○
河村(た)
委員 新進党を代表して、以下に述べる
理由により、
与党案及び四党
修正案について反対し、
新進党案について賛成する立場から討論を行うものであります。
第一に、
活動目的の限定についてであります。
与党案は、
NPOの
活動目的を十二項目に限定する一方で、第一条の目的
規定において「市民に開かれた自由な社会貢献
活動としての
市民活動の健全な発展を促進し、」としております。果たして、この
法案で本当に自主的、自立的な
市民活動の発展を促進するつもりがあるのでしょうか。目的とその具体的
内容が、余りに矛盾しているのではないでしょうか。
委員会審議における
提案者側の答弁におきましても、その
団体が別表に掲げる
活動を目的とさえすれば
法人格が認められる旨の答弁が繰り返しされておりますが、本来自由であるべき
市民活動を一定の型にはめ、一定の方向に誘導することに在るのではないでしょうか。これでは、自主的、自立的な
NPOが育つどころか、
公益国家独占主義と結びついた現在の
公益法人制度と何ら変わりがないことになります。
この点、
新進党案におきましては、
地域基盤性、コミュニティー振興を民法とのすみ分け、特別法の根拠としており、
公益を目的とし、かつ非営利でありさえすれば、その
活動内容には全く制限を設けておりません。多様な価値観に基づいた自主的、自立的な
NPOが行政の関与、干渉を受けることなく健全に育っていくためには、
活動の目的の限定は決してあってはならないことであります。
第二に、
政治、宗教
活動の除外
規定についてであります。
抽象的に宗教
活動、
政治活動といいましても、その具体的な
内容は多義的であります。どう考えても、知事が、実際に
認証を行うに際して、当該
団体の行っている
活動の実体審査に踏み込まざるを得ないのではないでしょうか。それでも、準則主義に近い
認証制度と言えるのでしょうか。許可そのものとも言えるのではないでしょうか。
委員会審議の過程でも明らかになりましたように、
市民活動は、多かれ少なかれ
政治性を持っているものであります。実際に
認証を行う際に、
提案者が言われるように、
政治上の施策はよいが主義は認められないなどという判断は、果たして可能なのでしょうか。
民主主義を守るという
活動を
活動目的とする
NPOは認められないという答弁に至っては、
与党側はこの
NPO法案を一体どのようなものとお考えなのか、全く
理解できないものであります。
特定の者の利益のみを追求するような
団体は「不特定かつ多数のものの利益の
増進に寄与することを目的とする」と言えないはずであり、本来、この
規定だけで十分なはずであります。これ以上どのような
団体を除外しようとするおつもりなのでしょうか。
宗教
活動は宗教法人法で、
政治活動は
政治資金規正法でそれぞれおやりくださいと言うが、
与党案の別表の
中身を見ても、
福祉については既に社会
福祉事業法がありますし、医療については医療法もあり、それぞれの
法律で
法人格の取得は可能であります。なぜ
政治と宗教だけを殊さらに別扱いにするのか、
理解に苦しむところです。残念ながら、何かほかに意図するものがあるのではないかと考えざるを得ません。
このようなことから考えると、
与党側は
NPOを育てようとするより、むしろ現在の
政治体制と対決、対立するものとお考えなのではないでしょうか。一定の
活動目的を
内容とする
団体を排除することは、
NPO法案の精神と全く相入れないものであります。
第三に、
税制上の
措置についてであります。
NPOにとって
法人格の取得が重要であることは当然であります。それと並んで財政上の基盤を
NPOに与えることが大変重要であります。公聴会でも参考人の多くから同様の
意見が提起されております。多くの
NPOもそのことを期待しているはずであります。
与党案には、
NPOをめぐる
税制をどのようなものにしていくのか、
法案においてその道筋が全く見えてこないのであります。
新進党は、いわゆる
NPO関連
税制の
法案二本を既に
国会に
提出しており、これら三本の
法案をあわせて初めて完全な
NPO法案と考えております。
NPO関連
税制の
法案については、
与党側の抵抗に遭ってまともに
議論されてはおりません。こうしたことから考えると、
与党側は本気で
NPO税制をお考えになっているとは到底思えないのであります。また昨日の、前代未聞の、
税制を
附則に入れることについて
与党側が
理事会決議を覆した点についても、
NPO税制には取り組まないことを証明したことになってしまいます。
第四に、主務官庁についてであります。
複数の
都道府県に
事務所を置く
団体についての
所轄庁を
与党案では経済企画庁としておりますが、これでは
公益国家独占主義から決別できないのではないでしょうか。近年の地方分権の流れ、憲法における地方自治の
本旨を
与党側は真剣に考えておられるのでしょうか。
新進党は、その地域の有権者から直接選挙によって選ばれた知事こそが
NPO法制の主務官庁として最もふさわしいと考えており、こう考えてこそ、真の地方分権、真の地方自治が育っていくと考えております。
与党案にはその他にもさまざまな問題があります。
無
報酬性の
要件についても、
修正で若干緩和したとはいえ、依然無
報酬性を
要件の一つとしております。
NPOは果たして無報酬のボランティアでなければならないのでしょうか。
与党側は、
NPOの現実、実体を全く無視しているのではないでしょうか。これでは今後
NPOが大きく育っていくとはとても思えないのであります。
また、みなし
認証制度についても、
新進党案にあるいわゆるみなし
認証制度こそ、行政の不当な介入、関与を防止するために不可欠な制度であると考えるものであります。
与党側においては、なぜこのような制度を導入できないのでしょうか。
委員会においても明確な答弁はなかったと承知しております。
以上、
与党案及び四党
提出の
修正案の問題点を指摘し、これらの案に反対し、
新進党案に賛成することを表明し、私の討論を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)