○上田(勇)
委員 私も、マスコミの報道を
行政とか公的機関が規制するというのは、もちろん憲法で保障されました表現の自由、こうしたものにも踏み込む
危険性の極めて強いものであるので、必ずしも適当でないというふうに考えます。
大臣のおっしゃるとおりであるというふうに思います。
もちろん報道機関による自主的な良識ある取り組みに期待せざるを得ない面もあるのですが、同時に、こうしたチェックというのは、政府とか公的機関というよりも、やはり民間の非営利団体、諸
外国などの例を見ますとそういったところでチェックをしているというような例もありますし、いわゆる今言われておりますNPO等のそういう組織による
国民の監視能力、そういったものを高めていくことが重要なんじゃないかというふうに思います。
そこで、報道を規制するということよりも重要なのは、こうした報道によって
人権侵害が行われた場合にいかにしてその
被害者を救済するかということじゃないかというふうに思います。河野さんの場合には、比較的早い段階から弁護士を依頼して毅然とした態度で臨まれた、そして、そのことと、その後の
事件の
真相が比較的早い時期に明らかな方向になってきたということで、救済がある程度行われたというふうに思うのです。報道機関なども訂正記事などを多く掲載しましたし、その誤った報道に至った検証などの記事についても書いております。
ところが、河野さんが書かれているいろいろなものの中を見ますと、やはり河野さん、この期間に受けた精神的な苦痛、あるいは、河野さ人の方は当然のことといたしまして、やはり同じ
被害者であられた家族の方々の苦痛、そういったことについては全然回復されていないということを随所で述べられております。また、先ほど申し上げましたように、河野さんの場合はそれでもまだ私は多くの
事件の中では救われた方じゃないかというふうに思うのですが、ほかにはもっと泣き寝入りせざるを得ないようなケースも多くあるんじゃないかというふうに感じるわけであります。
先ほどから議論させていただいております
人権擁護推進法、その
審議会でも、
人権が侵害された場合における
被害者の救済に関する
施策ということが重要な
一つの柱になっております。こうした問題がとりわけ現代において重要な
人権問題になっていることを考えますと、ぜひともこれからこうした問題についても
法務省の方で積極的な取り組みを
お願いしたいというふうに考える次第でございます。
それで、ちょっと時間が押してきまして、もう一点お伺いしたいと思いますが、裁判官それから検察官の人数のことについて御見解をお伺いしたいと思います。
まず裁判官についてでありますけれども、先日、日弁連の方からも、裁判官の数が余りにも少ないために、裁判官が忙殺されていて、
国民が迅速で適正な裁判を受けられないような
状況にもう至っているというようなお話をお聞きしました。この増員を
裁判所の方から伺うのであれば、それは
事務のことなのかもしれませんが、弁護士さんの方からそういう御
意見が出ているということは、これはやはり本当に少な過ぎるんじゃないのかなということを考えるわけであります。
それで、いろいろと諸
外国の
状況、数字をちょっと比較すると、もちろんこれは
制度だとかいろいろな
状況が異なるので単純に比較するべきことではないのですけれども、それでも裁判官一人当たりの人が担当するというのでしょうか、一人当たりの
国民の数を比べてみると、
日本はヨーロッパの諸国に比べて圧倒的に裁判官の数が少ないというのが、もう統計的にもはっきりいたします。
今後、当然、
行政改革や
規制緩和、こうしたものをどんどん進めていきますと、従来
行政が担っていた役割、これが縮小していくわけであります。そうなると、司法、特に民事
関係の司法の役割というのは従来にも増して重要になるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、ぜひとも
国民の
権利が守られ、迅速で適正な裁判が受けられる環境が整う必要がある、また、それができなければ
行政改革もむしろ進まないんじゃないかということを危惧するわけであります。
今
国会では、
裁判所職員定員法の一部を
改正する
法律案、これが提出されておりますが、裁判官の定員は二十名の増員ということになっております。これではちょっと、到底足りないんじゃないかというような気がするわけであります。また一方、こうした指摘もあるのですね。最高裁は裁判官をふやすのに余り積極的ではないんじゃないかというような指摘が行われていたり、そういう
状況を踏まえたときに、裁判官の定員、人数につきまして、現状をどのように評価されていて、今後どのような方針で取り組んでいかれるのか、御
意見を伺いたいというふうに思います。