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1997-02-12 第140回国会 衆議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月十二日(水曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理嘉 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    飯島 忠義君       石崎  岳君    臼井日出男君       江渡 聡徳君    江藤 隆美君       尾身 幸次君    越智 伊平君       越智 通雄君    大石 秀政君       大野 松茂君    大原 一三君       奥山 茂彦君    河井 克行君       菊池福治郎君    佐藤  勉君       桜井  新君    砂田 圭佑君       関谷 勝嗣君    田中 昭一君       高鳥  修君    橘 康太郎君       中山 正暉君    西川 公也君       野中 広務君    葉梨 信行君       松永  光君    村上誠一郎君       村山 達雄君    谷津 義男君       渡辺 具能君    愛知 和男君       石田 勝之君    漆原 良夫君       大野由利子君    太田 昭宏君       岡田 克也君    北側 一雄君       倉田 栄喜君    小池百合子君       島   聡君    田中 慶秋君       中井  洽君    西川 知雄君       原口 一博君    平田 米男君       桝屋 敬悟君    若松 謙維君       生方 幸夫君    海江田万里君       北村 哲男君    五島 正規君       日野 市朗君    児玉 健次君       松本 善明君    矢島 恒夫君       上原 康助君    北沢 清功君       岩國 哲人君    新井 将敬君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 松浦  功君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近岡理一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         内閣総理大臣官         房管理室長   榊   誠君         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     塩田 薫範君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁長官官房         審議官     瀧上 信光君         総務庁人事局長 菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         防衛庁参事官  澤  宏紀君         防衛庁参事官  別府 信宏君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         防衛施設庁建設         部長      竹永 三英君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         科学技術庁原子         力安全局長   池田  要君         環境庁企画調整         局長      田中 健次君         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         国税庁次長   堀田 隆夫君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         文部省体育局長 佐々木正峰君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省薬務局長 丸山 晴男君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省保険局長 高木 俊明君         社会保険庁運営         部長      真野  章君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産大臣官         房総務審議官  石原  葵君         農林水産省畜産         局長      中須 勇雄君         食糧庁長官   高木 勇樹君         林野庁長官   高橋  勲君         水産庁長官   嶌田 道夫君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         通商産業省機械         情報産業局長  中川 勝弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   中村 利雄君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省港湾局長 木本 英明君         海上保安庁次長 大森 寿明君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省職業安定         局高齢障害者  坂本 哲也君         対策部長         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         検  査  官 疋田 周朗君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ————————————— 委員の異動 二月十二日  辞任         補欠選任   石川 要三君     佐藤  勉君   臼井日出男君     江渡 聡徳君   江藤 隆美君     大石 秀政君   越智 伊平君     西川 公也君   越智 通雄君     田中 昭一君   桜井  新君     飯島 忠義君   関谷 勝嗣君     奥山 茂彦君   野中 広務君     河井 克行君   松永  光君     石崎  岳君   村上誠一郎君     砂田 圭佑君   愛野興一郎君     原口 一博君   北側 一雄君     若松 謙維君   西川 知雄君     大野由利子君   海江田万里君     北村 哲男君   仙谷 由人君     海江田万里君   矢島 恒夫君     児玉 健次君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     桜井  新君   石崎  岳君     松永  光君   江渡 聡徳君     臼井日出男君   大石 秀政君     江藤 隆美君   奥山 茂彦君     関谷 勝嗣君   河井 克行君     野中 広務君   佐藤  勉君     大野 松茂君   砂田 圭佑君     橘 康太郎君   田中 昭一君     越智 通雄君   西川 公也君     渡辺 具能君   大野由利子君     桝屋 敬悟君   原口 一博君     漆原 良夫君   若松 謙維君     倉田 栄喜君   北村 哲男君     五島 正規君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     石川 要三君   橘 康太郎君     村上誠一郎君   渡辺 具能君     越智 伊平君   漆原 良夫君     島   聡君   倉田 栄喜君     北側 一雄君   桝屋 敬悟君     西川 知雄君   五島 正規君     仙谷 由人君 同日  辞任         補欠選任   島   聡君     愛野興一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野由利子さん。
  3. 大野由利子

    大野(由)委員 新進党の大野由利子でございます。  初めに、通告はしておりませんが、昨日の新聞の報道について質問をさせていただきたいと思います。  アメリカの、米軍海兵隊沖縄鳥島におきまして劣化ウラン弾千五百二十発を誤射したと、一年後のことし一月十六日に日本通報があった、こういう報道がありました。日本は、誤射そのものに加えまして通報の大変なおくれがあったことを抗議されたという、そういう報道でございますが、一月十六日に日本通報があったのに、外務省が公表された、また沖縄通報されたのが二月の十日、しかも、アメリカワシントン・ポスト紙がまさにスクープした後でこういう通報がなされた。どうしてこの一カ月近くこういう形で通報がおくれたのか、この点について伺いたいと思います。
  4. 池田行彦

    池田国務大臣 鳥島爆場におきます徹甲弾の誤使用問題についてでございますけれども、この件につきまして米側から日本側への連絡が大変おくれたこと、また我が方政府がその連絡を受けましてから沖縄への連絡が必ずしも速やかに行われなかった、この点につきましては配慮が足りなかった、こう考えている次第でございます。  ただ、事実関係について申しますと、これは、一昨年の末から昨年の初めにかけてでございますけれども、鳥島における射爆場において、米軍内規によって日本では使わないことになっているそういった種類の焼夷弾を、徹甲焼夷弾訓練用に使った、こういうものでございます。劣化ウランを使用されていると言われておりますけれども、これはいわば重量を増すために、いわば鉛と同じような用途で使っているようなことでございまして、いわゆるウランであるから危険ではないかという点につきましては、これはないんだというふうに言われている、こういうことでございました。  いずれにいたしましても、そのようなものを米軍内規では使わないことになっているのに使ったということがあった、こういう話をことしになって米側から連絡があったわけでございますけれども、私どもも、この通報を受けまして、これは米軍の明確なる違反であるとか、日本との約束に違反した問題であるとか、あるいは事故であるとか、そういった性格のものではないかもしれないけれども、やはりそのようなことがあったとするならば、これは御連絡をちょうだいしなくてはいけないし、また地元にも話をしなくてはいかぬ、そういう性格のものである、このように認識いたしまして、米側に対して遺憾の意を表すると同時に、少し詳しくその事情を聞かしてほしい、こういうことで米側とやりとりしておったわけでございます。  そして、そのある程度の事情が掌握された段階で沖縄にもよくお話を申し上げ、また将来に向かっていろいろな通報仕組み改善等も今御相談しているところでございますので、そういったところにも反映してまいりたい、こう考えておったわけでございますが、一月の十六日に最初通報を受けてから三週間経過したというのは、やはりちょっとそこの運びが速やかではなかったな、この事柄の本質はともかくとして、その事柄沖縄の方々に与える影響、御心配をかけるといった、そういった面に対する配慮が不十分であった、その点は我々としても反省しているところでございます。  先ほど申しましたように、昨年の十二月の十九日であったと思いますけれども、いわゆる合同委員会でいろいろな通報仕組みにつきまして改善しようという話もいたしまして、その作業も進めている次第でございますので、今回の事柄について沖縄県側によく御説明を申し上げると同時に、将来に向かって連絡通報システム等改善を急いで進めたい、このように考えている次第でございます。
  5. 大野由利子

    大野(由)委員 沖縄大田県知事が、米軍はまだ沖縄アメリカ占領下にあると思っているんではなかろうか、まさに通報体制改善する、そういうことになっていたのに全く改善をされていないと非常な憤りを持っていらっしゃるわけですが、これはもう私は、沖縄人たちの気持ち、本当に神経を逆なでするような大変な問題ではないか、このように思っておりますが、橋本総理はこのことを、この事件をいつ聞かれて、どのように対応をされたのか伺いたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど私はこの事件報告を、一月十七日、阪神・淡路大震災追悼式を終わりまして帰京した直後に報告を受けました。その時点ではまさに詳細な点がよくわかりませんでしたので、たしか、外務省を呼び、改めて細かく聞いたのは二十日の月曜日であったと思います。  そしてその時点で、沖縄県側には通報はということを申しました時点では、まだ詳細がわからない、例えば米軍に対して、環境影響調査をしたと言うけれどもそれはどの程度したのか、そうした点をそろえて報告をしますという話でありました。
  7. 大野由利子

    大野(由)委員 今、一月十七日、また詳細は一月二十日という、その時点お話を聞かれたというそういうことを伺いましたけれども、その時点ですぐにアメリカに詳しい事情を聴取し、その後すぐに沖縄通報することは可能だったはずでございます。それからでももう既に二十日たっている。こういう事態をどのように思っていらっしゃるか伺いたいと思います。総理に伺います。
  8. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 この事件、私自身が実はその劣化ウランという物質に対して十分な知識がありませんでしたこともあり、二十日の日に報告を受けまして、環境影響評価米軍は行ったが問題がないという話であるが、なお詳細な資料アメリカ側要求中ということでありました。当然抗議をしたということと同時に、なお詳細の資料要求しているということでありましたので、できるだけ早くしろということを申したところでとめていましたのは、私ももっとその後の事情をフォローしておくべきであったと今は思いますけれども、当然事務的に進んでおると思っておりました点はおわびをいたします。
  9. 大野由利子

    大野(由)委員 環境アセスがすぐに結果が出るはずはないわけでございまして、私は、その環境アセスの結果を見て報告というのは大変なこれは問題だ、まさにこれは事故隠し以外の何物でもない、このように思います。私は……
  10. 深谷隆司

    深谷委員長 ちょっと済みません、訂正があるそうですがち。橋本内閣総理大臣。  補足だそうです。
  11. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょっと誤解のないようにしていただきたいのは、米軍から連絡がありました時点で、米軍は独自に環境影響評価をし問題はないという報告をしてきたというのがその二十日の説明の中にございました。ですから、その資料を早くもらえ、まだ受け取っていないということでありましたから、早くもらえ。その時点では米軍としての環境影響評価は行った上で問題がないという米側からの通報であった。それに対して外務省は、既にその影響評価データを欲しいということを申し入れているという話であったということを正確にもう一度申し上げます。
  12. 大野由利子

    大野(由)委員 それに対して日本側が確認をする、環境アセスの中身が確かかどうかということについては、そう簡単にできるはずがないわけですから、こういう事故があったということをまず沖縄の皆さんに知らしむべきではないか、このように思います。もうまさに、何というのでしょうか、事故隠しといいますか、知らしむべからず、よらしむべしという封建時代の悪代官の政治そのものが今もまかり通っている、こういう政治であってはならない。まさに日本国民、また沖縄の県民を愚弄するものではないか。  私は、少なくとも劣化ウラン弾、放射能は低いとは言われておりますけれども、放射性のものが千五百弾からまさに日本鳥島周辺に廃棄をされている、こういう状況に対して、日本政府対応はこういうことであってはならない、このように思うわけでございます。  今後のことについて伺いたいのですが、岩国基地にこの劣化ウランがまだ貯蔵されている、そういうことのようでございますが、今後アメリカにどのように要求をされていくのか、伺いたいと思います。
  13. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申しましたけれども、今回の問題も踏まえまして、将来に向かつてこのような種々の事柄についての連絡あるいはその対応システムをさらに改善してまいりたい、こう考えているような次第でございます。  なお、この問題につきましては、先ほど総理からの御答弁にもございましたけれども、米側から最初にその通報連絡がありましたときには、これは環境面あるいはそういった劣化ウランであるということからくる危険は、これはないんだ、そういう米側からの基本的な調査の結果もあわせて来たわけでございます。しかしながら、我が方といたしましては、その米側の詳細なデータ、そういったものを欲しい、そういうことを繰り返し何度も、こう行き来をしておった、これではまだ資料が足りないと。そういうことに時間がかかったと御理解いただきたいと思います。  それから、当然連絡の問題だけではなくて、このような誤った使用が起こらないように、そういったことの再発を防止するための手段についても、方途についてもいろいろ米側に求めるわけでございますし、またしかるべき機会にその相談もしてまいりたいと思っております。  今御指摘の、このような同種の爆弾が我が日本の国内にどういうふうな状態にあるのかという点につきましても、これはこれまでも、どのような爆弾をどのようにどこへ保管しているかということにつきましては、米側の機密にかかわる問題であるということで、それはその詳細を承知することはしない、こういうことになっておりますけれども、ただ事柄事柄でございますから、心配のないように、その辺についても可能な範囲で米側にその事情は聞いてまいりたい。既にそういうことはしているわけでございます。
  14. 大野由利子

    大野(由)委員 私はアメリカの言い分を聞いているのじゃございませんで、日本外務大臣の見解を伺っているわけでございます。まさに、まだ千三百発からの未回収のこの劣化ウラン砲弾の後始末をどうするのか。また、まさに我が国基地に貯蔵されている、この問題をどうするのか。この辺を日本政府アメリカにどう要望されていくのかを明快に、簡潔にお答え願いたいと思います。
  15. 池田行彦

    池田国務大臣 今二つの点がございました。一つは、鳥島の射爆場にまだ残っている砲弾をどうするのか。それからいま一つは、岩国とおっしゃいましたけれども、要するに日本のどこかの貯蔵所にあるのじゃないか、それに対してどう対応するか。この二つの問題だと思います。  まず、その第一の点につきましては、米軍におきまして回収の努力もした、しかし必ずしも回収は、百九十発ぐらいでございますから、余り多くは回収されていないと思います。ただ、現在の時点では、米側はいろいろな調査の結果、その残されている砲弾のために環境あるいは人体等に悪影響を及ぼすことはない、基本的にはそういうふうに考えている。  そうしてまた、これからも念のために定期的にチェックはしていきたい、こう言っておるわけでございますけれども、日本政府といたしましては、さらにそのような点につきまして、詳細を米側から聴取し、また関係方面で、我が国としても関係各省とも連携をとりながら、日本としてのある程度の検討もいたしまして、そうしてさらに、将来現場について何らかの措置が必要であるか否かということも含めて考えてまいりたい、このように現時点で考えている次第でございます。  また、第二の点につきましては、当然のことでございますけれども、弾薬庫その他の施設におきましては、危険がその周辺に及ばないように十分なその対応はしているはずでございますから、そういった点につきましても念を押していくということは当然しているわけでございます。
  16. 大野由利子

    大野(由)委員 もう非常に何といいますか、歯がゆいといいますか、私はもう本当に、もっと毅然と日本は、弱腰外交ではなくて、きちっと言うべきことを言っていただきたい。だからこそ、こういう弱腰であるからこそ、適時通報という約束になっていながら、それが全く守られていない。沖縄の県民の人たちも裏切る結果になっている、こういう状況になっているのではないか、このように思います。  私は、日本では使うことのないことになっております、またあってはならないこの劣化ウランの貯蔵等は、もう速やかに、すぐに引き揚げるということを要望すべきだと思いますし、この辺についても早急な日本外務省対応をお願いしたい、このように思います。  それから、ちょっと時間もございませんので、もう次にいきたいと思います。  環境アセスメント法について、ちょっと次、伺いたいと思います。  初めに、ちょっと石井環境庁長官にも伺いたいと思いますが、日本はOECD加盟国二十四カ国の中で、唯一アセスメント法を持たない、まさにアセスメントの後進国という、そういう状況でございました。  二月の十日に、中央環境審議会が、環境アセスメントの法制化をすべしという、こういう最終答申を出されたわけでございます。日本はこの環境アセスメント法がおくれた分だけ、レベルの高い、質の高い、実効性のあるアセスメント法をつくらなければいけない、これがまさに私どもに課せられた役割ではないか、このように思っているわけですが、今発電所をこの環境アセスメントの対象外にして、別枠でやるのかどうかということがいろいろと報道されております。  石井環境庁長官、この環境アセスメント法を法案提出なさる立場で、どういう法案をつくられるのか、お聞きしたいと思います。
  17. 石井一

    石井国務大臣 大野委員の御質問にお答えさせていただきます。  環境アセスメント制度は、環境汚染を未然に防止いたしまして、総合的な環境の保全を図る上で大変、極めて重要な施策でございまして、この問題につきましては、随分長い間検討が続けられてまいりました。  この間、中央環境審議会におきまして、総理の諮問を受けて、そして大変御熱心に審議をしていただきまして、先般その答申が取りまとめられたところでございます。二月の十日に提出をされたわけでございます。環境庁といたしましても、国民の期待にこたえて、また、これから地球温暖化防止京都会議が開かれますので、国際的に我が国環境保全に取り組む積極的な姿勢を示さなければなりません。  そのためにも、この審議会の答申を踏まえまして、そして今国会に環境影響評価法案を提出する考えでございますが、通産省との関係につきましては、総理からも十分に調整を図るようにという御指示をいただいておりますので、その線に沿いまして、十分に検討いたしまして法案を提出する考えでございます。
  18. 大野由利子

    大野(由)委員 総理に伺いたいのですが、たしか、参議院の本会議でもこの質問が出ました。橋本総理は、最終答申が審議会からなされるので、その答申を待って考えたいという、たしかそういう答弁をなさったと思うんですが、この最終答申の中で、中環審の最終答申ですが、「本答申で示す基本原則に従って対応することが必要である。また、基本原則を具体化するに当たっては、統一的で、透明性が保たれ、わかりやすい制度とするよう留意する必要がある。」こういう最終答申になっているわけでございます。  橋本総理はこの点についてどのようにお考えなのか、もう少し明快にお答えいただきたいんですが、発電所を別枠にするアセスにするのか、それとも統一アセス一本にするのか、そのどちらにするのかを単純明快にお答えいただきたいと思います。
  19. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員からもお話がありましたように、一昨日、中央環境審議会から御答申をいただきました。私は、本当に長い懸案でありましたアセスメント法につきまして答申をいただいたということ、ある意味では大変感無量のものがございます。前衆議院副議長でありました鯨岡先生が環境庁長官のときに非常に強い抵抗を押し切って国会提出までされた、それがそのまま廃案となって以来のことでありますから、私は本当に近藤会長にも、部会長にも心からその御苦労にお礼を申し上げました。  私から環境庁長官に、また、そこに同席した事務方に対して申しましたこと、これは、アセスメント法と電気事業法の調整をきちんと行って、実効の上がるアセスメント、その実現のために法案をつくれという指示であります。  私は、一本であるのか、その一本の環境アセスメント法で電源立地についての問題点をすべてカバーし切れるのかどうか、多少の問題はあるような気がいたします。そして、むしろ電源立地には、一般のアセスメント法の原則よりも厳しい項目を必要とするのではないかという気持ちがいたします。その場合に、基本的な原則というものが環境アセスメント法にきちんと位置づけられている、それ以上に電源立地という視点からより厳しいアセスメントを必要とする部分は個別法に残す、そうした仕組みも考えられるのではないかという感じはいたします。  そうしたことも踏まえて、実効の上がる環境影響評価、これが実現できるようにしてほしいということを指示いたしております。
  20. 大野由利子

    大野(由)委員 実は十六年前に、やはり日本環境アセスメント法をつくろう、そういう法案が提案をされました。しかしあのときに、発電所を除外するということでもってこのせっかくの環境アセスメント法が骨抜きになって、そして廃案になって十六年経過をしたという非常に日本環境行政にとっては不幸な出来事がございました。  今回、今総理がおっしゃったように、発電所がさまざま別の問題について課題がある、そういう面は確かにあろうかと思います。日本国民に対して電力の安定供給というものを義務づけられている、そういう状況がございます。しかし、それならば、アセスメント法の中で発電所に関してはこうだというそういう項目をきちっと加えることができるわけでございまして、同じようなシステムのアセスメント法を二つつくる二重法になってしまいます。まさにこれは今の行政改革の流れとも逆行するのではないか。私はあくまでアセスメント法は二つあるということがおかしいんじゃないか、どうしてそういうふうになるのか。  いろいろ特殊事情があれば、これからできる環境アセスメント法の中に発電所の設置に関してはというそういう項目を入れればそれでできるわけでございますのに、国民の皆さんも、このことを別枠でするということでもって、まさに待ち望んだ環境アセスメント法がまたまた骨抜きになってしまう、そういうことを非常に憂えている状況でございます。より厳しくするというのであれば、それをそのアセスメント法の中に明確に書けば済むことではないのか、このように思いますが。
  21. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、その辺になりますと、ある意味ではその法律条文の構成、法律の構成についての法制局の審査にもかかってくることだと思います。  私は、電力を外すと今一回も申し上げておりません。アセスメント法そのものが、電力に関し、発電所の立地に関してもかかっていくのは当然であります。その上で、特殊な、例えば一昨年、阪神・淡路大震災に関連いたしまして、原子力発電所の立地についての基準というものが随分問題になりました。そしてその時点におきまして、例えば岩盤の強度、そして、それに対してどういう工法により安全を確保していくかという議論が随分あったことを思い出します。  そうした部分、まさにこれは特殊性の部分でありますが、特殊性を一般原則と定めた環境アセスメント法の中に書き込んだ方がよいのか、あるいは、環境アセスメントの原則ルールはきちんとすべてに適用をされる条文としてアセスメント法で構成をし、特に注意を要する部分はそれぞれの法律に書き込む方がよいのか。これはむしろ法制上の、法構成の問題、法の構成の仕方の問題という部分もあるのではないでしょうか。  いずれにいたしましても、実効の上がるものにしなければなりません。そして、電力を頭から外してすべてを別体系にするということを私は一回も申し上げていないことをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  22. 大野由利子

    大野(由)委員 私は、中環審の森蔦会長もこの辺を非常に心配をされて、そして総理に答申を手渡された、このように伺っておりますけれども、そういった意味からも、ぜひ私は、諸外国も発電所アセスを別でやっているところは何らないわけでございます。そういった意味で、私は、その二つの法律でどちらが適用されるのかというようなことがあってもいけないわけでございますので、環境アセスメントに関しては一本と、それは明快に、じゃ、そのようにお答えいただければ私は安心でございますので……。
  23. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど来、私繰り返し申し上げておりますけれども、環境アセスメント法が対象とするのは、すべてこれを必要とするものについてかかる、その上で、それぞれの特殊な条件について定めなければならないとすれば、それが私は別法規で、より厳しいものとして規制されることが問題だとは思っておりません。  環境アセスメント法という基本の法律、そしてそれはある意味では一般原則でありますから、個別に特に注意すべき問題点があり、より厳しいアセスメントを求める部分について、それがそれぞれの法体系に残ることはあり得るであろう。いずれにしても実効のあるアセスメント法ができればいい、私は本当にそう思いましたし、森嶌先生ともそういうお話を十日の日に申し上げたわけであります。
  24. 大野由利子

    大野(由)委員 じゃ、もう一度確認しておきますが、環境アセスメント法はすべての事業、まあすべての事業というか対象事業はございますが、発電所も対象とする、それよりさらに上乗せ部分、横出し部分、さらに厳しくする部分についてはその発電所の固有の実情がある、そういうふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  25. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、発電所だけなのか、ほかにもそういうケースがあり得るのか、十分知識はございませんけれども、少なくとも、まさに十八年前と言われました、鯨岡環境庁長官を助けてアセスメント法の国会提出に努力をいたしました当時、その時点では電力というものを全くアセスメント法の対象から外し、電力に必要なアセスメントは電気事業法の中に書くというのが当時の発想でありました。  今回は、アセスメント法は、アセスメントを必要とするすべての事業を対象とする、その上で、特殊なチェックを必要とするものがありますなら、その部分は個別法に加えていくという仕組みもあるのではないか、繰り返し先ほどからそのように御答弁を申し上げております。
  26. 大野由利子

    大野(由)委員 発電所だけではございませんで、例えば地方自治体等も、国で定める環境アセスメント法以上の厳しいアセスメントを既に条例で実施しているところもございます。そういう意味では、私は、国の環境アセスメント法よりも厳しい面での個別法または地方自治体の上乗せ、横出し部分は認めるべきである、このように思いますので、私は今の総理の答弁、そういう意味では理解できるわけです。  ただ私は、今まで、ことしの半年前ぐらいまで、通産省が、発電所に関してアセスは必要ない、今までやってきたので十分だというふうな見解を持っていらっしゃったものですから、私は非常に危機感を覚えて質問をいたしましたし、またこうした危機感は私個人のものではなくて、多くの国民の皆さんがそういう疑惑を持っている。この国民の皆さんを裏切ることのないようにしていただきたいということをぜひ総理また通産大臣にも要望をさせていただきまして、まだいろいろございますが、時間もありませんので次の質問に行かせていただきたいと思います。  住宅・都市整備公団について質問をさせていただきたい、このように思います。  建設大臣は、一月二十二日の本会議で、住宅・都市整備公団は分譲住宅から完全に撤退する、賃貸住宅は非常に限られた事業を除いて撤退をする、このような答弁をなさいました。  賃貸住宅七十二万戸、二百万人の住居者を抱えております住都公団は世界最大の大家でございまして、この七十二万戸の維持管理をどうするのか、家賃の設定はどうするのか。今後の青写真を入居者に明確に示すことが必要ではないか。  私のところにも、公団に入居していらっしゃる方々から、私たちは一体どうなるのかという非常に不安な問い合わせがいろいろ来ておりますけれども、私は、住民を無視して一方的に大家が決めてしまうというようなことは、これは許されないのではないか、このように思うわけでございます。また、特別住宅債券も売り出してこられまして、五千人を超す人たちが公団の売り出す住宅を買いたいということでいろいろ債券を買ってこられた、そういうこともございます。  こうしたものがどうなるのか、建設大臣は明快にこの辺についてお答えをする必要があると思いますが、これについて伺いたいと思います。
  27. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員御指摘のように、住都公団の今後については行革の中で思い切って見直すといいますか、方向転換をすることを決意したわけでございますが、御承知のように、七十二万戸の現に住んでおられる方々が、将来、維持管理あるいは生活環境等がどうなるのだろうかという不安を持たれることは、私は当然だろうと思います。  これにつきまして、住都公団は今後、都市の再開発等に重点的に志向していくわけでございますけれども、現在の担当しておる業務をどういう形で、入居者の方々また債券を購入されている方々等に対してきっちりとやっていくかということにつきまして、住宅局、都市局また住都公団との間で具体的に今検討をいたしております。結論から申し上げまして、今後入居者の方々のそうした面でのいわゆるレベルが低下といいますか、そういうことがない形できっちりとやってまいりたい、そういう方針を私もきっちりと伝えて、検討させております。  現在、では維持管理等を含めて、どういう形態でやった方がいいのかということはまだ詰め切っておりませんけれども、何度も申し上げましたように、入居者の方々の御心配のない形でやってまいりますので、委員からももしそういうこと等につきまして何か御提言がございましたら、どんどんと具体的にお申し伝えいただきたい、このように思います。
  28. 大野由利子

    大野(由)委員 住都公団の分譲の売れ残り戸数が平成八年十二月末現在で千七百八十五である、総販売数の一一・五%、このようにいただいた資料に書いてございますが、これは間違いないかどうかということと、もう一つ、ほとんど完成をしていながら売り出されていない、いわゆるもう一年から塩漬けになっている、いつでも本当は売り出せるんだけれども、売り出しても売れないから売り出していない、そういうのがこの千七百八十五の中には入っていないのではないか、このように思っておりますが、この点について建設大臣に伺いたいと思います。
  29. 小川忠男

    ○小川政府委員 若干、数字にわたる御質問でございますので、私からお答えさせていただきます。  分譲住宅の売れ残り戸数でございますが、今委員、一一・数%とおっしゃいましたが、平成五年度以降の累積の供給戸数が一万五千五百七十九戸でございます。その約一二%弱の千七百八十五戸が昨年末の段階で売れ残っている、これは事実でございます。これにつきましては、一部賃貸住宅への切りかえ、さらには定期借地権つき分譲への切りかえ、管理組合等に対して御相談を開始しつつございます。  また、千七百八十五戸の中には、完成間近であるにもかかわらず売り出していない戸数があるのではないかというふうなお尋ねでございますが、現在詳細な数字は持ち合わせておりませんが、この中には、先生おっしゃいましたような分譲していない戸数は含まれてはおりません。
  30. 大野由利子

    大野(由)委員 この塩漬け状態になっている住宅が幾つあるか、これを伺いたいわけでございます。  例えば、東京の多摩ニュータウンがございます。この多摩ニュータウンには、建設省の住宅・都市整備公団監理官室の資料によりますと、多摩ニュータウンの南大沢学園五番街というこの分譲住宅の空き家数は、供給戸数百八十戸のうち八十八戸が空き家、率にして四八・九%の空き家、これが書類を要求したら出てまいりました。しかし、実際に現場に行ってみますと、この五番街の隣、多摩ニュータウン21−Jブロック、今そういうふうに名が打たれております、恐らく六番街として売り出される予定で開発されたものだと思うんですけれども、ここに十数棟の建設工事現場があるんですね。  それで、行ってみました。そうしたら、張り紙がしてあるんです。平成六年四月一日から工事が始まって、完成予定日は平成七年十月から十二月、もう一年以上前に完成予定日。そして最近、工事がおくれているんじゃないんです、最近工事をしていないんです。もう最後の周辺の仕上げさえずればいいだけなんだけれども、すぐ隣の五番街が半分も売れ残っている。ですからこちらも、きちっと整備して売り出しても売れ残るのがわかっているわけですから、最後の、もうそれこそ一週間か十日かやれば売り出せるのに、その段階で工事をストップして、そしてまだ未完成という、形だけは未完成という形にして放置されている。これは建設業界で、専門用語で補備というんだそうですが、仕上げをストップさせている。  また、横浜市にあります港北ニュータウン・ビュープラザセンター北にあります二棟、これも同じです。鉄さくに囲まれて、そして募集なしで放置をされている、これも同じ状況でございます。この戸数を聞きたいんです。
  31. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員が先ほど来御指摘のような状況等が生まれてきておりますので、この際、思い切って分譲からは全面撤退をするという、そうした大方針を出したわけでございまして、後の事後処理につきまして、個々の、いろいろケース、状況は違いますので、それに対応した、できるだけいろいろな意味でのむだのない形で処理をさせたいと思っております。
  32. 大野由利子

    大野(由)委員 今の大臣の発言は、そういう状況で置いてあるということを認められたと、そういう発言である、このように思いますが、しかし私は、これは単に認めただけでは済まない。こういう戸数が幾らあるのか、こういうことがきちっとなされなければ、その後の改善策はなされないわけでございます。  これはもう簡単に出るはずですよ。六期五カ年計画が、平成八年の三月までに分譲の五カ年計画、立てられていますね。そのうち、実際に売り出された軒数が幾らなのか、それを差っ引いても出るわけですし、お答えください。
  33. 小川忠男

    ○小川政府委員 ただいま手持ちはございませんので、集計してお届けさせていただきたいと思います。
  34. 大野由利子

    大野(由)委員 いや、もうあと十分しか私は持ち時間がないんですが、十分以内にお答えください。  これはわかりますよ。こんなのわかりますよ。六期五カ年計画、分譲募集計画、わかっているわけでしょう。それに対して実際売り出された軒数、それはもうすぐ、もう二、三分で計算できますよ。計算してください、建設省の方。こういうことがお答えできないようでは、これはもう……(発言する者あり)
  35. 深谷隆司

    深谷委員長 お静かに願います。
  36. 小川忠男

    ○小川政府委員 五カ年計画の戸数と現在完成を間近にして若干の工事を残した状況で市況の回復を待っている戸数とは直ちには連動いたしませんので、先生今御指摘の件につきましては、集計させた上で改めて御報告させていただきたいと思います。
  37. 大野由利子

    大野(由)委員 納得できません。ぜひこれはお答えをいただきたい。  これは、私、身近な港北ニュータウンと多摩ニュータウンの例のみ挙げました。関西はもっとこれがたくさんある。さっき千七百八十五戸売れ残っているとおっしゃいましたけれども、実態は、私は、この二倍、三倍あるのではないか、このように思っております。この実態は、それはすぐにわかるはずですから、お答えください。予算委員会……。
  38. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 御承知のように、分譲から撤退するということは、先日、私がこれは言明をしたことでありまして、それに従いまして、現在、できるだけとはいいましても、出血の少ない形で、国民からの間接的な税金を含めて入っておるわけでありますから、今、現場としては一生懸命苦心をいたしておるところでございまして、そういう状況を委員はぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。
  39. 大野由利子

    大野(由)委員 今のは答弁になっていない、このように思います。お答えを待っています。
  40. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 御承知のように建築現場、その販売その他については、これは動いておるわけでございます。そうした状況の中で、委員がおっしゃるような具体的な細かい数字まで現時点において出せと言われましても、これは無理な話でございまして、撤退する方針の中で、個々の、今建築中のやつをどうしていくのか、売れ残りのやつをどうしていくのか、そういうことについては、細かく検討していかなければ、実際、どの面について事実上これを出血状態にして放棄をするのか、あるいは今後別な形で生かしていくのかという方針は、そう簡単に立つわけではございません。  今、我々としてはそれを鋭意取り組んでおる最中でございますから、それが整理できました段階に委員に対してお示しいたします。
  41. 小川忠男

    ○小川政府委員 改めてお答えをさせていただきたいと思いますが、千七百八十五戸プラス完成間近なもので市況の回復を待っているものが相当数あるのは事実でございます。ただ、その数字が何千戸であるのかにつきましては、改めて正確な資料を御報告させていただきたいと思います。
  42. 大野由利子

    大野(由)委員 私は、こういうふうにして明らかなことを隠すという、こういう……(発言する者あり)でも、そうでしょう。それはもう完成して売り出せるんです。それを、売れ残りの戸数を減らすために、表の数字を減らすためにそういうふうな偽りの報告がなされている。千七百八十五戸、売れ残りは千七百八十五戸、これはうそなんです。偽りなんです。これで国民の皆さんをだまそうとしている、これがよくないと言っているんです。
  43. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 ちょっと、委員、言葉を選んで御質問いただきたい。だまそうとはどういう、我々が国民をだまして、そういう数字を出して何の得があるんですか。我々としてはぎりぎりの努力をしているんですよ、職員も、一生懸命。自分の利益のためにやっているんじゃないんです、職員も。しかし、分譲住宅、現に売れないという状況が起きてきている。そういう中で、しかも売る努力も毎日しているんですよ。そういうことについて、あなた、だますとは何ですか。
  44. 大野由利子

    大野(由)委員 補給金や補助金、年間約二千億円国民の税金が使われております。そういった意味からも、国民は真実を知る権利があるわけでございますので、明確にこれは出していただきたい、このように思います。  今、建設大臣が、まあおどしとも思えるようなああいう発言をなさいました。私は、公団の、親方日の丸といいますか、まさに殿様商法の失敗だ。そして今回、方向転換なさるようになったわけですけれども、バブル崩壊後、民間は買い物をする庶民の側のニーズに合わせて経営方針を変えたんです。ところが、公団はずっと今回まで方針転換をなさらないで来ました。これは、私は、やはり責任は明らかにする必要があると思うのです。どうしてこうなったのか、だれに責任があるのか。  一義的には、もちろん私は公団に責任があると思います。しかし、この監督責任は建設省にあると思うんですね。建設省の監督責任は非常に大きい。  平成三年から平成八年三月末までに第六期の住宅建設五カ年計画というのをつくっていらっしゃるのです。その中で建設省は、都市型マンションの専有面積、三LDK、九十一平米を目標にする、こういう目標を出されているんですよ。この目標があるから、公団は建設省の指示どおり一生懸命、実戦部隊なんです、公団は。そういう目標、国の建設目標、何戸つくる、こういう住宅をつくる、それをつくっていらっしゃるのは建設省なんです。まさに、私は、建設省の責任が大きい。  だれが責任があるのか、住宅局長、これを私はもっと明快にしてもらいたい。私は、建設大臣、やはりこの辺の責任を明快にした上で、そしてこれからこうするんだというような、方向転換をこうするんだという、その辺を明示しないといけない、このように思うわけでございます。この点について、私は、大臣と、また総理の見解を伺いたいと思います。
  45. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 別に、建設省といたしましても、住都公団といたしましても、そういう状況になることがわかっておって計画を立てて実行したわけではございません。日本経済全体が予測しない方向に来たということも、委員御承知のとおりでもございます。そういう中で、民間ディベロッパーの提供いたします住宅価格、これが御承知のように、これはいい面もございますけれども、極端に下がってきたというような客観的状況の変化もあるわけでございまして、そういう意味で、私は、建設省の住宅局の職員が当てずっぽうに勝手な計画を立ててずさんなことをやった結果こうなったというようには考えておりません。そういう意味では、日本経済全体の先行きについて当時だれがきっちりと見通すことができたかということを委員お考えになれば、おわかりのことと思います。
  46. 深谷隆司

    深谷委員長 大野由利子さん、恐れ入ります、時間が過ぎておりますので……。
  47. 大野由利子

    大野(由)委員 はい、もう終わります、ちょっと次の方にお願いしていますので。  この目標を立てられたのを、こういうバブルの崩壊、いろいろなことがあって、方向転換をもっと速やかにしていなければいけない、平成八年の三月まで方向転換をしないで来た、これが私は大変な問題ではないかと。このことについて総理の見解を伺いたい、このように思います。方向転換をしなければいけなかった。もう民間はとっくの昔に方向転換している。そして……(発言する者あり)いや、もう、次の人にちょっとお願いしていますから。
  48. 深谷隆司

    深谷委員長 ちょっとお待ちください。持ち時間が過ぎております。次の方と相談してとあなたはおっしゃるが、それは理事で協議すべきことです。あなたが決めるべきことではありません。理事、どうですか。——橋本内閣総理大臣
  49. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 建設大臣は、先般来何回も本委員会におきまして、住都公団の業務の見直し、とりあえずの撤退部分を除きました部分についても見直しのお約束を申し上げております。今後、一生懸命努力されると私は思います。
  50. 大野由利子

    大野(由)委員 民間ですと、大変責任を問われる問題でございます。私は、こういう問題についてもきちっと責任を明らかにした上で、そして方向転換をきちっとすべきだ、このように思います。  以上で終わります。
  51. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて大野さんの質疑は終了いたしました。  次に、若松謙維君
  52. 若松謙維

    若松委員 新進党の若松謙維でございます。  総理並びに官房長官には、昨年の予算委員会に続き二度目の質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  そして、私ども、時間は約二時間十分、桝屋敬悟議員とともに関連でやらせていただきたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。  まず、会計検査院の同意人事、これについてお伺いしたいと思います。  まだ野党の方には同意の依頼がございませんけれども、もう新聞等で既にわかっておりますので、かつ予算委員会は今真っ最中ですから、これはやはり大事な問題ですので、この場で取り上げさせていただきたいと思います。特に総理官房長官にお答えいただきたいと思います。  まず、会計検査院の検査官の同意人事の手続ですけれども、私どもは、いわゆる官邸、総理並びに官房長官が中心となって候補者を選出しまして、国会の議運に提出されて、そして各会派で同意を得る、そしてそれが国会同意となって、さらに内閣から任命する、こういう手続と理解しております。つきましては、今、いわゆる同意の依頼が恐らく与党の方に行っていると思いますけれども、杉浦力さんという昨年の七月まで総務庁事務次官だった方が候補者となっているようでございます。今進行中なので確定的な言い方というものはできないわけですけれども、貴重な機会ですので、ぜひお答えいただきたいと思います。  まず、会計検査院の任命についてですけれども、会計検査院法第一条、これには「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」こういう規定がございます。そこで御質問なんですけれども、会計検査院は行政を検査する、それを、行政出身の方が検査院という大変権力のある立場にあるというのは、私は独立性がないんではないかと。まず、そもそも行政出身の検査官が出るということはこの独立性に反しているのではないか、そう思うのですけれども、総理、お考えはいかがでしょうか。
  53. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 検査官につきましては、第一条、まさに今議員が御指摘になりましたように、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」となっております。同時に、第四条におきまして、「検査官は、両議院の同意を経て、内閣がこれを任命する。」「検査官の任命について、衆議院が同意して参議院が同意しない場合においては、日本国憲法第六十七条第二項の場合の例により、衆議院の同意を以て両議院の同意とする。」ということが定められております。  これは、要は両院の同意をいただきまして内閣が任命をするということでありまして、内閣としては、会計検査院の内閣からの独立を含め、検査院法の趣旨を十分念頭に置きながら検査官の人選を行っておりましたし、今日も行っております。そして、その結果、現在まで両議院の同意を得て歴代の検査官が就任してこられたと考えております。  また、会計検査院法の第八条によりまして、検査官は、他の検査官の合議を得た上で両議院の議決があったなどの場合を除いて、意に反して官を失うことはないとされております。  私はこうした面からも独立が保証されておると考えておりますし、その検査官になられる方が過去どういう閲歴を持っていたということでこれまでも国会の御同意を賜る時点において問題になったことはない。そういう意味では、私は、むしろ全くそういうことにはかかわりなく、適性のあるなしで国会も同意を賜ったのではないかと思います。
  54. 若松謙維

    若松委員 何か今総理は、独立性に問題がない、確保されるという言い方をしておりました。  しかし、御存じのように私も公認会計士でずっと企業を監査しておりました。いわゆる一般の「監査基準」、ちょっと紹介させていただきます。資料としてお配りしておりませんけれども、簡単な文言なんで。「監査基準」のいわゆる基準に入る前の説明がございます。大体三行ぐらいですので、ちょっと読ましていただきます。「監査は何人にも安んじてこれを委せうるものではなく、高度の人格を有し、公正なる判断を下しうる立場にある監査人にして初めて、依頼人は信頼してこれを委任することができる」、こう書いてあります。これがいわゆる監査人の一つの規範でございます。  そして、ここで言う監査人というのはこの場合には検査官です。さらには、依頼人というのは言えば国民です。この検査官にどれだけ公正な判断をし得る立場にある人が選ばれるか、これが国民にとって大変な関心事だと思います。  そういうことから、監査をする立場はこの「監査基準」の「第一 一般基準」の一番最初にうたわれております。この「監査基準」の「一般基準」の第一号に、「当該企業に対して独立の立場にある者によって行われなければならない。」これは企業に言っておりますけれども、会計検査院の立場からすればあくまでも、この監査をする企業というのは政府です、政府に対して独立の立場にある者によって行われなければならない。  再度聞きますけれども、総務庁事務次官を経験されました、そういう形で、万が一会計検査院という形で少なくとも総務庁を監査する、行政監察局も監査、検査の対象です。そういったことを考えると、やはり行政を監査する人はどこまでも独立性を本当に確保しなければいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 もし法的解釈が間違っておりましたら、これは法制局長官に直していただかなければなりませんが、検査院法第九条に「検査官は、他の官を兼ね、又は国会議員、若しくは地方公共団体の吏員若しくは議会の議員となることができない。」とありまして、むしろその公正な立場というものは、この院法そのもので検査官の地位に対して規定がなされております。  そして、行政ではなく会計検査院の業務、会計というものに着目して御論議をいただきますならば、私は、多少今の議員の御意見とは違うものがあろうと存じます。  同時に、前にどういう仕事をお持ちの方でありましても、検査官として国会の同意を得て任命をされました方は、その職責に忠実に行動をされるものと考えております。
  56. 若松謙維

    若松委員 今、国会の同意が得られればというお話です。その裏には、いわゆる数の論理で今押し切ろうという意図が私は見受けられました。  社民党さんが、この新聞記事にもあるわけですけれども、これは朝日新聞の一月二十八日、「会計検査院に「民」の風を」ということで、社民党さんが、省庁出身者は任命しない、こういう基準を設けましたけれども、残念ながらこれが今ぐらついているようです。  しかし、その独立性ということを、基本的にその内容を会計検査院法に明確に規定しないところに、検査官の任命に当たって独立性が余り議論されてこなかった、私はそこに本質的な問題があると思うのです。総理、いかがですか。
  57. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど、私は、第四条の検査官の任命についての条文を読み上げて、議員にお答えを申し上げました。  検査官の任務は、あくまでも第九条で「他の官を兼ね、又は国会議員、若しくは地方公共団体の吏員若しくは議会の議員となることができない。」ということになっておりますし、また、特定の条項の場合を除いて、「その意に反してその官を失うことがない。」という規定からも、その独立性は担保され、検査官としての職務を今日までも果たしてこられたと考えております。  私は、会計検査院の独立性並びに検査官の職務の重みというものは、今までも国会は十分認識をしてこられたと考えておりますし、今もその状況に変化があるとは考えておりません。
  58. 若松謙維

    若松委員 総理の言わんとするところはわかりました。要は、元総務庁事務次官であろうが、その立場を離れれば即、独立性は確保される、そういう御説明と理解いたしました。そういうことでしょう、総理
  59. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 官の経歴を持っておられるのか民の経歴を持っておられるのかにかかわらず、私は、独立して検査官の業務を遂行されるにふさわしい人物が選ばれて今日までも参った、これからもそうであろうと思います。
  60. 若松謙維

    若松委員 私も、公認会計士第一号の国会議員です。いわゆるこういう独立性というのは、余り議論する議員がいなかった。ですから、こういう議論をさせていただいた。時の流れだと思います。過去においてこういう状況だから将来もこうなんだという議論は、私はもう時代おくれの議論だと思っております。その上で、今度は独立性ということで再度お話しさせていただきます。  私の以前やっておりました公認会計士の独立性確保、非常に厳しい独立性の規定が幾重にも規定されております。まず公認会計士法二十四条、これは差し上げればよかったのですけれども、恐縮です、ちょっと読ませてください。国家公務員の方でも公認会計士の資格を持っている方はいらっしゃいます。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。「国家公務員若しくは地方公務員又はこれらの職にあった者は、」あちらにいらっしゃる方ですね、「その在職中又は退職後二年間は、その在職し、又は退職前二年間に在職していた職と職務上密接な関係にある営利企業の財務について、」いわゆる会計監査はできないという、この独立性。皆様方の、いわゆる官僚の中に会計士の資格があった、それがたまたま皆様の関係のある企業、いわゆる省庁の中の管轄、民間企業、そこと関係があった場合には、やめても二年間は監査はできないということなんです。これほど独立性というのは非常に重要なんです。  そして、それだけではなくて、さらに、会計士協会の協会紀律規則の五条というものがあるのですけれども、総理、聞いてください。第五条に「会員」、会員というのはいわゆる公認会計士です、「会員は、法令等に定めるほか独立の立場について疑問をもたれるような利害関係を有する場合には、当該利害関係を有する企業等について監査業務を行ってはならない。」これは、いわゆる行政を検査する検査官が行政からの出身では、この独立性を維持することに疑義が持たれるのです。  だからこそ、今、マスコミもそうです、民主党さんなんか一生懸命やっていらっしゃる。そういう状況において、これからの会計検査院の検査官は行政出身じゃだめなんですよ。民間か裁判所か国会、ここしかないと思います。総理、いかがですか。
  61. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、国会議員経験者をも含めまして、適格な方だと判断される方であれば、その前職をもって拒否の理由とするというのは望ましいやり方だとは思いません。
  62. 若松謙維

    若松委員 それは総理の御認識はそうかもしれません。しかし、これは一つの監査という観点から、先ほどの公認会計士業界が非常に参考になると思います。これからは民と官の交流という時代も、総理もみずからおっしゃられている。そういう中で、やはり独立性に疑義が持たれるというところの認識を今、さらに厳しくする必要があると思うのです。その総務庁出身の方が検査官になられて、自分が昨年の七月までいたところに対して独立性を確保できるということを本当に担保できますか。保証できますか。人間ですよ。
  63. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 その職に任じてこられた方々は、それぞれ今までそれなりの責任を果たしてこられたと思います。特定の前歴を持つからその職を果たせないとお決めになる理由も、私にはわかりません。
  64. 若松謙維

    若松委員 ちょっと待ってください。かなり総理の感覚は、国民の会計検査院に対する期待並びに、今、会計検査院のいわゆる指摘事項が金額的に会計検査院の年間予算とほとんど変わらない、こういう指摘もあります。要は、本当に会計検査院はもっと行政から独立してずばずば言ってほしい、こういう意識が国民の意向だと思います。そういうことから考えると、総理のは答えになっていませんよ。本当に独立性を担保する、その人間を超えたところの独立性の担保をちゃんとしてください。
  65. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 どうもおっしゃることの意味がわからないのですが、属人的なのかあるいはその前職に対する問題なのか、議員の言われんとすることがもう一つよくわかりません。  仮定の問題として、例えば行政に対する監察機能を持つ等の職責を持つ行政官庁の出身者が、会計検査という業務に国会の御同意を得、任用された場合、不公正であるとお決めになること自体に私には納得のいかないものがございます。  しかし、いずれにせよ、前職がどうこうではなく、そのポストにつきその責任を果たしていくという上で、私は、選ばれた方は当然ながら検査官としての職務に忠実に義務を執行していかれる、それだけの責任もありますし、まだそういう方々を今日までも国会の御同意を得て任用してきたと考えております。これからもそうであろうと存じます。
  66. 若松謙維

    若松委員 総理、そういう独立性に対して期待の表明を求めているのではありません。だれから見ても、その人は、万が一、検査する立場できちんと、人間といういわゆる感情の揺れ動く動物です、それを乗り越えて独立を確保できるということを保証できますかとこれを言っているんです。それは期待ではなくて客観的にですよ。
  67. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今の議員の御議論に対して、これは検査院法第一条において、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と明確に規定をしておりますことをもってお答えにする以外に方法はございません。
  68. 若松謙維

    若松委員 それは法律をただ読んだだけであって、制度としての担保がなされていないじゃないですか。担保を示してください。
  69. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 もう総理の答えに尽きるわけでありますが、理念あるいは法の趣旨その他については再三述べられたとおりでありますが、今、一つ委員が言われた、行政官を除くというそういう判断、あらゆるものがそうでありますが、同意権と任命権、これをどんなふうに御理解を願っているのかわかりませんが、同意という文言の中には、人選権は私はないと理解をいたしております。  ですから、委員が自分の個人的な見解で、こうこうこういう者が望ましい、これはだめだと言うのはあなたの自由でありますが、このあれを読みますれば、少なくとも同意権というのは人選権を含んでいないということだけは御理解をいただきたい。
  70. 若松謙維

    若松委員 それでは官房長官、あなた、よろしいですか。では、G7があります。先進国G7でいわゆる会計検査院に似たような機能があります。行政出身で本当に出している国が何カ国ありますか。マイナーですよ。ボーダーレスで、ここは日本だと相変わらずとぼけたことを言っている大臣がおりますけれども、客観的に見てください。もうそういう判断は古いですよ。ぜひそれを客観的にちゃんと担保を示してください。独立性が維持できる担保を示してください。
  71. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 それならば反論で、私はあなたに対する反論権はないそうでありますが、少なくともあなたが一等最初に挙げた人格、それから公正な判断、それには私は専門的な知識も要だと思います。全く何もない者はできるはずもありません。  そういう前提を踏まえて、それでは今までの方々が本当に決定的な瑕疵があったのかどうなのか、これを立証してもらえば、今のままでは悪かったということになるかもしれませんが、今までの方に重大な瑕疵がありましたでしょうか。反論をしてください。
  72. 若松謙維

    若松委員 よろしいですか。今重大な瑕疵ということですけれども、私は、国民が今いら立っている、会計検査院に対して。いわゆる指摘事項が少ない、数十兆円の一般会計に対してわずか会計検査院の年間経常費程度しか指摘しない。これはもう大方の国会議員も知っております。国民も知っております。それが物語っているじゃないですか。違いますか。答えてください。
  73. 深谷隆司

    深谷委員長 どなたに質問ですか。  恐縮ですが、もう一回お立ちいただいて、どなたに質問か明確に。
  74. 若松謙維

    若松委員 はい。総理、答えてください。
  75. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、検査院は今日までも会計検査の仕事に黙々と任じ、その中で問題のあるものを指摘事項として指摘し、その職責を果たしてこられたと考えております。
  76. 若松謙維

    若松委員 これはもう押し問答ですから、やはりいわゆる国民に近い感覚のある責任者に早くなってもらうしかこの問題は解決しないと実感いたしました。あくまでも、昨年まで行政にいて、即ことしになってそのところに厳しい態度で検査をする、これはもう自己矛盾です。ぜひ考えて、また世界の常識を見てください。明確な答えがあります。よろしくお願いします。  それで、この会計検査院、いずれにしてもマスコミの方も大変関心を持っていますから、私は、これは国民議論をしていただきたい。特に民主党さんには応援をしていただいて、生方さん、よろしくお願いしますよ。ぜひとも民の風を入れていきたいと思っております。  続きまして、厚生省疑惑の問題について質問させていただきます。  これは質問通告しておりますけれども、埼玉六区、私が茶谷氏と戦った議員でございます。何だ、こういうやつかと。最近こういうやつが非常に人気が強いわけでございまして、小杉さん、聞いていますか。  そういうことですけれども、なぜこの茶谷公認問題をここに取り上げなくてはいけないかというと、今回の茶谷公認問題というのは単なる一候補者の公認ではなくて、この公認の過程において、いわゆる岡光事務次官、または衆議院を利用して警視庁の捜査を逃れる、そんな意図が絡んでいるから、当然この予算委員会でしっかりと議論しなければならないと思っております。ぜひ前向きな答えをお願いいたします。  このパネルも許可をいただいておりますけれども、総理、これを覚えていらっしゃいますか。これですね。  これは、大宮で茶谷氏、これは福永信彦さんが出て恐縮なんですけれども、彼に一切関係ありません。こういうことで、彼は、茶谷氏は選挙中、私どもの地元で、自分は総理または岡光事務次官のバックの力がある、私には力がある、ぜひ当選させてくれ、こういうふうに言いふらしておりました。  総理はそんなに茶谷氏と親しいのですか。特に、総理、二百八十八名自民党は公認いたしました。うち、総理が行かれたのは五、六十名だと思います。(橋本内閣総理大臣「百名を超えております」と呼ぶ)百名ですか、失礼しました。そういう中で、いわゆる新人、真っ先に応援に駆けていった、非常に親しいというのが地元の理解ですけれども、いかがでしょうか。
  77. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 前職中に茶谷という人が何をしていたかを見抜くことができなくて、公認をし、その支持を訴えたことを何回か本院でもおわびをいたしましたが、改めておわびを申し上げます。  そして、議員御自身がよく御承知のように、この写真に写されております福永候補の応援に参りましたとき、その福永候補の街宣車のところに茶谷候補も来ておりました。これが選挙区外であることは議員がよく御承知のとおりであります。  そして、私自身は、茶谷氏という方と会いましたのは、立候補に当たりましての写真撮影、それから推薦状を渡すといった党の手続の間において、また十月十一日、埼玉五区の他の候補者の応援を行いました際、あわせて彼の支持を訴えたときでございます。
  78. 若松謙維

    若松委員 そしてもう一つ。これは官房長官なんですけれども、十時半からいらっしゃらなくなるということでお聞きしたいと思いますけれども、これは選挙投票日の前日です。十九日三時、上尾駅西口、ここで応援演説されました。そのときに官房長官は、茶谷君の言うことには私が全責任を持つと。実は加藤幹事長も同じことを言っております。この全責任を持つというのは、どういう意味なんでしょうか。(発言する者あり)黙って聞いていてください。黙って聞いてください。
  79. 深谷隆司

    深谷委員長 お静かにお願いします。
  80. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 選挙投票の前日、埼玉に出向いて街宣車に乗ったことはございます。それから、言っていることに責任を負うと言ったことも間違いがございません。  私は彼のパンフレットも読みましたし、選挙公報も読ませていただきました。その言っている言葉も、そこで聞きました。聞いていることに間違いはありませんから、保証すると言いました。
  81. 若松謙維

    若松委員 じゃ、この公認なんですけれども、白川大臣は、当時は選対の本部長……(発言する者あり)総務局長ということで、当然、公認にも大変重要な立場にいらっしゃいました。  そして、例えば、白川大臣、この埼玉六区で、御存じの茶谷氏と、自民党のいわゆる公認ということでもう一人候補者が浮かんでまいりました。それがいわゆる議長ですね、全国最年少の市議会議長。彼が七月十日、白川大臣と関根参議院議員と一緒にお会いになっております。そのときに非常に好感を持たれたと私も漏れ聞いております。そして、さらに七月三十日、上尾市議会議員二名とお会いしております。それも事実ですね。そしてそのときに、七月三十日には白川大臣は、今回のこの茶谷氏をかなり強く推した、今はおやめになりましたけれども、自民党埼玉県連の幹事長に対して強い怒りを表明したと聞いております。そのときに、大臣は大変立派なことをおっしゃいました。その言葉は、こう聞いております。小選挙区制度は党営選挙であって、金や市長支援等で選挙すべきではないと。すばらしい言葉だと思いました。それから一週間後の八月六日、茶谷氏の、いわゆる公認が内定した、こう聞いております。  ここで、私ども非常に、先ほどの岡光の問題、そして選挙利用の問題を考えますと、この七月十日、お会いになって、前議長に対する好意的な、そして七月三十日、何かやるせないふんまんをあらわした。これは、なぜこの七月の間に、当初この浅野目、失礼しました、個人名は消してください、前議長、市議会議長、彼も非常に強力な候補者でしたけれども、それからぐいぐい茶谷氏に決まっていったというのが、やはり白川大臣、何かどこかからの依頼もしくはプレッシャーがあったと思いますけれども、説明してください。
  82. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 私は、今ここに座っておりますのは、自治大臣として座っておるわけでございまして、前の職の総務局長として答えなければならないとは承知しておりませんし、政党の内部事情を細かく話す必要はないと思いますが、あたかもこの茶谷氏の公認についてあなたが疑惑があるように言い、また、総理が応援に行くというようなことをもって特別の何か関係があるように言いますから、あえて我が党の名誉のために答弁をさせていただきたいと思います。  私は、我が党の方針に従いまして、三百の選挙区、原則として我が党の公認候補を擁立するという大方針がございました。委員御案内のとおり、埼玉六区はかねてよりある人を公認候補として内定していたのでございますが、平成八年の一月になりまして、ちょっと地元の市長選の絡みでその方が御辞退をされました。保守が、言うなら分裂しているという中で、しかし私は、我が党の方針に従ってここから候補者を出さなければならないという目的のもとに、機会あるごとに、県連に対しても候補の、公認の選定をするようにお願いをしてきたところでございますが、事情事情だけに、しばらく名前がなかったことは事実でございます。  そうこうするうちに、委員が指摘されたようになかなか具体名が挙がらなかったのでございますが、平成八年の七月ごろ、浅野目氏というのが手を挙げてくださった。そして、会いたいというものでございますからお会いをいたしました。そういうことでございまして、候補者がいないのだから、あなたもその気があるのならどうぞ頑張ってやってください、こういうふうに言いました。当然、空白より、そこに手を挙げてくださったのだから、激励をいたしました。そして、それからしばらくして茶谷氏の名前も挙がったように記憶しておりますけれども、私は、茶谷氏はお会いしていません。  そして、私自身は日付を忘れたのでございますが、七月十日、七月三十日、わざわざ調べていただいて、きっと調べていただいたのだろうから、間違いないのではないかと思いますが、二名の浅野目氏を推す市議会議員が来て、これは党本部で決めることではないので、我が党は、まず選挙区支部、それから県連、そして県連から上がってきて党本部で決定をするのだから、それを決める埼玉県第六選挙区支部の会等で、彼が公認を得るならば、そこで努力をしなければなりませんよ、そしてそこが一番のもとですよ、こういうことを申し上げたわけでございます。
  83. 若松謙維

    若松委員 それで、今埼玉では、特に桃泉園がある北本市、または「あけぼの」がある上尾市、または県議会で、この厚生省汚職に関する調査委員会が続けられております。  そこで、先々週ですけれども、埼玉県議会のこの特別委員会におきまして、桃泉園の初代施設長が参考人で出ておりました。そこで、女性ですけれども、彼女が言うには、九月中に茶谷容疑者のことを警視庁はほとんど知っていた、なぜこういう人をあえて自民党が公認したのでしょうか、こういうことを言っているのですけれども、総理、何で公認されたのですか。(発言する者あり)では、白川さん。
  84. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 私は、今、国家公安委員長をしておりまして、警察が九月当時に茶谷氏のそういう動向を知っていたかどうか、私は存じておりませんが、我が党の少なくとも公認のやり方、経緯については、ここで、関与した者として御説明しておいて、また、御理解をいただくために説明しておいた方がいいと思いますので、お話をさせてもらいます。  我が党は、基本的には地方から機関主義で上げるのを原則といたしております。したがいまして、埼玉県第六選挙区支部に候補者を立てるという方針は党本部で出しますが、そこにどなたがいいかということについては、地元の方々がまず一次的に決めていただくということでございます。  そして、本件の場合は、上尾市議会議長の、公人でありますから私は名前を出していいと思います、新聞紙上に出ておりますが、浅野目氏と、そして、それから相前後して茶谷氏が手を挙げて、そしてその二人のうちどちらにするかということについて地元と、そして非常に難しい判断が要するようであったので県連も相談にあずかって、最終的には第六選挙区の代表者会議と県連との間で茶谷氏に決定するということを決めて、党本部に対して公認申請があったものであります。
  85. 若松謙維

    若松委員 そこで、今国会でも公務員のいわゆる倫理法案なりまたはそれに対応する通達なりが議論されております。  御存じの公務員の選挙違反ということで、今回茶谷氏がいわゆる選挙区内、埼玉六区内に三つの特養を、持ってきたという言い方が正しいと思います。そういう形のやり方というのは、いわゆる公務員による地盤培養行為禁止、これは公選法二百三十九条の二、これにございます。いわゆる官僚は出向地からの出馬はいけないという原則、これはかなり崩れていると思います。まず、そういう地盤培養行為禁止違反です。  もう一つ、岡光氏ですけれども、これは、岡光氏が今回のこのいわゆる公務員の地位利用禁止、百三十六条の二。例えば、これはもうみんなマスコミ等で知っておりますけれども、九月二十五日ですか、これは二十七日が解散ですから、その解散の前です。東京千代田区内で茶谷容疑者の資金パーティーが開かれ、厚生省OBが発起人となって、逮捕された岡光前次官初め厚生省の局長や課長クラスの多数が参加、そしてさらには、医療業界関係者や地元医師会の参加者を前に岡光事務次官は、茶谷君をよろしく頼むと、この事実自体は、これは完全に地位利用ですよ、地位利用禁止に反します。  なぜこういう事実を、それは確かに県が推薦して党がチェックする、これはどこでも同じだと思います。しかし、なぜこれほどの違反が明確な、明らかな候補者を公認したのか、大臣。
  86. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 地盤培養行為という点についてまずお触れをさせていただきたいと思いますが、地盤培養行為というのは、どの選挙区に自分が立候補をいたしたい、そういうことを前提に置いて、そしてそれを視野に置いて、例えばいろいろと必要以上に公務員ののりを越えてやっている場合に普通言われる話じゃないでしょうか。  茶谷氏は平成四年の四月から平成七年の三月三十一日まで埼玉県に出向していたようでございますが、委員御案内のとおり、この当時は選挙制度がどうなるかわからないという、ぐらぐらしておりました。それがまず第一点。それから、もちろんどこの選挙区から出るというようなことを当時考える立場になかったんだろうと思います。また、事実を見ても、例えば埼玉六区から立候補するというような意思を持って特定の行政行為をしたとは私どもは思っておりません。  そういうものを、たまたま後で、結果で、埼玉県に出向中に仕事をしたことを、それは選挙の最中でございますから在任中こういうことをやったということを言うかもわかりませんが、地盤培養行為というのは、少なくともそういうことではないと私は承知しております。  また、岡光次官がどうこうしたという話は私ちょっと承知をしておりませんが、これはしかし少なくとも公認決定後、選挙戦が始まる前後からの話でございまして、それは公職選挙法ではなくて、公職選挙法というか公務員法等の問題だと思いますので、事務当局から答弁させていただきます。
  87. 若松謙維

    若松委員 先ほど茶谷氏の、いわゆる出向地からの出馬ということですけれども、埼玉県庁を離れて本庁へ戻ってきた、しかし彼の公認決定で、彼は愛知出身ですから当然愛知の出馬の話もあると聞いております。また、埼玉でもほかのところの出馬要請もありました。しかし、本人は埼玉六区に執拗に執着をいたしました。それ自体が私は地盤培養行為の延長だと思います。そして、公務員というのはやはり権力がある、そのために、こういった地盤培養行為も事前運動という形で公職選挙法の禁止条項としているわけじゃないですか。
  88. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 茶谷容疑者が、茶谷氏が埼玉県庁在任中に小選挙区制度が確定をいたしたのはいつごろだったでしょうか、平成六年のたしか暮れか、あるいは最終的に確定したのは平成七年になってからかもわかりません。そういうことを考えますと、埼玉第六区というのができるかできないかということを含めて、若松先生が結果として出られた六区に殊さらに執着をしたとは存じておりません。  そして、何よりも、私が冒頭に触れましたように、我が党は平成七年の間に、ここに弁護士で優秀な方を我々は公認をいたしたわけでございます。そのときに茶谷氏の名前がちらほら挙がったとは私の前任中だから知っていますが、しかしその弁護士に決まったわけでございまして、特にそのときに彼は公務員在職中でございましたので、公認争いのために一生懸命やったとは、そんなに動いたとは聞いておりません。しかし、上尾市長選でいわゆる保守分裂選挙に彼が巻き込まれ、この点ではその公認内定者と私は相談にあずかったわけでございますが、そことの関係で彼自身がいろいろ困難を感じて公認を辞退したわけでございます。それが平成八年の一月十六日でございました。  しかし、その直後から私はもう、一度辞退を表明した人を再度口説くのは無理だと思って、新しい候補者を選定する必要があろうか、こう思っていたわけでございますが、その間ずっと具体的な名前はどなたもありませんでした。当然のことながら、茶谷氏もそこから出たいということが私のアンテナにひっかかりませんでしたから、当時彼が執拗にこだわっていたということは、私は認められないと思います。
  89. 若松謙維

    若松委員 話は戻るのですけれども、先ほどの、名前が出てしまいましたので、いわゆる浅野目前議長ですね、彼は全国最年少ということで、いわゆる衆議院候補者としても特に問題ない、それは白川大臣、おっしゃったと思います。それが七月前半で、その一カ月後に急速に、これだけの問題を抱えた、よくマスコミで言われている史上最悪の候補者、こういう人を擁立したということで、先ほどの自民党埼玉県連、じゃ、どういう処理をしたかというと、例えば、我が党のことを言うと、私も正直言って、何でこういう事件が起きたか残念でならないのですけれども、オレンジ共済のときに、西岡幹事長が何度も記者会見をして謝罪表明をしました。しかし、この埼玉県におきましては、いわゆる野本前幹事長、それが副会長に昇格というのでしょうか、何というのでしょうか、そういう形でこの問題を処理されると、党として何ら——この公認に関するいわゆる謝罪なりしていますか、正式に。
  90. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 まず第一点、浅野目氏が本来公認されるべきところを、委員は何か、何かの力が働いて茶谷氏になったというような言いぶりでございますが、そういうことは全くございません。  正直申し上げまして、候補者が辞退するというような事態があったところでございますから、なかなか名乗りを上げてくれる人がいなかった。しかし一方では、総選挙はそう遠くないという中で、県連といたしましても、党本部としても、だれかここで出てくれる人がいないのかな、こういうふうに期待をしていたところでございますが、浅野目氏がまず新聞紙上で出馬の意思ありというようなものが、そういう報道に接しました。そして、相前後して、茶谷氏もそこから出てもいいという意向があるようだということから、急遽人選が始まったわけでございまして、二人は全くパラレルに、大体同じころ、そして平等に扱われて、どちらが候補者としてふさわしいかということで、地元と県連が本当に鋭意鳩首並びに全体の会議等を何度も開いて、最終的に八月六日ですか、第六選挙区支部の代表、役員の中で最終的には茶谷氏にするということが平成八年の八月六日に決まったということが、これが第一点でございまして、何か変な力が働いて誤ったというようなことは、どうぞ——私の名誉にかけて申し上げますので、申し上げます。  それからもう一つ、我が党が何らこの問題について責任をとっていないとかおわびの言葉がないと言っていますが、そういうことではなくて、平成八年十一月十九日、我が党の党務の実際上の責任者である加藤幹事長は、茶谷氏について、落選したとはいえ我が党候補であった者がその前職中に犯していたことについては、これを見抜けなかった我々の不明をおわびしたいというコメントを記者会見で述べております。  そして、それだけではなくて、平成八年十一月二十五日、彼は重複立候補しておりまして、三番目に、上の人が三番欠けた場合は受かるというそういう資格を持ったものでございますが、茶谷氏を衆議院比例代表名簿から抹消する手続をこの日決定をいたしまして、そのような措置をとっております。  また、我が党の総裁である橋本総理は、平成八年十二月二日、テレビが入った本会議場におきまして、「茶谷容疑者を自民党の公認候補といたしましたことは、落選したとは申しながら、その前職中に犯しておりました行動について、これを見抜けなかった我々の不明をおわびいたします。」このように我が党の最高責任者が国民に深くおわびしているのは、このとおりでございます。
  91. 若松謙維

    若松委員 私は、小選挙区でまさに政策論争をできる、かつ、彼が立候補と決まったときに、三十九歳、私と二つしか違わないということで、非常に新しい選挙制度にのっとった戦いができると思ったわけですけれども、結果的に彼は、いわゆるネガティブキャンペーン、そして買収なんでしょうか、私と一緒に回っていた市議会議員、きょうは一人あちらの陣営へつき、あした、また次の日は一人つき、どんどんあちらに回っていった。当然、地元では買収という声が聞こえております。(発言する者あり)それは地元で聞こえているからしようがないでしょう。それはしようがないでしょう。そういう中で、かつ、この茶谷氏が立つ前後にして、彼は捕まるよ、百数十名のいわゆる警察が調査している、これも議論しておりました。  なぜこのような候補者を公認させたのか、私はどう考えても不自然であります。今、党の本部の方が答えられないということであれば、私は、これは先ほど言いましたように公務員の倫理の問題もございますので、ぜひともこの公認にかかわりました野本陽一前県連幹事長並びに松永県連会長のこの予算委員会での参考人招致または証人喚問を要求します。  続きまして、この……(発言する者あり)さらに続きます。ちょっと聞いてください。聞いてください。ちょっとうるさいですから……。続きまして、なぜこういう事件が起きたのか、やはり構造的な問題を議論しなければいけないと思います。  それで、ちょっと字が小さくて恐縮ですけれども、これが特養、いわゆる九〇年度からの厚生省の、これは東京ですね、補助基準単価、九〇年十六万七千四百円、これは一平米当たりですか。これが、九六年、一貫して上がっております。伸び率指数、こうやって九〇年一〇〇%に対して二七・五%上がっております。  それで、じゃ、民間はどうなのかということで、東京標準建築費指数、これが、九〇年一〇〇とすれば九六年九三・八、大分下がっているんです。それで、この北本市議会でも先ほどの調査委員会が開かれております。そこでの大きな議論は、なぜこれだけが乖離したのか、いや、この乖離を結局小山容疑者は注目して今回の丸投げになったんだ、こういうことでありまして、この数字に対しては総理、どう思われますか、もしくは厚生大臣。
  92. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えをさせていただきます。  まず、今回のケースにつきましては、何度かお答えを申し上げましたように、国庫補助単価を大幅に上回る事業費で、そういう中でさやを抜くというやり方をとられたということが今回の事件の本質でございます。  さてそこで、特別養護老人ホームの補助基準単価でございますけれども、これにつきましては、先生お示しいただきましたように、確かに、先生お示しの期間内における他の単価のいわば指数で見ますというと、老人ホームの単価は指数で上がってきている、そして先生お示しのありました東京の標準建築費指数は下がってきている、それはそういう数字になっておりますけれども、これにつきましては、かねてから特別養護老人ホームの単価につきましては実勢価格に比べて低水準である、つまり、他の建築費に比べて格差があるということが非常に指摘をされまして、地方団体等からも上げてくれという強い御要望をいただいておったわけであります。  そういったところから、私どもも実態調査をいたしまして、その実態調査の結果を踏まえまして、逐次、八年度に向けて改善をしてきた。そのことによりまして、格差の縮小を少しでも図ってきたということの結果がこういう単価の指数になっているということでございます。  しかしながら、今回のこういった事件もございますし、平成九年度におきまして、改めて社会福祉施設の建築費単価についての実態調査を行いまして、そしてこれを踏まえまして、実態に合った、言ってみれば過不足のない単価が設定をされるようにこれも努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  93. 若松謙維

    若松委員 今の局長説明じゃ、なぜ丸投げがされたかという回答にはなっておりません。  これは厚生大臣に答えていただきたいんですけれども、先ほどのポイントをちょっと棒グラフでロータスを使ってやったわけですけれども、これだけやはり差が出てきたというところで、先ほど御説明もありました、いわゆる基準単価はもともと少なかった、だからそれを改善したということであれば、丸投げは起きないんですよ。だけれども、起きたということの答弁をいただきたいんです。起きたということにですね。  特に、九〇年一〇〇として九六年、この差というのは三四・一ポイントあるんですね。そのうち一部は、基準単価が低過ぎたという改善もあるでしょう。しかし、九六年度の東京都内における鉄筋のいわゆる五十床の特養の標準単価というんですか標準金額、これ二億三千三百万円あるんですけれども、単純に、先ほどの三四・一ポイント差になりますと、民間ですと一億七千万円でできる。小山氏の丸投げの金額と非常に似ているわけなんです。その差、実に六千万円。  ですから、平成七年度の特養の予算が七百五十三億円、これを単純に三四・一%掛けると百九十九億円。二百億円近い差が出てくる。これを本当に改善するんだったら、いわゆる建設省が言われるコスト縮減ですか、縮減を図って、少しでも多く増床を考えた方がいいんじゃないか、こう思うのですけれども、厚生大臣、いかがですか。大臣、答えてください。
  94. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 実態にかかわることでございますので、お答えをさせていただきます。  先ほど御答弁申し上げましたように、私ども、今後も、先生御指摘のようなことも含めまして、社会福祉施設の建設単価がそれは不足をしてもいかぬ、多過ぎてもいかぬという意味で、実態に即した単価になるようにしたいということで、平成九年度にもその実態調査をして、それによりまして適正な単価を決定することに努めてまいりたいというふうに思っております。  しかし、今の実態の方にいきますと、これはそれぞれ施設によって中身が違いますので単純な比較というのはなかなか難しゅうございますけれども、あえて平成八年の十一月の建築着工統計によりまして各種建築物の一平米当たりの単価の契約価格を比較いたしてみますというと、病院・診療所で一平米当たりが大体二十五万円でございます。事務所で二十四万円、学校の校舎で二十二万円となっておりまして、これも単純に比較はできないということをお断り申し上げた上でのことにはなりますけれども、標準的な地域におきます特別養護老人ホームの補助単価は二十・三万円ということでございますので、それを見ますというと、現在でも他に比べて非常に高いというようなことではございません。  また今回、そういういわゆる丸投げによるさや稼ぎということが行われたという事実は、これはもう既にそのとおりでございます。今捜査が行われているわけでありますけれども、これにつきましては、これも今いろいろ私どもなりに調査をまださらに進めておりますけれども、今のところでいきますと、それぞれにやはり事情がございまして、いわゆる丸投げを引き受けたところの下請に聞きますというと、その彩グループ、つまり小山氏がやっております法人の特別養護老人ホームが今後かなり将来的にも展開をしていくということを見込んでの、言ってみればある種の、何といいますか、ダンピングというようなことをあえてして、まず安くやって、今後のいわばいいお客さんになってもらおうという、そういう意図があったということを言っているところもございますし、まださらに精査をしなければなりませんし、また、実はその下請価格をめぐってまだ今トラブっているところも一部ございましたりしますので、ちょっとそこは一概には言えないのでございます。  いずれにしましても、冒頭申し上げましたように、補助基準を大幅に上回る、いわば豪華な施設をつくるという形で事業費を膨らませた上で、その中からさやを稼いでおったというのが実態でございます。
  95. 若松謙維

    若松委員 大臣、どうですか。
  96. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 事務的なことでありますので、局長からの答弁で十分だと思います。
  97. 若松謙維

    若松委員 これが事務的なんですか。これだけ一本土がりの、これで事務的なんですか。国民の貴重な税金ですよ。それを事務的だということで、それで大臣が務まるのですか。
  98. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 具体的な数字の点についてのものですから、私は詳しいことは存じません。ただ、実勢価格と現実の価格とどう違っているのかというのを調査して、今でも補助単価が低過ぎるという御要望があるわけであります。両方の要望がありますから、よく調査して、このような事故が起こらないようなことを、今後改善措置を講じていきたい、それは去年から答弁しているとおりでございます。
  99. 若松謙維

    若松委員 では、そのいわゆる実勢価格との乖離または基準単価自体が低い、それを調査される、それで報告される、そういう話ですけれども、いつごろされるのですか。十年後ぐらいですか。それとも年内ですか。
  100. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 平成九年度に実施をいたしたいということで準備を進めたいと思っております。
  101. 若松謙維

    若松委員 では本年ですね。はい、わかりました。  それでは、同じような観点から、これは建設大臣にお伺いしたいのですけれども、公共事業も平成九年度予算で九兆六千七百六十九億円、うち七割が建設省関連と理解しております。これも今見直しということですけれども、見直しの議論がされて、これはいつごろ具体的に結果を公表されるのですか、見直しの価格。ちょうど私は官僚の方に聞きましたら、いわゆるコスト削減、今見直し中ですと。これだけじゃちょっと足りないので、いつごろしっかりと報告をしてくれるのか、答えて下さい。
  102. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 コスト削減につきましては、総理からの厳しい御指示がございまして、コスト削減に関する関係閣僚会議が設置をされておりますが、建設省といたしましてもその御指示を確実に、これを結果を出すために今鋭意検討しておる最中でございます。  御承知のように、コストについては、契約方法の問題、また他の官庁にもまたがるいろいろな規制の問題、あるいは資材の原価の問題、流通過程の問題、いろいろございます。これを今総ざらいをいたしておる最中でございます。  時期につきましてはできるだけ早い機会、まあ三月末あたりまで、当面やれるものについてはやりたい。現在、契約方法につきましても現在の方法でいいのかどうか、抜本的な検討もさせております。
  103. 若松謙維

    若松委員 ぜひ三月中ということで、できるものということですので、ぜひ可能な限りの調査結果の報告を期待するところでございます。  そして、こういった調査が、なぜこれだけ私も執拗に言うかというと、結局今財源がない、緊縮財政ということで、どれだけ既存の予算制度の中でこのいわゆる財政赤字を賄えるか、こういう問題意識から質問しているわけでございます。そして、先ほどの九兆幾らだって、一〇%削減できればもう一兆円ですよ。さまざまなものを入れれば、ことしの補正予算でやった一兆数千億円の国債発行、これも回避できたわけなんです。  それで、いわゆる減税資金という観点からさらに質問を続けさせていただきたいと思います。  やはり今特殊法人の改革が言われております。総理が十一日、きのうですか、お休みにもかかわらず、財投改革というところでのお話をされました。非常にそれは私も評価いたします。そして、財投の問題、これは特殊法人にも関係してまいります。  なぜかといいますと、これも、大体特殊法人がどのくらいいわゆる補助金、出資金並びに財投という形でお金がつぎ込まれているのかということですけれども、補助金、出資金は一貫して金額が伸びております。まあ財投は若干、いろいろ世間の批判等にかんがみて、伸びはとまっております、若干減少ですけれども。ただ、平成八年度として三十四兆円、これが特殊法人に流れているお金でございます。非常に巨額のお金が特殊法人に流れている。  そして、先ほどの財源ということですけれども、減税財源。私ども、特殊法人総覧という、これは総務庁がつくられております。非常によくまとまって、総務庁の努力に敬意を表します。この中身を見ていたのですけれども、よく特殊法人は赤字、赤字で補助金を要請する、そういう言い方がされておりますけれども、これは手元資料としてお配りさせていただいたと思いますけれども——行っておりませんか、特殊法人剰余金リストという——来ていませんか、これは事務上の手続のミスですね。申しわけないです。
  104. 深谷隆司

    深谷委員長 手続ミスじゃなくて、届いてないそうです。
  105. 若松謙維

    若松委員 届いていない、届いていないですか。(橋本内閣総理大臣「いいです、いいです、聞いています」と呼ぶ)はい。  このリストを見ますと、平成七年三月末の、九十二特殊法人のうちいわゆる利益剰余金、資本剰余金とかそういうものじゃなくて、利益分、利益の剰余金をリストしました。そうしましたところ、合計で五兆九千六百二億円ございます。そのうち、御存じのJR、これが七千百十二億円。さらにKDDとかNTT、これが一兆一千四百四十二億円、こういったものは今後民営化等になるわけですけれども。このほかに大きな剰余金として、日本中央競馬会九千四百六十九億円、一兆円近くあるわけです。そういったものを合わせると五兆九千六百二億円。  私は、特殊法人はいつも赤字続きで常に補助金を必要とするということだけではなくて、こういったところからも、今財源が厳しくあれば、いわゆる国庫納付制度をしっかり導入すべきだと思いますけれども、これは全省庁に絡むので、総理、お疲れのところで恐縮ですけれども、どうでしょうか、それとも大蔵大臣ですか。
  106. 小村武

    ○小村政府委員 今、現存しております特殊法人八十八法人のうち、二十五法人については国庫納付規定がございます。これは、損益計算上生じた利益から繰り越しの損失を補てんし、かつ積立金として所要の積み立てを、法律上要請されている積立金を除いたものについて国庫納付をするというものでございます。九年度予算におきまして、日本中央競馬会が四千五百四十三億円、日本輸出入銀行が四十二億円のこの二つを計上しております。  今委員御指摘の、特殊法人の利益準備金について、すべてこれを国庫納付をさせろという御意見でございますが、この利益準備金につきましては、出資、融資の財源あるいは事業用資産に化体されているものなど、それぞれの特殊法人の目的や事業を遂行するために必要なものでございまして、これを取りましてさらに国庫納付を行わせるということは困難でございます。
  107. 若松謙維

    若松委員 大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども、確かに余っている分、いわゆる剰余金ですね、剰余金というのは余っているという意味ですから。それを将来の事業に活用したい、それはみんな同じ思いだと思います。ところが、今のこの赤字財政体質でかつ増税を回避すべきというのは、それは与党たりとも同じ思いだと思います。そういう中で、この五兆九千億円に何ら手をつけない。まあ先ほどの日本中央競馬会、これは毎年四千億円台の国庫納付があります。それ以外ほとんどないというところで、私は、もっとこの国庫納付というのを、国がその特殊法人に出資しているならば、やはりもっと見返りというものを強く求めるべきではないか。株主ならそうしますよ。国民も同じようにそうしたいわけだと思います。いかがでしょうか大臣。いえ大臣、大臣答えてください。
  108. 小村武

    ○小村政府委員 立法論として種々御意見があろうかと思いますが、現在、各二十五法人において、法律上、その健全経営のために定められた基準に基づきまして国庫納付規定がございます。それに基づいて納付をしているところでございまして、例えば日本開発銀行、これは国庫納付をした実績もございますが、損益上の利益が生じた場合に、それが法定準備金との比較において、法定準備金を上回る利益が生じた場合には納付をするという、いずれも基準の合理的設定をなされているものでございます。  それから、競馬会の御指摘がありましたが、競馬会につきましては、売り上げの一〇%を第一納付金として納めていただく、さらに剰余金が生ずれば第二納付金として剰余金の二分の一を国庫納付していただくということで、私ども、各法人につきまして、できるだけ国庫に対して協力を求めるという姿勢は委員と同じでございます。  そういう意味におきまして、毎年度予算編成におきまして、各種の財源探しをしながら予算編成をさせていただいておるということでございます。
  109. 三塚博

    ○三塚国務大臣 現行の運営上のポイントについて主計局長が言われたとおりであります。  特殊法人につきましては、全体の見直しということの論議が盛んに相なってまいりました。特に特殊法人の最大のポイントは、政策的目的、長期大型のもの、一般会計においてそのことを進めることが極めて効率的ではない、こういう趣旨において法律によって制定されてきたものであります。しかしながら、今日の諸状況の中で、諸改革の断行ということが橋本内閣の最大目標でありますから、行政改革全般の結論が出るまで方向性を明示しなければならぬ、こういうことであります。
  110. 若松謙維

    若松委員 大蔵省は、武村大蔵大臣の時代から財政危機宣言ということで言っております。私は、特別立法してでも、そういった増税に頼らないで、こういったところをぎりぎり活用すべきではないかと思います。ぜひそれを主張しておきたいと思います。  そして、ちょっと時間がないので、「特殊法人」、これは朝日新聞の二月七日の「不良債権、一兆四千六百億円に」ということで、会計検査院の調べが発表になりました。そして、この特殊法人に対して、特にディスクロージャーがおくれているということで、総務庁の大変な御努力で「特殊法人に関する調査結果に基づく勧告」、こんなものを出されて、そして今、三月中に、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案、これをつくっていらっしゃる、こう聞きました。  しかし、この法律案を見させていただいたのですけれども、これはつくったはいいものの、いわゆる外部チェックがないのですよ。つくって公表するには、やはり外部チェックが必要だと思うのです。会計検査院もいいのですけれども、やはり民のチェックを、ぜひ外部監査制度を導入していただきたいと思うのです。これはいかがでしょうか。
  111. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 今お話しのとおりで、今度そのような法律案を提案させていただく予定でございますが、その中に外部チェックを入れたらどうかというお話でございますけれども、今回は、今御指摘のとおりで、従来の監察に基づきまして、非常に民間の会社と比べてもディスクロージャーが十分でないということで、その点をとりあえず今回の法律で直していきたいということでありまして、当然それ以外に、今、行政監察として、来年度におきましても特殊法人については見直しをし、それは特殊法人が必要でないかどうか、あるいはそういうような、今度のこういうディスクロージャーで果たして十分であるかどうか、もう少し平成九年度で引き続いてやってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  112. 若松謙維

    若松委員 ぜひ総務庁でこの法案、一括法案になりますので、あくまでも自分でディスクローズすれば終わりだという感覚じゃなくて、初めて外部チェックがあって公表できる、その基本認識を踏まえていただきたいと思います。  そして、これは最後の質問ですけれども、この特殊法人の下に約千三百ぐらいのいわゆる子会社、関連会社、いわゆる関連公益法人、こういったものがございます。そして公益法人を、これは社団法人、財団法人、二つあるわけですけれども、申しわけないですね、本当に資料がなくて、これもこうやって統計化しました。そうしましたら、国所管、都道府県所管あるわけですけれども、平成元年の公益法人の数、二万二千九百十九から一貫して約五百、二、三百から五百ずつ毎年ふえております。そして、これは民主党の石井紘基先生が努力をされて、平成六年度決算ベースですけれども、国主管の公益法人に対する補助金と委託費の資料要求しまして、初めて出たのがこの金額です。いわゆる合計三千八百九十九億、こういう金額が出ました。  ここに対して質問なんですけれども、御存じの、この公益法人も過去においてさまざまな事件がございました。特に、郵政互助会というのでしょうか、これの資金を運用するということで、これもたしか財団法人だと思いました、それの運用のために子会社弘信商事をつくって、九四年に一千億円の債務を残して倒産した、こういうことがあるわけです。  私は、こういう公益法人、何千億とお金が入っているわけなんですけれども、これに対しては、いわゆる民法三十四条による設立だから官はタッチできないという説明なんですけれども、そうではなくて、例えば補助金が公益法人に一定額以上、五千万円以上とか一億以上とか流れたら、その公益法人は少なくとも決算書は公開すべきだ、そういうような形を導入すべきだと思いますが、これは総理府になるのですか。
  113. 榊誠

    ○榊政府委員 お答えいたします。  先生御質問の公益法人の情報公開の関係の御質問でございますが、私どもも、公益法人に関する情報公開、大変重要な課題というふうに認識してございます。  去年の秋に政府で、公益法人に関しまして、指導監督基準あるいは設立許可基準というのを定めたわけでございますが、その七でも、公益法人の情報公開に関しまして、「業務及び財務等に関する情報については、自主的に開示する」という大原則を一つ打ち立ててございます。今後、具体的な基準を定めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  114. 若松謙維

    若松委員 今具体的なとおっしゃいましたけれども、大臣、それでよろしいんですか。これはやはり総理ですか、総務庁……。
  115. 榊誠

    ○榊政府委員 お答えいたします。  閣議決定の段階では、まだ自主的な開示という表現しかできなかったわけでございますが、今申しましたように、具体的な基準をいろいろな例を参考にしながらこれからつくるということで、現在作業をしておるという状況でございます。
  116. 若松謙維

    若松委員 総理、具体的なことをつくるというのですが、政治家として、いつまでにつくるか。やはり急を要していると思います。
  117. 榊誠

    ○榊政府委員 平成九年度じゆうに作成するということで現在作業しております。
  118. 若松謙維

    若松委員 わかりました。そういうことでよろしいわけですね。  そうしますと、この公益法人なんですけれども、なぜそれほどディスクロージャーが大事かというと、今回の厚生省問題に関しても、これは厚生大臣にもお聞きしたいわけですけれども、御存じのシルバーサービス振興会、これは設立は昭和六十二年です、元会長の村田士郎さん、ここは平成七年度だけで国庫補助金十億二千万円受けております。  そして、これも毎日新聞の指摘ですと、毎日新聞の昨年の十二月二十六日ですか、昨年の十二月六日、この予算委員会で権藤委員の質問に対して小泉大臣が、このシルバーサービス振興会、国、厚生省としてシルバーマークに関与しない、ちゃんと議事録がありますけれども、そういった答弁をされております。それに対して、この毎日新聞の記事ですと、それにもかかわらず、ことしになって一月から三月末にかけて、この振興会がシルバーマークの研修、啓蒙で補助金四千八百万円を使おうとしている。  まず厚生大臣、この事実を知っていらっしゃいますか。それについてどうお考えですか。
  119. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私の答弁と新聞記事の問題ですが、それは、昨年の十二月行政改革委員会より、「シルバーマーク制度に係る国の関与の撤廃によって、競争の促進を行う必要がある。」との指摘を受けておりましたので、本年一月、関係通知の改正を行い、廃止しました。  御指摘の研修事業については、シルバーマークに対する国の関与を行わないこととしたことに伴い、介護サービスの質の向上等を図る観点から、シルバーマーク取得希望の有無とは関係なく、シルバーサービスへの新規参入を希望している民間事業者一般を対象として幅広く実施することにしているものでありまして、シルバーマークに係る補助金については平成九年度以降廃止することにしています。
  120. 若松謙維

    若松委員 要は四千八百万円は使うわけですね。そういうことですね。まあ急にはとめられないと。そこら辺が政治家としての英断を欲しいのですよ、このいわゆる緊縮財政のときだけがゆえに。  さらに、先ほどのこのシルバー振興会も社団法人です。公益法人です。そのほかに医療関連サービス振興会、これも平成二年十二月に設立されて、先ほどの村田士郎さん、今は辞任しておりますけれども、理事でした。そして、ここも設立以来平成七年度まで一億三千万円の委託費、実質補助金ですけれども、これを受けております。さらには、日本医療機能評価機構、これは設立平成七年七月、これも先ほどの村田士郎さんが評議員でやっております。今はやめられたかどうかわかりません。しかし、これは設立以来平成九年度まで六億四百万円の補助金を受けております。こういう公益法人、先ほどの、これだけの約千に近い公益法人が国からの交付金を受けている。こういったところに、かつこの数はふえているという現実に、幾ら皆様が行革、行革と言っていようが、結果的に行革は進んでいないというのが実態だと思うのです。  最近はさらに非常に賢くなってきまして、これも先ほどの権藤委員が紹介済みなんですけれども、全国在宅配食サービス事業協議会、これは設立平成八年三月ですけれども、これはいわゆる公益法人ではなくて任憲法人です。しかし、ここがやろうとしていたのは、この在宅給食サービスに参入しようとする事業者にシルバーマークをつけさせて、そしてシルバーマークを受けた事業者は補助金を受けられる、結果的に廃止というか、これについてはどうなっていますか。先ほどシルバーマークは廃止したと言いましたけれども。
  121. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えします。  今先生お挙げになりました在宅の配食サービスの部分も含めまして、今回いわゆるシルバーマークをとっているものを、市町村等が委託をする際できるだけそれを使うようにしなさいというその奨励はいたさないことにいたしました。同じように廃止をいたしました。
  122. 若松謙維

    若松委員 廃止したということでございます。いずれにしましても、特に先ほど言いました医療関係のいわゆる補助金を取ろうとするフィクサーというのでしょうか、特に村田士郎というのは非常に際立っておりまして、こういった方がやはり厚生省だけではなくてさまざまな省庁に暗躍していると理解いたします。  具体的にさらに桝屋委員にいろいろな事例を通しながら話をしていただくわけですけれども、私はこういう、行革にまさに真っ向から対立するフィクサーの存在はもう断固として許されない、特にこの村田士郎についてはこの予算委員会においてぜひ証人喚問をして、こういった補助金を安易に使おうとする人たちをしっかりと今戒めなければならない、そう思います。  ぜひ、委員長、取り計らいをよろしくお願いします。この点を進めまして、そしてこの公益法人見直しもぜひ、総理大臣、リーダーシップを図られて、徹底的な公益法人の見直しをぜひお願いを申し上げまして、桝屋委員に——委員長、どうですか。
  123. 深谷隆司

    深谷委員長 若松委員に質問いたしますが、先ほども証人喚問をおっしゃって、委員長の了解は別にとっておられないのですが、それらを含めて具体的にもう一度、公式なものなら提案してください。
  124. 若松謙維

    若松委員 では、まず先ほどの厚生省疑惑の問題に関して、私は、これだけ公務員の関与した大変重要な公認過程でありまして、特にその当事者でありました、埼玉県連会長の松永光衆議院議員、並びに県会議員の前幹事長の野本陽一氏、この二人の証人喚問を要求します。さらに、この村田士郎、医療法人のフィクサーとして非常に重要なかかわりを持っておりまして、これも証人喚問を要求します。  委員長、お取り計らいをお願いします。
  125. 深谷隆司

    深谷委員長 理事会で協議いたします。
  126. 若松謙維

    若松委員 以上をもって私の質問を終わりとし、桝屋委員にバトンタッチいたします。  どうもありがとうございました。
  127. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、桝屋敬悟君から関連質疑の申し出があります。若松君の持ち時間の範囲内でこれを許します。桝屋敬悟君。
  128. 桝屋敬悟

    桝屋委員 引き続きまして、お疲れとは思いますが、関連質疑をさせていただきたいと思います。新進党の桝屋敬悟でございます。  私は、今回の彩福祉グループ、前回の、昨年の臨時国会でも十分いろいろな議論がなされたわけでありますから屋上屋を重ねたくはございませんが、しかしながら、やはり厚生官僚のトップがかかわったということ、さらには、衆議院の候補がかかわったという、逮捕されたというようなこともあるわけでありますから、国民の不信感は極めて大きいわけでありまして、そういう意味では、やはりこうした事件を受けまして、実態の解明と、さらには二度とこういうことが起きないような対応といいますか、具体的な方策を打ち立てない限り、国民の信頼というのは得られない、こう思うわけであります。  加えて、この国会、今から介護保険等の議論も行われますけれども、こうした問題はきちっと前提条件として究明をしておかなければならない、こんな立場から、我が新進党におきましては、厚生省疑惑解明・改革プロジェクトを設置いたしまして、現在、鋭意解明、さらには改革の検討をさせていただいているところでございます。その一員として、何点か質問をさせていただきたいと思います。  通告をいたしておりますけれども、若松さんの時間が大分延びましたから、はしょってポイントだけお聞きをしたいと思います。  今回私がこの場で、厚生委員会でもいいわけでありますけれども、予算委員会で特にやっておきたい問題は、一つは共同募金の指定寄附の問題がございます。  この共同募金会の指定寄附制度、彩グループがかかわって資金を還流したというような報道が既にされております。昨年の十二月の臨時国会におきまして、厚生委員会で我が党同僚議員から具体的に指定寄附の実態というものを明らかにしてもらいたい、こういう御要望をいたしましたところ、先ごろ、平成元年から七年まで、具体的に寄附者の了解をいただいた上でこれが公表されております。この資料について何点か質問させていただきたいと思います。  まず総理にお伺いしたいのでございますが、総理は大変に厚生行政に精通をしておられるというふうに伺っておるのでありますが、この共同募金の指定寄附制度、これを御存じかどうか、さらにこの制度をどのように評価しておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  129. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、共同募金についての指定寄附制度は存じておりましたし、また、非常に善意の指定寄附をされる方をかつて存じ上げていたこともありまして、たまたま、ちょっと不祝儀な話でありますけれども、亡くなられた方の御家族がこの指定寄附制度を利用されたケースを存じております。  ですから、私は正直、社会福祉法人などの施設整備等に充てるためこの共同募金会に対して支出される寄附金、これについては指定寄附金として扱われている、そして、法人が支出する場合には全額が損金算入されるという特別な配慮がされている、いろいろな方々がこの制度を利用し今までにも指定寄附をしてこられた、そうした実態の一部は存じております。  私は、この制度自体、私が存じ上げていたケースも含めて、税制上のインセンティブを付与することによって、民間の篤志家の寄附を公共性の高い社会福祉事業に向けるという意味では非常に役に立ってきた制度だ、そう考えておりました。  それだけに、今回、その彩福祉グループというものがこの制度を悪用したということは大変残念な事実でありまして、初め、実は、そんな使われ方をしたのかと一瞬思ったことも事実です。しかし、調べてみますと、確かにこの制度が悪用されたという残念な事実がございました。  このようなことが起こらないように、この制度を運用していく上で、審査事務の徹底などの必要な措置を講じてもらいたいと考えておりますが、知っていたかということに対しては、知っておりました。どう評価するか、私は、今までに関して、非常に一つのインセンティブとして働いた、その意味で、民間の篤志家の寄附を福祉分野に呼び込むという上でのプラスのある制度だと考えてきたということを申し上げたいと思います。
  130. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。  さすがに厚生行政に精通をしておられる総理だなというふうに思いました。この制度を十分御存じでありますし、それからまた正当に評価しておられるということで、安心をしたわけであります。  お話がありましたように、この制度は、本当に私は、福祉需要が増大する中で、民間の篤志家あるいは企業、団体、そして福祉事業者をつなぐ、つないでいく極めて有益な制度だというふうに私自身も理解をしております。  それが証拠に、平成元年から七年まで、ウナギ登りにこの実績はふえておりますし、この数字も、金額も、七年間で百五十四件、二百七十九億円、これはただ五千万以上の金額をまとめていただいたものだけでございまして、全体ではさらに大きくなるだろう。私、計算しましたら、七年度だけでも約五十四億円、百七十六件あるわけでありますから、それから推測をいたしますと二千億、三千億の数字、この七年間でなるわけでありまして、まさにゴールドプランの背景として私は大事な役割を果たしてきた、このように思っているわけであります。  それだけに、この有益な制度を悪用した事例というものに対しては、まことに義憤にたえないわけでありまして、実は多くの共同募金会は、中には町の赤い羽根の共同募金まで悪いことをしているのじゃないかというふうに言われまして、もう町内会が出さないぞという話まで出ているわけでありまして、これは通常の街頭募金と全く違うということをまず私は訴えたいと思いますし、総理もそういう御認識だろうと思いますし、さらには、この指定寄附という特別の制度の中で、これを悪用して資金を還流させたということについては本当に怒りを覚えるわけであります。  私、一番心配しておりますのは、こうした事件をきっかけに、今審査が若干とまっているという話も伺っているわけでありますが、大蔵省において待ってましたとばかり、こういう制度はやめましょう、こういう話が出てくると、あるいは規制を強化しましょうなんというようなことになりますと、大変心配をするわけでありまして、巷間漏れ聞こえるわけでありますが、この制度はぜひ有益な制度として私は続けていただきたい、これを廃止するような措置はぜひやめていただきたいと思うのでありますが、大蔵省、いかがでしょうか。
  131. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  指定寄附金制度のうち、共同募金会を通ずる分についての御質問でございます。  その趣旨につきましては総理から御答弁申し上げたとおりで、私どもも同じ考えでございますが、昨年、この事件が起きましてから、私どもとしましては、悪用された原因がどこにあるかということはきちっと詰めないと問題があるということで、厚生省とともに、この問題、どういう審査体制であったのか、あるいはあるべきか、それから審査基準というのが適当であったのかどうか、これは議論をさせていただいております。一月三十一日の厚生省の中間報告でもその点は触れておりますが、私ども、本報告のときまでに、この点についてはきっちり詰めていきたいと思っております。  それから、御心配、御指摘のありました、ほかの案件についてストップをかけているのではないかということは、私ども、十二月の時点では、これはルーズに運用されているのでは納税者に対して申しわけないということで、ストップということではないですが慎重に検討するようにということで、事実上とまっていたかと思います。現在では、中間報告が出ておりますので、個別にきちっと詰めてほしいということで進んでいると承知しております。
  132. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございました。  問題は、まさにこの制度そのものが悪いわけではなくして、これを悪用したやつが悪いわけでありますから、そういう意味では、制度の運用ということで、私は十分この制度の適正な運営を確保することができるんだろう、こういうふうに思っているわけであります。  そのために、まずは今お話がありましたように原因をしっかり解明をしていただきたいし、そのために、今までの事例の中で変なものがなかったか、彩のようなケースがほかにはなかったのかということを私は十分検証していただきたい、それなくして福祉制度に対する国民の信頼は得られない、このように思うわけであります。  そこで、具体的な話に入りたいと思うのでありますが、委員長に事前にお願いをいたしております、パネルを使いながら、この彩の場合なぜ悪かったのかということを事実に即してまず御説明をいただきたいというふうに思います。こういう、私が思います、新聞等で聞いております内容を整理いたしました。この事実に即して、どこがどうであったのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  133. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 彩福祉グループの事件でございますけれども、多額の公的資金が導入されております社会福祉施設の建設につきまして、社会福祉法人の理事長が事実上経営しておりました株式会社のジェイ・ダブリュー・エム、建設会社でございますが、ここに建設工事を恣意的に発注いたしまして、さらに、これをこのジェイ・ダブリュー・エムが一括下請、いわゆる丸投げをすることにより不当な利益を発生させた、これが基本的な問題ではなかろうかというふうに考えております。  さらに、先生の図にございますように、この不当な利益を得ましたジェイ・ダブリュー・エムが、社会福祉法人の借入金の返済に充てるということで共同募金会に寄附をいたしたわけでございまして、その結果、法人税法上損金算入、こういう扱いになったわけでございまして、指定寄附金制度をも悪用した、こういうところに問題があったというふうに認識をしております。
  134. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。  今御説明がありましたように、このスキームの中で、今の御説明では、一つは社会福祉法人、彩の社会福祉法人ですが、ここから補助金をいただいて施設整備をするわけでありますが、この工事請負、この発注の段階で、恣意的なと御説明がありましたように、ここできちっと競争原理が働いていなかった、恣意的に行われていた、なおかつジェイ・ダブリュー・エムから下請業者に丸投げをされまして、ここで利ざやを稼がれた、こういうことであります。私は、言ってみればこの二億円の利ざや、これを稼いだジェイ・ダブリュー・エムが共同募金会を使って社会福祉法人に資金を還元しているという、もとはといえば補助金でありますから、わけのわからぬ話になるわけでありまして、こういうことを本当に許してはいけないと思うわけであります。  私は、たまたまこの事例はこの社会福祉法人の理事長とこのジェイ・ダブリュー・エムの実質オーナーが同一人物であったということで、本当に当然こういう問題が起きるだろう、こう思うわけであります。  問題は、この共同募金の指定寄附を使いましてこういう不正が働かれているのではないか、これは全国的に場合によってはあるのではないかという危惧を私は持ちます。したがって、しっかりとここは検証しなければならぬと思うわけであります。なぜ悪いかということになりますと、やはり、単にこのケースの場合は同一人物が理事長とこっちのオーナーを兼ねていたということがありますが、たとえこれが別でも、今お話がありましたように、工事請負がきちっとなされていた、適正に工事請負がなされた、こういう場合であっても、この工事を請け負った企業が共同募金の指定寄附を使って社会福祉法人にお金を回すということはあるわけでありますから、この場合はキックバックという話がよく聞こえるわけであります。  いや、それはないんだということも、よく説明ではいただいておりますけれども、施設整備上のキックバックとして使われるのではないか。こんな話をしますと、いやいや、これはとにかく丸投げと、ここの入札で不正があったからいけないのであって、それさえちゃんとすればこの制度は適正に運営されます、こういう説明をよく受けるのでありますが、もう一回確認をしたいと思います。  これは、工事請負がきちっとなされていて、しかも丸投げなんというようなことがなければ、この制度は適正に運営されるのかということをもう一回お尋ねしたいと思います。
  135. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 キックバックというお話がございましたけれども、社会福祉施設の建設に関しましてリベートのやりとりがあるというようなことは、絶対あってはいけないことというふうに考えておるところでございます。このため、従来から都道府県に対しまして、施設建設に当たり、正常な契約が締結され、また当初計画に従った建設が進行しているかどうか、実情の確認を徹底するように指導をいたしております。  また、平成五年でございますけれども、社会福祉法人の定款準則を改正いたしまして、理事会の決議につきましては、「特別の利害関係を有する理事は、その議事の議決に加わることができない。」こういうような措置もとっておるところでございます。  それから、先生から先ほどお話がございましたけれども、さらに今回、先般の調査委員会の第一次報告書を踏まえました改善措置ということで、国の補助金の交付対象施設等につきまして、競争入札の実施、それから丸投げの禁止等々の適正化を図りますとともに、共同募金会におきましても、都道府県と連携しつつ、そういう契約関係の審査を厳密にやる、こういうことにいたしてございます。  したがいまして、これらの措置が両々相まちまして、先生御指摘のようなケースも含めまして、これからこの不当な利益が共同募金会に回ってくるというようなことは防止できるのではないかというふうに考えております。
  136. 桝屋敬悟

    桝屋委員 まあ意見が別になるかもしれませんが、今の説明でも明らかなように、この工事請負契約がきちっとなされて、しかも丸投げなんというようなことが行われなければ、たとえこの法人に工事請負を受けた企業から指定寄附制度でお金が回っても、特には問題ありません、適正にやられていればこういうことはあるんです、いいんです、こういう話でございますが、私は意見を異にするものでございまして、明らかにキックバックで使われるケースもあるし、一番多いのは、この制度を使って金を回してくださいなんていう話になるわけでありまして、そういうことを大変に危惧をいたします。  それからもう一点。この流れ、スキームというのは、施設整備だけではなくして、実は施設の運営におきましても、例えば寝具あるいは病院給食、こういう業者から委託を受けている、受託をしている企業から共同募金を使って指定寄附を受けるということも、実は大変危惧をいたします。  なぜならば、今のこの運営面でも、施設の給食、五十名定員で大体年間四千万か五千万ぐらい、措置費の単価を計算すると年間の金額になるわけでありますが、そうした商いになるわけでありまして、そういうものを、公的な措置費という、まあ形は違いますけれども、運営面でも補助金が流れ、公的な資金が流れ、そしてそれを請け負っている事業所から指定寄附をいただくということも私は非常に心配だなと。キックバックという話はよく聞くんです。私は福祉の現場をずっと回っておりますから、そんな話をずっと聞いてまいりました。  そういうことをまず御指摘を申し上げ、これはこれからの二次報告に向かってもぜひ御検討いただきたいと思うのでありますが、私どもにお示しをいただいた平成元年から七年までの指定寄附の、これは寄附者も了解されています。したがって公表してもいいのかもしれませんが、この中で、今私が申し上げたように、現実に、その社会福祉法人の施設整備の工事を請け負った企業からその法人が指定寄附をもらうという例、さらには、彩の場合は丸投げがあったわけでありますからほかに丸投げがあるかもしれない、本当に丸投げはなかったのか、あるいは運営面で施設の給食を全部受託しているような企業から指定寄附をもらっているようなものがこの中にたくさん出てくるのじゃないですかということを、まずお伺いしたいと思います。
  137. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 先生に提出させていただいた資料、五千万以上ということで百五十四件提出させていただいたわけでございますが、中央共同募金会に調査をお願いしたところによりますと、受配施設、受配法人の工事請負業者が指定寄附を行っておる、こういうケースが中央共同募金会の調査ですと十九件あるわけでございますが、このいずれにつきましても、指名競争入札等が行われておりますとともに、いわゆる丸投げということは行われていない、確認できなかった、こういう報告を受けておるところでございます。  なお、この施設の運営、措置費で賄っておるわけでございますが、この運営にかかわる業者から指定寄附があったのではないか、こういうことでございますが、大変申しわけございませんけれども、彩福祉グループの事件とは異なる問題である、また日常の運営についての取引ということになりますと日常的に大変な件数になるだろう、こういうこともございまして、現在のところ、実態は把握いたしておりません。
  138. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございました。今の十九件等はまた個別に私も研究をしてみたいというふうに思っております。  確かに運営面の業者については、御指摘のように、調査が大変煩雑になるということもあるのでありましょうが、私はそんな小さなぱらぱらとした話をしているのではなくて、大きい企業はもうわかっているわけでありますから、私の気持ちは十分御理解をいただけているのだろう、こんなふうに思って話を進めたいと思います。  それで、具体的に、じゃ、どういうことかということをさらに話を進めたいと思うのでありますが、いただきました資料の中で、これは寄附者の方も了解をされておられるということですから名前を出されてもいいと思います。しかも、私も検討しましたけれども、大変いい施設のようでありますから、この場で御紹介もしてもいいんだろう、このように思うので御報告をさせていただくのです。  平成二年、三年度で施設整備をされました埼玉県の平成会、吉川平成苑という施設がございます。この施設は、私もこの資料を見ておやつと思ったのでありますが、平成二年、三年で施設整備をされまして、約十億円寄附を受けているのです。この制度を使い、これは悪い例ですから誤解しないでください、これは悪い例として、一緒じゃありません、名誉のために申し上げますが、こういうスキームで、ここはないのでありますが、十億円ほど指定寄附を受けておられる。私は十億円というのはびっくりしたのであります。大体、平成二年、三年でありますから、十億円あれば私の地元だったら施設ができてしまうのです。これは恐らく国庫補助金も何も行っていないのじゃないか、こう思っていろいろ調査をしてみたわけであります。この施設は恐らく国庫補助で整備されたというふうに伺っておりますが、現在、古い資料で恐縮なんですが、国において把握している当時の施設整備計画の概要を、施設の規模でありますとかあるいは補助金の額でありますとか、アバウトで結構でございます、大体で結構でございますが、この場でお示しをいただきたいと思います。
  139. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  お尋ねの埼玉県の特別養護老人ホーム、吉川平成苑、いわゆる平成会というところでつくっておられますものでありますけれども、これにつきましては、平成二年度そして三年度の事業におきまして、特別養護老人ホーム、これは定員五十人のものでございます、それから老人のデイサービスセンター、それからショートステイ専用の居室、これは二十人分でございますが、こういったものを創設、整備をしておられます。事業費は、施設整備あるいは設備整備事業に係る総事業費が十一億四千二百万ということで、それに対しまして国庫補助金が二億四百万出ております。施設面積が二千六百平米ということでございました。  ただその後、平成七年度、八年度事業におきまして、特別養護老人ホームをさらに三十九人分増築をしておられる。さらにそこへ在宅介護支援センターの創設、整備をなさったということで、この施設整備と設備整備に係ります総事業費が七億四千九百万、そして国庫補助金が二億三千五百万ということでございまして、増築等の面積が二千百平米というふうなことになっております。  以上が概要でございます。
  140. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございました。大体の施設の、当時の十一億という数字が出ましたから、大変な施設なんだなというふうに思うわけであります。  それで、その国庫補助を受けて整備された平成二年、三年の当該施設、これに対して指定寄附が行われているわけであります。指定寄附というのはかなり厳格に行われている、趣旨と目的をきちっと明確にして寄附をされる、そして審査がされるというふうに伺っているわけでありますが、では共募の方で把握しておられる指定寄附の実態はどうであったのか、使途別にちょっとお示しをいただきたいと思うのであります。
  141. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 中央共同募金会からの報告でございますけれども、ワタキューセイモア株式会社、その前身が綿久寝具株式会社、こういう名称でございまして、前身の分を含むわけでございますが、ここからの指定寄附金で先生御指摘の社会福祉法人平成会に配分されました寄附金の総額は十三億八千二百万円でございます。  その使途の内訳でございますが、平成二年から三年にかけまして特別養護老人ホーム五十床の増床をいたしておりますけれども、それに伴う土地取得費として三億八千四百五万円。それから、直接の建築費等、社会福祉・医療事業団からの借入金の返済を含みますけれども、建築費等ということで六億八千三百四十五万円ということになっております。  また、平成七年から平成八年度、今年度にかけまして特別養護老人ホームの……(桝屋委員「それはいいですよ」と呼ぶ)よろしゅうございますか。残りもございます。
  142. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございました。  以上で大体、私は今何をやっているかというと、審査というのはこうやってやるんだよということの検証をこの場でしているわけで、そんなことは厚生委員会でやれとおしかりを受けるかもしれませんが、ぜひ総理にもごらんになっていただきたい、こんな思いからでございます。  それで、今の状況からいきますと、見事な施設であります。私の経験からいきましても、恐らく日本一の立派な施設ではないかというふうに思うわけであります。当該法人の施設は、今話がありましたようにワタキューさん、綿久寝具さん、前身の会社であります。そしてこの理事長さんは村田さんの奥様が理事長をされておられるということですから、恐らくこの施設は厚生行政にかかわる営業で多大な利益を上げてこられた、その思いから、地域に還元をしたいということで立派な施設を私は提供されたのではないか、このように考えるわけでありまして、地元でも大変喜ばれております。立派な施設だ、こういうことになっております。  しかも、ワタキューさんとこの施設はいつも一緒に活動しておられます。神奈川あたりからもみんな見学に行かれています。そういう意味で、私は、本当に地域還元ということではそのとおりであろう、こう思うわけでありますが、いかにしても、土地も約三億八千万ですかね、お話がございましたけれども、あの吉川の地ですからえらい高いんじゃないか。これを逆算しますと坪三十万ぐらいするわけでありまして、もともと田んぼであったようでありますから、土地の取得は本当に大丈夫だったのか。  あるいは施設整備の、この本体工事も十一億という話がありましたけれども、私も調べましたら十一億五千三百万、建築平米が二千五百九十四平米、平米当たりの単価が四十四万四千、基準単価は、もう時間がないから私がみんな申し上げますと、今の、大体ことしのレートで補助基準単価二十二、三万ではないかと思うんです。私は、平米当たり倍以上の単価の施設というのは、私も長い間施設の整備を現場で見てまいりましたけれども、見たことがないわけでありまして、そういう意味ではまことに見事な施設だなというふうに思うわけであります。全国の施設から、ある意味では本当にうらやましがられるのではないか、このように思うわけであります。  一点確認をしたいのは、今三億八千万という話が出ましたが、これは領収が出ていますか、領収で確認をされたわけでございますか。
  143. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 中央共同募金会で領収書の写しをちょうだいしているというふうに聞いております。
  144. 桝屋敬悟

    桝屋委員 私も、見事な施設であるということで、現地へ行って概要を見させていただきました。本当に見事な施設であります。  地域でこの施設、法人がおつくりになって、地域の福祉関係者の方に資料を配付されておられる。その資料を見させていただきましたけれども、確かに大体数字は合っているのでありますが、土地の購入費として三億六千五百万、こういう数字が出ているわけでありまして、約二千万ほど差があります。これはやはり指定寄附というのは極めて大事でありますから、この差は何か。既に厚生省の方で相当詳しく御調査をいただいたようでありますが、差については判明しておりますか。お教えください。
  145. 亀田克彦

    ○亀田政府委員 土地の経費の差でございますが、当初の特別養護老人ホームにつきまして、最初に考えた計画とその後その計画が変更になった、その事情から差が出たというふうに聞いておりますが、詳しくは現在確認中でございます。
  146. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。  私の方も最近つくられた、施設を拡充された部分まで含めた全体の計画書を入手しておりまして、それとの違いがございますから、これはまたしっかり調査をしていただいて、厚生委員会等でしっかりと審議をしたいと思います。  私は、以上のような話をする中で、いずれにしてもワタキューさん、診療報酬の世界で、これはこの前、同僚の岡田議員がこの席でやりました。小泉大臣も大変に怒りを表明されておられましたけれども、診療報酬という公定価格の、医療の現場で独占に近い形で収益を上げてこられた、そういう方が寄附をされる。さらには、このワタキューさんは橋本総理初め多くの方に政治献金もされておられる。これも社会に大変に関心をお持ちの企業だろうと思うんですね。そこぐらいまでできる、しかも十億、さっきもう少し数字が大きくなって十億以上になってしまいましたけれども、それぐらい寄附ができる法人であれば、私は、何も国庫補助金なんか要らないんじゃないか、御自分でおやりになったらどうですかと思うぐらい、恐らくそういうふうにやっかむ全国の施設の経営者は、苦しんでおられる経営者の中にはそういう声もあるんだろうと思うんです。このように思いますが、厚生大臣、御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  147. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 個人でも法人でも、もし自分の税金が自分が使ってほしいところに使われると言ったら結構指定するんだと思いますね。しかし、その例を認めてしまうと国家の運営は成り立たない。これだけ税金は取られるんだったら自分の使ってほしいところに使ってもらいたいと言う人は結構います、現在でも。  指定寄附についても、社会福祉関係のみならず、芸術関係にもあるいは非営利団体にももっと拡充してくれという要望が私のところにも来ております。しかし、先ほど大蔵省からの答弁でありましたように、国全体のことを考えると、これもどんどん拡充していくわけにもまいらぬという理屈もわかります。  そういう意味において、私どもとしてはこの善意というのをどこまで拡充していくか、同時に、国全体の一つの公正さを考えてどの点でその線を引くか。個人にしても法人にしても、今までの仕事で得た利益というものを善意で使ってもらいたいという気持ちはあるわけですから、そういう点も伸ばしていく面も考えなければいかぬ。大変難しい問題だと思いますが、要は、国民の税金を公平に公正にどう使うかという問題だと私は思っております。
  148. 桝屋敬悟

    桝屋委員 時間がありませんから、今の大臣の議論はまた厚生委員会でやりたいと思います。  それで、お示しをいただいたこの元年から七年までの実績の資料、これはやはり私はつぶさにもっともっと検討しなければいかぬ。  それからもう一点、大臣、既に大蔵と共同されて全都道府県を通じて調査もされておられるようでありますから、その公表を、ぜひディスクローズしていただきたい。お役人がお役人を点検するのはどうも信頼できないわけでありまして、これも要望として申し上げさせていただきたいと思うのであります。  時間がありません。最後に、この資料の中でもう一点、私は本当にちゃんと検証されているのかどうかという点で申し上げますと、この中に、あの彩福祉グループの丸投げにかかわった企業の名前が出てまいります。これも了解がとれているから出してもいいんでしょうが、広島県の白寿会に、コトブキシステムというところから彩グループの丸投げの下請に入っている企業があります。これは厚生省、確認をされていますか、この事実は。
  149. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 指定寄附の今のリストの中にございますコトブキシステムにつきましては、彩福祉グループの北本特別養護老人ホームの施設整備に当たりまして、介護リフトを受注しているということで埼玉県から報告をいただいて承知をいたしております。
  150. 桝屋敬悟

    桝屋委員 それからもう一点、これもこのデータの中に入っているのでありますが、これは平成八年十二月十四日の朝日新聞に出ました記事でございます。「兵庫県北部特養ホーム 建設会社、社長は理事長の妻」。要するにさっき僕が申し上げた請負企業として、その法人の請負企業として理事長の妻が入っておられる、こういう話なのでありますが、この問題も、特養ホームを三つとも法人の理事長の妻が社長を務める建設会社が受注をした、こういう事実でありまして、これも実は兵庫県の県議会で問題になっております。  これもこの指定寄附の中に出てくるのでありまして、こうした全体の資料を見ますと、先ほど私はスキームを示しましたように、どんなことが行われても不思議はないな、本当に福祉事業をめぐるいろいろな実態といいますか、キックバックの話から含めていろいろなことがあります。  最後に一つだけ。今の兵庫の事例は「あそう」という法人でありまして、ここの建設会社、この受注関係もそういう特別の関係でございます。こうした問題をしっかりと詰めない限り、私は何を言いたいかというと、彩と同じ問題がありますよ、ぷんぷんにおいます、これをしっかりと検証しない限り国民は理解できない、介護保険の審議もできない、このように思うわけであります。  以上、今後とも私どものプロジェクトを中心に、厚生委員会になろうかと思いますが、しっかりと原因の解明に努めてまいりたい、このことを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  151. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて若松君、桝屋君の質疑は終了いたしました心  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時開議
  152. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。五島正規君。
  153. 五島正規

    五島委員 民主党の五島でございます。  本日は、中沢議員のお時間を一時間ちょうだいいたしまして、主として社会保障、医療保険問題について質問させていただきたいと思います。  いわゆる行財政改革あるいは国民負担議論等々が非常になされているところでございますし、そのこと自身は極めて必要な議論であるというふうに考えています。とりわけ年金や社会保障費の今後の増加の問題、あるいは今日極めて緊迫している医療保険制度等々を考えた場合、この問題について十分な議論をしなければいけないということは当然でございます。  ただ問題は、改めて、社会保障制度というのは我が国の社会の中においてどういう役割を果たしているのかという、この原則だけはきちっと議会としても認識を一致させる必要があるだろうというふうに思います。  政府関係のさまざまな審議会においてもこの点に言及されているところでございますが、社会保障制度の役割は、言うまでもなく、個人の力のみによっては対処し得ないリスクにかかわる国民の基礎的、基盤的ニーズに対応することにより、社会経済のセーフティーネットとしての役割を果たすということが指摘されています。また社会保障制度審には、そうしたことのほかにつけ加えて、医療や福祉サービスなどの分野で新たな産業と雇用機会をつくり出すとともに、障害者などに対してもそういう働きやすい環境の整備ができるんだという指摘もされております。  また同時に、今日問題になっております規制緩和についても、セーフティーネットとしての社会保障制度が整備されて初めて有効な政策となり得るという指摘もあるところでございまして、これらについては当然のことだろうというふうに考えるわけでございます。  また、今非常に社会保障費の増大の問題が問題になっておりますが、その中において、これからの高齢社会を迎えていく場合に、医療や福祉のサービスで新たなそういう産業と雇用の分野が広がっていくという指摘については、産構審等においても指摘されているところでございます。  こうした中において、これからの社会保障のあり方、その社会的な役割についてどのように総理並びに厚生大臣はお考えになっているのかということについてお伺いしたいと思います。  そのことと関連いたしまして、国民負担率の議論も大変なされているところでございます。私は、将来的にも国民負担率を五〇%以下に抑制する、これは言いかえれば、我が国における経済活動の半分を公が行うということにほぼ等しい意味でございますから、それを五〇%以下に抑制しなければいけないということについては当然だろうというふうに私自身は考えています。  問題は、その公が行うところの経済活動あるいは公的負担五〇%というもののその使い道、その中においての社会保障の比率というのは将来的にどうなっていくのか。それが今日のそういう公的な支出の割合の中でそのまま五〇%に抑えられるということになっていきますと、これは大変問題が出てくるだろう。  今申しましたように、社会保障全体が社会のセーフティーネットであり、その網を余り大きくしますとセーフティーネットとしての役割を果たし得ません。そうしますと、そこのところの、その時代その時代に必要な網目というものをきちっと考え、整備していくとするならば、公的負担がふえていく中において、必然的に社会保障にかかわるところのいわゆる公的な経済活動の部分が大きくなっていくのはやむを得ないのではないか。それをどのようにするのかということについてあわせて議論をしておかないと、単に公的負担を五〇%にしなければいけないという議論だけで、社会保障をその中においてどれぐらいのシェアとしてこれから考えていくのかということが見えないと、やはり国民はそこのところに対して大変不安を感じるのは当然だろうというふうに考えるわけでございます。その点について総理並びに厚生大臣がどのように長期的にお考えになっているのか、その点についてもあわせてお伺いしたいところでございます。  また、もちろんこの社会保障、とりわけ今日非常に深刻な問題になっております社会保障制度の中においても、一つの大きな柱でございます医療保険制度、これが大変厳しい状況になっているわけですが、こうした社会保障の費用というものが、社会保険料とそれからいわゆる公的資金、いわゆる税によるところの投入の問題、そして国民がそれらの利益を受ける場合のいわゆる応益部分にかかわるところの私的負担の問題、こういうふうなものが当然あわせて決定される必要があるわけですが、そうしたことが、その税の部分だけが先行されて議論されるのではなく、この三つを、それぞれ一律にはいかないと思います。しかし、大きな社会保障全体の中で、例えば医療についてはどうだ、あるいは介護等々について、障害者の問題等々についてどうだ、あるいは年金についてはどのように考えるのかということについての大きな目安というもの、これをどうするのかという議論を抜きにしては、単に数量的目標として公的負担だけが前もって議論されるというのはおかしいのではないかというふうに思っているところでございますが、そのあたりについてどのようにお考えなのか、あわせてお伺いしたいところでございます。  さらに、あわせてもう一点お伺いしておきたいと思いますのは、通産大臣の諮問機関でございます産業構造審議会、今も申しましたように産構審の中で、二〇一〇年の段階における予測として、今後、医療・福祉サービスの分野で、市場の規模が現在の三十八兆円が九十一兆円、雇用の規模の予測は三百三十五万人が四百六十九万人にふえる、このように予測されているわけでございます。  一方、厚生省の数値を見てみますと、二〇一〇年の段階での国民医療費の推計を六十八兆円というふうに押さえておられます。その中で、老人医療費が二十八兆円というふうに考えられております。このことが連動して検討されているかどうかは極めて疑問なのですが、同時に、その時期までに発足いたしております介護保険関係が十・五兆円というふうに計算されておりまして、約七十八・五兆円がこういう社会保険部分に関連する総経費として厚生省の方では試算しているところでございます。  それで、通産省は、産構審の資料としてこの数値を、推計値をお決めになった中において、この二〇一〇年の段階における市場の規模あるいは雇用の中において、民間のいわゆる活力によって任される部分、そして公的な制度の中において任される部分、そのそれぞれの試算についてどのようなものと考えてこの数値をお出しになっておられるのか、あわせてお伺いしたいというふうに思います。
  154. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 非常に大きく、しかも数多くの論点を持った御質問でありますので、厚生大臣、また通産大臣、それぞれの立場から補足するものをあわせて答弁とお受けとめをいただきたいと冒頭お願いを申し上げます。  ちょうど私どもが国会に初めて議席を得ましたころ、まさに今の議員の御質問の前段の部分に当たる、一体これからの制度づくりというもの、それは社会保険方式なのか、税を財源とする仕組み対応すべきかという点についての御論議がございました。もちろん、それに対して、税をという御意見の方々も相当数あったわけでありますが、私どもはその当時から、社会保険方式により日本の制度の組み立てば行うべきであるし、今後ともそれが望ましい、むしろ公的福祉サービスの分野はこれは税を中心として組み立てるべきものであろうという考え方を持っておった次第であります。  それは、かつて慈善という言葉がございました。これは何か、非常に恵まれた人が恵まれていない方に高いところから手を差し伸べるような印象を持つ、必ずしも好ましい言葉とは言えなかった部分がございます。そして、それに対して社会保障という言葉には、まさに個人の自立というものを基本として世の中をとらえながらそれを支援していく。議員は、病気あるいは失業あるいは老後の生活不安、まさにそういう幾つかのケースを挙げられたわけでありますけれども、個人の力のみでは対応できない、そういう事態に対して社会全体が援助していく、それによって国民生活の安定を図ると同時に、それがまた社会経済における安定、発展に寄与する、そのような思想を持っておったものであります。そして、その中においても、その自立ということを考えていった場合、保険方式が望ましいというのが当時我々が唱えた考え方でありました。  そして、そうした視点の中で今日まで議論をしてまいりました我が国仕組みでありますが、今二つの大きな問題点を抱えておると思います。  一つは、今までの、そう議論をしながらも、我々の最初の議論のころ、家族というものを単位に、世帯単位に問題をとらえるという考え方が随分長く継続してまいりました。しかし、そのうちに、例えば妻の年金権という言葉が生まれ、既に一人一人を対象とした社会保障というものがもう定着をいたしております。その世帯単位から個人へという視点の移しかえ、これが一つの転機であったと思います。  そして、今日は、だれもが実は高齢化というものは想定しながら、これほど極端な少子化というものを想定していなかった。まさに急速な少子・高齢社会というものが進展していく中で、当然ながら国民の需要の変化というものが生じます。これにいかに適切に対応するか。そして、医療、年金、福祉といったそれぞれの分野を通じて、給付と負担のバランスがとれる、さらにこれが経済活動と両立し得るサービスの選択というものが問題になり、その中に民間活力をいかに導入してくるか、これももう一つの問題点として考え方の基礎に取り入れなければならなくなりました。  同時に、世帯単位という考え方の変化の中から介護という問題が浮かび上がり、今日介護保険の創設というものが非常に大きな、依然として漠然たる不安をお持ちになりながらも、国民の中に強い要望が生まれてくる原因であると思います。そして、こうした状況の中でいかに効率的かつ安定した社会保障制度を確立していかなければならないか、これが我々に与えられた一つの問題点であると思います。  同時に、こうした問題を従来国民負担率との観点でとらえた議論というのは、いわゆる土光臨調ということで有名になりました第二次臨時行政調査会が、高齢化のピークに達する時点においても国民負担率は五〇%を超えてはならない、できればそれを下回ることが望ましいという見解を発表されたときからであったと存じますが、我々は、まさに国民負担率というのは、究極的には、国民が求めておられる公共支出の水準と裏表の問題、その受益と負担のバランスを眺めながら、その時々の情勢のもとに国民的な選択が行われるべきものと考えております。そしてその状況は、土光臨調が一つの目標値を打ち出されたころに比べてはるかに条件は厳しいものになっておることも申し上げるまでもありません。  この急激な高齢化の進展に伴って、社会保障負担というものは相当程度上昇していかざるを得ない運命を持っているわけでありますけれども、必要な給付についてそれを確実に保障する一方で、それが次世代の負担にどう影響をしていくのか。経済発展、社会の活力を損なわないように、そのバランスをとりながら制度の合理化を進めていく責任を我々は負うていると思います。  そうした視点に立って今社会保障制度全体を見渡すとき、この構造改革のためには、介護などなお必要な制度の創設、施策の充実を図っていく一方において、医療、年金を中心にした見直しを必要とする時代に入っておる、私はそのように考えております。
  155. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 ただいまの総理お話でほとんど大枠の基本的なお話は尽きていると思いますが、昨年十二月、橋本総理の提唱による東アジアでの社会福祉構想という会議沖縄で開かれました。その会議で、総理も、戦後の荒廃から今日まで振り返って、福祉のあり方を各国の代表の前で述べられました。また、各国代表と意見交換をする中で私も感じましたのは、日本は戦後、ヨーロッパのあの揺りかごから墓場までという見事な社会保障制度を見習ってやってまいりましたけれども、ようやく今日に来て、見習うだけでなく、多くの国から社会保障制度についても見習われる立場にもう立ったのだなと。そして、失敗例、成功例をともに忌憚なく話し合って、世界連帯の中でこの福祉問題を扱っていこうという総理の提唱が多くの国から歓迎されたという姿を見まして、福祉というものに限度はないなと。  どんなに整備されてもまた新たな問題が出てくるし、また多くを望むということの中で、これからの日本の社会福祉推進を考えていく場合、今委員が御指摘されたように、公的負担を五〇%以下に抑えようという考えは、やはり個人の負担や企業の負担をこれ以上高めていったら働く意欲がなくなってしまう、経済成長の成果を福祉の充実に充てようということを考えた場合、いかに経済の活力、社会の活力を維持していこうか、その活力から我々の福祉充実に振り向けていく点はどういうことが適切かという視点が大変大事になってきたと思います。  五島委員がかねがね医療・福祉問題に大変な見識をお持ちで、建設的な提言をされているということに対しましては敬意を表したいと思いますし、これからもこの福祉問題について、年金、医療、介護を考える場合、ヨーロッパにないような、予想もしなかったような日本は超高齢化社会と少子社会を迎えようとしておりまして、今後とも不断の福祉の見直し、わけても、これだけのサービスを得るのだったならばどの程度の負担が必要かという、この給付と負担の均衡を図るという点を国民の理解を得ながら進めていって、少しでも充実した福祉国家建設に向かっていきたい、そう思っております。
  156. 中川勝弘

    中川(勝)政府委員 医療・福祉分野の二〇一〇年の市場規模それから雇用規模のお尋ねがございました。  医療・福祉関連分野は、お尋ねの産構審の報告と、それからそれをもとに閣議決定されました経済構造の変革と創造のためのプログラムの中で、新規産業分野として実は十五の分野が挙げられておりますが、その一つの分野でございます。  急速な高齢化に伴いまして、今後、多様な医療、福祉のニーズの増大が見込まれるわけでございますが、新規産業分野としても大きく成長が予想される分野でございます。今後、医療、福祉の関連産業は、国民生活を支える重要な産業として、すぐれた医療・福祉サービスを提供することによりまして豊かな高齢化社会と経済活力の維持ということを両立させる役割を担っていくものと考えております。  具体的な二〇一〇年の市場規模、雇用の予測の基礎でございますけれども、これは、医療・福祉分野、大きく三つに分けまして、医療関係、福祉関係、健康関係といった分野ごとに、例えば医薬品あるいは医療機械、福祉器具、健康増進器具等、いわばメーカーとしての産業の今後の動向、それからそれに関連いたしますサービスでございますが、恐らく二十一世紀になりますと、在宅の医療サービス、あるいは情報化によります遠隔地の医療サービス等の成長が期待されるわけでございますし、また、病院の業務代行としての検査代行、あるいは病院給食等の民間活力を活用いたしましたサービス業等の成長も考えられるところでございまして、これらのサービスの需要の動向というのを、厚生省のデータ、情報も基礎にいたしまして、私どもで大胆な推計をいたした数字でございます。
  157. 五島正規

    五島委員 総理、厚生大臣から御答弁いただいたわけですが、私も、我が国の社会保障制度は社会保険制度の上に成り立っていると。税でやるべきか保険でやるべきかという議論というのは、それはそれとして議論としてはあったとしても、それぞれ長所、短所あるだろう、それをいかにやりながらやっていくかということで、現実問題として我が国に社会保険制度というのが定着している、この事実を無視して話をするというのは更地に家を建てる議論をするようなものでございまして、そうはならないだろうということは十分に理解するわけでございます。  また、おっしゃるように、いわゆる私的負担の問題と公的負担の問題、とりわけ公的負担といった場合、保険給付の問題と、それから応益負担の問題についてあわせて検討しなければいけないということについてもよく理解できる。  ただ、私が総理のお口からお聞きしたがったのは、いずれにしても公的負担が五〇%近くまで上昇せざるを得ないという試算の中において、その中における政府の経済活動として、社会保障全体が、現在の政府の、地方を含めたそういう公的な経済活動の比率に比べてふえるのはやむを得ないのではないか。それを、現在の社会保障の比率のままで抑制することを前提としてこの五〇%論をおっしゃっているのか。その五〇%の枠の中において、ほかの部分が縮小しても、やはり公的な負担の部分の比率というのは相対的にふえるのではないかということを申し上げたかったわけでございます。  あわせまして、時間がございませんので、また厚生大臣からなりそのあたり御答弁いただければありがたいわけですが、次の問題に入っていきたいと思うのです。  今回の医療保険の改正問題というのは、これは政府がただ出してきたという問題以上に、このまま放置するならば政管健保はこの秋にも崩壊する危険性がある。もしそういう状況に立ち至るとするならば、拠出制度で成り立っている老人保健もまた、もたないだろう。老人保健制度がもたないということは国保にも波及するということで、まさに今、医療保険制度をどう維持していくかというのは極めて緊急の課題であるということについては、私は十二分に理解しているつもりでございます。ただ同時に、これが単に財政措置としてこの問題がやられただけでは、これはとても国民としては納得できない。  一方において、平成十二年度実施の介護保険がもう既に議会に提案されています。今回政府がお出しになられました医療保険改革というのは、平成十二年度までのそういう財政措置しか、少なくとも厚生省の数字をそのまま信用するとすると、これは後ほど申しますがかなり違うと思いますが、信用するとすると、平成十二年度までしかもたない。そういうふうな、一方で平成十二年度から実施しようとする介護保険の法案を審議しているその議会に、平成十二年度までしかもたないようなそういう緊急財政措置だけが提案されている。そこのところで、社会保障制度審議会等においても、医療保険制度全体の改革の方向を示しなさい、そしてそれについてのタイムスケジュールを明確にしなさいというふうな指摘があったというふうに考えています。  私は、この点についても、やはり国民にとって負担が結果的には伴うものである以上、激変を避けつつ、皆保険制度を維持し得る期間の中でこのタイムスケジュールをつくり、段階的に改革していくしか現実的にはないのだろうというふうに思っています。  もちろん、このタイムスケジュールというのはあらかじめ国民に知らされなければいけないわけですが、財政状況の悪化と高齢化の進捗によるこの医療保険財政の窮迫状態からするならば、この改革の達成というものはできるだけ早い方がいい。しかし、激変を避けるということとの兼ね合いの中で、私は、今回の改正案を提出するとするならば、せめて五年ないし七年の間に、ここまでこういうふうな形で皆保険制度を維持するために基本的にやっていくという、そのスケジュールを示すべきではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、その点についてどのようにお考えか。どちらでも結構です、総理でも。厚生大臣、よろしくお願いします。
  158. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 確かに、今回の医療保険改革において、保険財政がもたない、これは喫緊の課題であります。今の行政改革、財政改革が、なぜしなきゃならないのかというのも、.考えてみれば、お金がないということ。このお金がないということは、必ず私は構造改革を促していくと思います。これは医療保険制度でも同じだと思います。  そして、今回の案につきましても、総合的にかつ段階的に実施していかなきゃならないという観点から、与党の医療保険制度改革協議会においても、抜本構造改革について一年以内に結論を出すとしております。また、保険審議会あるいは老人保健審議会等からは、あるべき一つの姿をいろいろ建議をいただいております。  そういう国会の議論、与党内の議論、各審議会の御意見を聞いて、一年以内に結論を出すと言っておられますから、その検討状況を踏まえながら厚生省としても具体的なスケジュールを提示していきたい、そう考えております。
  159. 五島正規

    五島委員 一年以内にその方向をお出しになるということですが、その方向をお出しになるときに、もう少し、二つの面で具体的に検討していただきたいと思います。  一つは、先ほど総理からもお話がございました、税でやるのか保険でやるのかという問題。  しかし、個人年金、個人保険の時代に入ってきた。実は、昭和三十五年の国保が成立した段階において、国保というものを含めて皆保険制度が成り立ち、その国保に対しては、やはりバランス上、税を投入せざるを得なかった。しかし、提供されるべき医療については、国保であるから医療は半分でいい、あるいは組合健保であるからそうではない、提供される医療の質について差をつけることはできないという状況の中で、実は税というものがそこに入ってきたわけでございます。  こうした形で、医療保険に対する税の投入というものを、これを避けるということは、今の日本の社会保険制度の中においてはこれは無理である、やはり税の投入というものはやっていかざるを得ないというふうに思うわけです。  そして、そういう状況の中で、今、政管健保が財政的にこのままではもたないというところまで来ている。その関係でまず検討していただきたいのは、例えば医療保険に対する税の投入については、額はともかく率としては、この間特例的に、非常に特例措置によって縮小してきているわけですね。さらに、繰り延べ措置によるところの国の健保財政からの借金もございます。これらの措置をどうもとへ戻していくのか、あるいは戻さずに、そのままそこの部分を保険料なり国民負担に置きかえていくのかという問題が一つございます。  現在、政管健保から国が借りているといいますか、お金は九千五百億あったわけですが、この間の補正予算で千五百幾らかが返ってくることになりました。残額約八千億ございます。この八千億の金はどのようにして政管健保に返済されるのか。私は、向こう三年間の間にこれは返済してしまうべきであると考えておりますが、その点について大蔵大臣、どう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。  また、平成四年度の改正、この改正は御案内のように、保険料を千分の八十四から千分の八十二に引き下げる、そして政管健保に対する国庫の補助率を一六・四から一三%に引き下げるという措置でございました。しかし、今回の厚生省の改正案の内容を見ますと、現在の千分の八十二から千分の八十六にふやそうというわけでございます。  そうだとすると、平成四年に政管健保に対する国庫補助率を三・四%引き下げた、介護部分は一六・四%のまま残されておりますが、引き下げた。そこのところはもとへ戻すのか戻さないのか。これはやはり、政管健保に対する国の借金を返済した後においては、私は戻すということを前提に今後の財政運営を考えるべきではないかというふうに考えますが、その点について大蔵省の方はどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。  また、国保につきましても今回、平成十一年から本則どおり公費二分の一の定率負担にするというふうにおっしゃっているわけですが、これがなかなか信用する人が少ない。これまでこうなってもそのときの財政状況の中でしょっちゅう変わってきている。これは間違いなく実施するんだろうなということについて、改めて厚生大臣にも御答弁いただきたいと思います。  そして、さらにもっと大きな問題として、私は消費税の医療非課税の問題があると思います。  医療に対して消費税を非課税とするという政策決定がなされています。それはそれでいいことだと思いますが、しかしそのことによって、医療保険のサイドから消費税相当分として年間約五千億を、医療保険の方でこれの、言葉は悪うございますが、しりぬぐいをしている。本来税制度の措置を、なぜさまざまな保険の構成から成り立っている医療保険が肩がわりするのか、その根拠は私にはわかりません。消費税は非課税とするというのであれば、やはり税の世界の中で決着をつけるべきではないか。インボイスの問題は当然ございますが、医療機関の場合は病院会計則を適用させることによってインボイス問題は完全にクリアできる。とすれば、これはやはりゼロ税率ということによって医療非課税を実施すべきではないかというふうに考えるわけでございます。その点、こうした形での公費との、税との関係の問題についてどう考えるのかということが一つでございます。  もう一つは、医療保険本体の持っている矛盾の問題でございます。  とりわけ老人保健との絡みでございますが、医療保険そのものは、国民医療費という形で老人医療費とセットにして議論されています。しかしこれは、御案内のように、老人医療費とその他の被保険者との間で整理して検討しますと、実は老人医療以外の医療費というのは、この二十年間、対GNP比で三%台から動いておりません。平均して三・五%、極めてフラットな形で少なくともこの二十年間は推移した。その以前とは非常に大きな違いがございます。また、それはもちろん、国民所得との関係でいえば四%台、四・五%ということになってまいります。この額が高いか低いかという議論は一つございます。この額を対GNP比でもっと小さくしようということになれば、保険システムそのものをかなり大きく変えないとできない話でございます。  しかし、もう一方、老人医療の方を見てみますと、この老人医療の高騰部分というのは、これはちょっと単なる老人の増加、人的な増加ということでは説明できない、そういう増加の程度をしています。増加の内容を厚生省がお出しになっておりますさまざまな資料を見て検討しても、薬剤費の、一般医療、老人以外の医療と比べた場合に非常に大幅な増加、あるいは検査の増加、処置の増加、すべての部分において老人医療の中においては非常に混乱があるように思います。言いかえれば、二十年以前の健康保険制度と同じような矛盾を老人医療の中には抱えているというふうに思います。  そういうふうな中で、まずは医療と介護を分けようという形で介護保険問題は議論されているということについて、私は極めて正しいというふうに思っております。ただし、それだけでは極めて不十分だろうというふうに思います。そういう意味では、老人医療が拠出制度であり、本当に保険者機能が果たせているのかどうかというところについて私は大変大きな疑問を持っています。  そして、それと関連して、時間がございませんのでもう一つあわせて申し上げておきますが、診療報酬の中で薬価制度の問題でございます。  基本的に、医保審の議論の中でもあるいは議会の中においても、薬価差益の問題ということだけが主張されてまいりました。薬価差益をなくするということは建て値を固定するということにつながってまいります。本当にそれによって、建て値を固定してしまって薬価改定によって薬剤比率、薬剤費に対する負担、これを国際並みに抑えていくことができるのか。これを過去厚生省十二年間の努力の結果を見ますと、薬価改定によって薬剤費そのものは十二年間に約二分の一に引き下げられたことは御案内のとおりです。にもかかわらず、薬価改正があったとしても、高価格薬品に医療全体が推移することによって、この薬価改正の努力というのが何ら医療全体の中においては反映されずに、トータルな薬価費の大幅な増加になっていることは御案内のとおりです。そういう意味では、抜本的に現在の薬価制度のあり方そのものを変えていく必要があるのじゃないか。  今回の政府がお出しになっている一種類十五円の本人負担というものが、それに置きかえて考えた場合に、本当に、これまでのように医薬品が高薬価品に一斉に移っていくということによって結果的にはそういう改正の努力は何もできなかったということに対して一定の歯どめになるとお考えかどうか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。  この以上三点についてお伺いしたいと思います。
  160. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 総合的に広範な御質問、御提示、御意見をいただきましたが、最初に指摘されました政管健保の繰り延べについてきちんと返済を求むべきでないかということでありますが、その御意見については私も同感であります。今後とも大蔵省に対して返済を要求していきたいと思っております。  また、今回保険料率を引き上げるのであれば国庫負担割合も引き上げるべきではないかということでありますが、これは、今の国の財政状況を考えますと、できるだけ公費の負担を少なくしなければいけない、歳出を削減しろという要求はまず国民多数の声だと言っても私は過言ではないと思うのであります。  その際に、いかなる歳出も聖域はないとするならば、社会保障制度、これから高齢化社会がますます進んでいく場合、現在の制度を前提にした場合にはこの負担がすぐ五割を超えてしまうということから、一切の聖域なしに歳出削減を考える、構造改革をするという一環で今回の社会保障制度の改革も考えていかなければならないということを考えますと、この国庫負担割合を引き上げるというのは大変難しい状況ではないか。だからこそ、今後給付と負担の均衡を図らなければならないということで、大変国民にもある面においては厳しい選択でありますけれども、税金の負担、保険料の負担、受益者の負担をどう考えていただくか、ある程度の負担増を現役世代が図っていかないと、これから将来働く世代に、より過重な負担を負わせるということから今構造改革に着手したわけでありましたので、今後この国庫負担の割合を引き上げるというのは、私は大変率直に言って厳しい状況ではないかと思っております。  また、薬価基準の見直しでございますが、大変厚生省としても今まで努力してまいりました。しかしながら、まだまだ改善の余地があるのではないかという各方面の御意見をいただいておりますので、この点につきましては、今回の法案の中におきましても、今までの審議会を二つ廃止して、新たに医療保険制度の構造改革に関する審議会を設けまして、老人保健制度の抜本改革を初めとして薬価基準等構造改革について御意見をいただき、その検討結果に基づいてこれから本格的な構造改革に取り組もうという姿勢で臨んでいきたいと思います。  また、消費税の問題については、これは社会保険診療報酬については非課税でありますが、ほかの、医療機関が医薬品や食事材料等を仕入れる場合には消費税が課税されている。その消費税課税分は医療機関が負担することになるということでありますが、これはむしろ私が答弁するよりも、大蔵省の問題でありますので、大蔵大臣に譲りたいと思います。
  161. 薄井信明

    ○薄井政府委員 社会保険診療報酬につきまして消費税が非課税になっているわけでございます。  御存じのように日本の消費税は付加価値税でございまして、製造、卸、小売りのすべての取引段階に一たん課税はいたします。ただし、税金が重ならないように前段階で負担した税金を仕入れ控除するという仕組みをとってございます。そのため、非課税の取引ですと、仕入れにがかった税金を値段に乗せて前転していく、転嫁していくというシステム回収していただくというシステムになっております。消費税という制度、税制の持つ特徴の一つでございまして、同じような制度をとっておりますヨーロッパの諸国におきましても、医療サービスにつきましては非課税となっておりまして、御指摘のようにその前の段階でかかってきた税金を還付するという仕組みをとりがたいということを御理解いただきたいと思います。  お触れになりましたように、ゼロ税率という仕組みがあるではないかということは御指摘のとおりでございますが、消費税というすべての取引に課税をしていくということでバランスのとれている制度の中でゼロ税率という制度をとることは、その制度の本質的な性格からしてとりがたいということで、EUの統一指令の中でもゼロ税率はとらない仕組みになっております。  そういう意味で、社会保険診療報酬という値段で決まっている医療サービスにつきましては、社会保険診療報酬の値決めの段階で処理していただくということで消費税導入以来お願いしているところでございます。
  162. 三塚博

    ○三塚国務大臣 社会医療保険制度、政管健保の繰り延べ措置、厚生大臣からも言明がありました。本件については、平成六年度を最後として近年においては繰り延べ措置をとっておりません。また、現在の政管健保の深刻な状況にかんがみ、平成八年度補正予算の中で千五百四十三億円を返済いたしたところであります。本件については、引き続き誠意を持って対応してまいりたいと考えております。  国民負担の問題については、基本的なラインは厚生大臣から言われました。高齢化社会を迎えて各国の政府が深刻な対応に入っておることは御案内のとおり。中でも我が国の高齢化の進展がトップでございますものですから、先ほど来医療制度のあり方について御指摘のように、本件は税収をもとにした医療の限界をどうこれを乗り越えるかということでありますと、総理の言われる、また五島ドクター、議員が活力という点から見識を御披露いただきました。  私は大変傾聴いたしたところでございまして、そういうことでありますと、どう活力を維持していくかというと、国民負担率、しかし限界がありますと。受益と負担という基本的な医療制度、また医療の改革、お触れになりました、医療と介護の問題と薬価の問題という御指摘を賜りました。厚生省の大臣ではありませんが、財政の面から大変有意義な御提言でありますので、真剣に財政当局としても考えていかなければならぬと存じます。
  163. 五島正規

    五島委員 今の御答弁に対しては、率直に言ってかなり承服できないところがございますが、いずれ医療保険については委員会の審議も始まりますので、詳しい部分はそこの議論に譲りたいと思います。  ただ、一つだけ指摘しておきたいと思いますが、厚生省がこれまで出しておられる資料を見てみますと、現状の医療保険財政の極めて緊迫した状況はよく理解するわけですが、そこから先の見通しについても何となくこけおどし的な部分がございます。例えば国民医療費については、二〇〇〇年の段階で、厚生省の資料によりますと、老人医療が十三兆円、国民医療費が三十八兆円ですから、老人以外の医療費が二十五兆円、こういう数字をお出しになっておられます。  そうしますと、現実に医療費がどうなっていくのか。過去、その根拠については非常に変動の激しかった三年間だけを平均してそれで推計しておられますが、五年間の平均値をもって見ますと、老人医療以外の医療費というのはそう上がっていないわけです。そして、それに比べて老人医療費については年々ウナギ登りにふえていて、この数値ではとてもおさまらないのではないかというふうな数値がございます。老人以外の医療費だけで言えば、ここで私は約三兆円ぐらい、たった三年間ですが、厚生省は過重に見込みしておられる、しかし老人医療費についてはこれでは足らぬのではないか。そういう意味では、老人医療費について早急にどうするのかというふうなことを基本的にきちっとやっていかないといけない。  それから、薬価の問題についても今おっしゃいました。いろいろな審議会その他での議論も必要でございます。しかし、基本的な考え方として、医療保険でもって、それが高いかは別として、建て値を決め、それのそれぞれの保険給付なりあるいは定額なり定率なりで本人負担をやっていくという制度では、この医薬品の今の使用状況が歯どめがかからなかったし、どうしようもなかったというのははっきりしているわけです。  そうだとするならば、今まで考えてきたように、保険料の建て値のところに指定するのではなくて、例えば償還払い、参照価格制度に償還払いを組み合わせるような形で、百円の市場価格のものに対しては、例えば六十円保険で償還します、しかし、患者さんに対して薬局なり医療機関が売る薬については、幾らで売ろうと百円を超さなければ自由ですという市場競争が導入できるような方向に入っていくならば、間違いなく市場競争の中で薬価は下がっていきます。  また、今回の医療費の改定の中で、なぜ一種類、定額で十五円なのですか。安い薬でも十五円、高い薬でも十五円。そうなった場合に、高薬価への移行というものが全然ストップがかかりません。私は、厚生省の官僚が計算すればこの方が大きいというのはわかるけれども、例えば一日百円までの薬については定額で取りませんよ、百円以上の薬から取りますよとした場合に、初めて医者が薬に対するコスト意識を持ち出します。患者さんと直接お金の受け取りをしなければいけない医者がコスト意識を持ちます。今患者さんに薬に対するコスト意識を持ってもらおうというけれども、私は、処方する医者が恥ずかしながらコスト意識を持っているとは思いません。  そういう状況から考えれば、高価格薬品に対して、不必要に移行することを抑止するためには、現在厚生省がやろうとしておられる制度というのは何の足しにもならず、ただ単に負担の増加になるのではないかというふうに思っております。この点については委員会でも引き続き議論をしていきたいというふうに思っております。  そして、時間もございませんので、二つだけ指摘させていただきたいと思いますが、少なくとも平成十二年には介護保険が発足します。介護保険は、御案内のように外来において一割、入院については食事その他を入れて二割というふうになっています。この制度間の負担の格差があったままでうまくいくのか、私はいかないと思うのです。そういう意味では、平成十二年の段階において、老人医療の本人負担について、制度間の格差をなくするということを前提として、それに対する激変緩和としての措置という面を今回きちっと検討されるべきではないかというふうに思いますので、その意見を申し上げておきます。  そして同時に、老人医療の負担について、そうした形で率を動かす段階において、なぜ老人だけなのか。例えば健保についても、本来、健保本人あるいはその家族合わせて二割負担が本則のはずです。今日本人だけが二割負担になっています。これ自体もおかしいわけですが、とりわけ収入がない等々の問題から考えれば、乳幼児の医療費の負担、小学校へ入る前の乳幼児の負担については老人と同率にするぐらいのことをやるということが、やはり子育て世代に対する支援として必要ではないか。そしてその一方で、現在の医療保険から出されている現金給付その他のさまざまな分野における保険適用の見直しというものを、これはやはり私は急いでやるべきであろうというふうに思っています。  さらに、現在介護保険と関連いたしまして、医療法の改正が出されています。しかし、御案内のように、この医療保険そのものをどうするかという議論の中で基本的改正をしていくとすれば、当然医療法の改正を伴うことがたくさん出てまいります。  例えば、医師を初めとする医療従事者の需給体制の問題など、あるいはベッドの問題等々、数々ございます。こうした医療法の改正をこれまでのベースから大幅に引き上げて、早めて、そして例えば医者の養成の問題、あるいはベッドの問題、あるいは医療体制の問題として医療の情報公開なり、あるいはプライマリーケアやかかりつけ医の制度化の問題等々の、そういう医療供給体制の問題について、そのスピードアップを図る御意思があるのかどうか、その点を最後にお聞きしたいと思います。  私は、一つだけ提案させていただきたいのは、医師、歯科医師の教育年数、臨床研修の年数ではございません、教育年数を諸外国に合わせて八年にすべき、現在の医師の定数はそのままにして八年にして、一学年の養成数を二五%カットすべきであるということをあわせて提案して、最後の質問とさせていただきます。
  164. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 お話を伺っておりまして、さすが専門家の御意見で、教えられる点がたくさんあると思います。しかし、今回の案においても、例えば、今委員御指摘がありました一種一剤十五円はどうかという話においても、この具体案が出てきたからこそ、初めてそういう建設的な案が出てくると思うのです。  今までいろいろな意見がありました。まとまらない、具体案を出せない、そういうことを考えますと、今回具体案を出したということ、この具体案を出したということは、今、五島委員指摘されましたもっといい案があるのではないかという、より建設的案を引き出すという意味において、私は、大変有意義な法案ではないかな。  後ほどまた厚生委員会で、いろいろ御指導、また御意見を伺わせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  165. 五島正規

    五島委員 かわります。
  166. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて五島君の質疑は終了いたしました。  次に、中沢健次君。
  167. 中沢健次

    ○中沢委員 民主党の中沢でございます。  実は、総括質疑が順調に続いておりまして、我が民主党としては、私がしんがりの質問になります。しかし、残念ながら時間がかなり制約をされておりますので、幾つか問題を絞りまして、率直にお尋ねをしたい。総理を初め閣僚の皆さんも、連日大変御苦労さんでありますが、できるだけ簡潔に、それぞれ的を射たお答えをいただきたい、このように考えております。  まず最初に、つい最近の補正予算の問題について、少しく総理の方から見解をお聞きをしたいと思うのです。具体的な経緯についてはもう十分御承知でございますので、省略をいたします。  先月の二十七日から補正の予算の審議が始まりました。冒頭処理をするかしないかをめぐって与野党いろいろありましたけれども、特に、私どもの民主党は、こういう経済状況、景気の状態であるから、やはり急ぐ予算は冒頭処理をすべきではないか。結果的に、各党の御協力をいただいて冒頭処理、そして三日間の衆議院の審議を行いました。政党政治でありますから、予算委員会の議論はもちろん議論といたしまして、もう一方では、私どもの党と、新進党、太陽党三党がそろいまして、補正についての四つの組み替え要求を、実は自民党との間でちょうちょうはっしやってきたわけでございます。  結論からいいますと、三日目、結果的に予算委員会は不正常になりました。しかし、その午後、自民党の国対委員長の方から、私どもの四項目に対する追加回答が正式に提起をされまして、私どもは、それをもって本会議同日立ち上げと、非常に異例だと思うのでありますが、そういう国会正常化に向けての努力をしてきたつもりでございます。  これからまだまだ本予算の審議が続くのでありますが、総理一つ確認の意味でお尋ねをしたいのは、この自民党の国対委員長の追加回答について、予算の審議あるいは場合によっては平成十年度の予算編成とも関連をすると思うのでありますが、その辺についての見解を明確にお聞かせをいただきたいと思います。
  168. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員からお話がございましたように、新進党、民主党、太陽党三党から、平成八年度補正予算(第1号)に対する組み替え共同要求をちょうだいをいたし、それに対し回答があり、そして、それに対し追加回答が行われております。これにつきましては、当然のことながら公党間のやりとりでありまして、文言どおり私どもはこれを受けとめてまいります。
  169. 中沢健次

    ○中沢委員 今総理の方から、公党間の約束でもあるし、しっかり総理として受けとめてやる、こういう御見解でございます。内容の個別のことはひとつ割愛をさせていただきたいと思うんです。  さて、話題を変えまして、本予算の内容について、主として我が党としては、やはり増税路線ということは非常に国民からも反発が強い、したがって、この際、本予算についても徹底的に歳出を切り詰めて、そして結果的に国民政治的な信頼を回復をすべきではないか、一つはこういう基本的なスタンスを持っているところです。  そのことを前提にいたしまして、まず具体的に公共事業を中心とした歳出削減の問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。  その一つは、従来からも議論がございました例の六百三十兆の長期の公共投資計画。これは、規模も含めて、あるいは実施の年数も含めて、全体的に縮小するあるいは年限の延長をすべきではないか、野党としてはほとんどそういう大方の意見だというふうに私は理解をいたします。  私も全く同感でございまして、特に平成六年の閣議の了解事項、必要に応じてこの六百三十兆問題について見直しをする、こういう具体的な条項がきちっと明記されているわけでありますから、言うまでもありません、与党の内部でもあるいは閣僚の内部でも、ややニュアンスが違いますけれども、この六百三十兆問題についての見直し、大きな声として党内外あるいは国会の外からも聞こえているんではないか、こんな思いがいたしますので、明確に、総理の決断として、いつごろまでにこの六百三十兆問題について具体的な見直しをするか、規模、年限の延長を含めて明確にお答えをぜひお願いをしたいと思います。
  170. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本院におきましてもこの問題は何遍か御論議がございました。そして、この計画そのものも聖域ではないんだということは何遍か申し上げてまいりました。  ただ、公共投資基本計画、最初の四百三十兆、四百十五兆プラス弾力化枠十五兆と言われます公共投資基本計画をつくりましたときの私は責任者でありますから、その当時におきまして、またそれが増額をされました六百三十兆という現在の公共投資基本計画につきましても、これは今後我が国が整備していくべき社会資本の一定のレベルというものに到達するための必要額、そうした視点から形成されたものであることは御承知のとおりであります。  そしてこれとは別に、各公共事業それぞれがいわゆる五カ年計画というものを持っております。そして、その持つ意味というものも、何回か申し上げてきたわけでありますが、これは一つの目安として設定したものであるということを申し上げてまいりました。  今後当然のことながら、私どもはこの財政構造改革というものに取り組んでいきます中において、聖域なくそれぞれの分野を見直していかなければなりません。また当然ながら、ただいま御審議をいただいておりますこの九年度予算そのものにおきましても、例えば道路ならば高規格幹線道路へ、あるいは空港ならハブ空港に、あるいはハブ港湾にシフトしていくこと、そして新たにスタートさせる箇所数を稼ぐのではなく、一つ一つの工事の期間を短縮していく、そういう努力をすべきこと、既に申し合わせております。今後、財政構造改革を論議していきます中において、聖域を持たないということを繰り返し申し上げてまいりました。どういう形にしていくかは別として、議論をしていくことについては先般来申し上げてきたとおりであります。
  171. 中沢健次

    ○中沢委員 今の総理のお答えは、やや抽象的といいましょうか、見直しをするという一つのニュアンスは一応、私も政治家の一人でありますからわかるのでありますが、しかし、規模あるいは期間の延長、こういう具体的な指摘を私はしたわけでありますが、こういう二つの問題も含めてこれから前向きに検討する、このように受けとめてよろしゅうございますか。
  172. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 論議をしていきます過程におきまして、いずれの道を、あるいは組み合わせの道を、あるいは第三の道を、それはいろいろありましょう。今日まである意味では公表しております数字でありますから、これを変更する、あるいは期間を延長する、さまざまな影響を考えましたときに、これ以上具体的なお答えをすることは私はむしろ控えるべきだと思いますが、いずれにいたしましても論議の対象とする、その結論は、その結果どういう方向に向けていくかという、これを今から予断することはできませんが、いずれにいたしましても検討してまいりますということを申し上げております。
  173. 中沢健次

    ○中沢委員 今の問題は、これからやや中長期にわたる我が国の予算のやはり根底にある部分だと思うのです。ですから、今ほどの答弁はきょうのところはやむを得ないと思いますが、私を含めて我が党としてはこの問題について重大な関心を持っている、このことだけは申し上げておきたいと思うのです。  次に、今ほど総理の方からも五カ年計画の話が出されました。今までも、各委員の方からそれぞれさまざまな角度からこの問題を取り上げてきたのでありますが、まず事務的なことを一つお尋ねを申し上げたいと思うのです。  十六本の、一本は十年計画でありますが、十六本の五カ年計画の総体的な事業費がどの程度なのか、全体のまとめで結構でありますから、数字をまず明らかにしていただきたいと思います。
  174. 小村武

    ○小村政府委員 公共事業に関する十六本の計画でございますが、この中には、先生今御指摘のとおり十カ年計画等のものもございます。また、終期もおのおの異なっております。現在、その金額を機械的に足し合わせてみて、非常にまた誤解も生ずるかと存じますが、仮にそういうことを前提にいたしますと、計画総額は約二百六兆円ということになります。
  175. 中沢健次

    ○中沢委員 今改めて五カ年計画全体の事業費、およそ二百六兆。正直言いまして、六百三十兆問題ももちろんそうでありますけれども、そのことをベースにして、十六本の公共事業が全体で二百六兆である。しかも、先日同僚の委員から指摘申し上げましたように、中でも、つい最近七本の計画が策定をされた、ほとんどが平均的に一四〇%という事業費の増加になっている、こういう議論もございました。  さかのぼって言いますと、我が党の代表が、やはりこの十六本の五カ年計画、国会の審議なしに閣議で決めるということにも問題がある、法案の名前を別にして、公共事業のコントロール法ということを考えてはどうか、こういう指摘を申し上げました。それについて今時点総理の基本的な考え方をぜひ聞かせていただきたいし、同時に、確かに長期計画でありますから、計画そのものは目安である。過去の達成率もさまざまです。私なりにそれはよく承知をしていますけれども、目安といえども七本で一四〇%という、四〇%も事業費をふやしていくということ自体、行政改革や財政再建の総理のおっしゃっている至上命題に逆行するんではないか。この二つについて、総理の方からお答えをいただきたいと思います。
  176. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、これも何回か他の委員の方にもお答えをしてきたことでありますけれども、それぞれの計画、五カ年計画、十カ年計画も御指摘のとおりございます。これは、それぞれの事業の一つの目安、目標設定でありますから、これ自体を国会に御提案を申し上げるという筋のものではないように思います。そしてそれは、毎年毎年の予算編成の時点において、その中の着手すべきもの、継続すべきもの、こうしたものを積み上げて予算編成が行われ、それ自体国会の御審議を得ておるものでございます。私は、必ずしも、その個々の計画を国会の御審議に目安の段階でお願いを申し上げることが適当かどうかといえば、従来から否定的なお答えを申し上げてまいりました。
  177. 中沢健次

    ○中沢委員 今の御答弁のなかったことも含めて、またもう一つ、六百三十兆問題と同じような基本的な考え方なんでありますけれども、この際、こういう五カ年計画十六本、総体的な事業規模、事業費の見直し、あるいはもっと言うと五カ年計画を六年なり七年にする、十年は十一年、十二年にする、それによって単年度にはね返ってくるのはもう一五%から二〇%とさまざまだと思うんですね。  そういうことも含めて、ベースは六百三十兆ですけれども、五カ年計画、十カ年計画といえばそれに乗った具体的な国の長期計画、公共事業の長期計画の目安でありますから、総理の言うように、財政構造改革に向かって、そこのところも聖域にしない、しっかり切り込んでやる、こういう決意はお持ちなんでしょうか。
  178. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど日米構造問題協議の際、論議になりました点の一つが、これら各種の公共事業についての長期計画を、年度途中のものも次年度を初年度として、計画年次スタートから終了までの時期をそろえるべきであり、その内容についても議論をしたいという要望を、私は拒否するという場面がございました。そして、トータルとしてのそれぞれの分野における我々の整備したいと思う目標の積み上げの中から公共投資基本計画をつくってまいりました。そして、その時点の論議の一つは、こうした長期計画というもの、あくまでも目安であり、法律をもって国会にお諮りをしているものではないというのが、私の主張の一つであったことを先ほどのお答えに追加をいたしたいと思います。  その上で、繰り返し申し上げておりますように、財政構造改革の論議の中で、聖域を持たずに議論をしていけば、当然のことながら議員の御指摘のようなことも論議の対象として出てくることを私は否定しておりません。明言をするかどうかと言われますが、これは、議論の中でどういう方向に持っていくことが財政構造改革の上の一番よき手法であるかということを考えていく中にきちんと答えを出してまいりたい、そのように思います。
  179. 中沢健次

    ○中沢委員 私の期待としては、総理のリーダーシップをこの問題でもやはりあらかじめ発揮する、総理としてはこのようにしたい、そういう決意を私は聞きたかったわけです。ですから、今のところ周囲の状況からいって非常に難しい、こういうお話であれば、きょうのところはこれ以上はこの問題については質問をいたしません。  さて、次の問題について具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  公共事業にやや絞りまして幾つかお尋ねをしたいと思うのでありますが、まず建設大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。  つい最近のこの予算の審議の中でも、しばしば答弁に立たれまして、公共事業のコストの問題について、民間よりも二割から三割高い、こういう表現でお答えになったというふうに私は理解をしているのでありますが、大臣の認識として、どういうことでしょうか、いわゆる国の発注する公共事業、民間の発注する諸事業、コストが、そういう認識をお持ちなんでしょうか。明確にまた改めてお答えをいただきたいと思います。
  180. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、あらゆる議会の答弁におきまして、公共事業のコストが民間に比べて二、三割高いということを言ったという覚えはございません。言っておりません。  じゃ、認識はどうかというお尋ねでございますが、民間との比較で申し上げますと、好況時におきましては、これは御承知のように、むしろ公共事業よりも民間の方が高くなっていくという傾向もあると思いますが、景気が非常に落ち込んでまいりますと、民間では出血受注に近い状況も生まれてまいりますので、相対的に公共事業の方が単価が高いと言われる状況が生まれてきやすい場合もあると思います。  現在の状況はどうかといいますと、これは個々の事業別に申し上げませんと、トータルでどうだというように申し上げるわけにいきませんが、それにいたしましても、国民からいただいている税金を効率的に使っていくということは当然の話でございますから、総理からコスト削減への最大限の努力をしろという御指示をいただいて、今やっておるわけでございます。  なお、私への御質問ではございませんでしたけれども、先ほど来委員お話を聞いておりますと、財政再建イコール公共投資を減らすというように聞こえてしようがないわけでございますが、社会資本を着実に整備していくということについては、ぜひひとつ委員からも御理解を賜りたい。北海道におきましても、そういう要請は非常に強いわけでございます。
  181. 中沢健次

    ○中沢委員 私が質問した以外のことは、個人的には別にいたしまして、こういう予算委員会の公の場でございますので、ひとつこれからは慎んでいただきたいと思います。  いずれにしても、今建設大臣の方から、自分としてはそういうふうに発言はしていないと。しかし、そういう話を聞いているということは、二、三割高いという話を聞いているということは発言されていますか。いや、これはいいです。  そこで、ちょっと切り口を変えまして、会計検査院にちょっと具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  今までの審議の中で、うまり公共事業に限定をして、ずばり言えば、税金のむだ遣いが幾つか指摘をされていますね。既に、むだの象徴がダムだなどというごろ合わせば別にいたしまして、八百五十億という数字が示されているわけです。私は、そのこともそうでありますけれども、それ以外に、特に国の大規模プロジェクトについて、過去、検査院として具体的なそういう事業内容に立ち入って指摘をされたケースがまだあるのかないのか、お答えをぜひお願いをしたいと思います。
  182. 疋田周朗

    ○疋田検査官 お答えいたします。  公共事業のうちの大規模プロジェクトにつきましては、長期間にわたりて事業が実施されますし、多額の予算が計上されることから、私ども会計検査院といたしましても、従来から重要な検査対象と位置づけまして、会計経理の合規性あるいは事業の経済性、効率性などの観点のほか、事業が所期の目的を達成し、効果を上げているか、こういう有効性の観点からも重点的に検査に取り組んできているところでございます。  今議員御指摘の大規模事業にかかわる本院の指摘といたしましては、その事例といたしましては、まず、多目的ダムの建設事業におきまして、地元の反対などにより、事業着手後長期間経過しているのにダム本体の工事着工のめどが立っておらず、事業の効果が発現していないというような事態を取り上げまして、治水対策や将来の水需要などを総合的に勘案して、事態の改善を図るよう問題を提起したものがございます。  また、国営木曽岬干拓事業におきまして、長期間にわたり造成した干拓地の県境問題が確定せず、土地の利用計画が定められていなかったり、国営羊角湾土地改良事業におきまして、漁業補償問題が解決せず、工事再開のめどが立たなかったりして、事業効果が発現していない事態を取り上げ、干拓地の有効利用や事業の進め方を多角的に検討するよう意見を表示したり、問題を提起したりしたものなどがございます。  今後とも、会計検査院といたしましては、このような多角的な観点から充実した検査を行ってまいりたいと考えております。
  183. 中沢健次

    ○中沢委員 今、具体的な事業内容三つについていろいろお答えをいただきました。時間があればもう少し突っ込みたいのでありますが、いただいた資料の中にその金額が示されておりまして、ダム関係で八百五十一億、干拓で百五十二億、土地改良で百九億、この三つだけで千百億になるわけでありますね。  この種の問題というのは、もう随分予算委員会や関係委員会でも議論をされていると思うのです。しかし、いずれにしても、くどいようでありますが、総理がおっしゃっているような財政構造改革、行政改革、私は総論的にはそのことは評価をしているのです。だから勘違いされては困るのでありますが、であればであるほど、貴重な国民の税金を、会計検査院でもこういう指摘をされている、これはこの三つの関係省庁に限らず、やはり閣僚挙げてそこのところは厳重にみずからの戒めとして、これからむだ遣いかないように厳に慎んでやるべきだと思うのでありますが、総理としての、最高責任者としてのこの問題についての考え方をお答えをいただきたいと思います。
  184. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 公共事業であるかないかにかかわらず、検査院から、その支出が過ちである、あるいはその他の指摘を受ける、言いかえれば本来の目的と違う使われ方をした、あるいはむだがあった、このすべてが行政としては恥だと思います。検査院からの指摘を減らすべく、努力を今日までも政府はしてまいりましたけれども、これからも努力をしてまいります。
  185. 中沢健次

    ○中沢委員 これもかねてからいろいろ議論があるのでありますけれども、つまり、行政の中における会計検査院、その必要性は私は一〇〇%否定はもちろんしません。そういう具体的な指摘が出る、あるいはそれに向かって行政が全体的に努力をする。しかし、一方で、我が党が提起をしておりますように、やはり日本版GAOという問題についてもこの際その必要性を強く指摘をしておきたいと思うのです。  恐らく総理からは従来と同じようなお答えがあるのでしょうけれども、その辺については、総理、いかがですか。
  186. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、国会が国会の御意思において行政に対するチェック機能を強化されるということに対して、何ら異論を申し述べたことはございません。そして同時に、政府が、行政監察にいたしましても、また、これは完全な独立的性格を持っております会計検査院の能力にいたしましても、そうしたチェック機能を持つこともまた必要なことだと考えております。
  187. 中沢健次

    ○中沢委員 それでは、また問題を先に進めまして、特殊法人と公益法人の問題について幾つか具体的にお尋ねを申し上げたいと思うのです。  まず最初に、特殊法人全体に対する国の財政負担、事務当局で結構でありますから、具体的なトータルした数字を改めて示していただきたいと思います。
  188. 小村武

    ○小村政府委員 特殊法人に対する財政措置としましては、一つは特殊法人に対する補助金がございます。これは、現在、平成九年度予算ベースで申し上げますと、二兆五百二十四億円ということでございます。また、別途出資金という形で特殊法人にお金を拠出しておりますが、これが八千四百七十四億円ということでございます。いずれも九年度ベースでございます。
  189. 中沢健次

    ○中沢委員 今事務当局の方から補助金と出資金、平成九年度の数字が示されました。  それで、特殊法人の問題でいいますと、たくさん数があるわけでございまして、これも全体的に行政改革やあるいは財政構造改革の対象になる、これは言うまでもないと思うのです。我が党は、その中で特に補正予算のときから住宅・都市整備公団の問題を指摘をしてまいりました。ですから、きょうの私の質問の中でも、やや積み残しをしていたというふうに思われます内容についてお尋ねをしてみたいと思うのです。  一つは、住都公団、公団本体のいわゆる改革問題については担当の建設大臣からかなり大胆な問題の提起があった。これは私なりに評価をしたいと思うのです。問題は、特殊法人に共通すると思うのでありますが、その公団だとかなんとかの周辺に、公団が出資をしている子会社だとか関連会社、これはたくさんあるわけですね。これは住都公団に限りません。それで、私の問題意識としては、公団本体の改革、これはもちろん本体ですから大事です。しかし、その周辺にある子会社だとか関連会社全体の、いわゆる周辺の改革もやらなければ本当の意味での改革というふうには私は言えないと思うのですよ。  そこで、住宅公団に限って建設大臣にお尋ねをしますが、今申し上げましたような子会社、関連会社、経営の実態がどうなっているか、あるいは住都公団の本体にどの程度の国の財政支援があるのか、数字的な問題、もしあれでしたら事務当局で結構でありますけれども、まずそのことをお聞かせをいただきたいと思います。
  190. 小川忠男

    ○小川政府委員 若干数字的な面で先にお答えさせていただきます。  まず子会社、関連会社等でございますが、公団が直接出資している会社は全部で二十三ございます。これが平成七年度の実績でございますが、経常利益は二十三社全体で五十一億円でございます。  また、公団への補助金でございますが、何種類かの性格がございます。例えば、先般、家賃を下げるために補正予算でお願いした額もございます。それ以外に、いわゆる補助金というふうな形で出資いたしております主たるものは、区画整理あるいは再開発事業を行う場合の補助金、事業費補助でございます。これと、それから関連公共施設、道路、河川等々を整備する場合の補助金がございます。これが平成九年度では二百四十八億円と見込んでおります。  以上でございます。
  191. 中沢健次

    ○中沢委員 若干前後をしますけれども、公団本体に対する、いわゆる事業に対する補助金二百数十億、同時に、子会社その他の関係でいいますと、トータルについてのお答えがあったのでありますが、この委員会でも議論になりました、特にその中で一社で優に百億を超える経常利益を上げているようなところがある。こういう事実は、もう否定のしようがないと私は思うのですね、事実ですから。  そこで、まず建設大臣に、冒頭申し上げましたように、公団本体の改革はもちろん大事、しかし、今言いましたような子会社、関連会社、周辺の全体的な企業努力、経営努力、抽象的に言えば行政改革ということになると思うのでありますが、それに向けての決意。特に補正予算のときに、自民党の国対委員長の追加回答の中にそのことも若干触れておりますが、それをひとつよくお考えをいただいて、お答えをいただきたいと思います。
  192. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほどはどうも失礼いたしました。  委員、住都公団の改革につきましての御指摘は、私は基本的にそのとおりだ、このように考えております。  本体についてこのたび思い切った改革を今検討しておるわけでありますけれども、これは、委員が御指摘のように、その出資しておる会社、関連会社等を含めてトータルとしての改革をやらなければ意味はない。委員御指摘のように、本体に対して国の補助金が二百四十八億ですか、出ておるにもかかわらず、そうした関連子会社の段階で膨大な利益を得ているということは、トータルとして見た場合は、これは私は正常な状況ではない、このように考えておりますので、トータルの改革を住宅局、都市局、住都公団と一体となって今検討をいたしております。  委員からまたいろいろと御提言をいただければありがたいと思っております。
  193. 中沢健次

    ○中沢委員 今、大臣の方から非常に積極的なお答えをいただきました。  問題は、この特殊法人全体にわたる構造的な問題として、実は我が党は理事会を通じまして資料要求をしているんです。まだ残念ながら私の手元にも届いておりません。  そこで、総理にひとつこの問題に関連をしてお尋ねをしたいと思うんですが、今、住都公団を一つ俎上に上げましていろいろ議論をしております。特殊法人はさまざまな目的を持ってそれぞれ組織をされている。ですから、住都公団と似たような特殊法人もあれば性格が全然違う法人もある、そのことを私なりにわきまえているつもりなんですけれども、総理としては、特殊法人全体の財政構造改革あるいは行政改革をやるというそのねらいは、本体はもちろんですけれども、関係する周辺のそういうところにもしっかりメスを入れてやろうとしている決意をしっかりお持ちなのかどうか、その基本的な構えで結構ですから、お尋ねをしたいと思います。
  194. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 従来、ややもすると、特殊法人の論議といいますと、特殊法人の数だけの議論がございました。私は、その議論は正直、余り好きではありませんで、むしろ中身を調べることが大事だということを申し上げ続けてまいりました。  今、これは、例えば自由民主党でもそうでありますけれども、政府としても特殊法人を不断に見直していくということは当然のことだと考えておりますし、その場合、その本体の業務だけではなく、その周辺部分に対して目を向けていくことも当然のことと考えております。
  195. 中沢健次

    ○中沢委員 今、総理の方から、本体はもちろん、周辺も含めてしっかりメスを入れたい、こういう積極的なお答えでございますので、ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。  同じような私なりの問題意識で、公益法人についてお尋ねをしたいと思うのです。  まず、事務当局に具体的な数字をお答えいただきたいと思いますが、国が関与する公益法人、社団法人、財団法人、これがトータルでどの程度の数になるのか、あるいは公団あるいは財団に対する国の財政的な負担が金額的にどういう実態になっているか、総トータルで結構でありますから、まず数字を明らかにしていただきたいと思います。
  196. 榊誠

    ○榊政府委員 お答えいたします。  公益法人の関係でお答えさせていただきますが、国が関与する公益法人、厳格な意味で定義がないわけでございますが、一応、指定法人というとらえ方をしている場合は、平成七年度の調査では百三十五法人でございました。  それからもう一点の、公益法人に対して補助金の、あるいは委託費の額でございますが、これは平成六年度の決算ベースでございますが、三千八百九十九億七千百万円という実態になってございます。
  197. 中沢健次

    ○中沢委員 実は、公益法人問題で、数は物すごくたくさんある。しかも、今おっしゃいましたように、約四千億近くの補助金というか国の財政支援がある。しかし、これは全体像は、正直言って、なかなか資料的にも完全に把握を私どもはしておりません。  ただ、一昨日この委員会で同僚議員の方から、公益法人の中で具体的に、農業集落排水協会、この問題を取り上げました。恐らくこの種の問題というのは、いろいろ具体的な調査をしていく、あるいは実態を正確に関係省庁がやっていきますと、もっともっとたくさん出るのではないか、こんな思いをして仕方がないわけです。ですから、あの問題に限定をして言いますと、政治絡みの話もある、農水省といういわゆる官の問題がある、そしてその仕事を受注する業界の問題がある。残念ながら、政官業、言葉はちょっと乱暴かもしれませんが、その癒着構造といいますかトライアングルですね、そういう具体的な事実が一昨日、かなり議論の中で深まったと思うのです。  あの議論の中で資料提供を要請したその内容については、私の手元にも届きました。私自身は、きょうは時間がありませんから、それ以外の幾つかの似たようなケースを指摘をするつもりがありませんが、ぜひひとつ、一昨日の論議、全閣僚が聞いていたわけでありますから、たまたま農水省所管のことを取り上げましたけれども、関係省庁としてはやはりみずから、自分の責任で指摘をされるような公益法人があるのかないのか、本来からいえば総務庁の長官がその最高責任者だと思うのでありますけれども、この際ですから、特殊法人もそうだけれども公益法人全体についても大胆なメスを入れて、疑惑の解消だとか、あるいはああいうことは正しくないのであれば正しくないような、具体的な総務庁としてのあるいは会計検査院としての指導があってしかるべきではないか。  ですから、総体的な問題として、武藤総務長官にその辺のところについてお答えをいただきたいと思います。
  198. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 特殊法人につきましては、私ども行政監察、来年度もやらさせていただきます。  公益法人につきましては、なかなかこれは正直難しいのは、今どこの役所でも、それぞれの役所はそれぞれの役所の認可した公益法人は多分承知していると思いますけれども、トータルとして、政府全体としてなかなかこれはっかみ得ていない。補助金を公的助成している公益法人、これはわかりますけれども、全く補助金をもらっていない、しかも、戦前からある公益法人もたくさんあるわけでございますから、これを全部私どもで、それぞれ各官庁にお願いをして徹底的にチェックしていただきたいといっても、なかなか難しい点は正直あると思います。  今度行政改革の中で、やはりこういう時代でございますから、公益法人も含めてできるだけ私どももやってまいりますし、各それぞれの所管庁においても、従来から公益法人、平成七年と八年でございましたか、たしか公益法人を今後認可していく上においてのいろいろな申し合わせ事項もございますので、その点はできるだけやれると思うのです。  ただ、過去のものをどこまでやれるのか。例えば戦前のものはどこまでやれるのか、それは私もどうも自信はございませんけれども、しかし、各それぞれの所管庁にお願いをし、私どももまた側面的にお手伝いをして、できるだけ公益法人についても見直しをしていきたい。ただ、一遍認可しているものを取り消すというのは、なかなかこれは特殊法人の場合とは違って難しいとは思いますけれども、しかし、全く必要のないもの、あるいは社会的に見ていかがかというようなものについては、やはりそういうものも場合によれば取り消すというようなことを将来は考えていかなくてはいけないのではないかと私は考えております。
  199. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、今まで特に歳出の削減問題に一応絞って、公共事業ですとかあるいは特殊法人ですとか公益法人、いろいろ質疑をさせていただきました。  率直な私の印象なんでありますが、大蔵大臣は、今年度予算というのは財政構造改革元年であると非常に胸を張っておっしゃっています。しかし、中身を見ますと、一方では特別減税の打ち切り二兆円、消費税の負担増五兆円。国民から見れば、国民には大変な負担を強いる。しかし、財政構造改革元年とはいいながら、見るべき具体的な内容がほとんどない。意気込みはわかりますよ。努力は全然していないとは私は言いません。しかし、決定的にその努力は不足をしているのではないか。  もっと言葉をかえて言うと、橋本総理は財政構造改革、行政改革、火の玉になってやるんだ、六大改革に向かってアクセルをどうっと踏んでいると思うのですよ。しかし、事予算に関係すると、残念ながら古い従来型の手法で、確かに帳じりは合っています。しかし、幾つか今まで申し上げましたように、本格的に、本当に自分たちに痛みをしっかり分かち合うような具体的な予算編成になっていない。六大改革に向かってアクセルを踏んでいるけれども、予算だけを考えると一方ではブレーキを踏んでいる。ですから、国民の目から見ると、意気込みはよくわかるけれども果たしてそのとおりいくのだろうかという、やはり不安感、不信感というのがここしばらくずっと続いているのではないでしょうか。  ですから、私はあえて申し上げたいのは、今九年度の予算の議論をしておりますけれども、少なくとも財政構造改革元年というのは看板に偽りあり、だから言葉としてはやはり適切ではない。もっと謙虚に、財政再建に向かっての準備の年だ、このようにわかりやすく、そのことが非常に常識的な看板ではないかと私は思うのでありますが、このことはどうでしょう、大蔵大臣。
  200. 三塚博

    ○三塚国務大臣 議員の段々の御質疑、また答弁を拝聴しました。  首相から言われました基本的な論点は、おわかりのとおり、少子・高齢化社会という深刻な事態に、全世界がと言ってよろしいのでしょう、最貧国、途上国、残念ながら寿命が少のうございますから、先進国病とも言っていいほどの深刻な状況の中で、財政健全化をしっかりとしたものに仕上げていく。経済のシステムを輸出依存型から内需、民需を中心としたものに変えていくという経済システム改革。また、金融も資本主義社会、自由主義社会における血液でございますから、グローバルに、そして自由かつフェア、こういうことでいかなければならぬ。いずれも待ったなしの改革でありますことは御案内のとおりであります。  よって、実態を申し上げて答弁とさせていただきますが、九年ぶりに一般会計予算案の中において対前年度比一・五%に抑制をいたしました。これは御案内のとおり、九年度消費者物価上昇率見通し一・六……(中沢委員「大臣、簡単にしてください」と呼ぶ)はい、わかりました。こういうことで、特殊要因等を踏まえれば、対前年度比〇・六になりますね。それから、赤字公債四百三十兆をカットしましたね。公共事業ゼロシーリングでありましたね。それでめり張りをつけましたね。  やはり数字の上で、形の上にあらわれておるものは正しく見ていただいて、御評価をいただく、御批判もいただく、こういうことであってよろしいのではないでしょうか。やはり、まさに内閣挙げて、党挙げて、与党挙げて、総選挙の結果を踏まえてスタートを切ったわけでございますから、その点をしっかりと御認識をいただきます。  数字が、四百三十と言いましたが、四兆三千億円でございます。
  201. 中沢健次

    ○中沢委員 大蔵大臣は私とはかなりスケールが違う大先輩でありまして、私の質問には直接なかなか明確にはお答えをいただいていないのでありますが、きょうはもう時間がありませんから、この問題についてはまた後ほど機会があると思うのです。  さて、問題をがらっと変えまして、三井の三池問題について、総理あるいは関係大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  私自身は北海道の炭鉱地帯のところから国会に出させていただいて、実は浪人を含めてこの十年間で七つの炭鉱の閉山を経験いたしました。新聞やテレビの報道、あるいは私も通産や会社や労働組合、いろいろな情報源を持っておりますから、いろいろ総合的に判断をいたしますと、残念ながら来週早々に大型閉山の三井三池の閉山が予測をされる。これは不測の事態ではございません。完全に予測がされる、こういう状態です。ですから、正式にまだ労使交渉で閉山の提案がされておりませんので、そのことをわきまえて総論的に、特に通産大臣と総理にお尋ねをしたいと思うのです。  まず、通産大臣、石炭政策の所管の責任大臣として、今まで北海道を中心にずっと閉山が続いて、約十一年ぶりで、九州・三菱の高島に続いて恐らく十一年ぶりだと思うんです、大型閉山が来るわけです。  ですから、例えば閉山交付金の問題、あるいは、三井三池というのは、大牟田に限らず熊本県の荒尾にも関係あるわけですね、二つの県にまたがる。もう地元にとっては大変な問題です。ですから、その地域に対する重大な影響がある。例えば地域の振興策をどうするか、企業の張りつけをどうするか、こういう問題について、基本的な通産大臣としての考え方、対策についての決意、簡単で結構でございます、お答えをいただきたいと思います。
  202. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今御質問がありましたように、三井三池炭鉱については、御指摘のような報道があることは存じておりますが、当省といたしまして、いろいろ会社の方から相談を受けているというところでございまして、まだ正式に閉山の提案というものが行われているとは聞いておりません。  そういうことを前提として、仮に閉山になった場合には、地域経済情勢や雇用情勢にも大きな影響があるということは十二分に予測されます。そこで、通産省といたしましては、会社に対しまして、閉山交付金の交付等を通じて閉山が円滑に行われるよう支援していく所存でありますし、また、離職者の再雇用対策及び地元への企業誘致等の地域対策についても、会社に対し万全を期すよう指導するとともに、引き続き三井鉱山グループの行う新分野開拓事業を支援していきたい、かように考えております。  さらに、工業団地の造成だとか地域の活性化に資するプロジェクトの推進等により、地元の自治体、各省庁とも密接な連携をとりながら、地域対策、雇用対策等に遺漏がないように期してまいる考えであります。
  203. 中沢健次

    ○中沢委員 ぜひひとつ、重要な事態になることはもう明確だと思いますので、通産としての万全の対策を特にあらかじめお願いを申し上げたいと思うんです。  さて、関連をしまして、総理にお尋ねをしますが、実は二年前は総理は通産大臣をされておりました。私の地元の歌志内にあります空知炭鉱も、閉山をして二年になります。あの当時も、担当の通産大臣に、非常に重たい荷物といいましょうかさまざまな問題を要請をいたしまして、事閉山になってまいりますと、これは党派を超えまして、いい意味ではもうそこは完全に党派を超えて、一緒になって地元のためにあるいは離職をされた皆さんのために頑張る、こういうことが通例なわけです。恐らく三井三池もそういう状況に政治的には私はなると思うんですね。  特にこの機会に総理にまずお礼を申し上げたいと思いますが、二年前の空知炭鉱の閉山のときに、閉山交付金、制度をもう最大限弾力的に応用していただいて、大臣としての決断もいただいた。お礼の機会がちょっと遅くなりましたけれども、まずそのことを心からお礼を申し上げたいと思うんです。  同時に、閉山になってくると、今通産大臣がおっしゃったような、自分の責任分野のほかに、今度は労働省として雇用対策の問題が出る。自治省としては、産炭地の自治体の財政にどうやって支援をするか、あるいは、地域に集中的な公共事業という問題も避けて通れない。つまり、関係の省庁がたくさんあるわけです。  もっと言いますと、古賀さんは今運輸大臣でありますが、あの港は、全国でまれでありますけれども、所有は企業のものなんです。しかし重要港湾の指定になっている、これを一体どうするか。こういう非常に難しい問題も抱えているわけでございまして、ぜひ総理としては、通産大臣を中心にして、関係閣僚とできるだけ早く十分な打ち合わせをして対策をとっていただきたい。  もっと言いますと、我が党もそうでありますが、ほかの党も、閉山提案の後、現地に直接関係者が入りまして、自治体だとか関係の皆さんといろいろな国政に対する要望を聞いて帰る。具体的には恐らく関係委員会でおやりになるのでしょうけれども、この予算委員会で、総理としての基本的な心構えといいましょうか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  204. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、議員の御質問を拝聴しながら、あの当時、両院の石炭対策特別委員会を中心にして国会がお動きいただきましたこと、私の方からもお礼を申し上げたいと存じます。  仮に閉山というものが決定されるような事態になりました場合、これは当然ながら、地域の経済情勢、雇用状況に非常に大きな影響が出ることは間違いありません。今、議員から幾つかの省庁における役割を御指摘をいただきましたけれども、そのほかに、例えば地域振興整備公団等が果たす役割も当然あろうかと存じます。北海道における必要でありました対策とおのずから違う部分はありましょうけれども、共通項は多分同じでありましょう。関係する各省庁間の緊密な連携とともに、こうした地域振興整備公団等も含めまして、雇用対策あるいは地域対策など、恐らく広範多岐にわたるであろう対策が整合性を持ち、遺漏なく行われるように、私としても気をつけてまいりたいと思います。
  205. 中沢健次

    ○中沢委員 ありがとうございます。  さて、残された時間はわずかでありますが、最後に、けさほども他党の委員の方から質問がありました劣化ウラン弾の問題について、もう時間がありませんから、二つ、三つまとめてお尋ねを申し上げたいと思います。  事実経緯については改めて指摘をしません。なぜこんなにおくれたかということについては、そのことは鋭く指摘をしておきたいと思います。  それで、第一に、アメリカに対して、もう一年も前の事件なわけですね。それで、この種のような具体的な事実関係がほかにあるのかないのか、最低でもそのことぐらいは日本の国益ということから考えまして必要ではないか。もっと言うと、一年間もおくれてこの事件が表になる、そのこと自体にもやはり非常にアメリカに対しては批判をすべきではないか。このように一つは考えます。  それから二つ目には、日本政府におきましても約一カ月、通知を受けてからいわゆる情報公開がされたのは大変な時間的なずれがある。これについても、現地も含めて、あるいはこの種の問題に関心のある国民の側から見たら非常に大きな問題だと私は思います。二つ目にはそのこと。  それから三つ目には、今後の問題として、実は地位協定にも関係をすると思うのでありますが、日本アメリカとの地位協定でいいますと、もう専門家でありますから多くを申し上げません、軍事演習と環境問題がそこから欠落をしている。ドイツとアメリカの場合は地位協定でそこのところは明確になっている、こういう話を聞いています。ですから、この地位協定の関連でいいますと今後の重要な問題だと思いますので、この三つについてお答えをぜひお願いを申し上げたいと思います。
  206. 池田行彦

    池田国務大臣 まず第一点でございますけれども、私ども、このような問題があってはならないと思っております。今回の米側とのやりとりの過程においても、そのあたりは念はおいてきたところでございます。  そもそもこの案件が表に出てきましたのは、実は、これまでの米軍の活動をめぐるいろいろな事態についての連絡が必ずしも十分でなかった、その関係改善を図ろうという問題が一つありました。それから、地位協定をめぐる問題の一環として、過去に起きました事故、それが五件ぐらいあるわけでございますが、その詳細な報告が出てきていない、それをきちんと報告をとるようにしよう、そういう折衝を、やりとりをずっとやってきたわけでございます。そういった過程の中で、米側から、実はこれは事件あるいは事故とは言えないけれども、米側の内部的な行動の規則に外れた誤った運用があった、そういうことで出てきたものでございます。そういった経緯から申しまして、現在ほかにはないものと考えております。  それから第二点でございますが、米側からの連絡が一年後になったという点も遺憾であるということは、もう繰り返し米側に申し上げているところでございます。私ども外務省が承知いたしましたのは一月の十六日でございまして、それから沖縄県に対する連絡あるいは公表が三週間余たったという点につきましては、私どもも配慮が不十分であったとその点は反省しているところでございます。  ただし、あえて申し上げさせていただきますならば、私ども十六日の時点で得ました情報というのは必ずしも十分でなかった、そういったところで米側に対していろいろ追加的な情報なりそういったものを求める、そういったやりとりが何回かあったということである。  それから、事柄が一年以上も前のことであり、また、射爆場という一般の人が立ち入ることのできない地域で起こったことであるということ、さらには米側のこれまでの調査で人や環境に対する危険は存在しない、こういうこともあったものでございますから、これが即座に公表しなくては直ちにさらなる危険が広まるというような状態ではなかった。むしろ、より正確な情報を収集した上でと考えた点があるわけでございますが、それにしても結果的に三週間以上沖縄県に対する連絡がおくれたという点は配慮が足りなかった、このように考えております。  それから第三点でございますけれども、地位協定の運用の問題につきましては、従来から合同委員会等の場においていろいろ話をしてまいりましたけれども、とりわけ昨年以来、沖縄県の基地の整理、統合、縮小の問題と並びまして、地位協定の運用問題については細かく話をしてまいりました。そういった中におきまして、環境問題についても十分に配慮をするように求めておるところでございます。
  207. 中沢健次

    ○中沢委員 質問を終わります。
  208. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて中沢君の質疑は終了いたしました。  次に、倉田栄喜君。
  209. 倉田栄喜

    倉田委員 新進党の倉田栄喜でございます。私は、行政改革そして補助金の見直し、こういう視点から公益法人の問題についてお尋ねをしたい、こう思います。  まず、公益法人の政治献金についてお尋ねをいたします。  平成七年の自治省届け出分の政治資金収支報告書によれば、公益法人の政党向け献金の総額が五億五千九百三十七万円、このうち自民党の政治資金団体である財団法人国民政治協会に四億七千三百十七万円、それから国会議員個人の政治資金団体に対する総額が四千八百三十二万円、こうなっているということが一月二十九日付の東京新聞で報道されております。  私は、この数字はもう少し多いのではないか、こういうふうに見て思っているんですけれども、この公益法人の政治献金については、全衆議院議員のアンケート調査を行った毎日新聞の一月五日付の報道は、回答者三百四十二人のうち八七%が公益法人からの政治献金を「問題あり」と回答していると報道をされました。  先ほども議論が出ましたけれども、行政改革の断行には、いわゆる政官業、この構造自体、癒着と批判される構造自体を見直す改革が必要ではないのか。その観点で考えた場合に、その公益法人からの政治献金についてどう思われるか。これは全大臣にお伺いできればと思うわけでございますが、時間がありませんので何人かの大臣にお答えをいただきたいと思います。総理総務庁長官には後でお尋ねをいたしますので、まず大蔵大臣、そして厚生大臣、農水大臣、自治大臣にそれぞれお伺いをいたしたいと思います。
  210. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 政治資金のことでございますので、所管をいたしております私から物の考え方をまず話をさせていただきたいと存じます。  公益法人が政治献金をすることの是非という問題意識を持ってのお尋ねだと思いますが、現行法制は、補助金等を直接に受けた公益法人が政治献金をすることにつきましては政治資金法上の規制はございますが、公益法人であれ、一般の法人であれ、労働組合であれ、宗教法人であれ、団体という点に着目をして、特別に公益法人であるがゆえに政治献金はできないという規定はどこにもございません。  そして、同時に、政治献金というものは、私は公益性の非常に高いものだと思っております。と申しますのは、各種の個人やあるいは会社等が一つの組合をつくるわけでございますが、それは、何らかの意味での自分たちの地位の向上とか、あるいは、自分が関係するところのいろいろな情報提供ばかりではなくて、政治的にいろいろ結束をして自分たちの環境の整備とか地位の向上というのを考えるわけでございます。俗にプレッシャーグループと言われますが、民主政治仕組みは、それぞれ国民が、個人であれ、法人であれ、同憂の士が集まって一つのグループをなして、そして政治活動をする、それは当然のこととして認められているわけでございます。ただし、特定の団体のみが政治活動をするわけじゃないので、それと立場を異にする別のグループも幾らでもそういうことをするわけでございますから、結果として調和がとれるだろう、こういう物の考え方に立っているものと私は思います。  以上です。
  211. 三塚博

    ○三塚国務大臣 政治資金のあり方をめぐっての大論議の末、平成六年に改正されました現行の規正法におきましては、国、地方公共団体からの補助金等を受けた法人等からの寄附金、赤字会社からの寄附金、外国人等からの寄附金、匿名等の寄附金を受けてはならない、こう規定をされておるところであります。少なくとも、現行法を前提とします以上、御質問につきましては、この規定に書かれている内容に尽きるものと考えております。
  212. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 自治大臣から詳しく御答弁がございましたので、そのとおりでございますけれども、つけ加えさせていただきますといたしますと、公益法人全般を対象とした規定がない以上は、この当否につきまして、収支を公開するということによって国民の皆さんの御判断をいただくということを考えていきたいと思っております。
  213. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 補助金を受けている公益法人がそのまま政治献金するということについては問題があると思いますが、公益法人が全く別の政治団体を結成する、そして当然の国民政治活動に関する権利として政治献金をするというのは、政治資金規正法にのっとっている限り問題ではないと思いますが、現在、政治資金規正法で、国から補助金やらあるいは補給金を受けている法人等が政治献金をしてはいけないという寄附禁止条項がありますので、その点はよく検討しなきゃいかぬと思っております。
  214. 倉田栄喜

    倉田委員 大体のお答えは、現在の政治資金規正法の範囲の中で公益法人が政治献金をすることは別に、法の枠内である、こういう趣旨のお答えである、こう思います。  ただ、小泉厚生大臣が、補助金を受けている公益法人がそのまま政治献金することについては問題があるのではないのか、このような御趣旨のお答えがございました。  そこで、総理にお伺いをいたしますが、総理の資金管理団体、新政治問題研究会が九五年、平成七年に集めた政治献金の総額のうち、公益法人から受けられた政治献金の内訳はどのようになっていますか。
  215. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 お尋ねがあるということで調べました結果、平成七年の新政治問題研究会に対する政治献金のうち公益法人によるものは百八十二万円という報告を受けております。
  216. 倉田栄喜

    倉田委員 百八十二万円という数字が、私が調べた数字とちょっと違いますので、後でもう一度精査をさせていただきたい……(橋本内閣総理大臣「私の方も精査いたしますが、とりあえず調べた結果、そういう数字でございました」と呼ぶ)はい、と思いますが。  そのうち、これも大変面倒な調査をお願いをいたしまして恐縮でございますけれども、公益法人日本薬剤師会の、今度は政治団体ですね、政治団体である日本薬剤師連盟、それから公益法人日本歯科技工士会の政治団体である日本歯科技工士連盟、さらに、公益法人である日本柔道整復師会の政治団体である日本柔道整復師連盟、さらに四つ目、公益法人である日本医療法人協会の政治団体である日本医療法人政治連盟、五番目に、公益法人である全国環境衛生同業組合中央会の政治団体である全国環境中央政治連盟からの、それぞれの平成五年、六年、七年、この政治献金はどのようになっているか、お調べをいただけましたでしょうか。
  217. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 急な御連絡を受けまして取り急ぎ調べましたので、恐らくミスはないと思いますけれども、御指摘の団体についてお答えを申し上げます。  まず日本薬剤師連盟、平成五年一千万円、平成六年五百万円、平成七年四百万円であります。  日本歯科技工士連盟、平成五年百五十万円、平成六年二百八十万円、平成七年二百七十万円。  日本柔道整復師連盟、平成五年五百八十万円、平成六年百五十万円、平成七年百五十万円。  日本医療法人連盟、平成五年三十六万円、平成六年三十六万円、平成七年三十六万円。  日本環境衛生中央会政治連盟、平成五年十万円、平成六年十万円、平成七年十万円。  以上であります。
  218. 倉田栄喜

    倉田委員 大変ありがとうございました。面倒な調査をお願いをいたしました。  内容については、私の方ももう一度精査をさせていただきたいと思いますが、そこで、先ほどもお話が出ました政治資金規正法の寄附の制限についてであります。  政治資金規正法二十二条の三は、先ほど御指摘もありましたが、補助金等を受けた会社等による、交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過するまでの政治活動に関する寄附の禁止を行っております。例外はありますけれども、補助金を受領し、それが、その例外の部分、「性質上利益を伴わないもの」であると認定されない限りは、「性質上利益を伴わないもの」であると認定されない場合は、公益法人は政治活動に対する寄附を行ってはならない、こういうことになっております。  法務省にお伺いいたしますが、この規定に違反して、捜査あるいは起訴の対象になった政治献金の例は過去に存在しましたでしょうか。
  219. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねは、政治資金規正法二十二条の三違反として、捜査、起訴された事案としてのお尋ねでございますが、現在、当局が把握している限りでは起訴した事例が一件ございます。これは、三重県から補助金の交付決定を受けた団体の会長らが政治団体に対しまして政治活動資金として現金を寄附したという事案でございますが、この事案につきましては、昭和五十一年十二月十五日に津地方検察庁等におきまして関係者三名を起訴いたしまして、そのうち寄附者側二名につきましては執行猶予つきの禁錮刑が、受寄附者側一名につきましては罰金刑が確定しているものと承知しております。  なお、その他若干捜査いたした事例があるようでございますが、現在のところ、それに基づきまして起訴した事例は承知しておりません。
  220. 倉田栄喜

    倉田委員 今お答えいただきました事例は、連合会の専務理事政治団体の会計責任者に対して政治資金としての寄附を行った、これによって、贈った方、それから受け取った方、それぞれ刑法上の裁きを受けた、こういうことであります。  そこで、自治省にお伺いをいたしますけれども、この政治資金規正法二十二条の三第一項、第四項、国または地方公共団体から補助金や出資を受けている会社その他の法人からの寄附の制限について、その趣旨、そして「性質上利益を伴わない」、この解釈は、どういうふうになっているんでしょうか。
  221. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 政治資金規正法第二十二条の三の規定は、国または地方公共団体から補助金の交付や出資等を受ける会社その他の法人との政治資金の授受は、補助金の決定等をめぐりまして不明朗な関係を生じさせる危険性があること等にかんがみまして、このような規制が設けられたものと承知をいたしております。  また、同条第一項の「性質上利益を伴わないもの」の解釈でございますが、これに該当するかどうかは、個別の給付金につきまして個々具体的に判断されるべきものではございますが、私ども一般的には三つの類型でその解釈をお示しをしているところでございまして、一つには、間接的な利子補給金ということで、国等が特定の融資について利子補給をいたします場合に、利子補給を金融機関に行いましてその金融機関から低利の融資を行うといった場合は、当該金融機関から見ればこの利子補給金は利益を伴わない給付金に該当する。  二つは、国民の生活向上、民生の安定等を図りますために、初めから欠損等が予想されるような事務事業を国等が会社その他の法人に運営させる場合に、その欠損または損失を補てんする限度において交付される給付金もこれに該当する。  三つ目には、本来国または公共団体で行うべき事務または事業を会社その他の法人が行う場合におきまして、その事務または事業について交付される給付金もこの「利益を伴わないもの」に該当するというふうに解しているところでございます。
  222. 倉田栄喜

    倉田委員 当該団体からの、公益法人からの政治資金の授受は、補助金の決定等をめぐって不明朗な関係を生じさせるおそれがあるので、この寄附の制限をしている、こういうことでございました。  そこで、いわゆる公益法人からの政治献金を受ける場合については、性質上利益を伴わない場合の例外はあるとしても、先ほど小泉大臣の御指摘のとおり、厳に注意をしなければいけないということは考えなくてはいけない、こういうふうに思います。  そこで、厚生省にお尋ねをいたしますけれども、財団法人全国環境衛生営業指導センター、これも公益法人でございますが、ここに対する平成五年、六年、七年、八年、九年、各年度の補助金額だけで結構です、それはどのようになっておりますか。
  223. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 財団法人全国環境衛生営業指導センターに対します補助金についてでございますが、当初予算ベースで申し上げますと、平成五年度が一億五千五百万円、平成六年度一億六千六百万円、平成七年度一億七千八百万円、平成八年度一億八千二百万円、平成九年度一億八千二百万円というふうに計上されております。
  224. 倉田栄喜

    倉田委員 この全国環境衛生営業指導センター、今一億六千万から七千万、あるいは一億八千万の補助金が出ているわけでありますが、この補助金の交付は、先ほど申し上げました政治資金規正法の二十二条の三に言う「性質上利益を伴わないもの」なのか、あるいは伴うものなのか、これはどんなふうにお考えになっているんでしょうか。厚生省でよろしいですか。あるいは自治省。
  225. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 御指摘の補助金につきましては、その詳しい内容を承知しておりませんので、現段階では判断をいたしかねるところでございます。
  226. 倉田栄喜

    倉田委員 厚生省から資料をいただきましたけれども、この補助金は、全国環境衛生営業指導センターが行う補助事業の内容に要する経費を補助することによって、環境衛生関係営業の経営の健全化を通じて、その衛生水準の向上を図ることを基本的な目的としてされている。この性質上、利益を受けないものであるかどうか、これはきちんと精査をしていただかなければなりませんけれども、必ずしも、調査研究とか災害とかの例外にそのまま当てはまるとも思えません。  後でこの問題、もう一度お伺いをさせていただきますが、先ほど総務庁長官総理にはお尋ねしなかったわけですけれども、総理総務庁長官は、公益法人からの政治献金、どのようにお考えになりますか。
  227. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 先ほど自治大臣から詳しく法律的にお話がありました。特に、公的助成を受けている団体は、公益法人は、これはもう禁止という形が私は当然だと思っております。それ以外の公益法人、あるいは公的助成を受けている公益法人が政治活動をするためにつくっている団体が別にある、こういうものは、今の法律上、これは受けるということもやむを得ないことではないかと思っています。
  228. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど自治大臣が御答弁をしておりましたように、補助金等を受けている公益法人は、政治連盟を含めて政治団体に対する寄附を行うことが制限をされている、言いかえれば、そうでない団体について、これは法的に許されているもの、そう考えます。
  229. 倉田栄喜

    倉田委員 総理、もう一度お尋ねをいたしますけれども、総理は、補助金の交付を受けている公益法人からの政治献金についても今のお答えでしょうか。
  230. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 公的助成という言い方なんでしょうか。私自身、先ほどの、補助金等を受けた会社等の寄附の制限、法第二十二条の三第一項、第四項という紙を読んでおりまして、今お答えを申し上げたような結論を申し上げた次第です。
  231. 倉田栄喜

    倉田委員 重ねて恐縮ですけれども、例えば公的助成を受けている公益法人、ここからの寄附、さらには別団体として政治団体、これをつくったとしても、いわゆる補助金等を受けている公益法人関連からの寄附であります、これは税金を回収するのに等しいのではないのか、こういう指摘もあるということは、私は承知をいたしております。この点について、もう一度総務庁長官、そして総理、どうお考えになるか、お尋ねしたいと思います。
  232. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、公益法人の中で公的助成を受けているものからはこれを受け取るべきではないと思っております。ただ、その公益法人が別の団体をつくりまして、全く別個の法人格で政治活動をするというときに、これが政治献金をするということは、これはあり得るのではないかと私は思っておりますし、それは先ほど自治大臣の答弁にもございましたように、法律的にも抵触はしていない、こういうふうに思っております。
  233. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 倉田委員にお答えいたしますが、委員も弁護士でございますので、法律上混同しないようにしていただきたいと思うのでございます。  公益法人というのも民法上等で一つの法人格が付与されておりますが、同時にそれが同種の、例えば仮に同じメンバーで政治団体をつくったといたしましても、それはやはり別の団体であるわけでございます。完全にそこでは遮断されているわけでございまして、そして、その公益法人からお金が出るということが問題であるから、法律はそういうことに対して公益法人の寄附は禁止しているのでございまして、それを構成するメンバーが仮に同じであったとしても、別団体をつくって、そしてそこが政治献金をするということについては、逆に結社の自由との関係で重大な問題があるわけでございます。そして、どういう団体であれ、その人たちが法律の範囲で許される活動をすることについて、私は否定的に考えるべきでない、消極的に考えるべきではない、こう考えておりますし、現在の政治資金規正法はそういう物の考え方に立っておる、こう申し上げたいと思います。
  234. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、全く違う人格を持っている、その場合に問題があるとは思いません。
  235. 倉田栄喜

    倉田委員 別組織であれば、あるいは法人格上実体が違うということであれば、こういうことでありますけれども、先ほど政治資金規正法の二十二条の三の趣旨を自治省の方からお答えをいただきました。  そこで、省庁所管の公益法人と政治団体が事実上一体なのではないのか、こういう指摘もあるわけですね。中には、公益法人そのものがいわゆる政治連盟の経費を肩がわりしている政治団体もある。公益法人と政治団体、この実体が同一、同一であるという実体があるとすれば、私は先ほど申し上げました政治資金規正法二十二条の三、この適用上問題があるのではないか、こういうふうに考えますが、自治省、この点はいかがでしょうか。
  236. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 倉田委員にお答え申し上げます。  実体上同一であるというのがどういうことなのか、ちょっと意味不明であります。どういう場合に、これは名前を変えただけで実体上同じではあるのかないのかというふうな御質問でないと、ある公益法人がたまたま同じ名前で何々政治連盟というのをつくった、同じじゃないかとかというふうに問われても、それは自治省に政治資金団体の届けを出している以上、そして会費等を別途取り、そしてそれがその団体の名前で出されている以上、私は同一だとは到底言えないと思います。
  237. 倉田栄喜

    倉田委員 実体が同じなのかどうか、どういう場合に実体が同じと言えるのか。  そこで、公益法人である全国環境衛生同業組合中央会と、この中央会の政治団体である全国環衛中央会政治連盟、さらに先ほどの、厚生省にお聞きしました財団法人全国環境衛生営業指導センター、ここには補助金が一億六千万から八千万の間でずっと継続的に行われている、こういうお答えがありました。この公益法人そして政治連盟、補助金を受けている営業指導センター、これが同一住所にあり、同一フロアにある、そして役員の方々も兼職をされておられる、こういう場合はいかがですか。
  238. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 今の御指摘だけで同一の法人である、あるいは実際上同じことだと言うわけにはいかないんじゃないでしょうか。  例えば、今私は、午前中述べましたが、どなたでしたかね、ある方の質問に、国務大臣として答える義務はございません、ただ、お尋ねでございますから、白川個人が数カ月前までやっていた自由民主党の総務局長という立場で知っていることはお話しさせていただきましたが、しかし、ここは明らかに自治大臣としては答える必要がないし、また自治大臣が知り得ないことだけれども、私は聞かれて知っていたから答えたわけでございます。  同じように、例えば私の事務所の中に、私個人の事務所でありますが、そこに私の政治資金管理団体等がございますが、私の事務所にあるからといって、そしてその政治資金の管理を私の秘書がやっているからといって、これが同一だとは言えないのと同じじゃないでしょうか。  以上です。
  239. 倉田栄喜

    倉田委員 どういう場合に実体上同一と、私は言える場合もあるんだと思いますけれども、言えるのかということについて、必ずしも今自治大臣からお答えいただいた内容に、私はなるほどそうかと思うわけではありません。  そこで、法制局長官、大変御苦労でございますが、このいわゆる別組織、別組織であったとしても実体上同一ということもあり得ると思うんですが、この場合、どういう場合に実体上同一と考えたらよろしいんでしょうか。
  240. 大森政輔

    大森(政)政府委員 私の立場でお答えするのが適当かどうかよくわかりませんけれども、お尋ねのように、どういう場合に二つの異なる団体が実質的に同一かどうかというのは、あくまで個別具体的な事情に基づく判断だと思います。お尋ねのような、どのような場合ということを一口でお答えすることは不可能であると思います。
  241. 倉田栄喜

    倉田委員 実体上同一で考えなければならない場合もあるんだろう、ただ、その内容については個別具体的に判断しなければわからない、私もそれは理解をいたします。  ただ、我々政治家が、いわゆる国民から今政治倫理、そういうものを問われる立場にあるわけだと私は思いますけれども、この全国環境衛生同業組合中央会、この方の専務理事が、倫理を問われたら問題なんじゃないか、その理事、その方がそうおっしゃっている。  それで、確かに、公益法人が寄附を行ってならない場合であったとしても、別団体として政治連盟を組織をすればそれは可能である。しかし一方で、二十二条の三のこの規定の趣旨がある。そうだとすれば、いわゆるこれは迂回献金なのではないのか、こういう問題が指摘をされ得る、こう思います。この点について、やはり総理、そうお考えになりませんか。
  242. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 政治資金のごく技術的なことでございますので、私からお答えさせていただきます。  委員は、政治献金ということがあたかも問題がある、やましいことをしているようだ、それを公益法人がやっているとしたならば問題だというふうな何か前提があるようでございますが……(倉田委員「そんなこと言っていません」と呼ぶ)そうですが。そういう質問をずっとしているようでございますので……。  公益法人がストレートに法律に規定しているように献金をすれば、これは法律に違反いたします。それは明確に、法律上、質的制限が設けられているわけでございます。そうでない、委員は実際上は同じではないかと言っても、そうではないわけでございます。同じ会員、メンバーが別途政治連盟をつくり、別途それぞれの構成員から会費を徴収して、そして政治献金をするというのが法律上禁止されていないということは、それは許されるということであって、そして、そういうことをすることが何か公益性に反したり、倫理上何か反するという前提はどこにあるのでしょうか。私はどうしてもそこのところは理解できません。  民主政治というのは、それぞれの、個人であれ団体であれ、自分たちの要求を実現するためにいろいろな結社を結成し、いろいろな形で活動をすることは許されているわけでございまして、その一環としてやれることがとやかく言われる問題ではない。何か、それが問題なんだ、あるいは税金を迂回融資しているというのは、全く議員個人の、私は、先見性のある、決めつけの上に立っての質問のような気がいたします。
  243. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、確かに政治団体としての政治連盟からの寄附を受けているということを申し上げました。その上で、同一人格であるかどうか、これは正直、私にわかることではございません。政治団体からも献金は受けておる。先ほど委員の御指摘のとおり、とにかくとりあえず調べました数字、金額ちょっと今、十万、十万、十万でしたか、調べろと指示をされた各年次のものをお答え申し上げたとおりです。
  244. 倉田栄喜

    倉田委員 自治大臣の御答弁、私が何かを前提にしてという御答弁でございましたが、そうではなくて、私は、政治資金規正法二十二条の三、これを問題にしているわけです。先ほど自治省から、その趣旨については、いわゆる助成金の交付について不明朗な関係があってはならない、こういう政治資金規正法二十二条の三の趣旨の御答弁をいただきました。  この趣旨から考えてみた場合に、いわゆる助成金、補助金を受けている公益法人、そして、実質上同一であるかどうか、それは議論のあるところです。議論のあるところでありますけれども、実質上仮に同一であるような実体があった場合に、ここからそのまま政治献金を受けることが是とするならば、政治資金規正法二十二条の三の脱法になる可能性があるのではないのかという現在の政治資金規正法二十二条の三を前提にして御質問をさせていただいたわけであります。  そこで、総理、先ほどいわゆる補助金を受けている公益法人からの献金については、好ましくないという意見もありましたし、別にそれは現在の法制からそこまで禁止されているわけではないんだからいいではないかという御意見もありました。  先ほどの公益法人からの補助金についての数字、いただきましたけれども、総理が献金を受けておられる公益法人、この公益法人の中には補助金を受けている団体があるということは、例えば日本水道協会であるとか、先ほど申し上げました衛生センターは実質上別ですけれども、そういうことは総理は御存じになっておられましたか。
  245. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、細部まで存じておりません。今御指摘になりましたようなケース、もし御指示がありますならば調べます。
  246. 倉田栄喜

    倉田委員 いや、これは公益法人について、その行政改革、そして本年度の予算が財政再建元年だというのであれば、補助金に対する見直しも必要なのではないのか、こういう視点から質問をさせていただいているわけであります。  そういうふうに言われましたので、私は、前回の行政改革特別委員会で総理とこの政治献金の問題で少しやりとりをさせていただきました。薬害エイズ問題で、ミドリ十字からの政治献金、いわゆる薬害エイズの問題は、元社長、そして前社長、現社長、三人の社長が逮捕される、こういう問題でありました。そこから総理が八百六十万政治献金を受け取っておられる、このことについて総理どう思われますかというふうにお尋ねをいたしましたが、そのとき総理は、私自身、大変申しわけありませんでしたけれども、そこまで思いはいたしませんでした、こういうお答えでありました。  あれから時間が大分たちました。十分問題提起をさせていただいたわけでありますから、その点について、きょうは総理の御明確なお答えをお聞きできると思います。ミドリ十字からの八百六十万の政治献金、私はお返しになった方がいいだろう、こう思うのですが、総理、いかがですか。
  247. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、社会的に問題になりました団体、企業から、それ以降政治献金を受けない、あるいは不注意で受けてしまった場合にはその時点以降の献金は返却するという考え方で対応をいたしております。したがって、平成七年以降、ミドリ十字から献金を受けておりませんし、過日も、独禁法に基づく警告が出された後に受けておりました別の会社からの献金を返却をいたしました。  その上で、過去にさかのぼってすべてを返却せよという御指摘、これは、関係書類の保存期間三年とされておりますこと、そして、たまたま私のとき、御指摘を受けましたときには過去の書類がありましたので、八百六十万円という既往の寄附金を受けておりました数字を申し上げることができました。しかし、それを超えてどれだけ皆さんが保存しておられるか、正直わかりません。こうした問題の及ぼす範囲の広いこと等を考えますと、一政治家として言わせていただきますならば、例えば政治資金規正法の見直しなどの中におきまして、統一的な基準を設けていただければありがたいと考えております。
  248. 倉田栄喜

    倉田委員 政治資金規正法二十二条の三の問題を含めて、今総理から御指摘があったように、後から問題が起こっている、それはその受け取る時点で問題があることなど予測できないわけだから、そんなことはわからない、わかりっこないということも、総理のそのとおりだろうと思うのです。そこで、後から問題が起こっても大丈夫なようにやはり何らかの基準が必要であろう、私はこう考えております。  この点は、また後の議論に譲りたいと思いますが、官房長官……
  249. 深谷隆司

    深谷委員長 記者会見で、今退席いたしました。  通告はなかったようですが。
  250. 倉田栄喜

    倉田委員 そうですね。  それでは、実は官房長官にお聞きしたがったのは、公益法人の数が非常にふえている。例えば、平成元年度で二万二千八百八十三法人であったものが、平成六年では二万五千六百五法人になっている。この五年間で二千七百二十二法人も公益法人が増加をしている。この増加の原因は一体何だろうかということを実はお聞きしたがったわけであります。  と同時に……(発言する者あり)いや、それは官房長官の所管らしいのですね。  例えばこの資料は、内閣総理大臣官房管理室の資料なんです。この同じ管理室の資料で「公益法人の現況」というこの平成七年十月一日現在による資料では、国所管の公益法人への補助金と委託費の交付額は、平成六年度で、補助金が交付された法人数三百三十二法人、交付額二千四百七十七億八千二百万、委託費が交付された法人数六百五十八法人、交付額一千四百二十一億八千九百万、これを合計すると、交付額は三千八百九十九億七千百万、これは先ほどの御答弁の中にもありました、こういうふうになりました。これは平成六年度ベースであります。平成七年度はどうなっているのでしょうか。  そして私は、財政改革、その補助金、行政経費の見直しというふうな点から考えても、本年度、平成九年度の公益法人に対する補助金の総額は一体どんなふうになっているのか。これは大蔵大臣にお伺いすればいいのでしょうか。
  251. 榊誠

    ○榊政府委員 お答えをいたします。  最初の、公益法人がかなりの数ふえておる、その理由についてのお尋ねでございますが、そもそも公益法人といいますのは、特殊法人とは違いまして、民間のイニシアチブによって設立されるものでございます。したがって、公益性がありまして国が定めております基準に合致しておれば、公益法人としての設立を許可している、こういう性格のものでございます。  しかし、公益法人の中には、国の委託事業を主なる事業とする国と関係の深い公益法人もあるのも事実でございます。これらにつきましては、種々議論がございまして、平成七年の三月に政府内での申し合わせをいたしまして、その設立を抑制することとしているところでございます。  それからもう一点の、補助金、委託費の平成七年度の数字についてのお尋ねでございますが、先ほどお話しいたしました約三千九百億円は平成六年度の決算ベースでございますが、七年度の決算ベースにつきましては、私どもの方で今集計中でございます。
  252. 倉田栄喜

    倉田委員 大蔵省にお伺いしたいのですけれども、例えば平成六年度は既に出ている、平成七年度を今集計中である、公益法人に対する各補助金の総額というのは各省庁それぞれもう現実にお持ちであるわけですね。平成八年度分もある。当予算委員会は平成九年度の審議をするわけですから、その総額、そしてそれがどういうふうに推移をしてきたのか、これがわからないとやはりきちっとした論議はできないと思うのです。公益法人に対する補助金の推移、あるいは本年度について公益法人に対する補助金がどうなるかということは、既に我が党からも資料要求されているはずです。  委員長、公益法人に対する補助金の推移、平成六年度決算まで出ているとすれば、平成七年度、八年度そして本年度、このトータルがどういうふうになっているか、これは大蔵省で全体を見ないと、それぞれ省庁ばらばらではしようがない。私はこの資料要求をしたいと思いますが、委員長、よろしいでしょうか。
  253. 深谷隆司

    深谷委員長 答弁できますか。
  254. 小村武

    ○小村政府委員 先生御案内のように、予算の執行は各省各大臣の責任において執行されるものでございますが、この公益法人に対する補助というものについては、予算作成の段階で直接当該公益法人に対する補助をするものもあれば、あるいは科学技術研究費のように、執行段階において各種の公益法人に対して各大臣が割り当てをするという性質のものが大半でございます。したがいまして、予算段階で公益法人に対する補助額を確定するというのは事実上大変困難であります。  今総理府の方からお答え申し上げましたように、決算ベースとしてその数字を把握するというのが最も正確なものとして、六年度決算の数字を明らかにし、七年度決算についてはただいま総理府で作業をしているところであります。この点と公益法人に対する予算の見直しの問題というのは分けて考えていただきたいと思います。
  255. 倉田栄喜

    倉田委員 公益法人に対する補助金がどういうふうに推移をしているのか、もう役割が終わったところがないのかどうか、あるいは補助金の額が適切かどうか、これは決算ベースの問題ではなくて予算ベースの問題だと思いますよ。大蔵大臣が全体を見ながら、これはどうなのかなとやはり御判断にならないと私はいけないと思うのです。  もう時間で、あとは関連の質問で西川先生に譲りたいと思いますが、最後に総理、特殊法人等についていろいろ議論がありました。公益法人についても同じような議論が、情報公開等々問題があると思います。そして公益法人に対する補助金、このままでいいのかどうかということもあると思います。総理は、公益法人の情報公開あるいは補助金の見直し、どうお考えでしょうか。
  256. 三塚博

    ○三塚国務大臣 おっしゃるとおり、ですから本年の九年度予算編成に当たりましても、制度全般を見直して査定をしたところであります。一般歳出と同じものでございます。  今後も、そのことは平成十年予算編成に当たりましてはさらに深度を深める、こういうことになります。
  257. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今さら申し上げるまでもないことですけれども、公益法人は民法に基づいて主務官庁に設立許可をされ、その監督に属するわけであります。そして、公益法人の設立許可及び指導監督基準、これは主務官庁が設立許可や監督を行う際、それぞれの法人に遵守させるべき基準でありますし、同時に、国からの補助金というものは、これは公益法人に対するものも含めまして、それぞれの政策目的に従って交付されるということになります。ですから、公益法人に対する補助金のあり方というものを、いわゆる設立許可、監督基準と絡める、なじむかというと、私は必ずしもその視点はなじまないように思います。  しかし、それぞれの補助金というものがその目的に沿って有効に利用されているかどうか、こうした視点からの注視は当然ながら必要であり、チェックも必要であろう、私はそう思います。
  258. 倉田栄喜

    倉田委員 議論がかみ合ったとは思いませんけれども、時間が来ましたので、終わりたいと思います。
  259. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、西川知雄君から関連質疑の申し出があります。倉田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西川知雄君。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  260. 西川知雄

    西川(知)委員 西川知雄でございます。ちょっと時間が短いのでございますけれども、要領よく三つの点についてお尋ねしたいと思います。  三つの点と申しますのは、整備新幹線について、第二点は全国交通網整備とその財源について、三つ目は公共投資基本計画について、今までそれぞれ質問されたところもありますが、違った観点から御質問させていただきたい、こういうふうに思っております。  まず、整備新幹線についてでございますけれども、現在運行中の四新幹線の建設費は、残念なことに、認可時の建設予算に比べて、開業年次での建設の実額というのは大分オーバーしております。例えば東海道新幹線では一・九倍、山陽新幹線では一・四倍、東北新幹線では、当初の予算八千八百億円から二兆六千六百億円、そういうふうになっております。上越新幹線におきましては、三・四倍、四千八百億円から一兆六千三百億円、こういうふうになっております。この中には、建設中にオイルショック、そういうものがございまして、急激的な物価上昇があった、こういうことは当然のことながらわかっております。  しかし、事業計画を立てる場合には、将来の物価上昇の予想、それから事情変更に備えるための弾力枠、これは公共投資の基本計画にも十五兆とか三十兆ありましたが、そういうものを想定して決定するのが当然ではないか、私はそういうふうに思っております。企業におきましては、例えばこれらの要素を勘案して計画を立てる、そういうのが通常であるというふうに考えるのが、大臣の皆さんだけでなく国民の皆さんもそういうふうに考えているというふうに思います。  私は、こういうふうな過去の実績からいたしまして、実は既着工区間三線五区間について、平成元年から七年にわたって認可された既着工分の認可額が一兆八千六百二十二億ということになっているのですけれども、平成六年の四月の見直しで二兆二千億、そういうことになりました。約一・二倍です。完成は着工からおおむね十年間ということですけれども、当然、線とか区間によって異なりますけれども、私が運輸大臣にお尋ねしたいのは、今後、非常な突発的なことがない限り、大体この二兆二千億円をめどとして、それ以上にならない、それがシーリングになるというふうに理解していいかどうか、これについてお答え願いたいと思います。
  261. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 公共事業については先生の方がお詳しいのではないかと思いますけれども、今、先生御指摘いただきましたように、上越新幹線についての異常な拡張については先生が数点お話しをいただきました。  もう一点は、計画策定から着工までの期間が異常に短かったということも大変大きな増額に結びついているということを一点だけ、たび重なるオイルショックとあわせまして、申し添えておきたいと思っております。  御案内のとおり、公共事業においては、一般的に物価の騰貴により建設費が膨らむということは、これは避けられないところだというふうに思っております。三線五区間、今お尋ねの建設事業費につきましては、既に工事を実施している分を含めまして、平成六年の価格で約二・二兆円ということを決めさせていただいているところでございます。  もちろん、建設に当たりましては建設費の抑制等に努めていくということは当然でございますけれども、先生の御理解で、私はそのとおりだというふうに思っております。
  262. 西川知雄

    西川(知)委員 次に、新規着工区間の件について、これは総理にお尋ねしたいのですけれども、実は総理は、この整備新幹線の新規着工区間について、これは平成三十年までにおおむね一兆二千億ということで、平成九年度にさらに百億円が確保されたわけですけれども、総理は、今後この件について、収支採算性を整備区間ごとに慎重に検討し、そして決定する、こういうふうにこの委員会でも言明されております。  しかしながら、私は率直なところ、着工年次も現在のところ十分にわからない、そして建設に十年とか場合によっては二十年かかる、そういうふうにしてどのようにして開業後三十年間の収支予想ができるのか、私は率直なところ、実にあいま  いであってよくわかりません。  総理は、これを慎重に見て慎重に決定すると述べられました。本当に慎重に検討し、かつ国民が納得のいくような経過を示していく、そういう用意があるのか、私、明確にこの場で御発言願いたい、こういうふうに思っております。
  263. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 大変細目なことですので、私の方から御答弁をさせていただきます。  まず、採算性についての三十年という期間の問題でございますけれども、御承知のとおり、鉄道事業におきましては、大変投資額が莫大になるということと、懐妊期間が長い、要するに、工事に着工いたしまして開業までが非常に長い期間を要するわけでございます。そういうことを考えてみますと、事業の採算性を考える場合に、かなり長期的に見る必要があるということは当然のことだというふうに思っておりまして、この三十年間の収支予測を行って判断するというのが一般的になっているわけでございます。整備新幹線の既に着工している区間におきましても、昭和六十三年以降、今申し上げましたような考えに沿いまして、三十年間の収支予測を行い、これに基づいて採算性を判断していくということにいたしております。  なお、新規着工につきましては、この委員会でもたびたび申し上げておりますように、基本的な条件というものを確認した上で、政府・与党合意に基づく検討委員会において、十分議論をさせていただき、論議をさせていただき、適切に処理していきたい、このように考えております。
  264. 西川知雄

    西川(知)委員 いろいろと議論はあるのですけれども、時間がございませんのでまたの機会にいたしまして、一つだけ申し上げたいところがございます。  それは、JRの合意、また同意というのが必須の要件になっておりますけれども、JRは御存じのように民営企業です。したがって、JRの役員、その方たちが同意をしたとしても、これが果たして株主代表訴訟にたえ得るかどうか、これについてはまた別の観点でございますので、そういうふうな合理的な判断が十分に必要だということを、総理も、そして運輸大臣も、十分に御承知おいていただきたいというふうに、私の意見として申し上げたいと思います。  ところで、やはりこの整備新幹線等についての責任者の方、これは総理か運輸大臣かお任せいたしますけれども、お尋ねしたいのですけれども、この収支採算性、これを十分に検討する、それは当たり前のことです一しかしながら、これが大幅に間違った、大幅に違ってきた、こうなった場合には、だれが、どのような責任をとるのか、この辺のところをお尋ねしたいと思います。
  265. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 ただいまも申し上げておりますように、既着工区間においては約二・二兆円、これからの新規着工分としてはJRの賃貸料を除くおおむね一・二兆円ということで新しい財源スキームを決めさせていただいているわけでございます。  それに沿って、今申し上げておりますように、まず収支の採算性の見通し、そして御案内のとおり並行在来線を経営分離していく、これは地方の公共団体と協議をした上でございますけれども、その同意を得て並行在来線を経営分離していく、そして土地確保等の見通し、そして今もお話があっておりますようにJRとの同意、こういう基本的なことを確認して、そして精査して着工を決めていくわけでございますから、合計いたしますと三・四兆円という見込みの額で着実に整備新幹線の整備を進めていく、そう御理解いただきたい。  今の時点で、それがどう大きく変わるかどうかということは、私どもといたしましては、今申し上げました線に沿って努力をしていくわけでございますから、御理解をいただきたいと思います。
  266. 西川知雄

    西川(知)委員 今の御発言で、既着工分の二兆二千億と未着工分のおおむね一兆二千、これをできる限り超えない形で、運輸大臣、それから総理政治的生命をかけて頑張っていただく、こういうふうに理解をいたしました。  ところで、整備新幹線自体が非常に問題となっているのは、基本的には、私は、整備新幹線自体がだめだ、そんなことは決して申しているわけではございません。しかしながら、最も重要なことは、これは総理が二月六日の二見議員への答弁でおっしゃったことですけれども、将来のグローバル化とかトータル化としての便宜性、効率性、環境問題、これは私が言った言葉なんですけれども、に対応し得るような総合交通体系、こういうものが必要じゃないか、こういうようなニュアンスの御発言がございました。  ところが、今、特定財源、これを見ますと、道路については平成九年度の特定財源の税収の合計は、国費の三兆三千百四十六億、地方費が二兆六千四百九十二億の合計五兆九千六百三十八億になっております。  御存じのように、特定財源の必要性、目的性については、平成五年十一月十九日、この政府税調でも疑問視されております。御存じのように、これは両説が併記されておりますけれども、現在は国道、地方道の整備水準がまだ低い、そして特定財源比率もまだ低いから特定財源にずっとこのまましてほしいという意見がある一方、道路整備状況もだんだん改善されてきた、国道の舗装率は九八%だ、それから、今の厳しい財政事情、これを考えると一般財源化すべきである、こういう意見も非常に強いわけです。  道路の受益者、これはもはや自動車の利用者だけではなく、一般の市民もこれを使っております。したがいまして、私は、これを一般財源化すべき、そういう意見も非常に理論的ではある、そして現在に合っているというふうに思うのですけれども、この点について大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  267. 三塚博

    ○三塚国務大臣 我が国の交通総合政策は長年にわたる懸案でありまして、高規格道路を重点にします。そして航空路、そして鉄道、鉄道は今のやりとりのとおりであります。  財源の問題が、国民各位の理解を得て、有効かつ適切に使われるような税体系になりますことを心から祈念をしております。
  268. 西川知雄

    西川(知)委員 今の御答弁は、非常に前向きな答弁だというふうに私は理解をしております。  ところで、大蔵大臣御存じのように、特定財源につきましては、現在、外国を見ますと、イギリスには特定財源制度、こういうのはございません。一方、フランスにおきましては、道路、鉄道、水路、この整理等が一本になっている、すなわち総合交通特別会計というものができているわけです。  先ほど申しましたように、もはや昭和二十九年からございます揮発油税等の特定財源、こういうものは、だんだん変わってきましてもう古いものになってきたというふうに私は考えております。先ほどの一般財源化の話とともに、特定財源をするにしても、総合交通特別会計、そういうような考え方、こういうことについても御考慮願いたいと思うんですが、大蔵大臣の御意見を短くお願いしたいと思います。
  269. 三塚博

    ○三塚国務大臣 結局、税は国民の総合的な理解、合意がありませんと前に進みません。そういう点をきちっとやはり見分けをしながら、先ほど来の御案内のとおり、これからの我が国の高齢化社会に向けてどうあるべきかということで、国民相互の負担、こういうことで、あるべき姿をぜひ国会において、国民間の議論においてつくり上げていかなければならぬ、論議の盛んなることを御期待をします。
  270. 西川知雄

    西川(知)委員 大蔵大臣は、特定財源の現状について、これは否定をされずに、どちらかというとこれからどんどん討議をしていこう、こういうことでございますので、ぜひ一般財源化と特別会計、この辺についても御考慮をいただきたいというふうに思います。  ところで、御存じのように、昭和四十六年に自動車重量税というのができました。これは、自動車の走行が多くの社会的費用、例えば公害や事故、これをもたらしているということを考慮して創設されたものです。今、地球の環境問題、また経済情勢の変化等にかんがみて、総合交通体系のために今までに確立されてきた財源と投資配分がこれでいいのか、これを検討し直す必要があり、私は、総合交通体系につき、その財源配分の見地から特定財源の見直しを検討すべきだ、こういうふうに思っておりますが、その辺について総理の御意見をお伺いしたいと思います。
  271. 三塚博

    ○三塚国務大臣 御指摘のことは拝聴させていただきました。  税のあり方というのは、国民合意の中でつくり上げていかなければなりませんし、高齢化社会に向けて、国民各位に過大な負担を求め得る限界というのはあるわけでございますから、総合的な、全体を見ながら決めさせていただく、決めるのは国民代表である国会、提案は政府、こういうことで、論議の盛んなることを期待をいたします。
  272. 西川知雄

    西川(知)委員 総理はこの問題を割合小さな問題かというふうに御認識かもしれませんが、これは大変重要な問題でございますので、今後とも、政府の中でもぜひ御検討をいただきたい、こういうふうに思います。  次は多分総理がお答えいただくというふうに思いますが、この件もかんがみまして、公共投資の基本計画について若干御質問をさせていただきたいと思います。  いろいろな方が六百三十兆、これを見直せ、こういうことを言っておられます。その理由として、また政府が公共投資の基本計画を立てられたそのときの理由として、人口構成が若く経済に活力のある現在のうちに社会資本整備をする、こういうことを基本的な考えとして公共投資の基本計画、これが立てられたというふうに考えております。では、その一方、その結果として、二十一世紀初頭後には、これは公共投資を減らすということが念頭になければならないはずです。  総理にお尋ねしたいのですけれども、二十一世紀初頭後には公共投資を何割、どのような分野で減らすのか、また減らす予定があるのか、この辺のことを御答弁願いたいと思います。
  273. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員お尋ねでありますけれども、公共投資基本計画をまとめましたときに、今議員が述べられた以外の問題、すなわち、日米構造問題協議という中で日本側として対応するという問題点があったことをどうぞ思い出していただきたいと思うのであります。  そして同時に、二十一世紀に入り、その時点ではこれほどの少子化の進展というのは実は議論になっておりませんでした。しかし、高齢化の速度そのものは推定されておりました。当然のことながら、二十一世紀前半に高齢社会が到来する、むしろ超高齢社会と言ってもいいかもしれません。その時点においては、現在の仕組みをそのままに延ばしていった場合、当然のことながら社会保障負担はふえざるを得ないというのは、一つの皆の共通の考え方でありました。それを今、少子化の進展がより加速をしている状況であります。  ですから、その時点、この公共投資基本計画をつくりました時点で、一体そのころになれば社会保障費がどれぐらいを占める、粗い推計はあったと記憶をいたしますけれども、それは、その時点における社会保障の仕組みの一定の仮定を置いた上での単純な延長の線上の推計でありますから、それを今議論してみても余り意味がないと思います。
  274. 西川知雄

    西川(知)委員 予算委員会では、こういうような具体的な議論をもっともっと長く私はやりたいのですが、与えられた持ち時間が少ないので、最後にもう一点だけ御質問をさせていただきたいと思います。  公共投資の地域格差、これについてお尋ねしたいと思います。  平成七年度の地方交付税、譲与税、補助金等の国庫支出金というのは、実は私の選挙区であります神奈川県では三千四百三十八億円、一方、総理の地元岡山県では三千四百九十五億円であります。県民一人当たりにいたしますと、神奈川県が四万三千円、岡山県は十八万二千円です。実に神奈川の四倍の国庫支出がなされています。また、平成六年度の県民の納めた所得税と県が受け入れた国庫支出金の関係を見ますと、我が神奈川県はわずか、一万円の所得税に対して二六%、二千六百円しか返ってきておりません。ちなみに総理の地元岡山県は一四四%、それから宮城県は一二八%。したがいまして、我が神奈川県の二六%をもとにしますと、岡山は五・五倍、宮城は四・九倍、亀井大臣の広島は三・八倍、青森は実に十四倍です。  私は、都市、農業地、人口密度によりすべて同負担である、そういうふうなことは申しておりません。しかし、受益者負担、自己負担というのが、自己責任を考えて、余りにも私は不平等ではないか、こういうふうに思っております。一票当たりの重みの格差が余りにも大きいということで、国会議員の定数も改められました。五・五倍、そして青森は実に十四倍です。こういうのは社会通念を私は超えているというふうに考えざるを得ません。  かかる負担の不公平を是正すべきであると思うのですが、この点について、あと二分間で総理の是正に関するお考えを例えれば幸いと思います。
  275. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 自分のふるさとをそういう視点でとらえたことがありませんでした。しかし、その上で、議員がそのような御論議を展開されるのであれば、例えば、社会資本ばかりではなく、文化的資本の整備とか、そうした部分についても比較をしていただきたいと思うのであります。  私は、今数字だけを述べられましたが、例えば医療機関あるいは先行する高速道路の延長、いろいろな指標のとり方はあろうと思います。そして同時に、我々として、ちょうど私の県は規模からいうと真ん中辺の県だと人口規模その他からいって思いますけれども、そういう指標のとり方は大変難しいと思いますけれども、できるだけバランスのとれた国土づくりをしていく、それが必要なことだと思います。
  276. 西川知雄

    西川(知)委員 あと最後になりますけれども、公共投資の基本計画を今後見直されるということは私は大変好ましいと思います。しかしながら、初め、当初の計画、この見直しの過程で社会資本整備研究会、その委員会がございましたが、その委員には現計画が重点を置く生活者重視、文化重視の公共投資の観点を尊重し得る立場のメンバーが入っておりませんでした。次回の見直しについては、ここでも役人OBを排除し、市民、消費者、文化人、福祉関係などの代表を多く入れるべきであるというふうに私は思います。  そして、国の将来を示す基本的な指針でございますので、総理はこれは単なる目安であるとおっしゃいましたけれども、このような公共投資基本計画が閣議了解で、そして、その個別分野の具体的な姿を示す五カ年計画が閣議決定というのは私は余りにもおかしいというふうに思います。このような日本の将来をどういうふうにしていくのかということを考えるこういう基本計画については、やはり国会の場で堂々と議論を闘わすということが正しいことじゃないかというふうに思われます。  私の質問はこれで終わります。
  277. 小里貞利

    ○小里委員長代理 これにて倉田君、西川君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君の発言を許します。松本善明君。
  278. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理劣化ウラン弾問題から質問します。  沖縄での米軍劣化ウラン弾発射事件というのは本当に重大な事件です。沖縄タイムスとか琉球新報などを見ても、それから大田知事の談話初め関係市町村の首長の談話を見ましても、本当に怒りが心頭に発しているというような感じです。  この事件は、アメリカ海兵隊員による少女の暴行事件が起こってから三カ月、あの沖縄県民を初め日本国じゅうで抗議の嵐が起こっていたときに行われた。通告がおくれたというよりは、この時期に行われた、まさに傍若無人、まさに沖縄は戦場だということを感じさせるようなそういう事件であります。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕  劣化ウラン弾は湾岸戦争のときに米軍が使用して、帰還米兵に湾岸戦争症候群という病気が広がりました、その原因の一つではないかということで大問題になって、アメリカ本土では特定の射爆場以外では使用を禁止されているものであることは御存じのとおりです。事件が起こってから一年以上たつまで日本政府に通告がない。日本政府も、知ってから約一カ月近く公表しなかった。沖縄で、占領下と同じじゃないか、こういう声が起こるのは当然だと思います。  そこで質問しますけれども、アメリカ国防総省筋は、環境への影響が少ないので通告義務がなく、そのために通告がおくれたと言っているということですが、日米特別行動委員会の報告事故通報を明記をしている。今度の事件はそれがもう全く無意味な口約束だということを証明したのではないか。  総理は、アメリカから通報を受けてから一カ月近くも沖縄にも日本国民にも知らせませんでしたけれども、何と弁解をいたしましても、ワシントン・タイムズの報道を知って慌てて公表したとしか考えられないのです。  今朝以来の経過についての御説明その他は、私、十分に聞いて承知をしております。総理にお聞きしたいのは、この問題についての総理大臣としての責任をどういうふうにお考えになっているかということをまず第一に伺いたいと思います。
  279. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 責任という言葉にぴたりとはまるお答えになるかどうかわかりません。  私がこの事件報告を受けましたのは一月十七日、神戸における阪神・淡路大震災追悼式を終わって帰京した後でありました。ただ、その時点におきましては、こういう事件があったという第一報でありまして、細かい、その時点における少なくとも細かい報告を受けたのが二十日であったと記憶をいたします。  そしてそのとき、私は劣化ウランというものに十分な知識を持っておりませんから、どういう使われ方をするのか、あるいはほかにどんなものに使っているのか、放射線量はどれぐらいか、十分な回答が得られませんでした。また、環境影響調査米軍が行って問題がないと聞いているということでありましたけれども、その内容はどうなんだ、まだ細かい部分の情報が届いていないということであり、この連絡通報を受けた時点アメリカに対して直ちに抗議をし、同時により細かい資料要求をしているというのがその時点報告でありました。そして、沖縄には連絡したのか、もう少し細かい点を調べてから報告しようと思います、とにかくその環境影響評価をしたというのなら、その調査結果とか早くもらえというやりとりで終わったと記憶をいたしております。  責任と言われますなら、その後すぐ国会が始まり、当然のことながら事務当局同士の間で必要な資料の徴求等が行われておると思っておりました点、確認を求めておらなかった点は、私の十分な注意が足りなかったと言われるならおしかりを受けます。
  280. 松本善明

    ○松本(善)委員 私が責任ということを申しましたのは、ただ、今のお話では、この経過と、おくれたということについてのお話でありますが、やはりその背景には、日本国民の健康、国土の汚染という重大な問題、その問題についての責任があるのではないかと思います。  劣化ウラン弾は、アメリカ本土では特定の射爆場以外での使用を禁止していますが、その禁止はいかなる法律、規則によって行われているのか、御報告をいただきたいと思います。
  281. 折田正樹

    ○折田政府委員 劣化ウランはそれ自体の放射能レベルや化学的毒性は低いとされているところでございますけれども、他方で、劣化ウランも高度な技術を用いれば核燃料として使用され得る物質であるために、核燃料物質の管理という観点から、日本もそうでございますが、国内法に基づく一定の管理の対象としております。アメリカにおきましては、劣化ウランは原子力エネルギー法及びその関連法令に基づき管理されていると承知しております。  米軍といたしましては、この国内法令、上記の国内法令に従いまして、劣化ウラン含有弾薬の使用について的確にモニターし得るための人員、それから機器があります米国内の指定された基地においてのみ訓練を行っていると聞いております。
  282. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、今御報告のあったとおりですが、一定の射爆場以外での使用を禁止されているということは、やはり危険だという認識は、もちろん総理、おありなんでしょうね。
  283. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 問題視をし、先ほどあなたは日本環境及び日本人の生命に対する危険、それがおまえの責任だと言われました。まさに、劣化ウランという物質の名前を聞きましたときに、私がその説明を受けたとき、その放射線量はどうなんだ、あるいは回収作業の、約一割ぐらいを回収したんだったと思いますが、それぞれの放射線量、出す放射線量はどうなのか、それから、もし御指摘があるならつけ加えておきますけれども、私の記憶では、実は、放射線量はそれほど多くなかったけれども、微量重金属としての問題、毒性の問題があるという記憶をしておりましたので、そうした点についてはどうなんだ、米軍の行った環境影響調査の結果は入っているのかというようなことをただし、いずれも十分な回答を事務当局から得ることができませんでしたので、そして、引き続きそうした点に対する資料要求をしているということでありましたから、できるだけ早くとれということを言ったということであります。
  284. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカでは、湾岸戦争で誤って劣化ウラン弾を味方に撃ち込まれた戦車が危険な放射性廃棄物として厳重に保管をされているということであります。  沖縄の土中、海中に劣化ウラン弾が残っているわけです。鳥島で発射されたのは千五百二十発で、回収は百九十二発ということでありますから、大部分が残存していることは明らかなんです。アメリカと同様にやはり対処をすべきではないか。環境に対する危険性、今総理お話しになりましたけれども、日本国民に責任を持っている政府として、独自に、アメリカの言っていることをうのみにするのではなくて、危険性を判断すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。  特に、この鳥島周辺はタイやカジキマグロの漁場でありまして、この地域だけの問題ではない、日本国民全体の健康にもかかわる問題でありますから、日本政府として独自にこの危険性について判断すべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
  285. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもといたしましては、これまで米側としての調査の結果を聴取しております。そしてその米側から提供されました情報や資料、いろいろ検討しておりますが、しかし、その検討の結果によって、また我が国としても所要の措置をとろう、こういうことで午前中も御答弁申し上げた次第でございますが、きょうもいろいろ検討いたしまして、米側とも連絡いたしました。米側としても、さらに再度調査もしてみよう、今年度内にも、こう考えているようでございますし、我が国といたしましても、我が国独自であるいは米側と協力してその現地の調査もするということも今検討しているところでございます。  そして、この旨は、きょうお昼の時間に、沖縄県の吉元副知事がお見えになりましたので、沖縄県の副知事さんにも、こういうことを今考えている、そしてまた、沖縄県ともよく御相談して進めてまいりたい、こう申し上げたところでございます。
  286. 松本善明

    ○松本(善)委員 今現地の調査と言われましたが、立入調査をするということですか。
  287. 池田行彦

    池田国務大臣 現地の状態についての調査でございますから、当然立入調査は含まれるんだと思います。しかし、具体的な調査のあり方についてはこれから相談をしていくということでございます。
  288. 松本善明

    ○松本(善)委員 劣化ウラン弾総理、当時は劣化ウランについての知識がなかったと言われますけれども、もう一カ月近くたっているわけですね。  劣化ウラン弾は、鋼鉄を撃ち抜いたときの高度の摩擦熱で劣化ウランが発火をして、飛び散った微粉末が燃えるという仕組みになっているということであります。微粉末を吸入すれば、人体に有害なことは明らかであります。劣化ウランは、ウランの精製、濃縮過程で核燃料となるウラン235を取り出した後に残される物質で、やはり人体に極めて重大な毒性を持つものであります。  私は、アメリカの上院でこの問題が議論された議事録を取り寄せて調べました。上院の銀行住宅都市問題委員会リーガル委員長が、一九九四年五月二十五日に、米国化学・生物両用戦に関連して二通りに使用できるイラクに対する輸出品と湾岸戦争の健康影響に対するそれらのあり得る衝撃という報告書を出しています。この報告書は、湾岸戦争の間に劣化ウラン弾が使用されたことについて調査をしているわけです。  そこでの結論は、ウラン粒子は体内に入り、骨や主要臓器に沈着し、骨髄に影響を与え、DNAの損傷を引き起こすというふうに指摘をしております。劣化ウラン弾に含まれるウラン粒子は遺伝子の中核でありますデオキシリボ核酸を損傷すると言っているわけです。  劣化ウランは人体にも極めて有害であるという、このことは政府としては承知をして対策を立てているのでしょうね。いかがでしょう。
  289. 池田行彦

    池田国務大臣 劣化ウランの安全性につきましてはいろいろな見方がございますけれども、これまでのところ私どもが米側から受けております説明では、劣化ウランは鉛と同様に重金属としての毒性を有する、しかしその毒性は鉛よりも低い、これが一点でございます。  それから、劣化ウランは確かに放射線を出します。アルファ線を出しますけれども、例えば、劣化ウランから出ますアルファ線は空気中を約五センチ進んだだけで消滅するといったようなものであり、それほど大きなものではない、初期のカラーテレビから出されておった放射能のレベルよりも低いものだ、こういうふうに言われております。したがいまして、吸い込んだり飲み込んだりしなければ人体に与える影響はないという説明米側からございます。  しかしながら、一方において、湾岸戦争のときにそこへ従軍した兵士が体調を崩した、その原因の一つがこれではないのかという話もございまして、そういった観点からいろいろな調査があることも承知しております。そういうこともございますので、私どもといたしましては、これまで米側から受けた説明説明として、さらに我が国としてもいろいろな側面からその危険性については調査して対応してまいりたい、こう考えておるところでございます。  それから、鳥島についてというお話がございましたが、鳥島は御承知のとおりの射爆場でございますので、それが今直ちに、あそこにございます、まだ残っております劣化ウラン弾のためにすぐに危険が及ぶということは余り大きな心配はないのではないかと思っておりますが、その点もさらに確認をし、もし何らかの危険性があれば適切に対処するために、先ほども申しましたように、調査もしていこう、そして必要なる対応をしていこうとしているところであります。
  290. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカ会計検査院の報告書で、砂漠の嵐作戦、これはイラクでやられたのですね、軍の劣化ウラン汚染対策は不十分だったということで報告書でも指摘をされていますし、アメリカの民間団体で劣化ウラン弾の使用中止を求める運動をしている団体もあります。いずれにしても、日本政府として国民に責任を持って徹底的に調べる、これがやはり必要なんじゃないか。  今外務大臣お話しになったのは、これは重金属のままのときなんですね。使った後の微粉末が飛び散る、徹甲焼夷弾として使って、そして粉末になって燃えた場合、これが重大なんですね。この状況や毒性ということは承知をしているのでしょうか。  それで、総理にまとめてお聞きをしますが、やはりはっきりと日本政府として独自に日本国民に責任を持ってこの毒性について調査をするという考えでいるかどうか、総理としてのお考えをこの微粉末のことも含めてお聞きしたいと思います。
  291. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員から全くその微粉末のお話が出てこない時点で、私は微量重金属としての問題点という私の問題意識を御答弁の中で申し上げたつもりであります。そして、私は技術的なことについては素人でありますけれども、当然のことながら今後日米の共同調査の必要も出るであろう、その場合に、日本側調査団をつくります場合には、沖縄県の推薦する方をもその中に加えるようにという指示を、きょう私は昼休みに秘書官を通じていたしたばかりであります。
  292. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、もう一カ月近くたっているわけで、私でさえも公表されてからこれだけのことが調べられるわけです。徹甲焼夷弾、どういうふうに使われるかということを考えれば……(橋本内閣総理大臣「だから微量重金属の問題、承知していますと言ったじゃないですか」と呼ぶ一重金属だけの問題じゃない。微粉末になったことが重要なんで……(橋本内閣総理大臣「わざわざ微量重金属と言っている」と呼ぶ)じゃ、もう一回きちっと答弁していただきましょう。  使用した後の微粉末の毒性が、これがもう飛び散りますし、それからどこまで広がるかもわかりませんし、これが重大問題なんです。このことを認識して、独自に日本政府として日本国民に責任を持って調べるという決意でおられるかどうか、その点を。
  293. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 微粉末というか微量重金属というか、私は、微量重金属という、微量ではない形態のものが微量になるためにはそれだけの原因があるわけでありますから、微量重金属ということを冒頭、議員からのお求めのない時点から申し上げてまいりました。  そして私は、やはり日米共同で調査を行うとすれば行うべきものだと思います。しかし、私は、その中に日本側が入るとするならば、そこに、沖縄県の信頼される方も調査の中に入っていただくべきだと思う、そういう指示をきょう昼休みにいたしましたということをそのとおり申し上げております。
  294. 松本善明

    ○松本(善)委員 劣化ウラン弾、少量であればそのまま燃焼して、少量であれば確かに残りかすですから、普通よりは少ないかもしれません。しかし、これもとり方によって随分違うようです、専門家の話を聞きますと。急いでとつちゃうとたくさん残るとかいろいろあるようです。  いずれにしても、これが何千発、何万発、あるいはそれよりもはるかに多く集まっていた場合にどうなるか。戦車にどれだけ積む、あるいは艦船にどれだけある、貯蔵庫にどれだけある。岩国基地に貯蔵庫があるということは岩国米軍司令官が認めたということでありますが、そこにはどのくらいの弾薬が貯蔵されているのか、またその他のところには貯蔵されていないのか、どのぐらいの量になったら人体に影響が起こるのか、老朽化した砲弾の処理や使用がほかのところで、今まで日本国内でなかったか、それらの点についてどこがいいでしょう、総理がおわかりでないかもしれませんが、どうぞ。
  295. 折田正樹

    ○折田政府委員 在日米軍は、安保条約の目的のために、平時より即応態勢を維持するために訓練を行うとともに、緊急事態が発生した場合にはこれに効果的に対処することができるよう、種々の装備、物資を保有しております。  そして、この劣化ウラン弾は、我が国の訓練場における使用は禁止されておりますが、緊急事態においては米軍がこれを使用する必要が生ずることがあるため、我が国における一部施設・区域に保管されているものと承知しております。  これは、米軍規則に基づいて、所定の基準を満たした特定の弾薬庫において安全に万全の配慮を払いつつ厳重な管理をして保管しているということでございますが、具体的にどれぐらいの量かということは明らかにしないという方針をアメリカはとっております。
  296. 松本善明

    ○松本(善)委員 最後だけが答弁なんですよ。これは私はやはり、これだけのことが起こって、日本政府日本国民に対して本当に健康に責任を持っているなら、それぐらいのことは聞いて答えるのは当たり前ですよ。そんなこともしないというなら、本当に私は無責任だと思う。これは後、きょう幾ら聞いてもしようがないですから。専門家でもないですね、総理、この程度の答弁では。  総理に聞きますが、次は別の問題。これはまあしようがないです。  アメリカ側劣化ウラン弾に不適切な表示がなされていたためと言っていますが、それは弾薬カタログに誤りがあったということだが、どうしてそういう重大な誤りが生じたんだ。これは徹底的に究明しなければならないものですよ、アメリカに対して。そして誤射というのですが、そのものにも疑問はありますが、誤射といっても重大な事故であります。そのために日本国民は大変な被害を受けるかもしれないという、そういうものであります。  この問題について、誤射というけれども、責任者の処罰が行われているのか、政府としては処罰を要求するか、処罰をしないで再発は防止することができると思いますか、総理に伺いたいと思います。
  297. 池田行彦

    池田国務大臣 これは、御指摘のように誤射なんでございまして、誤って使われてはならない砲弾が訓練に使われたことでございますけれども、それにしても、これはやはりあってはならないことでございます。そういったことで、私どもの方も、なぜそんなことが起きたのだ、そしてまた、将来に向かってそれの再発防止はどうするんだということは、これは米側にも繰り返しただしております。  これまでの米側説明におきましては、やはり表示の間違いでこういうことが起きた、だから、その弾薬につきましては、先ほども政府委員から答弁もございましたように、管理場所、物理的にもきちっとした施設をつくって管理をしておりますし、また、そこからの出し入れについても、当然のことながらこれは厳重なチェックはしているはずでございますが、そういったシステムがあるにもかかわらずああいう誤使用が起こったということは、これは米軍としても重大に考えまして、随分検証したようでございます。そして、少なくとも検証され得る限りにおいて同様の誤使用というものはなかった、これは確認されたということが一つございます。  それから、将来に向かっては、やはり現在のそういった保管あるいは運用のシステムも、さらにその安全性の観点から強化していくということで検討をしている、こういうことでございます。  そういうことでございますので、我が方といたしましては、それはやはり誤使用の問題でございますので、まず、そういう責任が、似たようなことがあったかなかったかということが一つでございますし、それから、誤使用に伴って安全の面での問題がないかということをきわめていくことが大切であり、そしてさらには、再発を防止するという点にまず大きな関心を持って米側にもただしている、こういうことでございます。
  298. 松本善明

    ○松本(善)委員 どうも処罰は要求するような気配でないですね。過失犯ということもあります。結果が重大ですから、そういうのをそのままにして、ただ再発防止ということを言っているだけではやはりだめなんだと思いますよ。私は、この問題については、政府がもう少し腰を据え直してやらないと、それはとても国民は納得しないということを申し上げておきましょう。  海兵隊の問題に移ります。劣化ウラン弾の発射も海兵隊の訓練なんですね。総理に伺いますので、よく聞いておっていただきたい。  大田知事はこの問題で、もう海兵隊撤退以外にないということを言っています。これは安保条約を認めているか否かにかかわらない、党派を超えた沖縄県民の要求だと思うんです。  我が党は衆参両院本会議で、在日の米空母機動部隊と海兵隊は、日本の国土防衛と無縁の海外への遠征を任務とする軍隊であり、日米安保条約廃棄以前であっても撤退を要求して当然の部隊だ、撤去をアメリカ政府と交渉すべきだということを主張して質問をいたしました。総理の答弁は、あるいは外務大臣の答弁は、これらの部隊が日米安保条約の目的達成に重要な役割を果たしているということを述べたにとどまっております。その他、各党のこの問題についての質問でも、それの域を出ません。  私は、今回の事件でますます大きくなっているこの海兵隊の撤去問題に絞って総理に質問したいと思います。  まず総理に聞きたいのは、海兵隊の撤去を沖縄県民の切実な願いであると受けとめているかどうかです。  海兵隊米軍の中で真っ先に戦う部隊です。隊員は二十歳前後で、常に死に直面をしている。少女暴行事件のような問題を常に引き起こしている。あれだけの事件が起こっても、こういう今のような訓練をやっているところです。これは、沖縄県民は、半世紀の経験で、体で知っているのですね。ヘリポートは、沖縄の美しい海を奪い、基地を固定化をして、基地の撤去という沖縄の戦後一貫した願いを踏みにじることになる。だから地元はこぞって反対しているのです。この海兵隊の撤去要求すら受け入れないということになると、基地撤去、平和な沖縄への県民の要求を将来にわたって拒否をするということになる。  それで、総理に聞きたいのです。  海兵隊の撤去が、沖縄県民の党派を超えた要求になっているということを受けとめているかどうか、この点をまず総理に聞きたいと思います。
  299. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 沖縄県民の方々の心の中の一番強いもの、それは基地の全く存在しない沖縄県をということであると思います。そういう意味で私は今まで沖縄の方々の心というものを受けとめてまいりました。その上で、現在非常に大きな課題に取り組んでおります。
  300. 松本善明

    ○松本(善)委員 今、基地の撤去は沖縄県民の願いだ、こういうふうに言われましたが、この要求は将来にわたって無理な、実現のできない要求だと思っておられますか、総理は。
  301. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本当にこうした問題を必要としないような世界ができればすばらしいと思います。そして、夢を語るなら、そうした時代を語ることもできます。しかし、現実の世界の中で、我々は日米安保体制というものを日本は必要としておると考えておりますし、その点について、もし必要であると、議員がどういう御判断になるか知りません、しかし必要であるといたしますならば、その条約上の義務としての基地施設の提供の責任を我々は持っております。その中で沖縄県民に極めて厳しいお願いを申し上げている。その点は、自分なりに心の中にさまざまな思いを秘めながら、限られた選択肢の中でのお願いを申し上げております。
  302. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは沖縄県民の夢ではない、現実の要求なんですよ。  海兵隊の撤退は当面の焦点の要求ですが、普天間基地は言うまでもなく海兵隊基地でしょう。海兵隊が撤去されれば、キャンプ・シュワブ沖のヘリポート問題、そのためにどれだけかかるかわからない膨大な費用の問題もなくなるんです。本土の五つの基地へ移動しようとしている百五十五ミリりゅう弾砲の実弾演習も海兵隊がやっているんですよ。それから、今の劣化ウランもそうです。だから、こういう問題はみんななくなるんです。沖縄に駐留する米軍の七割が海兵隊です。基地の縮小という沖縄県民の超党派的要求がここへ集中しているわけです。  そこで私は、総理に聞きたいのは、総理海兵隊日本防衛の任務を持っているという認識を持っているのかどうか。この点の総理の認識をお聞きしたいと思います。
  303. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変言葉が足りなかったとしたらおわびを申し上げます。現実に心の中に抱いておられると言いかえるべきでありましたなら、その言葉を夢と表現をしたのはあるいは不適切であったかもしれません。  しかし、私ども、同時に日米安全保障条約体制というものがこの国に必要だと考えておりますし、その枠組みの中で、我が国におきましては沖縄県その他に海兵隊が駐留しているわけでありますが、その要因としては、アメリカ本土からハワイ、グアム等に前方展開している戦力に加えて、水陸両用戦能力を有する海兵隊我が国に駐留することによって、我が国を含む極東の平和と安全に寄与するために迅速かつ柔軟に対応できる、そうしたことがあると思います。
  304. 松本善明

    ○松本(善)委員 私の質問は、海兵隊日本防衛の任務を持っているかどうかということ。  日本にいる海兵隊日本防衛の任務を持っていないことは、一九八二年四月二十一日、米上院歳出委員会の小委員会で、議員の質問主意書に答える形でアメリカ国防省がこう言っています。ワインバーガー国防長官のときです。「沖縄海兵隊は、日本の防衛任務には割り当てられていない。そうではなくて、沖縄海兵隊は第七艦隊即応海兵隊をなし、第七艦隊の通常作戦区域である西太平洋、インド洋のいかなるところにも配備されるものである」、これは文書で答えているのですね。これは総理、御存じでしょうか。
  305. 折田正樹

    ○折田政府委員 一九八二年四月二十一日にそのような議論が行われたということは承知しております。  私どもは、沖縄海兵隊は、ほかの米軍と同様、万が一日本に対して攻撃がある場合には、安保条約第五条に従って日本を防衛する義務があるというふうに考えているところでございますが、今の証言で委員が今引用されたところは、沖縄海兵隊が単に日本の防衛任務のみに充てられたものではないという趣旨を強調するために述べたくだりであろうというふうに私は思います。日本を防衛するということは当然の前提として考えた上で、単に日本を防衛するだけではないということを強調する文脈でなされたものと承知しております。
  306. 松本善明

    ○松本(善)委員 きょう配付をいたしました資料をごらんをいただきたいと思います。  この国防省の答弁が受けた形でずっと今までもあります。在日海兵隊の任務を明記した米軍文書、「マリン・ファクト・ブック」ですね。この七ページを出しておきましたが、ここでは、第三海兵遠征軍の任務は「西太平洋およびインド洋における事変対処計画と作戦の支援を実施する海兵空地任務軍を計画し、調整すること」、こういうふうに規定的に叙述をしておりまして、日本防衛は記述をされておりません。  一方、もう一つの方の資料、三沢基地の第三五戦闘航空団の任務については日本防衛を明記をしております。第三五戦闘航空団、これはホームページ、インターネットでとったものであります。これは、「第三五戦闘航空団は日本の防衛を助力し、また、前方プレゼンス、展開可能戦力、および質の高い任務にたいする支援を提供することによって太平洋の地域安全保障を推進すること」とあります。  誤解のないように言っておきますが、我が党は、日本国民の安全のために米軍は必要でないと考えていますので、三沢の部隊も、日本防衛のために要るとは考えていません。しかし、米軍の軍種別の任務では、はっきりと三沢の部隊と海兵隊を区別していること、これを問題にしているわけであります。北米局長は今そういうふうに言いましたが、米軍の規定で、海兵隊日本防衛の任務を持っているということがあるのかどうか、私が提起をしましたこの資料を否定する根拠があるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  307. 折田正樹

    ○折田政府委員 日米間には安保条約という日米間の国際約束があるわけでございます。それに基づきまして、米軍は、一朝日本に対して攻撃があれば、それに対して日本を守る義務があるということだろうと思います。  それから、今委員御指摘のこの資料、必ずしも適切な表現ではないかもしれませんが、日本を防衛するということは当然の前提ということで書かれているものと私は考えます。
  308. 松本善明

    ○松本(善)委員 まあ、この問題で専門家であるはずなのですね、北米局長。それでもやはり米軍の文書でこれに反論をする文書は提起できないのですよ。全体として、日本を防衛するはずだ、こういうことしか言えない。これは、直接的に日本防衛を任務としているという文書を北米局長も知らないということですよ。ないということです、これは。  角度を変えて質問をいたします。  総理、これは今別に北米局長に答えさせることをすべて否定するわけではありませんけれども、やはり海兵隊の撤退要求というのは本当に切実な沖縄要求なのですよ。それで、これはアメリカの方針が決まっていますから、大統領と話をしなければならない。それは、総理が、さしで話をできるのは日本ではあなただげでしょう、公式に。だからあなたに聞いているんですよ。そういう問題として受けとめて答弁をしてほしいと思います。  一九九六年度のアメリカの国防報告、ペリー国防長官のものによりますと、これを見ますと、海兵隊は機動展開戦力である、海軍の作戦を支援して、または陸軍及び空軍部隊に先立って陸上に戦力を投入する、強行上陸作戦を遂行することを目的とした戦力を維持している。上陸後は、敵前上陸する部隊なんですよ、上陸後は後続部隊の到着に備えての港湾及び飛行場の確保である。海兵隊の賛歌、海兵隊のために歌う歌ですね、これも「真っ先に闘う」と。海兵隊というのは、紛争地域に真っ先に派遣される部隊、そして後続部隊を待つ部隊なんですよ。日本防衛の任務を持っていないということは海兵隊の性質上明らかです。一般的に言うならば、それは北米局長のような言い方をするでしょうけれども、それはまことに素人の議論ですよ。  こういう強行上陸作戦を行う機動展開戦力が日本を防衛する場合にどういう役割を果たすと思います。具体的にどういう場合に海兵隊日本防衛に使われるんですか。総理はそういうことを考えたことがありますか。
  309. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、今申し上げられることは、御意見は承りましたということ、そして、アメリカの四年ごとの国防計画の見直し、これは、戦力構成あるいは最終兵力等すべてを対象としているものでありますけれども、現在、海兵隊の、また在日米軍の戦力縮小ということはないと聞いておること、状況の変化が将来生ずれば、当然のことながらそれはまた変わるであろうということ。そうした、その上で、今日本国内において海兵隊がどのような場面で活動するのかというお尋ねについて、仮定の御質問としてお答えをすることは不適当だと思います。
  310. 松本善明

    ○松本(善)委員 仮定ではないんですよ。私は、海兵隊の任務が、直接的には日本防衛の任務はない、これはもう当然なんですよ。ああいう北米局長のいいかげんな答弁しかできなかった……(発言する者あり)いや、そうです。あれは、全体の中でというのはへ直接的に任務があるかどうかということの質問に対してのあの答えは適切なものでは決してないです。総理はそれについてお答えにならなかった。これは仮定の問題では決してありませんよ。海兵隊の性質についての認識の問題です。  今総理が、四年ごとの米軍の見直し問題に触れられましたから、そのことについてお聞きをしようと思いますが、この問題は、新進党も与党の社民党も質問をしました。沖縄出身議員は全部質問しました。その中で、総理は、一月三十一日の参議院予算委員会で、それまでは「現在その撤退を求めるということは考えておりません。」と言った。「ただ、中長期的に申しますと、この地域の情勢の変化も見ながら日米間でいろいろ協議をしていこうということは折に触れて明らかにしてきておるところでございます。」と述べました。  総理が言う「中長期」とはどのぐらいの期間を念頭に置いたのですか。中期防なんかは大体五年ですよね。中期というのは一体どのぐらいを考えているのか。「この地域の情勢の変化」というのはどういう変化を期待しているのか。総理自身の言葉ですから、お答えいただきたい。
  311. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 お答えを申し上げた、既に議員が引用されました言葉どおりの話でありまして、本当にそうした議論ができるような平和が確実に生まれてくることを願います。
  312. 松本善明

    ○松本(善)委員 すると、「中長期」だとか「情勢の変化」というのは、具体的には考えていないということですか。お答えいただきたいと思います。
  313. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 文字どおり、議員が私の発言を読み上げてくださいました、それ以上のものでも以下のものでもありません。
  314. 松本善明

    ○松本(善)委員 この国会では、先ほども申しましたように、他の党の議員もこの問題の質問をしました。この党派を超えた沖縄県民の要求に誠実にこたえないで、私は沖縄問題を解決することはできないと思います。沖縄では自民党はゼロでしょう。それはなぜか。こうお考えいただきたいと思います。  それは、国内世論もますます大きくなっていますけれども、アメリカでも海兵隊を引き揚げるべきだという意見が日に日にふえています。日本沖縄の理解者、学者、文化人などはここで挙げるだけでも枚挙にいとまがないと言っていいぐらいです。それだけではなくて、アメリカ政府関係者や米軍関係者の中でさえ海兵隊撤退を主張する声があることは御存じのとおりであります。もちろん、それはアメリカの基本政策の立場から主張する人がいることは事実ですよ。しかし、これは沖縄日本の世論の反映だと思います。  最近、コーエン国防長官が、四年に一度の国防計画見直しで、今までは対象外とされてきたアジア太平洋地域での米軍兵力十万人体制について検討対象に含めるよう指示したことが、米太平洋軍司令官がそのことを明らかにして波紋が広がっているという報道もあります。また、国防総省の国防専門委員会のメンバーであるアーミテージ元国防次官補も、十万人体制明記反対の考えを明らかにしたということであります。  もちろん、考え方は沖縄県民の要求を受けてやっているものでは私はないと思います。いろいろな意図もあろうかと思いますが、しかし、海兵隊はもう最低撤退させろ、この内外の世論の反映であることは間違いないと思う。総理は、こうした状況になってきたことを真剣に考えるべきじゃないですか。  日本沖縄の世論、アメリカのこれを支持する意見を背景にして、アメリカ大統領に、アメリカ政府は方向は決めていますから、大統領に話をして変えさせないことには、これは実現しないのですよ。これが日本総理の責任ではないでしょうか。総理の御答弁をいただきたいと思います。
  315. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 日本総理の責任というのは、日本という国の安全、この国の平和、この日本に住む人々の幸せを少しでも図ることであると思います。
  316. 松本善明

    ○松本(善)委員 海兵隊がいなければ日本の安全が守られない、これはもう到底日本国民に支持をされないですよ。沖縄県民、もちろん支持されません。  嘉手納の基地が、使用期限、五月十四日に切れる。これは、継続使用を認める法律を制定しようとしているということが報道されていますが、こういうやり方を一方でやりながら、この沖縄県民の党派を超えた要求、私は自民党を支持をしている方々も、少なくとも海兵隊は撤退してほしいと思っていると思いますよ。それにまともにこたえないということになれば、私は沖縄県民の支持も、それから日本国民の支持も得られないと思います。基地撤去を求める意見とか安保条約に対する批判的意見はますます大きくなるだろう。行き着く先は、私は日本国民の権利である安保条約の廃棄というところに目が向いてくると思います。  私は、この沖縄問題についての切実な沖縄要求を受けとめなければそういう方向に発展していくということを申し上げて、ガイドラインの質問をしようと思います。ありますか、答弁が。あるなら、どうぞ。
  317. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 答弁というよりも、議員とどうも本当に違うなということを感じたということであります。  議員は、日米安全保障条約がなくなるというのが幸せな日本をつくることだとお考えのようであります。私は、日米安全保障条約というものが機能しなくなったときの日米関係というものを考えましたとき、本当に恐ろしい思いがいたします。そして、日米安全保障条約体制というもの、これを信頼の基盤として築かれております今日の日米関係を、いかにすればより深いものにしていけるか、その中で、沖縄の皆さんの苦労に少しでも報いていく道はどうすればいいか、そういう視点で物を考えてまいりました。ですから、そういう考え方が間違いだと言われればこれはやむを得ませんけれども、安保条約がなくなることがいいんだという議員の御意見には私は同意をいたしかねます。
  318. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、総理とここで意見が一致するというふうにはもちろん思っていません。しかし、これは私どもは、今度のイラク問題でアメリカが国連で孤立をしましたように、これは絶対のものでは決してない、必ず変わっていくと思っております。ここではこの問題を議論しようとは思いませんが、ガイドラインの問題をお聞きをいたします。  今、橋本総理の指示で進められております日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの見直し作業について質問をいたします。  現在行われておりますこの作業では、日本周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力に関する研究、すなわち、アメリカが他国に対し戦争行動をとるときに日本がどんな軍事協力を行うかが主題の一つになっております。検討されている内容は、進捗状況報告によりますと、日米防衛協力の対象となり得る機能及び分野として五つの項目を挙げています。これらは、いずれにせよ日米双方の防衛協力を進めるものであります。  私は、今総理とやりとりをいたしましたように、安保条約そのものに対する考えは総理と違いますけれども、総理のこの周辺有事の防衛協力についての考えを伺いたいと思います。  安保条約五条で、いわゆる日本有事の場合についての規定はあります。周辺有事については全く想定をしておりません。周辺有事に自衛隊が米軍に協力するというのは、一体安保条約の五条あるいは六条あるいはそれ以外のどの条項のどれを根拠に進めようというのか。これは国政の根本問題であります。総理の御答弁をいただきたいと思います。
  319. 久間章生

    ○久間国務大臣 自衛隊が活動いたします場合は、これは有事であれ平時であれ、日本国憲法、防衛庁設置法、自衛隊法、この法令によって行動するわけであります。
  320. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは答弁になっていないのですよ。  総理に伺いますが、五条は日本の自衛ということで、共同、米軍との協力であります。だけれども、今問題になっているのは日本の危機ではないのです、有事ではないのです、日本周辺の有事なんです。皆さんの御答弁では、これは非常に広い範囲。かつて官房長官に内閣委員会で聞きましたが、ペルシャ湾までグレーゾーンだと。非常に広い範囲において有事の場合に米軍に自衛隊が協力をするという、この問題なんですよ。  この問題について、今の防衛庁長官の答弁は何の答弁にもなっていないのです。私の聞いているのは、この周辺有事についての自衛隊が米軍に協力をするというのは、五条、六条、その他安保条約のどの条項に基づいてやるのか、こう言っているのですよ。
  321. 池田行彦

    池田国務大臣 委員御指摘の安保条約第五条に基づく日米の協力というのは、これは日米が共同して我が国に対する侵略に対処するという共同対処のことを指しておるわけでございます。  そして、今我が国周辺地域が非常に緊張した危険な状態になったときにどうするかということでございますが、これにつきましては、日米安保条約がなくても、まず我が国自身として、我が国周辺が非常に危険な状態になったらこれは将来可能性として我が国自体の危険状態につながるおそれがあるわけでございますから、一体どういうことを、どういう対応をしなくちゃいけないか、これは当然考えなくちゃいけない、それはあるのだと思います。これは、別に自衛隊がとか安保条約がというのじゃなくて、我が国全体としてある、そういうことがあると思います。  そして、そういった中で、日米安保条約の第六条におきまして、いわゆる極東地域でのいろいろな状況に対して駐留米軍我が国施設等を使っていろいろ対応することがあるという、こういうことがある。それに対して我が国が、自衛隊だけではなくて我が国がいろいろな協力をしていくということはあるのだと思います。そもそも、基地といいましょうか施設・区域を提供していること自身が、米軍がそういう問題に対応するための協力でもございますね。それから、そのほかにもいろいろな協力があると思います。そして、そういった中には自衛隊が日本からの協力の当事者になるケースもあるのだと思います。  いずれにいたしましても、そのような我が国のいろいろな分野での協力、そうして自衛隊の協力も含めてでございますが、そういったものが日本国憲法を初め我が国の法令の枠内で行われるべきことは当然である、このように考えるわけでございます。
  322. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣はみずから答弁買って出てこられましたけれども、安保条約の何条に基づくんだということは結局答弁をしていないんですよ。答えられないんですよ。それはないんですよ、そんなのは。  周辺はどういう地域なんだということについては、秋山防衛局長が、日本の平和と安全に重要な影響を与える地域が周辺地域で、特に特定していない、具体的に起こってみないとわからない、こういう答弁をしている。非常に広いです。さっき官房長官、梶山さんに聞いたときもそうです。これはもう無限定です。  そういう広い地域のその周辺地域で起こる、有事といいますけれども戦争ですよ、戦闘行動ですよ。それに対してアメリカ軍に協力をするという問題だから、これは総理日本が参戦するかどうかという、私は有事対応というのはそういうことだと思います。それを周辺有事で対応するという、そういう国の根本問題にかかわることだ。だから、技術論ではないんです。やはり総理がどう考えているのかという問題が私は大事なんだと思うんです。で、総理にお聞きしているんです。  もう一回戻って聞きましょう。安保条約のどの条項に基づいて周辺有事の自衛隊の米軍協力を考えているのか、お答えいただきたい。
  323. 池田行彦

    池田国務大臣 文字どおり、今、ガイドラインだけではなくて、我が国周辺でいろいろな状態が起き、緊張が起きた場合にどういうふうに日米の協力があり得るだろうかということをいろいろ勉強しているところでございます。  そうして、その上でどういうふうな具体的な、例えばガイドラインを見直しするかということを決めていくわけでございますが、いずれにしても、そういった研究も、また、研究の成果としてでき上がるいろいろな方針というものも、当然のことながら我が国の憲法の範囲内であるということは、これは論をまたないところでございまして、そうして、例えばこのガイドラインの検討作業についても、最初から総理の方から、当然憲法の枠内だよ、それだけではなくて、例えば集団的自衛権にかかわるこれまでの政府の解釈等、そういった基本的なものは当然のこととして前提としてやるんだよということは、その御指示を受けて作業をしているところでございます。  それから、先ほど申しました我が国周辺地域の緊張が非常に高まった状態においての日米の協力、とりわけその中での自衛隊が入った場合の協力というのは安保条約のどの条文に基づくかということでございますけれども、先ほど私が御答弁申し上げましたように、安保条約のない状態においても、当然のこととして、日本として我が国周辺が緊張したときどうするかというのは考えなくちゃいけない。これはもちろん憲法の範囲内で可能なことでございます。  そうして、その中で我が国が、我が国に駐留する米軍がやはりそういった状態に対応している、それと協力するということがあるならば、それはその行動いかんによって、それは例えば日本の国内の法律のどれに基づいてということはあり得ましょうけれども、必ず安保条約の規定に根拠がなくちゃいけないというものではない、こう考える次第でございます。
  324. 松本善明

    ○松本(善)委員 やはり、非常にいつもは明快にお答えになる池田外務大臣が長々答えたけれども、結局はどこに根拠があるということではないんだという答弁なんですね。それは、私どもは反対ですけれども、五条ははっきり根拠があります。だけれども、ないんですよ、周辺有事についての、米軍に自衛隊が協力をするという根拠はないんです。そこが問題です。  で、私は、これで押し問答していたってしょうがありませんから、その確認をいたしまして、質問を次に移そうと思います。  現行ガイドラインは、日本への攻撃があった場合の日米共同作戦及び協力について事細かにまとめているわけです。既に確立した日米共同作戦体制を日本周辺におけるアメリカの戦争の際に活用、機能させようというのが、今進められつつあるガイドラインの見直し作業なんです。一言で言えば、アメリカの戦争に自衛隊が参画をする、参戦体制づくりというのが見直しの目指すものであります。例えば、ハイテク戦争と言われる現代戦の中心的な問題である情報提供、兵たん支援、民間空港使用など重大な問題がたくさんありますけれども、これはみんなそうです。  私は、きょうは掃海による米軍協力に絞って質問をしようと思います。  アメリカは九四年、北朝鮮に核開発疑惑があるというだけで軍事制裁を行おうといたしました。その際、日本に、有事になれば掃海艇とP3Cの派遣を要請してきた、こういう報道がありました。  そこで具体的にお聞きをするのですが、アメリカは、イラク攻撃のように、自分の意に沿わないということで軍事制裁に踏み切ることがあります。日本周辺でこうした制裁戦争を起こした場合に、アメリカの要請があれば海上自衛隊の掃海艇を派遣して、アメリカ第七艦隊の行く手を阻む機雷を除去することも見直しの対象としているのかどうか、答弁をしていただきたいと思います。
  325. 久間章生

    ○久間国務大臣 機雷の掃海については本院でもたびたび議論されておりますけれども、いわゆる武力行使となるかどうか。武力行使となる場合には憲法上できないことになっておりますから、その辺のメルクマールで決定せざるを得ない。武力行使にならないという憲法の現在の解釈の中で、海上自衛隊としてはいわゆる機雷の掃海をする場合もあります。
  326. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは、日本が戦闘行動に参加をするかどうかという極めて重大な問題の研究ですから、一般論ではやはりわからない。国民に今進行していることがどういうことであるかということを明らかにするのが、それは賛否は別として、やはり国会の仕事だと思います。だから、具体的に聞いたことに、それには答えられないなら答えられない、違うなら違う、やはりきちっとはっきり答えなければ国会の質問の意味がないんですよ。  もう一回聞きます。  イラク攻撃のように米軍が軍事制裁に踏み切るという場合に、日本周辺でですよ、そういう制裁戦争を起こした場合に、アメリカがこれは周辺有事だといって要請をしてきた場合に、海上自衛隊の掃海艇は出動するのか。第七艦隊の行く手を阻む機雷を除去するということ、こういうことも見直しの対象になっているのかどうか。それは、もうそんなことは見直しの対象にはとてもできることではありませんというのならそれで結構ですよ。それも含めて見直しの対象として今研究しているのならそういうふうに答えてください。はっきりしてください。
  327. 久間章生

    ○久間国務大臣 見直しの対象は幅広く検討して、今秋までに、ことしの秋までに結論を出すことにしておりまして、そういう中には、機雷等が我が国周辺に浮いている場合はどうするかというようなことも検討にはなると思います。  ただ言えますことは、いずれにしましても、先ほど言いましたように、我が国としては憲法という制約がございますので、その枠内でしか行動できないから、今言われたような例で直ちに出動せよと言われても、すぐ、そうですがということで出動できない場合もあり得るということを申し上げたわけでございます。
  328. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは、そういう場合には出動できない場合もあるということですね。  しかし、日本はたくさん掃海艇を持っているのですよ。海上自衛隊の掃海部隊というのは、戦後、太平洋戦争中にアメリカ軍が日本周辺に敷設をした大量の機雷を処理した歴史があります。米軍はこの技術を高く評価をしております。極東地域に配備をされているアメリカの掃海艦は佐世保にある二隻だけであります。韓国海軍が持つ掃海艦は私の知る範囲では十四隻、日本の海上自衛隊は三十九隻ですから、米軍が戦闘を考えるときにはのどから手が出るほど欲しいのがこの掃海艇なんです、掃海艦。  現に、海軍出身でアメリカ国防総省の元日本担当部長のジェームズ・アワー氏が、自民党の安保調査会に出席をして掃海作業での協力を求めております。アワー氏は、優秀な掃海能力を使うには日本政府政治決断が必要です、機雷の掃海はアメリカ海軍の弱点でした、掃海能力を持つ国が作業しないと艦船の航行はできないのです、こう言っている。  総理アメリカがこういうことを求めてくるという可能性は、現に起こっているのですよ。だから、架空のことを論じているのではないですよ。アメリカが、自分の戦争に日本の自衛隊の掃海艇を使わせてくれ、来てくれ、こう言ったときに、そういう場合にははっきり拒否をしますか。総理の考えを聞きます。
  329. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほどから私、ちょっと本当に考え込んで委員の質問を伺っておりました。何でそのアメリカがまず出てくるのでしょう。そういう場合に、日本の、我が国の船は安全な状況なんでしょうか。我が国の船の航行に問題があれば、私はそれを取り除く努力をするのは当然のことだと思います。  我が国の艦船に全く何らの危険がない状態でアメリカ海軍のための掃海をというような場合に、ノーと言うこともあり得るということは、先ほど防衛庁長官が答えました。問題はそれに尽きると思います。
  330. 松本善明

    ○松本(善)委員 運輸大臣、機雷がたくさん敷設をされているというような海に日本の民間の船は行くのですか。イラクのあのペルシャ湾で機雷がいっぱいあったときには、日本の民間船舶は行かなかったでしょう。運輸省は、そういう状態、そういう危険が起こった場合に、そこは避けろ、そこへ行くなということを民間船舶には指示をするのが運輸省の仕事ではありませんか。
  331. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 イラン・イラク戦争のとき、ペルシャ湾ホルムス海峡の中が一番危険な状態になりましたときの運輸大臣は私でありました。そして、我々は必死で航路を確保するように努め、船隊を組んでの出入りをし、安全を確保しようとしましたが、それでも、残念ながら、国籍不明のガンボートによる襲撃を受け、船員の中から死者を出しました。  そして、その当時、私は、巡視船をペルシャ湾に派遣することを本気で考えました。幸いに、閣内で大激論をしておりますうちにその必要がない状態、すなわち航路の安全が保障される状況が生まれましたので、それ以上の議論をするに至りませんでしたが、当時、日本の船舶関係者の中からも、何らかの安全保障として、自衛隊の船であってでもいいから、日の丸のついた船を安全確保に送ってくれという悲痛な声が出ましたが、その時点では、船団を組んでホルムス海峡から中へ入り、一定の航路をたどり、その航路を事前に当事国に通報し、そしてその航路を決められた日取りに船団を組んで出るという方法で辛うじて安全を確保いたしました。
  332. 松本善明

    ○松本(善)委員 それじゃ、総理に聞きましょう。  第七艦隊が進攻しようとする、相手の国からすれば、これは、機雷を敷設をするということは防衛ですよ、アメリカの相手の国からすればね。そういう機雷がたくさんもう来られないように敷設をされているところ、それは、日本の民間の船舶は行くのですか。そこは、通るためにやはり日本の掃海艦を派遣をするのですか。そういう危険なことをしてまで、その戦場に行くのですか。
  333. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員は、御自身の中で組み立てられたお考えを今問いただしておられます。私は先ほど、現実にイラン・イラク戦争が激化しホルムス海峡の内側が危険になりましたときの担当閣僚としての思いを込めてお答えを申し上げました。議員はどういう状態を想定されるにせよ、あの当時、ホルムス海峡の中に日本のタンカーを入れながら石油を運び出すことがこの国に必要だったことは事実でありまして、その航路をいかに確保するかを私は悩み抜いた、それが事実であります。
  334. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、誤解のないように。私が質問しているのは、あのときにとった運輸省、日本政府の態度がよかったかどうかということを質問しているのではないのですよ、例としては挙げましたけれども。  問題は、今ガイドラインの見直しということで取り組んでいる作業、幾らいろいろ聞いても大体検討していますというような答弁で、そして具体的に一体日本が参戦するかどうかという戦闘行動、アメリカは何で出すのだと言われるけれども、アメリカとの防衛協力についての検討でしょう。だからアメリカが戦闘行動しているときにどういうふうに自衛隊が協力をするかというその検討なんだから、それは具体的に聞くのは当たり前でしょうが。それが私は日本国民に対する責任だと思いますよ。それで聞いているのです。だから誤解をしないように。あの当時どうだったかということは、そのことが主題で聞いているのではないのです。そのことははっきりしていただきたいと思う。  それでお聞きをしたいのですけれども、第七艦隊が進めない、機雷があって危険で。その前面の機雷除去を日本の自衛隊がアメリカの要請によってやるということがあり得るのか、そういうことまで含めて検討対象にしているのかどうかということをお聞きをしているのです。
  335. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほどから外務大臣も、また防衛庁長官も、我が国の憲法の範囲内ということを繰り返しお答えを申し上げているはずであります。
  336. 松本善明

    ○松本(善)委員 憲法の範囲内、これはもう何遍もお聞きした。それはもう当然のことで、憲法違反をやるということは言えませんから。ただ、どういう行動をするか、それが憲法に違反するかどうかという問題がここで議論になるから、具体的に聞いているのですよ。  第七艦隊の前面の機雷を掃海をするために海上自衛隊の掃海艦が出動するということも含めて検討の対象になっているのか。(発言する者あり)周辺海域です。決まっているでしょう。周辺海域、それはもう限定なし。政府の答弁では、周辺海域というのは限定がない、起こってみないとわからないという答弁なんですよ。したがって、そういう聞き方をする以外にないのですよ。  しかし、これはもう非常に切実、この秋までにまとめるというのでしょう。それは、私どもはガイドラインの見直し作業は中止すべきだという立場です。それはそういう危険性があるから聞いているのです。お答えを。
  337. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 最初の御質問の中にありましたように、日本周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力については五項目の検討をしているわけですね。その五項目の中に、委員も御存じだと思いますけれども、人道的援助の活動ですとか、あるいは非戦闘員をどうやって退避させるかといったようなことも含まれておりまして、委員の御質問の中にありました参戦活動とかいうような議論だけをしているわけではないわけでございます。  機雷の問題について申し上げますと、自衛隊法でいいますと、例えば九十九条に言ういわゆる警察活動としての機雷の除去もあるわけでございます。  今委員が具体的な事例について答えよということでございますけれども、今の御質問では、状況だとかあるいは対応ですとか、あるいは時間的な問題ですとか、あるいは意図とか関与の仕方とか、いろいろな要素を考えませんと、それが、いわゆる憲法の範囲内といいますと、もう少し詳しく申し上げれば、いわゆる米軍の武力行使との一体化になるかどうかという判断はできないわけでございます。  いずれにしても、武力行使と一体化するようなことは、これは憲法で認められておりませんので、そのようなことは検討はいたしません。
  338. 松本善明

    ○松本(善)委員 これもやはり一般論しか答えないのですよ。だけれども、警察行動としての機雷除去というのがあることはわかりますよ、九十九条であります。  ペルシャ湾での機雷掃海については、九一年の四月二十五日に参議院の外務委員会で、当時の中山外務大臣がこういうふうに言っています。今回のような、国連の安全保障理事会の決議等によって平和回復のための行動がとられた後、さらに停戦が確定しておるということで、戦争状態はもうないといったような場合に派遣することが今回行われていることで、一つの先例になる、こう考えている。  総理大臣が一生懸命言われたのはこのことなんですよ。だから、戦闘状態が終わっているという状態で機雷掃海に出ているということを超えるのかどうかという問題が問題なんです。具体的な例について答えないと言うけれども、私は具体的な例について申しますから。  自民党の山崎政調会長が昨年六月二日のNHKテレビ討論会で、極東有事の際に、米軍が戦っている間に機雷除去のために掃海艇を派遣することは、正面で戦っているわけではないので検討範囲に入ると思う。これはいいのですか、総理、どうです。あなたの指示でやっているのでしょう、この仕事は。
  339. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ただいま私が答弁しましたように、要するに米軍の活動の目的とかあるいはそのかかわりぐあい、あるいは距離、時間、そういったいろいろなことを考慮いたしませんと、それがいわゆる武力行使との一体化になるかどうかという判断はできないわけでございますが、一体化になるような機雷掃海ということは憲法に許されていないという理解でございます。
  340. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今局長から申し上げましたけれども、まさに一般論でお答えをするなら、機雷除去の行為が憲法九条で禁止している武力の行使に当たるという場合には許容されないということに尽きます。  なお、中山外務大臣の答弁を引用されましたが、私が申し上げましたのは湾岸戦争ではございません。イラン・イラク戦争のときにおけるペルシャ湾の状況、その中でオイルタンカーの航路を確保しなければならないという立場の閣僚としての思いを申し上げたものであります。
  341. 松本善明

    ○松本(善)委員 一般論で答えておられますけれども、米軍のカーツ掃海艇司令はNHKのインタビューに答えて、我々だけで西太平洋すべてをカバーすることはできません、日本周辺の有事の際に自衛隊と協力しますかと問われて、そうなると思います、共同で対処しろと命じられれば日米の訓練の成果を生かせます、こういうふうに言っているわけですよ。これは、本当に幾つも幾つも現実の問題として問題提起が日米双方から出ております。  前官房副長官の石原さんは、北朝鮮問題のときに、一番考えなければいけないのは掃海艇の出動だった、問題があるとすれば、海上封鎖に伴って、実施ラインの近辺、朝鮮半島に近い海域での掃海活動が要請された場合に、関係者の意見が整理できていないグレーゾーンだったと。これは幾つも幾つもそういう例があるわけですよ。  しかも、周辺海域というのは無限定、広範なんで、場合によっては地球上のどの地点でもその範囲になるという。これは地球規模で米軍に協力をして自衛隊が出動するという研究だということが、私は、今の答弁を通じて、具体的に答弁をされないということを通じて、この機雷除去ということを通じて、明らかになったのじゃないか。すべての項目がその方向で進められている。  憲法の枠内、枠内と言われるけれども、明白に憲法に違反する集団自衛権の行使。その米軍と、周辺有事で米軍との自衛隊の協力を論じるということ自体がそうなんです。そういうような危険なものが進んでいるということが、私は短い議論であったけれども出てきたというふうに思います。このようなガイドラインの見直しを直ちに中止することを要求をして、私の質問は終わりにします。
  342. 深谷隆司

    深谷委員長 この際、児玉健次君から関連質疑の申し出があります。松本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。児玉健次君。
  343. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  今公共事業のあり方をめぐって、本当に国民の暮らしを守る公共事業、これが私たちは必要であると考えています。その意味で、公共事業の内容の妥当性、関係者の合意、そういったものがどのように得られながら進められていくか、ここが問われています。  私は、この予算審議の機会に、北海道の千歳川放水路計画について総理を中心にお尋ねをしたい、こう思っております。  御存じのように、石狩川、これは流域の面積が一万四千三百三十平方キロメートル、日本を代表する大河川の一つです。今から十六年前のことですが、一九八一年の八月の上旬、台風十二号とそれに伴う前線、そして続いて、同じ八月の下旬に台風十五号とそれに伴う前線によって非常に深刻な洪水、はんらんが起きました。石狩川の中下流部、千歳川そして豊平川等です。浸水二千七百戸、被害額は約二百二十億円に及びました。私は直ちに被害地に赴いて、約一カ月、非常に広い範囲に及んだ被害の状況を調査いたしました。そしてそのとき、このような洪水、はんらんを決して繰り返させてはならない、こういう思いを強くしたところでございます。  この洪水をどうするか、その点で、全国から河川工学者や著名なこの分野の専門家そして科学者会議、最近では日弁連を含めて、さまざまな建設的、積極的な提案が行われております。  私たち日本共産党も、災害の直後ですが、「災害をふたたびくりかえさないために 石狩川水系治水計画についての提言」、これを一九八一年の十二月一日に発表いたしました。河川断面の拡大、放水路すなわち石狩川は、総理日本海に入っていくときに大きく北に蛇行していますから、そこをショートカットすることで洪水時の扱い得る水量がふえる。それから遊水地の計画、さらには石狩川の中下流部におけるしゅんせつ、これらが非常に緊要であろうと考えたわけでございます。  さて、そういう中で、北海道開発局が一九八二年三月に千歳川放水路計画を発表いたしました。今皆さんにお配りしている概略図。一つは、北海道開発局が平成六年七月に発表した詳細な技術報告の一部をそのまま皆さんにお配りをしております。もう一つは、日本野鳥の会が同様のことについて明らかにしたものを皆さんにお配りしております。呑口水門だとか締切水門とかさまざまありますが、そのことについて触れていると時間がかかりますから、要領のいい説明がこの図にありますので、それによっていただきたい、こう思います。  さて、この千歳川放水路計画、掘り出される土砂の量は約一億一千万立方メートル。パナマ運河でさえ一億八千万立方メートルですから、それがどのくらい巨大なものであるか御想像いただけると思います。まだもちろん着工されておりませんが、工期は約二十年。計画が発表された段階で、なかなか事業計画の必要経費は言われませんでしたが、約二千百億。そして、一九九四年段階で四千八百億円、こういうものでございます。日本で今計画されているさまざまな公共事業の中で最も大規模なものだ、私はあえてそのように述べます。  そこで、まず建設大臣にお伺いしたい。あのような洪水、はんらんを繰り返させないために、関係者が完全に合意をしていて、しかも、その計画を速やかに実施することによって石狩川の治水が大幅に改善をしていく、そういうものとして石狩川本流の掘削としゅんせつがございます。これがどこまで実施されているか。  私は、一九九一年の八月に質問主意書を政府に出しました。政府の答弁書では、「石狩川のしゅんせつについては、しゅんせつに伴い改築が必要となる橋梁等の工作物の管理者とも十分協議しながら、計画的に実施してまいりたい。」こう答えております。  建設大臣に三つの点についてお答えをいただきたい。その一つは、しゅんせつの進行状況、とりわけ千歳川が石狩川に合流するあたりの地域から河口部にかけてのしゅんせつがどのくらい進んでいるか。それから、もしそのしゅんせつが計画どおり行われれば、洪水時の水位はどうなるか。そして三つ目は、先ほどの質問主意書で言う橋梁等の工作物、JR北海道の学園都市線石狩川橋梁です。これは昭和六年に建設されて、橋脚が非常に多い。しゅんせつをするとき、その近辺まで及ぶと土台が露出するので、鉄橋の上下約四・三キロは手がつけられていない。これのかけかえが急がれている。いつこれが着工される見込みか。その三点について建設大臣に伺います。
  344. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 技術的な御質問でございますので、私の方から前段御説明をさせていただきまして、後ほど大臣の方から御答弁をさせていただきたいと存じます。  まず、石狩川の治水計画がどうかというお尋ねでございます。  ただいま委員御指摘のとおり、昭和五十六年八月、大出水になりまして……(児玉委員「治水計画の是非について聞いているのじゃない、三つのことについて簡潔に答えてください」と呼ぶ)はい。その当時の計画を超える大規模な出水になったものでございます。それで、まず、石狩川本川の計画をどうするかという問題と、もう一つは、千歳川の治水をどうするかという大きな二点の問題を抱えます。  それで、まず一点目の石狩川本川の掘削の議論でございますが、昭和五十六年八月洪水に対応しますために、千歳川合流点から下流部の掘削にまず力を入れるということで、当面の対策として、必要量二千四百万立方メートルに対しまして、今年度末時点では二千二百万立方メートルの掘削ができるものというふうに考えております。残りにつきましても、全力を挙げて当たりたいというふうに思っておるところでございます。  それから、二点目のお尋ねでございますが、石狩川本川の所要の計画で考えております施設が完成をいたしますと、昭和五十六年八月洪水はもとより、計画規模の洪水に対しても安全に流れるということになると考えておるところでございます。  それからもう一点、お尋ねの橋梁の問題でございます。篠路鉄道橋、JR北海道の学園都市線の橋梁でございますが、これにつきましては、先生御指摘のとおり、石狩川下流の治水上の一つの大きなネックでございました。これのかけかえにつきまして昭和六十三年当時よりJRと打ち合わせをしてきております。そして現在、設計等々も了しまして、これから地元の方の協議に入れるようなそういう準備を整えておるところでございます。  いずれにいたしましても、御指摘のとおり、石狩川の治水に今後とも全力を挙げてまいりたいと考えておるところでございます。
  345. 児玉健次

    児玉委員 非常に重要な御答弁がありました。もし石狩川中下流部のしゅんせつが計画どおり行われたら、昭和五十六年八月の段階の水、計画がされなかったら多分溢水、破堤が起きるでしょうが、計画がそのとおり実施されたら計画高水が維持できる、そこが私たちは非常に重要なところだと考えております。  農水大臣に伺います。  放水路の河口部、もしこれがそのとおり実施されたら、太平洋側に注ぎ込むのはどこか、先ほどの概略図をごらんのとおり苫小牧周辺の地域になります。  先週の土曜、苫小牧の周辺に行って漁業者と私は懇談してまいりました。この地域は日本で最もすぐれたホッキガイの産地です。水揚げはずば抜けて日本一です。そして、ホタテ、さらにはここ一両年ハタハタの産卵が確認されて、数トンの水揚げが既に実現しております。  この苫小牧周辺の地域における資源育成型漁業はどのような現状で、どのような可能性を持っているか。そして、九二年の鵡川、厚真川等中小河川の洪水によってこれらの漁業がどのような被害を受けたのか。この二点についてお答えを、農水大臣お願いします。
  346. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 我が国周辺水域での水産資源の持続的かつ高度の利用を図るという観点から、各地で資源管理型漁業というのが行われているところでございます。  今言われました北海道の胆振地方でございますが、これにつきましては、ホッキガイ、ホッケ、マガレイなどを対象といたしました漁業が行われておりまして、特にホッキガイでありますとかシシャモなどを対象といたしまして資源管理型漁業が行われております。具体的には、貝の大きさを制限するとか操業時間を制限するというようなことが行われておるところでございます。  なお、平成四年の八月の北海道で発生しました洪水による水産関係の被害ということでございますが、北海道庁からは、ホタテガイなどの漁場に大きな被害が生じたということのほかに、サケ・マスの捕獲施設でありますとかヤマベ、ニジマスの養殖施設などに被害が生じたという報告を受けております。
  347. 児玉健次

    児玉委員 今お話しの中小河川の洪水、それによって大量の土砂を含んだ泥流が海に流れ込んだ。そのことと、千歳川放水路がもし完工したときの危険性を重ねて、平成六年の五月に、北海道漁業協同組合長会議は、放水路計画の「漁業への影響は、漁業者の受忍の限界を越えるものであり、資源的にも漁業者の死活問題を招来すると判断せざるを得ないとの結論に達しました。従いまして、千歳川放水路建設計画には反対することといたしました」。この態度はその後少しも変わっておりません。  次に、環境庁長官にお尋ねをします。  ラムサール条約指定湿地であるウトナイ湖、先日、先週の土曜に行ってきまして、日本海岸の油で非常に傷められた水鳥がここに空輸されて、そしてバードサンクチュアリー、野鳥の会の施設で、近所の病院からの好意で新生児の保育器、そして水槽、それらで、多くの獣医さんたちのボランティアの活動で、幾らか元気を回復したものは太平洋に放鳥されています。  このウトナイ湖です。ウトナイ湖はラムサール条約指定湿地であって、この環境を保全するのは国際的な責務だと私は考えております。このウトナイ湖の保全について国はどのような努力をなさるおつもりか、長官の御答弁を伺います。
  348. 石井一

    石井国務大臣 ウトナイ湖につきましては、現在二百五十二種類ぐらいの鳥類が観察をされております。そして、国際的にも渡り鳥の重要な中継地でございまして、我が国でも有数の湿地でございますことから、国設鳥獣保護区の特別保護地区でございます。  ラムサール条約につきましては、今御指摘がありましたように、平成三年十二月十二日に登録をされているわけでございまして、この近辺五百十ヘクタールの大変広い範囲で登録湿地として決定をされているわけでございまして、将来にわたりましても保全をさるべきものであると考えております。そして、このウトナイ湖に注ぎます美々川源流部においても、さらに貴重な自然が残されておりますので、これらの自然環境が適切に保全されることが重要と考えております。  先ほど千歳川放水路計画につきましての御質問がございましたけれども、この放水路事業につきましては随分長い間の経緯がございます。閣議決定要綱に基づきまして環境アセスメントを行うことになっております大規模な事業でございます。現在、開発局におきまして詳細な調査検討が行われていると聞いているわけでございますが、現在の閣議アセスメントの段階では、環境庁長官に対しまして意見が求められたときだけしかお答えができないという仕組みになっているわけでございますが、環境庁といたしましても、環境アセスメントが実施されることになれば、その結果を待って適切な対応をすることにしたいと思っております。  いずれにいたしましても、この千歳川放水路事業におきましては、ラムサール条約の登録湿地でありますウトナイ湖やまた美々川源流部等の自然環境の保全など、環境保全上配慮がされるべきものと認識をしております。
  349. 児玉健次

    児玉委員 アセスメントというのは時々、アクセスメントと言われることがありますね、工事をやるためのアクセスメント。私たちは、そのようなものを求めていないのですよ。  今多くの皆さんが指摘をしているのは、この巨大な放水路計画が発表されて十五年間、そして調査費は九年間にわたって既に百九十六億円を費やしている、しかし計画のまま十五年間推移してきている。なぜでしょう。  その第一の理由は、何といっても先ほどの、河口部に予定される苫小牧周辺海域の漁業に対して死活問題を生み出すからだ。そして二つ目は、多くの専門家、科学者そしてボランタリーの人たちが、ウトナイ湖の環境の保全と放水路計画が両立をしない、そのことを粘り強い運動の中で明らかにしてきているからです。これが十五年間、計画のまま推移してきた第一の理由です。  もう一つの理由は北海道開発局の、初めに放水路ありきというかたくなな態度ですね。これが研究者、専門家の、先ほど私たちの提起した案も含めた、石狩川河口部のショートカット、そして本流のしゅんせつ、鉄橋のかけかえ一さっき建設省からお答えがあったのは、合意されている重要なものの一部です。そして、合流部における背割り堤の建設、石狩川流域における遊水地の設置、これらの非常に建設的でそして合理性のある案について、放水路のみしか考えられる妥当な計画はない、そういう考えから退けられてきている。ここに多くの人々の合意を困難にする最大の原因があります。  この百九十六億円に及ぶ調査費については、最近疑問と批判が高まっています。読売新聞が、この一月二十八日、つい先日のことです、対象者千二百人を相手にして、この千歳川放水路計画についての意識調査を行いました。自然保護の立場から計画を見直す五六%、不要なので白紙に戻す一一%、その他、無回答一三%です。  私は総理にお尋ねをいたしますが、この事業の必要性、妥当性についてシビアに再評価して、専門家、関係住民、関係団体、これらの意見を広く求めて、関係者の合意が得られる事業内容を作成するように総理としての指示をお願いしたい。いかがでしょう。
  350. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員御指摘のように、五十年あるいは五十六年の大洪水、またいつそういう規模での大洪水が発生するか、これは予見できることではありません。私ども、十五年間ほっておいたわけでもございませんし、ぜひ、いつ起きるかわからない大洪水をきっちりと処理できる、そういう対応をしたいということで取り組んでおるわけでありますが、御承知のように、被害を受けた方々、その地域の方々はやってくれという話であって、放水路計画、それをやってくれという方が多いわけでありますが、環境保護団体、また漁業組合等では大変な反対がある。  そういう状況の中で、私どもといたしましては、今、徹底的なやはり環境影響への調査をやっておりますし、漁業に対する影響について調査をやっております。委員御指摘のように、石狩川の治水を何らかの形できちっとやれば放水路計画でなくてもいいんじゃないかという御意見のあることも我々は承知をいたしております。  建設省といたしましては、自然環境を守りながら国土を整備していくというのは基本的な姿勢でございますけれども、やはり人の命をどう守るかという重大な使命も我々持っておりますので、今後とも全力を挙げまして、耳を広く大勢の方々にかしながら検討してまいりたい、このように考えております。
  351. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今建設大臣が申し上げたことに尽きるわけでありますけれども、まさに千歳市あるいは恵庭市等の地域からは、推進についての強い要望がございます。一方で、議員が例示に出されましたウトナイ湖を初めとする水鳥の多数生息をしている地域における環境保護団体の皆さん、また放流先への漁業、この影響が非常に心配だということで、漁業組合の皆さんから反対の声が上がっている。  今、環境保全対策あるいは漁業影響対策など、詳細な現地調査環境調査を実施すると同時に、北海道知事さんからも御要望が出ておるようでありますが、自然環境保全のための放水路ルートの見直しなどを行いながら、地元の合意を得るべく努力をしていると聞いております。今後ともに基本的な合意を得られるよう努めてまいりたいと思います。
  352. 児玉健次

    児玉委員 次の問題に入ります。  国立病院・療養所の二交代制の問題についてです。  一九九二年に成立した看護婦確保法は、その中で、「看護婦等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進」、これらを図るために、国がなすべき責務について明記いたしました。  私はいつも感じるのですが、看護婦さんというのは、患者の一番身近なところにいらっしゃって、医師と医療スタッフと本当の意味で心を通わせながら協力をして患者を守っていく、文字どおり医療の最前線を支える専門職だ、このように考えております。このところ何回か国立病院・療養所を訪問いたしましたが、看護婦さんから私はじかに、私は看護婦の仕事が好きだ、患者さんが元気になっていくのを見ると、この職業を選んでよかった、そういう声を伺います。総理も病院で看護婦さんの立ち働いている姿をごらんになる機会が随分あるだろうと思うのですが、看護婦さんの仕事の特性について、総理御自身がどのように思っていらっしゃるか、まずお伺いします。
  353. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、非常に高い専門職としての技能とともに、それを支える人間らしさといいますか、人への愛情といいましょうか同情といいましょうか、そうした心がなければ成り立たない仕事だと思います。特に近年、専門化が進むにつれて、より高度な看護というものが要求されるようになり、専門職としての色彩は一層強くなっておるわけでありますけれども、いわゆるナイチンゲール精神と言われる言葉の中に秘められているもの、非常に高度な人間性に支えられた専門性を持つ職種といったような言い方ができるのではないでしょうか。
  354. 児玉健次

    児玉委員 看護婦の処遇の改善、そして社会的地位の向上、このことで国民に対して非常に重要な責務を持つ政府のひざ元で今何が起きているか、そのことを私はこの機会に質問をいたします。  さて、今、国立病院・療養所における勤務の形態は、日勤、準夜勤、深夜勤、八時間の三交代、こういう状況です。この三交代の状況のもとで、多くの看護職の方たちが非常な疲労の蓄積と、そして疾病その他に直面をしております。全日本国立医療労働組合の調査によれば、一九八〇年八月からことしの一月までの間に、痛ましくも在職中亡くなった方が二百八名です。その中で、私は非常にううんと思いましたのは、二十代、三十代の死亡が六十六人、三一・八%になっております。そして、脳・心疾患による死亡が四十人、さらに交通事故事故死二十七人、こういう状況です。  その中で、今、最長十六時間、拘束十七時間三十分に及ぶ長時間労働が導入されようとしています。厚生省は一昨年、全国十の施設、十二の病棟で、八週間にわたってこの二交代勤務の研究試行をなさいました。その報告書を私はいただいて、そしてつぶさに拝見いたしました。その中でどのようなことが明らかにされているか、このことです。  例えば、総論的な部分です。そこでどのように書かれているか。最初の総論の部分ですね。「以上、八週間という限られた研究の中で夜勤時間と夜勤人員について言えることは、変則二交替制勤務の夜勤時間の設定は、病棟の特殊性や患者の状況、看護婦の個人条件等を加味して十分に検討していくことが望ましい。」そういうふうに総論を述べた上で、「看護婦の健康状態・疲労度について」、こういうところがあります。看護婦の中には、「朝方疲れてくると集中力、判断力が低下した」「夜勤明けの疲れから帰宅時に運転するのが不安と述べていた人もいた」こう書いてあります。  そして、結核病棟における試行、これは千葉県と北海道の札幌南で行われたようですが、自家用車で通う方がこの試行されたところで十四人、看護婦さんがいらっしゃる。こう書いてありますね。退庁時は夜勤明けの疲れから車を運転するのが不安という声が全員から聞かれた、朝まで勤めてへとへとになって自分の車の運転が不安、採血時に手が震える、こういう声の紹介もあります。  今、総理がおっしゃったナイチンゲール。ナイチンゲールは、看護婦さんの、患者に対する何より求められているのは愛情であるということを強調された上で、患者の変化を観察する力、それが近代看護学における最も中心的な柱になっていると私は理解をしております。それが、わずか八週間の試行の中でも疑われる。採血時に手が震える。  そして、国立病院、同じような、そこで勤務されている国立病院のお医者さんたちがどんな懸念を持っているか。四十名で、国立病院の経験年数は十六年です。研究報告の二十六ページにあります。看護婦についてどう思うか、夜間の仕事の手違いやうっかりミスをよく起こす、時々起こす、それが合わせて十名ですね。そして看護婦数、夜勤の看護婦数は適切か、不足していると答えている人が四十人中二十八名、疲れているか、とても疲れている、時々疲れているようだ、三十七名、九二%です。  製造業で今二交代制勤務が導入されています。製造業でもこれは過酷なことです、民間の大工場も。しかし、病院、医療機関というのは患者の命と健康を預かる場所です。そこでの二交代制の導入というのは医療機関の使命とは両立しない。これは中止すべきではないか。政府の答えを求めます。
  355. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 委員御指摘のとおり、長時間勤務は確かに疲労度も多いと思いますし、看護婦さんの御努力、御労苦は大変なものだと思います。しかしながら、一方では、三交代から二交代に変わるという利点としては、患者さんに対して継続的に看護ができるということや、また看護婦さん自身にとっても、深夜に出勤する必要もない、また深夜に帰る必要もないという利点もある。  いろいろ賛否両論ありますが、これは一律的に導入するものではありません。選択肢の一つとして導入するものである。できるだけ全国の公立病院、私立病院、話し合いをし、理解をしながらこの二交代制勤務を導入していきたい、そう厚生省は考えております。
  356. 児玉健次

    児玉委員 民間病院、公私立の病院、そこで一定の比率、導入されているという議論がよくなされます。寝るときと、朝起きたとき、同じ看護婦さんの方がいいというのは、これはその考え方を延長させたら看護婦さんは家に帰る時間がなくなってしまいますからね。そのことは、私、一言言っておきましょう。  民間ではどうかということも随分じかに当たってみました。例えば武蔵野赤十字病院、非常に詳細なレポートが出ていますけれども、七百十七床、内科病棟、ここの看護婦さんは二十六歳、全員独身、そして十二時間、仮眠室、羽毛布団、ベッドランプ、ドライヤー等が完備されていて、重要な点は、看護婦さんたちからの疑問やそして不満やためらいが出たら無理してこれを進めないというのが非常に重要な特徴ですね、公私立病院では。そしてもう一つの特徴は、夜間の勤務体制、二人体制であるところは三人に、三人体制は四人に、四人の体制は五人にしています。それとなぞらえることはできないだろう。  欧米ではどうか。かなり違いますが、例えばベルギーのブラッセルの自由大学の病院、八百五十床で、看護婦さんは九百九十四人おります。週三十八時間労働、夜勤専門看護婦による十二時間夜勤が行われていますが、これも完全に本人の希望、押しつけではない。フランスのエソーヌ県コーペイ中央病院、四百四床、看護婦七百八十九人、仮眠を含めて拘束十時間です。三人体制です。長期の研修と長期の休暇です。  私は政府に言いたいんですけれども、この二交代制について、公私立病院のことを非常によく御存じの日本看護協会が、この十一月七日に厚生省の保健医療局長に対して要望書をお出しになっている。  一つは、導入に当たって、施設長が判断するのではなく、看護婦など現場で十分な協議を行うべきだ。二点目は何かといえば、最低限三人以上の配置が必要である。そして三つ目は、心身の疲労は患者のケアの低下につながる、十二時間以上の勤務は極力避けられたい、こう述べている。  この極めて、何といいますか、最低限の常識的な要望さえ退けられているじゃありませんか。やはり私は、これは中止すべきだと思います。いかがです。
  357. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 その看護協会からの御指摘、もっともだと思います。そういう点を勘案しながら、しゃにむに一律的に導入するものではないんです。看護婦さんが多い方が、看護婦さん自身にとっても患者さん自身にとってもいい、望ましいということは言うまでもありません。  しかし、限られた人材の中で三交代制よりも二交代制の方がいいんじゃないかという意見もある、その点はよく現場の理解を得ながら進めていきたい、そういう方針で私どもはこの二交代制勤務を国立病院・療養所で進めていこうと思っております。
  358. 児玉健次

    児玉委員 現場の理解と協力という点です。  私は、ある国立病院・療養所に行きまして、そして、すべての看護婦さんから、二交代が導入されようとしている看護婦さんが医師でもある施設長に対して、私はこういう理由で二交代制については賛成できませんとるる書いていらっしゃるものをいただきました。これは他の病院のものです。両方とも、これは施設長、事務長によって受理が拒否されている。北陸のある病院の場合は、受け取られないから郵送をした、その郵送も返送されている。現場の意見が聞かれていないじゃありませんか。理解と協力は得られておりません。どうですか。
  359. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えいたします。  二交代制勤務の実施に当たりましては、職員はもとより職員団体へも説明をしているところでございます。職員から提出された意思表明書が交渉事項の対象となる勤務条件に関するものであれば、受け取りを拒否するものではございません。
  360. 児玉健次

    児玉委員 公務員法における勤務条件、賃金はいかように決めていくか、労働時間はどうするか、その配分はどうか、これらが勤務条件の中のイロハの中のイですよ。その点についての交渉が事実上行われていない。  私は、あえて総理に再度言います。国立病院・療養所で、患者の幸せのために、患者のためによりよい看護をしたい、この点では、同じく医師である施設長と看護婦さんや医療のスタッフの間で十分な論議をすれば一致が見られないはずがないと私は思うのですね。その点で、今強制的に導入されようとしているこの二交代制については私は中止をして、そして看護婦等現場職員の合意を得る。それぞれの病院、療養所の実態にふさわしい勤務体制はどのようなものか、そのことをこそ真剣に議論していくことが国民の命と健康を守る厚生行政に道を切りかえる最も確かな道ではないか、こう考えます。総理、どうでしょう。
  361. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほどから私は選択肢としてという説明を厚生省は、また大臣はしておられたと存じます。そして私は、その点、本当にその病棟、看護婦さんが預かっておられる病棟によってもその選択肢のどちらを選ぶかというのは違うと思いますし、先ほど、十二時間の勤務を終えた後、運転の苦労ということを議員は例に引かれました。私、それは確かにそういう懸念はあるだろうと思います。しかし、看護婦宿舎に居住しておられる看護婦さんたちの中で、自由時間が延びていいという声があることも事実だと私は思うのです。要は、まさに選択肢という中でよりよい選択を、これは看護婦さんのためにもそうですし、医療機関のためにもそうですけれども、患者さんにとっても一番いいものを選んでいただくということに尽きるのではないでしょうか。
  362. 児玉健次

    児玉委員 時間ですから、この点は本当にそれぞれの病院、療養所でそれぞれの事情があるわけですから、よく話し合って最善の道を選んでいただきたい。強く要望して質問を終わります。
  363. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて松本君、児玉君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十三日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十三分散会