○木島
委員 日本共産党の
木島日出夫でございます。
私どもの党も、当
委員会に非
営利法人一般法、
提案をしております。
提出者の一員でありますが、これから、
質問者としての立場でお聞きをさせていただきたいと
思います。
最初に、
NPO法作成、成立を求めて頑張ってこられた多くの
市民団体の
皆さんの本当に長い間の御
努力に、我が党としても心から敬意を表したいと思うのです。いい
法律をつくっていきたいというだけじゃなくて、これらの
皆さんは、日々、
営利を目的としないで、すばらしい
日本社会のために
活動されている。そういう蓄積の上に立って、それを法的にもう一段引き上げるため法人化を求め、そして
財政上の
基盤を求める
税制上の優遇措置を求めて
努力されてきたわけであります。今、この内閣
委員会そして
国会には、この
皆さんの
努力にこたえる義務があるだろう、そして、少してもいい、すばらしい
NPO法案をつくっていく
責任があるんじゃないかと思うわけであります。
私どもも信ずるところに従いまして
法案を
提出しておりますが、基本的には、この
法案に固執することなく、徹底した論議を深めて、最大限できるところを一致点を見つけ出して、そして
国民の
皆さんの
理解が得られるような
法案をつくっていきたい。
運動団体の
皆さんの中にもいろいろな
意見があります。早くつくってほしいということ、そういう
意見もあります。また、拙速はいかぬ、ここまで来たんだから、どうせつくるんなら少しでもいいものをつくってほしい。いろいろな
意見があるだけに、拙速主義ということではなくて、十分に煮詰めたものをできたら各党派合意の上で生み出していきたい、そういう立場に
日本共産党は立っていることをまず申し添えておきます。
そしてもう
一つ、私は朝から
提案者としてずうっとこの
意見を聞いておりました。感ずるところがございます。
議員立法であります。三つの
法案が出ております。
与党さんからの
法案、新進党さんからの
法案、そして我が
党案、
議員立法が三つもそろうというのは大変珍しいわけでありますが、私も長い間弁護士をやってきました。
法律をつくるときには、余り
議員立法、我々経験ないんですが、その
法律が成立したときにどのように使われるか、どのように運用されるか、その
法律がつくられたときに
日本社会にどういう影響を与えるか、
運動をやっている
皆さんにどういう影響を与えるか、そこまで
考え抜いて
考え抜いて、そして、
団体の
皆さんがつゆほども疑問点がないような姿勢に
立法者は立つべきではないか。私も
法案の
提案者であります。心してそういう立場に立ってひとつこれからの
質問、答弁をやっていただきたい、これを
法案の
提案者に対して心から、前もってお願いをしておきたいと思うんです。
NPO法をつくってほしいという
運動団体の
皆さん、
国民の
皆さんの願い、要約をいたしますと私は二つだと思うんです。
一つは、でき得る限り官庁の支配や介入を排除して、そして、でき得る限り、
準則主義という
法律上難しい言葉ではありますが、官庁の許可主義ではなくて、一定の組織を備えている
団体には法人化を認めてもらいたい。ゆめゆめ百年の
日本を支配してきた
公益法人の
制度、官庁の許可がなければ成立できない。そこに政官財癒着、特にこれは官庁と
公益法人との癒着、そこに
政治が介入してくるその温床になっているわけです。厚生省をめぐるあの疑惑を見れば明らかだと思うので、そういうことを経験しているだけに、法人の
設立、その後の運営、そしてまたこれに対する
監督、それからいろいろな処罰、解散、取り消し、そういうもろもろについて、可能な限り官庁の支配、介入を排除して、
自主性を最大限認めてもらいたいというのが
一つだと思うのです。
もう
一つは、
財政上の
基盤を認めてもらいたい、これが税法上の優遇措置ということになるわけでありますが、私は、この二つだと思うのです。恐らく、長い間
努力されてきた
法案提案者の
皆さんも、何とかこの二つの
要望にこたえていこうという立場で
努力されてきたことを感じるわけであります。
きょうは、時間の許す限り、そういう観点から、
与党の
法案、そして新進党さんの
法案について、幾つかの点をお聞きしたいと思うのです。
私、率直に言いまして、
与党が出した
法案、そして新進党の
法案、基本的には
民法三十四条、これを基本法として
考えている。一定の条件が満たされなければ法人化ができない、そして官庁の許可がなければ法人化ができない、これが
日本の法人化法の、ある結社に
法人格を与える
法律の基本法だ。これを乗り越えないことには何とも仕方がない。しかしこれは乗り越えられない。だから、この
民法三十四条の
公益法人、許可主義に抵触しないように何とかすみ分けて、すみ分けた上で、
国民の
皆さん、
運動団体の
皆さんの
要求にこたえよう、そういう苦労をなさってきたと思うんです。私も、
立法作業に従事してみて、それを本当に感じました。
しかし、私どもは、法制局が何と言おうとそんなものは乗り越えて、
準則主義に基づいて
法律つくることはできるんだという立場で実は
提出したのが、私どもの非
営利団体に対する
法人格の
付与等に関する
法律案なわけであります。徹底的な
準則主義を貫いている
法律であることは、お読みいただければわかるわけであります。
私は、
与党案にも、新進
党案もそうなんですが、
民法三十四条が
日本の法人化法の基本原則なんだというのは間違いじゃないか、その呪縛を取り除いてもらいたいということで最初に御
意見を申し上げ、
質問をいたします。
実は、
民法三十四条が基本じゃないんです。
日本の民事法体系の基本は
民法三十三条です。
一つ前の条文なんです。この
法律、
民法ですね、みずから、この
法律もしくはほかの
法律で認めたときにのみ法人化を認める、そういう条文があるんですよ、三十三条に。それが法人に関する基本なんです。コンメンタールにも、そのことがるる書かれているわけであります。
コンメンタールの一部を私、抜粋して持ってきました。もっと正確に言いましょうか。
民法三十三条コンメンタールには、
日本の最高権威があるコンメンタールには、それに法人
設立の準則と表示しています。そして、「法人ハ本法」、
民法、自分のことです。「其他ノ
法律ノ規定ニ依ルニ非サレハ成立スルコトヲ得ス」と書いてあります。
要するに、何か。
民法、自分が認めた場合とほかに何か
法律ができた場合には法人化を認めてもいいですよ、そういう条文で、これが基本なんですね。そして、この解説はるる書いてあります。
どういう
団体に
法人格を認めるかに大まかに言って三つある。
一つは、許可主義、官庁の許可がなければ
法人格を与えないという、
日本の
公益法人がそうです、官僚支配を基本とする
考え方。二つは、
準則主義。一定の組織を備え、かつ、
行政庁の認可を受けることによって成立するもの、
法律の定める一定の組織を備えることによって成立するもの、
準則主義。これは、官庁の許認可あるいは認証なんて全く必要としません、一定の
法律の定める組織があれば無条件に
法人格を与える。しかし、勝手に与えるわけじゃありません、その
団体には、一定の
法律上の
要件に沿った
団体でなければならぬという縛りがかかっております。もう
一つ、自由
設立主義というのがあるんです。もうそんな縛りもかけない、どんな
団体だろうといい、どんな
団体だろうと
法人格を与えるという自由
設立主義、三つあるというんですね。
それで、じゃ、この
民法三十三条の
我が国民事法の法人
設立の基本原則はどういう立場に立っているだろうかというので、学者はずっと文章を書いているんです。それで、まあ自由
設立主義までは認められないんじゃないのかという言い方なんです。だから、どういうことかというと、許可主義はもちろんいいですね、それから
準則主義はいいんだということ、そういう
法律さえできれば
法人格を与えてもいいんだ、そういうことを、この
民法三十三条はまず
国家の基本として樹立したということを書かれております。ヨーロッパなんかもう百年前からほとんど
準則主義でありまして、スイス
民法なんかは自由
設立主義だなんとも言われているわけですね。
ですから、私どもは、今回の
法案を出すに当たって、
民法三十四条の
公益主義の呪縛から離れました。この三十三条のこれを基本法
にして、
民法が認めているんだから、この
国会で
準則主義に基づく
法律が成立すれば、それは立派に、
民法と矛盾するどころか、
民法が認める枠の中にあって
国民の
期待にこたえられる、そういう立場に立って
法案をつくり上げたわけであります。
じゃ、何で
民法は、せっかくそういう原則を掲げながら、三十四条という変な条文をつくって、
公益なんという概念を持ち出してきて、所轄官庁の許可がなければ
法人格を認めない、そういうことを持ち込んできたのか。そこがまさに
政策だったと思うのです。
民法ができたのは百年前です。百年前はどういう
時代だったか、明治
憲法の
時代ですね。
どこの
社会もそうですが、
社会を形づくっているセクターとして大きく三つあると言われています。
一つは
公的セクター、国や地方
自治体。もう
一つは
民間セクター。
民間セクターの中は二つに分けられる。
一つは
営利団体、もう
一つは非
営利団体なんですね。
それで、百年前の明治
憲法のときにつくられたこの
民法がどういう態度をとったかというと、
民間団体のうち、
営利法人は
準則主義で認めたんですよ。会社をつくるときには、官庁の許可なんか要らなくて、一定の、
法律に定める
要件さえあれば無条件に株式会社をつくっていいという
準則主義を認めたのですね。それなら非
営利法人だって
準則主義でつくれたはずなんだけれども、そこが
政策なんですね。明治
政府の
政策だったわけです。どんどんもうけることは
準則主義で会社をつくらせるけれども、
国民の自主的な結社、自主的なまとまり、そして
社会活動、それは禁圧したわけです。それは基本的には認めないで、所轄官庁の許認可がなければ
法人格を認めない、そういう原則を打ち立てて、これをこの百年間守り続けてきたのです。
本来、この
民法三十四条というのは、戦後、新しい
憲法ができて主権が天皇から
国民に変わったときに、主権者が
国民なんですから、
国民の自由な結社には
法人格を
付与するという、五十年も前にヨーロッパでは当然のように行われていた法
制度につくるべきだったのでしょうけれども、残念ながら、この五十年間、そういう
法律をつくり出すことなく、
日本の
政治そして官僚は、引き続きすべての法人に官僚支配の網をかぶせるということで
公益法人の原則を守りつつ、学校法人法とか
福祉法人法とか、官庁の、官僚の支配が貫徹できるような個別法をいろいろつくって、その個別法の
分野にだけ
法人格を与えてひもをつけてきたというのが、
日本の戦前戦後百年間の
法人格付与に関する大きな流れだったのではないのでしょうか。
ですから、私は、昨日の
趣旨説明でも述べましたが、ここまで
市民団体の
皆さんの自主的な
活動が進んできているわけでありますから、この際、
公益法人の縛りを取り払って、そして、でき得る限り
準則主義に基づくすばらしい
法律を力を合わせてつくろうじゃないかと呼びかけたいのですが、
与党の
皆さんのこの基本に対する御認識をお伺いしたい。