○生方
委員 同軸ケーブルや光ファイバーとか通信衛星とか、いろいろなものを使って当然ネットワークは構築していかなければいけないと思うんですが、ちょっと質問から外れてしまうのですが、マルチメディアというときによく言われているのは、電話とパソコンとテレビを結びつけたみたいな形の言い方がされておりまして、私、より大事なのは、今、双方向の通信で、いわば片側一車線の道路ができているのを、マルチメディア、光ファイバーを例にとれば、電話回線でいえば二千回線とか三千回線、つまり車線が二千車線とか三千車線になるようなものができてくる。
そのときに、じゃ、そこを自動車だけ通らせるのかというと、そうじゃない、いろいろなものを取り入れていかなければいけない。そのとき、今我々が
考えているようなメディアじゃない、全く新しいメディアが乗ってくるんだという発想がどうもすっぽり抜け落ちてしまって、今
総理がおっしゃったように、例えば御老人お二人住んでいるところに光ファイバーが入ってきて、千車線があったってこれは活用しようがない、それを一律にやってしまうところにお金をかけたんじゃむだだと思うので、やはり必要なところから、あるところは光ファイバーでなければいけないし、あるところはそうでないものでも十分いいんではないかというような、バラエティーが私は必要だというふうに思っております。
もとに戻りますが、我々が今、二十世紀の後半に暮らしている工業社会の一番大きな特徴は何かというと、やはりこれは、産業革命が何で起こったのかというと、機械というものが発明されたことによって起こった。したがって、私の理解では、工業社会の一番大きな特徴というのは、非常に大きな生産力がもたらされたというのが一番大きい社会としての特徴ではないか。
したがって、それまでの農業社会というのは生産力が比較的乏しい社会でございましたから、
消費者と供給者というのが明確に分かれていないで、自給自足が原則であったわけです。ところが、そこへ機械という非常に大きな生産力をもたらすものが生まれたことによって、供給者と
消費者というのが分かれてきて、今の社会ができ上がったのも、その機械がネットワークを構築する、これは交通網なんですが、こういう交通網を構築することによって、大量に物をつくって、それを大量に
消費しようというような社会ができてきた。まさに
日本は、大量生産、大量
消費というところでは先頭を走ってきて、豊かな物の社会というのを実現したのはこれはもう紛れもない事実で、それは
国民の皆さん方も大いに喜んだところだと思うんです。
ところが、その大量生産、大量
消費というのは、同時に大量の廃棄物あるいは排気ガスというものを出す
構造になっておるわけですね。したがって、私は、先進工業国と言われた国々は、遠からずみんな工業化の壁というものに突き当たらざるを得ないんではないか。私の解釈では、アメリカはその壁に八〇年代の中ごろに当たった、
日本は今まさにそれに当たっているんではないか。
〔小里
委員長代理退席、
委員長着席〕
私の解釈では、工業化の壁というのは、
一つは、非常に大きな供給力がもたらされたにもかかわらず
消費がそれほど伸びないという、供給過剰というか、
消費の成熟化。そうしたものに直面しているのはもちろん先進工業国だけなわけですから、そうなりますと、当然、先進工業国は、そうでない、供給がまだ不十分な地帯に向けてたくさん物を
輸出していくという格好になるんですが、そこには今度
環境問題、エネルギー問題というのが立ちはだかってきて、どうしても先進工業国はにっちもさっちもいかなくなってしまうというのが現状ではないか。
したがって、これを何とか乗り越えていかなければいけないという問題に
日本もアメリカもヨーロッパも直面した。私の
考えでは、どうしたらこれを乗り越えることができるのかというところにまさにその情報化が非常に大きな力を発揮するのではないかというふうに
考えております。
それで、どうしたらその情報化がそうしたものをいわば克服することができるのかというと、
一つは、供給過剰の状態、ちょっと図を今ここに持ってきたんですが、非常に大きな図になってしまって恥ずかしいんですけれども、私が
考えるには、今申し上げましたように、工業社会の大きな特徴というのは、メーカーを中心として、流通サービスがメーカーがたくさんつくった物を
消費者に
効率よく届けるために、こういう三角形のピラミッド型の縦割りの社会というのを特徴としてつくられてきた。この中では、メーカーが大量につくった品物を
消費者のところへいかに
効率よく届けるのかというために、流通サービスが非常にうまく機能してきた。この機構を支えるために官庁も企業も縦割りのピラミッド型のこういう組織を持っていて、それが部とか課に分かれるという形の
構造をとっていたわけです。
ところが、もう既にメーカーがたくさん物をつくってしまって、
消費者に物が行き渡ってきて、供給過剰の状態というふうになってきますと、この間も質問のときに申し上げましたが、工業社会というのは大量に物を安くつくるということが大事だったのですけれども、今度はそれだけのコンセプトではできなくなってきて、
消費者が求めているものをつくらなければいけないというふうに変化をしてくる。そうなりますと、当然この三角形のピラミッド型の形に対応する組織ではこれには対応できないというのが
一つ私の
考え方でございまして、アメリカ等でも組織改革に当たらなければいけないというのは、まさに
消費者が、今まで王様だというふうに言われながらその実王様でなかったのが、本当に王様にならざるを得ないというようなところに来ているというふうに私は
考えております。
したがって、何を言いたいのかというと、供給が過剰になる、先ほどもお話ございましたように、
製造業に従事している方たちが百二十万人以上も、いずれ情報化が進展すれば余ってくるのはこれは事実でございまして、その
人たちをどこで吸収するのかというときに、もちろん新規事業開発というのも非常に重要ですし、いろいろな規制緩和によって市場が大きくなることも重要ですが、それと同時に、私は、この三角形のピラミッド型の社会からネットワーク型社会に移行するところに非常にたくさんの需要が生まれてくる、その需要を消化していけば、十分に供給過剰という状態をスムーズにそうでない状態に移していくことができるのではないかというふうに
考えております。
それからもう
一つ、
環境、エネルギーの制約というのがある中で、どうしたらこの成熟した工業社会から情報社会に移行することができるのかというときに、やはり今までの大量生産、大量
消費、大量廃棄というものから、適量、適時生産、適量
消費という形に
構造そのものを変えていかなければいけないというふうに思っているのです。
大変長々としゃべってしまったのですが、この辺のお
考え方について、
通産大臣、ちょっと御感想がございましたらお聞かせいただきたいのですが。