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石破委員 私は、最近つくづく何のために選挙制度というのを変えたのかなというふうに思うことがございます。
いろいろな理由はあったとは思いますが、その中の
一つは、やはり湾岸戦争に対する対応の反省だったのだろうというふうに思っています。あのときにどうしていいのかということがわからなかった。冷戦の中にあって、日本は何をすべきかということを主体的に考えたことがなかった。だから、お金を出すのか、人的貢献は何ができるのかというような大変混乱した議論になってしまった。
今までは、票にもならない、金にもならない、そして冷戦構造である種の安定の中にある、だから有権者に選挙のときに正面から安全保障ということを問いかけなくてもよかった。
しかし、これから先は、本当に有権者一人一人が、日本国の安全保障というのはいかにあるべきか、日本国の安全保障のために一人一人はどのような負担を負わなければいけないのかということを考えるためにそういうような制度を入れた、私はそのように今でも思っておるところでございます。
連日の
質疑を拝聴いたしておりまして、総理が誠心誠意、そして真剣に、本当に熱心にこの問題に取り組んでおられるということは、議場の議員のみならず、恐らく日本
国民の多くの人間が総理のそのような姿勢を理解しておろう、私はそのように思います。
総理にお願いを申し上げたいのは、五月十四日の期限切れが来るまでは何とかその結論が早く出るようにと願うということ、そのことはよく私は理解をしておるつもりであります。しかしながら、では、そうでなかったときにどうするのか、どうあるべきなのかということを、私はある時点で
国民に総理がこうあるべきだということを問いかけられる、それが必要なことであろうというふうに思っておるところでございます。御
答弁は要りません。
その上で申し上げますが、私は、この五月十四日に切れたとして、
使用権原なし、不法占拠状態、そういうようなことは決してあってはならないことだというふうに信じております。
確かに、一坪地主であろうが、座布団地主であろうが、その政治的な思惑がどうであろうが、その人たちの権利を守らなきゃいけないということもあるでしょう。憲法上の私有財産権を
保護するということもあるでしょう。
しかし、もう片一方に、日本国として持っておる条約遵守義務を果たすという義務を国は負うておるはずであります。そのことはどうしても国として果たしていかねばならないことだ、そのように思っておりますので、冒頭に御要望を申し上げておきます。
さて、そのことと、五月十四日に不法占拠状態ということにしてはならないということと、沖縄の問題をどのように考えるかというのは、これは条件闘争にしてはいけない、それは切り離して考えなければいけないものだ。もっと申し上げれば、本土の人間は沖縄の痛みを和らげるためにいかなる犠牲を負うのかということを日本国
政府として、総理として本土の人間にも語りかけられなければいかぬのではないか、私はそのように思うのであります。
沖縄に基地があるのはかわいそうです、日米安保体制は堅持しなければいけません、しかし、私のところに基地が来るのは嫌ですよ、そのような話が私は通用するとは思わないのです。本当に日本全体の安全のためであれば、それを沖縄に押しつけてはいけない。
さればこそ、先般の
委員会で、なぜ沖縄に基地がなくてはいけませんか、なぜ沖縄なのですかということをお尋ねをいたしました。
そのときに、
防衛庁長官並びに総理から御
答弁をちょうだいをいたしました。その中でありましたのは、私が
一つ気になりましたのは、今そこに基地があるという現状、そのことも考えなければいけないという御
答弁が
防衛庁長官からあり、総理からもそのような御発言があったというふうに記憶をいたしております。議事録のとおりではございませんが、そのような御発言がございました。
それではきちんとした、大変失礼な言い方でございますが、きちんとした
お答えにはなっていない。そこにあるからということだけでは、もちろんそれがすべての真意だとは思いませんが、沖縄の県民を納得をさせることはできない。
私が本日お尋ねをしたいのは、なぜ基地があるか、なぜ米軍が必要かという漠然たる問いではなくて、なぜそこに海兵隊が必要なのかということでございます。
海兵隊という概念は日本人にはよくわからない。陸海空と、そういうものだろうと思っていて、海兵隊、マリンという、そういうような概念はなかなか我々日本人には理解をしにくいものでございます。
なぜ私がこのような質問をするかと申し上げますと、最近勉強してみますと、いろいろな方、見識があるといって世間からそれなりの評価を受けておられる方、そういう方々の中に、海兵隊を沖縄に常駐させる必要は今日ない、そういうような見解が見られるからであります。
例えばマイク・モチヅキ氏、これは米本土でもいいではないかという考え方であります。前
防衛施設庁長官の宝珠山氏、日本国本土でどうだろうかという考え方を述べておられます。そのほかにも思いつくままに述べますと、元の防衛大学校長の猪木さん、この方もそういうような見解を述べておられます。
要するに三説ある。米本土に引き揚げても大丈夫である、日本の本土が受けるべきである、今のままでよい、韓国に少し持っていったらどうだ。四説と言ってもいいのかもしれません。そのようにございます。
それはどういうことかというと、湾岸戦争で我々が目の当たりにしましたように、今の海兵隊のやり方、今の戦争のやり方というのはどういうものか。我々が見たとおりであります。最初に徹底した空爆を行って向こうの反攻能力をそぐ、艦砲射撃を行う、しかる後にタイミングを見計らって水陸両方で使えるマリンが上陸をする、そういうようなことではないか。そして、アメリカの議会、アメリカの世論、どうすれば犠牲が最小であるかということでなければとても支持はできない。それを見事に具現化をしたのが湾岸戦争であったはずであります。
仮にアジアに有事が起こった場合に、まず行われることは空爆であり、相手の反攻能力をそぐということではないか。それから、タイミング、ベストのタイミングで海兵隊が出るということではないか。だとすれば、海兵隊が沖縄に常駐することの軍事的必然性いかんということになりはしないか、私はそのように思うのでございますが、御所見を承りたいと存じます。