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1997-04-04 第140回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月四日(金曜日)     —————————————   平成九年四月四日     午後一時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び   安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並   びに日本国における合衆国軍隊地位に関す   る協定実施に伴う土地等使用等に関する   特別措置法の一部を改正する法律案等を審査   するため委員五十人よりなる日米安全保障条   約の実施に伴う土地使用等に関する特別委員   会を設置するの件(議長発議)  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び   安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並   びに日本国における合衆国軍隊地位に関す   る協定実施に伴う土地等使用等に関する   特別措置法の一部を改正する法律案内閣提   出)の趣旨説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  特別委員会設置の件
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 特別委員会設置につきお諮りいたします。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案等を審査するため委員五十人よりなる日米安全保障条約実施に伴う土地使用等に関する特別委員会設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。  ただいま議決されました特別委員会委員は追って指名いたします。      ————◇—————  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、内閣提出日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。国務大臣久間章生君。     〔国務大臣久間章生登壇
  6. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  防衛庁といたしましては、我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊施設及び区域を円滑かつ安定的に提供することは、我が国日米安全保障条約上の義務であり、同条約上の義務履行に万全を期すことが重要と考えております。  このため、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の用に供するため土地等を必要とする場合において、その土地等民公有のものであるときは、政府としては、その所有者等との合意によりその土地等使用権または所有権を取得することを基本としつつも、これらの者との合意ができない場合には、やむを得ず日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法規定により必要な土地等使用し、または収用することによって、我が国日米安全保障条約上の義務を履行することが必要と考えております。  しかしながら、所有者等との合意または日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法規定により使用されている土地等を、同法の規定により従前使用期間に引き続き使用しようとする場合において、その従前使用期間末日以前に収用委員会裁決その他使用のために必要な権利を取得するための手続が完了しないときは、日米安全保障条約実施上重大な支障が生ずるとともに、その所有者等が受ける損失に対する適正な補償を確保するための法的制度を欠くこととなるため、当該土地等継続使用及びこれによりその所有者等が受ける損失補償に関する制度について整備する必要があります。  以上が、この法律案提案理由であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、防衛施設局長は、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の用に供するため所有者等との合意または日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法規定により使用されている土地等で、引き続き我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の用に供するためその使用について同法第五条の規定による認定があったものについて、その使用期間末日以前に収用委員会に対して権利取得裁決申請及び明け渡し裁決申し立てをした場合で、その使用期間末日以前に使用のために必要な権利を取得するための手続が完了しないときは、損失補償のための担保を提供して、その使用期間末日の翌日から、当該土地等についての明け渡し裁決において定められる明け渡し期限までの間、引き続きこれを暫定使用できるものとすることとしております。  第二に、暫定使用によって所有者等が受ける損失補償については、土地収用法土地使用による損失補償に関する規定に準じて補償しなけ ればならないものとし、暫定使用期間等に応じてこれらの者が取得することができる損失補償のための担保をその期間の六月ごとにあらかじめ提供しなければならないこととするとともに、最終的には収用委員会明け渡し裁決において裁決するものとすることとしております。  なお、この法律案は、収用委員会審理手続並びに市町村長及び都道府県知事権限等現行制度基本的な枠組みは変更をしないものとし、我が国日米安全保障条約上の義務履行のための必要最小限措置内容としております。  以上が、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案趣旨でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)      ————◇—————  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及ぶ安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国事隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  7. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。瓦力君。     〔瓦力登壇
  8. 瓦力

    瓦力君 私は、自由民主党代表して、ただいま趣旨説明のありました駐留軍用地特措法の一部改正案について、総理大臣及び防衛庁長官質問いたします。  私は、自由民主党安全保障調査会、また与党沖縄問題懇談会メンバーとして、国の安全保障沖縄問題に全力で取り組んでおるものでございます。  さて、復帰二十五周年を迎えた沖縄は、今大きな歴史的転機にあります。このことは、我が国全体としても大きな転換期に立っているという認識であります。沖縄問題とは、沖縄県民だけの問題ではなく、日本国民全体がしっかりと受けとめ、共存共苦、ともに考えていくべきものと考えております。  一つは、沖縄米軍基地整理統合、縮小問題であります。  これは、一昨年九月に起こった米兵による少女暴行事件をきっかけに盛り上がった県民の要請にこたえて、日米両国政府が真剣な協議を重ねて取りまとめたSACO、沖縄に関する特別行動委員会最終報告は、一、土地返還、二、訓練改善、三、騒音の軽減、四、地位協定運用改善などを着実に実施することで、沖縄県民負担軽減を図ろうとするものであります。  土地返還規模は、沖縄に所在する米軍施設区域面積の約二万三千五百ヘクタールのうち五千二ヘクタール、約二一%を今回返還するというもので、これは約四千三百ヘクタールという復帰時からの返還面積を相当上回るものとなっております。中でも、地元から要望の強い普天間飛行場を初めとする十一の施設区域について全部または一部を返還するというものであり、こうした成果は、社民党の村山総理橋本総理のリーダーシップに負うところが大であったと考えます。  もう一つは、これと関連して、沖縄の将来構想を描き、これを推進するという沖縄振興に関する大作業があります。  沖縄県では、自由貿易地域の設定、国際観光保養基地の建設、空港、港湾などの整備、国際的研究機関の設立などを内容とする国際都市形成構想を打ち出しております。政府も、これを正面から受けとめて協力すべく沖縄政策協議会設置するなど、既に平成八年度補正予算及び九年度予算に組み込むなど積極的に取り組んでおります。  しかしながら、基地整理統合縮小等にしても沖縄振興策にしても、決して容易に実現できることではありません。沖縄の狭隘な土地、水や電力などの問題、相反する県民の利害、日米安保条約に基づく日本が果たすべき義務その他、前途には問題や障害が余りにも多いからであります。したがって、今こそ大切なことは、現実をしっかりと踏まえた上で、国と県、国民県民とが協力し合って、着実に一歩ずつ進んでいかなければならない重要な時期にあるということであります。  こうした新しい転機を踏まえて、政治が決断すべき重要にして深刻な問題があります。それは、日米安保条約上最も重要な施設一つである嘉手納飛行場等十二施設の一部土地について、駐留軍用地特措法に基づく使用権原が五月十四日で期限切れとなるという問題であります。  沖縄米軍基地には、約三万二千人の地主がおります。国は、この地主賃貸契約を結び、この基地日米安保条約上の義務として米軍に提供するということを基本としております用地主の約九〇%に当たる二万九千人の大部分は既に二〇一二年までの賃貸契約を結んでいて、何ら問題はありません。  しかし、問題なのは、来る五月十四日に使用期間が切れる約三千人のいわゆる反戦地主であります。地主の数では全地主の九・一%に上りますが、面積でいえば基地全体のわずか十万分の一にすぎないわけであります。  この狭い土地にどうしてこれだけの地主がいるかというと、実はこの地主は一万円の入会金を払って反戦地主会に入り、四筆の土地を共有している人たちであって、その半数近くは沖縄以外の本土在住者であります。この人たちは、反安保、反基地を信念に持って反戦地主になった人たちであります。したがって、反戦地主土地の中から最も枢要な土地を選び、そこにひしめき合っているわけであります。  それは、嘉手納飛行場A滑走路中央部の二千百四十八平方メートルに何と二千二百七十六名がひしめき合っていて、一人当たりにするとおよそ九十五センチ四方ということになります。また、普天間飛行場滑走路進入灯近くのわずか六十七平方メートルの土地に六百八十九名がひしめき合っていて、一人当たりわずか何と三十センチ四方しかない極めて小規模地主であります。  国は、駐留軍用地特措法に基づいて沖縄収用委員会使用申し立てを行っておりますが、現在までの公開審理状況では、五月十四日の使用期限前に使用権原の確保は見込まれない状況にあります。したがって、五月十四日をもって使用期限が切れ無権原状態になれば、我が国米国に対し負っている施設区域安定的提供という条約上の義務履行支障を来し、このことは、我が国国際社会における信用を失墜させることになりかねません。さらには、現地において約三千人にも及ぶ地主立ち入り等をめぐる混乱も懸念されます。政府が、こうした問題を避けるために、特措法の一部改正に踏み切った選択はやむを得ない決断であると考えます。  改正案内容は、収用委員会審理が続いている間、裁決による使用権原が得られるまで、暫定的に使用できるように改正しようとするもので、収用委員会を十分に尊重した必要最小限のものになっております。  三月二十五日に、自民党沖縄県連役員契約地主約二万九千名の代表である沖縄軍用地地主等連合会役員との意見交換が行われました。その席上、地主連側は、「特措法改正はやむを得ないと考える。国が継続して使用したいというのであれば、契約地主は提供していきたい」「沖縄県議会の、反戦地主二千九百六十五名だけの権益を守るためにやるんだという特措法改正反対の決議は理解できない」「契約地主の大多数二万九千名の権益はだれが守るのか。政府は大きな観点から国益というものを考え安保条約を認めているわけだから、私どもも、政府特措法改正をやらなけれ ばならないと考えるのであれば、やむを得ない立場である。国益を守り、県益を守るという立場でやってもらわないと、本当の意味で沖縄の利益、つまり県益を損なうことになる」というものでありました。  よく言われている、銃剣とブルドーザーによって土地を奪われたと言われる人々の大半は土地連人々であるということを忘れてはいけないことだと思うわけであります。つまり、契約を拒否している地主が約三千名いるということをもって、直ちにそれがイコール県民感情ということにはならない、この点を我々は真剣に考えて行動すべきだと考えます。  今、我が国にとって大切なことは、日米安保条約に基づく基地提供義務を果たすため、また、既に大部分地主賃貸借契約に応じており、双方の調和を図るためにも、絶対に無権原状態を回避しなければならないということであります。今回の法改正必要性について、再度、わかりやすく総理及び防衛庁長官の御答弁をお願いしたいと思います。  次に、沖縄米軍基地問題に関連して、安全保障面から質問いたします。  昨年四月の日米安保共同宣言によって、今日の冷戦後の日米安保体制の意義が再確認されました。すなわち、冷戦後の日米安保体制は、日本の安全はもちろんのこと、アジア太平洋地域の平和と安定に不可欠ということが再確認されたわけであります。  特に、冷戦後の我が国を取り巻く安全保障上の問題は、決して楽観できるものではありません。冷戦の終結は、確かに圧倒的な軍事力背景とする東西間の軍事的な、世界的な規模武力紛争が発生する可能性を遠ざけましたが、他方、民族問題などに起因する複雑で多様な地域紛争大量破壊兵器の拡散問題などを生み出すなど、国際情勢は依然として不透明、不確実なものがあります。  そして、我が国周辺では、極東ロシア軍量的削減等変化が見られるものの、ロシア国内政治経済情勢は不安定かつ流動的なものがあります。また、多くの国において目覚ましい経済発展等背景とした国防力の充実、近代化動きが見られます。その中で、特に懸念されるのが朝鮮半島情勢であります。朝鮮半島では、北朝鮮が約百万人の地上兵力、韓国は約五十五万という地上兵力が対峙し、引き続き緊張が続く中で、潜水艦侵入事件や貴書記の亡命申請事案などが発生するなど、今後この地域情勢については一層注意深く見守っていく必要があると考えます。  したがって、米軍アジア太平洋地域の十万人というプレゼンスは、我が国周辺軍事情勢を冷静に分析すれば当然必要であります。したがって、現時点における沖縄米軍海兵隊削減を求めるという主張は、明らかに日本及び東アジアの安全保障考えれば私はすべきではない、慎重を期すべしと考えます。総理におかれては、我が国周辺軍事情勢をどう分析されているのか、また現時点での米軍プレゼンス海兵隊削減問題について明確なお考えを聞かせていただきたいと存じます。  私は、国の安全を思うとき、こうした厳しい我が国周辺情勢への認識を持つときに、沖縄米軍基地が果たす役割はこれからも引き続き重要である、こういう事実を正確に沖縄県民皆様方にお伝えしなければならないと思います。  しかし反面、さきの戦争末期と戦後、沖縄本土と全く異なる異常な体験を余儀なくされ、しかも今日、狭い県土に我が国にある米軍基地面積の七五%が集中している状況はさまざまな問題を生んでおり、県民感情には極めて複雑なものがあります。こうした沖縄県民の心の痛みを全国民は理解し、分から合う必要があります。  沖縄米軍基地整理統合縮小等を実現するためには、県道百四号線越えの実弾訓練本土での分散実施などにも積極的に取り組むことです。北海道の矢田別においては、我が党の鈴木宗男議員の懸命な努力によって了解にこぎつけたところであります。残りの四カ所については、我が党では担当議員を決めて取り組んでおります。  私は、冒頭申し上げましたが沖縄歴史的転機にあり、それを切り開くには一歩ずつ着実に前進することが大切だと述べましたが、自由民主党は、沖縄振興問題についても橋本総裁直属沖縄総合振興対策に関する特別調査会設置して、加藤幹事長が会長となって昨年来から精力的に取り組んでおります。その結果、沖縄県民の切望する航空運賃大幅値下げ等も実現し、その効果があって観光客も増加をいたしております。  次は、規制緩和による思い切った振興策が必要となります。現在、沖縄県では規制緩和に関する委員会設置して、国の内外の識者をメンバーとして六月に提言を策定される予定と伺っております。自由民主党は、県民皆様みずからで考えられた提言を最大限に尊重いたします。それがたとえ結果として一国二制度的というようなものであったとしても、沖縄県及び日本の将来のためにぜひとも実現する必要があると考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。  最後に、将来の日本のために、沖縄県民皆様方とともに協力して、これからもしっかりと手を携えていくことをお誓いして、私の代表質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  9. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 瓦議員にお答えを申し上げます。  まず、法改正必要性についてお尋ねがありました。  日米安全保障条約上の義務を果たす、このことは我が国にとって最も重要な二国間関係であります日米関係維持に必要であるということだけではありません。私は、日本という国家の存立にかかわる重大事項だと考えております。この法律案は、既に提供しております駐留軍用地使用権原がなくなる状態を避けるための必要最小限措置として国が暫定使用できるように、そう考えたものでございます。  次に、我が国周辺軍事情勢につきましては、極東ロシア軍量的削減などの変化は見られました。しかし、依然として大規模軍事力存在をすること、多数の国が経済的な発展の中で軍事力近代化を行っており、朝鮮半島における緊張が継続するなど、不透明、不確実な要素が残されております。他方地域の安定を図ろうとするさまざまな動きが見られるとともに、米国を中心とする二国間の同盟・友好関係、これに基づく米軍存在は、地域の平和と安定に重要な役割を果たしていると思います。  現時点での米軍プレゼンス及び海兵隊削減問題についてのお尋ねがございました。  米国は、現在の国際情勢のもとで、アジア太平洋地域における米国のコミットメントを守るため、約十万人の兵力維持するとの基本政策を有しております。アジア太平洋地域にさまざまな不安定要因が依然存在するその中におきまして、海兵隊を含む在日米軍は、我が国にとりましても、また地域の平和と安全の維持にとりましても大きく寄与しているものと考えており、現時点においてその削減を求めることは考えておりません。  次に、思い切った沖縄振興策を講ずべきであるという御意見をいただきました。  一国二制度につきましては、私は検討すべき事項が多々あると思います。しかし、沖縄県が基地依存から自立した経済基盤をつくり上げ、自立した発展を遂げていかれようとするためには、中長期的な視野に立ち、思い切った振興策を講ずべきだという御趣旨には、私も全く同感を持っております。  現在、御承知のように、閣僚で構成をいたしております沖縄政策協議会沖縄県知事メンバーとして加わっていただいております。既にさまざまな案がこの中で議論をされておりますし、県におかれましても規制緩和検討委員会設置され る、そう伺っております。当然ながら、その御提言が、政策協議会知事として御出席をいただくとき提示をされるでありましょう。これが提示をされましたなら、私どもとしては真剣に検討させていただきたい、そのように考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣久間章生登壇
  10. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 法改正の必要につきましては、先ほど総理大臣から述べられたとおりであります。  なお、瓦議員は、いわゆる一坪共有地主について御指摘されましたが、その事実関係について、私から申し上げます。  一坪共有地主の方は、復帰前からの人は一人もなく、昭和五十七年以降出現したもので、現在二千九百人余に達しております。これらの方は、もとは二人の地主の方の土地を譲り受け増加していったものであり、議員御指摘のように半数近くが本土在住者であります。しかも、最近の特徴として、本土在住者がふえる傾向が見られ、私はこの傾向を懸念しているものであります。  以上、お答え申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 坂口力君。     〔坂口力登壇
  12. 坂口力

    坂口力君 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる駐留軍用地特別措置法の一部改正案、すなわち日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣質問をいたしたいと存じます。  今回の政府案提出の目的は、沖縄における十三の米軍施設、三千人余の駐留軍用地強制使用に関する県の土地収用委員会裁決が、来る五月十四日の使用期限までに間に合わないことが確実となったため、国による不法占拠状況を回避するための措置としております。  しかし、こうした事態を招くに至ったこれまでの村山政権以来の政府対応やあるいは法案の内容を見るならば、政府姿勢は明らかに便宜的、場当たり的であり、安全保障という国にとっての最重要課題に対する基本姿勢として極めて問題があると断言せざるを得ません。同時に、この政府案は、懸案の沖縄米軍基地問題の本質的な解決に何らつながるものではありません。  これは、とりもなおさず、自民、社民、さきがけ三党連立維持を最優先する余り、日本安全保障の根幹である日米安全保障条約上の国の義務を軽視してきた結果でもあります。(拍手)  そもそも今回の沖縄米軍基地用地強制使用問題は、これまで三度の特措法適用の経緯からも、二年前の平成七年四月六日に、防衛施設局長村山総理に対し駐留軍用地特措法に基づく使用認定申請を行った時点から、こうした事態はあらかじめ想定されたのであります。その間、沖縄少女暴行事件が起き、これに対する政府の無神経な対応県知事署名拒否に対する総理職務執行命令手続の怠慢など、数々の政府の無責任な対応の積み重ねが今日の事態を招いてきたことは明白であります。  土地収用委員会審理中にそのルールを変えることは、寄り切られそうになって土俵を後ろにずらすようなものであり、民主主義国家のあり方として疑問を感じるものであります。まして、沖縄基地問題は沖縄県民にとって戦後五十年間の積年の課題であることを思えば、今回の政府案沖縄基地の固定化そのものと受け取られても仕方のない内容と言わざるを得ません。今回の特措法改正に至るこれまでの政府対応について、総理はどう認識し、現在どのような政治的責任を感じているのか、まず伺いたいのであります。  日本国土のわずか〇・六%の沖縄県に在日米軍基地の七五%が集中し続けてきたことは、明らかに異常であり、県民の過重負担は十分理解できるものであります。戦後これまで、こうした沖縄の負担の軽減に十分こたえてこなかったのも事実であります。その意味で、今こそ、日米安全保障条約の重要性を踏まえつつ、沖縄基地負担の軽減について抜本的な解決策を示すことが日本政治に求められているのであります。  政府はこれまで、沖縄に関する特別行動委員会、SACOの日米協議等を通じて、基地整理縮小のためのプランを示しておりますが、普天開基地の代替ヘリポート建設問題を初め、国道一〇四号線越えの砲撃訓練本土移転問題など、昨年十二月二日以降四カ月を経過した今日も、ほとんど見通しが立っていないのが現状であります。また、多くの基地削減沖縄県内の移転に終わっていることも事実であります。  このような状況のまま、特措法の一部改正基地使用の合法化だけが行われれば、安保条約を否定する一部の反戦活動家は別としても、基地の中に沖縄があるとも言われる県民の気持ちはますます硬化せざるを得ないと思うのであります。  総理は、沖縄県民の、特措法改正が現状の固定化になるとの強い懸念に対し、どうこたえようとしているのか、沖縄県民の望む基地の縮小や日米安保条約上の義務日本国民全体で分から合うという政治的決意を本気で持っておられるのか、この際、明確にお答えをいただきたいと思います。  次に、私は、政府案に対する具体的な問題点について伺いたいと思います。  第一に、政府説明文書では、五月十五日に嘉手納飛行場等十二施設において無権原で使用する状態を絶対に避けるための必要最低限の改正であるとしておりますが、なぜ昨年四月、楚辺通信所に同様の無権原状態となったのを放置してきたのか、一カ所ならば許されるのか、明確なお答えをいただきたい。  第二に、この法改正で、収用委員会裁決により、使用権原を取得するまでの間の暫定使用を合法化したとしても、仮に、収用委員会使用期間について申請期間を大幅に短縮した場合や、部分的に使用を否定する限定的な裁決をした場合は、基地の安定的使用に大きな影響を及ぼすことは明らかであります。また、使用期限が短縮された結果、次回の裁決申請に至るまでの間に使用期限が切れる場合も理論的にはあり得るわけであります。このような当然予想される事態政府はどう対応されるのか、明らかにしていただきたいと思います。  第三に、仮に土地収用委員会裁決申請を却下した場合も、審理中は継続使用できることになっておりますが、収用委員会裁決やり直しがエンドレスに続くことも考えられるのであります。なぜ収用委員会裁決の範囲を明確にしないのか、お答えをいただきたいと思います。  四番目に、特措法の仕組みでは、まず総理大臣が、当該土地を法律で適用してでも駐留軍に使用させるべきかを判断し、使用させるべきであると結論したときに使用認定を行います。しかし、もともと総理大臣がどうしても必要であるとして使用認定したものを県の収用委員会で却下裁決された場合、防衛施設局長が審査請求し、建設大臣が登場して、却下裁決取り消しの裁決をし直すという法体系になっています。つまり、総理大臣が国の安全保障のために必要と判断したことを建設大臣がもう一度判断し直すという法体系になっていることについて、総理はこれでよいと認識しておられるのか、お伺いをいたします。  第五に、附則で、この法律の施行前に裁決申請された地主についても適用することとしておりますが、昨年五月に緊急使用が不許可となり、不法占拠状態になっている楚辺通信所の一部用地に対しても、改正法を遡及適用するとしています。楚辺通信所の一部用地が不法状態にあるのは事実でありますが、特措法改正したからといって、不 法状況を一年間もさかのぼって適法にできるのか、疑念を抱かざるを得ません。防衛庁長官の明確な答弁を求めたいと思います。  第六に、政府案内容ではありませんが、楚辺通信所の緊急使用が不許可となった理由の一つに、施設の具体的役割、機能、設備のメカニズム、本件土地の不使用による影響の程度について十分な疎明をしていない、説明をしていないとあります。軍隊はその性格上、附属する施設設備の役割や機能、メカニズムを外部に明らかにできないことも多いと思います。このような理由でもって不許可になれば、収用委員会権利取得裁決を受けることは甚だ難しいと言わざるを得ません。土地収用法の第四十七条に定められた却下の裁決の理由は簡潔明瞭であります。この法文に照らしてどのようにお考えになっているのか、総理の見解を伺いたいと思います。  今指摘しただけでも、この法案は、現在の駐留軍用地特措法の問題点のごく一部に、まるでばんそうこうを張るがごとき内容であると言わざるを得ません。なぜこのような最小限のびほう策となったのか。報道によれば、昨年六月、政府は抜本的な法改正を行い、あらゆる角度からの法整備を行う検討が進められていたとされておりますが、なぜ抜本的法改正を見送ったのか、総理答弁を求めたいと思います。  私は、基本的に、安全保障という国にとって最も重要な問題で、しかも基地提供という国の条約上の義務を果たすための国内手続が事実上地方にゆだねられていることについて、検討すべき点があると考えます。地方にゆだねるべき地域の事業まで国が許認可権で縛り、本来国の固有の事務を地方にゆだねている現状を含めて総合的に検討しなければ、墓地の安定的な提供はあり得ないと思うのであります。まして沖縄基地の負担を日本国全体で分から合おうというのならば、そのため、国が責任を持つ法整備と沖縄基地整理縮小していくための具体的方針の提示は当然必要であります。  一見厳しい法改正のように感じますが、そうしなければ結局沖縄基地の固定化となり、沖縄県民にとっても日本にとっても正しい選択ではないと信ずるものであります。もちろん、憲法第二十九条の財産権は厳然と存在し、国が責任を持つことと次元を異にいたします。総理の率直な見解を伺いたいと思います。  我々は、これまでの政府の怠慢と法案の問題点を認め、沖縄県の健全な発展安全保障にかかわるきちんとした法整備を政府が責任を持って行うならば、今回の政府案は、時間的に見て暫定措置として理解するにやぶさかではありません。  本年秋には、日米防衛協力ガイドラインの見直しも決断せざるを得ません。いつまでもあいまいな国家政策で我が国対応できると考えると、大きな誤りを犯すことになります。今こそ明確な方針を総理自身が決断すべきときであります。  昨日の橋本総理と小沢党首との会談で三項目の合意が行われました。第一は「日米安全保障条約は、我が国安全保障を確保するという国の根幹に関わるものであるという共通の認識に立ち、政府が同条約上の義務の履行に最終的責任を負う。」第二に「在沖縄米軍基地問題は、日米の関係を円滑にし、絆を強化するとともに、沖縄県民の負担を全国民が担うという考え方に基づいて解決すべきである。」第三に「沖縄基地使用に係る問題は、県民の意思を活かしながら、基地整理・縮小・移転等を含め、国が最終的に責任を負う仕組みを誠意をもって整備するものとする。」という内容でありますが、この合意政府が真摯に履行するのであれば、評価に値するものと思います。  最後に、総理が、この合意に基づき、日本安全保障のため英断を持って対処されることを求め、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  13. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 坂口議員にお答えを申し上げます。  まず、今回の事態の責任について御意見がありました。  今回の手続は、御承知のように、過去二回の手続期間を考慮いたしながら、平成七年三月に開始をいたしたものであります。しかし、同年九月の本当に不幸など言う以外に言いようのない事件の発生を契機に、さまざまな問題が生ずる中で、職務執行命令手続をとらざるを得ないなど、従来では予想できない期間を要することになりました。このような事情によりまして、五月十四日までに使用権原の取得ができない、そうした状況になりましたため、我が国の存亡にかかわる重大事項であります日米安全保障条約上の義務を果たすために、政府暫定使用という最小限の措置をとることを決断した次第であります。  そして、この状況に至るまでの責任は何かということを問いただされました。  私が申し上げるまでもなく、沖縄県における基地は、第二次世界大戦中に我が国の陸軍、海軍によって建設されましたものが、沖縄戦を経、米軍の占領下においてそのまま固定したものであります。そして、沖縄の施政権をようやく取り戻しました時点で、本院におきましてもこの整理統合、縮小というものを目指しての努力がうたわれましたものの、必ずしもその後、本土の私たちが沖縄県の方々の抱えておられる苦しみというものに十分思いをいたしてこなかったという点は、私はおわびをするし、また反省もしなければならないこと、そのようにとらえてまいりました。  それだけに、こうした中で、何とか今回の問題を円満裏に処理することができないであろうかと願いながら努力をいたしてまいりましたし、SACOの合意にいたしましても、沖縄の外に移し得たものはわずかでありますが、少しでもその状況改善するために、関係当局、日米、力を合わせて全力を尽くしてきたことは、お認めをいただきたいと思うのであります。  そうした中におきまして、今回の特措法改正が現状の固定化になるのではないか、そのようなお尋ねをいただきました。  しかし、米軍基地整理統合、縮小、これに向けましては、SACO最終報告の着実な実施に全力を尽くし、既に岩国の基地に一部の機能が移転したことを初め、先刻の御質問の中にもありましたように、県道一〇四号線越えの射撃訓練につき、本土の五カ所の射撃訓練場にこの機能を移す等の努力を、今全力を尽くしており、こうした点につきまして、国民各位がもし沖縄県民の痛みに理解を示してくださるなら、ぜひお力添えを賜りたい、この場をかりてお願いを申し上げます。そして、我々は、沖縄県の御負担を少しでも軽減できるように、今後とも全力を尽くしてまいります。  そして、この条約上の義務国民的に分から合うという政治的な決意を本当に持っているのかと念を押されました。全力を尽くして努力をしてまいりたい、今もそう思っております。  次に、審査請求につきましてのお尋ねがございました。  防衛施設局長収用委員会の却下裁決につき審査請求をした場合に建設大臣が審査をする、これは正常と思うかということでありますが、その場合、建設大臣が審査をいたしますのは、使用裁決申請駐留軍用地特措法及び同法の規定により適用される土地収用法規定に違反しているか否かでありまして、内閣総理大臣が行った使用認定に係る判断をもう一度し直すというものではございません。  また、楚辺通信所の緊急使用について、土地収用法四十七条との関連でのお尋ねがございました。  この問題につきましては、沖縄収用委員会から、楚辺通信所の任務、運用、機能、性能に関する詳細な説明を求められましたため、米国側の協 力も得て、許される限りの説明をいたしましたが、収用委員会の御理解を得るに至らなかったことはまことに残念であります。他方土地収用法第四十七条は、裁決申請が法律に違反するときは却下するという内容のものでありまして、緊急使用の許可、不許可の判断内容とは別個のものであります。  また、昨年、政府が抜本改正を検討していた報道がある、どうして抜本改正を見送ったのか、そうした御指摘がございました。  政府としては、さまざまな角度からさまざまな案を勉強してまいりました。その上で、日米安全保障条約上の義務を果たしていかなければならない我が国立場、そして沖縄県民の方々に痛み、重荷を背負っていただいてまいりましたことに思いをいたしながら、現段階におきましては、御審議をいただいております本案が最善のものであると考えております。  最後に、米軍施設区域の提供に関する基本的な法整備と、施設区域整理縮小についての御意見をいただきました。  安保条約上の義務の履行は国家の存立にかかわる重大問題であり、使用権原のない状態はどうしても避けなければならないことから、必要最小限の法案を提出させていただいたところでありまして、沖縄施設区域整理統合、縮小につきましては、SACO最終報告の着実な実施に全力を尽くしてまいります。  また、基本的な法整備に関しましては、駐留軍用地の取得に関する事務は、我が国の生存と安全を確保する上で重要かつ高度の公共性を有する米軍の活動の基盤にかかわるものであり、またさらには、我が国条約上負っております義務履行に関するものでありますから、本来国が執行責任を負うべき性格のものであることは認識をいたしておりますが、そのあり方につきましては、地方分権推進委員会からの御意見ども見つつ、幅広く検討してまいりたいと考えております。昨日、御堂党首との会談におきましても、この考え方を申し述べたところであります。  残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣久間章生登壇
  14. 久間章生

    国務大臣久間章生君) なぜ楚辺通信所のときは無権原状態で放置してきたかとのお尋ねでございますけれども、昨年四月一日以降、楚辺通信所の一部土地について、これは既に裁決申請を行っており、政府がこれを放置していたわけではなく、その権原取得について最大限の努力をしてきたところでありますが、かかる状況が既に一年間となる事情及び嘉手納飛行場等使用期限が迫っている事情等を踏まえ、五月十五日以降無権原状態を避けることが必要であると考えておるのであります。  次に、収用委員会使用期限を大幅に短縮した場合等についてのお尋ねですが、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者として議会の同意を得て知事が任命する収用委員会の会長及び委員の方々が、御質問のような裁決をすることは極めて予想しにくいのですが、仮にそのような裁決がなされた場合には、防衛施設局長は建設大臣に対してその取り消しを求めるための審査請求をすることになります。  収用委員会の却下裁決と建設大臣の取り消し裁決がエンドレスに続くことも考えられるとのお尋ねですが、そもそも収用委員会が却下の裁決をしなければならない場合は極めて例外的であること、また審査請求を受けてなされた建設大臣の取り消しの裁決関係行政庁を拘束することとされていること等をあわせて考えますと、御質問のようにエンドレスに続くということはないものと考えております。  遡及適用ではないかとのお尋ねですが、法案は、昨年四月一日以降使用権原がない楚辺通信所の一部土地についても対象としているが、あくまでも改正法の施行後において改正後の駐留軍用地特別措置法の定めるところに従いその暫定使用担保提供の翌日から認めるものであり、法施行前にさかのぼって暫定使用を認めるものではなく、法律の遡及適用というものではございません。(拍手)     —————————————
  15. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 仙谷由人君。     〔仙谷由人君登壇
  16. 仙谷由人

    ○仙谷由人君 私は、米駐留軍用地等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、民主党を代表して、質問いたします。  橋本総理総理は昨年の九月十日、沖縄県の大田知事と会談し、政府沖縄に対するそれまでの施策が不十分であったとの反省の言葉を知事に伝え、沖縄の諸懸案の解決に向け全力を挙げるとの決意を表明されました。私は、その率直な言葉の中に沖縄問題にかける総理の熱意を感じたからこそ、沖縄県の大田知事は、会談後、米軍用地の公告縦覧の代行に応じたのだと思うのであります。今顧みましても、この会談は、沖縄米軍基地問題をめぐる国と沖縄県との関係にとって重要な節目となるものでありました。  また総理は、会談後、沖縄県との信頼関係を、一瞬のことではなく、これから先継続していくことが大事であると述べられました。しかし、幾ら言葉が誠意に飾られていようとも、その言葉が具体的な行動、実践によって裏づけられなければ、かえってその言葉を受けた者の落胆と不信ははかり知れないものにならざるを得ないのであります。  橋本総理総理は昨年九月の会談の際、沖縄問題についての談話を発表し、「米軍兵力構成を含む軍事態勢について、継続的に米国協議してまいります。」と述べられました。しかし、総理のこの言葉は、一体いつどこで実行されたとおっしゃるのでしょうか。確かに、総理はこの二月、オルブライト国務長官と会談した際、沖縄海兵隊問題を含めて軍事態勢について協議することを提案したということのようでありますが、その後、ゴア副大統領が海兵隊削減に対する消極姿勢を示した途端に、海兵隊削減、撤退を求める考えはないと態度を大幅に後退させたのであります。  民主党は、我が国の安全とアジア太平洋の安定を確保する上で、日米安保条約を堅持することが重要であると考えるものでございます。しかし、同時に、国際情勢に対する認識在日米軍のあり方について両国の間で意見の相違があることはごく自然なことであり、むしろ、そのような違いの上に立って日米両国が同盟関係を良好なものにする努力を続けていくことこそ、民主主義国家の強みであると信ずるものであります。  アメリカが言うから、アメリカが賛成しないからという理由だけで、海兵隊を含む在沖縄米軍兵力構成の問題をアメリカに対して口にすることすらはばかるというのでは、一体、日本外交のどこに自主性、主体性があると言えるのでしょうか。(拍手)  「過ってはすなわち改むるにはばかることなかれ」であります。今からでも遅くはありません。来るクリントン大統領との会談において、沖縄県民が強く望んでいる、海兵隊を含む在沖米軍の段階的削減と撤退について提起し、今後、この問題について日米間のしかるべき機関において継続的に協議するよう努力すべきであると考えるものでありますが、総理の決意と見解をお聞かせいただきたい。  沖縄との信頼関係を一瞬のものに終わらせないとの総理の思いを生かすことができるかどうか、それは総理の一身にかかっているということをぜひ強く御認識いただきたいのであります。  海兵隊を含む在沖米軍削減、撤退については、朝鮮半島情勢が不透明なときに、日本から話をとても持ち出せるものではないとの主張が一部でなされております。しかし、それでは、その不透明な朝鮮半島情勢を少しでも見通しのいいもの にするために、政府はどのような外交努力を行ってきたのか、また行おうとしているのか。みずから努力する姿勢を見せることなしに、沖縄県民にだけ犠牲を強い続けることはもはや犯罪的ですらあります。  少なくとも、朝鮮半島情勢の安定化に向けて、我が国単独で、またはアメリカや韓国、中国、さらには北朝鮮をも含めた二国間、多国間の重層的な外交戦略を打ち出し、その着実な推進を図ることなしに、総理がさきの沖縄談話で表明した「アジア情勢の安定のための外交努力を行う」という言葉は絵そらごとになってしまうのであります。総理、今後、朝鮮半島及び中国を含む北東アジア地域緊張緩和と多国間協調の枠組みの確立に向けて、我が国としてどのような政策展開を図っていこうとしているのか。沖縄県民の方々も御納得いただけるように、総理自身の言葉で明快に語っていただきたいのであります。  総理も御承知のとおり、我が党は、昨日、沖縄米軍基地問題の打開のために緊急に取り組むべき課題として、海兵隊削減、撤退を初めとする五項目の提言政府に対して行ったところであります。この中で、日米地位協定にかかわる課題として、国内法に準じた環境保護の徹底、軍事演習に関する規定の整備について、日米間で新たな合意を得ることを求めたところでございます。  この二月に起きた鳥島における劣化ウラン弾誤射事件並びにキャンプ瑞慶覧でのPCB廃液事件は、いかに軍事演習の規制に関する規定が弱いか、また、いかに環境保護が無視されているかを示す象徴的な出来事でありました。  そして、この誤射事件の通報をおよそ一カ月にわたって隠ぺいし続けたことは、日本政府、外務省が、絶えず日本日本人の立場に立って国益と市民益を擁護することに努めるよりも、アメリカ政府の側に立って、日本人に対しては知らしむべからずよらしむべしとの姿勢でアメリカ政府をかばう、相変わらずの主体性の欠如を露呈しているところであります。  過去三回にわたってボン補足協定を改定し、環境保護及び軍事演習について詳細な規定を設けたというドイツの事例をも参考にしながら、これらの課題について日米間の協議を開始することが極めて重要であると私は考えるものであります。この点について、外務大臣のお考えお尋ねいたします。  また、沖縄に駐留する米軍にかかわる諸活動について地元の要望をできる限り反映させていく上で、沖縄県、那覇防衛施設局、在沖縄米軍各軍の代表で構成される三者協議会の活性化を図ることも重要な課題であります。そのためには、この三者連絡協議会を日米合同委員会などにおいて承認し、日米間の正式な機関として位置づけることが必要であると考えるものでありますが、外務大臣及び防衛庁長官の見解を求めます。  今日、沖縄県民の抱える苦悩は、島全体を覆うように存在する多数の米軍基地から基本的に発生しているものでありますけれども、そのことが経済的な自立を阻み、結果として、基地の重圧と経済的困難の重圧の二重の重圧に沖縄人々は苦しめられているのであります。その意味において、基地負担の軽減と経済的自立を同時に追求しようとする国際都市形成構想は、国として真剣に受けとめるべきものであり、少しでもその構想の実現に近づくことができるように各種の措置を講じていくべきであると考えるものであります。  中でも、法人税の軽減や独自関税制度の導入、輸入割り当て制度の見直しなどによる自由貿易地域制度の拡充とともに、ノービザ制度の導入による国際観光発展のための環境整備を図ることが極めて重要な課題となっております。また、昨年十一月に発表された沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会報告の具体化も求められております。  こうしたさまざまな懸案に対して、総理並びに関係大臣たる外務大臣、大蔵大臣はどのように取り組んでいこうとされているのか、明確な決意の表明を求めるものであります。  橋本総理、私は、日本の安全とアジア太平洋の安定を確保する手段として日米安保条約を重視する立場から、条約の円滑な運用に支障を来すような法的空白を招くことは避けるべきであると考えております。同時に、米軍に提供される用地については、本来政府がその使用期間内に収用手続を完了する義務を負っているにもかかわらず、それができない事態を発生させようとしていることは、基本的に政府の責任であると言わざるを得ないのでございます。  現行法に従って、民主党が要求した緊急使用申し立てを行うことができたにもかかわらず、そうしなかったことは、明らかに政府の失態であります。政府の施策が、法定の手続よりも別途の思惑によってなされているとの疑いなしとしないのであります。  したがって、もしどうしても特措法改正が必要というのであれば、真に必要最小限度の改正にとどめるものでなければなりません。ところが、改正法案を見る限り、必要最小限度といいながら、収用委員会の却下裁決があっても、防衛施設庁が審査請求をしさえすれば、建設大臣が却下裁決を取り消すか、あるいはこの審査請求に対して建設大臣が判断をしない状態が続く限り、正権原が取得できるまでいつまでも暫定使用権が認められることになっております。また、既に使用権原が切れている楚辺通信所にも暫定使用制度を適用するなど、沖縄県民にとっては必要最小限度の改正を超える見直しであるとの批判も出ているところであります。  さらに、仮に収用委員会が防衛施設庁の求める使用期間を大幅に減ずる使用期間しか認めず、これについて施設庁が審査請求を行った場合に、ずるずると半永久的に暫定使用が続けられることも許容されるという法律構成になっていることに、多大の危惧を感じざるを得ないところであります。すなわち、暫定の使用が永続的、半永久的になし得るという論理矛盾の体系となっていることが法律上の問題なのであります。  こうした批判に少しでもこたえでいくためには、例えば、今回の特措法改正について五年間の時限を付すような方法も検討すべきではないかと考えるものであります。このような法案修正は、政府に対して、限られた期間内において沖縄の諸懸案に積極的に取り組むことを強く促していくという効果も期待できるものであります。今後の委員会における審議を通じて、そのような修正についても検討する用意があるかどうか、総理の見解をお尋ねいたします。  橋本総理、私もまた、総理がおっしゃるように、日米安保条約上の義務を果たすことは、同盟関係維持する上で極めて重要なことであると信ずるものであります。しかしながら、同盟をその根本において支えるものは、やはり国民の意思であります。国民の理解と合意がなければ、幾ら形式が整っていようとも、そのような同盟は力強いものになることはできないのであります。  日米安保条約の適切な運用を図ることを念願するからこそ、安保条約維持するための重圧と負担を受け続けてきた沖縄県民の苦痛を和らげ、在沖縄米軍基地の恒久化、固定化から脱却し、基地縮小に希望の曙光を見出すことのできる最大限の努力を払うべきであるということを最後に強く申し述べて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  17. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 仙谷議員にお答えを申し上げます。  まず、昨年九月の総理談話において述べた、米軍兵力構成を含む軍事態勢について、一体その言葉をどこで実行したかというお尋ねがありました。  これは、昨年四月の日米安保共同宣言に基づきまして、日米両政府間におきまして、日米安全保障協議委員会や日米高級事務レベル協議等、定期的に軍事態勢や防衛政策について緊密に協議を行 う場があります。また、先般の米副大統領またオルブライト国務長官の訪日の際には、私から、国際情勢の趨勢を視野に入れながら、軍事態勢などについて引き続き静かにかつ緊密に協議をしていくことが大切だということを申し上げてまいりました。  しかし、現時点における海兵隊というその一点をお尋ねでありますならば、私は、本院におきましても、現時点においで海兵隊削減あるいは撤退を求める考えはないということはしばしばお答えを申し上げてきたとおりであり、そのとおりの言葉を現在も申し上げなければなりません。なぜなら、アジア太平洋地域における状況というものは、依然として不安定、不確実な要因というものが存在をしております。現時点においで、私はこれを求める時期ではないということを本院における御答弁の中でも申し上げてまいりました。  同時に、日米安全保障共同宣言の中で確認されておりますように、国際的な安全保障情勢においで起こり得る変化対応しながら、在日米軍兵力構成を含む軍事態勢や防衛政策につき両政府間で緊密な協議は継続をいたします。  次に、北東アジア地域緊張緩和についてのお尋ねがございました。  域内の信頼醸成、そのために地域的な対話と協力の枠組みの構築が重要であることは、議員の御指摘のとおりであります。そして、残念ながら、北東アジアにおきまして、政府間での安全保障面での協力の枠組みというものは、現在のところ存在をいたしておりません。しかし、政府としては、民間レベルの安全保障対話を関係諸国と協力しながら進めておりますし、例えば北朝鮮に対する軽水炉供与の問題、いわゆるKEDOの問題を通じての努力等もこうした一環とぜひお考えをいただきたいものだと考えております。  次に、沖縄の持っておられるさまざまな御希望、例えば自由貿易地域等についてのお尋ねがございました。  これは知事さん御自身にもお入りをいただいております沖縄政策協議会で今後のあり方の検討を進めることとしており、現在、沖縄開発庁を中心にしながら、関係各省庁、沖縄県で鋭意作業を進めていただいております。今後ともこの協議会で検討を深めるとともに、県の方において例えば規制緩和について検討委員会をおつくりになります。ここからの具体的な提言がございましたなら、協議会等の場において、何が可能なのかを当然のことながら私どもとして十分に検討をしてまいります。  ただ一点、ノービザ制度の導入についてだけ申し上げたいと思いますが、査証を含む外国人の入国問題について、これは基本的には国レベルで統一的に対応すべきものだと思います。また、よく言われておりました外国人の不法就労、不法残留の問題に加えまして、御承知のように、現在、特定の組織が背景にあるのではないかと疑われる密航者の取り締まりの問題が生じております。こうしたことを考えますと、この問題にはなかなか難しい点がありますが、県からは大変強い御希望がありますだけに、ビザの面で何が可能か、この政策協議会の場等で十分な検討をさせていただきたいと思っております。  次に、必要最小限という法改正であるなら、今後の委員会審議において時限を付することを検討する用意があるかという御指摘がありました。  国会の御審議は、また国会における御意見がどう集約されるかは、私どもが介入すべきことではございません。その上で、私どもは、駐留米軍の用に供することが必要な民公有地におきまして、契約による合意が得られないものにつきましては、これは本土であろうと沖縄県であろうと、駐留軍用地特措法に基づいて、原則として一定期間使用権原を得て使用せざるを得ないわけであります。その場合、近い将来におきまして今般と同様の事態の発生する可能性というものを否定できない状況の中で、今回限りの時限立法という選択は政府としてはいたしませんでした。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣池田行彦君登壇
  18. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) まず、環境保護に関する規定について日米間で協議を開始すべしとのお尋ねでございますが、日米地位協定は、米軍が公共の安全に妥当な考慮を払うこと、また我が国の法令を尊重すること、この二点を定めております。在日米軍の行動はこのような地位協定規定に従っており、特に環境につきましては、我が国の国内法令を踏まえた評価基準を作成し、これに基づいて環境管理行動をとっております。いずれにいたしましても、政府といたしましては、日米合同委員会の枠組み等を活用して、環境問題等に適切に対処してまいります。  次に、三者連絡協議会についてのお尋ねですが、この機関は、米軍に係る問題を政府間で協議する機関である合同委員会とは別個に、県、施設局、在沖米軍の三者が現地において拘束されない自由な立場から話し合いを行う、そういったものとして設けられておるものであり、合同委員会とは趣旨、目的を異にする機関であります。しかし、政府といたしましては、この三者協議会の一層の活性化に努めてまいりたいと存じます。  最後に、ノービザ制度については、総理から御答弁があったとおりでございます。(拍手)     〔国務大臣久間章生登壇
  19. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほどの三者連絡協議会の活性化につきましては、ただいま外務大臣から答弁されたとおりでございます。防衛庁としても精いっぱい努力してまいりたいと思います。(拍手)     〔国務大臣三塚博君登壇
  20. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 私からは、自由貿易地域の拡充についてのお尋ねでございますが、基本的な考え方は総理大臣から申されたとおりでございます。大蔵省といたしましても、検討委員会の議がまとまり、政策協議会提示をされ、正式に御要請を受けまして、税制、関税等を所管する立場から、何ができるのか真剣に検討いたします。(拍手)     —————————————
  21. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 金子満広君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔金子満広君登壇
  22. 金子満広

    ○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、先ほど提案されました米軍用地特別措置法一部改正法案についで、橋本総理質問をいたします。  言うまでもありませんが、沖縄米軍基地は、第二次世界大戦終戦時に、米軍がハーグ陸戦法規に違反して住民の土地を強奪してつくられました。さらに、銃剣とブルドーザーによって無法に拡張されたことは歴史的な事実であります。  さらに、一九七二年五月、沖縄復帰の際、これらの土地は当然住民に返されるべきであったにもかかわらず、憲法に背く政府の立法措置によって、その強奪状態は今日まで続けられているのであります。立法措置によってその強奪が続けられている、このことを見ただけでも、いかに事態が重大であるかは明白であります。  しかも重大なことは、昨年三月、楚辺通信所の一部の土地使用期限が切れたにもかかわらず、政府の行為によって不法占拠が始まり、これも今も続いているのであります。  そこへ来て、今度はさらに、来月五月十四日には嘉手納基地を初め十二施設、約三千人の地主の所有地の使用期限が切れることになっています。いろいろ解釈をしておりますけれども、解釈でこの事態は変わるものではありません。この点は明白に私たちはつかんでいかなければならない現実であります。したがって、これらの土地使用については、日本政府米軍も完全に法的な権原を失うのであります。そうなったら、当然、法に基づいてその土地地主返還すべきであります。これは、法治国として当然のことであります。  ところが、この法案は、この当然のルールを政府が一方的にじゅうりんして、アメリカのためには、何が何でも米軍が引き続いてこの基地強制使用ができるようにしようとしているものであります。  こうした重大事態に直面し、戦後半世紀にわたって米軍基地米軍によって言語に絶する苦難を強要されてきた沖縄県民は、今、身ぐるみ抗議の声を上げているのであります。県民の圧倒的多数の世論、多くの市町村議会と市町村長、さらには沖縄の県議会、大田知事も明確に反対の意思を表明しております。これが沖縄県民の声であります。  総理、この法案は、この沖縄県民の声を土足で踏みにじるようなものではありませんか。沖縄県民の願いにこたえる道は、期限の切れた土地を法に基づいて地主に返すことであります。繰り返しますけれども沖縄県民の願いにこたえる道は、期限の切れた土地を法に基づいて地主に返すことであります。総理の明確な答弁を求めます。  次に、法案は、従来の制度の延長線上にある最小限の改正などというものでは決してありません。  第一に、この法案は、憲法で保障された国民の財産権を不当に侵害するというものであります。憲法第二十九条は、国民の「財産権は、これを侵してはならない。」と明記しています。そして、公共のためにやむを得ず財産権を制約する場合においても、公正な手続、正当な補償を求めています。そのための保障として、土地収用法は、地方自治体の独立した機関である収用委員会の審議を経て権利取得裁決及び明け渡し裁決がなされて初めで土地使用ができることになっているのであります。これが、憲法の原則に基づく財産権の保障手続なのであります。総理はこの点をどう考えているのか、伺います。  ところが、この法案は、これらの原則を根底から覆し、政府裁決申請さえやれば、収用委員会明け渡し裁決がなくとも、あるいは却下裁決がなされたとしても、使用期限の切れた土地使用を引き続き米軍に継続させることになっているのであります。これは、収用委員会役割を否定し、地主の意思に反して永久に土地強奪を続け、二十一世紀にわたって基地固定化の仕掛けをつくるものであります。重大な問題であります。  これは、国民の財産権を踏みにじる政府の暴挙であり、日本の法体系の中にこの暴挙を初めて持ち込むものであります。これが、財産権を保障した憲法二十九条、適正な法手続規定した三十一条に反する違憲立法であることは、もはや明らかであります。総理答弁を求めます。  第二は、手続の途中でルールを変えるという暴挙だという問題であります。  政府は、現在行われている収用手続の一方の当事者であります。しかも、その手続総理自身の使用認定によって開始されたのではありませんか。我が党は、現在の特措法自体が、軍事目的のための土地収用という点で憲法の平和原則に背く違憲の法律だと考えていますが、それでもこの法律を前提にして政府側も地主側も収用委員会手続を進めているのであります。  ところが、今、この法律のもとでみずから手続をしておきながら、それが自分の思うようにならないからといって一方的にその法律を変えようとする、こんな手前勝手なことが法治国で許されるはずはありません。この点をどう考えているのか。  これが試合途中のルール改変だと指摘されているのも当然ではありませんか。既に昨年三月に期限が切れた土地に適用するに至っては、まさに試合が終わった後のルール変更であり、無法そのものであると言わざるを得ません。総理はこのようなことをどう考えているのか。  第三に、これは沖縄県民に対する差別立法だということであります。  米軍用地特措法が適用されているのは沖縄に対してだけであり、まさに米軍基地維持のために沖縄県民権利を侵害するものであります。それを沖縄県民の声も聞かずに強行するなどは、憲法九十五条の特別法の住民投票という規定を完全に無視するものになっております。総理、このような差別立法が許されるのであるかどうか、伺います。  そこで、橋本総理は、三月三十一日の記者会見において、日米安保条約義務を果たすことは日本の国家そのものの存立にかかわる重大問題だと述べ、今回の法案を合理化しようとしています。  しかし、安保のためであれ何であれ、どんな理由をつけようと、憲法をじゅうりんする自由などだれにも与えられておりません。総理はこのことをどう考えておりますか。  日米地位協定第二条は、日本政府及びアメリカ政府は、日米合同委員会で決めた米軍への基地提供に関し、いずれか一方の要請があれば再検討しなければならないことを明らかにしています。また、基地日本返還すべきことを日米で合意することができることもはっきりとうたって道をあげております。  使用期限が切れた土地は、日本の国内法によって地主に返すべきであります。このことによって基地が使えなくなるというならば、政府はそのことを率直にアメリカ政府に伝え、基地返還のため日米交渉を行うようやるべきだと思います。これが当然のことであります。総理は、なぜ地位協定第二条に基づいてアメリカ政府に事実をはっきりと告げないのですか。何で遠慮をしているのですか。  ここで、さらに総理に伺います。  それは、マスコミも報道していることでありますが、総理は、四月二十四日の訪米までに特措法改正をやるんだと言われていることであります。訪米日程に合わせて、憲法じゅうりんの重大な法案を、直接の当事者である沖縄県民を初め国民が十分に吟味する時間も与えず、また国会の十分な審議の保障もなしに強行するということは、国民と国会を無視するものであると思います。総理、このような態度は、独立国の代表者がとるべき態度ではなく、それこそ異常な対米追従ではありませんか。(拍手)  日本共産党は、安保条約反対の立場です。我が党は、在日米軍基地日本を守るためのものではなく、アメリカがアジアや世界に介入するためのものであると考えています。しかし、今問われているのは安保条約の是非ではありません。安保条約を絶対化し、これを憲法の上に置くという政府の態度、その是非が問われているのであります。  日本共産党は、憲法違反の特措法改悪に断固反対し、使用期限が切れた土地地主返還すべきことを重ねて強く要求するとともに、沖縄県民国民の願いにこたえて、沖縄からの米海兵隊の撤退、基地のない沖縄の実現のために全力を尽くすことを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  23. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 金子議員にお答えを申し上げます。  まず、使用期限の切れた土地地主に返すべきではないかという御主張であります。  日米安全保障条約の目的達成のため我が国に駐留する米軍に円滑かつ安定的に提供することは、我が国条約上の義務であり、その義務を履行するため、現在、駐留軍用地特措法に基づいて手続を進めている土地につきましては、五月十五日以降使用権原のない状態はどんなことがあっても避けなければならないものであることを御理解いただきたいと思います。  財産権の保障手続について御意見をいただきましたが、現行の土地収用法収用委員会裁決によって土地使用ができることを定めておりますが、憲法上、それ以外の手続によって土地使用することが許されないとは考えておりません。  憲法二十九条及び三十一条についての御意見が ありましたが、法案は、現に駐留軍の用に供されており、引き続きその用に供する必要があると認定された土地等を適正な補償のもとで暫定使用するための要件とその手続を定めており、御指摘の規定に反するものではございません。  また、現行特措法改正は国による勝手なルール変更である、そういう御主張でありましたが、本法案は、我が国の生存と安全の維持という国益を確保し、条約上の義務を履行するために継続して使用する必要のある土地などについて、裁決による使用権原が得られるまでの間に限って法律により暫定的に使用することができるとする必要最小限のものであることを御理解いただきたいと存じます。  次に、憲法九十五条との関係の御質問がありました。  この点につきましては、最終的には国会の御判断によるべきものでありますが、政府としては、法案は、特定の地方公共団体の組織、運営または機能について特例を定めるものではありませんので、憲法第九十五条に規定する特別法に該当しないと考えております。  次に、過日の記者会見での発言について、けしからぬという御発言でありましたが、私は、日米安保条約の目的達成のために、その条約上の義務を果たすことが我が国として必要なことだと信じていることをそのとおりに申し上げたことであります。なお、この法案が憲法に反しないと既に申し上げたとおりであります。  また、使用権原が失効した場合の対応についての御意見がありましたが、我が国日米安保条約上の義務を果たすこと、それは、日米関係維持だけではなく、地域の平和と安定、さらに我が国の国家としての存立にもかかわる重大な問題であります。使用権原のない状態はどんなことがあっても避けなければならないと考えております。  次に、改正法案の成立時期についてお尋ねがありました。  改正法案は、あらかじめ担保を提供することを暫定使用の条件といたしております。約三千名分の担保の供託手続には相当の時間を要すること、この間にゴールデンウイークがありますことを考えますと、四月中のできるだけ早い時期に成立をさせていただきたいと政府がお願いをする理由はまさにここにあります。現在調整中の訪米日程との関係でお考えになることは、私は━━━━━━だと思います。(拍手)     —————————————
  24. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 前島秀行君。     〔前島秀行君登壇
  25. 前島秀行

    ○前島秀行君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま提案されました駐留軍用地特別措置法の一部を改正する法律案について、総理及び関係大臣質問いたします。  さきの沖縄戦で、二十一万七千人余のとうとい命が失われました。本土防衛の名のもとに、一般住民を巻き込み三カ月以上に及んだ凄惨な戦いの後に待っていたものは、祖国日本からの分断であり、切り捨てであり、そして排他的な軍事支配でありました。  屈辱に満ちた植民地支配は二十七年の長きに及び、この間に、米軍統治下の布令・布告により、地主の同意も得ずに、米軍の銃剣とブルドーザーによる強権的な土地の接収によって、今日の強大な基地が建設されました。復帰後も、公用地暫定使用法、位置境界明確化法など、沖縄のみを対象とした特別立法で引き続き強制使用されてきました。本来、復帰の時点で憲法九十五条に基づいて県民の意思を問うべきはずのものを、全く無視して今日に至っています。  橋本総理沖縄の歴史は差別と屈辱の歴史であり、そしてまた沖縄県民日本政府への期待が裏切られ続けてきた歴史でもあるのであります。  提案された政府案は、たとえ収用委員会が却下しても、また使用期限が切れても、事実上、基地用地を継続して米軍に提供することが可能であり、沖縄県を初め地元自治体が法的に関与する手段を奪うものであり、中立機関としての県の収用委員会審理を実質的に否定するものであります。  橋本総理、今回の特措法改正を強行することは、あなたが沖縄県民に対して新たな差別と苦しみを押しつけることなのであります。「建前と本音が頭をもたげてきた。橋本総理の「沖縄問題を命がけでやる」とは、米軍用地特別措置法改正だったのか」と、昨日の沖縄の新聞が論じています。当然、あなたに対する沖縄県民の不信と失望、強い反発を招くことは間違いありません。沖縄政府の距離がますます広がって、沖縄基地問題の解決が一層難しくなることを私は憂慮いたします。特別措置法の強行に対する沖縄県民の思いをどのように受けとめているのか、まず総理基本的な認識をお伺いいたします。  次に、改正案内容についてお尋ねいたします。  賃貸契約を拒否する地主土地を、その意に反して、一定の私権を制限し強制使用するためには、たとえ公共の利益であっても、適正な手続の保障は極めて当然のことなのであります。収用委員会による裁決手続は適正手続の保障の一環であり、駐留軍用地強制使用の権原は、独立した行政委員会である収用委員会審理と、使用を認める裁決によって初めて認められるものであります。このような手続が厳格に行われることが、強制使用を辛うじて許容し得る最低限の条件なのであります。  さらに、大田沖縄県知事がコメントで述べていますように、今回の法改正は、実質的に沖縄県のみに適用される特別法であります。したがって、政府改正案は、財産権を保障する原則を規定した憲法二十九条、適正な手続を保障した憲法三十一条、特定の自治体のみに適用される立法を禁じた憲法九十五条などに反し、法律不遡及の原則にも反する、民主主義を破壊する暴挙と言わざるを得ないのであります。(拍手総理防衛庁長官の見解を伺いたいと存じます。  また、緊急使用許可制度があるにもかかわらず、一挙に法改正によって使用権原の継続を取得しようとしたのは余りにも強引なやり方であり、法治国家の自殺行為とも言わざるを得ません。なぜ緊急使用申請をしなかったのか、これからでもまだ遅くないと思いますが、申請する意思はないのか、あわせて政府の見解を伺いたいと思います。  橋本総理、あなたの師匠でもあった佐藤元首相によって、二十五年前、核抜き・本土並みの沖縄本土復帰が実現しました。復帰内容についてさまざまな評価がされましたが、沖縄県民本土復帰を歓迎したことは間違いないと思います。それは平和憲法のもとへの復帰であり、そして何よりも、本土と同じ条件で生活できることへの期待が込められていたからなのであります。  しかし、復帰から二十五年たった今日、国土の〇・六%にすぎない狭い沖縄県に、在日米軍の七五%の基地が集中配備されているし、基地あるがゆえに基地被害、米兵による犯罪が後を絶ちません。一方、三次にわたる振興計画によって五兆円余の国費が投入され、一定の成果が上がりましたが、県民所得は四十七番目の最下位であり、失業率は常に全国一であります。期待した本土並みは、完全に裏切られてしまったのであります。  米軍基地の過度の集中による沖縄県民の痛みと過重な負担の解消に目に見える形で具体的にこたえること、そして二十一世紀の沖縄像を政府の責任で具体化すること、沖縄の未来を展望するこの二つの基本課題に対する誠実で真剣な努力があって初めて、直面する基地問題の処理が可能になるのです。これが沖縄問題解決の原点だと私は信じます。  そこで、総理お尋ねいたします。  昨年の九月、大田沖縄県知事が公告縦覧の代行を執行した際、知事との約束として、総理は、一 つ、普天間飛行場及び県道一〇四号線越え実弾訓練本土移転などの解決に全力を尽くす、二つ、米軍基地整理縮小、兵力削減のために継続的に米国協議する、地位協定の見直し、改善に努力するなど、五項目について閣議決定の総理談話を発表したが、その約束は一体どうなっているのか、明らかにしていただきたいと思います。  総理沖縄問題に真剣に取り組んでいることは評価しますが、大田知事との五項目の約束も、その成果は上がっているとは言えません。それは、沖縄が求めているものと橋本内閣の方針に基本的なずれが存在しているからであります。沖縄は、基地のない平和な沖縄県づくりを目指しています。小手先の対応ではなくして、沖縄基地は今後どのようになるのか、長期の見通しを明らかにすること、つまり基地は固定化しないことを明確にし、沖縄県が目指す国際都市形成構想を国の政策とすることを求めているのです。政府はこの二点を閣議決定し、沖縄県民に約束することが基地問題解決の基本なのであります。  そこで、総理お尋ねいたします。  二〇一五年までに基地返還を目指す沖縄県のアクションプログラムを基本的に認める用意があるか。国際都市構想を具体的に推進するため、この構想をポスト四全総に位置づけるとともに、構想を支援する基本法あるいは総括法などを制定する決意があるか。さらに、沖縄駐留の海兵隊の計画的、段階的縮小、地先、海浜、海域や空域の返還または緩和を米国に要求する用意があるか。総理の決意を伺いたいと思います。  沖縄基地問題は、多様で重層構造をなす難しい問題であり、朝鮮半島を初めとする北東アジア地域政治的、軍事的動向と深くかかわっています。ポスト冷戦時代のアジア太平洋地域緊張の緩和が沖縄基地問題解決の大きな要素であることは間違いありません。したがって、積極的なアジア・ビジョンの作成と外交活動がますます重要さを加えています。我々社民党にもその努力が当然求められるということは自覚していますが、それ以上に政府役割と責任は大きいと思います。総理は、アジアの緊張の緩和を実現するためにどのような構想をお持ちか、その決意のほどをお聞かせください。   この なまなましい体験の前では いかなる人でも 戦争を肯定し美化することは できないはずです   戦争をおこすのは たしかに 人間です しかし それ以上に 戦争を許さない努力のできるのも私たち人間 ではないでしょうか   戦後このかた 私たちは あらゆる戦争を憎み 平和な島を建設せねば と思いつづけてきました   これが あまりにも大きすぎた代償を払って得た ゆずることのできない 私たちの信条なのですこれは、沖縄県立平和祈念資料館の「展示むすびのことば」であります。  沖縄人々は、戦争を憎み、平和を求めています。戦争につながる基地がなくなることを願っています。そして、平和で豊かな希望に満ちた二十一世紀の沖縄を展望しているのであります。  総理もお認めになっていますが、半世紀の長きに及ぶ沖縄県民の苦しみと過重な負担を解消する努力が不十分であったことは間違いありません。もう口先だけのパフォーマンスで済ますことは許されません。ましてや、沖縄を政争の道具にするようなことは絶対にあってはなりません。  今回の特措法改正問題は、沖縄県民に直結する課題であるだけに、沖縄に対する誠実な対応と、沖縄県民の声を大切にすべきであります。この特措法の審議において、参考人として大田知事意見を聞くとか、沖縄現地で公聴会を開くべきではないかなどの意見が党派を超えて出ているところであります。  ぜひ実現していただくとともに、納得のいく審議が行われますことを心から期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  26. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 前島議員にお答えを申し上げます。  沖縄県に対して、その思いをどう受けとめているのか、今回の特措法改正は強行だというお尋ねをいただきました。  私は、村山総理から政権をお預かりして以来今日まで、沖縄県に米軍基地が集中している状況、その中で県民の方々が受けておられる苦しみ、負担というものを少しでも軽減するように、自分なりに全力を尽くしてきたつもりであります。  そして、今回の法案に対して、沖縄県民の中に反対の御意見があることは承知をいたしております。しかし、一部の米軍施設区域使用期限が迫っている。我が国の存立にかかわる重大事項であります日米安保条約のその義務を果たしていくために、やむを得ない最小限の措置であることをぜひ御理解いただきたいと思います。  次に、憲法との関係などについてお尋ねがございました。  法案は、現に駐留軍の用に供されており、引き続きその用に供する必要があると認定された土地などを適正な補償のもとで暫定使用するための要件と手続を定めているものであり、また特定の地方公共団体の組織、運営または機能に特例を定めているものではありません。さらに、法案の施行前にさかのぼって暫定使用することを認めたものではありませんし、御指摘の憲法の諸条項や法原則に反するものではございません。  次に、緊急使用について御意見をいただきましたが、収用委員会申し立てをし、仮に許可が得られたといたしましても、例えば楚辺のケースを考えてみましても、四十三日を経た後に棄却になりました。仮に許可が得られたとしても、その通知等に相当の期間を要します。五月十四日までに緊急使用許可に基づく使用権原を得ることは非常に難しいということをぜひ御理解いただきたいと思います。  次に、昨年の九月に閣議決定をいたしました総理談話を一生懸命にやっているのかというお尋ねがありました。  まず、普天間飛行場返還の問題と県道一〇四号線越え実弾射撃訓練本土移転についてのお尋ねがありました。  県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練につきましては、既に一部同意をいただいたところも含め、平成九年度から本土の演習場で実施できるよう、地元の御理解を得るべく全力を今挙げております。次に、普天間飛行場の海上移設につき、その調査をさせていただきたいとお願いをしておりますが、残念ながら、まだ県、関係市町村、御意見が一致を見るところではなく、それができずにおります。  しかし、私は、この点は一点本気で考えていただきたいのですけれども、昨年初めて大田知事にお目にかかりましたとき、普天間の基地が住宅の密集する中にあり、いかにそれが付近の住民にとって危険な状況であるかを知事は切々と訴えられました。そして……(発言する者あり)そうした御意見もおありかもしれません。しかし、私にはそれはできませんでした。  その中で、日米安全保障条約、私はこれは大切な条約だと思っておりますし、その中での責任を果たしながら、何とか知事の声にこたえることができないかと自分なりに考えた結果、海上移設というものを、しかも撤去可能な海上移設というものを私は考えました。御理解がいただけないことは大変残念でありますが、私は、少なくともSACOの合意の中には、それだけの関係するすべての人間が、日米あわせて、現状においてできる限りの県民の期待にこたえようとした努力があることだけはぜひお認めをいただきたいと思います。(拍手)  そして、そのSACOの最終報告の着実な実施に全力を尽くすことによって、沖縄県の基地整理統合、縮小の問題についても少しでも改善を していくことができることを私は願っております。  また、在日米軍兵力構成を含めた軍事態勢あるいは防衛政策につきましては、安全保障の環境に起こるさまざまな変化対応し、日米安保協議委員会等の場で引き続き緊密に協議してまいります。  また、地位協定につきましては、沖縄県からの御要請をも踏まえ、とり得る方策について米側と協議を行い、先般のSACO最終報告にさまざまの改善措置を盛り込んでまいりました。この最終報告において明記されておりますように、日米両国政府は「日米合同委員会においで、地位協定の運用を改善するための努力を継続する。」こととしており、改善すべき点があれば今後も誠実に対応をしてまいります。  なお、自由貿易地域の拡充等によります産業や貿易等の振興策につきましては、既に関係閣僚と知事で構成いたしております沖縄政策協議会設置した中で具体的な検討を始めでおります。そうした中で、総理談話の実現にこれからも尽くしてまいりたいと存じます。  また、基地返還アクションプログラムについてのお尋ねがございましたが、政府としては、このプログラムばかりではなく他の問題に関する県の御要請も承りながら、日米安全保障条約の目的達成との調和を図りつつ、両国政府で最大限の努力を払い、SACOの最終報告を取りまとめてまいりました。今後とも、この報告に盛り込まれた措置を着実に実行いたしますために、地元の皆様の御理解と協力を求めながらあらゆる努力を払ってまいりたいと思います。  ポスト四全総に国際都市形成構想をどうするかという御指摘がありました。  沖縄政策協議会におきまして、大田知事から、国際都市形成構想基本的な考え方を次期全国総合開発計画の中に明確に位置づけていただきたいとの御要請がございました。現在、政策協議会のもとに設置したプロジェクトチームにおきまして、国土庁を中心に新しい全国総合開発計画における沖縄の位置づけなどについて検討をいたしております。構想の具体化の状況を見ながら、引き続き国としての必要な支援を行ってまいります。  沖縄海兵隊の縮小、海浜、水域等の返還を実現すべきというお尋ねでありました。  沖縄に駐留する海兵隊は、その高い機動力や即応性などを通じて在日米軍の重要な一翼をなしており、現時点ではその縮小を求めることは考えておりません。他方、日米間では、安全保障環境の趨勢も視野に入れながら、軍事態勢、防衛政策について引き続き緊密に協議をしてまいります。また、一部海浜、水域等の返還を含めて、SACO最終報告の着実な実施に全力を尽くしてまいります。  アジア太平洋地域緊張の緩和について御意見をいただきましたが、政府としても、将来、この地域安全保障環境がさらに改善をされ、日本の安全や地域の平和と安定を確保しながら、同時に、沖縄県民の負担を少しでも軽減できるように、そうした展望が開けることを強く希望しながら、そのために、二国間、多国間の外交努力を一層強化し、各種の安全保障対話や地域協力の促進を図るなど、あらゆる努力を払ってまいります。  最後に、参考人及び公聴会についての御意見をいただきましたが、政府が御答弁をすることは僣越ですので、差し控えさせていただきます。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣久間章生登壇
  27. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今回の改正が、憲法の諸条項に違反するのではないか、また法律不遡及の原則に反するのではないかというお話でございましたが、先ほど総理答弁されたとおりでございまして、今回の法律改正はそのようなものではございませんので、御理解賜りたいと思います。(拍手)     —————————————
  28. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 畑英次郎君。     〔畑英次郎君登壇
  29. 畑英次郎

    ○畑英次郎君 私は、ただいま趣旨説明がございました米軍駐留用地等の使用等に関する特措法の一部改正案につきまして、太陽党を代表して、総理質問をいたします。  沖縄米軍基地継続使用について、今回の事態を招いた原因は、自社さ連立政権維持を優先する余り、沖縄県民の置かれた状況を軽視し、問題への取り組みを先送りし、あいまいな対応を続けた結果、法律上の手続の遅延を招くとともに、土地所有者に対する説得を怠ったことによるものであることは言をまたないところであります。(拍手)  最近の世論調査あるいは国政レベルの選挙の投票率にも見られますとおり、政治不信が極限に達しつつある今日、政界に、政党に、そして我々政治家に厳しく求められておりますものは、政治に対する信頼回復に向けて、事を処するに当たってその責任の所在を明確にし、けじめをつけることであると考えます。  今回のいわば土壇場において特措法の一部改正に追い込まれた事態に対する政府政治責任は、極めて重いと言わざるを得ません。政府は、何をさておいても、政治行政に対する信頼回復のためにも、その責任の所在を明確にすべきであります。この点の橋本総理のお考えをまず最初にお聞かせをいただきたいと思います。  同時に、我々は、沖縄県民のさきの沖縄戦における多大な犠牲、また、その後、全国土の〇・六%にすぎない県土に米軍基地の七五%が集中している現実にかんがみ、沖縄県民の痛みを全国民が深刻に、改めて自身の問題として受けとめなければなりません。  その認識とあわせて、我が国は、激動する国際社会の中にあって戦後半世紀近くにわたり平和と繁栄を享受してまいりましたが、これは、我が国自身の防衛努力と相まって、日米安全保障条約がいわゆる抑止の体制として一貫して機能してきたことが大きな要素であることは、いささかも否定のできないところであります。日米安全保障条約は、今や広範な国民的支持を得て、国民の間に深く定着をいたしております。今日、国際社会は安定的な国際秩序を確保するための不断の努力を続けており、今後とも、我が国はこの日米安全保障体制を国政の基本としてあくまでも堅持すべきであります。  かかるさなかにおいで、沖縄にある嘉手納飛行場などの十二の米軍用地の使用期限が五月十四日に迫っておりますが、基地使用が違法状態になることは、法秩序の維持並びに日米両国の信頼を確保するためにも絶対に避けなければなりません。万が一、継続使用不可能の事態を生じた場合は、日米関係そのものが重大な危機に陥り、日本の平和と安全、ひいてはアジア太平洋地域の安定にも深刻な影響を与えるおそれがあると考えますが、橋本総理の御見識をお聞かせ願いたいと思います。  申し上げるまでもございません。国家の安全保障体制は、一瞬たりといえども揺らぎがあってはならないのであります。  次に、日米安全保障条約の運用については、日米両国は、安全保障の目指す機能を十分果たせることを基本とし、米軍の配置、構成等について国際情勢変化に即して対応できるよう、日米安全保障協議委員会、SCCにおいて常時協議を行うべきであります。この場合、沖縄米軍基地のさらなる整理統合、縮小について常に十分な配慮を行うべきと考えますが、総理の御見解を伺いたい。  また、沖縄は、本土復帰後も、日米安全保障体制のもとで、実質的に極めて過重な負担を担ってまいりました。日米安全保障体制は、日本が全体として国の安全の確保のために選択した基盤であり、その負担が沖縄のとりわけ基地所在市町村に集中している実情にかんがみ、これらの地域に住 む人々が直面しております困難な問題の改善のためには、国全体として思い切った特別の配慮が当然のことながら講ぜられるべきであると考えますが、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  次に、地位協定にかかわる諸問題についても改善努力を進めるべきであります。  その一つは、米軍による軍事演習について、これが当該地域の環境に著しい影響を与えている状況、具体的に申し上げれば、例えば、県道一〇四号越えの実弾演習による緑の破壊や、演習場からの赤土流出に伴う海の汚染等にかんがみまして、環境法制との調和を図るよう措置をすべきであります。  次に、劣化ウラン弾誤射事件のような軍事演習による事故等が発生した場合は速やかに我が国当局に通報するとともに、我が国政府は住民の不安解消のために適切な措置がとれるような体制の整備を図るべきであります。なお、事故を未然に防ぐための不断の努力は、当然のことながら講ずべきであります。  また、住民と米軍との摩擦が発生した場合、速やかに責任ある対応ができるよう、沖縄県、国、米軍との調整体制を整備すべきであります。  以上の地位協定にかかわる三点について、橋本総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、沖縄の振興開発であります。  沖縄振興開発と今回の事態とは別問題であり、沖縄県民の戦中戦後の長年にわたる痛みにこたえ、全力を尽くしてこれを行うべきであると考えております。  一つには、沖縄県の振興開発については、沖縄県と内地との格差を是正し、力強く自立ができるよう、沖縄県の発意を尊重し、広く我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域として整備し、平和で活力に満ちた潤いのある沖縄県を実現し、地方分権のモデル地域としての役割を担い得る諸施策を実施することであります。  二つ目には、島田懇談会、沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会の答申に盛り込まれたプロジェクトについて早急に検討を進め、各省庁の予算枠にとらわれず、必ず実現を図ることであります。  三つには、沖縄県がまとめた規制緩和等産業振興に関する要望書にある、自由貿易地域の拡充強化、国際観光都市、保養基地の整備、人材育成のための高等教育機関の設置等について、現行法制の枠を超えて検討を進めるべきであります。  四つには、北部の秀でた景観を生かした開発の推進等によって県土の過密過疎を解消すべきであり、そのための鉄道その他の交通網の整備を進めるべきであります。  五つには、沖縄戦中の不発弾の処理は、現在、毎年一億円の予算をもって実行されておるわけでございますが、現在のペースで進めば、四十年から五十年を要すると言われております。しかも、これは深度一メートルということでございますから、これをさらに安全性を高める意味合いで二メートルにしました場合には、年間十二億円程度の予算が必要とされるということも伺っております。この問題につきましては、速やかに終了するように措置をすべきであります。  なおまた、現在行われております実弾演習による不発弾につきましても、同様のペースと承知をいたしております。この問題についても速やかに解決を図るべきであります。  六つには、農林水産業の振興についても、輸送費の軽減等特段の配慮をすべきであります。  七つには、米軍返還土地について、県は速やかに総合整備計画を作成し有効利用が図られるようにすべきであります。この場合に、国はできる限りの援助措置を講ずべきであります。  以上のような具体的な振興策について、橋本総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  政府においては、沖縄発展、活性化なくして我が国の戦後は終わらないとの意識、位置づけを持って、これら沖縄の抱える諸問題の解決のため、早急な施策が全力を挙げてダイナミックに展開されることを心から御期待申し上げ、太陽党を代表しての私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  30. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 畑議員にお答えを申し上げます。  まず、今回の事態の責任についての御意見がありました。  今回の手続当たりましては、過去二回の手続期間を考慮しまして、平成七年の三月に開始をいたしました。しかし、御記憶にありますような、平成七年九月に大変不幸な事件が沖縄県において発生し、さまざまな問題がこれに続きましたために、職務執行命令手続をとらざるを得ないなど、従来予想できない期間を経過することになりました。このような状況の中、五月十四日までに使用権原の取得ができない状況になりましたために、我が国の存亡にかかわる重大事項である日米安全保障条約上の義務を果たすため、政府暫定使用という最小限の措置をとることにしたものであります。  この使用権原が失効した場合、いかなる事態が起こるか。これは、議員が指摘をされましたように、日米安保体制というものは、我が国の安全だけではなく、この地域を含めたアジア太平洋地域の平和と安定に極めて重要な役割を果たしているわけであります。そして、我が国日米安保条約上の義務を果たすことは、日米関係維持だけではなく、この地域の安定、そしてさらに我が国の国家としての存立の基本にもかかわる重大な問題であり、使用権原のない事態というものはどんなことがあっても避けなければなりません。  次に、米軍の配置、構成等について、国際情勢変化に即応してという御指摘をいただきました。  まさにこうした問題につきまして、安全保障環境に起こり得る変化対応しながら、日米安保協議委員会等の場で引き続き緊密に協議をしてまいります。私としては、将来、この地域安全保障環境というものが大きく改善をされ、日本地域の平和の、また安定の確保を果たしながら、同時にそれが沖縄県民の負担を軽減する、そうした展望が開けることを心から願いながら、このための努力を傾注してまいりたいと思います。  そしてまた、国全体として沖縄に対し特別の配慮を払うべきだという御指摘をいただきました。  現内閣としてこれまで沖縄振興に強い決意で取り組んでまいりましたのは、今日まで沖縄県民が耐えてこられた苦しみと負担というものに対し、復帰後二十五年を迎える今日、我々が余りにも思いをいたすことが足りなかった、そうした努力が不十分であったことに対し、改めてそれを痛感するとともに、少しでもその痛みを国民全体で分から合うことができれば、そのような思いで、そして二十一世紀を担う沖縄の青少年が本当に夢と希望に燃えることのできるような沖縄県をつくり上げたい、そんな思いで今日まで取り組んでまいりました。これからも、我々は全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、米軍の演習と環境法制についての御意見をいただきました。  在日米軍は、演習等の活動を行うに当たりまして、日米地位協定に基づいて公共の安全に妥当な配慮を払うとともに、我が国の国内法令を踏まえ一定の評価基準を作成しており、これに基づいた環境管理行動をとっております。しかし、いずれにいたしましても、御指摘のような問題は現に発生しております。政府としては、日米合同委員会の枠組みなどを活用し、米軍により環境を含め公共の安全や国民生活に妥当な考慮が払われるよう、しかるべく対処してまいりたいと思います。  次に、米軍にかかわる事件・事故通報体制についての御意見をいただきました。  去る三月三十一日、日米合同委員会におきまして、この通報体制の整備がようやく取りまとめられました。この手続におきましては、公共の安全、環境に影響を及ぼすおそれのある事件、事故が発生いたしました場合、米側は、中央レベルだけではなく現地レベルにおきましても、できるだけ速やかに日本側に通報すべきこととされ、迅速かつ的確な通報が確保されております。  これを踏まえまして、沖縄県、国、米軍との調整体制でありますが、政府といたしましては、これら三者間の現地レベルでの話し合いの場として設置されております三者連絡協議会を活性化いたしますため、本年二月に、沖縄県に大使の称号を持つ所長を赴任せしめました。この沖縄大使が、現在、関係者間で非公式の打ち合わせを開催することを呼びかけるなど鋭意努力を行っており、この活性化に努めます。  次に、具体的に幾つかの例示を挙げながら、沖縄の振興開発についての御意見をいただきました。  政府基本的な考え方、それは沖縄県の考えを尊重し、その自立を実現するために、知事関係閣僚から成ります沖縄政策協議会設置し、現在、鋭意その中における施策の検討を進めているところであります。今後とも、御趣旨を踏まえた振興策の実現に全力で取り組んでまいります。  次に、島田懇談会の提言についてお尋ねがありました。  これはちょうど昨年十一月の閣僚懇談会であったと思いますが、私から、関係各大臣も提言を重く受けとめるとともに実現のために最大限の努力をしてもらいたい、そうした指示をいたしました上、十二月四日に沖縄を訪問いたしました際、米軍基地所在市町村長の皆さんとの懇談会におきまして、今後五年から七年間に数百億円から一千億円の事業費を要するという懇談会島田座長の言われたことを閣議においてしっかりと受けとめてまいります、そう申し上げてまいりました。この懇談会の提言政府全体で受けとめて、実現のために引き続き最大限の努力をいたします。  また、規制緩和等につきましての御意見をいただきました。  これは、現に知事関係閣僚で構成している沖縄政策協議会で論議をいたしておるものでございます。また、県は別途、県としての検討委員会設置されまして規制緩和等については検討を行う、そう伺っております。その成果が国に提示をされましたら、私どもはこれを真剣に受けとめていきたいと思います。  次に、沖縄本島北部の振興について御意見がありました。  この地域は大変豊かな自然環境を有している地域でありますが、同時に、人口あるいはさまざまな機能の集積している中南部に比して、過疎化の進展等大変状況が困難だということも伺っております。今後とも振興開発の推進が必要だと考えております。私どもは、今後とも県並びに北部各市町村の御意見も伺い、協力をしながら、この地域が、今後、重要な地域として発展していけるよう各種振興施策の検討に当たっていきたいと思います。ただ、御意見の中にありました鉄軌道系の整備につきましては、輸送需要などから見ると非常に厳しい状況だと考えておりますけれども、幹線道路網の整備など積極的に進めてまいりたいと考えております。  次に、さきの大戦に係る不発弾等の処理について御意見をいただきました。  昭和五十年度から沖縄開発庁から県に対して不発弾等処理交付金を交付し、計画的に探査発掘を行ってまいりましたが、今後ともさらに事業の拡大に努めて、県民皆様に安心して暮らしていただけるようにしたいと思います。  また、現在行われております実弾演習による不発弾除去につきましては、SACOの最終報告に明記しておりますとおり、キャンプ・ハンセンにおきましては、米本国の射場に適用されております手続と同等の米海兵隊の不発弾除去手続に従って不発弾除去が実施されております。政府としても、引き続きこの問題に関心を持ってまいりたいと思います。  次に、沖縄の農林水産業の振興についての御意見をいただきました。  これまでも亜熱帯性気候の特性を十分に生かした振興に努めてまいりましたが、流通コストに問題があったのは御指摘のとおりであります。この点につきましては、生産・出荷施設あるいは冷蔵コンテナ、予冷施設などの整備を進めてまいりましたが、今後とも、特色のある沖縄県農林水産業の振興に向けたさまざまな施策の推進に努めてまいりたいと思います。  最後に、総合整備計画への援助措置お尋ねがございました。  駐留軍用地の跡地等につきまして沖縄県が総合整備計画を作成いたします場合には、沖縄振興開発計画などとの調和など必要な助言、協力を行ってまいります。また、この計画の実施当たりましては、土地区画整理事業などの事業が円滑に実施されますよう必要な措置を講ずるとともに、都市計画法等に基づく許可手続、国有財産の活用につきましても適切に配慮してまいります。(拍手
  31. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  32. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会      ————◇—————