運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-06-16 第140回国会 衆議院 本会議 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十六日(月曜日)     —————————————  議事日程第三十一号   平成九年六月十六日     午後二時開議  第一 建築士法の一部を改正する法律案(参議     院提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提   出、参議院回付)  日程第一 建築士法の一部を改正する法律案   (参議院提出)  阪神淡路大震災被災者等に係る国税関係法   律の臨時特例に関する法律の一部を改正する   法律案赤羽一嘉君外十五名提出)の趣旨説   明及び質疑     午後二時四分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) お諮りいたします。  参議院から、内閣提出健康保険法等の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右回付案議題とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。     —————————————  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣   提出参議院回付
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 健康保険法等の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。     —————————————  健康保険法等の一部を改正する法律案参議院   回付案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  6. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 討論通告があります。順次これを許します。山本孝史君。     〔山本孝史登壇
  7. 山本孝史

    山本孝史君 私は、新進党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案回付案に対し、反対討論を行います。  まず、本法案にかかわる自社さ三党の甚だしい国会軽視について糾弾しなければなりません。  そもそも、議院内閣制もとにおける政府提出法案は、国会提出前に政府与党が十分に協議し、合意の上で提出されたものと理解をしております。しかも、本法案予算関連法案です。しかるに、厚生委員会での審議を隠れみのに、事実上与党提出した政府案を、与党の中で勝手に議論し、勝手に変える。そして、両院とも、委員会修正案提出したその日のうちに力ずくで採決をする。そんな手前勝手なことは許されません。議会制民主主義を否定する暴挙です。  特に与党である社民党審議入りに待ったをかけ、その上、衆議院賛成したその日に参議院での再修正を表明されました。そのような社民党の全く一貫性のない、無責任な姿勢に強く反省を求めます。  以下、本回付案反対理由を述べます。  第一に、衆参両院を通じて、与党は、その場しのぎの、場当たり的な対応に終始し、結局は、医療保険抜本的改革議論を素通りした上に、安易な患者負担増財政上の帳じりを合わせただけに終わったことです。しかも、修正を重ねるたびに、政府与党主張していた当面三年間の財政赤字を回避するとの大義名分もどこかに消え去り、財政は二年間ももたない内容です。何のための法改正であるのか、全く疑問です。  中でも薬剤負担について、算定から投薬日数を切り離せば大変不公平になると我が党が指摘したにもかかわらず、事務処理の軽減を優先して修正したはずの衆議院での修正案は、参議院で再度修正されて、原案に近い案になって戻ってまいりました。衆議院において与党側修正したのに再度参議院で再修正をするのは、衆議院修正が欠陥であったことをみずから認めるようなものではないでしょうか。そもそも、薬剤費患者負担についての議論が不十分です。  第二に、小泉厚生大臣は、七月中にも医療保険改革厚生省案をまとめると明言しました。与党も公党の責任として、八月中に成案を得ると明言をしております。また、参議院介護保険法案継続審議となりそうです。この際、本法案を凍結して、九月の臨時国会で、医療保険介護保険と一体となった議論を行うのが望ましいと考えます。医療費介護費用をどう調整し、むだを省いていくのか、定率負担を求めるのか、大いに議論し、高齢者介護医療体制をじっくりと検討すべきです。  第三に、小児や高齢者への薬剤費負担が軽減されたとされていますが、その範囲は極めて限定されており、真の低所得者対策等とはなっていない点です。低所得者にどのような負担を求めるのか真剣な議論をなすべきですし、少子化対策も同様です。人気取り修正国民を惑わせるだけです。  さて、今回の修正をめぐるどたばたの迷走劇を見ていても、自民党社民党医療保険改革を断行する勇気と良識はない、改革案をまとめる力はないと言わざるを得ません。高齢者も含め国民に適切な負担を求めていかざるを得ないと私たちも認識しております。将来にわたる医療保険財政見通し構造改革具体的施策を明確に国民の前に示し、その上で、国民的な議論の中で、国民本位医療政策を実行していくことこそ筋道であろうと考えます。  そこで、新進党は、厚生委員会に小委員会を設ける、あるいは国会閉会中であっても八月上旬に委員会を開会し医療保険改革協議をしようと提案をいたしました。残念ながら自民党は消極的ですけれども、ぜひとも国会として医療保険改革に取り組むべきだと考えます。  政府は、来年度予算社会保障費自然増のうち五千億円を医療の分野で削減するとしています。一方で、公共事業農業対策費総額維持 したままです。患者負担を求める前に、族議員の抵抗や政官業癒着体質を打ち破って、財政構造そのものを改革していかなければなりません。また、政管健保国庫負担繰り延べ分八千二百億円を早期に返却すべく、明確な返済計画を示すべきであることも指摘をしておきます。  以上、本回付案に対して新進党反対の意思を強く表明して、私の反対討論を終わります。(拍手
  8. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 肥田美代子君。     〔肥田美代子登壇
  9. 肥田美代子

    肥田美代子君 私は、民主党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案の再修正案反対する討論を行います。  ただいま議案となりました再修正案は、衆議院与党が可決成立させたものを、同じく与党参議院で再修正可決し、本院に回付されてくるという異例の手順をたどっています。私は、こうしたジグザグの道のり自体法案提出者の確固たる自信のなさをあらわし、それゆえに国民には歓迎されざる法案であると考えています。  参議院では、薬の患者負担の部分を中心に再修正されましたが、所期の目的であった医療保険財政抜本改革のプログラムはついに提示されていません。  今回の再修正案は、薬剤負担額投薬種類数に応じて日数倍数するという考え方ですが、我が国では一処方平均四、五種類の薬が投薬されています。しかも、投薬日数は必ずしも同じではなく、三日もあれば一週間もあり三十日もあります。したがって、再修正案に基づきそれぞれを計算することはだれが考えでも至難のわざであり、こうした煩雑な計算にかかり切りになれば、本来の服薬指導患者負担額について十分な説明を行うことはおよそ不可能となります。このため、医療関係者の間には、今回の再修正案に基づいて薬剤負担計算すれば患者との間に混乱が起きるという声が広がっていますが、私もまた薬剤師の一人として大きな不安を持っております。  再修正案はなお、一日一割当たり二百五円以下を一種類にするという診療報酬請求方式を前提にして新たに薬剤費窓口負担を徴収することにしていますが、これによって薬剤費不透明感がこれまで以上に高まることが想定されます。  現在、医療保険財政に占める薬剤費のうち二百五円以下の薬剤費の比率は、外来だけでも三六・六%、金額にすればおよそ一兆五千億円に上ります。しかし、診療報酬請求事務の煩雑さを避けるという理由から、二百五円以下の薬剤名投与量レセプトに記載しなくてもよいとされているため、膨大な金額を生み出す薬剤が実際にはどれだけ投与されたのかノーチェック状態となっております。  これが実は不正請求の温床であると指摘されているのであり、このブラックボックスを残したまま新たに薬代を患者から徴収することは、国民医療不信高めこそすれ信頼と理解を得ることは極めて困難であると考えます。したがって、薬剤費透明感高め国民医療に対する不信感を払拭するためには、二百五円以下の薬剤であってもレセプトにきちんと記載する措置をとることが今後の重要な課題となっております。  ところで、我が国薬剤費は現在、医療費全体のおよそ三割、金額にして七兆六千億円を占めています。現行の薬価基準価格銘柄ごと統一価格が決められていますが、医療機関に対する薬の納入価格はそれこそ千差万別です。その納入価格薬価基準価格との差益が医療機関薬価収益となっており、それに依存した経営体質が、捨てるほどの薬を患者に与える診療行為につながっております。今回の再修正案は、そうした医療機関側経営体質を問わないまま、患者負担増薬剤費の抑制を図ろうとしていますが、これは財政破綻責任患者に転嫁する本末転倒の考え方であります。  さて、G7加盟国の中で完全医薬分業がおくれでいるのは日本だけでありますが、このために、本来薬剤使用チェック機能を持つべき薬剤師の職能が十分に生かされておりません。医薬分業確立は、医療制度改革にとって不可欠の条件であり、我が国の焦眉の課題であります。  民主党は、本修正案のように、一年を待たずに医療保険財政がパンクするというような小手先の対症療法ではなく、超高齢化社会にたえ得る医療制度確立を目指して抜本的な構造改革に取り組む決意であることを申し上げ、再修正案に対する私の反対討論を終わります。  ありがとうございました。(拍手
  10. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 瀬古由起子君。     〔瀬古由起子登壇
  11. 瀬古由起子

    瀬古由起子君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案に関して参議院から回付された再修正案に対し、反対討論を行います。  本再修正案反対する第一の理由は、医療保険財政赤字を構造的につくり出している根本問題、世界一高い薬価医療機器にメスを入れず、二兆円もの負担国民に押しつけ、本医療保険改正案の根源的な問題を何ら解決するものになっていないことです。  第二は、薬剤費の二重負担の問題です。  通常薬剤費を含む患者一部負担に加えて、外来患者のみが追加負担する外来薬剤費の一部負担を二重取りすることは、本当に許せないことです。  一日当たり数種類ごとに上限を定めたために、より一層矛盾が拡大しています。最大の矛盾は、安価な薬剤を数種類組み合わせると実際の薬価を上回る患者負担が生ずる事例もあり、薬価の低い薬に切りかえ投与量を減らしたにもかかわらず、処方によっては逆に患者負担が増大するケースさえあります。  この再修正案で、高齢の低所得者への外来薬剤費の一部負担免除規定はごく限られた申しわけ程度のものにすぎません。九七年の厚生省推計によれば、老齢福祉年金受給者は約三十一万人あり、このうち、世帯の生計維持者市町村民税が課税されず認定を受けている者は、七十歳以上の高齢者の一%以下にすぎないのです。  第三は、国庫負担率を大幅に引き下げながら、もとに戻そうとしていないことです。  政管健保についていえば、一九九二年に黒字を理由に国の負担割合を一六・四%から一三%に減らし、このとき政府は、赤字になったら国の負担もとに戻すことを健康保険法に書き込み、約束をしたのです。その公約も法の趣旨も踏みにじるなど、この無責任な態度に全く道理はありません。  以上が、本再修正案反対する理由です。  今、本法案廃案を求める請願署名は千八百万人を超えています。日本共産党は、医療保険制度の大改悪に反対し、だれもが安心して受けられる医療の実現のために、国民とともに闘い続ける決意を表明して、反対討論を終わります。(拍手
  12. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  13. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案参議院修正に同意の諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、参議院修正に同意することに決まりました。      ————◇—————  日程第一 建築士法の一部を改正する法律案   (参議院提出
  15. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 日程第一、建築士法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。建設委員長市川雄一君。     —————————————  建築士法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔市川雄一登壇
  16. 市川雄一

    市川雄一君 ただいま議題となりました建築士法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、近年、建築物安全性の確保と質の向上に対する社会的要請が高まりつつある現状にかんがみ、建築士事務所業務の適正な運営を図るため、建築士設計内容についての説明義務を付加するとともに、建築士事務所開設者の書類の閲覧義務及び書面の交付義務を新たに規定するほか、あわせて、建設大臣は、建築士事務所業務の適正な運営及び建築主利益の保護を図ることを目的として設立された公益法人であって、建築士事務所開設者指導、研修、建築主からの苦情の処理等業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、申請によりその業務を行う者として指定することができることとする等、所要の措置を講じようとするものであります。  本法律案は、去る六月十一日に参議院から送付され、翌十二日本委員会に付託となり、十三日提出者参議院議員松谷蒼一郎君から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、討論採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  18. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  阪神淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案赤羽一嘉君外十五名提出)の趣旨説明
  19. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、赤羽一嘉君外十五名提出阪神淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。提出者赤羽一嘉君。     〔赤羽一嘉登壇
  20. 赤羽一嘉

    赤羽一嘉君 私は、新進党民主党太陽党の三党を代表し、また、あの阪神淡路大震災被災者皆様思いを込めながら、本日ようやくここに趣旨弁明の機会を与えられました阪神淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について、説明をいたします。  わずか二十二秒間で六千有余名のとうとい命を奪い去り、四十万軒の建物を破壊したあの悪夢のような阪神淡路大震災から数えて本日でちょうど二年と五カ月の月日経過したところになるわけでございます。この間、多額の国費が投入され、震災からの復旧復興は行われてきましたが、いまだ被災地では約三万の仮設住宅に六万人の被災者が仮の生活を送っているという極めて厳しい実態があるわけでございます。  また、月日経過とともに、復興支援策の光が当たらずに自立の道が閉ざされている被災者の以下に述べるような新たな実態も浮き彫りになってまいりました。  例えば、自宅は一部損壊であったが、店はつぶれてしまい、仮設店舗で商売を再開したものの、人口減少のあおりを受けて売り上げが全く振るわない被災者、また、家は助かったものの会社がつぶれ、再就職もままならず、収入の道が断たれている被災者等々、これらの被災者は、自宅が全壊、半壊でなかったことからあらゆる支援策対象とならず、極めて困難な日々を送っておられます。これらの方々は、社会的弱者というより、これまで町の発展を支えてきた社会的中堅層に当たる人々で、この方たち自立てきない限り被災地復興はほど遠いと言わざるを得ないのが現実の姿であります。  また、震災で持ち家が損壊し、住宅ローン債務だけが残ってしまった被災者も数多くおられます。かかる住宅ローン債務の多くは、震災特例措置で、この二年から三年の間返済請求が猶予されてきたところでございますが、二年五カ月を経た現在、返済請求が再開されている事例もふえつつあります。既存ローンを抱えたまま、現在住んでいる民間住宅の家賃を支払う能力がなく、対抗措置としてやむを得ず自己破産の申し立てを行う被災者の数が年を経るに従いますます増加しているのが現状であります。  被災地自己所有建物再建にはこのような困難が伴い、この状態に何らかの手を打たなければ、被災地には自己破産者があふれるばかりか、ぽっかりあいた空き地が無数に出現し、真の復興町づくりは望むべくもございません。  以上の状況に対処するべく、私たち三党は、本法律案を含む二本の議員立法提出したところでございます。  以下、本法律案要旨を御説明いたします。  内容の第一は、住宅ローン免除に係る法人税損金算入特例についてでございます。  これは、大震災により居住用家屋が滅失または損壊をした個人の住宅ローン債権者である銀行などの金融機関が、当該債権つまり既存ローンの一部または全部を免除し、住宅再建に充てるために免除した額以上の新たなローンの貸し付けを行った場合には、その金融機関は、一件につき二千万円を限度に、当該事業年度所得金額計算上、損金の額に算入することができるものとすることであります。  内容の第二は、第一の措置により既存ローン免除を受けた被災者は、その当該免除により受けた経済的利益について所得税を課せられないものとすることであります。  以上が本法律案要旨でありますが、この法律施行により予想される税収の減額は総額八十五億円と試算しております。  なお、震災を起因として所得が激減したまま、所得の回復ができず困窮状態となっている被災者社会的弱者被災者に対する支援をその主な目的とする阪神淡路大震災被災者に対する支援に関する法律案は、同じく私たち三党の共同提案で去る五月十四日に提出をいたしました。しかし、政府与党反対から、議院運営委員会の段階でつるし状態となったまま、昨年の地震災害共済保険制度法律案同様、会期末には廃案となる見通してあります。  このことは、震災発生直後、重要閣僚被災地そっちのけ青森県知事選挙の応援に出向いたり、当時の総理の、何しろ初めてのことなのでとの弁明発言に象徴されたように、政府危機管理体制の甘さ、初期対応のおくれから天災を人災に変えてしまった反省が全く感じられず、私自身、震災自宅を失った被災者の一人として、ふんまんやる方ない思いでいっぱいでございます。  また、全衆議院議員の四割を超す二百名以上の衆議院議員が賛同している法律案国会で一日も審議されることなく廃案とされることは、まさに国会軽視議会制民主主義の崩壊につながりかねない危機的事態でございます。  また、本件は単に阪神淡路被災地の問題ではなく、災害国家日本において全国国民の共通の問題であり、かかる重要案件与党間の密室協議でやみに葬られてしまうことは絶対に避けるべきであります。この私たち主張は、橋本総理大臣を初め与党内の良識ある議員皆様におかれましても御賛同いただける主張であるというふうに私は確信しておるものでございます。  本法律案を含めた二本の法律案の一日も早い実質的な審議入りと御賛同を心からお訴え申し上げ、私の趣旨弁明を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————  阪神淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案赤羽一嘉君外十五名提出)の趣旨説明に対する質疑
  21. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。これを許します。栗原裕康君。     〔栗原裕康登壇
  22. 栗原裕康

    栗原裕康君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました阪神淡路大震災被災者等に係る国税関係法律臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に対し、質問をいたします。  質問に先立ちまして、阪神淡路大震災で亡くなられた方々に対し、改めて御冥福をお祈り申し上げます。また、復興に全力を挙げておられる被災者方々関係機関方々に対しまして、その御努力に心より敬意を表する次第であります。  さて、阪神淡路大震災に対し、政府与党といたしましては、被災地域復旧復興に向けてできる限り最大限の対応を行ってまいりました。歳出面はもちろんのこと、税制面におきましても、被災者の被害に対応し、復旧復興に資するよう、震災後直ちに震災税特法を制定し、所得税法人税地価税等の減免を措置いたしました。  さらに、被災者住宅の再取得を支援するために、先般成立した平成九年度税制改正において、新たに阪神淡路大震災被災者に対する支援措置を講じております。これによりますと、新たに住宅ローンにより住宅を取得した被災者は、年間最高三十五万円までの税額控除が六年間にわたって適用されることとなり、年収八百万円程度までのサラリーマンならば、この期間中所得税を支払う必要はありません。また、金融面においても、住宅金融公庫の低利融資制度が適用され、地方自治体の利子補給制度と相まって住宅再建支援しているところであります。  このたび三党から税制上の優遇措置に係る新たな御提案がありました。御提案では、住宅ローンを抱えたままで住宅を被災された方が、金融機関より既存債務免除され、さらに、当該金融機関から免除額を上回る額の住宅ローンを組んだ場合の税制上の優遇措置について定められております。  しかしながら、この御提案には幾つかの問題点があると言わざるを得ません。  第一に、そもそも御提案で念頭に置かれているようなケースが実際に発生するかどうか、また仮にあったとしても厳密に適用できるかどうか、極めて疑問に思います。  金融機関は、債権回収が可能と判断される方にのみ貸与を行うのが通常であります。したがって、債務免除を行った相手に対して、さらにそれ以上の金額を貸し付けるということは、合理的な企業行動として普通は考えられません。逆に、新規のローンに対する返済能力があると判断される場合には、旧ローンの放棄は行わないのではないでしょうか。  さらに、各金融機関は既に、被災された方々の個々の事情に合わせ旧ローンへの対応に知恵を絞っており、旧ローンを金利の低い新ローンで肩がわりさせるなどの措置を講じておりますので、一律に債務免除範囲を特定することは難しく、本法律案の適用には大きな混乱を招くおそれがあります。  私どもは、二重ローンを抱えざるを得ない状況にある被災者方々に対し同情を禁じ得ないところではありますが、かえってそういった方々にいわゆるぬか喜びを与えるだけに終わるのではと危惧いたす次第です。  次に、この法案対象としている被災者は、住宅ローンの借りかえを行う方のみに限定されており、他の被災者との均衡を失するという点を指摘したいと思います。  すなわち、住宅を失い再建のめども立たない中で旧ローンを支払い続けている方や、旧ローンは既に支払いが完了している御高齢の方、また、住宅ローンは手持ちの資金で返済し、他の目的、例えば教育や設備投資のために新たに借り入れを行っている方などは、この制度の対象にはなりません。この制度は、被災者の中でもローンの借りかえ可能な、言うなれば相対的に若くて経済力のある方だけが適用対象になるように思われます。被災者間の均衡あるいは弱者救済という観点からも、御提案には問題があると考えますが、いかがでしょうか。  さらに、我が国では残念ながら毎年多くの自然災害による被害が発生し、住宅に同様の被災を受けた方あるいは不幸にもこれから受けるかもしれない方々がいる中、確かに何百年に一度の大災害とはいえ、なぜ阪神淡路大震災被災者に限定した措置を法のもとでの平等の原則を破ってまでも講ずるのか、何か別の意図があるのかもしれませんが、理解はできません。  最後に、本提案には、内容面のみならず提案の手順にも大きな疑問があります。  なぜ会期末のこの時期にこのような新たな御提案をされたのでしょうか。本当に必要と思われるなら、十分な審議時間がとれるような時期に御提案をいただくべきであり、現時点で提案されるというその真意を問いたいと思います。なぜならば、この時期の御提案では、震災対策との美名に隠れた国民向けのパフォーマンスあるいは単なる人気取りと言わざるを得ないことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)     〔冬柴鐵三君登壇
  23. 冬柴鐵三

    ○冬柴鐵三君 栗原議員質問にお答えをいたします。  まず、この法律が成立した場合、民間金融機関は旧ローン免除を実際に行うこととなるのかとの質問等に対しお答えいたします。  いわゆる住宅ローンにより資金を調達して戸建て住宅やマンションを購入した人たちは、その家に居住しつつ、ローン契約で定められた元利金を、例えば月々十万円ずつ、ボーナス月には二十万円を支払うなどして、十年ないし十五年間支払い続けることによりローンの弁済を終え、当該居住用住宅の完全な所有権を取得し、これを子孫に残してやれるとの楽しみのもとに、苦しい中を何よりも優先してローンの支払いに努めているというのが実態であります。  このような中で、突然に襲いかかった大地震によって、まさにとらの子のような居住用住宅を失ってしまった被災者は、当然に借家等を探して入居しなければならなかったのであり、ローンの支払い以外に、今まで不要であった家賃債務負担を余儀なくされることとなっているのであります。被災地では、居住用建物が払底し、そのために家賃の額は暴騰していて、ローンの月々の支払い額を超える家賃の支払いを余儀なくされているのが実情であり、このような被災者が、倒壊した建物ローン支払いを重ねて行う能力を失ってしまったというのが常であります。  このような事態にかんがみ、公的金融機関もとより、民間金融機関においても、いわゆるモラトリアム措置として、二ないし三年間のローン支払い猶予や利息の軽減、弁済期間の大幅な延長等、種々の措置を講じていられるところであります。  しかし、震災後二年五カ月を経た今日、ローン支払いの督促を受ける事案もふえてきていで、被災世帯を半狂乱に陥れているところとなり、その防衛策としての震災に伴う自己破産宣告の申し立 て件数は、被災地十市十町の中で、平成七年九百六十五件であったものが、平成八年には千二百二十二件と増加して、年を経るに従いなお増加すると予想されています。  言いかえれば、被災全壊居住用建物についてのローン債務は既に完全に不良債権化していて、その回収や取り立ては著しく困難ないし不能の状態にあると言えます。  銀行等の金融機関としては、低金利によって空前の業務純益を上げ続けている今、不良債権化していて回収に過分の経費と時間と手間を必要とするローン債務免除して整理することにより、新たな経費の発生を防止したい思いは強いのであります。しかし、現行の税法体系のもとにおいては、ローン免除額損金として処理することを許さないがゆえに、思い切った免除措置がとられていないのであります。  本法は、まさにかかる金融機関のニーズにもこたえる面を有するものであり、免除した金融機関に対し、当該事業年度所得金額計算上、損金の額に算入することができる道を開くものであり、本法の施行によって債務免除を行う用意があるとの金融機関の声をつとに提案者らは聞いているところであります。  次に、本法は住宅ローンの借りかえのみに限定しているが、他の被災者、特に弱い立場にある人の救済の観点から問題はないのかとのお尋ねでありますが、本法は、阪神淡路大震災により滅失した居住用建物再建にインセンティブを与え、被災地復興と活力を取り戻すことを主たる提案理由としています。  さきにるる述べたとおり、旧ローン債務負担し家賃の支払いに追われる被災者にとって、新しいローンを組み被災地の上に建物を再築することは、例外は除くとしても非常に困難と言って過言ではなく、事実、マンション等集合住宅の再築がおくれている最大の理由に二重ローンの問題があることは、各種のマスコミ調査結果でも明らかにされているところであります。  加えて、震災によって倒壊した建物敷地、マンション等の場合には、その共有権の上に設定されている旧ローン債務についての抵当権の残存が、被災者建物再築の最大の障害となっている事実も指摘されています。  ゼロからの再出発はできても、巨額のローン債務負担してのマイナスからの再出発は望むべくもありません。本法は、せめて被災者に対しゼロからの再出発を可能とする道を開くことにより、生きる意欲や活力を復活させ、建物の再築についての夢を与え、全体として被災地の人々の活力の回復と復興に資することを主たる目的としています。  その他、御指摘の種々の被災者、特に弱い立場にある人々や震災所得が激減した世帯に対する支援等については、三党提案者らは本法とは別に阪神淡路大震災被災者に対する支援に関する法律案提案しているところであり、これがいまだ審議の機会が与えられないことに対し、強く遺憾の意を表するところであります。  最後に、他の自然災害の被災者救済との均衡について言及されましたが、阪神淡路大震災は五百年に一度とも言われる未曾有の大規模災害であり、本法はこれに限って適用されるものではありますが、質問者でもあられる栗原議員の地元で発災が今予想されている東海沖大震災や、また南関東大震災等巨大災害発災のときには、必ずや本法は参考とされるものと信じるものであります。  その余の質問に対する答弁は、同僚の提案者に譲ります。(拍手)     〔川内博史君登壇
  24. 川内博史

    ○川内博史君 なぜ会期末のこの時期に提出をしてきたかというお尋ねでございますが、政府与党におかれましても、これまで被災者支援策についてさまざまな御努力をされてきていることは、私どもも十分に承知をしております。しかし、被災地において、社会的インフラの復興は進んできているものの、被災者個人の生活復興はいまだ遠しというのが現状であります。  政府は「自助努力」という言葉をこの阪神淡路大震災以降よくお使いになりますが、本法案は、震災後二年半が経過をした今、懸命の自助努力を続ける被災地の人々を制度的にサポートしようとするものであります。社会的インフラすなわちハードが復興をした今、ソフトをいかに整備していくか、だからこそこの法案を今国会提出させていただいたゆえんであります。  また、私ども三党は、本法案とあわせて被災者支援法を三党共同で六月三日本院に提出させていただいております。残念ながら、被災者支援法の方はいまだ審議入りのめどすら立っておらず、なぜこの時期に提出をしたのか、なぜこの時期に趣旨説明をするのかという栗原議員の御質問に対しては、逆に、政府与党に対して、私は、なぜこの時期までつるしたのかと強く強く抗議をするものであります。  この重要な法案趣旨説明当たり内閣総理大臣である橋本龍太郎君は席を外していらっしゃる。政治が本来果たすべき役割を放棄し、関係者の懸命な努力を国民向けのパフォーマンスとやゆするような、被災者無視、被災者不在の政府与党の態度に私は深い悲しみすら覚えるものであり、この政府与党の態度こそが今の日本の政治を象徴していることを指摘し、答弁を終わります。(拍手
  25. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  26. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十二分散会      ————◇—————