○小平
委員 民主党の小平忠正であります。
きょうは、法案審議の場ではありませんので、それぞれ、当面農水
委員会としていろいろと皆さん
考えておられること等々御
質問、御
指摘ありましたが、私からも、限られた時間でありますが、何点か、
政府に
質問をさせていただきたいと思います。
まず、
藤本農水
大臣は、昨年秋の総選挙後、
大臣に就任をされまして、まず
最初の大きな仕事として、早速ローマに飛ばれて世界食料
会議に参画をし、その成果を持ってこられた、そのように報告されております。いろんな
意見がございますでしょうが、私もそれなりの評価はしておきたいと思います。
特に、我が国は、まず国内生産をしっかり堅持をし、その中でできるだけ
自給率を高めて、しかし不測の事態に備えて備蓄もしっかり構え、また足らざるを補う
意味において安定輸入をするという、このことを基軸に据えて、特に比較優位原則といいますか、いわゆるコンパラティブ・アドバンテージ・プリンシプルですね、この論法で強引に迫ってきました先進輸出国との間で論陣を張られて、そういうことになったことは、私も評価をしておきたいと思います。
実は、その前段として、昨年のちょうど今ごろ、もうちょっと前、五月でありましたが、FAOの
地域会議というか、アジア・太平洋
会議が、ディウフ事務
局長参加のもとに、百数カ国の
出席のもとに、ポリネシアの西サモアで行われましして、私も当時、
政府代表という立場で
出席をしてまいりました。そのときに、やはり同じように、豪州やあるいはニュージーランド、アメリカ、そういうところが、国際分業論というか、そういう
考え方で、我が国等々と大いに
議論を闘わしたわけであります。当時、中国やあるいは韓国を代表する
大臣や、その
関係役人の方を含めてそういうやりとりがありましたが、大体そういう方向でローマ
会議にまとまったことは、それなりの評価をしてみたいというふうに思っております。
さてそこで、そういう上で、
政府が言う適正備蓄というか、これは百五十万トンという数字を言っておられる。また、米は農作物でありますから、天候に大いに左右される。そういう中で、生産調整を初め、需給調整のための適切な誘導というものが必要である。これが、今私が言いました、いわゆる国内生産、備蓄、そして安定輸入ということを進めていく中で
一つの大きな要素であると思います。そういう
状況の中で、我が国は、我が国の
農業、農村、
食糧というものをしっかり守っていくためには、長期見通しにのっとった生産基盤整備、また周辺の
環境整備を急いでいくこと、これも肝要であるわけであります。
ところで、一九九三年、国会で三度の決議もしておきながら、苦渋の選択、まさしく文字どおり苦渋の選択をして、我が国はUR
農業合意の名のもとに、米の部分開放を受諾し、そして今の体制がスタートしたことは忘れてはならないと私は思います。そして同時に、国際的な
食糧の需要供給、この動向を見据えて、次のWTOに焦点を合わせて、今この六年間で、国際競争力に伍していける、そういう体制をつくっていきたいという思いのもとに、大変な
議論のもとに、UR関連対策費として六兆百億円というものを決めて、それを今日まで三年間実行してまいりました。
しかし、六年間という短いスパンで進めた
関係上、確かに無理もあったし、また人間がつくったルールですから、やはり不備もある。そして、残念ながら、役所的な発想で、またそれを十二分に対応しかねる面もありまして、いろいろな点が
指摘をされて、今日このような問題が提起されました。
しかし、私どもは、折り返しに向かう今、当初の
目的、精神をしっかりとらえて実行していかなければならない、この思いは、私も、そちらに座っておられる
政府関係の皆さんも同じであると思います。ですから、ちょうど折り返しの今、このことをしっかり継承して、そして
国民の血税が効率的に、また
効果的に使われるようにしっかり検証をして、残り三年間に向かって進めていくこと、このことは当然のことであると思います。そういうことで私も主張してまいりました。
しかし、残念なことに、多様な
考えを持った
国民もおられる、いろいろな、各界各層のとらえ方もある、そういう中で、この六兆百億円というものに対して疑義が出された。同時に、不幸なことにバブルがはじけて、我が国の財政
状況は悪化の限りである。そういう中で財政再建——戦後五十年というか、あるいは太政官制度以来というか、政治の仕組みが、戦後民主主義になっても、やはり
実態は官に向かって、お上に向かって政治を行うという、そういうような方向があったのではないかと私は思います。しかし同時に、先人の大変な努力によって、戦後の我が国の復興もあり、今日の繁栄を築きましたが、そのひずみの中で、また制度疲労の中で、今回、行政改革を含めて、社会的な
構造の改革を含めて、今ちょうど問題の時期にぶつかってしまった。したがって、そこでこの六兆百億円を、これも聖域とみなさずに、ここで削減しよう、縮減しようという
意見が強く出たことも、これもある
意味では、聞く耳を持たなければならないということもあるかと思います。
しかし、私は当時を振り返って、あのときを思い起こすならば、少なくともあのとき、国会に籍を置いて、このことを論じた議員の一人としては、やはり朝令暮改——言葉をかえて言うならば、改むるにはばかることなかれという言葉があります。しかし、政治家こ求められるものは、あるいは行政に求められるものは、二枚舌ではいけないという、このもとに、私はこのことを強く主張してまいったのでありますが、残念なことに、昨日、
政府・与党の財政
構造改革
会議で最終報告が出まして、即、臨時閣議をやって、これが正式決定された、このように伺っております。
そこで、私はその資料も昨日手に入れましたが、今何人かの同僚議員の
質疑の中で、
大臣もこれについての基本的な見解をお答えになりましたので、それは私、あえて問いません、
質問に対してお答えになりましたので。私は、昨日正式決定されたこの文書の中で、特に、期間は二年間延長する、それから、
農業農村整備
事業、公共
事業を
構造改善
事業やそういう非公共の方に振り向けて、大体五対五、そういう
状況に持っていく。となれば、国費負担が多少というか、大分減りますから、中身は変わっていくと思いますけれども、これについては、
農業団体あるいは農民各位の実質的な
要望からしても、これは効率的に、
効果的に
国民の血税を使うという観点からいえば、これも
一つの方法である、そんな思いで、これについては私は賛意を表したい、こう思っております。
しかし、問題は、二年延ばすことによって起きる、次のWTOの交渉に向かっての、二年間のギャップをどう埋めていくかという、そういう問題は、
政府当局としても、これから大変な作業になっていくと思います。
と同時に、その次、ちょっと文章を朗読しますけれども、「主要
食糧関係費に関しては、「
食糧法」の趣旨を踏まえ、米について、
政府備蓄水準の早期適正化を進め、米価を含む農産物価格について適切な価格設定を行う。」これをお手元にお持ちですね、
長官。
大臣もお持ちですね、昨日の正式合意文書ですね。ここでまず米価について、農産物価格に「適切」という表現を使っていますね。その次に、「
政府は、適正な備蓄の運営に責任を持つ一方、自主流通米助成、生産調整助成金について市場原理の活用等の視点に立って見直すとともに」「見直すとともに」という表現を使っています。さらに、「学校給食用米穀値引きについては廃止の方向で見直し、」「廃止」と書いていますね。次に、「集中改革期間中において主要
食糧関係費を引き続き対前年度同額以下とする。」と。
いいですか、まず「適切な価格」とは何を言うのかということ、これは
本当につかみどころのない表現ですよね。これはどうでもとれる。それから、自主流通米助成、生産調整助成金を見直すというのは、どう見直すのですか。それから、学校給食用米穀値引きは廃止という、これこそ米消費拡大の大きなポイントではないですか。我々より上の年代の人は覚えています。戦後、占領
時代にアメリカは、パン食のいわゆる奨励のために、パンを食べれば美人になりますとか、肌が白くなりますとか、足が長くなりますということを言ってパン食を奨励しましたよね、学校給食等を含めて。今こそいろいろな手段を講じて、米の学校給食、これは奨励せんければならぬ。また、主要
食糧関係費を対前年度同額以下とする、何となく寂しい思いでいっぱいであります。
これを今問うても、返ってくる答弁はまさしく官僚的な答弁で、これは私、答弁要らないです。大体想像つきます、これについては。でも、
大臣、せっかくですからこの点について、このような正式合意がなされました。感想はいかがですか。ちょっとそれについてお聞きしておきたいと思います。よろしいですか。もし急でしたら、
長官でも結構です。簡潔に感想だけで結構です。