運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-04-07 第140回国会 衆議院 日米安全保障条約の実施に伴う土地使用等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月七日(月曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 野中 広務君    理事 甘利  明君 理事 杉浦 正健君    理事 鈴木 宗男君 理事 中谷  元君    理事 高木 義明君 理事 二見 伸明君    理事 村井  仁君 理事 前原 誠司君    理事 穀田 恵二君       飯島 忠義君    石崎  岳君       臼井日出男君    遠藤 利明君       小此木八郎君    大野 松茂君       嘉数 知賢君    河井 克行君       瓦   力君    岸本 光造君       栗原 裕康君    河野 太郎君       桜田 義孝君    下地 幹郎君       砂田 圭佑君    滝   実君       玉沢徳一郎君    虎島 和夫君       浜田 靖一君    林  幹雄君       松本 和那君    茂木 敏充君      吉田六左ヱ門君    渡辺 博道君       青木 宏之君    東  祥三君       一川 保夫君    神田  厚君       佐藤 茂樹君    達増 拓也君       永井 英慈君    西田  猛君       西野  陽君    西村 眞悟君       平田 米男君    川内 博史君       菅  直人君    北村 哲男君       玄葉光一郎君    近藤 昭一君       山元  勉君    志位 和夫君       東中 光雄君    古堅 実吉君       伊藤  茂君    上原 康助君       前島 秀行君    粟屋 敏信君       新井 将敬君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 三塚  博君         運 輸 大 臣 古賀  誠君         建 設 大 臣 亀井 静香君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      稲垣 実男君  出席政府委員         内閣審議官   及川 耕造君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         防衛庁参事官  山崎隆一郎君         防衛長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      伊藤 康成君         防衛施設庁施設         部長      首藤 新悟君         防衛施設庁建設         部長      竹永 三英君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         外務大臣官房領         事移住部長   齋藤 正樹君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省関税局長 久保田勇夫君         通商産業省貿易         局長      伊佐山建志君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         自治省行政局長 松本 英昭君  委員外出席者         安全保障委員会         調査室長    平川 日月君     ───────────── 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     岸本 光造君   大野 松茂君     飯島 忠義君   河井 克行君     松本 和那君   玉沢徳一郎君     虎島 和夫君   北村 哲男君     菅  直人君   近藤 昭一君     川内 博史君   古堅 実吉君     志位 和夫君   前島 秀行君     伊藤  茂君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     大野 松茂君   岸本 光造君     渡辺 博道君   虎島 和夫君     玉沢徳一郎君   松本 和那君     茂木 敏充君   川内 博史君     近藤 昭一君   菅  直人君     北村 哲男君   志位 和夫君     古堅 実吉君   伊藤  茂君     前島 秀行君 同日  辞任         補欠選任   茂木 敏充君     河井 克行君   渡辺 博道君     稲葉 大和君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定の実施に伴う土地等使用等に関する特別措  置法の一部を改正する法律案内閣提出第八一  号)      ────◇─────
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二見伸明君。
  3. 二見伸明

    二見委員 新進党二見伸明でございます。  いわゆる特措法に関連いたしまして、総理大臣を中心に若干の質疑をさせていただきたいと思います。  政府は、今回の特措法改正につきまして、沖縄における十三の米軍施設、三千人余の駐留軍用地強制使用に係る県の土地収用委員会の審理が来る五月十四日の使用期限までに間に合わないことが確実となったため、国による不法占拠状態を回避するための必要最小限の処置だと説明をされております。  しかし、私は、この問題はそのような単純で簡単なものではないと思います。むしろ、日米安保体制を堅持するということはどういうことなのか、日米安保条約上の義務を忠実に履行する一方、日本国土のわずか〇・六%という狭い沖縄在日米軍基地の七五%が集中しているという事実をどうするのか、そして、沖縄の置かれている現実を打開し、沖縄基地整理縮小してもらいたいという沖縄県民の悲痛な願いをだれが真っ正面から受け取り、取り組み、最終的な責任をとるのかという極めて大変重い大きな課題を改めて我々が問われ、突きつけられているものだというふうに私は思っております。  その意味で、四月三日の第二回小沢新進党党首橋本総理との会談での合意は軽いものでは決してありません。  安保を容認している沖縄に住んでいる私の知人は、この橋本小沢会談での合意について、私に率直にこう語ってくれました。「在沖縄米軍基地問題は、日米関係を円滑にし、絆を強化するとともに、沖縄県民負担を全国民が担うという考え方に基づいて解決すべきである。」といういわゆるこの二項目めです。これについては、特に沖縄県民負担を全国民が担うということは、沖縄県民が絶えず訴えてきたことだと彼は私に言いました。  そして、三項目めに、「沖縄基地使用に係る問題は、県民意思を活かしながら、基地整理縮小移転等を含め、国が最終的に責任を負う仕組み誠意をもって整備するものとする。」この三項目については、彼は、沖縄返還のときに核抜き本土並みという言葉を信じた、沖縄の未来に大きな希望期待を抱いたけれども返還二十五年後、その期待は完全に裏切られたという気持ちが強い、沖縄基地縮小というお題目は耳にたこができるほど聞かされてきた、それだけに、この第三項目のが忠実に履行されるのであればあすの沖縄希望のともしびを見ることができるけれども、もし言葉のみあって事実行動がない場合には、沖縄県民政府政党政治に対する不信感は頂点に達すると、感情を抑えた淡々とした語り口で私に語ってくれました。  この合意は、提案した我々新進党も重く受けとめ、責任を持たなければなりませんけれども合意された橋本総理大臣も、この合意を実現すべく政治生命をかける、そのぐらいの勢いでもって重い受けとめ方をすべきだと思いますが、総理大臣の御感想はいかがでしょうか。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今の議員最後部分についてからお答えを申し上げたいと思います。  それぞれの党首とお話をしてまいりました。その間に、御党の党首とも十分時間をとって、むしろ十分とり過ぎて誤解を生ずるぐらいの時間をとってお話し合いをいたしました。そして、それぞれの党首とのお話し合いというものは、私はすべてが重いものだと思っております。  そして、議員は今、日米安全保障条約というものから論議を起こされたわけでありますが、私は、間違いなしに、日米安保条約というものの義務履行、これは日米関係維持にとりまして必要なことだけではなく、我が国の安全の確保という点にとって不可欠なものであると思っておりますし、国家存立にかかわる重大問題であると思っておりますし、使用権原のない状態というものは何としても生じてはならないということから、今回、必要最小限度法律案提出をさせていただきました。  国際社会において、引き続き不安定な状況というものが現実に存在をしております中において、日米安保体制というのは、我が国の安全の確保及びアジア太平洋地域の平和と安定の上に不可欠なものであります。そして、政府はこの条約上の義務をきちんと履行していく責任を持つことを初めとして、今後とも、日米安保体制信頼性維持向上に努めていく責任があります。  同時に、議員も述べられましたように、米軍施設区域が県土に七五%という非常に大きなウエートを占めてしまって、正確に申し上げますなら、国土の〇・六%しかない沖縄県に米軍基地の七五%が集中してしまっているという現実もそのとおりでありまして、これを少しでも整理、統合、縮小していく、その努力をしていくことは、沖縄県民方々が背負ってこられた重荷を少しでも国民全体で分かち合っていく、そういう姿勢が必要であることも御指摘のとおりであります。政府としても、最重要課題と位置づけをいたしまして、SACOの最終報告の着実な実施に全力を挙げてまいらなければなりません。  さらに、駐留軍用地取得に関する事務、これは現在一つ仕組みを持っているわけでありますけれども我が国の生存と安全を確保する上から、重要かつ高度の公共性を有する米軍の活動の基盤にかかわるもの、さらには我が国日米安保条約上負う義務履行に関するものでありますから、本来国が執行責任を負うべき性格のものでございます。そういう認識も持っておりますし、かつて本院におきまして、山口那津男議員の御質問に同様の趣旨お答えを私はいたしております。  その上で、そのあり方につきましては、現在、地方分権推進委員会が調整中としておられる事務一つでございます。政府責任者として、分権推進委審議をお願いをし、そのお答えを待つというのがその立場でありますから、地方分権推進委からの御意見なども見ながら幅広く検討していくべきことと考えております。  御党党首との会談におきましても、私からはこうした考え方をるる申し述べてまいりました。
  5. 二見伸明

    二見委員 私は、やはり安保条約上の義務を忠実に履行しながら沖縄の現状を打破する、そのために今回の合意は非常に重要な意義を持つと思いますし、その具体的な行動としての第三項目め、「沖縄基地使用に係る問題は、県民意思を活かしながら、基地整理縮小移転等を含め、国が最終的に責任を負う仕組み誠意をもって整備するものとする。」というこの発言は非常に重いものだと思いますし、これを忠実に履行できなければ、沖縄県民失望というのはより深く大きいものになるだろうというふうに思っております。  ところで、合意第一項目は、「日米安全保障条約は、我が国安全保障確保するという国の根幹に関わるものであるという共通認識に立ち、政府が同条約上の義務履行最終的責任を負う。」こう宣言しました。私は非常に大事な合意だと思います。条約上の義務履行とは具体的に何を指すのか。私は、米軍基地を安定的に提供するということが義務履行の中核に据えられているのではないかと思いますけれども総理大臣の御見解はいかがでしょうか。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、我が国は、日米安全保障条約のもとにおきまして、米軍我が国への駐留のために必要不可欠であります基地区域というものを提供する義務を負っております。仮に、我が国がこの義務履行支障を来す、あるいは米軍による施設区域の安定的な使用が困難な状態になり得るような事態が生ずることになりますならば、米軍の運用にこれは支障を生じる、日米安全保障条約自体信頼性が大きく損なわれる事態となりかねない、そのように私ども思います。  こうした意味から、施設区域提供というものは我が国が負っている極めて重要な責任でありますし、施設区域として提供をいたしております土地使用権原が失効する事態、こうした事態はどんなことがあっても避けなければならないと考えております。
  7. 二見伸明

    二見委員 一部政党日米安保反対をしております。他の政党日米安保堅持主張しております。かつて自衛隊違憲論を党の基本政策として反安保主張をしてきた社会党が、村山政権誕生と引きかえに基本政策を百八十度転換しました。  平成七年一月のクリントン・村山共同記者会見で、村山総理大臣は、日米安保体制を堅持する重要性共通認識である、アジア太平洋地域の平和と繁栄のため、日米両国が一層の協力を推進していくことを改めて確認した、こう述べられました。大変格調の高い立派な言葉であります。その具体的な行動は、今総理の御答弁がありましたように、例えば基地安定的提供がその大きな役割であります。  政府責任を持って、安全保障問題は我が国根幹にかかわることである、場合によっては、つらいことではあるけれども政府最終責任をとる、こう言い切った政党がどこにあるのかと私は申し上げたいと思います。  アジア太平洋地域の平和と繁栄のため、日米両国が一層の協力を推進していくことを改めて確認したと高らかにうたいとげた政党が、じゃ、具体的に基地の問題で体を張っているかと私は言いたいんです。それが政党のつらいところであり、政治家のつらいところなんです。  特に基地の問題で、日米安保条約上の義務履行するということは、履行に最終的な責任を負うということは、必ずしも人気のいい、口当たりのいいことではありません。不人気ではあっても逃げずにやるというのが、これが政治立場なんです。そうすることによって、日本国際社会信頼、信用されることになるし、日本の平和と安全が守られることになる。  政党政党のリーダーはテレビ番組のタレントじゃないんです。国民人気取りだけを考えて判断行動するならば、二十一世紀の日本は惨たんたるものになってしまうと私は憂えておりますけれども橋本総理の御所見はいかがでしょうか。
  8. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、他の政党がそれぞれにさまざまな御主張をかざしておられることを批判するつもりはございません。  ただ、私から繰り返し申し上げたいことは、日米安全保障条約というものが、我が国にとりまして一番大切な外交関係である日米関係基盤をなしているという事実は、どなたもお認めがいただけることだと思います。  そして、その日米安全保障条約の目的を達成していくために、我が国駐留する米軍に対し、施設区域を円滑かつ安定的に提供する、そしてその条約上の義務我が国が果たす、これは、日米関係維持はもちろんのことでありますけれども我が国自身の安全の確保にとっても不可欠なことであり、我が国存立基盤そのものにかかわる重大な問題だ、私はそう考えております。  去る三月三十一日に記者会見をいたしましたときにも、私は同様の趣旨を申し上げてまいりましたが、政府として、そうした事態を踏まえた上で、必要最小限度措置を今回御審議をいただいておるわけであります。
  9. 二見伸明

    二見委員 私は、沖縄基地の問題で、今日こういう状況に追い込まれたことについて、若干過去にさかのぼって検証しながら述べたいと思います。  村山総理大臣使用認定をしたのは平成七年五月九日だったと思います。日時に間違いがありましたら失礼いたしますけれども防衛施設局長が直ちに裁決申請の書類作成に入りました。平成七年六月三日、四日に、所有者等の立ち会い、署名押印が行われた。平成七年六月十二日から七月七日にかけて、一都市町村長による署名押印が行われた。  ところが、九月四日にあの極めて不幸な事件が起きた。アメリカ軍兵士による野獣のようなあの蛮行、今でも思い出すたびにはらわたが煮えくり返るような、血が逆流するような思いが今でも私はいたします。  新進党は、この事態に対して、直ちにこの部分に関する地位協定見直しを要求しました。これは私と鹿野道彦さん、二人で官邸に行ったんです。よく覚えています。そのときの村山内閣の反応は、非常に鈍いというか、冷たいものを感じました。  当然、沖縄県も直ちに上京して、この問題についての厳しい申し入れをされました。私は後日沖縄関係者から聞いたんですけれども、そのときの内閣対応は、これが同じ仲間の日本人かと思うほど冷たいものだった、こう言っておりました。これが、本来ならば順調に作業が進められたかもしれないけれども沖縄県民感情に火をつけたというか、今日の事態に追い込まれた最大の原因はこの日の政府対応にあった、これは否定できません。  九月二十九日、大田知事署名押印を拒否した。しかも、条件闘争ではないと大田知事は言い切った。その瞬間、政府のやるべきことは何か。村山さんにとっては、つらいことだろうけれども総理大臣勧告など法の定める手続を着々と進める以外になかったんだと私は思う。もちろん大田知事やあるいは沖縄方々と話し合うことは、これは大事なことです。だけれども事務手続は着々とやるべきだったんだろうと私は思います。  ところが、村山さんは、何もやらないだけではなくて、絶対に代理署名はしない、政府命運をかけて話し合う、こう言った。これでは間に合いませんよ、むしろ法手続に従って着々と作業を進めてくださいと忠告をした政府高官を十月十九日、おまえの言うことは政府の方針と違う、やめろと事実上首にしたんです。  そして、首にしてから三十五日後の十一月二十二日に、やめろ、昔でいえば切腹だ、切腹を命じた人が、切腹させられた人の忠告をそのとおりやらざるを得なくなった。十一月二十二日、村山総理大臣大田知事勧告を出さざるを得なくなった。  政権の、政府命運をかけて話し合う、最後までそれをずっと履行すればいい、それが政治家でしょう。変えるなら変えて構わない、首にした人はどうするんです。あなたの言うとおりだった、申しわけなかった、大臣として入ってくれと言うならわかるよ。首をたたっ切っておいて、おれは知らぬ、こんなばかな政治をやっているから日本は笑われる。これでは、正しいことを言って、忠言耳に逆らって切腹をさせられた人は浮かばれませんわ、これは。  私は、こういう無責任なことが今日の事態に至っているんだし、それはまた、別のところで三つの点からやはり大きな問題を投げかけていると思う。  命運をかけて話し合うという言葉を信じた沖縄県民、これは失望以外の何物でもない。  アメリカ立場からすれば、超法規ではなくて、法律で定められた手続をたんたんとやれない日本とはどういう国なのか、こういう不信を与えることになる。  もう一つ国民法律を守ってもらう最高責任者、それが総理大臣だ。法律総理に課せられた行政手続という職務を、一部の反発をおそれ、つらいことだからといってやろうとしないことは、これはどういうことなんだ。結局、法律でどういうことを決めても、口当たりのいいことはやるけれども口当たりの悪い、人気の悪いことはやらぬ、そういうことになるじゃありませんか。  この一連の事件はまだ総理も御記憶に新しいと思います。だれかれを責める、言いにくいでしょうけれども、これが今日の事態を招いた大きな原因一つだと私は思いますけれども総理の御見解を承りたい。
  10. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 多少違いますのは、私の記憶では、村山内閣の際、この問題についての手続を開始したのは七年の三月三日からであったと存じます。  ところが、今議員が御指摘になりましたように、九月に至りまして、大変不幸な事件が発生をいたしました。そして、私は、当時政府がとりました対応が万全であったと申し上げるつもりはありません。殊に、発生した問題について、地位協定見直しまで求められました県側関係者の声に対し、その地位協定の範囲内でできるかできないか、できなければ地位協定見直しまで含めてやらなきゃならぬという思いが全く伝わらず、現行地位協定は動かさないという意思の方が先行した形で県に伝えられましたことは、その後の事態 を非常に複雑なものにしたことを、省庁こそ別であれ、閣内におりまして心配をいたしておりました私どもとしても痛感をいたしております。  そして、その後、でき得る限りの努力をし、軌道に乗せようとし、また県側もある程度その姿勢を変えていただき、協力もいただきましたけれども、最近に至りまして、収用委員会作業日程から、どうしても五月十四日には使用権原取得が可能になり得ないという判断の中で、必要最小限の今回改正法提出させていただかざるを得ない羽目に至りました。  そのプロセスにおいて政府として反省すべき点のあることは議員の御指摘のとおりでありますが、同時に、七年三月に手続を開始いたしました時点で、九月に不幸な事件というものが起こるという予測を持って日程を決めてはいなかった、過去三回の実績というものから、十分な余裕を持ってスタートしたものであるということはお認めをいただきたいと存じます。
  11. 二見伸明

    二見委員 私は、結局今日の事態に立ち至った大きな原因は、村山内閣の無責任態度以外の何物でもないというふうに今でも思っております。当時、村山内閣の閣僚として協力していた人、あるいは村山内閣を支える政党の幹部として協力してきた人も、その責任を厳粛に受けとめてもらわにゃ困る。この無責任態度関係がなかったのは、恐らく新進党太陽党日本共産党だけだ。そして、今大臣を出していないから、閣外に去ったからといって気楽なことを言っているようでは、沖縄の前進はないと私は思っております。  ところで、今回の合意が誠実に履行されると、沖縄基地整理縮小に向けて具体的に動き出すことになります。と同時に、日米間のきずなは深まり、日本の平和と安全、アジア太平洋の平和と安全に一層寄与することになります。沖縄のためにもいい、日米間のきずなは深まる、これが今回の橋本総理小沢党首との合意の大きな流れであり、考え方だというふうに私は思います。  当然、民主社会ですから、この合意内容についてさまざまな意見があって当たり前、賛否両論、いろいろな意見があって当たり前であります。私は、日本の平和と安全、沖縄基地整理縮小、本土移転、こうした観点からの活発な意見を伺いたいし、厳しい御批判も期待をしているわけでありますけれども、ところが、私は四日の新聞を見てびっくりした。御党の一部の中には、自社さ連立の枠組みを壊すから反対だ、随分低次元な物の見方しかできないんだなというのが私の率直な印象であります。  単に党利党略、派利派略、小沢は嫌いだ、新進党は嫌いだ、そういう貧しい発想で、それでしか物を見られない、それでしか考えられない。もしか政治がそういうものであったならば、二十一世紀の日本なんというのはつまらぬ国になってしまうと私は思う。日本の将来を見据えた各党間の議論が当然あってしかるべきだ。  総理、どう思います。よし、ここはむしろこういうふうに補強をしょう、ここはこういうふうにした方がいいだろう、いろいろな建設的な意見が出てくるならともかく、自社さ連立の枠組みが崩れるから、これは次元が低いな。自社さ連立の枠組みよりも、日本の国、日本の社会、その方が何十倍も大事だと私は思います。総理の御見解をいただきます。
  12. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、従来から、本当に重要な政策課題について基本的な考え方一つにするならば、党派、会派、個人を問わず、ともに仕事をすべき道を閉ざすべきではないということは、何回も申し上げてまいりました。まさに今、日米安全保障条約上の義務履行、それがどういう姿になるかという点で大変大事な議論をお願いをしているわけでありますし、私自身、各党各会派の御理解を得るように最大限努力をしてまいりましたし、また、これからもお願いを申し上げていきたいと思います。  私は、マスコミにさまざまな報道があることを存じておりますけれども、どこの政党にもありがちなそうした問題を、特定の政党だけの名前を挙げて嘆じてみても始まらない、お互いがそれだけのレベルでの議論をしていきたい、そう思います。
  13. 二見伸明

    二見委員 安保を容認しながら、不法状態、失権状態になってもよいと考えている方がいます。特措法に反対だという人であります。沖縄基地を失権状態に置くことによって、基地縮小など沖縄県が期待する方向で新しい展望が開けるでしょうか。これは防衛庁長官
  14. 久間章生

    ○久間国務大臣 失権状態になりますと、土地の明け渡し、あるいはまた立ち入りの要求、いろいろな問題が出てまいりまして、大変混乱する危険もあるわけでございます。そういうふうになりましたときに、現在私どもは、SACOの最終報告を受けて、できるだけ基地整理、統合、縮小、こういった方向に努力しなければならないとやっておりますけれども、こういう混乱が起きてまいりますと、またそこに新たな問題が起きることになるわけでございまして、決してそういう意味ではいいことにならない、そういうような気がいたします。  したがいまして、どうしてもその失権状態だけは避けなければならない、そういう中で今回の提案をさせていただいたわけでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  15. 二見伸明

    二見委員 四月四日の衆議院の本会議でもって社会党の某議員が代表質問に立ち、この特措法について、憲法に違反し、民主主義を破壊する暴挙だ、こうお述べになった。  政府は、別に内政干渉する気はありませんけれども、憲法違反の法律を出したと言われているところとこれからも連立を組むというのは、大変勇気のある……(発言する者あり)支離滅裂な行動だなと思います。私は、反対することはいろいろあっても構わない。憲法違反だと決めつけられて、それで連立を組むその神経の太さというか、寛容さというか、私は大変不思議に思っているわけであります。  内政干渉にならないようにお尋ねをしたわけですけれども、多少内政干渉になったかもしれぬけれども、その点はお許しいただいて、御答弁いただきたいと思います。
  16. 久間章生

    ○久間国務大臣 今回の法律案につきましては、私どもも十分に内部で検討して、決して憲法のどの条項にも違反するものではないという確信を持って出しております。議会で質問があります場合にも、その旨答弁したとおりでございます。
  17. 二見伸明

    二見委員 それはわかっている。ところが、連立を組んでいる一つの党から憲法違反だと言われて平気な顔をしている。それは私はおかしいと思う。総理はいかがですか。
  18. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、平気な顔と言われましたが、憲法違反と言われて平気な顔をしているほど私は無表情ではないだろうと思います。  その上で、どう政党政党の間の関係が形づくられるか、それは、現在内閣として御審議をいただいている法案のその内容についての問題とは別のことでありましょう。
  19. 二見伸明

    二見委員 特措法というものは、沖縄基地使用するためのものであって、沖縄基地縮小する、整理する、まして、沖縄負担を全国民が担うという立場から基地を本土に移転することを可能にする法律ではありません。したがって、今回の改正のみでは、政府は否定しているのですけれども沖縄基地の固定化につながるおそれは十分にあるのです。そんなことありませんというふうにもうずっと聞いているが、実際には、それはある。固定化につながらないためには別の手だてをしなければならないんだ。これだけでは基地は固定化するんだ。決まっているのですよ。固定化させないためには別の手だてが必要なんだ。  それで、防衛庁長官、今回の措置必要最小限度と言っている。ということは、まだ改正したい点は多々あるということですね、これは。どうでしょう。
  20. 久間章生

    ○久間国務大臣 その前に、この特措法沖縄に適用する法律だというように委員おっしゃられましたけれども、これは昭和二十七年にできた法律でございまして、沖縄復帰前から我が国全体に、要するに駐留軍地として提供する施設がいわゆる賃貸借契約で同意を得られない場合に、その残った方々土地強制使用できる法律としてできた法律でございまして、今回の改正もその法律の改正を行っているわけでございますから、沖縄だけに適用する法律でないということは重ねて申し上げておきたいと思います。  なお、今委員必要最小限と言っているからには、それ以外のことがいろいろあるんじゃないか、そういうふうにおっしゃられました。  確かに、私どもも、行政を執行する上において現在の法律だけでいいかどうかいろいろ勉強はしてまいりました。しかしながら、そういういろいろな勉強をしながらも、法律は最終的には国会においてつくっていただくわけでございますから、国会の議論の行方あるいはまた国民世論の動向、そういったものもいろいろとしんしゃくしなければならないわけでございます。  そういう中で、五月十四日のこの期限切れだけは、やはりどうしても無権原状態にはするべきでない、これは我が国のために大変なことになるということで、これ一点に絞りまして、しかも、収用委員会に今かかっておるわけでございますから、その収用委員会の権限を侵すものではなく、また、その間における市町村あるいはまた県、こういったところの権限等にも触れることなく、ただこの一点だけに絞って、その期間中だけは無権原状態をクリアさせてもらいたい、そういうことでしたわけでございます。  では、ほかにどんなのが、いろいろなことあったかとおっしゃられるかもしれませんけれども、勉強の過程においてはいろいろございました。  例えば、今回、やれ三千名の反対がおるじゃないかとおっしゃられますけれども、これは五十七年までは一人もいらっしゃらなかった。要するに、百十数名の在来地主の方がいらっしゃいましたけれども、六十二年に申請をしましたときにはこれがとにかく膨大な数に上っておった。  それはなぜかといいますと、強制収用じゃなくて強制使用がこの法律の原則になっておりますために、土地は幾らでも共有をすることができることになっております。  こういう状態になりますと、この次、今度例えばこの五年後とか十年後になりましたときには、これが一万人になるあるいは二万人になる、そういうことだって理論的にはあるじゃないか、こういうことで一体いいのだろうかといういろいろな議論はいたしましたけれども、ここでは少なくとも収用委員会あるいは県あるいは市町村、そういった権限その他についてはとにかく触れないで、とにかく我々としては、五月十四日のこの現在の状況をやはり無権原状態で迎えたならば大変なことになるというこの一点に絞って出させていただきましたので、必要最小限だということで言ったわけでございます。
  21. 二見伸明

    二見委員 その限りで必要最小限だということは、再三の御説明でよくわかっています。これですべてオーケーではないでしょう。当座はそうだけれども、本当はもっとやらなきゃならないことがあるのでしようと私は申し上げたいのです。いいですね。  実は、今回は必要最小限措置であるけれども、中長期的には、沖縄立場から考えれば、基地整理縮小、本土移転も含めたそうした仕組みをつくらなければならない、そういうことを今本気になって考えなければならないときが来ていると思うのです。だから、橋本小沢会談の三項目めでは、「沖縄基地使用に係る問題は、県民意思を活かしながら、基地整理縮小移転等を含め、国が最終的に責任を負う仕組み誠意をもって整備する」こういうことになったんだ。  私、きのうの各社のテレビを見ていました。びっくりした。御党の加藤幹事長は法律をつくることではないと。沖縄基地整理縮小、本土移転、こんな大きなことを法律の裏づけのない仕組みでできるわけないでしょう。法律をつくればそれですべて解決ではない、しかし法律の裏づけのない仕組みなんていうものは沖縄県民が信用するわけありませんよ。それをてんから、法律は要らない、法整備要らない。これはやらないというのと同じじゃないか。
  22. 久間章生

    ○久間国務大臣 いえ、決して法律をつくらないと決めつけたわけではございませんで、私もあれを見ておりましたが、この三項目法律をつくるということだというふうに言われると、必ずしもそうではないというようなことであの発言をしておられたというふうに私は受けとめました。  これは、これから先、各党各会派いろいろな議論があろうかと思いますけれども、そういうのをやはり参考にさせてもらいながら、政府としても、どういう形で沖縄のいわゆる基地整理、統合、縮小等についてやっていけばいいか。これから先も私どもも一生懸命努力していきたいと思いますけれども法律ができたからといって、逆に言えば、今委員がおっしゃられましたとおり、やはりいろいろなまた御理解がなければできない点があるわけでございますので、これが即法律である、そういうふうに必ずしもとれないんだということを発言されたというふうに伺っております。
  23. 二見伸明

    二見委員 法律が万能ではありません。しかし、法律も必要です。そのために知恵を出すのが我々の使命だろうというふうに私は思います。  ところで、もう一点、非常に基本的なことをお尋ねしますけれども、今回の改正で明らかになった問題点というのは、国の根本である防衛問題が知事や県収用委員会対応に左右されることの妥当性なんです。四月三日の予算委員会の集中審議で我が党の村井議員がこの問題を提起した。四日の衆院本会議でやはり我が党の坂口議員がこの問題を提起した。これはまさに大きな、根本にかかわる本質的な問題だと私は思います。この問題はあいまいにはできない。  一切の形容詞、修辞句を捨てて結論的に言いますと、選択肢は二つしかない。一つは、国と県で話し合ったけれども立場の違いを埋めることが最終的にできなかった。その場合に、県の立場に立って判断をする、こういう選択が一つあります。もう一つは、国と県でとことん話し合った。どうしても立場が埋められない。その場合には、安全保障にかかわる問題は我が国にとって最も基本的な大問題であるので、安全保障上の義務履行を優先せざるを得ない、最終的には国が判断しなければならない。わかり切ったことだけれども、これは意外と大事なんだ。いかがですか。
  24. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議事録をちょっと使うことをお許しをいただきたいと思うのでありますが、私自身がそうした御論議を最初に受けましたのは、やはりこの衆議院の予算委員会、御党の山口那津男議員の御質問でありました。そのときに、私は実はこういうふうなお答えをしております。  私は、こういう問題は法律制度として仕組みをつくればそれで全部解決するという種類の問題ではないという思いがいたします。なぜなら、かつて、成田空港に関連する自治体の土地収用委員方々が総員辞退をされ、補欠が選任できないという状況が生じたことがございました。仕組みをつくりましても、そこに人が要るという意味では、私は、必ずしも法律制度だけの問題だとは思っておりません。  しかし同時に、国の行わなければならない業務、そして地方にお願いをすべき業務、いわゆる地方分権の議論の中から、本来条約義務履行していく責任は国でありますから、そうした場合に対応し得るような法的な方途を検討しておくべきであったし、これからも検討をすべきであるという御指摘に対しては、私も素直にそのとおり、そうした必要性を排除するものではないということだけはお答えをしておきたいと思います。  この問題について私が最初にお答えをしたこれが答弁であります。  そして、まさに駐留軍用地特措法に基づく駐留軍用地取得に関する事務、これは、先ほど来申し上げておりますように、我が国の生存と安全を 確保する上で極めて重要かつ高度の公共性を有する米軍の活動の基盤にかかわるものであります。さらには、我が国条約上負う義務履行に関するものでありますから、本来国が執行責任を負うべき性格のものだと私も思いますけれども、それは現在の仕組みにおいては機関委任事務になっていることも議員御承知のとおりであります。  そして、そのあり方につきましては、地方分権推進委で既に第一次勧告の際に検討中とされている項目でございますから、この地方分権推進委員会からの御意見も見ながら幅広く検討していきたいと考えておる、先ほどお答えを申し上げたとおりです。
  25. 二見伸明

    二見委員 私は、四月三日のあなたの村井さんへの御答弁の中で、総理の答弁で、条約上の義務履行する責任は国にあるという視点を持つことを否定するものではない、その視点から法制度を整備せよとの意見には耳を傾けたい、今後、地方分権推進委員会からの答えを待って行動する、こういうふうに答弁されました。非常に示唆に富んだ答弁だなと思っております。そうすると、機関委任事務というのは廃止の方向で検討されているのか。  実は、機関委任事務が廃止されたときどういうことになるかというと、まだ中間的な段階なのでそうなるかどうかわからないけれども、国が直接執行するということと、もう一つは、法定受託というのですか、国と地方自治体が話し合いをしてこれをやってくださいと、これは一種の契約だ、そういうものでやる場合と二つに分かれる。その場合に、安全保障の問題にかかわることが法定受託というのになじむのかどうか。  もちろん、直接執行するというふうに決めたからといって、何でもかんでも、地元の意見を何も聞かない、お上の言うことはすべてなんだという、そんな強権的なことは、幾ら国が直接執行するとしてもそんなことはできるものじゃない。やはり総理がきちんととことんまで話し合いをするんだろう、せざるを得ませんけれども、過程の、そういう中間的ないろいろなことは別として、機関委任事務が廃止されたときには、法定受託というのではなじまないのではないか。県民意思を踏みつぶすという意味では全くないけれども、直接執行というふうにならざるを得ないのではないかというふうに考えておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  26. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、少なくとも地方分権推進委に仕事をお願いをしている、そのお願いをした責任者であります。どちらか一方に御議論を誘導するつもりもありませんし、分権委が責任を持ったお答えをお出しをいただき、その上で、その結論を最大限尊重しながらそれを現実のものにしていく責任者として、ここでそれについての意見は控えるべきであると存じます。そうした立場は、どうぞこれは御理解をいただきたい。
  27. 二見伸明

    二見委員 税の議論を前、予算委員会でよくやりましたよね。税制については、必ず総理大臣は、これは税制調査会で、税調で議論をするものですからということで答えられなかった。しかし、この国会での、この場での議論が税調の答申に反映はされますよということも、その時々の総理はおっしゃられた。最終的にどこが責任を持つのかというある面では非常に厳しい問いかけは、我々が逃げるのではなくてここで議論をする以外にはない、この国会での議論が推進委員会の方の勧告に反映されてくるものだというふうに私は思っております。  いずれにいたしましても、この特措法の改正案というのは、よく言えば必要最小限度、悪く言えば、これを改正したからといって沖縄基地の現状は何ら変化はない、好転はしない、沖縄県民期待するような方向での展開はない。それは先ほど、くどいようですけれども橋本小沢会談での合意事項を忠実に履行することによって沖縄に新しい未来が開けてくるものだというふうに私は思っておりますし、いろいろ御意見は、どこでもこの問題は御意見はある。しかし、この合意を結んだときの原点というものをお互いに思い起こしながら、安保条約上の義務を忠実に履行すると同時に、基地の中に島があると言われた沖縄の現状を本気になって変えていく仕組みをつくる必要があるということを申し上げたいと思います。  最後に、やはりこの沖縄基地の問題で海兵隊の削減問題がよく出てまいります。私は、この問題を整理して申し上げたい。  私は、海兵隊の削減、撤退、現時点での判断と中長期的な判断と、これは区別されるべきだ、今はこうだけれども中長期的にはこうなる、判断は変わることは当然あり得るというふうに思っております。また、あり得るようにしなければならないとも思っています。  まず、私は、現時点での日本を取り巻く不安定な国際情勢下では、海兵隊の存在は必要だと考えています。もし直ちに海兵隊を削減しろというのであれば、その穴を埋めるために日本が何をやるかということを明らかにしなければなりません。今、日本にその準備もないし、そういう要請もありません。現時点では海兵隊の存在は必要だと思います。  しかし、現在の国際情勢が今後中長期にわたって固定的に推移すると決めつけるべきでもありません。例えば、米軍のプレゼンスを現時点が一〇だとする。しかし、日本を初めとする各国の外交努力によって、アメリカのプレゼンスは五でもって十分軍事バランスがとれるという国際情勢になったときには、海兵隊三個のうち一個をあの地域に置いておく必要があるのか、当然アメリカ国内でも出てまいりますし、日本でも具体的な問題としてアメリカと協議できる。削減、撤退は、そういう状況になれば、これは私は可能だと思います。  それは、何年何月というふうに日限の切れるものではない。ということは、海兵隊の問題を論ずるときには、急がば回れではないけれども、まず現時点での不安定要因を消していく努力、なかんずく朝鮮半島での不安定な情勢を解消する、これを最優先でやらなければ、海兵隊の削減、撤退は、口で言うことはできるけれどもアメリカと協議する、土俵にのせる、そのための十分なこちら側の理論武装はできないと思います。  そうなると、やはり大事なのは、この地域の不安定要因を本気になって消していくという日本の地道な、真摯な外交努力以外にないと思います。そして、もし何年か後にそういう事情になり、ここに海兵隊を置かなくて済むような状況になった場合には、普天間は要らないし、あるいは海兵隊が使っていたキャンプ・ハンセン等々多くの基地が不必要になってぐると私は思います。それは、時間はかかるし、きょうあすのことではないけれども、それに向けて努力するのもやはり我々政治家の役目ではないかというふうに考えているところでございます。  大変漠とした質問、漠とした話になりましたけれども最後に、橋本総理の御見解を伺って、あるいは外務大臣の御見解を伺って、じゃ、外務大臣に御見解をいただいて、それから、結論的に同じようなことになると思うけれども総理大臣の御答弁を。
  28. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員指摘のとおり、これからの中長期的な国際情勢、とりわけ我が国の周辺地域の安全保障をめぐる状況はどうなるか、これによりまして、当然、それに備える我が国のあるいは米国その他この地域に関心を持つ国の態勢というものも、それは変化はあり得るわけでございます。そしてまた、その変化があり得る、情勢がどう推移するかを見るだけではなくて、主体的にこの地域の情勢を安定化させるための努力をしなくちゃいけない、そのとおりだと思います。  そういった意味で、私どもといたしましても、バイラテラルの関係でまず日米でよく協議しながら、それを踏まえてさらにこの地域内の国々と機会のあるごとにその安定化のための努力をしているところでございますし、また、多国間の仕組みとしても、ASEAN地域フォーラムなんというものが今信頼醸成の仕組みとして、さらに進んで予防外交の場所としての役割を増してきているところでございますので、今後ともいろいろ努力はしてまいりたいと存じます。  そして、当然駐留米軍の問題につきましても、そういった中長期的な情勢の変化に応じて、どのような防衛政策あるいは軍事態勢が適切であるかということについては日米間で協議していくものでございまして、このことは、昨年の四月の首脳会談で出されました日米安保共同宣言においても、あるいは年末の2プラス2の際にも明確に書いておるわけでございますし、我々もそういったことを進めてまいりたいと存じます。  ただ、現時点では、委員も御指摘になりましたけれども、この地域の情勢の不安定要因あるいは不確定要素というものを考えますと、海兵隊も含めまして今日本駐留いたします米軍の態勢なりレベルというものを、今それを削減とかそういったことを提起するというのは、これは適切でない、こう考えている次第でございます。
  29. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 池田さんが今述べられたことを繰り返すことになりますけれども、まさに昨年クリントンさんと話し合い、その上で日米安全保障共同宣言を発出をいたしました。そして、その中には、国際的な安全保障情勢において起こり得る変化に対応し、両国の必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について、米政府と緊密かつ積極的に協議を継続していくという文言が入っております。  そして、我々は、本当にそういう対話ができるような状況、そして、アジア太平洋地域の情勢の安定、改善を図るべく、当然ながら、二国間対話、多国間の枠組みにおける外交努力を一層強化してまいりますし、各種の安全保障対話や地域協力の促進を図るなどといった努力をしながら、この今申し上げました共同宣言の文章に沿った論議ができる状況をつくることに全力を尽くしていきたいと思います。
  30. 二見伸明

    二見委員 沖縄振興策について若干承りたかったのでありますが、時間も参りましたので、これで終わります。  この問題、沖縄振興策につきましては、後日、新進党の白保議員、仲村議員がここで総理並びに関係大臣にお尋ねをいたす予定でございますので、どうか真っ正面から沖縄の声を受けとめていただき、具体的なお答えをいただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  31. 野中広務

    野中委員長 この際、達増拓也君から関連質疑の申し出があります。二見君の持ち時間の範囲内でこれを許します。達増拓也君。
  32. 達増拓也

    達増委員 新進党達増拓也でございます。  特措法改正案に関します私の質問の導入といたしまして、セキュリタリアンという雑誌の紹介から始めさせていただきたいと思います。  セキュリタリアンという雑誌、これは防衛庁が編集協力をしている防衛庁の広報誌なわけでありますけれども、この最新号、四月号で、ちょうど五周年ということで大きい特集を組んでおります。セキュリタリアンというのは、セキュリティー、安全保障を担う者たちという意味と解しておりますけれども、私も衆議院安全保障委員会に所属させていただいておりまして、同じセキュリタリアンの仲間として、この雑誌を読むことをいつも楽しみにしている次第でございます。  このセキュリタリアンという雑誌、霞が関、いろんな省庁が広報誌を出している中で群を抜いておもしろいと思います。それはなぜかといいますと、広報誌というもの、このセキュリタリアン、防衛庁と自衛隊についてのものでありますが、ともすれば、防衛庁そして自衛隊というものが国民から遊離した、離れた存在になってしまいがち、あるいはそうしたイメージでとらえられる危険性があるということで、つくり手の側がかなり思い切って、防衛庁、自衛隊というものを開いて国民の側に迫ってくる、そういう本音がたくさん出てくる雑誌として非常におもしろく読めるものとなっております。  このセキュリタリアン、毎月、「見る者よ。きみの胸のうちを語れ」というタイトルで、有識者等に依頼して自衛隊のルポを書いてもらっております。最近、これはことしの二月号でありますけれども、佐藤健志君という作家、評論家の肩書を持っている人でありますけれども、対馬の陸上自衛隊警備隊のルポを書いております。  この佐藤健志君というのはことし三十歳になります、私よりさらに二歳年下の、私と同じ世代に属する評論家なんでありますけれども、彼が対馬の警備隊のルポをする中で、山地機動訓練という、対馬の山の中を十五キロ-二十キロの背嚢を背負って、敵に見つからないよう歩きにくい経路を歩き回る、そういう訓練に参加してあっさり脱落してしまうわけでありますけれども、その中でこういうことを書いております。  初め、この佐藤健志君はその警備隊の最前線の自衛官に、「朝鮮半島情勢や日韓関係の変化が、島の防衛・警備に影響を与えることはないか」と尋ねて、そんなことはないよというような返事が返ってきてけげんに思うわけでありますが、山地機動訓練を経験し、次のように述べております。「この薄暗い山林の中では、朝鮮半島情勢も日韓関係もありはしない。目の前に広がっている、いわば「等身大の現実」に打ち勝って、与えられた任務を遂行することがすべてなのだ。」その後、「戦争、とりわけ陸上戦は、最終的には等身大の人間同士のぶつかりあいなのだから。」と。  もちろんこの佐藤健志君は、その後担当の一佐から、朝鮮半島情勢や日韓関係の変化が与える影響ということについて、そういう上級幹部からしかるべき説明を受けるわけでありますけれども、そうした等身大の視点ということで現場の自衛官の活動についてルポしている。私は、この等身大という言葉が、実りある安全保障論議をする一つのキーワードになるのではないかと考えております。  私の学生時代、沖縄出身の非常に親しい友人がおりまして、これは一九八七年、今からちょうど十年前なんですけれども、「写真集 基地沖縄」というものが出まして、こういうすごいものが出たぞ、読め読めということで、私はその友人から「写真集 基地沖縄」をもらって読ませていただきました。そして、今でもこうして持っているわけであります。  一九八七年というのは六・二一嘉手納基地包囲大行動がとられた年でありまして、沖縄基地問題というものが非常に盛り上がったといいますか、議論を呼んでいた年であります。それはもう十年も前の話ではあるのですけれども、この「写真集 基地沖縄」を改めて読み返しますと、当時の基地問題、それは米軍兵士による犯罪等も含めまして、いまだに問題がほとんど変わっていない。十年前の写真集なんでありますけれども、あたかも今の沖縄を眺めるように読むことができるわけであります。  ちなみに、その私の沖縄出身の友人でありますが、この「写真集 基地沖縄」のほかに「WANDER」という、地元の若い人たちが出している、沖縄の社会問題についても配慮しながら若い人たちの本音を闘わせる雑誌をまた私にくれたのです。これを見ますと、沖縄の結婚式の話題などが取り上げられておりまして、沖縄の披露宴では余興に物すごい力が入っていて、同級生や友人などの余興に物すごい力を入れる、そして披露宴が最後にはカチャーシーの踊りでクライマックスを迎えていく、そういう話が載っております。  私がその沖縄出身の友人を通じて感じたのは、やはり等身大の沖縄ということであります。沖縄は地獄でもなければ天国でもない。もちろん、沖縄はいつ地獄に変わるかもしれないような、そういう危険な問題も秘めているし、また沖縄というものは天国になるかもしれない、そういう可能性も秘めているわけであります。  私たちの世代で今沖縄といえば、そして特にここ二年間の沖縄というテーマで何か思いつくことをと連想ゲーム的に考えてみますと、沖縄基地問題のこともさることながら、安室奈美恵さんという歌手が日本のミュージックシーンを席巻したこと、さらにはスピードというさらに若い小中学生の世代の歌手が出てきていること、そういうことを思いつくわけであります。  ここ二年間、沖縄基地問題が非常にせっぱ詰まって深刻化していき、につちもさっちもいかなくなっていくことと並行して、沖縄出身の歌手やアーチストが日本のそういう音楽界を席巻していく。こうした状況が、全く関係なくしかし、同時進行的に我々の目の前に立ちあらわれている。  我々の世代は、そういう沖縄というものを等身大でとらえながら、私の友人も今沖縄基地問題にこだわって国際政治研究の道を歩みましたし、また佐藤健志君も日本の民主主義のあり方について盛んに議論を展開しているわけでありますけれども、そういう等身大の議論というものが今ならできるのではないか、そしてイデオロギーの問題等が一段落してポスト冷戦に新しい世界秩序を築いていかなければならない今日、そうした等身大の安全保障論議が本当に必要とされるのではないかというふうに考えます。  そこで、日米安全保障体制であります。いわゆる安保といいますと、かつて多くの学生や市民を行動に駆り立て、例えば樺美智子さんのように、いわば安保闘争の中で戦死された方もいらっしゃいます。  ここで、先ほど紹介した佐藤健志君にまた登場していただきますが、彼は「ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義」という、これは先輩議員が耳にするとまゆをひそのそうなタイトルなんでありますが、ちなみに、この「ヤマト」というのは片仮名で書かれておりまして、第二次大戦の戦艦大和のことではなく、漫画ではやった宇宙戦艦ヤマトのことであります。彼は、我々の世代がなれ親しんだ映画やテレビ番組を題材に、そうしたものが出てくる背景となる戦後民主主義というものを深く分析しておりまして、安全保障の問題、軍事の問題について少しでも口にすれば、平和に反対するのか、軍国主義者だというようなレッテルを張られ、まともな安全保障論議ができなかった、そういうこわばった戦後民主主義について次のように結論づけております。  「戦後日本において現実に民主主義体制が存続してきたのは、戦後民主主義があったためではなく、むしろ戦後民主主義があったにもかかわらず何とか民主主義体制が存続してきたのである。」私たちの世代は、こういう問題意識を持ってこれからの安全保障、そして日本の民主主義というものを考えていきたいと考えているわけであります。  そこで、私の質問の最初ですけれども、そもそもこの日米安全保障体制が一体どういう意義を有しているのか、その安保の原点に関する質問からさせていただきたいと思います。  防衛白書によりますと、「日米安全保障体制の意義」として三つ挙げられております。一つ我が国の安全の確保」、二つ「我が国周辺地域の平和と安定の確保」、そして三つ目として「より安定した安全保障環境の構築」。日米安保体制の意義というものはこの三つであるということ、こういうことでいいのかどうか、まず総理に質問させていただきたいと思います。
  33. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいま委員がお挙げになりました防衛白書に書いてあります三点は、もとより日米安保体制の持つ大切な意味でございます。  しかし、それだけかとおっしゃいますと、委員も御承知だと思いますが、昨年の首脳会談における安保共同宣言でも明らかにされておりますように、この日米安保体制というのは幅広い日米関係全般の基盤になっている、こういう面がございます。単に安全保障の面だけではなくて、経済、政治、文化、あらゆる日米関係の、その根っこにこの安保体制があるんだという認識一つございます。  それからいま一つは、先ほど挙げられました三点のうちの第三点とある程度関係をいたしますけれども、要するに、広くアジア太平洋地域の安定に資するという観点でございますが、それを若干敷衍いたしますと、もとより日米安保条約というのは、まず我が国の安定、安全、平和を守るためにございます。それと同時に、極東地域の平和のために米軍がいろいろ行動していく、そのために日本基地等を提供する、そういう機能があるわけでございますが、それだけではなくて、さらに広い地域に、日米安保体制がここできちんとしているということが自分たちの安全のために、安定のためによい効果をもたらしている、安心である、そういった気持ちをもたらす、そういった意味での安定的要因というのがございます。  それを、例えば、総理は先般ASEAN諸国を歴訪されましたときに、日米安保体制というのはこの地域の安定と繁栄のためのいわば国際的公共財であるという表現でその意義を強調されましたけれども、この点はこの地域の多くの国から肯定的にとらえられているところだ、こういうふうに考える次第でございます。
  34. 達増拓也

    達増委員 今外務大臣の方から、日米安全保障体制の意義につきまして、政治的な文脈、広い日米関係の根っこであり、また広い地域の安定に資するものであるという、さらに広いその意義を説明いただいたわけでありますけれども、もう少し防衛白書で唱えている三つの意義について質問をさせていただきたいと思います。  まず第一の我が国の防衛に資するという意義でありますけれども我が国の防衛というときに、今日の日本の防衛にとっていかなる脅威を政府として想定しているのか、そしてさらに日本の防衛のために必要な有事法制に関する考え方、そして現在の取り組みについて伺いたいと思います。
  35. 久間章生

    ○久間国務大臣 そもそも脅威というのは、その侵略し得る能力と、そしてまた侵略しようとする意図、これが結びついて初めて顕在化するものでございます。しかしながら、この意図というのは変化するものでもあると同時にまたなかなかつかみにくい、そういうような関係から、我が国の防衛を考えるときには、まずその前提であります。その能力、ここに着目しながら、我が国周辺における軍事能力について配慮してまいったわけでございます。  このような考えのもとに、従来、防衛庁としましては、その侵略し得る軍事能力に着目して、そのときどきの国際情勢等も含め総合的に判断して、いわゆる潜在的脅威という表現を使ってきた場合もあろうかと思います。しかしながら、現在の国際情勢のもとにおきましては、このような潜在的脅威と表現することが適切な国があるとは考えておりません。  他方、我が国周辺においては、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在している中で、多数の国が経済的発展等を背景に軍事力の近代化に力を注いでおりまして、また、朝鮮半島における緊張が継続するなど、不透明、不確実な要素が残されており、安定的な安全環境が確立されているとは言えない状況だ、そういうふうに判断しているわけでございます。
  36. 達増拓也

    達増委員 日米安保体制の意義の一番最初に挙げられた我が国の防衛というのは、日米安保体制のみならず、我が国安全保障を考えるときの原点でありまして、もし仮にこの我が国の防衛のために必要でないということになれば、あらゆるものの必要性が疑われるわけであります。その意味で、防衛の対象であります。その脅威については、かなり突っ込んだ分析、そして公の場での議論が求められていくと思います。長官、潜在的脅威はないとおっしゃって、えっと私は思ったのですが、その後、不透明性や不確実性ということで、そうした脅威の存在のようなもの、認識があるということはわかりましたけれども、さらに突っ込んだ分析や対応をしていただきたいと思います。  また、その関連で、いわゆる有事法制について、これは我が国の防衛を考える上で非常に大事な問題だと思いますので、政府考え方、取り組み状況を伺いたいと思います。
  37. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほどの答弁で誤解を与えてはいけませんので。潜在的脅威も今のところない、しかしながら、不確定、不安定な状況である、そういうときに、我が国のやはり最低限の防衛能力というのを持っておかなければならないということで、自衛隊もそういう意味でおりますし、また、いざというときに対する、そういう意味での日米安全保障ということで、日米安全保障条約に基づく日米の同盟関係ができておる。これは、脅威があるからあるいは潜在的脅威があるからということではなくて、そういう脅威、潜在的脅威が発生しないように、そういう抑止力も働いておるということも理解しておっていただきたいと思うわけでございます。  それから、有事法制に対する整備の考え方でございますけれども我が国有事における自衛隊の行動にかかわる有事法制の研究につきましては、当然必要なことであり、政府でも従来から研究してきたところであります。  我が国の防衛を担当している防衛庁としては、研究にとどまらず、その結果に基づき法制が整備されることが望ましいと考えておりますけれども、いずれにせよ、単に研究にとどまらず、法制化をするか否かという問題は高度の政治判断を要するわけでございまして、やはり国会における御審議国民世論の動向、そういったものを踏まえながら対応しなければならないと思っております。  そういう意味で、このような有事法制の研究については、これまで、防衛庁所管の法令及び他省庁所管の法令についての問題点を五十六年にそれぞれ取りまとめて公表したところであります。また、所管省庁が明確でない事項に関する法令については、現在、内閣安全保障室を中心とする政府部内で検討を加えているところでございまして、これらについては引き続きやはり研究を進めていかなければならない、そういうふうに認識いたしております。
  38. 達増拓也

    達増委員 それでは、我が国を取り巻く周辺地域の情勢について、政府に伺いたいと思います。  日米安保体制の意義の二つ目が我が国周辺地域の平和と安定ということなわけですけれども、その我が国周辺地域の安全保障情勢について、これは外務大臣になるかと思いますが、政府としてどう認識されているでしょうか。
  39. 池田行彦

    ○池田国務大臣 基本的に申しまして、冷戦が終えんし大分年数がたったわけでございますけれども、このアジア太平洋地域におきましても、全体としていいますと安定化の方向への流れは見られる、こう思います。しかしながら、そういった流れがヨーロッパにおけるほど際立った形になっていない、依然として不安定要因あるいは不確実な要素が混在しているというのがこの地域の特性ではないかと存じます。それと同時に、この地域の安定あるいは平和を守っていくための多国間の仕組みというものがきちんとした形になっていない。  御承知のとおり、ヨーロッパサイドではNATOであるとかOSCEとかいろいろございますが、こちらでもASEAN地域フォーラムのような多国間の枠組みが急速にその存在感を増してはきておりますけれども、これはまだ依然として相互の信頼醸成であるとかそういった段階にとどまっておりまして、安全保障そのものについて効果的な役割を果たすまでには至っていない、こういう情勢がある。そういった中で、依然として日米安保体制を初めとする、米国を一方の当事者とする二国間の安全保障仕組みというものがこの地域の安定を守る基本的な枠組みを形成している、こういうふうに見ております。  さて、そういったことで、大きな流れはそうだけれども、あと具体的に不安定要因、不確実性があるというのは、それは例えば何かということでございますけれども、何と申しましても、朝鮮半島の情勢というものはこの地域の安定を考える上で一番大きな要素であると見られます。御承知のとおり、境界線を挟みまして、双方で百五十万からの兵力が対峙しているという情勢が続いているわけでございますし、それから、とりわけ北朝鮮の方の国内の情勢が一体どうなのかというのもいろいろ注目を要するところでございます。  しかし、この地域についても、決して不安定要因ばかりを強調する必要はございません。一方におきまして四者協議に向かっての事前の説明というのも先般行われたところでございますし、そのほかに、これは核疑惑に対する対処ということでございますが、いわゆるKEDOのプロセスも我が国も参加しながら着実に進んでいる、こういうふうに安定化に向かう動きもあるわけでございます。そういった両方の要素をどういうふうに見ていくかということだと思います。  それから、いま一つ地域的に注目されますのは、やはり中国と台湾、台湾海峡を挟んでの動きがどうなるかということでございまして、御承知のとおり、昨年前半には、中国の軍事演習をめぐりましていろいろな動きあるいは緊張感の高まりということもあったわけでございますけれども、この点につきましてはまだ依然としてこれは注目もしなくちゃいけませんけれども、しかし基本的に申しまして、中国も平和統一というラインを堅持しているということ、それから貿易とか投資とかいう民間ベースの交流では着実に中台間の動きが進んでいるようでございます。また、香港の返還をめぐって、最近では中国の福州とかアモイと台湾との間の直通の海運の船を就航させるような協議をしょうじゃないかという動きもございますので、ここにも、表面的に一方において緊張が継続しているという動きもございますが、他方においては今申しましたような動きもあるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういったことで、この地域はきちんとした安全保障を守っていく枠組みというものがいまだ形成されていないのが一つあり、そういった中で、いろいろな不確実な要素、そういう要素の中には希望を持たせるような要素もございますけれども、他方においてまかり間違えば非常に不安定な状態につながるおそれもある、こういった要素が混在しているというふうに見ているところでございます。
  40. 達増拓也

    達増委員 今の防衛庁長官並びに外務大臣の答弁を伺いますと、基本的には安定化に向けた流れがあるということで、その点では冷戦時代とは根本的に安全保障環境は違ってきている。それをそのまま単純に考えれば、それでは日米安全保障、その軍事的な枠組み、例えば基地の装備ですとか兵力の問題ですとか、これに関しても冷戦時代とは抜本的に違った態勢を考え得るのではないかということも議論できそうな感じはするわけでありますが、結論を急ぐ前に、アメリカが果たして東アジア安全保障情勢についてどう認識しているのかということを確認したいと思います。外務大臣にお願いします。
  41. 池田行彦

    ○池田国務大臣 米国も基本的には日本と同じ認識だと思います。この地域でやはり安定化へ向かってのいろいろな形での対話が進んでいる、ARFのようなマルチのものもあるいは二国間のものも含めて、そういうものが進んでおる、こう見ておると思います。  しかしながら、先ほど私が指摘しました朝鮮半島あるいは中台間の関係がどうなるかというようなところをやはり注目しなくちゃいけないと見ておりますし、さらに米国では、この地域に複数のいろいろな領土をめぐる問題もあるというようなことも見なくちゃいけない。それからまた、この地域全体として、依然として核兵器も含めた大量の武器が存在する。さらに、最近のこの地域の目覚ましい経済発展を背景にしまして、近代化ということで、各国がそういった装備の代替などを進めているけれども、それが一体どういうことになるかということも注目して見ている、こういうふうに承知しております。  いずれにいたしましても、米国におきましても、アジア太平洋といいましょうか、こちらの方面は、ヨーロッパと違いまして、安定化に向かっているとはいいましても、まだまだいろいろな不確定な要因がありますし、まだ非常にやわらかい状態でございますので、なお注目していかなくちゃいけないし、この地域にみずからも大きな利害を持つ米国の立場で、やはりそれを守るためにも米軍のプレゼンスをきちんと維持していかなくちゃいけないというのが米国の認識である、このように承知しております。
  42. 達増拓也

    達増委員 だんだん話が基地問題に接近してきているのですけれども最後に、日米安保体制の意義の三番目として、より安定した安全保障環境のためにあるということで、その関連の質問をまず先にやらせていただきたいと思います。  日米物品役務相互協定というものが結ばれておりまして、これは我が国周辺をさらに超え、国連を中心とした国連平和維持活動等に日米協力していくための基礎をなすものと理解しておりますけれども、これがそういうPKO等にどう寄与するのか、質問をさせていただきたいと思います。
  43. 久間章生

    ○久間国務大臣 これは、先般、この条約をこの国会で批准していただきまして、またそれに伴う国内法等もいろいろ改正してもらったわけでございますが、国連平和維持活動だけではございませんで、人道援助あるいはまた共同訓練、こういったことに適用することになっておるわけでございます。  そして、こういうような活動がこれから先はふえていくであろう。特に、今後国連平和維持活動等もふえていくであろうということから、自衛隊及び米軍がそれぞれの役割を一層効率的に果たしていくことを促進して、国連を中心とした国際平和のための努力に積極的に寄与することになる、そういうふうに考えているところでございます。
  44. 達増拓也

    達増委員 政府として、そうした国連を中心とした国連平和維持活動等に今後も積極的に参加していくのかどうか、それについても質問をさせていただきたいと思います。
  45. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御承知のとおり、我が国もカンボジアその他のPKOに参画いたしまして、その活動は国際的にも大変高く評価されたところでございます。  そして、現に今もゴラン高原のUNDOFに四十五名の自衛隊の諸君が派遣されておりまして、これも、現地の司令官にも私現地に行ってお会いしましたけれども、その働きぶり、大変隊内でも高い評価を受けておりますし、あの中東の地域の各国政府も、日本がこういった活動にも参画する、役割を果たすということは、大変自分たちとしても評価するところであるということを口々に言っておったところでございます。  そういった意味におきまして、今後とも、世界の安定を図っていく上で、PKOという面でも、必要なときにはきちんとその役割を果たしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  46. 達増拓也

    達増委員 日米安全保障体制の意義に関する今簡単なやりとりをさせていただいたわけでありますけれども、今のやりとりの中で、我が国の防衛、そして周辺地域の平和と安定、そして、より安定した安全保障環境をグローバルに、世界大に実現していくという観点から、まず基本的な重要性というものは冷戦時代と変わらないということは明らかになったと思います。一方で、冷戦後の環境変化の中で、その態勢のあり方については日米間でかなりきちんと密接な議論を常に行い、その中で詰めた議論の結果として、効果的な態勢というのをきちんとつくっていかなければならない、そういうことも明らかになったと思います。  いずれにせよ、この日本が国としてきちんと責任をとれる体制で日米安保体制について国内的な措置をとり、またアメリカと交渉していかなければならないということになると思います。  そこで、基地の問題であります。  そうした日米安保体制重要性、そして日米が緊密な協力をしていかなければならないということを踏まえ、現在の在日米軍施設区域使用についてですけれども、その安定的使用という観点から、果たしてアメリカ沖縄の現状をどう認識しているのか、これについてかなり不安に思っているのではないか、あるいは現行の特措法体制にかなり不満を持っているのではないかということが案じられるわけでありますけれども、その点、政府としてどう認識されているでしょうか。
  47. 池田行彦

    ○池田国務大臣 米側におきましても、先ほど来いろいろ議論がございましたけれども、現在あるいは予見し得る近い将来において、日米安保体制が非常に大切なものである。そうしてまた、そのためには日本にある基地、とりわけ沖縄基地が大きな役割を果たしていく、こういう基本認識がございます。  そうして、それは政府だけの認識ではなくて、先般、下院におきまして決議がございました。それは、いろいろな内容がございましたけれども日米安保体制が重要であるということ、そして、その面において沖縄県民方々が非常に大きな貢献をしておるということを内容としまして、これは非常に圧倒的多数をもって可決されたわけでございますが、そういった認識があるわけでございます。  そういった上に立ちまして、したがって、何とか安定的に基地提供されるような状態確保される、維持されるということが重要である、そういったことがあればこそ、昨年も、SACOを通じましてあれだけの日米の精力的な作業があったわけでございます。というのは、沖縄県民方々の貢献を称揚するだけではなくて、しかし、その裏として大変大きな御負担をお願いしているんだということは、これは米側もよく認識しております。  したがいまして、今いろいろな軍事態勢を変化させることはできないけれども、そういった中で、極力その基地整理、統合、縮小を図っていこうという努力のあらわれ、これは日米のSACOの際でありました。そのほかに、いろいろな運用上の問題であるとか、米軍が存在することによる沖縄方々の生活へのいろいろな影響というものも極力減少していこうということで、これはこれまでもいろいろやってまいりましたし、これからも、米軍もしっかり対応していこう。何しろ基地提供につき、地元の沖縄県民方々のやはり理解、これがいただけるということが、それが円滑に日米安保が機能する根底であるということは米側もよく認識しているところでございます。  それから、特措法関係につきましては、これは我が国条約上の義務として区域施設提供するものでございますから、それを国内的にどういうふうに対応していくかというのは一義的に我が国責任でございます。したがいまして、米側はそこにつきましては一々くちばしを入れるということはいたしませんけれども、当然のこととして円滑な基地提供には大きな関心を持っております。  例えば、先般来日されましたゴア副大統領も、総理との会談におきましては、この沖縄の問題について、とりわけ基地の円滑な提供について、総理の払っておられる努力に対して謝意そして評価をあらわされたと承知しておりますし、私と会いましたときも、この問題、日本が成功裏に物事を決せられることを期待しております、そういうお話がございました。それと同時に、ゴア副大統領からも、米軍並びに米国は沖縄の問題に対する対応はこれからもセンシティブにやっていく、いろいろな問題について敏感に対応していくというふうなことも言っておられたということをつけ加えさせていただきたいと思います。
  48. 達増拓也

    達増委員 私も二週間ほど前に、ある国際会議に招かれてアメリカ・ワシントンに行く機会がありまして、そのとき議会や政府関係者にいろいろ意見を聞いてみたところ、日本特措法体制の問題については基本的に日本の国内的問題だということで、大きな期待のまなざしで、日本対応を注視するというような姿勢を感じてまいりました。  そこで、国内法の問題でありますし、基本的に球は我々日本の側にあり、ここで非常に責任ある対応を迫られているわけでありますけれども、改めて政府側として、今回の特措法改正によって在日米軍施設区域の安定的使用確保される、そういうふうに認識されているのかどうかを伺いたいと思います。
  49. 久間章生

    ○久間国務大臣 安定的使用がこの法律によって確保されると言い切るほどのそういう積極的なものじゃございませんで、むしろこの法律を通していただかなかったならば、五月十四日で期限が切れて、その後大変なことになる、混乱を招くおそれがあるんじゃないか、そういう危惧をいたしておりまして、それだけはやはりぜひクリアさせていただきたい、そういう気持ちでございます。  基地の問題につきましては、やはりいろいろな角度から切り込んでいかなければならないわけでございまして、そういう意味で、昨年SACOでもああいう報告を出していただいて、これだって十分じゃございませんけれども、これを一つの区切りとして着実にやっていこうじゃないか、その中で、本土で受け持つ問題については本土でということでいろいろ努力もいたしております。  したがいまして、この法律が通れば基地が安定的に使用ができる、確保できる、そういうふうに言い切れるものじゃないわけでございます。
  50. 達増拓也

    達増委員 長官の御答弁、まさにこの特措法改正案が通りさえずればそれでいいということではないということで、先ほど来の御答弁の中にも、今回の特措法改正必要最小限のものであるという趣旨のことが述べられていたかと思います。  必要最小限ということですから、必要なことがたくさんあるうちの最小限のことを今回やるという趣旨、すなわち必要なことはほかにもまだあるんだということが言外ににじみ出ているのではないかと思うんですけれども、今のSACOの話等、具体的な話も出てきたんですけれども、その辺さらに突っ込んで、今後、米軍基地の安定的使用のために一体どういう措置がとられていけばいいのかどうか、そういう将来的な見通しも含めて伺いたいと思います。
  51. 久間章生

    ○久間国務大臣 御承知のとおり、国土面積の〇・六%のところに在日米軍基地の七五%がある。こういう問題が沖縄にあるわけでございますので、やはりこの問題を少しでも片づけていって沖縄方々の痛みを分かち合わなければならない。  そのためには、先ほどから話が出ておりますように、SACOでも取り上げました本土において分担できるものは分担していただくし、あるいはまたSACOの中で述べましたように、整理統合、その中での縮小、そういったことをやれることはできるだけやっていく。それと同時に、また沖縄振興策についてもできるだけのことはしていく。そういういろんなことをやりながら、沖縄方々の理解も得ながら、やはり沖縄に今ある、あるいは日本にある米軍基地の使いやすい環境を整備するというのは政府としては欠かせない仕事でございます。  ただ、その中で、法的な問題におきましてもいろいろあるかもしれないけれども、いろんな法的な権限その他をいじらない中で、この使用権原が無権原になってしまう、これだけはやはり何とか解決しなければならないということで今法案を提案させていただいておるわけでございますので、そういう意味必要最小限という、言い方が非常にきつい表現になっておるかもしれませんけれども、そういう大きな背景の中での一つのこれは一里塚だというふうに御理解していただければいいと思います。
  52. 達増拓也

    達増委員 その法的な枠組みのあり方の問題なんですが、先ほど二見委員の方からの質問の中にもありましたように、今の特措法の体制というもの、本来国が最終的な責任を負わねばならないそういう基地使用日米安保体制根幹である基地使用について、地方自治体あるいはそのもとにある収用委員会というものが、厳密には拒否権ではないですけれども、それに近いようなものを有する体制になっている。  先ほどの総理の答弁にもありましたが、今回のこのせっぱ詰まった状態、二年前から作業を始めて、当時予想しなかった事件の発生によってかなりおくれてしまったということではあるんですけれども、あの暴行事件でありますけれども、直接の被害者やその関係者にとっては、あれは戦争に巻き込まれたのと同じくらい悲惨な、ショッキングな、とんでもない事件だったと思うわけでありますけれども、一刑事事件であります。そういう一刑事事件の発生によって国の安全保障体制の根幹が左右される、そういう法体制でいいのかどうか。  また、先ほど総理の答弁の中で成田の例を引かれたものがありましたけれども、そういうさまざまな予期しない、しかしあり得る国内的な事情によって、先ほど来、前半時間を費やして議論をした重要な日米安保体制というものが大きく揺らぐようなそういう体制で果たしていいのかどうか、それがこの委員会に今突きつけられた問題なんだと思います。  そこで、総理の答弁の中で、きょうもありましたし、また先日の本会議の中でもありました機関委任事務見直しという件について、今、行政改革委員会、地方分権推進委員会で議論されている、中間発表が去年の十二月に出ているわけでありますけれども、その辺の経緯また進捗状況について改めてここで確認させていただきたいと思います。
  53. 東田親司

    ○東田政府委員 お答え申し上げます。  地方分権推進委員会では、国と地方の役割分担をできるだけ明確にしていくということ、それから、国と地方公共団体を上下主従の関係から対等協力関係に移行させていく、こういう観点から検討を進めてまいりまして、昨年末、十二月二十日でございますが、第一次勧告を出しました。  その際、第一次勧告では機関委任事務制度を廃止するということ、それから制度廃止後、個別の具体的な事務が地方自治法の別表ベースでは五百六十一法律あるわけでございますけれども、これの三割に当たる事務を対象といたしまして、国が直接執行するものとするもののほかは地方公共団体が引き続き担うことになるわけですけれども、これを自治事務または法定受託事務、こういう二つの区分にしたところでございます。  その際、本件特措法に基づく土地使用、収用に関する事務につきましては、この第一次勧告では結論を得られませんで、国の直接執行事務または地方への法定受託事務とすることで引き続き検討するというふうに第一次勧告に書いてございます。  現在、第一次勧告で結論を得られなかったものなど、残りの事務が多数あるわけでございますが、この検討を逐次進めている最中でございます。本件事務につきましても、今後関係方面の御意見を踏まえまして、本年前半を目途に第二次勧告をいたしたいと考えておりますが、この第二次勧告の際に、国の直接執行または地方への法定受託事務のいずれかの方向で取りまとめていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  54. 達増拓也

    達増委員 行政改革委員会、地方分権推進委員会の議論の方では、既に沖縄の、沖縄に限らず、日米地位協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法については、国の直接執行事務とするか法定受託事務とするかという方向で今調整中ということで、法的枠組みについての抜本的な改正の方向に向かっているということと理解いたしました。  この点、先ほど総理は、まず第三者機関であります行政改革委員会の方に今審議をお願いしているということで、政府の方でそれを先取りするような議論は差し控えたいという趣旨の発言をされておりますけれども、その第三者機関の結論が出なければ政府としてアクションがとれないということも、それは問題の重要性いかんであると思うわけであります。この特別委員会の議論で、国会議員の議論、そしてまた世論の方も方向性について集約していくようであれば、行政改革委員会に依頼している側から、その点について、申しわけないけれども政府としてこれについては大事な問題なので決めさせていただくという積極的なイニシアチブもあり得るのではないかと思います。  そうした意味で、今、政治のリーダーシップというものが非常に問われている重要な局面を迎えていると思います。特措法の抜本改正が成れば、国が責任を負って、在沖縄米軍基地整理縮小、移転といった問題についても国の中で責任ある対応ができるし、またアメリカとの交渉も国として責任を持って行うことができる、そういう枠組みができるわけであります。これは一つ沖縄基地問題の解決に資するのみならず、日本安全保障問題ということについてきちんと責任ある対応ができる、いわゆる普通の国になるための、PKO法案成立以来の大きい一歩になると考えます。  いわゆる戦後民主主義、五五年体制という中で、安全保障について国がいわば本来の責任を回避してきた、特に政治的なリーダーシップがそういった責任を回避してきた不完全な民主主義体制から脱して、成熟した民主主義のもとで、軍事大国化路線でもなく、また現状を固定化する路線でもなく、状況に応じて的確に対応できる、そういうしなやかな安全保障体制を展開できる政治というものを今私たちはっくりつつある、この特別委員会にはそういう意義があると思います。  その意味で、四月三日、橋本総理小沢新進党党首、両党間で合意したこの合意が歴史的意義を有すると思うわけであります。日本の改革と責任ある政治に向けての力強い一歩になり得ると考えます。  先ほど、特措法の改正については、これは地方分権の問題という側面もあるという議論がなされたわけでありますけれども、思えば、この地方分権を含む行政改革、これは橋本政権が、火だるまになってもとよく言われますが、取り組む課題である。そして、今回のこの安全保障の問題もまた、先ほど述べましたような、政治が本来の責任を回復するという意味で、そういう改革の問題と並んで非常に重要な、ひとしく喫緊に取り組むべき課題と考えるわけでありますけれども、その点につきまして、総理の所感、決意を伺いたいと思います。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど昨年の春、同じ沖縄県におきまして、楚辺通信所の一部の土地使用権原を喪失し、直ちには違法とは言えないという条件のもとでこれを継続使用をせざるを得ない時期が生じました。  そして、その時点に同様の御議論がありましたとき、先ほど国の事務、地方の事務というところから過去の答弁をそのまま引用し、私の考え方を申し述べた答弁はこの時期から既にございますということを申し上げたわけでありますが、その後、分権推進委が十二月に第一次勧告の中でわざわざこの問題について例示を挙げて調整中とされた以上、私は発言を慎むべきであろうと先ほども申し上げてまいりました。  そして、今回御審議をいただいておりますこの案件というものは、平成七年三月から手続を開始をいたしましたものが、さまざま予期しない事件に遭遇する中におきまして、過去三回の経験に照らして十分な審議時間を持って臨んだはずのものが、五月十四日の時点において使用権原切れを生じること必至という状態になり、その中で我々として、現時点においては最善の方策と考えられるものを国会に御審議を願ってきたわけであります。  私どもは、当然のことながら、今後も国の安全保障という問題につき、さまざまな角度から論議をしていかなければなりません。そして、政府立場として、地方分権推進委の御見解というものをも当然踏まえながら広く検討していく、これは御党の党首と御論議をしたときに私が申し上げてきたことと同じということを申し上げました。  しかし、いずれにいたしましても、こうした地道な角度から、国会が国と地方のかかわりというものを御論議をされたことも今まで余りなかったように思います。同時に、国際的なかかわりと国内の問題がいかなかかわりを持つかという視点での御論議をされたことも余りなかったように、少なくとも私は余りそういう立場に立ちませんでしただけに、こうした御議論は今後ともに役立っていくもの、いずれにせよ役立っていくものと思いながら拝聴をしておりました。
  56. 達増拓也

    達増委員 四月三日の新進党、自民党間の合意でありますけれども、私は、さきの衆議院議員選挙で初当選した議員、しかも議員の中でも最も若い議員の一人といたしまして、非常に失礼な言い方ではありますけれども、久々に政治のリーダーシップというものを拝見させていただいた、感じさせていただいたというふうに、個人的な感想なんですけれども、思った次第でございます。  この安全保障問題という本当に国の政治の根本である問題に関しましてそういう真の政治的リーダーシップというものが発揮されるとき、私たち、先ほど等身大の世代という言葉を使ったわけでありますけれども、等身大の世代というのは、言いかえますと、本物志向の世代でもあるわけであります。私たち等身大世代は、本物の政治的リーダーシップが発揮されるとき、そのリーダーシップを支え、その政策を実現していくことには大いに力を尽くして頑張りたいと考えておりますので、そのような方向に向かって進んでいけるよう、これは一種の個人的な誓いでもあるわけでありますが、その辺を確認させていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  57. 野中広務

    野中委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ────◇─────     午後一時開議
  58. 野中広務

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております法律案審査のため、来る九日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  61. 野中広務

    野中委員長 質疑を続行いたします。  この際、永井英慈君から関連質疑の申し出があります。二見君の持ち時間の範囲内でこれを許します。永井英慈君
  62. 永井英慈

    ○永井委員 新進党の永井英慈でございます。  早いものでございまして、昨年の一月、橋本政権がスタートしてから、はや一年三カ月経過いたしました。そして、最近、橋本政権のあるいは橋本政治の特徴というものがかなりはっきりしてきたように思われてなりません。それは、連立政権の問題点あるいは欠陥、矛盾なんかも露呈しながら、私の考えるところでは、極めて不透明な部分あるいは責任の所在が不明確な部分がはっきりしてきたと思うのです。  そこで、象徴的な具体例を三点ばかり指摘しながら質問をさせていただきたいと思うのです。  まず、ちょうど一年前になります、住宅金融専門会社の不良債権の処理策をめぐって大問題が起きました。私たちは、法治国家として法的処理が適切であるということで主張しましたが、橋本内閣は、金融秩序の維持ということを最大限に掲げて、政府・与党と金融業界が一体となって巨額の財政資金を投入して処理をしたわけです。  一年が経過した今日、その責任の所在がどうも明らかになっていない。民事的あるいは刑事上の責任がはっきりしていない。そして、それどころか、抜本的な改革の見通しも立っておりませんし、金融の危機的状況、ますます拡大する状況にあるわけです。大変深刻でございます。日本経済、金融の根幹にかかわる戦後最大の金融事件の処理策としては極めて不透明で、禍根を残したと言えるのであります。  さらに、特に今後の日本経済の危機が叫ばれる中で、平成九年度予算をめぐって、政府は財政危機を訴え、財政構造改革元年ということで、甘い経済見通しと景気判断によって増税路線を選択されました。その一方で、旧来の発想の域をやはり抜け切れず、歳出削減は見られず、予算の構成も何ら変わることなく、予算案の審議中にですよ、歳出削減は執行の段階で努力するというぐあいで、予算に対する厳しい責任意識、けじめもない形で予算が成立してしまったのであります。  また、今回の特措法の改正でございますが、日本安全保障のまさに根幹にかかわる特措法の改正でありますが、いろいろな事情があったにせよ、不手際と緊張感、責任感の欠如によって、一応従来機能してきた既存の制度では対応できなくなってしまった、そこで、まあ急場しのぎというか、その場しのぎの今回の法律改正になったと思うのです。私はまことにゆゆしきことだと思っております。  そこで、今まで指摘しました三つの重要な事柄について、橋本政治の不透明性、責任の不明確さ、この点についてそれぞれコメントをしながら、橋本政治の特徴、橋本総理政治手法あるいは政治姿勢、そういったものをまず明確にしていただきたいと存じます。
  63. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 永井議員の御質問をちょうだいするのはきょうが初めてでありまして、議員がどういう視点からこの御議論を組み立てられようとしているのか、もう一つよくわからない部分がありますが、私は、まず第一点の住専処理の問題について御指摘がありましたけれども、その住専をめぐる問題というのが我が国の不良債権問題の中で最も緊急かつ象徴的な課題でありましたこと、そして、我が国経済の安定的な発展のためにはこの問題を早期に解決することが不可欠という判断から、財政資金の導入を含む処理策を策定して国会の御審議に臨んだわけでありまして、その場しのぎという御指摘は、私は不適当であろうと思っております。  そして、御党の御主張は御主張として、国会が出した結論も御承知のとおりでありまして、私は、不適当と言われるような結論を国会がお出しになったとは思っておりません。  また、今回成立をさせていただきました平成九年度予算、医療制度改革を初めとする制度改革、幾つかの実現に努めると同時に、一般歳出の伸び率を一・五%と抑え込んでまいりました。同時に、例えば経済構造改革という視点から創造的、基礎的研究などの分野に重点的な予算配分を行うなど、例えば科学技術振興費は前年度比一一・九%の伸びでございます。そして、これは概算要求を策定する段階から官邸における主導権でこの優先順位は決めると宣言をしてまいりましたものでありまして、しかも、国民からいただく租税の範囲内で一般歳出をおさめた。  そうしたことを振り返りましたときに、私は財政構造改革に一歩踏み出したもの、そう考えてまいりました。  増税路線をと言われますけれども、所得税減税等が先行しておりましたこと、そしてその財源を埋める必要がありましたことは、議員が御承知でありながらお触れにならなかったことでありますし、同時に、引き上げました二%のうちの一%が地方財源になることも議員は御承知で、その上でお聞きになっておられます。ただ、テレビを見ておられる国民のために改めてその点は私は確認をさせていただきたいと思いますし、その意味で、我々としては、財政構造改革に一歩を踏み出している、そのように考えております。  また、今回の特措法の改正につきまして、私どもはと申しますよりも内閣は、この問題に対し、平成七年の三月、たしか三月の三日であったと思いますが、手続を開始をいたしました。過去三回に比してかかりました日数等々を計算し、通常であるならば十分な余裕を持って作業を開始していたと私は思います。  しかし、御承知のように、平成七年の九月、沖縄県において大変不幸な、思い出しても大変無残な事件が発生をいたしまして、それから状況が一変をいたしましたことも、御記憶のとおりであります。  そして、そうした中で、県との間の信頼回復にも努力をいたしながら、収用委員会作業で、期日内に使用権原が与えていただけるように、政府としては一生懸命努力をしてまいったつもりであります。  結果として、収用委員会の次の開催日すら決められない、お決めいただけないという状況の中で、日米安全保障条約体制というものを考えますときに、我が国安全保障のそれが中心でありますだけに、その条約上の義務を我々は履行する責任を負っており、五月十五日に使用権原なしという日にちを迎えるわけにいかないという、現時点における最善の手法として、この案を国会に御審議を願おうといたしました。  不手際と言われるならそれは不手際で、その御批判は甘んじて受けますが、不透明あるいはいいかげんなことをしてきたという御批判には、私は、残念ですが、くみしかねます。
  64. 永井英慈

    ○永井委員 この議論を続けておりますと時間がたってしまいますが、一点、どのような不幸な事件が起きようとも、日本安全保障根幹にかかわる重大事件にこれは発展してしまったんですね、事態に発展したわけです。これは危機管理に対して最大の配慮が欠如したことである、そういう意味で、極めて不透明であり、責任の所在が明確でないと私は申し上げたわけでございます。  次に、今回の改正は必要最小限の改正にとどめるとの考えを表明されておられますが、私は、こういうときにこそ最大限の総合対策を講じ、国民に、そして関係者に知らせるべきだ、こういう熱したときにこそ適切な対策を講ずるのが最も求められているんじゃないか、そのように考えておるところでございます。  次に、我が国の存立の基盤あるいは安全保障の基本、これは私は、政治がまず国民から信用される、これが大事だと思うのです。続いて、先ほど達増議員も触れておられましたけれども、その政治のリーダーシップによって、我が国国際社会信頼され、尊敬され、名誉ある地位を占めることに尽きると思うのです。ですから、政治責任は極めて重いと考えております。  我が国は、顔が見えない、よく言われます。政治の不透明さと責任の不明確さにやはり起因するのではないかと大変危惧しておるところでございまして、総理安全保障観、国の安全保障はどこに基本があって、どういうところに最重点が置かれなければならないか、お考えをお伺いいたします。
  65. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、大変いろいろな申し上げ方があるんだろうと思います。  議員が言われましたような、国民政治信頼しているかいないか、そして、その国民信頼をしてくださっている政治に対して周辺諸国が信頼しているかいないか、そして、その周辺諸国の中にもし信頼していないと思われる国があった、存在した場合、その国に対してみずからが守るべき、あるいは守らないでいくという選択肢もあるのかもしれませんが、守るべきものがあるとすれば、それに対してどれだけの防衛力を整備すべきか、そういった議論の立て方もございましょう。  あるいは、大きくその地域というものをとらえながら、その中にある不安定要因を数え、翻って、この日本という国がその中に存立していくために、果たして、自国一国で安全を守っていくことが可能なのか。可能であるとするならば、独力でやった場合、どれだけのものをその安全を確保するために投資することができるのか。それだけでは足りないから、他と協力をし、そこを補いという手法もありましょう。  我々の先輩方は、第二次世界大戦の敗戦、そして占領、占領の中から現在の憲法を制定され、その憲法の中においてぎりぎりの自衛力の整備を図るとともに、自国一国ですべての安全保障を行う力はないという判断のもとに、日米安全保障条約により我が国国土内に米軍基地提供し、米軍にその安全保障の相当部分をゆだね、同時に米軍は、この基地から日本の安全のみならず極東地域の安全を確保するためのプレゼンスを確保する、そうした手法を選択をされたと存じます。  そして、その選択肢のもとに、大きく昭和三十五年に安保条約の改定があり、このときは国論が真っ二つになったような騒ぎがございましたけれども、今日まで継続をする道を日本は選び、その中で沖縄返還もかち得てまいった、そして今日が存在する、そのように思います。
  66. 永井英慈

    ○永井委員 それでは、時間の制約がありますので、この際、改めて確認をさせていただきたいことがございます。  昭和四十四年の二月に、時の佐藤首相は、沖縄返還に関して、核抜き本土並みという対米交渉方針を初めて公式に表明したのでございます。そして、昭和四十七年の返還の大筋を決めました。  この核抜き本土並みとは、日米安保条約地位協定を本土と同様に適用すること、基地の機能や基地の密度についても本土と格差のない、豊かな沖縄県を目指したものと理解をいたしておりますが、外務大臣、明確に、簡潔にお答えを願います。
  67. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  いわゆる核抜き本土並み意味いかんということでございますが、それにつきまして、いわゆる沖縄国会、昭和四十六年の秋に開かれた国会でございますが、そこで当時の佐藤総理が御答弁になっているものがございます。きちんと整理されておりますので、それを読ませていただきたいと思います。  安保条約とその関連取りきめはそのまま沖縄に適用され、この結果、米軍は復帰後の沖縄においては安保条約の目的のワク内においてのみ施設区域使用が許されるのであります。また、事前協議制度も何ら変更なく沖縄に適用されますが、国益確保の見地から自主的に判断してこれに対処するという政府の基本的態度は、本土、沖縄を通じて全く変わりがございません。これらをもって政府本土並みと申し上げているのであります。こういう意味でございます。  したがいまして、委員おっしゃいましたけれども基地の集中度、集積度あたりがどうかという点につきましては、これはこのいわゆる核抜き本土並みというところでは、そういったことは言っていないわけでございます。  その点は、これまた同じ国会におきまして、当時の福田外務大臣が明確に言っておられまして、「皆さんからその基地の厚さがどうかと、こういうような御指摘もあります。」「これは直接私ども本土並みと言う問題とは違うのです。」こういう答弁がございます。  しかしながら、もとより沖縄方々がこれだけの御負担をなさっておるということは我々も深刻に考えてこれはやらなくてはいけないし、また沖縄の振興も図らなくてはいけない。しかしながら、いわゆる本土並みという言葉の定義は、今御答弁申し上げたとおりでございます。
  68. 永井英慈

    ○永井委員 それで、返還直前の昭和四十七年、サンクレメンテの佐藤・ニクソン共同声明から昨年の十二月のSACOの最終報告まで、何と二十五年の歳月が流れたわけでございますが、当時の佐藤首相、サンクレメンテのあの共同発表の中で明確に基地整理縮小、統合を最重点として言っておられるのですが、今、その目標や沖縄県民期待あるいは悲願にはるかに遠く、本土と沖縄県の基地の機能や密度には大きな格差が依然として存在しているわけであります。先ほど来から話がありましたからこの件については省略しますけれども、とにかく大変な格差があるわけです。一体二十五年間──本土はかなり進んだ、しかし沖縄は進まなかった。そして、現在沖縄に過重な負担がかかっておるわけです。  そこで、この二十五年間にもわたる返還交渉の歴史の中で、今後の整理縮小の政策のポイントが私は含まれていると思うのです、反省によって。そこで、この原因や理由をまた簡潔に御説明願いたいと思うのです。なぜ縮小できなかったのか。ぜひ外務大臣、お願いします。というのは、米側の強い意向があったのか。基地を動かさない、本土へ移転させるとか縮小できないとか、強い米国の意向が働いたのか。それとも、本土への移転が政治問題化することを恐れた歴代内閣の、無責任という言葉は恐縮ですけれども責任感の欠如とかあるいは怠慢によるものか、具体的に御説明いただきたい。
  69. 池田行彦

    ○池田国務大臣 確かに昭和四十七年の沖縄復帰後の基地返還といいましょうか、縮小といいましょうか、そういった足取りを見ておりますと、本土の方の返還の進みぐあいに比べて沖縄の方は面積的にも件数的にも少なかったというのは、これは否定できないところでございます。  沖縄返還時点で、当時の沖縄にございました基地面積の総体の二〇%、二一%に当たります七十五平方キロが返還され、そして、返還後今日まで四十三平方キロが返還されておる、こういうことがございますけれども、その結果として、その間本土におきましてはもっともっと返還が進んだものでございますから、沖縄に対する基地の集中度が、返還時点では五九%であったのが現時点で七五%になっているというのは、これは否定できない事実でございます。  その要因はいろいろございましたけれども政府といたしましても、常時、返還できる基地については返還を求めるということで日米合同委員会でやってまいりました。であればこそ、この二十五年間の間に四十三平方キロの返還というものはあるわけでございます。  しかし、それで果たして十分であったかと申しますと、私どもはやはりその努力が本当に十分であったと強弁するつもりはございません。これだけ沖縄方々に依然として大きな御負担をかけているという実態は何とかしなくちゃいけない、そういうことでSACOをつくりまして、あれだけの、今の状況の中でできる限りの基地返還縮小をしようという努力をしたわけでございまして、今回最終合意に達しました五千ヘクタールでございますけれども、それの返還を実現するようにこれからも最大限の努力を傾注してまいりたいと思います。
  70. 永井英慈

    ○永井委員 私は、なぜ縮小できなかったのか、なぜ沖縄にあれだけの負担をかけ続けたか、このポイントは二つあるような気がするのです。  一つは、くしくも昭和四十七年のサンクレメンテの会談で、時の福田外務大臣が言っているのですね。これは実は去年の九月に報道されました。「米哨戒機の本土移転 拒んだ日本」、沖縄に押しつけたのです。そのポイントは何かというと、国内に移したら政治問題化して大変なことだ。すごいことを言っているのですね。日本本土でなく、沖縄の別の基地に移すようロジャーズ国務長官に要請した。「会談記録は、福田外相の発言部分に「岩国基地は佐藤首相の地元選挙区の山口県にある」」こう言っているのです。  私は、進まなかった最大の原因が、国内で政治問題化してしまう、この政治的な配慮。表向き、建前は縮小縮小整理、移転、これを唱えながら、実は国内へ持ってきたら政治問題になって大変だ、私は、これが二十五年間の政治の本音だったように思うのです。それが一点です。これは総理お答え願いたい。感想でもいいです。  それからもう一点。佐藤政権以降ちょうど二十五年たったわけですね。橋本総理、何代目の総理ですか。──では、平成になってからでもいいです。総理、何代目ですか。とにかく二十五年間のうちに、私の数えたのでは橋本総理は十三代目なのですね。平成になって、平成八年です、八代目の橋本内閣なのです。  言ってみれば、二十五年間、政権は二年前後でみんな交代しているのですね。平成は、一年です。この短期政権、短期内閣がこの重大問題を先送りさせてしまった。言ってみれば、政治の主体性、政治の主導性、こういうものが極めて低下していた、私はそう思うのです。ですから、こういう大きな問題を解決するには、もう少ししっかりとした政権基盤をつくるようにしなければいかぬ。  そこで最後に、これも感想をお答え願いたいのですが、今の議院内閣制、先進七カ国はどうでしょう。こんなにくるくる政権は変わらないです。御承知のとおりです。今の議院内閣制にどこに問題があるか、今の日本の政界にどこに問題があるか、これも含めて総理の御見解をいただきたい。
  71. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、議員が述べられた中で、それぞれの政権が無責任に問題を先送りしたのではないと思います。私は、それぞれの内閣は一生懸命にそのときそのときの課題に取り組もうとされたと思います。それが結果として、政局の不安定のために志を得ずして途中で交代をしたとすれば、問題は途中で中断をいたします。そうしたことの繰り返しがあったのかもしれない。(永井委員「あったのですね、現実に」と呼ぶ)あったのかもしれない。  しかし同時に、それ以上に私は、この沖縄県の問題については多少かかわりを持つ機会のあった議員の一人として、我々自身が沖縄県民の抱えていたその基地の重みというものに余りにも……(永井委員「鈍感だった」と呼ぶ)鈍感というよりも、努力をしなさ過ぎたのではないだろうか。今この席に着いてから、改めて私はそれを痛感しております。  多少長くなって失礼ですが、私は、ほうりつ放されていた沖縄の問題のうちの幾つかに自分で携わってきた人間であります。例えば対馬丸、あるいは沖縄戦の、当時六歳未満で、傷を負ったまま何ら国からの手当を受けず過ごしてきた方々、既に成人に達しておられました。あるいは占領下の沖縄県の特殊性の中で国籍を異にするお子さんを持たれたお母さん、その声で児童扶養手当の交付ができるように法改正をしてきた中心でもあります。  それだけに、私は沖縄とかかわりを持ったといううぬぼれを持っておりました。総理という座に着いたとき、基地という一点に関して余りに今まで我々は考えなさ過ぎたということは、私は痛感しております。  今回のSACOの合意の中で、わずかではありますが、まさに今議員の議事録を読み上げられた中にありました岩国にKC130が移転をいたします。また、県道一〇四号線越え射撃を本土内の五カ所の射撃訓練場にぜひ協力をいただきたいとお願いをし、北海道は幸いに、鈴木議員の大変な御努力をいただく中で、曙光が見えてまいりました。他の地域については、残念ながらまだそこまでの状況に至っておりません。本当に私は、こうした点にも御協力を得たいものと心から願っております。
  72. 野中広務

    野中委員長 永井君、質問時間が終わりましたので。
  73. 永井英慈

    ○永井委員 質問時間が終わりましたが、もう戦後半世紀以上過ぎて、返還されてから二十五年以上たって、このことを、またこんな国政の最重要課題として取り組まなければならないということは、私は政治そのものに、あるいは行政そのものにかなり大きな問題点があるような気がしてなりません。  今後、先ほど地方分権の話も出ておりましたけれども日本の再構築あるいは日本の再建に向けて歴史的な努力をしていかなければいけないということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  74. 野中広務

    野中委員長 これにて二見君、達増君、永井君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木宗男君。
  75. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 総理、連日御苦労さまです。  今、永井議員から、沖縄に対するこの二十五年間の流れの中で総理見解が尋ねられまして、総理が極めて真摯に、沖縄に対し自分なりに思いを寄せて、なすべきことはなしてきたつもりでおったけれども、まだ足らざる面があったというお話がありまして、私は極めて感銘深く今の答弁を聞きました。同時に、その総理姿勢こそが沖縄県民の痛みや苦しみやあるいはつらさを必ず解決できる道に流れていく、こう信じておりますので、どうぞ総理、勇気と自信を持ってまっしぐらに本問題解決に御努力をいただきたい、こう思います。  特措法の質問に入る前に、総理、ペルーの人質問題はきようでちょうど百十一日であります。人質の皆さんの御苦労や、また御家族の皆さんの心を思うときに、私自身、本当に言うに言えない気持ちでありますが、総理、現時点でこの問題解決に向けての日本の果たすべき役割、さらなる努力をどうお考えであるか、これは、人質の皆さんやあるいは御家族の皆さんに対するメッセージのつもりでぜひともお聞かせをいただきたいと思います。
  76. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今日本大使公邸内におりますMRTAまた人質の方々、いずれもがマスコミの報道に一喜一憂しておられる状況であります。殊に、先般、キリスト教の非常に大切なお祭りを挟んだ時期、この時期に何らかの動きがあるということが大変大きく報道をされ、期待値を高め、その結果何らの変化がなかったことで、むしろ非常にがっかりさせてしまっている。そういう状況の中でありますだけに、どうぞ、細かい点につきまして、また機微を要する点につきましての御報告はお許しをいただきたいと思うのであります。  しかし、この百十一日間、この問題は片時も実は私の脳裏から離れることはございません。土曜日であれ日曜日であれ祭日であれ、必ず時間を決めての連絡があり、一喜一憂しながら私なりの指示をしてまいりました。  そして、その間に予備的対話が始まり、その中からキューバ、ドミニカの両国の協力は取りつけられることになりました。  また、さまざまな問題が、保証人委員会の方々がむしろ保証人委員会の役割を超え、あたかもその仲介者のような努力をしていただいております中で、問題としてははっきりいたしてきております。その上で、残念ながら、ペルー政府とMRTAの間が埋まったかというならば、埋まる状況ではまだございません。  本日、ちょうど本委員会の休憩時間を利して、ペルー国会のホイワイ議長と真剣な議論をさせていただきました。当然のことながら、我々は、フジモリ大統領を信頼し、ペルー政府信頼し、平和的に一刻も早く解決のためにペルー政府努力をし、保証人委員会が働きやすい環境をつくっていただけることを願っております。その中において、日本が今まで既に果たしてまいりました役割、また今後果たすであろう役割についても、それなりの整理はいたしております。  しかし、こういう状況の中で、今、肉体的にも精神的にも健康上問題はないと、中に入っておられる医師の方々からの報告は受けておりますが、人間の緊張がそう長く続くものではありません。私は、もう余り長い時間をかけているゆとりはなくなりはしないか、今それのみが心配であります。
  77. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 まさに今の総理の答弁に尽きるかと思うのでありますけれども総理、こういった問題が起きますと、すぐ、政府は何をやっているんだ、あるいは外務省は何をしているかという批判をいただくわけであります。私は、批判は批判として結構なんでありますけれども、少なくとも、あの外務省のオペレーションルームに行きますと、二十四時間体制でしっかりとやっておられます。中には、健康休暇で帰ってきながらも急遽駆り出されて休みもとれない職員もいるわけなんであります。同時に、絶対数が足りないものですから、在外公館から応援を頼んで今やっとローテトションを組んでいる実態であります。  私は、ぜひとも総理にお願いしたいのは、今の外務省の外交体制でも、見ているときに、職員の数の絶対数が足りない。外国に比べても極端に落ちております。アメリカなどは二万四千人の外交官、フランスで一万三千人、イギリスで七千百人であります。ドイツで九千五百人、イタリアで五千三百人、カナダで五千四百人、我が日本は五千人であります。余りにも私は、情報が少ないとか足りないとか批判を言う前に、精いっぱいやっても負い切れぬだけの今の外務省の仕事量であるしまた状況でないかと思っているのです。  そういった意味で、行財政改革に私は大賛成でありますし、何としてもなし遂げなくてはなりませんけれども、外交とか防衛だとか、あるいは教育とか治安とか、国家の基本に関する問題については、ぜひとも総理、これはお考えおきをいただいての予算執行なり配慮を賜りたいと私は思いますが、総理見解をお尋ねしたいと思います。
  78. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、このペルーの事件が発生をいたしましてから、外務省の、特にスペイン語の諸君にかかっておる負担、恐らくそれは当委員会におられる各委員の御想像を超える過酷なものであると思います。そして、この点を御指摘をいただきましたことにお礼を申し上げます。  ただ、私は、今問題として思うのは、それでもまだスペイン語の場合には、ある程度の層が存在をした。ですから、在外から呼び返してもチームを組むだけの余力があった。しかし、もっとその言葉の使われる国の少ない、いわゆる特殊語学の分野に入って、その地域に何らかの問題が発生したときどうなるだろうと思いますと、これは本当に心配であります。  大変恐縮ですが、ちょっと一分間だけ下さい。  かつて、昭和天皇御大喪の礼の際、各国から弔問使が次々に日本を訪問されましたとき、当時、自由民主党は、全国会議員が手分けをし、それぞれの国に対し礼を尽くそうといたしました。外務省の諸君も必死でそれをカバーしてくれました。しかし、残念ながら、一つの課が十幾つの国を抱えているといった地域が何カ所も存在し、その国自身の言葉を使える方が外務本省にいない。任国から呼び返す、あるいは非常な無理をしてこの態勢を組んだわけであります。  残念ながら、特殊語学を含めまして、我が国の外交体制の中に、バランスのとれたそれだけの、しかも、何らかの問題が起きたとき、それをカバーするだけの数がない、この御指摘は今後とも大事にいたしたい、そのように思います。
  79. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 ぜひとも総理、国家の基本に関する役所あるいは仕事に対しての配慮というものをお願いしたいなと思います。  特措法関係に移らせていただきますけれども総理、この今回の一部改正が、これは沖縄県のみを対象とする差別法である、あるいは、試合続行中にもかかわらず新しいルールづくりを、言ってみれば、これはとんでもない話だということが沖縄の方からも伝わったり、また、日本のマスコミ等でも報じられるわけであります。私は、これは全国法であって、決して差別法ではないという見解を持っておりますけれども、具体的に政府としての考え方を説明をしていただきたい、こう思います。
  80. 久間章生

    ○久間国務大臣 この法律は、委員御承知のとおり、本当に、我が国として米軍に対する条約上の義務を果たさなければならないわけでございますので、そういう点で、その土地について合意が得られない、そういう方々に対して一つの法手続がございまして、それに従ってやっておるわけでございますが、それが、御承知のとおり、予測しがたいようないろいろな事案がございましたために長くなってまいりまして、五月十四日に切れてしまう、もし切れてしまったならば大変なことになるというようなことで、これを何とか暫定使用をさせていただきたいということで法改正しているわけでございます。  よく、試合の途中でのルール改正じゃないかとか、土俵際まで来てその枠を広げるんじゃないか、そういうようなことをおっしゃられる方がございますけれども、そういうようなことに例えることすら大変私は問題だと思うぐらいに、これは我が国にとって外交上大変な信用の失墜になることであるから、何とか法的に手だてをさせていただきたいということでお願いしているわけでございますので、ぜひひとつその点を御理解いただきたいと思います。  この法律を、もし、こういうことになりまして権限がなくなってしまいますと、立ち入り請求がありますとかいろいろなことが出てまいりまして、我が国にとって大変なことになるということでございます。これにつきまして、今までのいろいろな政府がやってきたことが後手後手に回ったじゃないかという御批判は、それはあろうかと思います。しかしながら、やはりそういう中で、この時点ではもうこれしかないということでお出ししているわけでございますので、ぜひひとつその点御理解の上、よろしくお願いいたします。
  81. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 防衛庁長官、そもそも賃貸契約してくれれば問題ない、しかし、賃貸契約がされない場合もあると思ってこの法律はスタートしているわけですね。何も今急に出てきたわけでもない。過去の経緯もあるし、同時に、これは昭和三十七年までには本土で五十件の契約があったことも、これは事実でありますね。この点、やはりもっと国民にわかるように過去の経緯等の説明をやってもらいたい、私はこう思うのですね。  そこで、防衛庁長官……(発言する者あり)後ろで不規則発言がありますけれども、質問しているのは私でありますから、ぜひとも私の質問が終わってからやっていただきたい、こう思います。  今回のこの特措法の一部改正がなぜ必要なのか、同時に、改正されない場合どんな懸念が生じるか、さらには、無権原状態になった場合どんな問題が発生するのか。きょうはこれはテレビ中継でありますから、国民の皆さんにぜひともわかりやすく説明をいただきたい、こう思います。
  82. 久間章生

    ○久間国務大臣 さっき申しましたように、この法律がもし改正されませんと、五月十四日までに土地についての使用する権原が政府としてはなくなるわけでございます。ところが、我が国アメリカ軍に対しては、日米安保条約を結んでおりまして、その条約で結んでおる施設区域については提供しなければならないという義務がございまして、そういうことで今提供しておるわけでございます。  したがいまして、米軍にしてみれば管理する権限が与えられておるわけでございますから、それは管理する権限はある。ところが一方、我が国の方は、今度はそれを提供する義務を負っているけれども所有者との関係ではその権限がなくなってくる、そういうことになるわけでございます。  ただ、そういう方だけならいいですけれども、楚辺の通信所の場合は、幸いに知花さんと和解が成立しまして、あのような形で平穏裏に一応経緯が推移しております。しかしながら、今回は三千人に上る方がおられるわけでございまして、そのうちの二千九百人の方々については、これは一年前から一生懸命施設局の全国の職員がずっと回りました、ずっとお会いしました。しかしながら、そのうちの八百人以上の方とはお会いすることすらできなかったわけでございます。  そういうことを考えますと、知花さんの場合のときと違って、これがもし無権原状態になったら一体どういうことになるのか。もちろん、明け渡し請求もあるでしょう、あるいは立ち入り要求が出されることもあるでしょう。そうなりましたときに、我々としては、国としては法的にはそれを拒むことができない。一方、米軍にそれを、こういう要求があったから立ち入りをさせてくれ、そういうことを頼むことすら、今度は嘉手納飛行場あるいは普天間飛行場のど真ん中でございますから、大変問題があるわけでございます。  そういうようなことで、知花さんの場合と違って今度は大変なことになるということで、何とかこの無権原状態を避けたいということでやっておるわけでございます。  それで、先ほど委員が御指摘になられましたように、これは沖縄に対する法律じゃございませんで、昭和二十七年から我が国駐留軍用地について適用している法律でございます。それで、五十七年から沖縄には適用したわけでございますけれども、本土では今全部の方から同意をいただいております。  しかしながら、これから先、将来的に絶対ないかというと、それはあるかもしれませんけれども、今の段階では、本土では一人も反対しておられませんから結構なんです。沖縄の場合では、百十三人の在来地主の方とそれ以外の一坪共有地主の方とが反対しておられまして、そういうことで、これはとにかく法律によって処理する以外になくなったというような状況になっているということでございます。
  83. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 総理、今回のこの特措法提出に至る経緯の中で、私も振り返って考えますときに、平成三年の五月二十八日、今の大田知事は公告縦覧代行の苦渋の決断をしてくれました。そのときの政府の約束といいますか、一つの担保として、関係省庁十一省庁で連絡協議会をつくって、そこで、沖縄については何ができるか、同時に、基地問題について誠意ある回答を示していきましようという一応協議会は設置されたのです。平成七年の八月までに八回ぐらいの会議が開かれたように聞いていますけれども、その間、運営の方法だとか、あるいは協議の中身だとか、具体的成果について知事に対する報告だとか、さらにはまた見るべきものがなかったという不満が知事サイドにあるという話も伝わってくるのです。  私は、これはやはり、私も含めて反省しなくてはいけないのかな、約束を守らなかった、一生懸命やった姿勢はあったけれども具体的な成果がなかったというのがこれまた相手にとって不満であるとするならば、これは考えなくてはいけないことかな、こう思うのであります。この点で私は政府側にも反省すべき点が若干あるのではないかという感じを持つのでありますけれども総理のお考えはいかがでしょうか。
  84. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 過去の経緯を調べましたとき、議員の御指摘のようなケース、これが非常にさまざまな波紋を今も残しているということ。言いかえれば、その前回の公告縦覧手続に関しまして、平成三年五月、知事から御協力をいただきました際に、その知事の誠意にかんがみ、当時国からお示しをした基地整理縮小への努力などについて、自来できる限りの努力というものは私は払われてきたと思いますけれども、その結果について必ずしも知事から御満足がいただけるものではなかったということも聞いております。  立法府におかれては、その間、駐留軍用地及びその跡地が広範かつ大規模に存在する沖縄県の特殊事情というものにかんがみ、駐留軍用地返還に伴う特別の措置に関して、跡地の所有者に対する給付金の支給などを内容とする駐留軍用地返還特措法平成七年五月に議員立法という形で制定をいただきました。これはお礼を申し上げなければならないことでありますし、こうした御努力をいただきながらもなおかつ県に不満を残した、これは私どもも当然のことながら考えなければならないことだと思います。  ですから、実は内閣としてつくりました組織、これは官房長官をヘッドに関係する全閣僚、これに知事さん御自身がその構成員となるごまかしようのない組織をつくり、今も作業をしていただいているわけでありまして、過去そのような県側の不満を招くような事態がありましたことは申しわけないと思います。
  85. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 今の総理の答弁を聞きながらも、逆に総理がそのことを踏まえてまた前向きで取り組んでいくというお気持ちがわかりますので、このことをまた我々も国会議員として沖縄の皆さん方に強く訴えていきたいものだ、我々も一生懸命取り組んでいきますよということを、あわせて共通責任としてやっていかなくてはいけないな、こう思っているのです。  同時に、今総理からもお話のありました平成七年五月、いわゆる軍転法の改正でありますけれども、あのときの委員長は私でありますので、この点、きょうは上原委員も御出席でありますけれども、本来上原先生が議員提案しておりました、それに私が委員長提案という形で、さらに土地を売っても三年間は補償しますよという、これまた財政厳しい中で財政当局にも極めて御理解を得てやった話でありまして、この点なんかは私は少なくとも沖縄の皆さん方に御理解の得られた一点かな、こう思っているのです。(発言する者あり)
  86. 野中広務

    野中委員長 静かにしてください。
  87. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 ただ、その認識総理がしっかり踏まえておったことに私も敬意を表しながらも、これまた私も、沖縄問題にしっかり取り組んでいきたい、こう思っております。  外務大臣にお尋ねしますけれども沖縄の海兵隊が我が国の防衛のために存在しているのではないという議論が一部にあります、私はそうは思っておりませんけれども。海兵隊は、当然のことながら、我が国の防衛及びアジア太平洋地域の安定のために重要な役割を担っていることは、これは事実であります。同時に私は、日米安保条約のおかげで今日本が経済大国として世界第二の地位まで占めるようになった、こう思っているのですが、この点、海兵隊の役割、責任について具体的に御説明をいただきたい、こう思います。
  88. 池田行彦

    ○池田国務大臣 沖縄駐留いたします米海兵隊も、他の駐留米軍と同様に、安全保障条約に基づく米側の責務を全うするために駐留しているわけでございます。そして、当然のことでございますが、安保条約上の責務あるいは目的というのは、まず我が国の安全を守る、それが第一であり、第二に極東地域の平和、安定のためにも役立っていく、こういうことでございます。そういう役割を果たすための海兵隊をも含めた米軍駐留である、これが第一でございます。  そして、海兵隊の果たす役割ということでございますが、委員も御承知のように海兵隊というのは、地上兵力と、それからあるいはヘリコプター等の空中の能力、それからさらにそれを支える後方支援の能力、そういったものを一体的に運用するというところに特徴がございます。そして、それが持つ機動性あるいは即応性というところが特徴でございまして、これは先ほど申しましたような我が国の安全を守る上で、また極東地域の平和を守る上で、何かそういった緊急の事態が生じましたときに一即時にその現場に参りまして対処する、そういうところに大きな役割があるわけでございます。  それと同時に、一部に、いや別に沖縄にいなくてもいいじゃないか、米本土でも、あるいはハワイ、グアムでもというあれもございますけれども、やはり海兵隊の一番の特徴でございます機動力あるいは即応性、そういった観点から申しまして、やはり米本土と沖縄ということになりますと、その移動に相当の日数を要します。そういった意味でやはりこの地域に存在することが意義があるということでございます。  また同時に、我が国の本土と沖縄というところを比べますと、極東のいろいろな地域あるいは我が国も含めてでございますが、そこから遠くはないけれどもある程度の距離があるということで、いわゆる縦深性と申しましょうか、縦に深さを持っていろいろ対応できる、そういう利点もある。  こういったことで、まだ今の不安定要因、不確定要素を持ったこの我が国周辺の国際情勢の中で、海兵隊の存在というものは非常に意味があるんだと思います。  そして、ただいままで申しましたような、現実に対処するという想定で物を申しましたけれども、そういう能力のある部隊がここに存在するということが、いわば抑止力となってこの地域全体の安定要因にもなっているという、この効果も非常に大きいということを申し上げたいと存じます。
  89. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 今外務大臣がお話しされたこの地域における不安定要因というのは、私は朝鮮半島を指すと思うのでありますが、しからば外務大臣の今の認識として、朝鮮半島の動向はいかがなものか等を御説明をいただきたい、こう思います。
  90. 池田行彦

    ○池田国務大臣 もとより、この地域における不安定要因は朝鮮半島に限るわけではございません。ほかにもいろいろありますけれども、その中で最も目の離せない情勢というのが朝鮮半島であるということはそのとおりだと思います。  御承知のとおり、現在北朝鮮でいろいろな動きがございますし、また南北間あるいはその他の諸国、関係国も含めてのいろいろな動きもございます。  まず、北朝鮮の国内情勢でございますが、食糧、エネルギーを中心といたしまして経済的に極めて困窮しているということは、これは否定できないと存じます。しかしながら、そのことが直ちに社会的なあるいは政治的な大きな変化に結びつくかと申しますと、まだそこまでは見通せない。  確かに、先般の黄長燁書記の亡命事件というのもございました。あるいは軍部の幹部の交代というようなこともございます。しかしながら、全体として見ますと、金正日書記が政治全体の指導力を持っているといいましょうか、それを統括しているようでございますし、今直ちにそこに大きな変化があらわれるとは思えない、こういう情勢でございます。  さて、それじゃ国際社会との関係はどうなるかという点でございますけれども、御承知のとおり、昨年の四月、クリントン米大統領と金泳三韓国大統領との共同提案に成る四者協議というものがございます。これを早く再開させるということが何といいましても半島情勢の安定化を進める上で今一番大切なことだ、こう思っております。なかなかこれに北朝鮮は応じてこなかったわけでございますが、ここに参りまして若干の変化の兆しがあるのかな。  御承知のように、その四者協議の事前説明というのが行われまして、これまで四者協議の枠組みについて話をしながらも、要するに米国とだけ話をするのだ、韓国は外すのだという姿勢が顕著であったのが、若干そこに変化が見えてきておると思います。あるいはこれは北朝鮮の国内情勢の窮迫度、それが一つ原因になっているかとも思われますが、そういったことでございますので、私どもとしては、今この四者協議が早く始まることを期待し、日本としても必要な場合にはそれに対応したい、こう考えているような次第でございます。  それから、もちろん核疑惑の問題に対処するためのKEDOのプロセスも、今調査団が行っておりますが、これも進めていかなくちゃいけないと思います。  そういったふうに、国際社会との関係で少しいい方向へ展開する兆しもないではございませんけれども、しかし、全体としてはその歩みは遅々たるものでございます。それから、依然として軍事境界線を挟みまして双方で百五十万からの兵力が対峙しておりますし、しかも北朝鮮、ああいった苦しい状態であるにもかかわらず資源を軍事の方に優先的に配分しております。軍事費は、はっきりした統計はございませんが、GNP比で二十数%とも、三〇%に及ぶという見方もあるわけでございますし、そしてまた地上兵力だけでも百万を超えるものの相当部分、三分の二ぐらいを境界線近くへ展開しているという態勢も変わっていないわけでございます。  そういったことを考えますと、一部にいい兆しは見えますけれども、なお極めて不安定であり、そして不確定要素が多過ぎますので、我々としても、よくこれからの事態の推移に目を凝らしながら、そうして兆しの見えてきたいろいろな環境改善への動きに、我が国としても役割を果たせる部分は果たしていかなくちゃならない、こういうふうに考えている次第でございます。
  91. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 外務大臣、今、北朝鮮の動向の説明があったわけです。  しからばお尋ねしますけれども、この朝鮮半島で将来的に情勢が好転したならば、沖縄の海兵隊の削減は可能であるという認識を持っているかどうか、お知らせをいただきたいと思います。
  92. 池田行彦

    ○池田国務大臣 もとより、現在の在日米軍の態勢なり、その員数といいましょうかレベル、これは、中長期的な国際情勢、とりわけ安全保障環境の変化に応じてこれは変わり得るものでございますし、私どもとしても、長期的にはそのような好ましい安全保障環境が実現するように外交努力はしていかなくてちゃならぬ、こう思っております。  しかしながら、現時点で見まして、近い将来にそういった大きな変化が出てくるか、海兵隊も含めて在日米軍の数をドラスチックに変えるような変化が見えてくるかといいますと、私はそうは言えないと思います。  それから、北朝鮮のあり方あるいは朝鮮半島の情勢がこの地域の安全保障環境にとって大きな要素であることは事実でございますが、それだけではないということは先ほども申しました。ほかにも注意しなくちゃいかぬ面があります。  それから、同じように、半島情勢が変化したとしても、それがこの地域の、他の地域、その周りの情勢がどういうふうになっているかということによってその持つ意味は随分違ってくるんだと思いますね。  それからまた、安全保障を守っていくいろいろな仕組み、今はこの地域では、米軍のプレゼンスを中心にして、米軍が一方の当事者となる二国間の同盟関係日米安保体制であるとか米韓の関係であるとか、そういったものが基本的な仕組みになっているわけでございますけれども、そういったものが将来多国間の仕組みに変わるかといいますと、委員御承知のとおり、そんなに近い将来そういうものができる状態ではない。  そして、ASEAN地域フォーラムのような信頼醸成を高める枠組みは、確かに今その役割は増大してきてはおりますけれども、それがあるから二国間の実力を伴った安保の備えを軽減できるという状態にもまだなっていないということでございます。  私ども、もとより在日米軍の軍事態勢に変化が可能になるような情勢をつくるための主体的な努力もやってまいりますけれども、近い将来においてそれが、今見通せるかと申しますと、簡単には見通せない。朝鮮半島の情勢が、例えば四者協議が動き出したからすぐ何か米軍の数に変化があるというものではないということは、コーエン新国防長官も発言されたという点もございますけれども、その点については、私もそういうふうに考えております。
  93. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 外務大臣、かつて、あれは平成三年ですか、よもやと思ったソ連が崩壊して、今自由主義ロシアであります、市場経済ロシアであります。これぐらいドラスチックにまた政治は動くときもありますので、私は、北朝鮮の動向だとかあの朝鮮半島の動きも、まさに目が離せない、こう思います。同時に、北朝鮮をも国際社会の一員に入れていくことがこれまた平和だとか安定につながっていく道でもありますから、日本の外交努力というものをしっかりやっていただきたいと思うのです。  そこで、外務大臣、時間がありませんから端的に答えてほしいのですけれども、北朝鮮に対する米の支援はあるかないか。国際機関、WFPだとかDHAがそれぞれ、食糧不足だ、いや百三十万トン足りないとか言っていますけれども、私は政治家として、あの少女拉致事件等、さらには黄書記の亡命問題だとか、機微な問題が出ている北朝鮮でありますから、軽々に食糧援助をすべきでないというのが私の基本的な考えなんですね。そういった意味では、外務大臣としてどう考えておるか、お知らせをいただきたいと思います。
  94. 池田行彦

    ○池田国務大臣 今すぐにも出そうということで検討しているわけじゃございません。しかし、いろいろな条件を考えながら対応していかなくちゃいけないと思っております。委員も御指摘になりましたように、朝鮮半島の安定を図るということは我が国安全保障という観点からもやはり大切でございます。そういったことはひとつ大切にしなくちゃいけない。  しかしながら一方において、委員の御指摘になりました人道にかかわるいろいろな疑惑の問題、事件の疑惑が今随分出ておりますね。そういったものの解明が何ら進まないままに、幾ら別の意味の人道的観点とはいえ食糧支援をしてもいいのか、釈然としないというお気持ちが国民の中にあるということも私ども考えなくちゃいけない。もちろん、直接にこれを結びつけて政策決定するということはちょっといかがかと存じますけれども、それもそういったことを背景として考えなくちゃいけないと思っております。  それといま一つは、北朝鮮の食糧不足というのは、今百数十万トンとか、見方によっては二百万トンとか、非常に大きな規模になっているのですね。ところが、今国連からのアピールというのはせいぜい一けた下のものでございますから、食糧問題を含めて本当に北朝鮮の安定化を図るためにどうするかということになりますと、単に今のWFPとか国連人道問題局のアピールに応ずればいいという話じゃない。これは我が国だけじゃなくて、韓国や米国等々、関係当局ともよく相談しながら進めなくちゃいけないと思います。  だから、私どもといたしましては、そういったもろもろの要素を勘案しながら慎重に対応してまいりたいと思います。
  95. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 この人道支援というのは、国連機関、国際機関がアピールを出した場合、日本もその一員としてそれなりのまた責任が回ってくるのは当然であります。ただ、少なくとも日朝関係の改善をしたいと言うならば、日本立場もしっかり言って、こういった拉致問題も解決しなさいよ、情報提供もしなさいということを言いながら、逆に食糧援助なんかは戦略カードとして使った方がいいのでないかという認識を持っているということもぜひとも頭に入れて交渉に当たっていただきたい、私はこう思います。  総理沖縄における米軍の機能を本土に移転するということで約束をされました。県道一〇四号越えの本土五カ所での実射訓練なんかもまたその典型かと思いますけれども、こういった問題はやはり本土の皆さん方の理解を得なくてはいけません。理解を得るための政府としての努力、さらには方策、予算等で措置もされておりますけれども、お知らせをいただきたい、こう思います。
  96. 久間章生

    ○久間国務大臣 委員指摘のように、本土の方にKC130を移転するということで、これは岩国の基地の方に移転することがほぼ決まりました。また、一〇四号線越えにつきましては本土の五カ所の演習場で行うということで、これはたしか村山内閣のときだったと思いますけれども、そういうふうに決められまして、今私どもが一生懸命取り組んでおるところでございます。  しかし、なかなか難しい、当時は反対が物すごくあったわけでございますが、鈴木委員本当にいろいろとお骨折りされまして、何とか曙光を見出していただいた。それがきっかけになりまして、やはり沖縄がこれまで戦後一貫してあれだけ苦しんできたのだから、本土のうちでたった十日以内の、しかも総射撃日数の中でやるのだから、これはやはりなかなか断るわけにもいくまいという空気が他の地区でも出てまいりまして、今勉強会と称したりあるいはまた理事会と称したり、いろいろな形で前向きに動いております。  できますれば四月に入りましたらと思っておったわけでございますけれども、いろいろとまだ手続がかかっておりまして、もうちょっとかかりそうでございますけれども、何とか平成九年度にはやることができるようになるのじゃないか、今そういう希望を持ちながら最後努力をしておるところでございます。  これまでの御努力に対しまして、本当に心から感謝申し上げます。
  97. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 防衛庁長官、例えば本土での日程ですね、具体的にいつやるのだ。例えば、私のところの矢臼別ならばいつごろを希望してやるのか。これはまた地元もいろいろ態勢をとらないといけませんし、話もしなければいけないのですね。そのスケジュールはどうなっているか。
  98. 久間章生

    ○久間国務大臣 細かいスケジュールは施設庁長官からも示してもらおうと思いますけれども、実を言いますと、今一番困っておりますのは、各自治体が、うちがトップではやりたくない、そういうような感触をどうもお持ちなんですね。だから、余りスケジュールを決めるようなことじゃなくて、皆さん方、とにかくしょっていただこうということをまず決めていただくのが先決だというようなことでやっておりますので、なかなか具体的なスケジュールまではちょっと出し切れぬかと思いますけれども、現在までの進捗については施設庁長官からやらせます。
  99. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 大臣、うちがトップで嫌だというのは、よその地区ではあるかもしれませんけれども、私のところは受けますから。これは逆に、また地元で一生懸命やっている者ががっくりきますので、言葉がひとり歩きするとまた進むものも進まなくなりますから、この点明確にしておきたいと思うのですね。その点、ちょっと答弁しっかりしていただきたいと思います。
  100. 久間章生

    ○久間国務大臣 いや、ちょっと私の言葉が舌足らずでございまして、要するに、矢臼別を除いて、次はうちがというようなことじゃなくて、みんな横並びで議論しておられるわけなんですね。だかち、私の表現の仕方もちょっとなかなか言いにくい点があるわけですけれども、要するに、今言ったような調子でございますので、どうかひとつ、もうしばらく推移を見守っていただきたいと思います。
  101. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 我が党としても、五カ所に各国会議員を、世話役みたいな人を張りつけて頑張っていますから、これもまた、防衛庁、施設庁も自信を持って進めていただきたい、こう思っております。  総理、三月二十五日に大田知事会談されたわけですけれども、そのときは普天間飛行場の代替海上施設にかかわる調査実施について正確な結論は得られなかったわけでありますけれども、四月二十五日に予定されている日米首脳会談までに名護市等からの了解は取りつけられるかどうか、この点、現時点での見解をお知らせいただきたいと思います。
  102. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 この普天間飛行場の代替ヘリポートであります海上移設案、これは、本当に知事から切々と訴えられ、町の真ん中にある普天間という飛行場で事故が起きたときの恐ろしさを言われて、全く自信がない中から取り上げ、日米政府として真剣に考えた結果としての撤去可能な海上移設という考え方を打ち出しました。  そして、そのためにも、どこならできるという調査をさせていただかなければなりません。去る一月二十一日、那覇防衛施設局長から、関係の名護市、沖縄県及び沖縄県漁業協同組合連合会に対して協力要請をさせていただきました。名護市の方からは、県と一緒であれば話を聞くというお返事をいただきまして、県にもぜひ御同席を願いたいということは繰り返し防衛施設局の方からお願いを申し上げております。また、これについての、こればかりではありませんけれども、知事にぜひ御協力をというお願いは今までもしてまいりました。  これは、この普天間のヘリポート移設の問題だけではなく、SACOの関連事項、これを実現をさせていきますためには、何といいましてもやはり県にも御協力をいただかなければなりません。ちょうど、この代替ヘリポート建設の調査開始につきましては、三月二十五日、大田知事にお目にかかりましたときにもお願いを申し上げました。残念ながら、その際におきましても、知事から積極的な回答をいただくことはできておりません。  しかし、いずれにしても政府としては、これはできるだけ早期に調査工事には着手したいと願っておりますし、同時に、私は関係者の同意を全く得ないで頭越しで物を進めるというようなことだけはしたくないと考えております。それだけに、今後ともに県の御協力を求めながら、名護市を初め関係者とできるだけ緊密な連携をとり、調査着手が少しでも早くできるようにしたい、そのような努力を続けていきたいと思っております。
  103. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 今、総理から県の協力という話がありました。同時に、三月二十五日の大田知事との会談の中でも、私は、会談後の大田知事のインタビューというのを聞いていまして、信頼関係は守られているという一言がありまして、これは私は非常にありがたい言葉であるし、また救いであったと思っているのです。  同時に、その言葉を聞きながらも、先ほど永井委員が、平成に入って総理大臣が八人だ、期間が短いといいながらも何をしていたかと言われますけれども、少なくとも橋本総理は頻繁に大田知事会談しているし、同時に、外務大臣が単独で沖縄に行ったのも池田大臣が初めてでありますから、私は、目に見えた形での沖縄との信頼関係はできている、こう思っているのですね。そういった意味で、今の総理の答弁を踏まえて今後とも沖縄問題はしっかり取り組んでいただきたい、こう思います。  最後総理、増税なき財政再建となれば、これは一般歳出カットしかないのでありますね。少なくとも、沖縄問題を考えるときに、あるいはSACO関連の仕事をやるためには予算が必要でありますけれども、SACO関連についての予算は心配ない。これは沖縄の皆さん方も若干心配していると私は思うのです、予算が大変だということはわかるわけでありますから。SACO関連については大丈夫だということだけは明確にしていただきたい、こう思います。
  104. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ちょうど今手元に持ってきておりませんが、私は、本当に財政構造改革は死に物狂いでこれから取り組んでいく最大の課題だと思います。  そして、五つの原則を示した上で、大きく個別の歳出事項につき、たしか十三の歳出事項についてそれぞれの考え方を示しました。その中に、SACO関連については、当然のことながらそれを実施していくということを前提にした文章を私自身書き込んでおります。これはやはり国として実行しなければならない話です。  そして、国民沖縄県の痛みを分かち合うということをお許しがいただけるのであれば、少なくともSACOの中で決められました事柄を実現していくために、その特別な費用を、財政再建中といえども沖縄に投じていくことに国民の御理解は得られるもの、また得なければならないもの、私はそのように考えております。
  105. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 まさに今の総理の答弁は、私は、関係者がほっとしながらも、また期待しているものでないかな、こう思います。  運輸大臣お越しでありますから、最後一つ。  鳥島の劣化ウラン弾誤射について、当委員会の委員長であります野中広務先生、我が自由民主党の沖縄振興対策特別調査会の事務総長を橋本総裁の命を受けてやっておりますので、三月二十一日、久米島に、遺憾の意またおわびの気持ちでお邪魔をしてきました。その際、仲里村長、具志川村長、さらに上原久米島漁業協同組合長初め議会関係者の皆さん方から、羽田の枠が四十枠ふえる、ついては羽田と久米島の直行便を飛ばしてもらいたいという強い希望がありました。我が党の野中事務総長から運輸省等には早速働きかけはしてもらったのでありますけれども、その後の進捗状況はいかがでありましょうか。  きょうは下地議員、嘉数議員も来ておられまして、両者とも地元で陳情を受けた者でありますから、明確な答えをいただきたい、こう思います。
  106. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生も御承知のとおり、久米島空港が、七月十八日だと記憶いたしておりますが、滑走路が二千メートルに延長されるわけでございます。そのために、今先生御指摘のように、ぜひひとつこの機会に東京からの久米島直行便が欲しいということで地元の皆さん方の強い要望があるということは承知いたしております。私ども十分聞かせていただきました。  こういうことを踏まえまして、御承知のとおり、今回の羽田空港の配分について、先生にも大変御指導いただきましたけれども、大半が航空会社みずからの判断によって路線制定ができる、こういうことにいたしているわけでございまして、そういう中で、航空会社で地元の強い要望を受けて今実現すべく検討しているということを承知いたしておりますので、当然、路線の免許の申請がありましたら、直行便が実現できるように運輸省といたしましても適切に前向きに処理してまいりたい、このように考えております。
  107. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 大臣、前向きは結構ですけれども、七月十八日に空港ができる、その空港はジェット機が飛べる空港であると認識しておりますので、当然路線として入れるという認識でよろしいですか。
  108. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生初め、沖縄に大変御尽力をいただいている先生方の期待を裏切らないことにはならないと思っております。
  109. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 下地議員、嘉数……
  110. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 大変失礼いたしました。  先生の余り強い御要望でございますので、私の方もちょっと上がっておりまして、絶対に裏切らないように努力をさせていただきます。
  111. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 下地議員、嘉数議員もきょうは委員会に出席しておりますから、このことをぜひとも関係者にお伝えをいただきたい、こう思います。  残りの時間は同僚議員の質問にかわらさせていただきます。総理、ありがとうございました。
  112. 野中広務

    野中委員長 この際、甘利明君から関連質疑の申し出があります。鈴木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。甘利明君。
  113. 甘利明

    ○甘利委員 私も選挙区に米軍基地を抱える議員の一人として、沖縄の皆様の苦悩の何分の一かは自分で理解をしているつもりであります。  日米安保条約日本アジアの平和と安定のために必要欠くべからざるものであるということは、今やほとんどの国民が理解をしていることでありますし、その条約上の責務として基地提供があるということも切り離すことができない事実であります。  そうした上で、沖縄方々の叫びというのは、安保が大事なことはよくわかっている、しかしその負担を自分たちだけに過重に押しつけないでくれ、安保というのは沖縄アメリカ安保条約ではなくて日本アメリカ安保条約なんだから、安保が大事だというのであるなちば、日本全国で、つまり全国民で痛みと負担を分かち合ってくれということであろうと思います。  もちろん、沖縄の苦悩は、沖縄が地政学上の宿命を負わされているということに起因することも多々あると思います。つまり、沖縄という島が、我が国アジア安全保障上枢要な、非常にかなめのところに位置してしまっているというこの現実であります。しかし、そのことを含めましても、今日まで沖縄県民に過重な負担を強いてきたということは紛れもない事実であります。  そこで、橋本総理が陣頭指揮をとられて、沖縄負担軽減のための策を今懸命に進められているところであります。それには、沖縄に対する単なる国民の同情論でない理解と協力がどうしても必要であるというふうに考えます。加えて、沖縄の痛みに対する政治が示すべき誠意として、沖縄の経済振興策があるわけであります。まさにこれは政治がリーダーシップをとって取り組んでいかなければならない課題でもあります。  そこで、私は沖縄の産業振興策に絞って関係閣僚にお尋ねをさせていただきます。  沖縄の振興を図る上で、我が党は、一国二制度も辞さずというくらいの決意を持ってこれに取り組んでいるわけであります。沖縄には現在でも、自由貿易地域、いわゆるフリーゾーンと呼ばれていますけれども、これが設定をしてありますけれども、今のところ余り政策的な効果が上がっていないようであります。昨年の暮れに自民党税制調査会の席上で、沖縄便に対する航空機燃料税の引き下げを通じて、航空運賃を大幅に引き下げたということを実現をしましたし、また昨年暮れの予算編成時には、自民党が中心となりまして、この自由貿易地域の拡充に関する調査研究費を計上いたしました。たしか四千二百万くらいだったというふうに記憶をいたしております。  いよいよ新年度に入ったわけであります。この調査研究がこれから進んでいくわけでありますけれども、まず最初に、沖縄開発庁長官はどういう視点に沿ってこの調査研究を進めていかれるのか、その点をまず伺います。
  114. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 甘利委員お答え申し上げます。  我が内閣は、御承知のとおり、沖縄が今日まで苦渋に満ちた歩みをされておりますし、また安保体制のもとで大変な役割を果たしていただいておるわけでございますので、とりわけ経済の自立あるいは雇用の確保県民生活の向上というものを大きく目指して、特に県知事さんほか沖縄県の経済団体等から、さまざまな拡充強化、いわゆる規制緩和等も含めてでございますが、要望がございます。  そこで、委員の言われておりますのは、自由貿易地域についてのさらなる発展策ということではないかと思うわけでございますが、そのために本年度実施する自由貿易地域に関する調査、四千二百万円を計上しておりまして、沖縄の産業振興、貿易振興のための沖縄に展開する自由貿易地域のあり方、またそのために必要な機能等について、海外のフリー・トレード・ゾーン、自由貿易地域ということでございますが、これの実例の分析も踏まえまして調査検討を行っていきたい。  その中身というのは、沖縄の経済及び貿易の取引状況あるいは自由貿易地域、那覇地域の現状と、活性化されていない原因がどこにあるかということを分析をしていこう、それから沖縄の産業、貿易の振興の上で、いわゆるこのフリーゾーンというものがどういう役割を果たしていくのか、また、そのために必要なフリーゾーンとしての機能と実現の方策等々について実現可能な方策をピックアップしていこうということでありまして、税制上の特別措置、これは法人税等の税の軽減措置だとかあるいは独自な関税制度の導入だとかもろもろの関税の課税の選択制の問題だとか、あるいは輸入の自由化、IQ枠の撤廃とかあるいは指定地域の拡大、拡大に当たっては必要な整備等がもちろん関連いたします。そしてまた、特別の法人の設置、設置運営主体等、もろもろの調査検討を行うことにしておるわけでございまして、沖縄開発庁としては主管官庁として、自由貿易地域の拡充強化がぜひ必要だということを考えておるわけでございますので、そういう観点から、密接に沖縄県と連携をとりながら、そしてまた関係省庁と連絡をとりつつ、真剣に調査を進めてまいりたいと考えておる次第です。
  115. 甘利明

    ○甘利委員 地元の要望をしっかりと受けとめて、これに政府としての案を加味して取り組んでいく、これは大事なことであります。  沖縄の人口は御案内のとおり百二十六万でありますから、日本全体でいうと百分の一ぐらいでありますから、消費地としての魅力ということになると若干限界があるかな。むしろそれよりも、生産拠点とかあるいは物流を経由する拠点としてのポテンシャルは相当あるのではないかというふうに私は思うのであります。今御説明がありました自由貿易地域、フリーゾーンないしフリー・トレード・ゾーンでありますけれども、現状では非常に魅力を欠くわけでありまして、そこで、今大臣の御視点で調査をする、中に大変魅力的な項目があります。  要するに、企業の側から考えてみると、あそこに行った方がうんと得だ、いい、産業立地上非常にプラスメリットがあるというふうにどれだけ強く感じてくれるかなんですね。今のお話の中にありましたけれども、一番簡単でインパクトがあるのは法人税減税なんですね。しかもこれは、大どころの法人税減税というのは本則なんですね。本則をどんと、沖縄だけ法人税が安いというふうにしますと、相当これはパンチがききます。  もちろん、非常に難しいのはわかっております。事務方に聞きますれば、恐らく、それは先生、課税逃れの場所になりますよ、ペーパーカンパニーを置いて、本来本土で払うべき税金を沖縄に移転してそこで軽減税率で払う、これは税逃れの地になる、いわゆるタックスヘーブンの地に利用されるという答えがまず返ってくると思います。そのほかいろいろな制約があると思いますけれども、そういうのは結構テクニカルな問題なんですね。税実務上の問題として処理できる、解決できる部分というのはかなりあると思うのです。  要は、一国二制度的というぐらいですから、主税局長がびっくりしてしまうぐらいのことじゃないとなかなか効果はないのですね。ですから、法人税本則をここだけ下げるか、あるいはそれに匹敵するぐらいの大きい玉を税法上やらないと効果がないと思うのですが、大蔵大臣はいかがお考えですか。
  116. 三塚博

    ○三塚国務大臣 先ほど来の論議もよく拝聴させていただきました。  沖縄の心を日本全土の心として考えていかなければならないというのが橋本首相の基本的な沖縄に対する理念であります。真に沖縄振興に効果ある措置は何か、こういうことになりますと、御指摘のように、法人税でどのような措置が考えられるかという指摘もあると思います。沖縄とともに真剣に本問題は考えていかなければなりません。同時に、法人税率の問題、公正、公平という税の大原則がございます。しかし、沖縄の心を日本の心という視点でとらえて考えてまいりますと、進出企業の法人税の負担の軽減、かつ、法人税制になじむ租税特別措置法を新たに検討するなど、工夫を加えていかなければならぬと思っております。  御案内のように、租特におきましては、既にそれぞれの制度がスタートをいたしておるわけですが、その効果いまいちということであります。そういう意味で、繰り返して申し上げますが、法人税制になじむ租税特別措置法におきまして新たな検討を開始をしてみたいと思っております。
  117. 甘利明

    ○甘利委員 かなり前向きな御答弁をいただきました。とにかく思い切ってやらないと、当たり前のことでは効果がないんだ。大臣、よく御承知だと思いますけれども、そこを踏まえて、思い切って取り組んでいただきたいと思います。  沖縄が本土のほかのところに比して非常に産業立地上有利であるということをどうやってつくっていくかというのが課題だと先ほどから申し上げていますけれども、例えば通関手続なんかも、これはコストにはね返るわけなんですね。外から荷物が入ってくる、それで、通関手続に五日も六日も要するとそれだけのコストがかかる。ところが、沖縄だけは入ってきたものが二日で通関が迅速に正確にできる。これはコストにはね返りますから、沖縄を使った方がいいということになりますから。先般お決めになった政府の物流大綱、この中に、通関手続の適正、簡潔化というのもあると思いますけれども、まず最初に沖縄でこれを実施するということも有効だというふうに思っております。  幾ら、今言ったような通関コストが下がっても、あるいは、法人税でいろいろな措置をしていただいて生産コストを下げる、そこに立地した企業の生産コストを下げても、沖縄からいざ物を出荷するときに本土に運ぶコスト、この輸送コストが高くついてしまったら、これは相殺されてしまって元も子もないのですね。現在、沖縄から本土への輸送コストは、沖縄よりはるかに離れている台湾から本土への輸送コストの二倍から三倍かかっていますね。  これは、前からよく指摘されていることでありますけれども、外航船と内航船とのコストの差であります。もちろんこの問題は、人件費の差とかあるいは雇用問題とか、いろいろ絡んでいる問題が大きいですから、軽々に、一律に取り扱うということはなかなかできないと思いますけれども、以前に阪神大震災の際に、神戸港だけが時限を切って特例扱いを受けたと思います。国内輸送に外航船を使ってもいいという、いわゆるカボタージュ規制の撤廃というものですね、これを時限を切って実現をされました。これは輸送コストにすぐはね返るわけであります。  それで、沖縄港から本土の各地の港へそれを適用させる、そうすると、沖縄から本土各地に行く輸送コストはどこの港より国内で安いよということに実はなるのであります。この際、沖縄に限ってはカボタージュ規制を撤廃するということはどうでしょうか、運輸大臣
  118. 古賀誠

    ○古賀国務大臣 先生も御承知かと思いますけれども我が国安全保障という観点、また、地域住民の方々の必要な生活物資を安定的に輸送するという観点から、国内においては、自国籍船によって、それに限って輸送を行う、これは国際的な慣習に実はなっているわけでございます。我が国も、そういう観点から、今御指摘いただきましたように、このカボタージュ廃止ということについては現在のところ考えていないわけでございまして、そういう状況の中で今行わせていただいているわけでございます。  沖縄と本土との間では、旅客船それから貨物船、約二十一航路、実は就航いたしております。これに、今先生が御指摘いただいたように、カボタージュの規制を廃止するということになりますと、一方では、今申し上げました航路、国内港運というものが、安い、低賃金の外国船の参入によりましてどういうふうになっていくのか、それで果たして安定した県民生活の維持ができるかどうか、こういうことが当然考えられてくるわけでございます。  大変難しい問題だと思っておりますが、運輸省といたしましても、いろいろな分野で沖縄の振興について努力をしていくということは当然のことでございますので、今御指摘いただきました点についての緩和の可否につきましては、慎重にひとつ検討させていただきたい、こう答弁させていただきたいと思います。
  119. 甘利明

    ○甘利委員 昨年暮れに、先ほど申し上げましたように、旅客のコストは税を下げるという措置を通じて大幅に沖縄便については下げたわけでありまして、貨物のコスト、輸送コストも何らかの工夫をして下げる、企業が立地するそのコストも下げるし生産コストも下げる、そして、物流のコストを手続も含めて下げていく、これが沖縄に立地したくなる魅力の条件の整備でありますから、いろいろな手法があると思いますけれども、ぜひそこのところは検討していただきたいと思います。  先ほどは物の出入りの話をいたしましたけれども沖縄というのは、日本の地図で見ますと一番南端に当たるわけでありますけれども、東アジアを中心としたアジアの地図で見ますとちょうど真ん中辺に位置している、その立地の利点を生かして、アジアの地域の中での経済や観光の交流拠点として生きていくというのも魅力的な方向だというふうに思います。  沖縄に入ってくる、先ほど物のバリアをなくす、あるいは低くするという話はしましたけれども、今度は人のバリアもなくすというか低くするということも、あわせて大事だろうというふうに思っております。実質的なノービザ制度、この実現ができれば、観光振興とか、あるいはビジネス交流の点でも非常に効果的であるというふうに思われますが、いかがでありましょうか。
  120. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ノービザ制度、厳格な意味でのノービザ制度の導入ということになりますと、残念ながら、その答えはノーでございます。しかし、今委員、実質的なというお話がございました。私もそういうふうに考えてみたいと思うのでございます。  やはり、査証制度を含めまして、外国人の入国の問題は、どうしても国を全体として統一的に扱わざるを得ません。もしそうじゃないということになりますと、それこそ一国二制の裏側で、沖縄まで入ってこられたけれども、今度は沖縄とほかの地域との間の壁をどうするかという、かえって逆の問題も出てまいりますから。  そういった意味で、私ども今考えておりますのは、全国一律に扱うのだけれども、例えば沖縄の地域との交流がとりわけ多い、あるいはこれから高まる可能性の強い国だとか地域、そういった国の方々の査証取得手続思い切って簡素化するとか、あるいはその期間をするとかという意味で、実質的に人の往来が極めて容易になるような仕組みというものを、関係省庁衆知を集めまして、何とか実現したいと検討を進めているところでございます。
  121. 甘利明

    ○甘利委員 ぜひよろしくお願いをいたします。  沖縄の産業振興というのは、いろいろな意味沖縄を使った方が企業にとって有利になるということを実現することなんですね。経済振興上のキーワードは一国二制度的、つまりそのくらい思い切ってやる。それからキャッチフレーズは沖縄を使えば安くなる、沖縄を使えば便利だということをキーワード、キャッチフレーズで進めていくということが大事だと思います。  さて、橋本総理総理は私の今までの質問を所管する官庁の大臣をずっとやってこられました。今回の沖縄の経済振興策というのは、やはり政治がリーダーシップをとって、相当思い切って踏み込まないとできない部分が非常に多いのです。関係する所管官庁の長を経験された総理として、ぜひ御決意を最後に伺います。
  122. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど来御答弁を申し上げておりますように、既に知事さんに政策協議会に入っていただき、また県自身も検討委員会をおつくりになり、そこの結論がまとまれば、知事を経由してこの政策協議会に提出されると承っておりまして、こうした問題に我々は全力を挙げて既に取り組んでおりますし、またやっていこうと思っております。そして、今議員から挙げられましたそれぞれの仕組み、それぞれにもう既に我々としては視野に入り、また検討に入っているものの一つであります。  その上で、実は私は国会答弁の中で、ノービザ制度だけにちょっと疑問を呈しておりました。というのは、このところ、日本にとりましては組織的な密入国、一部の国からの組織的な密出国、そしてその裏側に特定のグループの存在ありと言われるような状況の中で、現時点においてノービザ制度というものの持つ危険性というものが私は実は非常に心配であります。  ただ、県からはこの点の御要望も非常に強く、先ほど外務大臣からも御答弁を申し上げましたように、かわる工夫はないか、既にそうした検討もいたしております。  基本的に、我々としては、これからまだ検討事項はもちろんありますし、県御自身の意見が定まっておらないために、それを待って検討になるものもありますが、いずれにしても、沖縄の魅力のある、自立のできる経済というものをつくるための努力は今後ともに全力を挙げていきたいと考えております。
  123. 甘利明

    ○甘利委員 終わります。
  124. 野中広務

    野中委員長 この際、中谷元君から関連質疑の申し出があります。鈴木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中谷元君。
  125. 中谷元

    ○中谷委員 総理は先月、ゴア・アメリカ副大統領との会談で、現時点において在日米軍の削減をこちらから求めることはないと表明をされましたし、昨日、来日中のコーエン国防長官も、アジア太平洋地域に十万のアメリカのプレゼンスを維持すると発言をされました。  それでは、やはりここで、なぜこれだけの数の在日米軍の兵力や海兵隊が必要なのか、これを単なる、日米安保条約を結んでいるからだとか、アメリカの国家戦略に乗っかるのが安上がりだからとか、そういう見地ではなくて、我が国の国益や安全保障、また東アジアの安定のことも考えているということをはっきりとこの国会で説明をする必要があるのではないかと思います。  そこで、先日私は、自社さの三党の連立政権の政調会長がいらっしゃいますけれども、山崎拓政調会長を中心とする与党訪韓団の一員として韓国へ行きまして、現地の政府高官会談をさせていただきました。その席上、金泳三大統領から、北朝鮮に対しては日米韓の三国が共同歩調をとることが大事である、また、沖縄基地は朝鮮半島や日本の安全にも必要なものである、また、フィリピンの指導者は米軍のプレゼンスがなくなってしまって南沙諸島の問題で、今しまったと言っているということを言われました。     〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕  また、金守漢国会議長は、朝鮮半島は脱冷戦ではなくて、まさに冷戦そのもので現在進行中である、沖縄米軍基地は北の戦争挑発に対して抑止力を持っているし、また急な体制崩壊に対しても朝鮮半島の平和に機能するであろう、日本は必ずその影響を受けるので、沖縄問題はグローバルな立場で考えていただきたいということを言われました。  また、金東銀という、日本防衛庁長官ですけれども、国防部長官は、沖縄の海兵隊は北東アジアの緊急時にアメリカが介入する努力意思を示している象徴であり、沖縄にいるから韓半島の軍事派遣で戦略的能力を発揮できるわけであって、ホノルルやグアムからの来援支援と今の沖縄のこの抑止力を意味する軍隊とは全然意味が違う、日本は一国平和主義だが、隣の国で紛争があっても本当に日本さえ平和であればいいと考えておられますかというようなことを言われまして、帰ってきたわけでございます。  一方、アメリカはどう言っているかといいますと、今、冷戦後はボトムアップ・レビューということで大西洋や欧州正面に十万人、太平洋アジア正面に十万人という、軍事的に申しますとMRC、メジャー・リージョナル・コンフリクト、世界同時に二地域で紛争があっても対処できるような態勢を維持するためにこういう十万という数字を割り当てをして、積算をして自国の若者を送っているわけでございますが、この意味を本当に日本人が理解して行動してくれているかというと、甚だ疑問に思う発言もあるわけでございます。  昔ある大臣が国会で在日米軍を番犬だと発言したそうです。しかし、後で番犬様と訂正したそうなんですけれども。こういった日本に非常に貢献をしている在日米軍に対してもっと理解と感謝を持たなければ、今冷戦が終わったといって日米安保が揺らいでしまうと、非常に危険な状況が近づきつつあります。  一昨日の新聞ですけれども、今度、アメリカの前に国防長官を務めたハロルド・ブラウン氏、またリチャード・アーミテージ氏を中心とした外交問題評議会というのが今提言を取りまとめをしておりまして、日米同盟は張り子のトラではないか、いわゆる危機に際して有効に機能できないと警告を発する、こういう論文を取りまとめ中ということであります。  冷戦時代は非常に日本も西側の一員として価値がありましたけれども、いわゆるバブル経済が崩壊して、それと同時に日本安全保障に対する価値も下がってきつつあるのではないか。そういう意味では、ジャパン・バッシングからジャパン・パッシング、またジャパン・ナッシングと、本当に日本通過論というのが出ているわけであります。  総理にお伺いしますけれども、こういったいわゆるこれからの日米安保体制について、別に韓国やアメリカから言われるということなくして、我が国考え方としてどのような認識で取り組んでいったらいいのか、その重要性についてお述べいただきたいと思います。
  126. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員が引用されました多数の説の中の一昨日の朝刊に載っておりました、外交評議会における作業、クエスチョンマークをつけた上で張り子のトラかと書いていた、この記事は私も読みました。そして、そういう議論は、当然のことながら、米国内の民間の研究機関においては生ずるであろうと私も思います。  そして、私はしばしば申し上げてきておりますけれども日米関係というのは我が国にとって最大の外交のかなめであります。外交関係として、二国間関係で最大のものだと思います。しかし、それは我々がそう評価しているだけではなくて、他の国々が見たときにも、日米関係が安定していることの重要さというものが非常に大きいということを、私は、私自身が大変な騒ぎを巻き起こしました自動車協議の際に、各国の反応で痛感をいたしました。そして、それ以来、日米関係、経済関係でありましても、他国が崩壊する心配を持つようなことのないようにというものは気をつけて、今日まで参っております。  そして、その日米関係というものの基礎をなしているものは日米安保条約でありますし、その日米安保条約というものは、本当に独立を回復した時点において、我が国が最小限度の自衛力でそのほとんどを他国にゆだねるという決断のもとに、その他国をアメリカに選び、つくり上げた条約からスタートしたものでありました。これが昭和三十五年に改定をされ、現在の姿になっていること、改めて申し上げるまでもなく、議員御承知のとおりであります。  しかし、なお条約としては片務性を持っているという批判のある条約でもあります。そして、日本にとりましては、まさにこの条約日本安全保障のかなめでありますが、アメリカから見れば、日本の安全を保障すると同時に、これは極東アジアにおけるプレゼンスを維持する、その前方展開拠点の一角であることも間違いありません。  そして、その中におきまして、アメリカが今二正面、十万、十万の体制を整備して、それによって、二正面の課題対応し得る能力を今後も維持しようとしていることが伝えられております。ソ連なき後の唯一の超大国としてそれだけの責任を負おうとする、これはアメリカ自身の判断であります。そして、その大きな戦略の中で、アジアの十万人、それは、依然として緊張状態の続いております朝鮮半島に陸軍の師団がある、また、シンガポールその他に展開をする部隊があり、グアム島に存在する部隊があることも御承知のとおりであり、その中において、在日米軍が陸、海、空、海兵四編成における四万七千人体制というものを持っております。  今私が知る限りにおきまして、アメリカはこれをチェックしている時期なはずでありますけれども、その上で、この体制を変更する意思なしということが既に表明されているわけであります。そして、私どももまた、アジア太平洋地域における米軍のプレゼンスを維持する、この日米安全保障条約は、我々が安全を保障されているだけではなく、この条約を担保することにより、日本としてアジア太平洋の安定にそれだけの貢献をしているという役割がある、こうした一面があることもまた間違いがありません。  そして、その上で、我が国の周辺の状況を考えますときに、現時点においてこの兵力の変更を求める、削減等を求めるといった状況にないと私は判断をいたしております。  しかし、それは今後、我が国の周辺を取り巻く情勢が変化すれば、当然のことながら、その変化に応じた軍事態勢というものを、兵力構成を含み、日米は協議すべきでありますし、それは日米安保共同宣言の中に明記しているとおり、我々もまたその必要に応じて権利を行使する、その場面は生ずるでありましょうし、また、それだけの安全保障確保されることを、この地域においての安全が確保されることを我々は心から願っております。
  127. 中谷元

    ○中谷委員 そのような前提で両国間が約束をし、現実日本に在日米軍駐留しているわけですけれども、しかし、今回の法案の問題の時期をめぐってアメリカの海兵隊というのが非常にクローズアップされましたけれども、マスコミ報道を見ていますと、ただ単に海兵隊がいるのが悪いのじゃないか、いわゆる沖縄県民の側に立って報道するのはいいのですけれども、一方的にそれだけで海兵隊自身が何か悪いことをしているような報道偏重があるということは、私は非常に危惧に思っているわけでございます。  沖縄の海兵隊員、ことしの初めでしょうか、総理の奥様やジャーナリストの田村玲子さんという方なんかが、女性の有志が中心となられましてWMP、ウエルカム・マリンタイム・プログラムというのを企画されまして、沖縄の海兵隊員のいわゆる曹以下の下士官のレベルの方を、外出も給料が低くてできない、行動が非常に制限されて訓練も厳しい、彼らの悶々とした、そういう方を東京に招待されて、東京見物をさせてあげた企画をされたわけでありまして、彼ら自身も初めて東京へ来たということで非常に喜んだわけであります。  しかし、私も面会に行きまして、彼らに、韓半島がいざというときに皆さんどういう気持ちで行きますかと質問をしましたら、半島で何かあったら、自分たちは身をもって日本人のため、そしてこの地域の人々のために、平和をつくるために行動すると言い切ったわけでありまして、私は、この意識の面で、日本人の若者や私以上にも数倍崇高なものを感じながら勤務をされているという気がするわけでございます。  また、阪神大震災や日本海の原油流出事故の際も、在日米軍の方から、何かお手伝いがありましたらちゃんと言ってください、我々はいつでも飛行機を飛ばす準備がありますよと非常に善意の心で接してくれているわけでありますけれども、こういった在日米軍の存在につきまして、総理はいかがお考えでございますでしょうか。
  128. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 もし日米安全保障条約上、現時点において駐留している米軍の存在が全くないという状態を想定したとき、果たして我が国の防衛力は現時点のままでよろしいかという疑問がまず生ずるであろうと思います。  そして、これは現時点であれば仮定の議論として成立するかもしれませんが、我が国の独立以来の足跡を振り返ってみますとき、あるいは占領下の時代における朝鮮戦争等の現に戦闘が行われていた時期と私は状況は全く違っていたと思います。  そして、その上で、私は、条約上の義務日本履行することにより在日米軍のプレゼンスは確保したいと考えておりますし、条約というものは双方が責任を持つものでありますから、都合のいいときだけ来てほしい、ふだんはいないでほしいといったような議論が成立するほど国際社会というものは甘いものではなかろう、そのように思っております。     〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 中谷元

    ○中谷委員 総理のお言葉では、日米安保条約義務であり、責任があるということであります。  戦後五十年間、日本の平和を常に議論してきたわけでありますけれども、確かに自由、民主主義の力によって平和が保たれてきました。しかし、その根幹の問題として今沖縄の抱えている根本的問題は、日米安保は必要だが基地は要らない、一般的に日本人がそう考えていることだと思います。うまり、平和は必要だが軍事は悪である、紛争をする方が悪い。今、漫画でゴーマニズムというのがはやっておりますけれども、まさしく日本人の持っているエゴイズム、傲慢というべき、こういう地域の安全保障ということについて真剣に考えようとしないところに問題がございまして、果たして本当に軍事力というのは完全に悪であろうかという気がするわけでございます。  その証拠に、湾岸戦争や、ボスニアや中東でまだまだ紛争が続いておりますけれども、それを防止できたというのは、各国の身を挺した努力と外交の力によるものであります。  先日亡くなりました高坂正堯教授が、私は平和国家というのは嫌いだと言いました。それは、世界じゅうが平和でないと生きていけないから、つまり、自国の運命もほかの国のこともすべて依存をしてしまっている、そういう言葉の響きがあるというからでございます。  確かに、ペルーにおいても、また中東地域においても、現在本当に困っている国の人々、また民族がいるわけでありますけれども、そういう人がありながら、また邦人が非常に困っていようが直接助けに行けない、なすすべがない。政府は精いっぱい努力をしておりますけれども、やはりその根本問題として、何やら軍事がすべて悪いというようなことで非常に日本の選択肢というものも制約されてしまっているわけでありますけれども、果たしてこれが平和国家だと言えるのかなという気がするわけでございます。  そこで、日本が本当に平和国家を目指し、日米安保を大切にするというならば、先ほど言われましたように、世界のためにその責務を果たしていくということが大事でありまして、現在のこの法案について、沖縄に関する国内問題とそういった外交問題がごちゃごちゃになって非常に混乱しているわけでありますけれども、やはり国民安全保障に対する認識を深めて、真剣になすべきことを考えたら、一つ整理がつくような問題でございます。  ですから、そういうことを理解した上で、沖縄方々に本当に心からその今までの努力を感謝をし、そして今後のこともお願いをし、その対策をすべきであって、これはまさに日本人一人一人が真剣に国のことを、また沖縄のことを考えることによって解決できる問題でございます。どうぞ、今後も真摯な話し合いを通じて、この地域の平和のために議論していただきますように心からお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  130. 野中広務

    野中委員長 これにて鈴木君、甘利君、中谷君の質疑は終了いたしました。  次に、菅直人君。
  131. 菅直人

    ○菅(直)委員 沖縄の問題につきまして、特にきょうは二つの点を中心にして、総理にお尋ねをし、また、民主党としての見解も明らかにしていきたいと思っております。  一つは、何といっても長いこの沖縄米軍基地の歴史、先ほども他の委員からもお話がありましたが、どうも、私どもを含めて、返還後の基地縮小ということについて十分な努力を払ってこなかったんではないか。これは歴代の政権もそうですし、ある意味では政治に携わっている者、さらに広くいえば、本土に住むすべての国民にとってそのことをもう一度かみしめなきゃいけない、そういった意味での沖縄の皆さんの期待希望思いというものをいかに実現するか、その観点が一つであります。  そしてもう一つは、日本を含むアジアの安定、安全というものをどう考え、それをいかに維持していくか。  この二つの要素を両立し得るあるいは整合性の持ち得る政策が出し得るか、そしてその政策を実行できるか、これが今我が国政治に求められている、このように思うわけであります。  まず、総理に、そうした私の問題点のとらえ方についての見解を伺っておきたいと思います。
  132. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今伺っております限りにおいて、基本的に私は食い違っているものはないのだと思うのです。  ただ、現時点において、国政の責任を持ちます立場からいきますと、そのウエートはこの使用権原の継続という視点にございますから、私自身が申し上げたなら、我が国安全保障というものがまずあり、そして、その安全保障確保する上での日米関係及びその基盤をなす日米安全保障条約があり、同時に、そのアジア太平洋地域において果たしている安全保障条約の役割というものにこたえていこうとした場合に、我々の責任として果たさなければならないもの。  一方、その基地というものは、よく米軍の占領下においてというお話、大半の方がなさいます。たまたま大田知事の本で調べておりまして、沖縄県の基地問題、ある意味では、第二次大戦中、当時の日本陸軍及び海軍が沖縄防衛のために基地をつくり出したところからその端を発するといったようなことを考えますと、世間から言われる以上に長い沖縄県における基地収用の歴史というものが存在をし、そしてそれが復帰の後において、まさに本土の我々が、第一次振計、第二次振計、第三次振計といったような沖縄の開発面等で出てくる御意見に一生懸命にこたえていたつもりが、基本的な基地の問題というものに対する、こたえる努力を全く怠ってきた。この点は本当におわびをする以外にないし、我々自身がみずからの努力不足を恥じる。  そしてその接点の中で、今日、ぎりぎりの選択として、国会に御提案をいたしましたような法律案を準備し、御審議を願っておりますということになろうかと存じます。
  133. 菅直人

    ○菅(直)委員 率直に申し上げまして、今の総理の答弁で、まず日本安全保障を考えるのが政府立場だと、まずという言い方は、私は必ずしも適切ではないと思います。  つまり、沖縄の人たちは、かつて日本軍が、沖縄の人も日本国民でありながら、結果的には沖縄の人の多くの命を失うという結果を招く上陸戦に巻き込んだわけでありまして、まず考えなければいけないのは日本国民の安全であり、そして日本国民のそうした、何といいましょうか、生活であって、そのことを含めて日本全体の安全保障アジア安全保障を考えるのは当然ですけれども、そういう点では、まずは抽象的に日本安全保障があって、二番目に、一方において沖縄の問題がある、こういう位置づけだとすれば、私は、それは適切ではない。そういう意味で、先ほど申し上げたように、二つの要素をいかに両立できるかというのが私たちに課せられた問題だ、このように重ねて申し上げておきたいと思います。  その上で、民主党は、御承知のように、まだできて半年余りの政党であります。そういう意味では、まだ民主党としての外交・安保政策というものが必ずしも広く国民の皆さんに知られていない、あるいは国会の議論の中でも十分には闘わされておりませんので、そうした民主党の外交・安保政策の基本についても明らかにしながら、話を進めてまいりたいと思います。  私たちも、日本の外交の基本は、やはり日本アメリカ関係が二国間としては最重要だと考えております。  と同時に、アジアに存在する日本として、アジア諸国との信頼関係をいかに維持し、発展させ、成熟させていくか、必ずしも戦後五十年余りたった今日、そのことに成功しているとは残念ながら言えない状況にあると思います。  そして、そういう二つの大きな要素と、もう一つ申し上げれば、戦後の日本の外交というのは、ややもすればアメリカという国を通して世界を見ていた、アメリカというものを通して物を考えていた。そういった意味で、パートナーシップとかいろいろな表現はありますけれども、本当の意味でのパートナーシップに必ずしもなっていないのではないか。  つまりは、我が国アジアにおける安全保障考え方をきちんと提示する、アメリカアメリカ一つ考え方を提示する、そして、議論を闘わせた中で共通のあり方を模索する。そういう意味での自立した外交、自立した安全保障政策というものを、少なくとももう少ししっかり持つべきではないか、このように考えているわけであります。  また、安全保障につきましては、専守防衛としての自衛隊の存在は必要であると考えております。そして、日米安保条約も重視をしなければならない、こういう立場であります。  と同時に、将来に至っては、アジアにおける多角的な安全保障の体制が生まれるかどうか。さらにもっと将来の問題でいえば、国連を中心とする普遍的な安全保障、この言葉はまだ十分には練れておりませんけれども、いわゆる警察機能を国連が持って、各国はいわば低いレベルの自衛力で済ませても世界的に安全保障確保できる、そういう意味での普遍的安全保障体制というものを求めていきたい。これが、私たち民主党の基本的な考え方であるわけであります。  そこで、もう一つだけ申し上げておきたいのは、冷戦が終わった後の安全保障の問題であります。  冷戦というのは、言うまでもありませんが、米ソの対立の中で、日本安全保障の多くは、あるいは大半はと言ってもいいかもしれません、そのことを軸に従来考えられてきました。しかし、冷戦が終えた後、それでは何が日本安全保障政策として外務省や防衛庁が変わったのか、方針が変わったのか。どちらかといえば、いや、冷戦は終わったけれども、まだまだいろいろな脅威があるから余り変えないでいいんだというところばかりが目立っていて、ここは思い切って変わっていいんだ、そういうところが全体として非常に見えてこない。  私、この質問に立つに当たって少し調べてみました。米軍全体の規模は、冷戦前と冷戦後で、たしか二百十数万の軍隊から百四十数万、七十万人近くが削減をされている。ヨーロッパにおけるアメリカ軍のプレゼンスも、相当の比率で低下をしている。しかし、アジアにおいては、例えば十三万五千というものが十万のプレゼンスということに現在なっているわけですが、必ずしもヨーロッパに比べてその存在が、つまり削減の割合は非常に小さいわけであります。  そういうことを考えますと、今の日米安全保障条約の持つ意味が、従来の日本自身への直接侵略を自衛隊とともに防ぐというその目的から重点が移ってきていることは、これは客観的に見てとることができると思うのです。  今、日本を直接侵略する可能性のある国というのは、ほとんど私は見当たらないと思います。そうではなくて、ある意味では、喜望峰からハワイに至るこの広大な太平洋アジア、場合によっては中東に至る地域を、第七艦隊を中心に、日本にまさに基本的なベースを置いているところがある意味で存在をする、あるいは極東第五空軍を中心にして存在をする。そしてそれに加えて、今大きな課題になっている海兵隊が、沖縄と本土を含めて二万人余り存在をする。それらは、必ずしも日本に対する直接侵略に対しての備えというよりも、アジア太平洋地域の安定ということに大きな目的がある。  私は、そのことをすべて悪いと言っているのではありません。すべて悪いと言っているのではありませんが、最初に申し上げた、それでは、そういう存在と沖縄に集中しているこの基地を何とかしようという問題について、本当にそこの折り合いを考えてきたのか、歴代政権、歴代政治が考えてきたのかという問題であります。  一つだけ、あえて御質問をしてみたいと思います。  ここにメモがあるのですけれども沖縄返還時、昭和四十八年を一〇〇としたときの基地と兵力が、沖縄で何割減り、沖縄を除く本土で現在何割削減をされたか、簡単にお答えいただけますか。
  134. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 最後の数字については政府委員なりなんなりからお答えをさせますが、その前に、議員が述べられました見解に多少の感想を申し上げることをお許しをいただきたいと存じます。  私は、日米安全保障条約五条、六条というものがございます限りにおいて、日本が直接的侵略から日本自身を守ってもらえるという役割とともに、当然ながら、その日本に存在する基地において、米軍行動の自由を持つ極東の範囲、周辺に対する防衛の力、これは、もともとから持っていたものだと思います。  その上で、東西冷戦の終結前と後において、その位置づけにはさまざまな変化はありましたでしょう。また、当然のことながら、国際的な対立の中において、それぞれの国がどちらかの陣営にくみしなければならない時代において、日本アメリカの陣営にくみしておったということも事実でありましょう。そして、その限りにおいて、大きな戦略的外交の中で、議員言葉をお使いになるなら追随でありますが、日本政府としてアメリカ政府と共同歩調をとることが全体のために望ましいという行動をとった時期もあったでありましょう。  そして、まさに今、他の分野でも言われておりますように、同じ価値観を共有するそれぞれの国がほとんど市場経済と民主主義というものを目指す時代になりますと、かつては非常にその共通点をお互いに褒め合っていたところで、なかなかかみ合わない問題をいっぱい抱えてしまうケースが出ます。日米における経済摩擦などというのは一つのその問題です。しかし、そういうものを超えて、私は、なお今日も日本日米安全保障条約というものによって日本の安全を維持していると思っておりますし、その中における役割が減少したとは思いません。  そして、委員は、ヨーロッパ正面における米軍アジア太平洋地域における米軍の展開の違いについてお触れになりました。  先日、アルバニアで紛争が起きましたとき、現地にいる日本人たち、救出をしていただきました。報道陣を含めて他国の方々に救出をしていただきました。その救出に当たった航空機はドイツの航空機であります。ドイツ軍であります。日本の自衛隊の行動が非常に厳しく制約されており、ドイツ国防軍は現にアルバニアで、独仏師団であったと思いますが、我が国の人々をも救出してくれました。私は感謝しております。  また、湾岸危機のとき、それこそシーリフト、エアリフトを国際的に求められたとき、我が国はほとんど行動ができませんでした。わずかに一、二便の飛行機を飛ばし得ただけであります。ドイツは、NATOのエリアの中であるならばということでトルコまで航空部隊を進出させ、イラク空軍機がトルコの上空を侵した瞬間から戦闘に耐え得る態勢に入っておりました。  ヨーロッパとアジアはそれだけ状況に違いがあります。ヨーロッパ正面における米軍の展開の変化、アジア太平洋地域における米軍縮小の方向が少ないこと、これを一律に議論をすることは、私は問題を誤解させるもとになるように思います。
  135. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 施設区域については私の方から答弁させていただきます。  沖縄におきましては、復帰当時、昭和四十七年五月十五日当時でございますが、八十三施設、約二万七千八百ヘクタールでございましたが、平成九年一月一日現在、三十七施設、約二万三千五百ヘクタールでございます。これは率にいたしまして、施設数では五五%、面積にして一六%の減少でございます。  他方、本土につきましては、復帰時点で九十八施設、一万九千六百ヘクタールでございますが、平成九年一月一日現在、五十三施設、七千九百ヘクタールでございます。これは率にいたしまして、施設数で約四六%、面積で約六〇%の減少でございます。
  136. 菅直人

    ○菅(直)委員 先ほど総理の答弁というのは私が申し上げたこととは少しすれ違っているように思います。私も先ほど申し上げたように、将来にわたって世界の安全保障というものを考えなければいけない、将来は国連を中心とした普遍的安全保障という考え方も必要だ、そのことも述べましたし、今、日米安保条約がある意味では日本に対する直接侵略ではない範囲までカバーすること、そのことを一〇〇%まずいと言っているわけではありません。  ただ、まさにアルバニアやユーゴやイラクなど、ヨーロッパに近い地域においてもこの間多くの紛争があるわけですけれどもアメリカ軍そのものの削減といいましょうか減り方と、アジアにおける減り方はかなり差があるわけでありまして、きょう問題になっている沖縄基地というのはまさにそのことがストレートにかかわる問題であるから、そういう意味でこの問題を中心に申し上げているわけです。  今、これも言うまでもありませんが、極東には十万人のプレゼンスと言われております。日本にどのくらいでしょうか、四万数千でしょうか。(橋本内閣総理大臣「四万七千」と呼ぶ)しかし、四万七千には第七艦隊の要員は入っておりません。それを入れれば五万を超える。つまり、十万のうちの半数を超える者が日本の国内あるいは日本基地とした第七艦隊に属しているわけであります。そして、その中のまさにまた半分以上、面積でいえば七五%が沖縄にあるわけでありまして、先ほど最初に申し上げたように、沖縄基地の縮減ということを考え、同時にそういったアジア太平洋の安全というものを考えたときに、片方からだけ来たのでは、今のままで仕方がないじゃないかという議論になってしまう。そうではなくて、他のやり方がないのか、そこが私は、今政治が問われている問題だと思っております。  そして、今数字の説明がありましたけれども、もうよく御承知のように、復帰後二十五年たって、面積だけでいっても沖縄はわずか一六%しか基地が減っていない、沖縄以外は六〇%の基地が少なくとも減っている。やはりこれは、政治家である私自身の個人的な反省も含めて、沖縄を冷遇してきたと言われても、それにきちっと答え得る政治家は私は一人もいないのではないか、率直に申し上げたいと思うわけであります。  そこで、それではこの間、日米の間の協議でどういった協議が沖縄基地縮小についてなされてきたのかという問題であります。  私も外務省に、この間の日米安保協議委員会、SCCの記録を出してくれ、あるいはSSC、日米安保高級事務レベル協議の記録を出してくれ、プレスリリースしたものについて若干の資料が出てまいりました。これだけでは十分わかりませんけれども、少なくともこれを見る限り、あの不幸な少女暴行事件が起きる以前のこうした協議の中で、本当に沖縄基地の削減ということが本格的に議論されてきたのか。  特に、冷戦が終わったときに大きく米軍の配置が変わってきた。例えば、フィリピンではスービックという大きな基地を撤去する。たしかあのときは、アキノ大統領が基地使用料をもっと高くしたいということで、アメリカとの話し合いがつかなくて撤退をする。そして、その一部の機能は沖縄など日本に一部移される。日本思いやり予算でそれをフォローする。  私は、そういう経過を見ますと、そうした大きな米軍の構成が変わる時点においても、沖縄基地縮小するという目的に沿っての議論はなされないで、つまりは機能を維持するということだけを中心に考えられてきたのではないか。もし反論があれば、池田外務大臣でもお答えをいただきたいと思います。
  137. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私どもも、これまでも日米合同委員会、さらにはその上にあります日米安全保障協議委員会等を通じまして、そのときそのときの情勢を踏まえながら、沖縄における基地縮小、その努力もしてきたところでございます。  二、三例を申しますと、昭和四十八年から五十一年にかけましてSSCで協議いたしまして、いわゆる安保協議案ということで六十三件、四千七百ヘクタールの整理計画をつくりました。(菅(直)委員沖縄ですか」と呼ぶ)沖縄でございます。それで、平成二年までにそのうち四十五件、約二千六百ヘクタールの返還が実現しております。  それからまた、六十年以降でございますが、これは、今申しました案件のうち返還未了の案件につきましていろいろ協議した、さらに新たに地元の市町村等からの要望で追加された案件等を含めましていろいろ検討いたしまして、いわゆる二十三事案ということで約千ヘクタールの返還に向けて手続を進めることを確認いたしまして、これは平成七年十二月までに返還が実現した、こういうことになっております。  そういうことでございますが、しかしながら、全体として見まして、まだやはり沖縄の皆様方に担っていただいている御負担は非常に大きい、我々の努力も決して十分とは言えなかったということで、昨年もSACOであのような返還に向かっての努力をしたところでございます。
  138. 菅直人

    ○菅(直)委員 最後に池田外務大臣言われたように、いろいろ、従来の説明で言えば、必要のない基地返還してもらうことはやられたんでしょう。しかし、結果において、二十五年たってわずか面積で一六%。つまりは、一生懸命やったけれども、それしかできなかった。本土は六〇%できた。そして冷戦構造の中では、もちろんドイツの場合は東西に分かれたこともありますけれども、二十数万の米軍が、現在たしか五万程度でしょう。全く質的な変化が、この間、世界史的な変化が来ているにもかかわらず、一六%減ったから努力をしたんだ、そこに重点を置いてやったんだ。逆じゃないんですか。いかに重点を置いてやらなかったかということが明らかになったんじゃないですか、この数字は。  そこで、もう少し最近の話に関連して申し上げたいと思います。  昨年、日米安全保障共同宣言、これを総理とクリントン大統領の間で発表されております。この中においても、つまり「約十万人の前方展開軍事要員からなる現在の兵力構成を維持することが必要であることを再確認した。」と述べられているわけです。これは、沖縄でのあの不幸な事件があった後のたしか共同声明であります。  私は、やはりこの中にも先ほど申し上げた二つの、確かになかなか難しい要素ですが、沖縄の人たちが二十五年もかかって、あるいはもっと以前から望んでいたことをもう少し何とかしようという気持ちと、そしてアジアにおける安全保障というものとを、少なくとも同じぐらいのウエートの中で議論をしてこういう結果が出たのかどうかということを見ますと、どうもそうではない。  つまりは、冷戦は終えたけれどもアジアの情勢はまだまだあちこち問題があるから、結局はトータルは減らさない。トータル減らさないでいえば、せいぜい域内での移動、移転ということになる。しかし現実には、先ほど申し上げたように、日本と韓国以外ではほとんども米軍基地はないわけですよ。今さらフィリピンに、スービックに戻るかといったって基地はもうなくなっているわけですよ。そのころにそういう議論をしたかといえばしてないわけですよ。  その中で、こういうふうに十万人の存在を再確認した。そして、これは期待もするわけですけれども、「日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について引き続き緊密に協議する。」これがあるから協議ができるじゃないかと各党言っているわけですけれども、この頭に「国際的な安全保障情勢において起こりうる変化に対応して、」去年からことし、変化がないじゃないか、それなのに何で今海兵隊の撤退を言うんだといって、ゴア副大統領がやってきてがあんと枠をはめたわけですよ。つまり、枠をはめられるような前提の共同声明をしているわけですよ。  そういった意味で、私は、この間の日米の交渉というのは、私の半ば推測も含めて申し上げますと、やはり五五年体制のもとでは、国会でこういう議論ができなかったのだと思うのです。一方では、とにかく基地をゼロにしろ、アメリカ軍も一人も要らない、自衛隊も一つも要らないという政党と、一方では、いや今程度は要る、今程度はそのままにしておこう。議論をして線を引くよりも、政治の議論はしないで事務方同士の議論で、まあうるさいところはちょっと減すけれども、余り言ってこないところはそのまま残そう、政治力の弱いところはそのままにしよう。先ほどどなたかも言っておられました、岩国の地域は減ったけれども沖縄は減らなかった。それはわかりません、私も、実証は。しかし、とにかく国会という場、政治という場でこういう議論がきちんと行われなかったという、これは、客観的にそういうことが私は背景にあったのではないかと思っております。  そういう意味で、今まさに五五年体制が、国会も変わったわけです。  私たち民主党も、まさに自衛隊を認め日米安保重要性認めるわけですけれども認めたからといって、アメリカが言うとおり、あるいは負担だけの思いやり予算を、それをカバーするということではなくて、私たち自身が一つの絵を持って、そしてそれに対して、国内の要望と国際的な要望と、そういうものをどうやってすり合わせていくか、これが今問われていると思うわけです。  そこで、我が党としての提案につきまして話を進めたいと思いますが、先日、橋本総理に我が党鳩山代表と私とでお会いしたときに、五項目の提言をさせていただきました。この中には、沖縄振興策等についてももちろん含まれておりますが、やはり第一項目の「沖縄の海兵隊の段階的削減・撤退について、米国側に提起するとともに、同問題について今後、日米安全保障協議委員会(SCC)、日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)等において継続的に協議を行うこと。」ということを申し入れを行っております。しかし、多分これについては、先ほどの、昨年の共同声明がありますから今そのことを言い出す時期ではない、こういう答弁をもう何度も国会でお聞きしております。  しかし、私は、先ほど来申し上げておりますように、今まさに我が国が考えなければいけないのはその両立てあって、片方だけのために沖縄期待あるいは希望を、それはいつになるかわからないけれども、そのまま認めてもらうしかないという態度をとるべきではないと思っております。  特に、このアジア太平洋地域における安全保障を私なりに考えてみますと、まず第一の要素、ヨーロッパは陸続きです。アジアの国々は、陸で続いている国もありますが、多くは海に面しているということを考えますと、やはり第七艦隊の持つ意味というのは、今のアジアにおけるアメリカの軍事的プレゼンスの中では最も大きなものであろう。そして、それに引き続き第五空軍といった空軍力の問題もいろいろな意味で大きいものがあろう。  しかし、海兵隊につきましては、いろいろな見方はありますけれども、例えばヨーロッパの方では、米国本土にある海兵隊が、事前集積、つまりは、いろいろな装備は現地に近いところといいましょうか、各地にとめておいて、いざというときには兵員だけを送っていく、年一回か二回は演習で使っている、そういうやり方もあるわけであります。  また、朝鮮情勢については、これはいろいろ判断が分かれるかもしれませんが、在韓米軍というもの自体が三万六千ですか、現に存在していて、第七艦隊が存在し、第五空軍が存在し、そして韓国軍が約六十数万存在し、南と北のGNPは五十兆に対して三兆だ、北の油の輸入量が何万トンか、本当に継戦能力があるのか等を考えると、専門家の中でも、少なくとも、二十五年前の沖縄返還されたときの南北の軍事的なバランス、つまり、北と南のバランスよりも今の方が圧倒的に南が強力だということは大体が認めているわけであります。  そういうことを考えますと、私は、沖縄における海兵隊のいわば後方配置というものは、そうした幾つかの手だてと並行してやれば、決してアジアにおける安全保障の体制を崩すとか、そういうことにはならない形で実行可能ではないか。そういうことを、我が国立場として、あるいは自民党なり各党の立場として一つの案をまとめて、そしてまさにこれこそ政治的な協議の場に提案すべきではないでしょうか。  それを、先ほどの、去年の共同声明があるから、この一年間では情勢は変わっていないからと言われますが、国際的情勢は変わっていないかもしれないけれども、まさに日本の最大の米軍基地を持っているというか、存在している沖縄の情勢は極めて厳しい情勢にあるわけでありまして、そのことを考えれば、安定的な日米安保の運用ということを考えた中でも、そういう提案に思い切って踏み込む、こうしたことが今こそ必要ではないか。このことについて総理見解を伺いたいと思います。
  139. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 御党からお申し入れをいただきまして、この案を拝見をいたしましたとき、一番食い違いました部分がここであります。  そして、私は、現時点において海兵隊の段階的削減、撤退について提起する意思はないということを申し上げました。その理由を私は今長々と申し上げるつもりはありませんけれども、同時に、それは今後ともに協議をしないと言っているのではありません。当然のことながら、今までもそうです、これからもそうですが、地域をめぐる情勢が変われば、日米安全保障協議委員会であれ、日米安全保障高級事務レベル協議であれ、またその他の場所であれ、論議をしていく場所は幾らもあります。  そして、先ほど、ゴア副大統領との会談を大変議員は独断的にお話しになりましたけれども、私の方からゴアさんに申し上げたこと、それはオルブライト国務長官に申し上げたことと同じでありまして、現時点において海兵隊の削減を議題とする我々として気持ちはない、同時に、共同宣言において明記しているように、兵力構成を含む軍事態勢について、今後状況の変化に応じて我々は話し合いの場を持ち続けていきたいということでありました。  そして我々は、そういう場所、すなわち日米安全保障協議委員会あるいは日米安全保障高級事務レベル協議等において継続的に協議を行うことについて全く異論はない旨をお答えしたところであります。
  140. 菅直人

    ○菅(直)委員 この点は、きょう朝からの質疑も、私もできるだけこの場に来て、あるいはテレビやラジオで聞いておりました。新進党二見先生からも、海兵隊の削減について、現時点では海兵隊の存在は必要だというような趣旨のお話もこの場であったようであります。そういった意味では、あるいは新進党と自民党は、この海兵隊の削減について、現時点ではそれを言い出さないという意味では共通なのかもしれません。しかし、本当にそれでいいのかということです。  先ほど来、私もヨーロッパの例、冷戦構造の後あるいは日本におけるいろいろな情勢を考えたときに、まさに政治として、この問題をいろんな時点でやってきた上で、今回は特に危ないときだからこれは言えないというのならまだわかります。しかし、二十五年間の歴史の中で、先ほど池田外相がまさに言われたように、一生懸命やった結果がわずか一六%。冷戦が終わったという大きな大きな変化の中で、スービックとクラークですか、あそこは一つは火山のせいかもしれませんが、フィリピンからも撤退をしたような大きな変化がアジアの中であった中でも、日本においてやっていないわけであります。  そういう点では、沖縄の人たちから見れば、あるいは、ある意味では私たちから見ても、いつもいろんな事情はあります。いろんな状況はあります。そういう意味では、この今の段階ではこれがあるから言えないんだ、今の段階ではあれがあるから言えないんだ、イラクがある、アフガニスタンがある、あるいはクウェートがある。しかし、現実にヨーロッパ等では相当の大幅な削減がなされているわけですから、私は、現時点におきましてもそのことを問題提起をすることが今我が国政治に求められているのではないか。  そういうことがきちんと出せないからこそ、日本政府に対して、あるいは国会に対して沖縄の皆さんは、この法案そのものが賛成、反対ということよりも、このまま行けばいろんな理屈をつけて、結局のところはあと二十五年たっても、もう一〇%ぐらい減るかもしれないけれども、そのぐらいしか減らないかもしれない。そういう思いを持っていることは間違いないわけでありまして、その点については、私は、政府としての、あるいはさらに、あえて言えば与党・自民党としての姿勢をぜひ変えていただいて、そのことに取り組んでいただきたい。
  141. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 一たんはともに内閣で席を並べました菅議員からの友情あふれる助言として、私はちょうだいをいたします。  その上で、先ほども申し上げましたけれども、先日、アルバニアで我が国のマスコミを含む在留邦人たちが救出をされましたのは、独仏師団に所属するドイツ軍の兵士によってでありました。アルバニアはドイツの領域ではございません。他国の領域までドイツは出ていって、我が国の人々を救出してくれました。  そして、ヨーロッパにはNATOという一つの立派な組織が成立をいたしております。当然ながら、そのNATOに米軍は多くのところをゆだねることができます。アジア太平洋地域におきまして、残念ながらまだそういう横の連絡、あるいはARF等の努力は始まっておりますけれども、各国が共通して安全保障をつくり上げるという、そのような仕組みを形成するに至っておりません。  今、NATOの拡大がヨーロッパで極めて大きな問題になっております。ロシアはこれに対して非常な反発を示しております。それは、旧東欧諸国がNATOに入ることによって、ロシアの国境線までNATOが入ってくるということに対する強い警戒であります。  どうぞ、アジア太平洋地域とヨーロッパ正面とを同一のレベルで御論議をいただきますと、安全保障体制という意味におきましては大きな違いがありますことだけは国民に誤解を生じせしめぬよう、よろしくお願いをいたします。
  142. 菅直人

    ○菅(直)委員 あえて、ドイツのことを話をされましたから、私からもドイツのことを少し申し上げてみたいと思います。  せんだって来、ドイツの大使と二度にわたって、私、意見交換をいたしました。  先ほど外交政策について少し申し上げましたが、もう一つ考え方として、歴史認識の問題について私たちの党は、戦前のことで反省すべきことは反省すべきだという立場に立っております。その話をしたときにドイツの大使は、戦後ドイツが置かれた状況は、ある意味では日本とも共通性が高かったと思う。一方では、アメリカとの関係を大変重要視しなければいけない。しかし同時に、隣国フランスやイギリスやヨーロッパの中に存在するドイツとして、それらのヨーロッパの国々との信頼関係をきちんと築き上げないことには国として存在できないという危機感があった。そこで、自分たちは何をしたか。ナチズムが行ったことについて、戦争犯罪とみずから認めてそれを処断してきた。自分は、日本に来てユダヤ教の教会に出かけたときにもそのことを申し上げてきた。  そういう中で、隣国フランスや多くの国々と信頼関係を回復して、そしてまさに、今総理が言われた、ドイツ軍がドイツあるいはNATO領域から出ることについては、近隣の諸国が当初は非常に危機感を持っていたわけです。それを、NATOの中であるいはECの中で、EUの中で信頼関係を醸成する中で、あのイラク、そして今回のアルバニア、基本法の解釈をたしか憲法裁判所で変えて対応しているわけであります。つまりは、そういうことがきちんと近隣諸国の理解の中で行われているんです。  我が国がそういった行動がとりにくいという問題は、もちろん、憲法のいわゆる専守防衛という一つ考え方もありますけれども、それと同時に、日米安保でさえ、もし日本日米安保をなくした場合には日本自身が軍事大国化していくのではないかと。少なくとも日本人の多くはそうは思っていないと思うのです。私も思っていません。多分総理も思っておられません。しかし、多くの国がそういうふうに思っている。  最初に申し上げた我が党の基本政策、つまり、アメリカとの関係も大変重要だけれどもアジア諸国との信頼関係を醸成しないでは二十一世紀の日本の外交というのがやっていけるかということなんですよ。そのことを抜きにして、今のドイツの行動だけを例に挙げて言われるのは、まさに私は、全体の構想としては偏っているとしか言えない。  そういった意味で、まさにドイツと日本は違うわけでありますから、違うわけでありますからこそ、しかし、今申し上げたように、近隣諸国の理解がなくて、海外における軍事的な行動がドイツですらとれないということをきちんと理解しておかないと、多分総理は、これから秋に向けてのガイドラインの議論とか、私は、そういう議論も大いに国会でやればいいと思うのです。  従来は、先ほども申し上げたように、ゼロか目いっぱいかという議論だと中身ができない、線が引けない。しかしこれからは、どこまでが、どういう事態において自衛隊の後方的な支援が可能なのかどうなのか。PKOも一応の法律はできておりますが、見直しがまだできておりません。そういう問題について、まさに国会で議論を起こすことによって国民の中での合意を形成する。  それは決して総理責任だということを申し上げているんじゃなくて、この間国会が必ずしもそういうことを果たしてこなかった意味では、まさに大いにやればいいので、そういう意味で、今私たちが申し上げたことは、ドイツの例であるからといってそのことが同じようなことではないということをあえて申し上げまして、あとは、同僚議員の前原議員の方に時間を譲りたいと思います。
  143. 野中広務

    野中委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。
  144. 前原誠司

    ○前原委員 通告をしておりました順序をちょっと変えまして、まず、この特借法についての話についてお伺いをしたいと思います。  私は、ちょっと簡略に申し上げますけれども、この特別措置法の法改正自体はそれほど問題ではないと思っています。法律というのは、ある政策目的というものを達成するためにつくるものでありまして、この特措法というのは、基地に対する土地というものを国として、条約でありますから、買い取るのではなくて借り上げたい、そしてそれについての土地収用法に倣った手続をとる、そういう手続を定められたものであると思っております。  一部の政党には、収用委員会がノーと言った場合には、次にはまた建設大臣に対して不服を申し立てて、そして建設大臣が国の機関であるからノーと言うはずがない、だから結局それはできるはずになっているんだというような指摘がございますけれども、それは法改正する以前の今の法律の体系そのものがこうなっているわけでありまして、要は特措法自体の問題ではないと私は思うのですね。  では問題は何かというと、手続にこれだけの時間がかかるだろうということで想定したものを超える時間がかかっている。少女暴行事件等がありましたし、今まで我々も含めて沖縄の問題に対して余り真摯に取り組んでこなかったといういろいろな要素が絡んできて、想定をしていた時間よりも大幅に時間がかかって、そして権原のない状況というものがつくり出されそうになったということであって、したがって、当初この特措法が想定していた、基地に対する土地提供というものを果たすための特借法というものの趣旨自体は変わっていないし、そういう意味では、法律の改正、つまり暫定使用をするということ自体は、私はそれほど問題ではないのだろうと思います。  ただ問題なのは、要は想定をしていた特措法というものがこれだけ時間がかかるということは考えていませんでした、つまり特措法自体に政策目的を達成するために欠陥がありましたということをやはり一度国がしっかり認められて、それに対する謝罪といいますか、今の法律では欠陥がありました、政策目的というものを達成することに瑕疵がありました、したがって法改正をしますという、一度そういう明確な仕切りがないとこの問題の出発点にはならないと私は思うのですけれども、その点、防衛庁長官お答えをお願いしたい。
  145. 久間章生

    ○久間国務大臣 我々政府の方から、この法律に欠陥がありましたと立法府に対して言うこと自体が本来異なものでございまして、むしろ、この法律でやっているけれどもなかなかこういう問題がありましてできませんというのが行政府の本来の立場だろうと思うのです。立法府でつくられました法律に対して、これは欠陥がありますからそれで法律を改正してくださいというようなことを早い時期に言うべきかどうか、これはまた考えようと思いますけれども、私はそういう意味で考えましたときに、この法律は二十七年にできておるわけでございます。その後ずっと適用されてまいりまして、本土でも適用されたことは当委員会でも言ったとおりでございまして、三十七年までの間に五十回適用されております。そして、沖縄が復帰されましてからは、五十七年からはこの法律に基づいてもう三回適用されてきておるわけでございますが、しかし、だんだんと、五十七年から六十二年になりましたときに、いわゆる一坪反戦地主の方が非常にふえたということから、これは時間がかかるなということも覚悟してきたわけでございまして、そういう中でやって、今度は過去の例から見て七年の三月三日に、ここなら大丈夫だろうということで出したわけでございます。  ところが、出しました後に、ああいういろいろな事件等が起きましたために、通常の、今までのような形ではいわゆる物件調書をつくるときに署名押印ができないということで拒否されました。そのために、歴代になかったような形で、総理が知事を相手に、それについて職務執行命令という形で地方自治法の手続に基づいて諸般の手続をとらざるを得なかったという経緯が続いたわけでございます。そういう流れの中で時間的に非常に追い込まれてきた、そういうことでございまして、だから、政府がだれに対してわびるのか、わびろと言われるのは、国民に対して申しわけなかったというならば、それは、それだけのことができなかったということに対しては遺憾の意を表明しますけれども、これはだれの責任、だれがだれに対してわびを入れるというようなものではございませんで、そういうような事態の中で推移したら大変なことになるので法律改正をしていただきたいということで今お願いしているわけでございますから、それはそのまま受け取っていただきたいと思うわけでございます。
  146. 前原誠司

    ○前原委員 余り本音と建前の議論をここで私はすべきではないと思うのですよね。立法府がつくったものだから政府が謝る必要はないと……(久間国務大臣「いや、そういう言い方じゃない」と呼ぶ)今おっしゃったのはそういう言い方ですよ。  議院内閣制において、要は多数派をとったところが内閣を構成をして、そしてそれが法律を基本的につくる。閣法も多いし、そして議員立法も多いという中で、今大臣のおっしゃったようなことだったら、行政府は我々の今の立場です、しかしこれは立法府がつくられたことで、それの瑕疵については行政府が謝る必要がない、それは僕は開き直り以外の何物でもないと思いますよ。(久間国務大臣「いやいや、ちょっと委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください、今僕は質問しているんだから。  だから、そういうすべてのことが、本音と建前が入り乱れたことが、だれも責任をとっていない、だれも謝っていない。法律自体に穴があって、そして法改正をするということ自体は、これは今その審議をしているのですから当然のことでしょう。だから、その点はやはり真摯に受けとめないと、その一番担当の防衛庁長官がそんな居直ったような答弁をされたら、私は、この議論自体に大きな問題になると思いますよ。言いたいことがあればどうぞ。
  147. 久間章生

    ○久間国務大臣 もし私の表現の仕方が居直ったようにおとりでしたら、それはもう訂正しますけれども、そういうことじゃございませんで、私どもは、現在ある法律に基づいて誠実にそれを実行していく、そういうようなことが行政府としては義務があるわけでございますから、そういうことでやってきて、そして五月の十四日までに何とかもらえる、そういうふうな思いでずっと来たわけでございますね。  ところが、先ほどから言いますように、それだけたくさんの方々に、本来でございますと、在来地主の方でいけば百十数名でいいわけですけれども、たった二人の人から二千九百人の人がふえていっているわけですから、収用委員会としてみれば、やはりいろんな手続を経ながら粛々とやられると時間がかかってくるわけでございまして、私ども期待したよりも、どうしても五月十四日を越えてしまいそうだということになったわけでございますから、ぜひそれは、何もこの法律がどうだこうだということじゃなくて、今この時点になったらこれしかもう方法はないのでひとつよろしくということでお願いしているわけでございますので、ぜひ御理解していただきたいと思うわけです。
  148. 前原誠司

    ○前原委員 要は、政策目的を達成するために特措法というのがあるわけです。基地提供するために国民から、反対される方もいるけれども基地を貸してください、土地を貸してくださいということで、特措法をつくってその政策目的を達成しようとしているわけですね。ただ、想定していなかったような状況が起きて、そして無権原の状態が起きるということがわかった。今までの法律ではそれができなかったわけでしょう、それだから変えるということでしょう。  ということになれば、今までの法律には欠陥があって、今までそれを執行していた立場としてやはりそれを謝って、そしてそれを何とか政策目的を達成するために法改正をお願いしますという真摯な態度が出ないと、私は問題の所在というものがはっきりしないし、議論の出発点にも立てないと思うんですよ。  そういうことを指摘をしながら、次の問題について御質問したいと思います。  ですから、純粋な法律の見地からすれば、今申し上げたように、もともと特措法というものがそういう法律の性質であって、こういう無権原状態になるということが想定できなくて、それを改正しようというのはわかります。  ただ、沖縄の皆さん方がこれだけ反対をされるというのは、法律そのものに対してもあると思いますけれども、この間も私、予算委員会で御質問をいたしましたけれども、こういうときでないと、沖縄基地縮小の問題、兵力の削減の問題とか沖縄の振興策の問題とかあるいは地位協定見直しとか、やはりそういったものについて発言する場がない、こういう場をとらえて発言をしたいということで今大きな問題になっていると思いますし、そういう大きな観点からすると、特別委員会をつくるということについては私は納得のできるところであります。  じゃ、この暫定使用というものを、この法改正をして未来永劫するのか。純粋な法的な観点からすればいいのかもしれないけれども、しかし沖縄方々からすれば信用できない。やはり何か具体的な目標あるいは日程の制限というものがないと、言葉は悪いですけれども、本当にこの法律の改正だけやらして、そしてあとは知らんぷりだということになっては、沖縄の気持ちにこたえるということにはならない。  そういう意味で、例えば見直しの条項をつけるとか、あるいは今度は行革、地方分権で答申が出ますけれども、そういうものを見据えて時限的なものにするとか、そういう考え方も私はあるのかなと思いますけれども、その点について大臣お答えをお願いします。
  149. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほど委員がいみじくもおっしゃいましたように、今までの法律上こういう問題が出てきたんだから改正せにゃならぬ、そこはわかる、それについてはおまえら謝れと言われれば、私はそれはもう、本当に申しわけございません、そういう事態を招きましたということで幾らでも頭を下げますけれども、これから先、こういう事態沖縄だけじゃなくてよそで出てこないか、そういうことを考えますと、沖縄についてはこれで、例えば収用委員会が三年とか五年とかそういう裁決をされますと、それが一つの期間になりますけれども、本土でも適用されている法律でございまして、来年以降もそういう期限が来るのがたくさんあるわけでございます。今は賃貸借契約が結ばれておりますけれども、これが、賃貸借契約の期限が来たときに次はどうなるかわからないということがございますので、これは時限立法にするわけにはまいらないというのを今までも説明してきておるわけでございますので、どうかそういう意味で、一般法であるということを御理解していただきたいと思うのです。(前原委員「では時限の話は」と呼ぶ)  だから、時限立法とするわけにはまいらない。来年あるいは再来年に期限が来るときに、そういう形で契約を拒否された方々に適用する。そのときに、今までみたいに一人、二人の方でございますと結構でございますけれども沖縄だってもともとはたった二人の人が譲渡したのが三千人になっているわけでございますから、本土でそういうことがないとは言えないわけでございますので、だから、する以上は完璧なものにしたい、そういうふうに思っているわけでございます。
  150. 前原誠司

    ○前原委員 大臣の御趣旨は私はよくわかります。  ただ、私が先ほど指摘をさせていただいたように、こういった節目をてこに、今まで忘れ去られた問題についてしっかりやってくれ、こういう要望があるというのは今も受けとめておられると思いますけれども、そういったことを、これは行政府ではなくて我々立法府の立場としてもやっていかなきゃいけないし、私は、そういう意味で、言いっ放してはなくて、具体的な目標とか日程を定めた取り決めを本委員会でも決めていかなくてはいけないのではないか、そういうふうに思っておりますので、また委員長にもその点をお含みをいただきたいと思って、この質問についてはこの程度にさせていただきます。  次に、日米安保条約について御質問をさせていただきたいと思います。  先ほど我が党の菅代表からお話がございましたけれども、我々は、日米安保条約というものを重視をし、そしてその内容というものを評価しているものであります。しかし、この条約が結ばれた一九六〇年、新安保でございますけれども、それ以降、この内容的な変質というものが、条約改正とか新たな議論を経ないまま行われてきたのではないかという危惧を私は持っているわけであります。  例えば、一九九五年の二月に東アジア戦略報告という、ナイ・イニシアチブと言われているものがアメリカから報告をされました。これにはどういうことが書いてあるかと申しますと、日米安保同盟は米国のアジア安保政策のかなめである、日米関係は米国の太平洋安全保障政策とグローバルな戦略目的の基礎である、こういうことになっているわけですね。日米安保条約の五条、六条に書かれておりますように、この条約は決してアメリカの世界戦略とかアジア太平洋戦略というものに資するというものではなくて、基本的に日本の平和と安全にかかわりのある極東での紛争などについて、基地提供などの義務を負うということがこの六条に書かれているわけであります。  さて、私、今ちょっと資料を委員部の方から取り寄せさせていただきました。これは、一九六〇年、ちょうど安保の改定のときに特別委員会というのができたそうであります。そのときに交わされた議論について御紹介をさせていただきたいと思います。  つまり、このときにも同じような議論がありました。昭和三十五年であります。自民党の古井喜実さんという方が、鳥取県から出ておられた方でありますけれども、岸総理大臣に対してこういう質問をされています。   条約の内容につきましては、いろいろ問題はありましょうが、問題の焦点は、日本関係のない極東の紛争に日本が巻き込まれる心配はないかという点であると思います。そうなりましては、安保条約は、日本の自衛のためのものではなくなってくるのであります。十五年ないし二十年前のあの戦争、敗戦、あの経験を味わった日本国民としましては、戦争に対しては至って神経質であります。国内には、安保条約の裏には、日本を、単に日本だけでなく、極東全体の防衛基地ないし軍事基地に使おうとする意図がアメリカにあるのではないかと疑う者もあるのであります。こういう質問をされておりまして、そして引き続き、この不安にこたえますのは、申すまでもなく事前協議であります。この事前協議は、この条約のまことに目玉であります。こういう質問を古井議員はなされているわけであります。  これに対して、岸総理大臣がどういう御答弁をされているかといいますと、現実に起こった具体的の場合において、極東の地域に起こったことは、ことごとく日本の平和と安全に直接に密接な関係があるか、こう言いますと、必ずしもそうは言えないと思います。   従って、今回のこの事前協議の場合において、日本のこれに対する態度というものは、日本の平和と安全ということに直接に、また、きわめて緊密な関係を持っているような事態に対しましては、米軍基地使用認めるけれども、そうでない場合においてはこれを拒否するこういうような答弁を当時の総理大臣はなされているわけであります。  つまり、この新しい安保条約、現行の安保条約でありますけれども、それを結ぶ際に、極東の範囲とか、あるいは日本が戦争に巻き込まれないかとか、あるいは日米安保条約自体が拡大解釈をされないかとか、そういう不安の一つの抑止になつているのが事前協議というものであるわけであります。  ここで外務大臣にお尋ねをいたしますけれども、今まで安保条約が結ばれてから事前協議というのは何回行われておりますか。
  151. 折田正樹

    ○折田政府委員 日米安保条約第六条の実施に関する交換公文に基づく事前協議は、これまで実施された例はございません。
  152. 前原誠司

    ○前原委員 要は、昭和三十五年にこれだけ安保条約の拡大解釈というものに懸念を帯びて、そしてその一つの大きな歯どめとして事前協議というものが設定をされて、これは岸総理とハーター国務長官の交換公文でも書かれているわけでありますけれども、一回もやられていないということであります。私はこれは非常に問題だと思うのですね。  私がこの問題に対してきょう質問をさせていただいているのは、先ほど我が党の代表から質問をさせていただきましたように、今の安保というものが本当に条約が結ばれたときの性格そのものになっているのか、ひょっとしたら拡大をされているのじゃないか、その拡大をされた解釈のもとで米軍の兵力というものが存在をするのであれば、それは削減というものを条約の原点に返ったらやるべきではないか、こういうことを申し上げたいわけであります。  仮に、じゃ条約を変えて、あるいは解釈も変えて、アメリカの世界戦略にしてもらいましょう、その方がいいということであれば、私は、条約も変えてそういう方向にしようという議論をするのだったらいいけれども、なしまし的にこういう議論がなされて、あるいは予定をされている、期待をされている事前協議も一度もされていないという状況においては、日米安保そのものの形骸化につながっていると指摘を受けても私はしようがないと思うのですね。  例えば、この事前協議にかかわる行われるものというのは、配置における重要な変更の場合。陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置。また、二番目には、装備における重要な変更。核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設。三番目が、我が国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設区域使用。こういう三つについて事前協議の対象にするということが決められているわけであります。  決められているのに、それがなされていない。例えばベトナム戦争しかり。これは、日本基地からベトナム戦争に出動しているということがアメリカの報告にも明らかになっているわけであります。湾岸戦争でも、日本基地から出発をしているというふうなことは、アメリカの発表されている、これは一九九一会計年度国防報告に関して、「東アジアに配備されている米軍は今後、域内外でより広範な役割を担うものと見られる。これはこのほど、湾岸紛争を支援するため、在日の米海兵隊および海軍戦力が展開された事実に現れている。」こういうアメリカのものにも書かれているわけですね。  今までの日本見解、外務省の見解はどうだったかというと、いわゆる部隊の移動である、部隊の移動については、直接の戦闘行動の出撃ではないので事前協議の対象にはならないというような、国民からしたらまことにわかりにくい答弁でこれを過ごしてきているわけです。  当初予定をされてきたこの事前協議というもの、そして、そういう真剣な議論が行われているものと今の事前協議というものは、本当にかけ離れたものになっていると言わざるを得ません。この点について、総理、どういうふうにお考えなのか。また、事前協議について、もう一度内容的に見直して活性化をする必要性がないのかどうか。その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  153. 折田正樹

    ○折田政府委員 私から条約の制度について御説明いたしたいと思いますけれども、これは昭和四十七年の政府統一見解にもございますが、事前協議の主題となる戦闘作戦行動とは「直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すもの」でございまして、「米国がわが国の施設区域から発進する際の任務・態様がかかる行動のための施設区域使用に該当する場合には、米国はわが国と事前協議を行う義務を有する。」ということでございます。  それから、日本国の安全に寄与し、極東における国際の平和と安全の維持に寄与する米軍が、米軍の運用上の観点から、例えば中東地域に移動しているということはあり得ることでございますけれども安保条約の極東というのは、米軍行動、任務の範囲を極東に限定するという趣旨ではないということも従来から政府として御答弁を申し上げてきているところでございます。
  154. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 従来からの事務方の解釈は今申し上げたとおりでありますが、今の言い方は、大変その意味ではうまくできた言い方でありまして、移動に伴う、移動ということですべてを整理をつけていく。事実問題として、これからもそういう議論で形づくっていこうとするならば、それもできないことではないんだと私は思います。しかし、そういう情勢ばかりがいいかといえば、必ずしもよいことばかりではないと思います。  ですから、そういう意味では、議員が先ほど来述べてこられたように、一たん議論を整理する、整序すると言った方がいいのでしょうか、整序する必要性があるんじゃないか。国際情勢が変化した中でという御指摘に立つならば、従来と同じものでありましても、外から見たときには違うように見える可能性というものは否定できません。条約が変質しているわけではなく、その行動が変化しているわけではなくても、周辺の状況に変化が生じたがために、異質のように見える可能性がないと言い切ることはできないと思います。そうしたケースについては私は議論を深めていくことは有意義なことだと思います。
  155. 前原誠司

    ○前原委員 部隊の移動というのは、直接戦闘には当たらないかもしれないけれども、しかし正面と後方という言葉があるように、すべて兵たんまで含めて動いてトータルな軍事作戦行動ができるわけでありまして、具体的な軍事行動に直接行っていないから、あるいは移動して、そしてそのほかのところが直接行動に出た、そこがあいだがら今度は移動したんだというふうな議論で、これからも事前協議という、この安保をつくるときに大変重要視をされていたものを形骸化していくというのは私は許されないと思うし、今総理が言われたように、もっと違う観点からもこの事前協議の活性化というものを図っていただかなくてはいけないと私は思うわけであります。  先ほど菅代表がフィリピンの例を言っておりました。沖縄に関連して一つだけ指摘をさせていただきたいと思いますけれども、クラーク、スービックの閉鎖に伴って、沖縄あるいは横須賀、佐世保に米軍の移動がございました。クラークから嘉手納、普天間に移ったのは五百八十一人、二個飛行隊ということであります。あるいは、輸送空軍ということでは百六十名、C12が二機、こういうことになっております。仮に嘉手納に駐屯するということだったのが、今私は、常駐をしているという話も聞いております。  そして、この事前協議に照らし合わせてみれば、一個の事前協議に当たると言われている部隊よりも小さいがために事前協議の対象にはならないけれども、実際問題、人の数が、沖縄でフィリピンの基地の撤退に伴ってふえているという事実はあるわけですね。だから、それについて私は、これからもっときめ細かな事前協議の区割りといいますか仕分けというものをつくって考えていかなくてはいけないと思いますし、その点については、ぜひ積極的に改定をしていただきたいと思うわけであります。  時間も差し迫ってまいりましたので、最後の質問をさせていただきたいと思います。  それは、沖縄の兵力に関連をして、本当に今の兵力水準が必要なのかどうかということを、もうちょっと具体的に、また論理立って我々は考えていかなくてはいけないのではないかと思います。  防衛庁から資料をいただきました。朝鮮半島における軍事力ということで、北朝鮮陸軍、海軍、空軍、韓国そして在韓米軍といったものも出していただきました。もう一つ補足的に、中国の軍事力というものについても出していただきました。  防衛庁のそういう情報の分析をされる方々に伺っていましても、戦闘機の機数ではないんだ、どれだけの新しいものがあるのか、古いものがあるのか、そして実際問題、戦闘が行われたときにはどういう形での戦闘が行われるのかといったことも言われていました。  話としては、要約しますと、北朝鮮においては、戦車の数とか戦闘機の数とかいうのは多いけれども、非常に古いものが多くて、韓国や在韓米軍のものに比べると、質的には比べものになりません。どういう第一義的な戦われ方がするかという問題はあるけれども、実際問題、そういう事態が起これば、まあ話にならないでしようというのが防衛庁からのお答えでありました。  中国脅威論も言われますけれども、実際問題、中国の戦力にいたしましても、北朝鮮と同じように、まだまだ旧態依然としている。その中で本当に、コーエン国防長官が言われるように、それだけの脅威があるから海兵隊を初め沖縄の兵力は減らさないとか、あるいは朝鮮半島が終わったらほかの地域に対する脅威のために残すんだとか、そういう議論がありますけれども、私は、こういう数字を見る限りは、国民に対しては説得はできないと思うんですね。  じゃ、どういうシナリオで、あるいはどういう筋書きで、この両国あるいは中国を含めての軍事能力というものを挙げた上で、今後、沖縄あるいは日本の兵力が必要なのか、そういうふうに説得されるおつもりなのか。その点について、防衛庁長官お答えをお願いしたい。
  156. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず、先ほどの議論の中でもございましたけれども、ヨーロッパとアジア太平洋状況が全く違うということがございます。  確かに、大きな流れとすれば、冷戦終えん後、国際紛争、とりわけ大規模なものは少なくなる流れにございます。しかしながら、ヨーロッパの方がNATOを初めとしてきちんとした安全保障の枠組みがあるのに対しまして、アジア太平洋の方は、そういう多国間の枠組みが今ないし、実力を伴ったそういう枠組みが近々にできる見込みはございません。やはりそういった意味で、米国を一方の当事者とする二国間の同盟関係というものが基本になるということは一つある。これは、委員も御理解いただけると思います。  それから、そういった中でも、冷戦終えん後、アジアサイドでは全く兵力削減が進んでいないわけじゃございません。米軍としても、先ほども議論に出ておりましたけれども、十三万五千ぐらいだったのが今十万になっている。日本で見ましても、沖縄返還の昭和四十七年時点では、たしか六万五、六千だったと思いますが、それが四万七千というふうに今言われている。これまでの中でも、そういったあれは進んでいるわけでございます。  しかし、現時点において、先ほど申しましたようなアジアの情勢を考えますと、やはり我が国駐留を含めた十万人のプレゼンスというものは不可欠であるというふうに認識している次第でございます。
  157. 野中広務

    野中委員長 時間が終了しておりますので、御協力願います。
  158. 前原誠司

    ○前原委員 私、安全保障について必要性は十分認識をしておりますけれども、なぜそれだけの兵力が必要なのかといったことを具体的にわかりやすく国民に説得しなければなかなかこの議論というのは前へ進まないと思いますし、ぜひそういう議論を我が党としても進めていくことをお約束して、終わります。
  159. 野中広務

    野中委員長 これにて菅君、前原君の質疑は終了いたしました。  次に、志位和夫君。
  160. 志位和夫

    志位委員 私は、日本共産党を代表して、橋本総理に、米軍用地特別措置法の問題について質問いたします。  今回の法改悪に対して、沖縄の人々は島ぐるみで厳しい抗議の声を上げています。大田知事も県議会も、多くの市町村長も議会も、県民世論の多数も反対であります。それは何よりも、この法改悪によって土地の取り上げが永久化するのではないか、沖縄米軍基地が二十一世紀に向かって長期固定化されるのではないかという不安と危惧、怒りから来ているのであります。私はその怒りというのは、今度の法案の内容と深くかかわっていると思います。  そこで、幾つかの角度から吟味したいんですが、私は今度の改悪法案の内容を見ますと、その一番の重大な特徴は、土地使用問題を最終的に決める県の収用委員会をねらい撃ちにするものになっている、ここにあると思います。  第一に、改悪法案では、収用委員会の裁決がなくても暫定使用という名目で土地強制使用が続けられる仕組みになっております。建設省に念のために確認しておきたいんですが、これまで収用委員会の裁決なしに土地強制使用が行われたケースがありますか。簡単でいいです。
  161. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 御案内かもしれませんが、土地収用法には、一般の収用、使用のほかに特別な場合における収用、使用を想定いたしておりまして、具体的に申し上げますと、土地収用法第百二十二条におきまして非常災害の場合の土地使用制度を規定しております。この場合には、必要な事業を緊急に施行する場合に、一般的には市町村長の許可を得てやる、事業主が国あるいは都道府県の場合には市町村への通知、こういう制度はございますが、ここで想定いたしておりますのは災害が生じた場合の応急措置でございますので、制度としてはございますけれども、実例につきましては、大体地元の地主さんの御了解が得られるものですから、そういう権限を強制的に使用したという例は聞いておりません。
  162. 志位和夫

    志位委員 結論だけ言ってくれればいいんですよ。それで、災害の問題等と言われたけれども、そういうケースはないということでした。  収用委員会の裁決というのは、問題になっているのは地主の意思に反して土地強制使用を行う場合なわけですから、これは裁決が不可欠な要件だった、これは明瞭であります。ところが、今度の法案というのはその裁決なしにもそれができるわけですから、私はこれはこの収用委員会の裁決権を事実上空洞化させるものだと言わなければならない。これが第一点であります。  第二の問題ですが、強制使用の期限の問題についてです。  土地強制使用の期限を決めるのは、収用委員会だけに与えられた権限です。例えば政府が十年間の使用の期限を申請したとしても、収用委員会の権限として五年の期間を設定することができます。これまでもそういうケースが多々ありました。期限を決めるというのは収用委員会の固有の権限ですね。これはどうですか。簡単に答えてください。イエスかノーかでいいです。そこでもいいですよ。固有の権限。じゃ、防衛庁長官でいいです。
  163. 久間章生

    ○久間国務大臣 そのとおりでございます。
  164. 志位和夫

    志位委員 固有の権限なんですよ。使用期間を決める、財産権の制限をする期間なんですから、非常に重要な意味合いを持つのです。これは収用委員会の固有の権限です。  ところが、この問題についても、今度の改悪法案では使用期限が切れた土地を継続使用にできるわけでしょう。こうなりますと、収用委員会が期限を決めるという行為そのものの意味がなくなるじゃありませんか。この期限を決めるというのは、非常に重要な意味を持っているし、重大な権限なんです。  今なぜ沖縄でこういう事態が起こっているか、米軍基地の収用の問題、使用の問題が起こっているかといいますと、これは収用委員会が決めた期限が切れているから起こっているわけですね。ところが、期限が切れても使用できるということになりましたら、これは強制使用の期限を決めるという収用委員会のみに与えられた権限を事実上剥奪するに等しいことになる。これは二つ目の問題です。  第三の問題。収用委員会による却下の問題です。これは防衛庁長官にお聞きしますのでよく聞いていただきたいのですが、今度の法案では、収用委員会によって裁決申請が却下された場合でも、防衛施設局長が建設大臣に対して不服審査請求を行えば継続使用ができるとされています。しかし、そもそもこの収用委員会裁決申請を却下するというのはどういう場合ですか。これは防衛庁長官、端的にお答えください。
  165. 久間章生

    ○久間国務大臣 却下する場合は、この法律にその申請が違反している場合に却下する、却下しなければならないとなっているわけですね。
  166. 志位和夫

    志位委員 法律違反の場合に却下するとおっしゃられました。そのとおりなんですね。しかし、そうなりますと、違法なのに使用できるということになるわけですよ。そうでしょう。こんな法律がありますか。収用委員会が、これは違法なものだということで却下裁定を下した、それに対して不服審査請求をやっていれば継続使用ができるということは、違法でも使用ができるということになる。  私は、政府法律に反したいいかげんな使用認定を行い、いいかげんな裁決申請を行って、収用委員会は、これは違法だ、こういう認定をして却下しても土地強制使用ができる、こうなったら、本当に収用委員会が却下裁定をする、これも意味がなくなる。どうですか。
  167. 久間章生

    ○久間国務大臣 収用委員会は、申請が違法な場合には却下しなければならないとなっているわけですね。ところが、同じ法律の中に、その場合に審査請求をする規定があるということは、その却下が、起業者側すなわち防衛施設局長から見た場合に、これは違法であると判断したそのこと自体がおかしいと思ったときには建設大臣に上げられるように、現在の法律でそういう制度があるわけですから。だから、違法だから却下した、違法なことをやっているんだから何でそれを審査請求するんだといいますと、現在の法律でそれを認めてくれているわけですから。だから、そこのところは誤解ないようにしておっていただきたいと思います。
  168. 志位和夫

    志位委員 そんなところを誤解して質問しているのじゃないんですよ。現在の法律でもそういう仕組みはあるけれども、却下されても使用が継続できるということを問題にしているんですよ。違法だと却下したものを、それを使用を継続できるというのはもう法律の体をなしていない、私はこう思います。そこを変えようとしているわけですからね。これまで、この不服審査請求をするその期間は、使用期限が切れればもう使えなかったわけですよ。ところが、使用期限が切れても使い続けることができるというところに今度の改悪の内容があるわけですよ。これを問題にしている。  私は、今度の改悪法案というのは、収用委員会の機能を三つの意味で事実上無力化するものだと思います。一つは、裁決抜きに強制使用ができる。二つ目は、期限が切れても強制使用ができる。三つ目は、却下されても強制使用が継続できる。どういう状況になったとしても米軍のための土地取り上げの強制が続けられるわけですから、これは事実上、私は、県の収用委員会を無力化する。形式上は収用委員会の機能は残されているかもしれないけれども、それが審理をし裁定を下す意味をなくしてしまう。そういうところに今度のこの法案の一番の問題点があり眼目がある、最大の問題点の眼目がある、こう思います。  問題は、このことが憲法で許されるかということなのですよ。こういうやり方、こういう方法が憲法で許されるのか、日本国憲法のもとで許されるのかということを次に吟味してみたいと私は思うのです。  総理に今度は伺います。  総理は、本会議で、我が党の代表の質問に対して、今度の法案は憲法違反ではないという答弁をされました。そこで、私、憲法認識のイロハにさかのぼって幾つか首相に認識をただしたい。総理が答弁したのですから、総理認識をただしたいと思っています。(橋本内閣総理大臣「イロハになったら法制局」と呼ぶ)首相に答えていただきたい。簡単なことしか聞きませんから。(橋本内閣総理大臣「簡単なことなら法制局」と呼ぶ)  特に私がこの点で取り上げたいのは、憲法に保障されている財産権とのかかわりです。  憲法第二十九条の第一項では、「財産権は、これを侵してはならない。」という規定がございます。総理の基本的認識を伺いたいのですが、ここで「侵してはならない。」としているのは、一体だれの侵害、何による侵害から財産権を守るための規定と理解していますか。総理、どうぞ。
  169. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 憲法第二十九条、「財産権は、これを侵してはならない。」二、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」三、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」  以上であります。
  170. 志位和夫

    志位委員 憲法の条文を読んでもらうだけでは困るのですよ。憲法の条文の二十九条の一項、いいですか、一項の意味を聞いているのです。これは、総理、憲法の常識に属する問題なのです。  「註解日本国憲法」という学界の通説が述べられている本では、この条項の規定についてこう述べております。「人民が安全にその財産を享有しうべく、国家の権力によっても濫りにこれを侵しえないものとなして、財産権を保障する。」「本条は、国家がかように人民の財産権を侵してはならないことを定めたものである。」  つまり、財産権の保障というのは、公的権力、とりわけ国家権力がみだりに国民の財産を取り上げてはいけない、こういう規定なのですよ。これは常識ですが、総理、それはお認めになりますね。
  171. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 憲法第二十九条は、先ほど読み上げましたとおり、財産権の保障について規定しております。同条第三項は、私有財産を絶対のものとせず、正当な補償のもとで公共のために用いることを認めております。そして、改正案は──先ほどから議員が御発言になりますたびに、私、改悪法改悪法と言われるのは非常に耳ざわりでありまして、改正案でございますので、改正案でありますので改めて申し上げます。改正案は、この憲法の規定に従いまして、現に駐留軍の用に供されており、引き続きその用に供する必要があると認定された土地などを適正な補償のもとで暫定使用するための要件と手続を定めているものであります。国民の財産権を侵害するものではございません。
  172. 志位和夫

    志位委員 聞かれたことに全然お答えにならないのですが、もう一つ、私、これは司法の場でも決着がついている問題なので、御紹介しておきます。  これは一九六一年の十一月九日に東京地裁で下された確定判決でありますが、その判決文の中で「憲法第二九条の規定の趣旨は、財産権を公権力による故なき侵害から保障するにあり、」こう述べておりますから、この問題は非常に明瞭なのですね。  戦前の旧憲法では、法律の定めるところによってということで、どんどんどんどん国の勝手放題に国民の財産や土地が取り上げられ、戦争や軍隊のために使われたという、その反省の上に立ってこういう条文がつくられているわけであります。これは基本のことなので、しっかり押さえた上で次の議論に進みたいと思います。  そこで、次の問題です。  総理は、公共の福祉ということをおっしゃいました。確かに、現在の憲法でも、財産権に対して公共の福祉のために一定の制約を加え得るということが述べられております。しかし、その場合も適正な手続が当然必要になってくる、これも憲法上の要請であります。私は、その手続を定めたのがこの米軍用地特措法が準用している土地収用法であり、収用委員会制度だと考えております。  この制度の特徴は一体どこにあるのか。私は、端的に言って、土地使用認定を行うのは国になっておりますが、最終的な裁決を行うのは県の収用委員会になっている、いわば二重構造になっているわけですよ、この法体系というのは。つまり、国が一方的に土地の取り上げができないような仕組みがここに働いているわけです。仮に使用認定も国で裁決も国ということになったら、これは戦前型の一方的な土地の取り上げが可能になるわけですから、そういうことができないようにわざわざ県の収用委員会というものをつくっているわけです。  これは、私は、憲法上の要請だと考えております。つまり、現在の土地収用法がこういう二重の構造になっている、使用認定は国がやるが、裁決は県の収用委員会がやる、こういう二重の構造になっているのは、やはり国民の財産権を国家の権力、公的権力、その不当な侵害から守るという、憲法が要請しているからこそこういう仕組みがつくられている、私はこう考えますが、総理、いかがでしょうか。
  173. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 一方的に論理を進められますと非常に誤解が生じますので、若干前の質問に立ち返って御答弁をいたしたいと思います。  まず、憲法二十九条との関係でございますが、委員は、憲法二十九条第一項のみに議論を集約されまして、二十九条三項を議論されていないわけでございますが、二十九条三項は、先ほど総理からも読み上げられましたように、財産権は公共のために正当な補償のもとで用いることができるというふうに規定しているわけでございます。  そこで、今回の暫定使用制度、これを憲法二十九条第三項との関係で検証してみますと、要するに要件は二つございます。正当な補償のもとで公共のために用いることができる、したがって、正当な補償を確保されるか、公共のためであるかという二つの要件の検証が必要なわけでございます。  まず、公共のために用いるという要件を満たしていることは、これは要するに、日米安保条約に基づく米軍駐留我が国の生存と安全に寄与するためである、したがって我が国の国益を確保するという高度の公共性を有している、こういうことで十分であろうと思いますし、また具体的な土地との関係につきましては、内閣総理大臣が引き続き駐留軍の用に供する必要があり、かつ、それが適正かつ合理的であると個々具体的に認定した土地等を対象として暫定使用制度が立っているということから、この公共のためという要件を満たしていることは明々白々でございます。  次に、正当な補償のもとにという要件につきましては、やはり今回の暫定制度のもとにおきまして、損失の補償のための担保をあらかじめ提供しなければならないこととし、土地所有者等はその請求により損失補償の内払いとしてその担保を取得することができ、しかも、暫定使用による実際の損失については、最終的には、適正な補償について判断することをその任務とする収用委員会が裁決することにしているわけでございまして、以上、二つの検討からいたしまして、二十九条三項、これにつきましては何ら問題がない。  次に、先ほど三十一条との関係を御指摘になったのであろうと思います。三十一条は、直接には刑事手続における適正手続、いわゆるデュープロセスを求めたものではございますけれども、この精神というものは行政手続においても押し及ばされるべきものであろうということについては同感でございます。  しかしながら、改正法の暫定使用制度と申しますのは、駐留軍の用に供する土地等使用、収用につきまして、公益と私益の調整に関する詳細な手続を定めた駐留特措法に基づく一連の手続の過程におきまして、先ほど述べましたような暫定使用を求めることでございます。  したがいまして、憲法の要請に適合する適正手続そのものである駐留特措法に基づく一連の手続の過程で、これら厳格な要件を法律で明定いたしまして、これに対して極めて限定された暫定使用権の付与という効果を認めているものでございまして、憲法の求める適正手続の要請に何ら反するものではない。私どもは、慎重なる検討の結果、何ら憲法上の問題は生じないという自信を持って閣議決定をし、国会に提出いたした次第でございます。
  174. 志位和夫

    志位委員 いろいろ言いましたけれども、聞かれたことに全く答えていないのですよ。私が最初に聞いたのは、二十九条第一項が国家権力による不正な侵害から守るためのものでしようということで聞いたけれども、そのことをお答えにならなかった。そして、私が一項だけの議論をしているとねじ曲げました。私は、公共の福祉のために制約することがあり得るということを二項、三項を念頭に置いて言ったわけであります。それなのに、私のそういう議論をねじ曲げて、そして勝手な議論を展開する、これが法制局長官か、とんでもない話だ、私はそういうことをまず言いたい。  それから、公共に適している、こういうことが言われました。これは実は、戦後の土地収用法の抜本改正の際に、軍事目的の土地収用は現在の憲法の平和原則に反するということで削られた経緯があります。駐留軍の用地のための土地収用、まさに軍事目的のためのものであって、私たちは、そもそも米軍のために土地を取り上げるということが公共性だとは考えておりません。  ただ、私がここで聞いているのは、いいですか、そういう公共性を一体だれが認定し、一体どういう手続でそれを担保するのかという問題なのです。現行の手続ではそれが二重の手続になっているではないか、国の側が使用認定を行い、そして県の収用委員会が裁決を行う、そのことが権力乱用の歯どめになっているのではないか、それは憲法からくる当然の要請ではないか、このことを聞いたわけですよ。そして、これを今度の法改悪では覆してしまっているではないか、県の収用委員会を事実上無力化するということは、二重の構造をそれこそ全部国が取り仕切る一枚岩の構造にしてしまう、ここに違憲性を私は指摘をしているわけであります。  次に、私、もう一つ大事な問題、これを歴史的に検証してみたいと思うのですよ。  これが憲法上の要請ということは、戦後、一九五一年の土地収用法の抜本改正の際の経緯に照らしても、私は明らかだと思います。戦前の土地収用法は、強制使用の裁決を行う機関、すなわち収用審査会は、国の任命機関でありました。国が使用認定を行い、同じ国の機関が裁決を行う。さっき言った一枚岩の構造ですよ。だから、国が使用の認定をやれば、その瞬間からもう強制使用が始まったと言うのにも等しいような事態が戦前はあったわけです。  実際に、そのためにいろいろな財産権の侵害がやられた。戦後、その反省の上に立って、新憲法がつくられ、財産権の保障がうたわれる中で、こういう仕組みは非民主的ではないか、官憲的ではないかという厳しい批判が国会でもなされました。そして、新憲法に則した抜本改正が土地収用法でやられました。  私は当時の国会の議事録を調べてみましたが、改正の提案説明を見ますと、その最も重要な改正点は、公正、中立な収用委員会をつくる、独立して職権を行う収用委員会をつくる、ここに戦後の土地収用法の最大の改正の眼目があるのですね。現行法に明記してある土地収用法の権限というのは、御存じのとおりですが、独立して職権を行う、これは政府にも左右されません。政府は指揮することができません。そして、都道府県知事が議会の承認を得てこれを任命する。都道府県の機関であります。  こう戦前の収用審査会を戦後の収用委員会に変えたのは、やはり憲法上の要請なんですよ。戦前の憲法の仕組みで一方的な土地の取り上げはだめだという反省の上に立って、さっき言った二重の構造ですね、国が使用認定をやるけれども、裁決をやるのは県だ、この二重の構造がつくられたわけですよ。私は、これを投げ捨てちゃっていいのか、これが今問われていると思う。  国が使用認定を行って裁決申請しさえずれば、収用委員会がどういう結論を出そうと継続使用ができる、土地を永久に使い続けることができる、これが今度の仕組みじゃありませんか。これは憲法の要請に真っ向から背反する違憲立法だ。明瞭じゃありませんか。これは総理に伺いたい。憲法判断の問題だから総理に伺いたい。
  175. 久間章生

    ○久間国務大臣 いや、そうじゃなくて、使用認定は国がやります。収用委員会使用期間あるいは損失の補償の金額、そういうものをお願いするために申請をします。そうしたときに、期限が来たときに、最終的には収用委員会の裁決で全部それは決まるわけですけれども、それまでの間、暫定的に使わせてもらうということをするわけでございますから、収用委員会の権限を奪うものでも何でもない。それははっきりと理解していただきたいと思います。
  176. 志位和夫

    志位委員 確かに形式的には奪わないでしょう。法文上、収用委員会の裁決権を奪うとか、それから却下権を奪うとか、それから期間を決める権限を奪うとか、それをあなた方が提案しているわけではないということは百も承知で言っています。  しかし、実質的に収用委員会が審理を行い裁決する意味がなくなってしまうじゃないか。だって、収用委員会がどういう結論を出そうと、裁決抜きにも強制使用ができ、却下しても強制使用ができ、期限を決めたって期限を超えて使用ができるということになったら、収用委員会の実質的な意味がなくなるじゃないですか。  確かに形式上は権限が残っていますよ。しかし、実質的な意味を奪っておいて、一体これはどういうことなのか。どうですか、防衛庁長官
  177. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 ただいまの御議論の冒頭に、昭和二十六年の現行土地収用制度ができたときのことについての御言及がございましたので、御説明させていただきたいと思います。  確かに、当時の改正の中身として、収用委員会をつくったということは大変大きな改正点でございます。御指摘のとおりでございます。ただ、その趣旨は、国の権力をチェックするとかいう趣旨ではございませんでして、御案内のとおり、事業認定という制度と、収用裁決という二つの大きな柱があるわけでございますが、事業認定は、収用権限を一般的に付与するというまさに行政処分そのものでございますが、それに対しまして収用の裁決といいますのは、形式の上では行政処分でございますが、その実態的な内容に当たってみますると、これは補償を主眼とした民事事件的あるいは司法的処分の色彩が濃い、こういう点に着目いたしまして、先生御指摘になりましたような中立、公正的な機関をつくった、そういう趣旨でございますので、付言させていただきたいと思います。
  178. 志位和夫

    志位委員 チェックするものじゃないと言いながら一司法的色彩の強いものをつくったと。司法的色彩のものをつくったというのは、まさにチェック機構なんですよ。財産権の取り上げという重大な問題を決定する機構だからこそ、準司法的機関として公正、中立、そして独立して職権を行う、こういう機関がつくられたんですよ。まさにチェック機構なんです。  それで、あなたは昭和二十六年、一九五一年の国会のことを言われましたけれども、ちょっと私、議事録を持っています。そのときの提案理由説明はこう述べていますよ。戦前の土地収用法は「終戦後の新しい法律形態としては、不適当な幾多の点が明らかとなりまして、」こう書いてありますね。戦前のものです、もちろん戦前のものが。そして、この「終戦後の新しい法律形態としては、」ここが大事な点です。つまり、新しい憲法になじまないということですよ。なじまないということで、改正点がずっと挙げられている。  そして、その中に特記しているのが土地収用委員会の問題なんです。土地収用委員会について、こう述べております。「現行法においては」これは戦前の土地収用法についてですね、「審査機関の構成が非民主的でありますし、かつその審査手続も、官憲的、一方的で、慎重を欠くものがありますので、審査機関は公平中立かつ民主的な機関に改めて、審査の手続におきましてもこれを公開として、口頭による陳述の道を開きまして、当事者双方の意見を十分に提出せしめることといたしたのであります。」こういう意味合いを持たせているんですね。これは、戦後の新しい憲法ができ、そして土地収用委員会が抜本改正された際に、まさに戦前のような官憲的、一方的なやり方じゃだめだ、もっと民主的で公正なものにする必要があるということで、独立した職権を行使できるものになったわけですよ。  ところが、今度の法改悪については、まさにこの点が最大の問題になっているわけですよ。私が最初に申し上げたように、今度の法改悪で一番の問題となっているのは、この収用委員会の権限剥奪だと思います。最初に言いました。幾つかの点でいかにその収用委員会を無力化してしまうか、事実上これを抹殺してしまうか、このことを申しました。やはり、こういうことをやるのは私は明らかに憲法上認めがたい。明瞭だと思います。  私は、憲法二十九条第一項の趣旨、これを聞きました。だれもお答えにならなかった、まじめに。第二項、第三項の意味合いとの関係も含めて私は聞きました。それなのに、あなたはねじ曲げてそれを答えた。まともな内閣とは言えないですよ、こんなものは。憲法のまともな問題についてちゃんと答えないんだから、だめです。そういう点でまさに憲法上の問題を私は真剣に指摘しているのに、それに対するお答えがありませんでした。  憲法上の問題というのは、財産権の問題だけじゃありません。法の執行の手続の途中でルールを変える、これは法治主義に反する。それから、沖縄のみに事実上適用されるのは、これは憲法に反する違憲立法である。こういう広い指摘がされているわけであります。安保のため、安保のためと総理はおっしゃる。安保のためとおっしゃいますけれども安保のためだと言うんだったら憲法を踏みにじっていいということには、法治国家ではならないんですよ。私は、ここをはっきり言わなければなりません。総理、どうですか。
  179. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますが、議員、先ほど来何遍も申し上げておりますように、この改正案は、それこそ、条約上の義務履行するため必要な土地等収用委員会の裁決による使用権原が得られるまでの間に限って、法律により適正な補償のもとで使用することと繰り返し申し上げております。そして、憲法に違反するものではございません。  また、議員は、二十九条の一項のみをもって立論をされ、そして、二項、三項もお触れになりましたが、主として一項で御議論になりました。私は三項までを申し上げました。そして、その上で、議員の先ほどの御発言、原則として沖縄だけにこれは適用する法律であるから憲法違反だと言われましたが、これは、何遍も防衛庁長官から申し上げておりますように、全国を対象にする法律案でありまして、当然のことながら、改悪ではない、改正案でございます。
  180. 志位和夫

    志位委員 暫定法案だと言いました。しかし、暫定といえば、それが切れたら返すものだというのが普通の暫定ですよ。しかし、この暫定、あなた方が言う暫定というのは、そうじゃない。暫定の先にあるのは、また継続の強制使用の連続なんです。永久の土地取り上げに道を開くものであります。  そして、私は総理にはっきり言いますが、私は一項だけを言ったんじゃない。一項の意味合いについてあなたに聞いたのに、答えなかった。そして、二項、三項も含めて、二項、三項の公共の福祉を一体だれが判断するのか、その手続について聞いたのに対して、それについてきちんとお答えにもならなかった……
  181. 野中広務

    野中委員長 時間が来ましたので、御協力を願います。
  182. 志位和夫

    志位委員 そして、最後にもう一言述べておきます。  差別立法だと私申し上げました。確かにこの法案、形式的には全国に通用するものでしょう。
  183. 野中広務

    野中委員長 持ち時間が終了しましたので、御協力願います。
  184. 志位和夫

    志位委員 しかし、特措法というのは、沖縄だけに今適用されているわけでありますから、実態的にはこれは差別立法にならざるを得ない、断じて私たちはこういう違憲の立法には反対である、このことをはっきり申し上げて、私の質問を終わります。
  185. 野中広務

    野中委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤茂君。
  186. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理、小指の痛みは全身の痛みという言葉を御存じでしょうか。私は、もう四十年近く、あの祖国復帰闘争当時から、沖縄の皆さんと長い長い一緒の行動やおつき合いをいたしてまいりました。今度の法案でも、本当に思い深いものがございます。  今、小指に沖縄を例えることは失礼なことだと思います。もっともっとさまざま、重大な、重要な役割をお願いいたしております。現実、痛い痛いと言っています。たくさんの苦しみがあります。小指の痛みは全身の痛み、その声をみんなで受けるのが、私は日本人としての同胞愛だというふうに思います。総理も、昨年九月にも沖縄に行かれまして、そういうことをおっしゃいました。そういう意味から考えまして、私どもとしては、ぜひ沖縄に、痛みを和らげ、明るい展望が出るように最大限のできる努力をしたい、そういう気持ちでいっぱいであります。  同時に、沖縄県民の願いがございます。同時に、日米関係があります。日米関係は最も重要な二国関係、私もそう思います。そうしてまた、アジア現実がございます。私は、那覇、東京、ワシントン、そういう次の時代を日本政治がどうつくり上げるのか、それが今求められているというふうな気持ちがいたします。  一昨年秋に、沖縄であの少女暴行事件がございました。海兵隊の隊員がやったことであります。あのとき以来、連立与党の中でも真剣な努力をしてきたと思います。私も、与党の沖縄問題のPTの座長を仰せつかりまして、中山太郎さんやなんかと一緒にいろいろのことをやらさせていただきまして、そして村山内閣で真剣に努力し、そして橋本内閣で今日に至っているという経過でございます。     〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕  そういう思いを特段に込めながら、私は思うんですが、二つ、つい最近ちょっと懸念がございます。総理にまず伺いたいと思います。  その一つは、去る四月の二日でしたか、橋本総理と、総裁としてですけれども、それから新進党小沢党首と三項目の確認がございました。  読まさせていただきまして、例えば二項目めには「日米関係を円滑にし、絆を強化する」、きずなという言葉は私どもにとりましては特段の意味合いを持つ言葉でございまして、きずなと言うなら、沖縄とのきずなというのがなぜここにないんだろうか。日米きずな、そして基地維持、そしてまた、最終的に責任を負う仕組みを整備をするというふうに書かれております。  私は、橋本総理が、沖縄とのきずな沖縄の痛みをどう乗り越えるのかということを忘れているわけではもちろんないと思います。しかし、なぜここにないんだろうかということを、拝見して、直観的に私は非常に懸念をいたしました。  もう一つは、午前中の答弁、ちょっと拝見をいたしますと、分権推進委員会などの作業を見守りながら考えていきたいという趣旨のことを総理は御答弁になっております。私は、基地の問題、現実に今すぐなくなりません、そういう状況はどうするのかということは、やはり住民の理解、沖縄県民の理解と協力がなければもたないと思います。また、そういうものができませんと、これは大事な日米関係にもかえってマイナスになるのではないだろうか。  したがいまして、分権推進委員会の関係という言葉を言われましたが、住民の理解と納得、そして、この間、予算委員会でも冒頭総理にお願いしましたが、やはり沖縄県民に展望を示す大きなマスタープランというものが今一番大事なことではないだろうか。そのことを、三項目読ませていただきまして懸念を感じたわけでありますが、いかがでしょうか。
  187. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 さまざまな角度から、私自身が首班指名で指名をいただき、連立与党としての御党の幹事長からの御質問をちょうだいをいたしました。そして、今日までの内閣としてとってまいりました行動についても、すべて御承知の上の御質問であります。  そして、安全保障条約上の義務履行と申しますもの、これは日米関係維持はもとよりでありますが、我が国自身の安全の確保にとって不可欠なことでありますし、国家の存立に係る重大問題であると考えております。  そうした中で、使用権原のない状態をどのようなことがありましてもつくってはならない、避けてはならないことと考えまして、必要最小限の案を提出をいたしました。そのスタートは、平成七年三月三日にさかのぼることで、議員よく御承知のとおりであります。  そして、国際社会において引き続き不安定要因が存在しております中において、日米安全保障条約というものが我が国の安全確保アジア太平洋地域の平和と安定の上に不可欠でありますし、政府といたしましては、この条約上の義務履行を初めとして、今後とも日米安保体制信頼性維持向上に努めていく決意であります。  同時に、本院におきまして私は繰り返し御答弁を申し上げてまいりましたが、前政権からバトンを受け継ぎましたその瞬間から、沖縄米軍基地施設区域整理、統合、縮小というものにつきましては、県民方々の痛みを少しでも分かち合いたい、少なくとも政府の最重要課題というつもりで全力を尽くしてまいりました。その中からSACOの最終報告が生まれたことも、議員はよく御承知のとおりであります。そして、このSACOの最終報告沖縄県民方々のすべてを満足させるものではないことは私自身がよく承知をいたしておりますけれども、両国政府として全力を尽くし努力をしたものであることは、私は議員にもお認めをいただきたいものだと考えております。  一方、昨年、楚辺の問題が深刻化いたしておりました際、本院におきまして、本来こうした事務は国であるべきか地方であるべきかという御論議がございました。そして、そのときは、地方分権推進委はまだこれについて何ら意思の表明をしておられませんでした。ですから、私は、何ら拘束されることはなく、条約上の義務履行するために必要な責任というものは本来地方ではなくて国であるべきでありましようという御答弁を本院で申し上げました。その後、昨年十二月に地方分権推進委員会から、なお調整中という第一次勧告をちょうだいをいたしております。  私は、やはりこうした問題は、安保条約上負うべき義務履行に係るものとして本来国が執行責任を負うべき性格のものだと思いますけれども、そのあり方につきましては、地方分権推進委員会からの御意見なども見ながら幅広く検討していくべきものだと思っております。  他党の党首との会談でありますから、内容を細かくと言われるのは、お答えをするのは多少私は筋が違うと思います。この部分につきましては、まさにこれが新進党小沢党首に申し上げたのと同趣旨のものであります。
  188. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理も率直に言われましたが、私どもも、この法律の賛否も大事でありますが、やはりこれで一体沖縄の次がどうなるのだろうかという思いが本当に頭の中いっぱいにあります。そしてまた同時に、橋本第一次内閣につきまして、スタートに当たりまして、私ども作業をして政策合意をして、今日までやってまいりました。予算とかその他さまざまございましたが、ともにやってきたわけであります。その意味では、今でも一番近い存在というふうに私は思います。また、しかし、よりよき日本政治であってほしいと思います。失礼ですが、私ども考え方からして、悪い政治にはしたくない、その責任は非常に大きいのだということは日ごろ私は思っております。  そういう意味で申し上げるのですが、懸念ということを申し上げましたが、もう一つございます。けさ新聞を見ましたら、ちょっと驚きまして、コーエンさんが、日本に来られたら私どももお会いしたいと思うのですが、朝鮮半島の問題が解決し、朝鮮統一しても、極東の十万は減らさないという趣旨のことを発言されたようであります。当然ですが、そうなりますと、在日四万七千あるいは在沖海兵隊一万七千ということも変わらないでありましようと、非常に懸念をいたしました。これは私だけではないと思います。  総理はいつも国会の御答弁の中でも、与党としての私どもとの会話の中でも、アジアにより安定した平和の時代ができるように外交戦略、外交活動を積極的に展開をする、そういう状況の進展の中で、在日米軍日本におけるプレゼンスについて日米間で継続的に協議をする、そして沖縄の御負担を減らすようにさまざまな努力を懸命にやりたいという趣旨のことを総理は言われております。沖縄に行かれましても、そのような趣旨のことを総理は述べられました。  私は、そういう意味で申しますと、やはり日米というのは非常に大事な関係ですから、日米間で本当に率直にこれからの日米関係、言うならば、二十一世紀まであと三、四年でございますけれども、二十一世紀時代の日米関係あるいはアジア、その構図、どう努力をするのか。その中で、よりよい軍縮の時代の方向に共同の戦略を持ってやろうではないかというお話が、また率直に激しくやられるというのがやはり本当の友人ではないだろうかというふうに思うわけでありまして、私は今までもペリーさんあるいはモンデール大使も非常にいろいろな話をさせていただきました。大事に今も振り返っております。そのような姿勢で臨むことが非常に大事ではないだろうかというふうに思います。  日米首脳会談でもぜひそういう姿勢で臨んでいただきたいという気持ちがいたしますが、コーエンさんの新聞記事を見ましてちょっと驚きましたので、いかがお考えでしょうか。
  189. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど議員から、日ごろ私の申し上げておりますこと、地域における信頼醸成措置、ARFを初めとした多国間あるいは二国間の枠組み、その中における平和への努力、そして将来の地域における状況の変化に応じた我が国アメリカの間における兵力構成を含めた軍事情勢についての対話、結果的に沖縄県民の痛みを少しでも減少させるようにという、それ自体はいつも申し上げていることであります。  その上で、今、私はまだコーエンさんにお目にかかっておりませんし、その報道を落ちついて読むだけの時間のゆとりを国会におりまして与えられておりませんが、そのような趣旨の話を私も耳にいたしました。これは、アメリカの国防長官としての御発言でありますから、それは私は論評をすべきものではないと存じます。その上で、その折を見てお話をする話でありましょう。  そして同時に、現時点において、私は、米軍の削減を求める、縮小を求める意思なしということも繰り返し実は申し上げているところでありまして、その意味におきましては、コーエン長官の御意見は、あるいは御発言は御発言として、これからお目にかかりましたとき、どのような議論になりますか、御本人の口からお話を伺ってみませんと、私はマスコミの皆さんが報じているのがうそだなんて言っているのじゃありません、時々正確を欠く場合もありますので、十分御本人とお話をしてみたいと思います。
  190. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、国民の気持ち、沖縄県民の気持ちを背中にいっぱい受けて、いい積極的な御議論を堂々となさるということを強く期待をいたします。  今はという、今は言いにくいとか今は難しいということを総理はいろいろ言われております。今のさまざま複雑な状況は私もわかっています。一番大事なことは、先の展望、こう努力をするのだ、このようにこの方向で頑張ります、この方向で期待を、希望を開いていこうではないかということを、言葉だけではない、努力の姿をもう一歩見せるということが必要だと思います。一昨年の秋にも、大田さん、那覇でお会いしましたら、歴代の政治家の皆さんから言葉はたくさん聞きました、ぜひ実行を見せてくださいということを言われました。  そういう意味で、先を考えてみて象徴的に総理の気持ちを伺いたいのは、沖縄基地返還アクションプログラムがございます。御案内のとおりであります。一昨年、県から政府提出をされましたが、まだノーアンサーでございます。  十五年間、三段階、言うならば二〇一五年まで。提出をされたときからすると二十年、今から数えると十八年。二〇一五年という区切りは、戦後七十年に当たります。そのときまでに一挙に基地を返せとか、基地奪回運動ではなくて、沖縄の皆さんも、アジアの情勢、世界の情勢の発展の中で、これならできるじゃないか、最初が普天間、そして二〇一五年の二十年目の最後が嘉手納の問題、そういう位置づけでもって出されているわけであります。  連立与党、昨年十月に橋本第二次内閣スタートに当たりましての与党の合意の中では、沖縄のその要望を重く受けとめ、いろいろと努力をするという趣旨合意をいたしております。これは橋本総理も自民党総裁として御承認になった文書ですから、全く同じだと思いますが、そのお気持ちを受けてどうするのか。  言うならば、沖縄基地アクションプログラムというのは、沖縄でも、今までの長い苦しい基地返還の闘いの、という姿ではなくて、将来に希望を描いて県民みんなで汗をかいて努力をして一歩一歩将来を開きたい、切実なそういう気持ちのあらわれとしてあれがあった。私も、何十年つき合う中で、本当にそういう意味では気持ちが合って、敬意を表しております。それをどう総理はお受けとめになりますか。また、先を語る努力をどうなさろうとお考えでしょうか。
  191. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 お尋ねでありますので、お答えを申し上げます。  昨年、何月でありましたか、正確な月日を、また、アクションプログラムについてお尋ねがあると伺っておりませんでしたので調べておりませんでしたが、大田知事から、県の夢としてアクションプログラムの御説明を受けました。同時に、これは県独自で考えたものであり、地元の市町村あるいは経済界、民間団体の方々にはこれから御相談というお話でありました。  そして、私どもは、県の夢としてこれを捨て去るには余りに失礼と思いまして、これを承り、同時に、現橋本内閣として沖縄県の御要望というものを真剣に受けとめる姿勢にあることを知事を初め県の方々にも理解をしていただきますために、官房長官を座長とする政策協議会の場を設け、そのメンバーとして正式に沖縄県知事にお入りをいただき、県としての御提案をほとんど閣議と変わらない姿の場に移しかえられる準備を整えました。  同時に、昨年の平成八年度補正予算案に五十億円の調整費を計上し、県のお考えがまとまり次第いつでも使っていただける体制にし、これがすべて八年度中に使い切られませんでしたので、九年度に移しかえております。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕  また、これとは別個に、官房長官のもとで、俗に島田懇と言われます基地所在市町村に対する対応を考える、これには沖縄県の関係者方々もお入りをいただいて、非常に真剣な議論をしていただきました。そして、この結論が出ましたとき、閣僚懇談会において、数百億あるいは一千億という費用がかかるかもしれないけれども、これは将来のために大切なプロジェクト、この実現方のために全力をということで、私自身が閣僚たちにこれを発言し、指示をし、今財政再建、深刻な論議を交わす中におきましても、例えば十三の個別の大きな山の中でSACOの問題だけは別扱いにしている等、私ども沖縄県に対し最大限の姿をお見せをしてきたと思っております。  そして、県は例えば規制緩和につきまして独自の検討委員会をおつくりになる、そのような御連絡を受けました。その検討委員会の方で御意見がまとまれば、当然政策協議会の場に知事さんの方から提起をされると思いますし、これを受けとめて真剣に作業いたすことも、決して我々としてノーと申し上げたものではございません。言いかえれば、我々は、県がおまとめになり、地域と一体となって進めていこうと言われることは、これまでもこの内閣として全力を挙げて支えてまいりましたし、これからもでき得る限りの努力をしていきたいと考えております。
  192. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう一つ、一昨年、さっき申し上げましたように、与党のPTがございまして、中山太郎さんや、先ほど質問あったようですが、さきがけの前原さん、本当に真剣に仲よく共同で、本当に私どもとしましても貴重な思い出であります。  そのときに、振興策につきまして幾つかいろいろございましたが、その後発展しておりますけれども、新たな法的、財政的措置を講じなければならないというのが、ずっと経過で確認したことでございました。  新たな法的、財政的措置、言うならば、いろいろな御要望のある中にも、例えば関税法とか問題があるでしょう、経済などさまざまあるでしょう。大きなプランを組んで、要するに全体を含めた、基本法というよりも包括法ですね、必要があると思います。それから、それを実行するためには、やはり中期的なあるいは長期的な財政の枠組み、財政問題厳しい中ですが、本当にこれは心のこもった体制を組むという必要があると思いますが、それは同じでしょうか、総理
  193. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 我が党においてこの問題に取り組んでいただいている委員長は実は事務総長でありますし、また理事の皆さんもそれぞれにこの問題に御苦労いただき、委員方々もそうであります。そして三党におきましても、さまざまな角度から沖縄県の振興策というものを必死に御検討をいただいている、よく承知をいたしておるつもりでございます。  そして、昨年九月の十日に内閣総理大臣談話という形で、私は、沖縄が地域経済として自立できるように、そして雇用が確保され、県民の生活の向上に資するように、そしてその沖縄県の発展が、すなわち我が国の経済社会への積極的な発展に寄与できる地域へという決意を申し述べてまいりました。  自来、与党におかれましても、そうした思いを同じくしながら、さまざまな具体策の検討をいただいておると承知をしております。私ども、当然のことながらその御意見は大事にし、県との御相談の中で、県の優先順位に従ってなすべきものは進めてまいります。
  194. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 残り時間わずかになりましたので、一言だけになりますが、これは防衛庁長官、外務大臣に苦言を呈さなければなりません。  法案につきましてさまざまの質疑、議論が、また御答弁がございました。私も何ぼ考えてみても、必要最小限と言ったのに何でこんなに膨らんだのだろう。緊急申し立ての問題、あるいは却下の場合についての規定とか、あるいはさっきもございました憲法九十五条との関係沖縄特措法ではないかとか、あるいは遡及して象のおり、知花さんの問題とか、数々私ども指摘をいたしておりますが、御存じのとおりであります。  何でこんなに膨らませたのか。最初から私どもは、今収用委員会が扱っている、その経過の中で、本当の必要最小限、これは日米間、安保に大事なことですからお願いしますということでございました。ところが、看板に偽りあり、随分膨らませたなというのが率直な私の印象でございます。  たくさん言いませんから、一つだけ言います。  それは、先ほどの何か答弁の中でも、全土に適用することなので、全国対象となることなので、沖縄だけの特別措置法ではありませんとおっしゃいました。それでは言ってください、一体全国に、私の知っているところでは、一九六二年、私の地元の神奈川県相模原で最後で、ないはずであります。あちこちにあるのですか、あるとしたらこれは重大問題ですよ。これは基地の問題ですね。ですから、あり得るという、全国に適用するのはあり得ると言ったでしょう、そうでなかったら必要ないのですよ。どうお考えですか。  それから、外務大臣、続いて済みませんが、私は外務大臣の御努力はわかりますけれども、何ぼ考えてみても、やはり米軍の縮減、その背景となる国際条件、朝鮮半島、アジアの問題、私は政府の姿が見えないと思います。私どもも与党ですから責任はあります。熱心にいろいろな議論は正直にさせていただいておりますが、やはり朝鮮半島にしたって米朝関係が進展している、KEDOの努力もある、相互の代表部も設置も進む。日本の姿が見えないのですね。  そういうことを本当に目に見えるように、今、日本政府は、また外務省は、壮大なプランを出すぐらいやるべきではないだろうかと思いますが、一言いかがでしょうか。
  195. 久間章生

    ○久間国務大臣 非常に膨らんだのではないかとおっしゃいますけれども、そうではございませんで、今度の一連の中で穴があくところはどこかということで、その穴だけは埋めなければならないということでやっているわけでございますから、それを条文にしたらああいう形になったわけでございまして、決してあれもこれもということじゃございません。  それから、今までもあり得たわけでございますし、これからもこういう暫定、今度の改正部分に相当する部分があり得るわけでございますから、それでやはり本土に……(伊藤(茂)委員「そうすると、本土はどこにあるんだ」と呼ぶ)いや、本土で、あちらこちらで任意契約していただいておるわけです。そういった方々が来年契約が切れる人もおられるわけですよ。そういったところに、またノーだと言われて手続が長くなった場合にこういうようなケースがあり得るわけでございますから、それは決して無理をしているわけじゃないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  196. 池田行彦

    ○池田国務大臣 朝鮮半島の安定は我が国安全保障にとっても大変大切でございますし、また、日朝関係の正常化という懸案もございます。当面は、ともかく四者協議を早く始めるということを急ぎたいと思う、それに対して我が国もバックアップしていきたいと思いますけれども、例えば我が国自身がきちんと立派な役割を果たしているという姿がまた見えるようにもいろいろやってまいりたいと存じます。
  197. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ありがとうございました。
  198. 野中広務

    野中委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、粟屋敏信君。
  199. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 来る五月十五日に沖縄復帰二十五周年の日を迎えます。その前日の五月十四日に使用期限が切れる土地使用につきまして、今この法案が提案をされて論議をされるわけでございますが、沖縄県民のこと、また国益のこと、これを考え合わせますと、特別の感慨があるところであります。戦中戦後を通じまして、沖縄県民の受けられた悩み、苦しみ、痛み、これは我々の想像を絶するものがあるかと思うわけでございます。  昭和二十年の四月一日に米軍沖縄本島に上陸をいたしまして、六月二十三日、戦争が終了するまで、多くの犠牲を沖縄県民は払われました。私も、方々に亡くなられた方の数字を聞きますが、全部違っております。二十万人以上になることは確実であるようでございますし、また、軍人でなくて沖縄の住民の方々、軍人に匹敵するほどの多くの死者を出された。本当にお悔やみ申し上げるに余りあるものがあるわけであります。  また、基地の問題につきましては、先ほど菅委員も御質問をなさいましたけれども返還後、本土の基地は六〇%程度縮小をいたしましたけれども沖縄基地は一六%程度しか今縮減されておりません。また、さらに、米軍の存在に伴いまして、米軍の演習による航空事故も多発をしておりますし、また、演習に伴って原野の火災も起こっておりますし、また、米軍関係者による犯罪も頻発をしているわけであります。  これらの沖縄県民方々の悩み、苦しみ、痛み、これに我々は常に思いをいたさなければならないことであると思っておるわけでございます。そうして、それらの方々の御期待にこたえる最大限の努力をすべきであると思っていますが、沖縄県民のそのような悩み、苦しみ、痛みにつきまして、総理の御感懐を伺いたいと思います。
  200. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、小学校の二年生で敗戦を迎えまして、その時代における記憶としては、私の一番好きでありました一番年長のいとこが、昭和十九年十月十六日、南西諸島方面において未帰還という戦死の公報、その南西諸島ってどこって聞いて、沖縄のことと教えられたのが、沖縄という名前を意識した最初でありました。しかし、その後、成長の過程で、沖縄の問題を記憶し、いつも考えていたわけではありません。  たまたま大学の三年のときに、当時早稲田の総長でおられた大浜信泉先生が、学童疎開船対馬丸の遺族の方々を、御紹介状をつけて私の父のところに訪ねさせられましたとき、たまたまお迎えをしたのが学生の私でありました。そして、全く本土の我々の知らなかった悲劇が沖縄に残っていることを初めて知りました。この問題は、私が国会に出ましてからもなお、解決までにしばらく時間のかかった問題であります。  そして、昭和四十年、初めて私が沖縄に参りましたとき、当然のことながらまだ占領下でありましたが、一番目立ちましたのは、砲弾によってたたき切られた木が、ようやく私どもの背丈そこそこまで摩文仁で伸びている状況でありました。そして、今は非常にきれいに整備されております摩文仁一円が、まだ荒れ果てた状況でありました。  その後、沖縄戦当時六歳未満でおられたために、負傷をしながら何ら国の対策の対象にならなかった方々のお訴えにぶつかり、あるいは、当時の沖縄の置かれておりました状況の中で、母と子の国籍の違う母子世帯に対して、当時の児童扶養手当が給付できないということを知り、国籍条項を外し児童扶養手当が支給できるようにしたり、そのうちに、こちらにおられる上原康助議員から、例えば厚生年金の問題でありますとか、さまざまな個別の問題を御相談を受けることがございました。しかし、いつの間にかその機会も減っておりました。  そして、総理になりましたとき、ある程度沖縄の問題は知っているという気持ちが私になかったとは決して申しません。ただ、大田知事にお目にかかるにつき、知事の著書である「高等弁務官」を読み、合点のいかないところが何カ所かありまして、調べ、むしろこれに記載されている以上の問題が我々の知らない歴史として存在したことを今承知をいたしております。  それだけに、基地の問題、それとは別途に考えていかなければならない振興策、さまざまな思いがございます。
  201. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 今総理からしみじみと、沖縄県民の悩み、苦しみ、痛みについてお話がございました。私は、この沖縄問題の解決は、これを原点としていかなければならないと思っております。基地縮小もそうでございますし、沖縄の振興開発の問題もそうであります。沖縄の振興開発の問題は、この特措法と関連をして論ずるものではないと私は思っております。今の痛みを踏まえて、沖縄県民の生活の向上、また沖縄の発展を図ること、これは国の責任である、こう思っておるわけであります。  先ほど甘利委員から、沖縄の振興開発についてお触れになりました。特に、沖縄県の要望である規制緩和等による産業振興の措置について、フリー・トレード・ゾーンとか、あるいはノービザの問題とか、関税手続の簡素化とか、そういうことについてお触れがございました。沖縄振興開発計画、今三次が進んでおりますけれども、その完全実施を図らなければなりませんし、また、島田懇による三十四のプロジェクト、これについても真っ正面から取り組んで、予算の制約にかかわらず必ずやるという気概を持っていただかなくてはならぬと思っております。  また、沖縄県の要望について、よく一国二制ということが言われますけれども、私はこの言葉はおかしい、こう思っておるわけであります。例えば、中国に近々香港が返還をされます。また、中国は台湾について、ワンカントリー・ツーシステムということを言って呼びかけたりしておるわけでありますけれども、これは政治経済体制の違ったものが一緒になる場合に一国二制論があるわけでございまして、沖縄はそれほどの論議をする必要がない。  やはり、沖縄について思い切った特例措置、法人税の減税もそうでありましょうし、また関税手続の簡素化、あるいは特別関税の問題もあるかもしれません。そういうことについて真っ正面から取り組んでいく必要があると思うわけでございますが、これについての政府のお取り組みの姿勢について伺いたいと思います。
  202. 稲垣実男

    ○稲垣国務大臣 ただいま委員から指摘されましたように、沖縄は本土復帰以来、三次にわたります振興開発計画に基づきまして、今日まで振興開発のための諸施策が講じられてきました。したがって、沖縄の経済社会は総体として、徐々ではありますが発展してきたのでございます。  三次振計は平成九年度から計画期間の後半を迎えることから、計画期間の後半の施策の展開の方向性等について明確にしなければならぬということで、去る三月二十五日の沖縄振興開発審議会におきまして三次振計の後期展望が取りまとめられたところでございます。  その内容を申し上げますと、三次振計策定後の社会経済情勢の変化と沖縄への影響等、グローバリゼーションの進展、あるいは環境への認識の高まりとか高齢化時代や高度情報化時代の到来等について指摘しておりますし、三次振計後半の施策展開の方向としてもろもろの施策をやっておるところでございまして、先生御指摘のように、さらに沖縄政策協議会の十のプロジェクトや、あるいは島田懇の提言の実現など、これらを踏まえて三次振計に基づく諸事業を推進して、計画の目標達成のために一層努力してまいる所存でございます。
  203. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 沖縄県民立場に立って鋭意推進をされることを御要望いたします。  それから、特措法に関連をする話でございますが、防衛庁長官にお尋ねをいたします。  今度の法改正、私はある意味では沖縄の十三施設関連、あるいは三千名余の方にかかわる使用、それについてのいわば緊急避難措置特別措置である、こう理解をしているわけであります。ところが、法律では本則に入りまして、いわば恒久的な制度に組み立てられていると思うわけであります。  私が一番心配しますのは、この規定ができたから、この規定だけを頼りにして、それから今後基地の収用、使用につきまして、正規の手続を整々と踏まれることをやや怠るのではないか、そういうことを心配している。今回の規定は本則に入っておりますけれども、あくまでも例外規定であるべきでありまして、その点についての御認識をお伺いをいたしたいと思います。
  204. 久間章生

    ○久間国務大臣 確かに、おっしゃるように例外規定でございます。  こういうようなことを予想していなかったために、権限がなくなったら困るということで入れるわけでございまして、今後、この法律ができたからということでこういうような事態がたびたび発生することがあってはいけないわけでございますから、その辺は、十分我々も肝に銘じながらこの法律の運用に当たっていかなければならないと思っております。
  205. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 けさほど、二見委員総理質疑のやりとりの中におきまして、安全保障条約、これは極めて大事である、国の大事である、それと、沖縄基地の縮減をしようと思っても、内地にそれを移転する場合に、内地の土地が収用、使用できなくては困るから、国の責任において特別の措置をとるというような論議が闘わされたと思っております。  今も公共用地取得に関する特別措置法というのがございまして、これはオリンピック前につくられまして、オリンピックを成功させるために特定の公共事業につきまして特別措置法をつくったわけであります。事業認定は建設大臣でありますし、裁決も、収用委員会に行っておりますけれども、とどのつまり、収用委員会の裁決がおくれる等の場合においては建設大臣が代行裁決をするというような規定になっておるわけでございますが、この法律が制定される際に恐らく駐留軍問題も論議をされたのではないかと思いますけれども、そのときは、論議の結果であろうかと思いますけれども、その特別措置法には載らなかったわけであります。  しかし、こういう法制をつくります場合には、やはり現行の収用法体系とのきちんとした整合性、公益性の認定その他大きな難しい問題を含んでおりますので、もしそういうことをお考えになれば慎重に対処をしていただきたいと私は思っておりますが、いかがでございましょうか。
  206. 久間章生

    ○久間国務大臣 どういう経緯であの三十六年につくりました法律に入っていないかは私もつまびらかに存じ上げておりませんけれども、慎重にしなければならないと思います。  ただ一言だけ、ちょっと感じますのは、この使用等に関する特措法の方はいわゆる使用を非常に前面に押し出している法律でございまして、あの三十六年にできました法律は収用を非常に前面に出して、大体鉄道とかあるいは道路とか、そういうふうにずっと未来永劫にわたって使用するというのを前提にして、収用を前提にしているような法律でございますから、若干その辺でやはり議論があったのじゃないかと思っておりますが、今後また調べてみたいと思います。
  207. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 今後、そういう論議に私ども参画をいたしまして十分詰めさせていただきたい、こう思っておるところであります。  それから、海兵隊の削減、段階的削減といいましょうか、そういうことについて総理は今の段階で申すことはできない、こういうお話のようであります。  私は、安全保障条約といいますのは、六条に書いてございますように、我が国の平和と安全に寄与する、同時に極東における国際の平和と安全に寄与する、二つの見地から締結をされているわけでございまして、そういう観点で安保条約については考えていかなければならないと思っております。ただ、極東における国際の平和と安全といいます場合に、これは国際情勢の変化によって変わり得るものであると思っております。  先ほど伊藤委員から、コーエン国防長官の記者会見の話が出まして、これは、北朝鮮の情勢がどうあろうとも沖縄の配置、兵力構成はなお維持するというような話でありました。これはまた詰めていかなければならない点がありますが、本来、国際情勢の変化によって米軍の配置とか兵力構成も変わるべきものである、こう思っておるわけでございまして、昨年の四月の日米安保の共同宣言におきましても、そのことが言われておるようであります。  その際に、どういうふうに今後これを進めていくか。国際情勢の変化をもたらすために、我が国が環境整備のための外交努力を続けることはもちろん必要でありまして、外務大臣にもその御努力をお願いをいたしたいと思いますけれども、しかし、今沖縄の問題がこれだけ俎上に上がっているわけですから、先ほど申し上げましたように、沖縄県民の痛みにこたえるためにも、基地整理、統合、縮小といいますか、そのための努力を常時重ねていかなければならない、こう思っているわけであります。  そういう見地から、私は、SCC、これの議題として常時これを提起をしていくことが必要であると思っております。そういう点につきまして、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  208. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず第一点でございますが、国際情勢の変化に応じて防衛政策あるいは軍事態勢等につきましても日米間で緊密に協議していく、こういったことは共同宣言にもあるところでございます。そして、そのようにやってまいりたいと存じます。  ただ、国際情勢の変化と申しましても、余り短期的なあるいは表面的な変化だけではいけない、基本的な備えの問題でございますから、やはり長期的な趨勢というものをしっかり見ながらやっていくものと考える次第でございます。  それから第二点でございますが、沖縄基地をできる限り縮小していく、これは大きな課題だと思っております。当面は、昨年まとめましたSACOの最終報告に盛られましたこれを着実に実施していく、これに全力を傾注してまいりたいと思います。そしてその実施状況はきちんと、御指摘のございましたSCCでもチェックしていくということにしております。  それからなお、将来的にも、沖縄県民方々が担っておられる負担を少しでも軽減するように、常時私どもは意を用いていかなくちゃいけない、努力をしていかなくちゃいけない、こう考える次第でございます。
  209. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 あらゆる場を通じて米軍の配置、兵力構成について我が国からも注文をつけていただきたいと思いますし、その際には、沖縄基地整理、統合、縮小について最大限の考慮を払い、努力をしていただきたいと思っておるところでございます。  なお、地位協定の問題があります。地位協定の改正ということについては、よく聞くところでございますが、四十カ国に関係をしており、改正までは大変なんだ、こういう話を外務省はおっしゃるわけでございますけれども、その辺についていかがでございましょうか。
  210. 池田行彦

    ○池田国務大臣 基地整理縮小と同時に、やはり地位協定の運用というものも大変大切なものだと心得ております。  ただし、私どもは、いかに実効の上がる改善措置を講じていくか、こういう観点から取り組んでまいったところでございまして、御承知のとおり平成七年の十月に刑事裁判手続を改善いたしまして、被疑者を、起訴前にもその身柄を引き渡す道をつくったところでございます。これは地位協定そのものの変更ではございませんでしたけれども、きちんと文書による約束によってそのような改善措置を講じました。  それからまた同時に、SACOの最終報告におきましても何点かの改善措置を講じております。例えば自動車の任意保険に加入させること、あるいは、いろいろな損害賠償の問題がありましたときに、なかなか手続が進行しないで、現実に支払いが行われないという問題点があった、その支払いを迅速に行えるような改善措置も講じましたところでございます。  また、今般いわゆる五・一五メモの関係を公表いたしましたし、また、連絡あるいは通報のシステムの改善をいたしまして、いろいろ御批判を受けました事故事件等がございましたときの対応の問題点というものを、今後解消していこうということでやってまいったわけでございます。  今後とも、合同委員会等の場におきまして地位協定をめぐる問題につきましては常に見直し、改善を図ってまいる、こんな姿勢でいるところでございます。
  211. 粟屋敏信

    ○粟屋委員 地位協定をめぐる諸問題につきましては、不断の改善努力をお払いをいただきたいと思いますが、なお具体的な問題につきましては、後日の機会に譲らせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、沖縄県民の痛みにこたえる、そうして同時に日本の安全を守る、この両方の立場に立った対応が厳しく求められているときでございますので、政府におかれても、この両方の立場に立ってきちんとした対応をされることを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  212. 野中広務

    野中委員長 これにて粟屋君の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十九分散会