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中西公述人 御
紹介いただきました、DPI、
障害者インターナショナル
日本会議の議長をやっております
中西と申します。
このたび、
与党三党、
新進党、共産党
各党の御
努力により、
市民活動に
法人格を与えるための
法案が
議員立法という形で
審議されることを
感謝しております。我々、
法人格を取れるという
法案ができることを心待ちにしておりました。
私どもDPI
日本会議というのは、権利擁護
活動、それから介助サービス等を提供する自立生活
センターなど、
障害当事者によって運営される
福祉関連の
任意団体を中心に
組織されておりまして、全国二万人の会員を擁しております。そして、このDPI
日本会議の中で、私は今、自立生活
センター、ヒューマンケア協会というのを運営しております。そして十年になります。
この自立生活
センターというのは、当事者自身が運営の担い手になる、これまでの
福祉サービスは我々はサービスの受け手でしかなかったわけですけれども、我々自身がサービスの提供者になるという形で
福祉の革命を起こしているというふうに我々は考えております。
この中では運営規約を設けまして、運営
委員の五一%は
障害者であることとか、サービスの実施、提供責任者は
障害者であることというような規約も設けております。そして、我々自身がサービスの実施主体となるという
意味で、ピアカウンセリングという
障害者自身の行うカウンセリングとか自立生活プログラムとか、そして有料の介助サービスを
市民に対して提供しております。
我々の
組織の中では、年間に二万時間から五万時間、介助サービスを
市民に対して提供しまして、二十四時間の介助サービスを老人、
障害者に提供しております。現在、全国に七十カ所の自立生活
センターがありまして、
福祉の中で非常に大きな担い手となりつつあります。
そして、こういうような事業が最近、国の方でも認められ、昨年からは
障害者生活
支援事業ということで、私どもヒューマンケア協会も八王子市からの委託を受けまして事業が展開できるようになっております。我々は今のところ無認可
団体でありますけれども、
行政委託ができるようなことが今現実に起こりつつあるわけです。そういう
意味では、国の中の
制度も日々変わりつつあります。現実に照らして我々のサービスが必要であれば、そのサービスに委託をおろしていくという形ができるという
意味では、もう現実の方は
NPO法案より先に行っているという現状があると思います。
そういうふうな現状をより先に進めていく、そして、我々が今必要としていることは
福祉の自由化ということです。
今まで、
社会福祉法人を取らなければ
福祉サービスは提供できないという時代が続いてきました。我々は、
社会福祉法人を取らなくても
福祉の担い手になっていける。
そういうことをなぜ望むかというと、我々自身が、これまでの療護施設や、そして授産施設、
福祉ホームなどという
障害者だけ選別された場所で暮らすことを望んでいないからです。そして、そういうような、
地域で暮らしたいという
障害者の
希望をかなえていくサービスとして、我々自身でサービスの担い手となってそういうサービスを
地域につくり上げていく。その
活動を十年間にわたって続けてきた結果、今ようやく
地域の中で我々の
活動が認められるようになり、そして
福祉の中でのサービスの
一つの位置づけが得られてきたわけです。
そういうふうな
活動がどんどん広がってきますと、これまでの、
社会福祉法人を取らないと委託が受けられないというシステムが変わってきます。そうすると、
地域の中でどちらがいいサービスかという選択が残されるわけです。我々の方がいいサービスをしていれば、
社会福祉法人格を持たなくてもそちらに委託がおりていくということになれば、今までのように五億円なければ
社会福祉法人が取れないということで大きなハードルを設けられ、我々はそのハードルを越えられなくてそういう大きな
制度の中でつぶされてきたわけですけれども、そういう道が開かれてくる。そういうふうになってくると、
福祉はいかにいいサービスを提供するかだけが判定基準になってくるということで、競争の
社会になってくるわけです。我々は、そういうふうな
状況になることを望んでいます。
そのためには、
NPO法案が通りまして、我々自身が
社会の中での
一つの位置づけを持つ必要があります。我々は、まだ
社会的には無認可
団体ですので、いろいろな
制約を持ちます。例えば私の事務所でも、電話の加入
一つするのに個人名でなければ名義登録ができないわけです。ヒューマンケア協会という名前ではとれません。それから、コピー機のリース契約をするときにも我々は同じ問題に直面します。車の所有や保険に加入するときも会長の個人名で加入して、会長の車が何台にもなってくるという事態を迎えているわけです。事務所の賃貸契約についても同じことが言えますし、銀行の口座を開く場合も我々は個人の名前でなければ開けない。
こういうような大きな
制約を設けられますと、我々は一体、会として存続しているのに、認められているのかと。一々会長の判こをもらわなければ何も仕事が進まないという事態が今進行して、一番困っているわけです。
そして、
行政に対して我々が陳情書や
要望書を出す場合でも、これは個人として扱われます。ヒューマンケア協会の角印を押しても、そんなものは要らないのですよ、個人の判こだけで結構ですということで、一体我々は、これは
組織として
要望していることは認められているのかということすら不安になるわけです。
こういうような
意味で、
法人格がないために、我々自身の実態とは別に、この
団体の認知がされていない。そして、これを認めていただくことにより我々は
社会的な信用がついて、今後
行政からの委託がより容易にとりやすくなる。そして、
民間財団等の給付についても我々がとりやすくなるということによって、
社会福祉法人と対等な関係で、
福祉サービスの市場の中で我々はやっていける道が開けると思います。
そして、
日本全体の
社会福祉の将来を考えるときに、今、一方の極に
行政のホームヘルプサービスとか
行政の施設のサービス等があります。そして、こういうサービスは安定はしていますけれども、
障害の等級差別、一、二級でなければホームヘルプサービスを受けられないというような差別、そして六十五歳以上でなければ高齢者のサービスは受けられないというような差別、こういう規制があります。
行政はどうしても、サービスを提供するときに規制を設ける以外にしようがないな、これは我々も納得できるわけです。
そうすると、
行政のサービスが
一つの極にあり、そして反対の極には、今、
民間の企業による、
営利による
福祉サービスが提供されようとしています。そうすると、このサービスについては、よいサービスも中にはありますけれども、やはり
営利に基づかなければサービスが提供できないという企業論理があります。そうすると、お金のない者にとっては企業のサービスは使いづらいという問題が起こるわけです。
そこで、
民間の非
営利団体というのがどうしても、その中間地帯、大きな中間地帯を占めるわけですけれども、そこに必要になるわけです。
行政の六十五歳以上とか
障害等級とかいう規制に漏れた人
たち、その人
たちは非
営利民間団体でなければ扱えません。そしてまた、お金がなく企業のサービスを買えない人
たちにとっては、非
営利の
民間団体のサービスしか残されません。
そういう
意味で、今まで
日本社会は、企業がまたは
行政のサービスか、その二者択一しか許されなかった
社会だと思います。真ん中の大きな中間地帯を占める
市民活動の舞台、そこを
社会的にやはり認めていくべきでしょう。そして、この
三つの
セクターが機能してこそ、初めて
日本の
市民社会というのが機能していくのだと思います。我々は、その先駆けを今やっているのだと思います。
市民活動というのはまだ認められていませんけれども、これが
社会の中で位置づけられる、そして、
行政の
セクターと企業の
セクターと並ぶような大きな
セクターとして
社会の中で位置づけられ、そして我々が
市民権を持っていく、こういう
社会を我々は望んでいるわけです。そのためにこの
市民活動法案が
成立されることを我々は切望しております。
そして、今提案されている案について
最後に申し述べたいと思います。
与党案に関しては、
準則主義というのがとれませんで認証という形になりましたけれども、おおむね今納得できる水準のものになってきているというふうに思います。特に
与党三党と
民主党との共同
修正案を高く評価しておりますので、今
国会でぜひとも
成立させていただきたいと思います。
なお、
税制の
優遇措置に関しては、我々としても早急に対策を練っていただきたい。これがやはりこの
法案の
法案たるゆえんであろうと思います。単に名目だけの
法人格ならば、我々も取っても取らなくてもいいやというのが現状であります。というのは、やはり、
行政委託というのが我々の実力によってとることができる時代を迎えてきたという
意味では、今後、我々の事業が一億円、五億円というような大きな規模になってきたときに、やはり税金との問題が大きなネックとなってくるでしょうから、その時期をにらんで、我々は
税制の
優遇措置を早急につくっていただきたいというふうに思っております。
また、
準則主義については、やはり
民法の三十四条を改正する方向を今後
議員の
皆様にも考えていっていただきたい。やはり我々は、規制がない
法人を望んでおります。我々は、
自分たちの必要に応じて、当事者のニードに応じてこういう
団体を運営してきたわけで、それが
社会的に今後規制されていくというような道を歩みたくないと思います。
そして、
新進党案については、
税制の
優遇措置を明
文化されておりまして、我々もこれには
感謝しております。ただ、
社員の過半数が主たる事務所の所在地の都道府県の低域に住所を置くことという条文が大きな
障害となっております。DPI、
障害者インターナショナル
日本会議におきましては、我々は全国二百
団体の統合体でございますので、この主たる事務所を置くということが、我々の常任
委員は全国に散らばっております、その常任
委員が一
地域に住むということは今後もございませんので、我々の
団体自体は除外されることになると思います。そういう面で、早急にこの条文について
修正を
お願いしたいと思います。
また……