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五島委員 一年以内にその方向をお出しになるということですが、その方向をお出しになるときに、もう少し、
二つの面で具体的に検討していただきたいと思います。
一つは、先ほど
総理からも
お話がございました、税でやるのか保険でやるのかという問題。
しかし、個人年金、個人保険の時代に入ってきた。実は、昭和三十五年の国保が成立した段階において、国保というものを含めて皆保険制度が成り立ち、その国保に対しては、やはりバランス上、税を投入せざるを得なかった。しかし、提供されるべき医療については、国保であるから医療は半分でいい、あるいは組合健保であるからそうではない、提供される医療の質について差をつけることはできないという状況の中で、実は税というものがそこに入ってきたわけでございます。
こうした形で、医療保険に対する税の投入というものを、これを避けるということは、今の
日本の社会保険制度の中においてはこれは無理である、やはり税の投入というものはやっていかざるを得ないというふうに思うわけです。
そして、そういう状況の中で、今、政管健保が財政的にこのままではもたないというところまで来ている。その
関係でまず検討していただきたいのは、例えば医療保険に対する税の投入については、額はともかく率としては、この間特例的に、非常に特例措置によって縮小してきているわけですね。さらに、繰り延べ措置によるところの国の健保財政からの借金もございます。これらの措置をどうもとへ戻していくのか、あるいは戻さずに、そのままそこの部分を保険料なり
国民負担に置きかえていくのかという問題が
一つございます。
現在、政管健保から国が借りているといいますか、お金は九千五百億あったわけですが、この間の補正予算で千五百幾らかが返ってくることになりました。残額約八千億ございます。この八千億の金はどのようにして政管健保に返済されるのか。私は、向こう三年間の間にこれは返済してしまうべきであると考えておりますが、その点について大蔵大臣、どう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
また、
平成四年度の改正、この改正は御案内のように、保険料を千分の八十四から千分の八十二に引き下げる、そして政管健保に対する国庫の補助率を一六・四から一三%に引き下げるという措置でございました。しかし、今回の厚生省の改正案の内容を見ますと、現在の千分の八十二から千分の八十六にふやそうというわけでございます。
そうだとすると、
平成四年に政管健保に対する国庫補助率を三・四%引き下げた、介護部分は一六・四%のまま残されておりますが、引き下げた。そこのところはもとへ戻すのか戻さないのか。これはやはり、政管健保に対する国の借金を返済した後においては、私は戻すということを前提に今後の財政運営を考えるべきではないかというふうに考えますが、その点について大蔵省の方はどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
また、国保につきましても今回、
平成十一年から本則どおり公費二分の一の定率負担にするというふうにおっしゃっているわけですが、これがなかなか信用する人が少ない。これまでこうなってもそのときの財政状況の中でしょっちゅう変わってきている。これは間違いなく実施するんだろうなということについて、改めて厚生大臣にも御答弁いただきたいと思います。
そして、さらにもっと大きな問題として、私は消費税の医療非課税の問題があると思います。
医療に対して消費税を非課税とするという政策決定がなされています。それはそれでいいことだと思いますが、しかしそのことによって、医療保険のサイドから消費税相当分として年間約五千億を、医療保険の方でこれの、言葉は悪うございますが、しりぬぐいをしている。本来税制度の措置を、なぜさまざまな保険の構成から成り立っている医療保険が肩がわりするのか、その根拠は私にはわかりません。消費税は非課税とするというのであれば、やはり税の世界の中で決着をつけるべきではないか。インボイスの問題は当然ございますが、医療機関の場合は病院会計則を適用させることによってインボイス問題は完全にクリアできる。とすれば、これはやはりゼロ税率ということによって医療非課税を実施すべきではないかというふうに考えるわけでございます。その点、こうした形での公費との、税との
関係の問題についてどう考えるのかということが
一つでございます。
もう
一つは、医療保険本体の持っている矛盾の問題でございます。
とりわけ老人保健との絡みでございますが、医療保険
そのものは、
国民医療費という形で老人医療費とセットにして議論されています。しかしこれは、御案内のように、老人医療費とその他の被保険者との間で整理して検討しますと、実は老人医療以外の医療費というのは、この二十年間、対GNP比で三%台から動いておりません。平均して三・五%、極めてフラットな形で少なくともこの二十年間は推移した。その以前とは非常に大きな違いがございます。また、それはもちろん、
国民所得との
関係でいえば四%台、四・五%ということになってまいります。この額が高いか低いかという議論は
一つございます。この額を対GNP比でもっと小さくしようということになれば、保険
システムそのものをかなり大きく変えないとできない話でございます。
しかし、もう一方、老人医療の方を見てみますと、この老人医療の高騰部分というのは、これはちょっと単なる老人の増加、人的な増加ということでは
説明できない、そういう増加の程度をしています。増加の内容を厚生省がお出しになっておりますさまざまな
資料を見て検討しても、薬剤費の、一般医療、老人以外の医療と比べた場合に非常に大幅な増加、あるいは検査の増加、処置の増加、すべての部分において老人医療の中においては非常に混乱があるように思います。言いかえれば、二十年以前の健康保険制度と同じような矛盾を老人医療の中には抱えているというふうに思います。
そういうふうな中で、まずは医療と介護を分けようという形で介護保険問題は議論されているということについて、私は極めて正しいというふうに思っております。ただし、それだけでは極めて不十分だろうというふうに思います。そういう意味では、老人医療が拠出制度であり、本当に保険者機能が果たせているのかどうかというところについて私は大変大きな疑問を持っています。
そして、それと関連して、時間がございませんのでもう
一つあわせて申し上げておきますが、診療報酬の中で薬価制度の問題でございます。
基本的に、医保審の議論の中でもあるいは議会の中においても、薬価差益の問題ということだけが主張されてまいりました。薬価差益をなくするということは建て値を固定するということにつながってまいります。本当にそれによって、建て値を固定してしまって薬価改定によって薬剤比率、薬剤費に対する負担、これを国際並みに抑えていくことができるのか。これを過去厚生省十二年間の努力の結果を見ますと、薬価改定によって薬剤費
そのものは十二年間に約二分の一に引き下げられたことは御案内のとおりです。にもかかわらず、薬価改正があったとしても、高価格薬品に医療全体が推移することによって、この薬価改正の努力というのが何ら医療全体の中においては反映されずに、トータルな薬価費の大幅な増加になっていることは御案内のとおりです。そういう意味では、抜本的に現在の薬価制度のあり方
そのものを変えていく必要があるのじゃないか。
今回の
政府がお出しになっている一種類十五円の本人負担というものが、それに置きかえて考えた場合に、本当に、これまでのように医薬品が高薬価品に一斉に移っていくということによって結果的にはそういう改正の努力は何もできなかったということに対して一定の歯どめになるとお考えかどうか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
この以上三点についてお伺いしたいと思います。