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1997-06-03 第140回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月三日(火曜日)     午後二時一分開議  出席委員    委員長 伊藤 忠治君    理事 赤城 徳彦君 理事 岸田 文雄君    理事 熊代 昭彦君 理事 御法川英文君    理事 河村たかし君 理事 倉田 栄喜君    理事 金田 誠一君 理事 木島日出夫君       岩永 峯一君    大野 松茂君       大村 秀章君    菅  義偉君       虎島 和夫君    桧田  仁君       渡辺 博道君    石井 啓一君       上田  勇君    上田 清司君       鈴木 淑夫君    富田 茂之君       西村 眞悟君    池端 清一君       瀬古由起子君    深田  肇君       保坂 展人君    奥田 敬和君  委員外出席者         議     員 熊代 昭彦君         議     員 小川  元君         議     員 河村たかし君         議     員 上田 清司君         議     員 上田  勇君         議     員 富田 茂之君         議     員 木島日出夫君         議     員 瀬古由起子君         議     員 辻元 清美君         衆議院法制局第         一部長     早川 正徳君         厚生省社会・援         護局地域福祉課         長       堀之内 敬君         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ————————————— 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   上田  勇君     石田幸四郎君   上田 清司君     鹿野 道彦君   富田 茂之君     中野 寛成君   保坂 展人君     深田  肇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案河村たかし君外四名提出、第百三十九回国会衆法第四号)  市民活動促進法案熊代昭彦君外四名提出、第百三十九回国会衆法第一八号)  非営利団体に対する法人格付与等に関する法律案木島日出夫君外二名提出衆法第一三号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 伊藤忠治

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  第百三十九回国会河村たかし君外四名提出市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案、第百三十九回国会熊代昭彦君外四名提出市民活動促進法案及び木島日出夫君外二名提出、非営利団体に対する法人格付与等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、昨六月二日、各案審査のため大阪府へ委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表して私から御報告申し上げます。  派遣委員は、団長として私、伊藤忠治と、岸田文雄君、熊代昭彦君、岩永峯一君、河村たかし君、倉田栄喜君、西村眞悟君、金田誠一君、木島日出夫君、辻元清美君、前田武志君の十一名であります。  現地における会議は、ホテルプラザ会議室において開催し、まず私から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序などを含めてあいさつを行った後、アジア医師連絡協議会ロジスティックス委員長鎌田裕十朗君、大阪文化団体連合会参与三好康夫君、コミュニティサポートセンター神戸代表中村順子君、劇作家本田忠勝君、社会福祉法人大阪ボランティア協会理事事務局長早瀬昇君、財団法人たんぽぽ家常務理事村上良雄君の六名から意見を聴取いたしました。  以下、その内容について、簡単に申し上げます。  鎌田君からは、国際医療NGO立場から、海外緊急救援活動時における法人格取得必要性活動区域社員、役員の住所を法人格取得要件とすることの是非、欧米に比べ少額である我が国の資金援助あり方などの意見が述べられました。  三好君からは、芸術文化団体に対する支援を要望する立場から、すべての非営利市民活動団体への法人格付与必要性税制上の優遇措置必要性などの意見が述べられました。  中村君からは、地域における市民活動基盤整備促進立場から、NPO法案早期成立による法人格付与必要性などの意見が述べられました。  本田君からは、芸術文化の振興を図る立場から、活動分野限定規定の削除、準則主義による法人格付与税制上の優遇措置の明文化などの意見が述べられました。  早瀬君からは、民間ボランティアセンター市民活動支援してきた立場から、行政関与を排した法人格付与あり方税制優遇措置抜本的制度改正必要性などの意見が述べられました。  村上君からは、障害福祉施設を運営し、情報を発信する立場から、市民セクターに対する運営資金支援必要性税制上の優遇措置必要性市民活動全般にわたる基盤整備必要性などの意見が述べられました。  次いで、各委員から、税制上の優遇措置についての見直し規定賛否所轄庁経済企画庁長官が入ることへの賛否法案早期成立への期待度NPO法案あり方市民活動団体における公益性の定義、行政関与あり方支援内容法人設立要件を限定することの是非法人格付与の範囲、選挙活動及び政治活動に係る制約規定是非、非営利法人基本法制定必要性与党修正項目についての意見要望等について、それぞれ熱心に質疑が行われました。  以上が会議の概要でありますが、会議内容は速記により記録いたしましたので、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  なお、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、極めて円滑に行うことができました。ここに深く謝意を表し、報告を終わります。  お諮りいたします。  ただいま報告いたしました現地における会議記録ができ次第、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤忠治

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔会議記録は本号(その二)に掲載〕     —————————————
  4. 伊藤忠治

    伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。
  5. 大野松茂

    大野(松)委員 自由民主党の大野松茂でございます。提案者先生方、大変御苦労さまでございます。先回に引き続きまして二回目の質問になりますが、よろしくお願いいたします。  まず、新進党案市民公益法人要件についてでございますが、多くの市民団体などの法人格取得を可能にする案だ、このように強調されているところでございますが、新進党案第三条では、その要件として「基本基金として保有する財産の価額が、五十万円以上であること。」、こう規定されております。五十万円というお金は、小さな団体では余りにも大き過ぎる、と同時に、財産要件を設けることは極めて高いハードルになりはしないか、こう思うわけでございますが、見解をお示しいただきます。
  6. 河村たかし

    河村(た)議員 以前もちょっと御質問いただいたと思いますけれども法人格を有するということの最大意味は、法律上の主体として自己の名において独立して経済活動を営むことができるという点にあります。  したがって、市民公益法人といえども独立法人格付与される以上、経済取引社会における独立の人格としての最低限実体を備え、取引の安全に資する必要があります。このことを具体的に要件化したものが、三条二項一号社員要件と二号の基本基金要件であります。このうち基本基金については、この法案の三十三条で定めるように、主務省令で定める確実な方法により保有しなければならないとしているところであります。  お尋ね基本基金必要性についてでありますが、具体的な効果としては、一般的に債権担保機能が挙げられる。すなわち、基本基金は、清算破産時において最低限引き当て財産となるものであります。また、間接的な効果としては、小規模で比較的信用力の乏しい市民公益法人に一定の信用力付与すると同時に、他方で、実体のない市民公益法人の乱立を防止するという効果があると考えております。  基本基金の額については、実際上、市民公益法人には比較的小規模な団体が多いと考えられるので、余りにその額を高く設定すると、自主的、自立的な市民公益法人の登場を否定してしまう結果になるおそれもあるので、その点を考慮に入れて、この法案では五十万円という無理のない金額に設定しているところでございます。  以上です。
  7. 大野松茂

    大野(松)委員 余り高くない五十万円という数字ということでございますが、さきに経済企画庁調査をされました団体調査報告書、これを見てまいりますと、年間予算が十万円未満団体が全体の三分の一、百万円未満団体でも合わせて全体の二分の一、こういう数字が示されております。この実態からいっても、五十万というものは大変な額である、こう思っておりまして、希望する団体がこの認可を得る上におきましては、やはり大きなハードルになっている、このようにも思うわけでございます。  そこで、長い間こうした活動で御経験をお持ちの辻元先生、この五十万ということについてお考えをお聞かせください。
  8. 辻元清美

    辻元議員 けさの公聴会でも私は意見を述べましたけれども、五十万円を設立時に用意しなければ設立ができないというのは、私は賛成できないと思っております。  といいますのは、今委員指摘のように、市民活動を行う団体はさまざまですし、自分の経験から照らし合わせても、やはり五十万円最初に積んで、それを通帳に入れてあるのを見せるのか、お金を持っていってほれありますよと見せるのか、ちょっとそのやり方は定かではございませんけれども、非常に厳しいのではないか。経企庁のアンケートにもそのような結果が出ていると認識しておりますので、私は、これは現状に即さないというふうに考えています。
  9. 大野松茂

    大野(松)委員 どの団体でも希望すればこの法人格取得できるという前提もございますので、私は、やはりこの与党案の方が団体皆さん方には受け入れやすいものだ、このようにも思っております。  次に、河村たかし先生お尋ねしたいところでございますが、先生は終始、この市民公益法人活動市民からの寄附金を主な財源としてやっていく、そして、世のため人のためにする寄附金納税者自由意思によって振り分けを可能にするのだ、このように答弁をされてまいりました。  新進党案を読みましても、この御答弁からつながるところの書き方はどこにも書いてないように思うわけでございますが、具体的にどのようなことがこの法案の中に書いてあるのか、お示しいただきたいと思います。
  10. 河村たかし

    河村(た)議員 大野先生の御質問でございますけれども、こういうことでございますので、これはまた後でお話ししますけれども、私ども税制改正案もきちっと提出しておりまして、本来ならばそれも同時に審議してやっていただかないと困るのですね、本当に。本当に困るのですよ。  言いますと、市民公益法人公益活動を行う民間団体である。その団体としての自主性を保つために財政基盤確立が不可欠であること、そのための優遇措置として、市民公益法人自主性が阻害されないよう、補助金制度ではなく寄附金制度を採用していることはこれまでも繰り返し答弁してきたところである。  この考え方が条文のどこにあらわれているのかという御質問でありますが、我が党は、百三十九国会において、ただいま御審議いただいている法案一体制度として、法人税法等の一部改正法案地方税法の一部改正法案の二本の法律案による税制改正提案させていただいております。ぜひよく読んでいただいて——だからこういう状況で採決するのはめちゃくちゃですよ、本当のことを言って。うち税法を実際出しているのだから。お願いしますよ、市民団体皆さんも。市民社会憲法をつくるときに、税法うちは出しているのに、出していることもわからない状況でなぜ採決されてしまうのですか。  寄附金控除中心とした市民公益法人に関する税制考え方を、この税制改正法案によって具体的措置として明確に示したところでございます。法人格付与について定めるこの法律案税制改正法律案とが一体となって新しい市民公益法人制度がつくられるものと考えており、税制改正に関する二本の法律案についても、関係委員会において一刻も早い審議の開始を望んでおります。  こういう現状でございますので、僕は、もし拙速に決められるとしたら非常に残念であって、こんな格好で市民社会憲法がスタートしていいものだろうか、本当に疑問を感じております。  以上でございます。
  11. 大野松茂

    大野(松)委員 今までの御答弁そのものの中で、もう既に寄附金ありきという答弁に終始されているのです、今まで先生お答えは。  もちろん、この法人税法地方税法改正について提案がされていることそのものは私も十分承知をしております。そしてまた、これが一体となっているものであろうことも十分承知をしているわけではありますけれども、今までの御答弁そのものの中でこうしたことを主張されながら答弁をされておりますので、そういう意味合いからしますと、私は、非常に理解がしにくいということを申し上げているわけでございます。  それで、もちろん新進党皆さん方も自信を持って提案されたものでもありますし、それが今日までの時間の経過の中で、さらには、一たん廃案になりながらもまた同じ法案を出したというのは、私は、それなりの決意をお持ちなんだろうと思いますし、そして、その中でこうして三つの案が皆様方と慎重な審議を重ねられているわけでありますから、その意味において私はお尋ねをしたわけでございます。  ともかく、先生のその熱意や意気込みというのは十分に私も感じ取っているわけでございますけれども、私が知らないからお尋ねしている、そういう言い方はまことに失礼な言い方でございまして、私も熱心に、この三つ法案の中でしかるべき法案早期に成立することを願っている立場でもありますので、御理解をいただきたいと思います。  それでは、次に移らせていただきますけれども平成九年の三月二十六日の朝日新聞がございます。この新聞の世論調査によりますと、NPOなどの団体に対して寄附をしてもいい、寄附する気持ちがあるというふうにお答えなすった方たちが五七%でございます。その気持ちがないという方が三六%、こういう数字を示しております。  その五七%の中でも、年間一万円までならという方が一九%、五千円までという方が九%、三千円まで六%、千円まで五%、こう回答されております。  また、寄附をする気持ちがないという回答の中で、それはどうしてですかという問いに対しましては、「お金を出す余裕がない」、これが一七%で最も多かった数字でございます。  この世論調査の結果を見ましても、寄附金をもって市民公益法人活動資金を賄うということ、これも大変厳しいものである、現段階では寄附金をもって活動するということ自体大変厳しい、不可能にも思うわけでございますが、その点について新進党のお立場お答えいただきます。
  12. 河村たかし

    河村(た)議員 私も、無論、活動資金の全部を寄附金でというふうには思っておりません。現に、米国の調査においても、大体そういう団体活動資金の半分が事業収入で、三割が補助金的なもの、あと二割が寄附金ということで、公的な資金の中の二割程度ですか、それによっていわゆる競争が巻き起こってくる、そういう制度を考えております。  それと、風土的なこともおっしゃられるかもわかりませんけれども日本の風土で寄附金が育たないのではないかということは、僕は、これはやはりとんでもない間違いじゃないかなと思っております。あの阪神大震災にすごい金額日本人寄附しました。それから、重油回収の問題でもすごい寄附をいたしました。  だから、日本人というのは、本当に、助け合いの文化というのはすごく発達しているので、それに対する寄附金控除制度をつくっていないことが、また、寄附金控除が、何遍も言いますけれども、その団体の経理の公開とか、それからその寄附をしたということの書類が課税当局に上がることによってかえって脱税を防止する、そういう制度がきちっとないことが何か今議論が進まない理由でございまして、そういう寄附金控除制度を設ければ日本こそ最大寄附金王国になるのではないか、そういうふうに十分言える、僕はそんなふうに思っております。
  13. 大野松茂

    大野(松)委員 寄附の集め方、その中でもいろいろな市民皆さん方の御理解が必要なことでもありますし、そしてまた、今までいろいろな団体皆さん方もこうしたことに御苦労をされてきたわけでございますが、寄附金をもってすべてこうしたことが進むのだというふうな前提先生お答えは終始しているわけなのです。ですから、それだけがすべてでないというしかるべき御答弁をいただかないと、寄附金がなければもう動かないような言い方になってしまいますので、その点を私は改めて今お尋ねしたわけでございます。よくわかりました。(河村(た)議員「いいですか」と呼ぶ)いいです。わかりました。  ところで、せんだっての土曜、日曜日、私の地元にもたくさんの行事がありました。参加した会合の先々でこのNPO法案について問いかけもいたしましたが、皆さんの関心の高さ、期待の大きさを極めて強く感じました。  実は、私は以前、二十年ほど前になりますが、埼玉県下で先駆けまして市のボランティアセンターの創立に参画をいたしまして、長らくその運営委員長も務めてまいりました。ボランティアセンターは、福祉社会教育、また町づくり中心としたボランティア育成育成団体相互連絡調整機関でございますが、いわゆる市民活動団体苦労は、私はいまだにその活動団体構成員の一人でもありますので痛いほど承知をしております。  自主的に地道にこつこつと活動を積み上げて、地域に欠かせない存在として市民の厚い信頼の中にいる多くの団体を私は知っております。多忙な、しかも職場では欠かせないような立場にありながらも時間をつくり出して活動に参加をしている人、活動そのものには都合で参加できないけれども、多様なアイデアを提供したり、あるいは企画に加わって裏方に徹してくだすっている人もおられます。そしてまた、わずかですがと言いながら、お金を提供したり物を寄附してくれる人もおいででございます。さらには資金を率先して募ってくれる人、こういう力と知恵と浄財とが一体となって、そしてさまざまな苦労を重ねながらも喜々として活動を展開しておられます。  これらの人たち活動をさらに力づけるのが市民認知、さらに言えば行政認知でございます。その形のあらわれが行政からの補助金である、私はこう思っております。補助金交付団体となるためには、長年の実績継続性が問われます。決して市町村長の気まぐれや選挙目当てで行われるものではない、公平、公正なものと思っております。団体にとっては、補助金の多寡ではなく、補助金交付団体としてその活動の質が市民からまた行政から認められた何よりのあかしであるからでございます。行政からの、言うなればお墨つき活動信頼を高め、幅をさらに広げております。  大方の市民活動団体はこうして活動を続けております。そして、こんな過程を経て、十人の活動が三十人の活動になり、五十人のあるいはまた百人の活動にと広がり、また団体としての活動へと広がっているのが現状であると認識しております。そして、こうした活動がいわゆるNPO活動の礎になっている、私はこうも思っております。私は、さらに力を増し、活動に幅や深みを増す上で、法人格付与こそが国が公益団体として認知をするあかしである、こう思っております。  この私の認識について、提案者のお立場から簡単に御所見をお伺いいたします。
  14. 熊代昭彦

    熊代議員 与党提出いたしました市民活動促進法案は、基本的には公益に資するということで認証を受けるということでそれなり信用付与ということがあると思いますが、基本財産規定もありませんし、年間収入規定もないわけでございますので、基本的には情報開示によって、それぞれの人がその情報を見て、その公益性というのもそしてその信用度というのも判断していただきましょう、そしてその情報開示に非常に重きを置いているわけでございます。  行政の方がこれをどのように評価するかということでございますが、それは、行政が見ておりまして、なるほど認証を得て情報開示をするという団体は見ていると違うな、こういうふうに、実績を上げてくれば行政の方がこれは補助金の対象として適当だというふうに判断されると思います。いろいろな団体がありまして、そういう実績を上げない、社会的な信用も得ないということであれば行政の方の判断も鈍るということであろうと思いますが、基本的には、先生の御指摘のように、公的認証情報開示ということがそろっていきますと、それだけの公的な信用力が増してくるということであろうというふうに思います。
  15. 河村たかし

    河村(た)議員 補助金交付団体との関係ということでございますね。  私どもは、何遍も言っておりますけれども、小さな政府ということになりますけれども、それは、従来型といいますか、一たん全部お金が上がってきて、それでこういうふうにおりてくるのではなくて、それであれば官と民と結局いろいろな団体をつくってもお金が全部同じルーツですから、そうではなくて、官民公、真の第三セクターづくりを目指しております。  やはり寄附金による競争がある、いいところへは寄附するけれども悪いところへは寄附しない、ここが私どもの一番特色でございまして、そこは、先ほど先生指摘のように、全部寄附金でやるという意味ではありません。補助金も必要なところは当然行くであろう。しかし、寄附金というものをしっかり入れていかないと、やはりそこの部分に競争が働かないということでございます。  それで、市民公益法人公益活動を行う民間団体であり、その団体としての自主性を保つために財政基盤確立が不可欠であるとしても、そのための優遇措置としてすべて補助金制度をとることは適当ではないと考えております。補助金制度による優遇措置は、補助を受けるために行政の定める補助要項に従った活動を行うことが必要になるなど、その活動に官の支配が入り込むことになりかねません。  そこで、我が党案では、市民公益法人自主性が阻害されないよう、補助金制度ではなく寄附金制度中心とした優遇措置を考えている、こういうことでございます。
  16. 木島日出夫

    木島議員 私どもは、基本的に補助金を交付すべき団体とその団体法人格を持っているかどうかは、一応は別問題だとは考えております。しかし現実には、補助金を交付されておる団体は、地方公共団体いわゆる官民両方でつくっている第三セクター特殊法人公益法人に限られているようであります。  そういう現状を踏まえ、また、経済企画庁株式会社住信基礎研究所委託研究をさせた結果、平成七年度に発表された市民公益団体実態把握調査委託調査結果報告書によりますと、法人格取得するその必要を感じる理由が回答されているのですが、最大理由が、「寄付金公的援助補助金等)を受けやすい」、これが六五・三%と最大法人格が欲しいという理由になっております。こういう現状、まことにむべなるかなと思います。  そういう意味で、私ども法案は、準則主義に基づいて幅広く法人格付与して、そしてこれらの皆さんが少しでも補助金を受けられやすくするような、そんな法律をつくっていきたいものだと考えています。  以上です。
  17. 大野松茂

    大野(松)委員 こうしてNPO団体それぞれを認めていただく、その過程の中では、やはり市町村段階ではこういう活動の積み上げがあって、そしてまた、その組織の中でさらにさらに大きくなりながら、あるいはまた大いに頑張りながら、この法人格を得ようとしているわけでありますから、私が申し上げているのは補助金の多寡をどうこう言うのじゃなくて、そういう形で市町村が今日まで認知をしてきた、認めてきた、それと同じような形で、これからもさらにたくさんのこうした公益のために尽力をされる団体がふえるということに私ども期待をいたしますし、また、そのことが大事なことであろうというふうにも思っております。  ともかく、先般の活動団体調査報告書を見ましても、一万を超える団体皆さん方取得を既に希望しているということでもありますし、今お話がございましたように、法人格を望む理由で最も多いのは、社会的な信用が高まる、あるいはまた寄附や公的補助を受けやすい、営利目的の活動でないことを理解してもらえる、こういうことが法人格を希望することの大きな理由にもなっておりますので、これらをさらにまた私ども承知をしていかなければいけない、こう思っております。  いずれにいたしましても、今後、税制上の優遇措置の問題、あるいはまた寄附者への免税制度の問題、あるいは活動団体にしますと郵便料金の低減などの問題、こんないろいろな要望がこれから出てくるのだろうと思いますが、先ほどの公述人の御発言にもございましたが、法制的、税制的環境が一朝一夕にしてできるものではない、こうもおっしゃっておられますので、三年後の見直しに当たって、これらを十分に検討していただきますようにお願いをするところでもございます。  市民活動団体市民生活への深いかかわり合いの中で、熱心な活動実態、そして法人格への強い願いを受けとめて、二十一世紀社会への大きな期待を込めて本委員会でも熱心な審議が続けられてまいりました。一日も早い成立、今国会での成立をたくさんの関係団体皆さん期待しております。一刻も早い成立を願って私の質問を終わります。
  18. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、渡辺博道君。
  19. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 自由民主党の渡辺博道でございます。大野議員の後を引き継いで、残り時間あと十二分ぐらいしかございません、端的に質問させていただきたいと存じます。  実は、午前中に公述人の皆様方からいろいろな御意見をお伺いしたわけでございますが、この中でやはり論点は一つに尽きているのじゃないかというふうに私は思っておるわけでございます。それは、例えば最後の伊藤公述人がお話しになりました、新進党案、大変結構だ、いいのだけれども、どうしてもこの部分がということで言われたのが地域性でございます。この問題はやはり避けては通れない問題だというふうに思うわけであります。  そこで、お伺いさせていただきますが、この法律新進党案におきます目的並びに定義、この中にも、すべてが、「地域社会においてその住民が自主的かつ積極的に参加して行う市民公益活動を推進するため、」という目的があります。この地域社会というとらえ方でございますが、どのように認識していらっしゃるのか、まずお伺いさせていただきます。
  20. 上田清司

    上田(清)議員 法案の中にも示しておりますように、民法とのすみ分けをどうするかということで、私どもは、地域基盤という、地域基盤性という概念を出しまして、地域社会の意味合いをきちっと定義づけて、そして民法とのすみ分けを決める、そういう仕組みにしておるところであります。
  21. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 民法とのすみ分けという話でございますが、実は、地域性を、極端に言うならば、地方自治法におきます地縁による団体というものがあるのですね。二百六十条の二というところでございますが、まさに地縁に基づいて団体を認めるというような内容であります。これは特に町会の関係などでよく法人化されるということで認められている部分でありますけれども地域性をどの程度まで考えていらっしゃるのか、その辺をちょっと具体的にお話をお伺いしたいのです。
  22. 上田清司

    上田(清)議員 これは、新進党案が出されたときからずっと一貫して誤解を受けている部分がありますが、地域地域と言っておりますので、特に知事の認可、認証ということでもありましたから、どうしても県内のイメージによくとらわれておられたわけですけれども、私どもは、あくまで主たる活動地域がそのエリアだということで、そこを主たる活動にしながら、県外に行こうと、海外に行こうと、何らそのことを妨げるものではないということを再三再四言っておりますので、そういう意味でぜひとらえていただきたいというように思います。
  23. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 そうしますと、今のお答えですと、まず原則県内ということでございますね。
  24. 上田清司

    上田(清)議員 原則県内という意味ではありません。そういうイメージでとらえられておりますけれども、主たる基盤がどこかということで地域限定という形であります。したがって、主たる基盤以外にいろいろな展開があってしかるべきですから、殊さら県内というふうに意味をとらえているわけではありません。
  25. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 済みません。よくわからないのでございまして、例えば、目的の中にありますけれども、「住民が地域社会の構成員としての自覚と責任に基づいて」ということでございますが、「住民が」という概念が使われておるのです。市民ではありません、「住民が」。ということであれば、これは住民というのはある程度地域の限定というのが当然あってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  26. 河村たかし

    河村(た)議員 先ほどの話ですけれども、ちょっと戻りますけれども地域基盤ということであって地域限定じゃないのですよ。これは何遍も今まで答弁しておりますけれども、海外や県外でいろいろな活動をしていただいても、皆さん実際にやっているのですけれども地域の例えば県内で広報を発行したりシンポジウムをやったり、そういうことをやって、その地域住民の皆さん、そういう意味で住民、地域住民の皆さんの例えば国際的活動だったら国際的理解の増進に寄与する行為があればいいということですね。  だから、知事がやるというのが一番いいじゃないかというふうに一応判断しておるわけですよ。なぜかというと、知事というのは選挙で選ばれますので、議会もありますから、だから知事が判断できるような状況にしていってほしい、こういうような政策ということでございます。
  27. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 頭が悪いのかもわかりませんが、よくわかりません。  もう一点、ここの中で「社員の過半数が、当該団体の主たる事務所の所在地の都道府県の区域に住所を有する者であること。」並びに「役員の三分の二以上が、」云々という文言がございます。これについては、やはりかなり制約があるというふうに思うわけでありますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  28. 河村たかし

    河村(た)議員 先ほども公聴会である方が、このことさえなければすばらしい法案だというお話がございまして、社員の過半数の方は削除する、もうすぐ修正案を出しますけれども、用意をしております、「社員の過半数が、」という要件ですね。それで、役員の方ですね、役員の三分の二については過半数までおろすというつもりでおります。  要するに、地域を基盤にしてということですから、やはり住民の参加というのが一つのメルクマールになるわけですよ。しかし、いろいろな多様な活動がありますから——僕たちはなぜそうしたかというと、半分とか三分の二にすれば非常に通りにくいと思われるかもわかりませんけれども実態上は、知事なりそういう人の恣意的判断が入らない、きちっとそうすればいいですからね。だから、極力、官の介入を除くためにそういう要件をつくったのでありまして、いろいろな市民団体からの要請もございましたから、住民の要件については削除して、団体としてやはり地域の方が盛り上げているんだなということがわかれば結構じゃないか、そんな規定にさせていただくつもりでございます。
  29. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 修正することにやぶさかでないというお話でございますが、であれば、すべてを削除していただいた方がよろしいのではないかというふうに私は思うわけであります。  やはり先ほどの、午前中の公述人のお話がございました。この規定があることによって我々は現に認証を受けられないのではないかというような発言があるわけです。文言で書いてあること自体が極めて大きなハードルになっているということもまた事実だと思うのです。いわゆる市民活動憲法だとおっしゃるのであれば、皆さん方の御意見を素直にお受けいただいて、この部分の削除は考えられませんか。お願いいたします。
  30. 河村たかし

    河村(た)議員 そういう要件与党案にも、いわゆる報酬を受ける方の数が盛ってあります。  ここはやはり本当は取りたいのですよ、はっきり言えば。本当はそんなことはいいのですよ。できれば、その県に主たる事務所があると本当はしたいのです。だけれども、やはり地方分権がなかなかそこまで進んでいない。うちは愛知ですけれども、では愛知県に事務所があって完全に全国、世界でやっている団体を、それを愛知県知事が評価できるかというと、今のところでは残念ながらそこまで地方分権は進んでいないということもあります。また、民法とのすみ分けという、これまた情けない議論ですけれども、だから、その話の中で一定ぎりぎりの最低のところはつけたということでございます。  僕は、役員の過半数であればそれほど無理でもないし、申しわけないけれども、目的限定をするよりは非常にわかりやすくて、市民団体の自主自立を守るためには、それと比べれば使いやすい規定なのではないかな、そんなふうに思っております。
  31. 渡辺博道

    ○渡辺(博)委員 ぜひとも素直なお気持ちになりまして、本当に自分がそう思っているのであれば歩み寄っていただきたいと思うわけでございます。  あくまでも民法の特別法という性格づけ、そこから構成されているという一つの法技術の問題として取り上げている。私はそれは逆だと思うのです。やはり、市民の要望というものが第一義的にあって、そしてそれをどういう形で実現していくか、そういう方向で考えていただきたいというふうに思うわけであります。そうすることによって、やはりこの市民活動促進法案、だれもが早く実現を望んでいる、これにぜひとも道筋を与えていただきたいわけでございます。  私は、こういったNPOの問題については全党一致してやっていくことが、これからの将来、日本の新しいシステムを構築するためには一番大事なことではないかというふうに思うわけでございます。どうかそういった意味においても、新進党皆様方が大変御苦労なさっていることはわかります、でも、市民皆様方の声をぜひとも素直に聞いていただいて、全会一致で通していただくことを御祈念申し上げまして、終わりとさせていただきます。ありがとうございました。
  32. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、富田茂之君。
  33. 富田茂之

    富田委員 新進党富田茂之でございます。  私は、このNPO法案に関しまして、そちらに座っていらっしゃる河村たかしさんに一緒にやらないかと言われて、もう三年近くになりますか、今度こういうのを考えているんだがというふうに言われて、法律家も必要だということで、私がたまたま弁護士出身ということで河村さんにチームに入れていただきまして、新進党案を一緒につくり、また提案者にさせていただいた一人でございます。  この委員会で質問をさせていただける、内閣委員会のメンバーでないのに質問をさせていただけるということに、委員長初め各党の理事委員の皆様に感謝申し上げます。  私の方から、まず税制優遇措置税制支援措置について、今後どういうふうに各党の協議が進んでいくのか、いろいろ修正のお話が出ているようでありますが、本当にそれが実現するのかなということについて、まずお尋ねしたいと思います。  私は、今質問に立たれました渡辺先生と同じ千葉県の出身であります。千葉県子ども劇場おやこ劇場連絡会、ここのお母さん方は本当にNPO法案に関して熱心な活動をされております。新進党がさきに法案提出しましたときも、何度も国会に来られて、多分、渡辺先生の事務所にも行かれたと思うのですが、早くNPO法案をつくってもらいたい、国会の方で審議してもらいたいということで一生懸命活動されている皆さんであります。  先ほど午前中に公述人の一人として参加されておりました芸術文化振興連絡会議、PANの方からのNPO法案の修正に関する緊急提案というのを、この子ども劇場の皆さんからいただきました。午前中の審議は途中から参加させていただいたのですが、そのときにPANの方で、やはり同じ資料を参考資料ということで出されておりました。  内閣委員会中央公聴会意見陳述関連資料、この中にもありましたけれども、要望内容として、まず「第四十六条「税制上の特例」について」、こういうふうに御要望されておりました。「「寄付金控除等の税制上の優遇措置を講ずる」ことを条文に規定する。」その理由として、「「活動の限定列挙」や「行政の監督」を一定認める以上、税制優遇に関する規定は最も重要な不可欠の課題である。検討する期限を設定し、「寄付金控除等の税制上の優遇措置を講ずる」ことを明確に規定し、早急に税制改正を検討していく必要がある。」こういうふうに意見を述べられておりました。  この点はもう何度も質問されたと思うのですが、提案者熊代先生に、この要望を現段階でどう受けとめられているか、ちょっと御意見を伺いたいと思います。
  34. 熊代昭彦

    熊代議員 与党市民活動促進法案の附則の二条に、先生も御承知のとおりでございますが、「市民活動法人制度については、この法律の施行の日から起算して三年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。」と書いております。  三年という期限を切っておりますので、三年でやるためには、二年以内に結論を出さないといかぬのではないか。その中身に税制が入らないというのはおかしい。必ず入るわけでございますね。税制のみならず、非常に広い範囲内で検討をやりまして、二年以内に根本的な検討を加えて、そして三年以内にはその措置を講じようということはるる御答弁申し上げたところでございます。  ここが一番重要であれば、新進党さんもその中身を理解されてぜひ我々の提案に乗っていただきたい、そういう気持ちを込めてはっきりと御答弁を申し上げているところでございます。よろしくお願いします。
  35. 富田茂之

    富田委員 辻元さんにも。同じ質問ですが。
  36. 辻元清美

    辻元議員 今、熊代議員お答えになりましたけれども、この与党案作成に当たりましても随分議論をしました。それから今議員がお示しになられましたPANの方々やおやこ劇場の方々とも、延べ何時間話したでしょうか。私の方にもその要望書は届いておりますし、その意見も含めて議論した結果が今に至っているわけなんです。  ですから実際に、その二年、そして結論を得て、三年後の見直しのときにきっちりしたものを私たち会議員の間で示そうじゃないか、そういうことをこの内閣委員会の総意として附帯等でぜひ対応していただきたいと思いますので、ぜひ議員も御協力いただければと強く願っておりますが、いかがでしょうか。
  37. 富田茂之

    富田委員 きちんとそういうふうになっていくんであれば、それはもう新進党も全面的に協力すると思うんですけれども、一つやはり心配な点があるんですよ。  それはなぜかと申しますと、提案者熊代先生は御記憶だと思うんですが、平成七年の十二月八日、新進党NPO法案が衆議院の本会議で趣旨説明と、熊代先生が代表質問されて質疑になりました。そのときに熊代先生はこういうふうにおっしゃっているんですよ。新進党案はだめだというふうにるる述べられる中で、   なかんずく、税法上の優遇措置は最も重要な施策の一つでありますが、新進党案にはそれ抽象的に述べられているだけで、具体的な中身が取り込まれていません。 こういうふうに批判されているんですね。  確かに、このとき新進党案は、NPO法案本体だけ提出しておりまして、税制法案法人税法改正案と地方税法改正案は翌年の五月になりました、提出が。その点を熊代先生は批判されたんですが、先生はその後に、   我々与党の案は、市民活動法人認証により、収益事業のみに課税し、非収益事業部分の非課税を確立するとともに、その悪用を防ぐ措置を十分入れております。さらに、公益性が非常に高いものとして三年間実績をもとに都道府県知事の認定を受ければ、現在の民法法人並みの税法上の優遇を受けることができる。さらに、著しく公益に貢献していると知事に認められれば、特定公益増進法人と同じ税法上の特典を受けることができることとしております。 当時、こういう案を考えられていたと思うんですよ。こういうふうに述べられた後、先生は最後にこういうふうに結論づけられております。   最後に、我々与党は、十二分に検討したものを、税制上その他の促進策をしっかりと取り込んだ法案として次の通常国会提出し、何千万という市民が生き生きとボランティア活動その他の市民活動に取り組むことのできる新しい日本をつくり出していく決意であることを御披露し、質問を終わるものであります。 これは、次の国会というのは、実は去年の通常国会ですね。  こういうふうに党を代表して質問をされておりながら、やはり先送り先送りになっていく、出てきた法案には本当に税制支援措置というものが明確に織り込まれていない、これからまたみんなで検討しましょうよということでは、これは今NPO法案に関してこれだけの市民団体の方が興味を持ってどっと押し寄せてきたからここまで審議が盛り上がってきたのかもしれませんけれども、これまでの経過を見る限りは、附則にああいう規定があるからと熊代先生は答えられても、本当にそれは実現できるのかな、ここの疑念があります。熊代先生、その点はどうですか。
  38. 熊代昭彦

    熊代議員 正確に私が答弁した言葉どおりかどうかは知りませんが、御指摘のようなことを朗々と申し上げたことは間違いないことでございまして、それは率直に認めますが、この附則に書いてある三年というのはそのときの趣旨と同じでございまして、二年間実績を見て、それで三年目に普通の公益法人並みの税法上の優遇措置をとる。それは、収益事業が二七%になるということですね、三七・五%じゃなくて二七%になる。それから、税金を計算する前のみなし寄附控除二〇%を認める。こういうところでまず普通の公益法人並みになる。それから、利子や配当の非課税ですね。それが第一段階で、それからもう一つは、特定公益増進法人のように、寄附した方の方が寄附控除がある、法人も個人も。  その二段階にしまして、とりあえず今ここにありますものと、それから公益法人並み、特増並みと三段ロケットで法案を出すということであったんですが、これはやはりいろいろ問題がございまして、特に新進党さんの余りに意欲的な法案が出まして、これは大変なことじゃないか、ちょっと、既存の法律体系と全然違うというようなこともございまして、やはりこれまでの公益法人制度と特増制度も踏まえてNPO法制も定めないといけない。  私ども、とりあえず法律の本文の中にはっきりと、法人格を取っても人格なき社団並みにする。取ってもというのは、法人格を普通取るだけでしたら営利法人並みに寄附金もそれから会費も原則課税になる。しかし、法人格を取ってもそれを原則非課税にしましたから、代表者にこれまでは課税されるということが多かったわけですけれども、そういったことは一切心配しなくていいという状況になりますので、法人格を取って、しかも会費と寄附が非課税扱いであるということは、一つの大きな特典だろうと思います。  私どもが意図したものは、抽象的な表現ではありますけれども、附則の二項にはっきりと入っておりますし、それを実現するという意欲においていささかも衰えておりませんし、必ず実現できると思っております。
  39. 富田茂之

    富田委員 熊代先生の熱意をもってすれば絶対実現できると思うんですが、その熊代先生の熱意をもってしても今回の与党法案にしかならなかったというのは、これは勘ぐりかもしれませんけれども、やはり大蔵省の抵抗が強かったんじゃないか。  実は、ちょっと今いなくなってしまいましたが、河村たかしさんが昨年の通常国会最終盤、六月十八日、今でも覚えています。大蔵委員会で法人税法の一部改正案、地方行政委員会で地方税法の一部改正案が物の見事に廃案にされました。提案理由の説明だけ両委員会は聞いてくれたんですね。河村さんとそこにいらっしゃる上田清司さんが提案理由の説明だけした。何の審議もせずに廃案にしました。一生懸命つくって出した法案なんですから、ここがまずいとかいろいろ言われた上で廃案になるならまだわかりますけれども、何の審議もなかった。  そのときに、河村さんは、実は大蔵省のある方からこんなことを言われているんです。これは去年の十一月十三日付の読売新聞が一面で書いているんですね。こういうふうになっていますね。河村議員は大蔵幹部からこんな言葉を投げつけられた。「税金はすべて税務署に納めてもらい、大蔵省が配分する。木に竹を接ぐようなことはできない」。これは、河村さんが言われたことを恐らくマスコミの方に話されて、こういう記事になったと思うんですけれども、やはり、ここの抵抗を本当に乗り越えて、附則にあるような条文だけでやっていけるのかという、ここが大問題なんだと思うんですね。  全党挙げてそこに取り組むんだというふうな機運はできてきているんですけれども、やはり与党にその責任は大きいと思うんですよ。熊代先生が言われたように、三段ロケットを今回の法案でぼんと出していたら、やはりまた全然イメージが違ったと思うんですね。だから、附則の規定だけで大丈夫だというのは、私どもは非常に心配しております。やはり条文上きちんと税制の措置について、いつまでにこういうふうにやるんだというのを、せっかく修正を予定されているんならやるべきではないかなと私自身は思います。  この点に関して、提案者辻元先生にちょっともう一つお伺いしたいんですが、先生の所属される社会民主党の市民活動促進プロジェクトチームは、ことしの三月十三日に市民活動促進法に向けた基本的考え方というのを発表されました。その第三項に「市民団体から強い要望のある税制上の優遇措置に関しては、残念ながら与党案には含まれていない。税制上の優遇措置を明確におり込むことが市民期待に応えるための必須条件である。」そして「わが党はこれらの点で与党案を修正するべく各党に働きかけていく。」というふうに高らかに宣言されております。  また、辻元先生のお言葉がことしの一月二十一日付の朝日新聞に載っておりまして、私、この記事を読んで、こういうふうに頑張っている先生与党の側にいるというのは非常に頼もしいなと思ったんですね。先生の言葉として、「廃案にするぐらいの覚悟で審議に臨みます」。また「ぎりぎりのところで交渉しているんやけど。つらいな」と漏らしているというふうに朝日新聞は伝えていました。これは、でも、先生に頑張ってもらいたいという記事だったんですね、先生も覚えていらっしゃると思いますけれども。  社民党のこのプロジェクトチームが発表した基本的考え方というのは、現段階ではこれは放棄されてしまっているんですか。先ほど午前中の審議の中では、先生は十七カ所、一生懸命頑張って修正あるいはその方向で動いているとおっしゃいましたけれども、少なくともこの税制上の措置については前進しているというふうには私には思えないんですが、先生はその点どういうふうに思われますか。
  40. 辻元清美

    辻元議員 まず最初に、前から新進党皆さんが頑張ってこられた、私が国会に来る前から頑張ってこられたお話は、外で聞いておりました。それに対しては敬意を表したいと思います。審議されなかったというお話がございましたけれども、そのときも非常に残念な思いをされたと思います。という意味で、今回審議されたということは、物すごく大きいことだというふうに私は思っております。最後まで審議したくないという政党もどうもあったようなんですけれども審議に入れたということを私は物すごく高く評価していることを、まず最初に申し上げたいと思います。  それで、今の御指摘の点なんです。まず、私のこの記事なんですけれども、私もちょうど持っているのです。これは、一月十五日、正月明けですね。もうほんまにこのときはつらいときでした。与党の中で、自社さで折衝を続けてきた、そのときの記事です。この中身は、実際には先ほど議員がおっしゃいました十七カ所等のことについても議論いたしましたし、それから税制のことについても議論いたしました。そのときに、私は一番気になっていたのは、管理のところですね、管理監督をどういうふうに市民の側に立った法文に変えていくのかということ、ここが私にとって一番つらかった一つのポイントです。それともう一つは、税等、実質的にどのようにこれから市民活動活動しやすいお金の運営ができるのか、この二つでした。  ちょうどその次に、一月二十一日、これは二十一日と書いてある、十五日ですよ、多分同じ記事だと思うのですけれども。関西と関東でちょっと出た日が違うかもしれませんけれども、その後に、三月に社民党で最後、税についてさまざまな、先ほどのPANの皆さんとも意見交換しまして、やはりそこを何とか道筋をつけてほしいという要望がたくさん来ておりましたので、党としましても、「与党案を修正するべく各党に働きかけていく。」この「各党」というのは、与党の中ですので自由民主党とさきがけの皆さんと調整をかけていきたいということで、これは実際に何時間もかけて、どのようなところに着地点を持つのかという議論はやってきたわけなんです。  確かに、今すぐ税の優遇措置をつくれるかといったら、私は、最初は国会に入ってきたときは、その他の法案等の検討というのはよくわかりませんでしたので、できるんちゃうかという希望を持って来たのですが、ほかの法案との整合性や市民団体皆さんの要望なんかを吟味していくと、やはり検討期間が要るなというふうに自分自身でも納得いたしました。  そういう意味で、「修正するべく各党に働きかけていく。」というこの最後の部分は、働きかけは十分したつもりです。それで不十分だとおっしゃるのだったら、熊代さんに聞いていただければわかると思うのですが、私は何回も、はっきり言ってどなり合いまではいっていませんけれども、大分うるさかったと思うのですが、働きかけていくということは十分果たしたのではないか、そして、今の結論に至っているのではないかというふうに思っておりますので、これから先、私は、超党派でぜひその働きかけを実現すべくやっていきたいと思います。  先ほどの公聴会の話で、今までの暗い歴史という運動団体の話も聞いたわけなんですが、私は、国会議員で来たばかりだから希望を持っているのかもしれないけれども、私らでやってできぬわけがないやろと実は思っておりますので、ぜひ足並みをそろえていただきたいなと切なる願いを持っております。
  41. 富田茂之

    富田委員 今の熱意を絶対失っていただきたくないなというのが一つと、ちょっと辻元先生に水をかけるようで申しわけないのですが、実は今も名前が出ておりましたPANの方たち中心になって、去年の三月ですか、約七十三万名の署名を集めて、このNPO法の早期制定を求めた請願をされました。この請願は、ちょっと事務方の方で調べていただきましたら、実は、自由民主党百四十八件、新進党百三十六件、社会民主党・護憲連合六十二件、新党さきがけ十八件、日本共産党十五件、市民リーグ・民改連八件、無所属三件、自由連合二件、新社会党・平和連合二件、合計三百九十四件、要するにこれだけの紹介人がいて、去年の三月に請願がされたのですね。  ところが、三月にこれだけの請願の紹介人になりながら、この請願がこの内閣委員会であっさり否決されてしまっているのですよ、六月に。新進党や共産党は反対しました。だけど、これだけの人数、これだけの議員さんが、みんなそれぞれの地元からいろいろな方に頼まれて、その趣旨に賛成して紹介になったと思うのですね。それがあっさり、三月にやったものが六月に否決される。それとあわせて、新進党案税制の方が廃案にされた。同じ日に廃案にされたのですね。  そういう経過を見ていますと、今熊代先生のように三段ロケットも考えている、それで辻元先生のように物すごい熱心に、一生懸命社民党から自民党にも働きかけているんだ、そういうのはわかるのですけれども、附則にこういうふうにあるから、これだけで大丈夫ですよというふうにはとても思えない。人間の心というのはやはり変わってしまうのですよ、そのときの状況で。  だから、そういう点を含めて、ぜひ両先生与党の中に今いらっしゃるわけですから、午前中辻元先生が、いいことは全部できると思って国会に来たけれども、やはり五百人の中で賛成を得ていかなければならない、そういうのは現実問題として大変だと。我々は、もう野党でずっと言い続けますので、与党にいらっしゃる方がやはりきちんとそこを受けとめていただいて、絶対これは変えていくんだという意思をなくさないでいただきたいな。  物すごい期待いたしますので、やはりきちんとした規定で入れないと、熊代先生は「市民活動法人制度については、この法律の施行の日から起算して三年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。」この規定の中に全部読み込めるのだとおっしゃいましたけれども、やはりこの規定はどういうふうにも、また逆にも読み込めるのですよ。税制関係ないよ、明確にうたってないじゃないかというふうに言われてしまえば、そのときに、ああ、やはりもともとそういう立法趣旨だったのかというふうに言われる可能性もまだあるわけです。  だから、今回何か修正を考えられているというのであれば、そこがもう少し明確になるような修正をぜひ与党皆さんも考えられて、そうすれば、数で成立していくというのは、新進党はやはりそこに、河村さんは修正に応ずるのはやぶさかでないと言われているわけですから、共同していい法案になっていくのじゃないかというふうに私自身は思っております。  この点ばかりやっていると時間がなくなりますので、次に与党案の第二条第二項第二号、いわゆる政治や宗教等について制限していると言われる規定ですが、この規定についてお尋ねしたいと思います。  ここでは「その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。」ということで、イ、ロ、ハと三項にわたって規定されております。このような制限規定を設けた趣旨というのをもう一度ちょっと明確にお述べいただきたいと思うのですが、これは与党案、どなたでも結構ですので。
  42. 熊代昭彦

    熊代議員 お答えする前に、先ほどの件でございますけれども、附則に税の文字が入れば新進党さんももろ手を挙げて賛成して一緒に努力するという御提案があれば、話はまた違うのだがなという気がいたしますが、それは別といたしまして、今の話でございます。  これはイ、ロ、ハと書いてございまして、イについては宗教法人法がございます。宗教法人法は、もう認証でありますから、すみ分けですね。宗教法人法は、民法のすみ分けを宗教という目的に限ってすみ分けたわけですので、それに認証制度がありまして、境内建物がなければ認証されないということになっていますけれども、境内建物があったら認証するかしないかは、それは宗教法人法でお決めになることでありますから、私どもは宗教を特別扱いする意思はございませんが、民法とのすみ分けで宗教は既にすみ分けの認証制度があるわけでございますので、これは外させていただく、そういう趣旨でございます。  それから、政治資金は、政治資金規正法とかあるいは政治団体法人格取得法、正確な名前は今あれですが、ございますが、「政治上の主義を推進し、支持し、」ということで、これは政治団体法人格を与えないけれども、極めて簡単な要件税制、所得控除とか損金算入とかを認めております。そういうこともございまして、それは政治資金の体系でやっていただきたいということでありまして、これもすみ分けでありますけれども、ただ、その施策がここで抜けているわけですね。施策が抜けておりまして、それはなぜかというと、施策になりますと、こちらにあります市民活動促進法案でありますいろいろな十一項目の推進の中身とオーバーラップしてまいる面があると思います。正確には区別できるかと思うのですけれども、いろいろ御心配の面もありますから、それでは御心配のところは抜きましょうと。やはり一番イデオロギー、イデオロギーだけのところで、それは政治資金などの政治団体の体系でやっていただきたい。  最後は、特定の公職の候補者を推薦したり、それから反対したりしない。これは、他の法にも事例がございまして、公益をうたうならば一応政治と離れて活動をしていただく、もし政治活動を個々人の意思でやられるならば、そしてそれをグループでやられるならば、何々政治連盟というのを別個につくっていただければいいわけですから、それはけじめをつけていただきたい、そういう趣旨でございます。
  43. 富田茂之

    富田委員 今の御趣旨で、宗教とか政治は、宗教は宗教法人法の方、政治については政治資金規正法の体系の中でやられるという御趣旨だと思うのですが、この法案で言う「主たる目的とする」というところを、今の趣旨からいってどのように判断されるのか。また、具体的に認証の申請があったときに、申請時にどうやって判断するのだというところについてはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  44. 熊代昭彦

    熊代議員 確かに、御指摘のように、主たる目的であってはいけない、従たる目的であればいいということでございまして、それはどこでするかというとコモンセンスの問題でありますけれども、もし量的にやるならば、四九・九九%までは従たる目的で、五〇%以上であれば主たる目的であるということでございますね。  どう判断するかというのは、一義的には申請される人の御意思でございまして、申請される人がこうだ、こう言ってこられると、ほかに特段の理由がありましたら、我々の制度は一月の公示期間を設けてありますので、その公示を見て、あの団体は全然違いますよという話が来れば格別としまして、原則として書類で審査いたしまして、それで申請者の御意思を尊重する審査ということになろうと思います。ですから、どういうことを主たる目的でやろうとされるかということが一番大切なことだと思います。
  45. 富田茂之

    富田委員 申請時は書面主義だという御答弁でしたけれども、今熊代先生の方から従たる目的という言葉が出てきましたけれども、主たる目的、従たる目的というその概念はありますよね、主従。  この法案関係すると思うのですが、政治資金規正法の第三条ではこういうふうに言っていますね、「この法律において「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。」と。一として、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」。「本来の目的とする団体」と言っています。また、二号で、「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」というふうに規定しています。それで、三号で、「前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体」ということで、イ、ロとして、イとして、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。」ロとして、「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。」こういうふうに規定しています。  熊代先生は、先ほど、政治上のものは政治資金規正法の体系でやればいいじゃないかというふうに御答弁されましたけれども、こちらの条文では「本来の目的」という言い方をしているわけですね。先ほどちょっと言われましたけれども、「本来の目的とする団体」であれば政治団体としていろいろな優遇措置を受けられるというのはわかるのですが、この与党案で「主たる目的」というふうな形でうたっていますと、この政治資金規正法の方の「本来の目的」というのとどういうふうにオーバーラップするのかがちょっとよくわからない。比べられるのかなと。この両方から落ちてしまう団体というのが当然出てきてしまうのではないか。こういうふうに制限規定を設けると、政治資金規正法上の政治団体になれない、NPOでやりたいと言っていてもなれないという団体が、こういうふうな違う概念を使いますと、そういうのが出てきませんか。そのあたりの整合性については、提案者の方はどういうふうに考えられていますか。
  46. 熊代昭彦

    熊代議員 御指摘の点をいろいろ検討したところでございますが、一つのやり方は、政治資金規正法の方に問い合わせをして、そっちを所管しているところに問い合わせをして、当たるのかどうかというふうに聞くわけですけれども、それも一々面倒くさいということで、それではそれぞれに規定しましょうということで、ずれるかもしれないと言うのですが、「本来の目的」と「主たる目的」、私は、ずれないと思います。たとえずれたとしても、私ども法案は私ども法案の体系でちゃんとやります、四九・九九%と五〇%以上ということでやりますので、たとえそれがずれたとしても、それは二法案のあれでございまして、谷間に落ちることはないと思います。しかし、それは常識の範囲で処理できる話でございまして、御指摘の点は十二分に議論いたしまして、それで、こちらの法律の体系の中で判断できるようにしよう、それには明確な基準ということで、主たると従たるということでしたわけでございます。
  47. 富田茂之

    富田委員 今の御答弁ですと、もし漏れるような団体が出てきた場合には、熊代先生の立法の趣旨としては、排除するのではなくて、できる限りこちらの法案で救っていくというふうに考えていいですか。その点はどうですか。
  48. 熊代昭彦

    熊代議員 申し上げましたように、この法律の執行が必ずほかの法律の執行のところに問い合わせをしなければならないというのはお互いに迷惑であろう、向こうも大変迷惑でありますしということから、こちらの法律で完結してはっきりした定義にいたしましょうということでございますが、「主たる」と「本来」とは、私どもの解釈では違いませんけれども、向こうがもし違うならば、政治資金規正法の解釈の方で調整していただきたいと思います。私どもは極めて明白に定義しているわけでございますので、そういうふうに考えております。
  49. 富田茂之

    富田委員 ちょっと今の点は余り納得できませんが、今の規定でもう一点お尋ねしたいのです。  与党案のハの規定には、イ、ロの方に「主たる目的」というふうな限定があるのに、ハには何もないのですね。「特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対するものでないこと。」というふうになっているのですね。ところが、先ほど御紹介させていただいた政治資金規正法の方では、この規定も「本来の目的とする団体」というようにきちんと書いてあるのですね。このハの条項にあえて「主たる目的」を付さなかったというのは、何か理由があるのですか。どなたでも結構です。
  50. 熊代昭彦

    熊代議員 本来の事業を行っていて、従たる目的で特定の候補者を推薦し、反対するということも望ましくないというのがこの法律案の趣旨でございまして、本来の目的はこれでありますけれども、選挙のときにはあの候補者を大いに反対しますとか大いに賛成しますというのは、それは別の政治連盟などをつくってけじめをつけてやっていただきたいという趣旨でございますので、ここには、主たるとか従たるとかいう量的なものをつけなかったわけでございます。ここは質的な問題であろうというふうに思います。
  51. 富田茂之

    富田委員 イ、ロは量的な問題で、ハが質的だという御答弁ですけれども、実は与党案には第三条の二項に、「市民活動法人は、これを特定の政党のために利用してはならない。」という規定がありますね。これは、いろいろな法律にもこういう規定がある。私の後で上田議員が関連でやりますが、彼の方からかなり詳しく質問が出ると思うのです。この三条二項があれば十分なんじゃないのですか。「市民活動法人は、これを特定の政党のために利用してはならない。」この規定で読み込んで、あえてこのイ、ロ、ハというような規定を設けて市民活動を制限する必要があるのかな。  先ほどのPANの方からの要望書にも、宗教や政治上の規定については削除してくれ、「市民活動は本来国民の自主的な意志による社会参加活動であり、市民団体の主義・主張の自由は何よりも保障される必要がある。」というふうに要望書が出ていますよね。これはいろいろな方たちが言われていると思うのですね。  本来、三条二項の規定で、特定の政党のために利用させないということでもう十分ではないかと思うのですが、その点、辻元提案者はどうでしょうか。
  52. 辻元清美

    辻元議員 今の御指摘の点なんですけれども、今議論になっているのは、政治というのと宗教という二つありますね。  一つは、私は、市民活動団体が行っている活動現状というのは、施策に対してはさまざまな活動があると思いますけれども、私、例えば宗教の定義というのを引いてみたら、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを目的とすると。これを主たるにしたら、それは宗教を目的とした団体法人でやっていただいて、ちょっと今の現状市民活動とはそぐわないのではないかと私は率直に思います。  それから、政治上のことですけれども、今特定の政党というのがございますけれども、これは議論の過程で、実際には個人で、無所属で立候補される方もいらっしゃいますし、特定の政党ばかりではないというふうな議論が一つ出てきたということを御紹介したいことと、私は、今の条項があっても今の市民活動で行っている施策等に対する提言等の阻害にはならないと理解しておりますので、市民活動活動自身を阻害するというふうには思わないのです。  ただ、政党の中には宗教関係活動がそのまま政治活動にも直結しているというようなところもございますので、そういう方々は動きにくいのかもしれないのですけれども、それ以外のところで弊害はないというふうに考えているのですが。
  53. 富田茂之

    富田委員 弊害が生じないだろうと言われるのは、そんな規定がなければもともとそんな弊害が出てくるわけもないのですから、やはりこの規定については、もう一度、修正を考えられるのであればぜひ再考していただきたいなというふうに思います。  この点についてもう一つ、この与党法案というのは、通告させていただいておきましたけれども、いわゆる八幡製鉄事件に関して、最高裁が昭和四十五年六月二十四日、大法廷で判決を出しております。これは、法人にも人権が認められる、法人の人権共有主体性を明確にうたった大法廷判決ですけれども、この判決の流れにどうも与党法案というのは反しているのではないか。立法ですから、最高裁の判決に反するような立法がされてもおかしくないのかもしれませんけれども、この最高裁判決というのは今でも脈々と生きている判決でして、これに反するだけの立法をするのであれば、それなりの立法の裏づけとなる立法事実というのが絶対必要になってくると思うのですね。こういうことがあるから最高裁の判例の流れに反しても議会でこういう立法をしなければならないのだ、そういうものがあって与党案になったのでしょうか。この大法廷判決の解釈の違いというのもあると思うのですけれども。  この大法廷判決では、これは当時、八幡製鉄という会社ですけれども、目的の範囲内の行為というのは、「その目的を遂行するうえに直接または間接に必要な行為であれば、すべてこれに包含される」、定款に定める目的の範囲内の行為をしたのかどうかというのが争いになったわけですね。今のようにうたって、こういうふうに言っています。  会社は、他面において、自然人とひとしく、……社会的実在なのであるから、それとしての社会的作用を負担せざるを得ないのであつて、ある行為が一見定款所定の目的とかかわりがないものであるとしても、会社に、社会通念上、期待ないし要請されるものであるかぎり、……これらの行為もまた、間接ではあつても、目的遂行のうえに必要なものである と言った上で、  議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。 政党の  健全な発展に協力することは、会社に対しても、社会的実在としての当然の行為として期待されるところであり、 これは非営利法人も一緒だと思うのですね、社会的実在という意味ではそういうふうに認知されるわけですから。  また、この判決は、  会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、 納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。のみならず、憲法第三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されると解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。 こういうふうに明確に言っているのですね。  この考え方から与党案は大きく外れてくると思うのです。これだけ外れさせるだけの何か具体的な立法事実というようなものが議論の中で出てきたのでしょうか。もしそういうことがあれば御紹介いただきたいと思います。
  54. 熊代昭彦

    熊代議員 御質問の趣旨は、営利法人である八幡製鉄が定款の範囲内で一応常識的に認められるものは何でもできるということで、こちらの市民活動法人政治活動とかを制限するのはおかしいのではないかという御趣旨だと思いますが、営利法人の場合は確かにそうでございますが、市民活動法人公益法人でございますから、どういう政策をとるかというのは八幡事件の判決とストレートに結びつかないだろうと思うのです。公益法人の一つとしての市民活動法人は政治的には中立であってほしい。ただ、その要件ははっきりさせまして、あらゆる政治活動と言われるものはいけないというのじゃなくて、特定の候補者を応援したり特定の政党のために利用したりということは望ましくないということですから、この判決と相反することではないと思います。  判決は、営利法人にそれを与える。これは、公益法人としてはいかなることを与える——我々は政治活動が悪いと言ってないで、大いにやっていただきたいわけですが、市民活動法人活動の一環としてやるのがふさわしいのかどうか、そういうことを申し上げているところでございまして、その辺のけじめをつけるべきじゃないだろうか。既存の公益法人政治活動をする場合には一歩退いて、ほかの政治連盟等をつくってやっているというのが実態であるのは委員も十二分に御承知のとおりだと思います。
  55. 富田茂之

    富田委員 今の最高裁判決に対する解釈は熊代委員と私とは違いまして、これは会社だからこういうような判決が出たのではなくて、法人という特質に着目した画期的な判決だと思うのです。それだとすれば、与党案にはやはり問題があるのではないか、その点は指摘させていただきたいと思います。  もう上田議員にこの席を譲る時間ですので、これで最後にしますが、先ほど私の方で税制上の措置を明確に規定上入れるべきだというふうに申し上げましたが、これは河村提案者がずっと言っているように、公益法人税制の抜本的見直しについてきちんと規定を入れてほしいという御趣旨でございますので、先ほど熊代提案者の方からそれだけでよければやるけれどもと言われましたけれども、ちょっとそれだけではまだまだ不十分だと思いますので、河村さんがずっと言われているようなことをぜひ修正の中へ組み入れていただきたいということを申し上げて、質問の席を上田議員に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 伊藤忠治

    伊藤委員長 この際、上田勇君から関連質疑の申し出があります。富田茂之君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。上田勇君。
  57. 上田勇

    上田(勇)委員 新進党上田勇でございます。  関連で何点か御質問をさせていただきますが、まず最初に、新進党提案者の方に新進党法案につきまして何点かお伺いしたいというふうに思います。  新進党提出法案は、これまでの説明、答弁の中でもその特徴の一つが明らかになっておりますが、その一つは、市民公益法人の目的につきまして公益を目的とするというふうに規定しているのみで、与党提出法案活動の範囲を十一の分野に限定しているのと異なっているということが大きな特徴であると思います。新進党法案は具体的な活動内容については何ら限定を設けていないという法案になっています。  このように活動について限定を設けなかった趣旨、またその理由を御説明いただければというふうに思います。
  58. 河村たかし

    河村(た)議員 何遍も申し上げておりますけれども、公的セクター、公共サービスにおいて市民が自発性と自立と責任においてそれを競い合うということがNPOの極めて本質的なことであるという認識がありますものですから、初めからだれかが、この行為が公益的であり、この行為は、目的は公益的でないと言うことは、基本的に、NPOを育てるというか、NPO制度をつくる上において大変な問題というか、本質論から外れてしまうという認識がありました。  したがいまして、目的限定という格好はやはりとってはいけない。もし条文上やむを得ずするのであれば、アメリカの税法が言っていますように、例えば慈善の行為とか、非常に包括的な規定を入れたらどうか、こういうふうに思います。それがない以上はNPOの本質に反する。公共サービスを競い合っていくのに、だれかが事前にあなたの公共サービスは私ども法律公益であると言うことは間違いであるということがありましたものですから、違うところにすみ分け規定を設けた。それは地域基盤性ということでございまして、無理やり設けたということではございませんので、地方分権の思想から合理的であろうということでございます。  公益性の判断そのものは、私益と共益でないということでございまして、これは明確であろうと思います。カラオケの会じゃだめだろう、例えば演歌なり音楽をどこどこの町に広めるということならこれはいいということで、それはわかるわけですよね。だけれども、この公益がふさわしくて、この公益がふさわしくないと言うことは、これは大変な実は許可になりまして、これは本質論から反するということで、自民党の皆さんからも、おまえのところも公益を判断するじゃないかと言われますけれども公益を判断することと公益の目的を判断することとは物すごい違いがあるというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
  59. 上田勇

    上田(勇)委員 当然、このNPO法案によって法人格取得する団体営利団体ではないと思いますので、公益を目的としているというのがどんな場合でも前提になるんじゃないかというふうに思います。その上で、さらにその目的を限定するというような形というのは、あらかじめ想定されるような団体を規制してしまう、またその活動についても、法人格付与するときにあらかじめ制限を加えてしまうという意味では、私は、自由な発想というのか、また時代とともに変わってくるいろいろなニーズに十分こたえられないという意味で、この与党案について、目的限定ということは、この法律がその立法の趣旨に沿って運用される上で大きな支障になるんじゃないかという懸念を持っております。  もう一つ、新進党提案についてお伺いしたいのですが、これまでの審議の中で、新進党提案の一つの大きな特徴が公益寄附金税制の問題であるというふうに思います。  新進党は、税制についての法案、これは別の法案という形で提出しておりますけれども、今回の与党提案の中では、これについては先ほど、附則の中でこれからの検討事項というふうに位置づけられているようでありますけれども、具体的な法案としては今のところまだ提示がなされておりません。その意味で、本来は新進党提出しております公益寄附金に関する税制に係る法案の成立をさせていただくことがベストであるというふうに考えるのですけれども、これまでの議論を聞いている中で、どうもそれについては与党の方で現在のところは異論が多いということであるというふうに考えられます。  そこで、新進党提案者にお伺いしたいんですが、公益寄附金税制の抜本的改正に着手すること、それからまた期限を切って結論を得るということを条文の中でやはり規定していくということが、NPO活動、これがこの立法趣旨に沿う意味での私は最低限の条件の一つになるんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点について河村先生のお考えを伺いたいというふうに思います。
  60. 河村たかし

    河村(た)議員 そういうことでございまして、与党の案も、まあこんなことはないと言われると思いますけれども、やはり今の状況のままですと市民活動コントロール法案になりかねないんですよね。  ですから、そういうことから、NPO社会をつくっていくファーストステップとして担保するために、私たちとしましては、先ほど委員が言われたように我が税法が通ると一番いいんですけれども、そうでない場合であっても、今言いましたような寄附金のことについて明確な第一歩を皆さんやられると言っているんですから、やはりそれは条文で公益寄附金税制の抜本的改正の着手と、例えば二年なり三年なりで結論を得る、こういうところをひとつきちっと国会の意思として条文で規定しておかないと、先ほど富田委員も言っておられましたけれども、自民党の皆さんのいろいろな意見にもかかわらず、結局ずっと骨抜きになってまだまだ続いているという疑念は残念ながら抜けないんですよね。  だから、私ども新進党として、先に法案を出させていただいて、これはずっと長い間このNPOの話をさせていただいた責任として、いいじゃないかということだけではなくて、やはり具体的な一歩をきちっと国会の意思として今言ったような言葉を入れてないと、市民活動をコントロールする方向に行ってしまわないかという疑念は本当に残念ながらですけれども払拭できないんです。  そういうことでございます。
  61. 上田勇

    上田(勇)委員 もう一つ。新進党案とそれから与党案の違いは先ほど富田議員からも御説明がありました。  与党案の第二条二項第二号についてであります。これは、新進党案の方は特段明文化したものがないのでそれは構わないと思うのですが、あえて与党案の方で、このことについて、宗教、政治上の活動に関する制限が設けられています。とりわけ政治上の活動に対する制限というのは、これはやはりいろいろな団体の自由な表現、意見の表明やその活動にとっても場合によっては支障になるという可能性もあるのではないかという懸念がありますので、この点についてちょっとお伺いしたいのです。  まず、ちょっと法制局にお伺いします。今、いろいろな団体があります。いろいろな法律法人格規定されておりますが、これらの法律の中でこの与党案のこうした制限と同様な趣旨の規定がされているというふうな法令はあるんでしょうか。
  62. 早川正徳

    ○早川法制局参事 与党案の第二条第二項第二号で規定されております市民活動法人要件として、宗教活動政治活動に対する制限が設けられている。この規定につきましては、網羅的に調査したわけではございませんけれども調査した範囲におきましては御指摘のような制限規定を設けている法律は見当たらないようでございます。  ただ、法案の三条二項の「特定の政党のために利用してはならない。」という規定に類似する規定を持つ立法例は、地縁団体に係る地方自治法二百六十条の二第九項、それから消費生活協同組合法の二条第二項、それから中小企業団体の組織に関する法律七条三項、その他がございます。
  63. 上田勇

    上田(勇)委員 この第三条第二項の特定の政党のために利用の規定というのは、私の調べた範囲ではほかの法律でも幾つかあるのはわかりました。  ところが、これもすべての法律を網羅的に調べたわけではございませんけれども、この第二条の方の規定というのは、私が見る限りにおいてはそういう規定が設けられている法令はないというふうに理解しております。財団法人とか社団法人などの民法法人初めさまざまな法人にそのような制限がないにもかかわらず、あえて与党案ではそのような制限を設けている。これは、やはり他の法人に比べて、NPOに著しく制限を加えるというような感じが否めないわけでありますけれども、これについての御見解。  それとまた、ちょっと時間の関係もありますのでまとめて伺いますが、ただいま申し上げましたように、他の法令にはこういう規定が見当たらないわけでありますが、他の法令との整合性も著しく欠いているんじゃないかというふうに思われますけれども、その点について与党提案者の御見解を伺いたいというふうに思います。
  64. 熊代昭彦

    熊代議員 繰り返し申し上げているところでございますけれども、私ども法案は、目的によって民法とのすみ分けをしているということでございまして、例えば社会福祉法人法は社会福祉という目的ですみ分けをしている。宗教法人法は宗教という目的ですみ分けをしている。学校法人法は教育という目的ですみ分けをしている。それと同じように、民法の一分野を担当するということでしましたから、それで、十一項目ないしは十二項目めをプラスというような話が出ておりますが、その十一項目にしたということでございます。  それと同様に、宗教については、既に宗教法人法ですみ分けがあるから、それはそのすみ分けに従いましょうということで、目的限定をもう少しつけまして、民法は宗教も入っておるわけですね、民法は祭祀、宗教、慈善と入ってございますので、民法とのすみ分けという意味でも非常に大きなことであろうということで入れたわけでございまして、このように、すみ分けをする必要のある法律ということは、そう他に事例がないわけでございますので、事例のないことも非常に合理的な理由で納得いくことであろうと私ども思っておるわけでございます。  政治につきましても、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。
  65. 上田勇

    上田(勇)委員 与党案の第三条の「特定の政党のために利用してはならない。」という規定と同様な規定というのは、例えば、先ほど法制局からの答弁にもありましたが、消費生活協同組合法なんかにもありますし、ほかの法令も幾つかはそういうような規定がなされております。  したがって、この与党案の中にそれを、その規定があるにもかかわらずまた第二条第二項第二号の方でさらに政治活動について規定しているということを御質問したところ、先ほどは、何か無所属だったら政党に関係しないというような御答弁があったのですが、ちょっと、きょう厚生省にも来ていただいているのですけれども、生協法では「特定の政党」というふうにしか規定はされていないのですけれども、では、これは無所属の議員を支持したり推薦したりした場合には、この生協法の趣旨からいうと、どのようなお考えなのでしょうか。
  66. 堀之内敬

    ○堀之内説明員 厚生省でございます。  ただいまの話、大変難しい御質問ですけれども、まず生協法の趣旨から一言申し上げさせていただきますが、消費生活協同組合法の関係ですけれども、生協は「組合員の生活の文化的経済的改善向上を図ることのみを目的とする」という法の規定がございます。このような生協が政治に組織としてかかわることは、多様な考えを持つ組合員に混乱と分裂をもたらし、また生協に対する誤解や偏見を生じさせるなど、生協の健全な運営と発展にとって障害となるおそれが強いと考えるところでございます。そのようなことから、生協の政党からの独立を確保するために、今おっしゃいましたような、生協法二条二項におきまして、生協は「これを特定の政党のために利用してはならない。」と規定されているところでございます。  これは、法の規定の仕方が「特定の政党のために」とあるわけですけれども、では無所属ではどうかという質問ですけれども、例えば私どもが生協を指導するに当たりまして、組織として、機関決定をもって特定の政党とか候補者を支持する、それをまた、ビラで張ったりチラシで入れたりする、そうしたことは法の趣旨にもとるわけですけれども、では無所属の場合ならばそれがよろしいかといいますと、無所属の方も、他に政党の候補者が特定の選挙区にございます。その政党のあり方として無所属の方もおられるということで、法の狭義の解釈からしますと無所属ということは非常に難しい問題があるのですけれども、大筋で見まして生協はそういう政治活動に組織としてかかわることは好ましくない、そうした大筋から見ますと、法に直接抵触するかどうかは別として、好ましいことではないと考えます。  以上です。
  67. 上田勇

    上田(勇)委員 もう余り時間がないのですけれども。  ということは、例えばこの与党案の第三条があれば、先ほど辻元委員がおっしゃっていたような御懸念については問題ないのじゃないかというような感じがするのですが。となると、第二条第二項第二号というのは、制約の上に制約を加えるというような規定になっているような感じがいたしまして、この点についてはぜひ改めていただきたいということを強く要望させていただきたいというふうに思います。  この点について、もっと具体的な事例に則して本当は与党提案者のお考えを何点かお伺いしたいのですが、もう時間が間もなく参りますので省略をさせて、省略というか次回に送らせていただきたいというふうに思うのです。  このNPO法案新進党平成七年十一月に初めて法案提出いたしまして、以来二年半が経過しております。その間、法案審議、成立について我々は主張してきたのですが、残念ながら、なかなか世論も盛り上がらず、また与党皆さんの御理解も得られないまま今日まで経過してきてしまいました。今日このように十分な審議が進んでいるということは、与党提案者また関係者皆さんの御努力に対しては大変な敬意を表するわけであります。  けれども、またこのNPO法案を推進されてこられました関係の各団体、けさの公聴会でも皆さんいろいろな御意見を述べられておりまして、法案という形で出てきたのが平成七年で、以来これまで道のりが余りにも長過ぎたものですから、とにかく一歩でも前進をしたいという気持ち、その気持ちは本当に我々ももう足かけ三年でやっておるわけですから十分にわかるのですが、今申し上げたように、まだまだちょっと与党案の中に疑問に思う点もありますし、また税制の問題など、これからもうちょっと詰めなければいけない問題がまだまだ山積みじゃないかというふうに思います。  しかも、先ほど来から、十七点ですか、何か修正が行われるということなのですが、具体的にちょっとまだどういう点なのかというのはこの委員会でもお示しいただいていないということもありまして、もう少しこの問題について議論をさせていただきたいというふうに考えるわけであります。  とにかく、これは与野党協議、また協力した上で、本当にさまざまな団体の方、NPOの方々のためになる法律をつくるために、この修正案も踏まえまして幅広い論議が今後とも必要だというふうに考えておりますので、このことを申し上げまして、時間を超過してしまいましたので終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  68. 伊藤忠治

    伊藤委員長 午後四時五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後三時四十七分休憩      ————◇—————     午後四時二十五分開議
  69. 伊藤忠治

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。金田誠一君。
  70. 金田誠一

    金田(誠)委員 河村さん、通告をしていた順序とは多少変わるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思うわけでございます。  この間、新進党として大変努力をされてきたことについては十分承知をいたしているつもりでございます。新進党として特に留意をしてきた点は、一つはすみ分け規定をどうするかということでございまして、与党案のすみ分けは項目を列記をするということに対して、地域基盤をということで御苦労されてきたと思っております。その地域基盤によって、民法の特別法でありながら、できるだけ幅広く認定をしていこう、認可をしていこうというお立場理解をしているつもりでございます。  あるいは、もう一点、新進党として特に留意をしてきた点は、税制の優遇ということでございまして、この税制優遇措置こそがNPO法の命だという立場で大変な熱意を持って取り組んでこられたことは高く評価をいたしているところでございます。  私ども民主党も、一つは、本来であれば、非営利法人一般法、何の制約もなく準則主義法人格取得する、これが本来の姿であり、私どもの目指す目的だ、そういう意味では新進党と変わりはないというふうに思ってございます。  そして、税制等の優遇についても、極めて重要であって不可分であるという立場も同じだということをまず申し上げておきたいと思うわけでございます。  決してそのこと自体に反対をしているとか異議を唱えているわけではない。目的は同じであって、そこにたどり着く手段、方法、それに多少の違いがあるということでございます。そういう意味からしますと、この間も市民運動が主催をする各種シンポジウム等でお互い同席をさせていただき、本当に忌憚のない真摯な議論を闘わせてきた、共通するところもあれば異なるところもあったけれども、前に向かって進むというお互いの気持ちだけは通じ合ってきたのではないかな、こう思ってございます。そういう立場で、事ここに至って、どういう判断をするかということが問われていると思うわけでございます。  私は、午前中の参考人の意見の際にも申し上げたわけでございますが、目的は同じなんだから、市民運動団体もその道筋についてはぜひ合意をする努力をしていただきたいということを申し上げました。同時に、この立法府の場でも、目的は同じだとすれば、お互い譲るところは譲り、認めるところは認め合いながら、共通点を探る。今までの五五年体制は、ややもすると違いを強調する、いかに我が党は異なるかということであったかもしれません。しかし、これからは、違いは違いとしながらも、共通点を探ることもまた非常に大きな要素になってくるのではないかなという思いなのでございます。そういう思いでこれから質問をさせていただきたいと思います。  先ほど休憩中に、新進党案の修正案の要綱ということになりますか、項目をちょうだいをいたしました。午前中の参考人の御意見の中でも、新進党案は確かにすぐれた点が多い、しかし一つだけ致命傷があるといいますか、そういう趣旨のことをおっしゃられていました。それは、地域限定、会員の二分の一、あるいは役員の三分の二という条項があるということが指摘をされておりましたが、今回それは修正をされるということでございました。  しかし、私は、これもまた矛盾をはらんでいるのではないかなと思います。よりいいものをつくろうという気持ちは前段申し上げたとおりよくわかります。しかし、民法の特別法という制約からは逃れられないなということなんでございます。  それは、十一項目といっても、すべて与党案なり私どもとの共同修正の立場、十一項目あるいは十二項目の項目で切り分けをする、すみ分けをするという立法をした場合、すべてが救われるのかと聞かれれば、すべてが救われるとは言いたくても言えない。なぜかといえば、すみ分けが必要だからということになるわけですね。それと同じように、地域基盤ということを根拠にすみ分けをした場合、すべてが救われるかと聞かれれば、すべてが法人格取得できるとは恐らく言えない。すべてができるのであれば、何をもってすみ分けをするのかということになるわけでございます。場合によっては、認証されない、認可されないものも出るかもしれないという前提つきのものだと思うわけでございます。お互いこの特別法という中で、そこで苦労してきたんだということだと思うのですね。  そこで、今回その役員の三分の二を過半数にする、あるいは社員の二分の一ですか、これを削除するということをされたとすればどうなるかということなんです。これは、より認証の幅を広げようという善意から出ていることだとは十分承知をしているわけなんですけれども河村さんがおっしゃった二分の一条項、三分の二条項というのは、役所の裁量が入らないように、客観的な数字の基準で決めておけば裁量が入らないというそもそもの立法趣旨なんですよ。それを今度外すとどうなるか。  逆に、どうしても外れないのが地域基盤、これだけは外しようがないわけですね、それがすみ分けの根拠ですから。その場合「主として活動を行う区域が、当該団体の主たる事務所の所在地の都道府県の区域内にあること。」という条項が残ります。それは裁量権が働くんですよ。その裁量権を働かせたくないから、二分の一とか三分の二という数字で抑えようとされた。それを今度は、それで制約が残る、例えばAMDAはどうする、アムネスティはどうするとなった。そして、その数字の部分を外したとなると、今度は裁量権が残る。この二律背反といいますか、そういうものがやはり新進党案にもついて回る。  与党案でも、それじゃ何か外れるだろうと言われたとき、全部含みますよとはどうしても、言いたくても言えないのと同じように、ついて回るというところをぜひ御同意いただければありがたいな。そういう苦労をしているんですよ、お互いに。その苦労の上で、どうやっていいものに近づこうかということなんですよ。そういう立場質問をしているものですから、そういう二律背反の矛盾は伴うという苦渋のあたりをお答えいただければありがたいと思います。
  71. 河村たかし

    河村(た)議員 先ほど申し上げましたように、すみ分けということになりますと、何らか基準を立てなければならない。問題は、どちらが合理的なのかということだと思いますね、民法改正を除けば。私どもは、地域に基盤を持つということの判断が、目的を限定して入るか入らないかというよりもはるかにわかりやすいし、それから現代政治、今の憲法上の要請にもかなう。これは地方自治の精神、本旨という規定がございますから、それで地方自治の推進に関しては国会も全党一致で法律を定めている、そういう状況でございますので、私どもは、それは地域基盤性があるかないかの判断については、裁量が全くないわけではございませんけれども、それは当然ですが、その合理性については、目的限定をするよりはるかに時代の要請にも合っているし、市民活動皆さんも非常に使いやすいと思っております。
  72. 金田誠一

    金田(誠)委員 そういう御判断もあろうと思います。それを頭から否定をしようというつもりはございません。お互い民法の特別法という立法の中で苦労しながらやっているということだと受けとめさせていただきます。  そこで、本当に完全に甲乙つけられるようなものなのか。こちらが合理性があって、こちらはないんだ、どうしてもこちらでなければならないんだというほどの、同じ民法の特別法ということであれば、それほど白黒つけられるようなものなのか。  前の二分の一とか三分の二があれば、これは明らかにこのAMDA、アムネスティみたいなものは私は除外されると思うわけでございますけれども、それを外した。外したら、今度残るのは何か。一定の地域を基盤として行う活動というものが残る。そして「主として活動を行う区域が、当該団体の主たる事務所の所在地の都道府県の区域内にあること。」この条項が残るのですよ。  「主として活動を行う区域が、当該団体の主たる事務所の所在地の都道府県の区域内にあること。」これが残った場合、本当に主として活動を行う区域がそうなのかということを申請書で証明をしなければならない。それは、主務省令で出す書類というのが決まってくるのでないですか。それぞれの官庁が、例えば海外協力の団体であるならこういうもので証明をしろということになるのでないですか。いずれにしても行政の裁量が働くのではないでしょうか。  河村さんが、新進党が一番警戒をしていたのが、行政の裁量、行政のコントロール、これがあってはならないんだという立場で二分の一とか三分の二という数字で切ろうとした。しかし、それでは無理があるということで修正をされる。そこに今度は行政の裁量イコールコントロールが入る余地を生ずるということになりはしないか。  この主として活動を行う区域が都道府県の区域とした場合、それではAMDA、アムネスティ、内容については先刻御承知のとおりでございます。AMDAは主として海外で活動現地法人も取れないというふうにきのうおっしゃっていました。あとは神戸で活動をしたとおっしゃっていました。先般はサハリンだとおっしゃっていました。これが、主として活動を行う区域が都道府県の区域になるのですか。主たる事務所、岡山です。  フィードバックするとかしないとかということはまさに裁量権でないですか。行政の気に入った、それこそ河村さんの言葉をかりれば、気に入らない団体であれば、フィードバックしようがしまいが、認定されない可能性だってあるのでないですか。素直に読めば、AMDAの主たる活動区域は海外です、震災地です、サハリンです、途上国です。こういう認定されない要件というのが挙げれば切りがない。まず、これはいかがでしょう。
  73. 河村たかし

    河村(た)議員 AMDAさんの実際上の活動を私は逐次知りませんけれども、サハリンに行きましても、どの程度の時間お行きになっておるかわかりませんが、行って、一定の医療救援が済めばまた帰ってこられるということで、そういう活動を繰り返されておるとは思うのですよね。そういう状況であれば、いつでも法人格は取れるのでありまして、じゃ、なぜ法人法に合わせなければならないんだと言われるかもわかりませんけれども、大いにやはりいろいろ海外でも活動していただいて、それを県内コミュニティーに大いに生かしていただきたいというのが私どもの趣旨でございます。  それと、先ほど金田さんが言われたように、じゃ、裁量が働くのではないかと言われますけれども、県内で県内コミュニティーの振興に十分寄与しているかどうかというのは、例えばシンポジウムをやったりとか、写真展をやったりとか、会報を発行したりとか、寄附金を集めたりとか、そういうことは割と基準として非常にわかりやすいのですよね。だからそういう面では、時代の要請からすれば反対に、きょうも、私も愛知県ですけれども地方の先生方もたくさんお見えになりますけれども皆さんの地元でみんな本部ができて、そこで国際活動をした人たちが全部フィードバックして、その実りを県民の皆さんにどんどん与えていく、これは私は地方分権の推進という国家的政策からすれば非常に合理的な手段ではないかと思っております。
  74. 金田誠一

    金田(誠)委員 法律の条文とお答えになっている内容がどうも整合しているとは思えないわけです。「主として活動を行う区域が、当該団体の主たる事務所の所在地の都道府県の区域内にあること。」ということを、AMDAの活動区域が主として岡山県だということではないのではないですか。会員の分布も東京が三割、岡山が一割、あとは全国だというふうにおっしゃっていたわけですね。そういうことからしますと、どこに、フィードバックをして一定の地域で何かをやっていればいいんだということに読み取れるのでしょうか。
  75. 河村たかし

    河村(た)議員 NPO活動の中で、いろいろあると思うのですよね、確かに医療行為なら医療行為も一つありますけれども。やはりそれが、世界のこういうところで非常にこういう困った状況があって、それに対してはこういう医療サービスが必要なんでこういう医療サービスを提供している、こういう問題があるよということを県民に広報することも立派なNPO活動本体でございまして、なぜそういうものは別と考えられるのか、ちょっとわかりにくいと思いますけれどもね。
  76. 金田誠一

    金田(誠)委員 くどいようで本当に恐縮ですが、それではAMDAの主として活動を行う区域は岡山県だ、こういうことになるわけですか。
  77. 河村たかし

    河村(た)議員 私はちょっと、AMDAさんの実際上の活動を本当に了知しておりません。ただ、僕はかなり国際協力団体のNGOの方にも実際上は応援していただいておりまして、実際は皆さん、例えば東南アジアで奨学金を交付したり、いろいろな団体でも結構県内で、東京ですと都内でやはりかなり活動しているのですよ。それと、前回も申し上げましたように、海外に別法人がある場合は、これは別です、当然のように。それから、別団体であれば、それは国内法人活動とは別に切り離すことができますので、かなりの部分、救える部分があるのではないか。  だけれども、それと全く別に、主たる活動が海外であるという場合は、それは与党案でも同じでございまして、結局それは経済企画庁に行くのですよね、当然ながら。だから、それは結局民法三十四条とほとんど変わらない。かえって民法三十四条の方が、目的限定もありません、宗教、政治の禁止もありません。だから、意外と民法三十四条の方が取りやすいのではないかという感じがしますね。
  78. 金田誠一

    金田(誠)委員 私は真摯に質問しているつもりなんですが、そういうお答えは非常に残念だなという感想だけ申し上げておきたいと思います。  もう一つ、新進党さんが一生懸命取り組んでこられたのは税制優遇措置でございます。しかし私どもも、先ほど来答弁辻元さんが答えておられましたけれども、このNPO税制だけ見て事は終わらないな、他との関連をどう整合をとるか、これが極めて重要だな、そういうことからすると、にわかに結論は出しかねるなという思いなんでございます。新進党さんはそれなりに結論を出されているわけでございますけれども、それについて、急いだがために他との整合について多少疑問が残るという点があるものですから、お尋ねをしたいと思うわけでございます。  今度は、認定公益目的法人ということになるのでしょうか。それは、現行特増法人というのがございますけれども、この特増法人という制度はこれからも残っていく、特増は特増で残る、そして新進党さんの案の方は新たなものができる、こういう二本立てでいくということになるのでしょうか。
  79. 河村たかし

    河村(た)議員 まず、他の公益法人等とも調整をとった法案を出させていただいております、税制については。それから、特増は特増、特増並みということで、特定公益増進法人になる道がもう一つできるということでございます。(金田(誠)委員「特増も残るわけですか」と呼ぶ)そういうことです。特増になる道がもう一つできるということです。
  80. 金田誠一

    金田(誠)委員 そうなりますと、本当にそれでいいのだろうかという疑問も出るわけなんです。というのは、午前中、どなたでしたでしょうか、山本さん、証言をされまして、特増は二年ごとの更新だ、二人のスタッフが三カ月ほどかかりっ切りで膨大な書類を二年ごとにつくっている、最初になるにはもう何年もかかった、二年で担当者が交代すると、また日参してゼロからの出発だったという苦労話をされているわけですが、そういう特増は特増で、まだ残る。一方では、ごく簡単な方法で特増と同じような優遇措置が得られるという二本立てになるということで理解していいわけですか。
  81. 河村たかし

    河村(た)議員 簡単と一言で言われますけれども、簡単というよりは、まあ簡易は簡易ですね。公開しているとか、四つ要件がございますけれども、正確に読みましょうか。  第一に、その運営組織が適正であること。第二に、その理事社員設立者、寄附者等に対し、財産の運用及び事業の運営に関して特別の利益を与えないこと。第三に、事業報告書、財務諸表、理事の報酬等について公開を行っていること。第四に、法令違反その他公益に反する事実がないこと。以上、四つの要件を満たしたものについて認定が行われることになります。  これに対して、現行のいわゆる特定公益増進法人は、公益の増進に著しく寄与するものが政令で定められ、具体的には、一定の公共法人等のほか、一定の公益目的を有する民法法人で、適正な運営がなされていること等につき主務大臣の認定を受けたものとされています。現行の特定公益増進法人の認定については、法人の主たる目的が一定の公益に限定されていること等により、その認定を受けることは容易でないと言われています。  これに対して、我が党案の認定公益目的法人の認定は、法人公益目的を限定せず、またできる限り客観的に判断できる要件に絞っており、その要件を満たせば認定を受けられるものであるということでございます。
  82. 金田誠一

    金田(誠)委員 とすると、まあNPO法人の認定もかなり簡易な方法で、現在の財団、社団法人になるのに比べますと極めて格段の簡易な方法で法人格取得をする。その上で、特増になるのもおっしゃったような方法で極めて簡易に取得できるということになりますと、一方では、財団法人、社団法人の特増というのは、二年に一回の更新で膨大な事務量で、それも認定されるのはごくごく絞られている。これが並立するということは、一体どういうことなんでしょうか。その税の公平とか法のもとの平等とか、片や公益法人として認定されている、こちらも、まあ認定はされているけれども認定の仕方自体が非常に簡易だ、これは税の優遇の方では逆に逆転をしてしまう、そういう矛盾を生じませんか。僕はだめだと言っているわけではないのです。だめだと言っているわけではないのですが、急いだがためにそういう矛盾を生じているのではないですかということなんです。
  83. 河村たかし

    河村(た)議員 全く矛盾ではございません。一つは、現行の民法法人等も同じ方法によって特増になる道が開かれます、同じ方法によってですね。もう一つは、公開をしていることということはすごいことなんですよね、これは。それで補助金から寄附金へという流れをつくっていく上においては、何遍も言いますけれども、そういう非常に透明性の高いお金、公開プラス、金銭につきましては銀行または郵便局の特定口座を経たお金だけですから、非常に厳しいですよ、そういう面では。透明度の高いお金ということは、今の制度より一段と厳しい要件なんです。そういうものが公益の増進に著しく寄与するという新しい解釈であるということでいけば、今の公益法人、今の特増並みよりも実は厳しいのだということです、透明度が高いという意味では。公益法人等も同じ方法でなる。二つ方法ができるということですから全然矛盾はございませんし、透明度の高いお金で、みんなで寄附をし合って支えていこうという趣旨からは非常にいい制度だと私は思っております。
  84. 金田誠一

    金田(誠)委員 特増は特増として残したままこちらで取ればいいではないかということが果たして税の整合としていかがなものか。それと、特増の認定基準と今つくろうとしているNPOの特増並み扱いの認定基準もかなりオーバーラップしている基準がございますね。重なり合う基準があるわけです。それが、特増の運用が御存じのような厳しい運用になっている中で、NPOだけが簡易な運用ということに果たしてなり得るものなのかどうなのか、疑義もございます。ございますが、新進党がこの税制について大変真摯に取り組まれてきたということは評価はしているわけですよ。しかし、急いだがためにその辺の整合性についていかがかなという疑問が残るという立場での質問をさせていただいたということでございます。  そこで、聞きたいことは、例えば与党案をベースにして、附則に三年後の見直し条項というのがございます。三年後の見直し条項の中に、例えば税制等についてもこの見直しの中に加えるということが明記された場合、これは新進党として、十分検討してこれに賛成する用意がありやなしや。そういう修正等がされたとしても全く、何といいますか、検討の余地がないということになるものなのか、それとも、最も新進党さんとして重視してきた税の優遇措置、これについても検討するんだということが法文上方向として明らかになれば、これは検討して、場合によっては共同修正等の可能性もあるものなのか、ないものなのか、その辺のところをお聞かせいただけませんか。
  85. 河村たかし

    河村(た)議員 本当に金田さんの気持ちも何となくしんみりしてきた感じで、私も、ほとんど丸四年間これをやってきましたので。ですから、本当にNPO社会をつくりたい、本物の、活動資金もついたものをつくりたい。  今言われたように、与党案の中にですけれども、やはり最低でも、それで全部いいとは言いませんよ、法人法の方も問題がないわけではございませんから。税の方でいえば、公益寄附金税制の抜本的改正の着手と、やはり、例えば二年後に結論を得るということで、本当は私ども法案を通したいんだけれども、実はその案を自民党にお示しをいたしました。ですが、残念ながらその旨ではお返事をいただいておりません。現状においては、非常に残念であるなと。  そういうものがないと、まことに申しわけないけれども、いいじゃないかということでは済まされない部分があるのですね。だから、初めの改革というのは一つのハードルのところまではきちっと上がっていかないと、何遍も言いますけれども、この法案市民活動コントロール法案というふうに使う、使えないわけではないというか、残ってしまうのですね。だから私どもは今の点を具体的に自民党さんにお示ししまして、ところが、お返事はいただいていないというところでございます。
  86. 金田誠一

    金田(誠)委員 すみ分けの方は、十二項目の列記、あるいは、修正をして、主たる活動が同一県内と。いずれも特別法であるがゆえに、一〇〇%救われますかというと、救われますという答えはし切れないものなんですよ。そして、認証なり認可があるということになれば、程度の差こそあれ、一定程度行政の判断というものが入る可能性があるということが特別法ということだと私は思うのです、準則主義ではないわけですから。そういう意味からすると、新進党案にもいいところがあります。しかし、AMDAだとかアムネスティとか言われれば苦しいところもあるのではないですか。それは、与党案にも言われれば苦しいところはあるかもしれません。しかし、それはお互い苦労してきて何とかしようという結果だと私は思うわけですよ。そこはお互い譲り合いは私は可能だと。  あとは何が残るかといったら、税制ですよ。税制優遇措置について、方向を共通認識として確認できればいいのではないですか。その辺のところを、一字一句新進党さんの言うことがのめなければということではなくて、方向として一緒にやろうというお互いの呼吸が合うようなことで共同修正なりできないものですか。
  87. 上田清司

    上田(清)議員 金田委員のお話、もっともなところがたくさんあるわけで、我々も修正を全く拒否しているわけではありません。  例えば逆に、我々の提案していることに関して、全部が全部入らないかもしれないという御意見がありますけれども、それを今まで審議してきたわけですから、この審議の議事録、あるいは答弁録、こういうものがいわば行政の裁量の幅を狭くしている、これは事実ではないかなというふうに私は一つ受けとめていますし、そこをもって、そういう入らない部分をできるだけ入れる、そういうことをきちっと我々はここで議論したわけですから、極力入れていただく。そして、入れていただかない場合、なぜ入らなかったのかということに関しては、我々もまた同時にそういうところで意見を言って入れさせていくという作業はできると思います、一点は。  もう一点、税制改正について、逆にお言葉を返すようで恐縮ですけれども寄附口座の部分を新進党案で入れて、問題があったところで、仮に整合性が出てこないという部分があったら、その時点で見直していくということも逆提案でできるのではないでしょうか。
  88. 金田誠一

    金田(誠)委員 時間がありませんので終わりますけれども、私は、違いを強調しようという目で見れば開きはあるのかもしれませんが、共通点を探ろうという意味で見れば、それほど開きは大きくないのではないかなという気がしてならないわけなんです。  ここまで来ましたものですから、これは口が過ぎたかもしれません。しかし、自民党筆頭いらっしゃいますけれども、きょうが勝負ではないでしょうか。ぜひ腹を割った話を、私は本当に民主党として期待をしたいのですよ、新進党さん。本当に、これは対決法案でないはずだ。市民運動なり日本の社会がこれから成熟した社会に向かうためのそういう手段を得ようということですから、ワンステップですから、まだ先の頂上をどこを目指すかというのは大体共通しているわけですから、ぜひひとつ、これは、過去の経緯に余りこだわらずに、本当に忌憚のない意見交換をしていただければ合意点は見出せるのではないかという期待を本当に持っていますので、よろしくお願い申し上げまして、終わります。
  89. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次に、木島日出夫君。
  90. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。  昨日の大阪、そしてきょうの中央公聴会、各団体皆さんの切実な要求は、限りなく準則主義に近い立派なNPO法をつくってもらいたいということだったと思うのです。その点では共通しておりました。民法三十四条の制約はあるけれども、限りなく準則主義に近づけてほしいと。しかし、与党案についてこれから質問します。  与党案の何といっても最大の問題は、この要望からまことに遠い、限りなく準則主義に遠い、限りなく許可主義に近い、そういうものができ上がってきているのではないかと思います。その最大の問題は、何といっても、対象団体を別表で十一分野に限ってしまった、その根本のところから出発しているのではないかというふうに思います。  そこで、幾つか具体的な問題についてお聞かせ願いたいと思います。  日本の社会には、農業関係、漁業関係、商業関係、その他、産業の振興を図るために、法律で認められた農協とか、そういうものとは全く違って、自主的なたくさんの団体があります。農村へ行きますと、若妻会とか四Hクラブとか、そういうのが、本当に厳しい農業環境の中で地域農業を守っております。団体としての性格も立派なものもたくさんあります。こういうところにこそ光を当てて、こういう団体にこそ法人格を与えて、農業振興のために頑張る若者を育てていくということが、このNPO法の一つの求められた中身ではないかと思うのですが、与党に聞きます。  別表では、このような産業振興を図る自主的な団体法人格が与えられるのでしょうか。
  91. 熊代昭彦

    熊代議員 質問の御趣旨が必ずしもよくわかりませんけれども、自主的な団体であればすべてこの市民活動促進法案で拾おうということではありません。ですから、市民活動というのにふさわしい団体をできるだけ拾おうということで十一項目つけてあるわけでございまして、例えば農業協同組合法などありまして、そういうところでのいろいろな分野割りができているわけでございますから、何かこれを出しますと、これに何もかにもすべて入らなければいけないという趣旨では少しもありません。  新進党さんの案を大変共産党さんは評価しておられますけれども、これは認可主義ですし、法律の条文に合っていれば認可しろとも書いていませんし、ですから、許可主義に近い認可主義なんですよ。ですから、その辺、非常に私は、いつも不偏不党をうたっておられますけれども、そうではない共産党さんの評価というのは大変不思議だなと思っているわけでございますけれども、御趣旨のように、私どもはすみ分けをしたわけでございますから、すべてが入るとは思っておりません。しかし、入れるべきものは、市民活動として入るべきものは非常に広範に拾ってあるというように思いますので、いろいろな法律がありますのでいろいろな法律で対応していただく、それはそれぞれのすみ分けになっているというのが私ども考え方でございます。
  92. 木島日出夫

    ○木島委員 全然質問に答えていないのですね。私の質問は、日本を形づくっている基本は産業ですよ。農業もある、商業もある、漁業もある。農協とか法律で認められたものはあります。しかし、そんなものは特例です。たくさんの皆さん団体をつくって活動をされております。商業であれば、例えば一つの例ですが、民主商工会、みずからの利益を守り、税金の問題に取り組み、そして、ひいては地域の全体の産業活性化のために頑張っている。こういうのはたくさんあるのですよ。農村へ行けばたくさんあります。そういう産業界で頑張っている自主的な団体がこの法案では救われるのかという質問です。真っ正面から答えてほしいのです。
  93. 熊代昭彦

    熊代議員 産業の振興を図る法律というのはいろいろございます。それはそちらの方にすみ分けとしてお任せするということでございますから、産業の振興を入れるならばあらゆるものが入ってきますね、株式会社だって産業の振興に寄与しているでしょうし。私どもは、いわゆるボランティア活動中心とする市民活動というのにふさわしいものをこの法案で拾ったわけでございますから、先生のように、あらゆるものをこれに取り込まなければいけないという趣旨ではないと思うのですね。それぞれを対象とすべき法律があるというふうに考えております。  それで、この市民活動という分野は、非常にやわらかい、先生の御評価と違いますけれども、私どもから考えれば、要件に合っていれば——例えば、民法法人の許可というのがなぜ厳しいかというと、要件は何も書いていないけれども、三億円なければだめだとか、年間収入一千万円なければ社団法人も認めない、そういう自由裁量の余地があるわけですが、私ども法律は、この法律に書いてある要件に合えば三カ月以内に認証しなければならない、公告期間がありますけれども、これは修正の要求がございますので、すべてで三カ月ということを考えているわけでございますけれども。  そういうことで、それぞれの分野がありまして、そして、市民活動として、救うといいますか対象とすべき分野は、非常にやわらかい、限りなく準則主義に近いようなものになっているという理解でございます。
  94. 木島日出夫

    ○木島委員 だから、私が言うのは、個別法で農協をつくるとかいうのは狭過ぎるのですよ。だからこそいろいろな産業分野で自主的な団体ができるわけですね。そういうのをこの十一項目でどこかでひっかけて救済できますか、それを聞いているのですよ。保健福祉社会教育町づくり文化、芸術、どこかひっかかりますか。
  95. 熊代昭彦

    熊代議員 私どもは、産業振興をどこかにひっかけて救済するというような、そういう大それた気持ちは持っておりません。そういうひっかけて救済するような話ではないと思うのですね。それぞれの産業というのは大切なものでありまして、産業を振興するというのは、いろいろな法律が考えられております。それぞれの法律にお任せしたら立派な施策があるわけでございますから、私どもは、市民活動に集中して、そこでできるだけ認証をとりやすい条件を整えた法律をつくるということを考えているところでございます。
  96. 木島日出夫

    ○木島委員 私の質問の意図は、余りにも十一分野が狭過ぎるから、少なくともそういう立派な団体がたくさんあるのだから、せめて、ひっかけて救済するという意味は、法人格付与するように解釈できないかという観点から聞いているのですよ。全然だめですね。産業界で頑張っている自主的な団体は全部排除されるというのが、今の答弁でも明らかになったと思います。  次に、地域で組織されているたくさんの団体があります。町内会、自治会、青年会、婦人会、老人クラブ、立派な活動をそれぞれしています。財産も持っています。しかし、法人格が与えられていないために、町の財産なのに、その地域に住んでいるすべての皆さんが金を出してつくった自治会館なのに、法人登記ができない、個人名義で登記する。その人が死んだときには、そのことがゆえに大変な争いも起きる例を、私、弁護士活動をする中でたくさん味わってきました。  ですから、今回、NPO法をつくるのなら、自治会、町内会、青年会、婦人会、老人クラブ、そういうのをみんな網羅して、少なくともそういう団体には法人格付与すべきではないか、それは最低限の条件ではないかという声が噴き出しているわけでありますが、今私が述べたような団体はこの法律によって法人格付与されるのでしょうか、ずばり聞きます。
  97. 辻元清美

    辻元議員 私も、今、木島委員がおっしゃったように、地域でたくさんの女性の団体や自治会、皆さんの選挙区でも、目の当たりに活発な活動をごらんになっていると思います。そういう活動は非常に重要だと私も認識しております。そういう意味で、この法文の規定に合えば、そういう活動もこの市民活動を取っていただくことはできるものと考えております。  その際に、では、十一項目のどこに当たるのか。  これも、それぞれの団体が、例えば、婦人会と先ほどおっしゃいましたけれども、私、婦人という言葉は個人的に余り好きではないのですけれども、でも、よく婦人会と言われますので、そこが、例えば女性の働くことについての活動を今回は中心にやっていきましょうとされるのか、自治会が町づくりを推進していこうとされるのか、それぞれの自治会等々によって活動内容は違うと思いますので、一概にどの項目でその団体が申請されるのかということは、ここで判断申し上げることはできません。  ただ、それぞれの項目で、「まちづくりの推進を図る活動」や「地域安全活動」、これは七項目に入っておりますけれども、そのようなものに当たる活動が多いのではないかと私は考えます。
  98. 木島日出夫

    ○木島委員 ただいまの御答弁は、そういう、地域のかなり公的な団体だけれども法律がないので法人格が与えられていない団体については、結局、何かこの別表十一項目に当たるような活動をしなければ法人格付与しないということになるのですね。町内会が保健福祉のために頑張ってくれればこの法律法人格を与えましょう。おかしな話なんですね。  町内会や自治会、本当に立派な団体です。見事な団体です。金も一円たりともおかしな状況をつくり出していません。厳格ですよ。年一回、総会をきっちりやります。そのことだけで法人格を無条件で付与するのが期待されているんじゃないでしょうか。強いて挙げれば、今不規則発言がありましたが、町づくりの推進ということがありましたが、これで全部救済されて法人格を与えてくれるという解釈でいいですか。
  99. 熊代昭彦

    熊代議員 私ども繰り返して申し上げていますことは、この条文に従って、例えば町づくりをやるという意図で法人格を取ろうという御意思があれば必ず取れるような構成になっているというように思いますが、町内会等は、町内会だけに限定するならば、地縁法人とか、地方自治法で既に、御質問にも出ましたけれども、地縁法人がございます。しかし、町内会の方々が町づくりの推進をする、あるいは地域安全活動をやろうというときには、この三号、七号で容易に法人格取得できるということでございます。
  100. 木島日出夫

    ○木島委員 ほとんど町づくりらしい活動をやらなくても青年会、老人クラブ、救済されるのですか。
  101. 熊代昭彦

    熊代議員 どうも質問の趣旨がはかりかねるわけでございますけれども、何にもやらなくても救済する救済するという、救うために法律があるわけではないわけでございますから、ですから、何か積極的にやろう、その項目として事業の種類を挙げているのが我々の法律の趣旨でございます。  事業の種類を挙げて、そして民法とのすみ分けを図るということでございますから、青年会が町づくりの推進をやられる、あるいは文化、芸術、スポーツの推進をやられる、あるいは災害時の救援とか地域安全活動をやられるということであればすぐに法人格は取れるということでありますけれども、青年会であって何にもやらないというのになぜ公益の観点から法人格を差し上げなければならないのか、先生の御意図が全くわからないわけでございます。  私どもは、そういう公益活動、しかし公益と言えば非常にあいまいな面もありますので、十一号に分けてはっきり書いた。これはもう事柄の種類としては公益に該当するんだ、そのほかの条件を目指せば必ず公益に該当するんだ、そういう趣旨で十一項目を挙げたということで、限定的という意味も確かにございますけれども、積極的には、これは明らかに公益という仕事に該当するんですよということをはっきりさせている面もあるということも御理解いただきたいと思います。
  102. 木島日出夫

    ○木島委員 非常に重要な法律ですから、私は逐条質問したいわけですが、全く時間が限られておりますので、別表第四だけちょっと質問したいと思うのです。  「文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動」とあります。文化、芸術、スポーツをやる活動とは書いてありません。スポーツをやっている団体そのもの、芸術活動をやっている団体そのものはこれに適用あるんでしょうか。振興というのはどういう意味なんでしょうか。
  103. 熊代昭彦

    熊代議員 公益を目指すわけでございますから、何らかの意味で芸術を振興する、スポーツを振興するという意図がなければならないわけでございますね。ただ単に自分のためだけに一生懸命スポーツをするというのは、それは振興を図ることではないと思いますけれども、一つのグループをつくり、そしてスポーツをする、その一環として地域のスポーツの振興を図る、あるいは芸術の振興を図りながらみずからの芸術活動もするということならば、立派な、これは四号の団体に入るというふうに私どもは解釈しているところでございます。
  104. 木島日出夫

    ○木島委員 きのうの大阪公聴会も、きょうの午前中の中央公聴会でもありましたが、例えば演劇団体、その団体を構成する構成員、メンバーは、確かに自分の趣味でその道に入ったかもしれません。生きがいで入っていると思います。そしてまた、演劇をやることによって収入を得て、それで生活を立てている。そういう人たちだけで構成されている文化団体、非常にたくさんございます。  きょうも御意見の中にありましたが、演劇活動をやっているその活動自体、これを国民の皆さんに見てもらうこと自体が公益じゃないか。日本の国民の精神文化をすばらしく向上させる活動をおれたちはやっているんだと自負していると思うのです。その自負があるからこそ、非常に安い給料で、生活もままならない中でも演劇に熱中し、音楽に熱中して、頑張って、腕を磨いて、そして市民皆さんに見てもらおうと思っているのです。振興じゃないと思うのです。演劇そのものに打ち込んで、見てもらう団体、こんな団体こそ、私はNPO法で適用して、そして見事に法人格付与して、財政基盤でも援助すべきではないかと思うのですが、そういう団体は該当するんでしょうか、ずばりお聞きします。
  105. 熊代昭彦

    熊代議員 これも先生の御定義の仕方がなかなか問題だと思いますけれども、みずからの団体のためにだけ芸術をやっているという人たちは、私は非常に少ないと思います。やはり芸術をするからには、ぜひ見ていただきたい、できるだけ多くの方に見ていただきたい、そういう精神で芸術をやっていらっしゃるのではないかと思うのですね。  ですから、できるだけ低廉な料金で多くの方に見ていただきたい、そして自分の芸術的な自己実現の意欲も大いに発揮するということならば、立派に芸術の振興に役立つという団体ではないかというふうに思いますが、先生のように、自分のためだけというように限定されるケースというのは非常に少ないんじゃないかと思いますが。
  106. 木島日出夫

    ○木島委員 だから質問しているんですよ。これは不特定多数の概念とも密接に関係してくる。ほとんどの団体が、私は基本的にはその団体構成員のみずからの利益のためになっていると思います。それで生活もしていると思うのです。しかし、そのことが同時に、その活動が国民一般のためにもなっている、社会のためになっている、公益にもなっている。ほとんどがダブっていると思うのですよ。両側面があると思うのです。  両側面があるのがほとんどの団体だとするならば、どうなんでしょうか、その団体構成員が自分の生活を得るためだけで構成されている団体については、この法第二条の「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする」という条文から認められないというようなおそれが非常にあるんじゃないか。それでその不安を私はここでぶつけているのですが、どうなんでしょうか。
  107. 熊代昭彦

    熊代議員 どんなすばらしい芸術をして、どんなすばらしい音楽を奏でる人も、自分自身のために満足するということもありますけれども、やはりみんなに、多くの方にすばらしい芸術を聞いていただきたいという二面性があると思うのですね。  自分自身のためにやってない人もないわけで、自分自身を一切無視であらゆることをやらなければここに該当しないというわけじゃございませんで、みずからのためでもあり、そして多くの方々の芸術的な情操を振興するためでもあるというのは、当然ここに規定してあります芸術の振興に該当するというふうに私は解釈すべきだと思います。
  108. 木島日出夫

    ○木島委員 そこで、私は認証ということが本当に決定的に重要な概念に与党案はなっていると思うのです。所轄庁認証する。認証というのは何なんでしょうか。何を審査するんでしょうか。定款の活動目的、それだけなんでしょうか。活動実態にまで踏み込んで審査をし、認証すべきかどうか所轄庁は決めるんでしょうか。認証の対象は何でしょうか。
  109. 熊代昭彦

    熊代議員 私どもの御提案しております法律認証認証たるゆえんは、認証であればすべてこうというわけではないですけれども法律の中で認証というのがどういう機能になっているかと申し上げますと、この法律の各条項に該当しているものは必ず認証しなければならない、そして三カ月以内に認証しなければならないと書いてあります。ですから、この法律に書いてないけれども、いわく言いがたいことでこれはだめよ、こういうのは許さないということが認証認証たるゆえんであろうと思うのですね。  それで、不認証の場合には文書によって理由を示そうというのが、これは修正の要求で出ておりまして、既にお示ししたとおり修正しますので、こういう理由認証されないということならば、その理由をすぐ直せばまた三カ月以内の認証の可能性があるわけでございますから、非常にそこは注意深く書いてございまして、先ほど申し上げましたように、公益のためにもなるけれども自分のためにもなるからだめよというような不認証理由があれば、それはおかしいということですぐ問題にすることができる。  私どもは、いわく言いがたしというのがないという意味認証という言葉を使っております。しかも法律の条文に可能な限り書いてありまして、府令等に落としてあるものは非常に簡単な、一部出すところを二部出すとかあるいは三部出さなければいかぬとか、そういうことを定めるだけのことにしておりますので、認証の趣旨をそこで御理解いただけると思います。
  110. 木島日出夫

    ○木島委員 ほんのわずかの時間、私はそのことだけで終わってしまったのですが、今の答弁を全部聞いていましても、やはり認証されるべき団体なのか認証されない団体なのか非常にあいまいだと思わざるを得ない、そういう法律構成に与党案はなっているのじゃないかと思わざるを得ないのですね。それゆえに、私は、この法律の使われ方によっては本当に限りなく許可主義に近づいてしまう。ある都道府県知事は、広くやろうというのでどんどん認証していく知事も出てくれば、物すごく厳しく狭く解釈して全部切り捨ててしまう知事もあらわれてくる、それの余地が残っている、そういう法案だということを、たった一つの問題だけしか質問できませんでしたが、明らかになったと思うのです。  私、十二項目、質問を予定していたのですが、やはりこんな調子で厳密にやっていかなければならぬと思うのですね。徹底した質疑をやることを、これは委員長委員会にお願いをして、時間ですから私の質問を終わります。
  111. 伊藤忠治

  112. 保坂展人

    保坂委員 私は、市民活動それ自身の中で、議員になる前、いろいろな体験をしてきました。その一つの市民活動に、ちょっと紹介させていただきたいのですが、大河内清輝君の亡くなったいじめの事件がございますけれども、それをきっかけに、東京の世田谷の地域の中で、いじめをどうやって子供たちの安全という観点から解決をしていけるのだろうかということをまさに市民活動として、民間団体、多数呼びかけ、教育委員会とも何度も協議をして、地域丸ごと、学校を包み込んで、シンポジウムを年三回やるというようなことをやってまいりました。  そして、私自身もまた小さな民間団体として、子供の声を二十四時間、留守番電話なんですけれども、受け続ける。そして、子供たちのいろいろなSOS、もう生きていけない、もう学校でやっていけないというせっぱ詰まった声が入るのですね。なぜ二十四時間、電話を留守番電話でやっているかというと、とても人手がない。これはテレビ、新聞などで公開をされますと、本当に一日に電話局がパンクしてしまうぐらいに電話がわっと入るのですね。  そういった経験の中で、私は三年前にイギリスに行ってまいりました。実はイギリスでは二十四時間子供の声をフリーダイヤルで受け続けるチャイルドラインという組織があります。これは年間予算規模七億円です。ことしの募金目標は十億。ここらあたりがやはり、税制上の優遇ということもあって、いわば国の側、イギリスの場合でも国の側は及び腰というか、いじめの問題にそう積極的に取り組むという姿勢を最初に打ち出したわけではなくて、やはり子供たちの側から声が上がってくる。それを民間市民団体がくみ上げる。そして社会が解決に乗り出していく。そこでは行政民間もお互い補い合って解決をしていくという時代にやはり入ったのかなというふうに思います。  先般、たまたまなんですが、労働党の選挙の開票速報を見ていまして、その後、労働党の議員に会ってお話をしましたところ、今までの我々の政治というのはトップダウンだ、上から下へおろしていく政治なんだ、ところが、ニューレーバー、新しい労働党は国民の各層の多様な形を吸い上げて、マイノリティーもある、障害を持つ方もいる、女性議員もたくさんいる、そういうふうに時代が変わってきているのだというふうなお話を聞いて非常に感銘をしたわけです。  与党三党を軸にして、そして民主党あるいは市民団体の多くの方々が加わりながらこの法案がまとまり、そしてまた、たびたびの審議を経て、幾つかの疑問点やあるいはここはどうかという点を経て、しかしこれが大きな時代の幕あけになるのではないかと私自身は感じているわけですけれども、この法案日本市民活動の活性化にどのように結びついていくかどうか、御苦労された議員としてて一言伺いたいと思います。
  113. 辻元清美

    辻元議員 私は幾つかの点を申し上げたいのですけれども、まず公聴会でも申し上げました、やはり市民活動というものが社会的信用を得るというのは非常に大事です。何ぼええことをやっていてもなかなか認知度が低かったという現状がありますので、一つは法人格ができることによって、さまざまなそういう活動をされてきた人たちが社会的信用を得やすい、そういう手だてになればいいなというふうに考えています。  それともう一つは、この法案をつくるに当たって、保坂議員指摘されましたけれども市民活動をやっている人たちと一緒につくったという実感を持ってこれを提案しているわけなんですけれども、そういう意味でも今まであった法律と違う、そういう性質を持っている。  かつ、この法案を活用して市民活動が活性化されているかどうかというのも三年後に一緒に見直していこうじゃないか、そこの部分も含めて社会的信用を得ながら税の優遇措置等についても一緒に考えていくというその第一歩でありますので、それは、大きくこれができて、こういうバラ色の世界になりますよと私は今申し上げる立場ではないと思うのです。これは、市民活動をやっている人たちがどのように使っていくか、その実態を踏まえて、私たち国会にいる者と一緒に、どういうふうにさらにいいものにつくっていくかというところにこの法案意味があると思っていますので、一緒にそういう作業を進めていければと思っています。
  114. 保坂展人

    保坂委員 幾つかさらに与党案そのものについて伺いたい点を聞いてみたいと思います。  大体、NGO、民間団体というのはいつも人手不足で、兼任、兼任ということが多いわけです。第二条の役員報酬を受け取る者が役員総数の三分の一以下であることという規定についてなんですけれども、例えばAさんという方がいて、創立以来の貴重なメンバーで、その人がいないとこの団体は回らない、つまり事務局長だ。事務局長としてAさんが報酬を、給与を得ている。しかし、Aさん自身が役員である。役員は無報酬というつもりなんだけれども、というか、そういう扱いであるというようなことが、これは問題ないというふうに考えていいのかどうかという非常に実務上の取り扱いについてなんですが、いかがでしょうか。
  115. 辻元清美

    辻元議員 今の御指摘も、実務上とおっしゃいましたが、活動していく上では非常に身につまされるところなんですね。人手不足で兼任もあるし、その人の報酬を、どの人にどういうふうに報酬を得るものとして活動していくかという重要な御指摘だと思います。現場からの御発言と受けとめましたが。  事務局長と役員を兼任した場合、与党案は、その方が報酬を取ったとしても、役員の報酬にはカウントされないということになっております。
  116. 保坂展人

    保坂委員 この条文では社員や役員に対する報酬ということがあるのですが、これはいわゆる民間団体、NGOの職員に対する賃金と違うというふうに考えてよいのかどうか。そうすると、社員、役員と職員の兼任は可能になるのかどうかという点についていかがでしょうか。
  117. 辻元清美

    辻元議員 兼任は可能です。  それで、この役員というものの定義は、これは私も今回いろいろ、役員というのは通常議決権を持って責任者となるわけなんです。社員は議決権を持つ構成員というふうになっています。職員というのは事務局員、よくありますね、雇用される者という解釈でしております。  この条項があるのですけれども、今修正を審議していただいている中では、社員の報酬を受ける者の三分の一条項というのは削除した方が現状市民活動の活性化につながるのではないか。私もその意見には賛成ですので、そう御審議されるのではないかと考えております。  ただ、じゃ職員はどうなんだ、何人でもいいのか。それは、それぞれの団体が、団体の特性によりまして、報酬を受ける職員の数は選んでいただいて結構であるということになっております。
  118. 保坂展人

    保坂委員 じゃ確認になるのですが、社員は議決権を持つ構成員のことであって、職員の人数というのは制限しているわけではない。三分の一条項の解釈というのは、社員としての無報酬性を述べているということであって、職員の無給という意味ではないと確認させていただいてよろしいですか。
  119. 辻元清美

    辻元議員 そのとおりです。
  120. 保坂展人

    保坂委員 この場で再三、市民活動が活性化をしていくためにはやはり税制上の優遇措置が大きな課題である、そのために三年後の見直しということに向けて、これは各党それぞれの立場で言われていることだろうというふうに思うのですけれども税制以外に、民間団体市民団体というのは非常に限られた力で大きな社会的な作用を担わなければいけないという場合もあるわけですね。  例えば先ほどのイギリスのチャイルドラインの例でいいますと、新しい課題に向けて取り組むときに、六百社についてDMを出してプレスリリースをかけるなんというようなお話も聞きましたけれども、郵便料金について、あるいはある病気で苦しんでいる人たちに、全国離れているわけですから、新しい情報を届けたいとかさまざまな、現在の扱いで優遇されているところもあると思いますが、郵便料金などは検討の範囲に入ってこないのでしょうか。
  121. 辻元清美

    辻元議員 この見直しのときに、税制の見直し等という、等という言葉を、ぜひ皆さんここで審議していただきまして、附帯等に等という言葉を入れていただきたいと私は思うのですが、その中に、今委員が御指摘になりました郵便料金等について見直していく、何か手助けできるようなことができれば、それも含めて見直しの中で考えていきたいというふうに議論してまいりましたし、今後の見直しの中でもその話は出ると思いますので、今委員指摘のとおりです。
  122. 保坂展人

    保坂委員 この場の議論をずっと通して、やはり日本に新しい市民活動の時代がもう来ているのだ、そして、市民活動が本当に小さな、社会的に見れば小さな領域のように見えても、いわばそれが触角のような働きをして、巨体では届かない部分について問題を摘出したり、あるいは事前にアラームを鳴らしたりというような役割を、市民団体民間団体はこれからますますそういう役割を問われていくだろうと思うのです。  三年後の見直しということにかけて、現在はそこまでいってないのですけれども、非営利法人一般法というようなことまで展望しつつ、これだけ河村さんやあるいは木島さんの議論を聞いていても、いろいろな意味市民活動ということをきっちり大地に足をつけて、これをいい方向で発展させていこうという趣旨は同じだと思いますので、その展望について伺いたいと思います。
  123. 辻元清美

    辻元議員 今保坂委員が御指摘になった点は私も同じ意見ですので、ぜひ、委員も今まで教育問題のNPOを長く続けてこられたという実績がございますので、一緒に入っていただきたいというふうに考えております。
  124. 保坂展人

    保坂委員 冒頭にイギリスのチャイルドラインの例をお話をしましたけれども、確かに巨大なそういう電話相談組織を持っているのですが、実は、日本にイギリスのいじめ問題に関する関係者を呼んでいろいろな市民団体を回ってもらうと、非常にきめ細かく日本市民活動というのはあるのですね。逆に、日本に独特に生まれてきている、子供や、私は子供の問題が専門なんですけれども、そういう団体がもう今ぎりぎりのところで、存続するのがなかなか危うい状況の中で、個人的な努力、頑張りでやっているという面があります。  ですから、そういう団体、そして子供の安全ということを、この間の事件などを見ても非常に切迫していると思います。そういうところをやはり地域、そして市民社会全体、あるいは国境を越えて新しい時代を開くべく、この法案がとりあえず端緒を切るということを願って、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 伊藤忠治

    伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会      ————◇—————   〔本号(その一)参照〕     —————————————    派遣委員大阪府における意見聴取に    関する記録 一、期日    平成九年六月二日(月) 二、場所    ホテルプラザ 三、意見を聴取した問題    市民公益活動を行う団体に対する法人格の    付与等に関する法律案(第百三十九回国会    、河村たかし君外四名提出)、市民活動促    進法案(第百三十九回国会熊代照彦君外    四名提出)及び非営利団体に対する法人格    の付与等に関する法律案木島日出夫君外    二名提出)について 四、出席者  (1) 派遣委員    座長 伊藤 忠治君       岩永 峯一君    岸田 文雄君       熊代 昭彦君    河村たかし君       倉田 栄喜君    西村 眞悟君       金田 誠一君    木島日出夫君       辻元 清美君    前田 武志君  (2) 政府側出席者         経済企画庁国民         生活局国民生活         政策課余暇・市         民活動室長   小林 裕幸君  (3) 意見陳述者         アジア医師連絡         協議会ロジステ         ィックス委員長 鎌田裕十朗君         大阪文化団体連         合会参与    三好 康夫君         コミュニティサ         ポートセンター         神戸代表    中村 順子君         劇  作  家 本田 忠勝君         社会福祉法人大         阪ボランティア         協会理事・事務         局長      早瀬  昇君         財団法人たんぽ         ぽの家常務理事 村上 良雄君  (4) その他の出席者         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君      ————◇—————     午後三時開議
  126. 伊藤忠治

    伊藤座長 これより会議を開きます。  私は、衆議院内閣委員長伊藤忠治でございます。  私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いをいたします。  この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。  皆様御承知のとおり、現在、当委員会におきまして、第百三十九回国会河村たかし君外四名提出市民公益活動を行う団体に対する法人格付与等に関する法律案、第百三十九回国会熊代昭彦君外四名提出市民活動促進法案及び木島日出夫君外二名提出、非営利団体に対する法人格付与等に関する法律案の審査を行っているところでございます。  当委員会といたしましては、各案の今後の審査の参考に資するため、当地において各界各層の皆様から御意見を拝聴することになり、かかる会議を開催することとなった次第でございます。  御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いいたします。  それでは、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。  会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。  なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  次に、議事の順序につきまして申し上げます。  最初に、意見陳述者の皆様から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、次に、委員から意見陳述者の皆様に対し質疑をすることになっております。なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。  出席委員は、自由民主党の岸田文雄君、熊代昭彦君、岩永峯一君、新進党河村たかし君、倉田栄喜君、西村眞悟君、民主党の金田誠一君、日本共産党の木島日出夫君、社会民主党・市民連合の辻元清美君、太陽党の前田武志君、以上でございます。  次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。  アジア医師連絡協議会ロジスティックス委員長鎌田裕十朗君、大阪文化団体連合会参与三好康夫君、コミュニティサポートセンター神戸代表中村順子君、劇作家本田忠勝君、社会福祉法人大阪ボランティア協会理事事務局長早瀬昇君、財団法人たんぽぽ家常務理事村上良雄君、以上の方々でございます。  それでは、鎌田裕十朗君から御意見をお願いいたします。
  127. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 私どもAMDA、アジア医師連絡協議会から意見を陳述いたしますが、国際医療NGOとしての現場からの生の声と経験を交えてお話しさせていただきます。  まず、AMDA、アジア医師連絡協議会は昭和五十九年に設立された日本の医療ボランティア団体でありまして、会員数千八百、うち日本人千五百、外国人三百人の、医師、歯科医師、薬剤師、看護婦等の医療関係者のみならず、他の専門職、そして一般会員によって構成されております。  平成七年には国連認定NGOに認定されております。アジア、アフリカの日本へ研修に参っている医師、医学生の参加を募って支部をふやしております。現在、二十八カ国において活動を行い、四十のプロジェクトを行っております。国内では、阪神・淡路大震災において発災当日より出動し、二千人のボランティア活動を行いました。また、日本海ロシア船籍タンカー重油汚染事故には、三国町現地対策本部救護室に医療班を派遣しております。一般寄附のほか、外務省、厚生省、郵政省の国際ボランティア貯金などより資金提供を受けておりまして、またJICA、国際協力事業団の業務委託なども受けております。国連の諸機関、WHO、UNHCR、国連高等難民弁務官事務所や、ユニセフ、WFPなどの活動に参加しております。国内災害時に対しても、災害医療並びに被災地地域医療体制の復旧を目指した医療ネットワークを日本医師会、全日本病院協会、そしてAMDAと、この三つで構成しております。  私、鎌田は、九四年のルワンダ難民救援活動をザイール東部にて行いました。また、九五年の阪神・淡路大震災、同じく五月の北サハリン大地震にも出動いたしております。昨年十二月は、百万人のルワンダ難民の帰還に関してルワンダ本国に参りまして、ロジスティックスという、補給、通信等の整備、そして医療活動基盤整備を行っております。  本論に入ります。  AMDAといたしましては、自民、社民、さきがけ、民主四党の案に賛成いたします。その理由は以下のごとくでございます。  この四党の案に明記されているNPO法人格付与、これは、新進党河村先生を初め強く言っておられることなので大変ありがたいことでございますが、我々にとって、海外緊急救援活動において最も重要でございます。一刻を争う中でも、入国や医療活動許可を現地政府から得るなどの手続が必要とされて、法人格の有無が当地で問われます。特に、旧イギリス連邦諸国、バングラデシュ、ネパール、マレーシア、ケニア、タンザニア等では非常に厳格なる法人格の有無を問われて、活動に評価を受けます。法人格がなければ活動ができないということも多々ございます。また、先ほど述べました国連各機関との活動の契約をとるときも、法人格の有無が重要なポイントとなります。私ども法人格を持っていませんので、大分苦労しております。カテゴリー2の国連認定NGOに一昨年なりましたが、そのときは理事会で、何で法人格がないのと不思議がられたくらいでございます。  そして、新進党案では、第一章総則の「定義」において、第三条第三号「社員の過半数が、当該団体の主たる事務所の所在地の都道府県の区域に住所を有する者であること。」同じく第四号「役員の三分の二以上が、」というところでございます。私どもAMDAは、本部を岡山に持ち、広く日本全国に約千五百名の会員を持っておりますので、前述の定義に該当いたしません。  また、次の第五号は、活動を行う区域は、「主たる事務所の所在地の都道府県の区域内にあること。」とありますが、私どもは、日本全国の災害救援活動を対象とするのみならず、全世界の人々の貧困と病魔からの救済を目的としておりますので、私ども活動は本案では該当いたしません。ですので、活動区域規定並びに社員、役員の住所規定のない自民、社民、さきがけ及び民主の四党案に賛成いたします。  その続きでございますが、日本NPOの位置づけを申します。  現在進行中の行政改革は、私どもとしては、一、規制緩和及び地方分権、二、情報公開、三、民間への業務委託であると考えております。特に三の民間への業務委託は、行政の肥大化に対する解決策として民間企業への委託が行われると思われますが、それですべてが解決されるとはとても思えません。あらゆる面でのボーダーレス化の進む現在、アメリカ型市場経済が世界を席巻しております。利潤の追求の対象とならないものは企業活動の対象から外れますので、福祉、医療等の弱者救済の、利潤や利益追求の対象とならないものはどうなるかということが心配であります。それこそ非営利活動NPO活動が、現在日本で進行している少子・高齢化、過疎化、環境問題に対する処方せんであると考えます。私どもは医療人が多いものですから、現場でそれを強く肌で感じております。  しかしながらNPOには、そうなりますとますます公共的、社会的、地域的責任が必要とされるのは当然でありまして、先ごろフィリピンに参りまして、地域に根づいたNPO活動を多く見、そして、そのNPOから議会や行政に入られた方ともお会いしましていろいろ御意見をいただきました。そこには、先ほどの公共的、社会的、地域的責任をしっかりと担っている姿がございました。  また、フランスのある国際医療NGOは、昨年、フランス国家会計監査役協会が与える賞を受賞しております。これは、上場企業、非上場企業、自治体、財団、NPOを対象とした財務管理に関する情報を最もよく明確に一般公開したものに与える賞であります。お年寄りや子供さんを初め、どうぞ使ってくださいと我々の募金箱にいただく寄附金や助成金がとうといものであるのは言うまでもなく、国からの補助金等も国民の税金であります。一銭もむだにできません。行政改革にうたわれる情報公開はNPOにも行われるものであり、資金を初めとする組織運営の透明性は重要であると考えます。  最後に、活動資金税制に関してでございますが、税制優遇等の措置は大変ありがたく存じます。ただそれには、先ほども述べましたが、その透明性が必須であります。また日本では、公的な補助金が、そしていろいろな財団からのもそうなんですが、物、箱にはつくのですが、通信費とか事務費、事務員給与費などの事務局運営費には予算がつきません。こういうことの改善も必要であると思います。  また、実は、税金の優遇を受けても、グロスとして日本のNGO、NPOの予算の規模は大変小そうございます。GDPレベル、GNPレベルでは欧米諸国と比べて決して遜色がないはずなんですが、そのグロスが大変小さい。ですから優遇を受けても、はっきり申し上げますと余り大したことはない。それは大事なんですけれども、ダイナミズムを得るための資金にはならない。その活動資金はどうするのかというと、なかなか寄附だけでは難しい。もっとも海外の活動にはODAの一部が割り当てられるようになりましたが、国内の活動にも相当する補助が必要と考えます。  それは三つ、私どもは考えました。一つは税金、そして二つは公営ギャンブル、三つは財団等の非課税収益、これらの中から定率的な補助日本NPO、NGOにいただくようにしていただければ、その資金的なグロスを得てダイナミズムを得られると思います。  以上です。
  128. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、三好康夫君にお願いいたします。
  129. 三好康夫

    三好康夫君 お手元に、大阪文化団体連合会の概要を資料として差し上げてありますので、それをごらんいただきながらこれからの私の意見をお聞きいただければ幸いに思います。  大阪文化団体連合会は、一九七八年に創立いたしましてことしで二十年になります。私たちがこの文化のネットワークを組織しましたのは、大阪は明治以来商工業の都市として文化が軽視されてまいりました。したがって、文化基盤の整備が他の大都市に比べて大変立ちおくれておりますことから、大阪の主要な芸術文化団体が、これにはプロフェッショナルな芸術文化団体も、それからアマチュアの団体、創造団体また普及面に携わっている文化団体、こういった団体すべてを含めまして、手を携えまして文化団体立場から大阪文化振興に取り組むことを目的にして結成いたしたものでございます。  現在、構成団体は三百五十団体、全国的な文化芸術のネットワーク組織である芸術文化振興連絡会議、通称PANと言っておりますが、これの構成団体として、全国的な文化団体とも連携しながら活動を進めております。  そこで、NPO法案の問題につきましてなんですが、私、法律上の問題が大変弱いものですから、極めて感覚的な要望としてしかお伝えすることができません。このことをあらかじめお許しいただきたいと思います。  私は、この法の成立が市民の自主的な公共的性格を持った活動、もちろんその中には文化も含むわけでございますが、営利を目的としない団体活動を積極的に支援するものであってほしいと強く願っております。  ここで、私の専門分野でございます芸術文化の公共的性格について申し上げれば、戦後の経済効率主義が生み出した負の遺産からの脱却を求めまして、これは各位の方々も御存じのことかと思いますが、一九七〇年代初頭から、物から心へというのが大きな全国的な声となって起こってまいりました。そのことによって初めて芸術文化の持つ公共的な価値が改めて見直されてまいりました。  この芸術文化の持つ公共的な価値については、早くも一九七二年、大阪府が設置しました大阪文化振興研究会のメンバーのお一人で、当時国立民族学博物館の館長であった梅棹忠夫先生がこの研究のメンバーのお一人でございましたが、文化は私事ではなく公事、公のことである、そして教育はチャージ、つまり蓄積、文化はディスチャージ、発散することであると述べられまして、これは後に創元社から「大阪文化を考える」という本になって発行いたしまして、当時ようやく全国の自治体で文化の問題が政策的な課題になりました、非常に重要な手引書といいますか、参考書になったということを記憶しております。ここで述べられておりますように、文化は教育とあわせて日本人の国民の精神の涵養といいますか、そういうものに大変重要な役割を果たすということを先生は述べられたわけでございます。  それ以後、文化振興ということは、自治体行政の重要な政策課題として位置づけられるようになり、文化振興を図るための手段として文化ホールを初め各種の文化施設の整備がそれなりに整えられてまいりました。しかし、肝心な芸術文化を創造し、それを享受する市民への支援、言いかえれば、ソフト面の充実が立ちおくれているのが現状でございます。時折の新聞等で公共の文化ホールで閑古鳥が鳴いているなどとやゆされているのを目にしますが、これはハード面が整備されているもののソフト面の整備が立ちおくれていることを示しているからであります。  近年、ようやく先進的な自治体では、行政市民、それに専門芸術家や地元の企業なども含めまして、息の長い文化町づくり事業が市民参加によるホール運営などともあわせて始まっております。いずれもが市民、芸術団体文化的エネルギーを地縁、血縁的地域社会が崩壊した後の新しいコミュニティーづくりの核にしよう、そういう趣旨でこういう文化町づくり事業が各自治体では行われるようになっておる次第でございます。  今日の都市型社会においては、福祉や環境保護その他の非営利的な市民活動と並んで、芸術文化活動は人間の精神的豊かさを支えるための大きな役割を担っている。しかし、先ほども申し上げましたように、文化につきましては法的には保護、支援の対象には余りなっておりません。一部の団体はその保護の対象になっていますが、なっておりません。したがって、私は、今回のNPO法の制定に当たっては、ぜひ次の点に留意していただきたいと願っております。  一つは、芸術文化活動を含む非営利的で自立した市民活動団体すべてをその対象にしていただきたい。団体を非常に限定的にとらえるのではなくて、非常に幅広くとらえていただきたい、これが一点でございます。  二つ目は、こうした活動支援するための税制上の優遇措置を講じていただきたいということを願っております。これは繰り返しになりますが、今日の日本社会は、オウム事件や、またごく最近の神戸市における残忍な小学生殺害事件にあらわされていますように、また今もなお続いておりますいじめ、こういうものが後を絶たない状況の中で、暮らしの中に豊かな精神文化を築いていくことがいかに大事か、今日ほど大事な時代はないのではないかと私は考えております。そういう意味で、人間の心を豊かにしていくためにも市民文化芸術活動の重要性は一層今日大きくなっている、そのことがこの法のいわゆる精神になっていただきたいというふうに私は考えております。  このように、今の芸術文化というものは、これまでの他の領域から比べますと非常に冷遇されてきておる、これをやはり、今日このすさんだ人心を豊かな心に変えていく、そういう大きな役割を果たすためにこのNPO法が、先ほど申し上げましたこの二点について留意していただいて、いわばそれを支援する、促進する役割を果たしていただきたいと願っております。  以上をもって私の簡単な発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  130. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、中村順子君にお願いいたします。
  131. 中村順子

    中村順子君 コミュニティサポートセンター神戸の中村でございます。  阪神・淡路大震災で直後から救援組織を立ち上げまして、直後の緊急救援活動、仮設住宅の支援活動地域のコミュニティーケア活動、また現在はコミュニティー事業といった新しい分野にまで取り組みながら、被災地の刻々と変化するニーズに対応して活動を進めてまいっております。もちろん、任意の草の根の市民団体の代表でございます。また、コミュニティサポートセンター神戸のみならず、被災地における草の根団体の幾つかの団体と深いかかわりを持ち、ネットワークという力の中で復興に当たっています。  きょうは、与党三党と民主党の修正案をぜひともこの国会で成立させてほしい、そういう願いでここの場に臨ませていただきました。  皆様御存じのように、あの大震災では延べ百四十万人ものボランティア活動いたしました。そして、助け合いのパワーがすごいものであるということを見せてくれています。二年四カ月たった現在も、地元では仮設住宅から恒久住宅への移行のお手伝い、また移行した恒久住宅の先での地域に溶け込めるようなプログラムの実施など、大変継続性が要求される被災地のニーズに、幾つもの団体が営々と活動に取り組んでいる日常がございます。  ただ、現状ではそういったニーズの全体的総量に比べまして、市民活動団体やボランタリー団体の数が不足をしています。今、当面差し迫って引っ越しの問題が大きくあります。また新しい住宅での受け皿環境づくり、そういった活動に事務所を構えて活動している団体はおよそ三十ぐらいというふうに思います。あのときは実に三百、四百ぐらいの団体活動していたと思います。なぜ、市民活動団体がこのような数に減ってしまったのでしょうか。  これは皆様、多分持っていらっしゃる方が多いと思いますけれども、私の普通自動車の運転免許証です。このカードは私のIDカードであると同時に、震災後幾つか生み出した団体を発足させる重要な契約の証明になりました。四つの団体の立ち上げに私は関与したわけでございますが、実に四つの団体の通帳が九冊、私の名前で登録をされています。総額約三千二百万もの額になりました。また、事務所を開く、電話が要ります。その電話回線を契約するにも私のこの免許証が使われたわけです。四つの団体、東灘助け合いネットワーク、神戸西助け合いネットワーク、神戸中央助け合いネットワーク、CS神戸、実に九本の電話の回線もまたこのカードでなされました。また、現在新しい事務所、共同のアトリエ、共同作業所を立ち上げるために借地契約も結ぼうとしております。いずれもこのカードでなされるわけです。これは、法人格がないということで、私の個人の責任においてされなければならないということを如実に示した事実ではないかというふうに思っています。  今聞かれただけでも、通帳の総額、電話の回線数、借地の契約、私は一主婦でございますけれども、その個人の能力をはるかに超えたところにあるということは今示したところでおわかりかというふうに思います。もし、こういった中で私個人が存在しなくなったらどうなるのでしょうか。すべての責任はだれがどのように負っていくのでしょうか。無限の責任を私が背負わなければならないのでしょうか。  それで、私たちの抱える、持っている団体以外にも、契約の相手に大変不安な思いをさせたことも昨今の経験としてございました。現在、土地を借りまして、そこで皆が働けるような共同の作業所づくりに入っておりますけれども、相手は株式会社です。契約の相手は私個人です。大変不安な思いをされているようです。ただ、私を、今のところは地主さんは個人信用ということでその土地を貸してくださっているわけです。このようなことを見ましても、個人の責任の限界と社会的な不都合を感じざるを得ません。  被災地では、先ほど申し上げたようにたくさんの団体活動をしていますが、活動をすればするほど個人の責任が重くなる、これでは、やる気があっても、せっかくの被災地でまとまった力となる活動を継続することはできないのです。私たちの被災地において活動が継続できる条件に、まずはこういった団体基盤整備をすることが重要だというふうに私は思います。そして、その基盤整備のまず第一歩は、人格付与という問題というふうに思うわけです。そのことによって社会的認知を開く第一歩を私たちは歩みたいと思います。  先ほど高齢化社会の問題も出ましたが、二十一世紀に向かって、超高齢社会、公的介護保険ではとても地域のニーズがカバーできるというふうには思われません。日本の社会に必要な公助の努力と自助の努力、それに加えて、最も私たちが被災地でも大事だと思ったのは共助の力であります。住民、市民がお互いに日常的に助け合う関係、こういった関係地域で根づかせるためにも市民活動基盤整備が緊急の課題というふうに思います。  きょうは、東灘助け合いネットワーク、中央助け合いネットワーク、神戸西助け合いネットワーク、西宮助け合いネットワーク、コミュニティサポートセンター神戸、ネットワークを、約二千人のボランタリーが活動をしておりますが、その皆さんの声を代表して、委員皆さん方にぜひ聞いていただきたいと思ってやってまいったわけでございます。  重ねてお願いがございますけれども、現在審議されています与党三党と民主党の修正案、幾つかの問題はあったにしても、しかし、あの案でとにかく一歩を踏み出していただきたいと思います。そして、私たちに社会的な名前をください。そして、活動基盤整備に当たりながら、市民活動団体が二十一世紀により力強く共助の中心に座るような、そのような歴史的な国会にしていただきたいと思います。あわせてお願いをし、私の陳述を終わらせていただきます。
  132. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、本田忠勝君にお願いいたします。
  133. 本田忠勝

    本田忠勝君 私は本田忠勝と申します。よろしくお願いします。  私は本書き屋ですから、台本をちょっと書いてきました。意見陳述書なるものを書いてきました。十分しか時間がございませんので、読ませていただきますのでよろしくお願いいたします。  意見陳述に入る前に述べておきたいことが一つありまして、それは、通称NPO法案審議国会で行われて、きょうのようなこうした市民意見を直接聞く地方公聴会を開いていただいたことに対して感謝したいと思います。いわゆる多様で膨大な量の市民活動の主人公は市民であり、その市民による市民のための法案を検討するに際して、私ども市民意見国会審議にぜひ反映させていただきたいと思っています。  なぜなら、通称NPO法案は、日本の民主主義の成熟度が推しはかられる重要な契機となっているからだと思います。NPO法案は、民主主義国家の百年の計に当たるからこそ、単なる国家経営の戦術ではなくて、国際的にも通用する二十一世紀につながる新たな民主主義国家形成の戦略として位置づけて審議していただきたいと思っております。  市民活動といっても、福祉分野、教育分野、国際交流分野、環境問題の分野、医療の分野、芸術文化分野、物すごい多様で、その質と様態は多面的です。阪神・淡路大震災や北陸の油流出事故などで市民のさまざまなボランティア活動が進められる中で、市民活動支援のための法的不備やシステムの不備、税制上の不備などさまざまな矛盾が噴き出しました。通称NPO法案がクローズアップされて、国会審議されるようになったと思います。  もともと国内では、これまで多様な市民活動が展開されてきました。市民が生活点、いわゆる地域を母体にしながら、例えば子供会、PTA、自治会、町内会、青年団活動、婦人会活動、老人会、私はほとんどやりました。老人はまだやっていませんけれども、婦人会までやりました。そういうことがありまして、いわゆるこれは、今まででいきますと官に近いところでの活動という批判もありますが、そういう活動の上に、現在、市民活動の幅と量が多様で膨らんできております。先ほども申しましたように、分野が多様になっているということと、新しい質と様態の多様性が顕著になってきているというのが昨今ではないかと思います。そういう意味では、市民活動は新しい質と様態の多様性がもっと広がっていくだろうし、ふえてほしいと私は願っています。  もともと市民活動は、行政主導や統制管理のもとで進められるものではない、市民の自主的で自発的な質の高い暮らしを求める活動である、そう思います。既存の組織の活動実態を分析すれば、恐らく公益的性格を持っているものとわかるはずです。これらの、市民による市民のための市民活動が一層発展できるようにするためには、市民や企業の寄附金控除税制が改革され、また優遇税制を導入していただきたいと私は思っています。税制優遇措置は、非営利団体に対する法人格付与に関する私たちの要望の骨格をなすものです。市民が元気になれば、国は絶対に元気になると思います。市民が生き生き伸び伸びと、自分のために、また他者のために活動できる条件をつくる上で、何を条文に入れるかということを慎重審議していただけたらと考えております。  前置きがちょっと長くなりましたが、私は物書きですから、芸術文化分野にいる者の視点から、非営利団体に対する法人格付与に関する法律をつくっていただきたいという立場で、今から陳述をしたいというふうに思います。意見陳述する四項目は、法案審議の骨格に多分当たると思います。順次述べたいと思います。  少し急ぎます。  第一には、公益的概念についてということです。  芸術文化団体の多くは、芸術文化の創造と普及を命題にしています。それらの活動は、みずからの創造活動市民に供することによってのみ存立します。何が公益的なのかも各種の市民活動のテーマです。あの芝居は公益的で、この芝居は公益的ではないとだれが判断するのかということです。それは、国家の司法府でも立法府でも行政府でもないと思います。市民活動そのものの命題であるというふうに思います。  NPO法案が民主主義国家の百年の計だから慎重審議していただきたいと申し上げましたのは、市民自治によって公益概念を形成していこうという非営利団体とその活動、また支援あり方を法制化しようという高い段階の民主主義建設をしようとしているからです。ですから、法案の中にわざわざ市民活動はこれしか認めないといういわゆる枠組みをはめることは、市民がそれぞれ固有の高い人間性や、高い創造性や、価値ある暮らしを求めようとしている活動の手かせ足かせ以外の何物でもないと思います。  先ほど申しましたように、市民活動の質と多様性は広いし、二十一世紀に向かってもっと広がると推定されます。NPO法案は百年の大計だと私は思っています。市民活動の多様性を認めるならば、分野の限定はすべきではないと考えております。  第二に、許認可制度に関する法律案の詳細についてです。  先ほども述べましたように、許認可については、極力準則主義に近づけるとか認証にするとかということではなくて、市民活動市民の自由と自主性と自立性と積極性を基盤にして行われるものですから、これを国家が支援するというのですから、日本共産党の法案にある準則主義を貫き、登記登録による非営利法人として認知すべきだと思います。  諸先生方も御存じだと思いますが、今、各地方自治体では、楽しくておもしろい法案、すてきな法案ができています。文化振興条例という法案です。その法案というのは、物すごい緩やかな法案でございます。でも、その中に書き込まれている条文には、市民自主性、創造性を尊重すべきと記されています。市民活動としての多様な芸術文化活動は、市民の自由と自主性、自立性、積極性を基盤にして行われるものですから、それらの活動を認めて、法的にコントロールをするということは矛盾します。矛盾したことを統一的に解決しなければいかぬわけですから、市民の自由、自主性、自発性を信じて、登記登録のみで法人格付与をするのが一番よいと思います。  アメリカでは、法人登記に関して、あなたの団体は営利法人を選びますか、非営利法人を選びますかという設問で簡単に登記ができます。日本に、お医者さんですが、一人法人という法人があるのです。いわゆる一人でも法人ができるという法律で、これはすてきだと思いますが、これが一人の芸人ができたら最高だと思います。市民の自主的で自発的な行為を支援する法律なのですから、もっと緩やかな登記手続で非営利法人資格を付与していただきたいと思っています。これは懐の深い、言葉をかえて言うならば、高い段階の民主主義的国家運営ということへの期待だと思います。  「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」ということで、第十五期中央教育審議会が次のように述べています。「子供たちに「生きる力」を」、この言葉はたくさん出ています。その中で、「教育は、「自分さがしの旅」を扶ける営みとも言える。」という言葉があります。子供をこういう形で立派な理念で教育して、大人の市民活動にもその理念を継続、発展させる必要があると思います。狭い意味での教育の問題ではなくて、市民の広い意味での自己教育権を保障することを意味します。  NPO法案というのは、市民の質の高い暮らしをつくるための自分探しの旅、他人探しの旅を助け、その営みを支援するものであると置きかえられると私は思います。その意味では、日本共産党の現行民法三十三条を根拠法にして非営利の法人資格を与えるという視座、見方、条文は、とてもすぐれているというふうに思います。  三番目です。  非営利法人の監督を行う非営利法人委員会についてですが、これはとてもいいシステムだと思います。市民活動の自由と自主性と創造性を保障するために非営利法人委員会を置いて、自治機関としてその役割を果たすことと解散命令などの司法機関による強権発動権を分離するということは、さきに申しましたように、市民活動の自由と自主性と創造性を保障する上でも、とても大切な第三者機関だと思います。  第四番目、税制優遇制度の明文化についてです。  非営利団体に対する法人格付与に関する法律案の条項は幾つかありますけれども、非営利団体法人格が欲しい、人格ある社団への芸術文化団体の願いは切実です。非営利法人格付与とともに、税制優遇制度の導入はこのNPO法案の不可欠の条件だと思います。  私は、劇団に所属しています。劇団は、市民に対して演劇を再生産、配給しなければなりません。そのために、新しい作品の制作ごとに一定のお金を留保しなければなりません。仕込み費をつくるということですね。我が国の税法では、この留保金を所得税としてとらえて課税します。この留保金は、劇団員や劇団関係者が報酬の受け取りを辞退するということで生み出されているというのが実態です。多くの劇団も営利法人になっていますが、企業活動における利益剰余金とは性質を異にします。しかし、今日の税制ではその点が全く考慮されていないからこそ、非営利法人税制優遇措置を私たちは求めているのです。  劇団といえど国の税法を受け入れざるを得ません。その場合、税務署に納税義務者を届けることになりますが、劇団代表者個人の事業として届け出れば、所得税がかけられます。その他の届け出方法として残された道は、法人化の道しかありません。今、隣の方が言われましたように、法人化には現在、人格なき社団、公益法人、営利法人三つの選択肢しかありません。人格なき社団というのは、社会的信用性を欠いて、一般的には選択しない。また、公益法人は、監督官庁の許認可が要り、特定の団体にしか許可されない。劇団の法人化への道が辛うじて許されたのが営利法人でしかないということですね。  そういうことで、我が国の所得税制というのは、高度累進課税構造を伴っている総合課税制度ですから、劇団の創造、普及活動を代表者個人の事業として届け出た場合は、給与その他の本人の所得と劇団利益が合算されて高率課税になります。そういう不利な取り扱いになります。  また、相続税については、僕が死んだ場合、劇団の事務所やけいこ場や照明、音響機材、すべての資産については個人財産の一部として相続税をかけられる、これは大変なことになります。社会的公益財としての劇団の存続にとっては、大変なことになります。  劇団は、事務所やけいこ場や道具製作場や保管倉庫、駐車場など、不動産が不可欠です。たとえそれらが賃借物件であっても、保証金や権利金が必要となります。また、公演の照明機材、音響機材、大道具やスタッフ、俳優を輸送するトラックやバスも必要となります。劇団の運営には多くの高額な資産が不可欠で、それらをひとり代表者の資産として所有することは不可能となります。劇団の規模が大きくなればなるほど、その不可能が高まっていくという矛盾が生まれます。劇団が芸術活動の幅が広がって成長すればするほど、不可能の事態が深まっていくという矛盾にぶつかります。劇団として資産を購入する場合、法人化しなければならないのは、その意味から必然なのです。  資産に要する資金とともに、劇団にとって、金融機関その他の債権者は必ず存在します。また、演劇活動は片手間でなし遂げられるものではなく、専従者などへの給与、社会保障の生活保障が要求されます。このような債権者や利害関係者にとって、組織の明確化は劇団として信用するための最低限の資格条件なのです。そういう意味で、劇団は経済的メリットがあるから営利法人を選択してきたのではない、芸術団体として市民権を得るための最低の必要条件としてつくってきたということをリアルに見ていただけたらというふうに思います。  時間がありませんので、はしょります。  消費税五%も重圧ですが、営利法人法人税率は、剰余金八百万以下というのは四一・九%、それを超すと五五・九%となっております。非営利法人活動を振興しようとしてこの法案が検討されているわけですから、非営利法人税率の軽減は不可欠な課題だと思います。  そのために、一つは、非営利法人としての法人税率を軽減することによって、市民活動を活性化させる条件をつくっていただけたらと思います。二つには、非営利法人に対する企業からの寄附金の損金算入と、個人寄附の場合は所得控除などの措置を講じていただきたい。非営利法人制度で人格権は認めるけれども税制度については人格なき社団のまま人格を認めないで据え置くというのは、非営利法人制度そのものの活力を阻害するというふうに思います。その点、日本共産党案は、芸術文化団体の非営利の活動実態をシビアに見ておられます。ぜひ、非営利団体に対する法人格付与に関する法律案には、税制優遇制度を条文に明文化していただきたい。  最後になりますけれども委員先生方には、今述べました争点、これは大きくは四項目ですが、この四項目というのはこの法案の最低必要条件だということで、ぜひ慎重審議をしていただけたらというふうに思います。私は、もしその四項目が意見として組み入れられないとしたならば、慌てて国会を通して百年の計に禍根を残すことはないというふうに思います。時間をかけてもよろしいというふうに思います。  もちろん私は、内閣委員会の諸先生方の高い見識をもって審議していただいて、今国会で可決されることを要望して、私の意見陳述にしたいと思います。  ありがとうございました。
  134. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、早瀬昇君にお願いいたします。
  135. 早瀬昇

    早瀬昇君 初めまして。私は、社会福祉法人大阪ボランティア協会で事務局長を務めております早瀬と申します。  大阪ボランティア協会は、三十二年前、昭和四十年に設立いたしました民間ボランティアセンターです。私は、昭和五十三年にこの協会に就職いたしまして、以来二十年間ボランティア活動市民活動支援、推進に取り組んでまいりました。特に二年前の阪神・淡路大震災には、全国の市民団体ボランティアコーディネーター、それに経団連一%クラブ、大阪工業会傘下の企業の皆さんとともに被災地の人々を応援する市民の会を結成し、震災で被災された人々への救援活動を続けました。  さて、本日は、与党三党が提出され、本委員会で審議され、幾つかの修正が検討されている市民活動促進法案の今国会での成立を強く希望する立場から意見を述べさせていただきたいと思います。  資料として「市民活動促進法案の修正に関する四党合意を支持し、速やかに国会審議に入ることを要望する」という緊急アピールをお配りしておるかと思います。  私は、現在審議されている市民活動促進法案について、まず最初に、公共的な課題解決に取り組む多くの市民活動団体に対する法人格取得の規制がこの法案によって大幅に緩和され、多くの市民団体の法的地位の向上が進められると考えられること。第二点として、税制優遇措置については、波及力が大きく、多くの市民活動団体に福音をもたらす制度をつくるには慎重な検討が不可欠であることから、三年以内の検討に期待したいと考えること。三、法案立案過程で、これまでには例のない規模で国会議員の皆さん方と多くの市民団体との間の対話があり、一定の修正がなされつつあるというプロセスを評価し、以上の三点から、法案成立に賛意を表するものです。以上の点について、逐次陳述いたします。  まず、法人格についてですが、現行制度では、公益目的の非営利団体法人格を得るには主務官庁の許可が必要です。この許可には行政裁量の余地があるということですから、公益法人を許可することは、行政としてその活動を評価し、いわば信用保証を与えるということになります。この信用保証の責任が行政に課せられるということから、許可される団体は極めて限定されがちでしたし、さらに言えば、法人格付与という誕生の段階民間公益団体行政の下に置かれるという状態になっていました。  この敷居の高さと行政管理の問題から、大半の市民活動団体法人格を得られず、法的に権利と義務の主体として認知されないまま、特に代表者となる個人が活動に関する全責任を、それも無限責任の形で背負うということになっていました。このため、阪神・淡路大震災の際の救援活動のように、大変リスクの多い現場での活動でもいわば個人の善意だけに依存し、個人がリスクを背負う形で活動を進めざるを得ない状況にありました。  しかし、今回の法案が成立すれば、広範な範囲の市民活動団体行政担当者の裁量に左右されない、より明確な方式で法的な認知を受けることができるようになります。万一の事故に対しても団体として責任がとれることになり、これにより災害救援の場面などでも民間の特性を生かした展開がより容易にできるものと思います。  なお、ここで確認しておきたいのは、私たち市民団体は、団体の法的な認知が得たいのであって、別に行政からの信用保証、つまりお墨つきが欲しいのではないということです。みずからの活動に対する信用はそれぞれの自主努力によって築き上げるものだと考えます。その意味では、市民活動法人認証に当たって、都道府県は、二県にまたがる場合は経済企画庁ですが、活動内容そのものについての評価にまで立ち入ることなく、要件が満たされる団体に対しては価値判断を極力排し、いわば機械的に認証手続をとっていただくことを希望します。この点で、経済企画庁認証する場合には主務大臣に相談できるとする条項などは修正が検討されていると聞いていますが、この条項が削除されることは大きな意味を持つと高く評価いたします。  次に税制面についてですが、非営利の市民活動団体活動を活発化させるために、税制優遇措置が大きな効果を持つことは言うまでもありません。特に現行制度では個人からの寄附に対する税控除制度が極めて制限的で、私もできるだけ早く現行制度が見直されることを望むものです。  しかし、その一方で、この種の制度の改廃には慎重な検討が必要であることも理解できます。現行制度とのすり合わせも必要ですし、NPOを隠れみのにした脱税防止対策なども重要な課題です。こうした問題をクリアする新しい税の体系を築くには、どうしても一定の期間が必要だろうと思います。逆に言えば、安直に税の優遇制度がつくられた場合、その適用範囲は現行の特定公益増進法人のように極めて制限的にならざるを得なくなります。形だけは優遇税制度をつくったけれどもほとんどのNPOは適用されない、少なくとも現在の特定公益増進法人制度をそのままにして新しい制度をつくるなら、制度間の公平性、一貫性を保つためにそうならざるを得ないことは明らかです。拙速にそのような制度をつくって済ますのではなく、抜本的な制度改革のために二、三年の時間をかけることの方が生産的である、私はそう考えます。  そもそもNPOへの寄附で問題となるのは、その団体税制上の優遇資格を有することそれ自体も重要ですが、それ以上に、税の優遇資格を国から認められているという信用、つまり行政のお墨つきがあるかどうかがポイントになります。今後税の優遇資格を持つNPOが広がれば、このお墨つき効果は相対的に低下します。その意味で、私たちとしても税優遇資格への過剰な期待は禁物だと考えています。逆に、先の論点である法人格取得により組織としての確立が進み、活動内容のレベルアップを図り、多くの市民や企業の期待にこたえられる組織となることが寄附者を広げる王道だと考えております。  さらに、この税制優遇策が導入されても、その認定を受けるには一般に数年の活動実績が必要です。制度をつくればすぐに寄附金控除の資格が得られるということはあり得ません。ですから、今回まず法人格取得の規制緩和を進め、続いて休むことなく税制度の検討に入っていただき、委員会の審議を通じ、三年以内の税制優遇を導入できれば、この三年間NPO活動活発化を抑制するものとはならないと思います。  以上のような点から、波及力が大きく、多くの市民活動団体に福音をもたらす制度がつくられることを期待して、私は、与党案に賛成します。皆さん、ぜひ私たち期待を裏切らないでください。  最後に、今回の法案立案のプロセスについてですが、この二年間、多くの市民団体が国会議員の皆さんとの直接対話を進めてきました。大阪でも、この三月に国会議員の皆さんを招いた対話集会を開催いたしました。こうした国会議員の皆さんを招いて開いた対話集会は、通算十回を超えております。今回の議案検討に当たり、この市民活動団体議員皆さんとの対話は一定の役割を果たしたものと考えております。  実際、こうした過程への共感もあり、さきに配付いたしましたように、昨夜の時点で北海道から九州まで全国の市民活動団体の代表者ら約五百五十人が今国会での市民活動促進法案の成立を求める緊急アピールに賛同しております。  以上、まず法人格取得の規制緩和が重要であること、税制に関しては波及力のある制度創設に時間を要することは理解できること、法案立案において市民活動団体の意向が一定程度反映したことの三点から、私は、市民活動促進法案の今国会での成立を期待しております。  以上で私の陳述を終わります。
  136. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、村上良雄君にお願いいたします。
  137. 村上良雄

    村上良雄君 私は、財団法人たんぽぽの家常務理事村上良雄といいます。よろしくお願いします。  私たちは、奈良の地で障害のある人たちの自立の家づくり運動を一九七三年にスタートさせ、現在まで二十四年間にわたりさまざまな分野で活動を続けております。全国的に知られるようになりました、障害のある人たちの思いをメロディーに乗せて歌うわたぼうしコンサート活動も二十数年来続けてきております。  このたんぽぽの家では、現在三つの組織が私たち活動を支えているということになります。一つは、奈良市内で三十人の障害のある人たちが利用する施設としてのたんぽぽの家を運営するための社会福祉法人わたぼうしの会、それから二つ目は、障害のある人たち芸術文化活動を推し進める組織としての財団法人たんぽぽの家、そしてこの二つの法人をいわば財政的に支える任意団体としての奈良たんぽぽの会の三つです。それぞれの組織は、その時々の必要に応じて設立してきたものですが、その経験が現在日本市民活動が抱える悩みを映し出しているとも言えます。  まず、運動の母体となるたんぽぽの会という組織を一九七三年に設立いたしました。その後、障害のある人たちの自立の家づくりとして、建物を建てる際の補助金を受けたり、建物の登記等のためにどうしても法人格取得せざるを得なくなりまして、財団法人たんぽぽの家を設立いたしました。しかし、その施設を無認可のまま運営を続けるということは、一つの市民活動団体にとっては資金的にかなりな無理があります。そのため、認可施設としての施設運営をするために社会福祉法人わたぼうしの会を設立いたしました。このように、さまざまの経過をたどっているわけですが、現在、障害者分野だけに限ってもかなりの数の団体法人格のないまま無認可の小規模作業所等を運営しているというのが現状だと言えます。私たちは、日々資金集めに苦労しながら現場としての施設を運営し、なおかつ市民活動全般情報発信するという立場から、以下のとおり意見を述べさせていただきたいと思います。  ところで、今回の市民活動法案、以下NPO法案等と言わせていただきますが、これが議論されるようになりましたのは、言うまでもなく阪神・淡路大震災がきっかけです。被災者救援に活躍するボランティア団体が注目を集めました。しかし、阪神・淡路大震災で明らかになったのは、行政と企業が中心の社会がいかに危ういもので、もろいものであるかということです。いわば日本の社会システムのあり方そのものが問われたと言えるのではないでしょうか。  六千三百人を超える犠牲者のうち、高齢者や障害者といったいわゆる社会的な支援を必要とする人たちに被害が集中したという事実が、今の日本の社会のひずみを象徴していると言えると思います。経済効率最優先で突き進んできた日本社会に鳴らされた警鐘となりました。日常業務がストップして麻痺状態に陥った行政にかわって、多くのボランティアグループが救援活動を担ってきました。このボランティア活動がきっかけとなって市民活動全般にわたってその基盤整備が必要だとの議論が沸き起こったのは、至極当然だと思います。  その意味で、今議論されているNPO法案の目的は、行政、企業に匹敵するいわば市民の側のセクター市民セクターをつくり出すというところにその目的があるのではないかと思います。  多様な価値観に基づく多様な市民活動がトータルとして社会を支えていくことが今求められています。それが時代の要請でもあると言えます。いかにいい運動であっても、財政的な基盤が確立されなければ永続性は期待できません。今、日本で多くの市民活動団体が抱える悩みは、その運営のための資金確保にあると言えます。市民セクターが容易に運営資金を確保できれば、優秀な人材を確保することにもつながります。この財政面でのバックアップがNPO法案の目的であり、そのための手段として法人格の容易な取得があります。  最近、社会貢献の一環として、市民活動をバックアップする企業がふえてきました。また市民活動を助成する助成財団もたくさんあります。しかし、ここで問題なのは、それらの大半がプロジェクトサポートだという点です。単年度ごとにすぐれたプロジェクト提案をして資金を獲得しなければ、活動を維持できないというのが市民活動団体現状ではないかと思います。市民活動団体の運営そのものを長期的に支えていくといういわゆるゼネラルサポートが求められているゆえんでもあります。少なくとも、優遇税制を設けて資金確保がやりやすくなるという措置を講ずる必要があります。  これからは、一人一人の市民地域で豊かに生活できる社会が求められています。そのためには、町づくり、環境、人権、健康、女性、子供、障害者、高齢者など、さまざまな問題分野ごとに活動する団体が、それぞれの分野を超えて情報交換をしながら、緩やかにネットワークしながら活動の質を高めていくインターネットワークを推進する必要があります。今まで個々の団体としては社会を暮らしやすいものに変えていく力になり得なかったものが、がっちりとした横のつながりを築いていくことによって社会全体を豊かなものに変えていく力になることができます。その際最も重要なことは、日ごろから地域に根差した活動を展開している団体のネットワークであるということです。  さらに、これらの市民活動団体行政がいかにかかわっていくかを考えることも重要です。これまで行政ボランティア活動を取り上げる際は、善意、無償、奉仕といったイメージで、行政の補完的役割を果たすものと考えているのではないかと疑いたくなることがあります。  これまで行政は、いい活動だとなれば行政に取り込み、市民の側も安易に行政に寄りかかってきたところがあります。その本来持つ自発性が生かされる土壌づくりが今問われていると言えます。それぞれの持ち味を生かして、市民活動団体行政の双方がいい意味での緊張関係を築いていく必要があります。そのためには、市民活動団体側もそのマネジメント能力を高めていく必要があります。よく言われますように、人、物、金をうまく生かして活動の質を高めていく努力が市民活動団体側にも求められていると言えます。そうすることによって初めて、地域で生活する市民が安全で豊かな暮らしを確保することができるようになります。NPO法案はその基盤整備の第一歩だと言えると思います。  以上の点から、NPO法案が社会的関心を呼び議論されているこの時期にこそ、法案を成立させることが必要だと考えます。  今提出されているいずれの案もパーフェクトだとは言えませんが、パーフェクトを求めるのではなく、不十分なものでも形にしていくことが今重要だと言えます。ただし、税制上の優遇措置等、早急に修正すべき点があります。これらについては、引き続き議論を積み重ねて、法律に生かしていかなければならないと思います。  もちろん法律が成立しても、それを生かすのも殺すのも市民活動団体です。市民活動団体間でも十分に議論を深めていかなければなりません。また、市民活動を支えていくサポートセンターも必要になると考えています。  いずれにしても、これからも議論を時間をかけて継続していく必要があります。その議論の前提となる法律として、現在提出され修正を合意されたと聞いております与党三党と民主党の市民活動促進法案をぜひ今国会で成立させていただくことを要望いたしまして、私の意見陳述とさせていただきます。  ありがとうございました。
  138. 伊藤忠治

    伊藤座長 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  139. 伊藤忠治

    伊藤座長 これより委員からの質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊代昭彦君。
  140. 熊代昭彦

    熊代委員 自由民主党の熊代昭彦でございます。岡山二区から選出されております。  本日は、意見陳述人の皆様方、本当に急な企てにもかかわりませず、お忙しい中を日程を繰り合わせて御参加いただきまして、心から感謝申し上げます。非常にすばらしいお話を聞かせていただきまして、深く感銘を受けたところでございます。  それでは、時間に限りがありますので、私は、二点質問させていただきたいと思います。  一つは、各先生方が非常に話題にされました、税の関係を今取り入れられるかどうかという問題でございますけれども、私ども、約二年半にわたりまして検討してまいりました結果といたしまして、税の問題を直ちに取り入れるのは、既存の民法法人税制との関係を整理しなければならないということでございまして、それには大変に時間がかかる。そしてまた、市民活動法人としての活動実績というのがまだ十分に認識されていないということでございますので、とりあえず法人格付与を一番にする、そして附則の二条に、三年以内の見直しで税制中心に本格的な見直しをやるということにしたわけでございます。  三年以内に見直しをしてそれを実現するためには、二年以内に恐らく検討を終えて、あと一年はその検討結果を法案に反映させる期間にするということをしなければならないと思いますが、この考え方に対しまして、私どもはそうすべきだと思ったわけでございますけれども、そうすべきだという意見と、それでは今出てきた動きがとまってしまう、たとえここで法案を成立させなくても税の話をやろうではないか、とにかく法案が二、三年おくれてもいいから税の話が入るまで頑張ろうという意見があると思いますが、そのどちらの見解がいいか。それぞれ既にお話をいただいたわけでございますけれども、簡潔に第一点としてお答え願えれば大変ありがたいと思います。  それから第二点でございますけれども、この件に関しまして経済企画庁調査をいたしまして、市民活動法人ということで、その対象となるべき団体は十万団体程度あるということでございますが、そのうち、約一万団体程度が法人格をぜひ取得したいという意思を表明されておりまして、そのうち二割、約二千の団体が事務所が同一の都道府県外にもある。一つの道府県と東京都、あるいはそのほかの組み合わせでございますけれども、事務所が二県以上にまたがっている。事務所が一カ所にある場合には、市民活動法案与党案では、その活動がたとえ全国、全世界にわたろうともその当該都道府県知事の認証でいいということになっております。しかし、事務所が二カ所以上の都道府県にわたれば経済企画庁長官認証を得るということで、これは経企庁に来るのが大変だという見方もありますけれども、しかし経企庁で取ればまたその各県にそれぞれ行かなくてもいい、そういう便宜もあると思いますが、この点につきまして、あくまでも経企庁長官にすべきではない、主たる活動のある事務所の一都道府県知事の認証にすべきであるという意見も強いわけでございます。  この二点について、先生方の御意見鎌田陳述人から順にお願いしたいと思います。簡潔にお願い申し上げます。
  141. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 税につきましては、三年の猶予を持った深い検討をお願いしたいと存じます。  それから、経企庁に行くかという話でございますが、私どもはどちらでも結構でございます。主たる事務所の都道府県ないしは経企庁、どちらにでも参る所存でございます。  以上です。
  142. 三好康夫

    三好康夫君 例えば我々の加盟している団体の方々の意見を聞いてみますと、つまり非常に心配しているのは、NPO法が制定されることによって非常に管理されるのではないか、そういう危惧を感じている団体も少なくありません。一方、税制上の問題が、優遇はされない、先送りだ、そして管理だけされる、そういう危惧を持っている団体がある。したがって、この辺をどう解決していくのか、これをひとつ先生方にお考えいただきたい。私は、例えばこうこうしろ、こうしてほしいということは申し上げませんが、これは先生方の方でぜひ。  多くの芸術文化団体は、そういう法人格を持つことは大変いいけれども、そのことで管理される、御承知のように、特に芸術文化というのは自由と創造ということを非常に大事にするわけですね。それが、一つの法人格を得ることによって規制されてしまうような、そういう不安もどこかなしとしない。しかし、やはり社会的には芸術文化団体をきちんとした公共的団体として認めてほしいという考え方もございます。ですから、この税制優遇の問題も、単に先送りというような格好ではなしに、現在の制度を変えるということをきちっと法文の中で位置づけていただきたい、こういうふうに願っております。  以上でございます。
  143. 中村順子

    中村順子君 まず、税の問題でございますけれども、合意の案では附則事項に入れられているということで、これについては私どもも、問題はあるとは思いながらも一歩前進というところでの評価がございます。二年整理、あと一年できちっとしていくということではございますけれども、できるだけ期間が早められたらうれしいなというふうに思います。  それから次に、届け出の都道府県、あるいは二県にまたがる場合の届け出先、経企庁の問題でございますけれども、これにつきましても、私たちは事務的というふうに考えます。ですから、より登録しやすい条件があれば、特段こだわるところではございません。
  144. 本田忠勝

    本田忠勝君 第一番目の設問ですが、私は、先ほど申し上げましたように、税の問題はNPO法案の命、骨格だと思っています。ですから、附帯とかそういうことではなくて、やはり本文の条文の中に組み込む必要があるというふうに思います。それが第一点。  それから、民法の整理が必要、時間がかかるという問題がございますけれども、僕は、今の日本皆さんのお力があれば、民法改正の手続というのは一年間あればできるというふうに思います。  第二点目、県がまたがった場合に経済企画庁にするということについては、僕も、いわゆる地方から発信する、いわゆる地方から世界へという流れが今ありますし、地方分権の考え方も今ずっと市民の中に定着し始めています。そういう意味から、私は、登記登録については、府県にまたがった場合経企庁に行くのではなくて、その所在地に登録すれば事ができるようにするというのが市民が一番求めていることだというふうに思いまして、私もそうしていただけたらと思っています。
  145. 早瀬昇

    早瀬昇君 最初の税に関しては、私の陳述の三分の一ぐらいを使ってお話ししたとおり、一定の期間のタイムラグがあることは仕方ないのではないかというふうに思っています。できるだけ早くその実施を期待しております。  二点目の活動が二県以上の場合の議論ですが、認証という形式をとる以上は、一つの県が他県の活動を見ることは不可能ですから、その場合には経済企画庁になるということは仕方ないかなというふうにこれも思っております。  以上です。
  146. 村上良雄

    村上良雄君 第一点目につきましては、私も法案の成立を最優先で、税制の改善については、以後、成立後の議論を待たざるを得ないのではないかというふうに思います。現行の特定公益増進法人等と同様の優遇税制措置を講ずるかどうかをも含めて、慎重な議論が必要ではないかというふうに考えております。  それから二点目ですが、私の意見陳述の中でも申し上げましたように、これからの市民活動というのは、地域に密着した活動という意味で、身近なレベルでの行政との連携ということもぜひ必要ではないか。これが海外との交流あるいは援助というような活動であっても、身近な行政レベルとの連携が必要だというふうに考えますので、主たる事務所の所在する都道府県知事の認証で十分ではないかというふうに考えております。
  147. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございました。
  148. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、岩永峯一君。
  149. 岩永峯一

    岩永委員 滋賀県の第三区から出ております、自由民主党に所属している岩永でございます。  私は、昨年の十月に初めて国会に当選して参画したわけでございます。この内閣委員会に入らせていただいてNPO法案の全容、また過去の二年半におけるプロセスを見てまいりまして、かつては町議会に二十年おりましたので、むしろ守旧派的な立場で政治をしておりました。しかし、よくぞ自由民主党の中でここまで努力をされて、そしてこの法案提案するにまで至らせた。そういうことを、町議会を経験しながら、むしろ市民団体と自由民主党というのは今までコンセンサスのなかったところでございます。それだけに、私はこれを提案いただいた先輩に大変な敬意を表しております。  そしてずっと調べてまいりますと、この法案提案しようというきっかけをつくられたのは、今の幹事長であられる加藤幹事長が政調会長のときに、阪神・淡路大震災のボランティア皆さん方の努力、その中から、新たにこれから政治をしていくのにそういう皆さん方の力をかりながら、官民一体となって、公と民とがこれからの政治を推進するという視点に立たれて、そして議員立法でこの法案提案するようにというようなことで、自民党の中での強いリーダーシップがきょうの法案提案になった、こういうことを聞いて、むしろ大変喜んでいるわけでございます。  その中で特に、私は、アメリカのブッシュ、レーガンのときに大変な福祉削減政策がとられました。そして、その部分をカバーするのがNPOであった、このように聞いておりまして、今、日本の経済、財政、そして行政改革等の中で、この法案が大きな力を持つのではないかという期待をいたしております。  そうした期待を込めながらひとつ質問を申し上げたいと思うのですが、特にアメリカでは二百万団体NPO法案の登録団体になった、こういうことでございますが、皆さん方がずっと市民活動をしておられて、そして皆さん方の横の連携の中でこのNPO法案に対する期待がどれだけ高まっているか。そして、一日も早く法人格付与してほしいという気持ち中心なのか、それとも先ほど言われました、時間をかけてもいい、税の問題を十分考えて提案してほしい、このように思っておられるのか。そこらの期待度、また具体的な考え方をひとつお聞かせいただきたいと思うのが第一点です。  第二点目は、ちょっと鎌田さんにお聞きしたいのですが、中村さんはかなりの具体的な法人格を持っていない問題を提起されましたので、私は、中村さんを通じて国内におけるそういう部分はわかるのですが、国際的な事業をしておられる鎌田さん、AMDAの中で外国ではほとんど活動ができないという意味合いでのお話をされたわけでございますが、もう少し具体的に、法人格を持っていない外国での活動というのがどういう部分で大変なハンディを負うておるかということをこの際お聞きしておきたい、このように思います。  では、順番にちょっと期待度についてお教えいただければありがたいと思います。
  150. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 税制よりも、法人格付与を早くちょうだいしたいと存じます。
  151. 三好康夫

    三好康夫君 つまり、法人格を持つこと自体が我々の目的ではなくして、それはいかなる内容を持っているのかということが私にとっては大事ではないかと。したがって、法人格を持つための条件だと。それは当然税制の問題も込めまして。だから、何でもかんでもNPO法が成立したらいいというふうには考えておりません。問題は、その内容でございます。どういう内容を持った法律になるか。それによって、ああこれはいい法律だ、ぜひ制定してほしいということになるのかもわかりませんし、その辺をもうちょっと吟味したい、こういうふうに思っております。
  152. 中村順子

    中村順子君 私の市民活動十五年の今までの経験の中で、大きく分けて、高齢者のケアを含めた助け合い活動をしているグループとそれから市民事業を起こしているグループがございます。いずれからも非常に強い期待を持ってこの成立を望んでいるということを御報告をいたします。  まず、助け合い活動ですけれども、高齢者のケア、これは非常に責任が重く継続が要求される仕事です。そういったことを住民が助け合うという感じで、市民互助型団体、全国で三百ほど団体がございますけれども、ほとんどのところは一刻も早い法人格付与を願っています。  また、市民活動に携わる主婦、高齢者の方々もそうです。そういうものがないということで、この法案に対する熱い切望を持っておられるようです。
  153. 本田忠勝

    本田忠勝君 私は、NPO法案はあしたにでもできるならばつくってほしいという願いがあります。しかし、先ほど申しましたように、総論はそうである、でも各論が総論の命でございますから、先ほど申し上げた四点を大事に踏まえて入れていただけたらと思います。  NPOも、求めているということからいくと、文化団体日本にはもう本当にたくさんあります。芸団協、それから劇団協議会、日本児童・青少年演劇劇団協議会、さまざまな団体がございますね、舞台芸術では。そういうことからいきますと、そこの願いというのは切実です。ですから、あしたにでも、でも条文は税制をなくしたら多分骨がないタコになってしまうだろうというふうに思いますから、よろしく御検討くださいませ。
  154. 早瀬昇

    早瀬昇君 先ほどお配りしました緊急アピールの中にも「今国会で成立させることを要望します。」という団体が昨夜時点で五百四十九団体、実際には毎日百団体ずつぐらいふえておるのですけれども、そういった意味でも緊急に制度をつくっていただきたいと思います。
  155. 村上良雄

    村上良雄君 優遇税制の中身がどうかという点は別にして、今の論調は既にもう優遇税制前提にどういうものにするかというのに時間がかかるということだと思いますので、まずは法案を成立させて法人格を得やすくした上で優遇税制を早急に確立するという方向でぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。
  156. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、岸田文雄君。
  157. 岸田文雄

    岸田委員 自由民主党、広島一区選出、岸田文雄でございます。  陳述人の皆様方、本日は本当にお忙しいところ、貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございます。  まず最初に、三好陳述人に一つ確認をさせていただきたいと存じます。  きょう御列席の皆様方、それぞれ税制上の優遇措置につきまして具体的にお話をいただいたわけでありますが、三好陳述人のお話の中では、税制上の優遇措置という言葉で意見を述べておられました。  この税制上の優遇措置の中身でありますが、例えば、与党案の中においてでも、市民活動法人に対しては人格のない社団に対する扱いをするということになっているわけであります。ですから、法人税法上非課税ですとか、優遇措置ですとか、そういったことが行われることが盛り込まれております。ですから、税制上の優遇措置といっても、与党案の中にも盛り込まれている部分があるわけでありますから、これは中身が問題になると思うのですが、三好陳述人のおっしゃっておられる税制上の優遇措置とはまず何をおっしゃっているのか、確認させていただけますか。
  158. 三好康夫

    三好康夫君 例えば、私たち九〇年に「企業の文化活動について」というフォーラムをやったことがあるのですけれども、そのときに、例えば企業からの芸術文化団体に対する寄附金、これがやはり税制上優遇にならない。つまり、どう言うのですか、単なる支出として税金がかかってしまう。こういうことは、やはり芸術文化の持っている公共的な性格から見れば、特増の指定を受けている団体は別でしょうけれども、多くの団体は、非常にこれは狭き門でありましてそういうものは受けていない。そういう団体は全部、企業から寄附することは、やはり非常に、どう言うのですか、寄附しがたくしている状況があるわけですね。そういう問題について、関係各省庁にぜひそういう企業からの芸術文化団体への寄附金に対しては優遇措置を講じてほしいという要請状を出したことがあるのですけれども、例えば、一つの例を挙げますとそういうようなことですね。  そういう面で何らかの、最初に私が申し上げましたように、このNPO法案というのがそういう市民公共活動を励ますといいますか、促進するといいますか、そういう役割を果たすものであってほしい。そういう面からいえば、やはりそういう芸術文化団体が、先ほども本田さんが言われましたけれども、財政的に非常に苦しい立場に現在置かれております。それだけに、大変こだわるようでありますけれども、この税制上の優遇というものを何らかの形で、これは私は法律は余り詳しくありませんので、例えばこれをこうした方がいいというようなことは申し上げられませんけれども、何らかの形で明確に今度の法案の中で、これだったらぜひやってほしい、これは期待ができるのだというような形で示していただきたいな、こういう願いでございます。
  159. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  三好陳述人に続けてお伺いしますが、そうしますと、寄附金に対する優遇措置がなければ法案成立は意味がないとお考えでしょうか。
  160. 三好康夫

    三好康夫君 それが、例えばもう一つ関連ございますね。例えば、その法案自体がどういうような、さっきも出ましたけれども、届け出制であるのか、あるいは経企庁が承認するというような、どういうふうに——管理されることは非常に芸術文化団体は嫌がるのですよ。したがってそこでは、当然、できれば届け出制にしていただきたい。
  161. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  今の御意見と同じような御意見としましては、本田陳述人の方から、四項目組み入れなければ時間をかけてもいいという御意見もございました。よりよいものをという御趣旨だとは思いますが、やはりある程度しっかりしたものができなければという御意見だと思います。  それに対しまして、鎌田陳述人、中村陳述人、あるいは早瀬陳述人、あるいは村上陳述人の皆様方は、例えばまず法人格をとか、パーフェクトなものを求めるのではないとか、そういった御意見でありまして、さきの三好陳述人や本田陳述人とは対照をなしておられたように感じております。これは、まずいいものを最初から目指す方式と、まず第一歩を踏み出すという考え方、この考え方が対照的にあらわれたのかなという気がします。  私自身は、この法案の重要性をしっかりと感じた上で、まず第一歩を踏み出すこと、この重要性を強く感じているものでありますが、この考え方につきまして、鎌田陳述人、中村陳述人、早瀬陳述人、村上陳述人、この第一歩を踏み出すということ、そして一方でより完全なものを目指そうという考え方、この考え方につきましてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。
  162. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 現在、全世界、そして日本でいろいろやっておりますので、速やかなる法人格をいただきたい、まずはベターをいただきたいと思っております。
  163. 中村順子

    中村順子君 私も、完全なものより、不完全であってもまず一歩を踏み出すことがこの時期非常に重要だと思っております。
  164. 早瀬昇

    早瀬昇君 先ほども申し上げましたように、特定公益増進法人制度を残したままでの制度をつくっても、実際的には特定公益増進法人と同じような制限があるものに運用上なってしまう点で、時間をかけてもより広い制度をつくっていただきたいと思います。
  165. 村上良雄

    村上良雄君 私の意見陳述でも申し上げましたように、とりあえず形をつくるということがまず重要ではないかと思います。もちろんパーフェクトなものができ上がるのがいいにこしたことはありませんが、まず議論の器をつくって、その上でみんなが合意できる優遇税制等の内容を固めるということで、まず法案の成立をお願いしたいと思います。
  166. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。終わります。
  167. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、倉田栄喜君。
  168. 倉田栄喜

    倉田委員 新進党倉田栄喜でございます。  陳述人の皆様方には、きょうは大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。また、日ごろからの皆様方市民活動に心から敬意を表したいと思います。  お話を聞かせていただきながら、二つ私はポイントを考えたわけでありますけれども、一つは、皆様方の御意見の中で多かったのは、皆様方のいわゆる市民活動というものを限定的に解しない、これから二十一世紀、多様な社会をつくるにもまた新しい活動形態が出てくる可能性がある、そういう意味では限定的に解する必要はないということが一点と、税制控除、その時期の問題については御意見がありましたけれども税制控除については踏み込んでいただきたい、こういう御意見が多かったように思います。  その二点においては我が新進党案は現時点においてクリアしているのかな、こう思ったわけであります。ただ、鎌田陳述人から、AMDA、大変活動には敬意を表しますけれども新進党案ではどうもできないのではないのか、こういう御懸念があったみたいでありますけれども新進党案は、地域基盤ということで地域限定ではないということを考えておりますし、また、住所要件は御意見を踏まえて考えていきたい、こんなふうに思っております。  そこで、私からお尋ねしたいことは、先ほど中村陳述人が言われたことに私は大変深く共鳴を覚えたわけでありますけれども、それは、一つは、公助の努力、自助の努力というお話の中に、いわゆる共助の力ということをお話しになりました。これから新しい二十一世紀の我々の社会システム、市民社会がどうあるべきかということについての実は非常に、何というのですか、問題提起というふうに私も考えております。  そこで、今この内閣委員会に三党からそれぞれ法案が出ておるわけですけれども、一つ大きな問題点は、民法三十四条の公益法人と、それからこのNPO法案でつくられる、認可をされる、認証される法人というもののくくりのあり方、ここで、どこで線を引くのかということが立法的には大変難しかったのではないのかな、こう提案者の方々のお話を聞きながら私自身が思ったところなのです。  そこで、中村陳述人の、共助というのですか、そこの話に少しなるほどと思ったところがあったわけでありますけれども、つまり公助という部分をある意味では公益という部分でくくるといたします。必ずしもそういうふうに線が結びつくかどうかわかりませんけれども、自助という部分をあるいは私益、そういう部分でくくるといたします。一応私ども法案公益性ということを基準に置いているわけでありますけれども、一方で民法三十四条の公益法人というようなくくりの問題がある。  そこで、鎌田陳述人と三好陳述人、それから特に村上陳述人に、皆様方がずっと活動をしてこられて、皆様方のその活動というのは、これは新しい概念ですからなかなか難しいのだと思うのですけれども公益団体公益という概念、それから、今中村陳述人がお話しになりました共助、あるいは結びつくと共益といいますか、共益、ある意味では一方で私益という、こういうふうに概念をくくった場合に、皆様方団体活動は、やはりもう公益に一番近いというふうにお考えになるのか、あるいは大体どの辺に位置づけられるとお考えになりますか。この点をちょっと、感じで結構でございますので、鎌田陳述人、三好陳述人、村上陳述人、お教えいただければ、こんなふうに思います。
  169. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 突然の難しい御質問で、我々の活動公益に近いのかどうかということですが、公益というのが行政とか政府というものに近いということであるならば、我々はそうではないと思っております。やはり、地球上に生まれた人間が、生命を受けて健やかに生まれ育ち、そして社会の中の一人のメンバーとして、結婚をしてまた子供を育てる、そして健やかに老いていくということは守られるべきでありまして、それを人間としてお互いに助け合おうという気持ちでございます。  ですから、余り公とか私を強く線引きはちょっと意識はしていないものですからどちらとも言いがたいものであれですが、先生の御質問のように、どちらか線を引けと言われますと、公にすり寄るとか近寄るというイメージではございません。  以上です。
  170. 三好康夫

    三好康夫君 私たちは公共性という言葉を使っているのですね。それがこの公益性とどう結びつくのか、同じことなのか、ちょっとよくわかりませんが、我々は普通、公共的、パブリックという形で受けとめております。  これはそういう私、つまり私的利益を追求するというのではなくして、やはりもっと広い、市民のために、つまり地域社会のために何らかの活動をやっていく、それをパブリックな活動、公共的な活動というふうに見ておりますし、我々多くの芸術文化団体はそういう立場に立って芸術創造をやっている、普及活動をやっている。そういう意味でいえば、私的利益の追求ではないわけですね。やはり社会へ還元していく、全体の利益に奉仕する、そういう活動をやっている。そういう意味で、パブリックな、公共的な性格を持った市民団体というふうに位置づけているわけですが、それがおっしゃるような公益性新進党の言われる公益性と同じ、ダブるのかどうか、その辺がちょっと私にもよくわからないのですけれども、我々の理解、私たち理解はそういうふうに位置づけております。やはりパブリックな活動団体ということです。  以上でございます。
  171. 村上良雄

    村上良雄君 これからの目指すべき社会というのは、一人一人の市民が自分の生きがいというものを目指して自己実現できる、そういう社会ではないかと思うのですね。その社会の実現のために、こういう枠組みとしてのNPO法が必要ではないかというふうに思います。そういう意味からいうと、今の質問からいきますと、一人一人の幸福追求ができる豊かな社会、それがすなわち公益になるのではないかというふうに思います。質問に対する直接のお答えになるかどうかわかりませんが、そういうふうに考えております。
  172. 倉田栄喜

    倉田委員 それでは、中村陳述人と本田陳述人と早瀬陳述人にお伺いをしたいわけであります。  一つは、これからNPO法案法人格を取られた場合、行政関与あり方、その点についてどういうふうにお考えになっておられるかということが一点。  それからもう一つ、先ほど私が公益、私益あるいは共益という、そういう何か変な概念を持ち出しましたけれども支援という言葉が皆様方の中で随分出ているわけでありますけれども、その支援の中身。例えば税金で、これは公益性が最も高いから補助金をぼっとつけましょうみたいな話がいいのかどうか。あるいは、先ほど税制控除で、お互いに民から民へ、寄附金がつくられることによって、それはそこの共通部分の中でやっていきましょうというふうな部分と行政関与あり方というのはやはり違ってくると思いますし、先ほど活動資金の自立の部分が、これをどう位置づけるかということが非常に大きな問題だと思っているのですね。  そういう意味の中で、いわゆる行政のかかわり方、それは活動資金の面も含めてやはり一定のかかわりはあらざるを得ない。しかし一方で、自立自足、先ほど税制優遇措置はなくて管理ばかりされては困る、こういう御懸念もあるわけでありますので、その二つの面をにらみながら、行政関与というのは皆様方活動にあってどこまで許されてしかるべきか、この点について、それぞれ、中村さん、本田さん、早瀬さん、お話をいただければと思います。
  173. 中村順子

    中村順子君 行政との関係については、大変難しい問題がございますけれども、この間私が思っていますのは、私たちのような活動あるいは事業に対して行政が私たちと連携をする場合、法人格がないと委託事業先にはほとんど指定をされないということがございます。とりわけ高齢者ケアに当たる団体とか、非常に多いわけですけれども、ぜひとも、法人格があれば委託事業の受け皿として私たち連ねることはできないかというふうに思っています。それは、一つ、私たちの事業を明確に、事業収入というところで、かなり安定的というのでしょうか、しっかりした収入の基本になるというふうに思うからです。ただ単に補助金、助成金ではなくて、仕事に対してどうこの活動を評価するのかというのが委託事業に結びつく、そういうふうな行政との関係を結びたいと私は思っています。
  174. 本田忠勝

    本田忠勝君 二つのことですが、行政関与の問題ですが、先ほど私述べましたけれども、いわゆる市民活動というのは市民自身が行う活動ですから、行政関与というのは極力避けるということがあります。要は、行政が決めるときに、自治機関として非営利法人委員会みたいなものをつくる。その中には法人資格を持つ人を加えるということがありますね。ですから、行政から独立した第三者機関の中で行われていくことがとても必要だろうというふうに思います。  特に、芸術文化については、創造内容については関与してはいけないというのがあります。だから、そういうことからいきますと、市民の自主的な活動については、活動内容について関与することは、行政が直で判断をするのではなくて、第三の委員会、第三者機関でする必要があるだろうというふうに思います。  それから、第二点ですけれども、共益の概念ですけれども河村先生が書かれているこの文章を持っているのですけれども、やはりこれはすごいなというふうに思います。  そういうことからいきますと、公益の概念からいきますと、公が行うこと、そのことが公益であって、市民市民自立でやるものは公益でないというのが今までずっとあったというふうに思うのですね。というのは、今おっしゃられた補助金の問題もそうです。それから、私のところは、例えば商業法人を持っていると、あなたのところは営業を目的にした営利団体だから補助金を上げませんという規則ができたのですね、ある町で。それは違うのではないかというふうにしましたけれども。  そういうことからいいますと、現在の公益の概念というのは、やはり市民市民の力で、自分がつくっていくことだというふうに思うのですね。だから、公に供するというか、いわゆる行政とか国とかの利益と一致しないと公益ではないよということではないというふうに思います。
  175. 早瀬昇

    早瀬昇君 最初の行政関与に関してですけれども、先ほども申し述べましたように、例えば法人格認証の際にできるだけ機械的に認証していただくこと、つまりお墨つきをわざわざ行政からいただく必要は私どもはないわけでありまして、その点では、逆に過剰な関与を私ども期待しておりません。  市民活動を推進する際の支援といいますか、活動をどう推進していくかということですが、一般には三段階だとよく言われます。一つは、そもそもその活動認知することですね。第二点目は、その活動を推進する上での障害を取ること。具体的には、何かしたくても何をしたらいいかわからない場合は活動ができないわけですが、何をしたらいいかということが見えるシステムをつくること、これはそういう問題になります。三点目は、税制の優遇のような資金確保の問題です。そもそも今、まず認知そのものがないという点で、行政の規制がある社会ではないか。行政との関係というのは最終的にはパートナーシップでなされるのが最も理想かと思っておりまして、行政に保護される必要は私どもはないと思っております。
  176. 倉田栄喜

    倉田委員 ありがとうございました。  最後に、三好陳述人と中村陳述人に、いわゆる報酬性、例えば、それぞれ提出をされてある案では、会員、社員の方々の事務スタッフ経費ということになるのか、報酬を受け取ることができる、こういうふうになっているわけであります。この報酬性という問題と、それから、いわばそういうことも組み込まれるといたしますと、運営の透明性、公開性ということが問題になってくるのだと思いますけれども、この点についてそれぞれどんなふうにお考えでしょう。簡潔にお願いいたします。
  177. 三好康夫

    三好康夫君 報酬性の問題は、ちょっと私もよくわからないのですけれども、報酬性があろうとなかろうと、つまり市民公共団体の場合はすべてオープンにしなければならない、公開しなければならない、もう公開が大前提だというふうに思っております。だから、それはつまりこの報酬性があろうとなかろうと、やはりそういう公共団体についてはいずれもそれはオープンにする、市民の前に明らかにするということだろうというふうに思っておりまして、例えば私たち大阪文化団体連合会は別に法人格を持っておりませんけれども、いわゆる任意の団体でございますけれども年間の総会の中では、経済的な歳入歳出を全部会員の前へオープンにしている、会員以外の方もそれをごらんになることができるというふうにして、やはりそういう公共的な性格を持った団体はすべてオープンにしなければならないというふうに考えております。
  178. 中村順子

    中村順子君 報酬性の問題につきましては、この法案の文案にもございますように、営利を目的としないものであって、剰余金が出ればそれを個人に分配しないという原則を守れば、余りあるないということについてはかかわりはない。ただ、ここでは数的な規定もされていますので、それで十分かというふうに思います。  また、経理、会計等のディスクロージャーのことをおっしゃっているというふうに思いますけれども、それにつきましても、この法案の中身にあるような内容で十分私たち活動の責任をとっていくことはできるというふうに思っています。
  179. 倉田栄喜

    倉田委員 それでは、村上陳述人に最後にお聞きをいたしますけれども、ずっと長く活動をやってこられた先ほどの運営資金といいますか、資金活動、それは、実際には寄附みたいなものはどれくらいあるのでしょうか。
  180. 村上良雄

    村上良雄君 さまざまな分野で活動しておりますけれども、それぞれの一つずつのプロジェクトごとに助成財団の助成を受けたり、あるいは企業の助成を受けたり、あるいはある事業につきましては多くの一般の方々からの募金活動で運営をするというやり方をやっておりますので、どれくらいの額あるいはどれくらいの割合というのは今すぐには出ないのですけれども、それぞれの事業ごとに必要な資金を獲得して、独立採算でその事業を運営しているというやり方をやっているということです。
  181. 倉田栄喜

    倉田委員 ありがとうございました。終わります。
  182. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、金田誠一君。
  183. 金田誠一

    金田(誠)委員 AMDAの鎌田さんにお尋ねをしたいと思うのですが、先ほど新進党案によれば定義に該当しないのではないかというお話がございまして、実は私ども、AMDAさん、岡山が基盤ということで今まで思い込んでいたものですから、ちょっと驚いて聞かせていただきました。  新進党案によりますと、社員の過半数が同一県内、役員の三分の二が同一県内、主として活動を行う区域が同一県内ということが今の原案の段階ではうたわれているわけでございますけれども、今これにAMDAさんが該当しないのではないかという場合、実際、組織の状態といいますか、実態といいますか、先ほどは全国に千五百人ということでおっしゃっていたと思うのですが、役員だとか会員の分布状況とか、その辺、差しさわりのない範囲でお聞かせいただければと思います。
  184. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 会員は、東京が大体三割から四割ぐらいおりまして、そのほかは各地方に散っております。岡山が発祥の地でございまして、岡山が多くて、一割強おります。ほかは大体均等に千五百名の残りが散っております。役員は、大体半分が東京に在住しております。岡山におる者は、ボードにいるのは今十五人ですが、海外に留学などで行ったり、研究とか、あと外地に赴任しておりますので、岡山にいるのは三名ほどでございます。  以上です。
  185. 金田誠一

    金田(誠)委員 実際活動されているのは海外が中心だと思うわけでございます。国内でもいろいろ事故等があれば出かけていかれるのでしょうけれども、海外と国内の活動の比率といいますか、それと、海外で現地法人みたいなものを取得しているような、そういう状況どもあるのでしょうか。
  186. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 まず最初は比率ですが、二年前の阪神のときは予算的に国内は多うございましたが、ふだんはもうほとんど、プロジェクトそのものお金としては九〇%ぐらい海外でございます。ただ、事務運営費が、国内で払っている分、つまり電話とか通信費、そういうものが相当国内は高うございますし、本部がありますから、お金としては半分ぐらい国内で払っております。  それから、外地での法人格取得できません。特に英連邦では、まず日本で取ってこいということでございます。海外でも、法人格を英連邦で取るのは大変でございます。ほかは、旧フランス領、ベルギー領のザイール、ルワンダあたりでは、大変混乱しておるとか、戦時体制下でございますので、法人格を維持するところのものではございませんので、取ろうと思っても取れないということでございますので、海外での法人格は一つも持っておりません。  以上です。
  187. 金田誠一

    金田(誠)委員 ありがとうございます。  次に、三好さんと本田さんにそれぞれお聞かせいただきたいと思うのです。  三好さんの場合、二つほど留意してほしいということでかなり注文をつけられたわけですね。一つは、すべてを対象に幅広くということと、税制の優遇。これは本田さんの方ともある意味では似通っている注文かな、こう思ってお聞きをしたのですが、私どもとしては、与党と共同して、ステップを踏みながら、まずは今回法人格取得法律をつくる、その上でより幅の広い民法改正を含む非営利法人一般法、あるいは税制優遇措置というものに進んでいきたいという強い願望を持っているわけなんですが、そういう段階を踏んでいくということについてはいかがでしょうか。そういう段階というものはだめなんだ、最初にいいものをつくらなければ、例えばこの与党案などは成立させる意味がないんだというお立場なのか、それとも段階を踏むことについても場合によっては考えられるというお立場なのか。三好さん、本田さん、それぞれにお聞かせいただきたいと思います。
  188. 三好康夫

    三好康夫君 何も今回パーフェクトなものを希望しているわけではございません。やはりそういった、先ほど私が出しました二つの点、非常に緩やかな市民公共的な活動をやっている団体、そういうものがどこかで選別されるようなことにならないような形で持っていってほしいということと、それからもう一つの税制上の優遇措置という問題についても、今すぐこれを盛り込むとも考えておりません。そういうものがやはり必要なんだ、そういう措置をとることがやはり市民社会をつくっていく上で大切な問題なんだという御理解をいただいて、そして今回はここまでやろうということが御確認いただければ、パーフェクトなものを必ずしも望んでいるものではないということを申し上げたいと思います。
  189. 本田忠勝

    本田忠勝君 時間がないので短く言います。  すべての人たちが加われるようにということで、いわゆる十一項目というのがございますね、十一ジャンルといいますか十一分野、それについては、僕は設定をする必要はないというふうに思います。ということは、それほどに多様だから多様性を認めた方がいいというふうに思います。  第二点、NPO法案をいわゆる案として認めるか、完璧なものをつくるかどうかという点ですけれども日本共産党案は、物すごくきれいというか美しいんですよ、法文そのものが。それで、美人がおって、美人はだめだということではなくて、実を言いますと、その美人はだめだということを、評価をした方々の感性を僕は信じるのです。美しいなと言いながら、うちはそう美しいままいかないよということではないだろうというふうに思います。そういった意味で、NPO法案段階的というよりも、もしあれだったらそこを基盤にして一遍ディスカッションしていただけたらというふうに思っております。
  190. 金田誠一

    金田(誠)委員 本田さんに再度お伺いしますが、私どもは、民法三十四条の特別法、当面これしか無理ではないか。理想的には民法改正をして、非営利法人一般法というものを近い将来ぜひ実現したい、こうは思っておるのですが、急を要する今の事態からして、ここで合意形成を図るしかないだろうという立場で実はいるわけです。  その場合、共産党案についても評価が分かれるところだと思うのですが、実は私どもは、共産党案の附則の中で「この法律の施行に伴い必要となる民法その他の関係法律の整備については、別に法律で定めるところによる。」という一項目がございまして、この別に法律で定める中身をめぐって、実は共産党さんのおっしゃることと衆議院法制局の言っていることが異なっているというようなこともございます。ございますが、できることなら非営利法人一般法に次の段階でステップを踏みたいという気持ちは私どもは同じでございます。ただし、今の段階でこれが通る状況にあるのかどうか、あるいは、どこまでやるかということも含めて早急に民法改正の合意形成ができる状況にあるかどうかというと、これは現実判断をしなければならないんではないかな、実はこう思っているわけでございます。  そういう立場お尋ねをいたしますが、本田さんのお立場からすれば、それでもこの共産党案が通らないのであれば与党案は通さない方がいいというお立場になりますでしょうか。  というのは、ちょっと補足しますと、十二項目、十一項目に限定をしたというのは、民法の特別法ということで立法するためにはどうしてもすみ分け規定が必要だ。そのすみ分けの手段として、新進党さんは地域を基盤にという根拠ですみ分けた。私どもは、十一項目、あるいは修正できれば十二項目ということですみ分けた。こういう形で第一歩、ワンステップを踏むということしか現実には前進させ得ないのではないかという判断からなんですが、これについていかがなものでしょうか。
  191. 本田忠勝

    本田忠勝君 私たち意見陳述人は質問してはいけないという条件がございますので、ここでディスカッションすることはできないんですね。意見だけしか述べられませんので、その点、よろしくお願いします。  今言った、いわゆる総論としてNPO法案は通す、通したいという願いというのは、みんな持っています。私も一〇〇%持っています。でも、いわゆる条文の項目については、もっと慎重審議をしていただきたいということが願いです。それぞれの政党間の政治手法の問題もあるかと思います。それを考えるのは私たちではなくて、意見は言いますけれども、ここであるし、議会であるというふうに思いますので、ぜひ慎重審議をしていただけたらというふうに思っています。
  192. 金田誠一

    金田(誠)委員 実は私ども、この法案を何とかして今国会で成立をさせたいものだな、こう思っているわけでございます。そういう立場からしますと、もう会期が迫っているわけでございまして、実は内心非常に穏やかでないといいますか、深刻な思いできょうここにも座っているわけなんですけれども、それぞれ陳述人の皆さんに、鎌田先生から順次、今国会成立ということについて希望をされるのか、それともある意味では先送りでも構わないのかというあたりのところ、いかがなものでしょうか。
  193. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 今国会での成立を希望いたします。
  194. 三好康夫

    三好康夫君 先ほど申し上げました私の意見を酌み取っていただいて今国会で成立することを願っております。
  195. 中村順子

    中村順子君 何度も申し上げておりますように、ぜひ今国会でというふうに思います。
  196. 本田忠勝

    本田忠勝君 先ほど述べたことと同じでございます。よろしくお願いします。
  197. 早瀬昇

    早瀬昇君 今国会での成立を期待しております。
  198. 村上良雄

    村上良雄君 今国会での成立を要望しております。
  199. 金田誠一

    金田(誠)委員 ありがとうございます。  ちょっとまだ時間があるようでございますが、以上で終わります。
  200. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、木島日出夫君。
  201. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  六人の参考人すべてに聞きたいと思うのです。  NPO法案については二つの大きな問題があるわけですね。ある非営利民間団体にどの程度まで幅広く法人格付与するかという問題、その幅をどうするかという問題。もう一つは、その法人格付与された非営利団体にどの程度まで税制上の優遇を与えるかという問題。二つあると思うのです。  この法人格付与の問題と税制優遇の問題をリンケージさせるか切り離して考えるかという、これまた大問題なんです。国会では大分論議をしてきました。きょうは論議の場ではありませんから、そこははしょりたいと思うのです。しかし、リンケージさせるべきだ、こういう団体法人格付与したらそれはもう税制上も優遇を与えるべきだという考えもありますし、法人格付与したからといって税制上の優遇の問題は別問題だという意味で、両方あるのです。  しかし内容で、私、先ほど来六人の方から御意見を伺っておりまして四人の方の御意見鎌田さん、中村さん、早瀬さん、村上さん、いずれも内容では切り離していると思うのです。法人格付与が先決だという考えだと思うのです。しかし内容では切り離しておるけれどもNPO法を成立させる点では、税制の問題まで踏み込んでいくと時間ばかりかかってしようがないから、法人格付与を早くという意味では、法案成立を急ぐという点ではこの二つの問題を手続の面ではリンクさせてしまっているというので、ちょっと奇妙な感じもしているのですが、それはともかく、この二つの問題は面が違いますので、私、六人からまず第一点として、法人格を与えるべき非営利団体の幅をどれだけ広くとるかの問題についてまず絞って御意見をお聞かせ願いたいと思うのです。  三案が出ておりまして、幅の広さについて全く違います。与党党案は、十一分野に絞っているということ。不特定多数の利益が必要だということ、公益目的、これが求められているということ。ですから、その構成員の利益を図る、そういう団体、同業団体地域団体は排除されてしまうのですが、その問題。そして三点目には、選挙活動をやってはならぬということ。あるいは、「市民活動法人は、これを特定の政党のために利用してはならない。」という条文が入っています。ですから、消費税増税反対とか憲法擁護とか、そういう特定の政治的な問題である特定の政党とこの非営利団体とが協力した場合に、この条文等々を利用されまして規制されるおそれも運用においてはあるのではないかという、大きくこの三つの問題を私は感じているわけであります。  一方、一番広いのは私ども日本共産党の案でありまして、準則主義でありますから、全く対象の制約はないわけであります。どういう活動をしようと全くそれは自主的であって、それに介入の余地はないわけであります。  これだけの広さについての違いがあるのですが、まず、鎌田さん、中村さん、早瀬さん、村上さんに、その狭さについての問題点と、それと政治活動や選挙をやると介入を受けるおそれがあるというその私が持っている不安に対して、どういう認識であるのかお聞かせ願いたいと思います。
  202. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 ただいま木島先生の御質問なんですが、私どもその辺のところは大変不得手と申しますか、ポリティカルなものとほとんど関係なく活動をやっておりますので、大分頭を悩ませておりますが、正直なところ、クリアなお答えができないというところが正直であります。つまり、ソシアルセキュリティーと市民活動の活性化というのが相対してしまうというのが現実の姿ではないかと思うのです。  例えば、オウムのサリン事件とか、そういうカルト的なものを初めとする非常に危険の高いものが先般ありました。そういうものと市民活動、これはもうほかの欧米のNGOが非常に伸びやかにダイナミックにやっているのを見ているとうらやましいなとは思うのですが、それをすぐ、キリスト教とかそういう宗教的なバックグラウンドを持った組織がやっているもの、そういう世界と日本をすぐオーバーラップしたり、コピーすることは不可能だと思います。日本の現在の状況を見た場合はそこのところが非常に難しくて、クリアな答えが出ません。きっとそういうような御質問をいただくと思って私どもも考えたのですが、その答えはうまく申し上げることができません。  ただ、狭いのか広いのかという問題ですが、私どもは専門的団体でございますので、十一の項目に該当しております。それについては私ども問題ないと思っております。  以上です。
  203. 中村順子

    中村順子君 幅、分野の話がまず出てきたと思います。修正案が今出されておりまして、十一項目プラス十二項目めがついていると思います。これが御審議中だと思いますけれども活動を行う団体の運営に関する連絡、助言または援助の活動、つまり私どもCS神戸もその団体に入るわけでございますけれども、そういったものが付加されて幅が広がったということは一応評価をしています。この分野につきましても、活動の現在の実態実績と密接にかかわっていますので、今後またいろいろな分野がふえればまたプラスをしていくという方向での検討がなされればそれでいいのじゃないでしょうか。  次に、政治との関連であります。  こういうふうな市民活動団体というのは、最も市民に、どの市民にも開かれた団体であるというものが基本原則だと思います。そういう意味では、政治が目的になってはやはり開かれたという意味にはならないわけです。ただし、憲法で保障された政治の自由ということがございますので、団体の目的と離れたところでその活動があるべきでないのかなというふうに思います。  以上です。
  204. 早瀬昇

    早瀬昇君 共産党の案が大変幅広いといいますか、すべての活動をカバーするということはよく理解しております。ただ、やはり民法三十四条との関係で実現が可能かどうかということが私どもが心配しておるところであります。  これに対して市民活動促進法案の場合には、先ほどおっしゃいましたように、まず不特定多数要件に関しては、委員審議の中で、有償の活動の場合にもその会員への加入が公開、オープンであるならば含まれる。それから政治に関する関連では、当初の案の中で政策提言そのものに対する禁止条項がございましたが、これが取れまして、ですから個別具体的な政策への賛否は可能になった。このことは実質的にはNPOが政治的な活動も可能になるというふうな解釈を私どもはしておりまして、その点で制約はかなり少なくなったのではないか。  あわせて言いますと、新進党地域基盤に基づくという案については、これは活動内容についての制限がないという点ですぐれておるわけですが、役員の三分の二が同一都道府県内ということはかなり大きな制限でございまして、首都圏だとか大阪などの活動の場合には該当しない団体が大分できてしまう。役員というのはリーダーシップ上、極めて重要なものでございますので、この点ではかえって制約がつくかなというふうに思っております。  以上です。
  205. 村上良雄

    村上良雄君 幅の問題ですが、これはおっしゃるとおり共産党案が一番すぐれていると思います。準則主義に基づいてあらゆる分野の活動を対象にするという意味では一番だと思います。  ただし、民法の歴史が、改正を経ないままに、いろいろなその時々の時代の要請に応じて特定法を設けて、特別の法律ごとに法人格を与えてきたのを見ればわかるように、時代に合わないものを大もとの民法を改正しないままに来たというところに大問題があるわけで、現在それを議論していると、それこそ民法が改正されるまでは市民法人が認められないというようなことになりますので、差し当たっては、金田委員おっしゃいましたように、すみ分けの問題は議論せざるを得ない。現行の民法がカバーする部分あるいは特定の法律がカバーしている部分を除いて、限りなく幅広い分野の市民活動を対象にするということで考えざるを得ないのではないかというふうに思います。
  206. 木島日出夫

    ○木島委員 私も法律家の端くれとして、民法の問題は徹底して詰めて考えまして、金田先生からの御意見もありましたが、私どもは、民法を改正しなくて非営利法人化法、準則主義に基づく法律をつくることができると確信を持って提案したわけです、その根拠は民法三十三条にあるわけでありますが。  まあそれはともかくとして、それでは、本田さんと三好さんに今の問題での御意見をお聞かせ願いたいのですが、その前に、準則主義でやれという、これが認められなければ日本共産党はほかの法案に反対するという立場ではありません。どこまで非営利団体として頑張っております国民の皆さんの結社の自由や活動の自由に法人格付与するか、どこまでいくべきかというので、本当に考えているわけであります。  できることなら、全会一致でいい法律をつくっていきたいと考えているわけでありますが、ぜひとも私、今意見が出ましたが、お願いしたいのは、自分の団体がこの十一分野の中に含まれている、与党案が成立すれば自分の団体は救われて法人化できるという、そういう面だけで物を考えていただきたくないのです。この与党案では救われない、そういう多くの団体のことまで考えた上で、どこまで一歩前進させるべきかをぜひ考えていただきたい。そうでないと、非営利団体皆さんに利己主義という批判をちょうだいすることになるのではないか。この法案というのは、そういう批判を受けてはならない法律だと思いますので、これは私の、特にお四方に対するお願いであります。  それを踏まえた上で、私が先ほど指摘をいたしました一番大きな心配の点、選挙を一度でもやったら、その団体は、与党案によればだめだという烙印を押される可能性があるのです、この条文をよく調べてみますと。それと、第三条の二項に、繰り返しますが「市民活動法人は、これを特定の政党のために利用してはならない。」という条文があるのです。これは、運用の仕方によりますと、やはりちょっとでも政治にかかわる活動をある特定の政党と共同すると、やはり介入される余地があると私感じて不安を持っているのですが、この私の不安に対して、三好さんと本田さんの御意見をお聞かせ願いたい。
  207. 三好康夫

    三好康夫君 例えば、政治の問題、どこまでを政治の問題と考えるか。これはなかなか難しい問題でございますけれども、我々、大阪文化団体連合会は、例えば、消費税の値上げのときには反対運動を起こしましたし、もちろん過去の入場税の問題に対してもそれを撤廃するような運動を起こしました。これを政治的行動とみなすか、みなさないか。例えば、ある政党がそういうことを提起した、我々はやはり入場税反対だと運動した、これを政治とみなすのかどうか。その辺、難しい問題ですね。  我々は、やはり加盟団体の中には、芸術団体というのはいろいろな党派の人が入っております。我々の加盟団体の中にもいろいろな党の支持者もいます。そうすると、やはり全体として、共通の課題、芸術の課題に対して我々芸術文化団体活動していくわけでありまして、その場合が例えば消費税であれば消費税反対、これは皆がやはり納得しているわけだから消費税反対。これを政治的というふうにみなされると、ちょっと困るわけですね。その辺は我々が心配がないようにぜひしていただきたい、そういうふうに思っております。  それから、考え方としては、木島さんがおっしゃったように、やはり私はこの窓口の問題と、それから税制優遇の問題はリンケージしたものだ、本来はそうあってほしい、こう願っております。  それで、どういう団体認証するのか。認証なのか認定なのかよくわかりませんけれども、例えば私なんかが考えますのは、実際自分たち市民の中で、自分たちがこういうふうにグループをつくって市民公益のために活動しようというふうに自発的な意思があれば、それは市民公益団体として認めてほしいということがありますね。どこかが決めるのではなくて、枠をはめて枠の中で問題を考えるのじゃなくして、それは市民に任せていただきたいというふうな、そういう意味では税制問題と、それからいわゆる窓口の問題はリンケージしてあってほしいと私は思っております。
  208. 本田忠勝

    本田忠勝君 二点についてですが、分野の問題で先ほど意見を述べましたけれども、先ほど隣の中村さんがおっしゃられたように、十二分野に広がったということがございますね。そういった意味では、本当の意味では分野を設定するということについては、それは市民が決めることだということについては余り変わりがありませんが、いわゆる不特定多数のためにという、門戸を広げなければならないということからいくと、例えば劇団などというのはほとんどパスしないでしょうね。いわゆる固有の人たちが集まるわけですから、その人たち公益的な、つまり非営利団体かということになりますと、物すごい怖さを感じます。そういうことからいきますと、僕は、先ほども申しましたように、門戸を広げて、登録だけで済ませていくということがとても大事だろうというのが第一点にあります。  それから、政治活動の問題ですけれども与党案の第二条第二項ロ、ハの項目ですが、「政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。」と書いてありますが、暮らしを考えたり、自主的な活動をするというのは、自分の生活、暮らしを考えることですね。この暮らしを考えるというのは政治と直結しているのですね、実を言いますと。政治と無関係で人間は動けないのですね。  ですから、そういうことからいきますと、やはり一人一人の持っている思想、物の考え方や創造的な活動についての自由は保障する、そういう集まりがNPOに加わる非営利団体の集まりなのですね。そういった意味では、このロの項目については、いわゆる政治活動と社会活動と、それから暮らしをよくする活動がどこでどう分離できるかというのは物すごく難しい問題ですね。それは、市民が自主的に判断して決めることだと思うのです、僕は。それは成熟することだと思います。それが第一点。  それから、ハの「特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対するものでないこと。」こういう縛りも、これはNPO組織の人たちが自主的、自覚的に判断することだと思うのですね。条文にすることではない、もっと市民を信じてよろしいというふうに僕は思います。  それから市民活動法人、第二章の第三条二項ですが、「市民活動法人は、これを特定の政党のために利用してはならない。」とありますが、これはもう当然なことですから、その意味では、条文に入れるということよりも、これも市民市民の力によって、自分たちが自分たちを決定していくと、自主決定権を与えていけば、僕はこの条文は削除してほしいというふうに思います。これは、NPO組織、非営利団体が、このロ、ハ、三条の二項があったら、もう僕は通してほしくありません、実を言いますと。
  209. 木島日出夫

    ○木島委員 わかりました。  時間の制約がありますので、では最後に一言だけ。  私は、先ほど不安を述べました。少なくとも、政治活動選挙活動に対して、所轄庁の介入の余地があると。これは、今与党三党と民主党さんの修正案の中には削除の対象になっていないのです。それで、一言でいいですが、鎌田さん、中村さん、早瀬さん、村上さん、それでも、これでいいから通してくれというお考えでしょうか。それとも、もうちょっとそこまで見直してほしいという考えでしょうか。一言聞いて、終わります。
  210. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 医療は不偏不党であります。ですので、どの党のために動くこともございませんので、別にこの部分は私は気になりません。  以上です。
  211. 中村順子

    中村順子君 同様でございます。
  212. 早瀬昇

    早瀬昇君 個別具体的な政策への賛否が可能だという解釈を聞いておりますので、賛成します。
  213. 村上良雄

    村上良雄君 私たちの運動も、これまで政治と宗教を持ち込まないということを原則に活動はしてきました。その原則は守れると思っておりますので、このままでも成立を望みたいと思います。
  214. 木島日出夫

    ○木島委員 終わります。
  215. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、前田武志君。
  216. 前田武志

    ○前田(武)委員 太陽党の前田武志でございます。  当初の順番だと辻元先生になるわけでございますが、辻元議員の御好意によって、私、ちょっと後どうしても決まった時間帯があって、先にやらせていただくことになりました。そろそろ太陽も沈みかけでございまして、まだ日が沈む前にこの機会を与えていただいた同僚議員に厚く御礼を申し上げます。  実は、この内閣委員会、太陽党の方は奥田敬和議員委員として既に相当いろいろとこの問題で質疑をされております。たまたま所用があって、私、地元でございますので、代役として参りました。  私自身が、奥田敬和議員から御本人の考え方として言われておりますのは、この市民公益活動、今陳述人の皆様方がお述べになった、そしてまたここにいます同僚議員皆様方がそれぞれみずから法案を出して御審議をされて、非常に熱のある活発な議員立法による議員同士の討議を重ねてこられたわけですね。国会改革、国会の活性化という意味では、私はこのNPO法案審議されている内閣委員会の各先生方に非常に敬意を今持つわけでございます。  そういう中で、これからの将来の時代、もう陳述人の先生方それぞれお述べになるように、今までは役所とそして営利企業だけであった、本来日本の社会にはもっと多様なものがあった、それを法的にも位置づけて、第三の分野、これが二十一世紀の日本の次の時代をつくっていく大きな基盤になるのではないかという、まさしくそういう意味において、こういう基本的な法案を、しかも議員立法で、議員立法ということは政府が提案するわけじゃないわけでございます。国会審議の中で議員が本当に討議を重ねて、最後、合意に達してこの法案をつくる。しかも、その法案の中身が二十一世紀の日本がかかっているような法案、本当に生きがいのある、多様性のある社会をどう構築していくかという法案でありますから、何とかこのすばらしい議員先生方の、先生方がこういう機会にいろいろ皆様方から御意見を拝聴して、最終的には少しでもいいものにお互いに知恵を出し合って、対決するような法案ではなしに最後はそれぞれ譲り合っても、まずいい法案に、現実のこの状況を一歩でも進めるような、しかしそれは対決ではなしにお互いに話し合って合意のもとにというようなことを盛んに言っておられます。そういったことを、冒頭、奥田議員がおられませんので、かわって申し上げる次第です。  実は、私は、村上陳述人のたんぽぽの家、奈良県でございます、随分昔から御苦労をされて、こういったすばらしい活動をしてこられた、そういったことに非常に敬意を表していたわけです。また一方、奈良県は古い町でございまして、町づくり自体が公共事業、県であり、中央官庁、建設省であり、あるいはまた市役所でありというようなところで、どうしてもステレオタイプになりがちでございます。そういう中で、奈良町づくりセンターという、これもNPOの先駆的な活動ですが、こういった活動もあって古い奈良の町をうまく今に生かしてというようなことに大きな成果を上げている。そういったことを、いろいろ福祉であり、町づくりであり、私自身も拝見し、時には相談にあずかったりしながら、やはりNPOというものは本当に二十一世紀の日本の国のあり方を決めるなという気持ちになりました。また、アメリカの実態もたびたび勉強いたしました。  そんなことがあって、三年前に細川、羽田内閣のころにはまさしくそういう社会をつくろうというのが一つの基本政策でありましたから、奈良町づくりセンターを呼んで勉強したことがあるのですね。そのころから我々同僚議員の勉強も始まった。ところが、そのときには、既に河村さんを初め、旧日本新党系であったり、あるいはさきがけ系であったり、あるいは今の民主党におられる方々、先駆的に若い方々が随分勉強をされておられたわけですね、共産党、社会党も含めて。その後、阪神震災があって、政府・自民党におかれても、熊代さんを初め、これはもう法制化を早くやってきちっと位置づけていかないとという動きになって、国会の中で、意見の相違はあれ、議員あるいは各政党がこの重要性というのを認識して今に至っているわけであります。  こんなことを申し上げたのは、多少そういったかかわった一人として皆様方に御認識いただきたいのは、決してこれは対決してどうこうするものではなしに、あくまでも市民活動をどういうふうに、法体系がない、法がないゆえに非常に今困っておられる、それを何とか立法府の責任としてその一つを実現しようかという動きであるということを御認識いただきたいわけであります。  さて、もう既に各委員から御指摘があって、その各党の法案の違いといいますか、どこに対立点があるかということも明らかになってまいりました。要するに、準則主義で認めるのか、あるいは民法三十四条の前提のもとに、どういうような条件の、条件といいますか基準を設けて、あくまでも準則主義に近いような形で皆さん方活動を法の中に入れるかということだと思います。  そこで心配は、要するに、何とかかんとか言いながら、最終的には府県当局であったり、あるいは二県以上になると国の役所になるわけですが、そういうところの裁量主義というものに影響を受けないかというところが一番心配だろうと思うのですね。そういう御心配を皆様方がまずは持っておられるか。もしも持っておられるとすれば、どういうような注文をつけたいか、現状においてですね、その辺を各位からお聞かせを願います。
  217. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 ただいまの先生の御質問でございますが、その裁量権で恣意的にされることは、実は心配しております。今までの補助金等の歴史の中でも大分そういう面がございましたので、そうなった場合どうするかよく考えなくてはいけないことだなとは思っております。  以上です。
  218. 三好康夫

    三好康夫君 これまでも私の意見は申し上げましたけれども、できれば届け出制、市民からの届け出制という形をとっていただきたいというふうに思っております。
  219. 中村順子

    中村順子君 私どもは、この法案行政からコントロールされるのではなくて、本当に対等な関係を結びたいがゆえの願いを持っています。そういう意味で、裁量主義はどうのこうのということがありますけれども、私たち、これから活動の中で本当にパートナーとなるべき立派なことをしていきたいというふうに思います。
  220. 本田忠勝

    本田忠勝君 行政と、企業も民間ですが、企業も、それから新しく生まれるNPOという市民活動の新しい組織、この三つ関係が相互に独立し提携をできるような、そういう緩やかさが欲しい。だから、管理、いわゆる国の方が関与するという部分を極力減らしていくということが大切かと思います。
  221. 早瀬昇

    早瀬昇君 法学辞典等を読みますと、いわゆる裁量の範囲というのは、許可、認可、認証、確認、届け出の順に緩くなる。そういう点では、現行民法は許可ですので、大変行政官僚の皆さんの裁量範囲が強かったわけですが、今回は認証という、本来的には届け出が最も理想的だとは思いますが、とりあえず認証という形でかなり自由裁量の幅が狭くなっていると思いますので、この法案でとりあえずは仕方ないかなと思っております。
  222. 村上良雄

    村上良雄君 私たちは、このNPO法案が成立しても、それで何か市民活動団体にとって大いなるバラ色の世界が広がるというふうな幻想は抱いていないのですね。むしろ、これからいわば市民活動団体が生き残れるかどうかの真価が問われる時代になってくるのではないかというふうに考えているのですね。  それはどういうことかというと、先ほどから議論が出ている優遇税制をどういうふうな形にするかは別にして、それをめぐってよりすぐれた活動に対してみんなが寄附を出して、ドネーションをして、その活動をサポートしていこうという時代になるということなのですね。そのためには、すぐれた提案ができてなおかつすぐれた人材を確保して、すぐれた市民活動にしていくという必要があるわけですね。これは行政ではできないわけですね。  そういう意味で、先ほど私の陳述で言いましたように、いい意味での行政との緊張関係、いい行政との関係を築いていく必要がある。そのためには、行政がコントロールするというのではなくて、単純に我々の側が補助金を下さいと言っているわけではないのですね。そうではなくて、いい関係を築いてこれからの地域社会をよくしていこうという、いいパートナーシップを築いていきたいというのが我々の願望なのですね。それを受け入れてもらえるようないい関係ができることを望んでいるということです。
  223. 前田武志

    ○前田(武)委員 それぞれにそれぞれのお立場で明快にお答えをいただきまして、私も非常に示唆に富んだお考えをいただいたところでございます。  さて、現実の方は随分先に進んでいるような感じがいたします。それが震災の皆様方の御活躍の結果でございますし、この間の北陸のあの油の事故ですね、私どもの親しい若い人たちなんかもほとんどがそれぞれボランティアとして活躍されました。それから、私、福井のときにふっと気がついて、インターネット、私自身余り難しいコンピューターは知りませんが、娘にさわらせたところ、やはりもう事故が起こったときから、あの北陸の油の事故を支援する、あるいは汚濁を除去するボランティア団体がインターネット上に組織されているのですね。ああ、時代はやはりこういうことになっているのだなということをつくづく感じました。  村上さんがさっきインターネットワーキングと言われましたか、まあ、そういう表現を使われた。多分、そういった今いろいろな縦割りの組織を超えて、あるいはボランティア、あるいはNPO団体を横につないでそういうネットワーク社会が形成されてきたといったことを御説明になったのだろう、こう思うのですが、確かにこういったことはアメリカなんかはもうまさに現実の世界でどんどん進んでいるということを私も知っております。  この間、ちょっとノースカロライナへ行ってその実態を見てきたのですが、ネットワーク上にいろいろなものが乗ってきて、バーチャルなガバメント以上のものができて活動をしている。しかもそれを支援する財団というものが非常につくりやすくなっていて、どんどんそういう財団から寄附を受ける。しかし、その財団は多分、相続税の問題であったり税法上のいろいろなNPOあるいは財団を支援するような制度があってのことでありましょう。そういった意味では、このNPO法案というのは税制とは切り離せないというのはもう皆様方の御指摘のとおりでございます。  しかし、今までの議論を聞いておりましても、日本の精密に積み上げてきた税制というものを今このために急に変えるというのはなかなか難しいということも私も政治家としてはよくわかるのですね。当然これは民法三十四条を改正する、民法そのもの改正して、ここで御議論されているように、市民非営利活動の基本法みたいなものをつくる、これはたしかこの間、大阪大学の本間教授が新聞に投稿されて提案されていたように思うのですが、これはここにおられる委員皆様方お一人お一人すべてそういうお気持ちはどこかに持っておられると思うのですね。しかし、立法府の、政治の現実の場ですぐそこまで行けるかというと、これはもう非常に難しいわけであって、したがって、今ここで各党が知恵を出されてこういう法案を出されていると思うのです。  そこで、結論として、この先とにかく早い機会に非営利団体公益活動といいますか市民の非営利団体活動支援する、そういう基本法をつくるべしという考え方について、皆様方お一人お一人の御意見をお伺いして質問を終わります。
  224. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 基本法、大変よろしいかと存じます。
  225. 三好康夫

    三好康夫君 私も、そういう基本法が制定されることは望ましいと思っております。  ただ、それだけでなしに、それぞれがまたそれぞれの領域で、例えば文化振興法というような芸術文化に対する法律、これは我々大阪文化団体連合会が創立以来の一つの課題でございます。国に対しては文化振興法、それから府、市に対しては文化振興条例の制定ということですね。芸術文化の振興というのを法的にやはり認めていただくというか、制定していただくというか、そういうことをきちっと行政に義務づけるといいますか、そういうことをやっていただきたいと思っておりますので、そういう基本法と同時にそういう個別法も考えていただきたいと思っております。
  226. 中村順子

    中村順子君 特別法から一般法へというふうに発展することは、大変私たちも望んでいるところであります。
  227. 本田忠勝

    本田忠勝君 私も同意見でございます。本当に早くつくってほしいということと、問題は、先ほど申しました条件については本当に慎重審議をしていただけたらなと。創造的な仕事だと思いますから、本当に先生方、頑張っていただけたらというふうに思います。
  228. 早瀬昇

    早瀬昇君 基本法の制定は、当然賛成しております。ただ、その際に、基本的には民法三十四条を変えなければいけませんので、このこととリンクした形での基本法の制定が必要だと思います。
  229. 村上良雄

    村上良雄君 基本法の制定はぜひ必要だと思います。それは、行政、そして企業、それに匹敵する第三の力を発揮する市民活動団体あり方を、基盤整備を含めてぜひ基本的な立法として取り組んでいただきたいというふうに思うからです。
  230. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  231. 伊藤忠治

    伊藤座長 次に、辻元清美君。
  232. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美と申します。  どうも皆さん、もう最後ですから、トリですから、お疲れさんです。  私は、この近畿ブロックから比例区から選出していただいていますので、きょう傍聴にいらっしゃっている方でいろいろな活動をされている方も存じ上げております。実際には、きょう陳述していただいている方々を初め傍聴に来られている方も、非常にこの法案に対して期待があったり、それからこうなったらええなという希望があったりする方々と思います。そういう意味では、日ごろ、苦労の中から、ここまで来うかいなという、苦労してなかったらここまで聞きに来うかいなとは思わないので、皆さん活動苦労に対して敬意をまず表したいと思います。  といいますのも、私もピースボートという活動をこの間まで、半年前までやっていました。それでいきなり国会議員になってこの席に座っているような立場ですので、余り皆さんと変わらないと思います。そういう立場で幾つか、私がこの法案に対して気になっているところは皆さんも同じように気になっていらっしゃるのではないかというふうに思いますので、質問させてほしいのです。  なぜかというと、私も随分この与党案というものを去年引き受けてから迷ったのですね。ええんかいな、ええんかいな、これで行ってええんかいなと迷ったのですが、今回、もうこれで早期に成立させた方がいいな、今後見直すところもあるけれども、とりあえずこれでやってみようやないかというふうについ最近決断しまして、ここに進んでいるのです。そういう意味で、気になったところを幾つか皆さんに聞かせていただきたいと思います。  これは、よくぼんやりしたイメージで、えらい管理されるんとちゃうかというところが私も気になりました。この審議を通じまして、できるだけこの法文の中の管理的な色彩があるところは外していこうやないかという審議を今積み重ねているわけなのです。実際に、先ほどから行政の裁量ということがありますけれども、裁量というのは、それをこれで認証しようかなと思う人に働くので、その人が今だれかわかりませんので、そこまで行ってこれはおかしいやないかと言えないので、これはこれからの検討課題になっていくわけなのですが、まず、この法律、法文によってどのように運営されるかということが規定されてくるので、この法文についてちょっと質問したいと思うのですね。  その中で今検討しておりますのが、例えば一つは、文書主義でいこうやないかという確認を審議の中でやっています。認証するときは、一々呼び出して、君、君、これどうなってるのというのはやめて、できるだけ文書を出していただいたもので客観的に判断しようという確認を今しているところ。  それから二つ目は、この中で社員というのは社団の社ですけれども、名簿の提出については随分いろいろな方の疑問もありましたし、私も、あれ、名簿なんか提出するのかいなという気持ちになっておりましたので、役員は大体オープンになっておりますけれども社員皆さんの名簿の提出については、これは検討していこう、なしという方向でいけるかしらと思っています。  それから、もしも万一不認証になったとき、あんたのところあきませんよと言われるだけでは困るので、その理由をちゃんと文書で所轄庁は出せ、出さなければならないというふうにしようやないかという話が出ています。  それから、先ほどちょっと早瀬陳述人からも話が出ましたが、所管大臣に意見を聞くことができるなんというのは、何か知らぬけれども、何で一々意見を聞くのかなという疑いが生じますので、こういうのはもうやめてしまえと。  それから、そのほかにも運用の面で、会計ですね。複式簿記なんて書いてあるのですけれども、小さい団体で複式簿記を知っている人に来てもろうて一々やっているのもちょっと実情と違うので、これは適正な簿記、そこのやり方でいいやないかと。  それから、立入検査という言葉を見ただけで私もびっくり仰天しまして、立ち入りってどんなんやと思いました。半年前に思っていたのです。こういう際に、例えばその理由を書いた文書を希望があればしっかりと交付して、その上で立ち入りに臨む。よほどの理由がない限りできないというふうに歯どめをかけたり、さまざまなことを今審議しております。  あともう一つ、これは四十四条だったのですが、所轄庁へだれでも申し出たら調べに行かなあかんという、別名チクリ条項とか言われていたのですけれども、これもこの際、市民活動団体をもちろん信用してやめようやないかとか、幾つか今審議過程で修正がなされていこうとしているのです。これは今、国会審議の中でされていることですのでここで御報告を申し上げたのですが、そういうところがありましたので、私としても大分管理的色彩は落ちてきたなという判断のもとに今これを進めておるわけなのです。  前置きが長くなって済みません。それで、皆さん、これで運営されますから、この中で何かちょっと気になっているとか、政治、宗教はちょっとこの後質問させていただきますので、それ以外で何か気になっているところがあれば率直な意見を伺いたいと同時に、大分ましになったなという方、大分ようなったな、ええな、いろいろ意見があると思いますけれども段階によってあるかと思いますが、皆さんの御意見を順次伺いたいと思うのです。
  233. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 今辻元先生から御追加のことを聞きまして、大分安心いたしました。この線でぜひお願いしたいと思っております。特に問題点はございません。政治、宗教の件は御質問いただけるということで、一言申し上げたいことがございますので、後でお願いいたします。  以上です。
  234. 三好康夫

    三好康夫君 これで大分よくなったというふうに言われたのですけれども、その変わる前はどんなんやったろかと、何かちょっとそら恐ろしい気がいたしておりまして、今挙げられました六つについてもまだ私は非常に官僚主義を感じます。  例えば、認証ということはもうしようがないかなと思うのです、そこまでは。それはしようがないかなと思うけれども、本当は届け出制にしてほしい。  それから、認証、そこまではそういうあれだからやむを得ないのかなとは思ったりするのですが、例えば社員名簿、構成員がたくさんあるところはどうするのだろうか。何千人と出さなければいけないのだろうか。それだったら役員名簿でいいではないかとも思います。それから、社員というのは恐らくアメリカあたりのいわゆる財団の社員というようなものをイメージされて社員という言葉を使っていらっしゃるのか、あるいは法人団体をイメージされてやられているのか。今の現実の芸術文化団体の構成から見ますと、ちょっと合わないのですよね。その辺のずれを感じます。  それと、例えば所管大臣の意見を聞くというのは、こんなのはやめてほしいなと思いますね。それから立入検査というのも、これも嫌な言葉ですね。何で立ち入りして検査をするのかと。どれだけいい目をさせてもらっているのか。先ほど税制優遇の問題が出ておりましたけれども、それは少し先の問題だというふうなお話ですよね。そうすると、何かこれを認定してもらうだけで立入検査までされるのか、それだったらうち要らぬわというようなところが僕は中には出てくるだろうと思います。  だから、そういうものはやはり外していただきたいですね。やはり市民信用して、それこそ市民信用しての例えばNPO法ではないのでしょうか。そういう点から見ると、こういう今挙げられた項目というのは、何かやはりまだ市民信用していない、官僚規制といいますか、そういうものを何か私はひしひしと感じます。  以上です。
  235. 中村順子

    中村順子君 修正がなされています六つの点につきましては、本当に私どもも懸念していたところでございますので、大変これは前進として評価をしております。  なお、総則のところの「定義」ですね。「社員うち報酬を受ける者の数が、社員総数の三分の一以下であること。」これについても削除ということで検討されているということで、この辺については評価をします。  ただし、もっと欲を申せばたくさんありまして、それを言ってももう仕方がないのだ、今、当面一致するところでやろうというのをきょうの合意点にしてほしいというふうに私は思います。ですので、後は、私たち市民活動団体というのは自己変革をすることを目的としています。そういう変革の中でまたこの法案が修正されるというふうに思いますし、当面はこのあたりで、一致点でやればいいのではないかというふうな意見を持ちます。
  236. 本田忠勝

    本田忠勝君 今述べられました六項目がございますが、政治の問題と宗教の問題はまた別でということで、例えば市民活動法人で二以上の都道府県にまたがるときには経済企画庁長官とするということになっていますね。これについても、私は、もう基盤が地域にあってそこが母体になれば、そこで認知すれば世界にも全国にもつながっていくというふうになるとか、いわゆる項目としてはあります。  それから、もっといわゆる簡素化をするということが必要じゃないかというふうに思います。それは何かといいますと、登録の項目についてはもう少し整理をして、それから立ち入りについては、いわゆる刑法に当たるというかそういうときぐらいで、日常的な業務については関与しないということをできれば明文化してほしいなというふうに思います。  大きな点ではそれだけであります。
  237. 早瀬昇

    早瀬昇君 理想というのは、人々によってさまざまに違う理想をそれぞれが持ち合うわけですが、国会議員の皆様のさまざまなやりとりの中でここまで修正の合意がなされた。社会が理想的な形に変わっていくに当たっては、やはり国民全体の、つまり国会議員の皆さんを選出する国民全体の理解の増進が必要だと思いますし、その点からしましたら、ここまでの修正合意ということを私は努力を多として、この法案でまず今国会での成立を期待したいと思っております。
  238. 村上良雄

    村上良雄君 いずれの案も議員立法で提案されているということで、これは評価できる点だと思うのですが、辻元委員指摘された六つの点については、官僚が提案したのと変わらない内容になっているのじゃないかという意味では、行政関与という点が限りなくゼロに近い方がいいということは決まっているわけで、そういう意味ではむしろ修正が遅いという感もなきにしもあらずですが、この修正を盛り込んで、なおかつ早急に成立をさせていただきたいというふうに思います。
  239. 辻元清美

    辻元委員 審議はいつまで続くのかわからないのですけれども、修正されるように各党で調整をぜひとっていきたいと思います。ちょっとでも外さんとと思いますので。  それから次に、政治、宗教のことなんですけれども本田さん、大分こだわってはったようなのでちょっと質問なんです。ここは私もこだわっていましたから。  それで、今のところ政治上の主義というのはあかんとなっているんですよ。この主義というのは、例えば愛国主義とか社会主義とか共産主義とか、一つのものを推進していくというのは、従たるやったらよろしいんですわ。主たる目的になったら、これは政治団体でやったらどうですかということなんですよ。それで、施策はオーケーというので、私、まあそれならいいかなと思いました。例えばどこかのダムをつくるとか、いろいろな皆さん、住民の人たちが政治の施策に対して意見も言いたい、そういう活動はよろしい。けれども、愛国主義推進しましょう、共産主義推進しましょうというのが主たる目的やったら、それはそれで届け出て、別の政治団体をつくったらええやないかというのがこの意味なんですけれども、だから私も、それならいいかしらと思ったのですが、本田さん、いかがですか。それでもだめですかね。
  240. 本田忠勝

    本田忠勝君 もうこれはとても、この条文の根幹にわたる部分だと思いますので、私の意見を述べさせてください。  一つ、政治上の主義主張、いわゆるイデオロギーというものは、政治思想の体系を持っていますね。それで政党は運営されていますね。その活動についてはそれぞれの政党がするわけです。でも、NPOに加わる諸団体というのは、自由と民主主義で運営されているわけですよね。そこで拘束をして、どこかの政党を支持しますということについては、してはいかぬというふうに思っているのですよ。  それはありますが、問題は、社会活動政治活動、それから暮らしをよくするさまざまの活動というのがありますね、そういうためにつくられているわけですから。そうしますと、いわゆるイデオロギーがある、イデオロギー論争に持ち込まれていくというのは政治的な活動になりますね。それでそれは、いわゆる中で自由にディスカッションするということはとても大事なことだと思うのです。イタリアでよくあるのは、ほかの政党を支持する人が一杯飲みながら政治談義をするということがありますね。そういった意味では、僕は、政治上の主義主張を推進し支持し、またはこれに反対することを主たる目的にするものでないという条文そのものの項目は、現在の到達した民主主義の課題からいけば要らない、そこまで束縛する必要はないというふうに思います。だから、イデオロギーだったら政党がやっているわけですから、それは政党をつくればいいわけですからね。そういうふうに思います。  もう一言。ですから、そういう意味でいくと、怖さを感ずるというのがどうしても自分の中にあるんですね。もっと自由に政治活動は、政治的な活動につながる部分というのはありますから、それは自由にさせてほしいというふうに思います。
  241. 辻元清美

    辻元委員 それは自由でいいと思うのですけれども、議論してもしようがないのですけれども、何時間もやれそうなんですが、実際に一つの団体が全部それをやらなあかんとなるというところが問題なんです。  それで、この候補者というところも私も大分考えたのですけれども市民団体というのは、いろいろな考え方、私この人を支持したい、この人を支持したいと来て当たり前ですよね。それが、この団体はこの人を推して、この主義だけでいくんやというたら、これはちょっと性質が違ってくるのではないかということでその候補者の項目も入れてあるわけなんです。そういうことなんですよ。  ですから、この点について先ほど鎌田陳述人が、ちょっと政治とあれのところには意見があるとおっしゃっていたので、いかがですか。
  242. 鎌田裕十朗

    鎌田裕十朗君 宗教と政治は、我々も実はいろいろ直面いたしました。例えばサハリンの地震に一昨年五月、私、一陣で飛んだのですが、帰ってきましたら本部と私の家に右翼が街宣車を並べて、北方領土を返さない国に助けに行くとは何事だとがんがんやられまして、厳しいなというふうに思ったわけでございます。また海外に行っても、部族間抗争やらが燃えている中でどっちかにつかざるを得ない場合もあるわけでございます。そういう経験を持って、体験を持って、やはりそういうカラーを我々はきちんとしていきたいと思っております。  また、宗教ですが、AMDAインターナショナルというのがございます。これはつまりバングラデシュとかネパールとか、アフリカの人もいますが、イスラム教、ヒンズー教、それからあと我々仏教もありますし、クリスチャンもおります。みんな食べ物が、あれが食えない、これが食えないとか、休む日が違うとか、もめながらでもやっております。こういうことでちゃんとAMDAはやっております。ちゃんとうまくやっていれば、目的を持ってやっていけばいいというふうに思っておりますので、宗教とポリティックスのせめぎ合いの中を、深刻に考えなければいけないのですけれども、それを乗り切ってやっていくという気持ちが我々市民団体に必要なのではないかと思っております。  以上です。
  243. 辻元清美

    辻元委員 もう一つ、皆さんの発言の中にも多かった税制についてなんです。  ここも随分いろいろ考えました。よう吟味してみたら、アメリカなんかも二段階になっていまして、準則で簡単に取れるけれども、税の優遇措置をとるときはかなり厳しい縛りがあるのです。そうなると、今認証というのでとりあえずやってみよう、そうすると、縛りもなくて税金の方もくれというのは、なかなかこれはどこへ行っても成り立たないのですよ。そういう意味で、私も、やはりあったらええなあというふうに思ったのですが、なかなか今の現行法、ほかの法律との兼ね合わせとかも考えると、すぐにこの認証というものでとれるようにするというのは非常に難しいなという限界を感じております。  そういう意味で、三年後ということですから、二年間ぐらいここにお集まりの市民団体皆さんとも一緒に見直しをしていきたいなという気持ちでいるんですね。ただ、いつまで国会議員でおるかわかりませんので、おるかどうかわからないのですが、とりあえず今おりますので、そういう気持ちなんですね。  ですから、そういう検討の折には、ここにいられる、特に陳述人で来ていただいた方々にはぜひ一緒に検討していただくような、意見も今後私たちにお寄せいただきたいという要望をぜひ皆さんにお伝えして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。  皆さん、きょうは長い間お疲れさまでした。どうもありがとうございます。
  244. 伊藤忠治

    伊藤座長 これにて委員からの質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  意見陳述の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見を述べていただき、まことにありがとうございました。  拝聴いたしました御意見は、法案の審査に資するところ極めて大なるものがございます。厚くお礼を申し上げます。  また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。  これにて散会いたします。     午後六時八分散会