○春名直章君 私は、
日本共産党を代表して、一九九七
年度地方財政計画、
地方交付税法及び
地方税法改正案等に関連して、
総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
今、
地方財政は危機的
状況を呈しております。九七
年度末には
地方の長期債務残高が百四十六兆円を超えることが見込まれ、
地方財政規模の一。八倍もの
借金を背負うことになります。
地方財政の危機が叫ばれた七〇年代後半のときが八割から九割程度であったことと比べても、事態は深刻であります。しかも、その
借金の膨張速度は七年間で二倍以上と、同時期の国の
借金の伸び一・五倍を上回っております。
こうした
財政状況を理由に、国は
地方に対し
自治体行革を強要しています。今、
全国各地で保育料や国民健康保険料といった公共料金の相次ぐ値上げ、敬老祝い金の
廃止など、文字どおり揺りかごから墓場までの
住民生活への切り崩しが進行しております。学校教育費が削られたために、傷んだ校舎の修繕もままならないばかりか、トイレに紙を置くことをやめて子供に持参させるなど、信じがたい事例さえ生まれております。私は、
住民の生活と福祉、健康と安全など、これを守るために力を尽くすことこそ
自治体本来の仕事だと考えますが、
政府が押しつけている
自治体リストラはこれを逆立ちさせるものではないですか。
総理に伺いたいと思います。
その一方で、
財政危機だと言いながら、
政府が掲げる民活の旗印のもとに、各地で大規模開発
事業がまともな
見直しもされずに進められています。これらの多くが今行き詰まり、
地方財政の重い足かせとなっているのです。
国民生活の
必要性からかけ離れ、ゼネコンなどの利益本位のこれら大規模公共
事業の浪費構造こそリストラの対象とすべきものではありませんか。
例えば大阪府や兵庫県などが大阪湾で進めている埋立
事業では、分譲用地が三百八十ヘクタール、八割も売れ残って、空き地のまま放置されております。新聞も「進出さっぱり どっさり
借金
それでも造成」、こう批判しているほどであります。泉佐野コスモポリスは、六百二十億円かけて用地を買収しながら、使い道もないまま、第三セクターとして初めて破産に立ち至っています。
総理は、
予算委員会における我が党の追及に対し、総額六百三十兆円の公共投資基本
計画についても聖域にしないと答えましたけれども、
見直しの
必要性を認めるのなら、直ちにその具体化に着手すべきではありませんか。
地方における大規模開発
事業の
見直しを含め、
総理の
答弁を求めるものであります。
近年の
地方債残高急増の最大の要因は、公共投資の中の
地方単独
事業にあります。国の公共投資基本
計画が十年間で六百二十兆円へと拡大された後、
地方単独事業費は九一
年度から四年連続して二けたの伸びとなっています。一方で、この時期の
地方税収の伸びは戦後初めて前
年度を割り込む事態となりました。国による
地方単独
事業の拡大誘導政策が、
地方財政の悪化を加速させたのです。しかも、
地方単独
事業は
計画に対して執行できずに繰り越す額が年々
増加をし、九三
年度決算では、
計画と決算との実質的な乖離が四千五百億円を超える
状況にあります。
地方財政の危機的
状況を打開する上でも、その
検討、
見直しは避けて通れない
課題であります。
政府の九七
年度地方財政計画では、
地方単独
事業について前年同額としていますが、依然として二十兆円を超える規模となっています。この際、徹底してむだを省く
観点で
地方単独
事業の抜本的な
見直しを要求するものですが、
自治大臣の
見解を伺いたいと思います。
地方財政は、九七
年度も四兆六千億円を超す
巨額の
財源不足の状態となっています。この
財源不足について、
政府は前
年度同様に
交付税特別会計の
借入金や
財源対策債で補てんするとしていますが、この方法は、一九八四
年度に、
地方の
財政運営に
支障が生じるとの理由で一度
廃止されたものではありませんか。
その当時の
地方負担とされた
借入金残高は五兆七千億円、ところが今や
交付税特別会計の
借入金残高は当時の二・七倍、十五兆二千億円にもなるのであります。
財政規模が大きくなったという点を考慮したとしても、その負担は当時の比ではありません。
支障が生じるとして
廃止したものを、どうして再び導入するのですか。
借入金の拡大というやり方を改め、
交付税率の
引き上げこそ求められていますが、
自治大臣の
答弁を求めるものであります。
こうした
財政の危機的
状況の中で、個々の
自治体ではその打開への努力が払われています。その
一つに、高金利時代の
地方債の借りかえの問題があります。縁故債については、銀行などと交渉し、同意を取りつけて借りかえを行っていますけれども、大半を占める
政府資金の
地方債については、こうしたことが今のところ認められておりません。
政府資金についても借りかえや繰り上げ償還
措置を認めてほしいとの声は、
自治体関係者の強い要望になっています。その
検討を求めるものですが、
大蔵大臣にその用意がないかどうか、伺いたいと思います。
最後に、
地方分権にかかわって
質問いたします。
地方分権推進委員会が
機関委任事務制度の
廃止を
勧告し、国から
地方への
権限移譲が避けられなくなるそういう
状況の中で、
自治体の力量を問題にする声が高まり、その
一つの方策として
市町村合併が盛んに強調されるようになりました。しかし、必要な
権限や
財源を与えずして、その能力云々を言うのは本末転倒であります。私は、条件をつけずに、まず国から
地方への
権限と
財源を与えるべきだと思います。
財源の
移譲は、所得税の一部を
住民税に移すなど税源の
移譲の形で行うべきであります。
総理の
答弁を求めたいと思います。
厚生省汚職で改めて問われた問題として、
地方公共団体の特定幹部ポストを
政府官僚の指定席とする慣行の問題があります。
都道府県の課長級以上に出向している国家公務員は、建設省の百六十八人、
自治省の百十六人を初め、七百人を超えると言われています。中央
省庁の許認可
権限に強い
影響力を持つ
政府官僚出向者が
自治体の特定ポストを独占し続けることが、今日の厚生省汚職の温床にもなりました。また、国の統制を離れて、
自治体の
自主性、自律性の
確立を目指す
地方分権の流れにも逆らうものではありませんか。
この慣行について思い切った
見直しを求めたいと思いますが、
総理並びに
自治大臣の
見解を問い、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣橋本龍太郎君
登壇〕