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1997-06-03 第140回国会 衆議院 内閣委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月三日(火曜日)     午前九時二分開議 出席委員   委員長 伊藤 忠治君    理事 赤城 徳彦君 理事 岸田 文雄君    理事 熊代 昭彦君 理事 御法川英文君    理事 河村たかし君 理事 倉田 栄喜君    理事 金田 誠一君 理事 木島日出夫君       岩永 峯一君    大野 松茂君       大村 秀章君    菅  義偉君       虎島 和夫君    桧田  仁君       平沢 勝栄君    渡辺 博道君       石井 啓一君    上田  勇君       上田 清司君    鹿野 道彦君       鈴木 淑夫君    富田 茂之君       西村 眞悟君    池端 清一君       瀬古由起子君    辻元 清美君       保坂 展人君    奥田 敬和君  出席公述人         財団法人日本国         際交流センター         理事長     山本  正君         芸術文化振興連         絡会議事務局長 高比良正司君         市民活動を支え         る制度をつくる         会事務局長   松原  明君         劇団東演制作者 横川  功君         D.P.I(障害         者インターナ         ショナル)日本         会議議長    中西 正司君         株式会社電通総         研研究主幹   伊藤 裕夫君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   石田幸四郎君     上田  勇君   鹿野 道彦君     上田 清司君   中野 寛成君     富田 茂之君   辻元 清美君     保坂 展人君   前田 武志君     奥田 敬和君     ――――――――――――― 本日の公聴会意見を聞いた案件  市民公益活動を行う団体に対する法人格付与  等に関する法律案河村たかし君外四名提出、  第百三十九回国会衆法第四号)  市民活動促進法案熊代昭彦君外四名提出、第  百三十九回国会衆法第一八号)  非営利団体に対する法人格付与等に関する法  律案木島日出夫君外二名提出衆法第一三号  )      ――――◇―――――
  2. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会河村たかし君外四名提出市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案、第百三十九回国会熊代昭彦君外四名提出市民活動促進法案及び木島日出夫君外二名提出、非営利団体に対する法人格付与等に関する法律案の各案について公聴会を開きます。  この際、公述人各位一言ごあいさつを申し上げます。  公述人各位におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。審査中の各案に対する御意見を拝聴し、審査参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  御意見を承る順序といたしましては、山本公述人、高比良公述人松原公述人横川公述人中西公述人伊藤公述人順序で、お一人十分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、公述人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。  それでは、山本公述人からお願いをいたします。
  3. 山本正

    山本公述人 委員長ありがとうございます。本日はこのような機会を与えていただきまして大変うれしく存じております。発言時間十分ということでございますので、長くならないようにと思って実はメモを書き始めましたら、思いのたけを書くことになってしまいまして、お手元に行っているかも存じませんが、しゃべれば三十分ぐらいのメモになってしまいました。参考までに、お許しいただければ記録にとどめていただければありがたいと存じます。  日本国際交流センターについて一言御説明申し上げますが、これは私が仲間と一緒に一九七〇年につくりました法人でございまして、財団法人でございます。外務省の所管でございますけれども、補助金は一切いただいておりません。活動内容は、オピニオンリーダー政策対話交流、あるいは海外のシンクタンク協力による政策研究NGO民間財団国際交流あるいは地方の国際交流といったことをやっております。二十七年になるわけでございますけれども、生きていくのに大変苦労したわけでございます。  そういった立場人間からいたしますと、このような形でNPO法案各党から議員立法として提出されまして、しかもその過程で多くのNPO関係者市民方々と協議を重ねていただきましたことは、これは画期的なことではないかと思うわけでございまして、立法プロセスあるいは日本民主主義あり方からいっても歴史的な出来事かと思うわけでございまして、各政党議員皆様に深く敬意を表したいと思っておるわけであります。  このように私が感じますのも、実は、この私がやっております仕事の中で、NPOあるいは市民活動組織日本の場合非常に脆弱であるということが、NGO交流あるいは協力あるいはそのシンクタンクにおける協力といったようなことにつきまして非常に大きな欠陥になっておりまして、世界じゅうのそういったNGOシンクタンクあるいは財団協力関係において日本の存在が非常に希薄になっているということでありまして、私なりに大変大きな危機感を持っておるわけでございます。これは結局、日本NPOが育つに当たっていろいろな制約条件があるということからくることだと思うわけであります。  そういった意味では、このたびの市民活動促進法案等市民公益活動を促進するための法案は、市民社会のニーズのために自分たち組織して活動を展開するということを奨励するものでありまして、日本NPO発展のための土台として重要なステップであると確信するものであります。このような現象を、米国のジョンズ・ホプキンス大学のレスター・サラモンは、アソシエーショナルレボリューション、連帯革命と言いまして、市民たちが集まって、その連帯から生み出される力を通じて、政府の枠組みの外側で公共目的を追求する民間組織が、それまで政府の手だけにゆだねられていた問題の解決に参加し始めるという、世界的な流れ意味するというふうに言っておるわけでございますけれども、このように市民の発意による非営利、非政府組織先進国途上国を問わず爆発的な伸びを示しているというのが現状だと思うわけでございます。  このような現象の背景につきましては、いろいろありますけれども、簡単に申し上げますと、冷戦後、相互依存が非常に発達しているこの世界の中で、それぞれの国におきまして、それぞれの社会において、政府とか行政あるいは経済の発展だけでは処理し切れないような多くの複雑な問題が生じてきている、その結果、市民組織する非営利、非政府組織活動のスペースが広がってきているということだと思うわけであります。  神戸淡路大震災のときに、多くの市民たちボランティアあるいはNPO方々神戸に参集したわけでございますけれども、この現象は、既に一九八〇年代から起こっておりました、ただいま申しましたような市民活動NPO活動流れ一つの結晶であったというふうに考えてよろしいのではないかと思うわけでございます。ただ、この神戸淡路島大震災の悲惨な状況の中で、日本でいかにこのようなNPOあるいは市民活動を行うことについて多くの制約があるかということが、初めてと言っていいほど浮き彫りにされたのではないかと思うわけでございます。  そういったことで、世界じゅうに先ほど申し上げましたようなNPO市民活動組織が爆発的な伸びを示している中で、日本のみがそのような素地がまだ十分にできていないということでありまして、外国から見れば、日本が変革を行えない、あるいはいつまでも官僚のみが支配する普通の国ではないというふうに見られても仕方がないんだと私は感じておる次第でございます。  このような状況でございますから、市民活動及びNPO活動を推進するための法案をぜひ早急にまとめていただき、今国会中に成立させていただく乞うに、議員各位お願いを申し上げる次第でございます。  既にいろいろ修正の御努力があるわけでございますが、その最終的な法案修正及び合意に至るプロセスにおいて、これまで申し上げたことに基づきまして、次に項目的に申し上げます点について特に御留意いただければありがたいと思います。あるいは既に修正が成り立っている、あるいは修正に向かっている部分もあるのかと存じますけれども、繰り返しになるとすればお許しいただきたいと思います。  第一に、NPO法人あるいは市民活動法案の設立の認証をなるべく簡素化して、限りなく準則主義に近づけていただきたいということでございます。私自身、現在、財団法人民法三十四条の法人の資格を持っているわけでございますけれども、許認可のプロセスから監督官庁のコントロールが非常に始まるわけでありまして、往々にして、その結果として、官庁財団法人民間法人活動に介入するということがあるわけでございます。さらに言うならば、そういった認可をとるために、監督官庁人間財団法人の中に雇うというか、天下っていただくということが一番手っ取り早いということで、多くの公益法人の中に官僚が入っていらっしゃることは皆さん御存じのことだと思います。  第二に、同じようなことでございますけれども、NPO法人の日常の活動においての官庁監督の要素をなるべく排除し、むしろ法人側がその活動内容について透明性を厳守いたしまして、自己責任、アカウンタビリティーを明確にすべきだというふうに考えるわけでございます。いろいろな手続の要請が、結局、官庁NPO活動への介入の原因になるということは明らかでございます。社員名簿提出などの規定がある段階の草案に出ておりましたけれども、このような煩雑な手続はぜひ避けていただきたいというのが強い希望でございます。  第三に、NPO法人活動範囲一定地域に限られるようなことのないようにお願いいたしたいと思います。相互依存関係の深まる世界において、地域的な活動はおのずから国際的なつながりを持っておるわけであります。  第四に、今後のNPO活動がより定着するためには専門性の確立が必要なわけでありまして、そういった意味で、報酬を受け得る社員の数を限定するというようなことはNPO発展を阻害するものだと考えます。  もちろん、与党三党の法案税制上の優遇策が盛り込まれていないことについてはNPO関係者の中にも不満があるわけでありますけれども、これについては、とりあえず二年以内に検討するという附帯修正条項を入れるということが検討されているというふうに伺っておりまして、それをもってよしとするべきではないかと私は考えるわけでございます。  もちろん、NPOをめぐる法制的、税制的環境が一朝一夕に完全なものになるとは思わないわけでありまして、とりあえずの法案を通していただければと思うわけでございます。とりあえずと申しましても、現在修正が考えられております与党三党及び民主党修正をされている法案は、これまでの問題点の幾つかを相当改善されておるわけでありまして、これを中心にさらに御審議いただきまして、できることならば全党一致で今国会中に成立させていただきたいと強く希望するわけでございます。  なお、この法案をつくるプロセスにおいて、相当私どもNPO関係者意見各党が聞いてくださっていることについては、深く感謝を申し上げたいと思います。いろいろ直していただきたいことにつきましては、私のメモに書いてあるとおりでございます。  もう一つ申し上げたいのは、この法案成立日本社会システムあり方にとって非常に大きな意味を持つということであると思います。今後、NPOが一層発展いたしまして、より多くの、日本の将来を担う若い方々を含む多くの市民活動参加できるような状況をつくることが、日本社会あり方自体を変えていくのだと思うわけであります。  官僚を批判しながらも、肝心なことになると常に行政に頼ってしまうというのが日本市民の一般的な傾向であるわけでございまして、このような点を変えていかない限り、行政改革を含めて本当の意味での改革が行われないのではないかと思うわけであります。その意味では、今回の法案作成プロセス議員各位皆さん議論し、協力してこられた多くのNPO関係者の姿を見ますと、日本社会を変える非営利革命とでもいうものが着実に起きているのだと思うわけであります。この非営利革命流れはもはやとめようのないものだと信じますが、この流れを一層強めるために、議員各位のお力をいただきたいと思うわけであります。  最後お願いでございますが、めでたくこの法案成立いたしました暁には、これで一件落着てあるというふうに思っていただきたくないということでございます。NPO法案につきましては、申し上げましたとおり、寄附免税等、御検討いただくことがまだ多々あると思うわけでございます。私のセンターのように民法三十四条に基づく公益法人あり方、また特定公益増進法人による免税措置あり方等につきましても、日本の非営利セクターが抱える多くの問題について引き続き抜本的な改善が必要だと思うわけでございまして、ぜひ御検討を続けていただければと思うわけでございます。  これらにつきまして、国会議員皆様行政皆様と、それから我々NPO関係者一緒になっていろいろ御相談し協議し、日本において非営利セクターがより着実な発展を遂げるように御協力させていただきたいと思いますし、議員各位の御協力お願いする次第でございます。  ありがとうございました。(拍手
  4. 伊藤忠治

    伊藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、高比良公述人お願いいたします。
  5. 高比良正司

    ○高比良公述人 芸術文化団体ネットワーク組織であります、PANと通称言っています、事務局長の高比良でございます。  最初に、芸術文化団体状況について簡単に御紹介をさせていただきます。  芸術文化団体NPOかというふうに時々聞かれることがあります。確かに営利事業団体もあるわけですが、全体的には大半が非営利目的活動しております。例えばPAN構成で見ても、三千団体中約六割が非営利団体NPOであります。  また、芸術文化活動も最近では非常に多様化してきております。大きく分けて、舞台創造に携わる芸術団体、あるいはそれを鑑賞する市民組織というのもあるわけですが、最近は、鑑賞だけではなくて市民みずから創造表現活動参加する、いわゆる市民参加型の文化活動が非常に活発になっております。また、阪神・淡路大震災でも重要な役割を果たしている、心をいやすための音楽家による音楽セラピー、あるいは俳優たちによる演劇ワークショップなど、ボランティア活動も急速に広がっています。また、森繁久弥さんが代表の日本俳優連合でも、ボランティア委員会などを設置して市民活動への参加を始めております。  こうした活動を私たち市民文化活動というふうに総称しております。PAN構成団体でも市民文化団体が最も多く、こうした団体の多くは、地方自治体などと協力して地域振興町づくりといったものと深く結びついて活動を展開しております。それだけに、芸術文化活動は今後ますますNPOの重要な一翼を担っていくというふうに考えているわけです。  さて、今回の法案についての芸術文化団体の受けとめ方についてですが、法案成立への切実な期待は他の市民団体と全く同じ気持ちです。PAN構成団体の五割が任意団体活動しており、社会的人格を持つことへの希望は大変強いものがあります。  また、私たち特定法案だけを支持する立場をとらないできました。それは、議員立法として画期的な三つ法案提出されているので、少しでもよいところを取り入れていただきたいと願ってきたからです。  特に、与党案新進党案特別法なわけですから、一定制約はやむを得ないということをよく理解しております。その前提の上に立って、私たち与党案新進党案修正要望をしてまいりました。新進党案修正の御回答をいただいたわけですが、与党案は現時点では困難であるというふうに聞いております。私たち最後最後まで要望を続けたいというふうに思っておりますし、今国会でもぜひその可能性を探っていただきたいというふうに考えております。  与党案への修正要望内容は三点であります。私たち要望は、去る四月十五日、芸術文化福祉労働団体等との共同提案にすべて集約されております。これは、昨年同じ趣旨で国会請願をしており、その際、全国会議員の七五%、五百四十名に上る議員に賛同していただいて、紹介議員になっていただいた内容でもあります。  その第一は、定義における不特定多数の利益増進についてであります。これは、新進党案市民公益概念についても同じ要望を出しております。私たちNPO社会的な公共利益のために活動するというのは当然のことです。一般的な公益活動を否定しているわけではありません。問題はその解釈にあるというふうに考えております。これまで、不特定多数の利益は、多くの場合、行政公益判断として使われてきました。その中で、特に会員制団体は不特定多数ではないとして公的支援が受けにくかったり、あるいは施設の利用料金が割高になったりと、大きな障害となってきました。  芸術文化活動は、一定財政基盤を必要とするため、どうしても会員制をとる工夫をしてきたわけです。特に舞台芸術は、テレビや映画と違って、限られた対象で成り立つ特定性に特徴があります。しかし、この場合でも、だれでも自由に参加できる形態はすべて保障しているわけです。アメリカNPOにおける公益概念の、対象となるクラスを差別化しないというとらえ方は、私たちにとって大変わかりやすい考え方だと思っております。  そこで、不特定多数の利益によって著しく対象が狭められることのないように、従来の公益概念ではなく、新しい考え方で柔軟な解釈をしていただきたいというのが第一点であります。  第二点は、税制上の措置についてです。これは要望の中でも最も切実な内容だと考えております。  与党案税制措置は、人格なき社団並みとなっております。私たちも、この間、四十七すべての都道府県で、他の市民団体にも呼びかけてフォーラムを開催してまいりました。税制優遇を望む声はとても大きいです。税制優遇がないのなら、任意団体のままでやるか、あるいは、国際活動をしている団体は、アメリカNPO税制優遇指定五〇一(c)を取得するしかないのではないかといった悩みも出されています。現に、もう待てないからと、五〇一(c)を取得した芸術団体も既にあります。  特に、芸術文化活動は、すべて収益事業興行業というものにくくられてしまうという厳しい現実を抱えております。例えば、子供たちは、学校や地域で、年間一千万人を超える舞台鑑賞をしております。文化はぜいたくとしてつくられたあの入場税でさえ、教育的な非営利活動には非課税や免税措置がとられてきました。このような歴史的な経過を見ても、今後、法人税法あり方を含めた税制検討はどうしても必要ではないかと考えております。  もちろん、税制優遇は、単に税金を安くまけさせるという問題ではない、これは当然のことです。寄附税制優遇をとってみても、市民市民活動を支えるシステムづくり一つであり、第三セクターとしてのNPOを確立する上でのかなめであると考えております。  これは、芸術文化団体だけではなく、NPO全体の共通の願いではないでしょうか。NGO社会教育団体日本青年会議所、こういった団体も同様の要望書国会に出しており、社会的責任を担っている団体であればあるほど、税制はどうしても避けられない最重点のテーマです。  税制優遇具体的内容は今後の議論として、せめて、附則に明記し、法制定後の検討の道筋を明確にしていただきたいというふうに切に願っております。  第三点は、民間営利法人一般法についてです。  今回の法案づくり議論参加してきて思うことは、特別法としての制約や限界を解決していく上では、今後、非営利法人一般法を展望していく必要があるのではないかということです。  本特別法成立したとして、民法改正を踏まえた非営利法人一般法について、今後、総合的に検討していくことを何らかの形で確認していただくことを切に要望して、私の発言を終わります。(拍手
  6. 伊藤忠治

    伊藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、松原公述人お願いいたします。
  7. 松原明

    松原公述人 ただいま御指名いただきました松原でございます。市民活動を支える制度をつくる会の事務局長を務めさせていただいております。  本日は、日本市民活動の未来を大きく左右するであろう、いわゆるNPO法案国会審議におきまして、私見を述べさせていただく機会をお与えいただきましたことを、まずお礼申し上げます。  市民活動を支える制度をつくる会は、一九九四年に設立されました。NPO法案をつくることを国会に働きかけるためのプロジェクト団体とも言えるものです。会の呼び名が長いもので、私たちは通常、短くシーズと呼んでおりますが、きょうの意見陳述でもシーズという通称で通させていただきます。  さて、シーズには、現在、国際協力福祉環境、人権、町づくり市民活動支援などといった多様な分野の市民活動団体が、約百二十団体加盟しています。  シーズでは、三つ目標を立てています。今、お手元にピンク色をしたリーフレットが配られていると思いますが、その中に三つ目標とありまして、一、市民活動団体が、一定の要件を満たせば簡易に法人格が取得できるようにすること、二、市民活動を推進するような税制を整備すること、三、市民活動団体活動情報が公開されるような仕組みをつくることの三つ制度を実現することです。  シーズでは、この目標のもとに、数多くの市民活動団体国会議員方々行政関係者研究者などと検討学習会公開討論会を重ねてまいりました。また、一九九五年には、独自の市民活動推進法試案を作成し、議員方々提出したほか、各政党立法進捗状況に応じて、幾たびか要望書を出させていただいてまいりました。  本日は、そのような活動を踏まえ、シーズ加盟団体意見及びシーズに寄せられた多数の要望をもとに、意見を述べさせていただきます。  まず、各党法案に関する意見を述べる前に、この法案審議に至るまでのことについて、一言述べさせていただきます。  この法案は、議員立法ということで、自由民主党社会民主党新党さきがけ与党三党及び新進党日本共産党のそれぞれの法案提出された担当議員方々、また、与党党案に対して修正を行われた民主党担当議員方々に対し、その立法に対する御努力に対し、とりわけ、市民活動団体とのたび重なる討論会に御参加いただき、法案をよりよいものにするために御尽力いただきましたことに、深い感謝敬意を表したいと存じます。  さて、各党法案に関しましては、私は、与党三党と民主党との間で合意されました市民活動促進法案修正案の今国会での成立を強く希望する立場から、意見陳述をさせていただきたいと存じます。  現在、法人格がないために、多くの市民活動団体は、その発展がおばつかないという状態で日々の活動を送っています。海外で活動する国際協力団体は、日本での法人格がないため、海外での活動を制限されたり、事務所を開設できないでいるという状態があります。福祉環境町づくりに取り組む団体は、行政や企業と事業契約を結ぼうとしても結べないことがしばしば起こっております。また、職員を雇ったとしても、身分が不安定になり、優秀な職員がなかなか育たないという問題も起こっています。ナショナルトラスト運動を行う団体では、土地や建物が個人所有になるために、確実な環境保全ができないという問題も聞いております。  これらの問題を一刻も早く解決し、市民が生き生きと市民活動ができる条件を整えるには、法人制度の創設は急務であると考えております。  この点からして、与党三党と民主党による修正案新進党案日本共産党案の三案を比べるときに、速やかに成立に向かえること、対象となる団体の幅の広さ、基準のより明確さなどといういろいろな点を勘案するに、与党三党と民主党との修正案が一番よいと考える次第です。  とりわけ、対象の幅の広さという点では、新進党案にあります地域基盤という要件のもとでは、全国規模や海外活動が主となるような団体ではその制度を十分利用できず、大きな問題ではないかと考えております。  もちろん、与党三党と民主党の案がベストな実とまでは言っておりません。しかし、市民活動の基盤整備への第一歩としては評価できる内容となっていると考えております。  税制優遇措置に関して言えば、市民活動団体の財政的な自立を行う上で、その整備はぜひ急いでいただきたいところです。とりわけ、寄附金に関する税制優遇措置の拡大は、市民が支え合い、助け合う新しい仕組みとしての市民活動にとっては不可欠のものです。しかし、今日の特定公益増進法人制度は、監督も厳しく、また、行政からの指導基準も不透明です。より市民が気軽に市民活動参加し、支え合えるような新しい税制の仕組みを、ぜひ、きちんと検討し、つくり上げていただきたい。  その点からも、与党三党と民主党との修正合意にあったように、二年程度の検討期間はやむを得ないのではないかとも考えております。ただし、よい案ができれば、二年という期間にこだわらず、ぜひ前倒しして検討し、また実施していただきたいと存じています。  現在、与党三党と民主党修正合意にあります市民活動促進法案には、問題がまだあることも十分に承知しております。シーズとしましては、法人格付与準則主義で行われるべきであると考えております。また、活動分野の限定はふさわしくないと考えております。行政市民活動監督する必要もないというのが私たちの見解です。  しかし、この問題を解決するには、より根源的な、民法三十四条の改正という問題に取り組む必要があると考えております。市民活動を制限しないようなよりよい法整備を続けるという点から、ぜひとも民法三十四条の改正という課題にも、法律成立後は速やかに取り組んでいただきたいと存じます。また、公益法人税制全体の見直しも不可欠かと考えております。それが今後の時代の大きな要請であると考えております。  市民活動促進法案の今国会での成立を強く望む声は、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から毎日のようにシーズへと届けられています。お手元へお配りした「緊急アピール」への署名は、既に昨日六百人を超えました。多くは法人格を持たない市民活動団体のスタッフや代表者から届けられたものです。それらの声をぜひとも聞き入れ、今国会での法案成立をいま一度強く希望したいと存じます。  また、新進党日本共産党議員方々におかれましては、ぜひとも市民活動を一歩進めるために、この法案成立のために御協力いただきたいと存じています。  そのようなお願いをいたしまして、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  8. 伊藤忠治

    伊藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、横川公述人お願いいたします。
  9. 横川功

    横川公述人 私、今御紹介いただきました横川と申します。私は、劇団東漢というところで日々演劇をつくっております。そういう立場から、我々の希望を申し述べたいというふうに思います。  私、劇団に入りまして約三十年間、この仕事をやってまいりました。ここ数年のいわゆるNPO法案のいろいろな盛り上がりに関しては、正直申し上げて、八〇年代の終わりごろから僕らもこれに接したときから、多分これは二十一世紀に入っても実現しないだろう、五十年たっても、少なくとも僕が仕事をやっている間は多分実現しない、それほど僕らにとっては画期的な概念だったわけですね。  と申し上げますのは、僕、三十年間この劇団で制作、プロデュースの仕事をやってきまして、日々いろいろな矛盾に突き当たるのです。僕らの劇団は有限会社なんです。有限会社としての、営利法人としての存在でしか要するに法人格は得られないというこの日本の現状の中で、多くの劇団は、三十年、五十年、営々として今でも芝居をつくり続けているわけですね。それですから、営利法人として芝居を続けているということの矛盾、と申し上げますのは、果たしてこれは営利なのかという矛盾にいつも突き当たるのです。ですから、僕らにとっては、この営利法人から何とか脱却して、NPOというこの概念でもってくくれないだろうかというふうにずっと思っていました。  先ほど申し上げましたように、これは日本の今までの常識では、二十一世紀になっても無理だろうというふうに思っていたんですが、ここ数年の大きな、市民方々の、あるいはきょう御出席議員皆さんのいろいろな御努力でもってここまで盛り上がったということに関しては、僕の不明を恥じるとともに、皆さん努力に対しては、本当に率直に感謝といいましょうか、敬意を表したいというふうに思います。  ですから、僕もあと十年、二十年仕事をやっていくわけですから、なおさら僕らが思っているようなNPO法案になってほしい、ぜひそういうふうにしてこの文化というものを二十一世紀に渡していきたいという切なる願いをもとに、いろいろな法案を読ませていただきました。  つまり、これは今まであったいわゆる公益という、あるいは営利という、明治以来百何十年にわたる概念を根底から、新しい概念を持ち込むわけですから、このことが、二十一世紀に活躍するいろいろな若者たちが あるいは市民活動、芸術活動文化活動をやられるいろいろな方々が、本当に二十世紀が終わろうとしている今この瞬間に、ああ、いい法案をつくってくれた、我々はとてもやりやすくなった、これこそが日本文化というものを草の根的に押し上げていく大変な基礎になったというふうに思われるような、そういう法案にぜひしていただきたいというふうに思っております。  私の劇団では、年間の経費そのもの、売り上げそのものは約二億何千万があるんですね。ですから、通常の有限会社としては多分多い方だと思います。しかし、これはあくまでも通過していった金額であって、営利法人としての責任はほとんど果たしていないんですね。果たしていないといいましょうか、もちろん納税はします、当然我々は義務があるわけですから。ただ、ここにかかっている経費そのものというのが、仮に二億何千万入ったら二億何千万そっくり出ていくし、ある年になると、何千万も赤字になるのですね。  それはなぜかといいますと、我々、芸術文化といいましょうか、お芝居をつくっているのは、ある意味では付加価値といいましょうか、コップをつくったり物をつくって、見えるものをつくってそれを販売して、余ったらそれをたたき売って何とかその年度ある意味ではつじつまを合わせようということができないんですよ。僕ら、芝居をやった瞬間から消えていくんですね。ですから、在庫というのはないんですよ。  ですから、経費が物すごくかかると同時に、約八十人ぐらいの劇団員がいますが、この劇団員たち、あるいはかかわるスタッフを含めて、なぜもてているかといいますと、彼らの、もちろん僕らもそうですけれども、人件費を抑制して、多分信じられないと思いますけれども、世の中の半分以下の収入でもってそれを補てんしているんですね。  ですから、そういう彼らの情熱でもって今の日本文化芸術が存在しているということをぜひ記憶にとどめていただきたいというふうに思います。  それで、今回のNPO法案に関しては、二つほど申し上げます。  これは僕らも大先輩も含めて、何十年もこういう形でやってきました。ですから、非常な熱い思いで見ているんですね。ですから、ある意味では妥協的にある法案成立させて、現実的にそれを順々に直していけばいいじゃないかというふうな思いはほとんどないんです。いわば理想に近い形でぜひつくっていただきたいというふうに思います。  というのは、我々は、各団体は、一番の命というのは自主性なんですね。自主独立といいましょうか、自主性をどこまでこの法案が貫かれているかということに一つの大きな僕らにとっての尺度があるんです。細かいことは申し上げません。そのことに照らしてぜひこの法案をつくっていただきたいというふうに思います。ですから、限りなく準則主義を貫いていただきたいということです、  それともう一つは、このNPO法案と絶対に離してはならないのがやはり税制の問題なんです。税制と一体になって初めてNPOという法案が生きてくるというふうに思います。  先ほど高比良さんもおっしゃっていましたけれども、私たちは、税金をまけてくれとか、払いたくないとか、安くしてくれとか、そんなことを言っているんじゃないんですね。文化そのものを日本の国の中でどこにきちっと位置づけるかという、そのことからすると、僕らは税制というものはこのNPO法案とは全く一体のものであって、これを別々に考えたり、あるいはそのうちというふうなことでは絶対にないということを、僕らのいろいろな仲間の意見でもありますので、そのことは強く申し述べたいというふうに思います。  ですから、これはある法案ができて、それが逆差別といいましょうか、いや、うちはNPO法人格は要らない、あるいはこのままでやっていくというふうなところに対しても、決して差別的な対応がないような、現実的には、僕はたくさん見てきていますけれども、このままでは多分出てくるだろうというふうに思います。ですから、そういう差別的な対応がないような法案になっていないといけない。  ですから、先ほど申し上げましたように、自主性をどこまで貫けるかということと、税制の問題と、それと今申し上げましたような、だれにでも門戸を開くような、そういう柱となった法案にぜひ、これも超党派で、これは何対何で可決、多数決で決まりましたというような性格じゃないと思います。これはやはり超党派で、皆さんのお力で、二十一世紀に大変な貴重な贈り物ができますように、皆さんの英知と寛容でもってぜひ成立させていただきたいと思います。  最後に申し上げますが、先ほど申し上げましたように、本当に僕らにとってこれが力になるような法案になってほしい。そうでなかった場合には、我々五十年も辛抱してきたのです、ここで三カ月、半年、一年でも辛抱できないわけはないのですね。ですから、きちっとしたものが超党派でできるような形をぜひ皆さんで積極的に御討議いただいて、そういう案をつくっていただきたいというのが気持ちでございます。  以上です。(拍手
  10. 伊藤忠治

    伊藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、中西公述人お願いいたします。
  11. 中西正司

    中西公述人 御紹介いただきました、DPI、障害者インターナショナル日本会議の議長をやっております中西と申します。  このたび、与党三党、新進党、共産党各党の御努力により、市民活動法人格を与えるための法案議員立法という形で審議されることを感謝しております。我々、法人格を取れるという法案ができることを心待ちにしておりました。  私どもDPI日本会議というのは、権利擁護活動、それから介助サービス等を提供する自立生活センターなど、障害当事者によって運営される福祉関連の任意団体を中心に組織されておりまして、全国二万人の会員を擁しております。そして、このDPI日本会議の中で、私は今、自立生活センター、ヒューマンケア協会というのを運営しております。そして十年になります。  この自立生活センターというのは、当事者自身が運営の担い手になる、これまでの福祉サービスは我々はサービスの受け手でしかなかったわけですけれども、我々自身がサービスの提供者になるという形で福祉の革命を起こしているというふうに我々は考えております。  この中では運営規約を設けまして、運営委員の五一%は障害者であることとか、サービスの実施、提供責任者は障害者であることというような規約も設けております。そして、我々自身がサービスの実施主体となるという意味で、ピアカウンセリングという障害者自身の行うカウンセリングとか自立生活プログラムとか、そして有料の介助サービスを市民に対して提供しております。  我々の組織の中では、年間に二万時間から五万時間、介助サービスを市民に対して提供しまして、二十四時間の介助サービスを老人、障害者に提供しております。現在、全国に七十カ所の自立生活センターがありまして、福祉の中で非常に大きな担い手となりつつあります。  そして、こういうような事業が最近、国の方でも認められ、昨年からは障害者生活支援事業ということで、私どもヒューマンケア協会も八王子市からの委託を受けまして事業が展開できるようになっております。我々は今のところ無認可団体でありますけれども、行政委託ができるようなことが今現実に起こりつつあるわけです。そういう意味では、国の中の制度も日々変わりつつあります。現実に照らして我々のサービスが必要であれば、そのサービスに委託をおろしていくという形ができるという意味では、もう現実の方はNPO法案より先に行っているという現状があると思います。  そういうふうな現状をより先に進めていく、そして、我々が今必要としていることは福祉の自由化ということです。  今まで、社会福祉法人を取らなければ福祉サービスは提供できないという時代が続いてきました。我々は、社会福祉法人を取らなくても福祉の担い手になっていける。  そういうことをなぜ望むかというと、我々自身が、これまでの療護施設や、そして授産施設、福祉ホームなどという障害者だけ選別された場所で暮らすことを望んでいないからです。そして、そういうような、地域で暮らしたいという障害者の希望をかなえていくサービスとして、我々自身でサービスの担い手となってそういうサービスを地域につくり上げていく。その活動を十年間にわたって続けてきた結果、今ようやく地域の中で我々の活動が認められるようになり、そして福祉の中でのサービスの一つの位置づけが得られてきたわけです。  そういうふうな活動がどんどん広がってきますと、これまでの、社会福祉法人を取らないと委託が受けられないというシステムが変わってきます。そうすると、地域の中でどちらがいいサービスかという選択が残されるわけです。我々の方がいいサービスをしていれば、社会福祉法人格を持たなくてもそちらに委託がおりていくということになれば、今までのように五億円なければ社会福祉法人が取れないということで大きなハードルを設けられ、我々はそのハードルを越えられなくてそういう大きな制度の中でつぶされてきたわけですけれども、そういう道が開かれてくる。そういうふうになってくると、福祉はいかにいいサービスを提供するかだけが判定基準になってくるということで、競争の社会になってくるわけです。我々は、そういうふうな状況になることを望んでいます。  そのためには、NPO法案が通りまして、我々自身が社会の中での一つの位置づけを持つ必要があります。我々は、まだ社会的には無認可団体ですので、いろいろな制約を持ちます。例えば私の事務所でも、電話の加入一つするのに個人名でなければ名義登録ができないわけです。ヒューマンケア協会という名前ではとれません。それから、コピー機のリース契約をするときにも我々は同じ問題に直面します。車の所有や保険に加入するときも会長の個人名で加入して、会長の車が何台にもなってくるという事態を迎えているわけです。事務所の賃貸契約についても同じことが言えますし、銀行の口座を開く場合も我々は個人の名前でなければ開けない。  こういうような大きな制約を設けられますと、我々は一体、会として存続しているのに、認められているのかと。一々会長の判こをもらわなければ何も仕事が進まないという事態が今進行して、一番困っているわけです。  そして、行政に対して我々が陳情書や要望書を出す場合でも、これは個人として扱われます。ヒューマンケア協会の角印を押しても、そんなものは要らないのですよ、個人の判こだけで結構ですということで、一体我々は、これは組織として要望していることは認められているのかということすら不安になるわけです。  こういうような意味で、法人格がないために、我々自身の実態とは別に、この団体の認知がされていない。そして、これを認めていただくことにより我々は社会的な信用がついて、今後行政からの委託がより容易にとりやすくなる。そして、民間財団等の給付についても我々がとりやすくなるということによって、社会福祉法人と対等な関係で、福祉サービスの市場の中で我々はやっていける道が開けると思います。  そして、日本全体の社会福祉の将来を考えるときに、今、一方の極に行政のホームヘルプサービスとか行政の施設のサービス等があります。そして、こういうサービスは安定はしていますけれども、障害の等級差別、一、二級でなければホームヘルプサービスを受けられないというような差別、そして六十五歳以上でなければ高齢者のサービスは受けられないというような差別、こういう規制があります。行政はどうしても、サービスを提供するときに規制を設ける以外にしようがないな、これは我々も納得できるわけです。  そうすると、行政のサービスが一つの極にあり、そして反対の極には、今、民間の企業による、営利による福祉サービスが提供されようとしています。そうすると、このサービスについては、よいサービスも中にはありますけれども、やはり営利に基づかなければサービスが提供できないという企業論理があります。そうすると、お金のない者にとっては企業のサービスは使いづらいという問題が起こるわけです。  そこで、民間の非営利団体というのがどうしても、その中間地帯、大きな中間地帯を占めるわけですけれども、そこに必要になるわけです。行政の六十五歳以上とか障害等級とかいう規制に漏れた人たち、その人たちは非営利民間団体でなければ扱えません。そしてまた、お金がなく企業のサービスを買えない人たちにとっては、非営利民間団体のサービスしか残されません。  そういう意味で、今まで日本社会は、企業がまたは行政のサービスか、その二者択一しか許されなかった社会だと思います。真ん中の大きな中間地帯を占める市民活動の舞台、そこを社会的にやはり認めていくべきでしょう。そして、この三つセクターが機能してこそ、初めて日本市民社会というのが機能していくのだと思います。我々は、その先駆けを今やっているのだと思います。  市民活動というのはまだ認められていませんけれども、これが社会の中で位置づけられる、そして、行政セクターと企業のセクターと並ぶような大きなセクターとして社会の中で位置づけられ、そして我々が市民権を持っていく、こういう社会を我々は望んでいるわけです。そのためにこの市民活動法案成立されることを我々は切望しております。  そして、今提案されている案について最後に申し述べたいと思います。  与党案に関しては、準則主義というのがとれませんで認証という形になりましたけれども、おおむね今納得できる水準のものになってきているというふうに思います。特に与党三党と民主党との共同修正案を高く評価しておりますので、今国会でぜひとも成立させていただきたいと思います。  なお、税制優遇措置に関しては、我々としても早急に対策を練っていただきたい。これがやはりこの法案法案たるゆえんであろうと思います。単に名目だけの法人格ならば、我々も取っても取らなくてもいいやというのが現状であります。というのは、やはり、行政委託というのが我々の実力によってとることができる時代を迎えてきたという意味では、今後、我々の事業が一億円、五億円というような大きな規模になってきたときに、やはり税金との問題が大きなネックとなってくるでしょうから、その時期をにらんで、我々は税制優遇措置を早急につくっていただきたいというふうに思っております。  また、準則主義については、やはり民法の三十四条を改正する方向を今後議員皆様にも考えていっていただきたい。やはり我々は、規制がない法人を望んでおります。我々は、自分たちの必要に応じて、当事者のニードに応じてこういう団体を運営してきたわけで、それが社会的に今後規制されていくというような道を歩みたくないと思います。  そして、新進党案については、税制優遇措置を明文化されておりまして、我々もこれには感謝しております。ただ、社員の過半数が主たる事務所の所在地の都道府県の低域に住所を置くことという条文が大きな障害となっております。DPI、障害者インターナショナル日本会議におきましては、我々は全国二百団体の統合体でございますので、この主たる事務所を置くということが、我々の常任委員は全国に散らばっております、その常任委員が一地域に住むということは今後もございませんので、我々の団体自体は除外されることになると思います。そういう面で、早急にこの条文について修正お願いしたいと思います。  また……
  12. 伊藤忠治

    伊藤委員長 失礼でございますが、時間が一人十分ずつで事前にお願いをいたしておりまして、後でまた質疑の中でも深めることが十分できると思いますので、割り当ての時間内で御配慮いただきますようにお願いいたします。
  13. 中西正司

    中西公述人 それでは、我々、そういうふうな内容で今後の御修正お願いしたいと思っております。議員皆様の今後の御検討をよろしくお願いいたします。長くなりまして失礼いたしました。(拍手
  14. 伊藤忠治

    伊藤委員長 どうもありがとうございました。  次に、伊藤公述人お願いいたします。
  15. 伊藤裕夫

    伊藤公述人 御紹介いただきました伊藤でございます。本日は、この公聴会にお呼びいただきまして、ありがとうございます。  私は、民間シンクタンクでこの数年、国内、海外のNPOに関しまして調査を行ったりしている立場でございます。また、個人的にも、NPO推進フォーラムというNPO活動をサポートする団体の運営委員をやっております。そういった立場から、社会政策との絡みの中からNPOに関する意見を述べさせていただきたいと思っております。  NPOへの関心というものがこの数年、日本においても盛んになってきているわけですが、実は、非営利組織に対する関心は、世界的にももう既に二十年ほど前から議論されている問題じゃないかと思うわけです。それには、大きく二つの要因があったと思います。  一つは、外的な要因でございます。  いわゆる福祉国家の危機と言われている背景の中で、NPOへの関心が高まってきていると考えております。ちなみに、福祉国家の危機というのは、一九八〇年のOECDのパリ会議のときのテーマでございます。すなわち、このとき、一九七〇年代を通じた低成長、また、それをもたらす財政危機の中で、あるいは社会問題自体がグローバル化していく、さまざまな形で拡大していく中において、これから先の国家の運営の中でどのような方針があるか。その中で出されたものが今日まで続いております。例えば、民営化、規制緩和、あるいは分権化、そしてNPONGO参加といった問題じゃなかったかと思うわけです。  また、第二の問題としまして、内的な要因もございます。  これは、市民社会自体がこの二十年を通じて非常に成熟化してきた、そして市民自身の能力というものが市民社会の中に確立してきたということじゃないかと思うわけです。具体的には、ボランティアといいますか自主的社会参加活動というよう宣言葉が、既に一九八三年度の国民生活審議会の総合政策部会の報告書の中で登場しております。また、八〇年代を通じまして市民運動自体も、それまでの反対あるいは要求を中心とした運動から、提案あるいは自主事業を行っていく活動に変化してきております。また、九〇年前後からは、企業の社会貢献といった動きもあり、経団連にそういった委員会ができる、こういった動きがございます。  このようにNPOへの関心というものは、外的にも内的にもさまざまな形で、この二十年の間、徐々に積み重ねられてきて今日に至ってきており、それらが求めているものは、一言で言うならば、新しい社会システムというものを考えていく、そのようなものとしてNPOというものがあるのじゃないかと考えております。すなわち、官民の役割分担を再編成していく、あるいは自由な市民活動を保障することによって新しい社会のエネルギーを生み出していく、このような大きな展望の中でまずNPOというものを考えておきたいと思うわけです。  このような背景があるゆえにこそ、今回におきましても、NPO法人化に関する議員立法が、しかも三党から出されていった、このように大きく評価したいと思っているわけでございます。  以上のような観点に立ちますと、いわゆるNPO法案に対して期待されることは、大きく二つあるのじゃないかと思っております。  第一点は、社会システムの変革の展望がきちんと示されているかどうか。  具体的には、今国会でも討論されております一連の改革法案との連携性というのがあるのかどうか。行政改革、規制緩和、地方分権、情報公開といった一連の改革法案とのつながりというものが明示されていることが必要じゃないだろうか。そして、具体的にはそれは法案の中におきましては、いわゆる許認可制度とか、あるいは管轄官庁制度といった、これまでの公益法人を縛っていたシステムに対して違った取り組みがなされているかどうか。また、非営利活動の枠というものを余り限定的ではなく、より広い形で認めていく、多様な人々の価値観というものが反映できるようなものにしていく、こういった要素があるのかどうか。  また、複雑な民法特別法というものが今現在あるわけでございますけれども、こういったものがきちんと今後整理されていく方向にあるのかどうか。このような社会システムの変革の展望が示されているかどうかが第一点。  第二点といたしまして、こうした形で今後生まれてくる非営利市民活動がきちんと社会の中で自律していけるのかどうか。いわゆる補助金漬けになっていくのではなく、社会の中でそれ自体がみずからを再生産していくようなシステムかどうなのか。具体的には、単にボランティアという形ではなく、ボランティアを超えた形でいくこと、すなわち有償スタッフがきちんと保障されていくということが必要だと思います。すなわち、価値を実現するための新しい職業集団をつくっていく、そのようなことが保障されているかどうか。  また、自主的な財源を確保するための仕組みが考えられているかどうか。収益事業を行うこと、あるいは寄附税制によって社会からさまざまな支援を集めていくだけのシステムがあるかどうか。  また、三番目には、NPO支援するNPOといいますか、NPOの中において分業体制がつくられ、そして非営利組織をさらに財政面、人材面、さまざまな面で支えていく、このような社会NPOをつなぐような、インターメディアリーと言われておりますけれども、そのような仲介団体というものが育っていく、そのような可能性を含み得るかどうか。  以上のような点がNPO法案にきちんと盛り込まれているかどうかということが大きなメルクマールになると考えております。  そういった視点から見てまいりますと、今回の法案に関しましては、私自身はまだまだ不備な点が多いのじゃないかと思っております。  私自身、原則としてはNPOに関する法人法は絶対に必要であり、早急につくるべきであるという立場でありますが、しかし、現在上程されている案を見る限り、例えば与党案に関しましては、一つは、十一項目の列挙、これはどうしても、その十一項目というものを具体的に列挙することによって行政の恣意性というものがそこには反映されてくるのじゃないだろうか。それから、社員の二分の一ですか、三分の一以下でしたかが有償でなければいけないという形で、これは職業という問題から見ると非常に問題じゃないかと思います。ほかに社員名簿等々の問題がございます。  新進党案に関しましては、先ほど来出ております地域性といいますか、社員の過半数、あるいは役員の三分の二以上が同一地域に住むということ、これはかなり全国的な組織、あるいは先ほど言いましたインターメディアリーといった、NPOを支えるためのNPOをつくっていくにおいては非常に問題が多いのじゃないかと思っております。  共産党案に関しましては比較的問題点は少ないと私は見ておりますが、しかし、既存の公益法人制度との関係性というものが今後どのようになっていくかということが非常によくわからないという気がしております。  そのような問題点を含んでおり、こういった問題点を今後ぜひ討論の上、修正していただきたい。そして、先ほど申し上げましたNPO法に期待されております社会システムの変革の展望、それから非営利団体、非営利活動というものが自律的に社会でみずからを再生産していくための仕組み、こういったものをなるべく盛り込めるような形で考えていただきたいと思うわけです。  また、今回の法案が何らかの形の修正をとり成立した後も、この法案を育て、より有効にしていくための問題、特に二年後の見直しに向けてのさまざまな問題、これには大きく税制の問題と、それから民法を含めた既存の公益法人制度の問題がございますが、こういったものに対しても十分な目配りを含んだ検討お願いしたいと考えております。  以上でございます。(拍手
  16. 伊藤忠治

    伊藤委員長 どうもありがとうございました。  以上で御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  17. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。
  18. 菅義偉

    ○菅(義)委員 私は、自由民主党の菅でございます。  公述人皆様方には、大変お忙しい中、また、今NPO法案に対して貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  私は、財団法人日本国際交流センター山本理事長に質問をしたいと思います。  理事長の先ほどのお話の中にもありましたように、我が国のNPOは、アメリカとかヨーロッパとか、先進諸国と比較した場合著しく立ちおくれている、この事実は否定できないと思います。しかし、これからは、官民と並ぶ第三の組織でありますNPOによる市民活動を活発にしていくことが我が国の民主主義にとっても極めて重要なことであります。  そうした中で、理事長は、みずからの体験に基づいて、国際的視野に立っていろいろとその必要性について意見を述べておられましたけれども、その中で、留意すべき点として四点を実は挙げておられました。その中から数点お尋ねをしてまいりたいと思います。  まず第一に、その設立の認証は簡素化し、限りなく準則主義にすべきである、そうしないと法人官庁の下請になってしまうおそれがあるということであります。  今回のこの与党案でありますけれども、確かに十一の活動分野を掲げていますが、今日までの委員会の論議の中では、この活動分野に対してもかなり緩やかなものである、さらにまた、一定の条件さえ整っておれば四カ月以内に認可がおりるという、まさに認証式をとっておるわけであります。  この与党案の方式によって市民活動の持つ自由さや自発性を損なうものではない、私はこのように考えておるものでありますけれども、理事長の御意見を伺いたいと思います。
  19. 山本正

    山本公述人 ありがとうございました。  今の御質問に先立ちまして一つだけ申し上げたいと思いますのは、今、菅委員の御発言の中で、先進諸国と比してとございましたけれども、実は、アジア・太平洋の諸国においてもNPOの進展ぶりは非常に目覚ましいものがございまして、先ほど申し上げました私の問題意識の一つは、先進国はおろか、アジア・太平洋の諸国とのつき合いにおいても非常に困った状況がたくさん出てきているということだけ、ちょっとついでにつけ足させていただきたいと思います。  ただいま御質問の認証のプロセスについてでございますけれども、これにつきましては、大分前にございましたような草案では相当きついなというふうな意見を私持っておりましたけれども、現在出ております法案に関しましては、随分簡素化されたものであり、分野の限定についても相当緩やかになったものだというふうに理解しておりますので、希望を言えば限りないものでございますけれども、現在の法案でよろしいのではないかというのが私の意見でございます。
  20. 菅義偉

    ○菅(義)委員 次に、二点目でありますけれども、「官庁監督の要素をなるべく排除し、」ということが留意点としてあります。  私もこれは全く同感でありますし、今我が国でこのことが一番問題になっておりまして、このことについても大改革をしていこうということで今行っておるところであります。  ただ、そこで、私自身が懸念をしますのは、いわゆる暴力団とか過激派とか言われる反社会的な集団、この人たち市民活動団体を装って法人化を取るということは絶対に避けなければならないと思っておりますので、この点については公述人はどのようにお考えであるのか、お尋ねをしたいと思います。
  21. 山本正

    山本公述人 ただいまの問題につきましては、いずれにしても、法律をつくった場合に、その抜け穴を探そうということをやる方は常にこの社会におるわけでございますので、そういったものを完全に除去し切れないということがあるかもしれません。  ただ、私が申し上げましたとおり、その活動内容について法人側透明性を明確にいたしまして、かつ、自己責任を明確にするようなシステムがあれば、暴力団等の活動をやっているところはおのずからすぐにわかってしまうのだろうと思うのですね。社会的なニーズにこたえながら活動しているというのが、しかも市民が集まってやろうというのがこの市民活動法案でございますけれども、この法案にのっとってできた組織であれば、私の理解するところの暴力団等の活動とは明確に違うということがすぐわかるのではないかと思っているわけでございます。
  22. 菅義偉

    ○菅(義)委員 これも委員会の論議の中で、実は、提案者がこの法案を作成するに当たってやはり一番悩んだところであるという意見がありましたことをつけ加えさせていただきたいと思います。  それと、各公述人の方から税制の問題がありました。現在は人格なき社団と同じ扱いでありますけれども、もっと税制優遇すべきである、これはある意味では当然の声であろうと思います。与党は三年以内に見直しをするということを掲げております。このことについては先ほど山本公述人も理解をしておられましたけれども、私は、こういう初めての法案というのは、急いであれもこれもと広げて実現をしようということよりも、一つのこの三年以内という時間でありますが、一つ一つ着実に物事を進めて試行錯誤する中でそういうものをつくり上げていく、そういう手法の方がこういう新しい法案については現実に即している、このように考えるものであります。これについては山本公述人はどのようにお考えですか。
  23. 山本正

    山本公述人 今、菅委員の御指摘のとおり、現実的には、NPO法案の現在の与党三党及び民主党修正案に基づいた形が十分だと思いませんけれども、税制を完全なものとして連動させた形で法案をもし今提出された場合に、多分これは通らないのだろうというのが私なりの判断でございます。  ここはとにかく、今まで政府が、大蔵省がというのでしょうか、税金を、全部資源を持って資源配分を一手にやっているというシステムから、市民自分たちの力で社会のニーズにこたえようということについて、市民がお金を出し合ってというような大きな要素を組み込んでいくというのは大改革だと思うわけでありまして、一朝一夕にはできないのではないか。市民活動法案によって、より多くの市民がそのような公益に関する活動参加するということを通じまして、だんだんそのような新しいシステムをつくる流れをつくっていって、その中で最終的に、税制においても我々あるいは他の公述人がおっしゃったような、期待するようなシステムに変えていくというのが現実なのではないかなと思うわけでございます。  実は、私がこう申し上げますと、特定公益増進法人の資格を持っておりますので、おまえのところは心配せぬでいいけれどもというふうに御指摘あるかもしれませんが、実のところ、特定公益増進法人の資格をいただいたからといって、すぐにお金が集まるわけでは全くございません。正直なところ、それによってどれだけ大きな差があったか、私のところはちゃんと分析しておりませんけれども、いずれにしても金集めは大変でございまして、特増の資格あるなしにかかわらず、多分私の時間の半分ぐらいは金集めに使っているというのが現状であります。  完全なものを望むのは我々すべての願いではございますけれども、現実には、苦しい中でありながらも法人の資格を持ってその活動の幅を広げて、そのうちにだんだん望むような税制をから取っていくというのが手順なのではないかということで、特に今後二年、三年の間にこの問題について真剣に御検討いただくという条項を入れていただいておりますので、現実的にこれをもってよしとせざるを得ないのではないかと思う次第でございます。  ありがとうございました。
  24. 菅義偉

    ○菅(義)委員 時間ですので、終わります。
  25. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、岸田文雄君。
  26. 岸田文雄

    ○岸田委員 おはようございます。自由民主党広島一区選出、岸田文雄でございます。  本日は、公述人皆様方、大変お忙しいところ貴重な御意見を聞かせていただきまして、まことにありがとうございます。ぜひ委員会質疑にこれをしっかりと使わせていただきたいと思う次第でございます。  まず最初にお伺いいたしますことは、先ほど来、与党案にあります十一項目の活動についてという議論がありました。門戸をどれだけ開くかというお話もありました。その議論につきましてちょっと整理してからお話を伺いたいと思うわけです。  今回のNPO法案三つ議員立法が出ているわけですが、与党案新進党案民法の特例法という形をとっているわけであります。ですから、民法とのすみ分けあるいは他の民法法人とのすみ分けを考えなければいけない、どこかで線を引かなければいけないという理屈になるわけであります。  そして、どこで線を引くかということを考えた場合に、新進党案では、地域活動ということで一線を引いているわけであります。一方、与党案は、十一項目の活動を例示を挙げて、一つ線を引いて民法とのすみ分けを考えるという考え方に立っているわけであります。  ですから、民法とのすみ分けということを考えた場合にどこで線を引くか。新進党案地域活動というところで一線を引き、与党案は十一項目の活動を例示するという形で一線を引いているわけであります。どちらが民法とのすみ分けを考える場合に合理的かということを考えなければいけないと思うわけでありますが、私自身は与党案の十一項目の例示の方が合理的だと思っている一人であります。より日本状況に、それから時代に合った活動に焦点を当てるため、あるいは国民の意識とか社会の成熟度に合わせた活動をしっかりと支援していくということから、十一項目例示を挙げて一線を引くという方が合理的ではないか。また一方、地域活動ということで一線を引いてしまうと、どうも不都合が生じるのではないかなということも感じています。  例えば、昨日大阪でも公聴会をやってまいりました。大阪でも熱心に多くの方々からお話を聞いてきたわけでありますが、そのときにAMDAという組織から来られた方が言っておられました。国内に千五百人の方がおられるわけでありますけれども、そのうち三割が東京におられて、一割が岡山におられて、あとは全国各地にばらばらにおられるという組織の実情をお話しくださいました。このAMDAの例を考えた場合に、新進党の案でいきますと、三分の二の役員が所在地であります都道府県の中に住所を持っていなければいけないというような縛りがあった場合に、AMDAの活動はこの法律の適用外になってしまうという心配の声が出ておりました。  こういったことも考えますときに、民法とのすみ分け、一線を引く際に、地域活動というものを持ち出してしまうとどうも現状に合わない部分が出てきてしまうのではないか、そんな心配を持っています。  もっとも、こんな一線を引かないですべてやらせてくれというのが活動されている方のお気持ちかもしれませんけれども、そうしますと、民法全体を大改正しなければいけない。日本民法法人そのものに対する法律を全部変えなければいけない。大作業になってしまう。これはこれからそう簡単にはできるものではない。とりあえず、現状必要とされる方に対応するために今民法の特例法という形をとっているわけでありますが、この民法とのすみ分け、一線を引く引き方、地域という形で一線を引くのがいいのか、あるいは十一項目の例示を挙げて一線を引くのがいいのか、この議論につきましてどのようにお考えになっておられるのかお聞きしたいと存じます。  松原公述人は、先ほどちょっと地域で限定することに対する疑問をおっしゃっておられたと思いますので、それでは山本公述人中西公述人一言ずつお願いできますでしょうか。
  27. 山本正

    山本公述人 ありがとうございます。  今の岸田委員の御質問にお答えいたしますが、本来、民法三十四条の改正に向けてぜひお取り組みいただきたいという立場ではございますが、それはまさにおっしゃるとおり長年かかる大作業でございましょうから、現実としましては特例法でやらなくてはいけないということは非常にわかるわけでございますし、その中で随分御苦労されたということもよく理解できるところでございます。  先ほど申し上げましたとおり、特に私のように国際活動の関連での友人、仲間が多い立場でございますと、地域限定でやると非常に困る場合が多いというふうに思うわけでございます。そういった意味では、与党党案の十一の分野をとりあえず例示されて、これをもってすみ分けをするというのが現実的な方法ではないかと思うわけでございます。  ありがとうございました。
  28. 中西正司

    中西公述人 今、岸田議員のおっしゃったように、二つのすみ分け法の中で我々が考えますのは、やはり十一項目という、項目は限られますけれども、そういう形で団体の種類によってやる以外に現状ではないのじゃないか。やはり地域で縛った場合に、我々DPI日本会議自体も団体と認められないという状況があります。全国団体というのがNPOの中でも非常に大きな比重を占めますので、その部分が削られるということは非常に問題です。  そして、この十一項目を挙げられましたけれども、挙げられた中で、地球環境というような問題でも地域環境問題も触れていいのだというような合意をしていただいているようですけれども、そういうような、今後の団体について規制が及ばないような、柔軟な解釈と適用を今後委員皆さんに図っていただきたい、これを要望しておきます。よろしくお願いいたします。
  29. 岸田文雄

    ○岸田委員 次に、市民活動と政治との関係につきましてお伺いしたいと存じます。  与党案におきましては、政治活動につきましては、個別の政策に対する提言とか活動、これは認める、あるいはイズムと称される主義主張、主義にかかわるような活動に関しましては、主たるものは認めないわけですが、従たる部分におさまるのであるならばこれは認めるというような法律になっております。そして、特定政党やそれから候補者を応援することは、これは禁じるという内容になっているわけであります。  これに対しまして、政治活動はもっと自由にやらすべきではないかという議論があるわけであります。政党や候補者をもっと自由に応援させるべきではないかという議論があるわけですが、私考えますに、確かに、こういった市民活動団体組織に自由を与えるということ、これは一見聞こえはいいわけでありますが、こういった組織団体が自由に特定政党あるいは候補者を応援するということになった場合に、逆に、この市民活動参加している個々の個人の市民の方として見たならば、自分は、その会員資格等に極力縛られない形で自由な意思でこの活動参加しているにもかかわらず、その組織の本来の活動については共鳴してもっと参加したいのにもかかわらず、組織特定政党や候補者を応援するという決定のもとに逆に縛られてしまうということになってしまうのではないか。  ですから、こういった団体政党や候補者の応援の自由、選挙の自由を与えるということが個々の市民活動に逆に足かせになってしまうのではないか、自由を奪ってしまうことになってしまうのではないか、こういった自己矛盾を生じてしまうのではないかということも感じます。  そういったことを考えますときに、ある程度特定政党あるいは候補者を応援することを制限することも必要なのではないか。そうすることによって、本当に個々の市民活動、自由な活動を保障することになるのではないか、そういうように感じております。  この政治活動に対する態度、市民活動と政治活動との関係、政策、主義主張あるいは選挙活動ということにつきまして、どのようにお考えか、山本公述人伊藤公述人にお伺いしたいと存じます。
  30. 山本正

    山本公述人 この問題は非常に難しいことだと思いますけれども、例えば選挙活動を行うとか、ある政党を支持して活動することにつきましては、別の形の組織の仕方があるわけでありまして、この市民活動法案に基づく法人の形をとる必要はないのじゃないか。  ただ、本来、こういった法人の重要性は、よりいろいろの政治的なテーマ、政策についての論議が幅広く市民参加において行われるべきということにも貢献すべきだと思うのですね。その意味では、当然のことながら、政策について勉強し、それかも勉強することを促進し、議論を起こすということは、こういった法人のやってもいいことではないかなと。時々デマーケーが、境がぶれることは当然あるわけでありまして、御存じのとおり、米国においてもこのような問題は非常に大きな法人をめぐる議論対象になっておるわけでありますけれども、とりあえずのところ、選挙活動あるいは狭い意味での政治活動を行うべきではないという考え方が妥当なのではないかと思う次第であります。
  31. 伊藤裕夫

    伊藤公述人 今山本公述人のおっしゃったこととほぼ同様でございますが、ちょっと二点ばかり追加したいと思っております。  一つは、私自身が先ほど述べましたように、NPOというものに対しまして、これから先の新しい社会システムあり方あるいは社会政策というものの担い手としての位置を考えております。そのためには、市民活動の中から得た考え方社会に問うために政策立案等々にかかわっていくことは当然あり得ると思っております。そういった意味で、特定の選挙におきましてキャンペーンを張るということも絶対にあり得ないということはないかもしれないという気持ちは持っております。ただ、今回の法人格を与えるに当たりましてそれを認めるか認めないかというのは、次のステップの問題ではないかと思います。  それから、二番目の問題といたしましては、今回の法人制度の問題というものを大きく分けますと、非常に幅広く非営利活動を認める法人制度とするのか、あるいはある程度政策意図を反映した活動の担い手として考えるかによって変わってくると思います。前者で考えるならば、なるべく制限はなくす、そのかわりに税制優遇等々もないし、比較的、会社と同じように準則主義に立ってつくれるような団体を目指すべきではないか。後者で考えるならば、一定程度税制優遇等々を認め活動しやすくするかわりに、条件としては厳しく幾つかの項目等々で制限を加えていく。両方の考え方が成り立つのじゃないかと思うわけですが、現在の法案を見ますと、非常に幅広く認めつつ税制優遇も考えていく案、あるいは制限をある程度加えつつ税制優遇を認めていかない案というものがあるように感じております。
  32. 岸田文雄

    ○岸田委員 ありがとうございました。  ほかの公述人皆様方、一応質問を考えてきたのですが、時間が参りました。質問できませんで大変失礼いたしましたが、心から御礼を申し上げまして、御質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  33. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、河村たかし君。
  34. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。皆さん御苦労さまでございます。  まず初めに、今ちょっと岸田先生からの御質問の中で、地域限定というようにとられるような話がございましたけれども、私どもの法案は、地域で限定しているわけじゃなくて、例えば全国的にやられても、それを県に持ち帰って、そこの中で例えばシンポジウムをやったり、それから広報、雑誌を発行したりとか、そういうことをやっていただければいい、そういう趣旨の法律でございますので。  問題は、与党案の場合は、特別法と言っておりますから、それでは入らない団体というのはどういうものなんだろうかということがよくわからないのですよね。ある方に言わせると、自分で申請して、そこに入っておればそれでいい、この中に入ると思って申請すればいいと言っておられますけれども、そうなれば、これは届け出制そのものというようなことになってしまって、だから、そこの入らない団体、これはここで言うことじゃありませんから今度質疑で聞きますけれども、入らない団体になるおそれがあるわけですよ、実際の話が。おそれがないと民法の特則にならないのだから。そういうことなんですよね。僕のところは、その点は割とはっきりしているということですね。海外でやってもいいから、フィードバックして県内で頑張ってくれればいい、そういう趣旨でございます。  それは委員会でやるとしまして、ようやく本当に、これは議員努力、また皆さん努力だと思いますけれども、国会内でこのNPOとは何だろうかという議論が非常に広まってきたと思いますね、私。ようやくです。何遍も今まで話をしてきまして、討論会でも話してきていますけれども、やはり国会が国民の代表として議論しますので、僕は、国会議員が一〇〇%、きょう皆さんが言われたようなNPO社会というものを認識して、それで、とりあえずファーストステップでもいいのですよ、認識しておいて、とりあえずファーストステップでどういう制度をつくったらいいかということを考えるのが僕は絶対に必要だと思うのです。  だから、ちょっとお伺いしますけれども、多分皆さんの中では、それはわかっているのかどうかですけれども、半分のおそれは、管理されると。中西さんでしたね、ちょっと言われました、名前だけの法人格なら取っても取らなくてもいいやというような本音がいささかあるということで。  仮に与党案の場合、取った場合に、今言いましたすみ分け規定が漠然としておりますので、あんた入らないよと、ぽんと来るおそれがありますね。それから政治の問題もあります。  だから、実際、管理されるだけで何も残らないじゃないか、市民活動を選別する機能しかないんじゃないかというおそれと、それから一方、この国会で通さないと多分、これは自民党さんに言うんじゃないけれども、全般的にまだまだこの問題については理解が非常に進んでいないから、とにかくここで一気にやってしまわないと、まず門さえも開かない。だから、下手したら未来永劫にできないじゃないかという自分の葛藤の中で悩んでおられるんじゃないかと思うのですよ。  だからひとつ、時間がございませんから、そこら辺の悩みをちょっと順番にお聞かせいただけませんか、一言で結構ですから。
  35. 山本正

    山本公述人 河村委員NPO関係者としょっちゅう話をしていただいて、大変ありがたく思っている一人でございます。  悩みということでございますけれども、実際私の聞いているところは、やはり法人格がないと困るということが多いと思うのですね。時には、法人格がなくてもとにかくいいことをやっていればいいと考えている方もあるのですけれども、現実的には非常に困ることが多いということで、なるべく早くこの法案成立させて、市民活動をやっている組織法人格を与えてほしいということであります。  これについてもいろいろな考え方があってしかるべきだと思うのです。それがまさに多様化をもってする市民社会あり方だと思いますので、法人を取らないでもやっていけるというところはそういうやり方もあろうかと思いますけれども、私の今の判断では、そういった多くの市民活動をやっている人が法人格を取りたいと言っているわけですので、完全なものではないまでも、とにかくこの法案を通していただきたいという立場でございます。
  36. 高比良正司

    ○高比良公述人 この大詰めに来て、与党案がいいか新進党案がいいか、そういう問いかけられ方が非常に多いのですが、基本的には両方とも問題はあると私たちは思っております。  ただ、この間、NPO団体で相当議論してきた中で、例えば私たちが言っている税制問題、きょうも皆さんそうですが、税制問題は皆さんが非常に強く切望している問題でもあるのです。そのことを言えば、何となく与党案に反対しているという空気がどんどん流れてきて、思っていることが言えないという状況がつくられてきております。  その中で、私たちとしてはやはり最後まできちっと、自分たちがどういう法案をつくりたいかということを言い続けようという立場に立っていますが、周りの中では板挟みで非常に苦しんでいらっしゃるという状況は、私はたくさん知っております。
  37. 松原明

    松原公述人 管理されるのは嫌だというのは嫌なんですが、ただこれは新進党案に対しても与党案に対しても言えるもので、問題はどちらがよりベターかということだと考えています。  基本的には、市民活動を促進しようという視点では、与党三党も新進党も、それから日本共産党さんも一緒だと考えています。その中で、使う側からいってよりベターなのはどういう案かということで、シーズの中で議論してきました。その中では、確かにいろいろな問題はあるけれども、今の与党党案民主党修正を加えた案なら使ってみようかという団体が多いということで、ぜひこの案を通していただきたいと思っている次第です。
  38. 横川功

    横川公述人 簡単に申し上げます。  悩みは山のようにあるのですが、正直に申し上げて、先ほど民法特別法であるというふうに新進党の案それから与党の案がありましたけれども、私が三つ読みまして一番ぴたっとくるのが、一般法として提出されている共産党の法案が多分我々の中では一番ぴたっとくるのだというふうに思っております。ですから、これがどういうふうな関係なのかというのはこれから皆さんの中で御議論がおるのでしょうけれども、正直なところ、私が読みました中では一番説得力のある法案であるというふうに思っております。  それと、先ほど管理とかありましたね。現実に申しますと、与党案その他に関しては、僕らのほかのいろいろな人の意見を聞いてみました。そうしたら、先ほどありましたように、これは申請はしない、このままでいくというふうなのが、我々の劇団だけではない、ほかの団体なんかを聞いた反応ではそういう声が一番多かったのです。ですから、先ほど申し上げましたように、我々の希望に少しでも近づくような法案になっていただきたいというのが切なる願いなんです。
  39. 中西正司

    中西公述人 河村議員おっしゃったように、取っても取らなくてもいいんじゃないかと私が申し上げたのは、この税制が非常に重要なことだという意味です。  ただ、河村議員おっしゃったように、このNPO議論というのが国じゅうを挙げての大きな議論になってきたことは、これは確かに、NPO法案審議されたことで、大きな社会的認知を我々に与えていく一つの一里塚を越えてきたのだなという気がします。  次の一里塚は、これを法案として成立させてそしてやっていく中で、今後どういうものが本当にいいのかということをやはり市民活動自体が育て上げていく法案だというふうに、今までの上から規制で与えられた法案、我々はそれに規制されて小さくなっていくという意味じゃなくて、この法案自体を育てていくというような視点を我々自身が持ちたいと思っています。  アメリカのADA法案障害者差別の禁止法案ができたときも、全国の障害団体が各大統領候補を支援しました。そういう形で、どの大統領ができ上がっても、各自立生活センターがだれかが支援しているというような形で、このADA法案成立させる大きな力になっていきました。そういうふうなものに今後していきたいと思っております。
  40. 伊藤裕夫

    伊藤公述人 先ほども申しましたように、私は、基本的にはNPO法人制度は必要であり、また仕事で幾つかの非営利団体にインタビュー等々の取材をした段階におきましても、多くの非営利団体は早急にNPO法案ができることを求めております。  そういった前提に立ちまして、特に与党案新進党案を私なりに個人的な意見で申し上げますと、先ほど申し上げましたような二つの課題を満たしているという点におきましては、一点を除いて新進党案の方が満たしている部分が高いと私は思っております。ただ、その一点が非常に問題のあるところであります。  具体的に言えば、やはり役員の三分の二、社員の二分の一以上が同一都道府県内に住んでいなければいけないということは、余りにも明確に幾つかの団体を排除しております。現実に、例えばきょうの公述人の中におきましても、障害者の団体あるいは全国にさまざまな役員を持って活動している組織というものに対しての設立を阻んでおります。また、インターメディアリーといった形でNPOを支えていくような全国組織をつくることもできません。  この問題がかなり大きな問題としてあることは事実でありまして、精神的に新進党案の方が理念をよく反映しているだけに、非常に残念でしょうがないというのが私の考えです。  そういった意味で、その問題が修正できるならば新進党案をベースにしていただきたいと思っておりますが、それが民法とのすみ分けの中で修正できないならば、与党案のベースになるのはやむを得ないという立場でございます。
  41. 河村たかし

    ○河村(た)委員 新進党案につきましては、社員の二分の一は削除するようにしております。役員の三分の二については役員の二分の一までにさせていただくということで、かなりの団体が入ってくるのではないか。会員ではありませんから社員だったのですけれども、それも削除するというふうに準備をさせていただいておりますへ  たまたま野党ということで、まことに毎日泣ける思いでございますけれども、本来なればこういう法案は、臓器もありましたけれども、これは実は社会の仕組みを考える法案なんですよね。市民社会の憲法と言ってもいい法案ですから、ある意味では本当に党議も取って、個人の社会観に基づいて投票するのがいいのかもわからない、僕はそんなふうに思っております。  それで、これは伊藤さんが言われましたが、要するに望む社会へどう進むかということで、ファーストステップとする場合、最低限何か要るじゃないか。伊藤さんがまとめられましたけれども、社会システム変革への道筋、それから自主的財源確保への道筋、これをやはりきちっと示せるかどうか。これは、どういう示し方がいいのだろうか。  私は、国会なんですから、やはり条文という格好で附則できちっとうたわないと、経過的措置ですから附則になると思いますけれども、ただ話し合いで、税制は話し合うからいい、そういうようなものではない。きょうも傍聴人よくお見えになっていますけれども、改革というのは、一定のところまできちっと行っておかないと大体逆戻りしてしまうのですよ。ハレーションが大きいし、何かやったからといって安堵感が出ちゃって、戻っちゃう場合があるのです。  僕は、少なくとも、例えば民法改正伊藤さんの言われる社会的変革への道筋の第一だったら、民法改正について検討する、ファーストステップをちゃんとやるということをちゃんと附則に入れる。それから説も、例えば公益寄附金税制の抜本的見直しへの着手、並びに、例えば三年後に結論を得るとか、そういうことをはっきり条文に書かない限り、これはやはりファーストステップには僕はなり得ないと思うのです。実際は、やはり非常に危険なんだ。今の状況でそれができないのに、このまま進んでいったら、それほど状況は甘くないですよ。  それと、せっかく今、本当に国会議員の中で、NPOというのはこんなのだったのかと。僕にも言う人がおりますよ。河村君、とにかく終わったら一遍アメリカへ行こうや、向こうでどういうシステムだったのか見てこようじゃないか、今まで単なるボランティアのそういう救援だと思っていた、もっと広いんだねという話、物すごくあるのですよね。  ここでちょっと高比良さんにお伺いしますけれども、僕はそう思っているのです。やはり条文に、国会なんだから、裏で委員会をつくればいいという話じゃなくて――うちも税制を出しています。全部通してほしいのだけれども、これはしようがないです。野党だからしようがない。だけれども、やはりきちっとした、国会議員としてファーストステップはクリアしようじゃないですか。その二つが、民法改正作業への着手、それから公益寄附金税制の抜本的見直しへの着手ですよ。それから、三年後には結論を得る、これを条文に入れる。ここをしないと、僕は、附帯決議ではとんでもないことだ、国会議員として。  NPOをつくる上において最低守るべき国会の責務、やろうじゃないですか。それをできるという雰囲気ができれば、この国会内にめちゃくちゃなものをつくるよりも、雰囲気盛り上がっていますから、これは本当に。そこへ……(発言する者あり)めちゃくちゃと言ってはちょっと語弊がありますけれども、申しわけない、めちゃくちゃは撤回いたします。改革の第一歩が逆戻りするかもわからないおそれがある法案にするよりも、やはりそこへ行って、その二つだけは最低限とろうじゃないですか。高比良さんどうですか。
  42. 高比良正司

    ○高比良公述人 私たちも、税制優遇具体的内容を盛り込んでいただきたいとは今全く思ってはいないし、言ってはおりません。ただ、税制優遇についての何らかの形の附則なりの条文規定がないと、私たち自身は、過去我々の経験の中ではほとんど実現しないという実績を持っております。  このPANというのは、歴史でいいますと、昭和二十年に藤原義江さん、山田耕筰先生たちが始められた運動を我々は引き継いているのですが、このときの始まりが入場税でした。これ以来、私たちは五十年間、税制に関して芸術文化立場からいろいろな運動をやってきました。  過去、附帯決議で実現したのが幾つあるかということを全部調べてみました。これは芸術文化に関してだけかもしれません。ほかはどんどん法律になっていればこれは幸せなんですが、例えば入場税は二十三年間、附帯決議がされて、撤廃されませんでした。それから著作権に関しても、十二回にわたって附帯決議がされました。これも現在まで全く変化ありません。そして、例えば七年前にできました芸術文化振興基金、これは私たちの運動でつくられたのですが、毎年増額するという附帯決議は、七年間一円もふえておりません。  こういう実態しか我々ないものですから、ある意味では負け戦に非常になれておりまして、簡単に附帯決議で何とかなるよというふうには思えないという現実をどうしても御理解いただきたい。皆さん税制優遇の道筋をつくってほしいということをおっしゃっています。これはみんな私たちも同じだと思います。本当に附帯決議で今後確実にこれが担保されるのかどうかということが、私たちの経験ではないものですから、皆さんが確実にやるよと言ってくだされば、それは信頼したいと思います。  三年以内に検討を加えるというふうに附則にあります。これは法人制度について見直すということの検討が書かれているので、もし税制もこれに含まれるのならば、ここになぜ税制の一項を入れることかできないのだろうかと思います。その内容は十分これからの議論だと思うのです。せめてその一項を入れていただくということが逆になぜできないのか、我々は不思議でしょうがない、そういう気持ちでいます。
  43. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これは皆さんに申し上げておきますけれども、附則にある検討するということは、検討すればいいのであって、これはやるということと関係ないのです。そういうことなんです。検討すればいいのです。  だから、本当に僕が恐れるのは、まだまだ本当に理解が始まったところで一たんできちゃうと、意外と、今までの委員会質疑でもありましたけれども、NPOというのは自分の資源、自分のお金でやってくれという議論もあるのですよね。だから税制とか、税制税制とちょっとわかりにくいのですが、活動資金をNPOにどう担保していくかという制度まである程度見据えてつくるかどうかという問題なんです。そこをなしででも打っちゃうおそれというのは実にあるのです、怖いのは。  だから、今の緊張状況の中でもっとこれを保って、やはり最低限条文で、道筋の第一歩でいいのですよ、第一歩で。僕は全部通せなんてもう言わないですよ。条文で道筋の第一歩を国会議員として担保するということは、民法改正に着手しようじゃないか、それから公益寄附金税制の抜本的見直しに着手しようじゃないか、これをやらない限り、逆行するおそれが残念ながら非常に高いということでいろいろ議論しておるわけです。  その辺について、伊藤さんどうですか。今の二つの最低守るべきルールということがあって、私は、やはり条文で国会議員の責任としては規定すべきである、こう言っておるのですが、どうですか。
  44. 伊藤裕夫

    伊藤公述人 私自身、附帯決議と条文の問題について、その辺、正直なところよくわかりません。ただ、先ほど高比良公述人がおっしゃっていましたようなことが事実だとするならば、やはり明確にされた方が第一ステップとしてはっきりするのじゃないかなと考えております。
  45. 河村たかし

    ○河村(た)委員 中西さんはどうですか。どう思われますか。
  46. 中西正司

    中西公述人 第一として、この法案を通しながら議論をすることが重要だと思いますけれども、附帯決議をここに入れていくことによって、本当に河村議員の言われるようにこれが進んでいく道筋になるかどうかをもう一度議員の中で御議論いただいて、本当に我々にとっていい道を考えていただきたいと思います。
  47. 河村たかし

    ○河村(た)委員 もう時間がなくなりましたから終わりますけれども、自民党の方やらほかの党の方やらとも話をしまして、NPOとは何か、こんな世界だったのかという話がようやく国会で出てきたところですので、僕は、ステップ・バイ・ステップの議論でいくのだったら、今言った二点は、やはりここで何とか踏ん張りながら、条文の規定で、国会の中できちっと通るというところまでぜひ努力しないと、附帯決議というのは、まあ入れたからいいじゃないかというのが残念ながら今までの現実なんですね。  その辺のところをお話しして、我が党はそういう意味で今までいろいろ言ってまいりましたけれども、今のところだけはきちっと国会の責任として、我が党の責任として、ステップ・バイ・ステップ論はいいのです、だけれども、そこの初めのところだけはきちっと国会の責任で条文でやっていくということを皆さんとお約束したいな、こんなふうに思っております。  ありがとうございました。
  48. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、金田誠一君。
  49. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。  きょうは、大変貴重な御提言を賜りまして、ありがとうございました。  それぞれお聞きをいたしますと、NPO法案の最終的な到達点、目指すべき姿といいますか、これについてはほとんど共通をされた御見解かなというふうに伺いました。一つは、民法三十四条を改正して非営利法人一般法をつくるということが一つ、そして税制等の優遇措置とリンクをさせる、これが大きな二本柱かなと思うわけでございます。  そして、違いがあるとすれば、そこに到達するための道筋をどうするか。今、与党案なりを成立させることによってそこに到達をしようという道筋を選ぶか、あるいはそういうものをつくってしまえば、かえってその到達点が遠のくのではないかというふうな心配をされている向きもあったと思うわけでございますが、しかし、到達点が一緒だということは、そこに力を合わせる要素というのはもう十二分にあるのだというふうに受けとめた次第でございます。  ぜひその辺の最終目標を目指して、市民運動の皆さん、こういうことを申し上げれば語弊があるのかもしれませんが、力を寄せ集めるという上ではまだまだこれから前進をするような余地もあるのかなというような気もいたしますので、ぜひこの最終到達目標に向かって、目標が同じであるとすれば、途中の道筋の違いは違いとしながらも、力を合わせる方法を探っていただければありがたいなという感想を持った次第でございます。  私ども民主党といたしましても、皆様と同じ、最終到達点は全く同じだというふうに思っておりますし、再三そのことを党としても確認をしてまいりました。そして、とった道筋は、与党案修正をすることによってまず第一歩を踏み出す、そのことによって最終到達点に大きく近づくという選択をしたわけでございます。この間、与党三党の皆様にはそうした協議に大変真摯に、前向きにこたえていただいて、真剣に議論をしていただいた、その中で一定の成果を生むことができたなと思っておりまして、実は大変ありがたく思っている次第でございます。  特に、その中で検討していただいた点は、社員の無報酬性の要件を外す。三分の一以下でおるという要件を社員については外して、役員のみとする。これによって、実害といいますか、実際問題としては余りこの障害はなくなったろうと思いますし、とりわけ、この社員の無報酬性を証明するために提出を予定されていた社員名簿提出が不要になった。新進党案の方にはまだ残っているわけでございますけれども、このことは市民運動を進める上で非常に大きな一歩だと思うわけでございます。  あるいはまた、認証の際に経済企画庁長官が所管大臣に意見を求める規定を削除するということについても前向きに検討いただける。修正案の条文そのものを今法制局と詰めているわけでございますけれども、そういう中ではかなり管理統制という色彩を薄めることができたな、十分とは言えないまでも使える法案になったなというふうに私ども思っておりまして、そのことにつきまして、公述人皆様からもそれなりの評価をいただいたことはありがたく思っている次第でございます。  例えて言うなれば、これから先、非営利法人一般法あるいは税制優遇措置、いずれをとっても、高比良さんも今まで何通も苦労してきたとおっしゃるとおり、これから大変な苦難の道だろう、そう簡単ではないと思います。登山に例えると、これからいよいよ胸突き八丁、こういう切り立った岸壁を登るようなものだと思うわけでございます。  それにつけて、今この与党案修正して成立させることは、私はベースキャンプをしっかりとつくるということに該当するのではないかな。もちろん目指すのは山頂でございますけれども、ベースキャンプがなければ、これから一般法にしろあるいは税制優遇にしろ、大変困難なその道筋をたどることが果たしてできるのだろうか。そういうものなしで、いきなり山頂を目指すのだ、そこに到達するものでなければ、これはない方がいいのだということが、果たして選択としていいのだろうかなというふうに思いまして、私どもとしては、ベースキャンプをしっかりとつくる、その上で山頂を目指す、それにつけて政党同士の横の連携も必要でございますし、ある意味では、それ以上にNPO団体の横の連携はもっと必要になるのかなという思いでございます。  前置きが長くなって恐縮でございますけれども、ここで山本さんと松原さん、伊藤さんにそれぞれお聞きをしたいのですが、お話の中でも、これからの税制優遇措置、現行公益法人税制の見直しも含めてというまくら言葉もそれぞれあったように思います。それから、三十四条法人あり方を含めて検討しなければ、NPOだけを特別扱いというのはかなり面倒だという趣旨での御発言かなと思ったわけでございますが、これから大きな課題になります準則主義への移行、税制優遇、それらについて、目指すべき方向、あるいは想定される問題点等について示唆いただければありがたいと思います。山本さん、松原さん、伊藤さんの順でお願いしたいと思います。
  50. 山本正

    山本公述人 準則主義に関しましては、先ほどの与党党案民主党修正案を伺っていると、存じておりますが、いい方向に向かっているというふうに理解いたしております。これはぜひ進めていただきたい。  ただ、そこで一つ付言をさせていただきたいのは、そういう状況が起こったときに、本当に、我々NPOサイドの責任は非常に重いと思っております。これは、とにかく政府お願いして新しい法律をつくってくれと言うだけでは実は足りないと思っておりまして、我々としても、先ほど来申し上げておりますけれども、アカウンタビリティーというか自己の責任をますます自覚して活動していかない限り、より多くの国民の方々、もちろん議会を含めて、御理解をいただけないのだというふうに思っております。  税金の問題についてでございますけれども、私も連戦連敗を大分何十年と繰り返しましたので、先ほどの高比良さんのお気持ちもわかるのでございますけれども、これはどのような形で修正条項が文言になるか等は別といたしまして、ひとつ御理解いただきたいのは、今をでと大分状況が違っている。すなわち、先ほど申し上げました非営利革命というのがもう火がついてしまっております。これだけ多くのNPOの人たちがこの皆様の御審議も見守っているわけでございますし、我々としても、御指摘のとおり、多少のアプローチの違いはあれ、NPO関係者が大集合をしておるわけでございます。その中で、当然議論がございますけれども、大きな目標については一致しているはずでございますし、その力は侮れない。そういった意味では、今までと大分違った形で、税金の問題については相当私どももしつこくやらせていただきたい。  ついてでございますけれども、NPOの資金の問題でございますけれども、一つだけここで申し上げておきたいのは、公的資金もNPOのために活用し得るべきだと思っておりますし、世界の趨勢から見ても、平均的に七〇%が公的資金に頼っているという現実でございます。このときに、主体性を失わずにどうやって我々がもともと払っている税金をもらった形で活動ができるかというのが大きなテーマだと思いますので、ついでに申し上げておきます。  ありがとうございました。
  51. 松原明

    松原公述人 民法の改正の問題、準則主義への移行と、それから税制の問題というのはかなりリンクしている問題と考えています。そういう意味では、非常に短期的な課題と中期的な課題と長期的な課題と、長期といっても十年程度なのですが、それを分けて考えた方がいいのではないかと考えています。  それで、やはり今回、もしこの法人制度が通りましたら、税制優遇措置、特に寄附の優遇措置についてはなるべく早急に検討していただきたいというのが私の希望です。  ただ、長期的に見ますと、やはり非営利法人一般法なり民法三十四条の改正、それから今の公益法人税制の改正というのは避けられないかと思っておりまして、短期的には、例えばこの立法の過程で熊代先生の方から、かつて個人の寄附金の、少額寄附金の制度とかいうのが提案されたことを覚えていますが、そのようにいろいろな案を出していただく。その中で、一方、なるべく市民活動団体に使いやすいような税制の仕組みをつくっていただくとともに、大きな枠組み自体を早急に見直していただきたいと思っています。
  52. 伊藤裕夫

    伊藤公述人 私は、税制優遇という言葉自体は非常に抵抗を感じております。優遇じゃなく、税制のシステムによってNPOというものの発展を保障していくという考え方をと谷へきじゃないかと思っているわけです。  それからもう一つは、税制の問題だけを取り上げれば、NPO法人とは関係なしに、例えばイギリスのようなチャリティー制度というような形のやり方も技術的にはあるわけでございます。  それはさておきまして、税制の問題に関して考えてみますと、二つの問題があります。  一つは、NPOとして法人化された団体の事業、特に収益事業に関する課税の問題。これは、何をもって収益事業とするかという問題の方が実は大きいところだと思います。例えば、先ほど来出ております芸術団体の場合には、いわば興行はすべて収益事業に当たってしまうという問題があるわけです。実際に、芸術団体にとって興行は本当に収益事業なのかどうか。この辺の問題というものは、もう少し検討すべきじゃないかなという気がいたします。  それから二番目の、より大きな問題は、むしろ寄附者に対する控除の問題です。これは基本的には、非営利団体社会から資源を集め、そして社会の中で自律的に活動していくためには不可欠な制度だと思います。ただし、あくまで税金が控除される以上、その活動に対しては公益性という限定条件というものが付加される必要があるんじゃないだろうか。  それから二番目に、寄附税制に関しましては、日本の今の寄附税制において一番大きな問題は、個人の寄附に対して非常に冷たい、冷遇されている問題があります。個人が支える社会ということがこれから先の目標とする社会像であることを考えますと、個人による寄附税制、これをNPO法人の中で、すべてのNPO法人に対してそれを優遇するかどうかは別として、一定の条件のもとに考えるべきじゃないかと考えております。
  53. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございました。  高比良さん、お立場、お考え、よくわかりました。  そこで、先ほど、まずベースキャンプをということも申し上げたんですが、確かに、十数年来努力をされてそれが実ってこなかった、その経験を体してということはよくわかるんですが、であればこそ、まずはベースキャンプをしっかり張って、これは力を合わせて組織的に山を登るというお考えにはなり得ないものでしょうか。その辺を含めて御見解、ひとつ伺いたいと思うんです。
  54. 高比良正司

    ○高比良公述人 今、金田先生もおっしゃるベースキャンプを張って道筋をと。同じことを私たちも言っていると思っているのです。だから、税制の附則というのは何も山頂ではないと思うんですよ。道筋そのものを何とがはっきり担保したいという点では、僕は金田先生と同意見だと思うんです。その担保の方法が、ちょっと先生と御意見が違うんだろうと私は思っているのです。  なぜそういうふうに、過去が暗かったからそういうことばかり言うのかみたいなこともありますけれども、先日、大蔵省の役人の担当の方といろいろお話し合いをしましたら、政府の方で、税調でNPOについての答申が検討されていますと言うので、お話を聞きまして資料を見たら、適正な課税について今後検討というふうに書かれているんですね。適正な課税というのはどういうことをいうんだろう。要するに、ああ、税金をたくさん取るということも含まれているんだということもわかりまして、ああ、適正な課税という一つの言葉だっていろいろなとり方があるということもいろいろわかりました。  私は、寄附税制一つとってみて一点だけお話ししたいのですが、NPOがそれで助かるとか、NPO全体が元気になるかというと、私はそうじゃないと思っています。逆に言えば、社会の中で役に立つNPOと役に立たないNPOに寄附の集まりがはっきり出てぐるということなんです。言いかえると、競争社会NPOの中に起きてくる。  アメリカの中でも、年間何万団体という団体がつぶれていっています。それは支援が集まらないから。社会の価値を国民がみんな見て、そこの必要なものにお金を出すということが起きてくる。ある意味では、NPOを育てていく一つ考え方だということもぜひ御理解いただきたい、そういうふうに思っています。
  55. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございました。  私の持ち時間、十一時九分まででございまして、先ほど中西さん、時間切れで途中で話を終わられたと思うのですけれども、九分まで時間がございますので、言い残したこと、思いのたけをお聞かせいただければありがたいと思います。
  56. 中西正司

    中西公述人 ありがとうございます。  私も、自立生活支援運動をやりましてから、世界の各国を回っています。そして、もう二十カ国以上回ったでしょうけれども、我々のような無認可団体でやっている国というのはありません。ほとんど法人格を取りやすい状態になっていて、我々のような団体が、当然のごとく地域の中で行政の委託を受け、そして、ある団体では大きなビルを自分で持ち、自社ビルで事業を運営しているわけですね。  我々も、そういうような団体がなぜ地域の中で自分の財産を持ち、運営できていくのか、やはり日本制度の中では、我々はいつまでも弱小団体にとどまらなきゃいけないのかというような疑問を感じていました。  そして、このような団体を育成して、地域の中で我々自身がサービスの担い手になる、やはりこの当事者性というのが非常に福祉の分野では重要です。なぜ重要かというと、我々当事者は、サービスの受け手であり、しかも提供者であるという場合に、決して対象と言われる人たちを見捨てることはありません。それは、自分の問題であるからです。  ですから、こういうような団体が育つには、我々自身、そんなにお金を稼ぐこともできませんし、事業をやるだけで毎日へとへとになるわけで、その中で以前はバザーをやったりとか、いろいろな活動をやりながらお金をためて運営をしたわけです。しかし、そういうような運営努力を重ねていくということは、実質的なサービスの低下を来します。我々は、運営資金集めに苦労なく運営ができて、そして本来の事業を遂行できるように、これはやはり、市民皆さん協力のもとに運営資金を獲得しながらやっていく、また、より安定的な行政の委託資金を受けながらやっていく。  ただ、こういうやり方をやりながらも、常に自己改革的でなければ、民間団体というのは常に腐敗に陥ります。安定的な財源を得れば、そうしたら今度は委託事業の範囲内だけでいいだろうという形に陥ったのが、社会福祉法人などの腐敗を招いた例でもごらんのようです。  ですから、民間団体というのは、我々は自己資金を常に持ちながらやる。うちも五〇%の自己資金、五〇%の助成で運営されますけれども、やはりアメリカの自立化センターなどでも、政府の意向が変わるとがくんと補助金が減って、つぶれる団体も出ます。でも、そのとき持ちこたえられるようにということで、今財政の健全化も図りまして、我々自身で五割以上の財政を確保しようという形の団体を育成するようにしています。  ですから、この法案が通ったとしても、やはり我々の苦労や努力は続くだろうと思いますけれども、それを重ねていくことによって民間というのは常に強くなっていくし、政府が変わろうが、いろいろな制度が変わろうが、我々が生き延び、そして社会の主翼を占めていくというような形の団体を形成していきたいと思っています。  お時間を与えていただきまして、ありがとうございます。
  57. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございました。  まさに、NPO革命というんでしょうか、アソシエーションレボリューションでしょうか、時代が変わりつつあるなという気がいたします。  実は、先般の議員同士の質疑の中でも、太陽党の奥田敬和先生がいみじくも、時代が変わるのを実感するというような趣旨の御発言もされていたわけでございまして、この法律が提案され、ここまで来た。そのプロセスも、議員NPO皆さん一緒になってここまで来たという貴重な体験を経てきたと思うわけでございます。  最終局面を迎えて、アピール等々、それぞれの立場から発せられて、ある意味では多少しこりとなりつつあるのかなという実は心配もいたしてございますが、そういう時代の変わり目に当たって、願わくはぜひしこりなどを残さぬように、私どもの立場から言うと、まずはベースキャンプのところで合意をしていただいて、そして一緒にピークを目指すということで、NPO皆様も足並みをそろえていただきたいと思いますし、私ども国会の中でも足並みがそろうことを念願をしているところでございます。  本当にきょうは貴重な御提言ありがとうございました。  終わります。
  58. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、木島日出夫君。
  59. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党木島日出夫でございます。  最初に、私は、きょう出席をされました公述人皆さん方がそれぞれ加盟しております団体も含めまして、みずからの利益以上に社会全体の利益を考え、そして本当に市民が自立した民主的な社会の形成のために、本当に長い間、先ほど五十年我慢してきたという御発言もありましたが、NPO法、すばらしい、よりよきNPO法制定のために努力されてきたことに対して、心から敬意を表したいと思うわけであります。私は政党人でありまして、日本共産党社会のため国民のためという点で頑張ってきた政党として、本当に一脈通じるということを感じたわけであります。  それで、特に皆さん方が力を合わせて、よりよきNPO法制定のために運動に取り組んできたことにも高く敬意を表したいと思います。その中身は二つだと思うのです。  限りなく準則主義に近づけた法人格付与の法制度をつくってもらいたい。差別を、この団体法人格が与えられる、この団体は脱落する、そうしないで、限りなく準則主義に近づいた法人格付与の法律をつくってもらいたいという皆さんの願い。もう一つ税制上、寄附税制上、その他者さんの活動社会全体によって支えられる財政的基盤をしっかりしたものをつくってもらいたい、また、それへの道筋をこの法律の中に盛り込んでいただきたいという要望かと思います。つまるところ、民間の非営利団体が、公的セクター、そして民間営利セクターと並ぶ第三の、本当の第三の意味民間営利セクターとして大きな活動ができるようにしてもらいたい、それが日本社会の民主的な発展の方向なんだという考えだと思うのです。  私ども日本共産党、大賛成であります。そして、私どもは、いろんな制約がございます、民法上の制約、大蔵省等の税制上の制約、何とかそれを、どこまで乗り越えられるか、最大限どこまで今国会で、あるいは国会でつくり出すことができるか、考え続けてまいりました。  きょうは特に二つの点、一つ法人格付与の問題、税制優遇の問題あるんですが、まず第一点の法人格付与の問題について、いろいろ日本共産党案に対する質問も出ましたので、お答えしながら皆さんの御意見をちょうだいしたいと思うわけであります。  なかなか準則主義に近づけない最大の壁が民法三十四条にあるということ、御存じのとおりであります。これを乗り越えることができるかどうかが一つの論点でございました。  与党案が、十一分野に絞り込んでしまう、また、不特定多数の利益のためという、公益というのを前提にしているために大変な狭さが指摘される。さらには、政治活動、宗教活動やってはならぬというそちらの方の制約もあるということで、大変狭さが各方面から指摘され、公述人からも指摘されましたが、それはやはりそこにあったと思うのです。  新進党さんの方も、私は限りなき準則主義に近づけようと努力はしているというふうに評価しているんですが、しかし地域主義という、逆に、きょうも指摘されましたが、大変な制約が逆に来てしまっている。全国的に活動を展開している団体から見ると、この制約だけはとてものめないというそういう指摘もあるんですが、いずれも民法三十四条の特例法、特別法としての位置づけから出てくる制約だったと思うのです。  これに対して私ども日本共産党の案は、それを取っ払いました。一定組織形態を備えているすべての団体に、差別なく法人格付与しようではないか。それは、いわゆる法人格付与の一般法としての性格を持つ法案提出したわけでございます。  先ほど来、松原さんからも指摘がありました。また、伊藤さんからも指摘がありました。では日本共産党の案は、民法三十四条の公益法人との整合性をどう考えているんだという御指摘であります。十分に承知をしております。  そこで私は、なぜ日本民法が百年前につくられたときに――民法の基本原則は三十四条ではないんです、三十三条であります。この法律あるいは特別の法律がつくられれば法人格付与できるんだ。法人格付与については法律主義という、それが民法の大原則でありました。三十三条。しかし、それならばなぜ民間営利セクターについてのみ三十四条をつくって、官庁の許可主義、公益という概念を持ち込んで本当に狭くしてしまったのか。なぜ民法は三十五条で民間営利セクターに対しては完全なる準則主義を認めたのかという点も、徹底して私、昔の文献も調べてみました。その結論として、三十三条が原則であるならば、民法の外に一般法をつくることは民法と抵触しないということを確信をするに至ったわけであります。  そして同時に、日本法人格付与法のいろいろな法律も調べてみました。準則主義に基づいてたくさんの法律が実はつくられていたわけであります。労働組合がそうなんです。社会福祉法人もある面では準則主義でしょう。一定の要件があれば差別なく、区別なく法人格が与えられる。そして、最も徹底した準則主義に基づく法律は宗教法人法でありました。いろいろな法律が準則主義の原則でつくり出されているんです。  それはつまるところ、民法三十四条と抵触するわけであります。三十四条に、宗教法人公益法人でつくることはできます、文部省の許可があれば、祭祀とか。しかし、その民法三十四条は手を触れずに、そのままの形で宗教法人法がつくられているんです。要するに、一定の宗教団体は、今の現行法制では、宗教法人法に基づく方向でも、また、民法三十四条を使って特に官庁の許可があれば法人取得できるんですね。そういう面では、すみ分けをしなければ一般法ができないというのはドグマなんです。現実にもうそういう状況があるんです。  民法の方が狭い、個別法の方が広い。準則主義をとっている法律たくさん、たくさんとまで言うと語弊があるかもしれませんが、あるということもわかりました。そこにさらに私どもは確信を持って、それならば、本当に皆さんが切望している、限りなく準則主義に近づけた、あるいは準則主義そのものの非営利法人法をつくることも民法に抵触しないと考えたわけであります。  私どもは、伊藤さんからも御指摘もありましたが、この法案成立したときに民法三十四条を廃止するつもりは今ありません。残してもいい。現に一万の公益法人がありますから、それをつぶすことになるような、あるいはそういう公益法人は今後とも認めないという立場に今立っておりませんから、それは残しても、法律的な整合性を持って非営利法人一般法をつくることができると考えているわけであります。  こういう立場でありますので、特に伊藤さんと松原さんに、なぜ非営利法人一般法をつくり出すことがまずいのか、民法三十四条の改正がなぜ必要と考えるのか、手短でも結構ですが、どう考えているのか、御意見をお聞かせ願いたい。     〔委員長退席、金田(誠)委員長代理着席〕
  60. 伊藤裕夫

    伊藤公述人 一般非営利法人法というものが可能かどうかということにつきましては、私どもの方も各党案が出る以前に研究会等々で考えたことはございます。実際に、民法との関連等々につきましては私どもも素人でよくわからないところが多く、たたき台でつくった案というのは、実は共産党案に非常に近いものであり、ました。  仮にアメリカをモデルに、準則主義でつくられていく非営利法人、それを考えていけば、当然そういうような方向になっていくのじゃないかと思っております。また、私ども以外でも幾つかつくられたオルタナティブな案というのは、やはり共産党案に近かったのじゃないかと思います。  そういったものは、私自身やはり理想的な方向だとは思っておりますが、今のお話にもございましたところで、例えば実際に今、一万じゃなくて二万五千、民法法人はございます。そういった団体のうち大体二割近くが、特に地方自治体が実際にイニシアチブを握り、あるいは出捐金を出してつくった公益法人がございます。こういった、実際に今さまざまな形で公益法人という形で活動している団体が、今度一般的な非営利法人法ができた場合にどのような形で、例えば法人がえをするのかどうか、そういったことも含めて当然変化が生まれてくるのじゃないかと思うわけですが、これがある面では非常に急激な変革をもたらしてしまうのじゃないだろうか。これはある面ではすごくおもしろいという気もいたすわけですけれども、正直言いますと、私自身もよくわからなくなってきたというのが、その辺、正直なところでございます。  もう一つ民法三十四条の問題に対して、私はやはり、いずれにしましても改正をしなきゃいけないと考えておりますのは、特に一九七五年以降、地方自治体がこの民法の規定を使って、いわば三セクといいますか、実際に行政活動を補助していく組織を非常に乱発的に今つくっております。これは本当に正常なことかどうかという問題、このNPO法案とは別な問題でございますけれども、現実に起こっており、これから先の社会システムというものをデザインしていくにおいては、この問題と新しく考えられるNPO法案の問題というものは、トータルにやはり議論していく必要があるのじゃないかという考え方をしております。  そういった意味で、今現在出されている共産党案というのは非常に、ある面では理想的だと思いつつ、これから先の社会システムというものをもう少し具体的にどのように変えていくのか、そしてそのためには何をすべきかというものがまず一つ見えてこない。  それから二番目に、実際に非営利組織自体が社会で自律的に活動していくために、税法上の問題というのは共産党案も非常に詳しく書いてあり、しかも、その中においては三種ぐらいの区別をして、非常に公益性の高い、現在の言葉で言うならば特増法人に当たる案から、割と、法人の事業活動に関してのみ税制優遇をしていくようなレベルまで分けられているところが技術的にすごくおもしろいし、よくできているのじゃないかと思っているのですが、実際に社会で非営利法人活動していくためには、税制だけでなく、例えば先ほど申しましたインターメディアリーとかさまざまな要素が必要になってまいります。  そういうトータルな、非営利組織を支えていくマネジメントシステム等々を含めた場合に、正直言いまして、どのようにそれをトータルにしたビジョンを描くのかというのが、私自身描き切れていないということがあります。そういった点で、理想的であるがゆえにこそ、逆に大丈夫なのかなという不安を覚えてしまうというのが正直な印象でございます。
  61. 松原明

    松原公述人 まず、民法三十三条で非営利法人制度をつくられるという共産党の御熱心な方法論というのは、非常に敬意を表しております。  それで、シーズでも市民活動推進法というのをかつてつくりましたが、これもやはり三十三条に基づいてつくるべきであるという議論で、準則主義でつくりました。基本的には、私は今でも三十三条に基づいて法律をつくっていくという道はあるとは思っていますが、しかし片一方では、イギリスの政治家の方が言ったといいますが、政治は可能性の芸術であるという言葉を聞いています。私としましては、基本的には法律というのは、どういう方向性をとろうとも使う人間が使いやすければいいというのが一番大事なところとしているところです。また、使う人間が必要なときに使えるものであってほしいというふうなことも考えております。  その意味では、やはり確かに何条に基づいてという議論、それから準則主義と認可主義と認証主義、その辺がリンクしているというのはわかるのですが、使う人間の側からいいまして、まず今の与党党案民主党の合意案でつくっていただいて、より使いやすいものにしていくという、こういう努力を我々自身がしていきたいというのが今の希望です。     〔金田(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 木島日出夫

    ○木島委員 将来、非営利法人一般法ができたときにどういう日本社会になるのか、そういう全体としてのビジョンが日本共産党案には見えないという、そんな趣旨の伊藤さんからの御意見でもございましたが、私、将来、日本社会において民間営利団体法人格付与されて一人前の資格が与えられた後、順調に発展していくのか、なかなか欧米と違って発展しないのか、まさにそれはこれからの、法律に与えられた課題じゃなくて日本社会全体に与えられた課題である。もっと言えば、法人格を与えられた民間営利団体法人皆さん努力に、基本的には、まじめにいい活動を本当にやる、そして社会的認知も、法人格を与えられただけじゃなくてさらに寄附金が集まるような活動が展開できるかどうか、まさにその努力にもかかってくるんじゃないかと思うのです。ですから、それは法律によって強制すべきものではないと思うんですね。  同時に、せっかく一定団体を持ち、きちっと規約もつくり定款もつくり、年一回の総会もやり帳簿もしっかりしている、そういう団体につきましては、頭から十一分野に狭めたり、いろいろな制約を、地域制約もつくってそこで排除してしまうことはやめる、それだけはやめるべきじゃないか、門戸は全部広くすべきではないかというのが一つの哲学だと思うのです。それが皆さん方が、限りなく準則主義、でき得れば準則主義で法律をつくって、すべての団体に差別なく法人格をせめて与えてもらいたいという気持ちだと思うので、その気持ちを多として、最大限できることを研究の上で提案したのが私どもの案だということを御理解をいただきたいなと思っております。  私、法案化、法制化を進める中で、確かに衆議院法制局とは大変な激論をしてまいりました。衆議院法制局がそこまでは難しいと言うことも、率直にお聞きをしてまいりました。しかし私はある面では、衆議院法制局の皆さん、言葉は悪いかもしらぬけれども、一つの法律官僚だ、これを乗り越えなければやはりだめだということを感じてきたわけであります。  ヨーロッパではもう百年前に、無条件で、準則主義法人格付与になっているわけですね。百年前のヨーロッパでできたことを、なぜ今日本の国でつくり出すことができないのかという問題意識を持っていることを指摘しておきたいと思います。  二つ目の問題として、狭さの一つに、不特定多数の利益のためにという公益主義、あるいは選挙をやったりしてはならぬという、そういう制約与党案にはあります。実は、この問題では私ども日本共産党は、団体を構成する個人個人の権利は徹底して守るべきだという立場に立って、例えば労働組合という法人が機関決定をして、選挙その他で一党締めつけをしてしまうのは間違いだと、徹底して闘ってまいりました。また、ある宗教団体特定政党と結びついていろいろな社会活動をやっている、それもやはり間違いだという立場に立って、その面では頑張ってきたつもりでございます。  ですから、私どもは、非営利法人もそうあらねばならないと考え、我が党の案の第三条では、「非営利法人は、その目的とする活動が多様な価値観を有する国民の自発的な意思に基づくべきものであることにかんがみ、その構成員となることについて、及び構成員としての権利義務について、人種、国籍、信条、性別、社会的身分又は門地によって差別的取扱いをし、その他その構成員としての資格に関して不当な取扱いをしてはならない。」という大原則を掲げているわけでございます。  これを前提にして、それじゃ、なぜ私どもが与党案の中にある、選挙を一回でもやったらだめなんだというふうに読み取れる条文、あるいは、その非営利法人活動特定政党のために行われてはならないという条文、これは削るべきじゃないかと主張しているそのゆえんは何か。殊さらにこういう条文を入れ込むことによって、この条文が、与党でいきますと市民活動法人ですね、これが認証を受けられるかどうかの要件になっているということ、これにひっかかったら法人格付与できないという要件になっていること。  それと、一たん法人格付与された団体でも、例えば自然保護で頑張ろうとすれば、当然それは政治に行き着きます、選挙にも行き着きます。本当に自然保護を徹底するためには、そこまで行かなければならないことが多いんじゃないんでしょうか。そういうときに、そういうことをたまたまやった。主目的じゃないと思うんです。たまたま、自分の目的とする理念を貫徹するためには選挙もやらざるを得ないこともあるでしょう。そうしたときに、この条文が発動されることによって、例えば、認証をした所轄庁から調査が入る、立ち入りも入る、そしてやめろというので改善命令が出る、改善命令を守らないでなおかつ自分の目的を貫こうとして活動をすると、取り消しもされる、罰金もある。そういうふうな、法人格そのものの、まあ言ってみれば、基本が取り壊されてしまうことにつながりかねないおそれをこういう条文に見出しているからであります。  労働組合法その他の準則主義でつくられている法人は、こういうのはないんです。そういうおそれを感じるがゆえに、こういう条文はない方がいいんだろうという指摘をしているわけでありますが、その辺について、四人の方が与党案日本共産党も賛成してほしいというお気持ちであるかと思うんですが、そういう不安に対して、山本さん、松原さん、中西さん、伊藤さん、どうかということを端的に御意見をお聞かせ願いたい。
  63. 山本正

    山本公述人 ありがとうございます。  先ほどの認証の問題については、非常に理想的な御議論だと思いまして、それは非常に同感を持つわけでございますが、やはり現実問題として、今の段階では与党三党、民主党修正案ということで妥当だと思っているわけでございます。  二つ目の問題につきまして、政治活動でございますけれども、これは先ほど申し上げましたとおり、欧米等においてはこれが大変議論になっておるわけでありますが、例示としてお使いになった環境の問題、環境についてそれを保護するために一生懸命活動をする法人政党活動に行き着くだろう、これはそういう場合もあるかもしれませんけれども、それは、まさに個人がその法人の外で個人として行うべき活動ではなかろうかと思うわけでありまして、その法人自体が政党一緒になって活動するというようなことになれば、例えば、他の問題についてもこの法人は取り組むわけでもございますし、非常に複雑な関係になるんではなかろうかと思います。  そういった意味では、狭義の政治活動はやはり行うべきではないというのが私の立場でございます。
  64. 松原明

    松原公述人 基本的には、今、山本正さんがおっしゃったとおりですが、あとづけ加えるならば、どういう形でも法律ができた場合には、施行の段階、それから運用の段階においていろいろと、行政市民活動、また市民活動市民活動市民活動市民、いろいろなトラブル、問題が発生してくるだろうと思っています。  ただ、そのトラブルを十分乗り越えていけるものだ、また、トラブルが発生したときにそれを乗り越えていく努力がより市民活動を強くしていくというふうに私は思っております。そのためには、やはりまるっきりトラブルさえも起こせない状況よりも、一歩進めて、その状況を次に乗り越えていくという課題をはっきりしていくということが必要かと思っています。  そういう意味で、ぜひこの国会でこの法案を通していただきたい。与党党案民主党案を通していただきたいと思っております。
  65. 中西正司

    中西公述人 我々福祉団体でも、例えば介護保険問題などを議論する場合には、政治問題に波及して考えなきゃいけない状況というのは出てきます。そういう意味では認証問題にかかわってくるとも言えるわけですけれども、今後、法人格付与された団体についての取り消し問題とかそういう問題については、非常に市民の監視が必要な問題だと思います。  やはりそういうときにも、共産党の皆さんがそういう意味での監視という意味で、我々の団体が主たる活動福祉活動であるということを認定されるならば、それをこの市民活動法人法案の中でも有効に機能できるような状況に導いていただくように、今後の審議の中でこういう問題が取り上げられたときに、我々の主たる活動が遂行できるような形のものにつくっていっていただきたいというふうに思います。
  66. 伊藤裕夫

    伊藤公述人 基本的に非営利団体NPOというものは、シングルイシューという言い方をしますが、目的がかなり明確に定められた活動をしております。その理想とする一つ目的を実現するに当たって、自主的な事業を行ったり、さまざまな活動をするわけですが、その中の一つとして、政策提言あるいは政治活動に近い活動をするケースがあると思います。しかし、これはあくまで一つのその団体のイシューで考えておりますので、例えば総合的に政策を考え、政治を動かすような提言をしていくわけではございません。  そういった意味では、今現在の与党案に示されている範囲で、そこの点に関しましてはそんなに大きな問題はないというふうに私は理解しております。
  67. 木島日出夫

    ○木島委員 終わりますが、私は、必ず非営利活動を徹底すると政治活動に行き着くとか、政治活動を専らにすべきだとか、そんなこと、全く言っているわけではありません。しかし、たまたま目的遂行のための活動の一環としてそういうことがあったときに、この与党案の中には、それをとらえて運用が悪くなるとチェックされるおそれがある、そんな条文はない方がいいだろうという立場で申し上げていることを御理解いただいて、終わります。
  68. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、辻元清美君。
  69. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党市民連合の辻元清美と申します。きょうは本当に長い時間になりますけれども、公述人皆さん、そして傍聴の方々もたくさん見えています。それぞれの活動で、多分御苦労が多かった方がここに集まっていらっしゃるんではないかというふうに思います。  私も、ピースボートという民間国際交流団体を二十二歳のときにつくりました。それから去年の十月までですから、三十六歳までその活動をやってきまして、実は、多分、この国会に来てなかったらあそこに座っているというふうに私は思うわけなんです。そういう立場で、何人かの方に質問させていただきたいと思います。  やはりやっていく中で苦しかったのは、社会的信用がないということと資金の面でした。これはもう正直な、皆さんの気持ちと同じだと思います。  社会的信用という面で申しますと、私たちが外国に国際交流で出ていく折にいろいろな各種団体や国と契約を結ぶ折に、だれが結ぶねんということで、いやこの団体で、じゃ、おたくの法的なステータスは何ですかと聞かれたときに、うん、じゃ私たちの連名でどうでしょうかと言ったら、で、あなた何者なの、いや私はまあここの職員をやっております、じゃ、どういう所得でどうなっていますかと言われても、うっという感じで、非常に厳しい局面があってみたり。  それから、そういうボランティア団体や、ボランティアという言葉は私は無償性という言葉で使っているのではなくて、自発的な意思で働く人の集団という意味で使っておりますけれども、そういうところで働きたい、就職はせずに自分の活動として働きたいというときに、御両親の方とかが、ちょっとやめとけ、何かわけわからへん、何でもいいから株式会社でついてたら、親も、ああ就職したんかと言うんですけれども、なかったら、何やねん、それはというので、よく私は、自分たち活動一緒にやっている後輩たちのお父さん、お母さんに活動の趣旨を延々と説明したり、家まで行ったとか、そういう経験もございます。  ですから、一つは、やはりそういう活動を続けてきた人たちがもっと伸び伸びと、そして、そういうところで働きたいなという人がふえるということが一つ。  それから、やはり資金の面ですね。これは後で税のことでも皆さんの率直な御意見を伺いたいですが、私も活動してきて、半分以上はお金を回していたと言っても過言ではないと思います。ただ、私たちの場合は、寄附もありましたが、事業なども行いまして、それで賄ってきた団体だったわけなんですが、非常に厳しい状況にあることは認識しております。  そういう中で、今回十月にこの永田町にやってきまして、この法案の担当者になりました。その中で苦しいことはいっぱいありました。見たときに、え、こんなんでいいんかいなというところは、できるだけ各党方々と協議しながら改善したいなと思ってきました。その中で皆さん意見を聞きたいところが「管理」というところ、まずそこについて聞きたいと思います。私が担当してきましたのは与党案ですので、これについて伺いたいと思います。  当初、いろいろなことが皆さんからも御意見が寄せられたんですね。それをこの審議の過程でも改善といいますか、変えていこう、修正していこうという意見も今出ております。その点を幾つか御紹介しながら、これでどうかなという意見を伺いたいと思います。いや、これでもまだまだやで、こんなのでは困るで、管理的やないかとおっしゃるのか、ここまで来たらまあまあかなとか、いろいろな御意見があると思いますので、何人かの方にお伺いしたいと思います。  まず一つは、文書主義でいこうというのを確認しています。申請の折も、おいおいちょっとと、一々何やかや言われるのではなくて、この法案に書かれているものの提出によって判断をしていただくという、文書主義を貫いていきたいというふうに今思っております。  あと例えば、いろいろな点で御批判が多かったと思うのですが、名簿の提出については、社員の名簿の提出はなくてもいいんじゃないかという話が今出て、審議されております。  それから、万一不認証になった場合、おたくあきませんでと決まった場合は、その理由をしっかり文書で所轄庁が交付をする。してもらわないと困る。あかんでと言われただけで、お役所へ行ってよくあるのは、私も何回もそういうことがありました。これは何の理由でおたく文句言ってはるんですかと言うたら、理由は言えないけれどもあきません。それじゃだめです。文書を出せというふうにした方がいいんじゃないかとか、それから、所管大臣に意見を聞くことができる。別に聞かぬでもいいのではないかということで、こういうのは要らぬのではないかという審議も今なされております。  それとか、あと、私も引き継ぎまして、立入検査なんという文字を見ただけで、そんなものあるのかなというふうに思いました。それで、いろんな各党の方とも協議を重ねまして、万一そのような事態に及ぶ場合も、これは文書でしっかり理由を提示、希望する団体には交付をして、きっちりと理由を説明してからでないと行わない。その場合も、相当な疑いがあるという「相当な」という文言を入れることによりまして、さらに、いいかげんな気持ちではやっていただきたくない、そういう気持ちを込めてみた。  それから、この中の方からも指摘をいただいていました申し出条項という、四十四条というのがありました。あそこは疑わしいと言われたら、役所は早速行って検査しなければいけない。何かこれは、それぞれの運動団体同士をチェックし合うような、いい意味で言えば情報開示かもしれませんけれども、何かお互いを相互監視するような、こんなのは要らぬのではないかという意見がありまして、それも削除していこうかなという審議を今続けているわけなんです。等々、私が引き継いでから十七カ所、いろんな協議を重ね、変更もしくは削除等の修正をなされようとしているのが今の現状なんです。  そこで、これでもどうなんだという率直な御意見をお二人の方に伺いたいと思います。  といいますのは、私は、その二人の人のファクスが一番怖かった。この中にも、たくさんの要望をいただくんですけれども、これでもあかん、これでもあかんとどんどんファクスが来る。それで、市民団体の人に集まってもらっては、これではどうですかと聞きながら、与党案というのは、自民党、社民党、さきがけ、そして後半は民主党方々とも意見交換をしてまいりました。  その中で一番怖かったファクスの松原さん。あなたのファクスはいつもずらずらと長いんですね。これでも管理法だと来るわけです。松原さんからごらんになりまして、シーズでは十何カ所、いろんな要望を出しておられましたけれども、現段階で率直な御意見、いかがでしょうか。
  70. 松原明

    松原公述人 シーズでは、与党案が出た段階で十項目にわたる修正要望等をつくりまして出してきました。そのうち五項目はほぼ達成できた、四項目も実質的にはとれると思っています。一項目、役所の監督というのがどうしても残りましたが、しかし、与党案は出たら修正できないよという話もあった中で、ここまで修正ができたということに関しては、私としては非常に高く評価しています。  したがって、今この段階でこの法案をどうしてもあかん、辻元先生が出てくるとどうしても大阪弁になるのですけれども、あかんと言い張るようなものではなくなったというふうに考えております。むしろ、積極的につくっていただきたいと思っております。
  71. 辻元清美

    辻元委員 非常に細かいいろんな提言をいただきました。例えば簿記の原則で複式というのになっておるのですけれども、小さい団体は一々複式簿記をつけていられないというので、それぞれの団体に合った簿記でいっていただこうというふうな審議も今この委員会ではなされているわけで、私もその方向に賛成しているわけなんですが、そういうのをいろいろお寄せいただきました。  政治の話も私ひっかかっているところでして、最初からひっかかっておりました。ただ、ここではっきりと、主義は、この際はそういう主義を主張する団体でやっていただく。先ほどからお話もありましたが、施策ということで申し上げれば、それは法律を活用していただいて結構である。政党という話が出ましたが、政党にはたくさん政策があるでしょう。  先ほども話が出ていましたけれども、例えば自然保護のダムの問題についてどうやねんと言うたとき、それはここの人らとできるけれども、ほかのことは、そこまであんたらがやっている政党の政策全部はバックアップしませんよという団体の方が多いですよね、現状から見たら。そういう意味では、いろいろな政策提言をここにいる議員の方も、各個人の方、団体の方から受けていらっしゃると思います。それは非常に大事な活動であるというふうに思っておりますが、それを一切規制しているわけではないということで、私もこれならいけるかなというふうに思って、今回、与党案成立ということに向けて努力を重ねている次第なんです。  そういうこともつけ加えまして、高比良さんにちょっとお伺いしたいのですが、税のことはちょっとおいておきまして、それ以外の、高比良さんもかなり、管理も緩くせなあかんとたくさんの厳しい意見をちょうだいいたしましたが、今のところいかがでしょうか。
  72. 高比良正司

    ○高比良公述人 最初から私たちも申し上げているように、今回、特別法という限界のある法律であるという前提でありますから、対象団体が何項目ふえるかという努力努力として、それ自体が限界があるというふうに思っております。  あえて私たちはその上に、後半の方に「不特定かつ多数」という言葉が二重にくっついていることは、どうしてもひっかかって仕方がない。  それは、例えば私たちの分野でいいますと、鑑賞するという場合でも、今、単に鑑賞するだけの目的というだけではなくて、いろんな多様な形態があります。例えば古典芸能、三曲とか筑前琵琶あるいはオーケストラのようなクラシック、こういった分野というのは、ほっておいてお客さんが集まるわけではないものですから、いわゆる会員制をしいて、何とか古典芸能を守っていこう、そういう努力をしていらっしゃる活動。そして、それを通じて古典芸能の発展公共的に考えているという考え方活動しているんだけれども、下手をすると、会員制だったらこれは基本的に除外されるよみたいなことにならないだろうかという危惧の方が我々としては非常に心配される。この点についてはぜひ御検討いただきたいと思っています。  もちろん、NPO活動というのは公共利益に資するという基本があるわけですから、いわゆるそこの会員の中だけの利益のためにやっているという場合には問題があるかもしれませんが、いろんな多様な形態が実は公共活動会員制を土台にしてやっている。例えば子供を育てるために鑑賞するという活動もそうなんですが、そういったことをきめ細かに御検討いただくということがないと、この「不特定」でずばっと切られることが大変心配だ、そういうふうに思っております。
  73. 辻元清美

    辻元委員 今の御意見は貴重な御意見として承りました。  さて、もう一つ、今度は新進党案について御質問したいと思うのですが、私はちょっとひっかかっているところがありまして、新進党案の中に、最初に五十万円の財産が要るという項目があるんですね。といいますのは、自分が団体を起こす折にお金をどうつくるかということは、これは市民団体をつくるときの一つの大きなネックになります。具体的なネックになるわけです。果たしてこの条項について皆さんがどのようにお考えなのか。  五十万円といったら、だれでもわかるけれども百万円の半分なんですね。私らつくったときも、やはり一人五千円とかで十人、二十人とちょっとずつ集めてやるわけなんですけれども、それで、できたら事務所を借りたいなと思いながらも、最初はだれか個人の宅に電話を一本引いて、名前をつけて、そしてスタートしていく。えっちらおっちらしていって、たくさんの方々の御理解をいただいたらやっと事務所が持てるかなというのが現状だと思うのです。  そういう意味で、三名の方、国際交流分野で山本さん、そして文化でもう一度高比良さん、福祉ということで中西さん、それぞれの活動、大きな団体もあれば小さな団体もある中で、この条文に対してどのようなお考えをお持ちか。現状と照らし合わせて御意見を伺いたいと思います。
  74. 山本正

    山本公述人 御存じのとおり、財団法人の申請のときは約三億円ぐらい要りますよね。それに比べれば随分安いということはありますが、正直言って私、どういう趣旨であの五十万円が入っているのかよくわからなくて、来る前に勉強しようと思って、できなかったことの一つなんです。余り意味がないのではないかと思います。それは、やはり受ける気持ちとしては、何か規制しようという精神が、五十万円といえどもばかにならない金額でございまして、そういったものはない方がいいのではないかと思います。
  75. 高比良正司

    ○高比良公述人 これは安ければ安いほどいいと私も思ってはいます。ただ、文化団体の場合には、やむを得ず営利法人、いわゆる有限会社とか株式会社を冠として持ってNPO活動をしているという団体が結構多いものですから、有限会社の三百万に比べればかなり安いかなというふうに見ている面もあります。
  76. 中西正司

    中西公述人 確かに五十万円というのは安くしていただいているとは思いますけれども、ただ、我々福祉団体の中には、発足時にはその五十万円も運営資金として即使いたいという団体が多いわけですね。特にそういう団体に関してこういう法人格があると、やはりその団体の公的認知が高くなって運営がやりやすくなっていくというメリットもあると思います。ですから、もしもこういうものが不要であればない方がよいだろう。やはり、こういう入り口での入金をまずしなければいけないということは、市民活動をある意味で規制するものになっていくだろうというふうに思います。
  77. 辻元清美

    辻元委員 それではもう一点なんですけれども、税の優遇措置というか、税金のあり方についての見直しという議論が先ほどからも出ております。  十年ほど前だったと思うのですが、私はある雑誌でNPOという言葉を初めて見ました。それはアメリカNPOのシステムについての解説だったのです。ある人が私にそれを示して、あんたのやっていることはこれと違うかと言われたのですね。へえ、これは何やろうというので読んだ。そのとき、いいなと思いました。確かにこういうシステムがあったらいいな、ああそうか、アメリカでは法人格も取れるのか、優遇措置もあるのかと。  ところが、よく吟味していくと、確かに法人格は準則で取れるわけなんですが、アメリカも税金の優遇を受ける場合には非常に厳しい規制があるということをそのとき理解いたしました。ああそうかというふうに思いました。それは、今まで実際に議論されている民法の三十四条を含め、民法をどう見直していくかという方向にもつながる話だと思います。そういう意味で、私はその雑誌が自分のNPOの原点になっていますので、民法の見直しも含めてこれから努力していきたいと思うのですね。  ただ、この永田町にやってきて思うのは、現実的とは何かということとの戦いになるわけなんです。いいことを言っても通らへんというのが、実際にそういう感想を持つときが多々あります。というのは、ここにはやはり衆議院で五百名の全国からの代表者、いろいろな価値の代表者が来ていらっしゃる。そして、その人たち議論を進めていくときに、自分の言い分ばかり言っていてもなかなか現実的にならないということで、今回私は与党案をさまざまな方と議論していく中で、その壁を感じながらも、一つずつ乗り越えたいと思ってここまでやってきたわけなんです。  そういう意味で今、税の優遇措置だけではないと思います、広範な見直し。税という言葉をいじるときには、この委員会だけではなく、さらにNPOに関心ある人だけではなくて、すべての税の体系を見定めつつ前進もしくは変革をしていかないとできないということもよく学びました。そういう意味で、私はただ単に、軽率に、こうしたらいい、ああしたらいいということを言うのはなかなか難しいなということも実感として持ちながら、しかし、私が雑誌で読んだあのときのように、たくさんの寄附金を出した団体が、税金がかからないからといってたくさん寄附を出すとか、それに対してもいいなというふうに思った気持ちは忘れたくないと思うのですね。  そういうところでちょっと山本さんに質問なんですが、山本さんは特増を持ってはるでしょう、さっきおっしゃったように。それでも厳しいのですとおっしゃいましたね。その現状を聞いて、ああそうなのかというふうに思ったのですが、ちょっとそこのところをもう少しお聞きしたいなと思いまして。
  78. 山本正

    山本公述人 私ども、財団法人になりましたのは七三年なんですね、一九七三年。そのころからずっと寄附免税について叫んでおりまして、取りましたのは一九八八年でございます。当時は国際交流寄附免税というもので、そのほか試験研究法人なんかと一緒になって特増になったわけですけれども、本当に血みどろの戦いでございまして、トラック一台分ぐらいの資料を用意して出して、しかもそのとき審査してくださる担当者はこういう世界について何も知らないわけです。しかも、その方は二年ぐらいしてやめられるわけですね。そうすると、もとのもくあみでまた始まるわけですね。そのプロセスがずっと続いたわけです。  それで、あるところで国際交流が大事だというのがありまして、時流に乗りまして、実は議員先生方にも御協力いただいた形で取れたわけなんですが、二年ごとの更新でございまして、更新と申しますけれども、私のメモに書きましたけれども、実質的には再申請です。私ども、これまでに、八八年ですから六回ですか、やっているわけですけれども、三人ぐらいのスタッフが四カ月ぐらいかかって資料をつくるというプロセスを経ています。  これとても、なぜもう一度説明しなくちゃいけないかという思いがあるわけですね。それほど私どももやっている実績がめちゃくちゃなら文句を言いませんけれども、まじめにやってきているつもりでございますから、そういった意味では、なぜこんなことをやらなくちゃいけないか、同じ時間があるならもうちょっと活動もできるのにという思いは非常に強いです。  もう一つだけ申し上げておきたいのは、ある意味では一種の神話があると思いますのは、特増があったらじゃらじゃらと金が入ってくるというような印象をお持ちの方があるかもしれないです。これは全く違うと思うのです。やはり同じ努力が必要なわけで、多分特増があることで一番大きいのは、少なくとも企業のドアが割にあきやすい。そこからは同じプロセスです。ですから、その意味では、今度のこのNPO法案をめぐっての、市民活動法に基づく法人についても同じようなことが言えるんじゃないかなと思います。そこのところは誤解のないように、ぜひお願いいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  79. 辻元清美

    辻元委員 もうそろそろ時間が来ましたので終わりますが、私は税のシステムについて、二年以内に結論を得て検討して、三年後からはその検討を踏まえて見直していくということができないかなというふうに思っているのです。それと、見直しの折には、私が気になっている十一項目で、これはもう本当に大部分の方々に入っていただけると思って今やっておるわけなんですが、万一そこで大きな障害が出てくるようなことがあれば、提案者としてそこについても三年後にはきっちり見直す、そういう気持ちで今ここに臨んでおります。ぜひそのときには皆さんの御協力というか、一緒に見直していくという、そういう決意を込めたいと思います。  でも、二年後、三年後といったら私が国会議員でいるかどうかわかりませんが、自分が議員じゃなくても、後ろかそこかわかりませんけれども、この問題については議員であるなしにかかわらずやっていこうと思っていますので、最後にそういうことを申し上げさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  80. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、奥田敬和君。
  81. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 太陽党の奥田敬和でございます。  先ほど来、公述人皆さん、大変御苦労さまでございます。時間がおくれておりますので、私は簡潔にお話を続けさせていただきます。  この法案審議に当たりまして、私は感心したのですけれども、本当に議員間、党派を超えて真剣に、熱心に討議が続きました。それで、大体それぞれの共通の項が浮き上がってきたわけでありますが、私は、先ほど来公述人各位の御意見を聞いておりながら、ほぼ集約された方向に向かっているな、来るべき市民社会が大きく変わっていくことをこの法案によって私は期待しておりますけれども、確かに議員間の審議も、先ほど来の公述人皆さんのこの法案に対する大きな期待がひしひしと伝わってまいりました。たしか横川さんじゃなかったかと思いますけれども、私たちは五十年間この日のために辛抱してきたんだ、だから超党派でしっかりお互いにまとめてほしいという御意見であったように思っています。私は全く同感です。  この法案、何とかしてそういった御期待に沿うような形で生かされないものかなということで、私も、委員会質疑の中でも、提案者、それぞれ三党ありますけれども、何かみんな目指す山は一緒だという形の中で共通項が生まれてきたということを大変喜んでおるわけであります。  山本公述人は、大変長い間、国際交流のそういった分野で草分け的に頑張ってこられました。特に、NGO組織で、西欧諸国の先駆的な役割に対して歯がゆい思いを随分なさってきた経験がおありなんだろうなと思っています。  そういったことで、代表してお聞きしますけれども、山本公述人のパンフレットの中にも、いわゆる認証手続をできるだけ垣根を低くしろ、これはほぼ目的が達せられる方向に来ているんじゃなかろうかなと思っているんです。しかし、あなたが懸念される、官の下請というか、そういった形になるという形はこれはおもしろくないし、また、このNPO法案のそれぞれの団体が目指す方向と使命感とでも申しますか、そういった形とやはりそぐわないわけで、これは全く、行政の関与をできるだけ少なくしていくという形で、これもどうですか、あなたのお考えの中では、やはり歯どめに、みんな工夫して努力してきた結果が大体来ているんじゃないかなと思うんですけれども、この点についての御意見もちょっとお聞きしたい。  そして、やはり将来スウェーデンやデンマークのように、ある程度公的な形での協力、資金供与をするときには、みんなNPO団体が、例えば二〇%くらいの基金は自己調達するとか、あるいは自己責任、情報公開、そういうのは非常に透明性を持っておりますし、自己責任がやはり明確化されないという形はいけませんね。この辺の点についてはしっかり対応を、他国のNPOは、NGO団体は整えておると思うんですけれども、そういった面において、山本さんの今までの経験からいったような御意見。  そして、やはりこれはあなたが主張されているのかどうか、活動の形で法違反の際に認証取り消しなんかの場合には、やはりこれは認証権者がやるんじゃなくて、裁判によってきっちりした方がいいんじゃなかろうかというような形の御意見があるわけですけれども、私もそれが妥当じゃなかろうかなと。これは特に、この質疑の中で共産党さんがえらく強く主張された経緯がありますけれども、私も、これはNPOの形からいって、法案の趣旨からいっても、また団体の果たすべき役割からいっても、認証取り消し等々がある場合は裁判所がやるのが妥当じゃなかろうかなという思いを強くしております。  その点について、山本さん、ちょっと御意見ありましたら聞かせてくれませんか。
  82. 山本正

    山本公述人 大ベテランの奥田議員から大変温かいお言葉をちょうだいいたしまして、感激いたしております。  認証の問題についてでございますけれども、私の感想は、よくここまで来たなということでございます。  ただし、今までの公益法人に対する官の介入というか監督ぶりから考えると、これは実施の段階において生易しくないな。その意味では、なるべくそういう介入というか監督等の、しかもその恣意的な形での介入がないようにできるだけしていただきたいというのが希望でございますし、法律ができた後も、議員各位のこの点についての御関心をぜひ保ち続けていただきたいというふうに思うわけでございます。  それで、奥田議員のおっしゃいますNPOサイドのアカウンタビリティー、自己責任でございますけれども、全く御指摘のとおりでございますし、私も先ほどちょっと触れた点でございますが、一つには、NPOの中にもいろいろ組織ができてまいりまして、日本NPOセンターなども昨年十一月にできまして、今週末には第一回の全国大会が行われるようなことになっておりますけれども、例えばそういった組織の中での自己管理のための活動を何らかの形でやるべきじゃないか。まさに透明性の維持とか、報告書をちゃんと用意するとか、そのためにどうやったらいいかという具体的な訓練、セミナーをやるとか、そんなようなことをやらなくちゃいけないんじゃないかなと思います。  それから、三点目の認証取り消しの問題でございますけれども、先ほど申し上げましたと同じことでございまして、やはり監督官庁の恣意的な介入というものを除くためには、客観的な形で、裁判所がそこにお入りになってその是非を決められるというのが正しいやり方じゃなかろうか。これは、そこまで行けるかどうかということについてはいろいろ御議論があるのかと思いますけれども、基本精神としてはそういうことではなかろうか。入り口は広くしていただいて、きっちりした法律は守るのがNGOの役割でございますし、それに反したときにはしかるべく処理されるというのはもっともなことだと思います。  ありがとうございました。
  83. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 わかりました。  やはりみんな口をそろえて、税制上の優遇策が盛り込まれていないと。実際はこのことに期待される向きが多かったんじゃないかと思いますけれども、しかし、二年以内の検討、そして三年でのそういった修正を含む、これは皆さん、案外附帯決議条項というような形と御一緒に考えておられるんじゃないかと思うんですが、今まで大体実現した例がないんじゃないか。恐らく高比良さんならば、地方税だの、入場税ですか、あの関係で、今までいつも役人にうまく、役人もいわゆる政治家をごまかす常套手段みたいな形で、少し逃げ道をつくってやるというような形で、努力目標として掲げるという手で、テクニックで来たことは実際そのとおりです。  しかし、今回のものは、やはりここまで、各党提案はそれぞれ違いますけれども、真剣に討議して、恐らく理念を含めて共通な広場を見つけて、そしてお互いに政党責任において、各議員間の約束事として、これは三年以内に、二年間の状況を見て、確実に税制面のそういった措置をも含めて前向きに取り組もうやという形の措置は、私はやはりある程度、ちょっと普通のときと違うのだよという形で御理解願いたいなと思っているのです。  また、そのことがやはり一つの、今度は皆さん方の責任にもなってくるのは、この法案が通るというだけで満足してはだめだと私は思うのです。今、確かに税制の問題の点もございますけれども、やはりこれだけの機運が盛り上がった以上は、各党間で恐らく超党派の、NPO法案の今後ますます内容充実に向けての超党派の議員連盟は必ずできると私は思います。新しい市民社会ということに、世代の、私が年寄りという意味からいうと、諸君たちの本当に花咲く時代というものは、この法案が非常に大きな役割を持っていると私は思いますから、超党派の議員連盟は必ずできます。ですから、皆さん団体との横の連携の対話を常にこの二年間、間断なくやはり行って、定期的に行っていただくことが、この法案が本格的に皆さんの期待に全面的にこたえ得る法案として花が開いていくのじゃなかろうかな、私はそういうぐあいに考えております。  ですから、超党派でそういった形の議員連盟が、まだ架空のものですが、対応して、皆さん方もそれぞれの諸団体の御意見の中で、いろいろな御意見の差があるかもしれないですけれども、できるだけ共通項を求めて、共通理念のもとで頑張っていただけるような方向で努力していただきたいなということを私は思います。  代表して山本さん、そういう形でもし議員連盟ができたら、皆さん方も対応して、諸団体のまとめ役として頑張っていただけますか。
  84. 山本正

    山本公述人 ありがとうございます。  全く、そういった超党派の議員連盟ができることが非常に大事だと思います。実際のこの法律の施行についてもいろいろな問題が出てくると思いますし、それから、ましてや附帯条項的な意味での税制についての御検討、これもそういった中でぜひお願いいたしたいと思います。  私が代表とかなんとかということではなくて、実際問題、NPOの幾つかの固まりが出てきておりまして、シーズとか日本NPOセンターNGO活動推進センター、いろいろございます。そういったところが手を携えて、議員先生皆様一緒にやらせていただくことができれば大変幸いだと思います。  どうもありがとうございます。
  85. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 時間が余っていますが、終わります。
  86. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  これにて公聴会は散会いたします。     午後零時十三分散会