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矢上委員 ただいまの
山本局長の御
意見に対して、幾つか私なりの
意見を述べさせていただきます。
まず、買い占めの件です。例えば一集落が全部
株式会社の手に入る。実は私が地元を歩いて
農家の方からお願いされるのが、
土地改良をやったけれども息子も帰ってこない、負担金も払う能力がないから
農地を買ってくれる人を紹介してくれ。あともう
一つは、年金が国民年金で月四万円ぐらいしかもらえないから、サラリーマン並みの年金を支給してくれ。この二点でございます。
あともう
一つ、
土地について聞きますのは、私の妻の実家が千葉県でございますが、圃場
整備をしていただくと大変有利になる。銀行にお金を預けるよりも国から圃場
整備をしていただいて道路をよくつくっていただくと、住宅、工業用地に転用できる。今宅地、工業用地転用の期待のみが圃場
整備を進めておって、現実に
農地を売りたい、つまり子供さんがあと帰ってこない
人たちのところにおきましては、非常に圃場
整備に対して危機感がございます。
そういう点が
株式会社だけでなく
農業者の中にも存在すること、また将来の
担い手をどう想定するかという中におきまして、
認定農業者の問題がございます。
認定農業者が長期資金の融資を受けようとしますと、非常に厚みのある膨大な資料が必要となりますし、まず資料をつくって持っていっても、中
山間地におきましては、あなたの
農地はいわゆる資産価値、担保価値がありませんということで融資を拒否されてしまいます。もともと、中
山間地の
農地に担保価値があるほどの資産価値があるわけではございません。二千万、三千万借金しようとするときに、田舎の
農地はそんな高く担保能力があるわけではございませんので、そこをどうするかという問題。
またもう
一つ、今あります
有限会社とか農事
組合法人とか、
農林水産省の施策に基づいた法人を仮にやったとして、例えば年金が少ないからどうしてくれるんだと言われるときに、商売人と同じように
有限会社をつくってきちんと社会保険に入ってくださいと言いますと、実はみんな
有限会社を一回やりましたと。しかし、家族経営でやっておるような
有限会社でありますと、天候のリスク、また市場における農産物価格のリスクにより、年によってはお金がなくて払えない、つまり赤字のときには社会保険の掛金を払えない。では黒字のときはどうですかと言ったら、黒字のときは税金で持っていかれますと。となると、家族単位を想定した今の
農地法の
有限会社等の
組織では、これからの後継者の福利厚生を充実させることができないのではないか、そういう問題が
指摘されております。
いずれにしましても、天候のリスク、市場のリスク、いろいろなことを分散させる
意味でも、広域型の、また家族経営からある
程度壁を乗り越えた形での
株式会社論というのが、今すぐやれとは言いませんが、これからの
議論として国会でも表舞台に乗せていただければと思います。
最後に、
大臣にお願いでございます。
武藤長官がおっしゃった自給率の向上と
規模拡大の二点についてでございますが、
日本の国内農産物の自給率を向上させようとすると、つくった以上は売らなければなりません。また、
規模拡大についても同様でございます。低コストで大量の農産物をつくるということは、それをさばく必要があります。売れる品物をつくり出すための
情報力、
企画力、そして自分の力でそれを売りさばく流通力が必要になってまいります。
改めて申しますが、今の体系の中での法人化におきましては、私の知り合いも農事
組合法人を
農協を窓口にして補助金をもらってつくったのですが、流通が限定されてしまいます。
農協に半分、残り半分をほかの民間に卸そうとしますと、目に見えない圧力がかかってなかなか流通の自由ができない。
つまり、今
農地法が認めておる法人
制度の中には、流通を阻害するような要素も入っております。できるならば、せっかくお金と手間をかけてつくった法人ですから、よくできたものは少しでも高く売れる努力を
農家がするときに、そういう流通を阻害するような要素があるようであれば、それはぜひ改めていただきたいと思います。
そういう
意味で、今後の後継者の
雇用体制、福利厚生の問題にも波及しますが、今後の
議論の展開につきまして、
大臣の決意をお聞きしたいと思います。