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1997-05-07 第140回国会 衆議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月七日(水曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 八代 英太君    理事 太田 誠一君 理事 岸本 光造君    理事 橘 康太郎君 理事 横内 正明君    理事 上田  勇君 理事 鴨下 一郎君    理事 坂上 富男君 理事 正森 成二君       石破  茂君    奥野 誠亮君       栗原 博久君    佐藤  勉君       下村 博文君    菅  義偉君       谷川 和穗君    福永 信彦君       宮路 和明君    吉川 貴盛君       渡辺 喜美君    安倍 基雄君       漆原 良夫君    加藤 六月君       斉藤 鉄夫君    谷口 隆義君       石毛 鍈子君    佐々木秀典君       保坂 展人君    園田 博之君  出席国務大臣         法 務 大 臣 松浦  功君  出席政府委員         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      尾原 榮夫君  委員外出席者         議     員 保岡 興治君         議     員 太田 誠一君         議     員 坂上 富男君         議     員 加藤 卓二君         議     員 鈴木 淑夫君         議     員 保坂 展人君         議     員 粟屋 敏信君         議     員 園田 博之君         法務大臣官房参         事官      菊池 洋一君         大蔵大臣官房審         議官      山本  晃君         労働省職業安定         局業務調整課長 浅野 賢司君         参  考  人         (日本証券業協         会副会長)   関   要君         法務委員会調査         室長      河田 勝夫君     ――――――――――――― 委員の異動 五月七日  辞任        補欠選任   加藤 紘一君    菅  義偉君   河村 建夫君    宮路 和明君   笹川  堯君    石破  茂君   西川 公也君    佐藤  勉君   福岡 宗也君    谷口 隆義君 同日  辞任        補欠選任   石破  茂君    笹川  堯君   佐藤  勉君    西川 公也君   菅  義偉君    加藤 紘一君   宮路 和明君    河村 建夫君   谷口 隆義君    福岡 宗也君     ――――――――――――― 五月六日  商法の一部を改正する法律案保岡興治君外八  名提出衆法第二四号)  株式消却手続に関する商法特例に関する  法律案保岡興治君外八名提出衆法第二五号  )  商法等の一部を改正する法律案内閣提出第六  〇号)  商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係  法律整備に関する法律案内閣提出第六一号  ) 四月二十二日  婚外子差別を撤廃する民法等改正に関する請願  (秋葉忠利紹介)(第二一〇〇号)  子の姓を出生時に決める夫婦別姓選択制度の法  制化に関する請願秋葉忠利紹介)(第二一  〇一号)  五年別居条項等導入する民法改悪反対に関す  る請願青木宏之紹介)(第二一〇二号)  通称使用制度によらない選択的夫婦別姓制度の  法制化に関する請願中川智子紹介)(第二  一三二号) 同月二十五日  婚外子差別を撤廃する民法等改正に関する請願  (五島正規紹介)(第二二四四号)  同(山花貞夫紹介)(第二二四五号)  子の姓を出生時に決める夫婦別姓選択制度の法  制化に関する請願五島正規紹介)(第二二  四六号)  五年別居条項等導入する民法改悪反対に関す  る請願瀬古由起子紹介)(第二三一九号)  通称使用制度によらない選択的夫婦別姓制度の  法制化に関する請願保坂展人君紹介)(第二  三二〇号)  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願畠山健治郎紹介)(第二  三七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十五日  人権擁護推進審議会調査審議に関する陳情書  (第二一二号)  オレンジ共済組合巨額詐欺事件について検察当  局による徹底究明に関する陳情書外二件  (第二一四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  商法の一部を改正する法律案保岡興治君外八  名提出衆法第二四号)  株式消却手続に関する商法特例に関する  法律案保岡興治君外八名提出衆法第二五号  )      ――――◇―――――
  2. 八代英太

    八代委員長 これより会議を開きます。  保岡興治君外八名提出商法の一部を改正する法律案及び株式消却手続に関する商法特例に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、両案について提出者より趣旨説明を聴取いたします。保岡興治君。     —————————————  商法の一部を改正する法律案  株式消却手続に関する商法特例に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 保岡興治

    保岡議員 ただいま議題となりました商法の一部を改正する法律案及び株式消却手続に関する商法特例に関する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  両法律案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢等にかんがみ、ストックオプション制度整備することにより、株式会社取締役及び使用人意欲や士気を高め、かつ、優秀な人材確保の有効な手段として、企業業績向上国際競争力増大に資するとともに、自己株式消却に関する手続を緩和することにより、資本市場効率化活性化を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与するためのものでございます。そこで、株式会社について、株式及び新株引受権によるストックオプション制度整備を図るために商法の一部を改正するとともに、上場会社店頭登録会社について、定款をもって取締役会決議により自己株式を取得し、消却することができるよう、株式消却手続に関する商法特例に関する法律を新たに制定しようとするものでありまして、その主な内容は次のとおりであります。  まず、商法の一部を改正する法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、第二百十条ノ二第一項により、会社自己株式を取得することができる場合として、使用人以外に、取締役に対して株式を譲渡する場合を追加することとし、また、取得することができる株式の数量を、発行済み株式総数の十分の一を超えない範囲内とし、取得方法として公開買い付けによることもできることとするものであります。この場合、特定取締役または使用人に対し、あらかじめ定めた価額会社からその株式自己に譲渡すべき旨を請求する権利を与える契約に基づいて株式を譲り渡すために、株式を買い受けるときは、その取締役または使用人氏名、譲り渡す株式種類、数、譲渡価額及び権利行使期間等につき、定時株主総会決議を要するものとし、会社が買い受けることができる株式取得価額総額は、配当可能利益範囲内に限ることとするものでございます。なお、右決議により定める権利行使期間は、決議の日から十年内とするものであります。  第二は、会社は、定款に定めがある場合に限り、正当の理由があるときは、取締役または使用人新株引受権を与えることができることとする規定を新設するものであります。この場合、新株引受権を与える取締役または使用人氏名新株引受権目的である株式額面額面の別、種類、数及び発行価額並びに新株引受権行使することのできる期間等につき、株主総会特別決議がなければならないこととするものであります。また、新株引受権目的である株式総数は、株主総会決議で既に定められた新株引受権目的である株式であって発行されていないものの数と合わせて、発行済み株式総数の十分の一を超えることができないこととし、新株引受権行使期間は、右特別決議の日から十年内とするものであります。  次に、株式消却手続に関する商法特例に関する法律案概要について御説明を申し上げます。  第一は、特例対象とする会社は、上場会社店頭登録会社に限ることとし、これらの会社は、定款をもって、経済情勢当該会社業務または財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるときは取締役会決議により自己株式を買い受けて消却することができる旨定めることができることとするものであります。また、取締役会に授権できる株式総数発行済み株式総数の十分の一を超えることができないこととし、定款によりその株式総数を定めることとするものであります。なお、定款により自己株式の買い受け、消却について授権を受けた取締役会では、買い受けるべき株式種類、数及び取得価額総額について決議することとしております。  第二は、自己株式取得期限は、取締役会決議後、最初決算期に関する定時株主総会までとし、取得方法は、現行どおり市場買い付けまたは公開買い付けによることとし、取得財源につきましては、中間配当財源の二分の一を上限とするものであります。  以上が、両法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 八代英太

    八代委員長 これにて両案に対する趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 八代英太

    八代委員長 これより両案に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横内正明君。
  6. 横内正明

    横内委員 自由民主党の横内正明でございます。  今回、ストックオプション導入することを目的とする商法の一部を改正する法律案及び自社株消却を容易にする手続を定める商法特例に関する法律案が、六党共同提案という形で提案をされました。両法案は、我が国経済活性化に大きく貢献をすることが期待される法案でございまして、経済界、大企業だけではなくて、中小企業も含めて実現を要望しているものでございます。そういう意味で、大変に時宜を得た法案でございます。六党の共同提出者先生方の御努力に心から敬意を表したいと思います。  早速質問に入るわけでございますけれども、中村大蔵政務次官大蔵委員会に同じ時間に呼ばれているということでございますので、質問の順位を変えまして、最初大蔵政務次官に、この二つ法律案についての大蔵省見解を承りたいと思います。
  7. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 まず、ストックオプション制度についてでございますけれども、もう議員内容を御存じのとおり、企業業績向上そして株価の上昇が期待されるときにストックオプションをしておくわけですから、取締役とか従業員の方がこの制度を利用することによって、企業業績向上への大変強力なインセンティブになるということが考えられます。そして、株主重視経営への転換ということを通じまして、株式市場活性化にも効果をもたらすのじゃないかと思われるわけでありまして、大変期待を持たれる制度だと思っております。  また、自社株消却でございますけれども、これを行いますことによって株の資本に対する利益率が改善されてくるわけでありまして、それによりまして、今とかく低いと言われております日本の株の配当利回り等が改善されることに資することも期待できますし、そういうことが株式の魅力の向上ということにもつながる、そして、株式需給が非常に緩んでいたとすれば、それがタイト化することに資するであろうということにもなりますし、株式持ち合い解消の受け皿となることも期待できますし、株式市場活性化に大きな効果を期待することができると思います。また、余剰資金のある熟成企業から資金需要旺盛な新規企業への資金の流れのパイプ役になることも期待されるわけでございまして、経済構造改革へも貢献が期待されるということでございます。  両制度とも、ただいま私どもが考えておりますいわゆる金融システム改革の重要な課題であると思っておるわけでございまして、両法案意義は極めて高いものと評価いたしますと同時に、これは、議員立法早期成立を目指しておられることに心から敬意を表する次第でございます。
  8. 横内正明

    横内委員 ありがとうございました。中村政務次官、どうぞ退席されて結構でございます。  それでは、まず、ストックオプション導入目的とするこの商法の一部を改正する法律案について幾つ質問をさしていただきたいと思います。  最初に、提案者からただいま提案理由説明で概略のこの趣旨についての御説明はあったわけでございますけれども、もう一回提案者から、この法律についてその意義なり効果なり、ねらいとするところですね、その辺をかみ砕いてわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
  9. 保岡興治

    保岡議員 ストックオプション制度は、新株引受権を付与するワラント方式自社株を取得して付与する自社株方式二つ方式があるんでございますけれども、いずれも、今大蔵政務次官中村さんからもお話がございましたように、会社企業業績に大きなインセンティブを与える道具でございます。  アメリカでは、自動車産業などが非常に不振に陥って、経済があるいは国が自信を失ってしまっていたときに、エレクトロニクスを中心とする情報産業、そういった部門の技術の開発に当たるいわゆるニュービジネスというんですか、ベンチャー企業、この部門経営者が非常にやる気を起こしたということも、熱心に会社経営に当たるという熱意もさることながら、それを支えるインセンティブとしてこのストックオプションが大きな力を起爆薬みたいに発揮しまして、アメリカ産業を蘇生させるというか活性化させるというか、その大きな力になったもので、我が国も、ビックバンを控えて、経済国際化調和ということを考えていくときに、そういった手段を手にして、そして、活力のある企業、そして活性化する市場を手にする必要がある。  事実、こういった制度導入外国が非常に評価して、日本もそういう前倒しを思い切ってやれる国だったのかという非常に驚きを持ってこの情報を承知していただいて、外人の株の日本買いということにもつながって、今日の、ことしになっての最高値を記録している株価情勢にも反映している、そういうふうに思っております。
  10. 横内正明

    横内委員 法務大臣法務省としてのこの法律案に対する法務省考え方、御見解を伺いたいと思うんです。  とりわけ、平成六年に商法改正がございました。そのときも、経済界からの要望でストックオプション導入するということも議論対象になったわけでございますけれども、当時は、いろいろ問題もあり、時期尚早ということで見送られたという経緯がございます。  その後三年を経て、当時問題とされたことが現在ではクリアをされているというふうに御判断になるんだろうと思うんですけれども、そういった点も含めて法務省の御見解を承りたいと思います。
  11. 松浦功

    松浦国務大臣 お答え申し上げます。  一時見送られておりましたストックオプション制度を、経済情勢の変化によって、やはりこれを取り上げるということがいいんではないかという意見が大多数を占めるようになってまいりました。そういう事情を前提にいたしましてこの制度を何とか実現しようと思って努力をしておったところを、議員先生方がお決めいただいてこの法案を御提出していただいた。そういう意味では、全く当省の考えでおったことを十分御理解をいただいて側面的に御援助をいただいているというふうに受け取っております。  したがって、この法案について私ども全面的に趣旨から内容から賛成であるということを申し上げておきたいと思います。
  12. 横内正明

    横内委員 次に、このストックオプション導入することについて一部の識者から批判が寄せられているわけでございますけれども、そういう批判一つといたしまして、現在、野村証券の不祥事ということが国民批判にさらされているわけでございますけれども、このストックオプション導入し、これが普及をしていくことに伴っていわゆるインサイダー取引増大をするんではないか、インサイダー取引を助長することになるんではないかという批判があるわけでございます。  確かに、ストックオプション普及をいたしますと、内部情報を知り得る立場にある多くの取締役がこのストックオプション権を取得して、自分にとって都合のいいときにそれを実行しあるいは換価をするということがあり得るわけでございまして、確かに、そういうインサイダー取引増大をする危険、危惧というものがあるだろうというふうに思います。  したがいまして、これに対応して証券取引法等を厳しく運用をしてそういった不正の取引を摘発をする、あるいはさらに、こういったインサイダー取引などの不正取引に対する予防措置として、罰則の強化など法律整備についても検討する必要があるんではないかというふうに思いますが、提案者としていかがお考えになりますか。お伺いをしたいと思います。
  13. 保岡興治

    保岡議員 ストックオプション制度導入自社株取得消却にはインサイダー取引のおそれが委員の御指摘のようにあると思います。したがって、今回の新制度導入に当たりましては、この制度にも、インサイダー取引に関していろいろ問題が起こらないように証券取引法改正も含んでおりますし、また、従来の制度運用にも厳格を期していかなければならないと思っておりますし、また、新しい罰則整備やその他の施策については、これは、諸外国制度などもよく検討したり、あるいは、ほかの経済規制に対する罰則なども権衡をよく検討したりして、今後できるだけ速やかに政府とも一緒になって努力をしてまいりたい、こう考えております。
  14. 横内正明

    横内委員 同じことについて大蔵省事務当局に、証券取引法運用する立場、とりわけ証券取引等監視委員会を所管している立場として、大蔵省事務当局、こういったインサイダー取引増大する危険があるんではないかという点についてどういうふうにお考えになるか、伺いたいと思います。
  15. 山本晃

    山本説明員 証券局審議官山本でございます。お答え申し上げます。  ストックオプション制度意義については先ほど中村政務次官が答弁をさしていただいたとおりでございますが、一方、今御質問の、ストックオプション制度導入に伴いますインサイダー取引の問題につきましては、現行証券取引法上も、ストックオプションにより自社株を取得した取締役等は重要事実が公表される前に自社株市場で売却することができない等の規制が設けられているところであり、いずれにいたしましても、証券市場公正性健全性が確保されるように、その厳格な適用により対処してまいりたいというふうに考えております。
  16. 横内正明

    横内委員 次の質問でございますが、このストックオプションというのは、企業既存株主にとってはプラスの面もあるわけですけれども、同時にマイナスの面もあるわけでございます。  プラスの面というのは、言うまでもなく、企業取締役なり社員がこのストックオプションを得ることによって、意欲を持って働いて会社業績向上をして株価が上がる。これはプラスでございます。しかし他方で、特定の人間に安い価格で株式あるいは新株引受権を与えるわけですから、既存株主にとってはその意味ではマイナスだということになるわけでございまして、そういうプラスマイナス両面既存株主にとってはあるのだろうというふうに思います。  そこで、法律建前としては、株主総会にかけてそのプラスマイナスを比較し、議論をして、そして株主総意でやるかやらぬかを決定するというのがこの法律建前になっているわけでございます。  ところが、我が国株主総会というのは、よく批判されますように大変に閉鎖的で、また形骸化をしておりまして、いわゆるシャンシャン大会的なものが多くて、株主が自由闊達に議論をして総意をもって物事を決めるという風土がないわけでございますし、また、総会屋の暗躍というようなことも言われているわけでございます。したがって、今後、我が国企業が国際的な監視にさらされている中で、こういうふうな株主総会のあり方というのはいつまでも放置することができないのではないかというふうに思います。  そういうことで、株主総会がより民主的に、株主総意を反映するように運営されるように改善を図る必要があると思いますけれども、提案者の御見解を伺いたいと思います。
  17. 保岡興治

    保岡議員 横内委員の御指摘のとおり、会社というものは出資をする株主のものでございます。したがって、株主を重視するというか、株主総会の持っている意味というものは非常に大きいものがある。ストックオプションも、もちろんその制度自体株主を重視するというか、会社業績を通じて株主利益貢献するという株主本意経営導入する一つの道でも、手段でもあるわけでございますが、一方、おっしゃるように、株主平等原則その他、不正取引にならないか、そういったようなことを明確にするために一定のオプションプランというものを総会決議事項にしまして、オプション制度が正しく運用され、かつ、株主重視株主総会運営に資するように、法律制度としてもそのようにつくられております。  しかし、御指摘のように、株主総会をめぐる不祥事をいうか会社経営をめぐる不祥事とか、そういった会社経営自体のいろいろな問題が昨今世に問われている状況考えますと、この株主総会運営については、今後政治家としても会社関係者皆様といろいろ相談をしながら、国際化に沿うように日本企業透明性、公正さというものを全力を挙げて求めていかなければならない大事なときではないかというふうに心得ております。
  18. 横内正明

    横内委員 次に、この法律運用に絡む幾つかの点でございますが、まず第一点として、ストックオプションが実行された場合の課税関係がどうなるのかという御質問でございます。  例えば、取締役ストックオプションを与えられた。それで、それを実行した場合には、時価よりも安い価額で株を取得する。そういたしますと、現行の税法上は給与所得ということになるわけでございます。それから、それを換価をして現金化をしたということになりますと、そこに譲渡益が生ずれば譲渡益課税という問題が出てくるわけでございますけれども、こういった課税関係をどのように整理をするか。あるいは、今後税制改正の中で整理をする必要があるのかもしれませんけれども、課税関係についてどういうふうにお考えになっているか、提案者にお伺いしたいと思います。
  19. 保岡興治

    保岡議員 ストックオプションについては、税の恩典というものが非常に制度を力づけているというか、制度意義を高める重要な要素になっております。既にストックオプション制度通産省所管あるいは郵政省所管ベンチャービジネスには所定の認定企業として認められており、それについては税制恩典がついているのでございますけれども、このたびは、このストックオプションを一般の会社にも実施することを許す制度を開くものでございます。  税の公平の観点とか、あるいはストックオプション意義をどう強めていくかというような調和の問題だと思いますけれども、これは来年度税制で対応していきたい。ストックオプション行使するというのは付与して何年か後でございますので、制度を先にスタートさせ、そして税制は来年度税制で後から備えていこうという考えでおります。  現行所得税制のもとでは、ストックオプション行使により生ずる経済的利益は、原則として給与所得ということで課税が行われることになるのですが、先ほど申し上げたように、新規事業法あるいは開発法によって認定を受けた会社については、新規事業活性化を支援する観点から、取締役等ストックオプション行使したときに生じた経済的利益には所得税の課税をしないで猶予して、ストックオプション行使により取得した自社株を譲渡した時点まで課税を繰り延べるという措置をまずとります。そして、当該株式譲渡時に、課税を繰り延べられた経済的利益を含んで、株式の譲渡による所得ということで、分離課税、税率が二六%。これは、総合課税が六五%が最高税率であることを考えると、かなりの恩典になる。  こういった制度がスタートしておりますので、これらを参考に、先ほど申し上げたような観点で、来年度税制で一般化したストックオプションについても税の恩典考えていくべきだと考えております。
  20. 横内正明

    横内委員 もう一つ運用の問題で大事な点でございますけれども、この法律では、ストックオプション株主総会決議で付与する。それで、その株主総会で、ストックオプションを付与する取締役なり使用人氏名、そしてその付与する株式の数、そういったことを定めるということになっているわけでございます。  その際に、どの程度具体的に決議に定める必要があるのか。端的に言いますと、何のたろべえに何千株を付与するというように付与する人間の個々人の名前を明記してということになりますと、これはなかなか実際の運用上大変でございます。非常に数が多い場合には手間も大変ですし、また、現在は取締役なり使用人になっていなくても、近い将来取締役に選任する、あるいは使用人として採用する、そういう人にもストックオプションを与えるということもあろうと思います。  したがって、その辺のところは、個々人の名前まで特定しなくても、具体的に与えられる人が特定できれば、名前まで書かなくてもいいのではないかというふうに思うのですけれども、その辺のところをどういうふうに解釈を運用するのか、それが一点です。  それからもう一つは、子会社取締役なり使用人ストックオプションを付与することができるかどうか。親会社、子会社がある場合、実質上一体的な会社になっているような場合ですね、そういう場合に、子会社取締役なり使用人に親会社ストックオプションを与えるということも、企業の実態としてはあり得ると思うのですけれども、そういうことが可能かどうか。  この二点についてお伺いをしたいと思います。
  21. 保岡興治

    保岡議員 先ほど申し上げましたとおり、ストックオプション決議するときには、ストックオプションの持つ意味というものをよく株主に理解してもらうために、できるだけ正確にオプションプランというものを明示する必要がある。したがって、法も、付与すべき取締役使用人氏名を明らかにするように求めています。  しかしながら、これは先ほど申し上げたような趣旨でございますから、小さい会社の場合には氏名を一々明らかにすることでプランの内容も明確になるという点もあろうと思いますが、上場しているような大きな会社の場合、しかもたくさんの従業員にまで付与する場合、大勢の役員に付与する場合は、これは個々の名前を挙げるということは煩瑣でもありますし、むしろストックオプションのプランの意義をわかりにくくする。むしろ、どういう立場の者に、どういう人に、どれくらいの数、どのようにストックオプションを与える、そのことが会社企業向上にどう作用するかということが明確になるということが大切で、そういう趣旨さえ満足されておれば、この法の求める趣旨には沿うものだと思います。  したがって、取得するときの価額なども、実際にオプションを与える直前の月の平均価格などを工夫してそれを基準に価額を決めるとか、そういった決め方でもいいと思いますし、また、与える数も、与える数の総数と個々の取締役従業員に与える数の上限とか下限とかを明示すれば足りる場合もあろうと思いますし、また、子会社に対する取締役従業員に対する親会社ストックオプションの付与でございますが、これは資本関係があっても一応別法人でございますので、今回の制度でのストックオプションは、子会社の役員や使用人には適用にならないものと考えております。  ただ、経済の実態は、分社やいろいろなことが、持ち株会社の解禁等で今後経営の実態として広がっていくと思います。そういう場合に、ストックオプション制度を、そういう実質的には一体の企業で分社方式をとっているような場合に、ストックオプションを広く子会社まで一緒になってプランをつくる必要もあろう。そういうときは、親会社の役員とか使用人を兼任していただくという形を備えていただくことがおっしゃる御趣旨に沿う運用のあり方ではないかと考えております。
  22. 横内正明

    横内委員 次に、もう一つ法律でございます株式消却手続に関する商法特例に関する法律案について、二、三質問させていただきます。  まず、先ほどと同様に、この法律案意義なり効果なりねらいとするところについてかいつまんで御説明をいただきたいということと、とりわけこの法律のポイントは第三条第一項でございまして、取締役会が特に必要があると認めるときには株式を取得できるということになっているわけですけれども、その特に必要があると認めるというのは具体的にどういう状況を想定をしておられるのか、その点について御質問をさせていただきます。
  23. 保岡興治

    保岡議員 自社株消却については、先ほどちょっと触れました、既にそれが非常に一般的に広く行われておりますアメリカの場合は、新株発行と消却がほぼ拮抗しております。しかも、日本では昨年、自社株消却は二千億程度にとどまっておりますけれども、アメリカではその百倍の二十兆円が昨年消却されたと聞いております。このように、ROEを高めるこの自社株取得の機能とか、あるいはまた株式市場を引き締める効果とか、あるいはまた余剰資産を投資意欲のある新しい企業に流していく、そういったパイプ役とか、先ほど中村政務次官が言われていたようなそういう機能も合わせて、アメリカ株式市場のあるいは企業の活力、あるいは株価の高値の大きな原因になっておる。我が国も、今度この消却制度を前倒しするというこの法案提出される、具体化されるということになったことにかんがみて、いろんな会社が既に消却の準備に入っている。このことが、先ほど申し上げた今日の株式市場の高値をことしになって更新している大きな理由一つであろうと考えております。  そういった取得、消却の、経済的に、あるいは企業に与える大きな力というものがこの制度目的でありまして、また、先ほど言われました特に必要があるときということは、今でも平成六年の商法改正定時株主総会では自己株取得、消却ができるのでございますが、年度途中に予想できないような経済変化が起こって、これは金利とか為替とかあるいは株価とかいうものが変動が激しいですし、また業績もいろいろ変化がそれによって起こってくる、こういったことを受けて、年度途中で定時株主総会では予想できないような消却の必要性というものが生ずる、そういう場合に備えて、定款で一定の条件のもとに取締役会だけで自己株式消却ができる制度を開く。そういった意味で、特に必要があるときというふうに条文に明確にして、定時株主総会における株主利益処分権というものを一方に念頭に置きながら、一方にまた自己株取得、消却の機動性、弾力性というものを念頭に置きながらこの制度をつくったという趣旨でございます。
  24. 横内正明

    横内委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、ことしも六月下旬の定時株主総会の季節が近づいておりまして、八、九割方の企業が六月下旬に株主総会をやると思いますけれども、新聞報道によりますと、かなり多くの企業が、この二つ法案が成立すればこのストックオプション制度あるいは自社株消却をこの株主総会議題提案をしたいと大変強い意欲を持っているようでございます。そういうことで、この両法案に対する経済界の期待が大変大きいわけでございまして、一日も早くこれが公布、施行され、我が国経済なり企業活性化に大きく貢献するように念願をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  25. 八代英太

    八代委員長 次に、谷口隆義君。
  26. 谷口隆義

    谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。  本日は、このストックオプション制度を可能たらしめるための提出された二法案に対しまして、賛成の立場から質問をさせていただきたい、このように考えております。  先ほど、横内議員質問の中にもあったわけでありますが、今回、このストックオプション制度は、御存じのとおり、役員、従業員自社株会社から買い取る権利を与える、こういう仕組みでございます。企業株価の値上がりを通して報酬を与えることが可能になる、このような制度でありまして、役員、従業員意欲であるとか士気を高めることができる、こういうようなメリットがあるわけであります。昨日、我が国株価が高騰いたしたわけでありますが、この一つの原因が、このストックオプション制度が国会で通過するということを見越してもう既に宣言をしておる大企業株価を上げておる、このくらい株式市場では注目しておる制度ではないか、私はこのように思っておるところであります。  御存じのとおり、我が国は、ビッグバン、二〇〇一年を目指してやっておるわけでありますが、この一環として株式市場活性化を図っていかなければいけない。これはひいては、先ほどおっしゃっていらっしゃいましたように、経済活性化にも結びつくわけでありますので、そういう意味において、このストックオプション制度として行うようにやっていかなければいけない、私はこのように思っておるところでございます。  既にこの制度ができる前に、企業は、特に大企業を中心にしまして擬似的な制度を利用して擬似的ストックオプションというようなことを現在やっておる。このぐらい声が強い制度であります。そういう意味において、六月一日の施行ということで今進んでいらっしゃるようでございますが、六月末の株主総会も、もうそんなに今時間がないわけでありますが、それに向けて今やっていらっしゃる。こういうようなストックオプションは私は一刻も早くできるような形にすべきであるという観点で質問をしたいわけであります。  この制度は大変メリットがあり、非常に有益な制度である一面、先ほどの質問にもございましたように問題点もある。  一つ問題点として挙げられるのは、時系列的に申し上げますと、このストックオプション権利が付与されて、権利行使されて、従業員、役員がそれを売却する、こういうような形で流れていくわけでありますが、この権利行使した段階で従業員もしくは役員がこれを取得して、その後株価が下がってしまうということになってしまった場合に、果たしてこのような状況をどのように解決するように考えていらっしゃるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  27. 保岡興治

    保岡議員 谷口委員から今この議員立法趣旨について強い御支持の御意見を賜りまして、心からまず感謝を申し上げたいと思います。  今お尋ねの点でございますけれども、確かにストックオプション行使されて、そのストックオプション契約を結ぶというか実行した段階で、取得されていた自社株は役員や従業員の手を通じて市場にまた戻っていく。したがって、そのときに株価が下がらないか、その点についてはどう考えるかという御質問だったと思います。  その点については確かにそういうこともありますし、あらかじめ決めた価額で譲渡するという点で、株主平等という点から特別扱いになるという点もございます。そういったことを、実はストックオプションを実行することによって会社業績向上するというメリットと、そういったストックオプションが実行されたときのデメリットを比較して、そのプランを承認するかどうか、株主総会株主が決められるということになろうかと思います。そういった意味で、デメリットとメリットの比較を株主に求める仕組みになっているということ。そしてまた、余りこの制度の弊害が現実化しないようにするためには、一定の条件、例えば発行株式総数の十分の一にとどめるとか、配当利益の可能な範囲内にとどめるとか、そういった一定の条件のもとに株主総会で決めるという制約も与えて、その弊害も防止するということにしてあるところでございます。
  28. 谷口隆義

    谷口委員 もう一つは、先ほどの質問にも出ておったのですが、既存株主の保護の観点でちょっと質問したいのです。  自己株式方式新株引受権方式がありますね、ワラント方式ワラント方式の場合には、株に転換しますと発行済み株式総数がふえますから、既存株主の持ち分が希薄化すると申しますか、希釈化するわけですね。それに対応するということで、ワラント方式の場合には特別決議というようなことでございましたね。そういう特別決議だけで果たしてそのような既存株主の保護ができるのかどうかというようなことでございますが、これについて、先ほど御答弁がございましたので、一応申し上げるにとどめたいと思います。  税制上の問題点を先ほど指摘されていらっしゃいました。税制上は、権利の付与があって権利行使があって株の売却があるわけでありますが、保岡先生の方から先ほど懇切丁寧に税制上の恩典のことをお話しされていらっしゃいました。  これは現行のいわゆる新規事業法というのですか、特定新規事業実施円滑化臨時措置法に基づく税制の優遇措置、今回この二法案が成立してやる場合に、この税制上の恩典を、合租税特別措置法で対応しておるわけでありますが、このような租税特別措置でやるのか、また税体系の中で税制改正を行ってやるのか。今は一部の対象だけでございますが、一般化するわけでありますので、この対象がかなり広がりますから、その税制上の対応についてお聞きいたしたいと思います。その際の要件も含めて御答弁をお願いいたしたいと思います。この優遇措置を受けられる要件と申しますか、現行はかなり厳しい要件がございまして、このような要件を踏襲した形で税制の優遇措置を行うのかどうかということであります。
  29. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答え申し上げます。  今回のストックオプション制度に伴う税制上の措置につきましては、先ほど保岡提出者の方から詳しく説明がございました。お尋ねの点は、検討する場合は租税特別措置法になるのかどうかということが一点あったかと思います。  現行所得税制のもとでは、やはり経済的利益というのは原則として所得税の課税対象になるというのが基本的な考え方でございますので、仮に措置を検討する場合には租税特別措置の体系になるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  また、検討するに際しましては、公平の観点からの調和をどう考えていくかということがもう一つ大きな要素になってまいります。特に、今回のストックオプション制度は一般的な制度になってまいります。そうしてまいりますると、これまでの新規事業法等に見られました制度はまさに少数の会社のみが対象でございましたわけですから、問題がそれほどたくさん発生しなかったという面がございます。今回の一般化に伴いまして、多くの企業がまさに自由に行えるようになってくる、あるいは金庫株方式またはワラント方式という新たな仕組みである等々の新たな広がりを持ってきていると認識しておりまして、税制上の取り扱いにつきましては、まさに適正公平な課税の確保という観点を踏まえて改めて検討しなければならないというふうに考えているところでございます。
  30. 谷口隆義

    谷口委員 よくわかったのですが、次にちょっと質問したいことは、今、尾原さん、御答弁の中で自己株式方式のことを金庫株方式とおっしゃったのですね。私、今ちょっと提案者の方に確認をしたいのですが、今回の自己株式方式は金庫株方式ではありませんね。御答弁をお願いいたしたいと思います。
  31. 保岡興治

    保岡議員 自社株を取得して保有するわけですから、それを金庫株と称することには、そういう一般的な呼称もあるかと思いますが、だからといって金庫株を一般的に認めるというのじゃなくて、この法律趣旨にのっとった自己株保有だけを認めるということにいたしております。
  32. 谷口隆義

    谷口委員 一般的に金庫株と申しますのは、会社自己株を取得して従業員なり役員なりに売却を予定して金庫の中に入れておく、こういうのが金庫株なんですね。今回の場合は、買いたいという人がおって、その人のためにひもつきの自己株を買う、こういうことじゃないのでしょうか。
  33. 保岡興治

    保岡議員 そうです。一般的に取締役従業員に渡すための金庫株を認める趣旨ではありません。オプションプランに沿って、総会決議をいただいて実行するものでございます。
  34. 谷口隆義

    谷口委員 理解できました。  一般に金庫株方式と申しますと、さっきからの繰り返しになりますが、売却する当てのないような自己株を一たん買っておくというのを通常金庫株方式と申しますので、そういう形ではないということでございますね。わかりました。  あとはちょっと細かい問題を何点かお聞きいたしたいと思います。先ほどお話ししましたように、六月の株主総会に間に合うようにというようなことでございますので、かなり詰まった議論がなされておるというような前提でお話をお聞きいたしたいと思います。  まず初めに、本法案において、定款の変更と新株引受権を付与するための特別決議を同一の総会でもって決議をすることが可能なのかどうかということについて、御答弁をお願いいたします。
  35. 保岡興治

    保岡議員 可能でございます。
  36. 谷口隆義

    谷口委員 ありがとうございました。  それでは、株主総会決議事項になっております自己株式方式における譲渡価額ワラント方式における発行価額、これらは絶対価額で議案を作成し決議をする必要があるのかないのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  37. 保岡興治

    保岡議員 ストックオプションの場合における自己株式譲渡価額、またはワラントの目的である株式発行価額は、具体的な金額で決議するということになっておりますけれども、金額を算定する客観的な基準で決議することも差し支えない。例えば、権利を付与する日の前月の株価の平均値、あるいは平均値に一定の金額を加えた額といった決め方もあろうかと思います。
  38. 谷口隆義

    谷口委員 先生、ちょっと今のはわかりにくかったのですが、絶対価額でもいいと。要するに、株主総会の招集通知を出します、またその次に株主総会決議がございます、その決議が終わった後に実際の自己株式取得の契約をやるわけですね。こういうような三つの時点で株価がそれぞれ異なっておるというような状況になるのだろうと思うわけでございますが、そのような状況の中で、絶対価額総会決議の中に入れていいのかどうかという観点での質問でございます。
  39. 保岡興治

    保岡議員 それはそういうふうにお決めになるならばお決めになってもいいけれども、取得する、契約する時点というのですか、その時点での株価というものがストックオプションを付与する場合にはやはり一番重要な要素になるのではないかということを思って先ほど申し上げたわけでございます。
  40. 谷口隆義

    谷口委員 そうしますと、本来インセンティブを高めるためにこの制度があるわけなんですが、絶対価額決議をするといったときに、株価が下落した場合に、そのインセンティブ性というのが薄れるのではないかというような危惧がされるわけでございますが、そのような観点で考えた場合にはどのようにお考えでございましょうか。
  41. 保岡興治

    保岡議員 それはそういうことも起こるので、運用に当たって、ストックオプションが行いやすいような決め方でいいのではないかと。そのことでストックオプションのプランというものの意義が明瞭になって、株主がきちっと判断できる、そういう基準が明確になっておればいいのではないかと思いますが、確かに先生のおっしゃるように、あらかじめきちっとした絶対価額で決めておくと後でストックオプションを行いにくくなる環境が生じたときに不都合が出るのではないかと思って先ほど来御答弁申し上げているところでございます。
  42. 谷口隆義

    谷口委員 それでは、その次にお聞きしたいのですが、取締役ストックオプション権利行使して自己株式を取得するということは、証取法百六十四条、不当利益の返還の規定の対象外になるのかどうか、これについて御答弁をお願いいたします。
  43. 保岡興治

    保岡議員 証取法百六十四条の問題だと思いますが、これは半年間の短期取引利益会社にという、そういう規定と承知しておりますが、これをそのまま適用したのではストックオプション意義が大いに薄れてしまいますので、これは、このたびの法改正に伴って、大蔵省令で適用を排除することを予定いたしております。
  44. 谷口隆義

    谷口委員 わかりました。省令で適用対象外にするということでございますね。  先ほどお聞きした質問の中に、要するに、このストックオプションというのは、この対象になるのは従業員もしくは役員が対象になるわけでございますが、この行為を行うことによって、一般株主にも大きな影響があるということでございます。その大きな影響を、情報開示をしなければいけないということでありまして、現行行われております例の新規事業法に基づくストックオプションの場合に、有価証券届け出書等、有価証券報告書も含めまして情報提供をされておるわけでありますが、今回のストックオプションが成立し、行われた段階で、どのような情報開示をされようと考えていらっしゃるのでしょうか。大蔵省、お願いします。
  45. 山本晃

    山本説明員 お答え申し上げます。  ストックオプション制度に係るディスクロージャーにつきましては、投資家保護の観点から、適正なディスクロージャーが行われているということが必要というふうに考えております。  現在、ストックオプションにつきましては、新規事業法の場合には、潜在株式状況あるいは新規公開時におけるストックオプションの付与状況等が有価証券届け出書等に記載されることになっているわけでございますが、今回の法改正に対応して、さらに適正なディスクロージャーが行われるように所要の手当てを行いたいと考えております。  具体的には、有価証券届け出書や有価証券報告書において、ストックオプション制度を採用している場合にはその概要の記載というものを予定しているところでございます。さらに若干具体的に申し上げますと、このストックオプション制度概要として、付与の対象者、株式数、譲渡または発行価額権利行使期間及び権利行使についての条件の記載を予定をしているところでございます。また、自己方式ストックオプションについては、使用人への譲渡のみでなく、取締役への譲渡についても開示されるように手当てをする予定でございます。さらに、新株引受権方式ストックオプションについては、潜在株式状況として、新株発行予定残数、発行価額、発行予定期間が記載されるように明確化する予定でございます。
  46. 谷口隆義

    谷口委員 わかりました。  次に、株式分割、株式の併合、また時価以下発行等々のときに、自己株取得方式では譲渡価額ワラント方式では発行価額でございますが、この期間中にそういうようなこと、先ほど申し上げました分割であるとか併合であるとか時価以下発行が行われた場合に調整は行われるのかどうかということと、調整が行われるとすると、具体的にどういう方式で行われるのか、このことについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  47. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘のような問題は、御案内のとおり転換社債や新株引受権付社債についてもございまして、その場合には、株式分割等によって株式の実質的価値に変動が生じた場合のいわゆる希薄化防止条項が定められるという取り扱いがされているわけでございます。ストックオプションにつきましても、オプション行使価額、すなわち譲渡価額あるいは発行価額を定めるに当たって、転換社債等と類似の方法によってそういった希薄化防止のための調整方法をその定めの中で定めるということが可能なのではないかというふうに考えているところでございます。  具体的な方法というのは、これは実務の方で十分御検討されると思いますが、例えば株主割り当ての無償交付が行われたというような場合を考えますと、株式価額がその分だけ希薄化するわけでございますので、その希薄化分だけ譲渡価額等を引き下げるということをあらかじめ譲渡価額の定めの中で定めておくという運用がされるのではないかというふうに理解いたしております。
  48. 谷口隆義

    谷口委員 一般的に、公開会社の場合はマーケットプライス方式であるとか、非公開の場合にはコンバージョンプライス方式であるとか、こういうような調整の方法があるようでございます。こういう極めて具体的な質問をするというのは、先ほど申し上げましたように、もう早々に、施行がされて、もうこの六月の末の総会決議事項として上げられるというようなところまで来ておるという観点で極めて具体的なことをお聞きしておるのですが、もうちょっと踏み込んで御答弁をお願いできればありがたいなと思います。法務省
  49. 菊池洋一

    ○菊池説明員 お答え申し上げます。  今御指摘のとおり、これまで実務の知恵によりまして、株式分割等があって株式の価値が当初よりも下がった場合の価額を調整する方法といたしましては、いわゆる時価といいますか、市場価格の変動を基礎に調整を図るというマーケットプライス方式と、それから、市場価格ではなくて、いわば株の発行価額の方に基礎を置いて調整を図るというコンバージョンプライス方式と言われているものがあるようでございます。これはいずれも商法に定めがあるわけではなくて、実務の知恵といいますか、希薄化が生じないようにという形で実務家の御努力によって編み出されてきたものであると思います。  ストックオプションの場合の行使価額あるいは譲渡価額も、恐らく実務的にはオプション付与時の株式の時価あるいはその直近の時価というものを基礎にして定められるだろうと思いますが、その後、御指摘のとおり株式分割などがあってその前提が変わった場合には、やはり何らかの形で希薄化を防止するための条項というものをあらかじめ定めておく。譲渡価額を定める際、総会決議で、これこれの場合には我が社はこういう方式、例えばマーケットプライス方式もありましょうし、コンバージョンプライス方式もありましょう。そのいずれであるかということは、法律でこちらでなければならないということで規制がされているわけではなくて、会社が実情に応じて株主の意思を確認した上で任意に、御自由にお決めいただくことであるというふうに私どもは考えております。
  50. 谷口隆義

    谷口委員 わかりました。  その次に、今回のこのストックオプション制度ではないのですが、今回のストックオプションは、先ほどから申し上げておりますように、権利の付与があって、権利行使があって、権利行使のときに従業員なり役員なりは資金を必要として、それを買い取らなければいかぬものですからその資金が必要だというようなことになっておりまして、それが一つネックといえばネックになるのかなということで、今、アメリカで行われておるのは、ストック・アプリシエーション・ライツ、SARというのがありまして、権利を付与された時点から株価の上昇分を受け取る権利、こういうものがございまして、これは行使の時点で払込資金が必要でなくなるというようなやり方もあります。また、今、ファントムストックというようなものがございまして、これは役職員がおたかも株式を保有したものとみなして、現金及び株式配当が支払われた場合に各権利者の保有分に積み上げていって、権利行使時に株価の上昇分も含めた現金を支給する、退職時までといった長期的なプランに適用するようなやり方ということで、割と多様なストックオプションの形態があるというように聞いておるわけでございます。  今のところ一つのパターンのストックオプションでありますが、今後このような多様な形も含めて検討をする必要があると提案者の方は考えていらっしゃるのでしょうか。
  51. 保岡興治

    保岡議員 御指摘のように、ストックオプションにはいろんなタイプや工夫も可能だと思いますけれども、今回の提案は、非常に取り急ぎ内容をまとめました。そういった他のオプションあるいは工夫については今後勉強もしていきたいと思いますが、政府が、平成九年度中に結論を得て、十年度に実施しようとしていたストックオプションの予定については、法務省とも十分協議をして、法務省が予定していたすべてのストックオプション制度を、議員提案の形で、我々の考えと調整の上提出いたしましたので、今のところ、すぐにはそのような対応を考えているというわけではありません。
  52. 谷口隆義

    谷口委員 もう時間が参りましたので、最後に申し上げたいのですが、先ほど冒頭お話をしましたように、今回のこのストックオプションの国会における審議状況がマーケットに与える影響がもう既に昨日あたりは出ておるというようなことも聞いております。極めて経済的にも大きな影響を与える制度でございます。一刻も早くこのような制度が成立し、実施されることを望んで、私の質問を終わらせていただきます。
  53. 八代英太

    八代委員長 次に、佐々木秀典君。
  54. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。  我が党の坂上委員も本案の提案者になっておるわけでございます。しかし、この改正案は、商法といういわば商事関係の基本法の改正、これが閣法ではなくて、内閣が提出するのではなくて、議員立法によって提出される。基本法の改正がこのような形で行われるというのは、私は極めて異例なことだと思っております。  御案内のように、平成六年に商法の一部改正で、自社株の取得についての改正を行いました。このときには、かなり私どもとしては時間をかけて、慎重な審議の上であの一部改正を実現したと思います。このときの改正の論議の中でもストックオプションの問題も議論されたけれども、そのときにはまだ時期尚早ということで、今日までこれが見送られ、そしてまた法務省を中心にして、また大蔵などとも御協議の上で、慎重な審議というか御協議があった。  聞くところによると、先ほど保岡提案者もお話しのように、法務省としてお考えのところを今度の議員立法でほとんどそれを取り入れたというか、それに沿った提案なんだというお話があったけれども、法務省では、たしか明年あたりにこれを閣法として提案するというようなことで作業をお進めになっていたように聞いているのですけれども、それが急速議員立法として提案された。しかも、これが連休前の四月三十日に提案をされて、それで昨日委員会に付託をされて、本日直ちに審議ということで、私ども質問者としても十分に勉強、検討する暇もない、大変慌ただしい思いで実はこの場に臨んでいるわけであります。  さきの六年のときの改正との絡みもあり、確かに先ほどの提案理由説明、あるいは今も同僚議員からの御質問の中での応答のように、この改正企業側、経済界からは大変に望まれておるということはよく私どもとしてもわかりますし、既に疑似的な方法も、報道されるところによると、例えばトヨタだとかあるいは小松製作所だとかなどではもう計画を立て実行している。この法案が通ったら、なおこれに整合性を得て早速に実施に移すというような報道もなされているわけですけれども、そういう経済界の要請を受けてというような事情もわからないではないけれども、しかし、ここまで急いでやらなければならない理由そしてまた、閣法ではなくて、これが議員立法としての形で今日こうして提案をされ審議されているという事情、これについて法務省及び提案者にそれぞれお伺いをしたいと思います。
  55. 太田誠一

    太田(誠)議員 議員立法で出されているのはなぜかという御質問でございます。  実は前回の平成六年の商法改正の際にも、最終的には閣法で出たわけでございますけれども、その改正の骨子については、当時も法務委員会におりましたけれども、こういう方向であるべしという提案をいたしまして、閣法ではありますけれども、私どももその協議の中に入っていったという経緯がまずあるわけでございます。  今回、議員提案ではありますけれども、昨年の今ごろだったと思いますけれども、既に自由民主党の法務部会商法に関する小委員会においては、このことに取り組むべしということを決めて、検討を続けてまいりまして、なお、一連の規制緩和の動きの中から、ことしに入りまして、政府側もこのストックオプション導入については、ほぼ来年には、来年の通常国会に出して、来年じゅうに実行できるようにしょうということでコンセンサスができたようでございます。  そういたしますと、だれが考えても久ドックオプション導入についてはこういうふうにすべきだということは、内容についてはおおむね合意ができていると判断をいたしまして、それならば、何も来年を待たなくて、ことしやってしまえばいいじゃないか、この一年間の間に予想されるさまざまな事態というものを考えれば、早くこのような制度導入されていることが望ましいということになったわけでございます。  また、自社株の取得及び消却については、これは平成六年の改正で初めて導入をいたしたわけでございますけれども、その結果として、それほど多くの実行例がなかった、やや期待が外れたところがございまして、そこで、では何が原因でこのようになっているのかということを調べてみますと、いろいろな理由はあるかもしれませんけれども、例えば株主総会を開いて、そこで自社株の取得及び消却を決めたとして、実際にそれが実行されなかったというときには、一たん株が上がって、また下がるという事態が起きるわけでございます。そのときに、意図的に、故意に、自社株の取得、消却をする気もないのに株主総会でそれを決めたんだという疑いが出てくると、これは風説の流布という証取法上の疑いを抱かれるということがあるんだということを関係者から聞きまして、それは大変我々としても心外である、それならば、平時において定款に定めておいて、機動的に取締役会でできるようにしておけば、その問題は回避されるのではないか、そしてまた、平成六年の改正によって消却のための自社株の取得を許すということの原則導入されたわけでございますから、発行済み株式の十分の一以内であればその本質を損なうことがないのではないかというふうなことになったわけでございます。  そのことも、例えば株式の持ち合いが解消されつつあって、株式市場で発行済み株式総数が過剰になっているというふうな構造的な我が国株式市場の現状がございますので、できるならば早くいたした方がいいということで前倒しにして、私どものリーダーシップでやらせていただいたということでございます。  なお、議員提案は基本法についてはやらないということが従来あったようでございますが、例えばこれまでの法務委員会質疑の中でも、佐々木委員もよく御案内のとおり、ここではたびたび本質的な法改正について議員側がリーダーシップをとったということがあるわけでございまして、どんどんこれからもこういうことが起こってしかるべきだと思っております。  以上でございます。
  56. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 ストックオプション制度導入につきましては、御指摘のとおり平成六年の商法改正に当たっての検討の過程では取り上げられて、結局見送られたわけですが、その際にその理由になりましたのは、一つには、自社株の長期保有を認めることの問題点ということもございましたが、他方で、このストックオプション制度が、当時はまだ我が国企業社会の中になじむかどうかという懸念も指摘されておりましたし、企業のニーズとしても、将来はともかく現時点ですぐにでもやりたいという要請がそれほど強くなかったというような背景がございまして、しばらく見送るということになったという事情もございます。  しかし、その後の経済情勢の大変な変化によりまして、このストックオプション導入を求める声が急速に高まってきた。そういう声を反映いたしまして、ただいま御指摘がありましたように、政府あるいは法務省としても、これはやはり一般的なストックオプション制の導入に向けて急いで検討しなければならないということで、御指摘のように、具体的には次の通常国会までには法案提出したいということで考えておったところでございます。  そういう状況の中で、しかしながら、現在の我が国経済情勢のもとで、経済活動の活性化資本市場活性化という観点から、それはするものなら一時でも早い方がいいという観点から議員の発案によって立法をされようということになりまして、そういうことにつきまして、私どもも側面からいろいろ参考意見を申し上げるなど協力をさせていただいた、こういうことでございます。
  57. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 つまり、法務省が主導でやっていたものが、この段階に至って主客転倒されたというか、それが転換されたというか、そんな感じがするのですね。  だけれども、今の局長の御答弁ですけれども、だとすれば、もう大体議論は尽くされてこうして法案もできているわけですが、これも法務省でもつくっていたわけでしょう。どうして閣法として出さなかったのですか。政府が責任を持ってやるということにはならなかったのですか。ここまで段取りができているのなら、何も議員立法でなくたっていいじゃないですか、政府が出せば。
  58. 保岡興治

    保岡議員 政府立場としては、先ほど佐々木委員指摘のように、基本法でありますから、法制審議会の議を経なければ閣法としては提案しかねると思います。  しかし、我々としては、先ほど太田提案者からも説明があったとおり、一方で、アメリカの方はどんどん株価が史上高値を更新している中で、日本は昨年の暮れからことしの年頭にかけて株価が急激に下がって、日本売りが始まって、三月期決算を前に、経済を制約している問題やその他経済環境の低迷に大いに皆さん心配をされている、そういう状況の中で、アメリカでは自己株式消却あるいはストックオプションというのが新しい企業あるいは株価の高値の維持といったことに大きく貢献している、そういった国際調和というものを我が国も真剣に考えなければいけない。  事実、今度の措置については、政府と党とで慎重に協議をして、そして中身を詰めて出したので、本当に提案がおくれたことは申しわけなかったのですが、むしろそこには、太田提案者からお話しのように、検討の過程と慎重な協議があって、しかもことしの株主総会にできるだけ間に合わせて制度を生かしたい、そういう思いで、前倒しの意義をこの制度の発足に託して、皆様方に御苦労いただいて共同提案もいただいて、今国会の審議にお願いを申し上げているところでございます。  外国からも、今度の日本株価の上昇の一つの原因として、日本はよくこういう規制緩和を政府でなくて政治のリーダーシップでできたと非常に驚いて、日本もこういう変化が迅速にできる国になったのか、そういう高い評価があると、私は外国の通信社から、各方面からそういう話も聞いておりますので、今度の制度改正が政治のリーダーシップでとられた意義は内外に高く評価されている、そういうふうに認識しています。
  59. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 そういうようにお伺いをしたわけですけれども、それにしても、私はやはり性急だと思う。私のところに法案が来たのはきのうですからね、正直言って。お出しになったのは三十日だと言うけれども、もうそれから連休ですよ、実質的には。衆議院はなかったのですからね、本会議もほかの委員会も。それで、これだけの重要な改正をいきなりやれといっても、きのうのきょうでやれというのは、私は率直に言って不満です、ある意味では。需要はわかります。わかるけれども、私は委員会軽視だと思う。これはもう少し考えてもらわないといかぬと思う。大体、ここのとこみ見ていると、こういうことが少し多過ぎますよ、せっかちなことが。沖縄の特措法もそうだけれどもね。それは与党で共同提案されているけれども、私は、どうも自民党さんの熱心さがぐっとリードしているのだと思うのですね。  趣旨については、私も法案についてはそう反対するものではありません。ありませんけれども、しかし、これは随分いろいろな問題を含んでいるのですよ、これからちょっと時間がないけれどもお尋ねしますが。その辺のことはこれから十分気をつけてもらわないと私はいかぬと思いますし、また、この法案が通っても、これに関連する問題が必ずこれからまた論議の対象になってくるのは間違いないと思いますので、あらかじめその点は指摘しておきます。  それから、提案者のうちの我が党の坂上議員にお尋ねをしておきたいのですけれども、実は、我が党は、昨年の総選挙の政策で、中小企業対策の中でこのストックオプション導入ということはうたっているわけです。今度のこの改正案が我が党の中小企業対策としてのストックオプション導入趣旨に沿っているのかどうか、このことが中小企業にとってその活性化を図るために本当に役に立つ、こうお考えになるのかどうか、簡単にお願いいたします。
  60. 坂上富男

    坂上議員 坂上でございますが、民主党は、昨年の総選挙の政策中に、中小企業対策としてストックオプション導入しよう、こういう公約をしておるわけでございます。  そこで、自民党さんの方から連休前にお話がありました。民主党の方にも御協力をいただきたいというお話がありまして、私も、少し猪突でございましたものでございまするから、相当ちゅうちょいたしました。しかし、我が党は中小企業対策としてストックオプション導入するという公約を選挙でいたしておるものでございまするから、果たしてこのオプション導入いたしますと中小企業対策に本当になるだろうかということを、実は非常に悩みました。特に私が気にいたしますのは、この制度導入するということは、大企業にのみ影響が大きいのであって、中小企業に本当に役立つかどうか、これはもう数日間、時間をいただきまして検討させていただきました。  そこでどういう点を検討いたしたかと申しますと、株主平等の原則に反するかどうか、それから資本維持の原則に反するかどうか、それからインサイダー、不公正取引にならないか、この点の心配はないか。それから、アメリカ等で行われておりますところのこういうオプション制度は、どちらかといいますと資本経営がはっきり分離をいたしております。日本は、どちらかといいますと資本経営が一体というようなことが多いのじゃなかろうか。外国は、どちらかといいますと雇われ重役がその手腕を買われてやっておるものでございまするから、私は、こういう点ではオプション制度はある程度大変有効なのじゃなかろうか、果たして日本ではいかがなのだろうかということを随分検討させてもらいました。そして、あわせまして、中小のために本当になるのだろうか、単なる日本の大企業にしか効果がないのだろうかということの検討も実はさせていただきました。  そして、これはどちらかといいますと、公開上場株それから店頭登録株、これについては、自社株の取得によるところの譲渡ということはあると私は思います。それから未公開の会社、いわゆる未公開の私たちが目指しております中小零細企業に対しましては、これはやはり新株引受権の付与が利用されるのじゃなかろうか、こんなふうなことを考えまして、実は、私は選挙のとき、中小企業の皆様方の集まりでこのことを我が党の公約だと言って訴えたのです。そういたしましたら、どういう返事が返ってきたかというと、あなたの言うことは大変結構なんだけれども、そんなことよりも大事なことは、私たちは赤字赤字でもうけが悪いんだから、景気をよくしてくれればそれでいいのであって、こういう話はもう次の次の話だ。  こんなようなことが私の頭の中に残っておるものでございまするから、私は、国会に帰らせていただきましてから、法務部会を中心にいたしまして我が党の公約をどう実現するかということを実はずっと検討させてもらっていたわけでございますが、しかし、まだ成案を得ないうちに自民党さんの方からお誘いがあって、果たして、こういうふうな気にはなったことはなったのでございます。  しかし、最終的にはおまえが中心になって検討せいというようなことになりまして、私は、先刻代表の提案者が回答をいたしましたとおり、中小企業が、資金、人材、情報中小企業特有の問題を抱えていることが多くて、その中でも優秀な人材の確保というものは中小企業にとっては大変大きな課題なのじゃなかろうか。そんなことから見ますと、このストックオプション制度というのは、この問題を解決するには大きな有効手段になり得るのじゃなかろうか。そして、日本経済が構造的な問題を克服して、将来に向かっての発展を実現していくには、起業心に富む中小企業を支援することが重要なんじゃなかろうか。我が党の中小企業対策として、その導入はやはり必要なんじゃなかろうか、こんな結論に達しまして、先生方からの御賛同をいただきまして、提案者の一人といたしまして提案をさせていただいた、こういう次第でございますので、御理解を賜ればありがたいと思います。
  61. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 時間が大分詰まっておるものですから、労働省、来られておると思います。この制度取締役、社員に対する一種の報酬の制度ということになるわけですね。そういう意味で高い報酬性を持っているという性格があると思うんです。  そうすると、この制度導入されることによって、我が国の雇用関係における賃金の体系あるいは報酬の制度、これが大分変わってくるんじゃなかろうか。もともと我が国の場合には、何といっても年功序列型の賃金体系というのが一般的であるわけですね。もちろん、これについては、いろいろな弊害だとか、それからまた外国ではこういう制度をとっていない、それが企業に対する働く意欲というか、そういうことに見合わないんじゃないかというようないろいろな問題点も指摘されて、見直しもかかっているし、現にそれを改定していっているところもあろうとは思いますけれども、しかしまた、逆に、デメリットだけじゃなくて、こういう年功序列型の賃金体系というのが雇用の安定をもたらしてきたんだというようなメリットもあるわけですね。  こういう点から考えて、労働省としては、この制度導入と雇用関係に対する影響などについてどう考えているか。もう一つは、仮に労働の対価としての報酬性を持つんだとすると、労働基準法の上での賃金の支払いの原則、これとの関係で損をするところが出てきやせぬか、この辺についてどうですか。
  62. 浅野賢司

    ○浅野説明員 御説明申し上げます。  我が国におきましては、経済活動を活性化させるために、労働者一人一人が自己責任のもとにその能力を自由に開花させることができるようになることが重要になってきているというふうに考えております。  こうした中でストックオプション制度導入を進めることは、役員を含めた従業員の就業に対するインセンティブを高めるとともに、将来性の高い企業において人材確保を容易にする効果をもたらすものと考えております。一方で、こうした制度導入によって能力のある人材の労働移動が促進される可能性もあるというふうに考えております。  このように、ストックオプション導入によりまして雇用面においてもさまざまな影響があると考えられることから、今後ともその影響については十分に注視してまいりたいというふうに考えております。  また、賃金の支払いのことについては、基本的には労使の関係で決まってくるものというふうに理解しております。
  63. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 労使の関係でという最後のお話ですけれども、決まってくるものと言うんだけれども、労働基準法では、賃金の支払いというのは原則としては現金で直接払い。最近は変形して振り込み制度なんかも出ていますから、それはだんだん解釈の範囲も広がってくるんだろうと思うし、場合によったらそちらの方の法改正も必要になってくるかもしれないですね。  しかし、これが報酬がどうか、例えば賞与のかわりとして払われるかということになると、賞与というのはやはりあくまでも賃金の一部ということになるわけですから、それぞれの関係でこういう制度がどう整合性を得るのかということ、これは労働省としてもやはり検討してもらわなければならないことだと思うのですね。今後の課題だろうと思いますから、研究しておいてください。  時間が大分なくなりましたけれども、大体、今度の改正によっても、商法の二百十条の自己株式の取得について全くの解禁をしているわけじゃないわけですね。あくまでも原則として商法二百十条は自己株の取得を一応禁止している。例外的な措置として今度の解禁ということになるわけですね。  なぜそういうことになっているのかというと、結局、会社自己株取得がいかぬと言ってきたのは、自己株の取得を自由に認めると、株主に出資を払い戻したのと同様の結果を生じて会社の財産的基礎を危うくするとか、あるいは会社株価を操作したり、あるいはさっきから出ているインサイダー取引などが行われる可能性があって株主だとか投資家の利益を害することになるのではないかとか、あるいは特定株式を優遇する結果となって株主平等の原則に反するんじゃないかとか、あるいは経営者会社支配に利用されるのじゃないかとか、あるいは買い占め株を会社が高値で買い取る場合には、会社に財産的損害を与えるとともに、会社荒らしを助長することになるのじゃないか、こんな心配もあったりするわけですね。  それからまた、さっき坂上議員からお尋ねがあった、中小企業のために役に立つかどうかというお話があるけれども、中小企業の場合には、株式会社とはいいながら一人、まあ個人会社の変形みたいなところがあって、その社長が、自分が全部株を持っていることをいいことにしていろいろ適当にできる、株主総会などというものは形式になるというようなこともあり得るわけで、この辺の心配について今度の改正がクリアできるのか、そういう措置をこの法案の中で用意しているのか、時間がなくなりましたけれども、これは民事局長からお答えいただいた方がいいかな。簡単で結構です。
  64. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘のとおり、会社自己株式の保有ということにつきましては、御指摘いただきましたようないろんな懸念、おそれというものが否定できないわけでございまして、したがって、この新しい法案につきましても、自社株取得は原則的に禁止というもとで、その例外として自社株方式ストックオプションを認めるという法案内容になっているわけでございます。  したがって、立案いただくについてはそういった問題を可及的に生じないようにするという手当てをお願いする必要があるわけでございますが、この改正法案におきましては、財源規制を設ける、あるいは数量規制を設ける、さらには、株主総会決議においては個別具体的なストックオプションの付与を議題として決議をする、それから、公開株式については、その買い付けの方法は公開の市場等での買い付けに限る、そういった観点からのもろもろの必要な配慮をいただいているというふうに考えているところでございます。  なお、インサイダー取引等の問題については、証券取引法に所要の手当てを加えて、その厳正な適用によって対処するということになっているというふうに承知しております。
  65. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 時間が参りましたので、委員長、終わります。どうもありがとうございました。     —————————————
  66. 八代英太

    八代委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として日本証券業協会副会長関要君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 八代英太

    八代委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  68. 八代英太

    八代委員長 質疑を続行いたします。正森成二君。
  69. 正森成二

    ○正森委員 申すまでもなく、本件の二つ法律議員提案者になりました議員立法の形式をとっております。私ども日本共産党以外のすべての党が提案者になっておりますので、提案者でなくて質疑をするというのは私どもの党だけであります。  そこで、先ほど伺っておりますと、提案者になっている議員のおられる党の代表者が相当大きな声を出して、異例の提案ではないかということを言われましたが、それから言うと、提案者に入っておらない私は割れ鐘のような声を出して質問してもいいわけでありますから、声が大きいというだけがいいことではありませんので、できるだけ冷静に伺いたいと思います。  まず提案者に、保岡さんが適当なのかあるいは太田さんが適当なのか、お決めいただいたらいいと思いますが、先ほど同僚委員からも御指摘がございましたように、本来、政府提案するなら法制審議会で当然審議すべき法案であります。六法の一つでありますし、私の承知しておりますところでは、三年前に、株式会社自己株式取得禁止の例外として従業員に三%の取得を許すということを中心にする改正が行われましたが、それはもちろん法制審議会の商法部会で非常に熱心な審議がございました。  ところが、今回の場合は、三%を一〇%にする、しかも利益消却で一〇%、それから取締役使用人に一〇%ということで、これは本来別のものであります。そうすると、一挙に六倍、七倍にも及ぶような自己株式取得を許す。それで、一方は一定の早期に消却ということになっていますが、もう一方の方は、それは取締役やあるいは従業員に渡すから、御指摘がございましたが、金庫株ではないという保岡提案者からの説明でありましたが、保有する期間は、これを見ますと最長で十年になっております。十年ということは、十年近く金庫株で中に入っておる。つまり会社が資産として保有することを認めるということになっているわけで、今までの商法ではまず考えられなかったことであります。  こういうものを法制審の審議を経ずにやったことが、今保岡提案者の表現によりますと、非常に株価を上昇させて、こんなことを規制緩和してやれるだけの力があるのかとお褒めの言葉にあずかったというような、まあ言うたら鼻高々の答弁でありましたが、ことしの三月に株価が低迷したのはこういう措置がとられなかったからですか、そうじゃないでしょうが。  だれが見ても明らかなのは、公定歩合が〇・五%というのが非常に長期に続いて、アメリカとの間では金利が五%以上開いておる。したがって、ドルにかえてアメリカの財務証券などを買うというようになるのはいわば自然の理であって、それが円・ドル関係について否定的な円安の方向に影響をあらわす。あるいはまた四月一日から消費税が五%になる。これまでの二兆円の特別減税はなくなる。あるいは健康保険の我々から見れば大改悪で、二兆円を超える消費者の購買力が失われる。こういうもろもろの日本経済に対する悪影響があって株価が下がったのでしょう。それを何か、あたかもこれが早く行われなかったからというような、そういうような考え方というのはもってのほかじゃないですか。  そこで伺いますが、私がさる提案者から聞いたところによりますと、もともと法務省が来年にはこういう点について閣法で法案提出を行いたいと思っておった。それでいろいろ準備を始めておったら、前倒しでやったらどうだというようなことで、議員立法の話があってと。それだけじゃないでしょう、法務大臣。私が聞いたところでは、総理が法務大臣と大蔵大臣を呼び寄せて、議員立法だけでは心もとないと言うたら失礼ですが、いろいろ技術的に不備があるだろうから法務省大蔵省で協力してやれ、こういうツルの一声があってばたばたばたと進んだ。だから連休中で大変気の毒だけれども協力してくれという打ち明けた話があったのです。だから、外見は議員立法だけれども、本当の実質は、法制審の審議を省略する、法務省が黒子の法案でしょうが。
  70. 太田誠一

    太田(誠)議員 一つのことが起きたときに、それをどう解釈するか。原因が何で結果が何かということはなかなか立証することが難しいわけでありますので、正森先生のお疑いもあるいはわかるのでございます。ただ、事実は、正森先生ともこの法務委員会でも長くおつき合いをいただいておりますのでおわかりのとおり、私どもは本来立法府こそが立法活動を行うべきであるというふうに思っておりますので、常に、同僚議員の御同意が得られるならば、基本法であればこそむしろ議員の、立法権者こそが提案をして、発議からやっていくべきだろうというふうに思っております。  そして、私も先ほどからの余りにも性急ではないかという御指摘については一言もないわけでございます。  そして、審議会のあり方については、昨今大変批判がありますように、これは大体何を審議をしていたのか、最近やっとその一部について開示されるようになりましたけれども、今開示されておる内容でも、これはだれが何を言ったということがはっきりいたさないわけでございますから、むしろ今後は委員会質疑でもって、参考人として学者の先生方にもおいでをいただいて議論をするという形が望ましいのではないかと思っております。  それで、総理に対しても、これは後で保岡先生からもお話があろうかと思いますけれども、我が党政調会長と保岡代議士と私と三人が参りまして、総理に、我々もこれまでの経緯からいきまして余り法務省大蔵省から意地悪をされてはかなわないからぜひ協力を、あなたは立法府の第一党たる自民党の総裁であって、あわせて内閣のトップであるから、あなたの責任でもって、リーダーシップをとって協力をさせてもらいたいということをお願いしてきたわけでございます。
  71. 正森成二

    ○正森委員 今お話がありましたが、当事者として法務大臣から伺いたいのですけれども、法務省大蔵省から意地悪されたら困るからそれをしないようにというような、そんなものではないでしょう。法務大臣と大蔵大臣を呼んで、法案をつくるにはいろいろ難しいことがあるから積極的に協力してやれ、こういうことになったので、意地悪ばあさんのように意地悪をするなというような総理の御指示ではなかったのじゃないですか。  だから私は、これから質問する場合も本当の黒子である法務省大蔵省に聞こうと思って、提案者には余り意地悪をしないようにしたいと思っておりますが、法務大臣の答弁をまずお願いします。
  72. 松浦功

    松浦国務大臣 総理からのお話は、おまえのところの所管の法律だからいろいろ問題があっては困る、そごが出ては困る、だから十分検討して協力をするようにという御指示をいただいております。
  73. 正森成二

    ○正森委員 それでは伺いますが、例えば三年前には今度の改正よりもずっと幅の狭い自己株式取得がありました。しかし、そのときでも、資料を見てみますと、多くの団体に自己株式の取得及び保有規制に関する問題点に対する各界意見を問うということで、十分な問い方をしたのじゃないですか。  ここに私は三年前の調査の記録を持ってまいりましたが、それを見ますと、各方面に調査を、意見を求めておりまして、その結果出てきた各団体の意見にはどんなものがあるかといえば、裁判所及び弁護士会から意見が出てきているのは当然として、各大学の法学部から二十団体、二十の法学部から見解が出されております。経済団体は二十団体で、もちろん経団連や同友会等々は入っております。金融機関も七団体、中小企業が十六団体で、その中には、日本商工会議所はもちろん、東商、大商、名商、神戸商工会議所、京都商工会議所が入っておりますし、全国中小企業団体中央会が入っております。あるいは、その他の関係団体では、日本公証人連合会や日本公認会計士協会あるいは日本税理士会連合会等々、およそ考えられるところは全部入っているのですよ。それで論議をしたのです。  太田さんは、今非常に立派なことを言われましたが、むしろ議員立法で、密室でなく開かれた場で参考人を呼んでそこで意見を求めるのが当然だと言われました。何やらの死なんとするやその声よしとか悲しとかいうことわざがありますが、失礼なこと言うわけじゃありませんが。それじゃ、この議員立法提案で各界の学者を呼ぶ、あるいは法制審の重立った方を呼ぶというような日程があるのですか。今週でも呼ぶのですか。それなら議員立法でも審議を尽くした、国権の最高機関の役割を果たしたと言えますが、我々が理事会で了承しているのでは、あるいは了承せざるを得なかったのは、私の質問が済んだら採決するのでしょうが。あなたは何か議員立法で多くの参考人の意見を聞くとかいうようなことを言葉ではそれは残るように言われましたが、実際にはやらないじゃないですか。  そのやらない理由は何かといえば、えらい裏話をしては失礼ですから固有名詞はやめますが、早く参議院を済まして公布期間をせめて半月はとりたい、六月一日にはもう実施したい。なぜかといえば、六月二十七日に二千もの株主総会が集中するけれども、そこで早く定款を変えたい、定時総会自己株式取得を決めたい、だからそれに間に合うようにやってくれというのでしょうが。  それは、国会の権威を高める議員立法の重みを増すことじゃなしに、まさに財界の要望にこたえることじゃないですか。だから、トヨタでも小松でも、そのほかいろいろなところがもう既に日経なんかでわんわん言っておりますが、あの問題を起こした大和でさえ今度それに便乗することになっておりますが、もう今月中にできて六月一日から施行されることを目指してどんどん行動を開始しているじゃないですか。それに追われて国会で審議が行われているのじゃないですか。どこに国会の権威がありますか。  私は、あえてこういう席で、長い間のおつき合いで、法務委員会だけでなしに大蔵委員会からもいろいろおつき合いをしましたから、これ以上はもう申さないことにしますが、私は、決して褒められたことではないというように思います。議員立法を全部否定するわけではありませんが、それならそれで十分の審議を行っていただきたいということを申し上げておきたいと思うのですね。  それからまた、もう一つ言いたいことがあるのです。議員立法はいいとしても、それには関係の証取法、あるいは先ほど国税庁ですか、審議官が言いましたが、税法とか、そういう関係を総合的に審議をして、そして矛盾のないようにやらなければなりません。  ところが、それがやられてないじゃないですか。この法案を見たら、三つも四つもの法案について所要の措置をとるなんてなっていますが、技術的にどうしてもとらなきゃならないことだけで、例えば後からこれから質問しますが、こういう大量の自己株買いを認めると、インサイダー取引ももちろん心配ですが、株価自己操縦、株価操縦の問題がこれは非常に問題になるのです。それに対する手当ても行われてないじゃないですか。  証券局、来てますか。後で答えてほしいと思いますが、今回の非常に大きな自己株の拡大について対処が行われてないでしょうが。  もっと言えば、この前のときに、「自己株式取得等の規制緩和に伴う証券取引制度整備について」というのが平成六年二月七日に証券取引審議会公正取引特別部会の報告としてありました。ここに持ってきております。それは平成六年に一部改正が行われましたが、ここで提起された重要な問題はまだ改正されてないでしょうが。しかも、それに加えて、今度はその数倍にもわたる自己株式の取得が行われているけれども、それに対する対策が行われてないでしょう。  ここに持ってきましたのは四月三十日付の日経ですが、「経営監視強め株主保護 自民が商法改正へ第二弾 社外取締役ら義務付け」という大きな新聞報道があります。これは、失礼ですが、今回議員立法でやっている自民党の議員でさえ、さえなんて言うたら失礼ですが、自民党の議員さんが、このままではいかぬというのでこういうことをことしの臨時国会かなんかでやらないかぬと思っているのでしょう。なぜそれが待てないんですか。  私の見るところでは、社外取締役らの義務づけとかそんなことだけでは不十分で、証券取引法や、あるいはここに証券業協会も来てもらっていますが、そこの自社株を買う場合に、買い方の方法ですね、それについてもSECなどと同様にルールを設けなければならない、こう思っておりますが、そういう手当てもなされてないじゃないですか。それで一方的に現経営陣の利益を守ることだけをやる。それで、それが非常な活性化だとかいうことで、会社債権者や他の株主、あるいは一般の中小企業、そういうものの利益は守られるのでしょうか。そのことを私は非常に疑問に思わざるを得ないということを指摘しておきたいと思います。  答弁があればしていただいたらよろしいが、大して答弁がなければ、次の問題に移りたいと思います。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
  74. 太田誠一

    太田(誠)議員 今おっしゃったこの審議について、大変短時間でお願いしているというか、これは提案者としてお願いしたというよりも委員会運営理事会の一員としてお願いをしたことでございますので、大変短時間になりましたことは、まことに一語もないということに尽きるわけでございます。  さまざまな周辺の法律の手当てにつきましても、まだまだ足らざるところはあると思います。今はとりあえず新しい手段経済界に対して与えることが急がれるというふうに判断をしたわけでございまして、御批判の点につきましては重く受けとめてまいりたいと思います。
  75. 正森成二

    ○正森委員 それでは法務省に伺いますが、依然として我が国商法は、自己株式の取得を原則的には禁止して例外だけは認めるという法制をとっております。少なくとも今まではとっておりました。それはあらゆる会社法を見ても書かれておりますが、なぜそういう体制がとられているんですか。私がここに持っていますから言ってもいいですが、政府側から改めて、どの教科書にも数点書いてありますが、それを簡潔に述べてください。
  76. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 現行商法自社株の取得、保有を原則として禁止している理由として、一般的に言われておりますところは、会社資本の充実を害し、会社債権者の利益を害するおそれがある、あるいは会社の資産の健全性を害するおそれがある。また、取得の方法、その対価のいかんによっては特定株主を優遇する結果となって、株主平等の原則に反するおそれがある。会社経営者の会社支配を維持する目的に利用されるおそれがある。取締役等会社関係者が株価操作、インサイダー取引を行って一般投資家を害するおそれがある。そういうおそれがあるということが指摘されているところであります。
  77. 正森成二

    ○正森委員 数点お述べになりましたが、後で私から申し上げることもあると思います。  そこで、今度の改正では、利益消却の場合には、定款に定めがあれば取締役会決議だけでできるんでしょう。取締役会決議だけでできるということは、一層機動性があると言えばこれは物の言い方ですが、一層相場操縦の可能性あるいはインサイダーの可能性が生じやすくなるということではありませんか。ですから、それについてはさまざまな、やはり一定の規制が必要であるというように思われるのです。  それについて、提案者でもよろしいし、大蔵省証券局でもよろしいが、どういうことを考えているのですか。
  78. 保岡興治

    保岡議員 先生も法案を見てわかっていただいていると思いますが、定時株主総会で行う株式消却、これについて、取締役会の決定事実も重要事実ということにする証取法の改正というものを含んでおりますし、その他、先生の御指摘不正取引に関するいろいろな問題点については、現行制度もそれなりに整備されておるわけでございますから、それを的確に運用、厳格に適用するということで当面対応しなければなりませんが、今後、やはり国際化に伴って、グローバルスタンダードということもありましょう。我が国の法制というものは罰則が形式犯に軽く、非常に形骸化していたという点も指摘されているところでございますから、今後、ルールを重んじる国際舞台の中でビッグバンを求めるということであれば、そういった罰則整備についても、先ほど来答弁してきたように、これからお互いよく研究し、政府にも督励し、きちっとした答えを政策的に進めていかなければならないと思います。
  79. 正森成二

    ○正森委員 そこで、私が少し疑問に思いますのは、自己株式の取得で、通常、株主総会決議があれば、商法の場合ですね、これはできるということになっております。もちろん、新株とかワラントのときは株主総会特別決議というようなことも入っておりますが。その点からいいますと、通常の株主総会決議で十分の一のものを買えるようにするという規定と、それから商法の二百八十条ノ二の第二項に言う特別決議の必要性との整合性はどうなるんですか。一方ではそういう厳格なことをやっている。  あるいは、私、条文を十分に見ていませんでしたが、二百十二条でも二項で、公開されていないものについては特別決議が要るんでしょう。二項はそういうぐあいに読むのではないですか。ところが、一般的には通常の株主総会でできるというようになっていますが、どうしてこういうぐあいに差をつけたのですか。法務省でも結構です。
  80. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 消却のための株式の取得と新株の有利発行、新株引受権付与の場合との対比かと承りましたが、新株の有利発行あるいは今回の法案であります新株引受権ストックオプションとして与えるという場合には、新株の発行によって株式総数が増加する、それと同時に、発行当時の時価よりも低い価額新株が発行されるわけでございますので、株式の価値の希薄化を招く、したがって、株主権利を保護するために特別決議が必要であるということになっているわけでございます。これに対しまして、株式利益消却は、既に発行されている自社株式を買い受けて消却するということでございますので、新株の有利発行あるいは新株引受権行使によって新株が発行される場合とは異なりまして、株式総数が減少し、株式の価値が希薄化するという問題は生じない。  そういうことから、この制度趣旨内容が異なる。前者については特別決議が必要だけれども、後者についてはそこまでの手当ては要らない、こういうことになっていると理解しております。
  81. 正森成二

    ○正森委員 民事局長の答弁がありましたが、その答弁はやや不正確なのではないですか。  特別決議によるのは利益消却の場合ではなしに、一般的なストックオプションの二百十二条の場合に定時総会でできるようになっているのでしょう。そして、それができないように決まっているのは、私の理解によれば、二百十条ノ二の第二項の二号で「買受クベキ株式取引所ノ相場アル株式取引所ノ相場ニ準ズル相場アル株式ニ非ザルモノナルトキハ其ノ売主」こうなっていますが、この第二項の二を受けて二百十条ノ二の第五項で「第二項第二号ニ定ムルトキハ同項ノ決議ハ第三百四十三条ノ規定ニ依リ之ヲ為スコトヲ要ス」というので、これは三分の二の特別決議ということになっているのです。だから、それ以外の公開または公開に準ずるという場合には、新株だとかワラントでなしに、一般の株式を与えるという場合だって、通常、株主総会決議でできるんでしょうが。だから、そこの整合性はどうなっているのかと聞いているんですよ。
  82. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 ただいま消却の場合との比較だけを申しましたが、繰り返しになりますけれども、有利な条件で新しく株式を発行するということになりますと、当該会社株式の数がふえる、しかしながら、その時価に相当する金額は会社に入ってこない、有利発行でございますから、低い価額で発行されるということによって、全体の株式の価値が希薄化するということになるわけでございます。  それに対しまして、自社株を取得する、これは現行従業員持ち株会の場合も、ストックオプションの場合も同様でございますけれども、これは株式の総体がふえるわけではございません。市場にある、あるいは一般株主が持っている株式会社が取得するということになるわけでございまして、あるいはそのオプション行使に伴って、また、取締役または従業員にその株式を譲渡するということによって、株式の数がふえて株式の一株ごとの価値が希薄化するという問題は生じないわけでございます。  したがって、新株有利発行方式あるいはワラント方式の場合には、希薄化が生ずるから特別決議を必要とする。そうでない場合は、普通決議ということになっているわけでございます。  ただ、自社株を保有する場合におきましても、取引所あるいは店頭市場で買い取るという場合には、買い取る相手方によって有利な条件で買い取るというような問題が生じるおそれがありませんが、それに対して、市場ではなくて相対で個々の株主から会社が買い取るという場合には、買い取る際に有利な条件で買い取るというおそれがある、そういう形で株主の平等を害するおそれがある。非公開の市場で相対で取得するという場合には、そういう観点から総会特別決議を要するという易行制度になっているということでございます。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 正森成二

    ○正森委員 今民事局長から答弁がありましたが、そう簡単にいくわけですか。例えば、ここに新聞を持ってまいりましたが、通常のストックオプションを目指した株式の買い取りでも、それがアナウンス効果があって株価に非常に変動を生じるというのはもう言っているじゃないですか。  例えば、ここに持ってまいりました新聞では、トヨタ自動車が千億円分を上限とした二回目の自社株買いに乗り出すと発表しただけで、株価が六十円高く上がった。あるいはシチズン時計の場合は、翌日に六十七円高の九百八円、八%上がっているんですね。それから大成建設の場合は、週明けに三十二円高の四百六十三円、これも八%上がっているということです。これは商事法務にも載っておりますが、山一証券経済研究所の説明によりますと、「米国では、実施を表明することで株価が不当に安く放置されていると、投資家に訴える「アナウンスメント効果」があり、株価てこ入れの意思表明とされている。」こういうぐあいに言っているんですよ。つまり、自己株式の取得を決定したり、それをアナウンスすること自体が株価操縦になると公然と言っているんですよ。だから、これは、第三者の株主だとかそういうものにも非常に大きな影響があるんですね。  そこで、関さんにもお見えいただいておりますね。関さんと証券業協会に伺いたいと思います。  アメリカにはSECがありますが、SECでは、私も余りよく知りませんが、一九三四年の証券取引所法の十三条(e)項というのがあって、規則制定権を持っているんですね。その規則制定権で何回かルールをつくろうとした。ところが、余りルールを厳しくし過ぎると問題があるということで、私が今持っております資料では、セーフ・ハーバー規制というんですか、規則一〇b−一八というのを制定して、それで一定のルールはつくるけれども、制定された規則一〇b−一八のもとでは、自己株式取得がその規則の要件を満たしていなくても必ずしも違法となるわけではなく、また違法だとの推定が生ずるわけでもないが、その規則に従う限り訴追される心配がないというように決まっているというように物の本では書いてあります。  しかし、我が国では、証取の百五十七条の包括的詐欺防止条項、あるいは相場操縦禁止規定、証取の百五十八条から百六十もありますが、それの運用は非常に緩やかなものになっているということで、これはセーフ・ハーバー規則ではなしに、直接規制が必要であるというように言っている学者があることは御承知のとおりであります。  私はここにいただいて持ってまいりましたが、あなた方も三年前のときには規則をいろいろおこしらえになったようであります。  しかし多くの学者が言っておりますのは、アメリカのSECが言っているルールは次のようなものを念頭に置いて言っていることは間違いない、こう言って、四つないし五つを言っております。これは、私が調べてみると、証券局が来ておられるようですが、証券取引審議会が平成六年二月七日に問題提起したものにほぼ符合しております。  それはどういうぐあいに言っているかというと、第一に、会社がブローカーまたはディーラーに発注して自己株式を取得する場合には、一日に一ブローカーまたは一ディーラーを利用することしか認めない。これは、複数のブローカーがいろいろ買って相場が非常に繁盛しているというようなことを防止するためである。これが第一。  第二には、会社による自己株式取得の取引を、その日の当該市場における最初取引として成立させてはならない。つまりこれは、いきなり初めからわんわん買い出すと非常に相場を上げるおそれがある。だから、仮にその会社が薄商いでだれも買い手がない場合には、自己株式取得をしようと思う会社も、それは待たなけりゃならないということになっていると聞いております。  それから、第三には、自己株式の買い付け価格は、証券取引所における取引については、その時点の第三者の買い呼び値の最高値と直近の売買価格とのいずれか高い方の価格を超えてはならない。あるいは店頭取引については、第三者の売り呼び値の最低価格を超えてはならないというようになっている。  第四に、ブローカーまたはディーラーを通ずる一日の自己株式の買い付け数量は、複数の市場がある場合にはすべての取引を合算して、買い付けがなされる週に先立つ四週間の当該株式の一日の平均取引高の二五%、これは株式自己買い付けで市場が支配されているというようなことの疑いを抱かれないようにというように言われております。  我が国で証取法のいろいろの操縦が、野村証券などを例にして後で質問しますが、こういうような規定が必要だという学者の意見についてはどう考えますか。大蔵省でも、だれでもよろしい。
  84. 山本晃

    山本説明員 お答えいたします。  御指摘のように、アメリカにおきましては、SECの規則一〇b−一八、いわゆるセーフ・ハーバー・ルール、これによりまして、今先生御指摘のように、自己株式の買い付けを委託する証券会社の数、買い付け時期、買い付け価格及び買い付け数量について一定のルールに従って自己株式の買い付けをする場合には、これらの事項を理由として相場操縦禁止規定の違反とされることはないというふうにされているわけでございます。  一方、我が国におきます相場操縦の禁止規定といいますものは、取引の動機等の主観的な要素あるいは売買取引に付随した前後の事情等を勘案してその適用の有無が判断されるという構成になっておりまして、取得価格、数量等の外形的な基準によりあらかじめ相場操縦違反とならない行為を類型として法令に規定することは難しいのではないかというふうに私ども考えております。  ただ、御指摘がございましたように、平成六年二月の証券取引審議会報告におきまして、SECのセーフ・ハーバー・ルールで示されているのと同様の項目について、相場操縦禁止規定に違反するとの疑いを招くような具体的な取引の態様というものが示されておりまして、これが、いわば避けるべき行為の一つの目安として機能し、公正な取引が確保されていくとともに、円滑な自己株式取得取引が行われていくことに資するのではないかというふうに私どもは考えているところでございます。
  85. 正森成二

    ○正森委員 今の大蔵省の答弁は、主観的意図などを中心に考えて、外形的な問題でやるのは我が国になじまないのではないかというのが、大きく言えば答弁の要旨であります。  しかし、最後の方であなたもお認めになったように、ここに「自己株式取得等の規制緩和に伴う証券取引制度整備について」という平成六年二月七日の資料があります。その該当部分を見ますと、こう言っているんですね。  例えば以下のような行為は相場操縦禁止規定との関連で問題が生じ得ることに留意する必要がある。特に、これらの行為が組み合わされて取得が行われた場合には一層問題が大きいと考えられる。  ○ 寄り付き前に前日の終値を上回る水準の指値で自己株式の買付けの委託を行うこと。  ○ 市場における取引終了時間前の一定の時間帯に自己株式の買付けの委託を行うこと。  ○ 多数の証券会社に同時に自己株式の買付けの委託を行うこと。  ○ 直近の約定価格又は買呼値気配を超える価格で自己株式の買付けの委託を反復継続して行うこと。  ○ 相場が一定の価格を下回ったときに自己株式の買付けの委託を反復継続して行うこと。というように書いております。  これはまことに当然のことで、これが一つ一つでも非常に問題でありますが、これらが幾つか複合的に行われるということになれば、これが相場操縦を実際上やることは非常にはっきりしております。  それで、私が言いますのは、これまではいろいろやるにしても、発行会社自身がそういうことに手をかすということはまずないということを前提にしまして、野村証券が大量推奨販売とかいろいろやって問題を起こしたことがありましたが、それは例外的の例外だというのが証券局あるいは証取審議会の考えでしたが、今度の場合は利益消却が一〇%、そのほかにストックオプション等で一〇%というように、しかもそれは上場会社だけでなしに、商法改正の場合には、公開されていないものも全部それを行うのですよ。  そういう場合に、今問題になっているのは、公開されているものの買い付け方法ですが、それについてやはり証券取引審議会が行ったこういう問題提起は、真剣に考える必要があるのじゃないですか。上場企業の、何でも規制緩和しろ規制緩和しろと言うだけでなしに、一定のルールに従ってやりなさい、それなら認めましょうという、相場操縦が行われない、あるいはインサイダー取引が行われない、そういう手当てをやはりやる必要が証券局にはあるのではないですか。
  86. 山本晃

    山本説明員 お答えいたします。  先ほども提案者の方から若干お話があったわけでございますが、今回のこの法案におきましても、一定の証取法の改正等の手当ても行われているわけでございます。おっしゃられましたように、今私ども、実は証券取引審議会の総合部会で市場改革の問題、いろいろと議論をしております。そこでは、いわばフリーの問題と、それからフェアという問題と、グローバルという問題、こういったことに整理してやっておるわけでございますが、今正森委員指摘の話は、まさにこのフェアの話であろうかと思います。私どももそういった問題意識を持ちまして、この総合部会で今御議論をいただいているということでございます。
  87. 正森成二

    ○正森委員 今まさに答弁がありましたフェアなやり方ということについて、十分配慮してもらいたいと思います。  そこで、さらに申しますが、法制上は、上場株式または店頭登録銘柄以外の株式につき、会社の計画のもとに自己株式取得がなされる場合の買い付け方法の規制考えておく必要があるのではないですか。今度の商法改正というのは、一般的に全部の株式会社について規制を緩めることになっております。そういう場合には、会社株主保護のためには、その旨を全株主に通知した上で、売却を希望するすべての株主から、同一価格、案分比例で取得される必要があるというように指摘している学者があります。公開のものだけでなしに、公開されていない株式会社の場合について、どう考えていますか。
  88. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 現行法の二百十条ノ二の規定におきましても、いわば公開されていない株式について自社株を譲り受ける場合につきましては、先ほども触れましたように、株主総会特別決議を要するということにしておりますとともに、二百十条ノ二の第六項でございますが、議案の要領を招集通知に記載をする、さらには、その七項におきまして、だれから買うかということが議案に出るわけでございますけれども、その買う相手方、すなわち売り主に自分も加えてもらいたいということを請求することができるという手当てが講じられておりまして、招集通知にはそういう請求もすることができるということを記載しなければならないということが六項に規定されているわけでございます。そういう形で、株主については、買い取るのであれば自分も売りたいということを請求する手続現行法上既に用意されているわけでございまして、今回のストックオプションのための買い取りにつきましても、この規定が適用になるということになっておると理解しております。
  89. 正森成二

    ○正森委員 今の説明だけではまだまだ不十分だと思いますが、一定の答弁がありましたので、次に移りたいと思います。  法務省の刑事局、お見えになっていますか。それでは伺います。  野村証券の不祥事ということが言われて久しいわけですが、野村不祥事は、これは私も質問しましたが、今から六、七年前の損失補てんのときに、大口投資家に百六十億円の損失補てんで利益を与えた。それだけでなしに、暴力団稲川会の元会長の関係企業による東急電鉄株の買い占めに絡む大量推薦で株価操縦を行った。その疑惑が発覚したために、これは国会で集中的に審議がされました。私は、たまたまそのとき大蔵委員でしたので、その審議に参加いたしました。議員立法提案者の中にもそのとき大蔵委員をしておられた方がおられるので、よく御存じだと思います。  ところが、今度野村証券の総会屋、これは利益供与を行ったわけですが、この利益供与は、不祥事で、このときに田淵、両田淵と言われておりますが、田淵氏が会長あるいは取締役社長を退任したわけですが、この田淵節也元会長と田淵義久元社長の取締役復帰に向けた株主総会、これが一九九五年に行われましたが、その対策がねらいだった。それから、もう一つは、これは連結決算で三百二十五億円の経常赤字を出した。その決算の承認をしてもらわなければならない。その承認をしてもらうために、総会屋に対して利益供与を行ったというように言われておりますが、これは、その点について問題意識を持って立件あるいは捜査をする予定ですか、あるいはその内容について伺います。
  90. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  野村証券をめぐる事件につきましては、東京地方検察庁におきまして、三月二十五日、証券取引等監視委員会とともに、証券取引法違反、これは損失補てんにかかわるものでございますが、及び商法違反、これは利益供与ということでございますが、その容疑で関係箇所を捜索するなどして、捜査を現在進めているものと承知いたしております。  捜査の具体的内容にかかわる事柄につきましては、現段階で法務当局として答弁を差し控えたいのでございますが、検察当局におきましては、今後同委員会と緊密に連携しつつ、所要の捜査を適正に進めてまいるものと考えております。その際、委員指摘のような、さまざまな社会的に関心のある面をも念頭に置かれていくものと考えております。
  91. 正森成二

    ○正森委員 今原田刑事局長から、証券取引等監視委員会と協力して適切に捜査をするという意味の答弁がありましたが、広く新聞紙上にも報道されているところでは、これは小池隆一社長の弟の名義で小甚ビルディングに不正な利益供与を行ったということのようで、しかもそれが九五年一月から七月までですが、野村の決算期の直前の三月十五日に三千八百万円事実上利益が供与された、あるいは二千八百万円分のつけかえは六月二十九日の株主総会の前後に集中して行われたということで、証券取引法違反だけでなしに、商法四百九十四条の、まさに利益供与という、両方の犯罪事実であるというように思われるのですね。  それから、きょうは時間の関係で申しませんが、そのほか、今問題になっておりますワラントでも利益供与をして三百万円相手側に利益を得させておる。これもまた九五年三月の決算の直前に行われたというように我々は報道関係で承知しておりますし、多分これは事実であろうと思います。そのうち、捜査が完了すれば起訴あるいは冒頭陳述で明らかになると思いますので、公開の席で捜査の関係のことを刑事局長はこれ以上言えないであろうというのは理解できますので、これ以上は伺いません。  そこで、私が申し上げたいのは、今度の商法改正は、これは、定款で授権されれば取締役会決議だけで利益消却がいろいろできる、あるいはまた一般のオプションの場合でも、これは通常の株主総会決議だけで発行済み株式総数の一〇%について将来十年間にわたって会社が取得することができるというようにするものなのですね。そして、その決定をしただけで、先ほど私も指摘しましたように、株価を上昇させる、そういうアナウンス効果があると言われているものなのですね。  そうだとしますと、取締役会が実際上こういう権限を持っておる、そしてその取締役に自分がなることについて、株主総会でぶつぶつ言われたらいかぬから、総会屋にスムーズに議案を通してくれということでこういう利益供与をするということになれば、これから、いずれ、幾ら通常の株主総会で決定されてやるのだからとか、あるいは取締役会決議だけでできるのだけれども、それは四分の三の特別決議定款を変えなければそういう権限を与えられないのだからと言いましても、そういうことをやろうとする取締役総会屋利益を供与して、そしてそういうのを変えさせれば、実際上は経営陣のやりたい放題ではないですか。  だから、こういう両田淵氏の復帰対策なんというのはもう言語道断でありますが、これは野村証券だけの問題ではありません。関係者がおられれば申しわけありませんが、そういう危険性をはらんだものが今度の商法改正でしょう。ですから、私は提案者に、そういう点についての対策を含めた証券取引法とかあるいは商法一般の手当てもやって、同時に出すだけの配慮をすべきではなかったかという問題を提起しているわけであります。  せっかく関さんもお見えになりましたので、これ何か、関さんの御担当ではないのですか。従業員に対する持ち株制度の奨励金とかなんとかいうのは、あなたではないのですか。
  92. 関要

    ○関参考人 先生の今の御質問の中にありました従業員持ち株制度というのは、証券界として、従業員の福利厚生に役に立つ、またそれによって株式市場の個人投資家というのもふえてくるだろう、こういう考え方でずっと推進をしてきたものであります。現在、上場企業でも店頭登録企業でも従業員持ち株制度導入している会社が九五%から九四%、こういう状況になっておりまして、引き続き推進していきたいと思っております。  それで、今奨励というお話がありましたけれども、これはそれぞれの会社が福利厚生の観点で従業員持ち株会に何がしか奨励的な金銭を払っている、そういう問題だと思います。
  93. 正森成二

    ○正森委員 ここに持ってまいりましたが、これは何か聞きましたら、証券取引所協議会の方の資料らしいですね。証券業協会ではないらしいですね、この資料、送ってもらったのですけれども、  それを見ますと、確かに、今まで奨励金の支給で、千円につき四十円から六十円奨励金を支給しているのが回答会社の五四%、百円から百五十円が二二・四%。これが九五年の数字で、ほんの二、三%の差ですが、大体そういう動きで推移しているのですね。これは、買い付け委託手数料や事務代行手数料に対する補助金を除いた額ですから、実際の補助金はもっと大きいわけですね。  あなたは今、これは福利厚生資金として出しているのだから性質が違うというように言われましたが、今株価に対する配当の割合は、株価に対して大体一%行くか行かないかでしょう。それが千円について六十円とか百五十円とかいったら、これは六%とか一五%ですから、非常に大きな額ですね。  もっとも、配当というのは毎年毎年もらうけれども、この手数料というのは一回限りだから、それを考えればそう大きくないという言い方もできます。しかし、福利厚生ということでそんなにたくさんの金を渡して、それで株を買わせて実際上官分の意見が通りやすいようにするというだけでも私どもは非常に問題であると思っておりましたが、今度一〇%にまで上げるということになれば、もっと大きな問題が起こるのではないかというような気がするわけであります。その点については、証券業協会ではどう思っていますか。
  94. 関要

    ○関参考人 従業員持ち株会に会社としてどれだけ支援をしていくかということは、それぞれの会社が御判断になる問題ではないか、こういうふうに思います。  今、今回の立法についての御質問が入っておりましたのでお答えいたしますけれども、証券界といたしましては、このストックオプション制度を早期に導入していただきたいというお願いをかねてからいたしておりまして、こういう形で早期に立法措置が講ぜられ、その際、商法証券取引法等の面で、ストックオプション制度をいわば悪用して、一般の株主、投資家が迷惑をこうむることがないように、いろいろな措置が講じられるもの、こういうふうに理解をしております。
  95. 正森成二

    ○正森委員 刑事局長に申し上げておきます。法務大臣にも申し上げるわけですが、私は大蔵委員が相当長うございましたので、野村証券の不祥事については、大蔵委員のときにも質問したことがあります。  ところが、今度報道されているのは、そのときの一番責任のあった両田淵がまたもう一遍復帰したい、しかも連結決算では赤字になった、そういうのを株主総会でいろいろ言われないために総会屋を利用する、そのためにこういう株価操作、利益のつけかえなんかをやるということですから、今度の法の改正趣旨からいいましても、本来の会社経営者のあり方からいいましても、言語道断のことだと言わなければならないのですね。こんな経営者がおる限りは、幾ら理念上は、それはストックオプションインセンティブを与えるからいいとか言いましても、我々はそれについても一定の異議は持っておりますが、仮に肯定するとしても、そんなものは全部無になってしまうような行動ですね。  法務大臣としては、余り先走ったことはお言いになれないかもしれませんが、こういうことについては、事務当局や検察がやはり断固として法の適正な執行を行うという決意を表明されて、いやしくもこういうことについて国民の疑惑を招くことのないようにされも必要があるのではないですか。
  96. 松浦功

    松浦国務大臣 全くお説のとおりだと思います。私どもとしても、努めてまいりたいと思っております。
  97. 正森成二

    ○正森委員 国税庁、来ておられますか。国税庁に伺いたいと思うのです。
  98. 八代英太

    八代委員長 主税局でいいですか。国税庁はおりませんが、主税局、審議官が来ております。
  99. 正森成二

    ○正森委員 それなら、主税局で答えてください。  今、あなたの答弁を私は委員席で聞いておりました。そうすると、質問者の質問に対して非常に慎重な答弁をされたと思います。  この前の三%の限度内で従業員持ち株会等に対して譲渡するために会社の取得が認められるということの場合でもいろいろな問題が起こりましたが、今度は利益消却で一〇%までできるということになりますと、税との関係、それからまた従業員取締役に対して新株引き受けあるいはワラント債の引き受けということをやりますと、それは利益が非常に出るから、それによってやる気を起こすということだから、利益が出なければ意味がないという制度になっておるんですね、提案者によれば。  ところが、それによって非常な利益が出る場合に、今たしか保岡さんだったと思いますが、御答弁によりますと、今までに行った、二つほどございますね、特別法で。ここにございますが、一つ特定新規事業実施円滑化臨時措置法ですか、もう一つ特定通信・放送開発事業実施円滑化法ですか、この二つですね。この二つの場合には、まさに主税局の審議官が言われましたように、これは非常に数が限られているのですね。特殊な場合で、それに対して一定の租税特別措置で特別扱いを行うということになっても、よかれあしかれ影響は少ないわけです。しかし、今度の場合は商法一般で、ばあっと広がりますからね。これは、租税特別措置で本当は対応すべきことでなしに、基本法を考えていかなければいかぬというぐらい広く大きな問題ですね。  少し資料は古いのですが、ここに持ってまいりましたのは、商事法務の一二八五号、一九九二年五月五日号です。これは、この前の商法改正のときに、多くの学者やあるいは経済団体連合会や証券経済研究所の関係者が集まって座談会をしているのです。その中で、税金の問題が指摘されまして、今度のように利益消却を行った場合に、これは通常のキャピタルゲインというように思うか、あるいは株主に対する利益配当である、みなし配当利益と見るかによっては税金の額がもう雲泥の相違なんですね。  ここでは二ページにわたって書いてありますから、これを全部読むと残りの時間がなくなってしまいますから、申しわけございませんが結論だけ言わせていただきますと、例えば高株価で、この場合は五つの会社をとっていますが、平均株価が八千二円だ、一株当たりの資本等の金額が六百六十円だというような場合に、八百二円で買ったというような場合を例にしますと、これはみなし配当所得ということでやりますと、一株当たり、中身をるる言わないで失礼ですが、千八百三十五円税金がかかる。ところが、キャピタルゲインとして扱われれば、一%でいいから一株八十円で済むということを言っているのですね。それからまた、株価が低いものにとっても、計算してみたら、同様に五、六倍差ができる、こういうぐあいに言っているのです。  公平といいますのは、これは今までに行われました特定の事業やあるいは郵政関係の事業との公平というのもありますが、一般の税金を納める庶民との間の公平ということを考えなければなりません。一般の庶民は、株を売ってキャピタルゲインを得た場合どころか、自分は何にも利益を得ない消費税だって五%取られるのですよ。そして一経費を差し引いて、経費といいますのは、サラリーマンの場合には自分だとか女房の基礎控除といったものですが、それ以外で、低い場合で一〇%、二〇%、ちょっと高いサラリーマンになりますと三〇%税金が取られます。ところが、幾らインセンティブを与えるといっても、こういう特別な制度をつくってもらって、株を売ったら一%しか税金がかからないというのでは、庶民との間の公平はどうなるのですか。郵政関係の特別な例とかそういうようなものと公平を考えて何とか考えてくれという趣旨にとれる質問もございましたが、そうじゃなしに、庶民との公平を考えれば、とんでもないことだというようになるのではないのですか。  あなたの今の答弁をお聞きしますと、税金の場合には所得税の問題になる、それが特別な例をやるとすれば租税特別措置法という例になる、そういう点は公平の原則から慎重に考えなければならないと思いますというのがあなたの答弁でしたね。あなたの言う公平というのは、ほかのこれまでに特別扱いをしてもらった会社との公平を言うのか、それとも消費税を五%取られている庶民との間の公平を言うのか、その点の本音をはっきりと聞いて、私の質問は、時間になりましたから終わらせていただきます。
  100. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答え申し上げます。  今先生のお話しになった税制の問題は、ストックオプションの課税ではなしに、みなし配当課税の問題というふうにお聞きいたしました。  もちろん、税といいますのは、公平が大切でございます。常に公平の観点から税制を見ていかなければならないというのはそのとおりでございますが、他方、いろいろな政策目的から今のみなし配当課税について申し上げますると、自己株式の取得、消却を促進することによりまして、まさに株式市場活性化が図られるのではないか、こういう政策目的から設けられているものでございます。  それから、その次に申し上げたい点でございまするけれども、一%のキャピタルゲイン課税がいささかおかしいではないかという御指摘もございました。私ども税制調査会での議論でも、やはり基本は申告分離、今二六%でございまするけれども、そのような方向に持っていくのが望ましいのではないかという考え方もございますが、これは、キャピタルゲインはキャピタルゲイン課税の話として今後検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  101. 正森成二

    ○正森委員 答弁の趣旨が必ずしも正確に理解できませんでしたが、キャピタルゲインとして課税するとしても、今キャピタルゲインというのが本当の意味で十分に課税されていないというのは多くの識者の言っているとおりでしょう。大体売買価格の一%でもいいという制度もあるんですからね。だから、そういう点は非常に問題であるという点を指摘したいと思います。  それから、あなたが今度の制度というのは株式市場活性化というような点を言われましたが、本当に株式市場活性化が今度のような制度だけでいいのかといえば、むしろ正攻法からいえば、我が国で個人株主が二〇%そこそこで法人の持ち合いになっているというのが我が国の証券取引所で非常な問題点になっておる。しかも、我が国の場合には、企業の配当性向が非常に低い、配当の割合が非常に低い。アメリカなんかに比べて格段に低いと言われておりますが、そういう基本点を変えないで、むしろ経営者の力や権力やあるいは利益だけを増進するような改正をして、それこそ日本資本主義が正常に、また末永く発展するのか。  私がこんなことを言うと、おかしいんじゃないかという顔をして笑っておられる方がおられますが、我が党も直ちに今の資本主義制度を変えようなんて思っておりませんので、ルールある資本主義で発展してほしいというのが我が党の基本政策でありますから、その点を申し上げておきまして、提案者が答弁がありましたらそれを伺って、私の質問を終わります。
  102. 保岡興治

    保岡議員 先ほど来、自己株取得、消却の方のみなし配当課税、これもこの消却制度を支える大きな力になるということは委員も御認識をいただいて御質問をいただいたと思いますが、その点について初めての答弁の機会ですので申し上げたいと思いますが、この点についても、平成十一年三月までみなし配当課税が凍結されてこの制度を支えております。これについては、提案者としましては、この制度がさらにアメリカで活発に自己株式取得、消却が行われて、これが委員も御指摘株式市場のタイト化というのですか、そういったものに役に立つということはわかっていただけると思いますし、ROEを高める一つ手段であることもわかっていただけると思います。  そういった意味で、日本証券市場もおっしゃる持ち合いの解消が進んでおります。関係のない会社から徐々に持ち合いを解いていこうとしている。これは市場に個人株主を呼び戻すためにも非常に大事なことで、そういった意味では、自己株式取得、消却というものはまたそういった持ち合い解消の受け皿にもなる、そういうことなども考えまして、当面、我が国では、平成六年に行われた自己株式取得、消却改正による道をさらに機動的、弾力的に行う措置までとって、そしてこの制度日本企業の活力や株式市場活性化につながるように、グローバルなビッグバンを控えた日本経済にとって必要な措置として定着するように、このみなし配当課税の凍結についても、これは恒久税制というわけにはいかないかもしれません。しかし、それなりの相当の期間この制度を維持する必要があると提案者としては考えていることを申し上げておきたいと思います。
  103. 八代英太

    八代委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  104. 八代英太

    八代委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、保岡興治君外八名提出商法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  105. 八代英太

    八代委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、保岡興治君外八名提出株式消却手続に関する商法特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 八代英太

    八代委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  107. 八代英太

    八代委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対し、横内正明君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び新党さきがけの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。横内正明君。
  108. 横内正明

    横内委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  本案の趣旨につきましては、既に当委員会質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。  それでは、案文を朗読いたします。     商法の一部を改正する法律案及び株式消却手続に関する商法特例に関する法律案に対する附帯決議(案)   本法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 会社の社会的責任の重要性にかんがみ、ストックオプション制度導入及び自己株式消却の促進に当たっては、インサイダー取引などの不公正取引に対して、証券取引法の厳格な適用を行うとともに、罰則強化を含む法整備について、諸外国制度や他の経済法規との均衡をも考慮しながら検討すること。  二 ストックオプションを付与するに当たり、株主の正当な利益を保護するため、株主総会決議を要求している趣旨株主総会意義について周知徹底を図り、また、会社関係者に対し、株主総会のあり方につき、一層の見直しを求め、株主総会がより適正に運営されるよう努めること。  三 ストックオプションに係る税制については、ストックオプション制度の一般化の意義及び適正・公平な課税の観点を踏まえ、平成十年度税制改正の過程において、その適切な取り扱いについて検討すること。 以上であります。  何とぞ、本附帯決議案に御賛同くださるようお願い申し上げます。
  109. 八代英太

    八代委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  横内正明君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  110. 八代英太

    八代委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松浦法務大臣
  111. 松浦功

    松浦国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ適切に対処してまいりたいと存じております。     —————————————
  112. 八代英太

    八代委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 八代英太

    八代委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  114. 八代英太

    八代委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十八分散会      ————◇—————