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山本(幸)
委員 つまり、今の
仕組みを最大限活用するということですから、そうじゃない場合には
仕組みを変えなきゃいけない、つまり法律改正が要るということだというふうに
理解しております。
次に、不良債権問題、この公的資金の問題云々のところですが、不良債権問題で、私は通常言われていることとちょっと問題が違うんじゃないかなという気がしておりまして、そのことをちょっと申し上げ、御
意見をお伺いしたいと思っています。
不良債権問題というのは、銀行の不良債権がたくさんある、それの償却による処理が大変だ、しかしそれは順調に進んできた、
大蔵大臣、よくそう答えておられますね。順調に進んできておる。その結果、不良債権問題というのはほとんど解決しつつある。ここが私非常に疑問に思っておりまして、実は
日本の銀行は今本当に苦しいかというと、そうじゃないのです。
日本の銀行は、去年、おととし、空前の利益を上げているのです、業務純益。それは、まさに低金利政策ですね。その低金利政策によって業務純益というのは物すごく大きいのです。史上最高ですよ、おととし、去年。去年度の最後の数字がまだ出ておりませんが、全国ベースで六兆円規模。つまり業務純益という形では
日本の銀行はもうけているのです。だから政治献金できるんですよ。
これは、だけれども、数字で出てくる経常利益のところはゼロになるわけですね。だから税金も払わない。どうしてかというと、この業務純益から不良債権と貸し付けたところに対する部分を償却するということをして、そして経常利益をゼロにして、もうけていません、もうけていませんということになっておるわけですね。もちろん個々の銀行によって個別については違いが出てきますけれども、経営
努力のできていないところは、業務純益自体がおかしくなってきたらこれはもう経営が悪い。そうじゃなくて、業務純益が出ている限りは銀行というのは別にどうってことはない。銀行というのは仲介機関ですから、これが大きくもうける必要ないんですよ。
問題はその先にある。
日本経済にとって最大の問題というのは、銀行から金を借りているところなんですね。それは不動産業界であり建設業界、ここが問題なんだ。
例えば、かつてある不動産業者は百億借りた。そのとき、その百億で百億の価値のある土地を買っていたわけでしょう。これがバブルの崩壊で三十になっちゃった。今そういう状況になっている。このときに、
日本経済を動かすためにはどうしたらいいかというと、その不動産業者の持っている土地をいかにして流動化させるか、そして不動産業界をリストラするか、ここにかかっているわけです。これをやらないからいつまでたっても
日本経済は活力が出ない。
しかし、銀行はその不動産業者に、おい、リストラやれ、今土地を売れば三十入るだろう、それを返せと言いますね。これは、つぶれてしまえば簡単ですよ。つぶしてしまえば銀行が乗り込んでいってわっとやるんですが、問題は、細々と生き残りながら、しかしそういう状況になっている、こういうところに銀行がリストラしろと言ったって、しないんですね。なぜならば、三十返したってあとの七十がまた借金で残るから、動かないんですよ。
なぜこういうことになったかというと、
日本の銀行の償却
制度に問題がある。つまり、共国債権買取機構というのをつくって、
日本の銀行の、バランスシート上勘定を移すだけで、その七十の償却を無税償却で認めちゃった。
世界じゅうの国で間接償却を無税で認めるという国なんかありません。その結果、ほかの国では有税で積み立てて、それを、無税の分をもらおうとするためには、実際に乗り込んでいってリストラしなきゃいけないんですよ。大変だ、これは。だけれども、その
努力をやらなければ、その利益を銀行は享受できない。だから必死でやる。
ところが、
日本は間接償却無税を認めちゃいましたから、銀行は座って勘定を移しかえて、そして無税償却の税金の分を享受して、そして経常利益をゼロにして税金を払わないで済んでいる。これは、本気で不良債権問題を解決しようとしたら、不動産・建設業界のそういう状況を解決してやるような政策をとるか、あるいはそれが無理だったらこの無税償却というのをやめちゃう。そうすると、銀行は必死にならざるを得ない。
大体、買取機構のあれを見てみますと、十三兆円ぐらい元本分が買取機構に移っていますね。ということは、その十三兆円を償却しているわけですから、その半分、六兆五千億ぐらいは
国民の税金がそれにつき込まれた。つまり、本来入るべき税収はなくなった。これだけの税収があれば減税なんて簡単にできるじゃないですか、五兆なんて。これを逃している。財源対策だって、銀行に無税償却をやめて有税でさせれば一番簡単です。そして、そのことが、本当のリストラをやる必要があるんです。それが進む。
私は建設大臣にぜひ
お願いしたいのですが、不動産・建設業界の
現状というのは、そういう意味の担保不動産の
現状というのは非常に大きな問題なんですね。これは、不動産・建設業だって行儀の悪いところはあったかもしれないけれども、しかし、マクロ
経済全体としては実に大きい。
〔小里
委員長代理退席、
委員長着席〕
というのは、七百五十万人ぐらいの労働者がそれに
関係している。そして、その人たちがここに氷づけになっているがために財布を締めざるを得ない。その家族を考えますと、大体人口の五分の一ぐらいが締めざるを得ない状況になってきているんですね。
だから、本気で不良債権問題を解決しようとするならば、
大蔵大臣に対して、このやり方を直せと。やり方は、債権放棄すればいい。銀行に三十の価値のある土地を持ってこい、変なのが絡んでいるんだったらそれを整理して持ってこい、それをきれいにしたら、確かに三十もらって、しかし残りの七十の分も消してあげましょうと言ったら初めて一生懸命やるわけだ、その業界は。そのインセンティブを与えない限り、彼らはもう払えないものは払えないのだから、三十でやったって後で七十残るんだったらしませんよ。
だから、もし本気でやるんだったら、
大蔵大臣に対して、銀行に債権放棄を認めろ、そのときには寄附金とか特別利益とか税法上の問題が出てくるんです。そういうのを対処してやるべきだというふうに申し入れるべきだと思いますけれども、その点いかがですか。