運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-02-06 第140回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月六日(木曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 深谷 隆司君    理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君    理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君    理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君    理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君    理事 穀田 恵二君       相沢 英之君    石川 要三君       植竹 繁雄君    臼井日出男君       江藤 隆美君    尾身 幸次君       越智 伊平君    大原 一三君       河井 克行君    菊池福治郎君       桜井  新君    下地 幹郎君       下村 博文君    関谷 勝嗣君       田中 昭一君    高鳥  修君       中野 正志君    中山 正暉君       西川 公也君    野中 広務君       葉梨 信行君    松下 忠洋君       松永  光君    松本 和那君       村上誠一郎君    谷津 義男君       山口 泰明君    愛知 和男君       愛野興一郎君    石垣 一夫君       石田 勝之君    上田 清司君       太田 昭宏君    岡田 克也君       北側 一雄君    小池百合子君       田中 慶秋君    中井  洽君       西川 知雄君    平田 米男君       二見 伸明君    生方 幸夫君       海江田万里君    日野 市朗君       中路 雅弘君    春名 直章君       古堅 実吉君    矢島 恒夫君       上原 康助君    北沢 清功君       粟屋 敏信君    岩國 哲人君       畑 英次郎君    前田 武志君       吉田 公一君    新井 将敬君       土屋 品子君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 松浦  功君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         文 部 大 臣 小杉  隆君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  藤本 孝雄君         通商産業大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)事務代理  佐藤 信二君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         郵 政 大 臣 堀之内久男君         労 働 大 臣 岡野  裕君         建 設 大 臣 亀井 静香君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      麻生 太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石井 道子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 伊藤 公介君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       田波 耕治君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制第一         部長      秋山  收君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁長官官房         審議官     瀧上 信光君         総務庁人事局長 菊池 光興君         防衛庁参事官  山崎隆一郎君         防衛庁参事官  澤  宏紀君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         経済企画庁調整         局長      土志田征一君         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君         経済企画庁総合         計画局長    坂本 導聰君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         科学技術庁長官         官房審議官   興  直孝君         国土庁計画調整         局長      塩谷 隆英君         国土庁土地局長 窪田  武君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房長 涌井 洋治君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         国税庁次長   堀田 隆夫君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    富岡 賢治君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         文化庁次長   小野 元之君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省社会・援         護局長     亀田 克彦君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         社会保険庁運営         部長      真野  章君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産大臣官         房総務審議官  石原  葵君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         食糧庁長官   高木 勇樹君         水産庁長官   嶌田 道夫君         通商産業大臣官房         長       広瀬 勝貞君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       今野 秀洋君         通商産業省通商         政策局長    林  康夫君         通商産業省産業         政策局長    渡辺  修君         通商産業省環境         立地局長    稲川 泰弘君         通商産業省機械         情報産業局長  中川 勝弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石油部長   林  良造君         中小企業庁長官 石黒 正大君         運輸大臣官房長 土井 勝二君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省港湾局長 木本 英明君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         郵政大臣官房総         務審議官    高田 昭義君         郵政省通信政策         局長      木村  強君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    村瀬 興一君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省住宅局長 小川 忠男君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 湊  和夫君  委員外出席者         検  査  官 疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   清川 佑二君         予算委員会調査         室長      大坪 道信君     ――――――――――――― 委員の異動 二月六日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     中野 正志君   臼井日出男君     田中 昭一君   江藤 隆美君     河井 克行君   越智 伊平君     西川 公也君   越智 通雄君     下村 博文君   大原 一三君     下地 幹郎君   村山 達雄君     植竹 繁雄君   谷津義男君      山口 泰明君   北側 一雄君     石垣 一夫君   西川 知雄君     二見 伸明君   仙谷 由人君     川内 博史君   松本 善明君     春名 直章君   矢島 恒夫君     中路 雅弘君   岩國 哲人君     前田 武志君   新井 将敬君     土屋 品子君 同日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     村山 達雄君   河井 克行君     江藤 隆美君   下地 幹郎君     松下 忠洋君   下村 博文君     越智 通雄君   田中 昭一君     松本 和那君   中野 正志君     相沢 英之君   西川 公也君     越智 伊平君   山口 泰明君     谷津 義男君   石垣 一夫君     北側 一雄君   二見 伸明君     上田 清司君   川内 博史君     仙谷 由人君   中路 雅弘君     矢島 恒夫君   春名 直章君     古堅 実吉君   前田 武志君     畑 英次郎君   土屋 品子君     新井 将敬君 同日  辞任         補欠選任   松下 忠洋君     大原 一三君   松本 和那君     臼井日出男君   上田 清司君     西川 知雄君   古堅 実吉君     松本 善明君   畑 英次郎君     吉田 公一君 同日  辞任         補欠選任   吉田 公一君     粟屋 敏信君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     岩國 哲人君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成九年度一般会計予算  平成九年度特別会計予算  平成九年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  平成九年度一般会計予算平成九年度特別会計予算平成九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  3. 日野市朗

    日野委員 きょうは、きのうと引き続きですが、ぐっと趣を変えて、いろいろ伺いたいと思います。  まず、景気の問題について伺いたいと思いますが、現在の景気をどう見るかということについては、もう総理も何度もお答えになりましたし、この委員会でも随分議論がありました。  私から言わせていただきますと、この景気をめぐって大変な大騒ぎになっておりまして、私は、それ自体みんなでいろいろ議論するというのは結構だと思うのですが、ただ、株価の問題なんかに関連しまして、皆さん大分心配しているようでございますね。  経済界トップが、これはもう日本経済破局状態だなんということを言うと、やはりこれは株価には大分影響するのでございましょうね。お店のだんなさんが、うちのお店もうだめよというようなことを言ったら、お客さんはどんどん逃げていく。これは当たり前の話だというふうに思うのです。しかし、私は、日本景気というのは、これは現在も、確かに総理大蔵大臣が言われるように、回復しつつあるというふうに私自身も見ております。  そこで、これからの可能性ということについて私は見ていきたいと思うのですが、よく挙げられる指標としては失業率求人倍率、こういったものが挙がります。ただ、私が気がついていること、これは数字におまえの考え方を表現しろと言われると困るのでございますけれども、確かに失業率は三・四という数字になっていても、結構フリーターとかなんとかいう人たちがおりまして、その人たちが結構元気でやっているということは、一応私は言えるのじゃないかと思います。  それから、あとは消費なんかについても、これは経済界トップあたり破局だなんと言うと、では少し消費を控えておこうかというような消費者の意向になったりもするのでありましょう。また、設備投資なんかも徐々に指標改善されてきているのですが、余り悲観的な見通しばかり語りますと、これもやはり上げどまるというようなことはあるのじゃないかと思いますね。景気というのは、やはり気という部分が非常にこれは大きいわけでありまして、元気を出していくということは必要なことだと思うのですよ。  日本も戦後何回か不況と言われるものを経験しているわけですが、特に円高不況ということがありましたですな。あれなんかは、私はかなり心理的な不況要因が強かったのじゃないかと今思っているのですね。そして、為替が安定した途端にぐっと日本経済は盛り返して、みんなもうだめだ、日本経済はだめだと言ったにもかかわらずぐっと盛り返して、非常に今度は景気改善された、こういうこともあったわけでありまして、私もこの心理的な要因というのは非常に大きいと思う。  この景気の将来について、日本経済可能性といいますか、それについて総理、どうお考えになっておられますか。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど円高が急激に進展しております当時、通産大臣として、特に中小企業への影響が非常に心配になり、幾つかの調査をいたした時期がございます。そして、その複数の調査の中で、当時私が一番驚きましたのは、第一回目、ちょっと時期を忘れましたのでもし必要でありましたら後日資料をお届けいたしますが、第二回目、急速に進展する円高の中でありましたが、ちょうど円一ドルベースベースにした収支分岐点、これが、たしか最後に私が調査をさせましたときには、一ドル百八円ぐらいまでが採算の分岐点という数字にまで改善をされておりました。  ただし、その時期はなお円高の進行が大きかったわけでありまして、その中において、これが継続すれば自分会社としては打つ手がないんだという切実な声をアンケートに答えられたところも四分の一ぐらいあったと思います。ただし同時に、新製品開発、新分野への進出、さらには自己の商品のより高付加価値化といったことでこれをなお迎え撃つという気概が、その調査の中には示されておりました。  その後、今、逆に円安を御心配される声が出るというところまで為替水準が変化をいたしております。当然のことながら、そうした努力というものは今生きておるはずであります。ただ、これが、その後にも生産拠点海外移転がありました。そうしますと、当然ながら親企業海外移転に伴い受注が減になる。これに対してかわり得る新たな発注先を見出していけているかどうか、ここら辺が一つのかぎになると思います。  通産省あるいは中小企業庁、非常に積極的にこうしたものに対策を打ってまいりましたが、逆に、このところそうした努力から出てくる声は円安の声にかき消されている部分があるように存じます。  そして、私は、物つくりの伝統というものが滅びない限りにおいて、言いかえればすそ野産業がしっかりしているという点において、日本はなお大きな国際的に見た場合の武器を持っておる。こうした特技は生かしていくべきである。一方におけるマルチメディア化とかこうした活動とあわせて、今までも我々を支えてきた分野だ、これをしっかりさせていくことが非常に肝要ではなかろうか、そのような感じでおります。
  5. 日野市朗

    日野委員 随分きのうも私は経済界にいろいろ注文をつけましたが、きょうもつけておきたいと思うのですね。よく空洞化空洞化だ、これは大変だ、こう言うけれども、私は、日本製造業がそれだけ規模を海外に拡大して、大きな可能性をつくり上げているのだという見方でこれはとらえるべきではなかろうか。これは消極的なとらえ方ばかりしちやいかぬと私は思いますね。  それからまた、東南アジア等にその生産拠点を移していきます、そして東南アジアあたりとの貿易が拡大をしてくる。この貿易構造なんかはもう既に大きく変わっていることに我々は注目いたします。もう製品輸出ではない、部品の輸出、それも高度の技術力が集約されるようなそういう製品輸出をやりながら、現に立派にやっているところはやっているわけでございますね。こういうところを見ないで、空洞化が、これはマイナス要因だとか、それは一時的にマイナス要因に働く部分があるかもしれないけれども、それを積極的に生かしていくということが必要なのでしょう。  それから、自分の周辺の国が豊かになっていくということ、これは結構なことではないかというふうに私は思いますので、そういった意味でも、日本産業界にはこれは奮起を促したいし、それをきちっとバックアップできるような国の政策的な展開も求めていきたいというふうに私は思うのですが、ここのところを余りやっていますと時間も食ってしまいますから、私は、人、それから資金的な効率が、資本の投資効率が若干落ちてきている、これは非常に気になるところですが、しかし、この問題も、多くの点を改革していくならば乗り越えることのできる問題点であろうというふうに私は思っています。  それから、やはり経済を発展させていくときには、イノベーション技術の発展というのは、これは欠かせないわけでありますが、現在この点でもう少し頑張ってもらわなくてはいかぬなと思う点はありますが、これも、私は日本の高い技術力からすれば乗り越えることができるであろう。それから、さっきもちょっとお話ししましたが、フリーターのような、会社というところにとらわれないで自分仕事を自由にやっていきたいという気風が若い人たちを中心にかなり広がっているわけでありますから、こういった点から、たくましいベンチャーが出てくることも期待したいというふうに思いますので、そういう努力もやっていただきたいと思うのです。  私、このイノベーションと、それからもう一つ財政の改革ということと関連づけて、ちょっと下水道の問題を取り上げたいと思います。  日本では下水道下水道ということで、市町村長さん方も立候補をなさるときには下水道をやりますという公約を出す、そういうことで非常に下水道に金を使っているわけですね。しかし、私は、これはどうかなと思う点があるのですよ。  もう私はこれはずっと前から言い続けてきているのですが、非常にすぐれた技術として、合併浄化槽という技術があるわけですね。これなんかは、時間もかからない、それから金も安い、どうしてこれをもっと厚生省、頑張ってやらぬのだ。これは地方土建屋さん、小さい土建屋さんに仕事を出すことにもなる、それからそういった製造関係でも大いに潤うことができる、そういうものなのだが、なかなかこれが伸びない。何でこれが伸びないのだろうなということを私も随分いろいろ考えてみます。そうすると、これは下水道が強過ぎるのですよ。  私は、建設大臣にこの点、やはりこれは考えなくてはいかぬと思う。何しろ、下水道を取り巻くのは、建設省がやっている、それからその下に社団法人日本下水道協会というのがありまして、これはマンモス組織になってネットワークをつくってしまっている。これを切りますということは容易なことではない。  しかし私は、日本下水道協会なんというものは、しっかりと手を入れてみたら、これはむだを大いに省くことができるし、それから日本の新しい技術である合併浄化槽といったようなもの、これを伸ばして財政上も楽になる、それから経済的にも地方も潤っていく、しかも能率的な水処理ができると思っているのですね。何しろ今は、日本環境の上で非常に問題になっているのは、工業排水よりはむしろ生活雑排水であります。その生活雑排水とし尿などを一緒に、生物学的に処理をするという非常にすぐれた技術なのです。  私は建設大臣に、もっと自分たちのところは削っても、厚生省に譲るべきだと思う。いかがですか、お考え。これは真っ向からこういうことを言うと、建設大臣は、いや、そんなことはないと言うのはわかっていて聞きますが。
  6. 亀井静香

    亀井国務大臣 我が国の下水道事業全般につきまして、委員指摘のとおり、諸外国に比べまして、先進国の中では非常にまだまだ水準が低い、五〇%程度ということだと思いますが、今後これを推し進めていく中で、いわゆる建設省の所管しております下水道事業で全部をカバーしていくことは私はできないと思います。やはり委員指摘のように、農村地帯、中山間地帯の家が点在しているようなところについては、合併浄化槽なり農業集落排水なり、そういうものとの組み合わせでいくべきであるというふうに、私もそのように考えております。  別に下水道事業団事業量を確保するために我々はやっておるわけではございませんで、国民文化的生活を全般的に確保する、そういう役割分担として私どもとしては下水道事業を進めておりますので、委員の御指摘の点は、私は全体の分業といいますか、としてはあり得る、このように思います。
  7. 日野市朗

    日野委員 私も、この問題については、そのすみ分けをやりなさいと。東京のような家屋密集地合併浄化槽なんかをやるというのは、これは非常に土地の面からの制約がある、だからすみ分けをやりなさいということですが、このすみ分けの方向にやっと一歩を建設省は踏み出しただけですよね。可及的可能な、できるだけ合併浄化槽でやれるところは合併浄化槽でやれという方向にこれは進むべきだと思うのですね。  そして、社団法人日本下水道協会、これなんかも、大胆にこれはもう民営化していく、民間にやらせるというような方向を目指すべきであろう、私はこう思っているのですが、このことはまた大きなテーマとして後で取り上げることにいたしましょう。  厚生省、どうですか、私は、今まで建設省に妥協をしながらといいますか、建設省に遠慮をしながら、自分たちの持っている技術というものを推進してこなかったという罪は、やはり厚生省にもあると思うのですよ。  これについては、じゃ予算の比率、どんなぐあいになっているか、だれかからまとめて聞きましょう。建設省のこの下水道関係はどうなっている、それから農水省の地域の集落排水事業、それからこの合併浄化槽と、予算の比率はどうなっているか。じゃ大蔵省やってください、まとめて。
  8. 木下博夫

    ○木下政府委員 先生御質問のございました関係のそれぞれでございますが、ちなみに九年度の予算でお願いしております国費のベースでございますが、下水道で約一兆一千九百、農業集落排水は千四百五十三億、それから合併浄化槽は百五十八億でございます。  いずれにぜよ、数字ありきではございませんで、大臣がお答えしましたように、国土のそれぞれの利用の仕方あるいは集落の点在の中で、関係省庁で今調整させていただいております。
  9. 日野市朗

    日野委員 合併浄化槽は〇・八%の伸びでしたかな、八%かな。ちょっと、前年度比較で。
  10. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 合併処理浄化槽整備予算の関係でございますが、平成九年度予算案におきましては、対前年度八%増ということでお願いをいたしているところでございます。
  11. 日野市朗

    日野委員 この八%というのは、ずっと大体そのくらいの伸び率で来ているわけですがね。大体その程度の伸び率でずっと来ているのです。しかし、これからは新しい技術をどんどん使っていかなくてはいかぬ、技術革新をやっていかなければならないというときに、私は、このようにすぐれた技術がこの程度の伸びということは非常に慨嘆にたえないといいますか、これも一つの大きなこれからの改革すべき対象にはなっていくだろうというふうに思います。  それで、今、若干構造改革の点にも踏み込んで質問をいたしましたわちょっと時間がないので、上っ面をなでる程度で恐縮なんですが、やはりこういう新しいものをどんどん使っていくという姿勢というものは、私は必要であろうというふうに思っております。  それで、総理に伺いたいのですが、総理は六つの改革をここに言われた。それを貫く一つの原理というのは市場原理であろうというふうに、私は思っております。市場原理というのは、これは今までの日本の閉塞状況をもたらしたような状況、これを改革していくということになれば、市場原理というのは有効に働くだろう一こう私は思っております。  ただ、この市場原理にもそれは欠陥というものはあるわけでありまして、その欠陥には、今まで日本で平等な社会、これは日本という国は世界でもトップクラスの、国民所得を比較してもトップクラスの平等性を実現してきた国だろうというふうに思うのでありますが、それに対する、今まで日本人が生きてきたそういう社会の中に競争原理を持ち込むということになれば、やはりそこで不平等というような問題が出てきたりなんかする。それから弱者などが生まれてきたりする。そういうことからいいますと、社会政策の必要といいますか、社会保障などを初めとするできるだけ平等に近づけていくという政策が一つ必要になってくるというふうに思います。  私は、経済政策は経済政策として進めて、そして所得の再分配という段階で社会保障等の点に対する考え方というのも確立しておかなければならないというふうに思っておりますが、総理のお考えとしてはいかがでございましょう。
  12. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、一言で市場原理に任せると言ってしまうには、議員が御指摘になりましたように多少の問題はあると思います。何をやっても自由だというわけでは当然ないわけでありまして、社会性あるいは倫理観というもの、そうしたものを踏まえた、個人であるなら豊かな人間性、企業は企業倫理というものを当然持ちながら、一定の透明なルールの中での競争というものであると思います。  そしてその上で、私は今議員が述べられましたことに、一部はそのとおりだと思います。  まず必要なことは、チャレンジの機会、チャンスは公平に与えられなければならない。しかし、そのチャンスをつかみ切れるかどうかというものは、それは運もありましょうし個人の適性もございましょう。あるいは企業としての適性もあるかもしれません。そうした場合におきましても自己責任原則というものは当然働いていくわけでありますが、一方で、手を本当に差し伸べなければならない方々に我々が工夫をしていく必要があるということは、それも御指摘のとおりであります。  そして、それを社会政策という言葉で一括をされましたけれども、その必要な手だての講じ方というものはいろいろな角度のものがあると思います。そして、これを社会保障、福祉政策で例にとりますなら、給付と負担の公平ということと同時に、世代間の公平というものを考えていかなければならない。これにもおのずからのルールというものは存在するかと思います。
  13. 日野市朗

    日野委員 社会政策、時間の関係もありまして一くくりに言っておりますが、特に社会保障の関係で幾つかの認識というか概念というか、それを我々ちょっとしっかりしておく必要があると思うところが幾つかあるわけですね。  例えば弱者という言葉を我々が使うときに、弱者とはどういう存在なのかということについては、はっきりした言葉の概念を定立しておきませんとね。よく演説のために、弱者とは、弱者救済とか、そういう非常に意味をあいまいにしたまま我々は使っていて、一つのムードで議論をするというようなところがあります。それから、このような状態では食っていけないというようなこともいろいろあるわけですね。こういった弱者という概念、食っていくということの概念、こういったものは、ちょっと我々これから議論を進める上ではっきりしておかなければならないことではないかということを私は実は常々考えているわけでありますが、この点についてお考えはいかがでしょう。  そして、ここで、弱者とか食っていくということ、この概念を今はっきりすることができるならばしていただければ、こう思います。
  14. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに私は、弱者という言葉について、いろいろな定義をそれぞれの方がお持ちだと思います。私なりに考えてみますと、今も、チャレンジ、挑戦のチャンス、チャンスの公平ということを私は申しました。ほかの人々と公平な競争のチャンスが与えられない、これは弱者ではないでしょうか。  たまたま私の父親が身体障害者であり、その身体障害のために、その当時の学校制度のもとにおいては高等学校の受験資格を与えられない時期があった。その後学制が改革されて入学試験に参加するチャンスが与えられ、彼は合格をいたしましたけれども、その時期においては、身体障害者であるということ自体が高等学校さらには大学への受験資格そのものを与えられない要因でございました。  私は、公平な競争のチャンスを与えられないというのは、一つ弱者の定義の中に入るかなと思います。  それから、食えないというのは、現実に自分自身では努力する意思を持っている、そして現実に努力をしておられる、それでも自分の生活を支えるだけの収入が得られない。強いて定義をすれば、そのような言い回しができるのかもしれません。しかし、これは他の定義も多分あり得ることだと思います。
  15. 日野市朗

    日野委員 今の部分は多分厚生大臣が立たれるのかと思ったら、総理がお答えになりましたですな。まあ、結構でしょう。またそのうち厚生大臣に聞きますよ。  それで、もう一つ私が気になるのは、改革を進めていくときに、労働市場がどうなるかという点については、非常にこれは強い関心を持たざるを得ないところです。労働大臣、いかがですか。
  16. 岡野裕

    ○岡野国務大臣 先生がおっしゃいますところの諸改革、その中で、特に産業構造改革ということをさお差していく場合に、これも一つの例でありますけれども、規制は緩和をすべきであるということに相なると思います。規制緩和によりまして在来の規制によって保護されていた産業が日陰ること、これはいたし方ないことだと思いますが、そこに雇用されていた働く諸君からしますと、雇用の場を失う、したがって新しい雇用の場を設けていかなければならない。  幸いなことに、規制緩和になりますと、やはりビジネスチャンスがいっぱいできます。そこでもって新たな中小企業、ベンチャー企業等ができます。そこへ在来の日の陰ったような産業の働ける皆さんを持っていくには、きのう来問題になっておりますところの雇用促進事業団等々によりまして、新たな技能を身につけるでありますとか、あるいはあっせん、出向等々の形で新しい技能を身につけたそういう労働者が、新しく日の当たる産業の中で大いに自分の力を平等に発揮していただく、公平に発揮していただく、これが労働行政の当面するところの雇用対策の中心になろうか、こう存じております。よろしゅうございましょうか。
  17. 日野市朗

    日野委員 これで私は質問を終わりますが、きのうから、私、いろいろ新しい国家のあり方というようなことを議論しました。その中で、まだ、ではどのようにこれから日本が発展していくかわからぬ、しかし、我々は、そういう中にあって、一つこれだけはちゃんとやっておかなければいけないことというのはあると思うのですね。これからの日本可能性を強めるような技術革新、特に、競争場裏にある電気・情報通信のような技術、ソフトもハードも含めてこれをどんどん推進しなくちゃいかぬと思います。  それともう一つ、どうしてもやっておかなければならないこと、これは日本人を、特に若い人をできるだけ海外にどんどん出していく、そういう機会を積極的に与えていく、そして外の世界を見てくる、それから外国からの人たちもどんどん積極的に受け入れて、そして日本を理解してもらう、こういうことは絶対に必要だと思うのですね。私は、そういうことをこの時期きちんとやっておくべきであるというふうに思います。  外務省や文部省からも、ちょっとそこらの関係がどうなっているか聞きたいと思ったのですが、きょうは時間がありませんから細かい数字等を伺うことはいたしませんが、その必要性について感じておられるかどうか、それを進めていくという強い意思をお持ちかどうか、その点だけ伺っておきましょう。
  18. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 我々もそう思います。そして、できるだけ、日本の国内に海外の若い方々に来ていただき交流を深めていただく機会、日本の若い諸君が海外に出ていきそれぞれの国の若い方々との間に見聞を広めてもらう機会、双方ともに拡大していきたい、そのように思っております。
  19. 日野市朗

    日野委員 終わります。
  20. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて日野君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  21. 海江田万里

    ○海江田委員 民主党の海江田でございます。よろしくお願い申し上げます。  まず、オレンジ共済事件でございますけれども、一昨日になりますか、当委員会で、横路孝弘委員大蔵大臣に、このオレンジ共済の問題性について早くから大蔵省に問題提起があったのではないだろうかということで、それがいつごろからあったか調べていただくようにお願いをしましたけれども、その後、大蔵省ではお調べをいただいたでしょうか。お願いいたします。
  22. 三塚博

    ○三塚国務大臣 調べた結果を銀行局長から報告をさせます。
  23. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  オレンジ共済に関する一般からの照会につきまして、当省ではっきりと把握しているものといたしましては、横路委員からの御質問にお答えいたしましたように、平成七年十二月の中国財務局に対するものがございまして、その際、財務局としては出資法等の趣旨を説明し、その後マスコミ等からの情報もありまして、八年の七月に広島県警に参考情報として情報提供を行ったという御報告を申し上げたところでございますが、さらに横路委員の方から、これより以前にも一般からの照会があったのではないかというようなお尋ねがございましたので、至急その後、当時の記録とかあるいは担当者をシラミつぶしに当たっておりますけれども、現在のところ、正確な日時や事実関係の把握はできておりません。ただ、当時の担当者の記憶をいろいろ手繰ってみますと、いろいろな一般の方からの電話による照会とか、あるいは消費者センター等からの照会というようなこともたまにあったようでございます。  なお、横路委員の方からあわせて、その際どのように対応したかというようなお尋ねもございました。  その事実関係が定かではございませんが、当時から、従来大蔵省としては、一般からの照会に対しましては、法令の解釈等を説明するとともに、法令違反のおそれがあるような場合には捜査当局に相談した方がよいのではないかというアドバイス等をしておりまして、そのようなことをやっておったというのが担当者の記憶だということを調べたわけでございます。
  24. 海江田万里

    ○海江田委員 平成七年、九五年ですね、九五年の十二月というのは、このオレンジ共済の問題ではもう既に大変大きな問題になってきている時期でありまして、一般の新聞に出ましたのは翌年、九六年の夏八月なわけでございますけれども、その九五年の十二月の前に私がその本人に会って確認をしてきたところでは、九二年といいますから平成四年ですね、平成四年の六月に大蔵省に申し入れをした、直接は会っていないんですけれども、当時の保険一課長に問題があると。  この方は、日本ではまだ国家資格ではありませんけれども、アメリカなんかでは大変有名で、ファイナンシャルプランナーといういわば保険だとかあるいは年金だとかあるいは預貯金などの金融商品についていろいろ一般の方にアドバイスをする方で、名前は小野英子さんというのですけれども、この人が九二年の夏に雑誌に次のような文章を書いているのですね。  ちょっと長くなりますけれども、これは共済というものの性格を知る上で非常にわかりやすく書いてある、それから、オレンジ共済の問題点をわかりやすく指摘をした文章なのでちょっと読ませていただきますが、   保険や共済は、加入者の生活に直接かかわる大切な商品です。経営がしっかりしていて、万一のときにきちんと保険金が支払われるようなものでなければ意味がありません。   「せっかく高い掛け金を払ってきたのに、保険金を受け取るときになったら倒産していた……」そんなことにならないように、それぞれに監督官庁がついていて、商品性や掛け金、資金の運用法などに目を光らせています。   生命保険会社と損害保険会社の監督官庁は大蔵省で、適用を受ける法律は、どちらも「保険業法」です。   JA共済の監督官庁は農林水産省、適用を受ける法律は「農業協同組合法」。全労済 と全国生協連は厚生省で「消費生活協同組合法」の適用を受けています。   こうした法律のもとで各省庁の指導監督を受けながら、日本の保険事業や共済事業が 行われているのです。   そうしたなかで、どこの指導監督も受けない共済が誕生じ、そのゆくえを私も注目しているところです。   そのひとつが、「年金会」という政治団体が扱っている「オレンジ共済」と「オレンジ年金」。年金会は「年金党」という政党の支持団体で、掛け金の安さと年金の利回り の高さは驚異的です。共済ビジネスと称して、全国的規模で代理店を募集したりもしています。   ただ、組織のあり方、掛け金の設定基準、資金の運用法、広告宣伝のやり方などに私 は納得できない思いがしています。   たとえば、年金会では自治省の公認を受けて共済事業を行っているといっていますが、 (パンフレットにも自治省登録とある)、自治省に問い合わせたところ、単に政治団体 として登録しているだけで共済事業の指導監督などは行っていないという回答でした。 大蔵省、農林水産省、厚生省なども、いっさい関知しないという立場をとっています。   また、年金会の会員数は七十万人ということですが、これは平成元年の参院選比例代 表区で年金党が獲得した得票数平成四年の選挙の得票は約三十万でありますけれども、 平成元年のときは約七十万人獲得したわけですね。それで、実際の会員数とは異なるよ うです。   さらに不明瞭なのは年金原資の運用法です。オレンジ年金の場合、たとえば一時払いで百万円を払い込むと、三カ月後から三カ月ごとに、手取りで三万円の年金が一生涯にわたって支払われることになっています。手取りの年利回りは一二%。これだけの利回りを確保するためにどのような運用をするのかを聞いたところ、個人に融資をするという回答でした。省庁の指導監督は受けない、加入者最優先で独自の方針を貫く……というのなら、それはそれで立派だと思います。しかし、実際はなんの指導監督も受けていないのに、あたかも自治省の指導監督を受けているような宣伝をしたり、会員数が不明瞭であったり、資金運用のリスクが大きい点などに、私は疑問を感じています。 こういう文章を書きまして、そしてそれと同時に、本人は自治省に行ったりしてきまして、全部資料をとってきたわけですね。それから、オレンジ共済の友部容疑者にも会ってきまして、ここに持っているのは出す前の資料なんですけれども、それを全部、保険.一課長との電話の話の中で、じゃとにかく送ってくださいということで、それで送ったんだそうです。  ただ、どういうのを出したとか、内容証明とかじゃありませんから、その資料というのは、手元に出したという証拠はないのですけれども、その送った内容はこういうものだというので私ももらってきたわけです。それ女、全くナシのつぶてだったから、その後、一度だけ大蔵省に電話をかけたら、課長がかわっていたかどうかで何か連絡がつかなくてそのままになっていたということで、それで今御紹介をしたような雑誌の記事になったわけですね。  だから、確かに一人からの話だけで、それですぐ動き出すということはなかなか無理があるのかもしれませんけれども、彼女も共済なんかの専門家でありますし、それから課長との話の中で、当時はまだスーパー定期とは呼んでいませんでしたけれども、貯蓄型オレンジ年金というのですね、これがさつきお話をしましたように、五十万円を預け入れをしますと三カ月ごとにお手元に一万五千五十円、一年間で六万二百円というような非常に有利な運用だということでお金を集めていた、これはやはり出資法の違反じゃないですかということを課長との話の中でしたところ、課長は、明らかにそういうような事実があればこれは出資法の違反だから、だから資料を送ってくれということを言われて、それで資料を送った、こういうことに流れとしてはなっているわけですね。  ですから、そういう意味では、確かに九五年からというのはもう既に大変大きな被害が広がって、そして現在のような事態になり至っているわけですけれども、やはりできるだけ早い時点でこれは手当てをしておきますと随分被害者が少なかったのじゃないかな、そんなような思いを強くしているわけですね。  ですから大蔵省も、これは先ほど銀行局長からもお話がありましたけれども、あるいは大蔵省から事前に文書をいただいておりますけれども、出資法については、「法務省・大蔵省共管の法律である。」大蔵省だけじゃないんですよ、法務省も一緒になっているんですよと。   しかし、出資法は、預り金禁止の実効性を専ら罰則の適用によって担保しようとする ものであり、業務停止等の行政権限の行使によって確保する方法を採っていない。   すなわち、大蔵省は、出資法上何ら具体的な規制・監督権限を有しておらず、現に行われている違反の疑いのある個別、具体的事案の解明あるいは取締りは、捜査当局の所掌となっている。   このため、大蔵省としては、一般市民からの照会に対して、預り金としての一般的構 成要件を示すことや、解釈に関する一応の助言を行うこと等を通じて、出資法違反の防 止に努めているところである。 ということが大蔵省の正式なコメントだろうと思いますけれども、そういう意味ではもう少し早い段階で手を打っておけなかったものなのだろうか、今にして思えばということなんでしょうけれども、そのあたり、大蔵大臣いかがですか。ちょっと長々と……。まあ銀行局長が先でもよろしゅうございますが。
  25. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ただいま御指摘のような出資法の性格でございます。  規制緩和という世の流れ、自律的な判断を持ってこの社会に貢献をしていく、また自分の意思で働きを進めていくというこの命題は、これから国民一人一人に課せられた重大なことであります。  しかしながら、ただいま御指摘のように、不備のために、いろいろな情報提供したにもかかわりませず懇切丁寧なことはなかった。これは国民サイドからいえば当然そういうことになると思います。大蔵省をかばうわけではございませんが、監督権限が与えられておらないという、認可で監督権限がないという、罰則ももちろんないという、これは珍しい法律であります。しかし、こういうことにつきましては、規制緩和の今日の状況の中ではありますけれども、各省連帯の中でやはりそのことに十二分に対応すべしと私は思います。  大蔵省に対しては、財務局、その他税務署等々あるわけですから、そういう問題指摘に対しましては迅速に対応し、また政府広報だけでなくPRをしていくということも公務員として大事なお仕事だろう、こんなふうに思って、その方向で相努めてまいっております。
  26. 山口公生

    山口政府委員 大臣の御答弁を補足させていただきます。  今大臣の方から申された罰則がないという趣旨は、それは行政官庁としての大蔵省がそういった警察に通告をしなきゃいけないとかいうような規定になっていないというような趣旨でございまして、出資法自体は、これに違反する者は、何人なりともやってはいけないということで、それには重い罰則がついてございます。  それから、問い合わせ等がありました場合に捜査当局に毎回それを通告するとなりますと、ちょっとした問い合わせがあると全部それが警察の方へ連絡ということになりますと、またこれはかなり自由な経済活動に対する新たな問題ということになりますので、その辺の兼ね合いを十分に私どもよくわきまえて、しかし先生のおっしゃるような趣旨を十分体してやっていきたいと思います。  それから、もう一つ大臣の方から広報に力を入れているというお話がございましたが、具体的に言いますと、雑誌あるいは新聞等にできるだけわかりやすい政府広報をやりたいと思っておりまして、言葉で言いますと、うまい話にはくれぐれも御用心というような題名で、大きくわかりやすい言葉で広報を今始めております。そういった努力をぜひ続けさせていただきたいと思っておるところでございます。
  27. 海江田万里

    ○海江田委員 うまい話には御用心というような書き方でいいものなんだろうかどうなんだろうかという、それもまた税金のむだ遣いにつながりはしないだろうかという心配を持っております。  それから、すべての問い合わせをすぐに別に警察に通報しろなんということを言っているのじゃ全然ありませんで、特に出資法の場合は、やはり警察が動いてくれなければどうしようもないわけですから、そういうところはやはりかなり機敏にしていただかなければいけないということ。  それから、これはもちろん局長も御存じだろうと思いますけれども、刑事訴訟法は第二百三十九条で、「告発」、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」とあって、第二項で特に「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」というような規定もあるわけでございますから、やはりまさに大蔵省のそういう法律を、出資法を共管する立場であるからそこに話が行ったわけですから、そうである以上、やはり一般的な人がそういう相談に乗ったりするときとは違って、かなりの重要性を、重要な意識を持たなければいけないと私は思うのですね。  どちらかというと、大蔵省の皆さん方は、この問題は関係ないんだよ、とにかく悪いのは友部なんだよ、その友部を公認した政党なんだよとか、何かそっちの方に話をずらそう、ずらそうと。私の思い違いであればいいのですけれども、そのような気がしますので、一言申し添えておきます。  それから、今大臣からあるいは局長からも答弁をいただきましたように、九五年というのはまさに随分被害者が出た。被害者が出たということはどういうことかというと、今みたいな破綻する以前ですけれども、はっきり言ってかなりおいしい話をしておりまして、その資金繰りというのは御案内のように、熱帯魚に使ったりF1の車に使ったり、銀座のキャバレーで、キャバレーじゃないですか、クラブですかね、豪遊をしたりということでほとんど手元に準備金がありませんでしたから、実際に例えば年金を受け取りに来る人なんかに対しても、百男容疑者がいろいろな文句をつけて実際には払わなかったケースが随分出てきているのですね、これはもう九五年の段階で。  ところが、九五年というのはまさに参議院の選挙がありまして、実は私が聞いておりますところでは、本当に九五年でもう警視庁がかなり動いていたんだけれども、その九五年の夏で友部容疑者が国会議員になった、参議院議員になったということで捜査当局の動きがやはり一度ストップしてしまったというような事実があるわけですね。  そういう意味では、こういう詐欺師と言われている人を国会議員にした政党の責任というものは、これはあるんじゃないだろうか。これは、西岡幹事長が今国会が始まる冒頭で、その責任を感じているというお話があったわけでございますけれども、やはり責任を感じているということだけじゃありませんで、この九五年の参議院選挙の比例代表の候補の選定につきまして、もう少しつまびらかにする努力をお願いしたい。あるいはつまびらかにする努力ができないのであれば、これはやはり国会の場に、この委員会にお越しをいただきまして、証人喚問などもしなければいけないと思うわけですね。これは、国会議員全体あるいは政党、政治家、そういうものがまさに問われている問題でありまして、そういう意味では、証人喚問をして事実をつまびらかにするということに適した課題、事例ではないだろうか、私はそう思っております。  それから、私も最初に国会に来ましたときは日本新党の議員としてこちらに参りまして、そして今回のこの経緯を、私は日本新党は比較的早い段階でたもとを分かってしまいましたので実際にこの参議院の選挙では直接関与をしていないのですが、ただ、参議院の選挙につながっていくところでいろいろな情報なんかも漏れ聞いております。あるいは当時の新進党の比例代表の候補の選び方というのは、実は旧政党の枠をつくってきたというようなことも聞いているのですね。各政党ごとの出身でもって、旧日本新党は何人枠だ、旧新生党は何人枠だ、旧公明党は何人枠だというような枠組みをつくってきたというようなことも聞いておりますので、そうなりますと、やはり旧日本新党の枠でどうして友部という、私も日本新党の議員でありましたけれども、はっきり言いまして友部なんていう名前は、別のことで聞いておりましたけれども、日本新党とかかわりがあるなんということは全然聞いていなかったのです。  それで、名簿で日本新党の枠で彼が入ったということを聞いてびっくりしたようなわけですから、一体どうして入ってきたのかということをこれは本当に、今いろいろ新聞紙上なんかをにぎわせております初村君なんというのは、これはかつて同志であった人間でありますし、それから細川さんというのはこれはもう紛れもない、私たちが連立与党で首班として担いだ、本当に新しい形の政治家だ、新しい形の指導者だというふうに私なんかは思っておりましたから、そういう意味では大変身を切られる思いがあるのですね。私なんかが日本新党を出るときは、これは親殺しだなんてことを言われたこともあるんですね。ただ、私、中国の古典が大好きですから読んでみましたら、「大義親を滅す」という言葉がありましたので、それで救われたような気がするんですけれどもね。  だけれども、やはりそういう、日本新党にかつて籍を置いた者としては大変心苦しい、非常に本当に身を切られるような思いがするところですけれども、この細川さんでありますとか初村君でありますとか、あるいはきょうの日本経済新聞を読みますと、念書の中に都議の名前が出てきているということがありますので、そういう人も、これは委員長にお願いで、理事会でお諮りをいただきたいわけでございますが、やはりそういう方の証人喚問ということをこれは実現をしていただけるように格段の御高配をお願いをしたいと思います。  それから……
  28. 深谷隆司

    深谷委員長 恐れ入りますが、ただいまのは正式な喚問要求でございますか。
  29. 海江田万里

    ○海江田委員 はい、そうです。そういう意味です。
  30. 深谷隆司

    深谷委員長 それでは理事会で協議いたします。
  31. 海江田万里

    ○海江田委員 それからもう一つ、やはりこの問題は私はすぐれて政治的な問題であるという考え方を持っておるのですね。政治的な問題はどういうことかというと、まずこの友部容疑者は最初に年金党という政党をつくって、そして年金会という政治団体の届け出を自治省にしまして、その年金会の規約の中に実は共済事業をやることができるということを書いているわけですね。しかも、この年金党なり年金会というのは、選挙のときの公約を見ますと、公的年金の倍増ということをやはりスローガンに掲げて、最初は独自に選挙をやった。ところが、何度立っても友部容疑者は当選ができない。国民はそういう意味では厳しい目を持っていたわけです。そこで、年金会という政治団体をつくって共済事業をやるということで、この共済事業の中身は大変、先ほどお話をした年金共済あるいは後でスーパー定期と言われるものなんかは、これはもう非常に利率とか利回りがいいわけですけれども、そもそもの一番初めのこの共済につきましても、非常に掛金に対して年金の額が高いんですね。  それは、どうしてそんなようなことをやったのか。一つは、確かにスーパー定期なんかこれははりきり金集めという目的があったんですけれども、最初のときの年金を多くしたというのは、実はこれはやはり彼は彼なりに一種の公的年金に対するアンチテーゼといいますか、自分らが何とかして努力をしてできるだけ年金の給付の額をふやしたいという思いがあったのは、私はこれは最初の時点では考えていいんじゃないだろうか。あるいは、友部は最初から根っからの詐欺師であったかもしれないけれども、友部の周りに集まった人たちというのはやはりそういう思いがあったということも考えなければならないと思うのですね。友部は、あるところでやはり、この共済の会員は国の公的年金の制度に疑問を持つ人々の集まりだというようなことも発言をしているんですね。その発言が記録になって残ったりしておるんですね。そういうことを考えますと、どうですか、これはやはり国の年金制度に対して、そういう挑戦ですね。その背景が実は、もちろんほとんどの部分というのは詐欺と絡まってきた話なんですけれども、やはりここはひとつ厚生大臣のこの事件に対するお考えですね、もちろん、これは詐欺師のやったことだということで一刀両断に切り捨てていただいてもよろしゅうございますが、一言私はコメントを聞きたいんです。
  32. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 先ほど、甘い話には御用心という話がありました。甘い公約には御用心、そういう時代だと思うのであります。  公的年金では不備がある。これからの時代は、公的年金問題についても大事なんですが、よい給付を得るためには高い負担が必要だ、給付と負担は必ず裏表でついてくるんだ、いい話の裏には、だれかがどこかで必ず負担をしなければならない。この問題をしっかりと把握しない限り、どのような政策を進めていく上においても、これは現実性が伴わない。そういう意味において、私は、公的年金の今後のあり方も、今の公的年金制度はいいと思っています。これを維持するためには、給付と負担の均衡を確保していかなければならない。その点におきまして、皆様方国民に幅広い情報を提供して、お互いよりよい社会保障制度、年金制度を確立するためにはどういう政策が必要かということを考えていかなければならないと思います。  また、今回の問題におきましても、政党においても責任があると思うのであります。実際の選挙では二回も三回も落ちた人が比例の名簿で当選してしまう、こういう比例制度のあり方には私は前から疑問を持っておりました。やはり選挙制度の改革も目指していかなければならないのではないか、そう思っております。
  33. 海江田万里

    ○海江田委員 わかりました。確かにおっしゃるように、やはり給付には負担ということは重要な、重大な考え方だろうと思います。  それから、やはりこの種の事件の再発防止に努めなければいけないと思うのですけれども、このオレンジ共済のほかに、私が調べただけでも余りよくわからない共済が幾つかあるんですね、これは。  一つは、これはやまなし共済というんですけれども、これは山梨日日新聞というところに、やまなし共済ということで書いてあるんですけれども、元受けの団体が山梨県交通安全保障協会というんですね。交通安全協会というのはよく聞いたことがあるんですけれども、交通安全保障協会というのは余り聞いたことがないんですね。もちろん、これはまだすべて怪しいということではないんですよ。全く悪いということではないんですけれども、やはりこういうのがどういうふうになっているんだろうか。やはり死亡事故なんかの場合の給付が国民共済だとか県民共済から比べるとかなりよくなっている。  それからもう一つ、埼玉県に彩の共済という、彩という字を聞くとぎくっとしますけれども、これは埼玉が彩の国だということでしょうけれども、彩の共済というのがありまして、これも全国共済連合会が元受けで、そして取り扱いが日本共済株式会社ということになっているのですね。一見すると、その全国共済連合会というのも何かしっかりとした組織でありそうですけれども、これも何か余りえたいが知れないのです。これは埼玉県に聞きましても、どこが所在地かとかいうことが一切わからないですね、任意の団体みたいになっておりますので。それから、この日本共済株式会社というのは確かに株式会社であるのですけれども、共済株式会社というのもこれも余りよくわからないということで、これらの安全性がどうなっているのか。  それから、先ほど来議論になっております出資法との関係、先ほどお示しをしましたように、やまなし共済なんかは山梨のよく読まれております新聞に広告を出しておりますし、彩の共済というのも、これも新聞折り込みなんかもやっておりますかち出資法との関係が非常に微妙になってくると思うのですけれども、これにつきましては大蔵省にお尋ねをすればいいのですか、それとも、どこですか、もしわかっておられたらお答えをいただきたいのです。
  34. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  個々の共済についてコメントを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うのですが、共済などと称するものにかなりいろいろなものがあるというように聞いております。もちろん法律に基づいた共済というのもございますし、任意で、仲間内だけでやっているという趣旨の共済というのも存在しているわけでございます。  この共済などと称するものが法律に禁止されているものかどうかということに関しますと、やはり個別具体的なケースで判断するしかないだろうと思うのです。最終的には司法的な判断にゆだねるということになろうと思いますが、大蔵省としては、例えば共済で保険をやっておられる場合は、保険業法というのがございますので、これは免許がないとできないというふうになっていまして、一般からの照会などがございましたときに、保険業法に違反しているのではないかと思われる場合にはもちろん必要な指導をしたいと思っておりますが、通常の指導によってその法違反を防止することが困難だと思うような場合には、やはり捜査当局の方へ御連絡するなどして適切な対応をとっていく必要があるだろうというふうに思っております。
  35. 海江田万里

    ○海江田委員 出資法、それから保険業法という法律が適用される可能性がありますので、ここはひとつぜひ機敏な態勢をとっていただいて、そして間違いのないように、今私が言ったところが必ずしもおかしいということではないのですが、どうも調べてよくわからないというのが実情でございますので、そういうところも含めて、やはりこれから共済商法みたいなもので被害者が出ないように格別な配慮をお願いしておきたいと思います。  それでは、オレンジ共済の問題をここで終えまして、予算の本題に入ります。橋本総理も大分お待たせをいたしましたけれども、三塚大蔵大臣もさようでございますが。  予算に入りまして、私もいろいろ勉強してみました。私は野党という立場でございまして、与党との間のユ党だとかいろいろありますが、野党だという立場で勉強しておりますが、どうしても色眼鏡がついてしまってもいけませんので、もう少し色眼鏡でない目で見て、今度の予算はどういうふうになるのだろうかということで新聞各紙の論説をずっと調べてみたのですね、去年の概算要求ぐらいの段階から。ところが、新聞各紙の論説、社説を読んでみましても、今度の予算が立派だという指摘はほとんど、まず皆無に等しいということだろうと思うんですね、これはまことに橋本総理には耳に痛い話だろうと思いますが。  去年の八月三十一日の段階で、これは読売新聞ですかね、「これで「財政改革元年」は大丈夫か」ということで、概算要求の段階で、これでは一体どこまで借金がふえるのか見当もつかない、とても財政構造改革元年などの麗々しい看板は、恥ずかしくて掲げられないではないだろうかという指摘があります。それから、大蔵原案が出ました去年の十二月二十日の翌日の二十一日、これは各紙が全部社説あるいは論説にこの予算案の評価を下しておりますけれども、日経新聞が「橋本「改革」の顔が見えない大蔵原案」ですね。「橋本首相は、来年度予算の編成にどの程度、関与しているのか。いわゆる五大改革」、これは当時は五大改革ということでしたけれども、今は六大改革になっておりますが、「いわゆる五大改革の構想を掲げて動き出している第二次橋本内閣は「改革」内閣として自らを性格づけている。それに国民も期待をよせている。だが、肝心の「改革」の手ごたえが二十日に内示された大蔵原案からは感じられない。」  毎日新聞はもうちょっと表現がきついですね。「財政構造改革はお飾りか」という書き方ですね。「一九九七年度予算大蔵原案が内示された。」「だが、もっとメリハリのきいた歳出削減がなぜできないのか。それは景気にもプラスになるはずだ。」  それから、朝日新聞になるとますます厳しくなって、「この予算のどこに改革がある」「こんな予算なら、「財政構造改革元年」の看板を、さっさと降ろしたらいい。」とまで書いております。  それから、読売新聞が「歳出構造へ切り込みが不十分だ」。それから産経新聞も読んでみましたけれども、産経新聞も「危機感ない来年度予算編成」。この「財政のきびしい状況を考えると、この程度の歳出削減でお茶を濁す政府の甘い態度には大いに疑問を抱かざるを得ない。」ということが書かれておるわけでございます。これは私が言っているんじゃありませんからね、新聞各紙が書いてあるわけでございます。  どうですか、これほど書かれまして。どこかの新聞でもう少しいいことは書いていないだろうかと思って見たんですが、ほとんどない。まあ自由新報も恐らく書いていないんじゃないだろうかという気がするんですが、こういうような評価が本予算に対してあるということ、これをどういうふうに橋本総理は認識をしておいでですか。
  36. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、恐らくマスコミだけではなく、先日の代表質問を伺っておりまして、海江田さんも同じような感じを持ってごらんになったんだと思っております。そこを少し和らげて物を言っていただいたんだろう、そう思います。  ただ、私から申し上げたいこと、例えば、世間で行われております御議論の中で、医療保険の制度改革に足を踏み込みました。これに対するとらえ方は負担増という一点張りでありまして、将来に向けての医療保険制度を改革していく、介護保険という新しい柱を立てるのとともにという方向での論議は、残念ながら余り我々の前に見せていただけませんでした。  あるいは、非常に問題になりました一つのケースとして、整備新幹線の問題があります。そして、未着工部分について非常に厳しい条件を付し、それをクリアした段階で厳正に判断をすると申し上げております内容も、それぞれの地域の方々の盛り上がる声というものだけが非常にクローズアップされる。結末の部分は必ずしも十分その時点で御理解をいただけなかったのではないでしょうか。そういうことを申し上げ出せばいろいろな言い分はありますが、私は批判は甘受をいたします。  そして、私は、大蔵大臣に大幅な公債の減額と、同時に、公共事業主管大臣に対して、ここで大きくシェアの変更はできなくても、今までのやり方を実質的に変えろ、言いかえれば、ばらまきと言われる状態ではなく、優先的に着工すべきもの、例えばハブ港湾、ハブ空港、あるいは高規格幹線道路、こうしたものに重点を志向しつつ、着工箇所数をふやすのではなく、着工すれば完成までの年次を短い期間で仕上げられるような集中的な投資も図るように、一つずつ申し上げていればいろいろなことはありますけれども、そういう指示をし、大蔵大臣も各省大臣もそうした方向で努力をしてくれたと思っております。  ただ、そういう点が我々には見えなかったと言われれば、大変申しわけありませんでした。しかし、閣僚に総理執務室にお入りをいただき、こうした指示をしたということは御承知のはずでありまして、それは取るに足らないと御判断になられたのであればいたし方のないことだ、御批判は甘んじて受けよう、率直にそんな思いでおります。
  37. 海江田万里

    ○海江田委員 やはり構造改革元年でありますとか、それから財政再建元年でありますとか、そういう初めに一つの決意表明があったわけですね。これがなければ、従来もこういうことをやってこういう予算を組んでおられたわけですから、まあいろいろな批判もあるでしょうけれども、もう少し国民各層がそれに対してはそれなりの評価をしたと思うのですけれども、やはり、大きく広げた、ふろしきと言って失礼であれば、決意と、目標と、そこへ現実に出てきた予算とが余りにも乖離をしておったのではないだろうかなという気が、これが恐らく国民の一番素朴な今度のこの予算に対する評価だろうと思うのですね。  そうすると、確かに、今総理おっしゃっていただいたような細々とした指示のところでそれを若干修正をするというやり方もあるのでしょうけれども、やはりもう少し大きなところでの修正といいますか、なかなかそれは肯定はできないことではあると思うのですけれども、もう少し思い切った手直しというものが必要なのではないだろうか。あるいは、今年度の予算がもうだめであれば、またもうこの夏からすぐに来年度の予算に向けての準備が始まるわけですから、そこで生かしていただかなければいけないのではないだろうか、そういうふうに思いますね。  それで、今国民が何を望んでいるのか、それからこの予算でだめならば、ではどういう予算ならばいいのかということ、これを私も何人かの人に会ってお聞きをしてみたり、あるいは新聞などもつぶさに読んでみますと、大体一つの方向性みたいなものは私にはあるように思えるのですね。  その方向性というのは、やはり一つは歳出の削減ですね。歳出の削減と、それから減税という表現をとる人もいるし、あるいは増税の圧縮という表現をとる人もいると思いますが、やはり何らかの形で国民の税金の負担を軽くできないだろうか。これは景気対策の上からもそういう必要性が出てきたわけですけれども、あるいは株価対策ということも重要なポイントだろうと思いますけれども、そういう増税を圧縮して、そしてその財源に歳出カットを充てるというこういう考え方、これは全くはしにも棒にもかからない考え方なのか、この予算においては。(発言する者あり)具体的には、やはり……(橋本内閣総理大臣「こっちに聞いてよ」と呼ぶ)わかりました、はい。  いいですか、もう一度。わかりますでしょう。これは大蔵大臣総理お二人にお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。
  38. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、まず第一に、例えば増税幅を圧縮する、あるいはその延長線上に増税を停止する、こういう選択肢が一つあり得ること、これを否定はいたしません。ただし、現状において、次にお答えを申し上げる前に申し上げますと、そのままだけのものが先行すれば、それを補う財源は赤字公債にならざるを得ないということであります。同時にこれは、それではいつ税体系に踏み込んだ改定ができるかという疑問を将来に残します。  そして、先行している所得税減税等に見合うものとして、また地方税財源として、消費税率の引き上げは予定どおり行わせていただくという決断をいたしました。同時に赤字国債を財源とするという意味において、特別減税もここで打ち切るという決断をいたしました。  その場合に、当然のことながら、その影響というものを次年度の経済運営の中で意識をせざるを得ません。そして、特に四-六について非常な御心配をされる向きがたくさんおられました。そして、そのころのさまざまな論調の中には、四-六だけではない、実はむしろ年初から非常に心配をなさる方もあり、そしてその方々から出ておりました声というのは、むしろ景気対策の補正予算という声であったことも、これは政党の中で、あるいは政治家でもそういう議論をされた方がありますけれども、そういう声が一方にあったことも思い出していただきたいと思うのであります。そして、それに対して、景気対策という補正はしませんよと言い続けてきたことも御承知のとおりであります。  同時に、経済運営全体を心配しないわけではありませんし、特に積寒地帯等を考えましたときにゼロ国を使う、補正の中でそうしたことを考えたことは事実でありますし、同時に、いろいろな御批判がありますけれども、緊急防災対策というものを中心に今のうちにできることはやっておこう。しかし、それは同時に、四-六に対しても下支えの効果は持ってあろうという発想を持ったことも事実であります。  同時に、歳出削減というもので財源をつくり出せという御指摘は、確かに私は理論的にそのとおりだと思うんです。  しかし、例えば大きな予算の費目でとらえてみましたときに、社会保障、福祉関係でその財源を出そうとすれば、これは皆,制度改革が要ります。あるいは、公立文教、義務教育国庫負担等々を含めました文教、科学技術というところも制度改革が必要になりますし、一方では科学技術は伸ばしていかなければなりません。  そして、よくもう一つ議論の出てくる防衛費、防衛関係費は我々としては随分切り込んだ、切り込んだといいますか、後年度負担に係るようなものまで手を入れて精査をし、まとめてきたつもりでありますが、そこでの圧縮というものにも限界はございました。  そうすれば、それではどかんと公共事業費でその数兆円分を減らせばいいのか。そうしますと、昨日本委員会でも御議論のあったところでありますけれども、かつてに比べて公共事業の持つ乗数効果が落ちていることは事実でありますが、それでも公共事業の持つ乗数効果そのものを否定は、委員もなさらないと思います。そして、現下の雇用失業情勢の中で、この部分で吸収している労働力というものが失業率をある程度食いとめておる要素というのも御理解がいただけると思います。  そうしたことを組み合わせていきました中で、技術開発というもので、瞬間タッチで物が生まれてはまいりませんけれども、こうした部分に対する投資考え、さらに、四-六からその後に至る時期で民間の自律反転に向かうチャンスをつくり出していくためにも、この予算のスタート時期におきまして、やはり私はある程度公共事業の役割というものは計算に入れておりました。一遍で規制緩和で直ちに新たな仕事が生まれ始める、それには時間差がございます。  そうしたことを考えるとき、ある意味では中立的という、あるいは顔が見えないという言われ方になるのかもしれませんが、こうした予算が今一番必要だと私は考えましたし、同時に、何よりも大事なことは、年度初めに予算の空白を生じせしめないように国会の御協力をぜひ賜り、切れ目のない経済運営というものが予算面からも実施できる状況をつくっていただくように心から御協力を願う次第であります。
  39. 三塚博

    ○三塚国務大臣 先ほど社説の御紹介がございました。これだけ世論を代表すると言われる大新聞が同一歩調であったという御指摘、私も読んでおります。同時に、内閣支持率というのがありますね。とり方によって違いますが、五〇%、そして悪くても四〇%。歴代内閣の中でその支持率は変わらず上昇ムードにあるという、こういうのもありますね。これとの整合性というのはどういうことなんだろうか。国民がごうごうたる声で批判をしておるのでありましょうか、社説は全国民を代表するものなのでありましょうか、ということです。  なぜこんなことを申し上げたかといいますと、同じマスコミにおられる、それぞれのポジションにあられる方が、総理は赤字国債三兆円削減を命じておるが、さらにそれは切り込むことが大事だ、そうすれば健全財政への第一歩はそこでうまくいくなと。歳出削減も、総理言うとおりしっかりそれはやることがよろしい、これ以上赤字大国になっては、悪性インフレ、行き着く先は国家崩壊になる、頑張れ、こう言ってくれた方も何人かおりました。こういうことで、しかし、私は真っ正面から批判することで申し上げておるのではありません。精いっぱいの努力を、掲げた公約の中で整合性を保ちながら、しかし切り込んで次世代に対する責任を果たすというのが現代の政治家の役目だと思います。  そういう点で、今回の歳出削減の問題についても、もうおわかりのことでありますから簡単に言いますと、一・五、九年ぶりの削減を果たしました。公共事業一毎年ふえてきました。これもゼロシーリングであります。そういう中で、コスト減を図りながらという努力を集中することによって効率化を図ろうと。それと、のべつ幕なしと言われることに対しましては、総理から言われましたとおり、めり張りをつけたもの、国民経済国民生活の上でインパクトを与えるもの、また強く要望されておりますもの、これに配慮いたしたということも事実であります。  こういう点が新幹線で象徴的に攻撃を受けたことも事実でありますが、総理が言われましたように、厳正な態度でこれに臨む。民営会社ですから、民間会社JRがオーケーと言わなければ地域鉄道はスタートいたしません。そういうことで検討会をつくりまして、三者合同で検討するわけでございますから、そういう中で、最終的に民営会社である担当JR株式会社がオーケーですと、これは収支採算性の展望の中で決められていくわけでございますから、その点をやはり見ていただかなければなりません。  議会制民主主義の中における政党政治、公約は重いと言われます。掲げた公約をどうこれに整合性を持たせるかというのも、政党運営、その上に立った内閣の一つの行き方であります。国民各位の理解を得られる形、そのためには、民営鉄道会社、地域の声いつも言われますが、在来線、これは廃止するわけでありますから、在来線廃止というのは鉄道敷設の憲法のようなものであります。  こういう点が基本にきっちりあるわけでございますから、その辺のところは、独裁国家でございませんので、調整を保ちながら、しかし財政改革元年にふさわしい予算編成をし、国民各位の期待にこたえたい、後世に責任を持つ、こういうことであります。
  40. 海江田万里

    ○海江田委員 今のお話を聞いておって、大分私の頭の中も三塚大蔵大臣と同じような考え方になってまいりました。いや、決して、あれですよ、大分混乱をしてきたということでございますけれども。  今総理とお話をしておりましたのは、やはり総理は減税の可能性は否定をしなかったというふうに私は受け取っておるんですね。しかも、減税の場合、まあ消費税五%は既に決まったことでありまして、これをもとに戻すのも減税と言えば言えなくもないわけです。これも可能性としてはまずほぼゼロであろう。ということになりますと、所得税あるいは法人税ということだろうと思いますが、ただ、その所得税、法人税の場合、とりわけ所得税なんかの場合は、特別減税をそのまま延ばすのか、あるいは特別減税ではなしに制度減税にするのかどうなのかで意見が分かれるところだというところで、どちらかというと総理は、特別減税の継続よりも制度減税にした方がいいんじゃないだろうかというようなお考えではないだろうかというように私は受け取ったわけですね。  ただ、制度減税を、じゃ、この平成九年度で間に合わせをするのか、あるいは来年に送って平成十年度にするのかというところについては、まだはっきりとしたお答えはなかった。もちろん、平成九年度でやるということを言ったらこれは大変なことですから、なかなか言えないということだろうと思いますけれども、ただ、所得税の減税については可能性が全くないわけじゃないよという話。これは私はそういうふうに受け取ったということでそれほど大きな間違いはないんじゃないだろうか。  ただ、問題はやはり財源の問題で、赤字国債ということも、これもないだろうということも非常にはっきりとしたということで、問題は、その歳出カットが果たしてどういうふうになるんだろうかというところで幾つか、社会保障ももちろんだめだろう、文教、科学振興もだめだろう、それから恩給関係もだめだ、防衛費もだめだろうということで幾つかお話がありまして、公共事業については若干これは議論のあるところであろうというふうな気はするんですね。ただ、公共事業のところも、一つ一つに入っていくといろいろな事情があるということです。やはりここはもう少し私も時間があれば議論したいと思います。  その前に、総理は、これはわざと言ったのか、あるいはわざと飛ばしたのかどうかわかりませんけれども、例えば国債費につきまして、国債費も圧縮できる方法というのはあるんですよね、これは。これは非常に簡単な話ですけれども、要するに国債の、まあ今金利は低くなっていますけれども、それでも長期国債で二%ぐらいついていますから、その国債のクーポンの利率をゼロにして、そのかわり、例えば相続税なんかで何らかの優遇をするとかというようなことをやれば、これだけ株もだめ、それから銀行預金もだめだということだから、本来だったら国債のところにもう少しお金が流れてもいいのですけれども、実際には、日本の国債に資金が流れませんで、外国債ばかり買っている。これは証券会社がそういう営業をしているということも大きな問題なんですけれども、何かもう少し国債の魅力、しかもそれが国債費を圧迫するということでなくて、国債の魅力につながる商品開発といいますか、そういうものがあってもいいんじゃないだろうかというふうに、私は、これはかねてからの持論でございますが、そのあたりは総理はどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
  41. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今古い議事録をちょっと見ておりました。以前にも議員とこの議論をしたことがあります。そして、そのときに私は、要はこれが市場で特別に有利なものとして受けとめられた場合、その後の公債を発行した場合の消化にどういう影響があるか、こうしたことを考えましたときに踏み切れませんというお答えをいたしておりました。その点は、私は今も同じ懸念を持ちます。  と同時に、これは理屈の世界、余り申し上げても意味がないのかもしれませんけれども、その利子相当分の財政負担の軽減、これは間違いなく立つわけであります。しかし、それを上回る相続税収の落ち込みを来しはしないか、そして、その場合であれば、逆にそのために財政収支はより悪化をするのではないか、こういう疑問が一つございます。あるいは、この無利子国債を購入することによって相続税の点において、今相続税を言われたものですから相続税の点において有利になる方、これは相当程度の資産をお持ちの方ではないだろうか。これは逆に言いますと、非常に不公平を生じることにはならないだろうか、いろいろな議論が実はあり得ることだと思います。  無利子であっても何であっても、これは根本的には将来返さなければならぬという意味は同じなわけですが、確かに国債費の利払いを抑えるという意味で、私は一つ考え方だと思いますけれども、それは逆に、それを上回る相続税の減を来しはしないだろうか、これは御検討をいただくべきことではないでしょうか。
  42. 海江田万里

    ○海江田委員 相続税の減につながる一番大きな要因というのは、これはもう言うまでもなく地価の下落ですね、地価の下落による相続税の評価額の落ち込みということです。ですから、そういう意味では、どのタイミングで導入するかということにもよりますけれども、私はそれほど、確かにマイナスもあることはあるんでしょうけれども、そのプラスマイナスをやはり考えてみなければいけないかなと。何かそういうような調査とか何とかは当局に命じてやらせたことなんかはあるのですか。それは全くありませんか。
  43. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる相続税非課税の無利子国債の話はかなり前から何度も議論が出てきております。私どももこういう手があれば非常にありがたい手かなとは思うのですが、先ほどのお話ではないのですが、非常にうまい話であるだけにいろいろな問題が一部にはあるように思います。  先ほどの御指摘調査をしたことがあるかということでございますが、仮に、この無税国債を買った方が相続税が安くなると思われる方というのは相続財産が十億円を超えているような方に限られます。そうでないと、相続税を払わない人もいるわけですから、つまり相当の資産の方でございます。そういたしますと、計算をしていくと、どちらが得かなということで計算をしていったときに、多分、先ほど総理から御答弁申し上げたようなマイナスの効果が出てくるのではないか。  ただし、さらに先に考えを及ぼして、たんすに今眠っているお金がある。これは相続税逃れのためにたんすに隠してあるんだと思います。これが出てくるからいいじゃないか、どうせ相続税を納めない金なんだからいいじゃないかという御議論もあるんですけれども、それを国が認めてしまうということは、額に汗をして何千万の人が、なけなしの給料から税金を払っている方々にとってみれば、国がマネーロンダリングを認めるようなことになりかねないわけでして、やはり納税道義上も問題があると私は思っております。  なお、もう一つ勉強した点は、フランスでこの種の税金をやったことがあります。したがって、総理が申し上げたように、絶対あり得ないという話ではないと思いますが、フランスでは非常にインフレが激しい時期、インドシナ戦争のころ、アルジェリア戦争のころ、インフレが急速に進んだ時期に、国債を消化しなくちゃいけないということで、金利をつけた上でさらに相続税をまけるという制度をとったわけでございます。しかし、これは評判が悪くて結局はやめましたし、またその後、市中に出回っている古く発行した無税国債をむしろ回収したという形で国民の批判にこたえていったということでございまして、なかなかこの制度は難しいという勉強をしてきているということでございます。
  44. 海江田万里

    ○海江田委員 全部を何も無税にしなくたっていいんですよ、これは、はっきり言って。例えば、額面一千万円のを持っている、それを非課税財産にしてしまうんじゃなくて、評価額を八掛けにするとかそういう手法だって私はあると思うんですね。だから、その辺も含めて、全部ゼロにすればこれは確かに国債の中で非常に大きなポイントになりますけれども、そうじゃなくて、八掛けにしますよとかそんなような話でもあってもいいんではないだろうかというふうな考え方を持っております。これはいろいろな機会にやはり一度アンケートでもやってみていただいてもいいんじゃないですか、何かもう少し検討をしていただきたい、そういうふうに思っております。  それから歳出削減の中で、公共事業の問題が先ほど来出ております。それから私の前の日野委員もるるお話をさせていただきましたけれども、私はやはりどうしても気になっておりますのは、先ほど総理も切れ目のない予算執行ということのお話がありましたけれども、公共事業について言えば、これは私自身も昨年末の税制特別委員会でも質問させていただいた。それからこの委員会では我が党の仙谷委員が質問をしましたけれども、公共事業について言えば、運輸省、建設、農水、このあたりですけれども、毎年毎年必ず繰り越しが出ているわけですよね、一七%とか、低いところでも九%とか。運輸、農水それから建設、この三つの省で、平成七年度でもって大体二兆円からの、二兆四百九十九億円という数字が出ているわけですね。平成八年度は執行中でありますから、今現在、金額だとかデータというのは恐らくきょうお尋ねをしても出ないであろうと思いますけれども、まあ恐らく同じぐらいの程度あるんじゃないだろうか。  それに加えまして、ついせんだっての補正予算ということでも、また公共事業の積み増しをやっておる。補正予算の、私はもちろん反対をしましたけれども、通ってからの私なりの理解というのは、まさにせんだっての補正予算の中で決めました公共事業というのは、これは年度内の発注というのはほとんどできませんわね、ほとんど四月以降、新年度に入ってくる話でありますから。  そうすると、これだけの繰り越しがあって、そしてしかも補正が入ってということになると、これは切れ目のないということは、もう既にこの間の補正のところの手当てでもう切れ目が既になくなっているというような認識を私は持りているんですけれども、これはどなたか、いかがでしょうか、建設大臣
  45. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員の御指摘の予算の執行の面につきまして、確かにずっとそういう形で執行がなされておるのが現実でございますね。ただ、繰り越しもしたくてしておるわけじゃございませんで、用地の問題とか、寒冷地の問題、事情があることは委員御承知のとおりでありますが、それは別といたしまして、これが現実的に効果がないかというと、いいことじゃありませんけれども、効果があるんですね、御承知のように。当初予算の執行は、発注業務で年度当初全部とられちゃいますから、それと地方自治体との関係もございますから、そういう意味ではどうしても執行が七月、八月にずれていく、年度当初に穴があいてくるわけですね。それが前年度予算の繰り越しによって事実上埋められるというような、これは妙な効果ですけれども、現実的にはあるということもあると思います。  そういう意味で、これはもう予算の執行あるいは予算の編成、自治体の関係を含めて、トータルの問題として切れ目のない執行はどうしていったらいいのかという研究の余地は私は確かにあると思います。  なお、補正予算、この間可決いただきました。そっちで反対されたわけでありますが、これについては、明らかに第四・四半期につきましては、昨年同期に比べますと三〇%程度と、このままでは落ち込むという状況がございました。それで、これは緊急防災ということでやったわけでありますが、反射的利益といいますか、一石二鳥的な効果を今年度については生んでくる、このように思います。
  46. 海江田万里

    ○海江田委員 どこかでやはり歳出削減のまさに初めの一歩を踏み出さなければいけないわけでありまして、そういう意味では、とりわけ公共事業の歳出削減に踏み出したときの、切れ目のない予算というのが一番心配になることなわけですよね。  ところが、まさに切れ目のないということでいえば、無理やり通した補正があることによってまさに十五ケ月の予算になったわけですから、これは。それから、緊急緊急とおっしゃるけれども、緊急じゃないものもたくさん入っているわけですよ。それは、中身についてお出しにならないから、まあ緊急ということで通しておきます。  ただ、私は、先ほど来お話をしておりますように、まさに構造改革元年あるいは財政再建元年にやるんでしたら、ことしからやっていきませんと、どうも、これから先またそれでやっていくと、じゃいつになったらできるんだということになってくると思うんですね。とりわけもしここで公共事業をカットにすることをとらないのならば、例えばシーリングのやり方ですけれども、これはもう本当に大幅に見直す、シーリングというやり方自体を見直すという、あれは第一次オイルショック以降の話ですからね。二十年ぐらいもう続いてしまいましたけれども、あれの見直しというのは少しはお考えになっているんですか、どうなんですか。
  47. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本委員会が始まりましてからも何回かお答えを申し上げたことですが、私、そのシーリングと言うと誤解を生むものですから、概算要求の要求をするルール、これについては今と同じものでは少なくとも次年度予算の要求のルールはあり得ないと思っております。同時に、財政構造改革会議で議論をしていく場合に、これは聖域を設けるつもりもありません。  それだけに、このルールをつくることが実は大変難しいだろう、いろいろな議論を呼ぶだろうと思っていますけれども、当然のことながら、来年度概算要求を各省が作業をする前にどのようなルールで要求をさせるかという、その時点までの議論が非常に私は大きな意味を持つと思っておりますし、ことしと同じものを持っていこうとは思っていません。
  48. 海江田万里

    ○海江田委員 それはぜひ、本当にもう違ったんだというふうに国民に目に見える形での概算要求のルールづくりというのをやっていただきませんと、本当はそれができて初めて財政再建元年とか構造改革元年になるんですよ。だから、本当はことしは元年になっていないんですね元年のマイナス一年じゃないですかね。前年であれば、これはもう恐ちくマスコミもこんなにひどいことは書かないと思うんですがね。少なくともマイナス一年かゼロ年かであることは、私はやはり総理も、聡明な総理のことですから、もう既によくおわかりになっていると思いますから、そこはひとつ来年はそういう意味では本当に気合いを入れていただかなければいけない、そういうふうに思っております。  それから、あと補助金について一言触れさせていただきたいと思いますが、ここに「補助金総覧」というのがありまして、これは平成八年度のものでございますけれども、これをずっと見ておりますと、特にウルグアイ・ラウンドの合意以来、補助金が大変急速に膨らみをしておりまして、中には、こんなところまで何もお金をばらまかなくてもいいのじゃないだろうかと思うようなものもあるわけでございますね。  ちょっと一例を挙げさせていただきますが、補助金の中に中山間・都市交流拠点整備事業費補助金というのがありまして、これは平成九年で一億七千万ぐらいですから、そんなに多い額じゃないのですね。ただ、多くはないんだけれども、むしろ私は小さな話の中に意外と本質があるのじゃないだろうかというような考え方をしておりますので。  これを見ておりましたら、平成八年度は六億九千万ぐらいあったんですね。平成七年から始まりまして、平成七年が十一億ぐらいですか、それくらいの金額になっておるのですが、これは、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策として中山間地域の市町村、農協等が、地域産品、地域交源等の情報の発信を通じて中山間地域と都市住民、食品企業等との交流を行うための拠点「ふるさとプラザ」を主要大都市に整備するために要する経費に対する補助」ということで、これは財団法人ふるさと情報センターというところが補助事業者になっておるのです。  このふるさとプラザというのは、今現在東京と大阪にでき上がっておりまして、東京は原宿にありまして、これは平成七年度の補助金でつくったわけですけれども、原宿の竹下通りをおりたところにラフォーレという建物があって、その中の一画、一階と地下一階、地下二階というのを借りているのですね。一階はイベントホールになっていて、地下に各地の名産品が並んでいる。  この各地の名産品を売っているところは、なかなかそれなりに、私が行きましたのは平日の昼間ですけれども、それなりに人も入っていまして、意味があると思うのですけれども、そのとき、そこでちょっと聞きましたら、いや、地下二階の居酒屋もこのふるさと情報センターというところの直営店だよという話を聞きまして、居酒屋には、私はそこで別に食事はしなかったのですが、メニューか何かもらってきたら、確かに非常に安いことは安いのですね。二千五百円から盛り込みコースとか、三千円からなべコースがあるとか、非常に安いのですね。ただ、安いのもそれは物の道理で、毎年農水省の予算で補助を受けております財団法人ふるさと情報センターというところが直営をしているわけですけれども。  ただ、そういうイベントスペースですとか、それから名産品を並べたそういうコーナーというのは、これはそれなりに、ここに書かれておりますような中山間地帯と都市住民等との交流ということで役立つだろうと思うのですけれども、居酒屋にまで補助金を出してやる必要があるのですか。どうなんですかね、これは。これはちょっと僕はやり過ぎじゃないかなという気がするのですが、どなたかお答えは。
  49. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 今御指摘のふるさとプラザでございますけれども、これは公共的な部分、すなわち、市町村が産品の販売の促進あるいは都市住民に山村の豊かな自然を味わっていただいて、これによる雇用所得効果を上げるためのいろいろな施設を御紹介する部分については補助を出しておりますけれども、居酒屋の部分については、これは独立採算で運営するのを基本とさせていただいております。  これは、公共的な市町村が展示されるコーナーについてはこの施設について助成いたしておりますけれども、居酒屋の部分については助成の対象外だと承知いたしております。
  50. 海江田万里

    ○海江田委員 そうすると、していないということ。ただ、これはこの財団に、ふるさと情報センターというところに援助を出して、それはリーダーとかがいらっしゃるのですけれども、その人たちというのは、これはみんなそれぞれ村長さんたちだとかで別に農水省の天下りでも何でもないということなのですが、ただ、そこに事務職員も何人かいまして、その事務職員が、形の上では一応直営店ということですから、地下二階のところも関与しておるのですね。そこに対する事務経費の補助というのが出ておるはずですが、それは違いますか。
  51. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 市町村が展示される部分、ここの公共的な部分につきましては人件費について現在助成をいたしておりますけれども、先ほどの居酒屋の部分については独立採算で、先ほど御説明申し上げましたけれども、施設整備に対する助成はいたしておりませんし、また人件費についてもこれは独立採算でやっていただいております。
  52. 海江田万里

    ○海江田委員 それでしたら、私はもう少し詳しく調べますけれども、ただ、少なくとも直営店だ、直営店だという言い方をしておりますから、やはりそこははっきりと分けませんと、何かあんなところにも補助金をやって、そこへ行った人は確かに安く飲んだり食ったりできますからありがたい話ですけれども、そこへ行かない人たちの税金が流れていっているというのはこれは納得のいかない話ですから、それはぜひそういうことのないように、今までなければそれでいいわけですけれども、ないようにしていただきたいということが私からの主張でございます。  それだけじゃありませんで、構造改善局だけじゃありませんけれども、農水省の補助金というものがやはりウルグアイ・ラウンド対策ということで平成七年度から急激にふえておりますので、ここの使い道というものは、かなり刈り込みということが私はできるのではないだろうかというふうに思っております。  これは私だけの意見じゃありませんで、やはり農業の土木工事なんかも含めた、先ほどの公共事業とも関連してくる話でございますけれども、もし歳出削減ということをやるということであれば、やはりそこのところは非常に大きなポイントになってくるのではないだろうか、そういう考え方を強く持っておりますので、それはまた総理が先ほどおっしゃったように、平成十年からは予算の概算要求のところから新しいルールづくりをやっていくということでありますので、その新しいルールづくりをやっていくところの中で、やはりそういうむだのないようなやり方というものをぜひお願いをしたいということでございます。  それから、もう時間がなくなりましたけれども、私は総理の施政方針演説を聞いておりまして、ぜひこれはどうなっておるのかということをお聞きをしておきたい。  これは総理にお尋ねをするよりも、土地の政策の問題でございますけれども、この総理の演説の「安全で安心できる国民生活」ということの中で、「土地の有効活用や実需に基づく取引の活性化のために、土地政策を利用重視に転換することとし、新しい土地政策要綱を早急に策定いたします。」という記述があるわけですね。  私は、やはりこの土地の問題というのは実は大変重要でありまして、株価の問題だとかそれから金融機関の不良債権の問題でありますとか、そういう問題と全部これは密接に関連してくる問題でありますので、この具体策というものが、「新しい土地政策要綱を早急に策定いたします。」と書いておるわけでございますから、これが総理の施政方針演説から日にちも何日かたっておりますので、いつごろにこの土地政策要綱ができるのか、これは伊藤長官にお答えいただきたいと思います。
  53. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 新しい土地政策推進要綱につきましては、昨年の十一月の土地政策審議会の答申を受けまして、今、関係各省庁と内容について詰めをいたしまして、極めて近々に正式に発表させていただくことになります。  これは、土地の所有から有効な利用へとぜひ転換を図っていきたいというふうに思っておりますし、海江田委員も東京都の出身でありますから同じような立場にありますけれども、ちょうど東京オリンピックのころに、今建設大臣がいないんで残念なんですけれども、住宅公団が建てた高層住宅もかなり古くなってまいりました。バブルがありましたけれども、この方々はまだまだ狭い住宅の中でさまざまな時代を越えてきたわけでありまして、土地の有効利用を図って、もう一つ豊かな住環境というものを整備もしていかなければならない。そのための土地税制等々も、いろいろな皆さんの御協力をいただいて取り組んできたところでありまして、今後もその方向に向かってしっかり踏み出してまいりたいと思っております。
  54. 海江田万里

    ○海江田委員 私は国会の中で、党派を超えまして定期借地権を推進する議員の会というものをつくっているわけでありますけれども、私、定期借地権、つまり土地の所有権はそのままでいいわけですね、所有権と利用権を分離して、そしてその利用権をもっともっと開放しょうじゃないか、そうすることが、日本経済の活性化あるいは今のこの不良債権の問題なんかに非常に役立つんじゃないだろうかということで活動しておるのですが、この定期借地権の活用ということについて、伊藤国土庁長官、どの程度の認識を持っておられるのか、あるいはこの要綱の中にそういうことも書き込まれるのかどうなのかということをお答えいただきたいと思います。
  55. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 定期借地権につきましては、かねてかち私ども国土庁としても、さまざまな住宅政策や土地政策の重要な選択肢の一つであるというふうに考えているところであります。  まあ、さまざまな国にさまざまな土地政策がありますけれども、ちょうど私、国土庁の政務次官をさせていただきましたときに、新土地保有税に取り組んだわけでありますが、そのとき、実は役所の皆さんとシンガポールの土地政策というものを調査に行ってまいりました。私、それがずっとこう頭の中にあるのですけれども、何か、所有をしなければいけないというこの土地に対する日本考え方というものはやはり転換をしていく必要がある、そういうふうに考えておりますので、重要な選択肢の一つであるというふうにとらえて対応してまいりたいと思っております。
  56. 海江田万里

    ○海江田委員 今伊藤国土庁長官からお話しいただきましたが、国土庁あるいは建設省というのは、この定期借地権の問題については大変前向きなんですね。ところが、三塚大臣の大蔵省がどうも、税制上の問題でありますとか、あるいは金融機関の融資ですね、この問題でも大変冷たいというところがありますが、三塚大蔵大臣はこの定期借地権の問題についてどの程度の認識がおありか、今伊藤長官のお話なども――いや、これは大臣の話を聞きたいのです。大臣がどの程度認識があるのかということをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  57. 三塚博

    ○三塚国務大臣 土地の有効利用ということになりますと、それぞれの選択肢、それぞれのアイデアのもとの選択肢、こういうことはお聞きをいたしておるわけであります。  まあ資産価値がとめどもなく落下することが決して国力相応でないという、これも大方の意見であります。そういう中で、土地税制をどうするかという基本的な問題もありますので、御提言は受けとめて、今後の研究に資します。
  58. 海江田万里

    ○海江田委員 最後に総理、口直しで。  私は本当はできたら、先ほど来のお話で、平成十年の予算からは、つまりもうことしからですけれども、概算要求の段階からそれはもう新しいルールをつくるというお話はちょうだいをしたわけでございますけれども、この平成九年の予算が本当にこのままなのか。全く手直しなんかがなしに通ってしまいますと、それこそ先ほど来のマスコミの批判というものがそのまま国民に定着をしてしまうんじゃないだろうか。これは日本の国にとっても大変残念なことだというふうに考えますので、一時間半のやりとりの中で、にもかかわらずとにかくこれは指一本触れずにこのままいくのか、あるいはいい意見を聞いて、それによっては少しはという話なのか、答えにくいでありましょうけれども、一言御答弁いただきたいと思います。
  59. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先日、本委員会において御党の他の質問者から、義務教育国庫負担を地方財源化しろ、地方へ渡せ、そうすれば財政規模はうんと縮まるという御提言もございました。  また、御理解がいただけたかどうかは別として、私なりに大きな費目についてこういう状況ということを、例えば社会保障の世界において、介護保険の仕組みをつくると同時に医療保険制度改革に入った。これは負担増というとらえられ方しかしていないけれども、医療保険改革というのは避けて通れないという状況があり、そういう部分に対しては、残念ながらむしろ国民の負担増という御批判のみが今与えられていると、率直な状況も申し上げました。  そして、まさに景気というものも横にらみをした上での公共事業について、議員の御議論も拝聴いたしました。私が全く予測しておりませんでしたのは居酒屋の話だけでありまして、むしろ非常にそれなりに私は拝聴いたしました。  ただ、その上で、我々としては考え抜いたあげくに、国民に新たな税負担をお願いするその年に、やはりそれが定着するまでの一時期における影響というものは計算に入れた経済運営をしなければならない、すれば、それなりの手当てを予算の中に用意をしておくべき、そのような判断があったことを先ほど正直に申し上げたとおりでありまして、私どもは、ぜひとも本年度予算におきまして、一日も早い通過、成立をさせていただきたいとお願いを申し上げます。
  60. 海江田万里

    ○海江田委員 私、時間を過ぎておりますので、終わります。ありがとうございました。
  61. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次に、生方幸夫君。
  62. 生方幸夫

    ○生方委員 民主党の生方と申します。たびたび質問の機会を得まして、大変ありがたく思っております。  まず最初に、本当の質問に入る前なんですが、総理、この週刊朝日はごらんになりましたでしょうか。
  63. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、週刊誌を読むほど実は時間を与えられておりません。見ておりません。
  64. 生方幸夫

    ○生方委員 ここに本予算委員会の写真が写っておりまして、大変不名誉な写真がたくさん載っておりまして、皆さんお眠りになっている写真がたくさんございまして、もしよかったち……。  それで、私……
  65. 深谷隆司

    深谷委員長 生方君、資料を渡すときには委員長の許可を得てください。
  66. 生方幸夫

    ○生方委員 どうも申しわけございません。  それで、私も外部から予算委員会を見ていたとき、たまたまテレビで見ているとき、今、単に目をつぶっているだけなのか、寝ているのか、もちろん定かではないのですが、見て、もう少しきちんと起きていたらどうだろうかというような感想を持っていたのですが、実際、私この中に入ってきまして、朝の九時から夕方の六時までやっていて、正直申し上げて、一回も寝ないというのは総理と三塚大臣ぐらいで、あとは皆さん五分や十分……(発言する者あり)いや、それだったら撤回いたしますが、ともかく、人間が集中できる時間というのは多分一時間とか一時間半ではないか。私も大学で授業をしておりますと、やはり九十分ぐらいやってはもう長過ぎて、六十分を超えてしまうとざわついてくるというようなことがございまして、これは議運にかけるべき問題だというふうなことを聞いたのですが、本委員会も、めり張りをつけるというような意味でも、一時間半ぐらいで一たん十分ぐらいの休憩を入れた方がいいのではないかというような感じを私は持っておるのですが、総理、いかがでございましょうか。
  67. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先日、参考人として本委員会に出席をしておられました方にその後お目にかかりましたところ、自分は一時間で随分くたびれた、ぶっ通し毎日御苦労さまですねというねぎらいの言葉をいただきました。  ただ、これは委員会の運営、まさに委員会でお決めをいただくことでありまして、我々は与えられた条件の中で最善を尽くします。
  68. 生方幸夫

    ○生方委員 予算委員会だけではなくて、もう一つ私が国会に入って驚いたことがあったのですが、本会議のときに、大学の授業より多分うるさいのではないかと思うぐらい私語がざわざわとうるさいのですが、あれは、もちろん私語を禁ずるというようなことはできないのでしょうけれども、もうちょっと私は、集中するような形で、私語を何とかこうばんばんとたたいてなくなるような形のことができないんだろうか。これは、私は初めて入りましたものでそういう感想を持っているのですが、総理、いかがでございましょうか。
  69. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今私は政府の責任者でございまして、一番おっかないのは国会です。その国会の議事のあり方について我々から物を申し上げることは控えるべきかと思います。
  70. 生方幸夫

    ○生方委員 わかりました。ただ、これは私の感想を述べたまででございまして、これで終わりにいたします。  本当の質疑に入らせていただ一きたいと思います。  景気動向についてですが、各種数値を見てみますと、非常に景気がよくなっているという、非常にということはないのですが、緩やかに回復しているという政府の見解というのは、数値だけ見ていればこれは非常に確かなのですが、実感として私たち感じるのは、景気が必ずしもよくない、なってはいないというように感じておるのですが、この実際の感じと数値の違いというのはどこから出てくるのか、その辺についての経企庁長官の御感想をお伺いしたいのです。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  71. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 今景気のお話が上がっておりましたけれども、御存じのように、数字の上からはというお話ですけれども、いろいろ数字が上がっておりますが、今年最も景気がいいと言われておりますアメリカですけれども、アメリカの今年度の成長はGNPの見積もり二・五%、日本と全く同じ。日本はまだこの三月が出ておりませんけれども、経企庁が数字を出しましたときには二・五%に行きっこないというお話でしたけれども、実質ほぼ間違いなくこの三月は二・五%に行く。失業率もこちらの方が低い、向こうの方は完全失業率が高い。  けれども、向こうの方は景気がいいと言い、こちらの方は景気が悪いと言う。いろいろな人がここに入ってくると、やはり日本というのはこれでどこが景気が悪いのだという。これは出てくる数字と本人の持っておりますそれぞれの気分というのはかなりな差が出てきておるというのは、これは長い間の習慣、長いことずっと右肩上がりの経済成長をやってきた国というのは持っておりますので、今程度景気がいいと、また何十年かしますと、あのころは景気がよかったなと、多分ことしあたりが過去から見ればもっと景気がよかったかなと言われるなんということも、これは十分に考えておかなければいかぬことなのであって、その時々におきます気分というものがかなり影響しておると思っております。  ただ、先行きに関してはどうかなるか不安というのが一番大きな理由になっておるなと思っておりますので、これから先閉塞感がある、先行き何となく雇用が不安というようなところが与えている心理的な影響は大きいというところが一つ。  もう一つは、今までこれだけ生産が伸び、先行きの設備投資がこれだけ大きく伸びておるにもかかわらず何となくというのは、やはり物価が安定しておりますので、これだけ上がれば、普通ですと一%なり何%なり物価が上昇してきて、それが売上高に響いて何となくというふうになりますけれども、売り上げたけは変わらず、仕事は忙しい、だけれども切り詰めばという話になりますので、そこらのところが気分的に与えている影響が大きいというのが私どもの見た実感であります。
  72. 生方幸夫

    ○生方委員 ことしに入ってからの景気回復というのは、円安が非常に進んだこととか、四月から消費税が上がりますので、自動車なんかはその前の駆け込み需要なんかもあると思うんですが、それにもかかわらず、国民の皆様方が何となくこれから景気がよくならないんではないかというふうな感じを持っているのは、やはり私、構造改革というんですか、経済構造改革が本当に進んでいない、これは会社にお勤めになっている方たちは実感として感じていると思うんですが、その辺が先行きの不透明感とか、何となしのうっとうしさにつながっているんではないかというふうに思っております。  これは、もちろん政府の方でもそういうことは十分に御判断していただいておりまして、通産省でも、経済構造の変革と創造のためのプログラムというのをおつくりになって、経済構造改革を進めなければいけないというふうなことを御提案なさっております。これを出された趣旨と、どこに一番重点が置かれているのか、通産大臣からちょっとお答えをいただきたいのです。
  73. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今生方委員から御質問がありましたが、その前に、先ほどの景気の問題、若干申し上げたいと思うんです。  それは、確かに数字の上では着実に上がっている。ただ、私自身、やはりこの数値のとり方についてもう少しきめ細かくしなければいけないんじゃないだろうかと思うのは、地域でもって、大都市と地方中小都市、そしてまた郡部の問題、あるいはやはり大企業とそして中小企業、こういう問題の間において格差が生じておるんだろう。ですから、そのとり方によって数値だけ見ると上がってきているということで、数値は今さら言う必要もございませんが、鉱工業の生産指数、これを見ますと、昨年の四-六月に九六だったのが、その次の七-九は九七・五、十-十二は一〇〇・一、そしてこの一月は大体一〇〇・八と上がってきておるわけですから、数値はいい。ところが、俗に言う景況感というものは、やはりこれのとり方、質問の仕方にも問題があるだろうというのは今言ったような背景がある、こう思うのです。  私がそういう話をいたしますのは、要するに、やはり近年非常に世界が狭くなったというか、いわゆる情報化の著しい進展、そうした経済のグローバル化ということで世界経済が一体化を示してきたということで、それを早く先取りして、業種、またその同じ業種の中でもやはり企業の先見性がある会社とか、ない会社と言うと問題がありますが、そこでもって優劣がついてきたんだろう、こう思うのです。  このままでいくと、今起きている現象というのは、非常に本格的な高齢化社会を迎えてきている、それから片一方で産業の空洞化ということで、このままではやはり日本経済そのものが二十一世紀になって完全に世界の中において埋没していくだろう、こういう危機感。これはもう既に、今申したように、ほかの国では、名称は違いますが、いろいろやはり構造改革的なものをやっているということはもう委員がよく御存じのとおりであります。そういうことで、これを手がけようということであります。  その中の、また一つだけ数値を申しますと、今のままでいくと、この空洞化が進むことによって、やはり二〇〇一年には製造業全体の雇用が百二十四万人程度が減少してくる。片一方では、高齢化が進んでくる、生産年齢人口というものが減少する、貯蓄率が低下するということで、経済の潜在的な活力が低下して、その上、国民だとか勤労世帯及び企業の公的負担が増加するということで、経済を活力化させようと。その中において、二つ、一番早急にしなければいけないというのは、御存じのように、規制の緩和をすることと、それから高コストのこうした構造を是正する、こういうことでもって今のように取り組んでいるわけでございます。これをやらなければ、二十一世紀になってまず日本という国自体がどうなるのか、こうした危機感からでございます。
  74. 生方幸夫

    ○生方委員 今大臣もおっしゃったように、構造改革をやらなければいけない大きな原因というのは、世界経済のグローバル化が進んでいるということと大競争時代に突入した、それから当然二十一世紀に入ると少子・高齢化でだんだん活力がなくなってくるであろうということがあると思いますが、じゃ、大競争時代に突入したり世界経済がグローバル化したというその最大の原因は何だというふうに通産大臣はお考えになりますでしょうか。
  75. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 やはり高度情報化社会、こういうものが形成されてきたということに尽きると思います。
  76. 生方幸夫

    ○生方委員 私も通産大臣と同じように、構造改革を進めなければいけない最大の原因というのは、やはり高度情報化というか、情報化に対応しなければいけないというのが一番大きな原因ではないかというふうに思っております。  情報化ということに関して言いますと、もうこれは随分古くから言われている言葉でございまして、何だまた今ごろ情報化かというようにお考えになる方もいらっしゃるかとも思うんですけれども、私は、情報化というものの意味というのは一般にとらえられているより非常に大きいのではないかというふうに考えております。  これは、産業革命に匹敵するような大きな情報革命というのが起こっていて、我々が今まで暮らしてきた社会というのは紛れもなく工業社会でございますが、そこから大きく一歩交代する、チェンジする大きな今変化が起こっているのではないかというふうに私は認識をしております。これは、農業社会から工業社会に移ったとき、単に中心の産業が農業から工業に移ったというだけではなくて、当然、暮らし向きから生活のやり方から文化から、あらゆるものが変わってしまったということがあるわけで、それに匹敵するような大きな変化が、これから多分五年とか十年という非常に短い時間であらわれてくるのではないかというふうに私は認識しておるんですが、総理、私の今の考えについての御所見がございましたらお伺いいたしたいのです。
  77. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先日、議員が御自分の意見の中で、CALSから議論を組み立てられた、それに対して私は敬意を表するという答えを申し上げました。  私は、確かにあれは一つのきっかけだったと思うのです。アメリカの軍がみずからの後方支援といった視点からのペーパーレス化を図っていった。そこで確立された一つのシステム、これが情報の流れを形成する中で民間にも広がり、ある意味では、それが政府調達の基礎をなし、政府調達に応じようとする民間業者はいや応なしにそのCALSを使用せざるを得ず、そこで大きな一つの流れを生み出した。私は、そうした視点から見ましたときに、今議員が言われたように、大きく情報というものがこれからを変えていくということに全く異論はありません。  その上で、ちょっとこれは議員にも御意見を伺いたいことでありますが、私は、光ファイバー網の整備は必要だと思っています。しかし、果たしてその場合の伝達手段というものは光ファイバーだけなんだろうか。むしろ、同軸ケーブルなり無線なり、既にあるものを有効に活用しながらネットワークをつくることはできないのだろうか。我が国の場合にそうしたものも組み込んだネットワークづくりの方がより早期に立ち上げができるのではないだろうか。そんな感じは持っておりますが、基本線においては、私は議員の御意見に敬意を表します。
  78. 生方幸夫

    ○生方委員 同軸ケーブルや光ファイバーとか通信衛星とか、いろいろなものを使って当然ネットワークは構築していかなければいけないと思うんですが、ちょっと質問から外れてしまうのですが、マルチメディアというときによく言われているのは、電話とパソコンとテレビを結びつけたみたいな形の言い方がされておりまして、私、より大事なのは、今、双方向の通信で、いわば片側一車線の道路ができているのを、マルチメディア、光ファイバーを例にとれば、電話回線でいえば二千回線とか三千回線、つまり車線が二千車線とか三千車線になるようなものができてくる。  そのときに、じゃ、そこを自動車だけ通らせるのかというと、そうじゃない、いろいろなものを取り入れていかなければいけない。そのとき、今我々が考えているようなメディアじゃない、全く新しいメディアが乗ってくるんだという発想がどうもすっぽり抜け落ちてしまって、今総理がおっしゃったように、例えば御老人お二人住んでいるところに光ファイバーが入ってきて、千車線があったってこれは活用しようがない、それを一律にやってしまうところにお金をかけたんじゃむだだと思うので、やはり必要なところから、あるところは光ファイバーでなければいけないし、あるところはそうでないものでも十分いいんではないかというような、バラエティーが私は必要だというふうに思っております。  もとに戻りますが、我々が今、二十世紀の後半に暮らしている工業社会の一番大きな特徴は何かというと、やはりこれは、産業革命が何で起こったのかというと、機械というものが発明されたことによって起こった。したがって、私の理解では、工業社会の一番大きな特徴というのは、非常に大きな生産力がもたらされたというのが一番大きい社会としての特徴ではないか。  したがって、それまでの農業社会というのは生産力が比較的乏しい社会でございましたから、消費者と供給者というのが明確に分かれていないで、自給自足が原則であったわけです。ところが、そこへ機械という非常に大きな生産力をもたらすものが生まれたことによって、供給者と消費者というのが分かれてきて、今の社会ができ上がったのも、その機械がネットワークを構築する、これは交通網なんですが、こういう交通網を構築することによって、大量に物をつくって、それを大量に消費しようというような社会ができてきた。まさに日本は、大量生産、大量消費というところでは先頭を走ってきて、豊かな物の社会というのを実現したのはこれはもう紛れもない事実で、それは国民の皆さん方も大いに喜んだところだと思うんです。  ところが、その大量生産、大量消費というのは、同時に大量の廃棄物あるいは排気ガスというものを出す構造になっておるわけですね。したがって、私は、先進工業国と言われた国々は、遠からずみんな工業化の壁というものに突き当たらざるを得ないんではないか。私の解釈では、アメリカはその壁に八〇年代の中ごろに当たった、日本は今まさにそれに当たっているんではないか。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕  私の解釈では、工業化の壁というのは、一つは、非常に大きな供給力がもたらされたにもかかわらず消費がそれほど伸びないという、供給過剰というか、消費の成熟化。そうしたものに直面しているのはもちろん先進工業国だけなわけですから、そうなりますと、当然、先進工業国は、そうでない、供給がまだ不十分な地帯に向けてたくさん物を輸出していくという格好になるんですが、そこには今度環境問題、エネルギー問題というのが立ちはだかってきて、どうしても先進工業国はにっちもさっちもいかなくなってしまうというのが現状ではないか。  したがって、これを何とか乗り越えていかなければいけないという問題に日本もアメリカもヨーロッパも直面した。私の考えでは、どうしたらこれを乗り越えることができるのかというところにまさにその情報化が非常に大きな力を発揮するのではないかというふうに考えております。  それで、どうしたらその情報化がそうしたものをいわば克服することができるのかというと、一つは、供給過剰の状態、ちょっと図を今ここに持ってきたんですが、非常に大きな図になってしまって恥ずかしいんですけれども、私が考えるには、今申し上げましたように、工業社会の大きな特徴というのは、メーカーを中心として、流通サービスがメーカーがたくさんつくった物を消費者効率よく届けるために、こういう三角形のピラミッド型の縦割りの社会というのを特徴としてつくられてきた。この中では、メーカーが大量につくった品物を消費者のところへいかに効率よく届けるのかというために、流通サービスが非常にうまく機能してきた。この機構を支えるために官庁も企業も縦割りのピラミッド型のこういう組織を持っていて、それが部とか課に分かれるという形の構造をとっていたわけです。  ところが、もう既にメーカーがたくさん物をつくってしまって、消費者に物が行き渡ってきて、供給過剰の状態というふうになってきますと、この間も質問のときに申し上げましたが、工業社会というのは大量に物を安くつくるということが大事だったのですけれども、今度はそれだけのコンセプトではできなくなってきて、消費者が求めているものをつくらなければいけないというふうに変化をしてくる。そうなりますと、当然この三角形のピラミッド型の形に対応する組織ではこれには対応できないというのが一つ私の考え方でございまして、アメリカ等でも組織改革に当たらなければいけないというのは、まさに消費者が、今まで王様だというふうに言われながらその実王様でなかったのが、本当に王様にならざるを得ないというようなところに来ているというふうに私は考えております。  したがって、何を言いたいのかというと、供給が過剰になる、先ほどもお話ございましたように、製造業に従事している方たちが百二十万人以上も、いずれ情報化が進展すれば余ってくるのはこれは事実でございまして、その人たちをどこで吸収するのかというときに、もちろん新規事業開発というのも非常に重要ですし、いろいろな規制緩和によって市場が大きくなることも重要ですが、それと同時に、私は、この三角形のピラミッド型の社会からネットワーク型社会に移行するところに非常にたくさんの需要が生まれてくる、その需要を消化していけば、十分に供給過剰という状態をスムーズにそうでない状態に移していくことができるのではないかというふうに考えております。  それからもう一つ環境、エネルギーの制約というのがある中で、どうしたらこの成熟した工業社会から情報社会に移行することができるのかというときに、やはり今までの大量生産、大量消費、大量廃棄というものから、適量、適時生産、適量消費という形に構造そのものを変えていかなければいけないというふうに思っているのです。  大変長々としゃべってしまったのですが、この辺のお考え方について、通産大臣、ちょっと御感想がございましたらお聞かせいただきたいのですが。
  79. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 今、生方委員の御指摘、大変私自身も興味を持って拝聴したわけでございます。  今の委員の言われんとすることは、第一にはアメリカの構造改革の中で取り上げているリエンジニアリングという問題だったんじゃないだろうかと思いますし、全く同感でございまして、今までのような大量生産、大量消費の時代とはもう異なってきている、そして、今後は企業が顧客の多様なニーズに迅速にこたえるということで、やはり業務のプロセスを抜本的に見直すということと組織形態を抜本的に見直すということが必要になってきた、こういうことで、全く同感でございます。そういうことで、私自身も先ほどやはり、今日本が取り組んでいる構造改革というのは名称は違うが、アメリカを初めヨーロッパ諸国がやっていたことだ、かように申し上げたのです。  もう一つ、今のお話の中には、今のリエンジニアリングと同時にリジェネレーションという問題も触れられたのではないだろうかと思います。この方が、いわゆる今までの既存の組織というものを水平化するというか、こういうことだと思うのですが、これも実は一部のメーカーでは先取りしてやっているところでございます。  私自身も、御案内のごとくある製鉄会社に勤めておりましたが、今、私がいた時代とは違って、やはり組織でも何々チームというものをつくっている。そして、大変またこれPRになりますが、行政においてもそうしたような発想を持たなければいけないということで、通産省はことしの組織改編においてこうしたチーム制というものを取り入れて実はこれから行政に携わっていこう、かように考えておりますので、全くおっしゃることに同感でございます。  もしもっと詳しく話せと言えば、資料がございますが。
  80. 生方幸夫

    ○生方委員 先ほど私が申し述べたことが、先取りした形でアメリカが行っているのではないか。この間の質問のときにも、財政再建でアメリカに学ぶ点があるというふうに言って、また産業構造改革でもアメリカに学ぶというふうになりますと、アメリカに学んでばかりいることになってしまって、もちろん日本的な味つけもしなければいけないのですが、現実に、アメリカ経済は九〇年代に入って復活をし得た。その裏には、情報化の役割というのが非常に私は大きかったというふうに思っております。  今通産大臣からも御答弁いただきましたが、アメリカの事情にお詳しいということで、麻生経済企画庁長官にも、アメリカの九〇年代に入ってからの経済復活というのですか、その原因が一体どういうものであったというふうに認識をしておられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  81. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 今御指摘になったように、昔は農業社会が長いことあって、それが十八世紀くらいに工業化社会に変わって約三百年、それで御存じのように今工業化社会の次の、まあ生方委員の言葉をかりれば情報化社会ということになるのだと思いますが、新しい時代に変わっているのだと思います。  その工業化社会から変わっていくアメリカは、八〇年代、御存じのように財政赤字、経常収支、二つの赤字を抱えて、一九八五年十一月ですか、プラザ合意で一挙に円高・ドル安というドルのデバリュエーション作業をやって、一挙にドルが二百四十円から百二十円まで下がったという時代だったのですが、そのころ御存じのようにレーガン政権が登場してくるのです。  そのレーガン政権のやったことは、とにかくアメリカのドルの力が、必要以上に生産性が下がって国際競争力がなくなったものだから、国際収支も赤、やむを得ぬというので取り入れ出した政策の一つが、いろいろやったのですが、一番大きかったのは、やはり大幅な雇用削減というのが非常に大きかったと思いますね。  それから、とにかく企業の国際競争力を上げるために、大会社がたくさんの製品を抱えるというのはやめて、とにかくもうかるやつだけ残す。もうからないやつは全部MアンドA、売却もしくはもうかるやつを買収という、いわゆる企業買収というのを、売ったり買ったりするのをやりました。  それからもう一つは、もうからない部分というのを海外で生産委託、アウトソーシングという言葉を使われましたけれども、そういうのをやって、そして大幅な、リストラクチャリングとかリエンジニアリングとかいろいろな言葉を使われましたけれども、早い話が企業の再生をねらってやったのだと思います。  それが結果としてコスト削減を大幅に行ったのですが、それと同時に、アメリカの方でもう一つそれにあわせてやったのが御存じのように規制の緩和というもので、一番最初に手をつけたのは多分航空産業だったと思いますが、結果としてパンナムもつぶれた、TWAもつぶれた、かわってUAとAAが大きくなったという、対応を失敗した企業とそうじやなかった企業が同じ業界の中でこんな格差がついていったというのが八〇年代後半からはっきり出てきて、いろいろな形でそういったものがどんどんアメリカの中で変わっていったのだと思っております。  御存じのように、新しい需要を生み出していったのだと思いますけれども、じゃ、それが私どもにとってすべてが参考になるかというと、これはええとこ取りがすべてだとは言いませんけれども、なかなか日本で適応しにくいのじゃないかなと思うところもありますので、大いにいいところは学ばなければいかぬというところでまず規制緩和ということが出て、この内閣でも経済構造改革初めいろいろな諸改革をすることになって今まさに進んでいるので、いろいろな方々に御協力をいただいて今日まで来ておると思います。  アメリカと違って一番の問題だったのは、アメリカの場合、いわゆる株主の利益を非常に重要視いたしましたので、株主総会というのは四半期ごとにやるなんというようなことになって、株主の意見というのは配当の高いところの方にどうしても目が行きますから、長期投資はなかなかしにくいという弊害を生みました。それからもう一つは、大幅な一時解雇というのをやっておりますので、雇用が極めて不安定になったというのは、私どもとしてはこれはなかなか日本ではいかがなものかと思っている部分の強いところです。  それで、今回のいわゆる諸改革、いろいろな改革というのは、これは基本的には、国民生活の質的向上がさらになされるのが最大目的。そのためにはやはり雇用が安定しておかなければいかぬ。雇用を安定させていくためには、いわゆる国際競争力というものが維持向上していかないと雇用を安定させるだけの企業が生きていけませんので、経済構造改革を含めて大きな改革と言われる諸改革の目的は何かと言えば、それは基本的にはまず企業の国際競争力の維持向上、含む行政改革だと思いますが、そういったものが国際競争力を維持させるために、高コスト構造を改造し、公共料金、まあいろいろなこと、一御存じのとおり。  したがって、そういったものをやっていく中で結果として生活が安定していくということなんだと思いますので、アメリカのことで学ぶべきところは多々あるということは、私ども率直にそう思って、これが経済構造改革につながっておりますが、危ない面もなきにしもあらずで、やはり光と影、両方出てまいりますので、そこらのところには十分配慮して経済運営というのに努めていかねばならぬと思っております。
  82. 生方幸夫

    ○生方委員 規制緩和、この間の首相の答弁でも一非常に各分野、広くおやりになっているというのは私もよく存じておるのですけれども、アメリカのように、規制緩和をやることによって、例えば航空産業も非常に大きくなったし、流通産業も大きくなったし、通信産業も大きくなったし、金融も大きくなったというととがございますけれども、日本は、もちろん一九八五年に通信の自由化を行いましたですけれども、残念ながら自由化してアメリカほど爆発的に需要が大きくなったということがないわけですよね。これはどこに原因があるというふうに総理はお考えになっていますでしょうか。
  83. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、通信に限定してのお尋ねととってよろしいですか。(生方委員「はい、結構です」と呼ぶ)私は一結論から申し上げるなら、半端だったという二舌に尽きると思います。  ただ同時に、私は電電公社を民営化いたしますときの党側の責任者の一人でありましたけれども、あの時点の日本では、電電公社の経営形態をそのままNTTの姿にすることにも非常な抵抗がありた。そして同時に、民営化をするという際に、むしろ当時の郵政省は、公社から民営化するのだからそれだけの規制が必要ということで、より規制を強める方向に向かった。そして世間も、通信の機密保持ということで、ある程度それを許容した。今、私自身のこれは反省材料なのですけれども、一つはまずそういう問題があると思います。  同時に、もしあの当時にNTTに海外における通信業務を認めておりましたら、これはまた様相は全く変わっていたでありましょう。しかし当時は、逆に我々は、海外からの通信の日本上陸を防ぐという方に観点がありました。そして、その意味では、進出、海外日本の通信産業が出ていくという発想がなく、むしろ入られることを防ぐという発想が、これはまあ政官財挙げてと申し上げてもいいかもしれません、あったと思っております。
  84. 生方幸夫

    ○生方委員 中途半端であったという、その時点ではやはりやむを得ない判断であったというのもよくわかりますが、半端であったというふうに御総括なさるのであると、この半端をどうやって、じゃ今度からなくしていくのか、なくして、本当に規制緩和の効果を発揮するためにはどうしたらよろしいのかということで、ちょっと、私の本来の趣旨とは違ってしまうんですが、総理に御所見をいただけたらありがたいのですが。
  85. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、郵政省もかつての姿とは変わりました。そして、NTTの海外進出、通信業務における海外進出も認める方向になりました。逆に、KDDが国内の通信産業と手を結ぶことによって国際通話の世界から国内の通信の世界に入ろうともいたしております。こうした形で競争が生まれつつあります。  私は、新電電各社が誕生しましたときにもこれに期待をいたしましたが、今回の、NTTも海外の情報通信の世界に出ていく、KDDも今まで国際に限定されていた業務を他社と手を組むことによって国内に入っていく、これは私はこれから非常に大きく動いていく一つの要素と、そこに一つの期待をかけております。
  86. 生方幸夫

    ○生方委員 規制緩和は、これから第二次の規制緩和というのも行われるようですので、私も、これは当然痛みも伴うわけですけれども、徹底的にやっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  さて、加藤幹事長も申しておりましたけれども一情報社会というものに移っていくときにいろいらな変化が予想されるということをお話しになっておりました。私も、もっと広く、郵政省が出すあの小冊子では、何かテレビの大きい画面ばかり家の中じゅうべたべたあるようなのが出されて一あれが情報社会だというふうになるとみんな誤解をしてしまうと思うのですが、そうではなくて、もっと大きな変化というのがいろいろなところへ起こってくるというふうに思っております。  例えば、今私たちが暮らしているこの町づくりとか国づくりそのものも考えるべきだというのを前提にしたものでございますから、例えば東京に今あらゆる機能が集中してしまったというのも、東京に集中して処理する方が効率がよかったからにほかならないわけで、これから通信網が整備されてくれば、何も東京で一極集中して処理する必要がないというようなことは当然起こってくるわけです。例えばニューヨークなんかの例をとりますと、ニューヨークに本社を置いた会社というのが最盛期から今はもう三割ぐらいしか残っていない。つまり、あとの七割は分散してしまったというような事実がございますけれども、日本の場合はまだ集中というのが進んでいるというふうに私は解釈をしております。  したがって、これから地方分権というか、地方処理をされるのはこれはごく当たり前の話だと思うのですが、こういう観点を取り入れた上で、首都圏移転、例えばそういうような話が論じられているのかどうかというと、残念ながら、どうもそことは違うような感じで首都圏移転の話は進んでいるようなんですが、やはりもっと全般的に、情報化によって非常に大きく変わるのである、その一環として例えば首都圏移転はどうであるのかというような考えをするべきではないかと思うのですが、これはどなたに聞いたらよろしいでしょうか。
  87. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 首都機能の移転につきましては、既に、候補地を選定する審議会が昨年からことしにかけて二回開かれました。今月には三回目が開かれますし、さらに、その間に部会も設けられることになりました。  これは、私は東京選出の議員でもありますが、まず快適な生活圏として東京というものをこれからどう、もっと都会の方々が、もうひとつ豊かな住環境あるいは交通の渋滞の問題、あるいは災害が来たときに東京はどうなるか、そういうようなことを考えながら、特に私どもの役所としても、いわゆる過疎と過密を解消して、都市にいてももう少し快適な都市生活を、あるいは、地方においてもっとビジネスチャンスのある、これは、今生方議員が御指摘をされた情報化時代が進んでいったときには、私は、もっと大自然の中で、毎日通勤しなくてもホームページで世界とネットできるという時代ですから、そういうことを考えたときには、まさに新しい時代が始まるのではないか。  しかし、昭和三十七年からいわゆる日本の全国総合開発構想がスタートして、歴代の内閣は、もっと都市と地方とを平均化していこうということを常にやってきたわけですけれども、今三千二百三十二市町村ですか、現実には千二百八の市町村は過疎でありまして、過疎の市町村は年々ふえています。  そこで私は、産業が地方に行けとか、あるいは、若者よ地方に定着しろと言ってもなかなか難しい。そうした大きな時代の変化の中で、経済も変わる、あるいは社会のシステムも変わる二十世紀から二十一世紀への大きなこの転換のときに、私たちは、民族を挙げて新しい都市をつくるという、そういうエネルギーもやはり大事なことではないかというふうに考えながら、首都機能の移転は、文字どおり二十一世紀への夢とロマンをかけたチャレンジでなければならない、そういう観点から取り組ませていただいております。
  88. 生方幸夫

    ○生方委員 首都機能の移転、もちろんそういう観点からお進めしていただければありがたいと思うのですが、私は、基本的に大きく変わるのは、今の社会というのはやはり会社中心にすべてが回っていて、我々は会社に行くという、男は、男はと言ってはいけないですけれども、お勤めになっている方は駅に朝行って、そこから会社に行って、会社からまた駅に戻って自宅へ帰る。すると、少なくとも勤めに出ている方は会社を中心に生活が回って、やはり家庭とか地域というのは、いわばほとんど寝に帰る状態だというのが現実だと思うのです。これが、やはり情報社会ということになると、企業中心に社会が回るのではなくて、家庭で仕事をすることも含めて、やはり地域とか家庭とかいうものを中心とした生活というのが始まると私は思うわけですね。  そうなりますと、当然、都市づくりとか交通網というような考え方も今とは全く違ったものになってしかるべきだと思うのですが、もう一度国土庁長官、その辺についてのお考えをお伺いしたいのです。
  89. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 今委員が、先ほどからいろいろ時代の変化、人々の暮らしの変化のお話を伺いまして、工業社会あるいは情報化の時代へ、そうした時代の大きな変化の中で人々のいわゆる生活観というものもきっと変わっていくんだろうというふうに思います。  今、私たちの周辺には高速道路がありますが、二十年ほど前までは、みんな休みになると都心に向かっていきました、つまりその休日を。ところが最近は、都心に向かう人たちは非常に少なくて、むしろ自然を求めて反対方向に祭日や休日に行くという状況を見ますと、みんなの、何が豊かか、そういう生活観が非常に変わっていることを実感するわけであります。  そういう意味で、この時代の大きな変化の中で、また情報化という時代を目前にして、私たちは、都市づくりというものも、そうした時代を考えながら、新しい時代に即応した町づくり、あるいは人々の暮らしというものを考えていかなければならないのではないかというふうに思います。
  90. 生方幸夫

    ○生方委員 情報化の話ばかりで恐縮なんですが、例えば選挙制度、政治制度の改革などということも、電子投票ということも随分御検討をなさっていらっしゃるそうなんですが、電子投票あるいは国民投票というのですか、今の情報端末を使えば、国民の意思というものが瞬時にわかることも不可能ではないわけですね。もちろん、どういうふうに国民投票をするのかというか意思表示をするのかというのは、どういうような情報をどういうふうに与えるのかということによっても違ってきますし、どんな問題をそういう投票にかければいいのかということも非常に難しい問題を含んでおるのですが、政治改革などということも、かつて不可能であった直接民主主義というのですか、そういうことも今や可能になったということを踏まえた御論議がなされておるのかどうか。私は寡聞にして知らないのですが、その辺について総理の御所見がございましたらお伺いいたしたいのです。
  91. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員が非常に積極的に、情報化社会というものの到来に向けていわば光の部分のイメージを組み立てられました。そして、私はそれを全く否定するものではありません。これは先刻来申し上げておるとおりであります。  ただ同時に、その議論を進めていくとするならば、例えば電子取引一つをとってみましても、民法あるいは商法上これを妨げる規定はないか、あるとすればそれをどう直せば本来の目的を変えずに時代に対応できるか。あるいは逆に、例えばコンピューター犯罪といったものに対する備えをどう組み込むか。さらには、今でも、ソフトの複製その他をめぐりまして著作権の問題というのは国際的にも大変厄介な問題であります。  こうしたシステムについてのいわば危険防止、こうした点についてどこまでの検討が進められているか。そして、そうした状態を想定したいわば社会の仕組み、これは、電子マネーなんか今実用化の方向にいろいろなところで実験されていることも存じています。その上で、社会的に危険防止についての備えは果たしてできているのかということも組み合わせて御論議をいただきませんと、私は公平を欠くのではないかと思います。  そして、そういう意味では、政治の仕組みの中に、例えば今例示で挙げられました国民投票というようなものを、憲法を変え、そういう制度を取り入れた、可能にする、そうした場合において、実用化の方向に向けての可能性というものはあると思います。
  92. 生方幸夫

    ○生方委員 まさにコンピューター社会の光と影というのがございまして、八〇年代の初めのころにバルネラビリティーというんですか、社会の脆弱性ということで随分論じられたんですけれども、最近は、今総理おっしゃったように、明るい面ばかり強調されている嫌いがあることは私も懸念をしているところで、当然変わる部分においては危険性もあるし、影の部分もあることに十分、これはまさに政治が配慮をしていかなければいけない問題だというふうに私も思っております。  もう一つ、教育という点においてちょっと文部大臣にもお伺いしたいんですが、教育改革、総理も六つの改革の中の一つの柱として重要に位置づけておるんですけれども、教育改革というような問題も当然、ファイバー網というのかこれが何になるのか、同軸になるのかはわかりませんが、整備されてくれば、教育、ただ授業をするということだけに関して言えば、極端な話、いわば在宅授業というんですか、これも可能になってくるわけですね。そうなりますと、学校の今のあり方というようなものも根本的に考え直してみなければいけないようなときもいずれ来るのではないかと思うんですが、この辺について文部大臣の御所見をお伺いしたいのです。
  93. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 このたびの教育改革プログラムの中でも、情報化の進展に対応する適切な教育のあり方ということを重要な柱としております。  それから、昨日、アメリカの上下両院での一般教書演説でも、クリントン新政権は、この四年間、最重要課題としてこの教育改革を挙げておりますが、その中の大きな柱がたくさんあります。例えば十二歳で、すべての国民が十二歳児で全部インターネットに接続できるとか、あるいは、すべての学校と図書館を接続するとか、そういうことも強調されております。  私どもも、そうしたマルチメディア化の進展に伴った学校教育ということで、既に、小学校、中学校にも相当機材を投入しております。しかし、残念ながら、まだアメリカやその他の先進国と比べるとはるかに、格段におくれているということも事実であります。  今総理からも先と影、委員からもお話がありましたが、例えば、それじゃすべて電子教育にしたらどうか、こういうことがありますが、私は、やはり学校教育のあり方というのは、確かにそういうものを利用する部分もたくさんあると思います。例えば長期欠席者とかあるいは長期療養の子供とかあるいは遠隔地とか、そういうところにはマルチメディアといいますか情報教育というのが、情報化に沿った教育を行う必要があると思うんですが、やはり学校での教師と子供との触れ合い、あるいは生徒同士の集団の中での触れ合い、こういうものは、教育的な効果というのは無視できないわけでありまして、それをすべて電子教育に変えろというのはちょっと行き過ぎではないかと思います。  ただ、現状の中でも、週五日制というのを完全実施、二〇〇三年を目指してやっておりますので、そういった中で、子供たちの触れ合いというものもどんどん、家庭や社会との触れ合いもふえていきますし、学校の中でも情報化に合わせた努力を大いにやっていきたいと思っております。
  94. 生方幸夫

    ○生方委員 もちろん私、在宅教育を全部やれというようなことを申しておるわけではなくて、こういうことも可能であるということを踏まえた上で、学校のあり方なんかも変えていくべきではないかと。  これはちょっと外れてしまうんですけれども、学校の施設を何か使おうとすると、文部大臣に許可を得なきゃいけないとかなんとかでいろいろな制約があって、地域の人たちが使おうと思っても使えないとか、僕なんかも、夏だったらあそこのプールで泳ぎたいななんて思うのですけれども、そういうわけにはいかないみたいなことがある。  さっき申し上げましたように、企業中心から家庭あるいは地域中心というふうに移ってくれば、当然我々も家庭や地域で過ごす時間が多くなるわけで、そうなりますと、学校の施設というものをもっと開かれたものにできる可能性があるのではないか。子供たちと地域の人たちが共同で学校を使うというような形の新しい学校像というのが模索されてしかるべきじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  95. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 今度の教育改革の考え方としても、学校内だけに目を向けるのではなくて、学校外との、地域との連携ということを非常に重点に置いております。  したがって、最近、少子化によって空き教室なんかも相当ふえてきております。そういう空き教室のスペースをもう少し、そういうコンピューターを入れて地域と学校との連携に利用するとか、あるいは地域のコミュニティーの場として活用するとか、特に私は情報化に沿った教室の使い方、施設の整備、こういうことが重要だと思っております。
  96. 生方幸夫

    ○生方委員 これはやや情報化とは関係がずれるんですけれども、私なんか個人的によく思うことなんですけれども、普通、お勤めしている方は有給休暇というのがあって、とりたいときに休みがとれる。子供たちはもう休みが決まっていて、それしかとれないから、結局、夏休みとか冬休みとかという集中した期間に子供と親が旅行せざるを得なくなって、混んでしまうし高くなるというようなことが起こっていると思うのですね。これは非常に難しいことでしょうけれども、子供たちにも、例えば十日間なら十日間、年に自由に休むことができるようにするというような改革ができれば、親と子の触れ合いももっとできるようになると思うのですが。
  97. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 親子の触れ合いを大事にしたいということで、ゆとりある教育ということで、学校週五日制完全実施二〇〇三年という目標を掲げたわけでありまして、そういう中で、私たちはできるだけ家庭の触れ合い、あるいは自然体験とか社会体験の場を拡大していきたいと思っておりますが、今でさえも休日、考えてみていただきたいのです。春休み、夏休み、冬休み、ゴールデンウイークもありますが、そうしますと、合計百五十日ぐらい今休みがあるわけですね。  そういう中で、さらにまた、五日になった学校の中でそういう休むというようなことはちょっと問題がありまして、まずは私は、週五日制を早く普及させて親子の触れ合いの場をふやす、五日の中で、それでなくても授業時間数が足りなくなるわけですから、その中でまたさらに休暇をとらせるというのはやや慎重に考えるべきじゃないかと思っております。
  98. 生方幸夫

    ○生方委員 もう一つ、教育の問題から離れまして、仕事のやり方なんというのも、アメリカの例ばかりで恐縮なんですが、在宅勤務以外、これから長い目で見ていくと、今では普通一つ会社に勤めるというのが当たり前でございますが、将来的に見ると、二つとか三つの会社に勤めるのが当たり前だというような時代も、多分私はそう遠からず来るのではないかというふうに思っております。  このように、あらゆるものが急激に変わっていく中で、総理もおっしゃいましたように、法律の改正というのがそれにおくれてしまえば、その変化というものを妨げることになってしまうというふうに思うわけで、政治が、総理がおっしゃるように六つの改革を進めるという裏には、そういうことに対処しなければいけないということも十分配慮されておると思うのですが、この法改正、全般的に全部を見直さなければいけないという改正は、総理の頭の中には、いつごろまでにこうしたものに対する改革、全部の改革を終えなければいけないというふうなお考えがあるのか、ちょっとお伺いさせていただきたいのです。
  99. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、正直にもう白状しておきますが、私はイメージがもう一つわきません。  と申しますのは、民法及び商法、これはいや応なしに根本的な法規の改正でありますから、その条文だけをいじればそれで済むというものでは多分ないと思います。そして、例えば電子取引、電子マネーというものに対して必要な条文とその他の取引における条文とには違いが出てこないでしょうか。そういうことを専門家に検討していただくとすると、私は、多少の時間を要すると考えておいた方がよいように思います。  例えば、著作権法関係などというのはむしろ国際的に動いていますから、おくれたらこちらが損してしまうということで、当然ながらその見直しの作業というものは加速化されると思いますが、根本的な法規に触れるものがありますだけに、今ちょっと私は予測を申し上げる自信はありません。
  100. 生方幸夫

    ○生方委員 あと三十分、来週にございますので、そのときまた引き続き質問させていただきます。どうもありがとうございました。
  101. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて生方君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  102. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。二見伸明君。
  103. 二見伸明

    二見委員 私は、財政改革、日本版ビッグバン、それから防衛問題について若干の質問をいたしたいと思います。  最初に、財政改革について基本的なことをお尋ねを申し上げたい。  いわゆる財政の危機は、ともすれば国債発行残高の累積とそれに伴う国債費の増大によって一般会計は硬直化する、こうとらえられてきた、それは間違っていないと思います。そのための財政改革とは国債発行とその残高を減らすことだ、こうも言われた。これも私は間違っていないと思う。しかし、それでは本当の意味での財政改革はできない。一般会計、特別会計、地方財政、そしてそれを支える財政投融資計画を一体としてとらえて改革しなければ財政改革はできるものではないというのが私の基本的な考えであります。もし財政再建を一般会計というところに矮小化すると、結局それは地方財政に、あるいは財投にツケを回して、そこの赤字肥大になる、それだけの話だ、私はそう思います。  昨年の十二月十九日の「財政健全化目標について」では、政府は「平成十七年度(二〇〇五年度)までのできるだけ早期に、国及び地方財政赤字対GDP比を三%以下とし、公的債務残高の対GDP比が上昇しない財政体質を実現する。」こうお決めになられた。そして、「国の一般会計の財政健全化目標」として「財政健全化の第一歩として、早急に現世代の受益が負担を上回る状況を解消すべく、国債費を除く歳出を租税等の範囲内とする。」こうお決めになった。要するに、国債費を上回る国債は発行しませんよというのがこの基本的な考え方だと私は思います。  そういう目でもって平成九年度予算というものを見てみますと、国債費は十六兆八千億、そして国債発行高は十六兆七千億。一千億、国債発行額が少ない。見た目では非常にスリムになった、見てくれはよい、辛うじて閣議決定をクリアした、こう見える。  しかし、実態はそうじゃない。一般会計から厚生保険特別会計に七千二百億円、これは繰り入れを先延ばししている。これはいわゆる隠れ借金だ。それから、防衛庁関係では六百七億円、本来ならば国庫債務負担行為でもって平成九年度に払わなければならないものを、お金がありませんからというので十年後に延ばしてしまった、こういうやりくりをやっている。これは見せかけを整えた粉飾決算だ、こう私は断ぜざるを得ない。財政改革元年と言いながら、スタートからつまずいている。私は、その点について、総理の基本的なお考えを承りたいと思います。
  104. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、財政構造改革というものが国の、しかも一般会計に限定したものであってはならない。当然のことながら、特別会計も、そして地方財政も視野に入れて議論をすべきだと言われる点については、私は全く異論がありません。  そして、財政構造改革というものが目指すもの、それは、我が国が活力のある形で二十一世紀を迎えることができるように、財政の改革を進めるものでございます。当然ながら、その場合には財政全体を視野に入れなければなりません。  そして、国におきましては、一般会計ばかりではなく、当然特別会計についても見直さなければなりませんし、公経済の両輪の一端であります地方財政についても検討していくことは当然必要であります。  そして、九年度末、これはもう今さら申し上げることもありませんけれども、我が国の公債残高に特別会計などの借入金を加えた政府長期債務残高が三百四十四兆円、国及び地方の長期債務合計が四百七十六兆円に達すると見込まれておりまして、財政構造改革の断行というものは急務だと思っております。  そして、今議員もお触れになりましたけれども、昨年末閣議で決定をいたしました財政健全化の目標の中では、国も地方も双方の赤字をにらみながら、GDP対比三%以下という目標を設定したところでありまして、私は、その基本的な御指摘についてまず、特別会計ももちろん、そして地方財政も視野に入れて、これは考えてまいりますと申し上げます。  その上で、むしろ私は、逆に特別会計に返済を始めている。本年度予算、そのとおりでありますから、ごらんをいただきたいと思うのであります。その意味では、一般歳出、国債費を除きます歳出というものを租税収入等の範囲内におさめる、こうした点でもそのとおりのものになっております。
  105. 二見伸明

    二見委員 過去の実績を見ますと、平成五年は、当初予算では国債費は十五・四兆、国債発行高は八・一兆、格好いいですね、これは。ところが、補正では、国債費が十四・二兆で国債発行は十六・二兆なんだ。平成六年度でも同じです。当初予算ではスリムに見える。しかし、補正でもってがばっと変わってくる。これが過去数年の財政の姿であります。  それは、そのときそのときいろいろな事情のあったことは、私もわからないわけではない。しかし、当初予算の姿を格好よく見せるために、当初予算でスリムにして、足らざるところは補正でやってしまおうという安直な予算編成がずっと続けられてきた。これは改めなければならない。補正予算というのは、そうそう簡単に出すものではない。もし補正予算を出すときは、政府の政策が失敗したのだ、本当は腹切りものだ、そのぐらいのものでなければならないと私は思うのです。  それはそれといたしまして、例えば六百七億円、払うものを払わないのだ。これは防衛費だからいいだろう。私は、別にこれで防衛論議をやろうという気では全くない。国が民間と契約をして、平成九年度には六百七億円払いますよ、こう契約をした。金がないから先送りだ。防衛費だから、防衛問題に関するからだれも文句を言わないけれども、もしこれが道路財源、ことしはこれだけ道路をつくって、本来ならば一千億払うところを、金がないから五百で勘弁してくださいと言ったらどうなりますか、これは。怒るでしょう。そういうことを平然と今度やっている。  これは常態化すれば、来年はこっちだ、再来年はこっちだ、同じようなことが構造的に行われる可能性は絶対出てくる。こういうことは絶対にやっちゃいけない。こんなことをやるから国が信用されなくなる。そんなことをやっているから今の財政は信用できない。株価が下がる、円安、いろいろな要素はあるけれども、こういうやり方にも不信感が出ているんだということを深刻に受けとめなければならないと思いますけれども、改めて総理の御認識を承りたいと思います。
  106. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 従来、当然のことながら、当初予算を編成いたします時点で、その予算をもって年度を乗り切っていく覚悟であった、それぞれの時期において政府はそうであったと私は思います。しかし、特にこの数年間、バブルの崩壊後、景気の回復が思わしくないそうした中で、秋になりますと大型の補正予算を要求する声がどこからともなく起きておりました。そしてその中に、公共事業の上乗せといった具体的な御要望も含めて大きな声が起こっておりましたこともまた事実であります。そして、そうした中において、そのときそのときに政府としては、これによって景気の回復が行える、また行わなければという決意で私は補正予算を編成してまいったと存じます。  十分な効果を上げない状況が続きました。そして今日、先刻申し上げましたような、我々は極めて大きな公債残高を抱え、もうそのような手法をとる状況は我々に与えられていないのではないか、そう思いながら今もこの予算審議に臨んでおります。結果として一時期厳しい状況が生まれるかもしれないという御指摘も先日来ちょうだいをいたしております。しかし、その時期を乗り切っていかなければ先がないということもまた事実でありまして、どうか高い見地からの御支援を、心から国会に対しても願う次第であります。
  107. 二見伸明

    二見委員 六百七億円は、民間ならばちょっと苦しいから先に延ばしてくれよ、これはある。国と民間でそんなことをやっちゃいかぬ。  亀井さん、ちょうどいいや。防衛庁は六百七億円繰り延べしたのです。もし建設省の所管で、お金がないから、道路はつくってもらうけれども金は半分だよと言えますか。できないでしょう、そんなことは。
  108. 小村武

    ○小村政府委員 防衛費の関係につきまして御説明申し上げます。  先生御案内のように、防衛費は人件糧食費で約八割を占めておりますが、この中で、いわゆる歳出化経費というものがございます。これは、かつて契約したものについて、当然その支払い時期が来るわけで、先生御指摘のように六百七億円という繰り延べを行いましたが、これも一つの有力な歳出削減手段でありまして、関係者の御了解を得まして、先に繰り延べてお支払いをする。こういう行為を繰り返すことによって、実質的には歳出抑制のものとなる、つながるものでございます。  なお、防衛関係費につきましては、このほかにも一般物件費につきましてマイナスにするなど、その抑制に努めまして今回御提案を申し上げている次第であります。
  109. 二見伸明

    二見委員 別に防衛予算の中身を聞いているわけじゃない。そんなことができるのかと。国がちょっと、要するに金がないから先延ばしするというだけの話じゃないか、理屈をいろいろ言うけれども。そんなことをやっちゃいかぬ。こういう手法はいいと思っているのかどうか。これはやむを得ないとしても、こんなことはもう二度とやりません、そのぐらいの節度を持たなかったならば信用されませんよ。どうですか、総理、こんなやり方。こういう手法を今後ともとり続けていいのか。
  110. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 いいのかとお聞きをいただきますと、それは、なるべくそういう手法は用いないで済むにこしたことはありません。ただ、本年度予算を編成いたします中で、ある限りの努力をしていきます中に、万やむを得ざる処置の一つとしてこうした手法を用いました。本質的に、そうしたものがない、その方が望ましいことは御意見のとおりであります。
  111. 二見伸明

    二見委員 こういう手法はぜひともやめてもらいたいというふうに私は思います。  それで、財投についてちょっとお尋ねをしたいのですけれども、財投というのは、この功績というか、ゼロからスタートした日本経済を五十年でここまで持ってきた財投の功績は、私は非常に大きいと思う。しかしそれは、一方では、いわゆる隠れ借金ということでもって国や地方財政のしりぬぐいをしてきた面も全くないわけではない。例えば交付税特会四兆八百七十九億円、これは九年度末累計でそうなるようなのだけれども、こういう借金もある。国鉄の長期債務、これも財投が関係している。  そうすると、財投のあり方というものは、今まででいいのだろうか。過去五十年間の、半世紀の財投の功績は功績として評価しながら、これからそれでいいのか。これは本気になって考えてみる必要があるんじゃないか。  財投のシステムというのは、まず原資である郵便貯金と年金ですね。出口が国有林野事業特別会計などの九つの特別会計、それから住宅・都市整備公団、年金福祉事業団など三十九の特殊法人、日本下水道事業団など六つの認可法人、これが財投の対象だ。そして、入り口と出口の真ん中を束ねるのが資金運用部、こういうシステムになっている。  そして、出口の部分では、八年度当初予算では一兆八千五百八十二億円の税金が出口の部分に投入されている。入り口については、郵貯をどうするかという議論が今出ている。新聞の報道するところによると、加藤政府税調会長は、郵貯を十二地域に分割して民営化しろというふうにきのう主張されたそうだ。橋本内閣の中にも、郵貯の問題では一言持っている方もいらっしゃる。あっていいと思う。年金だって、もっと自主運用させてくれという議論が全くないわけじゃない。入り口は変わりつつある。出口だって、在来型の出口でいいのか、むしろベンチャーや何かの方にシフトした方がいいんじゃないか。しかも、出口の中には特殊法人統廃合の問題があって、出口も変わりつつある。  そうすると、そういうこと全体を見ながら、財投のシステム、仕組みというものを、総論ではあるけれども、入り口、資金運用部、出口、これを一体として見て、そして、このままでいいのか、ここはこういうふうに手直しした方がいいのか、そういう検討を私はする必要があるんじゃないか。今のままで結構ですというわけにはいかないだろう。それは、財投の方で年々いろいろスリムな、それなりに改善されていることは知ってはいるけれども、むしろここで財投そのものを、財投そのもののあるべき姿というものを見直してみる必要があるんじゃないか。総理あるいは大蔵大臣、どちらでも結構ですけれども、お考えを承りたいと思います。
  112. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど議員は財政構造改革の中で財投をお触れになりましたが、実は私はそれについてお答えで触れませんでした。重ねてのお尋ねでありますので、多少申し上げてみたいと思います。  議員は、財投の入り口から出口までという言葉を使われましたが、まさにその入り口という部分、すなわち財政投融資の主要な原資は、郵貯であり簡保であり、また年金の預かり金、保険料であります。そして、その主要な原資の一つであります郵便貯金というもの、これは高齢化の進展がとりわけ顕著な地域の住民などを含めまして、基礎的な金融サービスを全国津々浦々、公平に提供するといった意義があることはお認めをいただけると思うのであります。  同時に、そのあり方も、金融自由化に対応した金利設定など行われてきておると考えておりますけれども、いずれにしても、将来の問題として、国が一体どのような機能を果たすべきなのかという議論を我々はこれからしていかなければなりません。そして、その中において、財政投融資というものも検討の対象に当然なっていくべきものであります。財政投融資自身が、既にその改革を進めるという基本方針のもとに、対象となります分野、事業につきまして、まず民業の補完という視点、さらに償還確実性といった観点などから見直すと同時に、効率的かつ重点的な資金配分にも努めていかなければならない、そうした視点を持ちまして、現在、資金運用審議会の懇談会で本格的な検討、研究を進めていただく方向で準備をしているさなかでございます。  また、出口という点で特殊法人の問題に触れられたわけですが、本予算委員会が始まりましてかちも、幾つかの特殊法人を例示として、特殊法人の是非についての御論議が行われております。本来、それぞれの特殊法人が担っております政策そのもののあり方の問題ということではありますけれども、私は、特殊法人の問題というのは、また財政投融資の対象となっているかどうかということだけではなく、まさにそれぞれの持っている政策が必要か不必要かという点から議論をすべきものそのように考えております。
  113. 二見伸明

    二見委員 おっしゃるように、出口の特殊法人は特殊法人の一部であります。ですから、特殊法人すべてを見直し、我々は五年後にまず廃止を前提としてという主張を持っておりますけれども、いずれにしても、すべての特殊法人は当然見直さなければならない。それは財投の出口の改革にもかかわってくるというふうに私は思います。  それで、今実は資金運用審議会の話が出ましたね。私、そのことをどうのこうのじゃなくて、私はびっくりしたのは、行政を調べていくと、審議会というのは随分ありますね。各省でも気絶するぐらいある。私はその審議会を全部要らないなんて、そんなことは言わぬ。しかし、本当にこれは必要なんだろうかというものもある。ここで議論をしても、いや、審議会に相談してというふうに、場合によれば答弁の隠れみのにもされるし、責任の隠れみのにも審議会が利用される場合だってあるんです。  どうでしょう、全部の審議会というものを一度全部洗ってみて、これは残すべきだ、もうこれはやめてもいいのじゃないか、そんな整理を私はしてもいいのじゃないか。私はこれも行革の一環だと尽りし、行政を透明にするためにも要らないものはもう切ってしまう。そんなものがあるから、それがまた規制の温床になるのだから。審議会があることによって規制の温床にもなるのだ。大胆につぶす、そのぐらいのことを私は考えてもいいのではないかと思いますが、これはいかがですか。
  114. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先日来私ども、行政改革の一環といたしまして、行政改革プログラムというのを決めさせていただきましたが、その中にも、審議会は思い切って見直すという項目が入っております。  今お話しのように、私どもも、何か隠れみの的な存在である審議会もあるように見受けられます。ぜひそういうものは整理をしていきたいと思いますし、縦割り行政に従っている審議会がありますので、かえって縦割り行政の弊害が助長されている点もあるのではないかと思います。そういう面において、思い切って審議会をもう少し簡素にし、本当に必要な形での新しい時代に合った審議会にしていかなければならない。  きのうも加藤寛さんもその辺は、審議会は必要であるけれども、役人に利用されるような審議会ではなくて、審議会で本当に政策をいろいろ検討して、それを政治家の皆さんが、あるいは行政の皆さんがよく理解をし、認識をし、それが国政に反映されるような審議会ならいいのではないか、こんな話もありました。私どもは、そんなような意味で、新しい時代に合った審議会をどうしていくかということで見直しをしていきたいと思っております。
  115. 二見伸明

    二見委員 役人に利用されるような審議会であってはいかぬ、けだし名言です。私は、審議会がそういう役人の、言いにくいけれども、役人が世論をコントロールするために使う場合だってあるわけだから、審議会というものは、本気になってつぶすものはつぶす、ゼロベース考える、そのくらいの蛮勇を振るってもいいのではないかというふうに思います。それはぜひとも期待しております。  各論に入りますけれども、財政再建、財政改革元年、元年最初に取り組まなければならなかった大きな課題は、国鉄長期債務の問題だと思います。  私は、これを先送りしたということは理解ができない。私も、短い期間ではあるけれども運輸大臣をやりましたので、この問題の難しさ、この処理は本当に難しいと思うし、国の責任、政治家の責任、赤字ローカル線をつくった政治家の責任、国鉄労使の対立、土地の処分の失敗、それが今二十八兆円というとんでもない債務になっておるわけだけれども、今政治家も政党もこれを真っ正面から取り組まなければならぬ。  それで、運輸省で、どうすればいいかという処理の試算をしたことがありますね。ちょっと報告してください。
  116. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 平成九年度首におきます国鉄長期債務等の見込み額、これを約二十八兆三千億円と前提を置きまして、また新規借り入れにかかわります調達金利を三・二%と仮定いたしまして、この長期債務を三十年間で元本と利子をすべて返済するために必要な資金を試算いたしますと、一兆四千八百億円となります。毎年でございます。
  117. 二見伸明

    二見委員 毎年一兆四千八百億円、単純な試算といいながらこれは大変な数で、確かに見ただけで我々も腰を抜かします。だからといって、これから逃げたのでは、それは政治家の風上にも置けませんね、これは。先送りするようになったらこれは政治家の風上にも置けない。これは与党だけではなくて、野党でも我々も同じです。逃げた者は政治家をやめればいいと私は思います。  昨年七月十日の財政審の報告では、「旧国鉄の赤字累増の原因を再検証した上で、交通関係全般の中で利用者負担を求めるなど「新たな財源」を見出す工夫がないか。」二つ、「昭和六十三年一月の閣議決定において、「新たな財源・措置」については「歳入・歳出」の全般的見直しとあわせて検討、決定するとされているが、具体的にどの分野の歳出にメスを入れて財源を確保するべきか。」三つ、「このような歳出削減努力を行ったとしても、最終的にはより一般的な歳入面での担保も免れないと考えられるが、いかなる形、いかなるタイミングでの負担が適当であるか。」こういうことを報告では述べているわけであります。  結論的に言えば、交通関係全般の中で利用者負担ということになれば、JRから、JRも料金に上乗せしようとか、あるいは交通料金に上乗せしようとか、ガソリンに税金をかけようとかということがイメージされてくるわけです。歳出、じゃ、どこをカットするんだという議論になってくる。そして、結論的には増税も国民にお願いをしなきゃならぬ。どれを見ても嫌な話です、これは。苦しい話です。しかし、これはやらなきゃならない。  しかし、例えば私は、その中で基本は歳出カットを最優先すべきだと。歳出のカットもしないで料金の上乗せだ、ガソリンに税金をぶっかける、あるいは税だということは、国民が絶対納得しない。基本は歳出をカットする。簡単に言いますけれども、これも大変ですよ。運輸省の借金をなぜおれの省でしょわなきゃならぬのか、省と省との間のぶつかり合いも当然起こってくる、歳出だけ考えても。  私は、まさに総理が蛮勇を振るって指導力を発揮しなければならない場面がこの問題だと思う。そして、この問題は、来年には逃げられない、来年度予算には不歳出という形でもって計上されてこなければ、先送りになってしまう。総理、大変な大なたを振るわなきゃできないことです。お覚悟はいかがでしょうか。
  118. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員御自身が運輸大臣経験者として、その苦労を御承知の上で御意見をいただきました。  私どもは、昨年十二月二十五日の閣議決定におきまして、本格的な処理平成十年度から実施する、そのための具体的な処理方策の成案を平成九年中に策定するとしております。今、財政審の報告等の中から幾つかの項目を拾い上げながらの御議論がございました。こうした御意見も踏まえながら、今後、国民のコンセンサスを得られるような具体策の策定に最大限努力していきたいと考えております。
  119. 二見伸明

    二見委員 私は、新進党もこの問題に真っ正面から取り組まなければならないと思っております。ただこれは、ある日突然こういう負担ですよということを国民に言うわけにはいかぬ。  確認しますけれども、やはり私は、歳出カットをまず第一優先、この考え方に総理は、どこをカットするという話は別として、歳出カットするということを最優先に考えるということについては、私は御異存はないと思う。と同時に、今こういうことを考えているんだ、こういう選択肢があるんだということを私は国民にオープンにすべきだろう、これはすべての国民の利害に絡むことだから。むしろ全部さらけ出してしまう、そして国民にオープンにする中で決めていく、私はこれが必要だと思う。改めて総理のお考えを承りたいと思います。
  120. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、九年中に成案を得ると申し上げました。その上で、あえてなおお尋ねでありますなら、議員御自身が財政審の報告の中から幾つかの考え方を抜き取って御発言になられました。そしてその前段階に、現在保有しております売却対象の用地の処分、JR各社の株式の売却、そうした努力があり、同時に、事業を行っております人員、機構の整理といったものも財政審のお考えの中にあったこと、御承知のとおりでありまして、こうしたものを組み合わせながら、九年中に結論を得て、十年度からこれをスタートさせたいと申し上げたところであります。
  121. 二見伸明

    二見委員 その結論を出す前段、プロセスとしていろいろな情報を国民に提供すべきではないかというのが私が申し上げたことなんです。  それで、私は、これに関連して、整備新幹線の話になるんだけれども、これはまた難しい話だ。うちの党でも、やれというのと凍結しろといろいろあるんだから。それは自民党なんかも同じだ。これは国会議員全部、五百人も集まればみんな同じだと思うよ。そういうものなんだ、これは。  ただ、国鉄の長期債務、ただいまの試算によると毎年一兆四千億円ということになる。試算といいながら大変な額だ。そういう問題を抱えていながら、一方、整備新幹線の新規着工として百億円を計上された。これは着工しない場合には、今やっておる三線五区間に使ってもいいことにはなっているけれども。事業費は一兆二千億といっているけれども、経験則でいって、まあ二、三倍ふえますわな。二兆とか三兆にならざるを得ない。  私は、新幹線に対する地方の要望が強いことは骨身にしみています。大臣をやっているとき、私、言われた。北陸で、金沢で記者会見やってくれ。何を言うか。北陸新幹線全線フルですと言えば銅像が建つと言われた。そのぐらい私は新幹線を心から期待している人もいることもよくわかる。  しかし、財政改革元年と銘打ったことしになぜ決定しなきゃならなかったのか。長期債務の方は慎重に一年先延べた。それぞれの地元から拍手でもって迎えられるものはとんとんと決めた。私も、新幹線は要らないと言う者ではない、必要性を痛感していながら、なぜこの時期にこんなことやったんだ、一体財政再建というものと新規着工とどちらに優先順位を置いたんだ。私はこの基本的な考え方がわからぬ。いかがですか。
  122. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 新幹線そのものの前に、私は一つお聞きをいただきたいと思うのでありますが、私は、阪神・淡路大震災の残した教訓の一つとして、国土軸が一本しかない国の弱みというものをしみじみ痛感をいたしました。その意味において、私は国土軸は複数欲しいと今まで申し上げてまいりました。その軸が道路であるか鉄道であるか、また航空路、さらには海洋国日本として港湾を中心としたものであるか、その組み立てばいろいろありましょう。そうした中で、私は鉄道の役割というものを全く否定するものではございません。  しかし、今議員がおっしゃいましたけれども、よくごらんをいただきたいと思いますのは、整備新幹線の未着工区間につきましては、まず掲げておりますのは収支採算性の見通しであります。そして、JRの貸付料等の負担、並行在来線の分離についての地方公共団体の同意、そして何よりもJRそのものの同意、こうした基本条件が整えられていることを確認した上で取り扱いを厳正に覇断ずる、そのように申し上げております。安易についたという状況にはないと私は思います。
  123. 二見伸明

    二見委員 政府、与党三党でのそうした申し合わせがあったことは、私も承知をいたしております。だけれども、受けとめ方によっては、百億円が計上された、これはゴーだ、こう受け取るのが普通だと私は思いますよ。  総理は五つの条件を言われた。ということは、この条件が一つでも、きちんと国民に納得できない、国民の皆さんが、大多数の国民が、ああ五つの条件を見事にクリアしたなというものでなければ、これはスタートしない。九年はおろか十年だってスタートできるものではない。簡単にスタートするものではない。一応いろいろな要望があるからこうやって書いてはいるけれども、そんな簡単なものではないと私は思うのですよ。そんな簡単にできるものではない。私だって金があればきょうからフルをやれと言うよ。しかしそんなことはできない。  私は、この問題はじっくりとまさに検討してもいいのではないか。例えば、細かな話になるけれども、八戸と新青森、それから長野と上越、これはフル規格と決めましたね。それはフルの方がいいに決まっている。スーパーよりもミニよりもフルの方がいいに決まっている、そんなことは。  だけれども、一方運輸省では、軌間自由可変電車、これは何だろうといったら、車両は変わらないけれども、車輪が広軌のときは広軌で、そのまますっと縮まっていって狭軌を走れるんだ。トンネルや何かの関係で車体、車両そのものは大きくできなくても、車輪の変動することによって広軌の線路から狭軌に移ることができる、そういうものを開発しているのだということなんです。  そうすると、そういうことも念頭に入れれば、地元受けのするフルということを言う必要はないのではないかつむしろ、そういう技術開発も行われているんだから、与党三党の合意文書の別紙ではフル規格となっているけれども、空欄にしておけばいいんだ。ですから、改めてフルかスーパーかミニか、そうしたことも含めてもう一度十二分に検討してみる必要はあるのではないか、私はそう思いますよ。
  124. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 私の方から答弁させていただきます。  今、先生よく御承知だと思うのでございますが、あえてお尋ねだと思うのでございますが、確かに軌間自由可変電車、私も余り技術的なことは、専門的なことはわかりませんが、専門的なことになれば政府委員の方から答弁させますが、今先生お話しいただいているように、確かに在来線との、一々車輪を外さなくてもそのまま自由に軌道を走れるということを今開発いたしているのは事実でございます。しかし、これはあくまでもフルやスーパーの規格というのとは違います。そして、この軌間自由可変電車ということで走らせますと、やはり踏み切りだとかそういう状況の中にあるわけでございますので、どう考えても時速は百三十キロが限度じゃないか、こんなふうに私は聞いているところでございます。  フルは、やはり何といいましても二百六十キロ、そういう意味で、今度の政府・与党の申し合わせの中ではいろいろな観点から検討させていただいた中で、フルの規格、ぜひフルでやらなければいけない、そういう判断の中で申し合わせというものを合意させていただいているというふうに御理解いただきたいと思います。
  125. 二見伸明

    二見委員 これは政策とかなんとかというよりも、それぞれの価値観の問題がある。また地域のいろいろな要望、いろいろなものがある。だけれども、私はこの際、将来計画として全国を高速鉄道網で結ぶことについて異論はありませんけれども、また総理は、国土軸が一つであっていいのか、それは今既に国土庁でも、一つじゃなくて幾つかの国土軸を考えてそうした作業を進めています。そうした中で交通体系いかにあるべきかということも当然議論される。そうしたことも踏んまえながら、しかも十年度からは国鉄債務の償還で一兆数千億円という金が歳出としてか何か出ていかなきゃならぬ。  こういう状況を考えたならば、与党三党の取り決めあり、五つの条件はあるけれども、むしろ凍結するという勇気を持ってもいいのではないか。凍結するということが言いづらければ、この五つの条件は、甘いのじゃない、物すごく辛い、かなり厳しい査定をする、安易な着工はさせない、そのぐらいの決意があってもいいのではないかと思いますけれども、総理大臣の御決意はいかがでしょうか。私は、それも行革という面から見てもその一端になるのではないかと思います。
  126. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、冒頭にその収支採算性、その見通しというところから条件の御説明をいたしました。収支採算性に問題がないということが明らかであれば、これは私は必ずしも悪いものだと思わないのです。同時に、その収支採算性から始まります条件、私はそれほど甘いものだとは思っておりません。そして、その五つの基本条件が整えられていれば自動的にやりますとも申し上げておりません。基本条件が整えられていることを確認した上で厳正に判断、そのように申し上げております。
  127. 二見伸明

    二見委員 この議論はそれ以上発展はしないと思いますのでこの程度にしておきますけれども、一点、神学論争にならないようにやりたいと思っているのは、余り時間をかけないでやりたいと思っているのは、財政論議は重要だと言いながら、なかなかいま一つ緊張を欠くのは、やはり予算の修正についての政府のかたくなな態度だと私は思うのですよ。  日本国憲法のもとになったマッカーサー草案では、「国会は、予算のどの項目についても、これに承認を与えることなく、減額し、増額しもしくは削除することができ、または新しい項目をつけ加えることができる。」こうなっている。この議論は、かつてこの委員会でもしばしぱ行われました。福田総理大臣のときにかなり濃密な議論が行われた。だから、その議論の繰り返しは私はしません。しかし、そのときどういう統一見解が出たかというと、政府は、内閣の予算提案権を損なわない範囲内において国会の修正は可能と。じゃ項はいいのか、款はだめなのか、そういう議論がここであった。  この見解は、当時は自民党絶対政権であり、この政権は長期にこれからも続くという政治情勢下であった。しかし、今は情勢が全く変わった。国民のニーズもあのころから比べると非常に多様化した。羽田内閣もそうだったんだから別に皮肉を言うわけじゃないけれども、少数与党、少数内閣というものがこれから出てきても決して不思議ではない。そういう政治情勢がこれから生まれてきた。だから、野党が予算の修正案を出す、修正要求を出す、あるいは組み替え動議を出す、それが可決されるということだってないことはない。もちろん、そうならないように与党の方ではいろいろな政治工作をやるのは、それはわかるよ。政治工作の問題としていろいろ働きかけするのはわかるけれども、それはそれとして、野党の予算修正案、修正要求、組み替え、これが可決されるということだってこれからはあり得る時代に入った。そうなると、内閣の予算提案権を損なわない範囲内において国会の修正は可能という政府のこれは改めてもいいのではないか、一考してもいいのではないかというふうに私は思います。いかがですか、これは。これは法制局長官かな。
  128. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま委員もさきに御指摘になりましたように、昭和五十二年の二月の二十三日、衆議院の予算委員会におきまして、政府の統一見解が示されております。  重複をいとわず御紹介いたしますと、「国会の予算修正については、それがどの範囲で行いうるかは、内閣の予算提案権と国会の審議権の調整の問題であり、憲法の規定からみて、国会の予算修正は内閣の予算提案権を損わない範囲内において可能と考えられる。」このように統一見解を述べまして、その後変わっておりません。この問題は、日本国憲法五十年とともにあります非常に新しくて古い問題と申しますか、委員の御指摘の観点からは古くて新しい問題といいますか、どちらかわかりませんけれども、その後、現在もこの統一見解の線を維持しているわけでございます。
  129. 二見伸明

    二見委員 たしか私はこのとき予算委員会理事をやっていたような気がするものだから、これはよく記憶にあるんですよ。  長官、今予算の修正については政府の統一解釈があるだけで、特別法律的な整備はありませんね。もし、野党が予算の修正を提案し、それが議決された場合には、それは憲法違反になりますか。
  130. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 そういう抽象的な前提で、仮定の問題についてお答えすることは差し控えたいと思いますし、また困難であろうと思いますが、そもそも先ほど御紹介いたしました統一見解におきましては、要するにこの予算提案権を損なわない範囲という基準が示されておりまして、具体的にどういう事柄がその範囲内か範囲外かというものは、当時の議論を踏まえまして御紹介しますと、個々の事例に応じてケース・バイ・ケースで判断すべき問題である、このように説明してきているわけでございます。  しかも、現実に範囲外か範囲内かということを有権的に確定する第三者機関はない。要するに、国会と内閣が十分に協議して調整点を見出していくということが憲法上の要請であろうというふうに御説明してきているところでございまして、この観点から十分な調整がなされるべきものであるというふうに考える次第でございます。
  131. 二見伸明

    二見委員 この哲学論争はこれで終わります、どうせ同じ議論が始まるわけだから、一時間やっても同じだから。  だけれども、考えてもらいたいのは、例えばアメリカは議会が歳出予算法を定めている。大統領の予算案、これは参考資料だ。歳入法は別です。別の法律でやっている。イギリスでは、下院は予算案を拒否または減額修正することができる。歳入法は別の法律です。ドイツは、予算法で歳入歳出一体だけれども、増減額いずれの修正も可能、こうなっている。フランスは、予算法で歳入歳出一体だが、税収減や支出増の修正はだめ、税収減はだめ、歳出をふやすのもだめ、こうなっている。それぞれの国情があっているわけですけれども、より民意を予算に反映したいという工夫はなされている。  私は、日本でも今、日本は歳入歳出同額で一体という予算編成をやっている。これも例えば一つ考え方として、これは別個の法律にすれば歳出を検討しやすいな、こういう考え方が出てきて当たり前だし、例えば歳出を、無制限に歳出をされたのでは、これは後代にえらい結果になる。歳出増の場合はどうするか、認めるのか認めないのか、あるいは大枠として、全体としての歳出増は認めないけれども、これを削ってこちらをふやすとか、そういうことならばいいとか、そういう、先ほどまさに内閣と国会で話し合いだというのがあの当時の話でしたね。  その話し合いを具体化するためには、単なる話し合いではなくて、そうした法律をつくっていく、私はこれが大変大事なんだと思う。これは議員立法でやるのがいいのか、あるいは内閣と国会で相談しながら、修正する場合にはどうするか、そういう議論が私はあってしかるべきだと思う。これは法制局長官ではなくて、一つの政治判断になるので、私は総理の政治判断としての御見解を承りたいと思います。
  132. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、幾つかの国の例をとって、それぞれの違いを踏まえた上でのお話がございました。確かに、予算の収支不均衡型といった制度を採用している国があることも事実です。しかし、その収支不均衡型でありましても、歳出が歳入を超過すれば、結果的にはそれは財政赤字となっていく。その意味では、私は、本質的な予算制度の持つ意味というものは変わらないと思います。  そして、その上で、私はそれぞれの国が自分の国の歴史の中ではぐくんできた制度を持っておると思いますが、日本の場合には、歳出の財源となる歳入に公債金収入を含めて予算計上する、そして収支均衡というルールがございます。そして、私は、そうした視点を踏まえますときに、今法制局長官から当時の、ちょうど議員は理事でおられたということでありますけれども、まさに濃密な議論の結果政府としてお示しをした見解を変更する必要はないと思います。
  133. 二見伸明

    二見委員 私は政府の統一見解の変更とかなんとかということは、その議論をすると一時間も二時間もかかるから、それはさておいて、政府と国会で相談すべきものではないかという、そういう議論もあったわけだから、じゃどの程度までなら修正が可能なのかどうか、それはきちんと法律で決める必要があるんではないか、そういうことも検討してもいいんではないか、具体的にやるべきではないかというのが私の提案なんです。私は、まあ御答弁はともかくとして、そういう提案があったということをそれなりに受けとめていただきたいと思います。  時間があと二十分しかないんだな。防衛問題とともにビッグバンをやりたいと思っているんだけれども、話をはしょって言います。  日本版ビッグバンだけれども、これはどうもどういう形なのか、いろいろ異論がありましてね、わかっているようでわからぬ。わかるのは、フリー、フェア、グローバル、これはわかる。どうなるのですかというとわからない。  どうも私の乏しい、鈍い頭で考えると、こういうことなのかなと。金融持ち株会社というものがあって、その下に、要するに業態の垣根がなくなるわけですから、言うなれば金融持ち株会社をヘッドとしたいわゆる金融総合会社というものができるのかな。それは日本の金融総合会社かもしれないし、あるいは日本の金融機関が全部追い飛ばされて、淘汰されて、外国の金融総合会社ができるのかな。そういうことなのかなと。もう一つは、一定の要件さえ合えば、リース業だろうと何だろうと銀行業務、証券業務に自由に参入できるんだな、だれでもやれるよ、こういうことなのかな。  細かい点はいろいろありますよ。細かい点はいろいろある。でも、それは別として、でき上がった姿はそういうものなのかなと思うのですけれども、まあ、いろいろ細かい点では問題があるとしても、大体そういうことであるならば、そういうことだというふうにお答えいただきたいと思います。
  134. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 フリー、フェア、グローバル、私は申しました。それを簡単に申し上げますなら、一つは、市場原理が働く自由な市場ということでありまして、当然ながら参入、商品、価格等の自由化というものを意味します。  また、フェア。これは透明で信頼のできる市場というものを意味したわけでありますが、これにはルールの明確化、透明化、同時に投資家の保護というようなものを含むことになります。その反面、自己責任原則というものもきちんとしていかなければなりません。  そして、国際的で時代を先取りした市場というものを目指します中で、法制度がまず変わらなければなりません。会計制度、そして監督体制を整備する、こうしたことを行っていく必要があろうと思います。その結果、自由な市場が生まれるという手順になりましょう。
  135. 二見伸明

    二見委員 金融改革のキーワードはグローバルスタンダード、国際基準ですね。それは、今までの護送船団方式というぬるま湯につかってきた金融機関が、場合によっては淘汰される。ロンドンのビッグバンのときには大変な淘汰が行われたわけですから、日本でも日本型、二〇〇一年、前倒しになればもっと早い時期になるけれども、日本の金融機関が当然淘汰されることはあり得ると思う。  ところが、全般的にどうも日本の銀行、金融機関は危機感が薄い。だけれども、その危機感の薄さが、不良債権や何かいろいろ抱えていることも大きな原因だけれども、ビッグバンができたときには日本の銀行はつぶれることもあるかもしれないよ、このままいけば。そういう危機感がない。私は、株安、特に金融、銀行株ががたがた下がっている原因はそこら辺にもあるのじゃないかというふうに思うのです。  日本の金融機関、銀行、今までと違うよ、下手をするとつぶれるよ、今から準備しなければつぶれるよ、そういう厳しいものだというふうに私は理解しておりますけれども、いかがですか。
  136. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、つぶれるよという答弁は申し上げません。ただ、当然のことながら、そうしたシステム改革を行えば、利用者にとっては本当に多様な商品、サービスを選択することは可能になりますけれども、各金融機関にとっては、規制に安住して、横並びで安住していく戦略というものは存在しなくなります。当然ながら、一層それぞれの特色を生かしながら、自分のところのお客様のニーズに合致した多様な商品、金融商品、サービスを提供しなければならない。私は、こうした問題意識のもとに、当然のことながら経営戦略を見直されたり、あるいは経営の合理化、効率化に真剣に取り組んでいただいていると思いますが、もしそうでなければそうした努力を必ず払っていただきたいものだと思います。
  137. 二見伸明

    二見委員 民間の金融機関、銀行、金融機関が危機感が薄い。ある日突然気がついて騒ぎ出す。そうすると、五つの審議会、調査会でそれぞれが議論していますね。いよいよまとめの段階になったどきに、個別の業界から、たまらない、助けてくれというので、このままじゃおれは死んじゃうなんていうので泣きついてきて、二〇〇一年を目標にされているけれども、それが先延ばしにされるようなことも全くないわけじゃない。むしろ金融機関には、ぼやぼやしていたらどうなるかわからないぞ、淘汰されるぞという厳しい忠告を与え、ビッグバンが一日も早く前倒しでできるだけの、金融機関側にもその覚悟は私は促すべきだ。五つの調査会、審議会で議論しているだけでは、とてもじゃないけれどもおさまりがつかないのではないかというふうに思います。それが一つ。  それと、今度外為法が変わりますね。これはいいことだと思う。ただこれは、ビッグバンのフロントランナーですね。外為法の改正によりまして、海外の銀行に円預金の口座を自由に開設できることになりますね。それに伴い、例えばロンドンに開設した口座を通じて日本の株の取引ができる。ロンドンで日本の株の売買ができる。ロンドンはたまたま有価証券取引税、有取税はない、手数料も安いので向こうでやった方がいい、こういう動きも当然出てくる。もちろん、有取税がないかわりにほかはありますよという議論は当然あるとしても。  いずれにしても、ニューヨーク、ロンドン、そのスタンダードに東京の市場も合わせなければなりませんね。そうすると、これは来年の四月にスタートするわけだから、来年の四月までに有取税の廃止も含めて金融関係の税制というものを国際基準に合うように改正しなければならないのじゃないか。それが結果としてはトータルとして税負担の軽減、税というか負担の軽減に当然なるのだろうというふうに私は思いますけれども、この点については、これは大蔵大臣かな。
  138. 三塚博

    ○三塚国務大臣 前段、銀行は危機感がないのではないかという反語として、主管庁として、また政府としてその辺の意識改革がいまだしてはないのかという御指摘もありますね。  本件については、既に銀行協会幹部会、損保協会、保険協会、証券業協会、会いまして、なぜ今ビッグバンかという、イコールこれは金融システムの改革、安定なのですね。そういうことで、グローバルな形になりますよ、ニューヨーク、ロンドン並みですよ、そのことは終局的に、円の価値が三基軸通貨という仲間にどかっと座ることによりまして我が国経済は安定をしていきますねと。これは厳しく言っております。そのことが逆に金融関係株が売られるという、効果として株安が起きておる、こういうことにもなる。これは外電のフィナンシャル・タイムズ、いつも出しますけれども、正確に見ておられるなと、私はそう見ております。  そういうことで、今後、そんな中でグローバルならば、これは税金の問題、有取税、本件はネーミングの違う形で、イギリス・ロンドンは印紙税、それからニューヨーク、ここは総合課税ということで行われておることであります。二見議員の言わんとすることは痛いほどわかります。これをやらなければならぬというときは、証券業界全体の税制を見て、あるいは法人税も見て、総合的に判断をしていくことになろうと思います。
  139. 二見伸明

    二見委員 くどいようですが、それは、来年の四月までに間に合うようにその整備は当然されるわけですね。
  140. 三塚博

    ○三塚国務大臣 これは税制調査会、それから国会の論議、その大前提である国民の声、こういうものを大事にしながら取り組むということになりますから、予算審議が盛んな今日でありますし、この衆参通しての審議の御意見、御提言、そして常会中の各種委員会におけるこれまた御審議の御提言、御意見、これに付随して国民の論議が盛んになるわけでありますから、それを総合的に判断をし、総理大臣とも相談をします。
  141. 二見伸明

    二見委員 三塚大臣の演説を聞いていると、何となくわかったようでわからなくなりますな。  最後に、十分しかありませんので、防衛問題についてお尋ねしたいと思います。  これは、日米防衛協力の指針の見直しの問題です。  橋本総理大臣とクリントン大統領は、昨年の四月十七日、日米安全保障共同宣言で、一九七八年の日米防衛協力のための指針の見直しをすることで意見が一致しました。現在、その見直し作業が行われております。  見直しの内容は、昨年六月二十八日に、平素から行う協力、日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等、三番、日本周辺地域において発生し得る事態で、日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力。その場合、協力の対象となり得る機能、分野は、一つ、人道的救援活動、二つ、非戦闘員を避難させるための活動、三つ、米軍による施設の利用、四つ、米軍活動に対する後方地域支援、まあ新しい言葉です、これは。それから五番目として、自衛隊の運用と米軍の運用、こういうことが例示されております。  こういうことでもって日米間でいろいろな協議が進められている。私は、今のこの段階で細かいことまで全部明らかにしろとは言わないけれども、これは大変大事な問題でもありますので、基本的な考え方だけは明らかにしてもらいたい。  一つは、日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等について、昨年九月十九日の日米安保協議委員会の報告では、これまでの実績の積み重ねを基礎としつつ、現行指針策定後の諸情勢の変化も踏まえ、所要の見直しを行うこととする、こうなっている。これは、見直しをした結果、日本国内に法的に不備な点があれば整備をいたします。いわゆる有事法制というものに着手するということがなければ、見直しで意見が一致した、しかし実際行動はとれないとなる。法律がなくて実際行動を何かやればこれは超法規だ。私は、超法規はどんなことをしてもやってはいけない、ということになれば、今のうちにきちんとした、結果を踏まえた、国内的に法律の整備、どこをどうしろというのじゃなくて、法律の整備はその意見の一致を見た結果として、これは当然やるべき筋合いのものだというふうに私は思います。  それと、それに関連して、例えば昨年、日米物品役務融通協定、ACSAが日米共同訓練のときはオーケーになりましたね。そうすると、この日米のガイドラインの見直しの結果、ACSAというものをこのままでいいのか、あるいは有事に対応できるように改定をするのか、あるいはACSAはそのままにしておいて、国内法で整備できるものならば整備をするのか、どういうふうに整備するかはまた別として、そういうことも私は当然出てくると思う。その点についての考え方も私は示していただきたいと思う。こういう議論はしたんでしょうかね。するんでしょうかね。  日本の平和と安全に非常に重要な影響を与える極東有事、何かあったとすれば、これは日米両国で対処するということは恐らく蓋然性は少ないんだろう。むしろ、国連の決議に基づく多国籍軍型の活動に対してどういうふうなお手伝いをするかということの方が可能性は多いんではないのかな。そんなことももし議論をしているのであれば議論をしていると。しかも、この点は日本が今まで手をつけなかったところですから、非常に難しい微妙な問題です。その点についてはどうなっているかということもお尋ねしたい。  そして私は、これはぜひとも総理大臣に決意のほどを語ってもらいたいんだけれども、この見直しはことしの秋にまとまることになっている。十月か十一月にまとまることになると、逆算してかなり早い時期に、ことしの春、五月とか六月とか今国会中に、大枠で合意をしたことについて今こういうことを議論しております、中間報告的にこういうことを議論しておりますと国会に報告する、国民に投げかける。そして大きな国民の世論を巻き起こす。もちろん反対もあれば賛成もあればいろいろなものが出てくる。そうしたことを半年ぐらい時間をかけて、そして最終的なまとめに入る、そういう手順が必要なのではないか。また、そのぐらいこの問題は、密室でやるのじゃなくて、ある日突然こう決まりましたじゃなくて、プロセスも、それはもちろん言えないことはあるだろうと思うけれども、そうしたプロセスをオープンにするということも大事なのではないか。  時間がありませんので、はしょって質問しましたけれども、とりあえずお答えをいただきたいと思います。
  142. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず、ガイドラインの見直し作業でございますが、これは今秋までに一応結論を得る、それをめどに作業を進めておるところでございます。  その結果、法律の見直しが必要になるのじゃないかという点でございますが、これは現在検討作業中でございますから、現段階では何とも申せませんけれども、いずれにしても、検討結果によりまして適切に対応しなくてはいけない、もし法律の改正を要することが出てくるならば、それはそのような手続がとられなくてはならない、このように考えております。  それから二番目に、いわゆるACSA、日米物品役務提供協定との関係のお話がございました。  現在の協定は、御指摘もございましたように、日米間の共同訓練あるいはPKO活動、国際的な支援活動に関するものでございますが、それ以外のケースについてのこのような物品や役務の相互融通みたいな仕組みがあるかどうかというお話でございますが、その点につきましても、私ども今これといった方向を持っているわけじゃございません。ガイドラインだけではなくて、日米間でのいろいろな協力のあり方というものをこれから検討していかなくてはならないとは思いますが、その中でどういうものがこれから出てくるかということはまだ申し上げる段階にはございませんけれども、少なくとも、現行の協定は共同訓練ともに限定されたものとしてこれからも続けていく、こういうふうに現時点では考えておるところでございます。  それから、先ほど申しましたように、ガイドラインだけではなくて、日米の協力のいろいろなあり方も検討しなくてはいけない。それから、有事といいましょうか、我が国の平和や安全に大きな影響を及ぼすような状況が出てきたときにどういうふうに対応するか。これは、日米協力だけじゃなくて我が国として、あるいはお話のございました国連等との関係というものもございます。そういった問題についても我々広く議論をしていって、そうして国民の皆様方の御理解も得ながら、必要な法的措置をとるというようなケースが出てくれば、その段階でまた国会等にもお上げしなくてはならないのだと思っておりますけれども、今の段階で具体的にそういったものが浮上してきているというわけではございません。  それから、国連との関係は、従来から、新防衛大綱にも書いてございますけれども、国連のとる諸活動と連携をとりながらやっていくということは我が国の方針の中の一つでございます。ただ、それが、多国籍軍ということをおっしゃいましたけれども、多国籍軍というのは、これは個々のケースによっていろいろ違います、性格も活動も。したがいまして、一般論としてどうこうと申し上げることはできない。ただ、国連の諸活動とはということは申し上げられると思う、こういうことを御答弁したいと思います。  それから、今国会中にも、検討作業の大枠でも国会に示すべきではないかというお話がございました。先ほど冒頭に申しましたように、この秋をめどにガイドラインの検討作業、進捗中でございます。そのほかの面でのいろいろな検討も進めなくてはなりません。したがいまして、どういう段階でどの程度のものをお示しできるか、現段階で何とも申せませんけれども、事柄の性格上、性質上、当然のこととして国会あるいは広く国民の御理解もちょうだいしなくてはいけない安全保障の問題でございますので、また将来にわたって、御指摘のような論点も踏まえながらよく考えてまいるべきものと考えます。
  143. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今外務大臣が申し上げたことに尽きておりますけれども、事柄、本当に微妙です。それだけに、正確な全体を国民にお知らせをする、そして御理解も願いたい、御論議も願いたい、発表にふさわしいタイミングというものを選ばせていただきたい、そのように思います。
  144. 二見伸明

    二見委員 終わります。
  145. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。  次に、太田昭宏君。
  146. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 新進党の太田昭宏です。よろしくお願いします。  行革、財政再建の論議の中で、税の大盤振る舞いであるとかあるいはむだとか、公共投資について批判が多いと思います。もちろん私は、必要なものは必要と、亀井大臣がよく言われますけれども、何も悪玉というようなことでは考えておりません。ただそこで、めり張りをつけるといいますか、そういうことが非常に大事なことだというふうに思っております。問題点が確かにいろいろあって、整理をしなくてはいけないと私は思います。  例えば、財政再建といいながら、本年度予算を見ましても九兆七千億円もの予算がついて、たびたび指摘されることなのですが、補正でこれを加えますと一六%の伸びになるというようなこともありますし、聖域はないというわけですから、その辺をどうするかということも冷静に私は論議をしなくてはいけないと思います。また、六百三十兆円の基本計画やあるいは長期五カ年計画が決まって、これが大枠となって枠をはめてしまって、それ自体が、時代が変わってきたわけですからどうするかということも大事な問題だろうと思います。  また、最近よく新聞紙誌に出ているのですが、むだが極めて多い、きょうの新聞にも大きく出ているというようなこともありますから、これは額は少ないというような面もかなりあるのですけれども、これをどうするかということが国民に対しての我々の責務でなくてはならぬというふうに思います、明確にこれは答えなくてはいけないことだと。あるいはまた、本来、公共事業が国家戦略というものに基づいてどうされるかということが必要なのですが、どうも日本をこう持っていくというようなそうした国家戦略というものが見えないということもまた、これがむだだというようなこととかばらまきという批判につながってくると思いますから、答える必要があると思います。  さらに、景気対策としての公共事業はもうやめようという声も非常に強いわけで、本来の公共事業のインフラ整備という起点に立った上で、その上で景気との関連性をどう考えるかというそうした論点もあろうかと思いますし、さらに単価の問題とかさまざまな問題があろうかと思います。  そこで、まず初めに、総理は公共事業は聖域としないとたびたび発言されておりますが、今私が申し上げたような一つ一つの問題について踏み込んで見直していく、大枠で聖域はないというよりも、一つ一つの、そうして批判のあるということについてしっかりと明確な答えを整理して出していくという、これが私たち大事ではないかというふうに思っておりまして、その辺の行革や財政再建上、方向としては大いに切り込んでいくという総理考え方、削る方向だ、このように受けとめてよろしいでしょうか。
  147. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、議員が大変幅広く問題を提起されましたそれぞれの問題指摘部分については、それを否定をいたしません。そうした問題点があること、論議があることをすべて認めた上で、私は二、三申し上げたいと存じます。  確かに、公共事業に対して大変いろいろな議論がございます。そして、その中で、むだの多いと言われる指摘、これは全力を挙げてそのむだと言われるものを省いていく努力をしなければなりませんし、当然のことながらその中にはコストの問題もありましょう。  そして、公共事業のコストにつきましては、実は私自身が、こんなにいろいろなものが絡んでくるとは思わなかったんですが、こうして公共事業のスタートから仕上がりまでをチャートにして、どこの省庁がどんな格好で絡むかを、私余り詳しくなかったものですから、つくらせてみて愕然としました。そして、建設費に影響を与える要因というものがこれだけ大きいかということを改めて感じました。  そして今、一月二十一日に公共工事コスト縮減対策閣僚会議というものを発足させまして、工事のあらゆる段階での制度あるいは手続の改善とか合理化などを含めて関係省庁全部が幅広く検討しながら、今年度末、すなわち三月三十一日までに具体的な数値目標を含む政府全体の行動指針をつくるということを指示いたしました。  こうした取り組みの中で、手続の改善あるいは合理化等、業者の方々のコストまでを含めて、私は、縮減していく効果はあると思います。また、行政監察等で今まで公共事業について指摘を受けてまいりましたようなむだというものを省いていく努力、これは当然やっていかなければなりません。  同時に、我が国がまだ社会資本の整備が必ずしも万全ではない、そして、社会資本整備が、我が国の国民生活を安全で快適な生活環境をつくっていこうという場合に、また、新たな経済基盤をつくり上げていこうとした場合に、なお投資を必要とする部分であることも、社会資本整備という視点から議員もこれはお認めのいただけることだと思います。問題は、その重点の置き方といった御指摘があろうかと思いますが。  本年度予算の内示、原案の発表前に、公共事業主管閣僚それぞれに対しまして、事業がばらまきにならないように、例えばハブ空港あるいはハブ港湾あるいは高規格幹線道路に重点を志向するとともに、着工箇所数をふやすのではなく、一つずつの工事の期間の短縮に全力を挙げてほしいという指示をいたしてまいりました。今後ともにこうした努力を重ねていくとともに、特に、公共事業のうち大規模なものについて、必要に応じてその事業の内容とか必要性についても再評価を行う、そういった努力を通じて全体を整合性あるものにしてまいりたい、そのように思います。
  148. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 聖域にしないということがたびたび言われるんですが、これは社会保障とかいうことでもそうでしょうか。
  149. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 予算の費目として、社会保障関係諸費、また公共事業、文教及び科学技術、防衛、大きく目立つ項目はそうしたものがあろうかと思います。それぞれをやはり聖域とすることは私はできない、これは全部が見直しの対象になるべきものだと思います。
  150. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 重ねて申しわけないのですが、ウルグアイ・ラウンド対策費ももちろん聖域としないという判断でよろしいですか。
  151. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ウルグアイ・ラウンド対策経費だけに限定するのではなく、農業関係、農、林、水産業関係もその意味では聖域ではないと私は思います。
  152. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 総理もおっしゃいましたが、国家戦略、グランドデザインというのが確かに私は非常に大事だと思います。人口が急激に高齢社会にこれから向かっていくということからいいましても、かなり早いスピードでインフラ整備をしなくてはならないということは当然だろうし、また、日本の国土事情というのが先ほどの質問の中にも出ておりましたが、確かに、山が多く災害も多いということからいきますと、私たちは総合的な観点からのかなりのインフラ整備ということに努めなくてはならぬと思います。  私は学生時代、耐震工学の研究室にいたんですが、阪神大震災等を見ましても、直下型で、マグニチュード七・二、しかも軟弱地盤があって、高度に発達した都市があって、山合いが迫っている、五つの悪条件というのは世界でもなかなか類例のない大変な地震であったと思います。朝五時四十八分という時間帯だけが少しは救われたという点であったと思います。  このときに私は感じたんですが、耐震上、あそこでは活断層ということがよく言われるんですが、地震波が淡路島の北端から走って、そして活断層上だからああいうような被害が起きたというようなことだけでなくて、地震波が最初に六甲に当たって、それが戻ってくる、そこに次の地震波がぶつかるということで、ちょうど、なぎさ現象というんですけれども、そういうようなことも含めてああいう事態が起きたということを、まあ学者によっては言うわけですね。  ビルなんかでも、四、五階が崩れる。これは地震波が入ったときに、自由度というんですけれども、波打ちながら揺れるわけですから、ちょうど人間で言うと、簡単に言えば腰の部分というのに一番負担がかかるというような考え方をする人がいるんですが、今のなぎさ理論的に言うと、地震波がある、天井に当たっておりる、それがまた次の地震波で真ん中でぶつかるというようなことも言われているんです。  そういうことからいいますと、道路のつくり方一つ一つについても、ああいうような東西だけの道路でなくて南北の道路というものがあそこにあれば、例えばドイツのアウトバーンのように、安全保障上の観点からいってもそういうような重層的な道路網の整備というようなことも、私は非常に大事だというふうに思っております。  ただ、先ほどから総理がおっしゃっている、その教訓から国土軸というのは一つだけではだめだと言いますが、私は、今国土審議会が言っている国土軸の概念というのは、これはどちらかというと、太平洋ベルト地帯とかほかにもという四本の国土軸ということで、南北の道がという観点と全然違うと思いますが、その辺、これは確認だけ、どういう意味で一つの国土軸ではだめだという先ほどからの発言でしょうか。
  153. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 多少時間をちょうだいして申し上げたいと思いますが、今なぎさ現象という、私、初めて教えていただいたことでありますが、震災後、入りましたときの私の疑問点の一つが教えていただけた、これはお礼を申し上げます。  当時、私は通産大臣という役にありました。そして、当初の私にとって大きな仕事は、ライフラインの、特に電力及びガスの復旧だったわけであります。同時に、仮設工場をつくり、事業の再開にどうして協力ができるかということでありました。  しかし、その後、次第次第に残ってきました影響として、通産省の分野で一番影響を受けましたのは、たまたま鉄道で結ばれていない、道路で結ばれていないということで沖縄県の影響は比較的早く消えたのでありますが、鹿児島から北海道までの物流の影響でございました。  そして、その中には、当然ながらお得意様が被害を受けられた、納入先が被害を受けられたというものもありましたけれども、東西の交通が分断され、荷物が動かない。相当程度鉄道あるいは道路が復旧いたしましても、復旧復興資材の搬入、瓦れきの搬出というものにそのキャパシティーの相当部分をとられ、通常の商品の移動にこれは非常に大きな困難を来した。これは人の移動においてもそうでございました。そして、中小企業庁を通じて影響調査をいたしますと、大きな金額ではないかもしれませんが、個々の商店の売り上げ等に随分長い影響が残りました。  ですから私は、日本海側を通じたもう一つのラインが欲しい。国土軸が欲しい。もちろん太平洋側にも複数のものができればそれにこしたことはないと思っておりますし、同時に、それを肋骨状に結ぶ道が欲しいということを申し続けております。
  154. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 国土軸の問題はまた別の機会に論議をしたいと思いますが、先般、情報通信関係をずっとやっている先輩に会いましたら、とにかく日本から四つのハブが逃げていると。人、金、物、そして情報、今日本は大変であると。この人、空港、物、港、金、金融、そして今、本当に世界は固まって一つの大きな情報化社会というものの中のある意味では戦争状態に入っているかもしれません。そうした四つのハブが日本から逃げていると。そこの国家戦略といいますかグランドデザインというのを、なぜ日本の政治家は明示しないんだ、そういうことを大変強調されていたわけなんですが、運輸大臣、空港とかあるいは港、きょうの新聞にも出ておりますが、これは漁港の問題で運輸大臣の範疇ではないかもしれませんが、これから、そういう意味での、アジアの中の日本という上からのハブという観点に立った、どういうグランドデザインを立てるのかという基本的な哲学というのが、この間、三日前か四日前の新聞にも、それが港湾行政にはないんだという指摘が強くされていたんですけれども、どのような基本的な哲学を持ってやられようとしているのか、お聞きしたいと思います。     〔委員長退席、小里委員長代理着席〕
  155. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 お答えをいたしますが、御案内のとおり、国際社会はますます進んでまいっておりまして、人流、物流、まさに空港、港湾というのは、そういう意味で基本的な公共施設であろうというふうに思っております。国際競争がますます激しくなる中で、我が国の産業の活性化、また生活の質の向上、こういったことを考えてみますと、やはり空港、港湾というようなものに国家的戦略と申しますか哲学がなければいけない、先生おっしゃっている御指摘、そのとおりだと思っております。  また、平成九年度の予算につきましても、再三この委員会総理みずから御答弁もいただいておりますように、効率的な、重点的な整備ということを御指示いただいているわけであります。  空港につきましては、そういう観点で、新東京国際空港、関空、この二期目の事業、そして大都市圏の拠点空港、こういったところに重点的に最優先として予算を計上させていただいているところであります。  港湾につきましては、今アジアの話が出ましたけれども、残念ながら大水深コンテナターミナルというものの整備が大変おくれております。そういうところに着眼いたしまして、まず大水深コンテナターミナルの整備を最優先として、効率的な、そして重点的な整備を図っていこうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今後、社会経済、あらゆる情勢を踏まえながら、今先生御指摘いただきましたようなことを十分勘案しつつ、港湾、空港の整備につきましてはさらに効率的、重点的な予算の執行に努めてまいりたいと思っております。
  156. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 金融という面からいえば、端的に一つだけ聞きますが、有取税というのは廃止をすべきではないですか。
  157. 三塚博

    ○三塚国務大臣 先ほど二見議員にも若干考え方を申し述べました。  これは税制の構築の中でちょうだいをいたしているわけでございまして、たびたびそういう御意見が本委員会でも出ております。全体の市場の税制のあり方ということ、これはビッグバン、二〇〇一年でございますが、それを前倒ししてでも整備していこうというのは、首相の見解でもございます。  外為法改正、フロントランナー、今国会に提出、ぜひ御成立をいただきまして、来年の四月一日、こういうことで、オープンでグローバルなそういう市場を目指す。そういう中で、当然お金、金融のあり方が大事でございますから、先行のニューヨーク、ロンドンと、よくにらみながら進む。しかし、ロンドンはロンドンで印紙税で大体有取税に見合うものが賦課されております。総合課税のアメリカ合衆国ニューヨーク市場、こういうことでございます。  ただいまは、平成九年度税制改正の基本を踏まえた予算編成が行われ、御審議を賜っております。そういう点で、その点は本常会が終わるころ、終わりましてからになりますでしょうか、本格的な政府税調、国民論議が起きることを御期待を申し上げている、こういうことであります。
  158. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 有取税については、総合的な観点も、それはそちらの手順なんでしょうが、四つのハブということもそうなんですが、とにかくそういうことで国民の間には相当いらいらが募っていますよ。  それを受けて、重ねてもう一遍聞きますけれども、有取税だけでも前倒しして検討するというわけにいきませんか。
  159. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本件は、いらいらの原因は、さまざまな要素の中で東京株式市場がありますこと、明敏な太田議員、とうに分析をされておるところであろうと思うのです。しかし、警告は警告として受けていかなければならぬことは当然であります。  そういう中で、もっとその原因になっておると、私は分析の結果そう思うのでありますが、不良債権に伴う金融機関に対する不透明感、不安感というものが醸し出されておるなという感じを昨今種々のデータ、情報で痛感をいたします。ですから、内閣は、昨年の金融三法ではございませんが、日本の金融不安を解消するために最小限の手だてを講じたわけでございます。最小限といいましても、公金を最低にしまして、自助努力、リストラ等を行うことの督励をいたすことによりまして、不良債権は御案内のとおり解消し、二〇〇一年には完全解消に向けてスタートを切っております。また、そのスピードであると判断をいたしておりますものですから、この金融不安、不良債権に伴う金融不安というのは、私は、今日いろいろな方が言われておりますが、存在しないと見ております。相当な努力が行われ、リストラが行われておりますということであります。  個々の銀行のことには言及をいたしませんが、それはそれとして、全体が真剣な努力、ビッグバンが二〇〇一年、前倒しで来るなという危機感の中もありまして、会社の基盤を築き、地域の期待にこたえ、預金者の安心を得たいということで、おのおのが血のにじむ努力をしておるということを申し上げて、直接の答弁にならぬじゃないかとおしかりを受けるかもしれませんが、有取税については、市場全体の税制の中で真剣に検討をしてまいります。
  160. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 自分でそういうことを言われてしまっては困るのですが、私の今の話について、ぜひともそれは検討していただきたいし、景気の認識あるいは株価の低落というものについて私は全く違う考え方を持っていますから、そこだけ注文しておきます。  六百三十兆の公共投資基本計画の見直し問題は、何度も言われたことなのですが、六百三十兆の規模と財政再建ということについてはほかの議員も言いましたし、私、三つだけここで申し上げたいと思います。  まず大事なことは、この六百三十兆が内需拡大という基本的な考え方の中で行われたものである。九三年にはアメリカの対日経常赤字が五百億ドルですから、そういう点では、九四年六百三十兆というバックグラウンドには当然そういうものがあったと思います。内需拡大のための六百三十兆という計画は、既に今の状況では全く時代が、状況が違うわけですから、内容面からいってこれを見直すということは私は当たり前だというふうに思います。  また、今度二十一世紀に向けてどうするかということを考えてみると、情報通信にもっとシフトした方がいいとか、あるいは、公共投資の定義の問題にもなりますが、研究機関とかそういうことも公共投資として範疇に置いて、幅を広げた二十一世紀に向けての六百三十兆の内容の見直しということが大事で、そのことについての具体的な動きを開始をしていただきたいというふうに私は思います。それは、まずとりあえず六百三十兆なら六百三十兆ということを前提にしても、私は内容において見直さなくてはいけない。  郵政大臣、例えば情報通信産業ということにもっと力を入れなくてはならないという動きがこの六百三十兆とかいう中に十分反映しており、また、本年度の予算とかそういうことに入っておりますか。
  161. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 後ほど郵政大臣に御答弁いただくとして、まず公共投資の基本計画につきましては、確かに当時のSIIとの関係がいろいろあったにいたしましても、その基本の大前提は、いわゆる本格的な高齢化社会、少子化に伴います高齢化社会が来るときに当たって、今の間にきちんとした社会資本整備をやっておかないと、そのときになりますととてもじゃないけれども活力が失われるということで、今のうちにやっておかねばならぬというのがもともとの話だった、私どもとしてはそのように理解をいたしております。  弾性値三十兆を含めてトータルで六百三十兆ということになったのですが、そこが一番のもとだったという点はぜひ御理解いただきたいところであって、それに至りますまでの間、いわゆる公共投資、いろいろ御意見がありますが、社会資本全体として見れば、日本の国はまだまだ社会資本におくれている部分というのは地域格差を含めていろいろあるところでありますので、そういったものをきちんとして、均衡ある国土の発展というのが大前提ということであります。  ただ、今言われておりますように、いろいろ時代背景も変わってきて、先ほどいろいろお話があっておりましたけれども、そういったものを含めて、財政構造改革会議の中で聖域なしにその内容についてもいろいろ御検討いただくんだ、そのように理解をいたしております。
  162. 堀之内久男

    ○堀之内国務大臣 ただいまは公共投資六百三十兆の中身についてでありますが、二十一世紀に向けて、我が国の緊急課題である経済構造改革の推進や豊かな国民生活の実現を図るという観点から、新たな社会資本ともいうべき情報通信基盤の整備は、積極的に進めるべき重要な課題と考えております。  このため、平成九年度概算要求基準の決定に際し、基礎科学研究、情報通信基盤等を重要施策とする経済構造改革特別措置として三千億円が設けられました。政府として、情報通信を国家戦略として位置づけ、積極的に取り組みを展開いたしておるわけでありまして、これからも情報通信基盤の整備には全力を挙げて取り組んでまいる考えでございます。  具体的には、郵政省では、高度な情報通信基盤の整備に向けて、光ファイバー網の整備を初めといたしまして、ネットワークインフラの整備、あるいは遠隔医療、遠隔教育等のアプリケーションの開発研究、情報通信技術の研究開発等の施策を一層推進してまいる所存でございます。
  163. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 公共投資のこの基本計画、ここで、文書を読みますと非常に特徴的なことがあって、この中に具体的な数字が出ているところはたった一カ所、大都市圏の都市中心部において良質な住宅を百六十万戸、これしか具体的な数字が出ておりません。それはそれでいいのですけれども、この百六十万戸自体というのが、住都公団とかそういうことの今回の流れの中でまず見直さなくてはいけないということになろうかと思います。  それからもう一つ、後代に負担を残さないという、それを前提にしてということが二カ所出てきます。同じ文章が二回も出ているのはその箇所だけです。この六百三十兆が、現在のところ現実の問題として後世に負担を残すということになっていませんか。  それからまた、もう一つ、最後のところには、計画期間中に経済情勢や物価動向が大きく変化した場合には必要に応じて計画を見直す、このように書いてあります。  私は、大いに、今三つの観点から申し上げましたけれども、見直すべきものは見直す、削るものは削る、六百三十兆自体について徹底的にこれは見直していくという、そういう方向で向かってもらいたい。総理、答弁をお願いします。
  164. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から御指摘をいただきましたこの公共投資基本計画、これが我が国の社会資本整備のあるべき姿を模索する中の大きな柱であること、そして、そこで、今引用されましたように、社会経済情勢の変化等に対応して見直すことあり得べしというのは、それはそのとおりであります。当然ながら財政構造改革会議等で議論をしていく中に聖域はないわけでありまして、そうしたところで議論も出てこようかと存じます。
  165. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 もう一つ私大事だと思いますのは、国で何でもやるという、そういう時代が終わりを告げてきた。国でやるものは国家戦略に基づいて、先ほどのハブ空港とかそうしたことになる。そうではなくて、農道とか町づくりとか下水道とか港とか、そういうものは地方に任せる。その方がはるかに効率的だし、縦割りの弊害もなくなる。こうした基本的な考えについて、総理はどうですか。  私は、この六百三十兆というのが、そうした地方でやるべきものと国でグランドデザインとしてやるべきものがもうごった煮のようになってしまって六百三十兆になってしまっているというところにも大きな問題がある、こう思います。
  166. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど経企庁長官も答弁を申し上げましたように、この六百三十兆の中には、もともと三十兆、弾力枠として用意されたものがあります。計画策定時点におきまして考慮の対象になかったもの、そうしたものがこの中で議論される素地はそこにもあるわけであります。  私は、数字の点におきましてもそうでありますけれども、この公共投資基本計画そのものがこの弾力枠を持つという性格から、さまざまな角度からの見直しが行われる、議論が行われる素地はあると申し上げたいと思います。
  167. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 五カ年計画が十六本あります。この十六本の五カ年計画が、昨年の十二月十三日、そのうちの七本が閣議決定をされました。都市公園等の整備、あるいは海岸事業、空港整備、七本閣議決定されたんですが、これが合計で五十一兆円。私は大変驚いたんですが、いずれも前計画費を大幅に上回って、何と七本の総額が、平均しますと四一%増、こういうことになると。六百三十兆が下敷きにあって、そして五カ年計画というものがあって、しかもその五カ年計画は具体的な数字があって予算がつく、金額がついている。それが四一%増。この五年間で、例えばGDPの伸び率は五・〇五%、あるいは予算規模においても一般会計では大体一割の増ということを考えてみると、四一%増ということについて十二月十三日の閣議決定というのはどういう形で行われたんですか。大蔵大臣、そういうときに何かこれにクレームをつけるとか、多過ぎるとか、どういう論議が閣議決定のときあるいは前後に行われたんですか。
  168. 三塚博

    ○三塚国務大臣 五カ年計画は御案内のとおり十六本ございます。今回の三案件につきましては、積み上げの計画等、これは地方団体からも寄せられたもので、かく進むことによって社会資本、この分野は充実をいたします、こういうことであります。  しかし、私は、そこで申し上げておりますのは、五%条項という、先ほど経企庁長官が言われた六百三十、三十はそういうこと、大体五%に該当するんですが、この五カ年計画も見直し規定があるわけでございます。「今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図る」ということの明文もございます。いわば計画的な整備のための目安といった性格のものであると御理解をください。  今後とも、各省庁の枠を超えた連携の強化や、現在検討が進められておる建設コストの縮減などを通じ、効率的、そして効果的に社会資本の整備に努めてまいる、こういうことでございます。
  169. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 四一%増というのは余りにも突出していると思いませんか。それについて、そういうような、財政は均衡しなくてはならないという観点からも、あるいは九兆円の増税というようなことからいっても、ここの一般会計の議論とは別のところで五十一兆円ということが十二月十三日の閣議で決定してしまって、そしてもう動いてしまっているということにおいて、歯どめというのをどうして大蔵大臣としてかけようとされないんですか。
  170. 小村武

    ○小村政府委員 このたびの五カ年計画の改定に当たりまして、ただいま大蔵大臣からも御説明申し上げましたが、「今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図る」という文言を入れまして、この計画の実施に当たっては、整備のための目安といった性格をさらに強めたわけでございます。  さらにこの計画は、前計画に比べて計画総額として一・四倍になっているもの、例えば都市公園等々がございます。下水道も一・四四倍というようなものでございますが、五カ年の計画総額としてそういった目安を一応立てておりますが、毎年度の予算編成に当たっては、これに拘束されることはないということで運用しております。
  171. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 今までの歴史で、この五カ年計画が一〇〇%全部達成されていませんか、現実のところ。大幅に減ったという例がありますか、五カ年計画は。毎年毎年この五カ年計画に現実には基づいて予算編成が行われたんではないですか。一〇〇%が全部行われたんじゃないですか、どうですか。
  172. 小村武

    ○小村政府委員 必ずしもこの計画どおりに達成されるものではございません。
  173. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 私は、実績を今聞いて、一・四倍になったという。財政逼迫であると一方では言い、六百三十兆も見直しましょうという前向きの答弁があって、そして一般会計では相当抑えたと言って、そして国民には増税を押しつける、財政均衡が大事だと言う。だけれども、基本的なこういうところで一・四倍という合理的な根拠を示してください。
  174. 小村武

    ○小村政府委員 実績でございますが、これまでの実績は、例えば計画の八六%、あるいはさらに低くて、海岸でございますと、実績率の極めて低いものもございます。これは全体は国だけではなしに地方公共団体も含めたものでございますので、必ずしもこのとおり年割り額で予算を計上するとかそういったものではなしに、一応の計画の整備の目標を立てたものでございます。
  175. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 今、恐らく低い方のことを言ったんでしょう。八割ということは、一・四掛ける〇・八は幾つですか。明らかにGDPの五・〇五%とか、あるいは一割ぐらいの予算編成のこの五年間のアップというよりも、はるかに多過ぎませんか。特に、今の時点での一・四倍ということが、私はわかりません。
  176. 小村武

    ○小村政府委員 各計画に基づきまして、いろいろ整備目標がございます。  先ほど委員指摘の住宅につきましては、例えば一戸当たりの平均床面積を百平米に目標を達成する、このための計画倍率。この場合には、全体で七百三十万戸の建設につきまして、前の計画よりも倍率が小さい〇・九七倍ということで設定された例もございます。  おのおの、廃棄物、都市公園、それぞれ整備目標を掲げ、それに基づきまして積算をしたものでありまして、あくまでもこういう整備目標を目標として掲げて、公共事業というのは一定の年限をもって計画的に推進する性格等々がございますので、一応の目安を立てたということでございます。
  177. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 それでは、十二月十三日の閣議でそういう論議が行われて、大蔵大臣、何か大蔵大臣はそこで意見を述べられましたか、こういうことについて。閣議がさまざまなことでお忙しかったり、私はよくわかりませんが、こういうことについて私はぜひとも論議をして、国民に負担を一方では押しつけて、それで財政均衡なら財政均衡で、徹底的に政府がやるというならば、そういう路線もあるでしょう。我々は、財政再建よりも経済を再建して、景気を回復して、税収を上げて、そしてこの国を直していくという基本的な考えに立ちますが、考えが例えば違ったとしてもいいですよ。それはまた別の論争でしょう。ただ、そのときに、財政均衡というならば、この一・四倍になったということは、その閣議で何か議論が行われましたか。大蔵大臣が一言ぐらいは発言して当然じゃないですか。
  178. 三塚博

    ○三塚国務大臣 いよいよ本番の予算編成に入ります、各閣僚におかれては、財政構造改革元年にふさわしい予算編成に御協力を願いたい、聖域を設けないという総理大臣の方針を踏まえて、主管大臣としてこのことに当たる、格段の協力を賜る、こういうことであります。  結果は、御案内のとおり対前年度比一・三でございますが、内容は御案内のとおりゼロシーリング、こういうことで、公共事業はめり張りをつける中でゼロシーリング、こういうことになりましたことで御理解をいただけるのではないでしょうか。
  179. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 私は全然御理解はいただけないのですけれども。  ちょうど十二月十三日というあたりは来年度の予算の編成作業の一番大事な基本的なものが出ているという中で、どういう形で閣議が行われて、どういう発言を大蔵大臣がされたのかということを私は聞いているわけです。
  180. 小里貞利

    ○小里委員長代理 太田議員、恐縮ですが、今ちょっと調整しておりましたから、もう一回お願いします。
  181. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 どういう発言をされたんでしょうか、十二月十三日は。抑えるという方向でお話をされていないんでしょうか。
  182. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ですから、前段、先ほども答弁で申し上げましたとおり、財政構造改革スタートの予算編成になりますので、各省大臣、最大の目標達成に向けての御協力を願いたい、こういうことなんです。  それで、前段に、聖域を求めず、歳出は制度等の見直しを含めて縮減をする方針である、これを申し上げておるんです。皆さんはそのとおりと、こういうことで予算編成に入ったわけで、一体として仕上げた結果を第二段目で申し上げたわけでございまして、それは、結果として申し上げるのは当たり前なんですね、答弁とすれば。ですから御理解をくださいと申し上げたところです。
  183. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 縮減をしてください、御理解をいただきたい、わかりました、私はそういうことを言っているんじゃないんですよ。縮減をしてください、わかりました縮減しますというのが普通じゃないですか。
  184. 小村武

    ○小村政府委員 この計画を作成するに当たりまして、当然、要求ベースにおきましてはこれより大きな数字の御要求がありました。これに対して、私ども財政当局としても意見を申し述べ、結果はこの数字になっておりますが、なお、この閣議決定をする際には、今ちょっと大臣の発言要旨が手元にございませんが、今後の経済社会の動向、財政事情等を勘案し、弾力的にその実施を図るとともに、必要に応じ、その見直しにつき検討するという旨の大臣の発言があったということを記憶しております。正確なものは今は手元にございません。
  185. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 一・四一倍ということについて、抑えるという具体的な話がそこでなかったのですか。されなかったのですか。
  186. 三塚博

    ○三塚国務大臣 従前、五カ年計画は五カ年計画なんですね。地方の要望も全部積み上げまして、直轄を除けばこれに対する補助事業は二分の一であったり三分の二でありましたりと、いろいろなものを掛けてつくり上げるわけであります。  予算編成は、それは閣議決定の条項として認めつつ、財政の事情、経済の状況、それと今回の場合は、財政構造改革元年でありますから、後世代に借金を残さないというこの大原則を踏まえながら厳しく査定に臨むつもりである、こういうことを申し上げたわけであります。ですから、結果としてそのとおりになったわけでございまして、太田さんの言われる四一%というのは、実は私は国費ベースで物を見、考えておったわけでございますから理解できなかったわけで、今確かめました。  そうしたら地方と国と、それであればまさに五カ年計画は五カ年計画として、調整し、五%除きでありますから、それにプラスをして財政経済の状況、赤字国債を発行しない、建設国債といえども借金でございますから、健全財政、プライマリーバランスをとりながら二〇〇五年には赤字公債発行ゼロという、赤字国債依存の体質から脱却しよう、こういうことで申し上げて、皆さん方にも配賦をいたしておるところでございます。
  187. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 理解できませんが、私、聞きたいことがいっぱいあるので次に移ります。これは、五カ年計画ということについても、六百三十兆という問題も含めてぜひともその検討をしていただきたいというふうに思います。  随分むだということが言われているのですが、私、いろいろなことを聞きながら提案を実はしたいというふうに思っております。  公共投資のむだ遣いや浪費があると今批判があるわけで、例えばダムのことなんかがよく言われていまして、ダムがむだというような、こういうことが言われたりします。全部がそうでは当然ないわけですが、建設省は、計画進行中のダム十二のうち、昨年、県のダム等事業審議委員会から七つの意見を受けて三つ凍結しましたね。また、調査段階のダムについても四つを中止したと思います。  ところが、ほかのダムの中でもむだと批判されて、これが本当にむだなのかどうかというより、私は二十年、三十年前に計画したことが、今日時代状況が変わってきているから、何も二十年、三十年後のことがだれでもわかるなんという、これは神様でも何でもないわけですから、そんなことを私は言おうとしているわけではなくて、ここの切り上げ方とか撤退とか、そうしたリーダーシップとかいうことが、私は、この点が非常に政府においては大事だというふうに思っているから申し上げているのです。  昨年、会計検査院が、全国六カ所のダムや河口堰建設が地元の反対や用地買収で難航して、二十年から三十年近く経過しても着工できないで調査費が約八百五十億円むだになっていると指摘しています。会計検査院、間違いないですね。
  188. 山田昭郎

    ○山田会計検査院説明員 会計検査院におきましては、ダム等の建設計画が社会経済情勢の変化に適切に対応しているか、あるいは建設が特に長期化することなく適切に行われているか、こういったような観点から検査をいたしておりまして、六年度決算検査報告におきまして、小川原湖総合開発事業ほか五事業を「特に掲記を要すると認めた事項」として掲記しております。  委員もお触れになりましたとおり、これらの事業は、建設省及び水資源開発公団が事業に着手後、十九ないし二十九年、長期間経過し、その間八百五十一億円余りを投入しながら、地元の反対があるなどのため、例えば基本計画作成の見通しが全く立たないといったことで、事業効果の発現が見られないという状況でございます。  このような事態は、建設省及び水資源開発公団のみの努力では必ずしも解決ができないということがございますので、関係機関等及び広く世論一般に訴えるということで、「特に掲記を要すると認めた事項」として検査報告に掲記いたしまして、問題を提起し事態の改善を図ろうとしたものでございます。
  189. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 例えば徳島に細川内ダムというのがあって、会計検査院、これがどういう指摘になっていて、今までどれだけの金が投入されていますか。  私は現地にもいろいろ聞いたり調査をしまして、とにかく賛否両論があって、それぞれの言い分があって、なかなかこれは難しい問題ではあるのですが、亀井大臣も先ほどからおれにしゃべらせろということを随分サインを送ってきているのですが、こういう問題について、ここは切り上げるべきだとか、そういうようなもっとリーダーシップをとらないと、ずるずるいって、細川内ダムは、例えば来年度予算でどれだけ予算がついていますか。ずっとここまで来ていて、今まで幾らで、来年度予算が幾らついていて、今現場ではどういう状況で、そしてその後に亀井大臣お答えください、何を亀井大臣はされようとしますか。
  190. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいまお尋ねの細川内ダム、個別の事例でございますので、事実関係を私の方から御説明をさせていただきます。  細川内ダム、御承知のとおり那賀川の治水安全度を上げる、そしてまたこの沿川の水資源開発に資する、そういう目的で昭和四十七年に実施計画調査にかかりまして、平成五年度から建設段階に上がったものでございます。  ところが、ただいま委員指摘のとおり、地元の村長さんを初め議会の議長さん方の反対がある状況でございまして、私ども、平成七年度から施行いたしておりますダム等の事業審議委員会も開けない、こういう状況でございます。  そういう中で、来年度の予算をどういう形で措置をするかというような議論がございまして、予算上は建設段階に入っておるわけでございますが、実態としては実施計画調査段階だという、そういう実態を踏まえまして、実施計画調査に戻して四億円を計上したというものでございます。  いずれにいたしましても、地元の御理解を得るべく、私どもこれからも地元の徳島県御当局と一緒になって全力を挙げていきたいと考えておるところでございます。
  191. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 行革は断念から始めよという言葉があるようですが、亀井大臣、こういうものは、もう撤退するものは撤退するという、そういう方向で、現地にとにかく駆けつけていくとかリーダーシップをとって、いろいろな意見があることはわかりますが、ずるずるいって結局のところお金が使われているという事態に対して、こういうところは徹底的にやるということが私は大事だと思います。早く結論を出すことが大事じゃないですか。
  192. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員指摘の当ダムについては、私ども、治水という観点からも重要であるという判断に立っておりますので、現在、ダム審議会において広範な御意見をちょうだいをしていきたいという作業をしており、さらに、事実上、工事費を予算に計上するという形で取り組んでおるわけでありますが、村長、議長さんがダム審議会にも御出席にもならないという非常に残念な状況がございます。ぜひひとつ御出席をいただいて、反対される理由をぜひひとつ御説明もいただき、そうした中で、私どもとしてはまた、治水の観点から、下流の例えば治水工事その他でこれが補完できないか、そういう点も検討いたしまして、これについてはもう牛のよだれのようにずるずるずるずるとやるわけにはまいりません。私のできれば在任中、いつまでか知りませんが、結論を出したい、このように考えて今取り組んでおるところでございます。これは早期に結論を出したいと思います。
  193. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 会計検査院の指摘が三百億だということで、三百億じゃ会計検査院は余りにも少な過ぎる、何の仕事をしているんだみたいなひどい批判も一方ではあるわけですね。これは一生懸命やられているのでしょう。そして、決算ということの上でチェックをされると。しかし、会計検査院がせっかく、三百億でも指摘をし、三百億をやったその後に、これをどうするかということについてのフォローをするということが私は一番大事で、指摘して以上終わりというのでは何にもならないから、今亀井大臣、在任中に結論を出すというふうに言われましたが、ぜひともきょういらっしゃる多くの大臣、その辺の会計検査院の指摘ということについては早急に結論出すとかいうことに努力をしていただきたいと思いますが、代表して、総理、どうでしょうか。
  194. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 従来までもそれぞれ努力をしてきたと存じますけれども、これ以降一層努力をいたすように努めます。
  195. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 もう一つ、きょうの新聞に「漁港建設ずさん32カ所」というのが出ておりまして、検査院が指摘していると。漁港整備ということの中で、これはむだという、あるいはずさんという見方も、むだということが適当なのか、なかなか予定どおりいかなかったから有効利用をした方がいいという考え方なのか、いろいろな見方があって、現場をよく調査すればそれなりの理由というものがあるから、必ずしもむだだ、とんでもないというだけの話では済まされない問題があるかと思いますが、このことについて、これは農水ですか、状況等についてお話をいただきたいと思います。きょうの新聞に出ていたこの問題です。
  196. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 幾つか具体的な問題につきまして御報告申し上げたいと思います。  一つは、漁港台帳に記載がない三十二カ所、これはまことに残念なことでございまして、今後こういうことがないように漁港管理者を十分に指導してまいります。  それから、漁業情勢の変化に対応して利用目的が変わったのではないか、こういうような御意見も交えての御質問であったわけでございまして、その点については、確かに漁業情勢の変化に対応して利用目的が変わっておるという漁港もございます。しかしそれは、やはりそういう目的変更ということでございますので、この目的の変更は今後していかなきゃならぬというふうに思っております。  それからもう一つ、当初の目的どおり利用をされるように。それについても、やはりこれはそのように指導しなきゃならぬ、こういうように考えておりますので、今後漁港の管理者に十分に指導徹底をする、そういうことを今考えております。
  197. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 私は、この問題は、むだというよりは、ずさんということと有効利用ということの方が適当と思いますが、これら批判の対象となっている問題で、撤退する方がいいという場面が私は当然出てくると思います。  ところが、ここにネックがあるわけですね。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、補助金適化法、この十七条で、補助金等を他の用途へ使用し、交付決定の内容等に違反したときは、これを取り消すことができる、このようにされている。続く十八条には「期限を定めて、その返還を命じなければならない。」とあって、補助金の返還を要求される。また二十二条で、補助金を得てつくった施設などの用途には厳しい条件がつけられているわけですね。  例えば学校に大量の空き教室があっても、建てたときに補助金が出ていれば、保育所や防災倉庫などに転用するには補助金の返還や文部大臣の承認を受ける手続というようなこともかなり時間がかかって大変だということを現場で私も聞きます。現実に、現場の自治体の職員なんかに聞いてみますと、他の用途に転用する場合に、一つはその許可に相当の時間を要する。補助金の返還とかあるいは地方債の繰り上げ償還を求められるケースもある。この辺が非常にネックになっていると。有効利用をするという、時代状況の変化の中で変わらなくちゃいけないという場面も私は当然出てくると思います。  この辺について、批判があるがしかし事業はやりたい、目的をずらして有効利用に向けたい、しかし完全に変更をすると補助金の返還となって、ずるずるとやり続ける、こういうようなことからいきますと、補助金適化法の改正問題というのが地方分権委員会でも提起されておりますが、撤退するものは撤退する、有効利用も可能な弾力的な対応とか、この改正問題というのに取り組むべきだ、このように思いますが、いかがですか。
  198. 小村武

    ○小村政府委員 補助金適化法は、昭和二十八年に参議院の予算委員会におきまして「予算の不正・不当支出防止に関する決議」、こういうものがございまして、予算の適正執行のために設けられた法律でございます。  今御指摘の事案等につきまして、途中で補助目的を変更するとか、あるいは一定期間経過した場合に、転用に合理性があった場合に、これをもう少し弾力的に施行してはどうかという御指摘であろうかと思います。こういった点につきましては、各省各庁の長が一定の基準を設けておりまして、それに該当する場合には簡便な承認方法によって対応している例もございます。  昨今でございますと、小中学校の余裕教室について有効利用を図る見地から、建物を社会教育施設とか老人のデイサービスセンター等々に転用するという場合がございますが、一定の基準のもとにこうした承認がなされ、さらにその報告提出等についても手続の簡素化が進められているというふうに聞いております。
  199. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 ぜひともこれは、政府側としても、また我々も検討しなくてはいけないことなので、よろしくお願いしたいと思います。  公共事業を決めるという場合、六百三十兆とかあるいは五カ年計画とか、さまざまなことがあって、さっき二見委員からは審議会というものが多過ぎるのではないかというようなことも指摘があったりしたのですが、この間からの補正予算の箇所づけとかそういうような論議の中で、私は、情報公開といいますか行政サービスといいますか、そういうものが今の政府に余りにも足りないのではないかなということを痛感しております。  箇所づけ等についても、例えば箇所づけ等の資料を予算書に添付するとか、議員会館や必要な人がパソコンで見られるというような、そうした形ができませんか。もっと情報公開とか透明性とか、あるいは審議会、さらにはまた審議会でどういう審議が行われているかというようなことについても非常に我々は知りたいし、そして、自分たちの意見がその審議会にバランスよく反映しているのかということについても非常に心配する場面があるわけですね。  ですから、もっと情報公開とか透明性を重視して、インターネットとかパソコンなんかを使っていくというふうに改めていかなくてはいけない、こう私は思います。また、インターネットの場合では、これは箇所づけとかそんなことをそこでやるとするならば、これは広げ過ぎてまた問題になるとか、いろいろなことがあるということがもし心配ならば、このインターネットの場合はセキュリティーに問題があるわけですから、国家的資料についてはイントラネットを使うとか、そういうようなことを今こそ行政側としての努力でしたらいいというふうに私は思いますが、これはいかがでしょうか。
  200. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今、御承知のとおり、霞が関WANということで、二十四省庁で一応ネットワークができたわけでございます。  今のお話は私は大変前向きに考えたいと思いますが、今のお話のとおり、セキュリティーの問題と、いま一つは、やはりこれは国会の方で、私の方でなかなか予算というわけにいきませんので、国会の方の予算でそのようなことをお考えいただくということだけは必要だと思っております。
  201. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 今、前向きのお話がありましたが、審議会や五カ年計画も全く同じです。  私、例えば国土庁がインターネットでどのような情報公開というかサービスをしているかということでアクセスしました。ここにあります。全総計画を引っ張る、これは全総計画は出ています。これは、打ち込む作業ということはあるんでしょうが、現実にはもうそれは書面になっているわけですからそのまま入れればいいわけですね。  ただ、惜しむらくは、これは結果だけです。この全総計画の中でも、結果が出ていまして、声をお寄せください、こう書いてある。声がどのくらい寄せられて、どんな声があるかというのは、私は結構貴重なことだと思います。  昨年の十月の終わりごろだったかと記憶しますが、大蔵省が声を聞いたのがありまして、聞きましたら、やはりこれは非常に参考になる声が、これは我々の手元からもアクセスできるというふうになっていまして、その辺からいきまして、声をお寄せくださいとあっても、それがどういう声があったかもわからない。貴重な声を、むしろ省庁間だけでなくて議員会館とかそういうことも含めたり、あるいは必要な人に対してイントラネットを中心にして、そういうような行政サービスといいますか、そういうことをもっとこの国会から、時代は情報化社会であるなんていいながら、みんなの頭の中は全然時代どころではない、大時代だなんということがあってはならないわけで、私は、ぜひともイントラネットで我々が見られたりあるいは見るべきだという人が見られるような形にしていただきたい。  大臣の考え方なんかも毎週のように載せたらいいと思うんですね。大臣がどういうことを考えているのか。例えば大臣は何を考えているのか、どういうことを言っているのかというと、各省庁に聞きますと、小杉文部大臣があいさつをしているのを私見ました。あるいは自治大臣が載せているのも見ました。古い決意発表みたいな、年頭ごあいさつみたいなものが今ごろ、二月になってあるわけじゃなくて、ぜひともそういうことを提供するという努力をすべきだと私は思います。  年頭のごあいさつではなくて、波打ち際に波立っているその現場の状況とか今の論争のテーマというようなことについて、私は、的確に行政サービスとして情報を提供する、もしそれがセキュリティーの問題があるならばイントラネットを使うというようなことを一段と強化をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。まず、国土庁長官
  202. 伊藤公介

    ○伊藤国務大臣 先生の御指摘は、大変適切だと思います。  実は、昨年、首都機能移転についてのテレビ討論を私はやらせていただきました。そのときに、テレビを通じて全国の皆さんに、間もなく、私たちはことしの六月、七月ころには全国総合開発計画を発表する準備を今しておりますので、それについてのいろいろな御意見を全国から寄せていただきたい。そのときに、実は、インターネットで設けますので、ぜひごらんをいただきたいということで、皆さんの意見を募集しますということを申し上げて、今ホームページを開かせていただいております。  私は、余り週刊誌のことを言ってはあれなんですけれども、これはよく出ている週刊誌にそのことを書いていただいておりまして、たまには評価していただいたところも読ましていただきたいんですけれども、国土庁のページ一ないし五は白眉と言える、首都機能移転などの問題について、ビジュアルな手法を用いた政策プレゼンテーションかち、新しい試みとして大変評価できる、こういって週刊誌で紹介をしていただきました。また、手紙でも、このホームページを通じていろいろお手紙をいただいております。できる限り私もお手紙を返しておりますけれども、ぜひ御指摘の点は、これからオープンに皆さんの御意見を寄せていただけるようにやってまいりたいと思っております。
  203. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 もう時間がなくなってきましたから、最後に、公共事業費の単価の問題についてお聞きします。  単価が二、三割高い、こういうことがよく指摘されるわけなんですが、だからこれを削ってしまえば数兆円削れる、以上終わりであるというような、これは極めて乱暴な議論であろうというふうに思います。現在、官邸主導の公共事業のコスト削減の閣僚会議で、単価の適正化ということで、工事単価を見直して事業量を維持して予算は減らす方向を検討中である、こういうふうに言われています。今日の建設業界の仕組みは、元請があって、下請があって、孫請がある、こういうふうに仕事が流れて構築されてきているわけなんですが、きのうも乗数効果の論争があって、これは私もきょうやろうと思ったんですが時間がなくてやめますが、確かに、私は、現段階での乗数効果は、きのうの論議はお互いにわかり合って言っているんでしょうが、非常に低くなっているという事実はあろうかと思います。いつに比べてということでなく、全体的にはそれは下がっています。これが、公共事業費が、不良債権処理ということで相当厳しいですから、のみ込まれているということも事実で、それが相殺をされているというようなことがいまだに続いていると思います。  そうした現状の中で、業界の合理化や近代化を支援しないままにコストの見直しや引き下げが行われますと、今でも仕事をしても利益が出ない、苦しんでいる中小企業、こういう業者にとっては逆に作用して、価格のたたき合いということが今言われているわけですから、結果的に中小や零細業者をさらに追い込む。乱暴に一気に下げろというだけの論議ではなくて、バックアップ体制や近代化、合理化というものをやった上で、そしてやらなければならない。  銀行の不良債権を抱えたままビッグバンをやるというようなことになると、私は大変なことで、これが一つの、現象的には今回の株価の下落ということにもつながつたというふうに思いますから、不良債権問題、非常に大事だというふうに思いますけれども、業界の合理化、近代化支援策やるべし、こういうふうに思いますが、この点について、最後の質問になってしまうかもしれませんが、御答弁をよろしくお願いしたいと思います。
  204. 亀井静香

    亀井国務大臣 さすが委員、極めて問題点をおつきになられた適切な御質問をいただいて非常に恐縮をいたしておりますが、私は、財政再建はやり遂げなければならない課題でありますけれども、それを短絡的に、公共事業を減らせばいい、その予算をいろいろな理屈をつけてカットすればいいというものではない。やはり社会資本整備は着実に、我々の稼ぎ出す富の中から着実にこれを出して、子々孫々のためのおくれておる社会資本整備をしていくということは絶対必要であるというのが基本的な考え方でありますが、しかし一方では、やはり建設コストが民間に比べて高いと言われておることも事実でございます。  要は、事業量を伸ばすことでありますから、そういう意味では、総理から厳しい御指示の中で、建設コスト削減の努力を今やっておる最中でございますが、これには、委員指摘のように、発注の過程の問題、あるいは資材の単価の問題、あるいは各省庁のいろいろな規制の問題、いろいろなものがその単価の中に、これを押し上げる要因になっておるわけであります。  一つは、既に、これは八年度補正の執行につきまして通達を同時に出しました。これは簡単に申し上げますと、今の発注制度のもとでは受注ができないCランクの中小業者にJVを組ませましてDランクの仕事の受注機会を与えるという、これは実は地建にとりましては大作業でございます。これを現在やらせております。  そういう形の中で、施工能力のある中小業者が直接受注の機会がふえるというこの処置をとることが、ある意味ではコスト削減の一環にもなりますし、大手も、今ゼネコンも大変苦しんでおるところがたくさんあるわけでありますけれども、特に地方の中小建設業者は大変な状況になっております。そういう意味で、そこにこの補正の金が直接落ちていくという努力をやっておりますけれども、今その公共事業の発注方法について、WTOとの関係もございます。そういうことで大きな制約はございますけれども、その中で大中小、それぞれ所を得て事業を執行していけるという、そうした仕組みを私ども、ここで真剣に検討していきたい。  そういう中で、今の業界は非常に苦しゅうございます。残念ながら、不良資産の相当部分が建設業界じゃないかというようなことも言われておるわけでありますけれども、今の銀行界、〇・五%というような非常に低い公定歩合のもとで、ある意味では恵まれた経営環境の中にある。その他いろいろな過去を引きずっておりますけれども、そういう中において、そういう大きな恩典を融資先について、やはりその一部は分け与えるというようなことが、私は金融界においてもなければならぬのではないか。天気のいいときには傘を貸せる、雨が降り出すと傘を引き揚げるというような、そういうことは私は銀行業界が建設業界に対してもとっていただきたくない。そういうことの中で、この建設業界が財政再建という厳しい中で事業量をきっちり確保して責任を果たしていただきたい、このように考えております。
  205. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 終わります。
  206. 小里貞利

    ○小里委員長代理 これにて太田君の質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。
  207. 上田清司

    上田(清)委員 総理並びに閣僚の皆様、連日御苦労さまです。  時間にも限りがありますので、早速ですが、まず大蔵大臣にお願いをしたいと思います。  今年度の予算について、非常に歳出をカットした、九年ぶりの伸び率の低さだと。なおかつ、消費税分も含めれば実質的に〇・五%に伸び率を落としたのではないかというふうな御所見を既に委員会で承っておりますが、これは事実ですか。
  208. 三塚博

    ○三塚国務大臣 全体の構成を見ていただきますと、一般歳出におきまして一・五、こういう伸び率です。これが九年ぶりの伸び率であります、こう申し上げております。公共事業につきましても一・三の伸びに抑えた。これも歳出に切り込み、建設大臣も言われましたとおり、コスト等の低減、それぞれの計画の改善、そういうことでコストダウンをいたしますと、限られたものでありましても事業は伸びますね、こういうことで理解を求めた、こういうことであります。
  209. 上田清司

    上田(清)委員 マスコミの皆さんにも注目をしていただきたいのですが、歳出カットの中身の中に、例えば今年度は、昨年度入れていきました住専の六千八百五十億は入っておりません。それから、厚生年金特別会計特別勘定の繰り入れ特例の部分で七千二百億の繰り延べをしておりますから、これを二つ合わせると、これだけで一兆四千億になりますね。  そうしますと、それを計算いたしますと、去年の、平成八年度の予算からこの一兆四千億引くと四十一兆七千億。そして、今年度の部分が四十三兆八千億ですから、引き算をすると約二・一兆円出てくるんですね。つまり、この部分、歳出が伸びたということなんですね。これをパーセンテージに直すと約五%になるんですね。こういう計算の仕方はしませんか。住専の予算、ことし入っていないでしょう。
  210. 小村武

    ○小村政府委員 大蔵大臣が御答弁申し上げたのは、一般歳出の増加額を一・五%の伸びに圧縮をしたということでございます。  予算全体としまして、特殊要因、その年度年度にございます。住専予算についてもそうでございますが、先ほど御指摘になりました厚生年金の繰り入れの特例でございますが、実は前年は八千億の特例がございます。ことしはその一割をカットしまして七千二百億にいたしました。その分だけ、八百億は、増々ベースで見ますと歳出を伸ばす要因にございます。そういうものをのみ込んで、一般歳出が一・五%ということでございます。
  211. 上田清司

    上田(清)委員 そうしますと、最小限度、住専の予算の部分を、ことしはないわけですから、去年はその部分が入っていたわけですから、その部分を加味すれば一・五%というわけにならないんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか、これは。
  212. 小村武

    ○小村政府委員 去年の住専予算の六千八百五十億は、この根っこの一般歳出の中には入っておりません。したがいまして、別建てで計上いたしたものでございますので、一般歳出ベースでは根っこから同じベースで比較をしたものでございます。
  213. 上田清司

    上田(清)委員 別建ての勘定で仮にしたとしても、全体として歳出カットという形になってきたときにはいかがなものかというふうに私は思いますので、そうした部分を常に明らかにしていただきたいというふうに思います。  それから、本当に国と地方の合わせた借金の額は幾らなのか、隠れ借金も含めて明快に答弁をしていただきたいというふうに思います。大蔵大臣
  214. 小村武

    ○小村政府委員 国の長期債務は、一般会計ベースでの二百五十四兆円の普通国債を含めまして長期債務残高は三百四十四兆円になります。九年度ベースでございます。地方の長期債務残高は百四十七兆円でございます。ただ、国と地方との重複分が十五兆円ございますので、合わせて四百七十六兆円でございます。  それから、国の特例措置等によって発生しております、今後要する債務、いわゆる一般に隠れ借金と言われておりますが、これは全部公表しておりますので隠れ借金という定義はいかがかと思いますが、これが四十五兆円でございます。昨年は四十三兆円でございました。
  215. 上田清司

    上田(清)委員 そうすると、合計で五百二十一兆円ということでよろしいんですか。
  216. 小村武

    ○小村政府委員 この合計をするには大変誤解が生ずるものがございます。例えば国鉄の債務二十八兆円は、すべて国の一般会計の負担になるものではございません。こういったものはまだ財産の処分、株式の処分、いろいろな清算事務がございます。仮にそういうものも全部含めて単純に計算いたしますと五百二十一兆円ということでございます。
  217. 上田清司

    上田(清)委員 そうしますと、隠れ借金が、前回、まあ昨年度に比べると二兆円ふえているというふうな判断ですが、総理初め大蔵大臣、大変御苦労されていると思いますが、国債費を減額したということが今回の予算の大変な特色でもあるわけですが、この隠れ借金をふやしたということに関しての御感想はいかがでございますか。
  218. 小村武

    ○小村政府委員 いわゆる隠れ借金というものの定義は明らかでないということは先ほど申し上げましたが、私ども財政当局としては、財政の実態をお示しするということで、こうしたものもお示しをしている次第でございます。  この中には、例えば、先ほど申し上げました国鉄清算事業団の債務が一兆円ふえておりますが、これにつきましては、鉄道共済が厚生年金に移換をいたします、そのときのいわば持参金といいますか、積立金不足分八千億円が含まれているとか、いろいろな要素がございます。逆にまた、これらのものの中で、今年度予算あるいは昨年度の補正予算等々において減額をしたものがございます。差し引き、その結果、二兆二千億増加したということでございます。
  219. 上田清司

    上田(清)委員 今度は大臣にお伺いしたいと思います。  結果的には二兆円程度しか減額できなかったのじゃないかというのが、合計からすると、私はそう思うし、国民的な感情からしてもそう思うのが普通じゃないかなと思います、数字のやりくりは、いろいろな計算の仕方ややり方があると思いますけれども。
  220. 三塚博

    ○三塚国務大臣 本件は数字的に御理解をいただいたと思います。  二兆円オーバーしておるのではないか、こういうことでありますが、赤字国債四・三兆円を減額をいたしました、こういうことであります。それともう一つは、プライマリーバランスということで、国債費を除き、租税に見合う支出を、これは後世に借金を残さない基本的な取り組みでございます。  これらを考えますと、二兆円は今後隠れ借金と、余りいい言葉じゃありませんけれども、そう通用していますから私も通用して申し上げますが、それの収支の関係は、御案内のとおり、出たり入ったり、こういうことでありまして、財投資金が中心でありますが、全体として健全な形、こういうことであります。
  221. 上田清司

    上田(清)委員 大臣にも申し上げますが、国債整理基金の繰り入れだとか、いろいろな勘定かち出したり入れたりしながら表の部分だけは美しく飾るというやり方で結果として四兆三千億の減額ができたとしても、この隠れ借金の部分で実質的に二兆円ふえてしまっている、そういう部分をもっときっちり国民の皆さんにアピールして、正確に言っていかないと、いいところだけつまみ食いされても非常に困るという私は考え方を持っておりますので、その辺についてぜひしっかりしたPRをしていただきたい、むしろそんなふうに申し上げます。  それで、昨年、住専処理の案件がありまして、銀行協会から自民党に対する通常の献金の七億円を辞退きれるということで大変よかったわけでありますが、しかし、その裏では要請をされて、久保大蔵大臣を初め、いろいろな批判があったので辞退をされたという経緯がありますが、その裏で、実は十三行から二億四千万の献金をいただいている、そういう報道が一月十五日の新聞報道でなされておりますが、今違うという声もありますけれども、この問題について、総理はいかがですか。  というのは、総理は常に、これまでのさまざまな献金の扱いについて、いろいろな問題のあるところから献金をいただいて、そういう指摘があったら、ほとんどその都度照査され、お返しをされておられます。そういう点で、昨年の住専処理の経緯や低金利政策、あるいはそういう問題と絡ませれば、国民感情としておかしいではないかというのが普通ではないかと私は思っておりますが御見解を聞きたいと思います。
  222. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本委員会が開会されまして以来、再三にわたるお尋ねであります。同じお答えを申し上げることになります。  すなわち、住専の母体行からの寄附というものにつきましては、住専処理問題などに対する国民の世論などを配慮しながら、昨年二月に、当面の間自粛する、党として決定をいたしました。この決定に基づいて、現在も寄附の要請は行っておりません。  なお、最近復活したという御指摘でありますが、これはその使途を党の借入金返済、その充当に限定の上で、平成七年度からの計画として協力を各方面から受けているものであります。
  223. 上田清司

    上田(清)委員 献金の扱いなんでしょうか、それともそうじゃないのでしょうか、経理上。
  224. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは多分、国民政治協会に入り、しかも党の通常の窓口とは違う口座に入り、そのまま自由民主党に入ることなく返済に充てられておると思います。
  225. 上田清司

    上田(清)委員 献金の扱いじゃないという判断ですか。
  226. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今申し上げましたように、返済計画の一環として、国民政治協会の返済用の口座に振り込まれましたものがそのまま返済に充てられておると承知をしております。自由民主党に入っているものではないと思います。
  227. 上田清司

    上田(清)委員 銀行協会からすると、多分これはいわゆる政治献金という形での領収書になるはずだと私は思っておりますが、そういう観点ではないのでしょうか。自民党からこれを何らかの形で会計上措置するときに、献金扱いにならないのでしょうか。それだけを確認したいのですけれども。
  228. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は党の経理から聞いております限りにおきまして、借金があり、返済計画が存在し、その返済計画のための口座が存在をし、そこに、国民政治協会です、その口座に入りましたお金はそのままに返済をされているという処理だと聞いております。
  229. 上田清司

    上田(清)委員 後でこれはまた確認をさせていただきたいと思いますが、国民から見れば、これはやはり、どこの口座に入ろうと、どういう形であろうと、銀行協会から二億四千万お金をいただくということには間違いない、こういう感情があるということをよく考えていただきたいというふうに思います。  それでは、既に政府委員室を通じて幾つか資料を渡しておりますが、地方公共団体における不適正経理、不適正執行についてのさまざまな指摘が昨年来なされております。いわゆる空出張、空接待等々の件でございます。  自治省の地方公共団体からの報告によれば、これは数字が若干違ってくるかもしれませんが、私がいただいている限りでは百三十四億八千五百万という数字が出てきております。また、毎年毎年、会計検査院の不当事項の支出、こういうものも毎年、平均すれば大体二百億を超えるお金が、ダブっている分もあるかもしれませんけれども、何らかの形で指摘をされております。金額が多いか少ないかということに関して議論がありますけれども、私はこの問題で、法的にいろいろな形で処置をされている場合に、行政上の処分として、厳重注意だとか戒告だとか訓告だとか、具体的に刑事罰がない。  普通の社会であれば、公金をだまし取れば詐欺罪かもしくは横領罪になる。店の請求書を勝手に書きかえれば有印私文書偽造罪になる。それから、虚偽公文書をつくれば虚偽公文書作成罪になる。また、公共工事の、無関係な事業に流用すれば地方自治法の違反になるという形で、いずれも一年から十年の懲役にかかるというふうになっております。しかし、なぜか公務員の世界だけはそうした訓告一戒告、減給というようなことで終わっております。これが、民間であれば多分に株主代表訴訟を起こされるような場合もあるのでしょうけれども、いかんせん、公務員の世界になってしまうとそうじゃないという結果がございます。この官庁の不正経理に、私は厳罰をもっと与えていいんじゃないか。  しかし私は、厳罰を与えなさいと言う前に、少し手足を縛り過ぎていないかという考え方を持っております。それは、例えば公務員の旅費やあるいは日当あるいは宿泊の問題について、大蔵省が内国旅行の旅費について政令である程度決めているわけですが、地方はこれに準じております。その準じた数字というのが必ずしも実情に合っておりません。例えば、宿泊代が一万五千円しか出ていない、にもかかわらず東京で二万円のホテルに泊まってしまった。そうしますと、これが二日間で四万になる。しかし、一万五千円しかいただいていないのでということで三日分に計算するとか、それから、各部署でいろいろな慶弔費や交際費が必要だけれどもそれが予算に計上されていないとか、そういう実際必要な経費をとらないという仕掛けが、予算の中で押さえていないという仕掛けができているので、勢いそういうことをせざるを得ないような、少し同情したい部分があります。  しかし、私は、それで許されるかというと許されない、むしろ、手足を縛らないで、きちっとそういうことをした上で厳罰にしていった方がいいのじゃないかという考え方を持つものでございます。とにかく市民オンブズマンとかがどんなに告発しても、大体検察の立場からすれば、罪の意識がなくて慣行的にあったとか、少人数で極めて犯意がなかったとか、そういう形で事実上処分なしという関係になっておりますので、この点について法務大臣は、先ほど私が申し上げました手足を縛るようなことをさえきちっとすれば、むしろ厳罰に処するようなことを指揮した方がいいのじゃないかという考え方を持っておりますが、この点について御見解を賜りたいと思います。
  230. 松浦功

    ○松浦国務大臣 旅費、日当等の問題については、私、どのようにもお答えする立場にはございませんのでお許しいただきたいと思いますが、刑事事件としては、法と証拠に基づいて現実の事情に合わせながら処分をきちっとしていくということは当然のことだろうと思っております。今後もそのように努めてまいりたいと思っております。     〔小里委員長代理退席、委員長着席〕
  231. 上田清司

    上田(清)委員 それでは大蔵大臣、こういう旅費、日当等の事例について、これはまた細かい話ですので政府委員で結構でございますが、検討する余地が十分あるのじゃないかと思います。これは、地方の議会の方からもそういう要請を受けております。勢いそういうことをせざるを得ないような同情すべき点もあるよということを、しっかりその辺を言ってほしいという要請もございましたので。政府委員の方でも結構ですが。
  232. 小村武

    ○小村政府委員 行政改革が叫ばれている中で、私ども、行政経費、旅費、庁費等についても厳しく査定をせざるを得ない状況でございます。これは、諸外国に比べましても、先生御案内のように、我が国は大変安上がりの政府としてこの辺は査定を私どもはさせていただいておるわけでございますが、実際、事務の執行に支障のないようにということを配慮することは当然でございます。ただ、昨今の情勢等々からいたしまして、あらゆる経費にメスを入れる前に、まず役所の庁費、旅費等の節減を図るということで、基本的にはそういう方針で臨んでおります。  なお、旅費等におきまして、これは旅費法の規定がございますが、各省の長におかれて現行の法律上の単価等々で執行することが困難な場合には大蔵大臣と協議をしていただきまして特別な配慮を行うことができるという規定が旅費法にもございまして、運用に当たってはその辺を十分心がけてしてまいりたいと思っております。
  233. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣、これは運用というよりもむしろ規定をきちっと改正した方がいいのじゃないですか、現状に合うように。御判断を承りたいと思います。
  234. 小村武

    ○小村政府委員 実態調査等々をして今単価を決めておるわけでございますが、あくまでも旅費に関して申し上げれば、その単価の範囲内で出張等々をしていただくというのが原則でございます。  ただし、この法律上、先ほど申し上げましたように、その規定によりがたい場合には大蔵大臣と協議して定める旅費を支給することができるということになっております。
  235. 上田清司

    上田(清)委員 あくまで運用ということであれば、旅費の規定まで大蔵大臣と協議しなければならないような、日常雑務をふやすようなことはおかしいでしょう。だから、きちっと政令なら政令で規定した方がいいのじゃないでしょうか。一々そういうことを大蔵大臣と協議しなければ、何千円出すとか出さないとかいう話になるんじゃおかしいでしょう。
  236. 小村武

    ○小村政府委員 私ども、実態調査を行って現在の現行価格を設定しているわけでございます。実情に大きく反するということであれば、またその見直しをすることもやぶさかではございません。ただ、昨今の行政改革を叫ばれている中にあって、その単価等々については慎重に査定せざるを得ないということでございます。
  237. 上田清司

    上田(清)委員 ぜひしっかり検討していただきたいと思います。  中央政府レベルで検討するときは東京のイメージがありますが、地方に出張されるイメージがよくあると思いますけれども、地方から来るときにはすべて高いのですね。中央の旅費規定に準拠して地方自治体というのは来ますので、ぜひこれも承りたいのですが、自治大臣、そういう御要望はありませんか。地方自治体を代表する、いわば守護者として承りたいのですけれども。
  238. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 上田委員にお答えします。  私はそういう詳細については存じておりませんので、事務当局に答えさせたいと思いますけれども、国が決めた旅費、日当等を参考にしながら、基本的には各地方自治体が条例で定めることになっております。自治省からこれが高いの安いのというよりも、条例に基づいて各地方公共団体がお決めになって最終的に運用することでございますので、その辺のことは御理解賜りたいと思います。
  239. 上田清司

    上田(清)委員 その件はもう結構です。大臣がそういう御認識であるということで少し安心いたしましたので。  それで、先ほどにちょっと戻りますが、いわゆる空出張、空接待の部分で、処分が事実上、訓告だ、戒告だ、減給だという形で刑事罰は与えられていないということに関して大変市民的な怒り、国民的な怒りがあるんです。  こういう点について、素朴に私は、例えば切れ味のいい亀井建設大臣あるいは小泉厚生大臣、また行政監察の立場から武藤総務庁長官に、感想で結構でございます。本当に国民は、処罰されない、普通に言えば、それは横領罪であり、詐欺罪であり、公文書偽造罪だと、勝手に書きかえているわけですから。なぜ役所の世界だけが許されるのか。これは素朴な国民感情ですから、それに対して長官、大臣の基本的な、感想でも結構です。できればやはり、そこは処罰をすべきだ、そのかわり手足は縛らないとか、そういう感覚の部分を私は出してほしいと思いますね。三大臣にお尋ねしたいと思います。
  240. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 公務員の綱紀をきちんと粛正しなきゃならぬのは当然でございます。  ただ、残念ながら、私の所管は国家公務員でございまして、今御指摘のような地方公務員については私どもの方で人事管理ができませんのであれでございますが、何というか、所管ということからいえば、国であろうが地方であろうが、公務員がいかがわしい疑いを持たれるときにはきちんと処分をするというのは当然のことだと思っております。
  241. 亀井静香

    亀井国務大臣 切れ味はありませんが……。  私も警察官という公務員を経験いたしておりますが、現在の予算が、残念ながら、国も地方団体も実態と必ずしも公務員の活動経費については合ったことをやっていない、これは事実でございます。そのために捜査を、どうしても警察官であれば、これを金がないからやらぬというわけにはいかぬわけであります。それを遂行せざるを得ない。  また、警察学校の教官の場合、どんどん教え子が結婚すると、一番先に招待をされる。手ぶらで行くわけにはまいりません。署長さんにしても、非常に交際が広い、交際費なんかない。そういう具体的に金が出る現実がある。  ところが、今の予算では、庁舎を建てるとか装備費については結構予算がつくわけでありますが、今主計局長も言っておりましたように、活動費に対してはいわゆる自粛をするとか縮減する。それで姿勢を示すことに私はならないと思います。必要な金はやはりきちっと出していく、そしてどんどん仕事をしてもらう、こういうことをやらないで、空出張だ、やれ何だということを摘発して罪人をつくる必要はない、このあたりを現実に合わせる努力を国も地方団体も委員の御指摘どおりやらなければならないと私は思います。
  242. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 公費の不正使用というのは確かに国民の憤慨を買い、おかしいなと私も思っていますが、一点、私の気にかかることは、不正使用と思っていない体質、これがまた一つの問題なんじゃないでしょうか。  必要な金は使わせる、こういう点からもどれが必要か、確かに交際費というのは私は必要だと思いますよ。それもいかぬ。だから、そういう点も含めてどこまでが必要か。あれもいけない、これもいけないと言うのと同時に、もっとやる気を出させて自由にやってもらうという、こういう両方の観点からこの問題は検討すべきじゃないかなと思っております。
  243. 上田清司

    上田(清)委員 大変三大臣には、私と比較的一致する御意見をいただきまして、ありがとうございます。  この問題は、三大臣が御指摘されるまでもなく、よく小村さんには聞いていただきたいんですが、締めるだけが能じゃない。やはり、手足を縛りて綱紀粛正だと言っても、これはなかなか厳しい部分があると思いますので、そういう点をきちっとした上で、そして私は、むしろ厳罰に処分することで、あるいは検察がきちっと処分に向かって摘発することで国民の信頼を取り戻すことができるというふうに思いますので、大蔵大臣におかれましても、旅費規程、結局すべての地方自治体がこれに見習うという現実がある以上、ぜひ指示を出していただきたいというふうに思っております。  それで、行革は各党各会派の一つのテーマでもあり、日本のテーマにもなっておりますが、ともあれ、人減らしの話等もございます、一部に。そういう行革アレルギーを避けるために、行革先進国として名高いニュージーランドでは、公務員にも失業保険を充ててしかも無期限に出すという大変信じられないような部分があるのですが、逆に、無期限に失業保険を出すことによって、その間にリストラをきちっとできるとか行革アレルギーを避けることができるとか、あるいはその職にあった人たちがそれぞれ求めるものを求めることができるとかということがございますので、思い切って日本でも、公務員にきちっとした失業保険を無期限に与えて、そしておのおの行革ができるような仕掛けをつくったらいかがなものかというふうに私はニュージーランドの事例を見て考えておりますが、総理並びに総務庁長官に御見解を承りたいと思います。
  244. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 なかなか、国民の果たして合意が得られるかどうか。公務員だけにそういう特別の保険を設けることができるということは、特に今の無期限となりますと、大変、今度は逆に公務員の方は恵まれたということになるわけでございまして、一つ考え方としては私どもも検討させていただきますが、今私どもとしては、とにかくスリムにするということで人減らしということが出てくるのは当然でございます。  第九次の定員削減計画がこの平成九年度から発足をいたしますが、この五カ年でもできるだけ、要は減らす方は減らしていくのですけれども、問題は結局純増純減といいますか、減らしても、片方で要望があってどうしてもつけなきゃいけないところはつけておりますので、結果的に、ことしも純減にはいたしましたが、二千二百十九人という姿になっております。もし全くのあの計画どおり、第八次の計画でいけばたしか八千何百人減るわけですね。そういう形で、これからはふやすという要望の方をできるだけ抑えていく、そして今の計画に基づいてきちんと削減をしていきますと、結構大きな定員減になるわけでございます。  それからいま一つは、新規採用を今抑えているわけでございまして、これもできるだけしばらくの間は、余り長いことやりますと、また世代間のハンディキャップが出てまいりますのでどこまでいけるかわかりませんが、なるべく新規採用を抑えていく、こういう形でいって結果的に人減らしを多くしていくのがいいんじゃなかろうか。  一応ニュージーランドのケース、今私ども勉強いたしておりますから検討はいたしますが、なかなか日本の場合、そういう特別の保険というのは果たして国民の合意といいますか、御理解がいただけるかどうかを私は実は心配をいたしておるわけであります。
  245. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうどニュージーランドのボルジャー首相が日本を訪問されましたときにいろいろな議論をしたテーマの中の多くの部分が、ニュージーランドにおける行政改革、その以前と以後でありました。  その中で、失業給付を利用するという話も御説明がありまして、それはちょっと僕は反対だということを実は当時言いました。むしろ、我々は業務のなくなっていくところからどんどん今人を減らしている。そして、新しい部門にそれをいかに無理なく移動させるかということを考えている。国家公務員全体の中でふえている部分、これは限られた部分だけれども、例えば一つの例を言いますなら、通産省という役所全体の定員を抑えながら、かつて特許という部分の厚みを増すことに努力をしてまいりました。このとこる研究機関の厚みをふやすことに努力をしている。それぞれの役所がいろいろな工夫をしながら、総体としての定員管理、総定員法の枠の中で年次計画どおりの削減を一方では実現をしながら、新規の増員需要にこたえている。我々としては、むしろ失業なき水平移動を公務員の世界でもやってきた。そして、その上で新規の定員あるいは不補充あるいは新規の増員の縮小といったことでずっとやってきている、定員管理というものはやってきた。そして、全体としては減らしてきている。  さて、その失業給付というやり方は、新たな制度を特に設けるとなれば、私はなかなか国民の合意は得られないように思う。この点は実は平行線でありまして、幾つかのポイントで議論が平行線になっているところの一つです。ただし、ある意味では私は、失業保険を使い、失業給付を無制限、しかし、人間として絶対私は無制限でもらい続ける気にはなりませんから、何とか自分で新しい分野仕事を見つけて公務員をやめていくと思います、本当は。しかし、それでもそういう制度を使ってしまうという決断は大変なものだと思いました。
  246. 上田清司

    上田(清)委員 これは、一つ関連するのですが、公務員の定年が民間と比べてどうしても短いとか、それから、それがゆえに特殊法人、また関係法人等々に天下りをしていくというような仕組み、どうも手足を縛って、結果的には裏的なもの、ややグレーゾーン的なものをどんどんつくっていくというような、そういう問題意識を持っているもので、思い切ってそういう意味での手足を縛らないという仕掛けを行政の仕組みに考えていくことが必要じゃないかという、その問題意識の中で大胆な提案をさせていただきましたけれども、基本的にはそういうことでございますので、これから特殊法人の問題あるいは公益法人の問題、大変問題になってくると思いますので、なぜそうなっていく仕組みになっているかということもあわせて、よく本質の問題として考えていただきたいと思います。  やはり、手足を縛って痛めつけるというのが一番よくないことですから、条件をきちっとつけた上で、やはりオープンな、情報公開ができるとか経理を公開するとか、そういう形にやるべきだと思います。それを申し上げたいと思います。  それではまた論点を変えてまいりますが、これはたまたま大蔵委員会の方で、銀行のいわば検査行政、監査行政というのがわずかの人数の検査官で無理じゃないか、三百からの銀行、それから万という数字の支店等がある中で本当に検査なんかできるわけないだろうという考え方を私は持っておりまして、たまたま東海銀行絡みの出島判決だとか富士銀行事件の判決文、調書等を読む機会がございました。そういう中で、大蔵省の金融監督行政について、結果的にはずっと隠ぺい工作をせざるを得ない。監査ができない、検査ができないから、何か問題があれば銀行と一緒になって隠ぺい工作をしていくというパターンを繰り返してきたのじゃないかというふうに私は認識しておりまして、そういう問題を指摘してまいりました。  そこで、政府委員を通じて資料をお渡ししていると思いますが、大蔵委員会、決算委員会での質疑のまとめということでお渡ししておりますけれども、特に私が決算委員会で、富士銀行は御承知のとおり不正融資事件六千億、損失額二千七百五十億、戦後最大と言ってもいい大変な金融不祥事件の中で、富士銀行が出した稟議書の中に四十五日も日付をさかのぼって印鑑を押すような仕掛けをしている、しかも、それは重大事件があった始末をするために行内で取りまとめた内部文書であるのですけれども、それが四十五日もさかのぼっておかしいじゃないかということを私は再三再四、当時の西村銀行局長、また久保大蔵大臣に申し上げておりました。しかし、それは行内での慣行ですからということで、事実上、富士銀行の出したその四十五日さかのぼった日付の内部文書は認めるような答弁を当時の西村銀行局長は申し述べております。  ちなみに読み上げてまいりますと、   私どもは、先ほど申し上げましたように、資料の提出あるいは報告を受けた場合には 必要に応じまして関係書類等により確認しているところでございまして、この報告につ きましても、所要の手続を経ているものでございます。   この書類の作成の手順そのものは富士銀行内部の問題でございますので、そのような 慣行があるか、取り扱いの仕方をするかどうか、こういう問題につきましては、富士銀 行の内部の取り扱いの問題というふうに理解をいたしております。だあっと聞くと何を言っているかわからないという回答でございます。これが皆様方のやり方であります、はっきり申し上げまして。  結論だけ言えば、富士銀行の内部の取り扱いの、問題だから、私たちは関知しないと。そんなばかなことがあるかということを私は申し上げて、あるときには日銀の理事の方に御出席をいただきまして、日銀の考査でこういう事態があったらどういう判断をするのですかと聞いたら、日銀が不正事件の報告を受ける場合、原則として日付をさかのぼって受け付けることはありませんと明確にお答えをされております。  そういうことを御指摘しても、なおかつ当時の西村銀行局長は、何度も何度も内部の問題ですからということで、知りませんと。世の中の常識と違ったことをやっていますねと言って私は久保大蔵大臣にも申し上げましたけれども、西村銀行局長の言うとおりですということで、一切自分の言葉を発されませんでした。  その後、金融ジャーナリストの加賀孝英さんが銀行課の木村耕三課長補佐にインタビューをされたときにうっかり漏らしたのでしょうね。数字のつじつま合わせです、この問題は、四十五日さかのぼったのはと。適切か不適切かといえば不適切でしようと。こういう文書も資料としてありますが、余り長くなっても恐縮ですので……。  こういう背景があったので、これはもうまずいぞということで、大体ばれてしまったなということで、山日銀行局長が先日の決算委員会、十二月十七日でございますが、今度は「大蔵省としては、たとえ内部書類であるとはいえこれらの日付が一致していないことは適切とは言いがたいものと考えております。」という普通の常識に戻ってきたわけでございます。というよりも、解釈の変更をなされたわけであります。  この辺について、事前に私は資料として提出しておりますので、経験豊富な、大変リーダーシップのある三塚大蔵大臣であれば、世の中の常識の答えを答えていただけるのじゃないかなというふうに私は思っておりますが、西村銀行局長の答弁とこの山日銀行局長の答弁というのは一体どちらが正しいのでしょうか。
  247. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  今、委員の方から御紹介いただきました前銀行局長の答弁でございますが、「こういう問題につきましては、富士銀行の内部の取り扱いの問題というふうに理解をいたしております。」ということでございました。  私が昨年の十二月十七日の決算委員会におきまして委員の御質問にお答えしたのは、今御紹介いただいたように、たとえ内部書類であるとはいえ日付が一致していないことは適切とは言いがたいものと考えているというふうに申し上げたわけでございます。それをごらんいただきましても、前局長の答弁は事実関係について述べておるわけでございまして、私は委員の方から評価を求められましたので、私としては適切なものとは言いがたいという評価の答弁をさせていただいたわけでございます。
  248. 上田清司

    上田(清)委員 銀行局長、そういうのを言葉のあやだと言うのですよ。あなたは質疑録を読んでいるでしょう。読んでおけと私は言ったね、就任したときから。おかしいでしょう。評価をしなさいと言って、西村銀行局長に何度も何度も言ったのですよ。その評価が、事実関係しか述べなかったから、何回言わせるのだと私は言ったのですよ。質疑録を見ればわかるじゃないですか。それをあなたは何だ。西村さんは事実関係だけ言っただけです、私は評価を聞かれたので評価を言いましたと。うそじゃないですか。言っていることが全然違うじゃないか。なめるんじゃないよ。
  249. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  委員の御質問は、西村銀行局長に対しましても評価をお求めになったとは思いますが、ただ、西村局長の答弁をそのまま読みますと、内部の取り扱いの問題というふうに理解しておりますというふうに答えておりまして、適切か不適切かという答弁はいたしておらないということを申し上げております。
  250. 上田清司

    上田(清)委員 山日銀行局長の方にも、日銀の考査の考え方についての当時の安斎隆理事の答弁、あるいは質疑録も全部渡っていると思いますね。  世の中の常識のことを私はずっとお尋ねしていたのです。四十五日さかのぼって、そんなことが許されるわけないでしょう、手形の決済なんかできないでしようと。富士銀行の文化祭や運動会だったらまだいいですよ。六千億の不正融資ですよ。二千七百五十億の損失ですよ。それが、そんないいかげんな印鑑の押し方でいいわけがないということを、ずっと何度も評価として尋ねていたのですよ。  しかし、何が何でも、この問題に関して西村銀行局長大蔵大臣も答弁しなかったのですよ。だから、山日銀行局長はすばらしい、きちっと当たり前の評価をされた、不適切だと。  私は、それはいいのですけれども、この問題について、大蔵大臣、大変これは重要な問題なんですよ。金額が半端じゃないのです。もうすべて、あのバブルの部分の集約されたような事件でもありますし、その後の住専処理にもかかわってきている大きな問題なんです。  だから、私は、きちっとこれを言わない限りだめだと思って、この答弁を聞くまでに七カ月かかりました、たったこれだけのことに。異常でしょう。私は、担当大臣として、こういう答弁しかできないということに関して、大変、普通の政治家であれば怒りを持ってもらいたいと思います。  大臣、山日銀行局長の、西村銀行局長は事実関係しか言わなかった、言わなかったことがおかしいのですけれども、だから私は、今、山日銀行局長が言ったように、西村さんは事実関係を聞かなかったが、私は事実関係を言ったので、大蔵省としての見解は全然矛盾しませんというふうに私は思いません。大蔵省として言わない努力をしていた、もう言い逃れができなくなってやっと答えた、私はこういう認識でいるのです。大臣、この問題は、ぜひ大臣としての指導力を発揮してほしいと思います。  この山日銀行局長のようなああいう答弁の仕方がいいのか、本当に。これはきちっとオープンの場で、決算委員会、大蔵委員会、まさしくオープンの場ですよ。総理も在席されたときもありました、決算委員会で。そういう中で、しゃあしゃあとずっと言ってきたのですよ。  だから私は、この問題について、大蔵大臣から、この問題は四十五日さかのぼってやることが不適切だということでなくて、間違っておるという言葉を聞きたいのです。なおかつ、そういうことを今まで答弁してきたのは許せぬ、このくらいの言葉を聞きたいのですけれども、大臣、いかがですか。
  251. 山口公生

    山口政府委員 先ほど私お答えいたしましたように、西村前局長の答弁と私の答弁との、評価が入っているか入っていないかについてのお答えを申し上げたわけでございます。  そもそも、この日付のさかのぼった問題は、この事件が非常に大きい大事件だったということで、部内のプロジェクトチームがいろいろな作業をやる。それで、作業が終わった時点でその作業の立ち上がりの日付に合わせてそういう方針でやったという形をとるということをやろうとしたわけでございます。  言ってみれば、内部事務処理の問題であることは否めない部分でございます。しかし、私としては一内部管理ということは非常に大切だというふうに思っておりますので、適切ではないというような、適切とは言いがたいというような言い方をしているというわけでございます。
  252. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣、この間もわからなかったと思ったので、私は、事前に整理した文書を政府委員室を通じてお渡ししているはずなのですが、今、山日銀行局長が言ったのは、やはりおかしいのですよ。なぜおかしいかというと、その都度富士銀行から報告を受けているのです、事件の発覚以来。その整理も私はしております。最初に事件が発覚されたときに大蔵省に報告があったのが平成三年の六月六日です。事実関係はこうだったんですということで、左右対称で資料もお渡ししております。  当局に第一報されたのが六月十七日だ。そして平成三年の七月一日に富士銀のいうところのプロジェクトチームが発足した。それが終わったのが十六日だ。しかし実際は、富士銀においてもう事件発覚というのはずっと早くて、なおかつ、この中心人物である中村融資課長を一カ月ぐらい缶詰にして事情聴取を行って、すべてのことがわかっている状態の中で、これも証券金融特別委員会で何回も答弁等があったんです。  そういうことを全部踏まえて私は議論しているんですから、いいかげんな答弁をすると、院に対しても失礼ですよ、大体。国会に対しても。そういう事情を、三塚大臣、過去の経緯をよく知らないと言われても、これは平成三年から四年にかけて特別委員会でも相当議論された中身ですので、これは本当に世間的にも、当時本当に橋本大蔵大臣も御苦労されたと思いますが、大変大きな問題だったんです。だからぜひ御理解していただきたいのです。  これは内部文書といっても、そういう不正融資事件で六千億、二千七百五十億の損失があった大きな大きな事件だった。そういう内部文書がつくられて、それをたまたま私が御指摘させていただいて、たまたまその内部資料が手に入ることができて、四十五日もさかのぼって印鑑を押しているんだけれども、何だこれは、こんないいかげんなことでいいのかということで申し上げたら、西村銀行局長は、内部の慣行ですからということで、評価をしない。いいとも悪いとも言わない。何度いいか悪いかを聞いても言わなかった。  しかし、良心的な、良識を持った山口局長は、ちゃんと不適切だと評価をされる。しかし、その不適切だということを評価されるのではなくて、その中身がどうなのかということもあわせてこれは知ってもらわなくちゃいけない。なぜそんなことをしたのか、富士銀が。なぜ四十五日もさかのぼってこの印鑑を押したのかということについてどういう調査をしたのか、そこも聞きたいのです。そこも含めて、まず局長が答弁された後に、また改めて大蔵大臣にその辺の経緯について、少し時間があると思いますので読んでいただいて、御答弁をお願いしたいと思います。
  253. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  昨年の十二月十七日に委員から御質問をいただきましたので、この点につきましては、私の方で改めて同行に、なぜ日付をさかのぼって作成する必要があったのかということを聞いて確認したところでございます。そうしますと、七月一日付で発令されたそのプロジェクトチームは、その後、ノンバンクからの不正資金調達先と債務承認や追加担保取得などの交渉を行っておりました。富士銀行としては、この事件は極めて異例かつ大規模な事柄であったことから、この回収の方針というものについて、チームの実働開始日の七月二日付ですべての役員の了解を得たという形をとっておく必要があったと。結局、事後追認の形になったわけでございますけれども、そういう形でこの処理が済んだという形をこのプロジェクトチームがほぼ作業を終えた八月の段階でやった。そのときの日付を、ちょうどその作業を始めたときに合わせたということでございました。  また問題は、日付の問題と同時に、それが本当に日付がさかのぼったという事実が正しいかどうかという面がもう一つあるかと思います。その点につきましては、私の方でも調査しまして、行内の決裁が秘書室で受け付けられている日付の確認をいたしました。それは八月でございます。また、その七月二日付になっている書類の中に、他の肩がわり案件で七月二日以降の事象というものが記載されております。したがって、もし七月二日時点で本当につくられておりますれば、到底そこには記載がないものが入っているということで、信憑性があるのではないかというふうに思われるわけでございます。
  254. 三塚博

    ○三塚国務大臣 昨年の五月三十日の衆議院決算委員会における前銀行局長は、内部書類の日付をさかのぼって記載したことに関し一「こういう問題につきましては、富士銀行の内部の取り扱いの問題というふうに理解をいたしております。」と、ここはきちっと読みました。ただいまの質疑でも、上田議員は西村局長の答弁を御紹介をいただいたとおり。これに対し、一方、山口局長は、昨年十二月十七日、決算委員会における同様の御質問に対し、「たとえ内部書類であるとはいえこれらの日付が一致していないことは適切とは言いがたいものと考えております。」こう答弁しているところであります。  この二つでありますが、以上のような前局長の答弁は事実関係について述べたもの、そして十二月十七日の銀行局長の答弁は、こうした事実関係に加えて、その取り扱いについての評価を加えたものと理解するのが至当ではないかと。答弁内容はそういうことであると。
  255. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣にはもう少し世間の常識で判断できるような答弁をいただきたいのですが、この経緯がまだ十分に認識されておらないと思います。  質疑の中で、私は二回の委員会にわたって、西村銀行局長にはその判断をしてくださいということを何度も申し上げております。ただ同じことの繰り返しを何度も何度もやりました。もう本当に繰り返すだけでした。判断を何度聞いても教えてくれませんでした。だから、日銀も呼んで、例としてやって、それでもまだ判断を言わなかったのです。良心的な山口局長はきちっと判断をしていただいた。  しかしながら、大臣、経緯について、もう平成三年から四年にかけてのことで御記憶が薄いかもしれませんが、これは、証券金融特別委員会でも当時大蔵大臣だった現総理もしばしば発言をされた不正融資の案件について、たまたま尾花さんといってんぷら屋のおかみさんに関して、小林豊機元秘書と交友関係があったり、そして小林豊機元秘書が不正融資の中心人物であった中村担当課長と交友関係があったとか、そういう問題があったので、とりわけ橋本総理はそのことを意識されて辞職までされた、そういう重い重い事件だったのです。だから、誠実にこのことに関しては答えていただかないと困ったのです、私とすれば。しかしながら、それについて答えないという仕掛けを一生懸命やっていたということが現実であります。  したがって、私がここで、もう時間がもったいないので申し上げますけれども、結果として、過去の答弁の中で、橋本総理までうその答弁みたいな形になってしまっているわけですよ、ある意味では。まあ首を振っておられるかもしれませんけれども、結果として、私はそんなふうな認識をしております。事実上不正融資はなかったものだというふうに思っておりましたと。しかしながら、実際は尾花さんが返しに来たらそれは不正融資だったということがわかったし、なおかつ、この稟議書の中にもそういう中身で文書が出てきております。  しかし、そのことを後で指摘を受けて、大蔵省が確実に、もっと丁寧に調べて誠実に回答すれば、これは橋本総理もうそなんかもともとつくつもりも何でもないわけですから、事務局から上がったものを答えるしかない。あるいは、橋本頭取が答えたことに関して、国会の中の証言においても、当時の橋本頭取が答えたことを追認されて当時の大蔵大臣の橋本総理はお答えをされていた。それはもう当たり前のことでありまして、それは何の問題もない。しかし、大蔵当局自身がこの問題に関して口をぬぐうような形で知らぬ存ぜぬでやっていけば、結果として橋本総理にも迷惑をかけることになってしまう。私は、だからこそしっかり答えろということを再三再四言って、やっと七カ月目に判断を出したという経緯があるのです。  そこで私は、事実上、この富士銀行の稟議書から見て、これは富士銀行が四十五日もさかのぼって日付を打つようないいかげんな銀行か。私はそういう銀行じゃないというふうに思いますので。しかし、そういうダメージを受けてでも、何らかの隠す理由があったのかどうか、このことについて大変な疑問を持っておりますので、当時の――大蔵大臣、何か、どうぞ。
  256. 三塚博

    ○三塚国務大臣 段々の話を聞いております。それから、その経過も聞いております。やめられた西村局長、私よく知っております。人柄は誠実、国家公務員として立派なものであります。そしてその後の山口局長、彼も局長の前から知っておる官僚であります。極めて誠実な男です。  私は、そういう意味で、銀行局長としてのそのときそのときの場面において、委員から言われることに対して誠意を持って答弁をしてきた、こう理解をするのが至当だし、それぞれの質疑の中での答弁のとおり理解をしていただくことがよろしいのではないでしょうか。それ以上のこともありませんし、それ以下もないと私は思いますし、局長とすれば、また、そのとおり行った。ですから、答弁内容の中身においては軌を一にしておるのかな、私はそのように思います。
  257. 上田清司

    上田(清)委員 この問題については、とにかく四十五日さかのぼってこの日付を打ったということに関して、何かを隠す可能性があったのじゃないかということが非常に疑わしいものがございます。  それは、平成八年の三月一日に新進党疑惑追及若手有志の会で小倉常務をお呼びしたときも、当時の赤坂支店の行員がびっくりして、尾花さんにそんな貸し金はございませんよといって、それなら銀行が貸したのじゃなくて、個人的に何かいろいろな融通があったのだということを二十日過ぎに出したというような経緯があって、その事実関係からしても、尾花さんの案件が七月二日に載るということ自体がおかしいんですね、日にちからして。  そういう問題がございますので、私はここでどうしても納得いく回答をいただいておりませんので、橋本当時の頭取に、証人喚問という形で委員長に要請したいというふうに思います。この問題でなぜ四十五日もさかのぼって由緒ある富士銀行が決裁の印を打たなければならなかったのか。これは常識で考えがたい、どんなに言っても。なおかつ、西村銀行局長の対応は、当時の私の見方によれば、あくまでこの問題は伏せて伏せて伏せ抜こうという、隠して隠して隠し抜こうという対応にしかすぎなかったというふうに私は思っておりますので、ぜひ証人喚問を要請したいと思います。  時間が少なくなりましたので、申しわけありません、ほかにもたくさんお声がけをしていて、政府委員の方々には恐縮でございます。  日経新聞の一月三十一日付のいわゆる海外経済協力基金の融資について……(発言する者あり)  委員長の答弁、済みません。証人喚問を要請したいと思います。
  258. 深谷隆司

    深谷委員長 理事会で協議いたします。
  259. 上田清司

    上田(清)委員 はい、ありがとうございます。  それで、既に経済企画庁並びにOECF、海外経済協力基金の方にも資料を提出しておりますけれども、この点について承りたいというふうに思います。もう時間がなくなってきましたので、端的に申し上げます。  事の経緯については、政府委員の方々しかわからないと思います。日経新聞の記事は政府委員を通じてお渡ししていますので、若干わかるかと思いますが、単純に、OECFが融資した会社が倒産した、それで債務保証した中国の銀行にも結果的には迷惑をかけたということで、若干の、若干と申し上げます、国際問題になった件がある。  何よりもここで問題になっているのは、この融資をした会社がいわゆる正式の金融機関等々に余り相手にされない、割と、これもしっかり確認しないといけない部分もありますが、私が聞き知った限りにおいては、比較的信用のない会社にお金を貸し付けたのではないかという疑いがございますので、まず質問は、日盛産業というこのウナギ養殖会社になぜ貸し付けたのかということについて、私が指摘していますところの信用のない会社でなかったのかというこのことを、対抗できる、信用のある会社でしたということを逆にお聞きしたいというふうに思います。
  260. 清川佑二

    ○清川参考人 お答えいたします。  一月三十一日付の日経新聞に基づいての御質問でございますが、これに入ります前に一言申し上げたいわけでございます。この新聞に、例えば、まだ事業の再生の見込みがあるのにOECFが返済保証の義務を強行したとか、あるいはまた広東発展銀行がOECFに八億八千万円送金したというようなことが書いてあるわけでございますが、随分事実と違うことがございますので、ちょっと一言先にお話をさせていただきたいわけでございます。  本件は、現地のウナギの事業をやっております恵州東昇鰻業有限公司、いわゆる株式会社でございますが、この株式会社は、先ほどお話がありました日盛産業という会社、これは日本の企業でありますが、そのほかに恵州市の水産進出口公司、東華ファンド、あるいはまたアジア開銀の子会社でもありますAFICという会社が出資をいたしている一種の株式会社日本風に言えば株式会社でございまして、私ども基金は、貸し付けに際しまして、債権保全のために、アジア開発銀行の子会社であるこのAFIC、アジア金融投資会社に保証をいただいたわけであります。その後この事業は行われていたわけですが、途中、この日盛産業という会社がおかしくなりまして、現在大変左前になってきた、こういう状態でございます。  私どもは、これまで数次にわたって現地にミッションを派遣いたしまして、日盛産業ほか、先ほど申し上げました株主にもお願いをし、株主に対してこの事業の再建もお願いし、要請をしてきたわけでございます。しかしながら、これにかわりまして、ウナギの稚魚でありますシラスの購入のための運転資金を投入して、そしてウナギを買い取る新たな信頼するそういった業者が見つからない、また他の株主の方々もみずから事業を再建するという動きを具体化しない、こういう状況で、事業の再建が大変難しい状況にございました。  このような状況下で相当に大きな延滞利子も発生し、また先ほど申し上げましたAFICの保証のための保証料も払われないという事態が起こりまして、こうなりますと保証はされないわけですから債権の回収はできませんので、このような可能性を何とかして逃れるために、開発金融機関として当然に債権保全のために去る十二月に保証の履行請求をしたわけでございまして、この間に、各社に、関係者に私どもは保証の請求をせざるを得ない状況も説明してきたわけでございます。  なお、広東発展銀行というのがいわゆる裏保証といいますかローカルな保証をしているわけでございますが、この広東発展銀行はAFICに八・八億円支払ったわけでございますが、私どもの債権保証をしているAFICから当基金に対して現在まで資金が支払われていない、私どもは入金をいたしていない、こういう状況になっているわけでございます。  そこで、先ほどの、一つ会社である、主導権を持っておりました会社である日盛産業というのは、銀行も相手にしない企業ではなかったのかということでございますが、当時の資料を見てみますと、昭和四十八年の創業以来、長年中国からのウナギの輸入をしておりまして、また、養殖技術などの技術面でなかなか近代的手法にたけておりまして、養鰻事業にも成功をおさめた、いわゆる中国で養鰻事業の草分け的な日本企業であったと理解しております。そして、同社は、輸入したウナギを多数の大手スーパーその他の事業者を通して販売をしておりまして、このウナギは、ある一時点では、日本のウナギの中国からの輸入の約四分の一を占めるほどのシェアを持っていたと理解をしております。また、複数の大手都市銀行あるいは外資系銀行とも融資取引を行っておりました。したがいまして、私どもは、借入人として十分な信用力があると当時は判断をいたしまして同社に対する融資を行ったわけでございます。  ただ、残念ながら、その後、同社が他の事業上で手詰まりを起こしましてこのような事態になったということがこれまでの経過でございます。
  261. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  それでは、日盛産業から、OECFからの借入金は十五億数千万であったわけでございますが、いわゆる恵州東昇鰻業有限公司への融資は八億八千万でございます。約七億ぐらいの差額がございますが、この七億に関しては一体どうなったのか、お尋ねしたいと思います。
  262. 清川佑二

    ○清川参考人 先ほどの恵州の東昇鰻事業に関しましては八億八千万の融資がございましたが、そのほかにこの日盛産業がやはり広東省で実施しておりました養鰻事業、汕頭という地域にありますが、その養鰻事業がございまして、これに融資をした経過がございます。その返済が進んでおりまして、現在七億円の融資残高がございます。  先ほどの八億八千万円とこの七億円を足しますと十五億八千万円になりますから、日経の記事の数字との差額はこの数字のことではないかと想像をいたしております。
  263. 上田清司

    上田(清)委員 その融資残高は現にあるということで、これは回収すべきものという形の中での位置づけですか。
  264. 清川佑二

    ○清川参考人 今のお尋ねの融資残高、汕頭の事業の約七億円につきまして、これは回収すべきものでございます。  なお、この融資につきましては、外国の銀行でありますスタンダード・チャーター下銀行、あるいは東京三菱銀行といった銀行の保証を得ておりますので、これにつきまして現在保証履行の請求を行っているところであります。
  265. 上田清司

    上田(清)委員 同じように上海の森ビルにも融資をしているというように聞いておりますけれども、この事実があるかないかということについてまずお尋ねしたいと思います。
  266. 清川佑二

    ○清川参考人 お答えいたします。  上海の森ビルというふうに簡単にされましたが、正確に言いますと、上海に上海環球金融中心投資株式会社というのが、これは日本会社でございますが、上海でビルをつくるという事業がございまして、OECF、当基金は二十六億七千万円の出資、融資ではなくて出資でございますが、出資を行っているところでございます。
  267. 上田清司

    上田(清)委員 これは海外経済協力基金のいわば事業の目的に沿う内容なのですか、出資というのは。
  268. 清川佑二

    ○清川参考人 事業の中身及び基金がどのようなことができるかという両面のお尋ねでもあるわけでございますが、私どもの基金の法律におきまして、経済協力基金の出資は、開発事業の遂行のために特に必要がある場合において貸し付けにかえて行うことができるというようになっておりまして、業務方法書などでも貸し付けにかえて出資ができるようになっているわけでございます。
  269. 上田清司

    上田(清)委員 参考人にお伺いしますが、もともとの目的というのは、海外の地域の産業の開発あるいは経済の安定ということでございますが、今指摘の上海森ビル、まあ雑駁に言って恐縮ですけれども、ここはどちらかといえば不動産投機をやっている会社でもあるのですけれども、その辺の事実関係はどうですか。
  270. 清川佑二

    ○清川参考人 確かにこれはビルの建設ではございますが、この事業につきましては、中国は、将来国際金融センターを上海につくるということを目指しまして、上海の浦東地区陸家嘴金融貿易区というものがございますが、そこに中核となる金融センタービルを建設したい、そして、これによりまして外国の金融機関のこの地域への進出を促し、中国に進出する製造業その他を含めて外資企業を支援する、このような形で中国経済の発展に貢献するということを中国側は考えており、これは開発に資するものであるというふうに考えているわけでございます。  なお、このような形で、既に再三にわたりまして中国の上海市の政府からも、国の考えているインフラ整備に積極的に取り組むように私ども要請を受けてきた、こういうことでございまして、開発に資する出資であるというふうに考えております。
  271. 上田清司

    上田(清)委員 この問題はOECFの範囲を少し超えている範囲じゃないかなというふうに私は思いますので、これは会計検査院の対象組織でもございますので、ぜひ会計検査院でも調べてほしいということを要望申し上げたいと思いますので、その返事だけ聞いて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  272. 疋田周朗

    ○疋田検査官 お答え申し上げます。  ただいまの御議論を承っておりましたけれども、会計検査院といたしましては、今回の報道も踏まえまして、事実関係の確認に努め、調査を進めてまいりたいと考えております。
  273. 上田清司

    上田(清)委員 終わります。ありがとうございました。
  274. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、田中慶秋君。
  275. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、新進党の立場で、まず総理に、公務員倫理法についての所感をお伺いしたいと思います。  この四月から消費税が上がり、あるいは特別減税が廃止される、公共料金値上げ、あるいは医療費の見直しと国民の負担は増大する一方であります。そして、その一方では、相次ぐ官僚の不祥、あるいはまた空出張や官官接待など、汗を流して納めた税金を私物化したような態度に、国民の怒りは火のごとく広がっている、こういうことであります。  昨年の十一月、厚生省事務次官に金銭疑惑が浮上したとき、綱紀粛正の目玉として公務員倫理法の制定が持ち上がりました。総理は、昨年の十二月の臨時国会で、法の制定のありなし含めて検討したい、こういうことでございました。ところが、昨今のこの通常国会においては、その前向きの答弁から、いつの間にか、法律で律しなければならないのはおかしい、あるいは恥だとか、こういう形でこの予算委員会の答弁もあり、その総理考え方が後退したのではないかという、それらに対する心境をお聞かせいただきたいと思います。
  276. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、現在も閣僚懇談会において倫理法の制定というものも視野に入れ、様子を見守っているということは繰り返し申し上げております。同時に、昨年のちょうど臨時国会でありましたか、まさにその是非も視野に入れて対応を考えなければならないということを申し上げてまいりました。  そして、昨年十二月に事務次官等会議申し合わせというものが行われたわけでありますけれども、これを受けて各省庁が法規範性を持つ訓令として公務員倫理規程を策定したわけであります。  この行動の前に、官房長官と私が事務次官会議に出席をし、事務次官という官僚の最高職にある人々がこの問題について真剣に取り組まなければ名誉を回復する機会なぞないんだ、みずからこれに対してどうすれば国民の信頼を取り戻すことができるか考えろということを言い、官房長官と私が事務次官会議に出席をいたしましたのを受け、武藤総務庁長官から各省官房長会議に具体化の指示をおろしました。その結果として出てきたものがこの公務員倫理規程であります。  ですから、この公務員倫理規程の中、既に御承知と思いますけれども、職員が関係の業者などと接触するに当たっての具体的な禁止事項、組織全体としての実効性を担保するためのチェック体制の整備、あるいは違反行為に対する処分などを厳正に講ずる内容を持っております。  私どもは、これが綱紀粛正策として実効の上がるものとなっておると思いますし、これを遵守されることを本当に願っております。むしろ、政府挙げてこの綱紀粛正というものを実施していくために、実行していくために、この倫理規程をもとに努力をしていきたい。しかし、我々自身がまだ、その意味では、閣僚協議会としては倫理法の制定をも検討の視野に入れている状態であることは事実であります。
  277. 田中慶秋

    田中(慶)委員 倫理法と倫理規程、あるいはそれぞれ就業規則等々を含めながら、その中身は私は全然違うと思うのです。またこれからその質疑をさせていただきますが、この倫理規程というものはみずからつくった省内のものであり、そしてその問題がみずからを、省としてそれぞれ処分その他を含めて考えられるときに、この倫理法と違う意味は、倫理法というものは少なくとも処罰も含めてこの国会に報告の義務やそういうことも全部ある面では課せられていくのではないか、こんなふうに私は考えております。  ところで総理、あしたから大蔵大臣が先進七カ国蔵相会議に出席されるわけですが、この諸国は少なくとも民主主義が定着し、あるいは既にこの七カ国の中においても公務員倫理法がそれぞれ制定されている国が非常に多いわけであります。  そういうときに、総理はいつも日米関係を最重要視をされ、そしてパートナーとしてアメリカ、この日米関係を大切にしていく。アメリカは既に公務員倫理法が制定され、大変厳しい運用がされているわけであります。そのパートナーであります日本がまだ倫理法がない。そして、相次ぐ公務員の、高級官僚の不祥事が続いている。これが現実でありますから、これらに対する総理の所見なり、また、明日から行かれる大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  278. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 G7に赴かれる大蔵大臣の感想は大蔵大臣からお聞きをいただきたいと思います。  私は、確かに間違いなしに、日本にとってアメリカというのは最も大切な外交関係を持つ、将来ともにより深い関係を持つべき友人だと思っております。  その上で、それぞれの国はそれぞれの国の伝統があり、歴史があり一その上で築いてきたシステムがございます。日本は本来が終身雇用制の国でございました。アメリカは終身雇用制ではございません。また、日本では、実質的に閣僚が事務方の大事に手を入れるということは、少なくとも慣例的に見れば余りないと思います。アメリカの場合には、政治的任命という言葉が存在しますとおり、政権がかわりますと千を超える公務員が政党の消長に従ってかわります。私は、全然やはり異質のそうした部分を持っておると思いますし、そのアメリカの体制が、他のヨーロッパ諸国、例えばG7を構成している他のメンバーと共通しているというものでもございません。  そうすると、それぞれやり方というのはあってよいと私は思いますし、殊に、ポリティカルアポインディーの非常に多い国として倫理法というものをきちんと位置づけておられる、これは私はやはり一つの見識であり、アメリカ合衆国としての選択肢だと存じますけれども、日本がすべての制度をアメリカと同じにしなければならないとは私は思いません。
  279. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ただいま総理からも言われましたとおり、昨年の十二月十九日、事務次官会議申し合わせ、そして大蔵省職員倫理規程を年末の二十六日に制定をし、職員にその趣旨の徹底を図ったところでございます。私は、同規程の遵守を初めとする綱紀の粛正について、一層徹底を図り、その実を上げなければならぬと思っております。  田中慶秋議員、恐らく大蔵省のこの倫理規程をお持ちかと思いますが、相当詳細にわたりまして、関係業界はもちろん完全にアウト、それ以外の講師として呼ばれた場合の対応に至るまで行っております。こういうことで、不幸な事件が一昨年起きましたことにかんがみまして、自後さようなことのないような万全の体制をとられておると思っておりますから、それを見詰め、しかしながら主管大臣として、そのことについての徹底を管理者である次官を中心に対応をしていただく、こういうことで万全を期してまいりたいと思います。  G7でルービンさんともお会いをするそうでありますが、これは、マクロ経済財政、その国の今後の金融、その他万般にわたってのお話でありますので、その件には触れないとは思いますが、しかし、アメリカ合衆国は多民族国家の中で育ちました人権と自由の国でありますから、それだけに、これを守り抜くために官僚の倫理法、また議員一人一人の受けられる寄附の上限等についても、また贈答についても厳しく規制をいたしておる。もって他山の石でしょうか。
  280. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今総理大蔵大臣に聞かせていただいたわけでありますけれども、ただ、基本的な倫理法と倫理規程の違い、こういうことについてぜひ御理解をいただきたいわけであります。確かに今倫理規程も厳しくいろいろなことを、公務員の接待やあるいはまた贈答品等々を含めながら大変厳しいものがあるわけでありますけれども、ところが、公務員の中でこんなことをもう既に言われているのです。  例えば、十二月十九日、せっかく総務庁を中心として綱紀粛正なり、あるいはまた倫理規程をそれぞれの省庁が一生懸命つくられたわけでありますが、この倫理規程、禁止事項こそそれぞれ列記をされておりますけれども、違反した場合、省内の処分に任せることになっているわけであります。この辺、倫理法と倫理規程の違いがあるわけであります。特にアメリカの場合は、もう既に御承知のように、公務員倫理法というのは大変厳しい、議員にも適用されているわけでありますから、虚偽の申告をしても三十万ドル、こんな罰金を科せられる、こういうことであるわけであります。  ところが先般来、例えば通産省の中堅の官僚の人たち、この人たちは、問題になっているのはこの高級官僚のことですね、ほんの一握りの官僚であり、法律なんかつくられるとすべての官僚が悪いやつだと見られてしまうと抵抗感を示している。一方、大蔵省の若手は、これだけ各省にわたって不祥事が続いていることは、政官業の癒着構造を崩すためにも行動を示してやることが必要である、すなわち倫理法をつくった方がよろしい、こういうふうにも言われているわけであります。  せっかく総務庁が腐心をされて、そしてそれぞれの省庁で倫理規程をつくられておりますけれども、ある面ではその中身がばらばらであります。ですから私は、少なくともまじめな公務員の皆さんのためにも倫理法というものはぜひ必要ではないかな、このように考えているわけでありまして、これらの指導をされている総務長官の、私が述べました通産省や大蔵省の若手の人たち、中堅の人たちのこの考え方も含めて、総務長官考え方をお伺いしたい。
  281. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 もう先ほど総理から御答弁がございましたとおりでありまして、今回の倫理規程は、何にしても、私どもでまとめはいたしましたが、それぞれの人事権といいますか、監督権限は各閣僚にございますので、各省各省で法規範性を持った訓令として倫理規程をつくっていただいたわけであります。  そこで、今お話しのように、いろいろと私どもとしては私どもなりに苦労してつくったつもりでございますが、法律にした方がいいのじゃないかということでございます。私自身も場合によると法律というものも必要かなという気持ちはありますけれども、しかし、この内閣僚懇談会におきましては、とりあえずこれでもって各省それぞれ一生懸命やる、そして閣僚がそれぞれリーダーシップを発揮されて、できるだけ今後はあのような不祥事が起きないようにするように努力をするとおっしゃっていただいておりますので、私としては、閣僚懇談会で一応、今総理からも御答弁がありましたように、これを見守りながら、今後も引き続いて倫理法という法律をつくることも含めて続けて検討しようということになっておりますので、今のところはそういう気持ちでいるわけでございます。
  282. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私が申し上げているのは、次に、こんなことまであるのですよ。通産省の関係でありますけれども、総務課長の了解をとれば、業者との会食、業界との、団体とのパーティー出席さえもいいという、こんなことも含めながら、一方においては厳しくやれと言っておきながら、そういうことが既にひとり歩きされているわけです。こういうことであります。  ですから、ある面では、この倫理規程と倫理法の違いというものはそういうところにあるわけでありますから、私が申し上げているのは、まずそういう点で、規程よりも、あるいはまた少なくとも倫理法という厳しさを持って、新しい世紀を迎えるわけですから、そういうことをしっかりとしてほしい、私はこういうふうに言っているわけであります。  例えば、去年から、最近の明るみに出たものだけでも、元運輸事務次官の服部氏、前の関空の社長が泉井氏から絵画や金銭等々を受けている。まさしくこれは高級官僚です。厚生省の和田審議官等々も百万円を受けて懲戒免職。あるいはまた、厚生省の岡光次官が小山氏より六千万の金品を受け取ったというような問題。あるいは、通産省の牧野事務次官を初め、ここにはまた一柳氏等もそれぞれ泉井氏との交流が深かった。あるいは大蔵省においては、中島元金融研究所所長、あるいは田谷東京税関長ら。  こういう指導的な立場の人たちが、こういうことを知っておきながら次々とやっているわけでありますから、やはり規程というよりは、規程というものはやわいわけでありますし、内部で、特にその省の中でそれぞれの検討をされるわけでありますかち、これらについて、やはり私どもは少なくとも公務員倫理規程、そしてそれはある面では議員も、さらにはまたみなし公務員も含めてあるべきじゃないかという基本的な考え方を持っているわけであります。  それで、今申し上げたような外国の例も含めて、やはり民主主義の国であり、近代国家であり、そして、これから少なくともG7に行って、それぞれお互いにパートナーとしていろいろな話をするときに、足元の高級官僚が、それぞれの不祥事件だけを、こういうことで今襟を幾ら正そうとしても、そういう問題はやはり尾を引くものであろうと思います。  特に梶山官房長官にお伺いしますけれども、法律をつくって罰を科するようにすれば直ちに犯罪がなくなるかというと、必ずしもそうではない、むしろ、まじめな公務員がほとんどなのに、そうした人たちが縛られてしまう、仕事がやりにくくなるようなものをつくるのはどうかと思う、こういうふうに述べられているわけです。  あの民主主義のアメリカであっても倫理法があるんです。そして日本でも、まさしく今民主国家として、まじめな公務員のために、大蔵省の若手の人たちが言っているように、ぜひ必要だと言っているわけです。そういうことを含めて、官房長官の考え方をお伺いしたいと思います。
  283. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 既に、総理を初め、この問題に対する考え方、昨年来の事務次官会議あるいは閣僚懇談会の模様については報告があったとおりであります。そして私も、これから倫理法の制定をひっくるめて、視野に入れて検討しようということは言っておりますが、いろいろなことを調べてみて、やはり、なぜ世界に冠たる日本の公務員道がこれまで崩れたかということも考慮には入れなければなりません。  そういう背景を見ながら、なおかつ調べてみますと、これはもう委員御承知のとおりですが、国公法でも幾つかの、特に公務員なるがゆえに幾つもの縛りがあるし、これには免職をひっくるめて訓戒まで、それから、今度の各省庁の内規で決めたものも訓告や注意まで、そして、この規程に盛られたものの今度は具体的な項目があるわけでありますから、この具体的な項目に従っていわゆる国公法の処罰を、免職以下の処分を受けることになるわけでありますから、大変きついきつい今までの公務員法の適用を具体的に今度はうたいとげているわけでありますから、さらにそれに何を加えることがあるのかしらということがございますし、事務次官会議では、早急に法的な措置をひっくるめてこの制度の運用その他を図るということもあります。  ですから、委員のおっしゃることは恐らく、やはり精神的な倫理観と、それからもう一つは、資産公開であるとかいろいろな意味での新たな倫理法の制定というものを求めるのかどうか。これは新たな観点でありますから、私にはよく、まだそこまで勉強しておりませんが、いずれにしても、日本の国家公務員というものには大変厳しい縛りがある。そして、日本の刑法その他を当然遵守しなければなりませんし、この刑法に基づいて、犯罪その他に類することがあれば当然処罰をされるわけであります。  ですから、絶対に起きないということを保証できるような法律があるでしょうか。起きたらば捕まえることができる体制の方が大切だという気がいたします。
  284. 田中慶秋

    田中(慶)委員 むしろそういう点では、法律なんて、極端なことを言えば何もない方がいいんでしょう。ですけれども、現実にはいろいろな不祥事やいろいろな問題があるから法律は後追い的にできてきているわけです。交通の法律であろうと道交法であろうと、何であってもみんな後追いです。  ですから、例えば今回の倫理規程で、それぞれ省庁がやられて、やろうとして、また今やっている。しかし、倫理法より公開性の高い処分基準を設けているかというと、やはり倫理規程というのは身内が身内を処分するような、繰り返して申し上げますけれども、そういう形になってしまう。何も私はあえて処分しろと言っているんじゃない。しかし、よりそういうことを含めて、現実に骨抜きになるような倫理規程というのが今から心配されるわけですから、そういうことを含めて、この構造的とも言える不祥事件を防止するためにも私は必要じゃないかな。  こんなことを含めて、総務長官、ひとつ考え方を聞かせていただきたい。
  285. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、閣僚懇談会におきましては、今官房長官からもお話があり、総理からもお話があったとおりであります。とりあえずこういう法規範性を持った訓令として各省庁でやっていただいたので、それが実効が上がっていけばいいわけでございますから、とにかく見守りながら、しかし、公務員倫理法というものの制定も、決してそれをノーと言っているわけじゃないわけであります。将来の問題としてはそういう場合もあり得るかもしれないわけであります。  そこでもう一つ、私は今お話をいろいろ聞いておりますけれども、今度の規程が割合細かいところまで正直行っているのはもう御承知いただいていると思います。例えば服務管理官というようなものは今まではなかったわけでございますし、これがそれぞれの役所に常時、大きな役所はそれぞれ課に置いていただいておりますし、まあまあ目の届くところにとにかくそういう監督に当たる人がいるということは、私は、少なくとも過去のことよりはいいのじゃなかろうか。それから、そういう人には何かあったときには常時相談するように、こういうことになっておりますから、少なくとも善良な官僚はこれできちんとしていただけるのではないかと思っているわけです。  しかし、不心得な人が出てきたときはどうするかというまでは、どうも私は、残念ながら、やはり日本の官僚は少なくとも善良であってもらいたい、また善良である、こう思っておるものでございますからあれでございますが……。  もう一つ言えば、先ほどこれはちょっと官房長官からもお話がありましたが、今度は処分をする規定、これも今いろいろとそれぞれの役所の人事担当の者で、具体的にどういうときにこういう処分に当たるだろうかという物差しを、今実は、あの規程の中でそこがまだ残っておりますけれども、物差しを検討していただいております。この物差しが出てくると、もう少しまた処分がはっきりできるようになるのではないかと思っておりまして、先ほど来、お考えが多少違うかもしれませんが、必ずしも法律をつくるだけが能ではなくて、きちんとした形で、もし万が一起きたときには十分処分ができる。  特に今度の場合は、先ほどの岡光前次官のときとは違って、場合によっては、例えばすぐ依願退職させないで残しておくということもできるようにあの規程には書いてあるわけでございますから、そのようなことも私どもはやっていただければいいし、法律としては、私のところで今検討しておりますのは、とりあえずこの間のような形でやめてしまった方には、やれボーナスを出すとかやれ退職金を払うとか、これは国民から見れば、新聞に書いてあったように、泥棒に追い銭だというような表現もありました。私どもは、そういうことはあってはいけないというので、これはぜひこの国会で、少なくともいろいろ疑惑を持たれた方には、どういう形に処分をするかは別といたしましても、退職金とかあるいは期末手当を払わなくてもいいような形に、退職手当法あるいは国家公務員法、給与法などの改正をぜひこの国会でやらせていただければ、こう思っているわけであります。
  286. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私どもも、この国会に倫理法を議員立法として提出する用意を今進めさせていただいております。そういう問題も含めながら、総理初め皆さん方におかれても、倫理法も含めてということでございますので、そういうことをぜひ期待もし、また実現をしながら、やはりもう世紀がかわっていくわけでありますから、そういうことを含めて、日本も少なくとも国際国家日本として恥じないような形の法の整備をしていく必要があるだろう、こんなふうに思います。  さて次に、先ほど来申し上げているように泉井氏の問題でありますが、今回も、この問題の中には、泉井氏とのかかわりの深い人たちがたくさん名前が挙げられているわけであります。通産省のこの牧野事務次官初め四人がそのことによって処分をされてみたり、あるいはまた大蔵省の関係者もおられるわけであります。そういうことを含めながら、この脱税事件というものが、ある面では政官業、こういうところまで及んでいるということをいろいろな形で報道されているわけであります。  特に、法務大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、この泉井氏の関係においては、報道によれば、それぞれ政治献金を含めて、振り込まれたり、あるいはメモが残っている等々含めて、それを検察が押収をされたということを承っているわけでありますが、その辺について事実をお聞かせいただきたいと思います。
  287. 原田明夫

    ○原田政府委員 お尋ねが検察当局の捜査状況にかかわることでございますので、事務当局からお答えさせていただきたいと存じます。  ただいま御指摘いただきましたように、泉井純一氏に係る事件について現在東京地方検察庁におきまして捜査中であることは、そのとおりでございます。  また、報道によれば、さまざまなことが報道されていることについても承知いたしておるのでございますが、検察といたしまして、捜査を行うということは、刑事訴訟法に基づきまして事実関係を確定していく一つの大きな作業でございます。その中で、どのような事実について捜査をしているとかこれからしてまいるというようなことについて言及することは、法務当局としては避けなければならないことだと考えております。  また、証拠の一つ一つの事柄について、それを現在検察当局がどのような形で把握しているかということについても、これは刑事訴訟法上の建前から申し上げましても明らかにすることができないことでございます。  検察当局といたしましては、事実関係につきまして、まさに法と証拠に基づきまして今後とも適正に対処してまいるだろうというふうに考えておりますので、御了承をいただきたいと存じます。
  288. 田中慶秋

    田中(慶)委員 確かに捜査中のことであろうかと思いますけれども、既にそこには、これは名簿によりますと、十八人が銀行振り込みがあったとか、そんなことを言われているわけでありますし、あるいは、メモにはさらに二十人近い人たちのメモが残っているという、こういうことで、やはりお互いに襟を正すとか、いろいろなことを言われるにしても、こういうものが先走りしていきますと、どうしても全体的に与える影響というのは大きいのだろうと思っております。  ですから、固有名詞は別にしても、法務省にお聞きしたいのは、今言う、国会議員を含めてこの十八人とか二十人とか言われている、その事実関係はどうなんでしょう。
  289. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  重ねての御質問でございまして、関心の有無についてはよく承知できるのでございますが、まさにそのようなこと自体が、検察が把握しているとか、あるいはそのような資料の有無につきましても、言及すること自体が、私は法務当局といたしましては適切でないと考えている次第でございます。それは、検察官が法に基づきまして捜査をゆだねられているということにかんがみますと、厳粛に考えていかなければならないものであろうと存ずる次第でございます。
  290. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それでは、国税庁にお伺いしますが、大阪国税局が強制捜査でその書類等を押収された。そして、国税の犯則取締法十八条に基づいて、この押収したもの、差し押さえ物件の引き継ぎ等々を含めて、既にその振り込まれた書類あるいはまたメモ等については検察の方に引き渡した、この法律上では引き渡すことになっているわけでありますが、その辺の事実関係はいかがですか。
  291. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 今御質問のございましたような納税者の個別にわたる事項につきましては、私ども従来から具体的に答弁することを差し控えさせていただいておりますので、御理解をいただきたいと思います。  特に書類、査察調査で押収しました書類につきまして、差し押さえ等をいたしました書類についてのお尋ねがございましたけれども、これも一般論になりますけれども、査察事件を告発した場合には、先生今御指摘ございましたように、国税犯則取締法第十八条第一項におきまして、証拠物件は検察官に引き継ぐべしということになっておるわけでございまして、査察事件を告発した場合には、証拠物件はすべて検察庁の方に引き継いでいるということでございます。
  292. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大蔵省にこれ以上あれしても、もう査察されて、その差し押さえた物件は少なくとも検察当局にもう回っているということでありますから、それはそれとして。  そこで、実は自治大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、政治資金規正法で、個人の献金年間百五十万と承知しておりますけれども、その辺についていかがですか。
  293. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 細かいことはまた事務当局でございますが、この前の法改正で厳しくなりましたのは、企業、労働組合等の団体献金でございまして、個人献金についてはそんなに大きな変化がないわけでございまして、政治団体等に対しても、今なお幾つか持てるわけでございますが、その一団体に対しては百五十万円を限度とする、こういうことではないかと存じております。
  294. 田中慶秋

    田中(慶)委員 実は、泉井氏から、それぞれ政治家と言われる人たちに銀行振り込みで、多い人は四百万とか四百八十万、六百万あるいは二百万、三百万等々がそれぞれ報道されているわけでありますけれども、例えば、この百五十万をオーバーした場合、本来ならばこれは罰則をされるであろうと思いますけれども、自治大臣どうですか。
  295. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げました百五十万を超えて献金がなされた場合でございますが、この場合は「一年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」というふうになっておるところでございます。
  296. 田中慶秋

    田中(慶)委員 自治省にお伺いしますが、実は、泉井氏からそれぞれ政治献金として、個人献金にしろあるいは団体献金にしろ、そういうことについて現在までどの程度掌握されているのか、お伺いをしたいと思います。
  297. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 私ども自治省は、具体的な事実関係について調査をする権限を有しておりませんので、御理解いただきたいと思います。
  298. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これは、衆議院の商工委員会でもこの問題が取り上げられているわけでありますから、本来ならば、この種の問題については当然掌握をすべきではないかと思いますが、大臣。
  299. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 御案内のとおり、それぞれの法律の趣旨がございまして、自治省は、政治資金を管理するという立場にはございますけれども、みずから調べたり、そういうことはその機能として与えられておりません。そのかわり、公表はするようになっており、そういう書類等はきちんと管理しているのでございますから、それに基づいて、関係者が公表されている資料等についていろいろとやっていただくことについては全面的に御協力をするつもりでございます。やはり法律がある以上、我々は法律に忠実にいくというのが行政の役目だと思っております。
  300. 田中慶秋

    田中(慶)委員 特に、一九九二年から三年、この時期は衆議院選挙等々が行われ、そして政治資金の問題等々も含めて大変資金的な不足を来している等々のことから、この泉井氏の問題は、ある面では二億六千万とか言われているわけでありまして、大変な、今の被告という立場であるけれども、現実にはそれぞれ資金提供された方がいらっしゃるわけでありますから、その辺についてはやはり明確にしておく必要があるだろう、このように理解しているわけであります。  特に、名前を申し上げると大変失礼なものですから一応名前は申し上げておりませんけれども、ただ、この事実関係を聞かしていただくならば、大臣経験者あるいは今の大臣の中にもそういうリストの中に名前が載っているわけでありまして、そういう点では、これは報告の義務として、それぞれ選管、中央選管なり地方の選管に届け出はされていると思いますけれども、今私どももこれらについてそれぞれ地方も含めて検討中でございます。そういう中で、例えば現職大臣のお三方がおられるわけでありますけれども、これは適切に、私は政治資金規正法に基づいて処理をされていると思っておりますけれども、その辺について、大変失礼ですけれども、その正確度を期す意味でお伺いをしたいと思います。  実は、このメモの性格がどうかはよくわかりませんけれども、ただ、銀行振り込みという形で、もう既に検察やあるいは国税がそれぞれ証拠を押収されているわけでありますから、そういう点を含めて事実関係を確認していきたい、こんなふうに思うところであります。  特に、少なくとも、今のこれだけ政治に対する不信等が叫ばれているときに、このような献金問題が、現実問題として銀行振り込みがあった、こういうことでありますので、特に自治省にお伺いしたいわけでありますけれども、自治大臣、個人の寄附が百五十万を超えて報告をされた場合においては、現場としてこれらに対してどういう指導をされているのか、まずお伺いしたい。
  301. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 私どもは、収支報告書の提出をいただきまして、これを国民の皆様に公表するという任を負っているわけでございますが、その収支報告書が形式的に整っているかどうかということにつきましては御指導を申し上げますけれども、具体的な事実関係につきましての、法律違反等につきましての実態を調査して、それに基づいて指導するというような権限は有してないところでございます。
  302. 田中慶秋

    田中(慶)委員 その実態調査ということでありますけれども、現場で、政治資金規正法のもとで百五十万を限度としているときに、二百万なり三百万という問題について、現実問題として、これらの問題については現場サイドとして事前に注意なり指導なりしたということも聞き及んでおりますけれども、今は選挙部長はそれは全然していないということでありますが、その辺はもう一度答弁を願いたいと思います。
  303. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、形式的な審査はいたしておりますが、事実関係にわたる調査はいたしておりません。  ただいま先生から御指摘のありましたようなことがあったかどうかということにつきましては、私、確認をいたしておりません。
  304. 田中慶秋

    田中(慶)委員 まずそれぞれ公務員の倫理という問題から、やはり政治家も、この倫理法を含めて、行政倫理なりあるいは政治倫理なり等々を含めながら、やはりこういうことを含めて厳しくこれからやっていかなければいけないだろう、こんなふうに思っているわけであります。  そこで、実はここに数名の名前が現実に載っているわけであります。私どもはこれらに基づいて、これからこの予算委員会で証人喚問なりあるいは参考人として、それぞれ伺う用意もあるわけであります。  いずれにしても、この現在押収されております銀行振り込みあるいはメモの記載等々については、捜査上のものとはいえ、やはり、調査検討等を含めながら、こういう問題について、ある一定時期が来たならばこれらについて公表をしていただけるかどうか、検察庁、お願いします。
  305. 原田明夫

    ○原田政府委員 法務当局といたしまして、国政調査権の行使につきましては、これを最大限に尊重すべきものという立場から、法令の許します範囲におきましてできる限りの御協力をすべきものと考えております。  ただ、先ほど申し述べましたとおり、捜査結果等の公表につきましては、関係者の名誉、人権の保障、また裁判への影響等の関係、検察権の適正な運営のための観点などから問題の存するところでもございまして、国政調査権の行使に御協力するにいたしましてもおのずから限界があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  306. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これは総理にお伺いしますけれども、一月一日の読売新聞、「政界へ二億六千万」という形で石油取引疑惑の被告であります泉井氏から、その関連について新聞報道されておりますが、この辺については承知しておりますか。
  307. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 知りません。
  308. 田中慶秋

    田中(慶)委員 元旦の新聞でありますからもう一度お読みいただければ、それぞれこの流れというもの、あるいはまたこれらに対するひとつのバックデータみたいな形の中で報道されているわけでありまして、こういう一連のことを含めながら、やはり具体的な名前も一部ではリークされているわけでありまして、こういうことを含めながら、少なくともこれらの問題についてしっかりと、検察庁が現在調査をされていると思いますけれども、これらについての調査結果はいつごろ具体的になるか、タイムスケジュールをもしよろしかったらお聞かせをいただきたい。
  309. 原田明夫

    ○原田政府委員 検察の捜査の実施の状況、またそれが今後の経過につきまして申し上げることはできない状況にございますので、その点は御理解いただきます。  また、報道ということで先ほどからお尋ねでございますが、検察の捜査は、報道がなされているということにつきましてはその事実は承知していると思いますが、報道と捜査の中身はおのずから違うことであろうかと思います。  また、先ほどリークということで、そういう御趣旨じゃないと存じますが、捜査当局からそのようなリークがあったのではないかという点をお含みでございましたら、そのようなことは一切ないと考えておりますので、どうぞその点につきましては御了解を願いたいと存ずる次第でございます。
  310. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それぞれいろいろな形で報道されているものの中には具体的な名前まで最近報道されているわけでありまして、この具体的な名前を、少なくともこれから審議に当たって、特にこの泉井氏の問題はいろいろな形の中で政官業の癒着という、こういう形であるわけでありますから、こういう問題を明確にすることがぜひ必要ではないかな、こんなふうに考えております。  そこで、今問題になっている泉井氏の問題、あるいはまた、それにかかわる公務員等の問題も含めて、公務員の名前が出て、それでそこで処罰をされる、政治家は処罰をされない、こういう方法は決して公平ではない、私はそのように思うわけであります。  そういう点では、これからこの予算委員会を含めながら、これらの問題について厳重にやってまいりたいと思っておりますけれども、既に名前を挙げられている十八人の皆さんは、それぞれ何らかの因果関係があっておつき合いもしたんでしょうけれども、いずれにしても、政治資金規正法以上の、個人であるならば百五十万以上、あるいは団体であるならば五十万以上、やはりそういうことが今政治家不信あるいは政治不信という中で問われているわけでありますから、こういう問題についても明確に捜査、並びに自治省においては、それぞれの今問題になっている人たちのことについて、少なくともその報告をオープンにされているのでしょうから、ぜひ明らかにしていただきたい、こんなふうに思います。
  311. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 具体的な政治団体名が特定をされませんと、収支報告書の内容等は調査できませんので、御理解いただきたいと思います。
  312. 田中慶秋

    田中(慶)委員 確かに、具体的な名前が申し上げられないからこの調査は難しいということでありますが、報道関係ということでそれぞれもう既に名前が挙がっております。私たちは、少なくとも現在、熊本やあるいは広島や大阪さらには仙台等々を含めて、こういう問題について調査団をこれから派遣をして徹底的にこの究明をしてまいりたい、こんなふうに思っているわけであります。  こういう一連のことを含めながら、いずれにしても、あるときには泉井氏が自民党の大物の大阪の後援会長を務めたとか務めているとか、こういうところまで報道されているわけでありますので、そういう点では、これらの問題をこれからも私ども新進党は徹底的に究明をさせていただきたい、こんなふうに考えております。  なお、私は、少なくとも倫理法、こういう問題について申し上げたのは、一方においては公務員を倫理規程やいろいろな形で、善良な公務員、こういうふうに答弁をされているわけでありまして、そこについては徹底的にやって、片方においてはその厳しさが薄いということは、やはり国民の政治に対する信頼度が薄まることでしょうし、一方においてはやはりこういう不祥事件が続く、政官業の癒着というものがさらに拡大をされていく、こういうことで、今総理は、この倫理法も含めてこれから検討をするということでありますから、この倫理法の中には、先ほど私が申し上げましたように、公務員あるいは政治家、さらにはみなし公務員等々を含めて、こういう問題についてどのように総理考え方があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  313. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員の身分について、行政府が拘束を加えることがよいことだとは思いません。その上で、私どもは閣僚として資産公開の義務を負うております、就任時及び退任時。これが我々の一つのけじめでありますし、また、今の財政状況等の中で、先内閣に引き続いて現内閣も、閣僚全員が自発的に一割の歳費を国庫に返納しているという姿勢をとっております。
  314. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、今、政府や永田町の常識は地域の常識との隔たりがある、こういうことをよく言われるわけでありますから、私どもは、倫理法を含めながら、国民の増税や公共料金あるいは医療費に悩み、そして負担増になる、このような今の実態を考えたときに、少なくとも信頼される政治であってほしい、このように願っております。  時間が参りましたので、私の質問は以上で終わります。
  315. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会