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1997-05-30 第140回国会 衆議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月三十日(金曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長  二田 孝治君    理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君    理事 栗原 裕康君 理事 田中眞紀子君    理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村  修君    理事 山元  勉君 理事 石井 郁子君       岩永 峯一君    嘉数 知賢君       栗本慎一郎君    佐田玄一郎君       阪上 善秀君    桜井 郁三君       島村 宜伸君    戸井田 徹君       中山 成彬君    柳沢 伯夫君       山口 泰明君    渡辺 博道君       井上 義久君    池坊 保子君       漆原 良夫君    旭道山和泰君       西  博義君    西岡 武夫君       三沢  淳君    鳩山 邦夫君       肥田美代子君    山原健二郎君       保坂 展人君    粟屋 敏信君       前田 武志君  出席国務大臣         文 部 大 臣 小杉  隆君  出席政府委員         文部政務次官  佐田玄一郎君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         文化庁次長   小野 元之君  委員外出席者         議     員 田中眞紀子君         議     員 河村 建夫君         議     員 住  博司君         議     員 中谷  元君         議     員 栗原 博久君         議     員 秋葉 忠利君         議     員 藤村  修君         議     員 山元  勉君         参議院議員   南野知惠子君         参議院議員   木宮 和彦君         参議院議員   馳   浩君         参議院議員   石田 美栄君         参議院議員   山下 栄一君         参議院議員   上山 和人君         参議院議員   本岡 昭次君         参議院議員   奥村 展三君         厚生省社会・援         護局施設人材課         長       井上 恒男君         文教委員会調査         室長      岡村  豊君     ————————————— 委員異動 五月三十日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     嘉数 知賢君   島村 宜伸君     桜井 郁三君   西岡 武夫君     漆原 良夫君   粟屋 敏信君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   嘉数 知賢君     阪上 善秀君   桜井 郁三君     島村 宜伸君   漆原 良夫君     西岡 武夫君   前田 武志君     粟屋 敏信君     ————————————— 五月三十日  著作権法の一部を改正する法律案内閣提出第  九一号)(参議院送付) 同日  地域のスポーツ環境整備充実のためのスポーツ  振興くじ制度早期樹立に関する請願相沢英  之君紹介)(第三三一三号)  同(遠藤武彦紹介)(第三三一四号)  同(鹿野道彦紹介)(第三三一五号)  同(北沢清功紹介)(第三三一六号)  同(今田保典紹介)(第三三一七号)  同(坂口力紹介)(第三三一八号)  同(櫻内義雄紹介)(第三三一九号)  同(中野正志君紹介)(第三三二〇号)  同(浜田靖一君紹介)(第三三二一号)  同(村井仁紹介)(第三三二二号)  同(森喜朗紹介)(第三三二三号)  同(越智通雄紹介)(第三三四九号)  同(田中和徳紹介)(第三三五〇号)  同外二十二件(玉沢徳一郎紹介)(第三三五  一号)  同(野呂田芳成君紹介)(第三三五二号)  同(濱田健一紹介)(第三三五三号)  同(浜田靖一君紹介)(第三三五四号)  同(林幹雄紹介)(第三三五五号)  同(藤本孝雄紹介)(第三三五六号)  同(目片信紹介)(第三三五七号)  同(森英介紹介)(第三三五八号)  同(山本公一紹介)(第三三五九号)  同(岩國哲人紹介)(第三三七九号)  同(遠藤武彦紹介)(第三三八〇号)  同(尾身幸次紹介)(第三三八一号)  同(川端達夫紹介)(第三三八二号)  同(岸本光造紹介)(第三三八三号)  同(小林多門紹介)(第三三八四号)  同(下地幹郎紹介)(第三三八五号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第三三八六号)  同(野田毅紹介)(第三三八七号)  同(濱田健一紹介)(第三三八八号)  同(原口一博紹介)(第三三八九号)  同(松下忠洋紹介)(第三三九〇号)  同(村上誠一郎紹介)(第三三九一号)  同(大野功統紹介)(第三四四六号)  同(下地幹郎紹介)(第三四四七号)  同(中山成彬紹介)(第三四四八号)  同(西田司紹介)(第三四四九号)  同(野田実紹介)(第三四五〇号)  同(原口一博紹介)(第三四五一号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第三四五二号)  同(相沢英之紹介)(第三四七三号)  同(越智伊平紹介)(第三四七四号)  同(大野功統紹介)(第三四七五号)  同(小林多門紹介)(第三四七七号)  同(櫻内義雄紹介)(第三四七八号)  同(下地幹郎紹介)(第三四七九号)  同(谷垣禎一紹介)(第三四八〇号)  同(谷畑孝紹介)(第三四八一号)  同(中野正志君紹介)(第三四八二号)  同(谷津義男紹介)(第三四八三号)  同(山本幸三紹介)(第三四八四号)  大学教員への任期制導入法制化反対に関する  請願肥田美代子紹介)(第三三四八号)  同(石井郁子紹介)(第三四四四号)  同(山原健二郎紹介)(第三四四五号)  同(石井郁子紹介)(第三四七一号)  同(山原健二郎紹介)(第三四七二号)  スポーツ振興くじ導入反対、国民のためのス  ポーツ振興に関する請願石井郁子紹介)(  第三四五九号)  同(木島日出夫紹介)(第三四六〇号)  同(児玉健次紹介)(第三四六一号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三四六二号)  同(東中光雄紹介)(第三四六三号)  同(不破哲三紹介)(第三四六四号)  同(藤田スミ紹介)(第三四六五号)  同(古堅実吉紹介)(第三四六六号)  同(正森成二君紹介)(第三四六七号)  同(松本善明紹介)(第三四六八号)  同(山原健二郎紹介)(第三四六九号)  同(吉井英勝紹介)(第三四七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  学校図書館法の一部を改正する法律案参議院  提出参法第四号)  小学校及び中学校教諭普通免許状授与に係  る教育職員免許法特例等に関する法律案(田  中眞紀子君外九名提出衆法第三一号)      ————◇—————
  2. 二田孝治

    ○二田委員長 これより会議を開きます。  参議院提出学校図書館法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺博道君。
  3. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 皆さん、おはようございます。これから質問をさせていただきますが、自由民主党の渡辺博道でございます。  最近は子供たちが本を読む機会が大変少なくなったというお話がよく聞かれるわけでございますが、その背景はと申しますと、いろいろあろうかと思いますが、やはりテレビやそしてファミコンや漫画、こういった、子供たちにとって大変魅力的な媒体がふえてきたということが一つの大きな理由ではないかというふうに思います。そしてまた何よりも、受験戦争に追われてゆとりのない学校生活を営んでいる、こういったことが子供たちの本離れの一つの原因ではないかというふうに思うわけであります。  確かにそのとおり私も考えているわけでございますが、大人たちの側から見れば、本を読む場所や指導者の提供、読書に関するこういった環境づくりをすることによって、子供たちは本をもっと愛する機会が得られるのではないかというふうに思うわけであります。今までのように知識を植え込むだけの教育から、みずから学び、考え、判断する力をはぐくむ教育へという転換を求められている今、子供の心を耕し、想像力思考力を育てる読書、そして学校図書館役割はますます重要になっていると思うわけであります。  このような観点から、学校図書館法の一部改正議員立法として提案なさいました先生方の御努力は大変なものであったと御推察いたします。本当に御苦労さまでございます。学校図書館充実は極めて今日的課題であると同時に重要な課題であるという観点に立ちまして、賛成の立場に立ち、この法律案質問を順次させていただきます。  学校図書館法は、もう既に御案内でありますが、昭和二十八年に制定された法律であります。この法律目的でありますが、第一条には、「学校図書館が、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であることにかんがみ、その健全な発達を図り、もって学校教育充実することを目的とする。」というような目的規定されてございます。  さらに、その定義の中には、学校図書館とは、「児童又は生徒の健全な教養を育成することを目的として設けられる学校設備をいう。」ということで、昭和二十八年というその時代背景からするならば、極めて先進的な規定であるのではないかというふうに思うわけであります。学校教育課程展開に寄与し、児童生徒の健全な教養を育成することを目的とするものというふうにうたわれておりますから、まさに、現在この教育改革の中で問われているそのものではないかというふうに思うわけであります。  この法律制定に当たりまして、立法の趣旨については、第十六回国会参議院文教委員会議事録においてこのように述べられております。「戦後の我が国は、教育制度改革を断行いたしまして、教育機会均等と、教育画期的振興とを図りまして、漸次その成果を収めて参つたのでございますが、」「学校教育におきましては、学校図書館設置されますことにより、」「学習指導の能率が高まり、自発的学習態度養成せられ、以て個性の伸展と教養の向上に資すること極めて顕著なるものがあります。」というような形で、学校図書館重要性を説いております。  それが今、法が制定されて四十年余りを経過しているわけでございますが、現在では、学校児童を取り巻く環境、その当時とはまさに大きくさま変わりしているわけであります。でも、学校図書館の大切さは少しも減ってはいない、むしろ、ますますこれからは重要になっていく、私はそのように思うわけであります。  今回法律改正して、学校図書館の一層の充実を図ろうとしているわけでありますが、これを契機として、今後の学校図書館にどのような役割を期待されているのか、法案の提出者にお伺いしたいと思います。
  4. 南野知惠子

    南野参議院議員 自民党の南野でございます。  ただいまいただきました渡辺先生からの御質問は、今後の学校図書館にどのような役割が期待されているか、学校図書館の意義ということについてのお尋ねかというふうに思っております。  今日の学習社会、または生涯学習社会情報化社会、そういったものの進展というものは、やはり学校教育あり方に対してもその転換を迫っていると思います。これからの学校の基本的な役割というものは、児童生徒に、生涯にわたって学習をし続ける基礎学力を身につけさせるとともに、みずから、必要な知識、技能そして情報を獲得し、さらに、主体的にそれらを判断し、そして行動できる資質それから能力、そういったものをはぐくむことが要請されているというふうに思っております。  このようなことから、これからの学校図書館は、児童生徒の自発的それから自主的な学習活動を支援し、教育課程進展に寄与する学習情報センターとして、学校教育の中で中核的な役割を果たすことが期待されております。  そのためには、学校図書館児童生徒の心のオアシスとなるように、ゆったりとしたスペースを設けたり、その隣には談話室を設けるなど、環境整備ということも必要であり、読書センターとしての機能充実していく、こういったものも不可欠になってくるというふうに思っております。  また、情報社会への対応に対しましては、学校図書館にもインターネットだとかパソコン、そういったものを導入しながら、さらに能力を育成するということも必要なことになってくるだろうと思っております。そして、ここで学んだことを生かすということが子供たちにとって大きな効果になってくると思います。  そういうことでは、インターネットパソコンを通じてお絵かきの下絵を出し、そして、それを高齢社会に持っていき、おじいちゃま、おばあちゃまたちとお絵塗りをする、また、世代間の交流を通して、こういうことがあるんだというボランティア活動精神というものもはぐくむことができるのではないかなと思っております。  学校校長先生のいわゆる発想転換から司書教諭先生方発想の広がり、それが子供たちに対して、もっと自発的な展開、自立、そういったものを育成することにつながっていくというふうに思っております。そういうものが学校図書館として整備されていくならば、そういうものが学校図書館のいわゆる発信基地として展開していく、そういった学校図書館あり方を私は思っております。  どうぞよろしく御審議いただきたいと思っております。ありがとうございます。
  5. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ありがとうございます。南野先生の思い入れ、この学校図書館に関する充実をぜひとも進めて、そしていろいろな機能を持ちます学習支援センター情報発信基地等、そしてまたボランティア中心的な役割を担うということで、大変すばらしいお話を聞かせていただいたわけでございます。  さて、このような重要な学校図書館でありますけれども、今後それをどのように充実していくかということになりますが、例えば施設の面であれば、今先生がおっしゃったように、子供たちがゆったりと読書が楽しめる、そして自由に楽しめる、そういったスペースが必要であろう。また、最新の図書資料をそろえて、どんな情報でも対応できるというようなことも必要であろうかと思うわけでありますが、こういった物理的な面もさることながら、やはり一番大事なのは人であります。その中心となる人の問題について若干質問をさせていただきたいと思うわけであります。  昭和二十八年に制定された学校図書館法において、図書館活動中心となる司書教諭の職が必置とされたことは大変すばらしいことであり、まさに先見性のあることだと思うわけであります。しかし、残念なことに、司書教諭設置附則第二項の規定により、当分の間置かないことができるとされたまま四十年余りがたってしまったわけであります。無論、附則第二項の規定があったとしても、原則としては司書教諭の配置をするということでありましょうし、それにもかかわらず司書教諭設置が進まないという状況は大変残念な気がするわけであります。  現在でも司書教諭発令率は、いまだ極めて低い水準にとどまっているというふうに聞き及んでおります。そこで、司書教諭発令数についてはどのような状況であるのか、また、司書教諭資格を持っている教員自体学校にどれくらいいるのか、さらに、司書教諭発令がこれほどまでに進まなかった理由は一体何なのか、これについてお伺いしたいと思います。
  6. 辻村哲夫

    辻村政府委員 三点のお尋ねがございました。  まず第一点の司書教諭発令状況でございますが、平成八年度現在、国公私立を通しまして、全体で五百二十四名ということになってございます。内訳といたしましては、小学校七十二名、中学校百十一人、高等学校三百三十六人、特殊教育学校五人という状況でございます。  それから、では司書教諭について資格を持った人はどのくらいいるかということでございますが、これは平成六年度の調査でございますが、公立学校につきまして、小学校中学校高等学校特殊教育学校、合わせまして一万二千五百六十九人となってございます。若干内訳を申しますと、小学校の一九・九%、中学校の二八・一%、高等学校の二七・三%、特殊教育学校の二六・三%という状況でございます。  この設置が進まなかった理由ということでございますが、私ども、平成四年に調査をいたしました。各学校において司書教諭発令が進まない理由は何かということで尋ねたところ、小学校中学校につきましては、学校規模等からして図書係等校務分掌で担当することで足りる、あるいは、有資格者はいるけれども学校図書館ではなくてほかの校務分掌を担当しているといった理由が高い率を占めました。高等学校につきましては、事務職員等図書館事務を担当しているので司書教諭発令は不要であるというような理由を挙げるところが多うございました。また、小中高共通理由といたしまして、小規模校のため、あるいはその方が学級担任をしているため、あるいは学校図書館法附則第二項によって、先ほど先生紹介されましたが、当分の間これを置かないことができる、こういう規定があるからという理由を挙げる学校が多い状況でございました。  これらを総括いたしますと、附則によって当分の間置かないことができるというのはあくまで特例であって、原則はすべての学校に置かれるということでありますけれども、附則の運用、解釈において、これは置かなくてもある意味で差しさわりがないというような理解がされていたというふうに思われる点、それから、学校図書館司書教諭に対します認識の問題、司書教諭を引き受けるということによって新たに負担がふえるということに対する抵抗感といったようなもの、こういったものが主な要因として挙げられるのではないか、こんなふうに私どもは分析をいたしているところでございます。
  7. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 そうしますと、やはり現場の方の認識がかなり低かったというのが一つの大きな理由ではないかなというふうに理解させていただくわけでございますけれども、こういった状況の中で今後どのように発令をしていくのか。法律改正によって平成十五年三月三十一日までには司書教諭設置するというふうな内容でございますが、これを具体的にどのような形で発令していくのか、今後の見通しについてお話をいただきたいと思います。
  8. 辻村哲夫

    辻村政府委員 この法律改正が行われますと、一定規模以上に司書教諭設置が義務づけられるわけでございます。平成十五年四月からは、そうした形で義務づけが行われるわけでございます。  一定規模以上をどのようなものに定めるか、これは政令で定めることになっておりますので、この国会審議での状況を踏まえまして政府として検討していくことになるわけでございますが、話を具体的に申し上げる意味一つ仮定を置きまして御説明をさせていただきますと、適正規模と言われております十二学級、それ以上の学校設置を義務づけるというふうにいたしますと、全国で小中高等学校あるいは特殊教育学校、四万二千校ございますが、そのうち十二学級以上の規模学校は約二万四千校ございます。それで、一校に一人ということですと人事異動の問題その他さまざまな支障が生じてまいりますので、仮に一校に二人というふうに仮定を置きますと、二万四千校の二倍ということで四万八千人の司書教諭が必要になるということになります。  それで、私ども調査いたしました結果では、平成九年時点で一万二千五百六十九人の有資格者がいるということでございますので、差し引きいたしますと、おおよそ三万六千人を平成十五年三月三十一日までの六年間で養成をしていくということになります。単純に六で割りますと毎年六千名ずつ養成をしていくというようなことになるわけでございます。  これへの対応でございますけれども、平成八年度、三十六大学で行っておりました講習の場を、平成九年度におきましては五十九大学にふやしております。また、この法律改正が行われますと、大学以外の教育機関におきましても講習をすることができるということになるわけでございます。私ども、こうした大学の場あるいは大学以外の教育機関場等を十分に活用いたしまして、ただいま申し上げましたような数の養成を図っていく。同時に、各県の教育委員会あるいは市町村教育委員会学校等連携を密にいたしまして、講習を終えた方から確実に発令をしていただくというようなことをこうした関係機関十分連携を取りながら促進してまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
  9. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ありがとうございます。  かなりの人数が必要だということでございますけれども、今大学が五十九大学ということで増設されたということですけれども、それ以外の機関というのは幾つぐらいありますか。
  10. 辻村哲夫

    辻村政府委員 現在の司書教諭養成あり方といたしまして、これは法律に書いてございますけれども、文部大臣の指定をした大学において講習を行い、その講習を受けた者が資格を得る、こういうふうになってございます。したがいまして、現在はこの五十九大学に限られているというのが現状でございます。
  11. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 改正した後、その想定はどのようにしているかということです。
  12. 辻村哲夫

    辻村政府委員 どうも大変失礼いたしました。  この法律改正が行われますと、大学以外の教育機関においても講習し得る、こうなるわけでございます。教育機関といたしましては、研修所教育センター博物館等いろいろあるわけでございますけれども、やはり司書教諭講習にふさわしいものとしては、私ども、各都道府県あるいは大きな市等に置かれております教育センターに委嘱をしてはいかがかな、こんなふうに考えておるところでございます。
  13. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 司書教諭役割というのは大変重要だということはもう私自身も認識しておるわけでございますけれども、こういった職責を十分果たすためには、司書教諭本人の力量ももちろん問題でありますけれども、校長先生や教師全体が司書教諭重要性学校図書館の大切さというものをどの程度理解しているかにかかわってくるのではないかと思われます。図書指導学校図書館利用について専門的な識見を有する司書教諭を取り巻いている学校内全体の協力体制をどのように整えていくか、司書教諭学校図書館業務に責任を持って携わっていけるような校務分掌の作業をどうしていくのかといった問題が重要だと思うわけでありますで  この点、司書教諭専任化ということも言われているようでありますが、そういった法制度自体改正しなくても、現在の司書教諭の担当する授業時間数を軽減したり、あるいは全く授業を持たせないという意味での専任状態にするという工夫は各学校でもっとされてもよいのではないかと思うのでありますが、文部省としてはどのようにお考えでありますか。
  14. 辻村哲夫

    辻村政府委員 司書教諭仕事は、教諭をもって充てられた先生が当たる、「司書教諭は、教諭をもって充てる。」こういうふうになってございます。そして、司書教諭仕事は、各学校内の校務分掌一つとして行われているものでございます。したがいまして、この司書教諭に充てられた先生仕事をどのように支え、円滑な司書教諭仕事がやれるように支えるかというのは各学校工夫にまたれているところでございます。  それで、私ども、平成四年の十月にその関連の調査をいたしておりますが、そこでは、小学校中学校につきましては一・四時間あるいは一・五時間授業時間を軽減する、あるいは高等学校では十一・八時間授業時間を軽減するというような対応が行われているところでございますし、また、司書教諭で担任を持っていない、担任を持たせないというような例は、小学校で二〇・四%、中学校で五八二一%、高等学校で九六・九%というような数になっているところでございます。  私ども国として、一律に、司書教諭に充てられた先生に対してこのようにという御指導と申しましょうか要請をするのは、校務分掌という意味でなかなか難しい点があるわけでございますけれども、ただ、司書教諭仕事重要性ということを十分に各学校において共通理解を持っていただきまして、ただいま御紹介いたしましたような授業時間の問題、その他さまざまな御工夫を各学校において行っていただくように、そういう御要請はしていきたいというふうに考えております。
  15. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 司書教諭充実して各学校に配置されることが学校図書館としても充実する内容だというふうに思うわけでありますが、片や、現在学校図書館の中に担当事務職員という方がいらっしゃいます。そういう人たちとのかかわり、この中で大変危惧しているという話があります。  一例でありますが、はがきを私もいただきまして、その中にこういう話があります。   今回の「改正」案は、司書教諭発令すると  いう内容ですが、現在クラス担任や授業をして  いる、司書教諭の有資格者に辞令が出るだけ  で、授業時間の軽減などの保障もなく、今でも  多忙な先生方に過重な負担をおわせることにな  ります。   逆に自治体独自で専任、専門の学校司書を配  直してきたことにストップがかかり、現職者の  首切りもかんがえられます。というようなはがきもいただいているわけでございますが、司書教諭が配置されると学校図書館担当の事務職員が削減されるだろうというようなこの危惧に対して、文部省はどのようにお考えでございましょうか。
  16. 辻村哲夫

    辻村政府委員 学校図書館におきまして勤務をしております事務職員、学校司書というふうに言われているケースもございますけれども、こういった方々は、学校図書館運営の中心でございます司書教諭を補佐をいたしまして、図書館の円滑な運営ということで、事務的、技術的な職務に従事をしておるわけでございます。  例えば、図書館サービスの職務として、館内の閲覧あるいは館外貨し出し、資料の利用案内といった仕事はこの学校司書の方々の仕事でございますし、また技術的職務として、さまざまな資料の発注あるいは資料の購入、廃棄に伴います会計上、経理上あるいは事務上のさまざまな処理というのはこの学校司書の方々に任されているわけでございます。  それで、司書教諭の職務は、主として教育活動という観点から学校先生が充てられるということからも推測されますように、教育に関する職務に携わるわけでございまして、学校司書は学校図書館の事務的な支えとして大きな役割を果たすということで、私どもは、職務の内容が違う、お互いに協力し合って学校図書館充実を期す、こういう立場にあるだろうと思っております。  したがいまして、今回の法律改正によりまして司書教諭発令が行われたといたしましても、そのことをもって直ちに学校司書の仕事が軽減されるとか必要なくなるとかということではない、こういうふうに認識をしているところでございます。
  17. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ただいま文部省のお考えもお伺いし、学校図書館充実を図る上ではお互いに共存していく、お互いに力を出し合っていくことがこれからの図書館充実にどうしても必要なものだというふうに私も理解きしていただきました。  さて、私が一番この法案の中で危惧している点でございます。それは、小規模校に対する考え方であります。  今回の法律案によりましては、平成十五年の三月三十一日までに司書教諭設置する、ただし政令に定める小規模校については当分の間というような記述でございます。この点は、基本的には教育というものはすべて国民が共通の土俵の上に立って、そして機会均等に受けられなければならない、そういった権利があるわけでございますが、私自身は、そういった、小規模校だというだけの理由によって学校図書館充実がおくれるということは、まさに教育そのものに対する差別ではないかというふうにちょっと危惧しているわけでございます。  私たちは、子供が同じような環境の中で育って、そして同じような教育を受けてまいっておりますが、この学校図書館重要性というもの、先ほど南野先生がおっしゃったように、これからの二十一世紀を担う子供たちにとって大変重要な役割を担うものであるというお話がありました。そうであれば、現在、全体の中の四割近いというふうに私も理解しておるわけですが、小規模校生徒たちはその恩恵をこうむることができないわけでございます。同じ時代を生きてきた子供たちにこういった差を設けていくことは、本来は私はあるべき姿ではないというふうに思うわけであります。  ただ、学校図書館法の一部改正というこの問題については、制定から四十年余りがたっていまだ十分な設置ができない、こういった現況を踏まえて、まずは学校図書館司書教諭設置することを最優先に考えた、まあやむを得ざる選択ではないかというふうに思うわけでございます。教育を受ける子供たち、その子供たちをぜひとも同じような環境の中で育てていきたいというその気持ちを文部省の方もお持ちいただきたいと思うわけでございます。  そしてまた、最後になりますが、ぜひとも提案者の南野先生に、この学校図書館法の一部改正の成立をもって、さらにこの図書館充実を今後どのように図って、どのように活用していくか、これをもう一度お伺いして、私の質問を終わりにさせていただきたいと存じます。
  18. 南野知惠子

    南野参議院議員 先生の大変含蓄あるお言葉をいただきました。先生の御期待に沿うように、我々は、この法案を通させていただいたならば、その次に待っている課題はいっぱいいっぱいあると思います。それを一つずつ通していく、一つずつ片づけていくことが二十一世紀を担う子供たちの夢を育てることになるのではないかなと思っております。先生の御示唆どおり、司書教諭が置かれましたならば、その方の活動をまって、さらにいい子供たち読書環境、さらには図書館環境というものを整備していきたいと思っております。  どうもありがとうございました。以上でございます。
  19. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ぜひとも頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  20. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、佐藤茂樹君。
  21. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 新進党の佐藤茂樹でございます。きょうは、参議院先生方、大変に御苦労さまでございます。  昭和二十八年にできましたこの学校図書館法改正して、学校図書館を何とか充実、活性化させよう、そういう思いで議員立法をされてきたこの御努力と、また五月の初頭に五時間以上おかけになってこの学校図書館法改正案について御審議されてきたことに対しまして、まず敬意を表したいわけでございます。ただ、参議院を通られた後も、やはりいろいろなところから声も上がっておりますが、今回の改正案に対してまだまだやはり若干の疑問や懸念というものを私どもも持っておりますので、そういう疑問や懸念、さらに今後の課題等につきまして、三十分でありますけれども、何点がお聞きをしてまいりたいと思います。  まず最初に、提出者の方にお尋ねをしたいのですが、今回、大きく二本の柱になる改正案を提出されたわけでして、その一つが、大学その他の教育機関司書教諭講習ができるようにするというものである、もう一つは、先ほど来の質問にもありました附則第二項の「当分の間、」というものを取っ払って「平成十五年三月三十一日まで」というように期限を切って司書教諭を置く、そういう形にされたということなのです。ただ、そういう内容は理解した上で、今までのこの文教委員会、先輩方が議論されてきた過去のものと若干内容が違うのではないのか、そういうことについてちょっとお尋ねしたいのです。  要するに、過去において、特に、第六十八回国会昭和四十七年、また第七十一回国会昭和四十八年に提出されて、それぞれ衆議院、参議院を、片方の院ずつ通過しながら審査未了となりました法案の改正ポイントというのを見ますと、どちらも学校司書の制度化問題に切り込もうという努力をされていたということが共通のポイントであったのではないのかな。もう一つの柱は、今回と同様、司書教諭の制度というものをきちっと整備するというものももう一つの柱としてあったのですけれども、その昭和四十六年、四十七年の第六十八回国会、七十一回国会でそれぞれ、衆議院を通過しながら参議院で審議未了となり、また参議院を通過しながら衆議院で審議未了となったものを見ますと、どうしても学校司書の制度を何とか設けたい、そういう過去の先輩の思いがあったように思うわけですね。  しかしながら、今回の法案については、その問題に触れずに、冒頭に申し上げましたように、何とか司書教諭設置の促進というところに力を入れよう、そういう観点が非常に強いと思うのですけれども、何ゆえ過去の改正ポイントであったこの学校司書の制度化問題に今回の改正案では切り込まれなかったのかまずその点につきまして、提出者にお考えをお聞きしたいと思います。
  22. 山下栄一

    ○山下(栄)参議院議員 発議者の一人の平成会の山下でございます。  佐藤委員の大変鋭い質問でございまして、私よりも木宮先生に答えてもらいたいと思っていますけれども、答えさせていただきたいと思います。  先ほど南野発議者からもお話がございましたけれども、今回の改正案は完璧なものじゃない、やらなきゃいかぬことがいっぱいあるけれども、ともかくまず第一歩なのだと。ほとんど発令されてこなかった司書教諭発令できる体制にしよう、そういう法改正である、たくさんの課題はこれから検討していかなければならないというお話であったわけでございまして、まさに今おっしゃったいわゆる学校司書の問題もその一つではないかな。先ほども局長学校司書と言っておられましたけれども、この言葉そのものもまだちゃんと認定されていない言葉であるわけでございます。  先ほどの議論にもございましたように、昭和二十八年にこの非常にすばらしい法律ができた。学校には学校教育に必要不可欠な施設として学校図書館が大事だ、そのためには専門家としての司書教諭が必要である、そういうふうに法律には書いてあったわけでございますけれども、日本の教育の基本的な方針の変化もあったのではないかと私は思うわけでございます。体験学習と系統学習という大きな二つの流れが、いろいろ紆余曲折がございまして、最近またこの体験学習観点というのが大きくクローズアップされて、新しい学力観という観点からの位置づけの中でこの学校図書館役割が大きくまた見直されている、そういう時期ではないかなと思うわけでございます。  今お話がございましたように、いわゆる学校司書の問題は、昭和四十年代後半に検討されたことがあり、法律の中でも案として出てきたことはあった。ただ、今申し上げましたように、基本的には、学校図書館は死んだままというかそういう状況がずっと続いていた。そんな中で、最近また、発令されていない司書教諭のかわりとして学校司書といいますか学校図書館担当事務職員の配置がずっと進んできておるという状況があるわけでございます。  したがって、全国的な広がりの中で、勤務形態そしてどういう資格の人を事務職員として配置するかということ、これも全部地域によってばらばらの状況がございまして、まず司書教諭の位置づけと、具体的な活躍の中で、いわゆる事務職員の位置づけをどうしていくか、学校司書をどうしていくかということもきちっと検討していかなければならない、今後の検討課題である、こういう観点から、とりあえず今回の法改正は、第一歩として司書教諭発令の促進のための法改正から始めよう、こういうことになったという位置づけでございますので、どうぞ御理解をお願いしたいと思います。
  23. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今、提出者の方が代表して、今回の改正案で完璧なものじゃないのだ、まず第一歩であって、特に、いわゆる学校司書と言われる方々の問題については今後の検討課題である、そういう答弁がございましたけれども、いわゆる学校司書、学校図書館担当職員と言った方がいいのでしょうか、そういう方々のことについてもう少しやはりこの質疑の中で明らかにしていきたいわけです。  今、全国各地で、学校生徒の御父兄の皆さんであるとか市民の皆さんなどの熱意によりまして、各自治体において、財政状況は大変厳しい折ながら、学校図書館に自治体の単独予算、単費によって職員を置いていこう、そういうことをやり出している自治体というのが年々ふえております。  私も先ほどお答えになった山下先生と同様に大阪に住んでおりますけれども、大阪府下でも平成に入って年々広がりを見せておりまして、例えば、北からいくと箕面市とか豊中市とか池田市、高槻市、羽曳野市、町でいうと豊能町、熊取町、五市二町ですけれども、そういうところがどんどん独自の単費で職員を置かれていっている。その中でも、特に豊能町なんかはもう、学校数が少ないこともありますけれども、小中全校で設置しているという、そういうところもあるように聞いております。きょうお越しになっている先生方の中でも、大阪以外でも、石田美栄先生のところの岡山市なんかはさらに進んでいるというようなお話も聞いておりますけれども。  まず文部省にお聞きしたいのですけれども、いわゆる学校司書と言われる学校図書館の職員がどのくらい配置されているのかということを、簡潔で結構なのですが、小中高別、さらには正規職員、非正規職員別にお答えいただきたいと思います。
  24. 辻村哲夫

    辻村政府委員 学校図書館担当事務職員、いわゆる学校司書の数でございますが、私ども、平成四年時点の数字でございますが、小学校三千六十七人、中学校千四百四十三人、高等学校二千九百三十二人、特殊教育学校七十一人、合計七千五百十二人というふうに把握をいたしております。  また、正規職員の関係でございますが、これはちょっと時点が違いまして恐縮でございますが、平成七年時点での公立学校を対象にいたしました調査では、正規職員を置く学校は、小学校三五・一%、中学校三八・七%、高等学校の全日制が八六・七%、定時制が八二・三%、こういう数字を承知いたしております。
  25. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今、全体で、平成四年の段階で七千五百人を超える方がいわゆる学校司書という立場でお働きになっているという話でしたけれども、大阪の声だけですけれども、この五市二町なんかでどんどん広がりを見せている、そういうところの方々の声を聞きますと、学校司書と言われる方々の果たしてきた役割というのは、非常にやはり教育現場において大きなものがあったのではないのかな、またあるのではないのかなという、そういう感想を持っているわけです。  この職員の方々の努力によりまして、まず一つは、やはり本当に目をみはるほど子供たちが生き生きと学校図書館を利用する様子というもの、私もお話を伺いましたし、また逆に、教師の皆さんが調べ学習といいますか、さまざまな資料を使って豊かな授業展開が実現して、まさに現行の学習指導要領にありますように、子供たちがみずから学ぶ方法を知って、また学ぶ楽しさを体験するということが可能になったという、そういう話もどんどん聞いておるのです。  まず文部省として、先ほどの御答弁とちょっと重なるかもわかりませんが、このいわゆる学校司書と言われる職員の皆さんの持っている職務、またその役割をどのように認識されているのか。また、そういう意味でいうと、先ほど申し上げましたように、自治体で単費で配置されている状況というのはどんどん広がってきているわけですね。このことをどのように評価されているのか文部省にお聞きしたいのと、その後、提出者の方にぜひ、自治体でそういう広がりがどんどん出てきているということも今回の議員立法提出者としてどういうように評価されているのか、重ねてお尋ねをしたいと思います。
  26. 辻村哲夫

    辻村政府委員 学校図書館担当事務職員の仕事は、いわゆる司書教諭仕事を補佐して、その学校図書館の運営の円滑な実施という点で大変重たい仕事をしているというふうに認識をいたしております。  「司書教諭は、教諭をもつて充てる。」ということで、学校教育活動全体の中で学校図書館をどのように活用していくかという、そういう大きな方針と申しましょうか、教育的な側面からその企画立案等に携わるということが大きな仕事になるわけでございますけれども、そうした各学校の方針のもとで、その学校図書館を、いかに円滑に子供たちや教師にサービスを提供するかという点では、この学校事務職員の仕事は大変大きいと思っております。  その仕事の中身としては、先ほどお答えいたしましたので繰り返しませんが、学校図書館のサービスの提供という点と、それから学校図書館を最善の状態で維持していくという面での職務、大きくこの二つの職務に分けられるというふうに我々は理解しているわけでございますけれども、その二つの仕事を通しまして、今申し上げましたような学校図書館の円滑な運営という点で重責を担っている、こういうふうに理解をいたしております。  そして、各自治体の努力によってこれが広がっているということは、との学校図書館の事務職員の仕事というものの重要性がそれぞれの自治体において評価されているその結果であるというように認識をいたしております。
  27. 山下栄一

    ○山下(栄)参議院議員 佐藤委員から具体的なお話がございましたように、死んでいた図書館、かぎのかかっていた図書館に人を配置することがいかに大事かということを、いわゆる事務職という立場であるけれども、自治体の努力で配置されたことがやはり学校図書館役割重要性ということを訴えているというふうに私は評価しておるわけでございます。  その事務職の具体的な闘いによりまして、授業改革につながり、そして子供たちが元気になる。場合によっては不登校の生徒までも学校に来るようになったというふうなこともあるわけでございまして、自治体の独自の予算で、費用で、もちろん住民の方々の強い願いもあったと思いますけれども、具体的な人の配置が行われてきたということにつきましては、本当に大変な闘いであったなということを評価しておるわけでございます。  以上でございます。
  28. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今、文部省局長さんも、また提出者の皆さんも口をそろえて、いわゆる学校司書という立場で働いておられる方々の果たしている役割というのを非常に強調されているわけでございますが、しかし先ほど自民党の先生質問されましたけれども、現場では本当に、そういうここでの評価とは別に、今回の改正によって司書教諭が配置されることによって、逆にそういう学校司書の職というか職務というのがどんどん奪われていくのではないのかという、そういう不安や懸念というものが出ているわけです。  大阪府下の先ほど挙げたような市の中でも、具体的、間接的にであろうと、学校司書の方に対して、あなたたちは今回この司書教諭が配置されるまでの間ですよ、そういうニュアンスのことを言われたというような声も私は聞いておりますけれども、そのような現場での不安や懸念というものに対して文部省としてはどのように考えておられるのか。特に、今回の法改正の趣旨を自治体がどう理解するのかということが一番のポイントになってくるのではないのかな。  要するに、先ほど局長さんもおっしゃっていましたけれども、いわゆる学校司書と言われる方々の職務とか役割と、この司書教諭と言われる、今回置かれていく司書教諭の方々の職務、役割を誤解し、また混同するような自治体が出てくると、これはもう大変な、いわゆるどちらかというと弱い立場にある学校司書と言われる方々は不利な状況に追い込まれる。  そういう意味で、今回のこの法改正をきっかけにして、特に学校司書の任用権者である自治体に対して、文部省として何らかの措置であるとか指針というものを出ず必要があるのではないかな、そういうふうに考えておるのですが、文部省の見解をまずお聞きしたいと思います。
  29. 辻村哲夫

    辻村政府委員 今回の法改正で行われますことは、一定規模以上の学校司書教諭の配置を義務づけるということでございます。その司書教諭は一定の講習を受けた教諭の中から発令するということでございまして、専らいわゆる教育に携わる教育職の中におきます改善措置であるわけでございます。したがいまして、先ほどから御説明申し上げておりますように、学校図書館で事務を担当しておる職員とは別の問題として今この学校図書館法改正が御議論されているというふうに思います。  今、先生から御指摘されました点はほかの場でも御指摘を受けたことがございまして、私どもも、今回の法改正の趣旨というものを、成立の暁には、各県の教育委員会等を通しまして学校にきちっと伝えるということが大変重要なのではないかというふうに認識いたしております。
  30. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、そういう趣旨を伝えて、今回学校司書の皆さんが不利にならないような状況をつくるだけではなくて、現に文部省としても、先ほど提出者も言われていましたが、学校図書館に人が配置されるということによってどれだけ学校図書館が活性化され、またそれが具体的に小学校中学校、高校の教育現場を変えていったのかという事例をさらに研究していただいて、今自治体が進めているような単費による施策というものをさらに文部省としても支援する、そういう具体策をぜひ今後とも前向きになって考えていただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。  先ほど自民党の委員の方の質問に対しまして、司書教諭発令ということで文部省として答弁された。これは、平成四年の調査に基づいて答弁をされたと思うのですけれども、ずっと司書教諭発令数の推移というものを見ていきますと、今の状態というのは先ほど御答弁されたので、重なるのでお聞きしませんけれども、昭和三十年代から四十年代の初めにかけては今に比べて非常に多かったのですね、発令数というのは。年に四百を超す発令小学校なんかでも行っていた時代というのが十年ぐらいあった。ところが、一時また下がってきて、四十九年にぼんと発令数が四百近くなった後、ずっと右下がりに下がってきて、最近はもう小中高ともにほとんど二けたの前半、五十前後でずっと来ている、そういう状態になっておるのです。  そこで、まず基本的なことをお聞きしたいのですけれども、そもそも司書教諭発令というのはだれがされるのか。だれがその発令の権限を持っているのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  31. 辻村哲夫

    辻村政府委員 司書教諭発令いたしますのは、司書教諭講習を修了した教諭の中から、校長または教育委員会発令をするというふうになってございます。
  32. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今、御答弁の中で、校長または教育委員会発令するということになっているということなのですけれども、これは何か文部省として出されたきちっとした通知というのがあるのですか。
  33. 辻村哲夫

    辻村政府委員 一つの指導の手引のようなものの中に、発令一つのモデルの例というような形で、校長または教育委員会発令する書式のようなものを示して通知をした例がございます。  それに従いまして、各市町村では、市町村の教育委員会発令する場合もございますし校長が発令する場合もある。ちょうど主任につきまして、各種のさまざまな主任がございますが、それぞれの市町村によって、教育委員会発令する場合もありますし校長が発令する場合もあるわけでございますけれども、それと同じような扱いがこの司書教諭についてもとられているということでございます。
  34. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今の御答弁ですと、要するに、司書教諭発令されなかったのは、ケースによって違うのでしょうけれども、市町村の教育委員会か校長の判断によって発令されなかったということで、どちらが一体責任を持っておったのかということが一言で言うとはっきりしないわけですね。余り時間をかけたくないのですけれども、もう一回確認したいのです。これは私の認識していたのと違うので、もう一回明確に答弁いただきたいのです。  これは、昭和三十二年五月二日に出されている、各都道府県教育委員会あての初等中等教育局長の通達というのがありまして、「司書教諭発令について」という文書なのです。これは、山口県の教育委員会から照会があったことに対して回答を寄せられていて、それを御参考までに送付しますということで各県に打たれているのですけれども、その中の抜粋ですが読みますと、「発令について」「県費負担教職員たる教諭司書教諭に命ずる場合の発令者は、当該市町村教育委員会である。」こういうふうに明確に言われているのですね。  先ほどの局長の答弁ですと、教育委員会または校長というように言われているのですけれども、私の調べた限り、そういう文書はなかったわけです。一体いつ変わったのですか、この昭和三十二年の段階から。
  35. 辻村哲夫

    辻村政府委員 ただいま先生御指摘のとおりの通知は承知いたしております。  ただ、平成四年に私ども学校図書館の現状に関する調査を行いまして、その調査結果を各県の教育委員会を通しまして市町村教委あるいは学校にお知らせする、そういう通知を平成五年十月二十七日に発しております。そのときに、こういった通知を出してございます。  「司書教諭は、」と言って、中間はちょっと省略いたしますが、「校務分掌一つとして発令されるものであり、」云々とありまして、「したがってその発令は、服務監督権者である教育委員会又は校長が行うものであること。」こういうような通知を発してございます。  今先生から御指摘いただいた通知とこの平成五年の間につきましてはちょっと詳細を把握しておりませんが、平成五年の時点では、このような通知を発しているということでございます。
  36. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 要するに、昭和三十二年から平成五年まで、平成五年の段階でいつの間にかそういうようにぱっと校長もという形で入れているわけですけれども、私は、今回法改正になったとしても一体だれが責任を持って、市町村の教育委員会なのか校長なのか、どちらが責任を持ってこの法改正の趣旨にのっとってきちっと司書教諭が配置されるようにしていくのかというのは非常に大きなポイントであるのではないかというふうに思うのです。  これは、同じく、先ほどから土台として出されている資料にもありますが、平成四年の調査でも、司書教諭資格者がいる学校があるにもかかわらず、市町村において、また都道府県において、全く発令していないという割合が非常に高いのですね。有資格者がいるにもかかわらず、都道府県では九三・六%が全く発令されていない、市町村でも九八・四%が全く発令されていないのですね。  なぜそういう状態が起きてきたのか。確かに附則第二項というのが法令上あったといっても、現場において、教育委員会の責任だったのか、それとも校長に責任があったのかということは、そういう反省に立たないといけないでしょうし、これからの法改正にのっとっても、教育委員会なのか校長なのか、どちらが責任を持ってきちっとこの司書教諭を配置していくのかわからぬ、そういう状態を放置していくのはよくないと思うのですけれども、もう一度文部省としての見解を伺いたいと思います。
  37. 辻村哲夫

    辻村政府委員 これまでは当分の間ということであったわけでございますけれども、平成十五年四月一日以降は一定規模以上には設置が義務づけられる、それに反すればこれは法律違反であるという状態になるわけでございます。  したがいまして、私どもとしてはきちっと養成養成として行う、その講習を受けた人が確実に発令されるということが大変重要であるわけでございます。したがいまして、だれがきちっと責任を持って発令を行うかということは大変重要なことでございまして、私ども、十分考えていかなければいけないと思います。  ただ、やり方といたしましては、これは学校内の校務分掌なものでございますから、教育委員会が形式的に発令するというふうにするか、あるいは校長の意見を聞いて教育委員会発令するとするか、あるいは規模にもよると思いますけれども、教育委員会から委任をして校長が発令するか、いろいろな形が考えられると思いますが、いずれにしろ、学校内の校務分掌の現実というものを踏まえた対応が行われなければいけない。  そういう意味で、私どもといたしましては、発令権者をどういう名義にするかということも大変重要でございますけれども、各学校教育委員会がしっかりと連携をとってこの法律の趣旨をきちっと踏まえた運用をする、このためにきちっとした連携協力を図っていく、こういうことにつきましては、十分に意を用いてまいりたいというふうに思います。
  38. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この校務分掌のことについては、本当は時間があれば、あいまいな部分や、また改正の余地があるので聞きたかったのですが、時間もないので、あと二分ほどでもう一つ。  先ほど自民党の先生質問されていたのですが、いわゆる小規模校というものの目安を局長が答弁されて、十一学級以下なのだ、これは学校教育法施行規則十七条に標準学級というものが出ていて、それに基づいた話だと思うのです。しかし、それでいくと、小学校は、全小学校の四九・七五%が小規模校とされる、さらに、中学校は四七・八%が小規模校とされる。一言で言ったら五〇%に近いわけです。約半分が小規模校とされて、今回せっかく法改正したにもかかわらず、この司書教諭の配置というのは当面は見送られていく、そういう状態になっているのです。  私は、これはやはり何とか変えないといけないのじゃないか、最初からそういう目安を文部省がこの質疑の中で答弁するというのはやはりおかしいのじゃないのかなと。  というのは、要は、毎年六千名の司書教諭養成とか発令というのは、もっと超えることができると思うのですよ。それは、今回の法改正の趣旨を学校現場にきちっとおろして、教員の皆さんが、自分も司書教諭重要性というものをきちっと自覚して、なろう、やはりそういうやる気を起こしてもらうかどうかということがまずポイントであると思います。さらには、今回の改正によって、講習会場も五十九大学プラスアルファで、各教育センターなんかずっとふえるわけですね。  だから、一言で言うと、教員の受けよう、受講しようというやる気と、受講会場、さらには講師の問題をクリアすれば、さらにふやすことができるのじゃないのかな、それを平成十五年というようなことで区切らずに、やはり、どれだけの学校に対して置くのか、そういうことを優先した方がいいのじゃないのかと。例えば、少なくとも全学校の三分の二とか、全学校の四分の三はこの司書教諭を配置していきましょう、やはりそういう展望を持って司書教諭を配置していくような流れにしないと、せっかくの法改正でありながらこの趣旨が勝手に文部省令によって半分にとどめられる、そういうことはよくないのではないかなという懸念を持っているのですけれども、文部省の見解をお聞きしたいと思います。
  39. 辻村哲夫

    辻村政府委員 十分な説明ができずに誤解を与えたかもわかりませんが、もちろんこの規模は政令で定めますので、その政令で定めるのは、ここでの、さまざまな国会の御審議等を踏まえまして政府として決定するわけでございます。ただ、話を具体的に説明するという意味で、一つの目安として先ほど御説明をいたしました。そういう計算を仮に置きまして、六千名の養成が求められる、それはなかなか努力を求められる数でございますということを申し上げたわけでございます。  今後、国会の御審議等を踏まえまして、この政令改正について検討させていただきたいと思っておりますが、これまでのいろいろな経緯や大学のキャパシティーの問題その他いろいろ考えますと、毎年六千名を養成していくということも、これまたなかなか努力の要ることであるということでございまして、そういった、実質的なと申しましょうか物理的な能力というような問題もこの規模を定める際には大きく考慮しなければならない要素であろうということだけは御理解を賜ればというふうに思う次第でございます。
  40. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 三十分というのは短いもので、もう時間が参りましたが、ともかく、提出者も最初に言われていましたが、まず今回の改正が第一歩である、また、今後の学校図書館の活性化、充実のために我々衆議院もやはり知恵を出して、さらに改正する余地があるのならば変えていきたいと思いますし、今回の法改正に基づく問題でも、ぜひ文部省の方として、今回の法改正の趣旨にのっとった運用がきちっと各自治体、学校現場でされるようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  41. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、西博義君。
  42. 西博義

    ○西委員 学校図書館法の一部改正に当たりまして大変な御尽力をいただいてまいりました参議院の提案者の先生方に、まずもって感謝を申し上げたいと思います。  また、さらには、お忙しいところ大臣にもお越しいただきまして、ありがとうございます。  早速質問に入らせていただきます。  まず初めに、今回のこの学校図書館法の一部改正に当たって、教育における学校図書館の位置づけについて大臣にお聞きをしたいと思います。  二十一世紀を展望した我が国の教育あり方を審議しております第十五期の中央教育審議会、この一次答申にこういうふうに書かれております。先ほどもちょっと例が挙がりましたが、自分で課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力養成する、そして、そのために学校は、知識を教え込む教育から、みずから学び、みずから考える教育を通じて、ゆとりの中でみずから生きる力を育成する教育を重視していく、こういう趣旨だと理解をしております。  急激な変化を遂げる現代社会にあって、我々の得た知識というのはすぐ過去のものになってしまいます。こんな社会にあって生きる力を育成するということは、もちろん基礎的な知識を習得するということは大変重要なことでございますが、その上に立って、自分で問題あるいは課題を解決する方法を身につける、これがこれからの我々の生き方にとって大変重要なことではないかというふうに確信をしております。  そのためには、学校教育においてこの図書館の果たす役割は大変に大きい、また、今後さらにその役割は増していくのではないかと私自身は思っておりますが、大臣は、これから二十一世紀にかけてこの学校図書館に何を期待されるのかということをまずもってお伺いしたいと思います。
  43. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 おおむね西委員が発言された内容に私も同感でございますが、特に、今までの教育、一方的に教え込むという姿勢から、これからは、子供たち一人一人が考え、そして調べ、学習して判断していく、こういうことが物すごく大事だと思っております。  そこで、学校図書館を整備するということは、そうした子供たちが、情操の面あるいは豊かな心をはぐくむという点からも重要でありますし、また、主体的に勉強する、こういうことの習慣をつける絶好の場であろうと思っておりますので、私どもは図書館充実にこれからも努力してまいりたいと思います。  ただ、従来のように画書の充実だけではなくて、最近は高度情報化社会ということでありますから、図書以外のソフト、あるいはコンピューターというようなハード、そういったものも備えていく必要があるのではないか、こう考えております。
  44. 西博義

    ○西委員 さらに中教審の答申の中の項目をちょっと引かせていただくのですが、第二部「学校・家庭・地域社会の役割連携の在り方」、この中で、「高度情報通信社会の進展を踏まえ、学校教育の質的改善や情報教育に資するため、情報のネットワーク環境の整備や学校図書館充実などに積極的に取り組んでいく必要がある。」と、学校図書館充実の必要性が強調されている箇所がございます。  文部省は、この答申の審議と歩調を合わせて学校図書館充実に取り組んできたというふうに承知をしております。細川政権が発足した平成五年度から、学校図書館図書整備新五カ年計画が開始されておりまして、今年度で最終年度だと思いますが、合計で五百億円を地方交付税措置をする、こういうことで、そのほかの施策もございますが、学校図書館充実のために既に数々の施策を講じてきているようでございます。  その概要と、それから大臣の現在に至るこの施策の評価をまずお聞きしたいと思います。
  45. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 お話しのとおり、平成五年度から学校図書館図書整備新五カ年計画というのがスタートしまして、今年度で終結をするわけでありますが、五百億円のうち既に昨年度までで三百八十億円が使われているわけですけれども、実際に措置された予算の状況を見ますと、達成状況はおおむね五〇%にしか達していない。これは地方交付税ですから、その辺はひもつきでありませんので、地方によっては学校図書を購入する費用をほかへ回してしまうというようなこともあるので、実際には半分しか目的に使われていないというのが実情でございまして、さらに詳しい現状について今調査を続けているところでございます。
  46. 西博義

    ○西委員 今申しましたように、ことしで五カ年の計画が終了するわけですが、この計画が終了した段階で目安となります各学校規模に応じた蔵書数が平成五年度に設定をされております。学校図書館図書標準でしょうか、これが平成五年度に改定をされておりまして、同時に、この年から先ほどの五カ年計画によって以前の蔵書の一・五倍をめどに書籍をふやしていく、こういう計画を立てておられるわけです。この水準は、将来にわたってある程度の年月、今後の図書館の蔵書数の水準となっていく数字であろう、こう思うわけです。  そういう意味合いからいたしましても、これから期待される学校図書館の蔵書数として今の図書館標準というものが十分なものであるのかどうか、この点について文部省の御見解をお答え願いたいと思います。
  47. 辻村哲夫

    辻村政府委員 ただいま大臣から説明がございました五カ年計画のもとになりました図書標準でございますけれども、これは、学校図書館の専門家の団体でございます全国学校図書館協議会が定めておりました基本的な基準冊数というものをベースにしながら、その時点での全国の蔵書数の状況というようなものをベースに、これからの学校教育においてこれくらいは望まれるであろうということで、現状の一・五割増しに充実するという形で整備したものでございまして、現在最終年度を迎えておりまして、現時点ではこれが目指すべき水準だというふうに理解をしておるわけでございます。  ただ、教育課程審議会の動向等、これからの学校教育活動のありようも変わっていく。先ほどの大臣のお話にもあったとおりでございますけれども、そういった要素や、それから、今細かくこの五カ年計画の実施状況調査いたしておりますが、その調査結果の状況というようなものを十分に分析をいたしまして、平成五年度に設定いたしましたこの水準というものをどう考えるか、これはそうしたものを踏まえながら検討をしていきたいというふうに思っております。
  48. 西博義

    ○西委員 御趣旨はよくわかりました。  と申しますのは、この前の標準というのは昭和三十二年の標準をそのまま平成五年まで使っていたのではないかと思うのですが、そういう時代おくれにならないようにきちっとその都度その都度の標準としてこれからも見ていくという必要があるのではないか、こういう思いで提起をさせていただきました。  話を変えまして、少し細かいことを御質問申し上げるのですが、この図書館の図書整備新五カ年計画によって公立の義務教育学校図書館充実が進んでまいります。そんな中で、高等学校学校図書館の図書の整備が立ちおくれているように思われます。ある調査によりますと、高等学校一校当たりの図書の購入費は減少の傾向にある、こういう調査もございます。  高等学校学校図書館図書の整備については、学校図書館法第十三条の中で「国は、」「学校図書館設備又は図書が政令で定める基準に達していない場合において、これを当該基準にまで高めようとするときは、これに要する経費の二分の一を負担する。」こういうふうになっております。そこで、その「政令で定める基準」というのがこの学校図書館法の施行令第一条の別表に載ってございまして、「設備及び図書」として規定をされております。この別表といいますのが実は四十年前に決められました基準で、もう既に現在では全く現状にそぐわなくなっておる、見直しが必要なわけでございます。例えば、高等学校の蔵書数の基準は、生徒数によって違うわけですが、百人以下の学校の場合は七百冊、今ではおよそ考えられないような数字がそのまま載っております。  さて、新五カ年計画では、平成五年三月の通知で、今申しました新しい学校図書館図書標準を学校図書館の図書の目標として今整備が進められておるわけですが、小学校の場合、一学級の場合でも二千四百冊が最低必要である、こう認定をされているわけです。一方の昔のままの高等学校の場合は七百冊、もうレベルが全く違ってしまっているということがよくおわかりだと思います。中学校になりますと四千八百冊、これが一学級ないし二学級の場合でも最低必要だ、こういうふうな記載がございます。  さらに、この施行令の第三条に「法第十三条の経費の算定基準」、これが決められておりまして、「書架の間口一メートルごと、カードケースの奥行一センチメートルごと又は図書一冊ごとの基準額と書架の充足延間口、カードケースの充足延奥行又は図書の充足冊数とを基礎として算定する」、こういうふうな記載がございます。この施行令の算定基準についても、もう最近ではカードではなくコンピューターでもって蔵書の管理をする、また検索をしていく、こういう時代になっております。新しく規定をやり直す必要があるのではないかというふうに考えます。  文部省に以前にも指摘をしておきましたけれども、今後見直すつもりがあるのかどうか、御見解をお示し願いたいと思います。
  49. 辻村哲夫

    辻村政府委員 ただいま先生の方から御紹介がされました学校図書館法施行令の高等学校の図書基準の関係でございますけれども、若干沿革を申し上げさせていただきたいと思いますが、義務教育小学校と同じように、学校図書館法ができまして、それを受けた学校図書館法施行令が定められて、当時は国庫負担という形でこの整備が図られておりました。高等学校につきましては、昭和二十九年度から三十六年度まで国庫負担基準としてこの政令の規定は運用されたわけでございます。  その後、昭和三十六年度に私ども調査をいたしましたところ、先生から先ほど紹介をいただきましたその基準についてはおおむね達成をされているというような調査結果がまとまったところでございます。  それを受けまして、今後どのようにするかということで種々検討がなされたと承知いたしておるわけでございますけれども、三十七年度以降は、国庫補助ということではなくて、一般財源として、交付税としてこれを措置をしていくという形で財源措置の方式が切りかわりまして、以後地方交付税の財源措置によって高等学校の図書の整備を図るというやり方がこれまで続けられてまいりました。  そこで、ただいま先生から御紹介いただきましたように、これは古い基準でございまして、この基準をどうということであれば当然現状に合っていないわけでございます。私どもといたしましては、現在の財政負担のあり方、国庫補助のあり方その他を考えましたときに、高等学校の基準としてもう一度この政令を活用するということよりも、これまで三十七年度以降交付税措置でやってまいりましたそのときの単位費用その他の考え方、これを踏まえまして、交付税の措置によってこれを充実していくという方向で考えてはどうか。この設置基準を見直してこれを活用してということではなく、そういう方向で高等学校の図書の整備を図っていくということが妥当なのではないか。これからいろいろな検討をしなければなりませんが、私どもとしては現時点ではそんなふうなことを考えておるところでございます。
  50. 西博義

    ○西委員 もう一つ、細かなことで恐縮なんですが、せっかくの発議者の皆さんにお待たせして申しわけないのですが、盲学校のことについて若干御質問をさせていただきます。  盲学校についても学校図書館の図書基準がございますが、通常の図書一冊というのが点訳の場合にはかなり冊数がふえるということをお聞きしております。例えば辞書などは小さな文字でたくさん書き込んでおりますので、我々が持っている辞書一冊が点訳しますと百冊にもなるというようなお話がございます。普通でも我々が持っている一冊の本が十冊から十五冊、十倍程度になる、こういうことでございます。そういう基準で見てまいりますと、盲学校の高等部の場合では、五十人以下の学校の場合には四百五十冊の標準になっている。これは、我々の本に直しますと、十分の一といいますと実質四十五冊くらいになってしまう、こういうことで、実質の盲学校の点訳本の冊数が非常に少ないということを思うわけでございます。  そういう意味で、盲学校に対しては実情に合わせた基準を設定してあげるというような細かな配慮がぜひ必要だな、こう思うわけでございます。このことにつきまして、もし大臣御見解がございましたら、ひとつよろしくお願いいたします。
  51. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 特に、視覚障害を持つ子供さんに対して、その学習活動読書活動を助けるために果たす図書館役割は非常に大きいと思っております。今いろいろ具体的な御指摘がありましたことは、そのとおりだと思います。  文部省としても、学校図書館図書標準に基づきまして、ほかの聾学校や養護学校よりも高い基準を盲学校には適用しておりまして、例えば盲学校点字情報ネットワークシステム、この整備のための補助を行うというようなことで盲学校における図書整備に努めてきたところでありますが、今後とも、その実情をよく見きわめながら整備充実に努めていきたいと思っております。
  52. 西博義

    ○西委員 積極的な大臣の御発言、ありがとうございました。  それでは、提案者の皆様に質問をさせていただきたいと思います。  この法案の提案理由を拝見いたしますと、司書教諭に関しては、「学校図書館が真にその機能を発揮し、その役割を果たすためには、これらの施策だけではまだ不十分であり、学校図書館運営の中心となる司書教諭についてその早急な設置の拡充が不可欠」である、こういうふうに述べられております。  提案者は、これからの学校図書館あり方、これを、どのような姿を想定して、その中で司書教諭はどのような役割を担ってもらいたいと考えて提案されたのか、また、今回の法律改正によってそれがどのように達成されていくというふうにお考えなのか、特に、今回の提案の中心役割を果たしていただきました木宮先生にお伺いできればというふうに思っておりますが、よろしくお願いいたします。
  53. 木宮和彦

    ○木宮参議院議員 御指名をいただきましてありがとうございます。  なかなか番が回ってきませんので、うずうずしておったのですが、それはどうでもいいですけれども。  ともかく今回、もう御存じのように四十数年間にわたって眠っておったわけで、これを何とかほこりを払って、そして図書館をあけたい、この一心で実はこの法案をつくったことは事実でございます。  それと同時に、最近、日本人もやはりライフスタイルが変わってまいりました。今までのように、ともかく追いつけ追い越せ、あるいはなるべく安上がりな教育をしながら成果を上げなくちゃいかぬ、均等な労働力をたくさんつくらにゃならぬ、それは私は大成功したと思います。しかし、もうここまで来れば、本来の学校教育は何であるべきかということをやはり考えていかなくちゃならないという時代になった、これが一つの証拠だと思います。過去、それは、衆議院で一回、参議院で一回通ったのですが、まだ機が熟さないと。それは、やはり日本の経済が許さなかった、私はそう理解しておりますが、ここへ来たら、もう建物も要らぬし、また、やるべきことは何かというと、やはりこれからマルチメディアを含めた図書館仕事が大事だ、私はそう思います。その中心的な人物がこの図書館司書教諭ではないかと思います。  何を司書教諭がやるべきかといいますと、先ほど来のお話を聞いていますと、多少司書教諭と、それから学校に置かれている司書、正式な司書じゃございません、事務員です、これとが混同されているような気がしてなりませんが、司書教諭というのは、いわゆる図書館の管理人、番人じゃないのです。むしろ、先生の中へ入って、先生のカリキュラムつくったり、あるいは指導方法を先生方に啓蒙しながら図書館の使い方を教えるということがやはり私は第一の責任だと思います。  それから、第二は、やはりこれからマルチメディアがありますから、それをその人が率先して子供たちあるいは先生方にやる、それと同時に、また、他の図書館ある。いは大学図書館インターネットでもって検索して、先生にも資料を与えるというようなこともこれからは必要ではないかな、私はそう思っております。  それだけではなくて、まさにこれからの図書館の使い方によっては活性化が十分できるし、今までのように、単に詰め込みでもって子供たちを教えて、そして偏差値でもって受験ばかりになってしまうということをこの辺でこれでもって食いとめたい、食いとどまるかどうか、それはわかりませんけれども、そういう願望を持っているということだけをひとつお伝えいたしたいと思います。
  54. 西博義

    ○西委員 ありがとうございました。  続きまして、今回の学校図書館法改正に関係あると思うのですが、平成七年八月の児童生徒の図書に関する調査研究協力者会議報告というものがございまして、その報告書を読ませていただきますと、図書館役割として、読書センター学習情報センター、そして地域に開かれた図書館、こんな三つの機能を果たすことが学校図書館に期待をされているわけでございます。  学校図書館あり方についてはいろいろな考え方があろうかと思いますが、この次の質問は、外国で長年生活された経験や、それから御自身教職の経験もおありの石田先生に、学校図書館の望ましいあり方といいますか、これからの学校の中における図書館役割みたいなものを、もしいろいろな経験から御提言いただけることがありましたら、お願いをしたいと思います。
  55. 石田美栄

    ○石田参議院議員 お答えいたします。  今議論になっている学校図書館の形、その理想の形はこれからみんなで考えていかなくちゃいけないと思うのですけれども、この議題になっているライブラリーそしてライブレアリアン、これをそのままとても日本語の司書には訳せないのですけれども、今問題になっているのは、図書、本や視聴覚教材等、そういうものは、昭和二十八年にこの法律ができて以来、図書館の図書と人とのつなぎの部分で非常におくれている、ほとんど発展してきていないのではないか、それが凝縮されてこの法案の取っかかりとしての修正になってきていると思うのです。図書と人あるいは学生、研究者、市民、児童生徒といったところをつなぐライブレアリアンの役割、司書とイコールではないこの部分のおくれが非常に問題だと思います。  私は、アメリカの大学院でしばらく勉強しました。それからまた、イギリスでは特殊な作家の研究でイギリスの大学あるいはシティーライブラリーのコレクション、特殊なコレクションですが、そこでしばらく研究をした経験の中で、図書とのかかわりなんですが、アメリカで勉強しましたときに、ライブレアリアンというのは、もう大学ですと大体マスターかPhDを持っているような人がおります。大学院生ですと、まず最初にビブリオグラフィー・アンド・メソッド・オブ・リサーチという科目が必修でとらなくちゃいけないのですね。研究のやり方は専門性の教授がつきますけれども、ビブリオグラフィーという文献の検索という部分はライブレアリアンの指導を受けます。例えば、ピアリオディカル、新聞、雑誌をどう利用しなければいけないのか、その専門について文献をどう検索して、まずビブリオグラフィーをつくることが研究の第一歩、そういった指導をするのがライブレアリアンでありました。  そして、もう一つ日本の問題というのは、図書館というのはみんなの共有のものであり地域に開かれたものでなければいけない、こういう点でもおくれていると思うんです。ですから、大学図書館、地域もそうですけれども、日曜日の午前中は宗教的な意味で閉ざされますけれども、土日あいております。あるいは夜もあいております。そこでは、図書、本の貸し出しですから、この役目は学生アルバイトで賄っているんですね。それでいいわけです。しかし、図書と人をつなぐ部分での非常に専門性、ですから、大学でマスター、ドクターが図書館学で取れるという体系があるところにいろいろな現象が違ってきていると思うのです。  このお話をさせていただくのですと、もっと時間が要るんですが、そのように、本当に戦後物が豊かになり、本はあふれるようになったのかもしれませんが、人とのつながりという、日本のあらゆる面で今反省しなくちゃいけない部分にこれが凝縮されているというふうに思うのです。  もう一つ、私もアメリカにも何回か行ってホームステイもしたんですけれども、そんな中で、ある友達のうちに行ったときに、お母さんのきょうの予定に、ショッピングをしてどこに寄って、自分の仕事のことでコンタクトがあって、一つ近所の町の図書館に寄るというのが入っているんですね。ついていきましたら、坊やが、ちょうど小学校に入る前だったんです、一緒に来ていて、お母さんが本を借りるのかと思ったら、子供がその町の図書館にぱっと行って、ライブレアリアンがいてやりとりして、さっさと二、三冊本を抱えて帰ってくるという、こういうこと。  それから、もう一つちょっとお話ししたいんですけれども、大学院というのは割と夜の講座がありまして、大学院の授業をとっている人というのは結構社会人が多いんですけれども、友達、牧師の奥さんでしたけれども、仲よくしていました。御主人が車で送ってきますと、奥さんが授業を受けている間、御主人は図書館でいろいろ自分の趣味にしてもやりたいことを勉強して一緒に帰る。  こういう何点かの経験を申し上げまして、こういうことから、小学校中学校高等学校図書館、そこでの司書あるいは司書教諭あり方、また日本全体の図書と人をつなぐ部分のアカデミックな学問体系としても、司書養成にもかかわる、ライブレアリアンの養成にもかかわる、そういう面でこれから文化としてみんなで考えていかなくちゃいけないし、この法律改正をきっかけに一歩一歩いい形をつくっていくのが私たちの役目でもあろうと思いますので、本当に理想の姿をきちっと申し上げられたかどうかわかりませんけれども、経験上のことを申し上げて、みんなで考えていきたいなというふうに思います。
  56. 西博義

    ○西委員 皆さんにお待たせして、その勢いがどっと出てきまして、時間がもうなくなってしまいました。最後に、一問だけ文部省の方にお尋ねをしたいと思います。  今回の司書教諭資格並びに養成のことについてですが、現在の司書教諭講習は、講師によっては認定の仕方が若干異なるようですが、基本的には資格というよりも研修に近いものではないかというふうに想像されます。先ほどのお話にありましたように、やはりこれからの司書教諭講習も、時代に合わせてもっともっと充実し、科目についても中身についても変えていくところは変えていくべきではないか、こういうふうに思っております。  そういう前提の上でございますが、もし今のカリキュラム程度の講習ということになってまいりますと、私は、研修として、小学校については、人数、スペースその他いろいろ条件はございましょうけれども、やはり全員が講習を受けていただく、こういう方向が一番いいんではないかというふうに考えております。  というのは、一般的に小学校先生はほとんどの先生が担任を持っておられます。そういう意味で、この司書教諭という、これから学校運営における中心的な役割を担うという意味では、時間的にも制約があろうと思うんです。同時に、クラスのすべての時間にわたって担任の先生中心になって運営をされているわけですが、そういう意味でも、図書の利用についても担任の先生がおやりになるのが一番いいんではないか、もちろん校内的には図書の司書教諭という立場の人がおられて、そしてその人が全体的な運営をやられるのはいいんですが、そういう認識を持っていただくということが非常にいいんではないかというふうに思っているわけです。  中学校や高校の先生の場合は若干の余裕があろうかと思いますが、忙しい中でもやれる立場があると思いますが、小学校先生の場合は、そういう特殊な校内の事情を考えて、できるだけ大勢の先生が、望ましいのは全員でございますが、講習を受けて、そして図書館の利用を考える体制をお一人お一人がもっともっと考えていくという機会になればいいんではないかというふうに御意見として申し上げたいんですが、御答弁をお願いしたいと思います。
  57. 辻村哲夫

    辻村政府委員 学校図書館が大変重要であり、そのためには学校図書館につきまして専門的な知識を持った先生がいらっしゃるということは大変重要である。それは、単に司書教諭に限定されるということではなくて、すべての先生にかかわることでありますので、すべての先生がそういう素養を身につけるということは大変重要なことだというふうに思います。  ただ、供給すると申しましょうか、そういう受講するその体制のあり方その他さまざまな制約があろうかと思いますけれども、今の御指摘を踏まえまして、私どもとしても、どんなふうな形でできるだけ多くの先生方にこうした司書教諭についての素養を身につけるような機会を与えることができるのか、十分に検討していきたいというふうに思います。
  58. 西博義

    ○西委員 どうもありがとうございました。終わります。
  59. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、山元勉君。
  60. 山元勉

    山元委員 発議者の皆さん、大変御苦労さんでございます。私自身にとっても積年の課題でございましたから、一歩前進ということで喜んでいますし、御苦労さんと本当に申し上げたいというふうに思います。  今の子供たち状況というのは、十分御案内のように、基礎的な学習だとかあるいは基礎学力だとかいうのが低下をしている、不足している、こういうふうに言われています。これは日本だけではないわけで、アメリカ、イギリスでもそういうことが言われているわけですけれども、そのためにはいろいろな手だてを尽くさなければなりませんが、一つは、やはりこの今問題になっております学校図書館役割が大きいというふうに思っています。子供たちがみずから学ぶ意欲を持つあるいは主体的に学習をする、そういうためにも学校図書館というのは大きな役割を果たすんだというふうに思います。  よく言われますように、図書館で行われます調べ学習というのがあります。図書館に行っていろいろ勉強する、こういうことがあるわけですが、先ほど大臣もおっしゃいましたように、今の図書館というのは、高度情報化時代になってソフトの面でも大変大きな役割を果たさなければならない。家にいろいろなゲームとか、そういうものが買ってもらえる子とそうでない子とがあるわけですから、子供がみんな同じようにそういうことを経験をする、そういう場としての図書館充実というのは大変大事に余計なってきているんだろうというふうに思います。  そういう意味で、私もそうですけれども、実際に学校で、現場で教師の経験を持っていらっしゃる本岡先生に幾つか実態を踏まえてのお答えをいただきたいわけですで先ほどから問題になっておりますけれども、四十四年間もこの学校図書館法というのがなぜ生かされてこなかったのか。先ほど文部省がおっしゃった五百二十四人ですか、配置をされているのは。数で言うと、四万二千校のうち五百二十人ほどしか配置をされていない。当分の間というのが四十四年間、五百二十四人。四万二千中五百人という実態があるんですが、本岡先生、一体これはどう考えたらいいんでしょうか。この原因は何なんですか。こういう法律というのは余りないだろうというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  61. 本岡昭次

    ○本岡参議院議員 お答えいたします。  私は、三つあると思います。一つは、今も山元委員がおっしゃたように、現行の学校図書館法附則第二項で、当分の間、学校司書を置かないことができるという、当分の間置かなくてもいい、このことが、四十四年近くもずっと放置されていたということにあると思います。二番目は、司書教諭の有資格者の絶対数が少ない。これはなぜ少ないか。やはりそれは魅力がないからだと思います。なぜ魅力がないのか。学校現場の問題が三点目にあります。学校教育の中で、学校図書館重要性というものがなかなかこれは全体のものにならないという、そういう状況があります。  それと、有資格者教諭は、司書教諭という形で校務分掌上任命された場合、これは「教諭をもつて充てる。」という別の条項のところから、学級を担任し、また教科を持つということの中で非常に負担が重くなる。あるいはまた、一たん司書教諭という発令を受けると、やはりそれがずっと固定化をしていくという抵抗感というものがあるように思うのです。だから、こうしたものをどうするかということをやっていかなければ、基本的な問題な解決しないのではないかというふうに思っております。  以上です。
  62. 山元勉

    山元委員 さっき同じような問題で文部省もお答えになりました。学校全体の意識が薄い、あるいは負担がふえる、当然のことなのですよ。  実は私は、この法律ができた三年後くらい、昭和三十一年、一九五六年、現場の小学校の教師になりました。ですから、この法律ができて三年後ですから、学校図書館というものに皆注目をする。そして、私はたまたま図書館主任というのになりました。私の勤めた学校というのは大きくて、小学生二千人ほどのマンモス校でした。そこで図書館の主任をするというのは大変です。学級担任をもちろんしながらです。たくさんの本を京都から、問屋さんから買ってきて、分類をしてラベルを張って、カードをつくって本棚へ入れて、そして廊下には、こういう本が来ましたよという仕事は、これは並大抵の仕事じゃないわけです。  意識が皆薄かった、負担増になることを嫌がったという、文部省は、これは理由にしてはいけないと思うのです。私は、文部省の長い間の怠慢だったというふうに一言言ってほしい。そうでないと、先ほども言いましたように、当分の間というのが四十四年も続くというような法律余りないし、そのことについて行政は責任を持たなければいかぬだろうと思うのですね。そこのところ、今、本岡先生も現場の状況をそういうふうにおっしゃいましたけれども、私は、この機会に行政がしっかりと四十四年間のことについて、反省といったらおこがましいですけれども、考えて、この機会にどうあるべきかということについて御論議をいただきたいし、施策を立ててほしいなと。いたずらに、ただ負担増を教員が嫌がっているんだ、意識が低いんだ、これは教師の責任だというふうなことを、ひがんで聞くのかもわからぬけれども、そういうふうに先ほど聞かしてもらいましたから、これは間違っているというふうに思うのですね。  そこで、私はたったの十五分しか時間をもらっていないので。大事なことですが、さきにこの法案が参議院でも論議がされたときに、専任なのか兼務なのか、専任にならぬかという、これは現場の強い願いですから、そういう論議があって、これからその論議をするということになったようですし、先ほどの答弁もそういうふうに出ていましたけれども。これは実際に、現場で兼務をしながらの任務は、木宮先生がおっしゃったように、校務を投ぐるのではない、学校全体の図書指導とかそういうことに目を配るのが司書教諭だとおっしゃいましたけれども、できるのかどうか、これをこのままきれいごとで、法律改正したということだけでいいのかどうか、本岡先生、どうでしょうか。
  63. 本岡昭次

    ○本岡参議院議員 私は、学校の実態はとても耐えられないと思います。しかし、だからといって学校図書館のありようをこのまま放置することはできないわけで、司書教諭発令をする、そうすると、その発令された司書教諭学級担任時間とか教科の受け持ち時間とか、そういうふうなものを、司書教諭仕事を十分できるだけの削減をし、学校協力体制を行い、その学校の中の最重要課題に図書館教育を位置づけるというその体制ができれば可能な道がある、私はこう思います。  しかし、根本にあるのは、やはり五条二項にある「司書教諭は、教諭をもって充てる。」という「教諭をもって充てる。」というところにあると思うのです。教諭というのは、子供を教える、児童生徒を教えるのが仕事でありますから、教えながら司書の仕事もする、こうなるわけで、そこの問題をどうするか、いわゆるそこに専任化の問題が出てこよう、こう思うのであります。しかし、今直ちにその専任化の問題を持ち出して解決できるほどの生易しい状況にあるとは、私も思っておりません。今後、これをどのように中長期的に検討していくのかということが、この法律改正されたら直ちに私たちが取り組まなければならぬ問題だというふうに思っております。  以上です。
  64. 山元勉

    山元委員 文部省にもお尋ねをしたいわけですけれども、実際に、発令をして兼務で実が上げられるのかどうか、そのための配慮といいますか、手だてというのは何だとお考えですか。
  65. 辻村哲夫

    辻村政府委員 司書教諭先生方仕事が重たければ重たいほど、その先生が安んじて司書教諭の職務に従事できるという環境をどう整えるかということだと思いますが、そのためにはさまざまな条件整備ということが大切だと思います。もちろん、人的な問題ということも大変重要なポイントだとは思うわけでございますけれども、ただいま先生の方からもお答えございましたように、大変厳しい状況の中で、定数の問題というのを云々するというのはなかなか困難な状況があるわけでございます。  そういう状況の中で、しかし一方、学校図書館というものの重要性を、司書教諭先生方にお願いをしてその充実を図っていただくという意味で、私どもとしては、他の図書館との連携でありますとか、あるいは地方公共団体あるいは国も含めて、行政機関がさまざまな、学校図書館との連携を図って学校図書館の活動が支えられるような、そういうことをやっていく。そのためには、例えば巡回指導でありますとか、あるいは図書のネットワークとか、人的、物的さまざまな状況があろうかと思いますが、ただいまの御指摘も踏まえまして、私どもとしても与えられた状況の中で、どんなふうにこの学校図書館仕事に携わる司書教諭先生を支えるか、十分に検討をしていきたい、こういうふうに思っております。
  66. 山元勉

    山元委員 本岡先生、先ほどお話がありました、充てということで困難だとおっしゃっていたのですが、そのことは、例えば五条についてどう考えるのかということもあろうかと思うのですが、これは今も局長おっしゃった難しいということなんですが、どういうふうに考えたらいいですか、充て職ということについては。
  67. 本岡昭次

    ○本岡参議院議員 私が文部省でありましたらもう少しきちっと答えるのですが、そういう立場でありませんので、お許しいただきたい。  やはり、五条二項は検討の対象にすべきだと思いますので、これは私たちは、文部省ときちっと対応していかなきゃいかぬと思います。そのことと同時に、現在、地方自治体の大変な努力で、学校司書というのがさまざまな形態で置かれているわけで、学校司書の皆さんの職務、そしてまた位置づけ、そうしたものを明確にしながら、やはりこの五条二項の問題に対して、司書教諭専任化という問題をあわせて検討をしていけば、厳しい定数削減がされていくという状況ではありますけれども、学校図書の教育における重要性というところから解決の道は見出せるんではないかというふうに思っております。
  68. 山元勉

    山元委員 時間なんですが、最後に文部大臣に、今の状況から、どういうふうにこれから取り組めばいいかという御決意をお聞かせをいただきたいと思うのです。  確かに、今、本岡先生からもありましたように、専任化をしていきたいという方向はもちろんあります。あるいは、自治体にも協力をしてもらって、現にそれぞれ地方自治体が人件費を出して、保護者の皆さんにパートで来てもらったりなんかして図書館を生き返らせていただいている、そういう状況はあります。けれども、やはり国の政策として、今附則を直す、次には五条を直す、こういうのが望ましい法の精神だろうというふうに思うのですね。  けれども、そう甘いことない。今の財政改革あるいは財政再建の大嵐の中で、そんなことを言ってみても夢みたいな話になるのと違うかという気が私自身もします。けれども、やはり文部行政として本当に、先ほども申し上げましたように、学校図書館というだけではない、センターにならなきゃならぬ、そういう図書館を、ヨーロッパなんかの図書館に負けないような日本の学校図書館をつくっていこうと思うと、相当の行政の皆さんの努力が必要だというふうに思うのですね。  大臣、今こういう財政状況の中ですけれども、どのようにこれから文部省の皆さんにあるいはそれぞれ自治体の皆さんに、そしてさらに現場の学校でしんどいけれども発令されたらやるんだと、先ほどの話じゃないけれども、二万四千人つくらなきゃならぬわけですから、それはきっちりと文部省として頑張ってくれと、協力をしてくれと、自治体やあるいは文部省の人たちに大臣として鼓舞をしていただかなければいけないんだというふうに思いますが、今の時点で大臣のお気持ちを聞かせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  69. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 時間が制約されておりますので余り多くを申せませんが、学校図書館重要性は再々今までもお話が出たとおりでございまして、できることなら司書教諭専任化ということはしたいところでありますが、学校にはもうさまざまな役割分担がありまして、今も充て職というような形でやらざるを得ない状況にあります。  今、危機的な財政状況の中で最大の焦点となっております教職員の定数問題、これも極めて厳しい状況にある中で、今直ちに専任化ということは難しいわけでありますが、先ほど来お話がありますように、すべての学校、すべての教職員が学校図書館重要性認識というか意識というものを持つということを、現状の中ではそれをしっかりやっていきたいし、また、この法案を出された皆様の御努力に深く敬意を表しますとともに、これが成立をいたしましたら、毎年この司書教諭資格化を六千人ぐらいずつ進めていかなきゃいけないわけですから、そういう点では文部省としても一丸となって努力を続けていきたいと思っております。
  70. 山元勉

    山元委員 終わります。ありがとうございました。
  71. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、肥田美代子君。
  72. 肥田美代子

    ○肥田委員 本日、当委員会におきまして四十数年ぶりに学校図書館法改正案が審議され、採決されますことを無上の喜びと感じております。まず、党派を超えて、選挙権のない子供たちのために法案提出にこぎつけていただいた参議院の提案者の皆さんに、そして学校図書館よ輝けと不断の努力をされてこられた関係者の皆様に深い敬意を表したいと思います。  私は、今回の改正は、学校図書館改正への入り口となるものであり、決して終着駅にしてはならないと思っております。なぜならば、既に同僚議員からの質問にもるるございましたように、司書教諭が専任でなくて充て職であること、小規模校が除かれていること、既に歩き出していらっしゃる自治体採用のいわゆる学校司書さんの問題等々が未解決のまま残されており、いずれも一日も早く解決しなければならない課題ばかりであるからでございます。  しかし、私は、行政の怠慢によって当分の間が四十数年間も続いてきた学校図書館法附則、それに伴う学校図書館の整備の遅れを一気に取り戻すことは困難であり、ゼロか一〇〇かの二者択一は選択できないという考えに落ちついたわけでございます。私は、今回の法改正改革その一と受けとめ、賛同することにいたしました。そうした気持ちを申し上げて、質問をさせていただきます。  ある人が、学校図書館は、言うならばドラえもんのどこでもドアみたいなものだ、そう言っておられるのです。このことは、子供たち学校図書館に一歩足を踏み入れたときに、古代から果てしない未来まで旅することができる。そればかりか、地球上のみならず広い宇宙を駆け回ることもできる。すなわち、想像の海や知識の海を自由に泳ぎ回ることができるとても不思議な場所だというふうに考えておられるからだと思います。  しかし、現状は、子供たちが学齢期になって初めて出会う学校図書館はドラえもんのどこでもドアではなくて、あかずのドアになっている、そういう現状がございます。これは、私も大人の一人として深く反省しなければいけないと思っております。  そこで、この学校図書館の運営の最高責任者であります小杉文部大臣にお伺いいたしたいと思います。大臣が理想とされる学校図書館、あるべき学校図書館像はどんなものであるか。お立場のしがらみから離れていただいて、高らかにお答えいただきたいと思います。
  73. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 読書離れというのは、もう社会一般の風潮になっておりますし、特に子供のときから読書に親しむということの重要性、昨今ますます高まっていると思います。  今、理想像をという話ですが、なかなか難しい質問です。今までの教育はどちらかというと先生から一方的に教え込むという教育でしたけれども、これからは一人一人の子供の個性を生かし、創造性をはぐくむ教育ということを目指す以上、子供が主体的に自分から調べ、自分から関心を持ってそれに徹底して取り組んでいく、こういうことが必要だと思うので、その一つのよりどころが学校図書館じゃないかと思います。  それに対しまして、今の図書館というのは、先生御指摘のとおりあかずの図書館というようなお話もありましたが、もう少し魅力のある図書館でなければいけない。それは、私は、ハード、ソフト、両方あると思います。蔵書数とかあるいは教える司書教諭の問題、そういったソフト、ハード万般にわたって、もう少し、子供たちがぜひ行きたいと、魅力ある図書室にしていくことがすなわち理想の学校図書館だというふうに考えております。
  74. 肥田美代子

    ○肥田委員 昭和二十八年に議員立法で制定されてから四十数年、今この法改正を出発点として、大臣がお答えくださった理想とそれから現実のギャップをどう埋めていくかが今後問われる課題でございます。よほどの覚悟で省内を陣頭指揮してくださらないと、眠っていたと申しますよりもむしろ瀕死の状態にあった学校図書館に息を吹き返させることは容易なことではないと思っております。  御決意を伺いたいと思います。
  75. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 現実と理想とのギャップということで、やむにやまれず、今回、超党派の議員の方々が立ち上がってこうした法案を出されたと思います。肥田議員も大変熱心な推進者の一人ですが、これはあくまでも図書館改革の第一歩だ、スタートラインに立ったという認識は私も同じでございまして、私は、もっともっと学校図書館重要性というものを学校関係者のみならず社会一般が認識を深めるということが必要だと思いますし、今度のこの法案の審議を通じてそうした啓蒙の一助にもなり得るんじゃないかと思っておりまして、私ども、真剣に取り組んでいきます。  ありがとうございました。
  76. 肥田美代子

    ○肥田委員 存在そのものがわくわくするような学校図書館を未来の人たちに届けるために、今後、あるべき学校図書館像をめぐる話し合いを持つ、今おっしゃいましたように、本当に国民的議論にまで高めていく、そして実践していく必要があろうかと存じます。そのためには、今後、柱となるべき学校図書館のことを中長期的に検討していく機関がぜひ必要かと思いますが、この法案提出に当たってリーダーとして御尽力くださいました木宮議員の御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  77. 木宮和彦

    ○木宮参議院議員 私よりも肥田先生の方が図書館への情熱の大変熱い方でございまして、私が述べるのは大変恐縮ではございますけれども、中長期的にこれからの学校図書館をいかにすべきかということは、まず最初には、平成十五年三月三十一日までには、全部じゃありませんけれども一定の——これは必ず文部省はやると約束をしてくれました。やらなければ違法状況になりますから、沖縄みたいになっちゃうんですから、ぜひこれはやってもらう。同時にまた、これから先に進展していかないと図書館の脳死になっちゃいますので、判別が困るのでして、ぜひこれが生き生きと動くためには、やはりこれは国民全体の問題だと私は思います。  特に、私は、学校図書館、最近少子化でどこの学校も空き教室がありますので、空き教室を使うなり、あるいはできれば校舎とは違う場所、子供というのは学校嫌いですから、授業には行きますけれども放課後行きたがらないんですよ、これは私もそうだったんですが、恐らく大勢の人がそうだと思うんですけれども、だから、そこに非常にメルヘンで楽しい図書館をつくって、しかも親と一緒に子供が来て読書するとか、あるいは、一緒になって司書教諭がそこでもって図書の指導をするというような構築をしていかなくちゃならない。  それにはやはり、実は参議院でも附帯決議を出しまして、その附帯決議の第六項で「政府は、学校図書館充実強化に対する国民の期待に応えるよう、将来の学校図書館の総合的な政策について引き続き検討を行うこと。」こう実は附帯決議をしまして、大臣も誠実にこれをやりましょうという御答弁をいただいておりますので、これからひとつ皆さんと一緒になって学校図書館の活性化のために頑張っていきたい、私はそう思いますし、また、一人や二人でできるわけじゃございません、文部省もやらなければいかぬ、教育委員会もやらなければいかぬし、PTAもやらなければいかぬし、それから教師の皆さんもやってもらわなくちゃいけないし、それから子供たちもその気になって本を、ひとつ読書離れにならないように、そっちの方へ足を向けるような方策をやっていかなくちゃならない、私はそう思っております。  以上でございます。
  78. 肥田美代子

    ○肥田委員 熱い思いをありがとうございました。  大臣、ただいまの提案者の御意見を受けて、あるべき学校図書館像を検討していく場を早急に設けていただきたいんですけれども、具体的にお考えがあればお聞かせいただけますでしょうか。
  79. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 学校図書館役割は、私は大きく分けて三つあると思います。一つは、子供たち読書に親しむという読書センター。そして学習センターという機能もあると思います、いろいろ調べ物をする。それからもう一つ情報センター。これからの情報化時代に向かって、例えばクリントン政権などでも、すべての教室とすべての図書館を結ぶとか、肥田委員はその辺は疑問に思っておられるかもしれませんが。そのほかに、言われたように、社会の人たちがそこを気楽に利用できるというような機能もつけ加えるべきかどうか。そういったさまざまな点について、文部省としても学校図書館の今後のあり方について十分検討する必要があろうと思います。そこで、専門家の協力を得て検討する場を設けるというようなこともひとつ考えたいと思っております。
  80. 肥田美代子

    ○肥田委員 うれしいお話を伺いました。ぜひ何とか早目に設置していただいて、みんなを安心させてください。お願い申し上げます。  これでもう最後の発言になるんですが、このたびの法改正をプラスにするのもマイナスにするのも、文部大臣初め文部省の皆さん方、そして私たち政治家、そして現場の皆さん方の今後の心意気にひとえにかかっていると私は思っております。学校図書館の主人公は、申し上げるまでもなく子供でございます。そのことを片時も忘れることなく、五年、十年、二十年後に、学校図書館がこんなにすばらしくなったのはあのときの改正が第一歩だったねと言ってもらえるように、きょう皆様にまいていただきました学校図書館改革の種を皆さんと力を合わせて大きく伸びやかに育ててまいりたい、そういう気持ちでおりますことを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  81. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、石井郁子君。
  82. 石井郁子

    石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  学校図書館について、その役割につきましては近年ようやく光が当てられてきたかなという感をしております。このことに向けて本当に関係者の皆さんが大変な努力をされてきているということと、そういう努力に対して行政、政治がもっとバックアップしなければいけないということを私はまず何よりも感じているところでございます。  今回の改正案ですが、附則二項の撤廃ということですよね。図書館職員の専任の配置ということには触れられていないわけであります。このことをもって、しかし図書館充実に一歩前進だという声もございますし、いや、これが一歩となり得るのかという厳しい声もあるのも事実であります。  そこで、私は、文部省と提案者に率直にお伺いをしたいんでございますけれども、もしこれが一歩としたら、二歩、三歩目というのはどういうことになるのか。学校図書館のそういう意味でのビジョンにつきましてお伺いをしたいというふうに思います。
  83. 木宮和彦

    ○木宮参議院議員 今回のは第一歩というのは、今の現状を打破するという意味でございまして、ともかく今は、実際には置かなくちゃならないと書いてあったんですが四十何年間附則のために置かないという現状が続いていたのを何とかとめたい、それが一つは大きな動機でございます。  それと二つ目は、先ほどもちょっと申し上げましたが、やはり日本人のライフスタイルが変わりましたし、それから学校環境も変わりましたし、いろんな意味で、私は、今後図書館充実していくことによって、より人間性豊かな子供が育っていくのではないかなというふうなつもりでございます。  そのためには、人間のこともありますけれども、まず今の図書館のままではどうもぐあいが悪い、やはりもう少し組織的にきっちりとしたものをつくらなければならぬ。そのためにはやはりある程度の管理をしていかなくちゃならない、これは私はよくわかります。ただ、管理が余り激し過ぎて、今はそうでもないんですが、かつて小学校へ行きますと、私ももともと教員もやったことございますので、公立学校へ行きましたら、図画室へ行ったら、戸棚の中にリンゴの模型やらバナナの模型やら三角錐がいっぱいありましたけれども、きれいなんですね。どうして使わないんですかと言うと、これは傷んだりなくなると後で怒られるから、ともかく置いておけばいいんだ、こう先生がおっしゃった事実がございます。それは困る、やはり子供の手で触れて、それで壊れたらいいじゃないか、私はそう思っているんですが、現場の職員はなかなかそう思わないところに、現在の小学校教育、中学校教育一つの、何というか、まずい点があるのではないかと思います。ですから、私は、図書館をつくった以上は、やはりそれが活用できるようにひとつ人間も配置していかなきゃならない。  ただ、司書教諭のことが触れていないと今先生がおっしゃいましたが、かつて改正案にはこれが盛られておりました。しかし今回は盛らなかった。というのは、やはりともかく一歩前進していかないと次なる構築ができませんので。今までなぜそれが廃案になったか、廃案といいますか、日の目を見なかったかというと、やはり司書教諭が一番の問題だと思います。  それからまた、司書につきましては、先ほど石田先生からもお話ありましたが、アメリカあたりでは大変高度なライブラリーがありますけれども、日本の学校の司書というものの位置づけ、これが図書館にもが生えたような状況で現在あるわけですけれども、これは少なくとも今大学なり短大で単位を修得してくれば司書資格というものは取られますので、そういう人たちを事務の中に入れて、そして交互に、ひとつ手のすいたときにはみんなでもってすき間のないように図書館に行ってもらうというようなことができれば一番いいと思います。  長くなりました。
  84. 辻村哲夫

    辻村政府委員 学校図書館法改正によりまして、一定規模以上の学校司書教諭が必置として置かれるということになります。  それを十分に生かして、学校図書館がさらに活性化するということが大事でございますが、そのためには、行政としても、蔵書のさらなる充実、それから学校図書館に対しまして、国、地方公共団体挙げて、これに対してのさまざまな物的、人的、あるいは学校図書館がより活発に活用されるような、学校図書館に対するあるいは司書教諭に対する認識の強化、その他さまざまな課題があろうかと思いますけれども、今回の学校図書館法改正を生かして学校図書館の一層の充実のために努力をしていきたい、そのきっかけとしてぜひこの学校図書館法改正を位置づけさせていただきたいというふうに思います。
  85. 石井郁子

    石井(郁)委員 短い時間なものですからちょっと急いでいるので大変失礼いたしますが。  文部省の方でも、学校図書館役割やどういうふうに機能させるかということでいろいろ研究もされているかなと思うのです。研究指定校も設けて研究をされているということも伺いましたが、その研究指定校の中に、学校司書が置かれている図書館ということ、あるいは司書教諭との連携とか、そういうことを視野に入れて研究はされているのでしょうか。
  86. 辻村哲夫

    辻村政府委員 今ここに詳細な各指定校のテーマを持っておりませんが、ただいま御指摘になりましたような点、人的な連携協力のあり方ということも研究テーマの一つになっている学校があるというふうに思っております。
  87. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、今実践的にはそういうことが大変大事だというふうに思っているものであります。  司書教諭発令は、文部省も通達、指導等々でいろいろされてきたけれども、なかなか現状は進まなかったということは当委員会でもいろいろ議論されたところでありますから、現場が大変矛盾を抱えている、いろいろ問題を持っている、この実態から出発しなければいけないというふうに思うのです。  そこで、次の問題に移りますけれども、近年、学校図書館が生き返ったとかよみがえったという声をあちこちで聞くわけですけれども、そういう学校図書館のいわば再生というか蘇生というか、ということで役割を果たしてきたのが、よい本を、図書館に人を、そういう運動なんですね。  本当にその中では感動的な話がたくさんございます。あかずの図書館という話は今までもよくありましたけれども、学校司書が配置されまして、古い本を片づけるのに一カ月ぐらいかかる。そして、カードをつくり、子供たちに読まれるような状況にするまでにも大変な努力がまずあるということで、学校司書の仕事はそういう図書館の整備、一言で言えば整備ですけれども、分類から貸し出しからあるいは本の購入という膨大な量の仕事がありますけれども、とてもじゃないけれどもこれは片手間ではできない。やはり専門家としての知識と技術が今は必要だ。そういう人でないとできないということを私も実感しているわけであります。  ですから、こういう学校図書館をよみがえらせる上で重要な役割を果たしてきた学校司書の位置づけというか問題についても、本当に議論されてきたところですけれども、あえて提案者の皆様方に、どなたでも結構ですけれども、この改正に当たってどうして取り上げられなかったのでしょうかということを端的にお答えいただければというふうに思います。
  88. 木宮和彦

    ○木宮参議院議員 私個人の考えでございますが、学校司書そのものを事務員と位置づけて今現在やっておりますので、それを改正するのは、協議会でやっていただくなり、あるいは社会教育図書館、いわゆる公立図書館なりその他の図書館に置かれる司書資格、こういうものを持った方にやってもらうという現行を生かしながら、余り屋上屋を重ねて新しい資格をつくるのはいかがなものかな、私はこう思っております。
  89. 石井郁子

    石井(郁)委員 先ほど同僚議員からも大阪の話がございましたが、私は大阪・箕面市というところの図書館を見てまいりました。私自身も子育てをしましたので、やはりこれは二十年前の水準の認識だったなということをいたく反省させられたのですけれども、本当にすばらしい学校図書館でございました。  箕面市は、小学校に全部、全校に学校司書が配置されている。近く中学校にもそうされるということですけれども、学校司書の皆さんの仕事というのは、時間表が全部いっぱいなんです。図書の時間というのが小学校にはありますから、きょうは何学年の何クラスの子供が見えるということがございました。これも本当に一日いっぱいの仕事をしていらっしゃるということもわかりましたし、おっしゃったことは、子供と教師へのサービスに徹するんだという、情報のサービスですね、そういうことや、それから教師との連携が本当にすばらしくて、子供たちが、調べ学習をしますと先生が言ったら図書館に飛んでいく。そういうことがたくさん出てきて、先生からも、子供たちが随分変わった、子供が変わるということが本当にうれしいという話がございました。  それから、学校図書館、そこで資料が足りない場合は公立図書館、そういう連携もされるわけです。そういうアクセスも十分あるということも、随分機能しているということもありました。  そして、もう一つは、今の日本の教育の中で保健室登校と言われるような実態がございますよね。不登校の子供たちが必ずおられるわけですから、そういう子供たち図書館には行きたいという、そこで学校司書の皆さんと会話されて、その子の新しい面を発見される、そしてまた教育実践に生かされるということもありました。だから、学校図書館というのは、子供にとって教室と別なもう一つの世界なんですよね。本当にそういう大きな役割を果たすのだなというふうに思いました。  そこで、私はあえて先ほどの木宮先生の御発言にちょっと食いつくようで申しわけないのですが、現場の方々は、有資格者の皆さんですから、教諭ではありませんけれども皆さんが司書の有資格者です、だから、司書のプロとしての自覚に立って仕事をされる。司書のプロと教師、学校には教師の皆さんがいて、それが連携し合うということが学校教育の全体を豊かにしていくのだということがございます。  先生、先ほど、学校司書の方は事務員という発言がちょっとございましたので、私はそれはやはり実態に合わないのじゃないかというふうに申し上げておきたいというふうに思います。それぞれが専門家なんですよ。教師も専門家ですけれども、司書の皆さんも専門家だ。その専門家の目でこの学校図書館にかかわることが大変子供たちにとって大きな意味を持つのだというふうに思うのですね。  そういう点で、重ねて、この司書の問題、どういう認識を今後されていくつもりなのか、とりわけ文部省に伺いたいというふうに思うのです。司書の配置という問題を文部省としてやはり積極的に考えるべきではないのか。今地方自治体に任されているという状態でいいのかという点で伺いたいと思います。
  90. 辻村哲夫

    辻村政府委員 先生御指摘の学校司書の職務の重要性ということは、ほかの先生方の御質問に対しましてもお答えしたとおり、私どもも認識をしているつもりでございます。  ただ、全国的に見ますと、学校にも、規模の違いその他もございますし、また財政の事情その他あるわけでございます。そういうことで、学校司書の職務の重要性は十分認識しつつ、また地方公共団体において、先ほど数字を申し上げましたが、全国で七千を超える数の職員が配置されているということは十分評価しつつも、ここで一定の方向性を持って学校司書について定数措置云々ということについてお答えすることは大変困難だということを御了解賜ればというふうに思います。
  91. 石井郁子

    石井(郁)委員 確かに、新しい動きではあります。しかし、今急速に広がりつつある地方自治体の努力がございます。私が今強調いたしましたように、学校司書の皆さんが、司書の有資格者としてのプロの目で学校図書館をよみがえらせている、そしてまた教師とも連携しながら学校全体を豊かにされているわけであります。司書の配置を独自に進めてこられた地方自治体の教育委員会の方からも私はお聞きしました。これまでの取り組みの芽を摘まないでほしい、財政的な援助をしてほしい、国は一体何もしないのかということまで厳しく言われているわけです。  文部省として、学校司書の法的な身分保障というのはまだもう少し先のことかもしれませんけれども、こういう取り組みを励ます立場にぜひ立ってほしいというふうに思うわけであります。この点では文部大臣の御見解もぜひお聞かせいただきたいと思います。
  92. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 なかなか財政上から手が回りかねるというのが実情でございますが、学校図書館重要性にかんがみまして文部省として何ができるか、それは今配置している事務職員をできるだけふやすことで何とか努力したいということで、例えば、現在進行中の教職員配置改善計画では、高等学校については十二学級、それから中学校では二十一学級小学校では二十七学級以上の大規模校については、事務職員を一人加算をしたり複数配置ができるようにしているところでございます。  これも学校図書館の事務量が増大をすることにかんがみて考えているところでございまして、御承知のとおり定数改善は大変厳しい状況にありますので、今後ともそういう中で精いっぱいの努力は続けたいと思っております。
  93. 石井郁子

    石井(郁)委員 けさ、私の部屋にもファクスがまた入りまして、まだというのは失礼ですけれども、このところ関係者の皆さんが本当にこの審議を見守っておられるというふうに思います。  もう既に出ておりますけれども、十一学級以下の小規模校の問題、全国的には平均で四三%でございますけれども、北海道では六五%だ。そういう都道府県がいろいろあるだろうと思うのですね。ですからこれだけの数の学校を置き去りにしていいのかという問題になるわけであります。  そういう点では、教育条件の平等を著しく欠くという点でも、今後とも、この改正案にはどう盛り込まれるかということはありますけれども、非常に問題を持っているということを指摘をさせていただきたいと思います。  最後に、いよいよ中教審も審議のまとめが出され、本答申も出されるということで、二十一世紀に向けての日本の教育がどうあるべきかという大きな議論もされてこようとするわけですけれども、今言われているような、生きる力を伸ばすとか、子供たちの意欲とか創造性ということを大変強調されている。ならばこそ、この学校図書館こそ最も保障するものだと言わなければならないと思うのですね。  そういう点で、重ねて、本当にこの改正が、早い機会に第二歩、第三歩へと、具体的な措置として、具体的な施策として実りを上げていくということが要ると思うのです。そういう点での文部省の御決意をもう一度伺っておきたいと思います。
  94. 辻村哲夫

    辻村政府委員 今回の法改正で、司書教諭につきましては一定規模以上の学校に義務として配置される。前進だと思うわけでございますけれども、まだ残された学校もあるという点も御指摘のとおりだと思います。やむを得ず一定規模以上ということにするわけでございますけれども、だからといってその規模以下に置かれなくてもいいということではもちろんないわけでございます。そういう意味で、この法改正一つのきっかけにして、学校図書館全体の充実のためにこれを生かしていく、そういう努力をしていきたいというふうに考えております。
  95. 石井郁子

    石井(郁)委員 終わります。
  96. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、保坂展人君
  97. 保坂展人

    ○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  私は、振り返ってみますと、図書館っ子、学校図書館っ子という言い方があるのかどうかわかりませんが、小学校の高学年から学校図書館で本を借り始めて、ピークが中学校でして、大体一日二冊借りて、電車通学だったので一日二冊読むということを続けて、多分学校で一番本を借りた生徒ということで何か言われた覚えがあります。そういう意味でも、学校図書館意味というのは極めて大きいということを自分自身の体験から思います。本を読む習慣というのはまさに図書館あってのことだなというふうに思います。  一方で、二十代の初めから、中高生の現場を取材しまして、中高生あるいは小学生向けの本を二十冊近く書いてきました。その読者から、学校図書館に置いてあったのを読んだんだというふうな手紙が返ってくると、ひときわうれしいのですね。本の著者としては印税が減るというようなことを考えないわけでもないのですけれども、しかし、やはり一人の子供が読むのではなくて、図書館に継続的に置かれていて何人もがというのは、著者としてもとてもうれしいのですね。したがって、取材あるいは見学等で学校へ行きますと、必ず図書館を見せていただくようにしています。  ところが、図書館を見せていただいたときに、学校によって本当に違う。確かに図書室はあるのだけれども棚にはあいているスペースの方が多いんじゃないか置いてある本は私が生まれる前の児童書だったりとか、ほとんどだれも出入りしないという図書室もあるわけですね。  今、日本の教育は大きく揺らいでいて、例えば、これは根本的なことですけれども学級担任制も含めていろいろ考え直してもいいんじゃないかという時期に、子供たちが心の居場所として保健室にたびたび行くというような状況があります。実は、学校によっては、もう保健室が満杯で、休み時間に二十人近くもいる、一応儀式として体温をはからなきゃいけませんからセルフサービスで体温をはからせている、そういう学校すらあるわけです。  もう一つ心の居場所という意味では、図書室、学校図書館というのがあると思います。やはり保健室に子供が来るのは養護教諭先生がいるからですね。教えない先生というか、身近なところで、学校授業の教科を持っている先生とは違った意味でいろいろな話ができる。そんな意味で、学校図書館にだれかがいるということは絶対に大事だろうと思います。  そういうことを踏まえて、質問に入りたいと思います。  この法案が成立をいたしますと、平成十五年四月一日から、いわゆる小規模校を除き、それぞれの学校司書教諭が配置されることになると思います。「司書教諭は、教諭をもつて充てる。」という第五条二項の規定との関連で、配置される司書教諭の職務の態様についてどのように理解をされているかということと、もう一つ、これも気になるところなんですが、「政令で定める規模以下の学校」の具体的な規模というのはどのように考えておられるのかということを、提案者の上山議員の方からお答えいただきたいと思うのです。
  98. 上山和人

    ○上山参議院議員 社会民主党の上山和人でございます。  今先生御指摘のように、この改正案が成立いたしますと、平成十五年四月一日の司書教諭配置に向けて直ちに諸条件の整備に着手しなければならなくなると思います。その場合、何よりも重要なことは、図書館における司書教諭の果たす役割を勘案しながら、しかも司書教諭教諭としての職務のあり方について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置が講じられなければならないと思うのでございます。  司書教諭あり方については、教諭の職務と兼任したままでいいのか、それとも専任とすべきかについて、これまで私ども参議院文教委員会でもさまざまな議論がございますけれども、これから学校五日制の完全実施を数年後に控えまして、図書館の果たすべき役割がますます重要になることを考えつつ検討されなければならないことだと思います。  なお、先ほどの御質問の中で触れておられましたけれども、一昨年の平成七年八月の児童生徒読書に関する調査研究協力者会議の報告の中には、専任の司書教諭について「専任の司書教諭の配置については、様々な意見があり、学習指導学校経営の在り方及び今後の学校図書館像も踏まえつつ、中長期的な課題として研究していく必要がある。」と記されておりますように、これからの司書教諭専任化の問題は大変重要な課題になると思います。  さらに、先ほど文部大臣の御答弁をお聞きしておりまして大変うれしかったのでありますけれども、文部大臣も、できることなら専任の司書教諭を配置したい、しかし現実の問題として、今日ではさまざまな問題があるから今すぐにはできないという趣旨の御答弁をなさいました。文部大臣御答弁にもありますように、将来の方向性としては、図書館司書教諭については専任化を目指すべきだということについて国民的なコンセンサスを得られる問題だと思っております。  司書教諭を配置する場合の学校規模の問題でありますけれども、これは、規模の大小にかかわらずすべての学校司書教諭を配置されることが望ましいことはだれだって同じ思いだと思いますけれども、しかし、現実問題として、小規模校の取り扱いについては慎重にしなければいけないと思っています。学校教育法施行規則十七条で、小学校の標準学級数につきましては「十二学級以上十八学級以下」と規定しておりますから、しかも中学校もこれを準用しております、そういうことを考えますと、こういう規定を参酌しながら、国会審議などを経て政令で定められることになるんじゃないでしょうか。
  99. 保坂展人

    ○保坂委員 今の上山議員の御説明を聞いてさらにお尋ねをしたいと思うんですけれども、いわゆる司書の資格を持ってそれぞれの学校司書として非常に小まめに本の紹介をされたりとか、あるいは子どもたちと読書サークルをつくったりとか、画期的な活動をされている学校司書の皆さんの存在があると思います。今回の法改正の意図がそこにあるものではないと私も思うんですが、万が一でも、現在これだけ多くの本離れと言われる中で子どもたちの読書のパートナーとして活躍をされている、そして職業として積み上げてこられたプライドもしっかりお持ちのその方たちが身分を脅かされるようなことがあってはならないと思うんですね。  例えば、私のところにもはがきが来ているんですが、小規模校の中で、七十八名、六学級という規模学校で今私はやっていますよというそういう方が、やはり堂々と、理想的にはその形なんですから、今後もやっていけるような趣旨をぜひ踏まえていただきたいと思うんですが、その点についてもう一度上山議員にお願いします。
  100. 上山和人

    ○上山参議院議員 現在学校図書館に勤務していらっしゃる皆さんは、申し上げるまでもないんですけれども、図書館運営に大変意欲的な人たちばかりだと思うんです。しかも豊かな経験の持ち主でございますから、今後も、やはりこれらの人たちの豊かな経験と、そして大変積極的な図書館運営に対する御熱意が生かされるように最大限の配慮が必要だと思っております。
  101. 保坂展人

    ○保坂委員 これは、現在の学校司書の方たちがまずます安心して、しかもユニークな存在であり続けられるように、もう絶対にこの法改正の中で万が一でもその身分が脅かされるようなことがあってはならないというふうに重ねてお願いをしておきたいと思います。特に、PTAがお金を出し合ってお願いをしていくとかいろいろなスタイルがありますので、そうやって努力をされてきた方たちの存在によっていわば子供読書が支えられてきたという現実を私たちも踏まえていかなければいけないというふうに思います。  続いて、五月八日の参議院文教委員会で、小野清子先生質問に答えて木宮先生が、「今後、学校図書館充実され、専任の教職員なしては運営できないほどの大きな機能役割を」「果たすようになった際には、司書教諭専任化についても検討する必要があろうかと思います。」と答えられていますが、この点について上山議員にもう一度お答えいただきたいと思います。
  102. 上山和人

    ○上山参議院議員 今先生御指摘のように、確かに、前回の参議院の文教委員会で小野清子先生の御質問に対して木宮先生がお答えになりました。その中で、最後の方で、将来の方向として「司書教諭専任化についても検討する必要があろうかと思います。」というふうに先生お答えになっていらっしゃいます。  仮に司書教諭専任化を考えるとすれば、やはり先ほど、山元先生と本岡発議者との間の質問、それに対する答弁でもいろいろ論議が行われましたけれども、やはり、現行法の五条二項が「司書教諭は、教諭をもって充てる。」と規定しているものですから、果たしてそれが適当であるかどうかということをまず検討しなくちゃいけないのではないでしょうか。もし仮に教諭をもって充てることが困難であると判断をされる場合は、現行法の五条二項の改正が必要になると思うのでございます。  そして、先ほど先生が保健室の例をお話しになりましたけれども、保健室の養護教諭の例に倣って図書館専任の職としての司書教諭の制度をとるとすれば、所要の定員確保、さらには教員免許法の改正などの諸条件の整備が急がれなければならないと思います。  以上です。
  103. 保坂展人

    ○保坂委員 先ほど保健室の例を出しました。これは、文部省の方でも、いじめの対策に対して保健室が大変大きな役割を果たしているということを御指摘されて、したがって、養護教諭がいじめの解決の大きな役割を果たすようにという御提言が関係の審議会などからあったわけですが、この点に対して若干私は疑問を持っておりますのは、つまり、養護教諭の皆さんが、健康診断はします、そしていろいろ身長や体重を書きますけれども、あるいは血圧をはかったりしますけれども、しかし、評価をしない先生であるというところがとてもやはり子供たちにとって心が開ける存在だったんじゃないか、このように思うわけです。ですから、今、司書教諭専任化への道と法改正というお話がありましたけれども、教えない先生、あえて言えばですね、横から支えてあげる先生、こういう役割がやはり今の時代の子供たちには大切なのかなと。  私、私見ですけれども、読書感想文というのは、あれはやめたらどうだろうかというふうに本当に思っているんですね。確かに感想文というのはいい文章が出ます。先生は、金賞とか何か子供がとるとうれしいというのはあるとも思うんですけれども、読書感想文で本が嫌いになった子というのは結構多いんですね、宿題として出てきますから。  やはり専任化への道はもう最初から子供と本のパートナーという形でやれるんだと、それから、学校司書の皆さんも、そこのところはそういう役割を合流していけるような道を、入り口のところの議論ですが、今後この機会に、またあと四十年後にやるんじゃなくて、もうこの数年先の間にこの道を開くべきではないかと思うんですが、木宮先生にちょっとその点伺いたいと思います。
  104. 木宮和彦

    ○木宮参議院議員 御意見、大変よくわかります。私も全く同感でございます。
  105. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、くどいようですけれども、子供たちと本と、それこそきずなで結ばれて、そして本当に想像力の中で貴重な仕事をされてきた、これまでのいわば図書館の空白を支えてきた皆さんの御努力と現在の御苦労に深く敬意を払って、そしてその方たちの努力の上に、今回の法改正が、きちっと子供の利益のために、そして精神を豊かにするためにあることを強く願いまして、一層の努力を私どもも続けていきたいというふうに思います。  これで私の質問を終わりにしたいと思います。
  106. 二田孝治

    ○二田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  107. 二田孝治

    ○二田委員長 この際、本案に対し、山原健二郎君外一名から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。山原健二郎君。     —————————————  学校図書館法の一部を改正する法律案に対する   修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  108. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、日本共産党を代表して、学校図書館法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  まず、修正案提案の理由及びその内容について御説明申し上げます。  学校図書館は、学校教育をより豊かにする上で欠くことのできない基礎的な設備であり、学校における図書活動の中心として大きな役割を発揮することが期待されています。  しかし、現状は、学校図書館法が制定されて四十年以上経過した今も、学校図書館充実に欠かせない専任の教職員が配置されていないため、昼休みと放課後に開館するのが精いっぱいという学校が多く、中にはかぎのかかったままのあかずの図書館すらあるという状況さえ生まれています。  学校図書館図書館として機能させるかぎは専任の人の配置であります。そのためには、国の責任で学校図書館の専任職員を配置する必要があります。また、既に配置されている職員については、正規の専任職員としての身分の安定を図るとともに、給与や研修の保障など処遇の改善を図るべきであります。  しかし、今回の改正案は、教科や学級を担任しながら兼任で学校図書館の運営に当たる司書教諭の配置を進める内容にとどまり、父母、教職員が求めている専任の職員配置には全く触れていません。これでは、貧困な学校図書館の現状を解決するには不十分でございます。  そこで、開店休業状態の学校図書館を一日も早くなくし、豊かな学校図書館活動を発展させるために、司書教諭と力を合わせて学校図書館の運営に当たる専任、専門、正規の学校図書館担当職員、学校司書を新たに制度化する修正案を提出するものでございます。  次に、修正案の内容について御説明申し上げます。  第一は、学校には、司書教諭に加えて、学校司書を置かなければならないこととし、その職務は、司書教諭と協力して学校図書館の専門的職務に従事することとしています。  第二は、学校司書の資格及び講習について規定を設けています。その際、現に学校図書館職員である者については、雇用形態のいかんを問わず、一定の経験年数と講習学校司書に移行できるようにしています。  第三は、学校司書は、特別の事情のあるときを除き小学校中学校に各一名、高校、障害児学校に各一名を置くこととし、五年間で段階的に配置することとしています。義務教育学校においては、県費負担職員とし、給与の半額を国庫負担の対象としています。  第四は、学校図書館及び学校教育において学校司書の果たす役割を勘案し、改正法施行後三年以内を目途として、学校司書の職務に応じた給与、研修その他の処遇に関し検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしています。  第五は、司書教諭制度のあり方について、改正法施行後三年以内を目途として、司書教諭を専任とすることも含めその職務のあり方に関し検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしています。  これによる初年度の国庫負担の増額は約二百億円を見込んでいます。  以上が、修正案提案の理由及びその内容でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をいただけますようお願い申し上げまして、提案の理由を終わります。
  109. 二田孝治

    ○二田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。小杉文部大臣
  110. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 学校図書館法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。     —————————————
  111. 二田孝治

    ○二田委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。石井郁子君。
  112. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、学校図書館法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成し、原案に反対する討論を行います。  二十一世紀を目前に控え、学校図書館は、学校教育に欠くことのできない基礎的な設備として、子供たちの学ぶ喜びをはぐくむためにも、その充実は緊急の課題となっています。  ところが、図書館担当の職員がいる学校は、小中学校では十数%しかなく、高校でも七割程度にとどまっています。しかも、その身分は公費による正規の職員のほか、臨時職員やPTAによる私費雇用などさまざまです。  この間、学校図書館機能させるために専任の人をという父母、教職員の運動が広がり、独自に図書館職員を配置する自治体もふえています。既に、図書館職員が配置されている学校では、子供たちが生き生きと読書に親しむとともに、授業などの教育活動に欠かせない重要な役割を果たしていることが共通して指摘されています。  学校図書館法が制定され、四十年以上が経過しています。学校図書館が、教育活動の展開の上でも、子供たちの幅広い教養を培う上でも、大きな役割を発揮できるようにするために、国の責任で学校図書館仕事に専任できる人を配置する必要があります。  ところが、今回提案された改正案は、教科や学級を担任しながら兼任で学校図書館の運営に当たる司書教諭発令にとどまり、専任の職員配置には全く触れていません。司書教諭がその職務に専念できる定数上の措置もありません。  学校図書館法に基づいて司書教諭発令を進めること自体、否定するものではありませんが、今回の改正案では学校図書館に専任、専門、正規の人をという父母、教職員の願いともかけ離れたものとなってしまいますので、反対せざるを得ません。  以上で討論を終わります。
  113. 二田孝治

    ○二田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  114. 二田孝治

    ○二田委員長 これより採決に入ります。  参議院提出学校図書館法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、山原健二郎君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 二田孝治

    ○二田委員長 起立少数。よって、山原健二郎君外一名提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 二田孝治

    ○二田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  117. 二田孝治

    ○二田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、河村建夫君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び太陽党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。山元勉君。
  118. 山元勉

    山元委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     学校図書館法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び地方公共団体は、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 学校図書館は次世代の知と生きる力を育む宝庫であり、政府及び地方公共団体は不断の努力でその充実に取り組み、学校教育における図書館重要性を広く啓蒙するとともに、今後中長期の学校図書館の在り方を総合的に検討すること。  二 政府及び地方公共団体は、この法律の趣旨を体し、司書教諭の計画的養成発令に努めるとともに、小規模校への設置についても配慮すること。  三 政府は、司書教諭講習について、講習内容の現代化及び教員免許状取得前の受講を可能にするなど受講資格の弾力化を図り、時代の進展に応じたものとなるよう努めること。  四 政府は、学校教育における学校図書館の意義・機能司書教諭の果たす役割等を勘案し、司書教諭教諭としての職務の在り方に関し、担当授業時間数の軽減や司書教諭専任化を含め、検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。  五 政府及び地方公共団体は、司書教諭設置及びその職務の検討に当たっては、現に勤務するいわゆる学校司書がその職を失う結果にならないよう配慮するとともに、職員配置を含めた、学校図書館整備のための地方公共団体独自の施策を、より一層充実するよう配慮すること。  六 政府及び地方公共団体は、ひきつづき、学校図書館資料の充実を図るとともに、マルチメディア時代に向けた学習情報センターとしての機能充実に努めること。 以上であります。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  119. 二田孝治

    ○二田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 二田孝治

    ○二田委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小杉文部大臣
  121. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 ただいま御決議がございました事項につきましては、御趣旨に沿って十分検討いたしたいと存じます。     —————————————
  122. 二田孝治

    ○二田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  124. 二田孝治

    ○二田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  125. 二田孝治

    ○二田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  田中眞紀子君外九名提出小学校及び中学校教諭普通免許状授与に係る教育職員免許法特例等に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口泰明君。
  126. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 自由民主党の山口泰明でございます。本法律案提出につきましては、田中眞紀子先生初め提案者の皆様には深い敬意を表しております。  子は国の宝、これは私の尊敬する元参議院議長で全国知事会長でもある土屋埼玉県知事が事あるごとにお話をしております。私は、昨年の総選挙で民間からいきなりこの世界に入ったわけでございますけれども、立候補を決意をして、必ず教育については、教育とは知育と徳育と体育、この三つがバランスよく運用されることが一番いいと訴えてまいりました。しかし、現状を見ると、徳育の面はやはり一歩も二歩もおくれていると考えるのは私一人ではないと思っております。そういった面では、今回の法律案は、まさに私は大賛成でございまして、そういう点からも、御質問をさせていただきたいと思います。  また、特に田中先生にお願いでございますけれども、日ごろの立て板に水のようにお話をいただきますと、私はまだ新人で、せっかくいい答弁を聞いても聞き取れなくては先生にも大変失礼でございますので、頭の回転のスピードはとめられないでしょうけれども、話すスピードはぜひ調節をしていただいてお答えをいただければ大変ありがたいと思います。  それでは、まず一点目。今回の法律案は、高齢化の進展や障害者の理解の促進の観点から大変意義あるものと考えております。提案者から改めて立法趣旨についてお伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  127. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 お尋ねありがとうございます。  先日、当委員会でもって私が法案の提案理由を申し上げましたことに大体趣旨は凝縮しているというふうに思いますが、今、山口先生もおっしゃいましたとおり、本当に教育というものは国家百年の将来を保障するものであるというふうに私は常日ごろ考えております。  日本は物質的に、確かに物に恵まれておりますけれども、日本の社会全体がぎすぎすしているというような印象を多くの世代の方々が感じていらっしゃるのではないかというふうに思うのです。本当に日本がゆとりのある、優しさのある社会を築くためにはどういうことをするのが大事であろうかということをずっと考え、悩んでまいりました。その中で、基本は人づくり、国家の一番の、最大の財産、宝は人間であるというふうに考えるようになりました。そして、その中で、今先生もおっしゃいましたように、知育偏重ではなくて、徳育も含めてバランスのとれたよい人材、質の高い人材を教育界に送り込むということは国家の責務であろうというふうに私は思っておりまして、言ってみれば、大げさですが私の国家観といいますか、国づくりに根ざす発想でございます。  そして、そうした質の高い人材を教育界に送り込むことによって、しかも先生方自体も、知育だけではなくて、実際に現場を踏むことによって、人間は心とか体でもって感じたり理解をするということができますから、そうしたことによって、そうした教師の社会的影響力を考えた場合に、何十年か後になるかもしれませんが、日本人の心に真の優しさとゆとりをよみがえらせるということに貸すればいいというふうに考えたのが立法の趣旨でございます。
  128. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 よく理解できました。  本法律案の要点は、教員免許状取得希望者に介護等体験を義務づけること。社会、時代の要請によりそのことの必要性は十分理解できるものでございますけれども、なぜ介護だけが対象なのか、そのほかのボランティア活動等は対象としなくてよいのか、その点もちょっと改めてお伺いしたいと思います。
  129. 河村建夫

    河村(建)議員 お答え申し上げます。  極めて大事な御指摘だ、こう思うのです。これまで立法化する段階で、ただいまのような御指摘もいただきました。我々もいろいろ考えたのでありますが、田中眞紀子先生御提案の中でもお話がございましたように、いわゆる人づくりの観点、あるいは国民総介護時代を迎える、そういう観点から、今回につきましては、特に、この法案の趣旨を絞っていきますと、弱者の立場とか人の心の痛みのわかる教員をつくっていく、その現場での原体験を持って教育に臨んでいただいて、二十一世紀の子供たちのために頑張ってもらう。そういうことを考えますと、法案の中においては、介護といいますと何か特別養護老人ホームの介護だけのような感じがいたしますが、障害者の皆さんとの交流であるとか、あるいは介護の中には介助もございます、そういう広い意味での介護といいますか、そういうふうに絞って立法化したものであります。  御指摘のような各種ボランティア活動、これも当然大事な、必要なことでありますから、これをこれからの教員養成の中でどういうふうに位置づけるか。今度文部省が発表された教育改革プログラムにもそういうことがうたってありますが、そういう観点から、別の形でボランティア活動を奨励をしていく、別の形でまたしていくものであろう、このように考えております。
  130. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 法律で介護等体験を義務づけるわけですけれども、介護等体験中に事故が生じ、学生が施設入所者等にけがを負わせた場合や、逆に自分がけがをした場合などに、その補償がどうなるかは、法律案からはちょっと明確でないような気もいたしますが、提案者としてどのようにお考えなんですか。お答えいただければと思います。
  131. 河村建夫

    河村(建)議員 この問題も、実際に法律を実施した段階で万一ということもありますから、考えなければいけない大事な問題であります。現時点でこれにすぐ合う保険というのがなかなかはっきりいたしませんが、ボランティア保険とかあるいは学校安全会等々でもいろいろ検討がされるわけでありまして、今文部省においてこれをどういうふうな形で受けていけばいいのか、鋭意研究をいたしておるところであります。補償できる体制は必要であるというふうに考えております。
  132. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 ぜひその方向でよろしくお願いいたします。  介護等体験はそもそも自主的に行われることが望ましいと考えるわけでございますけれども、義務づけしてしまってはボランティア精神が育たないのではないのかという意見もあるのですが、それについてのお考えはどうか、お聞きしたいと思います。
  133. 秋葉忠利

    ○秋葉議員 確かにおっしゃるとおり、今回のこの法案では、特に高齢化進展の中で障害者や高齢者に着目をした上での弱者の立場、人の心の痛みの理解の促進をねらって、ここに絞って考えていこうということをうたっております。これはボランティア活動の重要性を否定するつもりではなく、まず出発点としてこういった経験をしていただいた上で、人と人との交流を通じてボランティア精神が必ず育つという信念のもとにこの法案を考えております。  もう一点申し上げたいのですけれども、例えば、自由に何でもいいから作文を書きなさいというような課題が与えられますけれども、作文を子供たちが習っていくようなプロセスでも、最初から何でもいいから書きなさいといって自由に発想が飛ぶということはまずありません。最初はやはり一番好きな食べ物は何ですかというようなことを聞いて、それが例えばリンゴだったりすると、リンゴについて小さいものを書いていく。そういった型にはまった我々の知恵を子供たちに教えることによって自由な発想が育つ、自発的なボランティア精神も育つというようなパターンになるのだろうというようなことも考えております。  ボランティア精神を育てるためには、最初からもうボランティア精神が十分に発達しているという前提でやりなさいということで野放しにするのではなくて、我々の中にある芽がきちんと育つように水をやり、肥やしをやり、制度を整えるということが大事だということで義務づけているつもりでおります。
  134. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 わかりました。  法律案では、介護等体験を、七日を下らない範囲で文部省令で定める期間とされ、実際の制度運用上も最低の七日間を想定していると聞いておりますけれども、このことについては、たった七日間では介護等体験が十分にできないのではないかという声と、私も、例えば施設に行ったとして、その相手方がやっとなれたころに帰られてしまうという気もするのですけれども、その点についてもお伺いしたいと思うのです。
  135. 栗原博久

    栗原(博)議員 ただいまの山口先生の御質問、もっともでございまして、この法律立法の草案の段階においてもこの期間について大変議論をしたわけであります。介護体験の期間はやはり長いにこしたことはないと思いますけれども、この法律の理念とか趣旨を学生たちが理解すれば、例えば二日や三日の体験でも、それをきっかけとして障害者とか高齢者に対する、弱い立場の方に対する理解を深めることもできるというふうに私どもは評価しておったわけでございます。  そういうことで、今回の立法の時点では特殊教育学校が約一千、あるいはまた社会福祉施設が九千、あるいはまた老人保健施設が千五百あると言っておりますが、やはり施設能力の問題とか学校の受け入れの関係とか、そういうものを総合的に勘案しましてこの七日間を想定して、後ほど省令で定めるということになったわけであります。  今後この法律が制度として定着されまして、関係機関大学とかあるいはまた施設等の協力も得られまして、その段階で、将来ある時点においてはその期間の延長というものも検討することも考えられると思っております。
  136. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 ぜひ延長する方向でお願いしたいと思います。これは受け入れる側も問題があるかもしれませんけれども、ぜひお願いいたしたいと思います。  私の質問としては最後になるのですけれども、法律案では介護等体験を義務づける者は小中学校の教員志願者に限定されている。それはなぜなのか。私は、高等学校や幼稚園の教員志願者にも義務づけた方がいいのではないか、こう思っておるのですが、その点についてもお伺いしたいと思います。
  137. 山元勉

    山元議員 御指摘の小中学校というのは義務教育、国民全部に就学義務が課せられているわけでございますから、そういう小中学校義務教育の教員を志す皆さんには、特に個人の尊厳やあるいは社会の連帯だとかあるいは人への優しさというのをしっかりと理解していただいておく必要があるだろう。そういう意味で、実際に体で体験をしていただこう、こういうふうに考えたわけでございます。御指摘のように、高等学校や幼稚園の教員志望者にもということは望まれるところですけれども、去年ですか、小中学校の教員志望者は八万人というふうに聞いています。ですから、受け入れ施設のことを考えると、たちまちにということについては大変困難だというふうに考えています。
  138. 山口泰明

    ○山口(泰)委員 ありがとうございました。  私も特別養護老人ホームの理事もしておるものですから、そういった観点からも、受け入れ側に聞きましたら、どしどしそういうのを送っていただきたいという話もありますので、ぜひこれを強力に推進するようお願いいたします。  これで戸井田先生とかわります。どうもありがとうございました。
  139. 二田孝治

    ○二田委員長 この際、戸井田徹君から関連質疑の申し出があります。山口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。戸井田徹君。
  140. 戸井田徹

    ○戸井田委員 自由民主党の戸井田徹であります。  田中先生、また田中先生を支えてそれぞれの先生方、本当に御苦労さまです。この法案が産声を上げてというか、思いが田中眞紀子先生の口から出始めて、それから今日に来るまでいろいろなことが実はあったわけでありますけれども、そんな中でこの法案がここまで来たということは、何に一番原因があったか。私、個人的に思いますのは、最初に田中眞紀子先生の確固たる信念のもとに出された発議、それがあったからだろうというふうに思うわけであります。  そして、さまざまな障害があったわけですけれども、それを乗り越えるのに一人で乗り越えたわけじゃないわけであります。田中眞紀子先生を支える河村建夫先生を初めとする多くの先生方がサポーターとしてカバーし、そしてきょうこの日を迎えたのだろうというふうに思うわけであります。  そういう意味で、非常に感慨深い法案であります。その賛成の立場から、幾つか質問させていただきたいと思います。  先日、私の選挙区であるお祭りがありまして、そこに地域の幼稚園から小中学校まで集まっていろいろな催し物をやった。パレードでありましたけれども、本部席の前でもって、幼稚園から小学校に始まってずっとそれぞれ特徴のあるいろいろな催し物をやって、次々かわっていくわけですけれども、その中で、私、一つ気になったことがありました。  それは、ある幼稚園の子供でありましたけれども、歌を歌いながらそれぞれ手話をやっているのですね。歌詞を表現する手話をやりながら歌を歌っている。それを見ておりましたら、わずか五歳か六歳の子供たちがみんなそのことをきっちりやっている。もちろんこれはだれかが教えたから五歳、六歳の子供たちがそれを間違えずに、間違えていたかどうか私は確認できないわけですけれども、その子供たちがやっていた。そこに教える人のはっきりとした意思を私は感じたわけであります。なぜそこに手話が入ってこなければならないのか。それは明らかに、子供たちに教えた人の意思がはっきりとそこに読み取れるわけであります。  そのときに、ああ、このようにして、それこそ学校の中でもって授業として手話を行っていったら、恐らく聾唖者にとってこれからの世の中というのは不便になることはないのじゃないかな、まるっきり通じない社会でなしに、少なくとも半分か三分の二かは自分たちの意思が通じる、そういう社会が日本の中にできてくるのではないかなということを実は感じたわけであります。  しかし、それもきちっと教える人がいて、そして教える場があってということで可能なことなのだろう。そうすると、手話を教えられる人がどれくらいいるのだろうかということを考えたときに、自分が頭の中で想像したことというのは、まず不可能なのだろうなということを実はそのときに思ったわけであります。  そして、今回のこの法案につきましても、実際のところ、教える、またそれを見せる、そういう場があって、またそれを受け入れる施設があって初めてそれが実行できるのだ、そういうことも考えてみますと、学生を送り出す側の大学と、それから学生を受け入れる側の社会福祉施設との協力が不可欠であることは間違いないと思うのです。  送り出す側の大学のそれぞれの学生の数であるとかまたはその受け入れの施設の数だとか、そういったものが合わせてどのくらいできるのだろうか、円滑な受け入れが可能なのだろうか、その辺のことをちょっと御質問したいのです。
  141. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 戸井田先生からのお尋ね、大変ありがたく伺いました。  と申しますのも、亡くなられましたお父様の戸井田三郎先生が最初に私のこの発議に賛同をしてくださいました。そして、大変強力に、陰に日に御指導くださいましたし、また同時に、その当時、戸井田先生の事務所で事務方としてこの法案成立のために走り回ってくださった徹先生が、今議員としてこの席で賛同の発言をしてくださる、お尋ねをくださるということ、私は大変ありがたく、感謝を申し上げます。戸井田三郎先生のみたまにささげるつもりで、一生懸命、多くの先生方、また今この場所にいない多くの方々の御指導、御忠告をいただきながら本日を迎えたことを、本当に私は政治家としてありがたい、幸せ者であるというふうに思っております。  先ほども申しましたけれども、確かに御案内のとおり、この法案は構想の段階からいろいろと懸念の声もございました。具体的には学校側の責務の問題、事故の問題、それから受け入れ施設の数の問題、そのほかいろいろございましたけれども、そういうものを一つ一つ、ヒアリング等いたしまして、クリアをしてまいりました。それは具体的には、施設の方、メディアの方、それから日教組の方、学生さん、あらゆる方から御意見を聞きまして、そしていろいろ微調整をしながら、一年半かかってここまで持ってきた経緯がございます。  数字の上では、先ほど栗原先生がおっしゃったとおり、約八万人に近い人たちを一万数千の場所でもって受け入れていくということが、まず一週間くらいであれば可能であろうという数字がシミュレーションの結果出ましたので、こういうことになりましたけれども、ただ、基本は国民皆介護でございますから、何も、受けた人が学校先生にならないから困るのではないかとか、あるいは一週間で終わってしまうのではなくて生涯続けてもいいわけです。ただし、その裏返し、すなわち、一切そういうことはしたくないのだ、頭だけ、勉強さえできればいいのではないかという人が、果たして教育現場に行って、心、そして体、精神のやわらかい、小学校並びに中学校くらいの生徒さんたちとじかに接触をして、いい影響があるだろうかということがやはり基本にあります。  翻って、これを発展させていけば、社会連帯の意識ということを、施設とか学校とか生徒だけではなくて、国家も地方自治体も、全員が連帯して、いい日本をつくろう、国づくり、人づくりをしようということに自分がどのようにかかわるかということを啓発したいのです。ですから、私は冒頭のときに国づくりということを申し上げましたけれども、これは精神としては基本にあるものでございます。  受益と負担、今日本人に一番この意識が欠落しているのではないかと思います。それから、目先にあるものばかりを理解して、心とか、目に見えないものとか、痛みとか、自分と違った立場の人、特に弱い立場にいる方々、お話ができない、目が見えない方たち、高齢者、自分なのですね。自分と高齢者、障害者は別でも何でもない。子供も、自分もかつて子供であったわけですから。そうしたことに対する想像力、イマジネーションがないわけです。ですから、パブリックマインドというものを日本人が早いうちから持つように、そういうインセンティブを与えるための法案であるということが提案の基本にあるということを御理解いただきたいと思います。  多くの困難がございましたし、今後もあると思います。そして、これから先生方お尋ねくださる質問の中にも、今申し上げた中の個々に関することのお尋ねがあると思いますが、基本はかようなことである。そして、今後またクリアしていかなければならないことがたくさんあることは十二分にわかっておりますが、その都度全員が、パブリックマインドとは何であるか、社会連帯とは何か、受益と負担とは何か、国家とは何かということをやはり肝に銘じて、全員で末永く支えていっていただきたい、かように考えております。
  142. 戸井田徹

    ○戸井田委員 どうもありがとうございます。  介護体験を円滑に進めていく上で、受け入れ施設に関する学生への情報提供というのも大切なことではないかな。八万人が一万二千の施設に行くといっても、では、自分がどこに行ってということを考えたときに、やはりその辺の情報提供、また情報の整理というものをうまくやっていくことによって初めてそれが円滑に動いていくのではないかと思うのですけれども、その辺のところはどんな状態でしょうか。
  143. 藤村修

    藤村議員 お答え申し上げます。  ボランティアというのは、自発性あるいは社会性、無償性などとよく言われますが、自発的に行うというのは非常に重要だと私は思います。ただ、これは法律で義務づけをするということでありますので、先生御指摘のとおり、情報提供というのは非常に重要だと考えておりまして、例えば、学生が大学等の相談窓口で、関係施設等の一覧が入手できるような条件整備が必要と考えております。また、このため、各都道府県における円滑な情報提供の仕組みの整備を含め、文部省、厚生省、社会福祉協議会、都道府県教育委員会等、それぞれの協力により適切な対応をするべく、法案に「関係者の責務」ということで書き込んでおるところでございます。十分期待できると思います。
  144. 戸井田徹

    ○戸井田委員 どうもありがとうございます。  発信する電波がいかに強力であっても、受けるアンテナがなかったり、ぼろぼろであったら、どうにもならないのだろうと思うのです。特に、そのポイントとなる社会福祉施設等での円滑な受け入れについて、社会福祉施設等を所管する厚生省として、法律の施行に伴い、どのような措置を講ずる考えでおられるのか、厚生省の方にもちょっとお伺いしたいと思います。
  145. 井上恒男

    井上説明員 お答えいたします。  この法律案によりまして、年間約八万人の学生を社会福祉施設などで引き受ける、こういうことになるわけでございますが、現に社会福祉施設におきましては、社会福祉士や介護福祉士の実習生を相当受け入れているのが実態でございます。この法律案で言います介護などの体験は実習とは趣旨が異なるわけでございますが、これまで以上に多数の学生の受け入れを円滑に進めるということになりますと、学生の自主性を尊重する一方で、特定の施設に偏らないような、学生と施設の要望を調整する仕組みを整備するなど、法律の施行の中で、できるだけ施設の負担を軽減していただく配慮が必要ではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、この法律案は、教職員の資質の向上とともに、介護に対する理解を広めるという意味でも大変有意義であるというふうに考えておりますので、厚生省といたしましても、学生の受け入れが円滑に実施できますよう、都道府県などを通じまして、関係の機関施設に協力を求めるなど、できるだけの努力をしてまいりたい、このように考えております。
  146. 戸井田徹

    ○戸井田委員 ありがとうございます。  今回のこの介護体験は、教員免許状の授与の条件になるということであります。介護等体験が適切に行われた旨を何らかの形で証明することが必要になってくるわけでありますけれども、一方、体験の内容を詳細に記載した証明書を求めたりすれば、またそういった受け入れ施設の側に大変な負担になるということを考えてみますと、介護体験の証明書について法律案では明確ではないのですけれども、提案者の方から、証明に関してどういうふうに考えておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  147. 栗原博久

    栗原(博)議員 今の戸井田先生の件につきましては、本法の第二条の二項で、文部省令で必要な事項を定めるということで規定してあるわけであります。御質問の、介護体験等の証明書の発行あるいはまた教員免許状の申請に係る事項をここでは規定するとなっておるのですけれども、この法律は、教員免許状の授与に際しましては、やはり介護体験を証明するものがなければ教員免許状を出さないという義務規定でありますので、さりとてまた、受け入れ側に過重な負担がかかってはならないということでもあると思うんです。ですから、この証明を担保できるということであれば、できるだけ簡便な様式で措置をするということに考えているわけであります。
  148. 戸井田徹

    ○戸井田委員 どうもありがとうございます。  本案の趣旨から考えますと、必ずしもその証明書が必要かなと思う部分もあるわけであります。実際に、先ほど発案者の方からお話もありましたけれども、七日間で何が技術習得ができるのかな、確かにそういう部分はあるんだろうと思います。技術を習得するためには恐らく一週間や二週間では無理でしょう。ひょっとしたら一年、二年かかるのが専門家の技術だろうというふうに思います。しかし、その心を得るということは、私はまさに一瞬でもふっと気づくことがあるんだろうというふうに思うわけであります。  私は、何年か前に、NHKのテレビでもって、ある八十歳のおばあさんが自分よりはるかに年下の七十そこそこの寝たきりのお年寄りの世話をしている、そういうテレビ放送を見ました。前後の関係は覚えておりませんけれども、そのおばあさんが最後に、何でこういうお世話をされるんですかと聞かれて、自分もひと暮らしだから、いずれ将来自分が倒れたとき、どこかのだれかにお世話にならなければならない、そのために自分が体が動く間は少しでもお手伝いをしたいんだというようなことをコメントされておられました。その一言を聞き、またその姿、テレビで後ろ姿が映っていたわけですけれども、それを見て私は、介護というのはこれから必要なことなんだということがまさに一瞬にわかったわけであります。  そういうことを通じて、この今回の法案につきましても、技術を習得するんではなしに、その心を習得するんだ。世の中のどこかでもって、まるっきり赤の他人の介護の世話をしている、そういった人たちが一生懸命汗水垂らしながらやっているんだ、そういうことを見ることに非常に大きな意義があるんじゃないかな、そこに人間と人間のつながりができてくるんじゃないだろうかそれがさらに大きな介護の雰囲気というものをつくっていくんじゃないかな、そしてまた、次を担う世代をそういったことを悟った先生方によって育てていただく、そのことがまさにこの法案の大きな意義だろうというふうに思うわけであります。  最後でありますから、提案者に言いたい放題、本法案について洗いざらいしゃべっていただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。
  149. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 無口ですから言いたい放題言えませんし、これでもゆっくり目にしゃべっておりますけれども、一言で申し上げますならば、これからいろいろ施設学校、学生さん自身にも御負担をおかけすると思いますが、事務的にはできるだけ支障のないように徹底をさせていきたいというふうに思います。そして、この精神が社会に自然に浸透して受け入れられるようになるように、最大限の努力をいたしますので、ぜひ皆様の御協力を仰ぎたいと思います。ありがとうございます。
  150. 戸井田徹

    ○戸井田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  151. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、池坊保子君。
  152. 池坊保子

    ○池坊委員 新進党の池坊保子でございます。  私は、文教委員になりまして一番やりたいことは、学校教育の中に知育、体育だけでなく、徳育を入れたいというのが願望でございました。戦後五十年の学校教育を見ておりますと、知識の詰め込みというのは大変なされているように思います。知育偏重ではないかと思うのです。知識というのは限りがございませんから、これでいいというところがない。今の子供はそういう意味では知識がエスカレートしているのではないか。そして体育は、体をつくらなければいけないという中で多少は考えられている。でも、徳育ということが全然見直されていないというか、見るつもりもなくて今日まで来たのではないかというふうに思っております。  諸外国では、宗教心というのが人格形成の素地になっておりますので、相手の痛みや悲しみや苦しみを分から合う、共感する、共生するという気持ちが比較的浸透しているのではないかと思いますが、日本人の場合には、多くの人は汎神論者でございますので、そのような能力に乏しいのではないかと思っております。私は、そういう意味では、この法案は一つのきっかけになる、足がかりになるいい一歩であるというふうに認識しております。  ただ、本来ならばボランティアというのは、先ほどからお話がございましたように、自発的にするからボランティアなのであって、それを教職員の免許を取る人間に義務づけなければいけないというところに日本の教育の貧困があるのではないかというふうに私は思うのです。小学校中学校の中でこのようなボランティア活動がなされ、そして、それが日常生活の中に生きてこそ本来的な、本当の意味でのボランティアということではないかというふうに思っております。  教育の基本というのは、正しい判断力と多様な価値観を容認でき、そしてそれを取捨選択して決断する能力じゃないか。そういうのを養うのが教育だと思いますときに、私は徳育というのをいつも提唱しておりますので、今回の法案をそういう意味では喜ばしいと思っております。  そして、義務づけるということに対しては、多少私は疑問視するところもございますけれども、今までお話に出ておりましたように、ボランティアをやりたいと思っている学生たちは結構いるんだと思います。ですけれども、どうやってやったらいいのか、そういうきっかけがわからないという子供たちに何か一つの入り口を見つけてあげた、道を示してあげていることになるのではないかと思っております。  アメリカは、大人がリタイアした後の人間としての生き方の中に、ボランティアというのが意義づけられております。教会に自分のあいている時間、曜日を登録して、教会がコーディネートして派遣していく仕組みがあったり、時間を割いて余暇を他人のために奉仕することが、これが当たり前の社会になっておりますから、そういうことを考えますと、私は、むしろこれは教職員の免状を取る人間だけでなくて、例えば人を裁く立場に立つ人間、あるいは国の仕事に携わる方、政治家もそうかもしれません、文部省の方々もそうかと思いますけれども、多くの方々にこのような体験を普及していただきたいというふうに思っております。  ちなみに、新米先生はコミュニケーションができていないというような統計がございます。文部大臣の諮問機関である教育職員養成審議会のカリキュラム特別委員会調査によりますと、新米の先生は、同僚や保護者とうまくコミュニケーションができないばかりか幅広い教養に欠け子供をまとめる力がないというような結果が出ております。一九九六年度を含め過去三年以内に採用された小中高校などの教員について、採用時に既に身についておくべきなのに不足している資質は何かという中に、三つございまして、小中高校平均して、一、学校内の同僚、保護者、学校外の関係者と円滑なコミュニケーション、または人間関係を保つ能力がない、二つ目には、教職に限らず、大学、短大での学生生活全体を通じて得られる幅広い教養がない、三つ目は、子供を把握し指導に反映していく能力が欠けていると言われておりますので、いろいろな方々との触れ合いを通して、こういうような既に教職員になるときに資質として乏しいよと言われている条件も満たすのではないかというふうに思っております。  今まで山口先生や戸井田先生から出ていた御質問と重複いたしますけれども、この七日間ということが、私は、このようなせっかくいいボランティア体験をさせるならば、せめて二週間ぐらいさせたらいいのではないか。それから、短大の学生は二年学校に通います。大学生ですと四年ですね。これは二年生も四年生もともに七日間である。じゃ短大生は二年間のうちに七日間でもいいけれども、四年生はせめて二週間しなさいよ、私、これはいろいろな条件がおありになると思いますけれども、義務づけるならば最低二週間ぐらい義務づけていただきたいと思いますが、御提出者の御意見を伺いたいと思います。
  153. 栗原博久

    栗原(博)議員 池坊先生から大変すばらしい御高説を賜りまして感激しておりまして、立案者の田中先生もうなずいていらっしゃいました。  今御質問の件でございますが、この体験は長いほどいいというのはごもっともだと思います。しかしながら、施設の面とか、あるいはまた、学生の数が当面八万人と言われておりますから、そういう関係を考えますと、現在の時点では、いろいろこの法律の立案の段階で議論したのでありますが、七日間を下らない範囲ということで文部省令で定めるのが妥当であろうというふうに考えておるわけでありまして、たとえ二日でも三日でも、この体験をすることによって、この法律の趣旨の理念を学生は理解してくれるだろうということでございます。  以上であります。
  154. 池坊保子

    ○池坊委員 二点目は、体験の対象を広げる工夫はできないのかということでございます。  ボランティアの内容を決めてしまうのは、ボランティアの精神からむしろそぐわないのではないか。もっと窓口を広げて、例えば、阪神・淡路大震災のとき、あるいは重油流出事故のときに多くのボランティアの方々が地元の方々を精神的にも奮い起こし、そして励みとなりました。もし重油事故があった場合、多くの方たち、そういう学生たちが手伝いに行ったりすると思います。そういうのはこのボランティア体験に入らないのだとすると、これは、かわいそうというか、ちょっとボランティアの精神から反してしまうのではないか。  つまり、人によってボランティアの内容というのは異なるのではないかと思います。看護する方をボランティアと思う方もあれば、また、環境ボランティアというようなこともあると思いますので、窓口を広げるということについて御質問したいと思います。
  155. 河村建夫

    河村(建)議員 大変大事な質問だと思っております。  立法化に当たって、この問題についても広く議論がございました。ただ、今回の立法化に当たっては、提案理由にもありますし、先ほど田中議員からも説明がありましたが、この法案の意図するところは、今回については特に、教員になる皆さんが、高齢者あるいは障害者の方々と触れ合うことによって、弱者の立場とか人の心の痛みのわかる教員としての原体験を持って現場に臨んでいただこうということに着目をいたしまして立法化を図ったわけであります。したがって、そのボランティア活動等も、これからの教員養成の段階でどのように位置づけていくか、これはこれで奨励すべきものであろう、こう考えますが、これはまた別の観点から進めていくものではないかなと思っておりまして、教育改革プログラム等にもこのことがうたってあります。  池坊先生御指摘のように、先生になる方々、あるいは実際の先生方にもっと、特に若い先生方に社会性をしっかり身につけていただくということは極めて大事なことであると私は思いますから、それはそれとして、別な観点から奨励すべきものであろう。今回の立法化に当たっては、要点を絞り込んで、介護等の体験ということに重きを置いて立法化したものであります。
  156. 池坊保子

    ○池坊委員 私がこの法案の中で一番心配しておりますのは、受け皿への考慮はなされているかということでございます。先ほどもお話がございましたように、平均八万人の学生たちがいる、そして日本には一万一千五百カ所の養護学校等がある。そうすると、これは受け皿が困るのではないか。かえって彼らたちに要らない心配だとか迷惑をかけてしまうのではないか。なぜそうかと申しますと、やはり大阪とか東京の都心部に学生たちが多いので、そういうところの学生たちが、では今度は地方に行ってするのか、同じところに集中してしまうのではないかという心配を持っております。  例えば、大阪の例を挙げますと、大阪には大体七千人の免許をとりたい人間がございます。そして、府内の養護教育学校は三十五校でございます。単純に割ると、一校約二百人を受け入れることになりますので、これはちょっと大変なのではないか。  それから、そういう現場の声を聞きましたところ、重度重複障害児が増加するとともに、児童生徒の障害の状況が多様化しており、日々指導に当たる教員は一人一人の状況に即したきめ細かいカリキュラムに従って指導している、経験がなく、児童生徒個々の障害に精通していない第三者が突然介護、介助に当たることは、児童生徒に不安感を与え、むしろ授業を妨害するのではないか、また、そういう子供たちの交流についても、本来、あらかじめ教育計画に基づいて計画的に行われるべきものであり、不特定多数について組織的に行うことは極めて困難であるというような地元の声も聞いておりますので、その辺も含めてお答えいただけたらと思います。     〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
  157. 河村建夫

    河村(建)議員 この法案を実施する段階において、今、池坊先生御指摘の点は、非常に大事なことであろうと認識をいたしております。  ただ、この体験をしていただく上で、大学側もカリキュラムに入れたらどうであろうか、そしてそこで徹底的にやれば受け入れ側も受け入れやすくなるであろうというような話もありまして、そのことも十分考えてあるわけでありますが、しかし、できるだけ学生の自主性に基づいて体験をしていただく。こういう時代でありますから、介護福祉士とかそういう方々、いわゆる介護の道でプロで歩んでいく人たち、こういう方々が今たくさん施設に入って研修をしておられる。そういう方々は、その道で生きていくわけでありますから、本格的な介護実習をやるわけであります。  しかし、今回受け入れていただこうとする先生志望の学生さん方は、いわゆる心の痛みといいますか介護の心というものを、そういうお年寄りがおられる、また障害者もおられる、そういうことを現実に知っていただいて、そういう方々の心の痛みを理解をする、そこに視点を置いているわけでありますから、介護福祉士等と同じような実習を望んでおるわけではありません。そういうことで、受け入れ側の負担にならないようにということが配慮されておるわけであります。  したがって、特別に施設側が介護体験に来た人たちの評価をするとかそういうことじゃなくてい実際に体験をされたということだけ証明をしていただければそれでいいということで、できるだけ施設側には負担がかからないようにという配慮のもとにこの法律がつくられておるということを御理解をいただけたらと思うのであります。
  158. 池坊保子

    ○池坊委員 私の個人的意見を申しますと、意見というよりはお願いでございますが、老人ホームの介護を主としてやっていただくようなことはできないのかというふうに思っているのです。  なぜかと申しますと、養護施設ですと、愛情に飢えている、乏しい子供たちがたくさんおられます。私の娘も社会福祉学科に学び、養護施設の中で研修いたしましたけれども、例えばその経験の中で、親がたまに面会に来ると、三歳ぐらいの子供が、大変に興奮して、とても喜ぶのですけれども、夜寝つかれない。本人だけではなくて、その周りの子供たちも、やきもちをやいて、平常心を失って興奮したり、いじめをしたり、そういうような現象が起こるほど、三歳、四歳、小さい子供たちの感受性というのは豊かでございます。  ですから、このように、例えば数日看護に、看護というよりは世話をしに行った場合に、子供たちは、また翌日来てくれるのかなと待ったり、あるいはそのとき、児童との交流の中で、いたずらに傷ついてしまうというようなこともあるのではないかと思いますときに、老人ホームですと、おむつをかえるとか車いすを押すというようなことをやはり老人はとてもお喜びになりますので、そういうことを希望いたしますが、その辺のこともちょっと御意見を伺いたく存じます。
  159. 住博司

    ○住議員 池坊先生の御意見はこの前の厚生委員会でもお話を聞かせていただきまして、お気持ちはよくわかるわけでございます。そして、そのことも含めて、当然、学生が、どこの施設で介護体験をするのか、あるいは介助体験をするのかということを決めていただくわけです。  施設が集中するとかいろいろな問題点は出てくると思いますけれども、例えば池坊先生がおっしゃったようなお気持ちが学生さんに浸透していけば、それ値当然そういう施設を要望される方が多くなってくるであろう、こんなふうに思います。だから、要するに社会福祉施設の対象というのは割と広範囲にしておりますものですから、そこを学生さんに自主的に選択していただくというところも私どもは必要だというふうに考えております。  池坊先生のお気持ちもこれは大切にしなければいけない。ただ、その中で学生さんが、きちんとそういう気持ちを持ってこの法律の意義を感じていただいて、そして立派な教員になっていただくことを私どもは願っているということでございます。
  160. 池坊保子

    ○池坊委員 研修をいたしましたところの施設の証明書が必要だということについて、私は、これは施設の証明書でなくても、指導担任教授の証明ではだめなのだろうか。つまり、先生生徒との信頼関係もまた必要なのではないかと思いますので、作文を書かせたり、あるいは面談の中で自分はこういうことをしてきた、こういうふうに思うと、それを指導の先生が証明をして証明書を出すということですと、ボランティアの窓口を大きく広げることにも役立ちますので、その辺についてもお聞かせ願いたいと思います。
  161. 中谷元

    ○中谷議員 先生のおっしゃるような御意見ございまして、確かに議論をいたしました。しかし、立法化の過程で、大学とか短大側の負担のことも考慮いたしますと、介護体験をカリキュラムに入れて大学の教授等が指導するということについては、やや負担が伴うということでかなり準備の期間が要るということと、もう一つ、先ほど先生、これは義務かボランティアかという議論がございました。  そして、ボランティアの入り口づくりにはいいのじゃないかというお言葉がありましたけれども、今の現代っ子は、すべて恵まれておりまして、生まれたときから成人するまでいろいろと世話が多過ぎる、いわゆる過保護状態で、自分自身で物事を考えたり判断するという機会に恵まれておりません。そして、大学へ入ってもエスカレーター式で卒業まで大過なく過ごすというのが現状でありまして、これまですべて大学で管理してしまいますと、点取りのため、また大学のためということになってしまいますので、やはり世の中のため、人のためということを自分自身で考えていくという学生の自発性等も考慮いたしまして、今回カリキュラムから外して、ボランティアの精神を学ぶ入り口づくりとして位置づけたということでございます。  しかし、この制度の円滑な実施のために、そういった学生に対する先生方の指導や補助等も必要でございますので、今後さらに検討をする必要があるというふうに思います。
  162. 池坊保子

    ○池坊委員 文部省の方に伺いたいと思います。教員の初任者研修、採用者全体を対象として、研修期間中に一日か二日の養護教育学校の見学を行っていらっしゃると思いますけれども、今できます法案との関連はどうなっているのか、また、その実情を伺いたいと思います。
  163. 小林敬治

    小林(敬)政府委員 お答えいたします。  現在、初任研でボランティアあるいは社会福祉施設といったところを体験をさせるというのは、都道府県単位で申し上げるとかなりの数に上るのですが、その日数というのが非常に少なくなっておりまして、平均値をとってみますと、一日をわずかに切るという程度のものになっているわけでございます。ただ、この分野は、御案内のように、最近とみに導入をされてきた研修方法の一つというふうに位置づけてもよろしい段階でございますので、今後、各都道府県等がより積極的に導入を図っていく、充実を図っていくということになろうかと思っております。
  164. 池坊保子

    ○池坊委員 もう一点。教育実習は規定でございますね。これは法律になってまいります。そうすると、法律の方が規定よりも重いわけですから、その辺のバランス上のことについてどうなっているか、伺いたいと思います。
  165. 小林敬治

    小林(敬)政府委員 教育実習は、直接には省令で規定いたしております。その省令の根拠は法律、免許法にございます。もちろん、今回のは法律でございますから。それから、今回の場合でも、細部につきましては省令に委任をしている部分というのがございますので、その形式的な軽重というのは、教育実習と今回の介護等の体験というのでは違いはなかろうかと思います。  ただ、その目的とするところは、御案内のように教育実習というのは、それまでずっと教育関係の勉強をしてきて、それを実際に教育現場でやってみる、そして実践的な指導力をつけさせるという目的でございます。こちらの方の介護等の体験というのは、先ほど来ございますように、知徳体の徳の分野に特にかかわりのある精神的な営みというふうに申し上げてよろしいかと思います。そういうところで若干違いがあろうかと思います。  なお、教育実習で特殊教育学校に行かなければならないとされているのは、特殊教育の免許状を取る者だけに限られております。一般の普通免許状の場合には、もちろん個人的に望めば教育実習は可能でございますが、必ずしも義務づけられてはいない、こういう現状でございます。
  166. 池坊保子

    ○池坊委員 大臣にお出ましいただいておりますので大臣の御見解をちょっと伺いたいと思うのですが、私は、ボランティア活動というのを高校あるいは中等教育でこそやってほしい、これを取り入れてほしいというふうに思っております。イギリスでは、二十年前から中学校授業のカリキュラムの中に入っておりまして、週一回、金曜の午後に生徒が高齢者、障害者宅を訪問して、その家庭にどういうニーズがあるか体験学習しております。例えば、いすを直してあげるとかそのようなことを通して、子供のときから障害者へのかかわりが生まれ、そして思いやりの心が自然に身についていくのではないかと思っております。  神奈川県の小田原にございます社会福祉施設に、二十年前から小中高校の生徒が体験学習に来ております。特に中学、高校生が多いということですが、私、その理事長にお目にかかって聞きましたとき、体験学習というのはどういうことをするのかというと、車いすに乗っての生活体験や、体に包帯を巻いて動きがとれにくくなったとき、半身不随のような状態になったとき、あるいはアイマスクをつけて手探りで方向を探りていく、そういうようなことを自分が味わってみてどういう気持ちになるか、そして、その上に立って、老人を介護をしたりということをしているそうでございます。それらの体験を終えた生徒たちは、みんな感動して、自分が手助けをした、そしてお年寄りがありがとうと言ってくれるのがすごくうれしいというような声が返ってくるようでございます。  それらのことを考えますと、私は、ぜひ中学、高校生にボランティア体験というのをさせていただきたいと思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  167. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 高齢化が急ピッチで進んでいく中で、人をいたわる心とか人の痛みのわかる心を育てるという教育は、まさに重要であります。そうした見地から、今回提案された議員の皆様の御努力に心から敬意を表したいと思いますし、今回のこの法案がそうした趣旨に添うものだということで、私は、法案が通った場合には、その円滑な実現に向けて、精いっぱい努力をしてまいりたいと思っております。  なお、今回の法案は、小学校中学校と義務教育段階での介護体験、介護学習ということですけれども、高等学校におきます介護体験を通じた教育をどうするか、これは今教育課程審議会で鋭意検討をしております。  高等学校以降の教員の養成に関しては今回の法案には含まれておりませんが、私どもは、学校教育の中で、特に、つい先日教育職員養成審議会、教養審の特別委員会におきまして、先ほど来お話がありますように、やはり教員となる者は、知徳体、すべてバランスのとれた、しかも視野の広い教員でなければいけないという見地から、介護のみならず、地球環境とか、あるいは高齢化と福祉とかあるいは家庭のあり方など今日的な課題についても、そういうものを扱う総合演習を教員養成のカリキュラムに加えることを提言をしております。  以上でございます。
  168. 池坊保子

    ○池坊委員 看護問題は二十一世紀の課題だと私は思っております。知育だけのカリキュラムで子供を育てていくことの弊害は、もう申し上げるまでもなく、さまざまなところで顕著にあらわれております。ここで抜本的に見直していただきたいと私は切に希望いたします。  そして、この法案が、ただ教職員の免許を取るだけのため、その手段のためと子供たちが受けとめるのではなくて、ボランティアが、人生にとって、私たちが社会を生きていく上の一つ目的であると自然に身につくような、そのような道しるべになってくれたならば大変にすばらしいことではないかと思いますとともに、この法案が、ただ一部の免許を取りたい人たちだけでなくて大学生全般に広がりますこと、そして今文部大臣がおっしゃいましたように、中学、高校の教育の中に。これは本当に教育の問題だと私は重ねて申し上げたいと思います。義務にしなくても済むような教育をされることこそが本当の意味で日本の発展に結びつくと信じて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  169. 稲葉大和

    ○稲葉委員長代理 以上で池坊保子君の質疑は終了しました。  次に、三沢淳君。
  170. 三沢淳

    ○三沢委員 私は、新進党の三沢淳です。  本日は、提案されました先生方、本当に御苦労さまです。厚く敬意を表します。  今回の法律案につきまして、何点か質問させていただきます。  先ほどからいろいろな話が出ていますけれども、これからは高齢化の時代になってくる、そしてまた少子化の時代になってくる。その中で、今の若者が、子供たちが大きくなって、心も体も健全で、頭もいいのはもちろんなんですけれども、やはり人間として暮らしていく基本といいますか、マナーやルール、協調性、人のとうとさ、今のとうとさ、人の痛みのわかる若者、こういう若者をつくらないとこれから先の日本は大変になっていくんじゃないか、そういうふうに思います。  今の子供たちは大変自由です。私も自由な中で育ってまいりました。しかし、自由というのは責任をとらなきゃいけない、ここに重さがあると思いますけれども、今の子供たちは、どちらかといいますと自由イコールわがままとちょっと混同しているようなところがあります。その辺のところで、これから先、日本の若者がすばらしい若者だと世界から言われるためには、その役割を担うのは、もちろん家庭の両親でもありますけれども、やはり学校先生のウエートが大きくなるんじゃないか、そういうふうに思っております。  今の子供たちは伸び伸びと育って本当にいいのですけれども、やはり、ちゃんとしたことを教えてやらなきゃいけないのではないか、基本ですね、勉強ばかりじゃなしに基本を教えなきゃいけない、そういうふうに思っております。  そこで、皆さんも御存じだと思われますけれども、つい先日、埼玉の大宮市で学校の若い先生がウサギの子供を土に埋めて殺してしまった、そういう記事が載っていました。この若い先生が本当に命のとうとさ、痛みがわかる先生だったのかどうか。もしこの先生が、これは新聞を読んだことでしかわかりませんけれども、何も感じないでやった場合は、これは大変なことじゃないか。特に、こういう先生がこれからの子供たちを教えられるわけがないじゃないか、そういうふうに思っております。何か薄ら怖さを覚えます。  それと、もう一つ大切なのは、この先生が被害者じゃないかと思われますのは、この後、どうして殺したかということに対して、早く生徒を教室に戻したかった。今の偏差値教育、要するに、子供のころからマニュアルどおりに生活させられた、物も親から与えられ、着る物も与えられ、学校の教材も与えられ、あとは偏差値を高めることだけを中心にやってきた、この先生はその辺のところの被害者じゃないか、私はそういうふうに思っております。  この場で臨機応変に対応できなかったのか教室へ帰って掛け算を少しぐらい教えるよりは、ここで生徒たちと一緒になって、今の大切さ、これからどうしたらいいか、こういうふうな勉強をするのが小学校先生の役目じゃないか、私は今回それを感じました。この辺のところが、詰め込みだけで教員になれるという今の制度がちょっとおかしいといいますか、言葉足らずなんですけれども、ちょっと間違っているんじゃないか。  今一番大切なのは、子供たちがこれから大きくなって本当に日本を支える若者になるために、先ほど申しましたけれども、人の痛みや命のとうとさ、ルール、マナーがわかる先生子供たち授業を教えなければ、子供がいい若者になるとは決して思えません。  そういう意味で、こういう現場教育といいますか体験というのは大切なことです。本を読むことも大切ですけれども、話が飛びますけれども、解説というのは簡単なんです。人のやることをああだこうだと言うのは簡単ですけれども、野球でも、実際あのマウンドに上がって、あそこで投げてバッターを抑える、これは大変なことなんです。体験するから次にまたいい投球術というのが生まれてくるのですけれども、その辺のところで、先生方にいろんな体験をさせるこれは第一歩目じゃないかと思いまして、大変いいことだ、私はそういうふうに思っております。  その中で、一つここでお聞きしたいのは、先ほども文部大臣がちょっとお話しになりましたけれども、小学校中学校先生はわかりますけれども、これから中高一貫と叫ばれておる中で、高校生を大人と見ているのか、まだ未成年だと思いますけれども、どうして高校の先生が対象にならなかったのか、その辺のところを提案者の方にお伺いいたします。
  171. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 理想の教師像は、今、三沢先生がるるおっしゃったとおりでございますし、そういう先生が、質の高い教師が高校にも幼稚園にも、また大学にも提供されるようになるということが一番重要で、理想であります。  そしてまた同時に、こういうことを義務づけたりされない社会、国であれば一番いいわけですが、実態がそうでないというところにこの法律をつくらなきゃならない必要性があったわけです。ですが、先ほど来同僚の先生方がおっしゃっていますとおり、施設の受け入れ体制等のこともありますし、まず初めはできることからやりたいということから、このような形でスタートをさせていただくことになりました。
  172. 三沢淳

    ○三沢委員 ぜひ高校の先生もその中で体験して生徒に接するようにお願いしたい、そういうふうに思います。  続きまして、昨今男女均等法が叫ばれているのですけれども、今、小学校の教師の約七〇%近くが女性教師、女の先生だということなんです。まあ時代の趨勢に合っているのかもわかりませんけれども、実は、この先生方が、勉強は教えられるけれども、例えば水泳ができない、簡単な卓球ができない、その辺のところができない先生が多い。  実は、子供たちというのは遊びが好きです。勉強よりは遊ぶことが好きです。その辺のところからいろいろ体も鍛えられるのじゃないかと思いますけれども、その辺の先生方が少ない。特に一番基本的な、あいさつ、礼儀、しつけ、他人との協調性、この辺のところを教え込む先生が必要じゃないか。  今の先生は、怒ったりすることはありますけれども、ただ自分の感情で怒ったりすることが多いのじゃないか。昔は私なんかも悪餓鬼でしたからよくぶん殴られたりしましたけれども、一つ先生を恨んだことはありません。懇々と、なぜ悪いのかということを何回も教え込まれまして、それを何度も繰り返すから一発ぶん殴られましたけれども、その辺のところは自分で十分反省して、それ以来その先生には感謝している。今では本当にその先生に感謝している。まあ暴力はよくないかわかりませんけれども、私の体験では、わからなければ本当に殴られた方がよくわかるのではないか、これは私のちょっと突出した意見なんですけれども。  その辺のところがありますので、ぜひそういう思い入れのある、いろいろなことがわかる先生、痛みがわかる先生というのは、いろいろな生徒さんたちに本当に熱心に粘り強く教えていける、これができるのではないか。勉強だけ教わっている先生、勉強、学問だけの優秀さじゃなしに、その辺の人間らしさ、人間臭さ、このような先生が私は一番必要じゃないかと思います。  その中で、私は運動をやったわけじゃありませんけれども、運動を経験した人たちというのは何がすばらしいかといいましたら、自分勝手ができません、協調性があります、我慢します、痛みもわかります、悔しさもわかります、喜びもわかります。この辺のところの先生方をこれからふやしていただいたらどうかと思います。  それともう一つは、社会へ出られて、民間へ出られて、社会の大変さ、やはり社会でもルールとかマナーとかありますし、常識もあります、苦しみ、痛みもわかります、この辺のところの先生をもっと逆に採用されたらどうなのかなという感じが、学生さんに介護体験を与えるという前に、そういう先生も入れられたらどうかなと思われますけれども、今度の提案者の田中先生でもよろしいですけれども、先生の将来像というのはどういうふうに考えておられますか。
  173. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 今、三沢先生がおっしゃったような方が、裏返して、三沢先生も、国会議員も向いていらっしゃいますが、現場の教師になっていただければすばらしいと思っています。  本当にこの法律なんというものをつくる前から私が思っておりますのは、先ほど先生のお言葉にもありましたけれども、頭で、スポーツは特に本当にそうですが、お相撲もそれから野球ももちろんそうなんですが、野球とはこうだ、相撲とはこういうものだ、なるほどねとやって勝てるものでもないと思うのですね。やはり実際に自分が土俵なりマウンドで経験をしてみることによって、体でもって本当に理解をする、ルールもあらゆることが、目に見えないことがわかるようになる。そういう現場を本当にたくさん踏んだ人が、特に小さい子供たち、心のやわらかい子供たちの相手をしてくださる。  なぜかというと、そういうまだ社会的に未成熟な小学校や中学の子供たちにはいろいろな問題が起こると思うのですね、勉強以外の面で。そういうときに、即応力のある、包容力のある、ゆとりのある先生であるかどうかということがやはり問われていると思うのです。そういうときに先生が、先ほどウサギの生き埋めとおっしゃいましたけれども、ぎすぎすしたようなことであったら、それは本当に、その先生もお気の毒ですけれども、生徒さんの受けるショック、御家族、ほかの教育界、我々社会みんなが受ける影響は大きいわけですから、そういうことがまた日本をぎすぎすした社会にしていくと思いますので、やはり人間の幅といいますか、そういうものが求められているというふうに思います。
  174. 三沢淳

    ○三沢委員 大変ありがとうございました。  田中先生におかれましては、今回この法案を随分長くお考えになって苦労されたと思いますけれども、今回、先生になるために介護体験をという法律なんですけれども、またそのほかにも法案にされようというような、将来的にはおありになりますか。
  175. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 今のことに特別関係ありませんけれども、例えば先生と言われる人、まず私どもが頭に浮かぶのは学校教育者ですけれども、国会議員も弁護士さんもお医者さんも先生先生と言われますけれども、本当に尊敬して先生という言葉を言っているかどうかわからないわけですね、言う方も便宜上言っていることも大いにあるわけですから。特に国会議員なんというのはそういうきらいがあるなと思って、私どもも気をつけて聞くようにしておりますけれども。ですけれども、本当に先生と呼ばれるに値するような人がそういう地位に行くという社会はやはり安定していると思うのです。そういうことが逆であると、国民の不満とかというものが募っていきます。  ですから、具体的には例えば裁判官、これは、法律というもの、法曹界は別のものと思う方が多いかもしれませんが、人を裁くということ、極刑にすることもできるわけですね、三審制度はありますけれども。私は、法曹界の改革をしなきゃと、次にとは申しませんが、考えておりますけれども。そういう人こそ本来は、勉強も大事ですけれども、法律なんかマスターするわけです、その後にそれを実際に実社会で運用するためには、検事も弁護士も、しかも民法も刑法も、民事も刑事もどちらも経験して、人生の酸いも甘いもよくわかった人が判事になってほしい。そういう人が社会をリードしていけば、世の中もっと円満に、ゆとりも優しさも生まれるのではないかと思います。我々国会議員の使命は極めて重いというふうに思っています。
  176. 三沢淳

    ○三沢委員 どうもありがとうございます。私もいろいろお手伝いできればと思いますけれども、またよろしく御指導をお願いいたします。  次に、今回の法律案によりますと、平成十年度の大学入学者からこの適用があると判断いたしますが、例えば既に在学中の学生さん、二回生、三回生、四回生はこの適用というのは受けられないのか。一日も早くよい学生さんを育成することでよい教師を採用できるのじゃないかということ、まず、これが第一点です。  もう二つは、免許を取りまして、今度、本試験といいますか、教師を採用するとき、採用試験のときに、この介護体験をされた先生が本当に痛みがわかるのかどうか。ただ単に法律だから行って、ただ判こをもらってきただけというような、本気で痛みがわかって、これから本当に子供たちにその痛みや命のとうとさを教える先生というのは、これは、せっかく行ったのに熱心な先生とそうじゃない先生も多分おられると思うのです。その辺のところをどういうふうに見分けられるのか、そしてその評価方法はあるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  177. 中谷元

    ○中谷議員 法律では平成十年度の新入生から介護体験を義務づけるということになっておりまして、平成九年度以前からの在学者のことにつきましては対象外ということにはなっております。しかし、おっしゃることは大変よいことでございますので、そのような体験はみずからの判断で自主的に行っていただきたい、それは大変好ましいことであると思います。  それから、教員採用時の評価の問題でございますが、現在は、地方の教育委員会、また私学の方や、七月に第一次選考試験、これは筆記試験、面接試験、実技試験、体力テスト、作文・論文試験、適性検査等がありまして、一部の地域は違いますけれども、八月、九月に第二次選考試験があって、ここは模擬授業等があったり、また面接、実技、作文・論文試験、適性検査等がございます。こういう中で検査官は、面接とか論文審査等によって、やはり本物を体験し、本質を理解している人の言葉とか行動には説得力があるわけでありますので、そういう点で評価をいただければありがたい。  これは絶対的な評価ではなくて、一つのシンボル的な規定でございます。ですから、卒業して、採用が四月ですけれども、四月までに体験をすればいいことであって、いわゆる採用者側の注意喚起という意味も込めましてこの規定を設けたわけでございます。仕組みがあるということを徐々に理解していただいて、適正な評価ができるように努めていただきたいと考えております。
  178. 三沢淳

    ○三沢委員 ぜひ痛みのわかる、思いやりのある先生を採用してもらう方法を一〇〇%考えていただきたいな、そういうふうに思っております。  次に、先ほどから質問者の先生方が何度か質問されましたけれども、この介護体験の期間として七日以上とありますが、これは本当に少ないのじゃないか、そういうふうに思います。ただ単に教諭の免許取得のための手段のみでこの介護実習を行ってはいけないのじゃないか、そういうふうに思っています。  やはり本当に人と人との心が通じ合うというのは簡単にはいきません。自分の心と相手と打ち解けて心と心が通じ合うのはなかなか、親子でも今なかなかできないような時代ですので、その辺のところでこれは大変難しい問題だと思います。しかし、その辺のところにもそんなに長くは時間はとれないと思いますし、この辺のところは大変だと思いますけれども。  ドイツでは教育実習が教師養成の上において必要不可欠になっており、州によっては教育実習の中に社会実習、これは養護学校実習等約四週間が含まれておりますが、それが必修科目となっております。  今回の七日以上の介護体験と、通常、教職課程の一環としてあります教育実習、これは一カ月間だと思うのですけれども、その関連性はあるのでしょうか。それとまた、この介護体験を教師養成のための必修科目にはできないものでしょうか。お伺いしたいと思います。
  179. 栗原博久

    栗原(博)議員 三沢先生御案内のとおり、我が国の教育実習は、大学教育課程の開設の授業一つの科目として認めておるわけでありまして、大学で学んだ理論やさらにはまたその方法を現実の学校教育の場に適用して、そして教員として必要な実践的指導力を身につけるということが教育実習の規定であるかと思うのであります。  私どもは、ここに田中先生中心として提出した議員立法のこの法律案は、要するに介護体験というものをしてもらおう、そしてこれは大学のカリキュラムの外でやろうということであるわけであります。  我が国は、今日、このように高齢化社会が極めて速いスピードで、ヨーロッパが百年以上かかりましたものを我が国は四十五年ぐらいで高齢化が進んでおるわけでありますから、その中で、障害者の方とか、あるいはまた自分で自分の身辺を賄い切れないそういう高齢者の方々に対してどのように行うかということで、先ほど田中先生からもこの立法の趣旨について詳しく御説明させていただきました。要するに、弱者の立場とかあるいはまた人の心の痛みがわかる、そういうものを理解してもらうために介護等の体験を行うということをこの法律で実は規定しているわけでありまして、そういうものについては、先ほど申しました教育実習とはその目的とかその内容などが異なるということをひとつ御理解いただければと思っております。  それから、二番目の質問でございますが、必修科目として組み入れられないかということでございます。それも一つの選択肢として考えられると思うのでありますが、今回この法律案を提案するに当たりまして、大学側に過重な負担をかけてはならないということも考慮しております。そういう意味で介護体験を必修にしなかったわけでありますが、必修科目にしなくてもこの法の趣旨とか目的というものは十分実は達成されるのではなかろうかと私ども考えております。  また、今後、仮にこれを必修科目といたしましても、それには、やはり大学教育課程におけるいろいろカリキュラムがあるわけですから、そういうものの実態を十分に踏まえながらひとつ慎重な対応を行わねばならないというふうに考えております。
  180. 三沢淳

    ○三沢委員 どうもありがとうございます。  次に、私は、この介護体験を行うに当たり、現場実習を決められた日数で効率よく行うためには、やはり事前にその施設情報や介護に対する簡単な説明とかが必要じゃないかと。現場に行って、何もわからないでおろおろしたりとか、むだな時間を費やしたりとか、またいろいろなところで失敗を防ぐためにも事前研修というのが必要じゃないか、そういうふうに思っております。  それとまた、これが終わりましても、体験した成果を、行きました学生さん同士で体験談をお互いに話す事後研修、時間は短いかもわかりませんけれども、これを行うことが重要じゃないか、そういうふうに思います。そして、その前後研修も介護体験期間として入れてはいかがなものかと思いますけれども、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  181. 河村建夫

    河村(建)議員 御指摘のとおり、この介護体験を効果的にやるためには、事前にオリエンテーションが必要であろうと思いますし、また、その後もこういう体験談を話し合うということは極めて有意義なことだ、こういうふうに考えておりますが、この立法の趣旨からいいますと、現場に出向いて介護等の体験等をしていただいて、そして、法律上では七日以上、最低七日ということにしておりますが、まあわずかの期間でありますが、その体験の証明をとってくるという一つの基準がございます。法律上の制約がある。  そういうことを考えますと、事前のオリエンテーション等が、出向いた現場でその状況を説明していただく、そういうものに含まれておればそれは考えられますが、大学であるとか短大の中でそういう話があったというのは、いわゆる事前の事前のことであって、この七日間に入れるということについては若干問題があるのではないか。むしろ、現場へ出向いていっていろいろな体験をしていただくこと、それを七日間最低やっていただきたい、こういうふうに考えておりますので、事前、事後のオリエンテーション、研修、必要とは思いますが、それを組み入れるということについてはちょっと難しいのではないか、このように思います。
  182. 三沢淳

    ○三沢委員 この辺のところも重要じゃないか、やはりお互いの意見を言い合うというのは、事後の研修なんか特に、いろいろな情報をお互い学生さん同士が言い合うということは、これは自分が体験した以上にほかの学生さんの体験したことというのは勉強になるんじゃないか、そういうふうに思っておりますので、できましたら事後の研修、こういうのをぜひ入れていただきたいな、できれば事前よりは事後の方がいいんじゃないか、そういうふうに思っておりますので、ぜひまたお考えになっていただきたい、そういうふうに思います。  続きまして、今回の法案は、あくまでも平成十年度の大学入学者からの介護体験の義務づけてありますが、災害ボランティアのように、大学に入る前など、災害のあった、例えば阪神・淡路の大震災でも、これは大変だ、だから自分は行ってお手伝いをしたい、そういうふうな学生さんがおられて、高校から大学へ入られた場合、実施されたこのボランティアというのは、介護以外のことなんですけれども、教員免許状を取得する条件として考慮されないのか。災害ボランティアも、家がなくなったり、家族が亡くなられたり、親戚の家族が亡くなられたり、これは人の痛みとしては十分わかることじゃないか。災害のボランティアもそういうことがわかるんじゃないか、内容的には同じようなことだと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。     〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 河村建夫

    河村(建)議員 三沢委員御指摘のその趣旨というものは、極めて重要でございますし、今回の立法趣旨に共通したものがあるとは思います。  しかし、先ほど御説明申し上げましたように、この立法の趣旨からいきますと、そうした体験を証明して、それを免許取得の際の提出義務がかかっておるというところがございます。災害等の現場へ出かけていく、それも体験といえば体験でありますが、この法律の趣旨からいうと、なかなかボランティア、そういう体験というのは範囲が広いものでありますから、ある程度絞って、しかも今回については、総介護時代を迎えて、心の痛み、それからそういう障害者がおられる、お年寄りがおられるというような現場を見てきていただくというところで、その原体験をもとにして教育現場に立ってもらおうというところへ焦点を絞りました。  したがいまして、将来の問題としてそういうことを奨励することはまだ別の観点からやる必要があろう、こう思っておりますが、今回の法の趣旨からいいますと、この問題はある程度絞って義務化をしていこう、これを最初のスタート点にしたわけであります。将来の問題としてはそういうことも含んで考えるということは可能であろうと思いますが、この法律を実施する段階においては、まずそこからスタートさせようということでこの法律立法化されておることを御理解いただきたいと思います。
  184. 三沢淳

    ○三沢委員 今の御答弁なんですけれども、介護だけにされたという、災害のボランティアを入れられなかった理由というのはどんなところだったんでしょうか。
  185. 河村建夫

    河村(建)議員 一番の問題は、やはりある程度焦点を絞っていきませんと、災害ボランティアはいいということになれば、ボランティアということになると範囲が非常に広くなる、実体験の証明をつけなければいかぬだろうということになりますといろいろな難しい点も出てくるのではないだろうかということで、今回は、まずやれる現場、その施設の中でやって、証明をとってくるということに絞ったわけであります。
  186. 三沢淳

    ○三沢委員 将来的には、先ほども申されましたけれども、ぜひ災害ボランティアの方のことも考慮に入れられて、またお考えになっていただきたいと思います。  次に、この介護体験の実施施設として、社会福祉施設を通して約九千施設、盲聾養学校を通して約千校とのことですが、受け入れ側の陣容が十分なのかどうか。今でも介護福祉士等の学校からの実習等の受け入れで手いっぱいではないかと危惧しております。  実際に介護している人たちがこの法案にあります介護体験者を指導することになるかと思われますが、この法案で年間どのくらいの体験者がいるのでしょうか。それとまた、先ほどから高齢化時代になると言われていまして、将来お年寄りがふえてくる中で、お年寄りの面倒を見なくてはいけない人たちが、たくさん介護の方が必要になってまいりますので、その指導者の増強といいますか、その辺のところはどういうふうにお考えでしょうか。
  187. 住博司

    ○住議員 三沢先生御指摘のとおりでございまして、八万人の学生さんがその対象になるというふうに考えて、そして今の施設状況を考えて、期間も大体七日ということを想定させていただきました。  それから、介護体験が円滑に実施されるには、当然受け入れ体制というものがしっかりしていなければいけないということで、この法律の三条二項の中に努力義務規定というのを入れさせていただいたわけです。しかしそれは、こちらから努力義務規定を入れたということだけではなくて、当然、社会福祉協議会など関係団体の理解それから御協力というのを得なければいけません。ですから、そういうことをこれからも進めていくことによって、受け入れ体制というのは充実していけるというふうに思っております。  また、今まだ審議中でございますけれども、介護に関する公的介護保険制度の問題もある。そしてまた、新ゴールドプランの実施に向かって今施設充実もさせている。人材面もその意味では充実をさせております。そういうことも相まって、受け入れ体制というのは、そのことも配慮をしながらこれから進んでいくものだというふうに考えております。
  188. 三沢淳

    ○三沢委員 どうもありがとうございます。  時間が参りましたので終わりますが、最後に、苦労されまして提案されました先生方、本当に御苦労さまです。この法案がきっかけにすばらしい先生方がたくさん育ちまして、そして子供たちが将来すばらしい若者になりましてこの日本を支える、それを願いまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  189. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、肥田美代子君。
  190. 肥田美代子

    ○肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。よろしくお願い申し上げます。  法案に関する質問に先立ちまして、質問通告いたしておりませんので大変恐縮なのでございますけれども、田中議員に一つだけお伺いしておきたいことがございます。それは、田中議員も私も子供を持つ母親でございます。子供たち学校教育を受けている様子をずっと見詰めてこられていらっしゃると思います。そんな中で、いろいろな先生にもお会いになったと思います。  そこでお伺いなのですが、もしも田中議員が政治家になられなくて、学校先生におなりになるとしたらどんな先生になっていらっしゃると思われるか、それともどんな先生におなりになりたいか、突然のことなので恐縮ですが、簡単にでも結構です、お答えください。
  191. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 私が教員になるような資質を持っているかどうかということはまだわかりませんので、この政治家という職を経験させていただいた後に、第三のステップとして教壇に立つことが社会に少しは貢献するようになるのかもしれませんが、今は自分ではよくわかっておりません。  ただ、子供たち三人おりますけれども、学校、私好きなものですから運動会とか行事とかしょっちゅう、授業参観もばっちり行くのですけれども、幼稚園から大学までとにかくいろいろな先生がおられます。そして、私学、国立、いろいろな学校を経験しておりますけれども、そういう中で、やはり先生方自体が文部省のカリキュラムで、指導要領とかでしっかりもう管理されてしまっている。そうでないところもあると思いますけれども。先生方は、年代によってまた受けとめ方も違うと思うのですが、やはり国がその教育の方針を決めていくということはいいことなのですが、歴史教育その他につきましても、もう少し弾力的に教師に任せていいのではないかと私は思うことがあります。  先生方がそういうことと、それからあとはミーティングが多いのですね、どこの学校も、どの小学校であっても高校であっても。そのことで先生が現場で管理されつつ生徒のことを見るといってもこれは大変厳しいことでして、結局は健常者であるとか勉強のできる子とか、いわゆる強い立場にあるといいますか、そういう人たちに照準を合わせた授業しかできないというところに、先生方の悩みもおありになるというふうに私はずっと見てきております。これはもう公立ても私学でも幼稚園でも高校でもみんなそう思って見てきております。  ですから、先生自体が本当にゆとりを持てないと、管理教育で、スケジュールをこなすのに、会議をこなすのに、教え込むのに目いっぱいなのですね。先生方は、私、欲求不満の塊だというふうに思っております、日本の学校先生は。もっとフレキシブルに、信頼してもらえるような立場にしてほしいと思っている先生が絶対に多いに違いないというふうに私は感じております。  ですから、そういう意味からいっても、私は、今たまたま文教委員会でこのことが提案されておりますから、教育的見地のお尋ねもありましたし、そういうふうな形で言っていますが、そうではなくて、冒頭に申しましたように、社会連帯、連帯意識がないのですね。教師と、父兄も子供もかなり不信感がお互いにあるじゃないですか。あの先生についたら勉強できなくなった、あの先生意地が悪いとか。あの子は親がこうだとか、教師側も言っているわけですよ。そんな中で連帯意識なんか生まれるわけありませんから、やはり先ほどからずっと質問の中にあるのですが、どうしてそういう障害者とか福祉施設に行くのかというところの答えが、そこにあるのです。  一人一人の違い、障害があっても年をとってもすばらしい人がいるということ、一人一人を大切にする。自分も、しかし人も大事にしながら、この人生をお互いにいいエネルギーを出してともに生きていくんだという落ち着いた認識をつくるためには、やはりこれは絶対に間違いなく福祉施設が、まずプライオリティーを持って教師になる方に行っていただきたいところだ。ほかのデパートやら何かいろいろあるでしょうけれども、工場見学もいいですが、まずここなのです。人間だからいろいろな種類の人間がいることを知ること。いるからすばらしいのです。社会によって自分が生かしてもらっているのだということを教師自身が知ること。教師ばかりに期待をしてもかわいそうです。父兄も子供も、もう少し下がって全体を見回すということが大切だと思います。  ですから、私は、福祉の現場に行っていろいろ混乱が起こるのじゃないかというような質問もこの後続くだろうというふうに思いますし、今までの討議の中でも、そんな、素人が、学生が来たら大変じゃないか、困るのじゃないかという議論はずっと一年半で、あります。  ところが、現場で聞きますと、そればかりじゃないです。若い大学生が、気持ちよくジーパンにTシャツで、何かできますかという形で来てくれたら、お年寄りも本当にうれしい。孫に会うようにうれしい。ふだん寂しい思いをしている方が多いのです。それから、障害者のところも、先生方が一人でもって三つの車いすを押したり配膳とかお手洗いのお世話で遣われている。運動会、文化祭等いろいろな行事があるのですね。そういうときに、だれかが、若い学生さんが、そういう身なりで何が僕ができますかと、ホワット・キャン・アイ・ドゥーということなのですよね。何かやってもらうのじゃなくて、自分が何ができるかという若者が来てくれれば、職場の方たちも、ただ一週間とか二週間とか教員免許を取るためじゃなくて、人間的にお互いにつながりができてくる。それが社会的連帯ではないかというふうに思っております。  御質問の趣旨とはそごを生じたかもしれませんけれども、自由に話させていただきました。
  192. 肥田美代子

    ○肥田委員 御高説を伺いまして、ありがとうございます。  私も法案賛成者の一人でありますけれども、よりよい法案とするために審議を深め、速やかな成立を図る立場から、法案について質問と意見を少々述べさせていただきたいと存じます。  教職員免許法特例等に関する法律案は、その趣旨説明の中で、義務教育に従事する教員が個人の尊厳及び社会連帯の理念に関する認識を深め、人の心を理解し、人間一人一人が違った能力や個性を有しているという事実に目を開かせることは、教育者の社会的影響を考えた場合、有効なことと考えますと述べていらっしゃいます。これは、日本社会の構造と日本国民の意識に関する極めて重大な問題を提起していると私は思うのでございます。  一つの例を申し上げますならば、介護等の体験をみずからの原体験、そうすることによって個人の尊厳や社会連帯の理念について認識し合おうということであり、しかもそれを法律で義務づけ、教員免許の資格要件の一つとしたことの重さであると思うのです。  個人の尊厳は、人がその生涯を終えるその最後の瞬間までとうとばれなければならないし、社会の連帯は、人が個性的な存在であることに基づいたものでなければならない、私はそう思っております。この法案が、より多くの人々の共感を得、実効性あるものにするためには、この法案の社会的背景について広く共通の認識を持つことが重要であろうと思っております。  法案作成に大変御尽力された田中さんに、もう先ほども十分お答えいただいたと思いますけれども。この法案作成の社会的背景について、さらにお伺いしたいと思います。
  193. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 私は、自分で子育てとか、あるいは自分の家族、友人、この人生の中で、一番感じておるのは、人間とは何かと、一番直視してきているつもりなんですが、人間というのは非常に弱い、悲しい思いをいつもみんなしていると思うのですね。健常者であっても、勉強のできる人であっても、いかにリッチであっても、何か必ずどこかで弱い面、寂しい思いをしていると思うのですね。そういうところを、自分とは違う人、立場、だけれどもすばらしいものがあるということを知って、悲しいところには、そこまでは手を触れないでいられるような、非常に成熟した社会といいますか、そういう社会を日本は今一番必要としているのではないでしょうか。  インターネットの時代であり、情報も物もあるかもしれません。経済の面でもいろいろありますけれども、やはり基本は人間ですから、人間が落ちついてゆとりを持って目配りをきかせられるかどうか、そのことによって、さらに経済の発展もあるでしょうし、社会も豊かになるし、世界貢献もできると思うのです。ですから、どういう日本人をつくるかということについてしっかりと議論をしていくということが、私は今の日本の社会に欠落しているものであるというような時代認識を持っております。
  194. 肥田美代子

    ○肥田委員 法案及び趣旨説明の中で、ボランティアという言葉とか概念を極めて慎重に避けていらっしゃいます。それは、この法案が、教員免許の取得要件となる社会体験の範囲を高齢者や障害者の介護に限定し、自然保護や災害救助などの社会奉仕活動を含まないという性格から来たものとして私は理解させていただいております。  しかし、他方、趣旨説明で言うところの人間の尊厳とか社会連帯は、高齢者や障害者の介護ばかりでなく、自然保護活動や災害救助活動を通じても培われるものではないかという強い意見もございます。先ほどからもそういう意見もるるあったように私は伺っております。例えば、高山植物や野鳥を守るために、山岳地帯の空き缶やごみを拾っている人たちがいらっしゃいます。これはすべて自発的な無償の行為であり、しかもそうした活動を通じて自然と人間の共生の大切さとか、自然と人間の尊厳というものをみずからの人格形成の糧としていらっしゃると思っております。  そうした華やかではないけれども地球の生命にかかわるような活動が広範に存在しているにもかかわらず、高齢者と障害者の介護という、人間の生死に直接触れ合う分野に限定した理由について十分に説明をしていただきたいのです。先ほどからもいろいろ御説明はございました。ですが、一般的なボランティアと区別した理由が私はまだ少しのみ込めないでおりますので、いま一度、ちょっと丁寧に御説明いただければありがたいと思います。
  195. 河村建夫

    河村(建)議員 御指摘の点は極めて重要なこの立法趣旨の根底にあるものだと理解はしております。したがいまして、本来、これを義務化しなくても、先生になる人は当然なんだということが社会的に完全に定着すれば、これはわざわざ義務化しなくてもいいというのが、我々の最初のスタートの時点で、ありました。しかし、これを最初の出発点にして、国全体がそういう人材を養成していく段階で、そういう心を持った人材を養成していくためには、まず義務化という一つのきっかけを入れて、そしてやっていく必要があろうというふうな結論に達したわけであります。  実際に、この法の趣旨の運営をしようとしたら、これはボランティアということになりますと非常に範囲が広い、どこで仕切るというわけにもいかなくなります。そして、どういうふうな形でその体験をしてきたということを証明させるか。いろいろな議論の中で、最終的にこの総介護時代を迎えた中で、ここに絞って原体験をしていただくことが一番であろうというところで、この法案の中ではその位置づけを行ったわけであります。  しかし、これから先生になられる方、あるいは社会的地位のある方、公務員とかそういう方々がどんどんこれをきっかけにしてボランティア体験等々していただくことは大いに結構なことでありますから、それはまた別の観点からそれを奨励していくことは必要であろう、そのきっかけにこれがなればさらにいいではないかということで、今回については、先ほどから申し上げておりますように、弱者の立場、そして人の心の痛み、特にそういうことの理解を促進する上ではこの介護等の体験ということに絞ろうということで、立法化したものであります。
  196. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 肥田先生、お立場上非常に文章を厳密に吟味してくださっていて、私は趣意書の冒頭の部分を書いた者として大変ありがたいことだと思っております。よく読み込んでいただいていることはありがたいと思っております。  今、河村先生、部会長が御発言くださいましたとおりですけれども。義務づけるなんということは、要するに縛りをかけることですから、そんなことをしなくていいにこしたことはないわけです。ところが、先ほどのお尋ねと重複しますが、時代認識としまして、残念ながらそこまで日本は行っていない。ほかの環境問題でありましても何であっても、ボランティアというのはやはり任意ですから、ところが義務づけは相反するものなんですね。  ですから、そんなことの拘束を外して、みんなが自分で任意にやってくれるユートピアとは申しませんけれども、そういう理想社会を構築するためにまずたがをはめる、はめざるを得ないのが今の時代ではないかと思っておりますから、早く、そんなことをしなくても、この法案によって日本人みんながそういうよいインセンティブを受けて、そして、これだけではありません、ほかにたくさんありますけれども、よいパブリックマインドを持った日本人ができれば一番理想である、肥田先生が考えていらっしゃるような社会になるであろうというふうに考えます。童話の世界が実現することを祈っております。
  197. 肥田美代子

    ○肥田委員 おっしゃること、本当に同感であります。  この法案の最も重要な点は、現在の教員免許資格要件である単位取得に加えて、介護等の体験を加え、新たな要件を義務づけたことでございます。これは、教職員の歴史からすれば画期的な転換でありますが、逆の視点で考えますと、これまでの要件だけでは人材育成にかかわる立場にある質の高い教員は養成できないし、不十分であるということを主張しているのに等しいという受けとめ方もございます。  法案は、平成十年の大学入学者から適用されることになりますが、この学生たちの中で教師を希望する者は新たな資格を取ることになります。これまでの要件だけで教員免許を取得した教師たちと同じ教育現場に配置されるわけでございます。教育現場は人間の集団でありますから、介護などの社会体験を積んで教師になった者とそうでない教師との間に葛藤が生まれる可能性を完全に否定することはできないと思います。それらのきしみが生まれないように慎重な配慮が必要であろうと思いますけれども、教師として豊富な体験をお持ちの山元議員にお聞きしたいと思います。
  198. 山元勉

    山元議員 今葛藤とかきしみとかいう言葉、一つのマイナスのイメージでのお言葉をお使いになりましたけれども、そういうことはあってはならないと思うし、ないというふうに思います。違った経験だとかあるいは資質を持った新しい教師が仲間に入ってきた、それはしっかりと受けとめて、その学校教育の姿勢だとかあるいは教師の集団としての質も変わっていかなければならぬ、そういうふうに受けとめなければいけないというふうに思います。  私も学校にいて幾つかの経験がございますけれども、例えばスポーツの大きな大会で優勝してきた経験を持って帰ってきた人だとか、海外の日本人学校に三年もいて帰ってきた人、あるいは学校というところは三十代、二十代の人も五十代の人も一つの教室を預かって子供たちに責任を持つわけですから、いろいろなことを教え合わなければ、助け合わなければ教育というのは成り立ちませんから、そういう意味で、違った経験、新しい資格を持って入ってくる先生方は、いい経験を持っている教師ということで受けとめなければいけないと思いますし、そうなるというふうに思います。
  199. 肥田美代子

    ○肥田委員 安心いたしました。ありがとうございます。  次の質問は、介護の義務づけ免除の件についてでございます。  義務づけ免除される者の中に、障害者に過度の負担をかけてはいけないという配慮から、身体上の障害により介護等の困難な者が含まれ、その基準をどうするかは省令で具体的に決めることになっております。省令ですから、立法府の私たちの手を離れ、国会で審議されることもないと思いますから、気がかりな点を申し上げて、御意見を伺っておきたいと思います。  それは、介護等の内容にかかわってまいりますが、高齢者や障害者の介護は、食事、入浴、散歩、買い物、掃除、本の読み語り、看護、健康管理など、人間が生きていく上で必要なすべての分野が対象になると思います。そうした介護内容は、施設の場合も家庭の場合も基本的には共通しておりますが、介護の特定の分野は、確かに体にハンディを持つ者には困難な点があると思います。しかし、車いすの人が言葉によるコミュニケーションができる人であれば、本の読み語りは可能であります。視覚障害者は、盲学校や福祉施設で点字指導を補助することも可能であります。  したがって、障害者というだけで画一的に扱うのではなく、まず、障害者は普通の人であるという大前提に立って、その上で、免除するかどうかについては本人の意見も十分に聞いて、できれば本人の選択の幅を残すなど、きめの細かい配慮が必要であろうと思います。障害者を排除しているというふうに受け取られることは、本法案の趣旨に照らして不本意なことであります。省令作成に当たっては慎重に配慮してほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  200. 栗原博久

    栗原(博)議員 今の肥田先生の排除の論理について承りまして、本当になるほどと思っています。前に先生と一緒に人口会議で視察したとき、大変高尚なヒューマニズムの話を賜っておりましたので、今のこの御質問を受けまして、なるほどとまた改めて感心いたしました。  今回のこの法律の二条の第三項では、身体上の障害がある方の介護体験というものについては免除をするという項目で、それに対しての先生の御意見だと思うのでありますが、障害者もいろいろあるわけでありまして、当然やはりそれを踏まえて、今後省令で具体的に規定するわけでありますから、十分それを踏まえて行わねばならぬと思っております。  また、障害者の義務の免除の規定は、もとより障害者が介護体験に主体的に参加することを排除するという趣旨ではないと思っているのです。やはり、できれば学校先生を希望する方全員が、障害の度合いを踏まえながら全員が参加できるということも必要と思っておりまして、先ほど私申したとおり、今後、具体的な省令の中の規定におきまして、今の先生の御指摘を十二分に踏まえて事務局が行うものと信じております。
  201. 肥田美代子

    ○肥田委員 御配慮よろしくお願いいたします。  先ほどから質問が何回か出ておりましたけれども、法案で、介護等の実施期間は、特殊学校二日間、社会福祉施設五日間の合計七日間を規定しておりますが、この短い期間に、法案の趣旨説明にもありますように、「人の心の痛みのわかる人づくり、各人の価値観の相違を認められる心を持った人づくりの実現」が可能であろうかという疑念は、なお私は持っております。  また、介護体験については、地域の福祉活動に取り組まれている社会福祉協議会の協力も得られるということでありますが、そうであるならば、介護活動は、施設ばかりでなく地域でも行われているわけでありますから、介護体験を施設学校に限定せず、地域にも体験の場を広げることが必要ではないかと思うのですが、いかがでございましょう。
  202. 河村建夫

    河村(建)議員 介護体験をもっと地域にも広げたらどうであろうかという御指摘でよろしゅうございますか。これも、共通の認識に立って、できるだけ広くいろいろな体験をしていただくということからいえば考えられないことではないと存じますが、ただ、先ほども御説明申し上げたかと思いますが、この法律の中には、その体験をどこかでやってきたという証明をつけていただかなければならぬ、こういうことがございまして、その地域の中にそうした施設等があって、そこでそうした体験ができて、しかるべき方が証明ができるということであればよろしいわけでありますが、一般のボランティア団体の中に入って何かするとかということになりますと、その辺の問題、範囲が非常に広くなってまいりますので、今回の法律では、施設等で原体験をしていただくということに限定をして法律化したものであります。
  203. 肥田美代子

    ○肥田委員 この法案の解釈にかかわる問題でありますが、第二条では、「教育職員免許法第五条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「修得した者」」とされておりますが、この当分の間とはどのくらいの期間を指すのでしょうか。  と申しますのは、午前中の当委員会での議論でも出ましたけれども、学校図書館法の場合、当分の間が四十数年続いたわけでございます。それで、この国の当分の間というのは随分長いという経験からいたしまして、この法案では当分の間はどのくらいに想定していらっしゃるか、伺いたいと思います。
  204. 栗原博久

    栗原(博)議員 今先生の御指摘のように、本来ならば、すべての小中学校のみならず高等学校先生方の志願者にもやはり体験を求めるべきだと思うのでありますが、しかしながら、今まで各答弁のとおり、小中学含めて実数約八万人の生徒の方々、あるいはまた施設でも、特殊教育学校が一千校とか社会福祉施設が九千とか中間施設と申しましょうか老人福祉施設千五百、こういう限られた中においてこれらの八万人の方々に介護の体験をさすことはなかなか今のところでは難しいのではなかろうかということが、この法律を創案するときに議論になったわけであります。こういうことで、当分の間と申しますのは、具体的にどの期間というのは想定しておりませんが、この制度を運営していく中におきまして、その制度の定着性あるいはまた関係者がどの程度協力が今後求められるかということを十二分に勘案しまして、それを今後規定するということではなかろうかと思っております。
  205. 肥田美代子

    ○肥田委員 戦後の日本は経済活動を重視して奇跡の発展を遂げましたけれども、やはりその反面、先ほど田中議員がおっしゃっていらっしゃいましたように、個人の尊厳とか社会の助け合いでありますとか、心を大切にしない習慣が知らず知らず人々の中にもついてしまったなという反省を私もしております。  私たちは、次世代の国民が他者との共存の中で自立して生きていくことのできる、共生とか共助の社会をつくっていかなければならない。この法案は、そうした社会の担い手を育てる先生志望の若者を対象としておりますが、私は、社会は高齢者や障害者がいらっしゃることが正常な社会であるということをすべての若者に知ってほしいし、理解してほしいと思っております。  子供たちの目線で教育にかかわる教師の育成は法案で事足りるというものではありませんが、やはり現状を考えましたら、今回田中さんがお出しになった気持ちも私は本当に理解できます。この法案が今後のすばらしい日本づくりの第一歩となりますように切に願って、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  206. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、石井郁子君。
  207. 石井郁子

    石井(郁)委員 本法律案の提案の御趣旨には賛成でございまして、その立場から、貴重な質疑の時間でございますので、率直にお伺いをさせていただきたいと思います。  二十一世紀初頭に、日本では民族の歴史上初めてという長寿社会を迎えるわけでありまして、当然のこととして、高齢化社会、お年寄りの介護の問題は国民全体の問題である、そしてまた障害についても、この複雑な社会そしてまた長寿という中で、だれもが避けられない問題だろうというふうに私は思っています。そういう意味で、介護の体験、それへの理解、そしていろいろなことを実際学ぶということは、やはり公教育の中に位置づく課題の一つだというふうに私は認識をしています。  その中で、本法案も提案者の皆さんがいろいろ努力されて出されているわけでございますけれども、率直に伺いますが、小中学校の教員志望者に介護体験を義務づけるという先ほど来出ているこの問題ですが、なぜ小中学校の教員なのか、なぜ義務づけなのかという問題はやはりまだ私の中には残るんですね。  と申しますのはやはり教育にかかわる方は、主として教員ですけれども、今やいろいろな方々が教育に携わっていかなければ教育全体がうまくいかないということにもなっていますし、それから、私は先ほど来いろいろ伺っておりまして、ゆとりや優しさのある社会であってほしい、そういう社会を担うやはり人間でなければいけないという田中先生の本当に熱い思いも共有するんですけれども、そしてまた、介護やこういう優しさがわかるという原体験を持つことが大事だと強調をされましたけれども、まさに精神的な営みですよね、だから、人間のそういう精神的な営みというものを義務づけるということと両立するんだろうかということが私の中にやはりあるんですね。先ほど、そうなければいいということはあるがというお話もるるございましたけれども、やはりその問題が残るという点で、もう一度、なぜ小中の教員への義務づけなのかという点でお伺いしたいと思います。
  208. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 このお尋ねは、石井先生からも再三、ずっと前からですが、繰り返しおっしゃられていることでございます。私は、公教育の中でこうしたことが、別に教員がどうであるとかということではなくて、教育というものは、社会教育もありますし、また家庭教育もあるわけですけれども、本来は公教育の中で自然な形で位置づけられていることが理想であると思います。ですから、それはもう先生がおっしゃるとおりで、何の異存もありません。  ですが、先日来申し上げていますけれども、私、日本の勉強のカリキュラムが非常に過密であるということは、文部省だけではなくて、我々政治家やそれから国民全体がやはりもっと声を上げてこなかったというところにあると思います。ですから、そういう中でもって余りたくさん盛り込んでいくとい号ことはかなり負荷がかかっていきますので、ある程度理想の社会、先ほど肥田先生お尋ねにもお答えしましたけれども、ユートピアとはいきませんけれども、少しでもいい、連帯感のある社会をつくるために、せめて若い人を教育する。これ間接法なんですよ。ですから、本当は直接法で先生がおっしゃる公教育にぱんと入ればこれはもう確実にいくんですけれども、そういきませんで、今の社会がそこまでマチュアでないために、どうしてもこういう形でもって間接的な手法でやっていかざるを得ない。しかも義務づけにならざるを得なくなっている。義務づけを早くしなくて済む世の中になるために、そうするための第一歩であると御理解いただきたいと思います。
  209. 石井郁子

    石井(郁)委員 最近、社会人から教員を採用するということも出ておりますけれども、そして、たまたまこれはきょうの新聞が、「社会人先生小学校全教科に」ということが報道されておりますよね。いろいろな方が、今や教育に携わるって最初に申し上げたのはこういうことも念頭に置いてなんですけれども、教員養成というか教員免許状を取る人が介護体験が義務づけられて、こういう社会人の先生はその辺は省かれて進んでいくのか、この辺の整合性というのはどう考えたらいいんでしょうか。
  210. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 本来提案者が答えるところですけれども、非常勤特別講師ということに該当すると思われますので、私から一言申します。  これからの教育改革を進めるに当たって、教員免許状を持った人以外の社会人の先生にも随時この非常勤特別講師として教壇に立っていただく、つまり社会と学校との垣根をできるだけ低くする、そういう趣旨でありまして、これを全面的に取り入れようとするものではなくて、科目によって随時そういう先生にも社会人の先生をやろうということでありますから、直接先生の御懸念は当たらないと私は考えております。
  211. 石井郁子

    石井(郁)委員 それと、先ほど来、大学にとってこれはどうなるんだろうかということが出ております。八万人の小中学校先生資格を取る学生たちがいろいろな施設に出向くということですが、大学の方はいろいろ情報提供するという話もちょっとございましたけれども。基本は、これはもう自主的に自分で選んで行かれるということでしょう。大学としてそういう学生に対してどれほどのかかわり方をするのか。一方には、大学が責任を持たないで、本当に学生に任すだけでこれは進むのかということがございますので、そういう意見もありますので、大学先生方あるいは大学の職員はどういうかかわり方をするのかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
  212. 河村建夫

    河村(建)議員 御指摘の点、立法からの段階で、ヒアリング等の段階でもいろいろ御意見はございました。  今回の介護等の体験は、基本的には大学のカリキュラムの外に置いてあるものであります。それで、大学側としても、これをいわゆる教員実習課程のようなカリキュラムの中に入れるということは、これからそうした専門の教師を養成したりとかいろいろな問題があって、非常に大学側にとって負担が大きい問題です。すぐ、それこそ当分の間実施できないという状況下にあるという認識がありましたものですから、そういうことになると、これは学生の主体性で体験をしてきていただく。しかし、やはり大学は、今度免許にそういう条件がつきますから、学生を試験で入学を認める際には、こういうことになりましたというPRも必要でしょう、その趣旨の徹底も必要でありましょうから、事前の免許取得のためのオリエンテーション等で大学は当然協力をしていただく、かかわってもらわなければならぬな、こういうふうに思っております。  したがいまして、私学を含めて、大学側とも十分な連携のもとでこの法案の趣旨が実施できるように御理解をいただける努力をしていく、文部省側にもその指導等は十分徹底していただく、こういうことになろうと思います。
  213. 石井郁子

    石井(郁)委員 立法提案者の方ではいろいろと御努力されて、大学側の意見などもヒアリング等々されたかというふうに思うんですが、先ほどの御質問にもちょっとありましたけれども、やはり将来を展望すると、大学のカリキュラムや教育実習のあり方も今大きく問われているわけでしょ  カリキュラムの中に今すぐ入れるのは大変難しいというような話もございましたけれども、最近の大学では、カリキュラムというか授業自身も、随分体験的な授業、実習的な授業というふうになってきておると思うんですよね。だから、とりわけ教員養成大学とかあるいは教員免許状の科目というか授業の中にはやはりそういう部分がこれからもっとふえていくだろう、また、ふえなきゃいけないだろうというふうに思うんですね。これは授業だ、これは実習ですという今までの範囲じゃなくて。だから、そういう点で、私は、これを機会大学側というか関係者が大いに議論をされることがいいんだろうというふうに思うんですね。  そういう意味での公的なそういう議論の場がいろいろあったのかどうか、それから、今後ともいろいろそういうことでされるおつもりがあるのかどうかということもちょっとお聞きしたいと思います。
  214. 秋葉忠利

    ○秋葉議員 お答えいたします。  私は大学の教師でもありますので、その立場からもお答えできると思うんですけれども。  これまで文部省等とも協議を重ねて、そういった形で大学が積極的に関与をしてくださるようにいろいろと議論をしてきておりますけれども、おっしゃるように、大学教育の内容が非常に大きく変わってきております。個々の大学でも、より柔軟な、そして本質的な部分での大学の変革ということを真剣に考えている時期ですので、おっしゃるように、大学の側でも積極的に取り組んでいく姿勢というのは、土壌というものはあると思います。  ただ、それを制度化して、どの程度大学全体が取り組んでいく枠組みをつくるか、これはちょっと別の次元の問題ですけれども、この制度が始まった時点で、私は、そういった制度ができる一つの大きなきっかけが同時につくられるんではないかと思います。  こういった体験をすることによって——実は私たちが大学で教えていて感じることの一つですけれども、教師が教えるんではなくて、学生から教師が学ぶあるいは社会全体が学んでいくといったような方向での変革がこれによってもたらされて、自然に、制度的に大学がカリキュラムの内容を検討しなくてはいけない大きな枠組みができる、そういったことになるというふうに期待をしておりますし、そうなるというふうに予測をいたしております。
  215. 石井郁子

    石井(郁)委員 これはちょっとこの場の思いつきで、通告もしておりませんので、お答えいただければ幸いです。  私は、きょうはずっとこの議論もしながら、提案者の先生方や皆さんは学生の意見も十分お聞きというふうには思うんですけれども、これは、実際に実習に行く、その体験をするのは学生自身なんですよね。だから、あなた方にもっと優しい心をとか人の痛みがわかる心をとか、何か大人の側が一生懸命やってはいないか。もう一人前の大学生に対して、何かちょっとこれでいいのかなと私なんかは残るんですね。  だから、例えば委員会あり方としても、学生にここに来ていただいて、ヒアリング、学生に述べていただくだとか、そういう機会なんかもつくるということが議論の仕方としてはあってもいいかなということも、これはもう全く思いつきでございますけれども、何か最近、学生の声がちょっと聞こえないものですから、教育を受ける側にしか見えていないという点がこれはありますので、そういう点も少し気になっているということなんですね。もし御意見ございましたら……。
  216. 秋葉忠利

    ○秋葉議員 おっしゃるように、当委員会で公聴会を開いて学生の意見を聞くということはやっておりませんけれども、法案作成、あるいは考える段階で、中心になった田中眞紀子議員を初めとして、私たち、学生の意見も大変聞いております。反応はおおむね好意的でございました。  それともう一つ、大人とも言える大学生に何か義務づけることの是非ですけれども、例えば、私自身こういう経験がございます。私は広島の大学で教えておりますけれども、広島の大学の学生でも平和資料館に行ったことのない学生というのが結構いるんです。私は、授業の一環として、その学生たちに平和資料館に行って原爆の惨状を具体的に調べてレポートを出せということを義務づけました。これは授業とは直接関係ないことで行いましたけれども、結果としては、そのことが発端になって、さまざまなほかの活動に続く。そういった経験をした学生から、やはり広島の大学で学んでいてこういった経験をしたことは本当によかったというのが評価ですので、義務づけること、必ずしも自主性を損ねるという結果にはならないのではないかというふうに考えております。
  217. 石井郁子

    石井(郁)委員 もう一点、伺いたいと思います。  これももうるる出されておりますけれども、やはり受け入れ側の社会福祉施設関係、障害児学校等々の問題でございます。これはある特別養護老人ホームの経営者に伺ったんですけれども、介護福祉士さんの実習も受けているし、実際はどうなるだろうかという不安がやはりぬぐえないということもございました。  それで、本法案にも、第三条では、「国、地方公共団体及びその他の関係機関は、介護等の体験が適切に行われるようにするために必要な措置を講ずるよう努める」ということがございますよね。この「必要な措置を」というのは、具体的にどういうことを考えていらっしゃるんでしょうか。
  218. 藤村修

    藤村議員 お答えいたします。  関係者の責務ということで三項にわたって書いておりまして、この「介護等の体験が適切に行われるようにするために必要な措置」、これは、国と地方公共団体、そしてその他の関係機関、これは社会福祉協議会ということなどがありますが、この者たちが十分に相談をして適切に対処するということでありまして、例えば周知の徹底であるとか、あるいは受け入れ側に対して、やはりどういうふうにしてほしいなどのこの法案の趣旨を十分に知っていただくということが多分一項であろうと思います。  二項については、これは受け入れ側の学校の方についてでありまして、これも最終的に、「努めるものとする。」努力義務でありますが、学校に対して、これも文部大臣と厚生大臣が協議をした上で、十分にその趣旨が徹底するように通達をしたり相談をしたりするということであります。  三番目の大学等、これは養成機関であります。ここは教育課程からは外れてはいますが、しかし、学生にガイダンスをしたり情報提供をしたりということが十分に徹底するようにお願いする、そしてそういうものがうまく円滑にいくことを今期待しているところでございます。
  219. 石井郁子

    石井(郁)委員 残りの時間が少なくなりました。大臣においでいただいておりますが、広く言えば教員養成あり方、そういう問題が今議論されているかと思いますので、この機会にぜひお伺いしたいことがございます。  財政構造改革会議の御報告やその動きが、教育費削減、教育費削減ということで、どうなるのかということがいろいろございますが、具体的に、教育大学の定員、五千人削減という大臣の発言が報道をされておりますけれども、その根拠はどのようにされているんでしょうか。
  220. 小杉隆

    ○小杉国務大臣 少子化によりまして、年々歳々、生徒が減っております中で、教員の志望者が教員になれる割合、教員の就職率というんですか、これが年々低くなっておりまして、今五割を切っているという状況です。せっかく教員を目指して一生懸命、勉強をしてきたにもかかわらず、教員になる道が閉ざされている、こういうことであってはその学生にとっても気の毒なことでありますし、これからのそうした状況を中期的に展望して、平成十二年度までに、教員の定員、学生の入学定員を五千人削減をするというふうにしたわけでございます。  今後、それぞれの地域の小学校中学校の教員需要の動向とかあるいは各県別の教員の需要とか、あるいは、国立の養成課程だけではなくて、他大学の教員の養成の動向等も全部総合的に勘案しながら、それぞれ個別に調整して、どう削減をしていくか決めたいと思っております。
  221. 石井郁子

    石井(郁)委員 五千人といいますと、教員養成大学、学部の三分の一削減ですから、大変な数なんですよね、それは言うまでもありませんけれども。  今もその根拠というのは十分言われておりませんけれども、本当にこういうことが進んでいいのかということは、教育大学の協会長の声明もございますけれども、教員の採用の今後の需要、今は確かに減っている、だけれども、それがずっと減り続けるのか、しかしどうもそうではないようだということもいろいろございますので、その辺で、これからかえってふえていく時期の需要に応じられないのではないかということもございますので、これはきょう十分議論できませんけれども、ぜひその根拠をお示しいただきたいことと、もう一つは、大臣の方で、五千人という数ですけれども、今ちょっとお触れになりましたけれども、これから各都道府県や各大学でこれがどういうふうに検討されていくのかという点で、その国標を、例えば一律に割り振るとかそういうことをされていくんでしょうか、それとも、その辺は……。
  222. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 今回の教員養成課程の定員削減でございますけれども去る五月の九日に開催されました教育大学協会の臨時の学長学部長等連絡協議会がございました。そこで削減の必要性あるいは今後の進め方等についていろいろ説明させていただいたところでございます。また、やはり今月の十六日でございますけれども、事務局長会議がございまして、そこでも同様の説明をしてございます。来月、学長会議がございます。ここでも説明することにいたしております。  各都道府県につきましては、各大学が、今回の方針を受けまして、それぞれの教員養成課程の削減規模や削減の方法を検討する過程におきまして、各都道府県の教育委員会等と十分協議、調整を進めるようお願いしているところでございますけれども、文部省といたしましても、今後、関係の会議等を通じまして、各都道府県の担当者等に対しまして説明を行っていく考えでございます。  先ほど大臣からお答えいたしましたように、教員養成課程の卒業者の教員への就職率、ここのところ五割を切っておるということでございますが、これは、県によっても、県と申しますか、大学によってもと言うべきかと思いますけれども、二割のところもございますし、六割台のところもあるわけでございまして、大変実情にばらつきがあるわけでございます。そういうような実情をも配慮いたしまして、個別に削減計画を策定していきたい、かように考えておるところでございます。
  223. 石井郁子

    石井(郁)委員 時間が参りましたけれども、私はやはり、教師になりたいというのは、人間を育てるという仕事に夢を持つからだというふうに思うのですね。その夢は大切にしていきたい。そして、それをもっと広げるということが行政の仕事ではないかというふうに思っております。  日本教育大学協会長の、この計画をやはり中止をしてほしいという大臣あての要望もございますように、慎重に進めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  224. 二田孝治

    ○二田委員長 次に、保坂展人君
  225. 保坂展人

    ○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。今回の法案について、たくさん考えておいたのですが、私が質問しようとしていたことの大半がこれまでの質問の中で既にもう出ておりますので、予告のない部分が相当出てきますことをちょっとお許しいただきたいと思います。  これは再三語られたことですけれども、ボランティアというのはみずから望んで、自分がやりたいというところから来るわけで、そこのところは十分語られたと思うのでお聞きをしませんけれども、本来その精神で、何とか学校先生になる方たちの資質を少しでも心の部分で磨いていただこうという趣旨だろうと思うわけです。  ところで、私も、いろいろな現場で、いろいろな形で、手伝いますよという不特定多数の人たちが集まってきて、例えば環境問題のコンサートを開く、その事務局長をやったりというようなボランティアの経験があるわけです。ただ、いろいろな人がいまして、意欲があって経験がない人たちもいるわけです。経験がある人たちは非常に助かるわけですが、意欲だけあって経験がない、そういう人たちを適材適所に配分していくのは大変難しいわけでございます。場合によると、意欲もなくて経験もないという方たちも、今回いわゆる義務化ということで現場に入ってくる。そうすると、これは受け入れ側の施設にとっては、行動の指示。修正、これをしていいですか、これはどうですかということを一々求められなければいけないというような意味で、現場の側がかなり困惑をしたり、あるいは大変になるというおそれがあることも、恐らく何回も語られただろうと思います。  ここのところで、第三条の二項ですか、社会福祉施設も、今回の法案についての趣旨を酌み取って、協力をするということが盛り込まれているわけです。社会福祉施設の側に、つまりいろいろな労力あるいは負担ということが実際に想像できるわけですけれども、では、例えば予算という面で、これらを受け入れていく意味でのしっかりした下支えのようなことをお考えになっているのかどうかという点を含めまして、伺いたいと思います。
  226. 中谷元

    ○中谷議員 予算の問題については、現在ゴールドプラン等で計画されているわけでありますが、御承知のとおり、現在財政が非常に窮乏していまして、再建の議論でこれから福祉はどうあるかということが大きな問題になろうと思います。  そういう意味では、やはり高齢者福祉を支えていくのは、これからはボランティアではないかというふうに思うわけであります。学生は、今回を機会ボランティアに目を向けるわけです。福祉の現場の方も当然ボランティアでやっていただいておりますけれども、学生だけがボランティアではなくて、やはり大学側もボランティアでそういう人材を育てる。それから、社会福祉の施設の方も、その道のプロですから、プロとしてそういうボランティアの人材を育てていく。社会すべてがボランティアの心を持って、高齢化社会を支えていこうというムードをつくるための発信源になるのがこの社会福祉施設の方々だと思います。  すべてお金とか対価に求めるという風潮がありますけれども、もちろんそうではない方がほとんどです。ボランティアを社会に育てていくということでみんなが頑張って、すべて予算で措置というのではなくて、社会全員がボランティアでもつて高齢者を支えていくという雰囲気づくりに協力していただきたいということで、自助努力を期待いたしております。
  227. 保坂展人

    ○保坂委員 ボランティアにはお金がかかるということを言いたいと思うのです。  というのは、この五月に、短い期間でしたけれども、イギリスで二十四時間電話相談の、子供のヘルプライン、チャイルドラインという名前のところの機構を、いろいろと教えていただきながら聞いてきたのです。年間の予算は六億円から七億円。ことしの財務目標は十億。これは電話をとっているのは全部ボランティアです。ただ、管理において、いろいろなサポートにおいて、ボランティアを束ねていく部分の労力というのは、絶対的に出てくるわけです。  社会福祉法人は、そもそも、要するに一番しんどいところで頑張っている。今の経営的にも非常に苦しい、人手も足りないという中で、さらに教員の資質向上に対して、いわゆる無償性を求めてはならないのではないかというふうに思うのですが、その点簡潔にお願いいたします。
  228. 住博司

    ○住議員 こういう介護体験と同じような形で社会福祉士も現場で実習を受けることがあります。そのときには、学生の個人負担ということもあるわけです。そういうことも当然念頭に置いてやっていくものだというふうに考えております。
  229. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、田中議員にぜひお答えいただきたいのですが、これは心の問題だと思うのです。今まで競争社会の中で点をとる、あるいは人を抜くということに一生懸命やってきた。そして、今大臣が言われたように、教員の門がどんどん狭くなってくる。ますます点数主義になっていく風潮に対して、もう一回心を取り戻そうという立法趣旨だと思うのです。  そこで、その趣旨が若者たちにとって、いわば準備が十分ではない状態で、準備が十分ではないというのは、つまり小学校中学校のときに、介護も、あるいはほかのボランティアも含めて、十分やってきたという若者ではないという意味です、いきなり入るわけです。そこで私が想像するのは、かなりのショック、アイデンティティークライシスといいますか、自分はこれまで何をしてきたのだろうか、あるいはこの七日間で去っていいのだろうかとか、いろいろな心の危機があると思うのです。できれば、やはりスーパーバイザーといいますか、その心を動かすわけですから、動かしたときに、実習を受けた若者たちが混乱をして疲弊しないように支えることもお考えいただきたいと思うのですが、そのあたりをお答えいただきたいと思います。
  230. 田中眞紀子

    ○田中(眞)議員 保坂先生は確かにいじめの現場でいろいろと御苦労なさって、いろいろな実例を見ておられますから、私など以上にまたそういうふうなことのお悩みも深く、実情を認識していらっしゃるというふうに思います。そういう中で、ではいつになったら準備ができるのか。いつだとお思いになりますか、逆に。聞いてはいけないのですか。
  231. 保坂展人

    ○保坂委員 そうではなくて、準備というのは、つまり、何らかの制度面の準備をしろという意味ではなくて、今これから開始をするということに賛成なわけですけれども、その際に余りにも心の部分の準備が、準備というのは若者たちの体験がないからです。例えばいじめに悩んでいた子供たちの気持ちがわかりたいということで、ひどいいじめに遭ってきた子供たちの合宿などに教師志望の若者が来るわけです。ぼろぼろと泣いて、先生になるのをやめますと言って帰っていく人も現実にはいるわけです。だから、そういう部分のケアをどう考えていらっしゃるのですかということです。
  232. 秋葉忠利

    ○秋葉議員 お答えいたします。  制度として法律あるいは省令に定めて、これこれこういう手だてをとるべきであるということは、現在のこの法案の中には入っておりませんけれども、今おっしゃったような、実際に介護の研修を受ける学生の心の問題については、これは問題が生じる以前から、例えば大学の教師という立場から考えますと、そういう学生を送り出す私たち大学の方で当然アドバイザーをつける、あるいはカウンセラーを準備するといったことを考えるのが普通の大学のやることだと思います。そういった手だてをせずに学生を送り出す大学というのは、私の現在の知識ではまず考えられません。  それで、そのことが大学の負担になるかどうか。例えば、一度介護を経験したある学生が学内で組織をつくってサポート体制をつくるとか、いろいろな方法が考えられますけれども、大学の方できちんとした対処をするということを期待していいだろうと思います。日本の大学はいろいろ問題がありますけれども、まだそのくらいの見識は持っているというふうに思います。
  233. 保坂展人

    ○保坂委員 ありがとうございました。  今の日本の教員を目指す若者たちは大変まじめで、そして非常に自己評価が低いのですね。これは教育の成果だと思うのです、成果というかマイナスの成果で、自分はあれもできていない、これもできていないのではないかということで非常にマイナス評価になりやすいというところで、介護実習に入ったこと自体、ああ、こんなに自分は何もできなかったんだというところのケアのことを今申し上げたわけです。  先ほどのイギリスのチャイルドラインでも、四時間子供の悩みを聞くのですが、必ず最後に、悩みは家に持ち帰らないということで、スーパーバイザーのサポート、アドバイスを受けてまた帰るという、そこのあたりをぜひそれぞれの大学、あるいはこの議員立法そのものの趣旨として、そういう視点もあるんだということを盛り込んでお話しをいただきたいと思います。  時間が近づいていますけれども、今のこの議員立法の趣旨に照らしても、学校が、点数、いわゆる偏差値の一元的な価値観ではなくて、もっと幅広く、子供が生き生きとするような、人間的な豊かさを教員自身が身につけていくということが柱にあると思うのですね。  とすれば、一般の、つまり十年選手、二十年選手というベテランの先生たちもリフレッシュして、これは本当に深刻だと思うのですけれども、例えば国際協力のボランティア活動に参加をしたいというときに、今これは制度上なかなか難しいのですね。一週間、夏休みを使ってとかいろいろあります、しかし、本当に国際協力の現場で子供たちの前でしっかり語れるようになるだけの協力をして帰ってくるには、やはり半年、一年、長期にわたってということが必要だろうと思います。  ですから、今回の立法機会に、一般の教員の方たちが国際協力、環境保全あるいは災害支援、さまざまな分野でのボランティア活動に堂々と出かけていけるという道をぜひ開いていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  234. 山元勉

    山元議員 申されている趣旨は私もよくわかります。  ただ、国家公務員は現在一年に五日間ボランティア休暇をとれるというふうになっているわけですね。各自治体も努力をしておりまして、今、都道府県で二十ほどが地方公務員にもボランティア休暇をとってもいい。  ただ、長期にわたっては、今とても公務の中でボランティア休暇を認めることが困難だという状況になっていますから、先生がおっしゃられるような長い期間というのは大変難しい状況だと思います。海外青年協力隊、あの人たちも自分たちの勤めをやめて、帰ってきたらまた復帰できるかわからぬけれども一年なり二年なり行っている、こういう人たちがいますけれども、公務の場合はそこのところは大変難しいというふうに思っています。
  235. 保坂展人

    ○保坂委員 先ほど大学先生として秋葉議員にお答えいただきましたけれども、社会福祉施設の側に学生たちの受け入れを心のケアも含めて求めるのは難しいと思います。  とすれば、大学の指導担当の先生が、学生たちを連れていくに当たってかなり準備を周到にされていくことが必要だと思いますけれども、例えば、指導担当の教員の方がかなり前から施設と日常的な関係を持っていくだとか、そのあたりのことをちょっと一言伺いたいと思うのです。
  236. 住博司

    ○住議員 当然、大学教育機関が社会的にもきちんと認められるすばらしい先生を送るためには、さまざまな手だてをとらなければいけない。今、保坂先生が言われたことも当然やらなければいけないことだと思っておりますし、事前の指導も含めて、大学側の対応というのは当然求められるものだと私どもは考えております。
  237. 保坂展人

    ○保坂委員 いろいろ難しい問題はありますけれども、偏差値や点数一本やりの日本の学校が少しでも門が開いていくというか、外の風が入ってくるという意味で大変大事な始まりだと思いますということを申し上げて、私の質問を終えたいと思います。
  238. 二田孝治

    ○二田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  239. 二田孝治

    ○二田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  田中眞紀子君外九名提出小学校及び中学校教諭普通免許状授与に係る教育職員免許法特例等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  240. 二田孝治

    ○二田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 二田孝治

    ○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  242. 二田孝治

    ○二田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十七分散会      ————◇—————