○正森
委員 それでは伺いますが、例えば三年前には今度の
改正よりもずっと幅の狭い
自己株式取得がありました。しかし、そのときでも、資料を見てみますと、多くの団体に
自己株式の取得及び保有
規制に関する問題点に対する各界意見を問うということで、十分な問い方をしたのじゃないですか。
ここに私は三年前の調査の記録を持ってまいりましたが、それを見ますと、各方面に調査を、意見を求めておりまして、その結果出てきた各団体の意見にはどんなものがあるかといえば、裁判所及び弁護士会から意見が出てきているのは当然として、各大学の法学部から二十団体、二十の法学部から
見解が出されております。
経済団体は二十団体で、もちろん経団連や同友会等々は入っております。金融機関も七団体、
中小企業が十六団体で、その中には、
日本商工
会議所はもちろん、東商、大商、名商、神戸商工
会議所、京都商工
会議所が入っておりますし、全国
中小企業団体中央会が入っております。あるいは、その他の
関係団体では、
日本公証人連合会や
日本公認会計士協会あるいは
日本税理士会連合会等々、およそ
考えられるところは全部入っているのですよ。それで論議をしたのです。
太田さんは、今非常に立派なことを言われましたが、むしろ
議員立法で、密室でなく開かれた場で参考人を呼んでそこで意見を求めるのが当然だと言われました。何やらの死なんとするやその声よしとか悲しとかいうことわざがありますが、失礼なこと言うわけじゃありませんが。それじゃ、この
議員立法の
提案で各界の学者を呼ぶ、あるいは法制審の重立った方を呼ぶというような日程があるのですか。今週でも呼ぶのですか。それなら
議員立法でも
審議を尽くした、国権の最高機関の役割を果たしたと言えますが、我々が
理事会で了承しているのでは、あるいは了承せざるを得なかったのは、私の
質問が済んだら採決するのでしょうが。あなたは何か
議員立法で多くの参考人の意見を聞くとかいうようなことを言葉ではそれは残るように言われましたが、実際にはやらないじゃないですか。
そのやらない
理由は何かといえば、えらい裏話をしては失礼ですから固有名詞はやめますが、早く参議院を済まして公布期間をせめて半月はとりたい、六月一日にはもう実施したい。なぜかといえば、六月二十七日に二千もの
株主総会が集中するけれども、そこで早く
定款を変えたい、定時
総会で
自己株式取得を決めたい、だからそれに間に合うようにやってくれというのでしょうが。
それは、国会の権威を高める
議員立法の重みを増すことじゃなしに、まさに財界の要望にこたえることじゃないですか。だから、トヨタでも小松でも、そのほかいろいろなところがもう既に日経なんかでわんわん言っておりますが、あの問題を起こした大和でさえ今度それに便乗することになっておりますが、もう今月中にできて六月一日から施行されることを目指してどんどん行動を開始しているじゃないですか。それに追われて国会で
審議が行われているのじゃないですか。どこに国会の権威がありますか。
私は、あえてこういう席で、長い間のおつき合いで、法務
委員会だけでなしに
大蔵委員会からもいろいろおつき合いをしましたから、これ以上はもう申さないことにしますが、私は、決して褒められたことではないというように思います。
議員立法を全部否定するわけではありませんが、それならそれで十分の
審議を行っていただきたいということを申し上げておきたいと思うのですね。
それからまた、もう
一つ言いたいことがあるのです。
議員立法はいいとしても、それには
関係の証取法、あるいは先ほど国税庁ですか、
審議官が言いましたが、税法とか、そういう
関係を総合的に
審議をして、そして矛盾のないようにやらなければなりません。
ところが、それがやられてないじゃないですか。この
法案を見たら、三つも四つもの
法案について所要の措置をとるなんてなっていますが、技術的にどうしてもとらなきゃならないことだけで、例えば後からこれから
質問しますが、こういう大量の
自己株買いを認めると、
インサイダー取引ももちろん心配ですが、
株価の
自己操縦、
株価操縦の問題がこれは非常に問題になるのです。それに対する手当ても行われてないじゃないですか。
証券局、来てますか。後で答えてほしいと思いますが、今回の非常に大きな
自己株の拡大について対処が行われてないでしょうが。
もっと言えば、この前のときに、「
自己株式取得等の
規制緩和に伴う証券
取引制度の
整備について」というのが
平成六年二月七日に証券
取引審議会公正
取引特別部会の報告としてありました。ここに持ってきております。それは
平成六年に一部
改正が行われましたが、ここで提起された重要な問題はまだ
改正されてないでしょうが。しかも、それに加えて、今度はその数倍にもわたる
自己株式の取得が行われているけれども、それに対する対策が行われてないでしょう。
ここに持ってきましたのは四月三十日付の日経ですが、「
経営監視強め
株主保護 自民が
商法改正へ第二弾 社外
取締役ら義務付け」という大きな新聞報道があります。これは、失礼ですが、今回
議員立法でやっている自民党の
議員でさえ、さえなんて言うたら失礼ですが、自民党の
議員さんが、このままではいかぬというのでこういうことをことしの臨時国会かなんかでやらないかぬと思っているのでしょう。なぜそれが待てないんですか。
私の見るところでは、社外
取締役らの義務づけとかそんなことだけでは不十分で、
証券取引法や、あるいはここに証券業協会も来てもらっていますが、そこの
自社株を買う場合に、買い方の方法ですね、それについてもSECなどと同様にルールを設けなければならない、こう思っておりますが、そういう手当てもなされてないじゃないですか。それで一方的に現
経営陣の
利益を守ることだけをやる。それで、それが非常な
活性化だとかいうことで、
会社債権者や他の
株主、あるいは一般の
中小企業、そういうものの
利益は守られるのでしょうか。そのことを私は非常に疑問に思わざるを得ないということを
指摘しておきたいと思います。
答弁があればしていただいたらよろしいが、大して答弁がなければ、次の問題に移りたいと思います。
〔
委員長退席、
横内委員長代理着席〕