○佐藤茂樹君 私は、新進党を代表して、ただいま
議題となりましたいわゆる
駐留軍用地特別措置法の一部を
改正する
法律案につきまして、
政府案に
賛成の
立場から、
討論を行うものであります。(
拍手)
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━。
今回の
政府案は、
沖縄における
駐留軍用地の強制
使用にかかわる県の
土地収用委員会の
裁決が来る五月十四日の
使用期限までに間に合わないことに伴い、国による不法占拠
状況を回避するための
必要最小限の
措置として提案されたものであります。
我々は、率直に言って、今回の事態を招くに至った村山政権以来の
政府の対応やあるいは法案の問題点を考えれば、法案は極めて便宜的、場当たり的であり、
安全保障という国にとっての最
重要課題に対する基本姿勢として極めて問題が多いと言わざるを得ません。
しかしながら、去る四月二日、三日の両日行われた自民、新進両党党首会談で、国が
安全保障に最終責任を負うとともに、
沖縄県民の
負担を全国民が負うための仕組みを整備する旨の
合意がなされたことを重く受けとめ、
日米安保条約の堅持と法治国家としての
義務を履行するとの観点から、今回の特措
法改正を暫定的
措置として容認するものであります。(
拍手)
そもそも今回の
沖縄米軍基地用地の強制
使用問題は、二年前の
平成七年四月、村山総理に対し、
駐留軍用地特措法に基づく
使用認定の
申請が行われた時点から、こうした事態はある程度想定されました。そして
平成七年九月、
沖縄の
少女暴行事件というまことに痛ましい事件が起き、
地位協定見直しを強く求める
沖縄県
知事の要請を一顧だにせず、この
政府の無神経な対応が引き金となって大田県
知事の署名拒否が起きました。さらに、
知事に対する総理の職務執行命令の
手続の怠慢等々、
政府の数々の失政の積み重ねが今日の
状況を招いたのであります。
これは、自民、社民、
さきがけ三党連立の維持を最優先にし、
日本の
安全保障の根幹である
日米安保条約上の国の
義務を軽視してきた結果にほかなりません。
法案そのものについても、幾つかの問題点を指摘せざるを得ません。
すなわち、第一に、
土地収用委員会の
審理中にそのルールを変えるもので、民主主義国家のあり方として疑問があり、
沖縄基地の固定化につながりかねないこと。第二に、在日
米軍基地の七五%が集中している
沖縄基地の
負担の軽減について何らこたえていないこと。第三に、昨年四月、
楚辺通信所で同様の無権原状態となったのを放置しておきながら、今回このような提案をしたこと。第四に、
法改正で
収用委員会の
裁決までの
暫定使用を合法化したとしても、仮に
収用委員会が
使用期間について
申請の
期間を大幅に短縮した場合や部分的に
使用を否定する限定的
裁決をした場合は、基地の安定的
使用に影響を及ぼしかねないことなど、
政府案は多くの問題点を持っております。
昭和二十七年に制定された
駐留軍用地特措法は、総理大臣が基地用地としての国の
使用が必要と
認定したものを、
都道府県知事や都道府県の
収用委員会が
内容を
審査する仕組みとなっております。本来、在日
米軍基地の安定的な確保は、国の
安全保障の基本であり、条約上の
義務でもあります。したがって、基本的には、地方にゆだねるのではなく、
政府が基地提供に最終責任を負う仕組みが必要であると考えるのであります。
また、
沖縄の基地の
負担を減らすため
日本国全体で基地
負担を分から合おうとするならば、国が責任を持つ法整備は不可欠であります。これは一見厳しい法整備のように感じますが、そうしなければ、結局、国内移転が進まず、
沖縄の基地の固定化となり、
沖縄県民にとっても
日本の
安全保障にとっても正しい選択ではないと信ずるものであります。
こうした
認識を踏まえ、去る四月三日、
橋本総理と小沢党首との会談で次の三
項目の
合意がなされました。
第一は「
日米安全保障条約は、
我が国の
安全保障を確保するという国の根幹に関わるものであるという共通の
認識に立ち、
政府が同条約上の
義務の履行に最終的責任を負う。」第二に「在
沖縄米軍基地問題は、
日米の関係を円滑にし、絆を強化するとともに、
沖縄県民の
負担を全国民が担うという考え方に基づいて解決すべきである。」第三に「
沖縄の基地の
使用に係る問題は、県民の意思を活かしながら、基地の
整理・
縮小・移転等を含め、国が最終的に責任を負う仕組みを誠意をもって整備するものとする。」というものであります。
この
合意は、基本的に、これまでの新進党の主張を原則として受け入れ、国として最終的に責任を負う仕組みを整備することで一致したものであります。我々は、
政府がこの
合意を重く受けと
め、これを真摯に履行するならば、十分評価されるべきものと考えます。
その上で、
政府提出の特措
法改正案は、問題点の多い法案ではありますが、
沖縄米軍基地用地の不法占拠状態を避け、
日米安保条約上の
義務を履行する観点から必要と判断し、暫定的
措置として
賛成するものであります。
なお、
民主党提出の
修正案については見解を異にいたしますので、
修正案には
反対いたします。
討論の
最後に、去る四月四日の本院の代表質問で、連立
与党の社民党が、この特措
法改正案を
憲法二十九条、三十一条、九十五条に違反すると批判いたしました。その一方で、法案に
反対しても
与党にとどまることを表明しております。
憲法違反だと批判する政党と一緒に
与党を組むということは一体どういう神経なのか、国民にどう
説明できるのでしょうか。これで果たして責任ある政治が行えるのでしょうか。残念ながら、これが現在の三党連立政権の姿なのであります。
財政再建問題、行政改革問題、経済改革問題、
日米防衛協力問題等々、
我が国が二十一世紀の国際競争社会に生き残れるかどうか命運を決める問題が山積しております。この大変革期に、いつまでもあいまいな国家政策で
我が国が対応できるはずがありません。
日本の将来を考え、
橋本総理が、
安全保障などの国の基本問題において、今後、確たる信念に従い英断を持って対処されることを強く要請し、私の
討論といたします。(
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