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1997-03-26 第140回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十六日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員   委員長 石橋大吉君    理事 原田 義昭君 理事 松岡 利勝君    理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君    理事 北村 直人君 理事 久保 哲司君    理事 小平 忠正君 理事 藤田 スミ君       植竹 繁雄君    大島 理森君       嘉数 知賢君    金田 英行君       亀井 善之君    川崎 二郎君       瓦   力君    木部 佳昭君       栗原 博久君    実川 幸夫君       鈴木 宗男君    園田 修光君       虎島 和夫君    牧野 隆守君       井上 喜一君    一川 保夫君       木幡 弘道君    佐々木洋平君       城島 正光君    菅原喜重郎君       仲村 正治君    宮本 一三君       鰐淵 俊之君    安住  淳君       鉢呂 吉雄君    春名 直章君       畠山健治郎君    前島 秀行君       堀込 征雄君    石破  茂君  出席国務大臣         農林水産大臣  藤本 孝雄君  出席政府委員         農林水産大臣官         房総務審議官  石原  葵君         農林水産省経済         局長      熊澤 英昭君         水産庁長官   嶌田 道夫君         水産庁次長   石川 賢広君         労働省婦人局長 太田 芳枝君   委員外出席者         農林水産大臣官         房審議官    竹中 美晴君         農林水産省経済         局統計情報部長 遠藤 保雄君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     嘉数 知賢君   野呂田芳成君     虎島 和夫君   村岡 兼造君     園田 修光君   矢上 雅義君     鰐淵 俊之君   前島 秀行君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   嘉数 知賢君     熊谷 市雄君   園田 修光君     村岡 兼造君   虎島 和夫君     野呂田芳成君   鰐淵 俊之君     矢上 雅義君   畠山健治郎君     前島 秀行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件等畜産問題等)  平成九年度畜産物価格等に関する件      ————◇—————
  2. 石橋大吉

    石橋委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田英行君。
  3. 金田英行

    金田(英)委員 自由民主党金田英行でございます。藤本農林水産大臣をお招きいたしまして、今この重要な時期にこの委員会で御質問させていただきます。  今晩中にはあすの畜審に向けて生産加工原料乳乳価決定が行われるという重要な時期でございますので、与党として、短い時間ではありますが、所見を申し述べさせていただく形で御質問させていただきます。  連日、ここ十日間ぐらい、毎朝八時から党内乳価の問題について党本部議論をさせていただいております。多くの議論が出尽くしております。  私の選挙区でございますけれども酪農オンリーの地域でございます。選挙区の皆さん方にごあいさつに参りますと、いつも酪農家皆さん方牛舎の中にいてふん尿にまみれて、朝五時から夜九時という長い間、搾乳やらふん尿の始末やらそういったことで大変な努力をしているわけであります。本当に、冠婚葬祭にもなかなか出られないというような、生き物を飼っている仕事でございますのでほとんど自由に出入りができない、そういった過酷な状況の中で酪農経営を営んでいるわけであります。  昨年、七十五円七十五銭という加工原料乳価格が、まさにその中の二円九十三銭というのは政治的な加算だというような形で調整させていただいたわけであります。ことしこの厳しい財政事情の中でそのような政治加算についてはいかがなものかというようなマスコミ等々の厳しい御批判がありますけれども、この二円九十三銭、こういった政治加算といいますか、加算だとは私は思いませんけれども、当然理由があって二円九十三銭という積み上げがあったのだというふうに思っているわけであります。  まず冒頭藤本農林水産大臣に、あすの乳価決定に際しまして、昨年行われた二円九十三銭というような調整額につきましてどのようなお考えを持っておられるのか。やはり酪農政治の光を当てなければならない、これからの酪農経営をどういうふうにしていくかというような政治的な配慮があっての二円九十三銭だというふうに私ども思っているわけであります。  そこで、昨年の調整額二円九十三銭について率直な大臣所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  4. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 我が国酪農のメッカでございます北海道金田委員酪農の問題、特にきょうあす審議会が開かれまして、加工原料乳価決定が明日なされるわけでございますが、この問題に非常に強い関心を持っておられることはよく理解できます。今後、加工原料乳価保証価格につきましては、私ども、まず第一に不足払い法の趣旨に基づきまして、きょうあすの、特にあしたの畜産振興審議会意見を聞いて適正に決定をいたしたいというふうに考えております。  先ほどの御質問につきましては、私どもはその問題についてこれは当然そういう必要性考えて対応したわけでございまして、そのことにつきましては御指摘について私どもも同じ考え方でおるわけでございます。
  5. 金田英行

    金田(英)委員 ありがとうございます。  考えてみますと、加工原料乳価格でございますけれども、近ごろの為替の円安状況がございます。そういった形で飼料代が相当値上がりしているというような状況にもあるわけであります。また、加えて、消費税の二%の値上げというような状態で、今酪農現状考えてみるときに、どうも加工原料乳を値下げするような状態にはないのじゃないかというふうに我々党内議論もしておるわけであります。  そういった状況につきまして、藤本農林水産大臣のお考え所見、今下げるような時期ではないというふうに我々議論をしておりますが、そのようなことについての所見を承りたいと思います。
  6. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 先ほど委員の御質問に対しまして御答弁させていただいたわけでございますが、今の段階におきましては、明日の畜産振興審議会意見を聞いて適正に決定をしてまいりたい、そういうお答えしかできないわけでございますが、考え方としてはよく理解をいたしておるつもりでございます。
  7. 金田英行

    金田(英)委員 あすの畜審を控えての大臣のお言葉ですので、その程度しか答弁できないという大臣のお立場もよくわかるわけであります。  そこで、昨年七十五円七十五銭という加工原料乳価格は据え置きさせていただきましたけれども、残念ながら加工原料乳価格を据え置いたら飲用乳価もまた維持できるのだという考え方は見事に覆ったわけであります。加工原料乳維持されたけれども飲用乳価は三円五十銭から四円程度値下がりしたという実態があります。  そこで、こういった加工原料乳価格維持させる、その差額を補給するという、こういう価格維持制度は限界があるのでないか。総合乳価という形が今議論の中で畜産局当局からも出てきております。加工原料乳価格決定するだけでは乳価は決まらないのだ。市場原理の中で、メーカーさんと全農さんが交渉する中で、飲用乳の値段がどんどん下げられているといり状況の中で、こういった価格維持制度は総合的に見直していくべきでないのか。  そうしないと、農家手取りはどんどん減っていくという状況が今後とも続くのではないかというような考え方を持っているわけでありますが、こんな制度につきまして、加工原料乳価格を決めさえずれば、農家手取りと申しますか、酪農乳価維持はできるのだという制度について矛盾が出てきたなというふうに感じておるわけでございますが、その点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
  8. 竹中美晴

    竹中説明員 お答えを申し上げます。  加工原料乳価飲用乳価関係の御質問でございますが、加工原料乳価保証価格につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、法令の規定に基づきまして、生乳生産条件需給事情、その他の経済事情を考慮いたしまして、加工原料乳地域生乳の再生産を確保することを旨として定めることとされております。  一方、飲用乳価につきましては、生産者団体農業者の自由で対等な交渉によって決定されるということで従来からも来ているところでございます。飲用乳価につきましては、今年度、一定程度前年を下回る水準で妥結されたというふうに理解いたしておりますけれども、今後とも飲用乳価につきましてま、取引当事者であります生産者団体とそれから乳業者が誠意を持って話し合いで解決されるべきものと考えております。飲用乳価の九年度の交渉につきましても、そういう観点からその推移を見守ってまいりたいと考えております。
  9. 金田英行

    金田(英)委員 まさに昨年、加工原料乳価格にだけ焦点を絞って取り組んできたわけですけれども、現実問題として、飲用乳価格が相当下がってしまったために農家手取りが少なくなっている。北海道についても約一円三十銭の乳価プール価格が下がっているわけであります。そういった中で、畜産局当局が、これからの乳価総合価格というか、総体価格というか、プール価格について焦点を絞ってその価格維持に取り組むというようなことであれば、飲用乳価格に対する取り組みというのを、現行制度にはありませんけれども、そういった取り組みを相当強化していくことが酪農経営の足腰を充実させることについて必要だと思うわけであります。  現実問題として、今、共補償をどうするか。そして、乳価交渉に当たって全農が取り組む場合に、四十七都道府県それぞれに抜け駆けをするというような形で、相当低い価格で結局は飲用乳価が決まってしまうという状況、こういった状況を打破するためにいろいろな取り組みが検討されてございますけれども、この取り組みをぜひとも強化する必要があると思うわけであります。  そうしないと、総合乳価維持されないという実態があります。加工原料乳だけ一生懸命頑張っても、何も農家所得向上につながらないという実態がありますものですから、飲用乳価格に対する取り組みを、法律的にはできないことはよく承知しております、また市場価格に任せているという現状もよく承知しているわけでありますけれども、何らかの形でそういった共補償制度、それから交渉ブロック化の動き、そういったものを強力に求めていきたいと思うのですが、この点について農林省当局の御所見を承りたいと思います。
  10. 竹中美晴

    竹中説明員 御指摘のように、ブロック化の推進なり、生乳出荷団体におきます取り組みについては我々も伺っているところでございます。そういった取り組みに対しまして、行政といたしましても、どういう支援が可能か検討してまいりたいと考えております。
  11. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 委員の先ほどの御指摘で、保証価格は据え置きされたけれども飲用乳価が一円五十銭でしたか下がった、全体として手取りが減った、こういう御指摘でございました。  それで、この飲用乳価交渉は御承知のとおりで相対でございまして、そこのところはいかんともしがたい点がありますけれども、確かにこの問題点といいますか御意見もよくわかるわけでございまして、九年度の飲用乳価交渉、その交渉推移については十分私は見守っていきたいと思っております。
  12. 金田英行

    金田(英)委員 この飲用乳価が下がって加工原料乳価格維持されたということが、変な思惑と申しますか、加工原料乳の主産地であります北海道だけは得をして、飲用乳価格が下がったというようなことについて、まさに巷間南北戦争と言われるような事態、この事態はどうしても避けなければならないというふうに思っております。  同じ日本酪農家でございます。酪肉の基本方針平成十七年度には牛乳の生産量を八百五十五万トンから一千十万トンにふやすというような将来計画にのっとって、全国酪農家がしっかりと手を携えて頑張らなければならないというときに、この制度の不備があらぬ南北戦争というような疑心暗鬼な状況を醸していることはまことに残念であります。  いろいろと御質問したいこともありましたけれども、時間が来ましたので、これで終了させていただきます。
  13. 石橋大吉

    石橋委員長 次に、園田修光君。
  14. 園田修光

    園田(修)委員 私は、自由民主党園田修光でございます。  きょうは、委員皆さんに大変温かい配慮をいただいて質問の機会をいただいたことを本当に心から感謝を申し上げます。  ただいま北の金田先生北海道出身でありますけれども、私は南は九州鹿児島出身であります。御承知のとおり、鹿児島肉用牛、いろいろな畜産関係ではもう日本一を誇る畜産県でもあります。そのことからひとつ質問をしたいと思っております。  その質問の先に、先ほど金田先生から飲用乳のことを申されましたけれども、まさしく日本の北と南で何か戦争をしているみたいに言われますけれども北海道がよくなれば南の九州鹿児島日本全土もよくなる、その面に対してはやはり価格の問題をしっかりと、農林大臣、ここ一両日のことであろうと思いますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。  それでは、質問に入ります。  まず一農林水産省平成八年に、十年後の平成十七年を目標として新しい「酪農及び肉用牛生産近代化を図るための基本方針」を公表されたわけでありますが、その中で我が国畜産をどのようにとらえておられるのか、大臣より述べていただきたいと思っているところであります。
  15. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 昨年一月に公表いたしました酪農肉用牛近代化方針、この方針におきまして、我が国畜産業を、我が国農業基幹部門として重要な地位を占めているものと位置づけをいたしております。一方で今日、国際化の進展によりまして国際競争が高まっておるわけでございまして、我が国畜産を取り巻く状況には、御承知のように厳しいものがあると認識をいたしております。  そこで、こうした中で、将来にわたって畜産物安定供給畜産経営の健全な発展を図るために、この基本方針に基づきましていろいろな施策を実施してまいる、このような考え方でございます。
  16. 園田修光

    園田(修)委員 今、畜産のことについて大臣から答弁をいただきました。  畜産物自給率の問題、農林水産省でももちろん、この十年間、平成十七年度の目標というものも定めておられるということであります。  その目標を私も調べてみたのでありますけれども肉牛についてと肉全般について、ここ三年ぐらいの自給率は、平成五年度が肉牛については四四%、それが平成六年度については四二%、そして平成七年度は三九%なのです。肉全体をとっても、やはり平成五年度は六四%あったものが、平成七年度、二年間で今度は五七%に低下をしているということであります。この近代化を図るための新しい基本方針の中でも、目標というのを大体六〇%ぐらい、五九%というふうに見ておられますけれども、ここ近々のわずか三年間でも大変な落ち込みをしているわけであります。  そこで、やはり自給率、これは消費動向にもかかわることであろうと思いますけれども、一番大事なのは、やはり畜産をやる農家がいなくなるということが一番このことについては心配な点であります。それと同時に、これから畜産をやろうとする担い手対策、この担い手対策についてどのように考えておられるのか、当局から説明をいただきたいと思います。
  17. 竹中美晴

    竹中説明員 お答え申し上げます。  畜産担い手対策ということでございますが、近年、畜産農家戸数は、高齢後継者のいない農家を中心に減少傾向にあることは事実でございます。  そこで、従来からも、すぐれた畜産経営担い手育成確保を図りますために、各種の相談活動とか実践技術講習等々を実施いたしますほか、研修教育とか経営開始に必要な無利子資金貸し付け青年農業者育成確保資金貸し付けとか、あるいは新規就農者実践的な技術の習得とか、就農準備に必要な無利子資金貸し付け就農支援資金貸し付け等を行ってきたところでございます。  これに加えまして、来年度は、高齢経営継続が困難な農家が持っております農用地施設を活用いたしまして、新規就農者農家子弟の新しい就農者営農実践の場を提供するような新しい事業考えているところでございます。そういったことで、担い手育成確保に今後とも努めてまいりたいと考えております。
  18. 園田修光

    園田(修)委員 今、担い手対策のことを言われました。一番最後に、我が県でも一番問題になっている畜産農家高齢化、そしてまた、後を継ぐ者がいなくなるという形のものが現実に出てきているわけであります。  そこで、ちょうど、経営継続できない困難な農家に、今言われた農用地牛舎を、新規就農者あるいはまた新規就農者が確保されるまでの間に、農協や公社が中間保有をして担い手を育てる事業があるということであります。そのことについて、もう少し詳しく基本的な考え方をお示しいただきたいと思っております。
  19. 竹中美晴

    竹中説明員 平成九年度から新たに実施することを予定しております地域畜産就農円滑化条件整備事業でございますが、これは、高齢経営継続が困難な農家が持っております農地とか施設を活用いたしまして、農家子弟新規就農者営農実践の場を提供いたしますほか、新規就農者が確保されるまでの間、農協等におきまして保全管理を行うことによりまして円滑な就農支援を図るという事業でございます。  私どもといたしましても、地域実態に応じましてこの事業が積極的に活用されるように期待をいたしておりまして、関係機関を通じてその普及に努め、担い手育成確保に努めていきたいと考えております。
  20. 園田修光

    園田(修)委員 ことし、新規事業として畜産局が進められる事業であるということで大変すばらしいわけでありますけれども、今までも担い手対策、この畜産に限らず、農業担い手対策は、いろいろな事業を国の方でも考えられておるわけであります。  要は、この事業が実行に値するか、現場で使ってもらえるかということだろうと思っております。ですから、今新しい事業、本当にすばらしい事業で、後継者に対して、そしてまたこれから農業を始めようという人たちにとっては、これはいい事業であると思いますけれども農林水産省が打ち出して、それを使うのは現場の地方であります。そして、さきの金田先生北海道と我々鹿児島九州とでは、同じ事業でもやはり運用の仕方が地域によって違うわけですよ。  ですから、大きな政策をつくって事業をつくってくださる、そのことに対しては、今度はその地域現場のニーズに応じて弾力的な運用ができるようにぜひとも図っていただきたいと思っております。使うのは現場ですから、幾らいい事業考えても、現場が必要でない、現場が使いにくいとなったらだれも使う人はいないわけですから、そのことによって担い手も育つようになりますし、このことが私は一番大事であろうと思っております。  総理府の調査でも、国民の八割以上が国内のものを食べたいのだと言っておられるようであります。そのためには、どうしても自給率を上げる、そして農業を、今の現状だと農業をする人を維持できないわけで、自給率が高まるわけはないわけでありますから、その観点からもよろしくお願いをいたします。  それと同時に、先ほど価格決定の問題を言われました。この価格決定というのも、これから農業をやろうとする人、畜産をやろうという人に大きな希望の持てる価格になるように、畜産をやってもだめなのだなと、希望の持てないような価格にならないようにしっかりと決めていただきたいものだと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  21. 石橋大吉

    石橋委員長 次に、北村直人君。
  22. 北村直人

    北村(直)委員 まず冒頭農林大臣は、昨日の閣議後の記者会見で、韓国中国と進めている漁業交渉について、「一日も早く新協定を結べるように、粘り強く努力することが一番だ。三月末を過ぎたからといって、すぐに協定を破棄できるような簡単な問題ではない」、こういうお話をしております。多分私もそうだと思いますけれども、しかし、前回私まこの委員会で、この問題について長官に御質問いたしました。長官は、「昨年与党三党の方から政府に対しまして申し入れがございました。これにつきましては非常に重く受けとめております」、こう答弁をされております。  そして、三月の七日、漁業者方々全国大会がありました。そのときにも与党方々は、三月中にこれが妥結できなかったら破棄をする、すべきである、こういう演説を漁業者大会でお述べになっておられました。  そして、漁業者方々もそのとおりだ、もうこれは早く韓国中国との協定を結べ、結べないのなら、与党三党が合意をして申し入れたそれを破棄せよ、こういう言い方をされておりましたけれども、そのことについて、いま一度大臣の決意をお聞かせをいただきたい、このように思います。
  23. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 昨日の私の記者会見の中で、日韓との漁業協定の問題が出まして、いろいろやりとりがあったわけでございます。今我々は、国連海洋法条約締結に基づいて新しい漁業協定を結ぶ、こういう方針で進んでおるわけでございますけれども、これは、外務省サイド農水省サイド、両方のチャンネルで今日まで進んできたわけでございますね。特に、首脳会談でもこの問題を取り上げておりますし、外相会談でも取り上げておりますし、農水省実務者レベルでの会談を何回も行ってきておる。  私も、駐日金大使をお呼びして、この問題については、期日を、期限をひとつつくって解決しようじゃないかというようなことも申し上げたわけでございますが、今の現状は、御承知のように、まだ新しい漁業協定締結するというところまで来ていないことも御承知のとおりでございます。  私どもとしては、新しい漁業協定締結に向けて今後辛抱強く進めていく、こういうことがまず基本的な物の考え方であるということでございまして、そういう交渉によって、一つには例えて言えば、沿岸国主義ということについて、中国側韓国側もそういう考え方理解を示してきたというようなことは一歩前進だというふうに思っておるわけです。そういう経緯があって与党の三党合意というものがございます。  この内容につきましては、御承知でございますから省略いたしますが、この合意を私どもは当然重く受けとめておることは申し上げるまでもございません。その合意を念頭に置きながら、幾つかの選択肢が率直に申し上げましてあると思います。  その選択肢の中で、今はとにかく新しい漁業協定を結ぶことこ全力を挙げて取り組んでいく、一日も早く新しい漁業協定締結を実現する、これが我々の考えている最大の選択肢である、こういうことでございます。記者皆さんが、一年経過してその後どうするのだ、こういう質問に対しましては、私は、これを破棄するのですかということに対して、破棄するというような簡単な問題ではない、こういうふうに申し上げたわけでございまして、今後一生懸命に努力をしていく、こういう考えであります。
  24. 北村直人

    北村(直)委員 きょうは酪農畜産関係委員会でありますから、このことを深く追及するわけではありません。ただ私は、今の大臣答弁、すごくもっともだと思います。  しかし、政治不信というのは多分こういうことではないかと思います。与党方々は、漁業者全国大会で、この三月中に妥結ができなかったら協定を破棄するんだという意気込みでごあいさつをされる。しかし、その与党の中から出ておられる大臣は、いやそうではない。それはそのとおりです、国と国との交渉でありますから。しかし、こういうことが続いていけばますます、私は、生産者の方々政府もそして与党も信用ならない、約束を全く守らないじゃないか、言ったとおりのこともしない、こういうことになるのではないかと思います。  そういう面でま、農林大臣与党の中から出ている大臣でありますから、しっかりと与党三党の合意、申し入れを踏まえた中で、これに全力を挙げて取り組んでいただきたい、このように申し上げておきます。  さて、この三月は、酪農畜産皆さんにとっては、ある面では春闘と言っても言い過ぎでない時期であります。先ほど自民党の方からも質問がありましたけれども審議会等々でのお話がありました。その中に、二円九十三銭というお話がありました。それに対して非常に批判がある、こういう旨のお話がありましたけれども大臣、私は、どこを見ても乳価が七十五円七十五銭としか読みようがないのですね。加工原料乳保証価格の中で生産費の積み重ねをしていったら、平成八年度の乳価は七十五円七十五銭でした。その中身は二円九十三銭調整されましたということが生産者の方々や消費者の方々に、農林省として公に官報で知らしめているとは私は思いません。ですから、生産者の方々は、乳価は七十五円七十五銭です、このように思っております。  しかし、先ほどの質問者のお話を聞いておりますと、二円九十三銭、これは政治的な判断で決めた。そのことについて、非常に審議会の中で批判がある。そうすると、この酪農畜産を含めた農業予算に対して、今いろいろな形で、マスコミだとかあるいはオピニオンリーダーと言われる人々から評価、その評価も非常に批判じみた評価がされております。  私は、前回のこの委員会で、第一次産業、特に農業、林業、水産というのは我々の命を守る産業ですよ、生命に直結した産業ですよ。大臣もそのとおりだ、こういうお話をいただきました。  ですから私は、この一次産業、なかんずくこの三月の酪農畜産にかかわる予算に対しては、どうして、そういうマスコミやあるいはオピニオンリーダーと言われる人から非難をされたときに、農水省畜産局は毅然としてこれに対して逆に批判をしないのでしょうか。そういうことを今まである面ではやってこなかったからこそ、今農業予算を含めて、この酪農畜産の予算を含めて、そして乳価のこの時期に、七十五円七十五銭という乳価の中には政治的な加算があるみたいな、そういう批判がされてくるんではないかと思いますけれども大臣、このマスコミの批判ですとかあるいはオピニオンリーダーと言われる人方のそういった評価に対して、率直なお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  25. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 その前に、先ほどの日韓、日中の漁業交渉の問題で一つ落としておりましたことがございますので、その点をまず申し上げます。  今後、与党三党の合意で一つの目標期日といいますか、一年をめどというそういう数字が入っておるわけでございまして、この一年をめどというその期間をどういうふうに見るかという問題もありますけれども、一年を経過した後の問題については与党三党で十分相談をしていかなきゃならぬ、そういうことになろうかと思っております。  それから、今の一般論として、また具体的なお話でもあったわけでございますけれども、こういう農業関係価格決定について非常に政治加算、かつての米価もそうでありましたけれども、そういう指摘が今まであったということは事実でございます。これはやはり我々の努力が一言で言えば足らなかった、もっとこの内容を国民の皆さん方によく理解していただいて、そしてこの計算値といいますか試算値といいますか、そういう内容について積極的に理解を求める、そういう努力が今日までなかった、そういうことも今委員が言われたことにつながるのではないかという反省をしながらお聞きしたわけでございます。  今後は私ども、例えて言えばウルグァイ・ラウンド対策の問題にいたしましても、十分にこのウルグアイ・ラウンド対策というものを、農業合意を受けましてこのような対策を立てたという経緯、また経過については十分にもう一度国民の皆さん方に御理解をしていただかなきゃならぬというふうに今考えておるわけでございまして、そういう点では今後十分に国民の皆さんの御理解をいただけるように努力をいたしますし、同時に農水省内部におきましても十分に自信の持てるような体制、内容で進んでいきたいというように考えております。
  26. 北村直人

    北村(直)委員 ということは、今まで努力をしてきたけれども、その努力生産者の方々や国民の皆さん、特に消費者の方々理解できなかった、理解を得られなかったというふうに私は聞こえたわけであります。そうなると、やはり農水省の責任というのは大きなものがあるんじゃないでしょうか。生産者の方々にもなかなか理解がもらえない、あるいは消費者の方々にも理解がもらえないということは、理解を求める努力が足りなかったんではないのか。  先ほど申したとおり、農水省は、我々人間の命を預かっている根源のところの省でありますから、そういう意味では、この予算が国民の命を守っているんだと堂々と国民の皆さんにそのことを言って理解を求めていくというのが至極当然のことであって、それが、大臣の今の答弁ですと私自身はちょっと納得できない。というよりも、大臣答弁はわかりますけれども農水省として取り組みが甘いのではないか。  くどいようですけれども、やはり生産者の方々は、生産費の調査をいろいろと積み重ねていって、直近のいろんな状況を積み重ねていって、その結果七十五円七十五銭だと信じておりますよ。それは交渉に当たった人方は、いやその中で二円九十三銭が調整額だというようなことがわかっている人もいるでしょう。しかし、生産者の多くの人方あるいは消費者のほとんどの方々は、ああ平成八年度の乳価は七十五円七十五銭、これが諮問され、答申された、こう思っております。だから、その努力は私はやはりしっかりとすべきである。今回の乳価決定に当たって、やはり農水省生産者の方々のきちっと理解できる、そういう説明をしていかなければならないと思います。  そういう意味では、一番大切になります新農業基本法の中にこの酪農畜産というものをどう位置づけていくのか、国民の食糧という問題の中の酪農畜産にかかわるこういう乳製品等々、そして北海道ですと草地型の環境をしっかり守っていくこういった酪農畜産という問題について、新農業基本法の中でどういうふうに位置づけをさせていこう、どう思っておりますか、大臣
  27. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 先ほどの問題なんですけれども、言葉じりというわけではございませんが、私はこういうように思っているんです。  非常に重要な政策を国民のために行うということ、これは非常に大事でございますけれども、同時にその政策、施策というものが十分に国民の皆さん理解してもらえる、また理解してもらえるように努力をするといりことも同じように大切な問題だというふうに思っております。  そういう点で、何も今まで農水省がそういう努力を怠っておった、また、していなかったということではありません。一生懸命やってきたわけではございますけれども、結果として国民の皆様に十分に御理解がいただけていないとすれば、その点は我々としては謙虚に考えなきゃならぬ問題ではなかろうか、こういうふうに申し上げたわけでございます。  それから農業ということを考えますと、やはり国際的な外国と国内の農業、都市と農村それから農業者の中の問題というふうにいろいろこれは問題があると思います。ですから、そういう問題についても十分に御理解いただけるように我々も努力をしていかなきゃならぬと思っております。  それから新農業基本法、この問題についてお尋ねがございました。これは、四月からスタートいたします食料・農業・農村に関する調査会、これはまだ仮の名前でございますけれども、総理直属で総理府に設置されますこの調査会で、これからの農業全般についていろいろな角度から、いろいろな分野の専門的な方に入っていただきまして、そこで御検討願うということになっております。  その場合に、基本的な考え方としては、今政府が推進しております行政改革という観点、それから経済構造改革という観点、財政構造改革という観点、この三つの改革、これが一つの農業、新しい農業基本法をこれから検討する、そういう場合の大きな背景になっておるということも御理解願いたいと思うわけでございます。  いずれにしても、三十六年間今の農業基本法で来たわけでございまして、新しい農業の憲法ともいうべき農業基本法をつくる、その中に、今言われました畜産の問題もこの中に大きな問題として取り上げていく、このような考え方でおるわけでございます。
  28. 北村直人

    北村(直)委員 新農業基本法の中にどう酪農畜産というものを位置づけるかということは、これからの議論だと思いますし、また、その位置づけに当たっては、事務方の確固たる信念、哲学みたいなものが必要になってくると思います。つまり、農水省がどういうふうにこれを考えていくんだ、これがやはり私は基本になってくると思います。そのことをしっかりとした議論を進めていただきたいと思います。  そうなりますと、次、もう一つ大臣にお聞かせをいただきたいと思いますが、そういう農業基本法の中に、私は酪農畜産というのがしつかりとした位置づけをされていくと思います。そうしてきますと、農林水産省の役目というのが明快になってきます。そして今、もう御承知のとおり、行革といういろいろなあらしの波が襲ってきております。それは、行革をやっていくものはすべきであると私は思いますが、この中でとかくまた農水省の中のいろいろな事業団等々がこの行革のターゲットにされてきてしまう。  この酪農畜産、蚕糸も含めて、農畜産業振興事業団、これは大変私は意義のある、そして、こういう時期だからこそ機能、機構というものを充実させて、しっかりした財源のもとで政策というものを遂行していってもらいたい、このように思っているわけであります。農林大臣は、そういう農水省の行革のあらしの中で、この農畜産業振興事業団をどういうふうに位置づけて、どのような方向に持っていこうとしているのか、そのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  29. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 農業につきましては、価格安定というこの業務は、農家経営の安定に極めて重要な役割を占めておるわけでございまして、この農畜産業振興事業団、この件につきましては、行革の一環として、特殊法人統合の最初の案件として、昨年の十月合併、統合したわけでございます。しかしながら、委員指摘のように、この事業団の合理化を進めながら、今申し上げました価格安定などの業務は極めて大事な業務でございますので、この業務については十分にこれからも大事であるという意味において推進していこう、かように考えておるわけでございます。
  30. 北村直人

    北村(直)委員 私は常に、自分の考えとしては、いつでもこの振興事業団を強化して充実をすべきである、このようにずっと言ってきた一人であります。そういう面では、しっかりとした、この基本法の中にもそのことが織り込まれていくような形をとっていただきたい、このように思います。  さて、次からは、大臣に答えていただくこともあろうと思いますけれども、事務方でも結構でございます。  実はいつも、酪農畜産物価格決定のときには、生産調査というのが非常に重要になってまいります。それが一つの基本となってくるわけでありますので、昨年、この畜産物生産調査を見直していこう、こういう議論があって、その検討がなされたはずでございます。  余り時間がありませんので、ことしのこの生産費には直接ではありませんでしょうけれども、来年の平成九年度にかけてはこれが使われてくると思いますので、端的に、今までとどのように改善をし、何をどういうふうに変えたのか、そのところをお聞かせをいただきたい。
  31. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  畜産物生産調査につきましては、第一に、調査農家の適切な選定と農家の記帳負担の軽減、第二に、労働時間の的確な把握、第三に、厩肥の取り扱いの適正化等を行うことにより、その実施面の改善を行うこととしたところでございます。  具体的こ一、二例を申し上げますと、平成八年から、調査対象農家の委嘱に際しまして、経営事情等に詳しい農協等の協力を得て行うということ、第二には、農家の記帳負担の軽減を図るために、記帳様式の簡素化とか、あるいは農協の協力と調査農家の了解を得まして、農協の組合勘定のデータを積極的に活用する、こういったような具体的措置を講じております。
  32. 北村直人

    北村(直)委員 実は今までも、この調査農家の選定ということについては非常に議論がございました。統計情報部が選定をする選定農家から出てくる生産調査と、生産者の方々考えていることにかなりの差があるのではないのかな。つまり、多分、生産調査、統計情報部の方は規模でこられるでしょう。規模別にこの算定がされていくんだと思いますけれども、これは大臣、どうですか。大臣は今頭の中に、ことしの生産費を調査された農家、多分全国で六百ぐらいですかね、六百何がしでしょうか、これは大体どのような農家が選定されたか頭に入っていますか。いや、大臣です。大臣は、頭の中に入っていますか。多分説明がされているのではないかと思いますけれども大臣はどうですか。——いやいや、統計部長ではなくて、大臣は、選定農家が、どういう人が選定されたかということが頭に入っていますかと聞いているんです。
  33. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  調査対象農家でございますけれども、これは、酪農家全体の経営コストが適正に反映されるように統計的な手法を用いて選定してございます。統計理論上、全農家生産費に対しておおむね一%の誤差におさまるよう調査農家数を設定して選定しております。  今先生が御指摘ございましたように、全国酪農家数は四万三千戸でございますが、今生産調査対象農家数は六百七十戸でございます。
  34. 北村直人

    北村(直)委員 全国で六百七十ということですから、それは今、事務方ですから、どういう農家が選定されたかそれはわかっておりますよ。しかし、その事務方から大臣に、実はことしの生産費に使った農家というのはこうこうこういうわけですというのは説明を受けておりますか、大臣
  35. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 失礼しました。最初の御質問、ちょっと大変恐縮でございましたけれども、聞いておりませんでしたものですから政府委員から答弁させていただいたわけでございますが、この調査対象農家の委嘱に際しましては、経営事情等に詳しい農協などの協力を得て行うことによりまして、農家の選定の円滑化、適正化を図ることにいたしております。
  36. 北村直人

    北村(直)委員 事務方は大臣農家の選定や何かはきちっと説明していますか。
  37. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 きちんと御説明申し上げております。  それで、加えまして、先生の御質問は、生産調査対象農家が一定の偏りを持った、コストを持った農家に分布されているのじゃないかという御指摘でございますけれども、例えばことしの生産調査の結果を見てみますと、生産調査対象農家の全算入生産費の分布でございますけれども、これは六十四円九十九銭でございます。これを基準に上下十円の範囲内に約三分の二の農家が分布しておりまして、残りはそれよりコストの低い農家、あるいはコストの相対的に割高な農家がおおむね三分の一分布しております。言いかえますと、生産調査対象のコスト分布は、コストの低廉な優良農家からコストの相対的に割高な農家まで、広く分布しております。
  38. 北村直人

    北村(直)委員 事務方ですから、それは大臣にはしっかり御報告をして、御説明をしていると思います。いや、そうでなければ、大臣の頭の中にそれが入っていなければ、こんなところで議論したって、これはどうしようもない話ですよ。  今回の乳価決定するに当たって、これは大臣が最終的に決定をするわけでありますから、その大臣が基本こなる生産調査農家の選定だとかそういうところをしっかり把握していなかったら、最後の決定ができないわけでありますから、じゃ、もう事務方の言うとおり判こを押せばいいという話になってしまうわけですから、私は実はそのことを言いたかったわけであります。  しかし、大臣説明を受けて理解をし、頭の中に入っている調査農家というものと、やはり今回へ三月になってからたくさんの方々全国から、自民党の本部さんにも行ったでしょう、いろいろな委員の先生方のところにも陳情に行ったでしょう、そういう人方の生産調査への思いというものは、非常にかけ離れたものがある。  今回、先ほど部長の方から、調査対象農家の適切な選定については、経営事情等に詳しい農協等の協力を得て行うこととした、こうなっております。しかし、選定は農林省統計情報部でしょう。統計情報部がやって、それに農協の協力を得て行うこととしたというふうになっておりますけれども農協が協力できない、こうなったときにはどうするのですか。
  39. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 まず、地域実態について申し上げます。  統計情報部は、各事務所、その下に出張所がございます。出張所の調査職員は、常日ごろ、農協、市町村あるいは調査対象農家と緊密な連携を保っております。したがいまして、そういう事態というものは極力なくするよう常に努力しているところでございます。
  40. 北村直人

    北村(直)委員 部長、そういうことでしょう、それしか言わないでしょう。しかし、これは農水省にとって非常にいい一項目というのでしょうか、つけたなと思いますね。ある面では、今度はその農協の協力を得て選定をした、こうなれば、最終的に生産調査の中身について、我々はなかなかそれに、けちというよりも注文をつけられませんよね。注文をつけたときに農水省の方は、いやいや、実は生産者の方々を含めて農協が協力してくれて、農協もオーケーした、ですから、今回の生産調査は、もうこれが本当です、こうなるなと。私は、いや、すごいことをこれ、一項目を入れて、責任の転嫁と言うとちょっとあれですけれども農水省の方は、農協の方が協力してオーケーしたんだから、生産者の方はもう文句言うんじゃない、こういうふうに私は読み取れるのですけれども、そんなことはありませんよね。どうですか。
  41. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 今回、農協の協力を得て対応することといたしましたのは、統計的手法に基づきまして抽出される農家調査の委嘱に際してでございます。調査結果につきましては、これは農林省がきちんと責任を持って集計、そして解析して皆様方に御報告申し上げる、こういうことでございます。
  42. 北村直人

    北村(直)委員 だから、その委嘱に際して農協の協力を得るというわけでしょう。農協が、いや、この委嘱先の農家は、生産者は、うちらは困ります、こうなったときにどうするのですかというのがさつきの問いなんですよね。そこはどうしますか。それは農協がノーと言っても、これは生産費の法律によって規模別にやっていけるのでしょう。農協が協力しなくても、その選定農家でやっていくということなんですね。
  43. 遠藤保雄

    ○遠藤説明員 統計手法上、農家が選定されまして、農家が委嘱につきまして同意いただけたならば、それで対応させていただくということでございます。もちろん、その際に農協等との連携というものは今まで以上に十分に配慮してまいりたいと思っております。これが要するに、農家経営コスト、経営内容を適切に反映させるという道であろうと思っております。
  44. 北村直人

    北村(直)委員 適正に、せっかく生産調査の改善をしたわけでありますから、生産者の方々、そしてそれに協力をする農協もお互いに納得できる形でやれるように、しっかりとした指導とまた努力をしていただきたいな、このように思います。  さて、いつもこれは、ことしもそうなんですけれども消費税の問題、内税、外税という問題が議論をされます。消費税三%のときには内税、この乳価の算定に当たっては内税にしてきたわけであります。私たちの中ではほとんど理解はしていると思いますし、理解ができない委員の人もいるのかなと思いますが、ここをもう一度、生産者、本当に末端で、現場で働いている農家方々が、ああ、なるほどと、こういう説明の仕方をここでしていただきたい、このように思います。
  45. 竹中美晴

    竹中説明員 加工原料乳保証価格の算定におきましては、基本的な消費税の算定の考え方といたしましては、物財の仕入れにかかわる消費税と、それから加工原料乳の販売に伴い納付をする消費税につきまして、消費税見直しに伴う影響を適切に算入していく考えでおります。その算入の方法なり具体的な内容につきましては、毎年算定に当たりまして対外的に説明しております資料で詳しく明らかにしていきたいと考えております。  外税か内税かという話でございますが、保証価格は、加工原料乳の再生産の確保を図るために必要な農家手取りの水準でございます。例えば、政策価格でいいますと、米価とかとは若干違いまして、実際の販売価格ということではございません。したがいまして、生産者の消費税負担の平均を生産コストの一部として織り込んではおりますが、ここで内税、外税の問題が生ずるものではないので、御理解をいただきたいと思います。
  46. 北村直人

    北村(直)委員 私もそんなに頭が悪い方ではないと思っていたのですけれども、なかなか今の説明で、すっとわかった、なるほど、こういうふうには私はとれないのですよね。多分委員の先生方も、ごたごたは言ったけれども実は、じゃ、その内税の消費税三%はどこに入っているのだ、幾らなのだ、七十五円七十五銭のうち幾らがそうなのだ、こういうふうに質問をしたくなるのじゃないでしょうか。あるいは傍聴されている方々もわからないのじゃないかなという気がするのですけれども、もっと簡単に、じゃ、七十五円七十五銭の中で、消費税は何円何十銭だと、これ言えますか。
  47. 竹中美晴

    竹中説明員 平成八年度の保証価格は七十五円七十五銭であったわけでございますが、このうちに含まれております消費税分は、約一円四十六銭と理解いたしております。
  48. 北村直人

    北村(直)委員 こういうふうに出てくると、私もああなるほど、わかった、こういうふうになります。それは三%のときでありますから、七十五円七十五銭のりち一円四十六銭の消費税ということは、ある面では農家の人方が、七十五円七十五銭つけたけれども、この消費税の部分はやはりどうなのかなというふうな懸念を持つと思いますね。今までの乳価は据え置いた、こりいうふうに言われておりますけれども、その中には消費税の分が減をされているのではないかという気持ちというのは、やはりぬぐえない。また現実にそうだ、このように思います。  そして今回、まだ参議院の方は通っておりませんけれども、衆議院の方は消費税の五%ということが織り込まれた平成九年度の予算が通ったわけでありますので、そういう面では私は、あえて消費税五%になったときの乳価というものについては、これも内税でいくのだと思いますが、じゃ、仮に七十五円七十五銭が五%になったときには何円何十銭になりますか。
  49. 竹中美晴

    竹中説明員 その計算につきましては、ただいま手元に数字がすぐにはございませんが、いずれにいたしましても、加工原料乳保証価格につきましては、明日の畜産振興審議会に諮問案をお示しして、審議会意見を聞いて決めるという段取りになりますが、その段階で一般の方にもよくわかるように、具体的な算入方法なりその内容なりにつきましては、説明資料で明らかにしていきたいと考えております。
  50. 北村直人

    北村(直)委員 ぜひ乳価の中に、消費税の五%ですね、五%がいいのかどうかというのはこれはあれなのですけれども、それが幾らなのか、そしてそれが適正に乳価の算定の中にきちっと算入されたのかどうかということがわかるように諮問もしてもらいたい、このように思います。  それと、ことしは消費税は内税だと思いますけれども、しかし将来の日本の税体系のことを考えたときに、例えば来年からは外為法が改正になつてくる。そういうふうになってきますと、今までの源泉課税型の基本となる税体系というのが、ある面では頭打ちになってくる、壁にぶつかってくる、そして、支出課税主体にならざるを得ないという状況にだんだんなってくるのかなという感じをしている私は一人であります。そういう面では、大蔵大臣は二千何年まで五%以上にしないとかというのは何かコメントが出ておりましたけれども、私は、将来消費税というのが上がる可能性もあるのかなというふうな懸念があります。  私は、今回の乳価のこの議論の中で、将来やはり外税、もうだれでもみんな外税でありますから、外税にすべきだと思いますけれども農水省、ぜひこの時点で、将来は消費税はやはり国民の人方、生産者の人方にわかりやすい外税にすべきであると思う、こう答えていただけますでしょうか。
  51. 竹中美晴

    竹中説明員 将来の消費税のお話がございました。将来的に消費税の見直しがさらに行われるのかどうか、またその内容がどうなのかということが明らかではございませんので、先々の消費税の問題につきまして今ここでお答えをできるわけではないわけでございますが、保証価格の算定における消費税の扱いにつきましては、仮にそういう消費税に見直しがあったような場合には、必要に応じてその影響を適切に価格に反映していくことになろうと考えております。
  52. 北村直人

    北村(直)委員 消費税の将来性についてここで議論をしようとは思っておりませんけれども、来月の四月からは五千万、三千万の特例もなくなるという形でありますから、そうしていくと、私はやはりわかりやすいということになれば、これは外税という問題についてもう一度きちっとした議論をしていくべきである、このように思います。  さて、ちょっと視点を変えて、農水省方々で、大学を卒業されて、あるいは学校を卒業されて農水省の職員になられる、公務員になられていったときに、どうですか。例えば私は北海道ですから、北海道で現地の研修をされたという方は今までにどのぐらいの数になりますか。そこをわかれば、ちょっと教えていただきたいのですけれども
  53. 竹中美晴

    竹中説明員 農林水産省におきましては、入省後間もない時期に、農家畜産農家も含めてでございますが、住み込みで一カ月研修するということがございます。ただ、北海道に何人ぐらい行っているか、今その数字はちょっと持ち合わせておりません。
  54. 北村直人

    北村(直)委員 前回も定数が少なくて、審議がとまった経過もありますけれども、そんなことはしたいとは思いませんので、与党の筆頭さん、特に与党の人方の出席がほとんどないですよね。定数四十名ですから、多分これは二十名までいっていませんよ、十五、六名じゃないですか。こんなことでは質問をできないなんということになってしまうと困りますので、ぜひひとつ理事さん、よろしくお願いをいたしますね。  それで、農水省の事務方の方々現場をよく知るということは、これはやはり大切なことだと私は思います。それが、いろいろな政策をつくっていったりいろいろな形の中では、非常にこの経験や体験というのが重要になってくると思います。  そういう面では、きょうは畜産局長さんは違う公用で出ておりますが、お話を聞くと、局長さんも、若いときに北海道の方で実習もされたというふうに聞いております。本当は、そういう事務方のそれなりの経験のある方々が、その時代に感じた北海道酪農畜産と、今、例えば局長になる、あるいは審議官になった、そういうときに、酪農畜産というのを、あの当時から見てどういうふうにお考えをされているのか、ぜひ私は聞いてみたいなという感じがしたところでありますけれども、これは個人的なことでしょうから、なかなか答弁はできないのだと思います。  しかし、昭和四十六年の、当時の構造改善事業で、農家方々は、あるいは後継者方々は、ちょうど私と同じよりな年齢でありました。ちょうど二十五、六歳の方々が、本当に、将来の展望なんて見えないけれども、まあおやじの背中を見て、よし、牛舎も大きくしよう、あるいはサイロも、スチールサイロを建てて、アンローダーも入れながら、とにかくやっていこう、こういう気持ちで、あの構造改善の事業やあるいは近代化資金、この近代化計画に乗っかって、規模拡大、規模拡大とやってきた。どんどんどんどん、行け行けどんどんだ、ひょっとしたら乳価は将来は百円になるかもわからぬ、いや、百円じゃなかったら経営はできないのだというふうな感じでやってまいりました。  そして、その当時、いろいろな資金を借りる、あるいは事業に乗っかっていく、そのときには、私も事務方の経験のある一人として、農協等々で物すごい数の書類をつくりました。トラクター利用組合をつくるにしても、作業図をもう何度も何度も書きかえました。二メーター、三メーター、五メーター以上の作業図をつくって、一つの七十何馬力のトラクターがこの一年間稼働するに当たって、全部これは書いてきましたよ。農家営農指導なんてそっちのけで書類づくりに没頭しました。しかし、そのときに感じたのは、この事業をやるに当たって、やっぱり事務方、農林省は生産者の実態を余りよくわかっていないなという思いをしながら、あの膨大な書類をつくってきた経験があります。  そういう意味では、今も、例えばL資金や大家畜の資金等々を使って経営の安定化あるいは規模拡大という作業に取りかかっている方々がたくさんいるのですけれども、多分経済局の方も来ているかな、ちょっとわかりませんけれども、どうですか、もっともっと書類の簡素化等々について考えていく、そういったお考えはありますか。
  55. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 私も、その問題は最近非常に関心を持っております。いろいろ現場で、役場の人間で、例えば認定農家の問題、またし資金の問題、そういう問題を取り扱っている方に聞きますと、この手続が非常に難しい。そういうことから、この簡素化という問題については最近非常に強い要望を聞いております。  私も、この点については、内容をよく調べて勉強してみたいというふうに思っておりますので、後日、この点については御報告をいたしたいと思います。
  56. 北村直人

    北村(直)委員 そろそろ私の持ち時間もなくなってまいりました。  例えばL資金、これは、ただ負債整理で借りるというわけにはいきません。やはり規模をしっかり拡大をしていく、この計画の中でやっていく。  となると、こういうことが現場で起きるのですね。こんなことをここで言っていいのかという問題もありますけれども、つまり、L資金を借りるために、どうしてもそれに合わせた計画を立てざるを得なくなってしまうのですね、それでなければ、計画をそれに合わせて立てなければ資金が借りられないということになるわけですから。そうなると何が起きるかというと、初年度から計画どおりにいかないという実態も出てくる。  つまり、現場とすれば、農家方々を何とか活性化させてやりたい、あるいは将来に向かっての希望を持たせてやりたい。そうなると、ある面ではかなり冒険もするということもあるでしょう。農家にとっては、目標が達成できないけれども借りるためには仕方がない、こういうことが現場サイドで起きてくる。いや、そんなことはないと言いますよ、事務方は。いや、そういう人は実は借りないんだと、こうなるのですね。しかし、現場の方では、実は、借りたい人が借りられなくて、借りなくてもいい人に、では借りてもらおうというふうなことが起きてくる。だから、もっともっと現場実態というものをよく理解をした上でやっていくべきだと私は思います。  そういう面では、酪農畜産の問題としては、例えば、土地基盤の整備あるいま更新等々含めて、こういう基盤整備の負担というものは原則国が持つ、このぐらいの大きな発想が必要だと私は思いますし、あるいは補助事業、ある面では五〇%の補助事業というのはかなり縮小していく。そして、いつでも議論になりますけれども、超低利で長期の融資、資金制度というものを明確に打ち出してやっていくということでなければ、今のままの酪農畜産の政策では、毎年毎年農家方々は、乳価は決まれど、いつも、何となく不安ともやもやしたものを持ちながら現場に戻っていくということになるのではないかな、私はこのように思います。  時間が来ましたので、ことしの乳価決定に当たっては、先ほど申したとおり、乳価の中身というものについて十分に生産者の方々の要望というものをお聞きをしていただきながら、そして生産調査に基づきながら、今の時期までのいろいろな状況あるいは数値というものをきちっととっていきながら、やはり現行価格維持される、そういう乳価決定を私はぜひ大臣お願いをしたいと思います。  また、南北戦争などというお話がありますけれども、しかし、ある程度加工原料乳の限度数量と加工原料乳地帯の乳価というものをきちっとしておかなければ、私は、ますますいびつな中でこの南北戦争と言われるようなものが出てくるのではないのかな、このように思います。  決して北海道のことばかりではなく、府県のことを考えたときに、やはり余乳が処理もできないということもあるでしょう。そういう対策もしていかなきゃならないと思いますし、何よりもやはり生産者の方々には、おいしい牛乳が、しっかり、新鮮な、フレッシュなものが飲んでいただける、こういう道だけは残しておかなければならない、このように思います。そういう面では、いろいろな知恵があると私は思いますので、大臣、この決定に当たって、諮問に対する答申、これに当たっても十分な大臣としての力を発揮していただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  57. 石橋大吉

    石橋委員長 次に、鉢呂吉雄君。
  58. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。  前回、先週の一時間四十五分の質問時間に継続して、酪農畜産関係質問大臣を中心として行いたいと思います。  実は、大臣、私はきょうは朝の四時半まで質問の勉強をさせていただきました。私も昨年も含めて四、五年経験がありますけれども、この酪農畜産関係では連日徹夜というような状況を事務当局は続けられております。この乳価決定、諮問案をつくる際は、朝六時、七時までかかってつくるという状況が年々行われておるわけであります。  大臣も御案内のとおり、労働、働くということは、現在過労死もある状況でありまして、昨年のあのような不幸な状況というのはやはり所管の大臣として大変気をつけていかなければならないことだろうというふうに思っておりますので、その点について、大臣として今の乳価等の決定に当たってどのような健康管理というかそういうものに留意をされて臨んでおるのか、まずこの点についてお聞かせを願いたいと思います。
  59. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 職員の健康管理の問題は、これはもう申し上げるまでもないことでございまして、十分に健康管理の問題は徹底していかなければなりません。  ただ、乳価の問題をこれから決めていくわけでございますが、いろいろな方面、特に財政当局との折衝というのはなかなか簡単には結論が出ないわけでございまして、そういうことからいたしまして、時間がかかるという今までの経過もあるわけでございます。  私ども、それはそれとしながら、ことしについては、できるだけそういうことのないように早く結論が出ればと、そういうことを念願いたしておるわけでございます。
  60. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 まさに大変重要な課題でありますけれども、きちんと大臣はその辺を目配りして、毎年のように朝までかかる、これは乳価だけでなくて、きょうのこの諮問案、あるいま飼料作物の部会も開かれておりますから、それは十分気をつけて対処していただきたいというふうに思っていますし、与党の方もそういう考えで対応をすべきであるというふうに強く要請をします。  そこで、きょうは畜審の食肉部会が開会をされておりまして、私、朝この名簿を見させていただきました。この委員を見ますと、部会長を初め部会長代理が農水の局長をやられた経験者、特殊法人の役員であります。二十六名中そのような方が散在をしておりますし、業界、団体の役員の皆さん委員が大変目立つわけであります。農水大臣畜審の会長も東大の名誉教授に今回初めてかえました。これも橋本内閣が、そのような特殊法人や行政、官僚のOBであってはならぬということがあったのではないですか。しかも、先ほども話がありましたけれども酪農実態畜産実態を本当に経験されている方がいるのか。単に業界を代表している方とかそういうことであってはならないと思いますよ。  私はこの委員の選定は大臣が行ったというふうに思いますけれども、まさにこれは、今の官僚とこういう審議会との関係をきちんとして、それをあらわしておらないというふうに思わざるを得ません。  大臣、これについてどう思いますか。
  61. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 この審議会委員長の問題でございますが、これは委員承知のように、委員長委員の互選で決まるわけでございまして、私どもが決める問題ではございません。
  62. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは互選で決まるにしても、このような形はあり得ないというふうに思いますから、こういうものはきちんと改善をして、目に見える形にしておかなければならぬというふうに思っております。  そこで、きょうは労働省の婦人局長にわざわざ農水委員会にお出ましをいただきました。先ほどもお話をしましたけれども、労働については大変大きな日本の課題になっております。行政の皆さんも、先ほど言ったような形で長時間労働、大変な激務を緊張の中に強いられるというようなこともございます。同時に、今の酪農においては、大変な過重労働が酪農経営にとって大きな問題になっております。  先般の農水委員会で保利政務次官にも御答弁いただいたわけでありますから、その先週の分については、大臣、議事録あるいは中で確認をされておると思いますから重複を避けたいと思います。  そこで、酪農経営は、平均すれば二・七人の方が働いております。男性が一・五人、女性が一・二人であります。そして、まさに男女同一の、同質の労働をやっておるということも先週労働省の説明員、課長から確認をいただきました。しかし問題は、乳価の算定において、他産業の男女の格差、倍以上もある格差をそのままこの乳価に算定をしておる、これは酪農で働いている女性にとっても大変大きな憤りという形でこの二、三年問題になっております。  昨年六月の永井労働大臣の労働委員会答弁でも、そのような方法で男女別に労働費を推計することについては、労働基準法の第四条、男女同一賃金の原則の精神からも疑問で、男女で異にすることのないように農水省に働きかけてまいりたいというふうに御答弁がされております。  先週の農水委員会で保利政務次官は、私の質問を受けまして、酪農における労働評価、男女差、そういうものがあってはならないという指摘は非常に重要な指摘だと私も受けとめさせていただきました。ことしの乳価決定に際して、基本的問題を含んでいるので、よく労働省と調整をして検討させていただきたい、このように保利政務次官は御答弁をされました。  この検討された結果について、大臣に御答弁を願いたいと思います。
  63. 竹中美晴

    竹中説明員 先般の労賃単価の問題につきましての保利政務次官の御答弁がございましたが、その際にも私ども畜産局長からも申し上げましたとおり、これは生産調査における労賃評価ということでお話があったというふうに理解いたしております。  私どもといたしましては、加工原料乳保証価格の算定に当たりましては、男女区別なく、労働時間に製造業五人以上の労賃単価を乗じて労働費を算出しておるところでございまして、労働に対する評価を男女で異にするというような取り扱いはしておらない考えでございます。
  64. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これは婦人局長、太田局長に御質問いたします。  今、審議官は、男女区別のない平均賃金で評価がえを行っているというふうにおっしゃったわけであります。これは、前回の畜産局長もそのようにお話をしております。しかし、この男女の平均の賃金という評価は、まさに男女区別のない平均賃金ということではなくて、その前提は、先ほど言った男性と女性の賃金の単価は、女性が男性の五二%、このことを加重平均をして評価がえの単価を出しておるのであります。  これは、この中に女性の五二%のものが入り込んでいるというふうに普通は我々は考えるのでありますけれども、そのように言っていいのではないですか。
  65. 太田芳枝

    ○太田(芳)政府委員 農水省が算定されております数字につきましては、ただ単に数字上の話として五二という形のものをお使いいただいているということであるというふうに思いますので、そういう意味では、その五二%という数字が入っているというふうに考えます。
  66. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今まさに局長は明快に答弁されました。それがまさに格差のあるものを使っているというんですよ。どうですか、審議官。
  67. 竹中美晴

    竹中説明員 先ほどの私の説明が少し簡単過ぎたのかと思うわけでございますが、保証価格の算定におきましては、従来から、酪農労働の特殊性ということも考えまして、労賃単価の評価がえを行っている。その具体的な評価がえの行い方についてでありますけれども、男女を区別していない製造業五人以上規模の現金給与総額を実労働時間で除して求めました労賃単価に男女を区別しない家族労働時間を乗じて算出しておりまして、これは男女別の概念ということではなくて、さまざまな職種なり雇用形態なり勤続年数等々を背景といたしました製造業五人以上の平均賃金を用いているという考えでございます。
  68. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 婦人局長が明快に言ったように、それはあなた、男女区別なしの賃金ということではなくて、まさにその前提となる基礎数字は女性の五二%、男性一〇〇%、まさにそのものを使ってやっておるわけでありまして、それはまさに格差を前提とした平均賃金だということでありますから、ごまかしを、そんな強弁をされても困ります。そこは明快にしていただきたいというふうに思います。  したがいまして、婦人局長に聞きますけれども、婦人局長、聞いていますか。第四条は、労働者が女子であるというだけで、あるいは、社会通念として女子労働者が一般的、平均的に能率が悪いとか、勤続年数が短いとか、主たる生計の維持者でないとか、そういうことをもって、同じ労働をする女子労働者に対して賃金に差別をつけてはならないというのが第四条の趣旨だというふうに労働省からも伺っておるところであります。  そうであれば、女性と男性と差が、五〇%ある。これはいろいろな、勤続年数は違うわけでありますから、勤続年数で分けてはならぬというふうに言っておるわけでありますから。製造業でもさまざまな職種はあろうと思います。しかし、倍も違うということは、これは北海道全体の、全部合わせた合算の毎勤統計の数字でありますが、そこに女性というだけで性の賃金差別があるというふうに私は推計できるというふうに思いますけれども局長はどのように考えていますか。
  69. 太田芳枝

    ○太田(芳)政府委員 お答えいたします。  労働基準法第四条は、先生御指摘のように、男女同一賃金の原則を規定しておるものでございまして、労働者が女子であることのみを理由として、あるいは社会通念として、または、当該事業場において女子労働者が一般的または平均的に能率が悪いことなどを理由として、女子労働者に対して賃金に差別をつけるということは違法だというふうに規定をしているものでございます。  しかしながら、現在の一般の産業におきましては、長期雇用システムでございますので、そういうもとでの労働者の賃金というものは、その職務内容とか職務遂行能力、職位、職階、年齢、勤続年数、さらには賃金制度の中に家族手当とか住宅手当等の付加給付もあるものですから、それらのトータルとして賃金が決められているわけでございます。こうしたことによって賃金に個人的な差異が出てくるわけでございますが、これは労働基準法第四条に規定する男女の差別的取り扱いと解されるものではないというふうに思っておるものでございます。
  70. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は具体的に聞いたわけでありまして、いわゆる北海道の毎勤統計の、倍も違う、最高千七百円台と九百円台という今の賃金の実態は、いろいろなことが入っておるでしょうけれども、そこに女性というだけで賃金差があるというふうに推計できるのではないでしょうか。
  71. 太田芳枝

    ○太田(芳)政府委員 全国、全体の数字におきましても、これは賃金構造基本統計調査という調査でございますが、所定内給与額は、男性の一〇〇に対しまして女性は六二・五というように差がございます。  この原因といたしましては、先ほどもろもろ申し上げたようなことによるものと思っておるわけでございまして、私どもの行政の中では、今後、やはりこの格差を縮小していくためには、女性たちが勤続年数を長くするとか、それからいろいろな職域に拡大をしていく、そしてまた、配置、昇進において性によって区別をされないような社会をつくっていく、いわゆる男女雇用機会均等法の精神がこれでございますが、こういうことをきちっとしていくことによってこの格差が縮小していくというふうに考えておりますし、格差を縮小していくべきだというふうにも考えておるところでございます。
  72. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 局長は、抽象的でありますけれども、男女、性における賃金差ということに今言及されたというふうに私は思っておるわけであります。  酪農経営における男性と女性の労働、先ほども、私のところに来ました酪農家は、お父さんがいつもトラクターに乗る役割をしておったそうです。それで、牧草を処理するときに、その奥さんがトラクターを運転することになったそうです。そうすると、トラクター運転というのはこんなに楽なのかと、トラクターの運転の立場を奥さんにとられてしまった。だんなさんは毎日搾乳をやる、これは大変なことなんです。  大臣、今、百あるいは百二十頭という搾乳牛を飼っている酪農家は大変多くなりました。百あるいは百二十頭もおったら、三日に一回は分娩があると思わなければなりません。今は季節的な授精をやっているわけではありませんから、もう三日に一回、重なるときもあります。先ほど言ったように、深夜労働というのはもう常態化しておるのであります。  あの統計情報部のデータは、宿舎に待機をして分娩を待つ場合は時間に参入する、うちに帰ったらそれは待機をしている時間でないからいわゆる労働時間に参入しないんだというような言い方をしますけれども、まさに二人や三人で三日に一回の分娩、これは大変な、人間の分娩と同じように大変神経を使って、まさに生死を分ける場合もある、そういうところを毎日やっておるわけであります。そこを、二千六百時間だから、月一回休みをとれば九時間労働だというふうに、統計情報部は大したことないような形を言いましたけれども、決してそんな生易しいことではないわけであります。  まさに酪肉近代化方針でも、ゆとりある労働時間、ゆとりある経営というものを第一番目に掲げておるわけでありますから、そこのところの労働評価、とりわけ男女の労働に対する評価というものは、国がこの保証価格を決めるだけに、きちんとした姿勢で臨む必要があるというふうに私は強く要請をしておるわけであります。  この点について、政務次官が検討の約束をしたその状況はあろうと思いますから、そのことはきょう政府の、農水大臣の諮問案の中に織り込むことができるわけでありますから、大臣の決意と具体的な考えを聞かせていただきたい。
  73. 竹中美晴

    竹中説明員 多少繰り返しになるわけでございますが、保証価格の算定におきましては、男女の区別なく同一の労賃単価で評価しておるところでございまして、この評価の仕方につきましては妥当なところではないかと考えております。
  74. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 十九日の保利政務次官の答弁要旨は、本件につきましては少し時間をいただいて、労働省とも調整して検討をさせていただきたい、さらに御指摘の点については、生産調査上、技術的にできるのかどうかも含めて検討させていただきたいというものでございました。  この点については、この保利政務次官の答弁を私どもこれから検討させていただくわけでございますが、今の段階におきましては、政府委員答弁をいたしておりますように、まず保証価格の算定におきましては、男女区別なく製造業五人以上の労賃単価で評価がえをしている。それから、男子のみの労賃単価を用いるということにつきましては、酪農労働が男女によって担われ、最近では女性労働のウエートが大きくなっている、昭和四十五年、三四・四%が平成八年には四三・一%、こういうことから考えますと、今申し上げましたような事情で、男子のみの労賃単価を用いることについては、これは困難であるというふうに考えておりますが、保利政務次官の答弁もあるわけでございますので、検討をさせていただきたいと思います。
  75. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣が今検討をするということでございますから、それを重く受けとめさせていただきたいと思います。  労働省の婦人局長が来ておりますけれども、今の農村社会でも、まさに女性の地位の向上が本当に大事だというふうに言われております。経済的、社会的な地位の向上、農協の役員等にも婦人が、女性が出なければだめだというふうに言われて、なかなか出ない。しかしそこには、やはりこのような——政府は、労賃の算定においてこんなに開きのあるものを、男性が千七百十七円、女性が八百九十六円、このような差をそのまま、男女の区別のない平均賃金だと言っているけれども、それは審議官、破綻しているのです、そのもとになっているものはこれをそのまま使っておるわけですから。パート労働を差っ引いたら、男女の区別がそこにないので、男性、女性の人数と総労働報酬を出しているものしかないので、それを割り返したというだけであって、推計すれば倍の差があるものを使っておるではありませんか。  そういうものをきちっと踏まえなければ、本当に皆さんがそうでないと言うのなら、ないようなものをきちっと積み上げて、男女の格差のないものを使うべきであります。男女の格差のあるものをそのまま加重平均して使うということは、私は男女の格差のないものを使っておるというふうには全く言えないというふうに考えておりますから、そこはきちんと目に見える形で、それがまさに透明性の確保であり、政治的な思惑における賃金、乳価の算定ではないというふうに思うわけであります。  先ほども言いましたように、他産業並みの労働時間を確保する、ゆとりのある経営あるいは所得の確保ということは、酪農経営の国の基本方針ではありませんか。今、現状平成八年で二・七人で七千三百四時間であります、年間。これを一人頭に直せば二千七百時間であります。これをまさに千八百時間で直しますと、二・七人ではくて四人を労働させるということからいけば、まさに一・三人区は雇用労働を必要とするという状態であります。この雇用労働を酪農家が雇えれば、ゆとりのある経営ができるわけであります。その一・三人区の常雇ができないということが、まさに皆さんの算定方式に欠陥があるというふうにならざるを得ないのではありませんか。  一人三百万を下回るような今の酪農家の所得では、これはなかなか後継者につけといってもつくことができない。ゆとりある経営を本当に確保するには、去年に比べてことしはむしろ労働時間はふえておるわけでありますから、まさに平成十七年に向かって、皆さんの方向に行っておらないのでありますから、そこはきちんと踏まえて今回の算定をしていただきたい、このように思うわけであります。  次に、これも先週、保利政務次官にも申し上げました、乳価算定上の無脂乳固形分の算入の方法であります。  これも大臣、前回ありますからはしょりますけれども現状の乳量の換算は、脂肪率、乳脂率ですね、バターのもとになる。乳脂率三・五%に乳量を補正して、乳価を算定する分母に足る乳量にするわけであります。今現在三・八%台の脂肪ですから、ここに見かけ上、乳量は大変な大きさになって、これが生産費を押し下げるという要因にもなっております。  最近は、バターが余って脱粉が足りないという乳量の跛行性ということが問題になっております。そういう観点からいっても、脂肪以外のものを無脂乳固形分というわけでありますけれども、そこの取引もだんだんふえております。この乳価の算定に当たっては、まさに無脂乳固形分についての乳量の補正というものを考える、実行する段階に来ておるというふうに思います。前回の審議官の答弁は、まさに答弁になっておらないと思います。これは取引上に使うということではなくて、乳量を算定する、乳量の評価がえをするときのその基礎に使うということでありまして、まさに今後の乳質の改善の方向をも指し示すものであるというふうに思いますから、大臣の責任ある御答弁を願いたいというふうに考えます。
  76. 竹中美晴

    竹中説明員 お答え申し上げます。  無脂乳固形分も加味をいたしました乳成分取引につきましては、これ自体は乳成分ごとの需要に即した生乳生産を助長するという観点から、私どもといたしましても、その取り組みを推進しているところでございます。  ただ、現状を見ますと、乳成分取引をすべての乳業者の取引におきまして導入している県は十二道県でございます。  それからまた、その取引基準につきましても、無脂乳固形分の基準が北海道と都府県では異なりますし、それから、加工原料乳地域であります北海道におきましても、無脂乳固形分の基準というのはしばしば変更されてきております。そういったことからしますと、いまだ統一的な基準がないということで、その動向をどう織り込むかという技術的な問題があろうと考えております。  したがいまして、現在、保証価格算定に用いております乳量は、乳脂肪分率で換算をいたしておりますが、これを無脂乳固形分も加味した換算数量とすることにつきましては、乳成分取引の普及、定着の状況なり、無脂乳固形分の評価の確立を待って慎重に検討する必要があろう、そういう将来の課題であろうかと考えております。
  77. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 まさに、将来の考え方ではなくて今やらなければならない状況である。無脂乳固形分を乳量で補正する。それはまさに三・八七が三・五に比べてコスト、生産費がかかっておるということを前提に考えております。しかし、そのことは必ずしもそうは言えないわけであります。脂肪を高めるために粗飼料の質を変えたり、あるいは飼養管理を変えるということには現在なっておりません。むしろ無脂乳固形分を含めて全固形分をいかに高めるか、そういう方向に飼養管理もなってきております。そういう点で、乳量補正というものを前提に脂肪について掛けるというのは、もう既にこの時代に合っておらないということをつけ加えておきたいというふうに思っております。  時間がありませんので、次に進みます。  大臣、最近の保証乳価をめぐる状況は、昨年の乳価の据え置きが飲用乳に影響を与えてその大幅な引き下げにつながったというようなことで、ことしの保証乳価については、そういう観点で引き下げるべしという論調が色濃くあるわけであります。  しかし、私は、保証乳価の算定で飲用乳を加味するということでは全くない。飲用乳飲用乳として、昨年は全酪連の事件や、あるいはO157の事件等々のさまざまな問題点がありました。加工原料乳地帯からは、昨年は六万トンのみの飲用乳向けの増加にとどまっておるわけであります。  私は、そういった意味で、今回の保証乳価決定に当たっては、そういうものを含みに入れない、きちんとした透明性のある形で決定をしていくということについて大臣の方から明確な御答弁を願いたいと思います。
  78. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 保証価格飲用乳価関係についての御質問は先ほどもございました。これはもう委員よく御承知のように、保証価格というのは、不足払い法の趣旨に基づいて畜産振興審議会意見を聞いて適正に決定する、こういうことでございますし、また、飲用乳価取引当事者間で決定されております。そういう二つの、保証価格飲用乳価の二つの価格決定は別々の問題でございまして、今御指摘のように、保証価格決定に当たって飲用乳価配慮される、そういう性格のものではございません。
  79. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 理解いたしました。  私は、むしろ、過去にこの加工原料乳から指定乳製品として控除いたしました、抜きましたチーズについて、チーズの国内産の振興を今最も図るべき時期に来ておる。大臣も御案内のとおり、輸入品のチーズは生乳換算で二百万トンです。今国内で加工原料乳を決めるというのは、二百三十万トンか二百四十万トンにしようということで決めるわけでありますけれども、ほぼそれと同じ数量のチーズが外国から輸入されています。それに引きかえ、国内では二十七万トン、生乳換算でありますけれども、国内消費の約一割ぐらいしか向けられておらないわけであります。  政府は、チーズの振興に向けて対策を講じております。しかし、一キロ三十五円という極めて低いところで基準取引価格を設定しておりますから、先ほど二十七万トンといったものがほぼ今日までそのままの状態で、必ずしもふえておりません。本当に酪農も、国内の景気の動向や、暑さ寒さですぐ過剰と不足を繰り返しておるわけでありますから、このチーズの二百万トン程度のものを本当に国内産で生産するという事態になれば、まさに今七二%そこそこの生乳自給率を、いわゆる十七年の酪近計画の八〇%台に向かうということも不可能ではないわけでありまして、そこの振興策をぜひ大臣にことしお願いをいたしたいのであります。  同時に、生クリームについても、国の支援で、平成八年五十六万トンの生乳換算になりました。これは大変大きな数量であります。五十六万トン。二百三十万トン以外の五十六万トンが生クリームという形で、新鮮な、いわゆるバターに類するクリームが消費をされておるわけでありまして、ぜひ生クリームの生産拡大促進対策についてもことしは強化をしていただきたい。  この二つについて御答弁を願いたいと思います。
  80. 竹中美晴

    竹中説明員 国産のナチュラルチーズの生産振興の重要性ということにつきましては、御指摘のとおりでございます。六十二年度以降、チーズ向け生乳に対し奨励金を交付することによりましてその生産振興を図ってきているところでございまして、この実施状況を見ましても、それなりの実績を上げてきている。中でも北海道のウエートが高いというような実情でございます。  今後どうするかということでございますが、これにつきましては、行政価格決定とあわせまして、畜産振興審議会等の意見も伺った上で検討していきたいと考えております。  それから、生クリーム対策でございますが、これにつきましては、輸入の乳製品と競合するおそれが少ない液状乳製品の一部といりことで、その振興なり、あるいはバターの過剰在庫の解消といった観点から、七年度から実施しているところでございます。  先生から御指摘ございましたように、大変実績も上がってきております。八年度の取引数量は、この事業が八年度から三カ年の継続事業という形で措置されましたこともございまして、当初の計画を大きく上回って推移して、成果を上げつつあるというふうに考えております。  今後のこの生クリーム対策の取り扱いにつきましても、行政価格決定とあわせまして検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  81. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、台湾における豚の口蹄疫発生に対する我が国の対応について御質問いたします。  時間がありませんので簡単に申し上げますけれども大臣御案内のとおり、台湾で、日本では明治四十二年以来発生したことがないと言われております豚の口蹄疫、これは人間には伝染しないということはきちっとしておかなければなりませんけれども、牛等には伝染する可能性が強いということで、これは一たん発生しますと大変な伝染の力で急速に広がる。台湾でも、この十九日に確認をした後から急速な汚染拡大がなされておる。  しかも、大臣も御案内のとおり、日本は、台湾から輸入豚肉の四六%、約半数程度を、二十五万トンを輸入しておる。これは農水省のものにも書いてありますけれども、侵入経路等については、東南アジアの汚染国から帰国した旅行者により媒介をされた。人間によって媒介もされた、人間の衣服について。それを豚がという形も可能性として明記をされておるわけでありまして、それだけ大変な事態であります。これが日本に一たん侵入したということになりますと、大変な事態になります。  先般、家畜伝染病予防法が、まさに未知の疾病をきちんと系統的に、国も都道府県もあるいは家畜保健所も一体となってこれを、何といいましたか、査察と言いませんでしたけれども、そういう形をとるという体制を整えました。私は、農水大臣がこの対策の本部長なりになって、まさに家畜の危機管理体制が問われておるような事態だと思いますから、通達等のものを出したというふうに言われておりますけれども、もっと恐ろしい状態でありまして、このことは、最近は危機管理がお粗末だということが言われておりますから、きちんと大臣の言葉で、人間に問題はなし、水際の作戦もきちんとやっておると、あるいはやらなければならないと、う観点で明確に、例えば都道府県の家畜保健所に、日本の国内で豚を中心にこのような発生が見られておらないかどうか、早急に、一週間以内に調査をさせるとか、そういう具体的な体制が必要だというふうに思いますけれども、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  82. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 この口蹄疫の問題は極めて深刻な問題でございまして、我が国におきましては、口蹄疫が発生した歴史はございません。それだけに、この台湾の口蹄疫がもし日本の国に入ってくるということになりますと、これは大変な問題になるわけでございまして、その点も十分に対策を講じなきゃならぬ。今委員が御指摘のように、旅行者がこの病気を持ち帰るということも十分考えられるわけでございまして、水際でこれを防止するというそういう対策も大切でございますし、それも徹底してやらなきゃならぬ。まあやっておるわけでございますが。  それと、御承知のように、豚の輸入につきましては三月二十日から禁止をいたしましたし、一カ月さかのぼりまして、二月二十日以降三月二十日までに輸入した豚については業者が自主的にこれを回収するといりふうに指示をしたところでございます。  この種々の状況がどのように今進んでおるかということについては、委員指摘のように十分に調べておかなきゃならぬ、調べなきゃならぬという問題だと思っておりますので、この問題は私が中心になって十分にやってみたいと思っております。
  83. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 最近は何でもありの世界ですから、豚の価格も急騰しています、六百円台になっていますから、一もうけしようというようなやからがそういう豚肉を日本に持ってこないとも限らないわけでありまして、そういった意味で水際作戦を本当に具体的に行っていただきたい。大臣の指導性をぜひお願いいたしたいと思います。  時間がございませんので、もう一点、いわゆる肉専用種以外の品種。肉用子牛安定基金制度というものがございます。これはいわゆる通常ホルスタインの雄牛、ホルスでありますけれども、同時にその中には、ホルスタインに肉専用種、黒毛和種が多いのですけれども、F1、交雑種が同じ区分の中に入っておりまして、この実勢市場価格が非常に開いておる。ホルスの方が価格が低迷しておる。しかし、この肉用子牛安定基金制度保証価格が十五万六千円で今回決めた。据え置きでありますけれども、そこのところの補給金というものが入らないような事態でございます。  しかし、ホルスの肥育素牛経営はそういった意味で非常に苦労しておりまして、この制度の矛盾といいますか、なかなかその区分を二つにしてしまうということもさまざまな問題があるということは私ども承知をしております。そういった観点で、このホル種の素牛経営について、その生産なり流通について、現在も五億程度事業が起こされておるわけでありますけれども、さらに数段拡充強化をした対策をぜひともとる必要がある。  先週、大臣にも申し上げましたとおり、牛肉の酪近計画の目標は八〇%増、現在二百九十七万頭、ホルスも肉用牛も入っておりますけれども、これを将来、平成十七年には四百三十二万頭にするという計画であります。どっこい、それが現状では逆に、二百九十七万頭が平成八年には二百九十万頭と停滞、減少に陥っておるわけでありまして、まさにそのほとんどを担うホルスの動向というものが酪近計画の自給率を高めるためにも最も肝要になっておりますから、そこのところの対策をぜひともお願いいたしたいというふうに思いまして、御答弁を終わって終了させていただきます。
  84. 竹中美晴

    竹中説明員 乳用種を中心とします哺育育成経営の問題でございます。  こうした経営の収益性の向上を図ってまいりますためには、交雑種の導入といった手段もありましょうし、あるいはまた、資質のすぐれた乳用種肥育素牛の生産に取り組むことも重要であろうと考えております。  このため、八年度におきまして、優良な乳用種肥育素牛生産の推進等を通じて乳用種牛肉の生産、流通の改善を図ります乳用種牛肉生産流通改善対策事業を実施したところでございます。この事業の今後の取り扱いにつきましても、最近の乳用種牛肉や乳用種子牛の価格の動向等も勘案いたしながら、価格決定とあわせて検討してまいりたいと考えております。
  85. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 終わります。
  86. 石橋大吉

    石橋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  87. 石橋大吉

    石橋委員長 長休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春名直章君。
  88. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。  最初に、午前中の最後の質疑でもありましたが、台湾で発生している、大問題となっております口蹄疫の問題についてお伺いをしたいと思います。  三月二十五日の毎日新聞に、台湾自由時報が「ブタ口蹄疫の血清を検査している農政当局が、検体から発見されたウイルスが六十種以上のタイプの中で、すべて中国のブタから見つかった〇1型とアジア1型だったことを明らかにした。」という報道がされております。この点での情報をどのように掌握されているのか、まずお伺いした心と思います。
  89. 竹中美晴

    竹中説明員 お答えいたします。  平成九年三月二十日に、台湾当局から我が国の家畜衛生当局に対しまして台湾における口蹄疫の発生について通報がございまして、我が国としましては、直ちに台湾からの動物、畜産物の輸入禁止措置を講じたところでございます。  台湾における口蹄疫発生状況等の情報収集につきましては、私どもといたしましては、台湾の家畜衛生当局それから財団法人交流協会台北事務所との毎日、随時の連絡によって行っておりまして、三月二十五日現在、十二県、百九十六農場での発生があったという報告を受けております。  侵入経路につきましては、いろいろな憶測があるように思いますが、東南アジアの汚染国から帰国した旅行者による媒介とか、あるいはまたそれらの国からの感染した子豚なり汚染した内臓の不法な持ち込みによるものというような推定がされておりますけれども、現在のところ、なお経路の解明のための調査を行っているところであるというふうに台湾当局からは聞いております。  今後とも、台湾当局とは密接に連絡をとりながら、的確な情報の収集に努めていきたいと考えております。
  90. 春名直章

    ○春名委員 中国については情報はないのですか。
  91. 竹中美晴

    竹中説明員 私どもの得ております情報では、中国というのは、はっきりしたそういう情報はございません。
  92. 春名直章

    ○春名委員 それでは、日本中国からの豚肉の輸入状況はどういう状況になっているかお知らせください。
  93. 竹中美晴

    竹中説明員 中国でございますが、中国は、口蹄疫が一部で発生しておりますために、病原体を殺滅するために加熱処理された牛、豚等の偶蹄類の動物の肉なり臓器等のみの輸入を認めているところでございます。  したがいまして、平成七年の動物検疫実績で申しますと、中国からは、加熱処理肉等で一万二千百九十六トン、加熱処理臓器で五十四トン、このほかに家禽肉、馬肉等々が二十二万六千七百三十五トンというふうになっております。偶蹄類の動物から生産された骨とか皮とか、こういった畜産物も輸入されているわけでございますが、これらにつきましては、消毒をいたしまして口蹄疫ウイルスを含めてほとんどの病原体を殺すことができますので、こうした措置によりまして伝染性疾病の侵入を防いでいるところでございます。
  94. 春名直章

    ○春名委員 農水省は、食肉業界関係団体に対して、先ほどお話も出ましたが、台湾において二月二十一日以降に殺された偶蹄類の動物から生産された畜産物については、自主的回収の協力を要請されていらっしゃいます。既に感染した食肉などが我が国に入り込んでいる可能性も考えての対応だと考えられますけれども、ぜひ私は、自主的回収ということにとどまらないで、国や行政として台湾から入った豚肉等の検査、サーベイランスを徹底すべきだと考えますけれども、いかがですか。
  95. 竹中美晴

    竹中説明員 三月二十日に台湾からの口蹄疫発生の報告を受けまして、我が国では直ちに偶蹄類の動物、その他畜産物についての輸入禁止措置を講じまして、侵入防止措置を徹底したわけでございます。  また、国内措置としまして、的確な初動防疫対応を講じますために、家畜衛生関係者及び畜産関係者に対しまして、口蹄疫の発生状況、侵入防止措置等につきまして情報提供をいたしますとともに、万一発生した場合の届け出なり侵入防止のための留意点、防疫措置が必要な豚肉の的確な処理等につきまして指導の徹底を図ったところでございます。  それから、台湾における口蹄疫の急速な拡大状況ということを踏まえまして、国内こおける牛とか豚の全飼養農家を対象にした立入検査等を実施いたしまして、発生予防対策の強化を図ることにいたしております。
  96. 春名直章

    ○春名委員 この問題は、本当に、日本への感染源の侵入を許すと大変なことになるというのは先ほどの議論でも明らかになっておりますので、なお徹底してこれを進めていただきたいということを強く要望しておきたいと思いますが、こういう問題とかかわって、私は、九四年度からWTO体制がスタートして輸入が急増するということとこれは無関係ではないということを指摘もし、考えをただしておきたいと思います。  輸入豚肉は、九〇年、三十四万トンだったのが九五年度は五十三万五千トン、一五六%の伸びとなりました。豚肉の自給率は、八五年が八六%でしたが、九五年には六二%であります。前回の質問のときにも言いましたが、牛肉は九五年で三九%についになりまして、十年前の半減と大きく後退をしているのであります。  この自給率の低下が農家の激減に重要な要素となっていることは疑いありません。養豚農家で見ますと、八六年、七万四千戸あった農家が九六年には一万六千戸、こういうふうになっているわけであります。国内の自給基盤が崩されて、そして養豚農家が激減をする。数はさほど減っていないという面は、規模拡大しているのでそういう面はあるかもしれませんが、養豚農家数は激減をし、自給率も低下をする、大変な事態になっているわけです。  前回の議論の中でも伝染病の問題が議論されましたが、O157、狂牛病、こういうものに続いて今度口蹄疫の問題が出てきて、国民は、一体どうなっているのかという気持ちにやはりなっていると思います。健康、安全ということが今国民的な関心事であり、不安になっています。  私、栃木県の酪農家後継者の方と話をしますと、何を要望しますかと聞きましたら、日本政治家は外圧に弱過ぎるのではないか、日本農業を命がけで守ると一度でいいから言ってもらいたい、こういうふうに言っておりました。高知県の土佐町の女性酪農家の方は、「輸入牛をぶつ飛ばせ」という名刺、こんな名刺を自分でつくって配りまくっているそうです。こういう心意気も示して頑張っているということをお聞きをしました。  ですから、大臣にぜひ決意も伺いたいと思いますが、国民の大切なたんぱく源を供給する食料、豚肉、牛肉の自給率を本気で引き上げていくためにも、一つは、畜産農家の生活が成り立っていく価格を保証していくという努力、同時に、WTO協定の改定に真剣に今向かっていただきたい、こういう点での大臣の決意もお伺いしたいと思います。
  97. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 まず、価格の問題でございますが、これは、これから審議会で御意見を承った上で適切に決定をいたしますが、この考え方といたしましては、豚肉の再生産が可能になるような価格ということで考えております。  それから、外圧云々という話につきましては、私は議論委員といたすつもりはございませんけれども日本の国の発展のためには、やはり資源のない国でございますから、自由貿易体制という体制を維持強化するということは、国の発展のために非常に大事な基本的な選択であろうと思います。しかし一方では、このことによって国内の産業が非常に影響を受ける、こういう場合に対しては国内対策を十分にやるということもこれまた当然のことでございます。  この豚肉の問題については、御承知のように関税化をいたしておりまして、しかもセーフガードという制度もつくっておりますので、一定量以上輸入の量がふえるということになりますと、自動的にこのセーフガードが発効するということになっておるわけでございまして、そういう仕組みによって国内の生産者を保護している、こういうことでございますので、そのような我が国の発展のために、ぎりぎりの選択として例えて言えばウルグアイ・ラウンド農業合意決定したわけでございまして、そういう背景また経緯も十分に御理解いただければと思うわけでございます。
  98. 春名直章

    ○春名委員 セーフガードについて言えば、発動している間は少し制限されるけれども、終わったらまた急増するということを繰り返しているのであって、これでよしとする、そんな単純なものでは全然ないのです。そのことははっきり認識をしていただかなければ、なぜ一万数千戸まで減ってしまったのかということの根本を考える必要があるということを私は皆さんにも御報告をしたいと思います。  それで、乳価の問題について質問したいと思います。  政府は、来年度の保証乳価を三年ぶりに引き下げる諮問を行う方針ということも伝えられております。午前中の議論でもありました。しかし、私はこれは絶対に許されないことだと思います。  北海道生乳生産費の表が全酪新報という新聞にも出ておりますが、一・六%生乳生産費は増となっています。飼料費の増が影響して収益性が悪化をしております。加工原料乳保証価格について引き下げを諮問するなど、全く納得がいかないものであります。いかがお考えですか。
  99. 竹中美晴

    竹中説明員 加工原料乳保証価格につきましては、いわゆる不足払い法に基づきまして、生乳生産条件需給事情その他の経済事情を考慮いたしまして、加工原料乳地域生乳の再生産を確保するということを旨として定めることにされております。  九年度の保証価格につきましても、酪農家経営実態等も十分考慮いたしながら、明日の畜産振興審議会意見を聞いて、適正に決定してまいりたいと考えております。
  100. 春名直章

    ○春名委員 適正に決定するというのであれば、引き上げしかないと思います。私は、たくさんの農家をこの間回りまして、詳しく伺ってきました。みんな苦労しています。その最大の願いは、乳価の引き上げであります。  先週の質疑でも明らかにしましたが、この四月から、配合飼料の農家負担は昨年の一月から三月期と比べて七千円近い負担増になります。補てん対象外の粗飼料についても一年間で十数%上がっている、こういう報告もされています。昨年の算定の際に農家負担増分は織り込んでいるということだったと思いますけれども、その乳価で所得はごくわずか、借金を返せないなどの悲鳴もあるわけです。さらに飼料値上げの負担が大きくなるということを考えれば、引き上げられて当然ではないでしょうか。本当に現場実態を踏まえるなら、引き下げなどはもってのほかだと私は思います。  コストの低減そして生産性がアップしているということをよくおっしゃいますけれども、小規模な酪農家とか規模拡大路線で過大な投資をして行き詰まった酪農家が切り捨てられて、酪農家の戸数がどんどん減っている。残った大規模な経営などを対象にした生産費で計算したら、コスト減になるに決まっているわけであります。ところが、そうして生産性が上がったら乳価が下げられていく。いつまでイタチごっこをさせる気だ、こう酪農家が怒るのは当然であります。  酪農家が頑張った分だけ本当に目に見える形で報われるような、そういう農政が求められています一そこに立ち向かってこそ、酪農家の展望、希望がわいてくるのじゃないでしょうか。そういう乳価として決めるべきだと思います。農水省のそういう決意を改めて大臣に問いたいと思いますが、いかがですか。
  101. 竹中美晴

    竹中説明員 来年度の保証乳価の算定に当たりましては、配合飼料価格の動向等も十分に織り込みながら、適正に決定していきたいというふうに考えております。
  102. 春名直章

    ○春名委員 全然誠意がない答弁なので、大臣にもう一度答えてもらいたいのですけれども、規模拡大に伴うふん尿処理問題、この点も一つの大きな問題になっているのですね。  乳価算定の際にはふん尿を副収入として算入しているようですけれども実態は、私はとんでもないことだと言いたいのです。  北海道のある酪農家のお話ですが、大規模化しても労働力は家族でやるから変わらない、しかし大量のふん尿が出る、それを商品化していくということは、そんな手間や暇はとてもありません、こういうふうに嘆いておられます。何とかしたいけれどもふん尿処理には多額の費用がかかります。実際、そういう労力もありません。逆に、コストとしてふん尿処理費を算入すべきではないでしょうか。そして、そうしたところに安心して手をかけることのできる乳価にしないと、農水省皆さん自身が強調されている環境保全型の農業の推進、こういう点も実現しようがない、逆行することになりはしないでしょうか。  そういう点も含めて、ぜひ大臣の御決意をお伺いしたいと思います。大臣、ぜひお願いしたいと思います。
  103. 竹中美晴

    竹中説明員 ふん尿の関連の御質問がございました。  厩肥につきましては、生乳生産に伴いまして必然的に生産されます一方で、農業経営において肥料等の生産資材としても利用されております。加工原料乳保証価格におきましては、これらの生産、利用の実態に合わせまして、副産物として評価するばかりではなく、その費用を生産コストとして算入しているところでございます。現在の取り扱いはそういうことで、適正なものになっているのではないかと考えております。  また、飼養規模拡大の進展によりまして、厩肥の一部について費用をかけて処分しているというような実態もより的確に反映をいたしますために、牧草地等への最大投入量を設定する等の生産費の見直しも行われてきているところでございます。
  104. 春名直章

    ○春名委員 どこの分野をとっても、今回、最低据え置き。引き下げられるということはあり得ないと私は思います。やはり農家の現実の姿をぜひ見てもらいたいということを強く強く私は要望したいと思います。酪農家から希望や意欲を奪って日本酪農業の基盤を崩すような、そういう末代まで禍根を残すような決定はしないでいただきたい。強く大臣に要求したいと思います。改めて、大臣、どうですか。
  105. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 いずれにいたしましても、価格の設定につきましては、行財政改革が御承知のように重要な課題となっておりまして、農産物価格安定制度に対しても厳しい目が向けられております。こうした中で、平成九年度の保証価格の算定に当たりましては、不足払い法の規定に基づき、明日開催されます畜産振興審議会意見を聞いて適正に決定する、そのような考えでおります。
  106. 春名直章

    ○春名委員 大変残念です。日本農業、そして健康、命を守る先頭に立つ農水省が、行政改革で厳しい目が向けられていて価格制度にもメスを入れなきゃいけないかもしれない、そのようなことを示唆することを言われていますけれども、それでどうして日本農業が守れますか。どうして酪農が守れますか。そういう深刻な事態があるわけで、本当に見ていただきたい。大臣としてそういう立場で頑張ってもらいたい。本当に私は心から訴えたいと思います。  もう一つ、乳価の問題で、やはりあすの問題で出てくるのは、規模拡大、そして乳量生産増を追求させながら、その一方で限度数量はこの十年間据え置かれているという大問題であります。この拡大はどうしても必要です。飲用向け主体の酪農地域との矛盾を打開していくという点に立ってもいよいよ切実になっていると思います。ぜひ限度数量の拡大に踏み切っていただきたいと思います。これはいかがでしょう。
  107. 竹中美晴

    竹中説明員 九年度の限度数量につきましては、不足払い法に基づきまして、生産者補給金を交付しても確保すべき加工原料乳の最高限度、そういう考え方を基本にいたしまして、生乳生産の最近の動向なり乳製品の消費動向等を慎重に見きわめながら、畜産振興審議会意見を聞いて適正に決めたいと考えております。
  108. 春名直章

    ○春名委員 先ほどから同じような答弁ばかりなんですが、非常に残念です。  それで、時間も来ますので、私は、どうしてもこの際お聞きしたい問題変酪農ヘルパーの問題についてお伺いしたいと思います。  酪農ヘルパーの制度酪農家の休日取得を保障するという大切な手だてとなっていることはもちろんですが、若手の酪農後継者の育成、就農へのステップとしても非常に大事なものになっていると思います。その点で我が国酪農の展望とつながっている貴重な制度だと私たちは思いますが、その認識は大臣はお持ちでしょうか。
  109. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 今委員が申されました事柄については、私も同じ認識を持っております。
  110. 春名直章

    ○春名委員 中酪の全国調査でも、後継者確保の支援措置で最も高く望んでいるものは、ヘルパー組合の整備充実が六〇%、こういうふうになっています。しかし、私は、そういう役割に比して、この制度が逆行するような重大な事態も生まれてきていることを認識をしていただきたいというふうに思います。  飲用向けが主体の栃木県に行ったときのお話ですが、メーカーとの交渉の結果、乳価がキロ四円前後も下げられたこと、先ほどもお話ししたようなえさ代の値上げ、こういうことが相まって大幅な所得減となりまして、栃酪の皆さんのお話ではヘルパー利用率が何と一八%下がってしまったという状況が報告をされているわけであります。  北海道のある利用組合の方のお話では、今の乳価ではヘルパーを使ってやっていくことはなかなか困難だ、利用組合を苦労してつくってきたけれども経営の大変さの中でなかなか利用できる人がおらず、一カ月のスケジュールにあなたのところはこの日、あなたのところはこの日、こういうふうに義務的に埋めて、何とか四苦八苦、これをやりくりしている、こういうお話もあるわけであります。  こんな実態もあるんだということをぜひ認識していただきたいと思うのですが、この点はいかがですか、農水省皆さん
  111. 竹中美晴

    竹中説明員 酪農ヘルパーでございますが、現状で十分というわけにはなかなかいかないかと思いますけれども、これまでに四十六都道府県で三百八十八の利用組合に約二万戸の酪農家が加入いたしまして、そのうち四分の三の酪農家で年平均十二日の定期利用がされているというようなことで、まだレベルは十分でないにしても、制度は着実に普及進展してきているのではないかと考えております。  酪農ヘルパーの重要性につきましては先生御指摘のとおりであると思います。これからも、私ども、このヘルパー制度の定着、普及に一層努力をしていきたいと考えております。
  112. 春名直章

    ○春名委員 いい制度だといりことまお互い共通の認識になっているわけですけれども、大切だ、いい制度だということを認識しているからこそ、今この制度を拡充し定着させていく上でぶつかっている壁を突破するイニシアチブをぜひ発揮していただきたい、このことを私は言っているわけです。  先ほど言ったように、乳価が下がって所得が少ないから、雇いたいけれどもなかなか雇う勇気がわかないというような事態が実際あるわけです。だから、こういう面から見ても乳価の引き下げなんて絶対にだめです。引き上げなければなりません。ヘルパー制度の前進という点から見てもどうしても必要なことだと私は思います。  そして、私はいろいろな方からお話を聞いて、一番ネックになっているのは、やはり利用料が高いということです。この利用料を、いかにみんなが活用できるように拡充していくのか、安くしていくのかということがどうしても今問われている、そういう段階に私は来ていると思います。  だから、この問題は一貫して私たちの藤田議員も追及してきましたけれども、人件費への助成ということがどうしても今重要な課題の一つになつている。要は理屈じゃなくて国の姿勢の問題だと私は思います。酪農家後継者を育て、生活を補充していく、そして国民の食糧を守っていく、こういう観点から人件費への助成という点もぜひ踏み出していく。必ず国民の理解は得られると思います。そういう方向に努力をしていただけないでしょうか。いかがですか。
  113. 竹中美晴

    竹中説明員 酪農ヘルパーの人件費について助成をというお話でございますが、ヘルパーの利用は、自分の休日を確保するために雇うというものでございまして、本来、経営者みずからが負担すべき性格のものでございます。また、他の産業はもとより、農業の他の分野におきましても、雇用労働力に要する経費については雇用者負担が原則ということになっておりますから、ヘルパーの人件費についてストレートに助成するというのはなかなか難しい問題であろうと考えております。
  114. 春名直章

    ○春名委員 その答弁は何年繰り返しているのでしょうか。それで大変行き詰まっている面があるから真剣に考えてもらいたいという新しい問題提起をしているのに、同じことしか言われないので非常に残念です。私は、ぜひこのヘルパー制度の充実のために、これからももっともっと知恵も力も尽くして、お互い頑張っていただきたいということを心からお願いをしたいと思います。  最後の質問ですけれども、牛肉関税収入の未使用分の問題について、一言だけお聞きをして終わりたいと思います。  一九九一年度からの牛肉関税収入の実績額に対して肉用子牛などの対策に使われた額を差し引いた未使用の額は、一九九五年度まででたしか二千百九十億円になっているというふうにお聞きをしております。この数字も確認をしておきたいと思うのですけれども、昨年もこの点を追及いたしました。当時の農水大臣は、「御指摘のような金額がまだ未使用のまま、これはどこへ行っているかといいますと、大蔵省が使ってしまっているのですね、正直言って。ですから、これは絶えず主張していかないと、もうそんなものなくなりましたよと言われたのでは間尺に合いませんので、これはやはり予算のたびに農水省がしっかり踏まえて主張していくべき問題だと思います。」このように答えていらっしゃいます。  もうそんなものはなくなりましたよなどとは絶対に言わせないで、肉用牛対策、指定食肉対策の充実などに確実に使っていく、将来的に使っていく、このことをはっきりさせておいていただきたいと思います。ぜひお答えいただきたいと思います。
  115. 竹中美晴

    竹中説明員 牛肉関税を財源といたします肉用子牛等の対策費につきましては、毎年度、大蔵省とも相談いたしながら必要な額を確保してきているところでございます。
  116. 春名直章

    ○春名委員 終わろうと思いましたけれども、未使用分はこれから必ず使えるということを聞きたいわけであります。
  117. 竹中美晴

    竹中説明員 いわゆる先生のおっしゃられました未使用分ということにつきましても、今後、必要なものについては要求をしていくということでございます。
  118. 春名直章

    ○春名委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  119. 石橋大吉

    石橋委員長 次に、畠山健治郎君。
  120. 畠山健治郎

    ○畠山委員 午前中から、畜産振興審議会を控えて、さまざまな角度から価格問題を中心の議論がなされてまいったようでありますが、私は少し変わった観点からお尋ねを申し上げたいと思います。  脱脂粉乳による水増し牛乳というとんでもない事件を引き起こした全酪連に対する新潟地裁長岡支部の判決及び、明日ですか、予定されておる宮城工場に対する判決は、不当表示牛乳問題に限らず、生産者あるいはメーカーと消費者との関係について、多くの問題を浮き彫りにいたしております。不当表示牛乳問題で、全酪連は自身も相当社会的な制裁を受けたかと思いますが、同連合会の再建状況及びJMブランドの販売状況、また全酪連に対する農協中央会及び農水省の指導体制についてお伺いをいたしたいと思います。
  121. 竹中美晴

    竹中説明員 お答えいたします。  昨年三月に判明いたしました不正表示問題によりまして、全酪連としましては、飲用牛乳の処理量、販売量が大きく落ち込みました。乳業部門の再編と再建への取り組みが急務となりまして、六月の全酪連総会こおきまして、乳業工場の分離分社化、本所機構のスリム化等、経費削減を柱とします乳業事業再構築に向けた対応策を決定いたしております。また、七月には、組織、人事の大幅な刷新を図り、乳業事業再構築推進委員会を設置いたしまして、再建対策を推進してまいっております。十月には、臨時総会後に乳業工場の分離分社化を実施いたしまして、旧宮城工場は株式会社ジャパンミルク東北、旧長岡工場は株式会社ジャパンミルク北日本、旧東京工場と神戸工場は株式会社ジャパンミルクネットとして独立いたしました。  現在、ジャパンミルク各社の製品を対象とします新製品の発表会を開催するなど、関係者一丸となって売り上げの回復に向けて努力をしているところでございますが、各工場の牛乳の売り上げは、事件前の約三割の水準にとどまっているというふうに聞いております。  この事件の発生以来、農林水産省といたしましては、事実関係なり発生原因の究明等々、あるいはその後の再建等につきましても、指導監督に努めてきたところでございますし、全国農協中央会とも協力をいたしまして、全酪連の組織運営や乳業工場の立て直し、あるいは生乳の円滑な処理等につきまして、必要な指導を行ってきたところでございます。今後とも、消費者の信頼を回復するということを主眼にいたしまして、全中ともども、私どもといたしましても必要な指導を行っていきたいと考えております。
  122. 畠山健治郎

    ○畠山委員 生産コスト削減に目を奪われて、あげくの果てに消費者の信頼を失うことが生産、販売にいかに深刻な影響をもたらすか、ただいまの説明でも十分うかがえます。しかし、このような問題で酪農を衰退させてはならないと思います。  ついては、乳価の安定を図り、酪農農家の減少に歯どめをかけることが重要と考えますが、農水省のお考えをお伺いいたします。
  123. 竹中美晴

    竹中説明員 先ほども申しましたように、この全酪連事件につきましては、各関係機関の協力も得まして、各般の再建対策について指導をしてきたところでございます。  加工原料乳保証価格につきましては、たびたび申し上げて恐縮でございますが、不足払い法に基づきまして、畜産振興審議会意見も聞きながら、適正に決定してまいりたいと考えております。
  124. 畠山健治郎

    ○畠山委員 超低金利時代を迎えてさまざまな現象が生じておりまして、社会問題化しておりますが、それがついに農業にまで及んできております。  家畜預託オーナーシステムに対する投資勧誘が活発化しているようでありますが、私の調べたところでも、投資額百万につき年六万の還元と四年後の元本保証がうたわれ、最近では、七万円に、ホテル、分譲マンションの利用など、勧誘内容もかなりエスカレートしてきておるようであります。  そこでお尋ねいたしますが、和牛肥育農家経営規模百頭以上のいわゆる大規模畜産経営の場合の利益は一般的にどの程度になるものか、お伺いしたいと思います。
  125. 竹中美晴

    竹中説明員 私ども畜産物生産調査で見てみますと、粗収益から生産費総額を引いた肥育牛一頭当たりの利潤は、肥育牛の販売価格や素畜費あるいは飼料費等の資材価格が変動しておりますことから、必ずしも常に利潤を得られずに損失を招くこともございます。  最近の調査結果から見てみますと、平成五年調査では、これは五十頭以上というくくりになりますが、一頭当たり五千五十五円のマイナスでございます。平成六年調査では一頭当たり一万六千三百四十円のマイナス、それから平成七年以降は、御質問にございました百頭以上というくくりがあるわけでございますが、平成七年で見ますと一頭当たり五万六千五百四十六円のプラスでございます。平成八年で見ますと七万四十七円のプラス、統計調査結果ではそういうことになっております。
  126. 畠山健治郎

    ○畠山委員 勧誘内容によれば、家畜共済があるから元本保証は間違いないことが強調されておるようであります。  そこでお伺いいたしますが、加入者の場合、事故率はどの程度なのか。また、掛金にもよるかと思いますが、死亡その他の事故によって支払われる共済金はどの程度なのか、お伺いをいたしたいと思います。
  127. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  家畜共済の事故率でございますけれども、まず平成七年度の実績を見ますと、肥育牛全体、これは黒もの和牛と乳用種の肥育牛を含んでおりますが、事故率全体で死亡廃用事故につきましては三・五%、疾病傷害事故につきましては一・六%というふうになっております。  また、その際支払われる共済金でございますけれども、死亡廃用事故の場合には一頭当たりで十六万一千八百円でございます。また、疾病傷害事故、これは治療費が主体でございますが、その場合には一件当たりで約八千五百円というのが実績でございます。
  128. 畠山健治郎

    ○畠山委員 これは福島県の例でございますが、投資の振り込み先は東京のある民間会社になっているなど、明らかに生産法人はダミーとなっておるわけであります。元本保証にしても、六%、七%の金利保証にしても、先ほどからの説明では十分保証し得ない可能性が高く、出資法との関係も出てくるのではないかと思います。また、生産法人制度を骨抜きにするものである可能性も高いと言わなければならないと思います。投資者のハイリスク・ハイリターンの面もなきにしもあらずと思います。  農水省のこれまでの対応あるいは今後の対応方針について、お伺いしたいと思います。
  129. 竹中美晴

    竹中説明員 いわゆる家畜預託オーナーシステムにつきましては、最近、一般の消費者から、農林水産省に対しましても各種の問い合わせが寄せられております。そこで、農林水産省としましては、これが農林水産省として推奨するようなものではないということ、それから、肉用牛肥育につきましては価格の変動リスクがありまして、常に利潤を確保できるものではないということ、また家畜預託オーナーシステムにつきまして、受託会社等が不特定多数の預託者たる一般消費者に対しまして元本保証等を約束して金銭を受け入れた場合には、その態様にもよりますが、これが出資法に触れる可能性がある、そういったことにつきまして消費者等に注意を喚起するよう、都道府県等関係の機関に依頼の文書を出したところでございます。  農林水産省としましても、これまでも広報誌等を通じて注意喚起等をしてきたところでございますが、今後とも、関係機関とも連携をとりながら、消費者に対する注意喚起、啓蒙に努めてまいりたいと考えております。
  130. 畠山健治郎

    ○畠山委員 さっきも申し上げましたが、低金利時代であるからして資金運用でいろいろなリスクが出てきておるわけですね。農業にもこの面の芽が出始めておるわけでありますから、遅きに失したのではこれはどうしようもない。したがって、関係方面とも十分連携をとりながら、あらかじめ押さえるというような立場からしっかりと対応していただきますように強く要請をして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。      ————◇—————
  131. 石橋大吉

    石橋委員長 この際、松下忠洋君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党の共同提案による平成九年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。松下忠洋君。
  132. 松下忠洋

    ○松下委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党を代表して、平成九年度畜産物価格等に関する件の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     平成九年度畜産物価格等に関する件(案)   我が国畜産を取り巻く最近の情勢には、ウルグァイ・ラウンド農業合意に基づく関税の引下げ等による畜産物輸入の増大、担い手の減少・高齢化畜産環境問題の発生等極めて厳しいものがある。   よって、政府は、酪農ヘルパー及びコントラクターの積極的活用、畜産排せつ物の堆きゅう肥化による有効利用の促進、配合飼料価格安定制度の適切な運用生乳の需給調整対策の推進、国産ナチュラルチーズや生クリームの生産振興等の諸施策を講ずることと併せ、平成九年度畜産物価格決定に当たって、消費税率引上げ分を適正に反映させるとともに、左記事項の実現に万全を期すべきである。       記  一 加工原料乳保証価格については、酪農家が意欲と誇りと希望とゆとりを持って営農に取り組めるよう適正に決定すること。また、加工原料乳の限度数量については、最近の牛乳・乳製品の需給動向を踏まえて適正に決定すること。  二 牛肉・豚肉の安定価格については、畜産農家経営の安定が図られるよう適正に決定すること。また、肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家経営の安定が図られるよう適正に決定し、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛の生産実態等を踏まえて適正に決定すること。  三 病原性大腸菌O−一五七による被害の発生等に鑑み、畜産物生産・流通過程における衛生管理の徹底を図るとともに、狂牛病等の新たな伝染性疾病の発生に対処するため、家畜伝染病予防法に基づく家畜の防疫対策の推進を図ること。  四 ウルグァイ・ラウンド農業合意に基づく関税の引下げ等による輸入の急増が国内の畜産経営に大きな影響を与えないよう、WTO合意の一環として認められた牛肉及び豚肉に係る関税の緊急措置(セーフガード)を堅持すること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  133. 石橋大吉

    石橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松下忠洋君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 石橋大吉

    石橋委員長 起立多数。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣藤本孝雄君。
  135. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  136. 石橋大吉

    石橋委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 石橋大吉

    石橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回ま、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十二分散会