○平田
委員 さらに現在、疑惑として挙げられている問題が幾つかございます。
二つ三つ挙げさせていただきたいと
思いますが、
一つは、
日本病院寝具協会や、日清医療食品についての政治家、厚生省をめぐる疑惑でございます。
二つは、泉井石油商をめぐる疑惑であり、さきに元運輸事務次官が逮捕されましたが、新たに元通産事務次官をめぐる疑惑が浮上をいたしております。
また三つ目には、彩福祉グループからの一千万円を超える収賄で逮捕されました茶谷滋の件でございます。さきの総選挙で自民党公認で出ておりますが、その公認を得るについての疑惑が取りざたをされております。
衆議院の自浄作用といたしまして、このような疑惑も、証人喚問も含めまして、その追及、解明をすべきと考えまして、その要求をいたします。
引き続きまして、まず私は最初に二点、この
補正予算の
審議に当たりまして申し上げたいと
思います。
第一は、行政側すなわち
政府、官僚は、国会すなわち国
会議員に対し説明義務を負っているにもかかわらず、それがなされていないということでございます。
当然のことでありますが、予算案の十分な
審議を行うためには、
政府、官僚が国
会議員に対し、議院
内閣制のもとにおいては、野党に対してこそ、より丁寧な予算案の事前説明をなすべきであります。にもかかわらず、今回も
補正予算案について、大蔵省は全くと言ってよいほどその説明義務、説明責任を果たしておりません。
私は、本日の
質問の準備のために、先週の火曜日に大蔵省に
補正予算案の説明を求めました。若い大蔵省の官僚は、一枚の紙を渡し、歳入と歳出の数字の説明をしたのみでありました。私はその数字の中身にまで踏み込んだ説明を求めましたが、説明は拒否されました。資料の提出の要求に対しても、資料はないとの回答でありました。翌日の水曜日、数枚の、しかし内容の乏しい資料をようやく手に入れることができました。
その際私は、その資料の説明をした主計官に、なぜもっと詳しい資料を出さないかと繰り返し請求をしたところ、驚くべきことにその主計官は、予算案を見ればわかるでしようとの暴言を吐いたのであります。主計官とは、大蔵省で予算案をつくる責任者であります。予算案は、数字の羅列でしかなく、法律よりも無味乾燥なものと言えるでありましょう。
この暴言については、翌日、主計
局長から一応の謝罪がありましたが、打ち続く不祥事に
国民から厳しくその姿勢を問われているさなかの大蔵省の高官が、いまだにその姿勢を改めるどころか傍若無人に振る舞い、公務員としての義務を怠っている象徴的
事件であり、到底許されるものではありません。断じて抗議をいたします。
そして同様に、先週の水曜日のことでありますが、民主党の代表が、本
会議の代表
質問の後の
記者会見で、やはり、官僚が資料を全く出さないと発言をされておられました。ウルグアイ・ラウンドの農業対策費として三千百億円もの巨額が
補正予算に計上されているが、その内容を示す資料を出さないとのことでありました。
私も、その資料をようやく手にいたしましたのは、木曜日になってからであります。火曜日の要求から三日間もかかりました。資料集めのために時間は無為に過ぎていきます。検討時間を十分に得ることなく、
補正予算案の
審議は与党の数の力で始められてしまうのであります。
しかし、このような
政府、大蔵省の妨害と与党の多数の横暴を受けながらも、私たちは、
国民の代表としての責任を果たすべく、全力で
審議に臨んでおる次第であります。そして、
政府、大蔵省、与党の反
国民的姿勢を明らかにしてまいる決意でございます。
そもそも、何ゆえに今、
補正予算を組む必要があるのでありましょうか。
政府は、阪神・淡路大震災対策と防災対策であると説明をいたしております。しかし、
補正予算が現実に実施されるのはほとんどが来年度になってからであります。その
意味で、
平成九年度の予算に入れても十分なものばかりであると言っても過言でまありません。しかし、なぜそれをあえて
補正予算に入れたのか。
補正予算では約一兆七千億円の国債を新たに発行することになっております。建設国債であります。これを
平成九年度予算に回すことになりますと、増税された分のみ公債発行が減額されるのみで、財政支出の削減は一切
平成九年度予算では行われないということが明らかになってしまうのであります。
この事実を
国民の目から覆い隠し、橋本
内閣の財政
改革が単なる言葉のみであって実体のないこと、すなわち、財政
改革について無力であることを
国民の目から覆い隠し、
国民をだますためのまさに
補正予算案なのであります。このようなこそくな
内閣に
改革などできようはずがないじゃないですか。
内閣に協力して
補正予算案をつくり、しかもその説明を拒否して
国民をだます手伝いをしているのが今の大蔵省であると言ってもよいでありましょう。私は、このような
政府、大蔵省の態度を断じて許すわけにはまいりません。
もう
一つ、第二に申し上げます。
委員会
質疑における国
会議員の発言は、
国民の人権への配慮を十分にしなければなりません。
平成六年七月、北海道の国道で乗用車が反対車線にはみ出し、対向車線を走ってきたトラックと正面衝突し、乗用車の運転手はみずからの全面的過失で死亡し、
被害者のトラック運転手も負傷するという交通
事故が起きました。ところが、週刊新潮は、たまたま死亡した乗用車の運転手が大石寺を総本山とする日蓮正宗の僧侶であり、トラックの運転手が創価学会の会員であったことから、
平成六年九月一日号の週刊新潮に「大石寺「僧侶」を衝突死させた創価学会幹部」との大見出しの記事を掲載しました。そのため創価学会の会員であるトラック運転手は、名誉を傷つけられたとして、週刊新潮を発売している新潮社に対し名誉毀損による損害賠償請求の裁判を起こしました。昨年十二月二十日には判決があり、裁判所は、週刊新潮の記事が名誉毀損に当たることを認めて、新潮社はトラック運転手に対し百十万円の慰謝料を支払わなければならないと命じました。
その判決では、次のように週刊新潮の責任の事実を明確に認めております。
本件記事は、前記認定のとおり原告が、原告とはトラック運転手のことでありますが、本件
事故を意図的に惹起したのではないかなど、本件
事故に関し原告が犯罪行為等何らかの
社会的非難に値する行為をしたのではないかとの疑惑を一般読者に抱かせるような表現となっており、これが公表されることになれば原告の
社会的評価を低下させることとなり、事実上その後の私生活等に重大な影響を及ぼすと推認されることを考慮すると、到底公正な論評と言うことはできない。特に本件大見出しに至っては、創価学会幹部の行為に起因して
事故が発生したもので、創価学会幹部が大石寺僧侶を死亡させた加害者であるとの印象を一般読者に抱かせるものであり、本件大見出しを含めた文章全体によって本件記事が前記のような疑惑を抱かせるものとなっている以上、文章全体として違法性は阻却されないと言うべきである。阻却されないとは難しい言葉でありますが、違法性はなくならない、すなわち違法であるということでございます。
無責任な週刊誌記事により殺人者扱いにされたトラック運転手及びこの御家族の悔しさ、無念さははかり知れません。週刊新潮の広告が出されてから電話は鳴りっ放し、奥さんは体調を崩して一カ月以上の入院、三人の子供たちは周りの冷たい視線に身を縮め、息を潜めるような毎日でありました。この判決により、少しは気持ちが落ちつかれることを祈りたいと
思います。
ところで、驚くべきことに、
平成六年十月十一日のこの予算
委員会において、自由民主党所属の
委員が、名誉毀損であると判決により認定された週刊新潮のこの記事を振りかざしながら
質問をしたのであります。この様子は予算
委員会のNHKテレビ中継中であったため、全国に放映されたのであります。これによってトラック運転手の名誉はますます傷つけられ、運転手とその家族の苦しみはさらに深刻さを増したのであります。
しかし、国
会議員の
委員会での発言は、憲法第五十一条に定める免責特権が認められるため、この国
会議員自身の行為が、たとえトラック運転手の名誉を毀損する行為に当たると認められても、その特権により民事上の損害賠償責任や刑事上の責任を負わないとされております。責任を特権により免じられているがゆえに、より一層私たち国
会議員は、特に
国民の人権に対しては深く配慮をすべきであります。
議員みずから十分な調査をすることもなく、週刊誌の最もセンセーショナルな
部分を殊さらに取り上げて
質問することは厳に慎むべきであると考えます。もしそのような行為をなした国
会議員は、免責特権があるとはいえ、道義上の責任を認め、名誉を傷つけられた
被害者に対し、何らかの謝罪の言葉があってしかるべきであると考えます。いずれにいたしましても、この不謹慎な
委員会
質問をすべての国
会議員の戒めとしていかなければなりません。
そこで、
総理に対し、人権について
質問をいたします。
東京都日野市長が
日本道路公団に対し、日野市内の中央自動車道約四・五キロメートル分の固定資産税三千五百万円の課税を決めたことに対し、亀井静香建設大臣が、勝手に法律を無視して課税をするのはおかしい、市長はアルツハイマーじゃないのと発言をいたしました。私は、亀井建設大臣の発言には大きな問題が二つあると
思います。
一つは、人権感覚ゼロの人権侵害の発言であるということであります。警察庁出身である亀井静香建設大臣の人権にかかわる発言は軽視できるものではありません。問題は極めて重大であります。亀井静香建設大臣の発言は、アルツハイマーなどの老人型痴呆患者の人格を無視し、患者を抱えた家族の心を深く傷つける許しがたい発言であります。
アルツハイマーは老人型痴呆の
一つで、脳の神経細胞が脱落してぼけ症状を引き起こすものであります。
我が国の患者数は現在二十二万から二十三万で、年々増加をいたしており、その予防や治療は難しいと言われております。このアルツハイマーの病名を亀井静香建設大臣は差別用語として使われ、日野市長を非難したのであります。
大統領経験者さえもこの病気に侵されるのが現実であります。その患者を抱えた家族の苦しみは想像を超えるものがあります。深夜に大声を発したり、家の内外の俳回、それを防ぐために、あげくは患者をベッドに固定する。だれが愛する親を、そして夫や妻をベッドに固定をしたがるでしょうか。しかし、それをしなければ患者本人も危険であるし、家族は一時間も眠ることができません。深い心の葛藤は家族の心をますます深く傷つけます。愛する親あるいは夫や妻が痴呆の進行により人格を失い、人間性を崩壊させていく姿を目の当たりに見なければならない苦しさ、恐ろしさ。患者の家族は心身ともに疲労のふちに落ちざるを得ないのです。
さらにその先には、本日の毎日新聞一面で大きく報道された問題、延命か自然の死かという人間倫理に深くかかわる大問題が待ち受けていることさえあるのであります。食べる力がなくなれば寿命なのか、植物状態になっても栄養チューブを使い延命をさせるべきかどうか。アルツハイマーの問題には、介護の問題、終末医療の問題、安楽死の問題など、死生観を問われる深刻な問題が横たわっているわけであります。
いずれにいたしましても、アルツハイマーなどの患者を抱えた家族の苦しみの大きさ、深刻さは想像を絶するものがあります。亀井静香建設大臣の発言は、アルツハイマーなどの老人型痴呆患者の人格を軽んじるものであり、これらの家族の、これらの
方々の心の痛みに
思いをいたすどころか、これをさらに深刻にする、まさに人間として心のない、非情な発言であります。
さらに言えば、すべての
国民も、高齢
社会の中にあって、アルツハイマーなどの痴呆症に自分自身がかかり、家族を苦しめることになるのではないかという不安の中で生きておられます。亀井静香建設大臣の発言は、このような
国民の不安に
思いをいたし、少しでもそれを解消するために
努力すべき
政府の一員としては、到底口にできるような言葉ではありません。まさに、無思慮、無責任、かつ非人間的な発言であると断ずるものであります。私は、亀井静香建設大臣の、大臣の罷免を求める次第であります。
橋本
内閣は、今、国会において、介護、医療の問題を論じようとしておりますが、亀井建設大臣の発言を不問に付するような
橋本総理に、
国民の期待にこたえることは不可能であります。
亀井建設大臣の発言のもう
一つの重大な問題点は、この発言が、橋本
内閣の重要政策の地方分権の推進に逆行する発言であるということであります。
私は、地方分権は、国が一方的に自治体に与えるものではなく、自治体が主体的になってかち取っていくこともぜひ必要だと思っております。日野市長は、厳しい市の財政の立て直しに懸命に
努力されている方であり、財源確保のためにあらゆる手段を尽くすべしとして、一年間にわたり法的な検討をなされた結果、
日本道路公団の高速道路に対する固定資産税の課税は合法であると結論を出されへそれを実行に移されようとしているのであり、まさに市民のための市長として正しい行動であります。このような日野市長の市民のための行動を評価せず、一方的かつ感情的に非難する亀井建設大臣には、大臣の資格はないと断ぜざるを得ません。
このような亀井大臣を任命した
橋本総理の責任、そして、その発言後にも亀井大臣をそのままにしている
橋本総理の責任はまた重大であります。橋本
内閣に対し、
国民は重ねて不信感を抱いたことでありましょう。
総理、日野市長の決断をどのように評価されておられますか。また、亀井建設大臣を任命された責任者として、亀井大臣の発言をどのように評価されたのですか。亀井大臣を罷免する考えはありませんか。
総理、
国民が納得できる、責任ある答弁を求めます。