○中川正春君 私は、
新進党を代表し、
日本銀行法案に対し、これに反対の
立場から
討論を行います。
世界の金融市場が急速なテンポで自由化され、その競争が激化しています。今ほど、日本の諸
制度を
改革し、世界に通じるグローバルスタンダードの実現が求められているときはありません。そうした意味で、戦時体制下の国家総動員体制のもとにつくられた旧日銀法を、全く遅きに失した感はありますが、今回
政府がこの時点で基本的な
見直しを加えようとする努力には、まず冒頭敬意を表したいと思います。
しかし、もう一方で、日本の構造
改革は、日本銀行だけを個別に議論するだけでは解決をしないということも現実であります。日銀法を含む金融
改革が、これまで私たちが
国民とともに求めてきた中央
政府全体の根本的な行政
改革の流れの中で、しっかりと位置づけをされなければならないということであります。それと同時に、グローバルスタンダードは、護送船団、談合による業者行政と言われるこれまでの大蔵省、日銀の行政体質を厳しく批判し、それを排除しております。市場を中心に、公正、透明なルールと自己責任、結果行政への転換を求めているのであります。さらに加えて、金融と
財政の明確な分離を実現することは言うまでもありません。
こうした基本的な流れを前提に、以下、
政府提出の日銀
法案に反対する理由を述べます。
まず第一に、私たちが本来目指す日本銀行の独立性と透明性の
確保という目標に対して、本
法案で想定された
仕組みでは根本的に不十分であります。
政府案では、日本銀行は依然として大蔵省の監督下における認可法人であります。物価の安定を目指す金利政策の決定は、大蔵大臣と対等の
立場で、しかも法的に明確化された組織で議論されることが、その独立性と透明性の
確保の大前提であります。
新進党は、そうした意味から、日銀の政策
委員会を国家行政組織法第三条に基づく独立
委員会とすることを提案しております。これによって、明確にそして法的にもはっきりとした日銀の金融政策の独立と透明性を実現できるのであります。
第二に、
政府がもう一方で上程している金融監督庁設置
法案とこの日銀法とを合わせて金融行政組織の
改革とする
政府の方針に反対であります。
現在の大蔵省の検査監督機能を大蔵省から分離するためにわざわざ新しい監督庁をつくるよりも、既にある日本銀行の機能をさらに充実発展させ、これに検査監督機能を与えることができるのであります。ここに来て、大蔵省の焼け太りとまで言われる金融監督庁の設置は、行政
改革の流れに全く逆行するものであります。
最後に、日本銀行の、法の後ろに隠れた体質の問題があります。
これまで、その心臓部の政策
委員会が、各省庁からの天下りによって独占され、しかも実質的な議論もなくスリーピングボード化していたこと、そして、バブルの時代の金融政策に象徴されるように、内需拡大の名のもとに、国際的な
政府のコミットメントを背景にした大蔵省の圧力に対して追随型の政策
運営をして、いざというと政策決定責任についてはあいまいにしてきた体質、日銀法の
改正とは、本来こうした主体性の欠如と無責任な体制に対する挑戦でなければならないと思うのであります。今回提案された日銀法は、
政府の経済政策等と整合性を義務づけるなど、そうした明確さにも欠けていることを指摘しなければなりません。
以上、本
法案に反対する主な理由を述べ、私の
討論を終わります。(
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