めたことだからということで、あれこれの理由があって、つけて、結局変えられない。そういうことを、硬直した態度をとっていくなら、結局、それ自体がこの分野は聖域だということを主張するものにしかならないし、そういう態度をとっていくならば、軍事費の右肩上がりは、さっきお示ししたように続いていくばかりであります。  昨年の十二月に出されました財政制度審議会の財政構造改革特別部会が出した最終報告ではこういうことを述べております。「新規正面装備」つまりF2なんかそうですが、「新規正面装備は、契約から取得までの長期にわたって、歳出化による予算の硬直化を招くことに加え、それに関連する施設整備、教育訓練等、後方支援部門に係る経費の増加をもたらしている。このように、二重の意味で硬直化を生み出す要因となっている正面契約について、必要度、優先度等を十分に検討し、抑制していく」必要がある、こういうふうに報告は明確に述べております。  まさにこの指摘は全部F2に当てはまるわけであります。契約から取得まで長期にわたる、これから十年も十五年もかかる。そして、ことし八機買うということを決めれば、四年間くらいかかるわけですから、その間にずっと、ことし発注したもののお金がそのまま決まっていって、予算に計上しなければならなくなる。そして、新しい飛行機を入れるわけですから、その教育や訓練などの施設もどんどんつくっていかなければならぬ。だから、本当に二重の意味で硬直化を生み出す、そういうことになっていかざるを得ない。もうはっきりしているじゃありませんか。  その財政制度審議会はこの間に海外調査も行いまして、その海外調査報告というものを出しておりますけれども、この審議会は、全体として今の日本の軍事費は世界でも有数の予算規模になっている、財政審がそう位置づけて、そして、この正面装備等を抑制していく必要があるということをはっきり言っているわけであります。そして、海外調査の結果、イギリスの場合ですが、旧ソ連の新型潜水艦に対抗して建設された新型潜水艦を、旧ソ連の脅威が去ったということで退役せざるを得ないという非常に困難な決断をしたこともあった、こういうことをイギリスの例として述べております。既に交わした契約を破棄して、相当高いことがあったとしても違約金も支払って、きちんとそういう契約をなくしていく、打ち切っていく、そういうことも国際的には当たり前の流れになっているわけであります。  ですから、こういう財政審の報告、これは中期防の一年後に出された報告でありますから、中期防の内容も含めて、明確に正面装備も抑制するということを求めているわけでありますが、総理はこの財政審の報告をどう受けとめるのか。具体化するつもりはあるのか、そして財政改革論議の中で、F2の調達計画や中期防そのものの内容も聖域にしないで検討していくのか、その点について、総理の見解を伺いたいと思います。
  235. 小村武

    ○小村政府委員 今御指摘の財政審の報告は、私ども昨年来議論をしていただいたものの集大成でありまして、さらに、構造改革白書は、昨年の七月に問題点の提起として世に問うたわけでございます。  それに基づきまして、本年度予算編成に当たりましては、この財政審の趣旨を踏まえまして、まず正面契約につきまして、これを抑制をするということで精いっぱいその伸び率を抑えました。円安の影響を除きますと、実質マイナスの予算を組  せていただいております。  それから、九年度の防衛関係費の中身でございますが、この中での歳出化経費も防衛庁にお願いをいたしまして、既に契約をしたものにつきましてもその支払いを先送りをするという、かつてとっていないようなそういうドラスチックな方策をとらせていただきました。  それから、防衛費の中身の大きな一般物件費でございますが、これが自衛隊等々が活動する主たる経費でございますが、これも昭和五十九年以来のことでございますが、マイナスという予算を組ませていただいて、財政審の答申に基づき、あるいはその報告に基づいた、その趣旨を生かした予算を組ませていただいた次第であります。
  236. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 るる説明をされましたけれども、つまり後年度負担を先送りする、これは結局先に負担を残すということなのですから本当の解決では全然ありませんけれども、そういう措置までとって、今言ったようないろいろなことをやっても来年度の軍事費は二・一%の増なのですよ。一般歳出の一・九%をはるかに突出した、ふえているわけでしょう。これが、ずっと今言ったような形で中期防も弁護されていけば、さっき言ったような右肩上がりがどんどん続いていかざるを得ない。財政審でも世界の有数の予算規模だと言っている。それをさらにこうやってふやしていくということにならざるを得ないじゃありませんか。だから、今答弁がありませんでしたから、防衛庁の関係の皆さんは、防衛庁長官なんかはそれを擁護する方で述べられるでしょうから、総理にお聞きしたいのです。  F2の調達計画とか中期防そのものの内容なんかについても、聖域にしないということの例外ではないのかどうか、そこのところをはっきり確認をさせていただきたいと思うのです。
  237. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 財政の上から聖域でないと同時に、我が国の安全保障体制を確保していく、我が国の安全を維持していく、その視点からも見ていくべきもの、両面から考えてまいります。
  238. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 財政の面からは聖域にしないということでよろしいのですね。
  239. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 両面申し上げました。
  240. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 はい、そこのところははっきりと確認をしておきたいと思います。
  241. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 いや、ちゃんと両方確認していただきたい。
  242. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もちろん、日本の安全、国民の生命財産をいかに守っていくかという問題は基本的な問題であります。  しかし、この問題についても、国民の生命と財産の安全ということに関して言うならば、震災から守るという問題もありますし、あるいは重油の流出事故から守っていくという問題もある。だから、与党の幹部の中でも、戦闘機や戦車をつくるよりも油回収船のいいものをつくった方がいいという言葉も出てきている問題ですから、そういう全体の問題として考えていく、そういうものとして財政も考えていく、当然のことだろうと私は思うのです。  そして、財政危機を言うなら、そして財政構造改革元年を言うなら、今言ったような中期防の計画の内容や、あるいは公共投資計画、不公平税制の再検討などは不可避になってくる。日本共産党は、そういうものをきっちりやって国民の負担なしの財政再建を実現する、そういう方向を主張をしております。来年度予算案は、それとは全く逆に、財政危機を理由に国民への九兆円の負担増を押しつける、そういうものとして到底認められるものではありません。予算は組み直して再提出すべきだということを私たちは重ねて要求をしたいと思います。  特に、繰り返して消費税増税の問題を強調しておきたいと思います。  さきの総選挙で、この衆議院に当選してきた議員の圧倒的多数が、消費税の四月一日増税実施について反対、凍結、先延ばし、条件つき等々を公約していたわけであります。その点に照らしても、増税は絶対に許せないものだということを強調しなければなりません。日本共産党は、消費税の将来についての見解をわきに置いて、幅広い共同の力で、消費税増税など国民負担の増加、この未曾有の九兆円負担増の問題を阻止していくために全力を尽くすことを表明いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  243. 小里貞利

    ○小里委員長代理 この際、古堅実吉君から関連質疑の申し出があります。佐々木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。古堅実吉君。
  244. 古堅実吉

    古堅委員 日本共産党の古堅です。今大きな問題となっております沖縄米軍の劣化ウラン弾射撃事件及びその他の沖縄米軍基地問題について質問いたします。  米軍の劣化ウラン弾射撃事件は、日米両政府が沖縄にどういう基本態度を持っているのか、いかに許しがたいものがあるかということを如実に示すものとなっております。アメリカ本国はもちろん、日本でも訓練のために劣化ウラン弾を発射しない、こういう米軍の内規にも違反して、一九五五年十二月から一九九六年一月まで三回にわたって沖縄県の鳥島射爆場で射撃訓練が行われておりました。我が国の主権が侵害され、国民の安全が脅かされるこういう重大事件について、アメリカが我が国に通報してきたのがことしの一月十六日であります。そのことを日本政府が沖縄への通報や国民に明らかにしたのが二月の十日、それも、ワシントン・タイムズがその日に報道したということがわかったからでした。  事件が起こった時期は、少女暴行事件、米軍基地の強制使用問題、SACO協議など、沖縄の米軍基地をめぐる極めて重大な事件が相次ぎ、緊迫した時期でありました。この事件が明るみに出るというと、火に油を注ぐような事態になることは必至でありました。だからアメリカは、一年余にもわたってそれを隠し立てしてきた。アメリカだけではありません。日本政府もまた、アメリカから報告を受けてから実に一カ月近くも隠してきたではありませんか。  総理、あなた自身が外務省からその報告を受けた時点で、あなたの責任において、沖縄にも国民にもいち早く知らせる措置をとるべきではありませんでしたか。
  245. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 確かに、現時点になりまして、というより、現時点というのは不正確であります、しばらく前にそうした思いを持つ時期がございました。ただ、当初、詳細がなお不明という状況で、不正確な情報が伝わることがいかがかと思ったためらいを今悔いております。
  246. 古堅実吉

    古堅委員 先ほど一九五五年と申したようですが、一九九五年の間違いでありますので、訂正させていただきます。  これほど重大な問題、大問題となっておるにもかかわらず、総理の答弁、極めて簡単なものであります。私は、総理の弁明を聞こうというふうには思いませんが、今、総理自体の責任の所在の問題について論議もされております。そういう立場から、総理からもう一度お答えください。
  247. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 改めてそれでは申し上げますけれども、私自身が報告を受けたのは一月十七日、阪神・淡路大震災の追悼式から東京に戻ってきた時点であったと存じます。その時点では、劣化ウラン弾が発射をされた、誤射の報告のみで、それ以上の詳細がわかりませんでした。そして、一月二十日、この事件について外務省を呼んで細かく聞きました際に、沖縄県には通報したのかということをただしましたところ、アメリカ側による環境調査などの詳細についてアメリカ側に確認をした上で沖縄県に報告をするという説明を受けました。できるだけ早くその報告をとり、御連絡をするようにということを申してはおきましたけれども、その後の事務的な調整に時間を要したようでありまして、結果的に通報の時期が遅くなりましたことには、先ほども申し上げたとおり、私は反省すべき点があったと考えております。  いずれにもせよ、こういう事態、私は、沖縄県の関係される皆さんが非常に厳しくこれをとらえておられることを当然のことと思います。
  248. 古堅実吉

    古堅委員 アメリカも一年以上もおくらせる、その報告を受けた日本政府も同じように一月近くも公表を覆い隠しておく。問われているこの問題についての責任を本当に反省して、この責任を追及していることにこたえようというのであれば、次の私の質問にも答えられるはずであります。  地元の沖縄県議会は、二月十四日、定例会開会の冒頭に、劣化ウラン弾発射に対する抗議決議を全会一致で行いました。その最初の要求の中で、沖縄からの劣化ウラン弾の撤去を求めています。劣化ウラン弾の貯蔵が明らかにされている沖縄からも、岩国からも、劣化ウラン弾は撤去しろ、こういう要求が出てくるのは当然であります。国民の声と申すべき沖縄からのこの要求に対しても政府はどうこたえられるのか、総理からお聞きしたい。
  249. 池田要

    池田国務大臣 今回の劣化ウランを含む焼夷弾の誤使用の問題につきましては、先ほど総理からも御答弁ございましたけれども、米国からの通報のおくれはまことに遺憾でございましたし、我が政府の対応についても、お地元に対する配慮に欠くるところがあったと反省しているところでございます。  しかし、ただいま委員指摘のございました、この劣化ウラン弾を撤去すべきではないかという話でございますけれども、御承知のとおり、在日米軍は、安保条約に基づきまして我が国の安全そして極東の平和を維持する、そのために必要な訓練等を行うと同時に、緊急事態が発生した場合にはこれに効果的に対処しなくてはいけない、そういった役割を担っている次第でございまして、そのために必要ないろいろな装備であるとかあるいは物資を保有しているところでございます。そしてまた、そういった中に劣化ウランを含む徹甲焼夷弾が含まれているというのは事実でございまして、それが我が国の一部の施設や区域に保管されております。そして、我が国の国内においては訓練には使用しないというふうに米軍の内規になっておりますけれども、我が国が武力攻撃を受けるといったような緊急事態においては、米軍はこれを使用する必要性が生ずることがあり得る、この点はひとつ御理解を賜りたいと思う次第でございます。  もちろん、そのような砲弾の管理について安全面での万全の措置、配慮をすることは当然でございまして、そういった意味におきまして、今回の誤使用の問題の反省にも立って、米軍におきましてもさらにその管理面の改善を図るということを我が方からも申し入れておりますし、米軍においてもそのような措置を講じているところというふうな説明を受けておるところでございます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、今回のような誤使用が二度と起こらない、こういうことを確保するために、徹底的な原因の究明そして再発防止を米側に対して強く求めているところでございます。
  250. 古堅実吉

    古堅委員 総理、この劣化ウラン弾の撤去は求めないということですか。
  251. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、外務大臣からお答えを申し上げたとおりであります。
  252. 古堅実吉

    古堅委員 劣化ウラン弾の発射事件が起きた、あの訓練に伴う諸事態というのは極めて危険な事態が起きておるんだということについてのしっかりした認識はおありですか、総理。総理から。
  253. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員の御認識と私の認識が同じかどうかわかりませんが、少なくとも、二十日に報告を受けました時点で、その環境影響等についてのデータをできるだけ早く米軍から、もし環境影響調査をしているならその報告を受け取れということ、そして先日、たしか松本議員との御議論をさせていただいた部分だったと思いますが、放射線の漏出だけではなく、微量重金属としての劣化ウランというものの持つ問題性について私の方からお答えを申し上げたのも、そうした意識を持っている、自分なりの判断の中にそうした問題意識を持っているからお答えを申し上げたということであります。
  254. 古堅実吉

    古堅委員 こういう危険だと判断されるような事態さえも引き起こす、危険きわまりない劣化ウラン弾を我が国に引き続き置くというのですか。
  255. 池田要

    池田国務大臣 先ほど答弁申し上げましたけれども、米軍も、我が国において劣化ウランを含む徹甲焼夷弾を訓練で用いるということはしない、こういう内規になっております。今回のは、その内規に反して誤って使用されたというケースでございます。  しかしながら、先ほども御答弁申し上げましたように、在日の米軍が、我が国の非常に緊急の事態の際に我が国の平和、安全を守るために対処しなくちゃいけない、そういったときには劣化ウランを含む徹甲焼夷弾を使用することもあり得るということでございます。そういった意味で、私どもは、日本の一部の区域・施設に保管されております劣化ウランを含む徹甲焼夷弾を撤去するということを求めるというのは適当ではない、こう考えております。
  256. 古堅実吉

    古堅委員 劣化ウランが、あたかも万一の場合使われるというふうな事態を迎えない限り何の心配もない、そのように思い込ませようという日本政府の態度というのは、本当にもう許しがたい、そのように思います。  この劣化ウラン弾、これがいかに危険きわまりないものであるかということについて、一九九三年一月二十九日のアメリカ会計検査院の報告がございます。その一部を持ってまいりましたが、その中でこう言っています。  溶解しやすい酸化劣化ウランは、血液の中により早く入り、主として腎臓に有毒な危険をもたらす。吸い込まれた溶解できない酸化劣化ウランは、肺の中により長期にとどまり、放射線によるがんの潜在的危険をもたらす。  こういうことの起こり得るアメリカの兵器を、この日本に引き続き貯蔵を許すというのであります。  大事な点は、米軍の言いわけ、立場をそのまま国民に押しつけるのではなしに、主権者である国民、沖縄県民の立場からきちっとした対処をするということではないでしょうか。そのことを厳しく指摘して、次に移ります。  少女暴行事件を初め、昨年の米軍機の那覇沖海中への爆弾投下事件、今回の劣化ウラン弾発射事件等々に見られるように、いまだに沖縄は占領治下、こう言わなければならぬような事態が続いています。このような米軍海兵隊のために、世界でも初めての巨大な海上基地を数千億円の国民の血税を使って新しく建設してあげようというのが、今大きな問題となっている米軍のキャンプ・シュワブ基地の沖合に建設する海上基地の問題であります。そんなことが認められるはずはありません。  昨年四月のSACO中間報告で普天間飛行場の返還が打ち出され、その移設先とされてきた嘉手納基地、嘉手納弾薬庫、勝連沖の海上、そして今回の名護市のキャンプ・シュワブ沖の海上など、その候補地とされているすべてのところで自治体や地域住民が中心になった一大反対闘争が展開してまいっております。  総理、沖縄県民がその撤去を要求している海兵隊のために、巨大な海上基地の建設を本当に県民が受け入れるとお考えですか。
  257. 久間章生

    ○久間国務大臣 普天間代替ヘリポートの建設というのは、普天間飛行場の有する重要な軍事的な機能及び能力を維持しながら同飛行場の返還を実現させるために不可欠のものだったわけでございます。  委員と海兵隊の存在の意義についての見識が違うかもしれませんけれども、現在の状況の中で、海兵隊をやはりあそこにおることを認めて、そのいわゆる機動力、あるいはまた能力等を考えました場合に、どうしてもこれを実現するためにはその代替ヘリポートをつくるということが不可欠なものだったわけでございまして、しかも、関係する部隊や施設等との距離の関係から県内移設というのを、もうそうせざるを得なかったわけでございますが、その建設方法について海上施設案を確かに追求することにいたしました。  これは、基地の固定化を避けたいという沖縄県民の方々の強い気持ちをも踏まえてぎりぎりの検討を行った結果であるわけでございまして、必要性がなくなれば撤去が可能なというようなことも考えて、海上基地ということで、そういうふうに最終報告で集約させていただいたわけでございますので、どうか、そういうぎりぎりの中で、県内移設であって、海上施設ということでまとめさせていただいたという、そういう経緯について御理解していただきたいと思います。
  258. 古堅実吉

    古堅委員 私は、ことしに入って、防衛施設庁が調査をしようとしているあのキャンプ・シュワブ地先の海上を二度調査してまいりました。  この区域は、沖合二キロメートルほどまで大変浅い、サンゴ礁が美しく広がった地域でありまして、干潮時には遠浅となります。潮干狩りもできる。周辺漁民からしますというと、いい漁場でもございます。その海上に幅五百メートルないし六百メートル、長さ千五百メートルの海上施設をつくろうというのであります。海上に行って、どのくらいの広さか、そういうことなどをいろいろ私たち想定をしてみましたが、驚きました。例えて言いますというと、長さ三百メートル、幅七十メートルほどの航空母艦、こういうばかでかい航空母艦を縦に五隻も連ねたその長さが海上施設の長さになります。この航空母艦、それを縦横に四十隻も並べた、そういうのがこの海上施設の広さです。  私は、海上の調査に立って、五十二年前のあの沖縄戦のことを想起せずにはおれませんでした。沖縄戦のとき、私は十五歳でありました。沖縄師範学校の一年生で、全校生徒と全教職員、鉄血勤皇隊、それに組み入れられまして、沖縄戦に投入されました。悲惨きわまりない体験をしたのであります。幸いにして、私は九死に一生を得ました。その後今日まで、戦後を歩み続けてまいっております。  ちょうど米軍があの嘉手納沖から沖縄に上陸したその前日の三月三十一日でありましたが、那覇地域では小高いところとなっております首里城、そこに上りまして、西海岸の那覇の方から嘉手納、読谷沖、そこを眺めました。私は、そのとき本当に深刻な思いをさせられたことを、今でも記憶に新しく残っております。たくさんの軍艦がおりましたなどというものではございません。あの地域、ずうっと本当に目が届かないぐらい、そういうところまで水平線が見えないというほどに米艦隊が海面を埋め尽くして、こういう艦隊が沖縄をすっかり取り巻いてしまった、こういう光景でした。私は、袋のネズミのようなものだなというふうな言いようのない深刻な思いに駆られたものであります。  この想像を絶するような異様な光景をつくった米艦隊の三カ月にわたる、昼夜を分かたぬ艦砲射撃が、いわゆる沖縄戦を称して鉄の暴風などと言われておりますが、そういう実態をつくり、惨状をきわめるものとなったのであります。  あれから五十二年がたちました。しかし、沖縄県民は今もなお、我慢のできない、毎日毎日の基地からの被害と闘いながらも、過ぎし沖縄戦のことを決して、決して忘れることなく生き抜いてまいっておるのであります。  総理、この沖縄県民にあの沖縄戦を想起させるような巨大な海上施設を受け入れさして、二十一世紀までも基地と共存せよというのは、余りにも酷な仕打ちではありませんか。
  259. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今初めて、鉄血勤皇隊の一人として沖縄戦を生き抜かれた議員の、当時を振り返ってのお話を私なりに真剣に聞かせていただいたつもりであります。そして同時に、議員が、今日まで私に、あるいは他の機会に質問に立たれ、述べておられるその背景も、おぼろげながらに多少は理解ができたような気がいたします。  当時高校と言われました。私自身は敗戦が小学校二年でありますし、到底我々の世代が、殊に本土に疎開していた者の理解し得ない惨状の中でその時期を過ごされたことは、私も推察するに十分な言葉を持たない思いがいたします。  しかし、その上で、私はあえて議員にもう一度私どもの考えでまいりましたことを聞いていただきたいと思いますけれども、私が就任をいたしましたとき、そして初めて大田知事に県民を代表する立場でお目にかかりましたとき、せめて普天間という言葉だけでも出してほしいと言われました。そして、住宅の密集している中にある普天間という基地の危険性を何とかしてほしいと、本当に切々と知事からも訴えられました。そして、サンタモニカの日米首脳会談、初めての席に着きますとき、政府部内で普天間に言及することを支持する意見ばかりではなかったこと、議員も御承知のとおりであります。  しかし、私は、何とかしてその危険を取り除く、少なくとも住宅の密集地の中にこのまま置いておかないで済む工夫をしなければならない、私なりに真剣に考えてまいりました。同時に、基地が固定化し、未来永劫動かないような新たな基地をつくる、そのようなことは絶対にできないとも思いました。  そうした中からの私なりにぎりぎり考え抜いたものは、移設可能な海上施設という考え方でありました。これについても、議員を初め沖縄県内に異論の強いことも承知をいたしております。しかし、いたずらにこれもだめだ、あれもだめだと言い続けている間に、一日一日と時間がたってまいります。私は、一番最初に官邸で大田知事をお迎えをしたとき、せめて普天間の名前だけでも、この危険な基地を何とかしてどこへでも動かして、切々と言われた言葉が今も耳に残っております。  その中で私ができるぎりぎりは、必要がなくなればいつでも解体のできる、移しかえのできる、恒久化を必要としない海上施設案というものでありました。これに御賛同いただけるかどうかということになれば、いろいろな御意見はありましょう。地元の方々に何とか御理解をいただき、一日でも早く、これを海上に移すことによって普天間基地の危険性という切実な知事さんの訴えにこたえたい。  議員が非常に率直にお話をいただきましたので、私も胸の中にあるものをそのままお答えにさせていただきました。
  260. 古堅実吉

    古堅委員 今総理のおっしゃるようなそういう方向では問題は解決しないんだということをこれからも申し上げます。  防衛施設庁がことし一月二十一日、名護市に対して、代替海上施設建設のための調査、その要請を行っています。この調査は、海上施設建設を前提にした調査であります。総理は、地元の同意がないままに代替施設を建設することはないと繰り返し述べてこられましたが、防衛施設庁は、その前提となる海上施設建設のための調査を、事前調査をしようとしているのであります。突破口を切り開こうというのです。名護市や住民は、北部地域は米軍施設の掃きだの場所ではないと怒っていますよ。  総理、総理の言明どおり、地元が反対している普天間基地のキャンプ・シュワブ沖への建設は、その前提となる事前調査も含めて撤回すべきではありませんか。
  261. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 昨年、たしか十二月の初めに東アジア福祉担当閣僚会議第一回を沖縄で開かせていただきましたその前夜、基地所在市町村長の皆さんに私もお目にかからせていただきました。そして、その席上で、皆さんの納得が得られない限り頭越しで行動はしませんということを申し上げてまいりました。その上で、あえて私は、ぜひ調査に御協力をいただきたい、調査をさせていただけなかったら、適地であるのか適地でないのかもわかりません。そして、調査をさせていただくこと、せめてその御理解は得たい。防衛施設庁にも一層の努力をさせるように、そして御理解を得て調査に着手できますように、ぜひとも御協力をいただきたいと存じます。
  262. 古堅実吉

    古堅委員 調査をして、やめることもあり得るなどという立場調査をしようとしているのではないことは、はっきりしております。ですから、突破口だと申し上げているわけです。指摘しているわけです。  SACO報告は、普天間飛行場、那覇港湾施設などのように、そのほとんどが、それにかわる新しい基地を膨大な国費を使って建設して初めて返還が実現されるというひどい条件つきのものとなっております。膨大な国費をこのようなところに投入すべきものでない、そういう立場からも国民から厳しく批判されているものでもあります。これは、一貫して基地の縮小、撤去を求めてきた沖縄県民の総意を踏みにじるものでしかありません。米軍基地のもとで五十年余の過酷な体験をしてきた沖縄県民は、この期に及んで今さらだれが新しい米軍基地を受け入れるものか、こう心底みんな考えでおります。  二十一世紀にかけてまで基地との共存を引き続き県民に押しつけるような方向では、問題の解決はありません。普天間飛行場、那覇港湾施設などは、沖縄県内、日本国内の移設ということではなく、日本からの撤去を迫るべきです。そのためにも、海兵隊の撤退問題は避けて通れない問題の早期解決への筋道だと考えています。  総理、本当に沖縄県民の願いを実現する立場で対米交渉をやり直すべきではありませんか。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
  263. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員の戦時中の御体験というものを踏まえられ、その中から導き出された御意見には、私は、その体験の重さという点から敬意を表します。  しかし、我が国の安全保障という点になりましたとき、過去ではなくこれから先を考えますとき、残念ながら議員と私は意見を異にしているようであります。そして、このアジア太平洋地域において、私は、アメリカのプレゼンスというものは平和と安定を維持していく上で必要だと思うということを繰り返し申し上げてまいりました。そして、それを担保する日米安全保障条約というものの重みについても申し上げてまいりました。  そうした中におきまして、議員の体験から導き出された御意見には敬意を表しながらも、残念ながら考え方を異にする、この点は率直に申し上げたいと思います。
  264. 古堅実吉

    古堅委員 時間が迫りましたので前に進みまして、米軍用地強制使用問題についてお尋ねします。  楚辺通信所の一部土地についてですが、この土地は、昨年三月三十一日をもって使用期限が切れ、国としては一切の使用権限がなくなった土地であります。本来ならば、国の方から、期限が切れた段階で礼を尽くして返還すべき土地であります。総理、直ちにその土地を所有者に返還する、そういう意思をここで表明してください。
  265. 久間章生

    ○久間国務大臣 我が国は、安全保障条約並びにそれに基づく取り決め等によりまして、米軍に対していわゆる施設・区域の提供をする義務を負っているわけでございます。しかしながら、今おっしゃられましたように、期限が切れてしまっております。したがいまして、駐留軍用地特措法に基づいて裁決の申請を今お願いしているところでございますので、今直ちにこれを返還するというわけにはまいらないわけでございます。どうか、その辺の事情もぜひ御理解賜りたいと思います。
  266. 古堅実吉

    古堅委員 何の権原もない土地を十カ月に及んで不法占拠する、これはまさに無法者の行為そのものであります。法治国家、その政府ともあろうものが、自分たちが使いたいからなどといって十カ月にわたって不法占拠するなどということは断じて許されません。  五月十四日に使用期限が迫っている嘉手納施設など十二施設、地主三千八十四人の土地への対処策として政府は、収用委員会で審理中の土地は強制使用の期限が切れても裁決が出るまでは引き続き使用できるように、軍用地特措法の改正を検討していると報道されています。もし報道されているような法の改正が本当であれば、そしてこれがなされるということになったら、これはもう土地収用法の基本構造を踏みにじり、緊急使用の体系をも破ってしまうもので、極めて重大問題です。  万一そんな悪法を強行すれば、憲法を二重、三重にも踏みにじる民主政治の自殺行為とも申すべきことになります。占領下の沖縄で米軍の都合に合わせて布令を乱発し、県民を軍事的、植民地的支配で縛り上げてきたのと何ら変わらぬ仕打ちを、今度は政府の名において強行することになります。断じて許せません。  総理、土地取り上げの強奪法まがいの法律の改正は絶対に行わないと、ここで言明してください。総理からお聞きしたい。
  267. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、繰り返し繰り返し、本院で、本委員会でも御答弁を申し上げてまいりました。議員とは真っ向から逆さに、法的な措置をすべきだという立場の御意見もございました。  私が繰り返し申し上げておりますことは、沖縄県収用委員会によります公開審理が二月二十一日から開始される予定になっております。従来の実績を考えるなら、この日程が極めて厳しいものであることは私自身十分承知をいたしております。しかし、私どもはあくまでも、今収用委員会が作業を始めようとしておられるこのやさきにおいて、こうした状況あるいは使用期限までの権原取得の必要性というものを十分御理解をいただきながら、裁決に至る手続が円滑かつ迅速に行われることを期待しておるところでありますし、関係者の御協力が得られるよう政府としては最大限努力をしてまいりたいと考えておりますとお答えをし続けてまいりました。今も同じお答えを申し上げます。
  268. 古堅実吉

    古堅委員 絶対に許せないことを申し上げて、終わります。
  269. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて佐々木君、古堅君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  270. 上原康助

    ○上原委員 若干質問の順序を変えて、社民党の意向なども入れて、おいでくださいました各大臣に要望と注文をつけておきたいと思います。  まず、この予算委員会の審議で相当公共事業費のことが問題になりました。  議論するといろいろありますが、省いて、なぜそういう不満なり強い公共事業費の見直しということが出るかといいますと、やはり大手の建設業者がほとんどというか、国直轄とかそういう面で、公共事業というのは、独占とまでは言いませんが、なかなか地域の中小企業、地方の業者に行かないという不満が非常に強いわけですね。  私はこの点は余り詳しくはありませんで、建設省の行政指導内容なども見ましたし、また、かつて五十嵐建設大臣や野坂建設大臣にもいろいろ注文をつけた経緯もありますが、どうも二億五千万から六億というような、この基準がなぜそうなったのかわかりませんが、亀井建設大臣は補正予算の編成に当たって、中小建設業者の意向というもの、あるいは請負参加というものを積極的に改善をするという表明もなされておりますので、そういった不満も強い、トータルとして見直すということも大事なんですが、やはり公平にあまねく公共事業費というものが浸透するという政策をとっていただかないといかないと思うのですね。  こういう面も私は行財政改革、政治改革の基本の一つだと思いますので、そういう点で、ぜひひとつ亀井建設大臣のこのことに対しての決意と、また、今私が申し上げたようなことについて積極的な改善策をとっていただきたい。このことについてまず御見解を聞いておきたいと思います。
  271. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員指摘のように、公共事業の執行に当たりましては、それぞれ施工能力に応じて、大、中、小、零細それぞれが参加をしていくという形でなければならない。全く私、同感でございます。  ところが、委員指摘のように、一時、大手ゼネコンに受注が偏重するという傾向が生まれましたことは事実でございます。これの原因等につきましても、建設省といたしましてもいろいろな角度から検討しておりますが、一つは、御承知のように一般競争入札を、建設省の場合は六億五千万ですね、都道府県の場合は二十一億三千万ですか、そういう形で導入を、これはWTOの関係で、これは国際的な基準でございますから、取り入れました結果、体力のある大手がどんどんその部分をとっていってしまうという現象が起きたわけでございまして、私どもは、これをどうやって委員指摘のような施工能力のあるところにもう一度振り向けていくかということを省内においても真剣に検討をいたしております。  沖縄の場合も、WTOの基準よりも低い七億三千万ですか、そういう設定をされているということも、ちょっと沖縄県として特殊な状況が起きておるようでありますけれども、我々としてこれはどうしても是正するということで、とりあえずこの補正予算の執行につきましては、例えば、Cクラスの業者同士にJVを組ませるというかつて実施したことのない異例の措置を今いろいろと具体的にとっております。そういうことによりまして、そういうところが直接受注する機会を与える。そういたしますと、Bランクは、自分たちがとられるという、ちょっと不満といいますか、これも今起きておりますけれども、そこらに対しましても、Aランクとの関係でやはり是正措置も何らかの方向でとっていかなければならないということで、努力いたしてはおりますが、さらに、工区を区切って発注をするというようなことを含めまして、いろいろ手間暇はかかりますけれども、やはり一時起きましたそういう状況を我々は是正するということで、全力を挙げておることを御説明を申し上げたいと思います。
  272. 上原康助

    ○上原委員 これは、中身を数字を挙げていろいろ議論したりやりとりしますと時間がかかりますから、ぜひ改善措置をとっていただきたい。  沖縄県の場合も、開発庁長官おいでですが、もう具体的に申し上げませんが、なかなか地元企業というのが参画できないという不満が強いですね。同時に、分割発注をして、ジョイントベンチャーの場合でもいろいろ配慮をすれば十分可能性がありますので、その点はぜひ政府全体として御検討を願いたいということを強く求めておきたいと思います。  これは、補正予算だけでなくして、この本予算が通った段階においてもその基本方針は、基本方針というか改善措置はぜひやっていただきたいということを強く要望しておきます。これを政府が本気でおやりになるかどうか、私たちはもう少し見守っていますので、申し添えておきます。  次に、先ほどもいろいろ消費税問題がございました。確かに消費税の税率アップについては私たちも不満がありますし、また、国民が強い関心というか御不満があることもよく承知をいたしております。同時に、このことについては、弱いお立場にある方々、年金受給者の皆さんに対する一千五百億から二千億の手だても与党三党でやりながら推進をしているということもぜひ御理解を願いたいと存じます。  そこで、けさの新聞にもいろいろ出ましたが、私は、やはり内閣全体として、物価対策、便乗値上げ等々消費税の税率改正によってもたらされる国民生活への影響度というもの、特に弱い立場にある方々への影響を少なくしていく、小さくしていくということは、政治にとって最も大事なことだと思うんですね。ある面では、これ、橋本内閣の相当大きな、支持率というか、そういう面に関連をする可能性もありますので、このことについても今申し上げたような方向で御理解を願いたいと思いますし、経企庁長官の御見解を聞いておきたいと思います。
  273. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 御存じのように、消費税、今年四月一日から五%ということで、これに伴いまして、いわゆる便乗値上げに対する御心配と思いますが、当然の御心配だと思っております。  昨年十二月の十九日に物価担当官会議というのを、各省庁担当官の方に集まっていただいて、細かくずっとこれは資料がございますけれども、便乗値上げなどが起きないように、いわゆる物価モニター等々いろいろ御存じのような対策を既に、調査、監視等々適切に対処していかねばならぬということで、担当官を特に督励をいたしておるところであります。  また、それに伴いまして、いわゆる公共料金等々にも値上げ申請等々改定申請が出されております場合にも、これは、内容につきましてはきちんとした対応をして、適正な転嫁以外、間違っても便乗値上げがないようなことに十分に善処していかねばならぬと決意を新たにいたしております。
  274. 上原康助

    ○上原委員 これは経企庁が試算をなさっている内容とは、必ずしもそのようにはいかない懸念がありますね、けさほどの日本経済新聞のあれを見ましても。相当、物価対策、消費税率改正によって国民生活に与えるインパクトということについては、内閣全体としてぜひひとつ総力を挙げていただきたい。この点については、決意を総理からお聞かせ願いたいと存じます。
  275. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、経済企画庁長官からも御答弁を申し上げましたが、消費税というものが持ちます性格、こうしたことも十分脳裏に刻みながら、きちんとしたチェックをしてまいりたい、転嫁が行われながら最小限の影響にとどまるような努力をしてまいりたいと思います。
  276. 上原康助

    ○上原委員 次に、国土庁長官に一、二点、ぜひ御努力をいただきたい点は、阪神・淡路災害その他の地震を含め自然災害のことで、特に個人補償問題とか復旧、復興の面でいろいろ出ました。  私も若干経験をさせていただきましたが、やはり日本は災害国家というか、そういう表現はよくないかもしれませんが、非常に災害の多い国であることは御承知のとおりです。本当に経済がよかったころに一兆円ぐらいの災害復興基金でも積み立てておけばよかったんじゃないかということを私は国土庁長官のときに話したこともあるんですが、そのことは別として、やはり個人補償というものがストレートにできないというのであるならば、災害の起きた場合の救助法を抜本的に改正をするとか、基本法を変えるとか、新たな立法をつくるとか、そういうことはぜひ必要だと思うのですね。  これは国民が非常に期待をしている重要な政策課題だと思うのですが、この点についてどういう御見解を持っておるか、いろいろおやりになっていると思うのですが、簡潔にお答えいただきたいということと、新全国総合開発計画において、これも簡潔でいいですから、後で沖縄問題は触れますが、私は国土計画の中に、単なる基地を利用するとかそういうことではなくして、きちっと南西諸島、奄美諸島を含めて、一応琉球弧を含めた亜熱帯軸というか太平洋軸というか、そういう面をやっていただいて、それを年次的に振興、産業、経済、雇用というものを確立をしていくということが必要だと思いますので、この二点について御見解を聞かせていただきたいと存じます。
  277. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 先生もほんの少し前、国土庁の長官として御活躍をいただいたわけでございますが、阪神・淡路のようなかつてない災害を私どもは経験をいたしまして、特にまた災害の多い国でありますだけに、さまざま起きるであろう災害に対してしっかりした備えをすることは大変大事なことだというふうに思っております。  そこで、いろいろな機関から今御指摘をいただいたり、また、これからもいろいろな御提案をいただくような御示唆をいただいているわけでございますが、基本的には、私有財産の国でありますから自助努力をするということが基本でありますし、災害に対しましては、災害救助法などのさまざまな法制度の中でこれまでは対応してきたところでございます。しかし、生活支援といいますか立ち上がり資金をどうするかということは、やはり大きなテーマだと私自身も考えております。  そこで、総理のもとで開かれました防災問題懇談会で、これは基本的に基金であるとかそうしたことを将来的に考えるべきではないかという御提言がございます。  そこで、つい最近、御関係の特に深い知事の方々に私からお呼びかけをいたしまして、どういう仕組みが将来的にいいのか、いろいろ御意見も伺わせていただきたいし、私ども国土庁としてもいろいろな研究をしたいということを申し上げてありまして、この課題は継続している課題でございます。上原先生の御指摘は、これからもそうした仕組みを将来的に考えることなどの中で、ぜひ生かさせていただければというふうに思っております。  第二点でございますけれども、沖縄が抱えているさまざまな問題、私たちは、国を挙げて沖縄の将来をどうするかということを考えなければならないときにいると思います。  今、私ども国土庁では、ポスト四全総に当たります新しい全国総合開発計画を策定中でございます。間もなく、夏少し前を目途にいたしまして新しい国土開発計画を策定するわけでありますが、その中に、実は上原長官時代に大変御指摘をいただきました亜熱帯交流圏、つまり、日本の本土とアジア太平洋を南北に結びます国際交流の拠点としてこれから沖縄という地域の果たしていく役割、そういうことが大変大事だというふうに思っておりまして、上原先生が国土庁長官時代に御提言をされましたそうした御意見というものが、必ずこれからの全国総合開発計画の中にその精神は十分生かされていくことになると思います。  私も今後沖縄県の皆さんの御意見もいただきながら、実はけさ、早朝でございますけれども、総理に同席をいただきまして、沖縄県の大田知事にもおいでをいただいて沖縄政策協議が開かれまして、その場でも大田知事からもいろいろ御指摘をいただきました。こうした皆さんのそれぞれの御努力というものが、新しい日本の二十一世紀を結びます新しい全国総合開発計画の方にしっかり組み込まれていきますように努力をしてまいりたいと思っております。
  278. 上原康助

    ○上原委員 まあ、名前も同じコウスケですから、ひとつしっかりやってください。  次に、時間が、後に重要なことも聞きたいので、これは総務庁長官にも、これも念押しになって恐縮ですが、私はやはり特殊法人のあり方、公益法人のあり方、これはいろいろ検討してみると、これは大蔵大臣関係するのですが、非常に問題がありますね、天下り問題を含めて。しかし、調べれば調べるほど人が絡むことであるので、ある面では、またよく検討してどうリストラをしていくのか、どう統廃合していくのか、きちっとやらなければいけないと思うのですね。  だが、今の状態ではいけませんね、これは。道路公団にしてもみんな天下り、特殊法人も出資はどんどんふえる。こういうことに対する国民の目は厳しいし、政治に対する不信の根源になっていると言っても言い過ぎではないかもしれません。これは、やはり行財政改革の中できちっとやっていただかなければならない。困難な課題ではありますが、総務庁長官の所管だと思いますので、ぜひ決意を聞かせていただきたいと思います。
  279. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 きのうでございましたか、北沢先生にもお答えをいたしておるわけでございますが、特殊法人の問題については、今のお話の天下りの問題、あるいは子、孫、富士山のピラミッド型のような形になっている特殊法人もたくさんあるわけでございますし、あるいはまた財投との関係、あるいは一般会計から結構お金が入っている、いろいろに特殊法人に対しての批判が国民的な課題として大きくなってきているのではないかと私は思っております。  その辺を踏まえまして、私どもも来年度の行政監察の対象に、この特殊法人について、必要であるかどうか、要否を含めて行政監察をすることになっております。また同時に、自民党がまず先駆けて、この行政改革について特殊法人を中心としてやろう、こういうふうに取り組んでいただいておりますが、三党においても政策協議をやっていこうという形で、何かきょうごろからそういう作業が進められるというようなお話も聞いておるわけでございまして、私どもも政府としてできるだけ努力をいたしますが、その辺の、与党三党のいろいろの御協議をいただいた結果も踏まえまして、最終的には思い切った特殊法人の見直しをことしはやらなければいけない、行政改革の大きな柱にしていかなきゃならないと思っております。
  280. 上原康助

    ○上原委員 これは総理や大蔵大臣の御見解も聞きたいんですが、時間が限られておりますので、ぜひひとつ、既にお取り組みになっていらっしゃるわけですが、相当これについてもリーダーシップを発揮していただかないと困難な課題だと思いますので、強く要望を申し上げておきたいと思います。  さて、この間から大変問題になっております沖縄の劣化ウラン弾のことですが、ちょっときついお尋ねになるかもしれませんが、総理にまず聞きたいのは、これは連絡が、通報がおくれたから問題だとお考えなんですか。その劣化ウラン弾を使用したことが問題なの、あるいは使用した結果、影響が、大変重要な内容があるから問題にしておられるの、どっちなんですか。いやいや、これは総理からまずお答えください。
  281. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員のお尋ねになりましたような角度からいきますと、私は、一つだけが問題ではないと思います。  まず第一に、日本国内においては使用されなかったはず、使用しないことになっていたはずの劣化ウラン弾がなぜ演習において実際に発射されたか、問題の一つはここにあります。  その上で、通報のおくれという問題がございます。同時に、通報を受けた時点で問い合わせ、問い合わせというか、遺憾の意をもちろん言いながら、その環境に与える影響等について米側に問い合わせましたときに、昨年の三月及び四月の時点でありましたか、調査をしたが影響はなかったという返事は返りつつも、具体的なその調査報告自体が日本側に手交されなかった、これも問題点であると思います。  そして、それに加え、日本政府自身の内部において確認に手間取り、結果として沖縄県に対する連絡通報がおくれた。  このいずれも問題、その意味では問題でありましょう。ただ、何か一つに絞り込めと言われますならば、日本において演習に使用されないこととなっている劣化ウラン弾がなぜ誤射という事態を招いたのか、問題の振り出しはそこだと思いますが、どの部分も問題はあります。
  282. 上原康助

    ○上原委員 まあそれはそうでしょう。複合汚染でしょう、失礼な言い方ですが。  問題は、日本において使用してはならない劣化ウラン弾が貯蔵されているということも問題なんですよね。これは、広義における、広い意味における核兵器なんですよ、私に言わせれば。だからやはり撤去の話が出てくるということも、これは突っぱねて済むはずのものでなくなる可能性がありますよ。それは申し上げておきます。  そこで、じゃ、アメリカが調査をした、どういう調査をやったんですか、アメリカは。具体的にどういう調査をやったの。簡潔に話してください、説明してください。外務大臣、あなた長々言うから、どういう調査したの、アメリカは。
  283. 折田正樹

    ○折田政府委員 アメリカは、アームストロング研究所という研究所がございまして、ここに属する専門家が昨年の三月から四月にかけまして環境調査を実施したというふうに承知しております。専門家の調査チームを派遣いたしまして、関係地域の空気、水、土壌のサンプル分析を実施する等のことをしたと承知しております。
  284. 上原康助

    ○上原委員 どういう人々が調査したんですか。
  285. 折田正樹

    ○折田政府委員 具体的に人の名前は承知いたしませんけれども、アームストロング研究所の研究者でございます。
  286. 上原康助

    ○上原委員 私は、総理、それは政府の皆さん、自民党の先生方も御理解というか聞いていただきたいんですが、外務省のそういう答弁というのは余りにも、何というか、不親切であるだけでなくして、中身を言っていないのよね。私がしつこくアメリカからもらったデータを出せと言ったら、ようやく持ってはきた。持ってはきたが、何のことはない、みんなあちこち、みんなこんな調子。これ、人の名前というところで、お名前が書いてはあるというより、こういうふうにみんな塗りたくってあるけれども、これなども失礼な話だよな。これは後で委員長にお願いしますけれども。  私も、ABCぐらいわかるから、これ、ゆうべもらったから徹夜して、辞典引っ張って見てみた。調査した皆さんというのは、本当に物理学者であり、いわゆる健康関係の専門家だとか生物学者、環境技術専門家、そういう方々がみんなアメリカから来て調査しているんですよ、これはね。これだけの皆さんが調査をしていろいろやっている。  もう一つ大変問題なのは、こういうところは、肝心のところは訳していないんだよな、外務省は。これは、この調査の機器のところでは、核兵器のアクシデント、「インテンディド フォーニュークリアウェポンズアクシデンツ」、そういう目的で調査をしたというふうになっているんだよ。だから、アメリカは核兵器の、核というか、少なくとも影響はないと皆さんはおっしゃるけれども、それほどアメリカは重要視をしておったんですよ、この文書を見れば。私でもその程度わかる。しかも総理、これは本当に、生物やいろいろな化学用語が多いので……。  だから私は、日米間というのは、それほどパートナーで親密であり、何でも理解し合うという関係であるにもかかわらず、これだけのことが起こっておるのに、本当に総理が一月十七日までわからなかったかどうか、私は疑問を持たざるを得ない、これは。  今私が示したことについて反論があるなら反論をしていただいて、どういう認識を持っているの、これ。  ちょっと正確を期すために、九六年の三月十八日のドキュメント、文書、書簡だね。それから、九六年の四月十五日、これは調査結果のことを一々述べている。後でもっと問題点を僕は言うからね。  それと、あなた、なぜ、大体文書というのは、こういうことについては、かがみ、前文を訳するのも結構なことなんだが、何でヨンクルージョンズ アンド レコメンデーションズしというところは書いてないの、あなた方。訳してないの、これのところ。ここは重要な意味が含んでいるんだよ。
  287. 折田正樹

    ○折田政府委員 事実関係のところから申し上げますと、まず、黒く塗られているところでございますが、これは私どもが塗ったわけではございませんで、アメリカ側から私どもがいただいたときにそうなっていた、そこは固有名詞が書いてあったところでございます。  それから、これは極めて専門的な内容を含む米側の内部資料でございましたために、私どもは、いわゆる「エグゼクティブ サマリー」、要約の部分についてのみ訳させていただいたということでございます。  それから、核兵器というお話がございましたが、政府が一貫して申し上げているとおり、これはアメリカも同様でございますけれども、核兵器は原子核の分裂または核融合反応より生ずる放射エネルギーを破壊力または殺傷力として使用する兵器を言うということでございまして、劣化ウランを含有するこの徹甲焼夷弾は核兵器には該当しないということでございます。  それから、専門家の中に核の事故の機器を持っている方がいらっしゃったということでございますが、低レベルでありますが、放射線を出す劣化ウランを探査するためにそういう機器を使ったということだと思います。
  288. 上原康助

    ○上原委員 外務大臣、説明をそういうふうにすると、あたかも皆さん、この問聞いていると、何でもないよ、単なる事故だよ、誤射だよと言うけれども、そう簡単な代物じゃないんだよ、これは。そういうことを隠し立てをしたり、国民にディスクローズしないから問題なんです、沖縄県民にも。この文書は沖縄県にはやってあるの。
  289. 折田正樹

    ○折田政府委員 沖縄県に対しましては、米側と調整をした上に、この文書、恐らく先生がお持ちのと同じでございますが、差し上げてございます。
  290. 上原康助

    ○上原委員 いつまでその調整とかなんとか、あなた、去年の十二月十七日、爆弾投棄のときも私が沖特でやったが、まだあれも報告していない。本当ならもうきようここでストップなんだよ、これ本当。委員長。いや、そうはいかないから僕はもう……。  そこで、これは総理と外務大臣どっちでもいいのですが、これだけ重要な調査結果があるにもかかわらず、ただ、かがみ文だけ翻訳させて、劣化ウランは危険がありません、影響がない。影響があると書いてあるのですよ。沖縄近海全部調査しているでしょう、海水や土とか泥とか、そういうサンプリングしているのですよ、嘉手納空軍基地もキャンプ・キンザーも。あちこちのサンプリングを集めて、引き続き検討せねばならないと言っている。  そういう意味で、総理、これはやはり、こういうことでは私たちは到底納得もできませんし、理解しがたい。ますます県民もこのことに対しての、国民ですよね、疑問を持つと思いますので、これは早急に専門家に全文翻訳をさせていただいて、ぜひ国会に御提出を願いたい。また、委員長としてもお取り計らいを願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  291. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、私は、それが全文かどうか、すべてなのかどうかを実は存じません。  そして、今、アメリカ側からは確かに昨年三月及び四月に実施した調査結果に基づいて、危険はないという説明を一応受けているわけでありますけれども、政府としても、安全確保に万全を期す、そうした考え方のもとに、関係省庁と緊密な連絡を、連携をとらせながら、来週中にも現地調査を実施すべく鋭意準備を進めているさなかであります。  そして、昨日、沖縄知事にお目にかかりましたとき、私の方からお願いをいたしまして、沖縄県が推薦される方にもぜひこの調査に加わっていただきたいというお願いを申し上げ、気持ちよくそれは受けていただきました。また、アメリカ側も三月末までにさらなる現地調査と回収作業を行う、そういう考え方のもとに現地で所要の準備を進めていると聞いております。政府としては、この調査にも米側と協力、協議をしながら臨んでいきたいと思っております。  なお、本件の全体像を取りまとめました報告書を三月末までに公表するように米側と努力をしていきたいと考えておりまして、こうしたことも昨日知事にお話を申し上げたところでございます。
  292. 上原康助

    ○上原委員 北沢先生のお時間ですからこれ以上、ちょっと残しますけれども、少なくとも今私が明らかにしたようなこの文書の書簡の全貌が明らかにならないと、総理、沖縄の基地問題というのは余計に困難な面がありますよ。その点を申し添えて、これは翻訳をして全部国会に提出をさせてください。要望を申し上げます。  委員長、そういうお取り計らいをぜひお願いします。
  293. 深谷隆司

    深谷委員長 上原委員の真摯な対応にこたえるためにも、理事会で協議したいと思います。  この際、北沢清功君から関連質疑の申し出があります。上原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北沢清功君。
  294. 北沢清功

    ○北沢委員 社民党の北沢清功でございます。  私は、去る一月三日のロシア・オイル船の、いわゆるナホトカ号の重油流出問題における、主として危機管理について質問をさせていただきます。  四面を海に囲まれました海洋沿岸国である日本にとりまして、特に日本海の八府県が非常にあの被害を受けまして、このことは非常に日本の皆さんの関心事でございますし、また私ども社民党は一月の九日、直後に調査団を送り、また去る二月の十日、十一日にかけて、土井党首を先頭に実は現地調査を行いました。今まで行かなかった能登半島の先端までも行きまして、この結果を踏まえて、沿岸の漁民、住民の皆さんと非常にオープンに接しまして、何としても、私ども与党の立場で、この問題は積極的にひとつ協力をし、解決をしていかなければならない。そういう意味で、この二月十三日に、帰りまして、橋本総理に我が党のまとめた意見を申し入れてまいりました。この申し入れについては、ぜひ前向きな対応をまずお願いしておきます。  それでは具体的な課題に入らせでいただきますが、政府は一九九五年の十二月に、「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画について」という閣議決定をされました。もちろん、今回の事故に際しては、それに基づいてできる限りの対応をされたと思いますが、しかし想定をされた事態または対処について、残念ながら、私は反省すべき点があったのではないかというふうに実は考えております。  実を申すと、私も、きょうの質問、昨年運輸政務次官をしておりまして、非常にその責任の一端を担う者として心苦しいわけでありますが、いわゆる危機管理というのは、先ごろの阪神の大震災もそうですが、国民の安全を守るためにいかに迅速に組織的に対処をするかということが重要なわけでございます。今後の危機管理の対策としても、この現実を真摯に見詰める必要があると思いますが、運輸大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  295. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 まず最初に、土井党首から今回の事故について御要請をいただいておりますことについては、真摯に受けとめ、最大限の努力を申し上げていきたいと思っております。  それから、今先生御指摘いただきました国家的緊急時計画等を含めます油の流出事故への対応でございますが、これは御承知のとおり、この目的は、防除資機材の整備、それに事故の調査と評価、また防除措置の実施等について、実は定めているわけでございます。  今回の事故の重大性にかんがみまして、先生もお触れいただきましたけれども、危機管理の体制というのは、常にその問題点を検証し、そして改善することにあるだろうと思っております。今回のさまざまな問題点を検証し、そして改善に最大限の努力を払っていきたい、このように考えているところでございます。先生の御指導もよろしくお願い申し上げておきます。
  296. 北沢清功

    ○北沢委員 なかなか大変なことだと私は思いますが、しかし、このことはやはり教訓として真摯に受けとめる必要があるというふうに思っております。  以下、いろいろと指摘をいたしますので、その際、また運輸大臣からお答えをいただきたいと思います。  それでは次に、外務省にお尋ねをしたいわけですが、今回事故を起こしたナホトカ号は、建造後二十七年ということで、非常に老朽化をしております。事故の大きな原因であったということは私は否めないと思いますが、こうした老朽化船に対する対策は国際法的に考えられないかどうかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
  297. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 船齢二十五年以上の船舶を一般的に禁止する条約などはございません。  ただ、海洋汚染防止条約によりますと、載貨重量二万トン以上の原油タンカー、そして載貨重量三万トン以上の精製油運搬船、この二つにつきましては、船齢二十五年を超える場合に船体を二重にするということなどが義務づけられているわけでございます。  そこで、このナホトカ号でございますが、ロシア側から入手しました資料によれば、船齢は確かに二十五年を超えております。ただ、用途が石油製品運搬でございまして、載貨重量二万トンとなっております。つまり、載貨重量トン数が三万トンに満たないということでございますので、この二重化をするという海洋汚染防止条約の規定は適用がないのではないかと考えている次第でございます。
  298. 北沢清功

    ○北沢委員 しかし私は、法律的に見て、まあ船主責任ということになっていますが、過失がある場合は、やはり所属する国における管理義務ということがあるわけでありまして、この面では、ちょっと逃げているようですが、原因究明を徹底的にして、やはりそのことはきちっと外交上すべきではないか、そういうふうに私は考えております。そのことは強く要望しておきたいと思います。  それから、日本は海洋国でありまして、また、代表的な海運国家であります。国連海洋法条約では、昨年批准をしたのですが、日本海のような準閉鎖海ではありながら、海洋上重要な交通路に関しては、国際的な総合管理体制の確立が沿岸諸国に義務づけられております。これは、日本海に即しますと、日本、北朝鮮、韓国、ロシアは、生物資源の管理であるとか海洋調査などについて、特に国際協力義務を負いながら共同措置をとるよう要請されておりますが、目下のところ、残念にもその動きがございません。日本海の環境を保護するという大きな視点にしても、沿岸諸国の対策を講じるために、速やかにやはり日本がリーダーシップをとって協議を始めるべきだと考えます一が、外務大臣の御答弁を煩わしたいと思います。
  299. 池田要

    池田国務大臣 今回のような事故の再発を防止するために、あるいは不幸にしてこのようなことが起きた場合の対応に遺漏なきを期するために、国際的な面でもいろいろな措置を講じてまいらなくちゃならないと思います。  そういった観点から、日ロ間のバイラテラル、二国間の関係においても、あるいは国際海事機関のようなグローバルな機関においてもいろいろ努力しておるところでございますが、ただいま委員指摘のこの日本海といった地域的なものを対象にしたものといたしましては、現在、北西太平洋地域海計画というのを九四年からいろいろ進めております。文字どおりこれが、今御指摘のございましたように、日本、ロシア、韓国、中国、そうして現実には入ってきておりませんけれども北朝鮮あたりを対象に考えられている行動計画でございます。  これにつきまして、実はことしの夏、七月を予定しておりますが、我が国の主催で、こういった海洋汚染に対する対応等につきましての第一回の会合を開催することを、実は今回の事故が起こる前に計画しておったわけでございますけれども、これを当初予定されていた以上に充実したものにし、今回の事故の経験も踏まえながら、きっちりとした対応ができるように進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  300. 北沢清功

    ○北沢委員 これも実に緊急な課題だろうと思います。特に海洋法を批准をした世界的な意味での認識というものは、海は人類のものである、今までのように自分の領海ということの調整だけにすぎなかった過去の歴史の中から、新しいそういう展望のもとに、必要性のもとに海洋法が決められたわけでありますから、こういう面についてはぜひひとつ積極的な姿勢で臨んでいただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  それでは次に、流出をした重油の回収作業に非常に困難な実は状況が生み出されておりますが、さらに厄介な問題は、このナホトカ号の船尾の本体部分が水深二千五百メートルの深さで沈没をしております。その中には、今までの流出量の倍とはいかないが、一万一千キロリットルという油が残っていることであります。これは地元の皆さんにしてみますと、日本海の奥深く不安の塊があるんだということで実に心配をしております。  特に科学技術庁においては深海探査船をもちまして調査に入っておるようでございますが、現在これらの状況などはどうなっているか、それから現状の把握はどうなっているか、そしてこの厄介な問題に対する対策とか見通し、これは非常に重要な関心事でありますから、お尋ねをいたしたいと思います。
  301. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生の御指摘のとおりでございまして、今後一番心配されるのがこの船尾部、今湧出油が認められているわけでございますが、この処理だろうというふうに思います。  船尾部からの湧出油につきましては一月の十二日から実は確認をされているところでございまして、どういう浮流状況にあるかと申しますと、荒天の日と静穏の日と違いはございますが、大体幅が二百メーターから三百メーター、長さが数キロから十数キロというような状況で帯状に実はなっております。これにつきまして、その先端は現在のところ拡散、消滅をしている、こういう状況にございます。  海上保安庁といたしましては、巡視船、航空機等によりまして監視を行わせていただいておりますと同時に、巡視船によりまして航走拡散、放水拡散等の防除作業を続けているわけでございまして、今後も監視、そうした防除作業というものに万全を期していきたいというふうに思っております。  また、先生が御指摘いただきましたドルフィン3Kによります探査状況でございますけれども、これによりますと、御承知のとおり、漏出している状況が実は認められているわけでございまして、今後これがどういうふうに推移していくのか、また現在、船体そのものが今後どういう状況になっていくだろうか、ここのところを調査し、そして今後の状況について、実態を国民の皆様方に明らかにしていくということは非常に大事なことだろうというふうに思っておりまして、運輸省の、私といたしましては、私の委嘱によります実は検討委員会を、二月の十四日でございますけれども設置させていただきました。学識経験者の方々、専門家の方々にお入りをいただきまして、詳細にドルフィン3Kの探査状況を把握していただき、そして今後の見通し等について早急に御結論をいただきたい、そして、どういうまた対応があるかという側面もぜひひとつ検討していただきたい、こういう考えでいるわけでございます。  いずれにいたしましても、これ以上この被害が拡大しないように万全を期していきたい、このように考えております。
  302. 北沢清功

    ○北沢委員 沈没をした船体等の問題も、湧出油については、多くの沿岸で漂流油の回収のために大変な苦労をされた皆さん、延べ三十万とも言われていますが、手で、しゃくしやバケツで回収をしたわけですが、何としても今回の海中からの湧出油というものは、ぜひそこで回収してくれ、洋上で、海上保安庁の船なり、自衛隊の船なり、またかわりのものも含めて、もう再びこの岸辺に漂着をさせてもらいたくないというのが皆さんの実は私は一番の願いだろうと。ですから、ぜひ運輸大臣におかれましてはそのことを肝に銘じまして、このことについて私は不退転の決意でぜひ臨んでいただきたい。答弁は要しませんが、私はその決意もわかりますので、そのことだけは強くお願いをしておきたいと思います。  それともう一つ大事なことは、今回の経験でわかったことは、非常に日本海の天候というのは、私は山国でアルプスのふもとに住んでいる者ですが、もう冬の日本海というのは、想像できないような、苛烈なと言っていいくらい大変な天候でございます。しかし、災害というのは、危機管理というのは、あらゆる事態を想定してのものが危機管理でございます。したがって、油回収船も清龍丸ただ一隻、しかも名古屋で、しかも、今までの油の災害というのはコンビナートであるとかまたは港湾であるとか、太平洋地域にやはり目を向けての対策であったわけでありまして、今回は、その面については危機管理の上において極めて問題があると思いますね。  これについて、外洋での油回収がどんな時点でもできるような技術的にも科学的にも検討をしていただいて、日本海側にもひとつ早く配備をしていただきたい。そういう意味で、運輸大臣の御答弁を煩わせたいと思います。
  303. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 この点につきましても先生の御指摘のとおりでございまして、今回反省点といたしまして御指摘をいただきましたように、例えば防除のための資機材の配備、また油の回収船、そしてまた油の回収装置等、静穏な海域を前提として実は整備させていただいていたわけでございます。  これにはもちろん理由があります。どうしても船舶交通がふくそうする太平洋側、一たび事故が起きると大災害になるというようなところを前提としていたわけでございまして、ただ、今回のような荒天の、しかも冬の日本海、こういったところを考えてみますと、今後、油の回収船、油の回収装置等、先生がお触れになりましたけれども、技術的、科学的にどういう措置ができるか、総合的にひとつ早急に検討し、荒天の日本海も当然ながらこの危機管理体制の中で国民の期待にこたえていくべく検討してまいりたい、このように考えております。
  304. 北沢清功

    ○北沢委員 力強い御答弁をいただいたわけですが、やはり私は、今回あらゆる箇所で見まして、科学技術というものが、海洋の輸送、油の回収も含めて、中和剤も含めて、例えば無公害の中和剤をつくるとか、そういうものを用意するとか、またその他いろいろ、今の建造船も含めて大事だということを痛感をいたしました。これらの面でのひとつ取り組みといいますか、予算措置もしたりして積極的に対応する。  それからもう一つ、私は、触れてはおりますけれども、環境問題といいますか、海中における汚染について、日本海の暖流、寒流入りまじっている下には、いわゆる寒流の冷塊、動かないところがありまして、二百メートルから三百メートルありますから、そこら辺が汚染されたら大変なことだと私は思っております。  そういうことを含めて、海岸の環境の中で再びノリがとれるような、そういう意味での環境における取り組みも、環境庁においては、公園もあるわけですから、積極的に予算を投入をして取り組んでもらいたい、そう思っております。  それから次に、大蔵大臣に実はお願いをいたしたいと思いますが、これは国土庁長官でも担当の面もあるけれども、各省庁にまたがっている基本的な考え方ですから、大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。  阪神の大震災、北海道のトンネル事故、私の地元でございます長野県の小谷村の土石流災害、そして今回の災害でございますが、この二年間、国民にとって極めてショッキングな大災害があり、貴重なとうとい命が失われました。日本列島は、まさに災害と背中合わせに生きているというふうに表現しても過ちじゃないと思います。  これらの中で、私ども与党といたしまして、特に私ども、三党政策調整会議の一員でございますが、今度の予算をつくるには、やはり科学技術の新しい時代の対応と、今申し上げるような災害に強い、そういうものに取り組んでもらいたい、人命を尊重する予算を組んでもらいたい、それから、効率的にもならない地方に生きる、そういう人たちがいけるような地域政策も考えてもらいたいという三つのことを要請をいたしました。  そのことが補正予算の中でどのように住かされたかということは、野党の攻撃もございましたけれども、一兆二千億の予算を計上して取り組んでおります。今度の本予算、今審議をしている予算の中でどのようにあらわれておるかということを、先ほど申し上げたように大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  305. 三塚博

    ○三塚国務大臣 北沢議員から、常時災害のある我が国の防災についての予算措置、また政策いかんということでございます。  我が国の地理的条件によりまして、地震災害を含む種々の災害の被害を受けやすいということは御指摘のとおりであります。よって、平成九年度予算案におきましては、防災に関する科学技術の研究関係に五百十九億円、また災害予防関係に一兆一千五十七億円、国土保全関係に一兆九千五百二十二億円、災害復旧関係に三千八百五十四億円、総額三兆四千九百五十二億円を計上いたしたところであります。  特に、科学技術関係ということで、地震に関する調査研究、地震予知のための基礎研究、さらに測地的方法による地殻変動調査等、それぞれの担当省に予算づけをし、努力をいただく、こういうことにさせていただきました。
  306. 北沢清功

    ○北沢委員 私の知る限りでは、この面での伸びは、今一・五%の伸びだという予算の中で、十数%に上っているということをやはり私は評価をしたいと思います。まさに現代にこたえた予算の一端を私はお伺いすることができているわけでございますので、そのことをひとつ積極的に今後も続けていっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  最後に首相に申し上げたいと思いますが、現地では、何としても早く政府の安全宣言をしてもらいたいということを実は言われました。  これは相矛盾することなんですけれども、これは何かということのその裏にあるものを考えていただかないと、あの地域は、過疎であるとか、または人口が急減をしております。まさになりわいを海の、あの日本一つまい魚や美しい海岸、そして温泉にかけていますね。それだから、そういう意味で、風評被害におけるイメージダウンというものが実はその地域に生きる人にとって決定的な要素になりはしないか、そういう熱い思いが、やはり安全宣言をひとつ早くしてもらいたいという、沈んだ船の回収がおくれても、急いでもらわなければいけないわけですが、おくれてでも安全宣言をしてもらいたいというのが偽らざる訴えであるということを実は私は身をもって感じました。  土井委員長、党首も参りましたし、私も参りましたけれども、非常に有益な視察であったということを申し上げ、また今度の災害における全般的な断固たる決意も込めて、御決意をお願いをいたしたいと思います。
  307. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 御党党首を初め、現地を踏まれ、その中から受けられた感じを踏まえながらお話をいただきました。  私は、大変残念な事件でありますけれども、この事件の中で、ボランティアとして参加していただいた方々が示してくださった善意と、そして将来に向けてのエネルギーというものを一つの救いと考えております。  と同時に、今議員がノリから例に挙げられながら、海中生物への影響を訴えられながら、これが風評被害等につながらないように留意をしながらいかにして生態系を戻していくかという点についてのお話をいただきました。  今後、この状況の中で、海岸のなお付着しております原油を取り除いていきました後、いかにしてここに海藻、そして貝類、そして甲殻類、魚類というサイクルを、生態系のサイクルを生き返らせるかということ、これは我々にとって大きな挑戦になるでありましょうが、一日も早くそのすぐれた海を取り戻すために、国としてもできるだけのことをしてまいりたい、そのように存じます。ありがとうございました。
  308. 北沢清功

    ○北沢委員 ありがとうございました。よろしくひとつお願いをいたしたいと思います。  終わります。
  309. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて上原君、北沢君の質疑は終了いたしました。  次に、小坂憲次君。
  310. 小坂憲次

    小坂委員 太陽党の小坂憲次でございます。  私は、当委員会の今回の集中審議のテーマであります危機管理につきまして、橋本総理並びに政府の見解を質問をさせていただきたいと思います。  私は、当選以来、災害対策特別委員会に常に籍を置いてまいりました。ただいまの北沢委員お話もありましたけれども、以来、いろいろな災害の審議をやってまいりました。ここ数年の大災害と言われるものだけでも、奥尻地震・津波災害、雲仙・普賢岳の噴火災害、阪神・淡路大震災、そして地下鉄サリン事件、北海道の豊浜トンネル事故、小谷村の豪雨・土石流災害、日本海の今回の重油流出事故、そしてペルーの日本大使館のテロ事件等々、自然災害、あるいはテロ、あるいは大規模の突発的な事故、こういったいろいろな形での災害が発生をいたしました。また、さらに言うならば、オウム真理教の事件もそうでありますし、またエイズの非加熱製剤、こういったもの、あるいはO157の事件、これらも広範な意味ではやはり危機管理に該当する、そういった国民の生命、財産に危害を及ぼす大きな事件でございます。  このような事件が起きますたびに、マスコミは政府危機管理体制の不備、そして総理の対応のおくれというようなことを書き立てるわけでございます。これは、書き立てられる方も大変だとは思いますが、しかし、それが日本のトップたる総理大臣の使命であることは明確であります。  私は、橋本総理は、そういった点で常に危機管理というものを体の中に受けとめて今日対応していらっしゃる、そのように、テレビ等で拝見する中で、その決意のほどは私も実感をいたしているところでございます。  その意味で、きょうの議論を通じて、私は、橋本総理に、今日本に欠けている危機管理体制を、ぜひとも自分の任期中に必ずこの体制整備をやるぞ、そういった決意をまずお聞かせいただきたいと思っております。いかがでございましょうか。
  311. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、日々痛感をいたしておりますこと、それは、危機管理体制という言葉を使うことは極めて簡単ですけれども、どういう仕組みをつくれば一番汎用度の高い仕組みになるかということでございます。  確かに、昨年の一年間、一昨年の阪神・淡路大震災というものから、危機管理体制の整備というものに随分さまざまな工夫をしてまいりました。そして、災害対策基本法の改正をしたり、あるいは情報集約機能の強化をしたり、関係閣僚の緊急参集体制を整備したりということを努力をしてまいったつもりであります。  しかし同時に、何といっても初動における情報がいかに的確に流れ、それをもとにした判断が必要になるか、そして、同じケースは二度とない、同じケースがあれば前の経験というものが役立ちますけれども、それだけに、その汎用度の高いシステムというものをいかに組み立てるか。今、その意味では、これは当然の責務でありますけれども、私自身も考え抜いてまいりました。  そして今、おぼろげながらに、国内における事故の対応、事件の対応、海外における事件の対応、大きく分けるとそのような分け方ができるのかな、そしてそれぞれのシステムづくりというものが必要なのかなと。さまざまな不幸な事件が重なる中で得てまいりました教訓というものをむだにしないようにさらなる体制の充実整備を図ってまいりたい、そのように考えております。
  312. 小坂憲次

    小坂委員 今御回答いただきましたように、自然災害ばかりではなくテロとか大規模な事故、危機管理というのは、一体危機はどういうものがあるだろうかということを常に想定する、何といいますか、頭の中でシミュレーションを常に行っていくことが非常に大切なんだと思うのですね。  二度と同じことはないとおっしゃいました。村山総理が阪神・淡路大震災のときに、何しろ初めてのことで早朝でもありました、こういうお話がありましたけれども、それは許されないわけであります。一つ一つのケースに、初めてであってもまさに臨機応変、機に臨んでそれに対応した対処をしなければならないのが危機管理であります。  そういった意味で、私は、危機管理はその危機を感知するセンサーが大切なんだと思うのです。地震における地震計のようなものを想定されるかもしれませんが、実は、これは窓口の人間の感覚なんであります。その人間が情報を入手したときに、それの緊急度、重大性、そして危機の認識が持てるかどうか、そういったことが非常に大切なんだと思っております。  言ってみれば、常にセンス・オブ・アージェンシー、自分が緊張して、こういうものが来たときにはどうするか、常にそういう緊張感を持ち続けるということが大切でありますし、今おっしゃいましたように、初動時の情報収集の流れ、そしてまたトップとしてのその危機認識、それから認識から迅速な行動へ移すリーダーシップ、こういうものが大切だと思うのであります。指揮命令系統が明確ではっきりしていることが、やはり初動動作には不可欠であります。  私は、阪神・淡路大震災のときにもたびたび同じことを指摘をさせていただきました。そして、与党の皆さんとも与野党の区別なく法案の提出者として議論を重ね、そして、お互いの協力の中で災害基本法の改正をなし遂げたと思っております。しかしながら、その中には、突発的な事故に対する対応、あるいはテロに対する対応、あるいは有事のときの対応といったような広範な意味での危機管理に対応できるかどうかというと、まだまだ積み残した課題が多いのであります。  同じような災害、事故の対応にしても、私は、非常災害対策本部の本部長は、これは指定行政機関の長の権限を代理して執行できるぐらいの権限を付与すべきだ、こう思っておるわけです。内閣総理大臣というのは内閣の長でありますが、同時に、大臣としてはやはり内閣法に定めるところの横並びであります。その中で、総理大臣としてのその立場から指導力を発揮していただけるように、しかしながら同時に、代理権限を付与されるということで、法律の裏づけのもとに迅速な、的確な対応ができるような体制整備が必要だと思っております。  これを含めて官房長官にお伺いをしたいと思っておりますが、私は、その災害対策基本法の改正のときに、積み残した分の一部を、合意のもとで附帯決議というふうに盛り込んであります。附帯決議の中には、最終的に官邸という言葉は削られましたけれども、夜間にも迅速な対応ができるような集中的な情報センターを官邸内に設置をし、そして一元的な情報管理を行うこと、こういうことをお願いをいたしました。  この点につきましては、内閣情報集約センターというものが昨年五月設置をされ、二十人のスタッフが五交代、四人常時駐在するという形で、大変に前向きに改善をされているとは思います。  しかし同時に、今申し上げたように、そこに入った情報がどういう感覚でとらえられ、そして内閣の組織の中に、安全保障室あるいは内政、外政それぞれの審議室等々にどのように伝達をされているのか、その伝達体制は的確であるのかどうか。  官房長官は、昨年十二月の爆弾の、一昨年でありますか、沖縄における間違った投下事件といいますか誤爆事件のときに、外務省が一時的に情報を保留しようとしたことに対して大変激怒したということが二月十三日の毎日新聞に書いてございます。それだけに情報の流れというものに対して気を使っていらっしゃると思いますので、その辺も踏まえて、内閣そして官邸における情報の流れ、そしてその体制についてお伺いしたいと思います。
  313. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 基本的には総理からお答えをしたことに尽きるわけでありますが、確かに各種の不測、不時、それから多様な緊急事態に対しては、内閣として迅速的確に対応していくためには、委員指摘のように、官邸の情報の収集、それからこれの評価、分析、それに基づく判断がなされなければならないわけであります。  委員等の御努力によって内閣情報集約センターが設置をされ、常時これが作動いたし、夜間にでも私のところにファクスその他で情報の伝達があり、これをどの段階でどの者が対応していくか、瞬時にその判断をいたさなければならないわけであります。  そして、国際、多事多難のときでありますから、もちろん総括は総理でありますが、総理にそれだけの時間と労力を割かせることはできない、そういうことを考えますと、今までの不備は私にむしろ責任がある気がいたします。  そういうことを考えますと、私は、総トータルとしての専門官というか、専任者というか、これは相当な立場の方がやっておりませんと、すべてのものに対応する能力に実は欠けるわけであります。どちらかというと、危機といっても軍事的な危機やあるいは物理的な危機等に対して対応する能力はあっても、例えば今回のようなタンカーの沈没事故、こういうものにそれだけの危機意識を私が持っていたかどうかということを考えますと、まさにじくじたる思いがいたしますし、各省庁それぞれの、私は、形式的というといけませんが、対策本部その他を設置をしてやっていることは、まあまあ迅速果敢に、そして人力を挙げて全力でやっておりますが、それに対応する能力、機材やその他ノウハウをひっくるめて、残念ながらまだまだ整備をされておりません。  ですから、委員が今御指摘の、総理にあらゆる権限が集約できるかどうか、これも私は実は官邸に入る前は、内閣法の改正をしない限りはとても総理のもとに強力な指揮権を付与することはできない、そういう持論を展開をしておったわけでありますが、日本のいわば憲法の精神からいうと、総理に余りにも権限が集中するのはいかがなものか。それはそれ以外の分野にも使われるということがこれあり、なかなか法制局その他各般の理解を得ることができない。  そういうこともあわせ、昨年橋本内閣が成立をすると同時に、特に官邸に被害の及ぶような状況になれば、総理の代理をだれがすることができるか。それから、閣議を開かなければ実際の内閣の総意を結集することはできないわけでありますが、そういうものには閣議了解事項で総理の手元に集約ができる方法を確認をし合い、今回もまた第二次橋本内閣ではそれを踏襲して閣議了解をいたしております。  そういうことで、形の上では整っているわけでありますが、やはり各種の災害に本当に対応能力があるかどうか、これはまさに今委員指摘のように、危機の意識の問題が一番多うございます。こういうものをあわせますと、私は、一人の人間がすべての危機に対応する能力を持ち合わせない、それは得手不得手があることはどうしてもやむを得ない。そういうことを考えれば、冷静にほかの職分を持たない専任者がおってやらないと、どうも最近いろいろなことをあわせ考えますと、このことに関して今々決して対応能力がないわけではありませんが、長い先、これからの十分な対策を考えれば、そういうことを念頭に置きながらさらに対応能力を高めてまいりたい、このように考えております。
  314. 小坂憲次

    小坂委員 ただいまお答えをいただきましたことで、大分前進をしているという感覚は受けたのでありますが、私どもの提案にもう一つございました。総合防災対策室というものを設置して、すべての災害が起こった場合には、それが運輸大臣の担当であるとかあるいは通産大臣であるとか検討をしないでも、すぐに情報はすべてその総合防災室に集約をするんだと。  今回の重油災害においても、これはタンカーが運航中に起こった事故であるから運輸省の管轄になるだろう、運輸大臣をチーフに災害対策本部を起動させよう、こういう話になりました。これが、沿岸にある貯蔵タンクが破壊をして重油が漏れたのであれば、これは通産大臣だろうというような話になってくる。同じ海の上に油が流れて、それに対応しなきゃならないという状況にもかかわらず、担当大臣がかわってしまう、また、それに対して国土庁総合防災室は何ら関与をしていない、この辺に私は問題があるような気がするのですね。  やはりすべての情報は、災害が発生したら、すべて一点に集中をしてそこから情報が関係部局に流れる。その意味で、私は、非常災害対策本部の本部長は常に内閣総理大臣と決めておくべきだ、こういう提案もいたしました。内閣総理大臣と決めておいて、それが列車事故であるとかそういったようなものであれば、内閣総理大臣の権限の一部または全部を運輸大臣に対して委任をする、そして本部長を務めてもらう。そういう形で本部長の代理をやることによって、その本部長たる運輸大臣は、この委任された権限は、本来、内閣総理大臣が本部長であった権限の委譲を受けているわけですから、ほかの大臣あるいはほかの省庁に対しての指示も非常に行き渡りやすいという構造ができるであろう。  こういったようなことで、ただいま官房長官のおっしゃった内閣法の改正を経なければならない、なかなか難しい問題もある。しかし、現状で何かできないかといえば、比較的改正が理解の得やすい総理大臣の権限強化である、災害に対応する本部長の権限強化である。こういう形で、対応できる形のものをぜひとも御検討いただきたい。この場をかりて心からお願いを申し上げておきます。  あわせて、今、内閣情報集約センターについて、五月にできたその根拠は、そもそも平成七年二月二十一日の閣議決定、「大規模災害発生時の第一次情報収集体制の強化と内閣総理大臣等への情報連絡体制の整備に関する当面の措置について」というこの閣議決定に基づいているというふうに聞いております。ところが、この閣議決定の内容を見ますと、一、二とありますが、「大地震発生時において被害規模の」、「大地震発生時における内閣総理大臣官邸への迅速な」、こういう形で、すべて「大地震発生時に」と限定がついておるのですが、これは表題のごとく「大規模災害発生時」ということで、こういった大地震以外のものにも十分対応されるような内容の整備をこれからも図っていくというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  315. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 端的に申し上げまして、内閣の機能を強化をするということは、内閣自身が内閣の機能を全部または一部失う場合を考えるわけでありますから、当然、東京において一番ポピュラーなものは、直下型の大地震が起きて、閣僚の参集が困難である、ないしは総理に事故がある、この場合にどう対応するかということを考えることは当然であります。しかし、これから類推をしていくことは、必ずしも地震と限らないけれども、官邸機能が喪失というか失われる場合が当然あるわけでありますから、これを準拠して行っていくことは当然であります。
  316. 小坂憲次

    小坂委員 それでは、質問の角度を変えます。  先ほど来から出ております劣化ウラン、徹甲焼夷弾の件についてでありますが、きょうの委員会の中でも、与党議員からたびたびこの劣化ウランの危険性について指摘がありました。昨日も与党議員の中から同じような指摘がございまして、この危険性についてはたび重なる指摘があるわけでありますが、その劣化ウランの体内毒性等についてはいろいろお話もありました。そして、これが核兵器であるかどうかという点についても、核分裂による放射エネルギーを破壊力として利用するのではないから核兵器ではない、こういう回答でもあります。しかし、我が国は非核三原則に基づいて話をしているのでありまして、そういう点から、アメリカ側も、本来、日本が核あるいは核物質というものについて非常にナーバスな地域である、また、そういうものに常に神経を緊張させている国であるということは、認識を持ってしかるべきであります。  今回、通告がおくれたこと、そしてそれを誤射したこと、いずれも米国側のミスであります。このような場合に、日本がこの機をとらえて、先ほど来外務大臣のお言葉の中には、御回答の中には、これは撤去を求めることはできない、そのつもりはないというお話がありましたけれども、まさにこの影響評価を我が国とするのはこれからなんです。先ほどの総理大臣お話のように、来週この影響の評価をしに調査に行こうというのであります。調査をした結果がよくないのであれば、これは堂々と撤去を求めるべきであります。  また、これはタングステンによる徹甲焼夷弾というのも、日本はそれを使っているわけであります。これは劣化ウランではないのであります。同じ目的のものが別の安全な物質で代替できるのであれば、これを使うように求めることぐらいはやはりやるべきではないのだろうか。やはり今後検討すべき課題としてそういうものも、調査を踏まえ、またそういった代替物質も考えながら、要望をしてみたいと思う、こういう回答があってしかるべきだと思うのです。それを無理ですと言うには余りに、やはり何と言いますか、もう少し幅の広い対応を心がけていただきたいと思うのでありますが、この点について、総理、いかがでありますか。
  317. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員から、来週調査をすると言っているじゃないか、その結果を見ないで判断できるのかと、私は、大変今の一言をありがたく聞いていました。そして、それだけの、ぜひ政府としては冷静さを持ちながらこの調査を行っていきたい。そしてその中に沖縄県の方々が推薦される方に入っていただき、一緒に調査をしたいというふうに思います。また、米軍がもう一度調査をする、これにも当然ながら立ち会っていきたい。その上で、議論すべき点は議論していかなければなりますまい。  ただ、その上で議論をする、往々にして、仮にその調査報告がどうであれけしからぬものはけしからぬとか、内容がどうであれけしかるものはけしかるとか、そういう議論が時々出てしまいます。そうではなくて、その調査というものを冷静に見守った上での判断、私はよき指摘をいただいたと思います。
  318. 小坂憲次

    小坂委員 冷静な対応をしていただけるということで、ひとまず期待をしたいと思いますが、同時に、沖縄県民の皆さんの気持ち、感情的なものを考えますと、その結果がどうあれという、今総理のおっしゃったその部分もこれはやはり考えなければいかぬ部分であるということも事実なんでありますね。やはり実戦でしか使わないようなこの徹甲焼夷弾を、今申し上げたように代替物もあるものをなぜ嘉手納と岩国に、あるいはもっとほかの基地にもあるのかもしれない、わからないのです。今その二つは少なくともあると言われている。この二カ所に貯蔵しなければならないのか。  先ほど申し上げたように、やはり幾ら放射線量としては軽微であると言われるウランであっても、しかし金属ウランは水に溶けやすいのですね、大変に。これが空気中にさらされれば酸化ウランになります。酸化ウランになれば水には溶けにくくなります。しかし、この徹甲焼夷弾の中に含まれている金属ウランが不発の状態で水の中に入ったときにどのような溶け方をするのか。あるいはこれが酸化ウランになって、そして長期間滞留したものがどういうような影響を与えるのか。あるいは、これは湾岸シンドロームということで、湾岸症候群という形で一時報道されましたけれども、鉄板を貫いた後には千三百度の高熱を発してこの徹甲焼夷弾というのは黒煙を上げて気化してしまう。その気化した微粒子を吸い込んだ後に、先ほど別の委員からの指摘もあったように、肺に滞留して発がんのもとになるかもしれぬ、発がん物質だ、こういう指摘も、これは因果関係はまだ明確ではありませんが、ある。  そういったものをいつまでも置いておくということは、これは得策ではない。これは社会不安のもとになる。そういった長期的な観点からも、これはやはり政府の慎重な対応とともに、こういった点についても沖縄県民の気持ちを配慮して、ぜひとも御一考願いたい。これは回答は結構でございます。今後そのような方向で検討していただけるぐらいの幅広いものは持っているということがもう既に回答にありましたので、そういった形で御検討いただきたいと思います。  引き続きまして、今度はロシア船籍タンカーのナホトカ号の重油流出事件関連してでありますが、平成七年の十二月十五日の閣議決定で、いわゆるOPRC条約に基づく「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」というものが閣議了解をされております。この内容を読みますと、これをしっかり守っておったならば今回の重油流出についても早期に的確な対応ができたのではないだろうか、こう思うわけでありますが、十分にその内容が周知徹底あるいは予算的な裏づけを持って対応されていなかったのではないか、こんな気もいたします。  その観点から、海上保安庁の関連でちょっと質問させていただきたいのですが、第二章第三節には、「海上保安庁、消防署、警察署等においては二十四時間の連絡体制を確保するとともに、連絡及び情報の交換を円滑に行うため、専用の通信手段の強化を図り、」こういうふうに書いてございます。  これは、やはりそういった現場において相互に連絡が密接にとれるような専用の通信手段というのは私も必要だと思うのです。これについて、海上保安庁としてはその後どのように対応されましたか。
  319. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 保安庁の中の陸上部署相互間は、いわゆる自前のマイクロ回線、それをバックアップするNTTの回線でつながっておるわけでございます。また、保安庁の陸上部署と船の間、あるいは船と船の間、これはVHF等を中心とする無線でつながっております。  それから、今先生からお話のありました保安庁と警察あるいは消防、そちらとの関係につきましては、通常のいわゆるNTT回線のほかに、御承知のような防災無線、これによってつながっておるわけでございます。  そういう連絡網を前提にいたしまして、御指摘のところ、いずれも現場機関でございます。二十四時間の当直体制をとっておりまして、そういう連絡体制のもとで常に緊密な連絡がとれるようになっておる。また、そういう前提のもとで、例えばバックアップ回線についても充実を図るとか、あるいは将来は衛星を使ったような通信手段も導入するとか、そういうことも今検討しておる、そういう状況でございます。
  320. 小坂憲次

    小坂委員 同じこの閣議決定の中に、資機材の整備、「油汚染事件への対応を迅速・的確に実施するため、船艇、航空機、通信施設」の整備、「資機材の利用については、日頃から官民の連携の確保に努める。」こういうふうに書いてございます。  今回の流出に対応するに、二日の日に起こって、そして六日の日に協議会が開かれております。この若狭湾の協議会、正式の名前では若狭湾流出油災害対策協議会、こういうものが、ふだんから協議をされていたと思うんですが、全国各地に同じような協議会が設置されているわけですが、これが一月六日にしか開かれていないんですね。それ以前には開かれていない。ちょうど御用初めというようなことで、正月休みをやっていたのかな、こう思いたくなるわけでありますが、この協議をする前に、本来、オイルフェンス等は民間の備蓄オイルフェンスを借りて、そして出動できるような準備態勢を整えるべきだったんじゃないですか。
  321. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 御承知のとおり、浮流油の監視それから航走拡散等の防除には、浮流油の発見以来、海上保安庁を中心に努力を重ねてきたところでございますが、確かに一月の六日に第八管区海上保安本部を通じまして同協議会に、沿岸への漂着のおそれがある、高まってきているということの判断の上、若狭湾災害対策協議会の方に連絡を直ちにいたしたわけでありまして、同時に地元の石油会社等の保有する防除資機材を七日には集結をいたしまして、以後、逐次現場の海域におきます防除活動に投入をしてきて今日に至っているという現状でございます。
  322. 小坂憲次

    小坂委員 運輸大臣に御回答をいただきましたので、この際、もう一つお願いを申し上げたいと思います。  災害の対応のときに、阪神・淡路のときにも議論が出てまいりました消防飛行艇という話でございます。これはたびたび私も予算委員会、災害対策委員会等で申し上げておるんですが、この消防防災飛行艇というのをやはり日本も持つべきじゃないか、こう申し上げました。火災の際に、六トンあるいは大きなものでは十数トンの水を一分以内、三十数秒あるいは長くても一分ぐらいでおなかにいっぱい詰め込んで、そして高空からそれを放射することができる装置であります。  これは破壊消防につながるとか、いろいろな議論がされましたけれども、私も実物を見て、何度もいろいろ検討してみて、やはりこれは効果がある、少なくとも延焼を食いとめるだけの効果はある、いろいろな使い方次第だ。持つか持たないかは、それを使うか使わないかはその現場の判断でありますから、持っているのと持っていないのとでは、これは危機管理に対する対応という点でやはり考慮すべき事項だと思っているんです。  そういう意味で、今回のものについても、この閣議決定の内容からしますと、処理手順として、その油の処理の手順は、まず第一にすくい上げるような回収措置を講じてみろ、これがうまくいかないときには化学処理をいきなさい、第三章五節にそう書いてあるんですね。化学処理、いわゆる中和剤をまくのは、まずいろいろなことをやってみた後だ、こうなっているんですよ、順番は。  ところが、私の読んだ新聞の中には、C重油というのは、これはナホトカ等で使っているものは不凍油が混入されて固化する温度はかなり下げられているというふうに書いてありますが、それでも早期に処理剤をまく必要がある、こうなっているんですね。こういうようなものも考えますと、そういう処理剤が一遍に大量に散布できるこういった飛行艇というものはやはり持っておくべきじゃないか。これは運輸省、海上保安庁でお持ちいただいて、そして自衛隊に管理を委託するとか、いろいろな方法があると思います、この辺、共同で持つとか、やはりぜひともこの際考慮すべき時期に来ているんではないかと思うんですが、いかがでしょう。
  323. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 海上保安庁におきましては、海上保安庁の所有いたします船舶、航空機、これらの更新、増強というのは、逐次、先生方の御理解をいただいて充実をさせているところでございますが、先生が今御指摘いただきました新しい機種、今回のこの事故の重大性にかんがみ、ぜひ検討していきたいと思いますので、御支援のほどよろしくお願いいたします。
  324. 小坂憲次

    小坂委員 それでは、だんだん時間もなくなってまいりました。別の話に行きたいと思いますが、この重油流出に関しても、私は危機管理の点でもう一点やはり銘記しておかなければいかぬと思ったのは、柏崎の刈羽の原発のところに重油がだんだん近づいていって、オイルフェンスを二重に張ってこれを防除したという話があります。  この刈羽の原発は、総発電量が五百七十五万六千キロワットの発電量、これは一基停止中の現在の発電量でありますから、実際にはもっと、六百以上になると思うんですが、この発電量は電力会社が持っている余裕の、猶予といいますか、いわゆるバッファーの三百六十万キロワットを上回る量なんですね。すなわち、この柏崎の刈羽原発が、近海における原油あるいはC重油等の災害によって全部とめなければならなくなれば、いきなり電力危機に陥る、電力危機すなわち産業危機であります。そういった意味の危機管理という点から、やはりこういうものについても対応できるような危機管理体制を日本海側にももっと整備する必要があると思っております。  時間の関係で余りこの回答をいただくだけの時間がありませんから、少し先へ進みたいと思いますが、こういったことも指摘をいたしておきたいと思います。  ただいま前委員の質問にもありましたけれども、私も衆議院の委員の派遣で、今回のオイルの、重油事故の被害調査団に参加をしてまいりました。私の印象に非常に残りましたのは、現地で事情を説明してくださった漁業組合の組合長さんの悲痛な叫びと、海女の代表の方の話でありました。すなわち、毎日ボランティアの皆さんが来てくれて必死にやっていただくので、我々もできる限りの努力をしております、まだやります、とことん努力します、努力しますが、翌日になるとまた同じような状況にあって、だんだん自分たちも体の限界が来ているんです、何とかお願いします、そう我々にすがるような目でおっしゃっていたその真剣なまなざしを忘れることができません。  私は、今回の事故災害の賠償問題というのは一体どのようになっていくんだろうか。この油濁損害賠償保障法の規定によりますと、その二十二条に、これは国際基金に対して、船主の補償で賄えない部分については補償を求めるようになっています。この補償を求める原告側は、これは数が多いんですね。漁業組合あるいは旅館、観光関係者あるいは地域住民あるいは地方自治体、いろいろな関係者があります。  今回の調査団に対して、福井県あるいは石川県等々から寄せられた要望の中にも、窓口の一本化と、政府が前面に立って意見調整をして、そして早期の賠償請求に当たってもらいたい、こういう話がございました。地方自治体の関連もこの中には多いんでありまして、特別交付税で足りない分は面倒を見てもらいたい、賠償の問題とかいろいろあります。そんな点で自治大臣、御意見を伺いたいと思います。これを調整して、先頭に立ってやる気はないでしょうか。運輸大臣ですか。
  325. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 私の方からお答えいたします。  今回の事故によります油濁の損害に対する補償につきましては、先生も御承知のとおり、基本的には船主側と被害者との民事上の問題でございます。今後これらの交渉が円滑に行われますように、外交ルート等を通じまして、政府といたしましてもロシア側に全力を挙げて働きかけていきたい、このように思っております。
  326. 小坂憲次

    小坂委員 もう時間になりましたので、最後に一言申し上げたいのですが、私は、保障法の中に規定はございますけれども、しかし、これでとれるのは大体二百二十五億ぐらいだろうという話も聞いております。これはまだ今後検証の要はありますけれども、いずれにしても損害額全部を求償できないような気がいたします。  しかし、これが逆の立場だったらどうでしょうか。日本の関係者がロシアに災害を与えた場合には、恐らくロシアは日本に対して、何もかも全部賠償してくれと言ってくるでしょう。やはり日本も、前提を設けずにロシアに対して、ロシア船籍の船が被害を起こしたんだと。これの賄えない分は結局は国民の税金で賄わなきゃならなくなってくるのですよ。ですから、やはり国民も納得しません。やはりロシアに対して堂々と徹底してこの賠償について要求をしていただきたい、そのようにお願いを申し上げ、時間となりましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  327. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて小坂君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  328. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、平成九年度総予算の公聴会の件について申し上げます。  公述人の選定につきましては、さきに委員長に御一任いただいておりましたが、理事会において協議をいたしました結果、お手元に配付いたしました名簿のとおり決定いたしましたので、御報告いたします。     —————————————    予算委員会公述人名簿 一、意見を聞く問題 平成九年度総予算について  ○二月二十日(木)     一橋大学名誉教授   塩野谷祐一君     日本労働組合総連合会     会長         芦田甚之助君     北海道大学法学部教授 宮脇  淳君     早稲田大学政治経済学     部教授        片岡 寛光君     株式会社野村総合研究     所主任エコノミスト  植草 一秀君     評論家        佐高  信君  ○二月二十一日(金)     外交評論家      岡崎 久彦君     京都大学経済学部教授 吉田 和男君     税制経営研究所長   谷山 治雄君     新日本製鉄株式会社代     表取締役社長     今井  敬君     経済評論家      財部 誠一君     大阪大学大学院国際公     共政策研究科教授   蝋山 昌一君     —————————————
  329. 深谷隆司

    深谷委員長 質疑を続行いたします。石破茂君。
  330. 石破茂

    石破委員 私は、最近つくづく何のために選挙制度というのを変えたのかなというふうに思うことがございます。  いろいろな理由はあったとは思いますが、その中の一つは、やはり湾岸戦争に対する対応の反省だったのだろうというふうに思っています。あのときにどうしていいのかということがわからなかった。冷戦の中にあって、日本は何をすべきかということを主体的に考えたことがなかった。だから、お金を出すのか、人的貢献は何ができるのかというような大変混乱した議論になってしまった。  今までは、票にもならない、金にもならない、そして冷戦構造である種の安定の中にある、だから有権者に選挙のときに正面から安全保障ということを問いかけなくてもよかった。  しかし、これから先は、本当に有権者一人一人が、日本国の安全保障というのはいかにあるべきか、日本国の安全保障のために一人一人はどのような負担を負わなければいけないのかということを考えるためにそういうような制度を入れた、私はそのように今でも思っておるところでございます。  連日の質疑を拝聴いたしておりまして、総理が誠心誠意、そして真剣に、本当に熱心にこの問題に取り組んでおられるということは、議場の議員のみならず、恐らく日本国民の多くの人間が総理のそのような姿勢を理解しておろう、私はそのように思います。  総理にお願いを申し上げたいのは、五月十四日の期限切れが来るまでは何とかその結論が早く出るようにと願うということ、そのことはよく私は理解をしておるつもりであります。しかしながら、では、そうでなかったときにどうするのか、どうあるべきなのかということを、私はある時点で国民に総理がこうあるべきだということを問いかけられる、それが必要なことであろうというふうに思っておるところでございます。御答弁は要りません。  その上で申し上げますが、私は、この五月十四日に切れたとして、使用権原なし、不法占拠状態、そういうようなことは決してあってはならないことだというふうに信じております。  確かに、一坪地主であろうが、座布団地主であろうが、その政治的な思惑がどうであろうが、その人たちの権利を守らなきゃいけないということもあるでしょう。憲法上の私有財産権を保護するということもあるでしょう。  しかし、もう片一方に、日本国として持っておる条約遵守義務を果たすという義務を国は負うておるはずであります。そのことはどうしても国として果たしていかねばならないことだ、そのように思っておりますので、冒頭に御要望を申し上げておきます。  さて、そのことと、五月十四日に不法占拠状態ということにしてはならないということと、沖縄の問題をどのように考えるかというのは、これは条件闘争にしてはいけない、それは切り離して考えなければいけないものだ。もっと申し上げれば、本土の人間は沖縄の痛みを和らげるためにいかなる犠牲を負うのかということを日本国政府として、総理として本土の人間にも語りかけられなければいかぬのではないか、私はそのように思うのであります。  沖縄に基地があるのはかわいそうです、日米安保体制は堅持しなければいけません、しかし、私のところに基地が来るのは嫌ですよ、そのような話が私は通用するとは思わないのです。本当に日本全体の安全のためであれば、それを沖縄に押しつけてはいけない。  さればこそ、先般の委員会で、なぜ沖縄に基地がなくてはいけませんか、なぜ沖縄なのですかということをお尋ねをいたしました。  そのときに、防衛庁長官並びに総理から御答弁をちょうだいをいたしました。その中でありましたのは、私が一つ気になりましたのは、今そこに基地があるという現状、そのことも考えなければいけないという御答弁防衛庁長官からあり、総理からもそのような御発言があったというふうに記憶をいたしております。議事録のとおりではございませんが、そのような御発言がございました。  それではきちんとした、大変失礼な言い方でございますが、きちんとしたお答えにはなっていない。そこにあるからということだけでは、もちろんそれがすべての真意だとは思いませんが、沖縄の県民を納得をさせることはできない。  私が本日お尋ねをしたいのは、なぜ基地があるか、なぜ米軍が必要かという漠然たる問いではなくて、なぜそこに海兵隊が必要なのかということでございます。  海兵隊という概念は日本人にはよくわからない。陸海空と、そういうものだろうと思っていて、海兵隊、マリンという、そういうような概念はなかなか我々日本人には理解をしにくいものでございます。  なぜ私がこのような質問をするかと申し上げますと、最近勉強してみますと、いろいろな方、見識があるといって世間からそれなりの評価を受けておられる方、そういう方々の中に、海兵隊を沖縄に常駐させる必要は今日ない、そういうような見解が見られるからであります。  例えばマイク・モチヅキ氏、これは米本土でもいいではないかという考え方であります。前防衛施設庁長官の宝珠山氏、日本国本土でどうだろうかという考え方を述べておられます。そのほかにも思いつくままに述べますと、元の防衛大学校長の猪木さん、この方もそういうような見解を述べておられます。  要するに三説ある。米本土に引き揚げても大丈夫である、日本の本土が受けるべきである、今のままでよい、韓国に少し持っていったらどうだ。四説と言ってもいいのかもしれません。そのようにございます。  それはどういうことかというと、湾岸戦争で我々が目の当たりにしましたように、今の海兵隊のやり方、今の戦争のやり方というのはどういうものか。我々が見たとおりであります。最初に徹底した空爆を行って向こうの反攻能力をそぐ、艦砲射撃を行う、しかる後にタイミングを見計らって水陸両方で使えるマリンが上陸をする、そういうようなことではないか。そして、アメリカの議会、アメリカの世論、どうすれば犠牲が最小であるかということでなければとても支持はできない。それを見事に具現化をしたのが湾岸戦争であったはずであります。  仮にアジアに有事が起こった場合に、まず行われることは空爆であり、相手の反攻能力をそぐということではないか。それから、タイミング、ベストのタイミングで海兵隊が出るということではないか。だとすれば、海兵隊が沖縄に常駐することの軍事的必然性いかんということになりはしないか、私はそのように思うのでございますが、御所見を承りたいと存じます。
  331. 池田行彦

    池田国務大臣 まず第一に申し上げておきますが、日本あるいは米国の識者の中に海兵隊の沖縄駐留は必ずしも必要でないという議論があるという御指摘でございますが、そういった論をなす方がおいでになるということは、私どももよく承知しております。  しかしながら、米国政府、クリントン大統領を初めといたしまして国防省、国務省、終始一貫いたしまして、日本を含むこの地域の安全を守っていくために米国の果たしていく役割、そのためには、我が国に駐留します海兵隊も含めました現在のプレゼンスが必要である、こういうことを明確にしているということは委員も御承知だと思います。それを第一点に申し上げておきます。  それから、御承知のとおり、沖縄におります海兵隊は、第三海兵機動展開部隊、こう称しておりますけれども、これは大体三つの構成要素から成っておりまして、一つが、砲兵、歩兵等から成るグループでございます第三海兵師団でございます。そして二番目が、第一海兵航空団と言っておりますヘリコプター部隊を中心とするものでございまして、そして第三番目に後方支援の部隊がある。こういう構成になっておりまして、この三つが一緒になりまして、いわば自己完結的な姿になって、そうして機動的に展開していく、そういった海兵隊の特質を持っているわけでございますね。だから、まずこういったものが一つの固まりとしていなくちゃいけないということは御理解いただいておると思います。  さあ、そういったことを前提にいたしまして、なぜ、例えばハワイとかグアムとか米本土ではいけないかというところでございますけれども、御承知のとおり、ハワイ等にもそういうものがございますけれども、あるいは米本土にもございますけれども、アメリカが日本を含むこの極東地域の平和、安定を守っていくという役割を果たしていかなくちゃいけない、こういうことを考えました場合には、緊急な事態がこの地域で起きましたときに迅速に展開していかなくちゃいけない、その迅速性という点から、やはり本土ではいけないという点があると思います。  その点につきまして、委員が御論議の中で、いや、その前に徹底的な空爆をやって、その次に第二段階として来るんだからという話がございました。恐らくそれは、したがって、当面は第七艦隊の艦載機か何かでこうやっておいて、その間に本土にある海兵隊を連れてくればいいというふうな御議論に展開していくのかなと思いながら聞いておりましたけれども、まあそういったケースもございましょうけれども、緊急事態というのは、それぞれのケースによってやはり個別具体的なものでございまして、状況はいろいろ違ってまいります。  だから、そういう委員のおっしゃるような状況の展開、それに対応するにはこれでいいというケースもあるかもしれませんけれども、決して危機状態は教科書どおりには起こってくれませんので、文字どおり、そういった緊急事態が起こったときに迅速に機動的に対応するというマリンの、海兵隊の性格からして、やはりこの極東地域の安定のために、本土ではなくてこの地域に、日本に駐留するという意義があるんだ、こう考えております。  それから二番目に、それじゃなぜ本土ではなくてという点でございますけれども、これはいろいろな考え方がございます。  先ほど委員は、現実にここに存在するからというのは、それは理屈にならないとおっしゃいました。確かにそれは、特に沖縄の県民の方々の耐えておられる御負担とかお気持ちをお考えすれば、そのことのみをもって、今現に存在するんだからここでというのは大変いけないことかと思います。一般論としては、日本の国民全体がみずからの安全の負担は分かち合っていかなくちゃいけないものだ、こうは思います。しかしながら、現実問題としては、やはりそういった要素も一つ否定できないという点はあるかと思います。しかし、この面ばかりを強調するわけではございません。  いま一つ申し上げたいと思いますのは、先ほど申しましたように、極東地域から、米本国から比べますと、非常に極東地域全般のいろいろな危機に対処し得るように、迅速に対応し得るのが脅威になるということを申しましたけれども、逆に申しますと、本土に比べまして沖縄の場合は、極東のいろいろな地域がございますが、そういったいろいろな極東の地域からある一定の距離を持っているという要素があるのでございますね。これはどこと特定するわけにもいきませんけれども、極東地域でいろいろな地域を持っているという意味ですが、ある一定の距離がある。  ということは、軍事上で言いますと、ある程度の縦深性……
  332. 深谷隆司

    深谷委員長 時間がないから、もう短くしてください。
  333. 池田行彦

    池田国務大臣 縦に長いというところがあると思う。こんなこともございまして、まあいろいろな要素を勘案して、現在沖縄に駐留します海兵隊は、やはりこの日本を含む極東地域の平和、安全のために必要であるというふうに考えている次第でございます。  一番最初に申し上げたところが一番重要でございます。
  334. 石破茂

    石破委員 時間が参りましたからなんでございますが、総理がきのう大田知事とお話しになられまして、この問題には正面から触れられなかった、それは今の朝鮮の状況を考えてみても、そしてまたアメリカの大使も決まっていない、そしてまた新政権の閣僚ともまだ意思の疎通ができていない、したがってもう一回やろうというお話でございました。それはそういうことであろうと私も思います。  しかし、今必要なのは、私が最初にお聞きをいたしましたのは、何も、撤退せよ、海兵隊は沖縄から引き揚げるべきだ、そういう議論をいたしたくてこういう話をしたのではございません。なぜそこに海兵隊が必要なのかということを本当に沖縄の方々に御理解をいただくということは、残念ながら今の御答弁では不十分であろうというふうに思います。  そこで、痛みがなお沖縄に残るとするならば、そしてそれが本土に受け入れられないとするならば、本土はいかなる負担をすべきかということを正面から私は総理に問うていただきたい。それが今の政治にとって必要なことであり、先般も申し上げました日米ガイドラインにおきましても、憲法を変えなきゃだめなんだというようなことでは、これは本当に今の日本とアメリカの信頼関係は保てるだろうか。いざとなったらアメリカには助けてもらうが、日本人が困ったらアメリカには救出に来てもらうが、アメリカ人が困ったときは政府専用機は飛ばせませんよ、そういうことで本当に日本とアメリカの信頼関係はきちんとしたものとして維持をしていくことができるであろうか。国民のために法律があるのであって、法律のために国民があるわけじゃない。私はその姿勢を何としても橋本総理にお願いをしたい、そのように要望を申し上げるところでありますが、御所見がありましたら承りたいと存じます。
  335. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ある意味では、沖縄の問題だけではなく、我々は日常よくそういう同じような問題点に遭遇をいたします。  自分の家でフルに電力は使いたい、最新鋭の電気器具を使って暮らしたい、停電は絶対に嫌だ、しかし、自分の家の周辺に原子力発電所は欲しくない、原子力発電には反対である。社会的にごみを減らすことには賛成だけれども、自分のうちのごみはだれかが引き取っていってもらいたい、そして自分の居住地域内にごみ処理の施設がつくられることには徹底的に反対だ。ややもすると、そういう話がこのごろとげとげしく耳に入ります。  そして、先ほど私は、古堅委員のみずからの体験、その延長線上での沖縄県に対する思い、それを土台にした御質問を受けました。ある意味では非常にお答えのしにくい御質問でありましたけれども、あえて私は、議員と残念ながら考えを一にできないということを申し上げました。  そして私は、日米安全保障条約というものによって我々はアメリカに多くのことをゆだねている、条約上の義務も当然我々は果たさなければならない。その中において、非常に沖縄県の皆さんに対しては申しわけない部分も持っておりますけれども、地理的な要件あるいは機動展開部隊という海兵隊の持つ性格、そしてその自己完結的な訓練支援体制等々、さらには、議員は現にあるということは理由にならないと言われましたが、しかしそれも理由の一つだと私は思います。そして、それを抜きにして答えを申し上げるということは私はうそになると思います。  そして、そういう意味ではやはり、外務大臣からも御答弁をいたしましたように、緊急な展開を必要とする場合の行動半径の中に、一定の距離を持ちながら、しかも迅速な対応を実現し得る、そして、例えば本土のどこかにこれが位置する場合とは違った、縦の深さ、縦深性を持つことができる、こうした要件というものが今日の土台にはあると思っております。  その上で、なおかつ我々は、一〇四号線越えの射撃訓練でありますとかKC130の岩国移転でありますとか、その機能の中でもできるだけ本土の基地に、また演習地にその機能を移したいという努力を一方で払っておりますから、協力をしていただけるところも可能性として出てはまいりましたものの、必ずしもこれを受けていただける状況ばかりではございません。そうした意味でも、一層我々が努力を払っていく必要性は極めて高いと考えております。  そしてその上で、あえて先ほど、五月十四日から十五日へのカレンダーの切りかえを非常に強調されました。私にとってもそうです。私にというより、この国にとってこの日付は非常に大事です。その上で、収用委員会の努力というものがこれから始まろうとしているとき、それを期待をせずに結論を出すことは私はすべきではないと思っております。そして、そういう思いを昨夜大田知事にも申し上げました。
  336. 石破茂

    石破委員 ありがとうございました。  終わります。
  337. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて石破君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十九日午前九時より委員会を開会し、引き続き集中審議を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会