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1997-02-17 第140回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月十七日(月曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    石川 要三君       臼井日出男君    江藤 隆美君       尾身 幸次君    越智 伊平君       越智 通雄君    大石 秀政君       大原 一三君    菊池福治郎君       桜井  新君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    橘 康太郎君       中山 正暉君    野中 広務君       葉梨 信行君    林  幹雄君       松永  光君    村上誠一郎君       村山 達雄君    谷津 義男君       愛知 和男君    愛野興一郎君       石田 勝之君    太田 昭宏君       岡田 克也君    北側 一雄君       小池百合子君    田中 慶秋君       中井  洽君    西川 知雄君       生方 幸夫君    海江田万里君       川内 博史君    仙谷 由人君       日野 市朗君    松本 善明君       矢島 恒夫君    秋葉 忠利君       上原 康助君    北沢 清功君       岩國 哲人君    前田 武志君       新井 将敬君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 松浦  功君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長   田波 耕治君         内閣官房内閣安         全保障室長   三井 康有君         内閣法制局長官 大森 政輔君         行政改革会議事         務局次長    八木 俊道君         国際平和協力本         部事務局長   高野幸二郎君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁交通局長 田中 節夫君         警察庁警備局長 杉田 和博君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁装備局長 鴇田 勝彦君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁物価         局長      河出 英治君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁科学         技術政策局長  近藤 隆彦君         科学技術庁研究         開発局長    落合 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         環境庁長官官房         長       岡田 康彦君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         国土庁土地局長 窪田  武君         法務大臣官房長 頃安 健司君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房長 涌井 洋治君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊田 英資君         国税庁次長   堀田 隆夫君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         厚生大臣官房総         務審議官    中西 明典君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省薬務局長 丸山 晴男君         厚生省保険局長 高木 俊明君         社会保険庁運営         部長      真野  章君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         林野庁長官   高橋  勲君         水産庁長官   嶌田 道夫君         水産庁次官   石川 賢広君         通商産業大臣官         房長      広瀬 勝貞君         通商産業省産業         政策局長    渡辺  修君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         工業技術院長  佐藤 壮郎君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 泰彦君         運輸省運輸政策         局長      相原  力君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     荒谷 俊昭君         運輸省港湾局長 木本 英明君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         海上保安庁長官 土坂 泰敏君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         郵政省通信政策         局長      木村  強君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    村瀬 興一君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     大石 秀政君   松永  光君     林  幹雄君   村上誠一郎君     橘 康太郎君   仙谷 由人君     川内 博史君   上原 康助君     秋葉 忠利君   岩國 哲人君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     越智 伊平君   橘 康太郎君     村上誠一郎君   林  幹雄君     松永  光君   川内 博史君     仙谷 由人君   秋葉 忠利君     上原 康助君   前田 武志君     岩國 哲人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北沢清功君。
  3. 北沢清功

    北沢委員 おはようございます。社民党の北沢清功でございますが、きょうは一般質問でありますので、広く数点にわたってお尋ねをいたしたいと思います。  まず、武藤総務長官お尋ねをいたしたいと思います。  長官は、二月五日の当予算委員会で、雇用促進事業団業務質問に対しまして、もし党の方で雇用促進事業団が必要でないという御結論をいただければ、私の方は事務的にもそのような形でこの問題に対処していける、いわゆる廃止方向で対処していけると思っておりますという御発言がございました。この御発言は、自民党が直接行政を指導しているかのような印象を持つものでありますが、真意はいかがでしょうか。
  4. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 決して自民党だけでというつもりで言ったわけではございませんけれども、私は今政府側におりますので、余りそういう具体的にいろいろ申し上げてはいかがかと思いますが、今自民党といたしましては、与党三党という立場で社民、さきがけの御協力もいただきながら政策を進めておりますので、党として方向が決まれば与党政策調整会議でもお諮りをいただける、その辺まで私が御説明すればよかったのでございますが、当然、そういうつもりでございます。  いずれにしても、まず自民党の中で今検討していただいておりますので、そこでいろいろの方向が出てくれば、私の方も行政監察局においていろいろと特殊法人見直しについて平成九年度で監察対象にいたすつもりでおりますから、その辺も踏まえて申し上げたわけでございます。
  5. 北沢清功

    北沢委員 御答弁については了承をいたしました。  私は、行革が非常に今日の重要な課題でありますが、特殊法人についても、それぞれの党の意見によって幅広い論議を持つ方針を決定をしていただきまして、ここにお願いをしておきたいと思います。  実は、きょうは労働大臣の御出席を要請いたしませんので、私は雇用の問題について若干私見を述べさせていただきますが、私はいわゆる族議員ではありません。今後の規制緩和の進め方、行革あり方で、雇用あり方は、首相の言われるような、痛みを伴うものだとのたびたびの御発言がありました。今日まで、規制緩和権限手続緩和、官の権限を、また手続改革をするというのがいわゆる国民の側からすれば当然のことであって、これからがいわゆる規制緩和の私は正念場であろうというふうに認識をしております。そして今、雇用の確保というものが世界各国改革を進める過程で最も最大テーマであることは、サミットを見ても事実であります。  私は、今日の中で、特に、世界という雑誌がございまして、二月号に、経団連の政策提言では、規制緩和の結果、九百四十三万人の失業者が出ると予測をされております。これはまさに市場経済至上主義の帰結でございますが、規制緩和があるとすれば、の中ではなおさらでございます。いずれ産業構造改革の中では吸収される部門もありますが、なかなか吸収されないこともあるだろう。これを称して痛みとするならば、私は大変なことだと思います。  競争原理の中で力の強い者が勝つということも決着としてあるわけであります。さらに重要なことは、今回政府提案になりますいわゆる職業能力開発促進法及び雇用促進事業団法の一部改正をするという、今国会法案提案をされ討議をされるわけでありますが、簡単に言いますと、いろいろございますが、今日の課題の中で、いわゆるこの職業能力というものの向上というのがあらゆる分野で大変なことでありまして、今までと違って、さらに高度な開発総合大学校を設置をするとか、または基本理念といたしましては、いわゆる 職業能力開発及び向上促進は、労働者の自発的な職業能力開発及び向上のための努力を助長するということに配慮しつつ行われることを理念とすると三条で述べられております。  そして、第二の雇用促進事業団の一部改正は、いわゆる雇用促進事業団が大学の設置運営を行うこと、もろもろの労働者職業能力開発向上について、事業主等に対する相談その他援助教育能力検定援助等事業主への援助の要請という形で、これはますます事業団業務が伸びていくわけであります。それと今の廃止という方向発言とは、実は私は、法案を通じて、なぜ提案をするかということと廃止ということがもしつながるとするならば、これは矛盾するものではないか。  私は、もちろん事業団の中における問題については改革をしなければならない点も多々あるというふうに思いますけれども、本筋は、これからの時代、特に諸外国としても先ほど申し上げたような最大テーマである、そして国民の中にも改革の中身について心配する向きがあるということも、大量失業者時代と言われる時代への突入が実は予想されるからであります。ここの中での論議をもっとそれぞれ幅広く問われなければならない、私はそういうふうに思っております。このことも今の問題とあわせて、私見として申し上げたいというふうに思っております。  次に、これは二月十三日の朝日新聞の夕刊に取り上げたものですが、これも行革の問題につながりますからお尋ねをいたしたいと思いますが、ここには現在の縦割り行政弊害が極めて象徴的に私はあらわれているように思います。  内容は、公共事業で掘り出された建設残土処理をするために、東京都においては二つの第三セクターがございます。違いは、残土を陸上でトラック輸送するか、船で海上輸送するかということだけでございます。それぞれ建設省運輸省の主導というふうになっておりまして、それぞれのOB社長を務め、建設省系列首都圏建設資源高度化センターは、職員十三名に対しまして常勤役員が四名、それから運輸省系列沿岸環境開発資源利用センターでは、職員八名に対しまして何と五人の常勤役員が勤めておりまして、いわゆる常勤が九名でございます。全員が二つの省と東京都、横浜市のOB出向者だということでございます。  それぞれ主張があると思いますが、直ちに一本化は大変難しい課題であろうというふうに思います。そういう中で、直ちに一本化、大変難しい課題ではありますけれども、こうしたところからむだを省くという姿勢を示されていただかないと、縦割り行政のむだ、弊害という批判に対して説明がつかぬではないかというふうに思うわけであります。その点について、建設大臣並びに運輸大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  6. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ただいまの御質問でございますが、先生御案内のとおり、建設残土十分資源として再利用できるものでございますが、昭和五十年代から受け入れ地がだんだん少なくなってきたという事情がございまして、これらの問題を解決しなければならぬということで、関係筋相集まりまして今後の対策を協議いたしました。  その際、私ども建設省が中心になりまして各関係者意見のまとめをやってきたわけでございますが、その結果、御指摘首都圏建設資源高度化センターというのは平成三年の六月に設立されたわけでございますが、これも御案内と思いますが、この株主構成は、東京都を初めといたします関係自治体五団体、それから若干の民間企業ということでございまして、私ども建設省も、あるいはまたその関係機関も一切出資はいたしておりません。  そういうことでございますので、今後どうするのかという方針につきましては私ども建設省は直接お答えする立場にはございませんけれども、いずれにいたしましても、現在の経営陣あるいは出資者が適切に判断すべきものというふうに考えております。  なお、先ほど役員構成についてお話がございましたけれども社長は非常勤でございまして、そのほか常勤の取締役が三名、そのほか監査役が一名、こういう構成になっておりますので、つけ加えさせていただきます。
  7. 木本英明

    木本政府委員 今建設省の方からお話がありましたように、首都圏残土、いろいろ問題になっておりまして、やはり残土を再資源として有効利用していくという観点から、全国いろいろな港で埋め立てをやっているわけですけれども、その埋立用材として再利用できないか、こういった観点からいろいろ首都圏自治体等が御検討されまして、私どももその設立協力をさせていただいたわけですけれども沿岸環境開発資源利用センターというのが設立されまして、首都圏から出るそういった残土を全国の港の埋立地に利用していこう、こういったことで、土砂運搬方法だとか土砂処理方法等、いろいろシステムを考えまして、そして有効に活用していこう、こういった観点でできたわけでございます。  いろいろ言われておりますけれども、私どもから見れば、内陸における処理システムとそういう海上の埋め立てでやっていく処理システムというのは、やはり専門的な知見だとか情報だとかいろいろ異なるわけでございまして、そういった経緯から、現在、そういう二法人といいますか、二社が存在してそれぞれ有効に残土処理に当たっている、こういうふうな認識をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、建設省の方からお話がありましたように、この沿岸環境開発資源利用センター首都圏自治体民間の方が出資をされましてっくられた会社でありまして、どういう組織に今後していくのかということについては、やはりそういった株主さんだとかあるいは会社の方で判断をされていくべきではなかろうかな、こういうふうに考えております。
  8. 北沢清功

    北沢委員 それぞれ御答弁をいただいたわけですが、やはり主張もありますし、また課題もあると思いますが、そうした中で、残土処理に第三セクター二つあり、陸路と海路の運搬にかかわる問題でございまして、やはりこういうものを一本化をしていわゆる縦割り行政のむだをしないという、この弊害に対しまして、こういう常識的な説明のつかないことは、やはりこれを大きな角度で調整をするとか、方針をいただくとかいうような形で、これらの事例を踏まえて、担当責任者であります総務長官はいかが思っておりましょうか、御見解をお伺いをいたしたいと思います。
  9. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 その前に、先ほど雇用促進事業団に関しまして御所見をちょうだいをいたしました。私ども考え方を少し申し上げさせていただきたいと思うのでございますけれども、私どもとしては、今行政改革、これは何も中央省庁統廃合だけではなくて、当然特殊法人についても見直しをしなきゃならない。特に特殊法人については、多額の助成金あるいは財投からの資金が流れておるわけでございますし、また、天下りの問題についても大変御批判をいただいております。  確かに、今、私ども今度の国会に上程する法案の中でも、村山内閣のときにお決めをいただきましたものの法案があります。それはそれといたしまして、将来として、私どもはやはり行政改革は全般的にぜひ見直しをさせていただいて、少なくともその設立目的を達成しているもの、あるいは今の時代において必ずしもこれをそこでやらなきゃならないのかどうかという疑問のあるもの、こういうものについてはやはり見直しをさせていただきたいと思っているわけでございます。  雇用促進事業団につきましても、従来の、少なくとも最初の設立目的炭鉱離職者から出てきたわけでございまして、そういう離職者住宅供給という面からいきますと、これは私はその目的を達しておる、こういうふうに判断をいたしているわけでございます。  ただ、今御指摘のありました新しい分野がございます。この分野雇用促進事業団そのものを残しておかなければできないのか、それともその分 野はその分野で何らかの形で一つセクターをつくってやっていけばできるのではないか、こんな考え方も持って検討を進めておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。  何にしても、このような財政再建をするためにも、私どもとしては、民間リストラをやっておられるとき、やはり国も思い切ってリストラをやらなきゃいけない。その中には、中央省庁の問題だけではなくて、特殊法人も当然その対象として私どもは考えていきたい、この辺だけは御理解をいただきたいと思います。  それから、それと非常に関連をいたしますが、中央省庁統廃合につきましても、一つは、財政再建をするためにはリストラをしていかなきゃならない。  それからもう一つは、時代に合っていない明治以来の現在の機構というのが問題がある。その中に、今御指摘のありました縦割り行政というものも入っているわけでございまして、縦割り行政のために、国民のサイドから見れば非常にむだが多いとか、そしてまた今御指摘のように、同じような仕事が、省が違うために多少そのやり方は違うにいたしましても、まあ似たようなことをやっている。こういうものはやはり、私は、できるだけ今後はなくすような方向に行かなきゃいけない。そういう面で、縦割り行政弊害をなくすような方向行政改革をやっていかなきゃいけないと思っております。  いま一つは、中央だけやりましても、今御指摘のように、地方の方が膨れ上がったんじゃ何にもならないわけでございますから、自治省を通じてお願いをいたしておりますけれども、地方自治体においても思い切って中央と同じような方向改革をやっていただきたい、こうお願いをいたしておりまして、今御指摘のような案件はまさにそれに当たるのではないかと思っております。
  10. 北沢清功

    北沢委員 そういう姿勢で私はいいと思いますので、中央、地方を問わず、やはり縦割り行政弊害というものをなくしていくために、もっともっとあらゆる角度から、矛盾やあり方、またそして、いわゆる天下りも含めて検討する課題が非常に多いのではないかというふうに実は考えております。  それから、今特殊法人見直しについてお話がございました。私は、このこともやはり徹底的に詰めていかなきゃならない問題であるということは十分理解をしております。  たまたま、後段私の私見として述べたものは、これから、いわゆる規制緩和、市場原理という形の中でやはり国民の中には、何といいますか、環境の規制緩和については守ってもらいたいということもありますが、あらゆる分野で大変なことであろうというふうに私は思っています。今規制緩和が、対象品目があるわけで、半分は既に達成をしておるということでありますが、残ったところに非常にそういう意味での問題点があると思います。  またそして、雇用促進事業団炭鉱離職者という目的でのものは達したわけでありますから、私は、その中で事業的に不適切なものがあるということを実は今日の段階で申し上げたわけでありまして、その中身や時代的必要性というものについては、雇用促進をするということは非常に大きな、世界的にもまた国内的にも大変な、失業者というものをなくするという意味で大変である。  ですから、私は、名前にこだわるわけでございませんが、見直しつつ、適切な機関としてもこのことに取り組んでいただきたいということだけは申し上げておきたいと思います。そういう意味で御理解をいただければありがたいと思います。  それでは、最近、神奈川県の予算編成の中で、本年度の最重点事業として、いわゆる神奈川県における水不足というものに対応しまして、その水源地である相模湖なり、また横浜市もそうでございますが、何とかという川も含めて、積極的に木を植えていこう、植林をしよう、それから、やはり木も、もやもやした、ぼやぼやしたものではいけないから手入れをしていこう、そういうことで、数千ヘクタールにわたって、相当なお金を投入をして、実は、水がめを確保するためということで事業がことしから進められるというふうに聞いております。  私は、やはり水こそ命の綱でありますし、そして、森林こそ命の源である、都市の住人にとってこれを確保することがやはり最大の政治課題一つであるということを、このことの中で実は実証されておるというふうに私は思っております。  森林の持つ公益性というものが、言うまでもなく、実は私も信州の山の中で生まれたものですから、そういう意味で、現状は十分に実は把握をしております。自然環境の保持と水資源の涵養、生活の多様性の保持、国土保全など、いわゆる人間の本質的な、そして多種多様な要求をする公益性というものが機能を有しておるわけでありまして、特に本年の六月は国連環境開発会議が実は日本で開かれまして、持続可能な森林経営に向けて国際的合意がなされる予定でございます。  そしてまた十二月は、日本でも気候変動枠組み条約締結国際会議が開かれる予定でありまして、特に地球の温暖化対策を強く求めているわけでございまして、私は、やはり政府としての、二酸化炭素の固定をしなければいけないわけでありますが、公益的機能の評価によって、改めて試算をしますと、やはり国民の森林に対する認識を高めることが必要と考えますが、この点についていかがでしょうか。農林大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  11. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 今、森林の持つ公益的な機能につきまして、いろいろと御意見をいただきました。私どもも、森林は国土面積の七割でございますし、それから、国土保全であるとか、さらには水資源の涵養機能であるとか、酸素の補給であるとか、いろいろな公益的な機能を森林は持っておるわけでございまして、国民にとりまして、国土にとりまして非常に大きな役割を果たしておるわけでございます。  この公益的な機能を経済的な価値として試算を平成三年にいたしたわけでございますが、およそ三十九兆二千億円と試算をいたしております。この試算額も含めまして、白書、パンフレットなどに記載をし、この森林の持つ公益的な機能を大いに国民の皆様方に御理解いただいて、森林を守る、また育てるということについて、御協力、御理解をいただきたいというような考え方で今進めておるところでございます。
  12. 北沢清功

    北沢委員 三十九兆という非常に大きな効率といいますか、経済効果というものが我々の周辺にあるわけでございまして、それにしては林業の状況というのは極めて苦境にある、そのことが問われる、やはり国民的な要求というものが高まる中での政府の投資のあり方というものも改めて考えていかなければならないんじゃないかという課題であろう、私はそう思っております。  したがって、森林と、それを支える林業、林産業、また山村は長引く木材不況や過疎化、林業労働者等の不足などで不振を続けて、いわゆる林業の利回りというものがマイナスに転じているということが予測をされるわけでありまして、なりわいとしての存立が問われております。このことは、民有林、国有林を問わず、森林の保全機能の管理の不十分からくるいわゆる森林の荒廃を招来せしめておるわけでございまして、長野県の小谷村の土石流災害に見られるごとく、また昨今の全国的な山地の災害の多発ということを考えて、また都市部の水不足についてもこれらとは無関係ではないと思います。  どうか、森林・林業の問題が国土政策、環境政策、水資源確保の上から一体的に、しかも総合的に対策を講ずべきは当然でありまして、政府の責任、役割は極めて私は大きいと思います。単に農水省の問題とすることなく、関係各省へも働きかけて取り組みを進めていくことが必要だというふうに思いますが、この点についてのお考えをいただきたいと思います。
  13. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 今委員指摘の山村振興、森林の保全のために山村振興を図っていくということ は非常に大きな課題でございますし、今言われました木材、林業の振興であるとか、またいろいろな意味で森林の開発のために施設をつくる、また施策を進めていくということは大事な問題でございます。  この対策につきましては林野庁が今全力を挙げて取り組んでおるわけでございますが、御指摘のように、いろいろな省庁との関係もあるわけでございまして、平成三年度から、林野庁、自治省、国土庁で森林・山村検討会を設置をいたしまして、平成五年度から事業を進めておる、こういう状況でございまして、私ども、森林の持つ公益的な機能を考えますときに、これからさらにこの振興について全力を尽くしていかなければならぬというふうに考えておりますので、どうぞ御支援のほどをお願い申し上げます。
  14. 北沢清功

    北沢委員 大いにしっかりやっていただきたいと思うわけであります。  続いて、今言われるような公共財としての森林と、これを支える林業、林産物の現状や見通し、そして今後の政策展開に当たっての考え方について簡単に御答弁をお伺いをいたしたいと思います。
  15. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 林野庁によります山村振興対策といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、山村における重要な産業でございます林業、木材産業の振興を図るということは非常に重要な課題であると考えております。また、森林を活用いたしましてレクリエーション施設の整備ということも、これまた重要な施策であると考えております。さらに、環境の整備を図る意味で、集落排水施設などを整備をいたしまして、この森林保全のための山村の振興のために定住基盤を整備していく、こういう点について、私どもといたしましては力を入れていきたいというふうに考えております。
  16. 北沢清功

    北沢委員 総合的な対策はもちろん急務だというふうに思いますが、特にその中で、現在の社会の動きとともに、このまま山の手入れが行き届かない、またはその間伐がされないというような荒廃が非常に急速に今進んでいるわけでありまして、これを支える山村が活力を失って支え切れなくなってきているということであります。  森林というのは、五十年、百年たたないと結果が実らなくて、現在のような経済効率のみを重視する社会においては、すぐ報われることのないこの山仕事、重労働に従事をする人たちが非常に減少の一途をたどっているということは、生計が立てられない現状であればなおのこと、当然の結果でございます。  この悪循環を断ち切って、森林をよみがえらせるためにも、大局的な視野から山村の活性化をすることの重要性というものを痛感せざるを得ません。ぜひ、山村への対策の見通しについても前向きな御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 高橋勲

    高橋政府委員 現在、一千万ヘクタールの人工林が育ちつつあるわけでありますが、その森林の手入れ、間伐を初めとする手入れがおくれております。やはり、それが経済財としてきちんと利用されるというふうな体制をとらなければいけませんので、昨年成立させていただきました林野三法、林業の経営基盤の整備、労働力の確保、それから木材の利用の促進、こういうふうな形できちんと林業と木材産業がリサイクルしていくように、その活動が山村を振興していくように積極的に取り組んでいきたいと存じております。
  18. 北沢清功

    北沢委員 まあこの点で、森林のあり方についての私なりのお訴えを、山村におる者として特に強調を申し上げたわけであります。  続いて、実は私は、昨年の九月にオーストリーのウィーンにおきまして、そのウィーンの住宅街の街角で、鋳鉄製のふたのついた大きな箱を見ました。その箱は幾つか、五、六個あったと思いますが、赤や青や黄等の表示がされておりまして、これが一見してごみ分別収集箱であるということが実はわかりました。私は、この箱を見ていまして、日本のそれと異なって、非常に重みを感じました。こんな小国でもいかにこのようなことにがっしりと取り組んでいるかという姿が私には理解をされたのでございます。  さて、私は、ますます増加をいたしますごみ処理をめぐって、地球上の限られた資源の中で再利用を目指す容器包装リサイクル法がいよいよこの四月一日からスタートをするということで、まず、この制度の意味するところや目指すところについて小泉厚生大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  19. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 これからの社会を考えますと、資源は有限である、何でも使いましょう、捨てましようというそういう時代ではなくて、いかに有効に資源を利用していくか、そして大量に排出されるごみの減量化を図り、その再利用を図っていくかということが、多くの方々からその重要性が認識されております。  そういう中で、四月一日から、市町村、事業者、消費者、相協力してごみの減量化と有効な資源の利用を図るという意味からこのリサイクル法を施行されるわけでありまして、これの定着に向けて国民の御理解、御協力をぜひとも得たいと思っております。
  20. 北沢清功

    北沢委員 今御答弁にありましたように、趣旨は非常に大事なことであり、結構でありまして、現在のごみリサイクル率というものは日本では八%にすぎない現状でございます。大切な役割を持った法律としてこの活用が期待されるわけでございますが、その現状について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  まず、対象になっているごみは、市町村が分別収集をして、事業者が再商品化の義務を負うということで、両者を結ぶかなめの役割を担うのが、今御説明をされました趣旨に基づいて新しく設立されました財団法人日本容器包装リサイクル協会ということで、四月の分類収集に向けて、この協会に対する市町村の申し込みが大体どのくらいあるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  21. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 お尋ねの容器包装リサイクル法に基づきまして、平成九年度から同法の再商品化義務対象となっておりますものはガラス瓶とPETボトルでございますが、これにつきまして、これらのガラス瓶あるいはPETボトルを四月から分別収集を開始するというふうにしております市町村数は、私ども把握しております段階では千八百三十七でございます。そのうち、今御質問のございました、指定法人に引き取りや再商品化業務を申し込んだ市町村の数につきましては、現在、指定法人において取りまとめ中でございますけれども、おおむね九百五十程度というふうに聞いております。
  22. 北沢清功

    北沢委員 現在三千三百が市町村の数でございますから、九百という申し込みについては、四月一日という発足でございますから、少ないように実は見ております。  私の聞き及んでいる限りでは、分別収集や運搬、それと保管のための設備などが非常にかかるというか、その伸びに対処できないということも一つの原因ではないかというふうに実は思っているわけでございます。せっかくのよい制度がこのままでは宝の持ちぐされになりはしないかというふうに思うわけでありますが、これについての対策はいかがでございますか、お伺いをいたしたいと思います。
  23. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 分別収集を行う市町村とそれから指定法人に申し込んでいる市町村の差の問題でございますが、委員案内のとおり、分別収集につきましては、従前から非常に熱心に取り組んでいる市町村、前から取り組んでいるという市町村も現実には存在をしているわけでございまして、分別収集しました容器包装材がいわゆる有価物としてリサイクルされる場合がございます。その場合には、リサイクル業者に直接売却する市町村があるといったことがございますし、さらに、今申しました従前からやっております場合には、既にリサイクル業者が存在をしておりまして、そのルートを通じましてうまく再生利用されているというふうなケースもございますことから、若干 の差があるということは、そういったことにもよるというふうに考えております。  なお、今御指摘の点でございますが、容器包装リサイクル法の円滑な実施のためには、リサイクル関連施設の整備を着実に推進することは私どもも極めて重要なことというふうに認識をいたしております。このために、リサイクルプラザでありますとか保管施設等のリサイクル関連施設の重点的な整備を図ることといたしておりまして、平成九年度予算案におきましても、これらを含めまして、廃棄物処理施設整備補助金を対前年比四・八%増で計上いたしているところでございまして、こういったことを踏まえまして、リサイクル関連施設の整備につきまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  24. 北沢清功

    北沢委員 実態がわかりました。  しかし、やはりさまざまな再利用のために手間をかけ、コストを費やして、本当の意味で、四月一日という中で商品化されるという見通しが立っているかということについては、実は一抹の不安があると私は思います。わざわざコストをかけて形を変えたごみの山が出るではないかという、また一方には心配がございます。  私の調査によりまして、これによって八十万トンのいわゆる分類収集した原料がつくられますが、それぞれ使用できると申している商社は、五十万トンという数字が上がっております。したがって、三十万トンの量が余るということになりますが、例えばそうしたものの再商品化の目安というものはおありでしょうか。強制的に使用を義務づけるなどの対策もない限り、せっかくの再利用は難しく思われますが、これらを含めて、見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  25. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 容器包装リサイクル法の本年四月からの本格的な施行に先立ちまして、再商品化見込み量を示します再商品化計画及び各市町村で分別収集されます分別収集見込み量を示す分別収集計画が昨年策定をされまして、公表されております。  同計画によりますと、平成九年度のガラス瓶について見ますと、委員今御指摘のとおり、再商品化見込み量が五十三万トンでございますが、それに対しまして分別収集見込み量が八十三万トンというふうに上回っていることは事実でございます。したがいまして、再商品化見込み量及び分別収集見込み量がいずれも計画どおりとなった場合には、分別収集されましたものの一部は再商品化されずに、そのまま市町村の保管施設に残される結果となるわけでございます。  このようなことがないように、現在、関係省庁の課長レベルで、分別収集されましたガラス瓶の再商品化需要拡大を検討していまして、早急な問題解決を目指しているところでございます。  また、市町村におきましても、再使用可能な生き瓶の積極的な抜き取り等につきまして、助言をいたしているところでございます。
  26. 北沢清功

    北沢委員 このことが最大の効果を上げるというためには、私は、まだまだ処理の段階ですから、大きな課題が非常に多いと思います。根本的には、いわゆるごみ処理のリサイクルはだれの責任かという基本的な問題がないことも大きいのではないかというふうに実は思うわけでありまして、これをよしとするのではなく、大事な課題として大いに関心を持って、積極的に厚生省においても指導されますようにお願いをいたしたいと思います。  以上をもって、この点については質問を終わりたいと思います。  それからもう一つ、年金、国民年金の問題でございます。  高齢化が非常に急速に進んでおるわけでありますが、年金についても、国民の中に急速に不安感というものが見受けられるわけでありまして、そのことが、我が国の年金政策に大きな影を落としているように私は感じるわけでございます。  これは、年金の不安、老後の不安にまたつながっておるわけでございまして、簡単に御質問申し上げますが、現在、国民年金の未加入者、また滞納者はどのくらいいて、大まかに見て、どういう人たちが多いかということの調査がありますでしょうか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  27. 真野章

    ○真野政府委員 お答えをいたします。  平成四年に公的年金加入状況等調査というのを行っておりまして、国民年金の第一号の被保険者となるべき者で未加入という者は約百九十万人というふうに推計をいたしております。  その状況でございますが、約六割弱が二十万以上の市に住んでおられる方、また、年齢階級別に見ますと、五割弱の方が二十歳代に集中しておりまして、都市部の若年層の未加入の方が多いというふうに考えております。  それから、未納の率、未納者の数の御質問がございましたが、私ども、未納の状況は、逆に見ますと保険料を納めていただいているという状況で調べておりまして、それが、保険料を納めていただいております方は、検認率と申しておりますが、八五%程度というふうになっております。
  28. 北沢清功

    北沢委員 平成四年ということですから、非常にある面では古い資料だと思いますので、やはりその辺はよく把握をしていかないと大変なことになるのじゃないか。特に若年層、都市部に多いということが顕著でありますが、やはりそういう人たちがこれから年金を、国民年金を支えるわけでありますし、また、その人たちが高齢化した場合において、国民年金は非常に少ない額の年金の支給でございますが、無年金ということは、これからの高齢化社会を見るときに、やはり大変な人生の決定的な重要な要素になるのじゃないかということを私は強く感じております。  したがって、こうした人たちに、理解を深めるとか、またPR活動なり、または将来設計を示すようなことが重要だと思いますので、この辺について、何といいますか、「年金の日」を、例えば九月一日に「震災の日」を設けるということも、「防災の日」ということになっていますから、日なり、または週間でも月間でも結構ですが、重点的にやはり、国民年金にかかわらずこれからの重要な年金についての団体等の催しやPRやそれから加入とかそういうものの相談業務を含めて、ある程度集中的に行わないとなかなか理解は得られないんじゃないか、また、ふだんの努力も大変ですが。  そういう面について、私は県会議員当時から「年金の日」をつくったらどうかということを年金の皆さんと、よく上に上げてくれということを唱えてまいりました。これも一つの取り組んでおる中でのアイデアだと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
  29. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 年金の未加入者の問題、さらには未納者の問題、これは大きな問題でありますので、「年金の日」をつくろうかどうかはともかく、年金に対する理解を深める、また若い人から、もちろん二十歳以上なんですが、高校生の段階から年金に関心を持ってもらうというような方法は私も必要だと思っております。  ただ、「年金の日」をつくろうかどうかというのは、これはもっといろいろな議論が必要ではないか、そう思っております。
  30. 北沢清功

    北沢委員 やはり理解というものは、今日マスメディアもございますし、あらゆる団体の活動を通じて、または積極的に政府の姿勢で、未加入者はなくするという意気込みといいますか、そういうものについてぜひ引き続いて、私の提言については御検討を前向きにしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  自治大臣にいろいろ御説明申し上げたいわけでありますが、時間がないですから。実は何回も取り上げているわけですが、平成七年の銀行業界からの借金であるのかという議論を呼んでいる件につきまして、ここで角度を変えまして、私もまだ釈然としないものがございますので、自治省の見解についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、政治献金の定義についてお答えをいただきたいと思います。
  31. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 政治資金規正法上は政治献金 という用語はございませんで、ほぼ同義の概念といたしましては、政治活動に関する寄附という用語が使われております。  これにつきましては、政治資金規正法上は「政治団体に対してされる寄附又は公職の候補者の政治活動に関してされる寄附をいう。」ということになっておりまして、さらに寄附につきましては、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」とされているところでございます。
  32. 北沢清功

    北沢委員 それでは、例えば借入金の返済ということは、その定義から見ればどういうふうに理解されるでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
  33. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 個別具体の問題につきましては、これは私ども事実関係を承知する立場にございませんので、お答えを差し控えなければならないのでございますが、あくまでも一般論としてお答えすることを許していただきますと、借入金の返済の免除も政治資金規正法上の寄附に当たると解されているところでございます。
  34. 北沢清功

    北沢委員 理解されるわけでありますが、ただ、私ども社民党は、いわゆる政治献金については、企業及び労組等の団体献金については、前向きにひとつ廃止に向けて、特に国での政党に対する助成金等もありますし、そういう面で積極的に検討すべきだというのを実は私どもは党議として持っておりますので……
  35. 深谷隆司

    深谷委員長 北沢委員に申し上げます。時間の割り当てを過ぎておりますので……
  36. 北沢清功

    北沢委員 そういう観点から今私も所見を申し上げたわけでありますので、その点については了解をいたしました。  終わります。
  37. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて北沢君の質疑は終了いたしました。  次に、秋葉忠利君。
  38. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会民主党の秋葉でございます。  時間が一時間、伺いたいこと、あるいはここで本来であれば議論をさせていただきたいことがたくさんありますので、ほんの入り口だけになるかもしれませんが、何点か伺いたいと思います。  最初に、先日来問題になっております劣化ウラン焼夷弾について伺いたいと思います。  まず最初に、この劣化ウランという物質、一部の方々にはなじみのある物質ですけれども、一般的には余りよく知られていない物質ですので、この危険性について、放射能の面それから毒物としての面、簡単に一分ぐらいで、これは科学技術庁あるいは防衛庁、伺いたいのですけれども、簡単に御説明いただきたいと思います。
  39. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  劣化ウランにつきましては、いわゆる原子炉等規制法に言います「加工」に相当いたしますけれども、ウラン濃縮という過程がございます。天然ウランを地球上どこにおきましてもとりましたときには、その中に〇・七%のウラン235という燃える同位体が入っておるわけでございますけれども、これを原子力発電所等で使いますときに三%ないし五%に濃縮いたしますが、そのときにとれます残りのものを劣化ウランと言っておりまして、通常〇・二%ほどのウラン235が含まれております。  この劣化ウランにつきましては、非常にゆっくりした長い半減期で壊れていく物質でございまして、放出します放射線はアルファ線とガンマ線でございます。微量ではございますけれどもアルファ線を放出いたしますから、体内に取り込まれましたような場合には、それの各種器官に対する内部被曝という問題が生ずるかと承知しております。  もう一度御説明申し上げますと、体内に粉末等で取り込まれない限りは特段の放射線、放射能に対する危険性はないと承知しております。
  40. 秋葉忠利

    秋葉委員 化学物質としての毒性も伺ったのですけれども、それは科学技術庁は御存じないのですか。
  41. 池田要

    池田政府委員 ウランの化学的な毒性につきましては、これも、それが体内に吸収されません限りは安全上問題になるとは承知しておりません。  ほかに重金属といたしましては、鉛等の金属等がやはり体内に入りました場合には化学毒性が問題になります。
  42. 秋葉忠利

    秋葉委員 済みません。今の御説明では全く答えになっていないのです。  私が伺っているのは、毒性、それから放射線、それはほとんどのものは体に触れるか体内に入らない限り問題はないので、ESPとかそういうことで人の体に害がつくというのはちょっと超科学的なので、そういうことを伺っているのではないのです。青酸カリの例えば半致死量と比べて、劣化ウランの半致死量はどのくらいのものか、お答えください。もし科学技術庁が御存じなければ、防衛庁、お願いします。
  43. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  劣化ウランにつきましては、御指摘のように、確かに体内に取り込まれました場合にはアルファ線による内部被曝、それから重金属の種類でございますから、化学毒性が問題になります。ただし、その取り込まれます態様によりまして、例えば溶けやすい形で体内に入るのか、あるいは不溶性のもので入るのか、そういった形でも違ってまいります。例えば溶けにくい物質として体内に入りました場合には、例えば気管支、肺等に入りました場合には、内部被曝が問題になると承知しております。  ただ、これは非常に放射線としましても、卑近な例で申し上げますと、ラジウムというような放射性物質が、よく御存じだと思いますが、これに比べましても放射能は百万分の一というような程度でございますし、御指摘のような致死量とか死に至るとか、そういったことについてはなかなか考えにくい物質でございます。
  44. 秋葉忠利

    秋葉委員 原子力をやっているから放射能のことしか頭にないのかもしれませんが、化学毒性は、それでは申し上げます。  劣化ウランの半致死量は、一キログラム当たり約六ミリグラム。それに対して、青酸カリの場合には一キログラム当たり十ミリグラム。半致死量というのは、これを例えば注射するとか経口で摂取する場合に、一キログラムの例えば実験動物がいたとして、その半分が死ぬ量がこのくらいだということです。  ですから、これは伺うよりもこちらで申し上げた方がよさそうですから、アメリカ軍が発射したこの焼夷弾の中には百四十七グラムの、約百四十七・七ということですが、その量の劣化ウランが入っていたわけです。これは一キロ当たり六ミリグラムですから、これに六十キロの人間ということを掛けると三百六十になるわけですが、ちょっと多目に考えたとして五百ミリ、〇・五グラムで一人の人間が大体半分ぐらいは死ぬようなとんでもない量だということです。  ちなみに、青酸カリが十ミリですから、青酸カリの方が毒性が弱い。もちろん摂取の仕方にもよりますけれども、少なくとも青酸カリと同じぐらい毒性の強い物質である。それに加えて、青酸カリには放射能はありませんが、この劣化ウランにはあるということで、非常に危険だということを私は残念ながら科学技術庁の方が余り今の説明では認識されているというふうには考えられませんので、そのあたり大変危惧をいたします。  こういったものですから、それが千五百二十発といいますと、大体これは二十二万三千四百四十グラムですね。そうすると、一グラム当たり二人ということにすれば、人間に換算すれば五十万人の命をとるに足るとんでもない量の劣化ウラン弾が使われたということでございます。  やはりその深刻な毒性というものを当然考えなくてはいけないというふうに思いますけれども、それに関して、なぜこの劣化ウラン弾というものが用いられるのか、さらにはその武器としての性能はどの程度のものなのか、これは防衛庁に伺いたいと思います。
  45. 久間章生

    ○久間国務大臣 自衛隊または防衛庁では劣化ウラン弾を使っておりませんので、これについての正確な答弁にならないかもしれませんけれども、私どもがいろいろなことで聞いておりますのは、劣化ウランというのは非常に密度が高いというようなことから、その密度の高さを利用して、いわゆる撃ち抜く貫徹力、これが非常に強いということで、米軍の方でやっていたということでございますけれども、日本ではその劣化ウラン弾というのは陸海空どれも使っておりませんので、その詳しいところについては、どの程度の違いがあるかどうか、それはお答えできませんけれども、今言ったようなそういう性能を利用しておったのだというふうに聞いております。
  46. 秋葉忠利

    秋葉委員 持っていないから性能がわからないというのは、大変申しわけないんですが、自衛隊としての責任を果たしていることにならないんじゃないでしょうか。
  47. 久間章生

    ○久間国務大臣 自衛隊では、ちょうど同じ密度のタングステン合金を使っておりまして、それがいわゆるそういう徹甲焼夷弾に相当する能力を発揮している、それを使っているわけでございますから、自分の任務を放棄しているわけではございませんので、ただ劣化ウラン弾を使っていないということを御理解いただきたいと思うわけです。
  48. 秋葉忠利

    秋葉委員 私の質問の内容を誤解されていらっしゃるんでもう一度説明いたしますが、我が国の自衛隊が劣化ウラン弾を持っていなくても、アメリカ軍は持っています。そして、アメリカ軍以外の世界各国の軍隊が劣化ウラン弾を使っていないという証拠をお見せいただければそれで、まあアメリカと戦争することはないでしょうから、あってはいけないことですし、納得いたしますが、他国からの攻撃があって劣化ウラン弾が使われた場合に、今申し上げたように非常に毒性の強い武器ですから、これに対する自衛隊としての当然の防護策を講じていなくてはならないと思います。  その防護をするためにはその性能がきちんとわかっていなくてはいけないということで、もし今の事実が本当だとしたら、ぜひやはり防護策をとる必要があるのではないか。そのために、せっかくという言い方は非常に語弊のある言い方ですけれども、アメリカ軍はこれを使って実験をやっているわけですから、実際の性能を詳細に聞いて、それに対する対策を立てる必要があると思います。  ただ、タングステン弾との違いですけれども、劣化ウラン弾の場合には低温でこれが燃える、燃焼いたします。ですから、爆弾が破裂した後に、焼夷弾という名前がついているのは、発火をして結局それが火災になる。タングステン弾の場合にはそれと同じような装置がついているのかもしれませんけれども、そこの違いがあることと、これは、酸化ウランになった場合にはエアゾール状になって、要するに空中に散布するわけですね。それで被害が非常に大きくなるという特性もありますから、かなりこれは毒性が強いものだ、その範囲も広いというふうに考えなくてはいけないんで、防衛庁としては、ぜひそのあたりの、自衛隊員だけではなくて一般の住民に対する被害防除というところから、予防というところからも考えてぜひ研究をされる必要があるんではないかというふうに思います。  これに関連して、運輸省伺いたいのですけれども、航空機に、特にJALの、御巣鷹山で事故がありましたけれども、そのジャンボ機にはこの劣化ウランがバランスの目的で使われていたというふうに理解しておりますけれども、それがその後ジャンボ機に使われないようになった。これはやはり劣化ウランの安全性という点からの措置なのかどうか、運輸省伺いたいと思います。
  49. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 お答え申し上げます。  例の御巣鷹山の事故が起きましたのが六十年であります。航空機のメーカーの方は、五十六年ごろから順次タングステンに変えることをしておりまして、現在日本を飛んでおります航空機はすべてタングステンであります。  それで、劣化ウランをなぜ使ったかということでございますが、これは若干不正確かもしれませんが、鉄の二倍の比重があるものですから、垂直尾翼にあります方向舵のバランスをとるために使っておりました。それで、それにかわるものがタングステンでございますから、タングステンの方に変えております。  変えた理由でございますが、一つは、劣化ウランというのは何か酸化しやすいということがございます。それから二番目は、これを実際に入れるときあるいは取るときに、さまざまな手続が要ります。その辺の手続が煩雑であるということでタングステンに変わっております。  さらに最近の状況を申し上げますと、最新型の767あるいは777につきましては、このバランスウエートそのものがもう要らない構造になっております。  いずれにいたしましても、私ども、特にこの劣化ウランが航空機に使うことが危険であるという認識はしておりません。
  50. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  自衛隊の方も、もはや最新技術の飛行機を使っていらっしゃるということで、劣化ウランはバランスウエートとしては使っていない、マスバランスとしては使っていないというお答えをいただきましたので、それについては省略をいたしますけれども、先ほど申し上げましたように非常に拡散性があるということ、それから毒性が強いということで、今回の米軍の射撃場であった鳥島周辺についての安全性を確認するために、米軍の方は安全だというふうに、環境に影響はないというふうに言っているようですけれども、やはり我が国独自の立場からきちんとした環境調査を行って、安全性について再確認をすべきだと思いますが、これはどこの省庁の管轄に入るのでしょうか。環境庁でしょうか、外務省でしょうか。
  51. 折田正樹

    ○折田政府委員 本件が環境に及ぼす影響につきましては、アメリカ側からは危険がないとの説明を受けているところでございますけれども政府として安全確保に万全を期すべく、今、関係省庁間で緊密な連携を保ちながら、日本側としての現地調査を実施すべく、準備に着手したところでございます。
  52. 秋葉忠利

    秋葉委員 その結果が米軍側の調査の結果を確認することになることを期待しておりますが、できるだけ早期にお願いいたします。  同時に、劣化ウランが使われているといいますか、その存在は米軍の弾薬だけではないというふうに理解しております。現在、我が国にはどのくらいの量の劣化ウランが、備蓄というのは何かに備えて蓄えることですから、備蓄という言葉は適切ではないかもしれませんが、どのくらいの劣化ウランを我が国として保有しているのか、科学技術庁、お教えいただきたいと思います。
  53. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  劣化ウランにつきましては、核燃料物質として原子炉等規制法に基づきまして規制を行っております。このような事業所が平成八年十二月末時点におきまして保有しております劣化ウランの総量は、およそ五千三百十トンでございます。
  54. 秋葉忠利

    秋葉委員 五千トンというふうに大まかに考えてみますと、グラムに直すと五十億グラムということでよろしいのでしょうか。けた数が違っていたら訂正していただきたいのですが、先ほど申し上げましたように、大体半致死量で考えますと一グラム一人。それが五十億グラムということは、五十億人の人間がこれを体内にしかるべき形で摂取すれば死んでしまうという、とんでもない量の劣化ウランが我が国の中にあるという事実でございます。  それがどういう形で現在保管されているのか、それから、今後この劣化ウランについてどのような処理を科学技術庁は考えているのか、その安全対策等も含めてお答えいただきたいと思います。
  55. 池田要

    池田政府委員 お答え申し上げます。  劣化ウランにつきましては、原子炉等規制法に 基づきまして、その使用しようとする者につきましては、核燃料物質等による災害の防止上支障がない施設におきまして、保安のために必要な措置を講じて貯蔵してございます。  ただいま五千三百十トンという数量を申し上げましたけれども、この大半はウラン濃縮工場におきまして保管してございまして、例えば、こういった施設におきましては、漏えいのおそれがない容器、シリンダー等に封入いたしまして、閉じ込めの機能を有する施設内に貯蔵しております。また、管理区域等を設定するなどの安全のための措置が講ぜられてございます。
  56. 秋葉忠利

    秋葉委員 今申し上げましたように、五十億人分というのは、これはとんでもない数ですから、やはり慎重の上には慎重を期す必要があるのではないかと思います。詳細についてはまた科学技術庁の方ときちんとお話をしたいと思いますけれども、とりあえず、いかに厳重な管理が必要なのかという点についての問題提起をさせていただきました。  次の問題に移りたいと思います。  日本海側の重油の問題が重要になっていますが、それに匹敵するといいますか、それと同じようなやはり環境の重みのある問題で、中海干拓が問題になっておりますけれども、この中海干拓も含めて、土地改良法に基づく幾つかの改善事業について総務庁の行政監察報告が、実は毎日新聞によりますと昨年の八月には出る予定だったということでありますが、今月中にはその行政監察報告が出る。私の理解では、どうもその間にいろいろと好ましからざる調整があったんではないかということもマスコミから漏れできますけれども、おくれはなぜ生じたのか、その点について、それと、総務庁の行政監察に対する姿勢について伺いたいと思います。
  57. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私も総務庁へ参りまして行政監察がどういう形で行われているかやっとわかったんですけれども、正直、従来は、一つ監察業務を行う場合にはいろいろと調査をする、相手のお役所にも協力をしてもらう、そういう義理が出てくるのかどうか存じませんが、勧告文をつくるときまで相手と協議をして決める、こういうやり方をやってきたわけでありますね。  私は、この慣例はいけないということで、もうこれを限りに今後はそういうことは廃止をするということに決めたわけでございますが、今のお話の問題もちょっと私が事務当局から聞いておりますと、結局その相手、農水省ですけれども、との間の協議というものに相当時間がかかったことは事実のようでございます。  それが私のところへ報告が参りましたのは先月だったと思うのでございますが、私からいろいろ事情を聞いているうちに、これはまずい、もう少しすっきりした形でやはり勧告をやり直さないと、例えば今の勧告の方向でいきますと、これだけ日本の国の食糧自給率は低くなってきておる、逆に米については、正直、今全部の日本の田畑で米作ができるところでつくれば一三〇%以上の自給率だ、だから減反が行われている、そういう中にあって引き続いてここでまた米をつくるなんということになれば、何のために一体その干拓をやってきたのかわけがわからないんじゃないかということで、少なくとも米作をやるような方向に勧告をするようなことはだめだよ。  あるいはまた、こういうものについては、時間がこんなにかかっておったんじゃまずい、最初の目的の予算をつけたときと全く環境が変わってきているのに同じようなことをやっていたんじゃまずいんじゃないかということで、例えばこれは中海だけじゃございませんが、干拓事業については、場合によれば、ほかの目的に使える場合にはその辺は十分、それは従来の予算措置との関連はありますけれども、やはりほかの目的にも変えられ、使い得るような方向に何か勧告文というのは考えられないのか、その辺を私から示唆をいたしまして、今つくり直しをさせましたものですからおくれておりますが、先ほどお話しのように、今月いっぱいには必ず勧告をする、こういうことにしたいと思っております。
  58. 秋葉忠利

    秋葉委員 実は、そこでもう一歩踏み込んで、干拓をするという事実を既定事実として認める報告ではなくて、その点も含めた、より根本までさかのぼった形での報告をぜひ出していただきたいというふうに考えておりますけれども、今おっしゃった方向というのは、これまでのやり方に比べると確かに一歩前進であろうというふうに思いますので、ぜひその一歩前進を二歩、三歩という形で努力をしていただきたいというふうに思います。  この点についても、中海干拓問題についてもまたさまざまな問題点がありますし、今のお答えの中でも干拓の目的を変えるというところ、実は非常に大きな問題だと考えておりますので、続けて問題提起をさせていただきたいと思います。  時間が残念ながら余りありませんので、次の問題に移らせていただきたいと思います。  次の問題は、泉井事件に関連してですけれども、この泉井事件に関連して、大蔵省の涌井官房長が絵画を受け取った、それを後で返したということが言われておりますし、御本人もそれを認められたわけですけれども、この問題について、私は、大蔵省あるいは国税としての業務を行う上でやはり非常に大事な問題をはらんでいるのではないかというふうに思います。この場で涌井官房長けしからぬとか悪人だとか、そういうことを言うことが目的ではなくて、日本の官庁としての仕事の仕方の中で、やはり改善すべき部分が非常に大きいのではないかという観点からぜひ質問をさせていただきたいと思います。  まず、この事実関係を確認したいんですけれども、結婚のお祝いに絵をもらって、それを結局返したということは理解できますけれども、それについて、もう少し具体的に詳細な事実関係を、まず責任者である大蔵大臣にお願いいたします。
  59. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本来、本人からお聞きしたい、こういう御意向であるということは承知をいたしておりましたが、私が処分をいたしたものでございましたから、処分を受けた者が出ますことはいかがかな、こんなこともこれありまして、私が官房長から聴取をいたしました事実関係をお話し申し上げます。   私の結婚式に関する雑誌の報道を見てのことと思いますが、九五年暮れに、泉井氏から額に入った版画が自宅に送られてまいりました。家に置いてあったものですから、結婚のお祝いとしてということであったので一たん受け取りましたが、九六年秋に同氏に対して返却をいたしたところであります。税務調査などに関して泉井氏から何らの依頼を受けたこともない、したがって、便宜を計らったということはありません。こういうことでありました。結婚祝いをいろいろな方からいただいておりまして、わきが甘かったなと思いますが、そういう事件が起こるとは知らず、結果からすると受け取るべきではないと考えております。こういうことでございました。さかのぼりますが、私とすれば、結婚祝いということでもらい、その後で返したということであり、それ以上でもそれ以下でもございませんが、服務管理を統括する立場にある官房長として、結婚祝いであったにしましても、さほど親しくない人物から美術品といった価格の判然としない品物を受け取ったことは、やや不注意のそしりを免れないとして、私から一月三十日、口頭による厳重注意という処分を行ったところでございます。
  60. 秋葉忠利

    秋葉委員 泉井官房長は九六年に、あるいはその前後に……(発言する者あり)失礼しました。つい、似ている名前で、両方とも水に関係があって似ていて、間違えました。大変失礼いたしました。おわびいたします。涌井官房長は査察部長をされていたということですが、それは何年何月から何年何月までの時期だったんでしょうか。
  61. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 査察部長をしておりましたのは、昭和五十六年から五十七年の一年間でござい ます。
  62. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございます。  それで、実は今の大蔵大臣のお答えの中でもう少し具体的に私は伺いたいところがあるのですが、さほど親しくない人間から絵画を受け取った、それから、絵画が値段の判然としないものである、やはりこれはこういった点が非常に問題だと思うのですけれども、そもそもこれを受け取った時点、後で考えると受け取るべきではなかったということは私も賛成なんですけれども、受け取った時点で、これは受け取るべきではないという判断がなぜできなかったのか。これは、実は私は、官房長を個人的に責めるということではなくて、例えば大蔵省の中のチェックシステムとして、国税に当然携わる場合もあるわけですから、それなりの基準があってしかるべき点だと思います。  ですから、そこを、大蔵大臣にお答えいただいても結構なんですが、できれば官房長から、大蔵省の例えば内部基準として、とういったものはもらうべきである、こういったものはもらうべきではない、その状況はどうであるといったような、きちんとした基準が存在するのでしょうか。
  63. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 大蔵省職員の綱紀につきましては、平成七年の五月二十五日に、「綱紀の厳正な保持について」ということで内部通達を出しております。あわせて、先般、各省共通の公務員の倫理規程を新たに定めたところでございます。
  64. 秋葉忠利

    秋葉委員 その過去出された通達でも結構ですし、新たな倫理綱領でも結構なんですけれども、その中に、例えば税務調査その他の関連で、こういったケースは、例えば贈り物なり、あるいはもちろんお金はだめでしょうけれども、そういったものを受け取るべきではない、そういった基準が明示的に示されているのでしょうか。
  65. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 規程の中では、要するに職務上の関係者については厳しい規定を設けております。ただ、国税の世界は、大蔵省の中でも国税庁という世界は大蔵省本省とは独立した組織になっておりますので、当然国税の世界に身を置く人間はその厳しいルールが適用されるわけでございます。
  66. 秋葉忠利

    秋葉委員 国税は違った組織だということですが、これもまた具体例として、官房長御自身の経歴を引用することがわかりやすいのでそうさせていただきますが、これはほかの方でも結構なんですが、大蔵省の官僚の皆さんは、大体二十八、九歳ぐらいですか、三十前に地方の税務署長として赴任されることが慣例だというふうに伺っております。  今大蔵省の人間、国税はごく一部だというお話でしたけれども、ほとんどすべての、いわゆる幹部になられる方は税務署長を歴任している。それは、それでは国税と全く関係のないポジションということでしょうか。
  67. 小村武

    ○小村政府委員 大蔵省に在職する者はいろいろな職務を担当するわけでございますが、ただいま涌井官房長が御答弁申し上げたときの通達を出したのは、私、官房長時代でございます。  そのときのことを申し上げますと、国税庁は国税庁としての、税を徴収する際における服務規律がございます。  それから、七年に出しました通達は、大蔵省に奉職する者として、職務上のそうした行為については一定の基準を持ち、厳しく規定を設けました。さらに、職務外におきましても、反復継続をする特定の人間とのつき合いを注意をしろという趣旨のものを新たに盛り込みまして、そこで職員の注意を喚起をしているということでございまして、一般的に、そうした面におきましての服務規律は大蔵省の中の職員対象にして今規定をしているというところでございます。
  68. 秋葉忠利

    秋葉委員 そうすると、地方の税務署に赴任をする際、当然大蔵省の幹部としての教育を受けることになると思いますけれども、その際に、税務署長でいる間は慎重にするけれども、その後はどうでもいいんだよ、そういうことはないんでしょうけれども、そういった教育も一緒に受けるということでしょうか。
  69. 小村武

    ○小村政府委員 そういう意味ではございませんで、ただ、その職務にあるときには、税務関係の職に奉じているときにはより厳しい、一般の納税者の方々との関係がございますので、規律が要求されております。  それに、かつての経歴等々ございますけれども、その職務に奉じた場合には、そのときの服務規律に服するということでございます。ただ、だから過去における経歴と全然関係がない、過去の服務規律と別のことでよろしいという意味で申し上げているわけじゃないのですが、それぞれの職務において職務規律があるということでございます。
  70. 秋葉忠利

    秋葉委員 それでは、その点はおいでおいで、実はもう一点、先ほどの大臣の御答弁の中に、返したからそれでいいじゃないか、そういう判断をした時期があったというようなニュアンスのことをおっしゃられましたけれども、それでは、その服務基準の中に、今の場合は金品を受け取る受け取らないという話ですけれども、返す基準というのはどういうふうに書かれているわけですか。
  71. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 返す基準というものは別段あるわけではないのですけれども、私のケースについて申し上げますと、大臣が申し上げましたように、私はおととし再婚しました。そのときに泉井氏から版画のようなものを結婚のお祝いとしていただきました。そのときはもちろん泉井氏が脱税をしているとかそういうことは、私は承知しておりません。去年になりまして脱税事件で告発されるということを仄聞しまして、そういう人から幾ら何でも結婚祝いといえどもこれは受け取るわけにいかぬということで返したわけでございます。
  72. 秋葉忠利

    秋葉委員 そうすると、今のお話ですと、返した際には大蔵官僚としての立場がかなりの重みを持って返したということですが、受け取った場合にはそれは個人として、ある意味では大蔵官僚として受け取ったのではないというような解釈になるのでしょうか。  それを伺っていますのは、実はこういった基準をつくる際に、ある意味で人間というのはだれでも勝手なものですから、自分の都合のいいような解釈を行う。これは官房長が特にそういうことをやってほかの人間がやらないということではありません。人間すべての共通性としてそういう点があるということなんですが、それを贈る側の意図というのは、当然大蔵官僚だから贈るという立場で贈っているわけです。  その基準をつくる際に、ただもらう側の考えだけで、これは個人としてもらうのだからいいのではないかという基準の立て方では、これと同じような問題が将来起こることを防ぐ基準にはならないというふうに考えます。ですから、それを持ってくる側の意図がどの辺にあるのかといったことを十分に勘案した上で、最終的には李下に冠を正さずといった基準をつくることが、私は特に税金に関連した業務をされる大蔵省としては必要なことだというふうに思います。  その点で伺っているわけですけれども、その意味で、これまでの基準について甘さがあった、わきが甘かったというふうにおっしゃいましたけれども、それは個人としての官房長の行動が云々ということ以上に、大蔵省としての基準づくりに実はわきの甘さがあったのではないか、もっと厳しい倫理基準を設けるべきではないかという結論になると思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  73. 三塚博

    ○三塚国務大臣 昨年の暮れ、事務次官会議におきまして、今後国民各位から批判、そしりを受けないように厳重にサーバントとしての姿勢を貫くことにしようということで倫理規程がつくられました。職務権限に関する部分については、全く、李下に冠を正さず、コーヒーも何もやりませんと、大変厳しい規程であります。  職務権限外の場合におきましても、かくかくしかじか注意すべきであると、そういう意味では極めて残念なことでありますけれども、しかし、こ こまで批判が来ました以上、このことにこたえるという意味で、自粛自戒、そして職務に精励、こういう規程がつくられまして、全省員にそのことが伝達をされておる、こういうことであります。
  74. 秋葉忠利

    秋葉委員 基準づくり、私たちは社民党として公務員倫理法、それから政治家も縛る、政治家も特別公務員ですから、公務員倫理法が必要だというふうに思っております。  そういった方向でぜひ御協力をいただきたいと思いますが、その中心になるのは、実は先日大蔵委員会でも申し上げましたけれども、これは英語でないとなかなかよく意味が伝わらないところなんですが、コンフリクト・オブ・インタレストという概念がございます。これは日本の法律では相反利益という形であるんだそうですが、社会的に定着しているという点では、日本社会ではこの考え方が余り定着していないような気がいたします。  アメリカの例えばビジネスマンあるいは政治家、大学関係者、自分の仕事の中で必ずこの言葉に何度も遭遇をして、だからこういうことをやっちゃいけないんだという議論を必ず一年に何度もしている。そういうふうに社会に定着している概念なんですが、残念ながら日本の社会でこの言葉一つを言っただけで、例えば今私が申し上げているような点について理解が行き渡って、そうだ、じゃ、もうちょっと何とか厳しい基準を考えようとか、そういった建設的な方向の答えが出てくるような状況ではありません。  これをやはり日本社会に定着させることが私は今後の政治のためにも非常に重要であるということで、先日大蔵大臣には、例えば大蔵省から何人も海外の大学に留学生を送っているんだから、ぜひ研究をするよう指示してほしいということをお願いいたしました。  それに関連して、実はもう一つ、これとは全然違うレベルなんですが、重要なことに気がつきましたので問題提起をさせていただきたいんですが、そのときのお話では、現在、アメリカに大体二十人ぐらい、大蔵省のお役人が留学をしているという話です。その中にどうも、ここに本を持ってきましたけれども、テリー伊藤「お笑い大蔵省極秘情報」という、これはとんでもない本があるんですが、この中で、大蔵省の現役の官僚が三人、さまざまな問題について語っています。匿名で語っているんですけれども、実はこの中で、評論家の佐高信さんの仕事について中傷誹謗するような言辞があったために、佐高さんは現在訴訟を、この飛鳥新社という出版社と、それからそこで覆面の三人の大蔵官僚、匿名ですけれども、その人に対して訴訟を起こしております。どうもそのうちの一人がアメリカに留学しているらしいということを聞いておりますけれども、こういったことについて大蔵大臣、御存じでしょうか。
  75. 三塚博

    ○三塚国務大臣 申しわけありません。存じません。
  76. 秋葉忠利

    秋葉委員 それでは大蔵省のほかの方でも結構ですけれども、訴訟の事実と、それから、その中の一人あるいは何人かがどうもアメリカの大学に留学したらしいということについて事実を把握されているかどうか、お教えいただきたいと思います。
  77. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 テリー伊藤さんの本については承知していますけれども、省内において調査したところでは、我々が少なくとも把握したところでは、大蔵省内にテリー伊藤さんとそういう対話をした人はいないと我々は承知しております。
  78. 秋葉忠利

    秋葉委員 訴訟の対象になっているのは飛鳥新社ですが、そこの弁護人並びにインタビューをしたテリー伊藤氏の言によると、これは実在の人物であるということがわかっております。  それだけではなくて、スキャンダルがあると、それが大きな問題になる前に日本の官僚の皆さんは、どうもアメリカに逃げ出すあるいはそれ以外の国に逃げ出すというようなことを習慣的に、常習的にやっていらっしゃるという、そういった疑いがマスコミの間にも出てきております。  ですから、この問題について、留学をさせる際の基準はどういうふうになっているのか。それから、こういった留学をさせる際に、そういったさまざまな、マスコミで問題になっているようなバックグラウンドについてもアメリカの大学にきちんと通告をしているのかどうか、その点について大蔵省に伺いたいと思います。
  79. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 どの人物を留学させるかについては、一応留学については一定の、ある年次が来ますと、例えば入省して二年過ぎますと留学していくとか、あるいは課長補佐経験が終わって次の課長クラスへ行くステップの間で、まだ留学していない者については留学させるということで、それぞれの個々の人事配置の一環として行っているものでございまして、そういうスキャンダルがあるからどうかなということで留学させるということはありません。
  80. 秋葉忠利

    秋葉委員 公式のお答えとしてはそういうお答えになると思いますけれども、それだけでは余りにもタイミングがよ過ぎる、というふうに言わせていただきますが、形で何人の方が、それで名前を出すことは差し控えさせていただきます。やはりこの場はそういうふうに個人を糾弾するということではなくて、システムとして、具体的には公式にはそうではあっても、実は本音の部分でそういうことをやってきたんだ、その事実があるかどうかについての問題提起をしているわけですから、実名は申し上げません。  何人かについてはきちんと把握をしておりますが、ただ、問題提起だけはきちんとさせていただきたいと思いますし、やはり日本を代表する評論家が公式の場で、裁判という形でこの問題について決着をつけようとしているときに、その対象になっている人間が逃げるというような形で海外に行ってしまうというのは、私は、社会全体のあり方として、しかも大蔵省のあり方としても問題だと思いますので、あえて問題提起をさせていただきましたし、アメリカの大学がそういった形でスキャンダル隠しに使われているとしたら、これもゆゆしき問題ですので、あえて問題提起をさせていただきました。
  81. 三塚博

    ○三塚国務大臣 秋葉議員、官房長が言われましたとおり、留学というのは、文官試験、今は公務員上級職でありますが、合格をし、勤務をし、そして海外の研修に差し向ける、そして高い視点から我が国の行政マンとして国家に貢献をしてほしい、こういうことで行かれるわけでございますし、その後も、大使館等の駐在書記官として研修あるいは再度勉学の機会を得て行く、こういうことでありまして、公正に物事を見ていただきませんと、裁判になったからすべてがそちらの言い分ではいけないのではないでしょうか。  国会は、三権分立の中で、両々相競合しながら、緊張し合いながら、この国とこの国民のために頑張り抜くことでありますので、どうぞそういう視点は御放念くださいまして、官房長が言うとおり、基準は基準であるとストレートに受けとめていただきたい、主管大臣として申し上げます。
  82. 秋葉忠利

    秋葉委員 基準がすべて守られているのだったら、最近のこういった官僚の、大蔵省だけではありませんけれども、不祥事はそもそも生じていないわけで、たがが緩んでいるわけですから、その点について問題提起をさせていただいております。  裁判の場でのことはきちんと裁判の場で決着をするということは大賛成です。だからこそきちんと裁判の場に出て決着をしていただきたいというのが私の意見なわけですから、それを改めて申し上げたいと思います。裁判の最終判定は、裁判に出て、両方がやはりきちんと公の場で主張した上で最終的な判定が下るわけですから、そこから逃げてしまっては公平な判定は下りません。  時間がございませんので、もう一つ、やはり非常に公平な判定が必要な歴史認識の問題について、文部大臣に伺いたいと思います。  現在、梶山官房長官の発言等にもあらわれていますように、日本の過去の歴史についての歴史的 な事実認識の面で非常に大きく世論が沸いておりますけれども、この問題について、歴史の事実認識の問題ですから、私は、最終的には歴史の専門家がそれなりの手続を経て判定をすべきだというふうに思いますが、その専門家たちを擁する大学あるいは研究所といったところは文部省の管轄にお入りになるわけですから、例えば歴史家たちがどういうような手続で歴史的な事実の最終的な確認を行うのか、どういう認識を持っていらっしゃるのか、文部大臣に伺いたいと思います。
  83. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 歴史教科書の検定については、国が特定の歴史認識とか歴史事実を確定するという立場に立って行うものではありません。あくまでも、検定の時点における客観的な学説等の状況を見て、記述の欠陥があるかどうか、そういうことを指摘するということを基本として実施しております。  具体的には、学識経験者から成る教科書の検定審議会におきまして、その時点での学界における学説状況というものを踏まえながら、定説とかあるいは通説と見られる見解に照らして個々の歴史的な事象についての記述が正しいかどうか、そういうことの検定を行っているところでございます。
  84. 秋葉忠利

    秋葉委員 今のお答えは教科書の検定に関する意味での歴史の事実の認定ですけれども、私が伺っているのは、高等教育機関、大学その他で、例えば歴史学会としてどのような事実の認定の手続が踏まれているのか、それについて当然文部大臣としても、そのことについて文部省が指導する云々という立場ではなく、当然事実認識をお持ちのことだと思います。  例えば、私が理解している事実の確定の方法というのは、歴史学者の間に論争があったような場合には、それぞれに、例えば自分の説をどのようなデータによってあるいはこれまでの学説によって解釈するのが一番妥当であるかといったようなものをきちんとした論文にまとめて、しかもレフェリーがきちんとついた、一流といいますか、大きな問題の場合には非常に重要な学術誌にその論文を投稿して、そういった場で、あるいは学会のシンポジウムといったようなところできちんとした論争が行われて、必要な場合には歴史的な事実についての共同の確認を行ったりというようなことによって決着がつくというふうに理解をしております。  ですから、その決着のつけ方というのは、文部省の中に業者に食堂をつくってもらったのと同じだというようなレベルで解決される問題ではないというふうに私は理解をしているのですけれども、今の私の、例えば歴史学あるいは学問上の論争の決着のつけ方について、文部省としては、大体一般的にはそういうことでいろいろな論争は学者の間では決着がついているという認識をお持ちなのかどうか、伺いたいと思います。
  85. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 今御指摘のように、学界における学説の状況については、いろいろ論争がある場合があります。これは、大学というのは文部省の所管ではありますけれども、やはり学問の自由とか大学の自治ということも尊重しなければなりません。そこで、通説とか定説について学者の間でどういう論争があるのか、そういうことも十分私たちは見きわめていかなければいけない。  そこで、例えば文部省には常勤職員として教科書調査官というのを置いております。それぞれの専門家なんですけれども、そこで教科書の検定審議会の各委員の方々の御意見とか、あるいは専門職員として大学の研究者とか小中高等学校の先生とかそういう方々の意見も踏まえまして、その検定の時点においてどういう学説、通説がいいのか、その辺の正確な把握に努めてやっているところであります。
  86. 秋葉忠利

    秋葉委員 お答えはあくまでも文部省の検定に限られてしまって大変残念なのですが、検定の問題についてはまた後日問題提起をさせていただきますけれども、小杉文部大臣も環境の面については、例えば環境上のさまざまな論争がどういう形で決着されるかということは十分御存じなはずですので、また後日この点については発言をお願いして、きょうはこの問題についてはとりあえずこの辺にしておきます。  最後に、日本海の重油流出事故について伺いたいと思いますが、実は多くの皆さん御存じのように、約二十五年前に、新潟沖の四百メートルのところでジュリアナ号という、これはリベリア船籍だったと思いますが、船がやはり座礁いたしまして、今回より実は油の流出量は多かったのですけれども、同じような大きな被害を沿岸の皆さん、そして環境がこうむったという事実がございます。これについて大変立派な報告書が出ているのですけれども、その報告書の要点と、それが今回の事故にどう生かされたか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  87. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 ジュリアナ号の事故の教訓につきまして指摘されている点は、四点あっただろうと思っております。補償制度の整備の問題が一つ、海上交通ルールの確立が一つ、それに国際的取り決めの推進、四番目に防除体制の改善。御承知のとおり、逐次、法、基金等の整備に今日まで改善し、対応してきているところでございますが、四番目の防除体制の改善、今回のこの荒天の日本海、しかも外洋での事故、こういったことを考えてみますと、この体制の改善に反省すべき点があったと率直に認めざるを得ないというふうに思っております。  今後、こうした荒天の外洋での大規模な油汚染、これにどういう対応をしていくのか、問題点を検証して、改善し対応していくことが大事なことだと認識いたしております。
  88. 秋葉忠利

    秋葉委員 今の、過去の教訓が残念ながら生かされなかったという点については多くの皆さんが指摘しているところで、それをまず認めるところから始めるという姿勢には大変共感をいたします。  結局、二十五年間という日時があったわけですから、技術的な開発その他さまざまな手が打てたと思います。ですから、今回も恐らく報告書の内容としてはきちんとしたものが出てくるだろうと思いますけれども、それを具体的にどう実行するかというところで運輸大臣には特に努力をお願いいたします。そのお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  89. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて秋葉君の質疑は終了いたしました。  午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  90. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより、経済、行財政、危機管理及び沖縄問題等について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。
  91. 越智通雄

    越智(通)委員 きょうから集中審議が始まります。その冒頭の質問をさせていただきます。経済、行財政改革につきまして、御高見を賜り、御指導いただきたいと思っております。  その前に、一番最初に総理にお願いいたしたいと思いますのは、今総理のおっしゃっています六つの改革、やはり改革する以上、痛みをも伴う厳しい道だろうと思いますが、それを乗り越えていったその先の我が国日本、どれだけ輝いた未来が待ち受けてくれているか。手術台に乗った者としては、この手術を耐え忍べばまた元気になってゴルフができる、そういう希望があって初めて耐えていくことができると思いますので、そこをお伺いしたいと思います。  ちょっと私の所見を申し上げさせていただきますと、実は院の御許可を得まして、この二月の五日、六日、七日とワシントンへ行ってきました。ある国際的な大会に十五人ほど日本から行きました代表として、富士銀行の橋本会長と私がクリントン大統領、ゴア副大統領にお目にかかりました が、四年前にお目にかかったときより、よほど顔つきがよくなったというか、自信にあふれておりました。また、ルービン財務長官にも別にお会いいたしましたが、アメリカの経済に関しては大変なる自信をお持ちだというふうにお見受けしまして、そのころアメリカのニューヨークの株価なども、一部日本で心配する声もありましたが、全くそんな懸念もなく、現実に、確かに今七千ドル前後で堅調な足取りを見せているようであります。ドメニチ予算委員長も、福祉と税制に関して問題があるがと言いながら、予算教書のちょうど出ました六日の日にお会いしましたが、大変、アメリカの未来に向かってのコンフィデンスといいますか、確信があるという点では同じでございました。  まさにアメリカンドリーム、きょうよりあしたがいいに違いない、よくなるに違いないというのが町の中にもみなぎってきているんじゃないかな、こう思いますものですから、ぜひ総理に、我々日本にもひとつそういうコンフィデンス、ドリーム、ホープ、何だか英語ばかりですけれども、そういうようなものが日本じゅうにみなぎるようなことしにしていただきたい。ぜひ総理のこれからの日本についての御所見を承らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  92. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、アメリカと対比してと言われますと、日本の場合に一つ、アメリカが今それほど深刻ではない問題で我々が抱えている厳しい条件から申し上げざるを得ないと思います。  それは、日本という国における人口構成の変化が過去に例を見ない急速度のものであること、そして、ただ単に高齢化が進むというだけではなく、出生率の著しい低下がこれに加速をしているという条件、そして、これほどの急激な高齢化に見舞われている国というものはいまだかつて地球上に存在しなかったわけでありますから、この部分について我々が全くお手本を持っていない、この条件をクリアしなければならないだけ日本の方が状況は厳しい、この点は冒頭申し上げざるを得ないと思います。  その上で、第二次世界大戦後の五十年、我々は本当に、小学生、小学校の二年で敗戦を迎えた世代でありますけれども、その敗戦の混乱の中から今日の日本を築かれるために我々の先輩方が選ばれた手法というものは、まさに均質性、平等性という手法であったように思います。そして、それは確かに私は成功したと思っておりますし、これを支えたものに、大きな基盤には、初等教育、中等教育の普及度合いが他国に比べて非常に高かった、そしてなお出生率は高く維持されておりましたから、若い優秀な豊富な労働力というものを駆使することができた、これは非常に恵まれた条件として存在していたと思います。そしてその中から、国民皆が総じて平等に豊かな生活を手に入れるという目標に向けて進んでくることができたと思っております。  そして、これは私は非常にすばらしいことだったと思うわけですが、今逆に、その豊かな生活というものを築くために使ってまいりました平等性あるいは均質性というもの、これは、企業であれ個人であれ、それぞれの創意工夫を生かし新しい分野に挑戦していく活力をそいでいると言わざるを得ません。  そして、その意味では、今アメリカより条件は厳しいという土台の上で申し上げてまいりましたけれども、その条件の中においても、逆に言えば、個人であれ企業であれ、それぞれの創意工夫、言いかえれば自分で問題を見つけて自分で答えを出す、そうしたチャレンジのチャンスというものを拡大していくことによって、私は、今までとは違った姿でありましても、日本は活力を持った国家として再び将来に向けてそれなりの夢を、新しい時代における夢を追っていくことができる国になると考えております。  そして、そういう点では、平等性、均質性といったものから、まさに夢を追うことのできる、創意工夫のチャンスをふやす、これがあらゆる分野において必要な時代になってきている。まさに行政改革目的の、目的というより手段ですね、大きな一つである官から民へということ、あるいは規制の緩和、撤廃ということ、さらには、官が抱えるべき仕事でありましてもでき得る限りそれを地方へという方向性、これはいずれもその方向に向かうものだと思います。  同時にこれは、その規制緩和あるいは撤廃といったこと、こうした方向は経済構造をも変えていく原動力になってもらわなければなりません。そしてその中から新たな産業分野を我々は生み出していかなければなりません。そのためにこそ、科学技術、研究開発という分野への投資を今年度予算におきましても私どもなりに工夫をしてまいったわけであります。  さらに、これは当然のことながら、一千二百兆という国民の資産というものを運用していくという分野、その運用の場をふやしていく、個人のためにも、また資金調達の場としても金融システムを変えていかなければならないという大きな課題を解決いたさなければなりません。  そして、そうした仕組みを変えていく中で、当然のことながら行政の仕組みもまた変えていかなければならないわけであります。  同時に、経済の構造を変えていくためには、我々はもう一方で財政そのものをも考えなければなりません。その財政の中で、先般来本院におきましても、殊に公共投資の部分についてはさまざまな角度からの御議論がございました。  そして、その意味において、財政構造を改革していこうとするなら、我々は聖域を持つことはできないわけであります。それは公共事業ばかりではなく、社会保障におきましても、また科学技術、研究等のあり方につきましても、あらゆる分野で聖域を持たずに見直していかなければなりませんし、当然のことながら、財政投融資制度を今後どのような姿に持っていくことが、官から民へという言葉にも沿いながら、同時に必要な仕組みを維持するかということにも重なってまいります。  今、大変漠然たる申し上げ方をいたしましたけれども、実はこの六つの改革というものは、それが混然一体となって、この日本という国の現在、過去を築く上で非常に役に立ちましたけれども将来に向けてはむしろ足手まといになりかねない、その平等性、均質性というものによって築いてきた国家から、むしろ創意工夫というものを教育の中でしやすい環境をつくっていく、そして、それが産業として立ち上がっていくためにも余計な規制等で妨害をされないような、そうした状態をつくっていくことが私は将来のこの国をより明るいものにするその原動力だと思っております。同時に、これを切り抜けていくなら、我々はまた違った角度で活力を持った国家を維持し続けることができる、そのようにしていかなければならない。  議員の御質問に正確なお答えになったかどうかわかりません。しかし、思ったとおりを述べさせていただきました。
  93. 越智通雄

    越智(通)委員 私も、我々日本人が日本の経済を余り悲観的に見過ぎてはいけないとかねてから思っております。この間、同じ機会に、CSISといいますけれども、国際戦略研究所で講演をし、また研究員二十人ほどの方と議論をしてきました。経済に関しては、かつて連邦準備制度のグリーンスパン議長が日本人は悲観的過ぎるんじゃないのと言われたこともありましたけれども、そのCSISの会合でも、経済よりも財政についての説明をするとなかなか理解が得られにくうございました。  そこで、大蔵大臣にもお伺いしたいのですけれども、御存じのとおりマーストリヒト条約では、今ヨーロッパ各国はことしじゅうにその条件を達成しなきゃいけません。例の国内総生産に対する財政赤字は三%未満、それから累積している公債の残高が国内総生産の六〇%未満、かなりもう具体的なところへ来ておりまして、スペインの代表 は、おれのところは四・二で、あと一・二をどう削ろうかという話をしておりましたし、ドイツはいいように言われているけれども実はまだ三%をクリアしていないんだという話があったり、そこまで来ているのに日本はどうだ、こう聞かれるから、こちらはヨーロッパの一員じゃございませんけれども、実はおおむね七%ぐらいじゃないかなとか、国内総生産に対して公債の残高は九〇%ぐらいじゃないかな、こう言いますと、いつまでにできるんだい、こう聞かれて、とれが二〇〇五年までのなるべく早い時期と言うと、私の英語力が弱いのかもしれませんけれども、向こうはよくわからないと言うのですね。随分先だなというわけですね、早く言うと、二〇〇五年でございますから。  ですから、そういう意味では、翻って考えてみると、プライマリーバランスだけは達成できたと。要するに公債による収入と国債費とを外せば両方がバランスしている、そういうことですね。歳入の方の借金と歳出の方の借金の経費ですね、利息を外せば。プライマリーバランスというのは彼らに余りぴんとこなかったですね、本当の話が。やはりどの程度でマーストリヒト条約的なもの、要するにヨーロッパ並みになれるかというのを国際的にははっきり言わなきゃいかぬ。  そのときに一番心配なのは、実は地方財政でございまして、日本の場合は、ヨーロッパに比べては中央の財政に比べて地方財政のが大きいのですよ、本当の話は。それはもう大蔵省や何かの資料にも全部載っておりますけれども。その地方財政をいつまでにどうするという話が実ははっきり出ていないのですけれども、このヨーロッパの議論は全部国と地方と両方合算の数字の議論をしているわけですから、そこら辺について、国全体の財政をつかさどるという意味で大蔵省の方でどのようにお考えになっているか、御所見があればお願いしたいと思います。
  94. 小村武

    ○小村政府委員 御指摘のように、世界各国とも国、地方を通じた財政赤字の縮減に取り組んでおります。  我が国におきましても、昨年十二月十九日に閣議決定をいただいた中におきましても同様に、国の財政赤字だけでなしに地方の財政赤字も縮減をしていくということで、御指摘の二〇〇五年までのできるだけ早期に国及び地方の財政赤字の対GDP比を三%以下とするという目標を掲げました。  従来、委員指摘のように、ややもすれば国の財政の赤字だけを縮減すればいいという発想が強かったと存じますが、経済そのものに対する財政赤字という観点から、世界各国とも地方、国を通じた財政赤字の縮減に取り組んでいくということで、先般の閣議決定におきましても、その旨、「地方に対しても、国と同様に、歳出の伸率を抑制するよう要請する。」という文言が入っているところでございます。
  95. 越智通雄

    越智(通)委員 そうすると、やはり自治省に聞かなければならないのですけれども、国の方の財政は、中期展望というのですか、仮定計算だとはいいながら一応出ているわけですね。ところが、地方の財政がどうなるかというのは、それは三千三百の市町村がありますから、四十七の都道府県と、数字が難しいのではございましょうけれども、両方一緒にこの予算委員会でしっかり見ていかないと財政再建というのは本当はできないのではないだろうか。  そういう意味では、例えば、国の方は国税が五十七兆円なのに七十七兆円の歳出予算を組んでいる。二十兆円は借金とあとは国有財産等の売り払いだ。地方はどうだ、こう言うと、地方はよくわかりませんが、地方財政計画の私どもが手に入る最近の分でいくと、八十五兆ぐらいまで膨れ上がっているわけですよ、ことしの分は僕はまだ正式な数字は認識しておりませんけれども。昔は、国の一般会計と地方財政計画の総数とはほぼバランスしていたのです、七十兆対七十兆とか。今はもう明らかに地方の方が十兆ぐらい上回っております。  その中で、では地方自身の税収というのは何ぼだというと、私の認識では三十兆台だと思うのですよ。三十三兆か三十五兆か知りませんが、大体そんなもので、三十兆台の収入で八十兆台の生活をすると言ったらおかしいですけれども、これは非常にやはり構造的に、一遍には直らないかもしれませんけれども、ほっておいていい状態ではないはずだ。この両方を合わせての数字で今議論されているわけですが、では、分けて、地方の方を一体自治大臣はどういうふうにお考えになっているか、そこらの御所見を、いつまでにこうしたいという御所見があれば伺わせていただきたいと思います。
  96. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 越智委員おっしゃるとおり、国及び地方を通じてのこういうところで財政を健全化させていきたいという具体的な目標が提示されたのは、そう昔からのことではないと存じます。  それから、私も昭和五十四年に国会に出させていただいてから十数年見ておりますが、国の方の財政のバランスというようなことは大変議論されまして、そして、どうしても帳じりを合わせる関係で、国の方は伸ばせないから地方の方でちょっと頑張ってくれよというようなことをやった時期も明らかにあったと思うわけでございます。  しかし、今度は総理が議長となりました財政構造改革会議におきましては、今お触れになりましたように、国及び地方をあわせてこういう目標にやっていこうという方向が明確に出されましたので、平成九年度の地方財政計画を策定するに当たりましてもそのことを視野に置いて、そして大蔵大臣と何度も協議をいたしまして、国が厳しい状況にあると同じように地方の方も厳しい状況にある、そして財政健全化に向けて進んでいかなければならないということで、相当いろいろなところについて厳しい査定をさせていただいて決めさせていただいたところでございます。
  97. 越智通雄

    越智(通)委員 そこで、実は、国と地方をつないでいるお金は何だといったら地方交付税交付金ですよね。平成九年度で十五兆ぐらいでしょうかね。ここのところ十五、六兆で推移していますね。これはつい、言い方はおかしいかもしれません、昭和の御代は大体十兆までだったのですよ。平成の御代になりましてから、とんとんとんと上がってきて五割増しくらいになったなという感じでございまして、これはやはり原因としては、平成から、例の、もともとは所得税、法人税、酒税の三二%で組んでいたところへ、たばこ消費税の関係と一般の消費税の、あれは二五%と二四%でしたか、入れたということで膨らんでいるのですけれども、これはずっと膨らんでいくのですか、膨らましておいていいのですか。  大蔵省の出した中期計画を見ると、国の収入がある程度上がる前提でずっと伸びていっているのですね、二〇〇五年まで地方交付税交付金が。何で同じ額ではいけないのだろうか。そういう、国の収入がふえたら地方に渡す分が当然ふえるという考え方が、間違えているとは言いませんけれども、それでいいのだろうか。むしろ、自分で、どれだけ地方団体が必要かというその数字があってもいいのじゃないか。  あるいは、自分で、地方公共団体が取っている税金がありますね。さっき三十三兆と申しましたけれども、大体三分の一が住民税なんですよ。これが地方税の一番基本になる税金だと私は思いますね。なぜなら、あれには所得が少なくても均等割というものまであるのですから。要するに、その地域に住んでいる以上は幾らかおまえ負担しろということがはっきり出ている税制ですから。あれは、都道府県の個人の住民税と都道府県の法人の住民税と市町村の個人の住民税、三本合わせると大体毎年十兆なんですよ。そんなにフラクチュエートする税ではありません。  だから、住民税で十兆取っているのだから、それと同じぐらい国は、どうだい、補助してくれないかという考え方でもとれるのかもしれない。そのくらい弾力的に考えないと、この十五兆、十六兆になったものがまだふえるのだというのをほっ ておいたら、中期計画なんというのはなかなかつくれないのじゃないか。何といったって、収入と支出を合わせようというときには、今の国の方のバランスでも四兆から五兆切らなければいかぬと書いてあるのですから、相当大きく考え方を変えていくときに、この地方交付税交付金、今後もこういうような格好でおやりになるのかどうか。自治省、そこをも含めてこれからの財政構造、九年度の予算の話ではなくて、これからの財政構造の中で、どういうことを頭に置いて今考えていらっしゃるのか、御所見を承りたい。
  98. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 地方交付税交付金の一番の根幹をなす部分につきましては、御案内のとおり、所得税、法人税、酒税の三二%は地方に交付していただく。消費税につきましては二四%、たばこ税については二五%、これは今まで歴代総理も述べているところでございますが、国税としていただくけれども、これは国、地方との行政バランスその他を考えて、地方が本来いただくべきものなんだけれども国から取っていただいて、配分の仕方はこのような比率で分ける、こういうことをあらかじめ決めた上で税をいただいておる、こういうふうに解釈しております。  ですから、そのときそのときの裁量で国から地方が譲り渡されるのではなくて、国からは取っていただくけれども、基本的には地方が独自の財源として使わせていただいてしかるべき税である、このように認識をいたしております。
  99. 越智通雄

    越智(通)委員 使い方は独自でも結構なんですよ。だけれども、国と地方との間の数字の決め方がそういう税金の収入にリンクしているがゆえに、逆に言うとフラクチュエートしやすいのですよ、法人税なんか下がったのですから。十八兆まであったものが十二兆に下がったりしますと、地方に来る分も少なくなる。そういうことでいいのだろうか。  地方の方は、どちらかというと歳出は固定的なんですよ、サービス業が多いからそんなに変動しないのです。そういう意味では、この計算のやり方というか計算方式というのは、私は必ずしもよくないのではないか。かつて、戦後直後は平衡交付税というのをやりましたよ。リッチな都道府県から、プアといっては申しわけないけれども、平準化する意味でやりました。だから、何か今抜本的にお考えいただきたい。そのことはぜひよく検討していただきたいのです。  同時に、石井先生が自治大臣をしていた羽田内閣のときに私はたまたま地方行政委員会に属していまして、そのときもお伺いしたのだけれども、それからもう数年たっている、四年ぐらいたっているのだけれども、市町村の合併、それから急に減ってしまった市町村、五万人いなければ市にしないよというけれども、八千人でも市なんですよ、今。一万人を切っている市が、ごろごろと言ったら申しわけないけれども、たくさんあるわけだ。  この間、あなた自身が、大臣御自身がここでとても大事なことをおっしゃっている。地方分権の地方ってどっちだろうとおっしゃったのですよ。私は前から申し上げているのです、それは。都道府県という考え方をにじませた答弁をされた大臣も今までもいらっしゃいました。明瞭に、本に市町村だと書かれた人もいる。ところが、実際に、今お話し申し上げました交付税についても、分け方を見ると決まっているのですね。都道府県が五二、三%で残りが市町村で、大体半分ずつしているのですよ。実際には都道府県の方が市町村よりいつも多いんだ、この分け方は。  それから、公務員がいます、地方公務員。国家公務員は総定員法で縛っていますから、五十三万ぐらいで今推移していますけれども、地方公務員は、市町村、都道府県、全部で三百二十七万というのが平成七年度の数字で、八年度のおしりというか、この三月のしりが幾らになるかわかりませんけれども、まあ、三百三十万ぐらいになるのでしょう。三百万の中で千人かそこら減るんだ、こういう計算をしていますけれども、この人数も、実は、都道府県と市町村と半分こぐらいなんですよ、百七十万と百五十万ぐらいですか。  だから、一体地方団体というのはどういうふうに自治省はお考えになっているのですか。もっと合併、まあ合併をやるような動きは始まりましたけれども、法律をつくったのは三十年代ですか、あれは。ところが、そのころばばばっとやって、後がすうっとなかったわけだ。確かに大変なんです、合併は。だけれども、これから先の地方分権も考えれば、市町村、都道府県のあり方についてもよく考えないと、そこに本当は財源をきちっと与えて、御自分で税を取って御自分でやっていらっしゃいということが本来の地方自治だと私は思うものですから、まず、地方団体の今後のことをどのように作業していくおつもりか、ぜひ伺いたいと思います。
  100. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 地方行政が絡むすべての問題に触れられたので、どこをお答えすればいいのかわかりませんが、今、地方分権ということが言われ、昨年の十二月には第一次勧告がなされ、そして、ことしの夏までには最終勧告がなされ、政府はそれを受けてやっていこうというところまで来たわけでございます。しかも、第一次の勧告では、機関委任事務については原則地方に、こういう画期的な内容の勧告が出されたと私は評価をしております。  ただ、この前も答弁させていただきましたとおり、総理が、官から民へ、それから中央から地方へ、こう言っているのだけれども、地方には、御案内のとおり都道府県と市町村というのがあるわけでございます。この地方の中の実際住民と直接直結している市町村の権限強化につながるのかというところが、私には率直に見えないし、そこのところが、本当に今けんけんがくがくの議論をしているのか、どうも不安でございまして、今、関係者に、私どもの少なくとも物の考え方は、地方自治法にも書いてあります基礎的地方公共団体と言われている市町村に権限が移譲され、そしてそこが強化されるという地方分権であり、あるいは地方が強くなるということでなければこれだけ大騒ぎをしている意味はないのじゃないでしょうか、こういうことを、まず私はこの審議をしていただいている方々にお願いをしております。  そして同時に、当事者、文字どおり今度は市町村長などについて言えることは、地方分権の話が出てくる、権限移譲の話が出てくると、分権はいいんだ、権限をもらうのはいいけれども、財政的な裏打ちはどうかということをすぐ言うのですが、私は、権限を移譲し市町村にやっていただく以上、当然のことながら、それにかかる経費は、これはそこに手当てするのは当たり前の話なのであって、すぐ、権限、それをする金がどうなんだということを余り言いなさんなと。  ですから、極めて刺激的な言葉でございますが、かつて、アメリカの独立革命だったと思いますが、自由か、しからずんば死かという言葉があった。と同じように、地方自治体の皆様方に、自治か、しからずんば死かというぐらいの熱烈なる自治への思いかなければ、今回私たちがやっている地方分権というのは本当に理想の姿にはいかないんじゃないでしょうか、こういうふうに言っているところであり、先生からも、また委員の皆様からも、この地方分権という動きについて十分みんなで監視していく必要がある、こう思っております。
  101. 越智通雄

    越智(通)委員 大臣はかなり熱意を持っていらっしゃるようですが、それが実際にこれからの地方制度の改革、ひいては全体を通じての財政の改革にどうつながっていくか、非常に大事なところだと思います。  実はお金の配り方を、例えば市町村に厚くして県の方をもうちょっと遠慮してもらうとか、やり方はあるでしょうけれども、公務員というのは、地方公務員、これでいいんだろうかなという感じで見ているんでございますよ。  さっき申し上げたように、三百三十万といいますけれども、県庁には結構人数が、百七十万を四十七都道府県で割ったってかなりの人数になるんですけれども、市町村が、百五十五万人を三千三 百で割ると、何百人という数字なんですよ。確かに小さいところもございますよね、だけれども、三百三十万て要るんだろうかと。  麻生大臣にも来ていただいておりますけれども、吉田内閣のときには十五万六千人行政整理しているんですね、昭和二十四年、我々が役所に入る直前ですけれども。その昔は、若槻礼次郎内閣、昭和六年のときには官吏俸給令のカットをしているんですから、いきなり。かなり激しく、やはりサービスが中心である行政であればあるほど、どれだけの人でそれを賄うかということが非常に大事になる、人件費の問題ですから。  そういう意味では、公務員の数はどうかなといって見たときに、それで文部大臣にお伺いしたいのですけれども、実はこの三百三十万の中で百三十万人ぐらい、四割使っているのは教育部門。百三十万人の半分が、六十数万人が小中学校の先生です。教職員です。あとの半分が公立の大学だか高校だか、あるいは教育委員会だか。しかし、教育部門、これは自治省の統計で出ているわけですから、三百三十万の中で教育部門が一番多い。  学校の先生ってそんなに要るのかなということで見てみますと、子供が減っているのですから、実際には。子供が多い年、少ない年ございますけれども、一番最近で多いのは五十七年ごろなんですね。小中学校の児童生徒、公立に行っている子で、随分いますよ。それが千七百万ぐらいいたと思うのですけれども、あの資料に載っておりますけれどもね。今は千二百万台でございますよ。早く言うと、三分の一ぐらい、三割以上子供の数は減っておる。  しかるに、学校の先生は何ぼ減ったか。七%しか減っていないのですよ。七十万人からいらした方が六十四万人ぐらいになっていますかね、七%ぐらいしか減っていない。何でということなんですね、これは。これは一学級四十人とかなんとか、いろいろな計算をするとそれだけ要るんだということになっているのですけれども、我々東京では、学校へ行ってみると、校舎はがらがらあいております、本当の話が。だからそこら辺では合併で大騒ぎです。そこですか、永田町小学校、ついに廃校しましたけれども、合併ですよ。その前には校舎があいている状況がある。  だけれども、先生は余り減っていない。これは先生方の給料の半分は義務教育費国庫負担法で出ているわけです。そのお金は今三兆円あるわけですよ。文部省の所管されている文教科学振興費というのは六兆円でしょう。半分は小中学校の先生の給料の足し前なんですよ。何でそんなにたくさん使わなければいかぬのと。かつて、これは一兆円台もありました、二兆円台もありました。子供の数にかかわらず、実はこの義務教育費国庫負担金だけは毎年ずっとふえておるのですよ、本当の話が。  だから、そこで考え方を変えて、学校の先生を助けているんじゃなくて、子供の教育を助けるのですから、児童一人当たり幾らという配り方はないんだろうかと。学校の先生に何ぼ給料を出したからその計算で半分でごうごうと言わないで、何人いらっしゃるか、教育は地方分権、地方が主なんですから、お任せしているんでしょう、実際問題は。どんな先生を何人雇うか、地方でどんどんお考えくださいと。だけれども、国から教育に関してお願いします、義務教育ですから、国からお願いするそのお金は、私はそういう計算の仕方を変えて、児童とか何かの頭割りにするとか。  その計算でいくと、大体かつては児童一人月に一万円出していたのですね、変な計算ですけれども。当時のあれを割り算していくと、年に十何万、十三万だか十四万だか。そんな計算でもしょうものなら三兆円や二兆円になってしまうんですよ、本当の話が。それがいいとは言いません。ただ、考え方について、制度的にもう一遍よく柔軟にお考えいただけますでしょうかという御提案でございます。
  102. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 義務教育の国庫負担の考え方というのは、この前もここで説明したとおり、憲法におきまして、ひとしく国民は義務教育を受ける権利がある、そしてそれを受けさせなければいけない、そして教育基本法とか学校教育法で、無償である、そして国が役割分担としてきちっとやりなさい、こういう規定があるわけです。  そこで私たち、今御指摘のように、子供はどんどん減っているのに先生はその割に減っていないじゃないか、こういう御指摘がありましたが、まさにそのとおりであります。正確に言いますと、昭和六十一年度と平成八年度の十年間比較してみますと、児童生徒数は二五%、さっき三割とおっしゃいましたが、二五%減っておりますが、教員の数は七・九%しか減っておりません。このギャップがなぜ起こるかといいますと、二つの理由があります。  一つは、教員の数というのは学校のクラスの数に応じて計算をしているわけでありまして、生徒が減っても必ずしも学級数がこれに比例して減っていかないという事情があります。例えば東京のようなあるいは大阪のような大都市では、一学年四十人いたとしますと、小学校ですね、六学級とすると、四、六、二百四十人、それから過疎地域に行きますと一学年二十人なんというところもあるわけですね。そういうところも、じゃ三年と四年と一緒にしたらいいじゃないかというような議論もありますけれども、やはり一年生と二年生と程度が違いますから、これを分けていきますと、たとえ二十人であっても一学年二十人掛ける六年ということで百二十人ということでありまして、学級数は同じく、学年一クラスずつだと六学級ということになって、生徒数は百二十人対二百四十人で変わりますけれども、教員数は同数になってしまう。  それからもう一つ、教員以外に学校職員というのがありますね。これは大体学校数を基礎としておりますので、例えば学校が統廃合すれば別ですけれども、そうでない限りはそれほど減らない、こういう事情が一つあります。  それからもう一つは、質的な面ですね。最近、いじめ問題その他非常に深刻な状況ですので、なるべく生徒指導の先生を配置するようにしておりますし、それから、例えば情報教育とか最近、環境教育とかいろいろ多岐にわたる、あるいは理数系とかそういう科目については、やはり一人の先生では無理な教科の場合には、複数で教えるチームティーチングというようなそういう質的な改善を図っております。  例えば今第六次教職員の改善配置計画というのをやっておりますが、平成五年から十一年までの六年間で、生徒の自然減は六万人なんですけれども、教員の数は三万人減になっております。といいますのは、そういう今言った質的な、チームティーチングとか生徒指導とかそういう面の配置を行っている、そういうことでございます。
  103. 越智通雄

    越智(通)委員 先生の数が多い方がいい教育ができる、それはよくわかるのですけれども、財政という観点から見ると、先生の数ということよりも国から出ていく義務教育費国庫負担制度そのものについての御検討をぜひいただきたいなと思うわけであります。  ほかにまだ予算上非常に大きなお金が出ているというか、最大に出ているのは実は国債費でございまして、十六兆八千億毎年出て、毎年というかことしも出ている。ところが、大蔵省の出されたこの中期展望では、赤字公債は二〇〇五年までにはゼロにするけれども建設公債はずっと出すんだと書いてある。九兆二千億ずつずっと出すんだ。ということは、ふえるということですね、公債残高が。するとよほど利払いをうまくしないとこの十六兆八千は、赤字か建設かは関係なしにずっとふえるということなんですよ。  そこで、一体この超低金利の時代に何ぼ払っているんだと。私の調べでは、平成七年度末、一年古いですけれども、七・九%の金利を払っている国債もまだあります。平均で余計払っているのは大体六%台です。今、長期プライムレートというのは二・五ぐらいでございますが、それを上回っているものはどのぐらいあるかというと、残高の 九割までが長プラ以上で払っているわけです、実際には。これは何とかならぬのかなと。まして、どんどん残高はふえるのですよ、九兆二千億ずつ、もし中期計画どおりなら建設公債は出ていくのですから。  それで、心配なのは、各省とも有利な方に借りかえていくというのが各国とも最大の財務省の仕事でございますよね。大蔵省としては、これはどうやって金利をマネージしていくつもりか。  かつて私は、そこにいらっしゃる相沢先生とも、大蔵省の現役の方々に、何か買い上げ償還できないのか金利の高いやつを、強制的にというか、持っているのは銀行もいるのですから、何とかそれを取り返せないか、それで金利の安いやっと取りかえてくれということを言ったのですけれども、それを下手にやると国債市場が大混乱になる、こういう話もありまして、なかなか難しいと。  そうしたら、この間ここで、我々も考えていた、海江田君が考えていた、無利子の国債を出して、何年か持っていたならば、それを持っていた人は死んだときには相続財産から外してやるか、じゃなければ掛け目八割ぐらいでうんと安く値踏みしてやるわけにいくまいかという話を彼がしたのです。それは前からの彼の言ってきたことで、恐らく橋本総理が大蔵大臣のころにたしかやっていたと思いますけれども。  何か別に方法があればいいのですけれども、国債費を減らす方法があればいいのですけれども、あれもまあひとつまだ温めて考えてもらっていいんじゃないかな、方法を。そうじやなかったら、国債費が十六兆、今後どんどん膨らんでいくのに対して一体どうするつもりですかということを大蔵省にお伺いしたい、こう思います。
  104. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に御質問ございました相続税免除の無利子国債の御提言でございますが、利子相当分の財政負担の軽減ということは確かにそうなるのですが、これを買う方は相続税が減るから買うわけでございまして、それを中長期的に計算しますと、逆に財政収支悪化の要因になるのではないかと思います。また、これをお買いになる方というのはその方が得だという方でございまして、相続税をお払いになるのは、亡くなった方のうち、百人のうち五人でございますが、その五人の中の相続財産が十億円を超えている方でないと得にならないと思います。そういう意味で、公平を著しく害すると思います。  あわせて、現在円滑に償還されております国債、この国債にその種の国債を投入しますと、市場に無用の混乱を与えるのではないかという気がします。先日も申し上げましたが、フランスにおいて記各国債という経験がございますが、結局は買い上げ償還をしてこれをなくしたということを私どもも勉強している次第でございます。
  105. 越智通雄

    越智(通)委員 今のは海江田さんに答えた速記録をそのまま答えていました。これでもう一週間たっているのですから、もうちょっと頭を使ってくれたかと思うのですけれども、それじゃだめなんで、大蔵大臣ひとつしっかり、国債費をどうしたらいいかということを、これは大蔵大臣の私は一番大事な仕事の一つだと思いますので、ぜひお考えいただきたい、こういうふうに思います。  時間がないので経済の方に入らさせていただきますが……(三塚国務大臣「いいですか、一言言わぬで」と呼ぶ)言っていただけますか。じゃどうぞ、決意のほどを。
  106. 三塚博

    ○三塚国務大臣 前段、アメリカに行かれまして、段々の懇談の中のエッセンスの御紹介がございました。全くそのとおりでございます。  ヨーロッパは御案内のとおり陸続きでございますから、自国の繁栄と安定のために財政を平均レベルにつくり上げていきませんと協調体制ができ上がりません。よって、競争しながら健全財政への努力を血みどろにやり遂げておるところであります。アメリカまたしかり、北米あり、南米あるわけでございますから。  我が国はひとり東海の海のど真ん中にある国家でございまして、海外旅行にはたびたび若い人や御夫婦が行かれますけれども、日本という国はいい国だということであるところから改革にはなかなかなじまない国民性、その中で、このままではいかぬというので、橋本内閣は二十一世紀に向かうに当たりましての諸改革を六つ並べたのはそのためであります。  まず、健全な体をつくり上げていくための血のにじむような努力を、国民各位の理解を得て一緒にこれをつくり上げていくことでのみ、太陽の輝く、あの彼岸があるわけでございますから、そういう点で、どうぞこの諸改革を断行することの中で国債費が自然増収の中で自然に返っていくような道筋を、さらに、お国がやってくれる、地方政府がやってくれるという今までの慣習が基本から、みずからのことはみずからの足で立ち、みずからの努力で行うという気迫を込めた、一人一人の地域住民が、国民が生まれ変わることでいきませんとならぬわけであります。(発言する者あり)そういうことで、今のようなことを言っておりますからいかぬわけであります。  そんなことで、やはり耐えていただくことは後世のためにお願いをするということでいく以外にこの道は開けていかない、こう思っておりますので、また御鞭撻ください。
  107. 越智通雄

    越智(通)委員 経企庁長官にお伺いしたいのです。  ことしの一・九実質成長率というのは、経済企画庁がかつてつくった経済見通しの中で一番低い。これは、各民間機関が出しました中には二・二もあり〇・七もあり、平均すると実は一・九より低いのです、日本の民間研究機関のは。外国に行くと、もうちょっと日本は何とかなるんじゃないのという感じが、一・九以上のことを口走る人もいるのです、別に外国から見ている方がわかるという意味じゃありませんけれども。  そこで、あなたの本会議場の演説を伺っていると、全部いいとおっしゃったのですよ。設備投資は回復傾向にあり、住宅建設は高い水準で推移し、個人消費も緩やかな回復基調にあり、生産は増加傾向にあり、雇用者数は増加とおっしゃった。みんないいんだ、これ。だけれども、史上最低の成長率をごらんになった。  それでは、町では何を感じているか。やはり資産インフレで、資産デフレでつぶれていったものだから、みんなはやはり株と土地を見ているのですよ。土地の話が余りこの予算委員会で出ていませんでした。一体土地はどうなんだということを、まず経企庁の方ではどういうふうにお考えになったか、国土庁でも結構ですけれども。  それで、やはりそれは、それをにらんでの景気でしょう、実際には。ですから、土地がこれ以上下がっていきますと、今もう銀行が不良債権の共同買取機構をつくらせてやったのですけれども、その中ですら、五兆円買った中で一兆円ぐらいがなくなってしまったのじゃないかというか、評価減じゃないかという議論も出ているぐらいですから、土地を経済の見通しの中でどうごらんになったか、どちらかの大臣でよろしくお答え願いたいと思います。
  108. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 最近の地価動向につきましては、昨年の十月一日からことしの一月一日までの短期の地価動向を見てまいりますと、越智先生のところのような比較的良好な住宅地につきましてはほぼ横ばいの状況になってまいりました。商業地につきましてやや下落をする傾向にはありますけれども、その幅は非常に狭くなってきました。したがって、土地の価格は極めて安定をしてきたのではないかというふうに思っております。  そこで、越智先生などにも大変御協力をいただいたわけでありますけれども平成八、九年度の土地税制改正の中で地価税を〇・三%から〇・一五%にしていただいたり、あるいは固定資産税や登録免許税あるいは不動産取得課税などそれぞれ調整をしていただいたわけでありまして、土地の価格が下がった、それに見合った税制改正もこの国会の中に法案としてかけていただいているわけでありますから、この税制改正、またこの予算が 成立をするということになれば、土地はそういう意味では有効利用に向かってさらに進んでいくのではないか、またそうした方向に私ども国土庁としてもできる限りの努力をしてまいりたいと思っております。
  109. 越智通雄

    越智(通)委員 でもまだ、いわば弱含みですね。これを安定させるということが大事だと思うのですが、この間の閣議決定でおつくりになりました土地に対する大綱では、地価引き下げの旗を掲げていくわけにはいかなくなったという、僕らから言うとやや消極的な表現になっているのですね。積極的にぜひ地価を安定させる、これがやはり経済をぴんとさせる大事な点だということを御認識賜りたい。そしてそのために、必要なら税制改正ですね、この土地の問題というのは、税制改正を今しなくても、やりますという方向が出てくれば動きが始まりますから、ぜひ土地税制を考えていただきたい、新しい道を。  一つは、かってなかった四千万以上の譲渡益に対しては、まだ三九というパーセントは残っていますよ、税率が。ありますね。それから、かつてあった買いかえの特例。要するに、一定の金額以内のものを一定の期間、まあ二年なら二年以内に同じ金額内で買いかえたときには税金をかけないというもの、これは今非常にニーズが上がっているのです。郊外に住んでいるお年寄りは病院のそばの平家に来たいのですよ。二階に寝ているお年寄りは階段を下りるのは危ないのです。車いすになんか乗っかったら、もう家の中を変えなかったら生活できないのですから。  そういう意味では、買いかえの特例を考えるとか、土地税制に関しては、これは主税局もまた答弁をもらうと時間がかかってしまうから、検討することだけ、伊藤さん、うなずいているからやってくれると思いますので、ぜひ……(発言する者あり)そうですが、じゃ伊藤大臣、答えてください。
  110. 伊藤公介

    伊藤国務大臣 越智先生の御指摘は大変大事なことでございますし、私たちは、できるだけ勤労者の皆さんが快適な都市生活をするためにも、もう一つ豊かな住環境に住める、そうした施策が大変大事だというふうに思っております。  そこで、買いかえの制度につきましては、税制改正の中でさらにその制度を拡大をしていくということも、また拡大だけではなくて、今までの制度を延長するということを既に決めていただいているところでありますから、その方向に向かって努力をしていきたいと思いますし、さらに保有税の問題、土地税制、総合的に、さらに私たちはできるだけ、今先生御指摘をいただきましたように、土地ができる限り有効に活用されるという方向に向かって、これは党の税調でもその方向を示していただいておりますので、その方向も踏まえながら、私どもも十分その対応をしてまいりたいと思っております。
  111. 越智通雄

    越智(通)委員 時間がなくなりました。  最後に、金融で一言申し上げておかなきゃならないと思いますのは、何か証券の関係で有取税さえやれば株価がぴんと上がるみたいな議論がひところここでございましたけれども、多少誤解というか違っていますので。  イギリスの印紙税というのは買いにかけるので、日本の有取税は売りにかけるのです。両方とも所得税はこれは売りにかかっているわけですから、もうかったところへかかる。日本の場合には売ったら両方かかるというところに重税感がある。印紙税の方は外国の株にはかけないとおっしゃっているが、それは違うので、買いですから、名義書きかえのときに初めて印紙を張るのですよ。外国の株は、ロンドンで取り引きしたって自分の国に持って帰って名義書きかえをやられたら、イギリスの印紙は張らないのですから。  だから、そういう意味では、ちょっとあそこら辺、有取税に少しウエートを置き過ぎた議論をされていますが、やはり証券市場というのは経済の実体が上がってくれば上がるので、きょうは一万八千八百円まで来ましたよ。私どもは何としてでも、正確に日本の経済の実体を把握してくれたら、私は、二万円まで、三月末に二万円まで行ったっておかしくない、そのぐらいの感じで自信を持って経済の運営をしていただきたい。必ずそうなります。そして、そういう、日本経済が確かだなと思ってくれたら、おのずからこの円安は、きょうも百二十四円五十銭ぐらいですけれども、円安は戻ってくる。これが四月か五月か知らぬけれどもしかるべきところへ、要するに百二十円ぐらいのところへ戻ってくると私は信じていますので、そこら辺、余り悲観論を、日本の銀行が危ないみたいなことを言わないでいただきたい。  私どもは、平成三年の証券不祥事以来、平成四年には証券監視委員会が発足、平成七年には保険業法をやって損保と生保の乗り入れをやりました。それから昨年、平成八年には金融三法をつくって、破綻金融機関の問題について考えました。預金保険の料率も七倍に上げたんです。そして、この四月からは、早期是正措置といって銀行の健康診断もやって、来年四月からは危ないものには、本人が危ないと思っていなくても医者が危ないと思ったら入院させるという手続も、法制度もつくりました。それに今、これから外国為替の管理法、外国為替外国貿易管理法を出します。これはぜひ早急にやっていただかないと、来年四月一日からやっていくんですから。  もうあと三年たつとユーロの新しいお札が回ってくるんですよ、一九九九年には。回り出すんですよ。二〇〇一年には、フランもマルクもポンドも古いお札は使えなくなるんですから。そういう世の中ですから急ぐんです。そんな中で、私どもは、銀行の中心にある日本銀行法も出させていただきたい。懸命に党の方々で勉強させていただいておりますし、あるいは、金融持ち株会社に関する独禁法の改正の問題も勉強させていただいております。  ただ、そこで一点だけ最後にお願いというか、御考慮を申し上げておきたいのは、規制緩和の自由競争ということは、言葉をかえて言えば弱肉強食なんですよ。これは、言い方は悪いかもしれませんけれども、アメリカの社会だといろいろな国から人が集まったかもしれない、それだけが一つの、みんなが、万人が納得するルールかもしれませんけれども、日本みたいにお互いに知り合っているというか、単一民族で長い歴史でやってきた中では、やはり敗れていった人たちに対する処遇といいますか対策というものを十分考えておかないと。  阪和銀行がだれも引き取るところがありませんでした。今までは、病める銀行は元気な銀行に引き取ってもらった。ありましたね、大阪府民信用組合もそうしました。今度の武蔵野信用金庫もそうしました。王子信用金庫が中心になって、あと二店舗ずつぐらい各信用金庫が引き取ってくれた。そうすると、勤めている人もそれでセーフなんです。そうすると、そこから金を借りていた人たちもつながるんですよ。阪和銀行の場合には組合が今提訴しているじゃありませんか、職を失うんですから。そして、そこからお金を借りてきた人たちは、いきなり期限の利益を失って、さあ返せということになるわけですから。  そのことを考えると、この規制緩和、自由競争というものをきちんとやる上では、よほど慎重な手続を考えなきゃいかぬ。そういうことについての手当てをきちんとした上で、金融の再編成をさらに強力に進めていかなきゃならない、私どもはそのように考えております。  どうぞ、いろいろ申し上げましたが、最後に、委員長にむしろお願いしておきたい。  予算委員会、本年度の予算を一日も早く通して、日本経済を活性化するためにやっていただきたいけれども、その後で、やはり日本の財政かくあるべし、日本の経済かくあるべし、我々予算委員で長年やってきた者として、ぜひこの委員会にみんな各党入れて論議する場があってもいいんじゃないか。政府の出した法案をイエス、ノー言うだけじゃなくて、我々が建設的に日本の経済と財政の再建について頑張る場を、委員長、ひとつよく御相談してつくっていただきたい。心から御 要望して質問を終わります。
  112. 深谷隆司

    深谷委員長 大変いい御意見でございますので、今後皆さんと検討してまいりたいと思います。  この際、村上誠一郎君から関連質疑の申し出があります。越智君の持ち時間の範囲内でこれを許します。村上誠一郎君。
  113. 村上誠一郎

    ○村上委員 失礼いたします。私は、実は昭和二十七年生まれで、今現在四十四歳であります。十一年間衆議院議員をやらさせていただきまして、今、日本の現状を見ておりますと、いよいよ我々の世代はしんがりの世代になってしまったのかな、要するに、もう一回国民が汗を流して力を合わせて再建しなければ、がけっ縁にあるんじゃないかな、そういう危機感を持っています。そういう危機感を前提にし、質問させていただきたいと思います。  まず、行財政改革についてお伺いしたいんですが、私ごとで恐縮ですが、私のおじの村上孝太郎が今から三十年前、大蔵省の主計局長のときに財政硬直化のキャンペーンを行いました。その当時は高度成長でありまして、税収が潤沢でありまして、なかなかその問題がきちっと理解されなかったんですが、まず大蔵大臣にお聞きしたいのは、今、今年度末までに大体国と地方の債務残高が四百七十六兆円、隠れ借金が四十五兆円、トータルで五百二十一兆円、九七年度末のGDP予測、国内総生産が五百十八兆円、ついに一〇〇%を超えてしまうという予測がされておりますが、それが事実であるのか、また、なぜこのような事態になってしまったのか、率直に御意見をお伺いしたいと思います。
  114. 三塚博

    ○三塚国務大臣 国、地方合わせまして五百二十一兆の長期債務という深刻な状態になっております。二十一世紀にかけまして高齢化社会を迎えます。ヨーロッパ諸国もこの問題をどう切り抜けるかということで全力を尽くし、方策を樹立をし、突き進んでおるというのが現況でございます。同時に、経済成長が低下傾向にあるとも言われます。税収の伸びが緩やかなものにとどまっておりますから、財政の赤字の問題は主要先進国共通の課題、こうなりました。  我が国財政を見ますと、厳しい税収動向が続く中で、バブル崩壊後の景気の下支え等のために累次の対策を実行いたしました。種々の財政健全化努力にもかかわらず、過去六年間、御案内のとおり八十二兆円もの国債残高が累憎いたしました。今や欧米諸国に比べまして最悪の状態と言われるゆえんであります。  ここで、経済を活性化させながら中長期的な経済成長をもたらすためには、できるだけ速やかに健全な財政体質に変える、回復をしていかなければならないところに来ました。よって、今後の財政構造改革の必要が叫ばれるようになり、このことに全力を尽くすということが本内閣に与えられた使命、こういうことになりました。  よって、九年度予算では、医療保険制度改革等の制度改革の実現に努める、さらに財政構造改革の第一歩を踏み出したところでありますが、それでもなお巨額の公債発行を余儀なくされておりますことは御案内のとおりであります。さらに徹底をした歳出削減を断行しなければなりません。平成九年予算がまさに元年度の予算編成で、その意気込みはそれなりに御理解をいただけるところであろうと思います。  しかし、平成十年予算編成、これにさらに具体的な形で国民各位に理解を得られるように、目にしっかりと焼きつけられるような歳出削減がどのように進められるのか、こういうことで概算要求を思い切って見直しながら十年度予算編成に当たらなければ、悔いを千載に残すことになりはしないかという危機感を持っておるわけであります。  ですから、一切の聖域を設けず財政再建のための具体的方策を打ち立てるために、与党三党代表とそして政府が一体となりまして財政構造会議設置をいたしたところでございまして、その中で、具体的に国民各位の目に見えるような形で明示をして協賛を得なければならない、理解を得て推進をしていただかなければならない、こういうところに立ち至っておるところであります。
  115. 村上誠一郎

    ○村上委員 大臣、時間がありません。短く答弁をお願いいたします。  まず、私は、この大きな原因は、昭和四十九年に石油ショックがあって、経済を立て直すために財政出動した、そこから始まってきたんだと思うんです。それから、私も十一年間、衆議院議員をやらさせていただいて思うのは、やはり予算の編成のときは膨張するベクトルばかり、そして税の時期には圧縮するベクトルばかり、これが原因だったと思います。  まず、入りの方から率直にお伺いしたいんですが、やはり我々は、出ることばかりではなくて入りを確保しなければならないと思うんです。今まで公益法人だとか赤字会社については、どちらかというとアンタッチャブルだったと思うのですが、これからそういう問題も我々はメスを入れていかなければならないと思うんですが、大臣の決意を聞きたいと思います。お願いします。
  116. 三塚博

    ○三塚国務大臣 税制は、国民の国政に対する基本の一つであります。よって、ただいま言われた赤字法人に対する課税の適正化と言われて久しいわけでございますが、真剣に検討をしていかなければならぬ。政府税調にも、本件についてさらに御要請を申し上げ、審議をお願いしたい、こう思っております。
  117. 村上誠一郎

    ○村上委員 公益法人も、よろしくお願いいたします。  それから、私は、やはりこの日本の予算は、今までずっと右上がりの経済成長であった、経済が大きくなる、それに比例して税収もふえていく、だからふえた分を今まで各省、各局に案分比例して何とかやってこられたと思います。  しかしながら、やはりこれからの日本の国土の面積や国民資源の状況を見た場合に、私は、少なからず、遠い時期でないうちに、六百兆から七百兆あたりで日本の経済規模がある程度頭打ちになるのではないかと。そうすると、当然税収は固定化してくるわけであります。そうすると、今までの我が国の予算のある程度の基本は、前年度実績主義と一律平等主義だったと思います。そういうことではこれからの新しい時代の予算編成はなかなか難しいのではないかと思います。  まずお伺いしたいのは、一つの方策、これは総論ですけれども、この間、北九州市のある方にお話を聞いたんですが、北九州市は毎年ゼロベース査定であります。例えば、公園緑地部が前年度約九千六百万であったのが、今年度は一挙に三千万台になる。毎年毎年それぞれの科目について査定をし直す、そういう方法と、もう一つ、なかなか日本人というのは一律平等主義でないと納得しない。そういう面で、私は、例えば、各省とも一律に五%カットを目標にする。一律五%カットしたところは二・五%新規を認める、そのような大胆な方法をとらないとなかなか財政改革というのはできないと思うんですが、大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。大蔵大臣です。
  118. 三塚博

    ○三塚国務大臣 カットを何%にするかは、財政構造会議においてただいまの意見等も紹介をしながら論議を闘わせていきたい。ねらい目は大変結構です。
  119. 村上誠一郎

    ○村上委員 まあ、確かにこのやり方は非常に難しいんですが、そのぐらいのドラスチックな方法をとらなければ私は間に合わないのではないかなという気がします。  それで、いよいよ各論に入りますが、私は、この予算の中でやはり大きな額を使っているのは、どうしても福祉と地方自治と公共事業だと思うんですね。それからもう一つ、予算の大きな問題点は、さっき申し上げたように、日本はずっと右上がりの経済成長であって、非常に税収が伸びてきたために余裕があった。そのために、官と民との役割をはっきり線を引かないままにどんどん行政の仕事をふやしてきた、これが大きな原因だと思うのですね。  まず厚生大臣にお伺いしたいのですが、特に私 自身最近感じておりますのは、いろいろな病気がありますよね、例えば風邪とか盲腸とか、そのように単純に薬を飲んだり手術して治るのと、それからがんのように難しくなってくる……。一番費用がかかるのは末期医療ですね。実は私の父もおじも五十三歳、五十四歳で亡くなったので、身内の気持ちはよくわかるのですが、最後の寿命を一カ月、二カ月延ばすのに莫大な費用がかかってしまうのですね。  やはりこれからの医療を考える前に、国というか社会保険や国民保険でやる範囲はここまでなんだ、それから先については  アメリカの場合は御承知のようにこういう皆保険がありません。みんな民間の保険会社に加入して、民間の保険会社が病院に支払うわけですけれども、ここまでの分野政府がやる、これから先は民の分野でやる、そういうすみ分けというか、官と民のすみ分けをやはりきちっとしていかないと、私はなかなかこの福祉の問題に対応するのは難しいと思うのですが、厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  120. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 医療の場合に、官と民を分けるというのは実に難しいのです。というのは、出来高払い制度ですから、今。かかった費用、必要な治療のためにはどんな手当てでもする、その手当ての費用は全部面倒を見る。それで、この病気はもう勝手に自分でやってください、これは保険で見ますよというのをどこで区別するかというのは実に難しい。  現に、末期の患者さんの中でも、もう月何百万使う方がおられる。ところが、高くそれだけ費用を、治療費を使えば長生きできるのか、病気が治るのかというと、必ずしもそうじゃない。むしろ、いろいろ調べてみますと、何百万もかかった方の治療というのは必ず、亡くなっている方が多いということを考えると、これは、今後高齢者がふえる、どこまで医療をかけるかというのは実に難しい問題なんです。  お金をかければかけるほど治る病気もあります。しかし、どんなにお金をかけても治らない病気もある。それをどこで区別されるかというのは現実に私は難しいと思います。ですから、できるだけ適切な治療を効率的にどうやって行うかというのがこれからの医療の場合大変重要だと思うのでありますから、これからは、出来高払い制度が本当にいいのか、あるいはある場合によってはヨーロッパでも施行されております総予算制がいいのか、一定の額を与えてその中で適切な治療を施してもらった方がいいのかということも考えておりますので、今度の医療保険法案におきましても、国立病院の一部には、一定の額をお与えしてその中で適切な治療をやってもらいたいというような、試行錯誤的なそういう方法も導入しております。  ただ、今言ったような段階は、議論がありますが、結論を出すにはまだ時間がかかるんじゃないか。どんな制度でも一長一短あります。その辺を国民的な議論の上で、よい、適切な医療サービスを受けるために国民がどのような適切な負担を行っていくかということを今度の国会でも御議論をいただきたい、そう思います。
  121. 村上誠一郎

    ○村上委員 まさに、厚生大臣のおっしゃるように、そこが本当に難しいところなんです。ただ、私がこれをなぜ申し上げたかったかというと、今一年間に日本全体でかかる医療と年金が四十八兆ほどあります。三十年後、我々が医療と年金を受けるときは、国全体で百八十八兆になります。ということは、大体今の四倍くらいかかるということであります。先ほど申し上げたように、国のGDPが五百兆としますと、単純計算でいけば、日本の経済、GDPが二千兆円にならないと吸収できないということであります。だから、それはもう絶対無理であります。  それは、国民の皆さん方におわかりいただきたいのは、そういう状況において、やはり行政のサービスとかそういうものはあくまで受益者負担であるということはある程度認識していただかないと、この問題はなかなか解決できないと思うのです。  そこをやはり私自身つくづく感じますのは、どうしても行政というのは部署をふやす、部署をふやせば当然人員が要る、そうすると予算がふえるというパーキンソンの法則がありますが、それはどうしても必然的に避け得ないですね。特に私は、役人の皆さん方がいっぱいいらっしゃるので言いづらいのですが、どうしても役人の皆さん方は、自分が局長とか課長のときに自分のところのセクションで予算を減らされたり人員が減るということはやはり不名誉であると、これは今まで率直にそうだったと思うのですね。それで、やはりそこら辺は、今後お互いに痛みを分かち合わなければこの国は私は立ち直れないと思うのですよ。  それで、その次に、地方自治についてお伺いしたいと思います。  今よく地方分権、地方分権と言われるのですが、国と県の役割分担については議論されているようですが、県とその以下の市町村との役割分担についてまだまだ議論になっていないような気がするのですが、そこら辺、自治大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  122. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。  私は、地方自治の経験もなければ地方自治の分野を余り勉強した者ではございません。自治大臣を拝命いたしまして初めて勉強したのでございますけれども、ただ、地方自治関係者が地方分権ということを長い間言ってきたことは承知をしております。そして、この国会で地方分権推進法というのができて、その法律に基づいて地方分権推進委員会が鋭意努力されていることは知っております。知っておりますが、就任してまだ百是らずでございますが、率直に申し上げて、今のままいったならば、中央で今までやっていた権限が都道府県に行くだけ。きょう何か具体的なものがあるのかといったら、都市計画について一都市町村に権限を移譲しようかというものしか具体的には挙げられませんということであります。こんなことで地方分権と、こんなことをするために長年地方自治関係者は地方分権と言ってきたのでしょうか。  地方自治体の方にも私は申し上げたいことがございますが、地方に権限移譲という話についてすぐ言い出してくるのが、お金はどうしてくれるんですかという話ですが、お金なんというのは、かかるものを面倒見るのは当然でございます。ですから、それぞれの地方自治体、まず自分たちのことは自分たちでやりたいんだと、そのかわり、誤るときもあるかもしれないがその責任は私たちが負うと、これが自治の原点じゃないでしょうか、あるいは自由の原点じゃないでしょうか。  私は、自治大臣に就任した以上は、本来関係者が望んでいたもの、そして本来あるべき、本当に地方自治が進展していくような、二十一世紀に日本の国家は幾つになるかわかりませんが、四十七の都道府県ではない、もっと細かく分かれたそれぞれのところで創意工夫の生かされた町づくりが行われるように、私はその仕組みをつくっておくのがこの際問題になった地方分権の話だと思いますので、どうか委員の先生方の御監視と御協力をいただいて、真の地方分権の時代が来るように努力してまいるつもりでございますので、お力添えをいただきたいと思います。
  123. 村上誠一郎

    ○村上委員 まさに自治大臣の言うとおりであります。  ただ、私が危惧しますのは、地方分権で権限を移譲します、ただ今までのように何かあるたびに地方交付金や補助金を出し続けているならば、これは全然行財政改革にならないと思うのです。  私は今、質問一つとしては、日本全国の地方公務員が三百二十万いるのじゃないかと思うのですが、それが、その数字が合っているかどうか。それで、普通の企業は人件費というのは変動費にするのですけれども、やはり公務員というのは固定費になってしまうのですよね、人件費が。それでまたいろいろな、例えば各市町村ごとに運動公 園をつくる、公民館をつくる、体育館をつくると、全国の三千三百の市町村に全部つくって、その後のアフターケアというのですかメンテナンスを考えたら大変な額になってしまうのですね。  私は四国出身ですけれども、もうそろそろ四国も、今まで山が険しかったから四県だったですけれども、高速道路が八の字型に通ずるようになったら、四国なんかも四県で一つでいいのじゃないかなという気がします。そのかわり、マルチメディアとかインターネットが発達しているわけですから、そういう新しい科学の力をもっていろいろな事務的なものを省略していく、そういうことが必要だと思うのですけれども、自治大臣にお伺いしたいのは、やはり今後地方自治も受益者負担が基準になると思うのですね。さっき越智先生も質問していたけれども、地方の財源はこれしか集められない、しかし、そのほか国で補うのはここまでがやはり限度ですね、ここまでが守備範囲ですねと、そろそろ私ははっきり示す時期に来たと思うのですけれども、自治大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  124. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 村上委員がどういうことを想定しているのか具体的にはわかりませんが、一般論として、自由主義社会である以上、受益者負担という物の考え方がなければいかぬと思いますし、また自由主義社会というのはそういうことを前提にしているんだと思いますが、一方では、自由主義社会の国家の役割というのは、階層間の所得移転の問題、それから地域間の所得移転の問題、こういうものはまた本来的に持っていると思うわけでございます。  なぜかというならば、あえて申すまでもなく、我々は自由な社会の永続を望む、自由な社会の永続を望む以上は、自由競争の結果余りにも看過できないような不平等ができたならば自由な社会そのものが永続しないという中で、いかなる自由主義国家も階層間の所得移転、再配分、あるいは地域間の所得再配分をするのもこれまた本来の国家の役割だと私は信じて疑いません。
  125. 村上誠一郎

    ○村上委員 あと公共事業もあるのですが、やはり公共事業の問題点は、例えば下水だと建設省、農水省、厚生省、道路だと国道とか林道とか農道、港だと農水とか運輸と、こういろいろ各省にまたがっているのがあるのですけれども、それをどうくくっていくかという問題と、それから、将来的に採算性が合うのか合わないのか、それをどう考えるか。  それから、もう一つ私自身今感じていますのは、ドイツとかスイスに行って思うのは、やはりドイツとかスイスの国民は自分が生まれたところに誇りを持って一生を終わるというのがあると思うのですね。それで、そのときに思うのは、今これ以上に大都市に人を集めて意味があるんだろうか。言いかえれば、これ以上大都市に人が集まれば、防災の問題、ごみ処理の問題、水の確保の問題等、幾何級数的にコストがかかるだけだ。特に、私は災害特の筆頭理事をやっていて思ったのですが、八戸と阪神大震災の被害は、阪神大震災が六千人以上の死者で八戸が二人ですが、やはり何といっても過密であったらもうどうしようもないということなんですね。  そういうことで、私は郵政大臣にお伺いしたいのですが、やはり日本全国に早く光ファイバーを網羅してマルチメディアとかインターネットが活用できるようにして、やはり快適な生活環境で、例えば、もう今売れっ子の作家は都会なんか住んでいませんですね。北海道とかいいところへ行ってファクシミリで原稿を送るとか、設計図だとかいろいろな文書の作成とかそういう事務的なものが環境のいいところでできるような基盤整備というのが私は重要じゃないかと思うのですが、郵政大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  126. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいま村上委員の御指摘のとおりでございまして、最近情報通信が飛躍的な発展を遂げておるわけであります。したがって、最近、この情報通信をあらゆる行政面にも活用され、さらにまた、我々の日常の経済活動、国民生活にも非常に高度に利用されておるのが現状であります。そういう意味で、政府におかれましても、昨年度の概算要求におきましては、基礎科学研究、情報通信基盤重要施策として約三千億円が認められたわけであります。  我々は、こうした予算を十分活用しながら、情報通信の基盤整備について最善の努力をいたしておりますが、その中でも一番その中心をなしますのはやはり光ファイバーだ、こういうように認識をいたしております。したがって、一九九六年度までに大体一六%、そして二〇〇〇年までに二〇%、二〇一〇年までに全国をこの光ファイバー網で整備したい、このような目標を掲げて進んでおりますが、現在のところ、一年前倒しの状況で極めて順調に進んでおる状況であります。  また、この光ファイバー整備につきましては、超低利融資あるいは税制上の措置を講じて督励をいたしておるところであります。  これからも最善の努力をいたしまして、この光ファイバーの基盤整備について努力をしてまいりたいと思います。
  127. 村上誠一郎

    ○村上委員 どうもありがとうございました。  今まで大体行財政改革の自分なりのポイントを質問したんですが、要するに、今まではずっと右上がりの経済だったけれども、それが頭打ちになる。そうすると当然税収も固定化するようになる。そのために新しい予算編成のシステムを私は今こそみんなが真剣に考えなければならないと思うんです。ひとつ大蔵大臣、よろしくお願いします。  それから、二番目に経済の再建ですが、総理に所見をお伺いしたいんですが、今、第三の波と言われているんですけれども、第一が明治維新、第二が太平洋戦争直後。それはまあ御高承のように明治維新は鎖国から開国になる、それから太平洋戦争後は天皇制から民主制になる。今、第三の波は何かなと自分なりに考えてみました。それは一言で言えば、やはり経済のボーダーレス化とグローバル化じゃないかなという気がするんです。ところが、明治維新のあのような黒船や、終戦直後の瓦れきの山が見えないために国民の大多数の皆さん方がなかなか認識しにくいと思うんですね。  それで、経済のボーダーレス化、国境のない経済、グローバル化で今何が起こっているかというと、構造調整、価格破壊、規制緩和が来る。そのために、先ほど越智通雄先生も質問されたように、これは一言で言えば弱肉強食なわけです。弱肉強食だとすれば、強いところは勝つけれども負けるところは当然つぶれていくということであります。そういういろいろなことのために産業の空洞化が起こり、私が今一番心配しているのは、日本国民の八割は中流意識でありますけれども、この中流階級というか日本の中流意識は崩壊するんじゃないかな、そういう危険性を感じております。  特に国家としては、例えばあるスーパーのように中国に本店を出せば、当然国家はその会社に税金を取ることできない。要するに徴税権すらなくなってしまいますね。電子マネーになれば国家の通貨発行権さえなくなってしまう。まさに今は、戦後五十年間、国家と企業の利害が一致していたんですが、その国家と企業の利害が一致しなくなってきている。  そういう中で、私自身は、この大きな流れの根本に流れる価値観は、イギリスやアメリカの資本主義というのはやはり自由主義経済がすべて善である、それ以外は間違っている、だから、一部の投資家や資本家がもうかってもいい、ホームレスが出てもいい。しかし、我が日本の資本主義経済というのは、ドイツ、フランスもそうですが、確かに企業は利潤を追求するけれども、社会保障を含めて社会的責任を負うのが義務である。そういうやはり大きな価値観の対立が根底に横たわっていると思うんですね。  ですから私は、先ほど来あるように、日本の経済というかその仕組みというのは、みんなが底上げしてよくなろうという底上げ方式であったと思うのですが、私は、欧米型の民主主義や経済のタ イプがあっていいように、我々はやはりアジア型の民主主義、経済主義というのがあっていいんじゃないかという気がするんですが、総理はその点どのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  128. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 非常にお答えをしにくい部分を含んでおりますけれども、私なりに申し上げてみたいと思います。  今、利潤追求型の企業行動に加えて社会的責任という切り口を加えたものが独仏型、ヨーロッパ型という定義をされました。私は、必ずしもヨーロッパもそのとおりだとばかりも言えない部分があると思います。殊に、多国籍企業化がどんどん進展している中で必ずしもそう規定できるとばかりは限りますまい。  ただ、その上で私は、日本の場合に、企業としての当然の利潤追求行動に加えて、社会的責任というものを柱に据えた経済活動のあり方、そして、そうした企業の集積による社会構造、国としての経済構造を追求するという点については異論を持ちません。  そして同時に、私どもは企業というものを、当然ながら社会的責任を今までも負うてきたと思っておりますし、我が国の社会保障制度は、まさに企業の経営的な立場からの負担というものをその財源の柱として構成をしてきております。言わず語らずの間に、国民皆年金、国民皆保険という仕組みづくりの中で我々は企業の社会的責任というものを問うてまいりました。企業もそれに応じてきたと思います。そして現在、厚生大臣のもとで進められております介護保険あるいは医療保険の仕組みの見直しといった中においても、そうした視点は今後ともに残るでありましょう。  これからの問題は、そうした社会的責任を負うた上で、国際的な企業の投資意欲というものをいかに日本に向けていくか、そうした工夫を必要とする、それが我々の立場だと思います。
  129. 村上誠一郎

    ○村上委員 どうもありがとうございました。  それで、あと通産大臣にお伺いしたいのですが、要するに、今やはり問題なのは、日本は食糧もエネルギーも資源もない、それを安く輸入してきて、今まで車だとかテレビだとかビデオとかICを輸出して、その差額で食べてきたわけであります。ところが、御承知のように、韓国だとか台湾とか東南アジアがどんどん伸びてきて、なかなかそれだけでは外貨を稼ぎ切ることは難しいのではないか。  私が考えるのに、今こそやはり国も企業も力を合わせて二十一世紀の次の世代の雇用を確保し、なおかつ外貨を稼げるような新しい産業をどう構築していくかというのが問題だと思うのですね。その点について、通産省並びに科学技術庁でそういう予算に対してどういう配慮をしているか、お聞きしたいと思います。
  130. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 村上委員のおっしゃるとおりでございますが、それだけに、今この橋本内閣でもって六つの構造改革、その中で経済構造改革ということ、これを提唱して今その実施に移っているわけでございます。  これが一口に言えばそうなるわけですが、その背景は、今委員が御指摘のように、やはり今回は今までと違って、高度情報化社会というものの急激なこうした変化によって世界が一体化した、そこで日本の場合には産業の空洞化というものが起きてまいったわけであります。その産業の空洞化というものの原因は高コストであり、そしていわゆる規制緩和、こういうものを怠っている、こういうことに実はなるわけでございまして、一方、今もお話しのように、本格的な高齢化社会というもの、これを実は伴うということで経済の活力が停滞した。  今、政府としては、昨年の十二月に経済構造の変革と創造のためのプログラムというものを策定しております。そういうことに基づいて、これから付加価値の高い新規産業の創出、国際的に魅力ある事業環境の整備など抜本的な経済構造改革に取り組んでいく、こういうことなんです。  具体的にはと言われると、良質な雇用の機会の担い手となる新規産業を創出するという観点から、大体十五分野にまず分けまして、一つは、個別産業、分野ごとのニーズに対応した規制緩和、人材の育成、技術開発等の総合的な施策ということで、二番目には、新規産業創出にかかわる共通の課題を解決するための資金と技術と人材面の施策、こういう施策を推進していく、こうなっているわけです。  もう一つだけ加えますと、今いろいろ委員がおっしゃったことに私自身も共鳴するのは、日本の場合には、ややもすると企業が、企業だとか社会というようなとらえ方でもって国というような考え方を持っていないのではないだろうか、俗に言う国の利益追求という面が企業において怠っているであろう、かように実は考えております。
  131. 村上誠一郎

    ○村上委員 どうもありがとうございました。  とにかく、私は、昨年アメリカのヒューストンへ行ってびっくりしたのですが、アメリカのNASAが終戦直後から月に飛ばすまでに約七十兆円研究費をかけたというのですね、七十兆円というと約一年間の日本の予算ですが。やはり、今こそほかの予算を多少削ってもこの研究費、開発費については、ひとつ基礎研究について予算を獲得するように頑張っていただきたいと思います。  それから、持ち時間が少なくなって焦っていますが、次は外交と国防の問題についてお話伺いたいと思います。  私、もう初当選以来十一年ですが、十一年前に初当選したときに一番奇異に感じたのは、日本の国会の役割は財政、経済、外交、国防がメーンであると思うのですが、その外交とか国防の議論が、あの当時はまだソ連邦が残っていたこともあって、イデオロギーの対立もあって忌憚なくできなかったというところであります。  まず、防衛庁長官にお伺いしたいのですが、日本では、ソ連が崩壊して、ベルリンの壁が崩壊して、皆さんあしたから世界が平和になると思ったのですが、結局今現実に世界に起こっているのは地域間戦争であり、宗教間戦争であり、また民族間戦争であります。今、防衛庁長官認識としては、先日、北朝鮮の労働党の書記が亡命しましたけれども、日本を取り囲む国際情勢をどのように認識していらっしゃいますか。
  132. 久間章生

    ○久間国務大臣 確かに冷戦構造が終わりましたが、しかし冷戦構造の中においてもこの我が国周辺の状況は若干違っておりまして、当時から中ロの対立等もございまして、三極としての中国があったわけでございます。  確かに、世界的な規模での戦争は遠のいた感じがいたしますけれども、民族間の対立、地域紛争あるいはまた領土問題等もろもろの問題が残っておりますし、しかも四十年間にわたって朝鮮半島で緊張状態がずっと続いておる。この関係はいまだに消えていないわけでございますので、そういう意味では、やはり我々としては我が国の防衛上必要なことはきちんとしながら、そういう国際情勢の中で、そうは言いながらもこの太平洋地域でもASEAN地域フォーラムみたいなものが芽生えてきておりますので、そういう安保対話あるいは防衛対話、そういうようなことの中で我が国の安全を守っていきたい、そういうように思っているところでございます。
  133. 村上誠一郎

    ○村上委員 外務大臣にお伺いしたいと思います。  北方領土、竹島、尖閣列島は日本の領土と考えてよろしゅうございますね。
  134. 池田行彦

    池田国務大臣 そのとおりでございます。
  135. 村上誠一郎

    ○村上委員 私自身最近痛切に感じますのは、五十年前に戦争という非常に不幸なことがあった。それを残念ながら今も引きずっているわけですけれども、やはり我が国民は自分の国を自分の手で守るという意識がなくてはならないと思うのですね。それで、私自身最近とみに若い世代と話して思うのは、結局自分の国を自分で守るという意識が非常に希薄である。これは非常にゆゆしき問題だなという気がしております。その点に関して、防衛庁長官、国防、つまり自分の国を自分の手で守るという国防意識に対する対応をどのようにな さっていますか。
  136. 久間章生

    ○久間国務大臣 我が国の防衛というのは、ひとり自衛隊のみで果たせるものではないことはもう御承知のとおりでございまして、広く国民的基盤に立って、国民各層の理解と支持があって初めて成り立つものでございます。したがいまして、いろいろな機会を通じて、やはりこういう国防に関する理解、支持、それをやはり持ってもらうべく、我々としてもできるだけ広く国民に訴えているところでございます。  しかし、そうは言いながらも、あわせてやはり防衛庁としては、日米安保体制等必要なことについては十分今までもやってきたところでございますし、これから先もそういう問題についても国民に必要だということを、また広く理解してもらうべく努力をしているところでございます。
  137. 村上誠一郎

    ○村上委員 私は、二十一世紀に日本が生き残る条件として三つ必要だと思います。それは何かというと、食糧とエネルギーと情報だと思います。  特に、二十一世紀には人口爆発になって百億人を地球上で超えたとすれば、もし外貨を稼げたとしても食糧が確保できるかどうか非常に難しい時代が来ると思うのです。その点に関して、農水省はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  138. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 今村上さんが御指摘ありましたように、二〇二〇年にはエネルギーと食糧と環境危機が訪れる、こういう説がございます。特に食糧につきましては、今五十七億の人口が二〇五〇年には九十八億、一方において食糧の供給はそれに対して十分ではないだろう、こういうふうに言われておるわけで、そういう点からいたしますと、この食糧を、我が国の食糧をどうやって確保していくかということは極めて中長期の目標として重大な問題であり、また、これは一年、二年で解決できる問題ではないわけでございまして、これから中長期の課題として取り組んでいく大きな問題だと思っております。  特に、取り巻く状況が極めて、例えて言えば自給率が先進国では最低であるとか、それから農地面積が今や六百万ヘクタールから五百万ヘクタールに減ってきておるとか、また全部食糧自給するにはさらに千二百万ヘクタール農地面積が要るとか、いろいろそういう状況を見ますと、私どもとしてもこの低落傾向にある自給率の低下に歯どめをかけて、可能な限り我が国で食糧を自給していく、こういうことに全力を挙げていかなきゃならぬ、かように考えております。
  139. 村上誠一郎

    ○村上委員 ありがとうございました。  あと、情報問題については、ちょっと時間がないので問題提起だけにしますが、コンピューターのハッカーの侵入をどう防ぐかという問題、これは重要な問題であります。今もう電話交換機も全部コンピューターで使われておりますから、我が国の情報がこのままいけば筒抜けになる可能性があります。そういう問題についても政府として積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それから、あと一般質問で、最後に教育ですが、昨今、オウム事件、岡光事件、いじめ等いろいろな問題が起こっております。  私自身、なぜこんなことになってしまったのかなと自分なりに考えてみました。私は、やはりそれは、残念ながら戦後五十年の教育のある面の失敗だったのではないかなという気がします。  一つは、四年制、六年制の大学を出ながら、物事の判断、善悪をきちっと判断できることができていなかったということ。それからもう一つは、私最近つくづく思うのですが、官僚のOBたちと話すと、やはり昔は、旧制高校の高校生時代に、人間とは何か、人生とは何か、そしてまた国家とは何か、歴史とは何かということをお互いに話し合いながら幅の広い教育があったのではないかということを聞きます。  文部大臣として、そのような問題についての御所見をお伺いしたいと思います。
  140. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 戦後の教育については、先ほど総理からお話があったように、国民の間に広く教育の機会均等、あるいは日本の学力水準を高めたという利点はあったと思います。  しかし、反面、画一性とかあるいは硬直性という面も否定できません。そのためにいろいろ今改革を要するわけですが、特に、戦後五十年の中で、知育、徳育、体育というバランスをとるべき教育の中で特に知育偏重という風潮がなかったとは言えない。  そこで、私どもは、これからは豊かな人間性を育てる、こういうところをひとつ教育改革の大きな柱にしていかなくてはいけない、こう考えまして、例えば今道徳教育ども週一時間やっておりますが、調査してみますと、必ずしもその時間を有効、適切に使っているとは言いがたい。また、教材の内容を見ましても、非常にバランスを欠いている部分もあります。そういう点を通じて改善をしていきたい。そして、この問題は単に学校教育の場だけではなくて、社会、家庭あるいは企業、こういうところにおいても連帯して、社会全体がそういう人間性を育てるという方向へ向かうべきだ、こう考えております。
  141. 村上誠一郎

    ○村上委員 ありがとうございました。  それで、残りの時間について、我々は国の基本の問題を取り扱うことも重要でありますが、もう一方重要なことは、我々国会議員がやらなきゃいけないことは、民主主義を守るということだと思います。今回のオレンジ共済問題は、まさにその民主主義の根幹にかかわる問題であります。それについて逐一質問をしていきたいと思います。  まず、御承知のように、オレンジ共済というの一は友部達夫という新進党の参議院議員がずっとやっていたことなんですが、まず当局にお伺いしたいのは、オレンジ共済組合は総額幾ら集めたのか。出の方は、報道によっては二十二億は使途不明と言われているけれども、現時点ではどのぐらいまで詰められているか。それから、きょうの日経にも出ましたが、友部達夫議員が参議院選挙に当選してからどれだけ集金したのか。それを一ちょっと御説明をお願いします。
  142. 泉幸伸

    ○泉政府委員 お尋ねの事件につきましては、オレンジスーパー預金等同種の方法によりまして、現在捜査中でありますが、総額約八十四億、その他共済事業等も行っておりますので、それらを合わせまして約九十億を超える額を集めたと見ております。詳細については捜査中であります。  使途につきましては、現在これも詰めておりますが、二十数億円の使途不明金があるというふうに見ております。  なお、友部達夫被疑者が参議院議員に当選後と当選前の変化ということにつきましての御質問でありますが、逐年でとっておりますのでその辺の前後を正確にお答えをすることはできませんが、平成七年に約二十八億円、平成八年に約三十八億円の資金を集めたというふうに見ております。
  143. 村上誠一郎

    ○村上委員 我々、オレンジ共済問題についての調査の自民党のプロジェクトチームは、先週の日曜日、被害者の皆さんからお話伺いました。  それで、いろいろその被害者の皆様方のお話を聞いていますと、ある青森の方は、公務員を退職して二千三百万の退職金とあと手元の二百万。それはなぜかというと、その子供さんが身体が悪いために、何とか子供たちに残してやりたいと言って二千五百万円やったんですね。それが全部だめになってしまった。それから、東京近辺のある年輩の御婦人は、御親戚の皆さんからお金を集めて全部やってしまったら、全部これはパーになってしまった。それで今、何というんですか、一族の皆さんからいろいろ責められているんだという話でした。  その中で、いろいろ被害者のお話を聞いておりますと、一つ大きな共通項があるんですね。それは何かといいますと、これは自民党のインターネットや党本部に寄せられた手紙なんですが、ちょっと読まさせていただきます。  「斉藤斗志二様」、これは自民党の調査局長ですが、いろいろ経緯がありまして、「チャンスだからやってみないかと強く勧められました。」それまでの仕事が順調だったから断り続けていました が、その説明の中で、まず第一点、「現職の参議院議員がやっている。」それから「新進党の公認である。(新進党の新聞に広告されていた。)」これはちょっとずれているんですけれども、後で御説明します。それから「自治省届出である。」こういうのが、数多くの被害者の皆さん方からお話を聞いたり、手紙が来て、共通項なんですね。  それはどういうことなんですかと、いろいろお話を聞いてさましたら、まず、これがオレンジ共済の集めるあれなんですけれども、それプラス、実は大きな原因になったのが、この財団法人21世紀青少年育英事業団設立の申請書。これは、このオレンジ共済が信用をつけるために、こういうふうにまた新たな金集めをするために申請したんで、まあ結果的には許可になっていないんですが、その中に、「理事及び監事となるべき者の氏名」の中に、ここに小沢辰男議員、鳩山邦夫議員、初村謙一郎前衆議院議員、こういうふうに名前が出ているわけですね。  結局我々が調べた結果、小沢辰男議員はお願いに行った人に、一生懸命協力するから、どこどこ回れということを指示したようであります。それから、鳩山氏の場合に至っては、秘書に了解をとったということでここに名前を出したんだということでありました。  もう一つありますのは、機関紙と言ったのは、実は新進党の機関紙じゃないんですけれども、この「自由社会」というものだったんですね。「自由社会」というのは、調査チームが調べましたら、かつて中内左光という都会議員がやっていたんですが、山下元利先生が引き受け、後に鳩山邦夫代議士が毎月出資し、地元では鳩山氏の事実上の機関紙として定着している。当然のことながら、内容は鳩山氏及びその周辺の記事ばかりであるというんですが、例えば、平成六年十二月十五日、「政治改革の旗手新進党結成」。そしてその下に、見ていただきたいのは、オレンジ共済の広告が出ているわけですね。これだけじゃないんですね。平成六年十二月十五日、今と同じですけれども、「友部達夫と年金党の躍進を祝う会の成功を」。  それから、ここにありますのが、平成六年十月十五日、「鳩山邦夫文京後援会大成功!」。その横に、「年金党・新・新党合流か?」、年金党と新新党の合流かと。その下に、またこのようにオレンジ共済の広告が出ているわけですね。それから、もっと顕著に出ていたのは、これは友部氏が一面に出ているんですね、「自由社会」。国会内でも大活躍、変革の先兵新進党。こういうふうに、ほとんど三、四年にわたってこういう密接な記事が次から次へ出ているわけですね。  これによって結局は、これもありますね、つい最近ですね、平成八年八月十五日、「政局夏の陣」「いざ鳩山だ」「友部達夫参議院議員 大蔵委・行財政調査会理事に」と。このように、事あるごとに全部出ている。これで被害者はみんなひっかかってしまったわけですね、さっき言った財団法人21世紀の青少年育英事業とか。  まさに、これは今までと全然質が違うんですね。それはなぜかというと、新進党は詐欺師を公認して当選させたということです。その上に、それを信用した一般の人たちがその上に金を出して、被害者がふえたということです。まさに、これは新進党が詐欺に対して手助けしたというか、幇助的役割を果たしたと言っても私は過言じゃないと。(発言する者あり)まだ反省しませんか。だからこの問題は、非常に次元の違う、今までの事件とは違う問題なんです。  それで、もう一つ。これからがもっともっと重要な問題であります。それは何かというと、まさに民主主義の根幹にかかわる問題で、いろいろ私どもが、同僚の山本有二議員や、あと平沢勝栄議員がこの間予算委員会等でいろいろ質問されていましたけれども、我々がいろいろな関係者から聞いて、新聞で実名が出たものだけを限定して言います。  これは、大体一九九四年十月から友部達夫氏が新進党に対して政界工作を本格化させた。最初のころ、一九九四年の十二月ごろに、ある都会議員に約一億行った。それから、これは新聞によってもいろいろちょっと分かれているんですが、我々が聞いた情報だと、斉藤衛という人と初村謙一郎氏に約三億五千万、そのうち初村氏が四千万。これは二月十二日の東京新聞に出ておりますね。それから、あとこれ以外に平成七年の三月の初めごろに、実は今言ったこの財団法人設立のために、オレンジ共済は初村氏とその斉藤氏に約三千五百万渡しているんですね。それからあと、この問我が平沢議員がやった、一九九六年の六月に細川氏に三千万じかに渡した。あのときに言っていなかったのですが、百男氏から直接聞いた人の話を聞くと、百男氏は細川氏のことを殿、殿と呼んでいたんですけれども、殿に渡っている、渡っていると言ったけれども、渡っていない。だから自分が直接的に渡すんだというふうに言ったようですね。  このように、私もいろいろな記事、全部集めてこのぐらいになったのですけれども、トータルしてみると五億から十億ぐらいの幅があるわけですね、要するに政界に使った工作資金の。私がいろいろ聞いた話と新聞で実名が出ているのを合わせても、少なくとも五徳あるんですよ。ということは、この五億がすべて相手のブローカーに横取りされた、なんていうのはちょっと考えられないですね。だから、実際に友部達夫容疑者が新進党の比例区の名簿に十三位となり、当選している。万年泡沫候補者にすぎなかった友部氏が、なぜ当選圏下に載せられることができたのか。金の力でないとしたらどういう理由だったのか。これは、新進党さんは納得のいく説明をする義務があると思うのです。  それに対して国家公安委員長にお聞きしますが、これは今までの事件とは全然違うじゃないか。つまり、詐欺で集めた金で国会議員のバッジを買ったということです。全然次元が違う。これに対する、取り締まりに対するひとつお考えを述べていただきたいと思います。
  144. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 現在、警察当局において詐欺事件の捜査を懸命にいたしているわけでございますが、もともと逮捕そのものは詐欺事件でございますが、現にこれだけいろいろな人がいろいろな形で供述をし、そういうものが報道になり、そして政治に対する信頼が損なわれているという、現状にかんがみまして、詐欺事件とは別途に、もしその金の動きの中で公職選挙法二百二十四条の三に該当するような事実あるいは政治資金規正法に該当する事実があるならば、そういう法律をまた視野に入れながら、それについては別途また捜査をそういう点でも詰めていく、こういうことで警察が鋭意努力しているものと承知しております。
  145. 村上誠一郎

    ○村上委員 我々は、政治改革のときに、これは衆議院の小選挙区と比例もそうなんですけれども、公認と比例の順位と政党助成金の配分で当落が決まってしまうわけですね。ある面では党幹部が非常に強くなる、こういうのは政党政治にとって大変なゆゆしき問題だということで、我々は最後まで反対したのですが、何と守旧派とレッテルを張られてしまった。ところが、いみじくも、残念ながら、ハウスの違う参議院でこういう問題が起こってしまった。これは本当に、何というのですか、万が一、法的に触れなかったとしても、政治的、道義的に大変な問題なんですね。  特に私自身思いますのは、そもそもオレンジ共済のお金は詐欺的行為で集められたものなんですね。たとえ法的問題がなかったとしても、その金を受け取って、それによって友部達夫という人にバッジを与えたとするなら、政治的、道義的責任に重大な問題があるわけですね。これは本当に民主主義に対してどういうスタンスをとっているのか、考えているのか、まさに政党にとって一番命の問題なんですね。  ところが、いろいろ報道を見ていますと、今、細川氏と小沢氏が泥のはねかけっこをやっているのですね、私は知らなかったとか。だけれども、いやしくもあのときに、ここで見ますと、参議院の選挙対策本部で本部長だったのが海部俊樹元党 首、副本部長が細川護煕元首相、事務総長が小沢一郎氏。それから選挙対策委員会では、委員長は海部党首であり、委員が細川元首相であり、小沢副幹事長であり、それから、旧各党代表者会議の責任者が中西啓介氏であり、旧各党代表の中に初村謙一郎氏もいたわけですね。  結局、最後になりますが、実は友部氏は自民党にも売りに来たのです。しかし、自民党は決然として断ったのです、きちっと調査して。ところが、我が同僚の議員に聞きましたら、実は最初は五位にしてやるという話だった。それが七位になって、究極的には十六位にされてしまった、そういう報告が今来ております。実際、最後の決めるときに自民党出身の出席者……(発言する者あり)はい、済みません、すぐ終わります。自民党は断ったのですけれども自民党の出身者が外した方がいいと……
  146. 深谷隆司

    深谷委員長 村上委員、時間になりましたので……。
  147. 村上誠一郎

    ○村上委員 あと一分で、すぐ終わります。  それを言ったのにもかかわらず、小沢氏が押し黙ったままであった。まさに重要な問題だと思いますので、最後までこの委員会で究明していただきたいと思います。  どうも御清聴ありがとうございました。
  148. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて越智君、村上君の質疑は終了いたしました。  次に、愛知和男君。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  149. 愛知和男

    ○愛知委員 新進党、愛知和男でございます。  これから私、二時間、時間をいただきましたので、橋本総理を初め関係の閣僚の皆さんといろいろやりとりをしてみたいと思いますが、きょうはテレビで多くの国民の方々が私どものやりとりをお聞きいただいているわけでございますので、なるべくわかりやすく、また平易な言葉で、また切り口としても国民の御関心のある切り口ということでやりとりをさせていただいて、そして問題をなるべく明らかにして、国民の皆様方にも御判断をいただく材料を提供したい、こんな思いでございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、橋本総理、大変な時期に総理大臣という役割をされておられまして、さぞ御苦労が多いことであろう。内外ともにまことに問題山積でございます。大変御苦労だと思いますが、また、考えようによっては、こういうときだからこそやりがいがあるということも言えるかと思います。  これは私ども会議員も同じでございまして、こういうときにこそ国政のために、国のために頑張るという、そういう思いで私どもも頑張っていかなくちゃいけないと思っております。たまたま総理とは立場が今違いますが、しかし国を思う心で頑張っていきたいと思っておりまして、ひとつ総理も頑張っていただきたい、御健闘をお祈りを申し上げたいと思います。  まず初めに、橋本総理は、最も尊敬する政治家の一人として佐藤栄作元総理がおられると承知をいたしております。佐藤総理は大変長い間、八年近く総理をお務めになりました。その間、ただ長かっただけではなくて、大変大きな実績を数々上げられました。沖縄返還もその一つだったでしょうし、また、非常に地味ではございますが、昭和四十五年の第六十四回臨時国会、これは公害国会と言われる国会でありまして、佐藤総理の大変強いリーダーシップで臨時国会が開かれ、公害対策関係の法律はすべてここで基礎ができたと言われておるわけでございます。  佐藤総理がなぜ、どういう理由でこれだけ強いリーダーシップでこの国会を開かれたか、よくわからない面もございますが、まあ一言に言えば、佐藤総理の政治家としての先見性であったと思うのでございますが、それはそれといたしまして、佐藤総理が総理の執務室で、首相の執務室で、時間ができたときに何をしておられたか。  私は、当時の秘書官をなさいました福島譲二さん、今熊本の知事をしていらっしゃいますが、福島譲二さんからお話を聞き、また実物を見せていただいたのでございますが、佐藤総理は時間ができたときに何を総理官邸執務室でしておられたかというと、写経をしておられた。般若心経を書いておられた。  その書かれたのを見せていただきましたが、その中から、国を思う気持ちといいましょうか、一身に責任を負った、その大変重い荷を背負った中で必死にその役割を果たそうと努めていらっしゃるお気持ちなどがひしひしと伝わってきたのでございまして、私はそれを拝見して大変感銘を受けたのでありますが、橋本総理、橋本さんは総理官邸で時間があったら何をしておられますか。
  150. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 本日もこうして委員会におりますけれども、先週末までは総括質疑の連続でありまして、ほとんど国会におりまして、官邸の執務室にいる時間がございませんでした。  その上で、ありますとき、いろいろな方から例えばお手紙をいただきます、暇のある限りそうしたものに目を通しておる時間もありますし、書類に目を通しておる時間もございます。自分なりにそれぞれの時間を使っております。
  151. 愛知和男

    ○愛知委員 湾岸戦争が起きましたときに、時の大統領、ブッシュ大統領は、たまたま休暇中だったわけであります。ところが、湾岸戦争が起きましても、ブッシュ大統領は休暇を途中で切り上げて帰るということなく、そのまま引き続き休暇を続けたわけであります。このことについてどうお思いになりますか。
  152. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 たまたま、湾岸危機から湾岸戦争、私は大蔵大臣として過ごしておりました。そして、その間にブッシュ大統領にお目にかかりましたとき、そのことを伺ったことがあります。スコアはめちゃくちゃだった、そういうお答えでありました。
  153. 愛知和男

    ○愛知委員 私が冒頭、なぜこんなことを持ち出したかといいますと、一国の総理大臣の役割というのは、まあいろいろあると思いますけれども、まず基本的に一番大事なのは、心身ともに余裕を持たなきゃいけない、こういうことを言いたいわけであります。  橋本総理は、この国会での御答弁などを伺っておりまして、それは今までの御経験から、大変お詳しくていらっしゃる、いろいろなことに大変精通しておられます。また、御答弁そのものも大変お上手でございまして、本当に感心するばかりでございます。  そのことはそれで非常に高く評価をするわけでございますが、私はぜひ、少しでも多くの時間をつくっていただいて、そしていろいろな実務はなるべく閣僚に任せて、御自分は、写経じゃなくてもいいかもしれませんけれども、じっと思いをいたす、国の将来に思いをいたすというような、そういう時間をつくってほしい。それが総理の仕事だと私は思います。  また、肉体的にも余裕を持たなきゃなりません。そうでないと正しい判断ができません。総理大臣というのは、とっさに正しい判断をしなきゃならないという場面がいつ来るかわかりません。いつもそのときに備えておくというのが、これがその役割でございます。ブッシュ大統領があの戦争の真っ最中に休暇を切り上げなかったというのは、そういう大統領としての役割を果たそうという、そのためにあえて休暇を切り上げないでその休暇を続けて、心身ともに健康の状態を保つというためにやったのだと思います。  ぜひそういう心がけを持っていただきたい、そのことをお願いしたいわけですが、総理にそのような、本当の総理大臣としての役割を果たしていただく、その環境づくりをするのはそばにおられる官房長官ではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  154. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 今質問を聞きながら、私の無力のせいで総理に時間的、精神的な余裕をつくることができないことを大変ざんきに思っております。
  155. 愛知和男

    ○愛知委員 これから、後ほどできたらちょっとペルーの問題にも触れたいと思いますが、とっさに国として、総理が国民の全責任を負って判断を しなきゃならないという場面が来るかもしれません。こういう難しい時期の総理大臣、大変なお役目だとは思いますが、ぜひその役割を果たしていただきたいと期待をいたしております。  さて、官房長官がお時間があるということでございますので、先に幾つか質問させていただきたいと思いますが、新聞報道によりますと、危機管理の一環として、閣僚にそれぞれ自転車を配置したというか、配ったというか、こういうことをなさったというふうに聞きましたが、そのとおりでしょうか。
  156. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 東京に直下型の大地震等を想定した場合にはどうあるべきかということを実は検討をし、いろいろな対策を講じております。  まず、携帯用の電話はぜひ各大臣持ってくれ。それから、交通の手段を失ったときには、車が通れなくても自転車では走れるはずだ、自転車に果たして全部乗れるのか乗れないのかは、私、実は確認をしておりませんが、私のところに予算があるわけでもありませんから、各省大臣、みずから所管をする省庁の予算の中で、できたらば自転車をお持ちになっておいてくださる方が大変ありがたいことできたらば個人で買っていただければなおありがたい、こういうことは申し上げて、何人かはお持ちになっていることを知っております。私も実は持っている一人でもあります。
  157. 愛知和男

    ○愛知委員 アイデアとしてそれは一つの意味があるかもわかりませんけれども、今のお話のとおり、閣僚全員が自転車に乗れるかどうか確認していないというお話でしたけれども、まあそういうことになると、自転車に乗れない人は閣僚になれないのかどうか。  例えば、橋本総理のお父様はお体が御不自由だったと伺っておりますが、自転車にお乗れになったかどうか。あるいは、これから車いすの議員の方が大臣におなりになるということだってあり得るわけでありますから、そういう点から考えますと、いささかこれはパフォーマンスであって、官邸の危機管理というものはこういう程度の話かというようなことを感じてならないのでございますが、今危機管理というのは大変大事な大きなテーマとなっているわけでありまして、国家の危機管理体制に関する特別な機構、組織あるいは諮問委員会などを設けて、本格的にこの危機管理体制を整備していかなきゃならないと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  158. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 冒頭申し上げたことは、特に私は、総理事故あるときには私が次の順位で指揮をしなきゃならないということになれば、少なくとも九段の宿舎から官邸までどういう手段で行くかということを考えることは何よりも大切であります。ですから、私が第一順位とするならば、そのことに全力を注がなきゃならないという意味もひっくるめまして、自転車も私は乗れるようになってほしいな、こう思っております。  というのは、交通がどんな状態になるかまだ想像つきません、本当のところ言いますと。しかし、そういうものは果たして可能であるかどうかわかりませんが、はってでも行く気持ちがなきゃなりませんし、その前に総理が安全であることが何よりも大切であります。極めて公邸、官邸とも脆弱な建物かもしれませんが、何とか身の保全をして指揮命令に当たってほしい、これがまず第一の原則であります。  それから、それぞれの部署でいろいろな災害、危機があります。それなりの検討はいたしておりますが、できるたびに思い新たなものがあります。確かに、過去にあったものに対しては幾ばくかの知見、ノウハウ、蓄積がありますけれども、残念ながら新しいものに対してございません。  例えば、新しくはないのですが、この重油の流出事件、確かに近海あるいは内海での油の流出に対応する能力はあるかもしれませんが、率直に言って、運輸省を初めあらゆる部門が全力を尽くしたけれども、形式的にはいろいろな手段をとったわけでありますが、実は内容的に、量、質ともに全くそういうものに対処できる船もなければ科学機材もなければ開発もされていない。しかも、日本海の荒天時の体制というものが少なくとも私の頭の中にはなかったという現実、これを考えますと、まさに大変な思いがいたします。  そして、今からどうするかということも考えなければなりません。いろいろなことを考えますと、次から次にやらなければならないことが大変多うございます。足らざるは自分で反省をいたしますが、決して私一人の知見でできるわけではありません。  ですから、今安全保障室を中心にしてこの危機管理、災害管理、すべての問題にいろいろな例示をつくりながら作業を進め、それに不備な点をどうするか、積極的にどうするか、こういう問題の検討を進め、一つ一つ物にしていこう、このように思ってやっております。
  159. 愛知和男

    ○愛知委員 危機管理体制の問題は大変大きな課題で、このことだけでも大変時間を要するのでございますが、きょうばいろいろな課題について幅広く触れたいと思いますのでこの程度にいたしますが、危機管理体制、これは国家として大変な課題であります。私どもも私ども立場からその議論にも参加をさせていただきながら、ひとつ国として万全を期すための体制をつくり上げていくために私たちの微力をささげたいと思っております。  次に、沖縄の問題に触れさせていただきます。  私ども新進党の調査団がこの週末、沖縄に参りまして、現地の皆様方といろいろ意見交換をしたり、あるいは実情を調査して帰ってまいりました。  したがいまして、沖縄の問題、私はその一員でございませんでしたので、詳細につきましては明日同僚議員からこの問題についていろいろな角度から質問をさせていただくことになろうかと思いますが、私はその中の一部、ある意味でいえば一部、ある意味でいうと最大の、当面の課題であります五月十四日、五月十四日に特別措置法の期限が切れる、この問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。  この措置法が五月十四日に切れる。その効力が切れたままになりますと、嘉手納飛行場そして普天間飛行場の使用が実際問題として不可能になってしまう。そうなりますと、日米安保条約の実質的な効力が失われてしまうということになるわけで、日米の安全保障上の同盟関係というのはこれは崩れてしまう危険があります。また、これは日米だけの問題ではない。こうなったらアジアの問題であり、ひいては世界の問題と言ってもいいかもしれません。この問題に対する基本的な御認識、総理はどう認識しておられるでしょうか。
  160. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 本委員会におきましても、何回かこの点についての御意見、御質問をちょうだいをいたしました。そしてそのとき、私が毎回繰り返してお答えを申し上げてまいりましたこと、それは我が国にとっての外交関係の中で日米関係というものは最も大切な関係であり、その基盤をなしているものがまさに日米安全保障条約である。そして、その日米安全保障条約の目的を達成するために、我が国に駐留する米軍に施設及び区域を円滑かつ安定的に供給することが我が国の条約上の義務であるということ。  そして今、国と沖縄県との信頼関係の中で、この使用権原の取得手続については、知事から公告縦覧手続への御協力をいただいている最中であるということ。そして、沖縄県収用委員会による公開審理が今月二十一日から開始される予定であること。そして、これは従来の実績から考えると、極めて厳しい日程であることは否定のできない事実であること。  しかし、我々としては、使用権原が必ず取得されなければ、議員も御指摘になりましたように非常に大きな影響をもたらすということを踏まえ、使用権原取得のために政府としてのできる限りの手段を尽くすとともに、収用委員会が作業を完了し結論を出していただけることを心から願っていることを、繰り返し申し上げてきました。  そして、そのたびに、そういかなかったらどう するのだというお話もありました。我々は、二十一日から審理が始まるのだから、日程的に厳しいことは承知しているけれども、あくまでもその作業を見守るというのが今我々のとるべき姿勢だと思うということを申し上げてまいっております。  そしてきょう、本来なら実は明日という御要望がありましたものを、明日は朝から一日、本委員会に私は呼ばれておりますので、私の方で日程を変えていただき、本委員会終了後、大田沖縄県知事にお目にかかるわけでありますが、まだここまでお話ができるだけ時間をちょうだいできるかどうかわかりませんけれども、県にもぜひ御協力をいただけることを今願っている次第であるということを申し上げておきます。
  161. 愛知和男

    ○愛知委員 いわゆるこの土地の所有者、これは三千六十八人ですか、そして、その土地の面積は坪に直して約七百坪と聞いておりますが、そのとおりですか。
  162. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  現在、駐留軍用地特別措置法ということで手続対象になっております土地は、全部で三十六・三ヘクタールでございます。全体の地主の数は、合計三千八十五人おられまして、そのうち、在来地主と私ども言っておりますが、本来の地主の方が百十七名、それから一坪共有地主の方が二千九百六十八名でございまして、在来地主の方のお持ちの土地が三十六ヘクタール。それから、一坪共有地主の方がお持ちの土地が〇・二ヘクタールでございます。
  163. 愛知和男

    ○愛知委員 〇・二ヘクタール、これは約七百坪、その土地を約三千人、こういう理解でいいのですか。(諸冨政府委員「さようでございます」と呼ぶ)
  164. 小里貞利

    ○小里委員長代理 はい、ここへ来てください。諸冨防衛施設庁長官。わかりやすく。
  165. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 失礼いたしました。  一坪地主の方のお持ちの土地は、全部で〇・二ヘクタール、二千平米でございます。坪に直すと約七百坪でございます。それで、合計二千九百六十八名でございます。(愛知委員「約三千人でいいですね」と呼ぶ)はい。  以上でございます。
  166. 愛知和男

    ○愛知委員 七百坪の土地を約三千人というのは、平均しますと一坪地主どころではありませんね。五分の一地主ですね。だから、これは一坪地主ではなくて座布団地主というのですね。座布団地主。どうしてこんなことになってしまったのですか。その経緯を教えてください。
  167. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 沖縄県の駐留軍用地につきましては、私ども公用地暫定使用法というような特別法で当初やっておりました。昭和六十二年になりまして、私どもこの駐留軍用地特別措置法の適用を始めたわけでございます。五十七年が正確でございますが、六十二年になりまして、一坪反戦地主会の方が結成されまして、いわゆる成田におきますような闘争手段といいますか、そういう闘争手段の一つとして、約二千人が当初参加してまいりまして、現在、贈与あるいは相続等によりまして日々ふえているというような状況になっておりまして、現段階では、先ほど申しました約三千人の一坪地主が発生しておる、こういう状況でございます。  理由といたしましては、これは、当初、契約に応じていただけない地主の方がおられます。その方々に、私ども契約に応じていただけるように再三お願いをしておるわけでございますが、その後の反戦地主会の動きとして、こういう法律に基づく、順法闘争といいますかそういう形で、実は自分の持ち分を、この一坪地主の会員になることによって分割されていくわけでございます。したがいまして、自分の持ち分の一部を、一万円ずつ払えばだれでも一坪地主になれるという闘争手段の一つとしてこういうものが出てきておる、こういう状況でございます。
  168. 愛知和男

    ○愛知委員 この三千人に及ぶいわゆる一坪地主というか座布団地主というか、この方々の中に国会議員が二人いらっしゃると聞いておりますが、そうですが。
  169. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 御質問のとおりでございます。二名おられます。
  170. 愛知和男

    ○愛知委員 それはどなたでしょうか。
  171. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 従来、個人のプライバシーというようなことで、私ども、個人の名前は公表しておりませんが、御質問でございますので、一応公告縦覧も終わった後でございますので、お名前公表するのはいかがかと思いますが、申し上げますと、参議院の先生で照屋寛徳先生、それからもう  一人、二院クラブの島袋先生でございます。
  172. 愛知和男

    ○愛知委員 国会議員の先生方もそれぞれの御自分の信念でこういう行動をされていると思いますので、そのことに対して今どうこう私はここで申し上げるのは差し控えますが、先ほどのお話にもございましたけれども、この地主、多くの地主の中には、いわゆる反戦地主、活動家とかそのシンパとかそういう方々が非常に多くいらっしゃる。したがって、こういう方々は本当に沖縄の県民の気持ちを代表しているのかどうかということで、私はむしろ本当の沖縄の県民の気持ちというのは、こういう人々の存在によって阻害をされているんじゃないかという気がしてならないわけであります。  沖縄の皆様方の今日までの御苦労とか置かれたお立場とかいろんなことに関しましては、私も非常に同情の気持ちも持ちますし、また、本土におります人間として、今日まで沖縄をそういう状態のままにしておいたということの責任を感じておりますけれども、その問題とこの問題は区別して考えなきゃいけない、私はそのように思うのでございます。  この五月十四日、先ほど総理からも大変苦しい御答弁がございました。確かに、今その途上にあるわけですから明確なお答えはできないかもしれませんけれども、最後は、この問題で日米関係がおかしくならないようにするということは決意として持っておいていただかなきゃなりません。そのための、例えば法律の改正とか新しい法律を出すとかというようなことをやらざるを得ないというようなことに仮になった場合に、私は、私どもの党の全体として態度を決めるということはまだその段階に至っておりませんし、具体的な法案が提出されるような事態になっておりませんから党としての立場ではございませんが、私は個人的には、日米関係が大変になったらこれは本当に日本の存在自体がおかしくなると考えてもいいし、また、これは日本とアメリカにとっての問題だけではなくて世界の問題でもあるという認識でございますから、この問題で日米関係がおかしくならないようにするために私は協力をさしていただきたい、このように思っております。  この沖縄の話は明日いろいろ出るということですからこれ以上深く入るのはやめますが、海兵隊の削減の問題などもこれは大きな課題であることは事実ですが、海兵隊の削減の話というのは日本側からアメリカに減らしてくださいと陳情する話じゃないんです。これは安全保障の話ですから、日本が日本としてこのアジア太平洋地域の安全保障をどう考えるかという、日本のアイデアといいますか構想を持って、その中で日本としては、沖縄の海兵隊を減らすなら減らす、これくらい減らしても全体構想として大丈夫だというようなことをもってアメリカと交渉する話なんでありまして、陳情する話じゃないんだと私は思いますね。どうでしょうか。
  173. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、今議員から、はしなくも陳情という言葉をお使いになりましたが、まさにそのとおりの問題であろうと存じます。  要は、アジア太平洋地域における米軍のプレゼンスを必要と認めるか認めないか、その中における兵力構成を、アメリカの判断というものを前提に容認するのかしないのか、容認しないのであればどのような対案を我々は持ち得るか、そしてその対案を仮にアメリカ側が受け入れなかった場合、どのような事態を生じせしめ、その責任をいかにとるか、そこまでを突き詰めて考えていった上で判断を下すべきことであろうと思います。そ してそれ以前に、我が国を取り巻く周辺の状況等についての十分な考慮が必要であろうと存じます。これは感情論ではなく、非常に冷静な論理の問題でありましょう。  そうした中で、私は、現時点において海兵隊の撤去あるいは縮小を求める環境にないという判断をし、今日国会でも御答弁を申し上げてまいりました。将来においてアジア太平洋地域における客観的な情勢が変化すれば、その中でまた変化に応じた議論というものは当然出てくるわけでありますけれども、今日の時点においては私も同様に思います。
  174. 愛知和男

    ○愛知委員 沖縄の問題はまた明日時間をかけて論議がなされると思いますので、この程度にさせていただきます。  官房長官、お時間でしたらどうぞ。  課題が全く変わりますが、財政の問題について幾つか議論をしてみたいと思います。  国の借金というのが二百五十四兆、地方も含めると五百何十兆、こういうようなことでございますが、国がそれだけの借金をしている。二百五十四兆としましょうか。とにかく国の借金。この、国にお金を貸しているのはだれですか、大蔵大臣。
  175. 小村武

    ○小村政府委員 国の債務残高、先生今御指摘の普通公債二百五十四兆、これは国債として市中で発行し、国債金収入として受け入れているものでございます。
  176. 愛知和男

    ○愛知委員 だれが国に貸しているかということを聞きたかったのですが、もう少し具体的にそれじゃ伺いましょう。大蔵大臣貸していらっしゃいますか、国に。
  177. 三塚博

    ○三塚国務大臣 国債を買っておりますから、貸しております。
  178. 愛知和男

    ○愛知委員 総理も貸しておられますか。
  179. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 しばらく前に購入をいたしましたものをまだ多分持っているのだろうと思います。必要でありましたら調べますけれども
  180. 愛知和男

    ○愛知委員 国民のどれだけの人が国にお金を貸しているかというのはわかりませんか。
  181. 小村武

    ○小村政府委員 理財局長参っておりませんので、数値的にはちょっと後でまた御報告申し上げますが、今、二百五十四兆市中で消化をしているということを申し上げました。その中には、金融機関あるいは証券会社等を通じた一般の方々に対する販売、あるいは私どもの資金運用部資金で購入しているもの等々でございます。
  182. 愛知和男

    ○愛知委員 国民が直接国債を買って国に貸している場合と、銀行を通じて貸している場合とが大いに違うわけですね、これは。  そこで、なぜこんなことを言い出したかというと、ちょっとパネルを使います。  これは、今年度の予算の中から抜粋しましたが、国債の利払いというのが十一兆七千億、利払いだけですよ、利払い。国債費じゃなくて利払いだけで十一兆七千億。それに対して、国民が払っている税金というのが、いろいろあるわけですが、身近な税金としては、所得税、消費税、酒税、たばこ税といったようなものでしょう、これは日常生活の中で国民が税金、払っているわけですから。これが三十三・八兆。そうしますと、国民が払っている税金の約三分の一は金利なんですね、約三分の一は金利。金利というのは国債を持っている人のところへ行くわけでしょう。したがって、こういう状態をいつまでも続けておくというのは、国民の金が国債を持っている人のところへどんどん行くわけですね。例えば銀行へ行ってしまう、あるいは国債を直接持っている人のところへ行ってしまう。簡単に言いますと、これは貧富の格差を拡大するということになるんだと私は思いますね。だからいけないんだ、それだけじゃないですけれども。  これだけ国の借金がたまっているということは、後世にツケを回すということが問題だと言われております。確かにそのとおりです。しかし、これは後世だけの問題じゃないんです。今、この時点でも、このままだと世の中の格差というのはどんどん広がってしまっている、そういうふうに認識しなければいけないと思いますが、いかがでしょうか、大蔵大臣。
  183. 三塚博

    ○三塚国務大臣 大半は後世にツケが回ると言って過言ではございません。同時に、現世代に生きております各位も、それをもって国に借りができておるわけでありまして、経済財政政策が安定しておれば、そのことは御心配をかけることにはならない。よって、財政再建、構造改革を全力を尽くして前進をせしめるというのが、そのためであります。
  184. 愛知和男

    ○愛知委員 ごく最近大蔵省がつくられました「財政構造改革への取組み」というパンフレットがあります。ここに「財政赤字の問題点」として幾つか書いてございますが、ここには、今私が言いましたような、このような状況だと貧富の格差が開いてしまう、国の資金が偏ってしまう、本来、財政の機能というのは所得の再配分の機能というのが大きくあるはずなのに、その機能が果たせなくなってしまうということが問題だと私は思うのですが、そのことを何も書いていないのですけれども、これはどういうことでしょうか。
  185. 小村武

    ○小村政府委員 私ども国のサイドとして、今この国債がその支払いを、元本の償還を行うため、あるいは金利の支払いを行うのは現時点で行っておりますが、その利息を払うのもまた国債というふうなことになってまいりますと、将来に対するツケが膨大なものになる、これが第一の問題点だと思います。  経済学によりますと、ある種の論を立てる人は、国債を持っているのも国民だし借金も国民のものだから、チャラじゃないかという議論がありますけれども、これは負担する者と利得を得る者との違いが明らかにあると存じます。その負担をする者が将来の国民であるという意味において大変な不公正を生ずるということを力点を持って申し上げております。  今、利息を得る者とそうでない者との所得格差と申しますか、これは現世代における水平的な公平の観点というよりも、むしろ世代間の不公平を助長するという意味において、委員のおっしゃる点についても、大きく言えば私ども申し上げている点に入るのではないかと考えております。
  186. 愛知和男

    ○愛知委員 とにかく財政状態、こんな状態じゃだめだということはいろいろな観点から言えるわけで、何とかしなければなりません。その方法につきましては、いろいろ方法論、議論があるところでございますが、やはり最もやらなければならないのは歳出のカットだ、言うまでもございませんが。  一つ細かい話になりますが、先日、二月十日の朝日新聞夕刊に報道されましたが、「農業予算消化へカラ出張」という見出しで、富山県でウルグアイ・ラウンド対策費を消化するために事務所職員全員に一人一万円ずつ配った、これは予算を少しでも消化するためだった、こういう記事が出ておりますが、これは事実でしょうか。
  187. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 その件は私も新聞で読ませていただきました。それで、まず富山県におきまして農林水産省予算が不正使用されたということは、まことに遺憾なことだと私ども思っております。  富山県からの報告によりますと、不正使用のうち、農林水産省関係の国費総額は三百九十六万円。その内容は、不正使用はウルグアイ・ラウンド対策が実施される以前の平成五年、六年、それから対策が実施された七年、この三年間でございます。この不正使用額の約六割は農業関係以外の問題に使われているということでございまして、ウルグアイ・ラウンド関係の国費相当分はごく一部でございまして、約十二万九千円、三%に相当する、こういう報告でございました。  私どもは、この内容は内容としながら、国費がそういう不正に使用されたということにつきましてはまことに遺憾に考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても、富山県に対しまして、早急に精査をして報告をするように指示しておるところでございます。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
  188. 愛知和男

    ○愛知委員 不正使用ということももちろん大問題です。しかし、私がここで問題としたいのは、予算を消化するためにやったということなんですね。つまり、予算で決められてしまうと、何とかそれを使わなければならないということにどうしてもなってしまうものなんです。そこが問題点なんであります。  昨日の新聞に、自民党の総務会長がどこかで、秋田県ですか、講演をされて、予算はまず成立をさせてもらいたい、させたい、するだろう、そしてその予算執行の段階でいろいろと削減をするというようなことを語ったということが報道されておりますが、この今の農業予算が典型のように、世の中は皆そうなんです。予算で決められたら、何とかしてそれを使うということになってしまうわけです。  そうじゃなくて、予算というのはできるだけ絞って厳しくつくって、何かの事情でふえたら、後は補正予算でそのふえた部分を何とかするというのがオーソドックスなやり方なんでありまして、まず予算はとにかくこのままでいく、執行するときになるべく減らして執行するというのは、言葉で言うことは簡単でも、実際はそんなことは無理だと私は思うのでありますが、いかがでしょうか。
  189. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 制度といたしましては、繰り越しという制度もあるわけでございまして、決して、その予算を年度内にすべて執行しなければならぬ、こういうことはないわけでございまして、そういう点から考えると、このような問題を起こしたということはまことに遺憾なことだと考えております。
  190. 愛知和男

    ○愛知委員 今農林水産大臣からお答えいただきましたが、これは農林水産予算だけの話じゃないわけでありまして、公共事業とか、全体にわたっての話なのでありまして、これはむしろ大蔵大臣からお答えいただくのがいいのかもしれません。いかがでしょうか。
  191. 三塚博

    ○三塚国務大臣 予算は、やむを得ない事情を除き、その年度で消化をするという原則でスタートを切っておるわけです。ですから、ただいまの農水省所管の問題点は、経過説明を聞いたとおりでございます、レアケースかなと思います。  そういう意味で、さらにレアケースでも、大概項目が決まりましたお金が目的外に使われるということは極めて遺憾なことでありますから、きちっとしなければなりません。
  192. 愛知和男

    ○愛知委員 予算の歳出をできるだけ減らすというのは、実際問題としてこういう議会制民主主義の体制の中では非常に難しいのでございます。それは、私も議員の一人でありますし、やはり地元の要請というものがあり、その地元の要請にこたえて予算を獲得しなきゃならないということだってあるわけで、その中でえらい苦労するわけであります。これは、ある意味でいうと民主主義のコストといえばコストかもしれませんけれども、私は、政治制度、政治を変えることによってこれは改善できるんじゃないかという気がするのであります。  実は、昨年の十一月ですが、私はイギリスへ行く機会がございまして、イギリスの国会議員何人かと、国会議員としての仕事、つまり、地元に予算をどうやって持ってくるかということが大きな役割かどうかという議論をしたことがあるのであります。そうしたら、イギリスの国会議員は、いや、そんなことは全然自分たちの仕事じゃないと言うわけです。どうしてなんだろうかといろいろ聞いてみましたら、イギリスの制度というのは概略こういうことだと言うんですね。  ある選挙区からだれを候補者に立てるかというときに、まず党の本部で数人の候補者を選んで、この中からだれを候補者にするか、その地域の党の役員、しかるべきところで決めてください、こういうことで決まるんだそうですが、最初に、党のリスト、その地域に出すリストの中に、その地域の出身者とかその地域に地縁の非常に深い人、これは最初から入れないと言うんですね。なぜかというと、そういう人が中に入っていたんでは、国会議員としての立場で働くのではなくて、どうしても地域のために働いてしまう、だから最初からそういう人はリストから外しておくというのが原則だ、こう言うんですね。  そこで、地域の人が、そのリストの中から、いろいろな角度から調査し、審査し、最終的には面接をするんだそうですが、そこの地域の候補者として決める。これはこの地域から出す人物ではあるけれども、国のために働いてくれるにふさわしい人物だということで選ぶわけです。ですから、そういう形で選ばれた国会議員というのは、その地域のために何をするという話じゃないわけですから、やはり予算獲得みたいなことで一生懸命頑張るというようなことはやらないで済むわけですね。  ですから、やはりさすがにイギリスの、これは今日までのいろんな歴史を経ていたんでしょうけれども、大変な知恵だと私は感心をしたのでございました。  アメリカの場合にはそういう制度ではございませんが、しかし、アメリカの場合には、地域の開発、地域の予算というのは、それこそ地方分権が進んでおりますから、何も国からとってくる必要はないわけです。ですから、そういう意味での予算の獲得というようなことはないわけでございます。  いずれにいたしましても、日本の政治改革、こういう視点に立った政治改革というのも大事なのではないか、こんな気がいたしますが、総理はどんなお考えをお持ちでしょうか。
  193. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 イギリスの場合は確かに議員御指摘のとおりでありますけれども、アメリカの場合には、それでも随分国の予算を引っ張る一というのはあるように私の知る範囲では思います。  そして、こういう議論をしないで済めば、言いかえれば、国会議員が国政に対しての熱意で評価をされればと、初めて国会に出たころからその思いはございました。本会議に出ているよりも、その本会議を休んで地元の何かに帰っている方が評価をされる、そういう悔しさを覚えたこともございます。お互いがこれは直していく以外に方法のないことじゃないでしょうか。
  194. 愛知和男

    ○愛知委員 政治改革、大きな課題として進んでまいりまして、選挙制度を変えたということですが、まだまだこれから改革しなければならないことはいっぱいあると思いますね。これはひとつ、私どももいろいろな機会にぜひ日本の政治、国政を国政らしくしていくということに努力をしていきたいと思っております。  この程度にしまして、次の課題に移ります。  金融債の問題が最近マスコミに取り上げられておりますが、そもそも金融債というのはどういうものなんでしょうか。これは普通の会社の社債と同じと考えてよろしいのでしょうか。
  195. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  金融債は社債の一種であることには間違いありません。ただ、売り方が大分一般の社債と違っております。特に、長信銀法で売り方の特例がいろいろ認められております。  例えば、社債管理会社。普通社債でありますと、これは設置を要するとなっておりますが、金融債の場合は設置不要と、これも長信銀法に書いてございます。  それから、普通社債の場合は引受会社があるわけでございます。募集期間がありまして、申し込みがあり、払い込みがあり、それで発行、こういう手順を踏むわけでございますけれども、金融債の場合は、銀行が直接やりますので引受会社というのがございません。  それから、届け出、いわゆるディスクロージャー関係の届け出でございますが、普通社債についてはもちろん証取法で要するとなっておりますが、金融債の場合はこれが免除になってございます。  いろいろな、そういったことで、社債の一種ではございますけれども、いろいろ売り方が特例がございます。そういうことでございます。
  196. 愛知和男

    ○愛知委員 金融債を発行している金融機関はどこですか。
  197. 山口公生

    ○山口政府委員 興長銀がまずございます。それから商中、農中、それから、東京三菱銀行ということで合併しておりますが、以前東京銀行が発行しているものがございます。
  198. 愛知和男

    ○愛知委員 ちょっとよく聞こえなかった。農中、商中はわかりました。東京三菱銀行、それから興銀、長銀、それだけですか。
  199. 深谷隆司

    深谷委員長 山日銀行局長、はっきり言いなさい、よく聞こえないから。
  200. 山口公生

    ○山口政府委員 興長銀三行と東京三菱銀行、それから農中、商中、それから全信連でございます。
  201. 愛知和男

    ○愛知委員 その六つだけですね。  ところで、最近自民党の政調会長が、金融債も預金並みに保護する必要があるのではないか、公的資金導入も検討するというような発言をされた記事が出ておりました。つまり、今金融債を発行している六つの金融機関、この六つの金融機関の、どこということではありませんが、どこかが破綻の危機にあって、もしかしたらこれらが発行している金融債を何らかの形で保護しなければならないという事態を想定しているからこういう発言が出ているのではないのですか。
  202. 三塚博

    ○三塚国務大臣 私はそう考えておりません。  ただいま金融債は、興長銀が、預金を扱わない銀行でありますから、発行いたしまして資金を調達をし融資をしておるということであり、興銀にしろ長銀にしろ日債銀にしろ、また農中にしろ商工中金にしろ、一生懸命不良債権の解消のため、また経営内容の改善のために努力をしておりますこと、御案内のとおりでございます。そういう点で、特定銀行をポイントにして発言したとは承知いたしておりません。
  203. 愛知和男

    ○愛知委員 それでは、金融債を公的資金で保護するというようなことは考えていないわけですね。
  204. 三塚博

    ○三塚国務大臣 金融三法は、御案内のとおり預金者保護であり、金融システムの安定のためにつくられて、その効果をあらわしておるところでございます。  その他にということでありますが、対象の金融機関は、みずからの自己努力によりまして、不良債権の解消に向け、また自己資本率の向上のために、業務利益の向上のために血みどろの努力を今いたしております。特に、リストラにつきましても社員を削減をする等々やられておりますから、私はそれぞれの報告を受けておるのでありますが、いずれも全力を尽くしてやっており、そういう心配はないだろう。ですから、結論は、御案内のとおり、援助するということはただいまの段階で必要は生じない、こう申し上げております。
  205. 愛知和男

    ○愛知委員 この金融機関が不幸にして破綻というようなことになったら、これは大変なことであることは事実であります。したがって、もし不幸にしてそんなようなことになったといたしますと、これは大蔵大臣の責任というのみならず橋本内閣そのものの責任になるだろう、こういうふうに思います。  この当面の金融危機、いろいろうわさされておりまして、この問題だけでも大変長く時間を使うような課題ではありますけれども、ちょっとほかにもございますので、一つ、これはごく最近、PHP総合研究所というところの「金融危機についての緊急提言」というのをいただきました。立教、多摩大学、一橋大学、京都大学、UCLA、それぞれそうそうたる学者の方々が考えられた緊急提言。これは、金融のいわゆるビッグバンもいいけれども、それより前に、金融パニックみたいになったらどうするのかということで、当面の緊急提言として八つの緊急提言をしておられます。  これは一つ一つ触れるのは少々時間がかかりますので幾つかの点だけにいたしておきますが、まず一等最初に出ている提言は、「政府高官は不用意な発言を止めるとともに、国が責任をもって金融システムの正常化・安定化を進めていくことを明言すること」というのが提言の第一になっております。  大蔵大臣のこの委員会での御答弁などがいろいろ新聞に話題になっていたりいたしておりますが、とにかく日本の大蔵大臣の答弁国会での発言というのは、日本の国民が見ているだけじゃありません。世界じゅうが見ております、聞いております。それだけの自覚をお持ちの上で御答弁なり発言しておられると思いますけれども、改めて、こういう緊急提言の一等最初にそれが出てくるということをどういうふうに思われますか。
  206. 三塚博

    ○三塚国務大臣 小生を指して言っておるというのであれば、甘んじて受けましょう。私は、自由主義経済、特にマーケットというものはメッカであります。市場のことは市場に聞けと言ったことが不本意でけしからぬというのであれば、これも、正しいことを言って受ける批判は甘んじます。  しかし、やはり自由主義というのは、そこのファンダメンタルズで決まる話でございまして、とかく言うことで利益を得る人もおるでしょう、しかし、そんなことで大変なマイナスを背負う人もおるでしょう。大蔵大臣としては、言行は中立的でなければなりません。そういう点で、質問、何人かから言われましたが、税金をこうしろ、何をこうしろ、ああしろと言われましても、直接お答えするわけにはまいらない。というよりも、既に予算が提出をされて、税制改正が審議をお願いする段階にあるわけでございますから、それに言及しないというのは一つの守るべき節度ではないでしょうか。  そういう点で、ただいま特定銀行が云々ということのお話がありましたけれども、そのことは、その銀行、どこを指しておるかは私はわかりませんけれども、二十行という日本を代表する基幹銀行、これはみずからの努力で、全力を尽くして金融システムにマイナスになるようなことのありませんように頑張っておることだけは間違いないことでございます。絶えず、大蔵当局も日銀当局と連携をしながら、また私自身も報告を受けながら、正しくそれを見詰め、必要な指示は与えておるところであります。
  207. 愛知和男

    ○愛知委員 今、大手二十行、それなりの努力をしているというお話でございました。これ、ちょっとほかの目的で使おうと思っていたパネルなんですが、これは産業別の賃金比較なんです。これは製造業を一〇〇としますと、金融・保険というのはこんなに高いのですよ、こんなに。これで金融機関がそんなに自助努力しているとお思いですか。私はとてもそうは思えないですね、この実績を見て。どうでしょう。
  208. 三塚博

    ○三塚国務大臣 銀行はただいまリストラを進めておりますと申し上げました。いつの時点の統計かは存じ上げませんが……(愛知委員「九五年」と呼ぶ)九五年ですね、ただいま九七年でございますね。(愛知委員「まだ始まったばかり、入ったばかり」と呼ぶ)始まったにしても、そういうことで全力を尽くしておるというのは、給与の据え置きでありますとか、いろいろな措置を講じておると報告を受けております。特に重役等については、ボーナスその他のカットでありますとか据え置きでありますとか、そんなことで努力をしておる、こういうことであります。
  209. 愛知和男

    ○愛知委員 提言の一つにこういうのがあります。民間銀行の経営者が不良債権とみなすものを不良債権とする、これは今までの定義のようですが、これではだめなんですね。実際問題として、公表された不良債権、破綻をした後、広げてみたら物すごく多かったというのが幾つか例がありますね。ですから、こういうことではなくて、客観的に何か計測できる会計基準を明確化するようにという提言がありますが、いかがでしょうか。
  210. 山口公生

    ○山口政府委員 この提言によりますと、不良債権の定義は不十分だ云々というふうな御指摘がございますけれども、現在の不良債権の定義につきましては、金融機関の不良債権の状況の的確な把握や金融機関間の比較可能性などを勘案しまし て、金融制度調査会のディスクロージャーに関する作業部会におきまして慎重に審議を行い、明確化していただいたものでございまして、この統一的な基準でもって不良債権の状況を集めておるわけでございます。そうした計数をもって今把握しているということでございます。
  211. 愛知和男

    ○愛知委員 いずれにいたしましても、当面の金融危機、これを何とか乗り越えていかなければ、これはビッグバンどころの騒ぎじゃありません。これは内閣の命運をかけてやっていただく、それだけの大きな課題だと思います。そのことを指摘して、次に移りたいと思います。  公共料金のことをちょっと触れさせていただきます。  またパネルを使わせていただきますが、公共料金、これは一九九五年十一月の時点での調査の結果でございまして、この表、どう見るかといいますと、日本の電気代はアメリカの一・五四倍、ガス料金は二・〇八倍、水道料金は三・二五倍。対イギリスは、この出ている数字のとおりでございまして、いずれも日本の公共料金は非常に高い。ただ、ドイツとの比較で日本の水道料金は安いとなっておりますが、とにかく概して非常に高い。なぜですか、企画庁長官
  212. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 今お示しになりましたその数字は、企画庁が平成七年の十一月に出した数字だと理解をいたしておりますが、当時の為替レート、百十三円で多分やっておると思いますが、御存じのように為替のレートが変動いたしましたり、制度の枠組みの変更が一部あったりいたしますと、一概な比較はいかがなものかという感じはいたしますが、総じて、概して割高なものが多い、間違いございません、私どももそう思っております。  したがって、これをどうして高いのかと言われれば、それは多分競争の原理が働いていないからという点は言える点だと思っておりますので、今後とも、競争の原理を導入する、価格設定方式の改革など、参入規制の緩和とか、御存じのように電力は一部昨年手をつけたものもありましたり、ガスもいろいろ、今いろいろそれらのものが努力されつつあるところだと理解をいたしております。
  213. 愛知和男

    ○愛知委員 競争原理を導入する、その他いいのですが、価格というのは、公共料金以外の普通の物価、これはコストプラス利潤で価格が決まるのじゃないわけです。価格が決まってしまうのです、まず。価格が決まって、それでなおどうやって利潤を上げるかということでコストを下げるわけでしょう。価格がまず決まるわけです。公共料金は逆で、コストを計算して利潤を加えて価格を決めるという、そこが間違いで、だから高いのだと思うのですね。  ですから、公共料金に関しましては、まず政府が価格を決めてしまうのが一番いいのです。引き上げないとか、何割下げるとか、それを決めて、その方針に基づいてコストダウンを図ればいいのです。そういう発想を逆にしなければいけない。そうでなかったら下がらないと私は思いますが、いかがですか。
  214. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今の愛知委員の御質問ですが、若干説明が長くなることをまずお許し願いたいと思います。  今おっしゃるように、総じてやはり日本が公共料金、特に電気料金が高いというのが通説であります。  それに対して今まで、おっしゃるようにいろいろ政府としても電力業界と話をして、料金の安定というか、下げることを工夫しました。ところが、それでも実は産業の空洞化というのはどんどん進んでいる。こういうことからいって、電力料金をやはり国際価格並みにしなければいけないというのが今度の経済構造改革の高コスト是正の中の一つの柱に実はなっているわけです。  その話の原点、今言われるように、電力の場合は競争相手がないというところに問題があるのではないだろうか。今経企庁長官から説明がございましたように、一昨年の電気事業法の改正でもってIPPというのを導入したわけですね。それは卸電力というような制度でもって、ほかの会社がつくったやつを買うという方式ですが、その場合も、やはり電力会社の発表しているというか売っている価格より安ければ買うというふうなことですから、本当の競争ということになるのだろうか、このような実は疑念があるわけです。  そういうことで、今、昨年の十二月の時点でもって、そうしたふうに料金を下げるためにいかにするかということで、構造改革のプログラムの中にこれを入れております。そのときには、やはり一つは、日本の場合にはどうしても負荷率の問題を言われるわけなのです。夏の一番の最盛期というか、そのときに合わせて実は電力の消費というもの、需要を考えていますから、それをさらに見直す必要があろう。  そして、あとは経営の効率化ということで、今のIPPの導入だとかそれの枠を広げる、あるいは特定電気事業というものの創設、これの活用、こういうことを今から工夫をして必ず国際価格並みに引き下げる、そのような努力をしたいと思いますので、御理解をお願いしたいと思います。
  215. 愛知和男

    ○愛知委員 御記憶のことと思いますが、羽田内閣のときに公共料金を凍結というのを大きな柱として打ち出したわけでございますが、政府のこの公共料金に対する姿勢というのが一番肝心だと思うのですね。今通産大臣が言われたようなこと、それも一つの方法でしょう。しかし、時間もかかるわけだし、まず基本的な政府としての姿勢がきちっと出るというのがこの公共料金に対して一番肝心なことだと思います。そのことを指摘をしておきたいと思います。  せっかく労働大臣においでいただきましたので、ちょっと話が違う課題になりますが、先ほど使いましたこのパネルですが、このパネルは何のためにつくったかといいますと、製造業が非常に低くなっちゃっているということなんです。日本の産業の空洞化というようなことが非常に言われて心配しておりますが、そのうちの一つにこういう問題もあるのではないかと思うのですね。  日本の産業、いわゆる製造業、これがなくならないようにしなきゃいけない。通産大臣も私も同じ会社に奉職したことがありますが、鉄鋼会社ですが、それはそれとしまして、鉄鋼だとかこういうようないわゆる製造業が日本からなくなってしまったら大変なことになる。どう思われますか、労働大臣。何か労働政策でそういうことにならないような方策ということを考えていただきたいと思いますが。
  216. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先生がおっしゃる製造業、私ども雇用立場から見ますと、製造業の雇用者の総数がやはり減っているという現実がございます。最近の数字を見ましても、平成五年からここ三年間、約六十万人が減って今千三百七万というような数字が出ています。反面、サービス業の方は、同じこの三年間に八十九万人ふえて千三百六十万になって、これは途中で逆転をいたしました。製造業の従事者の方が多うございました。労働省の方から先生のお話を見ますとそういうことであります。  一番の原因は、やはり製造業については経済、産業の変革の中で海外に生産拠点が出ていく。普通、流通業の場合には、出ていくといいますのは、国内の生産拠点がなくなって出ていくのではなくて海外に版図を求めるという感じで出ていくのでありますが、製造業の場合には、国内の生産拠点が外へ出ていくということでございますので、今先生お話しの、かつ、私がお話をしましたような製造業の雇用者が減っていくということで、物づくり、製造業、これは技術の塊がそれに結実しているわけであります。そういう意味合いから、製造業がこれから大きく発展をしこそすれ、この世界が衰微をしていくというのは重要な問題だ、こう思って、私どももその面の対策をいろいろ考えているところでございます。
  217. 愛知和男

    ○愛知委員 物をつくるということ、これは非常に大事なことでございまして、給料が低いという こともその一つでしょうけれども、製造業で、ひとつそこで人生を送ろうと思う人が少なくなっちゃっているんですね。これは、もしかしたら教育の問題かもわからない。教育というのは、今大事な、創造性を高める教育というようなことまでも言われておりますが、まさに物をつくるというのは創造そのものですね。  そういう点からいうと、教育の仕組みの中で、やはり物をつくる喜びといったようなものを、もう少し重点をそこに置くというような教育をすることが、ひいては製造業に多くの人が、若い者が行って、そこでひとつ自分の生きがいを見出していこうという人がふえるんじゃないか、こんなことも感じますが、文部大臣、いかがでしょう。
  218. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 資源の少ない日本にとっては、限られた資源に手を加えることによって新しい価値を生み出すという製造業のとうとさというものを常に考えていかなきゃいけないと思います。バブル時代の、マネーゲームに狂奔して物づくりというものを軽視するような風潮は再び起こらないことを私は祈っております。  そこで、今学校教育におきましても、美術とか図工とか、あるいは技術・家庭科におきまして、自分のつくりたいものをどうやつてつくっていくか、そういう物づくりの教育をしておりますし、それから学校教育の中でも、普通教育はどんどん肥大化しておりますが、職業教育はだんだん、何か職業学校へ行くとレベルが低いような風潮がありますが、これは決していいことではない。私は、もっと職業教育あるいは高等専門学校、こういうところの充実にも努めていきたいと思いますし、そうした労働観なりあるいは価値観というものを植えつける教育というものを重視したいと思っております。
  219. 愛知和男

    ○愛知委員 とにかく日本から製造業がなくなってしまうようなことにならないように、これは大変大事な課題として御認識をいただきたいと思います。  時間が限られておりますので、次から次へと問題が移ってしまうわけでございますが、労働大臣、ありがとうございました。文部大臣、もう少しお願いします。  ところで総理、総理は大変な読書家であるというふうに伺っておりますので、多分お読みになったことがおありかと思いますが、「清貧の思想」という本が、実は数年前、九二年にベストセラーになりました。「清貧の思想」、これは中野孝次さんという作家、評論家の書かれた本でありますが、これが大変なベストセラーになった。約七十万部、今売れているわけで、文庫本にも最近なっているわけでございます。  この本ですね、ざっとどういうことが書いてあるのか、短時間で申し上げるのは難しい面もございますが、かいつまんで本の中の文章をずっと拾って申します。  現世での生存は可能な限り簡素にして心を風雅の世界に遊ばせることを、人間としての最も高尚な生き方とする日本文化の伝統は一口に言って清貧をとうとぶ思想と呼ぶことができる。  清貧とは単なる貧乏ではなく、それはみずからの思想と意志によって積極的につくり出した簡素な生の形態である。  富貴への願望、所有への願望が盛んであればあるほど、人は財の増大が唯一の徳であるかのような錯覚に陥って、所有の上にも所有を欲し、そのためにはいかなる非人間的な所業をもあえて行うようになる。  それが人間生活の幸福にとって必要だからつくるというのではなく、つくることが技術的に可能だから生産し、生産したものを市場が迎え入れるためのあらゆる努力をするという思想は、人間の幸福への配慮に欠けていたと言わざるを得ない。我々はもう一度出発点に返って、人間には何が必要であって何が必要でないかを検討し、それに応じて社会の仕組み全体を変えていかなければならぬときが来ている。  今、地球の環境保護とかエコロジーとかシンプルライフとかいうことがしきりに言われ出しているが、そんなことは我々日本人の文化の伝統からいえば当たり前の、余りに当然過ぎて言うあてもない自明の理であった。彼らはだれに言われるより先に、自然との共存の中に生きてきたのである。  大量生産、大量消費社会の出現や、資源の浪費は、別の文明の原理がもたらした結果だ。その文明によって現在の地球破壊が起こったのなら、それに対する新しいあるべき文明社会の原理は、我々の先祖がつくり上げたこの文化、つまり清貧の思想の中から生まれるだろう。  こういったような趣旨の本なんであります。  こういった内容の本がベストセラーになったということ、私は非常にこのことに関して一種の感銘を覚えるわけであります。つまり、多くの、非常に多くの日本人が今のこの日本の社会のあり方ではだめだ、どこかおかしい、こういうことを感じていらっしゃるからこういう本がベストセラーになるんだと思いますが、いかがでしょうか、総理。
  220. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今中野さんの「清貧の思想」を要約されながら、議員としての御意見を述べられたと思います。  私は、もともと日本が築き上げてきた文化の体系というものは、自然との共生というものが中心であったと思います。そして、その歴史の中において幾つかの変革の機会がありました。例えば鉄砲伝来という形でヨーロッパ文明に触れたとき、しかし、それでも基本的な体系は変わらなかったように思います。そして、その後のヨーロッパの文物が入ってきた時期において、それがさまざまな形で日本の伝統文化と融合しながら明治維新まで続いてきた。そして富国強兵という方向づけになった日本も、その部分を除くと、自然との共生という姿というものは、基本的な変化はなかったと思います。  言いかえれば、確かにそういう流れが今日も続いておったなら、あるいは「清貧の思想」はベストセラーにならなかったかもしれない。しかし、戦前の日本においても、菜根譚がベストセラーの地位を占めていたわけでありますから、日本人の精神構造の中には、そうしたものを求めるそうした意識というのは伝統の中においてもあったのかもしれない。私は、必ずしも現代だからこれが売れたということではないような思いもいたします。  ただ、そこを通じて流れるもの、そして我々が考えなければならないこと、むしろ大量生産、大量消費、大量廃棄がよしとされた時代から、二回のオイルショックを経験する中で、我々は省資源、省エネルギーという方向には動きました。しかし、完全なリサイクル型社会というところまでは動いてこなかったのが実態であります。  しかし、今日、我々はまさに、日本という国だけを考えましても、また地球社会というものを考えましても、持続可能な開発という言葉に象徴される、それはまさにリサイクル型の社会を建設するということにつながっていくことでありましょうし、そうした中における努力というものは今後ともに我が国は目指していかなければならない方向一つである、私はそのように思います。
  221. 愛知和男

    ○愛知委員 総理は施政方針演説の中で、行政改革の必要性を強調したくだりでこう述べておられます。「国民が求めるサービスを最小の費用で提供できる行政、我が国の活力ある発展のために経済社会の変化に柔軟に対応できる行政をつくり上げることが行政改革目的であると考えます。」こう言っておられるわけであります。  つまり、社会のニーズの変化に対応するためだという趣旨だと私は思うのでございますが、私はこれでは発想が逆だと思えてならないのであります。つまり、行政の姿によって社会の姿も変わるのでございます。したがって、社会の変化に応じて行政あり方を変えるのではなくて、あるべき社会の姿にするために行政あり方を変えるという発想が必要なのではないか。  したがって、行政改革を考える際にまず必要なことは、どのような社会を目指すのかまず目標を 定め、その目標を達成するための行政あり方はどのようなものかを描いて、その姿にするために現状を改革するという、そういう順序でなければならないと思うのでございます。つまり、まず初めに社会のニーズありきではなくて、まず初めに国家目標あるいは目指すべき社会の姿ありきでなければならないと思うのでございます。  ペリー来航以来つい最近までの我が国の国家目標は、言ってみれば先進諸国に追いつくことでありました。つまり、目標とする社会の姿があったわけであります。この目標を達成するためにどうしたらいいかということで、そういう問題意識のもとに我が国の行政の仕組みがつくられてきたと言ってもいいのではないでしょうか。行政だけではありません、教育の仕組みもそうだと思います。  今や、この先進諸国に追いつくことという国家目標、これは部分的にはまだ追いついていないところもあるかもしれませんが、総体的に言って、これは達成したと言ってもいいのではないかと思います。そこで、行政あり方も変えなければならなくなった、行政改革の必要性です。  私は総理に、先ほどのお答えの中にも若干あったと思いますが、先進諸国に追いつくことという今日までの国家目標にかわる新しい国家目標をまず掲げることが、これが政治の役割ではないでしょうか。その目標をはっきり掲げて、その目標を達成するために世の中の仕組みを変えていく。行政もそうです、それから教育もそうです、あるいは経済構造にしても、何でもそうです。そういう順序でないと、何のために改革するかというのはわからないわけです。改革、今はだめだということだけなんです。  そこで、国家目標を何にしたらいいか。これはだれが決めるかといったら、これは民主主義ですから国民が決めるのです。しかし、国民が決めるといっても、これは非常に漠然としています。そこで、国民の代表者である我々国会議員が、政治家が、国民とのやりとりあるいは政治家同士のやりとりの中で国家目標をつくり上げていくということがまさに今問われている政治家の役割なんじゃないでしょうか。  総理、国家目標としてどのようなものを、明確でなくちゃいけません、これは。先進諸国に追いつくことという、それに相当するような、だれでもがわかるようなものを掲げるということが大事ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  222. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 本日も何回か同趣旨のことを私は申し上げてきたつもりでありますが、改めて申し上げたいと思います。  議員は、豊かな暮らしといいましょうか、そうした物質的な方向を目指して、そしてその欧米先進国の物質的な水準というものを目標に日本は走ってきた、そのように位置づけられました。  私は、実は明治維新から第二次世界大戦の終結まで、富国強兵という目標はありましたけれども国民の暮らしという点で欧米の水準を目指したとは必ずしも思っておりません。ただし、第二次世界大戦の後において、一つの平等性、均質性とともに、豊かな生活というものが目標であったことは御指摘のとおりだと思います。そして、そういう目標を達成する中において、我々はいろいろなものを失ってきました。そして、ある方はそれを伝統文化の保持に求められ、また今議員は恐らく、中野さんの「清貧の思想」を挙げられたのは、その中にありますような考え方一つの御自身の中におけるメルクマールと位置づけておられるのだろうと思います。  そして、目標という言葉に当たるかどうかわかりません。しかし私は、同じ思いを、要するに平等性、均質性の中で豊かな暮らしというものを求めてきた時代から、創造性と個性というものを生かしながら自分の夢にチャレンジできる社会、そして夢を見ることができ、挑戦することができ、成功する可能性がある社会を築きたいという言葉で私の考え方を示してまいりました。そして、それが皆さんの理想に近づけるのかどうか、あるいは国家目標と議員の言われるものに当たるかどうかわかりませんけれども、私は、夢を持ち、その夢に挑戦する可能性が常にだれにも与えられ、そしてしかも成功する可能性のある社会というものを目指していきたいと思っておりますし、そのための改革主張しているつもりであります。
  223. 愛知和男

    ○愛知委員 私の個人的な思いを申し上げますと、いろいろ考えてみたのですけれども、私は一口に言って、日本のこれからの国家目標は地球環境大国になること、これを掲げたらどうかと思っているのです。地球環境というのは、公害でもない、あるいは自然保護だけではありません。もっと非常に深い意味があるわけで、私はそのように思っているわけでございますが、そのことは余り詳しく申し上げる時間がなくなりましたが、とにかくこんなようなことをひとつ政治家同士の議論としてやる必要がある、こういうふうに思うのでございます。  それはそれとしまして、残り時間が少なくなりましたが、地球環境大国になること、これは私の政治家としての信念の一つでありますが、それに関連しまして、残り時間、地球環境のことで少し質疑、議論をしてみたいと思います。  ことしは国連で地球環境特別総会が開かれます。それから、いわゆるデンバーで開かれるG7、サミットですね。これは、この国連総会の直前ですね。国連総会が六月の二十三日からと聞いております。いわゆるサミットは六月二十日からですから、このデンバーでのG7でも地球環境の話が大きな課題になるでしょう。そして、ことしの十二月には我が国の京都で、いわゆるCOP3と言われている国連気候変動枠組み条約の第三回締約国会議が開かれます。地球環境問題をめぐる国際会議がメジロ押してございます。特に、この京都会議は我が国の外交の面でも非常に大きな大事な意味を持つ会議だと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  224. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のとおり、ことしは環境問題に関する国連の特別総会もございますし、とりわけ今御指摘のございました気候変動枠組み条約についての会議を京都で、我が国で主催することになっております。  そして、これからの世界を考えます場合に、環境の問題は、これは世界が一致協力して取り組まなくてはいけない問題でございますので、我が国もその中で重要な役割を果たしていきたい、このように考えている次第でございます。
  225. 愛知和男

    ○愛知委員 京都でのCOP3という会議、これは世界百七十カ国、ほとんど世界全部ですね。そこから、政府の代表、NGO、マスコミその他、予想される参加者の数は約数千人と言われております。これは、我が国で開かれる国際会議で史上最大のものだと言われている、これだけ大きな会議なんであります。  したがって、今外務大臣から通り一遍のようなお答えでしたけれども、この会議は日本で開かれる史上最大の規模の国際会議だ、それだけ日本にとっては大事な会議だ、まあ規模だけじゃなくて内容もそうです。後ほど触れますが、そういう認識でこの会議に臨んでいただかなきゃいけない、そのように思いますが、もう一度ひとつお願いいたします。
  226. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、参加国の規模あるいは参加者の数、それからまたその内容におきましても非常に大きな意義のある会議だと心得ております。そして、外務省は当然でございますけれども、関係する省庁、環境庁を初めといたしまして、密接な連携をとりながらこれに取り組んでいくということで、作業を現実に進めておるところでございます。
  227. 愛知和男

    ○愛知委員 六月の二十三日から国連で国連環境特別総会が開かれます。総理は当然これに出席をされることと思いますが、ぜひこういう場でも力強いイニシアチブを発揮していただきたいと思います。  この地球環境問題というのは、本質的にどういう問題か。地球の話ですから、いわゆる国境を初めとする、国と国との境、あるいはその他地球上 にはいろいろな境がありますが、それを全部取っ払って考えていかないと解決できない課題ですね。ところが、今の国連というのはどういう経緯でできたかといいますと、いわば国と国との間の争いを解決するためにつくった機関でございまして、つまり、国の主権を尊重し、主権と主権とのぶつかり合いをどう裁くかというのが今の国連でございます。だからこそ安保理事会が最大の力を持っているわけでございます。  ところが、地球環境問題というのは、国権に制限を加えること、まあ言ってみれば内政干渉をすることなんです。内政干渉をしなかったら地球環境問題というのは、これは解決できません。したがって、私は、今の国連でこの地球環境問題を取り扱うというのは限界があるような気がしてならない。  私は、大胆に国連を二つに分けて、国権と国権とのぶつかり合いを裁く、いわば安全保障面の国連は今の国連でいい、そうではなくて、国と国との間を取っ払って相手の内政にいろいろ干渉しながら地球全体のことをやる、そういう国際機関は別につくった方がいい。私は第二国連がいいんじゃないかと思っております。まあ第二国連という名前がいいかどうかわからないけれども、それくらいの大胆な国連の改革をしなければならないと私は思うのです。  そして、地球環境問題のような、いわば国境を、国と国との間の境を取って解決しなきゃならないような課題に取り組む国際機関を例えば日本に誘致したらどうか、それぐらいダイナミックな取り組みが必要なのではないか、こんなふうに思うのでございますが、この国連環境特別総会、六月ですが、これにどういう心構えで取り組んでいかれるか。  国連改革がいろいろ言われておりますが、これは財政の面で少しでも小さくするというような話がどうも主題のように今なっておりまして、そうではなくて、今私がちょっと申し上げましたようなもっと前向きの改革という視点で日本が積極的な提言をしたらどうか、このように思いますが、いかがでしょう。
  228. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今お話伺いながら、リオの環境サミットの前、日本としての準備を一緒に積み上げていたときの議論を思い起こしておりました。  そして私は、今議員が御指摘になりましたように、本年京都に誘致をいたしました気候変動枠組み条約締約国会議の持つ意義、これは大変大きなものであるということを全く否定いたしませんし、環境総会これ自体も非常に大事な場になるであろう。ある意味ではリオの環境サミット以来のフォローアップといいましょうか、その後どれだけの成果を上げたかを点検する一つの機会にもなるだろう、そんな思いも持っております。  そして、今、地球環境大国という言葉を使われましたが、私は余り大国という言葉自体好きじゃありません。  そして、ことし新しい年を迎えたとき、私はASEANを歴訪しながら、日本は変わる、変化する、その変化の一つは、成功例を見せて歩く日本ではなく、そして成功例をサンプルとして提供する日本ではなく、今日までの間に我々が犯した失敗、そしてその失敗を回復するための努力を、どのようなプロセスをたどり、どのような結論になったか、みずからの国の失敗を提供すること、データとして提供することを恐れない国になりたい、同じ失敗をほかの地域の人間がすることを我々は好まない、そういう提案をいたしました。そして、その例に、まさに一九七〇年代初頭における日本の公害体験というものを位置づけてお話をしてまいりました。  同時に、その日本の公害体験を、環境庁創設二十周年に当たって分析をしたその資料をもとに、いかにオーストラリアがうまく活用し、今のオーストラリアの環境行政を立ち上げたか、そうした例もお話をしながら、必要とされるのであれば我々は、過去のみずからの失敗の記録、回復のために払った努力、そしてその結果の分析、すべてをお知らせすることを約束をしてまいりました。私は、そうした努力をこれからの日本はしていくべきだと思っております。  それは、ただ単に公害という視点だけではありません。我々は、植林においても、敗戦後の混乱期に非常に多くの林野を伐採し、その後、自然の状況を思い起こすことなく生産性の高い樹種に植林を限定し、単層林をつくり、今日、国土の問題の一つを惹起いたしました。そういう意味では、我々は、他の国に我々の経験として提供できるものを多く持っておると思っております。  私は、第二国連という提案は賛成をいたしません。ようやく環境についての枠組みが話し合いの場として定着をし始めてきたときだけに、むしろこれを積極的により強力なものにしていくために努力を払うべきだと考えておりますし、もし国会のお許しを得て環境特別総会に出席をさせていただく機会等がありますなら、私はそのような思いで、ただし議員と同じような発想、もとからは同じですが、結果としては、委員は分けろと言われる、私はせっかく定着し始めた今の組織をより強力なものにしていく方向で努力をしたい、そのように考えております。
  229. 愛知和男

    ○愛知委員 国内の環境行政、環境庁創設の際には総理も、あのときは厚生政務次官でしたか、いろいろ役割を果たされた。今、環境庁二十周年のときにつくった「日本の公害経験」というレポート、そのときちょうど私長官でございましたので、いろいろ総理の御指導をいただいたことを思い出しておりますが、それはそれとしまして、これから行政改革をやっていくという中で、橋本行革なるものを新聞報道などで見ますと、環境行政を強化するという感じがどうもうかがえないのですが、いかがでしょうか。
  230. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 確かに、今まだそうした議論は余りマスコミに登場しておりません。しかし、議員がみずから環境庁長官を体験されましたのでよくおわかりをいただけると思うのでありますが、今の環境庁、スタート以来、ある意味での大変な重荷を背負ってまいりました。アブノーマルな公害というものに対抗するために、我々はそのアブノーマルな状況を正常にするための行政機関として環境庁を設計いたしました。その設計をいたしました当時の関係者の一人として先見性のなさを恥じますけれども、その結果、環境が改善されればされるほど環境庁の影響力は低下するという、非常に皮肉な結果を生じました。  そして今、まさに議員が長官のときにまとめられた日本の公害体験、そして翌年の環境白書の中で分析をされておりますように、振り返ってみますと、非生産的経費ではありながら、当時公害克服のために投入した経費というものは、経済成長に影響をもたらさず、しかも部分的にではあるが新たな産業の創出にもつながっていたという結果が出てまいりました。しかし、それは逆に、行政の中ではそれだけ環境庁のシェアを低下させたという結果を皮肉にも生んだわけであります。その後、地球環境部を創設したり、公害研究所としてスタートした研究所が新たな姿に装いを変えたり、それなりに努力をしておりますけれども、私は、より大きな立場から、まさに地球環境というものをとらえた、そうした行政の仕組みに変わっていくべきだと思っております。  そして、今回の行政改革を言い出す以前から私の一つの持論としてこれは申しておりましたが、当然ながら二十一世紀に向かう我が国の行政あり方の中で環境というものを否定した行政組織はあり得ない、私はそのように思っております。
  231. 愛知和男

    ○愛知委員 ぜひ、環境に関する行政強化という視点に立って行政改革を進めていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので少々駆け足になりますが、まず外務大臣に、京都で開かれますCOP3、この会議でいろいろな議題が予定されておりますが、現行の気候変動枠組み条約におきまして先進国に課せられる義務はどのようなものか、それらの義務のうち、どのようなものを改め強化す べきと考えているのか、また、いわゆる二〇〇〇年目標、すなわち温室効果ガスの排出量を二〇〇〇年時点に一九九〇年のレベルに戻すとの目標は必ず守らなければならない性格のものになっているのか、こんな点について外務大臣の御所見を伺います。
  232. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、今委員指摘の最後の点からお答えした方がよいかと思いますけれども、排出量を二〇〇〇年時点で一九九〇年のレベルに戻すということ自体は、条約上に規定されているものではなくて、そういった意味では義務ではございません。しかしながら、この条約上、先進国に課される主な義務というものを見てまいりますと、今申しましたように一九九〇年の水準に戻すという認識を持って具体的に二つのことを行う、そういう義務が課されております。  そのまず第一は、気候変動を緩和するための政策を採用し、これに沿った措置をとること、これが第一でございまして、第二が、自国の政策及び措置並びに排出及び除去に関する情報を締約国会議に送付すること、この二点が条約上の義務となっているところでございます。  そして我が国といたしましては、第一回の締約国会議において決定されたところでございますが、政策と措置の詳細なものを作成いたしまして、さらに排出抑制あるいは削減目的の設定を含めまして、二〇〇〇年以降の地球温暖化対策の枠組みをつくることが今回の会議で大切な課題である、こう考えておりまして、現在、他の締約国との間でいろいろその検討を進めておるところでございます。
  233. 愛知和男

    ○愛知委員 今、義務ではないということでしたが、それを義務にしようというのが今度の会議の主な論点なんではないのですか。
  234. 池田行彦

    池田国務大臣 現在義務ではないわけでございますが、削減していこうということが大切だという認識を持っていろいろなことをやっていこう、各国がそれぞれの措置をとろう、あるいは、このようなことをしているということを情報提供しよう、こういうことになっているわけでございますが、京都会議までにいろいろ各国とも調整してまいりますけれども、それぞれの国からいろいろな考え方提案されてくると思います。  委員も御承知だと思いますけれども、現在までに明らかになっているところでも、例えば米国は、もう具体的に、二酸化炭素等の排出を抑制するためにきちんとした排出量の目標を設定したらどうだろう、こういうことにしております。例えば、一九九〇年の排出量の一定割合に、二〇〇〇年から例えば五年間の排出量を抑えるべきである、こういうふうなことを提案しておるわけでございます。  我が国といたしましては、これまでの各国別のそういった省エネルギーの努力であるとか排出抑制、削減のための努力にかなりの差があるということもございまして、ある特定の年、例えば一九九〇年というものをとってそれから何%カットするということを一律にやるということは、必ずしも妥当とは言えないのではないのかな、そういったことで、例えば国民一人当たりの排出量との兼ね合いでどうするかというようなことで、複数の目標といいましょうか、そういったものを設定しながら、各国ごとにそれを選択する、そういった内容のものを考えていったらどうかということを提案しているところでございます。  いずれにいたしましても、これから京都会議が開かれるまでにそういった各国の考え方についていろいろ調整を進めてまいりたい、こう思っております。
  235. 愛知和男

    ○愛知委員 ぜひこれは、いろいろ国内でも議論があるところだとは思いますが、日本はそういうことを乗り越えてというのでしょうか、世界の中で大きなリーダーシップを発揮していかなくちゃいけない、このように思います。  環境庁長官、この会議に対する環境庁の取り組み、基本的な姿勢、時間が余りございませんので、要点だけをひとつお願いします。
  236. 石井道子

    石井国務大臣 環境庁長官を経験をされまして、特に地球サミットのころにいろいろと地球環境問題に取り組まれてこられました愛知議員でございますので、その問題に対しまして大変御理解と御支援をいただいておりますことを心から感謝を申し上げる次第でございます。  このたびの京都会議、大変重要な会議でございまして、今、温暖化の原因となっております二酸化炭素の排出量が日本は世界第四位でございますから、この排出量を何とか削減していかなければなりません。そして、議長国となることが目されております我が国でございますので、これから国民各界各層が地球温暖化問題に対してその重要性を十分認識をいたしまして、そして国内対策に積極的に取り組む必要があるわけでございまして、これからも国際レベルでの合意を得ながらさらに努力をしていく必要があるというふうに思います。  具体的には、地球温暖化防止行動計画に基づきまして、省エネルギー、新エネルギー対策の推進、それから低公害車の導入、また、各省庁の、お役所におきますエネルギー使用量の削減等、環境保全に向けた政府みずからの取り組みの率先実行を進めているわけでございまして、これもさらに充実をしていく必要があると感じております。今後一層、地球環境保全関係の閣僚会議の場などを通じまして、政府一体となった政策の強化を働きかけていきたいと思っております。  環境庁自体といたしましても、昨年十二月に地球温暖化防止対策の推進本部を設置いたしました。そして私の陣頭指揮のもとに、国民規模の啓発や国民参加の対策を初めといたしまして、環境庁内が一体となって、各部局で行われておりますさまざまな地球温暖化防止に関する施策を強化しているところでございます。  さらに、京都会議の成功に向けましては、昨年の十二月一日に京都に出向きまして、そして関西地域の府県、政令市による行政協議会を発足をいたしまして、また、NGOの方々の御協力もいただきながら具体的な作業を進めていこうと準備を進めているところでございますので、どうぞ一層の御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
  237. 愛知和男

    ○愛知委員 環境の問題は、どうも政府の中でもいろいろ議論があり、必ずしも主流になれないようなところがあるわけですが、当面、一番環境問題に抵抗をされがちなところは通産省でありますが、通産大臣、ぜひ通産省の立場からも強力に支援をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  238. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今愛知委員、若干の誤解があるのではないだろうか、こう思っております。  それは、このCOP3の大きな議題は地球の温暖化対策、これだと思うのですが、今この問題は環境問題であると同時に経済問題、またエネルギー問題、そういうことで、産業とかエネルギーを所管する通産省としても積極的にこれに対して対応していくというのが基本的な姿勢でございます。  ただ、御協力をお願いしなければいけないのは、今までは我が国においては産業界を中心に省エネというものを推進しておりますが、やはり産業用は割とこれに御協力をいただけるのですが、民生において御協力をただいている方が少ないという点が実はございます。  そういうことで、先ほど委員が言われたように、これは若干内政問題になりますが、九〇年度において我が国においては二・五九トンの排出量だったのですね。それで今度の場合でも大体二・六でもってずっと推移させよう、こういうことなんですが、現実は、今若干上がってきて、九四年には二・七四になっている、こういうことがございますので、これは徹底した省エネというものを推進しなければいけないだろう、こう思っております。  また同時に、新エネというものの導入ですが、これも非常に、今のところ技術的には進んでおりますが、コストの面で一般的に普及しにくい。こういう問題ですから、これからはやはり当省としては、省エネと新エネとそれから原子力という、 この三本の柱でもってやっていこうと思っております。  よろしくお願いいたします。
  239. 愛知和男

    ○愛知委員 通産省の立場でもぜひ頑張っていただきたいとお願いしたいのですが、この地球環境破壊の究極的な原因というのは、大量消費、大量廃棄というライフスタイルだと言ってもいいのではないかと私は思います。これを変えるというのは容易なことじゃございませんが、最終的にはやはり広い意味での教育、その中でライフスタイルを変えていくということ、これがなければ最終的な解決にならないと思いますが、地球環境問題にも大変造詣の深い文部大臣、お願いします。
  240. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 時間がありませんから簡潔に申しますが、確かに意識改革が重要であるということは御指摘のとおりです。  まず、私は、文部大臣としての答えに限定して申します。  教育の場でやれることは、やはり教育の中で教材にどんどん盛り込んでいくということ。それからエコスクールという、例えば太陽電池を、太陽光発電を学校の現場につけて目に見える教育をやっていくということ。それから、教員養成において、環境問題についてもっと徹底して研修をやっていただくということ。そして、あと社会教育、家庭教育の場でも、環境庁などとも相談をしながら、手引書の発行とかあるいは公民館などを利用した一般の市民に対する環境教育、そういったことに全力を尽くしていきたいと思っております。  とにかく、これからの地球市民としての意識というものを育てる教育、今度の教育改革の重要な柱にいたしておりますので、どうぞ御協力をお願いいたします。
  241. 愛知和男

    ○愛知委員 同僚中井議員に交代をする時間が参りました。実は、きょうは安全保障もやりたかったのです。防衛庁長官にもお出ましをいただきまして、質疑をする時間がなくなってしまってまことに申しわけございませんでした。また機会を改めてゆっくりやらせていただきたい。  最後に、総理も私も同じでございますが、金丸信という非常にユニークな政治家がおられました。金丸語録と言われるものが幾つかあるわけでありますが、まあ語録と言われるかどうか、金丸さんが集会や何かのときに申された言葉で私が非常に印象に残っている言葉は、政治の役割というのはきょうよりあすをよくしなきゃならない、きょうよりあすをよくすることができなければ政治は役割を果たしているとは言えないんだ、こういうことを言われていたのを非常に記憶しているのでございます。それはそれで、なるほどなと思うのでございますが、考えてみれば、きょうよりあすをよくするというのはまさに右肩上がりの時代の発想なのであります。  私は、今大事なのは、この金丸さんの言葉を多少修正するとすれば、今の政治の役割というのはきょうよりもあさってをよくすることだ。もしかしたらあしたは若干きょうより悪くなるかもしれない、しかしあさってはよくします、これが言ってみれば政治の役割ではなかろうか。きょうよりもあしたは若干落ちるかもしれないけれども、あさってはよくします、こういう先々に対する指針をきちっと示すこと、あしたは多少悪くなるということもはっきり言う必要があるのです。そういうことによって政治が役割を果たし、国民が政治に対する信頼を寄せることになるのではないか、こんなふうに思います。このことを私見として申し上げ、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  242. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、中井洽君から関連質疑の申し出があります。愛知君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中井洽君。
  243. 中井洽

    ○中井委員 中井洽です。お疲れだと思いますが、あと一時間お願いをいたします。私、持ち時間は一時間四十分で、残り四十分はあしたということになっております。お並びいただきました大臣諸公にも、場合によってはきょうじゃなしにあしたになるということもお許しをいただきたいと思います。  総理にお尋ねをいたします。  平成三年の三月だったと思うのですが、大蔵大臣をなさっており、私が大蔵委員のころに、予算の修正問題で予算委員会で何回か議論をさせていただきました。大蔵大臣であった当時の橋本さんは、行政当局として精査に精査を重ねた予算だ、修正ということはもう絶対だめだ、こういうことを繰り返して言われたことを強く印象に残しております。総理となられて、単独で過半数をとっていない内閣として今もそういうお気持ちであるのかどうか、お尋ねをいたします。
  244. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、委員に向かってだめだなんという、そんな言い方はしなかったと思います。精査に精査を重ねてつくり上げた予算であります、原案をどうぞこのまま通していただきたい、そういうお願いを申し上げたと思います。恐らくそう申し上げたと思いますが、その気持ちは現在も変わりません。
  245. 中井洽

    ○中井委員 私ども新進党も、この予算の論議を通じていずれかの時点で予算の修正、他の党の皆さん方の御協力をいただいて提出をするのだろうと思っています。また、連合の皆さん方も、本日から、二兆円減税の存続あるいは医療費の改定反対、こういったことを求めて全国的な行動をされて、衆議院の議員会館の前では幹部が座り込みも始めておると聞いております。  そういうさなか、先週、自民党さんと社民党さんで、早々と、予算を修正せずに通す、こういうことが合意したと新聞等に報じられております。大蔵大臣、これは御存じですか。
  246. 三塚博

    ○三塚国務大臣 報道で知りました。
  247. 中井洽

    ○中井委員 これはこれで政党のお考えでありましょうが、その新聞で報じられていることを読みますと、修正はしない、原案どおり通す、しかし執行で考えるんだ、予算執行の中で減額もあるんだ、こういったことが各紙ともに報じられております。これも御存じですか。
  248. 三塚博

    ○三塚国務大臣 報道で聞きました。
  249. 中井洽

    ○中井委員 もしこれが本当に自民党と社民党で合意されたということであるならば、私は大変だと思います。執行で減額をされるというのなら、今減額をなさればいいことでありましょう。大蔵大臣、予算の編成責任者としてこういったことを認められるのか認めないのか、お答えをいただきます。
  250. 三塚博

    ○三塚国務大臣 成立後、執行について意見を申し述べ、そこで修正をしていただくというのであれば、これはおかしいと思います。予算は精査の上、特に九年度予算、財政構造改革元年として心血を注いでつくり上げたものです。野党の皆さん方には余り評判がよろしくないわけですが、必ずこのことが九年度予算に結びつきます。そして、あのときの論議が実ったな、こう理解できるものと私は信じ、やっておるわけでございます。そんな点で、ただいま申し上げたとおりであります。
  251. 中井洽

    ○中井委員 私どもは、他の野党の皆さんとも協議しながら修正提案をしてまいります。それは、党は党のお考えであろうか、しかし予算を無修正で通して後からこそくに減額をやる、どうぞこういうことのないように毅然たる態度で臨んでいただきたい、このことを申し上げておきます。  大臣、いいですね。お答え、そういうことだったと思いますが、いいですね。
  252. 三塚博

    ○三塚国務大臣 国会というのはそんなものでしょう。
  253. 中井洽

    ○中井委員 それでは、大臣の答弁を御信頼申し上げて、次に参ります。  本予算委員会で何回か議論がありましたが、一月三十一日、公安審査委員会がオウム真理教に対する公安調査庁の解散指定の請求を却下いたしました。昨年来、当然破防法を適用すべき、こういったことを申し上げていささか応援してきた男として、また新進党内にもいろいろと論議がありましたが、挙げて新進党としても応援をしてまいりましただけに、大変残念な決定であると思っております。  総理にお尋ねをいたします。技術的な、法的ないろいろな問題は承知いたしております。率直に、この決定についてどうお思いか、お聞かせをいただきます。
  254. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員は残念という言葉をお使いになりました。政府の責任者としてその言葉を私が使うわけにはまいりません。  しかし、公安審査委員会におかれまして、約六カ月、長期にわたって慎重な審査を行われ、法と証拠に基づいて決定に至ったもの、私どもはそう理解をいたしておりますし、公安審査委員会の棄却の決定というものを厳粛に受けとめております。  しかし、同時に、オウム真理教につきましては、平成八年七月十一日の解散指定処分請求時から決定時まで、その至る間に、人的にも物的にもまた資金的能力などにも、これは捜査当局の努力というものが非常に大きく影響し、事情の変化が認められるという状況になりました。公安審査委員会としては、こうした点も当然十分踏まえられた上で、教団に明白な危険性がない、危険性が認められないという判断をされたものと思います。  しかし、その決定書におきましても、同教団の危険性はなお存在するとされているわけでありますから、公安調査庁におきましては、今後とも同教団に対する調査を継続し、公共の安全の確保に万全を期すもの、そのように考えております。
  255. 中井洽

    ○中井委員 理屈はともかく率直にとお願いを申し上げましたが、我が党西岡幹事長がお尋ねをしたときと同じ文章をお読みになりました。  法務大臣にお尋ねをいたします。公安調査庁というのも公安審査委員会というのも、これは行政機関であって法務省に所属する、間違いないですね。
  256. 松浦功

    ○松浦国務大臣 御答弁申し上げます。  公安調査庁は、法務省に所属をいたします。公安審査委員会は法務省には所属いたしておりません。独立の機関でございます。
  257. 中井洽

    ○中井委員 公安審査委員会は法務省の外局でしょう。違いますか。
  258. 松浦功

    ○松浦国務大臣 法務省の外局ではございません。
  259. 中井洽

    ○中井委員 事務局、大丈夫ですか。
  260. 頃安健司

    ○頃安政府委員 お答えいたします。  公安審査委員会も法務省の組織ではございますが、ただ、公安審査委員会の委員の任命権は、法務大臣ではなく内閣総理大臣にあるということでございます。
  261. 中井洽

    ○中井委員 そんなことは聞いていません。僕は、公安審査委員会も公安調査庁も法務省の外局でしょう、こう言っているのです。松浦さんは違うとおっしゃるけれども、実際はそうなんだ。間違えられたなら結構ですから、それはそれで質問をいたしますが、それでは、法務省として、片一方の公安調査庁は、解散だ、危険だから解散だ、こうした。片一方の公安審査委員会は、解散しなくていい。違う決定をする。これはおかしいじゃないですか、行政機関として。法は法として私はわかります。しかし、僕は違うと思う。ここのところはどうですか。
  262. 松浦功

    ○松浦国務大臣 機関でないということを申し上げたのは、広い意味では機関であるということは、私の誤りでございましたので訂正いたします。  決定が、意思が公安調査庁と公安審査委員会と違うじゃないか、それは当然のことでございまして、公安庁は法務大臣が任命している本当の外局でございます。公安審査委員会は、法務省に所属はいたしておりまするけれども、先ほど官房長から御説明がありましたように、委員の任命は総理でございます。しかも、独立の機関で、全くどこからも左右されずに決定ができるという機関でございますから、これは違うのは当たり前だと思っております。
  263. 中井洽

    ○中井委員 少し過去をさかのぼって細かいことを聞いて恐縮でありますが、例えば、この公安審査委員会の独立したメンバーであるというお三人の方が、十月に国会へ再選でお届けがありました。私は去年二月から六月まで、国会の議院運営委員会の理事をいたしておるときに、政府にたびたび申し入れて、七十歳以上のメンバーは再任をしない、出さない、こういうお約束をいただきました。しかし、この公安、政府が去年十月にお出しになりました三人のメンバーは、全部七十歳を超えておられる。しかも、全員弁護士さん。  弁護士会は、オウムの真理教に対して破防法を適用するのを反対をしておる。そういう人たちを再任をされる。それは、勉強されてきたから途中でかえるのはという思いもおありでありましょう。しかし、私は、ここで法務省はお間違いになったのじゃないか。  のんきに、オウムの真理教のこの破防法の適用はできるとお思いになっておった。ところが、その後、逃亡中のオウムの犯人が四人ほどばたばたばたとにわかに捕まった。また、サリンガスの埋蔵やVXのガスの埋蔵が見つかった。そのことで一遍に世論も、あるいはこの審査委員会も、破防法の適用までいかなくてもいいのじゃないか、こういう空気になったのじゃないですか。私は、一生懸命お仕事をやっていただいたと思うけれども、違うと考えています。  オウムは、平成二年から平成七年の間に、二十六人の無事の人を殺害いたしております。三千九百四十四人の方を負傷をさせております。これは國松長官の狙撃事件が入っておりません。また、この中には、松本サリン事件のように、裁判官をねらった殺人事件があります。また、坂本さん弁護士一家のように、弁護士さんを誘拐して一家を殺すという残虐な行為があります。また、官公庁は断定はできないのでしょうけれども、私どもは、国民も、國松長官の狙撃は全部オウムだと思っております。  これを、法の秩序に対する挑戦をした団体じゃないですか、その団体をどうしてつぶさないのですか。つぶせる法律はたった一つ、破防法を適用することじゃありませんか。どうしてこういう団体を生き延びさすことが民主主義なんですか。  この間から、たびたびこの国会で危機管理のことが議論をされておる。本当に、私どもは、危機管理ということについてこれから全力でやっていかなければならないことが多いと思います。しかし、根幹、こういう国家転覆をねらったような、あるいは法に対する挑戦をしたような、しかも、世界で最初ですよ、これは、サリンガスとかVXガスというものをテロで使った団体として、最初の団体じゃないですか。その団体が、逮捕者がたくさん出た、VXのガスが見つかった、これだけで、危険性がないといって解散の指定を免れる、そんなばかなことがあるかと一般国民はみんな思っております。  これを、法務省としてどういう責任を感じておられるのか、お答えをいただきます。
  264. 頃安健司

    ○頃安政府委員 とりあえず……(発言する者あり)
  265. 深谷隆司

    深谷委員長 お静かにお願いします。委員長官房長を指名しております。
  266. 頃安健司

    ○頃安政府委員 お答えいたします。  公安審査委員会において、法と証拠に基づき、慎重かつ公正に審査された結果、決定時におきましては解散指定の要件を満たしていると認定することができなかったというのが、今回の団体規制処分請求に対する公安審査委員会の判断であると承知しております。  委員よく御案内のことと存じますが、公安審査委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行使することとされております。お尋ねの点についてお答えすることは、公安審査委員会のそのような性格、さらにその職責にかんがみますと、差し控えさせていただかざるを得ないことを御理解いただくようにお願いいたします。
  267. 中井洽

    ○中井委員 公安審査委員会の審査の中身を読みますと、一点であります。公安調査庁が調べたときは危険だった、しかし結論を出す一月は危険じゃなくなった。本当にそうですが。  例えば、オウムの側が、これは破防法の指定を 逃れるために三人ほど出頭させて、埋めてあるサリンガスのところをぱっと垂れ込んで見つけ出して後は知らぬ顔、これだったらどうするんでしょうか。私はそういう心配もあえていたしております。  同時に、ぜひ皆さん方に御理解をいただきたいと思いますけれども、現在、オウムで逮捕された人たちの裁判が進行をいたしております。これらの裁判を、今ちょっと手元に資料がありませんが、見ますと、大半が一年以内、みんな執行猶予、一番重たいものでも懲役七年、こういう状況であります。私は、オウムのあの首謀者の麻原彰晃ですら死刑にはならないんだろうと心配をいたしております。  オウムという宗教団体があって、そこへ幹部が一年ぐらいでまた戻ってくる、そして麻原彰晃もやがて出てくる、こういうことになって何をやるかわからない、どうしてそんな団体を残すんですか。それを残すことが本当に民主主義なんでしょうか。私は、国家あるいは国家の意思というものは違うんだろう。もし破防法で適用できない、こういうことであるならば、私どもの日本の国はそういう法律を持たないということであります。だれが何をやっても、どんなことをしても団体は許される、これでは民主主義や法の秩序というのは守れないと私は思います。  もし破防法でだめだということであるならば、今回、仕方がありません。それは危険は危険でこれから注意をするということでありますが、二度とこういう団体が出てこないように法改正を、あるいは新しい法を超党派でもってもつくるべきだと思いますが、法務大臣、いかがですか。
  268. 松浦功

    ○松浦国務大臣 これまでの経緯を十分に検討してまいりたいと思っております。
  269. 中井洽

    ○中井委員 私が法務大臣だったらもっと歯切れよく言うのですけれども、これは松浦先生のお人柄であろうかと思いますので、この辺にいたしまして、次の問題に入ります。  昨年の初めての小選挙区の比例代表の選挙、この選挙の結果をめぐって、私ども、選挙区でいろいろなことを言われます。いろいろなことを自分自身で考えさせられております。二つだけ、総理あるいは自治大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。特に、きょうはテレビで国民の皆さん方もごらんをいただいておりますので、申し上げたいことがあります。  それは、いろいろな会合へ出ましたら、消費税五%にせずに頑張ってください、三%のままで公約どおり頑張ってください、こうよく言われるのであります。そうしますと、私どもはあの選挙で第二党という結果になりました。その後、去年十月、新進党として消費税の据え置き法案国会に提出をいたしました。新進党と、あと一、二名の方の賛成のみで、残念ながら敗れました。このことが国民の間に全然伝わっていない、こういうことでありますので、あえてこの消費税の問題を取り上げます。  私どもは、あの十月、数が少なくて負けるということは覚悟で法案は提出をいたしました。しかし、既に御議論もありましたように、自民党におきましても七十名ぐらい、あるいは民主党におかれましては三十名ぐらい、社民党におかれましては六人ぐらい、公報あるいは新聞等で、消費税は反対あるいは据え置き、行革が先だ、こう言った方がおられたわけであります。これらの方が万々一、小選挙区で初めての選挙ですから、政党の公約と公約を闘わす、こういうことが目的で戦われた選挙でもありますから、公約どおり御賛成をいただくかもしれぬ、こう考えて実は法案を提出をいたしたわけであります。  同時に、びっくりいたしますことには、自民党さんの中で、七十七人、消費税に反対や据え置き、行革が先生言われた方がありますが、ここにお入りになっていない方でも、幾つかの団体や労働組合と協約を結んでおられる。政策協約。この方は、「消費税については、我々の意向を尊重し、消費税率の引き上げに反対し、廃止を含めた見直しに努力する」、これにサインされておるのですね。こういう自民党の当選の方もおられる。こういう方に対して私どもはお考えをいただく、こういう意味で法案を提出をいたしました。  しかし、残念ながら党のそれぞれの党議拘束もこれあり、私どもは否決をされました。これはこれで仕方がありません。しかし、こういう小選挙区の、しかも政党の選挙をやる、これからのそういう選挙の中で政党が立てた公約、個人の公約、余りにも違うというのはどうなんだろうか。  政党の公約と、あるいは個人が地域やあるいは自分自身の職業の経験から出す個人の公約、こういうのは私はあってもいいと思います。しかし、大きな税制やなんかで個人と党が全く違う公約を掲げる、これでは政党の選挙にならないのじゃないでしょうか。国会でクロスボーティングが行われておやりになるのならばこれも結構。そこら辺をきちっとしないと国民の政党不信というのは募っていくばかりだ、こう思いますが、総理はいかがでしょうか。
  270. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私自身、昨年の衆議院選の期間中、たしか百七、八選挙区を回らせていただき、時間のある限り消費税率の二%の引き上げを訴えてまいりました。そして、私のおりましたときに引き上げ反対を言われた私どもの同僚候補はおりませんでした。  そして、私は、政党の性格というものは最大公約数の議論になるものであろう。党議拘束というものがどこまで本質的に必要なものか、それぞれの党のやはりあり方にもかかわるところだろうと存じますけれども、基本的には、党の掲げる公約というものが当然ながら最大公約数としての主張であるべきだとは存じます。これは完全に同一ということはあり得ません。
  271. 中井洽

    ○中井委員 もう一つ、選挙の点でお尋ねをいたします。これは総理じゃなしに、あるいはさっき申し上げましたように自治大臣にお尋ねをいたします。  私の今手元に、参議院あるいは衆議院で比例代表で御当選をなすったけれども、その後、党や会派をお変わりになった方の一覧表があります。それぞれ御事情や信念でお変わりになったことでありますから、私どもはとやかく申し上げるつもりはありません。  しかし、昭和五十七年の参議院の選挙制度の大改革のときに、かなりこの点を議論をいたしました。当時、私も公職選挙法委員会の理事をいたしておりまして、こんなわかりにくい制度はだめだ。さっき愛知さんからお話が出ました、金丸さんのところまで実は民社党代表で行ったことがあります。そうしたら、中井君、社会党を超えてから来いと言われました。小さな政党が余計なことを言うな、こういう意味であったのか何か知りませんが、今超えたから言うわけではありません。  実は、本当に今私どもはつらい立場におります。先ほど自民党の議員さんから、オレンジ疑惑のことで私どもの党は非難中傷をいただきました。私どもは今本当に苦しい中で、自分たち自身で調査をし、また法は法のお調べをいただければいい、そして改めるべきところは改める、このように対応を急いでいるところでございます。  問題は、ああいう議員を比例代表から、国会議員から外れてもらう、これができないということであります。比例代表で党名で入った人ですから、その党を除名になったらもう国会議員の資格をなくす、これが国民から見ても制度上から見ても当たり前の常識だ。私は、昭和五十七年当時から、また今も思っているところであります。憲法上、国会議員個人の権利というのは重たい、公職選挙法上、国会議員の議員の権利というのは重たい、これが自治省のお答えだと思いますけれども、こういうことを繰り返しておったら政党というものは信用されなくなる。  今回、私どもの党が大変な国民の不信を買っております。しかし、それはあすは自民党かもしれません。ここのところは、お互い国会議員として、信念でお動きになる方、その政党の了解をもってよそへお移りになる方は、それはそれでい いでしょう。しかし、除名、このときには国会議員をやめていただいて名簿の次の順位の方が繰り上がる、これが私は改正されるべき当然の姿だ、このように思いますが、大臣いかがですか。
  272. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 いろいろ非常に難しい問題だと思います。私は、大臣になる前まで党の総務局長ということをやりまして、そんなことに絡みながらいろいろなことを考えました。新生党ができるときに、自由民主党の公認候補で比例で受かった参議院議員も新生党に当時移りました。それから、社会党の比例代表名簿で受かった方が、除名になったけれども結局そのことによって身分を害されない、こういうこともありました。  すなわち、政党というものは、どうなんだろうか。さきになされました、この前の国会最大の政治課題は政党本位の政治ということであったわけでございますが、確かに政党というものも大事な役割はあると思いますが、しかし私も自由民主党という党におります。議員は民社党から今新進党というところにいるわけでございますが、残念ながら政党、しょせん人間がつくるものでございますからいろいろ不完全でございます。ですから、すべて政党ということで憲法もしくは法律で律しられないというのが、現実に政党の一つの役員をした者として、我が国においては政党というのはまだまだ不完全なものであるという気がいたします。  そういう中で、私は、我々が準拠すべきものは憲法であり法律であろうかと思います。その法律や憲法に明示されていない以上、感情的にはあるいは経過としては非常に選挙民から見たらいろいろ問題があろうかと思いますけれども、私は国会議員の身分というものは重いものだと思っています。小選挙区であれ比例であれ、一たん議員となった者はその意思に反して国会で除名される以外はその身分を失わないという、憲法上そういうものがあるという歴史的に重い意味を踏まえて、我々選挙を預かる者としては、法律が改正されない限り、これはそのとおりに執行していくことがそれなりの歴史的な意味があるものと承知いたしております。
  273. 中井洽

    ○中井委員 自治大臣としては当然そうお答えになるんだろうと思います。しかし、政党というのはどこの国でもいつの時代でも完全なものはありません。国民と政党の側と、お互いが監視をし合い、あるいは批判をし合い、そして育て合ってよりよい民主主義というものをやっていくものだろう。我が国ではいろいろと議論はありましたけれども、政党交付金も支給することを含めて、政党の仕組みの中で議会制民主主義を高めていこう、こういう状況に来ているわけであります。どこかで割り切ってやらないと、いつまでもそういうことを言っておると矛盾ばかりが言われて、そして国民の選挙に対するあるいは政治に対する、政党に対する関心が低下をする、私どもはこのように心配をいたしております。  今回の事件ということだけではなしに、私どもも議論を提起いたしますので、自治省におかれましても柔軟に対応されるように要望をいたしておきます。  次に、行革についてお尋ねをいたします。  去年あるいはおととし、私ども改革ということをやかましく言ってまいりました。時々この自民党の席からも、当時は、改革改革ばかり言うなとかいろいろなやじも飛んだことを覚えております。しかし昨年、橋本内閣が選挙後、本当に改革というものについて思いを新たにされて取り組んでおられる、私どもはこの予算委員会やいろいろな議論の中で承知をいたしております。また、自民党を含めて各党の御議論も、今日本にとって改革というのは本当に必要である、こういう議論になってきた。私はこのことは大変大事なことだ、こういうように思っております。  しかしながら、橋本内閣のおやりになっておる例えば中央省庁改革等が、もうひとつ私どもの脇に落ちていないところがある、そういう面でお尋ねをいたします。  一つは、中央省庁統廃合等は、行政改革会議というものをおつくりになって、本年十一月までに結論を得て実行されていく、しかし大蔵省だけは先にやってしまう、ここのところがちょっと、私どもは誤解をしているのかもわかりません。もう既に金融検査監督庁の設置を決めて走っておられるけれども、ここら辺のところはどういう理由でそういう状況になったのか、御説明いただきます。
  274. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 行政改革というのを本当にやらなければいけないというのは、だんだん、国の財政が大変だ、地方の財政が大変だ、あるいは縦割り行政でいろいろと困っている人が多くなってきた、全体的に行革というのをやらなければいけないという雰囲気は私は出てきたと思います。  しかし、明治の改革あるいは戦後の改革と匹敵するような今度は改革をやらなければいけないわけで、あるいはそれ以上の改革をしなければいけない。ところが、国民だれも皆、戦後のときのような、あるいは明治維新のときのような雰囲気はないわけでございますから、非常にやりにくいという点は私はあると思います。しかし、そこをやらなければいけない。というのは、私ども、今行政改革を何が何でもやらなければいけないということでございます。  しかし、行政改革をやっていくのは、今のようなことでございますから、現実の事態の中でどう改革をしていくかというと、やはりこれは手順を踏んでいかなければいけないだろう。  まず、今まで既に行革委員会でおやりをいただいてきた規制緩和を実現をしていく方向をまずつくっていく。それから、官民の仕事分担ということで、役所でやらなくてもいい仕事はできるだけ民間に移していこう、この方向をつくっていく。それから中央から地方へということで、地方分権推進委員会でおやりをいただいておる、例えば機関委任事務は今度はやめていこう、あるいはできるだけ地方でやっていただける仕事は地方でやっていこう、こういうことをいろいろ今方向を決めつつあるわけでございます。  それで、そういう方向を決めて、大体中央の役所の中はこんなふうにしてスリムになっていくだろう。そして、そういうスリムになっていくことを踏まえて、もう一方からは、一体二十一世紀においてはどういう国家機能があったらいいのだろうか。それはもう縦割りであってはいけないし、非常に国民の需要に応じた国民本位の行政がスムーズに行われていくにはどうしたらいいのだろうか、あるいは、やはり効率のよい行政をしなきゃいけない、あるいはまた、もうこういう時代でございまして、情報化の時代でございますから、役所の仕事も思い切ってそういう情報化の時代に対応した仕組みにしていかなきゃいけない、いろいろあるわけでございます。  それを今、一つ一つ手順を踏んでやっていくわけでございまして、今お話のあったように、最終的にそういうものを踏まえて、中央の省庁の統廃合はこんな形のものがいいのじゃなかろうか、これを十一月末に成案をつくるという努力をしているのでございます。なかなか目に見えないとよく御指摘をいただくのでございますが、いわゆる現実の姿、現実の中で新しいものをつくっていく、それが戦後のような感じがほとんどなくなってしまった、あるいは徳川から明治に移ってしまったというのと違うものでございますから、その辺がおわかりにくいと思うのでございますけれども、私は、そういう手順を踏んでいけば、それが具体的に一つ一つ出てまいりますときっと御理解をいただけるものと思って、必ず十一月末の成案を得るまでには今言ったような方向はすべてきちんとやらなきゃいけないと思って努力をしておるわけでございます。
  275. 中井洽

    ○中井委員 そういたしますと、大蔵のいわゆる分割、金融検査監督庁をつくるということもその十一月の答申の中に入る、こういうことですね。
  276. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 大変失礼をいたしました。  大蔵省の改革はその中、全体の中に入りますが、とりあえず今度金融検査庁の法案を提出を、 これは大蔵省の方で提出をしていただくわけでございますけれども、これは、今の住専問題その他で金融行政に対して大変批判を受けまして、何としても今までのこの検査・監督機能だけは独立させなきゃいけない、こういう観点から、三党の合意も踏まえまして、大蔵省を中心として今度の新しい法案をつくっていただいたわけでございまして、その部分は一歩前進をして行革をしていただきますけれども、あと大蔵省全体の残った行政改革というものは、当然中央省庁統廃合の中で私どもは考えておるわけであります。
  277. 中井洽

    ○中井委員 この金融検査監督庁の議論で、私どもは、与党三党でおやりになっていらっしゃることですし、また、大蔵省が総理府のもとでおやりになっていらっしゃることですからなかなかわからないところがありますので、幾つかの点で質問をしたいと思いますので、大臣、一遍でお答えいただければいいと思います。  今、去年のあるいは長年の金融の不祥事が続いた中で考えて、金融検査監督庁というものを独立させる、こういうことになったというお話がありました。しかし、ずっと予算委員会なんかの議論を通じてみんなが一番心配していますし、一番情けなく思っておりますのは、財政の膨大な赤字であります。私は、大蔵省という大変強い権限を持った省庁を分割するということであるならば、主計というものを別の形をお考えになるべきだろう、また、これから財政再建をやるというのであるならば、政治家が責任を持ってそれをやるというのならば、官邸なら官邸の下に置いてそして思い切った財政削減、こういったものをやっていくべきじゃないか、このように考えておりまして、金融検査監督庁を独立させたから必ずしもスムーズにいくものではなかろう、私はこういう思いを一つ抱いております。  そういう中で、少し小さいのですが、それは、検査の専門家がすべて僕は金融検査監督庁へ行くんだ、こう思っておったら、地方の財務局にいらっしゃる検査官は全部大蔵省へ残るんだ、こういう話を承っております。聞きましたところ、労働組合がどこかの政党へ泣きついて、何とかしろというので地方の検査官はみんな大蔵省へ残るんだ。それから、自民党と社民党とさきがけさんの合意文書を見させていただきますと、「農協系統金融、労働金庫、ノンバンクなどを含めて一元化をはかり」と、こう書いてあるのですね。しかし、実際には、ノンバンクの届け出は相変わらず通産でありましょうし、まあみんなそれぞれの役所に残る、何も一元化はされていない、こういう問題があるんじゃないか、こう思いますが、大蔵大臣いかがですか。
  278. 三塚博

    ○三塚国務大臣 先ほどの総務庁長官お話で、大蔵省が原案をつくるのではなくして、御案内のとおり総理府であります。ただいまその作業に入っておると思います。  一点、財務局のお話、これは、三党協議長終の合意事項に基づきまして、政党政治でございますから、三党が本件に関する基本を決めました以上、忠実にこれに従うことが、また、高い観点から考えましても、監督、検査という金融機関の重要事項を携わる場合には専門官を雇わなければなりません。九ブロックですか、財務局、これの職員が実はそこにおるということ。行政改革ということの中で、新たな官庁が肥大をするということになりますと、それだけ大変な予算を要しますね。それともう一つは、専門官に育て切るまでには数年を必要とするでしょう。少なくとも二年は、やはり三、四年は必要でしょう。ならば、今財務局として銀行考査、検査を担当しております専門官がおりますから、それを使わしていただきたい、使うべきである、こういうことでありますから、やむを得ずそう相なった、こういうことです。
  279. 中井洽

    ○中井委員 三党合意だという御説明が一番まともで、あとはさっぱりわけのわからないところでございまして、三塚流であろうかと思いますが、ビッグバン、おやりになる。世界の金融体制の中でおくれない、あるいは日本が金融市場の中心となるような体制をつくる、こういう大きな改革をなさるわけでありますから、お間違いのないように、悔いを残されないようにひとつおやりをいただきたい、このことをあえて申し上げておきます。  もう一つ、同じく日銀法の改正が言われております。この中で、私は一つだけ提案があります。総理か大蔵大臣にお答えいただくのかと思いますが、今回、日銀の総裁、副総裁、あるいは政策委員ですか、もとの政策委員国会承認になる、こういうことがほぼ決まったと聞かしていただいております。私は、このことは賛成であります。  ただ、先ほども法務省のことで少し申し上げました。実は、昨年、いろいろな審議会のメンバー、七十歳以上はだめだ、女性の入っていない審議会はだめだ、こういうことを議運で申し上げて、かなり嫌われました。実際はそれぞれ優秀な方も多いんでありましょう。しかし、現実には、調べようがないんですね。経歴だけ。経歴をいただいて、まあまあ間違いないだろうということで、それぞれが知っていても知らなくても賛成をしておる、こういう状況であります。そういう中で、今回会計検査院の問題が起こりました。本当に、それぞれ国会の承認ということを考えさせられる出来事でございます。  この日銀の総裁、国会承認をするということは大変なことでありますが、どうぞ、従来のように経歴だけで各党が賛否を決めて議運と本会議でやるということではなしに、予算委員会なら予算委員会にその候補者にお越しをいただいて、そして、金融政策あるいは景気に対する認識で御議論をいただく、国会で御議論いただく。アメリカの議会でよくやっております、ああいう形をやはり私はぼちぼち日本の国会も取り入れるべきだ。実質的な国会承認、これを図っていくべきだと考えておりまして、議運の場にも我が党としても提案をさせていただく、こう考えておりますが、ぜひ大蔵大臣の方でも前向きの御答弁をいただきたいと思います。
  280. 三塚博

    ○三塚国務大臣 日銀の総裁、副総裁、委員と、九名であります。こちらは法律を提案をし、間もなく御審議を賜るということになります。  院の承諾を得て委員になるということでありますと、院の決定方式をどうするか。今、中井さん言われましたとおり、議運に提出をするというのは、ただいまの段階ではそういうことであろうと思うし、国会のことは国会、こういう言い方になりますが、どうぞ、意味するところはわからぬわけではありませんので、せっかくの御勉強、よろしくお願いします。
  281. 中井洽

    ○中井委員 えらい歯切れの悪い答弁でありまして、かなり御反対の御様子なのかなと思っておりますが、しかし、日銀の総裁を国会承認にするということは、私は国会として大歓迎すべきことだ。そして、日銀総裁だけじゃなしに他にも重要なポストが国会承認になっておる。しかし、残念ながら形骸化しておって、年齢だけだとか、あるいは大蔵省のだれだれだからだめだとか、そういうことだけで賛否が決まっておるのは寂しい。そういう意味では、中身でやはり議論をしてもらう、国会もそれによって権威を高める、こういうことが必要だと思っておりますので、また予算委員会委員長にもお願いを申し上げ、党として頑張りますので、御配慮のほどをお願いを申し上げます。  あと十分足らずになりましたので、きょうからあしたにかけて少し泉井問題をやらせていただきたい。途中で切れる形になりますが、あしたまたお答えをいただくということで入らしていただきます。  法務省にお尋ねをいたしますが、泉井純一なる男が東京特捜に逮捕され、なお今取り調べを受けております。その中で、本年一月一日、政界へ二億六千万円、こういう形で読売新聞に、大きく報じられました。脱税、贈収賄だけじゃなしに、政界へのこういういわゆるやみ献金も、法務省として、東京特捜として捜査をされているのかどう か、お答えをいただきます。
  282. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの件に関しましては、現在、東京地方検察庁におきまして、所得税法違反及び詐欺罪で起訴いたしましたほか、関西国際空港株式会社法違反ということで現在起訴した状況でございます。さらに捜査をどのような形で続けていくのかということに関しましては、検察当局におきまして収集いたしました証拠に基づきまして判断すべき事柄でございますので、また捜査の中身にかかわることでございますので、法務当局といたしましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、検察当局におきましても、刑罰法令に触れると認められるような具体的な容疑事実がございますれば、法と証拠に基づきまして適正に対処してまいるものと考えております。
  283. 中井洽

    ○中井委員 この捜査中の事件に関してお尋ねをいたしますと、捜査中ですからということでお答えにならない。これはこれで当然だと思うんでありますが、法務省はそうお答えになるが、この間から予算委員会の議論を聞いていると、警察はオレンジでぼこぼこ違うことを答えておるんじゃないですか。先ほど八十億の話も警察は勝手にお答えになられた。どうしてですか。警察が八十億、オレンジのことで言えるのなら、法務省だって取り調べの事件、泉井が何億不正なお金を動かしておったか言えるのじゃありませんか。
  284. 原田明夫

    ○原田政府委員 私からお答えいたしますのはどうかという点がございますが、刑事事件というものにつきましては、やはり関係証拠に基づきまして捜査当局が判断をして捜査してまいるということが前提でございまして、法務当局から、現在のその捜査状況でございますとか、どのあたりまでどうなっているかということに関しましてお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますので、その点、御理解賜りたいと存じます。
  285. 中井洽

    ○中井委員 それでは、警察の方おられると思いますが、どうして違うのですか。(発言する者あり)いや、警察の方に聞いておるのです。
  286. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 私は、国家公安委員長になりましてから、警察当局に対してははっきりと注意をいたしました。だれが漏らしているのかわからぬけれども、新聞紙上にはいろいろなことが書かれているけれども、国家公安委員長にも報告はない、国会議員が聞いても答えないというのは、これは国会軽視と言われてもやむを得ないよと。しかし、本当にこのことを明らかにして、捜査に直接影響するようなことは別だけれども、捜査を遂げて、少なくても捜査に直接支障がない限りにおいてはできるだけ国民の代表である委員の先生にはお答えしなさいということで、そういう趣旨で私どもは、一体どのぐらいから幾らぐらい被害があったのかということぐらいは新聞報道等でも現に明らかになっておりますし、証拠資料等によって、またそこを調べたから詐欺事件ということがわかったわけでございますので、少なくとも捜査に支障のない限りのことは、国民の代表である議員のことにはお答えしなさいということで答えているわけでございます。
  287. 中井洽

    ○中井委員 自治大臣、国家公安委員長のその方針は、私は大歓迎をいたします。それなら、法務大臣も同じ指示を法務当局に出してください。
  288. 松浦功

    ○松浦国務大臣 お答えを申し上げます。  先生の御意見に反するようなお話を申し上げなければならないと思いますが、特に、検察当局におきまして調査したことで漏らせることはほとんどない、これは法務大臣をなさった先生でございますからよくおわかりだと思いますけれども、そういうことで、一切お話し申し上げないということにいたしております。もちろん、新聞に出ていることとかそういったことは十分私どもも目を通して承知はいたしておりますけれども、それ以上深追いはできないというのが法務省の立場でございますので、御了解を願いたいと思います。
  289. 中井洽

    ○中井委員 これはお考えをいただかなければなりません。検察と警察とそれぞれ違いはあっても、捜査、そしてそれに対して今日まで国会でもなかなかお答えしにくいというところで来られた。それをみんないろいろな思いをしながら議論をしてきた。その中で、公安委員長の方はできる限り国会でお答えをしなさいと命じてやっている。しかし、法務省は全然違う。これは違うんじゃないでしょうか。  これは、ちょうど時間も来ますけれども、内閣で統一をして、あした朝、御返事をいただくように、委員長、お取り計らい願えませんか。
  290. 深谷隆司

    深谷委員長 ただいまの件につきましては、理事の皆様に御協議をいただきました。そもそも所管が違うからという御意見もありました。  いずれにいたしましても、本日はもう時間切れでございますので、明日の委員会の開会冒頭に各大臣からもう一回答弁をしていただき、審議を進めていただきたいと存じます。
  291. 中井洽

    ○中井委員 じゃ、終わります。
  292. 深谷隆司

    深谷委員長 次回は、明十八日午前九時より委員会を開会し、引き続き集中審議を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会